運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2008-10-14 第170回国会 参議院 予算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年十月十四日(火曜日)    午前九時一分開会     ─────────────    委員の異動  十月九日     辞任         補欠選任      青木  愛君     大久保潔重君      川崎  稔君     植松恵美子君      白  眞勲君     浅尾慶一郎君      木村  仁君     吉村剛太郎君      佐藤 信秋君     牧野たかお君      関口 昌一君     衛藤 晟一君  十月十四日     辞任         補欠選任      芝  博一君     直嶋 正行君      辻  泰弘君     轟木 利治君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         溝手 顕正君     理 事                 尾立 源幸君                 津田弥太郎君                 羽田雄一郎君                 水岡 俊一君                 森 ゆうこ君                 岩永 浩美君                 坂本由紀子君                 鶴保 庸介君                 荒木 清寛君     委 員                 相原久美子君                 浅尾慶一郎君                 石井  一君                 植松恵美子君                 大石 尚子君                 大久保潔重君                 川合 孝典君                 自見庄三郎君                 芝  博一君                 辻  泰弘君                 轟木 利治君                 友近 聡朗君                 内藤 正光君                 直嶋 正行君                 中谷 智司君                 平野 達男君                 福山 哲郎君                 藤原 良信君                 森田  高君                 米長 晴信君                 泉  信也君                 市川 一朗君                 岩城 光英君                 衛藤 晟一君                北川イッセイ君                 南野知惠子君                 林  芳正君                 牧野たかお君                 山田 俊男君                 山本 一太君                 吉村剛太郎君                 加藤 修一君                 草川 昭三君                 澤  雄二君                 大門実紀史君                 福島みずほ君                 荒井 広幸君    国務大臣        内閣総理大臣   麻生 太郎君        総務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣地方分        権改革))    鳩山 邦夫君        法務大臣     森  英介君        外務大臣     中曽根弘文君        財務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(金融)        )        中川 昭一君        文部科学大臣   塩谷  立君        厚生労働大臣   舛添 要一君        農林水産大臣   石破  茂君        経済産業大臣   二階 俊博君        国土交通大臣   金子 一義君        環境大臣     斉藤 鉄夫君        防衛大臣     浜田 靖一君        国務大臣        (内閣官房長官) 河村 建夫君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策、防        災))      佐藤  勉君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策))    与謝野 馨君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣規制改        革))      甘利  明君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣科学技        術政策食品安        全))      野田 聖子君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣少子化        対策男女共同        参画))     小渕 優子君    内閣官房長官        内閣官房長官  鴻池 祥肇君    副大臣        外務大臣    橋本 聖子君        財務大臣    平田 耕一君        文部科学大臣  山内 俊夫君        厚生労働大臣  渡辺 孝男君        防衛大臣    北村 誠吾君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        並木 正芳君        法務大臣政務官  早川 忠孝君        文部科学大臣政        務官       浮島とも子君        農林水産大臣政        務官       野村 哲郎君        経済産業大臣政        務官       谷合 正明君        国土交通大臣政        務官       岡田 直樹君        環境大臣政務官  古川 禎久君        防衛大臣政務官  岸  信夫君    政府特別補佐人        人事院総裁    谷  公士君        内閣法制局長官  宮崎 礼壹君        公正取引委員会        委員長      竹島 一彦君    事務局側        常任委員会専門        員        村松  帝君    政府参考人        内閣食品安全        委員会事務局長  栗本まさ子君        財務省主計局長  丹呉 泰健君        厚生労働省保険        局長       水田 邦雄君        中小企業庁長官  長谷川榮一君    参考人        日本銀行総裁  西村 清彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成二十年度一般会計補正予算(第1号)(内  閣提出、衆議院送付) ○平成二十年度特別会計補正予算(特第1号)(  内閣提出衆議院送付) ○平成二十年度政府関係機関補正予算(機第1号  )(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成二十年度補正予算案審査のため、必要に応じ政府参考人出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  4. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成二十年度補正予算案審査のため、本日の委員会日本銀行総裁西村清彦君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 平成二十年度補正予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。  本日及び明日の質疑総括質疑方式で行い、質疑割当て時間は三百三十五分とし、各会派への割当て時間は、民主党・新緑風会・国民新日本百六十六分、自由民主党百九分、公明党三十分、日本共産党十分、社会民主党・護憲連合十分、改革クラブ十分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  7. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 平成二十年度一般会計補正予算(第1号)、平成二十年度特別会計補正予算(特第1号)、平成二十年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題といたします。  三案の趣旨説明は既に聴取いたしております。これより質疑に入ります。吉村剛太郎君。
  8. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 おはようございます。自由民主党吉村剛太郎でございます。  本日、こうやって冒頭予算委員会質疑させていただくこと、大変光栄至極でございますが、さきの通常国会では、私はここにトップバッターとして質問をさしていただいたわけでございますが、三日間、この席で座ったままで待たされました。しかし、本日はこうやって定時定刻質問をできるということ、大変うれしく思っている次第でございます。  まず冒頭、今回、麻生総理総理就任をされました。心からお祝いを申し上げたいと、このように思う次第でございます。あわせて、この度のノーベル賞で、物理学、化学の分野で合わせて四人の日本の方が受賞されました。日本国民にとっては大変うれしいことであると、このように思います。後ほど所見があれば総理からお伺いをしたいと、このように思う次第でございますが。  まず今回、総理就任をされましたが、私にとりましては、福岡県にとりまして七十二年ぶり総理の誕生でございます。  総理とは地元でしょっちゅう顔を合わせていろいろな冗談も含めて話し合っておりますが、今日こうやって総理とそして質疑者という形でお話をさせていただくということは私にとりましても大変感無量でございまして、よろしくお願いをしたいと、このように思います。  七十二年前といいますと昭和十一年、昭和十一年の三月五日に、我が福岡が生みました広田弘毅という方が総理就任をされました。昭和十一年三月五日といいますと、そのちょっと前に二・二六事件があったときでございます。そして、三日後の二月の二十九日に反乱兵士が帰順をいたしまして、その後、三月五日にこの広田弘毅に、まあ歴史上の人物ですから呼び捨てをさせていただきますが、大命が下った次第でございます。  個人的なことを申し上げると大変恐縮でございますが、この広田弘毅は私の高校の大先輩でございます。その当時の中学修猷館の出身ということでございますが、そういう縁もありまして、現在私はふるさと福岡広田弘毅顕彰会の会長をしておりまして、毎年五月に顕彰会を催させていただいておる次第でございます。  広田弘毅の生き様、死に様についてはいろいろな文献がございまして、もう皆様方御存じのとおりだと、このように思っておりますが、たしか麻生総理のおじい様の吉田茂、これも歴史上の人物ですから呼び捨てさせていただきますが、外務省ではほぼ同時代、活躍された方ではないかなと、このように思っております。  広田弘毅組閣に際しまして、外務大臣吉田茂をという意向があったやに聞いております。しかしながら、時の軍部、なかんずく陸軍が大変な反対をいたしまして、外務大臣就任するということが実現しなかったわけでございます。その理由は、非常に自由主義的な考えを持った方であって、そのような傾向を持った者は閣内に入れないという陸軍の強い反対があったと、このようにお聞きしております。  そのときの世界情勢歴史を振り返りまして、やはり確固とした歴史観を持ちながら政治というものが行われなければならないと。特に混迷時代は指針がありません。やはり、歴史をひもといて、その中から次の世代がどうあるべきかということを決めていかなければならないんではないかと、このように思いますときに、総理の、本当におじい様から薫陶を受けた歴史観というものを私は大変信頼もしておりますが、ここで国民皆さん方に、その総理が持てる歴史観とそれからこの国がどうあるべきかという国家観国民方々に御披瀝をいただければと、このように思います。よろしくお願いします。
  9. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 今お話がありましたように、一九三六年、昭和十一年になりますけれども、このときに広田内閣が二・二六事件の後を受けて誕生いたしております。広田弘毅吉田茂共外務省の同期の入省だったと聞いておりますが、組閣に当たって反対ということで、結果的に陸軍の刑務所に入ったんでしたかね、あの後は。で、あれをもし受けてりゃ内閣総理大臣はなかったと思いますんで、人間の運はどう転ぶか分からぬと、最たる例だと、私はそう思っております。  今また大変な時代内閣総理大臣ということになったんだと認識をしておりますが、日本は、その二・二六に限らず、それ以前もそれ以後もいろいろな国難というものをこれまで何回となくくぐり抜け、そのたんびにきちんと立ち直ってきて強くなってきた、私は、経済的にはもちろんのこと、いろんな意味で強くなってきたんだと思っております。  したがいまして、こういった局面に当たって、やっぱり困難から逃げないことだと思っております。そして、やっぱり英知を結集して、多くの方々の意見を集約して、その上できちんとした方針をということになるんだと思いますが、大事なことは、今というより後世の歴史家の評価に堪える、そこが一番肝心なことかと思っております。
  10. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 今の総理のお言葉、国民も本当に今日はテレビを通じて注目していると、このように思っております。王道を行く政治是非これから断行していただきたいと、このように思っております。  こういう困難な時期と、今、経済がグローバルに混迷を来しております。あの当時も、一九二九年大恐慌に陥りまして、一九三三年にはたしか世界経済会議というのが行われて、そこで世界の各国が協力しようじゃないかということが行われたと、このように承っておりますが、今回もG7、そしてG20という中で、国際社会一致協力していこうということだろうと、このように思っております。この時間帯に東京市場はもうオープンになっていると思います。後ほど寄り付き価格その他、私の方にメモが入るようになっておりまして、その情報を得ながら経済関係については質問もしたいと、このように思っておりますが、その前に北朝鮮問題でございます。  日本時間の十月十二日未明に、北朝鮮との間で核計画申告検証方法合意したアメリカ政府は、北朝鮮へのテロ支援国家指定を約二十年八か月ぶり解除をいたしました。指定解除によって北朝鮮を六者協議に戻し、核問題解決を促すという効果はある程度あるかもしれません。しかしながら、北朝鮮は核の脅しで相手の譲歩を迫ることが有効と確信をしている国であると、このように思いますが、北朝鮮は今回の核問題の進展理由支援実施要求を強める可能性も出てくるのではないかと、このように思います。  北朝鮮の思うがままではないかと、こんな懸念も持つものでございますが、我が国が慎重な判断を求めたにもかかわらず、内容よりも形の合意を優先したのは、あのアメリカがですね、極めて遺憾であると、このように存じておりますが、これは中曽根大臣にお聞きしたいと思いますが、中曽根大臣ライス国務長官にまだ確認すべき点があると伝えたはずでございますが、最終決断を下す前、日本に何か回答があったのかどうか、日米信頼関係が地に落ちたという評論もございますが、同盟国である日本と事前によく相談した上でのことかどうか、中曽根大臣にお聞きしたいと思います。
  11. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 日米間でこの問題についてよく相談をしたのかというお尋ねでございますけれども、北朝鮮が六月の二十六日に核計画、核の申告を提出して以来、日米間では検証措置について大変緊密な協議を行ってまいりました。特に、十月の一日から三日に行われましたアメリカヒル国務次官補の訪朝のとき、その後は両国で緊密な連絡を取ってまいりました。  具体的には、外務省齋木局長ヒル次官補協議、それから在米の我が方の大使館を通じました事務レベルの調整に加えまして、私も九日にはシーファー駐日米国大使を通じて我が国考え方をお伝えしましたし、また、今お話ありましたように、十日にはライス長官電話会談をいたしました。さらに、十一日には麻生総理ブッシュ大統領との間でも電話会談が行われたわけであります。  こうした一連協議を行いまして、私ども、米国とは十分な意思疎通を行い、我が方の考え方も述べてきたわけでありますが、我が方の意思と無関係米国がこの決定を行ったと、そういうことではございません。是非御理解いただきたいと思います。
  12. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 続いて、河村官房長官にお尋ねしたいと思いますが、我々日本人は、拉致した北朝鮮テロ支援国家から外すことは誠に納得できないと私は思っております。我が国は、すべての拉致被害者帰国真相究明実行犯引渡しを求めているところでございます。  北朝鮮は、本年六月、日朝会議で約束した再調査にまだ着手をしておりません。核検証手続進展はある程度理解できるが、拉致解決は後回しで、進展なしの可能性があります。  今回の決定拉致問題解決に向けた交渉のてこを失うのではないかと懸念もするところでございまして、更に確認すべき点も多々残っておると、このように思っておりますが、官房長官のお考え是非お聞きしたいと、このように思います。
  13. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) お答え申し上げます。  先ほど外務大臣からも答弁ありましたように、アメリカ一連検証措置北朝鮮に受け入れさせるという手段としてテロ支援国家指定解除をやってきたと、このように理解しておるところでございます。一方で、アメリカは、テロ支援国家指定解除効果は基本的に象徴的なものであって、ほとんどの制裁は他の法令に基づき残っておるということを明らかにしておるところでございます。  また、政府といたしましても、十日の閣議において、既に北朝鮮船籍入港禁止措置及び北朝鮮からのすべての輸入禁止措置、この延長を決めたところでございまして、我が国がとっている対北朝鮮措置というものは引き続き適用されてくるわけでございます。  このように、北朝鮮に対しては引き続き様々なカードを持っておるわけでございまして、日本我が国といたしましては、核問題と同時にこの拉致問題を含む日朝関係が前進するように、アメリカを始めとする関係諸国、六か国協議の中で一層緊密に連携を取りながら最大の努力を払ってまいりたい。  被害者皆さんの御懸念、我々よく承知をしておるわけでございまして、特に権限のある調査会の立ち上げ、これがまず必要でございます。このことを強く求めていかなきゃなりません。日本側全員帰国を待っての国交正常化ということもございますし、また経済支援という北朝鮮側が望んでおることもございます。これに進めるためにも、まずこの権限ある調査会を約束どおり立ち上げてもらう、このことを強く求めてまいりたいと、このように考えておるところでございます。
  14. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 最後に、総理、総括してお考えを述べていただきたいと、このように思っておりますが、拉致被害者家族方々は今回の指定解除によりまして大変不安を持っておられると思います。何となく拉致問題が置き去りにされているんではないかというような不安も持っておられるんではないかと、このように思う次第でございますが、我々としましては、先ほど申しましたように、拉致被害者帰国真相究明実行犯引渡しをずっと求め続けており、今後ともこのスタンスは変わらないと、このように思っておりますが、麻生総理拉致被害者全員を帰すよう強く主張すると家族方々にも約束をされました。  今日、日米同盟に及ぼす影響も懸念もされるわけでございますが、総理のお考え是非お聞きしたいと、このように思います。
  15. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 北朝鮮に対して、すべての拉致被害者の一刻も早い帰国の実現ということに関しましては、八月の日朝間の合意に従いまして、早期に全面的な調査のやり直し等々を開始して、生存者帰国に、生存者全員帰国につながるような成果を出すよう、これは引き続き求めていくというのが基本方針、これはずっと変わらないところであります。  一方、十月十三日に期限を迎えておりましたいわゆる北朝鮮への処置の話につきましては、核問題及び拉致問題に関する北朝鮮対応策並びにいろいろな諸般の情勢を総合的に勘案させていただいて、先週の金曜日の閣議におきまして、これを引き続き制裁処置は継続する、そのまま変わらずに継続するということを行ったところであります。  いずれにしても、この北朝鮮に対しましては、拉致、核、ミサイルといったようないわゆるいろいろな懸案を包括的に解決した上で、そして不幸な過去を清算して、そして国交正常化を図るとの基本方針というのは引き続き堅持をしてまいりたいと思っております。
  16. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 被害者家族方々の思いも本当に大変だろうと、このように思っております。どうか政府一丸となって、いや国民一丸となってこの問題を解決すべく力を合わせていきたいと、このように思いますので、よろしくリーダーシップをお願いしたいと、このように思っております。  今回のテロ支援国家指定解除に絡みまして、先ほどもちょっと申しましたが、日米間にちょっとぎすぎすしたものが生まれておるのではないかというような懸念を表される向きもございます。  ちょっと話を昔に戻しますと、またおじい様の話になって恐縮でございますが、一九五一年、昭和二十六年、サンフランシスコで講和条約、これは全権代表として行かれて署名をされました。その後の日米安保吉田総理たった一人で署名をされているんですね。これは大変大きな何か含みの意味があるのかなと私はいつも考えておるんです。  といいますのは、吉田茂総理は、戦前は中国天津、奉天などで総領事をされておりまして、その当時の日本国満州国との間、関係というのを熟知されている方ですね。その満州国の存在というのは、まさに当時の日本のかいらい国家であったと言っても過言ではない。そこには関東軍と当時の溥儀との間に秘密協定、これは秘密協定でも何でもないんですが、協定が結ばれておりまして、その内容を大ざっぱに申しますと、国防と治安は全部日本にお任せすると、日本が必要と思うところの鉄道の駅とか地域はすべてお使いくださいと、その費用は満州国が持ちますと。  これ、何やら今日の日米安保、また地位協定とよく似ているんですね。それを承知吉田さんがこの安保条約を結んだ、それもたった一人で署名に臨まれたということ、これについて、実は私は宮澤総理とも晩年、最晩年にたった二人でお話を聞いたことがございます。あのときの随員として宮澤総理は一緒に行かれているんですけど、宮澤総理も入っておられないんですね、その署名のときに。これはまさに吉田さんが命を懸けてたった一人で責任を負うという心構えでされたのではないかと。  同時に、これは後世の我々に大変大きな宿題を残されたと。日米関係は基軸であると、しかしながら独立自尊の国家としての尊厳は決して崩してはならないんだという宿題を残されたんではないかと、私はこのように理解もしておるところでございまして、お孫さんである総理、ひざの上でいろいろなこともお聞きになったかも分かりませんが、御意見あれば所見をお聞きしたいと、このように思っております。
  17. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 御存じのように、あのときは朝鮮事変です。もう朝鮮事変以後に生まれられた方の方が国会議員も多い、そういう時代になっておりますけれども、あの辺は朝鮮事変の勃発でありまして、御記憶のように東京ではもう動乱景気でえらく景気の良かった時代でしたけれども、我々、小倉やら門司ではまだ敵機来襲、空襲警報、灯火管制なんていうのは昭和二十五年はやっておりましたから、二十六年ぐらいは。そういった時代でしたので、かなり情勢としては東京と九州北部とは大分違っておったと、子供心にそういう記憶があります。  そういう時代だったと思いますが、少なくとも国際連合に加盟するというのは、当時優先順位の一番に挙げられるほどの大きな問題でもありました。それが単独講和か全面講和か、国論二つに割っておる、そういう時代だったと存じます。そういう中にあって、この日米安全保障条約というものに関しましては、今御指摘のありましたように、この防衛の点におきましてはかなり平等性を欠いておるという点はもう当時から言われておりましたんで、その責任は後世問われる可能性がある、したがって、これには他の、これからの政治家にサインはさせられない、よって自分で全責任を負う、それが当時の哲学だったと記憶します。
  18. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 まさにそうだと思います。当時の国会でも、共産党も含めて、大変この日米安保には異論もあったと。幣原喜重郎は、これは奇案であるというようなことも書物で述べておられます。  しかし、あえて選択したその選択肢は、今日の平和と繁栄、我が国が享受しております平和と繁栄を見るときに、決して間違いではなかったと。しかし、我々日本国アメリカの五十一番目の州ではないと、和して同せず、仲よくすると同時に主体性を堅持しなければならない、このように思っておる次第でございまして、総理もこれから度々アメリカとの折衝をされると思いますが、釈迦に説法でございますが、そこを堅持していただくことを国民の一人としてお願いを申し上げたいと、このように思う次第でございます。  続けて、ただいま、九時に東京市場がオープンになっておりまして、寄り付き百三十一円高の八千四百七円という、これが九時十分ぐらいですかね、大変出だしとしてはいい寄り付きをしているんではないかなと。まあいい悪いというのは言えないと思いますが、こういう状況でございます。アメリカもそうですが、ヨーロッパもそうですが、各マーケット、市場が軒並み大幅な株価上昇でスタートし、また終わっておるわけでございます。  そして、中川大臣、お疲れさまでございました。G7に行かれました。ここで、テレビの前で、国民方々に対しましてG7についての御報告を簡単にお願いできればと、このように思います。
  19. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 私は、院の御許可をいただきまして、十月の九日の夕方から昨日の夕方までワシントンに行ってまいりました。目的はG7財務大臣・中央銀行会議でございまして、そのほかに、IMFの委員会での討議、さらに、G7プラス主要途上国を一緒にしたG20という会議がございました。さらには、ポールソン財務長官、それからお隣の韓国の財政大臣とお会いをさせていただきました。また、ブッシュ大統領が突然我々G7の閣僚を早朝呼んでいただきまして、話合いをさせていただく機会もあったわけでございます。  各国それぞれ大変厳しい金融状況あるいは経済状況に急速になっているということで、それについての認識というものは、参加した多分すべての国が共有しているというふうに理解をしております。  そういう中で、日本といたしましては、やはり今の状況というのは九〇年代のいわゆる日本のバブル崩壊後の状況に非常によく似ている。ただし、日本の場合には、十数年前のことでございますけれども、苦しみ、もがき、時間も掛かりましたが、日本の中だけで主に解決した問題でございますけれども、今回は世界的に、以前はデカップルかカップルかなんて議論がありましたけど、完全にこれは世界がもう密接に結び付いているという状況ですから、各国の対応だけではある意味では不十分になるということで、一斉にこれをやっていく必要がある。  そして、日本も十数年間の中で、預金の全額保護もしましたし、あるいはまた債権の買取りもしましたし、銀行の国有化もしましたし、さらには公的資本を金融機関に注入するということもやりました。それぞれ国民の税金を使わせていただくということで、いろいろな批判もありましたけれども、今から振り返ると、やはりセットで、そしてできるだけ早く、当時よくツーレート・ツーリトルという言葉がありましたけれども、やはりそれをきちっとやることによってこの危機を乗り切ることができたという経験をG7あるいはG20、IMFで御紹介をさせていただきました。  そしてまた、先ほど申し上げたように、これはもう世界的なある意味では金融経済の危機の連鎖。この悪い連鎖を断ち切らなければいけないということになりますと、G7各国の協調も言うまでもありませんし、もっと言うまでもないのは日本においても政府と中央銀行、日銀とが密接に連絡を取っていかなければならないわけでありますけれども、しかし、これがG7だけではなくてG7に加盟していないヨーロッパ、あるいはまたアジア、あるいはまた中央アジア等でもいろいろな動きがあるわけでございますので、これはやっぱりきちっとしたシステムの中でやっていくということになりますと、IMFというものの存在が非常に貴重、重要になってくるのではないか。しかし十数年前に、一九九七年ごろ、いわゆるアジア通貨危機のときに取ったIMFの行動というのは、残念ながらその危機の立て直しの目的だけではなくて、かなりその当事国にとってみれば厳しいものであって、そして何か非常につらい政策を強いられたという若干悪いイメージが残っていたわけでございます。  ですから、是非そのことを、IMFも経験を乗り越えて、やはり適時適切、柔軟に本当に相手の国にお役に立つような使命を果たしていただきたい。そのためには、各国政府に対して十分な資金の提供が必要であればやっていかなければいけませんし、万が一IMFの現在の保有資金だけで足りない場合には、日本も、あるいはまた日本の立場に賛同してくれる各国を含めてIMFに対して資金の追加的な支援もしましょうと、こういうことも申し上げてきたところでございます。  いずれにいたしましても、冒頭申し上げたように、この危機に対する認識は一緒でございますので、IMF、G20等々でも最初に行われましたG7でのあの五つの行動計画、これを認める、支持すると、その上でG20あるいは世界全体でこの危機を乗り越えていこうという共通認識で結論を得たところでございます。
  20. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 まさにG7、G20、本当に心を一つにしてこの国際的な経済危機を乗り越えようという統一した意思を持ったということは各市場に大変安心感を与えたんだろうと、このように思います。と同時に、今日の東京マーケットが寄り付きから百三十何円か上昇してスタートしたということ、その効果がこうやって如実に現れているんではないかと、このように思います。  そして、今大臣が日銀のことについても付言をされました。今日は日銀は見えていますかね、はい。横軸として日銀がどう協力をしていただけるのか、よろしく説明をお願いしたいと、このように思います。
  21. 西村清彦

