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2008-03-13 第169回国会 参議院 予算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年三月十三日(木曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員の異動  二月六日     辞任         補欠選任      芝  博一君     自見庄三郎君      谷岡 郁子君     森 ゆうこ君      石井 準一君     河合 常則君      川口 順子君     松村 龍二君  二月七日     辞任         補欠選任      白  眞勲君     内藤 正光君  二月十二日     辞任         補欠選任      福山 哲郎君 ツルネン マルテイ君  二月十三日     辞任         補欠選任  ツルネン マルテイ君     福山 哲郎君  二月二十七日     辞任         補欠選任      木俣 佳丈君     大石 尚子君  三月三日     辞任         補欠選任      末松 信介君     吉村剛太郎君      山本 一太君     脇  雅史君  三月十日     辞任         補欠選任      辻  泰弘君     川上 義博君  三月十一日     辞任         補欠選任      川上 義博君     辻  泰弘君  三月十三日     辞任         補欠選任      森田  高君     平田 健二君      渡辺 孝男君     浮島とも子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         鴻池 祥肇君     理 事                 尾立 源幸君                 櫻井  充君                 津田弥太郎君                 羽田雄一郎君                 水岡 俊一君                 椎名 一保君                 伊達 忠一君                 林  芳正君                 山口那津男君     委 員                 相原久美子君                 浅尾慶一郎君                 石井  一君                 植松恵美子君                 大石 尚子君                 大久保潔重君                 川合 孝典君                 自見庄三郎君                 辻  泰弘君                 友近 聡朗君                 内藤 正光君                 中谷 智司君                 平田 健二君                 平野 達男君                 福山 哲郎君                 藤原 良信君                 森 ゆうこ君                 森田  高君                 米長 晴信君                 荒井 広幸君                 有村 治子君                 加納 時男君                 河合 常則君                 佐藤 信秋君                 田村耕太郎君                 谷川 秀善君                 南野知惠子君                 松村 龍二君                 山田 俊男君                 吉村剛太郎君                 脇  雅史君                 浮島とも子君                 谷合 正明君                 渡辺 孝男君                 鰐淵 洋子君                 大門実紀史君                 福島みずほ君    国務大臣        内閣総理大臣   福田 康夫君        総務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣地方分        権改革))    増田 寛也君        法務大臣     鳩山 邦夫君        外務大臣     高村 正彦君        財務大臣     額賀福志郎君        文部科学大臣   渡海紀三朗君        厚生労働大臣   舛添 要一君        農林水産大臣   若林 正俊君        経済産業大臣   甘利  明君        国土交通大臣   冬柴 鐵三君        環境大臣     鴨下 一郎君        防衛大臣     石破  茂君        国務大臣        (内閣官房長官) 町村 信孝君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣(防災、        食品安全))   泉  信也君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策、規        制改革国民生        活、科学技術政        策))      岸田 文雄君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(金融)        )        渡辺 喜美君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策))    大田 弘子君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣少子化        対策男女共同        参画))     上川 陽子君    内閣官房長官        内閣官房長官  岩城 光英君    副大臣        内閣府副大臣   木村  勉君        財務大臣    遠藤 乙彦君        厚生労働大臣  西川 京子君        厚生労働大臣  岸  宏一君        農林水産大臣  岩永 浩美君        経済産業大臣  新藤 義孝君        経済産業大臣  中野 正志君        国土交通大臣  平井たくや君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        加藤 勝信君        法務大臣政務官  古川 禎久君        厚生労働大臣政        務官       松浪 健太君        国土交通大臣政        務官       金子善次郎君        国土交通大臣政        務官       山本 順三君        環境大臣政務官  並木 正芳君        防衛大臣政務官  秋元  司君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  宮崎 礼壹君        公正取引委員会        委員長      竹島 一彦君    事務局側        常任委員会専門        員        村松  帝君    政府参考人        警察庁警備局長  池田 克彦君        財務省主計局長  杉本 和行君        財務省主税局長  加藤 治彦君        国土交通大臣官        房建設流通政策        審議官      榊  正剛君        国土交通省道路        局長       宮田 年耕君        国土交通省海事        局長       春成  誠君        海上保安庁長官  岩崎 貞二君        環境省地球環境        局長       南川 秀樹君        防衛事務次官   増田 好平君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○平成二十年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成二十年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成二十年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成二十年度総予算案審査のため、必要に応じ政府参考人出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  4. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 平成二十年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告をいたします。  本日及び明日は基本的質疑総括質疑方式により行うこととし、質疑割当て時間は三百三十五分とすること、各会派への割当て時間は、民主党・新緑風会・国民新日本百六十八分、自由民主党・無所属の会百十五分、公明党二十八分、日本共産党十二分、社会民主党・護憲連合十二分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  5. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 平成二十年度一般会計予算平成二十年度特別会計予算平成二十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  三案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。吉村剛太郎君。
  6. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 おはようございます。自由民主党吉村剛太郎でございます。  二月の二十九日に衆議院の方から今委員長申されました三案が参議院の方に送付された次第でございます。本来ならば三月三日から審議に入る予定、腹積もりを私自身もしておりまして、三日間もここに座ったわけでございますが、残念ながら委員会が成立に及ばず、流れた次第でございます。  しかし、その間、今日まで約十日間、委員長並びに与野党理事方々、また関連、つかさつかさ方々努力によりまして今日こうやって審議に入ることができたと。それぞれのつかさつかさ与野党方々に対しまして、その御労苦に対して心から敬意を表したいと、このように思う次第でございます。  もちろん、審議時間も限られております。衆議院方々の御配慮というのは、三十日間どうしても参議院の方で審議をしていただこうという気持ちであっただろうと、このように思っております。審議衆議院の方は例年になく長い審議時間を取られました。しかし、参議院の方は量より質だと、質が濃い審議をすればそれなり国民方々も御納得いただけるだろうと、このように思う次第でございまして、私どもも一生懸命質問をさせていただきますが、閣僚皆様もまた真摯な態度での御答弁をお願いしたいと。それを国民皆様方の前に披瀝することによって、参議院参議院らしい質疑ができたという御納得をいただけるものと、このように思う次第でございます。  この十日間空転しましたのが、確かに空転と言われれば空転かもしれませんが、このような与野党ねじれ現象というのは今まで経験がございませんし、また想定もしていなかった。したがいまして、私はこの十日間が将来の我が国議会制民主主義熟成のための十日間だったと、このように持っていかなければならないと、このように思う次第でございまして、この十日間を無駄な十日間としてはならないと、本当にこれからの我が国の五十年、百年、議会制民主主義熟成のための十日間ということにこれは我々が与野党一致協力して持っていかなければならないと、このように思う次第でございます。  委員長並びに与野党理事方々、またつかさつかさ方々に心からその御配慮をお願いしまして質問に入りますが、その前に一つ、これは国民的な大きな悲しみでもあったわけでございますが、二月の十九日、あの千葉沖イージス艦漁船が衝突して、なおかつ今お二人の方が行方不明だということでございます。  総理も自ら御家族の御自宅に訪問されましてお見舞いを申し上げられました。涙を流してというような報道でございまして、私もその光景テレビで見まして、本当に悲しい思い、そして御家族の御心痛というものをまさに総理共々に共有したと、このように思っておりますし、私のみならず、あの光景を見られた全国民がそのような気持ちを持たれたんだろうと、このように思っておりまして、総理は本当にいち早くお見舞いに行かれたということ、大変意義あることだと、このように思う次第でございます。  しかしながら、こういうことが二度と起こってはならないと、こう思います。したがいまして、今日も後ほどこの件についての御質問はさせていただきたいと、このように思うところでございますが、同時に、私はあの光景、また新聞、テレビ報道を見まして、あの御主人、体を壊されながらも海へ出ておられる、そして、それを助ける思い息子さんが、余り今若者が行きたがらない漁という仕事に行かれたと。  聞きますところ、あの息子さん、哲大さんというんですか、時々ホームレスの方々にお魚を提供されておったと、本当に優しい心根の方。その優しい心根というのがどこから生まれたんだろうかと。今、親が子供を殺す、子が親を殺す、また本当に忌まわしい事件、事犯がはんらんしておる中で、ああいう若者がいたと。そして、あの御家族方々も、総理行かれたときに何か思いのたけを文書にしたためられたということ、そして組合の方々仕事を投げ出して捜索に当たられたと。何か日本人が失われつつあるものがあそこに本当に悲しい中にもうかがえたと、このように思う次第でございます。  総理、特に御自身、現地に赴かれました。質問の前に総理心根の一端でもお聞かせいただければと、このように思います。
  7. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) まず、先般のイージス艦漁船に衝突した事故でございますけれども、これは今原因究明いたして、その結果が出ているわけではありませんけれども、しかし自衛艦の方の責任が極めて大きいんだろうと、こういうように思っておるところでございまして、そういう意味において、その事故の結果、お二人の方が遭難してしまったということでございます。本当にそういう意味において、とんでもない事故を起こしてくれたなと、こういう思いと同時に、遭難された方また御家族方々にも本当に申し訳ないと、こういう気持ちでいっぱいでございます。  そういうことで、私もこれ、すぐ行こうと思ったんですけれども、この国会委員会が連日開かれておりまして、土日は私、韓国の大統領就任式典に行くといったようなことで、全然時間なかったんです。そこで、予算委員会が一段落した土日にお伺いしようと、こう思いまして、金曜日に計画をいたしましたんですけれども、土曜日の日には御家族の方が皆さん横須賀で遭難した船を見に行かれたと、こういうふうなことでございまして、御家族と相談したところ、日曜日がいいと、こういうふうなことで、早速行ってまいりました。  御親族方々皆さん十人ぐらいお集まりになって、時間を掛けてお話をしてまいりました。皆さん本当にこの事故のことについて悲しい思いをされていらっしゃるわけで、お母さんも、そして奥さんも、また娘さんもいらしたけど、本当にお気の毒であるなと思いましたけれども。  そういう中で、私、いろいろ御家族の方から話を伺いました。こういう事故はあってほしくない、残念なことだ、そのことは十分受け止めてほしいということ、しかし同時に、この事故が再び起こらないように万全のことを考えてほしいと、そしてその責任者は簡単に辞めるとかそういったようなことでなくて、そういう方々経験を通してほかの人たちにしっかりと事故は起こさないようにというそういう教育をしてほしいんだと、こういうことを言っておられまして、私はもう大変立派な方々だなというふうに思いました。  その際に手紙もちょうだいしましたけれども、御親族、御家族、二十数名の署名とそしてサインがございましたけれども、署名と印鑑ですね、押してございましたけれども、そういう方々の一致した気持ちだと、こういうことでもってそのお手紙にいろいろ書いてございました。趣旨は、大事なところは今私が申し上げたようなところでございますけれども、そういう手紙をいただいて帰ってきたわけでございますけれども。  そういうことも踏まえて、これから自衛隊が本当にどうすべきかということを十分に考えていかなければいけない。そのために、以前から開催されております防衛省改革会議というものがございますけれども、この中にこの問題もしっかりと取り込んで議論をしてもらいたい、そして本当に国民から信頼される、信頼に足る防衛省自衛隊になってほしいと、こういうふうに思っておるところでございます。私も、これからもそういうような防衛省自衛隊体制になるように全力を挙げてまいりたいと思っております。
  8. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 ありがとうございました。  ただいまの総理のお言葉、お気持ち、必ずやこのテレビを通して地元の方々に、そしてまた全国民に伝わっただろうと、このように思う次第でございます。  それでは、質問に入らせていただきます。  昨年の九月に福田内閣スタートいたしましてはや六か月。考えてみますと、いろいろなことが起きたなと、このように思います。その間の総理御苦労、そして閣僚方々御苦労、大変なことだと、このように思っております。  総理所信演説の中にも述べておられますように、この数年の改革断行をしてきました。そして、経済優先といいますか、マーケット主義というような形のもの、それはそれなりに時代を背景といたしまして、それぞれのつかさつかさ方々努力をされたと、このように思っておりますが、世の中というのはそれだけで進むものではないと、光の部分と影の部分があると。そして、今総理はまさにその影の部分を是正していこうということ、この所信演説の中で私はそのように感じ取っておるわけでございます。日が当たらないところの人々に、そして格差を是正していこうと。そして、安心、安全、そして共生ということをキーワードにしておられるわけでございます。  そういう中で、私自身もそのように感じておるわけでございますが、やはりこの時期は行き過ぎた面、いわゆる改革の影の部分、これをどうしても是正する時期ではないかと、こんな思いがしてなりません。そういう面では、私と総理はそういう思いは共有しておるんでないかと、このように思っておる次第でございます。  総理は派手なパフォーマンスをされる方ではないなと常々思っておりました。しかしながら、自然体物事に当たられると。実は、この自然体が一番強いんですね。この自然体というのが一番攻めにも守りにも強いということ、そのスタンスを堅持されているということは、私はすばらしいことだと思いますし、今後もその自然体政治に当たっていただきたいと、このように思っております。  そして、象徴的なのは、総理所信の中で引用されました石川理紀之助ですか、この人は、実は私も以前に名前をちょっと聞いたぐらいで、ほとんどどういう方か存じ上げておりませんでした。総理所信の中に出てきたものですからちょっと文書なりを探ったんですが、この人は、織田信長とか豊臣秀吉のごとく歴史の表舞台で華やかに活躍した人ではないと。ただ、一隅を照らした人物で、物事は、井戸を掘るなら水が出るまでやろうと、辛抱強くやろうと、そして、人間相互信頼関係だと、それによって物事が達成できるんだというふうなことを言っておられまして、まさに、総理がこの一隅を照らした地味な政治家所信の中に引用されたということは、福田政治というものを象徴しておるんではないかなと私は思う次第でございます。  そういうことを含めまして、福田総理が目指します日本国家像社会像というものを、またテレビを通じて国民方々に是非おっしゃっていただきたいと、このように思います。
  9. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 私は、昨年の九月末にこの立場になりまして、以来、責任者としてやらせていただいておりますけれども、正直申しまして、私が就任して以来、過去のことの処理が多かったですね。年金問題もその象徴的なことですけれどもね。また防衛省の問題も発生するとかいったようなこともあり、また公務員のことについて何かしなければいけないんではないかといったようなこと、また独立行政法人、また公益法人の在り方についてもいろんな議論があった。そういうようなことで、どちらかというと前よりも、前進するよりも後ろのことをまず整えなければいけないという、そういう役割を仰せ付かったというように思います。  ましてや、この国会状況というのは衆議院参議院では違う立場にあると、こういうこともありますから、一つ一つのことをするにしても大変時間が掛かるということもございます。ですから、外から見ていますと、何をしているんだと、こういうふうに言われかねないところがあるんですけれども、しかし基礎を固めなければ前進はないというのが私の考え方でありますから、この基礎固め、過去のこととはいいながら、これをおろそかにすることはできない、そのことは私の政治の手法、考え方と申しますか、それはしっかり持っていかなければいけないというように思っております。大変大きな年金の問題もございますので、これも着々と整備を進めていくということであります。  しかしながら、といって前の方に前進してないかというわけではないんでありまして、私は、いろいろ政策課題ございます、山のようにあるんです、ですけれども、当面何を手掛けていかなければいけないか、そのことは十分に考えた上で今の私の考えを進めてまいっておるところでございます。  そういう中で、委員からも御指摘ございましたように格差の問題ですね。特に地方格差といったような問題もございますし、また今、春闘シーズンでございますけれども、この労働格差といったようなこともあるんですね。そういうものは、この数年間の間に非常に拡大したというように言われておる。別に改革が悪かったというわけではないけれども、改革手当ても必要だということであろうかと思いますので、そういう手当てをやはりしていかなければいけない、社会混乱を起こさせないようにするのも私の務めだというように思いまして、そういう面につきましては、これから十分な、十分というふうに言えるかどうか分からないけれども、その格差を埋めていく努力はしていこうと、こういうふうに考えております。しかし、改革方向性というものは、ゆるがせにはできないんだろうというように思いますので、この路線というものはしっかり堅持してまいりたいと思います。  そして今、日本が大事であるということの幾つか申し上げますと、やはり日本経済成長しなきゃいかぬですよ、経済が順調に成長しなければいけない、これはどうしても守らなければいけない。さもなければ、我々の一人一人の生活の安定もないし、社会保障も十分に行き渡ることがないし、なおかつ新しい技術開発とかそういったようなものにも影響を与えてくる。いろいろな面に悪い影響を与えてくる。ですから、これは必要な成長は確保していかなければいけない。じゃ、その成長をどうやって確保するか。昔は財政出動というようなことでそれを賄ってきたわけですけれども、しかし今はそういうことも許されないという状況の中で、非常に狭い範囲の中でそういう政策を打ち出していく必要がある。  あとは、それは知恵を出すしかないんですね。そして、今までの仕組みを変えて何かいいことはできないか、そしてまた冗費を節約できないか、これも大変大事なことだと思います。冗費節約という意味におきましては、政府の支出が本当に妥当なのかどうか、これはよく点検する必要があると思います。政府の中にまだまだ削減できる余地は十分にあるんだろうと思いますので、これはまずしなければいけない。  そういうことをした上で、そして、本当にもうこれはこれ以上財源がない、しかし社会保障も維持していかなければいけないということになれば、その財源確保というためにまた特別なことを考えていただかなきゃいかぬというようなこともあるわけですね。そういうような観点から、社会保障につきまして国民会議を開かせていただきました。この中で、現在と将来の安心を国民に抱いていただかなければいけない、確保しなければいけない、そういう観点等、議論を今しておるわけですね。これは今、有識者による国民会議というような形で開始したんでありますけれども、いずれ野党の皆様方にも御参加をいただくというような仕組みに是非なってほしいなというようなことで、これからも呼びかけをしてまいりたいというように思っております。  それからまた、今申しました技術の開発がなければこれは日本の将来はないという観点から、特に環境の問題でもって日本が国際社会にどう貢献できるかということも当然ございますけれども、我が国は、これはもう待ったなしの技術開発というものは、これを乗り越えなければいけない、そういう課題を目前に控えておると、こういうふうなことでありますから、この面についても十分なことをしていかなければいけない。そのために重点的に新エネルギー開発を行うという、そういう方針を今固めておるところでございます。  また、環境の問題は、これは日本だけの問題でない、世界全体の問題でございますから、世界に呼びかけていかなければいけない。以前は、冷戦の時代も含めまして、武力によってお互いを攻撃し合うというような、そういう時代があったわけでありますけれども、これからの敵は世界共通の敵、環境ですよ。ですから、このことについては世界が一致して立ち向かえる問題ではなかろうかと思っておりますので、そうなりますれば、やっぱり世界が協力してやり合うような、やれるような環境づくり、外交面における必要性というものが出てくるんじゃないでしょうか。我が国はそういうことについて平和主義というものを唱えてきた、この我が国立場から考えて、世界に声を掛けやすい立場にあるということをよく自覚した上で、前向きの提案をし、そして世界に手を差し伸べていくということも必要だというように思っております。  そういうもろもろのことを今やらなければいけないということで、一つ一つを着実に、ただ、すべてすぐ成果が出るという問題ではありませんから、これは時間を掛けてやる。まあ、本当に井戸を掘り尽くすまで掘っていく、水が出てくるまで掘っていく、そういう精神でやってまいりたいと思います。
  10. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 本当に今の総理のお言葉、全国民に伝わっただろうと、このように思います。  先ほども申しましたように、総理はまさに自然体、そして勝負の言葉で言えば後の先ですね。先の先という勝負もあるんですけれども、総理のスタンスは後の先といって、これは本当に強い者しかできないんですよ、後の先というのは。先の先は弱い者ができるんです。弱い者ほど先の先でいくんです。しかし、本当に強いのは後の先なんですよ。あの偉大な力士の双葉山、彼の相撲はまさに典型的に後の先なんですね。一言付言をしたいと、このように思っております。  国内的な問題を重点的に今総理、おっしゃいました。もう一つは外交でございます。申すまでもなく、日米関係は我が国外交の基軸であることはもう申すまでもないことでございますが、総理はいち早くアメリカにも行かれました。その後、また中国、韓国を訪問されました。アジア外交というのは、やはり我々日本人はアジア人ですから、アジア外交というものの確立というのは、これはやっぱり成さねばならない課題であろうと、このように思っております。  私も、昨年の十一月末に、我が党の谷垣政調会長を団長といたしまして、政策担当者数名と中国に行ってまいりまして、新しい指導者になるであろう習近平氏ですか、とも懇談の機会を得ることができました。中国もオリンピックを控えていろいろと発展もする中で大きな矛盾も抱えておると、それを国内的には科学的発展観という言葉を使っておりましたね、によって国内改革をしていこうと。そして、外交では戦略的互恵関係という言葉を使っておりましたが、そういう精神で外交を続けていこうということのようでございます。  外交についての総理のお考えをまたお述べいただきたいと、このように思います。
  11. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 外交全般について申し上げれば、やはり日本我が国というのは、特に現行憲法下においては世界の国と平和な関係を持ち続けるということが、これが至上命題だと思います。紛争が地域に起こるということによって日本影響を受ける、日本の発展も影響を受ける可能性が極めて強い。経済における海外との依存度、これは年々増えております。そういうことも考えると、外国との協調関係というのは非常に大事であるというふうに思います。ですから、そういう日本とその国というだけでなくて、その地域全体が平和であるように我が国としても外交面における働きかけを常日ごろしていかなければいけないと思います。  そういう上で、この我が国の最も大事な部分といえば、やはり安全保障を依存している日米関係ですね。米国との関係は、これはもう経済的にも文化的にも、そしてあらゆる面において非常に深い関係にあり、そしてこれは切っても切れない関係だというように思います。この関係は今後とも大事にしていかなければいけないと思います。  そして、その上でアジアとの関係、一番近い国々との関係、これはやっぱり我が国としても大事にしていかなければいけない地域だと思います。しかし、不幸にして、このアジア地域において北朝鮮、こういう状況ですね、私から御説明申し上げることもない状況にあるということ、そしてまたロシアとも平和条約が締結されていないんですよ。そういう状況をこれは放置しておいていいものかどうかということを考えますと、やはり私は、日本のことを考えても、またこの地域全体のことを考えても、こういう両国との関係を正常化すると。まあ、ロシアとの関係は正常化されておりますけどね。平和条約を締結して、本当にあらゆる面でお付き合いができる国になってほしいという思いを常々持っておるわけでありますから、私はこういう国々との関係を更に良くするという、そういう観点から一生懸命努力していかなければいけない、そういうことはまず申し上げなければいけないと思います。  そしてまた、一番近い韓国ですね、韓国との関係も、これも本当に大事だと思います。この関係が悪くて、またその隣の中国、この大国中国との関係も、これも良くしていかなければ日本は常に不安な状態に身を置かなければいけない、そういう立場になるわけでありますから、そういうことのないように、そしてお互いに利益し合えるような、そういう関係にしていきたいと思っております。  そして、その中国の南の方には更に東南アジア、そして南西アジア、インドも含める南西アジアもずっとつながっているわけですね。そして、その先に中東があるということでありますけれども、そういうアジア地域というのはやはり我が国にとって経済的にも、そしてまたこれからはもう様々な面で交流が深まり大事な国になってくるんだというふうに思っております。  そういう関係を続けながらこの地域が安定していくところに私は日本の安全を見出すというように思っておりますので、私はこの国だけとか、そういうふうなことは申し上げません。あえて申し上げません。そして、そういう国々すべてと安定した関係、そして地域全体が平和になるような、そういう方向で我が国の外交を展開するということが日本立場だというように考えております。
  12. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 外交面も本当に多事多難で大変であろうと思いますけど、御健闘をお祈りしたいと、このように思いますが、外務大臣は何かありますか。ない、何もない、いいですか。
  13. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 総理がおっしゃったとおりでございまして、総論からさらに各論まで総理がおっしゃったこと、まさにそれを拳々服膺して外交を展開していきたいと、こういうふうに思っております。日米基軸、そして日米関係がしっかりしているとアジア関係についても外交を展開しやすいということがありますし、アジアにしっかり根を張って、そしてアジアから信頼される日本になってこそ日米関係も更にしっかりすると、こういういい循環をつくっていくことが必要だと思っております。  いずれにしても、アジアにしてもあるいは世界にしても、安定して繁栄して開かれた国々が多ければ多いほど日本にとっても安定して豊かな国がつくりやすいと、こういうことでありますから、そのために頑張っていきたいと、こう思っております。
  14. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 どうぞ御健闘をお祈りいたします。  それでは話題を変えまして、大田大臣、そこにおられますね、所信のときの、大胆に今日の日本経済は一流ではないということをおっしゃいました。また、我が国経済はイザナギを超えたと、こう言われております。イザナギというのは一九六五年の十一月から五十七か月と。今回の景気についてはどんな名前が付けられるかどうか私も分かりませんが、何か腹案ありますか、それは結構ですが。もう七十か月を超えたんではないかと、このように思っております。しかし、その背景となります国際環境また国内環境、随分と違うなと、このように思っております。そういう面のイザナギと今回の景気の違いをちょっと御説明いただきたいと、このように思います。
  15. 大田弘子

    国務大臣(大田弘子君) 今回の景気回復は、期間はイザナギ景気より長いんですけれども、先生御指摘のように実感に乏しいという声がたくさんございます。その背景が三点あると思っております。  一点は、高度成長期だったイザナギ景気に比べてどうしても成長率が低いということがございます。イザナギ景気のときは期間の平均実質成長率が一一・五%でした。今回は二・二%にとどまっております。  それから二番目に、今回はバブル崩壊後企業が厳しいリストラをしながらの回復でした。したがって、企業から家計への波及が大変遅れております。加えて、デフレ脱却の過程での回復でしたので、賃金が伸び悩んでおります。  それから三番目に、グローバル化が急速に進んでおります。これは、イザナギ景気のときと全く違う状況になっております。その中で、グローバルな成長と一緒に成長していける大企業、製造業は景気回復の恩恵受けやすいんですけれども、一方で国内の非製造業、それから中小企業がどうしても景気回復の恩恵を受けにくいという状況になっております。  こういう点でイザナギ景気とは違いますけれども、ただやはり、今は今の状況でこの持続力をなるべく続けていく努力が重要だと考えております。
  16. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 率直な御意見だったと、このように思っております。  イザナギ景気の直前に実は私は学校を卒業して社会人になりました。したがって、イザナギ景気を身をもって感じた者の一人でございます。大田大臣はそのころはまだ、生まれてはいたでしょうが、まだ子供さんだったんだろうと思いますが、そういう経験をしておりまして、それだけに今回の景気とイザナギ景気というのを、その相違を肌で感じている者の一人なんですね。  今おっしゃったように、あのイザナギのときは非常に分厚い中間層があった、それが消費につながった、そして景気が発展した、拡大したと、こういうところが言えるんではないかと。今の景気というのは、そういう面では所得分配率とかそういうものが非常にいびつになっておりまして、その受けた社会背景というのを見てみますと、刑法犯の犯罪率はイザナギ時代の今倍なんですよ。それから、自殺者が倍なんですね。ということは、やっぱりそこに、究極にやっぱり経済政策というのは国民のためですからね、犯罪が起き、自殺者が出るというような、結果がそうなるということはやはり何かがおかしいと言わざるを得ないんだろうと、このように思っておりまして、是非これからも努力をしていただきたいと、このように思います。  そして、これは本年の二月八日金曜日の日経新聞に大臣が寄稿をされておりまして、こう書いてあります。ずっと省略しまして、しかし、日本経済の最大の強みは柔軟に自己変革する力だと私は思う、戦後の驚異的な復興や石油危機の克服ができたのは、我が国に一流の経営者、一流の勤労者、一流の消費者が存在したと、こういうことをおっしゃっております。この一流の経営者、一流の勤労者、一流の消費者というのをちょっと御説明いただけますか。
  17. 大田弘子

    国務大臣(大田弘子君) まず、経済ちょっと御説明させていただきたいんですが、経済演説では、GDPという規模を挙げて、もはや一流と呼ばれる状態ではなくなったと申し上げましたが、重要なのは、規模だけではなくて成長の中身、これから伸びていける力を持っているかどうかが重要だと考えております。  成長の中身について、一流と呼ばれるには何が必要か。一つは質の高いものを生み出せる経済であるかどうか、それから力強い経済であるかどうか、この質とパワーというのが重要であると考えております。この点で、今、日本は物づくりは優れておりますけれども、サービス産業の生産性が低いといったような問題がございます。  ただ、今先生が読んでくださいましたように、日本の中にはまだ優れた潜在力たくさんございます。人材、技術力、それから一千五百兆円を超える国民金融資産、こういったものを今のこの大きく変わった新しい世界経済の構造の中で生かしていく努力が必要なんだと、それが今求められている構造改革だと考えております。  じゃ、一流の経営者、労働者、消費者ということでございますが、私の考えでは、一流の経営者というのはリスクに挑戦して企業価値を常に高め続けることができる経営者、そして質の高いものを生み出せる労働者、その質の高さを判断できる消費者ということが大事だと考えております。  その意味で、今経営者がこの世界経済の変化に必ずしも十分に対応できていないという側面がございます。それから、労働者については潜在力を持ちながら十分に生かし切れていないという面がございます。この点を踏まえて、生産性の向上ですとか、それからすべての人が能力を発揮できるように新雇用戦略というものを策定中でございます。
  18. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 一流の消費者は。いや、そこに書いてあるから。
  19. 大田弘子

    国務大臣(大田弘子君) 一流の消費者は質の高さを判定できる消費者、判断できる消費者ということで、これは私は高度成長期も一流の消費者が日本の優れた物づくりを支えてきたと思っておりますし、私は今も消費者は一流の選択眼を持っていると考えております。
  20. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 それぞれ、ちょっと質問としては意地悪い質問だったかなと思いますが。  先ほど申しましたように、オリンピックの直前に社会人になりまして、たまたま私ども、その当時、若い者二十人ばかり集まって、その当時の経団連の会長をされておりました石坂泰三さんを囲んで月に一回ぐらいカレーライス食べながら会合をやっておりまして、いろいろと石坂泰三さんからお話を聞いたんですが、何といいますかね、ヒューマニズムがありましたね、ヒューマニズムが。  出光興産という会社、これは私のふるさとの福岡でございますが、出光佐三さんというのは、戦後、従業員、大陸から引き揚げてきて、一人も首切らないんだと、一切首を切らないんだということで苦労に苦労を重ねながら世界に冠たる企業に押し上げたという経営者でございました。  時代的背景が違うということもあろうかと思いますが、今私は、それぞれ考え方があるかもしれませんが、やっぱり対資本とか利益を上げるとかという、これは経営者として大変必要だと、このように思いますよ。しかし、その根底にヒューマニズム、人間愛がないというのであれば、これは企業の存在価値はないんではないかと、こう思います。是非、その点も御配慮いただきたいと。  企業の価値の最大化とは人間に奉仕するということなんですね。企業目的が最大に実現することはまさに人間に奉仕するということと私は考えておりまして、是非、一流の経営者、一流の労働者、一流の消費者というのはまさに三者一体になって一流なんです。ばらばらで一流ではないと思うんですね。経営者が金をもうければいいというんじゃなくて、やっぱり経営者が努力して会社の利益を上げる、それに従業員が協力する、そして所得を得る、そしてこの日本の社会という、企業が日本の社会に対する貢献というのが出てくるんではないかと。大臣にこんなことを申し上げて大変恐縮でございますが、そんな考えを持っておるものでございます。ありがとうございました。  じゃ、続けていいですか、委員長
  21. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) どうぞ。
  22. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 それでは、それに関連をいたしますが、今ちょうど春闘の時期でもございますが、それはそれで民民の問題ですから私がどうのこうの申しませんが、ここに一つの数字がございます。これは総務省労働力調査ということで、平成十八年ですから二年前ですね、正規社員が三千三百四十万人、非正規社員が一千六百六十三万人。要するに非正規社員は三三・二%、要するに三分の一が、今、今日の我が国労働界では三分の一の方々が非正規社員なんですね。そして、その所得は大変大きな格差がございまして、これは企業の大中小によって違いますが、この同じ統計ですよ、大企業の千人以上の所得が六百七十五万、正社員ですね、それから中規模、百人以上千人未満が五百二万、小規模が四百九万、正社員ですね。ところが、非正社員はこの半分なんですね。まあ半分までは行きませんが、これだけの格差があるということ、これは大きな問題として、経済問題というのを超えてやっぱり社会問題として政治が取り組まなければならない問題ではないかなと、このように思っております。  そういう中で、一九九九年ですか、派遣労働が原則自由になりました。それまで非常に抑制的だったのが原則自由になったんですね。それで一気に派遣労働者というのが増えてきたと。それと、バブル崩壊後の企業のリストラ、そういうものが相まってやはりこういう非正規社員というのが増えてきたんだろうと、このようにも思うところでございます。  そこで、厚労大臣、私は個人的には派遣業、いわゆる人を紹介するような派遣業というのは非常に限定的で抑制的であるべきではないかなという考えを持っておるものなんです、個人的に。いろいろの答申もなされておりまして、実は先行きかなり心配もしております。これはどういう面かというと、そういう格差の問題、それから先ほどから総理もおっしゃっていた、技術革新という面ではなかなかやはり非正規の方々に社内での技術指導とかそういう面では後れを取るんではないかと、こういう考えもありましてそういうことを今申し上げておるんです。  もちろん、業種によっては派遣という形のものがマッチするというものもあろうと思いますが、基本的に厚労大臣として、この派遣労働というものに対する基本的なお考えをお聞かせいただきたいと、このように思います。
  23. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 非正規でしかも低所得、今委員がおっしゃったようなこういう形の労働形態が固定化してしまうというのは、私はいろいろ問題が生じるというふうに思っております。  したがって、フリーターの方々、非正規の方々を常用の労働者にするために三十五万人常用化しようと様々な取組をやっていますが、この派遣制度そのもの、これは働く方から見たら、これはやっぱり自分たちの権利もきっちり守りたいし、常用労働者になりたいと、これはあると思います。ところが、片一方で、例えば通訳のような場合には、常用よりもむしろ、外国の方来られて今日ニーズがあるんだという、こういうことはあっていいだろうし、それから雇用の機会を増やすという意味も積極的に評価すればあると思います。  しかし、やはりこういう問題については様々な問題が出てきていることは確かですから、いろんな審議会、研究会などで今検討を行っておりますけれども、この派遣制度そのものの在り方は、やはりこれは国民的な議論をして抜本的な見直しを含めて考えるべき時期に来ているというふうに思っております。
  24. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 そうですね、現実、グッドウィル問題とかいろいろと問題が起きておりまして、これはやっぱり一つの社会問題として、申しましたように取り上げなければならないと同時に、やっぱり政治責任を持たなければならない課題であろうかと、このように思います。  そこで、これは新聞で拝見をいたしましたが、中小企業に対する正規社員化ですね、それに対する施策というのを打ち出されたと、このように思っておりますが、これは経産省かな、それとも厚労省ですかね、その詳細をちょっとお聞かせいただきたいと、このように思いますが。
  25. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 先ほども申し上げましたけれども、非正規雇用を改善するという意味で、まず三十五万人の常用雇用化を目標としようとしてフリーター常用雇用化プランというのを今推進してございます。それから、有期契約の労働者の雇用管理の改善、正社員への転換支援、それから日雇派遣の適正化を始めとして労働者派遣制度の見直し、今法律がありますから、こういう法律に違反したところは厳しく処分する、取り締まるということで徹底した措置を私の方で指示をしてやっております。  それから、改正雇用対策法がございますので、これに基づいて若者の雇用の機会を確保する。それから、改正パートタイム労働法、これに基づいて要するに正社員と差別しちゃいかぬよと、こういう均衡待遇ということでこれも指導しております。それから、やはり最低賃金法、これはさきの臨時国会で成立させていただきました、労働契約法、こういう一連の労働法制をしっかりと守って、やはり働く人たちの生活と権利を守るんだと、それが厚生労働大臣としての私の職責だと思いますので、全力を挙げて邁進してまいりたいと思います。
  26. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 ワーク・ライフ・バランスというような言葉が最近生まれてまいりまして、職業の選択の自由ということで大変喜ばれているんだというような意見もありますが。ここに厚生労働省の労働力需給制度についてのアンケート、派遣労働者が派遣という働き方を選択する理由ということで、働きたい内容を選べるが四〇・二%でトップなんですね。これ私は非常に疑問に思っております。というのは、私の周囲に派遣の仕事をされている方がたくさんいるんですけど、一人もいないんですよ。やはり、正規雇用になりたいという方々ばかりなんですね。確かに、子育てが終わった御婦人とか通訳の方とか、そういう方には都合がいいかもしれないが、一番働き盛りの三十歳前後の方で仕事が選べるなんて言っているのは私の周囲にはゼロなんですね。だから、統計と皮膚感覚とが随分違うので、私自身はこの統計に疑問を持っております。特に、この働き盛りの人の中では私の周囲ではゼロなんですね。  今、少子化問題その他が言われておるときに、年収二百万で結婚して子供をつくるというのではなかなか大変だろうと、こう思っております。そういう面も含めて、再度厚労大臣、この正規、非正規、派遣についてのお考えをお述べいただきたいと、このように思います。
  27. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) アンケート調査、統計、これは様々なものがありますが、一部はやっぱり価値観の多様化、生き方の多様化で、一つの会社に縛られるんじゃなくて自由に生きたいというそういう若者もいることは、これは否定できないと思います。  しかし、今委員がおっしゃったように、我々が年長フリーターと呼んでいるのは、二十五歳から三十四歳、今、ちょうど今おっしゃった結婚なさるような時期なんですね。これは、いわゆる就職氷河期という時期だったものですから特に甚だしい問題で、恐らく世間の感覚からいうと、本当は正社員になりたいんだと、しかしなれないと。そうすると、これは今おっしゃったように、結婚しようにも定職じゃなくて安定した賃金でもなければ家庭も築けないということになりますので、やはりこういうことに対してきちんと対策を取らないといけないと。  それで、この平成二十年度、今審議いただいている予算、その中で、先ほど申し上げました三十五万人を目標とするフリーター常用雇用化プランと、今度は職業能力の形成をきちんとやらないといけない、それでジョブ・カード制度というのを今度入れまして若者に職業能力の開発の機会を与えると、これも予算化措置をお願いしてございます。  それから、改正雇用対策法で、新卒者以外、先ほど申し上げました年長フリーターというのは、二十歳の人は採るけど三十三歳はもうちょっと要らないよと、こういうような感じになるんですね、やっぱり企業としては、新卒者採りたいと。しかし、そうじゃなくて、そういう方以外にも門戸を拡大するというようなこと、それはきちんと企業の方にも指導していきたいというふうに思っておりますので、こういうことをきちんとやらないと日本社会全体が崩壊すると、そういう危機感を私も委員と共有しておりますので、今後とも全力を挙げてこの問題に取り組みたいと思います。
  28. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 ありがとうございました。  さらに、これは我々政治に携わる者が与党も野党もなくやっぱり真剣に取り組まなければならない一つの大きな社会問題だと、私はこのようなとらえ方をしておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  続きまして、昨日ですか、昨日の東証の終値が一万二千八百六十一円。昨年の七月、昨年ですよ、七月ですからまだ一年たっておりませんが、最高値が一万八千二百六十一円。本年の初日ですね、一万四千六百九十一円。去年の大納会ですか、が一万五千三百七円。あっという間に東証の平均株価がここまで落ちてきておるということのいろいろのエコノミストの分析は、やはりアメリカ発のサブプライムローンの影響ではないかと、こう言われております。  その件についてちょっと認識を、どなたになりますかな、(発言する者あり)大田大臣。大田大臣、サブプライムが影響しておると言われておりますが、それについてのちょっと御所見を。
  29. 大田弘子

