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2008-12-11 第170回国会 参議院 財政金融委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年十二月十一日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十一月二十日     辞任         補欠選任         櫻井  充君     森田  高君  十二月八日     辞任         補欠選任         森田  高君     櫻井  充君  十二月九日     辞任         補欠選任         大久保 勉君     青木  愛君      櫻井  充君     森田  高君  十二月十日     辞任         補欠選任         青木  愛君     大久保 勉君      森田  高君     大島九州男君  十二月十一日     辞任         補欠選任         大島九州男君     森田  高君      平田 健二君     高橋 千秋君      林  芳正君     長谷川大紋君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         峰崎 直樹君     理 事                 大久保 勉君                 辻  泰弘君                 円 より子君                 小泉 昭男君                 椎名 一保君     委 員                 尾立 源幸君                 大島九州男君                 大塚 耕平君                 川合 孝典君                 川崎  稔君                 高橋 千秋君                 富岡由紀夫君                 水戸 将史君                 森田  高君                 横峯 良郎君                 尾辻 秀久君                 末松 信介君                 鶴保 庸介君                 中山 恭子君                 長谷川大紋君                 藤井 孝男君                 森 まさこ君                 荒木 清寛君                 白浜 一良君                 大門実紀史君    国務大臣        内閣総理大臣   麻生 太郎君        財務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        中川 昭一君    内閣官房長官        内閣官房長官  鴻池 祥肇君    副大臣        内閣府副大臣   谷本 龍哉君        財務大臣    平田 耕一君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        宇野  治君        経済産業大臣政        務官       松村 祥史君    事務局側        常任委員会専門        員        大嶋 健一君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      西川 正郎君        金融庁総務企画        局長       内藤 純一君        金融庁検査局長  畑中龍太郎君        金融庁監督局長  三國谷勝範君        財務省理財局長  佐々木豊成君        財務省国際局長  玉木林太郎君        農林水産省経営        局長       高橋  博君        中小企業庁事業        環境部長     横尾 英博君    参考人        日本銀行総裁  山口 廣秀君        日本銀行総裁  西村 清彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○金融機能強化のための特別措置に関する法律  及び金融機関等組織編成促進に関する特  別措置法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○保険業法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     ─────────────
  2. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、櫻井充君が委員辞任され、その補欠として大島九州男君が選任されました。     ─────────────
  3. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事大久保勉君を指名いたします。     ─────────────
  5. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  金融機能強化のための特別措置に関する法律及び金融機関等組織編成促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案及び保険業法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣大臣官房審議官西川正郎君外七名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  金融機能強化のための特別措置に関する法律及び金融機関等組織編成促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案及び保険業法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会参考人として日本銀行総裁山口廣秀君及び同副総裁西村清彦君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  9. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 金融機能強化のための特別措置に関する法律及び金融機関等組織編成促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案及び保険業法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 川崎稔

    川崎稔君 民主党・新緑風会・国民新日本川崎稔です。  本日は、質問の機会をいただきましてありがとうございます。中川大臣、どうぞよろしくお願いいたします。  まず最初にというか、本委員会で今回の金融機能強化法改正案等法案審査、これまで続けてきて、論点というのは大体あらかた出尽くしているんじゃないかなというふうに私は思っております。そういう中で、今回は、そもそも論といいますか、基本に立ち返って改めて質問をさせていただきたいというふうに思っております。  そもそも大臣は、十月の十四日の大臣談話、こちらの、G7の後だったと思うんですけれども、G7行動計画を具体化する措置の一環としてということで、金融機能強化法強化活用により地域金融機関による中小企業金融円滑化を図るという考えを表明されておられます。  今回の改正案の最大のねらい、ポイントというのは、やはり中小企業に対して必要な流動性、これを円滑に供給するシステム、これを維持するんだという点にあるんではないかというふうに考えているんですが、この点について大臣最初確認をさせていただきたいというふうに思っております。
  11. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) おはようございます。  今、川崎委員がおっしゃいましたように、G7の直後ということ、つまりG7というのは何のために、まあ決まってはおりましたけれども、主要議題は、あのときも現在も続いております世界的な金融危機、そしてまた実体経済の非常に厳しい状況金融の方はシステム的にも、金融機関健全性日本ではただの一つ金融機関破綻しておりませんが、欧米では金融機関がいまだに破綻をしているという状況にあるわけでございます。  しかし、金融でございますから、日本だけが全く関係ないというわけにもいきません。世界がつながっております。そういう中で、日本におきましても、システムも健全、個々の金融機関も別に破綻もしていないし健全であるわけでありますが、しかし信用がどんどん積極的に回っていかない、つまり金融の果たすべき仲介機能が、機能が非常にちょっとしにくい状況になっているということがございます。つまり、金融機関の方も持っている資産がどんどんどんどん劣化をしていく、そして、自己資本規制というものがございますから、それとの関係で貸出しというものもやろうにもできない。  そうしますと、経済状況が非常に厳しい状況に今、日本も入ってきております。とりわけ地方中小企業はその影響を一番受けるわけでございますし、日本経済にとって一番大事な中小企業また地域経済、これを何としてもこの資金活用していただいて事業を続けていただく、もっともっと頑張っていただけるようにするための資金供給、その元の金融機関に更に資本を充実をさせていく、資本強化させていく。そのために、健全な金融機関に対して公的なお金を送って、そして資本強化して、それによって中小企業地域経済を頑張っていただきたい、あるいはまた強化をしていただきたいというために、この法案が成立いたしましたならば、それをうまく活用して、金融機関がそれをうまく活用していただいて、中小企業や全国の隅々の地域資金を提供して活動していただきたいというのがこの法の趣旨でございます。
  12. 川崎稔

    川崎稔君 そういう意味では、我が党も今回のこの金融機能強化法、そもそも改正というのは与党に先駆けてその必要性というのは主張をさせていただいたわけであります。  今回、私も、中小企業金融とまさに中小企業への信用供与、これを円滑に進めるという観点からこれから先のお話をさせていただきたいんですが、足下金融経済情勢という点をちょっと確認をいたしますと、例えば昨日の日本経済新聞朝刊の一面トップ辺りに出ておりましたので御覧になった方も多いと思うんですが、要するに、内容としまして、大企業資金調達、これが銀行借入れにシフトしていると。金融市場の混乱が長引いて社債CPによる調達が非常に難しくなってきて、これまでと逆の動きですね、間接金融への転換の動きが目立つと。大企業にこうした動きが強まれば、結果的には中小企業への資金というのが行き渡りにくくなるおそれがあるということで、具体的には、大企業借入枠を増やしたり、あるいは社債から借入れに変えたりという、非常にそういう事例が増えているということなんですね。  私も、このところの動き実際に見ていてこういった形で中小企業へのしわ寄せというのを非常に懸念しているわけなんですが、大臣の方にお伺いしたいのは、こういった中小企業をめぐるその足下金融情勢、どういう御認識でいらっしゃるか、伺わせていただきたいと思います。
  13. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まさに今、川崎委員が御指摘になりましたように、一定以上の企業であれば、自分社債を出したり、あるいはもっと短期的なお金CPを発行して調達をする、そういうマーケットもありますし、またそういうことで随分活用していたわけでありますけれども、やはりさっき申し上げたように、世界的な信用収縮といいましょうか、日本の場合にはお金もあるし企業のバランスシートもいいんですけれども、しかしいわゆる流動性ということに関して今非常に、特に年末を控えてこの今の時点というのは非常に大事な時期だと思うんでありますけれども、今御指摘のように、実際にマーケット状況を見てみますと、例えばCPですと最近の発行残高が減っているとか発行できても調達コストが高くなっているとか、そういう状況になってきております。  そうすると、あとは間接金融の方に行く。大企業優良企業が行けば、そこは貸出しをする、規模も大きいわけであります。しかし、さっき申し上げたように、金融機関にも一定の貸出しのキャップが掛かっているわけでありますから、そういたしますと、限られた範囲の中で大企業優良企業、どんどんどんどん行きますと、まあ悪い意味の玉突きでもって、中堅、中小零細、個人あるいは地方に行けば行くほど、その残りといいましたら変ですけれども、自分たちが借りられる資金というものが圧縮されていってしまうという状況に今あるのではないかと私は思っておりまして、大変その点、年末を控えて、特にこれは大企業中小企業も同じでありますけれども、特に地方中小企業にこういうことに対しての影響があってはならないということで、今我々は非常にこの問題を、昨日の私も新聞読みましたけれども、そういう状況というものを注目をして、緊張をしながら、ゆめゆめ、経営もいいし作っているものもいいし資産もあるんだけれども、でも流動性がないんだという、こういうことで、流動性のみをもっておかしくなっちゃうというようなことがないように、これは日銀の仕事でございますけれども、我々もできることはやっていかなければならないというふうに思っております。
  14. 川崎稔

    川崎稔君 ありがとうございます。大臣が今おっしゃったように、まさにその年末、これをどう越えるかということが日本全体でもう大変皆さんが関心を持っているわけですし、おっしゃるように、今回の経済情勢というのはまさに流動性をどう確保するか、この一点にあるという意味ではこれまでの局面とはまた違うわけですね。  そこで、今大臣もおっしゃったように、日銀にちょっとお伺いをしたいと思います。通告していた質問と若干違いますが、先に日銀にお伺いしたいということで、西村総裁、本日はありがとうございます。御多忙のところ本当に申し訳ございません。  十二月二日開催の臨時の金融政策決定会合、こちらの方で、日銀では、民間企業債務活用した新たなオペレーション、この導入を決定されておられますね。まさにこれ、年度資金ファイナンスということで新たなオペレーションを導入されているわけですが、私が推測するに、年度末に限らず年末も含めて大事なんだという認識で、こういうまさに銀行の方で中小企業向け融資を行う際のバックファイナンス資金の手当てを日銀の方からも裏付けでやるんだということではないかと思うんですが、この点について確認をさせてください。
  15. 西村清彦

    参考人西村清彦君) お答えさせていただきます。  国際金融資本市場米欧金融システムの動揺が深刻化した秋口以降に、我が国金融市場安定確保に資するために日本銀行金融調節面で様々な対応を図ってきたということは御案内のとおりだと思います。すなわち、ドル供給オペそれから補完当座預金制度を導入したほか、国債現先オペCPの現先オペ拡充等措置を講じてきたところであります。こうした対応効果もあって、我が国金融市場欧米に比べれば相対的に安定しているわけです。  ただ、御指摘にありましたように、我が国金融環境を見ると、中小零細企業資金繰りが悪化しているほか、さらに大企業においても市場での調達環境が悪化している先が増えるなど、全体として緩和度合いが低下しているということは認識しております。  先ほど御指摘ありましたように、年末、年度末に向けた企業金融円滑化に資する観点から、十二月二日に、来年四月までの時限措置として、民間企業債務適格担保範囲拡大と、それから民間企業債務活用した新たなオペレーション実施という二つの措置を決定した次第であります。  そのうち、御質問の新たなオペレーションですが、これは、民間企業債務担保価値範囲内で、無担保コールレート誘導目標と同水準の金利によって金額に制限を設けずに年度末越え資金を供給するというものであります。これは、社債CP貸付債権などの企業債務担保として相対的に有利な金利で長めの資金を供給する措置であり、資金調達面それからコスト面から金融機関融資活動社債CP市場での取引を後押しする効果をねらっています。現在受け入れている担保の額だけから見ても、三兆円程度の資金供給が見込まれます。さらに、今回の措置を契機に担保差し入れ額が増大すれば、それに応じて資金供給規模拡大する余地があるというふうに考えております。  重要な点は、これは確かに年度末を目指したという形になっておりますが、当然のことですが、こういう形で日本銀行が明確な形で担保適格要件緩和というようなことをアナウンスしますと、それを前提にして銀行が前倒しの形で、もう今の段階からこういったことに対しての十分な準備をされるというふうに考えております。そういう形で、これは年度末という形で形式的にはなっておりますが、効果はもう年末から明確に現れてくるというふうに我々は認識しております。
  16. 川崎稔

    川崎稔君 今のお話で私も安心したんですが、といいますのが、今回のオペ実施時期としては一月からということですね。一月から三か月超の資金を供給するということでのオペだったと思うんですが、本来年末ですから今すぐにでもやってほしい話なんですけれども、そういう意味では年度末だけを見ているのかというふうに誤解も受けると思うんですが、この点については、もう一度確認なんですが、年末も含めて日銀は意識をしているということでよろしいでしょうか。
  17. 西村清彦

    参考人西村清彦君) そのようにお考えいただいて結構です。日本銀行といたしましては、年末と年度末、もちろんこれを全部セットにして、できるだけのことを検討していきたいというふうに考えております。
  18. 川崎稔

    川崎稔君 西村総裁、ありがとうございました。御予定がおありでしたら、私は結構でございますので。
  19. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 西村総裁、退室されて結構でございます。
  20. 川崎稔

    川崎稔君 今はいわゆる貸し手側の方の話で流動性確保といった点から確認をさせていただいたわけなんですが、一方で中小企業への金融ということを考えた場合に、借り手側、まさに中小企業からすれば銀行にあるいは金融機関お金を借りたくても、融資を受けたくても、例えば担保がないとかあるいは保証人がいないという形でなかなか融資を受けられない、審査が通らないというケースがどうしても多いわけですね。そこで非常に重要になってくるのはいわゆる保証協会保証ではないかというふうに私は思っているんですが、そこで、今回の第一次補正で話が出ました緊急保証、この点についてお伺いをしたいと思っております。  今回、第一次補正における緊急保証、これはたしか六兆円という規模だったと思うんですが、この六兆円という規模、これについてはどういった根拠で算定されたのか、中小企業庁の方にお伺いをしたいと思っております。
  21. 松村祥史

    大臣政務官松村祥史君) 川崎委員の御質問にお答えいたします。  緊急保証制度は、原材料価格の高騰の影響等を踏まえまして、緊急総合対策で六兆円という事業規模を決定いたしました。これは、過去の……
  22. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 政務官、どうぞこちらの方に来て答弁席で。遠慮しないでください。
  23. 松村祥史

    大臣政務官松村祥史君) 引き続きお答えさせていただきますが、これは過去のセーフティーネット保証実績足下の伸びを踏まえまして一年間で二兆円のペース保証実績が見込まれたところ、緊急保証制度業種の枠の拡大を行いました。そのことによりまして、一年間で約四兆円、一年半で六兆円という考えに立ったものでございます。  一方、その後の国際金融不安、景況悪化を踏まえまして、六兆円の執行を前倒しするとともに、生活対策で二十兆円の拡大を決めております。あわせて、実績の方も少しお話をさせていただいた方がよろしいでしょうか。──よろしいですか。あわせて、実績の方でございますが、十月三十一日の開始以来、昨日までで六万七千件、一兆六千億の承諾実績となっております。多くの中小小規模企業方々に御活用をいただいております。  こういうことで、年末に向けて承諾実績は更に伸びることが予想されますが、六兆円の保証枠により十分対応できるものと考えております。
  24. 川崎稔

    川崎稔君 ありがとうございます。  多分、政務官は私の方が今お手元にお配りした資料資料一に、同じような意味で、今回の緊急保証営業日ごとにどういうふうな消化、要するに進捗しているかということについてお示しをしているんで、この点、最新のデータということで御説明をいただいたというわけですが、このいわゆる進捗状況政務官の方で評価としてどう御覧になっていますか。要するに、順調だと見ていいのか、それとも何かこの点について早い遅い、その評価というのはいかがでしょうか。
  25. 松村祥史

    大臣政務官松村祥史君) 私も以前経営者をやっておりましたけれども、今回の十月三十一日からの対応というのは、この一兆円というのは私は大変スピーディーな対応ができているものと思っております。  ただ、一兆円の額がいいか悪いかは別といたしましても、中小企業者皆様方中小企業庁また金融庁といたしましても、早急に枠の拡大でありますとか、それから現場でのトラブルが、特に業種認定については市町村で認定をやっていただきましたので、大変業種認定の間違いがございました。そのことは、早急に商工会や商工会議所にお願いをいたしまして認定のお手伝いをしていただいたところでございます。極めてスピーディーな対応が取れているものと思っております。
  26. 川崎稔

    川崎稔君 スピーディーだという評価をされているということなんですが、ここで、実は先月二十八日に行われました我が党の小沢代表麻生総理とのいわゆる党首討論、その席で麻生総理がこうおっしゃっているんですね。できるだけ速記録に即して忠実に申し上げたいと思うんですが。  この年末にかけては、一次補正が通っておりますので、その中で、中小小規模企業対策などのいわゆる九兆円の保証枠また貸出枠等々は順調にはけておりまして、昨日、今日と約一千億円、一千百億円、毎日そのような形で使われておりますのでもう御存じのとおりですと。そして、年内のものに関しましてはこれで対応ができる、借り手側に関してみればそう思っておりますが、もう一つ貸し手側がありますということで、この今回の金融機能強化法改正が必要だという趣旨のことをおっしゃっているわけですね。  私が実は非常に不思議に思いますのは、麻生総理だけではなくて、自民党の細田幹事長も民放のテレビ番組で同じ趣旨お話をされておられましたし、あるいは中小企業庁の官僚の方々も例えば私たち民主党会議などで同じ説明をされるわけです。要するに、このペースでいけば年末は大丈夫なんだと。非常に、一日一千億とか一千百億円というペース、これを強調されるわけですね。  資料二を御覧いただきたいのですが、資料二にお付けしておりますのは、これは御存じのとおり平成十年十月から平成十三年三月まで実施されました中小企業金融安定化特別保証制度、いわゆる特別保証と言われていた制度の月別の承諾実績です。それを御覧いただきますと、制度発足当初三か月間、件数で見ますと、十月に九万七千件、十一月に二十一万八千件、十二月が二十三万三千件、これが年が明けて平成十一年に入るとがくっと減っていて、年度末と言われる平成十一年の三月でも七万七千件にすぎないんですね。金額で見ても、当初三か月間で合計で十一兆三千億円、十月は約二兆六千億円、十一月が約四兆六千億円、十二月が約四兆一千億円、まさにけた違いなんです。今回の緊急保証規模が全く違います。もしこのときと同じペースで今回の緊急保証を行っていたとしたら六兆円という保証規模では絶対に足らないわけですね。二次補正で予定をされているように、二十兆円まで規模を引き上げる、こういう話になるのは間違いないわけであります。もちろん、今回と当時の中小企業をめぐる経済環境、金融環境、全く同じというわけではありませんが、少なくとも今回の緊急保証、それとこの当時の特別保証制度で決定的に違う点があるんですね。  それは、当時の特別保証制度では、資料三にお付けをしているんですが、このネガティブリスト方式という形での審査を行っている。これは具体的にどういうことかといいますと、例えば粉飾決算とかあるいは大幅債務超過といった一定の事由に該当しない限り原則として保証を承諾するということで、非常に簡易で迅速な審査ということを行われたというふうにお聞きをしておるんですが、この点、間違いございませんか。
  27. 横尾英博

    政府参考人(横尾英博君) お答え申し上げます。  当時の特別保証につきましては、相次ぐ金融機関破綻という状況の中で異例の信用収縮対応するためということで、資金繰りに困難を来している企業、特に業況の好調な企業も含めて措置をしたものでございまして、委員指摘のとおり、市区町村の認定の後、ネガティブリスト方式ということで、このネガティブリストに該当する場合を除き原則として保証を承諾するということであったものであります。  これにつきましては、倒産の防止、雇用の維持に効果があったという評価がある一方で、借り手側の濫用の問題あるいは貸し手側のモラルハザードといった問題も指摘されておりまして、今般の緊急保証制度におきましては、この特別保証の経験を踏まえて適切に運用しておるということでございます。
  28. 川崎稔

    川崎稔君 要は、今回の緊急保証については、例えば通達等では中小企業経営実態を十分勘案するようにということで通達を経済産業省の方からお出しになっていると思うんですが、実際に現場の声、いろいろ耳に入ってくるんですけれども、審査が要するにいつもと変わらない、あるいはむしろ厳しくなっているんじゃないかとか、いろんな声が入ってきているわけなんですね。  要するに、従来と同じ審査方法である限り、例えば幾ら信用保証協会の現場の皆さんがもう休日返上で審査に頑張ってくださっても、やっぱり承諾のペースというのはおのずと増えるには限界があるわけで、そういう意味では当時のようなペースでは全然承諾は増えない。審査が終わって承諾されたものが要するに一日でいえば一千億円とか一千百億円とかいうことで、ユーザーサイドである中小企業から見れば全然大丈夫な話ではないんですね。  むしろ、例えば行列の方はどんどん増えていると、行列が増えているにもかかわらず、審査した結果として信用保証協会が受けた数でいえば六兆円で大丈夫だということになるんですけれども、これ大丈夫というのは、要するに資金を供給する側からすれば大丈夫なんですね。でも、資金需要、要するにユーザー側からすれば大丈夫という話では全然ないわけで、今回、年内大丈夫と、この六兆円で大丈夫なんだという話が非常に独り歩きをしているんではないかというふうに思うんですが、このまま年末の資金需要、これで大丈夫だと言い切れるかどうか、政務官、いかがでしょうか。
  29. 松村祥史

    大臣政務官松村祥史君) 委員の御質問にお答えをしたいと思います。  確かに、現場ではいろんなトラブル、また借り手の皆様方、必死になって頑張っていらっしゃると、このように理解をしております。  しかし、この十月三十一日からスタートいたしました緊急保証制度でございますが、今回このような世界恐慌的な金融不安がございますが、今年に入りましてから中小企業者に対しましては、通常小規模事業者の皆様方にお使いをいただくマル経、これは通常五百五十万までしか借りることができませんが、一千万の拡大をしておりましたし、日ごろから危機に備えて準備を備えておったところでもございます。そのことを考えますと、十月三十一日からスタートいたしました緊急保証制度、しっかりと対応ができているものと思います。
  30. 川崎稔

    川崎稔君 先ほど冒頭で政務官おっしゃったように、今回の六兆円というのはどういう根拠でということでお聞きをしましたら、年間二兆円という通常のペース、これに一年間で四兆円ですか、一年半ですかね、これを加味したものだということなんですが、政府は、総理は百年に一度の金融危機だということでおっしゃっているわけですね。それで、この六兆円で大丈夫なんだ、年内大丈夫なんだという、まさに一日一千億あるいは一千百億のペースで進んでいれば年内はこの金額で大丈夫なんだということで、これまで第二次補正が今回の臨時国会で提出されないその根拠としてそういうことを言い続けておられるわけですが、これは中小企業の立場からすれば絶対に納得できない話ではないか。  それで、この点に関連しまして、事前に通告しているわけではありませんけれども、中川大臣大臣から御覧になって今回の措置、六兆円で大丈夫かどうかという点を含めて、中小企業のその悲鳴というのをどう受け止めておられるのか、感想なり御所見を伺いたいと思います。
  31. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 六兆円で大丈夫かどうかよりも、今、川崎委員が御指摘になったように、やはり年末に向けて、それでなくても厳しい中小企業地方経済の中で、特に年末に向けてあと三週間を切ったわけでありますけれども、資金繰りというのは毎年大変なわけでありまして、そういう中で今年は特に厳しい年になってしまっているわけであります。  ですから、六兆円が大丈夫かどうかよりも、本当に困っている方々にこの特別保証機能していくかどうかということによって、その結果、この保証が得られて融資が得られて事業ができて、今年も年が越せたよねと、そしてまた来年も頑張ろうよねと、こういう形になるようにしていくのがこの目的だと思いますので、私は、その六兆円で大丈夫だとか大丈夫じゃないとかいう議論よりも、実質的にこれをもって活用していただいて効果があったというふうになるように我々は現在努力していかなければなりませんし、今の御指摘を受けて、改めてこの制度を使っていただけるようにまた年末に向けて努力していかなければいけないな、中小企業庁と一緒に金融庁も努力していかなければいけないなというふうに今思っているところでございます。
  32. 川崎稔

    川崎稔君 是非、もう現場の悲鳴、まさに中小企業においては流動性の面からの倒産が急増しているということを是非御認識をいただいて、適切な対応をお願いしたいと思います。  私、終わります。
  33. 大久保勉

    大久保勉君 民主党大久保勉です。十五分しか時間がありませんので、早速開始したいと思います。  手元に十二月九日の農林水産委員会の議事録がありまして、実は私の質問があります。読み上げますと、今回もし金融機能強化法が可決、成立しまして、JAグループは三千億円以上取ることは一切あり得ないですね、そのことだけを確認したいと思いますという私の質問に対しまして、石破大臣はこう答えられています。読み上げます。現状においてあり得ないと考えております。  そこで、中川大臣質問したいと思います。中川大臣も三千億円以上の資本注入はあり得ないという認識でよろしいですね。
  34. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) いや、個々の金融機関が幾ら資本注入するかしないかというのは、私、存じ上げませんし、またお話しできる立場にございません。要は、この法案が成立し、施行した段階で、申出があれば手続にのっとって対応するということでございます。
  35. 大久保勉

