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2008-11-13 第170回国会 参議院 財政金融委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年十一月十三日(木曜日)    午前十時四分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         峰崎 直樹君     理 事                 大久保 勉君                 辻  泰弘君                 円 より子君                 小泉 昭男君                 椎名 一保君     委 員                 尾立 源幸君                 大塚 耕平君                 川合 孝典君                 川崎  稔君                 富岡由紀夫君                 平田 健二君                 水戸 将史君                 森田  高君                 横峯 良郎君                 尾辻 秀久君                 末松 信介君                 鶴保 庸介君                 林  芳正君                 藤井 孝男君                 森 まさこ君                 荒木 清寛君                 白浜 一良君                 大門実紀史君    国務大臣        財務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        中川 昭一君    副大臣        内閣府副大臣   谷本 龍哉君        財務大臣    平田 耕一君        農林水産大臣  近藤 基彦君    事務局側        常任委員会専門        員        大嶋 健一君    政府参考人        警察庁長官官房        審議官      西村 泰彦君        金融庁総務企画        局長       内藤 純一君        金融庁総務企画        局総括審議官   大藤 俊行君        金融庁検査局長  畑中龍太郎君        金融庁監督局長  三國谷勝範君        法務大臣官房審        議官       三浦  守君        財務大臣官房総        括審議官     川北  力君        財務省主計局次        長        真砂  靖君        農林水産省総合        食料局次長    平尾 豊徳君        農林水産省経営        局長       高橋  博君        中小企業庁事業        環境部長     横尾 英博君        中小企業庁経営        支援部長     数井  寛君    参考人        日本銀行総裁  山口 廣秀君        日本銀行理事   山本 謙三君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○金融機能強化のための特別措置に関する法律  及び金融機関等組織編成促進に関する特  別措置法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○保険業法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     ─────────────
  2. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  金融機能強化のための特別措置に関する法律及び金融機関等組織編成促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案及び保険業法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として警察庁長官官房審議官西村泰彦君外十一名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  金融機能強化のための特別措置に関する法律及び金融機関等組織編成促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案及び保険業法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会参考人として日本銀行総裁山口廣秀君及び同理事山本謙三君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 金融機能強化のための特別措置に関する法律及び金融機関等組織編成促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案及び保険業法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  両案の趣旨説明及び衆議院における修正部分説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 大塚耕平

    大塚耕平君 民主党大塚でございます。  今日は委員各位、また理事皆様方の御配慮で少し長めの時間をちょうだいいたしましたので、この金融機能強化法にかかわる論点を幾つ質問をさせていただきたいと思います。  本題に入ります前に、ちょっと思うところもございまして、今日の新聞でも総理漢字を読み間違えられたという記事もあって、私も最近少し老眼になってきたので、頻繁を煩雑に読み間違えるというのはちょっと確かに遠目に見るとぐちゃぐちゃっとした漢字なのでそうかなと思うんですが、何か新聞によると、未曾有をミゾウユウと読まれたとか、この間は踏襲をフシュウというふうに読まれたとか、いろいろありまして、つい他界した両親のことを最近思い出すんですが、よく私、子供のころ言われていたんです。漫画ばっかり読んでいると漢字読めなくなるよと言われて、いや、親の言うことは聞くものだというふうに思いまして、ちょっと中川大臣には是非、私も漫画が悪いとは思わないんですけれども、やっぱりこういう状況のときに週に漫画二十冊読んでいるということは決して私は一国の総理として自慢にはならないと思いますので、閣議で横にお座りになっておられますので是非御諫言を賜りたいということをお願いを申し上げておきます。  もちろん、たくさんデリバティブとかそういう本も読んでいただいて、ちょっと頭を休めるために週に一、二冊というのは決して悪いことではないと思うんですが、総理でいらっしゃる間は、首相におかれてはそれなりの御対応をしていただけないものかということを是非お伝えをいただければ幸いでございます。  さて、その新聞ですが、今日その記事よりも大事なのは、日経新聞外貨準備からIMF強化のために我が国が十兆円を出すという、これはあくまで新聞報道ですから事実かどうか私は分かりませんけれども、そこで中川大臣にちょっとお伺いをさせていただきますが、金融サミット日本はこれから何を主張しようということで今御検討が進んでいるかどうか、お答えいただける内容がございましたら御教示をいただきたいと思います。
  8. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) おはようございます。  今、大塚委員から御指摘のように、今晩、院の御許可をいただきまして、総理に随行して、ワシントンでG20の首脳会議財務大臣として出席をさせていただきます。このほか、IMF、IBRD、FSF等国際金融機関も参加されるというふうに承知をしております。議長はアメリカ・ブッシュ大統領ということでございます。  これは、G20という比較的新しい形、G7、G8が先進国の代表でありますけれども、やはり新興国あるいはまた中小国、あるいはアフリカ等国々も入っておりますけれども、ある意味では世界を代表すると言うとちょっと漏れている国には失礼な言い方になるかもしれませんけれども、いろんな立場国々が参加をして、現在の金融情勢、そしてまたそれが実体経済に及ぼす影響、とりわけ途上国の一次産品、経済、貿易に及ぼす状況等々も含めまして広範囲に、一泊二日で、我々は夜着いて二泊いたしますけれども、議論をすることになっております。  そういう中で、今までの起きてきたことについての検証、そして今まで取られてきたこと、そして今後取っていかなければいけないことについて活発な率直な議論が行われるものと思い、そしてまた、会議の成功のまず第一前提としては、成果合意が得られるということだろうというふうに思っております。  中身でございますけれども、どういう合意になるかは私も承知をしておりませんけれども、日本としては、何といっても九〇年代のあの日本の大変厳しい金融バブル崩壊を発端とする大変苦しい状況日本日本自身の力で何とかもがきながらも打開をしてきたことの経験、それから少し状況は変わっているにしても、その経験というものは現在においても十分各国参考にできるものというふうに考えております。  さらには、新たな金融派生商品でありますとか、過度なレバレッジの効いた正直言って何が何だか分からないような金融商品等々の位置付け、監督、規制、格付あるいは会計といった問題についてどういうふうにしていったらいいのかということも議論の主題になっていくんだろうと思います。  そしてまた、やはり一国だけでは、これはもうお金のことでありますから世界中を回るわけでございますので、国際的な共通認識共通行動、さらには国際機関IMF等国際機関、あるいはまたアジアにおいてはアジア開銀その他地域開発銀行がございますので、それぞれの地域での国際的な金融機関の連携も含めて、これから大変厳しい状況がどうなるかまだ予測ができないという状況の中で、あらゆる手段を取っていくということを日本としても麻生総理の方から強く訴えて、そういう意味会議をリードし、いい成果が出るように日本としても努力をしていきたいというふうに考えております。
  9. 大塚耕平

    大塚耕平君 基本的な会議に臨むスタンスは分かりましたが、具体的に何を主張されるのかちょっとお伺いしたいんですが、例えば今日の新聞に出ているようなIMFの十兆円の資金支援ということは提案されるんですか。
  10. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) これは、先月の十月にG7蔵相中央銀行会議ワシントンで行われましたときに、私から、日本経験と同時に、国際協調、そしてまたIMFという機関が今最もこういう金融危機対応できる機関であるのではないかと。しかし、IMFといえば、十数年前アジアで、通貨危機という中で、出資はしたけれども別のダメージを各国に与えたという反省も我々はきちっと認識をしなければいけない。したがって、IMFがより迅速にこの状況に合った形で適切かつ十分に対応することが是非とも必要である。と同時に、IMF資金を持っているわけでありまして、それを必要とする政府に対して資金供与をするということも十分意味のあることだろうというふうに思っておりますが、IMFの持っておる資金も有限でございますし、またこの後いろんな国がそういう金繰りの状況に陥るかもしれませんので、予防的な意味も含めて十分な資金手当てをしておく必要がある。その場合に、日本は一兆ドルという外貨資産政府として持っているわけでございます。  したがって、この一兆ドルをベースにして、日本としては、必要があればIMFに対して資金提供、これは出資融資と二つの考え方があると思いますけれども、緊急の融資という形でIMF提供をする。その場合、これは国民の税金が裏付けになっているわけで、リスクというものを当然考えなければいけませんけれども、国際的にはIMFノーリスクという前提で、IMF国民に御迷惑をお掛けをしない形で、そしてまた世界金融緊急事態を救うために日本として積極的に貢献をする用意がある、このことまでを先月私が申し上げたところでございます。  具体的には、どのぐらいの金額にするか、昨日、今日いろいろ新聞には出ておりますけれども、最終的には総理の御決断ということで、私も承知をしておりませんし、まだ決まっていないものというふうに私は理解をしております。
  11. 大塚耕平

    大塚耕平君 今の御説明の中で、IMFノーリスクでと最後の方で少しおっしゃったんですが、今回の麻生総理の例の定額減税給付金をめぐるここ数日間の対応を拝見していますと、やはりこのIMFの問題も、金融サミットに行く前にもう少し国会に対してきちっとした内容をお約束するなり、あるいは固めてから行かれないと、私、迷走するんじゃないかというふうに思っているんです。  そこで、今日若干議論させていただいて、中川大臣ももし総理にお伝えいただいた方がいいと思えばお伝えいただきたいと思うんですが、例えば今おっしゃったIMFノーリスクという、そういう前回お立場を表明されたスタンスを継続するならですよ、例えば、日本には一兆ドルの外貨準備といっても流動性としては日本円でまさしく十兆円ぐらいしかないわけですから、それを、言わば最終的にロスが出た場合に日本がかぶる形で十兆円という流動性提供するということなのか。あるいは、今日の新聞に若干書いてありますけれども、流動性を全部使うわけにいかないから、日本外貨準備で持っている米国債を貸す形で、これを担保にIMFに金を借りてもらうということも書いてありますが、もし本当にそういうことを御検討ならば、日本が言わば債務保証をするということなのか。そして、IMFノーリスクだというんでしたら、例えばこれはレポのような形でIMF米国債を貸すときに手数料は取るんですかと。これ、取れば、もしちゃんと返ってくればIMFを使って日本がもうけることになりますので別に日本にとっては悪いことじゃないですが、こういう状況でそういうことでよろしいのでしょうかと。逆に言えば、手数料なしで貸すということでしょうか。  等々を含めて、やっぱり具体的にイニシアチブ日本が握れるように詰めて国際会議に臨まれるべきだと思っておりまして、これ、総理のお考えというようなものではなくて、中川大臣財務大臣金融担当大臣を兼ねておられますので、是非、多分総理が御発言になることは大臣からのアドバイスに基づいて、あるいは協議に基づいて御発言になることですから、もう少しこの参議院財政金融委員会の場において与野党の各議員に具体的な内容を御説明いただきたいと思います。
  12. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 大塚委員IMFの仕組みを説明するまでもないと思いますけれども、さっき申し上げたように、今百四十数か国ですか、IMF加盟国がございますけれども、百八十五ですか、失礼しました、それぞれの国が出資をしているわけでございまして、そして出資に応じた、何というんですか、発言権といいましょうか、株主権みたいなものがある。これが基本財産みたいなもので、それとは別に融資をすることができる。現在までは、アジア通貨危機のときのように、非常に厳しい条件で、しかも限度が設定されていてということでは、こういう非常に超スピードで回っている状況の中で十数年前と同じようなことをやっていては文字どおり逆効果になるかもしれないということで、私が先月申し上げたのは、柔軟かつ適切な対応を最優先で考えるべきであると。その後、IMFの方も、幾つかの非常に危機に陥った国に対して迅速に対応している。これは私の提案をある意味では参考というか、取り入れたものとして評価をしているところでございます。  具体的に、IMFノーリスクと言ったのは、これはいわゆる国じゃございませんからカントリーリスクがないという意味ノーリスクというふうに申し上げたわけでありまして、IMFとか世界銀行がつぶれちゃうということまで前提にして物事を考えると、これは選択肢というのはもうほとんど何も私の知恵では浮かんでこないわけでございますから、これはどこかの国に貸すんじゃなくてIMFに貸すということで、リスクは、まあリスクといいましょうか、IMF日本との間にはないという前提考えております。  そういう中で、じゃどこからどのぐらいのお金を持ってくるかということは、結論から言えばさっきの結論に達するわけでありますけれども、手元にある、いわゆる流動性のある外貨がどのぐらいで、あるいは外債が幾らで何が幾らでということの細かいところまでは、現時点では私はまだ決定をしてこの場で御報告をする段階には至っておりません。  それから、貸付行為ということになりますと、これは当然貸付けであれば無利子という選択肢もあるかもしれませんけれども、これは利子を取るということも考えられるわけでありますから、今御指摘のようにいろんな形が考えられる。何も日本が提案したから、それで、はいそうですかということには必ずならないわけで、特に今回は、冒頭申し上げたように途上国あるいは本当に困っている、日本よりもはるかに困っている国もいっぱい参加するわけでありますから、二十か国そして国際機関文字どおり本音で一日掛けて朝昼晩食事をしながらもやっていくことでありますから、文字どおり世界トップリーダーがあるべき姿を考えながら真剣に考えていっていい方向の成果が出る、そのために麻生総理が最大限の貢献をするという決意で今日出発する予定でいらっしゃるわけでございます。
  13. 大塚耕平

    大塚耕平君 国内政策においては、多少迷走してもこれ国内で言わば自己完結する話ですから、国民が寛大にこれを受け入れればそれで済むわけでありますが、IMFに行って御発言になられたり提案した内容が迷走するということは、これ国際社会に対して日本対応を言わば笑われることにもなりますので、是非的確な御協議の上に立って総理には金融サミットに臨んでいただきたいということを改めて申し上げておきます。  その上で是非金融サミット一つ提案していただきたいことがありまして、これは私の意見でもありますし、民主党緊急経済対策の中に盛り込みました。  というのは、日本が諸外国に金融危機対応のための資金支援をする場合は、例えば円建て債を発行してもらうという形で資金調達を促してはどうかということは、これはもう党の対策として我々は打ち出しました。  この意味はもうこの委員会においでの皆さんはよく御理解いただけると思いますが、過度の円高防止にもなりますし、それから場合によっては日本円というものが基軸通貨としてもう少し立場を強くしていくということにもつながりますので、東京市場世界金融センターにするという目標もまだ維持しているわけでありますので、そういうことも併せていろんな形でのメリットがあると思いますので、日本円で、とりわけ東京市場円建て債を発行する形で日本資金支援を求めてはどうかというようなことを主張されるおつもりはございませんでしょうか。
  14. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 一般論として、日本経済規模また外貨保有規模からいって、自国通貨資金提供するということは、一般論としてこれは当然考えられることだろうと思います。  これが結果的に円安に通ずるのか通じないのか、これについては為替のことですから私から発言は控えますけれども、例えば大塚委員も御承知のようにチェンマイ・イニシアチブですね、あれは日本はある程度自国通貨で持っているわけでございますけれども、今後、相手国が円を借りてそのまま円で運用するのか、あるいはそれを自国通貨なりあるいは基軸通貨なりに替えていくのか、これもそれぞれの事情で違ってくるとは思いますけれども、一般論としては、日本基軸通貨になるかならないかという、私も、主要通貨一つとして円の存在というのは私は大きいと、またこういう状況ですから役割は重たいというふうに思っておりますけれども、ただこれも相手のあることでもありますし、個々の事情によってどういう形で資金提供するかということはいろんな方法がある、大塚委員の御意見として賜りたいと思っております。
  15. 大塚耕平

    大塚耕平君 先ほど申し上げましたように、私の意見であるのみならず、これは党として対策の中にその主張は盛り込みましたので、是非民主党としてそういう考えであるということをしんしゃくしていただければ幸いでございます。  また、日本円がすぐに基軸通貨になる、ないしは今のドルに代わる基軸通貨になるなどということは、恐らく困難であるというふうに思っておりますが、多極化をしていくという意味においては一定のプレゼンスを高めるという努力はやはりしなくてはいけないと思っていますので、是非検討いただきたいと思っております。  本題に入ります前にもう一問だけ現下の経済情勢にかかわる質問をさせていただきますが、例の定額減税給付金の話は、今日の報道によると、各自治体の判断にゆだねる運営だと、これで最終決着だというようなことでございますが、これは財務省にお伺いをします、大臣じゃなくても結構ですが。過去の税制や何か給付金を出すというその給付政策等において、課税基準とか給付基準国民に任せるとかあるいは地方自治体の判断にゆだねるという、こういう事例は過去にありましたでしょうか。
  16. 真砂靖

    政府参考人真砂靖君) お答え申し上げます。  一般的に、先生御指摘課税及び給付金給付を行う際には何らかの基準条件を定めるわけでございます。すべての調査、困難でございますけれども、その基準国民に自主的に判断させる事例承知しておりません。  一方、今回の定額給付金でございますが、これは市町村がそれぞれの実情に応じて交付要綱において決定するというふうにされているものでございまして、この市町村裁量を認めるという点におきましては補助金等で多々例はございます。大枠を国において定めた上で交付要件等の細目については市町村裁量にゆだねるという補助金の例はあるものと承知いたしております。
  17. 大塚耕平

    大塚耕平君 じゃ、財務省にこの場を借りてお願いをしておきますが、そういう過去の例を一度整理して御教示をいただきたいと思いますので、それはよろしくお願いいたします。  いずれにいたしましても、この委員会に今付託をされました法案は、これから金融サミットに臨まれる原因になりました金融危機に端を発してこういう法案も作った方がいいのではないかということで議論が始まったわけであります。  お手元には、今日、資料配付をお許しをいただいてさせていただきました。一つホッチキスで留めてあります七枚ぐらいのものと、あともう一枚、昨日、都政クラブ記者会見のときに配らせていただいた資料でございます。  まず、このホッチキスで留めた方の資料から御覧をいただきたいんですが、是非建設的かつ合理的な議論をさせていただきたいという思いで作らせていただきました。  まず、この法案目的でございますが、改めて議事録に残す形で少し読み上げをさせていただきたいと思います。  まず、今回この委員会に付託されております法案は、米国発金融危機対応して日本金融システムの安定を企図したものであると、これはもう与野党一致した立場であるというふうに思っております。また、広い意味での金融システムは、銀行保険証券等のいわゆる金融機関によって構成される金融部門と、それから金融部門融資をする対象である企業家計等の非金融部門双方から構成されると、これもう事実でありますから論をまたないところであります。  しかし、今回の法案はこの双方の安定を企図するものであって、過去の経験を踏まえますと、とりわけ企業家計、非金融部門の安定を第一義的な目的としていると、このように理解をしております。  なぜならば、一九九〇年代前半バブル崩壊後の経済状況あるいは一九九〇年代後半の金融危機、また二〇〇〇年代前半不良債権処理加速期における経験において金融部門の安定が過度に優先され、あるいは金融部門だけが安定しても非金融部門、とりわけ中小企業金融の円滑化が十分に行われなかったということを強く感じておりまして、そのことがその後の日本実体経済の脆弱さや低迷につながっているというふうに認識をしております。  そして、その中小企業は、詳しく数字は申し上げませんが、与党の先生方も御承知のとおり、法人数の大多数を占めるほか、その従業員も労働者全体の大半を占めるわけであります。また、大企業の協力下請企業として日本経済の基盤も形成しているわけでありますので、中小企業金融の円滑化にいかに寄与するかというのが今次法案の最大の目的であるというふうに思っております。  したがって、この法案は中小企業金融の円滑化を最も重要な目的とするわけでありまして、その目的に資する金融部門への公的資金投入であれば積極的に行うべきものであるというふうに私ども民主党考えております。  まず、ここまでの基本認識で、大臣に特に認識に違いはなければないというふうにお答えをいただきたいですし、若干何か補足があれば御答弁いただきたいと思います。
  18. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 基本的には、御指摘のとおり、日本世界的な好景気の中でずっと余りパフォーマンスは良くなかったわけでありますけれども、ここに来てアメリカ発そして欧米を中心にした金融リスクが非常に大きくなってきている、日本もともすれば影響を受けかねないという危惧というものがあることを断固阻止しなければならない。  日本金融システムそのものは欧米に比べて健全でありますけれども、そういうことによって、今御指摘のように、日本を支えておる地方、中小企業といったところに円滑に資金が行かないということになると、健全な金融機関であるにもかかわらず資金供給ができないということになると、これはもう日本経済にとっても地域の暮らしにとっても大変大きな影響が出るということで、それを回避するために、健全な金融機関、健全な金融システムの中で、資本参加を国がするというのがこの法案の趣旨でございます。
  19. 大塚耕平

    大塚耕平君 基本的には御同意いただけたというふうに思っております。  そこで、一つ御提案を申し上げて大臣の御意見をお伺いしたいんですが、マスコミの皆さん等の報道によると、私どもは、参議院において、農林中金の取扱いといわゆる地方公共団体が主要株主になっている銀行の取扱いの修正を求めるというような報道が先行しておりますが、私は実は目的規定も少しいじらせていただきたいなというふうに思っております。また、これは党内でも議論をしております。財務省の皆さん、金融庁の皆さんですか、条文が大臣のお手元にもしなければお届けをいただきたいんですが。  第一条ですね。今御提案いただいているこの法案の第一条の少し後半の部分、「金融機関等の業務の健全かつ効率的な運営及び地域における経済の活性化を期し、」という、こういうくだりがありますが、実はこれ旧法と目的規定は全く変わらずに出てきておりますので、改めて中小企業金融の円滑化がこの法案の最大の眼目であるということを明確にするために、今申し上げたくだりの真ん中に少し文章を付加させていただきたいと思っております。  具体的には、金融機関等の業務の健全かつ効率的な運営及び、ここからであります、中小規模の事業者に対する金融の円滑化等による、ここまでが付加する部分であります、地域における経済の活性化を期しと。このように目的規定に付加をさせていただきたいというふうに思いますが、この点について、大臣について御賛同をいただけるかどうか、お伺いしたいと思います。
  20. 内藤純一

    政府参考人(内藤純一君) 改正、この法案につきまして衆議院の段階でも御議論をいただきまして、私どももその意見等を十分考慮した上で、この法案において、条文において中小企業金融の円滑化といったような文言についてはより明確に規定をするという形でしておりますので、この目的は、目的というか目的の規定の中であえてそこを明示するまでもなく、この法案の中で中小企業金融の円滑化ということについては極めて明確になっているのではないかというふうに考えております。
  21. 大塚耕平

    大塚耕平君 今急に申し上げたので、局長の御答弁、この段階ではそういうことになろうかと思うんですが、今申し上げましたように、特段何か差し障りのある文言ではございませんので、中小規模の事業者に対する金融の円滑化等によるという文言を付加するということは持ち帰って検討をしっかりしていただきたいと思います。  といいますのも、先ほど来申し上げましたように、今回の法案は過去の不良債権処理金融危機対応に対する反省あるいはそのときの経験を踏まえて、同じ轍を踏まないという思いもあって与野党で今こうして議論をしているわけでありますので、金融機関を救済することが目的ではこの法案はないということをより明確にするためにも、是非これを付加することを我々がこの後実際に提案した場合には御賛同をいただきたいということを申し上げておきたいと思います。  その上で、この後は農林中金と地方公共団体が主要株主である銀行に関して少し議論をさせていただきたいと思います。  お手元の配付資料、農林中金に関する考え方、ここも議論が拡散しないために少し資料を御覧いただきながら私の方で御説明をさせていただきたいと思います。  まず、私どもとしても、農林中金は日本を代表する金融機関一つであり、金融危機においていわゆるツービッグ・ツーフェールという原則が適用可能ないしは適用しなければならない規模に達しているというのは認識をしております。したがって、農林中金の経営不安に際しては、万が一そういうことがあればですよ、経営不安に際しては貯金保険法等の既存法制の的確な運用によって適切かつ万全の対応を期すことは当然であるというふうに思っております。  一方、ただいま目的規定の前振りとして御説明をさせていただきましたように、この法案は中小企業金融の円滑化を最も重要な目的としておりますが、その観点から見ると、農林中金の中小企業融資比率は一・三%にすぎず、この法案の対象金融機関に含めることは、間違っているとは思いませんが、一考を要するというふうに私どもは考えております。  また、運用総資産六十一兆円のうち約六割に当たる三十一兆円を有価証券投資に振り向けており、農林中金法第一条に明記される農林水産業の発展に寄与するという目的の観点からも、こうした経営実態には若干の問題があるというふうに考えております。少なくともこの農林中金法第一条は、農林水産業等の発展に寄与するとか、それ以外のものを付加していることは一切ございませんので、果たして今の農林中金の経営実態がこの法目的に資しているかどうかということはやや議論の余地があるというふうに考えております。  さらに、農林中金及び傘下系統金融機関の政治的中立性が確保されておらず、多様な政治的志向性を有する国民の公的資金を投入することの妥当性についても疑義がなしとしないというふうに思っております。  ちなみに、二〇〇三年以降、中小企業等協同組合法に基づく新たな農業法人が多数設立されておりますが、同法には政治的中立性の原則が明記されております。また、こうした新法人が設立される背景には、農水省による全中、全農、農中を軸とする従来の農政が日本の農業を発展させる方向に必ずしも十分に寄与していないという現状も影響しているのではないかというふうに思っております。  そこで、農水省にお伺いしますが、ちょっと通告はしていませんが、今私が申し上げましたこの中小企業等協同組合法、つまり農協法でない設立根拠による農業法人というのはどのぐらいありますか、今。
  22. 高橋博

    政府参考人(高橋博君) ただいま直ちに手元資料はございませんけれども、農業法人というものについてはちょっとかなり幅広い概念でございます。  と申しますのは、例えばハウス等の施設を利用するような法人の場合には、これは農業法人というのは自由に設立できます。したがいまして、中小企業協同組合の事業協同組合でございますほかにも、いわゆる会社組織一般もこれは自由に参入できるということになっております。もう一つは、土地、いわゆる農地を使って農業生産を行う法人というのがございますけれども、これにつきましては、農地の権利の取得という観点から一定の制限が加えられております。基本的には、農協法に基づきます農事組合法人と、あとは一般の会社形態の法人で一定の要件を有するものということになっております。  この関係で申し上げますと、近年では、この会社形態あるいはNPO法人等というものが約三百程度新たにこの農地の関係で参入してきているというふうに思っておりますが、全体の法人としては、私が承知している限りにおいては大体一万ぐらい今ございます。ただし、その形態は、今申し上げましたように様々な組織形態があるということでございます。
  23. 大塚耕平