    国務大臣(大田弘子君) サブプライムローン問題に端を発する問題だと思っております。  この問題がいまだ底打ち感がないまま金融・資本市場が変動しております。さらに、昨年末からはアメリカの実体経済への波及が明らかになってまいりまして、住宅投資の落ち込みだけではなくて、消費の伸びの鈍化、雇用の減少といったことが生じております。  この日本経済への影響ですけれども、金融機関における直接的な損失は限定的だと見ておりますけれども、ドル安に伴う円高、そして原油高といったことが企業収益に悪影響をもたらしつつあります。特に中小企業の収益が急速に圧迫されてきております。それから、今年に入りましてから、アメリカの実体経済の減速が明らかになったことを反映しまして輸出の減少といったことが現れてきておりまして、景気の下振れリスクが高まってきております。  今後のアメリカ経済の動向、そしてそれが日本経済にどういうインパクトで波及してくるのか、十分に警戒が必要だと考えております。
  30. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 ざっくりした数字でいいんですけど、国際的にどの程度の影響を被っているか、国内的にどの程度、ざっくりした数字でいいんですけど、お聞かせいただけますか。
  31. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 我が国の金融機関のサブプライムローン関連の損失というのはディスクロージャーされております。ちょっと手元に正確な数字を持ち合わせておりませんけれども、大体昨年十二月の決算では六千億弱ぐらいの、主要行合わせてですね、それくらいの損失だったかと記憶いたしております。
  32. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 世界は。
  33. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 世界の方は、これ、はっきりした数字はございません。いろいろなシンクタンクなどで試算が行われていたり、あるいはIMF等で損失の推計が行われたりしております。円ベースで二十兆円という人もいれば三十兆円という人もいらっしゃいます。正確なところはまだ分からないというのが実情かと存じます。
  34. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 サブプライムなんという言葉は、実は私は、昨年の八月ですかね、この問題が出てきたのは、余り聞いたことがなかったものでびっくりしたんですが、金融庁としては、それ以前から若干の情報その他で心の準備か何かもあったんですかね。どうでしょうか。
  35. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 日本の場合には、御案内のように、不良債権問題というのがございました。その問題が大手行については解決されてまだ日が浅いということもございまして、こうした証券化商品には余り手が伸びなかったという、まあ不幸中の幸いのこともあったろうかと思います。  また、日本では、そうした大変困難な経験から、新しいBIS基準、バーゼル2というものを前倒しで実施をしておったことも金融機関のリスク管理には役立ったのではなかろうかと思います。  いずれにしましても、金融庁として、世界の金融・資本市場がこのような不安定な状況にございますので、高い警戒水準を持ってこの問題は取り組んでまいりたいと考えております。
  36. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 仄聞するところによりますと、金融市場戦略チームですか、立ち上げられたということを聞いておりますが、そういうことですかね。そして、どういう対応策、青写真でも作られたのかどうか、その辺の御説明をいただきたいと思います。
  37. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 私の私的懇談会として金融市場戦略チームを昨年立ち上げました。昨年の十一月に第一次報告書を出していただいております。  証券化商品というのが、ローンを、金融機関が自分のところで持つモデルではなくて、貸出しを行うときからそのリスクを証券化して分散をしてしまおうと、こういうモデルについてかなり突っ込んだ議論が行われました。  日本のようにローンを自分で抱えておりますと銀行がリスクを取ることになるんですが、最初から証券化を前提にお金を貸すということをいたしますと、相当いいかげんな貸し方になる場合があったのではないかと。まさに今そうした問題の責任追及が行われているところと思いますが、そうしたことを考えれば、やはり金融工学とか証券化ということ自体が悪いということではなくて、まさにそうした、リスクの計測ができない真の不確実性を回避をする手だてを考えるべきではないかという議論に至ったわけでございます。  日本では、例のBSE騒動が起きました後で牛肉のトレーサビリティーという制度が確立をいたしました。金融商品の世界でもまさにそういうことは可能ではないのかと。要するに、こういった証券化商品の大本の原債権が一体どういう具合になっているのか、トレーサビリティーという制度があればかなりリスクの計測が可能になっていくわけでございます。したがって、そういった取組を提言をしたところでございます。また、お客様とそういった金融商品を売る方の情報格差というのもございますので、こうしたことについては金融商品取引法においてきちんとその資産の内容の情報開示あるいは適切な説明をするよう求めているところでございます。
  38. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 分かりました。  このサブプライム問題から何を学ぶかというのはそれぞれの方々によって学び方が違うかもしれませんが、私はこれはまさにアメリカ的マーケット主義一つの典型かなという感じがしております。  だれでも住宅、持家というのは、住の安定というのは望むところでして、だから日本であればこのサブプライム層には恐らく低家賃の公営住宅か何か提供するという施策になるんではないかと思うんですね。あの信用度が低いところに貸し出す、ローンを組むというのはこれはどだい最初から無理ではないかなと。しかしながら、そのリスクがビジネスになっているんですね。だからこれを保証するビジネス、それから格付するビジネス。だから、これはどっちがいいか分かりませんけど、日本ではちょっとそこまではいかないし、今大臣がおっしゃられましたように、最初のローンを組んだローン会社か何かがもう自己完結的に管理していく、したがって審査その他も厳しくなってくると。それにも応じられない人は、今言いましたように公営の住宅か何かを提供するということで住の安定を図るというようなことではないかなと、こんな考えを持っておりますけど、大臣はどうでしょうか。
  39. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 金融ビジネスというのは、その時代に合わせていろいろなやり方が可能であろうと思います。  先ほども申し上げましたように、こうした金融技術を使いながらなぜこのような問題が起きたのかということを考えますと、リスクというものは計測可能な不確実性をいうわけでございますが、計測不能な不確実性が起こってしまったと。つまり、リスクの所在がどこにあるのか分からなくなってしまったというところに最大の問題があるわけでございますから、やはり今後の格付手法、あるいは金融監督においてはこうした不確実性を取り除いていくための方策が求められるというのが取りあえずのところ言えることではないでしょうか。
  40. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 是非、日本にも大きな影響が及ばないような方策を早め早めにお願いをしたいと、このように思います。  それでは次に……(発言する者あり)まあまあ静かに。次は温暖化についてお尋ねしたいと思いますが、ちょっと資料をお配りいただきたいと思います。  いろいろ前段を申し上げたいと思っておりましたが、時間もありませんので、京都議定書とポスト京都に分けて、前段のこの京都議定書についてどうやって目標を達成するかについて、環境大臣、ようございますか、お願いします。
  41. 鴨下一郎

    国務大臣(鴨下一郎君) 今先生おっしゃるように、京都議定書の約束を守るということと、これからポスト京都の問題という二つに多分議論は分かれるんだろうと思います。  京都議定書につきましては、一九九〇年に日本が排出していた温暖化ガス、これ全体を今年から五年間の間に平均してマイナス六%を実現しなければいけない。ただ、二〇〇六年の直近のデータによりますと、基準年の一九九〇年より既に六・四%温暖化ガスは増えてしまっている、トータルでいうと一二・四%増えている、これをこの五年間で削減していくと、こういうようなことでありまして、これは並大抵のことじゃございません。  その中で、一つは、私たちは京都議定書の目標を達成するための計画を今度改定しまして、産業界に対してもより深掘りに、さらには運輸、国民生活、この部分はもう相当増えていますので、これについてはできるだけこれは国民運動も含めましてより一層の努力をしていただきたいと、こういうようなことをこの年度末には閣議決定をして、さらにそれを推進していくと、こういうようなことになるわけでありますけれども、加えまして、先生おっしゃるように、この京都議定書のためには例えば森林の吸収、あるいは京都メカニズムといいまして、例えば途上国にこういう温暖化対策について支援をしたらそれはカウントができると、こういうようなことをトータルで一二・四%削減すると、こういうようなことが日本の国際的な信用をきちんとすると、こういうような意味においても極めて重要だと、こういうふうに考えております。
  42. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 是非目標達成のために頑張っていただきたいと。これ達成できなければ、その数字がポスト京都に行くんですね。恐らくそうだろうと思いますので、よろしく御検討をお願いしたいと思います。  そして、総理所信演説の中で環境問題、低炭素社会の構築ということをおっしゃっておられます。そして、ポスト京都についても、これ、何といいますか、温暖化何とかいう懇談会を立ち上げられまして第一回の会合をなされたと、このように思っております。  今からポスト京都云々というのは時期尚早かもしれませんが、七月にはサミット、洞爺湖サミット、あの洞爺湖を選んだということはまさに環境に取り組む意思の表れであろうと、このように思っておりますが、今の時点でポスト京都についてお考えがあれば、これは官房長官でございますか、お願いしたいと思います。
  43. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 先ほど総理の方からも冒頭御答弁申し上げましたが、環境問題、これは全地球的な問題であると同時に、日本全体としても真剣に取り組む、福田内閣としても非常に大きな課題の一つであると、こういう位置付けでございます。今委員にお触れをいただきました地球温暖化問題に関する懇談会というものを設けまして、去る三月五日に第一回会合を開いたところでございまして、有識者のいろいろなお考え、知識、経験等もいただきながら一つの司令塔的な役割を担ってもらいたいなと思っております。  総理自身のお考えは、去る一月下旬にダボスで開かれました会合でクールアース推進構想というものを概要を示されたわけでございまして、基本的に今、日本としては、昨年のバリ島の会議もそうでありますが、まず第一に、アメリカとか中国とかインドとか、現在の京都議定書の枠組みに入っていない大量の排出国を参加させるというのがまず第一であります。  それから、やはりその仕組みそのものが客観的に見て合理的であり、かつ公平なものでなければならないだろうと、こういう基本的な考え方に立ちましてこのクールアース推進構想というものをポスト京都の基本に据えているわけでございます。  もうちょっと具体的に申し上げますと、世界の温室効果排出ガスを今後十年から二十年のうちに、ピークアウトと言いましてピークを打って少しこれから減らしていくと、そこまである程度増えるかもしれないけれども、そこからこの後は減少に転ずるということを考え、そして、五十年後には、これは安倍前総理が世界的にも提唱されましたけれども、二〇五〇年までには少なくとも半減させると。五十年後じゃございません、二〇五〇年までにはこれを半減させていくということが一つの大きな柱でございますし、この温室効果ガスの削減に向けて主要排出国とともに国ごとの、国ごとのそのガスの排出、全体の排出量の目標を掲げると。国別総量目標と言っておりますが、それを掲げて、それを各国に何らかの形で取り組んでもらおうと。そして、この目標の策定に当たってはいろんな目標の決め方があろうかと思いますけれども、今、日本としてはエネルギー効率などを分野別に割り出しまして、また今後開発されていく技術等も活用してその削減可能量を積み上げていく、そしてそのことによって削減の負担の公平を確保していくと、こういう考え方でやっていこうと思っております。  いずれにしても、七月のサミットの議長国ということもございます。そうしたことで今関係省庁力を合わせ、福田総理のイニシアチブの下にこの温暖化対策というものに積極的にリーダーシップを取っていこうと、こういうことで取り組んでいるところでございます。
  44. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 ありがとうございました。  時間も残り少なくなってまいりまして、国交大臣、お尋ねいたしますが、私は福岡でございまして、参議院というのはもう本当に県下くまなく走り回ります。ほとんど通ったことがない道路というのはないんですね。だから、福岡県だけの道路についてはある意味では私はだれよりも知っていると思うんです。無駄な道路は一本もないんです。  さあ、全国的には分かりません。五十九兆、一万四千、十年間、その積算の根拠をお聞かせいただきたいと、このように思います。
  45. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 高速道路は全国的な人の流れとか物の流れというものを効率的に結び付けるものがありまして、またこれをネットワークを組むことによってより効率的になるというふうに思います。  私は、そういうものが、今、日本が抱えている例えば国際競争力の強化とかあるいは成長力の確保とか、あるいは地方経済が低迷いたしておりますが、そのような地方経済というものを活性化し、再生するという、そういう力を持っているように思います。したがいまして、道路の整備というものは非常に重要だというふうに思っておるわけでございます。  お尋ねのなぜ五十九兆か。これは、欲を言えば物すごく大きくなるわけです。例えば、社会資本整備計画によれば、五年間で道路整備は三十八兆、そういうことで、十五年から二十年までは三十八兆、五年間でですね。それを十年と引き直せば実に七十六兆になるわけですね。しかしながら、今回、いろんな財政の状況とかそういうものを勘案をいたしまして、これを絞りに絞りまして六十五兆ということで中期計画をまとめたわけでございます。  しかしながら、その後開かれた政府と与党との協議に基づきまして、また財務省辺りの評価もいただきまして、そしてこれをもう一割減らして五十九兆ということになったわけでございますが、これを社会資本整備の十年から引き直しますと実に二二・四%の削減でございますし、あるいはこの五年間の実績ベースが六十五兆六千億なんですね。それを五十九兆にやりますと、一〇・一%の減額になるわけです。しかも、それが上限ということでございます。  我々は、先ほど申しましたように、高速道路の整備も国民的なニーズがあります。我々はこの道路の中期計画を作成するに当たりまして、四月から七月までの間、広く国民の御意見を伺いました。もう十万一千人を超える国民からの任意の意見、ここをどうせいという意見がありました。それから、千八百七十四名に及ぶ当時の首長さんすべてからの意見もいただきました。また、二千九百人を超える学識経験者からも詳細な御意見をいただいた。  これを見ますと、この高速道路のネットワークというものはもちろんそうですけれども、それ以外に、例えば学童の通学路をもっと安全なものにしなきゃならないとか、渋滞対策、あるいは踏切をもっと対策しなきゃならないとか、都市と言わず地方と言わず、道路整備に対する強いニーズがあります。  我々は、そういうものを積算をいたしますと、例えば、例えばですね、全国民共通に抱えている子供たちの通学路、これは全国で十九万キロメートルあるんですが、そのうち四十人以上の子供、学童が毎日使っている道路は十一万キロにも及んでおります。福岡県は四千百キロメートルに及んでいますよ、そのうち。しかしながら、その中でその四割、四万四千キロは歩道がないんです。歩道がないんです。したがいまして、これを我々としましては何としても、うち九千キロメートルぐらいは歩車道の区別を確保するなりなんなりして造りたい。そして、それができない場合は、例えばガードレールを造る、あるいは色を、ペイントを塗るというような簡易な形で三万五千キロは直したい。そういうふうに、我々としては非常に十一万キロ直したいけれども、それを言い出したんではできないから、四万四千キロについて何としても直したい。こういうものを積み重ねたのが、先ほど言いましたように、言えば切りがないわけですけれども、これが五十九兆という積算の根拠でございまして、細かくは我々いつでもどこへでも行って説明いたしますが、そのようにいろんな工夫をしながら積み上げたものでございます。
  46. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 ありがとうございます。  指摘をされるような無駄な使い方をせずに、道路に集中して是非お願いしたいと、このように思います。  時間もございませんので、先ほど冒頭に申しました不幸な事故イージス艦漁船事故について、防衛大臣、省内でいろいろと御検討もされていると、このように思っておりますが、一つ、服務規則ですか、海上自衛艦の服務規則というのは非常に厳しい規則になっておりますが、海で生活するにはそれぐらいの厳しさが必要だろうと、このように思っておりますけど、今現状でどのような二度と起こさない決意の下での御検討をされているか、お聞かせできる範囲で結構ですからお願いしたいと思います。
  47. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 委員冒頭御指摘がございましたように、この度はあってはならない事故を起こしました。大変に申し訳ないことであり、心からおわびを申し上げる次第であります。  今委員御指摘の服務規則でございます。ここは船員法との関係をどう考えるかという問題意識を委員もお持ちだというふうに私承知をいたしておるわけでございますが、船員法の第十条は適用除外ということになっておりません。したがいまして、自衛艦の艦長には当然船員法十条が適用されるという前提だというふうに私は考えております。  服務規則をなぜこのように定めたのかということは、これは自衛艦の特性に応じて定めたということだというふうに私は理解をしておるところでございます。  したがいまして、個々いろいろ具体的に申し上げることは差し控えるところでございますが、自衛艦の特性を踏まえまして、より自衛艦に合ったような個別具体的なものを定めたものでございます。  したがいまして、これを遵守するということは当然でございますが、やはり船員法に定められた規定、あるいは海上衝突予防法に定められた規定、そのことが本当にきちんと遵守される体制になっているかどうかということをきちんと点検をすることが私は一番肝要なことではないかというふうに考えておる次第でございます。
  48. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 船員法十条、艦長の規定でございますが、これまた厳しい規定だと、このように思っております。狭いところとか事故のおそれがあるところは船長が自らブリッジに立って指揮をしなければならないと、こういうことになっております。それ以上に自衛艦というのは厳しい対応をしなければならないんだろうと、このように思っておりますが、服務規定も厳しいし、あれを読みますと、これは仕事ができるのかなと思うぐらいに厳しい条項になっておりましてね、きちょうめんな艦長だったら、これ、レポートから極端に言えばネズミの駆除まで責任を持たなくちゃいけないんですね。これは大変だなと思いますが、海の男ですから月月火水木金金のつもりで頑張っていただきたいと、このように思っております。  時間もあと一分になりましたが、いよいよこの参議院に回ってきましてこれから最終的な段階になってくるんだろうと、このように思っております。そして、両院の議長のあっせん案というのが出ております。我々は、昨年の参議院後の最初の国会で満場一致で参議院は江田議長を選びました。それは議長という権威に対して尊敬と誇りを持って選んだんです。すばらしい議長だと私は思っております。この議長さんがあっせんしたことは、これは与党とか野党とは別にしてきちっと守っていくのが、先ほど冒頭申しましたようにこれからの日本議会制民主主義熟成の第一歩だと、こんな思いが私はしておるわけでございまして、これは判も押してあります、それぞれの幹部、幹事長を含めてあっせん案に判が押してありまして、これは我々が、我々がやっぱり議長を守っていくということ、これは議長というものの権威にやっぱり敬意を払うことだと、このように思います。  時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  49. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 関連質疑を許します。林芳正君。
  50. 林芳正

    ○林芳正君 自民党の林芳正でございます。吉村先生に続きまして、関連で質疑に立たせていただきたいと思います。  いろいろな問題、今、吉村先生からもお話がありましたイージス艦にしても、また食品の問題にしても、なかなか解決の難しいいろんな問題があるわけでございますが、せっかく総括質疑総理以下おそろいでございますし、随分お待ちも何日かいただきましたので予習もしていただいたのではないかと、こういうふうに思いますので、少しじっくりと大きな問題について御質問をさせていただけたらというふうに思っております。  財政・年金問題でございます。自民党でも財政改革研究会というのをずっと立ち上げて議論をしてまいりましたし、昨年の党の税制調査会でも答申を出したところでございますが、やはり、大まかに言いまして、我が国の今の形は中福祉低負担である、これをやはり中福祉中負担に少なくともしていかないと、プライマリーバランスの均衡というのはなかなかできないんではないかというのが一連の議論の大きな流れであると、私もそのように感じておる者の一人でございますが、非常にタイムリーなことに、そういう状況の中で、総理社会保障国民会議というのを立ち上げていただいたわけでございます。  今立ち上がったばっかりで、けんけんがくがくの議論がまさに始まったところであろうかと、こういうふうに思いますけれども、今後、この会議において大変重要な議論、そしてこの会議自体が国民のコンセンサスをつくっていくという上で大変重要な役割を果たしていかなければならないと私は考えておりますけれども、どのようなスケジュール、間隔で取り組んでいかれるか、またどういう議論を展開されていこうとされておられるか、まずは総理の御認識をお伺いしたいと思います。
  51. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) それでは、私から総論的なことを申し上げますけれども、また各論は厚生労働大臣からお聞き願いたいと思います。  ただいま御指摘のありました社会保障につきましては、これは国民が将来安心できるようなもの、そしてまた今現在困っている方々に手を差し伸べることができる、要するに国民が安心して仕事に専念できるとか生活できるという、そういう基盤をつくる、そういう非常に大事な制度であると、こう思っておりますので、この制度が本当にその時々に合っているのかどうか、また将来に向けて本当に若い人たちなんかも安心していけるものかどうか、そういう観点からこれは不断に点検していかなければいけない問題でもあろうかと思いますけれども、何はともあれ、戦後ずっと積み上げてきました社会保障制度、それを、今現在これをどうすべきかということをいま一度考えてみなければいけない、そういう時代になったと思います。  で、なぜ今かと申しますと、それはやはり日本の社会が変わっているというわけですね。急速に変わっているということですね。それは、一言で言えば高齢化社会であると、こういうふうなことでございますので、そういう社会の将来を見据えた制度というものが必要なわけであります。そして、皆さんが安心できる社会を構築するための制度設計という、そういう観点からこの問題に取り組んでいくということが大変大事な課題になったというように認識をいたしております。  そういう観点から、今般、社会保障国民会議というものを設置させていただきまして、熱心な議論を開始していただいているところでございます。この社会保障の将来像、あるべき姿、これを見据えまして、給付やサービスはいかにあるべきかということ、そしてまた、その将来像を実現するために政府が担うべき役割、それは何であるかと、そしてまた、それを実現するために政府が担うべき、失礼しました、個人や企業が担うべき役割というものは何であるかということ、同時に、制度、サービスを支えるための負担をどのように分かち合うのかというようなことにつきまして、国民皆様社会保障の将来像が具体的に目に浮かぶような議論を展開していただきたい、このように思っておるところでございます。  その際に、社会保障について幅広く国民各層の意見を反映させるために、この国民会議というものにつきましては、いろいろな背景をお持ちの方々に御参加をいただくとともに、三つの分科会を設置いたしております。その三つの分科会と申しますのは、雇用、年金などを扱いますグループ、所得確保・保障グループと、それから医療、介護、福祉などを扱うサービス保障グループ、そしてもう一つ少子化とか仕事と生活のバランスというものを、これを考えていただく持続可能な社会の構築、こういう三つの分科会を設置いたしておりまして、専門的な議論も含めて議論していただくと、こういうことになっております。  今後は、この分科会を、これを開いていただき、なおかつその親会でございます国民会議を、これを毎月、若しくは二月に一回ということになるかもしれませんけれども、適宜開催し、六月ごろに中間的な議論の整理をし、そして秋ごろには最終的な取りまとめを行っていただきたいと考えております。また、この会議には、この会議のメンバーだけではなくて、いろいろな方々との対話、交流も併せ考えていただきたい。そしてまた、その中には政党との対話といったようなものを、これも考えておるところでございます。
  52. 林芳正

    ○林芳正君 大変大事なキーワードが今総理のお言葉の中に幾つかあったかと、こういうふうに思います。  まさに、急速に高齢化をしている、待ったなしであるということ。そして、政府、個人、企業が果たすべき役割、公助と自助と共助と、こういう言葉がございますけれども、これをどうやって組み合わせていくのかと。そして、国民皆さんに目に浮かぶようにという、大変これはキーワードだと思いますけれども、やっぱりこうなるんだなというものを実際に出していかないとコンセンサスというのはなかなか生まれてこないと。そういった意味で、総理が最後におっしゃいました政党を含めていろんな方を考慮した大変大事なポイントではないかなと、こういうふうに思っておりますが。  その中の今、分科会でも議論が始まったということでございますけれども、厚労大臣には参議院の同僚として大変いつも御指導いただいているわけですが、大変なうんちくもお持ちでありますけれども、まさに年金制度、社会保険方式と税方式というのが今いろんな議論になって、分科会でも議論になっていると、こういうふうにお伺いをしております。  自助と共助と公助と、このまさに違いがそこで出てくるわけでございますけれども、一方で急速に高齢化が進んでいくということと、もう一つは昔のようにインフレぎみではないと、こういうような状況を考えた場合に、なかなか両方、デメリット、メリット、それから、我々、白地でつくるわけではございませんので、もし変えるとしたら変えていくことのコスト、いろんなことを考えなければならないと思いますが、厚労大臣、年金制度について、保険方式、税方式、それぞれどういうデメリット、メリットがあって、どういう議論を進めていかなければならないとお考えか、お伺いしたいと思います。
  53. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 今委員が御指摘のように、社会保障制度、とりわけ年金についても自助があり共助があり公助があると。ですから、やっぱり自らの拠出金でやるんだという自助の精神というのは、これは保険料方式、これは非常に結構だ。そしてまた、共助、みんなで分かち合うんだと、それは健康保険も年金も同じだと思います。その側面がないといけないと。そして、最後は、最後のラストリゾートというか最後のセーフティーネットとして公が入ってくる。  実は今、年金制度の仕組みで共助のところは、これは国民みんなが分かち合うということで財源の話にのみ焦点が行きがちですけど、実を言うと、地域コミュニティーが崩壊していることも含めて、地域コミュニティーをしたがって再生するということも実は共助の一つであって、これは直接年金にかかわるわけじゃないですけど、介護とか医療とか教育とかいう面についてはやはりもう少し共助の側面を取り戻すということが、財源を急速に、要するにコストの面、財源面でのコストの面を急速に増やさないで社会保障を確立される一つの道であろうかというように思っています。  そして、今御質問の点に少しはお答えいたしましたけれども、やはり介護保険入れるときもそうでしたけど、全部税方式でやるときに何か恩恵的に上から与えられた、しかし保険方式というのは自分は拠出しているんですよと、権利という側面が出てきて、権利と給付の関係がはっきりしてくると、これはあると思います。  一方で、税方式というのは、これは未納とか未加入問題について、税ですからこういう問題も起こらない。それから、第三号被保険者の問題についても、これも一定の解決が見られる。それから、税ですから、非常に行政システムをスリム化することはできるんではないかと。まあいろんなメリットもありますけど、ただ問題は、私が先ほど申し上げましたように、自立自助という精神はやはり残していかないといけないだろうと。そのときに、税方式でそれが本当になくならないであろうかと。  それから、例えば二十兆円というお金が必要だとすると、仮に二十五兆だとすると、消費税に直すと一〇%ですから、この負担をどういうふうにやっていくのか。じゃ年金だけ税にして、私先ほど申し上げました介護保険、医療保険、半分税、半分自らの保険料と、これとの兼ね合いをどうするのか。年金をそうするなら健康保険、介護保険もそうするという議論があっていいだろうと。そうしますと、やはり消費税だけベースでいうと、これはEU諸国は最低一五%ないとEUに入れません、消費税については。日本もそれ並みにしないと追い付かないという、スウェーデンなどの北欧に至っては二五%です。そこまでの負担をやって、この保険方式を放棄して税方式に変えることができるんだろうか。  それから、生活保護との関係をどうするか。今でもよく言われるのは、いや生活保護の方がいい、もう年金の掛金なんて払うぐらいなら生活保護の方がいいと、こういうことになったとき、税方式でいったときこの二つの関連をどうするか。  それから、特に今受給している方々、これは、今までこつこつ払ってきた、はい今日から消費税でやりますよと。私は今まで払ってきて、それの上に今、年金もらっているのに、何、その上にまた追加の消費税取られるのかよと、こういうことに対してきちんと議論ができるかどうかというような様々な問題もありますけれども、私は、民主党の出した案が一〇〇%全く間違いでというようなことではなくて、あれはあれで非常にすばらしい要素を含んでいると私は思っております。そして、私たちの案についてもきちんと、メリット、デメリットがある、そういうことをきちんと議論して、そしてその中間的な案についてもいろんな方々が、まさにこの前の社会保障会議においても例えば官房長官をお務めになった塩川先生なんかもお出しになっている、こういう案をすべて俎上に上せて、そして謙虚に国民の目線で検討するということが必要だと思いますんで、そのための社会保障国民会議だと思いますから、まさに党派を超えて、国民にとってどういう年金制度が一番いいのか、こういうことを審議をする、まさに参議院というのはそういうために存在していると思っております。
  54. 林芳正

    ○林芳正君 さすがは参議院出身の舛添先生らしい最後のお言葉でございましたが、大変大事なポイントでございまして、みんなできちっとしたものをつくると。そのときに私は、どうも我が国の教育で育ったものですから何か一つ正しい正解があってほかのものは全部違うんだというような考えにどうしてもなるんですが、こういうものは選択だと思うんですね。ですから、これも正しいしこれも正しいけれどもみんなでじゃ決めようと、こういうことが実は大事なんじゃないかと、こういうふうに思いますし、もう一つは、今余りに社会保険庁ひどいものですから、先ほどおっしゃった未納とか記録とかいう問題が余りに大きいんで、それにややもすると流されて、これ変えますとまた十年とは言わず五十年の制度をつくるわけですから、非常に長い目できちっとした議論をする必要がやっぱりあると思います。  大臣が非常にいろんな論点で整理をしていただいたと、こういうふうに思いますが、その中で大変私キーワードだと思いましたのは、公助はやっぱりラストリゾートであると。今その公助の方も、私も党でやっておりましたので余りこれにけちを付けられる立場ではないんですが、骨太二〇〇六というのをやりまして、それによりますと、今から二〇〇六、二〇〇七、二〇〇八と二千二百億円ずつ社会保障全体でこのラストリゾートである公助の部分が減らなければならない、こういうことになっているわけでございますが、やはり現場を回っていますと、もう限界だという声が随分いろんなところから聞こえてくるわけでございます。そのことについて、まず厚生労働大臣、どういうふうにお考えかお伺いしたいと思います。
  55. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) この骨太二〇〇六、政府・与党のこの方針でありますし、私は福田内閣の一員ですから、財政全体を必要なところは抑制していくと、この基本はしっかりと守りながら、まあわずかばかりの期間でありますけれども厚生労働大臣として職責を果たす中で、二千二百億円のこの削減ということはもうやはり限界に来ているのではないかということを常日ごろ考えております。  そして、御承知のように、今年も相当な無理をいたしました。政管保険のやりくりをやる、薬価基準を下げる。絞りに絞って、もうぬれたところがなくて乾いたぞうきんになっちゃったんじゃないかなと思うぐらいに出しました。しかし一方では、例えば緊急医療をどうするか、これを直ちに今手当てをしないといけない、何とか四月に医師不足で産婦人科を閉めないといけないというような例えば総合病院がないように全力を挙げて今相当努力をしております。  しかし、こういう問題に対して、国民の命を守るということに対するニーズがある、それに対してただ財源問題だけで対応していいのかなということがございますので、まさにしっかりと議論をした上で必要なこの財源、その財政の抑制ということをやり、それは長期的に見たときに国家財政どうするかと。次の世代に負担を先送りしない、そういう観点も必要なことはしっかり踏まえた上で、そして更なる財政抑制のこの努力をしながらも、私は冒頭申し上げましたように、そろそろ限界に来ている、そういう思いでありますから、きちんと議論をした上で、そのためにまさに国権の最高機関としての国会がありますので、そこでの議論を踏まえて、この国民の命を守るという原点に立ったきちんとした政策が実行できる財源の裏打ちを実現したいというふうに思っております。
  56. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございました。まさに現場を預かる大臣としては本当に真情を吐露されたと、こういうふうに思います。  一方で、大臣が今おっしゃったように、まさに財政再建、これも大変大事な課題でございますから、大田大臣にはつらい質問になるかもしれませんけれども、しかしこれ両立していかなければいけないと。その中で、この今の舛添大臣のお言葉、これは、社会保障は非常に分かりやすいところですが、しかしいろんな分野でそういう声はあるわけでございますけれども、それを全部、じゃ全部やろうということになれば歳入はどうするのかと、こういう問題になるわけでございまして、経済と一体になってこのことを少し長いスパンで考えていったときにどうしていったらいいのかと、大田大臣の現段階での所見をお伺いしたいと思います。
  57. 大田弘子

