○松原
委員 まさにそういったことで、
日本としては、
我が国民が拉致をされた案件に関して、こういった
条約においても、それが
一つの前進になるということを期待して、私も賛意を表すわけであります。
そうした中で、私はこの四月、五月、家族会の方々や、また救う会、議連でワシントンを訪問してまいりました。オバマ政権が発足をして、拉致問題、
北朝鮮問題に対してどのようなスタンスで彼らがこれから行動していくのか、そして、それに対して、ブッシュ政権下においては二回ほど私もワシントンを訪問して拉致の問題で
議論してきたわけでありますが、オバマ政権に対してそういったことをきちっとアピールするという
観点から今回は訪問、訪米をいたしました。
私は、古代ローマの言葉で、人間というのは自分が見たい事実だけを見るということわざがあるということを聞いております。その見たい事実だけを見るというのは、これが人間の心情における真理ではあろうかと思いますが、外交においてはそれが非常に問題になってくる場合がある。
今回は、多くのアメリカの
関係者にこの四日、五日の訪米でお会いいたしました。基本的には
外務省の設定というものも含めてお会いしたわけでありますが、私はそれと別に、独自に、米側に人脈を持っている人物とともに、違った方々にも個別にお会いしてまいりました。率直に言って、意見が若干違っていたということを申し上げたいわけであります。
というのは、この
外務委員会を通してでも言われていることは、米側と
日本との間の
日米同盟は揺るぎがない、そして
日米の
関係は緊密である、こういったことが常に
外務委員会での答弁でもなされてまいりました。もしそれがそうでなくなったとしても、それを言明して否定するのは、それは外交上愚かなことだと思いますが、私はアメリカの国防総省の、これは元
日本部長だった方ではないかと思いますが、その方ともお話をいたしました。そのとき、彼がこういうことを言っていました。一九七〇年代、八〇年代というのは、
日米は極めて密接な意思疎通が行われていた。しかし、現在においては、そういった意思疎通は極めて厳しいと思っていると。これは、
日本と極めて深い
関係があった、ペンタゴンの人であります。
つまり、それはどういうことかというと、私はこういうことを
質問したんです。例えば、尖閣に
日本が何らかの形で
自衛隊を駐屯するような
議論が
日本では行われているがどうなんだ、こう聞きましたら、それは極めて
現実的ではない、むしろ重要なことは、
日米が一九七〇年代、八〇年代のような密接な意思疎通をすることが大事であって、意思疎通がない限り、そこにそんなものを置いても、他の国の
脅威というものに対してはほとんど抵抗力がないと。彼の
議論であります。しかしながら、逆に言えば、きちっと
日米が意思疎通をしているならば、それは、尖閣にそういった人間がいなくても十分に尖閣は
日本領土として担保されるだろうというふうに彼は発言をしていたわけであります。
重要なことは、今、例えば尖閣のあたりを
中国の原子力潜水艦とかが徘回をしたりする。彼の見解ですよ、しかし、彼はそういったポジションにいた人間でありますが、それは、
日米の密接な意思疎通がないということを
中国は
理解をしているがゆえにそういうことをやっているんだ、そのことを
日本の政治家は
認識をするべきだ、こういうふうな話をその人物は言っていたわけであります。ペンタゴンにいた、恐らく元
日本部長だと思いますが、言っていたわけであります。
そして、元ホワイトハウスの補佐官であった人物が言っていたのは、これは別の
観点から言っておりましたが、
日本は極めてアピールが下手であると。アメリカの一般国民は、
中国がアメリカに対してさまざまなことをしてくれていることには大いに感謝をしているが、
日本が経済投資などでどれほどアメリカに対して貢献しているかということに関して
理解をしていない国民がほとんどであるというふうに言っておりました。これはホワイトハウスにいた人物であります。
そして、彼は、例えば、ワシントンで
日本とアメリカをテーマにしたシンポジウム等が行われたときも、英語で言っているわけですが、彼が言うには、松原さん、
日本のメディアは来るけれ
ども、アメリカのメディアは来ないじゃないか、そのことを
日本は
認識をしているのかと。大きなお金をかけてやっている、恐らく資金的にも
日本側が仕掛けをしているシンポジウムでもそういう
状況である。
私は、実はこの二人だけではないんです、二人というか、一回に二人会っているところもありますから、四、五人。
外務省が設定した面談とは全く別の面談でありますが、それぞれ、元ホワイトハウスの重要なポジションにいた人間であるとか、こういった人物からそういう発言があったということは、極めてこれは、先ほどローマのことわざに言ったように、人間というのは自分の見たいことだけを見る、そういうことになってしまっているのではないかというふうに思っているわけであります。
拉致問題に関しては、我々は大きな問題としてとらえております。例えば、
韓国政府は、かつて盧武鉉時代は、はっきり言って、盧武鉉さんは拉致問題に対して余り熱心にやっていなかった。しかし、あのときから私はそれを感じておりましたが、明らかに、拉致に関しても、拉致という言葉を言うと、我々が接触している人たちは
日本人拉致をいいますが、アメリカの一般の議員なんかでは
韓国人拉致のことを印象として持っているケースが多いんじゃないかと私は思っているんですね。今のオバマ大統領が上院議員のときに、
韓国人の拉致の問題に関して、いわゆる決議案に署名をしている。
北朝鮮の経済制裁を緩めるなという決議案に
韓国人の拉致の問題に絡んで署名しているというふうに私は聞いております。
日本人の拉致ではないんですよ。
つまり、
韓国の方が、ある
意味ではアメリカ人にアピールしている。アピールの仕方がいろいろとあると思いますが、
日本の
外務省のアメリカにおけるアピールの仕方、そして
日米安全保障の意思疎通に関して、極めて否定的な、このままでいいんですかという問いかけがアメリカ側の何人かからあった。今回の
外務省設定の面談ではないですよ、これは。しかし、それはそれなりのポジションにあった人物たちです。私は、このことは極めて重要なことだということを冒頭
指摘をしておきたいと思います。
したがって、アメリカにおいて、
日本人拉致問題でなかなか
日本と共同歩調をとってもらえないというふうに我々は言ってまいりました。飯塚さんも増元さんも何を言ったかと言えば、アメリカに行って、
テロ支援
国家指定を再指定してくれと。ブッシュの末期において解除した
テロ支援
国家指定をもう一回指定し直してくれ、こういうことをアメリカに言ってきたわけですよ。また、金融制裁もやってくれと。金融制裁というのは、これは制裁ではなくて、別の、いわゆる犯罪に対する、マネーロンダリングに対する措置であるから、彼らの
認識としては別物なのでありますが、この二つをやってくれということを強く言ってきたんです。
ベースに、
日米同盟、
日米同盟と言っているけれ
ども、どうもその部分で、我々
日本の
政府や
外務省や、もちろん与党の皆さんが接触をしてきた米側の
関係者は、
日米同盟は盤石である、そして
日本の存在感をアメリカの知識人は全員
理解していると言うけれ
ども、それは、我々と非常に親しい人は言っているけれ
ども、我々と親しくない、むしろ、アメリカのそういった外交の有力者においてはそういった
議論があったということは、これは極めてゆゆしき一大事だと思っておりまして、ぜひその辺の御
認識を改めていただき、従来以外の新しい人間
関係も構築をしていただきたいと思います。
これは一般的な話ですから、
大臣、御所見をお伺いしたい。