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2008-11-25 第170回国会 参議院 経済産業委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年十一月二十五日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十一月十七日     辞任         補欠選任      藤原 正司君     白  眞勲君  十一月十八日     辞任         補欠選任      白  眞勲君     藤原 正司君  十一月二十一日     辞任         補欠選任      直嶋 正行君     白  眞勲君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山根 隆治君     理 事                 鈴木 陽悦君                 藤末 健三君                 増子 輝彦君                 荻原 健司君                北川イッセイ君     委 員                 下田 敦子君                 中谷 智司君                 白  眞勲君                 姫井由美子君                 藤原 正司君                 前田 武志君                 塚田 一郎君                 松田 岩夫君                 松村 祥史君                 丸川 珠代君                 谷合 正明君                 松 あきら君                 松下 新平君                 渡辺 秀央君                 田中 直紀君    国務大臣        経済産業大臣   二階 俊博君    副大臣        経済産業大臣  吉川 貴盛君    大臣政務官        外務大臣政務官  御法川信英君        経済産業大臣政        務官       谷合 正明君        経済産業大臣政        務官       松村 祥史君    事務局側        常任委員会専門        員        山田  宏君    政府参考人        内閣官房内閣参        事官       山本 条太君        外務大臣官房審        議官       石川 和秀君        経済産業省通商        政策局長     岡田 秀一君        経済産業省貿易        経済協力局長   藤田 昌宏君        中小企業庁次長  高原 一郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○経済産業貿易及び公正取引等に関する調査  (APEC閣僚会議に関する件) ○政府参考人出席要求に関する件 ○外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に  基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務  を課する等の措置を講じたことについて承認を  求めるの件(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 山根隆治

    委員長山根隆治君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、直嶋正行君が委員辞任され、その補欠として白眞勲君が選任されました。     ─────────────
  3. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 経済産業貿易及び公正取引等に関する調査のうち、APEC閣僚会議に関する件を議題といたします。  政府から報告聴取いたします。二階経済産業大臣
  4. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 私は、十一月十八日から二十二日までペルー共和国のリマに出張し、APEC閣僚会議出席するとともに、各国閣僚会談をいたしました。  APEC閣僚会議では、会議の冒頭に、私から、まず現下国際金融危機に対して、金融市場健全化施策に加えて、世界経済全体で実体経済面での対応を行う必要があり、各エコノミーが連携・協調して投資消費拡大に取り組むべきであると発言しました。その上で具体論として、第一に、成長の源泉となる中小企業国際的貿易投資活動への資金供給を確保すること、第二に、財政出動制度改革等を通じ、消費拡大に向けて各エコノミーが協調すること、第三に、特にアジアにおいて、東アジアASEAN経済研究センターを中核に協力を進めること等を提言し、多くのエコノミーから賛同を得ました。  WTOドーハラウンド交渉に関しては、現下の厳しい情勢において、保護主義への動きを防ぎ、自由貿易体制を維持することが重要であるとして、年内のモダリティー合意を目指すことで合意いたしました。  このほか、資源価格安定化省エネ努力などを各エコノミーと協調して進めることについて、各エコノミー理解を得ました。  これらの事項は、APEC閣僚宣言に盛り込まれ、さらに、引き続き行われたAPEC首脳会議での議論を経て、グローバル経済に関する首脳声明の中において、同趣旨内容が盛り込まれました。  今回のAPEC閣僚会議は、現下の厳しい世界経済情勢にあって、早急な対応が求められる主要課題について、アジア太平洋の各エコノミーが協調して対応していくことについて、立場の異なる国々が合意することができた重要な会議であったと認識しております。特に、国際経済に対する危機感が広く共有され、各国が同じ方向性を持って議論が進んだことに印象を強くいたしました。  また、この機会に、中国韓国、米国、シンガポール、インドネシア、豪州、ペルー等関係閣僚と二国間会談を行い、国際金融危機解決に向けた実体経済面での取組やWTOドーハラウンド交渉の進め方、さらにアジアにおける地域統合推進等について話し合い、相互理解を深めることができました。特に中国に対しては、導入が検討されているITセキュリティー製品に関する強制認証制度について、我が国の懸念を表明し、慎重な対応を求めました。  今回の出張の成果を踏まえ、引き続き、アジア太平洋地域における各エコノミーと協調して、現下金融危機における実体経済面での対策を進めるとともに、自由貿易体制の維持とエネルギー・気候変動問題への対応等を進めるため、最大限の努力を払ってまいります。  以上です。
  5. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 以上で報告聴取は終わりました。     ─────────────
  6. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件の審査のため、本日の委員会内閣官房内閣参事官本条太君、外務大臣官房審議官石川和秀君、経済産業省通商政策局長岡田秀一君、経済産業省貿易経済協力局長藤田昌宏君及び中小企業庁次長高原一郎君を政府参考人として出席を求め、その説明聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  8. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明聴取いたします。二階経済産業大臣
  9. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  我が国は、平成十八年十月九日の北朝鮮による核実験を実施した旨の発表を始めとする我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、同年十月十四日より、三度の延長措置を経て、平成二十年十月十三日までの間、北朝鮮からの輸入禁止等措置を厳格に実施してまいりました。しかし、拉致、核、ミサイルといった諸懸案に対する北朝鮮対応や、六者会合国際連合安全保障理事会等における国際社会動き等その後の我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、平成二十年十月十日の閣議において、引き続き、外国為替及び外国貿易法に基づき、北朝鮮からの輸入禁止等措置を実施することとしました。このうち、同法に基づき国会承認が必要な措置について、承認を求めるべく、本件を提出した次第であります。  次に、本件要旨を御説明申し上げます。  本件は、外国為替及び外国貿易法第十条第一項の規定による平成二十年十月十日の閣議決定に基づき、同年十月十四日より平成二十一年四月十三日までの間、北朝鮮からのすべての貨物輸入について経済産業大臣承認を受ける義務を課す措置を講じたことに加え、北朝鮮から第三国へ輸出する貨物の売買に関する仲介貿易取引について経済産業大臣の許可を受ける義務を課す措置を講じたことについて、同法第十条第二項の規定に基づいて国会承認を求めることを内容とするものであります。  以上が本件提案理由及び要旨であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。
  10. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 以上で趣旨説明聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  11. 白眞勲

    白眞勲君 民主党の白眞勲でございます。  大臣APEC閣僚会議出席、本当にお疲れさまでございました。  一点ちょっとお聞きしたいんですけれども、今回大臣中国韓国アメリカ等の二国間会談を行ったということでございますけれども、その中で北朝鮮に関する話題等については何かあったのかなというのがありまして、もしあったのなら、ちょっと御発言願えれば有り難いなと思っております。
  12. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 今回は、外務大臣中曽根先生と御一緒に参りました。  大概の問題は手分けしていろんなバイ会談にも臨んだわけでありますが、私は主にWTOの問題とか経済関係の問題が主でございまして、北朝鮮の問題は、私が特に発言を求めたということはありませんし、先方からの御発言もありませんでした。
  13. 白眞勲

    白眞勲君 今回、この承認を求める件につきまして、大臣は先日の衆議院経済産業委員会で、この意義についてお述べになっていらっしゃるんですけれども、ちょっとかいつまんで申し上げますと、要するに北朝鮮に対して、経済効果だけではなくて、政治的意義にも着目しながら、それが拉致、核、ミサイルといった諸懸案解決に資することに大いに役立つのではないかとの御趣旨の御答弁をされているわけなんですね。  今回、四度目の延長だと。今回の措置というのは前回と全く内容一緒であるということを考えますと、大いに役立つとおっしゃってはいるんですけれども、前回延長のときから拉致問題については全然進展らしい進展はない。そういう中で、どの程度前回に比べて大いに役立つというふうにお考えになっていらっしゃるのか、その辺についてお聞きしたいと思います。
  14. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) いわゆる北朝鮮問題につきましては、議員指摘のとおり、この拉致問題、また核、ミサイルといった諸懸案に対して包括的に解決しよう、そして不幸な過去を清算していつの日か国交正常化を図るとの政府基本方針に我々は従っていくわけでありますが、今御指摘のとおり、そういうことをずっと繰り返してやっておるが大した成果が出てないじゃないかという御指摘だと思います。  しかし、この状況、つまり輸入全面禁止北朝鮮に対する奢侈品輸出禁止等措置を引き続きこれを厳格に執行してまいるのとそうでない対応をするのとでは、これは政治的に大いに違ってくる、六か国協議の場においてもおのずから対応が異なるわけでありまして、我々は、このことにおいて関係皆さん、特に国会議員皆さん等においては物足りないといいますか、こんなことだけ続けておっていいのかという御意見は十分理解できますが、我々は取りあえず六か国協議に持ち込んでいくために、今、日本としてやれる精一杯のことを対応しようとしているわけでありまして、何とぞ御了解をいただきたいと思うわけであります。
  15. 白眞勲

    白眞勲君 外務省に、今日来ていらっしゃるかと思うんですけれども、参考人の方で結構ですが、ライス国務長官が六者会合首席代表会合を十二月の八日に北京で開催するという内容発表をしたということなんですけれども、これに関して外務省としてどうなんでしょうか。事実関係についてもお聞きしたいと思います。
  16. 石川和秀

    政府参考人石川和秀君) お答え申し上げます。  ライス国務長官、十二月八日に六者会合首席代表者会合を実施するという発言をされたということは承知しております。現在、十二月の上旬で六者会合を開催するという方向で、議長国でありますところの中国調整を行ってきているところでございます。十二月八日というのは一つ有力候補だと思いますけれども、まだ最終的には決定を見たというところまでには至っておらないと承知しております。
  17. 白眞勲

