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2008-11-13 第170回国会 参議院 外交防衛委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年十一月十三日(木曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員異動  十一月十二日     辞任         補欠選任         山口那津男君     山本 香苗君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         北澤 俊美君     理 事                 浅尾慶一郎君                 犬塚 直史君                 藤田 幸久君                 浅野 勝人君                 木村  仁君     委 員                 喜納 昌吉君                 佐藤 公治君                 徳永 久志君                 白  眞勲君                 牧山ひろえ君                 柳田  稔君                 岸  信夫君                 小池 正勝君                 佐藤 正久君                 橋本 聖子君                 山本 一太君                 浜田 昌良君                 山本 香苗君                 井上 哲士君                 山内 徳信君    国務大臣        内閣総理大臣   麻生 太郎君        外務大臣     中曽根弘文君        防衛大臣     浜田 靖一君        国務大臣        (内閣官房長官) 河村 建夫君    内閣官房長官        内閣官房長官  鴻池 祥肇君    副大臣        外務大臣    橋本 聖子君        防衛大臣    北村 誠吾君    大臣政務官        外務大臣政務官  柴山 昌彦君        防衛大臣政務官  岸  信夫君    事務局側        常任委員会専門        員        堀田 光明君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       野田  仁君        内閣犯罪被害        者等施策推進室        長        殿川 一郎君        外務大臣官房審        議官       石川 和秀君        外務省総合外交        政策局長     別所 浩郎君        外務省北米局長  西宮 伸一君        外務省国際法局        長        鶴岡 公二君        防衛大臣官房長  中江 公人君        防衛省運用企画        局長       徳地 秀士君        防衛省人事教育        局長       渡部  厚君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の  実施に関する特別措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○外交防衛等に関する調査  (文民統制在り方に関する件)     ─────────────
  2. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) ただいまから外交防衛委員会開会をいたします。  委員異動について御報告をいたします。  昨日、山口那津男君が委員を辞任され、その補欠として山本香苗君が選任されました。     ─────────────
  3. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案の審査及び外交防衛等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官野田仁君外八名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案及び外交防衛等に関する調査のうち、文民統制在り方に関する件を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 藤田幸久

    藤田幸久君 民主党藤田幸久でございます。  今日は、麻生総理アメリカに御出発の日に御出席をいただきましてありがとうございます。  早速ですが、オバマ氏が大統領候補として、そして当選をされましたが、ダブルスコアのような大変な勝利を収めました。このオバマさんがこれだけの勝利を得たという理由ですね、どんな理由であったのか、それから、こういう新しい方が初の黒人大統領として当選をされたということに対して、麻生総理、どういうふうに感じておられるか、まずそこからお話しいただきたいと思います。
  7. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) オバマが勝った理由
  8. 藤田幸久

    藤田幸久君 はい。
  9. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 人様の国の選挙の事情まで、いかがな軽々しい発言をして、こういう理由じゃないかと言うとまた問題もあるんじゃないかと思いながら。  どうですかね、何が一番大きな理由か。それはいろんな理由があったんだと思いますけれども、やっぱり、僅差だったものが急になってきたのは、やっぱり今回の金融危機関連というのは大きかったんじゃないでしょうかね。やっぱり、これは共和党のこれまでのやってきた政策ではないということで、多分、いわゆる中間所得者層以下のところ、そこら辺りがこの金融危機によって、住宅ローンというのしか表に出てきていませんけど、それ以外の、ゼネラル・モーターズなんかのあれを見ましても、経済が急激に悪くなってきているというのがかなりの追い風になったかなという感じはしますけど。  ちょっとこればっかりずっとウオッチというか、それ見ていたわけじゃありませんし、新聞の話というのは、現場見たことのない話というのは僕は信用したことがありませんので、悪いけど、そんなに新聞情報どおりになったという、前回もケリーが勝つと書いていたけれども、開けてみたらブッシュが圧勝しましたから、そういった意味じゃ、私余り新聞を正確にフォローしたわけではありませんので何とも言えませんけれども、僕は今回の経済金融危機というのは大きな影響を与えたかなという感じはします。
  10. 藤田幸久

    藤田幸久君 報道によりますと、ブッシュ大統領に面会を申し込まれたが、何か成立しないので、今回、今日から出発されますけれども、会えないということですが、向こうからまるで断りあっさりされたのか、まあすぐ辞める方でもあるので、余りそんなに無理をせずにこういうことになったのか、その辺のいきさつはいかがでしょうか。
  11. 麻生太郎

  12. 藤田幸久

    藤田幸久君 いや、ブッシュ大統領と今回会いませんよね。何かアポが成立しなかったという。
  13. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) ブッシュ大統領は多分、二十か国ということになりましたので、どの首脳とも個別には会わないということになっていると記憶します。
  14. 藤田幸久

    藤田幸久君 報道によると個別に何か国かと会うようですが、まあそれはおきまして、今回僅差だったものが大きく開いたというお話ありましたが、それは別にしまして、全体の流れとしてオバマさんが勝たれた一つ最大功労者ブッシュ大統領だという説がかなりございます。やっぱりその八年間のブッシュ政策に対する反発がアメリカ国民の中でいろいろ起きたという見方があると思うんですけれども。  それで、ちょっと資料にお配りしておりますけれども、この八年間の、アメリカがいろいろな戦争行為をイニシエートしたわけですが、さかのぼって冷戦終結後からアメリカ派兵をしたという例を資料としてお出しをしてございます。パネル以外に──配付資料事務方から回ってないんですかね。
  15. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 配ってありますから大丈夫です。
  16. 藤田幸久

    藤田幸久君 簡単に言いますと、湾岸戦争がございまして、それからアメリカソマリア派遣。それから、イラク空爆、これは三回ございます、平成五年に二回と平成八年。それから、ボスニア・ヘルツェゴビナの空爆、それからスーダンやアフガニスタンへの空爆、コソボの空爆。それから、最近もリベリアに派遣、それからソマリア空爆。その中に交じってアフガニスタン戦争とそれからイラク戦争というのがございます。  私、調べて分かったんですけれども、結局アメリカ派兵をしていたのは、ほとんどがいわゆる空爆とか、ヒットしてまた帰ってくるという。それから、行った国で地上軍派遣して全面的に展開をするというのはほとんどなくて、二つの例外が実はアフガニスタン戦争とこのイラク戦争だということがこれで明らかでございます。したがいまして、やはりアメリカ冷戦後かなり出撃をしているわけですが、このアフガニスタンイラクというものは極めて特異性があるということでございます。  その二つアフガニスタンイラクというものがどういう特異性があるかというのを見てみますと、まず一つは、大規模な地上軍によって相手国全土に展開しています、イラク全体、アフガニスタン全体。それから占領政策をやっています。それから、イラクアフガニスタン感じますのは、だれが相手なのか、だれに対する戦いかというのが不明確であります。それから三つ目は、相手が不明確だということもありまして、大量の民間人被害が出ております。例えばイラクだけでも、いろんなカウントがありますけれども、WHOですと十五万人とか、それからランセットという機関ですと六十五万人とか、それからアフガニスタンにおきましても、数年前は自爆テロが二十二人とか言っておりましたのが最近は数千人とかですね。それから、もう一つ違いがあるのは、このアフガニスタンイラクのこの戦争のみ自衛隊参加をしています。  私は、先ほどブッシュ大統領オバマ氏が勝った最大功労者だという説がかなりあるという中には、やはりこのアフガニスタン戦争それからイラク戦争というものが大きな影響をもたらしているのではないかと思っておりますけれども、このブッシュ大統領主導によるこの戦争功罪についてどう御認識か、総理にお伺いをしたいと思います。
  17. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 功罪。そうですね、イラクアフガニスタンというものを含みます中東地域というものの安定というものは、これは日本にとりましては極めて大きな意味がありますし、国際社会にはもちろん大きな意味があるんだと思いますが。  イラクにおけますのは、相手がというのはこれはフセイン政権だったと記憶をします。安全保障上の諸問題があったということが一つ。それから、アフガニスタンにおきましては、これはアルカイーダというテロの問題なんであって、こういったときに苦渋の決断というのを多分されたんだと思いますが、多くの犠牲を払って対応を行ってこられたんだと思っております。  その間、日本としては、これは当然のこととして連携を取りながら、これは主体的な立場から日本としても国際社会の中での責任を果たしていかねばならぬということからこういった決断をしたんだと思っております。  そういった意味では、この中にあっていろいろな、ずうっと一連の今資料説明がございましたけれども、イラクアフガニスタンにつきましては、今申し上げたような所期目的というのがこのテロとの戦い等々に参加していくという背景という具合に理解をしております。
  18. 藤田幸久

    藤田幸久君 フセイン打倒だということですが、大量破壊兵器がなかったというのは、これは国際的にも認知をされた事実になったと思います。  それから、テロとの戦いということでございますけれども、じゃ、そのテロリストの掃討をやっていたのかというと、むしろそれ以外の形でのいろいろな戦闘行為が起きて、したがって、先週もこの委員会中村哲医師ペシャワール会の代表がいらっしゃっておりましたけれども、一人外国人兵士が亡くなると、それに伴って百人の現地人の命が奪われていくと、そして、一人過って市民が亡くなると、その兄弟が一種の自爆テロの潜在的な要員に変わってしまうと、それが実態だという話でございまして、テロとの戦いというものが、結局だれのだれに対する戦いというのが不明なまま余りにも多くの民間人犠牲になっているということに対するやはり内外の世論が相当高まったんではないかというふうに思います。  そんな中で、私も調べてみましたら、この八年間あるいは七年間、イラク戦争それからアフガニスタン戦争における在日米軍基地役割、この委員会でも実は報告をさせていただきましたけれども、随分ございます。例えば、佐世保基地からの強襲揚陸艦エセックス、それから横須賀基地からの空母キティーホーク、それからイージス巡洋艦三沢基地からのF16戦闘機、沖縄からの陸軍のグリーンベレー、それから海軍のシールズ、海兵隊の第三一MEUなどの特殊部隊参加していると。それから、今話題になっておりますクラスター爆弾投下在日米軍より出撃をした爆撃機等によって投下をされていると。  したがって、少なくともその出撃数字等も前、委員会で挙げたことがございますけれども、在日米軍基地なくしてアフガニスタン戦争イラク戦争というものは戦えなかったという実態がございます。そういう実態があるということについて、総理はどういうふうに認識されておられますか。
  19. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) まず、在日米軍なくしてイラク戦争アフガニスタン戦争は成り立たないみたいなお話、という現実があるという指摘には賛成いたしかねます。日本に駐留する米軍というものに関しましては、これは日米安保条約の第六条、よく御存じの法律というか条約によりまして、あくまでも日本と、及び極東の平和と安全という維持の目的のために日本に駐留しているということが大前提になっておりますので、今のような御指摘は当たらないのではないかと思っております。  今、役割を果たしているという現実考えた場合に、在日米軍が構成する部隊とか、また艦船とか、その目的達成のための役割というのが一番なんであって、それ以外の任務に有して移動するとかなんとかいうことになるんでしょうけれども、それは直接安保条約の、いわゆる条約上に問題があるわけでもないというようにも理解しております。
  20. 藤田幸久

    藤田幸久君 つまり、日本を守るということと極東というその所期目的以外に、これだけ、実態としてですよ、日米安保条約目的とは別に実態として、米軍日本から出撃をした後、実際にアフガニスタンイラクにこういった形で参加をして、それがなければ成り立たないというその部分の、日米安保条約目的とは別に、実態として在日米軍基地が結果的にそういう役割を果たしているというその事実についてはいかに認識されますか。
  21. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 今も申し上げましたように、在日米軍というものを構成しております部隊とか艦船が、あの目的達成、いわゆる目的達成というのは極東地域の安全とか日本の平和とかいうものの目的達成のほかに、いろんな意味で、以外の任務を有して移動するとか、ほかのところに行くということに関して、これがなければ成り立たないのかと言われると、それはなくても別の方法で成り立つような気もしますので、これがなければ成り立たないというのは、そういう感じではありません。
  22. 藤田幸久

    藤田幸久君 そうすると、アメリカからいろいろ負担を求められておりますけれども、それに対して、在日米軍基地日米安保条約目的からすればこうだけれども、実態として、アメリカ大統領なり政策決定者に対して、実態としてこれだけ結果的に役に立っておるんじゃないですかと。もちろん、一〇〇%それがなければアフガニスタン戦争イラク戦争が戦えないかというと別ですけれども、これだけ実態的に役に立っているでしょうということはおっしゃられるんじゃないですか。まるでそのことについてはおっしゃられませんか、黙っておられますか。
  23. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 在日米軍基地がそこにあって、それによって極東日本の安全というものが保たれているというのが第一、最大目的でありまして、その部隊が移動した先のことについてまで、これは日本があったから移動できたとか言われるんだったら、これはほかの基地からも移動できたということになろうと存じますが。
  24. 藤田幸久

    藤田幸久君 苦しい答弁ですが、結果的にそれだけ役に立っているということだろうと思います。  それで、もう一つ、細かいことですが重要なことで申し上げますが、日本政府が、このテロとの戦い、つまりウオー・オン・テラーという、ブッシュさんが七年前の九月十一日に使い始めた言葉日本語訳を、テロとの戦い戦いという字を、いわゆる闘争の闘という字ですね、戦争の戦、いくさの戦という字じゃなくて、というふうに変えていますね。これ、マスコミもいわゆる戦いという字を使って、ほかの国も大体そういう言葉を使っているのに、日本政府だけがこのいわゆる闘争の闘というふうに違った言い方をしているんですが、これは何か、私は非常に何か意図があって、意訳ではないかと。やはりウオー・オン・テラー、ウオーですからね、いわゆる戦という字に変えるべきじゃないかと思いますが、官房長官、いかがでしょうか。
  25. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 今御指摘の点でございますが、テロとのたたかいという言葉は、最近では、例えばG8の首脳会合の宣言ではファイト・アゲインスト・テロリズムという訳になっておりまして、これの仮訳として使われておるわけであります。ウオー・オン・テラーについての定訳はありません。ありませんが、普通、テロとのたたかいと言う場合、外務省等公文書等ではたたかいは闘争の闘を使用してきておるところでございます。  そこで、その戦争の、いわゆる戦の方の戦いの方でありますが、この言葉は武力を伴った実力行使意味合いが強い、それから、いわゆる闘争の闘の闘いの方は、日本を始めとする国際社会が取り組んでおりますテロ対策に対する法制度の整備とか国際協力関係推進、あるいはテロを生む背景に存在する諸問題の解決、これを図るためのいわゆる人道復興支援等々あるいは貧困対策等々、こういう幅広い取組意味合いが持たれていると、こういうふうに考えます。  政府としても、テロとの闘いのこの闘い闘争の闘という方は我が国が今実施しておりますテロに対する取組をより適切に表現している、このように考えておるところでございます。
  26. 藤田幸久

    藤田幸久君 つまり、そこですり替えがあると思うんですが、あくまでも不朽自由作戦とは戦いなんですね。我々民主党が主張しているように、テロ根絶というものはそういう総合的な対応が必要だと言っているわけですが、実態とすれば不朽自由作戦支援活動の中で日本政府参加をしてきているわけですから、それをやっぱりごまかさないで、そういうものに日本自衛隊等参加をしてきたということはやはりはっきり区分けをして、これから対応していただきたいと思います。  そこで、今回の、非常な今日のテーマになっております文民統制問題について、時間がありませんので移っていきたいと思います。  総理以外はおとついの田母神参考人出席をしたこの委員会にいらっしゃいましたんで、あえて総理のために、また北澤委員長のお許しをいただいて申し上げたいと思いますが、その田母神参考人出席をした委員会の冒頭で、北澤委員長は以下のように述べられました。昭和の時代に、文民統制が機能しなかった結果、三百数十万人の尊い命が失われ、また、国家存亡ふちに立たされたことは、忘れてはならない過去の過ちであります。国家存亡ふちに立った最初の一歩は、政府の方針に従わない軍人の出現と、その軍人統制できなかった政府・議会の弱体化でありました。こうした歴史を振り返りつつ、現在の成熟した民主主義社会の下において、国民の負託を受けた国会が、その使命を自覚し、もって後世の歴史の検証に堪え得る質疑をお願いする次第でありますと。  したがって、今回のこの文民統制問題というのは、立法府と行政府の問題であり、その国の安全保障をだれが決め、そして国民の意思をどう反映をするかと、そういう重要な問題であるという認識の下でこの文民統制問題というものが扱われているということを改めて総理に申し上げ、質問をさせていただきたいと思います。  実は、田母神航空幕僚長ですが、いろんな発言を最近もしておられます。そういった発言について、総理はどうお考えになりますでしょうか。  例えば、おとつい、委員会の後ですけれども、田母神さんは、村山談話言論統制道具であると、村山談話言論統制道具であるというような言い方されておられますけど、総理、どうお考えになりますか、こういうコメントに対して。
  27. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは度々、村山談話が出された後も出ていると思いますが、いわゆる現役幕僚長という立場にありながらの発言としては極めて不適切ということになるんだと思います。辞められた後の話ですと、これは個人私人でありますから、それはなかなか、発言としては、言論の自由の統制だとかいろんな話になって、また話が飛躍しますんでうかつなことは言えぬと思いますが、少なくとも、現役航空幕僚長としてということが一番問題なんだと、私はそのように理解をいたしております。
  28. 藤田幸久