    国務大臣(大田弘子君) 高齢化を乗り切る財政をつくるというのは大変大事な課題ですので、基本方針二〇〇六の五年間のプログラム、これはやはり守っていかなくてはならないんだと思います。ただ、その一方で、医療の本来の機能を損なってまで財政が健全化すればいいということではもちろんございませんので、一律の削減ですとか金額の規模だけにこだわった歳出改革ということであってはならないと思います。現場の実態を踏まえた改革でなければならないと、これは十分に理解しております。  じゃ、一方で、現在の医療にはもう効率化する余地は全くないのかというと、私はまだ効率化の余地はあると考えております。重複検査の問題ですとか、複数の病院にかかった場合の過剰投薬の問題、それから一人当たりの老人医療費が長野県と福岡県で一・五倍、年間三十五万円の差があるという問題、それからレセプトの電子化が遅れているために医療費のデータ解析ができないといった問題がございます。こういう観点から、昨年来、厚生労働省と連携いたしまして、医療・介護サービスの質向上・効率化プログラムというものを進めております。  こうした努力によりましてめり張りを利かせていく、これは他の歳出についてもそうですが、めり張りの余地はどこに設けていくのか、これをしっかり検討することが大事だと考えております。その上で、なおかつ賄い切れない費用については税などの負担増で対応するということを考えなくてはなりません。
  58. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございました。  レセプトの電子化というのはずっとやってきてかなり進んできたと思いますが、まだ、大臣御指摘のように、一〇〇%でないところもあるかもしれませんが。お願いは、よく閣内で御議論いただいて統一したメッセージを出していただけるように、現場のことはやはり舛添大臣の方がよく御存じでございましょうけれども、また第三者的な目で大田大臣の方が見ていただくということも大事かと思います。  それで、先ほど、今年金、医療の話をいたしましたけれども、実は資料をお配りしましたけれども、(資料提示)スウェーデンでは、これは年金の話でございまして、私も前回の、あれは去年だったと思いますが、臨時国会のときにもちょっと触れたんですが、やはり今まさに総理が政党の方も含めていろんな方の交流をと。前例が実はございます。スウェーデンでは、ここに書いてありますように、お手元の資料をお目通しいただければと思いますが、社民党政権から保守・中道連立政権になって、また社民党政権に、これ九一年の選挙と九四年の選挙ですから、これぐらいのスパンの間に二回政権交代をしていると。随分大変だっただろうな、我が国こんなになっちゃったら大変だなと、こういうふうに思うわけでございますが、大事なことは、政権交代をして与党と野党が入れ替わっても、ずっとこの議論を継続してやり続けたということでございます。与党四党と野党社民党が合意をしたと、九四年一月から新しい社民党政権になっても、社民党においても五党合意の内容に沿って年金改革の実施を目指すというような方針を決めたと。  これは、大変大事なことは、国民に向けて、政権交代が万が一起こったとしても年金制度は変わりません。政権交代が起こるたびに年金制度が変わっちゃったら、これはもう何を信じて年金やっていったらいいか分からないわけでございまして、そういう意味ではこれは非常に参考になるし、私は、先ほど総理がほかの政党もとおっしゃっていただいた、これはここに通じるものがあるし、それをやることによって国民皆さんに目に浮かぶようなものが本当にできてくるんではないかと、こういうふうに思っておるわけでございますが、総理の見解をお伺いしたいと思います。
  59. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 年金制度というのは社会保障制度の中でも根幹的なものであると思います。重要なんですね。そしてまた、これは国民と政府の間の長い長い期間にわたる契約なんですよね、年金を払い始めて、そして一生を終えるまでずっと続いている契約、何十年の。まあ六十年、七十年、八十年の契約であるということを考えますと、この制度に対する信頼がこれはもう絶対避けることができない必要な問題だと思います。  ですから、そういう本当に一時代の政治の話じゃなくて、これはもう政治家全体が取り組むべき課題だと思いますよ。ですから、スウェーデンなんというのは、そういう観点から理性的に振る舞って、政権が替わっても、そしてまた十何年も掛けてじっくりと議論してそしてでき上がった制度であると。私も専門家に聞きますと、スウェーデン方式というのはよくできている制度だと、こういうふうに言っておりますけれども、そういうものを練り上げたわけですね。  そういう政治家全体が考えなければいけない責任でもあるというように思っておりますので、是非そういう意味で、まあいいの悪いのというふうなことでなく議論を率直にできるような、そういう環境ができ上がってほしいなということを思っておるところでございます。特に、参議院では野党の方は勢力大きいんですからね。やっぱり野党の理解がなければ、これは進まない話だというように思っております。
  60. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございました。  やじを聞いているとなかなかこういうわけにはすぐにはいかないなと思いながらも、しかしやっぱりこういうことを目標にして、今も総理がおっしゃっていただきましたように努力をする義務が我々にあると、こういうふうに思うわけでございます。  さて、予算委員会では、衆議院審議をしていただいている間を利用して派遣をさせていただきました。櫻井理事のお地元にお邪魔をしまして、地方がどういう状況にあるのかというのをかなりつぶさに見せていただいたなと、こういうふうに思っておりまして、やはり地域、地方の再生というのは、先ほど吉村先生からも改革の影の部分という言葉がありましたが、元々光が当たって影になったわけではなくて、最初からこの格差というのはやっぱりどうしてもあるなと。東京一極集中の中で、そもそもが地域の、地方格差というのはあったんではないかと。  その中で、私、渡辺大臣の下で副大臣をやっておったときに、渡辺大臣というのはやっぱり名前を付けるのが上手だなと、こう思ったんですが、地域活性化でいろんな人を派遣するのに伝道師という名前を付けていただきまして、普通だとサポーターとかそういう名前になるんですが、そういう方、民間からもカリスマみたいな方に入っていただく。国の職員一緒になって地方に出向いていって、親身になってそこの人の町づくり、町おこしの相談に乗るという地域活性化応援隊というのをずっとやってきて、多分四十七都道府県一周したんではないかと、こういうふうに思いますが、今地方再生は増田大臣が担当されておられますけれども、こういう応援隊が行って相談をした結果、何回かやり取りをして、例えばその結果特区になったとか地域再生計画ができたと、こういう事例があれば御披露いただきたいと思います。
  61. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 先生にも本当に御尽力いただきましてこうした応援隊をつくっていただきまして、これの相談会、全国、全都道府県で実施を終えました。昨年一月から、渡辺大臣そして先生にも御尽力いただきまして、今年の二月ですべての都道府県において開催終了と。一県で二回開催したものもございます。随分多くの皆さん方が御相談においでいただいたということでございます。  二つほど事例を御紹介させていただきたいと思うんですが、一つは、昨年四月に青森でこの応援隊を派遣しての相談会がございまして、十和田市の方から、観光産業の振興に向けた人材育成について相談をいただいたと。そして、体験型観光、それから外国人観光客に対応できる人材育成ということで御相談いただきまして、伝道師の皆さん方のアドバイス等もありまして、何回かもちろんやり取りした上で市の方で地域再生計画を作成をしていただきました。昨年九月にこの認定を受けまして、今確実に事業を推進をしていると、こういう実例がございます。  それから、もう一つは構造改革特区の関係でございますが、例えば、昨年十月に徳島県の吉野川市の方から御相談をいただきまして、梅酒の製造でございますが、最低製造数量基準六キロリットルという基準がございました。これをもう少し緩和していただくと、より皆さん方に振る舞えて地域が元気付くと、こういう御相談をいただきまして、これはまさしくそうだろうなということで、このことを受けまして、実は今国会の方に構造改革特区法の一部改正を法律案としてお出しをしております。  御案内のとおり、基準は今六キロリットルということになっているんですが、これを果実酒、ワインですが、これについては二キロリットル、それからリキュールについては一キロリットルということで、この基準を緩和して皆さん方にいろいろお出ししやすいようにしていくと、こういうことでございまして、これもその相談会での御相談を受けた上での動きでございます。  こうしたことが地域の活性化の上でも大変いい効果に結び付くもとにつながっているんではないか、また今後こうしたことをより重ねていきたいと、このように考えております。
  62. 林芳正

    ○林芳正君 大変いいお話で、なかなかこういうところで皆さんに聞いていただかないと伝わらない地味な話ではありますけれども、だからこそ、このように地道な努力を地域地域と我々のこの国の施策と一体となって進めていく必要があるんではないかと、こういうふうに思います。  是非、梅酒の特区法は速やかに国会で可決しなければいけないと、こういうふうに思いますが、やはり今度は、昔は地域再生は地域再生、特区は特区、都市再生は都市再生とばらばらにやっておりましたけれども、これをまとめようということをまず渡辺大臣のときにやっていただいて、さらに増田大臣のところになって地域活性化統合本部というのを置いていただいて、そこで一括して、すべてのこういう町づくり関係やると、こういうふうになってきたとお伺いしておりますけれども、具体的に、この本部ができてしばらくたちましたので支援のメニューというものが出てきたんではないかと思いますが、今日テレビをたくさんの方が御覧になっていると思いますので、大臣から、こういう具体的な支援策がありますよということを教えていただきたいと思います。
  63. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今の統合本部の中で一番私どもが力を入れている事業が地方の元気再生事業というものでございまして、これ来年度の予算に係る話でございますので、予算成立後すぐに動かしたいというふうに思っておりますが、地方を回っておりますと、一番地域の実情をよく御存じの方はまさにそこにおいでの皆さん方にほかならないわけでありますが、そうした皆さん方の創意ですとかそれから発想をできるだけ生かして、それを各省が後押しをすると、こういうことに立つべきだと思っておるんですが、そのときにどうしても隘路となりますものは、やはりいろいろプロジェクトを動かしていくときの立ち上がり段階ですね、ここはどうしてもある程度のお金が要る。そんなに多くは要りませんけれども、ある程度のお金は要る。  そして、それも省庁のいろんなメニューはあるんですけれども、それを超えた全体として見るお金、ソフト分野、そして、例えば専門的な人材がどうしても地域に足りない場合に限られた年数、どうしてもそうした人たちの人材派遣をしていただきたいとか、あるいはそれを人材育成、更にはモデル的な社会実験につなげていきたいといったようなことでの立ち上がりにどうしても少しお金が要るような場合が多うございます。  そこを、例えば補助などのような形ですとどうしても地元負担が必要になって、これもまた今の財政状況の中ではなかなか工面し難いという、そういうお話が多く寄せられておりましたので、直接、国がそこのところを支援をしよう、面倒を見ましょうと、こういうことで、中身はもう地域の自由にいろいろお考えいただきたい、これが地方の元気再生事業ということでございまして、これをこの統合本部の予算として組み込ませていただきました。二十年度予算では二十五億円ということでございまして、全国のそれぞれの地域でお使いいただけるように予算額を用意いたしましたので、これを一番私どもは有力な武器としてそれぞれの地域でお考えいただきたい、いろんな動きをこれに結び付けていきたいと。相談体制も、各ブロックごとに、省庁の枠を超えて担当参事官制ということで相談体制の窓口も地方でも一元化をいたしましたので、今それぞれのところの相談窓口の看板掛けなども終わりまして、今年度中にもう体制を整えまして、いろいろ相談が徐々に寄せられつつありますが、新年度予算早く成立させていただいて、すぐにこの地方の元気再生事業を動かして、いい事例を輩出させていきたいと、このように考えております。
  64. 林芳正

    ○林芳正君 さすが増田大臣、知事の御経験があって、やっぱり補助よりも直接やる方が手を挙げやすいということでこういうのをつくっていただきました。二十五億ですからかなりいろんなところに、地方の元気再生事業、元気ファンドみたいなものだと思いますけれども、いけるんではないかと思って期待をいたしたいと思います。  応援隊、そして伝道師、相談会、特区、地域再生とつながって、そして今度はそれをまた、ファンドといいますか、お金の面でも応援していこうと、こういうことでいろんな取組が全国でも広がっていくというのが地方の元気を取り戻す一つの方策ではないかと思いますが、総理の御見解、意気込みがあれば聞かせていただきたいと思います。
  65. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 今地方はどういうことが起こっているかといえば、人口が流出する、都会の方に移動してしまう、そしてまたそれに伴い学校閉鎖ということもあるし、また住民が少なくなれば医療とかそういうものもだんだん寂しくなっていく、撤退してしまう、そういう現象が起こっているわけですね。これは何が原因か。やっぱり人口が流出しないような対応ができていないということなんだろうと思います。その結果、日本がどうなってしまうのか。地域地域でもって自然の破壊とか、また治山治水といったようなことに影響を与えてくる、日本自然体系も壊れてくると、そういうようなおそれもあるというような状況をこれを放置するわけにはいかないというように思います。  ですから、先ほど来増田大臣から御説明しているように、いろいろな政策対策を、これを総合的に推進していこうというようなことで、地方再生戦略という形でもっていろんな対応を始めているところでございます。地方はやはり日本の国土形成の上から大事であるという観点から、私どもは、これを地方を無視することはできない、むしろ地方にもっと元気になってもらおう、こういうふうな取組をしているということであります。  中にはこういうのもあるんですよ。今、都会の退職して地方に住んでみたいというような方はだんだん最近は増えてきている。二十年ぐらい前にそういうブームございました。あのころはバブルに近いころだったんですけれども、そういうようなことでその地方に受入れの住宅造るとかいうような取組をしたところもございましたけれども、それはうまくいかなかったんです。しかし、今度は私は本物だろうというふうに思います。そしてまた、そういうものを推進していこうという民間の機関もあるということでありますので、こういうことも考えますと、地方も元気を出せるんじゃないかなというふうに思っております。  また、地方は自然環境を守ると、環境面からも大事ですよね。ですから、地方都市でもって路面電車を走らせたいというようなところがあればそれを助けていこうと。これは地方の元気再生事業と称しておりますけれども、そういう中でもそういう環境との組合せでもってやっていただければいいのではないかなというふうなことも考えております。  いずれにしましても、地方は重視していきたい。しかし、財政的には限りがありますんで、増田大臣からも申しておりますけれども、しかし、ちょっとした配慮でもってその地域それからプロジェクトが伸びるということは、これはよくあることでございますから、そういうことについてまた各地区から御相談をいただく、そして一緒になって地域の発展のために努力をしてまいりたい、そんなふうに思っております。
  66. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございました。  まさに総理がおっしゃいましたように、ちょっとしたところが最初越えられなくて、なかなか町づくりがうまくいかない。そこを、ちょっとした金額かもしれませんけれども、やっぱりやってあげると大変すばらしいことだと、こういうふうに思いますし、人口が増えているところがあると総理がおっしゃっていただきましたけれども、私の近くですと、隠岐に海士町というのがございまして、あそこももうUターンだけじゃなくてIターンの人がどんどん来て、島の人口がもう二倍近くになっていると、こういうことを聞いたこともあります。やはり総理がおっしゃっているとおりではないかなと、こういうふうに思います。  地域再生、いろいろやっていく話を地元でいろいろしますと、それはそれで是非やってもらいたいと。ただし、これは御飯でいうとおかずみたいなものでして、お米の御飯の本体の方もやっぱり何とかしてもらいたい。それは、もうずっとやってきている、例えばいろんな商店街ですとか建設業、こういったものが大変疲弊している。私もなかなかいい知恵がないなと、こう思いながらも、この間、新聞を見ておりましたら公取の記事が出ておりまして、やっとやってくれたかと、こういう思いでございました。  それは、不当廉売や優越的地位の濫用への取組を地方でも強化するということをするためにほかの省庁と連携をして、記事によりますと、併任を掛けてその取組をきちっとやって、値段をつり上げる方のカルテルというのはよくやるんですが、下げる方の不当廉売や下請いじめといった優越的地位の濫用というのも、地方はなかなか手が足らなくて公取が出かけていって全部摘発するわけになかなかいかないんでございますが、地方にあるほかの省庁との連携によってやると、こういうことが出ておりました。  非常にいい取組ではないかと思いますけれども、具体的な内容を公取からお聞かせ願いたいと思います。
  67. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) 従来から公正取引委員会は、入札談合とか価格カルテルだけではなくて、今御指摘の不当廉売とか優越的地位の濫用という不公正な取引方法と言われるたぐいのものでございますが、これについても一生懸命取り組んでまいりました。  ところが、このところ取引をめぐる状況、具体的には大規模小売業者と納入業者の間の取引条件をめぐる状況はますます厳しくなっておりまして、そのときに、大規模小売業者なんかは典型でございますけれども、その優越的地位を働かせて不当な取引条件を迫る、納入業者の方はやむを得ず受けているというようなことがございます。具体的には、決算に当たって協賛金を持ってきてほしいとか、それから、新規開店なり改装する、棚卸しをするときに人手が足りないから納入業者の社員をただで派遣してくれというようなことが行われておりまして、これらに対しましてはこの数年厳しく対処してきております。  それから、今御指摘の不当廉売につきましても、消費者にとってはいいものが安い方がいいわけでございまして、その辺との兼ね合いは非常に大事でございまして、ただ原価割れだから不当廉売だという単純なものではございませんが、しかし、中には悪質な、言ってみれば、いっとき廉売をしてライバルの仕事をしづらくするなり縮小させて、その後、自分の地位を築いた後にしかるべく値上げをするというようなものもありますので、私どもとしては、これらについては健全な競争とは言えませんので、厳しく対処をするつもりです。  今回、独占禁止法の改正案、この国会にまた出させていただいておりますが、その議論の過程でももっとしっかりやれというお話がございまして、今、林先生がおっしゃるように、関係省庁、具体的には経済産業省、それからお酒の関係がある国税庁、それから建設業の国土交通省、それから農林水産省、こういうお役所と連携していきましょうと。  連携の眼目は、まず情報でございます。情報、その不公正な取引方法、優越的地位の濫用にせよ、不当廉売といったことについての情報をいかに的確に我々が集めるか、それについて関係省庁の御協力をいただくというのが一点。  それから、その情報に基づいて、悪質でこれはきちんとした処分が必要であると判断されたものについては公正取引委員会が審査をしてしかるべき処分をしておりますし、今度の改正法案が認められましたら今度は課徴金の対象にもなるということでございますので、そういう行政処分になっていくわけですが、そのときに、いかんせん、増やしていただいておりますが、まだ八百人もおりませんので、そのマンパワーの問題がございますので、関係省庁との間でマンパワーについても御協力いただく。  具体的には、先ほど委員御指摘のように、併任をしていただいて公正取引委員会の職員として我々プロパーの職員と一緒に審査に当たるということを考えておりまして、そのためにこういった協力スキームのための連絡会議も設けるということで、これらにつきましては、一番先頭を走っていますのが経済産業省の関係でございまして、これはもう事実上合意しておりますので、逐次執行していきたいと思っております。  それから、酒の関係の国税庁とはもうかねてから併任もしております。経済産業省とも併任はあるんでございますが、酒の不当廉売を中心に協力関係築いて実際にもうやっておりますので、それをこれから更にニーズに応じて拡充していくと、こういうことでございます。
  68. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございました。  大変いい取組だと、こういうふうに思いますので、この取組を一緒にやられる、まずガソリンスタンドの方や中小企業、経産省でございますので、甘利大臣から取組に向けた決意をお聞かせ願いたいと思います。
  69. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 中小企業は体力に劣るわけでありますから、不公正取引を強要されたときに市場から退出せざるを得ないという事態に追い込まれる可能性もありますから、迅速に対応する必要があります。公取も一生懸命やっていただいていると思いますが、情報収集力あるいはマンパワー等でまだ十分とは言えないところがあろうかと思います。  そこで、情報の提供、それから違反行為と目されることの審査の協力について、今もお話がありましたけれども、経済産業省、中小企業庁として協力をしていくスキーム、これ、おおむね合意ができました。遅くとも新年度初めからはスタートできるようにさせていただきたいと思っておりますし、必要があれば更に前倒しで実行していきます。
  70. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございました。  続きまして、お酒は財務省でございますので、財務大臣、取組に向けまして御決意をお願いします。
  71. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今公取委員長からお話がありましたように、国税庁も二年前に酒類に対する公正取引の指針というものを作りまして、実態調査をし、同時にこれを公取に情報を提供すると。一方、専門家を数人、三人から五人ぐらい出して、しっかりと不当廉売を正していくという体制を取っております。
  72. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございました。  国交大臣にも。建設業は本当に大きな地域経済の中でボリュームを占めておりますし、実はこの間、仙台に視察で、派遣で行ったときも、タクシーの方から本当にすごい話を聞きました。タクシーについてはもう別途の枠組みがあるわけでございますけれども、この建設業を所管される国土交通大臣の意気込みをお聞かせ願いたいと思います。
  73. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 建設業、とりわけ地方における建設業というのは、本当に社会資本の整備、住宅建設、あるいはそこで多くの若い人たちに雇用の機会を与えていただいているというところで、地域の経済を支える基幹産業だという役割を持っていられると思うんです。そして、加えれば、災害が起こったときに、本当に自分のところも被災しているのにその地域に行って復旧復興にも尽くしていただいているというような、このような建設業が今急激な、公的な需要といいますか、社会資本整備のこういうものが絞られたために、大変苦しい立場に立っていられます。  したがいまして、国土交通省から発注をいたします直轄事業等につきましても、大変な取り合いといいますか、厳しい、そういうところでダンピング、あるいは先ほど来お話しになっております優越的な地位の濫用ということで元請が下請を必要以上にたたく。そういうことが認められますので、我々も昨年の四月には建設業法令遵守の推進本部というものを各整備局につくりまして、そういうものについて厳しい監視をしていこうということ。それからまた、六月には先ほど言いましたような建設業法令遵守ガイドラインということで、特に優越的地位の濫用等について公正取引委員会との連携を密にしながら、我々が得た情報を提供して、そういうことが起こらないように今頑張っているところでございまして、私は、やはり地方の建設業というものが技術が優れ、そして優良な経営をやっていられる方が伸びられるような環境を私どもがつくっていかなきゃならない責任があるという思いでございます。  その意味で、そのような違法なことについては、併任という制度ができますれば我々も職員を併任させていただき、そういうものが遵守できるように頑張っていきたいと思っております。
  74. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございました。  今大臣おっしゃっておられたことを聞きながら、私、選挙に出る前に一時期ガス会社で土方をやっていたことがありまして、一緒に作業をしていますと、地元の地場の職人さんって本当にまじめに、雨が降ってきてもちゃんとごみを整理して、埋め戻すのはもう何年先か分からないようなところをきれいに、現場は本当に使命感を持ってやっているわけでございまして、是非大臣、そういった方が正当に報酬を得るような方向で頑張っていただきたいと、こういうふうに思います。  先ほど、公取委員長から農水省とも既にやっておられる。私が見た報道は農水省は入っておらなかったんで、農水省入っていないんだったら是非やってくれと、こう御質問しようと思っていたわけでございますが、もう既に入っているということでございますが、この間も我が党の山田委員からこの場で牛乳と水を出されまして、どっちが高いか皆さん御存じですかと、実は水の方が高いんですね、山田さんね。ですから、そういうことはちょっと常識では考えられないようなことが起こっているわけでございまして、そういう意味でもやっぱり、農水省もこの枠組みで不当廉売や優越的地位の濫用ということを一緒に取り組んでいただきたいと思いますが、大臣の御見解をいただきたいと思います。
  75. 若林正俊

    国務大臣(若林正俊君) 委員のいろいろ御指摘ございましたが、そのような認識を共有いたしております。  特に、この三年ほど前からですけれども、小麦、トウモロコシあるいは大豆、もう二倍から三倍も国際価格が上がっているんですね。それらはほとんど輸入に依存していますから、これを原材料にしております小麦粉あるいは小麦粉関連のパンその他の製品、そしてお話にありましたように、トウモロコシを原材料として、えさですね、これを使って行っている畜産経営、酪農でありますとか養豚でありますとか養鶏でありますとか、これらの産物、農畜産物というのもみんなその影響を受けているわけでございますけれども、これがなかなか合理的な範囲内で消費者価格への転嫁がなかなか進みにくいということでございます。  しかし、そういうことでありますと、長期にわたって安定的な食料の供給というのが難しくなるわけでございまして、そういう意味では、この食料品などについては、コストの上昇分が合理的な範囲で反映されて適正な価格形成が行われるということが確保されないと、農林漁業を継続的に続けていく、また食料の安定供給を図っていくことが難しくなるわけであります。  その意味で、先ほど公正取引委員会委員長がお話しされておられましたけれども、そのような食料というようなものを多く扱っている大型の小売店との関係において、優越的地位の濫用などの不公正な取引が行われているのかどうか、適正な価格形成に支障を与えるようなことがあるのかどうか、そういうようなことについては認識を共有できますように、これらについて公正取引委員会とも情報の収集、そして情報の交換というのを緊密にいたしまして連携を強化してまいりたい、そのための連絡協議会というのも近いうちに発足をさせていただきたい、このような考え方で取り組んでおります。
  76. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございました。  まさに、消費者に転嫁をするというのは、消費者から見ると値段が上がるわけでございますけれども、正当な生産のコストや対価、報酬というものがちゃんと生産者へ行くということはきちっと確保をやっぱりしていく必要があると、こういうふうに思っております。そういったことをやりながら、全体として、例えば農林水産の分野というのは特に生産者に価格交渉力というのが本当にない。  私の地元でも水産の方がいっぱいおられますけれども、どうしても市場へ出すとその日の市況というのがございます。萩の方では、実は工場を漁協で造りまして、余り市場が安いようでしたらそちらへ回して練り物にしてから売ると、こういうような取組を始めてから随分と価格交渉力が出てきたと、こんなような取組もあるようでございますから。  農林水産というのは一次産業と言われておりましたけれども、六次産業だと、一次と二次と三次まで、マーケティングまで道の駅等でやっていくと、こういうようなことをよく聞きますけれども、こういう、全体としてこの一次産業、大臣、今から地域で特にどういうふうに進めていくか、御所見をお伺いしたいと思います。
  77. 若林正俊

    国務大臣(若林正俊君) 委員がおっしゃりますように、農林水産物、これが一次産業と言われ、原材料を供給するというのが長年にわたっての役割であったと、そういう認識をしていたと思うんです。  しかし、地域に、もっともっと付加価値を高める、そして新しい商品形態、新商品を作り出して新しい需要に対応していく、特に、地域のブランドといいますか、地域は地域に合ったような農水産物の加工を加えた形の供給というのが必要になってきていると思います。  中国から冷凍ギョーザの問題が、輸入されて問題を起こしておりますけれども、こういうのもやはり国内で食材、外食もあります、中食もあります、そして量販店における食品の販売形態も変わってきています。そういうのに国内の生産、これは農業生産者だけではありません、商工業の協力も得ながら、そういう使いやすい加工形態を経て食品供給をしていくということも農林水産政策としては大事なことだと、こういうふうに認識いたしておりまして、その意味で、二十年度から、農商工連携、新しく地域の商工業者のノウハウ、知恵と農業者とがセットで共同の工夫を凝らして、新しい需要を開拓し、そしてまた、今おっしゃられたような、生でそのまま供給するということではない、何らかの形でバッファーが持てるような、そういう商品開発もしていかなきゃいけない。  その農商工連携を積極的に進めて、地産地消を含めた、今六次産業とおっしゃられました、そういう認識でこれから推進をしていくべきだと、こう考えて取り組みたいと思っております。
  78. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございました。  先ほども申し上げた地域再生と、それから公取の取組、さらに六次産業の農林水産ということを併せて何とか地域に元気になってもらいたいと、こういうふうに思うわけでございます。  少しマクロ的なお話に移りたいと、こう思いますが、先ほど財政再建、また社会保障のお話をいたしました。地域再生のお話もいたしましたけれども、やはり今後、全体的に我が国経済を引っ張っていただくためには、新しいプレーヤー、新しい産業が出てきてもらわなければならないと。その産業、新しい産業をつくっていく種になるのは、まさに科学技術でございます。  まさに、この種というような言葉をわざと今使いましたのは、最近明るいニュースで、iPS細胞、インデュースト・プルリポテント・ステム・セルと、こう言うそうでございますが、辞書を調べましたら多機能細胞だと、誘導多機能細胞ですね。やはり、日本の山中先生なんですが、遠慮深いなというのは、多分これ、欧米の人だったらすぐに万能だと、オムニポテントでですね、iPSじゃなくてiOSに多分したんだと思いますけれども、非常に控えめにこのプルリポテント、多機能だと、こういうふうに山中先生がおっしゃっておられるわけですが。  この間も党本部へいらっしゃっていただいて、少し昼食を取りながらお話をする機会いただきましたけれども、これはやはり国を挙げて進めていく必要があると、こういうふうに思っておりますし、私は、今まで遅かったと言うつもりはないんですが、今回の文科省の対応は非常に早かったと、こういうふうに思っているわけでございます。  全体のやっぱり研究体制を国としてつくっていくと、これ大変大事だと思いますけれども、文科大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  79. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 早かったと言っていただきまして、これでも遅かったかなと正直思っておりますが。  御案内のように、この分野の競争というのは世界で今非常に実は早いんですね。特に昨年、一昨年ですか、このマウスのiPSを山中教授が発表されましてから、アメリカの方でもう急速に研究が進みまして、日本でもしっかりこれはやっぱりやっていかなきゃいけないと。その中で、去年の十一月のニュースがあったわけでございまして、我々もオールジャパンでこれは取り組まなきゃいけない研究だというふうに考えておりまして、総合科学技術会議、これは総理が本部長でございますから、総理のリーダーシップもいただきまして、そして研究を加速していくということを今考えておりまして、現在御審議をいただいておるわけでございますが。  この予算が成立をいたしましたらすぐ再生医療の実現化プロジェクトというのを立ち上げるということで、既に二月二十九日に四つの拠点を発表しております。京都大学、そして慶応大学、東京大学、あとは理化学研究所ですね、この四つを核として連携を図りながら全国にネットワークを広げていくと。こういったことで、オールジャパンの体制をとにかくつくり上げて、この研究で、日本発の研究でございますから成果もとにかく日本が上げるんだと、こういう意気込みで頑張っているところでございます。
  80. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございます。  この間来られたときに、山中先生が、マウスでやった論文を出さなければもう自分一人でできたのに、しかし大学、研究者やっていますと、何年かに一回かは論文出さないと、こういう率直なお話も聞かせていただいたわけでございます。  そこで、今、文科大臣からもお話がありましたが、オールジャパンで、総合科学技術会議総理が議長になられてやっておられるということでございますが、この担当大臣の岸田大臣にもこのオールジャパンの体制についてお伺いしたいと思います。
  81. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のiPS細胞研究ですが、例えばこの予算面におきましても、政府全体として取り組まなければいけないということで、平成十九年度、政府全体のこのiPS細胞研究への直接支援の予算、六億円でございましたが、平成二十年度は総額三十一億円の予算を計上しております。そして、このiPS細胞への直接の支援ももちろん大切ですが、この関連の再生医療研究、ES細胞を始めとする関連研究、これも重要だということでありまして、政府全体で平成十九年度三十三億円、これを二十年度は七十二億円ということで、予算を大幅に積み上げましてこの支援体制をつくっているところでございます。  そして、このiPS細胞研究につきましては、総合科学技術会議でこの研究を円滑に進めるための環境づくりを早急に進めるようにという総理の指示をいただきまして、この総合科学技術会議の中にiPS細胞研究のワーキングチームを立ち上げました。一月十日にこのワーキンググループ立ち上げまして検討を開始しまして、今日まで三回、このワーキンググループ開催をいたしまして、二月の二十六日にこの中間取りまとめを行ったところでございます。  そして、この中間取りまとめの内容としまして、まずはこの当面の措置として、京都大学山中教授を中心としました円滑な共同研究を行うための体制整備を行うということ。そして、将来の構想としましては、全国の関連研究者が協力して研究を行えるような包括的な研究組織をつくらなければいけないということで、平成二十一年度のなるべく早い時期にこうした組織を立ち上げるということ。さらに、そこにおけるライセンスの一括管理等の知的財産権を戦略的に管理する体制を整備するということ。さらには、臨床研究の進め方として迅速な指針や基準を整備するということ。こういった内容をこの中間取りまとめの中に盛り込んでおります。今後は、この中間取りまとめを踏まえまして、六月ごろをめどに全体的な推進方策を取りまとめるということにしております。  この内容を見ていただきましても分かりますように、基礎研究ですとか臨床研究ですとかあるいは知的財産権ですとか、盛り込まれております課題、省庁におきましても、文部科学省、厚生労働省あるいは経済産業省、幅広い省庁にまたがる課題でありますし、様々な分野にまたがる課題でございます。是非こうした課題に対しましてオールジャパンの体制をつくりまして、日本が世界をリードしているこの研究分野、国際的にも大変激しい競争が今展開されております。是非後れを取らないように日本の体制をしっかりと整備していきたいと考えております。
  82. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございます。  今、大変大事なポイントが幾つかあったと思いますが、これ、iPS細胞からどういうふうに最後は治療につながるのかというところがなかなかぴんとこないこともあるわけでございますけれども、まず細胞をつくって、その細胞を集めるわけですね、細胞をつくって、その細胞が例えば腎臓とか肝臓になって、それを移植すると。元々自分の皮膚から取った細胞ですから不適合というのはないと。私も聞きかじりですが、私も随分細胞たくさん余っていますので幾らでも作れるんじゃないかなと、こういうふうに思って明るい気がしたわけでございますけれども。  まあ冗談はさておいても、今、岸田大臣がおっしゃられました知財というのが非常に大事だなと。実は、先ほど山中教授とお話ししたときも、もう既に、いろんな外国の企業も含めて、こういうものはもう売らないかというオファーがいっぱい来ている、こういうふうにおっしゃっておられました。  経産大臣、特許でございますからちょっとお伺いをしたいんでございますが、この医療の関係の特許、医療方法ですとか遺伝子そのものとかいろいろあるんでございますが、日米欧の三極でなかなかこの分野、ハーモナイズが難しい分野だというふうにお伺いしておりますけれども、どういうふうな特許の仕組みになっているのか。また、我が国においてもこの分野で今までどういう御検討があったのかをお聞かせいただきたいと思います。
  83. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 作り出したもの自身は当然特許でありますけれども、いわゆる医療方法ですね、人間を手術をする、治療をする又は診断する方法、これについて日米欧での取扱いは随分異なっております。  アメリカはこうした医療方法自身を特許として認めております。ただし、医師や医療機関に対しては不適用ということでありますから、特許侵害に問われないと。EUの場合は、この医療方法、人間に対するものに対してもあるいは動物に対するものに対しても特許とはなりません。日本はその中間とも言えるんでしょうか、人間に対する医療方法については特許にならない、動物についてはなるということであります。  それから、今までどういう検討がなされてきたかということもですか。
  84. 林芳正