    参考人西村清彦君) お答えさせていただきます。  委員から的確な御指摘がありましたように、米欧金融機関の破綻を背景に国際金融市場の緊張が非常に高まっております。この金融市場の緊張が強い現在、中央銀行としてなし得る重要な貢献というのは、やはり流動性を通じた金融市場の安定確保だというふうに考えております。  この観点から、日本銀行は連日、数兆円規模の大量の資金供給を行っております。このほか、積極的な流動性供給に向けて、主要国中央銀行との協調策も相次いで打ち出してまいっております。  すなわち、九月には、米国連邦準備制度とスワップ協定を締結しまして、ドル資金供給オペレーションを導入いたしました。また、今月八日には、各国中央銀行と共同声明を発しまして、金融市場の安定確保のための体制を一段と整備するため、金融調節面で更に改善を図る方向で速やかに検討するという方針を明らかにしました。さらに、昨日ですが、各国中央銀行との共同声明で、日本銀行としてもドル資金供給オペレーションの更なる拡充策を検討する方針を発表いたしました。先日のG7では、参加国は金融機関の流動性に対する広範なアクセスを確保するため必要な手段を講じるとされたところであります。  日本銀行としましては、先ほど申し述べた課題の検討を速やかに進め実施に移していくとともに、引き続き、国際金融市場の動向を注視しつつ、金融市場の安定に努めてまいりたいというふうに考えております。
  22. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 ありがとうございました。  日銀、政府とよく協力をしながらこの難局を乗り越えていただきたいと、このように思う次第でございます。  私は日銀はこれ以上質問ございませんので、どうぞお引き取りください。  今日は金融庁事務方、来ていますかね。来ている。来ていないかな。(発言する者あり)いやいや。来ていないの。ちょっと困りましたが。  この間、説明会のときにちょっと私お尋ねして、今回の世界的なこの混乱の元はアメリカのサブプライムローンに端を発しているわけです。私も去年の八月に初めてサブプライムローンという言葉を聞きました。それまでこんなローンがあるということすら知らなかった。  よく見てみますと、これはある意味ではでたらめですね。要するに、信用力が大変低いところにローンを組んで、それをすぐそのローン会社は大手金融機関に売却してリスクをヘッジする、そこがまた証券化して、それもいろいろと複数の担保証券と一緒にミックスして証券化してしまう、それを格付会社が格付をする、そういうことが入り乱れたところで最終的にこのような混乱を来したということですが、金融庁は、事務方来ていないので申し訳ないですが、大臣でいいのかな。(発言する者あり)いやいや。それで、このサブプライムローンというものの存在をいつから知っていたんですかね、認識をしていたのはいつごろでしょうか。ようございますか、大臣。どちら。ごめんなさいね、僕はちゃんと通告したつもりだったんだけど。
  23. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 二〇〇一年の十一月、十二月ごろにエンロンというものが破綻をしまして、これがある意味では非常に、何というんですか、高度化された、コンピューターで高度化された金融商品で、ぐっと伸びて、そして突然破綻をしたと。エンロン・ショックというのがありました。  あれ自体は金融や経済全体に大きな影響をそう与えたものではなかったんでありますけれども、その後、アメリカの低金利政策、それから世界での石油等の余剰資金、これが非常にお金が余剰になってきた、それから金利が安いんでどんどん借りやすくなったという中で、アメリカの、ある意味では非常に進んだといいましょうか、金融工学を駆使していろんな金融商品、金融派生商品、債務担保証券であるとか住宅ローン債権であるとか不動産担保証券であるとか、いろいろな金融商品ができたわけでございます。  その一つがアメリカのサブプライムローン。つまり、アメリカは住宅の価値は大恐慌以来ずっと上がりっ放しである、住宅です。要するに、不動産じゃなくて住宅そのものですね。そういう中で、信用度が少し低い方々、いわゆるプライムではない、あるいはオルトAでもない、そのもう一つ下の支払能力がちょっと問題があるというか低い方々に対して銀行がお金を貸す、それを別会社が、SIVという別会社が証券化する、それを証券化したものをわっと売る。そうすると、ほかのところでまたその証券化された住宅ローン債権を今度はいろんなほかの証券とまたばらばらにしてくっつけて、そしてそれがまたどこかへ行ってまた分解されて、また教育ローンとかいろんなものも入れて世界中に広がっていったというのがサブプライムローンを始めとする債務担保証券、CDOとかいうようなあらゆるものが出てきたわけであります。  これは、元の住宅価格が上がっているという大前提、日本の場合には不動産価格というのは戦後五十年ぐらいずっと上がり続けてきて、四十年ですか、バブル崩壊でこうなったわけですが、アメリカは七十年ぐらい大恐慌以来ずっと上がってきて、まさに神話になっていたわけでありますが、新規も中古の住宅市場ももう飽和点を超して、あるとき、必ずこういうものは歴史は繰り返すわけでございますけれども、これが頭打ちになり、やがてこれが、その市場が崩壊していった。  その一つの原因は、いい条件で借りていたサブプライムローンの債務者、これが契約で一、二年は非常に低い金利だったんですけれども、二年か三年たつとその金利が倍ぐらいに跳ね返るという約定もあったようでありますし、またアメリカの場合にはノンリコースローンでございますから、要するに持っている担保、つまり住宅を私はもう要りませんと言った瞬間に、大きな借金であってもその人はもう生き残って別の、まあおしまいになっちゃうわけですね。日本のようにもう徹底的に担保を返すまでやっていくというのと違って、もうノンリコースで、はいおしまい、この方はもうこの件に関しては関係ありません、こうなっちゃうと、銀行がその不良資産を預かってしまうという問題もあったわけでございます。  そういったいろんな要素の中で、このサブプライムローン問題をきっかけにして今こういう状態になってきているわけであります。その商品自体は二十一世紀の初頭ぐらいからさっき言った状況の中でいろんな金融派生商品の一つとして組成されたものと私は認識をしておりますが、私自身が直接認識をし始めたのは去年の前半ぐらいから、こういうものがどうも異常な伸びを示している、しかも借りている人たちが決してその担保能力が十分なものではないというような話を聞いて、これは本当に大丈夫なのかなと心配し始めておりましたが、それが経済、金融のはっきりとした数字として、これが少し状況がおかしいぞということを世界が認識したのは去年の八月というふうに私は理解をしております。
  24. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 ありがとうございます。  中川大臣、今ノンリコースまで触れて御説明をいただいたわけでございますが、まさに我が国アメリカの、何といいますか、社会構造といいますか、社会、国民性といいますかの違いがこういうところにあるのかなと、こんな感じがしております。  このようなサブプライム層、日本であればこういうところにローンは組まないんではないかと。こういうのは社会政策として公営住宅か何かを造ってそこにそれを提供する、低家賃で提供するというような形で、サブプライムローンみたいにマーケットにゆだねるというようなことはなかなかしないんではないかと、こんな感じがしております。これは大きな政府か小さな政府かという問題にも関連はしてきますが、日本の感覚ではここまではマーケットにゆだねないんではないかという感じを私は持っておるわけで、これはまさにアメリカ的な経済主義と日本との違いではないかと、こんな思いがするわけでございます。  そこで、さはされど、現実にこのような混乱を来しておるわけでございまして、これに対して日本政府としてはどう対応していくか、この点について中川大臣ですかね、にお聞きしたいと、このように思います。
  25. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 日本は、先ほど申し上げましたように、八〇年代の不動産あるいは株のいわゆるバブルを経験し、そしてそれが崩壊し、そして十数年間この問題で日本一国で苦しみ、もがき、また国会あるいは国民の皆様にもあるときはいろんなおしかりを受けながらも、時間が多少掛かりましたけれども、それでも乗り切ってきたということでございます。  今回の問題は、発端はサブプライムローン問題でありましたけれども、これがきっかけになりまして、いろんないわゆる金融派生商品といいましょうか、本来の担保がしっかり付いた証券がマーケットで売られるというものと違う、かなり技術的といいましょうか、それを商品化していって、本当に一体実体が何だ、何なのかよく分からないというようなものがいっぱい出てきちゃったということであります。  例えば、アメリカの住宅の先物市場なんていうのがシカゴにあるんだそうでありますけれども、これなんかを見ますと、やはりピークに比べてこれから先物が更に下がっていくという予想も出ているようでございまして、日本はそういう経験がございましたんで、何といってもこれに対しては非常にもう、あの当時は今から見れば単純なものの金融商品であったわけでありますけれども、今回は非常に複雑で、そして当事者ですら訳が分からないぐらいに複雑化されたものでありまして、これが今一挙に値崩れというよりは崩壊しているものもあるわけで、値段すら付かないという状況になっているものもあるわけでございます。  私は、そういう中で日本は十数年間苦労して、そして体制を立て直してきたところでございます。経済そのものは依然として、二年前まで世界が五%成長あるいはまたヨーロッパも高い成長率を誇っていた中で、日本は一、二%という大変低い成長ではありましたけれども、しかし土台はしっかりしていると。特に金融システムそのものにつきましては、アメリカやヨーロッパに比べれば私は相対的に健全であるというふうに現時点で認識をしているところでございます。  しかし、そうはいいながらも、アメリカ経済、実体経済の影響、ヨーロッパ経済の実体経済の影響等を考えますと日本経済も影響を受けるところでありますし、また、株もあるいは通貨も、これはもう世界を一日二十四時間休まず動いているものでありますから、どこかで影響が起これば日本も影響が起きる。  幸い現時点で東京の株価指数は、現時点では千円を超える上昇になっているようでございますけれども、とにかく日本での金融あるいはまた経済に、経済自体は少し影響が出始めているのかなと。そしてまた、いつ何どきまたどういう事態が突発的に発生するかも分かりませんので、総理からは、とにかく何が起こってもきちっと対応できるように日ごろからきちっと準備をしておくようにという指示を日々いただいているところでございます。
  26. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 今九時五十分、もう千円の上昇ですか、そうですか。先ほど寄り付きで百三十四円ということを申し上げましたけれども、もう数十分で千円の上昇ということですから。  中川大臣ありがとうございます。  それで、ちょっと苦言も呈したいと、このように思っておりますが、このようなサブプライムローンみたいな商品があるということをなかなか金融庁としては把握をしていたのかしていなかったのか。していなかったといえば怠慢だと、していておれば、その情報を国民に流さなかったというのはこれもまた怠慢だなと、こんな思いがするわけでございまして、健全なマーケットを育成する点からも、こういう情報公開は迅速にしてもらわなければならないんではないかなと、このように思っております。  そういう中で、貯蓄から投資へという流れをずっとたどってきたわけでございます。投資性向が強い方々にとっては、これはある意味では損することもありもうけることもあるということであきらめも付くかも分かりませんが、投資性向が非常に低い、例えば郵便貯金なんかに預けていたお年寄りが、郵便貯金は限度額は一千万なんですね。だけれども、お年寄りなんかの貯金額は、そうですね、三百万からせいぜい五百万だと。それを投資信託にという勧誘の下に百五十万から二百万をそちらに回した。ところが、それが二割から二割五分、もしかしたら三割ぐらい含み損を抱えておる。これがまた十年後か十五年後にはまた元に戻るかも分かりませんが、八十歳のお年寄りがいつまでも生きておれるわけではない。  そういう中に、貯蓄から投資へという一つの、何といいますか、流れを促進したところは、やはり大いに反省をしなければならない点ではないかなと、このように思います。民がすべて善、公がすべて悪というようなことは私はないんですね。民と公が本当にいいバランスでやっていく、これは経済でも行政でも何でもそうですが、そういう感じが私はしております。  担当の鳩山大臣、その問題も含めて、今郵政事業といいますものがいろいろ論議をされておりますが、その点について所見をお聞きしたいと、このように思います。
  27. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) いわゆる郵政の民営化ということについては、当然強い光が当たればやっぱり影も濃い部分がありますから、様々に問題が出てきている点についてはこれはもう懸命に解決をしていく、とりわけユニバーサルサービスということについて徹底してこれを守っていく。  あるいは、従来の特定郵便局長さんたちは地域のコミュニティーのリーダーであられる場合が非常に多いわけですが、結局それが郵便局会社として分離されて、郵貯や簡保、もちろん手数料はもらうわけでしょうけれども、直接タッチできるかできないかという問題が出てくる。あるいは郵政に関しても、郵便局長、昔の特定局長さんを信じてこれをいっぱい送ってくれとかいうふうなことが最近少なくなったのではないかとか、あるいはもちろん簡易郵便局が廃止されたものがあるとか、様々な問題がありまして、これそれぞれに手を打っていこうと思っております。  先生御指摘の金融関係の問題について申し上げるならば、郵貯は元々政府を信用して定額貯金等を積んでいった国民の財産。民営化は今移行期間中でございますけれども、当然そういう国民の財産という、政府を信用した国民の財産というのは今まだ当然残っているわけでございまして、その関係もありまして、いわゆる格付の高いものにしか手を出していないということ、すなわち国債が多分七四、五%を占めているんだろうと思いまして、複雑な、ばくち的な要素のあるような商品には手を出しておりませんので、ゆうちょ銀行としてはサブプライムローン等の影響を受けるという心配はありません。
  28. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 実際に私は郵貯から投資信託に投資した人から直接聞いた話でして、やっぱり含み損はあるんですよ。これは全体的にあるんですね。確かに安定的な国債ということはよく分かりますけど、実際問題としてやっぱり相当含み損を抱えておることだけは御認識をいただきたいと、このように思っております。  郵政事業についてまだまだ私も意見があるし、申し上げたいんですが、時間も限られておりますので次に移らさせていただきます。  農業問題、それも汚染米の問題。これは実は、総理もそうですが、我が福岡県の三笠フーズという会社がこの汚染米を本当に流してしまったんですね。その実態と、それからこれにどう対応していくかということ、農水大臣、お答えいただきたいと、このように思います。
  29. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 現在、農林水産省の中で対策本部を立ち上げまして、これも私、就任の日に立ち上げておりますが、まず流通ルートがどうなったか、どこに行ってしまったかということの解明、これが最優先であります。これを徹底的に解明するということ。  もう一つは、この汚染米を知らずに使ってしまった日本酒メーカーの方、あるいはしょうちゅうメーカーの方、和菓子メーカーの方、これ売上げが激減をしておるわけでありまして、これはすべてのそういう関係者のところに当省の農政局長でありますとか農政事務所長ですとか、全部行かせました。毎日報告を上げさせております。  そこは本当に深刻なお話で、公表されたことによって、実際に影響はないにもかかわらず返品が物すごくある、売上げが激減する。これに対して実態を把握して、どういう手を打つか、経営支援策を打つか、これが喫緊の課題であります。  もう一つ急がねばならないのは、何でこんなことが起こったんだということは、これは真摯に反省をし、厳正な処分をしなければならないと考えております。これはいろいろ言い分はあるのかもしれませんが、農水省の検査、立会いが万全でありとせば、こんなことは起こっていないのです。  私は実際に福岡にも行ってみました。三笠フーズの倉庫にも行ってみました。何なんだ、この検査は、立会いはということであります。これを徹底的に改める。当然のことでありまして、検査マニュアルもなかったわけでありますから、この検査マニュアルを早急に作ると、研修もやると。立派なマニュアルできましたが、実際に検査、立会いに当たる者は全く理解できていませんでしたというようなことでは話にも何にもなりませんので、この研修も徹底してやるということであります。  そして、繰り返しになりますが、何でこんなことが起こったのか。これは本省の責任も私はあると思っておるのです。こういう形にすればこんなことは二度と起こりませんということを消費者の方々に納得をしていただける、そして関連業界の方々の被害というものの救済は本当に急を要すると思っておりまして、この対策、これが急ぐと思っております。  何にいたしましても、本当にこれ以上ない、当然のことでありますが、行政の責任、万全を期してまいります。
  30. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 大変心強い大臣の御答弁でございます。  確かに、この業者のモラルというものは本当にこういう程度であったかということは残念なことでございます。特に九州は酒どころ、特にしょうちゅうどころでございまして、この三笠フーズから流れた商品がどこにどう入っているのか、またすべてが善意の業者が受けておりまして、その風評被害というのはこれはまさに甚大なことで、今農水大臣が大変力強い答弁をしていただいたのは大変有り難いんですが、やっぱり財源の裏付けがないとこれはどうしようもないわけでございまして、財務大臣、その辺は何かいい答弁をいただければと、このように思います。
  31. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 今農水大臣からいろいろと対策お話がありました。  本当に風評被害で、全くこの件に関係ない、流れと全く関係ない方々が風評被害で売れなくなるとかそういうことになると、これはもう経営に重大な支障を及ぼすことになるわけでございますから、そこは農水省の調査の結果等をお聞きした上で、こういう方々にはやはり何らかの対応を取っていかなければいけないのではないかというふうに思っております。
  32. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 ありがとうございます。今日は、業界の方、耳を凝らして、目を見据えて財務大臣の答弁を聞いているはずでございまして、ありがとうございました。  米でございますから、国民だれしも食べるものでございます。そういう面では、この問題は一業界の問題ではなくて国民全体の問題だと、このように思っております。  総理、そういう側面から総理としてのお考えをお聞きしたいと、このように思います。
  33. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 農林大臣財務大臣からそれぞれ御答弁のあったところだと思いますが、まず間違いなく、事故米と知りつつこれを流したということに関しては一義的な責任は業者にある、もうはっきり、はっきりしておると思いますが、これを見逃した行政の責任も重いと、これは農林大臣の答弁のとおりであります。  行政の長としては、これ事態の全容解明という話を今、石破大臣の方からお話があっておりましたけれども、これは情報の提供、これどういうルートで流れたかというのは業者しか分かっていないところがいっぱいありますんで、それが一点。それから行政の責任の明確化、立入検査しながらという話もありました。そして再発防止ということに関しましての対応、これが必要だと思います。  あわせて、今お話がありましたように、事故米ということを知らずに買ってそれを製品にして販売した業者にとりましては、それが汚染しているかないかにかかわらず、その業者から買ったということだけで結論、風評被害ということになって、先ほどしょうちゅうの話が出ましたけれども、いわゆるこれ、いわゆる何というの、こうじを使いますんで、しょうちゅうといえども米のこうじ使っておりますから、そういったことで、商売の上からいきますとこれは経営に支障を来すということになりかねぬ。これは非常になっていると思いますね、事実、売上げが大幅に減っているという話はこれはしょうちゅうに限らずいろいろありますんで。その意味では経営支援の処置というものが必要ということになるんだと思いますんで、その点につきましては財務大臣からお答えをさせていただいたとおりであります。
  34. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 ありがとうございました。  お酒関係の醸造元から流通までのほとんど多くは中小零細企業なんですね。だから、是非国としての力添えをお願いしたいと。同時に、この業界のみならず、今回の景気の低迷によりまして、経済の混乱によりまして、一番困っているのは中小零細企業なんですね。その中小零細企業に対してどう手を打っていくかということ、経済産業大臣、中小企業対策ということに限定してで結構でございますので、その対応を御説明願います。
  35. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) こうした問題が起こるたびにやはり中小企業に一番この被害が及ぶわけでございまして、中小企業関係者の皆さんを救済しなきゃいけないという観点に立って今後協力していきたいと思っております。  今、私たち、中小企業金融対策ということを考えて、議員も御案内のとおり、中小企業のセーフティーネット、あるいはまた厳しい業種の方々に対して利用していただける六兆円規模の緊急保証制度等も御審議をいただいている最中でございますが、こうしたことなども活用して救済に当たれるようにいたしたいと思っております。
  36. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 ありがとうございました。  それでは、もう時間も限られておりますので、農業問題の中の自給率に関連いたしまして御質問をしたいと思います。  国としましては、従来からも自給率の向上ということを申しておりました。しかし、それはあくまでも抽象的な言葉でございました。しかし今回、まずは当面、自給率を五〇%に持ってくるんだということを明示いたしました。じゃ、それに絡めましてどう施策で対応していくかということ、これはもう具体的に検討に入らなければならないと。  国としてはいろいろと施策も出しているようでございますが、本日はひとつ、これありますかね、(資料提示)九州、沖縄を含めまして、九州沖縄農業経済推進機構というものを構築いたしまして、今テレビに映っていると思いますが、こういう施策を提案をしております。  これは、まずはこの前提といたしまして、九州は畜産が占めるウエートが非常に高いと、全農業生産のうちの四割が畜産だと、このような実態、それを踏まえての提案でございまして、これが全国に共通に通用するかどうかは分かりません。しかしながら、こうやってブロックブロックがその特性に応じたメニューを実行していくということは、これは自給率五〇%を具現化する一つの大きな方策ではないかと、こんな思いがしておるわけでございます。  若干説明をさせていただきますが、まずは従来の米を作らせない政策、まあ減反政策ですね、から米を作らせる政策への転換ということを目指しておりまして、水田のフル活用を目指しているところでございます。  具体的には、生産調整の未定着分、もう既にほかの花とかそういうものに移って定着している分はこれは外しますが、まだ未定着分を対象としていくわけでございまして、稲のホールクロップサイレージといって、茎から全部刈り取って、それをビニールでラップしまして発酵させるというやり方でございます。そして、自給の飼料、今までの飼料用の米もこれはここで作らせると。そして、その飼料用それから発酵させたものを畜産農家に供給すると。そして、畜産農家から畜産で出されます堆肥を今度は水田に還元をさせて生産力を向上させると。いわゆる資源循環型の農業を目指しておるところでございまして、そういうことを一つの提案として九州沖縄農業経済推進機構が出しておりまして、これは大変注目に値するアイデアだと、このように思っており、我々自民党の九州の国会議全員がこれに賛同もしておる次第でございます。  先ほど申しましたように、これはあくまでも九州の特性を生かしたものでございますが、各ブロックがそれぞれ特性を生かしてアイデアを出すということによって自給率五〇%というものを達成したいと、このように思っており、こういうものが国民運動となることを私は期待をしております。もちろん、それに絡みます財政措置といいますものはいろいろとあろうかと、このように思っておりますけど、これについて農水大臣、御意見あれば聞かせていただきたいと、このように思います。
  37. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 先生のまさしく御指摘のとおりで、何で自給率がこんなに下がりましたかといえば、お米を食べなくなりましたということです。ピーク時の半分ぐらいしか食べなくなってしまった。じゃ、それは何によって代替されたかというと、畜産物、乳製品、そういうものを食べるようになりましたということなのですが、そのえさをほとんど外国から入れておりますので、結果として自給率はがたがたと下がっているということでございます。ですから、理屈からいえば、そのえさをどうやって国内で生産をするかということが自給率を上げるポイントになるわけで、まさしくそれが先生御指摘のことなんだと思います。  それはそれでお話としては大変結構なのですが、問題は、そのえさ米が非常に安いもので、生産コストも賄えないという状況にあるわけですね。これをどうするかというお話で、多収穫米をどうやって定着させるか。そして、直播等々の技術をどうやって普及をするか。問題は、そのコストをいかにして下げるかという点にあるのだというふうに私は考えておるところでございます。  また、お尋ねがありました自給率というものをどう考えるかなのですが、この自給率、衆議院でも答弁申し上げましたが、もはや戦後ではないと言われたのが昭和三十年のちょっと前だと思いますが、あのころの暮らしをすれば確かに自給率というのは相当に上がります。あるいは、二千二十というものを達成をしようと思えば、朝昼晩お芋を食べると、こういうお話になるわけでございますが、それで食生活が貧しくなったが自給率は上がりました、良かった良かったというお話にはならぬのだろうと思っております。  実際に今何ができるのだろう、生産サイドの問題だけじゃなくて、消費サイドに何ができるだろうということですが、(資料提示)例えて申しますと、自給率一%上げようと思ったらば、国民の皆様方が一食につき、朝昼晩ですが、一食につき御飯をもう一口、もう一膳とは申しません、もう一口食べていただけるだけで自給率は一%上がるのです、もう一膳食べたらすごい上がりますが。これによって幾ら一月で支出が増えますかというと、九十円です。一月九十円余計に使って一口食べれば自給率は一%上がります、お米のお話ですね。  じゃ、別のものではどうでしょうかというと、国産小麦一〇〇%で作りましたうどん、これ相当今増えてきておりますが、国産小麦一〇〇%のうどんを月にもう三杯食べていただくと自給率は一%上がる、こういうお話になるわけですね。これは一月幾らになりますかと。外で食べるんじゃなくておうちで食べた場合の話ですが、そうすると一月四十円。一月四十円で一%上がると、こういうお話になる。じゃ、大豆ならどうなんだといいますと、これも大分普及してきましたが、国産大豆一〇〇%を使った豆腐を月にもう三丁食べていただくと一%上がる、こういうお話になるわけです。  こういうものをお願いをしていって、同時にそれが生産を高めることにもなるわけで、今消費と生産の間のそういうような意識の連携というのが十分じゃなかったんだろうと思う。そういうような新しい本部も民間の方々の御協力も得てできたところですが、何をすればどうなるんだと、それが生産サイドにどうなるんだということをちゃんと御説明をすることが必要だと思います。  一つ余計なことを申し上げれば、日本人は大体一年に千九百万トンの食べ物を捨てているわけですね。食べないで千九百万トンを捨てている。で、今世界で飢えている人が八億人いると言われていますが、世界中の国がそういう国に対して食料援助をしていますが、世界中の食料援助の量全部を足しても六百万トンです。日本人が食べずに捨てているのが千九百万トンです。これをどう考えるんだということも我々はよく認識をしなければいけないことで、自給率を上げるためには残さず食べるということも、それは国産、外国産をどうするんだというまた難しい議論もありますが、我々はよく認識をしなきゃいかぬのは、飢えている人が八億人いて、それに対して世界中が援助しているのは六百万トンで、食べずに捨てるのが千九百万トン。三倍食べずに捨てていると。そうすれば、世界中の人は随分飢えて死ななくなるんだと思うんです。  自分たちは日本の国だけで生きているわけじゃありませんので、本当に食生活をどう見直していくかということを、先生御指摘のように国民運動として、政府が食には口出さないということじゃなくて、きちんとしたデータは提供して、どうあるべきかということを、また先生の御教示をいただきながら政府としても努めてまいりたいと存じます。
  38. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 懇切な説明、本当にありがとうございます。テレビを通じて国民の皆様方が農水大臣のそのお考え、理念、十分に理解していただけるものと、このように思っております。  時間も限られてきておりますので、先ほどから世界経済、グローバル経済について質問もさせていただきました。まさに今経済も含めて国際社会が一致協力しないと何もできないという時代だろうと、このように思っております。  ということからかんがみますと、今もう一つの危機はテロ対策ですね、テロ対策。今、海上の油の補給支援問題がいろいろと論議をされておりますが、あのインド洋で活躍しておりますそれぞれの艦船に油を補給するということ、これは今申しましたように国際社会が一致協力すると、それと本当に同じことではないかと思いますときに、これを今我が国だけが法律、国内法の問題でできないとかできるとかという問題ではない、まさに国際社会の中で果たすべき役割は最小限これだと、こういう思いがするわけでございますが、総理並びに防衛大臣、お答えをいただければと、このように思います。防衛大臣でいいですか、ああ、総理ですか、はいどうぞ。
  39. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは度々御答弁を申し上げているとおりですが、これは継続は是非とも必要だと思っております。  よく値段の話が出ますが、大体一年間であれをガソリン幾らやっているんだという御質問が時々ありますが、大体二十億円、このところでは年間二十億円ぐらいがたしか支給している、いわゆるガソリン代にいたしますと二十億円ぐらいになるんだと、あらの計算でそう思っております。  これ、日本のこれは話であって、これは、あそこを通っております船のうち日本に入ってまいります石油の九割はあそこを通過してきております。したがいまして、これは日本のためにもなる話でありまして、これは何もアメリカのためだけでもありませんし、いろんな意味世界中がテロと戦って、それぞれの国が犠牲者も出しておるところでもありますので、そういった中にあって、各国いずれもこのアフガニスタンに対しましての支援、テロとの戦いに関しましては、いわゆる増派、兵を増力しておるという形の中にありまして、こうした中で、国際社会の一員たる日本だけがそこから撤収するという選択はあり得ないと、私自身はそう思っております。
  40. 浜田靖一