    大久保勉君 農林中金の所管は農水省と金融庁ですから、いわゆる閣内不一致ということなんですね。  ですから、麻生内閣においては、石破大臣は三千億円以上は注入することはあり得ないと。なぜならば、こちらは貯金保険法で三千億円程度資金枠がありますからこれで十分ですと、金融機能強化法というのは中小企業融資のためですから当然ながら七千億ちょっとしか融資をしていない農林中金は三千億円以上は借りることはないですねということで念押しをしましたら、石破大臣は、現状においてあり得ないと。ところが中川大臣は、そういうことはないと。  このことは、中川大臣、やはり同じですね、見解は。中川大臣自身は、三千億円以上あり得るということですか。
  36. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 何がですか。
  37. 大久保勉

    大久保勉君 農林中金が金融機能強化法で申請して、例えば五千億欲しいとか一兆円欲しいといった場合に、五千億、一兆円資本注入をすることがあり得るという見解でしょうか。そのことを確認したいと思います。
  38. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) いや、あり得るかと言われればあり得るかもしれませんし、とにかく申請してくるかどうかも分かりませんし、申請してきた場合にどのぐらいを申請してくるのかについても分かりませんし、私は金融行政の立場から農林中金を見ているわけでございますので、どうぞ御理解いただきたいと思います。
  39. 大久保勉

    大久保勉君 時間もありませんが、農水相の石破さんと中川大臣は若干見解が違うということで、是非閣内で協議してください。  実は、次の問題としまして、農林中金は現在どういう状況にあるかということで、上野理事長に参考人として、こちらで質問しようと思いましたが、残念ながら来れないということで、農林中央金庫から参議院御中ということで書面をいただきました。  読み上げますと、平成二十年十二月十一日に開催の参議院財政金融委員会参考人招致の打診をいただきましたが、役員の日程の都合上、出席ができません。また、金融機能強化法の審議にかかり、同法に基づく適用申請に関する当金庫の見解については、現時点におきましても、平成二十年十月三十一日開催の衆議院財務金融委員会において理事長の上野から申し上げたとおり、「現時点で公的資金注入の要請を行うことは想定しておりません」とする見解に変更はございませんので、この旨申し添えますということです。  どうしてこの質問をしたかったかといいますと、中間決算の発表がございまして、一兆五千億超の含み損もありましたし、状況が変わっておりますから、農林中金としてどういう状況かということで確認したかったと思います。  こういった状況を踏まえまして、金融庁質問したいと思います。  金融庁は、農林中金の財務内容をヒアリングし、検査等で把握し得る立場にありますが、金融機能強化法、貯金保険法のいずれの点からも同様な認識であるか。同様な認識というのは、農林中金には一切そういった公的資金を入れる必要がない。参考人、お願いします。
  40. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) いずれにいたしましても、この制度はそれぞれの金融機関からの申請に基づきまして、その上で適正な審査を経て資本参加するかどうかというのを決定する仕組みでございまして、現段階で、そういった制度の枠組みの下でこれからも運営させていただくということでございます。
  41. 大久保勉

    大久保勉君 時間もありませんので、次の観点質問をしたいと思いますが、手元に十一月二十六日配信の時事通信の記事があります。読み上げますと、農林中央金庫は二十六日、二〇〇八年度内に一兆数千億円の資本増強に踏み切る方針を固めた。一行飛ばしまして、十二月十六日に出資者である全国の信連や信漁連などの代表者を集めた会議を開き、増資案を正式に提示するということであります。  調べましたところ、もう一つ議事録がありまして、石破大臣の方もこういった認識です。こういった資本増強に関しては、個々の信連、農協が今回出資をするというふうに聞いておりますということで、基本的には自己完結するから必要ないと。これはすばらしいことだと思います。  そこで、一点、いわゆる発行者にかかわる証券の法律に関して質問したいと思います。といいますのは、JAグループ七百六十五団体、信連が三十八、漁協が百七十二、信漁連が三十、合計千近いところに対しまして、いわゆる資本調達をするということでしたら、通常の銀行でありましたら公募売出しあるいは公募募集という証券の発行形態の手続が必要なんです。こういった手続を経ずに正式決定するというのは非常に難しいですから、やはりきっちりこういった手続にのっとって適切な開示がなされているかどうかに関して質問をしたいと思います。  これは金融庁参考人に対して、特に金融商品取引法等により要求されている一般的な銀行のエクイティーファイナンスの要件により発行されるのか、いや、農中は特別だからこういった条件は緩和されているのか、この点に関して金融庁質問します。
  42. 内藤純一

    政府参考人(内藤純一君) お答えいたします。  この点については、一般論として御答弁させていただきたいと存じますが、農林中央金庫は、農業協同組織等の系統金融機関全体としての金融の円滑を図るための出資を行っているものでございまして、普通出資の引受先はその会員資格を有する農業協同組合等に限られております。このような転々流通するということが想定されていない農中の普通出資に対しましては、金融商品取引法上の開示規制は適用されません。  他方、優先出資につきましては、転々流通して一般の投資家が取得する可能性もございますので、そういったことにかんがみまして同法上の開示規制の対象となると考えられております。  また、金商法上の販売勧誘規制についてでございますが、基本的には募集等の取扱いを行う金融商品取引業者に対する言わば業者規制でございまして、委員お尋ねの出資証券等につきまして、発行者自身が直接募集を行うといったような形での行為については適用されるものではございません。  いずれにいたしましても、農中が会員に出資を要請する場合には、同金庫の財務内容等を適切に会員に対して説明する等により会員の理解を十分に得ていくという必要はあろうかと考えております。
  43. 大久保勉

    大久保勉君 分かりました。  一点だけ確認したいのは、十六日に五十団体以上のところに対して出資のお願いとか若しくは決定をしますから、いわゆるこれは公募手続で行うべきなんですか、それともこれは私募でも大丈夫でしょうか、この点、質問します。
  44. 内藤純一

    政府参考人(内藤純一君) 私ども、先ほど一般論として御答弁させていただくというふうにお話しいたしましたのは、まだ内容について詳細を私ども承知しておりませんので、どういう形でその増資が行われるのかということでございまして、普通出資につきましては、今申し上げたような会員に対する増資というような形でございますので、金商法上の適用はない、優先出資につきましては開示規制等が対象となってくるというふうなことでございます。
  45. 大久保勉

    大久保勉君 続きまして、投資家の適格性に関して質問したいんですが、実際に引受けをします単位農協の剰余金が少ないという場合に、出資金がそれに比べて非常に大きい場合、万が一、万々が一、農林中金の普通出資金等が焦げ付いた場合に、会員の、JAの組合員に対して迷惑を掛けるおそれがありますから、こういった観点から、どういったJAが、単位農協が投資家として適格か、この点に関して質問したいと思います。
  46. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) どなた。
  47. 大久保勉

    大久保勉君 金融大臣です。これは質問通告しています。  質問通告の五番です。一般の投資家適合性の原則。大臣です。大臣質問通告しております。  じゃ、読んでいらっしゃる間に別の質問をして、その間に準備されてください。  じゃ、次は外為特会に関する質問ですが、外為特会のうち、預金が九百八十億ドルの預金があります。そのうち七百億ドルは外銀に預金しておりますが、世界的にドル資金繰りが厳しくなっております年末、年末越えの資金あるいは年度末越えの資金を邦銀や日系企業の海外現地法人に供給すべきじゃないかと私は考えています。これこそが国策だと思いますが、そこで、外為特会はこれから重点的に邦銀に対してお金を預金すべきじゃないか、一点目。二点目は、やはり自動車会社の海外現法とかいろんなところが厳しいですから、JBICに外為特会が融資をする、そしてJBICが日本の現地法人を助ける、是非こういったことを実行してもらいたいと思います。  そこで、質問としましては、こういったことが可能であるか、このことを財務大臣質問したいと思います。これも中川大臣ですね。これは一の六ですね。じゃ、一の五と一の六、同時でも結構です、読み上げてください。
  48. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まず一の五番でございますけれども、何ですか、協同組合組織の中央組織、この場合には農林中金だと思いますけれども、これはもう、完全な投資等についてのこれはもうプロです。一時期、農中といえば国際的な金融商品の取扱いの日本でもトップクラスと言われていた時期もあったわけでございますけれども、今こういう状況になったわけでございます。  しかし、単協の方はやはり全国に散っているわけでございまして、これは、その他の協同組合というのは一般的には、原則としてはやはり一般投資家、アマチュアだというふうに私は考えた方がいいんだろうというふうに思います。そういう前提で、これからまた組織内できちっとした対応をしていただきたいというふうに思っているわけでございます。  問い一でございますね。外為特会、これJBICを活用してということですね。過去にも、外為特会からJBICにお金を貸してそしてJBICでやったという例がございますけど、あのときはJBIC、昔の輸銀でございますが、輸銀が資金調達ができなかったという時代でございます。現在はJBICそのものが非常に調達能力もございますので、現在ではわざわざ外為特会のお金をJBICにつぎ込んでという要望もございませんし、我々も現時点では必要がないと考えております。
  49. 大久保勉

    大久保勉君 JBICに関して私なりに研究しましたところ、お金はありますが、安いドル資金がなかなか取りづらくなっています、社債市場も余り良くないですから。ですから、比較的安い資金を是非外為特会から融資する、このことを検討をお願いしたいということです。  このことをお願いしまして、私の質問を終わります。
  50. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 おはようございます。民主党の尾立でございます。  それでは早速、私も十五分でございますので、中川大臣に御質問させていただきたいと思います。私は大久保議員のようなシステマチックな順番で質問をしませんので、ちょっと事前通告なしからいきなりやらさせていただきたいと思います。  まず、私、院のお許しをいただきまして先週末、韓国に行ってまいりました。ウォン安、驚きました。今まで一万円で大体八万ウォンぐらいのウォンがいただけたものが何と十五万五千ウォンということで、ほぼ半値になっておったと。ちょっと時間があったのでデパートに行きまして買物をしましたら、クリスマス前ということで三割、四割引きということなんで、どんなに安く物が買えるかということを、有り難い思いはしてきたんですけれども、一方、韓国政府にとっては大変厳しい話だと思います。  特に外貨準備が不足するということ、昨日の予算委員会でもお話がございましたが、十一月の十四日、G20で日韓のスワップ、通貨交換の枠を広げるというお約束を前向きに検討するということを決めてこられたと思うんですが、十三日土曜日ですか、首脳会議では多分そのことが発表されると思うんですが、どの程度用意されるのか、現状百三十億ドル相当の枠を日韓で持っているということでございますが、どの程度広げられるのか、隣国としてできることは最大限やってさしあげたいというのが思いでございますので、お答えいただけますか。
  51. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、尾立委員のウォンが半分になっちゃったという話を聞いて大変びっくりいたしましたけれども、とにかく韓国、中国は日本の隣国であり、また非常に関係が深いわけでございます、経済的にも。  そういう意味で、G20のときに日中韓の財務大臣三人集まりまして会議をいたしまして、この世界的な金融危機の中で東アジアでも困っている国があるので、このASEANプラス3という意識の中で日中韓が協力して東アジアの中で貢献していこう、その一環として日中韓の、それぞれ通貨スワップを持っているわけでありますけれども、それを拡大をしようじゃないかということが合意されたわけであります。  現在、それを交渉中でございまして、今日、新聞にどんと出ておりますけれども、とにかく十三日の日中韓の首脳会合ではいい成果が出るように、拡大した形で日中韓が、特に日韓が合意ができるように今一生懸命交渉をやっている最中でございます。
  52. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 その件は新聞に先走りで出ておりますけれども、二倍規模の三百億ドル相当と。これはアメリカと韓国が結んだのと同程度だと思うんですが、その程度ぐらいと認識していてよろしいですか。
  53. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 中韓のことは分かりません。それからもう一つ、これは尾立議員も御存じのように、日銀分と財務省分とございます。財務省についても日中でやっております。日銀についてもやっておりますけれども、日銀のことは私からはコメントは差し控えさせていただきたいと思います。  いずれにしても、お互いが合意できるような形で、十三日ですか、迎えられるように今交渉を一生懸命やっているところでございます。
  54. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 是非よろしくお願いいたします。  それでは、今回の金融機能強化法の案件に含まれております新銀行東京について質問させていただきたいと思います。  まず、東京都の責任について、改めてこれまでの議論を振り返りましてもう一度確認をさせていただきたいと思います。一般論で構わないので、今回、新銀行東京の経営不振についてどの程度都に責任があったか、この件を金融庁大臣ですかね、どちらでも結構ですので、お答えください。
  55. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) お答えいたします。  個別金融機関とその株主との関係に対します個別の評価につきまして、当局としてお答えすることは差し控えたいと存じます。  一般論として申し上げますと、株主は経営に対してガバナンスの観点から適切な役割を果たしていくことが重要と考えているところでございます。当局といたしましては、銀行経営方針等に即しまして取締役会が役割と責任を適切に果たしているかなどについて検証を行い、適切な経営管理体制の確保に努めているところでございます。
  56. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 今回、東京都は単なる株主ではなく支配株主ということだと思うんですけれども、その上で今お配りしました資料を見ていただきたいんですが、金融庁の検査で都が過大な融資計画の作成に関与していたと、こういう指摘をしていたことが分かったという報道でございます。すなわち、新銀行東京は開業後、事業計画を繰り返し見直したが、都側はその都度、新銀行側にマスタープランの数値が基軸と目標達成を要求した、旧経営陣は融資拡大路線を続け、社外取締役も機能しなかったと、こういう報道なんですけれども、いかがでございますか、この報道に対して。
  57. 畑中龍太郎

    政府参考人畑中龍太郎君) お答え申し上げます。  今、委員指摘のような報道があったことは私どもも承知をしておるところでございますが、個別の金融機関にかかわる検査の内容を申し上げることは、当該金融機関の取引先の競争上の地位等、正当な利益を害するおそれがあるとともに、将来の検査一般におきまして多数の金融機関の協力が得られず正確な事実の把握を困難にすることから、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。  一般論として申し上げれば、金融検査の実施に当たりましては、金融検査マニュアルに基づきまして、例えば取締役会が経営方針や経営計画の策定につきまして、その役割と責任を適切に果たしているか等々、金融機関における経営管理体制の整備確立状況について検証を行っているところでございまして、仮に金融機関のこうした管理体制に問題が認められる場合には重点的に検証を行っているということでございます。  一般論としてお答え申し上げました。
  58. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 一方、この件に関しまして、中川大臣も記者の質問に対して、個別行のことでデリケートな話なので、金融庁ともよく相談した上で対応あるいは発表したいと、こういうふうにおっしゃっているんですが、対応また発表、どうされますか。
  59. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、報告書のやり取りをやっている最中でございますので、それについてはお答えできませんわけでありますけれども、一般論としては今事務方が答えたとおりでございます。
  60. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 今やり取りされているということは、そのうち対応あるいは発表されるということでいいんですね。対応はされているということなんですけど、発表されるということでいいんですね。
  61. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) きちっとした報告書が出て、それをまた我々が精査をして、その上で対応考えたいと思っております。
  62. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 一方、この件に石原都知事は、都の関与はなかったと、こういうふうにおっしゃっているんですけれども、これも前回の日銀の検査報告書の漏れ聞いたみたいな話と一緒で、意見が食い違っております。  ですから、改めて委員長にお願いしたいんですけれども、再度、金融庁の検査報告書、これは秘密会議でも結構ですので、開示をいただきたいということと、さらには石原都知事の参考人招致を要求をさせていただきたいと思います。
  63. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたしたいと思います。
  64. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 それで、さっきの農中の話とも似たような話でございます。今回、衆議院で附帯決議が付いて、新銀行東京についてとは書いていませんが、地方公共団体の経営する銀行については一義的には地方公共団体に責任があると、こういう附帯決議が付いておると思いますが、そこで、新銀行東京の経営陣は取締役会で、公的資金注入を申請しないと、こういうふうに決めたというふうにこれは発表されておりますし、それに対して石原都知事も議会で、結構なこと、その必要はないと、こういうふうに言い切っておられます。  ということは、そもそも今回の法案の対象にしなくてもいいんじゃないかと思うんですけれども、それでもなぜあえてこの法案の中に地方公共団体を対象に入れるのか、改めて大臣にお聞きしたいと思います。
  65. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 先ほどの農中のやり取りもそうだったんですけれども、我々は最初から、絶対に資本要請をしないから、絶対にしないんだと仮に言った銀行があったとしても、じゃ最初からそれを外しますということも我々金融行政としてはできにくい話でございまして、あくまでも金融機関である以上は、申請はどうぞしてください、しても結構ですよと。そこから先が我々のチェックなりあるいは第三者機関の御判断をいただくなりということでございますから、絶対に注入、要請しないんだと、じゃ、あなたは最初から外しますと、これも何となく行政としては安定性を欠くような話でございますので、するかしないかは別にして、一般論として、最初からどこかの銀行を排除するということは考えておりません。
  66. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 でも、旧金融機能強化法ではあらかじめ限定をしておったわけですね。今回それを広げているわけですよね。ということは、そういうことが行政の裁量で可能だということをまさに示していらっしゃるんじゃないですか。そしたら、最初から全部金融機関入れておけばよかったものを、なぜ最初は限定していて今回だけ広げる。話がおかしいじゃないですか。
  67. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) いや、ですから最初から排除をするということが私は安定性を欠くというふうに申し上げているわけであります。
  68. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 じゃ、前回がおかしかったということですか。
  69. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今回は、ですから目的は中小企業支援といいましょうか、地域経済にお役に立っていただきたい、そのために金融仲介機能をより強化したいというのが目的でございますので、そういう趣旨最初から排除することは必要はないということを申し上げているのであります。
  70. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 いずれにいたしましても、私たちはこの新銀行東京に公的資金を注入するということに対しては理解をすることはできませんので、その点だけはまずここではっきり申し上げたいと思います。  そしてまた、ちょっと余談でございますが、委員長、我々が参考人招致、石原知事に求めたんですけれども、その件に関して都議会でこのようなことをおっしゃっています。我々の参考人招致に関連して、参議院を人民裁判だと。すごい言葉をおっしゃるものだと思うんですけど、これも議事録に残っていることなんで、改めてそれは委員長から抗議をしていただきたい。仮にも国会議員されていた方でございますし、その参考人招致の意味というのはよく分かっておられると思いますので、この点は是非注意を、院として注意をしていただきたいと思います。
  71. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 今の点については、後刻その議事録をきちんと取り寄せて、そしてまた理事会の皆さん等に協議をさせていただいて、しかるべき措置をとりたいと思います。
  72. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 それでは、最後の質問でございます。  今回の我々の主張も取り入れていただいて、中小企業金融検査マニュアル、改定をいただきました。ただ、これ十一月に改定したばかりなので、改定したということの周知徹底、また一般の金融機関、さらには利用者の方にはなかなか伝わっていないんです。  ということで、私は、この周知徹底を含めて、実効性が上がっているということを確認するためにも、この一、二、三月期は、是非金融庁の検査、この条件緩和の部分に絞った特別な集中的な検査をされるのはどうかと思っておるんですが、大臣、いかがでしょうか。
  73. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 確かに、衆議院でのやり取りの中で、条件緩和債権についての区分変更はしないというふうにさせていただきました。尾立委員指摘のように、これを周知徹底することが大事でございまして、金融機関が知らなかったりということのないように、これは金融庁を通じて徹底的にやっているつもりでございますけれども、引き続き我々も周知の努力をしていかなければなりません。  これだけのための金融検査といっても、なかなか金融検査というのも御承知のとおり大変なものでございますから、これだけで全国の金融機関をチェックするというのも正直申し上げて物理的にも大変だと思っております。ただし、尾立委員の御趣旨は私も全く同感でございますので、更に周知徹底するように努力いたします。
  74. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 終わります。
  75. 森まさこ

    ○森まさこ君 自由民主党の森まさこでございます。本日は、金融機能強化法等の締めくくり的な審議におきまして自由民主党を代表して質問する機会をいただきましてありがとうございます。  中川大臣にお伺いしたいと思いますけれども、締めくくり的な意味で、改めまして、この金融機能強化法改正案意味を、今貸し渋りに非常にあえいでいる、金融危機の中で大変な状況にある中小企業融資拡大にどのような効果があるのかといったことについて御説明をお願いいたします。
  76. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) この金融機能強化法というのは、一度、既にあった法律でございますけれども、実質的に失効していたというものであります。私の認識では、昨年来、世界の金融がちょっとおかしくなってきている。金融ですから、一瞬にして、ヨーロッパの北の方のある国のようにトリプルAだった国がある日突然破綻をしてしまうみたいな恐ろしいことが金融の世界では起こるわけでございますから、我々としても、万全を期して、できるだけやれることはやっておかなければいけない。万が一、もちろんないことがいいんですけれども、万が一のためということは特に金融の場合には私は必要だろうというふうに思っております。  そういう意味で、十月からこの法案の審議を衆議院、そして参議院でやっていただいております。審議を通じてもいろんないい御意見が与野党からいただきまして、私がこれはいいアイデアだなというものは実際に与野党問わず途中で取り入れさせていただき、また先ほどの条件緩和債権のようなものも実際にやっているわけでございます。  そして、特にここに来て日本経済が急速に悪くなってきていると。つまり、特にダメージがあるのが中小企業、全国のいわゆる地方でございますので、審議が今日ここまで来ることができたのは委員長を始め皆様方のおかげでございますけれども、一刻も早くこれが機能するようにひとつ努力していかなければならない。本当にあのときから見ると想像ができないぐらいに今、日本経済が年末を迎えて悪くなっているということを踏まえますと、この法案機能するということが大変重要なことではないかというふうに思っております。
  77. 森まさこ

    ○森まさこ君 ありがとうございました。  先ほど大臣も、金融仲介機能、これを回復させていくことが大切なんだとおっしゃいましたが、この金融機能強化法金融機関の方が自ら進んで申請をしなければいけないんですが、手を挙げた銀行に対して、あら、やっぱりあの銀行はといったような風評被害が心配されたり、公的資金を注入するということは税金を入れるということ、その税金が返ってくるんだろうかというような国民の不安でありますとか、金融機関自身について考えても、衆議院で経営責任の明確化が盛り込まれたので、それを具体的にどのようなものなのかきちっと明示していかないと、金融機関の方にも予測可能性というものが乏しくなっていってしまうと思います。  金融機能強化法改正案が円滑に施行されるように金融庁の方でどのような方策を考えていらっしゃるんですか。金融庁、お願いいたします。
  78. 内藤純一

    政府参考人(内藤純一君) お答えいたします。  委員指摘のように、仮に本法案をお認めいただいた後には、まずは今般の改正趣旨が、地域経済中小企業を支援するため国の資本参加により金融機関資本基盤の強化を積極的に推進するものであり、経営が悪化した金融機関に対する措置ではないということを広く周知することにより風評被害の懸念を払拭してまいりたいと考えております。  さらに、今回の改正法案では、国の資本参加に当たりましては、経営責任等の明確化を制度上一律には求めないなど注入要件を緩和した一方で、必要に応じ経営責任の明確化を求めることもあり得ることから、その際の当局としての考え方などについても周知してまいりたいと考えております。  加えまして、金融機関経営強化計画の進捗状況が定期的に開示されることにより透明性を確保し、利用者の安心感の確保を図ってまいりたいと考えているところでございます。
  79. 森まさこ

    ○森まさこ君 大臣も先ほど、一刻も早く機能するようにしなければならないとおっしゃっておりましたが、この金融機能強化法の早期施行の必要性が非常に高いと思います。私も、地元の福島県から毎日悲鳴のような訴えが届いております。金融庁の方の施行時期の見通しというものについて伺いたいと思います。
  80. 内藤純一

    政府参考人(内藤純一君) お答え申し上げます。  現下の極めて厳しい経済情勢の下におきまして、金融機関には金融仲介機能を適切かつ積極的に発揮していくことが求められているところでございます。これを支援するため、国の資本参加の制度を速やかに利用可能なものとすることが必要であると考えております。このような枠組みが用意されることにより、金融仲介機能を担う金融システム全般に安心感を与えることにもなると考えております。  以上を踏まえまして、仮に法案をお認めいただいた後には、可能な限り早期に施行できるよう関係政府令などの作業を急ぐとともに、施行後の円滑な運用が確保されるよう制度の周知に努めてまいりたいと考えております。
  81. 森まさこ

    ○森まさこ君 是非施行を急いでいただきたいと思います。  施行されるまで中小企業の年末の資金繰りというのも非常に懸念されるわけでございますが、中小企業庁の方にお伺いしたいのですけれども、緊急保証制度、先日、この委員会でも中小企業の現状について視察をしてまいりました。昨日から対象業種も鉄スクラップ加工業者や印刷業者などに拡大をされたというふうに承知をしておりますが、この制度が円滑に利用されて中小企業資金繰りの助けになるようにどのような運用をなさっておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  82. 横尾英博