    大塚耕平君 もちろん、今の農協もしっかり活動しておられて地域貢献している農協もありますが、たしか、新幹線の中によく置いてある「ウェッジ」という雑誌の中で農水省の元キャリアの方が書かれた記事で、つい最近ですね、先月ぐらいですか、もう農協なんて要らないなんていう記事がトップ特集になっていました。だから、何がしかやはり現在の農政には是正すべき点があるということは間違いがないというふうに思っております。    〔委員長退席、理事辻泰弘君着席〕  そうした中で、農林中金を頂点とする系統金融システムは、本来の役割に資する部分と巨額の余資運用を行う部分に完全にもう二分されておりまして、後者についてはもはや系統金融の一部というよりも巨大な金融機関と定義する方が妥当でありまして、そのビヘイビアは金融システム全体に影響を及ぼすと私どもも認識をしております。  こうした現状をかんがみますと、金融システムの安定性確保の見地から、農林中金は純粋な金融機関としてガバナンスが行われるべき時期に来ている、ないしはこの機会に農林中金の在り方についてはしっかりと議論をするべきであるというふうに私どもは考えております。  一方、逆に言えば、現在の農林中金はそうした状態になっていないことから、金融機関として不適切な取引等を行う蓋然性があると考えております。例えば、農水省やその他の政治的バイアスのツールとして金融機関の行動原理とは相入れない一定の役割を担わされる局面があるというふうに思料しております。  そこで、この委員会でも今年の五月二十九日に議論をさせていただいた築地市場をめぐる農中の金融取引について、改めて少し話題にさせていただきたいと思います。  中川大臣には初めて御説明することになるかもしれませんので、大臣、お手元資料の六ページのポンチ絵をちょっと御覧いただけますか。手書きで左隅か右隅にページが打ってあります。それでございます。    〔理事辻泰弘君退席、委員長着席〕  詳しいことは省かせていただきますが、要するに、築地の中にあります東京魚市場卸協同組合、俗に東卸と言われる組合が農林中金から九億七千五百万円の融資を受けていたんですが、この融資、農林中金にとってみれば債権を東京チャレンジファンドという東京都が出資して主体となってつくりましたファンドが買い取りまして、このファンドから東卸が短期間のうちに四千五百万円で買い取ったという事案でございます。これはすべて事実でありますので、ということは、東京チャレンジファンドか農林中金のどちらかが九億三千万を棒引きにする、ないしは両方が何がしかのシェアをし合って棒引きにするということが起こっていなければ、東卸は四千五百万で買取りができないわけであります。  大臣、こういう事案でございます。大臣にはすぐはお伺いしませんので、しばらく耳だけ貸していただきたいんですが。  農水省、金融庁に聞きます。この九億三千万はどこがかぶったんですか。
  24. 高橋博

    政府参考人(高橋博君) 御指摘の案件につきましては、個別取引にわたる部分でございますので、これについてのお答えということ、なかなか難しいことは御理解いただきたいと思いますけれども、御承知のとおり、農林中金におきましても、一般的に財務の効率化等の観点から……
  25. 大塚耕平

    大塚耕平君 いやいや、答えられなければそれでいいです。
  26. 高橋博

    政府参考人(高橋博君) はい。  そういう形での債権売買というものを進めてきているということがございます。  その際、このような個別の債権の売却処理に当たりましては、監査法人などの第三者によります適正な債権価格の算定等のプロセスを経た上で売却処理をいたします。ただし、このような場合に、一般的には当然当該債権額よりも低い価格での売却処理となるケースが多いというふうに存じておりまして、結果的に債権売却に伴います損失が発生するということが多いというふうに理解しております。
  27. 大塚耕平

    大塚耕平君 金融庁、どうですか。
  28. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) まず、個別の取引に関する事柄でございますので、当庁としてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。  今、農水省さんから答弁がございましたように、一般的な売却処理の過程で監査法人等の第三者による適正な債権価格の算定等に基づいてそういった処理を行うことはあるものと承知をしております。
  29. 大塚耕平

    大塚耕平君 今の農水省と金融庁の御答弁は五月二十九日と全く一緒であります。  そこで、御参考になればと思いまして、八ページ以降の東京都が情報公開をいたしましたこの東京チャレンジファンドの事業報告書の抜粋を持ってまいりました。少し御説明をさせていただきます。  まず八ページを御覧いただきますと、欄外に平成十七年一月一日から平成十七年十二月三十一日までに債権の買取り二件と社債引受けの一件を行った、つまり三件の取引を行ったということが明記されております。そして、九ページを御覧いただきますと、この期間中に行われた投資は、一番左にあります社名のところにA、B、Cと書いてある平成十七年三月、平成十七年五月、平成十七年十一月の三件であります。したがって、これが今の八ページの三件に該当いたします。そして、十ページを御覧いただきますと、平成十七年六月三十日現在、債券の保有資産が一千百万円というふうに書いてありますので、これは八ページの欄外で御覧いただいた社債引受け一件の一千百万円に該当しますので、これがその事案であるということが特定をされます。  そして、平成十七年一月一日から平成十七年六月三十日までの十一ページの損益計算書を御覧いただくと、この間において、売上投資原価四千二百万円のものを四千五百九万三千四百二十三円で売却をし、三百九万三千四百二十三円の利益を上げたということが明記をされております。したがって、これは六月三十日まででありますので、先ほどの九ページのA、B、Cの恐らく十七年五月か十七年三月に行った投資行動のどちらかであるということが想定をされるわけであります。  そして、十二ページを御覧いただきますと、この今申し上げました十一ページの内容について、文章で書いてある説明の二段目、投資活動につきましては当半期中に二件の投資実行を行っており云々と書いてありますが、一件が先ほどの一千百万、これはまだ債券として保有しております。そして、もう一件は売却をしたことによって投資利益が三百九万出ているということが明記をされております。  そして、十三ページを御覧いただくと、一号案件というのが回収されたと書いてある。二号案件は投資実行が行われた。この黒塗りは東京都がしているわけであります。したがって、二号案件はこれは多分債権の買取りのままであります。一号案件は回収された三百九万の利益が出た案件であります。そして、九ページに戻っていただきますと、三件目の案件は平成十七年十一月でありますので、今申し上げた御説明に該当する二件はこのA、Bに該当するものであるということであります。  その上で、六ページの先ほどの東卸のポンチ絵に戻っていただきたいんですが、この東卸の取引は平成十七年三月であります。つまり、東京チャレンジファンドが四千二百万円で債権を買って四千五百万円で売却をしたということが事業報告書からほぼ特定をされるわけであります。  農水省にもう一回聞きます。この取引で九億三千万の損失をかぶったのは農中ですか。
  30. 高橋博

    政府参考人(高橋博君) 先ほども申し上げましたとおり、農林中央金庫の個別取引の件については私どもでお答えできるような案件ではございませんけれども、基本的に債権の売却ということは進められてきたということでございます。
  31. 大塚耕平

    大塚耕平君 じゃ、経営局長でしたか、経営局長にお伺いしますが、今私の説明を聞いて、蓋然性として、事実として認定しなくていいです、私の説明を聞いて農水省の経営局長として合理的に判断すると、東京チャレンジファンドと農林中金のどちらが損失を被っている蓋然性が高いと思いますか。農水省としての事実関係の認定を求めているわけではなくて、この委員会で私が説明をしている内容を聞いて経営局長としてどのように感じられるかということを聞いているんです。
  32. 高橋博

    政府参考人(高橋博君) 東卸と農林中央金庫との間のこの債権債務関係でございます。これについては基本的に長きにわたって行われているというふうに聞いておりまして、これについての債権の評価あるいはどのような形で処理をするかということについて、一概にその損失がどの段階で発生をしたのか、損失をどの程度かぶったのかということについてはこの段階で明確にお答えできないというふうに思っております。
  33. 大塚耕平

    大塚耕平君 質問を正しく理解してほしいんですが。答えてくれとは言ってないんですよ。私がるる御説明を申し上げた内容を聞いて、農林水産省の経営局長という要職にあられる方が説明を聞く限りはどのような蓋然性が高いかというふうに感じているかということをお伺いしているんです。
  34. 高橋博

    政府参考人(高橋博君) 今委員から御説明をいただきました案件についてはそれぞれの資料に基づいたものというふうに私どもとしても認識をさせていただいております。  ただ、これについての農林中央金庫としての債権としての扱いについては、損失処理等々については個別の関係でございますので、申し控えさせていただきたいということでございます。
  35. 大塚耕平

    大塚耕平君 中川大臣、七ページをちょっと御覧いただきたいんですが、これも五月二十九日にお示しした資料であります。これはその東卸の公表資料であります。一番上に書いてありますが、月刊東卸五百十七号にこのような記載がありました。農林中金との関係、決済資金借入先である農林中金との関係は、ある顧問会計士の力添え、東京都の支援もいただき一件落着しましたと。一番下には、その六十一ページには、事前に顧問会計士が折衝した結果、コンプライアンス上の問題があることから、東京チャレンジファンド投資事業有限責任組合経由での債権買戻しを行い、同行、つまり農林中金に対する借入金全額を清算したと、こうなっているんですね。  今日は、後でまた御説明しますが、東京都には是非出席をしていただきたいということで、昨日、委員部も御尽力いただいて、また与党の椎名筆頭理事も御賛同いただいて、東京都に再三にわたる出席要請をしましたが一切出てこないということで、本当はこのこともお伺いをしたかったんですが。  そこで、今日はなかなかこの疑問の矛先を向ける先がなくて困ってしまうんですが、金融庁にちょっと見解をお伺いをしたいんですが、東京都はこれどういう支援をしたというふうに例えば推察できますでしょうか。
  36. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 個別の事案でございまして、推察は困難であることを御理解いただきたいと思います。
  37. 大塚耕平

    大塚耕平君 じゃ、またちょっと参考までに申し上げますと、先ほど私はやっぱりこの農林中金が純粋な金融機関としてのガバナンスにおいて経営されるべきだというふうに申し上げましたが、なかなか適切な言葉が見当たりませんが、何といいますか、ぬえのような存在であるがゆえに、農水省やその他の政治的バイアスのツールとして金融機関の行動原理とは相入れない一定の役割を担わされている局面があるのではないかというふうに心配しているんです。  そこで、四ページ、五ページをちょっと御覧いただきたいんですが、この築地の問題でありますが、今から申し上げる部分は私の認識であります。  築地の移転問題は、これは単なる移転問題ではないというふうに思っております。日本の伝統的な競りに基づく市場のメカニズムを解体する意図及びその他の何らかの意図があることも想定されます。  この問題の進展の過程で農林中金が不透明な役回りを果たしている蓋然性も否定できないというふうに思っております。農林中金は日本を代表する金融機関一つとして内外から評価される公正なガバナンスが行われるべきであり、経営判断以外のバイアス等によって不合理な損失を負うような行為や取引を行うべきではないと思っておりますし、また、仮にそういう行為や取引があれば、経営陣は出資者等の利害関係者から指弾を受ける立場にあります。  以下、こうした前提に基づいて関連する参考情報について少し御説明をさせていただきますが、事実関係についてはこれから更に確認をしなければならないので、若干事実と違うところがあるかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。  そもそも、この築地の問題ですが、平成十二年ごろの農水省が中心になってまとめました第七次卸売市場整備基本計画を審議する食品流通審議会卸売市場部会第一回会議において、市場から仲卸業者を淘汰し、市場の仕組みを解体する意思が表明されております。  平成十四年十二月の総合規制改革会議第二次答申で農業分野の改革が盛り込まれまして、事実上、競りによる市場運営の廃止に向けた方向付けが行われたものと私は認識しております。  第三に、平成十八年四月に発表された第八次卸売市場整備基本方針では、仲卸業者数の大幅な縮減を図ることが盛り込まれております。商品を目視確認しないで売買できる電子取引の導入、仲卸業者の目利きによる競りの廃止が想定されております。  平成十九年二月に改定された第八次中央卸売市場整備計画では、豊洲の新市場整備に伴い、築地は移転ではなく廃止と明記されております。築地移転は、藤沢、川崎の中央市場から地方市場への格下げを伴う三市場の統廃合というふうに位置付けられております。  五、豊洲における卸売業者、現状七社と聞いておりますが、これは仲卸のさらに言わば上流に位置付けられる業者さんですが、この卸売業者は三社に限定される方向にあると聞いておりますが、当該三社と想定される卸売業者の大株主には外国資本が徐々に入ってきております。  なお、築地移転をめぐっては、東京湾臨海開発やオリンピック招致との関連、豊洲の新市場用地の環境汚染問題も取りざたされております。環境汚染問題に関しては、検査結果の内容についても巷間様々な疑義が呈されております。  こういう動きがある中で行われたのが東卸、農中、東京都が出資するファンドの三者間で行われた九億三千万円の棒引き取引であります。  そこで、五月のときにも申し上げたのは、この東卸の皆さん、築地の市場の皆さんの中の築地移転ならぬ築地廃止の反対派の皆さんへの懐柔策として借金を棒引きしたのではないかというふうに築地市場の中では今随分議論になっているわけであります。そういうふうな推測が仮に成り立つとすれば、東京都の支援でというくだりも何やら腑に落ちる部分があるわけでございます。  そこで、農水省にお伺いしますが、現在の築地の卸売業者七社の株主はどのようになっていて、豊洲に移転するとそのうち三社しか生き残らないというふうに言われておりますが、その三社は既に決まっているのかどうか、そしてその三社の株主はどうなっているのかを御説明いただきたいと思います。
  38. 平尾豊徳

    政府参考人(平尾豊徳君) お答え申し上げます。  まず、東京都中央卸売市場築地市場の水産部の卸売業者七社でございます。この七社のうち四社が上場企業でございまして、三社は非上場となっております。今御質問がございました株主でございます。  それで、四社の上場企業について私ども把握しているわけでございますけれども、まず大都魚類株式会社でございます。これは株式会社マルハニチロホールディングスほかの株主でございます。そこに、次がゴールドマン・サックス・インターナショナル、あと大洋エーアンドエフ株式会社でございます。それから、中央魚類株式会社でございます。これは主要株主といたしましては、日本水産株式会社、足利本店、それから三菱東京UFJ銀行でございます。次に、東都水産株式会社でございますけれども、松岡冷蔵株式会社、日本トラスティ・サービス信託銀行、それから、みずほ信託銀行退職給付信託再信託受託者資産管理サービス信託銀行等々となっております。さらに、四番目でございますけれども、築地魚市場株式会社でございます。東洋水産株式会社、株式会社ベニレイ、株式会社三菱東京UFJ銀行等となっております。  残りの三社は株式が公開されていませんので、あれでございます。  それで、今後の移転に伴う動きでございますけれども、今委員からの御質問内容について、私どもはまだそういう詳細な検討が行われているというのは承知しておりません。
  39. 大塚耕平

    大塚耕平君 私も、もちろん今日は断定して申し上げるつもりはありませんので、ただ、やはりなぜ今週金融サミットが開かれるかというと、この二十数年来続いてきた世界の政治、経済の流れがこれでいいのか、グローバリゼーションというものがそれでいいのか、効率第一で何事もすべて解決するということでいいのか、それが問われているわけであります。  おまけに、今、食の安全の問題で様々なことが起きておりますが、これ、築地市場の仲卸の皆さんというのは現物を目で見て物を確認して競りをするという大変重要な機能を担っているんですが、これ豊洲に行くと、観光の目玉としての競りは残りますよ。だけど、大半は電子取引になって、物を見ないで価格が上がり下がりする。そして、その取引を制御する卸売業者の皆さんの中には今言ったような株主の構成が徐々に形成されてくるということには何がしかの思いが私もふつふつとわいてくるわけでありますが。  おまけに、ブッシュ政権の第一期から、ブッシュのお父さんの代に始まった日米構造協議からの流れを引いて、クリントン時代は日米包括経済協議と言われましたが、ブッシュ政権になってからは成長のための日米経済パートナーシップという形に名前を変えまして、日米間で規制改革等を進めるための官民会議というものが設置をされ、その官民会議のアメリカ側の議長はゴールドマン・サックスの最高執行責任者がやっておられたわけであります。  こういうことをもってして、何か大きな戦略が進んでいるのではないかというふうに断言するつもりはありませんが、ここ十数年来のいろんな物事の流れについて、やはり今、日本政府はちょっと立ち止まって考える、ないしは本当に国民のために今の様々な計画、例えば築地を豊洲に移転するというようなことが本当に国民のためになっているかどうかということをもう一回よく考える時期に来ているというふうに私は思っております。  中川大臣にちょっと感想だけお伺いしたいんですが、いろいろ政府において御議論をいただきたい材料を今日は御提示を申し上げているつもりであります。ここまでの話を聞いていただいた上で、例えば先ほどの農林中金の九億三千万円、事実上農林中金がかぶっているわけであります。このかぶったということは、九億七千五百万を九億三千万棒引きしたということは、棒引きした相手はこれは破綻懸念先ないしは破綻先でなければならないですが、東卸という事業協同組合はキャッシュもいっぱい持っていますし、今も現に生きているわけであります。  農林中金の取ったこの行動について、どういう感想を持っておられるかということと今私がるる御説明申し上げた流れについての御感想と、二点お伺いしたいと思います。
  40. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今私も大塚委員資料を拝見いたしましたけれども、多分この問題と直接関係ないからでしょうが、随分黒く隠されている部分があるなと思いながら拝見いたしました。  やはり私も担当大臣として、個別の金融機関等融資というものについては慎重に御答弁をしなければいけないわけであります。また、大塚委員は自分の説明したことの範囲内で印象を述べよということでありますけれども、大塚委員のお話をお聞きした限りで私が印象を申し述べて、またこれからもお調べになるということでございますので、その後のお調べになった結果も踏まえてお答えをさせていただければというふうに思います。
  41. 大塚耕平

    大塚耕平君 今日は、金融機能強化法の対象として農中を含めることが適切かどうかということを今議論させていただいているんです、直接は。  二ページをちょっと御覧いただきたいんですが、二ページの一番下をもう一回、もう一回というか、ここで申し上げさせていただきます。  今御説明申し上げました事例も含めまして、農林中金は金融機関として不適切な取引等を行う蓋然性がある。例えば、農水省やその他の政治的バイアスのツールとして金融機関の行動原理とは相入れない一定の役割を担わされている局面があると思料すると。以上のような諸点から、この法案に基づいて農林中金に公的資金を投入するに際しては、その必要性、妥当性を改めて国会において検証することが必要と考えているがゆえに、私たちは国会の事前承認が要るのではないかということを申し上げているわけであります。  冒頭申し上げましたように、農林中金が日本を代表する金融機関であって、万が一のことを起こしてはいけないという思いは私たち民主党も一緒でございます。しかし、日本を代表する金融機関でありながら、金融機関としては看過できない経営行動が他のメガバンク等に比べるとやや多いのではないか、ないしは監督官庁が十分にその行動を制御できていないのではないかというふうに思われるがゆえに、私どもは農林中金の公的資金注入に際しては国会の事前承認が必要と考える次第であります。  最終的に党としてどういう対応を取るかということは、改めてこの審議の中で、また立場を他の委員や理事の皆さんが明らかにすると思いますが、今日は私の農中に関する質問は以上のようにさせていただきます。  次に、地方公共団体が主要株主となっている金融機関を対象とするべきかどうかということでありますが、金融庁にお伺いします。  銀行法五十二条において、銀行の主要株主というのはどういうものであって、また、その主要株主から除外されているものにはどういうものがあるかということを御説明いただきたいと思います。
  42. 内藤純一

    政府参考人(内藤純一君) お答えをいたします。  今のお尋ねは銀行法の第五十二条の十四の規定に関するものだと解しております。この銀行法の第五十二条の十四でございますが、これは銀行経営が悪化した場合は、特に必要があると認められるときは、当局が五〇%超の議決権を有する銀行主要株主に対して、銀行の健全性を確保するための改善計画の提出を求めることができることなどを規定しているところでございます。この主要株主でございますけれども、国あるいは地方公共団体等は同項の対象、この認可のまず適用対象になりますけれども、この認可の適用の範囲から除外されておりまして、この対象にはなっておりません。  繰り返しますけれども、この規定につきましては、この主要株主の規定につきましては、具体的な措置としては、主要株主の影響力の行使によりまして銀行が不健全な融資を実施しているような場合に、そのような指示又は経営管理方針を改善すること、主要株主の経営資源を活用して銀行の経営基盤の拡充を図ることと等が考えられまして、そうした観点で主要株主に対する経営監督を、措置を規定しているところでございます。そのような中から国、地方公共団体は除外されているというふうに規定されています。
  43. 大塚耕平

    大塚耕平君 法の構造的には今御教示いただいたとおりだと私も認識しております。  ということは、この銀行法で金融庁が監督官庁として主要株主を見る場合に、地方公共団体が主要株主の場合は、つまり金融庁は余り地方公共団体には関与をしないという、そういうような言わば位置付けだというふうに、大ざっぱに申し上げるとそういうことだと理解してよろしいでしょうか。
  44. 内藤純一

    政府参考人(内藤純一君) そういうことでございまして、地方公共団体も国と同様にこの主要株主に対する監督というものを行使するような、そういう対象としてはなじまないのではないかという考えがまずベースにありまして、そういう規定ぶりになっているというふうに理解しております。
  45. 大塚耕平

    大塚耕平君 つまり金融庁は、日本金融システム安定のためにある金融機関に対して一定の監督上の措置なり意思を働かせようとするときには、その主要株主を通してそういうことを行うこともあるけれども、地方公共団体が主要株主の場合は、地方公共団体自身が言わば自らその監督責任を果たす立場にあるという考え方であるということでよろしいでしょうか。
  46. 内藤純一

    政府参考人(内藤純一君) 地方公共団体がどういう判断をされるかということは、それぞれのケースにより、また地方公共団体の御判断によるものと、基本的に地方自治というものを最大限尊重するというようなことであろうかと思います。  私ども金融当局といたしましては、まず金融機関に対する問題があった場合に監督あるいは情報収集等に努めていくということでございまして、地方公共団体がそれに主要株主としてどう対応するかということとはまた別の問題として、私どもとして責任を持って対応していくべき問題だというふうに考えております。
  47. 大塚耕平

    大塚耕平君 委員の皆様方にはお手を煩わして恐縮ですが、お配りした資料の三ページを御覧いただきたいと思います。これも議事録に残す形で少し御説明をさせていただきます。  地方公共団体が主要株主である銀行についての考え方でありますが、銀行法第五十二条では、今、内藤局長が御説明してくださいましたように、銀行の主要株主に対して、金融庁は監督上必要な措置を命じることができることになっていると。  しかし、この主要株主に関して、その他の条文によって地方公共団体は含まれないこととされております。  これは、地方公共団体が主要株主である場合、当該地方公共団体が公的セクターの一員として監督上必要な措置を直接行うことを想定していると考えております。  したがって、地方公共団体を主要株主とする金融機関をこの法案の対象とすることは銀行法を中心とする金融法制の構造と整合的と考えております。対象外とすることを整合的と考えております。  仮に、地方公共団体を主要株主とする金融機関に公的資金投入が必要になり、かつ当該地方公共団体に財政余力がない場合には、国が当該地方公共団体に資金支援を行い、その資金を活用して主要株主である地方公共団体の責任において監督上必要な措置等を行うべきであるというふうに考えております。  今、最後に読み上げました五番目のこの文章の内容について、このような理解金融庁の認識と一致しておりますでしょうか。
  48. 内藤純一

    政府参考人(内藤純一君) お答えいたします。  丸の四つ目までは私どもの基本的に認識とほぼ一致しているのではないかなというふうに考えておりますけれども、五番目につきましては、あっ、三つ目まではですね。そこで、仮にというところの丸でございますけれども、これにつきましては私どもとして、地方公共団体に財政余力がないというような場合に云々と、こういうふうなことでございますけれども、金融機能強化法法案の建前、考え方といたしましては、それぞれの金融機関において申請書を出していただいて、その内容が適正であるというふうに判断された場合には資本の参加を行うというふうな建前でございまして、必ずしもこういった形で構成されるのかどうかについては検討の余地があるというふうに思っております。
  49. 大塚耕平

    大塚耕平君 局長、後で議事録修正していただいてもいいですが、四番目も一緒だと言われると、地方公共団体を主要株主とする金融機関法案の対象外とすることにも同感ということになりますので、それは修正するなら修正してください。
  50. 内藤純一

    政府参考人(内藤純一君) 失礼しました。  三つ目までということで申し上げたかったんで、そこは訂正をさせていただきます。
  51. 大塚耕平

    大塚耕平君 今の五番目については、それはおっしゃる意味は分かるんです。こういう考え方に基づいて、直ちに地方公共団体に資金支援しろなんということを私どもも申し上げているわけではありません。  あくまでこの法案の立て付けは、金融機関が自ら手を挙げて申し出てくるわけでありますが、ただ本当に地方公共団体が主要株主の金融機関が、金融システム全体にとって、今回の金融危機で不測の事態に見舞われて経営が立ち行かなくなる、ないしはその対象となる金融機関融資をしている企業の皆さんが困るというときに主要株主である地方公共団体が何らかの協議を求めてきた場合には、五番に書いてあるような間接的な形で国が支援するということも論理的には可能なんだろうと、あくまでこの法案でという意味ではございません。そういう意味でこの五番を記載しているわけでありますが。  改めてお伺いをしますが、地方公共団体を主要株主とする金融機関は今、日本には幾つありますでしょうか。
  52. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 一つであると承知しております。
  53. 大塚耕平

    大塚耕平君 何か禅問答みたいで恐縮ですが、それは新銀行東京ということでよろしいでしょうか。
  54. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) はい、そのとおりでございます。
  55. 大塚耕平

    大塚耕平君 五番目のことはともかくとして、一、二、三のような理由から新銀行東京に公的資金を投入する場合には、金融法制上特別な立場にある主要株主としての東京都の責任において行うのが妥当かつ合理的であるというふうに私たちは考えております。もっとも、新銀行東京の経営実態をかんがみますと、日本一つしかない地方公共団体を主要株主とする金融機関というビジネスモデルが様々な問題を抱えていることが認識できるというふうに思っております。  私は、この新銀行東京というものをつくるという発想ですね、無担保でなるべくスピーディーに融資をしてあげる、そして地方公共団体が出資をして地方公共団体のガバナンスが効く形で銀行というものをやってみる、ここまでのビジネスモデルは、これはチャレンジする価値があるものであったのではないかなと個人的には考えております。ただし、それは主要株主である地方公共団体がしっかり管理監督をするということが大前提なんですね。  やってみたところどうなったかというと、今日のお配りした資料の一番最後の十四ページであります。これ、私どもの調査などによって私どもの分類で整理をさせていただいた計数でございます。あえて俗に言われている口利きというふうには申し上げません。融資仲介。というのは、私どもはその融資仲介と言われる行為が即何でも悪いのかというと、そうではないという思いもございます。  ちょっと数字を申し上げさせていただきますと、二〇〇五年四月から二〇〇七年十二月までの間に新銀行東京において融資仲介と思われる件数は六百四十二件、そのうち都議、元都議が介したものと思われるものが五百三十九件、国会議員、元国会議員が二十一件、区議九件、政党五件、都庁・新銀行東京関係者六十一件、その他七件と、こういうふうになっております。  この事実関係について、新銀行東京に対して検査を行った金融庁としてはどのようにコメントされますでしょうか。
  56. 畑中龍太郎

    政府参考人畑中龍太郎君) お答え申し上げます。  個別の金融機関の検査に関連をして特定の資料でありますとか計数等に直接言及することは、個別金融機関に関する検査の内容等を示唆する結果となるため差し控えさせていただきたいと存じます。  一般論として申し上げますならば、金融機関の検査に当たりましては、マスコミ報道等も含め様々な情報等も参考にしつつ、被検査金融機関の経営実態等の正確な把握を行い、問題点の検証に努めているところでございます。  なお、あくまでも一般論として申し上げますれば、被検査金融機関が外部の者から融資の紹介を多数受けたような場合には、必要に応じまして、被検査金融機関において健全な審査態勢が整備されているか、例えば紹介により融資審査の適切性がゆがめられていないか等の信用リスク管理態勢や、被検査金融機関が取引先の情報を適切に管理しているか等の顧客保護等管理態勢について検証を行っているところでございます。
  57. 大塚耕平

    大塚耕平君 検査局長にもう一回お伺いしますが、この数字はあながち間違っていないという理解でよろしいでしょうか。
  58. 畑中龍太郎

    政府参考人畑中龍太郎君) お答え申し上げます。  重ねてのお尋ねでございますが、先ほど申し上げましたように、個々の検査に関連をいたしまして特定の資料あるいは計数等に直接言及することはこの検査の内容等を示唆する結果となるため、差し控えさせていただきたいと存じます。
  59. 大塚耕平