    ○林芳正君 はい。
  85. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) この問題につきまして、平成十四年から十五年にかけては産業構造審議会で、それから平成十五年から十六年にかけましては知的財産戦略本部の専門調査会においてその是非が検討されてきたところであります。  そこで、医療現場への影響などを考慮しまして、現状を維持すべきであるとの結論が付けられたというところであります。
  86. 林芳正

    ○林芳正君 今の特許のところは大変大事だろうなと、こういうふうに思いますのは、先ほど、細胞を集めてつくって、そして器官をつくって、最後、その器官を移植する。この器官をつくってそれを移植するところは手術でございますんで、ここの部分の特許というのが早晩出てくる。そうしますと、そこはアメリカでは特許は取れていて、せっかく山中教授がつくったのに、最後の手術のところは日本では特許は取れない、こういうことになってしまわないうちにいろんな検討を進めていく必要があるんではないかと、こういうふうに思いますけれども、そのことに関連して文科大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  87. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 林委員は非常に知財も詳しいというふうに私は承知をいたしておりますが、まず今回のことに関して今一番最初にやらなければいけないのは、基本特許を既にマウスで提出をしておられます、アメリカに対してですね、これが審査請求が今年の六月ぐらいだというふうに聞いておりますが、これに関してしっかりと支援をしていくことが大事だというふうに考えております。  また、研究体制という意味では、先ほど言いました四拠点、この中では無償で自由に使えるような仕組みをまずつくる、そしてそれから将来、関係機関にオールジャパンで広げていくような仕組みをこれもルールを決めていかなきゃいけないというふうに考えております。  先ほど甘利大臣がお答えになった日米の違い等々については、少し時間をいただいて、こういった問題意識を持って、今委員から御指摘をいただいた問題も含めて更に検討していかなきゃいけないと思いますし、これは総合科学技術会議も含め、関係府省とよく連携を図りながら、今後、このことに関して何をすればいいか、そのことを考えていきたいというふうに今日のところはお答えをさせていただきます。
  88. 林芳正

    ○林芳正君 是非、関係大臣、一緒になっていただいて戦略的に検討を進めていただきたいと、こういうふうに思います。  我が国でつくったものをアメリカの特許を同じようにアメリカの方と同時に取ってしまえばいいと、こういうことは言えるわけでございますが、なかなかやっぱり英語でアプライして向こうの専門家の連中と同じぐらいのエフィシェンシーでもって我が国から特許を取りに行く、なかなか大変だというふうに聞いたこともございますので、できれば制度そのものもなるべくハーモナイズをしていく方向で御検討をお願いしたいと思います。  こういうような非常に夢のある技術ができたときの対応とか、それからこういうことをやってくれる人をどんどんつくっていく、これ大変大事なことだと、こういうふうに思っております。  山中先生は、この間お聞きしたら、自分は最初は社会人としては整形外科医だったと。しかし、これは本人がおっしゃっていたんですが、いろいろ手術をやったら自分が下手だということが分かったというんですね、手術が。それで、やっぱり整形外科医としてよりもほかのことで何か社会に役に立つことがしたいと思ったのがこの研究のきっかけだったと、こういうふうにおっしゃっておられましたので、そういう、お医者に一回なった人がこういうふうに行くと、流動化して、いろんな人がいろんな経験を積んでいろんな帽子をかぶりながらこういうことにたどり着くという、いろんな人材の流動化、これ大変大事なことだと思っております。  実は、手前みそでございますが、我が党でいろんなそういう検討をしまして、今研究者とかそういう方々の人材の流動化や、若手やポスドクや女性といった方々の重用ですとか、それから全体の政府の人件費改革というのを、これも私も加担をしておりましたのでなかなか文句が言いづらいところあるんですが、これが一律に科学者や研究者にも掛かっていると。これでは、そういう優秀な方をどこかから引っ張ってきてとか、海外留学して連れ戻すと、中国ではウミガメなんていっていますけれども、なかなかそういうこともしにくいと、こういうところを包括的に立法でもって穴を空けて、どんどん流動化させて、山中さんのような方がどんどん出てくるような仕組みにしていこうと、こういう検討を実はやっておるわけでございますけれども、こういう方向性について文科大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。
  89. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) たしか前回もこの御質問をいただいたと記憶をいたしておりますが、今、林委員が中心になって検討されている、仮称は研究開発促進法というんですかね。
  90. 林芳正

    ○林芳正君 強化法。
  91. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 強化法ですかね、この法律というのは大変大事な法案であるというふうに考えております。  実は、これは私が党にまだおりますころにいろいろといろんな方にお願いをして、そして、その後、林委員が中心になってお進めをいただいておるというふうに聞いておるわけでございますが、一言で言いますと、日本の持っている力といいますか研究開発力をより総合的に発揮するために、より強力に発揮するためにどういう研究体制をつくったらいいか、どういうシステムをつくったらいいか、そういった観点からの法律だというふうに考えておりまして、世界各国の知の競争時代における現在の研究開発の在り方を考えたときに、やはり我が国もしっかりとした研究体制というものをつくっていかなきゃいけない。  一方、先ほどからいろいろと議論が出ておりますが、財政再建ということもありまして、科学技術の予算というのも結構苦しいわけでございまして、そういうことを考えますと、これをより有効に利用していくためにも制度を非常に使いやすくして、そして、例えば民間の資金の導入をしやすくするとかそういったことも含めて、総合的に総合力が発揮できるようにしていくためにこの法律は非常に大事であるというふうに考えているところでございまして、是非これからもこういった法律を通じて研究開発力の強化を続けていくことが成長力につながり、ひいては、先ほどから、これは経済財政諮問会議議論もございましたけれども、日本の社会が持続的に発展をしていくと、そういう意味においても非常に重要なことであるというふうに考えております。
  92. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございました。  同趣旨の御質問でございますが、今文科大臣からもありましたように、アメリカでも中国でも、同じように立法して予算の確保、そしてシステムの再流動化といったものをやっておるところでございますので、全般見ておられます岸田科学技術政策担当大臣のこの法案に対する所感をお伺いしたいと思います。
  93. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 今お話がありました、この議員立法が検討されていること、まず大変心強く思っております。  今アメリカあるいは中国の話も出ておりましたが、例えば昨年八月にはアメリカにおきまして競争力強化法という新しい法律が成立をしました。また、昨年末には中国におきまして科学技術進歩法という法律が改正をされました。  この中身、見ておりますと、例えばアメリカのこの競争力強化法の中身、従来、アメリカにおきまして、この科学技術においてはライフサイエンスの部分に大変巨額の支援が投じられていたわけですが、それに加えまして物理とか工学分野、要はこの物づくりの分野にも予算をしっかりと投入しようという戦略が盛り込まれておりますし、あるいは理数教育の強化ですとか、あるいはハイリスク研究を促進する、こうした内容が含まれています。  また、中国の改正科学技術進歩法の中を見ますと、国費に基づく知的財産権の見直し、要は中国版バイ・ドール法と言われる内容を含んでいるとか、やはりハイリスク研究、あるいは中小企業税制優遇、こんな内容もありますし、さらにはこの御指摘ありましたウミガメ政策、要は海外における優れた研究者を是非本国へ帰国させるような優遇策、こういった政策もこの法律の中に盛り込んでおります。  いずれにしましても、アメリカ、中国、それぞれ将来を見据えた戦略的な科学技術研究体制を構築するために法律を整備しているという動きを見ることができるんではないかというふうに思っています。  資源が乏しく、少子高齢化が進む我が国において、是非この科学技術研究体制、しっかりと構築していかなければいけない。その際に、今御説明がありました議員立法、人件費改革等によって人材交流ですとか優秀な研究人材を確保する、こうした将来を見据えた議員立法の意味、大変大きいというふうに考えております。  総合科学技術会議におきましても、昨年六月に閣議決定されました長期戦略指針、イノベーション25という戦略指針に基づいて開発力、研究力の強化に取り組んでいるところですが、そういった考え方ともこうした議員立法の考え方、軌を一にするのではないかというふうに考えております。
  94. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございました。  是非精力的に進めていただきたいと思いますし、こういう分野は、先ほどのスウェーデンの年金ではありませんけれども、与野党ない分野でございますから、与野党一緒になっていい法案を作っていきたいと、こういうことを申し上げさせていただきたいと思います。  午前中の時間があと数分でございますので次の話題に入らせていただきまして、午後の予告編ということで、今度新しく新前川レポートというのを出されるという報道がございました。また、午後の残った時間でゆっくりとお聞きをしてまいりたいと思いますが、新前川レポートというのは、前、前川レポートがあったということでございまして、そのことを覚えている私も随分年を取ったなと、たしか八五年ぐらいだったと、こういうふうに思いますけれども。  新しい、この前川レポートに匹敵するような、包括的な日本経済社会構造の行き筋を考えると、こういうことだろうと、こういうふうに思いますけれども、この新前川レポートを作ると、「構造変化と日本経済」専門調査会と、こういうふうに言うそうでございますが、この専門調査会の目的と、それから今後どういうスケジュール、間隔で御議論をされていかれるのかということを大田大臣にお伺いしたいと思います。
  95. 大田弘子

    国務大臣(大田弘子君) 日本経済はバブル崩壊後の長い低迷を抜け出したところでございますけれども、この間に世界経済は大きく変わりました。ここで世界経済日本経済の構造変化というものを点検しまして、日本経済がこれから質的にどう変わっていけばいいのかということを考えたいと、これが専門調査会の趣旨でございます。大きい検討課題としまして、次の四つを考えております。  一つは、世界経済の構造変化、それから資金の流れの変化の中で日本が直面する潜在的なリスクというのは何かと。それから二つ目、世界経済とともに成長していける経済構造というのはどういうものか。それから三点目、企業と家計の間で好循環が形成されて内需が厚みを増すための成果配分、これはどうあればいいのか。それから四点目、世界経済の中で、それからアジアの中で日本経済が果たしていく役割は何かと。この四点が大きい検討課題でございます。  今後のスケジュールですが、月二回程度のペースで調査会を開きまして、今年の六月をめどに報告を取りまとめたいと考えております。
  96. 林芳正

    ○林芳正君 詳しくはまたその御議論をしていただいてからと、こういうふうに思いますが、今大臣がおっしゃった企業と家計というのを聞いておりまして、私、政務次官のころですから九九年から二〇〇〇年にかけて日銀の政策決定会合に出ておりましたときに、企業まで来たから、あとはダムから水が流れるように家計に行くんですという御主張で実はゼロ金利を解除されたということがありました。政府側はまだまだ早いんではないですかということで議決延期請求権を出したことがあったわけでございますが、その後のたどった道は御案内のとおりで、またゼロに戻ったということでございますけれども。  企業と家計の間というのが、ぱっと思い付くのは、今春闘やっていますけれども、給与なんでございますが、これは午後に御質問をしたいと思いますけれども、企業と家計の間は給与だけではなくて配当という道があるんではないかと、こういうふうに思っております。  イギリスの例だったと思いますけれども、働いていらっしゃる方が自社株を持つ、また、ほかの会社の株を持つことによって、経済全体が良くなると、労使の分配ということではなくて、働いていらっしゃる方がある意味では資本家としてその果実を配当として受け取っていると、こういうことを聞いたことがございますけれども、まさにそういったことを、今からどういう方向に行くのかということを深めながら御議論をしていただきたいと思いますけれども、そのことについてお聞きをして、午前中はここで止めたいと思いますが、大田大臣、いかがでございましょうか。
  97. 大田弘子

    国務大臣(大田弘子君) 企業と家計の循環というときに、一つは賃金を通した循環という、これがございます。もう一つは、金融資産をめぐっての循環ということがあるだろうと思います。  一回目の会議におきましても委員から、まだ個人の金融資産が十分に活用されていない、これは世界の資金循環の中でも優先度の高い課題であるという御意見、あるいは、イギリスは今十五年に及ぶ景気拡大しておりますけれども、そのかなりの部分は金融部門が支えているといったような御議論がございました。  具体的にはこれから専門調査会で議論していきますが、海外の事例も参考にしながら、この千五百兆円を上回る家計の金融資産が日本にどういうチャンスをもたらし、あるいはリスクをもたらし、それが経済成長にどうつなげていけるかということを考えていきたいと思います。
  98. 林芳正

    ○林芳正君 もう少し御講義を聞けると思ったんですが、割と短かったんで私からちょっと申し上げたいと思いますけれども、やはりこの間も空港の外資規制の問題で随分政府・与党でいろいろ議論がありました。あの議論も、考えてみれば、せっかく日本で働いた労働の対価が資本である外資に持っていかれてしまうんではないかという、反対をおっしゃる方の中にはそういう議論もあったように思いますけれども、この企業と家計の関係を給与だけではなくて配当ということにしていきますと、別に資本がだれであろうと配当がそこへ戻るということであれば、その辺の問題は、実は二つ並び立つ、対立ではなくなる、こういうこともあるんではないかと、こういうふうに思うわけであります。  各国の株式市場でどれぐらい外人投資家がいて、国内投資家がいて、どれぐらいが流通しているかという資料がなかなかないんではないかと、こういうふうに思いますけれども、やっぱりいろんな数字を聞きかじりますと、我が国の株式市場というのは、そういう外からのお金の率が非常にストックベースでも、またフローの取引ベースでも大きいと、こういうふうに言われております。  ですから、このことを昔から、間接金融から直接金融へと、また四〇一kをつくって年金の資金も持っていこうと、いろんなことをやってまいりましたけれども、なかなかこのエクイティーの方にお金が流れていかないというのが現実であろうかと、こういうふうに思っておるわけでございまして、これは御通告しておりませんけれども、こういうことも考えながら今後御議論をしていただきたいと、こういうふうに思いますが、大田大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  99. 大田弘子

    国務大臣(大田弘子君) 御指摘のとおりだと思います。  千五百兆円が全部国内で運用されているわけではありませんで、海外に一度出ていって、そこでリスク資産に転換されて日本に入ってくる、日本の投資資金として入ってくるということがございます。これは、やはりそこにビジネス機会も失われているわけでございますし、千五百兆円の金融資産が存分に生かされていないということでもありますので、この点は重要な議論の材料だと考えています。
  100. 林芳正

    ○林芳正君 午後もこの新前川レポートについてもう少し、十一の論点というのを、先ほど四つおっしゃいましたけれども、それを更に細かくブレークダウンされておられますので、そのことについて更に質疑を深めてまいりたいと思います。  そのことを申し上げて、午前中はここまででやめさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  101. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  102. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成二十年度総予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。林芳正君。
  103. 林芳正

    ○林芳正君 お疲れさまでございます。午前に引き続きまして質疑を続けさせていただきたいと思います。  少しお昼御飯の前に予告編をやりましたけれども、新前川レポートについて今度新しく作られるということでございますので、質疑をしてまいりたいと思います。  経済財政諮問会議の下に「構造変化と日本経済」専門調査会ということでつくられまして、先ほど大田大臣からは大体六月を目途にと、こういうお話でございまして、四つの大きな論点があるという御説明もいただいたわけでございます。いただいた資料を見ますと、更にこの四つを細かくブレークダウンをされまして、この四つを十一の論点に更に分けられております。これは検討事項ということですから、今からのお話だということだと思いますけれども。  私はここで大変いいなと思いましたのは、この十一の論点の中でいろいろ書いてあるんですが、欠けている論点はないかということがまず入っている。大体こういう文章ですと、これでやろうというとなかなかそういう発想がないんですが、これは最初からたたき台で、ここにないものは是非足していきましょうと、こういう姿勢があるというのは非常にいいことではないかなと思いますし、それから、複数の重要な論点をつなぐ、あるいはそれらの根底にある基本的な課題は何かということで、少し層の違った御議論もしていただけると、こういうようにこのペーパーから読み取れるわけでございます。  そこで、せっかくこの紙をいただきましたので、この紙の中でいろんなことが書かれております、十一の論点について書かれておりますが、その中で、先ほど来吉村先生からもありました雇用形態の格差のひずみというような論点があります。この紙でいいますと五番目でございますが、ダイナミックに成長しつつ雇用形態等による格差のひずみを小さくするには、人材育成に加え、経済構造をどのように改革すればよいかと、こういう論点で、これはまさにそのとおりだと思うんでございますが、先ほどの、足らないものがあれば言ってこいと、こういう話があったものですから、この十一の論点の中でこういう格差とかひずみというのはここだけなんでございます。  それで、先ほどから私も地域の経済のことを取り上げてまいりましたが、雇用形態だけではなくてやっぱり都市と地方格差、これについてもこの「等」で読んでいただきたいなと、若しくは更に強調、明示的に書いていただきたいなと、こう思うのは、どうしても改革をしていくから陰とひなたということが出てくる。前から元々条件が不利なところがあると、地域には、思っておりまして、それは端的に一つだけ言いますと、人口の集積規模なわけでございますから、土地の値段にもそれは影響するし、例えばもっと分かりやすい話でいうと、私は下関という人口三十万人のところにおりますが、大体中華料理屋とイタリア料理ぐらいはやっていけるんでございますが、さらにインド料理とかパキスタン料理とかトルコ料理ぐらいになるともうやっていけないんです、三十万都市では。まあ東京ではそういうところもある。  こういうような元々の条件の違いというのがございますから、都市と地方格差というのも是非この論点の中に入れていただきたいと思いますが、大田大臣の御所感をお伺いします。
  104. 大田弘子

    国務大臣(大田弘子君) 一回目の会合では、その十一の論点で欠けているものあるいは特に重要なものを御議論いただきました。都市と地方につきましては、今先生が挙げていただいた雇用形態等による格差のひずみを小さくするにはというところに含まれております。議論の中でも大都市と地方という地域の観点が重要だとか、地域間の格差が出ている中で地域の多様性を生かすべきだといった御意見が出ております。  そこで、明示的に地方というのを入れませんでしたのは、都市と地方の問題というのは格差という観点だけではなくて、まさに経済構造全般にかかわってまいります。例えば、国際化という点でも、日本地方と世界の地方が結び付くローカル・ツー・ローカルということも重要ですし、あるいは日本の魅力をつくっていくと、ソフトパワーという意味でも地方の資源というのは大事なんだと思います。  それから、今先生がお挙げになりました、サービス産業が中心になればなるほど人口の集積というものがかなり大きなかぎになってまいります。首都圏三千万人いますと、一%の好みだけで三十万人の需要ができるということは、もうパキスタン料理、インド料理に限らず多様なサービスが生まれるということで、じゃ、地域に根を張るサービス産業がこれから人口が減る中でどういう、伸びていけばいいのか、例えばチェーンをつくるとかIT化でつながるとか、そういったことにも関係してまいります。そういう意味で、地方の在り方というのは全般にかかわる大きい問題だと考えております。そのような意見は議論の中でも出てきております。  今後、都市と地方の在り方を含めて、経済構造というのをしっかり考えていきたいと思います。
  105. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございます。是非その方向でお願いをしておきたいと思います。  それからもう一つ、先ほど家計と企業の話はもういたしましたので、それ以外に論点の中で、この番号で言いますと九番というのがございます。「グローバル化などの環境変化に適応し、迅速に制度を設計・構築する力をいかに高めるか。」と。この「制度を設計・構築する力」というのは、今までは余りこういうものには出てこなかった新しい点かなとも思いますけれども、多分聞かれている方は何のことかなと思われると思いますが、私は私なりに、これはやっぱり立法府とか行政府とかの話なのかなと、こう思って読ませていただきました。  さっきのiPSの細胞の話でも、ああいう新しい技術ができたときというのは、それに対して、じゃどういう規制を一緒に促進とともにやっていくかという規制も一緒につくっていかなければいけないという側面があるんではないかと思いますけれども、そういうことは今まで余りやったことはないところでございますし、意思決定のシステムも含めてこの論点というのは大変重要な論点ではないかと思いますが、その意味も含めて大田大臣にお伺いしたいと思います。
  106. 大田弘子

    国務大臣(大田弘子君) 規制も含めて、法制度の設計の仕方というのは国によって考え方も歴史も違うんだと思います。いろんなことを考えて、熟慮して考えて、つくったらしっかり守るという考え方もあるでしょうし、迅速にとにかくつくってあとはどんどん改良していくという考え方もあるんだろうと思います。こういう変化の激しい中では、そのどちらかというよりも、なるべく迅速により良いものをつくっていく体制を考えていかなきゃいけないと。そうしませんと、法制度も企業組織も対応が遅れてひずみが出てくるということが起こります。  今、世界的にも制度の競争力ということが言われておりまして、魅力ある国になるための国としての総合力も問われております。そういう中で、改めて制度の設計の在り方、プロセスといったものを議論したいということで論点に掲げた次第です。  やはり政府部門と民間部門が一緒に取り組むということも必要ですし、先生御指摘のように立法府の役割というのもこういう中で大事になっていくと考えております。
  107. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございました。  走りながら考えるということをよく言いますけれども、やっぱり迅速にやる。その場合に、もし何か後でデフォルトがあれば直しながら行くと、こういうところを少し許容しないと、どうしても、詰めに詰めて、もうどこにもデフォルトがないというところまで待つというのがどちらかというと今まで我々のシステムだったような気がいたしますので、是非論点を深めていただきたいと思います。  それからもう一つ、先ほど、ここにない論点ということで言いますと、移民といいますか、外から外国人を例えばゲストレーバーで連れてくる、また移民として日本人になっていただくという論点もいろんなところで議論されておられますが、この論点の中にはちょっと見当たらないような気もいたしますけれども、その辺りはいかがでございましょうか。
  108. 大田弘子

    国務大臣(大田弘子君) 成長のかぎは人材ですので、一回目の議論でもその御意見たくさん出ましたし、私もそのように思います。  グローバリゼーションが進展する中で日本がどう伸びていくのかと、そのときやはり労働力が減っていくということはございます。しかし、その労働力が減っていくから単純に労働力を海外から持ってくるという、そういう簡単なことではありませんので、すぐにそちらに議論を持っていくということではなく、日本の中で人材をどう生かしていくかという視点が大事だと思います。  この観点からいいますと、議論の中でも、海外から高度な人材、高等人材を、今もう世界中でもその高度な人材をどう招き入れるかを競争している時代だというような御意見が出ました。高度な人材に入ってきてもらって、そして、私どももそれに刺激を受けながら切磋琢磨して良いものを生み出すということが大事でしょうし、日本の中でも国際的に通用する人材を育てていかなきゃいけないという論点があるかと思います。  いずれにしましても、この人材というのは、論点の中に明示的にはありませんが、もうまさにベースとなる、まさに議論のベースだと思いますので、世界経済のダイナミズムをどう受け入れていってより良い経済にしていくかという観点から、この人材については恐らく毎回のテーマで出てくる話だろうというふうに思っております。
  109. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございました。是非、大臣のリーダーシップで議論を深めていっていただきたいと思います。  それでは、最後になりましたけれども、これも地味と言う方もいらっしゃいますけれども大変大事な話でございまして、総理総理になられる前から取り組んでこられたということを私も承知しておりますが、公文書管理の問題であります。  日本書紀、古事記の時代からいろんなものをきちっと保管しておくということはいろんな意味で大事なことであります。ちなみに、古事記は古事記伝を本居宣長が書くまでずっとほうっておかれたと、こういうことでありますが、やはり政府の文書をきちっと保管をして、何かあったときはきちっと外から言われても中から言われても対応ができるようにしておく、大変大事なことだと思います。  上川大臣がこの担当大臣に任命をされたとお伺いしておりますが、上川大臣の公文書管理担当大臣としての所信をお伺いしたいと思います。
  110. 上川陽子

    国務大臣(上川陽子君) 去る二月の二十九日に、福田総理から公文書管理の担当大臣を拝命をいたしました。その際、総理からは、公文書の管理、保存をしっかりと整備をするということは内閣としての重要施策でございますし、その意味で全力で取り組むようにという御指示をいただきました。  政府の活動や、また歴史的な事実を正確に記録をする、その記録は私は国民にとって大変貴重な共有財産であるというふうに思っております。そして、その記録を公文書として管理、保存をすることは大変大事なことでございますし、また、それを広く国民皆様に御利用していただくということは国の責務であるというふうに思っております。  重要な政府の意思決定に際しても、この公文書をひもとき過去から学ぶという謙虚な姿勢で意思決定をしていくことは大切でございますし、また、現在生きている国民皆さんはもちろんのことでございますが、未来に生きる国民皆さんに対して様々な意思決定にどう取り組んできたのか等についての記録をしっかり持っていただくということは、説明責任を将来に向けても果たすという意味で大変大事なことであるというふうに思っております。その意味では、ある意味で民主主義の礎としての公文書の役割はこれからますます重要になると思いますし、同時に、過去とそして現在、未来をつなぐ極めて大切な社会的基盤、インフラではないかというふうにも思っているところでございます。  海外を見てみますと、それぞれの国の特徴を生かしながら公文書が今に息づいている国がたくさんございますし、また最近で見ましても、電子化やまたグローバル化が進みましてデジタルアーカイブス化の動きを急速に進めている国々がございます。  また、地方を見てみますと、林先生の御地元であります山口県やまた下関市は、地方公共団体の中でも先駆けて公文書の整備に取り組んだ地方自治体の一つでございまして、そして最近では、特に平成の大合併の機運を受けまして、それぞれの自治体が過去をしっかりと残し、また新しい自治体として再出発をするためにそのよりどころとなるものをつくり出そうと、こういう機運も高まっているところでございます。そういう意味では、そうした海外の、あるいは地方の方との連携もしっかり取りながら進めていくことが大切ではないかというふうに思っているところでございます。  私は、こうした考え方にのっとりまして、公文書管理法制及び歴史的な公文書の保存体制の確立に全力で取り組んでまいりたいと思っております。  昨日、公文書管理の在り方等に関します有識者会議の初会合が開かれまして、有識者の皆様から数々の貴重な御意見を賜ることができました。昨日が第一回目ということで出発点でございますが、今後、結論の取りまとめに向けまして精力的に頑張ってまいりたいというふうに思っております。
  111. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございました。  私も山口県や下関がそんなに進んでいるとは知らなかったので、大臣、教えていただいてありがとうございました。  まさに今、上川大臣が民主主義の礎と、こういうふうにおっしゃいましたけれども、その礎石を、最初の石を置かれたのは私は福田総理自身だろうと、こういうふうに思っております。  そこで、最後に、福田総理にこの公文書管理について、また全般について御所見、御決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  112. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 公文書、要するに政府が作った文書、これ様々なものがあるわけですけれども、例えば法律を一つ作るというときには法律の生成過程、記録があるわけですね。何のためにこの法律作ったのか、どういうところが問題になったのかというようなことが記録として残されているというのは、法律というのはいったん作りますと五十年やそこらずっと続くわけでございますから、もっと長いのもありますけどね、そういう性質のものですから、さかのぼってその法律の生成の事情、理由等を調べなければいけないという、法律作成の趣旨、それを知りたいという、知らなければいけないというときもあるんだろうというふうに思いますよ。憲法なんかまさにそういうふうなことでいろんな議論があるわけでありますけれども。  ですから、そういう法律を作る過程、若しくは法律を作ろうとしたときからの法律を作成するまでの間の準備期間とかいったようなものも含めてこれは貴重な、私はなければならない記録であるというふうに思っています。そういうものがきちんと残るような国であってほしいと、それはまさに今、上川大臣が言われたように、後世に残す我々の責任であるということであります。  そんな大きなことを言わなくても、今、時々記録がなくておかしいじゃないか、記録が紛失しちゃった、処分しちゃったみたいな話も、(発言する者あり)そうですよ、年金もそうですよ。国によっちゃ年金記録をきれいに残しているところもあると思いますよ。そういうような政府に対する疑念を生じさせるようなことであってはやはり良くないんではないかと、国民には真実を知らせると、こういう義務があるんだと思いますね、我々にはね。  そういう観点からも記録をきちんと整理し残して、そしていつでもそれが国民の目に触れることができるように、これは外交文書とかそういうものは除きまして、機密文書は除きまして、そういうものが目にすることができるような、これは文書の存在とそれからそれを見てもらえるような施設が必要だというのが私の考えでございまして、この重要性というものを考えましてこの問題に取り組んでまいったという経緯ございます。  今申し上げましたような必要性というものを感じまして上川大臣に検討していただいている。法制化しようと、政府に、各役所において扱う書類をどういう範囲で、どの部分を保存するか各役所でもって決めております。五年保存、十年保存とかいうようなことを決めておりますけれども、それをもう少し全省庁統一的な観点から、もちろん各省庁の案件の内容によりましてその長さとかそういうものはありますけれども、そういうものを統一して、そしてそれを一か所に集められるような、そういうことに、制度にしていきたいというのがねらいでございまして、なるべく早くこの法制化を実現しなければいけない、来年の通常国会には成立するようにさせたいというようなことで、鋭意今検討していただいておるというところでございます。
  113. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございました。以上で終わらしていただきます。  ありがとうございました。
  114. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 関連質疑を許します。脇雅史君。
  115. 脇雅史

    ○脇雅史君 自由民主党の脇雅史でございます。  ここで質問をさせていただくに際しまして、改めて考えてみました。今まさに二十年度予算案を国会審議始めたわけでございますが、予算案を国会審議するということの意味は一体何なんだろうかということをちょっと考えてみたわけであります。衆議院での御議論等を伺っておりますと、国会は言論の府でありますから、お互いに野党、与党、いい知恵を出し合ってより良い予算案を作ればいいじゃないか、そんなような意見をお持ちの方もお見受けするんですが、私はちょっと違うんじゃないかなという気がしております。  実は、予算というのは、申すまでもないんですが、政府にしか提案権はございません。そして、実は予算というのは大変な時間と人手を掛けて作ってくるものなんですね。毎年毎年、国会予算審議終わりますと、すぐ次の年の予算の準備に掛かって、多分何万人という人の手を経て、多くの議論を経て、そして予算案として国会に提出されます。それを国会で議決をして、政府・与党は責任を持って実行をして、その実行をした結果を国民皆さんに問うわけです。  よくマニフェストという言葉がありますが、あれは選挙のときの政策の約束事でありますが、言っては悪いんですが、絵にかいたもちみたいな部分があるわけでありますが、まさに予算というのはもちそのものなんですね。政府・与党の政策の集大成、命なんです。ですから、軽々になかなか話をして変えるというような性格のものではないと思いますし、あくまでも実行責任、政府にあるんですから、きちんとした格好で提案をして、そして実行をする、それが務めだと思っています。  ですから、仮にこの予算案を野党と協議をして修正をするとどういうことになるか。ちょっと困るんですね。野党が修正をするということになりますと、その予算について連帯責任を負うことになるんです。共同責任を負っちゃうんですね。そうすると、次の選挙で、国民皆さん方が今の政治はどうなんだろうかと、投票をするときに与党と野党が一緒になっちゃうんですよ、両方責任を持っちゃうんですから。  これは実は、まあ少々の修正はいいんですけれども、大連立なんじゃないか。政策協定という部分もありますが、一部の政策協定から行くところまで行けば大連立になるんですね。私は連立は別に否定するわけではありませんが、その意味において予算というのは非常に修正が難しい。さっき、今意見ありましたけれども、だったら何で議論しているんだという意見はもちろんあるわけです。  そこで、与党の役割、国会審議における与党の本分というのは何だろうかと。これは、国民皆様の前に、大変な人手と手間を掛けて議論をしてきた様々な課題について、こういうふうに考えたんだと、こういう問題点をこうしたんだということを国民皆さんの前に明らかにする、それが与党の本分だろうと思っています。  野党の本分は何だろうかと。野党は、予算案について、様々な問題があります、こういう問題があるじゃないですか、もし私たちが政権を持っていたとすればこういう予算にします、それを国民の前に明らかにする、それが野党の私は責任だと思っています。ですから、あくまでも野党は責任を持って、こうすべきだということを建設的に申していただきたいということを私は思っています。  いろんな考え方がもちろんおありなんでしょうけれども、このことにつきまして、財務大臣と、政府を代表して官房長官と、そして総理の御見解を賜りたいと存じます。
  116. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、脇委員がおっしゃるように、予算の提出権は内閣にあるわけでありまして、我々は内閣責任を持って国会に提出をさせていただきまして、国会の議決を経て、その財政の使い方、執行の力を得るという形が民主主義のルールだというふうに思っておりまして、今、我々はできるだけスピーディーに予算と関連法案を出させていただいて国会審議をしていただいているわけでございます。  衆議院では、これは長時間にわたって慎重に審議をして参議院送付をしていただいたと。我々はもっと早く審議が行われることを期待しておったんでありますが、今日からいよいよ本格的な審議でございますから、十分に議論をしていただいて、年度内に成立をさせていただいて国民の生活あるいは国民経済に混乱を起こすことがないようにしていただきたい。これは今、世界経済我が国経済もこれからその経済の軌道をしっかりとさせていかなければならない場面に直面をしているものでありますから、国会としての責任も是非果たしていただきたいというふうに思っております。  また、我々は、十分に議論の中で出てきた問題については今後の政策立案あるいは政策の執行の段階で生かさせていただきたいという謙虚な気持ちも持っているわけでございます。
  117. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 特に、野党の皆さん方が予算を入りと出と両方を出されると、これは一つのワンパッケージとしてのものであれば、それは私は意味のある対案なんだろうと思います。政府の方は、入りと出と、これはたまたま歳出は歳出予算、歳入は幾つかの税法という形で分かれているわけでございますが、しかし、それをトータルとして、一体として私どもは予算というふうにとらえております。  そういう意味からすると、歳出予算は通るけれども歳入の裏付けがないときどうするんだという、今、もしかしたら起きてしまうかもしれない事態というものを大変心配をしているわけでございまして、私としては是非、先般、両院の議長の裁定もあったわけでございますので、その趣旨にのっとって年度末に向けてこの参議院予算委員会でも御議論をいただき、入りと出と一体になってお決めをいただく。その間、いろいろな議論があるでしょうし、何らかの形でそれは与野党が一致すればということはそれはあるのかもしれませんが、基本的には私どもとしては歳入歳出一体として、それがワンパッケージとして合理性を持ったものと、国民生活に直結する重要なものとして御提示をしておりますので、是非とも三月末までに御決議をいただきたいと心からお願いをしている次第でございます。
  118. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 趣旨はただいま財務大臣、官房長官から申し上げました。  私も、この予算というのは今月中に通らないとやはり国民生活に間違いなく影響を与えることでございますから、是非、大分遅れましたけれども、これから真摯な議論をしていただきたい、そしてまた建設的な議論になってほしいと思いますよ。そしてまた、いい意見をいただければ我々は謙虚にそれを受け止める、そういう用意もございます。  ですから、もし御提案があるならばその内容について、民主党から御提案がありましたけれども、その内容について具体的に説明をしていただきたいということがございます。そして、そういう中で我々が耳を傾けなければいけないということについては、先ほど申しましたようにお聞きをし、そしてどういう形でそれが具体化できるかということはこれから考えてまいりたいと思っております。是非、建設的によろしくお願いしたいと思っております。
  119. 脇雅史