    国務大臣(浜田靖一君) ただいま総理がお答えしたとおりでございまして、我々とすれば、当然この役割というのは国際協調の中でしっかりとやっていくことが我々の役目だと思っておりますし、当然この国会において、そしてまた国民皆さん方にしっかりと御説明をして御理解を賜りたい。これ、一刻も早くこの法案を通していただければというふうに思っている次第であります。
  41. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 まさに総理並びに防衛大臣からお答えがありましたように、国際社会の一員として当然なさなければならない役割だということ、これは国民共通の認識であろうかと、このように思う次第でございます。  そして、厚生大臣がちょっとトイレ行ってあったものですから、この後質問します。だから、ちょっと順序が変なふうになったんですが、中川大臣、最後に、G7に行かれまして、ああいう国際協調という形のもの、大変効果があったと思いますが、もう一歩踏み込んで、やっぱり今日のこの経済社会といいますか、のモラルがどうも低下しているんではないかと。  資本主義の草創期には、やはり一つのストイシズムとかいいますか、プロテスタンティズムといいますか、日本でも、渋沢栄一が「論語と算盤」とか、戦後、出光石油の店主が多くの従業員を抱えて引き揚げてきたと、一人も解雇しないとか、それから土光さんが陋屋に住みながら目刺しで生活をされたとかいう経営者のモラルといいますか、そういう気高さといいますもの、これが、すぐ日本が言ったからできるものではありませんが、新しい哲学といいますか新しいモラルというか、そういうものをやはり世界全体で構築していかなければいけない。  そういう発信を総理並びに中川大臣是非していただきたいと、このように思いますが、今総理がおられませんが、何か感想があればお聞きしたいと思います。(発言する者あり)
  42. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 経済を行うに当たっては、これも一つの社会的な行動でありますから、法律というものももちろんありますけれども、やはり人間の行う行為ですから、モラルとかいうものがやっぱり私は程度の問題は別にして必要だろうと思います。アダム・スミスが神の見えざる手ということを言ったことがありますし、また予定調和とかいう何か運命に任せていい方向に行くのではないかとか、あるいは今御指摘のあった日本の経営者は特にその辺はしっかりして、今聞こえました石田梅岩なんていう江戸時代の立派な方もおられました。  今、一つはコンピューター化あるいはスピード化、そして企業はだれのものかという議論が一時期日本でも数年前にありましたけれども、株主に半期ごとあるいは瞬間瞬間に配当をできるだけやることが最優先であるということだけでやっていけば、これはもうとにかく何が何でも目先の利益だけを上げざるを得ないということは、これはやっぱり、もちろん株主の存在は大きいとは思いますけれども、それだけのためにすべてを犠牲にしていく、あるいは場合によっては反社会的な行動にも結果的になってしまうということは、他方で今の食料の問題とか資源の問題とか環境の問題を考えたときに、今こそ私は、まだ現在進行形ではありますこの金融経済危機ではありますけれども、やはり振り返って、反省の一つという時期に来たときには、これはやっぱり社会とか世界とか、あるいはまた、さっきのサブプライムなんというのは、本来きちっとした資産能力がない方にある意味では条件を最初良くしておいて後でぽんと条件をつり上げてしまうみたいな商法であったわけでありますから、まさに我々は、今必死にこの問題と戦いながらも、やはり広い意味でモラルというものが必要ではないかと。  江戸時代に石田梅岩がすばらしい経営哲学でやっていったとするならば、現代の日本においてもいろいろとそれに匹敵するような立派な経営者がおられると思います。その代表が麻生グループの総帥ではないかと私は思っているところでございます。
  43. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 総理はちょっと聞いておられませんでしたね、私の質問ね。じゃ、結構です。代わって中川大臣が非常に高邁な答弁をしていただきましたので結構でございます。  さて、もう時間も来ておりまして、実はもう少し時間をいただいて高齢者医療についてお聞きしたいと、このように思っておったんですが、そもそも昭和四十八年、一九七三年に七十歳以上の老人の医療は無料にするということを打ち出しましたね。これは理念としてはすばらしいことなんですよね。ところが、実際を運用してみると、病院の待合室がサロン化したり、乱診乱療になったり、はしご受診とか、いろいろな問題が出てきて、そしてこれが何とかしなければならないということで別建ての高齢者医療制度というのをつくったんです。  いろいろ経緯の中で考えられる制度としては、私はこれ以上のものが今私の頭の中には余り思い浮かばないんですけれども。というのは、これをまた戻すということになれば、あの五倍の格差とかいろいろ問題点が惹起してくるわけなんですよ。だから、これを、この枠組みは枠組みとして評価しながら、大臣、一つの私案も持っておられると、このように聞いておりますが、当面これに対してどう対応するかということをお聞きしたいと、このように思います。
  44. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 長寿医療制度、様々ないい点がございます。今先生が御指摘のように、一対五倍という、こういうものも一対二倍になる。しかしながら、私はずっと担当してきて、これは元々、委員、三つぐらいのパターンが老人保健制度に代わるものとして考えられましたけれども、それぞれにプラス、マイナスがあってどれ一つ完璧ではありません。そういう中で、議論の末、分離独立型という今の制度を選びました。例えば突き抜け型というのがあります。これもまたプラス、マイナスがあります。  その中で、元々言われていたのは、七十五歳以上を切り離すことに対する感情的反発があり得ますよ、これがマイナスですよということでありました。そして、いい面もたくさんあり、それからいろんな御負担の軽減ということもやりましたけれども、やはり御高齢の方に聞くとどうしても嫌だと。嫌だというのは二つございまして、一つはやっぱり切り離されちゃった。もう一つは年金からの強制的な天引き。後者につきましては、一部分を普通徴収というのを始めております。つまり、銀行の口座から自動的に落とせるようにしました。さらに、前者の、隔離されるのが嫌だということに関して、じゃ、どういうことをやればいいか。これは、三つのパターンに限らず、いろんな発想を持ち寄って、一年ぐらいを目途にしていい知恵を寄せ合って更に良いものにする。つまり、過去に戻るんではなくて、今のいいところを残しながら更にいいものにする、こういう発想で努力を重ねていきたいと思っております。
  45. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 よく分かりました。大臣のこれからの御努力を期待したいと、このように思っております。  戦後、民法の改正によりまして、家族制度といいますものが戦前から随分変わってきたと。かつては家族でお年寄りを支えていたという発想から、社会全体で支えようという形になってきたわけでございます。そして、核家族になってきて、今一家族三・三五ぐらいですかね、かつては五人、六人、十人という家族が寄り集まっていたんですけれども、そういう社会になってきたというものも踏まえて、そして日本家族制度の良さを堅持しながら、そして社会全体でどう対応していくかということを是非お願いをしたいと。  これをもちまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  46. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 関連質疑を許します。衛藤晟一君。
  47. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 自由民主党衛藤晟一でございます。  まず、天下りと公務員制度改革についてお尋ねをいたします。天下り問題、公務員制度改革については、民主党は前向き、自民党は後ろ向きかのような誤った認識が一部でなされていることは極めて残念であります。安倍内閣では、平成十九年四月、各省による天下りあっせんの全面禁止を内容とする国家公務員法改正を提出、会期延長してまで成立にこぎ着けました。福田内閣では、さらに霞が関全体の抜本改革に着手、官僚主義から政治主導への転換、各省縦割りの打破、すなわち省益優先から国益優先へ、固定身分的な官僚制度の打破、すなわち身分から職業への三本柱から成る国家公務員制度改革基本法、平成二十年、本年の四月に提出、与野党ねじれを乗り越えて、民主党との修正協議も経て法案成立に至りました。  国家公務員法改正に基づく官民人材交流センターと外部監視委員会の立ち上げは年内となっています。これは、押し付け天下りを廃止し、各省の人事を省権益から切り離し、かつ外部監査を行うというものであります。また、基本法は改革のプログラムを定めただけであり、これからがまさに改革の正念場であります。  総理は、前々内閣そして前内閣でようやく動き始めた公務員制度改革を引き継ぎ、天下り根絶と霞が関の全面改革に本気で取り組んでいくつもりがあるのか、お伺いをいたします。
  48. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは御存じのように、平成十九年六月でしたか、この国家公務員のこれに関するいわゆる公務員法の改定に基づいておりますので、これに当たりましては、この法案の趣旨というものは天下りの根絶でありますので、その方向に向かって努力をいたします。当然のことです。
  49. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 この天下りの根絶に向かって本気で今から取り組んでいく時期だと思っています。  それでは次に、わたりについてお尋ねをいたします。  退職後に転々と天下りを繰り返すいわゆるわたりには、国民の強い批判があります。さきに公表された答弁書では、平成十五年から十九年までの五年間で計六十一件のわたりがあったことが明らかにされています。麻生総理は、先週の衆議院予算委員会で、直ちに今すぐやめますというわけにはなかなかいかないと答弁されました。しかし、昨年十二月、官民人材交流センターの制度設計に関する懇談会の報告書では、各府省は既に退職した公務員に対し、二回目以降の再就職あっせんを行わないこととすべき、つまりわたりあっせんは直ちにやめるべきと提言しています。さらに、今年五月の内閣委員会において、当時の渡辺行革担当大臣は、報告書は尊重されるべきと答弁しています。  それこそ、わたりあっせんを続けるというんであれば改革後退と受け取られかねません。わたりあっせんをやめるということを改めて明確にしていただきたいと思います。
  50. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは昨年の通常国会で成立をしたのはもう御存じのとおりですので、これにおきまして二回目、三回目の再就職、いわゆるわたりというものに関しましてはこのあっせんは禁止されるということになっておりますので、その法案に書いてありますとおりに施行させていただきたいと思っております。
  51. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 公務員制度改革の進め方についてお尋ねいたします。  基本法では、こうした課題を含め人事制度全体の再構築を行うこととし、それを担う機関として各省から幹部人事を切り離し政府全体の人事部として内閣人事局を設置することといたしています。内閣人事局の設置のための法案は一年以内、つまり次期通常国会に提出することを定めています。  ところが、一部報道によれば、既に官僚の骨抜きの動きがあると言われています。総務省の行政管理局と人事・恩給局を単に内閣に持ってきて内閣人事局に格上げし、言わば行政の焼け太りのようなことだけやって本質的な改革には手を着けない、しかも総選挙をめぐる政治空白を見越し十一月中に大枠を固めようとしているなどという報道であります。  間違ってもこうした焼け太りや官僚主導の骨抜きを許さず、政治主導で改革を実行していくのか、その経過と決意について大臣にお伺いいたします。
  52. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 幹部公務員人事の内閣一元管理というのを行います。そのために内閣人事局をつくります。  おっしゃいますように、内閣人事局が官僚の陣取り合戦になってその官僚の体制がすべての幹部の人事を差配すると、そんなことには絶対させません。あくまでも幹部人事どう登用していくかというのは政治主導でありますから、総理官房長官と各省大臣が最終権限を持つわけでありますから、政治主導、内閣主導できちんと幹部人事が行われるようにいたします。これはお約束をいたします。
  53. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 次に、天下りの根絶についてお尋ねをいたします。  天下りを根絶していくためには、早期勧奨退職をなくすことが必要であります。早期勧奨退職をさせるから受皿の天下り先を各省はつくったのであります。もちろん、これまでも勧奨退職年齢を徐々に引き上げるための努力がなされ、やっと今五十五・八歳となりました。抜本的に現状を改めるには早期勧奨退職をなくし、定年まで勤めたい人は定年まで勤められるようにすることが必要です。  ただ、現行の年功的給与体系の下で定年までそのまま勤められるとなれば膨大な人件費が掛かってしまいます。そこで、民間企業で広く導入されているように、定年まで勤められるが、その代わり給与は下がる仕組みや役職定年制といった仕組みが必要となってきます。こうした定年延長、役職定年制、給与体系の抜本改革などの課題はいずれも国家公務員制度改革基本法で今後取り組んでいく課題として定められています。こうした課題に早急に取り組み、早期勧奨退職制度をやめ、一刻も早く天下りを根絶することこそ国民が望むことと考えますが、大臣及び総理の決意をお尋ねをいたします。
  54. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 御指摘のとおり、幹部職のポストというのは採用人員の数だけありません。課長の数よりははるかに局長の数は少ないわけですから、どうしてもそのままいきますと勧奨退職ということをやらざるを得ないわけです。肩たたきですね。公務員の身分保障を言わば侵害する、これは本人が承諾してもらわないとできないわけであります。そのために、第二の生活の場というのを紹介するということにつながっていくわけです。そこに省庁が関与してくると、予算とか権限を使った不透明さが出てくると。ですから、中立性と透明性を求めて官民人材交流センターというものをつくるわけなんですね。  抜本的には、おっしゃるように、定年まで働ける体制を取らないと辞めてもらわざるを得ないわけでありますから、そのためには、局長の数を全部増やすわけにいきませんから、専門職ポストとかいろんな働き方を用意しなきゃならない。それから、給与体系もある一定のところからは上に行かないけれども、そこでその専門知識を生かして頑張ってくれという体制をつくらないと、全体像をつくらないと確かにうまくいかないんです。  ただ、その場合でも、行革推進法で公務員の数を五・七%減らさなきゃならないわけです。だから、そういう行革推進法で人の数を減らす、総人件費を減らす、これとの整合性をどう取っていくか、幅広く検討していくことが必要かと思います。
  55. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 次は、それでは天下り問題の最後に人事制度についてお尋ねをいたします。  基本法が定めているのは、人事制度全体の再構築です。内閣人事局という箱物だけつくっても意味がなく、人事制度のソフトの部分をどう変えるのかということが重要であります。先ほどの天下り根絶に向けた課題のほかにも、例えば思い切った抜てき人事を実現するために能力・実績主義の人事制度や評価の仕組みをどう構築するのか。それから逆に、仕事をしていない役人に厳しく対処するため、総理も常々おっしゃっておられることでありますが、信賞必罰の制度をどう構築するのか。民間人の登用を拡大するため、給与体系をどう変えるのか。あるいは、省庁の枠を超えて国家総合戦略を構築する国家戦略スタッフをどう創設するかといった課題があります。  このように、人事制度全体をつくり直してこそ霞が関の全体改革、徹底的なスリム化が可能になります。  民主党は、人件費の二割削減と言っていますが、単に二割削減といっても何の現実味もありません。給与を二割カットすると、恐らく労働組合をバックにしている民主党にはできないでしょうし、定員を二割カットするとなりますと、国家公務員は六十万人ですから十二万人削減となります。そのうち二十五万人が自衛隊員ですから、一般職は三十五万人です。三分の一を辞めさせるということになります。これでは、むしろ、やらないために言っているにしかすぎないという具合に私は思います。  我々は、今までこの天下り根絶を始め、そして公務員法の改正を続けながら、何とか一刻も早く明治以来続けてきたところのこの制度をやり変えなければいけないと思って、ずっと努力をし続けてきたわけであります。  次期通常国会に向けては、まずこうした人事制度の全体像をしっかりと検討し、政治主導で本格的な改革を進めてほしいと思います。それこそ、総理の言う官僚を使いこなすことと考えます。総理のお考えと決意をお伺いいたします。
  56. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 基本的には、公務員一人一人というものがこれは誇りを持って職場にいないと、いろいろな問題を起こしておる背景というのは誇りがなくなってきている、そういったところが一番の根源にあるんだと、私自身はそう思っておりますので、誇りを持って職務に専念ができるようにする、これが一番の基本なんだと、私自身はそう思っております。  その際、御指摘がありましたように、いわゆる能力とか実績主義とかいうものが言われましたし、また勧奨退職制度も勘案をしなきゃならぬところだと思いますが、信賞必罰というのはすごく大事な根底なんだと思ってもおります。いろんな意味で人事制度全般というものを考えないと、この部分だけ触りゃいいというものではとてもないのは、ある程度大きな組織を扱った経験がおありの方ならだれでも分かります、それぐらいのことは。  そういった意味で、国家公務員制度改革基本法というのができておりますので、この改革の線をやっと設立をしていただいておりますので、この線に沿って政治主導を進めてまいらねばならぬと思っております。
  57. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 くどいようでありますけれども、総理に再度今の決意をお聞かせいただいたわけでございますが、折しも今年は大改革を成し遂げた明治維新から百四十年という記念すべき年にも当たります。お話ありましたように、官僚主導から政治主導へ、そして省益優先から国益優先へ、この明治以来の公務員制度改革を断行することしか天下りやあるいは無駄を排除するという道はありません。まさにこの天下りの根絶と公務員制度改革こそが改革の本丸ではなかろうかという具合に思っています。  我々もずっとこつこつと、この大きな組織を動かすためにいろんな法案を作りながらずっと努力を続けてきました。まさに今もポスターに出ていますが、「麻生が、やりぬく。」というポスターが出ていますが、その決意のほどを改めてお聞かせいただきたいと思います。
  58. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 公務員制度改革に限らず、一連の改革というものをここまでいろいろやってまいりました。ひずみも出ました、痛みもありました、いろんな表現がなされております。そういった中で大きな改革が一部なされた。しかし、まだなされていないところがある。また、したけれども、それが、いわゆる痛みが多くて、改善にするためには、若しくは改良にするためには改善する必要がある。いろいろもう出されております御意見は御存じのとおりであります。  そういった中にあって、この公務員制度改革というものは、いろいろな御意見がありましたけれども、御存じのように、法律をやっと作っていただいたところでもありますので、これが実効あるようにせしめるためにはいかにやっていくかというのは、我々政治家に掛かった責任は大きいと覚悟しております。
  59. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 それでは、年金の改ざん問題について御質問させていただきます。  この年金記録の遡及改ざん問題においてまず最優先に取り組むべきは、給料から保険料が天引きされているにもかかわらず、従業員が知らないところで年金記録がさかのぼって改ざんされ、将来の年金額が減ってしまうケースについて被害の救済を行うということであります。こうしたケースに該当する方々を救済する仕組みとしては、既に年金記録確認第三者委員会への申立ての道が開かれ、さらに昨年十二月には厚生年金救済特例法を制定したところでありますが、こうした仕組みが有効に活用されるようにして被害の救済を強力に進めていく必要があります。また、こうした改ざんが組織的関与の下に行われたのではないのかという指摘がなされているところでありますが、この点について徹底的に事実関係の解明を図っていく必要があります。  年金記録の遡及改ざんにはどのようなパターンがあるのか、厚生労働大臣にお尋ねいたします。
  60. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) お尋ねの件でございますけど、まず標準報酬月額を遡及して引き下げた、例えば五十万を三十万と、こういう。それから、もう一つは加入期間を遡及して訂正した、二年間入っていたのを一年にしたと、こういうケースです。それからさらに、事業主、これ一人事業主というのもいますから、事業主が自分の記録だけを今行って訂正したものと、自分だけじゃなくて従業員のまで訂正したと、これもございます。さらに、今御指摘のように社会保険庁の職員が関与したもの、関与していなかったもの、こういう分類があります。  一番大事なのは、被害者を特定し、その被害者を救済すると、これが最優先の課題でございます。
  61. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 それでは、それぞれのパターンについてどのように取り組んでいくのか、まず大臣にお尋ねをいたします。
  62. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 実は、第三者委員会にお申し立ていただいた中でこれを細かくまさに分析してみました、実際にこの遡及訂正したもの。で、三点の要件がそろうと九割ぐらいがそのケースだと。一つは、標準報酬月額の引下げ処理と同日若しくは翌日に資格喪失処理が行われているということ。それから、もう一つは五等級以上遡及して標準報酬月額が下げられている。それから、もう一つは六か月以上遡及して標準報酬月額が引き下げられていると。  これ、恐縮でございますが、資料を委員が先ほど御用意いただいているようなんで、ちょっと、三つのパターンであると思いますが。はい、皆さんに見える方向で結構でございます。  実は、まさにこれがサンプル調査であって、どういうサンプルが具体的にどういうケースかというの、この三つだと九割当たります。その中で三条件すべてに該当する記録をオンラインの上で調べますと、六万九千件であることが判明いたしました。  今オンラインと申し上げたのは、これは主としてコンピューター上の犯罪なんです。なぜならば、紙台帳ですと、五十万を三十万と書き換えたら書き換えた跡が残ります。そういうケースもありますが、これは正確に適正な処置をすればそうですけど、改ざんしようとしてやったら証拠残りますから、非常に心理的にそれは難しい。そうすると、我々が今パソコン打っていても、文書を作ってデリートで全部消しちゃって、新しい文書になったら前の残っていませんね。まさに、コンピューターが入ってからがっと出てきた犯罪だということを申し上げておきたいと思います。  この六万九千件のうち、とにかく優先権でお年を召された方から先にやりたい。つまり、六十五歳以上で今現に年金受給されている方、少しでも早く正しい年金を受け取るべきでありますから、これを、実は二万件ございました。これにつきまして、明後日、十六日から社会保険庁職員その他の職員を動員して各戸別訪問をいたします。そして、その中で実際の被害者救済そして事実の解明を行っていきたいと思います。  今委員がお示しのその資料の中で、それぞれのケース全部これは改ざんがあるかというと、例えば一に関するものでも、資格喪失時に届出漏れがありますよということでやったのは、これは正確なんです。それから、五等級以上というのとか六か月以上で、例えばよくある例言いますと、妊娠したと、女性の、で、ちょっともう来月から働く時間を週二回にしたいと。こうなったときは、三十万の給料を十万に下げるということはあり得るんで、こういうケースはあります。それから、働いていた方が退職後も、まあ一応定年退職なんだけど、そのまま働きたい。そうすると、五十万の給料をもらっていたのを、もう週二回になるから十万にするとか、こういうケース。それから、年金がもらえなくなるから低い給料でいいよと。こういうケースがあるから、これは当然五等級以上はたくさんあります。さらに、六か月以上遡及も、先ほどの妊娠なされたケースなんかは、届出が遅れちゃって、それはまさに六か月後に訂正したというのはありますから、現実に全部調べますが、このすべてが全部が間違っているというわけではございません。  そういうことで、もう一つ、その今の六か月以上とか五等級以上について、特に六か月以上についてはねんきん特別便で抜けているところも確認できますし、来年四月一日からは皆さんに、年金の加入者に定期便を送って、そこに標準報酬月額を書きます。  いずれにしても、例えば先ほど申し上げたように、事業主が自分のを改ざんした、そして自分が例えば五万払うべきを一万しか払っていない。それならば年金額減るのは当たり前なんで、これは救う必要はある意味でないと思うんです。むしろ、こちら側が被害者になっている。だけど、従業員が知らないところでやられたのは何とか救ってやらないといけない。  そういうことで、優先順位をきちんと決めて一つ一つやっていく。そして、もちろんオンライン上をやり、その次は紙台帳をやりと。しかし、一気にできませんし、急ぐ優先順位を付けてやりたいということで、こつこつと、時間が掛かりますけれどもやっていって、あさってからは一番優先順位の高い方に戸別訪問を始めていきたいと、そのように思っております。
  63. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 そうですね。民主党は、年金記録の遡及改ざん問題に対して社会保険庁の全職員に対する聞き取り調査やサンプル調査を実施すべきだという具合に主張をしています。しかし、そのようなやり方より、まず一件一件御本人に記録をよく確認いただいた上で、事業主や社会保険事務所職員に対する調査や物的証拠の調査を行っていくというやり方の方が、被害救済と事実関係の解明を早急に進めていく上で有効だと考えます。この点について、改めて大臣の見解をお尋ねいたします。
  64. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 参議院のこの予算委員会厚生労働委員会の場でも様々な会派の方からいろんな御提案ありました。私は、大変貴重な御提案もあって、それはもうどんどん採用していただいて、国民の目線に立って何が一番被害者救済に役立つかということで、今もその気持ちは変わっておりませんので、是非会派を超えていい御提案をいただければ、そして特にこの国会の場でそういうことをやるというのは国民が注視の下ですから大変いいことだと思っています。いろんないい提案を各会派の方にいただいたことを重ねて感謝申し上げますとともに、ただ何度も申し上げますように、一番大事なのは被害者の救済そして優先順位です。  例えば、標準報酬の記録を最初から載せておけばよかったんじゃないかと。それは、できればそうしたかったんですが、プログラムの開発とかいろんな手間暇掛かります。それやらないで、昨年七月五日の政府・与党の決定に基づいてやりました結果、今日、十月の末日までに全員がねんきん特別便をお受け取りになります。そして、今段階で四千万の方々が、本人にとってはこの記録問題は片付いたとおっしゃるので、こういう形でやっていくということでございます。  そして、先ほどの数字を全部、資料をもう一度国民皆さんにお見せいただきたいんですけれども、それ足しますと百四十四万件になります。こういう方々を何もやらないということではなくて、それぞれの方々に年金のこの定期便を送っていく、そのときに一枚紙を入れました。あなたの場合はこのケースに入っていますから、是非御注意してよく御覧くださいという形で更なる注意喚起をしていきたいというふうに思っていますので、私は、サンプル調査が有効な場合もございます。  ただ、サンプル調査ってどういうことをどういうふうにおやりになるのですかと。例えば改ざんのを調べて、はい、改ざん率二割です、三割です、四割です、そんなものをやって何の意味があるんですか。そんなものではなくて、八十八件という正確にこれは改ざんしたケースを克明にこの一年掛けて分析してきたわけです。そうすると、今言った三条件で九割が当たる、そうすると、どの順番でやったらいいかと、これがまさに被害者のこの救済に一番直結する方法であるわけですから、私は、私のこの方法できちんとやっていくことが一番早く被害者を救済できる道だと思って、今、統計学の要するに議論をやっている場合ではありません。一刻も早く人々を救う、これが大事だと思っております。
  65. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 では、この年金記録の遡及改ざんが行われた背景にはどのようなことがあると考えられるのか。社会保険庁職員の組織的関与があったのではないかと言われていますけれども、どのような関与があったと考えるのか。また、この改ざんに社会保険庁の本庁はどのようにかかわっていたのか。現場にどのような指示を出していたのか、黙認していたのか、知らなかったのか、お尋ねいたします。
  66. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 今、私の下に直属の弁護士によるチームを作って、中に踏み込んでこれは調査をさしております。  しかし、私が国会で組織的関与を疑われると推量するということをなぜ申し上げたかというと、一年掛けて調査をいたしました。先ほどの標準報酬の改ざんのケースでいうと、例えば従業員の資格を今日全部ストップしちゃう、もう年金入れないわけですから。そうすると、過去二年分にまたがって改ざんしたというのはどういうことかというと、社会保険事務所は督促、督促をするんだけれども払ってくれない、景気悪くて払えない。もう二年掛かって払えないから踏み込んだ。そして資格を停止した。しかし、二年分取り返さないといけない。どういうふうに取り返すかというと、例えば五十万という標準報酬を十万に下げることによって、額が下がりますから、そうすると滞納額と改ざん額をぴったりゼロにぴったり同じにする。  こんなことは素人の中小企業の経営者ができる話ではありません。これは社会保険庁のプロが入らない限りは不可能であって、社会保険労務士がそういうことに、社会保険庁の代わりになってやるとも考えられない。しかも、私が今データを克明に調べていますけれども、同じ日にちに同じところで複数件あったらこれは組織的ではないかと。このための今証拠固めをやっておりますし、いささかでも犯罪構成要件を満たす、そういうことがあればこれは厳重に刑事告発を含めて対処したいと思っております。
  67. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 この年金記録の改ざん問題ですが、私もいろんな方にお聞きしました。しかし、いろんな方にお聞きしましたが、はっきりしたことを言ってくれません。分かりません。  しかし、どうもいろんなことをお聞きしていますと、どうもかつての地方事務官制度の下で、平成十二年まであったわけでありますけれども、この適用徴収業務を現場任せにしていたのではないのかという話があります。まあ、官僚は天下り、現場は組合管理の治外法権、まさに五五年体制そのものでありますけれども、どういう実態にあったのかということについて、大臣、ここのところは分かりませんでしょうか。
  68. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 昨年、年金記録問題検証委員会報告が出ました。これは我々じゃなくて外部、総務省、内閣を通じてやりましたけれども、その中で、やはり三層構造と言われていて、特に地方事務官制度があって、要するに中央からの指揮命令系統がしっかり行っていない、地方は地方でばらばらだと、そういうところでありましたんで、平成十二年三月までこういう制度が続いていた。その他いろいろな背景があると思いますんで、まず実態がどうであったか、これを今迅速に調べたいと思って行動を起こしているところでございます。
  69. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 社会保険事務所の元職員さんなどが、民主党の会議やマスコミなどで年金記録の改ざんに関する様々な証言をしています。こうした方から情報の提供を得るべく協力要請をすべきではないかと考えますが、見解をお伺いいたします。
  70. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 実はこの問題は、私が一年ちょっと前に大臣就任して以来、こういう問題があるというのはよく分かっておりました。というのは、個別に手紙いただいたり、電話いただいたり、メールをいただいたりで、例えば中小企業主が、私は実は、大臣、やったんですよと、それから社会保険庁の職員が、私は上司に命じられてやれと言われたことがありましたと、しかし嫌だから断りました、たくさんこういうのがある。どうしても、これ実態解明したいなと思ってやってきた。  そして今、最終段階に入って、現場に踏み込んで今やろうとしておりますが、そういう中でいろんな方が証言なさってくださるのは有り難い。今お話しいただいた滋賀県の社会保険事務所の元職員に対しても再三事情を聞きたいということを申し上げていますけど、まだお返事がいただいておりません。  それからさらに、厚生労働省のホームページを開けていただきますと、トップページに大臣あての、私しか見ないメールがクリックすれば開けるようになっています。ここで、職員含めていろんな方でそういうことがあれば、秘密はきっちり守りますからこの情報をいただきたいというふうに思っています。  ただ、もちろん問題は、一人一人職員呼んで、あなたやりましたかと、こう目の前で聞いても、なかなかそれは、私はこういうことを悪いことをしましたと言いにくいですね。それは社会心理学的にそうですから、そういう意味で現場のいろんな物証を探しながら。  それからもう一つ、なぜあさってから二万人の方々に行くか。実は、これは物証がないと、法と証拠に基づいてやるのが我が国の法治国家ですから、そのときに、改ざんしたような書類というのは、保存期間が三年なんです、三年前は基本的に捨てられちゃっている。私が大臣になって一切捨てるなというこれ命令出しましたから、それ以来は捨てていないですが、三年以上の前のものはありません。ところが、逆に、あさってから訪問しますね。被害者であった方がおられて、実は自分が給与明細これだけ残してあります。預金通帳も残してあります。そして、それやられたときの紙が残っていて、ある書類が残っていて、そこに社会保険庁の職員が関与したりしている筆跡が残っているというようなことがあれば、それは物証ですから、そこからもこれはきちんと処分できる。  そういうことも含めて、これは是非国民皆さんにも御協力をいただいて実態を明らかにし、法と証拠に基づいて厳正なる処分を行いたいと思っております。
  71. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 いずれにしても、改ざんに関与した職員に対しては厳正に対処すべきと考えますが、改めて大臣の見解を求めます。
  72. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) まず、一番大事なのは被害者の救済、これを、交通事故の場合と同じですよ、とにかく血を流している被害者を一日も早く救済する。そして、この責任者に対して法と証拠に基づいて厳正に処分をし、犯罪構成要件が確実に法と証拠に基づいてきちんと立証できるのであれば、刑事告発を含めて徹底的に社会保険庁のうみを出す、それをやっていきたいと。そして、私は着実にこれまでそれをやってきましたので、今後とも更に強力に進めていきたいと思っております。
  73. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 今もう既に年金の遡及改ざんの解決に向けた大臣の決意もお聞かせいただきました。  では次に、社会保険庁のやみ専従問題についてお尋ねをいたします。  社会保険庁におきましてはいわゆるやみ専従というものが行われていたことが明らかになりました。その背景には、社会保険庁における三層構造や長年にわたる労働組合とのなれ合い体質というものが大きな原因であったと考えられています。  このやみ専従について社会保険庁は調査を行い、九月に東京、大阪、京都におけるやみ専従関係者の処分を行っていますが、社会保険庁の行った調査は甘いのではないのかという声があります。ほかに方法はないのか。また、やみ専従を生んだ社会保険庁の体質を抜本的に改めるためにも、やみ専従に関する徹底した調査と、それを踏まえた関係者の厳正な処分が必要と考えますが、厚生労働大臣の見解を求めます。
  74. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 今やみ専従につきまして、御指摘のように、九月三日、既に判明した行為者三十名などに対する処分を行いました。そして、併せて給与の返納八億三千万円を求めたところであります。  しかし、今のような御指摘がございますので、私の下に弁護士などの外部有識者から成る服務違反調査委員会を設置して今検討、調査をしていただいていまして、十月末に結論を取りまとめていただきたいというふうに思っています。  そして、先ほども何度も申し上げていますけれども、法と証拠に基づいて、これは、その実際行為を行った、やみ専従を行った労働組合員がい、それを見過ごした上の者がいる、例えばその事務所の所長がいる。すべて法と証拠があれば刑事告発をしたいというふうに思っております。厳正に対処します。
  75. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 このやみ専従行為にかかわって処分を受けた職員のほか、社会保険庁においては国会議員や芸能人の年金記録をのぞき見していて処分を受けた職員が多数おり、不祥事のデパートと言われています。また、今後、標準報酬の改ざんにかかわった職員も出てくると考えられますが、こうした問題職員については日本年金機構に採用すべきではないと考えますが、大臣考え方をお伺いします。
  76. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 日本年金機構の基本計画におきまして、懲戒処分を受けた者は日本年金機構の職員に採用しないと言明しているところであります。さらに、やみ専従、それから今申し上げた目的外の閲覧、これありましたね、そういう行為などによって懲戒処分を受けた者については、これも一切採用いたしません。  今後、今私が二つの調査委員会、つまり標準報酬の改ざんとやみ専従、これを強力に進めていますが、その結果が出て、そして処分をした者については、当然のことながら新しい組織には採用いたしません。これはもう厳格に守って、国民に対して襟を正していく、そして新しい日本年金機構が本当に信頼に値する、そして年金自体が信頼に値するものになるために全力を挙げてまいりたいと思っております。
  77. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 懲戒処分を受けた職員が日本年金機構に採用されないということは分かりましたが、一方で、これらの職員が厚生労働省に国家公務員として残ることになれば、処分を受けた方がよかったということにもなりかねません。問題職員については分限免職すべきと考えますが、大臣考え方と、この問題に対する決意を大臣に求めたいと思います。
  78. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 国家公務員法の規定がございますので、分限免職を回避するための努力をすることが、これは義務となっております。そのために、例えば退職勧奨、民間への移行、配置転換、こういうことの努力はいたします。しかしながら、問題が多くてそういう分限回避の努力をしても更に残る者については分限免職を行うこととなります。  また、犯罪行為を行ったことが明らかになるなど公務員としての適性に欠けると、こう判断した者についても、これも同様に厳正に対処してまいりたいと思っております。
  79. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 やみ専従にかかわった者は、言わば働いていないのに給料をもらってきたわけであります。組合に専従していながら、働いているという帳簿だけ作って、そして給料もらったわけでありますから。また、この標準報酬の改ざんにかかわった者がいるとすれば、これも犯罪行為に当たるのではないかと考えます。  こうした者に対しては刑事的な責任追及が必要であると考えますが、刑事告発を行うのか行わないのか、求めます。
  80. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 何度も申し上げておりますように、法と証拠に基づいて必要な刑事告発をきちんと行い、そのため、今、調査委員会を二つ立ち上げてやっております。そしてまた、あさってから戸別訪問をして二万人の方々に標準報酬改ざんの疑いが高いということで調べていく、そういう中から資料が出てくることもあり得ると思います。法と証拠に基づいて犯罪構成要件が確立できれば、各地の警察に対してあしたにでも刑事告発をすると、そういう構えでおります。
  81. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 このやみ専従は、非常に組合が強くて実質的な治外法権状態にあるからこういうやみ専従というのは存在し得たわけですね、結局。このことだけははっきり分かってやらないとどうしようもないことになるという具合に思います。そして、その組合の強さに対して何も、当局が五五年体制の中で癒着して何もできなかったことが今回の結果を招いたわけでありますから、このことをちゃんとやっていくということを、改めて大臣の姿勢、決意をお聞きしましたので、安心いたしました。  では次に、長寿医療制度についてお聞きします。  今後ますます高齢化が進行する中で、我が国が誇るべき国民皆保険制度を将来にわたり維持していくことは極めて重要となっております。今年の四月から始まった長寿医療制度は、まさしく我が国が直面している高齢化社会において、負担のルールが明確でない、運営の主体が分からないといった従来の老人保健制度の問題点を解決するとともに、長年社会に貢献してこられた高齢者の医療を国民みんなでしっかり支える仕組みとしたものになったと考えています。また、長寿医療制度により、市町村において五倍あった保険料格差が二倍に縮まるとともに、国保から移行した七五%の方の保険料が下がるなど、多くのメリットがあります。  さらに、制度の施行後においても、国民の皆様からの御意見をしっかりと受け止め、与党における検討を踏まえた必要な見直しを行いました。具体的にどのような見直しを行ったのか、厚生労働大臣にお伺いをいたします。
  82. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 高齢者医療制度につきましては、昨年十月及び本年九月の与党プロジェクトチームにおける決定を踏まえまして、まず、七十歳から七十四歳までの方の窓口の一割から二割への引上げについて来年度末まで据え置くということを決めました。それからもう一つ、被用者保険の被扶養者であった方の保険料について、本年四月から九月まで凍結し、本年十月から来年度末まで本来額の一割に軽減します。つまり九割分軽減したということであります。  また、今年六月の政府・与党協議会における決定を踏まえまして、まず第一に、低所得者の保険料を更に軽減する、第二に、年金からの保険料徴収について確実な納付が見込める方は口座振替による、つまり年金からの天引きだけではなくて口座振替による納付ができるようにするということでありますし、それから終末期相談支援料については凍結いたしました。  これらの処置により、例えば低所得の方の保険料については本年度後半は徴収せず、来年度以降は本来月当たり千円程度であるところ、月当たり三百五十円程度に軽減されるとともに、国保から長寿医療制度に移行された約七五%の世帯の保険料が下がったことになります。
  83. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 ありがとうございました。  しかしながら、例えば七十五歳ですべての方が一律に長寿医療制度に加入しなければならないことや年金からの保険料のお支払について何とかならないかといった声を依然として私ども耳にいたしています。  総理は、所信表明演説において、長寿医療制度について今後一年を掛けて見直しの検討をしていくことを表明されました。私も制度についてじっくり検討し、必要があれば法改正も含めて思い切って見直していくという方針について賛同するものであります。  先般、舛添厚生労働大臣は見直しに当たり私案を公表されました。今後、その私案も含め見直しの具体的な検討がなされていくものと思います。そこで、厚生労働大臣に、今後、長寿医療制度をどのように見直していくのか、その決意をお伺いしたいと思います。
  84. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) この後期高齢者医療制度、いわゆる長寿医療制度につきましては、先ほども申し上げましたように、私は非常にいいところがたくさんあるし、相当な軽減措置もやりました。  しかし、現実に責任者としてこれ実行する中で、やっぱり非常に反感、感情的な反感がある。それは二つ申し上げました。したがって、二つ申し上げましたというのは、一つは七十五歳以上を隔離すること、もう一つは年金からの天引き。後者については、一部、今申し上げましたように改善をいたしましたけれども、七十五歳以上、これはもう感情的なものですから、それは御高齢の方々の心情はよく分かります。したがって、そこをどう直すかということでありますから、私の下に検討会を設け、もう既に二回検討をいたしました。そして、私自身も私案を一つ出しました。そういうことで広く皆さん方がいい案を持ち出して、持っていただいて、議論をして、そして更にいいものに見直すということをやりたいと思っております。
  85. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 この長寿医療制度の見直しについて、総理にもこれに対する見解をお伺いできればという具合に思っています。質問通告にありませんでしたですけれども。
  86. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 今、舛添大臣から答弁がありましたように、これは今の制度がすべて問題があるというわけではないと、私もそう理解しております。  これは、事実多くの方々で下がった方もいらっしゃいますので、良かったと言っておられる方も大勢おられるのも事実です。そういった正しい情報をきちんと得た上でいろいろ言わないと問題だと思っておりますので、私どもはそれを受けた上で、しかし問題点は、先ほど言われたように、六十五はまだ理解できると、世の中がそういう定年などなどいろいろあるから、しかし七十五となりますと、これ国会議員見ても七十五と六十五と比べてどっちが年上か分からぬような方もいっぱいいらっしゃいますので、正直申し上げて年齢で一律に引くのはいかがなものかという御意見は正しいと思います、私も。  もう一点、天引きの点につきましては、これは一方的だという話もあって、これはコストという面からいったら天引きの方がはるかに少なく済むというのは、もう会社においてもいわゆる労働組合に対する払い方も天引きになっておる。あれも見ても分かりますように、その方がコストが低いから、安いからということになっておるというのは確かですが、心情に照らして多々問題があるという御意見も寄せられているのも事実でありますんで、大臣から申し上げましたように、こういった問題につきまして、いろいろ納得していただけるような制度に改めるということが肝心なのではないかというのはごもっともなところだと思いますので、一年を目途にこういった問題を対応していく必要があるであろうと、私もそう思っております。
  87. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 それでは次に、社会保障費二千二百億円のカット問題についてお尋ねいたします。  骨太の方針二〇〇六によって社会保障費は五年間で一兆一千億円、毎年平均すると二千二百億円の伸びの抑制を行うということになりました。少子高齢化が急速に進む中、医療や介護の費用は大幅に増加し続けています。この十数年間、一般歳出がほとんど増えない中、社会保障国庫負担は十三兆円から二十二兆円と約一・七倍に増えました。しかし、ここ数年の伸びの抑制によりまして、医療、介護、障害と大きな影響が出ています。  医療や介護の現場を見ると、医師不足問題、地域の産科や小児科、外科などが成り立たなくなっている問題、介護従事者の定着率が悪い問題など、国民生活に必要なサービス提供基盤が崩れる寸前であります。さらには、障害者の対策少子化対策などは国際的に見てまだまだ小さく、大幅な拡充が必要であります。  このような課題が山積する中、今年に入って社会保障二千二百億円の伸びの抑制はもう限界という声が各方面で大きくなり、骨太方針二〇〇八決定に際しても大激論になりました。この結果、来年度の概算要求基準では、新たな財源が確保された場合には年二千二百億円の削減を見直すこととなっています。  今般、景気対策で財政支出をすることとなされましたけれども、国民皆さんが医療や介護、そして年金に安心することができれば、安心して生活をし、安心して物を買うことができるようになります。すなわち、国民皆さんが自分の生活に安心できるようになることが一番の景気対策になると考えます。  総理も所信演説で暮らしの安心が特に大事だとおっしゃいましたが、社会保障はその安心を支える制度であります。国民に安心を届け、さらには景気を回復するためにも、まず真っ先に社会保障費の年二千二百億円の圧縮方針を改めるべきではないかと考えますが、この点について総理の見解と英断をお願い申し上げます。
  88. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 二十一年度の予算という中で、いわゆる概算要求基準の中で、社会保障費の自然増、年間大体八千億から一兆円とよく言われておりますが、それを過去二千億、二千二百億円をずっと抑制をしていこうということで、ずっと御存じのような数字で抑制をされてきておりますが、限度に来ておるのではないか、いろいろな御意見が多く出されておりますのはよく知っておるところであります。  ただ、これは財源の話等々もありますので、そういった意味では、そういったものを勘案をいたしました上で、予算編成を十二月末に行いますが、それらに当たって、その問題を含めまして検討をさせていただきたいと存じます。
  89. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 年金制度についてお伺いします。  平成十六年に年金制度につきましては思い切った財政改革を行いました。年金財政の長期均衡が図られたところであります。しかし、年金問題には幾つかの論点が残されています。  まず、公務員に対する共済年金と民間サラリーマンに対する厚生年金という被用者年金を一元化すること、それからパート労働者の厚生年金への適用拡大であります。これらについて政府から既に法案が提出されておりますけれども、まだ審議されていない状況であります。  また、平成十六年改正のときの約束として、国庫負担の二分の一への引上げがあります。これは平成十六年の年金財政のフレームを守るために必要な事項であり、年末までに税制改革や予算編成の議論を通じてその財源について道筋を付けなければいけません。  さらには、低年金・低所得者に対する年金給付の見直しや基礎年金の二十五年という受給資格期間の見直しなど、年金制度にはまだ様々な課題が残されています。これらの諸課題について、早急に解決に向けた議論をしなければなりません。  かつてヒトラーは、年金支給額を大幅に増やすとしてナチス党は多数の議席を得ました。しかし、これをきっかけに民主主義が崩壊するに至ったことは歴史が示しています。  年金は政争の具にしてはなりません。年金制度の在り方について党派を超えた議論が必要であると考えますが、総理考えをお伺いします。
  90. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 年金の在り方というものにつきましては与野党間の協議をすべきじゃないかという点については同感です。  この年金制度は、これは国民のいわゆる老後の生活にかかわる大きな問題だと思っておりますので、しかし、同時にこれは長期にわたって安定的に運営されるということがこれ大事な、最も必要な制度、サステナビリティーとかいろいろな表現ありますけれども、持続可能。  これまで様々な選択肢がもう示されておりますのは、スウェーデン方式とか読売方式とかいろいろもういっぱい出ております。それぞれに長所、短所があろうと思っておりますので、どの案が正しいかとかいったものではなくて、求められているということは持続が可能な制度ということであって、そしてより多くの国民から支持される内容の改革案でないといかぬのだと思っておりますので、その意味では、今お話がありましたように、与野党が長期的な視野に立って、少なくとも党派を超えて議論というものを重ね、結果として国民的議論を通じて結論を出すべきものでありまして、これが百点満点という答えが果たしてあるのか、これはなかなか難しいところだと思っておりますので、是非その点におきましては真剣な与野党間の政策協議等々が必要だと、私自身もそう思います。
  91. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 まさに私もそのとおりだと思います。我々もみんな門戸を開いておるわけでありますから、是非この議論に民主党も乗っていただいて、そしてまさに最終的な年金制度をやらなければいけないというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。  それから、平成十二年から十四年の物価下落にもかかわらず年金額を減額改正せず据え置いたために、法律上、物価が上がっても、その据え置いた分の一・七%を解消しないと年金の増額改定を行わないということになっています。  現在、金融危機の影響等により経済状況が大きく悪化し、国民の皆様は大きな不安を抱えています。そして、今のところ、推定でありますけれども、二・四パーあるいは五パーぐらいのインフレ、物価上昇になるのではないかと言われています。  私は、このような状況を踏まえると、過去据え置いた分の一・七%の解消を行わずに年金の増額改定を行うべきと考えますが、総理大臣の見解をお尋ねいたします。
  92. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 今委員がおっしゃいましたように、物価が下がったときは下げないといけないんだけれども下げなかったんですね。それが一・七%分凍結してありますから、まずこれを解消する。それから、十六年度改正でマクロ経済調整入れましたので、まずこれをやる。それからだという順番になっていることは確かであります。  それからもう一点、委員がお触れにならなかったことを申し上げますと、やはり物価上昇ということの影響は老いも若きも同時に受けるわけですから、年金受給者にだけ特例をやりますと現役で働いている人たちに対して過剰な負担になる、この問題をどう解決するかということもやはり世代間の公平ということで考えないといけないということだというふうに思っています。  しかしながら、こういう情勢でありますので、特別減税とか、特に影響を受けている年金受給者への臨時福祉特別給付金の支給と、こういう形で側面からサポートするということを行っておりますが、いずれにしましても、今申し上げました、委員もおっしゃったような、指摘されたような様々な論点を念頭に置きながら、どう対応するかはこれからの課題だと思っております。
  93. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 今の一・七の件につきましては、いわゆる平成十二年度から十四年にかけての分の話を一・七と言っておられるんだと思いますが、その過去の物価下落分というものを凍結していわゆる本来額より高い特例的な水準に現在ありますのはもう御存じのとおりです。  したがって、その分を調整するべきというのは、これは法律的にはそうなっておるのはもう御存じのとおりですが、今その分だけをすると、これは若い人との間はどうするんだという今、厚生大臣お話等々があっておりますので、そういったことを考えますと、これはいろんなものを勘案してやらねばならぬということで今、与党内でいろいろな御議論がなされておりますのはよく承知をいたしておるところであります。  一概に直ちにこうするという答えは今この現在持っているわけではありませんが、幸いにして、ドルが安くなった、今日、百二円ぐらいだと思いますので、石油も一時期バレル百四十ドルを超えておったと思いますが、今日は八十ドルを切ったところまで石油も下がってきた等々、いろいろなものが、これから出てくる影響というものがあろうと思いますので、いろんなものをよく勘案しました上でよく見極めてまいりたいと思っております。
  94. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 これは、お話ありましたように、デフレのときにもかかわらず年金を下げなかった特例的な措置でした。物価は上昇しています。しかし、経済は悪くなっています。そして、この後期高齢社会というか、少子高齢化社会に突入して、恐らく介護保険の、後ほどお話ししますけれども、介護保険の問題等も考えても、やっぱり幾らかの引上げ問題というのは起こってこようかと思うんですね。そのときに、年金を言わばあのデフレのときに下げなかったから今度その機に上げないんだということは、とても私は言えないと思うんですね。  だから、あのデフレのときに下げなかったわけですから、そこで一応完結したものとしてみなして対応を考えなければいけないんじゃないかと。でないと、私はこれは大変なことになるという具合に正直言って思っています。デフレ分のときを今回のときに下げてしまって、そして今度はほかのものは上がるというのでは、これは極めてやっぱり心理的効果等も大きいという具合に思っています。  ですから、やはり対応としては、マクロ経済調整のフレームというものは一応守るけれども、もうあの話は平成十二年、十三年、十四年のときで一応終わったんだという具合にみなして、ちゃんと年金を上げるべきときが来れば上げていくということが私はどうしても必要じゃないのかという具合に思います。ですから、臨時的に福祉特例給付をするよりも、ちゃんと年金を引き上げる方がはるかに心理的な効果が大きいと思います。  総理是非検討していただきたいという具合にお願いします。総理の御見解をお願いいたします。
  95. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは、度々申し上げますが、これは法律である程度きちんと決められた話でもありますので、ここで私の方で一存的に下げますとか上げますとか言える立場にありません。  ただ、予算の編成の過程でこれは検討しなければならぬ大事な問題だということはよく理解しております。
  96. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 それでは、介護保険制度について質問をさせていただきたいと思います。  介護保険制度は、高齢者の安心を支える上で年金や医療保険と同様、大変重要な制度であることは申し上げるまでもありません。  しかしながら、介護の現場を見ると、介護の仕事は肉体的にも精神的にも大変きついにもかかわらず、賃金が低く、介護の仕事では生計を立てていけないという現場の介護従事者からの悲痛な叫びや、都市部では人件費の地域差が介護報酬に反映されていないため、経営が厳しく、介護従事者に十分な処遇ができないといった問題があります。このような状況を一刻も早く改善しなければ、介護現場は崩壊しかねません。  さらに、介護従事者の問題に関して申し上げれば、賃金の問題だけではなく、介護という仕事がいかに重要であるか、そしていかに誇り高いものであるかということを国民の皆様に広く認識していただき、介護従事者が誇りとやりがいを持って働けるような環境を整備していく必要があります。  また、利用者の立場を代弁するケアマネジャーがより良いサービスを選び、利用者に質の高いサービスを利用してもらえるよう、ケアマネジャーの独立性と専門性をもっと高め、中立的な立場から職務に従事できるような対策を進めていくべきではないかという問題もあります。  加えて、施設における医療サービスの在り方、すなわち往診の容認や看護職員の増員の問題、医療と介護の連携の問題も大きな課題として残されています。さらに、介護保険制度の導入により、特に施設に入所されている御高齢者の方がその御家族や友人などと交流する機会が減ってきたのではないかという懸念もあります。  平成十五年、十八年と抑え過ぎた介護報酬を大幅に見直すと同時に、ただいま指摘させていただきましたこれらの課題につきまして、来年四月の介護報酬改定の中でどのように対応していくお考えか、そして中長期的にどのように対応していこうと考えているのか、舛添厚生労働大臣の見解並びに総理考え方についてお伺いさせていただきます。
  97. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 今御指摘のように、介護の現場で働いている方々の処遇の問題は今非常に大きな問題になっております。例えば離職率を調べてみますと、非常にほかの産業に比べて高い。それから、施設の規模によって差もありますし、地域差もあります。そういう中で、実態調査を行いまして、この十月に取りまとめを行ったところでございますけれども、そういうことを踏まえまして、処遇改善ということを二十一年の介護報酬改定で行いたいというふうに思っています。  今、社会保障審議会の介護給付費分科会において議論をいただいております。問題は、介護報酬を引き上げるということになると、同時に介護保険料の引上げということがございます。だから、この二つをどうバランスを取ってやるかというのが非常に大きな課題になるというように思います。  それから、今委員が中長期的な課題についていろいろおっしゃいました。例えば、介護保険と医療保険をどうするか。これからのやっぱり時代の趨勢は、介護は市町村、医療は県というような感じでの流れになっている。そういう流れの中で、じゃ、二つの保険を単純に統一できるかどうか。そういう長期的な課題について、私の下にこの七月に安心と希望の介護ビジョンの検討会を立ち上げて、私も何度か行きましたけれども、現場の視察を行う、そしてヒアリングをやる、そして専門の方々の議論をするということで、国民の目線に立ったあるべき介護の姿というのを年内を目途にまとめたいと思っております。
  98. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは、介護の話というのは、これは介護保険料と密接に連携しておりますので一概に簡単な話ではないと、もうよく御存じのとおりであります。  いずれにいたしましても、平均寿命が長くなって、また高齢者が高齢者の介護をするなんというのは各家庭で起きている。私の自宅でもそうでしたからよく分かりますから。そういった意味では、基本的にはそういった問題というのをみんな各御家庭それぞれに抱えておられると思っております。その中にあって、今状況は極めて厳しいことになっておるというのもよく理解をしているところでもありますが、今言われましたように、これは掛かって予算とか介護料との関係をいたしますので、四月にいろいろな今御意見を聴取させていただいているということ、ああ、今、今年内までということになって、四月までにいろんな案を出すという話になっておりますので、それを見ました上で考えをきちんとさせていただきたいと存じます。
  99. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 障害者自立支援法についてお尋ねをしたいと思います。  障害者自立支援法は、平成七年に策定された障害者プラン、それから平成十五年度から導入されました支援費制度などを経て、障害者が真に地域で自立した生活を営むことができる社会を目指して成立をしたものであります。  一方、このようにして実現した障害者自立支援法は、その改革が急激であったことなどから様々な御意見をいただくようなこととなりました。このため、一昨年末には三年間で国費千二百億円の特別対策、昨年末には三百十億円の緊急対策決定したところであり、これによって障害者の方の負担について大きく軽減され、事業者の経営の安定化にも資することになったことと認識をいたしております。  そこで、これまで特別対策や緊急対策でどのような措置を講じてきたのか、大臣に御説明していただきたいと思います。
  100. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 障害者自立支援法については、これを利用している方々の御不満もありますし、事業者、経営なさっている方の御不満もあります。それぞれに分けまして、講じてきた対策について御説明を申し上げます。  まず、特別対策によりまして平成十九年四月から通所や在宅サービスの利用者負担の上限額を引き下げる等の措置を講じまして、さらにこの緊急措置、二つあります、特別措置と緊急措置によりまして、平成二十年七月から、負担上限額について、世帯全体でなく本人及び配偶者のみの所得で判断するということをやりました。さらに、負担上限額を更に引き下げまして、例えば所得の低い方の上限額は一月千五百円とする、こういう措置を講じました。  次に、経営なさっている事業者対策ですけれども、これはまず特別対策において都道府県に基金を造成して、これを通じてこれまでの収入の九割を保障するという施策を講じ、さらに今度、緊急措置において通所サービスにかかわる報酬単価を四・六%引き上げるなど、経営基盤の安定化を図る措置を講じてきたところでございます。
  101. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 これらの対策によりまして障害者自立支援法に対する国民の理解も多くの人に得られてきたものと考えていますが、依然として多くの課題も残されています。特に、先ほど申し上げましたとおり、障害者自立支援法は障害の方が地域で自立した生活を営み安心して暮らすことのできる地域社会を実現することを目指して成立したものであります。一方で、障害者の地域移行を推進するための受皿としてのグループホーム、ケアホームの充実、相談支援事業の充実など障害者の地域生活支援を求める更なる声が上がっているなど、今後もより良い障害者自立支援法を目指す必要があると考えています。  障害者自立支援法については、法律の附則において施行後三年で見直しを行うこととされていますが、この見直しにおいても障害者の地域移行、地域生活支援を強力に推し進める必要があると考えていますが、この点を含め法の見直しなどにどのように取り組んでいくのか、見解を厚生労働大臣にお尋ねいたします。
  102. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 私は、障害者自立支援法が追求する目標、目的、これは正しいと思っています。つまりタックスペイヤー、自ら仕事をし自立して、税金で面倒を見られるんじゃなくて自ら税金を払うんだと、こういう形で自立する。そして、現実にいろんな現場を見ましたけれども、障害者の方がパン屋さんをやって、大変おいしいパンで売上げも上がっている、そして自らの手で給料を稼ぎ出す、この喜びというのでもう顔が生き生きとしているんですね。こういう理想を追求すべきだと思いますけれども、先ほど申し上げたような様々な問題があり、それについては措置を講じました。  そういう中で、やはり地域で自立した生活を営めるというのが大事なんで、今委員がおっしゃった地域支援というのは非常に重要だというふうに思っております。与党のプロジェクトチームからも九分野における見直しということを提言されておりますので、本年四月から社会保障審議会で、三年後の見直しということが法に決まっておりますので、審議を開始したところであります。  これはもう介護の場合もそうですけれども、やはりそれぞれの方が、障害者の方が住んでいる地域でどれだけサポートできるか、支援できるか、これに懸かっているというふうに思いますので、そういう点から制度全体についての再検討ということが必要であろうかというふうに思っております。
  103. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 この障害者自立支援法は、先ほど申し上げましたように、やっぱり本当に保護型の、あるいは一種の隔離型とも言えるような障害者福祉から抜本的にこの政策を地域移行に切り替えていく、まさに自立と共生を旨として、方向として持って切り替えようとする、ある意味では私はそういう願いを込めた法案でもあったと思います。  しかしながら、こういう中で障害者予算も、御承知のとおり、この十数年の間に国の予算だけでも七千億から約一兆円に伸びました。更に恐らく倍増するまで必要になってこようかと思います。その基盤を今のうちにつくらなければいけません。大変野党の方々には、この認識が足りないというか、せっかくここまでやり続けている福祉を裏でつぶしてしまえなんていう無責任な言動がありましたけれども、全くそういうものではないということを改めて申し上げ、そして具体的な、今後いわゆる地域移行に伴う検討について、是非お願いを申し上げたいと思っています。  例えば、今、ケアホームでこのサービス管理者の数が足りません。三十対一を十五対一にするとか、あるいはケアホームでも世話人を六対一から四対一にするとか、あるいは身体障害者にもグループホームをちゃんと認めるとか、それから日中活動の充実のためにはB型におきまして十対一から七対五に戻すとか、やっぱりそういう、もう一回更なるきめ細かな改革をしなければいけません。さらに、ホームヘルプ、この移動支援につきましても、いわゆる階段型じゃなくて、いきなりぱっと落ちるようになっていますから、そういうような検討を十分にしていただきたいということをまず申し上げさせていただきたいと思います。  そして、さらに障害者自立支援法によりまして、身体障害、知的障害、精神障害の三障害について一元的にサービスを提供する体制が整備されようとしているところでございますが、精神障害者やまた新たな障害と言われる発達障害についてはまだまだ対策が十分ではありません。  例えば、精神障害のある方については、地域生活に移行するためには十分な受皿を整備しなければなりませんが、本人に対する支援のみならず、家族への支援も充実させてほしい、充実してほしいなどの声も聞いているところであります。この第四の障害と言われます発達障害につきましても、関係機関による支援体制のネットワークづくりや障害の理解を求めるための施策、専門家の養成等を行ってほしいなど、様々な声が上がっているところであります。  精神障害、発達障害の方への対策を充実されていくべきと考えますが、どのように取り組んでいくのか、厚生労働大臣の見解をお伺いいたします。
  104. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 精神障害、発達障害、これは本当に本格的に取り組みたいと思って今やっていますが、問題は、身体障害の場合に、例えば車いすで来られると、例えばバスに乗りたい、これは皆さんすぐ分かりますからお手伝いしてくださる。ところが、精神障害、発達障害、外から一見してすぐ分かりません。そういうところで、例えば公共交通機関における優遇措置なんかも受けにくいと、こういうことも一つずつ見直しをやっておりますけれども、まず今御指摘の点で、やはり精神障害者、入院ということよりも地域に出てきて地域で生活する、これがやっぱり中心になって、それをサポートするということで障害福祉サービスの整備、それから診療報酬改定など総合的な取組を行っております。  それから、入院しているときから退院して生活できるための準備をやっていただくという取組もやりますし、予算も確保してございます。それから、四月から精神保健医療福祉の在り方についての検討も行っております。いずれにしましても、どのようにすれば地域社会での生活が支援できるか、これを総合的にやっているところであります。  それから、今発達障害の問題が非常に大きくなっておりますが、これも今申し上げたと同じように、国の支援、地域の支援が必要だというふうに思っています。この十月には発達障害情報センターを国立障害者リハビリテーションセンターに移しまして体制の強化を図ったところでありますし、これ、発達障害と言われても知らない方が多いんですね。ですから、啓発活動を更に進めていきたいというふうに思っております。そして、発達障害の方は、今度就職なさるときも非常に御苦労なさる。こういういろんな問題について、総合的な取組を関係省庁とも緊密に連携を取りながら行っていきたいと思っております。
  105. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 この障害者自立支援法の報酬改定の実施につきまして、大臣のその方向もお聞きしました。これ是非、本当に、やっと三年たつわけでございますが、この際、障害者の方々にも皆さんにも納得していただけるように、報酬改定に向けて是非頑張っていただきたいと思います。  それでは、教育改革について質問させていただきます。  平成十八年に五十九年ぶりに全面的に教育基本法が改正されました。そして、教育の在り方が抜本的に変わりました。第一条の教育の目的はどのように変わったのか、具体的にお伺いします。
  106. 塩谷立