    大塚耕平君 先ほど申し上げましたように、総数はともかくとして中身は私どもの分類に基づいていますので、例えば現在は国会議員や区長の方でも元都議であれば元都議の方に入っておりますので、金融庁の分類とはちょっと違うかもしれませんが、こういう数字になっているというふうに私どもは認識をしております。  その上で大臣にお伺いしたいんですが、大臣よろしいでしょうか。地方公共団体が主要株主の金融機関という日本で唯一のこのビジネスモデル、つくってみたところ、やや、やはり主要株主である地方公共団体の議会関係者の言わば融資仲介が多くなり過ぎるという傾向があるというふうにお感じですか。
  60. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今答弁がございましたように、日本で唯一とも言っていい自治体が主要株主になっている金融機関ですから、実質的なオーナーは都民の皆さんであり、そしてそれを代表している都の関係者あるいは都議会その他の皆様方ということになれば、我々の金融機関という意識が他の金融機関よりも強くなるということは、これは、何と言ったらいいんでしょう、やむを得ないと言っても怒られますし、自然と言っても怒られますし、そういう気持ちも起こるのかなというふうに感じております。
  61. 大塚耕平

    大塚耕平君 やはり都議、元都議、政治家の皆さんが困っている都民の皆さんから、なかなか例えば審査が進まない、あるいはどこに行ったらいいか分からないから窓口を教えてほしいとか、そういうことに対して真摯に対応するということも恐らくこの件数の中に入り込んでしまっていると思いますので、そういうものすべてについてとやかく申し上げるつもりはありませんが、もしそのことによって不正な利得を得ているというようなことがあれば問題ですし、出資法に抵触するというようなこともありますし、議員の方々ではないですが、俗に言うブローカーと言われる皆さんがもう逮捕されているということもありますので、やはりこのビジネスモデルは大いに問題があると。ただし、なぜ問題があるかといえば、先ほど申し上げましたように、主要株主である地方公共団体が適切な管理監督を行っていないということに最大の問題があるというふうに考えております。  そこで、都議会でも随分御議論なさったと思うんですが、今年の三月の四百億の追加出資を経て実は金融監理室というのが都に設置されたわけでありますが、この金融監理室というのは何人で何を行っているか、金融庁に一応調べていただいていると思いますので、お答えください。
  62. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) お答えいたします。  東京都によりますと、金融監理室は十二名の体制であると承知しております。この金融監理室の所掌でございますが、東京都の産業労働局で作成しております平成二十年度版の事務概要によりますと、新銀行東京の経営監視及び支援を行うこととされていると承知しております。
  63. 大塚耕平

    大塚耕平君 先般、私どもは都庁に行きましてこの監理室の皆さんと議論をしましたが、私たちは新銀行東京のことは一切知らない、中身は知らない、監督する立場にない、こういう答弁に終始しているんですよ。そうすると、この監理室は一体何のために設置をしたのかと。  また、都議会の附帯決議には、今年の三月のときでありますが、都は新銀行東京が今回追加出資する四百億円の資本を毀損させることのないよう適切な監視に努める、都は新銀行東京の再建計画が円滑かつ効果的に実行されるよう体制を整備すること、具体的に新銀行東京の経営の支援及び監視のための専門組織を設けると書いてあって、この附帯決議に基づいてできたのがこの金融監理室なんですが、聞きに行ったら、私たちは新銀行東京の中身については何も分からないし、監督する立場にはないと言っているわけですね。  これは、こういう地方公共団体の実情であれば、日本金融システム全体を守る金融庁としてはこの金融機関に対しては適切な対応をなされるべきだというふうに私は思っておりますし、かかる状況になっている金融機関をこの金融機能強化法の対象に加えるというような判断をもしこの国会がするということであれば、国会の見識が疑われるというふうに私は思っております。  そして、今のこの融資の仲介の中に実は、議員の皆さんはそれぞれ不当な不正なことをしないという範囲で真摯に都民の皆さんに対応するということで、あとはここは警察等の判断に任せるべきだと思うんですが、この都庁・新銀行東京関係者六十一件というここの方が私は問題だと思っているんですね。  例えば、これは質問しません、多分何もお答えになれないと思いますので、一応お伝えしますが、平成十七年四月ごろ、当時の副知事は売上げが全く立っていない企業融資仲介を行っていると聞いております。平成十八年一月ごろには、当時の港湾局長は資本金が数万円程度しかない企業融資仲介を行ったと聞いております。これが実際に行われたかどうかというところまでは確認をしておりません。  こういう状況なんですが、この六十一件の中で最も多い関係者はどなただというふうに金融庁は認識していますか。
  64. 畑中龍太郎

    政府参考人畑中龍太郎君) お答えを申し上げます。  個別金融機関に係る事実関係につきましては、従来からお答えを差し控えさせていただいているところでございまして、これは、そういうことをお答えを申し上げますと、この当該金融機関の取引先の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある、あるいは将来の私どもの検査一般におきまして正確な事実の把握を困難にするなど検査の実効性を損ねるおそれがある、あるいはこの対象金融機関を深刻な風評リスクにさらすおそれがあり、また、場合によってはこの金融機関に多大な影響を及ぼし、金融情勢全般に不測の影響を与える等々の問題がありまして、是非、円滑でかつ実効性のある検査を行うという観点から、御理解をいただきたいと存じます。
  65. 大塚耕平

    大塚耕平君 金融庁は検査にも入っておられるわけですし、これから更に監督もするわけでありましょうし、もちろん一義的には都庁が責任を持っているわけでありますが、私どもが聞き及んでいる範囲では、六十一件のうちの半分以上、四十件近くは知事の政務担当秘書だというふうに聞いております。そのような理解で間違いないでしょうか。
  66. 畑中龍太郎

    政府参考人畑中龍太郎君) ただいまのお尋ねも個別の事案、計数についてのお尋ねでございますので、先ほど申し上げましたとおり、直接それに言及することは差し控えさせていただきたいわけでございますが、あくまでも一般論として申し上げますと、この金融機関が外部から融資の紹介を多数受けたというような場合には、例えば紹介により融資審査の適切性がゆがめられていないかといった信用リスクの管理態勢でありますとか、顧客保護の管理態勢について適切な検証を行っているところでございます。
  67. 大塚耕平

    大塚耕平君 いずれにいたしましても、この問題は、新銀行東京が来年三月決算をどのような形で迎えるか、あるいはまだこれから九月決算の内容もいろいろ精査をされるわけでありますし、しっかり関心を持って対応をさせていただきたいと思いますが、私ども民主党といたしましては、新銀行東京をこの法案の対象とすることにはなかなか賛同できないと思っております。また、万が一、新銀行東京の経営が金融システム全体に影響を与えることになっても、それは東京都がまずどのような対応をするかをお考えになり、東京都が自力で何とかできないというときに東京都と国の間において議論をするという形において解決できる問題でありますので、この法案の対象とする合理性はないものというふうに考えております。  最後になりますが、もう一枚資料をお配りさせていただきました。  実は、こういう経緯でございますので、今日、東京都の産業労働局長においでいただきたいというふうに昨日、申出をいたしました。そもそもこの新銀行東京の実態を聞かせていただきたいということもありますが、この産業労働局長、現在の産業労働局長が御就任になってからも産業労働局として二件の融資仲介を行っておりますから、これ局長が知っているわけでありますね。そういうお立場の方でありますから是非来ていただきたいと思ったんですが、以下のような経緯になったことを御報告を申し上げます。  昨日、委員部を通じて労働局長参考人として出席要請を伝えましたが、労働局長は多摩で公務があるため出席できない旨、委員部を通じて連絡をしてまいりました。産業労働局長対応できない場合には、副知事あるいは金融監理室長、監理課長、金融支援担当部長等、他の関係者の出席を委員部を通じて改めて要請をいたしましたが、東京都からは、要請された四人のうち二名は他の公務、二名は産業労働局長に同行するためいずれも出席できない旨、連絡がありました。  委員部経由で、産業労働局長ほか関係者全員がなぜ今日出席できないのか公務の内容等を開示してほしいと要請をいたしましたが、委員部に対しては、公務の内容等についても参考人としての正式の出席要請がないと開示できない旨、連絡がありました。  そして、この委員会の与党の筆頭理事である椎名先生にも御理解をいただいて、椎名先生からも委員部経由で参考人としての出席要請を行いましたものの、今まで申し上げた内容と同様の理由と展開により出席要請を謝絶されました。  産業労働局長と直接電話で話がしたい旨、私からお電話をさせていただいたところ、産業労働局総務部担当者は、局長は十七時ごろ席に戻るが、すぐに外出するので電話で会話する余裕はないというふうな説明を受けました。そして、担当者に改めて電話をいたしまして、十七時ごろ局長から電話をしてくれと要請を丁寧にさせていただきました。あわせて、総務部総務課長と話をしたい旨、伝えますと、総務課長は電話中ということで、総務課長にも後で電話をしてほしいとお願いをしましたところ、約二時間たってから総務課長、産業労働局長からそれぞれ電話があり、今後の参考人としての出席要請の可能性をお伝えいたしました。  その際、今日この場に出席されることは知事に止められたのかと質問をしたところ、知事には本日は相談していないし指示も受けていないとおっしゃいまして、また私の方から、今後も参考人としての出席要請をする可能性があるのでよろしく対応願いたいと申し上げましたところ、知事がまず銀行関係者からと述べているのでそういうことかと思うというふうに産業労働局長はおっしゃいました。  以上、この委員会のこれは言わば権威にかかわる問題でありますので、与党の先生方にも御報告をさせていただきます。  そして、都庁の関係者は、いわゆる参考人質疑意見陳述を聴いて行う参考人質疑と、通常のこういう委員会参考人として来ていただく、それはどうしても前の日とか前の前の日ぐらいに急にお願いすることになりますので、そのことと随分混同をして考えておられるようでありますので、与党の先生方におかれても、当委員会に前の日ないしは前の前の日ぐらいに急に委員会の日程が決まってお招きすることがあるかもしれないということを東京都の関係者にもしっかりお伝えいただくようお願いを申し上げまして、今日の私の質問を終わらせていただきます。  そして、済みません、最後に、東京都知事には、是非この委員会においでいただいて最高責任者としての御意見を拝聴したいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  68. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 おはようございます。民主党の尾立でございます。引き続いて、金融機能強化法に関して質問させていただきたいと思います。  まず、中川大臣、非常に世界的な金融危機の中、二十四時間、本当に寝る暇もなく多分御対応されていること、心からの敬意を表したいと思います。  そんな中ではございますが、息抜きも必要だということで、この前プロアマのテニス大会で優勝されたと。おめでとうございます。知事とも非常にプレーをされるということでございますので、またこの場でいろいろ議論、やり取りをさせていただきたいと思いますが、今日は、新銀行東京、こちらに限って議論をさせていただくことになっております。  また、都議会の議員の皆様も傍聴に来られております。この二月、三月議会で随分この議論をされたとは思いますが、まだその当時は明らかになっていなかったことが多々ございましたので、今日ちょっと細かい論点に入るかと思いますが、そういう意味でございますのでよろしくお願いいたします。  まず、参議院には衆議院での附帯決議付きの法案が送られてまいりました。今、大塚委員からも質問がございました地方公共団体が支配株主となっている金融機関についての責任でございます。  どういう附帯決議かといいますと、改めて申し上げますと、地方公共団体が支配株主となっている金融機関については、支配株主である公共団体がその資本の充実について一義的に責任を持つこととする、こういうことでございますが、金融庁、これに対して金融庁の見解をまずお聞かせいただきたいと思います。
  69. 内藤純一

    政府参考人(内藤純一君) お答えいたします。  一般論でございますが、金融機能強化法に基づき資本参加する際には、国は経営強化計画の履行や公的資本の返済などを確保する観点から対象金融機関に対して関与を行うこととなっております。これらは、主要株主への監督権を介して行われるものではございませんで、金融機関に対する監督上の措置として行われるものでございます。このような金融機能強化法の枠組みにかんがみますと、地方公共団体を主要株主とする金融機関が国の資本参加の対象となることを制度上当然に排除するものではないと考えております。  いずれにせよ、衆議院における御指摘の附帯決議ということも踏まえながら、制度の適切な、成立しますれば、当然のことながら適切な運用に努めてまいりたいというふうに考えております。
  70. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 この衆議院の附帯決議があったわけですけれども、今おっしゃった見解というのは、この附帯決議がなされる前からそもそもそういう金融庁のお考えだったのか、この附帯決議がなされたからこのようなお考えになったのか、その点を明確にしていただきたいと思います。すなわち、議会でこれは議決をしたものでございますから、そのビフォーとアフターといいますか、そこをはっきりさせていただきたいと思います。
  71. 内藤純一

    政府参考人(内藤純一君) 委員御指摘のこの附帯決議でございますが、ここにおきまして、地方公共団体が支配株主となっている金融機関については、支配株主である公共団体がその資本の充実について一義的に責任を持つこととすることと、こう書かれております。  衆議院委員会におきます附帯決議の際に、大臣からも答弁をいたしまして、この点について配慮をしていくこととしたいというふうに申し上げたことでございまして、私どもとしてもこの点について今後配慮をしていきたいというふうに考えております。
  72. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 済みません、ちょっと理解ができなかったんですが、元々当初からそういう考えだったのか、この議決後にそういう考えになったのか、もう一回明確に。
  73. 内藤純一

    政府参考人(内藤純一君) 私ども、この金融機能強化法案を御提案する際には、銀行法上の銀行というものについては基本的に同列に当然ながら考えておりまして、この申請があればそれに適切に、適切な申請であればそれを認めて、そして資本参加をしていく、こういう枠組みでございます。  その中で、衆議院の御議論がございまして、御検討がございまして、その上でこういう附帯決議が付せられたということで、今後につきましてはこれを尊重といいますか、配慮をして対応していくという趣旨でございます。
  74. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 じゃ、この附帯決議があった後、新銀行東京がまさに追加出資をしなければならないような状況になったときには、まず都が追加出資すべきだという、こういうスタンスになったということでよろしいですね。
  75. 内藤純一

    政府参考人(内藤純一君) 新たに変わったということを申し上げるのが適切かどうかということはございますけれども、この附帯決議につきましては幾つかの論点がございまして、幾つかの論点、この点、新銀行東京、地方公共団体が主要株主である銀行の場合のほか、幾つかの論点がございます。この附帯決議全体について、私どもとしてはこの点を尊重し、配慮してまいりたいということでございます。
  76. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 なぜくどくどお聞きしているかというと、この新銀行をつくったときに、石原知事が当初、都の出資の範囲でのみ責任を有するというふうにおっしゃっているもので、最初から今附帯決議のようなお考えであれば、金融庁が、知事の言っていることと金融庁の考え方が違うなと、そのことをお聞きしたかったので、くどくど聞いたわけでございます。  ということは、附帯決議によって金融庁の考え方も、変わったという言い方がどうなのか分かりませんが、補強されたということと理解しました。もし異論があれば言っていただきたいと思いますが。  次に、皆さんのお手元にお配りをさせていただいております新聞記事でございます。ショッキングな見出しが付いておりますが、石原銀行に税金は不要という与謝野大臣発言でございます。ちょっと、大事でございますので発言部分を読ませていただきたいと思います。傍線を引いたところでございます。  この法案の趣旨は、貸し渋り防止のために健全行に資本増強することです。貸出先を守るのが法の趣旨です。しかし、新銀行東京はビジネスモデルが成り立っていない。これ以上資本増強をして貸出しを増やすことよりも、何もしないで立ち枯れにした方がいいと。融資枠を絞り、縮小均衡に持っていく。資本増強して貸出しを増やしたところでけがが大きくなるだけです。法案で個別の銀行を排除することはできませんし、個別の銀行のことで議論するべきではありませんが、新銀行東京は強化法の対象ではないと思いますと。  これは我々と全く同じ考えで、本来お呼びしたかったんですが、私の手続ミスで今日には間に合わなかったんでまた改めてお聞きをしたいと思いますが、まさに与謝野大臣は的確な御指摘をされている、また発言をされていると私は思っております。  まず、ビジネスモデルとして成り立っていないという、ここが大事なんですね。ここを少し検証させていただきたいと思います。  私がいろんな資料で調べましたところ、この新銀行東京の設立趣旨というのは都内の中小企業にまず融資するということで始められたと思いますが、実態はどうだったかということで、平成十九年の十二月でございますが、都内じゃなくて都外の企業が件数ベースで二一・二%あったと。また、中小企業に絞られていたのかというと、大企業に対して金額ベースで四八%ということで、最初からビジネスモデルどおりにこれはやっていないんじゃないかということをまず御指摘をさせていただきたいと思います。  さらに、この四月から始まりました再生計画案でも年間七百億の融資残高を確保していくということなんですけれども、その中身がひどいものでございまして、本来の中小企業向けの融資というものは七百億のうちたったの二百億、たったの二百億、三〇%ぐらい。一番最初に書いてあるのがファンド投資と。さっき大塚さんがおっしゃったようなファンド投資とか、こんなことに二百億等々ということで、そもそももう設立の当初の目的からは乖離しているということを指摘したいと思います。  それで、こういうファンドに、ベンチャーキャピタル的な話になるわけですけれども、本当にそれで収益が安定的に見込めるのか、千三つの世界とも言われるベンチャーキャピタルの支援、本当にこういうことで収益が上がるのかと、甚だ私は経験からいって疑問だと思っております。  そしてまた、今年の七月に終わりました金融庁の検査でも収益面に問題があると、こういう報道がございまして、金融庁自身もビジネスモデルに問題があることはもう明らかだと、こういうふうに言っておるわけでございます。  そしてまた、この金融庁の検査の中で、報道によりますと、当期の、平成二十年度の当期純利益が百二十六億のマイナスということだったんですけれども、この新銀行東京が予想しておりますデフォルト、貸倒れがもっと本当はたくさんで、追加で百億ぐらいの引き当てをしなければならないだろうと、こういうことまで報道をされている状況でございます。  先ほども大塚議員がお話しされました三月議会で、都議会で、自民党と公明党が四百億円が毀損されないよう都は適切な監視に努めると、こういう附帯決議を条件に賛成された、これは議事録で当然確認しておりますけれども、そういう意味で、もう既にこの都の新しい出資が毀損されるのではないかという状況がこの二十年度の末の決算で予想され得る、そういう状況になっているということでございます。  そんないろいろ指摘をすると切りがないわけでございますが、こういう状況、まさにこのことを与謝野さんは適切、的確に言い当てていらっしゃるんだなと私は思っております。その見識を非常に高く私は評価をさせていただきたいと思います。  それでは次に、金融庁と日銀の責任について話をさせていただきたいと思います。  まず、新銀行東京の経営について、金融庁、日銀はどの程度経営状態を把握していたのか、どのような情報をどれぐらい頻度で報告を受けていたのか、金融庁、日銀、それぞれにお答えをしていただきたいと思います。
  77. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) お答えいたします。  銀行監督に当たりましては、報告の提出やヒアリング等の監督上のモニタリングや立入検査によりまして監督対象行の財務状況リスク管理態勢などの把握に努めているところでございます。新銀行東京につきましても、このような監督上の対応を行ってきたところでございます。  当行との間の具体的なやり取りにつきましては、個別銀行に関する事柄であり詳細は差し控えたいと存じますが、このような監督上の対応を行ってきたということを御理解賜りたいと存じます。
  78. 山本謙三

    参考人山本謙三君) まず一般論として申し上げますと、日本銀行では取引先の金融機関の動向に関しましては、日々の資金繰り状況を把握いたしますとともに、あるいは預金貸出しの動向あるいは決算の動向、そうしたものを定例的に報告を受けることとなっております。また、適宜のタイミングで考査も実施するということでございます。  個別金融機関に関する具体的な内容についてはお答えを差し控えさせていただきますが、今申し上げましたモニタリングあるいは考査の枠組みにつきましては、新銀行東京に対しましても他の取引先の金融機関と同様に実施してまいってきているところでございます。  なお、新銀行東京に対しましては、昨年、二〇〇七年二月から三月にかけて考査を実施し、四月に考査結果を伝達したところでございます。
  79. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 ちょっともう一度お聞きしたいんですが、金融庁、日銀。経営情報の報告義務というのが規定されているのか、例えば四か月に一回とか三か月に一回とか。そこだけ、まず定期的なものが規定されているのかどうかだけお答えいただけますか、お二方とも。
  80. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 私どもといたしましては、様々な形で情報を収集しますとともに、決算の段階でのヒアリング等、定期的なそういったヒアリングを行っているところでございます。
  81. 山本謙三

    参考人山本謙三君) 私ども、当座預金取引先との間の契約に基づきまして定期的な報告を受けているということでございます。
  82. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 頻度は。
  83. 山本謙三

    参考人山本謙三君) 適宜の頻度でございます。
  84. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 金融庁は少なくとも一年に一回はきちっと正式なものを受けていらっしゃるということだと思いますが、報道によりますと、金融庁も適宜な、必要に応じてということで報告命令を下されておりますよね、平成十八年十二月下旬。そして、翌年、十九年の一月下旬までには経営状況の報告をするようにと、こういうことだと承知しております。  また、それだけではございません。内部からも様々な今日まで情報が寄せられていると聞いております。金融庁の検査情報受付窓口に新銀行東京の行員などから情報提供が寄せられたと聞いております。また、与信業務に関する問題点や、執行役が関与した案件で詐欺の疑いがあると行内でうわさされているなどの具体的な情報提供が平成十九年の時点であったと聞いております。  まずその事実、多分答えられないと思うんですけれども、こういうまず事実、お願いします。
  85. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 個別の銀行に対します個別のやり取りにつきましては、詳細を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、私ども、銀行監督に当たりましては、それぞれの事案に応じまして、必要に応じ報告を求める、あるいは定時のヒアリング等を行う等の対応に努めているところでございます。
  86. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 これも事実がどうなのかお答えいただけないので分からないんですけれども、なぜもっと金融庁は早く検査に入らなかったのか。入ったのが平成二十年の五月から七月ですよね。三年以上ほったらかしと。  この件について、大臣ですかね、金融庁、どちらでも結構ですけど、お答えください。
  87. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 私ども、従来から今まで申し上げたような監督対応に努めてきているところでございます。また、日銀さんの方でも日銀考査等も行っているところでございます。こういった形を通じまして、様々な形での実態の把握に努めているところでございます。
  88. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 三年間ほったらかしだったということでしょう。  それでは、日銀考査、先ほど実施されたとお聞きいたしました。その結果については日銀と新銀行東京間で守秘義務契約が掛けられていると、こういう理解をしておりますが、そういう場合は、最大株主である東京都にも考査の結果は伝えられないというふうに理解してよろしいですか。
  89. 山本謙三

    参考人山本謙三君) 日本銀行が行います個別金融機関に対する考査というのは、金融機関の経営状態を的確に把握し、リスク管理の改善あるいは経営の健全性維持を促すために実施しているものでございます。  したがって、考査の結果は金融機関の経営陣以外の第三者には開示しない扱いというのを原則としておりまして、単に大株主であることだけをもって例外的な取扱いを行うということではございません。
  90. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 まず、原則だということは、もしその関係者、大株主でしょうか、そういう方から要請があれば、両者が合意であれば出せるということですか。
  91. 山本謙三

    参考人山本謙三君) 例えば、銀行持ち株会社など、考査の結果を開示することによってその金融機関リスク管理や経営管理などに特に資すると判断される場合に限ってはこれを認めることがございます。ただ、その場合でも、考査結果の開示先に対して厳格な守秘義務が課されること、あるいは開示内容が必要不可欠な範囲に限定をされること、こういうことを前提としております。
  92. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 今のお答えですと、銀行持ち株会社、特殊な場合のみと、こういう理解でいいですね。
  93. 山本謙三

    参考人山本謙三君) 様々なケースがございますので、私ども、様々にそれぞれに検討しておりますが、仮に新銀行東京から東京都に対する開示の要請があった場合でも、今申し上げましたような観点に照らして慎重に判断せざるを得ないというふうに考えております。
  94. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 それでは、今回、東京都からは開示の要求ございましたですか。
  95. 山本謙三

    参考人山本謙三君) 現時点で開示の要請というのはないというふうに認識しております。  いずれにしましても、ただいま申し上げましたような観点に照らして慎重に判断せざるを得ないというふうに考えております。
  96. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 それでは、この検査結果の事実を知っているのは、内容を知っているのは当事者と日銀だけだということですよね。  しかしながら、おかしいんですよね、石原都知事が二〇〇八年三月二十五日の予算特別委員会で、日銀考査について次のように答弁されています。どういうことをおっしゃったか、これは議事録から取ってまいりました。  話題になりました日銀による考査というのは、これは十九年二月、三月の考査ですね、実は私は、都から報告を受けていましたが、横から聞いて、概略聞いておりました。よく分からないちょっと日本語なんですけれども。それが私の耳に横から入ってきましたけれども、当然都の幹部の人たちに伝わっていると思ったら、それは伝わっていなかったというのは、改めて驚きであります。まあ驚きたいのはこっちなんですけれども。  これをお聞きすると、どうやら石原都知事の耳に日銀考査の結果が入っていると、知っていたと、こういうふうに議事録から読めるんですが、いかがですか。
  97. 山本謙三