    ○脇雅史君 お三方から御意見をお伺いしました。若干私とは意見が違ったようでありますが。  なかなか予算案を修正をするということは私自身は難しいことではないかなというふうに思っています。それは、先ほど申し上げたような、連立というような方向につながってしまうのではないかということもあってなかなか難しいなと思っています。まあ中身によりけりでありますが。  今お三方から特に出ました中で三月中という言葉があったわけでありますが、予算というのは締切りがあるんですね。四月から年金を払ったり様々な給料を払ったり、国民生活に大変大きな影響があります。毎年四月一日から予算を執行しなければいけないのは自明のことでありますから、国会が通常国会の冒頭に何よりも予算審議を先駆けて重点的にやるというのは当たり前のことで、私はその締切りのある予算を三月中に審議をして結論を出すというのは国会の務めではないかと思っています。これは野党も与党も併せて責任があると思っています。  ですから、野党は、反対なら反対でいいんです、正々堂々とここが反対だということを国民の前に明らかにすることこそ意味があるのであって、予算の成立を阻むなんということは、これはゲリラみたいな話で、そういう意見を、結論を出さないというやり方は、私はある種国会が自分の責任を放棄していることにつながりかねない、そう思うわけで、何が何でも三月中にこれは審議をする義務があると、国民皆様の前にそう申し上げなければいけないと思っています。  よく、時間がないから、審議が足りないからとおっしゃいます。私は、その意味でこの二月の末に参議院に送られた予算が今日まで審議できなかったことを誠に残念に思うんですが、まだ時間はあります。これから、締切りがあるんですから、土曜日でも日曜日でもいいじゃないですか、夜でもいいじゃないですか、国民皆さんのために、締切りがあれば中小企業の皆さんでも、民間の皆さん、みんな一生懸命働きますよ。定例日だけなんということを言わずに、野党の皆さん、是非一生懸命審議をして結論出してくださいよ。  ただ、政府の皆さんはいろんな仕事もありますから土日大変だと思いますが、国会から要請があったら当然受けていただけると思うんですが、財務大臣、いかがでございましょうか。
  120. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 脇委員のおっしゃるとおり、やっぱり三月末までに予算を成立させていただかないと、失業保険のこととか様々な手当が出てまいりません。それから、地方交付税も第一回目の交付は四月の二日です。三兆数千億円のお金が地方に行くことになります。でありますから、そういう地方の自治体の皆さん方にも迷惑を掛けることになりますから、これはもう国民生活に直結した予算でございますので、そういう方向で是非御議論をいただきたいというふうに思っております。  先ほど官房長官からも話がありましたけれども、予算とその予算を裏付ける歳入法案について、税関連法案についてしっかりと議論をしていただかないといけない。これは常に表裏一体というか、全体の構想の中で一体的に賛成を得て執行されてきたわけでございますから、その慣例を破ることがないようにしていただきたいというふうに思っております。  私は、脇委員がおっしゃるように、国会の要請があれば、どんなに朝早かろうとどんなに夜遅かろうと、土曜日であろうと日曜日であろうと審議に応じたいと思っております。
  121. 脇雅史

    ○脇雅史君 ありがとうございます。  これで政府はいつでも受けていただけるわけでありますから、我々与党側としてもどんなときでもやりたいと思っておりますので、あとは野党の皆さんの判断だけでございますので、是非審議に御協力をいただきますようにお願いを申し上げておきたいと存じます。  さて、次に、財政規律ということについてお伺いしたいと存じます。  国といいましょうか、政府は、国民皆さんから貴重な税金を集めて、そして必要な公的なサービス、様々国民皆さんにお返しをするわけですね。そして、その公的なサービスというのはいろんな意味でお金掛かるんです。だからこそ税金を集めるんですが、その必要なサービスに見合ったお金を毎年集めなくちゃいけないんですね。これがまさに財政規律ということなんです。  この財政規律が今非常に緩んでいる。もう昭和五十年ぐらいからずっと赤字国債。平成の初め五年を除いて全部赤字国債使っているんです。家計でもそうですけれども、予算の段階で赤字覚悟で組むというのは、これは変なんですよ。決算の段階で、いろんな事故があったり地震があったり、様々なことがあってお金が足りないから国債を最後に発行しようかと、これはあり得るんですね、あくまでも予算というのは見込みなんですから。しかし、初めから赤字覚悟の予算を組むというのは、これは財政法上も御法度ですし、あってはならない。  しかし、我が国は様々な事情でこういうことになってきたわけでありますが、私はそれは大きな問題があると思っています。問題があると思わなければいけないんです。国民皆さんは、これは政府が悪いんじゃないかと思うんですね。もちろん、政府に責任はあると思いますが、実はこれは国民が借りているんです。今必要なお金を出さずにサービスだけもらう、一人一人にそういう意見があるかどうかは分かりませんが、トータルとしてはそういうことなんです。  そのことをきっちりと国民皆さんに理解してもらわなければいけません。そういう努力が足りないのではないか。赤字でいつまでもいいんだと、政治家国民もこれでは駄目なんだということをしっかり意識をすることが大事だと思っておりますんですが、財務大臣、いかがでございましょうか。
  122. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これだけの、国と地方合わせて八百兆円の赤字を抱えているわけでありますけれども、これはそれなりの時代背景があったということもあります。やっぱりバブル経済崩壊後、我が国経済が大不況に陥った、あるいはまた、九七、八年のころはアジアの通貨危機に見舞われて日本から金融恐慌を発出するんじゃないかという、そういうときに日本経済を沈没させてはいけない、金融恐慌の発信地となってはいけない、そういうところから財政的な出動、税的な措置等を行うことによってそういう危機を回避してきたという経過もあるわけであります。  その結果、大きな借金を背負うことになってきたわけでありますが、ようやく日本経済もいろんな要因に支えられて景気回復軌道に乗っているわけでございますから、我々は、したがって経済成長を目標とすると同時に、これまで積み上がった借金をどういうふうに返していくのか。我々の時代にこれはやっぱり整理をしていくのが日本人としての矜持であろうと私も思っております。  来年度予算でも、税収は五十三兆円余りでありますけれども、公債で、二十五兆円でそれを調達していただいて国民に対するサービスを行っているわけであります。税収の半分が公債発行に依存しているわけでございまして、この姿は決していいとは思わない。これは我々の子や孫たちにつなげていくことはあってはならないことであると。我々が我慢をしてこれは再建をしていく道筋をつくっていくことがなければならないというふうに思っております。国民の、それはおっしゃるように、貯蓄率が高くて千五百兆円の金融資産もある。そういう中から本当は企業等がこの資産を活用して経済活動に活用していけばいいんだけれども、その資産を政府が借りて国民のサービスを賄っているということは決して正しい姿とは思っておりません。  したがって、経済を早く軌道に乗せると同時に、借金も返していかなければならない、この二つの目標を同時に達成していくことが我々の、政府の目標であり、与党の責任でもあるというふうに思っております。
  123. 脇雅史

    ○脇雅史君 大田大臣、今の同じ質問で。
  124. 大田弘子

    国務大臣(大田弘子君) これまでは国内にかなりの貯蓄がありましたので、国債を発行してもそれを吸収してこれたと、経済に余り悪影響はありませんでした。しかし、高齢化が進むにつれて国内貯蓄がだんだんこれは減少するのは避けられないと思います。既に貯蓄率、落ちてきております。そうしますと、そこで国債発行が累増いたしますと、これは金利が上昇して民間経済に悪影響を与えるといったようなことも起こってまいります。  そういう意味で、これから先、後世代になるべく負担を残さないと同時に、経済に対しても悪影響を与えない財政の姿というものを考えていかなきゃいけないと思います。
  125. 脇雅史

    ○脇雅史君 国債を発行する、それは例えば日銀が引き受けるとか様々な手法があって、必ずしも国債を発行することが悪いことではないというのはまさにそうだと思うんですが、しかし、やはり財政規律というのは守らねばならないんですね、と私は思っています。  そして、何で日本がこれだけ赤字が続いているんだろうか。もしかして国民が公的サービス、これだけしてほしいというそのサービスレベルが高過ぎるのか、あるいは払うべき税金を払っていないのか、どっちなんだろうか、両方なんだろうか、そういう姿を先進国と比べてみて一体どうなんだろうかということを思うわけですが、そのことについて、大田大臣
  126. 大田弘子

    国務大臣(大田弘子君) 行政サービスの方が大きくて国債発行で賄う場合は、国債は将来世代まで負担をするということになりますから、現在の世代が使うものについてはなるべく現在の世代の負担でやるということがルールだろうと思います。
  127. 脇雅史

    ○脇雅史君 ちょっと中身が違うんですが。  OECDの中で見ますと、日本というのは歳入が最も低いんですね、最も低いレベル。そして、歳出も決して高くありません、下から五番目ぐらい。だから、日本というのは今の段階では非常に小さい政府なんですね。(発言する者あり)これは数字で明らかなんです。  それでも赤字というのは一体どういうことなのかということで考えてみたいんですが、やはり賄うべきものが税金として取られていないんじゃないかということで、消費税の話をちょっと検討してみたいんです。  消費税というのは、御案内のように、日本だけがこれまたOECDの中でも一番低いですよね、レベルとして低い。日本はこれまで、消費税はもう五%以上上げないんだと小泉内閣以来ずっとそうやってきておりますが、本当にそれでもつんだろうかと。諸外国見ていますと、所得税、法人税、様々、グローバルスタンダードといって日本も合わしてきました。消費税だけ諸外国と比べて低いレベルで本当にうまくいくんだろうか、日本は特別の事情があって、消費税低くてもうまくいくんですよということがあるんでしょうか。大田大臣、いかがでございましょうか。
  128. 大田弘子

    国務大臣(大田弘子君) 税体系は、諸外国がどういう水準にあるかということももちろん見なくてはなりませんけれども、何よりも国内で所得に掛ける税、消費に掛ける税をどう組み合わせていくかということをよくよく検討しなくてはいけないんだと思います。  日本の場合は未曾有の高齢化が進むという、これは諸外国とは異なる、諸外国より更に重要な要件ですので、その中でなるべく広く負担を担っていく、そして社会保障の財源を安定的に確保していくと、そういう意味で、消費税も含めて税体系の在り方を議論しなくてはいけないと思います。
  129. 脇雅史

    ○脇雅史君 財務大臣財務大臣から。
  130. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 脇委員がおっしゃるように、一般政府の支出規模、GDP比でいうとOECDの中で日本は二十三位ですね、三八・二%。一位がスウェーデン、五六・六%。最下位、韓国でありますね。税負担率、これはOECDで一番高いのはデンマークの四九・三%。二十九位、日本、一七・四%ということでございますから、相対的に見ると国民負担は低めになっていると、こう思っております。  だから我々は、政府は、先ほどの財政再建のこともあるし、それから、これから増大する社会保障の安定を勝ち取っていくためにどういうふうにしていくかということが問われているわけでございますから、無駄を省き、それから財政の効率化を図り、そういうことを徹底した上で、国民皆さん方の安心を与えるためにこれは消費税を含めた税体系の抜本的な改革をして、国民に安心をしてもらって未来に向かって進んでいく、前進していくと、縮み志向ではないんだと、そういう形をつくっていくことが望ましいというふうに思います。
  131. 脇雅史

    ○脇雅史君 なかなか国民皆さんの感情として、税金が上がるということをいいと思っている人はもちろんいません。しかし、必要な公的サービスは税金で賄う以外ないんですから、サービスレベルを下げるかあるいは上げるか、どっちかしかないんですね。そのことはやっぱり覚悟をして、その上で一番いい道を探っていくということしかないと思います。  そこで、これは仮定の話なんですが、消費税を上げると大変ですよということがよく言われます。これは本当なのかどうか。外国の例を見ると、上げてもうまくやっているんですよね。日本は何でうまくいかないのか、格別の理由があるのでしょうか。
  132. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) どなたへの質問でしょう。
  133. 脇雅史

    ○脇雅史君 財務大臣と大田大臣
  134. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 消費税は、やっぱり景気の動向に左右されないで安定した収入源であると、財源であるということ、それから人口の変化等にもそんなに左右されないということ、それから世代間の公平感もあるということ、さらには、いろんな経済だとか国民生活に対して中立性が一番あるんではないかということ、そういうことから私はそれほど問題はないんだと思っておりますが。  これは、いつでしたか、一九七〇年代、大平首相のときに消費税で選挙で大敗をしました。その後、中曽根総理のときも売上税問題で国民のひんしゅくを買った。その後、八九年でしたか、竹下内閣で消費税導入をしたわけでありますが、消費税に対する非常にトラウマ的な印象が国民の間にあります。しかし、それは、若い世代の人たちは生まれながらにしてもう消費税というものが、税制が仕組まれておったわけでありますから、大分私は感覚が違ってきているんだと思うんです。  そういう中で、やっぱり将来の社会保障制度だとか国の形を安定した使途、ことに使われていくんですよというような形で国民皆さん方に説明ができるのではないかというふうに、こう思っております。
  135. 大田弘子

    国務大臣(大田弘子君) 他の税と比較して消費税が比較的景気に中立であると、経済に中立であるとか、働く働かないの選択に中立であるというのは、今、額賀大臣が言われたとおりです。  私は、ちょっと別の角度から、入れたときのそのインパクトという点で考えますと、それぞれの国で消費税を上げましたときに、そのときの水準と引上げ幅、それからそのとき併せて別の何らかの措置をとったかどうか、税負担を軽くする措置をとったかどうか、経済状態がどうだったかということによって変わってまいります。  なかなか一概には言えないんですけれども、最近の例でいいますと、ドイツが二〇〇七年一月に付加価値税を一六%から一九%に引き上げました。このときはドイツ経済というのは回復基調で推移しておりました。それから、併せてこの引上げを相殺する形で失業保険料率を引き下げました。こういったこともありまして、引上げの前後は消費に影響はありましたけれども、いまだにドイツは回復基調が続いておりまして、そういう意味経済への悪い影響というのは見られませんでした。  先ほども申し上げたことの繰り返しになりますけれども、税の中でどう位置付けるかという議論、それから、引き上げる場合にはそのときの経済に合わせて、なるべく影響を小さくしながらやっていくということが大事だと考えます。
  136. 脇雅史

    ○脇雅史君 日本の給与所得者の納税の実態を見てみますと、二千万円以上の方が一%程度おられます。その方々の納税額というのは全体の約二四%、一%で四分の一賄っているんです。それから、三百万円以下の方々が四七%おられるんですが、この方々で負担されているのは八%なんです。つまり、税金というのは金持ちが払うんです。金持ちから取って、そして所得再配分をするというのが大きな役割だと思うんですね。まず取らなくちゃ再配分できないんです。  皆さん当然嫌がるんですが、お金持ちからどうやったらお金を取れるか。所得税をグローバルスタンダードに合わせて、法人税も合わせて、消費税しかないんですよ。しかし、お金のない人もやっぱり払いたくない、大変ですから。本当に困る方はそれなりの措置を講じてあげればいいんです。何しろ、お金持ちから取らなければどうにもならないんです。お金持ちというのはお金を持っていれば必ず使うんです。使わなかったら意味ないんですから。ですから、各国もそういう意味で消費税をかなり高くしているんですよ。その意味で、我が国はやっぱりそういう方向へ行かざるを得ないというふうに思うんですね。  どうも国民皆さん、えらいおれたちばっかり負担してと言われますが、これ、負担と、それから国から給付がありますね、いろんな年金その他医療費、これを比べてみますと、大体六百万ぐらいが境目なんですが、国民の七五%ぐらいですよ、六百万以下というのは。六百万以下の方はとんとんからもらう方が多いんです。これは厚生労働省の資料にそうある。だから、やっぱりお金持ちから取らなくちゃいけない。そのために、まず今取れるとしたら消費税しかないだろう。取った上でどう使うかをきちっとやればいいんです。  今の日本のお金持ちは、お金持ちいたらごめんなさい。野党の方も、共産党も社民党も絶対消費税なんか上げないぞと言うから随分消費税払わなくて済んでいるんです。お金どうしているかというと、国債を買って利息もらっちゃうんですね、安定的に。九兆円ぐらいあるんですよね、今国債の利払い費が。そのお金はみんなお金持ちのところに行くんですよ。それ買わさずに、国債を使わずに、買わさずに税金そこから取ったらそれで済みなんですよ。どうでしょうか。
  137. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) やっぱり日本の基幹税は、所得税、それから法人税、消費税だと思いますね。だから、所得税の在り方は今まではほとんど減税の基調だったんですね。いろんな控除もある。これはもうちょっとすっきりした形にする中で整理をしていくときを迎えているんじゃないかと、こう思っております。したがって、もうちょっとおっしゃるように所得税の在り方を変えていく必要がある。これは消費税とか法人税とか、全体的な流れの中でちょっと変えていく必要があるんではないかなと、こう思っております。  おっしゃるように、所得の言ってみれば再配分というか、社会保障的なもので非常にそこは融和されていることにもつながっておりますから、そういうことをよく考えながら、所得税の在り方について私はこれからよく検討していく、抜本的に変えていく必要があるという認識は持っております。
  138. 脇雅史

    ○脇雅史君 どう集めてどう使うかということですから、消費税上げるのとにかく反対だと、そう言わずに国民皆さんもよく考えていただきたいし、政府の方もそこをどう使うかで本当に困っている方を助けてあげればいいんですから、よく慎重に検討していただきたいということをお願いしておきます。  話題を変えます。構造改革ということでお話をさせていただきますが、橋本政権以来、バブル崩壊以来、我が国は、何とかしなくちゃいけないということで構造改革改革ということを進めてきました。今でも改革の手を緩めてはならない。改革という言葉は、これ悪い言葉ではありません。良くすることを改革という言葉ですから、そのことに異存を挟む余地はありません。  我が国は、その改革というときに、無駄をなくそうという方向に今随分動いています。これも間違いではありません。無駄があっていいわけないんですが、しかし、よく考えると、何が無駄なのかというのはそう簡単なことではないんですね。我々個人でも、あの人は全く公私とも無駄のない人だというと本当に立派な人かなというふうに思っちゃうわけで、国もそうだと思うんです。一見無駄に見えても役に立つことは幾らもある。だから、余り簡単に無駄ということを言ってはいけないんですね。  そして、特にそれを、経済効率的にもうかればいいんだと、目先もうかることが無駄ではないんだというようなことでいくと、これは間違うと思う。非常に薄っぺらな価値観ですね、経済性があればいいんだ、そういう価値観で世の中全体を動かしちゃ駄目なんです。商売だけならいいですよ、もうかればいいという商売なら。しかし、国全体はそういう視点で動かしちゃいけないんですから、やはりしっかりと検討する必要があると思うんですが、いかがでございましょうか。  これは財務大臣総理にちょっとお聞きしたいんですが。
  139. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) やっぱり一つは、冷戦崩壊後、日本の国際化が加速的に進んでいると、国際社会の中でどういう競争を演じていくか、勝ち残っていくかと。それはやっぱり従来とは違った構造改革をしていかなければならないということ。それから、国内的にも、バブル崩壊後のいわゆる内需拡大というか国内経済の活性化を図っていくためには、やっぱり既存の制度体系というものがこれでいいのかということは問われていると思っております。  したがって、これは改革をして既存の枠の中で考えるのではなくて、国際的あるいは国内的な制度を改革することによって新しい流れが生まれてくる、新しい活動の息吹が出てくる、そういうことのために私は構造改革というのは必要であるというふうに思っております。  しかし、人間も手術をすればそれは必ず痛みを伴います。それから、体力も要ります。それから、副作用も起こるかもしれないから、そういう痛み止めとか栄養剤だとかそういうこともきちっとした上で構造改革というものは進められていかなければならない、そういう認識を持っております。
  140. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 改革は、どこからどこまで改革というのか、そのいろんな取り方ございます。余り大きな改革しちゃうとこれは革命ですからね、革命まで行かないように。そして、でき得るならば痛みを伴うところが少ないようにするという配慮も必要だと。ですから、やっぱり粗っぽいやり方もありますが、きめ細かく改革するということも大事なんだろうというふうに思っております。  改革というのは、必要性というのはもう私から申し上げるまでもなく、今、日本自身が大きな転換期にあるわけですから、この転換期を乗り切るためには、今までやってきたことと同じようなことでいいのかどうかということは常に反省しながら改革すべきは改革する、そういうことをしていかなければいけない時期なんですよね。そこのところの認識をしっかり持つというのはこれは我々政治家の責務だろうというように思いますので、改革姿勢でこれからも取り組んでまいりたいと思っております。
  141. 脇雅史

    ○脇雅史君 ありがとうございました。  私も、額に汗して一生懸命働いている弱い立場の方がたくさんおられます。そういう人が本当に将来の希望が持てる、そういう社会にすることこそ改革だと思っておりますので、改革の犠牲になって大変な目に遭う人ができるだけ少なくなるようにこれからも続けていただきたいと思います。  そこで、今政府が改革で無駄をなくすと言っている間に、民間側も随分、物を合理的に作ろう、コストを下げよう、今日、吉村先生の話でもありましたが、コストを下げるために、一生懸命努力するために人件費までコストと見て、まさにコストを下げるためには労働者を切り捨てればいいんだというような、言わんばかりのところも見られるわけですね。それで、派遣労働者とかそういう方向へずっと動いていってしまって、我が国に昔からあった、私は伝統的な労働慣行といいましょうか、日本の社会の形態、会社の形態というのは良かったと思うんですが、それがなくなってしまったんですね。やはりそこはきちんと、今財務大臣総理言われましたように、しっかりと温かい目で、弱者をいじめないように配慮をいただきたいと思います。  余り時間がなくなってきましたので、ちょっとこの辺で、この答弁は結構でございます。    〔委員長退席、理事伊達忠一君着席〕  そこで、公共事業を一つ例に取って、公共事業は無駄の塊だなんて言う人もいるんですが、とにかく公共事業は安く発注することがいいことだと、これはこの十数年、皆さんそう思っていらっしゃるんです。知事さんにしろ市長さんにしろ、安く発注すれば住民の皆さんから評価をしていただけるから、みんなこぞって安くしている。いまだ、まだ公共事業高過ぎるぞと言う人がいるんです。  その実態をよく見てみましょう。もし高いコストで発注しているんだったら、必ずもうかっている人がいるんですね、もうけ過ぎたり。今の、現在の状況どうかと。  そこで、今日は、これは資料を皆さん方にお配りしているんですが、まず見ていただきたいんですが、この縦長の方の表ですね。十二年から十九年まで、これは建設技能労働者です。様々な、特殊作業員からいっぱい書いてございます。あらゆる工種、すべて右肩下がり。十二年に比べてひどいところは二割、一割五分、みんな下がっているんです。毎年毎年下がっている。この人たちは下がっても生活維持しなくちゃいけないから、勤務時間は長くなる一方。一生懸命働いているんですよ。何で同じように一生懸命働いているのにこんなに給料下げられなくちゃいけないんだと。これが労働者の実態ですよ。  それじゃ、会社がもうけているのかと。会社を見てみましょう。これも資料を作りました。これは横長の紙です。これは十三年度から十八年度まででございますが、経常利益率を出したんです。まあ経常利益率随分低いんですが、建設業は、これ各県ごとに公共事業を取っている、保証会社が関与した会社の実態です。何と十七年度から赤字が目立ってきまして、岩手県、宮城県、これ県全体で平均して赤字なんですよ。驚くべきことですね。長野県、愛媛県、何となく知事さんの顔が思い浮かびますが、こういう実態なんです。それが、十八年度を見てください、二十二か所赤字ですよ。県全体で赤字なんですよ。これが今の建設業の実態。去年も、一千万円以上の負債を抱えて倒産した会社は四千社。どんどんつぶれているんです。建設業を請け負っている会社は何としてでも赤字出したくない、次の受注に差し支えますから。だから、従業員を切ったり、持っている資産を売ったり、努力努力して死ぬ思いをしてもなおこれだけ赤字が出ている、これが実態なんですよ。  もう一つは、ここには資料をお配りしておりませんが、横浜市で最近三年間の実態調査をされております。市の発注した工事で約八百件を選びましてアンケートを出している。四百件弱の回答が返ってきているんですが、何と一件ごとの現場で支出したお金、入ってきたお金、五五%赤字なんですよ。何で赤字で仕事するかと。自分の給料がなくても従業員の給料を確保したい、もうみんな死にかけた会社はそういうことで取るんですよ。取ればいいじゃないかと。予定価というのは本来実勢価格であるのに、それより二割、三割下げて当たり前というのが今の世の中なんです。  だけど、この実態は何なんですか。実態を見ているんですか。みんな弱い者にしわが行っているんですよ。労働者は惨たんたるものですよ。これ建設業はもう死にかけています。日本の基盤を支えているこういう方々、三百万人、四百万人おられるんですよ。そういう方に温かい目を向けないでどうする。ここには中小しか挙げていませんが、ゼネコンももうかっていません。今、日本の建設業は死にかけています。本当に日本にとってこれでいいのかと。しかも、コストを下げる下げるといって下げているからこそ、みんなこういう労働者にしわが寄るんですよ。  で、誠に申し訳ないけれども、総務大臣経験者としてちょっと一言感想をお述べください。
  142. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) お答え申し上げますが、今、先生の方から横長の表で経常利益率の表がございました。私が知事をしておりました岩手も十七年度から全業者含めて経常利益が赤になっていると。大変今厳しい状況にあるわけでございまして、やはり建設業自身は地域で、多くの地域で主要産業としてそこに雇用の場も多く提供されておりますし、いざ災害となった場合に大きな役割を果たすといったようなことで、常にその業としてその活性化を図っていくと、こういう視点が必要だろうと思います。  ところが、投資額、御案内のとおり、公共事業費とすれば、もう半分ぐらい、ピーク時の半分ぐらいになっているところもありますし、官民、民間も合わせても、たしかピーク時の六割ぐらいまで今全体減少しているということでございますので、結果として、今委員から御指摘ございました下請へのしわ寄せですとか、それから労働条件をもっと悪化させる、安全対策に手抜きをする、あってはならないことですが、場合によっては品質の方にまでそうしたことが及ぶのではないかというおそれもございますし、まさにいわゆるダンピング受注してまで工事を取ろうとしていると、こういったことが出てきているのではないかというふうに思われるわけです。  一番懸念しておりますのは、私も、技術とそれから経営力に優れた優良企業、ここが今見ておりますと淘汰されかかってきていると。いわゆるまじめに仕事をしている業者が淘汰されかかってきて、そしてダンピングに走るようなところが逆にそのことによってまた更に全体の質を下げてしまっている。  ですから、その点、御案内のとおり、一般競争での低入札価格制度をもっとしっかりやるとか、それからやっぱり抜本的にはもう総合評価方式をもっともっと取り入れるといったようなことが必要になると思いますけれども、そうした今の厳しい実態に合わせて私どもも国交省とよく御相談しながら対策を講じていきたいと、このように考えております。
  143. 脇雅史

    ○脇雅史君 ダンピングというと、業者が勝手に取って業者が悪いんだというふうに聞こえるんですが、そうではなくて、少しでも安く発注すればいいというその発注者の思いが悪さをしているんですね。国交大臣は後からお聞きしますが、これだけ労務賃金が下がっている。  厚生労働大臣、お聞きしたいんでありますが、これでいいのかと。私、労働者の味方というのは、本来、共産党とか社民党さんとか一生懸命やってくれたと思うんです。こういうひどい実態をだれも言わないんです。だれも守ってあげない。建設労働者、かわいそう過ぎますよ。大臣、どうですか。
  144. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 今委員がおっしゃったのは、自治体の首長さんの中に、ただひたすら発注価格下げればいいと、それが人気取りになるというようなことであれば。  これ実態を見てみますと、平成十八年の調査で男性の労働者の平均賃金、全産業平均しますと約五百五十五万円、しかるに、この建設業における男性労働者の平均賃金が約四百十六万円と、かなり低くなっております。したがって、今のような赤字の工事となるような、結果的に、そういう受注は下請にしわ寄せをもたらす、そして労働条件の悪化につながると。働く人たちの権利を守るという立場から見ると極めて問題が多いと思います。
  145. 脇雅史

    ○脇雅史君 国交大臣
  146. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 急速ないわゆる建設投資の縮減というものが業界の過剰供給というものを生んでおりまして、我々もどんどん削減していくわけですけれども、受注をめぐって大変なそこに争いが起こり、ダンピングをしたりあるいは優越的な地位を濫用したり、いろんなここはあります。  我々は、そういうものを防圧するために我々の政策をそういうところに力点を置かなきゃならない、そのように思っておりますし、それからまた、我々もこれをダンピングと認めたときには立入検査をさせていただいております。契約書の提出、それから下請に対する支払等も調査をして、そこに違法なものがあれば、関係する公正取引委員会あるいは厚生労働省に対して通告をして直していこうと。  我々としては、先ほどもちょっと話が出ましたけど、総合評価方式というもので、値段だけではなしにその企画とかそういうものを高く評価する。その中には、例えば地域貢献度として、先ほども言いましたけれども、防災協定を結んで、いったん災害が起こったときにはその復旧復興に対して尽くしていただくような会社はやはり総合評価のときに評価点を高く設定するとか、あるいは地域で人をたくさん雇用していただいているというようなところ、あるいは地域で工事の実績がある部分について評価をするというような形で、我々は、優良で技術も持ち経営能力もある方々が伸びられるような、そういうことを頑張ってまいらなければならない、このように思っております。  十分ではありませんけれども、今後も一生懸命頑張ってまいりたいと思っております。
  147. 脇雅史

    ○脇雅史君 大田大臣、大田大臣、感想ありますか。
  148. 大田弘子

    国務大臣(大田弘子君) 建設労働者の賃金が下がってきている、あるいは企業の収益が下がってきているというのは私もよく聞いておりますし、今諮問会議地方に出て地方会議というのをやっておりますけれども、そこでもその話が出てきております。  やはりここは、構造的な取組と併せて、今各大臣からお話ありましたような不適正な下請取引を変えていくといったようなことも必要ですし、一方で、そこに働く方が別の仕事に移るときの支援、そういったものも総合的にやっていかなくてはならないと思います。
  149. 伊達忠一

    理事(伊達忠一君) いいですか。脇委員
  150. 脇雅史

    ○脇雅史君 いやしくも、公共事業を発注する人が税金だからといって安ければいいんだと言って一部の方にしわが寄ってこういうことをやっていると。これは公権力を利用して労働搾取をしているようなものですよ。やはりきちんと利益が、利潤が上がるような発注をすることが大事なんであって、企業がしっかり生き残れるということを、発注者もそういう目を持たなければいけないんです。  税金だからただ安く発注すればいいんだ、公共事業は高過ぎるんだと、そういう思い込みだけで仕事を最近進めてきた結果がこれなんです。これは中央政府だけではありません。特に知事さんや市長さんにそのことをしっかり考えていただきたい。このままいったら日本は滅びます。是非よろしくお願いをいたしたいと存じます。  ちょっと質問の順番を変えます、時間がなくなってまいりましたので。  道路問題について移りたいと思いますが、衆議院で随分様々な問題が議論されました。大方話題は出尽くしたかなと思うんですが、特定財源であるとか暫定税率であるとか特別会計であるとか、いろんなことを言われておりますが、私は、この問題の本質は、まさに今、日本という国がこれから先大変な状況を迎えます。少子高齢化、そして様々な財政需要のある中で一体道路はどうしたらいいんだ。もう全くやめちゃうというのもこれも一つの選択肢かもしれません。どこまでやるんだと。いろんな選択肢があるんです。それを政府としては六十五兆円ぐらいこの十年ぐらいで掛ければある一定レベルに行くだろうと、当初そう思われたわけですね。それを様々な査定その他で五十九兆ということにして。  実は、その内訳はあると思うんです。大変な手間を掛けて、一年半ぐらい掛けて作られているはずですね。専門家から見れば、今回の中期計画は非常によくできている、よく考えているという評価をしている方もおられます。ただ、一連の国会審議の中では、恐らくテレビを御覧になっておられるような一般の方々は随分いいかげんに作られているというふうに印象を受けられたかもしれません。  残念なことなんですが、ちょっと中期計画の考え方、基本的なことについて冬柴大臣からお願いしたいと思います。
  151. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 我々は、これは特定財源ということで一般会計とは別に処理をしていただいておりますけれども、その財源はいわゆる、もちろん一般財源もありますけれども、本税もありますけれども、多くは受益者負担という形で、道路を使われる方、自動車ユーザーの方、こういう方々にお願いをして、そして税金を納めていただいているわけでございます。  したがいまして、その目的というものに即して使われなければ、やはり自動車のユーザーの方々は、自分たちが払った税金が違う目的に使われるということは耐えられないと。これは多くの、JAFその他自動車ユーザーからの多くの署名がそのように言っております。目的外にするのであれば減税せいということを言われるわけでございます。  我々は大変そこが難しいわけですけれども、これを十年間としましたのは、今、過去にずっとつくってきた自動車のネットワーク、先ほど申しましたけれども、こういうものが約六七%までできて、残りが三三%です。これに対してどういうふうにしてやっていくのか。現在もう着手している部分もありますし、そういうものを考えたときに、やはり地方方々が、もう早くから道路の名前も付き、そして起終点も明らかにされて、そして非常に期待を持っていらっしゃるところがあるわけです。  ところが、いつも言うんですけれども、東北の日本海沿岸東北高速自動車道というのはぶつぶつに切れているんですね、一部ずつしか造られていない。また、山陰自動車道というのは、もうほとんど造られていないと言ってもいいぐらいの状況になっています。鳥取、島根、山口、こういうところがあります。それから、いつも話が出ますけれども、東九州自動車道は、供用は三三%しかできていない。  そういうものを私は、今までのあれは、いわゆる道路公団というところは四車線で、そして、それは料金をもらって造るということを前提にしておりましたけれども、それを見直したのが道路公団の改革なんですね。したがって、その中で、道路として六車線というものを造った、そういうものをもう四車線にするとか、四車線というものを二車線にするとか、あるいは二車線も一部は現道を使用をするとか、そういういろんなことを考慮して、とにかく十年間で姿が見えるようにしたい、これが一つです。  そのほか、我々は四月から、去年の四月から、平成十九年の四月から七月までの間に多くの国民方々に意見を求めました。十万一千人を超える一般の国民からも意見をちょうだいしました。それから、その当時の首長さんのすべてでございますが、千八百七十四人の方々からも意見をちょうだいしました。それから、学識経験者の方も、二千九百人を超える人が我々にこういう道路整備をやるべきだと。それは地方によっても違うし、いろいろあるんですが、それを集約して十六の政治課題にいたしました。  こういうものを全部造るといったら、もう百兆円を優に超えちゃうわけです。しかしながら、我々は例えば、先ほども言いましたけれども、通学路、これ四十人以上の子供が毎日使っている通学路は十一万キロメートルに及びますけれども、そのうちの約四割の四万四千キロは歩道すらないんですね、歩道すらない。こういうところを通わす親の気持ちになれば、これは何とかしなきゃならないということは人情じゃないでしょうか。そういうことで、我々は十一万キロについてはどこだということを全部押さえました。全部書いてあります。何県にはどれだけあるというのが全部書いてあります。しかしながら、そのうちの四割はそのときの、整備するときの財務省との打合せ、そういうようなものから選択をしてやっていく。  それの、じゃ幾ら掛かるか、それは過去の三年、四年の実績を踏まえて、それで積算しているわけです。私どもは、これずさんだとか、そういうことは一切ありませんので、脇議員はよく読んでいただいていますけれども、この中期計画見ていただければその努力の跡は分かっていただけると思うんです。我々はそれが全部できるとは思っていません。それはそのときの財政状況とか、しかし、目標はこうだというものは示さないと、タックスペイヤー、すなわち税金を納めていただいている方に対して、あなた方が納めていただいた税金はこのような姿になりますというものを明らかにしなければ納得してもらえない。そういうところから我々はこの中期計画を策定したわけでございます。
  152. 脇雅史