    白眞勲君 最終的に決定してなくても、その辺りでやるということは決まったということですね。
  18. 石川和秀

    政府参考人石川和秀君) 私ども、従来から、六者会合は早く開くべしということを主張してまいりました。中国も十二月の上旬で開催する方向調整をしたいということでございますので、その方向でおいおい発表がなされるものと考えております。
  19. 白眞勲

    白眞勲君 そういった中、北朝鮮核計画検証について、北がいわゆるサンプル採取に関して文書化を拒否したとか、さらに、検証対象も寧辺だけだと、限定しているんだということが明らかになったと、明らかにしているということを言っているわけだということなんですけれども、そういう報道があるんですけれども、この事実関係についてはどうなんでしょうか。
  20. 石川和秀

    政府参考人石川和秀君) お答え申し上げます。  事実関係でございますけれども、北朝鮮、十一月の十二日に北朝鮮外務省スポークスマン談話というのを発表しております。その中で、委員指摘のとおり、検証措置に関しまして、サンプル採取を含む文書を六者間で採択することについて否定的な立場を明らかにしているところでございます。
  21. 白眞勲

    白眞勲君 このサンプル採取というのは核検証の際にプルトニウムの抽出量を推定するのに欠かせない手続なわけで、今回、文書化を拒否していると発表しているわけですから、一体アメリカテロ支援国家指定解除というものについては、このいわゆる文書化というのも一つ条件だったというふうに説明を受けていた私たちとしましては、これ道理に合わないんじゃないかなというふうに思うんですけれども、要するにこれ北朝鮮にだまされたということなんでしょうか。
  22. 石川和秀

    政府参考人石川和秀君) お答え申し上げます。  検証措置に関します米朝合意でございますけれども、私どもはアメリカから、サンプル採取を含めた科学的手続を採用することが含まれ、その旨北朝鮮とも確認しているという説明アメリカから受けております。また、アメリカはその旨対外的にも明らかにしていると承知をしております。
  23. 白眞勲

    白眞勲君 ですから、私がお聞きしているのは、これ、だからアメリカ側北朝鮮側の認識の差がはっきりしているわけですよね。ということは、北朝鮮側が、つまり主体国である北朝鮮側がこういうことをやっていないということは、だまされたんじゃないかということなんですよ。それについてお答えください。
  24. 石川和秀

    政府参考人石川和秀君) 私どもアメリカ側から説明を受けているところは今答弁申し上げたとおりでございますけれども、いずれにしましても、この検証措置に関しましては今米朝間合意をしたという段階でございます。これについては六者で合意をするという手続が必要でございますので、できるだけ早く六者会合を開催しましてしっかりした検証措置の枠組みというのを合意するということが必要と思っております。
  25. 白眞勲

    白眞勲君 このアメリカテロ支援国家指定解除というのは、日本にとっていわゆる懸案の諸問題の解決に大きな要素であると。  ちょっとここで大臣にお聞きしたいんですけれども、このような形で、いわゆる我々にとってみての重要な私はカードがこのテロ支援国家指定解除であったというふうに私たちは思っているわけなんですけれども、そういう中で、このカード一つ失ったという中で、日本が独自に四度目の経済制裁従前と同じ形態で出すことに関しまして、大臣としてはどうお考えでしょうか。
  26. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 御指摘のとおり、十月十一日付けでアメリカ北朝鮮テロ支援国家指定から解除しましたが、アメリカ大統領のその後の発言、いろんな情報等を総合して考えれば、この指定解除後にもテロ支援国家指定によって北朝鮮に対して科せられていた制裁効果はほとんど残っておって、解除効果はおおむね象徴的なものであるという大統領発言にもあることであります。  そこで、今般の指定解除が直ちに我が国の行っている北朝鮮措置にいかなる影響があるかということでありますが、北朝鮮措置我が国対応に対して直ちに影響があるとは考えていないわけであります。また、アメリカは、我が国同様、国連安保理決議を受けて大量破壊兵器関連物資及び奢侈品輸出禁止を講じておりますが、これらの措置についてもアメリカは今般の指定解除後も措置を継続すると承知をしております。
  27. 白眞勲

    白眞勲君 今大臣おっしゃいましたとおり、アメリカとしては、この指定解除というのはおおむね象徴的なものであって、ほとんどの制裁はほかの法令に基づいて引き続き残るということを説明しているということで、今大臣も直ちに影響があるとは考えていないというふうに御答弁されたんですけれども、より具体的にちょっとお聞きしたいんですけれども、アメリカの国務省の報道官室ファクトシートを見ますと、いろいろ書いてあって、北朝鮮に対するいろいろな対応について、実際本当に従前と変わらないと政府は判断しているのかどうかという部分なんですが、何か経済通商、外為の分野で前回と今回外されたものが本当にないのかどうか、参考人で結構ですので、ゼロなのかどうか、これお答えください。
  28. 石川和秀

    政府参考人石川和秀君) お答え申し上げます。  アメリカ説明によりますと、北朝鮮世界で最も厳しく制裁を加えられている国の一つであり続けるということでございます。  具体的に幾つか申し上げますと、例えば二〇〇六年の核実験あるいは大量破壊兵器の不拡散、それから人権侵害あるいは共産主義国としての立場に関連するものを含めまして、他の法令に基づく規制が残っているということでございます。例えば、武器……(発言する者あり)武器輸出管理法等に基づきまして引き続き従来同様の措置がとられているという説明を受けてございます。
  29. 白眞勲

    白眞勲君 ですから、私が聞いているのは、全くゼロなのかどうかということを聞いているんです。その辺についてはどうでしょうか。
  30. 石川和秀

    政府参考人石川和秀君) 私ども、アメリカとは頻繁に意思疎通を行っておりますが、アメリカ説明によれば、北朝鮮はいかなる物質的な利益も得ることはないという説明アメリカから受けております。
  31. 白眞勲

    白眞勲君 今、今のところは、いかなる今回そういった形では影響はないというふうに説明を受けたということなんですけれども、ポイントはこの合意が守られているかどうか。つまり、サンプル調査等のそういったものが今後文書化等も含めて合意が守られているかどうかということなんですけれども。  今、六か国協議で、六者会合でその辺は最終的に煮詰めることになるだろうという御答弁もあったわけなんですが、仮に北朝鮮がこの合意条件を守らないというふうになって、それは、これは麻生総理も先日私への御答弁でも、文書化をすることが条件だと、日本側立場を示していると御答弁されているわけなんですね。そうなると、もし北朝鮮がこのことを守らない、このことだけも守らないということであるならば、これはもう元々のテロ支援国指定解除という条件を、やっぱり守らないということはその条件自体が最初から崩れていくんではないかというふうにも思えるわけなんですね。  そうすると、やはりこれ、もう一度テロ支援国家指定の再指定日本側としてアメリカに求めるべきであるというふうにも思うわけなんですけれども。もちろん、その管轄は、アメリカに対する日本側の窓口は直接的には外務大臣であろうと、こういったものを求めるにしてもですね、とは思いますが、今回のいわゆる経済制裁閣議決定我が国を取り巻く国際情勢もかんがみという言葉の中で取ったわけですから、当然その経済制裁の担当の大臣である二階大臣としましても、アメリカテロ支援国家指定解除についてのお考えがあるんではないかなと思うんですね。もし、こういうふうに文書化さえ守らなければ、日本側からもう一度テロ支援国家指定をもう一回再指定していただくと、してもらうと、アメリカ側に、そういう依頼をすべきだと思うんですけれども、その辺について大臣としてはどうお考えでしょうか。
  32. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 今後、六者協議の場を通じ、またバイ会談等を通じていろいろと折衝の機会を持たなくてはならないと思いますが、今議員指摘のように、何も日本の主張に対し、日本との約束等に対して守らないと、そしてアメリカアメリカの意図するところとは異なった方向動きつつあるというふうな状況に相なった場合、これは日本としては同盟国アメリカに堂々と意見を言うべきだというふうに私は考えております。
  33. 白眞勲

    白眞勲君 非常に決意込もったお話、ありがとうございます。確かに私もそう思うんですね。テロ支援国家指定解除をさせておいて何も守らなければ、やはりそれはもう一度原点に戻るべきであるということだと思いますし、まさに私はそこがポイントだというふうにも思っているんです。  そういう中で、今回のいわゆる日本独自の経済制裁延長で、大臣衆議院で御答弁されているんですけれども、大臣個人としまして、この経済制裁が果たしてきちんと相手に伝わっているのかとか、そして北朝鮮側の譲歩が見受けられない中で何かもっとしっかりとした対応ができないものかと思っていると、こう御答弁されているわけなんですね。私はまさにその部分だと思うんですね。  特に、経済制裁効果考える際には、そのポイントとなるのは私、中国だというふうにも思うわけなんですが、つまりこちら側が幾ら経済制裁だといって門を閉めても、後ろ側中国側の門ががら空き、開けっ放しであるならばこれは何の意味もなくなるわけでして、そういうところでちょっとこれ参考人にお聞きしたいんですけれども、中朝関係について。  これ、私が資料をチェックしましたところ、北朝鮮中国との貿易量ですね、これ二〇〇〇年が四億八千八百万ドルだったものが、その七年後には十九億七千六百万ドル。これ、七年間で四倍、五倍ぐらいに増えちゃっているわけですね。物すごい勢いで増えている。そういう中で、この中朝の貿易量の事実関係についてまずちょっとお聞きしたいと思います。
  34. 藤田昌宏

    政府参考人藤田昌宏君) お答え申し上げます。  中国北朝鮮への輸出額でございますけれども、我が国のこの措置開始前の平成十七年には十億八千万ドルでございましたのが、措置開始後の十九年には二九%増加をいたしまして十三億九千万ドルとなっております。一方、中国北朝鮮からの輸入でございますが、平成十七年には五億ドルであったものが、措置開始後の十九年には一七%増加をいたしまして五億八千万ドルというふうになっております。したがって、この結果、輸出輸入を加えた貿易総額は、平成十七年の十五億八千万ドルから十九年には二五%の増加で十九億七千万ドルというふうになってございます。  このように、委員指摘のとおり、中国北朝鮮間の貿易総額増加をしてきておりますけれども、同時期に我が国以外にも貿易総額が減少しているような国もございまして、我が国措置との関係は一概には申し上げにくいかと存じます。
  35. 白眞勲

