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2008-11-20 第170回国会 参議院 財政金融委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年十一月二十日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  十一月十九日     辞任         補欠選任         森田  高君     櫻井  充君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         峰崎 直樹君     理 事                 大久保 勉君                 辻  泰弘君                 円 より子君                 小泉 昭男君                 椎名 一保君     委 員                 尾立 源幸君                 大塚 耕平君                 川合 孝典君                 川崎  稔君                 櫻井  充君                 富岡由紀夫君                 平田 健二君                 水戸 将史君                 横峯 良郎君                 尾辻 秀久君                 末松 信介君                 鶴保 庸介君                 中山 恭子君                 林  芳正君                 藤井 孝男君                 森 まさこ君                 荒木 清寛君                 白浜 一良君                 大門実紀史君    委員以外の議員        議員       近藤 正道君    国務大臣        財務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        中川 昭一君    副大臣        財務大臣    平田 耕一君        農林水産大臣  近藤 基彦君    事務局側        常任委員会専門        員        大嶋 健一君    政府参考人        金融庁総務企画        局長       内藤 純一君        金融庁総務企画        局総括審議官   大藤 俊行君        金融庁検査局長  畑中龍太郎君        金融庁監督局長  三國谷勝範君        財務大臣官房総        括審議官     川北  力君        財務省主計局次        長        真砂  靖君        財務省国際局長  玉木林太郎君        財務省国際局次        長        中尾 武彦君        農林水産省経営        局長       高橋  博君        中小企業庁次長  高原 一郎君        中小企業庁事業        環境部長     横尾 英博君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○金融機能強化のための特別措置に関する法律  及び金融機関等組織編成促進に関する特  別措置法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○保険業法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     ─────────────
  2. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、森田高君が委員を辞任され、その補欠として櫻井充君が選任されました。     ─────────────
  3. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  金融機能強化のための特別措置に関する法律及び金融機関等組織編成促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案及び保険業法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として金融庁総務企画局長内藤純一君外十名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 金融機能強化のための特別措置に関する法律及び金融機関等組織編成促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案及び保険業法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 民主党の富岡でございます。今日はどうぞよろしくお願いします。  まず、今回のこの法案の原因となっております金融危機について、世界的な問題意識を持っているわけでございまして、先般、中川大臣もワシントンに行かれましていろいろと協議をされてきたと報道で承知しているところでございますけれども、ただ、その中で日本がどういうスタンスでこの金融会議に臨んだのかというところをちょっと確認をさせていただきたいなというふうに思っております。  新聞記事によりますと、日本アメリカドル基軸体制を維持する、それを擁護する発言をされたと言われております。ただ、いろいろ報道を見ると、サルコジ大統領なんかはアメリカドル基軸体制から少し距離を置くような発言をされているということで、どちらかというと、EU諸国ヨーロッパアメリカ、そして日本アメリカ寄りなんでしょうか、アメリカとの間で意見の対立があったように受け止めているんですけれども、その点の具体的な中身について中川大臣にちょっとお伺いしたいというふうに思っております。
  7. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) おはようございます。  今の富岡委員の御質問でございますが、今回のG20会合におきましては、何か日本アメリカドル基軸通貨体制を維持したことだけ、あるいはまた一千億ドルをIMFに出すということだけで、何か貢献だけやってきたというような印象が報道でもあるわけでございますけれども、決してそうではございませんで、麻生総理会議でのスピーチ、発言におきましても、まず、今回のこういう金融危機をつくった原因一つアメリカにあるんだということははっきり申し上げたところでございます。  つまり、アメリカ経済力が低下し世界最大債務国となった現在、こういう問題、そしてやたらと消費が盛んであって、こういう状況つまり国は借金してそして国内で消費が非常に盛んである。これが、ある意味ではアメリカ経済のみならず世界に対して悪い影響を与えたのではないかと。これに関連して、アメリカだけではないわけでありますけれども、グローバルインバランスという問題が非常に大きな問題になっているということをはっきり指摘総理はしております。  その上で、しかしといって、いろんな対策を取り、今後もドル基軸通貨という体制は維持していかなければいけないということを申し上げたわけでございまして、指摘するところははっきりと指摘をし、そして今後に向かってのいろんな提案をさせていただいたというのが麻生総理並びに私の今回の発言でございました。
  8. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 アメリカ責任についていろいろ指摘して、今後いろいろな提案をされたという話なんですが、その提案中身なんですけれども、ヨーロッパの出された提案はより規制をもっと強化すべきだと。いろいろな今までの規制を緩和して自由化流れについて少し流れを止めるような具体的な提案があったというふうに承知しているんですけれども、日本はその具体的な中身規制強化とか自由化の見直しについての具体的な提案というのはされたんでしょうか。
  9. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 確かにヨーロッパを始め多くの国々が、共通認識としては、この危機をみんなで政策協調、連携をしながらこの危機を乗り越えていこう。それから二番目としては、格付も含めた行き過ぎた自由というものを、マーケットも含めてきちっと公的な規制の下で監視をしていこうということ。それから三番目が、新興国途上国に対してもっともっと参加を求めたり発言を求めたりしていこうということ。それから四点目が、保護主義あるいは通貨切下げ競争、こういったようなことは決してプラスにはならないから、これは絶対に阻止をしようというようなコンセンサスが、文書にもございましたけれども、会議の中の総括としてもあったわけでございます。  ヨーロッパ等国々は、そういった観点も含めて規制をもっと強化しなければならない。具体的には、新しい金融証券化商品みたいなものをきちっとやらなければいけない、あるいは会計の問題、これは二つとも麻生総理提案をしております。さらに、格付会社の問題も同じでございます。  日本もそういう提案各国と同じようにいたしましたし、さらに、それはちょっと制度をある程度改正する話でもありますから若干時間が掛かる、これから作業をしなければいけないということでございますけれども、それもやらなければいけないという合意ができましたけれども、今まさにこの時点においても世界金融経済悪化をしているという状況に早急に対応しなければいけない。これに対して具体的な対応をしたのは私は日本だというふうに思っているわけでございます。  つまり、日本経験をみんなに分かってもらう。つまり、日本が十数年間経験してきたことが今まさに起こっているわけでございますから、例えば資本注入の問題でありますとか不良債権の切離しの問題でありますとか、あるいはまた流動性供給とか、あるいは官民挙げての企業再生の問題といった問題も必要でありますし、また宣言文にも書いてありますけれども、やはり景気を良くする、経済を立て直すためには各国財政出動することも必要であると、これも合意がされたところでございます。  そして、日本としては、これからの、金融危機各国で起こるということに備えてIMF世銀等でもっとしっかりと機動的に、そして効果的な対応をしてもらいたいと。そのためにはお金が必要でしょうから、日本からはIMFに対して一千億ドル、そしてIBRDの下部機関であるIFCに対してはJBICを通じて二十億ドルを拠出いたしますという、緊急対応として日本からは具体的な提案をしたところでございます。
  10. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 規制強化についての動きについて日本提案されたというお話なんですけれども、今回の規制在り方をめぐっては、金融機関というか金融業務というものがどういう役割を果たすべきかということをやっぱり改めて問い直さないといけないというふうに思っております。  中川大臣専門家ですから、是非専門家の御意見を今日はお伺いしたいと思っているんですが、金融機能というのは、私はやっぱり常に、常にというか、基本的にはわき役であるべきだと私は思っているんですね。いろんな事業資金とかいろんな資金を、必要なところに対して血液たるお金をちゃんと循環できるような機能を果たす、それが本来の目的であるというふうに思っているんですけれども、いろんな金融自由化証券との垣根をなくしたり、そういった規制緩和が行われてきている中で、何を勘違いしたか、金融機関が、自らがメーンプレーヤー主役を演じたがって、金融工学とかそういったものを利用しながら、要すれば実体経済と懸け離れた中で利益の追求を行ってきた結果が今回のこういう金融破綻につながったんだというふうに思っているんですけれども。  金融機関、特にそういった銀行というのは、本来あるべき姿はさっき言ったように常にわき役であるべきだと思っているんですけれども、それを放置してきた責任というのが、まあこれは日本だけじゃないですけれども、アメリカを中心とした関係当局にあるんじゃないかというふうに思っているんですけれども、その辺の基本認識について中川大臣の御見解をお伺いしたいなというふうに思っております。
  11. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まさに人々が、あるいはまたいろんな経済セクターが活動していく、これがやっぱり本来の主役であろうと私も思っております。そして、それを補完といいましょうか、そのための重要な役割一つ金融という機能だろうと思っております。必要なお金を提供をする、あるいはそれをぐるぐる回ることによって信用創造というものが生まれていく、あるいはまたお金決済という決済機能金融機関にも求められております。あくまでもそれは、実体経済あるいは人々の暮らしが主だとすれば、私は従だというふうに思っております。しかし、その従がないということになると、これまた大変状況は変わってくるというか、非常に不便になってくる、いろいろ支障が出てくるわけであります。  そしてまた、御指摘のとおり、これは過去にも何回も例があったわけでありますけれども、今回のこのサブプライムローン問題に端を発した現在の世界的な金融危機というものは、話すと長くなりますから省略いたしますけれども、いろんな要素、例えばレバレッジ規制の撤廃であるとか、あるいはまたグラス・スティーガル法の廃止であるとか、あるいはコンピューターによる高度な金融工学商品であるとか、あるいは低金利政策であるとか、あるいは余剰資金世界中に出てきているとか、世界中にこういったものがいわゆるカップリングされていってしまったとか、こういった問題があってこういうことが起きてきたわけでございます。  結果的にといいましょうか、事実として、それらの動きに対してスピード的にも、あるいはまた本来の金融行政が果たす役割からいっても、アメリカ等国々、あるいは日本も全くないとは私は言えないと思いますけれども、金融行政がです。うまくいっているときはみんなハッピーですから余り問題にならないんですけれども、それでもちょっとおかしいよねという疑問を発する人は現にいらしたわけでございますけれども、いよいよこれがおかしくなってきたときには、やはり金融行政、あるいは規制、あるいはまた節度ある金融行動というものが改めて求められるんだということで、宣言文の中でも五つの原則、四十七の行動計画というものが採択され、一刻も早くそれを実現していこうというコンセンサスができたわけであります。
  12. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 その基本的な考え方は分かったんですけれども、それをこれから具体的に、具体化してどういう規制をするのかという、そういった議論をこれからされると思うんですけれども、是非そのときに、今言った基本方針を曲げないでしっかりと実効性のあるものにしていただきたいなというふうに思っております。  要は、規制を緩和したはいいけど、金融工学とかそういう技術革新が何をやっているか分からない、監督している立場から分からないような状況でそれを放置するというのはやっぱり問題だと思うので、やはり分かる範囲内でいろんな自由行動をやっていいよと、それに違反したところはちゃんとしかるべき対処をしますよといったところがないと、これはまたもう一度同じようなことを繰り返すことにもなりかねませんので、その辺はしっかりと、先ほどおっしゃいました、日本がいろんな金融危機を乗り越えて経験もあるとお話しだったものですから、是非日本リーダーシップを発揮していただいて実効性のあるものにしていただきたいということも思っております。  是非、その点の決意を、これから具体的な中身を詰めるということですから、その実効性のあるものを日本がリードをしていくという決意をちょっと御表明していただければ有り難いなと思います。
  13. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今回は本当に、振り返ってみますと、検証を全部する時期でもないぐらいにまだ状況が変化をしているわけでありますが、例えばアメリカのあのサブプライムローン等の、何ですか、CDO、債務担保証券であるとか、いろんな金融商品が実は例えばオフバランス化されちゃって実態がよく分からないであるとか、あるいはまた金融機関の中で、銀行の方の監督とか規制はその中ではまだきちっと当局が把握できていたわけでありますけれども、例えば証券会社であるとかあるいはまた投資銀行であるとかあるいはノンバンクになっていくと、もうアメリカもいろんな規制監督官庁がいっぱいあって、もうごちゃごちゃになって、そのすき間の中で大きな破綻が起こってしまったと。  例えば、リーマン・ブラザーズなんというのはそういうことになったわけで、それで慌てて残りの大手の証券会社が、自分たちはこれから銀行になりますといって銀行になって、そして銀行の下での監督を受けながら資本注入も受けるというようなふうに変わっていっているわけでありまして、とにかく、今の規制でもどうしようもなかったということは多々あるわけでありますから、これらを、現に今も世界では経済動き金融が動いているわけでありますけれども、一刻も早くこういうことが二度と起こらないように、やはりこれは金融行政世界的な意味での金融行政責任というものを改めて我々は認識をして、そして国際的によく話し合い、FSF、金融安定化フォーラムあるいはバーゼル等々の諸機関ともよく相談をしながら、できるだけきちっとした体制を取っていかなければならないと思います。  その中で、日本はそういう十数年間の経験、苦い経験があったわけでございますから、そういった経験も十分新しいルールを作るときにはきちっと生かしていくことができるように、つまり日本リーダーシップを取ってこの作業をリードしていけるように私としても努力をしていきたいというふうに考えております。
  14. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 是非、強力なリーダーシップを発揮していただきたいなというふうに思っております。  今お話しの中で、金融サミットの中でいろいろと日本経験を踏まえて提案をされたというお話で、その中で各国がこれから財政出動もすべきだと、日本もやってきたという多分お話しされたんだと思うんですけれども、ただ、金融危機日本が乗り越えていく過程の中で、私はすべて成功したというふうには思っておりません。  というのは、やっぱり今ありました財政出動在り方で、今回、欧米各国財政赤字規模GDPに比べて、日本に比べたらまだまだ低い水準ですので、財政出動のできる体力はあると思うんですけれども、日本がこれから財政出動をして景気回復のいろいろな刺激策をやろうとしても、これ以上赤字国債残高を増やすわけにはいかないと私は思っているんですね。だから、金融危機を乗り越えるときに、大幅な将来にツケを残すような赤字財政出動、これは私は決してほかの国にお勧めできるものじゃないというふうに思っております。やはり適正な財政赤字水準、それは絶対に超えてはならないというふうに思っているんですけれども、そういったことまで日本の、そこは日本の私は反省すべき点だと思っているんですけれども、そういったことを、各国にやっぱり同じ轍を踏まないようなアドバイスをすることは私は必要じゃないかなというふうに思っております。  その点について中川大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
  15. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 確かに、あの宣言でも取り上げましたけれども、財政出動各国必要であるということは合意されました。ただ、御指摘のように何でもかんでも財政でもってやればいいということではなくて、財政は、もちろん効果日本の場合にもありましたし各国でもあるわけでありますけれども、財政出動だけですべてが解決するものでもないわけであります。今御審議いただいております金融強化法による健全銀行への資本注入による資金の供与なんというのも効果があるわけでありますし、さっき言ったような過去の経験の中でのいろんな方策も効果があるというふうに思っております。  そういう中で、財政出動については、日本GDPに占める国の債務残高が非常に高いという問題もございますし、またヨーロッパの方ではヨーロッパ基準で、単年度財政赤字はこのくらいとか、GDPに占める国債発行残高はこのくらいとかいうルールがあって、ヨーロッパはむしろ、単年度財政赤字三%ですか、これがかなり上限まで来ちゃって非常に厳しいと、これをどうしたらいいのかというのがヨーロッパでは今一つの大きな議論になっているようであります。  ですから、規律はもちろん野放図であってはいけませんけれども、規律があるがために、今緊急にやるべき大事な仕事を果たしてやらなくていいのか。そうすると、日本も実は経験いたしましたけれども、ツーレートになればなるほどその後のまた改修といいましょうか改善するための努力というのはより大きくなるということも経験をしているわけでありますので、財政規律というものもしっかり見ながら、しかし適時適切に、スピーディーに財政出動も含めてやっていくということも大事でございまして、その辺は日本経験をしたところの一つでもありますけれども、今まさに日本も含めて各国が、この問題を乗り切るためにはよく考えて、そしていろいろと政策を打っていかなければいけないというふうに考えております。
  16. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 財政出動もできるところはして今回の危機を乗り越えるというお話ですけれども、日本の場合は、今、先ほどヨーロッパマーストリヒト条約のその財政赤字規模の問題、ヨーロッパにはそういう制限があって、ただ、それを一時的には乗り越えてでもやる必要があるというようなお話だったと思うんですけれども、ただ、日本水準と比べるとまだまだ全然違うわけですね。  日本はやはり、先ほど言いましたけれども一七〇%とか、GDP対比赤字規模が一七〇とか一八〇ぐらいあると、一八〇%ぐらいの比率を占めていると。ヨーロッパは、まあイタリアは一〇〇ちょっと超えていますけれども、ほかの国は六〇、七〇%とか、一〇〇%以下で抑えてあるということで、かなり水準の開きがあると思うんですね。日本のことを見てみますと、今回、平成二十年度予算のところで昨日報道がありましたけれども、景気が悪くなって法人税収入が落ちてきているので赤字国債を追加で、五兆円ぐらいですか、発行しないといけないような今見込みだという話がございます。  そうでなくても、今、先ほど言いました赤字残高が非常に日本体力対比、非常に大きいのにかかわらず、これからまた更に追加的な赤字を増やさないといけないということになっている中で、先般発表されました生活対策、これの財源としていわゆる埋蔵金財政投融資特別会計金利変動準備金ですか、それを使って、本来であれば赤字国債残高を減らすために使うべきものを、それを生活対策財源に使ってしまうということは、赤字国債を実質的に発行していることと変わらないというふうに思うんですけれども、それにプラス、今回また法人税収入、いろんな景気悪化に伴って税収が減ってきて追加的な赤字国債を発行しないといけないということで、日本財政赤字状況というのはこれからますます厳しくなってくるんだというふうに思っているんですけれども、その辺の認識をどういうふうにお持ちなのか、お伺いしたいというふうに思います。
  17. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 少なくとも先進国の中でそれぞれ財政規律基準の取り方というのは、必ずしも統一的ではないわけでございまして、今御指摘があったGDPに占める累積残高、これは確かに日本が断トツに高いというわけでございますけれども、単年度GDPに占める財政赤字というのは、それはそんなに、ヨーロッパ規制ヨーロッパがぶつかってどうしようかというのに比べると、今年で約二十兆円ぐらい、国の予算でいうと約二十兆ぐらいだと思いますけれども、だとするならばそんなに高くない。しかし、それはそれとして、財政健全化というのは麻生内閣としても大きな努力目標であるわけであります。  そういう中で、今回、この緊急経済対策生活支援、これはできるだけ早く効果的にやっていかなければならないということで、今御指摘のありました、まあ埋蔵金と言うには余りにも透明性の高いものであると思いますけれども、特会のやりくりをしてそれを財源に充てると、赤字公債は発行しないという方針で臨んでいきたいと思っております。  他方、税収見積りが大分減るのではないかという御指摘は、いろんなデータから見て私も残念ながらそういう状況の中に行くと思います。その場合にどういうふうにするかということは、最大限知恵を絞っていかなければなりませんが、それについては、赤字国債の発行ということも排除をするということは、我々としては現時点で決めてはおりませんけれどもできないと、排除することはできないというふうに考えております。  それから、じゃ、その場合、特会から繰入れして国債整理基金に入れるものを使っちゃったら、赤字国債と、発行するのと実質同じじゃないかという御指摘については、数字的にはそのとおりでございます。ただ、新規に赤字国債を発行してマーケットでもってそれを資金を調達するということになりますと、今の国債マーケットの状況を考えてみても、決していい影響をマーケットに与えることは考えにくいというふうにも判断をしておりますので、できるだけ、実質同じ効果のものではありますけれども、公債を発行して市中でそれを売るということよりは、総合的に言って日本経済金融に与える影響は小さいということで、今回、まあ幾らになるか分かりませんけれども、いわゆる生活支援対策の中でそういう形で作業を進めさせていただきたいというふうに考えております。
  18. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 赤字国債の残高を圧縮するために市中の国債を買入れ消却して残高を減らす、それをするかしないか、それと新規の国債を発行するというのは私は同じだと思うんですね。市場に出ている国債の残高は変わらないわけですから、国債に対する需給バランスから見ると、新規の赤字国債を発行するのもそうだし、積立金を取り崩して市中の残高を減らさないと、減らすべきものを減らさないということは、私はマーケットに与えるインパクトとしても同じだというふうに思っておりますので、その辺はただ単に言葉の、何というんですか、操りだけであって、実質的にはマーケットに対するインパクトも変わらないんじゃないかなということはちょっと指摘させていただきたいなというふうに思っております。  それと、今回のいろんな金融対策をやって、これも生活対策一つなんですけれども、やはり日本景気を立て直していかないといけないというのが今回の総理生活対策の中の説明の一番主眼点だったんですけれども、全治三年の今の日本の状態を三年間で完治させて、それで行く行くは消費税を上げたいというお話もされました。今の日本状況からいうと、あと、それと関連して、もう一方でプライマリーバランスを二〇一一年に黒字化するという目標があったというふうに思っているんですけれども、これは、もしさっき言った生活対策がうまくいかなければ三年後に消費税を上げないという、逆に言えばそういうことですから、そういう消費税を上げない中でこのプライマリーバランスを二〇一一年に黒字化できるのかというふうに、率直な、単純な疑問があるんですけれども、その点はどういうふうに考えたらいいんですか。  生活対策をやったけれども、うまくいかなければ消費税を上げないと麻生総理は言っているわけですから、そういう状況の中で二〇一一年に財政収支の黒字化を目指すというところを、その相矛盾することをどういうふうに日本は考えているのか、中川大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
  19. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 総理は就任以来、今目の前にある大変大きな幾つもの問題を一つ一つ解決をしていこう、その場合には優先度、これ重要性の優先度もありますけれども、時間的な優先度というものをしっかり分けて取り組んでいかないと、何でもかんでも大変な問題を一気にやろうとしても、なかなかこれはよりうまくいきにくいという判断でございます。  今最も緊急でやるべきことは、私から言わせていただきまするならば、バブル崩壊以来ほぼ二十年近く国民の暮らしというものは非常にぱっとしたものがない。特に二〇〇〇年以降所得が余り伸びない。最近は、特に物価上昇等、そしてまた一段の景気悪化によって暮らしが非常に苦しくなっている。企業の方も、一時期は景気拡大だとか過去最大の利益を上げたとかいう時期もつい最近もありましたけれども、現在は大変に低迷をする状況に入りつつある。  こういったことを考えたときに、もちろん、プライマリーバランスの二〇一一年への黒字化という努力を我々は捨ててはおりませんし、それから、長く維持されるべき社会福祉制度の安定性を担保する安定的な財源という問題も重要でありますけれども、まず目の前でやるべきことは、緊急のこの経済やあるいはまた暮らしをどうやって回復し、元気を付けていただくか、これに全治三年掛かるというふうに総理は位置付けをしているわけでございます。  何とかこの三年間の間に日本経済あるいはまた暮らしが、まあ二〇〇八年十一月段階よりも良くなってきたよねと、経済も企業も暮らしも良くなってきたよねと、それによって税の自然増も期待できるわけでございますし、そういった中で二〇一一年には何とかプライマリーバランスを黒字化をしたい。そして、次の段階としては、税制改正を抜本的にやって、そして社会保障を含め安定的な財源、ふさわしい税制というものを構築をしていきましょう。そして、第三段階としては、改革によって更なる成長をしていきましょうと。こういう工程で総理は今取り組んでいるわけでございます。  二〇一一年には何とかプラスにしたい、そのためには緊急最大のこの景気対策を全力を挙げて取り組んでいくというのが我々の今やっている作業でございます。
  20. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 緊急対策を、最大の対策をやって、でもできなければ消費税を上げないというふうに言っているわけですから、消費税を上げないときには二〇一一年のプライマリーバランスの黒字化というのはもうあきらめるということですか。その辺だけ端的に、簡潔にちょっとお伺いしたいと思います。
  21. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) ですから、景気が良くならないということを今我々は考える余裕はございません。景気を良くするためにあらゆることを最大限できるだけ早くやるということのみに今集中をしているわけでございまして、今から二〇一一年にはできないんだとか、景気が回復になっていないんだとか、したがって、プライマリーバランスはどうなんだとか、あるいは税制改正はどうなんだということについては、工程表としては中期プログラムというものを作成をして、そして年末までに公表したいということで、今与党の方でまず作業をやっているわけでありますけれども、とにかく二〇一一年というか三年の間に日本経済を何とか前進できるように努力するということに今全力を挙げているところでございます。
  22. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 ちょっと時間がないので、この議論はまた機会があれば次回に移したいと思いますけれども。  次に、個別的なこの法案に関連した中身についてちょっとお伺いしたいんですけれども、今いろいろと議論になっております、参考人にも招致を我々は要求しているわけですけれども、新銀行東京についてちょっとお伺いしたいというふうに思っております。  これはいろいろと議論もされていたわけですけれども、この中でやはり一番私は問題だと思っているのは、設立当初からこの銀行のいろいろな説明の中で、新しいビジネスモデルを構築するんだといったことをこれはずっと言っていたわけですね。その中の一つとして、スコアリングモデルを使った融資の審査体制を行うというお話が目玉のようにずっと言われていたわけですけれども、このスコアリングモデルについて、日本当局というか政府はどのように見ていたのかなということをちょっと非常に疑問に思っております。  元々、このスコアリングモデルというのは多分アメリカのモデルを参考にしたんだと思うんですけれども、どこかでそういったモデルがあるよということでそれを採用したというふうに考えられるわけですけれども、ただ、アメリカのとき、アメリカにおけるスコアリングモデル、いろいろなほかの社会基盤というか周辺の状況というのが本当にアメリカと同じであればそのスコアリングモデルも日本で導入できる可能性もあったんだと思いますけれども、日本は決してそうじゃなかったというふうに思っているんですね。  そういった周辺環境というか、元々ベースにあるそういったものが違う中で、単純にスコアリングモデルという名前だけを導入した結果が今回の新銀行東京の悲惨な結果につながったんだというふうに思っておりますけれども、日銀のレポートに金融システムレポートというのがありまして、これ去年の九月に出たレポートですけれども、その中でやはり同じような指摘されております。やはり日本アメリカと違って信用情報機関というものがないと、個人の信用情報機関も共通されたものがないと。それぞれ、例えばノンバンクならノンバンク業界だけは持っている、銀行銀行業界だけで持っている、証券会社証券会社で持っているかもしれませんけれども、共通したものがない中で、こういったスコアリングモデルのベースとなる信用情報の共有化がされない状況では、そういった日本はこのスコアリングモデルは成り立たないんだという指摘をしております。あと、虚偽のいろんな申告、財務データの粉飾決算を出してそれをデータに入力すればいい数字が出てきますけれども、そういったことをチェックするようなやはりそういう信用情報機関がなかったことが、アメリカにはあるけど日本にはないと、そういったことが、前提が全然違うということを指摘されております。  金融当局としては、このスコアリングモデルについて、最初から、新銀行東京がやると言ったときにそういったところを懸念されたことはないのか、本当にそんなのはビジネスモデルとして成り立つのかといったことをちゃんと考えていたのかどうか、ちょっとお伺いしたいというふうに思います。
  23. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) お答えいたします。  金融機関の融資に当たりましてどのような手法を用いて融資審査するか、それは個々の金融機関の経営判断によるところがあるわけでございますが、一般論として申し上げますと、金融機関におきましては、適切なリスク管理の観点から、与信先の財務状況資金使途、返済財源などを的確に把握し、融資審査を行うことが重要と考えているところでございます。  なお、御指摘の新銀行東京でございますが、平成十九年六月に新銀行東京が策定、公表いたしました新中期経営計画におきまして、当行はスコアリングモデルに依存した融資運営を行ってきたが、想定を上回る水準不良債権が発生していると認識した上で、今後の融資に関しては、スコアリングモデルにだけ頼ることのない審査・与信管理体制の早期構築への転換を標榜しているところでございます。
  24. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 いや、お伺いしたいのは、事前に、スコアリングモデルをベースとした融資体制を組んでこの銀行を新しくやっていくんだといった発表があったときに、先ほど説明したような、アメリカ日本では前提が違うんだと、そういう認識がおありだったのかどうかということをお伺いしております。途中で見直した後は報道されたとおりで分かっていますので、その設立の当初のときの金融庁の見方、このビジネスモデルに対する懐疑的な見方があったのかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。
  25. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 新銀行東京は既存銀行の買収という形で設立されたものでございますが、この一年間の準備期間の間に、当庁としても必要に応じ開業準備状況等のヒアリングを行ってきたところでございます。  個別の融資判断ということは個別金融機関に係る事柄でございますが、繰り返し申し上げましたように、一般論として申し上げれば、金融機関の融資に当たりましてどのような融資運営をするのか、どのような融資手法を用いて融資審査するか、これは個々の金融機関の経営判断と考えておりますが、私どもといたしましては、金融機関におきまして適切なリスク管理の観点から、与信先の財務状況資金使途、返済財源等を的確に把握して融資審査を行うことが重要と考えているところでございます。
  26. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 各行の経営判断なんでしようがないというお話ですけれども、その経営判断が間違うと、結局は都民に負担をさせたり、場合によっては、今回の法案じゃないですけれども、対象として都民以外の日本の国民にもその負担を押し付けるといったことにつながるわけですから、これはやっぱり金融当局としては、そもそもそういったもう成り立たないような、最初から破綻しているようなビジネスモデルを使って、今開業の前にいろいろと相談したというお話ですから、その時点でやはりそんなの無理だよということを、いろいろな今までの日本金融機関みんな経験してあるわけですから、そういったものを踏まえてそういった助言なり、やめた方がいいよといったことを言うべきだったと思うんですけれども、中川大臣、今の点について何か感想というか意見ありますか。金融当局のあるべき姿についてどうあったらいいのかと、そこまでは無理なのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  27. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 一般論ですけれども、やはり金融監督行政の中で特に問題がないというふうな判断の下で金融機関がそれぞれの経営判断でやっていくということを、事前に今までと違うモデルだから一概にけしからぬということもなかなかやりにくいことではないかと、金融機関といえども民間の経済活動、金融活動の一つでございます。ただ、結果的にいろいろな御指摘を今いただいているわけでございまして、これは銀行の業務として一つの大きな反省材料になっているのではないかというふうに思います。
  28. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 中川大臣はいろいろと経験もお持ちでお分かりかと思いますけれども、ただちょっと、中小企業、零細企業に対する融資についてはどうかなというふうに思いますけれども。  一般的に、中小企業とか零細企業に対する融資を民間の銀行はもうずっとやっているわけですね。その中で、こういったモデルができるのであればとっくに導入しているわけですし、あともう一個、無担保無保証人という融資の在り方も、そんなのできるんだったらとっくにもうやっているわけですよ。だけれども、いろいろと融資というのは総合的に判断して、やっぱり保全、担保もしっかりとしないといけない、返済能力も見なくちゃいけないと、そういったときにやっぱり結果としてこれだけの保証人は必要だと、若しくは担保が必要だということが出てきているわけですけれども、はなから無担保無保証人を前提に掲げた融資というのは、これはもう一般の銀行関係者であれば、当初からそんなのできっこないよということは、これはもう周知の事実だったと思うんですけれども、それをあえて黙認して、そのまま各銀行の、個別行の経営判断だからいいんじゃないかというような、やったというのは、これはやっぱり金融当局責任も私は大きいと思っているんですね。  民間の金融機関から聞けば、そんなのできるわけないじゃないかと、できるんだったら我々先にやっているよということが、多分みんな言っていたんだと思うんですけれども、それを無視してそういった設立を事前審査しながらやっていたというのは、これは私は金融当局にも責任があるんだというふうに思いますけれども、その辺はどうですか。今後はもうやらないと。そういうことが最初から成り立たないようなビジネスモデルについてはちゃんと注意をして、幾らその個別行の経営判断だといっても、そういうことをやると結局国民に最後はツケが回る話になるわけですから、そういったことはやっぱりしっかりと反省していただきたいなと思うんですけれども、その点について御意見をお伺いしたいと思います。
  29. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 無担保無保証が必ずしも悪いということではないんだろうと思うんですね。私、四年ほど前経済産業大臣のときには、いわゆる不動産とかいったものを担保にするだけではなくて、もっと柔軟に、例えばあのとき、例示といたしましてはワインの在庫であるとか、あるいはまた豚肉を担保としてとか、豚肉なんというのはほうっておけば二日か三日で使い物にならないようなものでも担保にして融資をした例なんというのも実際あったわけでありますし、あるいは売掛債権なんというのもありましたし、まあこれはもう担保でありますけれども。ですから、要は無担保無保証とか、がちがちの担保を取らなければ駄目だということが三、四年前にかなり反省というか見直しの議論が国会でも随分ございました。それはそれとしてうまくいった例も、またうまくいっていない例も実際あったわけでございます。  要は、そのモデルがいいのかどうかと。あるいはまた御指摘のように、無担保無保証で、ちゃんといい経営者で、いい商品開発をやって、いいマーケティングができていれば、おれたちは無担保無保証でやるぞみたいなことは現に民間でもやっている例もあるわけですが、個別行のことですから余り言えませんけれども、しかし、それを公的な関与をしている銀行が後から出てきて新しいモデルでやって、しかも無担保無保証でやってという結果、いろいろな不良債権が出て、いろいろな今問題が起きているということだろうと思います。  リスクが当然、特にお金ですからあるわけで、リスク管理とリスクテークのバランスというものが当然必要でございまして、余りにもリスク管理に偏ったら貸し渋りという問題もございますし、余りにもリスクテークを安易にやれば、今、富岡委員が御指摘のような例にもなっていくということだろうというふうに思いまして、これはケース・バイ・ケースとして、これはいい例ではない例として私も認識をしているところでございます。
  30. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 さっき言った在庫ワインを担保としてやるというのはそれは担保融資でありまして、無担保というんだったらそれも担保にしないわけですからちょっと違うのかなと思いますけれども。  あと、融資のときにやっぱりどうやって判断するかはもうよく御存じだと思いますけれども、大企業であれば、その財務内容とかいろいろな面からいって無担保無保証人というのはすぐ判断できるという場合もありますけれども、中小企業の場合はそういうわけにはなかなかいかないわけですよね。ですから、そういう保証人の問題とか担保の問題とか総合的に判断しないといけないと。  無担保無保証人でできるケースもありますよ、もちろん。それはちゃんと要資、お金の必要な中身をちゃんと吟味して、返済引き当てがちゃんと間違いないというものがあれば、それはちゃんと無担保無保証人でもいいという話になりますけれども、結果として、やはりそれじゃちょっと今までのいろいろな長年の経験、融資の貸倒れ率から判断してそれだけじゃ足りないということであれば、やはり保証人も付けてくださいよと、若しくは担保も入れてくださいよといった判断になるわけであって、総合的にその中小企業融資をやるときに最初から無担保無保証でやったら、できる融資なんというのはほとんどなくなっちゃうわけです。  だから、最初からそういうモデルというのはおかしいんじゃないかというのは多分金融庁の関係者だったらよく御存じだと思うんですけれども、それを安易に許してしまった結果が今回のこの新銀行東京の経営破綻につながってしまったと、経営破綻に近いような状況につながってしまったということを是非改めて認識していただきたいなというふうに思っております。  それと、ちょっと時間も押し迫ってきましたので、お話、次にお伺いしたいんですけれども、いろいろと今回法案が修正された中で、この新銀行東京に関連して、地方自治体が支配株主である場合については地方自治体が資本充実に一義的に責任を持つということが入れられたわけでございますけれども、これは、改めて確認いたしますけれども、安易に今回の法案に基づく公的資金の注入というのはしないということで理解してよろしいんでしょうか。
  31. 内藤純一

