○徳永久志君 私は、民主党・新緑風会・
国民新・
日本を代表し、ただいま議題となりました補給支援特措法改正案について、反対の
立場から討論をいたします。
今回の改正案は、いわゆるテロとの戦いが継続をしているため
期限を一年間延長するというものであります。そもそも、
政府が法の
期限を一年としたのは、当時の官房副長官答弁にあるように、この活動の継続の必要性についてより幅広い
国民の
理解と支援を得るためにも、一年後に改めて継続の可否について国会が
判断することが適当だと
考えたからであります。
民主党は、その答弁に基づき延長の是非を
判断するため、この一年間の補給活動を検証するに必要十分な情報の提供を
政府に求めてまいりましたが、
政府の対応は、非協力的、不誠実なものと言わざるを得ません。例えば、我が国が補給を
実施している外国の艦船による無線照会や立入検査の数等について、以前は公表しておりましたけれ
ども、今回は明らかにはされておりません。何を根拠に延長の是非を
判断しろというのでありましょうか。
また、
政府が六月に
実施したアフガニスタン等における現地調査についても、全会派一致による要求にもかかわらず、
審議の前提となる基礎的な情報すら提示されませんでした。一体どのような不都合があるのでしょうか。さらに、アフガニスタンにおけるISAFの活動に関連して、武力の行使に関する国際法と憲法の
解釈の違いについての答弁が混乱するなど、
政府が自らが一体感を持って対応しているとは思われず、これでは
国民に
説明責任を十分に果たすどころの話ではありません。
我が国は、海上阻止活動を
実施している外国の艦船に補給をしていますが、その活動は、本特措法では九・一一テロ関連の活動に限定されているところであります。ところが、
政府は、この
補給支援活動が結果としてインド洋の海上輸送の安全にも役立つことを殊更に強調しております。このことは、給油している外国艦船が以前に比べて小型化していることから、ソマリア沖の海賊対策を
実施している艦船に対して補給しているのではないかという新たな疑惑も呼んでいるところであります。
民主党は、我が国の生存と繁栄にとって重要な輸送路であるインド洋における海賊対策を強化することは必要なことと
考えておりますが、この
法律の
目的には海上輸送の安全は入っておらず、誤ったメッセージの下で
国民の目を海賊対策に向けさせ、改正法が成立する環境を整えようとしているのではないかと疑わざるを得ません。
また、米国を中心とする国際社会は、アフガニスタンを再びテロの温床としないため、軍事的活動を
実施しております。しかしながら、この七年間、治安
状況は一向に回復せず、むしろ悪化しています。国連の資料によれば、アフガニスタンにおける治安事件の発生件数は年々悪化しており、さらに、民間団体の統計では、多国籍軍兵士の死者数も今年は既に過去最悪の数字を記録しています。参考人としておいでいただいたペシャワールの会現地代表の中村医師は、一人の外国兵の死亡に対してアフガニスタン人の犠牲はその百倍となり、日々自爆テロ要員が拡大生産されていく状態にあると本
委員会で
発言されました。
軍事力に力点を置いた米軍等の活動ではテロとの戦いは改善されないことは、当事者であるイギリス軍の現地司令官や米国のゲーツ国防長官ですら武装勢力との対話の可能性を示唆していることからも明らかであります。本年九月以降、パキスタンのイスラマバードやインドのムンバイで大規模なテロが発生したように、むしろ周辺諸国の治安を悪化させ、テロの拡大を招いているのではないでしょうか。このまま給油を続けてもアフガニスタンの問題の根本的な解決には少しもならないことを
政府は
認識すべきであります。
最後に、一年前の法案審査の際に、
防衛省・
自衛隊の不祥事が相次ぎ、シビリアンコントロールの在り方が問題となりました。それを受け、総理官邸において
防衛省改革が検討をされ、報告書が出されたわけですが、今回も、海上
自衛隊第一術科学校における訓練中の死亡事案や
航空自衛隊第一術科学校長によるセクハラ問題などの不祥事が相次ぎ、さらに
田母神前
航空幕僚長の
政府見解を無視した懸賞
論文応募、またバランスを欠いた
自衛隊内の
教育カリキュラムなど、
文民統制が正常に機能しているのか疑わざるを得ません。
文民統制は
政治と軍事の根本原則であり、この問題は
国民主権に直結する重大な問題であります。したがって、本法案のように、国際平和協力活動に
自衛隊はどう使うかということと切り離して
考えることはできず、更なる徹底的な
審議が必要となるわけであります。
以上の観点をもちまして、本法案に反対であることを申し述べ、私の討論といたします。