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佐藤正久君 要は、自衛隊というのは実行組織という側面があると。普通の行政組織とまた違う側面があるというふうに私も思います。これが、
防衛省がほかの役所と違うことは、国内最大の武装組織たる自衛隊を管理し運用するというところにあると思います。
資料の第三を御覧ください。
ここに国家行政組織法が抜粋してありますけれども、
防衛省を他の省庁と同じ感覚で扱っているためか、特異性を何一つ記載してありません。他省庁と同様に事務次官を置くとだけあります。ここに
大臣がよく言われます市ケ谷中央が使いづらい組織だと言われる一要因があると私は考えます。
次が
防衛省設置法です。ここで
大臣を支えるべき重要スタッフとして、
防衛参
事官があります。
防衛参
事官は、専属的な所掌を持たずに、フリーに大所高所から
大臣を補佐する趣旨で設立されました。
防衛参
事官にはこれまで自衛官が就いたことはありません。現在も、この設置法第九条にあるとおり、ラインの官房長、
局長がスタッフとして就いており、他省庁からの出向者を含め三名がそのほかにいると。さらに、第十二条により、
局長、官房長は、
大臣を補佐する観点から、各幕僚長を指示し承認し監督する
立場にあると。
この規定を見て分かるとおり、
大臣が、文官と自衛官には上下
関係がないんだと、並列で
大臣を支えてほしいと願っても実質上下
関係があります。俗に言う文官統制と言われる部分だと私は思います。
資料の第四を御覧ください。
今言ったことをイメージとして、組織図を作りました。
今、事務次官というものが
大臣の、副
大臣の下では事務方のトップとしておられ、そこで有事、軍政と軍令も併せ持って同時並行的に一人が補佐していると。軍事的な専門家でない方が
大臣を補佐するという位置にあり、権限も物すごく集中しやすいという部署があります。そしてまた、
防衛参
事官も次官の下にあって、ラインの
局長がスタッフを兼務していると。であれば、やはり自分の縄張ありますから、大所高所からフリーで補佐をするということは、今回の「あたご」の件見てもどうなのかなという感じが個人的にはしています。
また、官房長、
局長が指示、承認、監督するために、どうしても
大臣と制服との意識の乖離、これがあります。
大臣に直接物を申すという状況には平時はなかなかありません。内局の方々を通して上げるということが、
前回の海幕の
防衛課長の給油取り違え問題で上に上げなかったという部分の遠因にもあるような気がしますし、今回の
報告が内局の中で四十分ぐらい掛かってしまった、あるいは海幕の方から直接
大臣に上げなかった、日ごろの業務、平時の組織がそうなっているがゆえにやっぱり意識的に遠いという部分があるのではないかと思います。
じゃ、
資料の第五をごらんください。
これが
日本と同じイギリスの議院
内閣制における国防省の組織です。国防次官と国防参謀長が横並びで
大臣を支えている。その下に第二次官と国防副参謀長がおられ、これはUC混合として実際の内局的な
仕事をしているというものがあります。
軍のトップが次官の下に位置付けられているという国は余り聞いたことはありません。それは、次官は
役人であってやっぱり責任を取れないということにも原因があると思います。責任を取るのは国防
大臣であり、首相、大統領です。国防省はやっぱり他の役所と違って軍を管理し運用する。責任を取るべき
大臣や首相が軍を管理運用する場合に、軍事的知見とか経験の少なく責任を取ることができない次官を
大臣と軍参謀長の間に入れることは、やっぱり平時管理あるいは実際の有事においても不具合が生じる
可能性があるからかもしれません。経験則からかもしれません。
資料第六をごらんください。
それを踏まえて、非常にアバウトな一つのイメージですけれども、やはり
大臣を補佐するためのもの、参
事官よりも補佐官という表現の方が適当だと思いますけれども、それはやっぱり
大臣のそばに置くべきだと。しかも、政治任用すれば事務方との良い緊張
関係も生まれ、守屋前次官の収賄容疑のようなことも起きなかったかもしれません。
また、両方が事務方あるいは制服の方が、それぞれ専門分野で
大臣を直接補佐をする、権限も分散するというやり方も一案かもしれませんし、有事には軍政と軍令は同時並行的に走ります。軍令というのはやっぱりきちっと切り分けながら、そういう
統合司令部的なものを日ごろから、少なくても小さくてもいいですけれども持っておくという部分も必要ではないかなと思います。
そこで
大臣にお
伺いします。
大臣の補佐体制に対する問題意識と私の考えに対する御意見を含め、今後の
防衛省改革に対する御決意をお聞かせ願いたいと思います。