    政府参考人(横尾英博君) お答え申し上げます。  緊急保証制度につきましては、昨日までで六万七千件、一兆六千億円の承諾実績となっております。制度開始に当たりまして、中小企業者の方の経営実態をよく見て対応するようにということで、二階大臣から全国の信用保証協会の方を集めてお話をいただきましたが、十二月の二日にも再度保証協会の代表者の方に集まっていただきまして、年末を迎えて万全の相談、審査体制を取っていただきたい、それから中小企業の方の立場に立った親身なかつ迅速な対応をお願いをしたいということで再び要請をしてございます。  また、一昨日、私ども、地方ブロックの経済産業局長会議を開催いたしまして、ブロックごと、関係機関と連携して年末の資金繰り対策に万全を期すようにということでやっております。  そのほか様々な形で中小企業者の方の声を直接伺って、それを運用の改善に役立てております。年末に向けまして、引き続き資金繰り対策に万全を期すよう努めてまいりたいというふうに考えております。
  83. 森まさこ

    ○森まさこ君 是非しっかりとお願いをしたいと思います。  さて、先般の質問のときにも取り上げさせていただきましたデリバティブ取引の件なんでございますが、これが大変な反響がございまして、実は福島県のいわき市の事例だったんですけれども、その他の地域の方にもこのような事例があるということですので、今日は更に取り上げさせていただきたいと思います。  どのような事例だったかと申しますと、福島県の中小企業のところに大都会のメガバンクが突然やってきて、おたくの企業は優秀ですので是非取引をさせてくださいと。それまで地銀さんと取引をしていたんですが、喜んで取引をさせていただくと。使わないような一億円なんですが、借りて、それはつつがなく返す。ところが、それと抱き合わせのような形で、その三%だけの三百万円、デリバティブ商品を付き合ってくださいと言われて、その損害が一億円、あっという間に一億円になってしまう。申し出たときに既にもうその商品は大分損が出ていたんですが、そういったものも隠してしていたという、これがもし組織的にされていたということになると大変な問題であると思うんです。  大手銀行がサブプライムローン等で非常な損害を得た、それを地方中小零細企業にツケ回すようなことがあってはならないと思うんです。金融庁の方がこういうような事例についてしっかりと監督をしていただきたいと思うのですが、その点について、金融庁の方、もう一度監督についての詳しい内容をお聞かせください。
  84. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) お答えいたします。  個別の取引についてのお答えは差し控えさせていただきたいと存じますが、一般論として申し上げますと、銀行は、銀行法第十二条の二第二項などによりまして、顧客の知識、経験等を踏まえ、取引の内容やリスクの説明を適切に行うための措置を講じるなど、十分な体制を整備することが義務付けられているところでございます。また、監督指針におきまして、銀行が顧客との間でリスク商品等の契約を行う際には、顧客の十分な理解を得るために必要な情報を的確に提供するなど、適切な業務運営を行っているかを検証する旨明記しているところでございます。  したがいまして、銀行法や監督指針の趣旨に照らしまして、銀行の内部管理体制に問題がないかといった観点から検証し、仮に問題が認められました場合には、その重大性等を勘案しながら必要な行政対応を行うこととしているところでございます。
  85. 森まさこ

    ○森まさこ君 この点につきまして、中川金融大臣の方からも、こういうような金融商品の取引の被害を出さないために金融庁はいかに取り組んでいくべきかというようなお考えを一言お聞かせください。
  86. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今事務方から答弁がありましたように、法律できちっと金融機関という定義もありますし、また何といっても金融のプロであるという責任とある意味では誇りを持ってもらわなきゃ困るわけでございます。  そういう中で、金融機関同士の間でそういうような問題が起きるというのは私はやはり金融機関同士の間で、特に法令違反がなければこれは原則我々が介入することではないわけでありますけれども、しかし金融機関に本当に何かの出来事が起きますとその影響というのは非常に大きいわけですから、本当にそういうことがないようにするように、我々もきちっと、権限としてできるところはきちっとやってまいりますし、また金融機関の方も十分そういった果たすべき役割というものをきちっと果たしていただきたいというふうに思います。
  87. 森まさこ

    ○森まさこ君 ありがとうございます。  最後の質問になりますが、中川金融大臣に最後に、この金融機能強化法の施行が早くなされるということが非常に必要であると思います。全国の貸し渋り又は資金調達に悩んでいる中小企業を助けるために、そこにお金が回るように、この金融機能強化法によって公的資金を注入していく、その施行をなるたけ急いでやるという御決意を最後にお願いをいたします。
  88. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 御指摘のとおりだと思います。経済が非常に厳しくなってきている、そしてまた年末を迎えている、特に地方中小企業。そして、そのために果たすべき金融機関の役割というのはそれだけにますます私は大きくなっていると思います。  そういう意味で、金融機関資金をきちっと提供できるように、先ほどの緊急保証制度も含めまして、我々としては全力を挙げてあらゆる、これも含めてあらゆる対策をこれから年末に、特に年末に向けて、目の前は、あらゆる努力をしていきたいというふうに思っております。
  89. 森まさこ

    ○森まさこ君 是非、金融大臣のリーダーシップでよろしくお願いをいたしたいと思います。  そして最後に、多重債務問題や商工ローンの被害もたくさん出ております。こういったものを横断的に取り扱うという消費者庁法案についても一刻も早く審議入りができますように、野党の先生方にも御理解をいただけますようにお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  90. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 それではまず、金融機関、民間金融機関中小企業に対しての貸し渋り問題についてお尋ねをいたします。  実際、中小企業向け融資の残高というのは、民間金融機関については減ってきているわけでございます。年末の資金繰りを迎える中で大変懸念をしているところでありますが、最近の報道では、金融庁金融機関の貸し渋りを回避するために中小企業向け融資の姿勢を検査対象に加えて実施をする、このように先月末の報道では言われておりました。  その取組は評価をいたしますけれども、この検査対象、マニュアルに載りますとそれだけクリアすればいいと、新聞報道によりますと、例えば地域の他の金融機関との比較で極端に減っていないかとか、そんなことをチェックするという報道ぶりなんですけれども、そういう点だけクリアすればいいではないかというような対応をすることも心配をするわけでございます。  したがいまして、金融庁の方でそうした取組をすることは大いに評価をするわけでありますけれども、実際に貸し渋りの防止に対して効果があるような検査を推進をしていただきたいと思いますので、大臣にこの点をまずお尋ねいたします。
  91. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 一番最初にも申し上げましたが、今いろんな事情で、特に中小企業が年末を控えて、またこの経済状況の中で必要な資金があるわけでございますけれども、今、荒木委員が御指摘になりましたように、なかなか取りにくいということになりますと、これは年末大変なことになるわけでございます。ですから、緊急保証を含めましてやっているわけでございます。  今御指摘のように、中小企業向けというものを検査の対象にするということにつきましても、この時期非常にそれが大事なことだろうというふうに思っておりますので、私といたしましても、また金融庁といたしましても、その趣旨金融機関にきちっと伝わっていくように我々としても見ていきたいというふうに思っております。
  92. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 それでは、まず政府参考人の方に今日は最後の法案質疑でありますので確認をしておきますが、今回の金融機能強化法改正については、中小企業金融円滑化に資するものとして各方面から期待をされているわけであります。  そこで、今回の改正は現行法と目的規定は同じなわけですね。そういう中で、この改正によって中小企業金融円滑化促進されるということが法文上どういうところできちんと担保がされているのか。立場によってはこの目的規定も変えたらどうかという、まあ後で修正案も出ると聞いておるんですけどね。我々はこの法案の中でちゃんとそうしたことは担保されているんだと、このように勉強をしたわけなんですが。  その点、ちゃんと中小企業金融信用供与円滑化担保されるんだ、そういう意味での地域経済の活性化なんだというこの法案の仕組みを説明してもらえますか。
  93. 内藤純一

    政府参考人(内藤純一君) お答えいたします。  今回の金融機能強化法案の私どもの提案の中で、まず第一点は、申請時における経営強化計画というものを金融機関から提出をしていただきますけれども、その中にこれまでは信用供与円滑化地域経済の活性化に資する方策というものを書いていただくというふうな形で条文上の記述がございましたが、ここをより明確にするために、中小企業に対する信用供与円滑化等ということで、その明示をしたということが第一点でございます。  それから、大きな第二点でございますが、今度は、その申請を受けまして国の資本参加の基準というものを決めるわけでございますが、そこで従前は、地域における金融円滑化が見込まれることと、こう書いてございました。ここもより明示をさせまして、地域における中小企業に対する金融円滑化等が見込まれることというふうに改正をする、そういう提案を申し上げているところでございます。
  94. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そうしますと、今回の改正の大きな趣旨一つが、もう中小企業に対する金融円滑化、これが担保されるようにしたんだということが今のお話できちんとこの改正の中の大きな項目になっている、このように私は理解をするわけであります。  ただ、私も今回の委員会で質疑をしたわけでありますけれども、現行法における資本増強の例は二件しかないということで、それぞれ地域経済の活性化には寄与をしたんだと、こういう御説明であったんですけど、数も数であって、どこまでそれが検証できるのかという、そういう不安もあるわけなんですね。  したがいまして、今回の改正によって、しかも改正の中で中小企業に対する金融円滑化を図るための改正だという、条文上はもうしっかりそうなっているわけですから、実際にそういう所期の目的を達するような運用、またこの参衆での委員会での議論も踏まえて、そういう対応大臣として取っていただきたいわけでありますけれども、この改正された法の運用についての心構えといいますか、姿勢を伺いたい。
  95. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、荒木委員がおっしゃいましたように、元々この法律はあるわけでありますけれども、なぜこの法律をまた、何ですか、生き返らせるというか、また法律機能させるようにすることになったかといえば、言うまでもなく、金融システムの中で更に資金を提供するという金融機能強化させるんだということでございます。  つまり、世界的なこの金融不安、金融危機の中で、日本システムはしっかりしているけれどもみんな信用機能を果たしにくくなっているという状況を、公的なお金を使っていただいてその機能強化するということでございます。とりわけ、今回は地域中小企業ということに、今局長からも答弁ありましたように、そこを最大のポイントとしてやっていくんだということでございます。  したがいまして、決意につきましては、もう言うまでもなく、さらに、この十二月の今日十一日という時点、年末であり、しかも経済状況がますます厳しくなっているという状況でございますから、その目的がますます重要になってきているということで、頑張っていかなければいけないというふうに思っております。
  96. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 最後に、大臣金融機関経営体質強化についてお尋ねいたします。  金融機関の九月中間決算を見ますと、主要行、地域銀行とも大幅な減益となっております。不良債権処理費用も急増する等、経営状況が悪化しておりまして、地銀や信金の一部には赤字決算を余儀なくされているところも現れております。これは、今回の金融危機当初から心配されてきたことでもあります。自己資本比率の規制の緩和あるいは時価会計についての一時的な緩和措置は既に講じられておりますけれども、この金融機関経営市場変動の影響を受けやすいという構造をどう改善していくかということが今後のかぎではないかと思います。一部では、そうした意味地域金融機関の再編をまた進める必要があるんではないか、こういう論評もあるわけです。  そうした意味で、特に地域銀行を中心としまして経営基盤を強化していくために今後考え得る行政的な課題があれば、最後にお尋ねをしておきます。
  97. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) この法案に関しましては、先ほどから出ていますように、とにかく、金融機関はもとよりでございますけれども、借りる側の方も、今、荒木委員と私がやり取りやりましたようなことを是非知ってもらいたい、理解してもらいたいということが最も大事なことだろうと思います。また、金融機関の方も今、きめ細かく申請のときのやり方についてはこれから作業を進めていくわけでございますけれども、柔軟にと言うとおかしいわけでありますけれども、しゃくし定規じゃなく、地域に密着したプロの目利きで地域中小企業に対して必要な資金が提供できるように、金融機関の方もこの法案趣旨を理解してやっていただきたいというふうに思います。
  98. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 終わります。
  99. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門でございます。  今日が最後の審議ということで、ちょっと名残惜しいものがございますけれども、まだまだ深めなきゃいけない問題点があると私は思っておりますが、今日は中小企業融資セーフティーネット保証における銀行の姿勢について何点か質問したいというふうに思います。  セーフティーネット保証の中で、ノンバンクとか商工ローンから借りているというだけで保証協会に門前払いをされるという例がこの間たくさん出ております。事業者にとってはノンバンク、商工ローンから借りるというのは、そもそも銀行が貸してくれないから借りざるを得ないとか、あるいはちょっとしたつなぎで借りるという場合が多いわけでございまして、必ずしも多重債務に陥っているというふうなこととは限らないわけでございます。この辺の人たちが今一番最前線で融資に困っているわけです。  仮に多重債務と言われる人の場合でも、多重債務問題改善プログラムという政府の大方針がございますが、その中ではそういう場合でも政府系金融機関等は窓口に来たらきちっと債務整理をしてもらうとかそういう相談に乗るべきだというふうになっておりまして、保証協会がとにかく門前払いをするというのは許されないことでございます。  この問題はこの間いろいろありましたので、さきに経済産業省に保証協会に対してこういうことのないようにという指導をお願いしたところでございますけれども、具体的にどういう指導をされたのか、ちょっと教えてもらえますか。
  100. 横尾英博

    政府参考人(横尾英博君) お答え申し上げます。  緊急保証制度の運用につきましては、今委員指摘の商工ローン等からの借入れの有無といったそういった形式的な事象のみでなく、中小小規模企業の方の経営実態、特性を十分踏まえた上で判断をしていただきたいということで、この旨、二階大臣から各信用保証協会のトップに直接要請し、また文書でも徹底をしております。また、保証協会が現実に相談を受けた際に、仮に多重債務で苦しんでおられる方には必要に応じて専門家を紹介するなどの取組を行うこととしております。  この年末の資金繰り対策におきまして、改めて全国信用保証協会連合会を通じまして今の趣旨を、各信用保証協会で多重債務問題への対応をするようにということで申し入れて、要請をしてございます。  引き続き、中小小規模企業の方の資金繰り支援に全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
  101. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。早速対応していただきました。現場がどう具体的に改善されていくのかというのは引き続き注視していきますので、御努力お願いしたいと思います。  今は保証協会が門前払いしている例ですけれども、次に、保証協会がオーケーをしても、ノンバンクから借りているという理由だけで中身も見ずに金融機関銀行が拒否をしているという例がございます。これは具体例でお話ししたいんですけれども、中川大臣金融円滑化大臣目安箱というのをつくられまして、そこにも寄せられている内容で、私のところにも来た内容でございますが。  もう具体的な話をした方がいいと思いますので北海道小樽市のWさんという方にしておきますが、この方は、十二月に政府のセーフティーネット保証を受けたいということで北陸銀行に相談をいたしました。当初、北陸銀行の窓口の担当者は問題ないということだったので保証協会に申請をして、保証協会もオーケーを出したと。正式に、北陸銀行の小樽支店ですね、小樽支店に行ったところ、融資課長さんが、ノンバンクから借入れがあるので融資ができないと。そんなことはということで何度か交渉されたら、これ以上来るなら営業妨害に当たると厳しく門前払いをされたということでございます。  中身を聞きますと、このWさんという方は、ノンバンクの借入れといっても百三十万円ぐらいで、返済も滞っていませんし、多重債務でも何でもない方でございます。こんなのはおかしいということで、十二月八日ですか、中川大臣の目安箱にメールを送られたということでございます。  大臣、このメールお読みになりましたか。
  102. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 目安箱をつくって約二か月、六十日ほどの間に私の手元に六百数十件いただいております。その中の一つとしてこれがあることは知っております。したがって、読みました。
  103. 大門実紀史

    大門実紀史君 六百数十件すべて読んでおられるということで、大したものだなというふうに思います。ちなみに、目安箱を始めたのは徳川吉宗でございますけれども、徳川吉宗も本当は全部読んでいなかったという話があるぐらいでございまして、大変感心をいたしました。  このWさんは、その後、北海道の財務局小樽出張所に行かれて改善を申し入れられました。財務局は非常に誠実な対応をしていただいて、北陸銀行の本社に連絡をするということもしてもらっていますし、北海道の財務課にも相談したらこういう対応はあり得ないということでございましたので、これは金融庁を通じて、個別案件でもありますので、北陸銀行に改めて指導をお願いしているところでございます。  私、申し上げたいのは、このノンバンクだけではなくて、全体として保証協会がオーケーをしても銀行が拒否をするという例が増えております。これじゃ、せっかく政府の対策といいますか、セーフティーネット保証をやっても、現場で使われないというか、使えないことになってしまうわけでございます。是非、金融庁として保証協会保証が付いたものにはちゃんと銀行融資するようにということを徹底してほしいと思いますが、金融庁、何か手を打ってもらいたいと思いますが、いかがですか。
  104. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 私どもといたしましては、これまでも中小企業と連携しながら、各金融機関に対しまして、信用保証協会緊急保証制度に関しまして中小小規模企業金融円滑化に有効に活用されるよう対応することということを繰り返し要請してきているところでございます。  中小企業に対する円滑な金融は民間金融機関の最も重要な役割の一つであると認識しておりまして、引き続き緊急保証制度の周知徹底を含めまして各般の施策に取り組んでまいりたいと考えております。
  105. 大門実紀史

    大門実紀史君 是非お願いしたいと思います。  この金融法案が通らないと何か中小企業は心配だと、だから早くという話が、何かあたかもそういうことばかり言われているんですけれども、例えば保証が付いている、信用保証協会保証が付いているものまで貸さないという現実があるわけですね。これは資本増強とか何だとか以前の問題で、現場で実際に起こっているのはこういう問題でございますので、今回の法案が通らなければ云々というのは、もうちょっと現場のことを勉強してほしいなと。違うレベルなんですよ。一〇〇%保証が付いても貸さないというのは違う別の問題なんですよね。是非、そういうふうにもっと現場を知ってほしいなというふうに思います。  さらに、銀行セーフティーネット保証を積極的に使っているのかと、活用してくれているのかと思ったら、今度はまたとんでもない事例が出てきております。要するに、銀行のプロパー融資をこのセーフティーネット保証緊急保証を使って付け替えをやろうということが起きております。特に顕著なのが、自治体も融資制度、政府の制度と併せて自治体の緊急融資制度をどんどんつくっておりますけれども、そこのところに銀行がどんどん入り込んでいるという例ですね。  大阪市で申し上げますと、十月三十一日から一日五百人以上の申請を緊急融資で受けて、そのときに金融機関の担当者が一人で十企業以上の白紙委任状と書類を持って申込みに来ているとか、これは大阪市はびっくりいたしまして、これは一部の金融機関がこの緊急保証制度を悪用して自分たちが元々貸していた借金の付け替えをやっているんじゃないかということで、十一月二十一日から金融機関による代理申請を当面禁止をいたしました。これは熊本県でも起きております。  御存じのとおり、この緊急保証制度というのは、過去の借金を返すために使ってはいけないということになっているわけですね。ところが、銀行の方はこの制度を利用して、悪用してですね、過去の借金の付け替えをねらったと。つまり、中小企業にこの制度を使って融資をさせて自分たちの過去の融資を返させると、新たに融資した分は一〇〇%保証ですから何かあれば信用保証協会が穴埋めしてくれると、これを悪用している例でございます。  今、各自治体から上がっている声としては、こんなのはもう銀行のモラルハザードじゃないかと。本来困っている人のための制度なので、国がきちっとこういう付け替えなどを絶対やらないように金融機関を指導してほしいという自治体から声が上がっております。  金融庁、これは、こんな付け替えは本当にけしからぬ話だと思いますので、具体的にこの問題だけで指導を徹底してほしいと思いますが、いかがですか。
  106. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) お答えいたします。  政府といたしましては、現下の厳しい経済環境の中で、中小小規模企業資金繰りを支援することを目的として緊急保証制度実施しているところであります。仮に本制度の利用に際しまして御指摘のようないわゆる旧債振替が行われるとすれば、制度趣旨に反するものであると考えているところでございます。  私どもといたしましては、中小企業と連携しながら、この緊急保証制度活用に当たり、いわゆる旧債振替、これを行わないこと、こういったことを含めまして、制度趣旨を踏まえた円滑な資金供給確保に一層努めるよう全国の金融機関に対してこれは文書により要請を行っているところでございますが、今後とも中小企業に対する円滑な金融、これが適切に行われますよう各般の施策に取り組んでまいりたいと考えております。
  107. 大門実紀史

    大門実紀史君 大臣、一言お伺いしたいんですけれども、さっき言いました保証協会保証が付いていても貸さないとか、こういう付け替えをやると、こういう銀行の姿勢、どさくさ紛れにいろんなことをやろうという、に対して大臣からも一言厳しい御発言をいただきたいというふうに思います。
  108. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) その付け替えとか保証が付いたのに貸さないとか、さっきの、私も銀行員だったんですけど、銀行の窓口にお客さんが来たら営業妨害だぞというのはちょっと信じられないですね、それが本当だとすれば。  いずれにしても、そういうどさくさ紛れ等々は絶対にあってはならないことだというふうに思っております。
  109. 大門実紀史

    大門実紀史君 もう今の大臣の答弁を全国の金融機関に流してほしいというふうに思います。  今、全体としてとにかく借金している人がますます大変な事態なんですけれども、ちょっと違う種類の話ですが、サラ金問題をずっと私取り上げてまいりまして、今焦点となっているのは、貸金業は、貸金業法改正されまして、いわゆる過払い金、サラ金に払い過ぎたお金を当然返してもらうべきなんですけれども、なかなか自ら進んで返さないと。高金利のまま、まだ取立てをやっているとか、過払い金の返還請求すると時効だとかいろんなことを言って拒否をするというふうなことがまだ続いております。  これは一般論として、まず大臣にこれも基本的な考えですのでお伺いしたいと思いますけど、そもそも払い過ぎた、取られ過ぎたお金でございますから、これはもう法的にどうこう言う前に、企業の社会的責任、道義的責任として自ら進んで債務者に過払い金は返す、あるいは計算し直すということを当然やるべきだというふうに思います。  もう一つは、貸金業法改正のときに、予算委員会でしたか、議論したとき、与謝野大臣でございましたけど、サラ金というのは実はみんな大銀行の子会社なんです。実質的には大銀行がやっているようなものなんですね。与謝野大臣は、一流銀行と思ってきたようなところが近ごろこんなことをやっているのは不愉快だという発言を、まあテレビ放映でしたから、されて大変話題になりました。ですから、あのときからもう続いている問題ですが、大銀行の姿勢そのものなんです、このサラ金問題というのはですね。  例えば、御存じない方いらっしゃると思います、アコムというのは三菱東京UFJですね。プロミスは三井住友です。レイクは新生銀行です。こういうところの子会社でございますので、銀行そのものが、今申し上げた過払い金を返すことに消極的というか、できれば抵抗しているというのが今の状況でございます。  こういう大銀行ともあろうところが、これ当然、普通なら法律違反でございますから、そんなのは進んで返すべきだと思うんですけれども、こういう銀行の姿勢について、大臣、いかが思われますか。
  110. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 法律的な問題ということは当然あるわけでございます。  一般論として、親会社がいろいろいるという例はあるんだろうと思いますが、こういう問題というのは、いわゆるサラ金の過払い問題というのは社会的にもいろんな問題を起こしたわけでございまして、だからこそルールが改正されたわけでございます。そのルールと、そしてまた貸金業者のプロたちの私はプロ意識というものでこの問題は、法律を別にすれば、プロ意識できちっと対応すべき問題だろうというふうに思っております。
  111. 大門実紀史

    大門実紀史君 私もそう思うんですね。企業としてきちっとやるつもりならば、こんな取り過ぎたお金なんか返すのが当たり前でございますので、プロ意識といいますか、そういうことは求められるというふうに思います。  ちょっと金融庁に具体的にお聞きいたしますけど、法律的に過払い金返さないから行政処分をするというふうな仕組みになっていないのは十分承知をしております。しかし、貸金業法改正に至る経過いろいろありましたけど、金融庁もその後の多重債務対策も含めてこの問題ではかなり頑張ってこられたわけですね。そういう点でいきますと、やっぱりこの過払い金、本来速やかに自ら進んで返すべきもの。しかし、法的に返さないからといって行政処分とかにならないのは分かっておりますけれども、金融庁の今までの姿勢からすると、やっぱり返していってほしいと思われているのじゃないかというふうに思います。  何か、この業界あるいは各サラ金、大銀行に対して何らかの過払い金を返す方向で努力してもらうような要請をしてもらいたいというふうに思いますが、いかがですか。
  112. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) ただいま先生御指摘になりましたとおり、これは民事上の権利調整あるいは最終的に司法判断ということもございますので、監督当局としての行政の対応につきましては慎重であるべきところがございます。他方、貸金業者の過払い金返還請求への対応に関しましては、御指摘の点も含めまして様々な御批判があるところと承知しております。  このため、貸金業法上の自主規制機関であります日本貸金業協会において、実態を踏まえまして業界としてどのような改善が可能であるか、これを検討してもらうことを考えているところでございます。
  113. 大門実紀史