    藤田幸久君 実は、この田母神さんという方は今までもいろんなところでいろんな実は論文書いてきているんですね。  それで、ちょっとパネルを出していただきたいと思いますけれども、(資料提示)この航空自衛隊方々現役、OBの方々を対象にした、これは会員制ですけれども、「鵬友」という機関誌があります。それで、平成十六年の七月に既にこんなことを言っていらっしゃるわけですね。「我が国専守防衛を旨とする国防の態勢を維持しているが、防御のみを考えていては効果的な防御態勢は出来ないのではないか。攻撃考えないといつも攻撃する側に一歩遅れてしまうのだ。準備が後手になる。自衛隊の中にも相手国への攻撃について徹底的に考え人たちが必要であると思う。」と。つまりこれ、専守防衛を逸脱したことを既に四年前ですか、言っているわけですね。  それから、その同じ号ですけれども、「部内の雑誌への投稿に止まることなく外に打って出ることが大事である。正論、諸君、ボイス、ジスイズ読売などに論文を投稿してみることだ。」、「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」、「統幕学校では十六年度に教官も学生も一人一論文を目標に頑張ってもらおうと計画しているところである。」と。  それから、その同じ年の三月号ですけれども、アグレッシブな広報を自衛隊の中に造ることも一案であると思う。「隊員に対しては部外で個人や団体が実施する親日的な活動には経費も含めて個人的に支援するという意識を持たせるべきであろうと思う。例えばここ数年新しい歴史教科書話題になっているが、今後このような本などが出た場合、これをみんなで買いまくるぐらいの意識があっても良いのではないか。」、つまり、四年前からこういうことをおっしゃっているわけですね。  そうすると、まず最初部分ですが、これ専守防衛を逸脱した発言を、しかも統合幕僚学校長として既におっしゃっていたということになりますが、こういうことをおっしゃっていたということについて、浜田大臣、だれも気が付かなかったんでしょうか。
  29. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 田母神航空幕僚長論文私人としての見解を述べたものだと承知しており、そこに記述されている個々の内容の一つ一つ防衛省としてコメントすることは差し控えたいと思っております。  御指摘の「鵬友」は、航空幕僚自衛隊幹部学校幹部会という私的サークルが発行している刊行物でありまして、私的サークルについては、本来防衛省としてこれを管理又は統括するものではなく、当省においては私的サークルの刊行物の内容を検査するための部署を特に定めているわけではございません。仮に、私的サークルの刊行物の中に自衛隊員として適切ではない意見の表明等が見られた場合には必要な措置を講ずることとしております。  防衛省としては、平成二十年十月三十一日に公表された田母神航空幕僚長論文の存在を認識して以降、当省において同氏のそれまでの部外への意見発表等の状況を確認する過程において、「鵬友平成十六年七月号に掲載された同氏の論文があったことを認識したところでございます。
  30. 藤田幸久

    藤田幸久君 大臣平成四年の五月に参議院の内閣委員会で、当時の教育訓練局長がこういうふうに言っているんです。  実は当時、このやはり「鵬友」とか陸海空の幹部学校における雑誌についての質疑が行われました。その中で教育訓練局長はこう言っているんです。論文の中に、現在の防衛の基本的な政策、すなわち専守防衛、シビリアンコントロール、非核三原則、日米安保体制、そういった基本的防衛政策を逸脱するようなものがもし中に入っていれば、それは自衛官としてふさわしくない行為であると考えております、その点は私も責任を持ちまして、それはそういう雑誌を見ておりますと言って、論文のチェックをしている旨答弁しているんです。  ということは、これは平成四年ですから、その平成十六年のこの「鵬友」等が幾つか出ているわけですから、この段階でつまり防衛省としては教育訓練局長がチェックをしていなきゃいけなかったと。それをチェックしていなかったということじゃないですか。
  31. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 先生の御指摘を今いただいたことに関連しましては、我々の方でそういった形で答弁をさせていただいているにもかかわらず、その点が我々のところに報告がなかったということは、我々のところにそういう報告がなかったということについては、確かに今チェックができていなかった、この間の浅尾委員の答弁の中でも私申し上げたように、その点に関してはチェックされていなかったということだと思います。
  32. 藤田幸久

    藤田幸久君 そうしますと、次のこのパネルを見ていただきたいと思いますが、田母神航空幕僚長の各役職への任命権者、論文発表時の届出先、そして懲戒権者というものがありますけれども、田母神さんは、まず既に、第六航空団司令、つまり小松基地の司令だったときに、既に中部航空方面隊司令官にこの論文を出すというような場合には報告をしていなければいけない。この段階で論文を出していたかどうか分かりませんが、少なくとも統合幕僚学校長になって、今私が引用した平成十六年の段階では石川統合幕僚会議議長に報告をしていなければいけない。そして、この段階で教育訓練局長論文をチェックしていなければいけない。そのチェックが今報告がなかったということですね。  それから、この間の委員会でも問題になりましたが、要するに、今大臣がおっしゃった「鵬友」の十九年、去年の五月号でこういう論文が出たということがあるわけですけれども、それが政府の方針と違っているということはお認めになったと。  ということは、平成十六年の段階でまずチェックをしていなかったということが一つ。それの報告がなかったというのが二つ。そういったことがあったにもかかわらず、去年の三月にこの田母神さんを航空幕僚長に任命をしてしまったというのが三つ。そして四つ目が、五月に論文を書いた後もそれを見過ごしてしまったというのが四つ。四つのミスが続いているということはお認めになりますか。
  33. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 任命当初のときには、これは今、人事の方でその辺のところの、経歴等々を含め精査をして任命をしたものと思っておりますが、最後の、今回の論文に関しましては我々の方には報告がなかったわけでありますので、その意味では、これはミスというよりも、最初の方のこの「鵬友」に関してのチェック体制というのは確かに不備だったかもしれませんけれども、任命、そしてこの今回の論文に関しては、我々とすると、報告のなかったその一番最後の部分にはミスがあったとは思いませんで、極めてその点では遺憾には思いますけれども、先ほど申し上げたように、事前のチェック体制の不備の部分と、そしてまた報告がなかったというところは切り分けてよろしいとは思っております。
  34. 藤田幸久

    藤田幸久君 ミスとかいう話じゃなくて、特に最初私が引用しました専守防衛を逸脱するということは、これは明らかに政府の方針に反することですね。すると、これをチェックしてこれが分かっていたならば、この段階で今回と同じような処分に該当したんじゃないですか。専守防衛を逸脱することを平成十六年七月に言っているわけですよ、しかも学校長として。
  35. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 防衛省としては、平成二十年十月三十一日に公表された田母神航空幕僚長論文の存在を認識して以降、当省において同氏のそれまでの部外への発表等の状況を確認する過程において、今回のその「鵬友」について論文があったところを認識したところでございますので、そういう意味では、その際に事前に「鵬友」、十月三十一日の時点で我々が確認したということで、先ほども委員から御指摘のあったように、最初部分というのは、学校長時代の件に関して知り得たのは我々の方がチェックができてなかったということは、我々のそういう意味ではミスだと思っております。
  36. 藤田幸久

    藤田幸久君 十月三十一日の段階で目に留まったのは去年五月の論文だけであって、四年前のこの専守防衛を逸脱した論文というのは見過ごしたということですか。
  37. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) そうです。チェックができてなかったということは見過ごしたということだと思います。
  38. 藤田幸久

    藤田幸久君 これは私、連休明けのたしか十一月四日にもう国会図書館から取り寄せています。この「鵬友」というのは、御覧になったらすぐ明らかですけれども、例えばこの見出し、小見出しですね。例えば、「えこひいき大作戦とお邪魔虫大作戦」、「厳正な秩序と組織の能率は反比例する」とか、それから「身内の恥は隠すもの」。とにかく見出し見ただけで、これおかしいと。これ、統合幕僚学校長です。これ、そんなに詳しく見なくたって、しかも数年間のもの、これたくさんあるわけですね。何か意図的にこれは見逃したと、たまたま出たのが、その去年の五月の論文だけ出てきたのでチェックをした。こんなものすぐ、私ですらぱっと、あれと思いましたよ。専守防衛を逸脱するなんてことが出ているわけですからね。そうすると、十月三十一日の段階でこんなもの全部チェックしなかったということは、これは大変な怠慢じゃないんですか、どうなんですか。
  39. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) そういうものが発覚をしましたので、我々とすれば、今回、航空幕僚長を解任したということであります。
  40. 藤田幸久

    藤田幸久君 その解任の理由のときには、平成十六年のこの論文の、つまり専守防衛を逸脱したということは項目に、この一週間ぐらいこの委員会でもやっていますけれども、入っておりませんよね。ということは、今回の、つまり懲戒免職にせずに定年退職にさせてしまったというのも、要するに十月三十一日に発覚したにもかかわらずこういったことをしっかり精査していないのでああいう甘い対応になってしまったというふうに言えるんじゃないんですか。
  41. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 今御指摘のありました田母神航空幕僚長を航空幕僚付としたのが十月三十日以降ということでございまして、三十一日でありますけれども、我々は、今のお話も含めて、安易な選択をしたのではないかという御指摘がありましたが、しかし、我々とすれば、今回の処置につきましては、三十日以降、航空幕僚副長が直接本人に対していろいろな形で確認をし、そしてまたその中で一貫して退職する意思がなくて、また、懲戒処分を行うということであれば、審理を辞退する意思もなく、どのような規律違反に該当するのかについて徹底的に議論するとの意向をされました。退職の期限というものがあるわけでございまして、それが大幅に延長した場合でも来年の一月二十一日までの手続が終わる見通しが立っておりません。総合的に判断して我々は定年退職としたところであります。  基本的に、隊員に規律違反が生じた場合には、懲戒手続によって事実関係を十分に把握した上で、適正な懲戒処分により厳正な対処について責任を持って判断しているところでありますけれども、今般の田母神航空幕僚長の件については、本人から迅速な手続に協力が得られませんで、退職の期限まで懲戒手続を完了することが困難であるという我々は判断をしたところであります。
  42. 藤田幸久

    藤田幸久君 私の質問に答えていませんよね。つまり、いわゆる専守防衛を逸脱した行為については何もおとがめがないということですよね、チェックもしてなければ。ということは、専守防衛を逸脱するということを防衛大臣は認めるということですか。
  43. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 我々は今回、我々が把握した十月三十一日付けに、あの今回の論文、懸賞について、その「鵬友」の件は後から出てきたことでございまして、とにかく今回の論文の内容は極めて不適切であり、また航空幕僚長としての地位にありながらそういう論文を発表したということに対してこれは重要な判断をしたわけでありますんで、そこで航空幕僚長を解任したということの方、この解任という重さが我々とすれば重要なことだと思っておりましたので、その論文に関して即その場で判断をしたということであります。
  44. 藤田幸久

    藤田幸久君 ということは、統合幕僚学校長専守防衛を逸脱するような発言をするということは規約違反でなくて、そして後になって分かってもそれが処分の対象にならなかった。したがって、防衛大臣とすれば専守防衛を逸脱するということを結果的に認めてしまったということですか。
  45. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 防衛大臣に申し上げます。  先ほど来、統幕の学校長が専守防衛に違反する論文を書いていることについての質疑でありますんで、それに直截に答弁してください。
  46. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 常識的に考えて、専守防衛は我々政府としてこれを今までずっと掲げてやってきたわけでありますので、それに対して、その専守防衛に対しての不適切な発言を今回したと、今委員の御指摘でありますが、それは極めて問題なことだと思っております。
  47. 藤田幸久

    藤田幸久君 では、問題だと今やっと、知っていたのか知らなかったのか、公式的には今やっと分かったとおっしゃっていますけれども、今分かった段階でどういう対応をしますか。
  48. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 我々とすれば、今回退職の処分をしたわけでありますので、今この時点で新たに処分ということは考えられません。
  49. 藤田幸久

    藤田幸久君 それでは、やり得というか、辞めちゃえば何でも、後のことが結局消すことができないということになってしまいますが。  ちょっと今また戻りますけれども、先日来、時間がないからという話がございましたが、私の方で防衛省に確認をしましたら、このいわゆる懲戒手続の問題ですけれども、いわゆる審理の進行権というんですね、どういうスピードでやるか、どの段階でその審理を結審をするかというのは懲戒権者に権限があるということです。  したがって、懲戒権者というのは、これに出ていますけれども、今回の場合には防衛大臣、つまり浜田大臣が懲戒権者としてどの程度時間を掛けていつの段階でそれを決めるかということは、浜田さん、あなたが決められたわけですよ。しかも、平均で五十四日ですから、今までの経歴でいいますとね、そうすると一月末までに五十四日掛けたって十分審理ができるわけですから、浜田大臣がその意思があれば十分懲戒手続取れたはずなのになぜ取らなかったんですか。十分できたんじゃないですか。懲戒権者は浜田大臣じゃないですか。
  50. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 具体的な懲戒処分の手続を申し上げれば、懲戒権者が部下、隊員に命じて規律違反の事実関係についての調査を行うことになりますが、その際、規律違反の疑いのある隊員のほか、参考人等の供述を聴取し、また証拠を集めることになりますが、規律違反の事実の有無を証明するためには、必要に応じ規律違反の疑いのある隊員等による供述を繰り返し聴取することもありますし、最終的に供述調書、答申書、必要な証拠を添えて調査報告書を作成し、懲戒権者に報告することになります。  懲戒権者は調査報告書をもって規律違反の事実の有無を検討し、その事実があると認めたときには、規律違反の疑いのある隊員に対し被疑事実を記載した書類を送達することになります。この場合、規律違反の事実が明白で争う余地がなく、かつ規律違反の疑いのある隊員が審理を辞退した場合等を除いて審理を行わなければなりません。審理の手続としては、懲戒権者の、隊員のうちから弁護人を指名し、また懲戒補佐官に命じて規律違反の疑いのある隊員及び証人の尋問その他の証拠調べを行うことになります。さらに、審理終了前には懲戒補佐官を列席させた上で被審理者又は弁護人の供述を聴取し、また審理を終了したときは、審理に関与した懲戒補佐官等の意見を聴いて懲戒処分を行うべきか否かの決定をし、懲戒処分を行うと決定したときには、行為の程度、行為の内容、動機、状況、改悛の程度、部内外に及ぼす影響等を総合的に判断して種別及び程度を決定することになります。  田母神航空幕僚長が所属していた航空自衛隊について言えば、過去五年間、平成十五年から平成十九年度に懲戒処分を受けた隊員は、六百五人の懲戒手続の平均日数は、先ほど先生がおっしゃった五十四日であります。これらについてすべて、規律違反の疑いのある隊員の協力を得られたものでありまして、審理が行われた実績はございません。またこの中には、交通違反など規律違反の事実が争う余地がなく、懲戒手続に日数を要しない事案も含まれております。  他方、過去に審理が行われた例で、懲戒手続に要した期間について長短はありますけれども、過去十年間、平成十年から十九年度に審理を行った六件の懲戒手続の平均日数は六か月でございます。そのうち規律違反の疑いのある隊員から十分な協力が得られず懲戒権者が進める懲戒手続の進行に支障を来した事案については、長期間を要する場合があります。例えば、平成十七年七月六日に懲戒処分とした陸上自衛隊暴行事案は約十一か月、平成十年六月二十四日に免職処分とした航空自衛隊無断欠勤事案は約十か月もあります。  いずれにせよ、隊員に規律違反の疑いが生じた場合には、先ほど申し上げた懲戒手続により事実関係を十分に把握した上で、適正な懲戒処分により厳正な対処について責任を持って判断しておるところでありますけれども、今般の田母神航空幕僚長の件については、本人から迅速な処分の手続に協力が得られず、退職の期限までに懲戒手続を完了することが困難であると判断をして早期退職を求めたところであります。
  51. 藤田幸久