    参考人山本謙三君) 都知事の御発言の趣旨については承知しておりませんので、私からはお答え、差し控えたいと思います。  考査結果につきましては、私ども、日本銀行法及び考査契約におきまして厳格な守秘義務が定められておりまして、その閲覧についても厳重に管理しているところでございます。  先ほどの報道でございますけれども、私ども、その時点で念のため、新銀行東京の考査結果を知り得る立場にありました私ども役職員全員を対象に、考査結果に関する情報を第三者に伝えたことがなかったか、調査を行いました。その結果、新銀行東京の考査結果に関する情報を第三者に伝えた事実はなかったと。したがって、日本銀行の役職員に関して守秘義務違反はなかったと認識しております。
  98. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 もう私がお願いしようと思っていた調査は既にされたということなんですが、そうすると、石原知事が事実と異なることをおっしゃっているかもしれないということなんですよね。いずれにしても、ちょっと水掛け論で、まず議事録しっかり読んでくださいね。  それと、もう一つ、私自身としては石原知事の発言は重いと思っておりますので、是非この場に来て、石原知事からこの日銀考査の結果を日銀が都の幹部に知らせたということについての事実があるかないかをお聞きしたいと思いますので、是非参考人として来ていただきたいことを委員長に要求したいと思います。
  99. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまの提案につきましては、後刻理事会で協議をいたします。
  100. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 それでは、さらに、日銀考査、金融庁の検査、報道等で既に判明していることではございますが、改めて新銀行東京の経営のずさんさについてお話を進めたいと思います。  この新銀行が開業した当時、マスタープランというのがございまして、これに基づいて執行役、取締役が銀行経営をやっていたわけでございます。その中で、中小企業向け融資についての記述がございまして、三つございます。どんな融資をするか。一つは、スコアリングモデルを用いたポートフォリオ型というのが一つでございます。二つ目が、技術力などを審査する技術力・将来性重視型というのが二つ目。三つ目が地域金融機関と連携するシンジケート型ということなんですけれども、この中で技術力・将来性重視型融資というのがございまして、この計画と実績を見ましたところ、皆さんのお手元資料にございます資料の二ページ目、御覧ください。この技術力・将来性重視型融資の計画と実績でございます、十七年、十八年。計画では、初年度三百九十億やろうと思っていたんですが、結果は十三億五千八百万、十八年度は七百七十三億六千万、それが何と一億七千六百万。これは、パーセンテージで表すのも細かいぐらいの〇・二%なんですね、十八年度に至っては。ほとんどできていなかったと、こういうことでございます。  そこでお聞きしたいと思います。  平成二十年三月十日に出された新銀行東京調査委員会の調査報告書によりますと、まず、開業当初からデフォルト発生を容認したかのような常識を逸脱した業務執行と、その結果、甘い審査の下、融資を特に強化した期はデフォルト率が突出して高くなっているという、こういう指摘もございます。このほかにあると。  金融庁にお聞きしたいのは、このデフォルト率というのは同規模の銀行に比べてどの程度高いのか教えていただきたいんですが、ちなみに、平成十八年三月の新銀行東京のデフォルト率は二三%でございます。四人に一人が倒れちゃうと、こういうことなんですけど、教えてください。
  101. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 新銀行東京が本年三月に公表いたしました調査委員会調査報告書におきまして、御指摘の平成十八年三月期のデフォルト率に係る記述があると承知しております。  このデフォルト率二三%というのは、二つの要件、一つは、平成十八年三月の一か月間の中で実行した無担保、第三者保証なしの小口融資のうち、平成二十年一月時点において三か月以上延滞あるいは破綻などとなりました債務者の件数の比率であるとのことでございます。  これは他の銀行におきまして同様の定義に基づく計数は把握しておりませんので、三か月以上延滞等の債権あるいは回収や利息の受取ができない可能性の高い債権又は経営破綻に陥った債務に対する債権等が対象となる不良債権全体の比率を見ますと、新銀行東京が一二・七%であるのに対しまして、第二地方銀行の平均が四・三%、信用金庫の平均が六・四%となっているところでございます。
  102. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 そのようなデフォルト率だというのはよく分かりました。  このマスタープランでもデフォルト率というのを一応想定をされておりまして、中小企業融資・保証のみという部分を、第一期は六%、第二期は四・八%、三期は四・二%ということなんですけれども、全然違うわけですね、これと。  それで、このことを当時の監査法人トーマツは指摘をしております。平成十八年九月中間決算時にデフォルトの実績と想定デフォルト率というのが乖離している、非常に違っているので、想定デフォルト率を使用した中間決算を対象とする中間監査はできない旨、代表執行役に口頭で申し入れております。それが資料の四ページ目でございます。丸五のところですね、下線が引いておるところです。  そうすると、驚いたことに、この代表執行役からは、中間期については想定デフォルト率に基づく引き当てで決算を行うと、だから中間監査報告書は要りませんと。要は認めてもらえないんだったら中間監査はやってもらわなくていいと、こういう回答をしておるということなんです。  会社法上、中間監査報告書までは求められていないんですけれども、これは経営者の責任またディスクロージャーの適正性という意味から私は非常に問題があると思っておりますけれども、金融庁の見解、この件についてはどのように、こういうことが行われているんでしょうか、他の銀行等では。
  103. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 金融庁といたしましては、金融機関が償却、引き当てを行うに当たりましては、その時点で入手可能な情報に基づきまして適正な償却、引き当てを行うことが重要であると認識しているところでございます。  一般論として申し上げますと、金融機関の決算は金融機関が自己責任で作成すべきものでございますが、私どもといたしましては、当該決算の状況財務上の課題につきまして、金融機関より報告の提出を受けたりヒアリングを実施するなど、状況の把握に努めているところでございます。  なお、当行におきましては、会社法上、会計監査人による監査が必要な平成十九年三月期年度決算以降は実績デフォルト率を使用しているものと承知しております。
  104. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 もう一度お伺いしますが、想定デフォルト率で決算をやっていたということは、本決算をやっていたのはあるんですか。
  105. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 平成十九年三月期決算以降は実績デフォルト率を使用しているものと承知しております。
  106. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 そうすると、十七年、十八年は想定でやっていて、それは、金融庁さん、オーケーしていたわけですね。
  107. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 創業当初でございますと、なかなか実績というものが積み上がらないという、そういう実態はあろうかと思います。したがいまして、そういった実態が積み上がりました段階でこのような形になっていると承知しております。
  108. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 少なくとも二年目はもう実際の結果が出ていると思うんですけれども、これは、他の委員からもございましたように、要は利益を多く見せる粉飾なわけですよね。この点からも私は、非常に今回の新銀行の経営は、経営陣まずいなと思っております。  さらに、監査法人も今年交代されていますよね、監査法人トーマツから個人の会計事務所に。ホームページで見ると、会計士さんは二人しか、御本人ともう一人しかいない、二人の会計士さんでやっていらっしゃるところです。通常、監査法人の交代というのは、これは信用の低下というものも引き起こします。同格の、ある意味ですね、大法人、大法人ならまだしも、大法人が引き受けない個人会計事務所に行くような場合は、これは相当危ないというふうに見られるわけです。そういう意味からも注意は必要だと思います。  さらに、取締役、執行役の交代、これは最後のページに出ておりますが、この開業から今日に至るまでおびただしい数の人たちが取締役、執行役の入替えによってチェンジ、チェンジです、チェンジ。これでは腰の据わった経営は私はできないんじゃないかと思うんです。この特に……
  109. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 時間が過ぎておりますので、まとめてください。
  110. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 はい。  特に最初の経営者、経営陣を選んだ責任というのはだれにあるんですか。これは、金融庁、質問しておりませんが、だれにあるかだけお答えください。
  111. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 最初の役員の選任でございますが、これは平成十六年四月になるかと思いますが、新銀行東京の株主総会におきまして、新銀行東京への商号変更を行うときに取締役の選任が行われたものと承知しております。
  112. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 それでは最後に、今るる申し上げてきました、非常に経営の実態が分からない、またいいかげん、ずさんと、こういうことが出てきたと思います。更にもっと言いたいこともあるんですけれども、もう時間がございませんのでこれぐらいにしますが、このままこの新銀行東京を金融機能強化法の対象になり、仮に公的資金が投入されると、ずさんな経営の後始末に我々国民の貴重な税金が更に費やされることになりかねません。  まずは、どこからどこまでが新銀行のずさんな経営による損失か、はっきりさせる必要があると思いますので、そのために資料要求、国政調査権として、金融庁による新銀行東京の検査報告書の提出を委員会お願いをしたいと思います。委員長、よろしくお願いします。
  113. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまの提案につきましても、後刻理事会で協議いたします。
  114. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 終わります。
  115. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 午後一時十分から再開することとしますが、ただいま民主党質問時間が七分、約六分半実は延びておりますので、これは大久保委員の質問の中で調整をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  それでは休憩いたします。    午後零時十一分休憩      ─────・─────    午後一時十分開会
  116. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、金融機能強化のための特別措置に関する法律及び金融機関等組織編成促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案及び保険業法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  117. 大久保勉

    ○大久保勉君 民主党の大久保勉です。  まずは中川大臣質問したいと思います。  金融機能強化法の想定する金額は幾らであるか、また増額するとしましたらどのような手続が必要か、この点を質問したいと思います。あわせまして、資本投入を行う場合に合計何行に平均どのくらい資本を投入するか、こういったアイデアがもしありましたら御説明願いたいと思います。
  118. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 金融機能強化法は、もう午前中も申し上げました、また御議論もございましたとおり、健全な金融システムの下での健全な金融機関に対しまして一定のルールの下で資本参加を望み、そして審査等を行った上で資本参加を行うものでございます。  この目的は、世界的な金融経済情勢の中で、何としても日本経済、とりわけ地方、中小企業の必要な資金を円滑に供給をする……
  119. 大久保勉

    ○大久保勉君 簡潔にお願いします。
  120. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) ということが目的でございます。そういう定性的な面がポイントでございまして、定量的には現在どのぐらいということは考えておりません。
  121. 大久保勉

    ○大久保勉君 大臣、済みません、質問は多数準備しておりますので、聞いていることを是非答えてください。  最初の質問といいますのは、金融機能強化法幾ら金額を想定しているんですか、そして増額するためにはどうすればいいのか、増額する場合はどういう手続が必要か、そのことを聞いているんです。
  122. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) どのぐらい必要かということは、先ほど申し上げたように、定量的には現在考えておりません。  それから、現在二兆円あることは御承知だと思いますが、仮にそれを増やす場合には、政令等に基づいて、そして予算総則に基づいて数字を増やすということになります。
  123. 大久保勉

    ○大久保勉君 金額がはっきりしなかった場合に、こういった法案を果たして審議してもいいんでしょうかね。具体的な数字がないと、こういった法案国民の税金を投入するんです、そこはきっちり話をしてもらいたいと思います。実際にこの法令を読みましたら二兆円という数字は出ていますし、また閣僚の一部からは十兆円という話が出ています。こういったことを踏まえて是非話をしてもらいたいと思います。  じゃ、次に行きます。  制度の趣旨としまして、中小金融に円滑化するためには多くの金融機関に幅広く出す必要があると思いますが、私は、もし二兆円としましたら、上限金額を一〇%、こういうふうに決めた方がいいんじゃないかと思います。といいますのは、二兆円の中でメガバンク若しくはどこかに一兆円出してしまいましたら、中小企業金融に資するということに関して趣旨と違ってくると思います。このことに対して大臣自らの考えを聞きたいと思います。
  124. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 二兆円というのは、今法律の期限が切れておりますけれども、しかし、二兆円が現在残っているという意味で二兆円でございます。幾らにするかについては決めておりません。  それから、上限を設けるかどうかも、あくまでもこれは目的、さっき途中でしゃべるなと言われましたからやめましたけれども、そういう目的に沿うというために何が、どういう形が必要なのかということをこの御議論を通じて詰めていきたいというふうに考えております。
  125. 大久保勉

    ○大久保勉君 私はずっと金融世界におりましたが、どのくらいお金を出すかも分からなくて法案を審議しろといいましても非常に正確性を欠くと思います。もし二兆円の資金を急に十兆円にしたとします、予算措置で。それで、五兆円とかその半分を一行に出しましたら、恐らくは中小企業円滑化のための法律ではなくて、ある銀行の救済になってしまいます。ですから趣旨が全く違ってくるんですよね。この点を是非確かめたいわけです。ですから、大臣自身がそういった考えがないということでしたら、この法案は果たして今審議していいかどうか分からないような話です。  大臣自らの、私の意見に対する見識若しくは考えを聞きたいと思います。
  126. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私も金融機関におりましたので、今の日本の中小企業経済活性化のために必要な資金をきちっと用意をさせていただくと。他方、余り積み過ぎると、何、日本金融システムあるいは資金ショートはこんなにあるのかという不安をあおるということも逆の意味考えていかなければいけないというふうに考えております。
  127. 大久保勉

    ○大久保勉君 分かりました。非常に抽象的な禅問答になりましたので、また別の観点で質問して掘り下げていきたいと思います。  まず、中小企業融資促進のための資本投入でありましたら、当然ながら自己資本比率の高い銀行に貸した方が中小企業融資としては金額が増えると思います。でしたら、自己資本比率の高い金融機関に対して借りてもらうインセンティブを是非とも付けるべきであると考えますが、一つの例としましては、例えば優先出資証券の金利は市場よりも極めて低くし、中小企業お金を出した優良銀行が借りやすくする、そういったことを考えますが、中川大臣、こういったことに対してどう思われますか。
  128. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 優良な、健全な金融機関により必要な資金を供給するという御趣旨は私も同感でございます。そのときに、どういう形になるか。いずれにせよ、配当若しくは金利ということになるんだろうと思いますけれども、資金コストをできるだけ借りる方は少なくしたいという希望があることも我々も承知をしております。
  129. 大久保勉

    ○大久保勉君 承知をしていますが、あなたはどうします。つまり、金融機関が借りたくないと、優良な金融機関は借りたくなくて、中小企業お金が出ないと。そのために、もしこの法律の趣旨が中小企業お金を出すためでしたら、BIS規制が八%以上の金融機関に対してお金を仮に一千億出しましたら、場合によっては十二・五倍の一兆二千五百億、新たな融資ができる可能性がありますよね。そうしたらこの趣旨に合っていますよね。そのために、どうして優良金融、いわゆる自己資本比率の高い金融機関に借りてもらうかです。  私は、銀行の方たちと話をしましたら、この制度を本当に使うためには、何らかのインセンティブがないと絶対使いたくないと、そういったことを聞いていますから、大臣の見識を聞きたいと思います。
  130. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) この制度のインセンティブというのは、ある金融機関地域、とりわけ、地域と私は何回も先ほどから言っておりますけれども、地域の中小企業に対してより資金ニーズにこたえるために、自己資本比率の充実によって更に資金供給ができるという借り手側あるいは貸し手側のニーズにこたえるためにこの制度がお役に立つ、つまりインセンティブになるというふうに考えております。
  131. 大久保勉

    ○大久保勉君 これまでの議論で大体分かったと思いますが、大臣は、どのくらいのお金を投入するのか、どこに投入するかというのはほとんどおっしゃられませんでした。つまり、私は、何かを隠しているんじゃないのかな、そういうふうに思えまして、その観点から、次に農林中金及びJAグループに関して質問したいと思います。  実際、農林中金はこういったディスクロージャー誌を出しておりまして、私は一つ一つ読みました。  まず、頭の整理のために簡単な質問をしますが、農林中金の資産総額のうち、中小企業融資の貸出比率は何%か、また、総資産に占める市場運用の比率はどのくらいか。これは前の大塚先生が指摘したことなんですが、実は中小企業融資は一・三%、また市場運用は七〇%です。また、四十四兆円のうち海外で運用している資産は六六%です。  ですから、ほとんど中小企業と縁のない金融機関と私は思いますが、大臣認識を確認したいと思います。
  132. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) BIS規制というもの、八%、四%というものがございますが、議論になっておりますように、四%を超えるか超えないかで衆議院でもいろいろ御議論がございました。経営責任の問題が修正にも入ってまいりました。そういう意味でBIS規制というものが、特に国際基準行についてはこれは関係してくるわけでありますけれども、とにかくいろいろなルールあるいは法制度を前提にして必要な資金ニーズを供給するというのがこの法律案目的でございます。
  133. 大久保勉

    ○大久保勉君 質問内容がちょっと違うと思いますが、分かりやすいように質問項目の二の四つ目の質問をしますから、是非そこを見てください。  まず、農林中金に関しまして、実はディスクロージャー誌で一つ一つ見ていきました。そこで、お配りした資料の二ページ、三ページ、四ページを見てください。  これは、国が公的資本を入れる場合には投資するのと同じですから、ちゃんと資金が返ってくるかどうか、そのことを検証するために農林中金の資産内容一つ一つ見ていきました。その中で十分に分からないものがありましたし、また、もしかしたらリスクがあるんじゃないのというところを一つ一つ見ていきまして、金融庁にお聞きして返ってきたものです。  前提としましては、金融庁自身はこのディスクロージャーに書いてある以上のことはお伝えすることはできない、これは当然です。私が言ったのは、こういった項目が一般的には問題だと思われると。ですから、一つ一つ金融庁は見ているんでしょうかと。また、今回の資本の投入に対しましては、こういったことを確認した上でお金を出してくださいよと。そうしないと、もしかしたら中小企業お金が回るんではなくて、場合によっては投資の損失に回ってしまう可能性がある。ですからきっちりやってくださいということでこういった質問をしました。  詳細に関しては述べませんが、例えば、有価証券で八・九兆円の国債がありますが、そのうち変動利付国債がどの程度保有されているのか。これは今年の三月末から現在、物によっては一〇%以上値下がりしているものがありますから、国債といってももしかしたら大きな損を抱えている可能性がありますから、こういったものを確認した方がいいんじゃないでしょうかと。また、外債の投資金額が十四・二兆円あります。為替リスクがあるんでしょうか、ないんでしょうか。こういったことを聞いておりますし、CDOといいますのは今大変な問題になっていますが、どのくらい持っているんでしょうか。また、評価方法はどうでしょうかということで、一つ一つ確認しております。  例えば、四ページを御覧ください。これは、FTといいますのはファイナンシャル・タイムズ、イギリスの経済紙なんですが、そちらによりますと、これは今年の八月二十六日の記事なんですが、農林中金はCDOや資産担保証券を含む証券化商品に次の一年から二年で少なくとも六兆円程度投資をすると。つまり、二年間で六兆円も更に買い増しをするという記事が出ていました。八月の段階でそういったことを言って、九月にリーマンショックでかなり市場は暴落している状況です。  まず質問したいことは、金融庁はこういったことに関して、きっちり内容理解して公的資金の投入をする場合には判断をするか、このことに関して金融庁に確認したいと思います。
  134. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 農林中金を含めまして、金融機関の運用状況につきましては、検査や各金融機関からの報告などを通じましてその把握に努めているところでございます。私どもは、常日ごろの検査監督におきましてこのような努力をしているところでございます。  一方で、この法律に基づく審査が行われました場合には、その段階におきましてまた更に償還可能性とかそういったことも個別に審査の上で判断されることになるものでございます。
  135. 大久保勉

    ○大久保勉君 僕自身は今回、農林中金及びJAグループに対する投入ということが新たに法律に追加されていますから、この法案を作る際に、果たして農林中金は投資によってどの程度のリスクがあるのか、中小企業融資お金が回るのか、こういったことをまず審査して法律を作るべきだと考えるんですよね。実際そういったことは検討されたんでしょうか、金融庁さんに聞きます。
  136. 内藤純一

    政府参考人(内藤純一君) 法案におきましては、金融機関地域金融、あるいはまた中小企業金融というものに対する貢献度といいますか、そういったものを勘案しながら経営計画を出していただきまして、それに基づいて審査をしていくというのがまず第一のルートでございます。  そして、今回の法案におきまして新設いたしました制度がございます。これは協同組織中央機関に対して資本参加をいたします。協同組織金融機関の相互支援制度というようなものは現在行われておりますけれども、これを更に強化をし、また支援をしていくという観点で、地域金融強化を図るという目的、あるいはまた協同組織金融機関の経営の安定化、資本の増強という観点からこういう新しい制度を設けましたので、この点につきましても適切に判断をして、できる場合には資本参加をしていくという制度を整えているところでございます。
  137. 大久保勉

    ○大久保勉君 じゃ、個別に農林中金に対してどうこうというのは全く検討されていなかったということですか。
  138. 内藤純一

    政府参考人(内藤純一君) 農中に対して特に検討したということではございませんで、私どもとしては協同組織金融機関の中央組織、これは信金中金でございますとか組連とかいろいろございます。その中で、私どもとしては特に農中をどうのということはございませんので、並列的にその制度化をして対象とするという形で法案を作ったわけでございます。
  139. 大久保勉

    ○大久保勉君 衆議院では農林中金を入れるか入れないか、つまり議決するかしないかということでかなり議論したと思いますから、一週間以上時間がありましたから、是非内容を精査すべきじゃないかと思いますが、全くこの数週間チェックはされていないんですね。もう一度確認します。
  140. 内藤純一

    政府参考人(内藤純一君) チェックといいますか、衆議院の御審議もいただきまして、農中の問題についていろいろ御議論があったということは当然ながら承知しておりますが、本件について具体的にどうするかというようなこと等については、今後この制度を実際に成立、仮にしますれば、それを運用する段階において、実際に申請が出てき、あるいはその申請の内容を精査をいたしまして、審査をし対応していく、そういう問題であろうかと思います。  また、その農中の問題については、その内容については、また金融庁の監督部門において適切に対応するべき問題だというふうに考えております。
  141. 大久保勉

    ○大久保勉君 一応、具体的な話に行きたいと思いますが、例えば農林中金からいただいた資料で、六月末現在で農林中金は債務担保証券、いわゆるCDOというのを二兆七千億持っております。それで、六月末段階で二千八百八十九億円のいわゆる評価損が出ております。ということは、額面価格が一〇〇%としましたら、単純計算で八九・二六%で評価しているということなんです。  同じCDO、もちろんいろんなものがありますが、今年の七月二十八日にメリル・リンチ証券は、財務悪化の元凶となりましたサブプライムローンの証券を全部、というかほとんど売りたいということで売りました。そのとき、金額は三兆三千億、同じような金額ですが、これはローンスターにバックファイナンスを付けて販売したわけです。幾らで売却したか分かる方いらっしゃいますか。これは通告しておりませんが、分かる方、金融お願いします。
  142. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) メリル・リンチが七月二十八日に売却した債務担保証券、CDOの価格が簿価の二二%であったと承知しております。
  143. 大久保勉

    ○大久保勉君 一方は、農林中金の評価、これは私が勝手に計算したんですが八九%、実際にメリル・リンチが売ったのは二二%。もちろん、資産の内容も違うかもしれませんが、これだけ資産の内容がぶれているということなんですね。ですから、きっちり公的資金を入れる場合に、本当に中小企業金融に資するかどうか検討しませんと、出したお金が返ってこない可能性がありますよね。ですから、この辺りは是非、くれぐれも注意してもらいたいなと思います。  そこで、メリル・リンチの売却が二二%ということで、一方で農林中金が二兆七千億のCDOを持っていると。こういったことに対して金融庁は具体的にヒアリング等で確認されているのかどうかを確認したいと思います。
  144. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 農林中金を含めまして、私ども監督しております各金融機関につきましては、必要に応じ様々な財務状況等の確認をしているところでございます。これからもその対応に努めてまいりたいと考えております。
  145. 大久保勉

    ○大久保勉君 そこで、中川大臣に確認したいと思いますが、質問は五点目なんですが、こういった答弁を聞きまして、本当に金融機能強化法で農林中金にこの資金を入れて中小企業融資に回るとお考えですか。また、もし資金の償還可能性を考えたらどういった点に注目しないといけないのか、もし考えがあったら教えてください。
  146. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) またおしかりを受けるかもしれませんけれども、これは金融のニーズとそれから供給との促進を図るための、とりわけ中小企業あるいは地方の経済に資する、経済に対してやるものでございますから、だから、その必要なところが、金融機関が手を挙げていただいたときに審査をして適正であると判断するならば、そこに対して資本を参加させる。その場合には、貸出しとして地方にそのお金が行って、企業活動に資するということでございますから、当然幾ら用意するか、幾ら使われるかはまだ予測することはできませんけれども、そういう前提でこの法律を作っているということでございます。
  147. 大久保勉

    ○大久保勉君 そこで、確認したいのは、中小企業に貸出しをするよと言って資本を下さいと言ってきたんですが、実はそのもらった資本は中小企業貸出しに回されなくて、自分の損失の穴埋めに回ってしまう可能性はないかと、それをどうやって検証するんでしょう。
  148. 内藤純一

    政府参考人(内藤純一君) 今のお尋ねでございますけれども、損失が出たときにその穴埋めに使うか、あるいは中小企業金融のために使われるかという点でございますけれども、金融機関状況というのは非常にまちまちであろうかと思います。今私ども、金融機能強化法案の御提案を申し上げている趣旨は、世界の非常に金融経済の混乱の中でダメージをかなり受けた、あるいは今後受けかねないというような状況に対して的確に対応していくというために資本の増強を図り、それを通じて中小企業金融というものの強化を図っていく、あるいは地域金融強化を図っていくと、こういう趣旨でございます。  したがいまして、その二つの問題についても、明確に分けるというよりも、それを全体として申請書の中に、経営強化計画の中に明示をしていただいて、それを的確に審査をしていくという中で結論を出すべき問題であろうかというふうに考えております。
  149. 大久保勉

    ○大久保勉君 私は考えが違いまして、国民の税金であればこそ、金融システムのために投入する資本と、中小企業融資のために出すお金というのは分けるべきです。そうしませんと、いわゆる金融機関の責任の取り方、この場合は経営者の責任であったり株主責任の取らせ方、こういった問題があいまいになってきます。  資料の一ページを御覧ください。中川大臣がこれまでまあ非常に頭脳明晰な方で非常に分かりやすいんですが、今回は非常に漠として分かりづらかった理由を御説明します。  実は現在、金融機関に関するシステム若しくは中小企業融資のための法律が四つあります。順番に申し上げますと、預金保険法、その次は農水産業貯金保険法、三番目は今回の改正金融機能強化法、そして、期限切れになりましたが、金融機能早期健全化法です。ですから、現在使える法律は三つしかないです。  上の二つといいますのは何かといいましたら、預金者若しくは貯金者を保護するための法律であります。特に、預金保険法の百二条一項、貯金保険法の九十七条一項に関しましては、いわゆる金融システムを守るために公的資金を投入しましょうと、こういった要件になっています。その代わりに経営責任を取らせるという形であります。  今回の法律、これは三番目でありますが、金融機能強化法といいますのは、私の理解では中小企業金融を円滑化するということで別の体系になっているはずなんです。  そこで、農林中金はどこに入るのかといいましたら、若しくはJAグループはどこに入るかといいましたら二番目か三番目です。その他の金融機関、例えば地方銀行とかメガバンクは一番と三番です。今回の農林中金に関しましては、場合によってはいわゆる投資の方で、資本が減るんだったら二番の貯金保険法を使ってきっちりシステムを守っていく必要があると思いますが、ところが、ある問題があります。いわゆるお金がないんですね。  つまり、預金保険法は十七兆円の政府保証枠がありますからお金がありますが、貯金保険法は政府保証をしておりませんからお金を借りることができないと。そこで、困ったから金融機能強化法という名目でこの二兆円を流用しようじゃないかと。もしそうであるならば国民に対してうそをついているんです。  先ほど中川大臣が、もし二兆円という枠があったら上限を一割にした方がいいんじゃないかと私が言いましたが、いやいや、それは想定していないと。つまり、上限を一割と、一行を一割ということで金融機能強化法の上限を決めましたら、なかなかJAグループにお金を出せない可能性が出てきます。こういったふうに私は考えます。  だったら、もし必要であれば、貯金保険法に予算措置がなしとなっていますが、政府保証を付けまして、本来の趣旨に従ってお金を出すべきじゃないでしょうか。具体的には、補正予算のときに政府保証枠、預金保険法のこの項目に対する保証枠を二兆円とか三兆円とか付けるべきじゃなかったんですか。国民をだましているように見えますが、私の理解は間違いでしょうか。中川大臣質問したいと思います。
  150. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 大久保委員のこのいただいた資料でお話をさせていただきますが、確かに農林漁業系の貯金保険法という法律がございますが、大久保委員も御指摘になったように、この預金保険法並びに貯金保険法が発動、資本注入が発動されるのは、これはもう危機的状態になったときが前提になっているわけでございます。  既に御承知のように、今回の法案というものは、何回も申し上げますから省略しますけれども、健全な金融機関に対して貸出しを促進する、あるいはまた借り手に借りやすくするというためのものでございますので、そういう意味で今までとこの部分は同じでございますけれども、この改正金融機能強化法の範囲内の中での対応ということにさせていただいているわけでございます。
  151. 大久保勉