    大門実紀史君 今の答弁で結構です。引き続き努力をしていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  114. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  115. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  この際、委員異動について御報告いたします。  本日、平田健二君及び大島九州男君が委員辞任され、その補欠として高橋千秋君及び森田高君が選任されました。     ─────────────
  116. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 休憩前に引き続き、金融機能強化のための特別措置に関する法律及び金融機関等組織編成促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案及び保険業法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  117. 円より子

    ○円より子君 民主党の円より子でございます。昨日の予算委員会に引き続きまして、総理、よろしくお願い申し上げます。  昨日の予算委員会で私は、今回の金融危機を体の症状に例えました。アメリカは、不良債権にかかわる損失という大量出血のショックから金融システム機能停止という、まあ一時的な心臓停止に陥ったと思われます。そこで、蘇生を図るためには、一に止血、二に輸血、三に人工心臓、そして四に体力回復という四つの施策が必要だと申し上げました。  そして、止血としては、国際協調の中で、時価評価の停止、また患部を摘出する意味で政府による資産買取り枠を設定する、また急激な株価の下落を止めるために空売り規制を強化するというような対症療法などです。ここまでは既にある程度対応済みだろうと思われます。大変スピード速く世界協調がなされたと思います。  次に、足りなくなった血液の輸血ですが、資本不足に陥った銀行に公的資金を注入し機能回復を図らなければなりません。そこで、必要な注入量を確定することが必要で、今回の危機によって生じた不良債権の額をおおよそ把握しなければならないと昨日も申し上げました。これはもちろん実際にその処理が始まらなければ正確な数字は確定できませんが、とにかくこの百年に一回という危機の対策を考えるときには、政治のリーダーなら問題の大きさを把握しておく必要があると思います。  そこで、昨日は総理にお聞きしましたので、中川大臣にこの件について、世界中で今回不良債権の額はどのくらいと把握なさっているか。総理は昨日、我が国は三兆円程度かなとおっしゃったんですね。御所見お伺いいたします。
  118. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 現在の不良債権、これ世界には二百か国近い国があってデータが取れない国もございますので、主にアメリカ、ヨーロッパ、日本という前提でお話ししてよろしいでしょうか。
  119. 円より子

    ○円より子君 結構です。
  120. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) はい。  今回の欧米における金融危機というもののきっかけは別にいたしまして、とにかくこの大きな危機の主要な原因というのは、いわゆるCDO、債務担保証券、あるいはABS、資産担保証券、あるいはCDS等々いわゆるデリバティブ物が物すごい勢いのお金が投入されて、レバレッジが非常に大きく利いて、そして元が一体何だか分からなくなっちゃっているわけですね。しかも、時価会計があって、格付会社があって。したがって、例えば今年の二月か三月にモノラインというものが一挙に格付会社が格付を下げた瞬間にこれがもうほとんど紙くずになってしまったと、そしてモノライン会社が次々につぶれていったということでございます。  あるいは、ある北欧の、御存じだと思いますけれども、日本よりも格付のいい北の方のヨーロッパの国が……(発言する者あり)はい。したがって、流動的でございますので、例えばIMFは現在一兆四千五十億ドルぐらいとも言っておりますし、バンク・オブ・イングランドは日本円で約二百六十兆ぐらいではないかと言っております。日本でも現時点においては三・三兆と言われておりますけれども、今まさに委員おっしゃったように、これ動いているわけであり、まだ治療中なのか悪化中なのか分かりませんが、まだ中でございますので、今現在どのぐらいの不良債権があるかについては、私には、把握しておりません。
  121. 円より子

    ○円より子君 把握できないと総理も昨日おっしゃって、我が国だけでは三兆とおっしゃって、それはドルではなく三兆円ということだと私は思いましたが。  昨日、そこで、私どもの日本がバブルがはじけた後の不良債権の処理におよそ三百兆円掛かった根拠も申し上げて、それをじゃどのようにやっていくかと。それがもちろん欧米に、アメリカから行っている、日本にも来ている、様々な国に行っているわけですからもっと大きくなる可能性はありますが、客観的に見て三百兆円ぐらいかなと思っておりまして、総理と二けた、けたが違うんですが、仮に幾らか分からなくても、その損失額を今後各国、各セクターが処理しなければならないということになりますと、アメリカが公的に不良債権の処理を行うためには、国債を発行してその資金調達する必要があるわけです。しかし、アメリカは巨額の貿易赤字を抱える債務国ですから、既に巨額になっているこの米国債の発行を更に急増させる場合、とてもその資金をアメリカ国内で調達できると思えません。それはお分かりになると思うんですが、そうすると他の国に依存せざるを得ないんですが、その必要な資金調達日本に支援要請してくるなんということはないんでしょうか。これはもう既に求められているというようなこともよく言われるんですが、総理はそのときイエスとおっしゃるんでしょうか。
  122. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 昨日のある新聞の夕刊に米国短期国債マイナス金利でという、マイナス金利ということはありませんから、つまり金利ゼロでアメリカの国債を買いたいという状況になっております。長くなりますから理由は言いませんけれども、ある意味では、今世界中のドルがアメリカに入っているというか戻っているという状況ですから、必ずしもアメリカがドル不足という状況ではないと私は認識しております。
  123. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 仮定の質問ですからこういったのにはお答えはできないんですが、昨日も同じ質問をされておられましたからね。昨日の答弁を見ていただいた方がより正確に御理解いただけると存じますが、もう一回正確に申し上げる必要も。
  124. 円より子

    ○円より子君 いえいえ、そうじゃなくて。  速記録もきちんと見ておりますので。  それで、日本が持っている外貨準備の百兆円はアメリカに対する債権ですが、昨日もこれ申し上げましたが、アメリカがかつてマーシャル・プランによってヨーロッパへの債権を放棄し巨額の財政支援を行ったように、アメリカに対して日本が持っている債権を放棄するなんていうことはないんでしょうね。
  125. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これも昨日ほぼ似たような御質問をいただいたんで、同じように御答弁をさせていただいたと思いますが、今あくまでも仮定の質問でありますんでお答えいたしかねます。これが一つです。  二つ目、今アメリカは資金の供給というか獲得は結構順調にいっているというのは御存じのとおりです。
  126. 円より子

    ○円より子君 まあ認識の違いがございますが。  日本は世界と協調する必要もありますし、アメリカを支援することはひいては我が国とそして世界を救うことになるんだとしても、世界中で公的資金によって処理される必要のある損失額のうち、我が国の分担というのはどのくらいと考えていらっしゃるのか。国民の負担を限りなく小さくしなければならない、それが私たち政治家の責務だと思いますけれども。  例えば、米国債を買うにしても円建てで買うとか、外貨準備も実は国内の内需拡大のために社会福祉や環境に投資すべきと思うんですが、いかがでしょうか。
  127. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 今の質問とほぼ同じことを聞いておられるんだと存じますが、基本的に今アメリカからその種の要請があるわけではありません。加えて、今アメリカはそういった資金は極めて潤沢に入ってきていると思っておりますんで、私どもとして今その種の話を受けるということをちょっと仮定の質問で言われてもなかなかお答えのしようがありませんが、今、ただいまそのような要請を受けているわけではございません。
  128. 円より子

    ○円より子君 今までも、日本の国民が本当にまじめに額に汗して働いてきて、それを全部アメリカの消費に回してきたという実態を御存じであれば今のようなことはおっしゃれないと思いますし、なおかつ、まあお話ができないということはあるかもしれませんけれども、実態はきちんとつかんで、そしてそれにどう対処するかということを考えていらっしゃらなければ私は政治家として大変無責任だと思います。  次に、日銀にお伺いいたしますが、今回の百年に一度と言われるような金融危機に関して、止血、輸血までは大体できたけれども、新しい心臓をつくらなければいけない、人工心臓が必要だというときに、その経済の血液であるマネーが流れるようにしなければなりません。  そこで、今の現状認識と、今後の血液の流れをより流動性高めていくにはどうするかという辺りについてお伺いいたします。
  129. 山口廣秀

    参考人山口廣秀君) お答えいたします。  まず現状認識ということでありますが、御承知のとおり、米国のサブプライムローン問題の表面化という形で今回の金融危機は始まっておるわけでございますが、既に昨年夏から一年強が経過したわけであります。特に、今年の九月、リーマン・ブラザーズが破綻して以降、国際金融資本市場状況というのは厳しさを増していると、このように認識しておるわけであります。そういう中で、最近の国際金融市場の動向というのを見てみますと、全体としてはなお緊張した状態が続いているというふうに思っております。  やや細かく市場状況を見てみますと、短期金融市場につきましては、これまで各国の政府ですとか中央銀行が様々な措置をとってきました。こうした措置効果もありまして、ごくごく短い期間の取引につきましては、リーマン・ブラザーズ破綻前の状況に復していると、こういう状況であります。ただし、年末越えのターム物金利、やや長めの金利ということになりますと、依然として高水準で推移しているということでありますので、緊張感が抜け切っていない状態が続いているということであります。  さらに、株式市場を見てみますと、株価につきましては、世界経済の先行きに対する懸念が強いというようなこともありまして振れの大きな展開になっていると。社債市場におきましても緊張感が続いていると。  このように、国際的な金融資本市場につきましては、金融機関同士の流動性の逼迫ということについては多少改善してきている感はありますが、そういう中で、問題の焦点がより幅広く、世界経済の調整の深さですとかあるいはその期間いかんといったような点に移ってきているように思っております。  そういう中で、米欧金融機関あるいは国際金融資本市場の問題というのは、米国を始めとして金融の問題から各国の実体経済影響が及ぶと、このような状況になってきているというように思っております。  御承知のとおり、米国経済については、金融実体経済の間の負の相乗作用が強まっておりまして、そういう中で悪化の度を強めていると、こういう状態であります。欧州経済についても、個人消費が減少する、住宅投資も減少するといった中で悪化の状態が見えているということであります。アジアを含む新興国についても、成長率の鈍化という動きが出てきているという状況であります。  当面を見渡しましても、海外経済については更に減速するというように見ておりまして、この先、特に米国において、いつ、どのように住宅市場の調整が進むのか、金融システム面を含めていろんな政策対応が図られているわけでありますが、この効果がどのような形で現れてくるか、この辺りが重要なポイントだというふうに思っております。  日本経済につきましては、世界経済の減速の影響が当然及んできておるわけでありまして、国内の金融環境も厳しさを増しているという状況でございます。このため、需要コンポーネントを見ましても、輸出だけではなくて設備投資ですとかあるいは個人消費、こういった内需も弱まっているという状況であります。  こうした状況は当分の間続くだろうというふうに見ておりまして、特に成長率ベースで景気を見てみますと、来年度にかけて潜在成長率を下回る状況と、こんなことが想定されるということであります。しかも、先行きについては、米欧の金融システムですとかあるいは海外経済の動向について不確実性が高いということでもありますので、景気の下振れリスクが高まっているということについて私どもも相当注意して見ていく必要があるというように思っております。  そういう中で、日本銀行としての今後の対応いかんということでありますが、既にいろんな措置をとってきたことについては先生も御承知かと思いますので、そこは割愛させていただきますが、私どもとしては、これまで取ってきたような政策対応も含めましてどのような政策余地があるのか、その可能性については、予断を持つことなく幅広く検討しながら、どのような対応があり得るかを検討してまいりたいというふうに思っております。  もちろん、具体的にどのような措置を講ずるかについては、そのときの経済情勢ですとか、あるいは物価情勢、さらには金融市場動向を踏まえて適切に判断したいと、かように思っておるところでございます。
  130. 円より子

    ○円より子君 今、アメリカも負の相乗性が高まり、そして後退局面が当分の間続くだろうというようにおっしゃいましたが、いろいろ、日銀の報告などでも政府のも当分の間という言葉がよく出てくるんですが、当分の間というのはどの程度だと思っていらっしゃいますか。別に聞けば、株価が回復し、経済が良くなるにはどのくらいの時間が、国民は痛みを我慢しなければいけないとお思いでしょうか。
  131. 山口廣秀

    参考人山口廣秀君) 非常に難しい質問でありますが、私ども、十月の終わり、既に一か月以上がたっておりますので、やや旧聞に属するという面がないわけではありませんが、その段階で経済の見通しを立てました。その時点では、まず日本経済につきましては、来年度の半ばぐらいには回復に向けて動き出すんではないかというような見通しを立てたわけであります。  その前提条件としては、一つは、欧米を中心とする世界経済について回復の道筋が見えてくるということが一つでありますし、もう一つは、国際金融資本市場の現在の混乱ということについても政策効果が現れてきて落ち着きを見出すだろうと、こういう前提条件を頭に置いた上で今申し上げたような見通しを作ったということであります。ただ、その際に、併せて非常に不確実性が高いというようなことも実は付け加えたわけであります。  それはなぜかといいますと、これも先ほど申し上げたことと絡みますが、やはり国際的な金融資本市場の動揺というのが金融危機と呼ばれるぐらいに緊張感を高めていると。この状況について、いつ明確な形で脱出することができるのかについてなかなか不確実性が高い。はっきり言いますと、見通しが難しいという問題がございます。それをバックグラウンドにおいて、米欧を中心とする世界経済の先行きについてもどのような展開になり得るのか。はっきり言いますと、下振れの可能性というのがよりはっきりした形で現れてくる可能性がないのかどうか、この辺りについても不確実度が高いというようなことも同時に認識しておりまして、そういったことを考えると、日本経済については来年度の半ば以降、回復に向けて動き出すだろうと。とは思っておりますが、かなりリスクが高いシナリオであるというふうに思っておるということであります。
  132. 円より子

    ○円より子君 来年の半ばとおっしゃいましたけれども、昨日もソニーショック、昨日でしたかね、もう様々、トヨタ、日産、ホンダ、スズキ、いろんなところが、日本の本当に経済成長を支えてきたトップの会社がどんどん、派遣の方だけじゃなく、正社員までリストラせざるを得ないような状況に陥っているという、こういう状況が私はとても、来年の半ばに回復していく、動き出すとおっしゃいましたが、思えなくて、不確実性が本当高いんだろうと思っておりまして、もちろん、総理や日銀や、もう皆様方が一生懸命これに対してスピーディーな対策を打ってくださって、そして、その回復に向けて動き出すようにしてくださることは国民にとってとても大事なことだと思いますが、政治のリーダーは、一番悪いことも常に考えて、そしてそれに対処していくべき。そうして、ああ、よかったねと、そんな何年も掛からなくてと国民に言われるようにしなければいけないと思っているんですね。  そこで、今回の金融機能強化法改正の方に移りますが、その目的は、中小企業金融円滑化が目的ですけれども、国際金融市場の混乱を背景に──失礼いたしました。山口さん、お戻りになって結構でございます。
  133. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) では、山口総裁、これで退室されて結構でございます。
  134. 円より子

    ○円より子君 途中になりまして、失礼いたしました。  この市場の混乱を背景に、大企業においても市場における資金調達が困難となり、金融機関からの借入れに依存する状況となってきています。その結果として、金融機関の貸出しは増加しているのにもかかわらず、大企業ばかりが借りていて中小企業には十分な資金が行かないといった状況が生まれています。  先日、日銀が決めた企業資金繰り対策にしても、大企業向けで中小企業にはお金が回っていないのではないかと懸念されています。金融機能強化法金融機関の自助努力に基づく資本増強があっても、我が国経済を支える中小企業資金が流れないのでは意味がありません。  総理はこれまでしばしば、一次補正による信用保証枠の整備によって借り手の対策は十分できたと、あとは貸し手に対する金融機能強化法だと、なぜ早く採決しないのかというふうに野党に責任を負わせるような言い方をなさってこられましたけれども、一次補正によって年末については九兆円の保証枠貸出枠が順調にはけており、これで対応できるとも答弁なさっています。ですが、この総理の認識は、先ほどからのほかの問題についてもそうですが、全く甘いものと言わざるを得ません。  例えば、大田区が実施しております小規模零細企業を対象とした無利子融資のあっせん制度があるんですが、その見込額の十四倍もの申込みが殺到しておりまして、受付期間を延長する事態となっていることは御存じだと思います。これは、せんだって私たちの財政金融委員会が台東区に行ったときも、どこへ行ってもこういう本当に零細企業方々、小企業方々資金繰りが大変だとおっしゃっておりました。実は、総理の目の届いていないところで極めて苦しい状況に追い込まれている中小零細企業が存在しているのです。そうした人たちに対するセーフティーネットはまだまだ不十分だと私は思います。  本来、早急に二次補正予算を提出し、中小企業対策を行うべきですが、総理の怠慢によっていまだ提出されるに至っておりません。我が民主党は、政府に先立ちまして、中小企業円滑化のための金融アセスメント法を提出することとしており、また、中小企業信用保証枠拡大だけではなくて、一年間の利子の返却据置きなども、今後、また中小企業税制の早急な見直し等も提案しておりまして、是非、我が党の提案に対して総理にも御賛同いただきたいと思いますが、総理の御所見いかがでしょうか。
  135. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 法案は提出されたんですか。(発言する者あり)ああ、これから。ちょっとそれ見ないと何ともお答えのしようがありません。
  136. 円より子

    ○円より子君 じゃ、是非しっかりと御覧いただいて、こういう中小企業対策は与野党を超えて早急にやらなければいけないものですから、御賛同いただきたいと思います。  次に、先ほど言った止血、輸血、人工心臓、次の体力回復についてもう一度、昨日は時間がなくて急いではしょってしまいましたのでお伺いしたいと思いますが、内需拡大のためには、昨日、私は、我が国が有する優れた人材、また膨大な金融資産といった含み資産がある、それをきちんと活用しましょうというようなお話を申しました。総理もそれは御賛同いただけるのではないかと思いますが。  そのときに、ちょっと総理にお聞きしたいんですが、今ワーキングプアという言葉が随分このところ言われるようになり、そして収入の格差だけではなくて教育の格差、また健康格差も起きています。病気になる人たちというのは、私の周りにいらっしゃる、たくさん母子家庭がいらっしゃるんですが、子供を育てて働いていて、保育園に入れている間だけじゃなくて夜間も、それから土日も三つぐらい仕事を掛け持ちして働かなければ食べていけないという方が大変多くて、体が少々悪くなったって病院なんかに行けない人が多いんですね。  そういう本当の意味の、今までなかなかデモもできない、国会に要請にも来られない、そういう時間も余裕もないという母子家庭が本当に貧困の一番大変なところにいらしたワーキングプアだと私は思うんですが、総理の地元の福岡の母子世帯割合というのは全国で六番目に高いんです。御存じだと思います。生活保護率も高い。それから離婚率も高い。大変、本当ワーキングプアの典型のような方が多いんですけれども、これは御存じかどうかだけお伺いするだけで、別に総理をいじめるとかそういう意味じゃないんですが、母子家庭の一人頭の年収ってどのくらいだと思われますか。平均、年収、一人頭の年収です。
  137. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これはちょっと物すごく難しいですね。場所によって随分違うって話も聞きますし、全国平均で、どれくらいでしょう。母子家庭、さあどれくらいでしょう。百万台ぐらいのもんじゃないですかね。ちょっと正直分かりません。
  138. 円より子

    ○円より子君 ありがとうございます。  ほとんどの方がお分かりになりません。母子家庭の現状というのを知らない方が圧倒的に多いんですね、国会議員の中には。知っていらっしゃる方少ないと思います。  実は、母子家庭の方の一人頭年収は今六十五万円です。一年間です。だから、一人頭ですから、もちろん子供と二人とか子供と三人ですよね、母子家庭ですからね。そういう形で働いている方が多くて、母子家庭の八割は働いているんです。怠けて働いていないとか、そういうことはないんです。働いている人のまた八割が生活保護以下の収入しかないのに生活保護も受けていないという方たちなんで、こういうワーキングプアの問題というのは、今まで幾らいろんな人が声を上げてもなかなか大きい声になりませんで、対策も取られてきませんでした。  そこで、何も責めているわけじゃないんですね、是非御認識いただきたいということなんですが、そういう母子家庭のお母さんたちも派遣やパートで働いて、今回皆さん仕事をなくしていらっしゃいます。こういう人たちもたくさんいるということが分かれば、派遣の人たちを正規雇用にしていくこと、母子家庭のお母さんたちが働いて食べていけるようにしていくこと、また高齢者の人たち、障害を持つ人たち、こういう人たちも本当に大事な日本の含み資産である人材ですから、こういう人たちがどうこれから、今、年末だとか年度末のことじゃなくて、ずっと安定した雇用に就いて、安心して子供を育てたり老後を安心して暮らせるような施策を作ることこそが私は重要だと思うんですね。  そのために、例えば子供を持っていると、そして今働いていると、今よりも収入をもっと持ちたいと思ってもハローワークに行く時間がないんです。それから、訓練する時間も、お昼に訓練していたら働けませんから、食べていけない。それで、在宅でITを使った訓練をするとか、それから就労も在宅就労をしていくとかってすれば、これは別に母子家庭だけの問題じゃなくて、高齢者の人が在宅で何日間か定年後もやれるし、もちろん障害を持つ方たちは今もやっていらっしゃいますが、それをもっと大々的にやれば、例えば大きなビルの会社を造らなくてもいいし、通勤がほとんどありませんからCO2も減りますし、私は大変環境にも貢献できる新しい失業対策ではないかと思いまして、そういうことについて、是非、教育、それから環境、福祉、そういうものに根差した内需拡大をやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  139. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 内需拡大が一方的に公共事業に頼るなんという時代は終わっていると思います。それは基本的には私も全く同じ意見ですし、今回の一次補正でも、公共事業は今回の中で五%あるかな、それくらいのものだと思いますので、いずれにいたしましても、従来ですと、補正予算というと景気対策などというと特にそこに偏りがちだったと思いますが、今回の補正予算では約五%。  その他の部分に関しまして、今言われたような、少なくともこれからの人材というものを考えるという御意見だけじゃなくて、いわゆる雇用の面を考えてみた場合、また高齢化を考えていった場合に、介護とかそういったいわゆる社会福祉関連の部分における雇用の増大というのはかなり見込まれる部分でもありますし、実際必要なところでもありますし、いろんな意味でこの点は考えてしかるべき問題だと、私もそう思います。
  140. 円より子

    ○円より子君 是非、雇用を守るためには、もちろんその雇用を生み出す新たな産業が必要ですから、もう本当に全員で知恵を絞って、日本をそういう二十一世紀型の、オバマさんはグリーン・ニューディールというようないい言葉を使っていらっしゃいますが、総理も何かすばらしい言葉を使って新しい産業をもし創出していただけるならば、そしてそれもスピーディーにやっていただけるならば、支持率が上がるのではないかと私は思うんですけれども。  福祉環境型の内需拡大策を大胆に発動すべきだということについても御同意いただけますでしょうか。
  141. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは定義の仕方が難しいんで安易にお答えするわけにはいきませんが、少なくとも今までのようなハードじゃなくてソフトの面でいろいろなことが考えられるという件に関しては同じです。
  142. 円より子

    ○円より子君 少しこの問題から離れまして、午前中に我が党の尾立議員と中川大臣の質疑で新銀行東京の話がありまして、ちょっとそれで私も初めて尾立議員からの発言で知ったことがあって気になりましたので、そのことも含めて、今から先に新銀行東京の質問をさせていただきたいと思います。  新銀行東京をめぐりましては、中間決算で七十億円の赤字が発生し、不良債権比率は一七%に及ぶ事態となっています。これまで当委員会において、与野党一致して経営責任者である大塚会長及び行政責任者である石原都知事の参考人出席を求めてまいりましたが、御協力が得られませんでした。その理由は、金融機能強化法に基づく資本増強の申請はしないから行く必要はないというお答えでございました。  ただ、そうであればなおのこと、財務が悪化している新銀行東京をどのように救済あるいは後始末をしていくのか明確にする必要がありまして、再び、では行政責任者である都知事に参考人でおいでいただけませんかとお願いしたんですね。決して無理強いをして何日に来いなんというふうにしたわけではなかったんです。それはもう野党だけでできることではありませんから、与野党で丁重なお願いをしてまいりました。  ところが、どうも先ほどの尾立さんのお話では、十二月九日の都議会本会議での代表質問に対する石原知事の答弁ではその辺の私どもの手続を誤解なさったようなことが言われておりまして、さらに、参議院というのは参考人招致をする人民裁判をやるのかというようにおっしゃったと書かれております。これ、議事録ですので間違いはないと思うんですが。  これは、この国会を、ましてや参議院、そして参議院の財政金融委員会を人民裁判になぞらえるということは、大変何か誹謗中傷なさっているような、軽視なさっているようで私は大変遺憾なのでございますが、まずそのことと、それから、最終的にこの新銀行東京の資本が毀損したときの負担は都民に押し付けられることになりますので、これは東京都にそのことも聞きたいと思ったんですが、それができないとなれば、検査監督を行う国にお答えいただくしかないと思いまして、新銀行東京の財務悪化に対する経営陣及び石原都知事の責任について、そして、先ほどのこうした国会を人民裁判と非難なさるような都知事の態度について総理がどう思われるか、ちょっと御所見をお伺いできれば幸いでございます。
  143. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 二つ御質問があったと思います。一点目についてだけ私から答弁させていただきます。  新銀行東京につきましてはいろいろと今やっているわけでございまして、今報告書というものを求めているわけでございます。そのやり取りを今やっているところでございまして、その報告書を最終的に見て、金融行政当局としてはこの新銀行に対する取扱い、次の必要な対応をしたいという状況に現在ございます。
  144. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 私に対する質問は、あれですか、石原慎太郎の対応に対してどう思うかという質問……(発言する者あり)参議院が人民裁判かと思うのに対してあなたはどう思うか、いや、私、全然思いません。
  145. 円より子