    政府参考人内藤純一君) 個別の問題についてはお答えを差し控えさしていただきますが、一般論として制度的な問題について答弁させていただきます。  一般論でございますが、金融機能強化法に基づき資本参加する際には、国は、経営強化計画の履行や公的資本の返済などを確保する観点から、対象金融機関に対して関与を行うこととしているところでございます。これらは主要株主への監督権を介して行われるものではなく、金融機関に対する監督上の措置として行われるものでございます。このような金融機能強化法の枠組みにかんがみますと、地方公共団体を主要株主とする金融機関が国の資本参加の対象となることを制度上当然に排除するというものではないというふうに考えております。  いずれにせよ、これは衆議院段階における附帯決議でございますが、地方公共団体が支配株主となっている金融機関につきましては、支配株主である公共団体がその資本の充実について一義的に責任を持つこととすることとされておりますので、この附帯決議の趣旨を踏まえまして、今後制度の適切な運用ということに心掛けてまいりたいと考えております。
  32. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 その適切な運用というのは、今言ったように、今回の法案に基づく安易に公的資金を注入しないということと理解してよろしいんですか。
  33. 内藤純一

    政府参考人内藤純一君) この附帯決議の趣旨は趣旨として踏まえてまいりまして、制度の運用におきましては、今回のこの閣法改正法案における国が資本参加をするときの基準というものを定めております。例えば、その公的資本というものの回収可能性でございますとか、あるいはその経営の適切な運営でありますとか、そういったことを条件として勘案をして決定をするということでございます。
  34. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 いや、だからそういうことを総合的に考えて今の、総合的に判断した結果、安易に公的資金は入れないということにこの附帯決議はつながるのかどうかということをお伺いしているんです。中川大臣、どうですか。その趣旨というのはそういうことで理解していいんですか。
  35. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) いや、ですから、御審議いただいているのは、要件があって、その要件の中で今監督局長から答弁いたしました回収可能性云々という原則に合致して、そして金融審査会ですか、専門家の方々の御判断があれば、これは排除する理由はないということでございます。  特定の金融機関についてどうだこうだということを最初からこれはやらないという前提でこのスキームを運営するということは、これは金融行政の安定性からいっても、最初から排除するということは、これはやらない方がいいのではないかなというふうに思っております。
  36. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 一般的に理解すれば、この附帯決議の内容は、まず、そういう危機的な状況になったらまず東京都の責任において資本増強、追加的な資本増強を更にしていただいて、それでもにっちもさっちもいかなくなったときにはというふうに私は理解しているんですけれども、そういうことでよろしいでしょうか。一応念のためにもう一度簡潔にお答えいただきたいと思います。
  37. 内藤純一

    政府参考人内藤純一君) 私どもとしては、繰り返し御答弁しておりますように、衆議院段階における附帯決議については尊重し配慮してまいりたいということでございまして、あくまで、私ども当局としまして、実際にこの制度を運用しているということになりますと、この制度、この法律に定められました要件に照らしまして適切かどうかを判断をし、また審査会において御意見を承った上で決断するというふうな枠組みになっているということでございます。
  38. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 この附帯決議の実効性が本当に担保されているのかどうか、ちょっとやや私は納得できないところがあります。  時間がないんで次の、農中と下部金融機関の政治的中立性についてちょっとお伺いしたいというふうに思っております。  昨日、当委員会で参考人として農林中金の理事の方にもお見えいただいて、いろいろとお話を伺いました。その中で、農中とJA、これは一体で金融業務を行っているとお話をされました。あと私が本会議で代表質問させていただいたときに、これ、中川大臣にも御答弁いただきましたけれども、この農中の政治的中立性は当然担保されるべきだと、確保されるべきだというお答えをいただきました。  ただ、昨日の説明の中で、農中とJAは一体で業務を行っているというお話ですから、農中の政治的中立性が確保されるべきだということでありましたら、JAも政治的な中立性が確保されるべきだと、維持されるべきだというふうに思うんですけれども、その点について、御見解、御認識をお伺いしたいというふうに思っております。
  39. 近藤基彦

    ○副大臣近藤基彦君) 本法案に関しての貸出し等の金融業務については、もちろん厳正な政治的中立が確保されることは当然のことだろうと考えておりますが、農協等の活動一般については、政治的中立性を求めることについて、現に農協等が有している政治活動の自由を新たに制限するおそれがあるものであり、我々としては慎重な議論が必要であると考えております。
  40. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 いや、昨日の農中の理事の説明だと、融資業務については、我々どういう経緯で聞いたかというと、農中は中小企業融資少ないじゃないかと言ったら、信連とかJA、そういったところでやっていますから、一体となってやっているから中小企業融資にはちゃんと行き届いているんですよという説明があったんですね。要は、JAと信連と一緒になってこの融資業務をやっていると。  融資業務をやっているんであれば、その融資業務については政治的中立性を確保することは当然であるという中川大臣の答弁であった、あと農水大臣の答弁にもありました。そういった融資業務についての政治的中立性を言うんであれば、融資業務をやっているJAについても政治的中立性は私はちゃんと維持してもらわないと困るというふうに思うんですけれども、何でそこだけ切り離して、そこは政治の自由だと、いろんな自由だということを言われるんですか。融資をJAもやっているわけですから、政治的中立性を融資で言うんであれば、JAにもそれを求めるべきだと思うんですけれども、改めてお伺いしたいと思います。
  41. 近藤基彦

    ○副大臣近藤基彦君) 金融業務の融資に関して、例えば、特定の政党を支持していることを理由に融資を拒むとか、そういったもので貸出限度に差を付けるとか、もちろんそういうことがあれば、これはとても政治的中立を守っているとは言えませんので、こういうことに関しては融資判断に影響を及ぼすこととして、これに関しては問題になるものと当然考えておりますので、そういう意味で、やっぱり政治的中立性というのは融資に関してはきちんと守っていただかなければいかぬと我々も思っているところであります。
  42. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 いやいや、融資に関して政治的中立性を維持しないといけないというのは、それ答弁でいただいておりますけれども、それはもう当然なんですけれども、公的資金を入れるわけでは当然。だけど、その融資をやっているところに特定の政党の候補者のポスターとか何とか後援会の看板を掲げられたときに、それが本当に政治的中立性を保っている金融機関として一般的に考えられないわけですよね。そういうことが公然と行われているということに対して、農水省はどういうふうにお考えなんですか。その辺の意見を改めて確認したいなというふうに思っております。  今の答弁だとちょっと納得いかないんで、副大臣、改めてお伺いしたいと思います。
  43. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私も全国の農協を回った経験ございます。自民党のポスターを見たこともあります。自民党以外の方のポスターも見たこともございます。  そういう中で、私も答弁をさせていただきましたし、衆議院での附帯決議第一番、農林中央金庫及び農協系統金融機関は、本法に基づく公的資金注入の対象となることにかんがみ、貸出し等の金融機関の実施に際しては、厳正な政治的中立性を確保することと、こういう附帯決議をいただいているわけでございまして、あくまでも公的資本注入の対象ということになるということが前提で、貸出し等に当たって政治的な中立性を厳正に確保しろという附帯決議をいただいておりまして、このとおりでございます。
  44. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 だから、その公的資金を入れて融資業務をするわけですから、やはりそれを行う金融機関については政治的中立性はちゃんと守っていただかないと、確保していただかないといけないということを申しているわけでございまして、特定の政党の候補者のポスターを張ったりすることは政治的中立性が確保されていないんだというふうに思っております。  その辺については全然認識が違うというか、御回答いただいていないわけですけれども、あと、改めて是非お伺いしたいのは、JA、農協というのは、さっき言った政治的には自由だというお話でしたけれども、よく分からないのは、JAの組合員というのはみんな例えば一つの政党の人なんですかね。いろんな政党支持者がいるはずなんですけれども、何で特定の政党の、何というか、支援だけを表面的に出しているのか。ほかの支持者、組合員の中にはほかの支持者もいるはずなんですけれども、その点はどういうふうに考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  45. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) これは私の所管外でありますけれども、私の地元も農村地帯ですし、農林大臣二回やっていますので、私の大変親しい自民党以外の農協の組合長さん出身の国会議員の方もいらっしゃいますし、農協出身の自民党の国会議員もいるので、そこはいろいろあるんじゃないでしょうか。別に農協全部がその政党を云々ということじゃなくて、たまたま農協の組合長さんが人望があって、みんなが推すからどこかの政党から国会議員になられるという例は、これは過去においても現在もいろいろあると私は理解をしております。
  46. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 例えば、これはちょっと普通の民間の銀行が、銀行の窓口に行ったら特定の、その銀行の例えば経営者がある政党の人を推すからといって、そのある特定の政党の候補者の看板があったりポスターがあったら、私はこれはすぐ問題だと、いろんなところから批判が出て問題になるんだと思うんですけれども、JAについてはそういうことが起きていないということがちょっと不自然だなと私は思っております。  是非、別にこれは、要するにさっきほかの政党もあるというお話でしたから、それ全部、そういうのはすべてやらないようにやはり指導すべきだというふうに思うんですけれども、これはちょっと次のいろいろと質問者に引き継いで、私の意見としてはもう特定の政党、もうどこのポスターもやらないと、そういうことで徹底していただければということをお願いしまして、私の質問を終わります。
  47. 大久保勉

    ○大久保勉君 民主党の大久保勉です。  富岡委員に続きまして、農林中金問題に関して質問したいと思います。  昨日の参考人質疑で農林中金の宮園専務理事は、農林中金は民間法人であり特殊法人ではない、また四協同組織金融機関を同列に扱うべきといった旨の答弁をされました。実際、本日の読売新聞朝刊には、読み上げますと、農林中央金庫の宮園専務理事は、農林中金だけ異なる取扱いとする合理的な尺度があるとは思えない、顧客や市場からの信認に影響が生じると批判したと、こういったことがございました。  それで、これに関連しまして質問したいと思います。質問は通告の四番目の方に行きまして、JA、信金、信組、労金、それぞれのグループの連結ベースの自己資本比率をまず教えてほしいと思います。金融庁の参考人お願いします。
  48. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 御指摘の自己資本比率、連結ベースの自己資本比率そのものというのはございませんけれども、私ども、各中央機関と傘下機関の計数、これを合算しました上で、両者相互間の取引に係るもの、これを自己資本額及びリスクアセットから控除するという一定の前提を置いた上で試算を行いましたところの数字を申し上げたいと思います。  まず、JAグループ全体につきましては平成十八事業年度で一四・二%、信用中央金庫及び信用金庫全体については平成十九年度で一二・二%程度、全国信用協同組合連合会及び信用組合全体につきましては平成十九年度で一〇・六%程度、労働金庫連合会及び労働金庫全体につきましては平成十九年度で一二・五%程度ということになっております。
  49. 大久保勉

    ○大久保勉君 委員の皆様は、資料としまして配付しております一ページにこのことが書いておりまして、ここで気になることが二つあります。一つは、表題の中央機関と傘下機関の合算の自己資本比率(試算)、正式な数字じゃないということです。二点目は、白ぽつの三つ目、農協及び農林中央金庫に関しまして十八事業年度、つまりJAグループのみが十八年度でほかは全部十九年度ということなんです。ですから、宮園専務理事は四協同機関と同列に扱うべきなのに自分たちが同列に扱っていない、つまり平成十九年度の数字を出していないということなんです。さらには、この数字というのは、やはり資本をいただくということでしたら正式な自己資本比率、連結ベースの自己資本比率を出してしかるべきなのに、こういった数字が出てきていないということなんです。  このことに関して、中川大臣がいらっしゃいませんから、取りあえず政府参考人の方に、どうしてこういった状態になっているか、まず質問したいと思います。
  50. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) まず、第一点目の年度の問題でございますけれども、これは、JAグループ全体の財務に係るデータにつきましては農林水産省において統計として取りまとめ公表しておりますが、当該データにつきましては、決算の数字が確定する総会終了後に単位農協の所管行政庁であります都道府県を経由して入手しておりまして、農林水産省における取りまとめには時間を要しているものと聞いているところでございます。ただ、JAグループとしての経営状況をできる限り迅速に把握することは重要でありますことから、農林水産省におきまして、農林中央金庫に対し、自らが個々の農協について経営管理資料を入手、分析し、経営状況を監視する取組を早急に実施するよう指導していくものと聞いているところでございます。  二点目の連結の問題でございますが、連結は、先生御案内のように、会計基準上一定の要件を満たすものに適用されるものでございまして、この業界におけます全体の自己資本比率は法令上算出が求められているものではございません。私どもといたしましては、各機関のデータに基づきまして一定の前提を置いた上で試算したものであることを御理解いただきたいと存じます。
  51. 大久保勉

    ○大久保勉君 まず一点目に関して、農林水産大臣近藤大臣に質問したいと思います。  どうして農林中金グループだけ平成十八年しかないのか。もう十一月になっておりますから、こういった状況で普通の民間法人とは言えないと思いますよね。すべての銀行はもう四半期決算を出しているような状況なんです。ところが、農林中金グループに関しましては一年半前の数字しか出てこないということはおかしいんじゃないですか。これは副大臣にお願いします。農林水産省の問題です、これは。
  52. 近藤基彦

    ○副大臣近藤基彦君) 我が省において統計として取りまとめて公表をいたしておりますけれども、データそのものが決算の数字が確定するのが、今金融庁の方でもお答えを申し上げましたけど、総会終了後その各単位農協において、所管の行政庁が都道府県ということもあり、それを経由して入手しておるものですから、大変我々としても時間が掛かっているということであります。  しかし、経営状況をできる限り迅速に把握することというのは大変重要なことでありますので、我々としても農林中央金庫に対して、自ら都道府県経由を待つものではなくて、個々の農協に対して経営管理資料を迅速に入手をして経営状況をきちんと監視、監督をする取組を早急に今実施するように指導しているところでございます。
  53. 大久保勉

    ○大久保勉君 でしたら、もう一度近藤大臣に別の観点から質問しますが、宮園専務理事は四つの協同組織金融機関を同列に扱うべきだと述べております。ところが、三つの機関平成十九年のきっちりした決算書若しくは自己資本比率が出てきておりますが、農林中金、JAグループはないということは、ここはイエスかノーかでお願いしますが、同列じゃないですね。イエスかノーか。これは副大臣にお願いします。
  54. 近藤基彦

    ○副大臣近藤基彦君) 今現在、この事業年度の自己資本比率だけをとらえて今出ていないということでありますので、イエスとお答えせざるを得ませんが、それを同列にするべく今我々としては指導して、きちんと他の機関と同様な時期に出せるようにまた今指導を強化しているところでございます。
  55. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 追加ありますか。どうですか。
  56. 高橋博

    政府参考人(高橋博君) 今、副大臣からお答えしたとおり、確かに現時点におきましては十九年度の数字は出ておりませんけれども、先ほど金融庁の方からもお答えがございましたように、この連結の自己資本比率そのものは、いわゆる通常の連結自己資本の概念とは異なる形で行政庁の方でまとめた数字ということでございます。通常これが決算書類の中で求められているものとは違うということもございましたので、これまで農協については、これは別法人でございますので、こういう形での連結ということを作ってきたわけではございません。  ただ、今回、御指摘のとおりのようなことがございましたものですので、できるだけ早くこれができるような資料を出すように今指導をしているところでございます。
  57. 大久保勉

    ○大久保勉君 認識が違うと思います。  昨日も大門委員が述べられましたように、国民の税金をいただくんですから、きっちりとした財務書類を出す、これが前提なんですね。連結財務書類も出ていないのに、これは行政当局が試算で出したんです。本来でしたら、資金が必要でしたら、自ら連結財務諸表を出して、それで公的資金を下さいと言うべきじゃないですか。  これは質問通告しておりませんが、一般論として金融庁に聞きます。参考人、お願いします。  銀行が融資をする場合に、借入人が、私どもは決算書ありません、勝手に金融庁の方で試算を出してください、ただしお金はどんどん貸してください、それも通常の融資よりもリスクが高い出資金でお願いします、こういったことを借入人が述べて銀行が融資をしましたら、これは検査上何か問題がありますか。  三國谷局長、お願いします。
  58. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 連結会計一般論でございますけれども、連結会計というのは、連結会計基準原則にのっとりまして、例えば実質支配関係五〇%以上の株主を持っている等の場合に会計基準に従って作成するというのが連結会計でございます。  一方、この協同組織の場合にはそのような形での連結ということではございませんので、法令上そういったものの作成は義務付けられておりませんが、私どもといたしましては、そういった中でいろいろな仮定を置きましてそれぞれの金額を合計し、一方で重複する分は差し引くというような最大限の工夫をいたしまして今お示ししているような数字というのを算出したものでございます。  連結会計基準の一般的な性格につきましては何とぞ御理解賜りたいと存じます。
  59. 大久保勉

    ○大久保勉君 今回の趣旨は理解されていないですね。今回は、いわゆるこれまでは中央組織だけには公的資金を入れることができました。ところが、今回は中央組織経由して傘下の金融機関、つまりJAグループにもお金を出せるということなんです。ですから、そのお金が返ってくるかどうかは、中央機関のみならず傘下及び連結ベースで全体の財務内容を把握しないと、いわゆる公的資金の償還可能性が分からないんじゃないですか。  じゃ、それをもし百歩譲りましても、公的資金を、この資金は傘下のJAに入れるもの、この資金は中央機関に入れるものというのを峻別して勘定分離にしたらある程度は説明できますが、この点に関して質問したいと思います。これは通告の一の六です。ここは混乱がないようにもうきっちり言います。どうぞ。
  60. 内藤純一

    政府参考人内藤純一君) 今の委員のお尋ねは、資金を勘定分離するということについてはどうかということであったと思いますが、本法案では、協同組織全体、金融機関全体としての金融仲介機能の発揮の促進を図る観点から、中央機関にあらかじめ国が資本参加する新たな枠組みを設けているところでございます。  この枠組みでは、傘下機関の経営等を熟知している中央機関の資本増強機能、モニタリング機能や蓄積された知見を最大限活用いたしまして、必要に応じて機動的に傘下機関への資本提供を行えることが重要なポイントだと考えております。仮に、傘下機関の資本増強分をあらかじめ決定をし、かつその金額を区分された勘定で管理するという場合、傘下機関の経営等を熟知し、独自の資本増強機能、モニタリング機能を提供している中央機関が必要に応じて機動的に傘下機関への資本提供を行うということによって期待される機能が低下するのではないかというふうに考えております。  なお、いずれにいたしましても、国が中央機関に資本参加した後は、中央機関に対しまして、傘下金融機関への資本提供の状況等を定期的に報告させ開示させることによりまして、透明性の確保を図ることとしているところでございます。
  61. 大久保勉

    ○大久保勉君 非常に、端的に言いましたら、資金注入時は勘定分離をしないということですね。つまり、中央機関に一括して渡す。イエスかノーかで答弁をお願いします。
  62. 内藤純一

    政府参考人内藤純一君) そういうことでございます。  ただ、手続につきましては、機能強化方針というものに基づいて判断をしていくということでございます。
  63. 大久保勉

    ○大久保勉君 分かりました。資金投入時は一括で出すと。  ところが、一括で出すために必要な連結財務書類は試算しかないという状況なんですね。ましてや、JAグループに関しては平成十九年度がないという状況です。どうやってこれお金が返ってくるか分かるんですか。もちろん、投入後、半年後には若しくは一年後にはどういうふうに使ったということは報告が行くかもしれませんが、場合によっては、中央機関が厳しかった場合には、中央機関が資本をもらって、ほかの投資、中小企業以外の投資の損失の穴埋めに使うケースもありますよね。このことに対してどう思われますか。金融庁、お願いします。
  64. 内藤純一

    政府参考人内藤純一君) まず、入口でございますけれども、金融機関による申請といったことにつきましては、この経営強化方針あるいは協同組織金融機能強化方針というものを策定をし、提出をしていただきまして、それが適切であるというふうに認められた場合には国が資本参加をするという手続でございます。  また、その後、資本参加後、半期ごとに基本的には当局の方からその方針の進捗状況というものを報告をさせまして、当局がフォローアップをし、その中で問題、先ほど委員指摘のような、何かこの資金を流用するとか、他の目的のために流用するような、そういうことがありますれば、その段階において適切な対応を取るというふうなことがこの本法案の枠組みの中で定められているところでございます。
  65. 大久保勉

    ○大久保勉君 私は、金融庁らしくないなと、この法案は詰まっていないと思います。実際に銀行が同じような条件で取引先にお金を出そうものなら、金融庁の非常に優秀な検査官は、これはおかしいんじゃないかと指摘する事項じゃないかと思います。是非これは検討をお願いします。  続きまして、質問事項の二番の農林中金及びJAグループに関する質問を、中川大臣に質問したいと思います。  前回の質問で申し上げましたように、JAグループだけはいわゆる預金保険法に入っておりませんで、独自に農水産業協同組合貯金保険法というものを作っております。ですから、私は、JAグループだけは普通の金融機関ではなく特別の信用秩序、いわゆる預金保険システムをつくっているということで、別扱いにしたいと思いますが、宮園専務理事は違うとおっしゃっています。  そこで、もし同列に扱うべきだということでしたら、是非ともJAグループの持っています貯金保険制度を一般の預金保険制度と合併すべきじゃないかと思いますが、このことに対して、大臣の見解をお願いしたいと思います。
  66. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 農林水産業系のこの貯金保険機構は、もう委員御承知のとおり、ペイオフに対してどう対応していくかということと危機管理対応ということに対してどういうふうに対応していくかということでございます。  今回はその二つとは別に、健全な金融機関である農林水産系に対して貸出しあるいはまた単協を通じての貸出しということのために制度を改めてつくるということでございますので、私はこれは貯金保険機構の枠組みの中でやるという必要はない。むしろ、そういう目的であるとするならば、ほかの金融機関と同じようにやっていく。それがたまたま預金保険機構のシステムに乗っかっている金融機関もそういうふうなシステムの中での金融機関もあるということでございますので、そちらでやるということについては、私は特に問題はないというふうに考えております。
  67. 大久保勉