    白眞勲君 いや、別に一概に申し上げないかどうかを私聞いているわけじゃなくて、中朝間の貿易の量だけ聞いたわけなんですけれども、増えていると。私のその数字とはちょっと、大分違うんですけれども、少なくとも増えているということは間違いないという中で、これは国連安保理の制裁中国は守っているのかどうかというのについてはどうでしょうか。
  36. 石川和秀

    政府参考人石川和秀君) 中国側からは国連安保理決議を誠実に履行しているとの説明を受けております。
  37. 白眞勲

    白眞勲君 つまり、たばこや酒類、化粧品の輸出制限も守られているということでよろしいんでしょうか。
  38. 石川和秀

    政府参考人石川和秀君) 安保理決議に基づいて措置を実施しているという説明を受けております。
  39. 白眞勲

    白眞勲君 なかなかやっぱり、たばことかこれを輸出を制限するといっても、あそこは陸路で入っちゃいます、トラックで。そうすると、トラックのドライバーの全部の荷物を開けてチェックしているとは、私には到底ちょっと思えない部分があるわけなんですね。特にこれだけの数の量が増えているということを考えますと、どうなんだろうかというのがあるんですけれども。  そういう中で、大臣、この前、先日私もテレビで、中国の国境の町の市場のテレビ映像が出たんですが、カニが大量に売られてすごい活気だ、何でこんなにカニがあるかというと、日本輸出できないからこっちにカニが来ているんだということなんですけれども、これは迂回して日本に入ってくる可能性というのは否定できないんじゃないのかなというふうにも思えなくはないんですけれども、その辺は大臣どういうふうにお考えでしょうか。
  40. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 北朝鮮のそうした物資が迂回しているかどうかということに対して定かな情報は今現在は入手しておりませんが、当然そういうことに対しても、我々はこうして法律を出して皆様に御審議をいただく以上は、この法律が厳格な適用がなされておるかどうかということについて責任ある立場であるというふうに考えておりますので、関係省庁とよく連携を取って、それらの疑問点についてはあらゆる国際的な場を通じて各国とも協議を行ってまいりたいと思います。  そして、実質的に、日本がいろんなことを発言し、いろんな約束事を内外に発したことが実際に守られているかどうかに対して、日本政府はもっと責任ある態度を取っていくべきだという御指摘であろうと思いますが、私もそれには同感であります。
  41. 白眞勲

    白眞勲君 まさに今大臣おっしゃったとおりだと私は思うんですね。幾ら日本経済制裁をしたとしても、その間、中国貿易量を増やしていると。そういう中で、いや、迂回あるんじゃないのかなとか、そういった懸念というのも、これなかなか難しい部分はあると思うんですね、実際チェックするというのはね。そうはいっても、日本独自の経済制裁の実効性が全く担保できなくなってしまうんではないかという懸念というのはあるわけなんですね。  そういう中で、大臣はこの中朝二国間の援助の実態、懸念についてはどういうふうにお考えになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  42. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) これは中国北朝鮮との問題でありますから、日本が特にこれに対してどういう措置ができるかという具体的な対応のしようはありませんが、しかし当然、六か国協議等に臨むに当たって、対北朝鮮と対する五か国、五つの国はやはりしっかりした連携を取って、そして一緒になって対応するということでなければ、六か国協議何回やってもしり抜けになってしまうということは、我々は以前からこのことに対しては、ああいうことだけでいいのかなという思いは持っておりました。  ですから、そういうことに対してまた中曽根外務大臣ともよく意見の交換等を行い、今日委員会でこういう御意見があったことも、今日は政府委員としては参加していただいておりますが、私の方からもお伝えをしたいと、このように思っています。
  43. 白眞勲

    白眞勲君 大臣、非常にいい御決意、すばらしい御決意だと私は思うんですね。  六か国協議の中でしっかりした対応というものを取っていかなきゃいかぬ、まさにそういう部分もあると思うし、逆に言えば、今大臣もおっしゃったように今のままでいいのかみたいな、ああいうことでいいのかなという率直な私はお気持ちだというふうにも思うわけなんですね。前に大臣衆議院でもお話しされているんですけれども、被害者の御家族の思いを考えると、何かもっとしっかりとした交渉、しっかりとした対応ができないものか、まさに今の御発言と通じるものがある部分で、私その部分だというふうに思うんですね。  確かに六か国協議とか、あるいは中曽根外務大臣に対して、一応外務省が窓口である以上はそちらを通じた形でやるということでしょうけれども、逆に二階大臣は非常に中国との太いパイプを持っていらっしゃるわけですから、いや何か横向いてますが、私は持っていると思うんですね。私、その点考えると、やっぱり大臣というお立場もありますし、やっぱりAPECでそういった人脈というのをどんどん築かれているわけなんですから、ここは大臣中国側にやはりより働きかけてこの経済制裁の実効性を持たせるように、つまりそのかぎを握っている中国としっかりした交渉を大臣御自身も、まあ大臣という立場ではなくても個人的ないろいろなおつながりもあるならば、そういったことを使いながら思いをお伝えになったらどうなのかなというふうに私は思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
  44. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 大きな期待を寄せていただいて大変恐縮に存じますが、議員がおっしゃることは私もよく理解できます。したがって、あらゆる機会を通じて我々は閣僚として働きかけなければならない義務を持っておるというふうに思っております。ですから、こうした迂回防止の措置とかあるいは奢侈品が送れないようにするとか、いろんな対応を今までやってきたんですが、本当にこれが効いておるのかということをやっぱり考えれば、次なることに関してはどういう我々が対応していかなければならないかということをやはり十分考えるべきだというふうに思っています。
  45. 白眞勲

    白眞勲君 私は、二階大臣に大きな期待を寄せるんですね。やはり、いろいろ今まで報道ベースでもお聞きしますと、二階大臣、非常に活発に中国に訪問されて、いろいろな方とのパイプを持っていらっしゃると、相当すばしっこく動いているなという私は感じがしたわけでして、そういう方がやはり、中曽根さんは中曽根外務大臣としてやっていただくということでいいとは思うんですけれども、二階大臣がそういう形でやっていくのが、やっぱりこれ日本、これ与党、野党、私は関係ないと思うんですよ。ともかくそれぞれの人たちがそれぞれのパイプを生かしてやっていく必要性があるんじゃないかなというふうに思うんですね。  やはり今、経済制裁、より強化すべきだという意見もあるし、そういうふうにしないとなかなかこの拉致問題、六者協議を開催するときに日本側立場をうまく説明できないんではないかという、そういう意見というのもあるとは思うんですけれども、先ほど申し上げましたように、やはりかぎを握っている中国がそちらの方で輸出量が増えたりしているような現状の中で、こちらが幾ら締めても向こうがすかすかだったらこれは意味がないわけですから、その辺りをどういうふうに考えるのかというのもやはり私はポイントではないかなというふうに思っております。  そういう観点からしますと、二階大臣が今そういう御決意をおっしゃったんですけれども、もう一度二階大臣、もうちょっと何か具体的にこんなことをやりたいなということもありましたら、一緒に今ちょっとお話しいただければ有り難いなというふうに思います。
  46. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 今御質問の中で、別に言葉をとらえて言うわけじゃありませんが、私が対中国とそんなにすばしっこくやっているわけではありませんから。これはもう改めて訂正していただく必要はありませんが。私は、そんなことではなくて、今年いっぱい、お正月からずっとの間何回か、中国の方もお見えになりましたし私も訪問した。あるいはオリンピックで訪問したときにも、オリンピックはそこそこにしておいて、ほとんどいろんな方々と話合いをしてまいりました。  それの何を話したかというのは今日は時間もありませんから多くを語ることはできませんが、中堅幹部交流、これからの時代はただ単に観光交流をしているだけではなくて、もっとお互いに中堅幹部がいろんなテーマで話し合おうじゃないかと。その枠組みは今年おかげさまででき上がりました。  向こうは具体的な問題として、地震のいわゆる復興に対して日本の持っている知見を是非教えてもらいたいと、そういうことで先般第一弾が来まして、今年中にもう一弾がやってまいりまして、来春早々三回目やってくる。このグループにおいては一つの、何といいますか、目的を達成できそうだという状況であります。  また、経済産業省としては、先般から日本の環境技術、これを移転してお互いに、空には国境はないわけですから、中国日本もきれいな空、きれいな環境をつくっていくことに共に努力をしようという呼びかけがようやく実って三回目の協議がこれから始まるわけで、今日第一弾がたまたまおいでになったところであります。私はこうした場を通じても、今御指摘のような問題点に対して、日本が抱えている懸念に対してやはり表明するところは表明しておかなきゃならぬというふうに思っておる次第であります。  外交問題はやはり政府一体となってやっていかなくてはなりませんから、総理が胡錦濤主席とどういう話合いをされたのかまだ詳しく伺っておりませんが、そうしたことなども参考にしながら、今御指摘をいただいたような点についても我々また私のできる範囲において対応してまいりたいと思っています。
  47. 白眞勲

    白眞勲君 大臣の御決意ありがとうございます。  重層的な交流といいますか、様々な人たちが様々に交流をしていくって非常に重要なことだと思いますし、それがやっぱり相互理解にもつながっていくだろうと。そういう中で、日本が持っている様々な懸念、特に拉致問題について、これは話せばそんな理解していただけないような問題じゃないんですね。この問題についても我々こう思っているんだよと、ただこの問題等が、諸懸案解決されさえすればもっとこの東北アジアはいい関係になるんだということをやはりいろいろな、様々な環境問題とか、そういったときでもいいですので、やはりお話を、きっかけをつくって話をしていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。  ありがとうございます。
  48. 中谷智司