    藤田幸久君 要するに、懲戒する意思がなかったと、懲戒権者が。したがって、いろんな言い訳をしていると。この懲戒の進行というのは職権主義ですから、したがって、その職権主義であるところの大臣自身がそういったことを放棄をしたということじゃないですか。これでは要するに、さかのぼって、先ほどの専守防衛の問題も含めて、結局今まであったことについては追認をしてしまうということになりますから、そうすると、こういう雑誌を読んだ人たちは、要するにこのままでいいんだなということになってしまうということじゃないですか。ちょっと待ってください、もう時間をあなたは随分使い過ぎているんで。  それで、これは結局、この統合幕僚学校長が自分のいろんな主義主張をこれでどんどん書いておるわけですね。そして、それに基づいてどんどんどんどん投稿しろと言っているわけですね。おとつい田母神氏は、もし自分が声を掛けたならば千人ぐらいの人間が賛同したはずだと言っているわけですね。つまり、それだけ自分が、これだけ自分の主張をこの機関誌で言ってみんなが自分の考え方に同意をしていると。だから、自分が声を掛ければ千人ぐらいの人が賛成してくれるんだと。つまり、田母神氏は自分の職権を使いながら、自衛隊の広報誌を使いながら、若いあるいは中堅の幹部に対して彼の思想というものを押し付けて、洗脳して染めてしまったということが分かっているわけじゃないですか。  したがいまして、今回のことについてもいろんな、自衛隊防衛大学校の校長先生方がみんな批判をしております。例えば、西原前防衛大学学長ですけれども、思想、信条の自由を発表することとそれを考えることは違うんだと。つまり、思想、信条の自由ということは個人としてはいいにしても、それを発表する場合には、当然、自衛隊の幹部は政府の方針に従った形でそれを発表するというのが当然のことであると言っているわけですけれども。  ということは、こういう「鵬友」等々でこの田母神さんが言ってきたということは、自分の主張をこういう機関誌を通して言い続けて、そしてこれをどんどんこんなことはやるべきだと、それから新しい歴史研究のグループについてはどんどん金を払っても応援をしろと言っているわけでしょう。こんなことが分かったのにほっておいたのならば、シビリアンコントロールというのは機能しないじゃないですか。それを懲戒もしない、任命権者であり懲戒権者である大臣がそれをしなかったということは、こういう内容のことを全部認めてしまうということじゃないですか。
  52. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 基本的に、田母神航空幕僚長のコメントに関しては私は何も申し上げたいとは思いませんが、客観的に見て大変うぬぼれの強い方でございまして、そういったところもあり、そしてまた我々とすれば、今回把握した時点で、以前からそういうことがあったということを把握していなかったのは事実でありますが、今回解任ということの重さ、そして退職というものの重さを考えれば、私とすれば、我々の思う一番早く、こういう方が長くいるというのは問題であるという怒りを持って退職を求めたところでありますし、早期退職というのは、これからまたあのまま、制服を着たままに御自分の意見を展開されるのは大変不適切と思ったから解任をしたわけでございます。
  53. 藤田幸久

    藤田幸久君 しかしながら、結果的にああいう形だったので退職金六千万もらうことになっているわけですよね。  それで、あの段階で懲戒免職にしておれば、退職金の額というのはかなり減ったんじゃないですか。懲戒免職にしておれば、定年退職になった場合と考えれば、退職金というのはずっと減ったんじゃないですか。
  54. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 当然、これは先ほど申し上げた手続の問題があり、一月の二十一日が来れば当然これは退職金が支払われる。そして、今おっしゃったように懲戒処分にもいろいろあるわけでありまして、懲戒処分の場合には減ると思います。そして、懲戒免職であればこれは当然ゼロということでありますが、しかしながら、今回の場合には、その審理手続がこれは長くなれば当然その一月二十一日が来るわけでありますので、それが、もしもすぐ御自分でお辞めになるということであればまたそれも額も変わってくると思いますし、そういったところを考えれば、私はその意味でお辞めになることを、辞職しろということは言わせていただいたわけでありますが、それに応じていただけなかったということであります。
  55. 藤田幸久

    藤田幸久君 つまり、何かこの前から防衛大臣は、お辞めになっていただいたとか、何か非常に田母神さんに対してお公家様がなだめるように、それで何かはれものに触るような形で言っていると。それから、懲戒免職の手続も、要するに権限者は大臣ですから、その進行もこの職権主義によって実際に進めることができて、そしてそういう形での新たな対応をすることができたんだろうと思うんですね。  それで、私は、今回一番の被害者は自衛官の方々であり、そして二十四万人の本当にまじめに国を守ろうと思っている方々田母神さんに染められちゃっているわけですよ。これだけ機関誌を読まされて、そして論文にも応募をして、そして田母神さんが言っていることは、ただ一般的に自分の意見を言いなさいというんじゃなくて、例えば「ジスイズ読売」と「諸君」と「ボイス」と、こういうのに投稿しなさいと。  それからもう一つ、これ、また「鵬友」で見付けたんですけれども、要するに、えこひいき大作戦とそれからお邪魔虫作戦という論文がここにございます。それで、自衛隊を好きな人と嫌いな人を区分けするようなことも言っているわけですね。例えば、「この国を愛し国民の発展を願う善良な人も、とても善良であるとは思えない人も同じ扱いをしようとする。自衛隊を応援してくれる人と反自衛隊活動をする人さえ同じく扱おうとする。」と。自衛隊は反自衛隊派の批判を恐れ彼らを丁重に扱い、親自衛隊派の人たちに我慢を強いているのだ。あるいは親自衛隊派の人たち自衛隊が甘えさせておるのだと。私は自衛隊はもう少しえこひいきをしてほしいと。  こういうふうに、こういう「鵬友」というような論文を通してこれだけ隊員なりこれを購読している人たちに対して自分の価値を押し付けて、そしてその上で、こういった例えば雑誌に投稿しろ、あるいはこういったグループはお金を払って応援をしろと言っているのは、まさに職権の濫用なんじゃないですか。
  56. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 基本的に、そういう御意見を言うのは、我々とすれば、内容については今委員がおっしゃったように不適切というのは十分によく分かります。  しかし、それがどれだけ影響を与えるかについては、我々とすれば、それをチェックするところもなかったわけでありますので、多くの皆さん方が読んだと言われますけれども、果たしてそれが、部会内の雑誌でもございますので、自衛隊員にどれだけの影響を与えたか。私は、そういった逆に今のネーミングを見たときに、一体それを興味深く読む人がいるかどうかというのは極めて私は疑問でありますし、そういったことを考えてみれば、昨日の田母神幕僚長のお話を聞いていただければ、皆さん方もそこで判断が付くのではないかと思います。
  57. 藤田幸久

    藤田幸久君 総理、今聞いていらっしゃいまして、既に四年前の段階でこの田母神さんというのは、専守防衛を超えたような、攻撃をすべきだというようなことを言っている。それから、それ以降の論文についてもお聞きのようだろうと思いますけれども、そして平成四年には防衛省局長がそういったものはチェックしますと言っていたけれどもチェックをしていない。そして、結果的にこんな論文がばらまかれている。そして、にもかかわらず去年幕僚長に任命をしてしまったと。  これ、一連の流れ、今日は防衛大臣にお聞きしていますけれども、自衛隊の最高司令官は総理ですね。そうすると、こういう形で内部のこれだけの立場の人が政府の方針に反対のようなことを議論をしている、それがチェックができない、そして一番トップになってしまった、そして後になってこんなことが分かったということは、自衛隊の最高責任者としてどう思われますか。これでは文民統制がまるで利いていないということの証明ではないですか。
  58. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) この田母神の見解の一つ一つについてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思っております。一般論として言えば、専守防衛というものはこれは日本防衛の基本的な方針でありまして、これを今後とも、逸脱するとか、これに徹するということに関しては変わりないということだと思っております。  今、もう一点、田母神の不適任と、分かっていて任命したものではないというのは度々大臣の答弁しておられたところでもありますので、これまでの経歴、能力等々を総合的に判断して任命したものと承知しておりますが、ただ、今御指摘のありましたような論文が、いわゆる航空幕僚長になる前、しかるべき立場にいるときから出ていたということに関しましては、これも極めて不適切なのでありまして、これ、防衛省として検討させておりますけれども、隊員の監督、教育の在り方などなどに関しまして、部外への意見発表の際のいろいろな届出またその内容等々につきましては、いろいろな影響というものを考えて、再発防止等々、また再教育などについては万全を期すようにというように言っておるところであります。
  59. 藤田幸久

    藤田幸久君 そうしますと、そういうまず論文のチェック、平成四年に局長が答弁していますね。そうすると、まずそういうチェックをしっかりするということと、それから、中身についても逸脱したものが論文等に幹部の中で出てきた場合にはその段階で処分も含めて対応すると。そして、その後の任命についても、そういったものを勘案をしながら、権限者は、任命責任者は任命をしていくと。その今三つについては今後対応するということは、じゃ最高責任者としてお約束していただけますか。
  60. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 今答弁申し上げたのはそのことを申し上げております。
  61. 藤田幸久

    藤田幸久君 先ほど北澤委員長のおとついの発言を申し上げましたが、今やはり、今週も実はアメリカに、民主党の谷岡郁子議員がワシントンに行っておりまして議会関係者と会っておりました。そして、谷岡議員のお話によりますと、そのアメリカの議会関係者がこの田母神発言論文等を見て、日本はこれ非常に危険じゃないかと、このままいったんではクーデターが起きるというようなこともあり得るんじゃないかというようなお話があったという、これは生の話であります。  実は、官房長官にちょっとお聞きしたいと思いますが、今も、総理がこの間寄稿された文芸春秋に東京裁判についていろんな論文が出ていますけれども、その中で田中義一総理、昭和三年ですけれども、張作霖の爆破事件を起こした河本大佐を軍法会議にかけられず、そして与党や軍の圧力に屈して行政処分だけに終わらせてしまったと。昭和天皇も厳しくこの田中義一首相を叱責されたと。これがその陸軍内のいわゆる下克上の風潮を助長し、指導者が決断せず、組織が暴走したという流れであると。それが陸軍が政府や天皇を顧みず暴走するパターンをつくり上げたというようなことが出ておりますけれども。  田中義一首相との縁も深い河村官房長官、こうした軍が偏向していった歴史の教訓を今回の、今日も非常に明らかになったわけで、こんなことがどんどん幹部が言ってそれを広めていたというようなことについて、この関連でどういうふうに認識されておられるか、お答えいただきたいと思います。
  62. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 今回の田母神航空幕僚長の件に対しては、先ほど来お話しのように、解任後、辞任の説得、同氏が拒否、迅速な懲戒手続がなかなか取れそうもないと、こういうこともあって十一月三日付けの退職、現実的に取り得る最も厳しい措置であったというふうに考えておるわけでありますが、これ、今御指摘の田中義一首相の件につきましては、あれは満州某重大事件のことをお指しになっていると思います。あの当時は、旧憲法下、田中義一首相は文民ではない、こういう条件下の中にあったわけでございます。今現時点では、総理の指示に基づいて、防衛省における隊員の監督、教育の在り方、部外への意見発表の際の届出の手続等、こうした再発防止策を検討をしていると、こういう状況下にあります。  しかし、いずれにしても、今御指摘のような歴史の教訓、まあ時代背景等々も違うとはいえ、そうした歴史の教訓というものも十分踏まえて、我々としてはそれも拳々服膺しながら文民統制に万全を期すべきであると、私はそのように感じておるところであります。
  63. 藤田幸久

    藤田幸久君 やはり、歴史をしっかり認識をするということは非常に重要だろうと思いますけれども、その関係で、ちょっと時間が迫ってまいりましたので、麻生総理にお伺いをしたいと思います。  資料をお配りしておりますけれども、このパネルを出していただきたいと思いますけれども、これはアメリカの国立資料館の方から取り寄せた資料でございますけれども、これは一九四六年、昭和二十一年一月二十四日に麻生鉱業が日本政府の捕虜情報局に対して、麻生鉱業の吉隈炭坑の詳細を記述した報告書を提出したと。これは十数ページの中の最初のページとそれから十六ページでございます。それから、パネルにはございませんが、英文のものを出しておりますけれども、日本政府が一九四五年にマニラの連合軍に提出をした英文の資料、これも何ページかあるものの一部、これもそのいわゆる麻生鉱業にそういう捕虜の方がいらっしゃったという英文の資料を二枚ほどお配りをしております。  第二次大戦中にこの麻生鉱業に捕虜が労役をしていたという事実を麻生総理はどういうふうに認識されておられますでしょうか。
  64. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 御存じかと思いますが、私、昭和十五年生まれ、当時四歳、五歳か、ちょっと認識するには早過ぎる年齢でもありますので、正直申し上げて、この旧麻生鉱業のことに関しまして、その事実をその当時知っていたわけでは全くありません。  それから、その事実は今というものに関しましては、その事実関係も確認されていないと承知をいたしております。
  65. 藤田幸久

    藤田幸久君 当時何歳であったかということは、例えば一国の総理が、そうしたら自分が認識のある時代のものしか自分は認識していないということになると、例えば過去の歴史ですね、それから自分が直接会った人でない人に関する政治の必要な項目についても自分は関与しないということになってしまうわけですね。  それで、少なくともこういう事実があるということについて、総理外務大臣のときに例えばオーストラリアの方が手紙も出しておられると。それから、こういった事実関係についてはかなりいろいろ論評もされておられるわけでございまして、そして少なくともアメリカの公文書館、あるいは日本の国会図書館にあるというものの事実に対してその認識をしていないということは、余りにもやっぱり無責任ではないかと。  つまり、捕虜の問題というのはやはり国の外交政策上も極めて重要な問題であると思いますので、これだけ具体的なものがあるにもかかわらずそれを認識していないということでは、私、一国の総理とすればこれは責任が取れないんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  66. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) この資料というものは、正直言ってこれは要望しただけの資料でありまして、これは確認は全くされていないというのが事実であります。それが一点。  それから、二つ目の点につきましては、今御質問にあっておりましたけれども、オーストラリア人の元捕虜という話なんだと思いますけれども、この御質問の書簡を受け取ったということは外務大臣の時代にございません。
  67. 藤田幸久

    藤田幸久君 今お配りした二ページ、このアメリカの公文書館にあるのは二ページですけれども、その中にはいろいろ、何人ぐらいいたとかということは全部出ています。それは当然外務省なりの方で確認をしていなければいけない事実だろうと思いますけれども。  それから、ニューヨークの総領事が、この関係のニューヨーク・タイムズの記事が出た段階で日本政府はこの件に関して何ら情報を得ていないとしているわけですけれども、そもそも一九四五年の段階で日本政府が連合国に対してこういう文書を出しているんですね。それを日本政府がこういった情報を得ていないということは、これはおかしいんじゃないですか。
  68. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) これは二〇〇六年の十一月十五日付けニューヨーク・タイムズの記事と、委員はそのように御指摘されていると思いますが、実際この記事には麻生鉱業に関する記述はございません。しかし、同じ日のインターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙の記事には麻生鉱業に関する記事がございます。これら二つの記事に関しましては、在ニューヨーク日本総領事館のホームページに日本政府としての反論を掲載をいたしました。  この反論は、御指摘麻生鉱業に関する部分も含めまして、当時私どもで入手可能な情報に基づいて東京の外務本省において必要な確認を行いました上で、外務本省の指示によってニューヨークの総領事館でこういう記事を掲載したものでございます、ホームページに掲載したものでございます。  今回、今委員が提示されました資料も踏まえまして、在ニューヨーク総領事館のホームページに掲載されております反論の訂正の可能性も含めまして慎重に検討したいと、そういうふうに思っております。
  69. 藤田幸久

    藤田幸久君 麻生総理外務大臣当時、つまりおととしの七月三日に東大阪市のじゅうがんじと読むんでしょうか、お寺を参拝をされました。ここは日本の各地で死亡した外国人捕虜がいらっしゃるところで、供養をしたというふうに理解をしておりますけれども、なぜこの重願寺を参拝されたのかということと、当初は在日八か国の大使を招いておられたというのに、突然直前にお断りをされたと、大使がそこの重願寺を一緒に参拝をすることをですね。その真意と、その大使を初め呼んでおきながら直前に断ったという、その経緯についてお答えいただきたいと思います。
  70. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これはじゅうがんじと読みます。
  71. 藤田幸久

    藤田幸久君 じゅうがんじ。
  72. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) はい。  これは、戦後一貫して、一貫して戦争犠牲者などの慰霊を行っておりましたところで、重願寺というお寺があるんです。これに是非敬意を表するとともにということで、これは前々からいろんな友達も行っておりましたんで、そういった話で、戦争犠牲者などへの追悼の気持ちを表すため重願寺を訪問しということで、慰霊行事というのを、万国戦争犠牲者慰霊祭というものを毎年やっておられるということを聞きましたものですから、私はここに行かしていただくということを前に約束して、たまたまこのときに近くにおりましたものですから行かしていただくということになったと思っております。これがその経緯です。  それから、各国大使の参加につきましては、これは結構、日本人だけを慰霊しているんじゃありませんので、各国大使というものの参加について、こういった行事が厳かに行われているという事実というものはいいのではないかと思いましたけれども、何人かの大使に聞いてみたところ、おれも行きたいとか、いや、ちょっと待って、そっちは関係ないという話や、いろいろ話が込み入ってきましたものですから一切やめるということにして、あのときは、いかなる形が最も適当かといろいろ考えた結果、いろいろ物見遊山みたいな話になって話ばっかり大きくなると、これは慰霊されている方々の気持ちに最も反すると思いましたんで、そういった意味では、静かにずっとこれまでも執り行ってこられたのがたまたま大臣なり私なりが私人立場として行くという形になったとして、周りの騒ぎが大きくなるのは慰霊されている方々の最も望まないところでもあろうとも思いましたので、参加をと申し上げましたけれどもお断りをさせていただいたというのがその経緯です。
  73. 藤田幸久

