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2008-03-21 第169回国会 参議院 予算委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年三月二十一日(金曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  三月十九日     辞任         補欠選任      福山 哲郎君     武内 則男君      荒井 広幸君     牧野たかお君      石井 準一君     末松 信介君      森 まさこ君     長谷川大紋君      山下 芳生君     仁比 聡平君      近藤 正道君     又市 征治君  三月二十一日     辞任         補欠選任      大久保 勉君     鈴木  寛君      轟木 利治君     川合 孝典君      浮島とも子君     谷合 正明君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         鴻池 祥肇君     理 事                 尾立 源幸君                 櫻井  充君                 津田弥太郎君                 羽田雄一郎君                 水岡 俊一君                 椎名 一保君                 伊達 忠一君                 林  芳正君                 山口那津男君     委 員                 相原久美子君                 石井  一君                 植松恵美子君                 大石 尚子君                 大久保潔重君                 川合 孝典君                 自見庄三郎君                 鈴木  寛君                 武内 則男君                 辻  泰弘君                 友近 聡朗君                 内藤 正光君                 中谷 智司君                 平野 達男君                 藤原 良信君                 森 ゆうこ君                 森田  高君                 米長 晴信君                 有村 治子君                 加納 時男君                 河合 常則君                 佐藤 信秋君                 末松 信介君                 田村耕太郎君                 谷川 秀善君                 南野知惠子君                 長谷川大紋君                 牧野たかお君                 松村 龍二君                 山田 俊男君                 谷合 正明君                 渡辺 孝男君                 鰐淵 洋子君                 仁比 聡平君                 又市 征治君    国務大臣        総務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣地方分        権改革))    増田 寛也君        財務大臣     額賀福志郎君        文部科学大臣   渡海紀三朗君        厚生労働大臣   舛添 要一君        農林水産大臣   若林 正俊君        経済産業大臣   甘利  明君        国土交通大臣   冬柴 鐵三君        環境大臣     鴨下 一郎君        防衛大臣     石破  茂君        国務大臣        (内閣官房長官) 町村 信孝君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策、規        制改革国民生        活、科学技術政        策))      岸田 文雄君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策))    大田 弘子君    副大臣        財務大臣    遠藤 乙彦君        厚生労働大臣  岸  宏一君        国土交通大臣  平井たくや君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       澤  雄二君        経済産業大臣政        務官       荻原 健司君        国土交通大臣政        務官       谷  公一君        環境大臣政務官  並木 正芳君        防衛大臣政務官  秋元  司君    事務局側        常任委員会専門        員        村松  帝君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      山崎 史郎君        外務大臣官房参        事官       小原 雅博君        財務省主計局長  杉本 和行君        文部科学省高等        教育局長     清水  潔君        厚生労働省健康        局長       西山 正徳君        厚生労働省医薬        食品局長     高橋 直人君        厚生労働省職業        能力開発局長   新島 良夫君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    中村 吉夫君        厚生労働省保険        局長       水田 邦雄君        社会保険庁運営        部長       石井 博史君        農林水産省農村        振興局長     中條 康朗君        水産庁長官    山田 修路君        経済産業省商務        情報政策局長   岡田 秀一君        国土交通大臣官        房技術審議官   佐藤 直良君        国土交通省総合        政策局長     榊  正剛君        国土交通省国土        計画局長     辻原 俊博君        国土交通道路        局長       宮田 年耕君        国土交通省鉄道        局長       大口 清一君        国土交通省自動        車交通局長    本田  勝君        国土交通省海事        局長       春成  誠君        海上保安庁次長  影山 幹雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成二十年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成二十年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成二十年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成二十年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告をいたします。  本日は、一般質疑を百二十分行うこととし、各会派への割当て時間は、民主党・新緑風会・国民新日本七十分、自由民主党・無所属の会二十六分、公明党十二分、日本共産党六分、社会民主党・護憲連合六分とすること、質疑順位につきましてはお手元質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  3. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 平成二十年度一般会計予算平成二十年度特別会計予算平成二十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。平野達男君。
  4. 平野達男

    平野達男君 おはようございます。平野達男でございます。  前回に引き続きまして、今日は道路関係の問題から質問をさせていただきます。  まず、大田大臣に、先般、固定資本減耗日本欧米諸国に対して高いんじゃないかということで何点か質問させていただきましたけれども、我が国、今社会資本ストックが随分の量たまっております。そろそろこれからのGDP伸び等々を考えますと、新規投資というのはできるだけ抑える、既存施設をもっともっと使う、そういった発想の転換が必要な時期に来ているんではないかと思いますが、大臣、どのような御見解をお持ちでしょうか。
  5. 大田弘子

    国務大臣大田弘子君) 御指摘のように、社会資本ストック増加傾向にあります。内閣府で出しました「日本社会資本二〇〇七」によりますと、二〇〇三年度時点で約七百兆円近くの社会資本になっておりまして、それに伴って維持更新にかかわる経費も高くなります。  平成十七年度の国土交通白書によりますと、二〇〇四年度時点維持管理更新費投資可能額のうち三一%でした。これが仮に二〇〇五年度からこの投資可能額一定に保った場合、二〇三〇年にはこれが六五%になるという厳しい見通しになっております。  したがいまして、先生がおっしゃいますように、効率的な維持管理をしながら、新規投資も必要なものに集中させていくということが必要になってまいります。
  6. 平野達男

    平野達男君 そこで、施設管理ということにつきましては、アセットマネジメントというような言葉がございますけれども、これについては国交省なんかがもう既に相当程度研究を重ねてきているみたいなんですが、政府社会資本全般につきましてこのアセットマネジメントどうあるべきか。これはもう大田大臣のところで音頭を取りながらしっかりその在り方の検討を進めていくべきではないかというふうに思っておりますが、見解を伺いたいと思います。
  7. 大田弘子

    国務大臣大田弘子君) 先生が主張しておられますこのアセットマネジメントというのは、まさに効率的に計画的に維持管理を行っていく、そして施設をなるべく寿命を長くする、それから既存ストックを有効活用する、そして社会資本全体でライフサイクルコスト、この施設ライフサイクルコストを縮減していくということは大変重要だと存じます。  平成二十年度予算編成基本方針におきましても、このような考え方を盛り込んでおります。この考え方に基づいて政府全体で取組を進めていきたいと存じます。
  8. 平野達男

    平野達男君 冬柴大臣、突然ですけれども、今までの御議論を聞いて何かコメントがございますれば。
  9. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 我々もパット・チョートさんが警告したような「荒廃するアメリカ」、こういうことが日本で起こらないようにいろいろ平素から、造るもの、そしてまた管理してライフサイクルを延ばすもの、そういうものを注力をしながらやっていかなきゃならないと思いますが、今から十年というのは、その意味ではアメリカにおける一九三〇年代といいますか四〇年代、そういうような時代を想起するわけですけれども、我々は、そういうもので落橋したりするようなことをするんではなしに、平素からこのライフサイクルを延ばすような事情というものに注力しなきゃならないということを感じております。
  10. 平野達男

    平野達男君 大田大臣、もう一点だけ、これは通告していませんが質問いたしますが、GDP伸び率予測するのに、十年後、二十年後、三十年後、四十年後、これはどれだけの信憑性をもって予想が可能なんでしょうか。
  11. 大田弘子

    国務大臣大田弘子君) 様々な不確定要因がございますけれども、そこは何のために推計するのかという目標に沿って可能な限りの外生的な数字を入れて予測していくということになります。
  12. 平野達男

    平野達男君 信憑性をちょっとお伺いしたいんですが、答えられなければ答えられないということで結構なんですが、もう一度見解をちょっとお伺いします。
  13. 大田弘子

    国務大臣大田弘子君) 先の遠い、二十年後、三十年後ですと、その信憑性という言葉ではなかなかそれは蓋然性高くはできないんだと思いますけれども、といって、全く信憑性がないと言ってしまいますとあらゆる推計はもう使えなくなってしまいますので、可能な限りはやりますけれども、なかなか先を見通すのは難しいというのも現実でございます。
  14. 平野達男

    平野達男君 実はこのGDPの長期間にわたる予測に基づいて交通量予測がされているわけです。そういった意味で今ちょっと大田大臣質問いたしましたが、引き続きそのBバイCの話に入らせていただきますが、もし大田大臣、御都合があるようですから、委員長、私は大田大臣、結構ですので、退席いただいて結構です。
  15. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) どうぞ、よろしければ。
  16. 平野達男

    平野達男君 それでは、質問通告に基づいて質問させていただきます。  まず、費用効果分析につきまして政府見解が出されています。二月二十八日の予算委員会衆議院予算委員会で出された政府見解、もう一度朗読していただけますか。
  17. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 二月二十八日政府統一見解、読み上げさせていただきます。  一、道路事業においては、便益費用を上回る、BバイCが一を超えることを採択の基準としているところ。  二、今般、中期計画に合わせて行った高規格幹線道路の未供用区間についての「点検」では、平成十七年の交通センサスを基にした交通量予測値減少傾向にあることを踏まえ、費用便益の計算で通常一・〇を用いるところを、交通需要変動に備えるため、一・二に引き上げて「検証」を行ったところ。  この場合、一・二を下回るものについては、恒久二車線化や一部現道の活用等により、費用便益が一・二を上回ることが確認されない限り、整備は行わないということを申し上げてきた。  三、ただし、このことをもって高規格幹線道路をすべて整備することを決定したわけではない。  四、個別事業採択に際しては、本年秋に作業が完了する新しい需要推計結果のみならず、その時点で活用可能な最新データに基づいて客観的かつ厳格な事業評価を行い、便益費用を上回る場合に限り整備するとの考え方に変わりない。  以上でございます。
  18. 平野達男

    平野達男君 今の政府見解の中の四項目めは、平成十七年センサスに基づいた新しいデータに基づく再評価評価につきましては、新規採択しかやらないということの見解でした。  先般の集中審議ではこの見解を変えたというふうに理解しておりますが、そういう理解でよろしいでしょうか。
  19. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 先般の平野委員質問に答えまして、事業中のものについても新しいデータに基づきましてBバイCをきちっと取り直しますということを申し上げましたので、その意味では、変更したというよりは、その後、それを付け加えたと申しますか、そういうことであろうと思います。
  20. 平野達男

    平野達男君 お手元資料が配付されていると思いますが、まだ配付されていませんか。  資料の一ページ目に、高規格幹線道路点検ということで、今、未供用区間が四千七百二十二キロメートルございます。そして、民営化時に評価を行った区間の延長がそのうち一千八百二十二キロメートル、そしてこの中期計画で、素案評価を行った区間が二千九百キロメートルございます。この区間すべて対象だというふうに理解してよろしいですね。
  21. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) はい、対象として点検をやります。
  22. 平野達男

    平野達男君 もう一点、政府見解についてお伺いします。  一・二の解釈なんですが、先ほどの政府見解の二項目めでは、平成十七年の道路交通センサスを基にした交通量予測値減少傾向にあることを踏まえ、一・〇を用いているところを一・二を用いたんだと言っておりますが、道路中期計画素案では、未事業化区間で、一部ルートやICの位置が確定していないなど、事業費の不確実性等ということで、表現がちょっと違っておりますが、どちらが正しいんでしょうか、これは。
  23. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  御指摘のように、中期計画素案の冊子では、事業費の不確実性等を加味しと記載しておりますが、この「等」は交通量変動のことを意味をしております。一方、政府見解では、それまでの国会での議論経過を踏まえて、考慮する要因として交通量予測減少傾向にあることと明記したものですが、いずれにしても、考慮する要因として交通量事業量を加味しているという考え方には変わりございません。
  24. 平野達男

    平野達男君 政府見解は、これは「等」を、抜けてしまっているんですね、細かい話になるかもしれませんが。交通量予測減少が見込まれるということは、これはBの話なんです。事業費変動が見込まれるというのはCの話なんですね。こちらの方は代表としてCの話をしているんです。政府見解はBの話をしている。これはきっちりやっぱり修正が必要じゃないかと思いますが、政府見解として出された以上は。どうでしょうか、道路局長見解をお願いします。
  25. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 今お答えしたとおりでございますが、「等」と申し上げますのは交通量変動を含んでおります。ただ、素案作成段階では、点検結果、これが整備の進め方をグループ分けしたということで、コスト縮減、どういうふうにコスト縮減をするかということを強く意識をしました。そういう整理から、事業費の不確実性を先に出して、交通量の方を「等」と表現したものでございます。
  26. 平野達男

    平野達男君 いずれ、政府見解ですからね、こういったところには細心の注意が必要だと思いますよ。この一・二の数字というのはこの今回の調査では結構私は重いと思っています。この位置付けはしっかり確定しておかないと、こっちでこういう言い方をする、こっちでこういう言い方をするということは、これはやめた方がいいと思いますね。  それから、もう一つ確認をいたしますが、新しいデータに基づく評価、これをやっていただくわけですが、まず一点確認、これからそれをやるに先立って、二〇三〇年以降の予測交通量を固定しながら今回のこの中期計画では評価をやっていましたが、これについては見直すということを、再度ということでよろしいですね。
  27. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  本年秋に作業が完了する新しい交通需要推計の結果を用いまして高規格幹線道路評価を行う際には、将来交通量一定とはせず、交通需要推計変動を加味した交通量で行うことといたします。
  28. 平野達男

    平野達男君 さらにもう一点、これも二十八日に議論になりましたけれども、いわゆる単価を設定する際の機会費用、かなり高いこれ数字になっておりますけれども、これも是非有識者でも何でもいいですが、できれば御用学者を使わない形で評価をしていただくということで、検討していただくということでよろしいですね。
  29. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 御指摘の時間評価原単位、これも含めまして、事業評価手法につきましては本年秋までに見直す、そういうことを予定しておりますが、見直しの過程で有識者等意見を聴きながら検討を進めまして、御指摘のように、その結果を反映した新しい費用便益マニュアル評価を行いたいと考えております。
  30. 平野達男

    平野達男君 今回は検討にもう一点要望を申し上げたいと思いますけれども、おととい、福山委員事業費変動の話を盛んにされておりました。当初計画事業費が、終わってみれば二倍、三倍になっている。これを評価時点にどのように盛り込むか。これ一・二という数字ではちょっと小さ過ぎるんじゃないかと思うんですが、これについても是非これは検討すべきだと思いますが、道路局長、どうでしょうか。
  31. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 今ございます評価マニュアルでもそういう評価プラスマイナス一〇%をするようにということが書いてございます。  若干触れさせていただきますと、昨日、福山委員事業費変動ということでお話がございましたが、三十年以上前の事業でございますとか相当古いデータが入っておりまして、平成十年度以降、これは評価を始めた以降でございますが、最近十年間に事業化したものに限ってそういうものを計算いたしますと、平均の事業増加率というのは一割未満ということでございます。いろんな評価とかあるいはプログラムを組んでやっているということで、変動率として一〇%以内ということでございます。  いずれにしましても、こういうものを踏まえて秋に向けての事業評価検討してまいりたいと考えてございます。
  32. 平野達男

    平野達男君 是非そういったデータも含めて公表して、検討経過を明らかにしながらやっていただきたいと思います。  それから、あといずれ、こういった、今、私三項目項目に対して申し上げましたけれども、それ以外にもし修正することがあれば修正したらいいと思いますが、なぜ修正をしたのか、その経過もきちっと分かるように公表してもらうということでよろしいでしょうか。
  33. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 秋に評価を行う際にはこれまでとの変更点、そういうものを含めまして、できる限り分かりやすい説明というのにも努めてまいりたいと考えております。
  34. 平野達男

    平野達男君 最後にもう一つ。  政府見解に私は修正若しくは必ず追加をしていただきたいと思います。今ここで新しい政府見解を求めるというのは時間的にちょっと問題があると思いますから今は求めませんが、できれば今日中にどこかの時間帯で、政府見解ということで今言ったようなことについて、特に未供用区間についての再評価をやるということを入れた政府見解を出していただきたいと思います。  大臣、どうでしょうか。
  35. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 新たな政府見解をまとめるかどうかということにつきましても、できれば委員長の御判断で理事会にお諮りをいただいて、与党の御意見も伺いながらさせていただきたい、そのように思います。
  36. 平野達男

    平野達男君 是非委員長、よろしくお願いいたします。
  37. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまの件につきましては、理事会で協議をしたいと思います。
  38. 平野達男

    平野達男君 では、次の質問に入りますけれども、今まで過去五か年間で、揮発油税石油ガス税の二分の一の使途、もし道路以外に使うということではこの使途政令で定めておりましたが、今回の新しい法案を、原案、法案を見ますと、政令で定めるということを外しております。  これは、この理由は何でしょうか。これは本当は財務大臣に、財務省にお聞きしたいんですが、どちらでも構いません、答弁は。
  39. 杉本和行

    政府参考人杉本和行君) お答えさせていただきます。  現在の道路財源特例法三条一項の規定は、揮発油税それから石油ガス税税収全額道路整備費に充てることを義務付けております。そうした条項の下で使途拡大は、税収全額道路整備に充てることを前提に、限定されている使途をできるだけ拡大していくということを念頭に置きまして、対象道路整備費につきまして、道路整備に密接に関連する事業を含めるということで、政令によりまして道路整備定義に含めることとされたものでございます。  今回出されております改正法案におきましては、真に必要な道路整備を上回る税収につきましては一般財源として活用することが可能となっておりまして、道路整備費予算を超えるときはこの限りでないというただし書が付いているところでございます。  この見直しによりまして、税収全額道路整備費に使い切る必要がなくなりましたため、道路整備費定義から使用拡大のための道路整備に関する事業を外すこととしたものでございます。
  40. 平野達男

    平野達男君 もう一点お伺いしますが、災害復旧費を今回入れておりますけれども、使途にですね、この災害復旧費を入れた理由は何でしょうか。
  41. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  今回、道路整備事業定義災害復旧事業を加えましたのは、災害復旧事業揮発油税等税収を充てて実施ができるというようにするためでございます。  従来、災害復旧事業一般財源を充てて行われていましたが、道路災害復旧事業対象道路そのものであること、災害により被災した道路施設の機能の回復を図るものであり修繕事業と近い性格を有していること、一度災害が発生すれば道路事業の中で最優先に取り組んでいくこと、そういうことから、揮発油税等の収入額を充てる対象とすることについて納税者の理解が得られるということを考えまして対象にいたしました。
  42. 平野達男

    平野達男君 その災害費用については、今回予算計上していますか。
  43. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 予算は当初予算に計上はしてございません。
  44. 平野達男

    平野達男君 なぜ計上していないんでしょうか。
  45. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 災害復旧は、年度の中で発生して、予備費あるいは補正ということで従来から対処をされております。そういう観点から当初では計上してございません。
  46. 平野達男

    平野達男君 だけど、今回、特定財源を充てるというふうにしたわけですね。それで、ちなみに災害は当年災と過年災があります。災害復旧というのは三年間でやりますから、過去の過年災については事業費が確定しているはずです。予算計上できればできたはずです。これはなぜしなかったんでしょうか。
  47. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 繰り返しの答弁になりますが、補助事業等、こういうものも含まれております。当該年度の災害発生状況を踏まえて、当該年度のそういう補助の申請とか、そういうものも受けて確定するものでございますので、当初予算の段階では見込むことが困難でございます。こうしたことから、過去の災害も勘案しても、当初予算において災害復旧事業費を最初から道路整備費に加えるということは困難であるということでございます。
  48. 平野達男

    平野達男君 公共予算の中には災害復旧として予算は計上されているんですよね。なぜ道路の部分だけは計上できないんですか。
  49. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 災害復旧事業におきましては、当然財務省の方、当初予算において過去の実績等を踏まえて一定額を計上してございますが、災害が発生して初めて支出が確定するものでございますので、当初の予算の段階では道路整備費の中には含まれてございません。
  50. 平野達男

    平野達男君 そうすると、いつの段階で計上するんですか、そうしたら。
  51. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) こうした災害復旧費につきましては、現行の財源特例法第三条におきましては、当初予算においては道路整備費に含めず、決算の段階で、条文もそういう決算というふうになってございますが、決算の段階で含めるという考え方でございます。
  52. 平野達男

    平野達男君 重ねて御質問いたしますけれども、一般予算の、今回の予算書の中には災害復旧費というのがあるんです。その災害復旧費の中には道路は計上されていないんですか。
  53. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 今申し上げましたように、災害復旧費につきましては、過去の実績を踏まえて一定額計上されてございますが、災害が発生して初めて支出が確定しますので、当初の段階で幾らという確定はしておらずに、決算の段階でそこが確定するということでございます。
  54. 平野達男

    平野達男君 局長はもう十分分かっておられると思いますけれども、災害復旧は三年間でやるでしょう。過年災の部分についてはもう事業費確定しているはずですよ。今年度過年災の部分についてどれだけの予算を支出しなくちゃならないかともう決まっておるはずです。何でこれに対して特定財源の計上をしないんですかという話ですよ。
  55. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 先ほども申し上げましたように、補助の方も当然ございます。それから直轄もございますが、その直轄の方は、河川等災害復旧事業費の中の目の道路災害復旧費、当年災分、これのみは計上されてございますが、そのほか、十九年災、十八年災というものについては計上されてございません。
  56. 平野達男

    平野達男君 水掛け論じゃないはずなんですが、なぜ計上しないのかという説明が全然されていませんね。これは計上しようと思ったらできるんですよ。なぜできないのか、ちゃんと説明してください。
  57. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 繰り返しになりますが、その一定額計上をする、しかしながら全体、災害が当該年度起こって、それから補助も含めて災害復旧費が確定するのは決算段階でございます。それを見越して当初段階で入れるというのは困難だということで、決算段階で処理をするということで財源特例法三条の方にもそういう記述をしてございます、規定をしてございます。
  58. 平野達男

    平野達男君 いずれ、見積りであろうが何であろうが、財源の裏打ちというのはできるんです。それが今回の道路財源法の要するに提出した趣旨でしょう。それを計上しない理由を説明してないじゃないですか。ちゃんと説明してくださいよ。
  59. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 冒頭御説明を申し上げました災害復旧費、従来、一般財源が含まれておりましたが、まさに道路が壊れて道路を直していくというその補修の事業でございますので、それを含めて決算段階でガソリン税等を特定財源を充てるということは納税者の理解も得られると。そういうことで新たに災害復旧費、そういうものを一般財源で手当てしてたものも特定財源を充てる、決算段階で整理をするということにいたしたものでございます。
  60. 平野達男

    平野達男君 私の質問に答えていません。決算段階でやるというのはできるんです。それは私は否定しません。だけど、何で予算に計上しないのかということに対しての質問、答えてませんよ。
  61. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 繰り返しのお答えになりますが、一定額について災害復旧費というのは計上できると思いますが、その年度に起こって、最終的に災害復旧費どうなるかということについては、当初段階では確定できません。そういうことから、道路整備の中に含めて計上するというのは困難だと思います。したがいまして、財源特例法三条では決算の段階でそこを整理するというふうな規定にしたものでございます。
  62. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記止めてください。    〔速記中止〕
  63. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記起こしてください。
  64. 平野達男

    平野達男君 いずれ法律でやるとして、決算でやることにしたというのは、それは法律の趣旨はそうなんですけれども、過年災については事業費が確定しているからできるんですよ。  これをやったのはなぜかといったら、一般財源のすき間ができて、これ翌年に繰り越すでしょう。そこを何かうまく、要するに災害復旧に充てようということで全体のつじつまを合わせようとしているんだという意図が見え見えなんですよ。  私は、私の誤解があるなら言ってもらいたいと思いますけれども、こういうやり方をやるからこの特定財源に対していろんな誤解が出てくるんですよ。法律の中では、揮発油税石油ガス税の二分の一を充当しなければならないとちゃんと書いてあるんですよ。書くならば災害復旧の中にも計上しておいてこれに使いますということが当初予算から見えるようにする。  そして、今回の法律の中で一番分かりづらいのは、余った部分については翌年度繰り越しますと言っていますが、これは空手形なんですよ。空手形を用意しておいて決算の段階で災害復旧に充てると言えば、それは説明付くでしょう、それで。決算の段階でありますから、空手形分がありましたから災害復旧に充てますと。だけれども、災害復旧費があってもなくても一般財源に充当するから、特定財源を充当したということは、形だけはそうなったとしても実際は充当しないんですよ。こういうごまかしをやるからいけないということを言いたいんですよ。  そういうことじゃなくて、計上するならちゃんと計上してやればいいという、それを言いたかっただけです。大臣、今の私の答弁聞いて分かりづらかったでしょうか。何かコメントがあればどうぞ言ってください。
  65. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 精緻な立法技術論みたいな感じがいたします。  私は、そこに、しかし決算額ということで条文には書かれておりますので、その扱いが、その書き方、そういうふうにしたのはどうかとおっしゃればそれは別ですけれども、今書かれているのは決算額ということに書かれておりますので、その扱い自身は法に適合したものであろうと思います。しかし、そのような書き方自身に対する御批判、そういうものについて平野委員から御指摘があったということはよく重く受け止めておかなければならないというふうに思います。
  66. 平野達男

    平野達男君 いずれ揮発油税石油ガス税は当初予算全額道路整備に充てちゃっているんですよ。だから、このまま税収がそのまま入ってきて予算が執行されれば災害復旧費の枠はありません。ないんだけれども、すき間ができて四百二十七億の一般財源ができているんです。これはもうほかの方に充てました。決算段階で災害復旧費が出てきて、災害復旧費に充てますね。これは特定財源があろうとなかろうと今まで一般財源から支出したんです。これを今度は、すき間があったやつを特定財源に充てましたという弁解に使って、だから使いましたという、多分その説明に使いたいんだろうと思います。それがごまかしだというんですよ、私に言わせたら。  特定財源で本当に使うなら使うということで当初予算からこうやって支出しておいて、支出するような仕組みにすべきで、そういうことでごまかしごまかしみたいな形でやっちゃうと、特定財源、特定財源といって説明しても、説明の聞く側からすれば本当かいなというような信憑性を疑われるということです。そのことを繰り返し申し上げておきたいと思います。  それから、次の質問に入りますけれども、財務大臣、一般論なんですけれども、予算と歳入関連法案との不一致という問題が過去においてありましたですね。これは売上税のときだったと思いますが、そのときの状況をちょっと、質問通告してなくて申し訳なかったんですが、御説明していただけるでしょうか、記憶のおける範囲で。
  67. 杉本和行

    政府参考人杉本和行君) 歳入予算は一会計年度における歳入の見積りでございまして、これに対して、歳入関係税法等の歳入法案で賦課徴収の権限の付与が与えられるものでございます。したがいまして、予算と法律とは別の法形式になっておりますので、その不一致が起こることもございますし、先生指摘のように売上税のときもそういう事態があったと思います。  そういうときに、予算と法律の不一致ができたときにどうするかでございますが、それはその不一致がないように適切に対応しなきゃいけないということになっておりまして、いずれかの段階でそれをどういうふうに国会で考えていただくのか、政府予算としてどう考えていくのかということになりますので、最終的には売上税の場合は補正予算を提出して対応させていただいたというふうに記憶しております。
  68. 平野達男

    平野達男君 これは私の質問主意書からも質問させていただきましたけれども、予算法案、法律、特に歳入関連法案の不一致というのは起こり得るということは予算を提出する権限のある内閣は常に想定しておかなくちゃならないんじゃないかということで私はあの質問主意書を出させていただきました。  答弁についてはちょっと、何というんでしょうか、擦れ違いの答弁で予想したとおりの答弁だったんですが、今回、もし歳入関連法案、租特法が通過できないといった場合の対応方針については今決めておられるでしょうか。
  69. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、最近はその歳入法案と歳出法案が大体一体的に成立をさせていただいて、国民経済、国民生活に混乱が起こることがないような形で国会の審議が行われ、そしてまた結果を出していただいてきたと思っておりますので、今国会においても年度末までに、議長裁定もありましたことだし、これは一体的に処理されていくということを国会においてきちっとしていただくように心から期待をいたしておるものでございます。  衆参でそれぞれ多数を持っている関係が違ってきておりますから、これは国会の責任においてそういう形をしていただくことを心から期待をしているところでございます。
  70. 平野達男

    平野達男君 期待は期待としてお聞きします。  現実論として、歳出予算について根拠のない、歳入について根拠のない予算ができ上がる可能性がある。その修正をどうやってやっていくかというのは、これは政府の責任になるだろうと思います。  これについては一定考え方を持ってやっておくべきだと思いますが、再度、大臣見解を伺います。
  71. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 歳入はある意味では見積りでございますから、それに基づいてきちっと歳出法案を出させていただいておりますので、これは政府というよりも国会でしっかりと、その法案政府は出させていただいたわけでありますが、一体的に処理していただくこと、あるいはまた国会の中でお互いに与野党の間できちっと混乱が起こることがないようにしていただくことが大事なことであると思っております。
  72. 平野達男

    平野達男君 財務大臣の主張は分かりますが、政府答弁の中にもありますように、歳出予算法案というのはもう全く別物なんです。ましてや今回は租税に関する法律です。予算があるから財源を確保するために租特法を通さなくちゃならないというのは、これは全然論理としては合わないし、国会の役割にもそんな役割期待されていない。  だから、これは否決されることがあり得るんです。あり得るという前提の中で、しかし、歳出予算については衆議院の優越の原則が認められていますから、その中でのギャップが出てくる可能性がある。これはきっちり想定してやらないと、予算と法律をセットで出してきたのは政府ですからね。このことに対してもう一度見解をお伺いしたいと思います。
  73. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 先ほど来これは繰り返しになりますけれども、政府予算について国会に提出する責任がありますから出させていただいた。そして、その歳入の見積りに伴うその歳出について、当然これは国民生活にかかわること、国民経済にかかわることでございますから、一体的に処理をしていただいてきたのがこれまでの大方の流れでありますから、我々は国会の場で責任ある審議をしていただいて結論を出していただくことが望ましい、またそういう形で是非国会の責任を果たしていっていただきたいと。  議長も裁定の中で、年度末までに一定の結論を得ると、与野党の合意があれば修正をすると、そういう裁定がされたわけでありますから、それに基づいてしっかりと議論をしていただきたいというふうに思います。
  74. 平野達男

