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近藤(洋)
委員 大臣、ぜひ
政府部内で真剣に検討をしていただき、かつ着手をしていただきたい、このように思います。着手をした結果、問題点はもう既に明らかに、何が問題で何が障害になっているのかというのは当然明らかになっているわけでしょうから、
我が国にとっては農産物の問題が大きな壁になると思いますし、向こう側にとっては工業品、こういうことなんでしょうけれ
ども、ある程度わかっているわけでしょうから、ぜひ
関係省庁、とりわけ
経済産業省、農林水産省で動き出していくべきではないか、このように思うわけであります。ことしの通商白書にももう既に真剣に進めると書いてあるんですね。
大臣、私は、この
質疑を始めるに当たり、平成二十一年版通商白書をきのうまじめに読みました。まじめに読んで、通商白書というのは、私は、経産省が全部で白書をどれだけ出しているのかちょっと数えたことがないのであれですが、私は、経産省の出している白書の中では最も重要な格式の高い白書だ、こういうふうに
認識しておるんですね。
ただ、一言だけちょっと感想を申し上げますと、これは意見としてだけちょっと。ことしの白書は大変見にくうございます。細かい話なんですが、これは事務当局の方に聞いていただきたいんですけれ
ども、ちょっと、非常に何が重要なのか、中身は立派なことを書いているんですけれ
ども、見やすいというか、見るように工夫をもうちょっとしていただきたいものだな、このように思います。これも大事なことであります。白書にせっかくいいものを書いても、ちょっと見にくいと、細かい点は
指摘をしませんけれ
ども、せっかくいいものをつくってもなかなか広く読まれない、こういうことだと思いますので、ぜひお願いしたい、こう思うわけであります。
そこで、ことしの通商白書でございますけれ
ども、今回のサブプライムローンについて大変細かな、精緻な分析をされている。それなりのできだな、このように思うわけです。残念だなと思うのは、いや、それはいい
意味で
評価しているんですよ、大変きちっと分析をされていると思うんですけれ
ども、大変残念なのは、EPAの記述部分なんです。
全部で四百二十五ページの白書の中で、EPAの記述はわずか十二、三ページにすぎない。もちろん、ちらちらとほかの項目に分かれて書いているところもあります。ですから、この部分だけがすべてEPAですと言うつもりはありません。トータルではある程度の部分書いている部分もありますけれ
ども、しかし、EPAについてまとめて書いているのは十二、三ページ。かつ、残念なのは、工程表というか、どのように戦略を立てて進めていくのかというところもちょっとわかりにくく記載をされている。わざとわかりにくくしているのか、出したくないのか、この辺はよくわかりませんが、非常にわかりにくくなっている、こういうことであります。
私は、今、
世界経済が非常に低迷している中で、保護主義的な動きというのが各地で台頭をしつつある、これは
我が国経済にとっても大変問題だし、
世界経済にとっても大問題だと思うんですね。
歴史をひもとけば、経済史家のチャールズ・キンドルバーガーという方が書いた「大不況下の
世界」という本の中でも、これは一九二九年の大恐慌について分析をした本でありますけれ
ども、この中で、要はこういうことを書いているんですね。大恐慌当時、なぜ大恐慌が起こったのかということについて、
世界を安定に導こうとする覇権国が不在だったということを
指摘している。第一次
世界大戦を境に覇権を失った英国にかわってその責任を果たそうとしなかった
米国、その結果、各国が保護主義に走った、しかも、
米国が保護主義に走ってしまった結果、第二次
世界大戦に
世界は進む、このことを分析しているわけですね。
やはり保護主義というのは、
一つ間違うとまさにそういった
懸念を持つわけであります。そういうこともこの通商白書はちゃんと書いておるんですね。保護主義と戦わなきゃいかぬと。戦わなきゃいかぬと書いているその最も重要なEPA戦略が、十数ページなんですよね。
ちょっと残念なのは、EPAというのは、かつての
経済産業省の中で、EPA部隊、通商部隊の中の、今も花形だと思いますけれ
ども、人員でいっても、かつて八十人ぐらいおって、大部隊でやられていた。今大体四十名程度なんですね。人数がどうと言うつもりはないんですけれ
ども、この白書の分量を見ても、人員を見ても、
経済産業省は実質的にEPAに熱意を失ってしまったのか、このように思ってしまうんですが、いかがですか。