    ○大久保勉君 今回の議論でよく感じますのは、この問題はいいとこ取りなんですよね。例えば、ペイオフとか危機管理に関しては別の制度があるのに、今回の金融機能強化法に関しては自分たちを入れてくれないと大変だと。例えば、議事録を読み上げますと、上野理事長は、衆議院の委員会で、今は予防資本注入の必要は感じていないが、金融機関へのセーフティーネットに農林中金が入らないとデメリットが大きいことを理解願いたいと発言されております。でも、ペイオフと危機管理は別枠でわざわざつくっているのに、今回はセーフティーネット上は必要だというのは、これは明らかに矛盾していますよね。  大臣中川大臣、このことは、少なくとも上野理事は間違いで、農林中央金庫はペイオフ及び危機管理、いわゆるセーフティーネットに関してはちゃんと貯金保険法があるから問題ないという認識でよろしいでしょうか。
  68. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) セーフティーネットというのはあくまでも貯金保険のシステムの中で対応するべき問題でございます。今回はセーフティーネット以前の、通常のあるいは健全の金融機関に対しての貸出し強化といいましょうか、中小企業向けの貸出しをより積極的にやっていただきたいという趣旨でございます。
  69. 大久保勉

    ○大久保勉君 ということは、もうはっきり上野理事長は間違いで、金融機関へのセーフティーネットに農林中金が入らないのはデメリットが大きいことを理解願いたいと、是非大臣の方、まあここは農林副大臣是非、先輩の上野理事長に、こういうこと、あなたの認識は間違っているということを言ってもらえますか。イエスかノーかでお願いします。
  70. 近藤基彦

    ○副大臣近藤基彦君) 済みません。私の先輩ではありませんので。  認識がどうなのかということは確認をさせていただいて、間違っていれば正していただきたいと思います。
  71. 大久保勉

    ○大久保勉君 どうも失礼しました。上野理事は事務次官、元事務次官ですから、近藤大臣の先輩ではありません。済みませんでした。  じゃ、続きまして、もう一つ関連して質問したいのは、どうして貯金保険法と預金保険法がわざわざ別体系になっているのか、ここなんです。過去の議事録を見ましたら、どうもJAグループといいますのは、信用事業いわゆる銀行業務、共済業務、これは保険業務、そして経済事業、これはいわゆる物の売買とか、若しくは冠婚葬祭業務、こういったものを一緒にやっているんだと。ですから、いわゆる預金保険法といいますのは銀行業務、すなわち信用業務のための制度ですから、JAというのはそれをごっちゃ混ぜにやっていますから一緒にするのはまずいと、こういう認識で二つの法体系をつくったと説明されていたと思います。この認識で間違いないかどうか、もう一度金融庁に確認したいと思います。どうして二つの法体系になっているか。
  72. 内藤純一

    政府参考人内藤純一君) お答えいたします。  JAグループについては、御指摘のとおり、預金保険制度ではなく貯金保険制度に加入しているところでございます。これは農水産業協同組合が信用事業のほか購買、販売、共同施設の設置、共済等の事業を併せ行っておりまして、兼業が禁止されております一般の金融機関とは業務の範囲等を異にしているため、これを共通の保険制度の下に加入させることは費用負担の観点からも適当でないというふうに考えられたからでございます。
  73. 大久保勉

    ○大久保勉君 非常に重要な指摘だと思います。つまり、公的資金を入れましても、場合によっては、銀行業務だけではなくて、いわゆる経済事業、いわゆる商社業務とかそういったものを救ってしまうと、だから別にしないといけないということなんです。  では今回、もし金融機能強化法で公的資金を入れた場合に、傘下JAに入れた場合に、場合によってはこの資金でもって信用事業のみならず共済、経済事業を救うことになるんじゃないですか。つまり、経済事業は重要です。物の売買とか、つまり商社業務を行っていますから、公的資金で商社業務を救うんだと。だったら、大手商社が、自分たち景気が悪くなったと、是非公的資金自分たちにくださいと言われた場合にどうやって線引きを引くんですか。このことに対して是非、これは大臣見解、中川大臣の方にどういうふうに理解したらいいか、頭の整理に関して説明願いたいと思います。質問の二の三です。
  74. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 御承知のように、農協というのは、地域性が非常に強くて、そして農業等々をつながりとしてやっている組織でございまして、営農あるいはまた購買、信用等々を、これは農業を行っていく上である意味では一体のものでございますから、だからこういう形の組織といいましょうか、農協ができたわけでございます。  しかし、それは農協法に基づいてきちっとされるべきものでございますが、他方、今回のこの金融機能強化法というのは、あくまでもその農協の一部門である信用部門につきまして中小企業等々に対して使われるための資本注入である。したがって、おのずからそれ以外のものには使ってはならないということでございまして、それは審査のとき、申出があった場合のチェックのとき、あるいはその後のフォローアップの中でもきちっと対応していかなければいけないと思っております。
  75. 大久保勉

    ○大久保勉君 いわゆるこの資金は信用事業にしか使わせないということですね。もしそうでしたら、JAの中に信用事業、経済事業をやっている人、完全に人を分けて、また建物を別にして勘定分離をしておかないと、いわゆる信用事業に使おうと思ったら、実は経済事業の損失を埋めていたと、こういったことになり得ないか、私は疑問です。このことに関して政府参考人の答弁を聞きたいと思います。
  76. 内藤純一

    政府参考人内藤純一君) 基本的なことは大臣から御答弁申し上げましたけれども、この農林中央金庫を通じました資本参加ということでございますが、これを行った場合に、国は農協に注入された資本が信用事業以外に使用されないよう、厳正に審査、フォローアップをすることといたしたいと考えております。  例えばでございますが、この信用事業以外に利用されることを防ぐ措置としまして今考えておりますのは、農林中金が作成、提出いたします協同組織金融機能強化方針におきまして、農協に注入された資本が信用事業以外に使用されないための審査・監督体制の記載を求めまして、国がこれに対して厳格に審査をいたします。資本注入後は、農林中金の審査・監督体制を継続的にモニターをいたしまして、必要があれば、農林中央金庫に対して農協等に対する改善のための措置をとるよう命令をする等のフォローアップを適切に実施をしていくということを考えているところでございます。
  77. 大久保勉

    ○大久保勉君 ここは農林水産省の政府参考人に聞きたいんですが、実際のJAの業務に関しまして、信用事業とその他の事業というのは分けることはできますか。特に信用事業というのは、いわゆる銀行ですから、銀行の場合は一般の銀行と同じように金融商品取引法とかいろんな金融諸法がありますよね。そういったことに関してきっちり守らせる。特に、訪問販売したときに、その人はいわゆる信用事業の担当者なのか若しくは経済事業の担当者か、分けることはできるんですか。また、建物に関しましても。
  78. 高橋博

    政府参考人(高橋博君) 農協の事業の区分でございますけれども、農協につきましては、農業協同組合法第十一条の六の規定によりまして、信用事業とそれ以外との事業をこれ区分して経理するものとされているところでございます。  したがいまして、信用事業、いわゆる金融業務関係とその他の事業については、今申し上げましたような形で財務諸表等においても区分をして経理をするという形になっております。  また、金融業務等の遂行につきましては、一般の金融業務と同様の監督という形でこれについても厳正に管理をしているところでございます。
  79. 大久保勉

    ○大久保勉君 資料の一に付いています農協、信用事業協同組合連合会及び農林中金のいわゆる自己資本、この数字の計算には、いわゆるJAといいますのは信用事業のみでありまして、すべて経済事業とか共済事業は除いた数字になっていますか。  金融庁、お願いします。いわゆる勘定分離していたら完全に分離されているはずでしょう。
  80. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) そういったものを除いてはおりません。
  81. 大久保勉

    ○大久保勉君 そういうことなんですよ。つまり、法律上は、若しくは立て付けとしては分離されていると言って、実際に提出願っていますこういったものは分離されていませんし、じゃ、ちなみにもう少し詳しく聞きましょうか。  ページ、二ページ、三ページ、JAグループの連結財務諸表、いわゆるBS、PLがありますが、これも経済事業と共済事業は一切入っていないと言えますか。
  82. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) そういったものも入っております。
  83. 大久保勉

    ○大久保勉君 入っているんですね。といいますと、今回、金融機能強化法に従って公的資金を入れましたら、いつの間にかこの数字の中に経済事業が入っていますから、経済事業に使われる可能性があるんじゃないですか。  そもそも傘下のJAがおかしくなりますのは、実は経済事業なんです。信用事業で利益を上げ、そして共済事業でも若干利益を上げていますが、経済事業で大きな赤字です。こういうふうな構造になっていますから、そもそも私は分離はできないと思うんです。  農水省政府参考人、もう一度、どうやって管理しているか、言ってください。
  84. 高橋博

    政府参考人(高橋博君) まず、今御指摘の資料につきましては、先ほど来申し上げておられますように、今、現実に必要とされております法律上義務化されております資料とは異なった一定の試算の基に金融庁さんの方で作成されたものというふうに理解しております。これについては、農林中央金庫及び信用農業協同組合連合会、それから単協全部をトータルにまとめたものというふうに理解をしております。  今御指摘お話は、それぞれのJAにおいてどのようにきちんと管理をされているかということでございます。個々の農協が法人として事業経理をどのようにしているかということにつきましては、先ほど申し上げましたように信用事業とその他事業を区分して経理をするというふうにさせていただいておるところでございます。  特に、資本の面でのいわゆる共通性ということを委員指摘だと思いますけれども、先ほど金融庁の方からも御指導ございました農林中央金庫を通じました指導を行うに際しましては、この資本注入に際しまして、特にここの資本について、信用事業以外の資産、信用事業資産とのバランス、それから信用事業以外の損失によります自己資本の減少の際の処理等々についてもきちんと農林中央金庫に対して指導してまいりたいというふうに思っております。
  85. 大久保勉

    ○大久保勉君 私は非常にがっかりしています。それは間違った答弁じゃないかと思います。  この財政金融委員会を始めるに当たりまして資料請求をしました。つまり、連結財務書類が出てこないとこの法案審議はできませんよと。で、約束をしてこの書類をいただきました。読み上げます。金融庁、農林水産省、厚生労働省、財政金融委員会理事会提出資料ということになっています。ですから、農水省も関与したんでしょう、またこの数字が間違っているということでしょう、さっきの答弁でしたら。信用事業以外のところが入っているから、この数字は信頼できないから法案審議できないですよ。いったんこれを、委員会を止めたいと思いますが。
  86. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  87. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 速記を起こしてください。  ただいまの大久保委員の質問に対する政府委員若しくは副大臣の方で答弁ございましたら答弁をしていただいて、その上で速記を止めたいと思います。  速記止めましょうか。──大丈夫ですか。
  88. 高橋博

    政府参考人(高橋博君) 先ほどの委員指摘の資料でございますけれども、当然のことながら、私どもと金融庁それから厚生労働省さんと三省の連名でお出しさせていただいているわけでございまして、私ども農水省が関係していないというような御理解でございましたら、これは私の発言が間違っていたということでございます。  それから、お出ししておりますこの資料の例えば三ページでございますけれども、経常収益、経常費用の欄を見ていただければお分かりになりますように、当省から、他事業収益、その他収益、あるいは他事業費用、事業管理費という形で基本的にここの部分については一定の仮定を置いた上で総トータルの通算の資料を出させていただいているところでございます。
  89. 大久保勉

    ○大久保勉君 金融庁さん、最後のチャンスですが、この自己資本比率は、少なくとも信用事業、JAの信用事業と農林中金及び県信連の信用事業で作るべきと理解したんですね。そうしないと公的資金が別の用途に行きますよね。ということは、この資料というのは使えないということで、もう一度再提出願えますか。それまでは質問できないと思いますが、どう思います。
  90. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) こういった中央機関と傘下機関の合算した資料というのは、これまでそういったものはないわけでございますけれども、私どもといたしましては、これまでのいろんなデータに基づきまして最大限の努力をいたしまして、いろんな前提を置きまして全体の姿をお示しするという形でこのような資料を計算させていただいたものでございます。  既存のデータの中での最大限の措置でございまして、今農水省さんからお答えしましたように、できる限りのそういった区別等を行いながら提出させていただいたものであることを御理解いただきたいと存じます。
  91. 大久保勉

    ○大久保勉君 少なくともこういったデータができないのに法律に書き込むことはおかしいんじゃないですか。ですから、当然ながらこういった作業ができるまではJAグループは排除する、これが筋じゃないでしょうか。  中川大臣、よろしいですか。私の考え方はおかしいですか。大臣の御所見を伺いたいと思います。
  92. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) さっきから事務当局が答弁させていただいていますように、改善しなければいけないところはきちっと改善をしていかなければなりません。この法案が成立をさせていただいて、諸準備が整って、そして実際に資本を受け入れたいという金融機関、この場合は農林系金融機関かと思いますけれども、そのときにきちっとした対応ができるようにしていかなければいけないというふうに考えております。
  93. 大久保勉

    ○大久保勉君 大臣一つ提案しますよ。だったら、この法律で農林中金を外して、まず通しましょうよ、中小企業対策必要だと私は思いますから。そして、ちゃんとした数字が出た段階で修正協議をしましょう。そっちの方がはっきりしていますよね。是非お約束してくださいよ。
  94. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) これが不十分だからといって最初から農林中金を外すというのもいかがなものかなというふうに思います。そういう意味で、また事務当局の方でもよく知恵を絞って、そしてまた当委員会あるいはまた大久保委員の方にも御説明をさせていただきたいと思います。
  95. 大久保勉

    ○大久保勉君 大臣、少なくともJAグループはペイオフと危機管理は別建てになっているんですよ。制度的には別なんですよ。たまたまこの金融機能強化法に無理やり入れたいということなんですが、でも、入れるためにはやはりほかの銀行と同じ条件じゃないといけないと思うんです。  数字も出てきていないし、公的資金を入れまして、この資金が場合によっては経済事業に回ってしまいまして、一般の商社とか問屋さんを助けるのと同じようになってしまうんです。そうしたら、金融機能強化法の趣旨が大きく変わりますよね。このことは御理解できますか。
  96. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 仮に農林中金が資本を受け入れたいという要請があって、そしてチェックをした上で問題なしということで資本を注入をして、そしてその結果、後になってチェックをしてみたら経済事業その他に行っていたということになりますと、この法の趣旨と全く違うことになりますから、そういうことはあってはなりませんし、あったときには我々としては、適正なというか厳正な対応をしなければいけないということは当然のことでございます。
  97. 大久保勉

    ○大久保勉君 もう最後になりますが、僕は国会軽視甚だしいと思いますよ。すべて書類は出てきていない、法律の立て付けもしっかりしていないのに、取りあえずは承認してください、国会で議決してください、あとは私たちがやりますと。だったら、立法府がなくてもいいんじゃないですか。  私はこういった議論はしたくないですね。取りあえず、いったん質問を打ち切りたいと思います。
  98. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ちょっと速記を止めてください。    〔速記中止〕
  99. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 速記を起こしてください。  それでは、農林水産省高橋経営局長から答弁を求めます。
  100. 高橋博

    政府参考人(高橋博君) お答えさせていただきます。  まず、現行の金融機能強化法におきましての農協系統金融機関の取扱いでございますけれども、基本的に、現行の制度におけます対象には農林中央金庫及び信用農業協同組合連合会、これはきちんと位置付けられているということでございます。  今回新たに、いわゆる系統金融機関の中央機関にあらかじめ注入する方式に基づきまして、傘下の信農連あるいは農協等に新しく注入するシステムを今回設けさせていただきたいというのが今回の改正案の骨子だというふうに理解をしております。  その際、先ほど委員指摘の農協等につきましては、基本的な資料につきまして都道府県の審査の過程を経て私ども入手をしているということがございましたので、他の金融機関、協同組合金融機関と異なりまして事業年度一年ずれておりますが、これは早急に私どもの方で取りまとめるべく、至急これは作ってまいりたいというふうに思っております。  それからさらに、他事業との関係でございますけれども、他事業との関係につきましては、いわゆる個々の農業協同組合そのものが、先ほど来申し上げておりますように、法律に基づきまして、信用事業とその他事業との間できちんと区分経理を行うということが法律上求められております。そのような形で個々の農協は経理を実施しているものでございます。  そういうことでございますので、今回この法律に基づきまして資本注入をする際においては、当然のことながら法律の趣旨から他事業に流用されないようにする必要がございますので、先ほど申し上げましたように、例えば資本のところと資産との関係について、他事業に流用することがないような形での指導監督というのをきちんと農林中央金庫を通じて方針等に書かせ、それについてきちんと検証できる形で指導するということでございます。
  101. 大久保勉

    ○大久保勉君 同じことを繰り返しになっていると思うんですね。私が知りたかったのは、少なくとも、資料提出時、資料をいただきましたが、こういったものに関しましてはJAの中でいわゆる信用事業とその他の事業が合算されているから、この資料を、正式なものがないと審議しようがないということなんですよ。  また、この問題は、今感じましたけど、少なくともこれは徹底的に議論した方がいいと思います。本当にJAグループを強化していくためには是非必要な議論であると思います。是非、農水部門と連合審査をしまして、農水大臣も含めまして、農林大臣及び金融担当大臣両方の観点で議論をすべきだと思うんです。本当の、普通の銀行でしたら、もう金融庁だけが管轄する金融機関にした方がより分かりやすいと思うんです。その上で初めて金融機能強化法の資本の直入ができると思うんです。  ですから、基本的なことが全く整理されていないと思いますから、是非とも農林中金に関しましては集中審議かつ連合審査という形でお願いできればと思います。委員長にお願いしたいと思います。
  102. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまの大久保勉委員の提言については、後刻理事会で協議し、決定することにいたします。  それでは、質問を続けてください。
  103. 大久保勉

    ○大久保勉君 JAグループに関しましてはあと十問近く質問がありましたが、これは次の機会に譲るとしまして、金融機能強化法に関する一般的な質問をしたいと思います。  では、一の一に戻りまして、まず、政府が購入するのはどのような証券かというのを確認したいと思います。  金融機能強化法で国が資本出資しますが、その場合に方法はどういうふうな方法かということです。具体的には、普通株式なのか、それとも優先株なのか、劣後債の購入なのか、こういったことに関して質問したいと思います。  また、銀行にとりましてはこれはティア1キャピタルなのかティア2キャピタルなのか、この点に関して質問したいと思います。
  104. 内藤純一

    政府参考人内藤純一君) お答えいたします。  本法案に基づきまして国が資本参加する場合の資本の種類でございますが、現行の金融機能強化法と同様に考えておりまして、銀行につきましてはガバナンスの確保を確実に図る観点から株式に限ることとしておりまして、具体的には、議決権が制限された優先株式を基本としつつ、自己資本比率が基準値未満の場合には、更に国によるガバナンスを強化する観点から普通株式も可能とすることとしているほか、協同組織金融機関につきましては、法律上、会員以外からの資本調達の手段は優先出資や劣後ローンに限られておりますので、これらによる資本参加をするということとしております。  さらに、ティア1資本になるかどうかということでございますが、銀行につきましても協同組織金融機関につきましても、劣後ローンという場合にはティア2という位置付けになりますが、優先株式あるいは優先出資という場合にはティア1という位置付けになろうかと考えております。
  105. 大久保勉

    ○大久保勉君 続きまして、今回の国の資本参加に関しまして、場合によっては経営責任を問うという条項が入りました。一般の金融機関の方と話をしましたら、ここが非常に心配だと。できたら、自分たちが資本参加を求める場合にいわゆる経営責任を問われるか問われないか事前に知るような方法はあるのかと、こういった要望もありました。  さらには、資本参加を受けた場合に、経営責任を問われそうになった段階で何とかしたいと。その場合に、じゃ、国から資本参加を求めたんですが、その資本を返すと。もちろん、返す場合には、いわゆる額面か若しくは時価のいずれか高い方、つまり、国の買入れ消却の基準、そういった基準お金を返したら経営責任は問わないと、こういうことを約束してくれないかと、こういった意見もございました。  このことに関して、実際のところどのようであるか、これは非常に大きい問題ですから、中川大臣の方に質問したいと思います。
  106. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 経営責任資本注入あるいは申請時に問うか問わないかというのは、これは何回も申し上げますから省略しますけれども、ルールにのっとって判断をしていくということでございます。一概に経営責任を問うとか問わないとかということは、これは審査過程の中で判断されるべきものだと思います。  それから、経営責任を問われるおそれがあった場合に、優先株の買入れ消却を行って公的資本を完全に返済すれば、この場合には金融機能強化法上の監督の対象からは外れるということでございます。
  107. 大久保勉

    ○大久保勉君 最初の質問の方をもう一回確認しますが、でしたら、金融機関の方が資本参加を求めたい、ただし条件があって、経営責任を問われないという条件だったら資本参加をお願いしたいと、こういうふうな応募があったらどうされますか。これは政府参考人でも結構ですから。
  108. 内藤純一

    政府参考人内藤純一君) お答えいたします。  改正案では、この制度の枠組みといたしまして、経営強化計画というものを出していただいて、それについて適切なプロセスの中で審査をしていくという建前になっておりますので、あらかじめ何か与件を与えるというようなことは予定をしておりません。  例えばでございますが、自己資本比率が基準値未満の金融機関が申請を行ったというような場合には、経営強化計画の中で、従前の経営に対する分析に基づき、抜本的な経営管理の体制の改善を図るための方策の記載を求めまして、入口段階で審査を行い、スクリーニングするというような制度になっております。  このため、経営責任の明確化が必要となるか否かにつきましては、資本参加に係る審査過程の中で判断されるべきものというふうに考えております。
  109. 大久保勉

    ○大久保勉君 最後の質問に行きますが、例えば自己資本比率四%を要求されます国内行に関しまして、現実問題として中小企業に融資をしようとした場合に、その銀行が自己資本比率が四%以下、例えば二%でしたら、資本をもらいましても最初の二%は貸出しに一切回らないと思います。恐らく二%のところが六%とか八%になるだけの資本をもらった場合には、中小企業貸出しに回っていくと思います。  今回の法律は、中小企業融資をする目的でありましたら、じゃ、国内行に対しては何%になるぐらい自己資本を増強させるのか、また、国際行に関しましては八%基準行ですが、どのくらい自己資本が上がるまで増資に応じるのか、こういったことに関して質問して、私の質問を終わりたいと思います。
  110. 内藤純一

    政府参考人内藤純一君) 国の資本参加に当たりましては、地域における円滑な金融機能の発揮のために金融機関がより適切、積極的なリスクテークを行うことが可能となるとともに、今後金融市場の急激な変動が生じた場合でも、金融機関財務基盤が安定し円滑な金融機能が発揮されるために十分な額を確保する必要があるというふうに考えております。  しかしながら、自己資本の具体的な目標水準につきましては、金融機関が展開あるいは再構築していくビジネスモデル、あるいはまた金融仲介機能の発揮の程度などによりまして、必要となる自己資本の水準が様々になろうかと、異なってくるというふうに思われますところから、一概に申し上げられないという点を御理解いただきたいと思います。
  111. 大久保勉

    ○大久保勉君 終わります。
  112. 櫻井充

    櫻井充君 民主党の櫻井でございます。  久しぶりに財政金融委員会で質問させていただきますが、御配慮いただきました峰崎委員長、それから与野党の理事の皆さん、委員の皆さんに感謝申し上げます。  冒頭、ちょっと関係ないところで大変、通告してなくて恐縮なんですが、二階大臣は医者にモラルが欠如している、それから昨日は、麻生総理が医者は社会的常識に欠けるというような発言をされておりまして、私は麻生大臣の方がよほど社会的常識に欠けているんじゃないかと思いますが、中川大臣は医者というのは社会的常識に欠けているとお思いですか。
  113. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私は、櫻井委員を見ておりましても、決して欠けているとは思っておりません。
  114. 櫻井充

    櫻井充君 ありがとうございます。本当に、現場で頑張ってやっていらっしゃる医者がいて、ああいう発言をされるというのはとても悲しいことでございます。  中川大臣とはクロイツフェルト・ヤコブ病のときに一緒に仕事をさせていただいて、僕は、中川大臣がいらっしゃったからこそあの問題が解決できたと思って本当に感謝申し上げております。今日はお願いがございますが、是非、役所の答弁にとらわれず、答弁書にとらわれず、実態を今日はきちんとお話をさせていただきたいと思っておりますので、大臣としての御答弁をお願いしたいと、そう思っております。  地域金融の前に、ちょっとだけIMFに対しての十兆円の出資に対してお伺いさせていただきたいと思いますが、これは事務方でも結構でございますけれども、この十兆円の原資は一体何になるんでしょうか。
  115. 玉木林太郎

    政府参考人玉木林太郎君) 今回、我が国から提案いたしました最大一千億ドルのIMFへの融資、貸付けの原資は外貨準備を想定しております。
  116. 櫻井充

    櫻井充君 外貨準備とおっしゃいますが、外国為替特別会計によると、まず「外国為替資金の運営」、七十六条のところに、確かに加盟措置法第十一条第二項に規定する貸付けに充てることができると書いてあります。その後でこの十一条二項を見てみると、結果的には、外国為替資金特別会計の負担において、日本銀行に対し当該貸付けに係る債権を譲り渡し、及びこれを日本銀行から譲り受けることができるということになっていて、原資は結果的にはこれは日銀から出ることになるんではないんですか。
  117. 玉木林太郎

    政府参考人玉木林太郎君) 今お話のありました加盟措置法の十一条の規定は、我が国とIMFの間の取引全般に係る一般的な規定でございます。  我が国は、今回の融資提案のほかに、一般的に、我が国の外貨準備を利用して、あるいはIMFへの出資を利用したIMFとの取引を様々行っております。例えば、ある国が国際収支困難に行ったときに、IMFからの貸付けが行われる際、そのIMFが我が国に対して資金を融通するよう要請する。その場合は、我が国が拠出している基金通貨代用証券といいます一種の円の国債を現金化してそれに充てることになります。  したがって、IMFとの関係では自国通貨、すなわち円を使った債権というのがこういう場合発生するわけですが、この債権を外国為替資金特別会計資金繰り上、日本銀行に譲り渡すこともできるという規定でございます。
  118. 櫻井充

    櫻井充君 今局長が御答弁されたのは十一条の一項の五に関してで、「その他国際通貨基金協定に基づく取引」の中であって、貸付けは別条項になっているんじゃないですか。貸付けは十一条の二項であって、今のところは十一条一項の五です。十一条の二項は、もう一度申し上げますが、外国為替資金特別会計の負担において、日本銀行に対し当該貸付けに係る債権を譲り渡しと、こう書いてあるわけですから、今の答弁とは違うんじゃないですか。
  119. 玉木林太郎

    政府参考人玉木林太郎君) 御指摘のとおり、これは国際通貨基金協定の不足通貨の補充の場合の一項五号を受けた規定でございますが、こうしたGAB、NABあるいは今回の提案によりますような不足通貨の補充を我が国が国際通貨基金に行う際には、一般的には、例えばGABの規定では、一義的には円貨で一回、円貨をもってそれに充てることになっています。  ただし、円貨そのものが通例は借入国によって使われるわけではなく、円貨がIMFを経由して借入国に行き、借入国は我が国に対し、これを例えば必要なユーロであれドルであれそういうものに替えてくれという要請する仕組みになっておりますので、その三つの取引が瞬間的に行われることから外貨準備がその相手の国に貸されるということになるわけです。  その際、もしもそれがドルやユーロへの転換が行われないで円貨として債権がIMFに対して残った場合には、これを日本銀行に対して譲り渡すことができるという規定になっております。
  120. 櫻井充