    平野達男君 両方が通るということを前提にすること自体がもうおかしいということは繰り返し申し上げておきます。  国会は是々非々の立場でいろんな国会戦略とも掛け合わせながらこの法案は多分対応していくことになるんだろうと思います。そして、結果として、例えばこのままいきますと公共予算の執行が止まるとか、そういったことがあってはならないと思います。きっちり頭の体操をしていただきまして、仮に歳入関連法案の歳入欠陥が生じた場合には、要するに補正予算を組んで財源の手当てをするのか、歳出予算をカットするのか、そういったことも含めてもう頭の体操をしておくことが必要だと思います。  もう一度、財務大臣見解を伺いたいと思います。
  75. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、議論の焦点になっているのは道路特定財源を中心とする租税特別措置法でございます。しっかりとやっぱり国会の場で議論をして、国民の皆さん方に混乱が起こることがないように国会の場でしっかりと議論をして、そして一定の結論を出していただくことが望ましいというふうに思っております。国民の皆さん方もそれを期待をしているのではないかというふうに思っております。
  76. 平野達男

    平野達男君 国民の期待というのはどちら側にあるかというのは、我々にも我々の判断がありますから、そういったことも含めて、これからまだ時間がありますので、動きをよく私自身も見ていきたいと思っています。  そこで、次の質問に入らせていただきますが、農林大臣に今度は農業問題について若干の質問をさせていただきます。  世界中で穀物価格が上がっております。この状況につきましてどのように把握されておるか、大臣見解を伺いたいと思います。資料の二ページに、農産物価格の国際価格の動向ということで資料を付けさせていただきましたので、これを見ながら併せて御説明いただければ有り難いと思います。
  77. 若林正俊

    国務大臣(若林正俊君) 平野委員が御指摘になっておられますように、国際価格は高騰いたしております。委員に配付いただいておりますこの資料を御覧いただきましても、二〇〇六年から二〇〇八年にかけてでございます、小麦については三倍強、トウモロコシについては二・五倍弱、大豆が二・五倍といったように高騰をしてきているわけでございます。  これは三つ要因があるというふうに分析いたしておりまして、一つは、中国とかインドなどが大変な発展を続けております。こういう途上国の経済発展によりまして、かつての日本もそうでありましたが、食料需要が量的に拡大するだけではなくて質的にも大きな変化を遂げてきているということが一点であります。二点目は、世界的なバイオ燃料への需要がありまして、バイオ燃料の原料としてのトウモロコシなど穀物の需要が拡大をしてきた。三つ目は、豪州の二年連続の干ばつでありますとか、あるいは世界的な規模で各地で起こっております地球温暖化などの気候変動の影響といったような影響を背景にいたしているものと認識しているわけでございます。  我々農林省としては、これらの要因は決して一時的なものではなく中長期的に継続する構造的なものだと考えておりまして、食料の多くを海外に依存している我が国にとりましては、食料の安定供給を将来にわたって確保していくために引き続きこれらの動向を注意深く見守っていかなきゃならないと思っております。  なお、昨年でありますが、OECD、FAOが農業アウトルック、将来予測をいたしております。二〇〇七年から二〇一六年までの食料の価格の将来予測というのをやっておりますが、この中におきましても、小麦とか粗粒穀物、米、油糧の、油脂などの価格は今後十年間は高い水準になっていくのではないかという見込みを出しておりますし、穀物価格の底上げが間接的には家畜飼料の価格を上昇させていくということのために、畜産物の価格についてもどうも高い水準で推移するのではないか、これがOECD、FAOのアウトルックでございます。
  78. 平野達男

    平野達男君 今詳しく説明いただきましたけれども、その中でバイオエタノールの話が出てまいりました。今までにない新しい需要として穀物からバイオエタノールを作るという、特にトウモロコシがその原材料になっているわけですが、このトウモロコシからエタノールを作るということがエネルギー効率から見てどこまでこれは効果があるものなのか、大臣、ちょっと御説明いただけますか。
  79. 若林正俊

    国務大臣(若林正俊君) トウモロコシ価格の高騰の背景としまして、私も御説明申し上げましたけれども、トウモロコシがバイオエタノールの原料に充てられているということがございます。これにつきましては、もう委員も御承知のとおりでございますが、バイオマスを燃焼することによって放出されるCO2は生物の生成過程で光合成によって大気中から吸収したCO2でありますから、このため我々がバイオマスを利活用してもライフサイクルの中でCO2は増加することはないわけであります。このことがいわゆるカーボンニュートラルと言われておりまして、バイオマスの利活用が地球温暖化対策に貢献をすると言われている理由になっているわけであります。  しかし、このカーボンニュートラルは、バイオ燃料を利用する面ではそういうニュートラルということが言えるわけでありますけれども、一方、このバイオ燃料の原料である例えばトウモロコシなどにつきまして考えてみますと、その原料生産時に肥料を使ったり、あるいは農業機械を利用するその機械を動かすために石油、ガソリンを使ったりしているわけです。そういう原料生産過程におきますそのような肥料や農業機械の利用に伴うCO2の排出ということも考えられるわけでありますし、またエタノールを製造するときにはどうしても、発酵し蒸留過程で重油を利用するとすれば、そういう重油の利用などについてもCO2が排出されるわけであります。  これはプラスマイナスしてどうなるかというのは今学者がいろいろな論文を出しておりまして、中には三割ぐらいだろうとか四割ぐらいだろうという、そういう分析もある反面、いやいや、もうそれオーバーしているんじゃないかと、CO2の削減量をオーバーしているんじゃないかというような論文もあったりしまして、いまだ定説が固まっているわけではございません。  そういうことでございますけれども、これらのバイオ燃料の原料の生産からそれを利用するまでの全過程において環境とかエネルギーに及ぼす影響をしっかり評価をしていかなきゃいけませんし、そのための実証事業とか研究開発は早急にこれを進めていかなきゃいけない、こんな認識を持っているところでございます。
  80. 平野達男

    平野達男君 トウモロコシの新しい需要が増えてトウモロコシ価格が上がる、価格が上がることによって、アメリカではトウモロコシと大豆、一年置きに作っていますから、大豆を減らしてトウモロコシの生産を増やす、その結果大豆の価格が上がるという、そういった悪循環にあるわけですね。  今のお話を聞きますと、余り効率がいいものじゃないという印象を受けます。これについては早い段階で何らかの形で、今はCO2に対する効率でしたけれども、もう一つエネルギー効率というのがあると思います。エネルギー、カロリーベースでどれだけインプットして、出てくるカロリーがどれだけになるか、こういったことに対する検討を急ぐべきじゃないかと思いますけれども、大臣、どうですか。
  81. 若林正俊

    国務大臣(若林正俊君) まず、我が国自身のこのような穀物を原材料とするバイオエタノールの生産につきましては、むしろ穀物を利用するのではなくて、セルロース系の稲わらでありますとかあるいは間伐材でありますとか、そういう食料と競合しないようなものを原材料にしてバイオエタノールを生産していく、そういう方向でいくべきであるということをかねて主張をし、そのような検討もしているわけでございます。  今委員がおっしゃられましたことにつきましては、実は我が国が主催をいたしまして、今年の二月にタイのバンコクでバイオ燃料政策に関する国際シンポジウムというのを開きました。参加国は中国、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、フィリピン、タイ、ブルネイの八か国でございます。アジアの地域ですね。ここで会議をいたしましたが、会議がアジア各国におけるバイオ燃料政策の現状と課題、それぞれの各国の取組の発表があり、意見交換がありました後、パネルディスカッションをしたわけでございますが、その中で、アジア地域における持続可能なバイオ燃料の生産・利用拡大に向けて、今後の課題の整理とか必要となる政府間協力について議論を行ったわけでありますけれども、特に、食料の安定供給には最大限の注意を払いながらバイオ燃料政策を進める必要があるということについて、お互い共通の認識が高まったというふうに考えております。先ほど我が国の方針を申し上げましたが、どうも方向としては、セルロース系のものを活用していくという方向でなければ地球の環境とか温暖化とかそういうことには資さないんじゃないかというような方向を我が国はリードしているということでございます。  なお、同じように、アメリカのシェーファー農務長官が、つい先ごろでございますが、ある講演がございまして、三月四日でありますけれども、米国でのバイオ燃料消費を推進しているということが米国国民の支持を得るためには、食料価格の上昇や環境への影響とのバランスを一層重視する必要があるというような見解を示しております。これはワシントンでの国際再生可能エネルギー会議、先ほど言いましたエネルギーの観点からの会議で講演をされたものでありまして、米国における再生可能エネルギーの消費は短期的に価格や環境に悪影響を与えるという認識が広がっているというような認識を示した上で、やはりえさ、飼料や食料向けの消費と競合しないセルロース系の原料に切り替えるために、連邦政府としてはいずれトウモロコシを原料とするエタノールの栽培奨励策などについては段階的にこれを縮小し、方向としては廃止する必要があるかもしれないというような認識を示しているところでございます。事実、アメリカでも小麦粉、小麦の価格が上がったり、あるいは油だとかそういうものの価格上昇というのが国民的にも非常に批判を受けているという状況にあります。
  82. 平野達男

    平野達男君 丁寧に御答弁いただきましたけれども、今その一方で、アメリカではまだいわゆるトウモロコシからのエタノールの製造施設、特にアイオワ周辺にして製造施設がどんどん造られているということも情報として入ってきています。世界じゅうで、この農産物価格の上昇によって、日本のみならず、いろんな形で悪影響が出ているということも事実であります。  これは私も農林水産委員会で前々から言っておるんですけれども、是非洞爺湖サミットで、この穀物からエタノールを作るということについて議題に取り上げていただきたい。これは農林大臣から、あるいは今日は環境大臣はお呼びしていませんけれども、総理大臣に言って、これは日本主導で穀物からエタノールを作ることの是非について是非議論していただきたいと思いますけれども、大臣見解お願いします。
  83. 若林正俊

    国務大臣(若林正俊君) 洞爺湖サミットの進め方につきましては、もう既にいろいろな段階で議論を整理をしてきております。そういう中で、今委員が提起されましたことについて、議題という形に正式になるかどうかはともかくとして、そういう問題視点ということ、つまり食料供給と競合しない形でのバイオ燃料の生産拡大というのが大事だという視点は洞爺湖サミットの中で議論ができるようにしてもらいたいと、このように私も考えております。
  84. 平野達男

    平野達男君 いずれ、アメリカの今の全トウモロコシを全部エタノールに向けたとしても、今のアメリカのガソリン使用量のたしか十数%しか軽減されないというふうな、これもある雑誌のところに出ていた記事です、十数%と。全トウモロコシを使ってそれだけ、十数%ですよ。だったらガソリン節約すりゃいいじゃないかという物を言いたくなるぐらいの数字なんですね。  その一方で、穀物価格が上がって本来ならばトウモロコシの生産量が世界中で増えていいはずなんですけれども、水の問題もあるし土地の問題もあって追っ付かない。そういったことも踏まえまして、ここは農林大臣、一番お詳しいと思いますから、是非これは世界中の、世界の議論にしていただきたいというふうに思います。  ちょっと時間がなくなってまいりましたけれども、世界中で穀物価格が上がっている中で不思議なことが起こっているわけですね。何でかといいますと、日本の米の価格だけが下がっているという、これは資料の三ページであります。  この資料の三ページは、これ、センターの全産地品種銘柄の年産別平均価格の推移を示しましたけれども、十九年産米も十八年産米に比べて今の段階では約七百円ぐらい下がっています。これはなぜでしょうか、大臣、簡潔にで結構でございますから、答弁いただきたいと思います。
  85. 若林正俊

    国務大臣(若林正俊君) 基本的に言えば、米の食としての需要がどんどんと減っております。この傾向は依然として変わりません。にもかかわらず、生産の抑制がこれに追い付いていない、そういうギャップがあるということで下がっているわけでございます。
  86. 平野達男

    平野達男君 ちなみに、その影響は生産者に出ているわけでありまして、今日は時間がありませんから詳しく述べませんが、物財費、いわゆる肥料代、機械代、苗代、それさえも払えないぐらいの水準まで米価が下がっているというデータもあります。  こういう中で、今回、補正予算で米緊急対策というのをやりました。三十六万トンの備蓄米の積み増し、それから十万トンについてはえさ米に回すということをやりましたが、この十万トンのえさ米については今現段階ではどれだけ買い集めというか、処理がされておりますか。
  87. 若林正俊

    国務大臣(若林正俊君) 需給の均衡を図るために、これは生産者団体側からの強い要請といいますか、決意の表明がございまして、全体、昨年の十月末に米緊急対策を決定した際に、政府の買入れ以外に全農が自らその飼料用の処理を行いたいと、これで十万トンを飼料用処理にするということでございますが、実際その後米価が底打ちをしているというようなことがございまして、全農は今大体、数量的にはよく分かりませんけれども、とても十万トンを処理をするというだけのえさ用の米を集められないというような状況になっていると承知いたしております。
  88. 平野達男

    平野達男君 補正予算は年度内の執行が原則でありますから、今の段階で数量が押さえられていないというのはちょっと不思議ですが、本当に分かっていないんでしょうか。
  89. 若林正俊

    国務大臣(若林正俊君) これは、全農が事業者としてそのような事業をやった場合にその二分の一を補助するということでございまして、全農側からこれだけの数量を処理をするというのが出てきておりませんので、それが出たらその二分の一を補正予算で処理するということになります。まだ全農側がどの程度処理するか、とても十万トンには及ばないだろうということまでは分かっておりますけれども、どの程度かについては承知いたしておりません。
  90. 平野達男

    平野達男君 二十年産米の米の需給計画は、十九年産米については十万トンえさ米に回すという前提で需給計画を作られているという理解で、それでよろしいですか。
  91. 若林正俊

    国務大臣(若林正俊君) これは、今の全農でえさ米分を全農が購入して処分するという方式と違う形で、それぞれの生産調整の現場段階において米のえさ用の米生産というものを生産者が手当てする場合にそれを助成するという意味で、需給計画上はえさ用に委員がおっしゃるようなものを盛り込もうとしております。
  92. 平野達男

    平野達男君 そうしますと、十万トンが集められなければ幾分かの過剰米がそのまま二十年産米に乗っかるという形になります。で、いよいよもってまた米価が下がるということになりますと、これは大変な問題になってくると私は思います。  時間がなくなりましたから、以下の問題につきましては、引き続き農林水産委員会でこの米価問題についてはやっていきたいと思います。  若干時間がございますけれども、ここで切りがいいので、私の質疑は終わらせていただきます。
  93. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で平野達男君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  94. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、川合孝典君の質疑を行います。川合君。
  95. 川合孝典

    川合孝典君 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新日本川合孝典でございます。  本日は、先ほども我が会派の平野議員からの御指摘にもありましたことに関連して、道路に関して、社会資本整備、この点に関して御質問をさせていただきたいと思います。  まずは、国土交通白書を調べておりまして大変興味深いデータを見付けましたので、この点についてお聞きしたいと思います。平成十七年度の国土交通白書資料の抜粋資料でございますが、まずはこの資料指摘されている内容について、詳細、正確に御説明をお願いします。
  96. 榊正剛

    政府参考人(榊正剛君) 平成十七年度国土交通白書におきまして、国土交通省所管の社会資本整備に関連いたしまして、耐用年数経過時に施設を更新するという大前提の下で今後の投資可能額について推計をしたものでございます。一つは横ばいで推移するというケース、もう一つは対前年度比、国マイナス三%、地方マイナス五%で推移するというケースにつきまして、二通りの推計を行っております。  まず、横ばいとするケースでございますけれども、平成三十二年、二〇二〇年代におきまして投資可能総額のうち維持管理更新費の合計額が占める割合が約半分に達するという試算になっておるところでございます。で、対前年度比、国マイナス三%、地方マイナス五%といたしますケースでは、維持管理費が増大いたしますので、二〇二〇年代には更新費に不足が生ずるというような厳しい見通しとなります。  ちなみに、この推計を行いましたのは平成十六年度、二〇〇四年を前提にいたしておりますので、そのときの投資総額が十三兆七千億という前提で推計をいたしておりまして、先ほど申し上げましたように、ケース一では二〇二二年にほぼ同額の水準、十三兆六千億という水準になるということで五〇%ぐらいという形になっておるところでございます。  以上でございます。
  97. 川合孝典

    川合孝典君 はい、ありがとうございました。  要するに、マイナスシーリングが掛かると、将来、道路を始めとする設備の維持、更新と、それから維持、更新にかかわる費用が足りなくなるというこのデータなわけですね。これを国土交通省の権威ある国土交通白書が記載されておるわけですが、この点について、国土交通大臣、どのようにお考えでしょうか。
  98. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 客観的には、三%ずつ減額ということになればそうなります。現在はこの骨太の二〇〇六というところで一ないし三%ということで、三で確定しているわけではありませんし、それはその五年間、二十三年までのことであって、その後のことは公式には決まっておりません。  しかしながら、いずれにいたしましても、この更新投資というものが非常に全体を圧迫して新規投資というものが非常に窮屈になるということはもう全く変わりありません。
  99. 川合孝典

    川合孝典君 マイナスのシーリングを一から三%と、せんだって財務大臣もそのように御答弁なさいましたけれども、それにしてもこれは延命にしかならないのではないかと思うんですが、その辺いかがでしょうか。
  100. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) まあそういう表現も当てはまるかとも思います。
  101. 川合孝典

    川合孝典君 実は、たしか国土交通省所管だと思うんですが、社会資本整備審議会というところで、既に残す施設、残さない施設の選別なんという議論もなさっているというふうに伺っておるわけです。現状、このままの状況を放置しておりましたら、放置して道路を造り続けてしまいますと、いろいろな港湾や空港等の補修や更新が一体どうなるのかということなんですね。その絵が全く見えてこないわけであります。  災害が起きたときのこともそうです。将来、この現在の道路ネットワーク自体が維持できなくなるんではないかという、そういうことも大変危惧されるわけですけれども、この点、改めてお伺いしたいと思います。
  102. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) まあお手本と言ったらおかしいですけれども、先例がアメリカにありました。そういうことで、パット・チョートさんという人が「荒廃するアメリカ」という警世の書を著わされまして、これは大変、時の大統領もそれに同意をされて、その後この社会資本整備、特になかんずく道路整備あるいは道路整備というものに非常に関心を向けられまして、予算が本当に、今日現在もそうですけれども、いったんそこから相当大きな金額がそれに投資されるようになりました。  日本もどういうことになるか、これから我々も長い将来のことを考えたときに、そのようなアメリカの先例も見ながら、よく注意深く見ながら、国民全体がどういうふうな資源配分が適当なのか、こういうことを本当に深く考えていただかなければならないと思います。
  103. 川合孝典

    川合孝典君 どうも答弁だけを聞いておりますとなるほどなと思いたくなるところなんですけれども、どうしてもちょっとよく分からないんですが、これほどまでに社会資本整備費の増大が指摘されている中、それでもあえて十年五十九兆円もの投資を行って新しいものを造ろうとしておられる。  これを見ておりますと、正直申しまして、私、この社会資本整備費が増大化する、この問題が顕在化する前に造れるものを造ってしまおうと。そして、十年たってこの問題が顕在化したときに、改めて道路の今度は維持、補修、管理予算が必要なんだからといって、それを人質に取ってまた道路投資をしようとしているんではないかと、そのように思わざるを得ないわけでありますが、改めまして、大臣、御答弁をお願いします。
  104. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 委員の選挙区のことを言ったらおかしいですけれども、東京でも外郭とか中央環状、ほっておいていいでしょうか。そういうことできるでしょうか。各国の首都の環状道路というものは相当整備されていますよ。  我が国の首都東京、本当に人口も集中していますけれども、もっと車が集中していますね。そういうものを処理するためにも、私は何も新しいものをどんどんどんどん造っていくという思想ではなしに、それぞれの都道府県の実情を考えたときに、本当にそこで、東京都の議員さんも知事さんも、我々の方にこれを早くやれということを言ってこられるわけです。そういうものを考えたときに、それはいつまでにできるんだろうか、いつだったらできるんだろうか、こういうことを考えたときに、私が今提案しているこの中期計画なりあるいはその租税の問題というのは本当に考えに考え抜いたところでございまして、よく考えて我々としては提案をさせていただいているものでございます。もちろん批判もあります。ありますが、これは本当に大切な視点だろうと思うわけでございます。
  105. 川合孝典

    川合孝典君 ちなみに、私、比例代表でございますので、北海道から沖縄までが私の選挙区でございます。  改めてお伺いしますが、お手元資料のこのケース二のマイナスのシーリングが掛かった場合には足りなくなるという状況があるわけですよね。ただ、それにもかかわらず、中期計画というものは、そういうことには一切触れずに、整備をするということだけに重点を置いた記載がずっとなされてきておるわけでございます。  私は、本来であれば、社会資本整備費にお金が掛かる、将来増大するということがはっきりしておるのであれば、そのことをまず言って、その予算措置を行った上で、残った部分で真に必要な道路を造るということを議論するべきではないかと思うわけでありますが、改めて御答弁をお願いします。
  106. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 私どもは、道路整備のネットワークだけを言っているわけではなしに、十六の項目、国民の非常にニーズの高いそのようなものをどう資源を配分してやっていくかという観点でやっているわけでございます。まだ橋梁その他については、もちろんこれも年々高齢化していくわけでございますけれども、それに対しても、我々としては、応分の延命策というものを講じながら、こういうものを国民のニーズにどうこたえていくか、重要課題にどうこたえていくか、そういう苦心をしているわけであります。
  107. 川合孝典

    川合孝典君 財務大臣に御所見をお伺いしたいんですけれども、今後間違いなく社会資本整備費が増大化していくということはもうはっきり分かっているわけでございますが、国土交通省がこういう白書をお出しになって分析をされていると、こういう状況を御覧になった上で、この事実をどのように財政の責任者としておとらえになっているか、御所見をお伺いしたいと思います。
  108. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 先生のこの資料等を見させていただきまして、これは道路だけではなくて、上下水道にしても、国民の生活インフラはやっぱり今後維持、それからライフサイクルをどういうふうに長期化していくか、そういうことが最大の課題であるというふうに思います。  一方で、やっぱり人口減少社会が来ているわけでございますけれども、日本の経済力をじゃどういうふうに維持していくのかと。これは何も人口減少がしているからそのままほっとくわけではないんであって、どういうふうにすれば国民の皆さん方に喜んでお子さんを産んでもらえるようにするのか、あるいは労働力を確保するためにはどういう政策をしていくのか、そういう前向きのことも同時にやっていくことも大事だと思うんですね。だから、東京とか名古屋だとか福岡だとか、そういうふうにみんなそれぞれの地域で集中されていくことだけでやっぱり経済力を補っていくことが正しいのかどうか、そういうことも含めて議論をしていく必要がある、そういう国家の在り方、国の姿の在り方の中でこういう道路中期計画がなされなければならない、そういうふうに思っております。  その中で、五十九兆円という上限の枠がありまして、しかも、なおかつ、これまでの五か年計画の延長線上でいえば二〇%ぐらい道路予算としては低くなっておりますし、最近の道路予算も四〇%ぐらい低くなっているわけでございますから、時の流れとしては先生のおっしゃるような視点に基づいて道路建設あるいは維持管理費が考えられていかなければならないというふうに思っております。
  109. 川合孝典

    川合孝典君 私が申し上げておりますのは、国民は道路を造ると言えば新しい道路ができると皆さん思われるわけです。造った道路というのはそのまま使えることが前提として皆さんお考えになっているわけです。ただ、当然、これは補修、更新等を含めて当然耐用年数がありますので、道路でいけば一応六十年、六十年でなくなるわけではありませんが、たったら直すか造り直すかしなければいけない、そのときに金が掛かるということ、このことについては、国民の皆さん余り御認識なさってないはずなんです、当たり前のことなんですけれども。これを今放置してしまって、十年間放置してどうなるのかと。  今るる御説明をちょうだいいたしましたが、ケース一の場合で大体そのまま財政というか、予算を取っておりますと、平成四十二年にはおよそ九・五兆円、維持、補修、管理更新費に掛かると。仮にシーリングを掛けたとしても、平成四十二年には七・八兆円ものお金が掛かるという、こういうことになっておるわけであります。  国土交通大臣にお伺いしますが、こういう年々増加するこういった費用の調達は一体どういうふうにするとお考えになられているのか、納得いくように御説明いただきたいと思います。
  110. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  中期計画素案維持管理、更新、そういうものも項目を立てて見込んでおりますが、維持管理費四・二兆円、これには新規、新たに供用するものの道路ストックの増加分も含んでおります。それから、更新費につきましても、できて年数がたつ橋、そういう増加による更新費の増大も織り込んでございまして、さらに、更新時期が集中しないように先ほどの御議論でありましたアセットマネジメントを徹底しまして、予防保全で更新時期の平準化とかライフサイクルコストの縮減を図ってまいります。  以上によりまして、維持管理更新費の全体に占める割合、そういうものが新規投資を圧迫しないように、そういうマネジメントをするということが中期計画素案の中でもございます。  それから、一点だけ申し上げますと、先ほどの白書の話でございますが、先生指摘になりましたように、橋梁六十年、これ減価償却の耐用年数ということで定めておりますが、中期計画素案で書いておりますように、私ども、いろんな手当てをしまして、これの長寿命化を図るアセットマネジメントをしっかりしていくということで、寿命を長くする、それから更新の需要を平準化する、そういう対策を講じてまいりたいと考えてございます。
  111. 川合孝典

    川合孝典君 耐震等様々な対策を取ることによって耐用年数を延ばすということは、これは当然のやらなければいけないことであるんですが、問題は、お配りしたグラフもそうなんですけれども、既にこれほどまでに維持管理費と更新費が数兆円オーダーで掛かってしまっているという、かつ、この維持管理費、更新というものをやっておるのは、高度経済成長期に造ったものを今やり始めているわけであります。大きな山が八五年以降二〇〇〇年越えるところまで来ておるわけであります。どんなに補修して耐用年数を延ばしたとしても、もっと大きな山がこのグラフの次に来ることは間違いないわけでありますが、そのことを考慮に入れて、冬柴大臣、どうお考えでしょうか。
  112. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) そういう客観的事情を踏まえて、その時々で、それは予算の計上とか国民的合意を得ながら、どういうところにその限られた資源をつぎ込まなければならないのか、そういうことを判断されると思います。  我々のところでは、現在、これからの十年というものについて資源配分を考えているわけでございまして、そのときにしかるべく判断される、そうしなければならないと、このように思います。
  113. 川合孝典

    川合孝典君 なぜ、この社会資本整備費ということを公にきちんと出して将来推計を出して、そのことについて国民の理解を得る努力を今なさらないんですか。
  114. 榊正剛

    政府参考人(榊正剛君) 今後、社会資本整備維持管理、更新の重要性が増すという大前提でございますので、私どもとしては、先ほど道路局長も答弁申し上げましたけれども、日ごろから施設の状況に応じた予防的な修繕を講じるとか施設の延命化といったような、ライフサイクルコストをできるだけ少なくするといったような計画的な維持管理を行いながら必要な更新を図ることが重要だろうというふうに思っておるところでございます。  ちなみに、先ほどマイナス三%ぐらいの減少ケースで申し上げましたけれども、それを前提にしますと、二〇二二年は十三兆七千億が六兆円に減ってしまうというような、言わば極めて、どちらかというと私どもとしては若干あり得ないような水準での、半減してしまうというような水準の下での議論になっておりまして、むしろ社会資本維持管理といったようなことを考えますと、言わばアメリカにおきましてもヨーロッパにおきましても、社会資本整備の重要性、特に国際競争力の確保から、過去この五年間数十%の投資を増やしているというようなこともございますので、そういったことも考慮しながらしっかりとした維持、更新をやっていくというのが基本かというふうに思っているところでございます。
  115. 川合孝典

    川合孝典君 ということは、ありもしない極端なデータに基づいてこういう表をお作りになったということは、一体これはどういう意図を持ってこの資料をお作りになったんでしょうか。
  116. 榊正剛

    政府参考人(榊正剛君) 基本はあくまで推計ということでございますので、全く同じか若しくはマイナス三%がそのままずっと継続するかということの推計をしたということでございまして、当時といたしましては、この社会資本整備維持管理の更新がいかに重要であるかということを立証するという観点から設けたものでございます。
  117. 川合孝典

    川合孝典君 私が素直にこの資料を見ております分には、新しい道路を造るお金がなくなってしまうから予算措置をしろということを要求するための資料にしか見えないわけでありますけれども、改めて納得いくように御答弁お願いします。
  118. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  先生が提出されましたのは社会資本全体でございますが、道路につきまして新たに昨年の十一月十三日に中期計画素案を出しました。そこの中でも、当然、道路維持管理というのを一項目に挙げて重要性を書いております。  そこの中で、先ほど答弁申し上げましたように、維持、更新に掛かる投資というのを従来以上に見込んでそこのところをやっておりますし、六十五兆から五十九兆に削減する際も維持・更新費については削減を掛けておりません。それほど重要だと思っておりまして、全体構成を考えて提出していると、こう考えております。
  119. 川合孝典

    川合孝典君 国土交通大臣にお伺いしますが、いずれにいたしましても、道路整備状況というのが、非常に日本の中も進んでしまって、そういう状況の中で、今この道路の問題というのは年金とか医療とかと同じことになっていると思っておるんです。このグラフ見ておりますと、年金給付の財源が破綻しているというような状況と酷似しているように私には見えるわけであります。  今のスキームのままだと、この社会資本整備についても近い将来結局破綻するんではないかという危険性がある、このことだけははっきりと指摘できるわけでありますけれども、にもかかわらず十年五十九兆円という中期計画を立てて新しい道路を造ろうというのはどうしても納得いかないわけですけれども、もう一度ちょっと御答弁をこの点についてお願いしたいと思います。
  120. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) これはもう客観的な事実として、日本は人口減少社会をもう迎えつつあるわけです。そして、地方が経済的に非常に低迷しているということも客観的事実でございます。そして、周辺国家では大変な経済の発展のダイナミズムが見られるんですが、日本の場合は堅実ではあるけれどもGDPはずっと増えていません。  こういう中にあって、じゃこれから脱却するためにはどういうことが必要になるのか。これはやはり国際競争力を強化し、そしてまた成長力を確保しながら地方を活性化する、こういうことが図られなければそのまま落ち込んでいってしまうわけです。私どもの次代を生きる子供や孫たちがそのような国家でいいはずはありません。  そこの中で道路の果たす役割というものを見てみますと、例として、短く申し上げますが、二月二十三日に新名神高速道路の一部開通が行われました。これは三重県の亀山ジャンクションから滋賀県の……(発言する者あり)草津です、滋賀県の草津まで、田上というところですかね、までの四十九・七キロを開通したわけでございます。それには四千六百五十二億円ですか、という巨費が投じられまして十四年の歳月掛かりました。  ところが、御案内のように、三重県の亀山には亀山産と言われるようないわゆるシャープの液晶の工場が進出をし、これはいわゆるこの道路を当て込んでそして先行投資したと言われておりますが、現在、この二十三日行ったときには、それを含む七十三社が三重県内北西部に工場を立地し、そして経済はものすごく活性化しています。そして、山を越えて滋賀県へ入りますと、甲賀平野には六十六社、これはトヨタ紡機というところを筆頭に優良な企業が六十六社立地して、なお、これからまたその周辺には工場団地ができるという、もうそういうことを言われていました。そうしますと、地方の活性化、あるいはそこの雇用機会を子供さんたちに与えるということとこの道路というものについての因果関係は本当に明確な事例だと思います、それ以外にもたくさん事例を私知っていますけれども。  このように、道路整備というものは非常に長期を要し、そして大きなお金が要ります。けれども、それは安定した収入を確保しながら計画的にこれを進めていけば、経済成長力というものを確保しながら地方の活力を引き出すこともできる、私はそのように思うわけです。ひいては、これが国際競争力を強化する面もある。私は、そういうような観点から、道路というものを地方の方が、東国原知事も宮崎に道路をとおっしゃるのはそういう意味を含んだ主張であると思うわけであります。  日本の中には、全国区だと言われましたから、東北の日本海沿岸東北自動車道も御存じだと思いますけれども、計画はあるけれどもみんなぶつぶつですよ。ですから、そこが通ることによって私は、日本海沿岸はアジアに近いだけに、アジアの力というものをシームレスに、ダイレクトに取り入れてもっともっと発展できる私は可能性を持っていると思うわけであります。その中においてこの道路整備というものは非常に重要な役割を果たしているんではないか、こんな思いがあります。
  121. 川合孝典