    国務大臣(塩谷立君) 教育基本法が平成十八年に安倍政権の下で長い議論を経て改革をされました。これをまた実行するのが私どもの使命だと思っております。  今御質問の教育基本法の第一条、教育の目的についてでございますが、これは、何を目指して教育を行い、どのような人間を育てることを根本的な目的とするかを規定したものでございます。  新しい教育基本法では、第一条を教育の根本的な目的に限定することとして、この教育の目的を実現するために、より具体的な事柄を教育の目標として整理して第二条に列挙をしております。  具体的には、改革前の教育基本法の教育の目的に掲げられた人格形成及び国家及び社会の形成者として心身共に健康な国民の育成は引き続き第一条に規定することとして、真理、正義、個人の価値、勤労、責任などは第二条の中に整理したところでございます。
  107. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 続いて、改正教育基本法第二条には五点の教育の目標が掲げられていますが、旧教育基本法から追加された理念はどういうものがあるのか、具体的にお伺いいたします。
  108. 塩谷立

    国務大臣(塩谷立君) 教育基本法の第二条の教育目標につきましては、第一条の教育の目的を実現するために今日重要と考えられる具体的な事柄を列挙をしております。  すなわち、改正前の教育基本法に規定された普遍的な理念は引き続き規定するとともに、我が国の教育を取り巻く状況の変化を踏まえ、教育に関する課題の解決に向けて、一つは、豊かな情操と道徳心を養う、また、公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画する、さらには、伝統文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛することなど、必要となる基本理念を新たに規定したものでございます。
  109. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 さらに、この中にはやはり目標達成ということ、それから公共の精神ということが新たに盛り込まれてきているわけでもあります。教育基本法改正で、この豊かな情操と道徳心、公共の精神、我が国と郷土を愛するなどの目標を達成するように教育の在り方は変わったわけですが、当然のことながら教科書も大きく変わっていく必要があるわけです。  現在、教科書検定審議会において教科書検定制度の改善に関する審議を行っていると聞いています。この機会に、次代の日本人を育成する教科書が作成されるよう新たな教科書検定制度を実現していただきたいと思います。今後どのように教科書の改善に取り組んでいくのか、大臣の所見をお尋ねします。
  110. 塩谷立

    国務大臣(塩谷立君) 教科書の改善につきましては、新学習指導要領の実施に対応するために、現在、教科書検定審議会において検討が行われているところでございます。審議の中では、教科書改善の基本的な方向性の一つとして、教育基本法で示す目標を踏まえた教科書改善が示されており、これに沿った具体的な改善方法が示されるものと考えております。  文部科学省としましては、教科書検定審議会の検定成果を踏まえ、来年度以降、教科書検定に適切に反映されるよう、検定基準等の見直しを行うとともに、教科書発行者に対しても周知を努めてまいりたいと思います。
  111. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 改正教育基本法に追加されました豊かな情操と道徳心、公共の精神、我が国と郷土を愛するといった新たな教育目標を達成することで国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた国民の育成を期するように変わったわけですが、この改正教育基本法に基づく教育改革について、総理の決意をお伺いさせていただきたいと思います。
  112. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 長い長い経緯を経た話で、しかも長い国会の議論を経て最終的に安倍内閣でこの教育基本法というのの改正がなされたというのは誠に良かったと、私自身は基本的にそう思っております。  問題は、これをきちんと書いてあれば、二条以降いろいろ書いてあるんですが、こういったものに基づいて新しい教育振興基本法という、基本計画を基に今後この教育の改革にいかに取り組んでいくかが大事。これは現実の話でありますので、教育になりますと一億総評論家とだれか言っていましたけれども、みんなそれぞれ経験がありますから皆一家言おありになるところだと思いますが、基本的なところというのは、一番押さえるべきところはきちんと押さえた上でどうするという話だと思っておりますので、これを実行していくに当たりましては、長い間掛かった教育基本法の改正でありますから、やっとでき上がった線をいかに実行に移していくか。その対応に当たりましては、先ほど塩谷大臣から申し上げましたとおり、これはきっちり対応していくという決意が必要だと思います。私自身もそのように考えております。
  113. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 最後に、拉致問題についてお尋ねしたいと思います。拉致問題についてお伺いします。  アメリカ北朝鮮へのテロ支援国指定の解除に踏み切りました。しかし、今回の合意では北朝鮮申告した核施設の検証が中心で、未申告施設への検証は相互の了解が必要になります。そうなれば、北朝鮮が未申告施設への立入検査を認めるとは思えません。核拡散疑惑の実効的な解明は難しいのではないのかと心配いたしております。  我が国としては、今回の決定はどうしても納得できるものではありません。ここに至った経過について御説明願います。外務大臣
  114. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 六月に北朝鮮核計画、これを出しまして以来、六者会合におきましてこの検証を具体的に行うということについていろいろ議論を行ってまいりました。なかなか進展がないということでありますけれども、この間、御案内のとおり、十月の初めにヒル国務次官補北朝鮮を訪問いたしまして、今後のこの無能力化、これを進めるということについて合意をしたわけであります。  私ども、何よりも日朝間においては拉致問題という大変重要な問題を抱えておりますので、この問題については米側とも再三協議を行いながら、総理ブッシュ大統領、私とライス長官等々、協議を行いながら、この残りの四者が納得できるような内容でこの合意をきちっとやってほしいということで進めてまいりました。  今後は、この六者会合を一日も早く開きまして、米朝での合意、これを正式な文書となるようにして、この無能力化が確実に進むようにやっていくことが大事だと、そういうふうに思っております。
  115. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 今後、北朝鮮に対するエネルギー支援問題が浮上してくると思います。  平成十九年二月に、安倍内閣は、拉致問題の進展がなければエネルギー支援に加わらないという方針を出し、その方針を繰り返し各国に訴え、各国も我が国の事情を理解しています。  ここで改めてその方針を堅持することを総理から明言していただきたいと思います。
  116. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これまでも、拉致問題を含む日朝関係というものの進展がない限り、少なくとも六者会合の下での経済・エネルギー支援には参加しないという立場を取っておりましたけれども、この立場には何ら変わりはありません。  また、過日、ブッシュ大統領等々、アメリカとの直接交渉におきましても、この点に関しましては確認がいたしておるところであります。
  117. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  118. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成二十年度補正予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。衛藤晟一君。
  119. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 それでは、引き続きまして、拉致問題について総理に御質問させていただきます。  今後、北朝鮮に対するエネルギー支援問題が浮上してくると思いますが、平成十九年二月に安倍内閣が、拉致問題の進展がなければエネルギー支援に加わらないという方針を出しました。その方針を繰り返し各国に伝え、各国も我が国の事情を理解していると思います。  そこで、改めてこの方針を堅持することを総理から明言していただきたいと思います。
  120. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 日本はこれまでも、今御指摘がありましたように、拉致問題というものを含みます日朝関係というものがきちんとしない限りは、いわゆる六者会合の下で、六者会合の下での経済・エネルギー支援には参加しないという話をこれまでも言ってきましたし、この方針に変わりあることはありません。過日のブッシュ大統領との電話会談でも同じことを申しております。
  121. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 そもそも、六月の日朝公式実務者会議北朝鮮拉致被害者調査を実施する方針を表明した上、八月の協議では、再調査のための権限を与えられた委員会を設置し、可能な限り今年秋までに調査を終えることと決まっていました。しかし、九月、北朝鮮委員会設置先送りを表明し、現在も約束を守る動きを見せていません。  約束を守らない北朝鮮に対しどのように対応するつもりか、外務大臣にお伺いいたします。
  122. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今委員お話しされましたように、九月になりましてから、北朝鮮は、この調査やり直しの委員会設置の先送りを表明をいたしました。これは、福田内閣から麻生内閣に替わったということで、北朝鮮側は新政権が実務者協議のこの合意にどう対応するのかを見極めたいと、そういうことで調査を行っていないわけでありますけれども、私たちは北朝鮮に対しまして、すべての拉致被害者の一刻も早い帰国の実現に向けまして、八月の日朝の合意に従って早期にこのやり直しの調査をやるように、全面的な調査のやり直しを開始するよう要求をしているところでございます。  一方、十月の十三日に期限を迎えました対北朝鮮措置、これは北朝鮮船舶の入港禁止とそれから北朝鮮からのすべての輸入の禁止措置でございますけれども、これは核問題、それから拉致問題に対する北朝鮮の対応等、諸般の情勢を総合的に勘案しまして、去る十日、これを継続するための閣議決定を行ったところでございます。  いずれにいたしましても、一日も早いこの拉致問題の解決のために調査を再開するように、調査を始めるように強く要求をしていきたいと思っております。
  123. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 北朝鮮が約束を守らない以上、日本独自の制裁を半年間延長したということは当然であります。問題は、平成十八年九月に設置した対策本部が十分に機能していないように見えることです。追加制裁を検討するためにも、対策本部を頻繁に開催すべきだと思います。どのように対策本部の体制を充実させていくつもりなのか、官房長官にお伺いいたします。
  124. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 御指摘の拉致問題対策本部でございます。本日朝の記者会見でも公表させていただいたところでございますが、明日、予算委員会終わった時点で対策本部を開かさせていただきます。二回目になるわけでございます。特に、拉致被害者五名の帰国からもう六年目を迎える現状でございまして、ちょうど六年目の十月十五日に開かせていただくわけでございますが、被害者全員救出に向けて強い意思を、本部長、麻生総理でございますが、それから全員閣僚参加のこの閣僚会議において確認をしていきたい。先ほど外務大臣からも御答弁ありました、そういうあらゆる問題についてきちっと確認をして、日本としては特に権限のある調査会の立ち上げ、これを早急に実現できるように強く求めていく、このことの意思の確認を明日の対策会議、本部会議でやりたいと、こう思っておるところでございます。
  125. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 朝鮮総連の幹部が中国に出て、その後、北朝鮮に入っているという情報があります。また日本に帰ってきていると。これは完全に約束違反であります。そういう調査もちゃんとしなければ、まさにこのまましり抜けになってしまうというふうに思っております。そういうことも是非ちゃんとやっていただきたいと思っております。  最後に、北朝鮮に対する国際的な圧力を弱めないためにも各国に対して働きかけをしていくべきですが、どのように取り組む方針ですか。そしてさらに、拉致問題解決のためにどのようにしていくのか。総理の決意のほどを改めてお伺いいたします。
  126. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 日本として、これまでも度々申し上げてきましたように、拉致、核、ミサイル、こういった諸懸案というものをこれは包括的に解決をするということでありまして、加えて、不幸な過去というものも清算して日朝間の国交正常化というものを図るという方針には全く変更はありません。  拉致問題につきましては、すべての拉致被害者家族の一刻も早い、これは粘り強くという表現は正しくないと思います、一刻も早い帰国というものの実現にというのが一番大事なところだと思っております。  また、この拉致問題解決のためには、これは日本だけというわけにはなかなかいかない、国際協調というものがこれは避けて通れない。したがって、この六者協議の立ち上げというのが一番大事だったと今でも思いますが、引き続き、米国を始め国際社会の中においてこの拉致問題に対する理解というのはかなり深まってきておると思いますので、そういった意味で理解というものと協力というものを併せて求めていきたいと思っております。事実、十一日夜のブッシュ大統領との電話のときにも、先方の方から、こちらが言う前に向こうからその話が先に出てくるくらい本人の意識はしっかりしていると思っておりますので、この点は、いろいろ言われておりますけれども、電話を直接しゃべったのは私ですから、その点は重ねて申し上げておきたいと思っております。  また、北朝鮮調査のやり直しの時期につきましては早期に開始されると。これは、北朝鮮との間で懸案の最大の問題は帰国の問題がありますので、その問題につきましては引き続き鋭意取り組んでまいります。
  127. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 以上で終わります。
  128. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 関連質疑を許します。鶴保庸介君。
  129. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 自民党の鶴保庸介でございます。  私の方は、民主党の政策も含めて、今、昨今かまびすしい財源問題について少し議論をさせていただきたいと思います。  ここで民主党の案を云々するつもりはないのでありますが、衆議院の予算委員会の方でも園田議員の質問の中で言われましたとおり、民主党さんがもしも政権を取られたら、その政権担当されたときの後にどうするかというような議論は当然のことあるわけでありますし、またそれと同時に、我が党もこれに引っ張られるような形で、ともすると国民に耳触りのいいようなばらまきの政策が取られてはいけないと、そういう自戒の意味も込めて、党の主張の細かいところまで議論をする時間はないでありましょうけれども、そういう政策立案のしっかりとした財源確保についての議論を進めさせていただければというふうに思います。(発言する者あり)  先ほどから、この話をするだけでこの委員会方々から大きなやじが飛んでおりますが、民主党の参議院の選挙のマニフェスト、前回の参議院選挙のマニフェストと最近おっしゃっておられることを比較しただけでも、少し私もちょっと首をかしげたくなるようなことがございました。はっきりとちょっと分からないのでありますが、昨年の参議院選挙のマニフェストで大体その財源を民主党さん十五・三兆円と申されておられたんですが、現在、これはっきりとは分かりませんが、四か年で五十六・九兆円の歳出増を必要とすると主張されておられます。これは平均すると年間約十四・二兆円ということになりまして、いつの間にか何か一兆円近く減ってきているという今状況でありまして、そういうことも含めてちょっと指摘をしておきたいと思います。  ちょっとよろしいですか。(資料提示)まず、衆議院の予算委員会の方で民主党案、民主党さんの方から出てきたものをちょっとフリップにまとめさせていただきました。これは菅直人代表代行が示されたもの、そのまま焼き直しでございます。  先ほど申しましたとおり、これ四年間の合計が五十六・九兆円、そして一年平均で約十四・二兆円の財源、これを確保していくと。これ、内訳を言いますと、大体これ一年目は八・四兆円、二年目、三年目が、平成二十二年、二十三年が十四兆円、そして平成二十四年から二十・三兆円というふうになっております。  というと、これもちょっと私もこの案でまずどうするのかなと思ったことが、平成二十四年以降は平均して二十・四兆円の財源が必要になってくるわけでありますが、これ毎年の財源でいうと十四・三兆円。これ衆議院の予算委員会の方でも指摘がありましたが、単年度の予算財源の確保が十四兆円ということになると、平成二十四年度以降は二十・三兆円の財源確保が必要なわけでありますから、平均して、二十引く十四、六・数兆円の財源不足が、六・三兆円の財源不足が恒常的にできてしまうという今状況にございます。  したがって、これはいけないということを今ここで何か申し上げるつもりはないんですが、一つ一つ民主党さんがおっしゃっておられること、そのことを吟味しながら、取り入れられるべきところがあれば我々も虚心坦懐にこれは取り入れていかなければいけないと思いますが、無理なものをわざわざできると強弁をなさることはやはり我々国民にも悪影響を及ぼすだろうと思いますので、少し専門的になりますがお付き合いをいただきたいと思います。  それで、その十四・二兆円の捻出でありますが、これについては、ここに書いてありますとおり、国の総予算、これは特別会計も含めて二百十二兆円あるわけでありますが、から無駄遣いをすることによって約一割減らすというふうに民主党さんはおっしゃっております。この内容については、国の無駄遣いという言葉ですから、それは無駄遣いで一割ぐらい減らせるのかなとふっと思うわけでありますが、じゃ、果たしてそれが可能かということを細かくちょっと御答弁をいただきたいと思います。  まずは、金子国土交通大臣に対して衆議院の予算委員会の方で園田代議士が質問なさいました。まず、直轄事業三・四兆円を半減して一・七兆円にするというふうにしますと、半減しても一・七兆円、維持管理費と国民債務負担行為、すなわち、今継続中の事業をやり続けるということで負担しなければいけない今……(発言する者あり)
  130. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 御静粛にお願いします。
  131. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 金額より少なくなり、新規の整備は全くできなくなると。(発言する者あり)
  132. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 御静粛にお願いします。
  133. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 なぜこのやじが飛んでくるのか私よく分からないんですね。大変申し訳ないです、私、別に民主党さんに質問をしたいと言っているんではありません。これが可能かということを政府の公式答弁を求めておるということを御理解をいただきたいと思います。  直轄事業三・四兆円を半減して一・七兆円にすると、もう一度申し上げますよ、維持管理費と国庫債務負担行為、すなわち、今継続中の事業をやり続けるということで負担しなければならない金額より少なくなる、すなわち新規の整備は全くできなくなる、これが今の現状だというふうに国土交通大臣御答弁になられました。  したがって、今日はほかの点についてちょっと議論させていただきたいのでありますが、まず、国家公務員の総人件費の縮減であります。  これは、かねてから縮減について御努力をなさるということでありますが、民主党はかねて二割の削減という話をなさっておられます、国家公務員の総人件費を三年間で二割削減すると。これはまあ、確かにこれはそうなのかなというふうに思いますが、わざわざこのことについては三年間で二割と、このことについてだけは特出しでマニフェストで書いておられるんですね。  そこでお伺いをいたしたいと思いますが、この国家公務員の給与の単位の考え方はいかがなものかということ、二割落とすことについてどういうふうに考えられるのか、人事院の総裁にまずお伺いをしておきたいと思います。
  134. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) 御指摘の民主党のお考えになっていらっしゃることの内容については承知いたしておりませんので、一般論としてお答えをさせていただきたいと思います。  また、総人件費は国家公務員の給与の平均額に国家公務員の総人員数を乗じたものとなりますけれども、この定員につきましても所管外でございますので、所管をいたしております国家公務員の給与に関してお答えをさせていただきたいと思います。  国家公務員の給与につきましては、民間準拠の原則にのっとりまして、人事院が毎年民間給与と国家公務員給与とを詳細に調査した上で精密な比較を行い、その水準が均衡するように改定の必要があれば国会及び内閣に対しまして給与法の改正を勧告することとなっておりまして、これまでこの勧告の内容に沿った法改正が行われているところでございます。  今後とも、これらの仕組みによりまして国家公務員の給与の適切な水準が確保されることが必要と考えております。
  135. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 ということは、人事院勧告をこれまで民主党さんも尊重するというふうに主張してこられたということの背景を考えますと、単価を下げて二割の国費負担を下げていくということではどうやらないようだと。結論からいうと、公務員の人員を二割削減をするということなのでありますが、こういうことなのだろうと考えますが、これまでの政府における定員削減の取組についてお伺いをしておきたいと思います。
  136. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 鶴保先生御指摘の今のお話、労働基本権の、まず最初に、代償措置としての人事院勧告、これは人事院勧告を実施しなかったときに最高裁の判断まで仰ぐようなことが起きていたりILOから勧告を受けるというようなことがあっておりますから、要するに国家公務員の給料を例えば人事院勧告で上げろというのを凍結しただけで大騒ぎになるわけですから、これを、人事院勧告どころでなく、全くこれを一割、二割下げるということになりますと、これはもうそれこそ憲法云々という議論まで出てくるのではないかと、そういうふうに思っております。  また、そうではなくて、国家公務員の数を二割減らすということを意味しておられるのかなというふうな気もしないでもないんです。その場合、二割減らすというのはどういうことであるかと考えてみますと、確かに無駄な人員は減らさなければならないわけですが、一・一兆円の財源を出すということであれば、民主党案のようにですね、これは治安とか安全、安心の分野まで切り込んで人員削減しないとかなり厳しいだろうと。  国家公務員の数、自衛隊を減らすというお考えがあるかどうかという問題はあるんですね。自衛隊を除けばわずか三十万人少し。その中で十一万人も減らすということになれば、それこそ三分の一減らすということになるわけで、それは到底非常に困難なことになると思います。
  137. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  138. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 速記を起こしてください。
  139. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 それでは、大臣の答弁を踏まえて、そうすると、国家公務員の総数及び地方支分部局の職員数をちょっと御披露いただけますか。
  140. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 国家公務員の総数は、最新、本当の最新の数字かどうかちょっと怪しいんですが、六十万四千人ぐらいで、いわゆる行政機関が三十二万四千人、自衛官や特別機関が二十八万人というふうになっておりまして、出先機関は、大体行政機関三十二万四千人のうち二十万ぐらいが出先機関に勤務しているかと思います。
  141. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 そうすると、その二割カットということになりますと、先ほど言いましたとおり、大胆な地方分権の結果二割の削減ができるというふうにおっしゃっておられる方もいらっしゃるみたいで、それを考えますと、国家公務員ではなくて、国家公務員を地方の公務員に移管することによって全体二割の国費を削減すると、こういう論理なんだそうでありますが、さて、そうすると、そうだとするならばですよ、そうだとするならばですよ……(発言する者あり)
  142. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 静粛に願います。
  143. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 地方に業務移管をし、国家公務員が減っても、その分地方公務員が増えれば、これはできるかどうかという話をしているんです。ちょっと聞いていてください。国家公務員が減っても、その分地方公務員が増えれば、国民が公務員人件費のために支払う税金の額というのは一緒になるはずでありますよね。したがって、それは財源にはならないということがまず前提にある。しかも、そうすると、これどうしても首を切らなきゃいけない、生首切らなきゃいけないという話になりまして、地方分権をして生首を切るということは、地方分権で地方支分部局の方々の生首を切るということに論理的にはなってくる、なってきてしまうということであります。  先ほど総務大臣の方から数字を言っていただきましたが、そうすると、地方支分部局の約六割の人員のカットをしないと国家公務員の公務員人件費で二割削減はできないということになるわけでありますが、これを現実的だと思われますでしょうか。総理、御感想をお伺いします。
  144. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 私の大きな仕事の一つは、国の出先機関というか支分部局を整理することであって、これは各省庁の抵抗が激しいから、それこそ闘う総務大臣でなければいかぬということをいつも申し上げているわけでございます。  ところが、その二十万人以上いる出先機関、支分部局の中にも、例えば税務署とか海上保安庁の出先機関とか税関とか、あるいは私がかつて法務大臣でタッチしておりました地方の入管とか、結局、地方に分権で権限移譲しにくいところがまず非常に多いということがございます。その地方支分部局、出先機関を私は整理しなくちゃならぬと思っています。それは、農政局とか農政部というのはやっぱり真剣に考えなくちゃいけないところだと思っているんですが、これは要するにもう要らないと、こんな出先機関要らぬというんなら分かるんですが、住民に密着しているから県にやってもらおうと。これはもう是非必要な手だてなんですが、そうなりますと、仕事を県に移すわけですから人も県に移して、結局、県の人件費は増えるからその財源の手当ては必要だということにはなると思います。  二重行政の無駄だけは徹底して、これは人もお金も純減になるので、やっていかなければならないと思っております。
  145. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 公務員人件費についての議論はこの程度にとどめておきたいと思いますが、なかなか問題があるなという感じ、感想でございます。  それでは、ほかにもじゃどこか無駄遣いがないかといろいろ探します。私たちもいろいろ探した中で、民主党案の方をまたちょっと参考にさせていただくならば、公共調達のコスト縮減という欄がございます。公共調達をするのに、やはり今までちょっと随意契約が多かったんじゃないかとか、あるいはその無駄遣いがあったんではないかと。マッサージチェアやタクシー券なんというような話もよく出てまいりますが、こういったことのコストをこれ何としても削減せねばならないと。そうすれば、まず政府の随意契約なるものが、政府あるいはその独立行政法人含めて、競争性のない随意契約というのが幾らあって、これまでどういう努力をして幾ら減らしてきたかという辺りをちょっとお伺いをしておきたいと思います。
  146. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 随意契約につきましては、平成十九年一月に随意契約見直し計画を各府省で策定いたしました。この計画に基づきまして、競争性、透明性を高めて随意契約の適正化を図るべく、競争性のない随意契約を一般競争入札等の競争性のある契約方式に改めてきたところでございます。  この計画では、十七年度に締結された競争性のない随意契約、約三・四兆円のうち六割強の二・一兆円を一般競争入札等の競争性のある契約方式に改めていくことといたしました。この結果、十九年度におきましては、競争性のない随意契約は十七年度に比しまして一・一兆円減少し約二・三兆円になっており、目標まで残り一兆円となっております。  また、十九年度、二十年度の予算編成におきましても、随意契約から一般競争入札への変更や複数年契約を締結することにより、契約単価の減少等により十九年度は百六億円、二十年度は三百八十五億円の経費節減をしてきたところでございます。
  147. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 そうすると、残り一兆円の随意契約まだ残っているということですね。これをじゃ完全に競争契約に移行したとしますと、仮にコスト、これが大体どういう計算になりますか、財務大臣、競争契約に変えたとして。先ほどの話ちょっと分かりにくかったんで、どれぐらい残り一兆円の分を競争契約に移行したらコスト削減につながると、まあ大体あらあらで結構ですから教えをいただければと思いますが。
  148. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) とにかくこの計画に基づいてできるだけの努力をしているところでございますけれども、まあどのぐらいの計画になるかということについては、我々としてもはっきりとしたことを現時点で申し上げることはできないということで御理解いただきたいと思います。  いずれにしても、努力をしてまいります。
  149. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 とすると、これまでの随意契約の努力で類推をするしかないということなんでありますが、大体、そうすると、今までのお話をちょっと今こちらで計算しましたら、コストで大体平均一割から二割だということなんですね。つまり、随意契約を競争契約に変えたことで一割から二割のコスト削減につながっているということを、この延長線上にあるものだと、私は絶対そうだとは言いませんが、その類推をするならばそういうことになる。そうすると、一兆円の随意契約ということになると、それを全部競争契約にしたとしたら財政削減は一千億円か二千億円ぐらいということになるわけであります。  これでお分かりをいただくと思いますが、二十兆円、十四兆円と、兆円の数字をこれから財源捻出をしていかなければいけないという中で公共調達のコスト削減がどれぐらい効果があるかという問題もちょっとやっぱり問題と思います。  それから、さっきちょっとマッサージチェアやタクシーのお話もちょっとさせていただきましたからこれ付随して言っておきますと、これもけしからぬ話だと私も思います。思いますが、自民党の無駄遣い撲滅プロジェクトチームの報告によると、レクリエーション費は約四億円、タクシー代は八十億円、これらの備品購入などの事務費に充てられる目・庁費というのは全省庁合わせて三千四百億円。つまり、これは全部の省庁の備品を買ったりする事務費みたいなものを全部やめたとして三千四百億円、その中のタクシーだとかレクリエーションだとかの八十四億の中でこういう無駄遣いをしておったことが発覚しているということだと思います。大きな大きな数字の中ですからちょっとぴんとこない方もいらっしゃるかもしれませんが、まだまだ数十兆円の中には追い付かないということだと思います。  じゃ、それでは、もっと大きながん細胞がないかと調べていきたいと思いますが、よく言われるのが、これは天下りの問題であります。公共調達のコスト縮減にもつながりますが、これは特に民主党さんが日ごろから言っておられることですが、二万人以上の方が四千六百九十六法人に天下りし、十二兆六千四十七億円の税金が流れている。これ、十二兆六千四十七億円の税金が流れているから、これ全部やめてしまえば十二兆のお金が浮くんですけれども、果たしてそれができるんでしょうか。  そしてまた、そうでないならば、いわゆる天下りというものの問題点というのは、基本的にわたりであるとか恣意的な事業計画であるとか、そういった問題だと思いますが、そのわたりについても高額な退職金などを連続して支払うというのが批判されております。これについて行政担当大臣はどう見ておるかといった辺りをお伺いをしておきたいと思います。
  150. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 私も、初当選は新自由クラブで、その後自民党に渡ってはきましたけれども、一回だけでございます。  官民人材交流センターができますと、これはもう中立性、透明性をしっかり確保したものになると、それから、いわゆるわたりはなくなるわけであります。  先ほど来の、十二兆六千億と承知しておりますけれども、十二兆六千億は、これは民主党さんが御主張されているのは衆議院の調査局が行った予備調査におきまして公務員再就職者のいる法人に対して行われた資金交付の総額だというふうに承知しておりますが、この内訳は、中小企業向け融資を行う旧国民生活金融公庫等に対する財政融資資金貸付け、これが四兆五千億、それから個人向け住宅ローン、それから低利、無利子の奨学金給付などを行う独立行政法人に対する資金交付、これが三兆八千億、それから国公立大学の運営を支えるための交付金や私学助成、これが一兆三千億等、国民生活や社会経済にとって必要な政策遂行のための支出が大半であると承知をしております。  再就職者がいるから出ている、いないから出ないという種類のものではありませんけれども、いずれにいたしましても、徹底した無駄の排除を行うべきことは当然でありまして、私としても引き続き無駄の排除に努力をしてまいりたいと考えております。
  151. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 これも、ということはなかなかしんどいんだろうなということだと思います。  ただ、この話についてはちょっと私いろいろ勉強させていただいている中で感想を述べさせていただきますと、これ退職金、いわゆるわたりについて、法人に移りますよね、そこから、法人から法人へ移られます。そのときの退職金というのは、これどういう規定で、幾らぐらい払うという規定がやっぱりちゃんと法定されておられるんですか。これ行革担当大臣がいいのか、ちょっとよく分からないんですが。
  152. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 甘利担当大臣
  153. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 総務大臣総務大臣にお願いします。
  154. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 総務大臣。谷総裁がいいんじゃないの。
  155. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 甘利さんに。
  156. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 甘利担当大臣
  157. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) それ、退職金の……
  158. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 退職金の、そうです、支払額について法定、ちゃんとした決まりがあるんですか、法律上の規定みたいな。
  159. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) それは算出規定はきちんとあると思います。  初めて、突然の御質問でありますので、詳細は事務方にきちんと調べさせて報告させていただきます。
  160. 溝手顕正