    ○中谷智司君 皆さん、おはようございます。民主党の中谷智司です。  外国為替及び外国貿易法に基づく北朝鮮に係る対応措置について御質問をさせていただきます。  二階大臣APEC閣僚会議の御出席、お疲れさまでございました。会議成果金融危機の下、大変厳しい状況にある日本経済の発展に役立てていただきたいと思います。  先ほど白眞勲委員も質問されましたが、最初にこれまでの北朝鮮に対する経済制裁についてお伺いをいたしたいと思います。  日本北朝鮮は、今現在の両国の関係や、これまでの北朝鮮への制裁措置効果を発揮しているかなど、国民から分かりにくい状況になっています。日本北朝鮮関係における当面の目標と、その中での制裁措置の位置付けについて二階大臣はどのようにお考えでしょうか。
  49. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 北朝鮮の外貨獲得を困難にする効果を得るために講じております全面輸入禁止措置の結果、我が国措置前には北朝鮮にとってその輸入のうちの約一〇%を占める第三位の輸出先でありましたが、昨年以来、輸入実績はゼロとなっております。また、北朝鮮幹部が使用することが想像できる奢侈品について輸出禁止措置を講じており、この結果、措置前の平成十七年には六十九億円だった北朝鮮への輸出は、平成十九年には八四%減の十一億円に減少しております。  これら北朝鮮に対する措置については、その経済効果だけではなくて、その政治的意義にも着目しながら、それが諸懸案解決に資するかとの視点でも重要だと考えております。  この度、延長承認をお願いしております輸入全面禁止措置も、拉致、核、ミサイルといった諸懸案解決に向けた具体的な行動を北朝鮮に求める我が国立場を明確にするという意義を有しており、これを延長することが取りあえずは適切であるというふうに考えております。
  50. 中谷智司

    ○中谷智司君 ありがとうございます。  今お話をしてくださいましたけれども、この北朝鮮との貿易我が国北朝鮮からの輸入額は、制裁措置が発動された前年の二〇〇五年には百四十五・三六億円ございました。制裁措置を始めた当初は、北朝鮮にとっては一定のインパクトがあったと思います。しかし、現在では貿易相手国を変えていくなどの対策を講じていて、経済制裁の効力が弱くなっているのではないかと私は思っているんですけれども、二階大臣の御見解をお聞かせください。
  51. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 我が国北朝鮮からの輸入額は、措置開始前の平成十七年には一億三千万ドルでありましたが、措置開始後の平成十九年にはゼロとなっております。中国北朝鮮からの輸入額は、措置開始前の平成十七年には五億ドルであったものが、措置開始後の平成十九年には一七%増えて五億八千万ドルとなっております。韓国北朝鮮からの輸入額は、措置開始前の平成十七年には三億四千万ドルであったのが、措置開始後の平成十九年には一二五%増加して七億七千万ドルとなっております。  中国韓国北朝鮮からの輸入増加している一方、同時期には我が国以外にも北朝鮮から輸入額が減少している、例えばロシアのような国でありますが、我が国措置関係は、しかし増えているところもあれば減っているところもありますから、一概に申し上げにくいところであります。  対北朝鮮措置北朝鮮経済全体に対する効果を確定的に評価することは一言では難しいわけでありますが、北朝鮮の厳しい経済状況を併せて考えた場合、これはこれで一定の効果を及ぼしているものと考えられます。
  52. 中谷智司

    ○中谷智司君 二階大臣は、先ほども白委員もお話をされていましたけれども、十一月十四日の衆議院経済産業委員会で、何かもっとしっかりした交渉、しっかりした対応ができないものかとの思いは個人的には持っておりますというふうにおっしゃられましたが、北朝鮮対応を勘案して追加制裁など別の手段を講じる必要はないでしょうか。別の手段を検討されているでしょうか。検討しているとすれば、どのような内容でしょうか。二階大臣にお伺いをいたします。
  53. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 我が国は、御承知のように、国連安保理決議に基づいて奢侈品等の輸出禁止措置を講じるとともに、北朝鮮からの輸入全面禁止措置など我が国単独の措置を講じておりまして、既に申し上げましたとおり、これはこれで一定の効果を上げているところであります。対北朝鮮措置の在り方については、政府部内でも不断に検討を行ってきていますが、具体的には、拉致、核、ミサイルといった諸懸案に対する北朝鮮対応や、六者会合あるいは国連安保理事会等における国際社会動き等を踏まえ、総合的に判断することが重要だと考えております。  私自身に何か別の考えはあるかということでありますが、私も政府の一員でありますから、今申し上げたような政府関係者と十分協議をしながら今後に対応していきたいと思っておりますが、対北朝鮮措置の在り方については、やはりあらゆる角度から常に検討を重ねていかなくてはならない、今のままでいいのかということは常に自らに問いかけているところであります。
  54. 中谷智司

    ○中谷智司君 ありがとうございます。  この制裁措置については、もう既に二年が経過をしています。先ほど二階大臣効果が出ているというお話をされましたけれども、私たち国民から見てこの効果が出ているかどうかというのが今非常に分かりにくくなっています。だからこそ、これまでの制裁北朝鮮に対してどの程度効果を発揮しているかを国民に分かりやすい形で是非ともこれからは検証して、私たち国民にお知らせをしていただきたい、そういうふうに思います。  本年六月、北朝鮮は日朝実務者協議拉致問題は解決済みという従来の立場を変更しました。また、本年八月には、拉致問題の再調査をするための調査委員会を設置して、可能な限り本年秋には終了することとしましたが、いまだに実現をしていません。このことについてどのようにお考えでしょうか。また、今後どのように対応しようとしていますか。御法川政務官、お聞かせください。
  55. 御法川信英

    大臣政務官御法川信英君) お答え申し上げます。  今委員がおっしゃったように、八月の日朝実務者会議では、北朝鮮側による拉致問題に関する調査のやり直しの目的あるいは具体的対応についての合意がありました。しかしながら、九月の四日の夜、北朝鮮側より、北朝鮮側として引き続き日朝実務者協議合意事項を履行するとの立場ではあるが、新政権が実務者協議合意事項にどう対応するかを見極めるまで調査開始は見合わせるという旨の連絡がございました。  麻生内閣におきましても、様々な立場で明らかにしているとおり、拉致、核、そしてミサイルといった諸懸案を包括的に解決をし、不幸な過去を清算し、日朝国交正常化を図る、この方針には変更はございません。また、八月の日朝実務者協議合意に従って、北朝鮮側が権限のある調査委員会を立ち上げ調査を開始すると、と同時に、日本側は人的往来及び航空チャーター便の規制解除を行う、この方針に変わりはございません。このような考え方については、麻生内閣の発足後、北京の大使館ルートを通じまして北朝鮮側にも伝達をしておりまして、調査委員会の早期立ち上げ及び調査の開始を引き続き求めてきております。  いずれにいたしましても、我が国といたしましては、北朝鮮による調査のやり直しが早期に開始をされ、生存者の帰国につながるような成果が得られるように引き続き求めていくという考えでございます。
  56. 中谷智司

    ○中谷智司君 今のお話では、麻生新政権はきちんとした方向性北朝鮮にお示しをしているということでした。ただ、このことについては時間ばかりが過ぎていくように感じています。だからこそ、早く北朝鮮の背中を押すような行動を取っていただきたい、分かりやすい対応をしていただきたい、そういうふうに思います。  それでは、少し逆のことから御質問したいんですけれども、制裁解除条件についてはどのように考えていらっしゃるでしょうか。二階大臣のお考えをお聞かせください。
  57. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 現在我が国北朝鮮に対してとっている措置は、御承知のとおり、北朝鮮側拉致、核、ミサイルといった諸懸案解決に向けた具体的な行動を取る場合に、何どきでも諸般の情勢を総合的に勘案して、その一部又は全部を終了することが可能だという判断をいたしております。  本年八月の日朝実務者協議では、北朝鮮側拉致の再調査を開始するのと同時に、人的往来の規制解除、航空チャーター便の規制解除を行うことに合意したことは先ほど外務省から御答弁のあったとおりであります。一方、当省が外為法に基づき実施している北朝鮮からの輸入全面禁止措置北朝鮮に対する奢侈品輸出禁止措置等については、この合意に含まれるものではありません。  我が国北朝鮮措置については、今後とも諸懸案に対する北朝鮮側対応や六者協議国連安保理決議等における国際社会動き等を十分見極めて、政府として総合的な判断を行ってまいりたいと思っております。
  58. 中谷智司

    ○中谷智司君 ありがとうございます。  追加制裁についても制裁解除についても、先ほどもお話をしましたけれども、今までの制裁措置効果を国民が理解しやすいような形で検証して、きちんとした判断基準を持って実施をしていただきたいと思います。  日本制裁措置効果を発揮するには、先ほども白委員がおっしゃっておられましたけれども、国際社会と強力に連携を図ることも重要です。国際社会との連携についてお伺いをしたいと思います。  先ほど米国のテロ支援国家指定解除の件は御質問をされましたので、これは省略をさせていただきます。  現在、北朝鮮にとって、六者会合の五か国あるいは日本以外の四か国が協力を求める主要な対象国となっています。一方、オーストラリアなどが重油の支援を行おうとする動きもあります。六者会合に参加していない国への日本からの働きかけ等、その反応について御説明ください。
  59. 御法川信英