    川合孝典君 道路の経済波及効果、雇用等についてはいろいろ私も言いたいことはありますけれども、時間がありませんので申し述べませんけれども。  日本の国内には百二十万キロ総延長で道路があるというふうにたしか記憶いたしております。先進国の中で見ても、道路整備の密度、道路の密度というのはもう群を抜いてトップなわけであります。そういう状況の中で、なおかつまだ足りない。今まで一体何をやっていらっしゃったんでしょうか、御答弁をお願いします。
  122. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) また百二十万キロが出ましたけれども、その中で基幹道路は二十万キロ足らずです。それは市町村道を含んで百万キロというものはあるわけです。その道路がどんな状況かということは御存じのとおりでして、これは擦れ違うこともできないような十津川の道路も全部、これは奈良県でございますけれども、そういうものを含んで百万キロあるわけでして、ほかの国が、ドイツが例えば二十万キロだと言われるけれども、それは市町村道をみんな外した統計しか出てないんですね。  ですから、私は、日本が高密度であり、そして道路はもう既に全部できたというようなことを言う、まあ学者さんというんですかね、もう道路は要らないんだと言われる方はもっと地方を見てほしい、地方の実情を見た上でそのようなことを言ってほしいということを申し上げたいわけでございます。
  123. 川合孝典

    川合孝典君 ちょうど今の都道府県、市町村道の話が出ましたので、具体的にお伺いしたいことがあるんですけれども、将来の維持管理、補修ということを調べておりましたら、実は道路行政の破綻とも思える状況というのが既に起こってきている、そういう事実をちょっと見付けました。  去年の八月にアメリカのミネソタ州で橋梁が崩落した事故がありました。それを受けて国交省では橋の予防保全の有識者会議というのを開かれて、ここで日本にも渡れない橋があるということが指摘されております。この内容について御説明をお願いします。
  124. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  昨年九月に、全国の千八百七十四地方公共団体を対象にしまして橋梁に関する調査を実施をいたしました。地方公共団体が管理する、橋の長さ二メーター以上六十五万橋を対象にして、老朽化等を原因として道路管理者が車両通行止めの措置をとっている道路橋の数は全体で八十五橋でございます。そのうち、市町村管理が八十三橋、政令指定市管理が一橋、都道府県管理が一橋ということでございます。
  125. 川合孝典

    川合孝典君 老朽化等によって通行規制が掛かっている橋はどのぐらいありますでしょうか、改めてお伺いします。
  126. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 宮田局長。──既に指名はいたしております。
  127. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 済みません。  ちょっと通行規制の方は今手元資料ございません。申し訳ありません。
  128. 川合孝典

    川合孝典君 通告の仕方がちょっと悪かったようで、この点についてはおわびを申し上げたいと思いますが。  通行止めそれから通行規制、合わせて六百八十四橋実はございます。必要だ必要だと言って造った橋が結局渡れなくなっている若しくは渡れないものがあるような状況、通行規制が掛かっているという、こういう状況になっております。しかも、ここには市町村管理のものが圧倒的に実は多いわけなんですね。これ、なぜこのようなことになっているのかを、国土交通大臣、御説明願えますでしょうか。
  129. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  国、都道府県、政令指定市では定期的な点検が実施をしてございますが、全体の橋梁の半数を占める市区町村での実施団体というのは約一割にとどまってございます。したがいまして、こういう早期に損傷を発見する、そうして事故とか架け替えとか大規模な修繕に至る前に対策をするということが実際なかなか難しいということが市町村で起こっているということでございます。
  130. 川合孝典

    川合孝典君 なぜ大規模にやるのが難しいのかということ。要は、道路特定財源始めとする様々な道路予算がある、にもかかわらず必要だと言って造った橋が渡れなくなっているという、素朴に考えるとこれは非常におかしいと思うわけでありますけれども、もう一度この点について御説明お願いします。
  131. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 幾つか要因があると思います。  一つは、そういう点検をするための財政的な措置ということと、もう一つは、そういう点検をする、あるいは点検とか計画を立てる技術者の不足、知識、そういうものが欠落しているということもございまして、橋梁の点検基準の制定あるいは点検資格の創設、そういったもの、予防保全に必要な方策について、先ほど委員指摘になりました有識者会議を既に開いて検討いただいておりまして、そのような課題についてどういうふうに対策を講じていくかという成果を平成二十年度取りまとめて、順次実施に移していく所存でございます。
  132. 川合孝典

    川合孝典君 もう一つ質問させていただきますが、建設してから五十年以上経過している橋、橋梁というのは一体全国にどのぐらいあるんでしょうか。
  133. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  建設後五十年以上経過している道路橋の数、八千九百橋、全体の約六%でございます。
  134. 川合孝典

    川合孝典君 こうしたことを含めて、国土交通大臣、実際に渡れなくなっている橋が全国にこういう形で出始めているということ、こういうことを、本来であれば、中期計画もさることながら、まず日本中のそういった老朽化している橋を調査して、その上で対策を講じるということをまず先頭に持ってくることが本来はあるべき姿なんじゃないかと思うわけでありますが、この点、いかがでしょうか。
  135. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 国道にかかわる架橋されたものにつきましては、五年ごとに保守、点検を励行いたしておりまして、それなりの手当てをいたしておりますけれども、地方の橋梁につきましては、そのような指導はしていても、なかなか、それは財政の問題もありましょうし、先ほど局長が言ったような、そのような技術者、そしてまた点検に対する見方等が不足するがゆえにこういうことが起こっている。しかしながら、それはその管理者がそれなりに計画を立て、そしてこれに対して補修あるいは架け替えというものを提案をし、それに対して資源を配分していくということになると私は思います。また、国においても、そういうものに対しての補助はきちっとしていくという手当てはいたしております。
  136. 川合孝典

    川合孝典君 地方財政が非常に厳しいということを今御指摘がありました。今回、中期計画では六十八万橋のうちの十五万橋を対象に重点箇所として掲げていらっしゃいますが、調べてみますと、そのうち五万橋は地方単独事業というふうに位置付けられているというふうに思います。  ただでさえ地方財政逼迫しているということを御指摘、御理解になられている。実際、六百八十四の渡れない若しくは渡りにくくなっている橋があるという、そういう状況下で、なぜこの五万橋について地方単独事業になっているのか、この点、大いなる疑問があるんですが、この点について御説明をお願いできますでしょうか。
  137. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 財務省ともよく協議をしながら、あるいは総務省ですか、そういうところとよく協議をしながら、そういうものについて遺漏がないようにしていかなければならない、このように思っております。
  138. 川合孝典

    川合孝典君 先ほど、東京には首都高がというようなお話もなさいましたので、せっかくですから首都高についてもお伺いしたいと思います。  これについても非常に厳しい状況というのが浮かび上がってくるんじゃないかというふうに思うんですが、まず政府参考人確認したいと思います。  首都高速道路の建設時期及び一日当たりの交通量等について御説明をお願いします。
  139. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 首都高速につきましては、平成三十四年に(発言する者あり)済みません、昭和三十四年に建設に着手をいたしまして、昭和三十七年に京橋—芝浦間四・五キロが初めての開通をいたしました。今百十四万台の車が走ってございます。
  140. 川合孝典

    川合孝典君 昭和三十七年から使い始めているということでありますけれども、この供用区間、一二%の部分が既に造ってから四十六年を経過している、阪神高速道路に関してもほぼ似たような状況であるというふうに伺っておるわけであります。  この老朽化した首都高速道路、どうやって更新するのかということが、この予算措置を一体どうするのかということなんですが、全くその中期計画ではこの辺が見えてきておらぬわけであります。この点について、冬柴大臣、御説明をお願いします。
  141. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 御指摘のように、首都高速道路につきましては五十年以上を経過した部分というのが増えてまいります。したがいまして、専門家などからの御意見を伺いながら、最新の技術を活用した点検あるいは補修、補強方法について検討しているというふうに聞いてございます。  さらに、高速道路の機能強化の観点から、老朽化する橋梁等の延命化を図る予防保全対策も必要であると考えておりまして、本来管理者であります地方公共団体、国、高速道路会社等の関係機関におきまして、その役割分担も含めて検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
  142. 川合孝典

    川合孝典君 いずれにいたしましても、一度造った首都高速道路を新たに造り直すということ、とてつもない莫大な費用が掛かることは、これはもうだれでも分かることであります。  性能を上げるということを今御答弁の中にありましたが、疲労設計というのを平成十四年から始めていらっしゃるということは聞いておりますが、ほとんどのものはそれ以前の、耐震構造等がきちんと今の基準でなされていないものができているわけでありますので、そういう意味でいくと、将来、首都高速道路を安定的に利用者に供するためにはこれから物すごいお金が掛かるということは、これはもう間違いないわけであります。  こうした問題を表に出すということをあえてせずに、国民の皆さんは道路を造るといえば、何度も申し上げますが、新しいものができるということはお考えになっても、造ったものが走れなくなるということは考えちゃいないわけ、なかなか気が付かない問題なわけであります。  したがいまして、私は、こういう厳しい財政状況の中で、本来国としてあるべき姿というのは、維持管理、補修、更新という、こういうことに対して幾ら掛かるのかということを、本当に必要なものは何なのかということを明示した上で、その上に初めて必要な道路というものを予算の中で措置していく、これが私はあるべき姿であるというふうに確信しておりますし、そういう意味でも、この十年五十九兆円という枠を取ってともかくまず造ろうという姿勢でもってやっていらっしゃることについては、これ本当にやってしまいますと、十年、中期計画が終わったときには、本当に将来、将来に残す道路が資産になるのではなくて負の遺産になってしまうのではないか、このことを強く申し述べさせていただきまして、道路に関する質問は終わらせていただきたいと思います。  時間がなくなってしまいましたので、ここからはインフルエンザの関係のことについて少しだけお伺い申し上げたいと思います。  舛添大臣にお伺いいたしますが、新型インフルエンザによる感染爆発、いわゆるパンデミックが発生した場合に日本に及ぼす影響というものを厚生労働省ではどのようにとらえていらっしゃるか、御説明をお願いします。
  143. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) これは、国際的な専門家会議、国民の二五%が罹患するというような大体その数字を出しているもので、それによって計算しますと、罹患した患者数が約三千二百万人、医療機関を受診する患者数が千三百万人から二千五百万人、入院患者数が約五十三万人から約二百万人、そして死亡者数は約十七万人から六十四万人と想定しております。
  144. 川合孝典

    川合孝典君 こうしたパンデミックが実際に発生したときに、厚生労働省、国としてはどういう対応を取る手順になっているんでしょうか。
  145. 西山正徳

    政府参考人(西山正徳君) 平成十七年十二月に政府としての新型インフルエンザ対策行動計画を策定しております。  この中で、具体的には、新型インフルエンザ発生時には内閣総理大臣を本部長とする対策本部を設置する。五本の柱がございまして、まず一つは検疫体制の強化、これについては検疫所の強化、あるいは国際航空機・旅客船の運航自粛等による水際対策の強化、それから二点目ですけれども、発熱相談センターや発熱外来の設置等の医療体制の強化、三点目でございますけれども、患者の入院措置あるいは外出、集会の自粛の要請、抗インフルエンザウイルス薬の予防投与、それから四点目はプレパンデミックワクチンの接種開始、五点目でありますけれども、そのときにはまだできておりませんパンデミックワクチンの製造開始というようなことを関係機関が連携して迅速に行うというようなことで、現在、具体的な準備を政府一丸となって進めているところでございます。
  146. 川合孝典

    川合孝典君 それでは、このプレパンデミックワクチンの実際の備蓄量というのは今どういうふうになっていますでしょうか。
  147. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 平成十八年度に約一千万人分、さきに成立いたしました十九年の補正予算で約一千万人、合計二千万人分の原液を買い上げております。
  148. 川合孝典

    川合孝典君 備蓄されているプレパンデミックワクチンという話がありましたが、これが実際に小分け包装されて製品として医療機関に出回って実際投与するところまでどのぐらい時間掛かるものなんでしょうか。
  149. 高橋直人

    政府参考人(高橋直人君) お答え申し上げます。  現在、プレパンデミックワクチンの備蓄につきましては原液によって行っておりますけれども、これを製剤化して使用可能とするためには、製剤化に要する費用、製剤に対する品質確認試験に要する費用などいろいろございますが、その製剤化する製品の用量などによってこれに要する費用変動しますが、一千万人分の製剤化費用につきましては数億から数十億程度、期間にしては大体一か月、二か月、三か月、それぐらいのタームは掛かるというふうに見ております。
  150. 川合孝典

    川合孝典君 期間が一か月、二か月、三か月ってよく分からないんですけれども、実際、製造工程から自家検定やって、その後国家検定に移ってという一連のワクチンの認証の手続を取るのにそういうあいまいな期間でよろしいんでしょうか。改めて。
  151. 高橋直人

    政府参考人(高橋直人君) 済みません、ちょっと正確に、一か月から二か月ぐらいなんですけれども、製剤を一遍に製剤化できませんので順次出していきますんで、そうすると最初のものが大体一か月ぐらい、ニーズによりますが、最後のものは二か月から三か月ぐらい、そんな予想でいるということでございます。
  152. 川合孝典

    川合孝典君 ということは、一般のワクチンのように自家検定、様々な製造工程における検定で、大体メーカーに確認しましたところ、二、三か月検定に掛かる、かつ、今度国家検定に移ってからも同じ項目で検定を掛けるとそのぐらいの時期が、時間が掛かる、半年近く掛かるんじゃないかという話を伺っているんですけれども、これはうそでしょうか。
  153. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 卵の有精卵、これからやりますと、今のだと一年ぐらい最終的に掛かるし、それ以上掛かる可能性がある。今、細胞培養という方式がありますが、これを採用すれば少し短縮できる。しかし、やっぱり今委員が御指摘のように、最終的に商品としていくのは一年ぐらいは見ないといけないというのが現状でございます。
  154. 川合孝典

    川合孝典君 実際、WHOがパンデミック宣言を出してそれから動き始めたとして、物が出回るころには犠牲者が出始めているということにもなりかねないと思うわけですけれども、この点について、厚生労働大臣、どのようにお感じになられますでしょうか。
  155. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 問題は、これは流行する前に準備する、しかし流行してみないとどの型のインフルエンザか分からない。今ベトナム型とか中国型も準備しておりますけれども、そういうことで、どの型か分からないというのが一つありますのと、つまり有効性の問題。それから今の、いつまでも何年間も保存が利くものではないと。それから、今申し上げましたように国内の生産能力というようなこともありますから、そういう意味ではおのずから限界というのがあることは認めざるを得ません。
  156. 川合孝典

    川合孝典君 限界があるということを率直にお認めになったのは大変重要なことだというふうに思うわけでありますけれども、甚大な被害が出るおそれがあるということは既にみんなが共通認識として持っておられるわけでありますから、この点について早急な対応、具体的な対応を是非ともお願い申し上げたいと思います。  聞きたいことはたくさんありましたが、私の持ち時間は参りましたので、後日に回させていただきたいと思います。  私の質問は終わります。
  157. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 関連質疑を許します。植松恵美子君。
  158. 植松恵美子

    植松恵美子君 民主党の植松恵美子でございます。  本日は、道路問題について冬柴大臣に御質問させていただきます。  大臣、真に必要な道路とはどんな道路を指しますか。
  159. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) いろいろと考えましたけれども、国民の多くの方から、そしてまた首長さんから、そしてまた学者の方々から意見を伺ったところ、真に必要な道路整備というのは、それをまとめれば、平成十九年十一月十三日に国民の皆様に配布をいたしました道路中期計画、その中に記載されたものでございます。
  160. 植松恵美子

    植松恵美子君 それでは、十一月十三日、私の誕生日に発行されたんですね。  それでは、国交省国交省が財団法人道路環境研究所に発注した事業、銀座通りの景観整備計画検討業務についてお伺いいたします。  この事業はいつから開始して、目的は一体何ですか。
  161. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  この事業でございますが、一般国道十五号、銀座通りの銀座一丁目から八丁目間一・一キロにおきまして、景観の全体構想を策定し、沿道建築物と道路施設が一体となって良好な景観を創出する事業、そういうものの検討業務でございます。平成十二年度から着手をいたしました。
  162. 植松恵美子

    植松恵美子君 私が調べたところ、銀座通りのグランドデザイン案というのを平成十五年度に二千五百四十万で作成しております。資料二がグランドデザインですけれども、「銀座はこうありたい」と題して、人が優先、人に優しい、常に日本の第一号であり云々と書かれていますが、このグランドデザイン案とは一体何ですか、御説明ください。
  163. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 地域の方々、特に銀座の商店街の方々と、銀座通りの風格、そういうものを意識をしながら全体の景観を定める総合デザイン計画のことでございます。
  164. 植松恵美子

    植松恵美子君 銀座一丁目から八丁目の約一・一キロメートルが銀座通り、そしてこの一・一キロメートルについて景観検討会を平成十七年以降毎年やっているようですけれども、何について検討をやっているんでしょうか。
  165. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 平成十六年度から、御指摘のようにグランドデザインを踏まえまして、具体的な整備方針として銀座通り景観形成ガイドライン、そういうものの策定に向けた検討を開始をしております。平成十七年度には、有識者も交えて銀座通り景観検討会を発足し、照明灯のデザインを取り入れた植栽の在り方、沿道景観のルール作りの方針等について検討しております。平成十八年度は、銀座通りで特に重要な景観要素となる照明灯の新しいデザインを検討してございます。
  166. 植松恵美子

    植松恵美子君 私が整理しましたところ、大体年に二回程度検討会をやっています。会議を開いています。内容としては、街路樹、銀座にどんな木を植えたらすばらしいか、柳がいいだろうか、リンデンとかハナミズキはどうだろうかといった御意見がありました。  この景観整備事業の支出額、事業開始以来一体幾らになっておりますか。
  167. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 過去の支出額でございますが、全体構想それから個別施設のデザイン設計に四億円、それから植栽や照明灯の工事に九億円、それから、以上でございます。済みません。
  168. 植松恵美子

    植松恵美子君 私が思っていたよりも多い額でした。  おまけに、その街路樹、銀座に植えたらどんな感じになるか、コンピューターグラフィック作っているんですよ。毎年二千五百万とか七千万とか支出しているんです。  資料三に今そのグラフィック出しておりますけれども、これだけお金使うんだったら毎年柳植えてもリンデン植えてもいいぐらいの事業なんです。大臣、これどう思われますか。──いや、大臣お答えください、これどう思いますか。
  169. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 銀座は柳ということで有名でございました。昭和四十三年に柳が大変衰弱をいたしまして、十四年からシャリンバイに植え替えられております。  地域の方々、いろんな御意見がございます。シャリンバイを植えましたり、あるいは地域のいろんな議論からイチイの木の植栽についてやってございますが、このイチイの木の植栽につきましては、当然私どもの方も対応、支出をしておりますが、地元の負担もちょうだいしながらイチイの植え替えというのもやってございます。  そういう意見をどういうふうに取りまとめていくか、地域の声をどういうふうに調整するかということも重要かと思います。
  170. 植松恵美子

    植松恵美子君 大臣、この御答弁どう思いますか。大臣のお気持ち、率直なお気持ちをお聞かせください。
  171. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 金額がどうかということは別として、日本の顔、これはいろいろとそのときによって変わってきますよね。銀座から新宿へ行ったり渋谷がしたり、いろいろしますけれども、しかしながら、銀座が都市の顔であることは、全国各地、銀座と名前の付くところがいっぱいありますね。それを見ましても、銀座というものが日本一つの都市の象徴的なものである。これはもう大正時代から日本人がこつこつと積み上げてきたもので、諸外国もそれは認めていただける。  そういうものをその時代時代に合わせてどういうふうに、例えば看板を、よく東洋の町では看板が多過ぎますけれども、こういうものをどうするのか、それからパリのように建物の高さをそろえることがどんなに必要なことなのか、あるいは道路の幅員とか、あるいはそれに植える、植栽する木、そういうものは、もうその時々に最先端を行くそういう学者が集まって、そして協議をし、そして万遺漏のないようにしていくということは必要だと思います。  これは是非やっていかなければならないことだと思いますが、それに幾ら払ったらいいのかどうか、これはもう分かりません、私自身。これは国民が批判されることだろうと思います。
  172. 植松恵美子

    植松恵美子君 私、先日、銀座通り、視察してまいりました。現在は、写真にございますように、イチイの木、クリスマスツリーみたいな木が植わっています。足下にパンジーが植えられておりました。資料三にございます。  これ、平成十六年の十一月、クリスマスの一か月前に、クリスマスにふさわしい木が欲しいなと、地元の方の声を基に、シャリンバイ、植えてあったものを撤去しました、八百八十万。イチイの木、二百四十万掛けて植えました。そして、足下のパンジー、五百四十万。トータル一千七百七十万掛けて街路樹を造りました。しかし、これは道路環境研究所の仕事ではございません。東京国道事務所の仕事です。もちろん、地元の方、百十万円の負担をして、ボランティアで手伝ってくださったそうです。  にもかかわらず、いまだにまだ植栽に関する勉強会続けていますが、どうしてこんな勉強会やっているんですか。
  173. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 済みません、事前にいただいておりませんのであいまいな答えになるかもしれませんが、イチイの木を植えておりますが、そのほか高木とか低木がございますので、全体の植栽というのをどうしたらいいかという全体検討をやっておるというふうに聞いております。
  174. 植松恵美子

    植松恵美子君 来年は何をやりますか。まだ続けますか。高木は植わっておりません。イチイの木のみです。
  175. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 済みません、これもはっきりしたお答え申し上げかねますが、突然でありますので。  来年どういうふうにするか未定でございます。
  176. 植松恵美子

    植松恵美子君 まず、この銀座グランドデザイン案というのをしっかり作っているんですよ、二千五百万掛けて。このグランドデザイン案に従って計画的に景観整備をやっていくのが本来じゃありませんか。それなのに、来年何やるか分からないと。これ、中途半端な計画なんですよ。  大臣、このグランドデザイン案によりますと、十年から二十年先想定して、動く歩道などIT技術を活用した更なる快適性の推進、つまり、将来、銀座の歩道、動くかもしれないんですよ。だんだんエスカレートしていっちゃっている。  これ、十年間五十九兆円の中期計画に含まれておりますか。これは道路特定財源でやっている事業です。
  177. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 二つお答えをしたいと思います。  総合計画でありますグランドデザイン、そういうものを構想、先ほど申し上げましたように総合的な構想でございます。十八年度から、グランドデザイン案を踏まえまして、具体的な整備方針というものでガイドラインの策定をしております。そこは具体的なガイドラインでございます。  中期計画、二つ目のお尋ねでございますが、中期計画の中に入っておるかどうかということでございますが、これは何回も今まで御答弁申し上げていますように、要対策箇所ということは全体的に示しておりますが、具体的に十年間で五十九兆でどこをどういうふうに整備するかということについては、これは毎年度毎年度決める話でございますので、含まれてございません。
  178. 植松恵美子

    植松恵美子君 しかしながら、この事業は今のところ植栽も照明も変わっておりませんから、このまま勉強会、検討会を続けるのであれば、これは道路特定財源でやっていますから、十年間五十九兆円に自動的に含まれることになると私は思いますけれども、含まれていませんか。
  179. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 先ほど申し上げましたように、毎年度毎年度個別具体の事業あるいは計画は決めていくものでございますので、具体に青山のところが入っているかどうかということは決めてございません。(発言する者あり)済みません、銀座、含めてございません。
  180. 植松恵美子

    植松恵美子君 つまり、このようにあやふやな事業なんですよ。行き当たりばったりの、本当に、自分たちで考えて、自分たちで仕事つくって、自分たちでお金使って、この余っているお金どうやって使おうか悩んでいるような事業なんです。  そして、引き続き、先ほどもおっしゃられましたように、銀座通りの照明デザイン検討業務も始めました。平成十七年です。銀座の街路灯を一新しようということで事業を立ち上げたんですけれども、三回の検討会の中で是非海外デザイナーの照明デザインも見てみたいといった地元の人の意向を踏まえて、一般を対象としたデザインコンペを開いております。このコンペ、幾ら掛かりましたか。
  181. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 照明デザインコンペは、平成十八年度発注をいたしました業務の中で実施をしておりまして、当初、国際コンペの事前登録応募者数五十人と想定しておりましたが、予想を大きく上回りまして千百八十一名でございました。したがいまして、最初見積もった金よりは膨らんでおりまして、一億二千万の支出でございます。
  182. 植松恵美子

    植松恵美子君 済みません、当初、コンペ代二千五百万で大体拠出する予定だったのが、一億超えちゃったんですね。済みません、当初五千万の予定だった支出が一億二千万に膨れ上がっています。これ、いっぱいの人が応募したからたくさんに膨れ上がったという理由には私ならないと思うんですよ、五千万が一億六千万には。だって、応募数が多いだけなんです、これ有り難いことだと私は思っておりますが。  これ、もう一度、どうしてか、理由をはっきりと述べてください。
  183. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、最初の契約のときに想定をしておりました事前の応募登録というのが五十名程度ということでございました。それが千百八十一名、結果的になりました。そういうことで、受付業務、そういうものが増えました。  それから、審査、そういうコンペで具体的に審査をいたしますが、審査に掛かる委員会の費用あるいは事務局の費用というものが掛かっております。それから、いろんな審査会、そういうものの運営費、回数が増加しておりますので、そういうものが増額いたしました。
  184. 植松恵美子

    植松恵美子君 海外デザイナーの照明デザインも見たいなあと地元の人の意向で始まったコンペで五千万膨れ上がって、それでそういった御答弁、これ国民納得しますか、大臣
  185. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 支出の在り方として、事前及び事後に我々が検討できるようなシステムを導入したいと思います。今、私を本部長といたしまして改革を進めているところですけれども、そのような具体例を聞きますと、ますますこれは、その事前及び事後、こういうものをきちっとチェックをして、そしてまたこれがインターネット等で公開されるということが必要だということを痛感いたしておりますので、是非改革を進めてまいります。
  186. 植松恵美子

    植松恵美子君 是非大臣、こういったくだらないことはやめるようにしてください。そして、結局、千百の応募数の中から照明デザインは決定いたしましたか。
  187. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 決定をいたしました。
  188. 植松恵美子

    植松恵美子君 そうですね。私の資料三の下、物干し台のような形しているデザイン。これ一億円使って、デザイン料ですよ、一億円使って決めたデザインがこれです。  おまけに、この照明デザインについてもCGを作成しております、コンピューターグラフィック。今回は、すばらしいです、丁寧に動画で作りました。道路を走るとこのすばらしい照明灯がどのように見えるかを、わざわざコンピューターグラフィックで作って動画で見せているんです。これ、だれに見せるつもりで作りましたか。
  189. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 最初答弁申し上げましたように、銀座通り、東京の顔、日本の顔でもございます。地域の方々の御意見も賜ったり、あるいは有識者意見も賜ったり、そういう全体的なコンピューターグラフィックスで沿道の景観と調和しているかどうかというチェックをそういう方々とした、そういうことでございます。
  190. 植松恵美子

    植松恵美子君 ということは、検討会の中で、一部の有識者の、いわゆる検討会議に出席する人のためのプレゼンテーションでこういった動画を作ったということでよろしいんでしょうか。
  191. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 済みません、先ほど申し上げましたように、契約の中にはいろんなPRの資料、説明資料というのも含まれております。そういうものの一部の絵として活用したり、そういうことも可能になりました。
  192. 植松恵美子

    植松恵美子君 私でしたら、一つレプリカでも作ってみた方がいいんじゃないかと思うんですけれども。  ところで、照明デザインはもうとっくにコンペによって平成十八年度に決定しているにもかかわらず、翌年、四千八百万円を使ってまだ検討会続けています。今度は何検討しているんでしょうか、教えてください。
  193. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 照明柱に共架をする、添架をいたします、例えばバナーのホルダーでありますとかあるいは信号灯、標識、そういうものを共架いたします。そういう照明灯のデザインとの調和、そういうものが一つと、それからもう一つは、照明柱の素材とかあるいは色、そういうもの、それから付加機能について、例えば強度でありますとか照度でありますとか建築限界、そういうものの付加機能についてチェックをした、検討したということでございます。
  194. 植松恵美子

    植松恵美子君 そもそもこの照明デザインの業務を始める前に、有識者たちを集めて現場見学会と座談会を行われております。  その議事録を読みます。発言一、洋画家でタレントの女性です。確かに、和光の前とかカルティエですかね、このぐらい割と暗めな方が、逆にお店の中に何があるかというのが、目立つような、品があるような感じがしました。発言二、大学教授。銀座のショーウインドーは日本一、世界でも有数レベルだと評価しているんですよ。その銀座のショーウインドーをきれいに見せる明かりはどうあるべきかと考えると、今日は七〇一ぐらいのものが品が良かったと思います。発言三、大学教授。表参道ヒルズの前も全部ガラスで透明のものに切り替えられましたね、かなり新しく。この際少しきれいにするというのもいかがかと。それによって街路灯の考え方が全然違ってくると思うんですよ。  この場合、受益者は一体だれに当たりますか、大臣
  195. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 全体的な道路の調和ということでありますし、それから照明ということで歩行者、ひいては車の安全性を高めたということを考えております。
  196. 植松恵美子

