○広津
委員 本日は、御質問の
機会を与えていただきまして、まことにありがとうございました。
米国のサブプライムローン問題に端を発した厳しい環境のもとで、
地域経済の担い手である
中小企業を支援していくことは、喫緊の課題であり、大変重要なことであると私も思っております。
けれ
ども、対応を考えるには、原因を明確にして、その原因をなくすか、弱い部分があればその部分を
強化しなければなりませんので、まず、原因が何であったのかをもう少し詰めたいと思い、御質問させていただきます。
また、今つくろうとしている
金融機能の
強化のための
特別措置に関する
法律につきましては、国の
資本参加の要件を一部緩和して、
金融機関の
経営責任等の明確化の要件や、抜本的な
組織再編を伴わない場合に加重されていた要件を、制度上、一律には求めないこととし、公的
資金を注入しやすくしております。
しかしながら、国が
資本参加して
金融機関の
資金を潤沢にすれば、
金融機関が
中小企業に対して適切な仲介
機能を発揮して
中小企業への貸し付けをふやすか否かにつきましては、バブル時代から今まで
金融機関の行動を見てきた私といたしましては疑問を感じております。
実は、私は、公認会計士、税理士として、衆議院議員になる前に、大
中小企業の監査とか税務コンサルティング、それから
金融商品のアドバイスとか、それから
金融機関の監査もやっておりましたので、中身も多少というか、
かなり知っております。
そして、その理由は、この数年間、
金融緩和策がとられ、
金融機関は、史上最低の金利で
資金を調達できていたにもかかわらず、その間にその
資金を、
中小企業の将来性を見つけて、これを育て、我が国の
産業を育成するために融資したという部分よりも、大量にある
資金を大量にはくために、横並びで国債や株式を購入し、あるいはアメリカのサブプライムローンのような
金融商品に
投資してきたという部分が多かったと思うからです。
どこにどれだけの
資金を配分してきたのかというブレークダウンを
金融庁に求めまして資料をもらいましたので、お配りした資料に書いてあります。
まず、一ページ目は表紙なので、二ページ目をごらんください。
サブプライムローンとは、低所得者向けの住宅ローンで、当初の金利は年五、六%と安く、数年後に住宅の
担保価値が上がらなければ一〇%を超える高金利となり、住宅が値上がりすれば、
担保価値が高まって、サブプライムより金利の低いプライムローンに借りかえができるというもので、低所得者向けの融資です。
つまり、このスキームの中には、住宅
価格が上昇すれば金利が下げられるけれ
ども、そうでなければ金利が上がるというギャンブル的な要素が既に含まれており、低所得者にとってはリスキーな住宅ローンであると言わざるを得ません。
次のページをごらんください。
今回、住宅
価格が上昇せずに、サブプライムローンの利用者は返済に行き詰まって、このページ三のように、二〇〇五年半ばまで一〇%台であった延滞率が、二〇〇六年の十月から十二月期には一三・三%に上昇しました。
そして、二〇〇六年十二月以降、サブプライムローンを手がけていた中小ローン会社約二十社がローンの焦げつきのために
経営破綻し、
取引銀行から融資打ち切りを通告された大手のニューセンチュリー・フィナンシャルがニューヨーク証券
取引所で上場廃止となって、先月のリーマン・ブラザーズの破綻と同じように、さらに破綻する会社が出てくるとの見方から、同日の株価が大幅に下落し、
世界同時株安の一因となったものです。
しかしながら、返済能力の低い低所得者に対して数年後には金利が上がる確率の高いちょっとギャンブル的な要素を組み込んだローンは、もともと高い貸し倒れのリスクを持っており、証券化商品としてそのリスクが多くの人にばらまかれたとしても、一人一人のリスクの高さには変わりがありません。
このような低所得者に対して借り入れ時には低い利率で借りやすいけれ
ども数年後に利率が上がる危険なローンに、大量の
資金を投入していた我が国の
金融機関も、注意力もしくは誠実性に欠けると思わざるを得ません。
そのため、今後、
中小企業の将来性を見て、こつこつとこれを育て、我が国の
産業を育成させる目的で
金融機関に公的
資金を投入したいのであれば、そうさせるための縛りと申しますか、制限を設けなければならないと思いますが、いかがでしょうか。
まず、全部御説明してから、質問をまとめます。
次のページ四をごらんください。
ページ四とページ五、ページ六に、国内の
銀行、信用金庫、信用
組合における資産運用残高の推移を載せました。貸出金の残高と
有価証券残高が運用資産全体に対してどれだけのパーセンテージになっているかを、
金融庁の資料をもとに計算したものです。
この貸出金残高の中には、大
企業への貸出金やサブプライムローンなどの貸出金、例えばハワイでゴルフ場をつくるための貸出金な
ども入っておりますので、この貸出金は