    藤田幸久君 そうしますと、この資料に戻りますけれども、これは私もかなりいろいろ資料を、例えばこれは十数ページでございますし、それでほかの資料もございます。国会図書館にもかなりございます。それからアメリカの公文書館にもございます。これをお示しをしましたら、それを検証していただいて、総理御自身が、それで、実際に麻生鉱業におけるその捕虜の当時の状態等について精査をしていただいて、その事実関係についてしっかり後でお答えをいただくということを約束していただけませんか。
  74. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 資料が適切なものであればきちんと御答弁申し上げます。
  75. 藤田幸久

    藤田幸久君 なぜ私がこういうものを取り上げたかといいますと、やはり捕虜の問題というのは外交上の今生きた問題だろうと思っています。その対応をどうするかということが、やはり今日問題になっております文民統制の問題と、それから歴史観の問題とやはり極めて関連していると思います。  この田母神さん自身が、村山談話というものは要するに言論統制道具だとまでおっしゃっている。その歴史認識の問題についてもいろいろおっしゃっている。そして、歴史認識の問題がこの日本政府の見解と異なっていた。そして、異なっていたことをいろいろな部分で、先ほどパネルで示しましたように、余りにもいろいろな部署で見過ごしたか、あるいはそれを無視したか、そして結果的にそういった方がその航空自衛隊のトップまで行ってしまっていると。  そうすると、先ほどのその田中義一元総理の例じゃありませんけれども、これだけ日本でいろいろなシビリアンコントロールが行き届いた国だというふうに田母神さんおっしゃっていたけれども、これだけずるずるずるずる言いたいことは言って、そして自分の言いたいことをいろんな人に押し付けて、そしてそんなやり方をどんどん外に出せと言って、そしてそれをだれもチェックができないということでは、本当にアメリカの方でクーデターが起きるんじゃないかと心配をしてしまっているぐらいに、この文民統制というものが本当に危機に至っていると思っております。  その文民統制の基本が、先ほど来、委員長の冒頭のお話、申し上げましたけれども、この立法府と行政府の基本的な問題だろうと思うんですね。つまり、行政の方が立法府、つまり国民が決めたことに逆らって、逆らい続けて、そしてだれもチェックできなくて、そして結果的にそれをどんどんどんどんまた言いなりでいってしまっていると。そして、私人になったんだから何もできないんだという言い方ばかりされておられると。これでは、要するに追認をしているということと全く同じじゃないかと思いますけれども、総理、いかがですか。本当に自衛隊のトップであり、そして行政府のトップである方が、こういう形で進んでしまうということを見過ごして結果的におられるということについてどうお感じでしょうか。
  76. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 田中義一の話が先ほど引用されておりましたけれども、この統帥権干犯事件というのは歴史としてよく勉強しておられるんだと思いますが、旧帝国憲法に基づくところでありまして、今この種のことが起きないように、現憲法では統帥権干犯というような状態には起こり得ない、もうよく御存じのとおりだと思います。あの田中義一のときもそれが一番大きな理由で、軍に関して天皇陛下の統帥権を干犯しておるのは行政府と、若しくは立法府はできないというのがあのときの見解であって、それで結果としてあのような形になった。それがあの歴史背景、よく勉強しておられるとおりです。  私どものおりますのは、今新憲法になりまして、この新しい憲法の下ではっきりしておりますのは、もう御存じのように文民統制ということでありますが、今も言われたように、いろいろな点で問題があるのではないかということに関しましては、今後きちんとそれに対応していくようにやっていかねばならぬと思っております。
  77. 藤田幸久

    藤田幸久君 その新しい憲法を変えるべきだと国民に代表されてきております国会議員の前で言ったのがその田母神さんです。その田母神さんをそのまま、これだけ長い間自由にそういった言論活動、政治活動を容認してきて、そしてそれをほかの人まで広げようとした。つまり、二十四万人の自衛官の多くの方々がそういう人に染まって、誘導されて、そしてそれに付いていっているような人がたくさんいる。それを止めることができなかった。つまり、リーダーシップ、政治のリーダーシップを発揮しないので組織がそういうふうに暴走してしまったということを、しかもその新しい憲法を認めない人がそういうことをやってしまったということが今問題なんです。そのことに対する責任、あるいは認識というものが全然ないじゃないですか。  いいですか、その憲法を変えるべきだと言った人がですよ、結局国民が決めた、選んだ国会議員あるいは政治が決めたことに対して堂々と反対をし、長年そういったことを続けて、それをどんどんどんどんまき散らして、そしてその活動を続けていても、結果的にはそれを止めることができなかったというその責任が総理におありなんじゃないですか。総理からお答えいただきたい。
  78. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 今言われましたように、長年そのような状況を見過ごしていたという点に関しましては問題なんだと思います。しかし、それが直ちにクーデターになるとかというような話までは少々話が飛躍し過ぎてはおらぬかなと、正直、私自身としてはそういう感じがいたします。  また、少なくとも文民統制がきちんとしておりましたから、田中義一内閣のときには解任できませんでしたが、この場合、今回は直ちに解任、航空幕僚長として解任ということになったんだと存じます。
  79. 藤田幸久

    藤田幸久君 懲戒手続をしなかったということでありまして、そして、今チェックができなかったということに関する任命責任はだれであって、この先ほど挙げました各項目における任命責任はだれにあって、その任命責任者に対する処分はどういうふうにされるか、お答えいただきたいと思います。
  80. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 基本的には任命権者は担当、防衛大臣ということになろうと存じます。
  81. 藤田幸久

    藤田幸久君 閣議でそれも任命をされる手続があるということを申し上げまして、時間が参りましたので、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  82. 山本一太

    山本一太君 本日の委員会の主なテーマは補給支援新法とシビリアンコントロールということですが、この問題について御質問をさせていただく前に、まず麻生総理に、間もなく行われるワシントンの金融サミットの件について二、三御質問させていただきたいと思います。  総理は、今日夕方にワシントンに立たれるというふうに伺っておりますけれども、今度の金融サミットは、新しい国際金融システムの再構築といいますか、新しいブレトンウッズ体制をつくっていく議論の恐らくスタートになる、こういう会合になると思いますけれども、この会合に日本としてどういうスタンスで臨まれるのか。一部報道によると、日本政府が世界金融危機で財政の逼迫した新興国に対するIMFの緊急融資制度を支えるために外貨準備から十兆円出すとか、そういう方針が固まったとか固まっていないとか、そんなことも言われておりますけれども、総理がどういうスタンスでこの金融サミットに臨み、どんな具体的な提案をされるのか、総理の御答弁をいただきたいと思います。
  83. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 今ブレトンウッズの話がいきなり出ましたけれども、そんな簡単にできるものじゃありませんよ。ブレトンウッズというのがどうやってできて、それにどれだけの経過が掛かってあれまでになったかというまでの経緯につきましては、もうよく御存じのとおりでありますので、言ったら即、次からできたなんてものじゃありませんから。そういった意味では、そんな簡単に別の体制ができ上がるわけではございません。  その上で、やっぱり今、世界経済というものが急速に減速する中にあって、その元の引き金を引いたのが金融の決済システムと言われるものなんだと思っております。そういった意味では、これは適切なマクロ経済というものも踏まえた上での金融の話にしてもらわぬと、何となく金融の話だけですべての経済が動いているかのごとき錯覚は間違っていると思います。  それから、国際金融システムとして、いわゆる金融証券化商品とか、いろんな名前が付いていますけれども、金融工学とか、いつから金融が工学になったんだか知りませんけれども、そういったものがいろいろよく言われておりますけれども、こういった新しい商品に対して、少なくともその商品のチェック、監視、監督というものが行き届かなかったことは事実だと思っております。  したがいまして、格付機関とか、これもまた何かえらく立派なものに言っておられた方もいらっしゃいましたけれども、開けてみたらその格付機関が特定の会社とくっついていたとかくっついていなかったとかというような話含めまして、格付機関在り方、また会計基準といったものも含めまして我々としては考えにゃならぬ。  したがって、当面のこの金融危機対策、金融、特に決済のところが一番問題なんですが、金融決済システムの問題と、もう一点は中長期的な問題と、両方というものを首脳間で話し合うという必要があるのではないかと思っております。
  84. 山本一太

    山本一太君 ありがとうございました。  これに関連してもう一問、ちょっと総理にお聞きしたいと思うんですが、おとといだったと思いますけれども、韓国の李明博大統領金融危機等々について発言をされています。その中で、この金融危機を克服するために日本と中国と韓国が連携を取っていく必要があると、特にその中で日本のリーダーシップを期待するというような御発言があって、これは、恐らくこの発言背景には、日中韓プラスASEANの例の共同基金構想ですか、八百億ドル規模と言われていますけれども、そういう構想があるんじゃないかというふうに思います。  これも総理がおっしゃったように決して簡単なことではないと思いますけれども、まず、金融危機の克服に向けて日中韓がどういうふうな連携を取っていくべきだと総理がお考えなのか、さらには、例えばこういう米欧発の金融危機に対して、アジアへの影響を緩和するために、これも決して簡単なことではありませんが、アジア版のIMF構想みたいな考え方を総理が持っておられるかどうか、これについて御答弁をいただきたいと思います。
  85. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) この李明博大統領発言の、これはアジア共同基金という言葉がいきなり出てきていますけれども、これは基本的に、確認してありますが、例のチェンマイ・イニシアチブのことをイメージして言って、発言をしておられるということだと確認したところでありますけれども、それは、少なくとも通貨危機が生じましたとき、一九九七年、九八年と韓国も例のアジア通貨危機に巻き込まれておりますので、そのとき日本からの支援というのが韓国の金融危機を救った大きな要素だった、これは韓国の金融関係の人なら皆さん御存じのところであります。  そういった意味で、あのときの知恵に基づいて二国間のスワップ、スワップって通貨の交換というものを、外貨準備を交換するというのをやるために、この関係をチェンマイ・イニシアチブという名前にして、あのときチェンマイでやったからその名前になったんですが、そのマルチ化の作業、それをもっとマルチでやろうと、バイじゃなくてマルチでやろうという話をずっとこのところしてきております。そういった中でアジア共同基金という提案もその一環として出てきているんだと思っております。  いずれにしても、国際金融機構というか決済機能が混乱を今しております最中の中で、やっぱり韓国とか中国とかASEANとか、そういった諸国と連携してこのチェンマイ・イニシアチブというものがより全体としてまとまる。ちょっとこれ、その国の規模、経済力によってかなり格差がありますので、これを一般的に、EUみたいなある程度生活水準が一致しているとかいうのと大分違いますので、これは作業としてはかなり難しい作業が要請されると思っておりますが、いずれにしても、そういったものを含めまして、アジアの経済、地域というものが今後とも、これ人口からいきますと約半分、いろんな意味で大きな要素を持っておりますので、そういう中にあって日本としては、アジアの中においていろんな国々とこのマルチ化の部分をきちんとやっておくということは、ひいては日本の国益にもつながる、アジアの繁栄にもつながっていくと思っております。
  86. 山本一太

    山本一太君 それでは補給支援新法についての質問をさせていただきたいと思いますが、総理御存じのとおり、この補給支援新法の中身については、昨年の臨時国会から始まって、恐らく衆参合わせて、やはり同じ委員長の下で八十時間近い恐らく質疑をやってきました。(発言する者あり)えっ、九十時間、九十時間ですか。九十時間近い質疑をやってきました。一月十一日に成立したわけなんですが、最後の方の段階では浅尾委員とか犬塚委員の方から民主党の対案も出てきまして、これもかなり議論をした上でこの法案、前回の法案が成立したわけです。  昨日、何を聞こうかいろいろ考えたんですけれども、ほとんどの細かい点については議論をし尽くされているという感がありまして、今日は総理にたった一つのことだけお聞きしたいと思います。  もう総理も十分御存じのとおり、今や世界はイラクからアフガンの方に移ってきていると、落ち着きつつあるイラクから治安がどんどん悪化しているアフガンの方にシフトしてきていると。で、オバマ大統領も、オバマさんと争ったマケイン候補も、やはりテロとの戦いの主戦場はアフガンだと言っていたわけであって、こういう状況の中で日本が今、総理も何度もおっしゃっているように、このアフガンのテロとの戦いから撤退する、このインド洋の給油活動から撤退するという選択肢はないと何度もおっしゃっているわけなんですけれども、その不退転の決意とその理由というものを改めて総理の口から一言お聞きしたいと思います。
  87. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは二〇〇一年の九月の十一日、いわゆるテロとの戦いというものが言われるようになってからこれはずうっと継続をしておる話でありまして、少なくとも今アフガニスタンへの、テロの鎮圧とかいろんな表現ありましょうが、こういったものに関しては各国はその取組を強化している段階にあると思っております。  したがって、国際社会の中の一員たる日本立場として、この中で我々が貢献をしている部分、各国から期待されている部分がこの給油ということであろうと存じます。したがいまして、日本の国益を懸け、日本自身のためにもなります。これはテロというのは、これは世界に限らず日本も当然その対象になり得ますから、そういった意味では、私どもとしては、この状況下の中にあって日本だけがこのアフガニスタンテロとの戦いから撤収するということは考えられない、繰り返し申し上げているとおりであります。
  88. 山本一太

    山本一太君 補給支援新法の話は今の総理の御決意を聞いて大変心強く思いましたが、この新法の話はもうこの一点に尽きると思っていますから次の質問に移らしていただきたいと思いますが、シビリアンコントロールの問題について、これも総理に何問か御質問さしていただきたいと思います。  もう既に、この田母神前空幕長の論文の内容等々についてはもうあちこちで議論になっておりますので、細かい点は触れませんけれども、ちょっと繰り返しになりますが、大事なことなので、幾つかのことだけ総理に再確認をさせていただきたいと思います。  まず、麻生総理は衆議院の本会議でも、麻生内閣は、歴史認識の問題についてということなんでしょうけれども、村山談話を踏襲するとおっしゃっていますけれども、それで間違いないでしょうか。
  89. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 過日、御答弁申し上げたとおりであります。
  90. 山本一太

    山本一太君 田母神航空幕僚長はあの論文の中身が不適切だということで浜田防衛大臣が解任をされたということですから、これも当然のことだと思いますが、改めて総理にお聞きしたいと思うんですけれども、今その総理がおっしゃった日本政府の見解とこの田母神前空幕長が書いた論文の中身、これにはやはり大きな乖離があったと、こういう認識でよろしいでしょうか。
  91. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 村山談話の中で、僕は、長いんですけど、いわゆる「植民地支配と侵略によって、多くの国々、」というあの段落があると思いますが、そこのところを侵略はないと言うんであればそれは全く正反対ということになろうと思いますので、その意味では不適切というので解任されたというように理解をしております。
  92. 山本一太

    山本一太君 先日の外交防衛委員会田母神前空幕長を招いて、参考人として招いていろんな議論をさしていただいたわけですが、その中で田母神参考人が何度かおっしゃっていた言葉がありまして、それは自衛隊員にも言論の自由があるということだったんですね。  総理は、ぶら下がりのインタビューだったと思いますが、この前空幕長の発言について聞かれて、言論の自由はあると。先ほども質問に対する答えでおっしゃっていましたが、この幕僚長という立場発言したことは非常に不適切なんだというふうにおっしゃっていますけれども、航空自衛隊の四万五千人の隊員を率いるトップですね、幕僚長は。当然、この方が発言をするというときにはその発言の中身に制約が掛かるということなんだと思いますが、総理は、こうした自衛隊のトップの方の発言、どういうところに制約を掛けられるべきだというふうに思われますか。今回の場合は政府見解と違うことを言ったということなんですけれども、この言論の自由と自衛隊のトップとしての発言の適正みたいなことについてどういうふうにお考えになっているか、お聞きしたいと思います。
  93. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 基本的には、言論の自由、思想、信条の自由、発言の自由、これは幸いにして日本は、何ていうの、自由主義国家におりますので、その点に関しましては、これは自衛隊員に限らずどなたも発言言論の自由というのはかなりの部分自由な国と、私自身もそう思って、有り難い国にその点は生まれたものだと思っております。  ただ、今言われましたように、航空幕僚長ということになりましたけれども、その他いろいろな立場があろうとは思いますけれども、それぞれの立場において少なくとも自分が監督しておられる、いわゆる公のところの場において、そのところに影響を及ぼす発言、すなわち全然常識と違っているとか、これまでの政府見解と違っているとかいうことになりますと、当然のこととして、発言はおのずと制限されざるを得ないのは当然でありまして、少なくともその立場になれば発言はおのずと、そう思っていてもそれに従わざるを得ない、それがどうしても嫌ならその任に就くべきではないということになるんだと存じます。
  94. 山本一太