    櫻井充君 済みません、その規定は何条に記されているものなんでしょうか。後でもう一度ちょっと法律を調べてみたいと思いますが、私が調べた範囲では、出資できるというところは、特会の運用のところの七十六条の六項に規定されている以外見当たらないんですけれども。
  121. 玉木林太郎

    政府参考人玉木林太郎君) 失礼しました。  今、七十六条の六項に貸付けに充てることができるという規定がございまして、これが加盟措置法第十一条二項に規定する貸付けに充てることができるということでございます。
  122. 櫻井充

    櫻井充君 ですから、ちょっと局長、僕、勘違いしていると思いますよ。もう一度申し上げますが、根拠法はこれしかないんですよ。そして、その根拠法に基づいて、今度は、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の中の十一条二項に今度は規定されるわけですね。いいですか。  じゃ、法律の関係だけもう一度確認しておきますけれども、まず貸付けに充てることができるのは特会の運用のところの七十六条六項ですね。そしてさらに、それの根拠になるところは、その根拠というかどういう形で行わなければいけないのかということは、これは十一条の一項ではなくて十一条の二項ですね。
  123. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 大丈夫ですか。ちょっと速記止めましょうか。
  124. 玉木林太郎

    政府参考人玉木林太郎君) 整理して御説明いたします。  六項で、七十六条の第六項で、加盟措置法の十一条二項に規定する貸付けに充てることができると。この二項がどう規定されておりますかといいますと、財務大臣は、前項第五号の規定により、貸付けを行った場合と、こういうふうに書いてありますので、この貸付けというのが七十六条六項の貸付けに当たるということでございます。
  125. 櫻井充

    櫻井充君 これは、十一条の一の五のところの取引で行った場合にはと書いてありますよね、まず。行った場合には、日本銀行に対して譲渡し、これができるということは、日本銀行にこういうことを一切しなくてもできるというふうにこれを読むんですか、この法律は。
  126. 玉木林太郎

    政府参考人玉木林太郎君) 特別会計法七十六条の二項、ここに規定する貸付けというのは、実は加盟措置法の方で貸付けという言葉が出てくるのは十一条二項のところでございますので、ただし、この二項における貸付けはなぜ可能かといえば、第一項第五号のその他国際通貨基金協定に基づく取引、この一部を成すからでございます。  したがって、七十六条、特別会計法の七十六条六項で言っている貸付けに充てることができるというのは、国際通貨基金協定第七条第一項の貸付け、それを受けた加盟措置法第十一条一項五号の取引、そしてそれを受けた第二項の貸付けと、こういう関係になっているということでございます。
  127. 櫻井充

    櫻井充君 ちょっとかなり分かりにくい法律文になっておりまして、後でまたちょっと詳しく議論させていただきたいと、時間がないのでそうさせていただきたいと思います。  今回、大臣日本は十兆円貸し付けることにしました。この場合、貸付けをするということはそれなりのリスクがあるわけですから、もし仮にこれが返済不能になったような場合には、これの穴埋めは今の答弁ですと外為特会のところからするということになるんですね。
  128. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まず、この前のG20、ワシントン首脳会合におきまして麻生総理から、IMFの活動への期待と、そして資金がありますけれども、仮にその資金が足りなくなるというようなことがあれば日本としては外貨準備の中から一千億ドルを提供する用意があります、これは日本だけではなくて是非賛同するほかの国も参加してくださいというふうに申し上げたところでございます。  IMFに対する貸付けというのは、仮にIMF側は資本ショートに陥っちゃったとかいうと、これはもう世界金融の本当に最終段階みたいなことになるわけでございますので、IMFに対する貸付けは基本的にはリスクがないという前提でこの提案を行っているわけでございます。
  129. 櫻井充

    櫻井充君 リスクがないということは、ちょっとあり得ないことなのではないかというふうにも考えられるわけです。  つまり、なぜかというと、例えば日本なら日本の場合、金融システム維持のために、まあ十年ぐらい前になりますか、公的資金を随分注入いたしましたけれども、銀行に対して注入したものはまだその損益が確定しておりませんが、ほかの債権の処理であるとか、様々な流動性を担保するために使った公的資金は相当焦げ付いているわけですね。後で質問させていただきますが、例えば中小企業に対する特別保証制度などは二兆数千億円たしか損失が出ているはずです。いや、あれが悪いと言っているわけではなくてですね。  つまり、そういう点からすると、IMFが拠出していくところが必ずしもそのリスクがないところだけに限定してやった場合には、今度は流動性を、本当に国際的な流動性を担保できるかというと、そういうことにはならないんじゃないだろうかというふうに私は思うんですね。  そういう点でいうと、その前提の置き方がちょっと僕は問題があるんじゃないかというふうに思いますけれども、その点についてはいかがですか。
  130. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) IMF各国の中央銀行に対して一定のルールに基づいて資金を提供する。何で提供するかといえば、その国の金融システムに対しての支援ということになるわけでございます。そして、我々は必要があればIMFに対してさっき申し上げたような支援をするわけでございますけれども、IMFの判断においてある国に対して資金を提供するということと、IMF日本が貸し付けたこの資金の信用性のリスクというものは、私はIMFに対しての融資提供そのものについてはリスクがないと。その先どうなるかというのはそれはIMFの判断でございますけれども、IMFに対しての資金に対してはリスクはないという判断でこのスキームを考えているわけでございます。
  131. 櫻井充

    櫻井充君 通常の状態であれば僕はそれでいいと思います。  つまり、今でも日本は二兆円の出資をしていて、たしか全部で基金は二十兆円あるかと思います。ですから、そのことについてはそのとおりでいいと思いますが、百年に一度あるかないかの金融危機の中でそういうことの積み増しが必要である、それから、これは日本一国ではなくてほかの国にも呼びかけるということは、通常の状態と想定されることは僕は違うんじゃないかというふうに思っているんですよ。  じゃ、逆にもう一つお伺いしておきたいのは、IMFお金をじゃ積み立てなければいけないというその根拠は一体なんですか。つまり、IMFがどういうところにお金を使うであろうから、何を想定して日本政府とすれば十兆円の貸付けを行うという声明を行ったのでしょうか。
  132. 玉木林太郎

    政府参考人玉木林太郎君) 先ほど大臣から答弁申し上げましたように、IMFからその加盟国、国際収支困難に対して行った支援と、我々が今回提案しましたような融資、すなわちIMFの一般資金勘定に対する貸付けは区別されるべきだろうと思っております。  まず第一に、貸付けの方でございますが、それが、加盟国への貸付けが履行遅滞に陥った例はございます。ただし、IMFの貸付債権自体は、例えば二国間の公的債権に対しても優先的に弁済されるというこれは国際的なルールになっておりまして、国際的な公的機関の貸付けの中で最も安全度の高いものでございます。最終的な返済というものが基本的には担保されていること、そして融資に伴うリスクについて、十分慎重な財務の健全性の確保ということについての、IMF財務の健全性の確保ということについての国際的な合意が確固としてあるということから、IMFの一般資金勘定全体を見ればそれに対する貸付けは極めて安全度の高いものだと考えております。
  133. 櫻井充

    櫻井充君 それは、現在のスキームではそうだと私は思いますよ。  そうではなくて、私がお伺いしているのは、IMFに十兆円まず積立金を増しましょうと、基金を増やさなきゃいけないんですねと。それから、世界でも多分そこのところに貸付けしてくださいということをこれからお願いするんでしょう、お願いしたんでしょう。それがどの程度の額になるかは分かりませんよ、これは。だけど、それだけのものを準備しなければいけないということは、何か根拠があるからそういうふうになりますね。  例えば、鳥インフルエンザなら鳥インフルエンザという、これからどういうことになるか分からないけれども、ある程度想定されるものがあるから、だからそれに対して、例えばタミフルならタミフルを備蓄しましょうとか、ワクチンを備えましょうとか、そういうことになるわけであって、IMFお金を積み立てなければいけないというその根拠になるものは一体何なんですか。
  134. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まず、IMFは、日本アメリカ始め、みんなで出資をしているわけでございます。その出資を今回、倍増、三千二百億ドルから六千四百億ドルに増資をしましょうという提案をまず麻生総理がいたしました。  それから、それは多少時間が掛かりますので、あるいは参加国の多分大方の同意が必要になってきますので時間が掛かります。そこで、一千億ドル日本は出します、また趣旨に賛同する国は是非参加してください。  なぜこの二つのことを申し上げたのかといいますと、それはやはり今世界がこのままほうっておくと、八十年に一度か百年に一度か分かりませんけれども、大変な金融危機に陥る可能性がある。現に日本よりも格付が高かったヨーロッパのある国が、ある日突然、その国のGDPの何倍もの不良資産を抱えるようになって実質的に国家的な危機に陥ってしまったと、こういう例が現に起こっておりますし、これからも起こりかねないから、それをできるだけ防ぐ、あるいは万が一起きたときにはできるだけ早く適切に処理をするために今回緊急措置として日本からそういう提案をしたのでありまして、使われないにこしたことはないわけでございますけれども、しかしここまで来ると、その可能性がゼロとは言えないという、これはもう今回のG20のある意味では私は認識になっているというふうに思っております。各国からも、またIMFからも世銀からも評価を受けたところでございます。  だから、根拠は何かというと、条文上の根拠については国際局長から答弁させますけれども、政治的あるいはまた経済的な首脳判断として、これをやっておくことによって、いわゆるセーフティーネットといいましょうか、最悪の事態あるいはまた少しでもそのリスクを小さくするという必要があるという日本の判断を各国IMFが評価したわけでございます。
  135. 櫻井充

    櫻井充君 別にこれ拠出するなと言っているわけではないので、ちょっとそこは誤解をしないでいただきたいんですが、やるからにはやっぱり国際協調というのが必要であって、果たして、日本が十兆円取りあえず貸し付けて積み増ししましたというレベルで済むのかどうか。それから、そういうことであったとすれば、もう少し世界各国に呼びかけて、その時点で目標として大体このぐらい準備しましょうと言った方が政治的なメッセージは僕は大きかったんじゃないのか。そして、そういうことを、もう少し日本があそこの場でリーダーシップを発揮するとすれば、そこまで踏み込んで宣言された方がよかったんじゃないのかなと。  今、この世界金融危機の中で政治がやれることって一体何なんだろうかというと、多分、財政出動するか、金融政策を取るか、あとは今問題になっているところの制度の規制強化していくということぐらいしかないんだろうと思うんですね。  そうすると、そこの中での財政出動をしていく中でいうと、もう少し大きなメッセージになるような格好にしないと、なかなかせっかく日本が十兆円を貸し付けると言ってもインパクトとしては小さかったんじゃないのかというふうに、私はですね、私は個人的に思うんですが、大臣としてはその辺はいかがお考えでしょう。
  136. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) このIMFへの一千億ドルの資金提供、もちろん各国賛同をされる方は是非お願いしたい、それからIBRDのIFCへの二十億ドルの資金、そしてまた我々の最も身近なアジア開発銀行資金が潤沢ではないということで、これも倍増しましょうという提案をいたしました。何もこれは日本だけが一人で、手柄といいましょうか、称賛の栄誉を取りたいなんということは毛頭ないわけでございまして、現にヨーロッパのある国はいろんなお金が出せそうな国を回ったという話も聞いております。  ただ、ある意味では、日本リーダーシップを取ったといいましょうか呼び水になって、そして先導的に日本がやっていく。十数年前の経験もありますし、たまたま外準も豊かでありますし、金融危機の程度も欧米に比べればまだまだ小さいという状況もあるからこそ、G20の場で、日本ができる金融危機を乗り切るための貢献として今申し上げたようなことを提案をし評価をされているところでありまして、これで十分かと言われれば、それは実際何が起こるか分からないということもございますし、さっき申し上げたように、これが使われずに事態が収束していくことを我々は一番願っているわけでございます。
  137. 櫻井充

    櫻井充君 是非、国際的な危機世界各国の力でまず乗り切れるようにしていきたいと、そう思います。  それでは、国内の問題について今度は質問していきたいと思いますが、お手元に資料をお配りさせていただきました。若干、二〇〇六年までで古い資料で大変恐縮なんですが、これは大企業と中小企業の利益率の差を見ているものでございまして、要するに二〇〇三年以降どうなっているかというと、製造業も非製造業も大企業は利益率が上がっておりますが、中小企業の利益率は横ばいか若しくは若干増えているだけでございます。ですから、こういうことが起こっているから地域経済というのは一向に上向かないんだろうなと、そう考えております。  財務省と前に話をしたときに、要するに大企業が利益を出せば中小企業にもその利益が転換されていって社会が良くなっていくんだと、そのためにこういう構造改革を行ってきたという説明を私は受けたことがございます。  そういう点から考えてくると、元々考えていた小泉・竹中改革のビジネスモデルが僕は間違っていたんじゃないのかなと、そう思っているんですが、中川大臣は小泉・竹中改革をどのように評価されるでしょうか。
  138. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 小泉・竹中改革、どの範囲までのことを頭に入れての御質問かちょっと分かりかねますけれども、小泉総理が御就任になられた二〇〇一年四月といえば、まだまだバブル崩壊の後の金融危機も含めた厳しい状況が続いていたわけでございます。  そういう中で、改革、つまりスリム化とか効率化とかいったものを最優先にしていってまいりましたけれども、まだ日本経済が本当に力強く前進をしていったわけでもございませんし、途中、足利銀行破綻なんということもあったわけでございまして、まだまだ完全に体力を取り戻したという状況ではなかった。したがって、その間、景気も何回かまた下がる事態になって財政出動も行ったこともあるわけでございます。  したがって、我々は、麻生総理の下で改革というものが必要であるということは基本的に小泉総理と同じ認識であって、改革なんかしなくていいとは決して思ってはおりませんけれども、しかし、いろんなひずみもありましたねというふうに私も認めざるを得ないというふうに思っております。  今まさに世界的にも日本も大事な時期でございますから、小泉総理のやられたいい面と、そしてまた反省というか、我々が参考にして少し変えていかなければいけない部分とをよく分析をしながらやっていかなければいけないというふうに思っております。
  139. 櫻井充

    櫻井充君 ありがとうございます。  アメリカ経済がああいう形になり、それから今回、ノーベル経済学賞に新自由主義を否定されてきたクルーグマン教授が受賞されるということは、やはり新自由主義ということの限界がこれは世界で露呈したことではないんだろうか、この日本でも同じようなことが言えるんではないのかなと、そういうふうに思っておりますが、大臣認識はいかがでございましょうか。
  140. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) そうですね、今まで新古典主義でずっとブッシュ政権が来て、多分、竹中路線というものもその流れの中でやってこられたんだろうと、経済学的に言えばですね。  ただ、これが日本では二十年間ずっと余りぱっと晴れなかったという状況でございますけれども、ここに来て、二〇〇一年のエンロン事件、そして今回、昨年からのこの世界金融危機という状況になったときに、これクルーグマン教授でなくても、今回のG20においても市場至上主義あるいは市場原理主義ということでは決して良くないんだということはコンセンサスになったわけでございます。
  141. 櫻井充

    櫻井充君 そうすると、ある程度の規制なり、それから僕はばらまきとは思っておりませんで、財政出動は必要だと思っております。ただし、今回のああいう形で給付するのはばらまきだと思っておりますし、税金を使った大いなる買収行為じゃないのかなというふうにも思ったりするんですが。  この十年間の金融行政を見ていて、大臣、僕は幾つか間違っていた点があると思っているんです。その一つは何かというと、金融機関が健全になりさえすれば今度は融資が進んでいくという、そういう前提に立って金融機関の健全性だけを強く求めてきた。しかし、その結果どうなっていったかというと、中小企業に対して十分な融資がこれまで行われてきたかというと、そうではなかったような感じがしているんですけれども、その点については大臣、いかがですか。
  142. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 日本経済における三つの過剰、人、それから設備、それから負債というのが長く日本経済やあるいは企業におもしとなっていたわけでございます。そういう中で、バブル崩壊の後、金融機関が大変厳しい状況になり、その結果、貸出先もその先で非常に大きな影響を受けたということであります。これが現在まである意味では続いていると私は思います。  これをある経済関係の方はバランスシート不況と、こう言っているわけでありますけれども、バランスシートをいかにきれいにしても、あるいは金利が世界先進国の中で一番低くなっても、貸出しがなかなか増えない、あるいは借りようとしない。まあ、貸してくれないというのと借りようとしないというの、多分私は両方あるんだろうと思っておりますけれども。  なぜそうかというと、これは大恐慌のときもそうだったそうでありますけれども、もうある日突然金融機関の事情で徹底的にもう返せ返せといって搾られに搾られた人は、もうなかなか、幾ら金利が下がっても、あるいはまた新規に資金が、需要の必要性が出てきても、なかなか借りる気にならないというのがこれは大恐慌、そしてまた今回の九〇年代のあの一連の出来事の反省だろうと。何ですか、トラウマと言っていいんでしょうね、だそうでございます。  そういう意味で、金融機関の方のバランスシートも大分きれいになりましたけれども、借りる方も非常に、もう二度とあんな苦しみは経験したくない、貸す方も慎重に慎重になっていると。そして経済全体が非常に力のない状況に今なってきているわけでありますから、だからこそこの法案を一日も早く成立をさしていただいて、そして一定の審査の下で、何も借りることは危ないから借りる、資本注入をするんではありませんと、健全な金融機関により資本を注入することによって、そして中小企業等への貸出しをより積極的にやってくださいという趣旨でこの法案を御審議をいただき、これは正直申し上げまして、櫻井委員ですからと言うとほかの委員の方に怒られるかもしれませんけれども、御地元の宮城県であろうが北海道であろうが、年越しの資金をどうするかという状況に今入ってきているわけでございまして、仮に法案が参議院で成立さしていただいた後でも政省令の作業もございますし、これはもう急げ急げと今日もハッパを掛けたところでありますけれども、できるだけ我々も行政として早くさしていただきますけれども、本当にこれは年越し対策に間に合うように何としてもやっていかなければいけないということを是非、良識ある櫻井先生、先生って、お医者さんの先生じゃなくて、櫻井議員に御理解をいただきたいと思います。
  143. 櫻井充

    櫻井充君 お褒めの言葉をいただきまして、本当にありがとうございます。  今借りたくないというお話がありましたが、資料の二枚目を見ていただきたいんです。これは要するに日銀とか金融庁が調査をしていないようなもっと小規模の事業者でございまして、そこの右から二番目の資金繰りを見ていただきたいんですが、だんだんまた悪くなってきまして、平成二十年の八月はDIが六四・二ということになっています。これはもう完全な暴風雨、土砂降り状態だと。こういうふうにしないと分からないからということで商工会の方々がこういうのを作っていらっしゃるんですが、これを見てお分かりのとおり、借りたくないわけではありませんで、借りたいけど貸してもらえないんです。  時間がないので、ちょっと大臣ここは大事なことなんですが、これまで何が悪かったのかというと、金融検査マニュアルが僕は絶対的に悪かったと思っています。なぜ金融検査マニュアルが悪かったのかというと、例えば不良債権になる要件が中小企業には全く当たらなかったからです。例えば、やっと変えてもらいましたけど、やっと変えてもらいましたが、条件変更した、条件緩和した債権まで全部要管理先に位置付けられたわけです、一番最初は。私の感覚で言うと、済みません、医者の感覚で申し上げれば、条件変更するということは治療したわけですよ。だって、払えないから大変だから、じゃ今まで月々五十万の支払を十万なら払えるから、それならそうしてくれといったら、資金繰りが良くなっているわけです。それなのに、それを不良債権に格下げすることそのものが僕はおかしかったと思っていますよ。  ですから、どういうことが起こっているかというと、萎縮医療という今言葉ありますが、萎縮金融、本当だったら貸したいけれども貸せないような状態が僕は長く続いてきたんじゃないのかなと、そういう感じがしています。  ですから、そういう点でいうと、この金融検査マニュアルそのもの自体を抜本的に改めないと、今回のことだけではなくて、不良債権の定義等も含めて是非もう一度見直していただきたいと思うんですが、大臣、いかがですか。
  144. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、櫻井委員から非常にいい例えを伺いました。お医者さんに例えて言うと、治療した、治療することになったと、治療するとますます病気の度合いが悪くなりますよみたいな仕分に今まではなっていたわけですね。それは全くおかしい話で、今回そういうふうにしないようにということを通達を、変わらないんだという通達を全国に徹底的に文書を出させました。  ほかにもいろいろあるだろうと思うんです。特にこういうときですから、とにかく四%だとかバランスシートがどうだとか資産状況がどうだとかいうことだけでもって、一つか二つの指標だけで何か減点をして、それでもって駄目だと。これ、金融機関が貸そうと思っても後ろで、マニュアルなり何なりでもって後から金融機関金融監督の中でやられるということは、今の事態では、もちろん野方図もいけませんけれども、あつものに懲りてなますを吹いているような状況を、今こそ適切に資金が回っていくようにするということは、今だからこそますます重要だと思いますので、これに限らず私が判断して必要であればどんどん変えていきたいと思いますし、またそのためには、私も目安箱あるいはまたいろんな方々のお話も伺っておりますが、また櫻井委員始め当委員会の先生方からも貴重な御意見をいただければというふうに思います。
  145. 櫻井充

    櫻井充君 今大臣から御答弁があったとおり、やっと今年の十一月七日になってから局長通知で各銀行協会に、こういう内容の、要するに条件緩和を行うことは借り手企業の資金繰り、経営改善に資するばかりでなくと、つまり良くなるんだということをやっと認めていただけた。ですから、今までこの何年間かずっとこの問題やり続けてきたんですが、それまでの認識をやっと変えていただけた。だから、変わってくる可能性はあると思っているんです。  ところが、役所が幾ら方向転換をしても、昨日、ちょっと新潟に用事があって行ってまいりましたが、その新潟の中小企業の社長さんも、こういうふうに制度が変わったと言っても、とても信じられない、銀行がそんなことをしてくれるはずがないと。つまり、そういうことなんです。それから、仙台の商工会議所などと話をした際に、こういうふうに変わりましたという話をしたら、経営健全計画が書けないと。つまり、そういうレベルにないわけですよ。ですが、役所の人たちは、例えばBバイCだって何だって、一にしなきゃいけないと思ったら、鉛筆なめて適当な数字出せるわけでしょう、あの人たちは。そういう資料を幾らでも書ける人たちと、真っ当にやったらなかなか難しいという人たちがいっぱいいるわけですよ。  そうすると、時間がないのでここはちょっとお願いなんですが、まず無条件に条件変更したものに関していったら、条件変更そのものを認めていただきたい。先ほど大臣は、年末の資金繰りがという話がありましたが、例えば徳政令を出していただいて、今のところ苦しい時期は金利だけ払っていればいいんだと、元金の返済に関してはもう一時猶予しますと、そのぐらいの大胆なことを言っちゃったっていいんじゃないかと。  これは、銀行の関係者と話をしても、金利さえ払ってもらっていれば自分たちは痛まないから、むしろ、今元金の返済まで求め、不良債権だといって切り捨てて、そしてつぶれていくよりはよほどいいんだというような人たちの声が圧倒的ですから、法案を通すことも重要なことですよ、しかし一方で、こういう制度を変えるということはお金一円も掛かりませんから、是非何とかしていただきたいなと、そう思います。  済みません。時間がないのであと一、二点ちょっとお願いをして、その感想を最後お伺いしたいと思いますが。  もう一つは、僕は特別信用保証制度、いいと思うんですよ。ただ、特別信用保証制度で例えば今まで七千万借りていた人が八千万まで借りられるようになった、これはこれでいいことだと思いますが、今度は元金の返済も入れるとどうかというと、月々の支払が多分二百万程度だった人が二百四十万ぐらいまで上がっちゃうわけですよ。そうすると、現在ある債務のところを何とかしないと、やはり幾ら低利融資だ低利融資だといっても借金の返済に苦労していくわけですよ。ですから、リスケとセットでやらないとどうしようも僕はないんじゃないのかなと。  もう一つ申し上げておきますと、リスケをやるということは、これは税金は一円も掛からないんです。特別信用保証制度というのは、僕はあのときの制度はあれはあれで評価しますが、結局は二兆数千億円の税金が掛かっています。今回も特別信用保証制度でそういう融資をすることは大事なことですよ、新規事業やりたいと思ってもできない人たちいっぱいいますから。しかし、もっと重いのは現在抱えている債務ですから、そのことに対して、やはりもうちょっと僕は今のようなリスケをもっと積極的に行うようなことを政府として方針を打ち出した方がいいんじゃないのかなと、そう思います。  それから、僕は商工会議所とかに回ってきましたけれども、そのときにやはり皆さん情報まだ入ってないわけです。金融機関には金融庁から周知徹底するんですが、各業界団体に全く行っていません。例えば、国交省の僕は住宅局長とかそれから交通局長とずっと仲良くて、この人たちの業界の資金繰りをどうするのかという議論もずっとしてまいりました。今回、こういうことになったんですよとお話し申し上げましたが、この局長ですらどういうふうに変わったのか全く分かっておりませんでした。つまり、交通局はトラック業界を抱えております。それから、住宅産業は例の建築確認のところで官製不況に陥って資金繰り本当に困っています。つまり、省庁の縦割りは僕はこういうところにも来ていると思っていて、せっかく金融庁がこういう制度をつくったとしても、周知徹底されていないと、やっと制度をつくったとしても何の意味も成さないんじゃないのかなと、そういうふうに思っております。  ですから、できる限りのことをやっていくとすれば、そういった努力もするべきではないのかなというふうに思いますが、大臣としていかがでしょうか。
  146. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まず、最後の点につきましては、我々としては中小企業庁の信用保証のところも含めまして徹底的に下まで下ろしたつもりでございます。そうすれば、業界ごとではなくても、地元の商工会議所なり商工会なり、あるいは地元の金融機関なり信用保証協会から横に広がっていくということで私はある程度広がるのかなと思っていたわけでありますけれども、各トラック業界とか何とか業界の皆様方が御存じないということであれば、改めてこれは各省の方にもよく連絡を取って、各業態ごとに周知徹底をさせるように改めて指示をいたします。  それから、一点目、二点目は、ちょっと怒られるかもしれませんけれども、要するに今、日本経済金融が非常に厳しいからこういう問題が出てきていると。九〇年代に三十兆の保証をやったように、今回も世界的にある意味ではもっとグローバルで深刻な状況に今なりつつあるから、だからそれを未然に防ぐためにも、先ほどの条件変更、貸付条件変更の問題とか、あるいはまたリスケの御提案がありましたけれども、その辺は我々としてはこれで対策はおしまいなんていうことはいつも考えたことはございませんので、適切なことが何ができるかということは、今も櫻井委員からもいろいろ御指摘をいただきました。とにかく資金繰りとして年末までに実行できるように、この法案を上げていただくことを改めてお願いを申し上げます。
  147. 櫻井充

