○篠原
委員 わかりました。読んでおかなくちゃいけないとかいうことは申し上げませんけれ
ども、いずれ必ず熟読していただきたいと
思います。
私は、この村田良平さんという方、お会いしたことはありません。しかし、かねてから、いろいろ書かれた著書を読んでいます。一番古いのは、本棚にあったんですが、「
中東という
世界」という古いのがありました。それから「OECD」、私はOECDの代表部にいたことがありまして、それから「海洋をめぐる
世界と
日本」、私は海洋法を
アメリカに留学させていただいたときに勉強しましたので、同じ分野をちょっとずつやっておるので親近感を持って読んでおりまして、それで気になっていたんです。
これは資料で皆さんのところにお配りしてありますけれ
ども、ちょっと見てください。書評のところです。でっかい字でやっておりますから老眼っぽい人でも読めるはずですけれ
ども、見てください。
日本経済新聞の「村田良平回想録」、「本流らしくない
外交観明かす」というのですね。下段の右側の方から「ドイツ語研修だった著者」のところを見てください。「
米国になじめぬものを感じていた。
日米同盟は「やむを得ないもの」ではあるが「本来望ましくないもの」」と
指摘しておられます。そして「非核三原則と事前協議をめぐる
政府の国会答弁を「
国民を欺き続けて今日に至っている」」と書いておられる。
今、田母神航空幕僚長が、現職でありながら
日本国
政府の大方針に反する論文を書いて、開き直っておられて問題になっています。私は、元事務次官といえ
どもOBになられたら自由にいろいろなことをおっしゃっていいと
思います。私は感心しました。
読んでおられないということで、
大臣もお忙しくて多分読んでおられないだろうと
思いますので、その一端をちょっと読ませていただきますと、これは
外務省の皆さん、後輩にも読んでほしいということで、第十三章に「後に続く世代への願い」ということで、「
外務省の若い世代への伝言」というのが第一節。第二節に「私の内心の葛藤」、その一、その二、その三といって、ここに非常に、村田良平さんの、何というか真情の吐露があるんじゃないかと
思います。心の葛藤と言っておられます。
その中にどういった大胆なことが書いてあるかというと、私はびっくり仰天します。ちょっと紹介させていただきます。
「
米国の
日本防衛義務は、条約の主眼ではないし、事前協議、
日米安全保障協議
委員会等の規定は、
日本の主権を一応尊重するとの体裁を整えた内容の空虚なものにすぎない。」そして「
日米安保条約は、
国際情勢は著しく変ったのに、一度も改正されず、締結時から既に四八年も経っている。一体何時までこの形を続けるのか。」そして問題の「
日米同盟の本質」というサブパラグラフのところで、
同盟とは騎士と馬から成るとの名言をビスマルクが残した、そして
日米同盟の場合は「騎士たる
米国に、
日本の領土にある基地も、自衛隊も、いいように利用され続けている。」こうやって書いておられます。
そして、二百八十八ページに、今の問題の書評に引用してある場面があるわけです。
日米同盟というのは「「やむを得ないもの」ではあるが「本来望ましくないもの」という当初からの安保条約との心理的葛藤はずっと続いていた。」ということですね。そして、冷戦が終わったりしたら「在日
米軍及び
日本の自衛隊の態様と任務は正式に
日米両国
政府間で見直されるべきであった。」
日米の完全な平等などはあり得ないとしても、より
日本側の発言力が増大して当然である。
日米同盟について、第一線にあられた方が非常に率直に述べておられる。それで、「
日本側にも自主性が欠けすぎて
米軍を甘やかしていたからで、むしろ
日本の責任といえよう。」というので、
思いやり予算を、簡単に言うとぶった切っております。こんなのをいつまで続けるんだと。
そして、今の問題のところ、ここはちょっと長いのですが、読ませていただきます。皆さんが触れられているアフガン、それから給油の問題です。
「
アフガニスタン対策としてのインド洋への海上自衛隊艦艇の派遣、
イラクへの陸上及び航空自衛隊の派遣は、すべて基本的には
米国の意向や希望を容れて行われた。しかし、
米国はその後の北朝鮮の核問題のハンドリング一つを見ても、北朝鮮と直接交渉を行って、実質的に
日本を裏切った。」と。松原さんが
指摘しそうなことですよね。「
日本には高価にしてかつ有効度の不明なミサイル防衛
体制の導入を求めている。
日本自体の核抑止力保持についてはNPTという古証文及び中国、ロシアとの談合の結果として、絶対に認めないとの方針を
米国は変える気はないのである。」こういう記述が延々と続くわけです。
私は、参考人とかで、糾弾する云々じゃなくて、ぜひ村田さんの話をゆっくりじかに聞いてみたい気がいたします。
外交のトップにあられた方、私は、これは村田さんだからできたんじゃないかと、余計なことですけれ
ども、
思います。なぜかというと、この書評のところにありますように、
アメリカ大使館に行って戻って、
アメリカ大使館に行って戻って、後でちょっと触れますけれ
ども、
河相さんのような超エリートコースを歩んでおられる方じゃなくて、ドイツへ行ったりちょこちょこされていて、そして、ちょっと何か、どこで間違ったか、間違ってはいないんだろうと
思いますが、偶然
アメリカ大使になられた。だから、斜めから客観的に見られたのです。
客観的に自分を見られるとか見られないとかいっていろいろ言われた方もありますけれ
ども、やはりポジション、ポジションで客観的に見られるか。
アメリカばかりだったら、
アメリカにのめり込んで、すっかりそれに洗脳されてしまうような感じになる。しかし、違う立場から見られたんですね。私はそういう偶然の産物だと思うんです。
今私がかわりに読み上げたような、村田元
外務次官、元駐米大使、この
日米同盟観について、
大臣はどのようにお
考えになりますでしょうか。