    ○大久保勉君 二、三週間前に与謝野大臣が、いやいや、金融機能強化法は二兆円じゃ足りないから十兆円までしないといけないんじゃないかと、こういった議論も出てきましたが、もしかしたら私の仮説の方が正しくて、何とかどさくさに紛れてこの金融機能強化法を使ってしまえと、そういうふうに見えなくもないんですよね。  私は、金融システムを守るのは極めて重要です。きっちりシステムを守るためには預金保険法か貯金保険法を拡充する、こういった政策が必要じゃないですか。今はJA、農中に関しては必要ないと思いますが、将来のために、予算保証枠がないんですから、第二次補正若しくは次の平成二十一年の予算で増枠、保証枠を申請されたらどうでしょう。大臣の見解をお聞きします。
  152. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 御承知だと思いますけれども、この貯金保険も預金保険にも両方とも危機管理対応という勘定があるわけでございます。項目としてあるわけでございます。それは、危機管理対応文字どおりシステムリスク対応するものでございます。  今回、幾らにするかということは、二兆は確かに予算総則の中にございますけれども、十兆にするか幾らにするかはまだ決めたわけではございません。いずれにしても、予算の中できちっとと、しかるべきときにとおっしゃいますけれども、私はある意味ではこれはできるだけ早く成立をして機能させたいと。これは、年末も控え、あるいは現在、私のところにも目安箱等で毎日何十通という御連絡をいただいておりますけれども、資金繰りを希望している全国の中小企業は非常に多いわけでございますので、是非とも御審議を尽くして、できるだけ早く機能させていただきたいというのが私の率直な願いでございます。
  153. 大久保勉

    ○大久保勉君 もしそうでしたら、農林中金を取りあえず外しまして、即刻、金融機能強化法を可決、成立させるべきだと思います。  ところが、どうして貯金保険法を使いたくないのか。その場合は、いわゆる経営責任を問われます。つまり、理事理事長が辞めないといけないんです。  じゃ、この事情説明しますと、五ページを見てください。これは、過去五年間の農林水産省及び金融庁、財務省から農林中金への天下りの名前、時期、最終職歴を示しております。もし貯金保険法を投入しましたら、上野理事長、農林水産省の事務次官が辞めないといけない。加藤さん、今は監事をされていますが、農林水産省元大臣官房付、さらには財務省から二名、さらには農林水産省の政策研究所長が辞めないといけないと。こういった状況だから、経営責任を取らずに資本だけは欲しいと、こういうふうな考えに私は見えてしまうんです。  このことに関して、農林水産大臣経験された中川大臣、何か御所見ありますか。中川大臣にまず聞きます。    〔委員長退席、理事円より子君着席〕
  154. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私は経験しましたけど、現在、所管ではございません。
  155. 近藤基彦

    ○副大臣(近藤基彦君) 特に身内をかばうためにこういうものをお願いをしているわけではないことは委員も御承知のとおりだろうと私は思いますので、よろしくお願い申し上げます。
  156. 大久保勉

    ○大久保勉君 続きまして、六ページを見てください。いわゆる金融庁の検査でありますが、過去五年間に金融庁はいつ検査に入ったかということで、出してもらいました。一年に一回はありますが、是非見てもらいたいのは一番右側です。農水省とのかかわり、つまり通常の銀行でしたら金融庁だけで検査しますが、すべて共同検査になっております。  どうして農水省が出てくるのか、私は分からないんですね。そもそも、農林中金が行っていますのは高度な投資業務ですから、非常に高い専門性があります。農林水産省の職員は本当にこういったところに精通している人がいるんでしょうか。私は疑問に感じるんです。  じゃ、この点に関しまして何かコメントがあったら教えてください。
  157. 高橋博

    政府参考人(高橋博君) 農林中央金庫の指導監督及び検査につきましては、当然のことながら高度な金融知識というものが求められるわけでございます。  私ども農林水産省といたしましても、金融庁さんとの間におけます人事交流の活用あるいはこの担当者に対します研修等の実施ということを通じまして必要な人材の確保、蓄積ということをこれまでも図ってきております。  また、先ほど委員からも御指摘ございましたように、農林中央金庫の検査につきましては、当然のことながら私ども単独ということではなく、金融庁さんと一体となって共同検査するものでございます。もちろん、当然それぞれの所管の立場から検査をやるわけでございますけれども、例えば私どもの検査の担当官については、金融庁出向者を重点的に充てる等、その質の向上に努めているところでございます。
  158. 大久保勉

    ○大久保勉君 金融検査に関しましては実績及び経験があります金融庁だけで私はやるべきだと思います。どうしてか。次の七ページ、八ページ等もありますが、七ページ、八ページは後でやるとしまして、じゃ一例を申し上げましょうか。九ページです。  これは、過去五年間の金融庁と農林水産省への農林中金からの出向者がいれば、名前、出向部署、出向期間ということで出してもらいました。該当者の名前は消しましたが、農林中金の職員が農林水産省経営金融調査課に出向しておりまして、平成十八年四月から平成二十年三月まで。金融検査を一緒にやろうとしましたら、こういった検査に関する情報が農林中金の出向者に渡りまして、農林中金の方に秘密が漏れる可能性がありますよね。ですから、金融庁の検査は是非金融庁だけでやった方がいいんじゃないかというのが私の指摘なんです。
  159. 高橋博

    政府参考人(高橋博君) 今、委員御指摘の農林中央金庫からの出向者でございますけれども、金融工学等の知見を活用いたしました私どもに必要な調査研究に従事をさせるために、調査員として一年間在籍したものでございます。当然のことながら、このような者につきましては、農林中金の監督あるいは検査の業務ということには携わらせておりません。  また、私どもの省内におけます一定の政策決定を行う会議、これは担当課におけます政策決定レベル、あるいは局内におけます政策決定レベルへの参加、出席ということについても、これは厳に禁止しておったところでございます。
  160. 大久保勉

    ○大久保勉君 もう一度言いますよ、農林水産省経営金融調整課、どうしても金融工学とかには見えないんですが。  じゃ、質問通告していませんが、金融庁と一緒に検査をしております農水省の部署はどこですか。
  161. 高橋博

    政府参考人(高橋博君) 検査につきましては、この金融調整課が属します経営局ではございませんで、大臣官房の検査部というところで部局を異にして実施をしておるところでございます。
  162. 大久保勉

    ○大久保勉君 ということは、経営局には一切検査絡みの情報は来ないということでよろしいんでしょうか。
  163. 高橋博

    政府参考人(高橋博君) 検査関係の情報につきましては、当然のことながら検査の実施権者でございます農林水産大臣監督の下に行われているものでございます。
  164. 大久保勉

    ○大久保勉君 実際にはちゃんとしたいわゆる情報遮断とか、そういったことがなされていると思いますから、この辺りを是非資料を下さい。  では続きまして、七ページと八ページを見てください。  もう農林中金自身は、世界に冠たる金融機関です。いわゆる銀行です。ですから、ある分野におきましてはメガバンク以上の実力もありますし、それだけの投資リスクも負っています。そこに対してどうして、場合によっては農水省の担当者自身が分からない分野に入り込んでおりまして、いわゆるもうだれも管理できないという状況になっているんじゃないかと思います。ただ、唯一救いは、金融庁がしっかりしていてメガバンクと同じようにきっちり管理監督しているであろうということなんです。  ところが、私は、資料を出してもらいましたらびっくりしました。七ページを見てください。農林中金担当者一覧ということで、農林中金の窓口、これが課長補佐です。事実上、課長補佐がすべて窓口になっています。課長補佐は平成十年の段階では、この見方を申し上げますと、課長補佐の下でQというのがいますが、名前を消すためにQさんということにしました。平成元年に大蔵省に入省した人で、平成十年八月五日から平成十一年七月五日まで課長補佐をしていた。前職としましては大蔵省主税局総務課課長補佐兼主税局調査課と、こういうことを行っていたということです。平成十二年になりまして、平成十二年というのはたしか金融監督庁が金融庁になったときです。そのとき、Sさんを見てください。平成二年の農水省の入省で、前職は水産庁漁政部漁業保険課課長補佐ということで、突如農水省の人が担当者をしていると。さらに平成十四年にも、Tさんは農水省担当、農水省に入省して、農水省の職員が行っています。Uさんも農水省です。平成十八年からVさんで、平成四年に農水省に入省し、平成二十年、現段階ではWさんで、平成六年に入省しております。ちなみに前職は農林水産省農村振興局企画部土地改良企画課課長補佐。  こういう人が農林中金が行っていますCDOとか証券化投資とか分かるんでしょうか。窓口が詰まっていたら適切な情報が来ませんし、本当にリスク管理を主導しようとしても全く機能しないんですよね。どうしてこういうことが起こっているんですか、質問します。
  165. 円より子

    理事(円より子君) どなたに。
  166. 大久保勉

    ○大久保勉君 これは金融庁ですね。
  167. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 金融庁におきましては、職員の持つ多様な観点を政策立案や監督などに反映させるため、各省庁との間で人事交流を行ってきているところでございます。  各省庁からの出向者につきましては、それぞれ配置された部署の一員として、これまでの知識や経験を生かしながら、上司の指揮の下、金融庁の職員としてしっかりと職務を遂行してくれているものと認識しております。    〔理事円より子君退席、委員長着席〕
  168. 大久保勉

    ○大久保勉君 人事交流でしたら、是非メガバンク担当とか若しくは地銀担当にしてくださいよ。農林中金担当でしたら利益相反もいいところですよ。  といいますのは、農水省に入った人、前の上司、事務次官、上野さんが理事長をやっているんですよ。農水省から何人でも役員が行っていましたら、本当の指導はできないんじゃないですか。場合によっては農林中金から人が出向して情報交流を密にしています。ですから、金融行政だったらもうあり得ない話ですよ。もしこういう状況でしたらどうなります。こういった人たちが騒ぎ出して、いやいや農中だけ仲間外れにしないでくれということで金融強化法に無理やりねじ込むこともできるんじゃないですか。  是非中川大臣、政治家としての見識を問いたいと思います。どう思われますか。
  169. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 先ほども申し上げましたように私も金融機関にいて、預金に行ったり融資に行ったり審査に行ったり、まあ途中で辞めましたけれども、いろいろなところ、相対立といいましょうか、融資審査というのは緊張関係になければいけないわけでありますが、そういうところを回った先輩方もおられました。  ただ、これを見ていますと、ちょっと余りにも何か誤解を招きやすいので、金融庁の人事としては今後これ検討させていただきたいと思います。
  170. 大久保勉

    ○大久保勉君 さすが中川大臣です。やっと中川大臣らしくなったと思います。  本当にこの法案は難しいと思いますね。実際にやりたいことと、目的と、実際の法案説明が違うんですよね。ですから、大臣是非大臣のリーダーシップで、もう変な形で公的資金を入れるんじゃなくて、金融システムを守るんだったら、いわゆる貯金保険法の保証枠を一兆円と言わず五兆円でも十兆円でもどんとして、絶対に日本金融システムを守りますと、こういうことを言うべきですよ。  といいますのは、農林中金の中の財務書類を見ましたら、約五兆円の利金債があります、社債です。だれが持っているか御存じですか、いわゆるリツノーというのは。これは質問通告しておりませんが、分かる方。農水省、お願いします。
  171. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) どうですか、経営局長。近藤副大臣ですか。  ちょっと速記止めましょうか。ちょっと速記止めてください。    〔速記中止〕
  172. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 速記を起こしてください。
  173. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) リツノーという農林中央金庫が発行しているいわゆる利付債ですね、金融債。この場合には、これは預金保険の対象ではございません。したがって、百二条一項の対象にはならないということでございます。
  174. 大久保勉

    ○大久保勉君 そういうことも非常に重要ですが、つまり利付債はデフォルトを起こしやすいということですね。これは、実は平成十九年で四兆八千億あります。これは中小の信金、信組、地銀が持っています。ですから、これは預金じゃないですから元本保証されていないということは、もし農林中金がデフォルトを起こしてしまったら、全部これがデフォルトを起こしてしまいますから、リーマンショック以上のことが起こりますよね。  だったら、なおさら変なことで、いわゆる裏口から公的資金を入れるんじゃなくて、正面から堂々と貯金保険法で三兆とか五兆とか政府保証して、堂々と公的資金を必要があらば、今必要ないですよ、必要があらば入れるようにした方がいいんじゃないですか。それが世界金融の流れに平仄を合わせるんじゃないですか。このことに関して質問します。
  175. 高橋博

    政府参考人(高橋博君) 今回の農林中央金庫を始めといたします協同組織中央機関に対する注入ということにつきましては、これは一に農林系統組織だけではなくて、他の系統組織金融機関と同様の構造の中で、全体としては、例えば農協あるいは漁協が基本的な地域における貸出しを行っていきます。それを信用事業協同組合連合会、漁協、農協の連合会でございますが、これを県内で補完をした上で、出てきた余裕金を農林中央金庫が有利運用して、またそれを信農連、信漁連に還元をし、そこからまた還元されたものが単位の農協、漁協で還元されていく。そして、その果実全体として、地域におけます金融機能の健全な発揮という形になるわけでございます。  この構造は、先ほどから申しておりますように、農林中央金庫だけではなくて、他の協同組織中央機関におきましても貸出比率等々の面におきまして何ら変わるような状況ではないというふうに考えております。  農協、漁協そのものは地域におけます農業者、漁業者の金融という面で非常に重要な役割を果たしておりますので、今回の場合も単体としての農林中央金庫ということではなくて、農漁協が果たしております地域における金融機能、これをきちんと発揮をさせていくために他の協同組織金融機関と同様の措置をしていただく。ですから、預金保険あるいは貯金保険のような信用秩序の大幅な影響を与えるような事態ということとは異なる別のスキームとして今回の仕組みをつくっていただいているということだろうと思っております。
  176. 大久保勉

    ○大久保勉君 一部は私も合意できますが、幾つか違う点があります。  四協同組織のうち、農林中金の違い。一つは、金額が非常に大きくて海外投資比率が極めて高いです。ですから、同列には質的に考えるべきじゃないです。  二点目。あえて政府の方は、ほかの金融機関はすべて預金保険法でカバーしているわけでしょう。農林水産省が、ある意味でごねて貯金保険法という新たなところをつくっているんだから、農水省さん、自分たちできっちり責任を持ってくださいよ。  三点目。協同組織としましては、農林中金は極めて重要です。農林中金が実はJAを支えていると思います。年間三千億円のいわゆる事実上の補助金を渡しておりますから、農中の運用がうまくいかなかったら多大な影響があります。いわゆる資金コスト的には〇・八%の上乗せ金利、つまりメガバンクよりも〇・八%高い預金金利を農中は取らされておりますから、どうしてもハイリスク・ハイリターンの運用をしないといけなかったわけです。農中の方は非常に優秀で、これまではうまくやってきましたが、市場が大きく変わってしまいましたから大きい穴を空ける可能性があります。ですから、もう抜本的にビジネスモデルを変えないと大変なことになります。このことがJA組織を守ることだと私は信じています。ですからあえて言うんです。  今回の問題を申し上げますと、いわゆる農林水産省がほとんど金融を分かっていない状況で、管理が甘いんです。だれも管理していなかった。金融庁も農水省の出向者が担当者として見ておりましたので、ちゃんとした農林中金の管理をしておりません。そういった弱いガバナンス、行政のガバナンスがこういった問題を作ってきたんじゃないんですか。さらには、この問題を幕引きするために、見えないところで中小企業という名の下で公的資金を入れるべきじゃないと思います。  きっちりJAグループを再生するためにどういうふうにすべきか、このことを是非財政金融委員会議論しましょう。これは金融のテーマです。このことを是非委員長の方にお願いしたいと思います。
  177. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 今のはどういう提案ですか。もう一度ちょっと。
  178. 大久保勉

    ○大久保勉君 小委員会で系統金融機関に関する議論をするとか、若しくはJAグループに対する新しい金融システム考える、こういった小委員会をつくることはどうかと提案したいと思います。
  179. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 小委員会の提案ですね。  この点につきましても、後刻理事会で協議をさせていただきたいと思います。
  180. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 先ほど、リツノーですか、五兆円が破綻したときに百二条で守れるかと。これは、お答えしたとおり、守れない、対象外でございます。  ただ、片っ方では、先ほど大久保委員も御指摘のとおり、貯金保険法九十七条の対象になっております。あくまでもこれはシステムリスク、もう本当に五兆とか十兆とかいう巨額の、これはもう九〇年代の再来のようなことを想定した対応策でございます。  私は、今回、先ほども申し上げたように、一番恐れているのは、世界的な金融危機の中で、日本は健全なんだけれども、何か危ない危ないと、まさかこの国会の場で、何かこの金融機能強化法と百二条、九十七条とか、何か非常に近いような議論に仮に聞いている人が思うということになると、これは大変な風評被害が国会発ということになりますといけませんので、是非ともその辺は私も言葉を選ばなければいけないと思いますし、是非これは、金融機能強化法というのはそういう趣旨ではないんだということは、もう委員御指摘のとおりだと思いますけれども、あえて委員長のお許しをいただきまして発言をさせていただいた次第でございます。
  181. 大久保勉

    ○大久保勉君 時間が来ましたのでこれで終わりますが、最後に、予算措置がない貯金保険法、これを直すことこそが最大の国会の役割だと言いまして終わります。
  182. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 中川大臣、大変御苦労さまでございます。また、日ごろから大変国家国民のために日夜を問わずの御尽力に心から敬意を表したいと思います。  もう何回も出ている話でございますが、サブプライムローンに端を発した世界金融危機、この中に大変な影響が出ているということはもう既に国民の知るところでありますが、これがまあ暴風雨だとか津波だとかいろんな表現をされておりますけれども、一九三〇年代、つまり世界の恐慌、そしてまた一九九〇年代には日本金融危機、それと今回の金融危機、どのような違いとか特徴があるのかということについて、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  183. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今回は百年に一度とか何十年に一度とかとこうよく言われておりますけれども、まさに世界的な金融の大変緊迫した状況に現在あるというふうに言わざるを得ないと思っております。  よく例に出されるのが一九二九年十月二十四日のあのニューヨーク発ということで、ある意味では類似点が非常にあるなと。第一次世界大戦の好況の後いったん不況が来て、その後アメリカが非常に製造業が強くなって、そして非常に景気が良くなってきたと。そこでチャーチルが金解禁を決定をしたわけでありますけれども、そのときにポンドのレートが非常に高くなってイギリスが非常に困ってしまってアメリカに頼んで、そしてアメリカがかなり金融緩和をやったと。まさにこの金融緩和状態というのも今の状況にちょっと似ているような感じがするわけでございます。そして、アメリカ発ということで、困っているヨーロッパそして昭和の初めの日本と、こう世界中に広がっていき、長い間の不況ということに、大恐慌になったわけであります。当時、アメリカのGDPが半分になり株価が四分の一近くになったというような状況にもなったわけであります。  ただ、現在の状況が全く当時と同じかというと、いろんな意味で違うと思います。一つはコンピューター化という問題があって、例のCDSにしましてもサブプライムローン問題にしても、ある意味ではコンピューターが作った、何というんでしょうか、架空のといいましょうか、いわゆる派生商品というものが低金利と過剰流動性の下で世界中を駆け巡っていった。さらには、グローバル化が当時よりもはるかに進んできたということでありますけれども、やはりこれは過剰なレバレッジの一つの、行き着いた途端に大逆転をして悪いスパイラルになったという意味では共通点があるというふうに思います。  一九〇七年の金融恐慌にしましても、あるいは一九九〇年代のものにしましても、あるいは二〇〇一年のあのエンロンITバブルにしましても、似ている部分もありますし、その時々違う部分もあるわけでありますが、何となく大ざっぱに言えば似たようなことを繰り返しているなという印象を持って、そしてその経験日本ワシントン時間で今日からのG20会合で何とかその経験を生かしていい方向に結果を出していきたいというふうに考えております。
  184. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 世界、時代は繰り返すと言われておりますけれども、確かに今大臣がおっしゃったように、過去の経験をいかに次の代に生かしていくかということが極めて大事な時代に入っているかなと、こういうように思います。  最近の一番の大きな問題といえば、世界的な株価の下落と急激な円高、これに対する影響が実体経済にもかなり及んできているというような状況に深刻な危惧を抱くわけでありますけれども、家計においても資産の逆効果、逆資産効果ですね、こういうふうなことが現実に起こっておりますし、最近の状況でいきますと、一月に建て売り住宅が五千七百万だったものがもう五千万を切って四千万の前半までいっているということまで耳にします。これは購買力があるないの問題ではなくやはり不安が先に立ってしまっているんじゃないか、こういう部分も否めない事実ではないかなと、こういうように思います。  住宅にかかわらず自動車関係もかなり厳しい状況と伺っておりますし、金融機関においては貸出しに対しての姿勢にかなり厳しさが出てきているということは、今までの各委員の議論の中にもございました。  特に、中小企業への貸し渋り、貸しはがし、このことはもう何回も議論されておりますけれども、特にこのところではこの暮れを越せるか越せないかと、こういう状況の緊迫した話もかなり耳にいたしまして、これは今回の改正金融機能強化法、これを一日も早く可決をしていただいて、そしてすぐに注入すべきところに注入して社会の元気を取り戻さなきゃいけないと。  私は、本当に毎日毎日が素人ながらに心配をいたしておりまして、この中で、日本実体経済に対しての財務省、日銀のお考え伺いたいなと思いますが、最近の分析されたものがあればお話をいただきたい、こういうふうに思います。
  185. 平田耕一

    ○副大臣平田耕一君) お答え申し上げます。  今般の世界金融市場の動揺は、九月以降、深刻さの度合いを一段と増しておるわけでありまして、米国では金融市場の動揺や信用収縮の影響によりまして、おっしゃられましたように個人消費や住宅投資、雇用者数等が減少しているなど、景気後退は顕著であります。  我が国におきましては、その世界経済の減速と相まって、米国向けを中心に輸出が減少し、また生産が三四半期連続で減少するなど、景気が弱まっております。  また、アメリカや欧州におきます金融危機が深刻化する中で、為替市場におきましてはリスク回避の動きから、これまで投資対象として買われてまいりましたユーロやブラジル・レアルなどの新興国通貨が弱くなる一方で、円が急激に強くなっているという現状であります。  また、株式市場におきましても、御承知のように、世界的な株安の中で九月一日比で三二・二%の下落でございます。そんな中、今般、東証一部上場企業の中間決算が発表されまして、例えば経常利益が前年比で約二〇%マイナスの悪化となっておりまして、今後、景気の状況が更に厳しいものとなるリスクがあると考えているところでございます。  いずれにいたしましても、高い警戒水準にあるといたしまして、金融市場の動向等を十分注視してまいりたいと考えているところでございます。
  186. 山口廣秀