    櫻井充君 済みません。最後に一点、二点かな、お願いしたいのは、今の金融機関に対してのやはり評価の仕方も変えていただきたいと思うんですよ。つまり、不良債権の比率がどうだとか自己資本がどうだとか、そういうことではなくて、地域にもっと貢献しているような、例えば債権分類上げるように、企業を活性化させたとか地域にどれだけ融資したかとか、そういう評価をきちんとしていただきたいなと。  それから、今までの金融機関の合併合併をすることによって、我々からいうと開業医がもういなくなっているわけですよ。地域をまめに回れと言われても、人員あれだけ削減されたらとてもじゃないけど貸し手を見て融資ができなくなっているという状況を考えると、この十年間の金融行政が地域経済を相当悪くしていると思いますので、その点について是非中川大臣に再検討していただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。済みません。  ありがとうございました。
  148. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 午後一時四十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時四十一分休憩      ─────・─────    午後一時四十分開会
  149. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、金融機能強化のための特別措置に関する法律及び金融機関等組織編成促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案及び保険業法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  150. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 中川大臣、大変十四、十五、ワシントンの金融サミットお疲れさまでございました。先ほどからお話を伺っておりまして、大変なお立場でいろいろな世界に対しての日本のメッセージも御発信いただいたということでございまして、敬意と感謝を申し上げたいと思います。  今回の金融サミットでの成果、先ほどもお話出ておりましたけれども、それと日本提案に対する各国の反応、いかがだったか、お伺いしたいと思います。
  151. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 現下の金融危機あるいは経済の厳しい状況の中でG8プラスいわゆる途上国新興国が集まったわけでございます。その共通の、厳しい認識は共通でございましたけれども、特に麻生総理からは、本会議におきまして、たまたま順番が一番最後ということもございましたけれども、大変各国印象深く麻生総理のスピーチを聞いたものというふうに理解をしております。具体的には、日本の厳しかった経験を具体的に披露し、こういう対策を取ったんだということを丁寧に説明をいたしました。  また、今後に向かっては、会計基準の見直しでありますとか、あるいは格付の見直し、あるいはこういった新しい金融商品に対しての適切な規制監督等に対しての提案もいたしました。  そして、喫緊のこの金融危機に対しまして、各国政策を協調しながら発動していくと同時に、国際的な金融組織IMF世銀等に対して、麻生総理からは、IMFに対して出資額の増額の提案、そしてまた具体的に一千億ドルの融資提案、さらには、これは地域国際金融機関、例えばアジア開発銀行の増資、さらには、これは私からでございましたけれども、世界銀行の傘下にありますIFCに対して日本から二十億ドルの資金提供をして、途上国金融機関に直接融資ができるという制度をつくり、資金を提供するという提案をいたしました。  そして、今回に至った様々な原因について麻生総理は分析され、これからは特にインバランスのひどい国、例えばアメリカであれば過剰な債務、あるいはまた過剰な国内消費、こういったものを改めていかなければなりませんし、また、外需依存型の経済の国家に対しては、これからは内需というものもより力強いものにしていかなければならないというような提案もしたところでございます。  大変各国からも高い評価を受けましたし、またその前に、南アフリカからは、アフリカ代表として日本の長年のアフリカに対する支援に対して公式の場で謝意があったということも付け加えさせていただきたいと思います。
  152. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 大変大きなテーマの中で御苦労をいただいたことを改めて頭の下がる思いで拝聴させていただいておりました。  この今回の金融強化法に戻りますけれども、この目的でございますけれども、もう改めて申し上げる必要のないことでございますが、金融機関に対して資本増強を行って厳しい状況にある中小企業への融資を円滑化すること、これが目的だということで再度確認をさせていただきました。  昨日、参考人三人、ここにおいでいただきまして意見を拝聴させていただいたんですが、その中で、中小企業にとって金融は命綱だと、中小企業の家族が路頭に迷わないようにお願いしたいという、こういうもう現場の意見を聞かせていただきまして、さらに、その参考人三人の方の御意見を聞いておりましたところ、三人とも、この法案、一日も早く成立をしてもらいたいと、こういう趣旨の御意見を聞かせていただきました。  今日は十一月の二十日でございますから年内一か月と十日余りでございまして、かなり中小企業の方々にとってはこの一日一日が身を削るような気持ちで、資金繰りなり、また仕事の面でも御苦労をされているように御推察を申し上げたところでございますけれども、まず中小企業の方々はこの暮れを何とか乗り切りたいと。先ほども、大臣、本当に現場の御意見、目安箱等を通じて耳にされているんだと思いますが、現場の御意見を踏まえた上での御発言もいただきました。  この法案、施行日を見てみますと、公布の日から二か月以内ということになっておりまして、先ほどの大臣お話にもございましたけれども、これから中小企業の元にこの融資が実行されるという流れをつくるまでにはかなりいろんな作業がございますから、もう一日たりとも無駄にできないという、こういう時間に制約をされているような喫緊の課題でございますので、できることであれば、もう既にこの法案が可決、成立をいただいていればもっとスピードが上がったんではないかなと、こういうふうに私も思うところではございますけれども、今回の緊急性も踏まえて大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
  153. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、小泉委員、御指摘いただきましたように、この法案は公布から二か月以内に施行するということになっておりますが、仮に今日成立をしたといたしましても、二か月後ということになりますと一月の二十日と、もう年を越してしまうわけでございます。  私は、午前中も何回か申し上げましたように、今資金繰りに困っている中小企業が全国にたくさんある、しかも年末を控えて、年越しができるかどうかという状況が日に日に迫ってきているわけでございますので、私としては、何としてもこの年内に必要な資金が全国の中小企業に行き渡るようにしたいということで、この二か月以内でございますけれども、政府内あるいは金融庁でできることはもうできるだけ早くやって、まあ上がることを前提にしてというふうなおしかりをいただくかもしれませんけれども、今のうちにやれることはもうどんどんどんどん準備をさせていただいて、そして、パブリックコメント等もございますけれども、何としても年度内にこの全国の中小企業の切なる期待におこたえをしたい、しなければならないという気持ちでいっぱいでございます。  我々もそれに間に合うように行政として全力を挙げて努力をいたしますけれども、何とぞ当委員会の先生方にもそのことを御理解いただきまして、審議をしていただき、そしてまた、本当の、切に願望している多くの中小企業の皆様の御期待にこたえるようにお力添えをいただければ大変有り難いというふうに思っているところでございます。  昨日も、全国都道府県知事会議、私も出席してまいりましたけれども、多くの知事から、年末に向かっての資金繰りというものに対しての大変な危惧の御意見が何人かの知事さんからもございまして、この法律ができることによってお役に立つことができますということを申し上げましたけれども、いかんせん参議院の御判断に今懸かっているということでございます。
  154. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 大臣がおっしゃられたとおり、中小企業、それに関係する方々、またその納入業者も含めて、様々なすそ野の広いエリアでございますから、皆さんの経済対策にかかわる重要な法案でございますので、各委員の御協力をいただいて速やかにこれが可決するようにお願いを申し上げたい、そんな気持ちで私もいっぱいでございます。  先ほど、櫻井議員からもお話ございましたけれども、私も以前御質問させていただいたときに申し上げましたけれども、借入れのこれは検査マニュアルの部分でございまして、金融庁に伺いたいと思いますが、返済期間の延長、これはもう本当に助かることでございますが、ただ、先ほどの櫻井委員お話にもあったとおり、元金だけ先送りしていただいて金利だけお支払いをさせていただければこの資金が運転資金に使えるという、これは本当にもう現場の意見でございますから。  この場合に、先日確認をいたしました中では債務区分の変更をしないと、もしこういうふうなことがあっても債務区分の変更をしないということを確認をさせていただきましたが、この場合、金融機関との話合いでどのような取扱いが可能になったと、もうこれもお答えられていただいているような気がいたしますけれども、具体的に再度、金融庁のお考えを伺っておきます。
  155. 畑中龍太郎

    政府参考人畑中龍太郎君) お答え申し上げます。今般、見直しを行いました貸出条件を変更しても不良債権に該当しない場合の取扱いでございます。  先般、小泉委員より御指摘のございました、当面利息だけを返済をして元本の返済を猶予するような条件変更、これは元本返済猶予債権と申しますけれども、こういった元本は一時棚上げにして金利だけ払うというような条件変更のみならず、金利の減免でありますとか一部債権放棄でありますとか返済期間の延長等々、債務者に有利となる条件変更はすべて今回の措置の対象となっているところでございます。  具体的には、この貸出条件緩和債権に該当しないために必要な経営改善計画につきまして、正常先になるまでの計画期間をこれまでの三年から五年に緩和をすると。それからあわせて、経営改善がおおむね計画どおり進捗している場合には十年まで緩和をすると。また、計画終了時点、ここで金融機関の支援を要せず自助努力によりまして事業の継続が確保できるということであれば、この五年が終わった時点で必ずしも正常先でなくても、要注意先でもこういった計画として取り扱いますということの措置をとったわけでございます。  さらに、債務者がこの経営改善計画、大部で精緻なイメージがございますが、こういった計画を策定していない場合でございましても、今後の役員報酬等の諸経費の削減予定でございますとか収支の改善の見通し、これは債務者が既存の資料で御説明されるわけでございますが、こういったものでありますとか、あるいは金融機関サイドでこうした債務者の実態に即した分析資料があれば、それを基に双方当事者、金融機関と債務者が十分話合いを行った結果、経営改善の見込みを確認できるということであれば、これを今申し上げました計画と同じように取り扱うという弾力的な対応を取ることといたしております。  いずれにしましても、こうした措置によりまして、中小企業向けの貸出条件の変更につきまして金融機関による柔軟な対応を強く期待しているところでございます。  私どもといたしましては、既に十一月七日に政府系金融機関、信用保証協会等に今回の措置の周知をお願いをしたところでございます。あわせて十一月十七日には、日本商工会議所、商工会連合会、それから中小企業団体中央会、商店街振興連合会等の中小関係四団体にも中小企業庁を通じてこの措置を活用していただくべく周知をお願いをしたところでございます。更にこの関係の周知活動について万全を期してまいりたいと考えております。
  156. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 今のお話では、後半の方はまた返済期間のことだと思いますけれども、全体的に検査がかなり厳し過ぎるという意見が大多数でございまして、これは、必要な部分はきちっと検査しなきゃいけないと思うんですが、必要以上に厳しくやっていくというのもどうだろうかなと、こういう気がいたします。この辺のところについても金融庁として様々御検討をいただいて、資金が速やかに流れたり、使えるようになるように御協力をいただければと、こういうふうに思います。  次に、中小企業庁にお伺いしたいと思うんですが、一昨日、当委員会でも墨田区と台東区を視察をさせていただきまして、現場の生の声も聴かせていただきました。その最後に、台東区の区役所で、区長も同席いただいていたんですが、信金の理事長や中小企業の経営者の方の御意見を伺う機会もございまして、その中で緊急保証制度の使い勝手について三つほど意見がございました。  これは一つは、不況業種の認定が前年同期比でマイナス三%以上などの足かせがあると、こういうことが一つ。それから二つ目には、東京二十三区を見ても各自治体の受付がばらばらで、審査に時間が掛かるところと、まあ台東区の方は一番スピーディーだと言っていましたけれども、これも大変大きな問題だということを言われておりました。三つ目には、衣料、出版業界などが対象になっていないという、こういう対象になっていない業種が多いということも指摘をいただきました。  緊急保証制度の使い勝手、自治体での速やかな対応などについて、中小企業庁、御見解を伺いたいと思います。
  157. 横尾英博

    政府参考人(横尾英博君) お答え申し上げます。  緊急保証制度につきましては、十月三十一日の制度開始から、多くの中小企業、小規模企業の方に御活用いただいております。昨日までの十三営業日での実績でございますが、相談件数、四万三千五百件、保証承諾実績が一万件、二千四百億円という実績になってございます。一方で、委員指摘のような様々な御不満、御意見というのがあるということも私ども伺っております。  私ども中小企業庁といたしましては、このような声を踏まえまして、まず市区町村における認定につきましては簡易迅速な認定を行うための基準の明確化を行ったところでございます。それから、窓口での増員の協力要請。それと、商工会議所、商工会に対しましては市区町村での認定業務に対する協力の依頼というのを行ったところでございます。また、対象業種につきましては、この緊急保証制度を開始するに当たりまして、従来のセーフティーネット保証から大幅に対象業種を拡大をして五百四十五業種を対象にしたところでございますが、十一月十四日に、これを更に七十三業種を追加をしたところでございます。  今後とも、経済情勢も踏まえまして、関係省庁とも協力をしてそれぞれの業の実情を精査しながら必要な見直しは行ってまいりたいと思います。いずれにしましても、これからも現場の声に耳を傾けて制度運用の改善に反映してまいりたいというふうに考えております。
  158. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 七十三また追加されたということ、これは前向きでいいと思うんですが、やはりスピードが一番大事だということも、この際、重要な部分だと思うんですね。これは是非、こういうことも各自治体との打合せもしっかりお願いしたいと、これはお願いしておきたいと思います。  中川大臣には、貸し渋りについてのお考えを伺うつもりでおりましたけれども、もう既に何回かこのことについては各委員が御質問をいただいておりますので、この法案が成立した後、しっかりとこの貸し渋り対策対応いただきたい、これは御要望申し上げておきます。  それと、公的資金の枠、これにつきましては現在二兆円という資金枠があるわけでございますが、これについても御質問のつもりでおりましたけれども、お願いだけ申し上げておきたいと思います。これは、これから二兆円に限らず、これは状況が、もう経済は生き物でございますから、この中で二兆円という枠だけにとらわれずに柔軟な対応をお願いしたいと、これを申し上げて、お願いをしておきたいと思います。  最後に、冒頭から申し上げておりますけれども、現在、中小企業経営者の方々、御関係の方々には円高、株安、厳しい環境下で更に厳しい状況に追い込まれているような気がいたします。先ほどのお話の中にも、総理経済対策はスピードだというお話も聞いたように思います。これから、先ほどの繰り返しになりますけれども、年内の資金繰り支援に間に合うように一刻も早くという、こういう気持ちが思い募るわけでありますけれども、本法案の成立が何より最優先でございますから、各委員の御協力がいただけますようにこの場をお借りいたしまして心からお願い申し上げておきたいと思います。  最後に、大臣の御所見だけ伺っておきます。この法案の成立に向けての先ほどのお話しいただいた部分、いま一度お話をいただきたいと思います。
  159. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 先ほども申し上げましたように、何とか金融機関日本中の中小企業あるいは地域経済のためにお役に立てるような資金年度内にできるだけ早く提供できるようにしたい。そのためには、我々の法律成立後の作業もございますけれども、それも全力を挙げて間に合わせるようにしたい。そして、そのためにも委員会での御審議をこうやって今日も六時間熱心に御議論をいただいております。衆議院でもそうでございましたけれども、委員の皆様方からの貴重な御意見については、私も率直に導入すべきところは導入していきたいというふうにも考えているところでございます。国民経済のためにこの法律が一刻も早くお役に立てるように私も全力を挙げてまいりますので、当委員会の皆様にも御理解のほどをどうぞよろしくお願いをいたします。
  160. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 終わります。
  161. 森まさこ

    ○森まさこ君 私は、自由民主党を代表いたしまして、金融機能強化のための特別措置に関する法律及び金融機関等組織編成促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案及び保険業法の一部を改正する法律案につきまして、御質問をいたします。  まず金融機能強化法等の一部を改正する法律案につきまして御質問いたします。  中川大臣、G20、金融サミット、大変お疲れさまでございました。麻生総理の方からは危機の克服ということで御発言があり、途上国先進国金融監督規制を批判する中で何らかの合意ができるかどうかという危惧もあったわけでございますが、最終的に首脳宣言行動計画合意ができたということの成果を高く評価したいと思いますし、日本として数字を含めて具体的な提案ができたということで敬意を表したいと思います。  現在のこのようなサブプライムローン問題に端を発した金融危機状況の中で、日本においても非常に不動産・建設業界を始め企業の倒産が深刻化しております。自動車業界も業績が悪化しており、中小企業、地域経済も厳しい状況に直面しております。これらの景気の冷え込みは世界的な混乱の影響により今後ますます深刻化していくのではないかと非常に心配されるところでございます。したがって、このような日本経済の中で、この心配の中で果断に政策を実行していくということが非常に大切だというふうに思います。  中川大臣が日ごろ持論とされておりますように、日本にはまだまだ眠っている人、物、金、これらがあると、それが滞留することなく積極的に動かしていくことで日本経済の底力を引き出していくことが重要なのだと私も考えるところでございます。こういう意味でも、政府が取り組んでいる生活対策は大変意義深いものと考えます。やはり、動きのないところににぎわいは生まれません。積極的に人を動かす、金を動かす、物を動かす、この信念にのっとって日本経済是非活性化させていただきたいと思います。  そこで、金融面から日本経済を見てみれば、株式市場は一時バブル後最安値を記録いたしまして、地銀、第二地銀を始めとする金融機関は相次いで業績下方修正を行っております。私の地元の福島県の地銀も例外ではございません。  これらの金融面での冷え込みにより、金融機関は自己資本を毀損し経営に余裕をなくします。この結果、金融機関はリスクテークが慎重になり、中小企業に対してお金流れなくなるのではないかという非常に心配があるのでございますが、この中で、金融庁にお伺いをいたしますが、中小企業を支える地域金融機関の経営の動向についてどのように見ておられるのか、お願いをいたします。
  162. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 地域金融機関につきましては地域の密着型金融に努めてきているところでございますが、例えば地域銀行の二十年の九月期決算でございますが、ここでは、有価証券の減損処理費用や不良債権処理費用の増加などによりまして減益や赤字になった銀行が多いところでございます。  十一月十九日現在で地域銀行百十行中百七行が中間決算を公表しておりますが、うち九十三行が減益、三十四行が赤字という状態でございます。この背景は、御指摘のとおり、世界的な金融市場の混乱が、これが我が国の実体経済や株式市場にも大きな影響を及ぼしていることあるいは地域の経済が厳しい状況にあることなどが挙げられると思っております。  私どもといたしましては、引き続き高い警戒水準を維持しながら、金融市場の動向や地域の経済情勢がこういった地域金融機関に与える影響につきましても注意深くフォローしてまいりたいと考えております。
  163. 森まさこ

    ○森まさこ君 さて、今回の混乱、中小企業にとっては言わば災害ともいえるようなこの状況は、米国発という外的な混乱に端を発しているところに特徴があると思います。すなわち、中小企業が一生懸命に経営に取り組んだとしてもどうにもならないような影響で被害を被っています。このような弱い中小企業が更に弱い立場に追い込まれている、こういう中小企業を見過ごすことはできません。積極的に対策を講じていく必要があると思います。そして、一刻も早く対策を講じていく必要があります。  その意味で、今回の金融機能強化法は極めて重要な法律であり、その改正の趣旨は、こうした中小企業を救うものと理解しております。大臣の御発言のとおり、だからこそ、この法案を早く成立していただきたい、年越しの対策に間に合わせてほしいと私も切に願うものであります。  金融機能強化法は、あくまでも金融機関の資本基盤を強化するものであります。すなわち、先ほど私も心配であると申し上げました、直接中小企業に対してお金流れるものではありませんので、金融機関に対して公的資金を注入したその後に中小企業に対して本当にお金流れるのか、地域経済が活性するのかという点に懸念があるわけでございます。  銀行は、晴れた日にはかさを貸してくれるが、雨の日はかさを貸してくれないと言われます。今の情勢は雨ではなく大雨であります。暴風雨であります。このような状況の中で本当に銀行お金を貸してくれるのか、非常に疑わしい気持ちもあります。  昨日、福島県のある中小企業の会社の会長さんがお越しになり、お話を伺ったところ、やはり現在でも、中小企業の皆さんは、短期で借りてロールオーバーしていく中で、今まで何も言われなかった借換えの時期に、今回は利率をアップしてほしいとか、それから社長さん、会長さんの個人資産を更に担保に入れていただきたい、連帯保証も付けてほしいといったお話が実際にあるようでございます。  そういった中で、私前回も質問をさせていただいたんですけれども、金融庁さんに更にお伺いしたいのは、公的資本を注入した銀行が確実に中小企業に対してお金を貸すのかという点、このフォローをどのようになさっていくのか、お答えをいただきたいと思います。
  164. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) まず、私どもといたしましては、この法案で具体的に資本参加する段階におきましては、経営強化計画、こういったもの、これを公表することとしているところでございまして、これにつきましては、これまでと同様、金融庁のホームページなどで公表したいと考えているところでございます。  それから、履行状況の公表等につきましては、例えば半期ごとにそういった履行状況をフォローアップするなど、その適切な内容のフォローアップに努めてまいりたいと考えているところでございます。
  165. 森まさこ

    ○森まさこ君 今御説明いただきました。経営計画の公表をまずすると、それからその後に、半期ごとにその履行状況を公表するということでございますね。そして、経営計画の公表が、今のお答えですと金融庁のホームページなどでオープンにされているということでございますが、今までの運用ですと、金融機関の方のホームページでも自主的に公表されているというように理解しておりますが、それでよろしいでしょうか。    〔委員長退席、理事円より子君着席〕
  166. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) これまでも、それぞれ各金融機関におきましても、そういった自主的なディスクロージャーに努めているところと承知しております。
  167. 森まさこ

    ○森まさこ君 今までの現行法では何件適用があったんでしょうか。
  168. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) これまで二件、紀陽と豊和の二件がございます。
  169. 森まさこ

    ○森まさこ君 その二件において、金融庁のホームページとそれから当該金融機関のホームページで経営計画が公表をされていたということでよろしいでしょうか。
  170. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 当庁のホームページでは、十八年九月十五日に株式会社紀陽ホールディングスに対する資本参加の決定、これは経営強化計画の概要を含めまして公表しているところでございます。豊和銀行につきましては、平成十八年十月二十日に同じく公表しているところでございます。
  171. 森まさこ

    ○森まさこ君 それでは、国民としましては、金融庁のホームページ、それから適用された金融機関のホームページにおいてその経営計画をチェックしていけるものだというふうに理解をいたします。  そして、さらに、その経営計画の履行状況を公表するということでございますが、これも今までですと、同じように金融庁のホームページとそれから当該金融機関のホームページで履行状況が公表されているものというふうに承知をしておりますが、今後も金融庁は同様な運用をしていくおつもりですか。
  172. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) これまでと同様に、その適切な公表に努めてまいりたいと考えております。
  173. 森まさこ

    ○森まさこ君 これが履行状況を半期ごとに公表するということになっていますが、この半期ごとというのはどこで決まっているんでしょうか。
  174. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 制度的には、形の上では府令でそういったことが決まっているということでございます。
  175. 森まさこ

    ○森まさこ君 府令十八条において、三月、九月に公表されることになっているようでございます。  そのようなパブリックプレッシャーと申しますか公の監視の中でまずチェックをするということですが、さらに金融庁ではその履行状況について定期的にフォローアップをするというふうに前回お答えをいただいたんですけれども、この定期的なフォローアップというのは具体的にはどのようなことを指すんでしょうか。
  176. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) まずは、財務局あるいは金融庁におきまして、その履行状況についての報告を受けまして内容を検証するということでございます。  その上での話でございますが、仮にその計画の履行が不十分な場合には、その理由についての報告を求め、原因を精査する。さらに、その上での話でありますが、改善の努力が認められない場合には必要に応じて監督上の措置を講ずるという具合にしているところでございます。
  177. 森まさこ

    ○森まさこ君 その定期的な報告を受けというのも、半期ごとに報告を受けるように決まっている、府令で決まっているんでしょうか。
  178. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 府令ではその公表ということが決まっておりますが、私どもは基本的には、そのときには最低限その状況をフォローするということでございます。もとより、そういった定期的なことにかかわりませず、必要があれば更に様々な形でのヒアリング等を行うこともあろうかと考えます。
  179. 森まさこ

    ○森まさこ君 ありがとうございます。  報告を求めて原因を精査し、改善の努力が認められない場合には必要に応じて監督上の措置を講ずるとおっしゃっておりますが、監督上の措置というのは具体的にどのようなことを行う予定なんでしょうか。
  180. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 監督上の措置というのは、大変柔らかいものから固いものまであるわけでございますけれども、ぎりぎり行けば業務改善命令みたいなものもございますけれども、ただ、こういったものはやはり基本的に自主的に取り組んでいくことが大事でございますので、そういった各金融機関の自主努力を尊重しながら報告を求め、そしてまた私どもなりに指導もしていくと、こういったことになろうかと思います。
  181. 森まさこ

    ○森まさこ君 自主努力も求めながらその後の指導ということでございますが、指導しても改善が見られない場合にはどうなるんでしょうか。
  182. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 一般論で申し上げまして、監督上の措置といたしましては、私どもとしては報告徴求という制度あるいは業務改善命令といった制度がございます。そういったものも制度としてはございますし、そういったものも当然に排除されるものではございませんが、こういった貸出しということにつきまして、できるだけ自らが公表し、パブリックプレッシャーの下でその実質的な成果が上がるように、その前の段階で効果が上がるような、そういった努力をみんなでしていくことが大事かと考えております。
  183. 森まさこ

    ○森まさこ君 性善説で考えれば、当然自主的な金融機関の御努力で公的資本が注入されたものを中小企業に貸し出していただいてということが望まれるわけなんでございますが、これまでの金融庁が検査して、また、この同法の適用ではございませんが、不適切な例があって処分したということもあるわけでございますので、もし万が一、履行状況が公表されていても適切なディスクロージャーがされていないとか、それから虚偽のディスクロージャーがされている、つまり本当にこの公的資金が中小企業の方に回っているんだろうかという懸念があるものですから、そこを金融庁さんがきちっと見てくれているのかなということを御質問させていただいているんでお答えをいただきたいと思うんですけれども、万が一、公的資金が注入されているのに、それが中小企業の方に回らないでいるのに回っているように公表されているなどのような例がある場合には、これはきちっと監督、そして行政処分をしていただけるんでしょうか。
  184. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 今の御指摘が、例えば私どもに違った計数、実態と離れた違った計数を報告しているというようなことであれば、これはまた、言わば報告が違ったということでございますので、そういった点に着眼した行政的な対応というのは考えられると思います。
  185. 森まさこ

    ○森まさこ君 例えば、半期ごとに報告をするということになると、その期越えのときにだけ借りたような形にするとか、そういうことで見かけ上は履行状況はクリアするような形にされてしまうとか、そういうようなことがあった場合には綿密に対応していただけるというようなことで伺ってよろしいでしょうか。
  186. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 履行状況についての報告を受けるに当たりましては、中小企業向け貸出しの増加の要因を含めてヒアリングを行うなど報告内容の適切なフォローアップ、これにはもちろん努めてまいりたいと考えております。
  187. 森まさこ

    ○森まさこ君 是非、大切な公的資金が注入されるわけでございますので、金融庁の方に適切な監督をよろしくお願いをいたしたいと思います。  一方、貸出しをもちろんしていただきたいんですが、ずさんな融資がなされていってしまってはこれはまた一方で困るわけでございまして、先ほど大臣がおっしゃったように、リスクテークとリスク管理をバランスよくしていくということが大事だというふうに思います。  新銀行東京の融資金詐欺事件というのがございましたが、この融資金の大半を得ていたアシストプランという会社がまたその偽造を行っていたと、そして三菱東京UFJ銀行から融資を受けていた、融資詐欺を行っていたと、もうこれは詐欺グループということが産経新聞に報道されておりました。このアシストプランの詐欺グループはワンワールドグループと言われて、ワンワールドという会社やスプーン・ジャパンなどの会社があるようでございますが、このワンワールドグループを旧東京三菱に紹介したのがマルチ商法のユナイテッド・パワーだったということで報道されておりますが、このようなずさんな融資が行われないように、そちらの方の監督、これもしっかりとしていただきたいと思いますが、金融庁の見解をお聞かせください。
  188. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 私ども、一般論として申し上げさせていただきたいと思いますが、金融機関におきましては、社会的批判を招くことがないよう適切なコンプライアンス体制を構築することが重要と考えているところでございます。  私どもといたしましては、引き続き金融機関に対しまして適切なコンプライアンス体制を整備、構築、運用していくよう促してまいりたいと考えております。
  189. 森まさこ

    ○森まさこ君 今二つの事例を挙げまして、一つが貸し渋りの事例、これもしっかり見ていただきたい、それからずさんな融資の事例、これも見ていただきたいと申し上げましたが、もう一つ紹介をいたしますと、福島県の事例なんですけれども、メガバンクがある日突然やってきて、おたくの企業は大変優良なのでうちと取引させてほしいと。そうすると、福島県の中小企業、小さいところはふだん地銀さんと取引をしているものですが、それがメガバンクさんにお声を掛けていただくと大変うれしいわけなんでございます。そして、必要でなかったとしても取りあえず取引ということで借りさせていただく。    〔理事円より子君退席、委員長着席〕  その中で、抱き合わせとしてその一部を、例えば一億円を貸しましょうと、その一部の三百万円をデリバティブ取引でちょっと付き合ってくださいということで、抱き合わせのような形で、これがもう現在も行われているということなんですね。その三百万円だと思いますが、デリバティブですから、損害がもう一億円です。一億円借りて更に一億円の損害という、そういった事例もありますけれども、そういったものについても、この不景気の中で、そして金融機能強化法ができて、見かけの状況は、これはもう中小企業に融資をしていますから、ちゃんとリレバンやったということで評価されると思いますが、裏ではそういう抱き合わせも販売しているという、そういう被害ができないようにきちっとこれは監督していただきたいと思うんですが、そこの御見解をお願いいたします。
  190. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 個別の事案についてのコメントは差し控えさせていただきたいと存じますが、一般論として申し上げますと、金融機関がデリバティブ商品などの金融商品を販売する際には、顧客や知識の経験などを踏まえまして、商品内容やリスクにつきまして具体的に分かりやすい形で説明することが重要であると考えております。  こうした観点から、私ども、例えば監督指針におきましては、社内規則等に基づいて業務が運営されるための十分な体制が整備されているかなどを着眼点として定めまして、検査監督において検証しているところでございます。  今後ともそういった対応に努めてまいりたいと考えております。
  191. 森まさこ