    ○脇雅史君 中期計画、政府が原案をお作りになって、そして、国民的な合意を得ることが大事ですから、国会審議も極めて大事なんですね。それで、いろんな考え方あります。必要性だけ言えば、みんな欲しいという道路を足したら百兆、百五十兆すぐなると思うんです。しかし、ほかとの対比においてそこまでできない、バランスを取って整備していくということですからね。  ただ、いろんな外国とか例見ますと、歩道とか自転車道とか、我が国、自転車道ほとんどありません、外国行くと大体あります。自転車が通るところと歩道と一緒にするなんて、そんな野蛮なことは本来してはいけないんですよ。ところが、お金がないから日本はその整備できませんでした。それから歩道も、車道の横に必ず付いているのが歩道じゃないんです。学校でいえば、通学路を造ろうと思えば、何も車道の横に歩道がなくても、あぜ道の中に通学路があっていいんです。それぞれのネットワークというのは、目的ごとにきちんと立てられる。今まで日本はお金がなかったからそれができていない。生活関連だけではありません。産業用にもまだまだ整備しなければいけないことがたくさんあると思います。  日本の今の道路の整備状況、外国と比べて、今中期計画を作る前段として、そもそも今の道路がどうかという認識なければできないんですから、その辺についてまた冬柴大臣から少しお話をいただきたいと思います。
  153. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 日本の場合は随分お金が掛かるじゃないかというお話がありますが、これはやはり地形的な問題があると思います。日本は非常に南北に長細くて、そこには脊梁山脈があって、急激に流れる川があります。したがいまして、そこの狭い平野部に道路を造ろうとすれば、多くの橋梁とかあるいはトンネルとか造らなきゃならない、そういうハンディキャップを持っています。  そういうこともありますけれども、しかし、例えば東京における環状道路、いわゆる首都の環状道路の整備状況から見れば、これは外国はほとんど概成しております。一〇〇%に近い。ところが、東京都の場合はまだ四〇%台です。そういうふうに遅れております。  それからまた、これもよく言うんですけれども、東京二十三区にある踏切の数は実に六百七十三あるんですね。パリは十四ですよ。ロンドンは十ですよ。そういうことを考えますと、これはやはりその国によって違うけれども、この中で踏切を消却していこうと思えば、連続立体交差とか巨額のお金が掛かるけれども、そういうものをやっていかなきゃならないというふうに思うわけでございます。
  154. 脇雅史

    ○脇雅史君 そこで、また少し諸外国のことも見てみたいと思うんです。  我が国は、私の認識では道路事情は諸外国より多分遅れていると思っています。しかし、今外国でもう道路やめようと言っている国はありません。最近の外国の首脳がいろんな場面で言われている言葉をちょっと御紹介をしたいんですが、例えばイタリアは何ておっしゃっているか。これは二〇〇六年三月の演説です。インフラストラクチャーへの投資を怠ってはグローバル化に伴う競争の中でイタリアは生き残ることができなくなるんだと、こういうことを言われています。  それから、イギリスのブレア前首相ですけれども、これは二〇〇四年の十月、これは交通白書の巻頭言でありますが、優れた交通システムは経済及び社会の繁栄に欠かせない、我が国は何十年にもわたって過少投資が続き、損失を被ってきたと、こういうことを言われている。  このほか、フランスやスペインやドイツや関係大臣はみんな口をそろえて、きちんと交通システムは、道路もひっくるめて整備しなければいけないと言われています。  そして、とりわけアメリカですけれども、アメリカの最近の状況はどうか。これはブッシュ大統領が、SAFETEA—LUというんでしょうか、安全、責任、柔軟及び効率的交通公平化法という、これは利用者の財産という、そういう長ったらしい名前の付いた法律を作ったわけですが、その法律の署名式で、これは二〇〇五年の八月です、米経済は世界一効率的で信頼性の高い輸送システムを持つことができるかどうかがかぎとなる、国内の高速道路や一般道路が整備されていることが必要である、新法は道路インフラの質を高め、数十万の雇用を創出すると、こういう発言をしながら署名をされている。  アメリカの例を見ますと、これは六年計画です。三回にわたって更新しておりまして、一九九二年から九七年、九八年から二〇〇三年、二〇〇四年から二〇〇九年と、それぞれいわゆる特別会計みたいなものを、資金をつくってやっているんですが、最初の六年から次の六年に四〇%の予算を増やしています。その次の法律からその次の法律へ行くまでに三一%増やしています。どんどん増やしているんです。  何も外国に比べて我々もどんどん増やせと言っているわけではありませんが、道路というのは、申すまでもなく我々の生活を支え、産業を支える基盤ですから、きちんと整備されていることは当たり前なんですね。何か日本は道路を整備することが悪いことのように、特にこの国会でそういう印象を持たれている方が多いのではないかと思うんですが、これは大きな間違いだと思っています。冬柴大臣、いかがでございましょうか。
  155. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) いや、真に必要な道路は造らなきゃならないというのはもうコンセンサスだと思います。与野党を通じてもそうだと思います。  私どもは、その真に必要な道路と思われるものは、その候補はこういうものだということを示して、それで今後は、我々は、五十九兆が上限ですから、それを超えないということになっているわけです、上回らないということですから、我々としては、その中で経費を始末しながらもできるだけ皆の、こたえなきゃいけないし、それから、どの道路を、もう全部四車線で走るということがいっとき思われたわけですけれども、それは道路改革でそれを二車線にする、完成二車線にするというようなことでトンネルも非常に小さくなりました。    〔理事伊達忠一君退席、委員長着席〕  私は先月の二十三日に第二名神高速道路の開通式に行きました。そして、そこを随分通りましたけれども、六車線の造っておるんですね、一部。これが道路改革で四車線になっておるんです。ですから、六車線で当時造りつつあったときに、改革でこれを四車線に狭めているという努力もしているわけですね。  私は、諸外国のあれでは、パット・チョートさんという人とお会いいたしました。そして、崩壊するアメリカですか、それまでは道路予算物すごく下がっておったんですね。パット・チョートさんのあの警世の書で、それでは駄目だと、そして落橋事故とかが起こり、ニューヨーク州では一万六千件にも及ぶいわゆる設置保存の瑕疵があるということで道路に欠陥があって損害を受けたという訴訟が起こったと。そういうことを受けて、今おっしゃったように、今急激に道路予算伸ばしているんですね。私は、パット・チョートさんが、アメリカの二の舞をしたらいけませんよと、日本は、そういうことも警告受けました。  そういう意味で、我々としては、この必要な道路というのは、与野党を通じて絶対必要だと、これはいいんですけれども、じゃ、どれが必要なのかというところは必ずしも明らかにしていただいていないというところは残念ですけれども、そういうことでございます。
  156. 脇雅史

    ○脇雅史君 今言われたことの中にちょっとなかなか難しい問題が実はありまして、お金が少ないからできるだけ規模を縮小しよう、それもいいんです。私もいろいろ走っていますと、ある高速道路を走っていると何でここが窮屈なのかなと思うと、お金がないものだから少し路肩をちっちゃく造っているとかあるんですね。これ、後から造り替えられませんね。五十年、百年使う施設は、少しゆっくり造ることがあっても、余りレベルを下げると後で困るんです。例えば、重量物が通るのにうんと節約してちっちゃい弱い橋造ったらそこは通れないなんということもあるわけですから、やはり全国的に必要なレベルを決めてしっかり造っていく、お金がなかったら少し進度を落として、速度を落としてもいいからそういう工夫をしながらやっていく。お金がないときに、とにかく無駄だからできるだけちっちゃくすればいいですよというのは、この長期のインフラには多分当てはまらない考えだと思っています。今まで若干そういうところがあって、景気のいいときは行け行けどんどんで、景気が悪いときは逆だと、それはインフラ整備にはあってはならない視点で、心してしっかりと議論をしていかなければいけないと思っています。  それから、これは一連の国会審議を見ながら私の感想なんですが、私のところにも便りが来るんですが、非常に不本意であると。何かこれまですべて利権で道路を造ってきたようなことを言われますが、本当に多くの技術屋、一生懸命全力を尽くしてまさに額に汗を流しながら努力をされてきたんですね。そういう人々にとってみると、今の言い方はもう我慢ならぬと、何とかしてくれと。  そういう方々を何とか慰めて、もうやめたと言わないように、しっかり働いてもらいたいと思って申し上げるんですが、今こうやって我々が毎日暮らしができるのも、道路を通らない人なんかいません、その陰には必ずそれを下支えしてくれる労働者始めいっぱいいるんですね。これは、土木屋というのは一体何を考えてやってきているか。  これは、私若いころ、大河津分水路、新潟にいたわけですが、そこに青山士さんという方の碑がある。これは、パナマ運河をやられたり江戸川放水路をやられたりして。若いときにそれを見て感激した覚えがあるんですが、同じ思い。万象に天意を悟る者は幸いなりと、その後に、人類のため国のためというのがあるんです。これを、土木屋はみんなそういうことをたたき込まれながらずっとやってきているんです。そして、今でも多くの方がそれでやっている。  そういう人たちに対する敬意と感謝というのは必要なんですよ。悪いところは批判するのはこれは当然大事なことだし直すべきですが、そういう多くの日本人がいたからこそ今日の我々があるのであって、やはりその部分の敬意というのは要るんだと思います。多くの方々が一連の国会を見ながら非常に不愉快な思いをしているということがあって、私は慰めたいということで紹介をさせていただきました。  総理、何か感想はありませんか。
  157. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 道路が必要でないかのごとくその議論がなされることは、私は大変問題があると思います。やっぱり必要な道路は必要なんです。ですから、それは計画的に造っていかなければいけないということは当然であります。ましてや地方分権、そしてその先に道州制という議論があるんでしょう、道州制。道州制が実現したときに、そのときにその地域に道路が十分になかったといったようなことで道州制というのは存在し得るのかどうかという議論を将来しなけりゃいけない。もう後悔しても遅いという、そういう事態が来ないように、必要なものは必要なんですから、用意をしておくという配慮は必要です。  ただ、先ほど来、無駄議論ございましたけれども、無駄は要りません。ですから、無駄は排除するという、そういう精神は貫かなければいけない。その上で必要なものを見極めて、そして造っていくということは、今の政治家責任であろうと、将来に対する責任だろうと。また、日本の国土形成とかそういうような観点からも、広い視野から議論をしていただきたいと、このように思っております。
  158. 脇雅史

    ○脇雅史君 これから先、この三月末までに道路の問題についてある一定の結論を得ると、非常に難しいことだと思うんですが。私は、あくまでもこの問題の本質は、今後、道路にどれだけのお金を投資するのか、どれだけの整備をするのかということに尽きるわけでありますから、民主党さんが言われている代案といいましょうか提案につきましても、やはり民主党さんとしてこれだけ要るんだということを明確に示していただかなければ代案にならないんだと思っています。  ただし、当然、行政が付いているわけでありませんから、一つ一つ積み上げてやるというのは多分無理だと思うんです。だから、それをすぐ出せといっても無理なんですが、考え方の骨子でいいんです、こういうふうにしようじゃないかと、総額が多過ぎる少な過ぎるという議論もあるかもしれませんが、何も腰だめの数字だけで議論する話ではありません。一つ一つ積み上げながら、これぐらいまではやろうじゃないかというまさに国民的合意を得て進めるものだと思うので、これは大いに民主党さんの方も御努力をいただきたいと思います。  そして、今の民主党さんの案は、これだけ読ましていただくと大変な案なんですね。これはまさに実行不能、どうしようもない案なんです。  まず、これはここで細かくお聞きするわけにはいかないので、返事される方がいませんから、また財政金融委員会か何かでお聞きをしたいんですが、まず、直轄だけ限っていえば、交付金であるとか補助金を変えなければ、国で使えるお金は四千億しか残りません。四千億というお金は今の維持管理、維持管理に必要なお金だけ積み上げると四千億になるんです。つまり、今やっている仕事も全部ストップしなければいけないと。何百か所というところで工事しているんですが、橋を架けていようが何しようが今はストップ、全体止まれと。そのまま放置できるわけもありません。  そして、そのことに従事している一万人からいる国交省の役人どうするんだと。これから仕事、直轄要らなくなりますよというんであれば、みんな配置転換しなきゃいけないですね。四月一日から配置転換するというのは、これは現実的ではありません。やはり配置転換するならするでいいんですが、それなりの準備期間が当然要るんです。そういうことに対する答えが出ておりません。  それから、その他の地方についてもやはり財政赤字が出るんです。直轄負担金をなくすとおっしゃっていますが、それはそう簡単なことではありません。直轄負担金というのは起債が相当入っているんですね。ですから、そのまま現金で充当できるわけではありませんから、半分ぐらいは充当できないので、地方分についても、民主党さんの案そのままやってもやはりマイナスは出るんですね。そういう問題もあります。そして、事業者を始め実際に工事している方がいきなり仕事なくなりますから、その手当てもないと。  本当に様々な問題があるので、もう時間が来ましたので、この問題についてはまたいずれやりたいと、お聞きしたいと思いますが、様々な御検討を賜らなければいけないと思っています。交通大臣
  159. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) もう今、脇委員から詳細に説明されたとおりでございまして、民主党さんがおっしゃっている、そのままいきますと四月一日から二兆六千億というものが歳入欠陥が生じてしまいます。しかしながら、我々の方としては、入った中から臨交金とかあるいは補助金はまた入れるんだということもおっしゃっていますと、残り四千億になります。これでは要するに維持管理費だけになってしまいますし、除雪費とですね。それから、今やっていただいている工事に六千六百億円の借りがあります。これすら払えないので、これはもう今やっているのはすぐ停止をしなきゃならないという重大な問題が起こります。私どもは、そういうことにならないようにもう是非していただきたい。  私は、こういうふうにお願いするのに本当に心に痛むのは、無駄遣いということを指摘されたことです。私は、自分の本当に政治生命懸けてでも改革しなきゃならない、一銭も無駄遣いをさせてはならない、こういう気持ちでおりますし、私が気が付いたところからどんどんやっていきます。  そういうことを申し上げまして、是非御理解をいただきたいと、このように思います。
  160. 脇雅史

    ○脇雅史君 終わります。
  161. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) これにて脇雅史君の関連質疑は終了いたしました。  以上で吉村剛太郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  162. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、平田健二君の質疑を行います。平田君。
  163. 平田健二

    平田健二君 民主党・新緑風会・国民新日本平田健二でございます。  今日から参議院審議が始まりましたが、そもそも審議入りがこのように遅れたのは、与党による衆議院での強行採決が原因であります。そのことを初めに申し上げておきたいと思います。  衆議院参議院の両院議長のあっせんに基づく与野党間の合意事項には、総予算及び歳入法案の審査に当たっては年度内に一定の結論を得ることを前提として徹底した審議を行うとともに、各党間で合意をすれば修正を行うということが明記してあったはずであります。しかし、二月二十九日、与党は衆議院予算委員会審議を突然打ち切り、予算案のみならず予算関連法案についても強行採決を行いました。許されない暴挙であります。しかも、政府・与党の求めに応じ私たち民主党は予算関連法案の対案を提出し、本格的な議論が始まろうとしていたその日のことです。  そもそも合意の前提は、衆議院参議院でいずれも徹底した審議を行うことです。しかも、自民、公明は合意文書にうたわれている各党間の合意形成に向け何ら努力もせず、修正協議にも入ろうとしませんでした。私たちは、与野党合意に忠実に徹底した審議の結果一定の合意が得られるならば採決に応じると考えてまいりましたが、衆議院の強行採決により徹底した審議が行われなかった以上、お互いの信頼は崩れたと言わざるを得ません。この責任はひとえに与野党合意を守らなかった与党側にあることを申し述べておきます。  それから、日銀総裁の人事についてでございます。  政府・与党のやっていることは全く理解できません。日銀総裁の任期が三月十九日に切れることは五年前から分かっておったはずであります。しかも、通常国会が始まって二か月になります。どうしてもっと早く提案できなかったのか、私は不思議に思います。任期切れのわずか十日前に提案をするということは、どう考えても理解ができません。  しかし、私たちは総裁の空白が市場や経済の混乱を招いてはいけないとの思いで、十一日、委員会所信聴取の後速やかに党内の意見の集約を行い、与党に本会議の開催を呼びかけたのですが、内閣が提案した人事案件にもかかわらず、採決に応じられない、本会議は開きたくないということでございます。しかも、本日任期満了を迎える同意人事案件が二件残っておりました。本会議を開かずに同意人事に必要な参議院の意思をどうやって諮るんでしょうか。  先延ばしは福田総理の得意の技ですけれども、良識の府である参議院自民党、公明党までが与党の責任をほうり出すような態度は誠に残念でなりません。提案を先送りしてきた政府、そして議院運営委員会を欠席をし、政府提案の人事案を採決するための本会議に最後まで反対をした自民、公明の対応は全く理解できないと申し述べて、質問に入ります。  総理、まず、昨日参議院で日銀の人事案件について採決を行いました。そのことについて、自民党の伊吹幹事長がこういうことをおっしゃった。参議院で先に議決してしまったのは憲政史上ある意味では失敗というか、汚点のようなものを残した気がする、それは、行政権の付与は憲法上衆議院に最終的にあるはずだと、こういうふうにお述べになったようでございますし、本来衆議院から先に議決をするべきではなかったのかというふうにおっしゃっておりますが、私たちはそれは違うと。同意人事は衆議院参議院で別々に同意人事についての議決をするというふうに思っております。伊吹幹事長のこの発言に対して、総理大臣はどのような御感想をお持ちかお聞きをしたいと思います。
  164. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) いろいろおっしゃいましたけどね、まあこの審議随分遅れましたね、実際問題ね。衆議院における強行採決と、こういうふうにおっしゃいましたけれども、必ずしも強行採決と言えるような状況ではなかったと思いますよ。それはこの予算をどうしても三月末までに上げなければいけない、議長裁定にもあるわけですよね。議長もそういうような見解を示されて、参議院の議長もですよ、そういうふうな見解を示されていると。これは非常に良識的な当たり前の話だと思いますよ。そういう上でもって、スケジュールを見ながら、また審議時間も十分に取ったというようなことを勘案して、そして採決をお願いしたと、こういうふうなことでありますから、強行強行と言われるような筋合いのものではないというふうに私は思っております。  それから、この参議院に回ってまいりましても、今日は何日ですか、十三日ですよね、十二日まで審議に応じてくれなかったんですよね。これ、強行的ですよね、かなりね。私はこれは非常に不満でございます。せっかく議論しようしようというふうにおっしゃって、時間がないと衆議院ではおっしゃっているんだったら、参議院でその分取り返してほしいというようにも思いますよ。その点は大いに反省をしていただきたいというふうに思っております。  それから、日銀の人事について、参議院で先、衆議院で後というのは云々というお話ございました。これは国会の運営上のことについて私が触れていいものかどうかというように思いますものですから、申し上げるのは立場上そういうことでないと、こういうように思いますけれども、しかし、しかしですね、(発言する者あり)いや、これ提案が遅れたと申しますけれども、これも国会運営上のことで細かいことは私も承知しておりませんけれども、随分この問題についても野党の皆さんと相談をしてきたはずですよ。ですから、どういう経過でこうなったのかということは、野党の皆さん、この担当の方々、特に民主党の方々はよく御存じだと思いますよ。ですから、一方的に遅い遅いというのは、これは私はちょっと言い過ぎではないのかなというふうに思っております。  私が何でもかんでも先延ばしをすると、こういうふうにおっしゃいましたけれども、しかし民主党さんだってなかなか決めてくださらないという話はよく聞いていますよ。ですから、こちらも態度が決まらない、こういうふうなこともあるんですね。そういうことも併せて公平に、なるべく公平に見ていただきたいというように思っております。
  165. 平田健二

    平田健二君 総理もいろいろ言われましたけれども、今日任期切れの同意人事案があるんですよ、あったんですよ、今日二件。御存じでしたか、このことは。
  166. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) もちろん総理は知っております。私は総理に事前に報告をいたしました。  ここで、それは本来であれば一日二日空けることはいいことではないのはよく分かっております。よく分かっておりますが、しかし日銀の人事とまたそれは別々にこのぎりぎりの段階になってお出しするのはどうかと思ったので、一日二日空くことは大きな支障を生じないということで一括して御審議をいただいたということでございます。
  167. 平田健二

    平田健二君 官房長官、失礼なことを言っちゃいかぬ。日銀人事の、総裁の人事が大事で、そうじゃないのはそうではない、遅れてもいい、どういうことですか。人事の日程期限というのはあるかないか、はっきり言ってください。ないんですか。
  168. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) もとよりどちらが重要なんて私、今言ったつもりはございません。しかし、何度も何度も院のお手を煩わせるのはいかがなものかと、こう考えて、一括してお諮りをしたということでございます。
  169. 平田健二

    平田健二君 やはり総理、遅過ぎたという感は大体皆さん常識的に持っておるんじゃないでしょうか。是非、参議院では日銀総裁、不同意されたわけですから、改めて更に早く次の手を打っていただきたいなというふうに思っております。  次に行きます。  大田大臣、通告はしておりませんでしたけれども、今日のことですのでちょっとお尋ねをいたします。  円高が非常に進んでおりまして、今日、十二年三か月ぶりに一ドル百円台を付けました。サブプライムローン問題が大きく影響しておるわけですが、我が国の輸出、ひいては経済に深刻な影響を与えるのではないかと私は心配をしております。株価も一昨日安値を更新し、低価格での乱高下を続けております。また、原油、穀物の値上がり、国民生活を圧迫をしております。急激な円高の影響と足下の景気の分析についてお答えをいただきたいと思います。
  170. 大田弘子

    国務大臣(大田弘子君) マーケットのことについてはコメントは控えたいと思いますが、これは、今進んでおります円高もドル安に端を発するものでございます。それから、原油高につきましても、同じくドルに回っていたお金が回ってくるという、基本はアメリカ経済でございますので、アメリカ経済の動向がこれからどうなるかというのは大変注意しながら私どもも見ております。既に一月の貿易統計で、輸出全般としましてはプラスの伸びでしたけれども、アメリカ向けの輸出が一四・四%のマイナスということになっております。全体としましては、生産、輸出がまだ全体としては伸びてはおりますが、その伸びが鈍化してきておりまして、アメリカ経済減速の影響が企業の収益にじわじわと効いてきております。特に、中小企業の収益がここへ来て急速に圧迫されてきております。  したがいまして、現在は回復のテンポが緩やかながらも回復は続いていると判断しておりますけれども、今後アメリカ経済の減速が輸出の減少という形で日本の生産に影響を及ぼす可能性がございます。また、アジアの経済がどうなっていくか、これもタイムラグを伴いながらアメリカ経済影響が波及してくると思われますので、十分に警戒が必要だと考えております。  この先行きの下振れリスクに早め早めに備えていくということから、総理から先日、施政方針演説成長戦略の中で、早くできるものは早急に取り組むようにという指示がございまして、今急ぎ取りまとめているところでございます。
  171. 平田健二

    平田健二君 また経済問題については後ほど委員会で御質問させていただきたいというふうに思っております。  イージス艦の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  イージス艦事故について、まず、事故に遭われた吉清治夫さん、哲大さん親子、そして御家族皆様、また漁協の皆様や関係者の方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。また、仕事をなげうって捜索を続けてこられた新勝浦市漁協の皆様に心から敬意を表したいと思います。  事故から既に三週間が経過をいたしましたが、いまだ全容が明らかになっていません。そして、何より急がなければならないのは、吉清さん親子の捜索です。  まず、冬柴大臣、これまでの捜索の状況、さらに、今後の方針についてお伺いをいたします。
  172. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 二月十九日の事故発生以来、海上保安庁におきましては、三月二日までの間に巡視船艇五十二隻、一日当たり四隻、航空機は三十四機、一日当たり三機、特殊救難隊三十六名、派遣日数は九日でございまして、一日当たり四名がそれこそ昼夜を分かたず探索をさせていただきましたけれども、残念ながら今日現在発見に至っていません。今後は、通常の哨戒に併せまして行方不明者の発見に努めることといたしますが、現状はそういうことでございます。
  173. 平田健二

    平田健二君 石破大臣にお尋ねをいたします。  事故後の救助活動は十分だったとお思いですか。
  174. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) あってはならない事故を起こしましたことについて冒頭心からおわびを申し上げる次第であります。委員御指摘のように、御不明の方の捜索、なお私ども続けております。そしてまた、再発防止に努めねばならないということを冒頭に申し上げておきます。  十分であったかというお尋ねでございます。  あれをやればよかった、もっとこれをやればよかったということは今後あるのかもしれません。しかしながら、あの真っ暗な状況において一分後には救助作業開始というものが下令をされました。そして艦橋から照明で衝突海域を照らしまして、艦橋あるいは甲板から海に向かって呼びかけを行う、そして事故発生から十四分後の四時二十一分、内火艇二隻、後に一隻を追加をいたしました。それぞれ七名の乗組員が乗り込んで発進をしたところでございます。  ここの時間が、さて、内火艇を降ろすのにそれだけの時間が掛かるのかという御指摘を一部からいただいておるところでございますが、これ、夜の、夜のといいますか、午前四時七分に起こった事故でございます。多くの乗員はそのころ就寝態勢に入っておりまして、それを起こすということをまずしなければならない、昼間というわけではありません。それから、イージスの甲板はほかの船の一・五倍の高さを持っております。内火艇も普通の船の内火艇よりは大きなものを搭載をいたしております。標準では七分、これは昼間の時間でございますが、私はここに掛かりました時間、もっと短縮できないかということは、それは今後も検討しなければなりません。もっと短くてしかるべきということは、それは御指摘をいただければそのとおりでございます。しかしながら、そこにおいて本当に乗組員は一生懸命内火艇を降ろし捜索に当たったということは私は申し上げられるというふうに考えております。  また、海上における捜索態勢でございますが、これは時間によって増減はございますが、常時二機のヘリコプターを飛ばすという態勢を維持をいたしておりました。つまり、衝突した海域、その時点での流れの速さ等々から考えますと、どれぐらいのヘリを飛ばすのが適当かということがございます。広い海域を当初は捜索をするわけではございません。そして、余りに多くの飛行機を、ヘリコプターを狭い海域に飛ばしますと、ぶつからないかどうかということに注意が行きます。本当に海面で遭難しておられる方がいないかということに全力を注入するということを考えましたときに、最低二機の態勢を維持する。その後、時間がたってまいります。だんだん海域が広がってまいります。そうすると機数は増えてまいりますが、私はヘリコプターが飛んでおった機数、そしてその時間、それは、考えなければいけないのは、そこでどうすれば一番適切に捜索ができるかということと、同時に二次災害が起こらないということも考えていかねばならないことでございます。  私は、これが後付け、どうのこうのというお話がございますけれども、私はその時点において最適の機数が本当に全力で捜しておったということは、私はそれは申し上げたいと存ずるところでございます。
  175. 平田健二

    平田健二君 まあ私どもが現場で見ておったわけじゃありませんので、なかなかその判定は難しいと思いますが、やはり事故直後に速やかな救助活動が行われておればという気がしないでもないんです。ですから、今お聞きをしました。更にこれは後ほどまたいろいろとお伺いをしていきたいというふうに思っております。  そこで、大臣、あなたは一月十九日、事故当日の自民党国防関係合同部会の席上、「あたご」は衝突の二分前に緑色の明かりを見たと報告したと言われておりますが、この報告は、いつ、どこで、だれから受けた二分前に緑色云々という報告だったんでしょうか。いつ、どこで、どなたから受けた報告を国防部会でされたんでしょうか。  あわせて、この報告を聞いたときの感想、感じをお答えいただきたいというふうに思っております。
  176. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) お尋ねでございますが、今御指摘の衝突二分前の四時五分ごろ、「あたご」の見張り員が緑色の灯火を確認したことについてであります。  私は、二月十九日十二時、正午でございますが、十二時ごろから十三時ごろにかけて、時間はこのとおりでございます。場所は防衛大臣室でございます。だれから聴いたかというお尋ねでございますが、これは大臣室におきまして、この「あたご」の航海長を交え、次官、統幕、統合幕僚長、海上幕僚長、運用企画局長等が出席をいたしまして事故当時の状況について報告を受けました際に聴いたものでございます。  先ほど申し上げましたように、これはどういうような形で行われたかというのはそういうことでございますが、では、そこはどういう状況かということでございます。  まず、海上幕僚長から航海長が紹介をされました。その後、航海長が自分の把握している状況を口頭で説明をいたしました。その後、質問に応じまして、海上幕僚監部の幹部が補足説明をすると、このような流れでございました。  御指摘をいただきました二分前に緑色の灯火を見たという報告は、海上幕僚長から緑色の明かりを見たのは二分前だったようですというようになされたものでございます。そこで私からは、航海長の説明が終わりましたところで、以上ですかという趣旨の確認をいたしました。航海長は、衝突に関連をして衝突二分前よりも前の話については説明をしていないところでございます。  これは衆議院でもお答えをしたことでございますが、航海長を呼んでいますがというメモが入りました。十九日のお昼前のことでございます。それまで私は航海長を呼んでいるという事実を存じませんでした。そこで私は、これは私も聴くということをその場で申しました。それは、私どもは、事故原因の究明というのは、第一義的には海上保安庁、捜査機関たる海上保安庁においてなされるものでございます。  そこで、私どもは、ただし、二十四時間三百六十五日、この私どもの組織で何が起こっているのかということは、それは把握をしておかねばならないものでございます。たとえ一瞬たりとも私どもの組織に何らかの異常があるということはあってはならないことでございまして、そのことについては統制者たる私が聴いておかねばならないということが第一。  もう一点は、私自身、まだ当選したばかりでございましたが、「なだしお」の事故というのがございました。そのときに情報操作等々ということが言われました。そこは統制者たる私がいなければならないというものでございます。  で、どういう感想を持ったかということでございます。それは、我が組織において何が起こっているかということ、そこは、そこにおいて報告をなされたことについて、ああそうなのかということでございます。捜査機関ではございませんから、では、その後どうなのか、こうなのかということについては、それはそれ以上尋ねることはいたしませんでした。そこにおいて述べられたこと、述べられたことを包み隠さず、そしてまた付け加えることなく、情報というものはきちんと開示をしなければならない。原因捜査は、それは海上保安庁においてなされるものであるということでありまして、そこにおいて聴き取ったものをそこで申し上げている。そこにおいておかしいとか、それに付け加えるとか、そういうことは一切してはならないということは、そのときから今日まで全く変わっておらないものでございます。
  177. 平田健二

    平田健二君 石破大臣、私は十九日、先ほど一月と言いましたが二月の誤りで訂正をいたしますが、二月の十九日、「あたご」の航海長を呼んで防衛省で事情聴取をした、はっきりおっしゃいましたね。  あなたは二十五日の衆議院予算委員会で、現在のところ聴取してない、接触はしてないとはっきり言い切っていますが、これはどういうことでしょうか。
  178. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは、そこの議事録を全部通してお読みをいただきたいと思います。それは社民党の重野委員に対してのお答えでございます。その前に御党の笠委員質問に私はお答えをいたしております。そのことの内容は、接触をしなければ分かるはずがないものをお答えをいたしております。  私は、人の心が読めるわけでもありませんし、千里眼でもございません。そこの笠委員の答弁というものをお読みをいただければ、それは接触をしなければ分かるはずのないもの、それをお答えをしておるものでございます。その後、現在のところ接触はいたしておりませんということを申し上げました。  しかしながら、私自身、現在思っておりますのは、そこにおきまして申し上げましたが、当然のことではありますけれども、航海長を呼んでいるというふうに聞いたときに、私が聴きますということ、そしてまた、それは私として聴かねばならないと思ったこと、そのことにおいて、私はそのことはやるべきであったと今も思っています。私自身が聴くべきであったと思っています。  ですから、その当然のことでありますから、そのことはもう少し早い時点で私自身、航海長から話を聴きましたということは申し上げるべきであったというふうに、それはいろいろなお考えにつきましては、それはおわびを申し上げねばならないものだと思っております。
  179. 平田健二

    平田健二君 石破大臣、前後の予算委員会の文章を見てもどこにも書いてありません。あなたがおっしゃっているのは、現在のところ、私どもとして「あたご」の艦長以下の乗組員に接触することは、捜査の厳正公平を確保する観点からいたしておりませんと、はっきり言っているじゃないですか。(発言する者あり)
  180. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御静粛に願います。
  181. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 私がこのように答弁しておるのを申し上げておきたいと思います。その前に質疑者の方からこのように言われました。大臣、この二分前の情報、そして十二分前の情報、いつ、どこから大臣の下に連絡が入ったのかをお答えください、事実関係だけで結構ですというようなお尋ねをいただきました。そこにおきまして私が答弁をいたしましたのは、十九日の事故直後のものでございますが、これは護衛艦「あたご」の乗組員から聴取をした情報でございますというふうに私は申し上げております。  二十日に発表をいたしました情報につきましては、その後、それとは別に聴取をした情報を発表したものでございますということを申し上げております。「あたご」の乗組員から聴取をいたしたということは、そこではっきり私は申し上げております。
  182. 平田健二