    植松恵美子君 暗めにしてショーウインドーがよく見えて、自動車を運転しながらショーウインドーを見たら危ないですよ。こんなのは受益者は自動車ユーザーとは言えません、大臣
  197. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 質問はどなたですか。
  198. 植松恵美子

    植松恵美子君 そうですね、大臣の御意見、少し教えていただきたいんですが。
  199. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 植松議員の御意見はよく分かりました。  しかしながら、いろんな人がいるわけでございまして、専門家、先ほど言われたような画家もあれば彫刻家、大学教授という人、そういう人たちをテレビでも重用して、採用してそのような意見が述べられます。また、銀座で買物をする人たちあるいは歩行者、もちろん車で通う人たちも、銀座をそのように利用する、こよなく愛する人たちがどう見るか、これはいろんな見方があると思うわけです。  残念ながら私は田舎者でございますので、余り銀座を歩くというような機会に恵まれておりませんけれども、しかし日本の顔である銀座が、世界に冠たる、ニューヨークへ行っても五番街とか、そういうところとかパリのシャンゼリゼとか、そういうのは随分金掛かっていると思いますよ、実際は。ですから私どもは、その銀座だけが一・一キロに対してどういう投資が適当なのか、こういうことはまたチェックをさせていただきたいと思っております。
  200. 植松恵美子

    植松恵美子君 大臣、改めて申し上げますが、これは道路特定財源、いわゆる今一番問題となっている財源、しかも国民の皆様には暫定税率を上乗せをして、まだ廃止をしないと大臣がおっしゃっているこの税金でやっている事業だということを改めて申し上げます。  私はこれを聞いたとき、ぜいたくな悩みだなと思いました。なぜならば、この銀座通りは日本で最も地価が高いんですよ。一坪八千万以上するんです。私も、銀座歩きました。地方から出てきた私にとってはあの場所はきらきらと輝いて、まるで日本の宝石箱のようだと思いましたよ。しかしながら、頭に浮かんだのは、やはり地方の銀座通りと名の付くシャッター街で一生懸命頑張って働いている地元の人たちの顔ですよ。  大臣道路事業は優先順位どうあるべきであると思っていらっしゃるか、もう一度御答弁ください。
  201. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 国際競争力を強化し、成長力を確保し、そして地方の低迷する経済、そういうものにも活力を付加し活性化する、そして我々の子供たちが自信と誇りを持てるような国土をつくる、これが優先順位を選ぶときのメルクマールだと私は思っております。
  202. 植松恵美子

    植松恵美子君 私は、政治家は、だれも光が当たらないところを一生懸命見付けて光を当てていくことが政治家の仕事であると今でも思って、志を持ってずっと続けていきたいと思っております。  今、私が調べただけで、この一・一キロの銀座通りに約十何億といったお金が落ちているわけです。しかし、大臣、今銀座通り歩いてください。結局、成果物は何にもないわけですよ。イチイの木とパンジーだけです。この資料手元にありますが、約一億円します、二冊でです。私の部屋には三億五千万の資料だけが残っております。こんな成果物のないような事業ばっかりやっていて、国民の皆様は暫定税率を廃止しないということを本当に御理解していただけると思いますか。  今日は、こんな若い子供、学生さんもいらっしゃっているんです。この方たちが数十年後にこの道路のお金を払っていかなきゃいけないんです。彼女たちに向けても発声してください。
  203. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 私も政治家として、庶民の目線に立って、特に恵まれない人たちに政治の光を当てること、そういうことが私の政治信条としてここまで来ました。  したがいまして、そういう皆さん方から御指摘があったようなものがもし無駄なものがあるとするならば、私はその支出については厳しく査定をする、そういう改革をする、私は皆さん方の前で政治生命を懸けてでもやりますということを申し上げているわけです。四月の末までにはきちっとやります。  そういう意味で、今までの指摘されたような問題も含めてこれからどういうふうにするか、それは考えていきたいと思います。
  204. 植松恵美子

    植松恵美子君 大臣是非子供たちにうそをつかないでいただきたいと思います。  私の地元香川県には二十二の有人島があります。島外へ通勤や通学、病院へ通うにはフェリーを使わなければ行けません。この航路は住民にとってまさしく道路と同じぐらい重要な生活基盤ですが、大臣はどう思われますか。
  205. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 日本の国土は三十七万七千キロでございますが、ですから世界で六十番目の、面積としては、そんな国ですけれども、六千八百七十四という離島、これが我々のEEZ、領海を広げ、この領土の十二倍という海域を我々に専用使用させていただくという、国際的に認知をしていただくというものがあるわけでございまして、これは今後の我が国の資源、海底資源、漁業資源というものを考えたときに非常に大きい。これは離島があったればこそでございます。  したがって、私は、昨年施行されました海洋基本法にも、離島の保全ということが一つの大きな政治課題として挙げられているわけです。私は、そういうところで先祖代々ずっと暮らしていただいている方々がいられればこそ、本当に不便な交通事情、厳しい自然環境の中でこの我々の離島を守ってくださったという方々が日常使われる自らの足であるべきこういう離島航路とかそしてまたその島内のバスというものは非常に大事にしなきゃならない、こんな思いでございます。
  206. 植松恵美子

    植松恵美子君 ところが、この原油の高騰とか、今の、利用者数が減少しております。高齢化率は普通の平均の約倍になっているんです。過疎化が進んでおります。こういった事情によってフェリー会社が赤字経営になるところが多くて、とうとう、航路のうち何ぼかですかね、いわゆる利用運賃が上げざるを得ないような状況になって、これ本当に五十円、百円上がると、これ往復掛かりますので、生活者の本当に生活に響いてくるんですよ。  こういった航路への道路財源からの支出はありますか。
  207. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 私は、そういう事情、私は離島へも本当にいろいろなところへ足を運んでいるつもりです。そういう今委員がおっしゃったようなことを訴えられて、去年の十九年補正でも、これは、香川県の七航路ございますけれども、それに対して十八年は十四億九千二百二十、いえいえ、一億四千九百二十二万四千円というものを補助をいたしておりましたが、十九年度はその倍に、倍というかな、その一億増しの二億五千三百八十一万一千円ということで増額をしていただきましたし、補正につきましても私どもは頑張ったつもりでございます。七億四千万ほどの補正で、それは島全体ですよ、香川県だけではありませんけれども、島全体でそういうふうにいたしました。ほぼ倍額を確保いたしました。
  208. 植松恵美子

    植松恵美子君 大臣、それ、道路特定財源から出ているお金でしょうか、それとも一般会計でしょうか。済みません、私、勉強不足なんで、もう一度教えてください。
  209. 平井たくや

    ○副大臣平井たくや君) 同じ香川県で同じ離島をいつも一緒に回っておりますので。  それは、一般財源から支出をさせていただいております。
  210. 植松恵美子

    植松恵美子君 私はそのことを指摘しているんですよ、平井副大臣一般財源化すると、こういった地方の方にもお金が回る。しかしながら、先ほどの特会で置いておくと、銀座に十何億円入っているのに島には回っていないんですよ、副大臣、平井さん。分かっていますか。
  211. 平井たくや

    ○副大臣平井たくや君) 話を混同しないでいただきたいんですが、島には道路特定財源で整備しているものはたくさんあります。当然そうですよ。  今言われている話は、そのフェリーに対する原油高の問題の補助という問題だと思います。これは、全国の離島の航路に対して補正予算で補助を出させていただいております。
  212. 植松恵美子

    植松恵美子君 平井副大臣の選挙区には小豆島という大きな島あるからいいんですよ。ちっちゃな七百人とか三百人とかしか住んでないところは病院とかはフェリーに乗らないと行けないんで、フェリーの航路を道路特定財源でちゃんと確保していますかと聞いているんですよ、副大臣
  213. 平井たくや

    ○副大臣平井たくや君) 離島航路の補助に関しては、まず離島振興法の適用を受けている島であること、例えば小豆島のように航路がたくさん多いところは適用になりません。また、複数社がその離島に就航している場合は、これは競争原理が働いて料金が落ち着くということですから、それもしていません。  ですから、離島航路の適用を受けているところに関して言えば、当然その船に関しては補助を出しておりますが、フェリーはちなみに重油で動いておることも是非お考えいただきたいと思います。
  214. 植松恵美子

    植松恵美子君 はい、存じております。  じゃ、副大臣と香川同士なので、やはり私は提携を取って香川のために頑張りたいと思います。  最後ですけれども、アスファルト舗装している道路だけが生活路でないと。やっぱり国土交通大臣としてはこういった生活者の皆さんの足となるような交通政策全体を守っていただきたいということを私はお願いしたいんですよ。銀座ばっかりに今お金が流れちゃっていた例を申し上げたのも、こういったことを是非とも申し上げたいという例として取り上げさせていただきました。どうぞ、大臣、よろしくお願いいたします。  最後、島に対しての思いをお願いします。
  215. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) それぞれ道路管理者が万全を期することであろうと思います。そういうところは、香川県なり土庄でしたか町なりがそれに万遺漏ないように頑張られると思いますし、我々はそういうものに対して、補助をすべきものであれば、これは補助規定があればそういうものこそきちっと箇所を付けて補助をしていかなければならない、このように思っております。
  216. 植松恵美子

    植松恵美子君 ありがとうございました。
  217. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で川合孝典君の質疑は終了いたしました。(拍手)  午後一時に再開をいたします。休憩といたします。    午後零時二十二分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  218. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成二十年度総予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。米長晴信君。
  219. 米長晴信

    ○米長晴信君 民主党の米長晴信です。  引き続き、道路特定財源を中心に議論させていただきたいと思っております。  この議論の深まりによって、中期計画の積算根拠のあいまいさ、あるいは、先ほどの指摘にもありますように、いかに無駄な出費が多いかということがだんだん明らかになっております。  そこで、改めて問題となるのが、やはりガソリン税を払っている人にそういった負担が行くということなんですけれども、改めて、この受益者負担ということを毎回強調されておりますが、もう一回これについてお伺いします。
  220. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 道路特定財源は、道路整備とその安定的な財源の確保を図るために創設されたものでございまして、創設してから本当に相当な時間がたっておりますが、その間にもそれの更新するための国会での審議をお願いしてきたところでございます。四十九年からということでございますから、本当に長い期間このようなものが続いてまいりました。道路の利用によって最大かつ直接的な便益を受けるのは自動車ユーザー、目に見えるわけでございます。それで、利用に応じて道路整備のための財源を御負担を長くいただいてきたということでございます。  本来、道路国民生活や地域経済を支える最も基本的な社会資本でございます。道路整備による便益あるいは適切な管理により道路の機能を維持することによる便益は広く国民全般に及ぶものと認識をいたしております。  しかしながら、税負担を求める考え方としては、道路の利用により受益が生じるという点に着目し、走行時間の短縮や、あるいはそういうことによって交通事故の発生率が下がる、こういうような最大かつ直接的な受益者は自動車のユーザーであるということは明らかであると思われます。自動車ユーザーという特定の集団が道路を利用することから得る受益に対し、ガソリン税等の形で負担をお願いすることとの関係が明確である、制度としても合理性があるというふうに思っております。そういうことで、特定の集団でございますが、長くそういうことでお願いをしてきた次第でございます。
  221. 米長晴信

    ○米長晴信君 改めて、これも繰り返しでございますけれども、伺いますけれども、この十年の中期計画の中で子供の通学路の整備、踏切の整備、お幾ら掛かっていますでしょうか。
  222. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  通学路の歩道整備は、四万四千キロに対しまして、簡易な方法を含め集中的に交通安全対策を実施し、そのための事業量として二兆六千七百億円計上してございます。  開かずの踏切等の対策でございますが、千四百か所に対して対策を実施し、そのための事業量として三兆八千四百億円を計上してございます。
  223. 米長晴信

    ○米長晴信君 今ほんの一例、二例ですけれども、まず、通学路というのは基本的に子供の安全、子供が安全に通学できるための道路、歩道、あるいは道路のわきを造る。これ、受益者は直接的にはだれとお考えですか。
  224. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) もう今のお尋ねでもお分かりのように、それは子供たち、通学路を使う子供たちが直接的に受益するわけですけれども、我々がBバイCというときのベネフィットの中には交通事故減少便益というものもあります。こういう歩車道の区別がないところでは、事故は整備された道路から比べれば非常に高い割合で事故が発生しているというのは過去の統計上明らかであり、中期計画の中にもそのことがきちっと書かれてあります。  したがいまして、そういうような道路整備を、歩車道の区別のないところに四十人以上の子供たちが通学しているのは四万四千キロメートルにも及んでいるわけでございます。したがいまして、その中の少なくとも九千キロは道路を拡幅するなりして歩道を造りたい。三万五千キロについてはそれは無理であっても、ガードレールとか、あるいは色分けをペイントをするとかして事故が起こらないようにする。そういう意味では、そこを安心して通行できる自動車ユーザーというのも大きな便益を受ける、道路整備することによってベネフィットを受ける、そういうことは自動車ユーザーにも大きな利益を与えているということは言えると思います。
  225. 米長晴信

    ○米長晴信君 もう一つ、踏切ですけれども、踏切はその利用は車だけでしょうか、それ以外にもありますか。
  226. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 踏切は、それを渡る、歩いて渡る人、自転車で渡る人、自動車で渡る人があります。しかしながら、踏切が非常に東京は多いですけれども、どこともに開かずの踏切というようなものを考えてみたときに、そこで滞留する自動車はアイドリング状態でどんどんCO2を排出するわけで、その周辺の住民も大変困るわけでございまして、東京大気汚染事件等を考えても、そういうところを一日も早く立体化するとかすることによりそういうものをスムーズに流すということが大切でありまして、それがひいては、そこでいらいらしながら待つ自動車のユーザーは、そういう待つことなくそこをスムーズに通れるということ、そしてそれによって大気は汚染されないということ、そういう大きな利益があると思います。  したがいまして、一般国民であり、直接的にはそこを毎日渡る歩行者、自転車、自動車の人ですけれども、自動車もそこで渋滞をしない、環境を汚染しないという利益が、大きな利益があると思います。
  227. 米長晴信

    ○米長晴信君 まさに今二つ御指摘した部分だけでも予算で、五十九兆の中で五兆円以上、直接的に目に見える受益者が道路以外のものにそれだけ使われているわけです。これ、道路特定財源のお話すると直接的な受益者は道路ユーザーだと言い、今のような御指摘をすると逆に一般的な波及効果もあると言う。ダブルスタンダードで答弁をされているということをまず御指摘をさせていただいた上で、本当に実は言いたいのは今から申し上げる別の角度なんですけれども。  これは、逆に今、道路ユーザーがガソリン税を払って道路ができる、これは納得逆にできる部分だと思うんですけれども、農業用の機械、これは必ずしも道路を使わない、あるいは全く使わないようなもの、農地あるいは農道しか走らないようなものたくさんあります。これについて、地方税、地方財源である軽油については還付のような仕組みがあるということを把握しておりますけれども、ガソリンについてはそうなってないはずなんですけれども、これについて農水大臣、御説明をお願いします。
  228. 若林正俊

    国務大臣(若林正俊君) お答えいたします。  ガソリンにつきまして、農業用に耕運機でありますとかコンバインでありますとか、あるいはその他の諸農業機械の利用にガソリンが使用されるわけであります。これについての税金につきましては、揮発油税道路特定財源としての性格、あるいは今御指摘ございました農林漁業用の軽油に対する軽油取引税の減免措置、講じておりますが、それとの均衡の観点からこれを減免すべきとの要望が出されたところでございます。  しかし、減免対象者が極めて多数の農業者にわたっていること、それから製造業者や販売業者の手続が非常に煩雑になる、免税の揮発油の流用を防止するということはこれまた実は大変なチェックに手間暇が掛かる、免税額を確定するために多数の税務職員を必要とすることになり、その費用が膨大になることなどから、揮発油税の減免の実施は極めて困難だという検討の結果、出されたわけであります。  その後、昭和四十年度予算において、農林漁業用揮発油税財源身替の農道整備事業予算が計上されるということになりました。また、昭和四十一年七月の衆議院の大蔵委員会において、揮発油税の減免は事実上多くの難点があることにかんがみて、農道整備事業として歳出面で予算上の措置をとることはやむを得ないというふうに認められまして、税額相当額を極力完全還元できるような予算措置を講ずべきという決議がなされ、現在は農林漁業用揮発油税財源身替農道整備事業という仕組みの中で対応しているところでございます。
  229. 米長晴信

    ○米長晴信君 ありがとうございます。  これ昭和四十一年の大蔵委員会での決議、これが根拠になっているというのは資料一に添付をしております。  財務大臣にここで御確認したいんですけれども、ここに、極力完全還元できるよう予算措置を講ずるべきと、これ、ほぼ同額を講ずるべきという解釈でよろしいでしょうか。
  230. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは米長先生のおっしゃるとおりなんでありますが、農林漁業者に対しましては、揮発油税負担について、農林水産関連予算として、そういう視点から見ると、揮発油税相当額を上回る規模で財政的な支援をしていることになるんではないかということで御理解をいただきたいと。  例えば、二十年度予算でいいますと、農業者関連で揮発油税相当額は推計だと三百四十三億円ぐらい。しかし、実際は区画整理とか用排水施設整備には七百六十二億円の予算が付いています……    〔米長晴信君「一般財源と混同して御答弁されている。ちょっと違う、趣旨が」と述ぶ〕
  231. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) いや、全体的な、だから……    〔米長晴信君「そんなことを聞いていないんですよ。私は道路特定財源を中心に議論をしているんです」と述ぶ〕
  232. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御起立の上、御発言ください。しばらくお待ちください。
  233. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 予算措置を講ずるべきであるということでございますから、それ全体で、特定財源だけではなくて全体的な形で還元をしていると、そういう意味で申し上げさせていただいている。それは、林業においても漁業においても、特定財源よりも相当上回る形で予算措置がなされているということで御理解をいただけたら有り難いというふうに思います。
  234. 米長晴信

    ○米長晴信君 先ほどわざわざ農林大臣が、この代替措置として身替農道整備事業があると。これが対になっているわけでございますから、その答弁ちょっと筋が違うというふうに申し上げた上で、続けたいと思います。  なぜ私がこの議論を今出すかというと、資料一の下段にございますけれども、この議論、前にもあったんですけれども、道路特定財源を一般財源化するというような議論のときにもう一度考えましょうというようなことで先送りをしたわけですから、今がまさにこの議論をするべきときと思いまして今日質問をさせていただいております。  さて、図二を御覧いただきたいんですけれども、実際にいわゆる農家の方がガソリン税として払っている部分の試算額が表の左側、財源計算額というのが平成八年ごろは六百十四億あったのが今はだんだん減りつつあります。それに対して、この相当分を、じゃ農免農道を造るというこの政策は、実際には農道を造るのに使っている予算が平均でおよそ二百億近くずつ毎年少ないわけでございます。これは特定財源、道路特定財源のために関係ない農道を走っている車が納めて、それが農家の人に本当はこの仕組みを使って還元されるべきものが毎年二百億ずつ適正に農家の人に戻っていないということも言えるかと思いますけれども、農水大臣、お答えください。
  235. 若林正俊

    国務大臣(若林正俊君) お答えいたします。  委員資料としてお配りいたしましたこの資料を御覧いただければ明らかでありますが、財源計算額上これだけのものが、受益負担を農業者が農業機械などによって負担をしているというのがあり、そして実際上の身替財源として造られる農道予算というのは右側にあるとおりでございまして、御承知のように格差がございます。十年平均してみますと、大体充当率が約六一%ぐらいの充当であろうかと思います。  しかしながら、財務大臣が御答弁申し上げましたように、これらの乖離がございますけれども、実際上の農業予算、さらに基盤整備に限定をいたしましても、これを超える額が一般会計で充当されておりますから、農林施策としては必要な予算は特別会計、一般会計通じて我々充当を、受益をしていると、こう考えております。
  236. 米長晴信

    ○米長晴信君 私が指摘しているのは、この道路特定財源に入る部分が農業の一般予算として同等かそれ以上落ちているという非常に不条理な話でありまして、道路特定財源に入って、その余剰分というのは国交大臣はどのようにお考えですか。一般財源です。
  237. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) いろんな現象が起こると思いますけれども、当初その分は減税して、安いガソリンとか軽油とか、そういうものを農業生産者には渡しなさいという話だったと思うんですけれども、それがそういうふうにするとガソリンに二重の価格ができてしまうわけですから、ガソリンに色は付いていませんから、そういうものが正当に使われる場合はいいんですけれども、流れたら困るというところからこういうそれの見合いによる道路整備、農道整備ということが行われたんだろうと思うんです。しかしながら、それが、農業というものがだんだん生産者も少なくなり農道も整備する必要性が少なくなってきて、今日こういう現象が起こっているんだろうと思うんですね。  したがいまして、それは国のレベルから、もう道路特定財源だけを言えばもう米長さんがおっしゃるとおりだと思いますよ。しかし、国全体から見たときには、それを、制度をだからといって変える必要がないほど農業予算は一般からも入れているから、それで勘弁してくださいというところだろうと思います。しかしながら、これをきちっと立て分ければ、米長さんが言わんとされることは、それはそのとおりの理屈だろうと思います。
  238. 米長晴信

    ○米長晴信君 でも、これはまさに一般財源の話ですよ。農家の人はガソリン税だと思って、道路に使われる税だと思って納めているからこれは不条理な話であって、もしこれが全部一般財源化されれば、農家の人も一般財源としてのガソリン税を納めて、それでそれが農業含めていろんなものに使われるという議論、全くこの部分的なのを御指摘でだんだん明らかになって、しかも農家の人にも農業予算で回っているからいいじゃないかとおっしゃいますけれども、たまたまいただいた資料が十二年分ですので、これ農業、その次のページが林業、漁港関連道というのもありまして、同じような構図になっているんです。この人たちもガソリン税、特定財源として払っておきながら結局完全に還元されていないと。その額はこの十二年間、農業のやつだけでも二千三百億以上になるわけです。  これ是非、もうこのタイミングで少なくともこの部分だけは何とか一般財源化できるような措置を財務大臣、取られてはいかがでしょうか。
  239. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、先ほど若林農林大臣、それから冬柴国交大臣がお話し申し上げましたように、免税対象者が物すごい多いとか、製造業者とか販売業者の手続がなかなか容易ではないとか、あるいはまたほかに利用されるおそれもあるんじゃないかとか、そういうことから考えてこういう農免道のような考え方が生み出されてきたというのは、これは実際先生の御提示いただいた委員会の経緯からしてもそうなんでしょう。  これについては、だから先ほど御説明申し上げましたように、全体的に農業、それから林業、漁業関係者にも一般財源から、一般会計から補てんするような形で御理解をいただくという形になっていると思います。これが今後どういうふうに推移していくか、検討されていく場合もあると思いますけれども、そういうこれまでの問題がどういうふうに解消されていくかということが大事なことでありますから、先生意見もよく聞いた上で参考にさせていただきたいというふうに思います。
  240. 米長晴信

    ○米長晴信君 いろんな問題は、これすべて道路特定財源というものを一般財源化することで解消するものが非常に多くありますので、総理も一般財源化も視野に入れたことも御検討されているということでありますけれども、改めて一般財源化、今どのようなところまでお考えか、お伺いします。
  241. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、今度の改正法案というのは、道路整備を上回る分は一般財源化を図るということで、従来とは違った形になっていまして、一般財源化への方向に向けた大きな方針転換をしているわけであります。その上で、今度、国会の場で与野党の間で御議論をいただいて、これまでの中期計画の問題、あるいは公益法人のその運用の仕方、様々な問題が明らかになってきておりますから、そういう中で一般財源化のことも含めて与野党の間で御議論をいただいてこの結論を出していただきたいというふうに思っております。そのためには、民主党もやっぱり歳入歳出の全体像を示してきちっと議論をしていっていただいて、いい結論を出していただきたいというふうに思っております。
  242. 米長晴信

    ○米長晴信君 先ほど答弁の冒頭でおっしゃったその先送り、来年度に回した分を一般財源化するというのはまた違う議論ですけれども、ではもう一回、何度も聞きますけれども、道路特定財源を廃止して一般財源にするということも議論に含まれていると考えてよろしいですか。
  243. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 我々は、今度の法案の中で提案させていただいたことは、道路特定財源については道路整備をするという視点、それから我が国の置かれた厳しい財政事情、それから世界的な問題になっている環境、そういう問題にも配慮をしながら結論を出していただきたいというふうに思っております。
  244. 米長晴信

    ○米長晴信君 ちょっと時間が経過してまいっておりますので、これは、ここから先はある程度並行の議論になると思いますので、続きの質問をさせていただきたいと思います。  ここまでで農水大臣はもうお忙しいと思いますので、引き取っていただいて結構です。
  245. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) どうぞ若林大臣、御退席いただいて結構でございます。
  246. 米長晴信

    ○米長晴信君 次、スマートインターについて、これも今国会で何度か御議論がありますけれども、まず中期計画におけるスマートインター計画の概要について、もう一度御答弁をお願いします。
  247. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  中期計画との関係とのお尋ねでございますが、スマートインターチェンジの設置は、既存の高速道路ネットワークの有効活用、機能強化を図ることを目的として料金引下げと一体となって実施するものであることから、道路整備のための計画である中期計画に直接含めることはしておりません。
  248. 米長晴信

    ○米長晴信君 中期計画の中に直接は含めておりませんけれども、関連予算ということで五千億取っておられると思うんですけど、その辺を御説明をお願いします。
  249. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  スマートインターチェンジの整備でございますが、平地部におきましてインターチェンジ間隔を欧米並みの五キロ以下にするということ、それから原則として高速国道が通過するすべての市町村においてインターチェンジを設置することを目標に、現在のインターチェンジ数約七百三十か所に加えて、今後二百か所以上の増設を行うことを考えてございます。
  250. 米長晴信

    ○米長晴信君 当初の質問は、その事業の規模、つまり予算と何か所とか、そういうことをお伺いしております。
  251. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  費用につきましては、スマートインターチェンジの設置費用、及びこれに関連して暫定二車線区間に設置する場合の付加車線分の費用といたしまして全体で約五千億を見込んでございます。
  252. 米長晴信

    ○米長晴信君 まず、資料の三、御覧いただきたいんですけれども、これが議題となった平成十九年の予算委員会の御答弁で、この御答弁自体もこの国会で取り上げられましたけれども、資料の三にありますので。  三億から五億で造れると、せいぜい掛かっても八億だと、一か所。それがスマートインターだと、サービスエリア、パーキングエリアを有効に使って比較的安い値段で利用者が増えるということで当初始まったと思うんですけれども、それがこの中期計画の関連事業の中で二百か所、五千億に膨れ上がった。これ、理由を教えてください。
  253. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 私が参議院で公明党の木庭健太郎議員の質問に答えました。そのときは、パーキングエリアとサービスエリアというものが既にできていまして、そこへ言わば穴を空けるといいますか、ETCを付ければそこから出入りができるという、そういうものを社会実験をちょうど行っていたところで、事実、福岡だと思うんですが、須恵パーキングエリアというようなものを例示しながら御質問がありました。したがいまして、私は、それまでの社会実験というようなものを含めまして、そして私は、それが大体せいぜい三億から五億ですか、それでよく掛かっても八億ぐらいだったという答弁をしたのは、そういう経緯によってしたわけでございます。  ところが、このスマートインターというのは、三十五か所ぐらいの社会実験やったと思うんですね、非常に便利だと。それで、日本にはもう現在高速道路というものができているわけですけれども、インターチェンジの間が約十キロも空いているんですね。したがって、欧米は大体五キロぐらいの間にそういう出入りできるところがあるということから、パーキングエリアとかサービスエリアはないけれども、直接そこへ出入りできるようにしてほしいという要請が各地から起こってきたわけです。そして、単に高速道路ができたのはいいけれども、我が町、我が市には全く素通りで、騒音と排気ガスだけで全然そういう利益がない、ですから、そこへスマートインターでいいから付けてもらえれば、そこへ工場が立地したり、そこに住んでいる人たちも非常に遠回りしなくたって便利がいい、だからそういうものを造ってほしい、こういう要請が非常にありまして、計算したところ、全国で二百か所ぐらい造らなきゃそういう要請にはこたえられないんではないか、そういう沿革があるわけです。  しかしながら、高速道路が全部パーキングエリアとかサービスエリアだったらそういうふうに私が言ったような値段で付けられるとしても、そうでないところでは、やはりそれの交通の流入度等を考えますと相当お金が掛かるということが分かってきたわけです。これは社会実験とかそういうことではなしに、新たにそういうニーズが生じてきた。それにこたえることによって、造られた高速道路を料金引下げと併せて利便性が非常に高まるというところから、政府・与党の申合せの中でこれを入れようではないか、そのために五千億というものを用意しようではないか、こういうことが合意されたわけでございます。
  254. 米長晴信

    ○米長晴信君 一か所一か所金が掛かることが分かったとはいえ、一か所せいぜい八億というのが二百か所で、八掛ける二百で、本当は千何百億でできるものが五千億と。これ、改めて説明をお願いします。これ、局長で結構です。
  255. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  スマートインターチェンジの設置費用についてのお尋ねでございますが、単価五億から十億のSA・PA接続型として約百か所、本線直結型スマートインターチェンジとして四車線以上の区間に設置する単価二十億円のものが約八十か所、暫定二車線区間には付加車線三、四キロ分も含めて単価九十五億円のものが二十か所ということでございます。
  256. 米長晴信

    ○米長晴信君 改めて説明をしていただきましたが、資料五というのがある程度それを図面化したものでございます。  従来の御答弁であった簡易なもの、これが、まず三億から五億、せいぜい八億というのが、まず五億から十億というところにちょっとげた履いていまして、それが百か所ということでありますけれども、これ、三億から八億というのが何で五億から十億になったのか、ここをまず御説明をお願いします。
  257. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答えいたします。  理由でございますが、三億—八億は設置のときの費用でございますが、これに修繕費、更新費用分を加味してございます。それから、スマートインターチェンジの施設として、特に標識、情報板の追加設置要望が社会実験あるいは本格実施のとき多うございました。これに対応する必要性を考慮して五億から十億円ということにいたしました。
  258. 米長晴信

    ○米長晴信君 とはいえ、一番、比較的安くできるパーキングエリア、サービスエリアに直結するものが約百か所と。  次にめくっていただきますと、資料二、これが、中規模といいますか大の小というか、元々四車線ある道路に上りあるいは下りの出口を造りまして、これでインターを造るというので二十五億円それぞれ掛かると、これが八十か所と。これでよろしいですか。
  259. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) さようでございます。
  260. 米長晴信