    ○円より子君 総理はそんなことお思いにならないと思います、もちろん。そういうふうに言われたことについてどう思われますかとお聞きしたんです。
  146. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 言われたことについてどう思うか、元御自身が参議院議員だったんじゃないですかね。
  147. 円より子

    ○円より子君 いや、御自身が参議院議員だったというのはどういう、その後、国会が誹謗中傷されたことについてどう思うかという、お伺いしているんですが。
  148. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 御自身が参議院議員だったと記憶します。たしか最初のころは参議院議員だったんだと思いますんで、衆議院だったら人民裁判じゃないけど参議院のときは人民裁判だったと思っておられると言われたいわけ。ちょっと趣旨がよく分からない、意味がよく分からないんですが、少なくとも、どう言われているかという話に関してどう思われるかというのは、言われたら、ちょっと違うんじゃないかなと思います。
  149. 円より子

    ○円より子君 つまり、こんなことで長々とお話しする気はありませんが、国会というものを誹謗中傷されたら、それは遺憾ですとおっしゃるのが総理かなと思ったものですから申し上げました。一切おっしゃらないということは大変私は不思議でございました。残念、不思議というより残念ですね。それも遺憾でございます。  次に、いずれにせよ新銀行東京については、そのずさんな融資拡大路線が経営悪化の原因であって、旧経営陣の独断専行とそれを許した東京都に最大の問題があります。このような新銀行東京に対して公的に資本増強する必要がどこにあるかと私は思うんですが、総理の率直な御意見を伺いたいと思います。
  150. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 新銀行東京が公的資本を注入するかどうかについての判断は、ひとえに新銀行東京の判断でございます。仮に申請があったときに我々としては考えたいというふうに考えております。
  151. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 申請が出たんですか、ここは、今。──出ていないんですか。
  152. 円より子

    ○円より子君 法案できていませんもの。
  153. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 自己資本比率は、いや、もう大分前に出ていた法案ですのであれでしたんですけれども……
  154. 円より子

    ○円より子君 いや、切れているんです。
  155. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 私どもの話では、今日だか明日だかにしかるべき通るというお話ですから、前も似たような話がありましたんで、ちょっと最後の最後までよく分からぬと思っておりますけれども。  いずれにしても、今言われた段階で、新銀行東京から申請が出ていない段階若しくは自己資本比率が極端に悪くなっていて倒産の憂き目の直前になっているという状況とかいろいろな状況があるんだと思いますけれども、今特にそのような状況になっていないという段階で、出てきたらどうするかというような仮定の質問に関しては答弁のいたしようがないと存じます。
  156. 円より子

    ○円より子君 今までのこの金融機能強化法のこと随分総理がおっしゃっていらっしゃるから、内容についてよく御存じだと思ったものですから質問させていただいたんですね。  これは予防的にもちろん注入するかしないかというのを決めることで、まだもちろん申請なさっておりませんし、法案もまだ切れたままになっておりますので、急いで成立させなきゃいけないという状況でございまして、出したんですかなんて言われると新銀行東京が破綻するみたいなことになりますから、そんなことおっしゃるのはちょっといかがなものかと思うんですが。  取りあえず私どもの、新銀行東京に対して、もう一度お聞きしようかと思っていたんですが、でもこれは総理でないと決断なされないことですからお伺いいたしますが、公的に資本増強する必要はあるかないかまだ今分からない、当然申請もないしということだ、それは分かります。それならば、経営責任者は取締役会で申請はしないから参考人として行く必要はないとおっしゃっているので、まあなさらないだろうと思うんですね。  ただ、そうしますと、我が党の修正案は、新銀行東京はこの金融機能強化法から除外しているわけですけれども、この我が党の修正案に対して今日採決をし、あした本会議で通って衆議院に送られると思いますけれども、衆参の結果が違いますから、そうすると即座に衆議院において、総理は、三分の二の再議決をされようとして、早くしてほしいとおっしゃっていたようにも思うんですが、真摯に考えれば、新銀行東京に対し公的に資本増強する必要がなく、申請しないとおっしゃっているわけですから、そうすれば無条件に我が党の修正提案に賛成していただけるものと思うんですが、いかがですか。
  157. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まず、修正案なるものについてどういうものなのかということについて我々は知らないわけでありますけれども、先ほどから何回も御質問がございますが、新銀行に限らず、午前中の農林中金のお話もございましたけれども、申請するかしないかということと、我々が制度をこうやって御審議をいただき、成立していただいたならば体制を整えて、さあ申請をするならしてくださいと、で、していただいた後に我々は審査をして、第三者の方々にも御判断をいただいた上で、中小企業あるいは地域経済のためにお役に立てるようなお金としてお使いいただけるんですねという判断をしたならば、いわゆる先ほどからおっしゃっている資本注入を、公的資金を注入するということでございまして、これは一般論として、どの銀行最初からしないとかするとかいうことは、私は行政の公平性からいってそういうことはしないということでございます。
  158. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 基本的には今の中川大臣の言われたとおりなんですが、およそすべての金融機関というのを対象として金融機能強化ということを図っていこうというのがこの法案趣旨ですから、したがって、特別とか個別の金融機関資本政策とか基本政策とかいろんな政策を理由として、特定の金融機関を国の資本参加の対象からあらかじめ制度上除外するということは正直言って適当じゃないと思います。
  159. 円より子

    ○円より子君 今回の金融機能強化法は、特に中小規模事業者に対する金融円滑化による地域における経済の活性化、そういうものをやはりしっかりとやるべきだということで中川大臣もおっしゃっていたように思うんですが、それならば、しっかりとこのことを目的として改正もなさり入れた方が、私は目的に入れた方がいいと思うんですね、法律の。  そして、何度も申し上げますが、これまで財政金融委員会、かなり衆議院よりも時間を掛けてこの新銀行東京問題もやってまいりました。その中で、とてもこのまま財務悪化を見過ごし、そして都民の税金を使ってこういうことになったものに対して、また自ら資本注入の申請はしないとおっしゃっているわけですから、私どもは外されることが適当だと思っております。  次に、もうほとんど時間がございませんので、農林中金について質問するつもりでございましたが、それは次の大塚さんの方に譲るといたしまして、この国の責任ある経営者として、国民の信を得て、また未曾有と言うとあちこちからいろいろやじが飛んだりすると困るんですが、この未曾有の金融経済危機に立ち向かうために、年内にも私は解散・総選挙をすべきだと思っております、クリスマス解散ということだってございますでしょうし。  そうでないならば、本当に早く、一日も早く、今家も失い職も失っている方々、それから先ほど申し上げましたような母子家庭の方たちも、子供の給食費も払えないとか高校を中退させなければいけないとか、そういう方がたくさんいらっしゃいます。地元でそういう方々の声をきっと聞いていらっしゃると思うんですね、母子家庭が全国よりもずっと多いところですから、福岡県は。  そういう方々のために、今すぐ二次補正、それももっと大胆なものをお出しになる気はございませんでしょうか。
  160. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 今御質問は、昨日も同様の御質問をいただいたので同様のお答えをすることになろうと存じますが……
  161. 円より子

    ○円より子君 違う答えをいただきたいと思います。
  162. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 同じことを質問されておりますので同じ答えをする以外に、ちょっと昨日と答弁が違うではないかと言われると、甚だ私どもとしては、いろいろな勘ぐりやら何やら出ますので、私どもとしては、二次補正というものは、一次、二次、本予算と我々は切れ目なくやってまいりたいと、そう思っております。  したがって、今の段階として、一次補正ができ、今日おかげさまで二次に関連いたします金融強化法案、いわゆる貸し手側法案もどうやら格好が付くような形になりつつあるというところまで来ましたので、二次補正をきちんと組み上げて、その上で我々は本予算につなげ合わせて、来年早々にこの問題について御審議をいただく。  傍ら、今言われた母子家庭の話を含めまして住居の問題というのがよく出てくる話、住宅の問題がよく出ますので、この問題につきましては、昨日から、一昨日か、からいろいろな方々の御意見も採用させていただいて、今行われております年内にできることとして、雇用促進住宅の部分とか、住宅の借り上げの部分についての家賃の一部を我々の方でとか、いろいろな案を出しておりますので、そういったものもきちんと積み上げた上で、全体をまとめて二次補正として年初早々にも出させていただきたいと思っております。
  163. 円より子

    ○円より子君 二次補正をすぐ出すと、スピーディーにやるとおっしゃったり、それから給付金のこともおっしゃって、それがくるくる変わるよりは、昨日の、駄目だとおっしゃったよりも、昨日の言葉が今日、二次補正出します、解散しますとおっしゃることは国民は大喜びすると思いますので、申し上げて、私の質問を終わります。
  164. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 民主党の大塚でございます。  今日は金融機能強化法改正案の最後の審議になるかと思いますが、この法案、一刻も早く通したいという思いは我々も同じでございましたので、てんまつはともかく、今日恐らく採決に至りまして、明日本会議で結末を見るということになりましたことは、年内に処理ができるということで、私も良かったなというふうに思っております。  そこで、金融庁にちょっと確認をしておきたいんですが、これは年内に政省令等所要の準備が整って資金の申請ができるようになるかどうか、見通しだけお答えいただきたいと思います。
  165. 内藤純一

    政府参考人(内藤純一君) お答えいたします。  私どもとしましては、仮にこの法案が成立という運びになりましたならば、できるだけ早期に政省令等の所要の手続を経まして施行という形で全力を傾けたいというふうに考えております。
  166. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 是非そうしてください。  その上で、今総理は私の提出資料を一生懸命見てくださっておりますが、その話は後でまたさせていただきますので、今の最後の円委員との議論をちょっと引き継がさせていただきたいんですが、新銀行東京の話で随分総理と意見がすれ違っておりましたが、中川大臣、よろしゅうございますか。  私どもは、修正案、どういう修正を出すかというのはもうさきの財政金融委員会で私も御説明申し上げました。目的条項と、それから農林中金の問題と、それから新銀行東京の問題、三つ。今日恐らく農中の件に関しては、私どもそのときの主張を取り下げて二点だけの修正案を出すことになると思いますが、私どもがなぜ新銀行東京をこの法案の対象にすべきではないかというその考え方について、大臣は総理に御説明になりましたか。
  167. 中川昭一

  168. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いやいや、説明したかどうかだけ答えてください。
  169. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 民主党考え方でしょう。
  170. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 はい。
  171. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私自身が総理には説明しておりません。
  172. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ということなので、ちょっと御説明しますが、総理。(発言する者あり)いやいや、それは中川さんから言っておいてほしかったんですよ。そのために、この間の委員会で参考資料を付けて丁寧に審議をさせていただいたつもりなんです。  総理、私どもは新銀行東京、個別の銀行を対象外にするために申し上げているんじゃないんですよ。もう一回、過去の委員会で申し上げたことを繰り返させていただきますが、今でも、現行の銀行法の枠組みでも、銀行法五十二条で銀行の主要株主に対して金融庁は監督上必要な措置を命じることができることになっていると。しかし、この主要株主に関して、同法では地方公共団体は含まれないこととされていると。なぜならば、地方公共団体が主要株主である場合には、その地方公共団体が国と同様に公共セクターの一員として監督上必要な措置を直接行うことを想定しているからだと私たちは銀行法を解釈しているわけですよ。だから、新銀行東京を対象外にするなんということを申し上げているわけではなくて、地方公共団体が主要株主となっている金融機関はこの法律の枠組みから現在の銀行法の枠組みと整合性を保つ形で対象外にして、結果としてその該当する銀行が今は新銀行東京しかないという、こういう組立てなんですよ。  だから、法論理的には私どもの主張に何も矛盾はないということはまず御理解いただけますか。いやいや、総理、総理。矛盾ないと言ってくれればそれでいいんですよ。
  173. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 今の理屈をぱっと言われて直ちに理解できるほど頭も良くありませんので、正直申し上げて、今言われて、ちょっとこの質問をあらかじめ読んでもいませんでしたので、質問のあらかじめ予告通告もありませんでしたのでちょっと正直読んでおりませんので、今言われて正しいかと言われて、正しいか間違っているか、いいか悪いか、ちょっと判断するだけの時間がありません。
  174. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、それは真摯に御答弁いただいて有り難いと思うんですが、総理、私どもは、当然、国会はいろんな意見のある各党の主張の調整の場でございますので、我々も譲るべきところは譲らなければいけない。そして、今ある既存の法体系と整合的な主張をなるべくしなければならないという、そういう思いで、今回は新銀行東京を外すなんという修正案を出すなんて言ってないわけですよ、ずっと。銀行法の今の枠組みと整合的な主張をするとおのずとそういうことになるので、その点はそういう修正をされたらどうですかということをこれまでも申し上げて、今日も多分そういう修正案を出させていただくんですけれども。  したがって、総理に御理解いただきたいのは、法論理的に我々が矛盾のない主張をしているにもかかわらず、その修正案に賛成をしていただけない、ないしは賛成をするように自民党総裁として与党の皆さんにそのような指示を出すおつもりはないかあるか、その点を聞きたいんです。
  175. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これちょっと、設立のときにちょっとそこそこの経緯があったのを、かすかな記憶しかありませんので、あのときたしか政務調査会長をしていたのかな、何かで、正確な記憶がないのであれですが、たしかこれも、こういう銀行が成り立つとか成り立たないとかいう話はあのとき随分話題になったと記憶をします。その上で、少なくともこれは銀行法によってできるんだろうねという話もした。たしかそんな記憶があるんですが。  したがって、これ一応銀行法に基づいてできた新しい銀行という形になっているんだと思いますんで、銀行法上の制約を受けるということになるという理解は正しいんでしょう。
  176. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、正しいです。  だから、銀行法上の制約を受けるので、今の銀行法は、主要株主を通じた監督について、その主要株主が地方公共団体の場合は別枠で考えているわけですよ。だから、この法案においても、主要株主が地方公共団体の場合には別枠で考えましょうということを私どもが今の法制に歩み寄って整合的な修正案をこれから出すわけです。そのことはもう大臣には、中川大臣にはずっとお伝えしてある。  だから、私が今日総理にもう一回お伺いしたいのは、今の法体系と矛盾のない、しかも個別の銀行を特定するわけではない修正案を出させていただいて、それに賛成をしていただけない、そして、そのことによってさっき円委員がおっしゃったように衆議院で三分の二の再可決をするということになりますと、現行法と矛盾のない修正案を出してきて、それに対して皆さんが賛成をしていただけない、そして、憲法上非常に重要な三分の二の再議決の権限を行使するということになった場合に、結果として、新銀行東京をこの法案の対象にするためだけに三分の二再可決という憲法上重要な権能を行使することになるんですが、そのことが総理は適切だとお考えですか。
  177. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 速記止めましょうか。──いいですか。
  178. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 先ほどたしか円議員の答弁に、お答えしたんだと思いますが、あらかじめ特定の金融機関を排除するという目的を持ってこの法律ができているわけではないんだと、そう理解をしております。  したがって、すべての銀行を対象にすると、当然のことですが、そういったものの資本比率が弱いとか自己資本がどうとかいろんな話がありますので、金融機能をきちんと強化するのを本来の趣旨でありますので、その趣旨に沿ってやっていくんであって、特定の銀行なり特定の金融機関をあらかじめ排除するというのを趣旨としているのではないというように理解しなくちゃしようがないんじゃないでしょうか。
  179. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 総理の理解と私の説明と若干のすれ違いがありますので、もう繰り返しませんけれども、別に本当に総理を困らせようとか中川大臣を困らせようとか、そんなつもりはこの法案に関しては全くないんですよ、私たちは。  そもそも、この法案を早く出して成立させましょうというのは私どもから申し上げました。そして、いろんな紆余曲折があって今日に至っておりますけれども、その紆余曲折の一つは、総理、笑っている場合じゃないんですよ、新銀行東京を私たちは外したいなんて言っていなくて、最後にもう一回言いますけれども、今の銀行法でも主要株主が地方公共団体の場合は特別な扱いをしているんです。だから、この法律でも、もし新銀行東京に公的資金を入れるという判断があるとすれば、それは主要株主たる東京都がまず地方公共団体として判断すればいいということを申し上げているわけでありまして、おまけに今、中川大臣が入れるはずないと手を振っておられましたけれども、おっしゃるとおり、さっき円委員もおっしゃいましたが、石原知事は必要ないとも言っている。  とすると、法論理的にもこの法案の対象とすべきでない、そして実態的にも東京都は要らないと言っている、それを整合的な修正案をこれから出そうとしているのに、もしそれに賛成していただけないとなると、繰り返しますが、結果として、新銀行東京を対象にするためだけに三分の二の再議決という憲法上重要な権能を行使するということが、本当にこれが適切かどうかということを私は申し上げているんです。  だから、ここは意見のすれ違いでしょうからこれ以上は申し上げませんが、総理には、これは総理としてではなくて自民党総裁として、明日の再議決までの間に何がしか思うところがあれば適切な御指示をしていただきたいと思いますが、私の存念は御理解いただけますでしょうか。
  180. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) ここは先ほど人民裁判じゃないという御意見、私も全くそう思っておりますので、いろんな方々の御意見が闘われるのは当然です。特に、我々と言われましたけれども、私はと言っていただいた方が私に対しては説得力があるんですが、我々と言われるとそのとおりじゃない方も随分いろいろいらっしゃるように聞きますので、ですから、私はと言っていただくとなるほどすごく説得力があるんで、ああ大塚さん、なかなかいいとお答えしたいところなんですが、いずれにいたしましても、こういったところで大塚議員としてそういう見解をお持ちということだけは理解しております。
  181. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 結果は議事録に残り、そして日本の憲政史に残るわけでございますので、そのことを重く受け止めて、しっかり私もその後の対応をさせていただきたいというふうに思います。  その上で、非常に今日は総理、慎重な御答弁をしておられると思いますけれども、先ほど円委員が石原都知事の発言について御質問されましたが、つまり、問題発言だと私も思うわけでありますが、総理はいろいろ御発言についていろいろマスコミやいろんな方面から御指摘をされて苦しいお立場だと思いますが、総理だけじゃないんですね、問題発言していらっしゃるのは。  例えば、石原知事もそうでしたけれども、これは金融担当大臣にお伺いしますけれども、十一月の末のNHKの日曜討論で、自民党の細田幹事長がこういうことをおっしゃっておられるんですよ。地銀、地方銀行中小、あるいは信金、信用金庫、信用組合、中小金融機関が年末、本当に越せるかどうか危ないんですよ、まあ危ないと言うとちょっと危険をあおるような言い方になるから言いませんがと言っているんですよね。非常に面白い言い回しだと思うんですが。  これは、この発言は、何か細田幹事長は根拠があってNHKの日曜討論という非常にあの影響力の大きい番組で御発言になったんでしょうか。
  182. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私直接その番組見ておりませんけれども、まあ細田幹事長がどういう趣旨でおっしゃったかは分かりません。  しかし、金融行政の責任者である私に対しては、年末年始に危ない金融機関があるという報告は受けておりません。
  183. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ということは、公党の幹事長として公共の電波でこういう発言をされるのは不適切だとお考えですね。
  184. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 大変申し訳ございませんが、細田幹事長にお聞きいただきたいと思います。
  185. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いやいや中川さん、そこ違いますよ。それは、党の中では先輩後輩であられるかもしれませんが、不適切なんですよ、この発言は。こういう発言をされてはいけないんですが。  ということは、細田幹事長に何がしかこれにかかわる情報が入っていてこういう発言ではなかったというふうに理解させていただきますが、大臣はまず御存じないし、細田さんに聞いてくれとおっしゃるが。  事務方にお伺いしますが、何か自民党幹事長に地方金融機関が危ないかのような情報が入っていた上でこの細田幹事長発言になっているんですか。
  186. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) そのようなことは承知しておりません。
  187. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 これは総理、総理、幹事長に軽々にこういう御発言はなさらないように自民党総裁として是非一言お伝えいただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  188. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 基本的に、ちょっと私もそれ中川先生と同じで発言のテレビを見ていませんので、今のお話を聞いた範囲でしかお答えができないんですが。  少なくとも今、特定の銀行が直ちにどうのこうのというような状況にあると私自身も聞いているわけではありません。したがって、その発言の真意のほどはちょっとよく分からぬのですが、いずれにいたしましても、軽率な発言というのは、かつて昔は、戦前いろいろ騒ぎになったのはもう御存じのとおりなので、日銀におられたら習われたと思いますので、東京渡辺銀行を始め幾つもありました。そういったことの起きないようなことを十分に考えておかなければならぬ、そういう意味で発言をしていただかにゃいかぬものだと思います。
  189. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 適切にお伝えいただきたいと思いますが。私が申し上げたかったのは、総理ばっかりがいろいろ言われてふびんに感じているんですよ。この細田さんの発言なんか本当に実は大問題なんですよ。まあそのことは適切にお伝えいただけるそうなので、この後はもう少し建設的な議論をさせていただきたいと思いますが。  さて、この金融機能強化法については、事実上先ほどの論点だけなんですよ、私たちとしては。農林中金に関しては、もう十分議論もさせていただいたし問題意識は共有できたと思いますので、その点の修正要求は前、大臣に、中川大臣にお伝えしたときから我々も一歩歩み寄ってそのことは取り下げて、あとは主要株主が地方公共団体のこの修正条項と目的条項のところだけになったわけでありますね。まあ最終的に三分の二、再議決をされるかどうかは別にして、さて、この金融機能強化法が成立した後です、後どうするか。  総理にまずお伺いしたいんですが、百年に一度の金融危機という御認識に今も変わりはございませんか。
  190. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これ百年に一度の危機という言葉を最初に使ったのは確か前FRBの議長だったグリーンスパンという人が最初に使った言葉だと思います。正確には一九二八年ですから八十年前ということになろうと思いますが。あのときに使った言葉の、あの一九二九年の話をしているんだという具合に理解をしておりますので、そういう意味では、百年に一度というのはどういう、適切な評価は別にして、それくらい大きな、金融的には物すごく大きな危機だと、私はそう思っています。
  191. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そうすると、総理としてはこの金融機能強化法案が可決成立した後、次の一手にどんなことをお考えになっていますか。
  192. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 金融として基本的には今置かれている状況は、私どもは金融の決済機能が危なくなっていると。いわゆるオーバーナイトコールがとにかく金利がめちゃめちゃ上がったりするというのは、明らかにマネーマーケットがうまく作動していないという事態に一時期至るほどでしたから。そういったような事態になっている状況から、マネーマーケットもなかなか通じない言葉ですので、もうあなたはよくお分かりになったと思った上でしゃべっているんですけれども、こういうような状況というのは明らかに異常ですよ、こんなの。  そういったような状況になっているのを、少なくとも今少しずつ収束しつつある。私はその点に関しては各国かなり協調をしてきたと思っております。少なくとも一九二九年、あの時代に比べては明らかに今回の方は各国協調してそこそこのことをやってきていると思っていますが、我々としては、更にいろいろなことが起きるのはこれが間違いなく実物経済に与えてくる影響が大きいと思います。(発言する者あり)実体経済って、実物経済とも言うんです。間違えぬでください。  是非、そういう意味では、こういったような話は基本的に広く広まりますので、そういうのを未然に防ぐためにはある程度雇用とか、そのまた前には倒産を避けるとか、いろんな意味での手を打っていかねばならぬのだと思っておりますので、まずは決済もできないような状況というのは異常な事態ですから、それの次の実体経済、実物経済というものに対してどうやっていくかというところが我々の最も腐心していかないと、それは結果として雇用失業問題につながっていくというように理解をいたしております。
  193. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、総理、是非本当に、建設的に何か議会の議論の中でアウトプットを出したいんですよ、私たちは。で、総理にお伺いしたいのは、次の一手として総理が今お考えになっているものは何かありますかという質問なんですけれども。  この金融機能強化法の後に、これ中小企業資金繰りを何とかするために私たちは早く通していただきたいといって、ようやくこれ採決されるわけです。これで終わりじゃないんですよ。総理もおっしゃったように、私も、百年に一度かどうかは別にして大変な状況だと、私が個人的に知り得る限りにおいては今回のやはり企業金融の逼迫度が一番厳しいと思っていますので、何とか次の手も、さらにその次の手も打ちたいんですが、総理は次はどんなことをお考えになっていますかということを伺っています。
  194. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは今、中小小規模企業のところは私は今回の九兆円で年末というものは曲がりなりにも、六と三で九です、九と言えばお分かりと思いましたので、あの三兆円と六兆円と足して九という意味です。その意味では、我々としては、この年末というものはそこそこ対応できるというのは、今、信用保証枠のあれを貸出状況から見ても今一兆六千億ぐらいに昨日でなったと思いますので、そこそこのものにいけると思っております。残りあと二十日間弱。  そういった状況になってきておりますので、少なくともその次に来る年度末というものを考えた場合においては、その信用保証枠拡大などなど、いろんなものを確実に運用が確保されるような手を打っておかねばならぬと。これは基本的には、その点に関しては借り手側の方に言わせていただければそうだと思っております。  貸し手側につきましては、今CPが、CPってコマーシャルペーパー、コマーシャルペーパーがきちんとした形でうまく回らなかったりするような状況にある。だんだんそういうのが出てきたという状況は、これは結構深刻な状態になってきているんだと私はそう思っております。  したがって、CPを発行して回っていたような企業銀行から借入金を起こしてというようなことをやるという状況は、明らかにその資金の従来の流れとはまた違った金がそこに銀行から出ていくということになって、その分が必要としているところに回らなくなる率が高くなってくるということをあらかじめ想定しておかなければいかぬのではないか。  そういったようなことも考えて、ちょっとエンドレスにいろんなのあるんでしょうけれども、そういったようなものを言っていくとまた時間がどうたらという話になるんでしょうから。何となくこっちの意見とあなたの意見と全然違うみたいだから。  理解しました。ありがとうございました。
  195. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 それでは、総理、本当に総理は日本国の最高実力者で、日本経済政策をどうやって運営するかお決めになれるお立場ですから、だから、具体的に幾つか、今信用保証のことを随分おっしゃったので、現場で困っていることについて具体的にこうしたらどうだって提案しますから、やろうと言ってくれたらそれでいいんですよ。  例えば、信用保証制度ですね、この一次補正で出てきた緊急保証制度ですが、これ業種規制があるんですよ。六百十八業種が対象ですけれども、その分類だけで千二百六十九業種あるんですが、どうでしょう、この業種規制外しましょうよ、総理。
  196. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは簡単にはいかぬですな、金融業者があるから。だから、そういった意味では確実に五百からここまで、六百今日で九十幾つまで行っているのかな、確実に増やしてきていると思っておりますので、それを一挙に全業種と言われても、金融関係もありますし全業種というわけにはいかない、そう思っております。
  197. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、そこが、百年に一度の危機なわけですよ。業種を順番に段階的に増やしていくという、この九月十五日のリーマンショック、あるいは去年顕現化したサブプライムローンの問題、これがこれだけ認識をされる前から段階的に広げてきたんですが、今そういう状況じゃないですから、この際、業種規制をなくしたらどうだということを私は提案申し上げたんですが、なかなか簡単にはできないということであれば次の提案をさせていただきますが。  既にやっておられるセーフティーネット保証、このセーフティーネット保証とこの一次補正で入った緊急保証制度、これ両方使いたいという人がいっぱいいるんですけれども、両方使えるようにできませんか。
  198. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) セーフティーネット保証セーフティーネット保証で、そしてまた今回の緊急保証はこの緊急保証という目的の中でやっているわけでございますので、何かいいものができたとか、両方使いたいとか、足していい方を使いたいというのは、この制度の設計上といいましょうか安定性上、これはちょっと残念ながら御期待にはおこたえできないということでございます。
  199. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 私どもは今、平時ではないと思っておりますので。したがって、セーフティーネット保証を利用しておられる方でも適切な審査を経た方については一次補正で導入された緊急保証も使えるようにするべきだと私どもは考えておりますし、私自身が預かっております党の金融対策チームで明日にもそうすべきだという私どもの考え方は発表させていただきたいというふうに思っております。  更に申し上げますが、先ほどどなたか私どもの同僚議員から御質問があったと思いますが、この保証を使おうとすると、その保証を使って既存融資を借り換えさせるということが現に起きているんですね。このことは厳に禁止をさせる、ないしはそういうふうに金融庁に、各金融機関に指導するように、大門さんですね、あっ、失礼しました、共産党の大門委員からの御指摘でございました。大門委員とは随分意見が一致する部分が多うございまして、その点についても全く同感なんですが、この際、各金融機関にそういうことは厳に慎むようにということを金融庁を通じて厳しく御指導をされる、総理の指導力を発揮されるおつもりはございませんか。
  200. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) これは私の目安箱にも似たような趣旨の苦情といいましょうか、来るわけですけれども、これは先ほど大門委員にもお答えいたしましたけれども、こういうことは目的の趣旨に反しますので、これは大塚委員の御意見をいただいて、改めてそういうことのないようにということを周知させたいと思います。
  201. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そのことも私どもの党の方針、考え方として公表をさせていただきたいと思いますので、事務方におかれてもしっかり御対応いただきたいと思います。  似たような話として、例えばメガバンクが一兆円の増資をする、あるいは農林中金も何度も話が出ておりますが増資をすると。メガバンクの場合は、増資をすると取引先企業に対して増資引受けを要請するのが常でありましたが、今は平時ではございませんので、取引先企業に対して言わば銀行の優越的地位の濫用に当たるような形で、相手側から見ると、取引先企業から見るとそのような格好に見えるような形で出資を募ると、あるいは要請するということも慎むようにということをこの状況では私はしっかり指導されるべきだと思いますが、その点については総理のお考え、たまには総理の御意見を聞きたいんですけれども、経済にお強い総理ですから。
  202. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは平時も有事も同じです。当たり前でしょう。それはよく分かっておられる上で聞いておられるんだと思いますので、基本的には、経営基盤というものは、これは銀行に限らずどこでもそうでしょうけれども、資本を充実を図るというのは極めて重要なことだというのは、もうこれは当然のことだと思っております。  したがって、何と言うの、アドバンテージ、地位的に優越性を利用して、地位的に利用して、そして一方的におまえこれ何とかしろと言うのは、まあ恫喝とは言わぬけど、そういったような形の話をしておられるわけですよね。そういったのは、これはやってはならぬというのは当然のことなんであって、私どもとしては、基本的には皆さん方とかあなたの意見と同じくしております。
  203. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 恫喝とまでは言いませんけれども、あと総理、有事と平時と違いませんとおっしゃいましたが、有事と平時とちょっと違うんですよ。平時であれば、例えばうちの企業はメガバンクとお付き合いをしたいので、メガバンクとの融資の取引関係を維持したいので出資に応じてくれと言われたら、無理のない範囲で応じようかなという、こういうやり取りやそういう発想になることはあっても当然だと思うんです、平時では。もちろんそのときに、総理がおっしゃるように恫喝なんかしちゃ駄目ですよ、企業側を。  しかし、今は平時じゃありませんので、元々企業金融が逼迫化しているからこの金融機能強化法企業金融円滑化のために導入しようとしているわけですよ。そのときに、例えば一部のメガバンクでは海外に対して約一兆円の出資をしていて、その片方の手で国内のマーケットから一兆円の増資をしようというときに、自分たちの取引先企業に対して出資要請をすることは、平時では多少のことはあったとしても、有事の今においては厳に慎むべきだという総理なりの御判断と御指導をするおつもりはありませんかということをお伺いしているんです。
  204. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) やはり、優越的地位を利用してというのは平時も有事でも同じだと思います。これは御理解いただけると思います。  ただし、今は平時ではない、なぜならば資金が逼迫しているからと。これは金融機関事業会社も逼迫しているという認識を持っております。  ですから、さっき総理がお答えになったように、CP市場を例に挙げられましたけれども、本当に今この年末を控えて資金が逼迫している。ないわけではないんだけれども、出さないというところもあるのかもしれません。ですから、今総理が答弁されたように、CPを始めいろんな面での資金を政府あるいは日銀、あらゆるところから、日銀もいろんな流動性を今一生懸命出されておりますし、我々もそういうことのないように、金融機関あるいは又は中小企業を始め事業会社に対しても、そういった変なひずみが出ないように今全力を挙げて総理からしっかりやれというふうに私は言われてやっております。
  205. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) こういう流動性資金というものが今、何というのかな、極端にみんなこうしているんですよね、はっきり言って。だって、普段だったら回るはずのものがだってあるんだもの。(発言する者あり)だから、ああ、そうだ、速記のしようがない、ごめんなさいね、囲い込んでいる、囲い込んでいるという意味です。囲い込んでいますんで、各企業が従来に比べて流動性資金をかなり過剰に抱えておるという状態は、いわゆる信用収縮というものの一つの形なんだと私はそう思っています。その意味では明らかに、平時か非常時かといえば、その点からいったって今までではあり得ない、異常であることは確かだと思っております。  したがって、そういうときに当たっては特にという御意見なんだと思いますけれども、その点は中川大臣と同じで、この点は、もう大分前からこういうことになりゃせぬかという話、予想どおりになりつつありますので、その点に関しましてはずっと私どもとしては必ず世界中がこうなった場合、日本だけということになってくるぞという話をしておりましたので、そういったものに対しては、非常時においての対応日本銀行始めいろんな形でこの点に関しては御協力をいただいているものだと思っております。
  206. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 メガバンクの増資及び出資要請に関しては大分意見は近いことは理解できましたので、じゃ、総理にもう一つ伺いしますが、先ほど農中の議論も出ておりましたけれども、午前中もそういう議論があったんですが、農中も、新聞報道によると一兆円の資金調達をしたいという報道がありました。これは農中が自分たちの傘下の単位農協とか信連から出資をしてもらうというふうにどうも言っているようでありますが、それについて総理はどういうふうにお感じになりますか。
  207. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 各単位農協というものの経営状況にもよるんだと思いますが、基本的に各単位農協である程度の資金を持っていて、その資金に余裕がある、またそういったところは、そういった増資要請に対して応じられるところは応じるというのは私は決して間違ったことではないと存じます。
  208. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 応じられるところは応じればいい、よく理解できました。したがって、なぜならば、何でこんな質問しているかというと、この金融機能強化法は、今申し上げました単位農協とか信連で厳しいところがあればそこに公的資金入れられるようにしようとしているそのときに、その単位農協や信連から出資を募るというのは、これは本末転倒な話で、これは総理、もし御存じであればお答えいただきたいんですが、会社法などにおいては、親子関係においては、これはバランスシートを作るときも親子関係における出資関係は相殺して実際の増資にはならないということになっているんですが、この農林系統の場合は中から資金を集めてもこれは増資になるんですか。
  209. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 何となく農中がトップにいて単協が下みたいな感じですけれども、実は私も昔農林大臣やったことがあるんで多少知っておりますけれども、実は単位農協があって、単位農協の余裕資金を信連に上げて信連の余裕資金を農中に上げているわけですね。だから、農中がでっかくてあれですけれども、一番下で、単協から上がってきた、つまり農協の組合員さん始め皆さん方から預かったお金の一部を最後、農中が引き受けていると、こういう金融構造になっているわけであります。その中で農林中金が増資をするとするならば、そのときに親であります信連、あるいはおじいちゃん、おばあちゃんかもしれません単協に対して余裕資金があれば是非お願いしますと、こういう形でございます。
  210. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 中川大臣は時々チャーミングな笑い方をされて、笑い上戸かなと思って見ているんですが。いや、伝えたいことは御理解いただいたと思いますので。  農中は、やっぱり火のないところに煙は立たないで、なかなか厳しい面も今あるわけですよ。だから増資をしようとしている。そのときに、何だか本末転倒のような増資にならないように管理監督していただきたいと。もっと言ってしまえば、私は前の委員会でも申し上げたかもしれませんが、これ百年に一度の金融危機なわけですから、メガバンクや農中に対してはもっと早い段階から公的資金を一兆円ぐらいずつ何らかの判断で入れるべきだったというふうに、これは個人的な意見です、そう思っているんです。だから、こういう紆余曲折があった結果、農中が自前で調達するという気持ちになるのは分からないでもないですが、そのときにかえってほかの金融機関や、その金融機関の先にある企業金融を逼迫化させるような増資行動は行うべきではないということは御理解いただきたいと思います。  そこで、もう一つ提案を申し上げますが、これは私の古巣の日銀のことでありますが、これ百年に一度の機会ですから、どういう手段が使えるかということは、もう総理として全部エマージェンシープランを用意しておく必要があるんです。日銀法三十八条を場合によっては発動する局面だと私は思っておるんですが、急に言ってもあれですから、日銀法三十八条について、金融庁、もし御理解があればお話しください。
  211. 内藤純一