    平田健二君 現在のところ、私どもとしては「あたご」の艦長以下云々がありまして、接触をしてないとはっきり言い切っておるわけですから、はっきり言い切っておるわけですから、二十五日にはあなたはうそをついておるんです、これは。
  183. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) ここは言った言わないというお話ではございませんで、(発言する者あり)いいですか、今申し上げておりますのは、いいですか、二十五日の予算委員会で、事故直後のものでございますが、護衛艦「あたご」の乗組員から聴取をした情報でございますというふうに私はそこで申し上げておるものでございます。そして、その後で、現在のところ、すなわち、事故が起こりました、そこで何が起こったかということを聴取をしたということは先ほど来申し上げているとおりでございます。  十九日の五時に私の口から申し上げましたことは、聴かなければ言えるはずがない、だれかから聴いているからこそ言えるのであって、聴かなくて言えるわけではございません。それが十九日のお話。二十五日になりまして、現在のところ接触はしていない、その時点において接触は行っておらないものでございます。  しかしながら、十九日の時点で「あたご」の航海長を呼んでいた、そして十二時から私が聴いたということは即座にその日のうちに申し上げておいた方がより良かったということは、それはおわびを申し上げねばならぬ。しかしながら、そのことは私として聴かねばならなかったということは今でも確信を持っておるところでございます。(発言する者あり)
  184. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  185. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。石破防衛大臣
  186. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) もう一度申し上げます。  笠委員に対する答弁が重野委員の答弁の前に私はいたしております。その後の流れがあるわけですね。  御党の笠委員の御質問に対しまして、私はこのように答えております。  十九日の事故直後のものでございますが、これは十九日五時のものでございますね。これは護衛艦「あたご」の乗組員から聴取をした情報でございますということを申し上げている。十九日に申し上げたことは「あたご」の乗組員から聴きましたということを私はそこで申し上げておるわけでございます。  その後に、その後に重野委員の御質問になるということでございまして、現在のところとは何だということでございますが、その直前に聴いていますということを申し上げております。そして、現在のところということになりますのは、二月の二十三日、これも衆議院議論になったところでございますが、事故原因の核心に触れるような内容は控えるようにというようなお申入れを海上保安庁から当省はちょうだいをしているところでございます。正確に申し上げますと、本年二月十九日未明に発生した「あたご」及び漁船清徳丸の衝突事件に関し、防衛省から報道機関等に発表する内容においては防衛省責任において判断すべきと考えるが、海上保安庁としては事故の核心に触れるような内容は控えるようにというようなことをちょうだいをしておるわけでございます。  私どもとして、本当に情報はきちんと出さねばならない。しかしながら、不正確な情報あるいは捜査の核心に触れるような情報、それは出してはならない。これは正確なのだろうか、そしてこの部分は公表しても捜査の核心に触れて捜査の厳正性、公平性を妨害するようにならないだろうかということは常に常に判断をしておることでございますが、この申入れが二十三日。そしてまた、これのお尋ねが二十五日ということでございます。  現在、もうこれは詭弁を弄するなというおしかりを先ほど来いただいておりますが、現在までのところというところと現在のところというのは私は相当に言葉を使い分けておるつもりでございます。そうでなければ、その前に、十九日の情報は「あたご」の乗組員から聴き取ったものでございますなぞということを言っておきながら、その後に、現在までのところ聴いておりませんなぞと言えば、むしろそちらの方が日本語として全く通用しないということになるはずでございます。  したがいまして、繰り返して申し上げますが、十九日に聴きましたのは、それは「あたご」の乗組員から聴取をしたということを何度も申し上げているところでございます。そこにおいて私が聴きましたということを申し上げなかったのは、それは適切ではなかったということは衆議院でもおわびをし、ここでもまた再度おわびを申し上げるところでございます。
  187. 平田健二

    平田健二君 大臣大臣事故直後にいろんなことを調べるのは当たり前の話であります、当たり前の話であります。当然、組織の長としては、どういう事故があったのか調べる、事情を聴くのは当たり前のことであります。  しかし、今あなたがお答えになったことは違うんです。あなたが言っておるのは、こう言っておるんですよ。捜査の厳正公平を確保する観点から接触はしていないと。じゃ十九日に接触したことは、これに書いてあることと違うじゃないですか。乗組員に、乗務員に接触することは、捜査の厳正公平を確保する観点から接触をしていません。捜査の公平、中立、厳正を期するために乗組員に会っちゃいけないということなんでしょう。あなたはそれを自分で言っておきながら、もう既に前に会っておった。それで、現在は会っていません、現在のところ会っていません。矛盾しておるじゃないですか、話が。
  188. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 冒頭申し上げましたが、原因が何であるかということを突き詰めてするのが私どもの責務ではございません。委員がまさしく御指摘になったように、何が起こっているのかということを聴き取る、把握するということが仕事なのでございます。  そのときに一体何が起こったかということの中に、それはぶつかったということが起こったと言ってしまえばそれでおしまい。しかしながら、それがどういう状況の下で起こったかということは、ある程度はそれは聴かねばならないものでございましょう。それについても全く聴いてはいけないということになりますれば、一体それは何を把握するかということになってしまうものでございます。  ですから、捜査の厳正、公平性を確保するために、もう今後そういうようなことは出すなと、防衛省として公表するなということがあるわけで、これは私どもとして、それは公表はしてはならないということを私どもとして判断をしておるものでございます。
  189. 平田健二

    平田健二君 では、大臣のこの言っておる意味をお聞きします。  捜査の厳正公平を確保する観点から接触いたしておりませんと言ったのはどういう意味ですか。
  190. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 当初何が起こったかということの把握はいたしました。しかしながら、それは当初の段階。その後で、その後で何が起こったかということ、すなわち、十九日のうちに「あたご」は回航されているわけですね。そして、海上保安庁による聴取が始まっているわけでございます。  私どもとして、あれはどうだ、これはどうだということを、海上保安庁が「あたご」の捜査に当たっている状況において、私どもがどうなった、こうなったと言うことは、これは好ましくないだろうという判断をいたしております。同時に、事故が起こった当初に何が起こったのかということを把握しなければならない、その必要性は委員も御指摘をいただいたとおりでございます。  その後、捜査というものが始まった、捜査というものが始まり、いろいろな者がいろんな聴き取りを海上保安庁の捜査方針に従って行われるようになった。そういうような段階になって私どもとして接触をするということは、それは公平性、厳正性、それを損のうおそれがある、圧力を掛けたとか、またそういうようなことを言われることがある。捜査の厳正性というものは、海上保安庁の捜査が正式に始まった後はそれはやってはならない。  そしてまた、国会におきましても国土交通大臣から答弁がございました。そのことは何について答弁があったかといえば、防衛省が当日接触をしたことについて捜査に影響があったかというお尋ねについて、松島国土交通大臣から、影響があったと認識をしていないということでございました。その後において私どもが接触をしてはならない、それは捜査の公正厳正という点からも私は当然のことだというふうに考えております。
  191. 平田健二

    平田健二君 それでは、もう一つお聞きします。  当初、航海長の事情聴取は海上保安庁に事前に了解を得ていたとの虚偽の説明をしたのはなぜでしょう。防衛庁。
  192. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 当日、海上保安庁の横須賀保安部でしょうか、に対しまして、けが人を一人搬送する、そしてまた、事情を聴くため幹部を降ろすということをお電話で連絡をしたというふうに私は報告を受けております。内容は、今申し上げた二点でございます。けが人、これは内火艇を降ろすときにかなり重い傷を負いました。船内では治すことがなかなか難しいということでございました。そしてもう一つは、今申し上げた航海長でございます。これを運ぶために船から降ろしますということを連絡をいたしました。  それは、海上保安庁の出先の方、これは私どもとしてどなたであったかということは記録を取っておりません。私は、部下の報告を信じてそのように申し上げておるわけでございますが、そこにおいて分かりましたというふうに言われた。それを了承というふうに申し上げたということだと私ども認識をいたしておりまして、それは事実として、海上保安庁の了承という評価にはならないというふうに思っております。御連絡は申し上げましたということであって、海上保安庁という一つの組織がそのようなことについて了解を与えたという評価にはならないというふうに考えております。  したがいまして、私自身、そのことが海上保安庁の了承を取ったというふうに申し上げたのは、それは意図的にねじ曲げようとか、意図的にうそをつこうとか、そういうようなことであったとは私は全く思っておりません。そのようなことを言っても、それはすぐにばれるのです、そんなことを言っても。私は、自分の信頼する部下がそのようなうそを言っているというふうには思っておりません。それは、本当に部下からですね、海上幕僚長が、電話をして、けが人を降ろす、そしてまた部隊に運ぶために降ろすということを言ったことに、分かりましたということを受けたのを海上保安庁の了承を得たというふうに言ったとするならば、それは評価として誤りであったと私は思います。しかし、彼が、海上幕僚長がうそをついて、海上保安庁の了承も得ていないのに了承を得たというふうに虚偽のことを言ったというふうには私は思っておりません。
  193. 平田健二

    平田健二君 防衛省増田次官、お見えですか。  あなたは、二十七日の午後九時からの記者会見で、海保の了解を得たとの説明が虚偽だった可能性も全く否定できない、こういうふうに記者会見で述べておられますが、どういうことですか。事実ですか、これ。了解を得ていないということですか。
  194. 増田好平

    政府参考人増田好平君) 今お尋ねの私の二月の二十七日の夜の記者会見におきましてのやり取りについて、少し丁寧に御説明をさせていただきたいと思います。  私どもとしては、横須賀地方総監部の担当者が十九日の朝に、今大臣がお答えしたというような電話を横須賀海上保安本部の方にしたという報告を受けております。しかしながら、現実に横須賀海上保安本部の方はそのような事実が確認できないということを当時おっしゃっておられました。  そういったことを考えますと、事実は本来は一つでございます。ですから、どちらかが違っているということでございますけれども、本来そういうことはあってはならないということの認識を申し述べる中で、記者の御質問の中に、虚偽の可能性があったということではないですかという御質問がございました。それに対して、私としては虚偽若しくは真実を偽るというような気持ちでそういうことをしているとは全く思っておりませんけれども、その記者の方にそれを否定する材料をその場で持ち合わせていなかったものでございますので、そういう記者の御指摘というものを今私が、(発言する者あり)ちょっとお待ちください、今御答弁しますので。それで、そういう点で、そういう可能性が全く排除できないわけではないという回答をしたというのが二十七日の夜でございます。
  195. 平田健二

    平田健二君 それでは、増田次官、あなたは了解を取った、取らなかった、どちらですか。はっきり言ってください。
  196. 増田好平

    政府参考人増田好平君) 私の今の認識としては、海上自衛隊の横須賀地方総監部からの担当者が十九日の朝、横須賀海上保安本部に電話をしたという認識を持っております。  ただ、先生が今、了解を取ったという認識ですかという意味でいえば、私が答えておるのは、連絡をしたという事実については私として十分な自信を持っておりますけれども、相手の方が了解を与えたかどうかということについては十分な認識を持っているわけではございません。
  197. 平田健二

    平田健二君 海上保安庁、お見えですかね。  海上保安庁は、当日、防衛省、いわゆる「あたご」から了解を求められましたか、求められてないんですか、どちらですか。
  198. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) 私どもの確認している範囲で申し上げます。  防衛省と相互に、これはお互い確認していることでございますけれども、十九日の午後一時四十分に、防衛省の幕僚監部の課長さんから私どもの海上保安庁の課長の方に、「あたご」の航海長を防衛省に呼び聴取しているという連絡は受けました。  それから、午前中の件でございますけれども、私どもの出先でございます横須賀海上保安部、それと自衛隊の横須賀総監部、この両者の間で何回か、私どもの方から掛けたことございますし、そちらの横須賀総監部からも何回か電話ございました。  その電話は、いろんなやり取り、当日事故が起こっていたこと、それから夕刻にはこの「あたご」を横須賀に入港して取調べをしたいといった話とかいろいろやっておりました。その中で、担当の職員に、こうした航海長が搬送されると、運ばれるということを聞いたかということについて何度か確認をいたしました。その確認の範囲では、そうした通報内容があったということは確認できませんでした。
  199. 平田健二

    平田健二君 結局、確認できないんでしょう、確認が。ということは、石破防衛大臣、二十七日の九時半、衆議院予算委員会で、海保の了解を得ず乗務員の聴取を行った、内部的な調査であっても必ずしも適切でなかったということですよね。よろしいんですね、それで。
  200. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 了解を得たという評価はできないということを申し上げました。内部的な調査であってもそれは了解を得て行うべきであったということを申し上げたのであって、調査を行ったことが不適切であったということを申し上げたのではございません。  それは、海上保安庁に対して、こういうような、つまり、十時からやったわけですね、それはもう本当に当日の混乱した状況であったとしても、午前五時とか六時とかそういう時間ではないわけです。海上保安庁の長官なり警備救難監なりという方に私どものしかるべき者からこういうような聴取をこれから行いますということは、それはお断りをしておくべきものであったということを私は今も思って、そのことは当省をお預かりする者として十分ではなかったとおわびを申し上げる次第でございます。
  201. 平田健二

    平田健二君 先ほどの、現在のところ聴取していないという発言は、私は虚偽の発言だと思いますよ。  石破大臣、あなたは、二月二十二日、衆議院の安全保障委員会で、情報操作が行われたならば閣僚として責任を取る、こうはっきり答弁をされました。そのことは事実かどうか、事実とするならばどういう責任を取るつもりか、明確にお答えいただきたい。
  202. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは、情報というもの、すなわち何時何分にどうやらこうやら、あるいはだれがどうのこうのということについて事実と違うことをねじ曲げて申し上げたり、あるいは聴いてもいないことを聴いたかのごとく付け加えたり、そういうようなことを行ったとするならば、それは情報操作というものだというふうに考えております。  私どもは、最初に二分前、その後十二分、それは私どもにとって、ある意味有利不利という言い方は不謹慎かもしれませんが、十二分前に確認していたんだろうということです。仮に不利なことであっても、それはちゃんと出さなきゃいけないということはずっと申し上げてまいりました。同時に、それは国民に対して御説明するものです。それは私どもが、これは変ではないか、おかしいではないかということを我々が判断をしてはいけない。しかしながら、同時に、不正確なものがたくさん入ってきて、入ってきたものを全部公表する、そういうことは私はいいことだと思いません。そして、捜査に係ることでございますから、それなりの確認は必要だと思っています。ですから、確認をする、そしてまた、これを公表してよいかどうかということについてきちんとした調整を行う、そのことを虚偽だとか隠ぺいだとか、そのように評価をなさるとするならば、私はそれはそういうものではないと思っております。  私は、知ったことを、それをねじ曲げたり、あるいは変えたり、そしてまた付け加えたり、そういうことは一度もいたしておりません。そういうことが私が行ったとするならば、それは当然、私はそこに申し上げたように、そういうことを行うべきものだと今でも考えております。
  203. 平田健二

    平田健二君 大臣、私は、軍事機密だとか自衛隊イージス艦のいろんな装備の問題、そういったことを聞いておるんじゃないんです、私たちは。事故の起こった状況を聞いておるだけですから。そんなに秘密にするようなものを私ども聞いておるわけじゃないんです、衆議院の各委員会通じて。そうでしょう。軍事機密を聞いておるわけじゃないでしょう。漁船とぶつかったその事実についていろいろ聞いておるだけでしょう。にもかかわらず、あなた、ずっとうそじゃないですか。事前に会って接触はしていない。海上保安庁に連絡を取った。取っていないものを取った。  これは、あなたの感覚と違って、一般国民の感覚はやっぱり防衛大臣防衛省うそついておる、情報をねじ曲げておる、普通だったらこう取りますよ。いかがですか。
  204. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは、何が国民の感覚かということは、それは私がこれが国民の感覚だというようなことを申し上げる立場にはございません。それは、私が申し上げるのは僣越であり、委員国民はそう思うじゃないかと言われて、そうですねとも、それは違いますねとも私が申し上げることではございません。  しかしながら、先ほど来申し上げておりますように、朝早い時点で海上保安庁の出先の方に対して二つのこと、すなわち、けが人が降ろしました、運びます、そしてまた事情聴取をするために運びますということを申し上げた。私は部下がそう言ったことは信じたいと思います。部下がそう言ったことを私は、自分は信じます。海上保安庁にて確認が取れない。それは御確認が取れないという、それは海上保安庁の中のことであって、私自身はそのようにしたということを信じたいと思っています。  そして、しかしながら、そのことが了解というふうに評価をしたのは、それは私は評価として正しくないということをおわびを申し上げました。そのことを虚偽と言われればそれは虚偽、そのことは評価が違ったということを虚偽とおっしゃられれば、それはそうかもしれません。しかし、私はそのような認識は持っていない。連絡したことを了承というふうに評価をしたことを誤りでありましたと、そしてまた、呼ぶ前に海上保安庁の、こういう者を呼びますということについての了承を取っておくべきであったと、そのことについてもおわびを申し上げたところでございます。もっとわびろということであれば、それは幾重にもおわびを申し上げますが、私はそのことを聴くということはやらねばならないというふうに思っています。それが一点。  もう一つは、委員が今おっしゃった、事故の原因を聞いているだけであって、何が起こっているか聞いているだけであって、軍事機密を聞いているわけではない。それはそのとおりでございます。私どもが捜査権限も持っている、そしてまた、軍法会議のように私どもの中でこれはこうだという結論が出し得る、そういう立場であれば、起こったこと、聴いたこと、それをすべてお話をするということもあるいはあるのかもしれません。  しかしながら、我が国はそういうシステムはない。我が国の中において海上保安庁の厳正な捜査がなされ、そしてまた海難審判というものがあり、裁判というものがある。その段階において私どもが知ったことを、これは軍事機密ではありませんからということを全部お話をするということは、私はあり得べきことだとは思っておりません。そのことを虚偽というふうには私は言い得ないものだと思います。
  205. 平田健二

    平田健二君 今のやり取りを皆さん聞いておられて、情報操作をしてないとか虚偽の報告はしてないというふうには取りませんよ。取りませんよ。  で、あなたは私の言ったこと答えてない。責任どう取るんだということですよ。明確に答えてほしい。
  206. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 繰り返しの答弁はいたしません。私は、Aというものを、自分の意図でそれはAというものをねじ曲げてBと言ったことはございません。それは、報告した、ごめんなさい、連絡したということを海上幕僚長が了承を取ったということは、それは評価としては正しくないということを申し上げて、それをおわびをしたということでございます。それが虚偽、ねじ曲げたという、そういうような評価をなぜ委員がなさるのか、私にはそこはよく分かりません。  もう一つは、だれから聴いたのかということについて、だれが聴いたのかということについてでございます。それはやらねばならないことであった、むしろ当然のことであったということ、そして「あたご」の乗組員から聴き取ったということも笠議員の御質問に私は明確にお答えをしているところでございます。そこにおいて私がおりましたということを申し上げるべきであった、そのことは申し上げなければいけないことであったと、これもおわびをしなければならない。  ですから、私がおわびをしなければいけない点は二点ございます。一つは、私が聞きましたということを申し上げなかった点。そしてまたもう一点は、海上保安庁が了承ということについて、それを了承と言わずに、事前に了承をいただいておくべきであったということ。これは海上幕僚長が申し上げたことでございますけれども、だれが言った、あれが言ったということを私は申しません。それは、防衛省全体のことは私の責任でございます。そのことについて、海上幕僚長が乗り込んだわけではございません。それは護衛艦隊幕僚長が乗り込んだものでございます。そのことを了承を取ったというふうに言ったことは、それはそういうふうな評価ではない。そのことの海上幕僚長の発言につきましては、これは私が防衛省を代表する者としておわびを申し上げるものでございます。
  207. 平田健二

    平田健二君 こんな答弁ではもう質問できません。ちょっともう少しきちっと答弁してもらうように。
  208. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  209. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。  ただいまの件につきましては、質疑事項を精査の上、理事会において政府から報告を求め、協議をすることといたしました。  質疑を続行いたします。平田君。
  210. 平田健二

    平田健二君 三月八日、関係指揮官会議終了後、吉川海上幕僚長は、いろいろな問題点が指摘をされました、対症療法だけではなく、体質改善が必要というふうに述べられております。  そこで、石破大臣、あなたはどんな体質改善が防衛省あるいは海上自衛隊に必要だというふうに思われますか。
  211. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 一言で申し上げられるものではありませんが、私は旧海軍の伝統というのをかなり継いでいるのかもしれないと思うことがあります。やはり改めるべき点は改めていかねばならないというところがあるのではないかということ、それは巷間言われることでございますが、私はそこはどうなのかと思うことがあります。やっぱり良いところ、悪いところというものはきちんと認識していかねばならないということは一つあります。  もう一つは、これも衆議院でお答えをしたことですが、海上自衛隊、特に艦艇部隊についてなぜこういうことが非常に起こるのかということでございます。これ言うと、また言い訳とかエクスキューズとか開き直りとか言われるのかもしれませんが、私は、文民統制の主体というのは、我々行政府にいる大臣でもございますが、同時に国会でもあると思っておりますので、このことは申し上げさせていただきたいと思います。  例えば、海上警備行動というのが新しく発令をされた。海上保安庁法が改正をされて、それに伴い自衛隊法もそれの準用ができた。あるいは、テロ特措法という法律ができた。ミサイル防衛法制ができた。多くの新しい法律ができております。それに伴ういろいろな規則、決まりが定められております。それを全部習得をせねばならないという負担が幹部たちには掛かってきております。そして、インド洋に六年以上にもわたって派遣をされるという状況がずっと続いております。そういう状況の下で、定員は増えない、任務は非常に増える。私は、そこにおいて、足らぬ足らぬは工夫が足らぬというような精神論だけでいいのだろうかという気は私はいたしております。  そこにおいて、本当に任務はどうなのか、そういうことをきちんと検証していかなければいけない、そこはやらねばならない……(発言する者あり)
  212. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御静粛に願います。
  213. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 私は、そこは本当にきちんと我々は議論する責任があるんじゃないんでしょうか。  実際に現場において何か月も何か月も家族と離れて、本当に歯を食いしばって過酷な条件の下に働いている自衛官に対して、それはどれだけの負荷を与えているのか、それはどうなのかということは私はきちんと議論しなければいけないことだと思います。そこにおいて、本当に我が国の平和と独立を守り、そしてまた世界のために日本責任を果たす、そこにおいてどんな負担が掛かっているのかということは、私は少なくとも防衛省をお預かりする者として、現場に過度の負担が掛かっていないかということはきちんと見なければいけない。それは艦艇の乗員の充足率だってそうでしょう、どれだけの装備が入ってきたかもそうでしょう、ミサイル防衛法制導入に従ってどれだけの新しい決まりが増えたかもそうです。そういうことをきちんと検証していくことが私は私の責任だと思っています。
  214. 平田健二

    平田健二君 総理総理のメルマガを読ませていただきました。国民信頼される防衛省に生まれ変わるために改革を進めていくと書いてございました。  総理防衛省はここ一年だけでもイージス艦の情報漏えい、インド洋での給油量の取り違え、航海日誌の破棄、護衛艦の火災、装備品をめぐる前事務次官の汚職、まさに不祥事だらけであります。これらの教訓を生かし切れていない今の石破大臣、本当に石破大臣改革ができるとお思いかどうか、総理の見解を聞きたい。
  215. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 防衛省、庁の時代からいろいろな問題ありました。そして、そういう経験、時にはそういう事件を反省して、そしてそれをうまく活用してこなかったのかと、そういう経験をですね、というようなことについて我々も非常にじくじたる思いをいたしているところでございますけれども、昨年来いろいろな御指摘を受けるような事件も発生しました。そういうものを何とか改善しなければいけないと、もう根本的に正さなければいけないという、そういう考え方から、防衛省改革会議というものを開催して今専門的な立場から議論をしていただいておると、こういう状況でございます。そういうことについて、特に自衛隊そして防衛省の中のことについて非常に詳しい石破大臣が指揮を執るというのは私は非常に適切なことだというふうに思っておりますので、まあせいぜい頑張ってもらいたいと思っております。  防衛省というのは、防衛庁もそうですけれども、これは自衛隊という部隊を率いているわけですね、二十何万という自衛隊員率いているわけなんですよ。その総責任者なんですね。もう不幸にして、今まで防衛庁長官という、何度も短期間で替わってしまうというような、そういう不幸なこともございまして、完全に自衛隊という実動部隊を把握し切れていないという、そういう弊害もあったんだろうと思います。ですから、この辺は、一人の大臣が長く務めるというのもこれも防衛省改革一つのテーマだ、課題だというように思っておりますんで、そういうことも含めて抜本的な改革をしていきたいと、このように考えているところでございます。
  216. 平田健二

    平田健二君 総理自衛隊の最高指揮官は総理大臣です。防衛省のいろんな問題の最終的な責任者総理であります。任せた者がやっぱり責任を取らなきゃいかぬと。総理が石破大臣防衛省を任せた、でもうまくいかない、だったら任せた者が責任を取る、総理が最終的な責任を取らなきゃいけない。にもかかわらず、総理は人ごとみたいにコメントを発せられている。  私は、総理は本当に本腰を入れて防衛省改革に取り組む、この姿勢を見せなければならないと思っていますが、決意を聞きたい。
  217. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 私どもは、大臣もそうです、私もそうですけれども、こういう事件についての責任は十分感じていますよ。ですから、こういう体質を変えるためにどうしたらいいかということを一生懸命考えているんですよ。私もそんな専門家じゃないんです。ですから、勉強しながらということもありますよ。しかし、石破大臣はよく知っているんですよ。ですから、よく知っている人が本当の正しい改革ができると私は思いますよ。ここでもって石破大臣替わっちゃったら、新しい大臣が来る、そして一からまた勉強しますという話で改革できますか、本当に。私も同じ立場ですよ、そういう意味においてはね。この改革をしっかりと成し遂げるということが私の責任であり、石破大臣責任なんですよ。そういうことを考えてこれからもしっかりと取り組みたい。  ちょっと御紹介しますけど、この間、私、勝浦へ行ってまいりました。そして、遭難された方のお家訪ねたわけでございますけれども、御家族の方からお手紙いただきました。官邸に帰ってきましてそれ拝見しました。そうしたら、石破大臣を始め関係者がここで簡単に辞めたら済むという問題ではないと、こういう事故が二度と起こらないように、自衛隊の体制をよく知っている石破大臣なんかが一生懸命努力してやってくれと、こういうふうに言われていましたよ。本当に私は立派なことをお聞きしまして感動いたしましたけれども、そういう言葉を受けてしっかりやってまいりたいと思います。
  218. 平田健二

    平田健二君 国民の命と財産、これを守る唯一の組織であります。是非とも、国民が安心するような防衛省に生まれ変わるように是非しっかり頑張っていただきたいということを要望して、次に移ります。  日本教職員組合が二月二日に集会の開催を予定していました東京にありますグランドプリンスホテル新高輪に、昨年十一月、一方的に会場使用を解除されるという事件が発生をいたしました。ホテル側の一方的な措置に対し、日本教職員組合は東京地裁に仮処分の申請を行い、使用させなければならないとの決定が下されました。その後、高裁でも日教組側の主張が全面的に認められました。しかし、ホテル側は裁判所の判断は間違っているとして決定に従いませんでした。仮処分といえども司法の判断に従うのが当然のことであるとは思いますが、鳩山法務大臣の見解をお聞きします。
  219. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 法務大臣という立場上、今先生からお話のあった案件はもちろん知っております。知っておりますが、そこに対する司法判断が加わっていることでございますので、具体的な案件について、私はこう思う、こんなふうに考えるということは残念ながら申し上げられない。  しかしながら、あくまで一般論として、一般論として申し上げれば、いかなる紛争であれ、裁判所がよく考え審理して、公正な審理を経た上で出した裁判、これは決定のことです。例えば、保全命令であったり、仮処分であったり、仮差押えであったりするわけですが、一生懸命審理をして、公正な審理をして出した結論、これを無視して、あえてこれに反する行動を取る当事者がもしいるとすれば、もはや法治国家とは言えないのではないでしょうか。法治国家は成り立たないと、そう考えております。
  220. 平田健二

    平田健二君 今、企業のコンプライアンス、社会的責任がより強く求められていると思います。しかし、ホテル側は、裁判所の決定は保全段階のもので法令違反には全く当たらないし、正義は私たちの側にあるので従わなくても仕方がないと言っております。  大臣、このコメントをどのようにお受け止めになりますか。
  221. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 先ほど申し上げたことがすべてですが、これも一般論として申し上げれば、要するに、緊急に保全をしておかなければならないということで、仮処分とか仮差押えとか、取りあえずこうしておいてという申立てをして、それを裁判所がいろいろ考えて、いや、そうじゃないという場合もあるでしょうし、やっぱりこの、例えば身分もあるかもしれませんよ、何か会社が首だ、除名だ、その立場、地位保全の仮処分申請というのもあるじゃないですか。それ、取りあえずこうしておかなくちゃならぬということで出すのが仮処分とか保全命令というものですね。それに対して、本裁判というんですか、別途それは本裁判があるわけですよね。まあそれは損害賠償であったり、いろいろあると思うんですが、おれはその本裁判で勝てばいいから仮処分には従わねえぞというような、これは一般論ですよ、言う人がいたら、やっぱり法治国家は成り立たないと思いますね。
  222. 平田健二

    平田健二君 さらに、このホテルは、この集会に参加する予定の百九十名もの宿泊の予約をホテル側が一方的にキャンセルをしました。常識では考えられないことです。  舛添大臣衆議院予算委員会で、旅館業法の違反の疑いが濃厚と答弁をされておりますけれども、同法違反での調査は進んでいるのかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  223. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 今委員御指摘のように、この旅館業法第五条におきましては、宿泊施設に余裕がないとか、その他の理由が列挙されてあって、そうじゃない場合に宿泊を拒むことはできないとされておりますので、これは旅館業法違反の疑いが濃厚であります。  この個別の旅館業法による営業の許可とか指導監督は自治事務として都道府県知事、東京都の場合は特別区になっておりますので、本件については港区の管轄になっております。港区は事実関係の調査のため、プリンスホテル側から二月の二十一日と二十七日の二回、そしてまた日教組側から三月三日にそれぞれ事情を聴いたところであり、更に今調査を進めているということでございますので、この港区の対応は今検討中でありますが、厚生労働省といたしましては、しかるべく必要な助言をそのたびに行っていきたいと思います。
  224. 平田健二

    平田健二君 ホテル側は、集会を開くと街宣車の大音響と警察の警備によって周辺住民やホテルの客に取り返しの付かない迷惑、被害、損害を与えると述べておるようですけれども、警備局長、今日お見えでございますね。警備局長、この発言は警察には安全を維持する能力がないと言っているように聞こえますけれども、どのように受け止められますか。
  225. 池田克彦

    政府参考人(池田克彦君) いわゆる右翼の騒音あるいは接近行動というものにつきましては、警察としても看過できない問題だというふうにとらえておりまして、法令に違反するような行為があった場合には厳正な取締りを行っております。  本件のように、右翼の蝟集が考えられる場合、こういう場合には必要な態勢を取りまして、大会等の安全、円滑な実施と近隣の平穏の確保に努めているところでございまして、今後とも更なる充実に努めてまいりたいというふうに思っております。  また、その際、警備によって近隣に迷惑が掛かることのないように、例えば右翼車両の進入を阻止するという措置をとるような場合には住民の方々には特別の配慮をすると、そういうような意を用いているところでございます。
  226. 平田健二

    平田健二君 どのような経過があったにせよ、憲法で保障されております集会の自由が毀損されるというようなことになっては重大なことだと思います。是非とも適切に対処していただきたいというふうに要望しておきたいと思います。  次に、介護保険について舛添大臣、お伺いをいたします。  介護保険ですね、介護を受ける側のいろんな説明なりパンフレットなりはたくさんあるんですね、こういうものはですね。これ、厚生労働省出しておるんでしょうか。こういった介護を受ける側の説明資料というのはたくさんあります。ところが、サービスを提供する側からの問題点、いろんな問題があると思いますが、なかなか表面に出てこない。今介護事業に従事している人たちの離職率が非常に高くなっておりまして、他産業に比べても圧倒的に高くなっております。  今高齢者が激増する中でゆゆしき問題であるというふうに思いますが、舛添大臣、舛添大臣は介護を直接経験された方でございますし、実態についてどのように認識されておるか、お伺いをしたいと思います。
  227. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 今委員御指摘のように、介護の労働者につきましてはほかの産業と比べて極めて離職率が高い。そして、今人材の確保が非常に難しくて、例えば平成十八年の有効求人倍率見てみますと、まあこれはパートも含めてですけれども、全職業で一・〇二倍。しかし、これもパートを含めてですが、介護関連職種だと一・七四ですから、一を超えるということは、人に働きに来てくださいと言っているにもかかわらずそれだけの人が集まらないということを意味しますので。  例えばパートタイムなんかでは、東京、神奈川、大阪、愛知など比較的大都会で、愛知なんかは非常に景気がいいと。そうすると、有効求人倍率が四倍を超えているという状況で、非常に人材の確保が難しい状態になっております。で、ステップアップできるような形にする。それから、先般、ゼンセン同盟関係の方々からのアンケートも拝見させていただきましたけれども、やっぱり非常に厳しい状況がありますので、労働関係の整備をする、それから、いったん就職なさった方がキャリアアップしていけるような研修体系をやると、そういうようなことを含めて人材確保に全力を挙げる。  そして、今委員がおっしゃいましたように、確かに介護サービスを受ける側についてはいろんな、要支援であるとか要介護とか、どこの窓口に行きなさいというのはあるんですけれども、やはり働く人たち、介護に携わる人たちについて今後もっと力を入れていくべきだというふうに考えていますんで、来年度予算におきましても、そういう観点からしかるべき措置をとって対応してまいりたいと思っております。
  228. 平田健二