中小企業のための貸出金だけではないんですが、まずは、国内
銀行で六六から七〇%が貸出金に使われており、三〇から三四%ぐらいが
有価証券に出資されているということです。ページ五の信用金庫になりますと、貸出金が六六から七〇%、
有価証券残高は三〇から三四%です。六ページの信用
組合になりますと、貸出金の割合がふえまして、七四から七六%、
有価証券が二四から二六%であって、それでも全部が貸出金ではないということです。
次に、
銀行はどうなっているのかということで、具体的な個別の
銀行を見ました。
ページ七をごらんください。
全部では、ページ七からページ十一に、みずほ
銀行、三菱東京UFJ
銀行、三井住友
銀行、
地方銀行の代表の横浜
銀行、北洋
銀行の貸出金、
有価証券の資産運用残高と貸出金残高、
中小企業向け貸出金残高、
有価証券残高、債権残高、株式残高を金額とパーセンテージで出しております。
まず、みずほ
銀行を見ますと、貸出金・
有価証券合計残高、これが運用資産全体です。これは貸出金残高と
有価証券残高の合計になっておりまして、これを足すと一〇〇%です。この貸出金残高の中に
中小企業向け貸出金残高というのが入っておりまして、その他の貸出金は、大
企業とかその他の部分です。あと、
有価証券残高の中には、国債、公債、社債などの債権残高と株式残高があります。
中小企業向けにどれだけ貸し出しをしているかといいますと、みずほ
銀行の場合は四八%から五四%、債権残高が二四から三三%、株式残高が二から四%ということになります。先ほど、午前中の資料を見ましたら、JAバンクやゆうちょ
銀行の預貯金残高が物すごく多いので、これも調べればよかったなと思ったんですが、そこまでやっていませんでした。
次に、三菱東京UFJ
銀行をごらんください。八ページになります。ここは、
中小企業向けの貸出金残高は三五から三八%程度しかありません。債権残高は一八から二七%、株式残高が四から七%程度になります。
かなり中小企業には薄いということになります。
三井住友
銀行のケースを見ますと、九ページです。
中小企業向けの貸出金の残高は四五から四九%くらい、債権残高が一五から二二%、株式残高は四から七%です。
横浜
銀行、ページ十ですが、ここは
中小企業向けに六七から七二%を貸してくれています。債権残高は一〇から一三%、株式残高は二から三%ということです。
地方銀行ですから、当然といえば当然かもしれません。
最後のページなんですが、同じ
地方銀行の北洋
銀行で、午前中に
中小企業の貸し出しが本命と説明してくださった
横内会長がここの頭取なんですけれ
ども、四七から五〇%くらいが
中小企業向け、それで債権残高が一六から二三%、株式残高が二から四%ということで、
地方銀行でも五〇%程度ぐらいしかなくて、七〇%の
中小企業向けの貸し出しはしてくれていないということになります。
このグラフによれば、
中小企業向けの貸出金残高が一番高いのは、
地方銀行である横浜
銀行の七〇%前後です。同じ
地方銀行である北洋
銀行は四八から四九%と低くなっております。
地域に根差した
地方銀行なんですから、
有価証券での運用よりも
中小企業への貸し出し割合をふやしていただきたいなと私は個人的に思います。
また、ページ七の、都市
銀行であるみずほ
銀行の
中小企業向け貸出金残高は五〇%前後であり、ページ八の三菱東京UFJ
銀行では三五から三八%程度、ページ九の三井住友
銀行では四五から五〇%程度ということで、同じ都市
銀行の中でもいろいろな割合になっているということがわかります。
銀行のポリシーによるのだと思います。大
企業への融資があることを考えても、都市
銀行でも五〇%くらいは
中小企業に貸してもらえないかなと思います。
このような
状況ですから、サブプライムローンなどの余り感心できない、しかも外国の
金融商品に
投資しているよりは、
地方銀行で七〇%、都市
銀行では、大
企業への貸し出しもありますから、五〇%程度の運用資産を、
中小企業を育てて、次の
日本の
産業を育てる
資金として運用されるよう求めたいと思います。そのために、そのような規制が入るよう提案をいたします。
なお、米議会では、サブプライムローンの利用者保護や規制
強化の
動きが活発になっており、クリストファー・ドッド上院
銀行住宅都市
委員長は、ローン利用者の二百万人が家を失うかもしれない、こういう
状況を黙って見ているわけにはいかないと述べ、公聴会を開いて利用者の支援を具体的に検討していく考えを表明されたそうです。また、バーニー・フランク下院
金融サービス
委員長も規制
強化の法案を計画しているそうです。
我が国も、このような利用者を食い物にするような危険な
金融商品につきましては、サブプライムローンに限らず、何らかの規制がかけられないものかと思いますので、これも重ねて御検討をお願いします。
まず、この二問、お願いします。