    参考人山口廣秀君) お答えいたします。  ただいまの副大臣の御答弁に余りこちらから付け加えるようなことはないんですが、一応お答えいたしますと、御承知のように、アメリカとヨーロッパの金融危機というのは日本経済に対しまして下押し圧力を与えているということであります。  ただ、この下押し圧力を与えるルートということにつきましては、大きくいって二つのルートが考えられるかというふうに思っております。一つは、金融危機による世界経済の減速を通じた影響、ルートということであります。それからもう一つが、我が国の金融資本市場に与えている影響を通ずるルートであります。  まず最初に申し上げた金融危機による世界経済の減速を通じた影響ということでありますが、アメリカにおきましては、御承知のとおり、今回の金融危機の震源地となったわけでありますけれども、金融実体経済がマイナスの相互作用を発生させるというようなことが生じておりまして、成長率は低い水準にとどまっているという状況でございます。また、欧州経済あるいはアジア経済などを見ましても、輸出環境の悪化などを背景にして成長率は鈍化していると、こういう状況でございます。  このように、昨年まで高い成長を続けてきた世界経済というのは低い成長を余儀なくされているという状況でありまして、こういう中で日本からの輸出というのもこのところ頭打ち感というのがはっきりしてきていると、こういう状況でございます。  それから、二つ目のルートということになりますが、国際的な金融面での動揺というのが我が国の金融資本市場にも影響を与えてきているということでございますけれども、ややブレークダウンして申し上げますと、短期金融市場を見てみますと、神経質な展開が続いているという状況でございます。特に、それから十月下旬にかけましては、御承知のように、株価が大幅に下落するというような事態も生じたわけであります。  それから、企業資金調達環境と、こういうのを見てみますと、金融機関融資姿勢ですとか、あるいはCP社債市場における投資家の投資態度というのがこれまた結構厳しさを増してきているということでございます。背景としては、企業収益が減少してきている、それから金融機関の信用コストが増加していると、こういったことを見まして投資家のリスク回避姿勢というのが高まってきていると、こういう状況でございます。  ということでございますので、大まかに言いますと、二つのルートを通じて欧米における金融危機というのは日本経済に対して下押し圧力を与えているというのが現状であります。  こういう中で先行きをどう見るかということでございますけれども、ただいま申し上げましたように、海外経済につきましては減速の方向にあります。こうしたことを背景にしまして、日本経済についても当面停滞色が強い、こういった状況が続くのではないかというように思っております。  さらに、リスクという観点で見てみました場合には、米欧の金融システムですとか、あるいは海外経済の動向、あるいは企業資金調達環境の引き締まりと、こういったことなどを眺めますと、景気については下振れリスクがやはり高まっていると、この点について注意を怠れないというように認識しているということでございます。
  187. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 大変に不安の材料がまだぬぐい去れないと、下振れリスクの方向についても大分注視していかなくちゃいけないと、こういうことでございまして、現実かなり厳しい状況にあるということを再度みんなで共有して認識していかなくちゃいけない、このように思っております。  副総裁、御予定があるようですから、これで結構でございますので。
  188. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 山口総裁、退室されて結構でございます。
  189. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 ただいまのお話にもございましたけれども、世界的な株価の下落、円高、これがすべてマイナスにとらえていっていいものかどうか、前向きに考えなくちゃいけない部分も多少あるんじゃないかな、こんな思いがいたしますが、現実はソニーが六割、トヨタが七割、業績の下方修正をしたという、こういうこともニュースにありました。これだけの大手が、輸出関連がこういう厳しい状況にあるということは、すそ野の広い業界でありますから関連業種はかなり厳しい状況に今至っているんじゃないかなと、こういうふうに、もうこの数字を見ただけでも大体そういう推測ができるわけでありまして、これから中小零細企業の底上げ、これがかなりこれからの先行きの中で重要なポイントになっていくことはもうわざわざ論ずることもないと思いますが、昭和六十一年に前川レポート、この一項に内需型経済への転換というのが一時言われてきましたけれども、今は実質的には外需主導型でありますから、この外需主導型を内需主導型に切り替えていくような、こういう構造的な変換の努力も中期的にも考えていかなくちゃいけないんじゃないかな、こんな気がいたします。  大臣には、経済産業大臣もお務めいただいたと思うんですが、御尽力いただいた経験の中で、やはり経済と財政、資金、こういう関係は全部つながっておりますから、そういうお立場から大臣の御所見をお伺いさせていただきたいと思います。
  190. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、小泉委員の御指摘は、為替等の状況と今の経済状況をどう見るかという前提でお話をさせていただきます。  確かに、為替というのは円安、円高、それぞれ一長一短のあるものでございまして、つい半年ぐらい前まで、石油あるいは農産物等が大変暴騰していたときに、円高で多少その厳しさが減殺されていたのかなという議論もあったわけでございます。そしてまた、今は円が特にユーロ等に対して強くなっているという状況の中で、輸入という面ではコストが安くなるということになるわけですが、他方、今御指摘のように、日本世界中から材料を買ってきて付加価値を付けて輸出をしていくという構造、強みであるだけに、円高になればその影響も受けるということも事実でございます。  要は、これはマーケットのことですから、余り私から言うのは控えなければいけないんですが、急激なやっぱり振れというものはどちらにしても経済に与える影響は決してよくないということが一点でございます。  それから、最近つくづく思いますのは、日本の株がじりじり下がっていても、円高になっていきますと、外国人の人は日本の株を売っても全然損しないと、円高のメリットを享受すると。日本国内の人たちだけが、だけがといいましょうか、が株の損を、そのままダメージを受けているということも、私は今の一つの特徴なのではないかなというふうに思っております。  いずれにしても、各国と協調しながら、急激なマーケットの変動というものは何としても避けていかなければいけないというふうに思っております。
  191. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 大臣の今のお話のとおりに、急激な振れだとか、そういうものは本当に極力波は小さい方がいいと、こういうふうに思うんでありますけれども。  考えてみますと、日本が資源がない資源がないと言われて久しいわけでありますが、資源がないからこそ今の強さがあり、そして日本の力が付いたんだと思うんです。先輩の方々からも似たようなお話を聞いたことがありますが、日本にもしオイルが出たら、そのオイルに頼って産業が構築されただろうし、そしてまた石炭が限りなく安いものが出たら、これを中心にした産業が発達したと思うんです。  そういう意味で、レアメタルを含めて日本に資源がないということが日本の強みだということを実感をしているわけでありまして、さらに、大きなトヨタの会社の会長がよく言われることだと聞いていますが、どうしてこれだけ成功したのかと聞かれたら、改善に次ぐ改善だと、改善きりないと、改善が成功の秘訣だ。しかし、これからもずっと改善を続けないといけない。年間何十万件も社員、職員からアイデアが寄せられる。このアイデアを一つ一つ検証していくことが、トヨタが更に発展する秘訣なんだということを言われたそうでありまして、いみじくも日本はそういう観点からすれば、かなり強い国になっているんじゃないかな、こういうふうに思います。  これから、中川大臣におかれましては、先日のG7お疲れさまでございましたが、今週にはまたワシントンに行かれるということを聞いておりますが、大変お疲れのことだと思いますけれども、先ほどからやり取りの中で大臣がお話になっておられました、日本の過去の教訓、経験、これを世界にお話しいただくこと、そして日本がそれらのイニシアチブを取っていかれるような提案をしていくこと、これがかなりポイントになるんじゃなかろうかなと、こういうふうに思います。  今回の金融サミット、以前ブレトンウッズ体制というのがありましたけれども、今度は新ブレトンウッズ体制とも言うべき形を構築していくべき機会に来ているんじゃないかなと、こんな気がいたしますが、日本がこれから世界にどのようなメッセージを発信していくのかを含めて、大臣の御見解、再度お伺いさせていただきます。
  192. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今晩から麻生総理のお供をいたしまして、首脳会議にお供をいたします。  メーンは金曜日のG20の首脳プラス世界機関のトップとの率直な意見交換でございます。その中で話し合われることは、多分現状の認識、あるいはまたどこまで各国協調して対応しているのか、今後どういうふうにしていったらいいのかということについて、首脳が話合いを行われるものというふうに思っております。  日本といたしましては、先月の私のワシントンG7会合の後のいよいよトップ同士の会談ということでございますので、ここ二十年ぐらいを取っても、アメリカのSアンドLあるいはまた日本の長い十数年間のあの苦しんだ時代、あるいはアジア通貨危機、そしてITバブルと、つい十数年の間にも大きな経済的なショックがあったわけでありますけれども、多分今回のショックは、冒頭申し上げたように、世界的な意味でもまた深さでも、多分今まで以上に大きな危機ではないかなと。それだけに各国協調して、また国際機関の役割も十分発揮して、そしてまた、日本は幸いにして欧米に比べてそのリスクというか危険度が小さいと思っておりますので、苦い経験と、それから幸い資産にも恵まれておりますし、優秀な人材もおりますので、それらをフルに活用して、日本独自で、また各国協力して、そして国際協力、国際機関の中で果たすべき役割を果たしていくという麻生総理の強い決意を持ってワシントンに臨ませていただきたいというふうに思っております。
  193. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 大変大役、本当に御苦労さまでございます。  改めて今回の金融機能強化法金融機関に公的資金を投入して、そしてまた金融機関の資本増強を図ることによって中小企業の厳しい状況を打破していこうと、これが目的だと思うんですが、これから、サブプライムローンの関係は全世界にかなり大きな影響を与えたということはもう現実の問題でありますけれども、そのことによって環境の変化がかなり厳しくなっている地域経済、中小企業、この支援がしっかりスピードアップしていかないとかなり大きな問題になるんじゃないかな、こう心配をいたします。  本法案の立法趣旨については今私が申し上げた方向で多分大臣もお考えだとは思うんですが、改めて、金融機関へのセーフティーネットとそれから中小企業への貸し渋り対策、この二つを考えますと、どちらにきちっと軸足を置いてやっていかれるかということに、方向をもう一回確認させていただきたいと思います。
  194. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 日本経済というのは、公的セクターもありますし、輸出もありますけれども、何といっても主力は民間でございます。そして、そこには家計企業があって、これはどちらも大事であり、そしてどちらも今苦しんでいるわけでありますから、家計を良くし、そして企業サイドも元気になっていただかなければいけないということで第一次の対策、そして今回生活支援対策というものを出したところでございます。  特に企業サイドになりますと、これは内需とか消費と密接不可分でございますけれども、やはり企業資金繰り、金融というものも極めて重要なファクターであるわけでございます。ところが、金融側にも、世界的な金融のこういう状況の中で、いわゆる自己資本あるいは債権の劣化といった問題で貸出余力が落ちるということになりますと、これは企業側にも大きな影響が出るということになるわけでございます。したがいまして、必要な資金、とりわけ中小企業あるいは地域を支える経済に対して必要な資金金融機関提供できるようにすると、それが今回の金融機能強化法でございます。  また同時に、企業側も借りやすくするために、いわゆるセーフティーネットとしての保証でありますとか政府系からの融資といったものも加えて、総合的に金融対策あるいはまた景気対策というものを打って、家計、個人も含めまして総合的にいろいろな対策を取って、一刻も早く景気回復ということを成し遂げたいというふうに考えております。
  195. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 金融庁は中小企業向けの融資に関して金融検査マニュアル、監督指針の改訂を行っていくという、融資条件を変更しても貸出条件緩和債権としない、こういうふうなことをするという内容でございますけれども、今中小企業の方々は、一番望んでいるのは何かといいますと、これ、借入期間を延長してもらうこともこれはもう助かるわけでありますけれども、借り入れている金利だけお支払いして、元金を一年間棚上げしてもらうことによってこれが運転資金に使えるというんですね。これ、物すごく大事なことなんですよ。  そういう場合に、これはもちろんそこには経営改善、再建の計画が、改革だとかそういうものがしっかりとしていることが条件でありますけれども、当面利息だけの返済であっても債権者区分を変更しないかという点について、この点について金融庁の方にちょっとお伺いしたいと思いますが、お願いいたします。
  196. 畑中龍太郎

    政府参考人畑中龍太郎君) お答えを申し上げます。  ただいま御指摘監督指針及び金融検査マニュアルにつきまして、去る十一月七日に改訂をいたしました。その主たる内容は、これまで条件緩和を行っても貸出条件緩和債権に該当しないためには三年後に経営改善が完了する、いわゆる正常先になるというような経営改善計画が必要でございましたが、今般の改訂では、経営改善に時間が掛かるという中小企業の特性を踏まえまして、中小企業につきましてはこれを五年に緩和する。また特例といたしまして、こうした経営改善がおおむね計画どおり進捗している場合には十年まで緩和する等々の措置を実施したわけでございます。  ただいま委員から御指摘ございました、当面利息だけを返済をして元本の返済を猶予するような条件変更、私ども元本返済猶予債権と言っておりますけれども、こうした条件変更が行われた場合であっても、金融機関との話合いによりまして、今回緩和することになりました経営改善計画、具体的には先ほど申し上げました計画期間五年以内で計画終了後に正常先になる等々、こういった要件を満たす計画が策定されていれば貸出条件緩和債権には該当しない取扱いを行うことが可能になったところでございます。  こうした措置によりまして、中小企業向けの貸出条件の変更につきまして、民間金融機関によるより柔軟な対応が期待できるものと考えております。
  197. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 これ、極めて大事なことなんですね。借入れを例えばオーケーされても使い道がない、新しい設備投資もできない、また人員も増やすこともできない、そして今の経営を厳しさから脱しなきゃいけない、こういうときにやはり今のような形で御協力いただけるような金融機関の体制が取れれば、これは中小企業の方々は本当に息つくと思うんです。これ、至急にやってもらいたいと思うんですね。  それから次に御質問を申し上げたいと思いますけれども、風評被害、先ほども大臣が御心配なことのお話でございましたけれども、地域国内、海外、これ極めて大きな問題でありますから、自らが進んで公的資金を手を挙げて受けた場合、この場合にしっかりとセキュリティー関係、もちろん情報の管理、こういうものをしっかりと適正にやっていかないと、その会社自体の信用にかなり大きな影響が出てきてしまうんじゃないかなと、こういうことを心配するわけでありますが、これは金融庁、どういうようにお考えか。
  198. 内藤純一

    政府参考人(内藤純一君) お答えいたします。  金融機関が申請に当たりまして風評被害を懸念するのではないかとの御指摘についてでございますが、まずは今般の改正の趣旨が、地域経済、中小企業を支援するため、国の資本参加により金融機関の資本基盤の強化を積極的に推進するものでございまして、経営の悪化した金融機関に対する措置ではないということを広く周知することによりまして、風評被害の懸念をまずは払拭してまいりたいと考えております。  さらに、今回の改正が、適切な資産査定と確実な実施が見込まれる経営強化計画を前提にいたしまして、金融市場の急激な変動が生じた場合でも金融機関財務基盤の安定を確保するに十分な資本増強を図ることを目的としたものであり、この点についても広く周知徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。  加えまして、金融機関の経営強化計画の進捗状況が定期的に開示されるということによりまして透明性を確保いたしまして、利用者の安心感の確保を図ってまいるというふうに考えているところでございます。
  199. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 しっかりその辺のところはサポートいただきたいと思います。  何回か農林中金のことが議論になっておりましたけれども、農林中金、もう先ほどのやり取りの中でもございましたとおり、現行法で農林中金、信金中金、労働金庫など、これはもう現在対象になっているわけでありますから、今回これに加えて、協同組織中央機関を通じて傘下の協同組織金融機関の資本支援に活用することができるようになるとの理解を私はしておりますけれども、これについて更に分かりやすく、ちょっと御説明いただければなと思います。金融庁、農水省の方にお願いいたします。
  200. 谷本龍哉

    ○副大臣(谷本龍哉君) お答えいたします。  委員御案内のとおりだとは思いますが、信金中金、農林中金などの協同組織金融機関におきましては、その中央機関、その傘下にある単体の金融機関の経営状況、現状等について非常によく熟知をしておると。その中で、各グループの中に相互支援制度というのがございまして、その中で随時自主的な資本増強機能あるいはモニタリング、こういったものを今発揮をしているところでございます。  今回のこの改正において、この中央機関にあらかじめ国が資本参加をする新しい枠組みをつくるわけでございますけれども、これは相互支援制度というものを含めて、そこをしっかり強化することで協同組織金融機関全体として地域金融仲介機能を強めていく、そういうことが目的というふうになっております。
  201. 近藤基彦

    ○副大臣(近藤基彦君) 農協系統金融機関におきましては、農林中金が農協、信連の余裕資金を効率的に運用、還元することで農協、信連の経営基盤の強化を図るほかに、農林漁業者に対して適切に資金を融通できる環境を整え、農林漁業者の経営の安定や農林漁業の発展に寄与しているところであります。  このような金融の円滑な発揮を確保するために、農協系統金融機関においては、農林中央金庫及び特定農水産業協同組合等による信用事業の再編及び強化に関する法律、いわゆる再編強化法に基づいて資本支援制度を実施しているところでありますけれども、今般新たに設けることとなる農林中金や信金中金等の協同組織中央機関に対する資本参加の枠組みは、このような資本支援制度を最大限活用することで、厳しい状況に置かれている地域の中小規模の事業者に対して協同組織金融機関全体でしっかりと融資を行っていくことを目的として措置するものでありますので、全員でとにかくそういったものの支援をしていくというのが目的であります。
  202. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 既に現行法の中で、この中に入っているわけでありますから、財政金融委員会の各委員におかれましても、この辺を御理解いただきまして、この改正金融機能強化法案、これについて一日も早く御賛同いただき、そして中小企業対策、この暮れを越せるように御協力をいただくことを心からお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  203. 森まさこ

    ○森まさこ君 自由民主党、森まさこでございます。  初めに、大塚委員質問のときに、冒頭に中川大臣に御諫言賜りたいというような御発言があったんですが、私もそれを聞いてちょっと感想として思いましたのは、民主党の先生にも、ネクスト経産大臣が経産省から行政処分されたマルチ会社の監査役を併任していたということで、三か月併任してから、後から気が付いて辞めたというときに、小沢代表が問題ないと御発言なさったことがありました。報酬を二百四十万得ていたということでございます。被害者の方、私のところにもお声がありまして、被害金額はまだ戻っておりません。辞めたということで問題ないという御発言、私にとっては耳を疑う御発言でございました。是非民主党党首小沢代表に御諫言賜りたいなという感想を持ったことを申し上げておきます。  さて、中川大臣に御質問いたします。  米国のサブプライムローン問題に端を発した世界的な金融危機というフレーズはもう何十回もお聞きになったと思いますが、市場万能主義の行き過ぎへの反省ということで、今更ながら規制強化の動きがございます。  しかしながら、我が国においては、先んじて貸金業規制法から貸金業法に代わる改正で規制すべきはきちんと規制していたということをここで確認をしておきたいと思うんです。二〇〇五年に与謝野大臣金融大臣に御就任なさった折、市場原理主義真っ盛りの中で、利用者保護、消費者保護にこれからは金融行政のかじを切るんだという御就任のときの御発言がございました。  米国のサブプライムローン問題というのは二つのステージの問題があると思います。よく指摘されるリスクの高い証券化、債権流動化、そういったマネーゲームにおぼれたという、そういうステージと、もう一つは、静岡大学の鳥畑教授も御指摘でありますが、サブプライム層、低所得者などの信用力の劣るサブプライム層に対する貸付け、モーゲージということで住宅ローンと言われておりますが、セカンドモーゲージでありますとか債権一本化といった貸付けもございました。この二つのステージそれぞれに問題があったわけです。どちらも自由主義経済への過度な行き過ぎというふうに思われますが、この二つのステージのいずれにも貸金業法においてきちんとレギュレーションが施されております。  大臣是非ともG20などの国際会議において日本の取組として自信を持って御紹介をいただきたいなと思うのですが。  一つ低所得者層、サブプライム層への貸付けのステージの方を御説明いたしますと、貸金業そのものの中で搾取的な、略奪的な貸付けが米国においてもされておりました。住宅バブルが前提だとよく言われますが、バブルを前提にすること自体がおかしいんですけれども、それを前提にしなくても、元々が破綻必至の、そういった内在的なものがあった略奪的な金融でございました。  本日、資料を配付しておりますが、二〇〇五年に私が金融庁におりましたんですが、そのときにローンの実態について英米に調査に行きました。アメリカもイギリスも自由金利でハッピーなんだというような業者側からの指摘がございましたので、中立的な立場で調査報告をしたそのことを、国民生活センターの「国民生活研究」という雑誌にまとめたものでございますが、その中に、既に当時、サブプライム層への貸付けの残高が飛躍的に伸び、その内容がFTCによって非常に違法な実務であり過剰な貸付けであるということを指摘しております。資料の最後に付いておりますのがアメリカのFTC、連邦公正取引委員会が出していたレジュメでございますが、略奪的な貸付けであると。非常に欺瞞的、詐欺的な営業、積極的なセールス戦略によって消費者の理解不足に乗じてローン条項に関する不公平な特約を取り付ける、こういった略奪的な貸付けが一般的には低所得者向けの住宅担保貸付市場、つまりサブプライムローン市場で起きているということがFTCによって報告をされております。  この中の略奪的な金融というものの中身が、契約条項ではどういうものかというものがこの報告書の中に詳しく書いてありますが、金利が非常に高い。最初は低い又はゼロ金利でございますが、バルーンペイメントと申しまして、風船のように膨らんでいく、又はある日突然元金の一括返済がやってくる。そもそも支払能力に関係なく貸し付けていくというような問題がございました。このような問題について、我が国では貸金業法の改正のときに金利の規制を掛け、そして信用力に応じた貸付けという総量規制を掛けております。  そもそも市場で調整が働くというのは、サブプライム層よりも上の層の部分では、確かにそういったこともあるかもしれません。英米でも、より良い貸し手を求めて上の層では低金利になっているという事情がございましたが、問題は経済的弱者に対する貸付けです。金銭の貸付けの場合には、経済的弱者がより弱い立場に立つために搾取的な構造に流れやすいということがございます。そういった消費者金融の特性を踏まえて、貸金業法についてはグレーゾーンを撤廃し金利を引下げをいたしました。  そこで、大臣の方にお伺いをいたします。  この貸金業法は、二年半後に見直し条項が付いております。この見直し条項のときに、このような改正の経緯、これを無視して、よもやグレーゾーンを復活させたり金利を引き上げるということがないだろうとは思っておりますが、この見直し条項についての大臣の御見解をお聞かせ願います。
  204. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 森委員御指摘のとおり出資法の今回の見直しは、今回というか、来るべき見直しは出資法の上限金利の引下げ等を実施することを前提として、その円滑な実施のために必要があれば行うというものでございますから、みなし弁済規定を廃止しないことや出資法の上限金利の引下げを実施しないことまでも含むものではございません。
  205. 森まさこ

    ○森まさこ君 ありがとうございます。  この貸金業法においては、実はもう一つのステージである債権の流動化についてもきちんと規制が掛けられております。民法の原則では債権を譲渡するときには一々通知、承諾が必要なんですが、現在は特則が設けられまして非常に流動化しやすくなっておるわけでございますが、貸金業においてはこの貸金業法の改正によって通知、承諾が必要でありますので、リスクの高いローンを束にしてリスクが見えないようにして、だれに渡っているか分からないという状況は生じないようになっております。また、そういったことが生じた場合、つまり通知、承諾を怠った場合には民法上の効果に上乗せして行政処分も掛けられるようになっているのでございます。  さて、こういった貸金業の一形態であります事業者に対する金融、いわゆる商工ローンでございますけれども、前回も当委員会で御指摘があった某商工ローンでございますが、ちょうど私が金融庁におりますときに行政処分が打たれました。そして、そのことに不服として行政訴訟も起こされたのでございますが、これは認められずに金融庁の方が勝っております。この商工ローンが金融庁に行政処分を打たれた後に分社化をして、都道府県にそれぞれ子会社を作りました。前回も指摘されたように、これでは金融庁の監督が及ばないわけでございます。  前回の行政処分では、全国全店の業務停止というものを行い、特に違法行為を行った行為店は更に上乗せした長い期間の業務停止をしたのでございますが、そのときと同じような違法な行為が行われているという苦情がたくさん寄せられております。  例えば押し貸しをして、その数か月後に一括弁済を迫ると。そういうことをすると金利が稼げませんので非常に不思議なんですが、元々この商工ローンは、その当社は返してもらう必要がない、つぶしてしまうような元々目的であって、貸すときに保証人をたくさん取ります。中小企業に貸し付けるんですが、保証人は、一般人からも保証人を取りますので、一般の方やサラリーマンや主婦の方に一千万円以上の一括請求をいきなりしたり、それから売掛債権を差し押さえたりというようなことが行われます。  さらに、前回の行政処分でも問題となったような違法な取立て行為もたくさん行われております。本人以外の家族、御高齢のお母様やお子様たち、奥様たちへの取立てや夜中九時までの取立て、そして最近には外国人を使って、法令が分からないようなふりをして違法な取立てをするなどの目に余る行為があるようでございますが、これをまた都道府県が行政処分をしようと思っても、全国全店一斉に業務を停止をするということはほとんどできないであろうと。同じような違法行為を一斉に摘発しなければならない。行政訴訟を必ず起こしてくるような業者であるとなると、そこまでの理論的な詰めもしなければいけません。  私は、このような脱法とも思われるような分社化については、是非貸金業法の次の見直しのときにこういったものについて、法人格の否認の法理とは申しませんが、金融庁が監督をしていけるような改正を、それこそが見直しの本来のことではないかというふうに思いますが、金融庁さん、お答えお願いします。
  206. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 金融庁、財務局におきましては、全国規模で分社化し複数の監督当局に監督権限が及ぶ貸金業グループに対しましても、貸金業者向けの総合的な監督指針を踏まえまして、債務者等の利益保護の観点から、関係都道府県等と十分連携を図りながら、適正かつ適切な対応に努めているところでございます。  具体的には、金融庁、財務局では、都道府県の監督当局との間で、この監督指針を踏まえまして、金融庁、財務局に寄せられました苦情、相談内容の都道府県当局への伝達、貸金業法等関係法令の解釈、検査監督上の着眼点などの監督情報の共有、貸金業監督会議の開催などの取組を実施しているところでございます。
  207. 森まさこ

    ○森まさこ君 貸金業監督会議というものを開催しておられるようでございますけれども、前回の改正でも、このような悪質な商工ローンの公正証書を使った違法な取立て、それから委任状の悪用などについてきちっと処分をする規定をつくったのですが、非常にテクニカルでございますので、それを監督者の都道府県の皆様が駆使をして行政処分をしていただきたいと非常に期待をするところでございますが、例えば、その監督会議に商工ローンと渡り合ってきた商工ローン弁護団の弁護士の先生方を講師に招いてこの改正の趣旨などを説明していただくというのはいかがでしょうか。お答えください。
  208. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 具体的にどういった形でどういうことをするかということについては差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、私どもはこういった監督指針、こういったものを踏まえまして、各都道府県とも連携しながら対応してまいりたいと考えております。
  209. 森まさこ

    ○森まさこ君 よろしくお願いをいたします。  ちまたには、このような悪質な取立てが貸金業法改正のせいだというような意見もあるようでございますが、貸金業法改正の前から同じような悪質な取立てはありますので、貸金業法改正と全く関係のないということを確認をしておきたいと思います。  次に、中小企業庁に対して御質問をしたいと思います。  産業活力再生特別措置法によって中小企業再生支援協議会があるということでございますが、これについて、実際に厳しい経営状況に陥った中小企業の再生を支援するための取組がどのぐらいの件数行われたかについてお答えください。
  210. 数井寛

    政府参考人(数井寛君) お答え申し上げます。  中小企業再生支援協議会では二種類の支援を行ってございます。  まず一次対応として、窓口相談では、常駐専門家が面談等を通じまして中小・小規模企業の経営状況を把握し、問題の解決に向けました助言あるいは支援施策の紹介を行ってございます。このうち、再生可能性があると判断される場合は、二次対応といたしまして、金融調整を含めます再生計画の策定支援を行っているところでございます。  委員御指摘の件数につきまして、例えば福島県の例を例に取ってまいりますと、今年度の上半期の実績におきましては、一次の相談の対応が三十三件、二次の再生計画の策定支援、これ現在続行中のものが五件ございます。  以上でございます。
  211. 森まさこ

    ○森まさこ君 福島県で三十三件と五件ということで、非常に少ないなという感想を持っております。先日の椎名委員の御指摘のように、広報、また専門家の育成に努めていただきたいと思うんですが、専門家の育成については具体的にどのようなお取り組みをしていらっしゃいますか。
  212. 数井寛

    政府参考人(数井寛君) お答え申し上げます。  専門家の育成につきましては、こういった事業を対応していただく弁護士あるいは診断士あるいは銀行関係者の方々に対しましてのセミナー、あるいはデューデリジェンスの研修、こういったものを私ども国の方で実施をいたしまして、再生に向けましての各種専門知識の向上を努めているところでございます。  また、本年度から特に全国の本部を東京におきまして設置しておりますが、こちらの全国本部におけます支援いたします人材の強化を図りまして、全国におきます先進的な事例をほかの県へ紹介するなどによってノウハウの充実を図っておるところでございます。
  213. 森まさこ

    ○森まさこ君 ここで先ほどのところにつながるのですが、商工ローンから借りている中小企業さん、非常に経営が行き詰まったときに商工ローンから借りて、そして倒産するときに弁護士のところに駆け込んでくるという企業さんが多いんですけれども、そういう方々をこちらの協議会で相談に応じてすくい上げるということができているのかどうか。  先ほどの福島県の三十三件の中で、商工ローンから借りていたという中小企業さんの件数を教えてください。
  214. 数井寛

    政府参考人(数井寛君) お答え申し上げます。  委員お尋ねのございましたような企業の相談実績でございますが、福島県におきましては、本年度上期において一件の実績があったというふうに承知してございます。
  215. 森まさこ

    ○森まさこ君 私たち弁護士が現場で倒産寸前又は倒産してしまった会社の相談を受けるときに、商工ローンからの借入れ又は代表の方が消費者金融からの個人の借入れということが非常に多うございます。その方々の部分を是非すくい上げていただきたいと、そのような試みをしていただきたいというふうに思います。  例えば、先ほど金融庁さんの方に御提案したように、専門家の中に商工ローンの取扱い、これ非常に悪質な公正証書や手形を使った取立て等がございますので、一般の弁護士とまたスキルが違う弁護士のグループがございますが、そういった弁護士さんの御協力もいただきながら商工ローンの被害についても取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  216. 数井寛

    政府参考人(数井寛君) お答え申し上げます。  委員お尋ねのような案件におきましては資金繰りが特に逼迫しているというケースが多うございますので、当該企業につきましては迅速な対応が必要であろうと考えてございます。協議会の専門家は、こうした企業からの借入額の規模あるいは事業性をよく聴取し、再生可能性を見極めまして支援をしているところでございます。  具体的には、残念ながら再生が難しい、こういったケースの場合には、法的整理も視野に入れながら各種アドバイスを行ったり、必要に応じまして弁護士の御紹介を行っているところでございます。また、再生可能性があると判断できるようなケースの場合には、当該借入れをまず最初に返済することを勧めつつ、必要に応じまして再生計画の策定につきましても支援を行うというふうに考えてございます。  引き続き、こういった案件につきましても、私どもを含めまして協議会の事業の周知を努めまして、中小・小規模企業の方々に幅広く再生協議会を御利用いただけるよう努めてまいりたいと考えております。
  217. 森まさこ

    ○森まさこ君 商工ローンからの借入れというのはなかなか人に恥ずかしくて言えないような部分がございまして、この協議会の仕組みですと、金融機関、自分のメーンバンクですか、そちらの方から申入れがあるとか、又は商工会議所のメンバーなどで構成される協議会の方に自分で名のり出なきゃいけないんですが、自分の地域の商工会議所の方や同業者の方や取引先のところに商工ローンの被害があるというのはなかなか申し出にくい部分があると思います。そのような相談をまた別個吸い上げるような窓口の設置についても工夫をしていただきたいなと思います。  それから、先ほどの福島県の一件でございますが、弁護士の方に相談に行って早く整理をするように促したというような御答弁でございましたけれども、商工ローンの被害の中には往々にして、先ほどの悪質な商工ローンの場合には請求自体が違法である場合もございます。計算をしたらそんなに払わなくてよいという場合もございますので、そういった専門の弁護士の方への相談ということで工夫をしていただきたいと思うところでございます。そして、その後、倒産をしないためにミドルリスクのところで助けてあげるようなセーフティーネットの構築についても今後政府の方で御検討をいただけたら有り難いと思います。  次に、金融庁にお伺いしたいのですが、金融機能強化法により、実際に中小企業のところまで資金が流れるのだろうかということが懸念をされておりますけれども、具体的に資本注入した銀行が提出する経営強化計画について、その履行状況をどのようにフォローしていくおつもりなのか、お答えください。
  218. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 本法案に基づきます改正後の金融機能強化法におきましても、現行法と同様、資本参加の決定時に経営計画を公表するほか、半期ごとにその履行状況を公表することとしておりまして、パブリックプレッシャーの下で金融機関による自主的な取組を促すことをまず基本としているところでございますが、また金融庁といたしましては、中小企業向け貸出しの円滑化の方策等を含む計画の履行状況につきまして、定期的にフォローアップを行うこととしているものでございます。  具体的には、計画の履行が不十分な場合にはその理由について報告を求め、原因を精査し、改善の努力が認められない場合には必要に応じまして監督上の措置を講ずることとしているところでございます。こうした枠組みを通じまして、中小企業金融の円滑を促してまいりたいと考えているところでございます。
  219. 森まさこ