  161. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) 所管外でございますけれども、国家公務員退職手当法という法律によって基本が定められております。
  162. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 よろしいですか。  国家公務員ではなくて、わたり行為をしたときの退職金ですから、国家公務員ではありません。ちょっとその辺。
  163. 溝手顕正

  164. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) わたりで行かれた場合の退職金の問題だと思いますが、これはそれぞれの法人の規定がございます。恐らく退職金については理事会等にも諮る、そういうことになっていくわけで、そこの規定によって出されておると、このように承知しております。
  165. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 ということは、間接的に退職金もこれ直接の税金ではないと思います、このわたりに対する退職金もですね。しかし、その運営交付金か何かの形で渡った税金ですよね。これの税金の賄われるのが、やはりその支払額が各行政法人ごとに違うようなことがあってはならないと私は思います。しっかりとした裁量を制限するようなやはり何らかの仕組みが必要なんではないかということをお話をしておきたいと思います。  それからもう一つ、こういう天下りの話をした中でやはり見ておかなければいけないのは、いわゆる埋蔵金論争ですね。埋蔵金でありますが、特別会計とか、それから特殊法人、独立行政法人に埋蔵金がたくさんあるんじゃないかという話がずっとございます。  しかし、これも衆議院の予算委員会でもお話しになったとおり、一年限りという議論がございます。ただ、一年ということであったとしても幾らぐらいあるのかということは我々知っておく必要があるんではないかと。そういう観点から、特別会計の積立金の運用益、フローの活用について、これ先ほどのフリップにも出ていましたけれども、これで三兆円ですか、それから使う予定のない特別会計積立金、ストックの活用で、これで約二・七兆円をつくると言っておられる民主党の案もありますから、こういった積立金が一体どういう性格のものなのか、幾らぐらいあるのか、そしてまた今現状どんな状況になっておるのか、御報告をいただきたいと思います。
  166. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) だれにする質問ですか。
  167. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 財務大臣
  168. 溝手顕正

  169. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 併せて、全部併せて。
  170. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) もう一回ちょっと。
  171. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 時間がちょっと迫っているものですから、幾つかの質問を併せて質問させていただきました。  だから、特別会計の積立金、使う予定のない特別会計積立金の活用について、こういったものは幾らぐらいあるのか。そしてまた、これは一年限りだという前提ではありますが、こういう特異な状況、今の金融状況を踏まえて、これ減っているのか減っていないのか、そういう程度でも構いません、大体どういったものがあるのか、これをお答えをいただきたいと思います。
  172. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 特別会計の積立金というものは、一定の特別会計法に基づいてルールどおりにやられているもの、これは鶴保委員もよく御存じのことだろうと思います。  例えば外為特会というものは、一定額を積立金に積み立てて、そしてそれの剰余部分については一般会計に繰り入れると。しかし、その積み立てた外為特会も為替の動きによって、裏に政府短期証券がございますので、円高に振れていけばその積立金がどんどん目減りをしていくと。今年の計算でいいますと、一ドル九十九円よりも円高になりますと、その積み立てているドルが円との関係においてほとんどプラマイゼロになってしまうという状況になっております。  それから財投特会は、これも積立率がきちっと決まっております。今年改正になりまして千分の五十を積み立てるということでございますが、それ以外につきましては法律に基づいて国債整理基金に振り向けなければならないというふうに法律で決まっているところでございます。  いずれにいたしましても、これも利息で変動いたしますものでありますから、安定的に財源として求めるということは、変動要素があるということを頭に入れておかなければなりません。しかし、今までも剰余が出たものにつきましては一般会計等にできるだけ繰り入れてきたところでもございますし、これからもそういう形で対応していきたいというふうに考えております。
  173. 丹呉泰健

    政府参考人(丹呉泰健君) お答えいたします。  平成十九年度決算ベースで特別会計の積立金総額は二百五兆円でございます。今大臣から申し上げました財政投融資資金特別会計の積立金が十九・七兆円、それから外国為替資金特別会計の積立金は十九・六兆円でございます。一番大きいのが国民年金などの保険事業の積立金でございまして、これが百五十四兆円となっております。
  174. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 いろいろと数字をいただきましたけれども、私は一番驚いたのは、衆議院の予算委員会の方で質問をなさっておられた時期というのはまだ十九兆円か、十兆円以上の外国為替資金特別会計の剰余金であるとか、こういったものがあるやに議論をされておられたんですが、残念ながら今為替レートの関係で九十九円になったおかげで、九十九円以下になるとこれはマイナスになると、吹っ飛んだという話なんですよね。それでいいですか、その理解で。
  175. 平田耕一

    ○副大臣(平田耕一君) 御承知ではあろうと思いますが、外為特会の積立金は保有外貨資産の評価損を補うという目的で積み立ててございますので、円高が進行いたしますと評価損が増加をいたしまして、積立金から評価損を差し引いた言わば正味の積立金は減少するわけでございまして、大体でございますが、九十九円になりますとほぼゼロになるだろうというところでございます。
  176. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 ということは、この特別会計における埋蔵金論争も、今この時世にはちょっと言うこともタブーになってくるぐらい厳しい状況にあるというふうに思わざるを得ないということだろうと思います。  あとは、幾つかありますが、政府資産の売却について。これはもうずっと今までも各党、その党派を超えて議論をしてまいりました。一応聞いておきますが、政府の保有資産の圧縮のためにどのような取組をこれまでしてこられましたか。そしてまた、不動産の売却収入などで恒常的に見込まれるのはどの程度であるかということ。これは財務大臣の方からお答えいただきたいと思います。
  177. 平田耕一

    ○副大臣(平田耕一君) 政府としましては、基本方針二〇〇六等でお示しをいたしておりますけれども、平成二十七年度末にはこれは圧縮できるという、国の資産規模の対GDP比で平成十七年度から半減をするということを目標にしておるわけでございます。  したがいまして、その大半は財政融資資金の圧縮金でございますが、実際には国有財産の売却等によりまして約十二兆円を目しております。年度で申しますと、十九年度決算では二千二百七億円の売却収入、二十年度では二千百七十三億円の売却収入を見込んでいるところでございます。
  178. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 ありがとうございます。まだまだ十四・五兆円には足らないという感じであります。  そこで、見回してみましたら、これ最後と言っては何ですけれども、民主党さんがおっしゃっておられるこの中にもこれ書いてありましたが、いわゆるこうなってくると結局税財源という話になってこざるを得ない。増税を、新たな総合的な税金、税体系をつくるという話は自民党の方からも出ておりますけれども、今ある税制体制を抜本的に見直してということであります。  これはすなわち、今租税でも特別措置が幾つか講じられております。ちょっとフリップを。(資料提示)  租税特別措置、すなわち政策的な観点から本来あるべき租税を特別に控除しておると。これを見直すということによって幾らか財政再建できないかというふうに考えるわけでありますが、この租税特別措置、これ書いてありますけれども、これ特に額の大きいものだけずらっと並べさせていただきました。  現行でこの減税効果のある特別措置について、大きく分けて所得税関係とそれから法人税関係とその他の税関係というようなものを三つ、これは分類していませんが、それぞれ見てみますと分類ができるんですね。その減収額の大きいものを、その項目ごとに減収額の大きいものをずらずらずらっと並べたわけでありますけれども、この租税特別措置、これ全部やめちまったら確かに増収になるか。よくよくしかし見てみますと、ガソリン税の暫定税率なんていうのもありますから、これは実を言うと増収効果がありますので、約二・三兆円を差し引いて考えますと、金額ベースで約五・二兆円、これ全部の租税特別措置をやめたら五・二兆円国に税金、税収が上がるというふうに考えるわけですね。  ところが、先ほど、五・二兆円の中で考えなきゃいかぬのは十何兆の幾つかですから、特に民主党さんおっしゃっておられるのは、この五分の三に相当する約三・三兆円の租税特別措置を廃止すると、こういう御主張をなさっておられるようでもあります。(発言する者あり)ですから、これ、「等」の話はまた後でしますからね、「等」はまた後でしますから。  他方、この民主党の主張ということですからそこに乗っかって話するわけにいきませんが、確かに、果たしてこの中でどれをじゃやめて三・三兆円つくっていくかということを考えなきゃいけない。これを見ていただいたら分かるんですが、これ、一番どう見てもこの中で額の大きいの、これですね、石油化学製品製造のための揮発油の免税、いわゆるナフサ免税というやつですけれども、これの辺りに手を付けないと三・三兆円という額はとてもじゃないけど捻出できない。住宅ローン減税やめるわけに今いきませんよね。それからまた、配当所得の特例、これも今こんな状況でやめるというわけにもいかない。それから研究開発税制、これは企業の研究開発でありますから、国際競争力を維持するためにもこれもやめさせるわけにいかないというようなことを言い出しますと、結局このナフサ減税、この辺りに手を付けざるを得ないんじゃないかということを私たちも考えるし、多分一般の国民の方もそういう感想をお持ちになるんだろうと思います。  それで、この石油化学製品のために消費される揮発油の免税の措置について、これが国民生活や経済にどのような影響を、これをやめちまうとどのような影響を及ぼすことになるかという辺りをちょっと議論させていただきたいと思いますが、経済産業大臣の御感想をお伺いします。
  179. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) これは、石油化学製品製造用のナフサが極めて広範な産業、企業に原材料として供給されていることは御承知のとおりであります。国民生活及び経済、産業を支える重要な基礎素材であるということをかんがみ設けられている措置であると考えています。  石油化学製品は、衣服、洗剤、化粧品、さらに家電製品、自動車部品、住宅産業など生活必需品として幅広く国民生活を支えているものであります。したがって、こうした石油化学製品に対する免税措置がなければ、生活必需品の値上がりなど国民生活に極めて大きな負担を強いることになります。石油化学に携わる多くの中小企業の経営にも甚大な影響を及ぼすものと考えております。  経済産業省としては、こうした免税措置国民生活のために必要不可欠な措置であると考えております。
  180. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 国民生活全般にわたってこれ大変な影響があるというお話であります。これもちょっと厳しいのかなという気もしないではありませんが、全般的に見直すということも含めてこれから御議論いただければと思いますが。  そこで、さっきちょっとやじもありましたが、民主党さんの方は、実を言うと、この租税特別措置だけではなく、租税特別措置等で三・三とおっしゃっておられるから、これも、じゃどこにその等があるのかと。特別措置等ですから、租税関係で見ますと所得税控除の部分なんだろうということであります。所得税控除の見直しは民主党さんの方もずっと言っておられまして、子ども手当の創設でこれを賄うという御主張をしておられます。  ちょっと、これまたフリップいただけますか。民主党さんのこの子ども手当法について、この法律をちょっと御議論の基にさせていただきたいと思いますが。  子ども手当の創設に合わせて……(発言する者あり)子ども手当の創設に合わせて……(発言する者あり)五千円の児童手当が廃止されるので、負担は一万一千三百円ですね。これが、二万六千円の児童手当が支給されるということは、ネットの支給額は一万四千七百円、これはいいなということであります。  これ、資料出してよろしいですか。(発言する者あり)
  181. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  182. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 速記を起こしてください。  御静粛に。  今、本件について委員長の見解を申し上げます。  今朝の理事会におきまして、本日使用する資料について協議は相調ったところです。  しかし、数字は当日、今朝出されたものですから、民主党から、精査の結果、正確でないという指摘が出ております。  したがいまして、これは訂正すべきものと考えておりますが、今、自民党側と折衝しましたら、この資料を使わないで質問を続けるということでございますので、引き続き鶴保庸介君の質問を受けたいと思います。
  183. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 それでは、資料なしでちょっと簡単に、分かりやすいようにじゃお話をしたいと思います。  これ前提がございます。専業主婦、奥さんが働いていらっしゃらない専業主婦世帯で十六歳未満、十五歳以下の子供が一人いる家庭を想像していただきたいと思います。その家庭が、聞いてみますと、大体その典型的な適用対象の中では一番多いと、数が多いということでありますから、この家庭で所得税の適用税率が一〇%、所得税も所得もそれぞれいろいろばらつきがありますからこれも仮定するのは難しいんでありますが、大体一〇%程度というのが典型的だそうです、の家庭を想定すると、一月当たり幾らの所得税の増税になるのかということをちょっとお伺いをしておきたいと思います。
  184. 平田耕一

    ○副大臣(平田耕一君) 私、民主党の御提案の詳細は承知しておりませんけれども、御質問の控除、配偶者控除及び一般の扶養控除が廃止されるといたしまして、御指摘の専業主婦世帯、十六歳未満のお子さんがお一人という世帯でございますと、所得税の増加負担は、適用税率一〇%という御指摘ですが、その場合、年間七万六千円、月間にいたしますと約六千三百円でございます。
  185. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 そうすると六千三百円の所得税増税でありますが、二万六千円の児童手当が支給されるとネットの給付額は約一万四千七百円、ではないな、約二万円弱ですね、ということですね。しかし、これはもう一方で五千円の児童手当も廃止をされるということでありますから、一万四千七百円を大体そのベースに考えたいと思います。  これでは、じゃちょっと、私はこれ議論の俎上にのせる必要があると思ってフリップ作ってきたんでありますが、十六歳未満の子供がいる家庭では確かに一万五千円いただけるということなんですが、十六歳以上の子供だったらこれ幾らぐらいにしかならないんですか、どうぞ。
  186. 平田耕一

    ○副大臣(平田耕一君) 御指摘のケースですと、配偶者控除の廃止による影響のみを受けることになります。その場合、御指摘の一〇%適用税率で年間三万八千円でございまして、一月当たりでは三千二百円でございます。
  187. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 三千二百円もらえるの。
  188. 平田耕一

    ○副大臣(平田耕一君) 増税でございます。
  189. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 増税。
  190. 平田耕一

    ○副大臣(平田耕一君) はい。
  191. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 確認ですが、三千二百円の増税ということは、今よりも減るということですね。もう一回確認します。
  192. 平田耕一

    ○副大臣(平田耕一君) これ、配偶者控除が廃止による、廃止になる影響を受けるわけでありますから、月間三千二百円税が増えるということになるわけでございます。
  193. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 年間。
  194. 平田耕一

    ○副大臣(平田耕一君) 年間。年間三万八千円でございます。
  195. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 いやいや、プラスなのかマイナスなのか。
  196. 平田耕一

    ○副大臣(平田耕一君) 配偶者控除三十八万でございますね。配偶者控除が三十八万円の枠がございますので、その一〇%で月間に三千二百円ということになるわけでございます。御理解いただきたいと思います。
  197. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 それでは、ということは、十六歳以下、十六歳未満の子供がいる家庭では一万五千円ぐらいもらえるようになる、今よりももっと一万五千円ぐらいもらえるようになると。ですけど、子供がいない家庭は三千二百円ほど負担増になるということですね。今現状では、いろいろやじを飛ばしていただきますが、これが現状なんですよ。現状そういうことなんです、現法制度。それを真摯に受け止めてもらわないと困ります、これは。  こういう十六歳未満の子供がいない家庭と、それだけの差がある制度をこれ今の財源のままでできるかというと、これ財源幾ら必要になるかどうか、ちょっとお答えいただけますか。子ども手当法案なるものを作ったとしたら。
  198. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 速記止めてください。    〔速記中止〕
  199. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 速記を起こしてください。  懸案事項につきましては、理事会で十分協議を尽くしていただきます。  質疑を続行いたします。
  200. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 内容についていろいろ議論あるところだと思いますが、私は、この十六歳未満の子供がいるかいないかでこれだけの差ができる制度を、これ財源どれぐらい掛かりますか。それだけ最後にお答えください。
  201. 平田耕一

    ○副大臣(平田耕一君) それは民主党案の前提ですか。
  202. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 前提にした場合。
  203. 平田耕一