    ○森まさこ君 是非しっかりと監督をお願いします。  また話が先ほどの、実際に中小企業にお金が回るんでしょうかというところに戻りますけれども、いわゆる貸出条件緩和債権の考え方についてでございますが、この委員会でも墨田区と台東区に現状視察に行かせていただいたんですけれども、先ほど小泉委員からも紹介がありました信金さんからのお話で、やはりずっと長い付き合いで、元金も利息も怠っていないんですと、そういう場合に条件を変更したときに要注意先から破綻懸念先にならないようにと、それがなってしまうと非常に信金さんとしても厳しいというようなお話がございました。  まさに地方の、地域の金融機関というのは、こういった条件の変更によっても中小企業を見捨てることがなく、その経営を手助けしながら金融をしていくというところに意義があるというふうに考えておりますが、この貸出条件緩和債権の考え方について今般修正を図ったというふうに承知をしておりますけれども、いま一度この見直しの、この修正のねらいとその効果について金融庁の見解をお聞かせください。
  192. 畑中龍太郎

    政府参考人畑中龍太郎君) お答え申し上げます。  借り手の企業の資金繰りでありますとか経営を改善をすると、このためには金融機関が借り手に対して返済条件を緩和をするということも重要な手段の一つでございます。しかし、御指摘ございましたように、この条件変更をいたしますと、これまでは原則として不良債権に当たるということで、不良債権比率でありますとか貸倒引当金の引き当て率が高くなる、そういうことで金融機関が条件緩和に応じにくいという声もございました。  そこで、十一月七日に監督指針、マニュアルを改定をいたしまして、こういった変更がありました場合でも、相手先が中小企業の場合には、貸出条件緩和債権に該当しないために必要とされる経営改善計画について、計画完了までの期間をこれまでの三年から五年、経営改善がおおむね計画どおり進捗している場合には十年に緩和をしたところでございます。  今回の措置につきまして、金融機関あるいは経営改善支援機関の実務の担当者からお話を伺ったところ、例えば中小企業の場合、三年で経営改善が完了するためには大きな金融支援が必要となる場合が多く、計画策定が困難になっていたので、これを緩和することは実務に沿ったものであると、こういう御意見でありますとか、三年を超える計画期間であると、不良債権になることを理由に計画策定の協議に応じてくれない金融機関があるけれども、今回の措置により協議に応じてもらいやすくなると、こういった御意見が寄せられているところでございます。  こうした対応によりまして、中小企業の経営改善計画の策定と金融機関による条件緩和に対する取組がこれまで以上に進むことを期待しているところでございます。
  193. 森まさこ

    ○森まさこ君 要するに、不良債権とされる場合が少なくなったということで伺ってよろしいでしょうか。
  194. 畑中龍太郎

    政府参考人畑中龍太郎君) お答え申し上げます。  これまで、先ほど申し上げましたように、返済条件を緩和いたしますと、いわゆる要管理債権と、これはいわゆるリスク管理債権ということで不良債権になるわけでございます。それから、引き当ても相当不連続に上昇いたしますが、今回の措置によりまして、この要管理先債権ではなくてその他要注意先ということで、言わば正常先に準じるような形にとどまるということでございます。
  195. 森まさこ

    ○森まさこ君 はい、よく分かりました。  そのことについて、国ではそういうふうにしていただいたんですけれども、地方の検査の現場でそれが行き届いていただかないと困るわけでございまして、地方の現場の検査官、また監督の担当官に先ほどの大臣お話の中で通達が行ったというような御紹介がございましたが、これについて金融庁の方から詳しく御報告願えますか。
  196. 畑中龍太郎

    政府参考人畑中龍太郎君) お答え申し上げます。  御指摘ございましたように、この措置を十一月七日付けで公表し即日適用いたしましたが、同時に、中川大臣から、財務局も含めましたすべての検査・監督担当官一人一人に対しまして、今回の改定の趣旨を十分踏まえて適切に対応するよう直接文書で御指示をいただいたところでございます。  さらに、この大臣指示の徹底を図るために、今回の改定趣旨につきまして、既に各財務局の検査担当幹部、これを緊急招集をして説明をいたしましたほか、私どもの本庁の職員が全国の財務局を回って監督検査の職員に直接説明をし、現在周知を図っているところでございます。  こうした取組を更に徹底をいたしまして、金融行政の現場の職員に対し今回の措置が行き渡るように対応してまいりたいと考えております。
  197. 森まさこ

    ○森まさこ君 その大臣名の通達ですけれども、少し御紹介をさせていただきますと、金融担当大臣から各検査・監督担当官あてというふうになっていまして、今回のマニュアルを改定することにしたという紹介の後、財務局の各検査・監督担当官は、検査監督の現場において金融検査マニュアルの適切な運用を徹底されたいと。そして、中小企業向け融資において、金融機関が条件緩和への対応を含め、借り手企業の経営実態や特性を十分踏まえて柔軟に対応することにつながるよう、適切な検査監督に一層努められたいということに書いてあるようでございます。  とかく現場においては、地方の財務局の検査官の、やはり昔から鳴らした方々が中央が言っているよりもずっと裁量の幅が広いんじゃないかということがよく言われておりますので、監督局長の方も自ら地方財務局に出向いて御指導なさっているということをお伺いしておりますので、今後もますますその趣旨を徹底していただきますように、よろしくお願いをいたします。  次に、このように地域金融機関がそれでは不良債権になる場合を少なくしていただけるというお取組があるということでございますが、地域金融機関のモチベーションと申しますか、それをしたことによって地域金融機関にとっていいことがあるのか、それをしたことによって何か良い評価がされるのか、また、そういう取組をするようなインセンティブを与えるような、そういう仕組みを金融庁の方で考えておられるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  198. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 私どもといたしましては、この条件緩和への対応を含めまして、借り手企業の経営実態や特性を十分に踏まえた柔軟な対応が図られるよう促してまいりたいと考えておるところでございます。  地域金融機関につきましては、私ども現在、地域密着型金融の推進、これに取り組んでいるところでございます。この中で、目利き機能、これを的確に発揮しまして、借り手企業に対します経営改善支援や企業の事業価値、これをよく見た融資を行うなどの取組、これを求めますとともに、そういった取組が深化、定着するような、これはささやかな話かもしれませんが、様々な動機付け、環境整備、こういったことを図る観点から、その地域金融機関の取組を地域関係者が議論、評価するための会議の開催、あるいは広く実践されることが望ましい取組などに関します事例集の作成、公表、それから利用者などの評価に関するアンケート調査の実施、公表、こういった施策を推進していくこととしているところでございます。  また、検査におきましても、中小企業に適した資金供給手法や事業再生等に向けた優れた取組、創意工夫につきまして積極的に評価いたしまして、金融検査評定にも明確に反映させることとしているところでございます。  私ども、このような取組を積み重ねまして、こういった貸出条件の変更の対応も含めまして、金融機関における中小企業への円滑な資金供給を促してまいりたいと考えております。
  199. 森まさこ

    ○森まさこ君 かみ砕いて申しますと、地銀さんがこれを頑張ったとしても何か褒められるんでしょうか。利用者の方々、国民の方々に評価されるんでしょうかということなんですが、今一つ言っていただいたのが、検査の中で評価されるんだ、検査評定の中でABCDの評定ですかね、その中で評価されるんだということを言っていただきました。  先ほど検査が厳し過ぎるんではないかというような指摘もあったようでございますが、その検査というものの中が、マイナスの指摘をするだけでなくてプラスの評価もしていくように変わってきたというふうにとらえてよろしいでしょうか。
  200. 畑中龍太郎

    政府参考人畑中龍太郎君) お答え申し上げます。  今年度の検査基本方針につきましては、中小企業金融の円滑化ということで、これを重点的な柱に掲げておりまして、その中で中小企業に適した資金供給手法でありますとか事業再生に向けた優れた取組あるいは創意工夫については、検査で積極的にこれを取り上げ、委員指摘のありました金融検査評定にも明確に反映をさせるということでございます。  この金融検査評定というのは、高いランク付けといいますかパフォーマンスがいいという、十分な管理体制ができているという評価になりますれば、検査期間でありますとか検査深度、それに影響いたしてまいりますので、金融機関においても、この辺りの私どもの取組姿勢については十分な関心を持っておられるというふうに考えております。
  201. 森まさこ

    ○森まさこ君 ありがとうございます。  是非、駄目なところはきっちり監督し、そして頑張ったところは褒めていただきたいなというふうに思います。  次に、保険業法の一部を改正する法律案について質問をいたします。  アメリカにおける金融危機は、保険会社にも影響を及ぼし、いろいろな経営難などが問題となっておりますが、我が国においても、大和生命が破綻するなど保険業界を取り巻く状況は厳しいものとなっております。  保険について考える際に最も重要なことは、保険契約者への安心をもたらすことです。国民の大部分が加入している生命保険、これは国民生活の重要な一部となっているとともに、通常、生命保険は長期の契約となるため、保険会社の経営状況の変化を見通すことが困難であるなどの特性があります。したがって、仮に保険会社が破綻した場合には、保険契約者の的確な保護が図られなければならないことは言うまでもありません。  改めて今回の法律案について、その趣旨について御説明をお願いいたします。
  202. 内藤純一

    政府参考人内藤純一君) お答えいたします。  生命保険会社のセーフティーネットにつきましては、生命保険会社が破綻した場合の保険契約者の保護を目的といたしまして、生命保険契約者保護機構から受皿会社への資金援助を実施するための恒久的な制度が設けられているところでございます。  当該資金援助の財源につきましては、保険業界からの拠出、すなわち業界負担を前提といたしまして、現行制度において、来年三月までの破綻対応するため、時限的にそれを超える場合の政府補助というものを可能にしているところでございます。  したがいまして、今般の法改正でございますが、この政府補助の規定が来年の三月で切れますので、来年四月以降、これを三年間政府補助を引き続き可能といたしまして、現下の厳しい金融情勢の下で保険契約者の保護が的確に図られるよう、セーフティーネットを確保することを目的としているところでございます。
  203. 森まさこ

    ○森まさこ君 よく分かりました。  是非、安心、安全な社会の構築のために、保険契約者、これは消費者でありますので、その保護を図られることをよろしくお願いをいたします。  これで終わります。
  204. 白浜一良

    ○白浜一良君 中川大臣、少し日時が遅れてしまいましたけれども、いわゆる金融サミット、御苦労さまでございました。  それで、いろいろもう報道されているわけでございますけれども、麻生総理は、後世に残る会議だったと、こういう表現もされておりますし、確かにアメリカに端を発する金融危機というのはもう全世界を巻き込んでしまったわけでございまして、従来のG7の枠じゃなしに、新興国も入れてG20という、そういう会議をされたと。  当初から、いわゆるアメリカはできるだけ規制を少なくと、金融商品に関しましても、ところが、フランスとかドイツを始めとするヨーロッパ規制強化すべきだと。こういう対立がどうなるかという懸念もされておりましたし、新興国の方はもう全く犠牲者だと、私たちは、そういう立場であったわけでございますけれども、結果として首脳宣言がまとまったと、こういうこともございますし、行動計画も、来年の三月までのいわゆる計画と中期の計画をきっちり決められたと、こういうことでございまして、大変良かったと、当然そういう評価もあるわけでございますが、一部、もう一歩具体策がなかったと、こういう御批判もございます。その辺が、アメリカ日本もそうでございますが、株価が安定しないという、そういうことに連動しているんじゃないかと、こういう話もあるわけでございますけれども。  実際会議に臨まれて、いわゆる国際的な金融安定化に向けてのプロセスの一つの大きな起点としての金融サミットであったということに関して、大臣はどう評価されているのか、まず伺いたいと思います。
  205. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) プロセスといいましょうか、まさに今御指摘ありましたように、多分世界GDPでいうと八割ぐらいを占める、八五%ぐらいを占める国々が一堂に会して、そして金融危機について率直に、国王、大統領、そして各国の首相が集まって話をしたわけでございます。  率直に申し上げて、今御指摘ありましたように、途上国の方は被害者であるというような発言も事前にございまして、場合によってはかなり激しい対立、あるいはまた、場合によっては宣言どころか決裂という可能性も私自身はゼロではないなと思って臨んだところでございますが、途中、各国それぞれもちろん意見がございますから、途中においてはやり取りがいろいろございましたけれども、とにかくこの危機をみんなで乗り切っていこうと、そして、ゆめゆめ孤立化とか保護主義とか、あるいは通貨の引下げ競争とか、あるいはフリーライド、つまり、ほかの国が政策をやって自分は何もせずにただ乗りをしていくというようなことはしないというようなことがはっきりと確認をされたわけでございます。そして、日本からの具体的な提案を含めまして、今御指摘ありましたように、期限を区切ってやるべきものをやっていこうと、そして次回は四月の末、三十日までにもう一度やりましょうと、それまでにやれることをやっていきましょうということで終わったわけであります。  当事者でございますから若干手前みそかもしれませんけれども、本当に決裂の可能性もある中から、よくぞあそこまで終わることができたなと思っております。残念ながら、それ以降の世界のいろいろな指標というものは決していいものではございませんけれども、これは何も意外なものがなかったとか、あの程度だろうという評価があったのかもしれませんけれども、他方、アメリカ実体経済を含めて、また日本GDPの二期連続マイナスとかそういった指標がある中で、今の、今日も大分株価が四百五十円ぐらい下がっておりますけれども、あれがうまくいかなかったときはとんでもないことに今ごろなっていたのではないかというふうに私自身は思っているところでございまして、あれは非常に重要な一つのポイントであり、そして新たな解決に向かってのスタートであると、全力を尽くしてあの宣言文行動計画をそれぞれ参加国が全力を挙げて実行、実現していくことが大事だという気持ちで現在いるわけでございます。
  206. 白浜一良

    ○白浜一良君 今大臣がおっしゃいましたけど、確かに私もそのように思います。あの首脳宣言の中で保護主義を拒否すると、こう明確に言われた。どうしても自国を守る側の理屈が強くなりますから、そういう面では大変意義のある会議だったんじゃないかなと。確実に、金融安定化に向けての確実な足取りを歩んでいくべきだと、このように思うわけでございますが。  もう一つ意見を伺いたいのは、これ金融危機が発端ですよね。ちょっと時間差掛けて、これ実体経済にいろんな影響は出てくるわけでございます。もう既に日本の自動車メーカーも、液晶テレビなんかも、アメリカの市場がもう落ち込むということでしょう。アメリカだけじゃなしにEUも厳しい。生産目標をぐっと下げていらっしゃるという。これからいろんな面で実体経済に波及してくるわけですね。ですから、この今回の金融危機実体経済に響いてくるのは間違いないんですけれども、その辺の危機感というか御認識というか、伺いたいと思いますが。
  207. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) もちろん、実体経済に影響がもう既に出ているわけでございます。例えばアメリカにおきましては、自動車販売台数あるいは住宅着工あるいは住宅売買はもう既に悪いわけでありますが、今月の初めにアメリカを代表する家電メーカー、家電小売メーカー、小売ですね、大手家電小売がつぶれてしまったとか、これはもうクリスマス商戦を控えた中で大手の家電量販店が倒れたとか、まさにアメリカ実体経済、国内消費がかなり悪いということがもう既に出ているわけでございます。また、日本におきましてもいろんな数字が悪い。さっき四百五十円と言いましたけれども、四十五分現在では五百四十円株が下がってきているわけでありまして、そういう意味日本においても非常に今状況が良くないわけであります。  ただ、そこは二つに分けて考えて、アメリカは基軸通貨国であるということをいいことにして、財政赤字、貿易赤字を、二つの、双子の赤字を黙って放置しながら外国からどんどんどんどん、世界中からお金が入ってきていたと。それでもって国内で個人消費を過剰にやり過ぎていたという反省があります。他方、外需に頼っていた国々は、こういう経済状況ですから外需依存ということから脱却をして、できるだけ内需といいましょうか、そういうものの中で経済を立て直していくと、この二つが必要であるというのが麻生総理の御発言であったわけでございます。  つまり、やる方法は財政出動とか金融救済、システム救済とかいろいろありますけれども、やっぱり節約、過剰消費の抑制、片方では外需依存から内需の方にもう少し力を入れる、あるいはまた、もっとかわいそうなのは、これは途上国、とりわけアフリカのような、例えばコーヒーならコーヒーだけに輸出に頼っているような国が、市況が悪くなってきた、あるいは貿易・金融条件が悪くなってきたと、こういう中で本当に困っているわけでございまして、そういう中で、先ほど申し上げたように、日本の今までの支援には感謝をする、これからもっと先進国に手伝ってもらいたいというような南アフリカの発言もあったわけでございます。  ですから、共通認識政策協調、そしてよく連絡を取り合いながらやっていくわけでありますけれども、個別の重点項目というのは少しずつやっぱりその国々でやることが違ってくるんだろうというふうに思っているわけでありまして、何も一斉に内需拡大とか、一斉に消費は少し抑えましょうよということではなくて、その国の経済構造に合った形でその国のそれぞれの体力を付けながら、実体経済の大きなこの厳しい状況を乗り切っていこうということが必要なのではないかというふうに考えております。
  208. 白浜一良

    ○白浜一良君 今大臣がおっしゃいましたけれども、首脳宣言の中で、確かに内需拡大で、状況に応じ即効的な内需刺激の財政政策を用いると、こういう表現をされている。今おっしゃったように、各国のそれぞれ事情は違うでしょうから、各国の実情に応じてやるということなんでしょうけど。  そういう意味では、一つ確認したいんですが、十月三十日に新経済対策を政府としてまとめられたということで、実質財政出動は五兆円でございますが、経済規模からいうと二十七兆円と、こうなってございますが、これは、そういう面ではこの首脳宣言宣言されている中身日本の政府としての一つの施策ということで、半ばいわゆる国際的な公約なんだというふうに受け止めていらっしゃるのでしょうか。
  209. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 十月三十日の生活支援、そして今御指摘ありました具体的な事業規模財政規模、まだ正確に積み上げてはおりませんけれども、この総理の国民への直接の発表、そしてG20に向かう総理決意、そしてそこでの発言、そして宣言、共同宣言ですね、これは一連のものとして、特に麻生総理はこれは一連のものとしてとらえていると私は思っておりますし、私もそう思っておりますので、そういう意味で、十月三十日にこれからやるぞと発表したことと、それから会議の場で、こうやるべきである、日本はこうする、こう貢献すると言ったこと、すべてこれは国際的な日本の果たすべき役割である、国際的な約束であるというふうに理解しております。
  210. 白浜一良

    ○白浜一良君 しかと受け止めて頑張ってまいりたいと思いますが。  もう一つ、今回ほど金融経済の密接性というか一体性ということが議論されたことはないんです。それで、いろんなことを学者が言っておりますけれども、今後のIMFの、何というかな、どうしていくかという、日本が融資を決められたというのはそれはそれで大事なことなんですけれども、いわゆる戦後体制、ブレトンウッズ体制そのもののやっぱり役割というか機能というか、実情に合っていないということも指摘されているわけで、どう改革するかということも一つの大きなテーマなんです。  そういう意味で、学者によっては、いわゆるこのIMF金融安定化フォーラム、これをもう表裏一体のものとしての新しい枠組みでやった方がいいと、こういうことを提言されている方がいらっしゃるんですけれども。これは通告していないかも分かりません。もしお考えがあればお伺いしたいと思いますが。
  211. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) ブレトンウッズ体制というのは、まさに第二次世界大戦という大変悲惨な中からの再出発、いわゆるガット、IMF、世銀体制ということになるわけですけれども、あれはブロック経済化の反省、それからアメリカが唯一最大の大国になっていった、ドルがいよいよ基軸通貨になっていったという中でのスタートであったわけであります。  確かに、あれから六十年経過をいたしまして、東西の冷戦というものもなくなり、そしてまた、まだ世界には貧困とか紛争はたくさんございますけれども、しかし、いわゆる先進国、欧米の数か国から日本も含めて、先進国がどんどん増えてきた、あるいは、さらには新興国が増えてきた、そして国の数も増えて、途上ではあるけれどもそれぞれ国際的に活躍したり発言をしている国がどんどん広がってきているという中で、コンピューター化の問題とか、いろいろな二十一世紀の状況の中で今回起きたわけでございます。  そのルールの問題とか、あるいは、はっきり言ってこういう問題を起こした金融関係者のモラルの問題とか、いろいろと直すべきところは多々あるにいたしましても、私自身は、ブレトンウッズ体制、一部のヨーロッパ国々がもうブレトンウッズ体制は終わったんだと、二十一世紀型のブレトンウッズ体制をゼロからつくるんだというには、私は、それをやるにしても大変な時間と手間が掛かる。現在まだ進行形でございますから、緊急にやるべきことをまずやっていくということが必要であると思いますし、もちろんさっき言ったようにアメリカにもいろいろ問題ございますけれども、じゃ、アメリカに代わるような一国の通貨、一国の経済力というものがまだはっきりと見えてこないという状況の中では、やっぱりアメリカ先進国が中心になって、そして途上国とともにこの危機を乗り越えていくということがやっぱり重要なのではないかと。  何といっても、余り具体的な名前を挙げるのは控えなければいけませんけれども、いわゆる旧植民地の国々と旧宗主国の国々との経済資本関係というのはいまだにやはり強いものがあるだけに、影響を受けている国とその元の国との関係というものも非常に深い。つまり、旧宗主国が傷むと現途上国の影響というものにすぐ跳ね返ってくるというのが現に今起こっているわけでございますので、そういう意味で、今の体制の中で、先ほども申し上げましたように、途上国の方は、先進国が本当にとんでもないことをしちゃってひどい目に遭っているぞという怒りは会議の場でも強く受けたわけであります。  したがいまして、宣言文の中には、幾つかの先進国の簡単に言えば間違った行動によってこういうことが起きたんだから反省しろよみたいな一文も宣言文の中に入っているわけであります。その中に日本が入っているとは私は思っておりませんけれども、幾つかということは、アメリカ以外にも複数の先進国のせいでということが宣言文に書かれました。率直に申し上げて、これはかなり宣言文を入れるときに議論になったところの一つでありますけれども、そういった中で、しかし、けんかばかりやっている場合ではないと、先進国途上国も一致結束してみんなで乗り切っていこうよということでございます。  どちらにいたしましても、新しくゼロから新通貨経済体制をつくっていこうというふうな意見会議の場で、宣言文にも載っておりませんし、そういう、一、二それに近いような発言はございましたけれども、会議としては宣言文にあるように直すべきところは直しながら国際協力をしていこうというのが総意だったというふうに理解をしております。
  212. 白浜一良

    ○白浜一良君 いろいろお話しいただきましたけれども、これからIMFの問題は、具体的な、どうするかということは先送りされているんですが、私が先ほど言いましたのも一つのそういう専門家意見でございまして、IMF金融安定化フォーラムを一体的な枠組みにした方がいいという、こういう意見もございますし、それから、IMFの専務理事はずっとヨーロッパですね、これはいかがなものかという、そういう声もございますし、これからいろんな議論を国際的にされるでしょう。日本もしっかりした意見をまとめていただいて、主導権を取ってやっていただきたいということだけを要望しておきたいと思います。出資しますよという、それはもう大きなことなんですけれども、それだけじゃなしに、具体的な改革の中身というか枠組みをどうするかというときにはしっかりした議論をリードしていただきたいという要望だけしておきたいと思います。  それじゃ、金融庁の皆さんとちょっと各論的な話をしたいんですけれども。  今回のこの金融危機、幾つも問題はあるんですが、一つ格付会社の問題ですね、が問題になってございます。証券を作っても金融商品を作っても、格付されなければ流通しないわけでございますから、格付会社役割というのは大きな問題にされたわけでございます。トリプルAの指定を受けた証券がある日一挙にもうぼんとランクが下がってしまう、そういうこともあって、結局これはもうなぜ起こるかということで、それなりの規制をしなきゃならないということも大体の共通の認識なんでしょうけれども、ずっと指摘されておる問題というのは、いわゆる商品を開発したところが商品にするために格付してもらう、それでその格付会社はそこから手数料をもらうと、こういう構造になっているわけですね。ですから、どうしても格付そのものが甘くなるんじゃないかということがよく言われているわけでございますが、この辺のいわゆる実態というか、それはどのように受け止めていらっしゃいますか。
  213. 内藤純一

    政府参考人内藤純一君) お答えいたします。  格付会社につきましては、委員指摘のように、証券化商品を組成した業者から報酬を受領するというビジネスモデルに利益相反の可能性が内在しているのではないかという指摘はしばしばございます。  現在、金融庁といたしましては、格付会社に対する検査監督権限を持っておりませんで、利益相反の実態を具体的に把握し得る立場にはございませんけれども、既に登録制度を導入して検査監督を実施している米国では、SECが大手三社、この場合にはムーディーズ、S&P、そしてフィッチでございますが、に対する検査を実施し、その結果を本年七月に公表しているところでございます。その中では、具体的な利益相反行為そのものの指摘はなされておりませんけれども、利益相反問題に対処するための措置が格付会社において十分講じられていないというような、コンプライアンス体制等のそういった問題が指摘されているところでございます。  格付が市場参加者にとって有用であるというためには、格付会社におきまして利益相反が回避される仕組みがきちんと構築されまして、それにより格付プロセスの品質でありますとか公正性が確保されていることが重要であると考えております。我が国におきまして、現在、格付会社に対する公的規制在り方につきまして金融庁といたしまして検討を行っているところでございますけれども、御指摘のような利益相反の問題にも適切に対応できるよう、制度設計、今後の検討に対処してまいりたいと考えているところでございます。
  214. 白浜一良

    ○白浜一良君 これ、今後もそういう国際的な会議に付せられると思うわけでございますけれども、既にG7も、財務大臣とか中央銀行総裁会議とか金融安定化フォーラムとかIOSCOとか、こういう場でも議論がずっとされてきているわけですよね、今少しお話ございましたけれども。  それで、結果的に、今答弁されましたけれども、格付プロセスの品質と公正性の強化、独立性、利益相反回避の強化、情報開示、こういうことが一般的に言われているわけでございますが、今回のこういう金融商品の暴落を考えたら、当然、この辺をきちっとせにゃいかぬということは当然でございまして、これ金融庁でもいろいろ検討されていると思うんですけれども、これいつごろまでに考えまとめられるんですかね。
  215. 内藤純一

    政府参考人内藤純一君) この格付制度の問題については、今、金融庁におきます金融審議会において有識者の皆様方の中で御検討いただいております。この報告書といいますか、現在、年内に取りまとめる方向で検討を進めております。したがいまして、年内にこの報告書をまとめますれば、今後、制度化に向けての対応ということも考えていきたいということでございます。  いずれにいたしましても、米国におきましては既に制度が施行されておりまして、それをより強化していこうという動きが出ております。それから、EUにおきましては、今後、登録制度を導入するという方向での方向付けがなされておりまして、こういった国際的な動きと整合性を保ちながら、日本においても積極的にこの問題について対処していきたいというふうに考えております。
  216. 白浜一良

    ○白浜一良君 今答弁されましたけれども、今回のいわゆる行動計画では、格付会社の登録制というのは中期目標と、こういうことになってございますですよね。こういう登録制がいいのかどうかということも含めて今その金融審議会で審議をされておると、こういうふうに理解していいんでしょうか。
  217. 内藤純一

    政府参考人内藤純一君) はい、そのとおりでございます。
  218. 白浜一良

    ○白浜一良君 それから、時価会計の、これも企業の経営というのはすべて実態は財務諸表に表れるわけですから、いわゆる有価証券というのは当然時価でと、まあこれは当たり前の話でございまして、日本会計基準も変わったわけでございますが、今回のようにどおんと価格が暴落してしまうと全く健全な企業経営できないと、こういうふうにもなってしまいますし、特に銀行に関しては、特にいわゆるこのBIS規制が掛かっていますから余計に大変なわけで、そういうことで金融庁としても手当てをされたわけですよね。それは承知しているわけでございますが、いわゆる国内業務の金融機関に関しましては、いわゆる債券だけじゃなしに株式も、いわゆる時価評価の猶予されましたですよね、二〇一二年まで。それで、これはこれで確かに助かっていると思うんですけれども、逆に言うと、何かそういう金融機関中身が分かりづらくなると、猶予してしまうとですね。そういう声も一方であるし、それをしないともう極端な貸し渋りになってしまうと、こういう現状もあるわけで、その辺の現状の認識というのはどういうふうにされていますかね。
  219. 内藤純一