    ○米長晴信君 さらに、一番お金掛かる部分、次めくっていただきますと、暫定二車線、ここにインターを造るのに、二車線、片道一車線をそのままインターの出口を造るわけにはいかないので、ここに、出口の前に三から四キロでしたっけ、道路を造って事実上の四車線にして、だからここ一か所九十五億掛かるという説明を聞いておりますけれども、もう一度、それでよろしいか。
  261. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) さようでございます。
  262. 米長晴信

    ○米長晴信君 この二十か所の暫定二車線をそれぞれ三キロないし四キロ造るというのは、これまさに道路そのものを造るわけで、これ何で五十九兆の中に入らないんですか、この部分は。
  263. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  暫定二車線の区間にスマートインターチェンジ設置する場合は、交通安全上の観点から車線の増設が必要になります。スマートインターチェンジの設置に起因してこういうものが附帯的に必要になりますので、車線増設、そういうものを目的にしてやっておるわけではございません。したがいまして、スマートインターチェンジの設置というのは、既存の高速道路ネットワークの有効活用、機能強化を図ることを目的として料金引下げと一体となって実施するものであることから、道路整備のための計画である中期計画に直接含めることはしてございません。
  264. 米長晴信

    ○米長晴信君 そもそも、これ資料四、これ平成十二年の資料でありますけれども、スマートインターの概念というのは元々交通量の少ないようなところを更に管理費を圧縮しようというところからスタートしたはずなんですけれども、暫定二車線というところは元々取りあえず二車線でいいということで、元々交通量多いはずはないんですよ。多かったら初めから四車線にしていると思いますから。そんなところにわざわざ一か所九十五億円掛けて四車線に無理やりして、無理やりインター造るというのは、これは対費用効果の面から見てもどうなんですか。
  265. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  スマートインターの恒久化済み、本格実施をやったところ三十一か所のうち六か所で便益が百億円を上回ってございます。こういう場合のインターチェンジの利用交通量というのはおおむね千台、最低で六百台パー日でございます。  暫定二車線区間の本線直結型のスマートインターチェンジの利用交通量は、設置場所に左右されますが、暫定二車線区間における現行のインターチェンジ平均利用交通量は約一日二千五百台でございまして、一日千台というのは決して大きな、過大なインターチェンジ利用交通量ではないということであります。あくまで暫定二車線の区間でございます。  先ほど申し上げましたが、スマートインターチェンジの設置の時間短縮効果というのは、こういう区間ではインターチェンジの間隔が非常に長うございますんで、非常に便益が大きくなるというふうに考えてございます。
  266. 米長晴信

    ○米長晴信君 では、改めてお伺いします。  十年で二百か所これを造るということですけれども、設置の基準というのを改めて、なぜこういうところに造るかという基準を教えてください。
  267. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  スマートインターチェンジの設置基準というのは、スマートインターチェンジの制度実施要綱の中に定めてございます。一つは、インターチェンジ設置後の料金の増収額が会社の負担する管理費用を上回るということが一つの要件になります。このほかに、スマートインターチェンジの設置によりまして、例えばインターチェンジアクセス時間の改善、あるいは災害のおそれのある一般道路区間の代替、地域活性化施策の支援、そういうことに併せまして、その実施要綱では費用便益が一を上回ること、こういうのを設置の基準としてございます。
  268. 米長晴信

    ○米長晴信君 今御答弁いただいたのが資料六の一部でありますけれども、これは非常に設置基準というのがあいまいで、例えば黄色く塗ってある部分、ICアクセス、インターのアクセス時間の改善、これは高速道路にインター開ければ、その近くの人がそこに近いから改善するのは当たり前の話じゃないですか。  そうじゃなくて、そこに開けることによってその地区の何人が改善される、その何人が比率でほかの部分と比べて高い、だからここにスマートインターを造るという、そういうものが設置の基準であって、こんな一個一個取ると何らそこに政策が働いていないと思うんですけれども、いかがですか。
  269. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 先ほどの設置基準のところで申し上げましたが、一つの要件としては増収額ということがございます。増収額というのは、スマートインターチェンジごとの利用者の利用料金、それからその利用交通量を掛けることによって計算をいたします。したがいまして、スマートインターチェンジの設置場所、そういうものによりまして利用者の利用距離、利用料金が異なるために、単純に利用台数、そういうことだけを基準にしてございません。
  270. 米長晴信

    ○米長晴信君 これ、質問通告をしていませんが、今御答弁でいただいたんですけれども、スマートインターができることによって利用者全体が増えるかどうかというのはどのように御試算されるんですか。つまり、元々使う人がこの出口をあるいは入口を使うかどうかの話であって、交通総量というのは相当綿密に計算しないとインター一個開いたら何人増えるということを計算できないと思うんですけれども、その試算ができているからそういう御答弁をしているということですね。
  271. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  委員指摘のように、今あるインターチェンジの真ん中にスマートインターチェンジを造るということで、両側のインターチェンジに乗り降りしていた車が逆に減って、新しいインターチェンジの方に乗ればトータル利用交通量が増えないんではないかということでございますが、実際、社会実験それから本格実施をやりまして、全体の交通量自身もトータルで伸びてございます。
  272. 米長晴信

    ○米長晴信君 その数値を示してください。伸びていますだけでは納得できません。
  273. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 突然でございますのでちょっと手元にございませんが、後ほど資料はお届けできると思います。
  274. 米長晴信

    ○米長晴信君 次の資料七を御覧ください。  胸を張って利用量増えているということですけれども、さっき百億円ですか、年間、超えるというのは、この矢印の欄ですけれども、千人ないし二千人、三千人を超えているようなこの数か所だと思うんですけれども。実際はこの実用化されたという三十一か所のインターなんですけれども、上から五つ目、一日百六十台しか使っていない。これ、往復でしょう。百七十なんというのも下の方にありますよね。これ、場所によっては、今後九十五億円に一か所掛けてこういう数字で終わる可能性もあるわけでしょう。これ、本当にこういうちゃんと試算すべてできているんですか。
  275. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  今御指摘のインターチェンジ、那須高原スマートインターチェンジと思いますが、平成十九年の年平均交通量二百四十台ということで、当初の百六十台より増えております。百六十台パー日におきましてもBバイC一・三ということで、BバイCあるいは採算性は確認をしてございます。
  276. 米長晴信

    ○米長晴信君 もっと根拠を聞かないと、これではいそうですかというわけにはいきませんけれども。  例えば、この右二つの欄ですよ、料金収入の増収、料金収入額ですね、これ恐らく。管理運営費、恐らくインター一か所当たり人が一人付いているんでしょう、あと機械の設置のお金。そういうのがとんとんのものが、無理やりとんとんにしているとしか思えない場所が何か所かあるんですけれども。ということは、この収入と設置するのがぎりぎり採算合って、今後建設する九十五億だとか二十五億だとかあるいは十億だとか、そういうものを全く回収できないままこの事業を進められるということですけれども、それはどうでしょう。
  277. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  御指摘資料の中の採算性とんとんというのは金城スマートインターチェンジかと思いますが、収支差がゼロということでございます。この段階、本格導入の段階で百九十台、これは計画どおりでございます。計画並みでございまして、交通量は着実に増加をしておりまして、平成十八年から十九年、プラス二一%ということでございます。  それから、二つ目のお尋ねでございますが、暫定二車線区間に本線直結型、そういうスマートインターチェンジの設置に伴って付加車線を設置する場合は当然、冒頭申し上げましたように設置費用が高くなりますが、暫定二車線区間のインターチェンジ利用交通量は比較的多く見込まれる場合、あるいは本線交通量が比較的多い場所、そういうところでは便益費用をそれは上回ると考えています。そういうチェックを、BバイCそれから採算、そういうものをチェックをして行うというのは変わりございません。
  278. 米長晴信

    ○米長晴信君 本当、全然納得のできない説明でありますけれども、時間がないので締めさせていただきますけれども。  資料八。そもそも五千億で二百か所ということですけれども、今引っ張って引っ張って延ばして延ばして二百か所やった説明が、全部足すと、五から十の五を取ると四千四百億。最大の十億取っても四千九百億なんです。百億、これだけでもまだ足りないんですよ。よく見ると、でもね、箇所数二百か所以上なんという表現をしているんですね。  普通、予算というのはどんどんどんどん減らそう減らそうとやるところを、これ予算五千億あるからどんどん増やそう増やそうというような発想の計画であって、こんなもの全く容認できない。元々二百か所目いっぱい試算しても四千九百億、あるいは六百億少なくできる。なのに五千億取っているというのは、これはどういうことですか。
  279. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 御指摘のように、単純に合計すれば四千四百から四千九百億、二百か所に限定しますとそういうことになりますが、インターチェンジ、SA・PA型のスマートインターチェンジ、あるいは本線直結型のスマートインターチェンジ、要望とか、そういう市町村道以上との交差、そういう可能性を考えますと、四百か所程度にございます。そういうのを背景にして、その候補箇所の中から二百か所以上、五千億円の範囲内で設置をするということでございます。
  280. 米長晴信

    ○米長晴信君 残念ですが、私の時間が来ましたので、本当は植松委員のネタに次いで、分かりやすく道路標識作るなんというのに約四千億使ってたりとか、低温の舗装維持のための掃除の方法の検討に約五千万使ってた、(発言する者あり)四千万。ああ四千万と五千万、こんなものを指摘しようと思っていたんですけれども、あとは武内委員に譲りまして、本日の質問を終わらせていただきます。
  281. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 関連質疑を許します。武内則男君。
  282. 武内則男

    武内則男君 民主党・新緑風会・国民新日本武内則男でございます。予算委員会質問をするのは初めてでございますので、鴻池委員長、どうぞよろしくお願いをいたします。  まず初めに、今道路特定財源の、そして並びに暫定税率の十年間延長とそれに伴う中期計画が出され、少なくとも私は、この間、この国会において、国民の知る権利の下に少しずつ情報公開が進んでいっているのかなというふうに今認識をいたしておりますが、今回の中期計画、元々こうした事業計画というものが出されるに当たって、そもそもこの計画とはどうあるべきなのか、大臣の御所見を、御認識をお伺いしたいと思います。
  283. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 平成二十年度で、暫定税率というのが二十年三月末日をもって切れるということで、どうするかということが協議されました。これはもう小泉内閣のときからでございます。  そのときに、平成十七年十二月九日、政府・与党合意というのがありまして、道路特定財源見直しに関する基本方針というものが作られました。これを受けまして、今度は平成十八年六月二日、法律第四十七号、すなわち行政改革推進法の中で、これが、税率を維持しながら納税者の理解を得つつ具体策を作れというような話が、話というか、そういう規定ができました。そして、平成十八年十二月八日でございますが、道路特定財源の見直しに関する具体策というものが樹立されたわけでございまして、その中で、十二月八日は、私も九月二十六日に国土交通大臣を拝命をいたしておりましたので、直接これに関与させていただきました。  そのときの議論としては、先ほど言うように、税率を維持しつつと、暫定税率を含めて。そして、これを納税者の理解を得ながら一般財源を、それを前提にというようなことも書いてあるんですね。これは大変に難しいことでございまして、私もその所管大臣だということになりますと、私としては、タックスペイヤーに対するこのような負担をもう一度お願いするんであれば、それに対する見合うものを、姿を示さなければ、これは私は納税者の理解は得られないのではないかということを強く主張いたしました。当時の財務大臣と官房長官と三人でかんかんがくがくの議論をいたしました。  その中で、中期計画を十九年中に、昨年の年末までに、こういう道路を造らしていただきますと、十年間の間に、というものを示すことにより納税者の方に負担と受益というものがバランスが取れるような、そういう見えるようなものを作りますと、作らなければならないと私主張しました。そしてできたのが中期計画でございまして、沿革を言えばそういうことでございます。
  284. 武内則男

    武内則男君 中期計画経過を聞いたのではなくて、いわゆるこうした事業計画だとか様々な、例えば交通結節点事業であったり、あるいは駅前再開発であったり、区画整理事業であったり、いろんな事業計画計画というものが出されてくるときというのは、きちっとしたものの根拠があってその計画というものが出され審議されるというのが、私はそうが当たり前だというふうに思っています。  そういう認識の上で、じゃ大臣は、今回出されてきたこの中期計画の中身においては、十分自分が納得し得る内容になっているという御認識ですか、計画ということに対して。
  285. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) もうもちろん納得ずくでございます。これは、いいですか、もう。納得ずくでございます。
  286. 武内則男

    武内則男君 そうしたら、私はどうしてもこの中期計画において腑に落ちないことがありますので、ちょっと道路局長の方にお伺いをしたいというふうに思います。  私も、暫定税率が始まった昭和四十九年の三年後に土木技術職員として社会へデビューをさしていただきました。今全国の道路行政のトップにおられる宮田局長と今日論戦できることを大変うれしく思っておりますし、少しびびっておりますが、そこは全力でやりたいというふうに思っております。  そこで、今回の中期計画の中で出されています参考の中であります高規格幹線道路点検結果についてでございます。北は北海道から南は沖縄までずっとその箇所付けが、区間の指定がされているんですが、なぜこれに予定の工期が入ってないんですか、それをお伺いします。
  287. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  中期計画の中身でございますが、これは大臣が何回も御答弁申し上げておりますように、要対策箇所というのは具体の箇所として明示しております。しかしながら、どこをどういうふうにやるかというのは毎年度の予算で決められるべきものということで、全体の数量を示してございます。  とりわけ、今委員指摘の高規格幹線道路、高速自動車国道でございますが、これは、九千三百四十二キロについては国幹会議の議を経て具体的に事業が進められる。特に会社区間については、協定の中でいついつまでに供用するということが決められてございます。九千三百四十二キロを超えた部分につきましては、今のような整備計画の手続をこれに加えてやる必要があります。したがいまして、具体にどこをいつまでというのは今後の手続にゆだねられるというふうに考えます。
  288. 武内則男

    武内則男君 私は通常、計画が出されて、整備をしなければならない対策路線ができ上がって、その対策路線を含めてきちっとやっぱり整備をしていく計画をやるというときには、事前にきちっとしたものが測量もされて、そして予算の見積りがされて、その中には用地も入り、後で聞きますが、一定のその工期というものが、完成年度というものが明示をされて、それでこれだけの予算が掛かりますと、順次こういう計画をやっていきますというのが計画であるというふうに思っています。  計画というのはそういうものとして作り上げられてきて、それで、基幹ネットワークで十年間で二十三兆円というのが出されてきておりますけど、いわゆる計画そのものというものはそういう形で作り上げられてきて、どうぞ皆さん、国会で、議会なら議会で審議をしてください、住民の皆さんにこれでいいですかというのをお示しをして、それで合意をして事業に掛かっていくというのが、それが本来あるべき姿だと思うんですが、どうもこの中では、その十年間でその整備に、何を、どこを造って、毎年毎年と言われますけど、毎年毎年審査をするに当たっても、一定計画年度というものがそれぞれの路線の中にないといけないんじゃないんですか。
  289. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) もう何回もその論点からの質問を受けるんですが、そこがこの中期計画の玄妙と申しますかね。これは、十年間の間に総額こういうふうにします、これ全部言い出したら百兆円優に超えるんですよ。それで、しかも、この社会資本整備計画予算でも、七十六兆円のやつを、これを六十五兆円にし、そしてまた五十九兆円にしているわけです。  しかしながら、そこの流れる精神は、私は、この中期計画の中で要対策箇所というものは個々具体的に拾っています。例えば、通学路として四十人以上の学童が毎日使っている道路十一万キロというのはきちっと拾っています。したがいまして、各県ごとに何キロというのは書かれています。  しかしながら、そのうち四万四千キロについては何らかの対策を講じなきゃならないというのは、現下の我が国の経済財政事情を考えて全部できないんですよ、百十か所。しかしながら、歩車道の区別のない四万四千キロについては何とかしなきゃならないというところまでは、これはどこをするかということはそこに書いていません。しかし、箇所数は書いてあります。  なぜかといえば、これは、我が国では単年度主義、予算は単年度主義じゃないですか。したがいまして、どこを選んでしなきゃならないか、そのBバイCはどうかというようなことは個々具体の道路に即してやらなきゃならないし、そしてまた財務省評価もいただかなきゃならないわけです。これを十年間分、四万四千か所を全部特定したとすれば、十年間の予算を過度に縛ることになりますよ、過度に。そして、その間には交通需要も変わるじゃないですか。  私は、そういうことで、この計画というのはまさに、あなたがおっしゃったのは、一つ道路とか一つ社会資本整備するときにはなるほどそのとおりです。しかしながら、我々は、いつ着工するかも決まっていない、十年間の間にやるべき総枠を決めてお願いしているわけでございますから。したがいまして、過度に十年間の予算を縛らないという意味で、個々具体的には大枠は決まるけれども、どこをやるかというのは、その内数は箇所で示しているわけです。そういうことでございます。
  290. 武内則男

    武内則男君 突然大臣が答弁に立っていただきましたので少し予想外なんですが、本音がまた随分、もうこの間も聞かれているというふうに思います。  いわゆる、ここの中期計画の中で絞り込んで、箇所付けだとか距離だとかというのは全部絞り込んでいっていますが、中期計画で出されている必要な箇所であったり対策をせにゃいかぬというふうになっているところは、これを全部やろうとすれば膨大な金が掛かるということを言っているんですよね。そうすると、十年間で五十九兆円使って、十年後にはまたそれを延長してください、せにゃいけませんよということを今言っているわけですよ。それはもう道路特定財源、暫定税率というものを含めて、今の日本道路整備をしていくためにはこのまま国民の皆さんに負担をずっと未来永劫続けていってくださいという出口のない行政をやろうとしているんですよ。これは少し私は許すことができませんし、関連をして引き続き聞きたいと思います。  先ほどちょっと大臣からも出たんですが、これ中期計画の中身です。全国の通学路十九万キロがあるうちに事故の危険性が非常に高いところが十一万キロあって、今回、歩道等のない箇所四万四千キロに対してやっていきます。重点的に縛ったのが二万五千キロで、二・八兆円。一キロメートル当たり一億三千万。その一億三千万の内訳には、簡易なところは一メートル当たりが九千円で、そうでないところは三十万ぐらいメーター当たり掛かる。それの平均が一キロメートル当たり一億三千万、メーター十三万という見積りに基づいて、その距離を掛けて作り上げられてきている、そういう内容になっています。  これを、これだけのパイがありますよ、それを絞り込んできて、今回、こういう計画を通学路について立てました、じゃこの絞り込んできたその箇所とかについては一体どこなんですか。そのどこであるかがない限り、単純に単価でやるということはもう膨れ続けていくわけですよ、これが。まず絞り込めば、ここが、この歩道整備については、距離が何ぼで、メーター当たり簡易な舗装で九千円ですが、この距離が何ぼですと。箇所付けが全部されて、その箇所付けが、十年間の話ですよ、この箇所付けの中でどの整備をやっていくかということが決められてくるはずなんですが、局長、どうですか。
  291. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) これも何回も御説明しています、まさに中期計画素案というのは、委員が御指摘議論、そういうことをしていただくための要対策箇所という考え方、まず目標はこういうことでいいでしょうかと、それに沿って、それを達成するための要対策箇所というのはこういうことでございます、そこを絞り込んで十年間でこれだけをやりますと、そういう手順をお示ししながら中期計画素案を作りました。まさに委員がおっしゃることを議論する。  ただ、最後のところは、大臣がこれも何回も答弁申し上げておりますが、毎年度毎年度、個別に議論する話を十年分まとめて具体の箇所を示すというのは過度に単年度の予算を制約するということでございますんで、そこのところはやっておりません。それは計画の性格、そういうものだと思います。
  292. 武内則男

    武内則男君 そこが一般の国民にとってみては全然分からない。いいですか。いわゆる交通渋滞対策で九千か所あって、それを今回三千か所に絞り込みました、十年で三千か所をやります、やりたいです、予算がこれだけ掛かりますということが、二十一兆円掛かるということが提示されています。その三千か所に絞り込んでいった、そして二十一兆円というもの、額をはじいてきた根拠というものが、箇所を含めてやらなければ、提示をされなければできないんですよ。  例えばこの三千か所、実際は九千ですよね、九千やらにゃいかぬですよね。じゃ、十年間で五十九兆円というお金を使うときに、当座この十年で三千か所やりましょうということであれば、向こう三十年この事業を続けます、そのためには十年後にも道路特定財源、暫定税率維持していかなければこの事業は完成できませんということをこの段階で言っているというふうに理解するんですが、間違いですか、局長
  293. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  要対策箇所を具体的に日常的に混雑が発生している箇所ということで、朝夕のラッシュ時におきまして混雑発生時間帯が五〇%以上と。これはずっとデータで取りまして具体の箇所をやってございます。  その渋滞の程度というのは毎年度毎年度変わってくるんだろうと思います。そこの中から、目標に掲げました渋滞損失時間の三割削減というのを達成するために、トータルの数量として九千か所、九千具体の箇所のうちから三千か所をやれば、地元のいろんな調整を踏まえ、それから毎年度の予算審議、いろんなのを踏まえまして具体的に三千か所を定めて、九千か所の中から取り出してやると。  これはもう何回も繰り返しておりますように、三千か所をこの中期計画の中で具体に示すということではないんだろうと思います。
  294. 武内則男

    武内則男君 いまだに僕は分かりません。三千か所に絞り込んでいく過程の中で、通常であれば、本来ならこれだけやらにゃいかぬけれど、いわゆる三千か所にこの十年間でやるとしたときに、三千か所に絞り込んでいく、絞り込んでいったそれぞれの箇所があって、その積み上げがあって初めてそれの予算というものが組んでいけるし、そこの中には用地買収も出てくれば、測量費用だとか全部いろんなことがあると思います。そうしたものが、絞り込んでいく過程の中でその優先順位だということがきちっと検討されていって、ここを今とにかく順番にやっていくんだというものが提示をされなければ、これから箇所についてはやっていきますというのでは非常に私としては納得をすることができません。  ちょっと時間がなくなってきたので。せっかく英国の方に先週行かさせていただきました。イギリスの方に行ってきたんですが、二泊四日という本当に強行スケジュールだったものですから十分な調査はできなかったんですが、私なりに蓄積された経験値の下でイギリスの道路や橋を見させていただきました。それと計画審査庁や会計検査庁とお話をする機会を得ることができました。  そこで、少しやっぱり大臣にお伺いをしたいんですが、イギリスの国は総合的な交通政策の中の一つ事業として道路整備事業が位置付けられています。その政策を基に計画の整合性というものが審査をされて、そして合意をされていく。すなわち、鉄道だとか空港など道路以外のインフラ整備も含めて全体の国の都市計画の中で道路の問題の解決を図るなど、社会的コストや環境コストを含むコスト削減ということを非常に意識して国づくりが、事業が、政策が実行されていますが、私は本当に当たり前なものだと思いますが、大臣、どうですか。
  295. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) それはそのとおりだと思います。  社会資本は、道路だけではなしに、空港もあれば港湾もあれば河川もあります。そういうものをどう有機的に組み合わせていくかということが非常に大事なことで、我が国も、その中期計画を見ていただいたら分かりますけれども、そのような思想の下に、道路だけではなしに、例えば拠点空港、港湾への道路のアクセス、あるいはそういうことで周辺の主な集客施設との兼ね合いとか、そういうものを全部考慮しながらやっております。  ただ、道路の場合は、非常に長期間にわたること、それが非常に多くの都道府県をまたいでそれが整備されることがあること、そしてまたそれには多くの金額が掛かること等で、社会資本全体の中でこの道路というものは考えられるけれども、その道路については安定的な財源というものを確保しないと非常に利害関係が、非常に関係者が多いわけでございます。地権者の数にしても多いわけでございます。したがって、こういうふうにしているけれども、ただ道路だけを造るわけではなしに、そういう他の社会資本との関連においてこれが組み立てられているということは御理解いただきたいと思います。
  296. 武内則男

    武内則男君 もう一点伺います。  途中ちょっと折りますので聞きづらいかも分かりませんが、計画ができると公聴会を開催をして、そこで反対意見が出ると公開調査というものを行います。そして、住民の意見が尊重されるということが物すごい第一義的に行われています。こうした合意形成プロセスの後に着工するので、非常に工期も短縮されるしコストも安いということに心掛けていっています。  このことについて、大臣、どう思いますか。
  297. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 諸外国のことは分かりませんけれども、我が国は他の国に比べて戦後非常に土地の買収というものが難しくなっております。  ちょっとイギリスのことを言われましたので、ブラウン財務大臣が二〇〇六年三月に予算関係演説で述べられたくだりは、公共部門純投資額は一九九七年の予算わずか五十億ポンドだった、しかしながら二〇〇六年度予算は五倍の二百六十億ポンドに増えた、こうした投資により経済の活力を保つことができるんだということを述べておられまして、非常に、イギリスだけじゃなしにアメリカも、いわゆるこの公共事業投資を非常に大きく膨らましているんです、近年。そういうことに比べて、私は、我が国の投資は非常にもうどんどん削られているわけです。シーリングも掛かり、本当に、十九年に樹立された、十九年から、平成ですね、二十年までの予算に比べたときに、それはもう十年に延ばせば七十六兆なんですよ、ボリューム。それが今五十九兆まで減らしているわけですから、イギリスから比べて非常に圧縮されていると思います。  ただ、その中でも物すごく長い時間が掛かるのは、そのように、環境アセスにしてもそうですし、いろいろの地権者に対する交渉も難航します。それから、自然条件もイギリスとでは物すごく違います。したがって、道路の延長に占める橋梁とかトンネルの比率は物すごく高いです、日本は。そういうことも併せて考えていただきたいと思います。
  298. 武内則男

    武内則男君 ありがとうございました。  終わります。
  299. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で米長晴信君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  300. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、長谷川大紋君の質疑を行います。長谷川大紋君。
  301. 長谷川大紋

    長谷川大紋君 私は自由民主党の長谷川であります。通告に従いまして質問をさせていただきます。  初めに、国と地方の行財政改革への取組と格差について質問をいたします。  近年の我が国の経済状況は全体として上向きとされておりますが、地方の経済は依然低迷を続けております。この格差が特に問題視されるようになりましたのは、やはり平成十六年度から行われました三位一体改革の影響が主たる要因であるわけであります。  私の地元茨城県を例に挙げてお話をいたします。平成十六年度以降、毎年度約三百億の予算が削られております。予算規模は一兆円を超えますが、高齢者医療、介護給付、国民健康保険負担金など、義務的な経費が占める割合が格段に大きく、自由に使える金額は五百億もないというのが現状であります。このわずかな財源が三位一体の改革による地方交付税の大幅な削減により縮小を余儀なくされてしまうと。幾ら県が必死の思いで行政改革を行いましても、削減しようもない経費が大半を占める財政構造はいかんともし難い状況があるわけであります。近年、過去最高の税収を上げておる本県でさえこのような状況でありますから、ほかの地方団体の財政運営はより深刻な影響を与えているのでなかろうかと考えます。  私は、長年県議会に籍を置き、同時に中小企業の経営者として四十年活動をしてまいりました。昭和五十年のあのオイルショック、そして、あるいはバブル崩壊も経験をしたわけであります。その長い経験の中で、これほど地方経済の疲弊を感じたことはないわけであります。昨年の参議院議員選挙、この格差を最大のテーマとして選挙戦を戦いました。そして、有権者の皆さんに訴えてきたわけであります。ここにおいでの額賀財務大臣にも大変お世話になりました。大変お世話になりましたが、全国で我が党の多くの同志が次々に倒れていってしまったのは、この地方の不満というものを一身に受けた結果でなかろうかと思っておるわけであります。  税収自体は地域間格差、むしろ過去の方が大きかったわけであります。格差問題の本質は、先ほども申し上げましたが、わずかしかない自由になる財源を地方交付税の大幅な削減により大きく削られてしまったことであり、地方交付税による格差是正の機能が損なわれてしまったことが大きな原因であると思うわけであります。  我が国は果たしてこのような状況のままでよいのでしょうか。私は、地方が元気でなければこの国の将来は危ないと思うのが私であります。財務大臣、そして総務大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  302. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 長谷川先生とは一緒に政治生活を三十年近くやってきたわけでありますから、思いは共通のものがあるわけでございまして、やはり地方の元気がなければ日本の活力を取り戻せないという原点は非常に大事なことであると思っております。  したがって、昨年の参議院の選挙で敗退をしてから、やっぱり一つは都市部と地方の格差、あるいは大企業と中小企業の格差、あるいは正規雇用者と非正規雇用者との格差、そういう問題にどう取り組むかということだったと思います。  さらに、地方の問題でいえば、財政力の格差をどういうふうに埋めていくかということが重要な政治的なテーマであったというふうに思っております。  したがって、私どもは、法人事業税・住民税について国でいったん集めまして、これを特別地方譲与税として使わせていただいて、地方の財政力格差を埋め合わせるために、まあ言ってみれば非常緊急手段を取ったということでございます。  地方交付税につきましても、これは委員指摘のように、来年度予算では二千億円増やしまして十五・四兆円という形で、できるだけこの地方の財政力格差を埋め合わせるために努力をさせていただいた。  そのほかにも、地方の活力を生み出すために様々な施策、ソフト面を含めて展開させていただいているところでありまして、その地方をどういうふうに元気にさせるかという視点で政治が動いていることで是非御理解をいただきたいと思っております。
  303. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) お答えを申し上げます。  私も、かつて茨城県庁に出向時代に長谷川先生には大変御懇篤のある御指導をいただいたものでございまして、地方がやはり元気でなければこの国の行く末も危ういと、こういう御指摘は、まさに先生のそうした思いには私全く同じ思いをするものでございます。  今財務大臣の方の御答弁にもございましたけれども、やはり地域間に様々な格差があると。先般、政府の方で地域経済動向を発表いたしましたけれども、東海地方は力強く回復と、こういう判断になっておりますが、北関東、先生の北関東は回復ではなくて緩やかに回復という二段階下の判断でございますし、私がおりました岩手、東北は更にその下の持ち直しの動きが緩やかと、こんなような状況でございまして、やはり地域間にも大きな差が出てきているということはこれからも分かるところでございます。  今御指摘いただきました三位一体改革の中で交付税が結果として減っているわけですが、この削減も結果として大変急激なものがあった。特に平成十六年の削減というのは交付税ショックと言われるようなものでございました。  こうした中で、各自治体厳しい財政運営を強いられているわけでございますので、まず私どもはこうした財政力格差の問題にできるだけきめ細かく対応をしていかなければならない。先ほど財務大臣の方からお話ございましたけれども、そうした法人事業税などによる偏在是正とか、あるいは歳出の特別枠として今回地方再生対策費四千億を創設をしたわけでございますが、こうしたことを通じて各地域の財政需要にきちんとこたえるようなものを確保し、そして、それを基に地域の自主的なあるいは主体的な活性化施策が行われていくようにしていかなければならないと、こういうふうに考えているところでございます。  予算にもそうしたものを盛り込んだわけでございますが、今後とも、こうした地域の状況、声によく耳を傾けながらこうした地方再生の問題に全力を挙げて取り組んでいきたいと、このように考えております。
  304. 長谷川大紋

