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国務大臣(石破茂君) 先生のまさしく御指摘のとおりで、何で自給率がこんなに下がりましたかといえば、お米を食べなくなりましたということです。ピーク時の半分ぐらいしか食べなくなってしまった。じゃ、それは何によって代替されたかというと、畜産物、乳製品、そういうものを食べるようになりましたということなのですが、そのえさをほとんど外国から入れておりますので、結果として自給率はがたがたと下がっているということでございます。ですから、理屈からいえば、そのえさをどうやって国内で生産をするかということが自給率を上げるポイントになるわけで、まさしくそれが先生御指摘のことなんだと思います。
それはそれで
お話としては大変結構なのですが、問題は、そのえさ米が非常に安いもので、生産コストも賄えないという状況にあるわけですね。これをどうするかという
お話で、多収穫米をどうやって定着させるか。そして、直播等々の技術をどうやって普及をするか。問題は、そのコストをいかにして下げるかという点にあるのだというふうに私は
考えておるところでございます。
また、お尋ねがありました自給率というものをどう
考えるかなのですが、この自給率、衆議院でも答弁申し上げましたが、もはや戦後ではないと言われたのが
昭和三十年のちょっと前だと思いますが、あのころの暮らしをすれば確かに自給率というのは相当に上がります。あるいは、二千二十というものを達成をしようと思えば、朝昼晩お芋を食べると、こういう
お話になるわけでございますが、それで食生活が貧しくなったが自給率は上がりました、良かった良かったという
お話にはならぬのだろうと思っております。
実際に今何ができるのだろう、生産サイドの問題だけじゃなくて、消費サイドに何ができるだろうということですが、(資料提示)例えて申しますと、自給率一%上げようと思ったらば、
国民の皆様方が一食につき、朝昼晩ですが、一食につき御飯をもう一口、もう一膳とは申しません、もう一口食べていただけるだけで自給率は一%上がるのです、もう一膳食べたらすごい上がりますが。これによって幾ら一月で支出が増えますかというと、九十円です。一月九十円余計に使って一口食べれば自給率は一%上がります、お米の
お話ですね。
じゃ、別のものではどうでしょうかというと、国産小麦一〇〇%で作りましたうどん、これ相当今増えてきておりますが、国産小麦一〇〇%のうどんを月にもう三杯食べていただくと自給率は一%上がる、こういう
お話になるわけですね。これは一月幾らになりますかと。外で食べるんじゃなくておうちで食べた場合の話ですが、そうすると一月四十円。一月四十円で一%上がると、こういう
お話になる。じゃ、大豆ならどうなんだといいますと、これも大分普及してきましたが、国産大豆一〇〇%を使った豆腐を月にもう三丁食べていただくと一%上がる、こういう
お話になるわけです。
こういうものをお願いをしていって、同時にそれが生産を高めることにもなるわけで、今消費と生産の間のそういうような意識の連携というのが十分じゃなかったんだろうと思う。そういうような新しい本部も民間の
方々の御協力も得てできたところですが、何をすればどうなるんだと、それが生産サイドにどうなるんだということをちゃんと御説明をすることが必要だと思います。
一つ余計なことを申し上げれば、
日本人は大体一年に千九百万トンの食べ物を捨てているわけですね。食べないで千九百万トンを捨てている。で、今
世界で飢えている人が八億人いると言われていますが、
世界中の国がそういう国に対して食料援助をしていますが、
世界中の食料援助の量全部を足しても六百万トンです。
日本人が食べずに捨てているのが千九百万トンです。これをどう
考えるんだということも我々はよく認識をしなければいけないことで、自給率を上げるためには残さず食べるということも、それは国産、外国産をどうするんだというまた難しい議論もありますが、我々はよく認識をしなきゃいかぬのは、飢えている人が八億人いて、それに対して
世界中が援助しているのは六百万トンで、食べずに捨てるのが千九百万トン。三倍食べずに捨てていると。そうすれば、
世界中の人は随分飢えて死ななくなるんだと思うんです。
自分たちは
日本の国だけで生きているわけじゃありませんので、本当に食生活をどう見直していくかということを、先生御指摘のように
国民運動として、
政府が食には口出さないということじゃなくて、きちんとしたデータは提供して、どうあるべきかということを、また先生の御教示をいただきながら
政府としても努めてまいりたいと存じます。