    大臣政務官御法川信英君) お答えを申し上げます。  この働きかけの主語は米国ということでよろしいかと思いますけれども、我が国はこれまでも、拉致問題を含む日朝関係進展がない限り六者会合の下での経済・エネルギー支援には参加しないと、こういう立場を取っておりまして、この立場には全く変更はございません。第二段階の終了までに行われることになっております重油百万トン相当の経済・エネルギー支援に関しましては、米国が豪州等と支援の参加等への可能性について協議を行っているということは承知をしております。  今後の取り進め方につきましては引き続き関係各国協議をするということになりますが、六者会合参加国以外の国への支援の参加については、現時点では全く決定はなされておりません。  我が国は従来より、核問題と拉致問題を含む日朝関係の双方を共に前進をさせる方針であり、早期に拉致問題を含む日朝関係進展が得られるように、北朝鮮との折衝を含め、引き続き鋭意取り組んでいくという考えでございます。
  60. 中谷智司

    ○中谷智司君 この経済制裁については、やはり日本だけでは効果がある程度限定されてしまいます。国際社会へきちんと働きかけをしながら、主体的な外交を展開して成果を出していただきたいと思います。  次に、不正貿易についてお伺いをします。  本年七月に、外為法に違反する真空ポンプの北朝鮮への輸出の事案が発覚しました。経済産業省では把握できず、IAEAからの指摘で発覚しました。  このようなことが再発しないよう、経済産業省では監視、規制の強化などの取組を行っておられるでしょうか。吉川副大臣、御説明ください。
  61. 吉川貴盛

    ○副大臣(吉川貴盛君) 中谷委員指摘の事案につきましては、我が国貿易商社が輸出した真空ポンプが台湾を経由をいたしまして北朝鮮に再輸出されたものでございます。  貿易経済協力局長から当該商社に対しまして、厳正な輸出管理を実施するよう厳重に注意をいたしました。とともに再発防止策の徹底を指導してまいりたいと考えているところでございますが、経済産業省といたしましては、引き続き、年間百社程度をめどに立入検査を行うなどによりまして、輸出者に対しましては貨物の最終的な需要者の確認を含む厳格な輸出管理を求めてまいります。  さらに、関係機関とも連携しつつ、確実な安全保障貿易管理に努めてまいりたいと存じております。
  62. 中谷智司

    ○中谷智司君 今後決してこのようなことが起こらないよう、監視、規制の強化をお願いいたします。  先ほど迂回ルートのことが御質問をされました。そのことについて私も御質問をさせていただきたいと思います。  韓国釜山の水産物会社が、先ほどはカニの件を御質問されていましたけれども、北朝鮮産アサリを韓国産に偽装して日本に大量輸出していた事件が起こりました。経済制裁で行き場を失った北朝鮮産品が迂回ルートで日本に流通していた実態を示し、不正輸入防止をねらった原産地証明書が安易に偽装されている現状が判明をしました。  不正輸入業者の取締り策を早急に練って、経済制裁の実効性を高めるべきではないでしょうか。先ほどの御質問と重複するかもしれませんが、吉川副大臣、御見解をお聞かせください。
  63. 吉川貴盛

    ○副大臣(吉川貴盛君) 中谷委員指摘のとおりだと存じております。  また、我が国独自の措置である輸入禁止措置につきましては、その実効性を高める観点から、近隣諸国を経由した迂回輸入を確実に防止をすることが極めて重要であると考えております。こうした認識から、政府といたしましては、輸入禁止措置発動以降、関係省庁間の連携の下、法令の厳格な適用や検査の強化などの措置を講じてきておるところでもあります。  このような連携の下に、これまでに平成十九年二月に発生したアサリ及び平成十八年十二月に発生をいたしましたステンレスの継ぎ手製品の不正輸入事案につきましても刑事罰が確定をいたしておりまして、輸入禁止措置が課されたところでもございます。  今後とも、北朝鮮輸入禁止措置の実効性を確保するために、迂回輸入防止に努めてまいりたいと存じております。
  64. 中谷智司

    ○中谷智司君 この迂回輸入の問題については、藤末健三理事も昨年六月十二日の参議院経済産業委員会指摘をしていますが、今回もこのような件が起こっていますけれども、昨年と比べてこのことに力を入れてこのことを防止しようとされた、そういうことを御説明をいただきたいんですけれども。
  65. 藤田昌宏

    政府参考人藤田昌宏君) お答えを申し上げます。  北朝鮮からの制裁を逃れるための迂回輸入の防止につきましては、関係省庁、特に私どもの関係で申し上げれば税関でございますとかあるいは警察当局等とも密接に協力をしながら実行してございます。それから、仮に原産地証明書が、正しいものでないものがほかの国から発出されているというような事案があるとすれば、これはまた外交当局の協力を得ながら、その事実の解明、再発の防止に努めているというところでございます。
  66. 中谷智司

    ○中谷智司君 昨年の段階と比較して強化したようなことはございますでしょうか。
  67. 藤田昌宏

    政府参考人藤田昌宏君) 昨年と比べまして特に新しい措置を講じたということはございませんけれども、先ほど御紹介のアサリあるいはステンレス継ぎ手の案件などはおととしから去年にかけて発生しているものでございまして、そうした事案を踏まえて、関係当局、更に一層連携を強めて再発を防止したいと考えております。
  68. 中谷智司

    ○中谷智司君 北朝鮮からの輸入禁止措置北朝鮮が外貨を獲得する手段を封じるものです。そのため、迂回輸入を確実に阻止をしなければなりません。是非ともこの件についても今以上に厳しい対応をしていただきたい、そう思います。  最後になりますけれども、制裁措置中小企業などへの影響についてお伺いをいたします。  輸入禁止措置奢侈品輸出禁止措置などの経済制裁を取ったことによって、日本国内の地域や業者に影響は出ていないでしょうか。北朝鮮との貿易額が二〇〇五年に四十五億六千八百万円で全国一だった京都府の舞鶴港では、貿易取引にかかわっていた業者が影響を認め、拉致問題など懸案解決貿易の再開を求める声が出ています。また、鳥取県境港市の水産仲卸業者が、注力していた北朝鮮からのズワイガニの輸入がストップするなどして業績が低迷し、事業閉鎖に追い込まれている、こういうこともございます。こうした地域や業者の実情を理解されていますか、松村務官お答えください。
  69. 松村祥史

    大臣政務官松村祥史君) 中谷先生の御質問にお答えを申し上げます。  私ども経済産業省といたしましては、対北朝鮮輸入禁止等に関する緊急対策会議決定を踏まえまして、北朝鮮に対する経済制裁措置によって仕入先の変更を余儀なくされるなどの影響を受けました中小・小規模企業者のために、全国の政府中小企業金融機関、商工会議所、商工会連合会等に特別相談窓口を設置いたしまして、セーフティーネット貸付けの適用や信用保証による金融支援を実施しております。  また、特別相談窓口には、平成十八年十月以来、これまでに水産品輸入加工業者や中古車、バイク、家電の輸入業者等から百二十件の相談が寄せられまして、二十二件、四億円超の融資及び信用保証を実施しております。なお、本年に入ってからの相談件数は三件でございますが、引き続き中小企業者の皆様方が適切な経済活動ができますように適切な措置を講じてまいりたいと思っております。
  70. 中谷智司

    ○中谷智司君 ありがとうございます。  制裁措置を始めた最初の半年で日本国内の地域や業者への影響は軽微になったと思われていますが、まだまだこのような事例が出てきています。このように影響を受けている地域や業者もございます。今後も、影響が大きい地域や業者に是非とも配慮をして対応をしていただきたいと思います。本制裁措置延長によって北朝鮮に対する拉致、核、ミサイルといった諸懸案解決につながることを期待をいたしております。  私からの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  71. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 自由民主党の塚田一郎でございます。  今日は、APEC閣僚会議から御帰国直後の二階大臣、大変お疲れさまでございます。また、チーム二階の皆様には初めての質問でありますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  早速なんですが、二階大臣は十一月十五日という日がどういう日か御存じでしょうか。今年は、ちょうど十日前、土曜日であります。実は、今から三十一年前、昭和五十二年のこの日、十一月十五日、新潟市で横田めぐみさんが北朝鮮の工作員に拉致をされたわけであります。  当時、横田めぐみさんは十三歳、新潟市立寄居中学校の一年生でありました。実は私はこの同じ中学校の卒業でありまして、めぐみさんとはたった一つ違い。したがって、めぐみさんが拉致をされたそのとき、同じ新潟市立寄居中学校の二年生でありました。今でも当時のことは鮮明に記憶にとどめております。神隠しというふうに当時言われたわけでありますけれども、忽然と姿を消しためぐみさん、三十一年たってもいまだにめぐみさんは、ふるさとそして祖国に戻ることができない状況であります。  今年も、毎年なんですけれども、十五日の日に新潟市の方で拉致問題の県民集会がありまして、横田めぐみさんの御両親、滋さんと早紀江さんが御出席をされました。その会でも、早紀江さん、三十一年たってもまだめぐみを助けてあげられない、もう大変に悲痛な思いを参加された皆様に切々と訴えられていたわけであります。  くしくも、今年のこの十五日の日にもう一つ、この拉致問題に関係する出来事がありました。それは、拉致被害者のお一人である市川修一さんのお母様である市川トミさんがこの日にお亡くなりになったわけであります。享年九十一歳、通常であれば天寿を全うしたと言える年なんだと思いますけれども、このお母様のトミさんも、三十年間修一さんの帰りを待ち続けて、ついに残念なことにお亡くなりになったということであります。  何を申し上げたいかというと、いかに長い歳月がこの問題未解決のまま続いているかということを、大臣、十分に御認識をいただいているというふうに思いますけれども、引き続き、麻生内閣の一員として全力で頑張っていただきたいということをまず初めに申し上げさしていただきたいというふうに思います。  それでは質問に入らせていただきます。さきの質問でも幾つか論点がありましたので、若干重複するかもしれませんが、御容赦をいただきたいと思います。  まず初めに、このそもそもの経済措置制裁の目的というのは、我が国懸案事項である拉致、核、ミサイル解決ということだというふうに理解をしております。それでは、今回四回目の延長になるわけですけれども、この間、これらの懸案についてどのような進展があったのか、まず外務省から教えていただきたいと思います。
  72. 石川和秀