    長谷川大紋君 両大臣、ありがとうございました。  次に、公務員の給料削減についてお伺いをいたします。  全国の地方自治体では半数を上回る千以上の団体が給料カットを行っておると聞いております。県と政令都市で見た場合でも、昨年四月には二十三団体、今年四月には三十団体ほどに増えるそうであります。  そうした中、我が茨城県では、平成十九年度から二年間、職員三万四千人を対象に年間百五億もの給与削減を行っております。削減率は、幹部が五%で六十万から九十万円削減、一般職員も三・五%、子育てが大変な三十代でも平均二十万円以上の削減を受けております。減らされた交付税の穴埋めのため、このような我慢を職員に強いて予算を捻出しておるわけであります。疲弊した地方が職員給与の削減で更に地方経済が元気を失ってしまうという悪循環を招いておるところであります。民間企業も同様の努力をしておりますが、それでも廃業を免れないほど地方経済は冷え込んでおるわけであります。    〔委員長退席、理事林芳正君着席〕  例えば、私の地元、額賀財務大臣の地元でもありました旧桜川・岩瀬地域あるいは笠間地域は日本を代表する御影石の産地であります。この石材は、国会議事堂あるいは最高裁判所、国立劇場、日本銀行本店など、日本を代表する建造物には必ずと言っていいほど用いられる歴史と伝統のある産業であります。この地域の石材産業、最盛期の企業数は千二百以上を誇ったわけであります。従業員も七、八千人いたわけであります。出荷額は四百五十億で、その地域を代表する産業でありました。それが平成十八年には、企業数は実働で百以下、従業員数は千名を切ってしまう、出荷額五十億という惨たんたる状況になっておるのが現実の姿であります。このような例は全国的にもあるのでなかろうかと考えます。  一方、中央では、昨年十月の給与関係閣僚会議で、一部幹部クラスの凍結はあったものの、人事院勧告のとおり国家公務員の給料を平均で〇・三五%引き上げるなどとした改定を決定をいたしました。これも、地方公務員との格差があって当然、あるいは仕方がないということで決めた政府の方針なのでしょうか。  私は、先ほども申し上げましたが、本県では職員全体から年間で百五億もの給料の削減を行っておるわけであります。これは、本県の一般会計一兆五百億円の一%に当たる金額であります。この削減率を国の国家予算に当てはめますと、一般会計八十三兆円ですから八千三百億の削減という金額で、先ほども出ておりましたが、平成二十年度、地方財政対策として創設する地方再生対策費四千億の二倍という金額になるわけであります。  国の財政を預かる額賀大臣にお聞きいたしますが、大臣は国の財政状況は地方よりはるかに厳しいと言っておりますが、地方に先ほど私が申し上げましたように大変厳しい状態を強いておきながら、なぜ国の職員の給与を削減して対応していかないのか、財務大臣に御答弁をお願いを申し上げる次第であります。
  305. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 長谷川委員の厳しい御指摘はごもっともであるというふうに思っております。  国家公務員の給与については、定員と併せて抑制に取り組んできているところでございます。平成二十年度予算における国家公務員人件費は、定員削減のほかに、給与面のことを考えますと、前年度に比べまして全体的には四百五十七億円の減となっておるわけであります。  しかし、長谷川委員が御指摘のとおり、十九年の人事院勧告の取扱いにつきましては、関係閣僚でこれは何回も議論をさせていただきました。私も財政事情それから民間との対比等から慎重に扱うべきではないかという意見を持っておったのでありますけれども、閣僚間で、最終的には指定職及び指定職相当以上の特別職に限って月例給、ボーナスの実施を見送ることとして、あわせて、人事院に対しましては、民間給与のより一層の反映のための更なる方策について検討を行うよう要請したわけであります。完全実施としなかったのは平成九年以来十年ぶりのことでございます。  私どもは、長谷川委員の御指摘についてはしっかりと受け止めて、今後の国家公務員の定員、給与の問題について対処していきたいというふうに思っております。
  306. 長谷川大紋

    長谷川大紋君 財務大臣、地方は大変厳しい中、必死に頑張っておるわけであります。どうぞ国におきましても、財務大臣を中心として、すべての分野におきまして徹底的な見直しを強く要望するものであります。  次の行財政改革の格差についてお尋ねをいたします。  職員の給料カットを行っている多くの地方自治体では、それでも財源不足を補えず、福祉関係経費ですら削減せざるを得ない状況にあるわけであります。重度の心身障害者の方々への医療費助成の所得制限を厳しくしたり、在宅障害児福祉手当の所得制限を導入したりと、社会のセーフティーネットさえ絞り込むという、まさに時代の要請に逆行する見直しを行わざるを得ない事態に追い込まれておるわけであります。  一方、財源の豊かな東京では、中学生までの医療費無料化は二十二区で実施しており、なおかつ児童手当の上乗せについて中学生以上まで対象範囲を広げる区があると聞いております。  こういう状態では、豊かなところは更に豊かになり、更に格差というものが広がってしまうのではないかと考えます。  総務大臣、あなたも岩手県知事時代、厳しい財政状況から福祉関係の経費などの削減を行わざるを得ない状況があったのでなかろうかと思います。地方公共団体間で大きく状況が異なっている現状につきましてどのように考え、どのように対応していくおつもりなのか、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  307. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) 考え方としては、こうした御指摘の行政サービスでございますけれども、きちんと基礎的な行政サービスをそれぞれの団体が行う、その上に地域の実情に応じた独自の行政サービスを付け加えていくと、そういうようなことが分権の方向性にも合致をしているというふうに思うんですが、そのためにも、地方税を中心とはするんですが、やはりきちんと地方交付税を合わせた自由に使える一般財源というものの総額が確保されていなければならないと。今厳しく御指摘をいただきました地域間の財政力格差の拡大ということが近年見られるわけでありますので、それを埋め合わせることをきちんと行っていかなければならないと、こういうふうに考えるわけでございます。  先ほど申し上げましたけれども、そういうことから考えると、特に三位一体改革で交付税の抑制が急激であった、顕著であり過ぎたということが各自治体にとって今本当に、御指摘いただきましたように、私も泣く泣く社会保障関係費を削減をせざるを得ない、厳しい御批判をいただきながらもどうしてもそうせざるを得ないという局面もございました。これは決して地域のみならず国全体としても果たすべき責任を果たしていないということにもつながるわけでありますので、そうしたことに対してきちんと真っ正面から向き合って対策を講じていかなければならないと、こういう思いでございます。  そのために、今回、地方再生対策費ということで四千億の枠を設けたわけでございますが、もちろんこれに対してもその枠として十分かどうかいろいろな御議論があると思いますけれども、私としては、こうした現下の厳しい中で、やはりこうした枠の創設を含め、交付税あるいはそれを含めた一般財源総額の増額確保ということが一番当面の課題であるということで、そのために全力を挙げて今回予算措置等も行ったところでございます。  こうした委員の御指摘、思いを重く受け止めて今後もこうした地域間格差の是正に当たっていきたいと、このように考えております。
  308. 長谷川大紋

    長谷川大紋君 ありがとうございました。  今、重なりますが、地方交付税の確保についても改めてお伺いをいたします。  去る二月二十日、衆議院予算委員会の地方公聴会が茨城で開かれました。その席上、意見陳述人に知事が立ったわけであります。訴えの中心は、地方交付税の復元と道路財源の維持、堅持であり、三位一体改革による一般財源の枯渇状況を力説いたしました。その中で、地方から上がってくる税収は地方に下ろし、足りない部分は地方交付税で補うのが本来の在り方であると強く訴えたわけであります。これは、全国知事会並びに地方六団体からの強い要望でもあるわけであります。  健全な地方の発展には地方交付税の確保は重要だと思いますが、改めて財務大臣総務大臣にお尋ねをいたします。
  309. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、地方との都市部あるいは地方間の財政力格差をどういうふうに調整をしていくかというのは地方交付税の役割でございますから、これは今後も引き続いてその地方の格差を埋め合わせていくためには重要な点であるというふうに思っております。  そのためにも、日本の経済を立て直し、しかもなおかつ税の在り方等もよく考えて抜本的に改革をしていく必要があるというふうに思っております。
  310. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) 先ほど御紹介ございました六団体あるいは知事会などの交付税総額の増額を求める声、これはもちろん現下の厳しい財政状況を訴える声でもありますし、それから医療や福祉などのこうした行政サービス、さらには地域の活性化など、独自の発想を生かすという上でも本当に財源が必要だと、こういう切実な声だと、こういうふうに受け止めております。  二十年度、来年度予算の中で、先ほど申し上げました地域再生枠四千億、そして交付税総額とすれば前年度比二千億増やしたわけでございますが、臨財債も合わせて四千億、それから一般財源の総額も七千億ほど増額をさせていただきました。特に交付団体ベースでいいますと前年度と比べ六千億増額ということでございまして、この六団体の交付税の復元ということに完全におこたえできているわけではございませんけれども、この間ずっと続いてまいりました削減をするという方向を、百八十度方向を変えたということで、私どもとしては最大限努力をさせていただいた結果だというふうに思っております。  こういう中で、やっぱり地域の不安や閉塞感を打開するということが意味のあることでございますし、そうすれば地方の元気が国の元気にもつながっていくと、こういうことでございますので、今後も、こうした地方の声によく耳を傾けながらこの地方の税財源の確保充実に努めていきたいと、こういうふうに考えております。
  311. 長谷川大紋

    長谷川大紋君 ありがとうございました。  増田総務大臣、本当に、先ほどもあなたも言っておられましたが、昭和六十年から五年間、茨城に赴任されまして、茨城県政発展のために多大な御尽力をいただきました。本当にありがとうございました。私も個人的にお世話になりましたことを改めてお礼を申し上げる次第であります。  道路特定財源の必要性についてお尋ねをいたします。私の持ち時間がありませんので、若干速く読みますのでお許しいただきたいと思います。  昨年十一月、国土交通委員会で福島県を視察してまいりました。相馬市の立谷市長からお話を伺いましたが、相馬市長は、企業誘致に敗れた理由道路整備不足によるものであると訴えておりました。また、福島県は毎年七千人もの若者の人口流出問題を抱えており、その対応策としては一番に若者が働ける職場の確保を求められておったわけであります。それには企業の誘致が絶対に必要であり、道路整備が不可欠だということでありました。  幸い私の県は、長い年月は掛かりましたが、北関東横断道路を始め予定されておる高規格道路の建設が比較的順調に進み、その結果として、平成十八年度の工場立地面積は全国第一位、平成十九年度上期におきましても全国第二位であります。これは、道路整備が進んだことにより生じたことであり、本県にとりまして極めて大きな効果であるわけであります。  こうした状況を見ますと、相馬市長あるいは宮崎県の東国原知事もこのような県づくりあるいは地域づくりを想定しているのでなかろうかと考え、それは決して間違ったことではないと思うわけであります。国土交通省ではどのように考えているのか。  また、その一方、道路整備率が本県では全国最下位という現状でもあるわけであります。平成十八年度の本県の道路整備状況におきまして、総延長、北海道に次ぐ全国第二位の五万五千キロメートルであります。その整備率、三五・九%と極めて低く、全国四十七位であります。直轄国道の整備率は二四・二%で全国四十三位、補助国道は四十四位、県道は三十一位、市町村道に至っては四十七位、すなわち全国最下位、大変厳しい状況にあるわけであります。また、県が管理しております国県道でいまだに三千か所以上の危険な箇所もあるわけであります。  国土の均衡ある発展のためには、道路整備は必要としておるところはまだまだあるということを痛感しておるところであります。道路特定財源、暫定税率の必要性と今後の方向性につきまして、国土交通省の決意をお伺いするものであります。
  312. 平井たくや

    ○副大臣平井たくや君) 本格的な人口減少、高齢化社会を迎え、地方の活力低下が課題となる中、我が国が引き続き世界の中で相応の地位を占め、また活力ある地方を創出するためには、様々な活動の基盤となる道路が果たす役割は非常に重要であると考えております。道路が、したがいまして、必要な予算を確保して、必要な対策を着実に実施しなければならないと考えています。  例えば、高速道路整備は、沿線における企業の立地の促進、雇用の創出等、地域活性化に極めて大きな効果が期待できます。具体的には、中部圏において平成十七年三月に東海環状自動車道の東側区間約七十三キロメートルが開通しましたが、この結果、それまで四つしか周辺になかった工業団地が十七に増え、しかもそれらすべてがほぼ完売となっています。また、最近では、着々と整備を進めている北関東自動車道の沿線にある茨城県、栃木県、群馬県での工場立地面積、有効求人倍率が上位に位置しているのは委員の御指摘のとおりであります。  一方、交通安全の確保もやらなければなりません。交通事故による死傷者数は依然百万人を超えており、国民の約百人に一人が死傷する深刻な状況と認識しておりますが、国土交通省では、より安全、安心な道路環境の実現を図るため、事故の発生割合の高い区間において重点的な交通事故対策を推進し、国道及び都道府県道等における死傷事故率について五年間で約一割削減することとしております。  こうした対策を進めるために、国民生活の要請にこたえて課題となる箇所すべてに対応することが理想でありますが、大臣もよくおっしゃいますが、私もそう感じておりますが、すべての陳情、要請を聞いておりますと軽く百兆円を突破するぐらいの規模のことを言われております。そういうことは無理ですから、そこは財政を、これ、平成十年のころの事業規模に比べると、ちょうど今半分になって八掛けの状況なんです。ですから、コスト縮減とか、そしてまた知恵を使いながらやっていかなきゃいけないというふうに思います。  茨城県の道路につきましては、私の家内の実家が茨城県でございますので、歩いておりましてよく分かっております。できるだけ早く整備できるように私も力を入れていきたいと思います。
  313. 長谷川大紋

    長谷川大紋君 ありがとうございました。  牧野議員に替わります。
  314. 林芳正

    ○理事(林芳正君) 関連質疑を許します。牧野たかお君。
  315. 牧野たかお

    牧野たかお君 自由民主党の牧野たかおでございます。私は、長谷川委員質問に関連して、地方財政について質問をさせていただきます。  まずは、長谷川委員が最後に質問されました道路のことについての、道路特定財源の問題から入ります。  この道路特定財源の暫定税率の維持については、全国四十七の都道府県知事、そして千八百余りの市町村の首長さんや議会の大多数が賛成をしております。賛成どころか、むしろ何が何でも維持をしてほしいと、困ると、維持をしてくれなければ困ると訴えております。もし暫定税率が認められないことになれば、地方自治体は一般財源の中から今以上に道路予算を出さなければならなくなり、その分、教育、福祉の予算を削らなければならないと言われております。新聞のアンケートなどによれば、このことから全国四十七都道府県の県知事、その全員が暫定税率の維持に賛成されております。この四十七人の中には、民主党の国会議員の出身者が四人もいらっしゃいます。  これは、地方自治体にとって暫定税率の廃止が死活問題だということを示していると思いますけれども、まずこのことについて平井国土交通大臣の御認識を伺います。
  316. 平井たくや

    ○副大臣平井たくや君) 仮に暫定税率が廃止された場合には、国、地方合わせて約二・六兆円、地方だけで約九千億円の大幅な減収となり、これによって渋滞対策、生活幹線道路整備など、地域や国民生活に欠かせない対策を進めていくことが極めて困難になると考えています。  このように道路特定財源は、地方にとって、地域住民が望む道路整備を着実に進める上でも、また財政全体から見ても大変貴重な財源であります。地方自治体の知事、市町村長からの財源の確保や暫定税率の維持を求める切実な声は、まさに地方行政に責任のあるお立場からの強い危機感の表れであると認識しております。  国土交通省としては、地方からの切実な声をしっかりと受け止め、必要な対策を着実に進め、地方の行財政に無用の混乱を生じさせないために暫定税率を維持していくことが必要と考えております。  引き続き、地方からの切実な声にこたえ、道路特定財源や暫定税率の維持について国民の皆様から十分御理解をいただき、財源特例法改正法案を始めとする関係法案が一体として年度内に成立するよう、最大限努めてまいります。
  317. 牧野たかお

    牧野たかお君 その道路特定財源に関して、民主党さんが暫定税率廃止の法案を提出されました。この中では、軽油引取税を始めとする地方税の暫定税率の廃止もうたわれております。そして、その一方で、道路に限らず国の直轄事業、これはすべての省庁ですけれども、その地方の負担金の廃止と地方道路整備交付金の現状維持を打ち出しております。  この法案の財源の確保には無理があるといいますか、現実的ではないという気がしますけれども、ひとまずそれをおいておくとして、平成十七年度の決算を基に計算をしてみます。  都道府県と千八百余りの市町村のトータルですと暫定税率の廃止分のマイナスはおよそ九千百億円で、すべての省庁の直轄事業の負担金を計算しますと一兆二千六百億円ということで相殺をされます。そのように見えますけれども、しかし、直轄事業の負担金は、これまで増田総務大臣が何遍も答弁されているように、ほとんどが都道府県と政令指定都市が負担しているものです。ですので、全国十七の政令指定都市を除いた千八百余りの市町村だけで計算してみますと、暫定税率の廃止分の減収がおよそ二千九百億円、一方、直轄事業の負担金はどれぐらいあるかというと四百八十億円、ですから、差引きしますと二千四百二十億円の減収、そして率にしてみますと八三%のマイナスになります。  市町村が財政難であえいでいる現状の中で、その地方の実態を私は全然考えていない、そういうふうに受け止めておりますけれども、この点について、平井国土交通大臣にお伺いします。
  318. 平井たくや

    ○副大臣平井たくや君) 民主党案では、委員指摘のとおり、都道府県、政令指定都市約六千億円、市町村約三千億円の合わせて約九千億円の税収減については、地方公共団体が負担している約一兆円に上る直轄負担金を廃止することにより補うとされております。  しかしながら、議員の御指摘のとおり、直轄負担金は基本的に都道府県及び政令指定都市が負担しているため、暫定税率廃止に伴う市町村分の税収減約三千億円を補うことはできません。市町村においては、特定財源だけでなく一般財源も投入して道路を進めており、暫定税率が廃止されれば、必要な道路整備が進められないだけでなく、財政が逼迫するため、地方経済や住民生活に重大な影響を与えるものと考えられますが、このような混乱を与えないよう必要な措置を講ずることが必要だと考えております。
  319. 牧野たかお

    牧野たかお君 今の御答弁にありましたけれども、本当に各市町村というのは今であっても厳しい現状にあえいでおります。道路事業で見ますと、過去の道路整備に係る地方債の償還金の支出を含め、道路特定財源だけでは足りず、多くの一般財源や地方債に頼っているのが現状です。  例えば、平成十八年度の市町村における道路関係費を見れば、道路特定財源の収入がおよそ一兆円であるのに対して、公債費がおよそ一兆三千億円、そして維持補修に係る経費が八千億円というように、道路特定財源だけでは賄えない状況です。したがって、とりわけ削減が困難な維持補修費、また地方債の償還金の負担が大きい市町村にとっては、暫定税率の廃止によっては予算のやりくりが極めて困難な状況になると思います。  このせっぱ詰まった地方の状況を更に国民の皆さんに私は訴えるべきだと思いますけれども、再度、平井国土交通大臣に御所見を伺います。
  320. 平井たくや

    ○副大臣平井たくや君) 仮に暫定税率が廃止された場合には大幅な減収が生じるため、渋滞対策、生活幹線道路整備などの対策を進めていくことは極めて困難になります。具体的な市町村への影響としては、例えば静岡市、先生の地元でありますが、道路維持管理費や借入金の返済によって道路新設に関する事業費が大幅減となる結果、渋滞の解消、災害への備えなどの課題解消が先送りとなり、新規事業着手が困難となるといった影響があると聞いております。  さらには、地方自治体によっては維持管理費が賄えなくなったり、過去の借入金の返済すらできなくなるところもあり、このため福祉予算などを含めた全体予算に大きな打撃を与えるとも懸念されているところであります。  このような影響の度合いは各地方自治体の財政状況によるものと考えておりますが、いずれにしても道路整備の進捗や各地方自治体の行財政に大きな支障が出るものと認識しております。その意味で、道路特定財源や暫定税率を維持する必要性について国民の皆様方に引き続き理解をしていただくように最大限努めてまいります。
  321. 牧野たかお

    牧野たかお君 道路特定財源の問題については、今まで民主党の方々が御指摘したとおり、野球のバットから始まってミュージカルだとかマッサージチェアとかタクシーチケットやテニスコートと、本当に疑問に感じる使い道がよくこれほど出てきたなというふうに思います。  ただ、今後チェック体制を強化して特別会計の在り方も再考しなければならないと思いますけれども、しかし、今私たちがまず考えなければいけないのは、最優先に考えなければいけないのは、国民生活を混乱させないことだと思います。今日までに全国の地方自治体の議会では暫定税率を財源として組み込んだ新年度の予算を次々と可決しております。もし仮に暫定税率の延長が決まらなければ地方の財政運営に本当に大きな影響が出ると私は思いますが、増田総務大臣の御見解をこの点について伺います。
  322. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) お答えを申し上げますが、この特定財源、道路特定財源の暫定税率分の廃止の関係でございますけれども、要は、これはその当該団体にとりまして、暫定税率分に相当する税収が入らないというだけではなくて、自己資金が足りなくなるということを通じて、補助事業の裏負担の部分ができませんので補助事業自体の実施ができなくなると。そうしますと、それに合わせて、事業ができないということは当然起債を充てているお金も、起債も立てられないということでございますから大変大きな歳入不足に陥ってしまうということになるわけで、先般も当委員会で末松委員が、山口県の例だったと思いますが、それで図示して御説明がございましたが、まさに削減困難な維持補修費や公債費の負担が大きい団体にとっては、そういうことになりますと他の分野の予算を削減するなどやりくりをそういうふうにしていかなければならない、そういう事態になってしまうんだろうということでございます。そういう声が私のところにももう既に幾つか寄せられているところでございます。  そこで、今仮にということで、こうした暫定税率の延長が決まらない場合にどういうふうになるのかというお話でございましたんですが、これは各団体ともそういった歳入不足が生ずるわけでございますので、当然歳出予算見直しを余儀なくされる事態が生ずるということと同時に、しかし待ったなしの借金返済等はこれはもう必ず手当てをしなければならないわけでありますので、道路以外の分野も含めた歳出予算全体の見直しにそのことはつながっていくということであります。  したがいまして、それをどういうふうに行っていくかはあくまでも各団体の判断によると思いますけれども、各団体の方ではもう既に議会の審議をほとんど終えているところが多いと思いますから、改めてまた補正予算を編成するのかどうかと、そしてその際には他のどの分野を削減するのかという大変厳しい判断が迫られるということでございまして、改めてでございますけれども、是非こうしたことについて私どもも国民の皆様方に理解を求めていきたいというふうに思いますが、なお立法府におかれましても、この点について十分御理解をいただきまして、是非暫定税率の延長に御理解いただければと、このように考えております。
  323. 牧野たかお

    牧野たかお君 今度は、道路特定財源のことから、今いろんな方から出ている三位一体の改革の話をします。  地方財政の現状認識という点でございますけれども、今のお話にありましたように、本当に地方の財政というのは困窮状態にあります。なぜこのようになったかというと、いろいろ分析はあるでしょうけれども、私はさかのぼって考えるに、やはり平成十六年度から始まった三位一体の改革が中途半端なまま放置状態に置かれているからではないかと考えます。  三位一体改革とは、地方交付税と補助金を減らす代わりに地方への税源移譲を増やすというものでございました。しかし、この税源移譲というのは、これは実行されたものは義務教育国庫負担金とか児童手当の国庫負担金という国庫分を都道府県に移譲したものがほとんどで、地方が自らの裁量で事業額を決めることができない義務的経費に充てられております。この義務的経費が、介護保険や老人医療を始めとする社会保障関係費がどんどん増加したことによって毎年、その義務的経費は全体では毎年どんどん大きく膨れております。全体の一般財源の総額がほぼ横ばいで、そして税源移譲された義務的経費がどんどん増えていく、この結果どうなるかといいますと、地方自治体は自らの裁量で使える政策的経費が減少していきます。  パネルを用意してお手元資料を配付しましたけれども、(資料提示)全国知事会の調査ですと、この政策的経費の推移はこの表のとおりであります。四十七都道府県全体では、平成十九年度と平成十五年度を比較した場合、七二・五%、不交付団体である東京都と愛知県を除いた交付団体の四十五府県では五三・九%、そして財政力指数が〇・三から〇・四の県では四二・七%までこの政策的経費が落ち込んでおります。事実上、その県の裁量権はなくなってきていると言っても過言ではないと思います。  まず、この現状について増田総務大臣の御認識を伺います。
  324. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) 今先生の方からこの図表を示していただきましたけれども、これはまさに私が知事をしておりましたときの実感にも合うような状況でございまして、特に、全体では七二・五%ということでございますが、やはり問題のあるところは、特に財政力指数が〇・三から〇・四という県、ここにおいてはもう四二・七%ということで六割近くが減ってしまっていると、ここが非常に今の厳しい財政の実態を表しているんではないかというふうに思うわけでございます。    〔理事林芳正君退席、委員長着席〕  地域にはいろんな資源があるわけですけれども、そうしたものを自主的、主体的に活性化策に結び付けていくというためにもこういう政策的経費というのは非常に重要なわけでありますので、今回地方再生対策費四千億を創設したという理由も実はそこにあるわけでございまして、こうした四千億というお金を自主的なそういう活性化策に充てるためのものとして是非使っていただきたいと、こういう思いでございます。  今回の措置でございますが、私としてはこれはやはり第一歩という受け止め方をしているものでございまして、そうしたことを通じて、今お話ございました地方の不安とか閉塞感の打破に是非つなげていきたいと、このように考えております。
  325. 牧野たかお

    牧野たかお君 今おっしゃったとおりでございますけれども、本当に地方自治体というのは、今年をどうやって乗り切るかと、そういうような私は状況だと思います。  地方自治体の財政の言わば今まで表側の話をしてきましたけれども、その裏でいいますと、財源がなければどうするかといえば、資産を売るか基金を取り崩すか起債を含めて借金をするかと、そのいずれに頼るしかないと思います。  これらのやりくりのうち、資産の売却についてはもう本当に売るものがだんだんなくなってきているんじゃないかというような気がします。実情はどうなっているのか、増田総務大臣に伺います。
  326. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) 今お尋ねの公共団体の財産の売払い収入の状況でございますけれども、私もこの点について御指摘いただきましたので調べてみますと、この平成九年度から十八年度までの十年間で見ると、必ずしも一定減少傾向にあるわけではなくて、やはり当該団体の状況によって年度ごとに変動しながら推移をしていると、こういう状況ではございます。  しかし、多くの団体がやはり今この厳しい状況の中で財産の売払いによって一定の収入を確保していると、こういう実態がございまして、そういう中で売り払える財産というものもやっぱり一定の限度があるわけでございますし、それから基金というものも取り崩しているところが多いということから考えますと、今後もこうした未利用地の財産の売却促進ということは是非必要であると思いますし、翻って、やはり先ほど申し上げましたような地方財政対策というものをしっかりと講ずるということの両面をきちんと考えていかなきゃならない。その意味でも私どもの役割は大きいというふうに思っています。  資産の売却等の関係で申し上げますと、資産、債務の適正な管理を進めるという観点が必要でございますので、そのために今バランスシート、公会計の改革をしてバランスシート等を整備するように要請をしているところでございますので、そうしたことを踏まえた上で各自治体に一定の資産評価も行った上でこの問題に適正に対応していただきたいと、このように考えております。
  327. 牧野たかお

    牧野たかお君 今その資産の売っている状況、残っているかどうかという話でしたけれども、実際は、私はかなり本当に県有資産とか市町村が持っている資産というのはどんどんなくなっていると思います。なくなっていない部分は、要は売れない、あんまり、不良な要するに資産ではないかなという気がいたしております。  それでも自治体というのは、とにかくどういう方法によっても財源を即とにかく捻出をしなければなりませんから、起債等の借金をせざるを得なくなります。この地方の起債の残高が平成二十年度末で積もり積もって百九十七兆円になると言われております。こうした状況の中で、都道府県レベルでさえ過去の地方債の償還金、つまり公債費でありますけれども、これを捻出するために償還金の積立てを取り崩したり、それでも足りなければ借金を返すために新しい借金をしているところも出ているというふうに聞いております。そこまでになりますと、一般会計上つじつまは合っておりますけれども、事実上破綻状態に近いのではないかという気がいたします。  そうした状況が本当に起きているのかどうか、増田大臣に伺いたいと思います。
  328. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) ただいま委員指摘のように、二十年度末に借入金残高百九十七兆となるわけでございまして、一部の地方団体では大変厳しい状況の下で地方債の満期一括償還時におけるこの減債基金の充当割合が低くて借換えの割合が実際に高くなっていると、こういうふうに承知をしております。  しかし、そういう場合には借換債を発行して対応していくわけでございますが、これはやはり全体として見れば、そのときは負担が軽減されますけれども、全体、当該団体として見れば将来に負担を先送りをすると、こういうことになるわけでございますので、もちろん財政運営上は慎重な判断が必要とされるということでございます。できればやっぱり計画どおり返していくのが本来の筋でございますので。  それと、またこうした減債基金から借入れを行っているという場合には、やはり必要な基金残高ということを確保しておかないといけないわけでございまして、そのためには将来の財政運営全体を見通した財政運営の在り方というものを十分踏まえた上でこうしたことを対応していかなければならないというふうに思っております。  今年の四月、もう来月からですけれども、地方団体の財政運営全体については、例の地方公共団体財政健全化法、これが施行されまして、財政指標の一つである将来負担比率というものに今言ったようなものが全部反映されるということになっておりますので、この将来に向けた全体像の中でどういう財政運営にしていくのか。  いずれにしても、住民の皆さん方にもそうした健全化法によって内容は明らかになっていくわけですから、より厳しく、住民の皆さん方、特によく議会との真剣な議論を経た上で、こうした将来に向けての負担を削減するという点を念頭に置いた財政運営が求められると、このように考えているところでございます。
  329. 牧野たかお