    政府参考人内藤純一君) 委員指摘のとおりでございまして、この金融商品会計の問題につきましては、一方ではやはり透明性の問題、実態に応じてそれを開示していくという問題、それから、先般、ASBJ、企業会計基準委員会という日本会計基準設定主体でございますけれども、ここが発表いたしましたガイダンスにおきまして、市場価格とはいえ市場の取引が非常に薄いと、あるいは極端な価格、例えば投売り価格といったようなもので評価されるのでは適切ではないと、そのような場合には理論値を用いてもいいのではないかというようなガイダンスが出されたわけでございまして、そういった意味でのこの金融商品会計、公正価値の評価というものについての適正化といいますか、そういったものが図られているところでございます。  現在、先ほど委員指摘ございましたけれども、首脳宣言、十一月十五日の首脳宣言におきましても、二〇〇九年三月までに世界の主要な会計基準設定主体に対して市場の混乱時における複雑な流動性のない商品の価格評価も考慮に入れまして、証券の価格評価のガイダンスを強化するための作業を行うことを求めているというところでございまして、それを受けたというような形で既に我が国におきましては、こうした国際的な動きも踏まえて検討、整理が進められているというところでございます。  金融庁といたしましては、引き続き、このような適正な金融商品会計に向けた努力につきましても、国際的な整合性というのを考えながら進めてまいりたいというふうに考えております。
  220. 白浜一良

    ○白浜一良君 それで、ヨーロッパアメリカもいわゆる金融化商品は時価評価ができないということで、いわゆるこの満期型の債券というのは値決めをして時価がない、暴落しているということでそれは認めたということなんですが、日本の特性というのは、金融機関が株をたくさん持っているんですね。国内業務の銀行はそういうのを含めた措置をされたんですけれども、国際業務をする銀行はもうこれずっとその問題を抱えているんですよね。  それで、日本もバブルがはじけた金融危機のときは、この株式の買取り機構をつくって、それで買い取れるようにしたんですけれども、また健全化されてきたら買い戻しているんですね、そういう。だから、結構そういう、いわゆる大手の銀行も国際業務をしている銀行も持ち株が増えているということで、これだけ株価が下がりますと当然大変だということなんですけれども、特に三菱も一兆円ですか、みずほも三井住友も三千億、四千億、五千億程度の増資をしようというような、こういう報道もされておりますけれども、この辺はどういうふうに認識されているんですか。
  221. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 我が国の金融機関の株式の保有状況でございますけれども、御指摘のとおり、かつて我が国の銀行は相当程度の株式を保有しておりました。ただ、平成十三年度銀行等の株式保有額を制限する規制が導入されてきたこともございまして、トレンドといたしましては株式の保有を減らしてきているところでございます。  しかしながら、国際的な金融市場の混乱、こういった影響を受けまして、我が国株式市場の値動き、これは変動が激しい状態でございますので、私どもといたしましても、金融市場の動向が我が国の金融機関に与える影響、これにつきましては十分に注視してまいりたいと考えておるところでございます。
  222. 白浜一良

    ○白浜一良君 国内業務の金融機関に関しましては、二〇一二年までの緊急的な措置をされたんですけれども、これはもうこの程度ということで、更に追加的な、これから経済金融世界もどういうふうな変遷になっていくかも分かりませんけれども、まあこれで大丈夫だと、こういう認識されているということでしょうか。
  223. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) ただいまの国内基準行の話は、会計基準の問題というよりも自己資本比率規制の方の話かと思います。  これは監督上の規制の問題でございまして、今般の措置につきましては、世界的な金融市場の混乱を受けました異例とも言える状況の下で自己資本比率、この監督上の比率の急激な変動によりまして金融機関金融仲介機能が低下しないよう、監督上の特例措置を講じようとするものでございます。御指摘のとおり、自己資本比率の計算におきまして、国内基準行につきましては、これまでも株式、債券の有価証券評価益、これを自己資本に算入していなかったわけでございますが、今回、評価損につきましても自己資本から控除しないこととしているものでございます。  私どもといたしましては、今回の措置によりまして、現下の状況におきまして中小企業金融の円滑化など、金融機関金融仲介機能の適切な発揮に資することを期待しているものでございますが、これは特例という考え方でございまして、平成二十四年三月期までの措置という具合に考えているところでございます。
  224. 白浜一良

    ○白浜一良君 まあそういうことなんでしょう。  それで、関連した話になるんですけれども、よく、いわゆる株式の含み損はティア1じゃなしにティア2の方だけが減るような仕組みというか枠組みというか、そういうことができないかという声をよく聞くんですけれども、それはどういうふうに認識されておりますか。
  225. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) これはバーゼル規制上の国際的な枠組みでございまして、株式の評価損につきましては、ティア1から控除すると、こういう形になっているところでございます。
  226. 白浜一良

    ○白浜一良君 それ以上まあお話しできないんでしょうけれども、いろいろ実態に即してしっかり今後とも対応をよろしくお願いしたいと、このように思うわけでございます。  最後に、大臣に少しお伺いしたいんですが、これから金融安定化もせなあきませんし、いろんな経済対策も適切に対応していかなければならない、これはまあ当然なんですけれども、十月三十一日からいわゆる緊急保証制度というのが拡大されましたですね。第一次補正予算で九兆円の、貸付けも含めますと九兆円の、セーフティーネット保証と貸付けで九兆円と、こういう整備されました。  私、昨日大阪商工会議所の幹部の方といろいろお話ししていたら、大変有り難いと言うていらっしゃいましたが、実際保証しても金を貸してくれる金融機関がなければならないわけでございまして、そこがスムーズに融資が趣旨に沿っていけるかどうかというのは、そこが心配ですと。このことが一つ、今後の心配点としておっしゃったのがですね。  もう一つは、政府系の金融機関が一本になりましたですね。国金とか中小公庫が全部一本になりました。それぞれ事業者いうのは、もう借りやすいところで借りていたからつながりがあったんでしょう。今度は一本になって従来の役割をきちっと果たしてくれるかなという、何か一本になってそういう中小企業の皆さんに対する役割がおろそかになってきたと、こういうことになっては困ると。  この二つを心配だと、今後のこととして、おっしゃっていたんですが、これ通告していませんけれども、お考えがあれば御答弁いただきたいと思います。
  227. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まさしく、大阪の経済界の皆様からのお話のように、今回合計二十兆、十月三十日発表のやつも含めますと二十兆をやる予定にさせていただいておりますが、根っこの貸出しがないと保証はできないということでございます。  貸出しについては、今まさにここでもう何日も御議論いただいておりますように、借りたくても借りられないし、また今のその減損、金融機関側の減損の問題もあって、貸したくても貸せないという状況になってきているだけに、これについてはまさに今回の強化法でもって一定の基準金融機関に対しては資本を供給をして、その上で貸出しに大いに積極的に対応していただきたい。特に年末を控えての時期でございますので、一層そのニーズは高まっているというふうに思います。  それから、十月一日からスタートしました日本政策投資公庫につきましては、政府系金融機関幾つかがくっついた形でスタートしたわけでありますけれども、元々長い歴史を持ってそれぞれ特色のあった政府系金融機関が合体したわけでございますけれども、私は、やっぱり今までの良さは大いにこれは残して、いい意味の伝統というか良さは残していただき、そして合併によるいい意味での変化があれば、その辺は大いに変わっていただきたいと。良いものは残し、そして変わるべきものは変わっていただいて、日本政策金融機関としての役割を大いに責任を全うしていただきたいというふうに思っております。
  228. 白浜一良

    ○白浜一良君 生の声を大臣にお届けしたわけでございますが、適切な御指導をよろしくお願い申し上げたいと思います。  もう一点最後に、今回のG20を見て私思ったんですけれども、G7が核であることはこれは間違いないんですが、これだけ世界的な問題ということで影響力ある国を集められたわけで、それは大変意義があるんですが。それで、その中でもBRICsというのが規模も大きいんですよね、人口も多いですし。ここが、それぞれ国の実情が違うから一体ではないんですけれども、何となく連携取り合っている面があると。影響力を持とうとされているんでしょう、それなりに。  そういう意味では、日本も私はアジアをバックにした、G20なりG7なりそれは枠組みは枠組みとして、その中で日本がどうリーダーシップ取るかという意味ではやっぱり、東アジアでもいいですしアジア全体でもいいですし、何かそこをよく連携を取るような、まあ最初は会議からでしょう、だんだん実体があるものをつくっていただければいいと思うんですけれども。  そういう日本発言権を大きくする枠組みというものを方向性として私はつくっていかれるべきじゃないかと、このように思っているわけでございますけれども、最後にこの点のお考えを聞いて、質問を終わりたいと思います。
  229. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 御指摘のとおり、インドまでのいわゆる東アジア、もうここだけで人口の世界の半分あるわけでございますし、またGDPでも相当のウエートを占めるわけでありますし、何といってもいわゆるこれからどんどん発展をしていく可能性のある若い国々、活力のある国々も多いわけでございます。そういう中で一つの、より経済金融の関係を強化していくということは、これは日本にとってもプラスになると思いますし、また、特に途上国あるいはまたLDCの国々にとっても大変私は意味のあることだろうと思います。  九七年のアジア通貨危機、あれはIMFの支援があったわけでありますけれども、IMFの専務理事自身が認めておりますけれども、あれは非常に評判が悪かったということで、今回日本提案したイニシアチブも、もっとIMFが柔軟になって、そして相手にとって本当に役に立つような支援ができるようにするということが必要であるということも言っているわけでございますが、IMFもそうであります。これはまあ世界的な機関でありますが、アジア開発銀行資金がかなり逼迫しておりますので、ここへ日本も更なる資金提供をする用意があるということは総理からワシントンで発表したところであります。  そしてまた、アジア通貨危機をきっかけにできましたチェンマイ・イニシアチブというものがございますけれども、これも更に、全体の金額も更に増やしていくと同時に、バイのスワップ協定の集合体でございますけれども、これをマルチ化していこうという意見が幾つかの国からも出ているわけでございます。それなんかも今後大いに検討すべきことだろうと思います。  そして、最も近い国であります日本、中国、韓国の間も、更にお互いに協力し合っていくことが世界にも貢献ができるというふうに認識をしております。  いずれの場においても日本はその中心的な役割を占めることができますし、また占めていくという責任感を果たしていく必要があるんだろうというふうに思っております。
  230. 白浜一良

    ○白浜一良君 終わります。
  231. 大門実紀史

    大門実紀史君 日本共産党、大門でございます。  今日は地域金融機関と不動産投資の関係について質問したいと思いますが、ちょっと本題に入る前に、今日、大臣は今回の法案が年越し対策という言い方をされて、急にリアリティーのある話になったなと私は思ったんですけれども。  つまり、年越しの中小企業の貸し渋りを防ぐとしたら、当然、年内にといいますか、早くその予防注入があり得るのかなと。当初はこれはすぐの話じゃないと、いざというときのためだという話だったんですけれども、今回九月決算が、中間決算が今出始めておりますが、それを見て、もう少し緊急性のある法案になってきたというふうな御判断の発言でしょうか。
  232. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 確かに主要な中間決算はほぼ出そろいましたが、まだこれからというところもあるわけでありますが、やはり正直申し上げて、アメリカ実体経済の影響、状況を見ますと、これは相当アメリカ経済が厳しい状況にあるなと。  昨日のGMの株が三ドルを割ったとか、フォードが一ドル二十何セントとか、もう本当に厳しい状況になってきていると、これはもう実体経済としてですね。それから、クリスマスというのはアメリカでは個人消費の三分の一ぐらいを占めるんだそうでありますけれども、さっきも申し上げましたが、そのやさきにアメリカを代表する家電量販店が倒れたとか、これはかなりアメリカ実体経済に影響が出ている。これは世界的な影響にもなっていくんだろうと思います。  日本は元々中小企業の資金需要が必要ですから、この法案を一日も早くということは前から申し上げていたところでありますけれども、それに加えて、年末の資金需要というのはこれは毎年非常に大事な資金繰りということになるわけでありまして、そういったものが幾つか、特にアメリカの急激な目に見える形での実体経済のいろんなニュースを判断したときに、日本経済を支えている中小企業が、ふだんの資金繰りもそうでありますけれども、とりわけ越年資金というものが、万が一この法律ができるかできないかでその会社の運命が変わってしまうということがあっては、私も国会議員として、また閣僚として、担当大臣として、これはもう大変申し訳ないことだという責任を持っているわけで、今日何回も申し上げたのは、まさに年末という一つの大きなタイムリミットとの闘いになってきているなという感じを率直に持っているわけでございます。
  233. 大門実紀史

    大門実紀史君 よく分かりました。  あともう一つ、昨日参考人質疑がございまして、なかなか私にとっては興味深い答弁があったので大臣に御見解をお聞きしたいと思いますけれども、前にも議論させてもらったように、我が党がこだわっているのは、最終損失が出たときに国民負担になる仕組みにこの法案はなっているという部分でございます。  昨日、農林中金の代表が、私がお聞きしましたら、そういう最終損失が出た場合でも農林中金全体で負担をしますというふうにきっぱりとおっしゃいました。私は、農林中金がああ言うならば、信金中金も信組連も、あるいは全銀協も聞けば同じことを言うんじゃないかと。みんなで頑張って最終損失も国民の負担にしません、頑張りますと、返済しますと言うんじゃないかというふうに思うんです。そうなると、この法案というのは何だろうと。  各それぞれは最終損失、頑張って、昨日の農林中金みたいにきっぱりとやると言っているんですから、そうしたって、この法案をそう変えたっていいんじゃないかなと。そうしないと、みんな、自分たちは返すと、ちゃんと最後まで責任持つと言っているのに、国の方がいいんだ、心配しなくていいんだと、そういうときは税金で負担するんだと言っているような、そういう形の法案になってしまうんじゃないかというふうに思います。  もう一度そういう業界の決意も、意向もきちっと聴かれて、この法案を、最終負担は業界だと、あるいは団体だというふうに修正されたらどうなんでしょうか。そうしたらうちも賛成の方向で考えてもいいかなと思うぐらいでございますので、まだ今からでも遅くありませんので、いかがでしょうか。
  234. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 昨日の様子は私存じ上げておりませんけれども、大門委員の御質問に対してでございますか、仮にそういうやり取りがあったとしても、今御指摘あったように、信金とか労金とか、ほかのところがどうなるかという御発言は私は知らないわけであります。    〔委員長退席、理事円より子君着席〕  いずれにしても、最初から特定の金融機関を外して議論をするという必要も私はない。この目的に合致するような金融機関が仮に手を挙げてきたときには一定のルールで審査をするというのが前から申し上げている我々のこの法制度であり、我々のその法ができたときの行政であるわけでございますので、もう最初からこの金融機関だけは外せという議論というのは法律論として私は成り立たないのではないかというふうに考えているわけであります。
  235. 大門実紀史

    大門実紀史君 別にそんなことは聞いてないんですけど。この法案、どことか、何か外せなんて言ってません。何か勘違いされているんですか。  そうじゃなくて、何度も申し上げますが、要するに最終負担の問題でございます。私、非常に建設的な提案をしていると思うんですけれども、検討されたらどうかなというふうに思いますが、いかがですか。
  236. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 昨日の大門委員の御質問で、農中が公的資金を受けた場合、自ら返済するつもりか。それに対して農中側だと思いますが、現時点で公的資金が必要とは思わないが、仮に公的資金を受けた場合、JAバンクとして返していくつもり。これは、注入したものはいずれの時期に返すのは当然ではないかというふうに今読んだところでございます。
  237. 大門実紀史

    大門実紀史君 まだサミットのお疲れが残っているのか、全然、何といいますかね、どうしてそう違うことばっかり言われるのかな。ちゃんと最終損失と聞いているんですよ。  要するに、私、今確かに中小企業、貸し渋りとか貸しはがし心配です。そういう点では必要になることがあるかも分かりません。しかし、最後のところで何か返ってこないという場合は、やっぱりきちっと業界負担にすべき、団体で負担すべき、そうするって言っているんですから、わざわざそうしなくていいなんてことはすべきじゃないと。    〔理事円より子君退席、委員長着席〕  万が一ですね、今はまだ分かりませんよ、しかしどこかに公的資金を入れると、で、具体的に返ってこないところがあったとしますね。それが税金負担になるということになると、必ず私はそのときに国民の声が出てくると。何だと、何であそこの何とか中金とかなんとかというところの経営のミスを何で自分たち、国民が税金を払わなきゃいけないのかと、税金で埋めなきゃいけないのかというのが必ず起こるんで、そうならないように法の仕組みを作った方がいいんじゃないかなということを度々申し上げているわけです。  今までも返ってこない税金の問題で、この前も言いましたが、新生銀行の問題にしろその前の問題にしろ、やっぱり国民から相当の怒りが沸いたわけですね。だから今回も、業界負担にしておけばいいんじゃないかということを繰り返し申し上げているわけでございますが、趣旨がお分かりになったでしょうか。
  238. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 以前から大門委員は、特定の金融機関に限らず、注入した資本が毀損した場合、損が出た場合には、税金で穴埋めするのは、つまり国民にツケが回るのはけしからぬという御指摘であることは私も承知をしております。  他方、これは九〇年代の資本注入のときも幸いにして益が出たわけでございまして、これは損が出るか益が出るかは文字どおりその金融機関の経営状態、あるいはまたそのお金を返すときのタイミング等々いろんな要素で変わってくるんだろうと思います。  いずれにいたしましても、冒頭、多分、大門委員認識が一致したであろう現在の中小企業の対応、厳しい状況、あるいは年末に向かっての、今はらはらどきどき中小企業を経営されている皆様方に少しでも早く、この資本注入を通じて、金融機関を通じて全国の中小企業に資金が渡って、それを有効に経営に使っていただければいいなというふうに思っております。
  239. 大門実紀史

    大門実紀史君 私は、そういう国民の批判が起こるようなことが実は想定されるんじゃないかというふうに思いますので申し上げているわけですけれども、大臣はガルブレイスの大暴落というのはお読みになっていたと言っていましたが、読み終わりましたか。  あの中に、悪い予言は嫌われるというガルブレイスの言葉があります。私、悪い予言をしているのか分かりませんけど、やっぱりそういう、あのときもみんなが、一九二九年ですね、株バブルに酔っているときに、きちっと次のことを見て、このままでは危ないと、こうすべきだと言った学者や研究書があったわけですね、あの本にも書いてあったと思いますが。そういう点で、いろんな意見をきちっと聞かれて一番いい法案を作る努力をされるべきだと、まだまだ審議続くようですので時間はあると思いますので、その修正も考えてほしいというふうに思います。  それで、本題に入りますけれども、日本金融機関の損失の問題がずっと議論されていますが、もちろんサブプライムもあるし、リーマンの破綻の影響もありますが、私はそれだけではなくて、むしろ今、今回の九月の中間決算が出ているので見ると、もちろん外的要因もありますが、一番大きいのはむしろ地銀レベル、地域金融機関でいえばむしろ日本独自の問題、不動産投資、そのツケが回ってきたのではないかというふうに思いますので、その問題を何かすぐ外的な要因にしちゃいがちなんですけれども、日本金融機関自身の責任があるという点で不動産投資の問題を取り上げたいと思います。  地銀の三割が赤字で純損失を出したということで、特に都市部の地銀とかいうところで大変な不良債権も出ております。この最大の要因が不動産投資の、まあ局地的かも分かりませんが、都市部と全国的にも中心部ですね、そういうところで起きた不動産バブルが崩壊をしたという点があるというふうに思います。それで、これは金融機関だけじゃなくて、不動産・建設業界の連鎖倒産が物すごく起きておりますね、地域でもですね。実体経済を直撃するものになっております。この不動産バブルを引き起こし、崩壊させた元凶の一つがJ—REIT、不動産投資信託だというふうに思います。  ちょっと資料を御用意いたしましたけど、一枚目はちょっと飛ばしてください。これは今日やりませんので見なかったことにしてもらって、二枚目からでございますが、資料がありますが、金融庁、簡単にJ—REITについて説明をしてもらえますか。
  240. 内藤純一

    政府参考人内藤純一君) いわゆるJ—REIT、不動産投資信託という商品がございますが、これは、投資家から資金を集めましてオフィスビルや賃貸マンション等の不動産に投資をし、そこから得られる賃料収入や売却益を投資家に分配、還元する仕組みの商品でございます。J—REITは、金融商品取引所、例えば東京証券取引所等に上場されておりまして、投資家は株式同様、取引所を通じて売買を行うことが可能であるという商品でございます。
  241. 大門実紀史

    大門実紀史君 もう少し分かりやすく申し上げますと、J—REITというのは、投資家から集めたお金でマンションとかオフィスとかに投資をすると、その賃貸料とか売却益を得て、それをまた投資家に分配をするということですね。その証券化されたJ—REITは取引所で上場して売買されているということでございます。  投資信託といっても、以前は投資信託というと株とか公社債でしたけど、不動産にも投資ができる投資信託というふうなイメージでございますけど、これが平成十二年ですかね、投資信託法の改正で、J—REIT日本版、アメリカに元々あったわけですけど、日本版のJ—REITが売買されるようになったということでございます。  資料三に、どれぐらい売買されているかということで、不動産売買に占める割合ということで載っけてありますけれども、要するに不動産売買の買主別割合でいきますと、もうJ—REITが半分を占めるぐらい不動産投資に大きな比率を占めているわけです。  このJ—REITですけれども、去年が最高値だったと思いますが、今年の十月末でどれぐらい値下がりしているか、教えてもらえますか。
  242. 内藤純一

    政府参考人内藤純一君) 東証におきますJ—REIT指数というのがございますが、これを見ますと、昨年五月に二六一二・九八ポイントの最高値を付けた後に、直近の本年十一月十九日でございますが、七四二・六五ポイントとなっておりまして、昨年の最高値と比較をいたしますと、七一・五八%の下落となっております。
  243. 大門実紀史

    大門実紀史君 もう七割以上、すごい下落になっているわけでございます。これが今の不動産不況、不動産バブルの崩壊ということに深刻な影響を及ぼしているわけですけれども。今年に入って倒産した上場企業の大半は不動産関係、建設関係でございます。既に三年ぐらい前からこのJ—REITを含めて不動産投資の問題点、バブルじゃないかということは取りざたされてまいりましたけれども、もう発火したといいますか、爆発したということになると思います。  資料四に、不動産投資というのは今は昔と違ってかなりややこしいんですけれども、お金流れがどうなっているか、ちょっと私なりに図解にしてみました。もう全部説明すると非常に複雑になっているんですけれども、要するに左の上の大手不動産、新興不動産とあります。都市再生ということで、この間この大手不動産、新興不動産が大型商業施設の建設とか都心部のタワーマンションとかそういうものを、あるいは郊外のマンションブームですね、こういうものをつくってきたわけです。右側にありますのが私募ファンドと不動産投信、今申し上げたJ—REITでございます。このファンドとJ—REITがこの不動産市場の新しいプレーヤーといいますか、担ってきたわけです。その下に資金を提供している部分を書いておきました。  申し上げたいことは、金融機関の部分ですけれども、ちょっと線が引けなかったんですが、この国内の金融機関というのはファンドにもJ—REITにも投資をしております。もうこういうお金流れでバブルを引き起こして崩壊したと、連鎖倒産という大変な深刻な事態になっているわけでございます。このファンドにしろJ—REITにしろ、この間の不動産取引の基本になっている手法が鳴り物入りで導入されました収益還元法、DCFですかね、ディスカウント・キャッシュ・フローだったわけです。これはどんな手法なのか、収益還元法というのはどんなことなのか、簡単にちょっと金融庁、説明してくれますか。
  244. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) このDCF法でございますけれども、これは一つ将来発生する純収益それからもう一つは保有期間の満了時点における対象不動産の価格、これを発生時期に応じまして現在価値に割り引き、それらを合計することによりまして対象不動産の価格を算出する方法と承知しております。
  245. 大門実紀史

    大門実紀史君 簡単に言いますと、不動産から得られる収益面から不動産価格を決めるというようなことでございます。ですから、同じ間取りのオフィスでも、高い家賃が得られるならばそのオフィスの価値は上がるということですね。家賃が低ければ価値が下がるということで、非常に合理的な方法のように思われますけれども、実はこれが私は大変な問題を引き起こしているという問題意識を持っているんですけれども、現時点で金融庁はどういう認識を持っておられますか。
  246. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) このディスカウント・キャッシュ・フローにおきましては、この現在価値に割り引く割引率、こういったものも適正に算定する必要があると考えております。  なお、不動産鑑定評価につきましては、これは国交省におきまして、不動産鑑定士がDCF法を用いた鑑定評価を行う場合には、還元利回り等の妥当性の判断根拠や積算内訳などにつきまして鑑定評価報告書に明記することとされているところでございます。
  247. 大門実紀史

    大門実紀史君 いや、金融庁の問題意識の方を聞いたんですけれども。要するに、机の上の理論では、なるほどバブルを起こさないいい方法だとなりますけれども、実際お金もうけが絡みますと、そんなきれい事では済まないのがこの収益還元法でございます。  資料の五枚目に、「不動産は「バブル」か」という、これは去年の三月十九日の日経金融新聞ですが、ここで当時金融庁の監督銀行第一課長の遠藤さんがなかなか鋭い指摘をされております。要するに、収益還元法というのは必ずしも合理的とは言えない面があると、足下の賃料、家賃が据置きとか伸びていないのに、賃料の上昇期待があれば、期間の純収益がほとんど上がらなくても還元利回りが下がると、で、不動産価格が上がるというふうなことを言われております。まあちょっとややこしいですけれども。要するに、願望を織り込んだら不動産価格を上げてしまうというものがあるので問題点を遠藤さん、遠藤さん大変優れた方ですね、貸金業法でも頑張られて私もよく知っておりますけれども、指摘されております。左側のモルガン・スタンレーの方は、今の事態を予想できずに大変のうてんきなことをおっしゃっているわけですね。  このJ—REITの物件鑑定もこの収益還元法、要するに、難しい話抜いて、願望が入り込むと不動産価格を上げてしまうというようなものが内包している方法ですけれども、これが実際に還元利回りを低くするというやり方で時価を上げていくということに使われたのはもう今となればほぼ間違いないんじゃないかというふうに思います。  更に言えば、J—REITとの関係でいきますと、不動産の転売、要するに転売ビジネスをさっきの表でいうとやっているわけですけれども、これ私募ファンドがかかわるわけですが、最後はJ—REITに売り抜けるというふうなやり方をするわけですね。このJ—REIT、ファンドというのは元々アメリカ仕込みのやり方でございますけれども、しかもそのJ—REITが上場されて売買されるということによって、実際の不動産取引のリスクが、もう証券化されておりますので、あっちこっちに転売されて、だれが最終リスクを取るのか分からなくなってしまっていたと。つまり、非常にサブプライムローンと似ているわけですね。私は日本のサブプライムローンじゃないかというふうに、問題じゃないかというふうに思っているわけでございます。  今回の中間決算では、不動産投資、そしてJ—REITが大変な事態を引き起こしておりますけれども、金融庁は、この間の不動産投資全体、そしてJ—REITに対する投資が金融機関にどれぐらいの影響を与えているのか、把握されていますか。
  248. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) J—REITを含めまして金融機関の有価証券投資の状況などにつきましては、必要に応じまして実態把握に努めつつ、リスク管理体制の構築、強化を促してきているところでございます。  御指摘のJ—REIT投資の影響につきましても、その実態の把握に努めているところでございますが、J—REITの価格が低迷していることもございまして、足下では評価損が生じているものと承知しております。金融機関に与える影響につきましては、引き続き注視してまいりたいと考えております。
  249. 大門実紀史

    大門実紀史君 リーマンの影響とかは調べられたわけですから、至急このJ—REIT不動産関係、調べられた方がいいと思います。先ほど言われた、今回の法案早く通して、早くやりたいという前提の中で必ず出てくる問題でございますので、と思います。  ただ、これは金融機関が一般の有価証券取引と違って勝手にやり出したわけではありません。  資料の六枚目にお付けいたしましたけれども、全銀協通達というのが出されたわけです。これは〇二年の十二月に出されました。要するに何の通達なのか、金融庁、簡潔に説明してくれますか。
  250. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) これは上場型投資信託、いわゆるJ—REITを含めましたものの経理処理につきまして明確化を図ったものと承知しております。
  251. 大門実紀史

