○柳澤光美君 時間がないんでこれ以上ちょっと突っ込んだ
お話はしませんが、
大臣もこの自殺、作られた
対策加速化プランというのはお持ちだと
思いますが、字に書いて
対策だけ打ってもどうにもならないわけで、とすれば具体的にどうするんだという突っ込みが私は非常に足りないと思っています。それは是非また検討いただきたいと
思いますが。
その中で、今回は一つ、
民間の活動がいかにすごいかという
お話を今日は皆さんに御紹介をさせていただきたいというふうに思っています。
自殺にとって、去年も言ったんですが、一番大事なのは実態把握なんです。どういうところでどういう人がどういう理由で自殺をしているんだということが分からなければ、具体的な
対策が打てない。今までやっているのは全部啓蒙活動であって、ですから大綱だとか
対策であって、具体的な活動には全くつながっていかない。本当はその
調査を
内閣府でどれだけやったかと私はお伺いしたいんですが、恐らく
答弁で出てくるのは、自殺総合
対策センターで心理学的これ剖検と言うらしいんですが、これがどれだけ出てきているかと僕は聞きたいんですけれ
ども、今日はやめます、できていないの分かっていますから。
実は今日皆さんに
お話ししたいのは、自殺
対策を行った、政府より先に行っている
民間のものなんですが、三ページ目をちょっと見ていただけますか。これが昨年に続いて今度は
内閣府が出す今年度の自殺
対策白書になるんですが、その中にこういう形で一部紹介をされています。作られたのはその一番下にある
民間の皆さんです。これが七月にまとめられた自殺実態白書、実は、皆さん、これが実物になります。五百ページにわたる
調査報告書であります。これは
民間の皆さんが残された自死遺族の皆さん三百五名にも全部聞き取りをやって、それから警察から、去年やっと泉前
国家公安委員長から御理解いただき出していただいた都道府県別のデータを全
部分析したものであります。
その中で、自殺に至るまでのプロセスや自殺の地域的特性、さらには、先ほど言った九八年三月のショック、九八・三のショックというのも全部この中に述べられているわけですが、この実態白書は
民間の皆さんが八千部近く準備をされて、八月に都道府県それから政令指定都市、中核都市を始め
地方団体に配付をされています。さらに、もちろんいろんな
関係団体あるいは
民間団体にも自分たちの手で配付をする。もっとすごいのは、九月に衆参の国
会議員の全部の事務所に手分けをして届けていただいております。これも、製作費も郵送代も全部ライフリンクというNPO法人を中心に
民間の皆さんがやられたものです。
この白書を読ませていただくと本当にいろんなことが分かってくるんですが、時間がないのでポイントだけ
お話しします。また時間があったら是非
大臣にも皆さんにも目を通していただきたいんですが、四ページを見てください。これが
大臣が言われたのと全く同じ一番見開きにある象徴的な言葉なんですが、「自殺は、人の命に関わる 極めて「個人的な問題」である しかし同時に 自殺は「社会的な問題」であり 「社会構造的な問題」でもある」、このことが私はすべてを言い尽くしている、これは野田
大臣とも共有できることだというふうに思うんです。
ですから、先ほど
お話ししたように、自殺の要因には倒産や失業といった社会的、経済的な問題が非常に大きく影響します。それ以上に、こうした要因がすぐ自殺に結び付いてしまうという社会的な構造の問題にもつながっている。そういう
意味では、私は自殺
対策というのは重要な政治課題、その本を正さなければ直ってこない課題だというふうに私はとらえさせていただいています。
この中を見ていくと、本当にいろんなアイデアも浮かんできますし、具体的な提案も浮かんできます。
時間ないので、その一部だけ
お話ししますが、五ページを見ていただけますか。自死遺族の皆さんにも協力をいただいて聞き取り
調査をする中で、要は自殺の内容の中でも要因がどういうふうに動いているかということが分かってきました。例えば被雇用者の場合には、職場環境が本当に大きく変わる、特に失業等で再就職するとかってもちろんなんですが、会社がリストラクチャリングの中で合理化をして配転を急激に進める。そうすると、そのときに人間
関係とかそこに慣れるために非常に精神的に不安定になる。ですから、この辺は本当に企業とかあるいは労働組合の方にそういうときに特にメンタルヘルスもひっくるめて配慮をするようにという手を打っていかなければならない。あるいは自営業者の場合には、やはり事業不振から多重債務に動く、ですから資金繰りの問題から始まってサラ金の問題に動いていく。そうすれば、今回も中小企業への対応、それと相談をどうしていくんだということを打っていかないと、本を正していかないと駄目だと。無職者とか等はもう時間ありませんからちょっと割愛させてもらいますが、自殺というものが一つだけで来ているんではないと。
次のページがそれを、進行度というのがどういうふうに動いていくかというのをとても分かりやすくまとめてある
資料なんですが、私たちは自殺
対策というと、どうしても一番問題なのはうつ病
対策のところにばっかり行く、しかも精神科医がいないとか、なかなかできないとなる。でも、ここへ行くまでに過労や事業不振や職場環境の変化というものが起きて、それが身体疾患に行って、あるいは職場、人間
関係でいじめもあったりいろんなストレスがたまる、失業がある、負債がある、家族の仲がおかしくなる、生活苦になって、うつ病になって、最後自殺に行くというプロセスがきちんと
見えてくる。とすると、うつ病
対策だけやれば、自殺問題は解決をしないと、もっと先のときから手を打っていかなければ駄目だということが分かっていただけるというふうに
思います。
次の七ページを見ていただけますか。実はこの中のすごいのは、何で全議員に配らせていただいたかというと、都道府県別の警察の所轄別に全部データが出ましたから、その人数と要因等が各都道府県で全部出ているんです。そのことを各地域でも意識していただきたいということで、この
資料を大変な労力を掛けて配らせていただいているんですが、そんな中で、これがその地域特性が分かったという中の一番分かりやすい図であります。
例えば、左の
愛知の豊田市というところでは、男女、特に男性の被雇用者の方が多い。これはやはり大きな製造業がそこに集中をしていますから、ここにそういう問題がある。とすれば、そのことに対して、企業だとか労働組合の方にももっと相談に乗るような窓口、あるいはハローワークの対応もどうするんだと。先ほど言った外人労働者でいえば、恐らくあの群馬の太田市辺りのところに多くいる。だったら、ハローワークのところにブラジル語が話せる通訳でも、担当者を育てる余裕はないので、通訳でも何でも入れて相談に乗ってあげるというような具体的な対応を取っていかないというのは地域的に
見えてきます。
それから、大阪市の西区になれば、やはり自営業者の方が多い、この辺は東京の大田区と同じように中小企業の経営者の皆さんが多いんだろうな、とすれば、この辺は資金繰りの問題と多重債務を絡めた相談をどうやっていくのか、自治体とも連携をしてやる。
もう一つ、真ん中にさいたま市があるんですが、これはどういうわけか年代を問わず女性の方が多いんですね。これはどういう人たちがどういう原因でというのは分かっていません。この辺は現場に入って情報をもう一回把握をしないと、さいたま市はまたちょっと違った対応をしなければいけないだろうということもこの地域特性で見ることができます。
そんなことを踏まえて、私は、この
民間がやった実態白書の一部を何で今回出す二十年度の自殺
対策白書の中に、二ページにわたる事例紹介ではなくて、何で入れなかったのかという率直に疑問を感じるんですが、お答えいただけますか。