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平野達男君 いずれ背景にあるのは、私はコスト意識だと思います。
大臣はこの
委員会を通じて、
道路はやってほしい、やってほしいという要望ばっかしだと言いました。しかし、このミュージカルは何でやったかといったら、
道路の必要性の啓蒙普及だと言っているんですよ。片っ方で
道路やってください、やってくださいと言っておいて、片っ方ではお金出してミュージカルまでやって
道路が必要でございますとPRするなんというのは、これもう明らかな矛盾なんですよ。
事業費で、
道路が本当にやってもらいたいということだったら、もう元来ならば
事業費の方にきちっと支弁するというのが筋ですから、その筋目をきちっと正さないと、もう本当に
道路財源というのはやっぱり余りに余っているんだなということを自ら宣言しているようなものですよ。
以上申し上げまして、次の質問に入りますけれども、次は、
費用対効果分析の話に戻ります。
この問題につきましては、
衆議院で馬淵議員がこれは本当に私はすばらしい議論をされたと思っております。まず、パネルをちょっと一枚用意していただきたいんですが、お手元の資料一を見ていただきたいと思います。(資料提示)
まず、簡単に
費用便益分析の概略についてお話をさせていただきますけれども、
高速道路を造れば通行時間が速くなる、あるいは速くなれば
ガソリンの節約もできると、こういった便益がございまして、ここに三つの便益というのがございますけれども、今、
費用便益分析マニュアルによりますと、走行時間短縮便益、走行経費減少便益、
交通事故減少便益というこの三つを見ております。
この中で、走行時間短縮便益については総便益の九割を占めます。あわせて、交通流と言っていますけれども、交通流の
推計をやって最も重要なのは、これは四十年間の分析
期間を設けますから、その中での交通量がどうなるんだろうかということを
推計します。そして、それが、そういう分析を通じまして、一方で
費用の算定をやって、
道路維持管理に要する
費用を算定して、この総便益と総
費用を比較をすると。この場合に、DCFを、ディスカウント・キャッシュ・フローというその手法を用いて現在価値に転換をしながら
費用便益の分析をやっているということでございます。
そして、一番下に、最も便益の算定で大きな割合を占める走行時間短縮便益算定ですが、この中でちょっと覚えておいていただきたいのは、時間価値原単位ということと交通量ということでございまして、この
道路整備によって短縮された走行時間が、これはまあ実際の効果ということになりますが、それを価値換算に置き換えるのに時間価値原単位と交通量という二つの要素を用いているということでございます。
そこで、
衆議院の
予算委員会で馬淵議員が
指摘したのはこの交通量の問題でございました。もう一枚パネルを出してください。(資料提示)
この交通量の問題につきましては、
中期計画においては、
平成十一年センサスで
平成十四年における将来の交通量予測をやったわけですが、このデータを用いている。ところが、
平成十七年にセンサスを用いています、というか、出ています。この新しいセンサスに基づきますと、この図を見れば分かりますように、実績値が下がっています。実はこれ、将来の交通量
推計をやるときには出発点がどの値かということが非常に大きな影響になります。当然スタート地点が下がりますと将来の
推計値もそれに合わせて下がってまいります。
そこで、馬淵議員が
指摘したのは、なぜ新しいセンサスを使わなかったのか。その背景にあるのは、この図にありますように、十四年
推計値と新しいセンサスに基づいた
推計値の間の中には
かなりの大きな交通量の開きがあります。いわゆる交通量が下がってくるということです。交通量が下がるということは、便益がそれだけ下がってくるということでございまして、これはおかしいではないかということを馬淵議員は繰り返し繰り返しこれは主張されたわけであります。
そして、この便益が変わってくることによって、例えば
道路の
整備水準、片道三車線が二車線になる、二車線が一車線になる、一車線が現道を使うような、そういった設計変更がやられることになります。このことによって、
整備水準が下がることによって総
事業費のコスト削減がされるということなんです。その意味において、どういう前提でこの便益を計算するというのは、即コスト削減に結び付くという大変重要な要素なんです。
ところが、国交省は、あるいは
国土交通大臣は、新しいデータが出たときには新規地区の採択に当たってはその時点のところでそのデータを利用するという
答弁をやっておりますが、この
答弁は今も変わりないでしょうか。