    大門実紀史君 ちょっと簡単過ぎるんですけれども、もうちょっと詳しく。  では、私が説明します。  この通達によって、J—REITを売った売却益の方ですね、売ったお金の処理が変わったんです。変えていいですよということになったんです。どう変わったかといいますと、J—REITの売却益というのは、〇二年の十二月までは国債等の債券売却益なのか株式の売却益なのか、どちらにするかがはっきりしていなかったんですよね。それを債券売却益として計上することを認めるというふうな通達でございます。  じゃ、債券売却益に認められたら何が銀行にとって変わるのかといいますと、これは債券売却益の場合は銀行の業務純益にカウントすることができるようになります。銀行にとって、銀行の収益力を示す最大の指標が銀行の業務純益でございます。したがって、J—REITの売却益が自分たち銀行の収益力を示せることにこの通達によってなったわけでございます。ですから、全銀協は、銀行は、この通達が出た後、J—REITにどんどん投資を増やしたということになりますし、信金、信組の方も、J—REITの決算処理というのがこの後出まして、信金なんかもJ—REITに投資を増やすということになったわけでございます。したがって、この全銀協通達によって地銀マネー、地域金融機関お金がJ—REITに大量に流れ込んだということでございます。  このことは、私が言っているだけじゃなくて、日銀の報告にも出てまいりますし、資料の七枚目に、もう国土交通省が、何でこういう、国土交通省ですから、こういう不動産市場を活性化したいということでいろいろ書いてありますが、下から三段目といいますか、平成十四年の十二月に全銀協通達によって業務純益に計上することが可能になったと、このことによって地銀マネーの流入が促進することができたというふうに位置付けているわけですね。  ですから、全銀協通達というのは決定的に地域銀行金融機関のJ—REIT投資にかじを切らせたものだというふうに思いますが、金融庁はそういう認識されておりますか。
  252. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 十四年のこの通達でございますが、これはそれまで、不動産投資信託証券会計上の処理につきまして、全銀協会員行の中におきまして必ずしも統一した取扱いになっていなかったことから、会員行から全銀協への照会も相次いでおりまして、そのために明確化を図ったものと承知しております。
  253. 大門実紀史

    大門実紀史君 三國谷さん、よく聞いてくださいよ。私がお聞きしたのは、この通達が、別に私が言っているだけじゃなくてもう国土交通省もそう言っているわけですけれども、この通達が地銀マネーをJ—REITに投入させるきっかけになったんではないですかと。そういう判断、金融庁はされていないんですか。
  254. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 金融機関の投融資行動というのは様々な要因により左右されるものでございますので、こういった経理上の処理のみで、それだけの影響について確たることを申し上げることは困難かと思います。  ただ、私ども、一般論として申し上げますと、金融機関におきましては、投資対象のリスク特性に応じました適切なリスク管理と投資を行っていくことが重要であると考えているところでございます。
  255. 大門実紀史

    大門実紀史君 三國谷さん、一般論はいいんですよ。私、聞いているのは、この判断をきちっとしてほしいんですよ。金融庁だけです、そんなこと言っているの。国土交通省もこの通達がきっかけだと。私、これがすべてとは言っていませんよ。これは大きなきっかけじゃないかというのを日銀だって言っているわけですよね。どうして金融庁は、いろいろあってそうかどうか分からないなんて中途半端なことを言われるんですか。これがきっかけになったのは明らかじゃないんですか。
  256. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 様々な評価があろうかと思いますが、それぞれの投融資行動というのが、それは様々な要因に左右されるものでございますので、この一つの要因につきまして、それだけで影響を申し上げることは困難ではなかろうかと考えているところでございます。
  257. 大門実紀史

    大門実紀史君 恐らく三國谷さんは次の質問を想定してガードされているんだと思うんですよね。この全銀協通達の頭のところに、なお、本件につきましては、関係当局協議の上取りまとめておりますと、金融庁のお墨付きをもらってこの全銀協通達を出しましたと。それで、地銀マネーがJ—REITに大量に入ったということを言われると自分たち責任に及ぶからはっきりしたことを言われないんじゃないかと思いますが、違うんですか。
  258. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 本件につきまして、その当時、金融庁と全銀協におきまして具体的にどういうやり取りが行われたかということは確認できておりませんが、金融庁は全銀協も含めました各種業界団体との間では様々な意見交換を行ってきているところは御指摘のとおりでございます。  なお、この通達の趣旨というのは、これまで不動産投資信託証券会計上の処理につきまして、必ずしも統一した取扱いになっていなかったことから照会も相次ぎ、したがって明確化を行ったものと承知しております。
  259. 大門実紀史

    大門実紀史君 私は金融庁だけ責めるつもりじゃないんです。実は、この通達が出る背景というのは、まだまだもっと広い奥深いものがございます。  小泉総理が二〇〇一年五月に都市再生本部を設立されまして、都市再生プロジェクトを強力に進められました。私、この委員会で大手町開発の問題やりましたけれども。容積率を緩和して都市再生というのをぶち上げたわけですね。それが〇一年の五月でございまして、〇二年の十二月、ちょうどこの通達が出るときに、金融庁と国土交通省の許可を得て社団法人不動産証券化協会というのが発足しております。これは、要するに、大手町開発で出てきたような名前の不動産デベロッパーですね、三菱地所とか三井不動産とか住友不動産とか、そういう不動産大手と金融機関が一緒になってつくったのが不動産証券化協会でございます。その協会の、一々紹介しませんが、中の議論で、この全銀協通達によってすそ野が広がったと、J—REITの登場によって地銀マネーを呼び込むことができたというようなことは、もうその中で平気に議論されているわけでございます。  つまり、不動産業界が資金を呼び込むために、金融庁と一緒に、国土交通省と一緒、両方の許可を得た証券化協会がこの全銀協通達を求めて出させたと。その背景には、もっと大きな都市再生プロジェクトというような、まさに都市部のバブルを起こしてきた大きな国家プロジェクトがあるということでございます。  私は、今ここに至って、九月の中間決算でこれだけ地銀がこの不動産投資で傷ついて毀損、損失を出していると、この大本には国の関与があったと、金融庁のお墨付きの全銀協通達があったということを今本当にきちっととらえられるべきだというふうに思ってこの問題を取り上げたわけでございます。  中川大臣、コメントはございますか。
  260. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) いつものことながら、大門委員の御質問は大変参考になると思っております。
  261. 大門実紀史

    大門実紀史君 参考だけじゃなくて、ちゃんと受け止めてほしいんですけれども。  ですから、もう一つ言わせてもらうと、こういうことで、こういう流れの中で地銀マネーをそちらに、J—REITに行くように金融庁も仕向けて、業界も仕向けて、それで損失が出て、公的資金を入れなければいけない状況がもし出たとして、それで、最初の話に戻りますが、最終損失が出て、それが国民の負担になるというのは、この構図からひとつ言ってもやはり国民は納得しないだろうと。やっぱりきちっと業界団体の責任、そしてこの問題でいえば国の責任もきちっと問われるべきだろうというふうに思います。  今日は、このことを申し上げて、質問を終わります。
  262. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) この際、お諮りいたします。  委員議員近藤正道君から両案についての質疑のため発言を求められておりますので、これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  263. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 御異議ないと認めます。  それでは、近藤君に発言を許します。近藤正道君。
  264. 近藤正道

    委員以外の議員近藤正道君) 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。  ただいまは大変有り難い御決定をいただきましてありがとうございました。民主党の皆さんを始めとして委員の皆さんから御配慮いただいて、私ども社民党・護憲連合はここに議席がございませんので今まで発言することができませんでしたけれども、今日三十分時間を割いていただきました。心から御礼を申し上げます。ありがとうございました。  最初に、財務大臣も兼ねておられます中川大臣にお尋ねをしたいというふうに思っています。  総理が政局より政策であると、今は経済対策であるというふうにこう言われてきておりますが、その経済対策中身が今のところ第一次の補正とそしてこの金融機能強化法だけでありまして、あとは総額二兆円の定額給付金があって、そして、その後、当初は三年ぐらいしたら消費税が五%から一〇%ぐらい引上げを検討していると。五%のアップでありますので、十二兆円ぐらいのものになるわけですね。ですから、十二兆円を三年後にまた取り返すよと、こういうセットの話でありますので、とても景気対策という名に私は値しないんではないかと、こういうふうに思っております。  消費税が五から一〇%に上がるということになりますと、国民の暮らしはもちろんのこと、今この法案の対象になっております中小零細企業、まさにひとたまりもない、こういうことになるわけでありまして、以前の消費税引上げのときと比べまして、もう社会保障はかなり底が割れておりますし、また格差の拡大だとかあるいは貧困という問題が、当時なかったけれども、今は本当にひどい状況で出てきておりまして、影響あるいは被害というのはまさに比べ物にならない、そういうことなんだろうというふうに思っています。  ですから、冒頭でございますけれども、三年後あるいはその後、景気が回復したらという話もありましたけれども、消費税を引き上げる、この話はやっぱり撤回をしていただかなきゃならぬと、こういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  265. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 景気回復最優先と麻生内閣は今取り組んでいるわけでありますが、一次補正だけしかやっていないという御指摘でありますが、とにかく総理は、十月三十日の生活支援対策発表のときにもやれるものから取り組んでいくということで、私の所管だけでも、経済の実態をよく表しております指標、マーケット等について、空売りの規制でありますとか、自社株買いについての確認でありますとか、あるいは先ほども御議論になりました自己資本比率の中で国内基準行に対してのティア1からの減益のオフバランス化というんですか、外にカウントをしなくていいとか、やれることは常に取り組んできているつもりでございます。それだけ今経済世界的な影響も含めまして大変厳しい状況にある。  そういう中で、日本経済を隅々まで支えていただいておる中小企業が資金繰りに非常に困っておられる。そして、年末という、これは中小企業にとって一番大事な、そしてある意味では下手をすると一番苦しくなる時期を目前にしてこの法案を御審議をいただいているところでございます。  これはひとえに、経済を少しでも元気にしていく、暮らしを少しでも負担を軽くしていくということによって三年以内に日本景気を取り戻す。取り戻していって体力が付いたところで、もうかねてからの大懸案事項でありました安定的な社会福祉をどうやって構築をしていったらいいのかと。  五%を一〇%にすれば負担だけ増えるじゃないかと、こうおっしゃいましたけれども、今のままでは社会保障制度というものがこれはもうとても立ち行かなくなる。中福祉中負担でやるといっても、とてもそれができない。だからみんなで抜本的な税制改革というものをこれから考えていきましょうということで、今与党内でも議論を年末までにすることになっているわけであります。  とにかく景気を良くして体力を付けて、そして財政再建もやり税制改正もやって、そして前進さしていこうという工程を今はっきりと国民にお示しをして、そして、まさに今スタートしたばかりの最も苦しい時期に今この法案の審議をしていただき、これから次々と我々は作業を進めていかなければならないというふうに考えております。
  266. 近藤正道

    委員以外の議員近藤正道君) 税金は国民の暮らしを守るためにこそ使うべきでありまして、総理がこの間のサミットで一千億ドル、十兆円をIMFに融資すると、こういうふうにおっしゃいました。私は直ちに賛成しかねる、こういう立場でございます。  仮に融資した場合でありましても、単なる融資では議決権には影響いたしませんし、逆に、その一千億ドルがIMFを実質的に言わば動かしているアメリカへの迂回融資に利用される懸念もあるんではないか。現に、今年の七月に当時の渡辺金融担当大臣の私的懇談会であります金融市場戦略チームで、アメリカ政府が金融機関に公的資金を注入した場合、日本の外貨準備から資金の一部を提供するということが検討されていたわけでございます。まさにこれと符合するんではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、支援先を中小国あるいは新興国に限定した融資取決めを伴わない限り融資すべきではないんではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  267. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まず、渡辺大臣が何をおっしゃったかは私、存じ上げませんし、このことは全く切り離してお考えをいただきたいと思います。  今回、麻生総理がG20で提案をしたのは、とにかく日に日に世界経済金融情勢が変化をしている、悪い方向に行っているという中で、アメリカとかEUそして日本は苦しい、特にアメリカ、EUは金融危機の発信源でもあるわけでありますので非常に厳しいわけでありますが、こういった国々は何とか自力でできる、また自力でやらなければいけない。  しかし、自力でできないような国々、これは主に途上国であるわけでありますが、途上国に限らず、先ほども申し上げたように、アイスランドという小さな国が金融立国を目指していたわけでありますけれども、国のGDPの十倍もの資産が不良化して、そして国がまさに大変な危機に陥っている。それに対してIMFというものも乗り出したようでございます。アイスランドというのはどちらかというと先進国であるわけでございますが、トリプルAの格付だった国がある日突然本当に破産国家になってしまうぐらいに今世界は激動しているわけであります。  そういう状況の中で、IMFという国際機関を通じて、今御指摘ありましたように、出資ということも日本提案をしているわけでありますけれども、出資となれば議決権との関係もあって各国との調整も必要になる。つまり、時間が掛かってくるということでございますので、緊急にかつ有効的にできるのが我が国を始めとするIMFへの融資を通じた中小国あるいは途上国政府に対する資金援助でございます。決して、これがアメリカやEU等で使われるために我々が融資を申し出たわけではございません。
  268. 近藤正道

    委員以外の議員近藤正道君) 今日も議論がありましたけれども、総理は、世界金融危機の根底には世界的な貿易の不均衡があって、基軸通貨国の赤字体質の改善、それと外需依存国の内需拡大の必要性、これを指摘をされております。  しかし、赤字アメリカ世界からかき集めたドルで消費財を輸入するという不均衡を可能にするものこそドル基軸体制だったんではないか、こういうふうに思っております。世界的な不均衡の是正は、ドル基軸体制の是正なくしてはあり得ない。日本政府が強く主張するドル基軸体制維持とは本質的に矛盾するんではないかと私は思えてならないんです。  世界は、そして日本政府は、より多くの基軸通貨の選択肢を持つべきではないか。ドルの信認が揺らぐ中で、政府はドル基軸に少し偏り過ぎているんではないでしょうか。いかがでしょうか。
  269. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 先ほどお話ありましたように、ガルブレイスの本にも書いてありますけれども、ブレトンウッズ体制がスタートしたときはアメリカ世界最大の債権国であって、しかも輸出国であった。その中でブレトンウッズ体制がスタートをしたわけでございます。現在は、御指摘のとおり、アメリカ世界最大債務国であります。したがって、債権国か債務国かということと基軸通貨云々ということとは直接的には私は関係ないと思います。  しかし、御指摘のとおり、アメリカ世界最大債務国としての位置付け、他方、日本とか中国がアメリカに対して、世界に対して輸出をしているということ等が余りにも極端になっていると。これが、総理のおっしゃっているグローバルインバランスというものが今の世界経済の大きな問題点であるから、アメリカのような大債務国、そして消費国はもう少し、まあ内需を抑えてという言い方は僣越かもしれませんけれども、もう借金のこともよく考えてひとつ行動をしてくださいよ。また、日本も、ちょっと輸出が落ち込んだりすると経済が途端に悪くなる、それだけ内需が弱い、外需に頼り過ぎている、こういった経済構造をひとつ、内需をもう少し力を入れることによってみんなでやれることをやっていって、この経済危機金融危機を乗り越えていきましょうというのが麻生総理提案であり、今回のこの宣言文でも採択されたわけでございます。
  270. 近藤正道

    委員以外の議員近藤正道君) 万一のドル暴落のリスクに備えるためにも、日中韓、これが協議をいたしまして、アジア中心の新たな国際的な経済連携の枠組みを今こそつくり上げるべきなんではないかと、こういうふうに思っております。  ASEANプラス3の、先ほど来議論出ておりましたけれども、チェンマイ・イニシアチブを多国間協議に拡充して、まあ基金を今増やす、百五十億ドルから八百億ドルに増やすという構想もあるようであります。このチェンマイのイニシアチブについて、先日の総理の答弁でも、政府の位置付けはIMFの補完だと、こういうことでありますが、これを将来的には単なる補完ではなくてEUにも匹敵をするアジア地域の連携機構あるいはアジアの共通通貨構想へ発展させる、そういう大きな積極的な位置付けの下でこのチェンマイ・イニシアチブというものを考えることができないんだろうか、こういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  271. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) ドル暴落があるからアジアの通貨金融の関係を強化しようというふうには我々は考えておりません。あくまでもドルというものを基軸通貨として、ドルだけではありません、ユーロであろうが、世界各国お金、もちろん円が日本の場合中心でありますけれども、それぞれの通貨を守っていこうと。逆に言うと、切下げ競争とか暴落といったものはみんなでやらないようにしようということを確認したわけでございます。  他方、総理発言されておりますように、世界各地にはブロックではないけれども世界通貨経済体制を補完する地域国際体制と言ったらいいんでしょうか、そういうものがありますね、ユーロもあります。米州開銀もあります。アジア開銀もあります。アフリカ開発銀行を中心としたものもあります。そういったものでその地域をより密接にしていくことも、これは世界経済の安定と発展に役に立っていくという認識でおっしゃっておられるわけであります。  アジアにおいてこれからユーロのように共通通貨にしていこうという今御指摘でありますけれども、EUの場合には何十年も掛けて欧州石炭鉄鋼共同体から始まり、まあある人に言わせるとローマ時代からの一つ流れだったという人すらいるわけでございますけれども、そういう、EECができて、EUができて、その中で、国家として最も重要な権限の一つである通貨発行権をみんなで放棄をして一つ通貨をつくった。つまり、主権放棄までしてEUというものはでき上がっているということを考えますと、今日明日すぐにこの地域がEUのようになるとはなかなか考えにくい。  それよりも、個々の国がより連携を密にして、そしてお互いに助け合って発展をしていくということが大事なのではないかというふうに考えております。
  272. 近藤正道

    委員以外の議員近藤正道君) 総理は、市場参加者が証券化商品などの金融商品のリスクを適切に評価できず、当局による監督規制金融技術革新のスピードに付いていけなかったことが今回の金融危機原因であると、こういうふうにおっしゃっておられますが、そのための規制として真っ先に着手すべきは、ヘッジファンドの適切性評価やあるいは格付会社の登録制導入などという、そういう、私に言わせれば生ぬるい、そういうやり方ではなくて、金融商品そのものをもっと抜本的に規制強化する、そういう方向であるべきではないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
  273. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) いわゆる証券化商品といいましょうか、新しいいろんな金融派生商品は、正直言って中身がよく分からないという部分がまだあるわけであります。午前中にちょっと毒入りギョーザという言い方をいたしましたけれども、根っこは信用度の低い住宅ローンでありますけれども、それが一体回り回ってどういうふうになっているのか、世界中にどこにどのぐらい行っているのか、そして価格がどう決まっているのかというのはよく分からない、マーケットがあるわけでもないですし。だから、みんな上がるぞ上がるぞと言っているときはもう争って買うわけでありますけれども、いったんこれが逆転すると、一体この金融商品の適正価格は幾らなんだということを決められないわけであります。それが今回の金融危機一つの大きな特徴なんだろうと思います。  したがいまして、これをきちっと規制をするというのは、まず各国ごとにある程度の規制をしなければいけない。最も先にやらなければいけないのはアメリカだと思いますけれども、日本でも、欧米ほどではないにしても、こういう金融派生商品あるいはクレジット・デフォルト・スワップみたいなものがございますから、これをどのように把握をして、そして規制をしていくかということが大事であると同時に、これが世界各国に広がっているだけに、世界共通の監督あるいは規制ルールというものをこれから作っていきましょうと、これは大変大事なことだと思いますけれども、麻生総理提案をし、そして宣言文で採択されたわけでございます。
  274. 近藤正道

    委員以外の議員近藤正道君) 証券化商品、金融化商品の透明性を高める、規制を強める、これはもちろん大事でございますが、同時に、円キャリートレードによる投機マネーの暴走を防ぐためにも、いわゆるトービン税というものが導入される必要があるんではないか、日本独自でも通貨取引に対するトービン税やるべきではないかと、こういうふうに検討すべきではないかと私は思うんですが、透明性と規制強化のその上にこういう通貨取引に対する課税、どういうふうに御検討されておられますか。
  275. 平田耕一

    ○副大臣平田耕一君) いわゆるトービン税につきましては、投機的な為替取引上の抑制等の観点から為替取引そのものに税を課そうという考えであると承知しておりますけれども、課税の効果が明らかでないことに加えまして、投機的な取引とその他の取引を区別することが困難であるなど、様々な実務上の問題も指摘されておりますので、その導入につきましては慎重な検討が必要であるというふうに考えているところでございます。
  276. 近藤正道

    委員以外の議員近藤正道君) 大変消極的ですよね。もっと積極的に検討していただきたいというふうに思います。  本題、法案の質問に入りたいというふうに思いますが、私もあちこち中小業者の皆さんと懇談をする機会がございますが、中小の零細企業の皆さんからは、この間の原油高、材料高で、そもそも借り入れる、その体力はもうなくなったとか、あるいは発注者から請負代金のカットを求められて設備投資もできない状況である、あるいは政府の下請相談窓口、ここに駆け込めば、結局その後、発注者からの仕事が回ってこない、こういう話が本当に出まして、とにかく政府の対応は本当に実効性があるんだろうか、こういう意見がたくさん寄せられるわけでございます。  実際、今の法律金融支援を受けた紀陽ホールディングス、それと豊和銀行の所在地である和歌山県と大分県、これは経営強化計画の対象年度においても、企業の倒産件数はその以前よりも増えているわけでございます。  この実態をどういうふうに受け止めたらいいのかということでございますが、旧法といいましょうか、経営強化計画、これは必ずしも中小企業支援の効果が上がってなかったんではないかということと、それを受けて、本法案でも本当にこれが中小企業に効果があるものなのかどうか疑問に思えてならないんでございますが、繰り返し出る質問でございますが、いかがでしょうか。
  277. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 企業の倒産件数につきましては、平成十八年度から十九年度にかけまして、紀陽銀行と豊和銀行の本店所在地であります和歌山県と大分県でそれぞれ増加しております。ただ、この時期は一般的に全国的にも件数が増加している時期であると承知をしております。  倒産の原因につきましては、実態面のいろんな様々な要素もございますので一概にその因果関係を申し上げることは困難であることは御理解いただきたいと思いますが、紀陽銀行、豊和銀行は、国の資本参加を受けまして以降、経営強化計画に沿いまして、信用供与の円滑化に関する方策、これに取り組んできております。したがいまして、中小企業又は地元事業者向けの貸出し残高は増加し、また創業支援、経営相談、事業再生など、経営改善に取り組んだ企業数も増加してきているものと承知をしております。  両行におきましては、引き続き、それぞれの地域におきまして、金融仲介機能を積極的かつ適切に発揮し、中小企業に対する金融の円滑化に努めてもらいたいと考えているところでございます。
  278. 近藤正道

    委員以外の議員近藤正道君) 皆さんの説明はこの法律がなかったらもっとひどくなっていたんだろうと、こういうふうに言われるんだろうというふうに思っていますが、しかし、過去の実績が一つのやっぱり評価の物差しでありますんで、ここでは結果が出てないと、逆に倒産件数が増えているということは、これはやっぱり説明責任の点からいってももっとやっぱりきちっと説明をしていただかないと納得はいかない、こういうふうに思えてなりません。  今の本法案の経営強化計画でありますが、今後、従前の中小企業向け融資実績を下げないあるいは維持することを基本的に求めております。しかし、本当の意味で中小企業向け金融の円滑化と言うのならば、アメリカの地域再投資法のような仕組みが必要なんではないでしょうか。  資本増強を受けた場合は、例えば地域によっては伝統産業を支えるとかあるいは新産業を育成するとか、それぞれの地域特性を考慮して資金需要額を把握をして、それぞれの金融機関が地域の中小企業や産業振興にどう貢献していくのか、具体的な数値目標を立ててもらって、それを受けて公的資金を入れていく、そして政府としてその実施状況を厳しく問うていくと。単に下げないではなくて、地域の特性に合ったやっぱり引上げ計画を具体的に出させて、それを厳しくやっぱり点検をしていくと、こういう在り方でなければならないんではないかと。今の現行法はやっぱりそうなってないんではないかというふうに思えてならないんですが、いかがでしょうか。
  279. 内藤純一

    政府参考人内藤純一君) お答えいたします。  中小企業向け貸出しについてでございますが、この法案の枠組みの下であらかじめ一定の数値目標を設定をさせまして、その実行を義務付けるということになりますと、これ金融機関の貸出しが借り手の資金需要でございますとか個々の与信判断の結果によるというところから、一定の、あらかじめ一律の数値目標というものは困難であろうというふうに考えております。  一方、本法案に基づく国の資本参加によりまして中小企業金融の円滑化が図られるということは非常に重要だというように考えております。このため、金融機関が申請時に提出する経営強化計画におきまして、中小企業向け貸出しの円滑化のための方策を作成、明記することを求め、金融庁がその方策について審査、フォローアップすることとしております。  そういったことで、本法案のこうした枠組みを通じて中小企業向け貸出しの一層の円滑化、そしてまた実効性の確保に努めてまいりたいと考えております。
  280. 近藤正道

    委員以外の議員近藤正道君) それでは説得力はないと私は申し上げているんですよ。  じゃ、次の質問でありますが、本法案では、経営責任を制度上一律に問うことはしないというふうになっております。しかし、法案の趣旨が、金融恐慌に対応して金融機関の資本を増強して、それを通じて中小企業金融強化を図るというふうになっている以上、少なくとも、申請時に金融恐慌以外の要因で資本増強が必要となった場合とか、あるいは申請後に結果的に注入した資本が中小企業に回らなかった場合とか、さらに経営強化計画を守れない場合、こういう場合には当然厳しく経営責任を問うという理解でいいんではないかと、こういうふうに思うんです。  こういう判断基準は本来私は法文の中により明確な形でやっぱり書かれるべきだと。そうなっていない、これ修正案でも必ずしも十分でない、不明確だ。  実際、この点は一体何によって示されるのか、政令で明確にするのかどうなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  281. 内藤純一

    政府参考人内藤純一君) 改正案におきましては、自己資本比率が基準値未満の金融機関が仮に申請を行ったという場合には、経営強化計画の中に従前の経営に対する分析に基づき抜本的な経営管理の体制の改善を図るための方策というものを記載を求めまして、入口段階でまずスクリーニングを掛けることを考えております。  具体的には、例えばずさんな業務執行やリスク管理などによりまして自己資本比率が基準値未満となったといったことで、一般的な世界金融状況によって影響を受けたとか、あるいは景気全般の問題でということよりも、そういった個別の事由による場合のそういう金融機関につきましては、申請段階で経営責任の明確化を求めることを内閣府令や監督指針において定めることを検討しております。  なお、国による資本参加後の問題でございますが、これにつきましても、従来の枠組みと同様、半年ごとに当局が計画の進捗状況をフォローアップをいたしまして、同時に、また必要に応じ監督上の措置を講じていくこととしたいと考えております。
  282. 近藤正道

    委員以外の議員近藤正道君) 以前、いわゆる責任共有制度が導入されました。明らかにこの制度導入以後、中小企業向けの融資実績が低下をしております。  責任共有制度につきましては、合理的であると評価する議論があるということは重々承知をしておりますが、しかしこういう状況でございます。これからもっとひどくなるわけであります。事態が少なくとも好転するまで、この責任共有制度いったん停止、一時停止をすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  283. 横尾英博

    政府参考人(横尾英博君) お答え申し上げます。  責任共有制度につきましては、金融機関と信用保証協会が適切な責任分担を行うことによって金融機関と保証協会が連携して中小・小規模企業の経営を支援をするということを目的に導入をしたものでございます。ただ、その導入に当たりましては、小規模企業者の場合あるいは災害や不況などのセーフティーネット保証といった場合には一〇〇%の保証とするといった工夫をしてございます。  今般開始をいたしました緊急保証制度につきましても、責任共有制度の例外ということで、現在、対象業種は六百十八に拡大をしてございます。また、この緊急保証制度の実施に合わせまして、責任共有制度を口実とした融資拒絶のような不適切な対応がないようにということで、金融庁とも連携をしまして民間の金融機関に要請をしております。  今後とも、中小・小規模企業の資金繰りには万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  284. 近藤正道

    委員以外の議員近藤正道君) 時間が来ました。本当はこの後、農林中金の話と新東京銀行の質問をする予定でございましたけれども、時間が参りました。この時間をつくっていただいた委員の皆さんに感謝を申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  285. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時二十九分散会