    政府参考人(内藤純一君) お答え申し上げます。  日銀法第三十八条でございますが、これは信用秩序の維持に資するための業務という形で位置付けられているものということでございます。すなわち、内閣総理大臣及び財務大臣は、信用秩序の維持に重大な支障が生ずるおそれがあると認めるときは、日銀に対しまして、金融機関への資金の貸付けその他の信用秩序の維持のために必要と認められる業務を行うことを要請することができると、いわゆる日銀特融の規定でございまして、通常の業務とは別次元での判断がなされるものだと思います。
  212. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 総理、一回是非条文お読みいただきたいと思うんですが、いや、これはマニアックな条文なんで御存じなくても当然だと思うんですけれども、信用秩序の維持のために万が一のときは、政府の要請があれば資金の貸付けその他の信用秩序の維持のために必要と認められる業務を実は日銀は何でも行うことができるようになっているんです。これは平時においてはお守りみたいなもので、お守りはそう簡単に、お札とかお守りははがしちゃいけないというような、こういう条文かもしれませんが、いや、これが未曾有の危機だという御認識ならば、この三十八条に定めるところの信用秩序の維持のために必要と認められる業務というのは一体何かということは早い段階から御検討になっておいた方がいいというふうに思いますので、私の今の提案ですが、建設的に受け止めていただけますでしょうか。
  213. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは確かに、未曾有と言うと笑いが起きていたけれども、未曾有の危機という意識の方が正しいです。やっぱり、我々とは言わぬ方がいい、私はと言った方が、認識としては合っていると思いますよ。これは本当に深刻な危機だと私自身はそう思っているんですけれども、まだ表に出てきていないけれども、海外へ行くと物すごい深刻ですもの。そういった意味では、私はこれは正直に申し上げて、すごく危機的な意識を私自身は持っております。  ただ、この三十八条というのは、昔、山一や何やらが使ったというのはたしか記憶が、大分前だったので正確じゃありませんけれども、そういった記憶があるんですが、あのときはちょっと正直ばたばたばたばたいかれたときでもありましたんで、そういったときになったときはこういったものもあるということだけは私も知らないわけではありませんが、こういったものが発動しないで済むようなように我々としては対応をしていかねばならぬものだと思っております。ただ、いよいよになったらこういったものがあるということはしっかり腹に収めて対応すべきだと、私もそう思います。
  214. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 御参考までに申し上げますと、この三十八条を受けて日銀がどう行動するかという判断基準が日銀の政策委員会の決定事項で四つの原則というのが公表されておりますが、果たしてその四つの原則のままでいいのかどうか、そういうことも日銀とよく議論をいただいて、日銀法四条に沿った対応日銀ができるようにしていただきたいというふうに申し上げます。  最後に、二点申し上げます。  一点は、先ほど冒頭、総理が見ておられたその図ですね、これは総理にはお伺いしませんが、中川大臣、先般の審議及びその後の農中の参考人の方の御発言で、その取引は農中が九億三千三百万円の損失を被ったということが確定しました。その九億三千万棒引きしたということは、債務減免率はどうでしょう、九〇%以上です。そういう貸付先であれば、当然破綻懸念先であったり、もう破綻先でなければならないような先でありますが、相手方はまだ現在普通に経営をしておられる団体であります。  この農中の取引行為について、何がしか調査をして御報告をいただけるおつもりはございますか。
  215. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 確かに九億三千三百万を四千二百万円でという大塚委員のこの図で見ますとぎょっといたしますけれども、(発言する者あり)いや、しゃれじゃございません、しゃれじゃございません。しかし、農林中金も、(発言する者あり)そうじゃないんです、農林中金もいわゆる日本を代表する金融機関一つでございますから、きちっとした監査法人と、しっかりと監査を受け、また相談をしながらの結果だというふうに私は理解をしております。
  216. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 それでは、総理にひとつ最後に少しリラックスしていただく質問もさせていただきますが、私もゴルゴ13は大好きでございまして、昔、一巻から五十巻まで全部持っておったんですけれども、総理はゴルゴ13のどういうところがお好きでございますか。
  217. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) リラックスをしているという前提条件でお答えします。  一巻目というのはないんです、あれは。二巻目からしかない。これ、意外とマニアというかオタクじゃないと知らない話なんですが、もうあれで終わるつもりだったものだから、一号ってないんですよ。いや、だけど、あれゼロ巻と書いてあるから。何にも書いていない、一巻と書いていない。二巻からなんです、あれ。これは意外と知らない人、ちょっとこの種のオタクの方には受ける話かと思って、さいとう・たかをさんから聞いた話ですから間違いないと思いますが。(発言する者あり)二十秒。  基本的には、あの中で一番いいなと思うのは、少なくとも、いわゆる冷戦構造が終わった後、スパイの漫画は一つもなくなった。あれ以上インターナショナルな、国際情勢が分かっている漫画はそんなにはないと私自身はそう思います。
  218. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 私もよく読んでいた者として、ゴルゴ13は最後には必ずミッションを果たすんです。どんな困難があってもミッションを果たしてあのストーリーは終わりますので、総理としてのこの景気対策、ミッションを果たしていただくことをお願い申し上げまして、私の質問にさせていただきます。
  219. 椎名一保

    ○椎名一保君 自由民主党の椎名でございます。  今朝からの川崎さんと尾立さんの御質問、そして締め総での円筆頭とただいまの大塚さんの御質問、お聞きいたしておりまして、円先生も大塚先生からもございましたけれども、基本的にこの法案は反対ではないんだと。一部とにかく修正をして一刻も早く成立をさせたいということは、協議の過程でも大分伺っておりました。今日のいろいろ質疑を伺っておりまして、与党理事といたしましては十分に質疑時間を確保できたんだなという思いを持っておりまして、皆さん方のお顔も、これで金融機関はリスクテークできる環境が整ったわけでございますから、ほっとしておられるなという感想を私は持っております。  そんな中で、短時間ですが少し質問をさせていただきたいと思いますけれども、総理、この間のワシントンでのG20で、IMFに一千億ドルの融資を表明されてまいりましたですね。その背景そしてまた効果など、ちょっと御感想、お述べいただきたいと思います。
  220. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 一九七八、七九といわゆるアジアにおける金融危機が起きました。最初はたしかタイでスタートしたと思いますが、瞬く間にアジアに飛び火したというのはもう御存じのとおりです。  あのとき、いろいろな形で、七九、九七年、済みません、七九じゃない、九七です。この九七、九八のときに飛び火したんですが、そのときにIMFというのが出てきて対応したんですが、結果的には対応は極めて不適切だったと、私はそう思います。したがって、IMFはアジアにおける信用はない、信用が落ちた。したがって、ストロスカーンという人にこの間会ったときに、あなたたちの信用はアジアにおいてはないと。それはあなたたちの先輩の話とはいえ、知らないはずはなかろうと、十年前の話だから。  したがって、IMFに信用がない、アジアにおいては。ただし、今この状況の中において、新興国とか言われる国々を助ける力とか組織というのを持っているのはIMFが一番。しかし、そのIMFには加えて資金もない。したがって、この地域金融が決済ができないとかいうような事態になるということは、ひいては回り回ってアジア、日本にも全部に影響はするので、そういう意味では、資金融資するから融資資金を使ってアジアの国々のこの金融システムを是非維持するように努力してもらいたいと、我々としても全面的に支援をするからというのが我々があの一千億ドルを出した背景であります。  おかげで、その後はストロスカーンは珍しく声明文を出して、ひとえに日本のおかげだという文書みたいのを書いていましたけれども、そういった意味では少なからず評価というものは得られたものだと思って、結果として回り回って日本の国益にも資することになると思っております。
  221. 椎名一保

    ○椎名一保君 総理、そういうお話をお伺いしたかったんですよ。  今、アジアの金融危機からIMFのお話をされましたけれども、私は浅学ですけれども、これは、IMFというのはブレトンウッズ体制のその中心、委員長は御専門ですけれども、まさに第二次世界大戦後の世界の金融システムの中核を成してきたものだと。それが、その基金に敗戦国である日本がイニシアチブを取って百年に一遍の金融恐慌だと言われている中でそういうことができるようになったんだと、してきたんだということを是非とも国民にきちっと、何というか、発信をしていただきたかったと、そういう思いでいっぱいなんです。  ちょうどお帰りになられまして、翌日、小沢代表が官邸に行かれましたね。これは鬼のような顔で行かれましたので、政局好きのマスコミは政局一辺倒になってしまいましたけれども。確かに日本国民は今非常に困っておりますね、実体経済がどんどんどんどん逼迫してきて。困っていても日本人というのはやはりそういう志を持っておりますので、こういうことを日本はできるんだ、だから将来はこういうふうに展望が開けますよということを、これは総理のお口から言葉で国民に語っていただきたいなと。私は遅くはないと思うんです。できればQTのときに、第一声それを言っていただきたかったなとは思っておりますんですけれども、まだ機会はありますので、こういう考え方に対しまして御所見をお伺いしたいと思います。
  222. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 今回の金融危機対応して少なくとも日本が出した提案、あらかじめ言った提案は緊急宣言、共同宣言の中で日本が出した提案はほぼ全部入った。こんなことは過去例がないと思いますが。  少なくとも、そういった話を、出したまま取られる人もいますけれども、出した金はきちんとIMFに融資するんですから、そういった意味では全然意味が違うと。この融資と増資の区別も付いていない方も世の中にはいらっしゃいますので、そういった意味では、是非、こういったことは日本のおかげでできているということはいろいろ言っても、今は政策より政局の方も大変世の中には多いわけですから、そういった意味ではそれがキャリーされるということはなかなかないんだと存じます。  もう一点、あのときは貿易が問題になるからということで、輸出に対しましては保険が必要なんですが、その保険を再保険するという案も日本が提出して、そしてそれはリマにおけますAPECでそれが一番最初に採用になった具体的な提案で、ほとんどの国が一週間前のワシントンの会議にも出ていましたので、それは直ちにということで日本の案としてこれが採用された。ただ、この再保険ということも余り理解している方の方が少ない。  したがって、そういった意味では、後になって、すごいいい案だということが後になって返ってくる。もうある程度これは、国際金融とか再保険とかそういう話というのはその分野に詳しい方でないとなかなか御理解をいただけないところですが、日本に限らず世界が今後貿易とか決済とか金融とかいうことをやっていくにおいては最も大事なところだと思って、そこの一番のところを日本としてはきっちり対応できたというのは日本の国力が上がっていたおかげなんだと思って、少なくともブレトンウッズの時代では考えられなかった時代になったということは、ひとえに多くの先輩方が経済というものに大いに特化して頑張って、結果として日本経済力がこれだけ向上していたおかげだと、私どもはそう思っております。
  223. 椎名一保