    山本一太君 その点を総理にはっきりと言っていただくのは大変私は大事だと思っていたので、良かったと思いますが。これも、この委員会で相当いろいろな議論が出ているんで、やや繰り返しになりますけれども、問題は再発防止をどうやっていくかということだと思うんです。  先ほどの藤田委員のいろんな御質問の中でもありましたけれども、総理も、いわゆる自衛隊の隊員、特にあの田母神前空幕長のような幹部が部外に向けて発言をするときにはやはり一定の基準、きちっとしたルールを設けなければいけないというようなこともおっしゃいましたし、また、その自衛隊内部の隊員に対する教育についても、改めるところといいますか、再検討するところがあればきちっとしなければいけないというふうにおっしゃっています。  そこで、これは防衛大臣にお聞きしたらいいと思うんですが、なかなか難しいと思いますけれども、具体的にそれではどうやっていくのか。今まで、その教育の中身を少し見直していくとか、総理も先ほどおっしゃったように、部外に発信するときの基準をきちっと作るとかいう話がありましたけれども、もう少し具体的に再発防止のために政府考えていることがあれば御披瀝をいただきたいと思います。
  95. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 今委員指摘の点につきましては、確かに大変これから考えていかなければならないというふうに思っておるところでございまして、この案件に関して民主党の先生方からもいろいろな部分での御指摘を受け、我々もやっていかないかぬというものを大変、こういう面もあるということを、チェック体制というのも必要ですし、また基本的に、今回の件を受けまして隊員の監督や隊員の教育、そして隊員の部外への意見発表の手続というものを万全を期すというふうに、今委員がおっしゃったとおりのことを全力を尽くしてやりたい。  まずは、これは高級幹部として職責を各々が十二分に自覚が必要でございますので、かかる自覚の涵養を徹底していきたいと思っておるところでございますし、また、学校等においてもやはりそれの教育、幹部教育というものをしっかりとしていきたい。今、こういったことに関して具体的というのはなかなか言えなくて大変申し訳ないんですが、我々とすればそれを基本としてやっていきたい。  そしてまた、先ほど、隊の方で海外ではクーデターを起こすとか、そういうようなお話がありましたが、今自衛隊員、大変、極めて冷静に今回の案件をとらえておりまして、しっかりと自分たちの任務に今精励をし、そしてまた航空自衛隊においては、新しい航空幕僚長が今一生懸命、懸命に隊員に対して今回の事案、そしてまたこれからのあるべき姿というものをしっかりと今、隊員との、向かって努力をしている最中でありますので、今、私の立場としては、自衛官、全くそれに対して、そういった今御懸念のあった御発言もあったわけでありますけれども、我々とすれば、今自衛隊員はしっかりと自分の任務を自覚をして、自分の任務にしっかりと頑張っているということをこの場をお借りしてお伝えをしておきたいというふうに思う次第であります。
  96. 山本一太

    山本一太君 浜田大臣がこれまで委員会で答弁されてきた中で、例えば教育の中身を見直すとか、例えば論文を発表するときの基準を作るとか、諸外国の例も調べながらそういう対応は取っていかなければいけないけれども、最後はやっぱり個々の自衛隊員の方々認識であり自覚であり意識だと、こういうことをおっしゃっていますね。  その関連で、今回のこの前空幕長の発言を受けて、石破元防衛大臣、現農林大臣がブログの中でこういう趣旨のことを書いているんですね。  制服組を抑え付け、隔離すればするほど思想は内面化し、マグマのようにたまっていくと。あるいは何にも知らない文官がとの思いがますますうっせきし、これに迎合する政治家が現れ、それこそいつか来た道にほかならないとか、あるいは制服組はもっと世間の風に当たって国民やマスコミと正面から向き合うべきだと、それが実現してこそ自衛隊は真に国民から信頼され尊敬される存在になると信じていると、こういうふうに石破さんが書いておるんですね。私はこの考え方は正しいと思っています。  やはり今回の前空幕長の発言というのは、かなりどうも閉ざされた世界の中で行われたといいますか、本当にオープンな世界を見ていないんじゃないかという気がするので、やっぱり自衛官と一般社会の、何というんですか、接触というものをどんどんどんどんやっぱり増やしていくべきだと思いますが、そこら辺について防衛大臣はどのようにお考えでしょうか。
  97. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 今御指摘の石破元防衛大臣のブログ、私も読ませていただきました。  確かに、文民統制の徹底を図るためにも、文官と自衛官の相互補完的な共同関係を強化して、両者の一体感を醸成していくことは極めて重要だと思っております。このような観点から、防衛省改革においても文官と自衛官の在り方についてしっかりと検討してまいりたいと思っております。  そしてまた、いろんな社会へ出ていろんな視野を広げるべきだというお話がありました。この間も御説明申し上げましたが、その取組はもう既に始まっております。これからもそれを加速しながら、今こういうような経済状況も含め、我々とすれば極めて効率的に、そしてまたしっかりと防衛省というものを考え自衛隊というものを考えていかなければならないわけでありますので、そういった面からしても、いろいろな角度から我々も勘案しながら、そういうことのないように頑張ってまいりたいというふうに思っているところであります。
  98. 山本一太

    山本一太君 今回の件について、私は、浜田大臣は迅速に対応されたと思いますが、選挙区を歩いて一般の有権者の方々とお話をすると、この田母神前空幕長はいろいろ問題のある発言をしたので辞めたんでしょう、つまり極めて不適切な行動を取ったために処分されたんでしょう、それならばなぜ懲戒免職にしないのかと、実はこう言う方が多いんです。手続のことを説明しても、これを本当に政府が重大に受け止めて、これはもう本当にシビリアンコントロールの根幹にかかわる問題だというのであれば、それはやっぱり厳しく処分するべきだというふうに考えている方が結構多いんですね。  そこで、もう浜田大臣、今日も何回も御答弁をいただいていますが、改めてもう一度、いろんな選択肢がある中で今回の対応にたどり着いたということなんですけれども、政府としてこれを、もう麻生総理は今日何度もおっしゃっていますが、この問題を厳しく受け止めて、そして最善の策を取ったと、そのことについてなぜこうなったのかということについて、もう何度かさっきからも御答弁をいただいていますが、改めてもう一度ちょっと御説明いただきたいと思います。
  99. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 基本的に、今、私の方からも何度も御説明を申し上げましたが、まず初めに言いたいのは、そもそも航空幕僚長の地位の重さ、それを降格させたということの、これは普通、自衛隊そして軍隊等々でやはり、五つ星といいますが、その星が一つ取れる降格人事というもののこの処分の重さというのは、なかなかこれは一般の方々にも御理解いただけないかもしれませんけれども、この部分がまず大きな処分というふうに私は考えております。  そして、その後に、これは今回の、先ほどから何回も申し上げておりますように、一月に定年退職というのもございます。そしてまた、私がその裁決者であるからそれは短くできるじゃないかというお話もありましたが、しかしながら、やはりそこの審理というものに私が恣意的にそれを早めるということが果たして制度上どうなのかという部分も出てまいりますので、そうなってくれば、当然これは慎重審議ということにならざるを得ないわけでありますので、そうしますと、一月二十一日までに、退職時の時点まで審理が続いてしまうということになれば、当然、現職を裁くためのこれは法律でありますので、制度でありますので、となると、審理終了しないままに定年が来てしまう、そしてまた退職金が払われるということでありましたので、我々とすると、今回判断したというのは、一番、先ほど来、いろんな田母神さんの影響が出てくるということを言われておりまして、その影響を最小限にこれをするためにも、シビリアンコントロールの観点からも今回の退職措置は適切であったというふうに思っておるところであります。
  100. 山本一太

    山本一太君 ありがとうございました。  それでは、続けて別の質問に移りたいと思いますが、北朝鮮問題について総理外務大臣に御意見を伺っていきたいと思います。  まずその前に、アメリカでは八年ぶりに民主党政権が誕生したと。オバマ大統領が来年早々にも誕生するわけなんですが、麻生総理がそのオバマ次期大統領と早々に電話会談をされたと。十分間ぐらいだというふうに伺っていますけれども、通訳を挟まずに直接オバマ次期大統領麻生総理が話をされたと報道されています。これは報道ベースですけれども、麻生総理の方から、世界経済とか金融危機の話とかアフガニスタンとか北朝鮮とか、そういう問題を提示して、やっぱり日米連携をやっていこうということを言って、オバマ次期大統領もそうだそうだと言ったと。オバマ次期大統領は、麻生総理個人的な信頼関係をつくりたいと、そう言ったと報道されていますけれども、中身はそういうことだったのか。  もう一つは、是非お聞きしたいのは、直接麻生総理オバマ次期大統領と話をしてみてどんな人物だと感じられたのか。いや、人間にはやはり政治家同士でもケミストリーというものがあって、相性というのもあると思うんですが、オバマさんと直接十分間話をされてどんな印象を持たれたか、それも併せてお聞きしたいと思います。
  101. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 顔を見ないで電話だけで人の調子が合う合わないと言うのは、これは山本先生、なかなかちょっと言い難いんで、選挙の投票をお願いしますと、あの電話だけでそんな説得力あるとも思えないのと同じような話で、やっぱり基本的には、会って話をしないといかがなものかと基本的に思いますので、ちょっと人物評価とかケミストリーの話には、ケミストリーって、カメの甲の話につきましては、ちょっと今何とも申し上げられません。  どこでどの時期で会うか、あそこは一月二十日までは現職大統領がおられますので、なかなか次に大統領予定者という方と会うというのは、大統領制のところは総じて皆そういうシステムになっておりますので、会うべきでもないし、向こうも現職に対する遠慮もありますので、なかなかそこのところは難しいと思っております。  ただ、電話で十何分か話をしましたけれども、基本的には、ハワイ生まれで、その後インドネシアに、どれくらい、何かしばらくいたんだという話で、そのときによく日本経由でインドネシアに行ったんだという話をしたのが始まりで、その辺からとにかく日本との関係というものが重要なんだという話を自分なりに理解しているという話と、それから、とにかくトップ同士の個人的な関係をという話をしたのと、いろいろしていましたけれども。  基本的には、この日米関係というのは世界で最も大事な二国間関係、これはマンスフィールドという人の言った言葉ですけれども、いわゆる民主党の人ですのでそういった言葉も知っていますので、そういった意味では今後この日米同盟というものに関しては、今金融という問題が目先に出てきているので、この問題に関してこれは共同でやっていく必要がある、かつ、これはアメリカがしっかりしないと、ドルというものが一挙にハードランディング、クラッシュと言いましたかね、何かそんな表現したと思いますけれども、そういうことになるとこれは影響がでか過ぎるので、これに対してはきっちりやっていかなければ、やってもらわぬとという話。何かいろいろ話をしましたけれども、少なくともまじめに丁寧に答えてくるという感じはあったという感じがします。
  102. 山本一太

    山本一太君 オバマ政権の話は後で時間があればちょっと触れたいと思いますが、オバマ政権に替わってアメリカの北朝鮮に対する姿勢がブッシュ政権のときとちょっと変わってしまうんじゃないかと、こういう懸念を持つ人も結構多いんですけれども、まず、先般のアメリカによる北朝鮮のテロ支援国家指定解除の話なんですが、これについては実は前々回、外交防衛委員会で質問に立ったときに中曽根外務大臣にもお聞きをしました。日米の当局では随分いろいろと連携を取っていたと、その中であのテロ支援国家指定解除が行われたということだったんですが、正直言って、総理、私にはかなり唐突な感じに思えたんです、実は日米外相会談があった後ですぐ外れちゃったものですから。それについて麻生総理が不満だとおっしゃったと。  その不満だというのは、外れたことというよりも、ちゃんと文書化の約束がないままテロ支援国家指定解除を、外しちゃったということについて不満だというふうにおっしゃったんですけれども、総理にお聞きしたいのは、このテロ支援国家指定というのはあくまでアメリカ政府の問題であって、これは日本がどうのこうの言う種類のものじゃ当然ないと思うんですけれども、しかしながら、実質的には日朝交渉の中で一つ外交カードとして機能していたということは私は事実だと思うんですね。  ですから、やはり日本に例えば圧力のカードがもはやないとは思えませんが、しかしテロ支援国家指定が解除される前と後ではやはり少し状況が変わってきていると思うんですけれども、総理はそこら辺のところをどのようにとらえておられますか。
  103. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) テロ支援国家解除の話に関しましては、不満のところは、少なくとも文書化されていない口頭了解の場合は必ず後でそこがもめることになる、事実そのような形になりつつある、若しくはそういう可能性は極めて高い。したがって、六者協議においてその文書化をやるのが最初だというのに関しては、なかなかその文書化で引っかかるということになってきておりますので、例のディスエイブルメントとか、いろいろな批評のよくありますあの表現ですけれども、あの表現のところなんかもかなり、これから実際検証させてくれるんだろうねと言うと、途端にその話はということになりますので、そういった意味では、私どもとしては、この点に関しては文書化しないでというところが一番の不満のところ。  また、我々としては、六者協議が全く今のところ動いておりませんので、その意味ではアメリカも中国もかなりいろいろ言っても動かないという状況がずっと推移しております中にあって、何らかの形でこの六者協議を動かしていこうという一つのてことして使われたということに関しましては、六者協議が動かないとこちらの拉致の問題も進みませんので、その意味では一つの手段としては分からぬことはないと。ただ、我々としてはと言ってずっと同じことを申し上げているように、エネルギー支援なんというのはうちに言ったって無理よという話はずっとしているところであります。  いずれにしても、六者会合のプロセスというのが再び動かしていくというためには、これは核問題、同時にテロ問題、いろいろほかにもあるんですけれども、日朝関係というのが前進するようにしてもらわないと我々としてはやりたくてもやれませんよという話はきちんとしてありますし、今度の次の政権においても、同じようにその問題に関しては認識としてはきちんとした認識で継続するものと思っております。
  104. 山本一太

    山本一太君 日朝合意、日朝間で合意した拉致の再調査の話なんですが、あのときは拉致被害者に関する全面的な調査をやると、しかも権限のある再調査委員会を立ち上げると、可能な限り来年の秋までに結論を出すと、こういう一応取決めで、万一北朝鮮が調査に着手をしたら、日本側としても今の経済制裁の一部、人的往来の禁止とかチャーター航空便の乗り入れの禁止も解除するという約束だったわけですが、その後、日本で政権交代があったことも影響しているのかもしれませんが、ほとんど動きがないと。  それを受けて総理が、これは全く進んでいないと、この様子を見ながら考えるというお話をされたわけなんですが、場合によっては、それは例えば北朝鮮側が約束したことが進まない場合に、日本の今の経済制裁、この圧力を強めるというお考えがあるのか、強めるとするとどういうタイミングで、どういう形で圧力を掛けていけばいいと総理が思っておられるのか、御答弁いただきたいと思います。
  105. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは、山本先生、今の段階で次こうしますなんて手のうちしゃべることはまずありませんので、それはちょっとなかなか申し上げられないところなんですが、少なくとも八月中の日朝合意というものが行われ、それまで全然動きませんでしたので、私どもの立場としてはということで、例の入港禁止等々の処置というものは十月十日の閣議で継続というものを決めておりますので、それが我々、対するまず答えの第一で、何もしない限りはうちはそのままですよというのは明確なメッセージとして伝わっておると思っております。  いろいろな反応というのがこれから後出てくるんだと思いますが、そういったメッセージというのはなかなかよく見えてこないところにもってきて、何となく御本人が最近いろんなところで出てくる機会が減っておられますので、何となくこちらも、その判断が私らの方も付きにくいというのが正直なところです。  しかし、これはずっとこのままどうなるか分からぬまんまじゃ、拉致家族にしてみれば日数がどんどん、慎重に審議しますという種類の話ではありませんから、これは日にちが限られている話、いわゆる年齢の関係もありますので、そういった意味では、私らとしては事は急がせて答えをもらいたいということで、今後ともいろんなチャネルを使ってこの問題に関してもっとという話やら、この話が進むならこの話は乗ってもいいとか、いろいろな交渉が今から不断の努力が必要だと思っております。
  106. 山本一太