    政府参考人石川和秀君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、まさにこの対北朝鮮措置というのは、諸懸案解決に向けて北側から具体的な行動を引き出すために実施しているということでございます。  今委員から、どのような進展があったのかという御質問でございます。  まず、核問題につきましては、二〇〇六年の十二月に十三か月ぶりに六者会合が再開をされまして、二〇〇七年の二月には北朝鮮の非核化に向けた初期段階の措置というのに合意をしております。また、二〇〇七年の十月には、御承知のとおり、第二段階の措置というのに六者で合意をしているわけでございます。また、その後、北朝鮮核計画の申告を提出をしております。また、寧辺の核施設の無能力化作業を進めております。  現在の喫緊の課題というのは、この非核化実現のために重要である検証の具体的枠組みというものを六者でできるだけ早く合意をするということだと考えております。  また、拉致問題につきましては、先ほども御質問ございましたけれども、八月の日朝実務者協議におきまして拉致問題に関する調査の目的や具体的態様等について合意をしてございます。残念ながら、いまだに北朝鮮側がこの調査を開始していないということは極めて残念でございます。  ミサイルでございますけれども、日朝間の協議において様々な機会にこれを取り上げております。六者会合の下におきましては、北東アジアの平和及び安全メカニズム作業部会というのがございまして、ここでミサイル問題を含めた懸案事項を包括的に解決をし国交正常化を実現するよう努力することが北東アジアの安全保障環境を改善する上で重要であるということを日本側からも表明をしております。北朝鮮側に引き続きミサイル脅威の除去を働きかけていきたいと考えております。  以上申し上げましたとおり、核問題、拉致問題について全く前進がないというわけではありませんが、いまだ極めて不十分というのが現状だと考えております。  政府としましては、今後とも、これらの問題についての具体的な成果が得られるように、対話と圧力という方針の下に、その間のバランスにも意を用いながら具体的な行動を北朝鮮側に働きかけていきたいと、このように考えております。
  73. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 今ほど外務省からも御説明がありました。進展はあるんだけれども不十分であるという御指摘であります。  実際、細かいことを突っ込むと切りがないんですけれども、ミサイルに関してはほとんど動きがありません。進展がないという状況だと理解をしております。核の問題が動いている、これは確かに進展はあります。しかし残念ながら、本当に日本制裁効果を発してこの核の問題が動いたかといえば、現実にはやはりアメリカテロ支援国家指定解除という大きなカードを切られるという前提の上でこの核問題が動いたというのが実際のところだというふうに我々は認識をしております。  では、もう一つの最も重要な懸案であるこの拉致問題、確かにこの協議を進むという状況になりつつありましたけれども、その後、アメリカテロ支援国家指定解除、これを北朝鮮が勝ち取って以降全く音信不通のような状況になっているんだと理解しているわけですね。そうすると、外交ですからそれぞれの国がそれぞれの国益に沿ってこれは進めていくことですけれども、日本にとっては当然、拉致問題、核問題、ミサイル、この三つが大事でありまして、それを動かすてことして、もちろん今の制裁を私は延長するのは当然だと思いますが、こうしたことだけで十分なのかな、特に懸案である拉致問題の解決にこれが資することになっているのかなということを考えなければいけないと思います。  その点、今回の延長は当然だというふうに思いますけれども、この程度の制裁で本当に北に対しての圧力になっているのか、特に拉致問題の進展に大きく資することがあるのか、この点について大臣の御所見をまず伺いたいと思います。
  74. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) お地元の塚田議員から、横田めぐみさんの件また市川修一さんの件についてお話がありました。御家族の心情を思うと本当に胸が詰まるような思いがするわけでありますが、いまだにこれだけの大きな叫びを北に向かって、またアメリカに向かって、また同盟国との間でもこのことについて日本が主張しているにかかわらず、依然として全貌が見えてこないということに対して塚田議員の思いと私どもは同じ憤りといいますか、またやるせない思いを持っておるものであります。  これらについて、この程度のものでいいのかと言われれば、この程度のことで今御指摘になりましたミサイル、核、拉致問題等のこの重要課題が全体的に解決に向かってすぐ動きが出てくるかというと、私は、直ちに大きな動きになるかどうかということに関しては、これは慎重に見極めなきゃならぬというふうに思っております。  しかし、取りあえず、議員も御承知のとおり、我々が延長承認をお願いしているこの輸入全面禁止も、必ず拉致、核、ミサイルといった我々の諸懸案解決に向けて北朝鮮にこれを求めていくという立場を明確にするという意義はあるわけでありまして、まずはこの延長をお願いしたいと考えております。  その他の対応につきましては、先ほどからも度々申し上げておりますとおり、我々は政府一体となって取り組んでいきたいと思っておりますが、これはもう先ほどからも御指摘のありましたように、与党も野党もないのではないかと、私も全くそのとおりだと思います。特に、新潟県のようなこの問題に対して格別の地元としての複雑な思いを持ち続けて今日まで御努力をいただいた先生方はたくさんおられるわけですが、私はそうした皆さんのお気持ちに沿うように、今後もあらゆる国際的な会議の場等において、我々の日本国民の本当の声をやはり伝えていく努力を一層重ねていかなくてはならないと、そういう思いを持っております。
  75. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 ありがとうございます。大臣から大変に我々と思いを共有をしていただいているという力強い御発言をいただいたことに私からも感謝を申し上げますし、引き続き大きなお力添えをお願いしたいというふうに思う次第であります。  具体的に先ほども対北朝鮮貿易各国の推移についての御質問がありましたけれども、新聞記事を参照させていただいておりますが、例えば中国などは元での決済を認めるなど、これは事実上国連としてのこうした奢侈品輸出禁止等は働いていても、実際の貿易自体は余りほかの国は圧力を課している状況にないんじゃないかというふうに思われるような状況があります。  こうした状況も踏まえて、本当に圧力というのはほかの国からも効いているのか、外務省から少しコメントをいただきたいと思います。
  76. 石川和秀

    政府参考人石川和秀君) お答え申し上げます。  国際社会がとる措置ということでございますと、安保理決議の第千七百十八号というのが御承知のとおりございます。これに基づきまして各加盟国はこの措置をとる義務を持っておるわけでございますけれども、承知しているところによりますれば、アメリカ、これはアメリカはもちろんでございますが、カナダ、欧州諸国、豪州、ロシア等、この安保理決議に基づきまして軍関連及び核、ミサイル大量破壊兵器計画関連の特定品目の輸出禁止、それから奢侈品輸出禁止といった措置を既に実施をしているものと承知をしております。  それから、中国でございますけれども、中国、先ほど答弁申し上げましたけれども、着実にこの安保理決議については実施しているということでございます。  それから、人民元でのお話というのが今ございましたけれども、委員承知のとおり、本件、安保理決議におきましては全面的な輸出入の禁止というのは入ってございません。大量破壊兵器等の取引禁止と、それから奢侈品輸出禁止というのが加盟国に課せられた義務でございますので、それ以外のところにつきましては加盟国に義務が掛かっているというわけではございません。  この人民元の取引につきましても、そういった意味で安保理決議の対象にはなっているわけではございませんが、私ども承知しているところによりますと、従来から北朝鮮の個人、団体が中国の銀行に人民元口座を開設するということは一般には禁じられてはいないというふうに承知をいたしております。いずれにせよ、中国側もきちんと安保理決議を実施しているという説明を受けておるところでございます。
  77. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 確かに安保理決議はすべての貿易を禁止しているわけではありませんし、その部分についてはきちっとやっているのかもしれません。それは信じるしかないところでありますけれども、実際にドルが決済がままならなくなれば人民元で決済してもいいというようなことをやっているとすれば、これは事実上貿易についてはむしろ緩和をしていると言わざるを得ない状況であります。  こういった点について、各国との、対北朝鮮貿易の推移について少しお伺いをしたいわけですけれども、先ほど対中国のお話も出ております。その他の、例えばロシア、韓国等、対北朝鮮貿易の推移、ここ数年どのようになっているか、経済産業省から御説明いただきたいと思います。
  78. 藤田昌宏

    政府参考人藤田昌宏君) お答え申し上げます。  まず、ロシアでございますけれども、ロシアの北朝鮮からの輸入額は平成十七年には八百万ドルでございましたが、平成十九年には三千万ドルということで大幅に増加をいたしております。  それから、韓国北朝鮮からの輸入額でございますが、平成十七年には三億四千万ドルでありましたのが、十九年には七億七千万ドルというふうになっております。
  79. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 こちらに経済産業省からいただいた資料があるんですけれども、それぞれの国は貿易額が実は伸びております。日本は確かに制裁をやっていますから減っているんですけれども、貿易額の総量からすると、二〇〇一年からの比較ですと、総計で二十六億七千三百万ドルだったものが二〇〇七年には四十七億三千九百万ドルです。奢侈品等の制裁が行われたここ近年で見ても、二〇〇五年からの比較ですと四十億ドルから四十七億ドルと、やはり貿易そのものは非常に額が増えているわけですね。そうすると、北朝鮮にとってはやはり貿易総体としては余りこういう経済制裁が十分に機能していないのではないかと思わざるを得ないような状況があるわけです。  それで、やはり外務省にも引き続きこうした奢侈品の問題、あるいは大量破壊兵器の関連物資についてもですが、きちっと国連の場でこうしたものを検証できているのかということは引き続きフォローをいただきたいなというふうに思いますし、また、やはり貿易自体がこうした状況ではなかなか日本が単独で制裁をやっていっても効き目が十分にないのではないかというふうに思うわけであります。この点、今後、外務省としてどのように国際社会とこうした制裁効果が上がるように連携をしていくのかについて御説明をお願いします。
  80. 石川和秀