    牧野たかお君 もっと本当は時間があれば額賀大臣に細かいことを聞こうと思っていたんですが、今まで、地方財政の厳しさを今やり取りの中で総務大臣とさせていただきました。財政全体を預かる額賀大臣として、その今の地方財政の厳しさというのをどういうふうに感じていらっしゃいますでしょうか。
  330. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、牧野委員の話を聞いていまして、またその前の長谷川委員の話から、また私も地方の議員もしていたことがありますので、実感として厳しさはよく承知しているつもりなんでありますけれども、地方も厳しいけれども国も厳しいこともまた事実なんでございます。  例えば、国と地方でどういう状況になっているかというと、これは委員も御承知のとおりでありますが、プライマリーバランスの点からいえば、二十年度で国が五・二兆円の赤字であります。地方は五・六兆円の黒字であります。債務残高の税収に対する比率は、国が十五・四倍であるのに対し地方は三・五倍となっております。債務残高については、先ほど来話がありますように、地方は百九十七兆円で二兆円減少していますが、国は六百十五兆円で八兆円増加をしているわけであります。  そうはいっても、やっぱり地方においては個別に大変厳しい財政事情にあるということを承知をしておりますし、地方の活性化を図る、地方の財政力の格差を補っていくために交付税も二千億円増加させていただいたし、あるいはまた、先ほど来お話があるように、地方再生対策費として四千億円を計上させていただいて、地域が自らの創意工夫で地域の活性化に取り組んでくれる環境を今つくりつつあるわけでございます。  私どもは、引き続いて地方の一般財源を確保することと、それから財政力の格差を是正していくことに全力を注いでいきたいというふうに思います。
  331. 牧野たかお

    牧野たかお君 地方よりも国の方が厳しいというお話でしたけれども、地方には、地方というか自治体の場合は、制度上、国と違っていろんな制約がございまして、額は、パーセンテージというか倍率は低いかもしれませんが、財政の面だけで見るとやっぱり硬直を国以上にしているんじゃないかなと私は思っております。  それで、いろんな認識をしていただきましたけれども、これからのことをちょっといろいろ考えなきゃいけない。もう時間がなくなってきましたので今後のことについて伺いますけれども、平成二十年度の税制改正では、法人事業税の税率引下げと地方法人特別税及び地方法人特別譲与税の創設が予定されております。この税制改正は本来地方に入る税収を国税化するので地方分権の理念に反しておかしいという意見もあります。私も基本的には同じ意見でありますけれども、今回の改正は、言わばもう疲弊した地方をとにかく一刻も早く救おうというための暫定措置であって、やむを得ないというふうに私は受け止めております。  大事なことは、偏在性の小さな地方税の体系を早く構築することだと思います。具体的に言えば、地方消費税を充実させることが、それが一番の近道だと思います。この点について、額賀財務大臣のお考えを伺います。
  332. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、牧野委員がおっしゃるとおり、財政力格差を是正するために、今度、特別地方法人事業税というものをつくらせていただいたわけでございますけれども、これはおっしゃるように暫定的な色彩が強いわけでございまして、今後、社会保障の安定した財源、あるいはまた地方の財政力の格差を是正していくこと等々の問題を意識して視野に入れて、抜本的な税制改正を行うことによって地方の消費税の充実を含めてこの地方財源の安定した形をつくっていくことが望ましいというふうに思っております。
  333. 牧野たかお

    牧野たかお君 同じことを増田総務大臣にも伺います。
  334. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) ただいまお話ございました地方税体系の関係でございますが、やはり私どもは、こうした分権時代にありましては、その基盤となる税体系でございますが、これは地方税財源を充実を図る中で地方消費税の充実を図ると、これを一番に掲げて対応していかなければならない。  それから、地方法人課税というのは景気によって大分左右されると。地方の行政サービスというのはそういった景気によってそのサービスの内容が変わることがあってはならないものでございますので、そういう意味からもこの法人課税の在り方というのは抜本的に見直す必要があるだろうと、そして安定的な地方税収体系というのを構築していく必要があると、このように考えているわけでございます。  この基本方向に沿って来年度の税制改正の要綱も閣議決定をされているわけでございまして、そこでは、消費税を含む税体系の抜本的改革時に地方消費税の充実と地方法人課税の在り方の見直しを含む地方税改革の実現に取り組むと、このようになっているところでありますので、私どももこうしたこの閣議決定、要綱の方向に沿って今後真摯に検討していきたいというふうに思っているところでございます。
  335. 牧野たかお

    牧野たかお君 これまで厳しい地方自治体の財政状況を、厳しいというかせっぱ詰まった状況を指摘させていただきましたけれども、最後に地方財政の立て直しの展望について伺います。  私、地方再生というのは、結局は地域地域に住んでいらっしゃる国民の皆さんが生き生きとして安心して暮らせることだというのが私は地方の再生だと思います。このことを実現するためには、住民と向かい合って行政サービスを担っている地方自治体に活力を取り戻さなければならないと考えます。そのために、現在の厳しいこの地方財政の状況をどのように立て直していくお考えなのか、増田総務大臣に御所見を伺います。
  336. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) 今地方が大変大きな問題を抱えているということであるわけですが、特に地方再生対策費等の措置を来年度講ずることとしてございますが、それでもなお大幅な財源不足、二十年度も五兆を超える財源不足が今見込まれていると、こういう状況にございます。したがいまして、当然、各団体に更なる健全化努力を行っていくという必要があるわけでございますが、先ほど申し上げました地方税収の安定確保、そして充実強化というその改革の方向はきちんと進めていかなければならないというふうに思っておりますし、それから国全体として、ましてや地方において安定した成長を実現するように様々な地方の成長に基づくアイデアを実現していくと。これは私が地方再生担当大臣も仰せつかっておりますので、そちらの方の地方再生戦略などをしっかりと実行していくということがその一つだと思っておりますが、そういう安定成長ということを実現していくということ。  そして何よりも、やはり今後の大きな分権の方向をこの際明確化をしていくと。今、地方分権改革推進委員会で真摯に議論をしていただいておりますが、そうした議論を進めて地方分権を徹底して進めていくと。その中では、財政面での地方の自主性、自立性を高めていくということも当然含まれるわけですけれども、今申し上げましたような改革の方向なり改革というのは進めていって、本当に将来に向けて地域が活力を取り戻せるように全力を挙げて取り組んでいきたいと、このように考えております。
  337. 牧野たかお

    牧野たかお君 最後に質問させていただきますけれども、今後、国、地方を通じて社会保障の経費が増加していき国も地方自治体も財政的に行き詰まることはだれの目にも明らかだと思います。そして、その両者のうちにどちらが先に行き詰まるかと言えば、先ほど申し上げましたけれども、制度的に制約の多い地方自治体であると私は思っております。国、地方を通じた税財政の抜本的な見直しを行わなければならない時期が来ていると思いますけれども、額賀財務大臣のお考えを最後に伺って、私の質問を終わらせていただきます。
  338. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 牧野委員のおっしゃるとおり、今我が国は財政再建と経済成長というものを両面きちっと達成していかなければならない、これは国際的な信頼にかかわることであるからきちっとしていく必要があると思っております。  社会保障については、二十一年度に年金の国庫負担を二分の一に上げるということも法律で決まっております。その上で、膨脹する社会保障費をやっぱりどういうふうに手当てをしていくか、消費税を含めた全体の抜本的な改革を早急に実現しなければならない。そのために社会保障国民会議というのを内閣に設けて今議論をしていただいているところでございますから、立法府においても、やっぱりこれは国民に対する責任を果たすために与野党の間で是非議論を深めていっていただきたいというふうに思っております。
  339. 牧野たかお

    牧野たかお君 終わります。
  340. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で長谷川大紋君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  341. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、谷合正明君の質疑を行います。谷合正明君。
  342. 谷合正明

    谷合正明君 公明党の谷合正明です。  まず、今日は、三月五日に起きました明石海峡沖の船舶衝突事故についてお伺いいたします。  昨日、私も神戸市の漁業協同組合の方に行かせていただきまして、現場の方を視察させていただきました。三月五日に事故があったわけでありますが、現時点で、沈没した貨物船籍から油の流出状況というのはどうなっているのか、把握しているところを聞かせてください。
  343. 影山幹雄

    政府参考人(影山幹雄君) 私どもが現段階で承知しておりますこと、あるいは対応状況について御説明申し上げます。  去る三月五日、明石海峡航路東口付近におきまして貨物船の衝突事故があり、先ほど御紹介いただきましたように、ゴールドリーダー号というベリーズ船籍の貨物船が沈没いたしたところであります。  沈没しました同船には推定で約七十七トンの燃料油等が搭載されておりまして、同船から当該燃料油が流出いたしておりますけれども、海上保安庁では直ちに巡視船艇及び航空機を出動させるとともに、関係機関あるいは地元自治体などとも連携しまして、当該流出油の防除作業を行ってきております。  現状でございます。現在も航空機等によりまして海上保安庁で継続的に調査を行っておりますが、沈没位置付近で認められる浮流油は当初よりもかなり減少してきておりますが、まだ若干でありますが、出たり出なかったりという日がございます。  海上保安庁では、ゴールドリーダー号から流出した油を迅速に防除するため引き続き浮流油の状況を継続的に調査するとともに、関係機関、地元自治体等とも連携しまして、流出した油の防除措置を講じていくこととしておるところでございます。
  344. 谷合正明

    谷合正明君 配付させていただいた写真には、細かい写真ですので分かりづらいかもしれませんが、下の方にある写真について油が浮いているのが分かると思いますが、これが三月十八日ですから、おとついの時点でこういう状態であります。実は、三月五日に事故が起きて、三月十三日には海上自衛隊が沈没した貨物船の船体調査を行いました。その際には燃料タンク付近で油の流出がないことを確認ということで、いったんはそこでもう大丈夫かなという話もあったわけでありますが、その後、やはり日々このように油がぽこぽこ浮いてくるという実態でございます。  漁協の要望の第一点は、この油をしっかり抜き取っていただきたいと。沈没した船を引き揚げない限り、これはなかなか難しいわけであります。実は、漁を再開したくても、まだまだこのように油が浮いている状態でありますと、なかなか完全に回復したという宣言が出されないものでありますから、いわゆる取引等についても買いたたき等も一部あるというふうに実際昨日お伺いをいたしました。  実際に、今説明していただきましたけれども、油を抜き取るとか、あるいはその沈没した船を引き揚げるとか、さらにはもうダイナマイトで爆破してほしいと、そのぐらいまで漁師の方は言われているんですが、こうした、技術的に今どのように可能なのか、お聞かせください。
  345. 影山幹雄

    政府参考人(影山幹雄君) お答え申し上げます。  確かに、おっしゃるとおり、沈没船を引き揚げれば一番これはベストなことでございますが、実際のことを申し上げますと、沈没した位置の水深が八十三メートルと大変深うございます。また、現場海域の潮流も最大で約六ないし七ノットと非常に速いということもございまして、私どもの承知している限りでは、同船の船体撤去は技術的に困難であるというふうに聞いておるところでございます。  したがいまして、油の流出状況を継続的に今後も調査しつつ、地元関係者の方と情報交換を行いながら、必要な油防除措置を行っていくということが現実的な対応ではないかというふうに考えておるところでございます。
  346. 谷合正明

    谷合正明君 要望の二つ目は、実際に漁業被害は受けていると。ノリについては全面撤去をいたしておりますので、一帯のノリだけの被害でいいますと四十億ぐらいあるということであります。  そこで、十分な賠償が得られるのかどうかという話なんですが、船主責任保険、油濁基金等ございますが、これらの制度は今回どういったふうに働くのでしょうか。
  347. 春成誠

    政府参考人春成誠君) お答え申し上げます。  ただいまの御指摘のいわゆる損害賠償保障についてのお尋ねでございますけれども、こういった燃料油を排出した場合の責任関係につきましては、私どもの油濁損害賠償保障法というのがございまして、およそ我が国に入港いたします百トン以上の外航船舶につきましては、これらを保障する保険契約に入っていなければ入港することができないという制度になってございまして、本件船舶につきましてもそうした保険契約に入っておるわけでございます。  しかしながら、今委員指摘の船主責任法というのがございまして、これは国際条約に基づくものでございますけれども、一定の損害までを超えますと船主責任についてはこれを免れるという制度になっておりまして、簡単に申しますと、仮に損害額がこの船主責任限度額を超えますと、その部分について船主に対する責任の追及がなかなか難しいということになります。もちろん本件は、御案内のとおり原因者が明快でございますので、明らかでございますので、当事者間による交渉、あるいは裁判ということも考えられようかと思いますけれども、そこで行われると思いますけれども、その超えた額につきましては、この部分は船主は責任を免れるということでございます。
  348. 谷合正明

    谷合正明君 船主責任保険については上限が決まっているということなんですね。油濁基金については今お答えありませんでしたが、原因者不明の場合にその基金が発動されるわけでありますが、今回その原因者が特定されておりますので、油濁基金は発動できないということであります。  そうしますと、今回の事故の教訓としましては、仮に四十億の被害があったとして、船主責任保険では五億から七億円の保障だと。やはり被害の大きさに比べますと保障が少ないわけでございます。これは制度上若干欠陥があるのではないかというふうに私は考えております。  特に、現場は特定航路に指定されております。全国で十一か所あります。瀬戸内海中心にあるわけでありますが、こうしたところは交通、いわゆる船舶の量も多くて危険があるということで特定航路になっているわけであります。じゃ、そこで事故が起きたときに、油が流出した、じゃ、ノリやカキの水産業者に対しての被害、これ保障、今後新たな基金なんか検討した方がよろしいんじゃないでしょうか。
  349. 春成誠

    政府参考人春成誠君) 委員指摘の船主責任を超える部分のいわゆる保障の取扱いということについて、新たな基金の創設が必要ではないかというお尋ねでございます。  船舶につきましては、世界の海域を移動しているということもございまして、従来より、こういった責任あるいは保障に関する制度というものが国際的枠組みの中で決まってございます。そういう国際的枠組みの中では、いわゆる燃料油に関しまして、責任限度を超える額についての基金というものについての国際的な条約あるいは枠組みというのは現時点では存在してございません。したがいまして、将来的な課題であろうかと思っております。
  350. 谷合正明

    谷合正明君 これは昭和四十三年、今から四十年前の国会議事録なんですけれども、私が生まれる前の話ですが、衆議院予算委員会でまさにこういう話がありました。タンカーがある種の事故を起こし、それによって生じた油が相当広範囲にわたって漁業等に損害を与える、しかも、そのタンカーの所有者と申しますか、責任者がさして資力のない場合に、この大きな損害をどう処置するかというふうな問題であろうと思います。この問題につきましては、運輸省の内部におきましてある種の保険的な制度によってそれをカバーしていくというふうな考え方を現在検討している状況でございますというふうに当時の運輸省が回答しているわけであります。今から四十年前でございますが、やはり同じような事故が今回起きました。  改めてお伺いいたしますが、新たな基金というのは検討していくべきじゃないでしょうか。
  351. 春成誠

    政府参考人春成誠君) 先ほど御答弁申し忘れたわけでございまして、申し訳ございませんでした。  いわゆるタンカーにおける油の損害につきましては、委員指摘のとおり大きな被害も発生するという国際的な御議論もございまして、そうした油濁損害防止法に関する基金の創設に関する条約というものが既にできてございます。一九七〇年代にできてございまして、それによりましていわゆる世界的に起きます大きな、よく新聞等を騒がせますような大きなタンカーによる海難事故における油流出事故、ナホトカ号などもそうでございましたけれども、それをてん補する基金ができてございます。  しかしながら、今御指摘のとおり、いわゆる燃料油でございますので、燃料油の流出に関するそうした制度がまだないということでございまして、これは今後の課題だと思っております。
  352. 谷合正明

    谷合正明君 じゃ、同じ質問を水産庁にお伺いいたします。
  353. 山田修路

    政府参考人山田修路君) ただいまお尋ねのありました漁業被害についてでございますけれども、本当に今回漁業者の方、大変苦しい立場にあられるということを私ども大変心配をしております。  ただ、当事者がはっきりしておりますので当事者間で解決されるということが原則でございますけれども、農林水産省としても漁業共済あるいは融資制度を活用して被災された漁業者への支援を行っていきたいと考えております。  なお、新しい基金についてのお尋ねでございます。これについては、第一義的には海運行政の観点から検討されるべきものと思っておりますけれども、被害、特に漁業者、被害に遭うわけですが、漁業被害だけでいいのかどうか、あるいは原因者負担の原則あるいは船主責任保険などの既存の仕組みとの関係、あるいはその基金の原資をどうするのかといった様々な問題、また、ただいま国土交通省からお話がありました条約上の問題もあろうかというふうに考えております。
  354. 谷合正明

    谷合正明君 いずれにしましても、今回のはもう事故ではなくて災害なんですね。そういう意味では現場の被害状況に対する国の認識というのが私は小さいと思っております。もう安心して漁を再開できないというのが漁師の、現場の方の本音でございます。私は、一刻も早く、この省庁の縦割り、この谷間のやはり問題であると思っております。たらい回しにせずにしっかりと検討していただきたいと、そのように考えております。  次の質問に移らせていただきますが、ジョブ・カード制度について前回の予算委員会で私は質問いたしました。  その際、このジョブ・カード制度、これは主にフリーターや子育て終了の女性の方が使う制度でありまして、企業の現場で職業訓練の機会を得てその履修を証明されるジョブ・カードを受け取る制度でございます。この制度のかぎとしては、この制度の周知の徹底と、もう一つは参加企業拡大の取組だということであります。  この点について、現在どのようになっているのか説明してください。
  355. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) まず第一点の周知の徹底の方ですけれども、これは全国規模の事業主団体に中央ジョブ・カードセンター及び地域ジョブ・カードセンターの設置、運営を委託し、このジョブ・カード制度の周知、普及を図ることとしております。  それから、企業の拡大の方ですけれども、具体的には地域ジョブ・カードセンターは国、県、労使団体、教育界などの関係者を参集し、コンセンサスを得てジョブ・カード制度の普及方針を策定し、これを踏まえて周知、普及に向けた関係者の積極的な取組を促進する。さらに、職業能力形成プログラムに参加する企業の開拓、それから訓練のコーディネートなどを行うこととしておりまして、こうした取組を通じましてジョブ・カード制度の周知を徹底させるとともに、協力企業を拡大していきたいと思っております。
  356. 谷合正明

    谷合正明君 このジョブ・カードという名前が、なかなかちょっとカードという名前が付いておりますので分かりづらいんですね。実は制度としては様式一から六の紙がファイルとして、全体でこれジョブ・カードというわけであります。そういう意味では、カードというふうに名前付けるのであれば、最終的にいわゆる職業能力証明書を受け取る方には実際に本当にそのカードを配付するとか、魅力ある制度にしていくべきだと思うんですが、この点についてどうでしょうか。
  357. 大田弘子

    国務大臣大田弘子君) なるべく使う人にとって分かりやすい、使いやすい制度にすること、それから、技能の履修証明としての質を保つということが非常に大事だと思っております。  今の先生の御指摘はまさに前者の方で、魅力ある制度にということで、ありがとうございます、貴重なアドバイスを。現在、今試行段階ですので、ジョブ・カードというのは厚生労働省のホームページからダウンロードできるようになっておりますが、今後の内容の充実あるいは利便性の向上につきましては、なるべく多くの方に活用していただける魅力あるものになるように、ジョブ・カード推進協議会というところで検討を開始することにしております。この推進協議会には、関係省庁、産業界、労働界、教育界などの代表者に集まって、使いやすいものにする検討をしていただきます。一回目を来週の火曜日に開くこととしております。  それから、先生おっしゃったカード、やっぱりカードというのをだれしも想定いたしますので、そのような小型のカードの発行につきましてもこれから前向きに検討をしてまいります。
  358. 谷合正明

    谷合正明君 もう一つ、やはり大学、専門学校等でのこの制度の拡充というのがあると思うんですね。実践型教育プログラムというのも実はこのジョブ・カード制度に入っております。この実施校拡大について、取組について、大臣にお伺いいたします。
  359. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 先生指摘の実践型教育プログラム、これは大学とか専門学校で教育研究のノウハウを活用いたしまして編成をしているプログラムでございまして、受講者の職業能力の形成ということを目的にしております。これが修了すれば、先ほどから話題になっているジョブ・カードのこの記載というものがなされまして、それが就職活動に大いに役に立つということでございまして、文部科学省といたしましては、十九年度よりこの支援のプログラム、再チャレンジ支援推進プランというものを実施しておりまして、今年度、今、十九年度で二十五億二千七百九十八万、二十年度で二十六億八千七百六十万ということで支援をいたしております。  今後とも、同プログラムを着実に実施することにより大学とか専門学校でこの実践型教育プログラムというものが推進されるように取り組んでまいりたい、そのように考えております。
  360. 谷合正明

    谷合正明君 同じ若い世代に共通、ジョブ・カード制度を今取り上げましたが、もう一つ、この三月、四月とやはりはしか対策について十分措置がなされているかということが大事かと思っております。昨年、はしかが大流行いたしました。十代から二十代の青年層を中心に多く見られて、しかもワクチンの在庫が足りなかったということが大きな問題を引き起こしたわけであります。今回、その反省を踏まえてどのような措置をとったんでしょうか。
  361. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 昨年六月、こういう点につきまして、谷合議員を始め公明党青年局の皆さん方から要望書をいただきました。  その第一点は、この予防接種の計画的推進ということでありましたけれども、それにつきましては、二回接種の対象となっていなかった生徒等についても二回接種を行うことができるように、平成二十年四月一日、もうすぐですが、より麻疹及び風疹の定期の予防接種の対象者に中学一年生、高校三年生に相当する年齢の者を追加すると。  二番目の御要望事項ですけれども、発生状況の速やかな把握をやってほしいと。この点につきましては、麻疹の発生状況を的確に把握するため、麻疹の発生届出を従来の定点報告から全数報告に充実強化することにいたしました。  公明党の皆さん方の三番目のこの御要望事項は、麻疹ワクチン及び麻疹風疹混合ワクチンの十分な確保ということでありますが、この点につきましてはワクチン製造会社に対して定期接種対象者の増加に十分対応できるよう増産を依頼したわけでありまして、こういう諸施策をやりながら十分のこの対応をやってまいりたいと思います。
  362. 谷合正明

    谷合正明君 今回、五年間の緊急措置として、新たに中一と高三生に対する定期接種が始まるわけでございます。はしかの流行を防ぐためには予防接種率は九五%以上にするというのが目標になるわけでありますが、このようにワクチンは確保したということになりますと、今後は学校を通じた取組が重要であります。文部科学省の取組についてお伺いをいたします。
  363. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) はしかというのは幼児性の病気だというふうなことで我々も理解をしておりましたが、昨年、高校とか大学で大流行したと、学校閉鎖なんということもありまして、先ほど厚生労働大臣からもお話しになりましたように、中学一年、高校三年生を対象としてこの予防接種を奨励するということでリーフレットを作成しておりまして、年度内に各市町村にまで到着するように今準備を進めておるところでございます。  また、学校が効果的な対策を進める上で必要な情報というものを具体的にまとめました学校における麻疹対策ガイドラインというものを作成をいたしまして、学校に配付するように取り組んでいるところでございます。  今後とも、厚生労働省と連携を図りながら、その対策を進めてまいりたいと考えております。
  364. 谷合正明

    谷合正明君 今回問題なのは、二十代前半もやはりかかっているわけですね、昨年。そこはやはり任意接種となっているわけであります。四月、大学の入学シーズンでありますが、まさにこのリスクの高い時期でございます。そうした中、この二十代前半に対する対応というのはどのように取られるのか、この点について確認をさせてください。
  365. 西山正徳

    政府参考人(西山正徳君) 今のお尋ねでございますけれども、二十歳代前半の方々は、学生さんだけではなくて就労されている方、様々な状況がおられまして、一律に予防接種の対象として市町村が実施するというようなことはなじまないのではないかと考えております。  他方で、今先生指摘のように、大学等の学生においては集団感染等のリスクがあることも考えられ、また昨年は今お話にありましたように集団感染が起こったというようなことで、私ども厚生労働省は、学生の方に対しましても、インターネットテレビやポスター等を通じて麻疹の特性や予防接種の必要性等について情報提供を行うというようなことで麻疹の予防接種を推奨していきたいというふうに考えております。
  366. 谷合正明

    谷合正明君 いずれにしましても、日本ははしか輸出大国として、二〇〇四年の統計では年間八千七百件、二位が、二位というか二番目がフランスで、これは四千四百件、ということは二倍以上かかっているわけでございます。お隣の韓国でははしか輸出大国であったわけでありますが、これは実際にもうはしかゼロになりました。しっかり日本もこのはしかゼロに向けて取組をして、強化をしていただきたいというふうに訴えさせていただきます。  最後に、携帯電話の話をさせていただきたいんですが、携帯電話の回収、リサイクルについて、まさに今、都市鉱山が注目されておりますが、携帯電話には例えば金が、携帯一台に〇・〇二グラムの金が存在しているとも言われております。貴重なものなんですね。実際、年間で今五千万台携帯が出回っておりますが、しかし回収率がだんだん低くなっていると。今、六百六十万台で、六年前は一千三百六十万台あったと。しかし、この回収率上げていくために、私は、経産省としても法改正を視野に入れながら取り組むべきだと思いますが、最後にこの点について大臣にお伺いいたします。
  367. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 御指摘のように、直近の数字だと六百六十二万台でありますから、かなり減ってきているわけであります。  都市鉱山という言葉が随分聞かれるようになりました。それは、御案内のとおり、リサイクルという視点で考えると日本は資源小国ではなくて大国ではないかという点であります。携帯電話からは一トンで四百グラムの金が取れると、普通の鉱山からだと一トンで五グラムだそうでございまして、こういう視点をしっかりと見詰め直すことが大事だと思います。  そこで、資源有効利用促進法の見直しについて、携帯電話の自主的な回収、リサイクルを促進する対策について検討していかなければならないというふうに思っております。このユーザーへの回収の徹底をいかにして図るか、これをしっかり取り組んでいきたいというふうに思っております。
  368. 谷合正明

    谷合正明君 じゃ、関連質疑を。
  369. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 関連質疑を許します。鰐淵洋子君。
  370. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 公明党の鰐淵洋子でございます。引き続き質問させていただきます。  まず初めに、町村官房長官の方に日中青少年交流について質問をさせていただきます。  本年は日中青少年友好交流年ということで、先月十五日に北京の方でこの開幕式が開催をされました。私も、高校生、大学生、総勢一千名の方と一緒に参加をさせていただきまして、この開幕式にはその午前中に再選をされました胡錦濤国家主席も出席をされまして、盛大に開催をされました。  次は胡錦濤国家主席が来日をされまして、その際にまた、日本側が受け入れる側になりますけれども、この際に是非とも福田総理を中心に政府として盛大に、また真心を込めて迎えていただきたいと思いますし、またあわせまして、これからこの日中の青少年の交流、大変に重要な課題でありますし、これから戦略的互恵関係、これを築く上で土台になる部分にもなってくるかと思います。そういった意味で、この青少年の交流に引き続き政府としても全力で取り組んでいただきたいと思いますが、御見解をお伺いいたします。
  371. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 鰐淵委員も御出席をされて、大変盛大な三月十五日に開幕式が行われたという報告を私も聞いております。  まさに今年は、日中平和友好条約締結三十年、また胡錦濤国家主席の訪日とか洞爺湖サミットなどなど大変、また北京オリンピックもありますね、日中両国間で重要な行事が相次ぐわけでございまして、この記念すべきときを日中青少年友好交流年というふうに位置付けていろいろな行事が行われるわけであります。日本でも、胡錦濤国家主席訪日の機会をとらえまして、中国から青少年代表団を約二百名お呼びをして開幕式をやろうという予定にしているところでございます。  委員御承知のように、福田総理が、年末ですか、訪中をした折にも、四年間で毎年四千人規模の青少年交流を実施しようではないかということを先方リーダーとは合意をしたということでございます。これは、外務省あるいは文部科学省等々幅広い、役所のみならず民間団体の皆様方の御協力もいただきながら、積極的にこの青少年交流を展開してまいりたいと考えております。
  372. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。しっかり私自身も私自身の立場でできることを精一杯に取り組ませていただきたいと思っております。ありがとうございました。  続きまして、環境大臣の方に質問をさせていただきたいと思います。  近年、先進諸国におきまして、小児ぜんそくやアトピー、発達障害など免疫系や神経系の疾患が増加していると言われておりますが、これらの疾患の発症には化学物質の暴露など環境要因が関与している可能性が高い、あるのではないか、このような指摘もございます。特に、子供は大人に比べますと化学物質から受ける影響は大変に大きいものがありますので、この有害な化学物質の脅威から子供たちを守る対応、取組が大変に重要になってくると思います。  こういった課題につきまして、環境省の取組をお伺いいたします。
  373. 鴨下一郎

    国務大臣(鴨下一郎君) 先生おっしゃるように、子供は小さな大人ではないと、こういうような認識の下に、特に、例えば母乳からの摂取など大人とは異なる特有な暴露経路があると、こういうようなことで、成長の途上にあるため身体の機能が未熟である、こういうような様々な特性があるわけでありますけれども、そういうような中で、小児を取り巻く環境と健康影響との関係につきましてはまだまだ未解明な部分が多いと、こういうふうな認識でございます。  そのため、環境省では、これ、小児の環境保健に関する懇談会における提言を踏まえまして、小児を取り巻く環境と健康との関連性について明らかにするための各種調査研究を進めてまいりましたが、平成二十年度からは更に小児環境保健に関する疫学調査の予備的な検討に着手すると、こういうふうなことでございます。  小児の環境保健に関する取組について引き続き着実にしっかりとやってまいりたいと、かように考えております。
  374. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 今御説明いただいた中で、化学物質と子供たちの健康の関連性の解明ということで疫学調査をされるということで、これは大変に重要なことでありますので、我が党としても必要性を訴えさせていただきまして進めてまいりましたので高く評価をしておりますが、しかし、もっとこの課題につきまして積極的な国としての対応が必要ではないかと考えております。  ここで東京都の取組を少し御紹介をさせていただきたいと思いますが、東京都では、一九九七年のG8環境大臣会合、マイアミ宣言を受けまして、独自で東京都として化学物質から子供たちを守るためのガイドラインを策定されております。(資料提示)このようなガイドラインでございまして、鉛について、また室内の空気、またそのほか食事編、あと農薬を散布するときの仕方とか、こういった形で、東京都の方でこういったガイドラインを作られております。  こういった形で、子供たちを守るという意味でも是非予防的な、予防的原則の考え方に立ちまして国としてもっと積極的な対応ができるのではないかと思っておりますが、この点について御見解をお伺いいたします。
  375. 鴨下一郎