    ○森まさこ君 今の御答弁ですと、監督の中でチェックしていくということでございますが、もうちょっと掘り下げて、具体的に、じゃ財務局の方が地域金融機関の計画を見て、一つ一つどのくらいの期間でチェックを入れていく、そういうおつもりなんでしょうか。
  220. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 基本的に個々の貸出しにつきましては、それぞれの金融機関による個々の判断ということかと思います。私どもといたしましては、その履行状況が半期ごとに公表されます、そういった履行状況につきましてフォローアップをしていくということでございます。  いずれにいたしましても、その事柄の態様に応じまして、私どもはこの法の精神が生かされるよう対応してまいりたいと考えているところでございます。
  221. 森まさこ

    ○森まさこ君 是非しっかりと監督されるようにお願いをいたします。  私の方に相談が来る声としては、やはり中小企業の皆さんは短期で貸出ししてロールオーバーしていく、その借換えのときに、やはりまた厳しい貸出態度を取られるというようなことがございます。  金融検査マニュアルの別冊では、中小企業の特性について柔軟に判断するんだと、大企業と違うようにするんだと。例えば赤字になりやすい、それから自己資本が小さいから債務超過になりやすい等々の中小企業の特性に留意をして判断をしていくということでございますが、現場の財務局の方々が実際にそのように御指導なされているのかどうかというと、非常に私も不安な面がございます。  これについて、金融庁の方で各地方で説明会をなさっている。中小企業資金調達に役立つ金融検査の知識というような説明会をなさっているようでございますが、昨年は福島県では、十月に一回福島市で行われただけでございます。私もこれと同じ資料を使って地元に帰るたびに企業の皆様に御説明はしているのですが、このような試みをもっと行っていただきたいというふうに思いますが、今後の説明会の開催日程やそのほかの試みについてはどのような御予定でいらっしゃいますか。
  222. 畑中龍太郎

    政府参考人畑中龍太郎君) お答えを申し上げます。  ただいまの中小企業資金調達に役立つ金融検査の知識説明会についてお尋ねがございました。  私どもは、昨年の暮れから全国の商工会議所、商工会あるいは法人会、青申会、そういった中堅中小企業のみならず個人事業者の方々のところに参りまして、この中小企業の検査マニュアル、これを是非活用してくださいと。  議員、御指摘のありましたように、中小企業は、赤字でありますとか債務超過と、その計数のみで判断するのではなくて、その企業が持っている本当の価値、技術力とか将来性とか経営者の資力等々を総合的に勘案をして融資審査を本来すべきものであると。金融機関といろいろな融資交渉あるいは債権交渉、途上与信等々の局面においてこのノウハウを是非活用して更に密度の高い話合いを金融機関とやっていただきたいということで、中小企業の経営者の、そういう意味では支援活動を今やっておるわけでございますが、現在まで、大体三百か所ぐらいで一万六、七千人の経営者の方に御参加いただいております。  これからもこの取組を充実をして、希望的なベースでございますが、全国で四百万ぐらい中小企業がおられますが、その中のせめて一%ぐらい、四万社でございますが、その辺りを目標にしてこれからも取り組んでいきたいと思っております。
  223. 森まさこ

    ○森まさこ君 そうは申しましても、現場の声として、金融庁の指導があってもう貸せないんだよというような説明をされたと、言われたというような中小企業者の声もあるんですが、そのような苦情は金融庁の方に届いているんですか。届いているとしたら、それについてどのような対応をなさっているんでしょうか。
  224. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 私どももそういった声があるということはいろんな方々からお伺いするわけでございますけれども、私どもといたしましては、例えば今回の貸出条件の緩和債権の措置につきましても、それぞれの現場の監督者あるいは検査担当者、そこが同じ目線で立つように、これにつきましては直ちに直接文書でそういった趣旨をお伝えしているところでございます。それから、金融機関にも同様の私どもとしても文書を発出いたしまして、今私どもが取り組んでいるところが、私どもの中でもできるだけ目線が統一するように最大限の努力をしているところでございます。  現在も私ども、検査、監督、それぞれの部局、あるいは共同しながら、さらには中小企業庁さんと連携しながら貸し手のみならず借り手の方々の声をお伺いするということで、様々なところへ出掛けてお話もお伺いしているわけでございます。これからも様々な声には耳を傾けながら金融機能の円滑化に努めてまいりたいと考えております。
  225. 森まさこ

    ○森まさこ君 具体的な金融機関の名前が出て、例えば金融庁の下の相談室に来た場合には監督に反映されているんでしょうか。
  226. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 私ども、利用者相談室というのもございます。それから、中小企業など借り手の方々の声をお聞きする受付窓口といたしまして、金融円滑化ホットラインも開設しているところでございます。また、十月の十六日には大臣が直接、大臣目安箱も開設しているところでございます。  寄せられた情報につきましては、例えば情報提供者が具体的な情報を金融機関に開示しても構わないということであれば、当該金融機関に伝達し、臨機に事実確認などを行いますとともに、当該金融機関における対応方針や態勢面等についてヒアリングを実施しているところでございます。また、検査、監督におきましても貴重な情報として活用しているところでございます。  今後ともこういった取組を進めてまいりたいと考えております。
  227. 森まさこ

    ○森まさこ君 是非、地方の中小企業、大変な状況ですので、よろしくお願いしたいと思います。  終わります。
  228. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 それでは、まず法案に関連いたしまして、中小企業金融の円滑化についてお尋ねいたします。  先回の一般質疑では、政府金融機関の貸出問題を中心にお尋ねいたしましたが、中小企業につきましても九割方は民間金融銀行から借りているわけでありますから、この民間金融機関の貸出動向、中小企業に対する貸出動向が極めて大事でございます。  データを見ますと、この金融機関全体の総貸出残高は増えている一方で、中小企業向けは引き続き減少しているという、こういう指摘でございます。最近の貸出水準は、二〇〇〇年から二〇〇一年前後と比較してもかなり低い水準にとどまっております。これまでは不良債権の処理に追われる金融機関の体力の低下ということもあったかと思いますけれども、そうしたことが改善をする中で今の状況というのは一体どういうところに原因があるのか、このように思うわけであります。  そこで、金融庁として、最近の中小企業向け貸出額の低迷の要因についてどう分析しているのか、お尋ねいたします。
  229. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 御指摘のとおり、貸出しの状況でございますけれども、日本銀行の統計によりますと、国内銀行の中小企業向け貸出残高は二〇〇〇年三月から二〇〇八年八月までの間に約四十七兆円減少していると承知をしております。  この理由につきましては、これまで企業の過剰債務解消の問題、あるいは資金需要の低迷の問題、貸出債権の償却や流動化あるいはオフバランス化など、様々な要因等考えられるわけでございますが、現在、現下の経済状況の下、中小企業の業況は大変厳しい状況にあると認識しております。  私どもも、この五月あるいは八月と、そういった中小企業の実態につきましてアンケート調査等を行いながら現在の状況を分析しているところでございます。内容を見ますと、かなり実体面の要素、こういったものも相当大きいわけでございますけれども、金融機関につきましても様々な声があるわけでございます。  私どもといたしましては、今後、金融機関融資審査が慎重になっているとの指摘もあると承知しておりますので、金融機関による適切かつ積極的な金融仲介機能の発揮が果たされますよう、これまでも各般の施策に取り組んでおりますが、引き続き一生懸命対応してまいりたいと考えております。
  230. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 もちろん、今の指摘一つにもありましたように、借り手側の経営環境の悪化ということもあるかと思いますが、よく言われますように、まさに雨が降ったら傘を貸さないという、そういう事態になっているという感を強くいたします。  そこで、貸し渋りの現状について更にお尋ねいたしますが、これは金融庁による実態調査のほか、中小企業団体や信用調査会社によるレポートが公表されております。  その中で、全国商工会連合会の八月末現在での調査によりますと、この対象となった会社のうち九十社が貸し渋りなどを経験したと回答しておりまして、具体的な金融機関としては地銀、第二地銀が五〇%、信金が二五・六%を占めているという、こういう調査でございました。  金融庁は、ここ数年来、リレーションシップバンキングあるいは地域密着型金融ということを目指してきたわけでありますけれども、まさにこういうときにこそ真価が問われるわけであります。  そこで、金融庁としては、こうした調査も踏まえて、現在の貸し渋りの現状、そうした状況があるのかないのか、あるいは今後懸念されるのか、この点についてはどう認識をして、またどう取り組んでいくのか、お尋ねいたします。
  231. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 御指摘のとおり、私どもも地域密着型金融、この果たす役割は大変重要なものであると認識しておりまして、今般の監督指針等におきましても、この地域密着型金融の推進、さらには、主要行等におきましてもきめ細かな融資ということを要請しているところでございます。こういった取組を続けてきているところではございますが、他方では、足下で現場の借り手の方々から金融機関融資対応に関して厳しい声があることも承知しております。  私どもといたしましては、現下の経済情勢の下、中小企業の業況、これも厳しい状況にあることから、民間金融機関におきまして、借り手企業の経営実態や特性に応じたリスクテークとリスク管理をきめ細かく行い、中小企業に対する円滑な資金供給に努めることが重要であると考えております。様々な方針等でこの旨を、要請等を繰り返しているところでございます。
  232. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 金融庁が中小企業金融の円滑化に向けて様々努力をしていることは承知をしておりますし、更に頑張っていただきたいと思います。  ただ、その対応内容を見ますと、今の答弁にもありましたように、金融機関に重ねて要請をするとか、きめ細かく相談に応じるとか、なかなか、取り得る手段といいますか、今やっている手段に限界があるような気がいたします。  そこで、更にそういう中小企業貸出しの円滑化に向けた効果的な手段というのは検討できないのか。例えば、以前にはアクションプログラムを推進していったわけでありますけれども、そういう、同じことをやるというのではなくて、もう一回何らかのそういう数値的な目標も明示してこのプランを推進する、督促をするとか何らかもう一歩効果的な手段というのが取れないのかと思いますが、これは大臣、いかがでしょうか。
  233. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 本当に資金のニーズを持っている中小企業あるいは地域経済体に対して金融機関、とりわけ一番地域のこと、企業のことが分かっておりますその地域の中小金融機関が円滑に資金が供給あるいはまた受けられるというために金融庁としても更に努力をしていかなければならないと思っております。  また、金融機関の方も、その地元ならではの能力といいましょうか、経験といいましょうか、そういうものを大いに発揮をしていただきたいと思います。そしてまた、一つ金融機関だけではなくて地域のいろんな自治体その他、あるいは今回特別保証も増額をいたしましたけれども、いろんなところと連携を取りながら、その地場の企業のいいところをうまく引き出して、そして融資ができてお互いウイン・ウインになるような関係に是非ともしていきたいなと。  私のところの目安箱も毎日数十通全国からいただいておりますけれども、いろんな苦情もございますし、また御不満もございますけれども、いろんな御提案もございまして、それは迷惑の掛からない程度で行政の方にも回しておりますけれども、引き続きまた荒木議員の方からもお知恵をいただければと。我々も努力してまいりたいと思います。
  234. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、改正案につきまして、まず金融機能強化法につきましてお尋ねいたします。  金融機関に対する公的資本増強制度としては現行の金融機能強化法、旧法と言った方がいいような気がしますけれども、法律が残っておりますので、現行の強化法のような時限的な措置と、それと預金保険法に定められた恒久措置があります。先ほども議論になっておりましたけれども、この預金保険法に基づく恒久措置というのは、いわゆるシステミックリスク対応する、そういう重大事態に対応するような仕組みであるということでございます。    〔委員長退席、理事円より子君着席〕  そこで、そうしたシステミックリスク対応する措置とは別に金融機能強化法に基づく資本増強制度というのを併存させてきた趣旨について御説明願います。
  235. 内藤純一

    政府参考人(内藤純一君) お答えいたします。  委員御指摘のとおりでございますが、預金保険法に基づく資本増強措置は、信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがある場合における危機対応として手当てされているものでございます。  一方、これに対しまして今般の金融機能強化法案あるいは現行の強化法でございますが、金融機関による資本の自力調達が必ずしも容易でない状況下で金融機関リスクを取り、地域における金融機能を発揮するのに十分な資本を国の資本参加によりまして確保することを目的として制定されたものでございます。  このように、金融機能強化法に基づく資本増強措置は、預金保険法に基づく資本増強措置とその目的を異にするものとして設けられてきたところでございます。
  236. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そこで、今年の三月で申請期限の切れた現行法に基づく資本増強の効果についてお尋ねいたしますが、この現行法では、現行法は平成十六年八月に施行されまして、今年三月末までに和歌山県の紀陽ホールディングス、これは再編型のそういう資本注入ということでありますけれども、それと大分県の豊和銀行の二件に資本増強が行われました。これらの金融機関に資本増強を行ったことで現行法、これは改正案でも同じでありますけれども、この法律目的地域における経済の活性化を図るということでございますが、実際この二件の事案がそうした地域の活性化という事態をもたらしたのか、そうしたことが検証できるのか、説明を願います。
  237. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 御指摘のとおり、現金融機能強化法におきまして、平成十八年十一月に紀陽ホールディングスに対しまして三百十五億円、同年十二月に豊和銀行に対しまして九十億円の国の資本参加を実施したところでございます。それぞれの銀行は、国の資本参加を受けて以降、経営強化計画に沿いまして信用供与の円滑化に関する方策に取り組んできたところでございます。  その結果でございますけれども、一つは中小企業又は地元事業者向けの貸出残高が増加してきております。また、二点目といたしまして、創業支援、経営相談、事業再生など、経営改善に取り組んだ企業数も増加してきていると承知しております。  両行におきましては、引き続きそれぞれの地域におきまして金融仲介機能を積極的かつ適切に発揮し、この中小企業等に対します金融の円滑化に努めていただきたいと考えているところでございます。
  238. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 資本注入しました二件については、このデータの面でもそうした金融の活性化といいますか、経済の活性化という効果は出たというふうに理解をいたしました。  ただし、結局この四年、三年半ですかね、の期間で申込みは二件にとどまったわけでありまして、率直に言って当初予想しておった事態とは違ったのではないかと思います。当時も地域金融機関の中にはかなり経営基盤の弱いところもある、再編の必要がある等々言われておりまして、そうした経営基盤の強化なり再編を促す一つのツールとしてこの法律が用意をされたんではないかと思いますが、非常に部分的な申請、適用にとどまったわけでありまして、ここを改善しないと今回も同じ結果になるということであります。  そこで、要するに、非常にこの申請の敷居が高いのでなかなか手が挙げられなかったということが指摘をされているわけでありますけれども、この二件しか資本増強の申込みがなかった根本的な要因はどう考えているのか。ここをしっかりと分析しませんとこの改正に生かされませんので、説明を求めます。
  239. 内藤純一

    政府参考人(内藤純一君) お答えいたします。  現行の金融機能強化法に基づく資本参加が、今も答弁いたしましたが、二件にとどまっている背景でございますが、幾つかあろうかと推察をしております。  まず第一は、ここ数年、世界的に金融市場が安定をいたしまして国内景気も回復基調でございましたので、金融機能の発揮を促進するため増資により金融機関の資本基盤を強化する必要性が相対的に少なかったということが挙げられようかと思います。  第二に、資本市場の環境が良好でもございましたので、資本の自力調達が現在ほど困難ではなかったというような要因もあろうかと思います。  それに加えまして、第三点でございますが、先ほど委員が御指摘されましたように、現在の仕組みでございますが、国の資本参加時や数値目標の未達成時に経営責任を一律に問うということになるために、金融機関の申請に負のインセンティブといいますか、それを差し控えさせるような、そういう効果がもたらされるということが指摘されていたというふうに挙げられるところでございます。  そのような背景ということについての分析等も踏まえまして、今般は、申請期限の延長ということに加えまして、本来の目的である中小企業金融の円滑化あるいは地域金融の円滑化というものに資するための制度の整備といいますか、見直しというものも盛り込んだところでございます。
  240. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 三番目の点につきましては、そうしたことを勘案して今回は少し申請のハードルを下げたということかと思いますので、また後で若干お尋ねしたいと思います。  そこで、協同組織金融機関の中でのセーフティーネットの仕組みがどう機能しているのかお尋ねしたいわけでありますけれども、現行の金融機能強化法の制度とは別に、信金、信組といった、あるいは農協もそうでありますけれども、協同組織金融機関におきましては、中央機関による資本支援等、協同組織内部での助け合いといいますか、セーフティーネットが確立していると承知をしております。  各業態のセーフティーネットが現実にどのように機能しているのか、簡単にその仕組みも含めて、また実績について説明を願います。
  241. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 協同組織金融機関の各中央機関は、業界の信用の維持向上を図る観点から、傘下機関に対しまして経営分析や経営指導を実施することにより経営悪化の未然防止に努めますとともに、業界のセーフティーネットである資本支援制度を運営していると承知をしております。  この資本支援制度の仕組みでございますが、中央機関などが、支援申請があった場合、傘下金融機関に対しまして実地調査などを実施しますとともに、経営改善のための計画を策定させ、その妥当性、実効性や資金の返済可能性を審査した上で支援を実施しますとともに、支援の実行後も経営改善計画の進捗状況などをモニタリングしながら必要に応じて経営指導等を実施する、こういった枠組みによりまして、傘下金融機関のモラルハザードを防止しながら経営基盤強化を図ってきているものと承知をしております。    〔理事円より子君退席、委員長着席〕  各中央機関におけます資本支援実績、これは平成二十年三月末時点でのものでございますが、四つございます。信金中央金庫は、支援件数延べ五十七件、金額は延べ三千五百八十七億円。二つ目の全信組連、支援件数で四十一件、金額で五百四十一億円。三つ目の労金連合会、支援件数で一件、金額で六十億円。それからジェイエイバンク支援協会、これは件数で三十二件、支援金額で六百五十八億円と承知しております。
  242. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、この現行法は三月末に申請期限が切れたわけでありまして、確かにその時点で延長すべきではないか、あるいは代替措置が必要ではないか、こういうことを我々も議論をしたことを覚えておりますが、結果的に三月末の時点でこの現行法の延長は必要なし、あるいは代替措置も必要なしと、こうした、もう自助努力で資本増強してもらえばいいという、こういう判断をした理由といいますか、このことについてはどのようなものが挙げられますでしょうか。
  243. 内藤純一

    政府参考人(内藤純一君) 現行の金融機能強化法でございますが、これは平成十六年に制定されたものでございます。その当時のことでございますが、金融機関の資本の自力調達が必ずしも容易でないという状況の下で、金融機関が自主的取組としてリスクを取り、地域における金融機能を発揮するのに十分な資本を国の資本参加という形で確保するということを目的として制定されたものでございます。  これに比べまして、本年三月末とされていた申請期限の延長について、昨年の秋から本年の初頭にかけまして検討が行われたところでございますが、この時点におきましては、制定当時と比較をいたしますと、まず第一に、地域金融機関は総じて自己資本比率が改善をしてまいったということがあろうかと思います。それから、第二点でございますが、資金の出し手の多様化も相まって、自力調達による資本増強等が可能な状況になってまいったということでございます。また、第三点といたしまして、地域金融機関リスク管理に対する信頼性が向上するとともに、早期発見、早期対処のメカニズムが定着をしてきたというようなことが違いとして挙げられようかと思います。  そういったことで、この時点におきましてこれを延長しないというふうな判断をしたというところでございます。
  244. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そういうことで、今回復活をするということは、またそうした金融をめぐる環境が変わってきたということかと思います。  そこで、今回の改正案の趣旨についてお尋ねいたしますが、今回は単に申請期限を延長して復活をするだけではなく、経営責任を一律には求めないということで使い勝手を良くしているわけであります。  それに加えまして、今日随分この点に関連して議論があったわけでございますけれども、この協同組織金融機関の業態内部の資本支援措置、このセーフティーネットを前提としまして、業態内部での傘下の金融機関への資本支援を前提としまして、協同組織中央機関にあらかじめ資本参加をすることを可能とする新たな枠組みが設けられたわけでありまして、ここはいろいろ議論されたわけであります。  私も、午前中の議論等を聞いておりまして、これが何か特定のそういう中央組織を支援をするという、こういう立法目的であっては決してならないわけでありまして、こうした措置を新たに設ける立法事実といいますか、正当性というのはきちんとこれは説明ができなければいけない、このように思います。  したがいまして、この新たな資本参加の枠組みを導入することになった理由につきまして、これは改めてになりますけれども、説明をしてください。
  245. 内藤純一

    政府参考人(内藤純一君) 今般の改正案でございますが、これは国の資本参加を通じまして金融機関金融仲介機能を強化することにより、厳しい状況に直面する地域経済、中小企業を支援することを目的とするものでございます。  そこで、委員御指摘の今回の新しいスキームでございます。これは信金中金あるいは農中等の協同組織中央機関を通じまして、中央機関自身あるいはそれを通じて個別の協同組織金融機関に資本を増強していくというスキームでございますが、これは、これら中央金融機関が傘下の金融機関の系統を熟知し、各グループが有する相互支援制度の下、自主的な資本増強機能、モニタリング機能を適切に発揮しているということにかんがみまして、これを活用いたしまして、かつまたこれを強化していくということを考えたわけでございます。  今般、これらの中央機関にあらかじめこうした形で資本参加をするということで、厳しい状況に置かれております地域経済に対し協同組織金融機関全体としての金融仲介機能の発揮を促進したいということが目的考えておるところでございます。
  246. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 先ほどの説明ですと、各業態の中での資本支援の仕組みが既にあって、実績としても信金の五十七件、三千五百八十七億円を始め相当実績があるわけですね。これでは不十分だという、そういうことなんでしょうか。
  247. 内藤純一

    政府参考人(内藤純一君) 先ほども御説明しましたように、相互支援制度はかなり活用されているというふうに私どもも認識をし、理解をしております。  ただ、現下の状況考えますと、非常に大きな世界的な金融の混乱、あるいはまたその混乱を通じて実体経済にも悪影響が及ぶことについて非常に大きな懸念が生じているところでございます。その中で、資本に対するダメージというものが地域金融機関に与えられるとした場合に、やはり金融機能の低下あるいは貸し渋りといった問題が今後も大いに懸念されるところでございますので、この金融機能強化法というものをもう一回活用いたしまして、金融機能強化というものに十分な対応をしていくということを考えて今回御提案をしているところでございます。
  248. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そこで、中川大臣にお尋ねいたしますが、今回の改正案というのは、これまで議論がありましたように、現下の厳しい経済情勢を踏まえまして、中小企業金融の円滑化に資するために提出されたものであります。そこで、この改正案が施行された場合に、本当に中小企業のためになるような、資金繰りが容易になるような、そういう効果が発揮されるというふうに認識しているのか、まずこの点お答えを願います。
  249. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 世界的なこういう経済金融状況の中で、しかも日本経済、とりわけ地方、中小企業はずっと厳しい状況にあったわけでございます。そういう中で、日本が景気が良くなる、経済が良くなる、地方が活性化するということは、日本のみならず世界に対しても非常に貢献することだろうというふうに思っております。  したがいまして、この法案法律化され、施行され、実施されて金融機関の方にこういう形で資本注入されて、そして貸出余力ができて、そしてきちっと企業地域に必要な資金が行くということを我々は期待をしているわけでございます。  金融機関の中には、注入をすると何か経営が悪いと思われるのではないかなんという声が時々聞かれるわけでございますけれども、これは九〇年代のときの公的資本注入とは全く意図が違うわけでございまして、むしろ、もっと地域のために融資をしてくださいということを促するためであるということを我々としても今後なお一層周知徹底の努力をしていく必要があるというふうに考えております。
  250. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 先ほどの議論の中で、大臣は、今回改正案が改正された場合に、どの程度そういう資本注入するのかということは定量的に言える話ではなくて定性的なものだという、そういう趣旨はよく分かります。  ただ本年度、二十年度予算の総則におきましては、こうした金融機能強化法前提に預金保険機構に二兆円の政府保証枠を設けているわけであります。これは、三月末までに申請ができましたから、もし申請があっても対応できるようにと。  そこで、今回制度を復活させまして、しかも申請のハードルも下げると、また中央組織に対する新たな資本注入の枠組みも設けるということでありますから、従来と同じボリュームでは当然対応できないと思うわけですね。ですから、当然これは二兆円ということで対応できるものではないと思いますので、この政府保証枠の取扱いといいますか、今後の在り方についてはどうしていくんでしょうか。
  251. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 当然、法律ができ上がって施行になってからも二兆円でそのままで、法律だけ、政省令で二兆円だけ担保するということは考えておりません。  先ほど申し上げたかったことは、衆議院の御議論でも貸出債権の条件緩和の扱いなんかも変えたわけでございますから、これによって金融機関対応も違ってくると思いますし、まさに今ここで御審議していただいていること、あるいはまたいろんなところでの御意見等も聞きながら、最終的にスタートをするときにはきちっと資本参加の枠といいましょうか、これを政省令、政令と予算総則でかちっと決めていかなければならないというふうに思っております。
  252. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、送付されております改正案は衆議院で修正をされております。この点について、これは政府の方にお尋ねいたしますが、衆議院における修正におきましては、国の資本参加に関しまして、端的に言うと、そういう放漫経営でそうなった場合には経営責任の明確化を求めると、明確にするという、こういう形に修正をされましたし、また、国が資本参加を行った協同組織中央機関により資本支援を受けた傘下の金融機関の名称も公表する、こういう修正がなされまして、これは至極当然だと思います。ただし、申請する側からすると、何といいますか、こういう手を挙げるのを少し足踏みさせる要素にもなる面はあろうかと思います。一方で、今大臣もおっしゃったように、衆議院での議論を踏まえて、金融検査マニュアル中小企業編を改訂をしまして柔軟に対応できるようにしたということがございます。  こういう衆議院での修正も踏まえて、実効あるそういう資本増強ができるように非常に金融庁としての対応が大事だと思いますけれども、この衆議院の修正を踏まえた対応について政府の見解を伺います。
  253. 内藤純一

    政府参考人(内藤純一君) お答えいたします。  衆議院における修正でございますが、適切な金融仲介機能の発揮により、厳しい状況に直面する地域経済、中小企業を支援するという今回の改正案の目的をより明確にしていただいたものと認識をしております。金融庁といたしましては、今回の改正案が成案を得た場合には、資本参加を受けた金融機関における中小企業金融の円滑化策等の履行状況をしっかりとフォローアップしてまいりたいと考えております。  また、こうした本法案に係る取組に加えまして、金融庁におきましては、先般、貸出条件緩和債権に該当しない場合の取扱いを拡充する等、従来から金融の円滑化に向けて努めてきたところでございまして、今後とも中小企業金融の円滑化に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。  こうした金融庁の取組と、これに呼応する形で金融仲介機能発揮のために金融機関が行う様々な取組が進められることにより、今回の改正案による資本増強措置が真に実効性あるものとなると考えているところでございます。
  254. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 保険業法改正案につきまして、二つお尋ねいたします。  今回の改正案は、生命保険会社が破綻した場合の生命保険契約者保護機構の資金援助について政府補助規定を延長するものであります。  今年の夏ごろの新聞報道では延長しないという方向も報道されておりましたけれども、今回の改正案でこれを三年間延長することになった趣旨と、今後保険契約者保護のためにどういう施策を取っていくのか、見解をお尋ねいたします。
  255. 内藤純一

