○足立信也君 それで、やっぱり医療行為についても、刑法二百十一条、業務上過失致死傷罪、これを真っ正面から議論すべきだというのが我々の提案で、それを骨子案に出しているわけですが、救命救急についてのみ情状によって刑を免ずるという思想、これはやっぱり医療事故には必ずだれかに責任があるというそのモラルに立脚している、そういう考えだと私は思いますよ。それがやっぱり根本にあるんだろうと、私はそういうふうに考えている。
これから一般公開の形で
地域説明会を開催するというふうに言われております。皮切りが九州ですか。それから、東海、北陸、近畿、東北と、ずっと予定になっているようですが、かつてのタウンミーティングのような、何も修正もしない、アリバイづくりのためだけのそういう説明会にはしないようにと、是非ともそのことを申し上げておきたい。
ちょっと今誤解があるからここで言わせていただきたいんですが、我々は、この国は死者に対する尊厳というのがやっぱり足りないと思っています。それは、死因をしっかり究明することと、同じことを繰り返さないということなんですね。例えば、一酸化炭素中毒事件、パロマ、ありましたね。この件、これは死因究明をしっかりやっていれば次の発生は防げたはずですよ。それから、中毒やあるいは殺人のこともあります。千葉県のある市の死因、死亡診断は、首つり、縊死以外は、首つりですね、それ以外は全部急性心不全だと、そういうふうになっているわけですね。だから、我々は、これはしっかり死因を究明しなきゃいけないんだ、それが死者に対する尊厳なんだという感覚で死因究明法をまず提案したんですよ。これ、今衆議院の法務のところで継続審議になっています。
それがあるから医療行為に関するものはまた別の考え方ができるんだと。だから、
医師法二十一条は、そういうふうに整合性を持たせて明文化をするんだという考え方なわけですよ。いろいろ死因究明に対して問題があるのに、この医療行為の部分だけ取り上げてそれをやろうとするから、こういう大混乱、一年半以上もかけて、反対意見がずっと続いている中で何も変えていかないというような方向性が見えてくる。アリバイづくりにすぎないような感じになっている。そこがやっぱり問題なんだということを申し上げたい。
大臣、会議を待たせてあるというので、必要であれば退席されても結構、副
大臣ですよ、副
大臣、大村さんね。
それから、これ、さらにモラルについてちょっと伺いたいんですが、産科補償
制度です、この一月からスタートしようとしている産科補償
制度です。これ資料に用意しています、二枚目になりますけれども。
私も、
検討会、これのメンバー、かなり親しい方がいらっしゃるので
内容について聞いたわけですけれども、これは、
制度設計は
検討会でやられたわけですね。その
制度設計を行う際の議論でも、これ今大変な問題になっているというのは、余剰金をどうするかという話なんですけれども、余剰金が発生すれば、それは救済金の引上げや、当初案では、救済の対象とならないような、これは脳性麻痺の子供は通常の分娩の脳性麻痺というふうになっていますからね、これを対象を広げるとか、あるいは救済枠の拡大ですね、こういうことを議論されていたわけです。されていたんだけれども、極めて不十分な救済金額や限定的救済対象と、こういうふうになってきた。その原因は一体どこにあるんだと。
ちょっと言いますけれども、その原因は一体どこにあるということで、今資料が、これが
平成十八年十一月二十九日の自由民主党の政務
調査会、これ医療紛争処理のあり方
検討会の中で、この枠組みですね、先ほどの
検討会の、組織をつくる、システムをつくる
検討会のメンバーの意見ですよ、この枠組みの中で私
たちは考えざるを得なかった、だから極めて不十分なものしかできなかったというのを私は聞いている。
この二枚目、
制度の運営主体、日本
医師会との連携の下、運営組織を設置する。四番、医療機関や助産所が運営組織を通じて
保険会社に
保険料を支払う。つまり、民間
保険ということですね。補償の対象は、補償の対象は、通常の妊娠、分娩にもかかわらず脳性麻痺となった場合とする、もう限定されているわけですよ。そして、次のページへ行きますが、過失が認められた場合には
医師賠償責任
保険等に求償すると。こういう枠組みの中で
検討会で
検討してもらったと、そういうことなんですよね。
これで今何が問題になっているか。まず、一人当たり三千万円になるわけですけれども、年間、対象となる障害の一級、二級、約五百人から八百人と言われていますよね。それに対して分娩は百万超えるわけですから、三万円を集めると三百億になると。しかしながら、一人当たり三千万円の補償ということになると、五百人と仮定した場合は百五十億、百五十億余剰金が出る。それは全部
保険会社がそのまま持っているという事態の問題。それから、損害賠償が、その後民事訴訟で損害賠償になった場合、補償金額は
保険会社にそのまま払って、残りが訴えた側に入ると、そういう仕組み。さらに、原因分析の第三者
委員会が重大な過失ありとした場合は補償金は返還と、こういうふうになっているわけですね。そういった問題がある。
無過失補償
制度、これは産科補償
制度になっていますが、海外でスウェーデン、デンマーク、ニュージーランド、フランス、ありますけれども、国営あるいは公共企業体がすべて運営している。まず、公的
保険とする選択肢はあったのか、この点について聞きたいと思います。海外はすべて公的である。