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参考人(
山口廣秀君) お答えいたします。
まず現状
認識ということでありますが、御承知のとおり、米国のサブプライムローン問題の表面化という形で今回の
金融危機は始まっておるわけでございますが、既に昨年夏から一年強が経過したわけであります。特に、今年の九月、リーマン・ブラザーズが
破綻して以降、
国際金融資本市場の
状況というのは厳しさを増していると、このように
認識しておるわけであります。そういう中で、最近の国際
金融市場の動向というのを見てみますと、全体としてはなお緊張した状態が続いているというふうに思っております。
やや細かく
市場の
状況を見てみますと、短期
金融市場につきましては、これまで各国の政府ですとか中央
銀行が様々な
措置をとってきました。こうした
措置の
効果もありまして、ごくごく短い期間の取引につきましては、リーマン・ブラザーズ
破綻前の
状況に復していると、こういう
状況であります。ただし、年末越えのターム物
金利、やや長めの
金利ということになりますと、依然として高水準で推移しているということでありますので、緊張感が抜け切っていない状態が続いているということであります。
さらに、株式
市場を見てみますと、株価につきましては、世界
経済の先行きに対する懸念が強いというようなこともありまして振れの大きな展開になっていると。
社債市場におきましても緊張感が続いていると。
このように、国際的な
金融資本市場につきましては、
金融機関同士の
流動性の逼迫ということについては多少改善してきている感はありますが、そういう中で、問題の焦点がより幅広く、世界
経済の調整の深さですとかあるいはその期間いかんといったような点に移ってきているように思っております。
そういう中で、米欧
金融機関あるいは
国際金融資本市場の問題というのは、米国を始めとして
金融の問題から各国の
実体経済に
影響が及ぶと、このような
状況になってきているというように思っております。
御承知のとおり、米国
経済については、
金融と
実体経済の間の負の相乗作用が強まっておりまして、そういう中で悪化の度を強めていると、こういう状態であります。欧州
経済についても、個人消費が減少する、住宅投資も減少するといった中で悪化の状態が見えているということであります。アジアを含む新興国についても、成長率の鈍化という
動きが出てきているという
状況であります。
当面を見渡しましても、海外
経済については更に減速するというように見ておりまして、この先、特に米国において、いつ、どのように住宅
市場の調整が進むのか、
金融システム面を含めていろんな政策
対応が図られているわけでありますが、この
効果がどのような形で現れてくるか、この辺りが重要なポイントだというふうに思っております。
日本経済につきましては、世界
経済の減速の
影響が当然及んできておるわけでありまして、国内の
金融環境も厳しさを増しているという
状況でございます。このため、需要コンポーネントを見ましても、輸出だけではなくて設備投資ですとかあるいは個人消費、こういった内需も弱まっているという
状況であります。
こうした
状況は当分の間続くだろうというふうに見ておりまして、特に成長率ベースで景気を見てみますと、来
年度にかけて潜在成長率を下回る
状況と、こんなことが想定されるということであります。しかも、先行きについては、米欧の
金融システムですとかあるいは海外
経済の動向について不確実性が高いということでもありますので、景気の下振れリスクが高まっているということについて私どもも相当注意して見ていく必要があるというように思っております。
そういう中で、
日本銀行としての今後の
対応いかんということでありますが、既にいろんな
措置をとってきたことについては先生も御承知かと思いますので、そこは割愛させていただきますが、私どもとしては、これまで取ってきたような政策
対応も含めましてどのような政策余地があるのか、その可能性については、予断を持つことなく幅広く検討しながら、どのような
対応があり得るかを検討してまいりたいというふうに思っております。
もちろん、具体的にどのような
措置を講ずるかについては、そのときの
経済情勢ですとか、あるいは物価情勢、さらには
金融市場動向を踏まえて適切に判断したいと、かように思っておるところでございます。