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佐藤正久君 自由民主党の
佐藤正久です。本日は、元自衛官、そして新人議員としての視点から幾つか
質問をさせていただきます。よろしくお願いします。
麻生総理は、
政治家としてだけではなく経営者として多くの現場を見てこられたと思います。恐らく、この
委員会の参加者の中で、
イラク戦争後、バグダッドを訪れ、現場を見て
派遣隊員を激励していただいたのは、私のほかには恐らく
麻生総理だけだと思います。
政治が実行を命じている以上、現場を確認することは当然で、実態が分からなければ
政策の変更もできない。上がってくるペーパーを見たり、人からの意見を、説明を受けただけでは物事の本質が分からない。前頭葉で
考えるのだけではなく、肌身で感じることが重要だと思います。
麻生総理のリーダーシップに深く感謝いたします。
他方、民主党提案の
テロ根絶法ですが、提出前に一度も
アフガニスタンの現場の
調査をしていない、聴き取りだけで海外の
治安が不安定な地域に
日本の文民や自衛官の
派遣を命ずる
法律を国会に提出しました。さらには、ある民主党の
委員は、
政府の案に
反対するのが民主党の対案である旨この
委員会で
発言されました。
政府・与党が
現地の
調査をせずに実行を命ずる
法律を国会に提出したことはないと思います。民主党である議員ですら、おかしい、
法案提出前に
現地調査もしていないのだから
法案提出ができるわけがないと言われておりました。
しかしながら、結果として、昨年の十一月の一日、法が失効し、
インド洋での
活動が中断いたしました。その際の
海上自衛隊の
派遣部隊の司令官、彼が最後に言われた言葉は、無念である、無念であるという言葉でした。たまたま私と彼とは
防衛大学校の同期で、同じ部屋で苦楽を共にした男です。私も、
政治の決定により二度、隊員を率いて中東に赴きました。彼の思いは私なりに非常に分かると思いました。任務半ば、これは非常に重たいものです。恐らく、多くの現場を踏まれた
麻生総理にはよく分かると思います。
派遣部隊長は、
派遣の前から隊員の気持ちをどんどんどんどん上げていきます。これは国益なんだ、中東の安定のため、あるいは
日本あるいは中東との二国間
関係の強化のため、いろんな国益のためなんだという思いがあるからこそ厳しい環境の中でも頑張れる、私はそう思います。
しかしながら、民主党の議員からは、当初は
活動自体は
賛成だと言っておられたんですけれども、急遽
反対、
憲法違反であるという
指摘がなされました。行くときは国益のためだ、帰ってくるときは
憲法違反だと、これは無念だったと思います。しかも、小沢代表の息子さんは、以前は
海上自衛隊の幹部自衛官。その気持ちを
考えると、私もたまらないなという感じがいたします。さぞや無念だったと思います。
これを、資料の一枚目を見てください。(資料提示)
これは、
活動の中断前後に欧米からのマスコミから寄せられた批判のコメントです。武士道ではない、
日本は憶病者だ、中断から得られる
日本の国益は何一つない、あるいは、厳しい軍事的任務を他国に恥知らずにも押し付ける昔の
日本になってしまったのか等々、こういう批判がございます。商売は信用が大事だ、
外交は
信頼関係が最も大事だと言われます。中断により、これまで湾岸戦争以来培ってきた
信頼関係が揺らいだとの
指摘もあります。
湾岸戦争終了後、
海上自衛隊の掃海
部隊がペルシャ湾に
派遣されました。バーレーンには
日本の企業が多く進出していましたが、湾岸戦争が始まって以来、
各国が軍隊を
派遣したにもかかわらず
日本からの
貢献はなかった。これによって
日本は何もしない国だと言われ、
日本の信用は急激に薄れ、
日本企業への商談は激減し、肩身の狭い思いをしたと言います。バハレーン
日本人会のある会員は、
海上自衛隊の船の旗を見たときに涙が出たと隊員に言われたそうです。また、
海上自衛隊の掃海艇の司令官は、ほかの国の
派遣部隊司令官から、なぜ我々の国の若者が
日本のタンカーを守るために危険にさらされないといけないのかと批判されたそうです。それに対し
海上自衛隊の司令は、
日本国民も一人当たり一万円を払い
国際貢献をしたんだと反論したら、そんなことでペルシャ湾に来なくて済むなら今すぐ払ってやるよと言われたそうです。これが現場、現実です。
昨年、
海上自衛隊の
活動が中断しており、同じ中東には、クウェートそしてゴラン高原で
自衛隊が国益のために汗を流しておられました。私も中断間にクウェートとゴラン高原を訪れましたが、隊員のやせ我慢が見て取れました。周辺からはいろいろ言われていたと思います。
そこで、
総理にお伺いします。
来年の一月から
日本は国連安保理の非常任理事国になり、すなわち安保理メンバーになります。そのタイミングで、しかも
インド洋での
海上阻止活動には国連の
安保理決議一七七六、一八三三で
評価され、継続要望もなされています。この時点で
インド洋での
補給支援が中断とか撤収した場合、安保理メンバーの
日本の
信頼は大きく失墜すると懸念します。さらに、度重なる撤収による
派遣隊員の士気の低下も心配されます。
総理は
自衛隊の最高指揮官でもあります。不退転の決意を、
テロとの
戦いから逃げない強い思いを、
国民と
派遣されている
自衛隊員、そして次の
派遣を準備している隊員、そして家族にその思いを伝えていただきたいと思います。お願いします。