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参考人(
山口廣秀君) 三点御質問いただきました。
まず一点目の私
ども物価の安定よりも
金融のクライシス対応を優先させるべきではないかということとその延長線上でのお話ということだろうと
思いますが、協調利下げに追随すべきであったのではないかと、その辺についての考え方いかんということだろうと
思います。
まず、その点についてでありますが、私
ども何度も申し上げていることでありますが、
国際金融資本市場及び国際的な
金融システムにつきまして
緊張感がかなり高まっているという認識はしっかり持っているつもりであります。そういう局面で
中央銀行として最も重要な責務というのは何だろうかというふうに考えてみますと、やはり流動性供給を大胆に行って
金融市場の安定を確保することだというように思っております。そういうような認識に立って、先ほ
ども申し上げましたが、流動性供給面で積極的な対応策を私
どもなりに講じてきているというのがこれまでの推移であります。
そういう中で、例えば具体的に申し上げますと、リーマン・ブラザーズの破綻直後からは、先ほ
ども申し上げましたけれ
ども、数兆円規模の大量の資金供給を行っているということでありますし、ドルの供給オペレーションも導入しているということであります。しかも、それは主要国との協調策という形で行ってきておるわけであります。
ただ、その上で金利
政策についての考え方ということになりますと、各国が各国なりに置かれた経済環境を踏まえて判断すべきものというふうに思っておりまして、この点については事情を繰り返しませんが、私
どもとしては利下げというような判断には至らなかったというのが実情でございます。
それからもう一点、二点目ということでありますが、私が仮に副
総裁になりました場合の抱負ということであります。
冒頭の
所信のところでも申し上げました。私は今の
日本銀行の置かれた環境、特に
政策環境というのは非常に難しい立ち位置に来ているなというように思っております。それだけに副
総裁の役回りとしてどれだけのことができるか、特に私がなったからといってどれほどのことができるか、そう自信があるわけではございませんが、ただ、認識としては相当一生懸命頑張らないといかぬ局面に来ているという認識はしっかり持っておるつもりであります。
その上で、まずもってしっかりやらなければいけないこととして、
総裁を十分に補佐することと、もう
一つは私は日銀に三十年余り勤めてまいりましたのでその
経験を基に
組織力を精いっぱい発揮させること、これが重要なことだというふうに思っておりますが、もう一点付け加えますと、これは
所信のところでは申し上げませんでしたけれ
ども、私は
政策委員会での
議論ということになりますと、独立したメンバーとしてその
議論に参画するよう日銀法上も求められております。したがって、そうしたことを十分意識しながら、そこでの
議論が一層
充実したものになるよう貢献したいと思っておりますし、出てきた
政策につきましても誤りのないよう私なりに少しでも貢献していきたいと、このように思っておるところでございます。
それから、国際的な人間の育成ということについてどう思うかという御質問でございますが、これはなかなか難しいことであります。
ただ、私
どもも相当暗中模索を繰り返しながら実はそうしたインターナショナルに通じる人間の育成に努めてきたところであります。毎年私
どもは三十人から四十人新しく人を採用しておりますが、そうした者についてかなりの割合でもって留学
経験を持たせたり、あるいは海外の事務所で働かせたり、あるいは国際
機関で勤務させたりといったようなことを行ってきております。また、最近は国際
会議の頻度も非常に多くなってきておりまして、これについては上から下まで、英語がしゃべれようがしゃべれまいがと言うとちょっと言い過ぎかもしれませんが、一生懸命海外に出向き国際
会議に少しでも貢献するような努力を求めてくるというようなこともやってきておりまして、こうしたことを続けながら国際的にも通用する人材の育成に努めてまいりたいと、かように思っております。