○
篠原委員 これも最近は世論調査結果がすぐ出たりしますけれども、世論調査をしてみれば、
国民はそういう順番をつけることについて何も疑問を感じないと思いますよ。全く
関係ない国までそんなにお金をつぎ込んで何で守る必要があるんだと。
優先順位は
日本にかかわっている
部分だというので、順番はこうですよと。だからといって、下の方にあるのを全部オミットするわけじゃないと思うんです。しかし、我々の気持ちとして、順番はこうだということを明記して私はいいのではないかと思います。
そういう点では、今、俄然海の方にも出ていくということで、
海賊対策をきちんとするところになってきているんですけれども、どうも
日本の最近の
安全保障の
関係のを見ていると、跛行性がある、同じ
安全保障といっても。加納さんは、さっき言いましたエネルギー
安全保障、非常に関心がおありになると思います。私なんか、ずっと体に食料
安全保障というのがしみついています。その
観点からほかの
安全保障を比べるんです。
この一番最後の九ページを見てください。これはじっくりごらんいただきたいと思います。この表を結構使っているんですよ。
金子予算
委員長のときにもこれを使ったんですが、余り皆さん認識していただいていないので、よくじっくり見ていただきたいと思います。これは、今こういう言葉があるかどうかわかりませんけれども、軍事
安全保障と食料
安全保障と運輸
安全保障というものです。
それの一番左、「すべて自力で」と。「
外国進出」というのはちょっと毛色が違うんですと。それと「自衛」、なるべく自分の国は自分で面倒を見ようというのが真ん中。それに対して、「
外国に依存はしかたなし」、あるいは一番下は、「
自国一国では考えず何でも自由化」でいいんだという考え方があるんです。
軍事の方は、もう皆さん、ここにはそういうのをずっと
議論されてきた方々ですから、おわかりいただけると思います。極端な人は、核兵器も自前で持つべしと言った元
外務大臣、元政調会長がおられます。こういう考え方は、私はあってもいいんだろうと思います。
それとパラレルな考えは食料完全自給ですし、運輸も、
日本の輸出入は全部
日本国籍の船でやるべきだ、
日本人船員が乗ったのでやるべきだというふうになるんです。おわかりになりますか。
一番真ん中の「自衛」でいったら、「なるべく
日本籍船」というのは、九〇年ぐらいで、
船籍が半分半分、
船員は
日本人の方が多くて、
日本人が一万四千人で、
外国人が六千人ぐらい。今どうなっているか。一番下、経営さえコントロールすればいいんだと。
日本船籍は、もう九十二になっているそうですから、九十二隻、
外国が二千隻、
船員に至っては三千人と四万人。
これを皆さん、食料
安全保障のところで見ていただくと、意外に支持が多いのは、自由
貿易のもと、何でも自由化したっていいんだ、これが非武装中立に当てはまるんです。
日本人は論理的に考えられないんです。加納さんは、ここにエネルギー
安全保障をやったら、こっちをもっと大事に、同じように考えていただきたい、パラレルに考えていただきたいということです。
そういう点、私は、余計な話で恐縮ですけれども、自民党の
防衛族は大したものだと思います。
防衛族といいますと、玉沢徳一郎さんは
防衛も大事、農業も大事と。浜田さんも同じです。中川昭一さんも、石破さんも、
中谷さんも、これは同じになっているんです。残念ながら、こっちはちょっと聞いていないようにしてください、民主党には結構
防衛族がいるんですけれども、農業に思いをはせる
防衛族というのは余りいないんです、私一人ぐらいで。ちょっとまだ進歩がないんじゃないかと思います。
それと同じように、運輸の
安全保障も絶対考えていただかなくちゃいけない、いい機会ですから。なぜかというと、皮肉を書いてあります。時間がなくなっているので農業の方は省きますけれども、参考の三のところを見てください。これは大事なんですよ。今、
金子大臣のお言葉にもありましたが、
海洋国家日本の
自国船籍率五%、
船員率七%、食料自給率以下なんです。次、いざというときに、フィリピン人や中国人やインド人が
日本船から逃げ出して、
海上警備の
対象もなくなっている
可能性があるんです。おわかりになりますか。軍事ばかり突出しているんですよ。ここが大事。
きょう、この
議論をしてこの
法案を通してやっていくんだったら、これとパラレルに
日本の
国家安全保障を考えて、船も、それはそのとおりなんです。九九%の
貿易が、海を通じて原材料が入ってきて、輸出するのもそれで出ていくんです。飛行機で行くんじゃないんです。そのものは
日本人が動かしていない、これは矛盾を感じるんですね。
私は、農林水産省に入ってからシアトルに留学をさせていただいたんです。そこで同じ部屋になった
アメリカ人がいました。尊敬されました。どうしてかというと、オリンピア半島というのは材木の集散地なんです。材木の港でアルバイトをしていたと。船が入ってくると、変な船がいっぱいいるので、ぶつけられるといけないから逃げるんだそうです。しかし、
日本船が、日の丸を掲げてきた船が来るときだけは安心して材木をあっちへ移したりこっちへ移したりしていられたと。
日本の船はきちんとルールを守って、きちんと真ん中しか通っていかない。ほかの国の船ときたら、あっち行きこっち行きで危なっかしくてやっていられなかったと言うんです。しかし、今そういう状態じゃなくなっているんです。
そしてもう一つ。これは浜田
大臣はおわかりだろうと思いますが、捕鯨にはやたらこだわるんですね。何と言っていますか。捕鯨の技術を維持するために調査捕鯨が必要だと。三千人なんて、実態は、陸上人員も加えて二千人切っているはずですよ。
日本人で船をちゃんと動かせる人がほとんどいなくなってしまう、こういう事態になっているということをよく御認識いただきたいんです。
アメリカはやはり大した国ですよ。ここの一番上、ジョーンズ・アクト。久しぶりにこのことを考えたので、事務方の皆さんには恥を知らしめまして、ジャクソン・アクトが、ちょっと同じように聞こえちゃったんでやっていましたが、ジョーンズ・アクトといいます。これは、
アメリカは戦争遂行のために
自国に
船舶技術を残しておかなければいけないというので、内航海運はすべて
アメリカ国内でつくること。これにまつわるいろいろな保護があって、常にこの自由化を言う人たちがいるんです。しかし、
アメリカは頑として聞きません。
アメリカの中にちゃんと
船舶技術を残しておかなくちゃいけない、造船所も残しておかなくちゃいけない、いざというときに軍事調達するんです。
フォークランド紛争を覚えておられますか。サッチャー首相はどうしたか。物すごい素早い対応をして、二カ月で戦争を終結させました。そのときに、クイーン・エリザベス2、客船まで徴用されているんです。
日本は一体そういうことを考えているか。何か、軍事的に外へ出ていくところばかり熱心で、ほかのところが私は抜けちゃっているんじゃないかと思いますので、これを奇貨として、この
部分もぜひ考えてやっていっていただきたいと思います。
金子大臣、この点についていかがでしょうか。