    ○副大臣(平田耕一君) 先ほど申し上げましたけれども、民主党案、ちょっと詳細に承知しておりません。先ほどお答え申し上げたのは、配偶者控除、一般扶養控除をなくした場合に増額になるということを申し上げまして、御類推をいただきたいと思います。
  204. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 二万六千円の児童手当が支給されるという前提だったらということですから、答えはできると思うんです。大体五兆円といいます。それぐらいのお金が、財源負担を掛けてそういう差をつくると、これが果たして、一体国民の理解されるところなのかどうかという辺りもやっぱり議論の必要なところだと私は思います。  それでは、ちょっともう時間がございませんので。そういういろんな財政政策についてお話をしてきました。どれもこれもやはりちょっと厳しいなという感じを、感想を得ざるを得ません。  これから、総理に最後、こういった財源状態の中で今の経済状態をどうかじ取りをしていくかということ、今、二次補正なんという話も出ておりますが、財政政策自体が金融政策と比べてみてもう時代遅れなんではないかというような議論さえ今出ている時代でございますから、総理のこれからのかじ取りについて御決意をお伺いをして、最後の質問にさしていただきたいと思います。
  205. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 今御審議をいただいておりますもののうち、いわゆる緊急総合対策決定以後にいわゆる金融情勢というものが大きく変化したというのは御存じのとおりであります。そういった情勢というか、新しい状況を踏まえて、与党に対しましては新たな経済対策というものを早急に検討するように指示をしております。  日本のいわゆる実体経済、いや、これは今は金融の話ですから、これが実体経済、実物経済にどのような影響が出てくるかというのは、これは非常に大きな問題でもあろうと思いますので、必要な対応というのはしっかり行わなければ、これは日本の景気全体、経済全体に与える影響が金融にとどまらないという可能性を未然に何とかということが基本的な考え方の根底であります。
  206. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) これにて鶴保庸介君の関連質疑は終了いたしました。  以上で吉村剛太郎君の質疑は終了いたします。(拍手)     ─────────────
  207. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 次に、直嶋正行君の質疑を行います。直嶋正行君。
  208. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 民主党の直嶋でございます。  今日は麻生総理に初めて質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。  まず最初に、北の核開発、拉致問題について伺いたいと思うんですが、十二日の未明に米国が、核検証手続に関して北と合意ができたということで、北に対するテロ支援国家の指定の解除をいたしました。元々これは、日本政府は、拉致問題の進展がなければ指定解除にはノーだというのが私は日本の立場だったと思うんですが、こういう結果を見ると日本の主張がないがしろにされたということになるんではないかと思うんですが、総理はこれをどのように受け止めておられるでしょうか。
  209. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは、北朝鮮による日本の立場、他の五か国というか四か国の立場はそれぞれ少しずつ違うとは思いますが、これは日本にとりましては、この拉致という話はこれは国家主権にかかわる重大な問題であるということはもう直嶋先生よく御存じのとおりです。  したがって、すべての被害者拉致被害者家族の一刻も早い帰国というものを、我々としては基本的にそれを要求若しくは希求していると。これに全力を尽くす、これは日本の、まず最初に申し上げておく、これはずっと一貫して同じことを申し上げてきていると思います。  アメリカの場合は、テロ支援国家指定解除を行っておりますが、御存じのように今六者会合というのは止まっております。したがいまして、その六者会合が止まっておるのを動かすための一つの手段ということでアメリカがこれに踏み切ったということだと思いますが、我々としては、アメリカと違って我々はこのテロの問題を抱えておるので、そんな簡単なものとは少し立場が違うと。したがって、この問題に関しては我々はアメリカとは立場をかなり異にしているんだが、少なくともこの拉致の問題が基本的に忘れ去られることがないということだけはきちんとしておいてもらわねばならぬと。  したがって、この拉致の問題が解決しない限り、いろんな意味で、今後さらにこの基本的合意になっても、それを文書化していく、六者で文書化しなきゃなりませんから、文書化というのは口頭了解になっています部分を文書化するという意味です。その文書化する問題というのが残っておりますので、その文書化等々の問題を今後六者協議の中できちんと早くやってもらうということだと思っております。  したがって、日本からとしては、少なくとも今後とも、今の状況というものは我々としては何ら拉致に進歩、進展がありませんので、我々としては過日の閣議で基本的に経済制裁は継続するということを申し上げたというのがその背景でありまして、私どもとしては、アメリカの今回の問題に対しましては核の問題を動かす一つの手段であるということは分からぬではありませんけれども、我々の立場としては、この問題に関して、拉致、テロの問題、いや、ごめんなさい、核の問題を一歩前進させる意味で、六者協議を動かす意味で理解できないことはないけれども、しかし、我々としては拉致の問題というのが一番大きい、国としての問題という点を重ねて向こうに申し上げてきたというのでありまして、少なくともこれを現実のものにしてもらわなければいけませんので、また口頭了解だけで全然進まないなんてことはあり得ますので、そういった点を今後六者協議の場においてきちんと詰めていくという努力が必要であろうと思っております。
  210. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今総理から、アメリカの立場と日本の立場の違いというふうなお話があったんですが、その立場が違う中で、拉致問題の進展がなければテロ指定国家の解除はやってくれるなというのが日本の立場でしょう。で、忘れないということで今回はしようがないと、こういうことですか、今の総理の御答弁を要約すると。
  211. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 私の申し上げているのは、アメリカテロ支援国家解除というものは、今回の核というものを前進させるために、これを是非、言う、アメリカの主張というのはそれなりに分からぬことはない。ただ、我々としては、拉致の問題というものを抱えておりますが、こっちは、核の問題を一番影響を受けるのはこっちでもありますから、したがって、我々は三つ抱えておるわけです。  したがって、この核の問題も全く動いておりませんから、こういった問題を少なくとも前進させるための一つの手段として、アメリカはこれはもうどうにも全く動かず、これずっと、かれこれ二年ぐらいたっておりますので、そういった問題を動かすのは分からぬことはないがというのが申し上げているところであって、テロ支援国家解除に対しては我々は不満ということははっきり申し上げてきております。  ただ、向こうが、核の問題を動かすためにはこれはある程度認めてもらいたいという話でもありましたが、その内容についてはきちんと検証できますかという点が一番問題。したがって、その検証問題をやるに当たって六者会合というものを開くと、今全く開いておりませんから、六者会合の場でその問題をきちんとやっていただく必要があるというのを我々としては一番最初に申し上げたところであります。
  212. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ですから、今の総理の話だと、アメリカの立場で核の問題を進展させるために今回こういう措置をしたと、それは分からないでもない、日本の立場は全く通っていない、だから不満だけれども、まあそれはしようがないと、こういうことですか。  今、幾つかおっしゃったので、拉致の問題に絞ってちょっとお答えいただけませんか。
  213. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 何回も申し上げますけれども、合意を得る、こういった合意を得るという過程で、あれですよ、今度は米朝、日朝じゃありません、米朝合意を得る過程で、アメリカ北朝鮮テロ支援国家解除を行って、停滞して今全く動いておりませんから、この六者会合のプロセスを動かすことが重要ということをアメリカは判断したということに関しては理解はできます。  ただ、我々としては、だってテロが動かなきゃ、拉致が動かなきゃ、拉致じゃない、済みません、ミサイル、核の話が全く動いていませんから、それで核実験の準備はどんどん進んでいるとかいろんなうわさだけはどんどん入ってまいりますので、そういった意味から考えると、これは核の問題というのは深刻な問題でもありますので、アメリカとしてはこの核の問題を何としても動かす意味から今度の判断をしたということに関しては、そういう重要な判断を行ったということに関しては理解はできます。ただ、日本としては、テロの問題、テロじゃなかった、拉致の問題を抱えておるということを申し上げておるということであります。
  214. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ですから、そこのところは、まあ日本拉致の問題があるから、アメリカは今止まっているものを動かすためにこうしたと、こういうことですよね、だけれども日本拉致の問題があるから。で、どうなんですか、その先が分からないんですよ。
  215. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これで六者会合というのが正式に動き始めるものだと私どもは期待しております。こうなっても動かないかもしれませんよ。私ども正直分かりません、そこのところは。北朝鮮は動くということで、六者会合というものを開くか開かないかということに関しましては、北朝鮮側の立場もありますから、我々は、アメリカ日本はこういう話になったんだから、テロ支援国家解除、サンキュー・ベリー・マッチで六者協議に即応じてくるという段階に今なっているかといえば、そこまでの保証はないという現実を申し上げております。
  216. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 結局、アメリカには不満だけれどもしようがないと、こういうことですかね。  で、今お話しになった六者会合はあるのかないのか分からないということなんですか。で、六者会合でその拉致の問題を日本としてはちゃんとおっしゃると、こういうことですか。
  217. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 何回も申し上げておりますが、日本としては、今回の米朝合意というものが、一応米朝間の合意というのがありますので、それを基本として六者間で、六者間でこの核の話含めまして検証を、具体的な枠組みに関する文書というものを今から採択してもらうということになるんだと思います。  その意味で、アメリカ始めその他四か国がありますので、北朝鮮除いて四か国がありますので、その関係を更に密にして、当然のこととしてその段階で我々としては拉致の話を引き続き言っていく、当然のことです。
  218. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ということは、六者協議日本拉致の問題を改めて訴えると、それが進展がなければ検証文書には署名しないと、こういうことですか。
  219. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 私どもとしては、六者協議でどのような合意になるかは存じません、正直なところ。まだ相手のある話ですから分からぬわけですけれども、その中で出てくる文書に関して、私どもとしては、いろいろこういったものが進めば、エネルギー支援を下さい等々いろんなことが向こうから要求で出てきますから、その要求に関して、私どもは、拉致の問題の進展がない限りはこの種の話に応じることはないということを申し上げております。
  220. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それは先の話ですよね。六者協議でまとまった後の話ですよね。まず、今の総理の言い方だと、拉致の問題は進展がない限りは六者協議にも応じないかもしれないし、その中で取りまとめもできない、そういうふうに聞こえたんですが。
  221. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 六者協議は今全く開かれておりませんから、我々は今交渉がしようがないわけ。日朝間の交渉にも向こうは応じませんから、全く。したがって、六者というものになると、初めて向こう側と六者の場で協議ができる場が出てくるということであります。したがって、六者間、六者の場で我々は我々の主張をするということでありまして、それが私どもの、ずっと一貫して同じことを申し上げていると存じますが。
  222. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 要するに、アメリカテロ支援国家指定解除を一つのてこにして拉致問題を進展させようというふうに従来の日本政府考えてきたと思うんですよ。ただ、それができなくなったと、だから今後はその六者協議の場で主張していくと、こういうことですよね。
  223. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) テロ支援国家解除というものを一つのネタにしながら六者協議の場で我々としては交渉をやりたい、日本としては拉致の話、核、ミサイルと続いておりますけれども、この問題を協議していきたいと。  アメリカの場合は、まあその他の場合は核の問題が断然優先順位の一番高いところでもあります。したがって、この核の問題が全く動いていないでかれこれ二年ぐらいかな、それぐらいたっておりますので、その問題を動かすためには、是非この問題をやるためにはというんで米朝で口頭了解、一部文書で了解したものを含めて今度六者で協議をするという場になりますので、六者協議が動き始めるから、六者協議が動き始めない限りは今接触が全くないわけですから、そういった意味では六者間でいろいろな形での協議が行われるということになるので、そこで、その場において我々は当然のこととして従来どおり拉致の話を引き続き強く申し込んでいくということであります。
  224. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ですから、米朝間の話合いの中では拉致の問題を六者協議で詰めようということにはなってないんじゃないんですか。だから、さっきからお話ししているとおりですよ。日本はそうおっしゃっているんですけれども、今回は無視されたわけでしょう、はっきり言って。だから、次どうするんですかということなんですよ。総理はそうおっしゃっているけれども、米朝間の間では俎上にのってないんでしょう、米朝間の間では。
  225. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 米朝間に拉致の問題はありませんから、基本的には、アメリカ人が拉致されているという、米朝間に拉致の話は基本的には、アメリカ人が拉致されていないのはもう御存じのとおりですから。  ただ、我々の立場としては、六者協議の場において他国の協力も得ながら、日朝間でしこっております最も大きな問題のこの拉致の話を他国の力も借りながら今進めてきているというのがずっと今これまで続いてきた経緯だと、私はそのように理解をしております。
  226. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 いや、だから米朝間に拉致の問題なんかないんですよ。だから、それを元々日本は、アメリカの力を借りて持ち出して解決しよう、あるいは進展させようということだったわけでしょう。それが崩れたということですよね、今回。
  227. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 私は崩れたと思っておりません。少なくとも、アメリカとの電話会談の場においても、またこの間の報道官の発言内容というのもよく聞かれたと思いますが、あの報道官の内容を見られても、御存じのように、日本の立場に関してはきちんとアメリカは述べておるというのは御存じのとおりです。
  228. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 要は、さっき総理がおっしゃった、忘れないと、あるいは覚えていますよという程度の話じゃないんですか。  さっきお話の中で検証の話がありましたが、今の米朝合意では、未申告の施設については、核の検証北朝鮮合意がなければできないことになっていますよね。これはいいんですか、日本としては。
  229. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは双方で見解がかなりずれているように思います、私どもが聞いている範囲では。したがって、六者でその場で突き合わせるという作業が要るんだと思いますが、双方言っているのが少し食い違っているように思います。
  230. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ちょっと待ってください。食い違っている中で、じゃ、テロ指定国家解除しちゃったらどうするんですか、それは一体。
  231. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) アメリカ北朝鮮との間で、アメリカはこう思って合意、向こうはそう思って合意というのは少し食い違っているのではないかと。私自身から見ると、そこがきっちり担保されるということが必要なのではないか。それは文書で交換していませんから、文書で交換していないんですからね。したがって、その文書交換をした上でないと問題があるのではないかというのが私どもの言い分です。したがって、その文書をきちんとやるために六者協議を行う。分かります、これすごく大事なところですよ。文書が出された、米朝間の文書というのは本当にそうかということをきっちり、米朝間の合意の話をきっちり六者協議の場の上で出してもらう、その上でそれをきちんと詰めるというのが大事なプロセスだと、私はそう理解しております。
  232. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 だから、結局、今の総理の御説明だと、両者が解釈が違う。しかし、アメリカはテロ指定国家解除しちゃったわけですよね、合意したから解除したと言っているんでしょう。日本はそれに対して、まあしようがないと、拉致を忘れないでくれよと総理がおっしゃったと、こういうことですよね。
  233. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これはアメリカの方から、日朝間に大きな問題があるというのは、アブダクション、アブダクションというか、拉致の問題を含めてよく理解をしているから是非という話は向こうから話がありましたので、きちんとそこのところだけは頭に、心に留めておいてもらいたいという話をしたんです。こっちが言い出したから、これ言えと言ったわけではないんでありまして、そういった意味では、向こうは非常に大きくこの問題を心に残してもらっているものだと、私はブッシュ大統領の話、電話会談でそこは強く思ったところであります。  それから、今の、いわゆる検証処置の話についていろいろありましたけれども、未申告の問題の話というのを言われたわけでしょう、先ほど施設のあれで。未申告の話につきましては、双方の合意について認められることになっているのが危ないではないかと言われるところです。私は一般論としては、これは検証活動というのを行うときには、検証活動というのを行うときには、通常受入れ側の話も聞かないとできないのはもう御存じのとおりです、これは何も北朝鮮に限った話じゃありませんから。そういった意味では、当該国との合意なしに検証を行うことは通常はあり得ません。一方、北朝鮮では、これまで検証活動には全面的に協力すると言ってきたわけです。言ってきたけれども、実際はなかなかさようなわけにいかなかった。もう御存じのとおりです。  したがって、今後、未申告の施設に関しても、未申告の施設に関しても北朝鮮の協力というものをしてもらうように言わにゃいかぬと。これは当たり前のことなんであって、こういったものが今後、米朝間の合意と、一応できたことになっていますけど、我々はその内容北朝鮮側の言い分としては、アメリカ側の言い分しか知りませんから、そういった意味では、北朝鮮側のあれを聞いた上で、六者間で検証というものを、具体的な枠組みに関する合意文書というものを採択するということがこれから必要になってくるんだと、私はそう思いますので、この未申告の施設への訪問、訪問というか、検証を含めまして引き続き他国と一緒にこの問題を我々としては連携しつつ取り組んでいく必要があるんだと存じます。
  234. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 つまり、今北朝鮮申告しているのは寧辺の施設等のプルトニウム系の部分ですよね。ウラン開発等を含めて未申告ですよね。今の総理の話は、だから未申告の部分についても検証できるようにならないと合意はしないよと、日本としては。そういう理解でよろしいんですか。
  235. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) この交渉の内容がよく分かりませんから、今の段階でするとかしないとか言う段階にはありません。率直なところです。
  236. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 だったら、総理のお考え聞かしていただければいいんです。重要なところが、濃縮ウランの開発を始め重要なところが未申告になっているんですよね。こんな状態で合意はできないと思うんですが。日本は一番の脅威でしょう、さっき総理がおっしゃったように。ミサイル残っているんですよね。ミサイルがあるんですよ、北朝鮮には。一番の脅威ですよ。そこは総理のお考え聞かしてください。
  237. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 核とミサイルの脅威を一番身近に感じているのは日本、これははっきりしておると思います。これはアメリカと立場全然違いますよという話も何回となくアメリカにも言ったところでもありますので、我々としては、拉致、核、ミサイルという三つの問題は、極めて大きな我々にとっては問題なんだという事実をずっと申し上げ続けてきております。  したがって、今度の中でもいわゆる今言われたようなプルトニウムの話以外のところの部分についても検証をするというのは、今随分技術もいろいろあるんだと思いますんで、そういったものに関しまして、技術を含めて、こういったきちんとした検証をしてもらわないと我々として安心が持てませんから、そういった意味での検証をやれるような合意を文書で作ってもらいたいというのを我々が言っているところであって、それができない限り日本が少なくともこれに関して、例えば更なる経済支援とかいうようなことに関しては我々はできないということだけは申し上げております。
  238. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 つまり今の話は、北朝鮮の核開発の全体像について、略して言います、全体像についてきちっと検証できる体制が確認ができないと少なくとも合意はできないと、合意は、合意はできないと。それから同時に、拉致問題についても併せて進展がないと合意はできないと、こういう理解でよろしいんですか。
  239. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 合意の定義がよく分かりませんけれども、少なくとも我々は経済支援をするとか、また、いわゆる、何でしたっけ、重油を何十万、五十万トンだっけ、五十万トン等々の経済的支援を大いに期待をされておりますけど、我々はその期待に応じることはないということを申し上げております。
  240. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 要するに、今の部分は結構です、そのとおりだと思うんですよ。問題は、日本がこういう未申告の部分を置いたまま、しかも全体が前へ進んでいく。日本経済・エネルギー援助できなくても、ほかの四か国はやる可能性ありますよね。だから、それは了解できないよと、こういうことなんですよね。そもそもそのことも了解できないよと、こういう理解でいいんですかね。
  241. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは他国がするとはとても思いませんけれども、なさる可能性がゼロ、ゼロとは言いません。しかし、我々はそのことに対して、我々としてはそれは全然合意はできませんよと。ただ、少なくともおれたちに出せとか、更に援助をしてくれと言われても我々はそれに付いていくことはないということを申し上げておるんであります。
  242. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 もうちょっとこれやりたいんですけれども、ちょっと時間の関係もあるので。  それでは、続いてG7について財務大臣から。お疲れさまでした、どうも。特に今後のことを中心にお伺いしたいと思うんですが。今日、日本も株がどんと上がっていますよね。それから、米欧の市場も株が急騰しています。こういう状況を見てほっと一息というところかもしれませんが、これでまあ今回のG7でいろいろ議論をしたことの政策が実行されるということになってくると、先が見えるのかなというふうにお考えなんでしょうか、今後の展開をちょっと聞かせてほしいんです。
  243. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) G7での行動計画、今までは声明という形で文書で出しておりましたけれども、今回、より簡潔にアピールして理解してもらうということで五項目を羅列したわけでございまして、ある意味で分かりやすかったのかなというふうに我々は思っているわけでございます。そして、そのG7が本当に共通の危機認識を持って、自分の国だけではなくて世界中大変なことになるという中でやっていかなければいけないことを五項目と、あと前文と終文がございますけれども。  その後、G20という会合がございまして、これはG7プラス主な世界の国々、例えば中国とかインドとかブラジルとかアフリカの国々と二十か国ほどでやりました。いわゆる途上国も入っていたわけでありますけれども、これは途上国にとっても非常に大きな関連する問題であるから、是非協力してやっていく、つまりG7とIMFでの合意、これらをいずれも支持し、共にみんなでこの難題を解決していこうということで結論が出てきたわけでございます。したがいまして、G7だけではなくて、IMFそしてG20も含めて、共通の認識と共通の方向性を持ってやっていこうということになりました。  その次の日にヨーロッパで、ヨーロッパのユーロ圏を中心にした十五か国が集まりまして、緊急に集まって方向性を出してまいりました。  そういったことが両方相まちまして、昨日は東京、休みでございましたけれども、アジア、ヨーロッパそしてアメリカと、そして現在も今のところ東京も大幅な株のマーケットが反発をしているというところでございますけれども、やはり我々、まだまだやるべきことがたくさんあるというふうに考えておりますので、これでもう世の中の流れは大きく変わったとか、もう上昇一方に転ずるというところまでは正直言って、今までが大変長い厳しい状況にあっただけに、今でも注意深くマーケット等を見守って、各国と連携を取って注意深く対応していかなければいけないというふうに理解しております。
  244. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 この国際的な金融危機を克服していくために、財務大臣が見ておられて今一番大事なことは何だというふうに思われますか。
  245. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) やはり世界的に見て一番大事なことは、瞬時に世界を駆け巡る情報、金融そして株その他のマーケットでございますから、やはり特に政策当局あるいは中央銀行は、冷静に情勢を分析し、また各国、とりわけG7と本当に綿密に連絡を取り合うと。何かあればすぐ連絡を取り合うということによって、逆に言うと、ばらばらの行動というものが今の状況では避けなければいけないというふうに思いますので、やはり真の意味の協調というものが今一番求められていることではないかというふうに思っております。
  246. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 率直に申し上げますと、今大臣おっしゃったように協調ということなんですが、一番大事なことは、これまでの状況を見ていますと、やはりアメリカ政府が毅然としてアメリカの金融機関を含めて対処をしていくことじゃないかと思います。ヨーロッパは相当やってきていますよね。日本はそれほどまだ深刻ではない。やはり、アメリカにきちっと公的資金の投入も含めて動いてもらう、具体化してもらうと、こういうことが一番大事ではないでしょうか。どうなんでしょう。
  247. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 協調という意味でいえば、厳密に言えばヨーロッパも、ユーロ圏の国々の中でも若干のまだ行動に差があるわけでございますし、それからユーロ圏でないイギリスとかスイスといった国もございます。しかし、ユーロ圏、ヨーロッパ圏は今必死になって共同でこの問題に立ち向かっているわけでありますし、また日本アメリカもその輪の中に当然入っていくわけでございます。  公的資本の話については、私もワシントンで、ポールソン財務長官にも、日本の経験として、是非重要なパッケージの一つとして公的資本の注入というものが必要だったという経験を申し上げましたし、G7あるいはIMF等の会合でも、またブッシュ大統領にお会いしたときにも申し上げたところでございます。  日本は今、総理の指示で例の金融の特別法の中身を検討をしているところでございまして、これは言うまでもなく公的資本注入のスキームの法律でございますけれども、日本もそういう段階に来ております。  アメリカは、公的資本の注入も考えているということは大統領もまたポールソン長官もおっしゃっているわけでございまして、アメリカとしてタイミングを見ているのかなと。しかし、それがいつごろなのかなということがG7の段階でははっきりとしたメッセージ、発言がなかったわけでございまして、我々としてはできるだけ早く、いつから公的資本注入ということを、法律上できるということになっておりますので、あとは国内手続で、いつやるのかなというところを注目をしているところでございます。
  248. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私はやはりアメリカに、アメリカ政府に、資本注入の、例えばこれくらいの金額だとか、その見込みをきちっと意思表示してもらうことが大事じゃないかなと。ちょうど日本もそういうことをやりましたよね、同じことを。  今日のニュースなんか見ていましたら、二十五兆円ぐらいを、何かポールソンさんが金融機関のトップを集めて二十五兆円ぐらいという話をおっしゃっているんですが、対象の金融機関が二千数百とかいう情報もありまして、よく分からないんですよ。ですから、対象が広いなら広いなりにもっとお金掛かるんじゃないかと思いますが、それはやはり日本政府としてアメリカにきっちりやってもらわないと、せっかく、さっきおっしゃったように各国が協調してやっている中で、一番の震源地であり本家本元にまずやはりきちっとやってもらうと、このことが大事じゃないでしょうか。
  249. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 私もそういう趣旨のことを申し上げました。  日本は十五年前に本当に日本の中だけで苦労をして、まあ時間が多少掛かりましたけれども日本の中だけで問題を解決したわけでありますけれども、今回は、ブッシュ大統領もおっしゃっておられましたが、震源地はアメリカである、そしてまた世界に向かってこの問題が広がっていっていると、申し訳ないというような御趣旨の発言まであのG20の場で出席されておっしゃっておられました。  日本が十五年前にやったときも本当に試行錯誤、あるいはまた国会でのいろんな御審議、あるいは国民皆さんから見ても何で税金を投入するのかとか、あるいは普通株と優先株でどう違うのかとか、あるいは既存の株主の問題とかいろいろあって、ヨーロッパでもいろんなやり方でいわゆる公的資金を投入しているわけでございます。  そういう意味アメリカは、その状況というか作業を今一生懸命やっているんだろうと私は推察するわけでございまして、あれだけ大統領が、我々の前でも、また国民に向かっても直接、今まで企業というものはそれはもう勝手につぶれるものだと思っていたけれども、今やアメリカ国民世界の人にとっての暮らしや子供のためにも影響が出ていることなので公的資本も投入するんだということを大統領がはっきりおっしゃったわけでございますから、そこは、あとはもうタイミングというか手続、あるいはやり方、あるいは対象をどうするかといったところの作業になっているんだろうと思います。  いずれにしましても、我々が強く申し上げておる、日本だけではなくてですね、そのことは十分理解していると思いますし、またそのことが、日本やスウェーデンでの経験を我々も説明しましたし、ポールソンさんやバーナンキさんはその辺のことは十分分かっていらっしゃるんで、あとは一刻も早くこの作業に入っていくことを我々としても期待しながら今見ているところでございます。
  250. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 せっかく株式も反転したわけですし、今タイミングだと思うんですよね。ですから、しつこいようですけれども、やはり日本政府からアメリカ政府に対してきちっと対応するように是非求めていただきたい。議論中だといっても随分時間掛かっていますよね。  総理、どうなんでしょうか、総理
  251. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 介入の件。
  252. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 公的資金の。
  253. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) もうこれは既に言っております。  少なくともアメリカに対して、日本としては、過去の経験に照らして最終的には、あのころ、直嶋さん御記憶かと思いますけど、住専、六千八百五十億突っ込んだんですよ。総反発食って駄目だった。あのときやっておきゃもっと安く済んだのにと、後でみんな分かった人は分かったようなことを言ってたけど、あのときはみんな反対したんだから。で、結果的に十三兆掛かった。もう御記憶のとおりですよ。九六年、七年、八年、あのときに。  それで、最終的に資本投入ということになったのがおれたちの経験。おたくも同じようなことになるだろうから、そういった意味では、是非我々としては、今申し上げたのが一つの例ですけれども、是非、そういった経験をおれたちは、まあ少し規模は小さいけれども、持っているから。その経験持っているところないですから、我々だけなんですよ、あれ、十一年前にやったのは。ほかの国、やった国はありませんから。日本だけなんですよ、あれは。あの経験でアジア危機は救ったんですから。IMFじゃありませんよ。間違いなく日本がやったんだ。それはもうだれに聞いても、アジアのファイナンスをやっている大臣なら必ずそのことは言いますから、あれは日本に感謝しておると。あの経験を我々は是非アメリカも知ってもらいたいという話は私からも大統領に言いましたし、またその他の会合でいろいろ電話がありますから、そのたびごとにこれはもうこれしかないよというんで、今回はIMFの話やらその他含めて中川大臣から言われたということでありますし、幸いにして株も大分持ち直してきたと言っておられましたけれども、これは今日の話ですから、これはあしたになったらまた分からぬ、そう思っておかないとこういったものは駄目なんだと、私はそう思います。
  254. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ですから総理、あのときの日本のようにアメリカにもたもたされたら世界的に危機が広がるんです。あのときは日本だけだったから。そういうことですよね。だから、しっかりやってもらわないといかぬのですよ。我々は総理にしか言えませんから、総理から大統領にしっかりやってくださいよ。
  255. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 今申し上げたとおり、既に言ってあるという話を申し上げたんですが、少なくともいろいろな感じで、失礼、感じじゃない、チャンネルで、通して既に言っておりますし、今大統領にも直接言っております。また、中川大臣からも過日会われたときに直接言われたと。これは日本が、これ、日本ぐらい経験が持ったところってほかにないと思いますから、少なくとも。あれは悪夢のような事件だったと思います。(発言する者あり)威張ってなんか言ってないんで、威張ってどなっているのが自見庄三郎という男だと思います。(発言する者あり)
  256. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 不規則発言は気を付けてください。(発言する者あり)私は満場の皆さんに申し上げております。
  257. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それでは中川大臣、もう一点お尋ねしたいんですが。  今度は日本の話なんですが、今、大臣がお帰りになった後、ちょっとニュースを拝見しますと、いわゆる預金の保護、預金の保護について全額保護を検討するというような趣旨のことをおっしゃっていたように思うんですが、この預金の保護についてはどのようにお考えですか、現時点で。預金の、今は一千万円ですよね、ペイオフが。
  258. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 私は、現在のペイオフ一千万円までというものを上げる、あるいは全額保護をするということをやる、あるいはやる方向で検討しているということは一度も言ったことございません。
  259. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 実は、さっきちょっとお話しされた金融健全化法ですね、地方銀行に対する、これと併せて我々も党内的に今議論をしています。預金の全額保護をするのか上限を引き上げるのか、この辺は判断難しいところだと思うんですが、いずれにしても、民主党としての考え方をあしたの夕刻ぐらいにはまとめたいと思っています。この金融の問題は、私はマーケットに対する対応も含めて考えると、与党も野党もないと思っています。この間テレビでもそう申し上げました。  ですから、私たちが取りまとめたものを御提示させていただきますので、あと政府の方でやはり必要なもの、取り入れるものはどんどん取り入れて早く対応していただきたい、このことをお願い申し上げたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  260. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 今、与党の方でも総理からの御指示で追加策、その中に金融の問題も入って議論していると思いますけれども、今、民主党さんの方でも直嶋政調会長を中心に御議論されているということを承知しております。是非これは、この問題は十五年前の日本のときもそうだった、最終的にはそうだったわけでありますけれども、特に今回はもう規模的にも、また問題の複雑さからいってももう比べものにならないぐらい、しかも日本は経験があるということでありますから、是非これは、与党、野党関係なくいい案を早急に出して実行するということが一番大切だと思いますんで、是非民主党の作られた案も私は謙虚に勉強さしていただいて、与野党関係なくみんなでいい知恵を絞っていっていい政策を実行していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  261. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今大臣おっしゃったように、やはりスピードが大事だと思いますんで、迅速にお願いしたいと思います。  それでは、続きまして総理に幾つかお伺いしたいんですが、これは月刊誌に「強い日本を! 私の国家再建計画」という、十日に発売されました月刊誌に総理が寄稿されたものだと思うんですが、もちろん内容を御存じだと思いますんで、御本人ですから中身は申し上げません。  まずお伺いしたいのは、この文章は、いつ、どういう目的でお作りになったのか、それをまずお聞かせいただきたいと思います。
  262. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これはたしか九月の総裁選挙の終わったかその日ぐらいか、終わった翌日ぐらい、その辺だと思いますが、ざっと自分なりの考え方をまとめたというんでありまして、自分なりに少なくともこういった形で、あのころは、失礼ですけれども総裁に多分なるだろうなと思いました。正直なところです。ここにほかに候補者もいらっしゃいますけれども、私はあの段階ではなれるだろうなと、二十日過ぎのことですからそう思っておりました。  したがって、その段階で自分なりに自分なりの考え方を所信としてこういったものをと思ってずっと自分で書いたものであります。所信みたいな気持ちで書かしていただいたと御理解いただいたら結構かと存じます。
  263. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 所信を書かれたということで、なぜこれ雑誌にだけど寄稿されたんですか。雑誌にそれを、わざわざ所信を書いて雑誌に寄稿されたというのは何か目的があったんじゃないんですか。
  264. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 基本的に私の、テレビだとどんどん修正されますし、生でないとなかなか言えませんし、生で演説をずっと書いてくれるはずもありませんから、国民にきちんとした話で、出すとするなら月刊誌という手法がいいのかなと、正直そう思っておりました。
  265. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 この文章を拝見する限り、「今こそ国民に信を問う」、「私は決断した。」と、こうなっていまして、さっきお書きになった時期も含めて考えると、総理はこの臨時国会の最初の方でもう衆議院を解散をする、こういう御意思をこの当時はお持ちじゃなかったんですか。
  266. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 私は、正直申し上げて解散というものは、私は初めて自分でなったので、これまでの総理がどのような判断でされたんだか存じませんが、日々刻々、時々刻々、いろいろ解散についてはこの時期がとかいろいろ考えておられるんであって、最初からこの時期を決めてそれにしようと思っておられる方の方が少ないんじゃないかと、私自身はそう思っております。  ここに書いておりますんで、よく聞かれます、「私は決断した。」という文章のところからの、その次のページをめくっていただいたら分かると思いますが、「国会の冒頭、堂々と私とわが自民党の政策を小沢代表にぶつけ、その賛否をただしたうえで国民に信を問おうと思う。」と書いております。この一文でそう思っておられるんだと思いますが、賛否をただしたんですけどお答えをいただかずに、お答えをいただけませんでしたので、賛否をただせなかったということだと存じます。
  267. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 しかし、代表はお答えしなかったかもしれませんが、総理の所信の中で、これじゃないですよ、所信の中での御質問には私どもお答えしていると思うんですがね。補正予算、賛成しましたしね。テロもちゃんと私たち反対だという意思表示をしますと、審議しましょうと、こう申し上げていますから、十分お答えしていると思うんですが。  それより、あれじゃないですかね。この冒頭にもありますが、さきの総裁選挙終わった後、これで準決勝、「所詮準決勝でしかない。」となっていますよ。早く決勝戦やらなきゃ、やはり国民皆さん心配でしょう。だからそういう決断されていたんじゃないんですか。なぜ変わったんでしょう、総理
  268. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 準決勝から決勝までにどれくらい時間が掛かるかという、それは少なくとも甲子園みたいにあしたと決められているわけではありませんので、私どもとしてその選択権は私らの方にある、当然のことだと存じます。
  269. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私は、総理の所信をお聞きしてからずっと思っていたんですが、総理は、経済世界的な危機だと、八十年ぶりとおっしゃったですかね。そう言いながら、片一方で補正予算、今審議していますが、これはさっきもおっしゃったけど、福田総理のときにできたものが原案ですよね、ベースですよね、経済対策は。なぜこんなことをされるのかなと。本当に経済心配だったら、ちゃんと経済対策をもっとしっかりしたものにして国会で審議したらいいのになと、なぜかなと思ったんですよ。だけど、これ見てよく分かったんです。元々補正予算、審議するつもりじゃなかったんでしょう。解散するつもりだったんじゃないんですか。これは大変な国民に対するあれですよ、失礼な話ですよ、国会に対しても。そうだったんでしょう。
  270. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 全く見解が違うと思いますが、私どもはこれを作りましたのは、私、幹事長のときに、八月二十何日の段階でこの補正予算というものを作らせていただいたと記憶しています。総理大臣になりましたのは、九月の十何日にこのリーマン・ブラザーズを始め一連事件が、十五日でしたか、起きましたけれども、補正予算はもう既に我々あの段階で作り上げておりましたので、まずは緊急を要しますから、補正予算をまずは通していただく、当然のことだと思いますので、お願いをして、今もう上げることに賛成しましたと、参議院でまだ賛成していただいておりませんので、あさって賛成していただけることが確実になったと直嶋先生のお言葉で言われたので……(発言する者あり)いや、直嶋先生は決められたんだ。大事よ、連携は。(発言する者あり)いや、直嶋先生が決められたと言われたので、ありがとうございましたと先にお礼を言うと危ないのでお礼は申しませんけれども、少なくともこういった問題は、私は本当に今緊急を事は要していると、私は率直にそう思っております。  仕事の世界から私はこの世界に来ましたので、地方を回ってみて、特に中小零細企業というところはすごく資金繰りがしんどいと思いますね、商売したことがある人ならだれでも分かると思いますが。そういった意味では、私どもがこの資金繰りというものを考えたときには、これは物すごくでかいと思っておりますので、今この補正予算をまずはお願いをしたいということを申し上げております。
  271. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今総理はそういうふうにおっしゃるんですが、ここにちゃんと書いてあるんですよ。九十五ページ、一枚目の左側に、「サブプライムローン問題とリーマン・ブラザーズの破綻を契機に世界同時不況が叫ばれる。まさに世界規模の危機がひたひたと近づかんとするいま、」ずうっとあって、十行ぐらい後に、「ただ、いま一度、国民・有権者の審判を仰ぎたい。」、「衆参ねじれの壁を突破仕切れないできた政権党の責任は痛感している。」、「いま一度、国民・有権者の審判を仰ぎたい。」、こういうふうに書いてあるんですよ。  だから、世界規模の経済は危機だと。だから、そういう認識はお持ちの上であえてこれ書かれているんですよ。なぜ、おやりにならないんですか。
  272. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 基本的に、直嶋先生、争点を明らかにして、いずれ国民に信を問うという方針はずうっと一貫しておると思っておりますので、私は、この話の内容と私の一連の行動とは全くぶれていないと思っております。
  273. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 まあ、結局どこかで気が変わったんじゃないかなと思うんですが、私は、しかし、これをお読みになった国民皆さんは、ああ、やはり総理は途中で気が変わられたんだと。世界的な危機の中でもあえて選挙をやるというふうに書いているんですから、ここに。だから、本当、本当のことを教えてください、なぜ気が変わったんですか。なぜ気が変わったんですか。
  274. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 今御答弁申し上げたとおりでありまして、もう一回言うのもいかがなものかと思いますが、いずれ国民に信を問う、争点を明らかにしてということでずっと首尾一貫していると申し上げておりますので、全くぶれているという感じはございません。
  275. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私は、もう民主党の主張は総理も御存じのとおりだと思うんです。我々としては考え方をはっきり取りまとめております。したがって、早く総理の方もそういう意味では政策を取りまとめて、是非、早く選挙をやっていただくようお願いを申し上げたいと思います。これがやはり国民皆さんが今期待されていることだと思うんです。  ここにもありますように、まだ準決勝なんですよ。だから、それは準決勝からいつまでに決勝しなきゃいかぬと、決勝戦をしなきゃ、いつ以内に決勝戦をしなきゃいかぬという規則はありません。しかし、準決勝が終わった状態でいつまでも置いておくのは良くない。国民皆さんの支持を得た内閣を早くつくって、そして本格的な政権をつくることが今一番求められていますし、日本経済社会にとって必要なことだと、このように申し上げておきたいと思います。  それで、ちょっと話題変えますが、与謝野大臣にお伺いしたいんですが、今後の話として、今年度限りの定額減税を政府の方で御検討するというふうに言われているんですが、そのねらいとか経済効果について御説明をいただきたいと思います。
  276. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 今回の緊急総合対策においては二十年度中の特別減税等の実施が盛り込まれましたが、これは賃金が伸び悩んでいる中で物価高、原油高などによって生活に打撃を受ける国民の痛みに対応するために、単年度限りの措置として実施しようとするものでございます。  特別減税等の具体的な内容、規模、実施方法は今後検討をすることになりますけれども、その際には、本措置国民の痛みに対する緊急対応措置として位置付けられていることに留意しなければなりません。  経済効果については、減税による個人消費の上積みというマクロ経済上の需要創出効果というよりも、物価高に伴う不安と痛みの軽減を通じた消費マインドの萎縮の防止という経済効果をねらったものと御理解をいただきたいと思います。  過去のこのような定額減税の効果について御参考までに申し上げますと、平成十年分所得について二回に分けて計四兆円程度の定額減税を行いました。過去の経済白書等を読んでみますと、過去の経済白書では次のように分析をしております。一つは、家計の消費支出の前年比マイナス幅を縮小させるなど、消費を下支えする一定の効果があったとの分析がされておりますけれども、他方、その当時のマクロ経済動向を俯瞰すると、当該定額減税が景気回復に効果があったかどうかは疑問との意見も多いと経済白書の中では述べられております。
  277. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 総理も所信の中で、定額減税については家計に対する緊急支援でありますという表現されているんですよね。今の与謝野大臣の御答弁も併せて解釈しますと、経済効果は大してないけれども、要するに支援なんだと。社会福祉政策のような、そういうとらえ方なんですね。そういう理解でよろしいんですか。
  278. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) これは、自民党と公明党との両党の間で税制調査会関係者がいろいろ議論をした、その議論の経過を振り返ってみますと、経済政策というよりは、当初は社会政策的な効果をねらうということが議論をされておりました。もちろん、ただ、経済効果と申しましても、これは規模による、方法によるというところがありまして、ただ、文章には注意深く書いてありまして、一つは単年度の措置として、一つは財源を勘案しつつ、一つは税制の抜本改革の議論に併せてやると、こういう三つのことが書いてありまして、いずれも内容、規模等についてはこれからの議論にゆだねられているというのが私は本当のところだと思っております。
  279. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今の大臣の御答弁に総理も同じ考えだというふうに理解させていただいていいですか。
  280. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 基本的には景気対策と生活対策、そういった両方の意味が私は込められて、その両方の効果が出ればいいなと正直思っております。
  281. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 要は、与謝野さんおっしゃったように、これは経済効果をねらったものじゃないと、規模によるともおっしゃっているんですけれども、どれぐらいの規模なんですか。両方ねらうんですから相当大きいんですね。
  282. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは、先ほど与謝野大臣からも述べられましたとおり、財源等々よく勘案してその規模については今後検討させていただくと、当たり前のことだと存じます。(発言する者あり)
  283. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 静かにしないと質問が聞こえないよ。
  284. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 いや、だから、総理が両方をとおっしゃったから私聞いたんですよ。財源ある程度ないと経済効果なんかないとおっしゃっているんですから、与謝野大臣は。だから、どのくらいなら経済効果あるんですか。