    山本一太君 北朝鮮政策については、麻生総理総理になられる前から対話と圧力というアプローチでいくと、これもう非常に一貫した政治家として姿勢をお持ちだと思うんですけれども、実は数年前に、改正外為法とそれから特定船舶入港禁止法、これ私、かなり深くかかわったわけなんですが、最初はいろんなところから反対があったんですけれども、当時の安倍幹事長にいろいろと応援していただいたりして、ようやく議員立法で成立をさせたと。やっぱりこれは、もちろん公明党とも協議をし、民主党とも協議をし、これはほとんど超党派でまとまった法案なんですが、やっぱり議会として圧力を掛ける装置を作っておいて良かったなと思うんですね。その圧力を掛ける、圧力のアプローチをするといっても舞台装置がなきゃいけないと、その舞台装置は議会が作って、それを使うかどうかというのは、それは総理がお決めになることですけれども、それは非常に良かったというふうに今改めて思っているわけですが。  これは総理に、むしろ議会のことなんで総理にお聞きするのは筋が違うかもしれませんけれども、例えばテロ支援国家指定が外れたと、総理がさっき言ったエネルギー支援については駄目よと、百万トン約束したけれども、拉致問題の進展がなければ日本は二十万トンのその支援には協力しませんというスタンスはよく分かるんですが、結果としては、アメリカがニュージーランドとかオーストラリアに、肩代わりという表現が正しいかどうか分かりませんが、この分はオーストラリアとニュージーランドに頼んでやってもらいましょうみたいになっていまして、これもある意味一つ外交的なてこを失うことになるんじゃないかと私は危惧しておりますが。  私が申し上げたいのは、議会の方でも、新たな圧力装置と言うと大げさなんですけれども、テロ支援国家指定が外れたという状況をにらんで、例えば北朝鮮人権法の一部を強化するとか、そういうことはやっていきたいと思います。  もう一つは、オーストラリア、ニュージーランドについても、当然これはアメリカがやることですから、先般たしか野党の方が外務省の齋木局長に質問したときも、いやいや、アメリカがおやりになることですから、これはもちろん日本としては特に口を挟みませんと、とにかく第二段階から次に北朝鮮の非核化を進めるために必要だからということですからということなんですが、議会のレベルではいろんなことを多分言えるんだと思うんですね。それはもう、やめろとは言えなくても、日本には拉致問題があり、北朝鮮との間にはこういう関係があるから、少なくとも日本の議会としてはこういう状況があることを、例えばオーストラリアとかニュージーランドの議会の方々理解しておいてもらうと、こういうことをこれから議会の動きとして起こしていきたいと思いますが、これは総理にお聞きすることじゃないかもしれませんけれども、御迷惑じゃないでしょうか。
  107. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 基本的に、山本先生、これは、国会での議論に先立って政府でコメントを出すというのはこれは適切じゃありませんので、これは今御指摘のありましたように、議論というのが大いになされる、日本の抱えております大問題ですから、これを言っていただくというのは全く問題のないところだと思っております。  それから、もう一つのエネルギーの支援の話をいただきましたけれども、これは、もうこの前もずっと日本は一貫して、この拉致の進展がない限りエネルギー支援などというような話、経済的な問題というのは我々に期待しないでもらいたいということをずっと言い続けておりますんで、今日もその立場は変わっておらないというのはもう御存じのとおりであります。  今、豪州とかニュージーランドに頼むという話が一部出ておりましたけれども、現時点で何ら決定がなされているということはありません。したがって、これが起きたからといって六者協議が崩れるとか、そういう話でもないと思っております。
  108. 山本一太

    山本一太君 特に議会の動きは議会の動きだから総理としてコメントすることはないと、こういう意味だと思いますが、ちょっともう時間がなくなってきたんですけれども、さっきの、最後にオバマ政権のことに戻りたいと思います。  当然外務省の方も、オバマさんが大変な有力な大統領候補になったころから、オバマ側近とかオバマ政権に入るかもしれないと思われる方々に対してかなり積極的にアプローチをされているというふうに私も思います。かなり努力をして、まあ事務方のレベルではいろんなパイプを作っているんだと思いますが、これはだれがどう考えても、八年ぶりに戻ってくるわけですから、共和党政権に比べてパイプが細くなるのは当たり前なんだと思うんですね。  ただ、政府は、外務省の方に聞くと全然問題ありませんと、全く日米関係は問題ありませんと。私はちょっと、やっぱりある意味でいうと危機感が足りないんだと思うんですね。例えば、議会のレベルでいえば、民主党の議会とすごくパイプを持っている日本の政治家というのはほとんど私は知りません。政府の方でどのぐらい、例えば今副大統領になったバイデンさんと外交委員長だったときにつながりがあったのかという話もついぞ聞かないと。  ただ、そういう中で、明らかにオバマ大統領ブッシュ大統領と違うわけなんですが、余りもう時間がないんですけれども、全体として聞きますが、経済から外交安全保障まで、特に外交安全保障については中国重視じゃないか、ちょっと日本パッシングになっていくんじゃないかとか、オバマ訪朝説まで何か流れているわけなんですが、そこのところ、全体としてオバマ政権になってからの日米関係が大丈夫なのか、総理の御意見を伺いたいと思います。
  109. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 人が替わるとというのは、それはこちらもよく替わりましたんで、度々替わったからといって日米関係が急におかしくなったなんということはありません。そういった意味では、人が替わったからといっても、それは先ほどの藤田先生の御質問の中にあった、いわゆるその立場になったらきちんとその立場対応しないと、お国しょっていますので、向こうも。したがって、今アメリカにとってどの国ときちんと対応するのがアメリカの国益に資するかとかいうことを考えてやるのが当然です。それ考えなきゃ大統領じゃありませんし、私どもも、個人の見解と違っててもそれは日本の国益を考えてと、これはどなたもその立場になったらなさるんだと存じます。  そういった意味で、このオバマという人の、少なくとも電話だけの会談で、きちんと明確に、論理的に物がしゃべれる人だなという感じはありましたので、その意味で今、今後きちんとしたものをつくり上げていかねばならぬ、もうはっきりしております。  民主党と共和党の関係は、少なくとも三千人からの役人が全部入れ替わりますので、それはくしゃくしゃです。今からもうしばらくは、まず物すごい勢いであそこで八年分が一挙に動きますので、それはもう毎回、四年か八年に一遍起きる話ですけれども、こういったことが大きくなりますので、その意味で今どういうのが出てくるかと。もううわさはいっぱいありますけれども、自薦他薦が多過ぎてとてもよう分かりませんので、電話もようもらいますし、おれがなるとかいうのもいれば、あれがなると言ってくれる人もいるし、いろいろおりますけれども、そういったのが実際になって、かつ、なって後すぐまたぱっと替わったりしますので、そこらのところは十分にこちらもその関係を維持するように努力をする。  ただ、日米関係が基軸ということに関しましては、選挙中からオバマの言っていることは一貫していると私どもは理解しております。
  110. 山本一太

    山本一太君 ありがとうございます。終わります。
  111. 浜田昌良

    浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  本日は、質問に入ります前に、まず麻生総理に御礼を申し上げなきゃいけないと思っておるんです。  麻生総理は、前回、十月二十八日にこの委員会に御出席を賜りまして、その際、私、国際穀物相場の話をさせていただきました。シカゴの小麦相場については二月にピークになったんですが、現時点では三分の一になっていますよと。ところが、政府の売渡価格というのがどんどん上がっていまして、今最高になっていまして、今のままで四月まで行ってしまうという現在のルールではなっているんです。これ、質問させていただきましたら、二日後に「生活対策」出していただきまして、こういう一文を入れていただきました。輸入小麦の政府売渡改定ルールなどについては、国際相場の動向をより迅速に反映できるようにする方向で早急に見直しを行うと早速入れていただきまして、本当に厚く御礼を申し上げます。パン屋のお父さん、また、うどん屋のお母さん、ケーキ屋のお姉さんも本当に喜んでいると思います。  ところが、問題なのは農林水産省の対応なんですよ。この後、こういう一文が入りましたので、農水省でどう対応するんだと聞いたら、こういう答弁をしたんですね。国際相場が上昇するときにはそれを緩やかに売渡価格に反映し、なお一方、国際相場が下落するときにはそれを速やかに売渡価格に反映するというのは若干バランスの取れたルールとならないと、こう言ったんですよ。  私は、バランスの取れたものを要求しているわけじゃないんです。生活対策ですから、生産者じゃなくて生活の視点から直すということの観点から今回お願いしておりまして、そういう意味では、農水省が本当に消費者、生活者の視点に立たないと、事故米の問題もそうですし、地方の農政局の問題もそうですが、なくなっていってしまうんじゃないかと、こう危惧もいたすものですから、是非麻生総理に、本件について、小麦の売渡価格の改定についてはリーダーシップをお願いしたいと思いますが、御答弁をお願いしたいと思います。
  112. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 一義的には、これは農林水産大臣の担当なんだと思いますが、今言われましたように、これは上がったときには上げない、下がったときにはもう下げないというのは、これはバランスからいきましたら、これは役人の答弁としてはやむを得ざるところかなと思わざるを得ません、これは財政の問題でもありますので。  ただ、今回は、少なくともいわゆる百年に一度とかいろんな表現があっております。少なくとも生活対策というところが一番の問題だと思いますんで、今言われました御趣旨、踏まえて対応させたいと存じます。
  113. 浜田昌良

    浜田昌良君 ありがとうございます。  まさしく生活対策でございまして、御家庭の台所で本当に良くなっていくなという何か実感できると、こういうものを今国民が求めているんだと思います。  そういう意味で、もう一つこの機会にお願いがございまして、何かといいますと、今回の生活者対策に中小企業のセーフティーネットを拡充していただきました。当初六兆円の保証について、十四兆加えて二十兆円の保証になりました。対象業種も拡充していただきまして、十一月七日現在で、五百四十五業種、更にこれに七十三業種も先週金曜日に追加いただきまして六百十八業種に拡大していただいたわけでございます。しかし、一応まだ、中小企業性業種九百業種のうちまだ七割なんですね。  今までの緊急経済対策というのは割と原因がはっきりしていたわけですよ。原油、原材料が上がる、また不動産、建設業が悪くなる。ところが、今回、今後以降、この景気が、経済自体がおかしくなっていく状況というのは単独のもう要因じゃないんだと思うんですね、複合して全体が悪くなると。こういうときにおいては、例えば十年前の特別保証ってありました。あのころは、この中小企業性業種、まあ業種を指定していない場合もありますし、七百業種全部指定していただく場合もあると思いますけれども、これを何とかできないか。非常に難しいものだと思います。  そういう意味では、例えばこの年末又は年度末、ここをどう乗り切るのかが今中小企業の人たち、一番厳しいんですね、ボーナスも払わなきゃいけない。これをこの時期に限って弾力化していただくというお考えを是非、検討で結構なんです、総理が検討と言われますともう動きますんで、是非御検討をお願いしたいと思うんですが、よろしくお願いします。
  114. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 御指摘のありましたものにつきましては、この業種というものは、大体これで業種の、今いろんな業種がありますが、大体三分の二ぐらいはカバーできたと思っておるんですけれども。  今御指摘のありました点は、ひとつ、今回の六百何十業種の対象にならないところであっても、少なくともセーフティーネット貸付けが約十兆円ぐらいになっておると思いますんで、その分では一般保証とかいうこともできることになりますので、それを利用していただく。これ意外と分かっていない方多いんで。何百社といっても何百業種といっても、これは洗濯屋さんからラーメン屋さんからみんな入っているのよという話は、えっ、うちも入るんですかという話をいろいろな人から言われますんで、そういった意味では、是非、ちょっとあなたよく読めと。自分が、あなた、年末の話ししているんだから、この話をよく読むといって話をして、いろいろさせていただきましたけれども。  御存じのように、今回は、大体補正関係の話というか、こういった緊急経済対策というと、大体従来ですと公共工事が五〇%ぐらいだったんですが、今回は五%ぐらいしかない。十分の一しか公共工事はなく、その他の生活対策、直の話が多いんで、細かいものがいっぱい出てきておると思います。そういったものを読んでいただきますと十分に御理解いただけるところだと思いますが。  今言われました点につきましては、これは年末年始にかけての資金繰りというのが、これ御存じのように役所というのは資金繰りがないでしょうが。だから、資金繰りという話が一番通じない話の一つなんですけれども、この資金繰りというのが勝負と思っておりますので、是非そういった意味では、これに対しては更に万全を期したいと思いますんで、いろいろな、こういった点というのはあれば、私どもは教えていただければ検討させていただきます。
  115. 浜田昌良

    浜田昌良君 ありがとうございます。  総理に検討していただくことを明言いただきまして、本当に中小企業の業種の方々は喜んでいるなって思うんですね。なかなか、業種を総務省の四けた分類で特定して出していく、結構大変な作業でありまして、自分はどの業に当たるというのが分からないんですね。その方々が入っているんだろうかというので、また入っていなかった場合、手続は確かに二週間程度でやっていただけるんですけど、この二週間が結構大変なんですね、中小企業にとってみては。そういう意味では、本当にありがとうございます。引き続き御検討いただきたいと思います。  次に、国際金融問題、これについて先ほども山本委員から質疑がございましたが、お聞きしたいと思います。  これについては、今晩から麻生総理アメリカに行かれるわけですが、既にブラジルでG20の二十か国の財務相・中央銀行総裁の会合がございました。そして、十一月九日に共同声明が出ております。  これによりますと、今般の米国発の金融恐慌の大きな要因は何かと見ますと、こう書いてあるんですね。過度なリスク負担やずさんなリスク管理の慣行及び先進国における不十分な金融規制、監督と書いてあるんですよ、これが原因だったと。言い換えて言いますと、若干、金融工学というのがはやっておりまして、これを使い過ぎた。証券化、どんどん債権を証券にして、証券をまた切り刻んで二次証券にしていくと。そうすると、サブプライムローンがここにあったのが、どこにこう入ったかをトレーサビリティーがないと。しかも、金融機関にとってみますと、自分がずっと債権で持つわけじゃありませんから、すぐ渡すんでリスク評価が甘くなると、こういうことが原因だと思うんですね。  そういう意味で、明日からのこの金融サミットにおきましては、今日の新聞でも、日本も外貨準備高を使って資金を拠出するという話も出ておりますが、もう一方では、さっき言いました国際商品相場のこういうジェットコースターのような動きですね、これを生まないような投機的資金の監督についてIMFの機能を拡充するとか。また、商品市場自身についてもアメリカ日本でかなり定義の違いもまたあるんですね、ヨーロッパ、日本の定義と。アメリカはちょっと緩いんですよ。その辺についても合わせていくと。こういうことを総合的に御議論いただきたいと思うんですが、総理のお考えをお聞きしたいと思います。
  116. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは、浜田先生、いろいろな今二十か国の方々が個別にいろいろ電話を掛けてこられますので、その内容、申込みの内容は国によってかなり違っております。先進国と新興国というのでも、同じ新興国の中でも同じ先進国の中でも違います。そこのところがなかなか難しいところだと思いますが。  いずれにしても、今回は、工学部の出身の人にしてみれば、金融工学なんてそれは何やという、冶金ならともかく、もう金融工学なんて聞いたことがないと多分思われる方が随分多いんだそうですけれども。私から見て、明らかに証券化商品なる金融派生商品が少なくともアメリカ発でこれは売り出されたものが、今言われたように、いろんな形で世界中に巻き散らかされた、その結果、何となく怪しげかなと思ったら、一緒にくっついている物が悪い、あっ、これならいいかなと思ったらとんでもなかったという話で、これちょっと正直、底が見えないような話になっておるのが現実なんだと思います。  問題は、こういったようなことがまた起きないようにするための手当てが必要なんで、これは当然のこととして、これを大丈夫だと言った格付機関なる、何となくみんなが、立派だと言っておられた方も学者なんか随分いたんですけれども、そんな立派なものかと言った人もおられて、余り立派なものじゃなかった。今度ははっきりしました、そういった格付機関というものの信頼性。しかしこれがないと、これは自由主義経済とか資本主義経済というのは、これがきちんとしないとうまく作動しませんのでこれをきちんとさせるとか、また、そういった商品をきちんと大丈夫かというものを一義的には国がやるんですけれども、商品自体は国際的に売られますので、国一国では監視、監督ができにくい。  したがって、これは世界中である程度バーチャルに組まないとやれないんじゃないかなどなど、これは言わなくちゃいかぬ話がいっぱいありますので、そういったことを含めまして、私どもとしては、この会計基準の在り方も、時価会計をやれやれやれやれって、わんわんわんわん時価会計こそが正義のごとく言われましたし、本当かねと、元そちらの方に、経営者側におりました方から言うとそうかねという感じがありましたけれども、当時は時価会計ということになったんですが。やってみたら、時価会計にはマーケットがないとできないんだ、そのマーケットが崩壊ということならおのずと時価会計自体が成り立たないなどなど、挙げていきゃもう幾らでも、この数か月間のグローバルなものこそが正義というお話の中で、これはグローバルでうまくいったところもありますけれども、うまくいかなかったところの一つがこれ。  しかも、余りにも派生したマイナス効果が大き過ぎますので、そのところはきちんと今後やっていかねばならぬのに、やっぱり何となくみんなが遠慮していても始まりませんので、やっぱり新興国の方が、今回は少なくともアジアの方が欧米に比べれば傷が浅い、そういった浅い側の方からもきちんと発言をしていくというのが大切だと思いますので、今そういった意味では、韓国、インドネシア、中国、インドなどなどいろんなところに人を回してこういったことをやる必要があるんだよと言わせております。  もう一点の一次産品の話がありました。御存じのように、もうガソリンがWTIで五十ドル台、かつては百四十ドル台ですから一挙に三分の一まで下がっております。こういったものは、何となくもう油の値段ばっかりしかこの永田町とか霞が関というところは言いませんけれども、一番の問題、例えばくず鉄なんというものは、もう御存じのようにこれは三か月前、七万幾らですよ、今一万四千円切ってませんか、今日。そういったぐらいに暴落しているわけです、こういったものなど。  そうすると、これはもう商売としてはむちゃくちゃなことになりますので、ちょっとそういった市場原理主義みたいなのだけではとてもというような形になっているのではないかと思いますので、そういったものは混乱をすると今度は、経済が混乱すると、その金がないからおれは例えば環境なんかやってられないとか何とかもできないとかいろんなことを、そっちの方にずっと派生していきますので、きちんと、そういった一次産品の話というのは余り話題になりませんが、石油ばっかりしか話題になりませんけれども、このその他のものも穀物相場に至るまで大きな影響が出ていることは確かだと思いますので。  そういったものを含めてみんなちょっと真剣に考えてもらわぬと、今までのまんまでということでまた起きる可能性があるということ、かつ自由主義の経済をこうというのは、それはもう物すごくそのバランスが難しいところだとは思いますけれども、きちんとした、被害が出たことは確かですから、そういったことを起きないようにする、そういった努力を各国がやるという決意をした上でどうするという話なんだと思っております。
  117. 浜田昌良