    政府参考人石川和秀君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、これは安保理決議でございます。加盟国の義務でございますので、奢侈品等のこの措置については着実に安保理加盟国がこれを実施するというように働きかけを強めていきたいと思います。また同時に、六者会合の現状あるいは日朝関係の現状に関する我が国考え方、立場ということにつきましては、もうあらゆる局面をとらえて説明をする努力を継続をしていきたいと、このように考えております。
  81. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 ありがとうございます。  次に、論点を少し移しまして、六者協議、特に米朝の核合意について、今どういう状況にあるか、先ほど白委員からの御質問にもありましたけれども、どうも形骸化してきているような様子で大変懸念をしております。  まず最初に、簡単で結構なんですが、米朝核検証合意について、例えば核拡散の問題ですとかサンプル採取等の問題を具体的に少し説明していただけますか。
  82. 石川和秀

    政府参考人石川和秀君) お答え申し上げます。  米朝間のこの核問題に関する合意について御説明をさせていただきます。以下のものが含まれているというふうに理解をしております。  まず、専門家によるすべての申告された施設への訪問が認められること、それから双方の合意に基づきまして未申告の施設へも訪問が認められること、それから二番目に、サンプル採取及び科学的検証を含めた科学的手続を採用すること、三番目に、検証の具体的枠組みに含まれるすべての措置がプルトニウム計画、ウラン濃縮活動及び拡散活動に適用されることと、こういった諸点を中心に米朝間の合意が十月になされたということでございますが、先ほども答弁申し上げましたが、これはあくまで米朝二国間の合意でございますので、これを今後六者間の合意にする作業が残されているということで、これに向けて引き続き関係各国と連携をしながら努力をしてまいりたいと、このように考えております。
  83. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 米朝合意文書化をすることが必要だと、これは日本も主張をしているわけでありまして、ところが、北朝鮮はこれを難色を示しているという今状況にあるわけです。そうすると、きちっと本当に北朝鮮が核の全面廃棄を受け入れているのかと疑わざるを得ないような状況が続いているわけです。先ほど、この点については白委員からの御指摘もありました。  それ以外にも、私は今日ちょっと提起をしたいのは、核拡散の疑いも非常に、その後まだいろんな怪しい案件が出てきていることを御指摘をさせていただきたいと思います。  シリアの原子炉の建設に係る国際原子力機関の調査団、IAEAが、イスラエルが空爆をしたシリアの原子炉、核施設からウランの痕跡を発見したと。これは、いわゆる北朝鮮からの核拡散の疑いが強いと言われている案件であります。こうしたこと。あるいは最近には、インド政府が今年八月に、北朝鮮の航空機が領空通過をすることをアメリカ政府の要請で拒否をしたというニュースがあります。これは、核関連物資あるいは長距離ミサイルの部品をその北朝鮮の飛行機が搭載をしていた可能性が疑わしいということで、そうしたことをインド政府アメリカから要請をして、インド政府が領空通過を拒否したというような話、これはウォール・ストリート・ジャーナルに出ていたわけですが。  こうしたような事実関係というのは外務省で把握をされているんでしょうか。
  84. 石川和秀

    政府参考人石川和秀君) お答え申し上げます。  まず、シリアに関する件でございますけれども、国際原子力機関、IAEA、この調査結果がございますけれども、これは今月の十九日でございますけれども、シリアの核問題に関するIAEA事務局長報告という形で我が国を含むIAEA加盟国に配付をされたところでございます。  ただ、この報告内容についてはいまだ非公開でございますのでちょっとお答えは差し控えますけれども、引き続き、委員指摘のとおり、この問題も関心を持ってフォローをしてまいりたいと考えております。  それから、インド政府の件でございます。これも同じとおり、平素より情報収集・分析に努めておりますし、今後もこの努力を倍加したいと考えておりますけれども、何分情報関係の機関の情報も一部ございますのでなかなかお答えをしにくいんでございますけれども、引き続き情報収集・分析には努めてまいりたいと考えております。
  85. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 要するに、北朝鮮は、自ら得るべき目的であるテロ支援国家指定解除を手に入れた途端に、もしかすると全く誠実な対応を取っていないんではないかという疑惑があるということを我々は十分に認識をしなければいけないと思うんですね。  外交上のことですからすべて明らかにできない点もあるかもしれませんが、まさにこうした状況、実は今日の朝の産経新聞もこうした内容を伝えているわけですが、今日の産経新聞、イラン・シリア代表団訪朝ということで、核開発で密接連携というタイトルで書いてあります。これは、イランとシリアの代表団が十月下旬、核開発協力推進のため北朝鮮を訪れていたことが明らかになったという産経新聞の記事でありまして、まさに我々が最も恐れている北朝鮮からの核拡散についてのこうした動きが常に続いているということを非常に大きな問題だと私どもは考えなければいけない。  アメリカは、ブッシュ政権末期になって外交成果を得たいということで、もしかするとこのテロ支援国家指定解除を急いだのかもしれないですね。ところが、その結果、北は非常に有利な状況に今なっていて、こうした状況考えたときに、本当にこれでよかったのかな。先ほど白委員からのお話もありました、場合によってはアメリカテロ支援国家指定解除が取りやめになってもおかしくないような状況が今後出てくる可能性もあると思うので、この点についてきちっと日本としてもグリップをしていっていただきたいということを強く要望を外務省にさせていただきたいというふうに思います。  それでは、次の論点でありますが、先ほどのお話の延長になるわけですが、実際、圧力効いているのか。今のこの延長は当然であります。しかし、更なる圧力も検討をしていく時期に来ているんではないかということで、政府内からもいろいろな今発言が出ております。河村官房長官は記者会見で、具体的な動きが全然起きないなら、更に圧力を強めていかなければならない。また、漆間副長官は対策会議の席上で、圧力についてはそれを検証する必要がある、大事なことは北朝鮮が本当に困る圧力を考えなければならないということ、今の制裁北朝鮮は何とも感じておらず圧力になっていないようだ、どうすれば北朝鮮が大変だと思うか頭に置いてやり方を工夫していく必要があるというふうに述べられているわけです。また、拉致被害者の家族等からも追加制裁を求める声、これも上がっているわけであります。  先ほどの長官、副長官の発言を素直に受け止めれば、政府としては追加制裁の必要性について認識をして検討に入っているというふうに私には理解をできるわけですが、実際に政府としてそうした指示を関係省庁に出しているのか、あるいはこうした具体的な追加制裁について検討に入っているのか、この点について内閣官房の方からお答えいただきたいと思います。
  86. 山本条太

    政府参考人(山本条太君) 先般の一連の発言につきましてのお尋ねでございます。  拉致問題につきましては、その一刻も早い解決に向けまして、これまでも対話、そして圧力という一貫した考え方の下に取り組んでまいりました。御指摘の一連の発言もまたこのような考え方を改めて確認をしたものでございます。これまでの圧力は効果があったのか否か、これの評価を検討をすること、そしてまた効果がある圧力について研究をすること、それらの必要性につきまして述べたものでございます。  かねてより対北朝鮮措置の在り方につきましては政府部内で不断の検討を行っておりますことは先生御案内のとおりでございます。実際の対応につきましては、拉致、核、ミサイル、そういった諸懸案に対します北朝鮮対応、そして国際社会動きなどを踏まえまして総合的に判断を下していくべき問題かと、かように認識をしております。
  87. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 何か分かるような分からないようなお答えなんですけれども、これは最終的に内閣官房、それは最終的にはこれは麻生総理の内閣での御決断になると思うんですが、こうした発言が出てきているということは、やはり私はそろそろ次の選択肢も考えるべきではないかという議論に内閣として今動いているんであろうと理解をしております。  実は、自由民主党の中でも拉致問題対策特命委員会というのがありまして、その中でも今、北朝鮮人権法の更なる強化ですとか、その他の追加制裁について今議論を始めております。議会としては、やはり政府がこれからいろんな外交交渉を行っていく中で必要なツールをきちっと用意しておくということが我々は大事だという認識を持っておりまして、必要に応じてこうしたことを議員立法も含めて自民党としても推し進めていきたいというふうに考えている点をお話をさせていただきます。  経済産業委員会に関連することであれば、今の場合、既に制裁を行っているんですが、輸出についてはまだ全面禁止をしていないわけですね。これについては、もしかすると今後の追加制裁のオプションの中で輸出全面禁止ということも検討し得る部分だと思うんですが、まず、この輸出全面禁止については現行法のままでそうした措置をとることが可能なのか、その点について御説明いただけますでしょうか。副大臣、よろしくお願いします。
  88. 吉川貴盛

    ○副大臣(吉川貴盛君) 私の方からお答えをさせていただきたいと存じます。  現在、我が国は、北朝鮮を仕向地とする貨物輸出につきましては外為法に基づき奢侈品輸出を禁止をいたしておるところでございますが、この外為法におきましては、我が国の平和及び安全の維持のために特に必要があると閣議決定した場合でありますが、我が国独自の措置といたしまして経済産業大臣輸出承認義務を課すことを認めておるところでございます。このために、輸出全面禁止につきましても、我が国の平和及び安全の維持のために特に必要があるものとして閣議決定された場合におきましては、現行法上、輸出承認義務を課すことによりまして実施することが可能と考えているところであります。  以上であります。
  89. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 必要に応じて措置をとることができるという理解でよろしいのかと思います。  そうすると、仮に内閣としてこうした新しい追加の制裁考えていったときに、経済産業関係であればこの輸出全面禁止ということがあり得るわけですけれども、実際にどうでしょうか、こうした追加的な制裁を検討してはいかがかなという部分もあるんですが、この点についてどのようにお考えか、御所見を聞かせていただきたいと思います。
  90. 吉川貴盛