    国務大臣(鴨下一郎君) 今先生おっしゃっているようにマイアミ宣言、これ一九九七年に開催されたG8環境大臣会合において採択された宣言でありますけれども、この中で、例えば鉛の暴露あるいは飲料水中の微生物の安全性、内分泌攪乱物質に関するインベントリーの作成、こういうようなことも含めて、様々な化学物質に暴露される子供たちの健康を守ろうと、こういうようなことで宣言を採択されたわけでありますけれども、今おっしゃるように、環境保健に関する情報発信は我々も極めて重要だと考えておりまして、平成十五年から小児環境保健に関する国際シンポジウム、こういうことを毎年開催しまして、内外の最新の知見を情報発信していこうと、こういうようなことをしております。  また、今後は調査等で、先ほど申し上げた調査等でも明らかになった知見につきましては、できるだけ速やかに普及啓発するためのシンポジウムの実施のほか、分かりやすい普及啓発資料、ホームページ、こういうようなことでしっかりと情報発信をしてまいりたいと、こういうふうに考えます。
  376. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  ちょっと繰り返しになりますが、この予防原則の考えの下、もう少し積極的な対応ということで、私自身もいろいろまたこれからも知恵を出して考えていきたいと思いますが、環境省の方も引き続き検討をしていただきたいと思います。  関連して、併せまして、この課題につきましては各関連省庁、厚生労働省だったり経済産業省、農水省、様々関係するところが多くはございます。そういった中で、環境省として、調査はしたからこれで終わりではなくて、引き続きしっかりと各関係省庁とも連携を取っていただきまして、また環境省がリーダーシップを発揮して、この問題、しっかりと取り組んでいただきたいと思いますが、再度その点についてお伺いいたします。
  377. 鴨下一郎

    国務大臣(鴨下一郎君) 特に有害物質から子供たちを守るための取組、こういうようなことにおいて環境省の果たすべき役割というのは極めて大きいというふうに認識をしております。  小児環境保健につきましては、これは厚生労働省を始めとして関係の各府省が関連する調査研究と、こういうようなことを進めているわけでありますけれども、こうした科学的な知見を各省が共有するというようなことが重要だろうというふうに思いますので、先生の御指摘もありますので、より一層こういうような取組を進めないといけないと、こういうふうに考えております。  また、加えまして、今疫学調査、これから大規模に行われますけれども、その中でも新たに明らかになった知見につきましてもできるだけ早く各省庁が共有できるように、こういうようなことについてもしっかりと取り組んでまいります。
  378. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 よろしくお願いいたします。  続きまして、厚生労働省の方に質問させていただきたいと思いますが、まず内部障害ということで、これについてお伺いしたいと思います。  この内部障害がどのような障害なのか、併せまして、内部障害者の方がどれぐらいいらっしゃるのか、実態も含めて参考人の方からお願いいたします。
  379. 中村吉夫

    政府参考人(中村吉夫君) お答えいたします。  内部障害は身体障害に含まれますけれども、心臓、腎臓、膀胱、直腸、呼吸器などの機能障害を有する方々でございまして、それぞれの障害に応じて特性は様々でございますけれども、一般的にはその障害が外見上分かりにくいという特徴がございます。  平成十八年度末現在の内部障害によりまして身体障害者手帳を交付されております方が約百二十八万人となっておりまして、全手帳交付者に占めます割合は約二六%となっております。高齢化などを背景といたしましてその人数は増加傾向にございまして、平成十五年度と十八年度を比較いたしますと約十六万人増加しております。
  380. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  ここで大臣にお伺いしたいと思いますが、大臣の方も内部障害者の方は既に御存じかと思いますが、この内部障害につきまして、一月二十八日から読売新聞の方に五回にわたりましてこの内部障害者に関する記事が掲載をされておりました。これを御覧になっての大臣の御感想をお伺いしたいと思います。
  381. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 外から見て分からないということで、大変御苦労なさっているなと。駐車場に車止めさせてもらえなかった、それから障害者手帳を見せるにしてもちょっと疑われたとか、いろんなケースが挙がっておりますけれども、こういうことがないようにいろんな環境整備厚生労働省としてもやっていきたいと思います。
  382. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  今大臣の方からも言っていただきましたが、この内部障害というのは体の内部にある障害のことですので、なかなか見た目分からないということで社会における認識が低いというのが実態であろうかと思います。私自身も何人かの方にお会いしましたが、やはり全く分からないということで、それゆえに心身ともに大変な思いをされているのが私自身の感想でございました。  そういった意味で、厚生労働省としては既にこの内部障害者の方の施策は講じていただいていますが、しかし、まだまだこの理解が進んでいないゆえに、施策が進んでも生かされていない部分があるかと思いますので、内部障害者の方の理解促進の取組、これを是非とも厚生労働省また内閣府、しっかりと更に取り組んでいただきたいと思っております。  例えばマタニティマークのようにマークを認定するなど、広く普及するような対策を考えていただきたいと思いますが、内閣府と厚生労働省、よろしくお願いいたします。
  383. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) この内部障害の方々につきましては、障害が外見上明らかでないため様々な苦労をされていること、承知しております。  そして、内閣府におきましては、こうした内部障害の方々につきまして国民の理解が得られるようにということで、公共サービス窓口における配慮マニュアル、こうしたマニュアルを策定する、あるいは政府広報テレビ番組におきまして、NPOの皆さん方が中心にこの普及に努めておられますハート・プラスマーク、内部障害に関するこうしたマークの広報に努める、あるいは障害者週間の集い、セミナー等におけるビラの配布、あるいは内閣府のホームページへの掲載等、こうした普及、こうした国民の皆さんにおける理解を広げるための努力をしているところでございます。重点施策実施五か年計画、昨年十二月に障害者施策推進本部におきまして策定しました計画におきましても、こうした各種の障害者に関するマークの周知に取り組むことを明確に位置付けたところでございます。  このように、内閣府としましては、このハート・プラスマークの普及等を中心に国民の理解を得られるよう努力をしていきたいと考えております。
  384. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 各種のマークがございます。例えば補助犬のマークであったり、それから、皆さん一番御存じなのは身体障害者のマークというあの車いすのマーク。  ところが、内部障害の人はあれ付けていいんですね、障害者ですから。ところが、あなた車いすじゃないのに何だというように駐車場で言われたりするということなんで、ハート・プラスマークというのはあるNPOがやっていらっしゃる、それぞれの団体がそれぞれ持っていらっしゃるので、こういうマークを周知徹底する。それをいろんな会合や例えば自治体、公共交通機関の方々にも周知徹底したいんですけれども、有村議員と津田弥太郎議員でしたか、マタニティマーク、ここで示さしていただいたんですけれども、こういう国会の場でもそういうマークをお見せして、例えばNHKで中継するときになんか皆さんに周知してもらうというようなことで、引き続きこういう努力はやっていきたいというふうに思っております。
  385. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 どうしてもハート・プラスマークというのは、一つのNPO法人のマークということで、それがゆえになかなか普及が進んでいないというのが実態ですので、そういった意味で国として認定できないかということで、私自身もちょっとこれから取り組ませていただきたいと思っております。  最後、障害程度区分認定について厚生労働大臣にお伺いしたいと思いますが、やはり、繰り返しになりますが、内部障害の方は見た目分からないということでなかなか認定する上で特性を把握していただけないという、そういった声もいただいております。是非、この内部障害者含めて障害者の特性に合った見直しを再度要望いたしますが、これをお伺いして終わります。
  386. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 昨年末に与党のプロジェクトチームの報告書で、障害者程度区分について早急に実態調査に着手するとともに、知的障害、精神障害始め各々の障害特性を反映した調査項目と判定結果となるよう、大幅な見直しを行うとされておりますので、これを踏まえまして、内部障害含めて様々な障害特性を反映する形での障害程度区分の開発を行っていきたいと思います。
  387. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 以上で終わります。  ありがとうございました。
  388. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で谷合正明君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  389. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、仁比聡平君の質疑を行います。仁比聡平君。
  390. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党仁比聡平でございます。  まず、先日十八日に引き続きまして、海峡横断プロジェクトに関する件を少しお伺いをしたいんですが、冬柴大臣、まずこのプロジェクトに関するこれまでの調査報告書などの私からお願い、要求をしています資料をこの予算の審議中に速やかに御提出をいただきたい、そのお約束をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  391. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 相当膨大なものですけど、すべてを速やかに提出をさせていただきます。
  392. 仁比聡平

    仁比聡平君 そこで、関門海峡道路に関する調査会報告書の内容について国交省の認識を今度は局長にお尋ねをしていきたいと思うんですけれども、お手元資料を一部お配りをいたしました。幾つも聞きたい点があるわけですが、時間の関係もございますので、事業主体をどうするのかの検討内容と地元負担の問題に絞って伺います。  この報告書概要版の三ページ目から、特に四ページ、五ページと、ここにこの調査会が検討をしてきた三つのスキームが掲げられているわけです。局長にこのスキームをそれぞれ簡潔に説明をいただきたいと思います。
  393. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  三つのスキームでございますが、旧道路公団等というのは公団方式で行うものでございまして、そこに事業スキームがございますように、旧公団が資金調達をいたしまして、政府保証債等で資金調達をいたしましてやるという一つの案でございます。それから公社案、北九州道路公社案というのは、事業スキームにございますように、旧公団から関門トンネルの事業譲渡を受ける、それに併せて資金調達をしまして新関門道路の建設をする。最後が民間事業者を中心とした事業体ということで、コンソーシアムを組みましてBOTの方式で資金調達をして道路を造る。これも併せて関門トンネルの事業譲渡を想定している。それぞれケーススタディーでございます。
  394. 仁比聡平

    仁比聡平君 今御紹介いただいた三つのうち、北九州市道路公社案について少し詳しく伺いたいんですが、まずこの北九州市道路公社というのはどんな公社なのか、その概要を御説明ください。
  395. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 北九州道路公社は、北九州市が設立団体として平成十七年十一月一日に設立されました。出資金は北九州市が全額出資でございます。事業内容は若戸大橋の管理、これを実施をしてございます。
  396. 仁比聡平

    仁比聡平君 この公社のホームページなどを拝見しますと、第二若戸道路と呼ばれている道路事業主体にもなっているわけですか。
  397. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) その件については承知をしておりませんが、今、第二若戸トンネル、これは別の事業で実施中ということを聞いております。
  398. 仁比聡平

    仁比聡平君 いずれにいたしましても、この公社を事業主体とするというこのスキームの場合、この事業費をどのようにして調達をすることになるのか、そしてその際の手続はどのようになるのか、この点も道路局長に御説明をいただきます。
  399. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  地方道路公社がこういう有料道路事業を実施する場合の建設に要する資金でございますが、地方公共団体の出資金と民間借入金等で調達されるのが一般的でございます。  したがいまして、資金調達に際しましては、手続でございます、地方公共団体の議会の議決を経た上で地方公共団体が出資金の予算措置あるいは民間借入金等の債務保証を行いまして、道路公社が地方公共団体の出資金の受入れや借入れに対する債務保証を元に資金調達を行うというのが一般的でございます。
  400. 仁比聡平

    仁比聡平君 今お話しのように、自治体が債務保証を行ってということが御説明なわけですけれども、確認をしますけれども、有料道路事業としてこれが計画をされているわけですが、その有料道路の場合は補助金というのはありますか。
  401. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 補助金は一般的にございませんが、無利子貸付金というのは国から出しております。無利子貸付金を出しております。
  402. 仁比聡平

    仁比聡平君 そうしますと、この報告書では、今日お配りはしていませんが、前回紹介をしたように、総事業費を千五百五十七億を超えるというふうに見積もっているわけですけれども、これを全額、仮にこの公社の案であれば、北九州市が出資ないしはその公社の借入れという形で賄うという、そういうスキームになるわけです。  そこで、総務大臣にお尋ねをしたいと思うんですけれども、この計画が仮に行われて、通行料で償還をするというその計画がうまくいかないとき、一〇〇%出資をし、債務保証を行っている北九州市というのは大きなリスクを負うということになると思いますが、いかがですか。
  403. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) 債務保証ということを自治体が行うということであれば、当然その保証の履行を求められると、こういうことになるだろうというふうに思います。
  404. 仁比聡平

    仁比聡平君 実際に自治体がつくっている公社の有料道路が失敗して一般財源から数十億円規模の穴埋めをされているという、そういった道路は福岡県下にもございますし、全国にも幾つもあるわけでございます。  もう一つの問題として、関門トンネルの料金の問題について伺いたいと思うんですが、先ほど局長からも説明がありましたように、この三つのスキームでは、いずれも関門トンネルと新関門海峡道路、これを一体的に運営するというふうにされて、その中で現行百五十円の料金、トンネルの料金を、これを値上げする必要があるというふうに書いてあるわけです。これは一体なぜなのか、その理由を御説明ください。
  405. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 御指摘の現行料金の値上げにつきましては、新たに整備をする事業採算性の確保を図るために、並行する橋梁の料金値上げにより一体的な料金管理を行いましたハーバートンネル、この整備を例にして関門海峡道路に適用した場合のケーススタディーでございます。  このケーススタディーによる整理といたしまして、本手法の適用に当たって、関門海峡道路事業費を回収するために、関門海峡道路と関門トンネルの利用料金の一体管理を行い、関門トンネルの料金の値上げの検討が必要であることを記載しておりますが、これは実際の料金値上げを行うということを検討しているものではなくて、あくまでケーススタディーでございます。
  406. 仁比聡平

    仁比聡平君 いずれにしても、その検討が必要だというふうにあるわけです。  トンネルの建設費の償還、もう終了しているわけで、このトンネル料金を上げるというだけで市民は大変な負担増なわけですね。さらに、公社案では、この需要予測が間違って、交通量、したがって通行料収入が計画どおりに上がらなければ、今この公社が管理をしている若戸大橋、あるいはいずれできるかもしれない、できる第二若戸道路、この料金も値上げされるというような事態まで起こり得るのではないかと思いますが、いかがです。
  407. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  事業手法の検討という、先ほど申し上げました検討は、現行制度下におきまして整備を行う上での課題、問題点の整理と、そういった基礎的な検討を行っておるものでございまして、実際の整備あるいは値上げを前提として行っているものではございません。
  408. 仁比聡平

    仁比聡平君 いずれにしても、こんな巨額の地元負担の調査、検討を国民の知らないところで国交省が進めてきたということが私は許されないと思うんですよ。この検討結果は撤回するべきじゃありませんか、どうですか。
  409. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 関門道路のいろんな事業手法を検討する際のあくまでケーススタディーでございます。しかも、ハーバートンネルの事例を引きながらそういう前例を見てどういうふうな手法があるか、そういう三つのケーススタディーでございますので、それが直ちに実行に移されるとかそういうことではなくて、あくまでケーススタディーでございます。
  410. 仁比聡平

    仁比聡平君 一般に説明されている候補路線、計画路線、調査区間整備区間事業着手という、こういう段階で言えば、予備設計などのその議論というのは、これは整備区間指定後に進められるものなんですね。これまでの調査は、都市計画決定などの手続を全く踏まないままにこういうところにまで来ている。こんなやり方というのは実はほかの道路、高速なんかでも同じなんじゃないのかという大問題があると思います。こんなやり方一切やめるべきだと思いますが、大臣、いかがです。
  411. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) やめるべきだと思います。
  412. 仁比聡平

    仁比聡平君 こういった調査の根源も、私は道路特定財源の聖域にあると思うんですが、この一般財源化について、十九日の夜に総理が全額一般財源化も視野に入れ検討していくというふうに発言をされ修正を指示したというふうに報じられているんですが、大臣は何をどう指示され、これをどのように受け止めているのか、お聞かせください。
  413. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 私は指示受けていません。指示は受けていません。
  414. 仁比聡平

    仁比聡平君 財務大臣、いかがですか。
  415. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは自民党、公明党の両政調会長に指示をしたと、そしてその上で与野党で話合いをこの立法府で行っていっていただきたいという趣旨だというふうに理解をしております。
  416. 仁比聡平

    仁比聡平君 これ今日の公明新聞ですけれども、全額一般財源化含め検討」と大見出しで大きく取り扱っていらっしゃるわけですね。これ、大臣、この方向だったらば、道路財源特例法の改正案第三条を始めとしてこれは法案撤回し、そしてこれと裏表になっている中期計画、これも撤回するのが当然だと思いますが、いかがです。
  417. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 公明新聞というのは公明党が出しているわけでありまして、私は国土交通大臣でございまして、指示受けていません、はい。  それから、それは議長の裁定もあったではないですか。よく与野党で協議をされて、それで議員立法として修正を考えるべきだと、こういうことでしょう。議員立法でしょう。我々は、今出しているものが、そういうものが通るまでは私は最善のものだと思っていますよ。
  418. 仁比聡平

    仁比聡平君 大きく取り上げられていますけれども、全くはっきりしないという話だということが今の二人のお話でよく分かりました。  あくまで暫定税率の廃止と特定財源の一般財源化を強く求めて、質問を終わります。
  419. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で仁比聡平君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  420. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、又市征治君の質疑を行います。又市征治君。
  421. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  まず、地域医療問題について、厚生労働省、お伺いしたいと思います。  私の地元の富山県の氷見市立病院、ここで四月から指定管理者になる予定の私立の金沢医科大学が、そこの労働組合の役員の名簿の上位から数名を不採用、つまり解雇しようとして紛争が起きているわけです。  そこで、舛添大臣、これは不当労働行為として是正指導していただきたいと思いますが、いかがですか。
  422. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 不当労働行為、これは委員御承知のように、労働委員会に申立てがあった場合に当該事案ごとに労働委員会が判断するということで、個々の件については答弁は差し控えたいと思いますが、一般論としては、労働組合員であることを理由として解雇や不利益な取扱いをすることは、労働組合法第七条第一号に規定する不当労働行為に該当するということでございます。
  423. 又市征治

    ○又市征治君 そこで、文科大臣、わざわざおいでいただきましたが、ここは大学ですからあなたの所管でもございます。  お聞きのとおりでありまして、大学には少なくとも、そうした法令遵守というものを喚起をして、労組法の第七条違反だということに当たるよと、こうおっしゃっているわけでありますが、少なくとも雇用を継続するように、継承するように指導すべきじゃないかと思うんですが、これがまず一つ。  あわせて、この大学は氷見市民病院をうちの分院にしますと、こう言っているわけですね。これはとんでもない話なんで、こんなことが許されるんですか。
  424. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 今厚生労働大臣からもお答えがございましたように、あくまで法令遵守ということが基本であるというふうに思っております。ただ、労働委員会において本来は判断されるべき問題点がまだ終わっておりませんので、それについて我々がどうのこうのということについて今言うことは、これは中労委になると思いますが、差し控えたいというふうに思います。  それから、この分院の問題でございますけれども、そのことは、これは指定管理者でありますから、氷見市と金沢医科大学、この間においていろいろとお話をされて決まったというふうに仄聞をいたしておりますけれども、そのような呼び方はしないということを確認をいたしております。  なお、詳細につきまして、今日は事務方も出ておりますので、よろしければ。
  425. 又市征治

    ○又市征治君 事務方から説明を求めます。
  426. 清水潔

    政府参考人(清水潔君) 金沢医科大学が地方自治法二百四十四条の二に基づく公の施設の指定管理制度により氷見市から委託を受け、金沢医科大学氷見市民病院と称して病院の管理運営を行うこととしているということについては、私ども把握しております。  文部科学省としては、各大学が指定管理制度に基づき公立病院の管理運営に関する業務の委託を受けることについては、公立病院の設置者とも協議しつつ、基本的に各大学において判断さるべき事柄と認識しております。  なお、氷見市民病院の位置付けについてでございますけれども、大学と市の協定において附属病院としての役割を担うこととされておりますが、あくまで管理運営業務の受託ということでありまして、大学が自ら教育研究に必要な施設として設置している分院とは異なるものと認識しております。
  427. 又市征治

    ○又市征治君 この指定管理者への移行過程で大変混乱があって、富山大学など三大学との連携が求められていたんですが、これが破綻をして、その上この医大のこのようなスタッフ無視の姿勢が相まって、市民の中にも大変に危惧が広がっているわけですね。  厚生大臣、そこでどのような対策が必要だというふうにお考えでしょう。
  428. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 今地域医療の崩壊なんということを言われていて、私ももう全面的にこれに取り組んでいるところですから、市民の皆さん方が御心配なさることについては、一つ一つこれは心配の種を取っていかないといけないと思います。  そこで、昨年の四月一日から、都道府県で地域医療対策協議会を開くという制度をつくりまして、そこで地域医療の関係者、この場合だと金沢医科大学であるとか氷見市民病院とかそれから市町村などの連携を通じて取り組んでいただくということでありますので、まずはそれを開いていただく。そして、富山県の方でその対策協議会を開かれた結果、これこれの施策を国としてやっていただきたいということがあれば、もう積極的に参画してまいりたいと思います。
  429. 又市征治

    ○又市征治君 次に、経済対策についてお伺いをします。  アメリカの景気後退に伴って急激な株安、原油高、円高、そして食料品高と、こういう状態が進んで、日本の景気も大田大臣この間おっしゃったとおり踊り場だと、こういうことのようでありまして、今何よりも大事なのは、そういう意味では経済の土台である家計が強くなるような施策の実施、つまり賃上げであるとか安定的な雇用の創出であるとか中小企業の活性化ということだろうと私どもは思います。  そのために我が党としては、一月三十一日に定率減税の復活と減税の恩恵すら受けられない低所得者の皆さんには飲食料品の消費税の戻しなど、五兆円規模の緊急経済対策をまとめて発表をいたしました。くしくもアメリカでも二月の十三日に十七兆円規模の、つまりGDP一%規模の減税を中心とした景気対策法が通ったようでありますけれども、GDPの一%ですよね。私たちとくしくも同じなんですが。  さて、こういう問題について、大田大臣、どのような経済見通しと、こうした施策の必要性はどうお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
  430. 大田弘子

    国務大臣大田弘子君) 内需を厚くしていくというような今の日本経済の大変重要な課題です。先生それは御指摘のとおりだと思います。ただ、今財政状況が極めて悪いと、しかもこれから未曾有の高齢化に入るということを考えますと、減税によって消費を拡大するという手段については慎重であるべきだというふうに考えております。  望ましいのは、中小企業まで含めた日本経済全体の成長力が上がっていく中で、賃金という形で成果配分がなされることだというふうに考えます。そのために、職業訓練の充実ですとか最低賃金の引上げ、あるいは非正規雇用を正規雇用に転換していくといった取組、それから中小企業の下請取引の適正化、生産性向上といった形でできる限りのことを努力していきたいと考えております。
  431. 又市征治

    ○又市征治君 何もないですね。自力で賃上げ頑張れと、こういう話のようですが。  財務大臣、同じことについて認識をお伺いをすると同時に、つまりなぜこんなことをお聞きしているかというと、政府としても格差是正はやっぱり必要だと、こうお認めになっている。そこで、これら国民生活改善の、私たちはGDPの一%、ちょうど五兆円規模の緊急経済対策と言っているわけですが、十年前にやはり下げたままの大法人の減税を元に戻して所得の再分配機能、これやっぱり働かせるべきじゃないのか、そのことがやっぱり格差是正になっていくのじゃないのかということを含めて私言っているわけでして、そういう考え方について見解をお伺いしたいと思います。
  432. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、大田大臣がお話し申し上げましたように、やっぱり景気を良くしていくためには消費がきちっとしていくことが大切であると、その意味では賃金の問題につながっていく。それから、経済界においては大企業と中小企業だとかの格差だとか、あるいはまた都市と地方の格差だとか、そういう問題には政策的に取り組んでいかなければならない。それは委員と同じ共通の認識でありますけれども、平成十一年に未曾有の危機のときに定率減税というのが行われまして、ついこの間二年間掛けてこれを戻されたわけでございます。今、日本において減税をしたからそれがストレートに消費に結び付いていくのかどうか、これは大いに慎重に議論をしていかなければならない。  それから、法人税のことも言及されましたけれども、今、委員も御承知のとおり、国際経済の中で我が国の企業がどう生き残っていくかが問われているわけであります。ドイツでは、最近、法人税を大幅に、四〇%前後だったものを二〇%前後に引き下げたりしているわけであります。我が国においてもむしろ国際社会、経済社会の中で企業がどう勝ち残っていくのか、あるいはまた中小企業が活性化を取り戻していくのか、そういうことに視点を当てていかなければならないというふうに思います。
  433. 又市征治

    ○又市征治君 いろんな理屈をお付けになりますが、何にも緊急経済対策ないんじゃないのかと。一月以来、緊急にこんなことが起こってきたからそのことをお聞きしているんですが、どうも我々に反論なさるだけ、こんな感じがしてなりません。  そこで、文科大臣と経財大臣委員長、結構ですから。
  434. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 大田大臣と文科大臣、どうぞ。
  435. 又市征治

    ○又市征治君 次に、年金問題を伺います。  舛添大臣、あなたを任命なさった安倍前総理は、年金記録は最後の一人まで統合してお支払いをする、こう公約されたわけですよね。さて、二千二十五万件持ち主不明というこの結果は、この公約違反ということにならないんですか。
  436. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 昨年七月五日、政府・与党が示しました工程表、これはその五千万件についてコンピューター上の名寄せをやる、これをやってみました結果、今委員がおっしゃいましたように、約二千万件がコンピューター上の名寄せで明確にならなかった。しかし、これを更に今後とも解明作業を今日も毎日行っていっているところでありまして、国民の皆さん方にこの年金の記録を再確立するという仕事を今後とも続けていきたいというふうに思います。  もとより、既に何度も申し上げましたように、今委員がおっしゃったように、あたかも三月の終わりですべて片付くような発言と取られるような広報活動なんかを行って十分な説明がなかったということは、それは国民の皆様に謝罪しないといけないし、これは今後ともそういう反省の上にきちんと仕事をやってまいりたいと思います。
  437. 又市征治

    ○又市征治君 国民の側はみんな公約違反だと思っているんですよ。そこのところをやっぱりしっかり踏まえていかないと。そういうことをやらないで、公約違反じゃございません、この後もしっかりやっていく、いつまでできるんですか。  そこで、こんな状況で四月から七十五歳以上の人には年金から医療保険を天引きすると。そして、介護保険料と合わせて一人平均で一万円以上ですよね、国が年金給付義務を果たさないで天引きだけはしますと。舛添大臣、胸痛みませんか、これ。中止すべきですよ。その見解、伺います。
  438. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 今度、四月一日から後期高齢者の医療制度を導入いたしますけれども、一般的に天引きというのは、高齢者の方々の利便性、それから徴収する側の効率性ということで一般的にやるわけですけれども、ただ、例えば年額十八万円以上の年金額を受給している方を対象にするとか、それから介護保険料と保険料額、年金額の二分の一を合わせた額、介護保険料と合わせた保険料額が年金額の二分の一を超えるような場合には年金からの徴収の対象としないと。さらに、様々な激変緩和措置を取っておりますし、少しでもいろんな御苦労がある方々は市町村に来ていただいてそういう窓口で懇切丁寧に対応してまいりたいと思っております。
  439. 又市征治

    ○又市征治君 生活者、消費者が主役の社会という福田内閣のお題目というのはまやかしだ、こんなふうに受け取らざるを得ません。  次に、道路財源問題についてお伺いします。  道路財源の無駄遣いは目を覆うばかりだ、自民党政権と国土交通省の自浄能力がなかった証左、冬柴大臣がそのしりぬぐいなさっているのは大変御苦労でございます。なのに、いただいた税金は全部道路に使うなどと道路族や官僚群を代表しておっしゃるのは、これは逆の意味でいただけませんよ。やはり、十年五十九兆円の計画を大幅に見直すぐらいは冬柴大臣なら申されるべきじゃなかったのか、こう思うんですが、いかがですか。
  440. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 道路族というのはどんなものか分かりませんが、官僚は分かりますが、私はそういう人の代表で申し上げているのではありません。日本国家及び国民のためにこれが最善だと思って申し上げて、そして一生懸命説得を申し上げているわけでございます。
  441. 又市征治

    ○又市征治君 そこで、ちょっと横道にそれるんですが、大臣に聞きますが、我が党は、道路整備特会を交通弱者対策だとか地方バス、鉄道、フェリーなど公共交通を維持することを含めた総合交通会計への移行を提案をしているんですが、この点はいかがですか。
  442. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 私は、道路特定財源の納税者が御納得をいただける範囲で道路特定財源を活用した支援を今も行っております。これによって公共交通機関の整備促進が図られるものと考えております。
  443. 又市征治

    ○又市征治君 時間がなくなって、最後になりましたが、官房長官にお伺いします。  福田総理は、野党とも修正協議を進めるように御指示なさったようですが、今日それを示されそうですけれども、その中に、中期計画の期間と総額の縮減であるとか、暫定税率の廃止や縮減であるとか、あるいは直轄事業の地方への負担金廃止などというのは入っているのかどうか、中身を明らかにしていただきたいと思います。
  444. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 五つの項目を水曜日の日に自民、公明の政調会長に総理からお示しをいたしました。それを受けて今与党の方でいろいろ御検討をいただいている。そして、その検討結果がまとまり次第、あるいはもうまとまっているのかもしれませんが、野党の皆さん方にも協議を呼びかけるという段取りになっていると聞いております。  五つは、もう既にこれは報道されているかと思いますが、平成二十年度歳入法案の年度内の成立が一番目。二番目は、道路特定財源は税制抜本改革時に一般財源化に向けて見直す。その際、地方の財源は守る。三点目は、道路中期整備計画は新需要予測データ等を基礎に計画の期間を含め見直す。四番目は、公益法人への支出を含め道路予算の透明化、厳格化を行う。以上をもって与党内調整の上、野党と協議をされたいと、こういう指示でございます。
  445. 又市征治

    ○又市征治君 今おっしゃった話では、日銀人事のように状況判断の誤りだと言わざるを得ませんね。これ野党と全然かみ合っていない、これは修正にもならないということだけ申し上げ、本当に真剣に国民やあるいは地方自治体の混乱がないように最善の努力を尽くされることも改めて求めて、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  446. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で又市征治君の質疑は終了いたしました。(拍手)  次回は来る二十四日午前十時から開会をいたします。  本日はこれにて散会をいたします。    午後四時二十八分散会