    ○椎名一保君 まさにサンフランシスコ条約から戦後の立ち上げ、そして今、日本の国際社会の中で置かれている立場、そこに麻生総理は居合わせたわけですから、そのことをきちっと日本国民に発信をして知らしめて、日本の将来の展望を示すということが私は総理に与えられた使命だと思っております。そのことを一度こういう場で申し上げたかったわけでございまして、どうかひとつ心に留めていただきたいと思う次第でございます。  そして、そのときに、時価会計の、こういう混乱時には緩和すべきであるというお話もされたと伺っておりますけれども、私は金融の全く専門家ではないんですけれども、私が考えても今の金融システムというのはおかしくて、金融機関というのは不況のときに借りたい人に貸し出して、好況になったときにそれを償還を受けるというのが本来の在り方ではないかと思うんですけれども、そのシステムとかBIS規制でその逆のことになっておりますですね。ですから、そういうことに対してのまた警鐘という意味も含め、そういうことを改めるべきだという御発言だったと思うんですけど、その辺りのちょっと御説明をいただきたいと思います。
  224. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これまた、いわゆる簿記とか会計とかいう話で、更にオタクっぽい話になるのかもしれませんが、基本的には時価会計というのは一時期やたらもてはやされた。私はその当時反対した方だったものですから、こんなものが成り立つというのは、平時だからそんなことを言っているので、平時じゃなくなったらマーケットがなくなると言って当時反対した記憶がありますので、今回、ほら見ろということになったと、正直アメリカからわんわんわんわん言われたときの記憶がありますのでそう申し上げたんですが。  いわゆる時価会計ではなくて、我々は当時簿価だったんですが、少なくともフェアバリューと英語で言うんですが、いわゆる公平な価格とか理論価格とかいろいろな表現があるんですが、英語でフェアバリューという表現が今なりました。そういった意味では、是非我々としては、このフェアバリューと言われる、日本語で公正価値とかいろいろ言うんですけれども、そういうようなものを使わないと、少なくとも評価に公平さを欠くということになりかねないのではないかと。  そこで、十月二十八日だったと思いますが、時価の算定の方法として、民間の企業会計基準委員会というものが、日本市場の混乱時においては少なくとも理論値というものを使用することの明確化を打ち出しております。そして、十二月の五日に債券を売買目的から満期保有目的に変更するということを、今までできなかったんですが、それをできるように容認するという基準の改正というものも公表をしておられます。これ、いずれも提案を申し上げておりましたので、私の方から。  そういった意味では、政府として引き続きこういったようなことはやらないと、これは経営をした人だったらだれでもこれはおかしいなとあのとき思ったはずです、多くの方々がこれはちょっとおかしいんじゃないかといろいろ言われましたのがありましたので、今回はこの点を私の方から提案をし、当時アメリカが圧倒的な時代でしたけれども、おかしいじゃないかという話をして、いきなりまた簿価とかなんとかいろいろなことを言う話になるとまた混乱しますので、きちんとしたものをみんなでつくり上げる努力をすべきだというのを提案させていただいたのがその背景です。
  225. 椎名一保

    ○椎名一保君 しっかりとリーダーシップを取って、実効性のあるものにしていっていただきたいと思います。  関連しまして、中川大臣にお伺いします。  今、時価会計の話をさせていただきましたけど、私は地方の、地方というより中小零細は時価会計というよりも減損会計を決算で余りにも厳格にやられますと、やはり中小企業に限らないと思います、個人もそうですけど、資本財として日本の場合はやっぱり土地が資本財でございますから、住宅なんかは外国では資本財でも日本では耐久消費財という考え方で、ですから資本財がバブル以降大幅に下落してしまったわけですから、そして減損会計、それで景気の低迷、これはもうダブルパンチどころかトリプルパンチで、これが日本の景気がいつまでも低迷している原因ではないかと思いますけれども、その減損会計に対する緩和とかそういうことに対して、中川大臣の御所見をお伺いしたいと思うんですけれども。
  226. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 土地に限らず、この著しい減損というのは、中小企業のみならず、やはり企業にとって非常な事業遂行上のプレッシャーになってくるわけでございます。そういう意味で、特に中小企業に対しては、そういうものが中小企業事業に、あるいはまた事業の継続に著しい影響を与えるということは、中小企業政策上もあるいは金融政策上も決して好ましいことではございませんので、やはり我々は日ごろから、そして現在においては、こういう状況でございますので、特に中小企業に対しての支援というものを政府としても全力を挙げてやっていかなければいけないというふうに考えております。
  227. 椎名一保

    ○椎名一保君 できましたら、提案ですけれども、その減損会計のガイドラインみたいなものを検討するぐらいのことをやっていただきたいと希望いたします。  総理、お戻りになられましたので総理にお伺いいたします。  今、緊急融資対策で、それぞれの自治体間でもいろいろ、それぞれやっております。しかし、これは財政力の御承知のとおり違いで、それぞれ違うんですね。この間も金融委員会で台東区へ視察に参りまして、台東区を始め東京の区のいろんなそういう実態をお伺いしてまいりましたけれども、自分の出身地なんかと置き換えますと、これはこれはお寒い話でございまして、これはもうそれぞれが、地方自治でございますから地方自治の責任においてやるべきものではありますけれども、これは、緊急経済対策という一つの枠組みの中でその辺りきめ細かな御配慮をいただければと思うんですけれども、そのことにつきまして総理にお考えをお聞きしたいと思います。
  228. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 今、資金繰り対策が実際に実施されていくに当たっては、今例を引かれましたけど、ほかにも大田区とかいろいろ東京でもやっておられるんだと存じます。地方公共団体に認定手続というのにつきまして協力をしていただいているんですが、その制度の周知をしてもらうとか、窓口のいわゆる案内などなど、いろんなものをお努めいただいているのはもう御存じのとおりです。  また、国による全国規模でのいわゆるセーフティーネット金融というものと、地方公共団体、各単体によります公共団体による地方経済の実情に合ったいわゆる支援策というのは、併せて地域中小とか小規模企業のいわゆる支援というものにこたえるようなものにしていただかないかぬのですが、引き続きこれは、今言われましたように、個別の企業とか、また地域によってこれはいろいろ実情も違って、あの人の信用ならとかいう話のその個人の信用度合いが全然違ったり、そういったものがありますので、これなかなか簡単に一概には言えないところなんですが、是非そういった意味中小小規模企業に対する資金繰り支援対策というものに対してはきめ細かい配慮が必要という御指摘は全くそのとおりだと、私もそう思います。
  229. 椎名一保

    ○椎名一保君 よろしくお願い申し上げます。  新銀行東京のことがいろいろ話題に出ておりましたけれども、これはまさに地域間の財政力の格差の表れでございまして、ああいう銀行を自治体がつくれる財政力があればみんなつくりたがるわけでございまして、ですから余計、新銀行東京に対しては、やはり日本全体の公平ということの中で厳しい目で挑まなければならぬなという思いを私も持っておるところでございます。  最後に、中川大臣に、麻生内閣の今一番の緊急課題は貸し渋り対策だということが昨日辺りの新聞にも書かれておりましたけれども、いろんな対策を講じてはおりますけれども、最後に再度そのことのお覚悟をお伺いいたしまして、私の質問とさせていただきたいと思います。
  230. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 本当にお金があるのに、あるいはまたちょっとした審査といいましょうか判断、もう一歩踏み込めば融資ができるような状況なのに貸さない、つまり借りられないという状況というのは、私は特にこういう金融状況、年末を控えた状況の中ではあってはならないことだというふうに思っております。  そういう意味で、この法案も成立いたしましたならば、できるだけ早くこれが施行されて、そしてまた健全な金融機関を通じて中小企業にこの公的なお金を使っていただけるようにしたいというふうに思っておりますし、その他今、椎名議員おっしゃるようないわゆる貸し渋りというものがあってはならないということは金融庁を通じて全国何回もお願いというかやっておりますけれども、改めて年末を控えまして、こういうことがないように我々も全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに思っております。
  231. 椎名一保

    ○椎名一保君 以上で終わります。
  232. 白浜一良

    ○白浜一良君 総理、連日御苦労さまでございます。いよいよ金融機能強化法、本日で議了採決ということでございます。かねてから総理は、アメリカの金融危機がもう全世界に波及して、日本影響を受けつつあるわけで、実体経済に及んできているわけでございますが、そういう面で経済対策、全力を挙げようとされているわけですが、そういう面ではこの金融機能強化法保険業法改正もそうですが、もう早く上げることが大事だと、成立させることが大事だと、こう主張されておるわけでございます。  考えてみましたら、衆議院で成立したのが十一月六日、考えたらこれ一月以上たっているわけですね。本委員会のいろいろな議論の経過でしょうけれども……(発言する者あり)事実を言っているんです。事実は認めなさいよ。一か月以上かかっているわけでございますが、やっと採決されることになったということでございまして、採決の結果、否決されるかも分かりません。だけども、否決されても衆議院で再可決されると、こういう運びになるんでしょうけれども、成立するめどが付いたということでございまして、こういう経緯に関する所感をまずお伺いしたいと思います。
  233. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 少なくとも今回の金融危機借り手側貸し手側と二つ対策が要るんだと最初から申し上げております。  借りる側の企業、なかんずく中小小規模企業金融面を見ますと、いわゆる資金繰りと言われる問題でして、この問題に関しましては、担保不足、株価が下がったことによるいわゆる担保の低下、土地が下がったことによる担保力の低下、いろんな理由もありますが、いずれにしても、担保力の不足に理屈付けられて中小小規模企業資金繰りが極端になってくる可能性というのは非常に大きいと。それが、いわゆる融資の枠とか、いわゆる融資とかいうので六兆プラス三兆、合計九兆円というのをやらせていただきましたその背景です。  おかげさまで今順調に進んでおりますが、今度は貸し手側の方から見ますと、いわゆるそこにお金を貸してやる、地方中小企業お金貸してやる地銀なら地銀、そういったところが、貸してやる側から見ますと、その貸し手側の方の資本、いわゆる株、土地等々の資本側の価値が下がっておりますんで、貸し手側の方の。したがって、いわゆる自己資本比率が低下、そういったようなものによって貸し渋り、貸しはがしというのが正当化されるということになっていくんだということを理解していただかないかぬところだと思っております。  したがって、その点に関して、是非、貸し手側のところもきちんとした対応をしていくということをしておかないと、自分たちが、例えば商工いわゆるローン、いろんな形の金が、仮に政府系のものが入ってきたとしても、千万円入ってきたら、地方銀行が貸してある分、今までの分は、千万円入ったら、じゃ八百万円返してという形に、こういうふうになると、ここの自己資本比率はそれによって充実しますが、結果として、千八百万で回すはずであったものが結果的に幾らで回ったかというと、その差額で、しかし、八百万取り上げられれば基本としてはその分が返せなくなる。  そういう意味で、極めて借り手側にもそれが、影響が出てくる。したがって、これは貸し手と借り手と両方やらねばならぬというのを最初から申し上げてきたとおりでありまして、それがおかげさまで、かなりの時間を要したとはいえ、ここまで通るようになりましたということですので、私どもとしてはそれはそれなりに、我々としては、発動はできる、しやすい安心感。直ちにそれがどうのこうのというわけじゃなくて、安心感というものは極めて大きなものだと思っておりますので、我々としては、これまでの心配がかなりその分で解消できるものと期待をいたしております。
  234. 白浜一良

    ○白浜一良君 安心感もさることながら、法案が成立したら金融機関に対して適正ないわゆる措置をしていけるように、万全の体制でお願いしたいと思います。  それと、この背景なんですが、だんだん実体経済が悪くなっているという面では、昨日報道されておりましたけれども、いわゆる七—九月期のGDPの、速報値はいわゆる十一月に出たんですけれども、改定値が昨日発表されていましたですね。それがひどいんですよね。年率換算でいいますと、速報値は〇・四%マイナス、そこが改定値で出たらマイナス一・八%と。ひどくこの差が、これだけ速報値と改定値に差があることはほとんどございません。そのぐらい実体経済がぐわっと悪くなってきているんでしょう。そういう現状に対する危機意識というか、御認識をまず伺いたいと思います。
  235. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) GDPの速報値というものが二四半期連続マイナスというのは、やっぱりこれはこれまでに最近ではありませんので、その意味では明らかに後退、景気というものが後退局面にある、これが数字の上からもはっきり出てきたんだと思っております。  加えて、生産も低下、そして売上低下、したがって収益も大幅に減少ということになっているのに加えまして、昨日でしたか、参議院の予算委員会でいただいた資料を見ましても、少なくとも輸出関連の製造業において雇用というものが激減しているというのが数字の上では明らかです。傍ら、輸送関係のところは逆に雇用の芽は増えておるというのは、多分これはガソリンの値段が下がってきたというのが大きな背景かなと、その数字を見ただけでの感想ですけれども、そういった感じを持っております。  いずれにしても、この景気状況というものは、これは輸出関連が、というのは先行き六か月先からずっと計算してきますので、その意味ではかなりリスクを考えておかないかぬという感じがしますので、その存在、リスクの存在というものをよく知った上でやっていかないかぬのですが、いずれにしても七—九のGDPが下方修正されたという事実というものは、これは民間の在庫品やら何やらの数字を見ましても、また企業設備、民間の企業設備が落ちてきているというのは、いずれもこれは、先、景気に対してマイナスの影響が大きく出てくるということで、当然機械受注も減っております。  我々としては、そこらのところを考えますと、景気というものに対しては、最近、日銀は半年という話でしたけれども、半年で底を打てばもう本当に私どもとしては、それが分かれば苦労せぬがなと思いますけれども、私どもはもう少し掛かりゃせぬかなと、いろんなことを正直考えておるのが実態で、特に海外の影響を強く受けます輸出関連産業というものは、その影響はもっと大きくなりゃせぬかなという感じがいたしております。
  236. 白浜一良

    ○白浜一良君 そういう御認識の下で、今いわゆる第二次補正、それから平成二十一年度の税制改正ですね、それから予算編成と、ここに今力を、最終段階でございます、力を入れていらっしゃるんですけど。いずれにいたしましても、一つ御提案なんですけど、昨日は、私たち議員もそうですし、国家公務員もボーナスが支給されましたですね。でも、ボーナスの出ない企業もたくさんございます。また、急に年内でもう解雇と、雇用調整で、こういう方もいらっしゃるわけでございます。  そういうことを考えますと、いろんな対策、経済対策をもう総理中心にこれからまとめ上げるんですけれども、国民の支持というものがなければやっぱりそういう思い切った施策というのはできないわけでして、そういう意味で、私たち議員も当然そうですし、国家公務員の幹部の皆さんですね、幹部公務員といいますか、そういうメンバー自ら歳費とか給与を一割、二割カットして、そのぐらいの姿勢でやるんだという姿勢を示すことが大変分かりやすいんじゃないかと、こういうふうに思うわけでございますけれども、お考えがございましたら。
  237. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これはもう白浜先生御存じのように、これ議員の歳費につきましては、これは国会で議論をいただかないかぬというところの問題だと思って、行政府の方はという立場にはありません。    〔委員長退席、理事円より子君着席〕  それから、公務員の給与に関しましては、もう御存じのように、いわゆる労働三権といいますか、ストライキ権等々そういったものを制限しておるということから、人事院勧告というものがずっとなされていて、毎年その勧告を受けて政府としてそれを決定をいたしているというのがこれまでのずっとあれでして、これをいきなり人事院勧告無視してばっとやっちゃうというのは、これは労働基本権というやつの代替処置というか代償処置でありますところの部分を、これは人事院勧告の観点から見てもちょっと慎重に検討せないかぬところかなと思います。
  238. 白浜一良

    ○白浜一良君 それはよく分かっているんです、理屈は。ですから、公務員の給与レベルを下げよと私は言っているわけじゃないんで、指導する立場の人間は身を切るべきだという意味で、特定の幹部職だけでいいんです、そういう示すことが思い切った施策を示す場合に大事だという意味で私は言っているわけで、ルールはよく分かっていますよ。それは決断すれば私はできることだと思いますけれども。
  239. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 今、御趣旨は分からぬわけではありませんけれども、ちょっとこの場で即答はいたしかねます。
  240. 白浜一良

    ○白浜一良君 分かりました。私はそう思うということで、こういう意見もあるということを御理解をいただきたいと思うわけでございますが。  あと、総括的に何点かお話聞きたいんですが、アメリカが一月に政権が交代します。いろんな経済対策、今アメリカもやっているわけでございますが、報道によりますと、FRBの政策金利が十二月にもう一段下がるんじゃないかと。今でも一%なんですけれども、もう一段下げるんじゃないかと。アメリカが下げたらEUが同調するだろうと、こういうふうに言われております。当然、いわゆる金利というのは、コールレート金利というのは日銀の専権事項です。だから、それは日銀が決めればいいんですけれども、総理としての考えというか、アメリカが決めてEUが同調すると、そういうふうになった場合は日本も同調すべきだというふうに考えられるわけですが、そういう全体的な考え方でいいんです、別に金利を決める立場じゃないんで、そういう一つの全体的ないわゆる流れをくむべきだというように思いますけれども、お考えございましたら。
  241. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これはもう白浜先生よく御存じのとおり、これは基本的には政策金利というか、そういうものは日本銀行所管の話でして、財務大臣やら、財務担当大臣やら何やらが〇・一下げるとかなんとかいうような話ではありませんので、これはまず一義的には日本銀行、それが一つです。  それから二つ目には、今、ほかの国のところと違って、こっちはもうずっと低金利で来ておりますので、これ更に〇・〇〇までという話になるほど今かなり下がっておりますので、これ以上下げることによってどういう効果が上がるかなというところも考えた上、最終的に日銀の判断されるところだと存じます。
  242. 白浜一良

    ○白浜一良君 私は当然、それを何%にするということを総理に言えと言っているわけじゃないんで、やっぱりこういう世界的な金融危機だから同調する流れをくんだ方がいいんじゃないかという、そういうお考え伺いたかっただけでございまして、それ以上答えにくいということであればもうそれはそれで結構でございます。  それから、これからは、外需は減ったと、内需も、当然消費も落ち込んでおりますし、さっき総理がおっしゃったように、いわゆる企業の設備投資も落ち込んでいるわけですよね。だから、内需、外需とも減少傾向にあるわけでございます。それぞれどう浮揚さすかということ、これが非常に大事なんですけれども、特に内需という面に対して、第二次補正予算案、来年度予算案も関連するんですけれども、大きな柱として内需拡大のためにはこういうことをやりたいんだというようなことがもしあればおっしゃっていただきたいと思います。
  243. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) この八年間を見ました場合に、日本においていわゆる景気対策というものをほとんど政策的にしてきたことはなく、公共工事が十四兆五千億ぐらいだったものが六兆ぐらいまでにずっと減らしてきておりますんで、その意味ではいわゆる内需拡大、内需刺激のために公共工事などなど使ったことはないというのがこれ数字の上でははっきりしておると思います。  その意味で、先ほども二次の中でやろうと言って考えております中でも、我々は、公共工事というものの比率が極めて少ないというのが今の現状なんですが、傍ら、内需拡大というものをやらないと今回の景気というものに対応して、国内の景気というか日本全体の景気が向上するのは難しいと思います。  そのために何をするかといえば、我々としては、基本としてはやっぱり国内で設備投資、住宅投資、そういうものがきちんと喚起される、それが一番大事なところではないか。少なくとも、今、個人金融資産一千四百とか一千五百四十兆とかいろんな表現がありますが、そういう巨大な個人金融資産というものを持っておりますんで、それが住宅投資に回ってくるとか、そういったようなものが今ならいいというものであると、少なくとも建設費は安いし土地はかつてほどの高さとは違いましたし、いろんな意味でそういった需要というものを賄える大きな可能性がそこにある。したがって、それが回ってくるような住宅投資に関しましては、ローンを含めましていわゆる減税。  また、企業におきましても、設備投資というものを海外でするのではなくて日本でできるようにするためにはいわゆる償却というものが非常に大きい要素を占めますんで、新エネとか省エネとかいうものに関しましては一括・即時償却というものを認めるとか、また海外でいわゆる金を稼いできた企業というものが日本にその金を持って帰ってくる。日本と海外との間の税金の差があった場合は日本で課税をされますが、日本でその金を使って雇用に充てる、設備投資に充てる、またいろんな意味での工場の拡張に使うなどなどすれば、その段階で税は捕捉できますんで、そういった形にした方がより現実的ではないか。日本の国内の消費はそれによって喚起され得るということになる。    〔理事円より子君退席、委員長着席〕  いろいろ幾つか申し上げましたけれども、そういったようなことを考えて、国内の刺激というものに今やればという形のものを考えていきたいと考えております。
  244. 白浜一良

    ○白浜一良君 私が、総理、こう申し上げましたのは、二十四日に最終、政府としての案をすべて決められると思いますけれども、要するに一つはやっぱり危機感が国民に伝わらなきゃならないと。それで、危機感に基づいてこれだけのいわゆる対策、施策を組んだんだという分かりやすさが私大事だと思うんです。そこのメッセージがやっぱり国民に伝わらないといけないということで、当然予算案ですから各省庁網羅的な予算案になっているんですけれども、特にここに力を入れているんだということをめり張りを付けて分かりやすい形で私はやっていただきたいから、今前もってもしお考えがあればということで伺ったわけで、今伺った話も含めて、もう少し体系的に柱を立てて組み立てていただきたいと、このことを要望しておきたいと思います。  最後に、明後日ですか、福岡県で日中韓の首脳会談されるんですね。ということで、今日もどこかの新聞に載ってございましたけれども、韓国と二・八兆円の通貨スワップをされるということなんですが、チェンマイ・イニシアチブ以降、バイのいわゆるスワップ協定というのはできているんですね。会議を続けていますから、もう域内の一体化したそういうものをつくれないかという声が協議の中で出てきていると伺っています。AMFがアメリカにつぶされたと、前のアジア金融危機のときに、そういう経緯は経緯であるんですけれども、やっぱりずっと積み重ねてそういう議論が出ているというのは非常に大事なことだと。特に、ASEANプラス3というのは大変大事なエリアだと思うんですよね。  そういう意味で、どうか明後日、首脳会談の上においても、一方そういう金融スワップの、AMFまで行けなくてもいいんですが、少しずつこの域内を守り合うという、そういうコアに日本もなって主導権を発揮してもらいたいと。また、そういう議論をどうか明後日していただきたいということで要請するとともに、何かお考えがございましたら一言伺って、終わりたいと思います。
  245. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) このチェンマイ・イニシアチブという言葉がどれくらい世間で通用する言葉なのか存じませんが、少なくとも二国間におけますこの種の金融の協定というのは物すごく大事です。そういった意味で、これをバイ、二国間じゃなくてマルチ化しようという御意見なんだと思いますが、私はこれは基本的に正しい方向だと思っております。ヨーロッパに比べて各国の格差がかなり激しいところでもありますので、そんな簡単にぽいといくような話ではありません。通貨を一緒にするとかいうようなところとはかなり違うと思っております。  その上で、やっぱり各国間で具体的な案を考えにゃいかぬということで過日も提案をし、重ねて、少なくともバーチャルなものにつくり上げようじゃないかという機運が、この今回の金融危機が発したおかげも多分あるんだと思いますが、かなり前向きにやらにゃという意識が起きてきていることは確か。  特に、日韓の間でいろいろな関係が難しいと言われておりましたが、おかげさまで、日韓とか日中とかいうのは麻生が総理になったら絶対うまくいかないとよく言われたもんだったんですが、日中韓というのを、三国の首脳が単体で会議をするのはこれが過去三十年で初めてです。そういった意味では、それができるような雰囲気が醸成されたと思っております。  今日、李明博という人の兄弟が来ておりますが、そういったような人たちが来てこれまでと違った形になっておると。ばらまきゃ来ると思っておられる方もいらっしゃるようですが、これまでもばらまいても来なかったという時代もありましたんで、明らかにそういったような時代と違って、今は明らかにみんなで手を組んで頑張らないとこの危機は乗り越えられないという危機感も合わさったんだと思いますが、少なくともこれまで日本がやってきた経験が圧倒的にありますんで、こういった経験として我々はそれをみんなと一緒に共有する、知見を共有するという姿勢が大切なんだと思っておって、今回の日韓、日中のバイの会談においても先ほどのスワップの話含めて真剣に討議をさせていただきたいと考えております。
  246. 白浜一良

    ○白浜一良君 終わります。
  247. 大門実紀史

    大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史でございます。  麻生総理、お久しぶりでございます。麻生総理とは、外務大臣をやっていらっしゃるときに、海外で活動するNGO支援でもう即座に対応していただいたことを覚えております。その節はありがとうございました。あのスピード感あふれる対応がちょっと懐かしく思い起こされるところがございますが、総理になられてやっぱり大変だろうなというふうにもお察ししているところでございます。  最初にこの法案について伺いますが、もう総理に余り細かいことをお伺いしても仕方がないというふうに思っておりますので、私がずっとこの委員会で何度も質問して疑問に思っていることについてお伺いします。  今回の仕組みは、公的資金を注入すると。それはもちろん返済させるわけですが、個別行に注入して、万が一最終損失が出た場合、これをどうするかというところに非常にこだわって質問してまいりました。この法案の仕組みでは国民負担になってしまうということになっております。  御存じだと思いますが、アメリカの今回の公的資金の注入は、最終損失は、大統領が法案を出せば業界負担にできるということが残っておりますし、日本の預金保険法の百二条ですか、危機対応勘定も業界負担が基本ということになっております。  また、参考人質疑で農林中金の方が、万が一農林中金の個別行に資本が注入されて損失が出た場合、農林中金全体で最終損失もきちんと責任持ちますという、そういう発言もされている中でございまして、にもかかわらず、なぜこの法案は国民負担のまま採決がされてしまうのかという点でございます。  この点、中川大臣には何度もお聞きしたんですけど、その都度はぐらかされてまいりましたので、今日は総理に、ずばりこの国民負担についてのお考えをお聞きしたいと思います。
  248. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これはもう大門先生もよく御存じのとおりに、この金融機関全体というもののいわゆるリスクテーク、危険を負担する能力が低下ということを懸念されているという今の金融情勢の中にあって、いわゆる国が資本参加するということによって金融仲介機能というものが適切な対応ができるようにというのが本来の目的です。もうこれは御存じのように。  最終的に損失が発生する可能性があるかと言われると、ゼロじゃありません。それはもうはっきりしておると、私もそう思っております。したがって、これはいかにもゼロが起きるのを予断しているかのごとき話をするとまた話が込み入りますんで、是非、金融機関に負担というものによる、賄うリスクを取るということを覚悟しない限りは、これはリスクテーク能力が向上しないわけですから、そういった意味では、今の状況においてはこれは極めて重要なリスクテークをして貸出しをするというのが、金融機関としての大事な今の与えられた、今の状況としては大きいんだと思います。  いずれにしても、これ国としてしかるべき対応を、資本参加をするということになったことができた場合においては、その後ちゃんときちんとしたフォローアップをせにゃいかぬというのはこれは当然のことであって、損失後はそういったことのないようにして、いわゆるフォローをきちんとしていくというのが一番肝心なところ、後になって出てくる一番肝心なところだろうと、私もそう思います。
  249. 大門実紀史