    ○副大臣(吉川貴盛君) 先ほども内閣府の方から答弁がございましたが、総合的に国際社会動き等を踏まえて判断をされるものと当省としても考えているところでございます。  例えば、もう委員も御承知のとおりだと存じまするけれども、この制裁効果等につきましても、輸入品の全面禁止措置によりまして昨年以降は輸入実績がゼロとなるなど一定の成果を上げているものと考えておりまするけれども、また一方では、違法輸入ですとかそういったこともしっかり監視をしていかなければなりません。  経済的な効果だけではなくて、政治的意義も重要であると思われております。ただいまも申し上げましたように、国連安保理等における国際社会動き等を踏まえて、更なる総合的に判断をすることになろうかと存じております。
  91. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 分かりました。  政府の外交上のことでもありますから、なかなか踏み込んだお答えというのは難しいのかなというふうに思うんですけれども、やはり日本として毅然とした態度を取り続ける、拉致問題解決に一歩も譲らないという姿勢を政府一丸となって示していくことが大変重要だと思いますので、引き続きこうした検討、あるいは今までの経済制裁効果についてもきちっと検証していっていただきたいということをお願いをさせていただきます。  北朝鮮が、日朝実務者協議合意がこれが今止まっているわけですけれども、拉致被害者についての再調査が実行されれば制裁の一部を解除するということを政府が今方針として打ち出しているわけですけれども、承認案件である輸入禁止の経済制裁については、それではどのような基準で解除をすることを考えられているのか、御説明お願いします。
  92. 藤田昌宏

    政府参考人藤田昌宏君) お答え申し上げます。  今回延長される措置を含めまして、現在我が国北朝鮮に対してとっている措置は、北朝鮮側拉致、核、ミサイルといった諸懸案解決に向けた具体的な行動を取る場合には、いつでも諸般の情勢を総合的に勘案してその一部又は全部を終了することが可能でございます。  御指摘のございました人的往来及び航空チャーター便の規制解除につきましては、本年八月の日朝実務者協議合意におきまして、拉致被害者に関する全面的な調査開始を解除条件として合意をいたしておりますけれども、今日お諮りしております輸入の禁止措置につきましてはこの合意には含まれてはおりません。輸入禁止措置につきましては現在のところ解除する予定はございませんけれども、今後の対応につきましては諸般の情勢を総合的に勘案をして検討していくということになるかと存じます。
  93. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 諸般の事情というのは、日本の言うところの拉致、核、ミサイルという懸案事項の解決ということだと思うんですね。そうすると、拉致問題の進展によって一部の解除があるかもしれませんが、この承認措置そのものはこれらの三つの懸案が動かないと解決をしないというふうに理解を普通できるわけですね。ミサイルについては、先ほどお話をしたとおり進展がないということを考えると、外務省、どうでしょうか、この三つの事項が、ミサイルも含めて、核問題、ミサイル、そして何よりも拉致問題が三つともきちっと進展がなければこうした承認は今後、この制裁については解除をされないということで理解していいんでしょうか。
  94. 石川和秀

    政府参考人石川和秀君) 今御答弁ございましたとおり、北朝鮮側拉致、核、ミサイルといった諸懸案解決に向けた具体的な行動を取る、そういう場合には、いつでもいろいろな事情を総合的に勘案して、その一部又は全部を終了することは理論的には可能であるということでございます。
  95. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 ミサイルの、じゃ進展はどのようにして図るのかということなんですが、そこまで今日は深い議論はいたしませんけれども、目的であるそれぞれについて、まあ核問題は米朝で動いています。で、日朝の議論で、残念ながら今は止まっていますけれども、拉致問題についても扱っています。しかし、ミサイルの問題はほとんど動きがないわけですから、これらの目的に対してきちっとどういうふうにターゲットを絞って、どのように動いていくようにこれから考えていくか、それによってこの制裁をどう解除するのかという、ここが肝心なところでありまして、その辺の政府の方針がきちっと見えないと、我々もただこの延長をしていけばいいということでもありませんし、当然その辺をきちっと政府の中で議論されているんだと思いますが、具体的なロードマップというものをしっかり持ってこれからも交渉に当たっていただきたいなということを要望をさせていただきたいというふうに思います。  もう時間も限られておりますので、大臣に最後また決意をお聞かせいただければと思うんですが、その前に、先日、十五日の新潟県での拉致県民集会での横田早紀江さんのお言葉を少し紹介をさせていただきたいと思います。  早紀江さん、この会でこのようにお話をされています。大切に育てた命を紙くずのようにさらった北朝鮮政府はもっと怒ってほしい、命ある限り拉致解決に向けて頑張っていく、どうか力を貸してほしいということを早紀江さんは切々と訴えられていました。私は本当に、会場にいたんですけど、身につまされる思いで言葉がありませんでした。  御家族がこれだけ頑張って、三十年間、それ以上やられていると。本当は我々政治がもっとこれについて真剣に取り組んで、やはり一日も早い解決をしなければいけないのに、御家族が大変な御負担で高齢化をしているというこの状況を、何としても政府の、そして我々政治の力で一日も早い全面解決に向けて頑張らなければいけないという思いを私自身も新たにしたわけでありますが、麻生内閣で何としてもこの問題を動かしていっていただきたい、私はその思いでありまして、内閣の一員として、二階大臣にこの問題、そして北朝鮮に係る懸案について全力で取り組んでいきたいという御決意を最後にお聞かせいただければと思うんですが、よろしくお願いします。
  96. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 先ほども申し上げましたが、塚田委員がお地元でつぶさにこの問題を熟知しておられるわけでありますが、私も、横田早紀江さんといいますか、横田さん御夫妻に随分早い段階でお目に掛かり、直接そのお訴えを伺ったこともございますが、その後一貫して、まさに命を削るようにしてこの自分のお子さんの救出、また拉致問題全体に対しての非を打ち鳴らし、今日まで御活動されておるわけでありますが、このことに対して政府として更に今後取り組むべきことに対しての決意ということでありますが、今おっしゃるように、我が国は本当の意味での民主政治、そして国民の皆さんの声を政治に反映させていくという基本から考えれば、私どもはもっと強く北朝鮮に対する説得又は発言を続けていかなくてはならないわけであります。  しかし、問題は那辺にあるかということは、塚田議員も、またここに御出席委員各位も先刻御承知のとおりであります。この問題に対する対応、またアメリカのこの問題に対する取り組み方、あるいは我々が六者協議ということに大変な期待を掛けておるわけでありますが、その期待に果たして六者協議そのものが日本のその心情にどう対応してくれようとしておるのか、私も一議員立場からもこの問題に対してずっと考えてきておりました。しかし、今日に至るもこの解決策が、時には大変期待が持てるような報道がなされるわけでありますが、実際のところはそんなに簡単なものではない。  そんな中で、内閣の中からもいろいろ意見が出ておるように、先ほどからも御紹介がありましたが、我々はそうしたメンバーとも十分協議をして、少なくともこの麻生内閣においてはこの拉致問題に対して非常に強い関心と決意を持っておられる閣僚が多うございます。したがって、それらの皆さんともよく意見を交わしながら、あらゆるポジションを通じてこの問題の解決に一歩でも二歩でも前進させることが今私たちこの立場にある者としての極めて大きな責任だと痛感しております。  塚田議員共々、またここに御出席委員各位とともにこの問題に取り組んでいく決意を改めて申し上げておきたいと思います。
  97. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 ありがとうございました。  これで終わります。
  98. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方はいらっしゃいますか。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  99. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  この際、鈴木陽悦君から発言を求められておりますので、これを許します。鈴木陽悦君。
  100. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 私は、ただいま可決されました外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件に対し、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党、公明党及び改革クラブの各派並びに各派に属しない議員田中直紀君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件に対する附帯決議(案)   政府は、北朝鮮が二〇〇六年十月に核実験を強行したこと、同国が日本拉致問題に対して何ら誠意ある対応を見せないこと等の事情を総合的に勘案して、同国に対する厳格な措置を講じる旨決定した。本件承認案件に係る北朝鮮からの貨物輸入全面禁止及び同国から第三国へ輸出する貨物の売買に関する仲介貿易取引等の禁止措置は、かかる措置の一環として同年十月十三日に閣議決定以後実施され、本年十月十日の制裁継続の決定を含め、これまで四回にわたる制裁措置延長が行われている。   一方、この間、北朝鮮は、核、ミサイル問題について、我が国として肯定的な評価をするに値する対応を示しておらず、また、拉致問題に対しては、不誠実極まる対応を続けている。   北朝鮮による核開発は、我が国を含む北東アジア地域のみならず国際社会全体の平和と安全に対する重大な脅威である。また、北朝鮮による日本人の拉致は、我が国の主権及び我が国国民の自由と人権に対する明白かつ重大な侵害である。我が国としてはこれらの問題の全面的かつ完全な解決に向け、北朝鮮の約束の実行を促すため、可能なあらゆる方策を講じなければならない。   よって、政府は以下の事項の実現について万全を期すべきである。  一 政府は、本件承認案件に係る対北朝鮮制裁措置を実効あらしめ、かつその目的が達成されるように厳格に実施するとともに、今後における北朝鮮の行動及び北朝鮮をめぐる諸情勢の変化に応じ、必要な場合は経済制裁の強化を検討すべきである。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  101. 山根隆治

    委員長山根隆治君) ただいま鈴木陽悦君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  102. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 全会一致と認めます。よって、鈴木陽悦君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、二階経済産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。二階経済産業大臣
  103. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
  104. 山根隆治

    委員長山根隆治君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十一分散会