  285. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 私は、経済効果がないなんということは一度も申し上げておりません。  これは、経済対策という議論もありましたし、また社会政策的な効果としてやるんだという議論、いろいろな議論もございました。しかしながら、最終的にどういう効果があるかということは、規模、実施の方法等をきちんと決めませんと先生にきれいなお答えが出せないと。ただ、これは明らかに減税をすれば消費を促進するという経済効果があるわけでして、その部分を否定するということはできないと思っております。
  286. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  287. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 速記を起こしてください。
  288. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 結局、これは経済効果を測ろうと思うと、規模が分からないと測れませんよね。だから、規模も分からないのに、なぜ経済効果あるっておっしゃるんですか。
  289. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) これは仮定計算でございますけれども、仮に、全く仮定の話ですよ、仮定の話で、個人の所得税を例えば一兆円減税したという場合の効果について、内閣府の短期日本経済マクロ計量モデルというのがありますが、この乗数を用いますと、今後一年間で民間消費支出〇・〇九%、実質GDP〇・〇五、名目GDP〇・〇六押し上げる効果があるというふうに計算をされております。
  290. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 まあ、ほとんどないですね、一兆円はね。  それで、もう一つちょっとお伺いしたいんですが、これ、中川大臣、実は去年まで定率減税というのをやっていたんですよ。去年なくなったんですよね、与党さん、政府・与党の方針で。去年なくしたばかりですよね、定率減税。それで、今年定額減税です。  中川さん、どこか雑誌に、むしろ定率減税を復活させるべきだ、こういうふうにおっしゃっていますよね。私も、もしやるんだったらそっちの方が筋がいいと思うんですけれども、どうなんですか。
  291. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 確かに、私は七月号の月刊誌の中で十三の提言ということで、所得税等々いろんな減税が必要だと、その中で、所得税については、あるいは住民税については定率減税がいいというふうにその文章で書いております。あのときは、とにかく日本を元気にしようということで、いろんな対策、電線の地中化から百ボルトを二百ボルトにしたらいいのではないかとか、あらゆることをいろいろと提言をしたところでございます。  今回の緊急対策は、私も自民党の総務としていろんな意見を申し上げまして、そして、これで万が一経済状況がまた変化をすれば第二、第三の対策考えるということでよろしいんですねということを麻生幹事長の下の自民党総務会で申し上げた記憶もあるところでございます。  いずれにしても、私は現在、財務大臣としてこの御審議いただいている法案の一刻も早い成立をお願い申し上げたいと思います。
  292. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私は、しかし、ちぐはぐですよね、去年定率減税をやめて今度定額減税をやる。  総理が以前、調べました、さかのぼって、経済企画庁長官のころに、定額減税を称して、減税の恩恵を感じるのは最初のうちだけだが、やめるとマイナス、消費にマイナスになると、こうおっしゃっているんですよ。だから、さっきおっしゃった単年度限りですよね、やめたらマイナスですよね。これ、やっぱりおかしいんじゃないですか、政策として。
  293. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) それは、税金が高くなったら消費が減る、どこでもある話で、別に何もそんな特別な話を申し上げているわけではないと思っておりますが。そういった意味で、今定率をやめたり定額をやめたりいろいろ、減税というものが増税になったり、また減税をやめたりした場合においては、消費にそれを使っている所得のある方からすれば、その分だけ消費が減退する可能性は大きい、当然のことを申し上げたと思いますが。
  294. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 だから、やると来年もやらなきゃいけないんじゃないんですか。私はそう言っているんですよ。単年度限りはないんじゃないんですかと、経済政策として。
  295. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) ちょっともう一回ゆっくり質問してください。
  296. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ですから、単年度限りの減税というのは結局は経済効果がないんでしょう。だから、政策としては成り立たないんじゃないんですかということを言っているんですよ。
  297. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは継続していった方が経済効果が大きいのははっきりしていると思いますが、それに当たっては財源との話というのを我々としては考えねばならぬ、当然のことだと存じます。したがって、その額はきちんとしたことはなかなか今の段階でどれくらいと言われても、今から税収等々は考えなきゃならぬということを申し上げております。
  298. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 結局、あいまいなものを総理はおっしゃっているんですよね。来年またやるんですか、経済効果がなくなるということになると。
  299. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) これは原油高、原料高、食料高等々があって、やはり生活者に対して何がしかの政策ができないかといういろいろな議論の末生まれてきた政策でございます。  これは定額減税をやるべしという議論もありましたし、なかなか財源がない中で難しいという議論はありましたけれども、やはりそれでもこういう経済状況の中、これは九月十五日以前の話ですけれども、こういう状況の中で、単年度の措置として、また財源を勘案しつつ、それから財政規律を守るという意味では、税制の抜本改革の議論に併せてその実施の方法や規模等をきちんと決めようということで、極めて良心的な政策選択だったと私は思っております。
  300. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 さっきからちょっと気になっていたんですが、与謝野大臣は税制の抜本改革の中できっちり議論してと、併せて。ということは、ほかの部分で増税も考えていると、こういうことですか。
  301. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 今年の暮れは税制抜本改革をやるべしということが幾つかのものにきちんと書いてあって、党としてはどう議論をスタートするかということはまだお決めになっていないようですけれども、やはり税制の抜本改革の議論の緒に就かなければならないという意識は皆さん持っておられて、そういう議論に併せてこういう問題も議論をして結論を得ていこうと、こういうことでございます。
  302. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ということは、結論が出ないこともあり得るということですか。
  303. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 二十年度の単年度の措置として実施するという公党間のお約束がある以上、これは実施をするということでございます。
  304. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 つまり、与謝野大臣はさっきから税制の抜本改革に併せて議論するとおっしゃっているんですけれども、今おっしゃったように公党間の約束がある。だから、やるのが前提ですよね。じゃ、議論してもしようがないんじゃないですか、税制抜本改革で、結論が出ないような議論を。どうなんでしょう。
  305. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 税制の抜本改革というのは議論をスタートさせるということであって、この年末の十一月、十二月にそこで何から何まで全部結論が出るという種類のものでもないと私は思います。税制の抜本改革の議論の中でと書いてないんです。税制抜本改革の議論に併せて結論を得るという表現になっております。
  306. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 総理総理、これは今、問題ですよ。だって、これまでこの国会で定額減税の話が出たときに総理以下閣僚の皆さんおっしゃっているのは、財源はまだ決まっていません、税制の抜本改革時に議論しますと、こうおっしゃっているんですよ。だけど、今の与謝野大臣とのやり取りでお分かりのように、関係なく実施決まっているんですよ。おかしいんじゃないですか、これ。国民だましているんじゃないですか。
  307. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 税制の抜本改革と無関係に実施するということではなくて、平成二十年度に実施をいたしますけれども、その規模、内容については税制の抜本改革の議論に併せて結論を得るということでございます。  税制の抜本改革というのは、非常に広い課題があって、単に一つのことを議論するわけではないと、法人税、所得税、消費税、その他の税制、あらゆることを議論すると。その議論の緒に就かなければならないというふうに我々も思っておりますし、党も、与党も思っておられる。そういう中で、議論はスタートをいたします。
  308. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 基本的に全然私と大臣との間にそごはないということだけきちんとさせておいていただかぬと、何となく閣内不一致みたいな感じの話をお持ちのようですが、私どもは、そういうわけではないんであって、きちんと財政というものを考えた場合に、税制等々いろいろな考えるべき問題は今山積しておりますので、それをきちんと考えて、その上でやらないと無責任なことになるということを申し上げておるんであって、定額減税というものはきちんとやらなければならぬと、私どもはそう思っております。それが生活防衛になるとも思っておりますから。
  309. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私が申し上げているのは、財源が決まらない、それは税制の抜本改革の時期に議論するとずっとおっしゃっているんですが、今の与謝野さんとのやり取りからいうと、別に税制の抜本改革に併せて議論しなくったって、やることはやるって決まっているわけでしょうと言っているんです。単なる、それ、逃げ口上じゃないですか。別に答弁が閣内不一致だとは言っていませんよ。しかし、その説明は説明になっていないんじゃないんですかと言っているんです。
  310. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 与党の中でのお約束は、単年度の措置として、平成二十年度の政策、措置として実施をしますということをお約束しているわけですから、それに向かって全力で作業をやるということが私は誠実なことだと思います。  ただし、これは幾らでも減税しますというお話ではなくて、やはり財源を勘案しつつ、なおかつ税制の抜本改革の議論に併せてという条件は付いているわけでして、むしろ控えめに実現可能なものを選択をしていこうと、しかし、実施はしますということをお約束しているということで、総理と私の間で考え方やその方法等について差があるわけではございません。
  311. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 まあちょっとこの議論は、要するに公明党さんと約束したからやるんですと、金額はよく分からないから今考えていますと、こういうことですよね。税制の抜本改革というのは単なるそのときの説明の間に合わせみたいな話ですよね。そうじゃないんですか。
  312. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) やはりきちんとした財源が存在する、あるいは財源の当てがあるという、それが財源を勘案しつつという表現になっているわけでして、やはり減税を実施する以上、財源を無視して規模、方法等を決めるわけにはいかないと、そのように考えてあのような表現になっているわけです。
  313. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 だから、話が逆さまなんですよね。政策としてやるんなら規模等を決めてから政策目的があってやるというんなら分かるんですが、初めに定額減税ありきで規模等は後で決めますと。ですから、さっきのお話になるんでしょう、経済効果はほとんどありませんが家計の補てんに使われますと、こういうことですね。  それで、もう一つちょっと確認したいんですが、この補正予算は別にして、次、経済対策を、第二次経済対策ということでこれは総理が御指示されたわけですよね、追加経済対策を。総理
  314. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 総裁として自由民主党に指示をしたというんであって、総理と言われると少し立場が違うと存じますが。
  315. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 つまり、政府ではなくて与党に議論してくださいと、こういうことですか。  それで、一部でやはり財政の問題もあるので赤字国債の発行もやむを得ないというような議論も取りざたされているようなんですが、この点については総理はどのように考えておられるんでしょうか。
  316. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 今、直嶋さん御存じのように、これは……(発言する者あり)基本的に、直嶋先生、法人税が落ちるんですよ。法人税は多分落ちると思う、猛烈な勢いで。もう会社におられたのでよくお分かりと思いますけれども。法人税は多分落ちますよ。その分の話とこの景気対策の話とはちょっと分けて考えないといかぬのではないかなと、基本的にはそう思っております。まず、これが一点です。  この経済対策というものを、新しきやつをやらねばならぬなと基本的にそう思っておるんですけれども、それに関して赤字公債というものはこれは基本的には出したくないと、基本的にはそう思っております。ただ、この法人税の減収というのがどれぐらい落ちるのかというのはちょっと正直想像を超えるほど、この今回の一連のあれで会社のあれがどれぐらい落ちるのかなというのはちょっと正直、人によってえらい意見が違いますので、それを見極めた上でないと何とも申し上げられませんので、少しちょっと別に考えていただかないかぬところかなと思いますが、基本的にこのいわゆる新景気対策というか新経済対策につきましては赤字公債は出さずに済ませなければならぬと思っております。
  317. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今の総理の話だと、経済対策で赤字国債は、赤字公債は出さないけれども、税収が落ちているからその補てんのために借金をすることもあり得ると、こういうふうに理解していいんですか。
  318. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これはちょっと、減額補正の話とこっちとちょっと別に分けていただかないかぬというお話を申し上げております。
  319. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 何かもう、赤字国債、公債出すことの事前説明をされているような感じがするんですが。  もう今既に、今回、今議論している補正予算の段階で大体、いわゆるプライマリーバランスで言うと大体六兆円ぐらい赤字になっていますよね、もう。恐らく法人税も急激に落ちると思いますし、税収全体で見ても二、三兆円は平成二十年度の税収見積りをショートするんじゃないかと、これは私はそういうふうに見ています。だから、こんな状態で果たしてその経済対策をやって、まあ総理は別だと今おっしゃった、別に考えてくれと、こういうことなんですけれども、結局国家としては赤字国債を出さざるを得なくなる、こういうことになるんですが、そういう理解でよろしいですか。
  320. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 一口に経済対策と言っても、お金を使うということだけでは多分ないんだろうと。先ほど先生がおっしゃった、金融安定化法をもう一度カムバックさせる、これもある種の経済の安定性をビルトインするための装置ですし、また、経済対策というのはそういう国民経済が順調に動くようないろいろなインフラ整備をするということもまた経済対策で、ただ補正予算をもう一度組んで予算を使うということだけが経済対策ではない、そういう意味では質的な量的な両面からの経済対策というものを考えていかなければならないと。  ただ、政府はまだ議論をしておりませんで、政府はやはり今お願いしているこの補正予算を何とか国会で御承認いただくということに全力を挙げております。しかしながら、世界経済、金融の情勢がこうですから、そういうことも考えながら進んでいるわけでございます。
  321. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 一つだけちょっと今の与謝野大臣の答弁で私の方から確認をしておかなきゃいけないんですが、さっき申し上げた金融安定化法の話は、私は経済対策とは別だと思っています。経済対策のために金融安定化法を政府にお願いをするつもりはありません。今の金融危機のための一つの転ばぬ先のつえとして制度的に用意したらどうですかということでさっき中川大臣に申し上げたんです。我々は我々として経済対策、実体経済対策については考え方を持っています。したがって、今の話は違うということで是非区分して考えていただきたいということをお願い申し上げます。  それから、今大臣はそういう御答弁されましたが、赤字国債の話について。与党さんの中からは随分景気のいい話も出てきますので、声がね。随分トーンが違うんですよね、そういう意味では今の大臣のお答えと。我々はどっちを見ていけばよろしいんでしょうか。
  322. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) お話しになっている相手を見てください。
  323. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 じゃ、お金掛けない経済対策考えると、こういう理解でよろしいんですね。
  324. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 先ほどの総理の答弁にございましたように、できるだけ赤字国債は出したくないと。それから、党の方がにぎやかというお話がございましたけれども、日曜日の我が党の保利政調会長のそれに関する御発言も非常に慎重であって、赤字国債をばんばん出して経済対策をやろうなどという思想は、実は我が党の中にもないということでございます。
  325. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それでは、今のお言葉は文言どおり受け止めて……(発言する者あり)何か、何か今おっしゃった。ちょっと、じゃ、答えてください、ここで。  大臣、ちょっとお答えください。
  326. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) できるだけ出したくないという、まさに言葉どおり理解していただきたいと。要するに、党内でも言わば総需要対策としてたくさんの公共事業をやろうとか、あるいは経済対策だから大量の赤字国債を発行して物事をやろうとか、そういうやや古い経済政策の持ち主というのは自民党にはおられないんじゃないかなと私は思っております。
  327. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 大盤振る舞いをする気はないけれども、ちょっとぐらい赤字国債を出すかもしれぬと、簡単に言うとこういうことですよね。
  328. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) できるだけ出したくないという表現は、やはりよく考えればいろんな可能性を含んでいる表現だろうと思います。
  329. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それでは、ちょっと話題変えたいと思うんですが、引き続きちょっと与謝野さんの御見解を伺いたいんですけれども。  今度の金融危機、いわゆるアメリカに端を発した金融危機で、私は、従来のいわゆる金融を中心にした米国型の経済成長路線というのはほぼ破綻をしたんではないかと、考え方として、もうビジネスモデルとしてもなかなか成り立ちにくくなっているんじゃないかと。そうすると、今度は日本の立場に立って見たときに、やはり日本もそういう状況に合わせて経済構造を変えていかなきゃいけないんじゃないかなと、こういうふうに思っているんですが、その点はどうですか、大臣
  330. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 今年の四月ごろでしたか、日本の大銀行の頭取とお話ししていましたら、自分は金融界にいるんだけれども、日本は金融大国で飯が食えるようにするべきだという論者には非常に反発の心を持っていたと。まあ今年の春ですから、ですからアメリカ、ヨーロッパが今金融問題で大変なときを迎えている、これは日本にとっていい薬なんではないかとその方はおっしゃいまして、その方が最後に言われたのは、日本は資源もないし資源大国にもなれないから、やっぱり日本の生きる道はこつこつと物づくり大国でやっていく以外にないと、こういうふうに言っておられました。私は、この言葉に非常に感銘を受けました。
  331. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今の部分もそうなんですが、私が申し上げたかったのは、その物づくり大国も、結局アメリカのあの経済成長が前提なんですよね。海外マーケットを求めて世界が今までの金融モデルで成長していたと、金融を中心にした経済で成長している中で日本は輸出中心にこれまで景気を維持してきたわけですよね。  私が申し上げたいのは、そうじゃもうなくなったんじゃないんでしょうかと、むしろ内需中心の経済にどんどんこれから転換していかないと、日本は従来のようにやっていたんでは経済は沈滞してしまうんではないでしょうかと、こういう問題意識なんですが、そこはちょっと今のお答えではよく分からなかったんですが、共有していただけますか。
  332. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 一番新しい外貨統計を見ますと、貿易収支が赤字になっているという、これは日本人はよくこの状況を直視しなきゃいけないと。どちらかというと貿易外収支で外貨が黒字になっているという、何か老大国のような様相を呈してきているんではないかということを実は心配しておりまして、そういう意味では、貿易収支もまた黒字にするということが日本がこれから生きていくために大事なことであって、それは一般的な言葉で言えば、日本の持っている経済の国際競争力をいかに強化、維持していくかということに懸かっていると。これは一つの会社でできるわけでもないし、個人でできるわけでもない、社会全体がやはり国際競争力を失っては大変だという意識の下で努力を積み重ねるということしか日本に生きる道はないんじゃないかというふうに私は個人的には思っております。
  333. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 どうぞ大臣、いいですよ、何か答弁。
  334. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 内需中心の経済も非常に大事でございますけれども、やはり基本的には、明治維新以来、日本世界に物を売ってお金を稼いで日本の必要な資源等々を買ってきたというこのモデルというのはそう変わるものではない。内需中心なんですけれども、やはり外需で一定の国際競争力を持たないとこの国は生きていけないという心配をしております。
  335. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 国際競争力の話を私は否定するつもりはありませんが、今の状況、日本経済状況だとか今のこの世界的な金融危機の状況を見ると、やはり日本経済も自前で、国内需要でもっと賄っていけるような体質に変えていかないとこれからやはり大変だなという思いがするわけであります。  私はそういう意味では消費をどうやって拡大していくかということが非常に大事なポイントだというふうに思うんですが、この点は総理はどうですか。
  336. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 二〇〇一年に入ってからのGDPの伸びのうちのほとんどは外需、もう御存じのとおりです。内需はほとんどゼロに近いですから。この八年間、ほぼ内需対策、内需喚起、そういった景気対策は国内向けにはやってこなかった。多分それが如実にその数字に出ていると私はそう思っております。それが賄えたのは外需があったからです。その外需が今激変してくる可能性があるから内需対策という点については、私も基本的にはそう思っております。  与謝野先生の言っておられるのはもうちょっと長期的な話を多分しておられるんだと思いますが、この国は今後とも人口が減りますから、その意味でいけば、GDPという感覚だけで物事を考えていくと、これはやっぱり人口減になりますと、なかなかそういった感覚ではなくて、むしろ海外で稼いだ金を日本に持って帰ってくる、グロス・ナショナル・インカムみたいな話に多分、そういった計算方法が多分これからの日本考えておかなければならぬ。海外で稼いだ金が日本に返ってくる、そこのところで、グロス・ナショナル・インカムというような発想でいかないと駄目だと思いますので、国際競争力というのは海外で持ちつつ、かつ国内の需要も今言われた点もという両方を考えないといかぬことになりつつあるのかな、基本的にはそう思っております。
  337. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今総理がおっしゃった二〇〇一年以降、内需ほとんど伸びてない。これなんですよ、問題はね。今の日本経済の問題点、最大の問題点、そこにあると思うんですよ。  なぜそうなったか。お手元に、この「家計の主な負担増」という資料があると思うんです。これなんですね。(資料提示)これは平成十五年、つまり小泉さんの時代から平成十九年まで七年間の間に具体的に国民負担がどれだけ増えたかというのを一覧表にしているんです。ちょっと字が小さ過ぎて細かい字は見えないと思うんですが、一番下の合計欄見てもらえばいいんですよ。五年間で九兆円。項目すべて調べて上げていますから。例えば、格差拡大していると言われていますけど、老年者控除廃止をしたりとか公的年金控除を縮小したりとか、それからさっき議論した定率減税廃止、それから医療、年金の保険料の引上げ、もう徹底的に庶民を痛め尽くしているんですよ。そして、しかも低所得者に厳しい政策をずうっとやってきたんですよ。  私は、これはまさにさっき総理おっしゃったように、輸出は伸びたけど国内は伸びてない、やっぱりこの政策の積み重ねが今日の日本経済の状況をもたらしている、ワーキングプアが一千万人超えた、以上いる、こういうことにつながっているんじゃないかと思うんです。  だから、総理は所信の中で全治三年と、こうおっしゃっているんですけど、今更全治三年と言われても国民は困るんですよね。これ、どういうふうにしてくれるんですか、全治三年で。九兆円ですよ。お答えをお願いします。
  338. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 全治三年というのは、基本的に、今から考えますと、日本経済というのが私は急激に悪化したというのは、数字の上から見ますと、平成十四年の第四・四半期ぐらいかなと、十九年の第三・四半期、第四・四半期ぐらいかなと正直思っております。  そういった意味で、今こういったものからとにかく景気対策ということを、私幹事長になったときに初めて景気対策ということを申し上げたんですが、何となく景気対策という言葉も言わないような雰囲気が当時ずっと、この八年間あったと思いますね、国内的には。私は何で言われないのかなと思っておりましたので、地方を回ってこれはどうしたって悪いと思いましたものですから、今年の八月になりましたときに即この話を、景気対策を申し上げさせていただきました。そういった意味で声が今大きくなって結構なことだと、私自身はそう思っております。  是非、そういった意味では私どもとしては、こういったものを今後やっていくというに当たって、やっぱりやり始めて三年ぐらいは常識で、会社でも立て直すのに大体三年ぐらいだと自分でいつもそう思っておりましたので、立て直すというのは三年で、三年でただただ節約だけすればいいというものでないことはもうよう御存じの、直嶋先生よく御存じのとおりですから、少なくとも経費節減だけではやれませんし、いろんな意味で、景気対策などなどいろんなことを考えてやっていかないとなりませんので、少なくとも景気対策にまず、その後に財政再建という、この間申し上げたようなことを基本的に考えております。
  339. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ということは、あれですね、これがやはり今の日本の格差拡大であるとか消費の減退であるとか、そういうことをもたらした大きな要因であるということは総理もお認めになるわけですね。
  340. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 私は、この数字がすべてで、今ちょうだいしましたものですからそれ全部が全部見ているわけではありませんが、いろんな意味で、例えば公共工事見ましても、我々の常識では、小渕内閣のときに十四兆五千億だったと思います。今七兆を切っているんじゃないですかね。だから公共工事で約半分以下になっております。地方単体の、地方の、県のやつも三十二兆ぐらいだったものが今十六兆を切ったと思いますので、いろんな意味で、そういったものも含めまして全部切れてきているというのは事実だと思います。そういった意味で、そのものを含めましていろんなものが複合的に影響を与えたという部分は否めないと思います。
  341. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 つまり、これはそういう意味では、この六、七年の間の自民党の政策の失敗なんです、自民党政権のね。  我々が言っていることは、実は民主党が、さっき鶴保さん、わざわざ資料を出していろいろ説明していただきましたけれども、我々が言っているのは、例えば暫定税率の廃止、高速道路の無料化、それから農業者所得補償、子ども手当、すべてこれは個人に返るものです。暫定税率の廃止も個人の単に所得税減税じゃないですね。税金を、所得税を払っていらっしゃらない方含めて根っこから上がる、それから中小企業も上がる。経営が安くなれば運送屋さんもコストが下がる、高速道路の無料化と組み合わせますと物流コストが安くなる。つまり我々は何を申し上げたいかというと、財源をきちっと整理しながらこの政策をやらせていただくことが今の時代に合った、最も適した景気対策だと、こういうふうに申し上げたいんです。だから民主党のマニフェスト政策を実行することが当面の景気対策になる、我々はこのように申し上げています。  総理、御所見ありましたら。
  342. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 直嶋先生のお気持ちとしてはよく分かります。
  343. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 総理が解散とおっしゃった日に、きちっと財源の話は鶴保さんにも御理解いただけるように説明させていただきます。  それで、大分時間の関係がありますので次の質問に行きたいんですが、ちょっと、通告では後期高齢者医療制度というふうに申し上げていましたが、年金の問題に先にやらせていただきたいと思っています。  これ、総理のお手元に行っていますかね、この中央公論の、これ、三月号です。(資料提示)それで、ここで麻生総理が今年の、中央公論、この記事ですね、消費税を一〇%にして基礎年金を全額税負担と。この中で、三月号なんですが、半年前です、大変重要なことを幾つかおっしゃっているんですね。  そこに番号を打っていると思うんですが、その一番、一ページ目の下をちょっと御覧いただきたいんですが、政府がどんなに百年安心とうたっても、自戒を込めて言えば、もはや信用する人はだれもいないのだ、年金制度はまさに負のスパイラルに陥っている、国民に安心を与えるのが政治の責任だ、抜本改革しか国民の信頼を取り戻すすべはないと明快におっしゃっているんです。これは今も同じ考えですか。
  344. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 基本的に、年金に対する信用が大幅に失われたということに関しましては、私ども、今ここに書いたとおりに、年金に対する信用が失われているというのが一番の問題だと、私自身はそう思っております。
  345. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 この後段に書いていますが、政治の責任、要は抜本改革しか国民の信頼を取り戻すすべはないと、こう書かれています。これもお考えは、このお考えのとおりでよろしいですか。
  346. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) この話は、多分、全額税方式に何でしないのかという話に持っていきたいというお気持ちは分かるんで先にお答えさせていただきますが、基本的には、私は、この種の話というものを考えたときには、少なくとも私は全額税方式がいいのではないかといって、それで提案させていただいたことは事実で、そこに書いてあるとおりであります。  ただ、その後、スウェーデン方式がいいんだ、読売方式とかいろいろ案が出されたのは御存じのとおりですので、あれを読みますと、ああなるほど、こういうやり方もあるかと、それは率直にそう思いました。私はその種のことにそんなにプロに詳しいわけではありませんので、スウェーデン方式というのはこんなのあるぞと言われて教えてもらったこともありますし、また何とか方式と教えてもらいましたので、私はそういったのはいいことじゃないですかと、是非そういったものを出していただいて、どういうのが一番いいのかというのを申し上げているのであって、これ以上素直な答えはないと思いますが。
  347. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 次のページちょっと見ていただきたいんです。その今の二枚物なんですが、二ページ目、二ページ目の③とマーク付いているところなんです。ここもちょっと併せて今の御所見と伺いたいんです。  もう一つは、財政問題だと。③のところですね。年金不信で国民年金保険料の納付率は六割程度にとどまっている。国民皆年金といううたい文句はもはや死語だ。死語ですね、国民皆年金は。学生や失業者にも一定率の保険料の負担を求めるのは酷である云々と。未納問題の解消は難しいと言わざるを得ない。だから、国民皆年金ではもう既になくなっていると、こういう御認識ですか。
  348. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 直嶋先生、私は選挙区がちょっと筑豊という地域でありますんで、少し事情が大分違っているという点はある程度理解した上でちょっと聞いておいていただかないと、いろいろ問題があると思いますよ。これ、物すごく大事なところです。地域によってすごく違いますから。私のところにおいては特にその傾向が強いのかもしれませんが、私どもの得ている感じでは、これはもう極めて厳しいことになっておるという状況にあります。  で、どれぐらいだという話を聞いたら、皆いろんなことを言われますから、四割だ、五割だ、六割、いろんな方がいろんなことを言われますので、この種のことを六割と書かせていただいたんで、これ全部数字を調べ上げて六一・何%という数字に基づいているわけではございません。
  349. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ここで総理おっしゃっている六割程度というのは私はそんなもんじゃないかと思っています。  それより、私がお伺いしたいのは、先ほどの①と併せて考えると、ここからなんです、今の年金制度はやはりもう先行き維持するのは難しい、信頼を失っている、抜本改革必要だと、国民皆年金ではなくなっている。ここは大事なところなんですが、もうそういうことになると、今の年金制度を維持するのは難しいですよね、皆年金じゃないんだから。国民皆年金でなければ国がやる意味ないんですから。それを確認したいんです。
  350. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 国民皆年金じゃないと、無年金者とかいろいろな言葉が今出てきておりますのは御存じのとおりでありますし、事実そういったものでいきますと、全部が全部一二〇%完璧だということにないことははっきりしております。もうそれは御存じのとおりだと思います。  その上に立ってどうするかという話を今いろいろ考えているのであって、これは厚生省に限らずみんながこの問題に関していろいろ苦労しているのは、こういう前提に立った上でどうするかという話をしているのが今の現状だと思いますので、是非、こういった私の税方式という案も私の案として申し上げておりますけれども、いや、もっといい案があるというんだったら、是非聞かせていただければ、参考にさせていただければと存じます。
  351. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 だから、総理は税方式にした方がいいということですよね、お考えは。ただ、これは、ここのところ非常に大事なところなんですよ。よく与党も野党も一緒に協議しろと、こうおっしゃるんですが、舛添さんに聞いてみれば分かると思うんですが、政府は今の制度を維持するとおっしゃっているんですよ。だから、ここでもう話がかみ合わないんですよ。スタートラインに立っても背中向いて立っているようなもので、歩けば歩くほど距離が開いていく。  だけれども、総理のこれを読んで、私はそうじゃないなと。まさに抜本改革必要だとおっしゃっている、信頼なくしている、皆年金じゃなくなっている。これは、今の制度はもう駄目だから新しいものを考えようやと。何がいいかは別ですよ。今のものは駄目だから新しいものを考えようやと。ここまではいいですか。お考え、どうですか。
  352. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 新しい案を考えようやという場合には、今の案より良くなるというのが絶対条件です。当たり前ですよね。だから、私の申し上げている税方式が今の案より良くならないという方がいらっしゃるんですよ。こういう方もいっぱいいらっしゃいます、正直言って。それがいらっしゃる前提に立ちました場合、私どもとしてはいろいろな意見を拝聴させていただいて、独善的にやるのはいかがなものかと思います、こういったのは国民的な問題でありますから。  したがって、みんなで考えねばならぬ問題だから、これも一つの案と申し上げて、そのほかにもいろいろなスウェーデン方式とかいろんな案というのも大分その後、書いた後いろんな方から教えていただきましたので、私は正直言ってスウェーデン方式も知りませんでしたし、いろんな意味で、はあと、正直勉強になったのも事実です。したがって、そういったのをみんなで考えを組み合わせて、どれが一番いいのか、ちょっと正直、いろいろな御意見が出てくるんだと思いますが、税方式は一つの案として、私は自分でその段階でそういう案を提案させていただいたというように御理解いただければ幸いです。
  353. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 いや、今の案、税方式がいいと思って御提案されているということは、今のやつは変えた方がいいと、こういうことでしょう。だから提案されているんじゃないですか。私は、だからいいですよ、その税方式で何がいいか議論すればいい。だけれども、今のやつは少なくとも変えようよと、このコンセンサスがないと新しいものは検討できないんですよ。それを申し上げた。  総理のお考えなんですから、総理がそのように信じられるんならそれをおやりになったらいいじゃないですか、どうっと号令出せばいいじゃないですか。是非それをやってくださいよ。
  354. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 私の申し上げたのは一つの案だと何回も申し上げておりますが、その案よりもっといい案があるんだったら、その案も聞かせていただきたいということを正直に申し上げております。そうしたらスウェーデン方式があるぞ、何とか方式もあるんだぞといろんな方から三つ四つ教えていただきましたんで、それは正直私も参考になりました、私も。この案を、今の現状をもっとこうすればいいとか、税方式でやらなくてもこれでやった方がいいと、もう実にいろんなことを教えていただきましたんで、私は正直そういったやり方もあるのかなと。これは正直なところです。  したがいまして、私は、おまえ税方式と思っているんなら税方式だけやれと、うちは独裁者やっているんじゃありませんので、私どもとしてはいろんな方の意見を率直に尊重させていただいた上で考えさせていただくというのが私の立場であります。
  355. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 税方式をいいとか悪いとかいう話はしていないんですよ。私が申し上げているのは、現行の制度を変えるか変えないか、新しい、いいものがあれば変えようと、こういう立場に立つのか。百年安心と言っていたんでしょう、一部の人は。麻生総理は駄目だとおっしゃっているけれども。(発言する者あり)変えて、ほら、あの辺からも言っているじゃないですか。それだと話がかみ合いませんねと。だけれども、同じスタートラインに立って、今の制度はもうやっぱり限界が来たから新しいのに変えようよと、つくろうよということなら話合いはできるんじゃないですかと。  だから、今の制度を変えるのか変えないのか、そこのところを総理のお考えを聞きたいんです。
  356. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 常に我々というのは改善というのを目指すのは当然です。会社でもやっておられたと思いますので、改善ですよ。だから、それに当たっては基本というものはおいておいて、更に改善を加えていくというのは大事なことだと思いますけれどもね。したがって、私は全額税方式の方がいいなと私自身は思ってそう書きましたけれども、今のものでもっと改善すればいいんだという話はそれはそれなりに拝聴に値するところですから、改善と。  ただ、私は、少なくともできた昭和四十三年、あの当時のころと比べて随分今の時代というのは平均年齢も変わったし、いろんな状況は大きく変わってきておりますので、前提条件が大幅に狂って、変わってきているという前提に立った場合に、今までのままでというのは少し、税負担をどれぐらいにやるのかと、難しい問題が出てくるんじゃありませんか。(発言する者あり)
  357. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 静粛に願います。
  358. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) だから、中福祉中負担という形をある程度前提に置いて、中福祉中負担。アメリカみたいに小福祉小負担にするんですか、スウェーデンみたいに高福祉高負担にするんですかと、こういったところからまず基本的に始めていただかないと僕はなかなかうまくいかないのではないか。少なくとも中福祉中負担というところが何となく皆さん方の御理解いただけるところではないかなと、私自身はそう思っております。
  359. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 要するに、もう一回申し上げますけど、総理国民皆年金といううたい文句はもはや死語だとおっしゃっているんですよ。もう国民皆年金というのはないとおっしゃっている。国民の信頼、百年安心といったって、もう国民の信頼を失っているから抜本改革しかないとおっしゃっている。だから、ここを、総理のお考えは変わらないんですかと。先の話はいいんです。そこを私は確認したいんです。そこは変わらないんですね。
  360. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 国民皆年金という現実というものを、何回申し上げたか、全部きちんとやっておられる地域もあるのかもしれません。ちょっと全国そんなに全部知っているわけではありません。あるかもしれませんが、少なくとも私の住んでおりました地域、おります地域においては、それは極めてその現実とは懸け離れているように思っております。  したがって、現状はかなり違うのではないか。その前提に立って少なくとも物を考えないといかぬのではないか。百年安心といっても、百年安心と思っている人が今いらっしゃいますかといえば、極めて限られた方がそう思っておられるのではないかと。そういった感じがいたしますから、今こういったものを考えるに当たってはきちんとしたものを考えないと、それこそみんなの安心したものにならないのではないか。  したがって、改善とか改革とかいろんな言い方はあるでしょうけれども、みんなが安心したものをつくり上げるという前提であって、今のこの案が絶対の案でもう全く変える必要はないというような気持ちはありません。
  361. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 これは大事なところなんで、本当に。  総理ね、いや、今の案は絶対のものではない、今の制度ね。今の制度とおっしゃったんですね、現行制度は。だけど、これはもう絶対なんてものじゃなくて、もう駄目だとおっしゃっているんですよ、これ。そうおっしゃっているんじゃないんですか、これ。考え変わったんですか。そうでしょう。これはもう駄目だとおっしゃっているんですよ。
  362. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 何回も申し上げるようで恐縮ですけれども、私は税方式の方がいいと思っております。  ただ、それに関しては、いや、もっといい案があるんだという案を皆さんがおっしゃるから、それだったらその案を拝聴させていただくということになるのが当然だと思いますが。
  363. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ちょっと舛添大臣に確認しましょう。この現状についてどういうふうに受け止めておられますか。
  364. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) まず、この総理がお書きになった中央公論の原稿で、大変恐縮でございますが、政府は百年安心プランという言葉を使ったことはございません。これは、百年程度先までの見通しを計算してやったということをまずちょっと御確認いただくとともに、今の問題は、未納の問題があったり、今委員がおっしゃったようないろんな様々な問題が出てきています。こういう問題をどう解決するかということで、平成十六年度、制度改正を御承知のように行いました。これで一定程度、段階的に保険料も引き上げる、それから先ほどの議論があるマクロ経済スライドの問題であるとか、それから国庫負担分二分の一、これで一つの答えを出しております。  しかし、様々な議論がございまして、例えば、もうこれは議論しませんけれども、税方式のプラスマイナス、この保険料方式の、掛金方式のプラスマイナスがございます。そして、仮に、総理がおっしゃるように、基礎年金を全額税方式にするにしても、恐らく財源的にいうと最低六%ぐらいの、最低ですよ、六%ぐらいの消費税の引上げが必要になってきます。ここを総理は消費税一〇%にしてというので大体そういう数字になると思います。  それから、仮に税方式に移すにしても、どの年齢層から移すのか、どの時期から移すのか、様々な議論があると思いますから、私は、今現状が、とりわけ、今一生懸命やっていますけれども、大変申し訳ないことに、度重なる社会保険庁の不祥事によって年金記録問題、これがもう最も年金問題に対する国民の信頼を失わしたことでありますし、それで、今委員がおっしゃったようないろんな様々な問題もあります。  そういう中で、これは総理総理におなりになる前に一つの政治家としての御提案をなさったと思いますので、これも一つの案、そういうことで議論を重ねていって、そして、これは今朝方、衛藤委員の御質問にもあったと思いますけれども、与野党の協議機関もあるわけですし、これを再開さして議論するということは私はいいことだというふうに思っていますんで、総理がここでお書きになったことは、若干誇張しておっしゃっているんだろうというふうにも思いますし、抜本改革しか国民の信頼を取り戻すすべはないということをお書きになったんで、それは一つのお考えだと思います。そういう意味で、きちんと様々な議論をすればと。  そして、その後、私は民主党の案も参考にさせていただいていますが、非常にいい点はたくさんあると思いますので御参考にさせていただきたいと思っております。
  365. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 やっぱり総理、舛添大臣は今がいいと言っているんですよ、総理の誇張だと言っている、誇張だと言っている。まあいいです。これはまた制度論、またやりましょう。ただ、さっきから何回も言っていますけど、スタートラインに一緒に立てないとこの話はまとまらないですよ。ですから、それだけ申し上げておきます。まあ選挙があればまたその後でも議論になるのかなというふうに思っていますが。  それからもう一つ、今日はちょっと総理、申し訳ないんですけど、総理に幾つかお伺いしたいと思いますが、消えた年金の話なんですが、この所信表明で総理は、消えた年金、消された年金という不安がありますと、こういうふうにおっしゃっているんですよね。これは、消えたとか消されたという言葉をお使いになった初めての総理なんです。これは決して苦情を言っているんじゃなくて、非常にそういう意味では私は驚きましたし……(発言する者あり)現状をよく分かっていると、まさにそういう理解なんです。  この消えたとか消されたというのは、実は我々は前から言っているんですが、これは加入者の立場に立って、自分が払った保険料が年金につながらないという意味で消えた年金と、こう言っているわけですよ。自分が払った保険料がだれかに消されてしまったから年金がもらえないんで消された年金と、こう言っているわけですよ。そういうお考えであると、同じお考えであると、こういう理解でこの言葉を使われたというふうに受け取ってもよろしいですか。
  366. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 消された年金というのは、いわゆる標準報酬の改ざんという言葉が出てきたんだと、たしかそういう表現だったと思いますが、標準報酬の改ざんというのが消された年金という定義なんだと、私自身はそう思っておりますので、そういった可能性のある事案というのの対応などというのが必要なのではないかという意味で消された年金と。いや、これ、みんな使っておられましたので、たしか標準報酬等の改ざんというのが正式な役所用語なんだそうですが、消された年金という言葉が使われておりましたので、私はその言葉を使わさせていただきました。(発言する者あり)
  367. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 そうなんです。これは問題意識を共有できると思ったんです、私は。  だから、今標準報酬の改ざんとおっしゃったんですが、消されたという意味は標準報酬をだれかに改ざんされて年金が消えてしまったと、こういう意味なんです。もっと言えば、社会保険庁で改ざんされたと、こういうことなんですよ。ほら、舛添さん心配になって今手挙げていますよ。だから、そこだけ私は確認できれば結構ですから。  それで、もう一つさっきの、これもう一回だけちょっと恐縮ですけど、中央公論、二枚目の最後の④番のところなんです。  国民の預り金をずさんに取り扱った社会保険庁の愚は二度と政治が許さない。私もそれはそうだと思います。私は宙に浮いた年金問題で民主党が作った国家プロジェクトという考え方に賛同するものであると。うれしいことをおっしゃっていただいているんですよ。  是非これ、国家プロジェクトという考え方で解決していただきたいんですけれども、お願いします。お願いします、御所見、よろしいですか、これで。
  368. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 基本的にそこに、一番下のところですか、これ最後の④です、一番最後のところですね。ここに書いてある言葉で、国民の預かったお金をずさんに取り扱った社会保険庁の愚は二度と政治が許さない。宙に浮いた年金問題で民主党が作った国家プロジェクトという考え方に賛同するものである。もちろん、もっと大きな意味であり、与野党の垣根を越えて国会全体で年金の取扱いを監視しようではないか。そのとおりなんじゃないですかね。
  369. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 民主党の考え方に賛同していただいたんですから御理解していただけると思うんですが、我々は、今の対応では国家プロジェクトではないと思っています、社会保険庁に任せっきりになっていますから。  私どもが言っているのは、総務省の第三委員会もありますけど、こんなに時間掛けてやるんじゃなくて、これは大変な、さっき議論させていただいたように、国民の信頼を失ってしまった問題ですから、できるだけ早く解決した方がいい。    〔委員長退席、理事岩永浩美君着席〕  ですから、被害もきちっと早く確定をして、そして被害者を救済した方がいい。ですから、もっと大々的に人材も投入をして、調査もきちっとやって、そしてそういう形で国家プロジェクトとして解決しようじゃないかと、こう言っているんですけど、総理、やっていただけますね、それを。(発言する者あり)  これは総理ですよ。総理の。
  370. 岩永浩美