    浜田昌良君 ありがとうございます。  確かに非常に難しい、自由主義でありながらも行き過ぎた暴走は止めなきゃいけないという分野でありますが、是非アジア諸国と一定のコンセンサスをつくって大きな成果を期待させていただきたいと思います。  次に、先ほどの山本委員からもございましたが、次期オバマ政権とどのような関係を持っていくのかと、非常に重要な問題だと思っております。特にオバマ氏が、このテロとの戦いイラクからアフガンという考えも持っておられます。また、いわゆる軍縮、核軍縮の分野でいいますと、いわゆるブッシュさんに比べて、例えば核廃絶というものを目指したいという御発言もありました。また、CTBT、包括的核実験禁止条約について、今アメリカは入っておりませんけれども、これの加入を検討してもいいというふうな発言もありました。  日本は唯一の被爆国として毎年国連総会に核廃絶の決議案を出して採択されている国でございます。そういう意味では、この国際テロの分野、またこの核軍縮の分野、どういう共通理解をつくろうとされているのか。特にまた、日本は難しいのは、平和憲法があるわけです。その中で、国際テロ活動をしながらも日本ができること、できないこともあると、その中でどういう御理解をつくろうとなさっているのか、これについてお答えいただきたいと思います。
  118. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これ、オバマという人のこれまでの選挙中の発言というのがいろいろ出ていますけれども、大統領になったらそのとおりするかどうかはまた別の話になる可能性は十分にあります。なぜなら経済状況がめちゃめちゃ変わっていますから。多分シカゴとかイリノイとかオハイオとか、どこかあの辺出身だと思います。シカゴか。ですからイリノイ出身なんだと思いますが、この地域は多分、自動車産業はくちゃくちゃな状況になっておりますので、これは結構しんどい、最初からしんどいことにならざるを得ない。金融よりむしろ実物経済、実体経済の、なかんずく自動車産業というものが物すごいしんどいことになっているところからスタートしなくちゃならぬところがこの人の今しょっているところだと思っております。  いずれにしても、こういった問題含めて、これは国内の問題をかなり一生懸命やらなくちゃいかぬという状況にあることは確かなんだと思いますが、いずれにしても、傍らテロという問題は、これは何もアフガンに限らずソマリアにしても、いろいろなところで起きているところでもありますので、そういったものを含めて、これは世界中が一緒にやらにゃいかぬという大事なところだと思いますので、その旗を振っておりますのがアメリカ、今から八年前には三千人からの人がテロで一挙に亡くなっておりますので、そういった意味では当然のことだと存じます。  いずれにしても、日本としては、これは同盟国でもありますので、アメリカと一緒になって、平和とか繁栄とかいうものの維持というものに関してこのオバマという人も基本的には同じ発言をしておられますので、そういった意識を持って話をするんであれば、これは我々としても基本的には一緒にやっていける関係を、きちんとしたものを築き上げていく努力をしていかねばならぬと考えております。
  119. 浜田昌良

    浜田昌良君 ありがとうございます。  国際テロの分野もそうですし、核廃絶の分野もそうですし、是非共通理解を醸成していただいて、国際世論をリードしていただきたいと思っております。  それでは、補給支援法の内容に入らせていただきたいと思っておりますけれども、今アフガンは本当に重要な局面を迎えていると思うんですね。四十数か国の国が既に千人近い犠牲者を出しながらも、しかも合計で約五万人、特にこの一年間で一万六千名の増派をしている、そういう犠牲がありながらも増派をしている。非常に重要な時期ですね。来年の秋には大統領選挙もあります。その中で治安の悪化をどう食い止めていくのかというので、例えば海上阻止行動についてはデンマークという国もこの九月から参加しました。これに対して日本も既にこの十月に三回の給油も行っているわけでございます。  そういうまさに今アフガニスタンが重要であると国際社会認識があるんだと思いますけれども、麻生総理総理就任以降、ニューヨークの国連総会にも出られました。また、ASEMのアジアとヨーロッパの会合、北京でございましたが、そこでもいろんな首脳外交をなされました。その中で日本が取り組んでいる給油支援についての評価はどういう形だったのか。  一方で、野党は日本の給油はアフガンでの空爆や掃討作戦の支援だという、こういう指摘もありますが、そういう声は国際的にもあったのか、この点についてお聞きしたいと思います。
  120. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 国連総会に九月の二十何日かに出させていただいて、その後のASEMの首脳会合等々幾つかございました。改めて日本補給支援活動に関して、例えば潘基文国連事務総長、元韓国の外務大臣ですけれども、国連総会の際だったと思いますが、この一年延長に関することに関しまして謝意が、法案が提出されたことに謝意が出されております。ギラーニというのがパキスタンの今の首相でありますけれども、この人はASEMの会議のときにおいて、この給油支援に対する謝意と継続に対する依頼等々があっております。また、昨日でしたか、カルザイというアフガニスタン大統領だと思いますけれども、この補給支援活動というものに関して我々も是非これに期待しているということで、私あての親書を受け取ったところでもあります。  いずれにいたしましても、これまで私の知っている範囲で、各国首脳から補給支援活動ということを実施することに関して非難をされたということは私自身は一回もありません。  いずれにいたしましても、こういった国際社会の中の期待、テロとの戦いというものに対する認識、そういったものの中から、私どもとしてはこれを引き続き継続していく必要があると考えております。
  121. 浜田昌良

    浜田昌良君 まさに国際社会から高い評価を受けているこの補給支援については延長に向けて審議を深めていきたいと思いますが、今まで二十時間の参議院の審議で一つ非常に重要な事柄があったんですね。何かというと、武力行使というものの定義が国際法上の定義と我が国憲法上の定義で少し差があると、こういう問題なんです。  なぜこの問題が分かったかというと、今アフガン本土にはOEF、オペレーション・エンデュアリング・フリーダムという、不朽自由作戦ということで多国籍軍がいるわけです。この軍は当初は米国の集団的自衛権の行使ということで入りました。しかし、カルザイ政権ができてからは、カルザイ政権の同意の下で治安維持活動を協力しているという、なるわけです。そういう意味では、このOEFというのは国際法上は武力の行使ではないんですね。  じゃということで、民主党の議員の方からこれに自衛隊参加できるのかという、こういう質問が出されたんですよ。これについては、いや、参加できないと。なぜなら、憲法で言う武力の行使の定義と国際法では若干違うんだと。その例として集団的自衛権というもので分けられたわけですね。これは、国際法上であれば、別にそうであれば行けるものを、日本の場合はそれをくくっているということになるわけですし、そういう意味で、こういう武力行使の定義の違いについて官房長官にお聞きしたいのと、もう一点、我が国は、国際法上武力行使はこうだというグローバルスタンダードをそのまま受け入れるんではなくて、やはり平和憲法があるわけですから、平和憲法の下で、この憲法で言う武力の行使はこういうものかと慎重に判断していくと、こういうことの重要性について、官房長官の御答弁いただきたいと思います。
  122. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 委員ただいま御指摘のように、政府は、憲法第九条の下においては、我が国自身が武力攻撃を受けた場合における必要最小限の実力行使を除いて武力の行使を禁じられていると考えてきております。このために、国連憲章第二条第四項で禁止されていない武力の行使が憲法第九条では禁止されるということがあり得るわけであります。  今委員指摘いただきました集団的自衛権以外として考えられるものは、国連憲章第七章の下の安保理決議で加盟国に容認された武力の行使が挙げられる。政府としては、我が国に対する武力攻撃が発生していない、このような状況においては、国連決議に基づく措置であっても、憲法第九条によって禁じられている武力の行使に当たる行為を我が国が行うことは許されないと、このように解しておるところでございます。  そこで、もう一点ございました国連憲章第二条第四項により禁止される武力の行使と憲法第九条によって禁止されている武力の行使は、その範囲が同一でないということであります。すなわち、ある活動が国連憲章第二条第四項によって禁止される武力の行使に当たらないからといって、その活動が憲法第九条により禁止される武力の行使に当たらないことにはならない。したがって、我が国は、我が国によるOEFあるいはISAF、こうした下での活動への参加を検討するということになりますと、これは憲法との関係においても御指摘のように慎重な検討が必要になると、このように考えておるわけであります。
  123. 浜田昌良

    浜田昌良君 明快な答弁ありがとうございました。そういう意味では、この武力の行使についてそういう慎重な判断を我が国としてはやっていくということが重要と思っております。  もう一点、この委員会で参考人質疑も行いました。その中で、ペシャワール会の中村代表にも来ていただきまして、いろいろ御意見も承りました。その中でこういう御意見があったんですね。日本が海上阻止活動への給油をするだけでOEF本体、つまり不朽自由作戦本体への支援とみなされてしまって、日本のNGOは現地で活動しにくくなると、こういう御発言がございました。  こういうことがあったわけですが、外務省としてそのような現地の声を把握されておられるのか。また、日本が行っているのは武力行使への支援ではなく、海上阻止活動への給油であることを明確にいたしまして、日本の給油はアフガンでの空爆や掃討作戦の支援だという間違った理解を是正する対外広報活動を是非強化していただきたいと思いますが、外務大臣の御見解をお願いします。
  124. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 海上自衛隊は、御案内のとおり、インド洋上におきまして海上阻止活動を行っている各国の艦船に給油やまた水を供給しているわけでありますが、こういう活動をしていることが米軍等の各国の軍隊の一員とみなされるということであると大変問題だと思います。アフガニスタンにおける日本のイメージにも悪い影響を与えると、そういうふうに心配をしておりますが、またさらに、現地で活動しておりますNGOの関係者の皆さん方の活動にも、安全が脅かされるとか、そういうこともあるのではないかと、そういう意見がNGOの皆さん、一部のNGOの皆さんからあるということは承知しております。さきの参考人の質疑でもございました。そういうことでございます。
  125. 浜田昌良

    浜田昌良君 そういう状況の中で是非、対外広報といいますか、それをしっかりしていただきたいんですが、これについてはいかがですか。
  126. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今までもこういう我が国テロとの戦いに関する広報活動というのは随分やってまいりましたけれども、この活動というのは、インド洋上におきまして、もう委員が十分御承知のとおり、テロ、それから麻薬あるいは武器、そういうものの海上移動というものをこれを阻止をする、あるいは抑止をすると、そういう活動のために行っているわけでございますが、そのための艦船に給油をしているというわけでありますが、これは非常に海上阻止活動の重要な基盤として定着をしていると、そういうふうに思います。  また、この海上阻止活動が持つ抑止効果は、アフガニスタン本土における各国のテロとか治安対策、それから復興支援の円滑な実施を下支えする、そういう役割を果たしているものと認識をいたしております。  委員がおっしゃいました広報活動でございますけれども、広い理解と支持を国民の皆さん、また各国からも得なければならないということで従来から広報活動はやってきておりますが、今お話がございますようなそういう点も踏まえまして、また今も述べました下支え、そういう意味も含めまして、今後これまで以上に丁寧に御説明もし、また広報活動もやっていきたいと思います。パンフレットとかポスターとかインターネットとかビデオとか、いろんなものでやっておりますけれども、更にそういうものに配慮していきたいと思っております。
  127. 浜田昌良

    浜田昌良君 是非、広報活動をお願いしたいと思いますが。  アフガンでも少しずつ良くなっている数字があるんですね。例えば、教育でいいますと、二〇〇一年に就学人数は百万人以下でした。ところが、二〇〇七年では五百七十万人で、そのうち二百万人は今まで教育を受けられなかった女の子なんですね。また、医療サービスについても、今までは人口の九%しか二〇〇三年ではサービスを受けられなかったものが、二〇〇六年においては八二%になっています。経済成長もこの三年間で年平均一二%。そういう意味では、こういう国々のこの伸びようとする若い力を国際社会で是非支えていっていただきたい。  このことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  128. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  今回問題となった懸賞論文を募集をしたアパグループの元谷会長と田母神元空幕長の関係の原点は、田母神氏が九八年の七月から九九年の十一月まで航空自衛隊の第六航空団の司令をしていたときにさかのぼります。田母神氏の依頼で小松基地の金沢友の会がつくられて、元谷氏がその会長に就任をしております。  この元谷氏が昨年の八月の二十一日に小松基地でF15戦闘機に搭乗しておりまして、民間人としては大変異例でありますが、元谷氏が戦闘機に搭乗したというのはこの一回限りだったんでしょうか。
  129. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) そのとおりであります。
  130. 井上哲士

    ○井上哲士君 私、調べてみたんですが、これは雑誌「正論」の二〇〇四年十一月号に私の写真館というのがあるんですが、この中に元谷氏が登場いたしまして、航空自衛隊小松基地にてF15イーグルに搭乗と、こう写真入りで出ております。日付は平成十一年、九九年四月ということですから、つまり田母神氏が小松基地の司令をしていたときに搭乗をされているんじゃないですか。
  131. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 今の文献に関しては我々は承知しておりません。そして、もしかすると体験タクシーの可能性もあるので、我々とすると今の現時点ではその件に関しては把握しておりませんので、多分、もしかするとタクシーの可能性もあるのではないかという気がします。
  132. 井上哲士

    ○井上哲士君 服も着替えた写真が出ておりますので、これは調べていただきたいと思うんですね。  昨年八月に元谷氏の戦闘機搭乗を承認をした理由として、友の会の会長十年間の功績というふうに田母神氏は述べられました。じゃ、九年前はどういう理由になるのかと。九九年四月といいますと、友の会が結成されるよりもまだ半年前のことなんですね。にもかかわらずなぜ便宜供与がされたのかと、こういう問題になっていくわけです。  元谷さんというのは、単なる自衛隊の後援者ではないんですね。「財界人」という雑誌に登場されてますが、こう言われてます。私のボランティアは一般の人を覚せいすること、極東軍事裁判史観にとらわれたまま日本が国益・国防を考えないでいいのかと言った上で、この友の会というのは、我々の団体は真に日本を憂えて、自衛隊が間違った方向に行かないように、サポートと監理と両面を担ってるんですと、自衛隊を監理するんだということまで言われているわけですね。  この元谷氏が創設をしたアパグループの懸賞論文航空自衛隊が全国に紹介をし、そして小松基地が組織的に応募するという異例の対応がされたわけですね。  私は、特定の理念に基づく人間関係で便宜供与がなされてはならないと思うわけで、こうした田母神氏と元谷氏の関係をさかのぼって私は調べるべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  133. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 現時点では、その件に関しまして我々とすると調査をする必要性というものを今感じておらないところでございます。そしてまた、逆に言うと、先ほど調べろというそのF15の搭乗の件ですが、体験タクシーというのは要するに滑走路を走るやつなので、その際には当然飛行服も着ますので、その点も含めて調べてみたいというふうに思います。
  134. 井上哲士