    大門実紀史君 今アメリカでも、この前十一月に公的資金投入した銀行がどんどん買収をやったりして問題になっていたり、これは余りまだ今の段階では国民の皆さんが、いざとなったら自分たちの負担になるんだというのは余り御存じない段階ですが、万が一そうなったら相当の怒りの声がこの間も含めて出てまいりましたんで出ると思うんで、やっぱり、リスクテークと言われましたけど、体力とかそういうこと考えると危機対応勘定の方がもっと体力がない場合なんですよね。それでも業界負担になっているという点でいくと、やっぱり国民負担のまま法案が通るというのはおかしいんではないかというふうに思います。もう繰り返しませんので、御意見として申し上げておきたいというふうに思います。  あとは、もういろんな問題出尽くしましたので、せっかくの機会でございます、財政金融委員会でもございますので、経済対策、特に税の問題について総理にお伺いしたいというふうに思います。  イギリスが消費税の減税をいたしました。EUも欧州委員会が欧州経済回復計画というものを出しまして、これは消費税だけではありませんけど、ヨーロッパの国民の負担軽減というところで消費税減税も打ち出しました。金融危機経済の悪化は世界的な問題ですけれども、こういう例えばイギリスの対応について総理はいかがお考えでしょうか。
  250. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 御存じのように、あそこは消費税と言わずにVAT、いわゆる付加価値税と呼んでおるんですが、大門先生、これは御存じのように、あそこはたしか一七・五%だと思いますので、日本の五%とはちょっとけたが違いますので、そういう意味では、一七・五というものを二・五引き下げて一五・〇ということになるんだということは承知をいたしております。  ただ、そのちょっと発射台の元々が大分違いますので、そういった意味では、我々といたしましては、少なくとも今当面の景気対策ということで、過日取りまとめました生活対策などなどいろいろ言っておりますけれども、二兆円の給付とか住宅ローンの減税とか、またそういったような政策減税というものを含んだ思い切った景気対策というものをまずはやるべきなんだと思っておりますので、基本的には内需によります自律的な拡大というものが出てこないといけないので、それをどうやってやるかというところが今最優先されるべき課題だと私自身はそう思っておりますので、これがやっぱり住宅が一番、設備投資がいろんな形でそういった消費につながっていくようなものをどうやって喚起するかというのは、今まで余りやらなくてここまで来ましたけれども、いよいよそういった時期に来ておるのではないか、私自身はそのような感じを持っております。
  251. 大門実紀史

    大門実紀史君 最近の新聞の投書欄を見ていますと、イギリスの話が広がっているのか、消費税減税してほしいという声が投書欄にかなり載るようになりました。一般新聞ですね。  私は、やっぱり消費、特に主婦の方なんか毎日消費のことを考えていますから、そういう願望が強まっているんじゃないかと思いますし、消費税増税とかいう話よりも、もう発想の転換をしていただいて消費税減税ということを打ち出したら、みんなびっくりしてかなり大きなインパクトになるというふうに思いますけど、ほかのところでやるというお考えでございますが、その前提としておっしゃいました、イギリスは一七・五を一五にしたわけですね。二・五下げたから一五にしたわけですね。  そうすると、総理は、今消費税の五%というのが日本の国民にとってそれほど重い負担じゃないというふうに御認識されているわけでしょうか。いかがですか。
  252. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 消費税の何%がという話からいきますと、今アメリカ、もっと低いんですが、ヨーロッパそれからヨーロッパでも北欧等々、いずれも皆いわゆる付加価値税という、VATと言われるものが二〇%を超えているところもあれば、日本のように五%のところもあれば、韓国は一〇ですかな、いろいろな地域によってすごく差があります。  私は、この消費税というものが今基本的に国民の関心の高い社会福祉、いわゆる介護、年金、医療いろいろありますけれども、社会福祉関係というものにいろいろ御意見がある。北欧の場合はここのところが極めて高福祉になっております。しかし同時に、負担も極めて高負担ということになっているのが現状だと思います。  日本の場合は中福祉、これは中の定義もまた難しいんだと思いますが、今、中福祉の割には、いわゆる負担というものを見ますと、ほかの国の、詳しい数字はいろいろありますので御存じのとおりですが、あの数字を見る限りにおいては、少なくとも福祉を今のままを維持しようとすると、このまま高齢化、少子化が進んでいく状況の中にあっては今のいわゆる国民負担率ではとてももたないのではないか、少なくともこの国民皆保険、いろいろ優れた制度がありますが、これを維持するためには中負担をお願いしなければならぬのではないかと思っています。  ただ、それをお願いする時期は、私は景気というものを考えましたときに、三から五に上げたときの記憶がおありだと思いますが、あのときは大幅に税収が増えるはずだったんですが、現実は大幅に税は減収したんです。したがって、二%上げたにもかかわらず税は落ちたという形になりました。そういう意味では、私は、景気がある程度回復軌道に乗ってからでないとこの種の話はうかつにするべきことではない。結果として上がるはずが逆に減ったというのはあの経験から我々は学ばねばならぬところだと思っておりますので、私は今すぐということを申し上げているわけではありません。  したがって、消費税というものの負担をどの程度に感じておられるか、これは人によって違うんだと思いますけれども、いずれにしても、この消費税というものは簡単に一%すれば何とかだとかいうような種類の話とは私自身は思っておりません。
  253. 大門実紀史

    大門実紀史君 私は増税の話をしているんじゃなくて減税の話をしているわけですね。  今の実感なんですけど、消費税の税率だけ見ると外国と比べて云々とあるんですが、いろんな負担が、特に低所得者の方々には負担が掛かっていると。  ちょっと調べてみましたら、今ワーキングプア問題が出ておりますけど、年収二百万未満で、モデルケースの取り方でいろいろですけど、年収二百万未満でいきますと消費税負担というのは年間七万円から九万円、十一万円ぐらい、まあモデルによって違うんですが、大体七万から十二万ぐらいになるわけですね。これ軽いのかな、重いのかなと。生活実感として思うとやっぱり重くなっていると思うんですよね、今の五%でもですね。今大事なことは消費を刺激するとかそういう部分がありますから、イギリスもEUもとにかく今は緊急事態なんだと。だから、まあ消費税の場合は消費すればするほど減税効果がありますから、直接減税効果がありますので踏み切ったんだろうと思います。  そういう点で、お手元に資料をお配りいたしましたけど、我が党は食料品の消費税を非課税に、せめてこれだけでもこの緊急の事態ですからやるべきじゃないかということで主張しているところですけれども。これをちょっと見てもらうと、特に食料品でいきますと、所得の低い人ほど負担率がもうかなり高額所得者の方に比べると負担率が重いんですよね。イギリスの場合は元々そういうこともあって食料品はゼロ税率になっておりますけれども、日本もせめてこれぐらいのところは緊急事態だから今やるべきじゃないかと思うんですけど、ちょっとコメントいただければと思います。
  254. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは減収がどれぐらいになるのかちょっと正直知らないんで、ああいう数字言っていますが、あれが本当かどうか分かりませんので、ですから、そういった意味ではうかつに乗れる話ではないのですが。是非、大門さん、これはやっぱりもう少し、これは五%でゼロとか言われてもなかなかちょっと簡単にはいかないところなんですが、それはイギリスみたいに十何とか、一五とか一七とかいっていればそれは食料品だけ何とかとかいうのは可能なんだと思いますし、いわゆる二つの、消費税も二種類あるというのは、これは今後考えておかねばならぬ一つのアイデアとは思いますけれども、今この段階で直ちに食料品をゼロにするというのにちょっと簡単に乗っていくわけにはいかぬというところが今の立場です。
  255. 大門実紀史

    大門実紀史君 それはもう、この場でうんと言われると思って質問しているわけではございませんが、考え方としてですよ。これ、ゼロ税率方式にするか非課税方式にするかで財源措置変わるんですけれども、ゼロ税率にすると一・五兆円ぐらいでできる話でございますので、非常に、演説会とかいろいろなところで話すると、特に主婦の方々が、本当、食料品非課税にしてほしいという声が出ますので、総理も一度演説でやってみられると相当評判がいい話ではないかと思うので、御検討いただければというふうに思います。  もう一つは、先ほどありました社会保障との関係ですけど、総理は経済財政諮問会議で、消費税というのは逆進性があるとよく言われるけれども、社会保障目的税にすれば所得再分配は強化されるというふうにおっしゃっていますが、ちょっと意味がよく分からないんですけど、どういうふうな意味でしょうか。
  256. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは私の発言というのは、有識者議員から出された試算というものが出ておりました。それに基づいて私の感想を述べたのがそのときのものだと思いますが、消費税にかかわります国民の負担というものに関しましては、これに対しまして社会保障というものによる受益と併せて考えにゃいかぬのだということが重要なんだという御意見でありまして、私が申し上げたのは、負担が受益として還元される、いわゆる社会保障とか介護とかそういったものにきちんと限定されるのであれば、負担が受益として還元されれば所得の再分配機能は高まることになりますという趣旨を申し上げたのが今、大門議員の御疑問に対する答えであります。  いずれにしても、社会保障の制度の将来にわたってこれ考えないかぬところなんだと思っていますので、これ持続可能で安心できるものにしておかないと、やっぱり先危ないんじゃないかと思えば消費も抑えて貯蓄に回りますし、いろんな形で国民の不安というものを、将来に対する不安というものを払拭するためにも極めて重要だと、私自身はそう思っておりますので、この消費税は重要な役割を果たすんだと思っておりますので、是非今申し上げた点を御理解いただければと存じております。
  257. 大門実紀史

    大門実紀史君 今総理がおっしゃいました諮問会議で、これトヨタの張さんですかね、張会長が提案されたんですかね、民間議員の。その資料資料二枚目に付けておきました。  ちょっと何が言いたいか分からない資料なんですけど、内閣府、ちょっと説明してくれますか。
  258. 西川正郎

    政府参考人西川正郎君) 御説明させていただきます。  お手元の資料二と御配付されております資料は、去る十一月二十八日の経済財政諮問会議に社会保障と税財政の一体的改革の議論の一環として有識者議員から提出されたものだと思います。この試算は、仮に一兆円の消費税負担増を社会保障に充てた場合、年間収入階級別にどの程度の負担と便益が生じるかの目安を定量的に示した粗い試算でございます。  左側の図でございますが、下半分に、消費税一兆円の負担だけを見た場合の収入階級別の負担を年間収入割合で示しております。灰色で示されている部分でございます。その上側に、社会保障国民会議での社会保障の機能強化考え方に基づき、年金、医療、介護、少子化の分野へ還元した場合の年間収入階級別の受益を年間収入割合で示しております。  次に、右の図の方でございますが、左の図で示しました負担と受益を合わせて、ネットの受益として示しております。このピンク色で示されておりますネットの受益を見ますと、所得の高い世帯には負担超となっておりますが、収入の低い世帯では受益が大きくなっており、全体としては所得再分配機能強化されているという試算と理解されます。
  259. 大門実紀史

    大門実紀史君 これ、何で強化されるんですか。こんな子供だましの資料をまじめな顔して議論しているんですか、諮問会議というのは。  これ簡単な話ですよ。要するに社会保障というのはそもそも所得の再分配機能を持っていますよね、持っていますよね。その財源を消費税でやるとその逆進性によって逆に言うと足が引っ張られると、しかし差し引きちょっとだけプラスになると、これだけの話じゃないんですか。もっと言えば、消費税でやらないで所得税で財源賄ったらもっときちっとした再分配機能が働くと、これだけのことじゃないんですか。これ、だれに聞いたらいいか分かりませんけど。  内閣府、ちょっと説明できますか。
  260. 西川正郎

    政府参考人西川正郎君) お答えいたします。  経済財政諮問会議におけます今の議論は、社会保障の持続可能性を担保するという、そういう財政改革を考えた場合にどのような安定財源が考えられるかと、そういうことで議論が進んでおりまして、その際の一つの候補として消費税というものを考えて試算を行われているものでございます。
  261. 大門実紀史

    大門実紀史君 消費税で社会保障を賄えば所得再分配機能強化されるとおっしゃるから、何でだと言っているんですよね。そういう宣伝に使うべきではないし、これ使ったらすぐみんなにぼろくそ言われますよ。やられますよ。  総理はこれをベースに先ほどのお話をされたんでしょうか。それとも、消費税増税してもちょっとぐらいは再分配機能が残りますよという謙虚な意味でお使いになるんだったらまだ分かるんですが、いかがでしょうか。
  262. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 謙虚かどうかはちょっと別にいたしまして、基本的には今言われたとおりに、こういったものは、いわゆる消費税というのは物すごく低所得者層にきついことになるんだということではないのではないかという資料だと理解をいたしております。
  263. 大門実紀史

    大門実紀史君 とにかく、こんなもの使わない方がいいですよ。こんな宣伝しない方がいいですよ。だまされてしまいますよ。よく中身知らないでやっている人ですね。  それで、もう一つは今、これもそうなんですけど、福祉目的税という何か考えがずっと出てきておりますけれども、私はこの問題ずっと委員会で議論していて、当初は財務省というのは、福祉目的税というのは財政の硬直化を招くので、どちらかというと消極的、否定的だったわけですね。  なおかつ、よく言われるんですけれども、ヨーロッパ諸国は消費税が、ヨーロッパ諸国、元々消費税を目的税化しておりませんのでね、これはまず前提ですけど。更に言えば、ヨーロッパは消費税の税率が高いから社会保障に厚いという、それもうそでございます。財源構成そうなっておりません。ヨーロッパ各国の社会保障の、国によって違いますけれども、財源構成、社会保障はどういう財源でやっておるかを見ますと、消費税が占める割合というのは日本とほとんど変わりません。むしろ社会保険料とかそちらで社会保障財源を賄っておりますので、何か消費税、外国とすぐ比べるわけですけど、ヨーロッパと、向こうは消費税が高いから社会保障が厚いんだというのは全然違う話でございます。  そんなことも財務省はよく知っておられたと思いますので、いろんな意味で財政の硬直化を招くから否定的だったわけですけれども、中川大臣、もう方向転換されるんでしょうか。
  264. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 社会保障は将来にわたって安定的に維持されなければいけないという前提で、中期プログラムというものを年内にできるように今政府内で鋭意作業しております。
  265. 大門実紀史

    大門実紀史君 三枚目の資料質問したいと思いますけれども、麻生総理は、これは中央公論三月号に、消費税を一〇%にして基礎年金を全額税負担しようと書かれております。経済財政諮問会議でも一遍そういう試案が出ましたし、経団連の皆さんも主張しておりますし、この基礎年金を全額消費税でという構想がずっといろいろ出されているわけですけれども、もう細かいことお聞きいたしませんけど、これ厚生労働省に協力してもらって最新の数字を作りましたが、基礎年金十九・三兆円を今どうやって賄っているかということですが、これ要するに、全額消費税でやりますとどうなるかというと、普通の加入者はもちろん年金保険料、基礎年金の部分は保険料が減ると、しかしその分消費税で取られるという、こういう関係ですよね。  結局、企業の保険料負担、これは厚生年金、事業主と、労使折半でございますから、この四・二兆円がどこに行くのかと。これは麻生総理の論文にも書いてありますけれども、これで企業が得しちゃうじゃないかということに対するいろいろ手当てはしなきゃいけないというふうに率直に書かれております。要するに、これは全体で見ると企業負担四兆円分を国民みんなが消費税でかぶるということにもなるわけですね、率直に申し上げて。そういう点で企業負担が、経団連なんか非常に、これもあってでしょうか、強く主張していますけれども、この企業負担がゼロになってしまうというところに対して、総理、いかがお考えですか。
  266. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは御指摘のように文春だか公論か何かに書いたときの記憶そのままなんだと思いますが、今御指摘がありましたように、そのときも企業負担のところがどうなるかというところをたしか書いたと記憶をいたします。いずれにしても、その分がいわゆる個人の所得に還元されるというような保証がないと、これだけというのはいかがなものかということを言ったと思います。  いずれにいたしましても、私の出した後、読売方式とかスウェーデン方式とか、今いろいろ勉強しますと、実にいろいろ、何とか方式、何とか方式というのがいろいろあるというのも知らないわけではありませんので、是非こういったのは、私の考え一つ考え方として、これはいろいろこれについて御意見もおありの方もいっぱいいらっしゃるんだと思いますので、是非これは党派を超えて、これは物すごく大事なところだと思いますので、いろいろな議論というものが広くなされて、こういうのがいいというのを作り上げていただくというものの一つのあれになっていけばと、私自身はそう思っております。これは一つの提案ではありますけれども、この点が問題、この点が問題ともう知らないわけではありませんので、そういったものを考えていろいろ御意見を交換していただいて作り上げていただくというのが今後一番大事なところではないかと思っております。
  267. 大門実紀史

    大門実紀史君 基礎年金を全額税でやるという考え方そのものは否定いたしませんが、何ですぐ消費税になっちゃうのかなというところが疑問でありますし、麻生総理の論文にも書いてありますけれども、企業は何らかのその分労働者に還元すべきだと。しかし、そんなことを、御手洗さんも、この企業負担ゼロになった分、非正規雇用に回しますとか、いろんなことをおっしゃっていましたけれども、そのキヤノンが今大量の人切りをやっているわけですから、もうそんな言葉を信じられるわけがないというふうに思うので、これは企業負担がゼロになるだけの案だというふうに厳しく批判されるのは仕方がないというふうに思っているところでございます。  いずれにせよ、今度の総選挙で総理としては、上げる時期はまだはっきりしないとか、あるいは税率もはっきりしないという部分が今の段階、今日の段階ではあるかも分かりませんが、もう堂々と上げるなら上げるということで公約に掲げられて、国民に信を問うというふうに堂々とやられるべきだと思いますが、いかがですか。
  268. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 過日の十月の三十日にいわゆる私の方から話をさせていただきましたとおり、少なくともこの中福祉を目指すのであれば低負担ではとてもできないと、したがって、広く薄く多くの方々に負担をしていただく消費税というのが今後考えていかねばならぬのではないかということを申し上げております。  いろいろ党内、御意見のあったのは十分知っておりますけれども、少なくともいかにもできもしないことをできるかのごとく言う話はいかがなものかと前から思っていましたから、そういった意味では、私は、基本的にこういったようなことも考えて、中福祉を維持するためには中負担というものも考えていくべきではないか。  ただ、その時期というものは、少なくとも、先ほど答弁申し上げましたように、景気が今、低迷している、そういった……(発言する者あり)低迷していると言ったじゃないですか。こういうのしかやじが出なくなると悲しいですな。もうちょっとレベルの高いやじが聞けないかなと時々思わないでもないんですが、まあそれは私の趣味の話ですけれども。  いずれにしても、基本的には、こういうような状況、今のような経済状況の中において、たらたら、足りないからといってぽんと上げるというのは景気を更に冷え込ませるというのは、かつて我々は経験済みでもあります、三から五に上げたときのあのとき。したがって、そういったようなことをやるのは、これは前のことに全く学習していないことになる。したがって、景気がどの時期で良くなるかというのは、ちょっと正直ここのところは、大門先生、私どもも三年でやりたいと思っているんですけれども、是非、今の世界状況はかなり厳しいことになってきているのも事実ですので、そういったものを勘案した上で改めて問わねばならぬところだと、私どももそう思っております。
  269. 大門実紀史

    大門実紀史君 いずれにせよ、我が党としては増税反対ということで総選挙を戦いたいということを申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  270. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 以上で、内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。  速記を止めてください。    〔速記中止〕
  271. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  272. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、林芳正君が委員辞任され、その補欠として長谷川大紋君が選任されました。     ─────────────
  273. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。  金融機能強化のための特別措置に関する法律及び金融機関等組織編成促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案の修正について円より子君より発言を求められておりますので、この際、これを許します。円より子君。
  274. 円より子

    ○円より子君 私は、民主党・新緑風会・国民新日本を代表して、金融機能強化のための特別措置に関する法律及び金融機関等組織編成促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対し、修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。  私どもは、世界的な金融環境の変化の中で、厳しい状況に直面している中小企業に対する金融円滑化を図るという本改正案趣旨には基本的に賛成でありますが、衆議院送付案では、依然として地方自治体が支配株主となっている新銀行東京が他の金融機関と同じ取扱いのままになっていることから、本修正案を提出した次第であります。  すなわち、新銀行東京については、ずさんな融資と過剰な拡大路線が経営悪化の原因となっており、まさに旧経営陣の独断専行とそれを防げなかった東京都に最大の問題があると言っても過言ではありません。しかしながら、参議院財政金融委員会として、これまで再々にわたり新銀行東京の経営責任者や東京都の石原知事に対し参考人出席をお願いし、これらの問題について明確な説明を求めてまいりましたが、残念ながらいまだ実現に至っておりません。  地方自治体が支配株主となっている金融機関は、地方自治体がその資本の充実について一義的に責任を負うべきであり、ずさんな経営によるツケを国民の税金で穴埋めすることを認めるわけにはいきません。  なお、農林中央金庫については、財政金融委員会のみならず、農林水産委員会においても、農協系統金融機関資金運用の透明性や検査監督の在り方等について徹底した議論を行ってまいりました。農林中央金庫については、こうした国会の議論を真摯に受け止め、経営の透明性が確保されるよう不断の努力を求めるとともに、国会としてもその動向を厳しく監視していきたいと考えております。  以下、修正案の概要を申し上げます。  第一に、本法の目的規定を改め、中小規模事業者に対する金融円滑化等による地域における経済の活性化を期するものとしております。  第二に、一つ地方公共団体がその総株主の議決権の百分の五十を超える議決権を保有する銀行については、本法の対象となる銀行から除外し、本法を適用しないものとしております。  以上、修正案の概要を申し上げました。  委員各位におかれましては、私たちの主張の真意を御理解いただき、何とぞ、会派を超えた委員各位の御賛同をいただきますようお願いを申し上げます。
  275. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) これより両案及び修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  276. 大門実紀史

    大門実紀史君 金融機能強化法案、修正案及び保険業法改正案の三案に反対する討論を行います。  まず、金融機能強化法改正案です。  反対の第一の理由は、本法案金融機関に公的資金を投入し最終的に損失が生じた場合、その損失を国民が負担する仕組みとなっていることです。リスクの高い有価証券取引や不動産投資にのめり込んだツケを国民に回すことは決して許されることではありません。  反対の第二の理由は、本法案金融機関の貸し渋りを防止する保証がないことです。本法案では、中小企業向け貸出残高が未達成の場合に経営責任を問う等の現行法の仕組みをわざわざ削除しております。これでは、単にギャンブル的な経営を行った金融機関を公的資金で救済するだけの法改正で終わりかねません。  なお、修正案についても、国民負担の仕組みなど根本的な問題点は変わっておりませんので、賛成することができません。  次に、保険業法改正案についてです。  保険契約者保護制度は、保険会社の破綻時に機構が資金援助等を行うことにより破綻した保険会社の契約者などを保護する仕組みですが、本来その費用は保険業界全体で負担するのが原則です。何ら責任のない国民にその費用を負担させるいわれは全くありません。本法案は国民負担の仕組みを延長するものであり、反対をいたします。  以上で反対討論を終わります。
  277. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  初めに、金融機能強化のための特別措置に関する法律及び金融機関等組織編成促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案について採決を行います。  まず、円君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  278. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 可否同数と認めます。よって、国会法第五十条後段の規定に基づき、委員長において本修正案に対する可否を決します。  本修正案については、委員長はこれを可と決定いたします。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。  修正部分を除いた原案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  279. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。  以上の結果、本案は修正議決すべきものと決定いたしました。  次に、保険業法の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  280. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  281. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十二分散会