    ○理事(岩永浩美君) 舛添厚生大臣
  371. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 御指名ですのでお答えさせていただきます。  直嶋委員、国家プロジェクトと呼ぶか何と、呼び方はともかく、全力を挙げてこれは政府でやっておりますし、それからこの国会の場でも委員会で様々な貴重な提案を各会派の皆さんからいただく、それを持ち帰って検討する。それから、社会保険庁だけがやっているのではありません。私が直属のチームをつくって中に踏み込んでいってやっています。そういう意味。それから、御理解いただきたいのは、これは大変恐縮なんですけど、国民の税金を使ってやっていることですから無駄があってはいけないし、それからアマチュアだけではできません。  そういう意味で、私は私の最大限の努力をして、一刻も早く優先順位を付けてこの年金記録問題を解決しているつもりでございます。
  372. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 度々これまでも舛添大臣の方からお答えもいたしましたし、私自身の方も答えておりましたが、これはもう前例がない膨大な作業ということはもう間違いないんだと思いますね。そういった意味で、これは手間と暇を惜しまずやらなしゃあないということはもうずっと申し上げてきているとおりですが、今回のこの話に関しましても、いろいろな意味でこれはこれまで重なった瑕疵というのは大きいと思いますよ。    〔理事岩永浩美君退席、委員長着席〕  だからその意味で、少なくとも、サボタージュによるものかとかいろんな表現が今なされていますけれども、そういったものに対しては、きちんとして調査の上、法と証拠に照らしてこれは間違いなく告訴するんだったら告訴する、きちんとしたことを対応すべきということは舛添大臣の方に厳命してあります。
  373. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 だから、総理は民主党の考え方に賛同するとおっしゃったんですよ、ここ。舛添さんと民主党の考え方は全然違う。いつも国会で議論しているじゃないですか。あれは国家プロジェクトじゃないですよ。今の総理のお言葉を借りれば、手間と暇を惜しまずと、こうおっしゃったんですけれども、被害に遭った方からすると、暇というのを時間という意味でいいますと、暇を惜しんでほしいんですよ。待っている暇ないんですよ、早く回復してくれないと。だから、我々は言っているんです、もっと人材投入しろと。やってくださいよ。
  374. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 御理解いただきたいのは、私は私なりに優先順位を付けてやっております、それは与野党の垣根を越えてこれはやらないといけないわけですから。それから、御理解いただきたいのは、厚生年金は昭和十七年から始まっています。六十五年間、そしてそのうち社会保険庁、四十数年間関与した、その中に積もりに積もったことを懸命になってやっております。ですから、御批判をいただく立場ですれば、それは遅いとかもっと急げということもあると思いますけれども、私は一番優先的に効率的にやっているつもりでございます。
  375. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 総理、いかがですか。
  376. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 直嶋さん、これは、基本的には年齢のことも考えて、これは優先順位があると思いますね。私は、そういった意味では、これは調べるにどれだけのコストという点も考えないかぬところは当然ですけれども、やっぱり年齢というものを考えますと事は急いでおられる。私はその意味では、いろいろな話がありますけれども、額はもとより、私はその受け取られる方々の気持ちのことを考えると、やっぱり正しかった、実はやってみたらもっと自分はもらい過ぎていたという方もいらっしゃるそうですけれども、そういった方々含めまして、私どもはきちんとしたものにするというのが大事、そしてそれはやっぱり年齢というものが結構、一番優先順位としては大きいと思いますので、そういった方々から優先してやっていこうというのがやっぱり基本的には大事なんだと、私自身はそう思います。
  377. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 どうも総理は、民主党の考え方よく分からずに賛成されたみたいですね。そんな感じしますね。  これ、今も総理おっしゃったんですけれども、例えば五千万件のものも、今解決できているのはわずか一四%ちょっと、一五%弱ですよ。何年掛かるんですかね。ですから、そういうことを考えるともっと幅広く、まさにここで言っているように国家プロジェクトとして手掛けていただかないと間に合わないということだと思います。  次に、厚労大臣に伺います。  その消された年金の話ですが、今どういうやり方でこれを進めておられるんでしょうか、お話を伺いたいと思います。
  378. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) まず、この事実がどうであったかということを調べるために、第三者委員会に上がってきて、この改ざんをやったということが確実な事例について分析をしてみました。その結果、一つは、年金資格喪失の前後、ほぼ同じ日や翌日にこの報酬を引き下げたと、そういう例が一番可能性がありまして、それに加えて、五等級以上下げた、それから六か月以上加入期間を短縮したというようなことの三つのファクターでやりますと、九割方これに相当します。ある意味で、これを分析ずっとしてきたんですけど、これがある意味でサンプル調査に当たるんだというふうに思っております。  その結果として、その三つが合いましたのが六万九千件ございまして、先ほど来のお話のあるように年齢の高い方から優先にということで六十五歳以上が二万人、これをあさってから二万人、全国、これは戸別訪問をして一つ一つ、こういう状況でございますので、例えば預金通帳の写しございますか、それから給与明細ありますかと、こういう形でやっていきたいと思います。  ただしかし、例えば五等級以上下げた中で七十五万数字が出てきました、七十五万件。この中には、例えば妊娠して出産のために給料を五等級以上下げるケースがたくさんございます。それから、退職してもまだ働き続けたいからといってそのまま会社にいる、そのために、年金もらえなくならないためにがっと給料下げる、そういうケースがありますからすべてが改ざん事例ではない。  それから、先ほどちょっとおっしゃったことなんですが、一番は、経営者が勝手に従業員のそれを、標準報酬を改ざんした。これは従業員が被害者です。そして、その経営者がある意味では加害者。そして、その経営者に加担した社会保険庁の職員がいる、これも共同正犯になる。  こういう構図でございますので、優先順位を付けて今度七十五万、全部合わせて百四十四万あります。その百四十四万に対しても、標準報酬をお知らせするときに、これから、今四月一日から送っていきますから、そこに一枚紙を加えて、あなたは百四十四万件に属していますので、これをまたチェックしてくださいと。さらに、そのほかにも、これは基本的にはオンライン上の犯罪だと思っていますが、紙台帳の時代にもありますので順番を付けて次々とやっていきたいと。紙台帳も来年度は画像化しますので、随分処理が早くなると思います。  そういうことで、一つ一つ着実に進めていきたいと、そういうふうに思っております。
  379. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 明日から取りかかられるというふうに……(発言する者あり)あさってですか、二万人の方、この人たちの記録が回復されるのはいつですか。
  380. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) まず、その二万人の方が本当に標準報酬改ざんの被害者であるのか。場合によったら、一人事業主というのもおりますから、まさに加害者であったこともあります。それから、そうじゃなくて、先ほど申し上げたように、三つの条件に合うけれども、まさに妊娠して出産したためにというようなことで全く適正であったり、それから、中小企業の場合に届出が一年ぐらい遅れる場合がありますから適正なケースもあるし、それは今からやってみて、その結果、これは一つ一つつぶしていって回復するのもある。そうじゃなくて、むしろ加害者だったということも分かるのもある。それをとにかく、しらみつぶしにやってみようということで、やってみないとそれは結果が出てこない話であります。
  381. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 結局、その二万人、一つ一つつぶしていくとおっしゃっているんですけど、つぶし切れないんじゃないですか。例えば、話をして、だけど給与明細は確かにこうなんだと、被害に遭ったと、だけど給与明細は残ってない、預金通帳も残ってない、そういう人は払われないでしょう。結局、つぶし切れないんじゃないですか。
  382. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 正しいことを確定するために二つ方法があります。  社会保険庁の職権でやれる、例えば社会保険庁にこういうデータが残っていて、ああ、これはもう確実に証拠がありますからということはできる。そうじゃない場合に、いわゆる猫ばば法案というのを作りましたけれども、あの中に第三者委員会で審議をしてという前提条件があります。したがって、とりわけ物的証拠が、預金通帳とか給与明細があれば問題ないですけど、そうじゃない場合にはどうしても第三者委員会に掛けざるを得ません。最終的にはそこの判定になります。しかし、恐らく二万件やってみるとグレーゾーンでどうだと。  だから、基本的には被害者を一刻も早く救済するという観点に立って、そのすみ分けを、もう法律はありますけれども、柔軟にして、第三者委員会に掛けるにしてもとにかく迅速化ということをやっていきたいと思いますが、ただ問題は、委員、その裁定した紙というのは保存期間が三年なんです。したがって、それより前のは捨てられている可能性がある。私が大臣になってから全部止めていますから、そこから先は捨てないようにはしておりますけれども、そういうのがあります。  それから、各個人のお宅できちんと十年か十五年前の預金通帳を取っておられるかとか給与明細を取っておられるかということで甚だ疑問でありますから、とにかくあさってから動かしてみて、柔軟に被害者救済というのを第一に対応してまいりたいと思っております。
  383. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ですから、今そのやり方でつぶしていっても、結局二万人の方も最終的にはいつ回復してもらえるか分からないということじゃないですか、早い人もあるかもしれませんが。  ちょっとこれ、資料をお配りしていると思いますけど、(資料提示)これは非常に雑い計算ですからなんですが、ちょっと私の方にデータがないんでこういうやり方をしました。標準報酬月額が五等級分変わった場合にどれくらい受給額が変わるかということです。しかし、十年とか二十年の計算のデータありませんので、四十年掛けたケースを基に計算をしました。  標準報酬、これ大体平均的なところです。三十六万円の方が二十五等級ですが、五等級下げられて二十等級になった場合、六十歳からは二階部分もらえて、その後一階部分も六十五歳からということになりますが、この差が八十歳まで生きたとすると累計で何と七百十四万、まあこれは四十年分ですからね。それから年間三十四万と、こういうことになるわけですね、数字になるんですよ。仮に四十年じゃなくて十年改ざんされていたとしても、この七百十四万の四分の一ですから、やはり二百万近いお金になるということです。これだけの被害があるんですよ、現実に。  だから、つい消された年金という言い方で、あるいは改ざんということで抽象的に議論していると忘れがちなんですが、被害者にとっては大変なお金が失われているということなんですよ。  だから、私がまず申し上げたいのは、こういう立場に立って、とにかくできるだけ被害を早く確定して、だから二万人以外にもそういう方はたくさんいらっしゃるわけでしょう、まだ。ですから早くやらなきゃいけない、こういうふうに申し上げているわけですよ。ここはいいんですね、厚生労働大臣
  384. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 私がこれまでずっと一年以上にわたってやってきたのは全く同じ立場で、何度も今日も申し上げているように、一番大事なのは被害者救済であると。  そのことにどの道で行くのが一番いいかという道を探しながら行って、それはもう全く委員と同じでありまして、それで、やっぱりお年を召された方からやっていかないといけない。そして可能性の高い、どの可能性が高いかというのを、それは私は私のやり方でこの一年掛けて、先ほど言ったこの三つのファクターを出しましたので、さらに、それ以外もやらないと言っていることではなくて、あさってからやり始めて可能性の高いところからやっていく、順次やっていく、そういうことであります。
  385. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それで、もう一つあるんですが、厚労省がおやりになっているのは、さっきおっしゃったですよね、標準報酬月額で五ランク以上下げられているもの、五ランク以上下がっているもの、この三つの中から、重なっている六万九千件の中から二万件出したということなんですが、実は、もう御存じだと思うんですが、この第三者委員会で、六十六件が厚生年金の数字が変わっていたと、改ざんされていたと第三者委員会で認められたものがあります。  この内訳を調べてみると、実はこの標準報酬月額の引下げだけではなくて、全体の六十六件の中の例えば四十九件は加入期間が短縮されているんです。だから、標準報酬触っていないけど加入期間が短くなって、短くされちゃっている。だから、四十年払ったつもりが三十年になっていたと、こういうケースですよね。  それからもう一つは、さっき大臣ちょっとおっしゃったんですが、今調べているのはオンライン化された以降の六万九千、そうですね。百四十四万件もそうですよね。しかし、オンライン化以前のものがこの六十六件の中には二十四件入っているんですよ。だから、六十六分の二十四ですから、三分の一以上が実はオンライン化前なんですよ、総理。だから、そこは厚労省は全く調べていないんです。  ですから、私が申し上げているのは、さっきから言っているのは、やはり幅広く、被害を早く確定しないと、調査の対象外に置かれている方がどんどん増えているわけですよ。舛添さんのやり方というのは分からぬことはないんですよ、重点志向して段階的にということは。ただ、それをやっていくと、どんどんどんどん小さくなってくるわけです、母数が。だって、百四十四万の中から二万やっているわけですよね。今申し上げたように、これは全体像じゃなくて、六十六件のうちの十六件しかこの百四十四万に該当するものはないんです。ですから、それ以外のものというのは、オンライン化される前のものか期間を短縮されたものなんですよ。だから、そこに対しては全く手を打っていない。ですから、幅広く見ていかないと、どんどんどんどん狭いところへ狭いところへ入り込んで被害を小さく見せてしまう、そういうふうに思わざるを得ないんですよ。  総理、これは是非根本からやり方を見直していただきたい。お願いしたいと思うんです。
  386. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 第三者委員会を所管しているというか、持っている立場から申し上げますと、先生おっしゃったとおりで、今まで二万五千ぐらい処理したわけですね。あっせんした案件が千幾つかあるわけですが、その中に明確にこの六十六の改ざんが疑われる怪しい事案が出てきたと、こういうことでございますから、先生おっしゃるとおりなんです。  問題の解決のために厚労大臣と多少違う立場のことを申し上げますと、今まで、昨年の三月三十一日までに受け付けたものは一年間で全部やりましょうと。大体五万ぐらいだったわけです。順調に処理しているわけです。その後、あと二万ぐらい来ていますから、今までの総、何というか、申立て件数が七万台だと思うのですが、最近は、一月に千件ぐらい処理するのに、新しい申立ては七、八百なんです。  ですから、このテレビを御覧の皆様方に、ちょっとでもおかしいと思った、しかし証拠が自分は持っていないなというふうな方にどんどん申立てをしていただきたい。私の立場はそのことを申し上げたい、最近申立ての件数が減ってきておりますので。どんどん、おかしいと思ったら申し立てていただきたいというのが私の考えです。  千とか七百というのは一週間分のことです。
  387. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 総務大臣の今の御答弁はちょっと、さっき私が議論申し上げた。だから、私の申し上げた六十六件はこういう分析で正しいと、こういうことですよね。さっきおっしゃったとおりですよね、六十六件は。  ですから総理総理、これ見てください、ちょっと。これ見てもらえば分かる。(資料手交)要するに、その横長の表なんですが、百四十四万というのはその表の中の四分の一のところしか該当していないんです。これは、だから六十六件をサンプルにして、例えばオンライン化前のもので標準報酬月額が引き下げられたもの、標準報酬月額は触っていないけれども加入期間が短くされたもの、それからオンライン化後の標準報酬月額の引下げ、それから加入期間の短くしたもの、そういうふうに分類したものです。  ですから、その百四十四万件と厚生労働大臣がおっしゃっているのはその上の、そこの数字で言うと十六件か十七件でしたかね、そこに該当するものなんですよ。それ以外にまだ明らかになっていないというか、全く調べられていないものが、百四十四万件に比べるとはるかに大きい数があるんではないかということが推計されるということなんですよ。ですから、それをやってほしいんです。それが我々が言っているサンプル調査という意味なんです。総理に。
  388. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) やってないんじゃなくて、やっているということを申し上げたいのは、今委員がおっしゃったのは加入期間ですね。そうすると、例えば私がサラリーマンでですね、委員委員、ちょっと聞いてくださいよ。私がサラリーマンで、例えばトヨタという会社に入っていたと。そして、そこで例えば二十二歳のときから三十五まで入っていた。ところが、特別便もう昨年十二月から送っています。そこ来たときに、二十二から三十五までその会社に勤めていたのに二十二から二十八歳までしか勤めていなかったことになっていれば、加入期間が改ざんされたというのは自動的に分かるわけです。  ですから、やってないんではなくて、ねんきん特別便によることをやる。ただ問題は、標準報酬月額が今お送りしているねんきん特別便には入っていませんから、そのことについて、五等級については今ことを申し上げて、やらないとか隠そうとかいうことではなくて、優先順位を付けて次々にやっていっています。  それから、紙台帳のことを申し上げました。これは先ほど申し上げましたように、基本的には、私はデータを全部調べてみましたけれども、パソコン上、コンピューター上の犯罪である可能性が非常に強くて、そうじゃない場合もあります、そのときにも、それは調べることは可能なんですけれども、画像化来年やりますから、順次それをやっていきます。  だから、何もやらないと言っているんじゃなくて、順番を付けてやっていると、そしてねんきん特別便で加入期間についてはチェックできると、そういうことを申し上げておきたいと思います。
  389. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 大臣にちょっと申し上げておきたいと思いますが、具体的な会社の名前出して改ざんされたという例を挙げないでください。
  390. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 失礼しました。
  391. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 これは大変失礼な話ですよ。  それで、今のお話でいうと、大臣はオンライン化前は台帳だから後で分かるんだからやってないんだとおっしゃるんですが、今総理にお示しした数字見ると、かなりやられているわけです。それはなぜかというと、担当者以外はほとんど見ないわけでしょう。内部社会ですから、それはあるんですよ。だから、私はそういう先入観でこれは別だというふうに扱うのは多分問題の本質とはちょっとずれちゃうと、そういうふうに思います。どうですか。
  392. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 私が調べたデータでは、六十一年のオンライン化されてからが増えていっておりますし、不況のときにも増えております。それがまず事実です。  そして、ただ、もちろんオンライン化された後もずっとデータさかのぼれば処理したことからさかのぼることはできますが、ぱっと見たときにデリートして消せますから、オンライン上と紙の上で線引いて書くのとやっぱり心理的に若干バリアが違うだろうということで申し上げて、ただそれを一切やりませんということを言っているんではなくて、来年予算を付けて画像化して、その画像処理を利用しながら次第にやっていくと、そういうことを申し上げているわけであります。
  393. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 結局、総理、舛添大臣も聞いていただきたいんだが、結局この問題の経過を見ますと、そもそもの発端から見まして、政府はこの問題を最初はあたかもないかのような話があった。それがだんだんだんだん分かってきて、消えた年金というのが明らかになってきた。(発言する者あり)消えた、今やっているのは消された方ですね、消された方。  いずれにしても、この問題の対応というのは、結局、まあ多少のずれはあるんですが、私たちが言ってきたようにどんどん政府も後を追いかけておやりになっているんじゃないか、結果はそうなっていくんじゃないか、そう思っています。どうぞ。
  394. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 昨年の七月五日に政府・与党の基本方針が決まり、私はそれに従ってやっていきました。それから、午前中にも申し上げましたが、例えば標準報酬の改ざんの問題、これは本当にメールを下さったり、実名で、自分は職員だけれどもこういうことを上司から指示されたと、そういうものをいただいたり、それから中小企業主が、大変申し訳ないけれども自分はこういうふうに改ざんして会社が不況で危機のとき救ったと、そういうのをいただいていまして、これはとにかくやらぬといかぬということでこつこつとやっていく。そういう中で特別チームを昨年つくりまして、これに一定の成果を上げることができましたので、先ほどの六万八千件に至る経過につながったわけであります。  ですから、もちろんいろんな、これは野党の皆さん含め、与党もそうですが、各会派、それから民間のジャーナリズムも含めていろいろ御提言があって、参考になることは参考にさせていただく。基本的には国民の大事な大事な年金ですから、この被害者を救済する、正しい年金を正しく受け取っていただく、そういうことが一番大事なんで、その基本線はしっかりと守って遂行してきたつもりで、まあいろいろ御批判があるでしょうし、不十分な点もあるかと思いますけれども、今後ともそういう方針でこの問題にあきらめることなく最後まで頑張ってやりたいと思っております。
  395. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 今答弁がありましたように、この問題につきましては、これは正直言って私自身も最初にこれほど根深く、これほど深い、また横に広がっている根の深い話とは思っていませんでした。これは正直なところです。そういった意味では、次第に全容がこう何となく明るくなってきて、おいおいどこまでというような感じがしてきたのも正直なところですよ。これは組合の問題に限らない。これは管理の問題にしても実際手抜いた人の話にしても、組織的にやっているとしか考えられぬというのは、正直に言えば、常識的には考えられぬですよ、こういう話は。しかし、それが起きておるんだといって、これはかなり組織的にやっているということしか考えられませんな。  だから、そういった意味では、私としてはこういったものは基本的には一日も早く、年金記録というものを正しいものというものにするのは少々手間が掛かると思いますので、国家プロジェクトと言われましたので大々的にやらにゃいかぬということなんだと思いますので、多数の方々からの御照会にもこたえられるように、これはコールセンターなんというのは最初三百ぐらいでスタートしたと思いますが、今は千二、三百になっていると思いますが、そういった形でいろんな意味での御不信等々に速やかにこたえられるように、幾ら掛けてもずっと話し中とかいうのも一時期ありましたから、そういったような問題を含めて、ねんきん特別便か、こういったものも含めましてきちんとした形の対応というのを今後ともきちんと詰めていくというのにやっぱり手間と暇が掛かるんだと思いますが、ただ、言われますように、年齢の時間の問題があるというのは全く正しい御指摘だと思いますので、解決に向けてきちんと対応させていかなければならぬと思っております。
  396. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今総理の御答弁いただいたんですが、具体的にどう変わるのかよく分かりませんが、ただ、私が申し上げたような問題意識からいいますと、やはり今の体制、やり方ではやはり小さ過ぎる、時間が掛かってしようがない、こう思っています。  もっと申し上げれば、社会保険庁以外の方も動員をして、具体的には例えば地方の、元々市役所が扱っていたわけですから、国民年金なんかは。ですから、地方のノウハウを持った方の力も借りるなりしてやはり総力を挙げてやっていかないと、これは国家としての、まさに総理のこの雑誌の寄稿にありましたとおり、国家としての信頼の問題なんですよ。社会保障と安全保障というのは国が一番基本的にやらなきゃいかぬことですよ。そのうちの一つの社会保障の分野で国民皆さんが長年払ったものがどうも消えちゃったとか消されちゃったとか、こういう話ですから、もう国家としての根本にかかわる話ですよ。  私たちはそういう思いで国家プロジェクトということを申し上げているわけで、ここはやはり総理是非、賛成だと言っていただいたんですから、それなりの体制をしっかりつくっていただいて今後お願いをしたいというふうに思います。よろしく。いや、この際、総理に。
  397. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 私も同じ問題意識を持っていまして、今私の下に連合の皆さん方にも来ていただいており、経団連の皆様来ていただいています。それから、社会保険労務士の皆さんが手伝ってくれていますので、広範な皆さん方の御支援の下にこの問題を解決をしておりますので、今後とも、連合の皆さん方、経団連の皆さん方、そして経済界の皆さん、今おっしゃった市町村も参加してくださっていますし、社会保険労務士の方は大変御苦労なさっていますので、そういう国民の総力を結集してこの問題に取り組みたいと思っております。
  398. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 今、地方の役場の話をされましたけれども、あれはすごく、僕はその役場の人からこの話を最初に教えてもらったものですから、すごくこの問題に興味を持った最初の理由です。  あのころは、コンピューターもなくて、知らなくてようという話から始まって、片仮名入力でえらいもう大変だったんだという話を延々とその御年配の方に教えてもらったものですから、それで、はあ、これは入力間違いしているなと、当時、率直にそのときすぐそう思いました、その話を聞いたときに。どう考えてもコンピューターというような感じの人じゃなかったものですから、これは無理やろうなという、正直、私そう思いましたよ。うわあ、これは大変だったろうなと、その人に同情もしました。物すごい苦労されたんだと思います。ずっと手書きで、字はすごいきれいな方でしたから、うわあ、苦労したろうなと正直思いました。その方の話を聞いて、いかに苦労されたかという話は、やっぱり現場の話を聞かないと分からぬですよ。僕はその意味で、これは大変な、これは結構話は広がるなと、そこからが私の認識だったんですけれども。  今、舛添大臣の方から申し上げましたように、今、地方の人やら連合の方やらいろいろお世話になっているそうですけれども、こういった問題は、これは人数の話もありますし、経費の話もありますし、いろんな問題をちょっと考えないと、簡単に一言で片付けられるような話じゃありませんので、こういった問題、より効率がいいようにもっとスピードアップができるようにどうするか、担当大臣に検討させます。
  399. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 是非、担当大臣のしりたたいてしっかりやらせていただくようにお願いします。  あと時間がちょっとなくなってしまいました。今日は実は後期高齢者医療制度をその御担当の大臣としっかり議論をさせていただこうと思ったんですが、あともう私の持ち時間がわずかしかありませんので、この後期高齢者医療制度について舛添大臣にお伺いしたいんですが、九月十九日でしたか、テレビでおっしゃって以来、見直すのかどうするのかよく分かりませんが、舛添私案なるものも出たりしていますが。私は、基本的に舛添さんはずっと後期高齢者医療制度は必要な制度なんだと、大事な制度なんだと、こういうふうに言ってこられたんですよね。言ってこられた方が突然、年齢区分は変えるとか年金から引き落とししないと、こうころっと変わられたわけです。  これこそちゃんと説明しないと政治の信頼を失ってしまうんじゃないかと、こう思うんですけれども、まずそこから聞きたいと思います。
  400. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 何度も申し上げていますように、これまでの老人保健制度が行き詰まってきた、それから国民皆保険を守るためにはどうすればいいか、そうすると市町村単位での財政運営はとても困難になってきたと、そういう意味でいろんな改革案が出て、三つぐらいのパターンが出てきました。その中で分離独立型というのを選んだ。それはそれでたくさん利点はあります。それから、途中でいろんな改善点を加えましたから、それも、例えばその掛金が下がったとか、そういう点もあります。  しかしながら、私がまさに担当者であるからこそ、これ実際の責任者として一生懸命やってきましたが、どうしても御高齢の方々が心情的にこれは嫌だということが取り除かれない、そしてこれを定着させるために様々な努力をやってきましたけれども、一つは七十五歳以上を隔離したという点、もう一つは年金からの強制的な天引き。後者については一部もう改めました。その前者をどういうふうにして改善するか、それによって御高齢の方々の気持ちに配慮して更にいいものにするかと、こういうことで政治的な決断ということで申し上げて、これは一年を目途に衆知を集めていい案を作りたいと思っています。  そして、私は、私の案というのは一つのたたき台でございますから、これは役所の案でもございません。自民党の案でもございません。私は、こういう案は一つのたたき台でありますということなんで、こういうのも一つの参考にしながら意見をこれから集約して変えていきたいと、そういうふうに思っております。
  401. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 この問題また、時間ありませんので改めて議論したいと思いますが、一つだけ申し上げておきたいと思います。  舛添さんは厚生労働大臣ですから、大臣が一私人としてたたき台なんて通じないと思いますよ、私は。公人でしょう。だから、もし本当に、たたき台でも何でもいいですよ、案をお出しになるなら、やはり厚労省の中でちゃんとまとめておやりになるべきだと思いますよ。しかも、いつ結論が出るか分からないような状態でしょう。これは、やはり国民をまた惑わすものになりますよ。
  402. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 厚生労働省のトップは厚生労働大臣であって、ある方針を与党ときちんと示し合わせた上で決定が与党・政府という形で決まったときには、官僚は抵抗するのではなくて厚生労働大臣に従うべきであると思っております。
  403. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ですから、その厚生労働大臣が一私人として一つのたたき台ですと言って、今やっていることと全く異なるかのような案を提案すること自体が私は間違っていると思うんです。そんな使い分けはやめていただきたい。やるなら正々堂々と改革案をおまとめになったらいいと、そう申し上げて、私の持ち時間来ましたので終わらせていただきたいと思います。
  404. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 残余の質疑は明日に譲ることとします。  明日は午前九時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十九分散会