    政府参考人(内藤純一君) 生命保険会社のセーフティーネットについてでございますが、生命保険会社が破綻した場合の保険契約者の保護を目的といたしまして、生命保険契約者保護機構から受皿会社への資金援助を実施するための恒久的な制度が設けられているところでございます。  当該資金援助の財源につきましては、保険業界からの拠出を前提といたしまして、現行制度において来年三月までの破綻に対応するため時限的に政府補助を可能としているところでございます。  今般の御提案申し上げています法案、法改正でございますが、現下の厳しい金融情勢の下で保険契約者の保護が的確に図られるセーフティーネットを確保することを目的といたしまして、来年四月以降三年間、この政府補助を引き続き可能とするということとしているところでございます。  この政府補助自体は資金援助が業界負担枠を超えた場合に対応する万一のための制度であり、金融庁といたしましては、日ごろから生命保険会社の経営、財務状況を十分注視をし、適切な監督に努めることで保険契約者保護を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  256. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 最後に、大臣に大和生命の破綻についてお尋ねいたします。  十月に、これは平成十三年以来となる生命保険会社の破綻ということになったわけでありますけれども、今回は、大臣談話においても、ある意味で非常に特異な例であったという説明がございました。いわゆる高コストの保険事業を高利回りの運用でやっておったということであって、一般的なことではないということであったわけでございますけれども、しかし、同様な事態が生じないようにするために今後どう保険会社の監督に当たっていくのか、大臣の決意を最後にお尋ねいたします。
  257. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、荒木委員御指摘のように、この大和生命につきましては、高コストで高利回り、高リスクという運用をした結果こういうことになって大変残念なことになったというふうに思っております。今後こういうことが起きないように、早め早めに状況をしっかり把握してやっていかなければいけないと思います。  また、保険業法の方の延長、改正案の方もお願いをしておりますけれども、そういった趣旨でまたしっかりやっていきたいというふうに思っております。
  258. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 終わります。
  259. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門でございます。  本当に大臣、お疲れさまでございます。これからワシントンに立たれるということでございますので、余り疲れさせないように簡単な質問をしていきたいと思いますので、御答弁もてきぱきとやっていただければというふうに思います。  サミットに御出席ということですので幾つかお伺いしたいと思いますけれども、今度のサミットは、IMFそのものの改革もテーマになりそうだということでございます。午前中も議論ありましたけど、日本が十兆円出すかどうかというような話があるわけですが、私はお金も出すなら口も出すべきだというふうに思います。  IMFの在り方については谷垣大臣のときに私、議論させてもらったことがあるんですけれども、今回は特にIMFの民主化といいますか、新興国とか途上国発言権を強くするというのも一つのテーマになっているようでございますけれども、今まではアメリカの発言力が物すごく強くて、日本お金出しているのに割とアメリカの陰に隠れているようなところがあって、この間、新興国、中国とかブラジルとか韓国、メキシコでしたかね、ちょっと発言力が強まってきたと。  そういうやっぱりIMFそのものの在り方も問われているということで、そういう民主化といいますか、発言権を強めていこうというふうなことがテーマになるかと思いますが、その点、日本はどういう立場で臨まれるか、お聞きしたいと思います。
  260. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 御指摘のように、今回はアメリカ発世界的なこういう状況でございます。  そういうことで、各国それぞれ、そして各国協調して、それから国際通貨基金、IMF等の柔軟な対応というものも議論になるかと思います。六十数年前にできて、十数年前のアジア通貨危機経験して、そして今こういう状況にあるわけであります。IMFの役割はより重要になってきたと思いますけれども、また現時点でのこういう状況にきちっと対応できるようにIMFも変わっていってもらいたいというふうに思っております。日本は、資金援助を必要であればやるということは先月私から申し上げておりますけれども、経験も含めて、IMFあるいは世界のために善かれと思うことはどんどん発言をして行動してまいりたいと思っております。
  261. 大門実紀史

    大門実紀史君 今までのIMF批判というのは、いわゆる市場原理主義的な構造調整を途上国に押し付けるというので相当批判が起きて、途中でちょっと修正をして、貧困削減を中心にするということでちょっとは変わってきているわけですけれども、今問題になっているこの金融の自由化も、やっぱりIMFがアメリカ型の自由化を世界に広めたということもまた批判されておりますので、そういう点も含めて、前回お聞きしたとおり、問題意識は持っておられると思いますので、是非発言をしていっていただきたいなと思います。  もう一つは、金融の規制といいますか市場規制といいますか、投機マネーの規制なんかも含めて監督規制ですね、これもテーマになりそうですけれども、例の原油高のときのサミットでは、ドイツは規制に非常に積極的でしたけど、アメリカとか日本はどちらかといえば消極的だったと。その後この金融危機が起きて、もう今やドイツもフランスも物すごく積極的で、むしろ、原油のときにちゃんと自分たちの提案を聞いておくべきだったと、そら見たことかというような感じがあったりするわけですけれども。  そういう点では、前回申し上げたとおり、小手先の規制じゃなくて、監督強化じゃなくて、パッケージとして、ファンドの問題とか簿外取引とかレバレッジの問題とか、いろいろきちっとやっていかなきゃいけないというふうに思うんですけれども、アメリカもオバマ次期大統領はかなり強い意識を持っていらっしゃるようですけど、この点、今まで日本もアメリカにくっついて消極的だと言われていたところがあるわけですが、是非積極的にこの監督規制の問題も発言していっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  262. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 同感でございます。  今回のこの危機の原因の一つは、ハイレバレッジというか、ハイパーレバレッジという問題もございますし、余りにも自由ということで、グラス・スティーガル法の改正であるとかレバレッジ規制の撤廃であるとかということをやったことも原因になっておりますので、総理も生活支援のときに発表しておりますように、格付の問題、あるいはまた会計の問題、あるいは証券化商品の問題等についてもきちっとしたルールを作っていくという立場総理は臨まれますし、私もそれを補佐していきたいというふうに思っております。
  263. 大門実紀史

    大門実紀史君 もう一つ円高ドル安の問題ですけれども、ドル買いの協調介入があるのかどうかと。これはお聞きしても多分お答えにならないというのは分かっておりますので、その表裏一体の問題でありますけど、アメリカは七十兆円の公的資金投入、その前に景気対策で八十兆円ぐらいありますから、大体百四十兆ぐらいの対策を立てると。したがって、これはアメリカの場合は借金でやるしかないわけですね。しかも、外国から借金をするしかないような国でございますので、当然米国債を発行して日本にも引き受けてほしいというような話になってくるかというふうに思います。  午前中、大塚さんから円建て米国債の話がありましたけど、私は円建てであろうと、余り米国債を買うのはどうかな、これ以上増やすのはどうかなと思っております。なおかつ、円建てでは為替介入の効果が相殺されるというかなくなる、半減してしまうわけですから、ドルをどうするかというところでいくと、余りそういう要求は特に日本には来ないんではないかと。逆に日本政府は、やっぱりまたドルの米国債を買わされる羽目になるんじゃないかというふうなことを心配しておりますけれども、米国債の問題、ドルが暴落したら大変な事態になるわけですが、まだまだ日本としては米国債を引き受けていくという姿勢なんでしょうか、いかがでしょうか。
  264. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) これは、アメリカ政府がどういう財政支出に対して財源の裏付けを取るか、まずここが一つ前提になるわけであります。そのときに日本に何を言ってくるのかということが二つ目だろうと思います。そのとき、日本がどう対応するのかということでございますが、多分お答えできるのは三つ目の点だろうと思います。アメリカの経済危機を救うことも大事でありますし、世界経済危機を救うことも大事でありますが、それが日本にとってメリットになるかどうかということが多分第一番目の位置付けに私としてはなるのではないかというふうに考えております。
  265. 大門実紀史

    大門実紀史君 是非そういう判断でこれから日本、やっていかないと大変なことになってくるんじゃないかなというふうに思います。どんどんどんどん米国債を増やすと、もうアメリカと一緒に心中してしまうような道に行っちゃうんじゃないかということを心配しております。  お金の使い方としては、大臣からもありましたけれども、チェンマイ・イニシアチブですよね、いざというときの介入資金の通貨スワップですよね。ああいうアジアにもっと、アジアの債券市場の問題もありますから、ああいうところに円といいますか日本マネーを、そうしていけば、ドルとユーロとアジア通貨といいますか、そういうバランスが取れてくると思うので、そういう方向転換もこれから求められてくるというふうに思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。  じゃ、法案の方に入りますけれども、まず、今日も一日聞いておりまして、私、そもそもこの法案、素朴な疑問があるんですけれども、こうやって一生懸命議論してこの法案成立しても余り使われないんじゃないかと、今までもそうですけれども。それで、なおかつ使われるときは一斉に使われるんじゃないかと、そういう法案の性格じゃないかと思ったりするわけです。もし一斉に使われるというか、なった場合は、これ予防措置というようなもうスキームじゃない事態じゃないかと思うわけですね。使い勝手を良くしたって、これ資本注入といったら、うちの銀行、うちの信金、やっぱり評判悪いと思われるというのはどうしてもありますので、結局余り使われないと。使われるときはむしろ金融庁の指導でぼんぼんぼんということで一斉に使われるような事態しかないんじゃないか、どちらかしかないんじゃないかと思います。  それで、後者の場合だと、この法案の趣旨の予防措置ということとは違う事態というふうになるんで、何かそういう自己矛盾をはらんでいる提案といいますか、今回出されてきているんじゃないかと思いますが、その辺の認識はいかがでしょうか。
  266. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私は、可能性としては三つ目もあると思うんですね。つまり、年末を控えての資金繰りに対応するということもありますので、そういう意味で、何回も申し上げて恐縮ですけれども、資金の需要のあるところに適時適切に融資資金供与ができるようにするためにこれを用意さしていただき、一定のルールの下で金融機関にそれをお使いいただいて、そして融資をしていただくということがこの法律目的でございます。
  267. 大門実紀史

    大門実紀史君 一応私の考えを申し上げたまででございますけれども、我が党がこの種の法案に反対する理由は別に難しい話ではございませんで、この公的資金の注入が最終的に損失を生んだ場合、これが国民負担になる仕組みになっていると。税金で国民が負担させられると、これはもう素朴にそれがおかしいと。国民感情からいって、何で銀行経営者の失敗を自分たちの税金で最後穴埋めするのかと、その部分でございます。別に難しいことで反対しているわけではございません。  その点で、この法案そのものよりも、公的資金を注入した後国民負担になるというこのそもそも論をちょっと大臣にお聞きしたいと思いますけれども、少し私の考え方を整理して申し上げますと、非常事態の場合ですね、今回の法案みたいな場合はあんまり思いませんが、非常事態の場合に公的資金を注入すると借り手保護あるいは預金者保護と、これは私はあり得ることだというふうに思います。ただしよほどの場合だなと、そうでないとおかしい話になるなと思いますけれども。  ですから、火事が起きているときに放水するなということを言っているわけではありません。ただし、火事を起こした原因の追及と責任はきちっとすべきだと。また、その後家をもし再建するとしたら、その家を再建する費用とかその借金は何年掛かってもその原因者が払うべきだと。ですから、その注入した銀行が返済させるわけですけど、きちんと返済しろと、これは当たり前のことですね。仮に返済できない事態になった場合ですけれども、これは銀行業界で負担すべきだと、社会的な損失にする必要はないと、国民にツケを回すことはないと。これは、普通に考えたって国民感情としてはみんながそう思う話でございます。  ですから、今回の法案、余り今の場合は、今想定される事態でいくとそれほど、破綻処理とは違って国民の損失が出ると、レアケースかも分かりませんが、少なくとも仕組みとしては、出た場合は業界負担にするというようなことが私はあるべきじゃないかなというふうに思います。  住専のときは、税金投入の問題が大問題になりました。その後で言えば新生銀行ですね、新生銀行で長銀に公的資金入れた、で、結局リップルウッドがもうけて新生銀行が大もうけしたと、これは物すごく国民の怒りをあのとき買いました。その新生銀行、今大変な事態になっていまして、聞いてみましたら二千五百億まだ公的資金返してないんですかね、それもどうなるか分からないということがあるんで、私が申し上げたいのは、何かもう業界負担というのが当たり前のように安易にいろいろ仕組みとして提案されているわけですけど、何か政府も国会もちょっと鈍感になっているんじゃないかと、この国民負担の問題を。やっぱりこれはきちっと厳正に議論をすべきだし、十分検討が加えられて法案なんかも出されるべきじゃないかというふうに思います。  今回の法案というよりも、公的資金国民負担のそもそも論で大臣はいかがお考えか、ちょっとお聞きしたいなと思います。
  268. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まず、御質問のそもそも論をどっちのそもそも論でお話ししたらいいのかちょっと分かんなくなっちゃったんですが、例えば先ほどの百二条、九十七条が発動される場合とか、九〇年代から二〇〇四年にかけての様々な、いろんな特例措置がとられたときとか、あれがまさに日本の中で火事が起こっちゃって、しかも世界のどこからも消防自動車も駆け付けてこない中でもがきながら、いろいろ御批判もありましたけれども、日本が自らの力で火を消すことができたわけでございます。  今は、日本は火事が起きておりません。しかし、世界中で火事が起きたりまたぼやが発生したりしていて、御承知のように、国のGDPの十倍もの金融資産が不良化しているような国まで発生しているわけでございます。  ですから、そもそも今は火事ではない。しかし、世界中で火事が起こり、あるいはぼやがくすぶり始めているという状況の中だからこそ、例えて言うならば、火事という大門委員の例を使わせていただくならば、そのときにため池に水を入れて、そしていつでも健全なところに水を掛けて、火の粉が飛んできたりしないで、そして、ここから先はどういうふうに言ったらいいんでしょう、必要な資金を供給することによって、日本経済地域が安定して、そして火事も起こらずに平和に発展をしていくと、こんな例えが適切かどうか分かりませんけれども、そもそもこれは御承知のとおり、火事が起きた場合とかいうことじゃない法律案でございます。  それから、国民にツケを回すというお話でございますが、確かにこれは資本注入でございますから、その注入した後の何らかの権利が、価格が上昇することも、それから減ることもこれはあり得ることは、これはもう私も否定をしません。ただ、我々は、そういうことがないように経営強化計画の要件の中でもきちっとそのことを見込んで審査をしていただき決定をするということもございますし、現に十数年前の日本の資本注入ではたしか九・二兆を注入して一・三兆ほどの売買益も出ているわけでございますから、最初から損することありき、国民にツケを回すことありきではなくて、日本金融システムの更なる健全化、強化のためにこの法律を発効させたいというのが我々のねらいでございます。
  269. 大門実紀史

    大門実紀史君 だから、国民負担が生じないようにもう最大限の努力されるとなっているわけですから、万が一出たときは業界負担ということにしたって何もおかしくないんじゃないかなと私は思うんです。  アメリカでも今、余り報道されていませんけど、公的資金注入ですね、あれが、我が党の佐々木憲昭議員が御指摘したように、アメリカのあの公的資金法律は、最終的に五年後ですね、純損失が出た場合は大統領が法案を出して業界に負担をさせることができるという項目が入っていますよね。アメリカでさえそうなっているわけでございまして、しかも今、市民運動が起きていまして、例の映画、「シッコ」ですかね、のマイケル・ムーア監督なんかは、そういう条項があるにもかかわらずひょっとしたら税金負担になるかもしれないということで、この公的資金国民負担に反対するといいますか、物すごい市民運動が起きているということもあるわけです。  そういう点でいくと、日本の場合は、この法案についてはマスコミもその部分はほとんど報道しませんし、国民の皆さんも何となく不安の解消でやっているんだろうと。最後に何かあったときに負担が来るというのはほとんど御存じないと思いますが、後で万が一さっき言った後者の方の事態になって、ということは幾つかはもう破綻まで行く可能性もあるというような事態のときに、具体的にその負担のツケの話になったときに、この委員会での議論が何やってきたのか問われると思いますので、きちっとした議論をすべきだという点で、今日はちょっとその点にこだわって幾つ法案に即して質問したいというふうに思います。  先ほども火の粉が降りかかるという話がありましたけど、いわゆるこの機能強化法をまた復活させる目的は、外的な要因での資本の目減りと、それがちょっと強調されていますけれども、今日の議論もありましたけど、今回の株暴落の以前からリスクの高い有価証券取引をいろいろ銀行はやってきたわけです。資料を付けておきましたけど、細かく説明はしませんが、農林中金だけではありません、信金中金、全信組連も、二〇〇一年からの比較ですけど、相当有価証券取引増やしてきているわけですね。  まずちょっとお聞きしたいんですけど、なぜこんなに有価証券取引、こういう金融機関は増やしてきたんでしょうか。
  270. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 協同組織金融機関の中央機関におきましては、傘下金融機関から受け入れた預金を主な原資といたしまして資産運用が行われておりますが、この運用は基本的には各金融機関の経営判断により決定されているものでございます。  各中央機関のディスクローズ誌を見ますと、信金中央金庫については、総じて総資産額がほぼ横ばいで推移する中、国、政府関係機関等に対する貸出しが減少する一方で、その分有価証券の運用が増加してきた。全信組連については、総じて総資産額が増加し、その分、有価証券の残高が増加してきたものと承知しております。  中央機関におきましては、傘下金融機関の余裕資金を受け入れて効率的に運用しその収益を還元するほか、また、その収益の一部につきましては傘下金融機関の支援資金にもなっているものと承知しているところでございます。
  271. 大門実紀史

    大門実紀史君 要するに、経営判断でやってきたわけですよ。  だから、経営判断でやって、何も、まあ根底には、農林中金なんかそうですけど、預金は増えているんですけど貸出し減って、その余った分を農林中金、本部組織に上げて有価証券取引と、県レベルの信組連もそうですけれどもね。だから、金余り現象といいますか、金余らせ現象といいますか、それで有価証券取引どっと増やして、もう相当リスクの高い商品まで投資してきたわけですね。やっぱり経営責任があるわけです、今の事態を見越す前の話ですから。  今度、九月決算が十一月の終わりごろ出るんですかね、もっとすごい評価損出ていると思いますが、今でさえ評価損かなり出ているわけですね。ですから、今回の金融危機の前に既に評価損が出て資本が毀損しているということでございます。ですから、その経営責任はやっぱりきちっと問うべきだし、これも本当に普通の国民の気分ですよ。そんなことやってきたんだったら、資本注入はまあいいけれども、最後は、体力回復したら何年掛かってもいいから、もしも損失出た場合ですよ、何年掛かってもいいからちゃんと払いなさいと、自分たちの業界で払いなさいと。こういう、団体なら団体の中で払いなさいというのは普通の国民感情じゃないかと私思うんですけれども、違いますかね、大臣
  272. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) アメリカの金融安定化法の中の、その五年後見直し法案を出すことができるというところだけを大変評価されておられるわけでございますけれども、確かに経営の結果というのはいろんな条件で変わってくるものでございます。特に金融なんかは、もう瞬時にしてグローバルな世界を回っていくわけでございますから、結果的に損をしたとか、あるいは得をしたとかということがあると思いますけれども、ですから、そういうことで金融機関から健全な資金が中小企業地域経済に渡らないということが起こったならば、ますます日本経済は悪くなるわけでありますから、だから、一定のルールで資本注入を求める金融機関には審査をさせていただいて、そして資金を供給をして、それが有効に日本の隅々まで使われていくようにすることが今こそ必要だというふうに考えております。
  273. 大門実紀史

    大門実紀史君 じゃ、ちょっと違う角度でお聞きしますが、危機対応勘定ですね。  これは損失が出た場合、金融機関の負担と、業界負担が原則になっていますけれども、今回の法案は何で国民負担なんでしょうか。危機対応勘定とどう違うんでしょうか。
  274. 内藤純一

    政府参考人(内藤純一君) お答えいたします。  預金保険法の百二条でございますが、これは、信用秩序の維持に重大な支障が生ずるおそれがある場合の金融危機対応措置を定めているものでございます。  同制度は、危機に瀕した金融機関に対し的確な対応を行うことにより金融界全般の信用を確保するとの意義も含まれていることから、セーフティーネットの参加者たる金融機関全体で分担するということによって制度の目的を達成できる場合にはこれを原則としたものでございます。  これに対しまして、金融機能強化法でございますが、国の資本参加による適切な金融仲介機能の発揮を確保することを目的とするものでございまして、これに伴う負担を金融機関全体で賄うということとした場合には、全体としてのリスクテーク能力の向上につながらないということについて留意する必要があると考えております。したがいまして、このように両制度はその目的を異にすることから、同列に論じることは適当ではないと考えております。
  275. 大門実紀史

    大門実紀史君 全然分からないですけれどもね。  危機対応勘定というのは、その名目はいいですよ、言葉は。要するに、経営危機といいますか、資本が毀損したところに資本注入をしてあげるということで同じじゃないですか。予防注入だってそうでしょう、そんな簡単にやるわけじゃないでしょう、結局同じなんですよ。  もっと言えば、そういう事態というのは、私が言った、この法案が使われるとしたらもっと違う事態になるんじゃないかと。特にたくさん使われるんじゃないかと思うのは、そういうことはちょっと想定しておるわけですけれども、危機対応勘定のときは本当に大変な事態ですよね、金融機関としては。そのときには業界で負担させると。この予防注入、建前上はそこまで行っていない、みんなもっと体力があると、そのときには最終損失が出たら国民負担だと。体力のないときに負担させて、体力のあるときに何で国民負担に回るんですか。これ素朴な疑問なんだけれども。
  276. 内藤純一

    政府参考人(内藤純一君) 金融機能強化法に関しましては、先ほどから申し上げておりますように、予防的な一種の資本注入、資本参加といますか、そういった制度でできておりまして、あくまでも資本増強を通じて中小企業金融というものを増強をしていくというようなことでございます。それで、その資本増強につきまして、そうした形で国の政策としてそうした政策を推し進めていくというような形で考え法案というものをお出しをし、また既に現行の法律もそういった枠組みでできているところでございます。  一方、預金保険法の百二条につきましては、システミックリスクの認定というときに発動するものでございますが、負担金につきましてもこれは制度上はございます。ただ、具体的な中身については具体化されておりません。その負担金というものが負担できないという場合には国の対応という形になっているところでございます。
  277. 大門実紀史

    大門実紀史君 私は、レク受けていてもみんなころころころころ違うこと言うんですよ。この二つ、なぜ片方は業界負担で片方は国民負担になるのかと。みんなころころころころ違うこと言うんです。要するに検討されていないんです。正確に、国民負担とは何だろうと、どういうものだろうと、どんなときに国民お願いせざるを得ないんだろうということを十分、本当きちっとした哲学といますか考え方が検討されてなくて、安易にもうずっとこの間いろんな感情、みんな国民負担ですから、そういうふうになってきているこの間の安易な、ルーズな国民負担に対する検証がされていないことを本当に指摘しておきたいというふうに思います。  じゃ、違う話になりますけれども、公的資金は調達をして資本注入するわけですけれども、どこからお金を調達して資本注入するのかと。これは資料をお付けいたしましたが、預金保険機構の勘定ごとに借入金を起こす又は預金保険機構債という債券を発行して調達するわけでございます。借入金はどこから借りるのかとお聞きしたら、市中調達だと。つまり、金融機関から借りるということです。銀行業界の中でお金を調達して、銀行に資本注入をするということですね。預金保険機構債はどこが引き受けるのかとお聞きしたら、最後のところに資料を付けておきましたけれども、こういう引受け幹事会社が引き受けるというわけですね。じゃ、引き受けた後どこからその幹事会社は調達するのかと聞いたら、機関投資家だと。機関投資家とは何かというと、ほとんど金融機関ですと。  つまり、公的資金を注入するそのお金というのは金融機関から借りて、あるいは機構債を発行して、それである銀行に注入をしてあげると。だから、業界の中でやっているようなものなんですけれども。しかも、その利息は何%かというふうにお聞きしたら、それはちょっと資料を付けませんでしたけれども、国債の利率プラスアルファというふうなところ、まあ入札形式ですけれども、大体国債の利率にちょっと上乗せぐらいが目安になっているそうでございます。  それで、何か私もこれ本当に素朴な疑問が生まれたんですけれども、資料三のところに、ちょっと細かい数字ですが、じゃ幾ら利息払ったのということで資料を作りますと、これは各勘定、この預金保険機構の勘定というのは非常にややこしいんですが、要するに、各勘定ごとに借入金利息と機構債利息を計算して合計しますと、右の端にありますが、この十年で四千六百億円になります。ある銀行に資本注入をするお金、これは銀行業界から借りて四千六百億円も利息を払ってあげて、万が一返ってこない、損失が出たら国民負担と。  これ私、普通の国民の目線でいくと、銀行業界にそんなに何千億もこの救済のときに利息を払ってやっているんだったら、そんなに多いケースじゃないと思いますから、そういう損失が出たときはやっぱり銀行業界で面倒見ろよと思うのが普通の国民の感情じゃないかと思うんで、何で利息だけ業界に払ってやって、ツケが出たら国民に回すのかと。これは非常に素朴にこれもおかしいと思うんですが、大臣、おかしいと思いません。
  278. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今の大門委員の御指摘は、最初は危機勘定のときはやむを得ないから国民からでもやむを得ないけれども、今回のような通常時に税金を投入するのはけしからぬとおっしゃって、今は預金勘定も結局金融機関から調達をしていて、しかも利息を払っているのがけしからぬと、こういうふうに私は理解をさせていただきましたが、これはもう釈迦に説法でありますけれども、金融機関も商売でありますから、お金を貸すときの条件、期間等で手数料といいましょうか、利息といいましょうか、それを取ってそれを収益にしているわけでございますので、結局、今の御指摘ですと、無利子でひとつ金を貸せという御指摘だとすると、金融機関はきっと商売として困っちゃうんだろうなというふうに今思ったところでございます。
  279. 大門実紀史

    大門実紀史君 大臣、大分お疲れじゃないですか。私が言ったことを大分ちゃんと分からなくなっちゃっているんじゃないですかね。  私は、危機対応でも何であれ、最終的には業界負担でやるべきだと最初に申し上げたとおりでございます。  もう一つは、これは何も無利子でやれと言っているんじゃないんですよ。それはそうでしょう、民間銀行お金貸すわけだから、利息いただきたいと。だから、最終損失が出たときに業界で、業界全体でそのお金も調達するのを引き受けて、利息ももらっているわけだから、損失が出たときに業界全体で負担するのが、普通に国民から見ると、要するに国民は取られるわけですよ、税金取られる方ですよ。取られる方からすると、それはもう業界でやってもらいたいと、そうやって利息もらってやっているわけだからと。無利子とか、そういうことを申し上げているわけではございません。  もう大分お疲れのようなので、議論はもう、質問することはもう今日これでありませんので次回にしたいと思います。  どうぞ気を付けて行ってらっしゃいませ。
  280. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  281. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  金融機能強化のための特別措置に関する法律及び金融機関等組織編成促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案及び保険業法の一部を改正する法律案審査のため、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  282. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  283. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定します。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十八分散会