    ○井上哲士君 なぜ航空自衛隊が全国に紹介したのか、なぜ小松基地で組織的に募集が行われたのか、この間の質疑の中では調査中、調査中というばっかりなわけですね。全然明らかになってないわけですよ。ですから、それも含めて、私は、きちっと調べることなしにこの問題の解明がないということは強く申し上げておきたいと思います。  そこで麻生総理にお聞きいたしますが、今日から訪米をされるわけですが、十一日付けのワシントン・ポスト紙は、今、この田母神氏の問題で麻生首相の指導力が問われているということを書いております。そういう問題として答弁をいただきたいんですが、先ほどの答弁で、この田母神氏の問題が不適切だという理由として、幕僚長というしかるべき立場にいる人の発言として不適切だと、こう言われました。  じゃ、この発言が外に向かったからいけないのかというだけなのかということをお聞きしたいと思うんですが、私は、この田母神氏が航空幕僚長という職務権限として自衛隊内で行ってきたこと、これが大きな問題だと思います。  先日の参考人質疑の際に田母神氏は、今年の一月に熊谷基地で行った講演で、専守防衛という国策が正しいのかと、それから日本は侵略のために中国に出ていったのではないと、こういう発言をしていたことを認められました。  つまり、全国の基地などで職務として隊員を集めて、そして航空自衛隊のトップの職務権限として訓話や講話を行って、その中で今回の論文と同じことを言っておられたと。ですから、一自衛隊員の言論の自由という問題ではないわけですね。職務行為としてこういう教育を行ってきたと、このことを総理、どうお考えでしょうか。
  135. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 言論の自由につきましては、日本の場合は言論の自由というのがこれ自衛隊員に限らず確保されているのはもうほかの国と違うところ、他の国というのはそういう自由が保障されていない国もありますんで、そういった意味ではまずそれを押さえた上で、今言われたような職務としてやったと。  ちょっと、職務としてやったかどうかはちょっと裏が取れてないんで、あなたの話をそのまま取ったという前提に立たないと、いや、あれは職務としてじゃなかった場合もありますんで、職務としてやったという話を前提にした場合は、先ほどの侵略国家の話等々がそのまま言われているとすると立場上いかがなものか、不適切ということになろうと存じます。
  136. 井上哲士

    ○井上哲士君 訓話、講話というのは職務としてやるものだということは先日の防衛大臣の答弁でも明らかなわけです。つまり、そういうものであっても、自衛隊内部のことであっても、職務としてやった場合にこれは不適切だということは改めて確認をいたします。  そこで、先日、私は、すべての田母神氏が行ったこうした講話、訓話を出すべきだということを求めました。大臣は、すべて確認していないので、今後検討すると、こう言われましたけれども、出していただけますか。
  137. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 今後速やかに着手したいと思います。
  138. 井上哲士

    ○井上哲士君 これは着手し、国会に提示をしていただくと、そういうことでよろしいですか。
  139. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 当然、我々とすれば、その部分は着手をして調べて、その後の報告に関しても併せて検討していきたいというふうに思っております。
  140. 井上哲士

    ○井上哲士君 速やかに、検討ではなくて直ちに出すということを強く求めておきたいと思います。  それだけではありませんで、田母神氏は、陸海空の三つの自衛隊の幹部教育の中に歴史観・国家観という講義を自分が新設したということを参考人質疑でも認められました。これがその幹部教育のカリキュラムの一部でありますが。(資料提示)  例えば、現憲法及び教育基本法の問題点、それから大東亜戦争史観と、こういう項目も並びますし、ほかの日では東京裁判史観という言葉も並びます。こういう言葉は、いずれもあの戦争は正しかったとして憲法を敵視をするという主張と結び付いて使われる言葉なわけですね。つまり、今回、田母神氏があの論文の中で明らかにしたような持論に沿ってこの自衛隊内の幹部教育がつくり替えられてきたということだと思います。極めて重大だと思います。  この国家観そして歴史観の講義がつくられて以来、これを修了した幹部は陸海空ごとに何人になっているでしょうか。
  141. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 統合幕僚学校の旧一般課程及び幹部高級課程の三幹校合同統合教育におきまして、課目の歴史観・国家観をこれまでに受講した幹部自衛官の人数の合計は、陸上自衛官約百四十名、海上自衛官百三十名、航空自衛官百二十人の合計三百九十人であります。
  142. 井上哲士

    ○井上哲士君 四百人近い幹部がこの講義を受けていると。この年でいいますと、一回十六時間の講義ということになっているわけですね。  非常に異様なのは、防衛省から出てきた資料は全部講師の名前が黒で塗り隠されているということなんですね。なぜ国家公務員の幹部教育を行う、その講師の名前を秘密にしなくちゃいけないのかと。  総理、これ異様だと思われませんか。総理総理
  143. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 部外の講師の氏名につきましては、部外講師御本人の了解を得ることなく明らかにすることは差し控えたいというふうに思っておるところでございます。
  144. 井上哲士

    ○井上哲士君 なぜ歴史観や国家観の講義をする方の名前を隠す必要があるんですか。国民はよっぽど後ろめたい内容かと疑問を持つと思いますけれども、いかがですか。
  145. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 御本人の意向を確認してということだと思います。決して今先生がおっしゃったような内容のことではないと思います。
  146. 井上哲士

    ○井上哲士君 それでは全く納得ができません。  防衛大臣は先日の質疑で、バランスの取れた見解と幅広い視野を得るための講義だと言われました。しかし、この黒塗りで隠された講師を私調べてみますと、新しい教科書をつくる会の関係者が並んでおります。実に偏った講師陣だなと思うんですが、このうち一人、平成十八年の四月十七日の講師は、大正大学の福地惇教授だということが本人が書かれたものがホームページに出ております。  そこで、この講義の目次も出ておるんですが、例えば第三章、満州事変、満州建国は日本の侵略ではない、第四章、シナ事変も日本の侵略戦争ではない、第五章、偽装歴史観に裏付けられた平和憲法イコールGHQ占領憲法と、こういう言葉が並んでいるわけですね。  こういう内容、まさに田母神氏が今回論文で明らかにした中身が幹部教育の中で教えられていると。これは、総理、適切と思われますか。
  147. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 二つ分けてやらぬといかぬと思いますが、国家観・歴史観という課目があるのがおかしいという話には私は賛成できません、国家観・歴史観というのを教えない方がおかしいと思いますので。その国々によって違いますんで。したがって、その適否を申し上げるということは困難なんですが、大切なのは、その内容であろうと存じます。  したがいまして、偏向した歴史教育というものに偏ることなく、そういった、歴史というのは客観的にはなかなか難しいところですけれども、そういったものを理解することができるように、これはバランスの取れた内容に努めるということが大事なことだと存じます。
  148. 井上哲士

    ○井上哲士君 それを検証するためにも講師の名前を明らかにすることが必要なんですね。今のこの中身がそういう中身になっているのかと、こういう認識をお尋ねしているんです。
  149. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 講師の名前は、講師の了解なしに防衛省の方で一方的にやるのはできないというのもよく理解できるところでもあります。また、その内容につきましてちょっと正直把握しておりませんので、その題目だけ見て、内容をというと、題目と内容はかなり違ったりするのはよくある話ですので、ちょっとその内容までよく見た上でないとお答えのしようがありません。
  150. 井上哲士

    ○井上哲士君 そうであるならば、この中身を明らかにしてもらう必要があります。幹部教育の講師の氏名、そしてすべての内容についての資料の提出を求めるように御協議いただきたいと思います。委員長、お願いします。
  151. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) ただいま井上委員からの要請でありますが、私も過日の理事懇談会で申し上げましたが、我が国の自衛官の、しかも幹部教育に講師として招かれたそれぞれの権威ある人たちを黒塗りで出すなんということは、自衛隊として一体どういうことを考えているのか、防衛省の見識を疑っておるんです。それを今、総理大臣まで追認するようなことを言われた。いかがわしいような雰囲気を国民に与えるということは断じて許し難い。私は、是非これを防衛省としては即刻明らかにするべきだと、こういうふうに思っておりますので、理事会でも協議させていただきます。
  152. 井上哲士

    ○井上哲士君 結局、田母神氏が創設をしたこの講座というのは、彼の持論に沿った内容の幹部教育を行って、言わば第二、第三の田母神氏をつくる、そういうものになっているわけですね。田母神氏は論文を発表して更迭された。しかし、それが彼がつくった第二、第三をつくり出す仕組みは残っているんですから、私はこの幹部教育の中身を、全容を明らかにし、総理の責任で是正をするべきだと強く申し上げまして、質問を終わります。
  153. 山内徳信

    ○山内徳信君 私は、社民党・護憲連合の山内徳信でございます。  去る十一日、田母神参考人からゆゆしい発言がございました。それを受けまして、本日は麻生総理の御出席を賜りまして、私はこの場で日本の基本的な見解を総理大臣から賜りたいと思って質問をいたします。  田母神幕僚長は、彼の文章の中で、集団的自衛権も行使できない、武力使用も極めて制限が多い、また攻撃的兵器の保有も禁止されていると大変な不満を述べております。幕僚長としてのこの言動は、日本の憲法にも、国家公務員法にも、自衛隊法にも、服務の宣誓にも違反しております。  十一日の外交防衛委員会で、集団的自衛権も行使し、武力も武器も堂々と使用したいというのがあなたの本音ですかと私の質問に対し、彼は本音ですと答えております。この発言日本政府の方針への挑戦であります。許し難い発言であると私は感じております。かつて旧日本軍が暴走した歴史がありますが、今回のものは現代版航空自衛隊トップの暴走であります。  総理大臣自衛隊の最高責任者であり、文民統制の最高責任者でもあります。この田母神発言に対してどう思うか、改めて政府の御見解を賜りたいと思います。
  154. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 十一日という日にちを指定されましたので、お答えをさせていただきますが、既にこのときは退職をして民間人になっておるということになると思いますので、民間人のコメントに対して私どもとしてコメントをするということに関しましては、私どもとしては差し控えるべきだと思っております。  集団的自衛権の話に関しましては、民主党等々いろいろ御意見があられるようですけれども、憲法上許されないというのを理解をして、ここまで継続させてきておるところはもう御存じのとおりです。  さきの大戦に対する政府認識については、もう村山内閣が度々申し上げたとおりです。  自衛隊の最高指揮官としてシビリアンコントロールの原則というものというのを堅持するのはこれは当然のことでして、今後とも日本の平和、安全というものに関しましてはシビリアンコントロールを徹底させていく、当然のことだと存じます。
  155. 山内徳信

    ○山内徳信君 国家の最高責任者として、十一日時点では民間人になっておりますからという、そういう発言はやはり総理大臣としてはふさわしくありません。十一日時点で参考人は委員会に出てこられましたが、そこに出てこられたことは、あの人が幕僚長であった時点についての問題を追及しておるわけであります。民間人民間人と言って総理大臣も逃げたらいかぬのです。ここは国家の岐路に立っていますよ。そういう深刻な認識総理にも大臣にも薄いような感じがいたしますが、どうですか。
  156. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 総理大臣としてふさわしいかふさわしくないかを山内先生の御見解として伺っておきます。  もう一点申し上げますが、十一日の段階で、過去辞められた方を前職として呼ぶという例というのは、これまでこの参議院の長い歴史でもないと思います。そういった意味で、田母神のときだけ過去のことをと言われるのであれば、それは過去の問題をさかのぼってということになりますと、それはそのときの過去の文章はともかく、そのときの文章について発言された内容について言われましたから、そこで私どもとしては民間人発言と申し上げざるを得ないということだと存じますが。(発言する者あり)
  157. 山内徳信

    ○山内徳信君 総理の答弁としては、私は今の答弁には承服できません。適切な表現ではないと思っております。  次に移ります。  田母神氏は、「鵬友」という機関誌に「航空自衛隊を元気にする十の提言」、パートツー、パートスリーという文章を掲載しております。その中で、専守防衛相手にとって痛くもかゆくもない、「我が国相手国に対する攻撃ポイントを準備しておいてはどうかと思うのである。相手の出方に応じて、相手攻撃相当分以上の攻撃日本実施するのだ。」、攻撃こそが最大防御なりとの見解を展開しております。  これは、幕僚学校長時代に彼が書いたものでありますが、日本の平和国家を危うくし、再び武力に物を言わせようとする戦争国家への危険な考え方であります。  日本国憲法はその前文で、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意したと憲法は確定をしております。そのことを踏まえて、日本政府は今日まで専守防衛を基本にして歩んでこられたわけであります。平和憲法を否定、戦争を肯定する好戦的な田母神氏が航空自衛隊のトップに君臨していたことは恐ろしいことであります。  そこで、総理に質問いたします。  一つ専守防衛が否定されたのですが、自衛隊の最高責任者としての総理の見解を国民にこの場から表明をしてください。これが一つです。
  158. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 田母神の見解のこれまでに述べた一々につきましてコメントをすることは差し控えたいと存じますが、一般論として申し上げさせていただければ、専守防衛というのはこれまでずっと日本という国が取ってきたいわゆる基本的な方針でありまして、これを今後とも、それを徹するということだと理解をしております。  さきほど藤田議員から場外発言で御指摘をいただきましたけれども、過去、辞めたのが一回来た例があります、認めます、訂正します。
  159. 山内徳信

    ○山内徳信君 このような人を幕僚長に任命した総理防衛大臣の政治的責任は重いものがあると思います。そのことについて総理大臣からお答えを求めたいと思います。
  160. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 政府としては、この田母神が不適任ということで分かっていて最初から任命したものではないということだと存じますが、任命をされました当時、少なくとも本人に、それまでの経歴、能力などを総合的に防衛省として判断をして任命したものと存じております。結果として、現役航空幕僚長政府の公式見解と明らかに異にするという見解を公にしたということにつきましては、これは明らかに不適切と思いますし、これは極めて適切さを欠いていると思っております。  したがって、これは現在、防衛省で今検討をさせておりますが、隊員の監督又は教育の在り方などなど、部外への意見発表の際の届出などにつきましては万全を期すということで再発防止に努めさせております。
  161. 山内徳信

    ○山内徳信君 質問の三番目でございますが、田母神氏は懲戒免職が相当であったと思っております。そのことは私は既に前の委員会でも質問申し上げておりますが、あえてこの場で質問を繰り返しておりますが、定年退職の扱いの判断は、これは大きなミスであったと思います。時間が掛かろうがやはり自衛隊法にのっとって、服務の宣誓にも違反しておりますし、これだけの言動は憲法そのもの、そして日本の基本的な方針である専守防衛をも否定しておる人をやすやすと定年退職にした防衛省の責任は極めて大きいわけであります。そういう意味で責任を取ってほしいと、こういうふうに思います。  総理の見解を求めます。
  162. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは、防衛省におきましては、田母神航空幕僚長から解任ということになりますとこれは降格ということだと思いますが、役人というか、こういう警察とか自衛隊とかいう組織の中において降格というのは極めて重たいと思いますが、その後辞任をするということを説得をしたが本人は拒否をしたんだと記憶をいたします。  それで、防衛省としては、迅速な手続というのをやるというのに対して協力を得られる見込みはないということになりますと、いわゆる制服を着たままずっとそのままいることになる。先ほど五十何日っていうお話がありましたが、それは協力を得られたときの話なんであって、協力を得られなかった場合は十か月、十一か月掛かってきたというのがこれまでの例と伺っております。十一か月間制服着たままずっと発言を続けられるというような状況は避けたいというのが防衛大臣の見解だったと思っておりますんで、十一月三日付けで退職させたということだと承知をしております。  いろいろ御意見はあろうかと思いますが、取り得る最善の策を防衛大臣としては決断をされたというように理解をしております。
  163. 山内徳信

    ○山内徳信君 時間があればこのことをもう少し意見を交わしておきたいと思いましたが、あと一点だけ質問いたします。  本年四月十七日、名古屋高裁判決での自衛隊イラク派遣違憲判決に関して、田母神航空幕僚長はその時点で、そんなの関係ねえやとこういう発言をしております。今回の田母神論文や先日の参考人質疑を聞いておりますと、とてもそんな軽いものではございません。司法の判断など全く無視する極めて悪質な対応であったことを改めて今感じているわけであります。今文民統制が問われておりますが、司法の判断に対しても行政は真摯に受け止めるべきであると思っております。  そこで、麻生総理にお伺いしますが、あのような田母神航空幕僚長の不遜な発言に対して、総理として改めて、最後になりますが、どういう御認識を持っていらっしゃるか、重ねてお願いをいたします。(発言する者あり)そんなの関係ねえよということです。
  164. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) もう一度ちょっと分かりやすく、どうぞ。
  165. 山内徳信

    ○山内徳信君 そんなの関係ねえよと言って司法の判断をもう彼は切って捨てたんですね。そのことについてです。
  166. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 今の発言は、本人も、たしか会見の後で極めて不適切であったと、表現の一部が不適切であったと自分でそのことは述べているというように理解をいたしておりますんで、私も同じように感じております。不適切。
  167. 山内徳信

    ○山内徳信君 意見を述べて、時間ですから終わりますが、田母神氏は既にその時点、あるいはその前から今問題になっているそういう見解に立っていたわけであります。  そこで、防衛省として、改めて今日のこの深刻な事態に対処するために、真剣に防衛省、自衛官内部のそういう反憲法的、政府の見解に反するような動きに対してちゃんと調べて国会に出していただきたいと、こういうことを要求して、私は終わります。
  168. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午前十一時五十九分散会