    平田健二君 この表、お手元にお配りしております資料を見ていただきたいんですが、(資料提示)これは介護にかかわる皆さんの平均給与表です。看護補助に至っては、この赤い実線ですね、赤い実線ですが、その下にあります、点々々とブルーの点線がありますが、これが最低生存費と言われておるライン、これにもう張り付いておるわけですね、看護補助の皆さんの賃金が。他産業と比べても最も少ない。さらに長時間労働。現場からは、最低限の生活を維持できない、悲痛な声が上がっております、大臣。良質なサービスの提供がなければ介護保険制度は成り立ちません。  介護サービスにかかわる皆さんが一生の仕事として続けていけるように、介護報酬の見直しを含め、私は改善が必要だと思いますが、大臣の御所見をお伺いいたします。
  229. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 今委員がお示しくださいましたような状況、本当にこの介護に携わる人たちの給与の確保を含めて必要な状況というのは明確にそこに出ていると思います。それで、そのまず現状についてしっかりと把握したいということで、社会保障審議会にワーキングチームを設置いたしまして、今まずそこで分析をさせてますと。  どういう要因があるかというと、一つ目には、今いろんな民間の方々の参入がありますんで、介護サービス事業者間の競争が非常に激しいというのが一つの要因。それから二番目に、介護サービス事業のマネジメントの、ここが余り上手でないということがあります。それから三番目に、介護労働者市場やほかの労働者市場の状況との比較、これも端的に申し上げて、次第に景気が良くなっていきますと、どうしても過酷で長時間の労働、しかも待遇が良くない介護の分野に入ってこられる方が少なくなってくると、こういうことはあります。  それで、今、そういうことも含めて現実に厚生労働省の方で、介護事業者の方の経営状態がどうか、それから介護労働者の状態がどうか、その二つの側面から今鋭意その調査を進めておりまして、まず四千八百事業所を対象に十月に実施したものを、これ四月中ぐらいにまとめて、これまたできましたら公表をすぐいたしたいと思いますし、それから、更に詳細な調査を二十年四月に二万三千七百事業所でやりたいと思います。これは秋ぐらいに取りまとめをできればと思っています。そして、今度、介護労働者の実態調査ですけれども、昨年の後半、十一月に調査したものを今精査して、今年の七月ぐらいには結果を公表したいと思います。  そして、そういうものをきちんと踏まえた上で、今度の、次の改定の時期が平成二十一年度、平成二十一年の改定がございますんで、そのときにこの私たちの、我々もそうですが、平田委員も今おっしゃったようなこの懸念を払拭すべく、しかるべき適切な報酬を設定できるように全力を挙げてまいりたいと思います。
  230. 平田健二

    平田健二君 私たちは、命を終えるまで、できたら人様に介護をしていただくというようなことにならないような人生を送りたいものだと私も思っておりますし、多くの国民皆さん、ほとんどの国民皆さんはそう思っておると思います。不幸にしてといいますか、介護を受けなければならない、こういう状態になっておる方もいらっしゃいます。ところが、その介護サービスをする側が大変な重労働、過酷な労働で働いておる、しかも賃金は安い、これはやっぱり国民皆さんは相当不安に思っておると思いますよ。  先ほども、介護をめぐっての事件がございました。そういったものを見るにつけ、聞くにしても、本当に大丈夫かなと。この介護は、しっかり介護保険制度をきっちりとしたものにしなきゃいかぬだろうというふうに思っておりますので、大臣、先ほども言いましたように大変貴重な経験をされておられますので、是非ともこの制度が充実しますように是非御尽力をいただきたい。年金制度についてはこれからもっと厳しく追及していきますけれども、介護の方はひとつどうぞよろしくお願いします。  次に、道路関係のお尋ねをいたしますが、まず東海環状自動車道の西回りルート、これはまだ計画中でございまして、高速道路の建設に伴う安全性について御質問をさせていただきたいと思います。  東海自動車道が現在整備されている途中ですけれども、ルート上に、私の地元ですが、岐阜市北西部の御望山という山がございます。平成八年にこの山にトンネルを通す計画が決定されて以来、地元住民が崩壊、崩落の危険性を訴え、平成十二年に国土交通省、岐阜県、岐阜市、そして学識経験者、地元住民による調査検討委員会が設置をされました。一昨年三月に最終報告が出され、御望山は地質的に崩壊しやすく、トンネルを掘削することは斜面の崩壊のリスクを増大させると指摘して、安全性は確認できないと結論を付けています。  国土交通省が設置した検討委員会です。大臣も日ごろから安全、安心と言っておられますから、当然報告書の結論を守ってもらえると思っておりますが、大臣の考えをお聞かせいただきたいと思います。
  231. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) しっかり守ってまいります。守ってまいります。
  232. 平田健二

    平田健二君 報告書の結論をしっかり守るということでよろしいですか。  それでは、ここに、資料ではお配りいたしませんが、国土交通省から「道からの手紙」と、こういうパンフレットがございまして、岐阜の地域の皆さんにはこれにアンケート用紙が付いておりまして、これを見てアンケートをしてくれと、こういうことで今やっておるんですけれども、この特別号ですね、ルート再検討のアンケートを実施するためにこれ出されたものですけれども、国交省は費用の掛かるトンネルを造ることがよっぽど好きだと見えて、このトンネルを掘るBルートというのがあるんですが、このBルートに世論を誘導しているかのようにしか読めません。  このアンケートの結果を、国交省、教えてもらえますか。今大臣はこの報告書どおりやると言いましたけれども、国交省自身はどうもそうじゃないんです。別なルートを考えておるんです、いかがですか。このアンケートの結果を公表してください。
  233. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) もちろん公表すべきだと思いますし、ただ、今八か所にわたってのボーリング調査をしているわけです。そういうものが出たときに六月末には取りまとめて公表したい。このアンケート結果とボーリング結果とを併せて公表をさせていただきたい、このように思っております。
  234. 平田健二

    平田健二君 やはり地元の皆さんは安心して暮らしたい、ただそれだけなんですね。道路を造ることに反対ではないんです。自分たちの住んでおるすぐ近くの山にトンネルを掘ると山が壊れる、だから避けてくれと、迂回をしてくださいと、少し。そういう要望を出しておるんですが、なかなか国土交通省は、自分たちも入って調査検討委員会をつくりながら、その結論に素直に従おうとはしない、だからこういう問題になっておるんです。  大臣、今最初にお答えいただきましたように、報告書の結論を守る。報告書は、トンネルを掘ると斜面が崩壊するリスクを増大させますよ、これ国土交通省も入っているんですからね。本当に報告書の結論どおりやっていただけますか。
  235. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) それは、都市計画決定をされたのがもう随分、平成八年という古いときでございますが、それはトンネルで計画が、都市計画決定がなされましたが、その中で、今議員がおっしゃるように周辺住民が、ここはそういうところをやってもらったらその山すそにある団地とか住宅に大きな影響を与えるではないかと、こういう提案がありまして、それから今御案内の、おっしゃった検討委員会等が発足をして、そしてその結論としてこれは見直すべきだという、先ほどおっしゃいましたけれども、計画を再検討すべきだという結論を出されました。  これについて、我々は当然、ですからその最初のものを再検討しなさいということで、その後、これを含んだ四つの案、ずっと外側を回る案とか、あるいは山の斜面でも向こう側、こちらとは違った北側とか、いろいろなルートを考え、そしてそういうものについて、ですから一番最初のものについては再検討するということ。それはそのとおり守って、どれがいいのか、それに対して住民の皆様方にもアンケート、先生がおっしゃるアンケートをいたしまして、千七百名余りの方がこれには御回答をちょうだいいたしております。  そういうものも含めて技術的にどうかということで、今八か所にも及ぶ地質ボーリング調査をやっているわけでございます。したがって、それが結論を得次第そういうものを整理して、皆様にこれを公表をして、そして決めていくべきものでありまして、それがそこで言われた見直しを履行する方法であると、私はそのように考えております。
  236. 平田健二

    平田健二君 資料を皆さんにお配りしておりませんので分かりづらいと思いますが、国土交通大臣、ルート見直しを今するということでお話がありましたけど、先ほど言いましたようにA、B、Cとありますが、Bルートで実は国交省は考えておられるんですよ。Bルートというのはやっぱり山を貫くんですよ。地域の人がおっしゃっているのは、このCルートでいかがでしょうかと。ところが、どうしても国交省はこのBルートだと。山をやはり、山に引っかかって道路を造ろうとしておるんですよ。  こういうケースはいろんなところであると思います、ここだけじゃなくて全国的にですね。やはり地域の皆さんから、このルートは駄目で、少しルートを変更してくれというようないろんな話はあると思いますが、やはり地域住民の人の話をしっかり聞いて、やっぱり謙虚に素直になっていただいてルート決定をしていただきたい。道路を造ることに反対はしておりません、この住民の方は皆さん。どうぞよろしくお願いします。
  237. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) これは、東海環状自動車道で東半分がもう完成して美濃加茂市のところまで来ていまして、この二十年には西関というんですか、そこら辺まで延びると。もうそのすぐ先に御望山がありまして、それで、この東海環状の東はできたけど、西はできていないんですね。今一生懸命それについても、これをやろうということで、皆さん方の御要望も強いところで、今整備に向けて努力しているところでございますが、この御望山の部分については先ほど申しましたような住民の方々の御意見もあり、これもう約十二年を経過しておりますが、これについても皆様方の御意思を尊重してやっていきたいということでやっているわけです。  国土交通省はトンネル掘るの好きだと今おっしゃいましたけれども、これは、随分トンネルは、掘るということは大変困難がいろいろ伴いますよ。しかし、今、一番北側を回るというのは相当延長距離が延びる上、用地買収を全部せにゃいかぬですね。そういうものがまたそこへ加わってくるわけです。しかしながら、それは住民の皆様方の御意見を我々はフリーでお聞かせいただき、そして技術的な問題も考えながら最適の部分を選択をして、そしてできるだけ早くこれが完成するように努力をしなければならないと、それが皆様方の御意思に沿うことではなかろうかと、このように思っている次第でございます。
  238. 平田健二

    平田健二君 道路特定財源についてお尋ねをしたいと思います。  冬柴大臣、今後十年間で五十九兆円を使う、そういう計画を提案をしている国土交通省が国民信頼を失っていると思いますよ。道路特定財源を使ってミュージカルの開催、あるいはマッサージチェア、カラオケセット、最近では丸抱えの職員旅行、まさに無駄遣いの山じゃないですか。  冬柴大臣、道路特定財源、税金ですよ、血税ですよ、国民の、それを今挙げたような無駄遣いをしながら、その国土交通省が十年間で五十九兆円を使うという、こういう計画を立てること自体が国民から見たら何だと。むしろ、道路の中期計画を立てるよりも先に国土交通省の改革、これを先にやるべきじゃありませんか。大臣の監督責任大臣は取らなきゃならぬというふうに思っておりますし、大臣責任が明確にならないうちは国民の理解は得られないと思いますよ。  こういう不祥事が次から次へ起こる、これでよく十年間で五十兆使わせてくださいと言えたものだと思います、私は。いかがでしょうか。
  239. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 今御指摘いただいたようなことにつきましては、本当に心から反省もし、そしてまた国民にもその都度おわびを申し上げているところでございますし、私はそのようなことを御指摘いただいたときに、今までも直ちに、もう省へ持ち帰るとかいうことなしに、その場でこういうふうに改めますということは再三申し上げました。誠に恥ずかしいようなことがたくさんありました。例えば、今丸抱え旅行の話も、半額を返せと、そして理事長は辞任をされました。そういうことで、私は、本当に今御指摘なされたようなことを私が誠心誠意これを解決をしていかなければ国民の御理解は得られない、そういうような危機感も持っておることは事実でございます。  したがいまして、私が本部長となって改革本部というものを発足をいたしております。総理からもいろいろと御指示もちょうだいをいたしました。今までも特命発注が多過ぎるという話の中で、私は昨年の十二月二十六日に、今後一切そういうものはいけないと、今後は企画競争というような形でやれとか、そういう指示もしておりますし、現実にはそのように流れておりますが、しかしながら、根本的に私は、道路特定財源というのは自動車ユーザーの方々が本当にガソリンの値上げして苦しい中から今後も払っていただきたいと申し上げる以上、本当に身ぎれいじゃなければこれは言えません、人間として。  私は、そういう感覚で改革本部を発足をさせ、そして、今細かくは言いませんけれども、例えば駐車場整備推進機構というものは十四の駐車場を全国に造っておりますけれども、これは廃止をいたすことにいたしました。そして、民間にこの経営をゆだねるようにいたしまして、これの財団法人は解散手続を取っていただくということを決めておりますし、いろいろな面で、今まで指摘されたこと、本当に今先生もおっしゃいましたような国民の目線に立ったときに、これはやり過ぎだと、それが、福利厚生費という費目が、それはどこの社会でもあるにしても、そういうものを買うところまで国民の目線から見たときには是認できないというものについては、直ちにこれを今後支出をすることをやめる、こういうことにいたしました。  それから、宿舎につきましても、一万人の職員が道路整備に、道路の補修、管理に従事しているわけでございますが、一万人を超えておりますが、それに対して八千戸の宿舎があります。したがいまして、これは私としてはもう少し整理をしようということで、東京二十三区内の宿舎は全部廃止する。それから、地方六十都市にある二千戸を超えるものについてはその半分を廃止をしていく。それから、十九年、二十年のそういうものは新たに着工しないと、予算は申請しておりますけれども、それはもう認めないというようなことを今後やっていきますし、私は本当に政治生命懸けてこういうものをやろうと思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  240. 平田健二

    平田健二君 冬柴大臣、言い訳ばっかりじゃないですか。大変ですね。  もう一つお聞きします。  あなたは、三月七日、国交省所管の五十の公益法人の廃止や統合、民営化などで数を半減するとした中間報告を発表しました。  昨年十二月の独立行政法人改革では、覚えてますか、都市再生機構、それから住宅金融支援機構をめぐって、渡辺行革大臣とのやり取りで、渡辺大臣は株式会社化、民営化ということで冬柴大臣と対立をして、結局三年後の見直し、この二つの機構は決着をしたという経過がありますね。冬柴大臣は行政改革に私は後ろ向きではないかなというふうに思います。  今私が言いましたように、国交省所管の五十の公益法人の半分を減らす、どうして急に半分減らすというふうになったんでしょう。いつまで達成できるか明快な答弁をいただきたいんですが、職員の丸抱え旅行が発覚したら、これは大変だということで国土交通省所管の五十の法人を半分減らす。次何か出てきたらまた減らすんですか。それよりもむしろ全廃したらどうですか、五十を。何か出てきたら減らすんですか。それでは困ります。明快な答弁を求めたい、五十全部減らすと。お願いします。
  241. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 先ほどURのことについて言及されました。私は別に対立した覚えはないんです。調整をしていただいた。そして、総理も入っていただいてこのように取決めをしたわけでございまして、閣内で対立したということではありません。  私の考えは、いわゆる都市再生機構には七十七万戸の賃貸住宅、いわゆる公団住宅があるんです。そこに住んでいる人たちは三五%が六十五歳を超えた人たちで、年金暮らしの人が多いわけです。そして、二五%は子育て中の若い人たちです。こういう人たちは、所得は、失礼でございますけれども、全体の下から二〇%以内に入っている人たちなんです。  私どもは、それを、そういうものを民営化したときに、今、あれはもう四角い建物で五階建て、エレベーターありませんよ。そういうものはもう現在、建て直さざるを得ない時期を迎えているわけです。建て替えて、エレベーターも付いてそこへ入っていただくということになるとすごい賃料になるわけです。したがいまして、その賃料に対して補助をすることまで我々は考えてやっているわけでございます。それを民営化するということになりますと、私どもは、こういういわゆる住宅弱者の人に対するセーフティーネットを失うのではないですか、そういう観点から、私は国民の目線に立って言ったんですよ。そういう意味でございます。  今回のものにつきましては、道路特定財源からいわゆる一口五百万円以上の支出を受けている法人を探したら五十法人ありました。それは私はその支出を詳細に検討して、そしてそれを半減するということを申し上げたわけでございまして、残りの半分も全部やめろと言われても、それでは、道路整備についての今仕事をしてもらっているたくさんの仕事があるわけでございます。そういうものについてこれは渋滞をいたしますから、私は、半分というのは従来から見れば非常に思い切ったことを私はやっているつもりです。そこにはみんな働く人がいられるわけです。そういう人たちを辞めてもらいながらこれやらなきゃいけない仕事なんですよ。私としては誠心誠意やっているつもりでございます。
  242. 平田健二

    平田健二君 都市再生機構、住宅金融支援機構を民営化することが問題があるというふうに、私はそういうことを聞いたんじゃないんです。例えば、冬柴大臣は、渡辺行革担当大臣が提案をした百一の独立行政法人あるいは法人を合理化をする、統廃合する、各省庁にどれだけできるかということでやったじゃないですか。そのときに国交省が反対したじゃないですか。いいですか。  聞いているのは、五十の公益法人を時間を掛けて見直しの検討をしてきた結果、半分減らしますと言うんなら分かるんですよ。あなたは、職員旅行の丸抱えが発覚したその次の日に半分やめると、こう言うんですよ。どういう検討をしてきたんですか。そういうことだったら、あなた、五十全部廃止してもいいじゃありませんか。
  243. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 今の旅行の問題が発覚した翌日とおっしゃいましたが、その日は第二回の会合があった日でございまして、それまでに、我々は政治家主導でやろうということで、平井副大臣を副本部長として、あと松島副大臣、そしてあとの三人の政務官、三十回会合をやっていますよ。そして、その得た会合の結論が半減できるんじゃないかと。半減、私はもう半減を目指してやろうということで、そういうふうに決断をしたんですよ、これは。  それから、先ほど、私が何か行政改革に後ろ向きのようなことをおっしゃいましたが、私の方は廃止もしていますよ、きちっと。私の方は二つだけじゃないんです。たくさん指摘された中で四つ整理していますよ。私は、そういう意味ではそう人後に落ちるとは思っておりません。改革改革です。  しかしながら、それを民営化することによって困る人が出てくる。私はそれを知っているから、それは待ってください、これを、こういうことを言っているわけでございまして、私は、改革すべきものは改革する。しかしながら、国民の目線に立って、そういう弱い人たちがもう困られることが目の前にあるようなことを私にはできない、そういうことを申し上げたわけです。  そういうことでございまして、それは大臣同士の調整過程のことが表に出ただけの話でして、私は一言も言っていませんよ。そういうことです。
  244. 平田健二

    平田健二君 そうじゃないんですよ、今、冬柴大臣が言われたことじゃないんですよ。国民皆さん、私どもも含めて、そういう議論があっているということが分からないじゃないですか。ある日突然、そういう不祥事が出たら、いや、ぱっとやる、半減する、それしか国民は見えませんよ。私どももそれしか感じませんよ。あなたが、相当時間掛けて五十の公益法人を半減させる、そういう議論をしてきたと今初めて言ったんじゃありませんか、そうでしょう。  ですから、今大臣は半減すると困る人がおる、だれが困るんですか、国民が困るんですか、国民皆さんが困るんですか。天下りをしておる、国交省の天下りの人が困るんじゃありませんか。私たちは国民が困るかどうかの目線で話をしておるんです、観点が違うんですよ。いかがですか。どなたを見て困る人が出るんですか、困る人はだれですか。
  245. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 会社がつぶれるということは、そこに働く人が職を失うということです。別に天下りの人だけではありません。天下りといっても勧奨退職で移った人もありますし、それぞれに。  ただ、御指摘いただいたように、目に余るというようなことがありました。そういうことで、国民の目線に立ってこれについてはそう決断をさせていただいたわけです。したがいまして、四つの法人につきましては具体的に今後の整理の方針にも示しました。  それから、三十回の会合を重ねてここの結論に至ったということは、記者会見の中できっちり私は申し上げております。国会では今初めてですけれども、きっちり私はこれまでの経過も申し上げました。これからこの第三者委員会を立ち上げて、皆様方が見ていただいても、ああ、こういう人たちが入るんだったら大丈夫だというような人に御意見を伺いながら、今私どもが判断したことについても御批判をいただき、今後これから改革していくことについてもお知恵をいただきながらこれを改革を進めていきたい。  そして、私は当初、こういう大きな問題ですから六月と言っていたんですけれども、総理からもこれはやはり四月に繰り上げてやるべきではないかという御指示もちょうだいいたしまして、私もそうだということでこれを四月に繰り上げて、そして、それまででも結論が出たものについては適時御報告を申し上げ、国民に本当におわびを申しながら、改めるべきものはきちっと改めさせていただく。  しかしながら、道路については、もうここで長くなるからやめますけれども、本当にこれを待っている人たくさんいらっしゃるわけです。したがって、私はそこは立て分けて考えていただきたいな、それを私は思うわけでございます。  国民皆様方に、私はもう本当に心から、ひれ伏してでも本当にお願いしたい、こういうふうな気持ちでいるところでございます。
  246. 平田健二

    平田健二君 暫定税率、ガソリンの暫定税率の引下げ、これは私は国民の多くの皆さんの民意だというふうに思っております。  ガソリン税は、輸送されるものの価格やあるいは交通費等に転嫁をされて、ほとんどの国民によって私は負担されていると思っております。世論調査で明らかなように、ほとんどのマスコミの世論調査も、六〇%程度の国民皆さんが暫定税率の廃止を望んでおると私は思います。  ガソリンには、暫定という名の下に三十四年間にわたって一リットル当たりおおよそ二十五円もの税金が上乗せされてきました。幸いに、今月末でこの法律が期限切れになるわけであります。生活必需品が高騰し、国民生活が危機にある中で大変貴重な値下げになると私は思っております。  総理、揮発油税の暫定税率廃止という国民の声を率直に、総理、聞かれたらいかがですか。
  247. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) いよいよ肝心の道路の話になりまして、実はほっとしているところでございます。いつまで、このことについて私どもの立場、またこの必要性というものを説明する機会をいただけるのかなと、こう思っておったところでございますけれども。  確かに世論調査いたしますと、暫定税率は要らないのではないかと、こういう御意見が多いようでございます。この点につきましては、ただいま国土交通大臣からいろいろ説明もいたしておりますけれども、その道路特定財源の使用について国民皆さんから理解のできない、まあ私どもも理解していませんけれども、そういうようなことがあったということについて、何か道路の特定財源というのは悪いものだと、こういうような印象付けができてしまったというふうな感じがいたしまして、それは確かに悪いところは悪いんで、国土交通大臣もしっかりと勇断を持ってこの対応をしていくということを今説明されておられましたけれども、私も全く同感でありまして、少しの疑念もないような形にしなければいけないと思っております。  でき得ればこういう議論をする前にきれいになっていればよかったというふうに思うくらいでございますけれども、しかし、そういうふうにいったん決断を下しました。しっかりとその辺は対応いたしてまいります。  さて、暫定税率が、これはお願いをしているわけでございますけれども、暫定税率は、これはこれで道路のために必要であると。その道路が必要でないというんであればまた話は別でございますけれども、必要であるということ。  道路を造るというのは、単に道路という意味だけではないんですね。いろいろな経済的な広がりがある。また、その地域地域にとってはいろんな社会的な意味合いもあると、いろいろな役割を果たしておると、こういう多面的な役割を果たしている道路を造るか造らないか。そして、その場合に、今言ってみればぶつ切りみたいな状態になっている道路、主要道路について、これをつながなくていいのかどうかといったような考え方もしなければいけないし、また、地方について、この道路を必要とするかしないかといった根本的な議論も当然しなければいけないんだろうと思いますよ。地方をどうするかといったような問題も含めて考えていただきたいと思います。  そして、暫定税率が、もしこれが仮に法律が通らないといったようなことになった場合にどういう現象が起こるのかということもお考えいただきたいと思います。恐らく、地方は道路財源が行かなくて困るでしょう。地方が困るということもあると思いますけれども、しかし、その財源は中央から供給しますと、地方には御迷惑をお掛けしませんという、そういう考え方もあるかもしれませんけれども、そんなにうまくいくものかどうか。  直轄道路というものもございまして、七百か所あるんです、全国に。この七百か所ある直轄道路は、これは手が着かないことになります。そういうことも含めて考えていただきたい。  これから時間が十分あると思いますので、そういうような具体的な議論についても十分説明をさせていただきたいと思いますので、ひとつ、どうぞこの議論を是非充実させていただくようにお願いをしたいと思っております。
  248. 平田健二

    平田健二君 今日は、参議院予算委員会の民主党・新緑風会・国民新日本のトップバッターですので、突っ込んだ議論はいたしませんが。  次に、なぜ、総理、道路特定財源にこだわるのか、これをちょっとお聞きしたいんです。  真に必要な道路を一般財源で造ればよろしいんじゃないですか。どうして特定財源にこだわるのか。確かに道路建設のスピードは遅れますけれども、造らないと言っているわけじゃないんです、民主党も、私たちも。道路は必要なんです。道路は必要だと思いますよ。造るなとは言っていないんです。だけれども、今の状況で私たち国民生活を見たときに、道路だけがなぜ特定財源なんですか、教育はどうするんですか、福祉はどうするんですか、そういったことだと思っております。  そして、小泉元総理も久しぶりに講演されまして、妥協は首相にしか言えない、そろそろ福田首相が一般財源化を前提に譲るべきところは譲っていい案をまとめようとあなたがおっしゃれば、自民党は仕方がないと妥協が出てくる時期だと、こう言っております。それを受けて福田総理も、重く受け止めると、こういう発言をしておるわけですけれども、どうしてこだわりますか、総理
  249. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) これは、特定財源にしているというのは受益と負担がこれが分かりやすい、明確だと、そういう観点からそうなっているんです。ですから、ほかの教育とか社会福祉とか、そういうものとはちょっと違うんではないかということであり、今までもそういうようなことで道路もできてきたわけですね。特定財源でなきゃ恐らく今の道路もできなかったかもしれませんよ。これから特定財源を外してしまうということになると、それはやっぱり社会福祉が大事だとかそれから教育も大事だとかいったようなことでもってそちらの方が優先度が高くなるということもあり得るかもしれないと思います。  しかし、そういう中で一般財源化というものをこの特定財源の中で図っているわけですよ。二十年度は千九百億ということでもって前の年よりも増やしているわけです。増え方が少ないと、こういうふうな話があるかもしれないけれども、しかしこれは受益と負担の関係で負担者に対する説明も必要なわけですね。ですから、この千九百億円というそういう一般財源化にしましても、なるべく道路ユーザー、そういうものに関係のある分野について一般財源化を図るというようなことで、今までもそういうふうにやってきたんですけれども、そういうようなやり方を踏襲させていただいておると、こういうことであります。  しかし、そういうような一般財源化という声も非常に大きいということもありますし、そういうふうなことについては今後いろいろと考えさせていただかなければいけないというふうには思っておるところでございます。
  250. 平田健二

    平田健二君 その負担の関係ですけれども、今、先ほども言いましたように、ガソリン税はほぼ国民すべての人が負担をしておるんじゃないですか。私はそう思いますよ。何か特定の人だけが、車を持っておる人だけが負担をしておるわけではなくて、今はもうほとんどすべてのと言ってもいいぐらいの国民皆さんがこの税を負担していますよ、ガソリン税を。私は、そこらを少し考え方を変えてもらわなきゃいけないというふうに思っておりますよ。  次に移らさせていただきますけれども。  次に、BバイCの問題について冬柴大臣にお聞きします。  あなたは、二月二十一日の衆議院予算委員会で、この十年間については、BバイCが一・二を切るようならば道路建設をやらないと明言しました。ところが、二十七日になって政府統一見解とやらを出して、一・〇以上であればよいと弁明をいたしました。  高規格道路を整備する基準は一・〇なのか一・二なのか、明快にお答えをいただきたいと思います。(発言する者あり)
  251. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) はい、簡潔に。  道路中期計画を平成十九年の末までに作らなければならない。そのときの最新のもので作ったわけでございますが、その最新というのは、平成十一年の道路センサスに基づいて十四年のいわゆる将来交通需要推計というものが基礎になっております。それがその時点では、十九年時点では最新の資料でございます、完成された。ところが、十七年にまた交通センサスをやって、十八年の三月にそれに基づいてある程度の推計が出たんですね。出ているんです。しかしながら、それに基づいて二十年、今年ですね、今年の秋には将来交通推計というものが、正確のものが出るわけです。そういう流れの中で、いいですか、そういう流れの中で、私はこの道路センサスが一九九九年、平成十一年のものを用いている……(発言する者あり)用いているものですから、いいですね、用いているものですから、ですから、アローアンスを見て一・二で、そういうもので成就するかどうかということを決めたわけです。  しかしながら、これですべてを造るとか造らないとかいうことを判断するわけではなしに、現実に整備をするときには、そのときの最新の資料でもう一度BバイCを取ります。そして、それはいわゆる投資を超えて便益が見られなければ造らないということなのでございまして、それは統一見解できっちり申し上げたとおりでございます。御指摘の点は、私の言葉でそのようなことがあったということですけれども、それはその道路の中期計画百二十四ページを説明したくだりでそう言っているわけでありまして、ほかのところでは投資よりも便益が超えなければ造らないということは再々申し上げております。
  252. 平田健二

    平田健二君 大臣、そうするとBバイCが一・〇以上あれば道路は造るということですね。いいですね、それで。
  253. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) それはそうです、一・〇以上であればですね。ただし、これはいろいろとそれまでに手続がたくさんあります。例えば国幹会議に諮らなきゃならないということもございます。いろいろありますが、BバイCを取ればそういうことでございます。
  254. 平田健二

    平田健二君 今、資料をお配りしておりますが、(資料提示)これは御存じのように、東京湾アクアラインと本州四国連絡橋のBバイCであります。よく見ていただきますと一・九と一・七。でも、この道路は両方とも赤字なんですよ。BバイCが一・九、一・七でも採算取れていないんですよ。だから、BバイCが一以上、意味がないんじゃないですか。いいですか、まだちょっと待ってね。  このアクアライン見ていただきますと、アクアラインも本四架橋も、まず交通量の計画値と実績値がもう全然違う。それから、事業費も当初よりも、アクアラインで三千億円、本四架橋でおおよそ一兆円膨らんでおります。これ、いいかげんな見積りじゃないですか。だからこういう結果になったんじゃないんですか。BバイCが一以上、一・二以上であっても、実は採算が取れない道路はたくさんあるんですよ。もっと整理をすべきじゃありませんか。  中期計画ももっともっときちっと積算をしてやらなきゃいけませんよ。自民党の幹部の方が、公共事業をこれから十年間三%削減すれば四十九兆円前後でいいよと、こういう発言もありますよ。BバイCだけで決めていいですか、どうですか。
  255. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 本四架橋とかあるいはアクアラインのときには、BバイCを取るという、そういうような手続はありませんでした。したがいまして、それは後にですよ、後にやったものでございますから、詳細な計算とか数値を明らかにせよということであれば、今、事務方が来ておりますのでそれは言わせたらいいと思います。そういうことでございます。
  256. 平田健二

    平田健二君 実はそういうことなんです。これは供用開始後、国土交通省かどこか分かりませんが、これBバイCをやってみたんですよ。そうしたらこういう結果だったんですね。当時はBバイCを計算する方法はなかったんです、しなかったんです。その後、こういうBバイCというのを考えて、これでやってみよう、やった結果、こういうことなんです、一・九と一・七。しかしこれでも、こんなに高いBバイCでも、実は採算が取れない道路なんですよ。  冬柴大臣、今言いましたね。じゃ、全国の高速道路のBバイCを今から全部やり直したらどうですか。いかがです。
  257. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 採算が取れるかということとBバイCとは別だと思います。BバイCというのは、もちろんCはコストですから、そのベネフィットがそれを超えるかどうかという一つのメルクマールで取っているわけでございます。  で、この整備をするかどうかということは、その地域の方々の御意見もありますし、そしてまた、それよりも都市計画決定あるいは環境調査等の手続も踏み、そしてこのような幹線道路につきましては、先ほどもちょっと言いましたけれども国幹会議に諮るとか、それから何よりもその年その年の財務省の査定というものも受けております。したがいまして、いろんなところを経由してやっているわけでございまして、この本四架橋とかアクアラインはそれぞれ法律もそのときに作ってそれに基づいてやられたはずでございます。私どもは、そういう法律に基づいて造ったものかどうかは別として、こういうふうにしてBバイCをきちっと取っていこうということでやっているわけでございます。  今全部やってみたらどうかということを言われますけれども、この道路公団民営化のときに九千三百四十二キロをやっていたときに、そのうちの七千三百四十三キロはもう既に供用していましたから、残りの千九百九十九についてはBバイC全部やり直しましたよ、そういうことでございます。
  258. 平田健二

    平田健二君 そのBバイCを出す場合の一番大きな要因というのはC、工事費が幾ら掛かるかですよね。Bというのは幾つかありますね。時間短縮、いわゆるここからあそこまで行くまでの時間が短縮どのくらいできるのか、あるいは走行費用、いわゆるガソリン代をどれだけ掛からないようにするか、それからバイパス道路を造れば交通緩和をする、事故も減る、こういうことですよね。  これは定量的じゃないんですよ。恣意的にできるんです、Bは。Cはお金ですからきちっと積算しますが、Bは恣意的なんですよ、大臣。そのことを言っておるんです。  大田大臣にお聞きします。大田大臣、大田大臣、いや、冬柴さんじゃない、大田さん、大田さん。  高速道路ができればGDPは上がり、雇用が増え、環境が良くなる、こういう質問衆議院でございました。大臣質問がございました。お答えいただけませんか。高速道路を造ればGDPが上がり、雇用が増え、環境が良くなる、こういうふうに質問されましたよね。いかがですか、どうぞお答えください。
  259. 大田弘子

    国務大臣(大田弘子君) その御質問は、山本有二先生からございました。そのときは有効求人倍率と高速道路の相関関係について御質問がございました。これは、確かに相関関係がございます。高速道路の供用率と有効求人倍率には相関関係がございます。しかし、そこに因果関係があるかどうかを証明する材料は持ち合わせておりませんというお答えをいたしました。  一般論として、高速道路の供用率は雇用にプラスになるという相関は見られますけれども、明確な因果関係を証明するだけの材料はないということをここで改めてお答えいたします。
  260. 平田健二

    平田健二君 そうなんですよね。実は、大田大臣、アメリカの高速道路、いわゆるフリーウエーは、インターチェンジといいますか、車の乗り降りできるのがおおよそ三キロごとにあるんですよね、大体三キロ、二マイルぐらいですかね、二マイルちょっとぐらいにインターチェンジがあるんですよ。そうしますと、しかも無料でしょう、確かに皆さんよく高速道路を使われて、便利で、その近くには必ず商店があり、大きなモールがあり、そういう効果はあるんです。日本の高速道路は、インターチェンジは何キロ置きですか、十五、六キロでしょう、十キロ置きでしょう。そんなに効果があるわけないんですよ、アメリカほど。  それで、冬柴大臣ね、BバイCだけで、その数値だけで高速道路、高規格道路を造るということは私は余り賛成できない。この中期計画を見てもずさんですよ。だって、交通量の調査なんて九年前の調査じゃないですか。最近の調査を使ってないじゃないですか。それをいろいろ言い訳しておるじゃないですか。でしょう。だったら、きちっと値が出るまで待ってやったらどうですか。計画なんていつでもできるじゃないですか。一年、二年待ったっていいじゃないですか。どうして中期計画をこんなに慌てて出さなきゃいけませんか。
  261. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 十九年末までにこの道路整備の姿が見えるようにしなければタックスペイヤーに二十年度からお願いできないんですよ。  そういうことで、十九年末、十九年度と違いますよ、十九年末までにということが政府・与党で申合せが付いたわけです。したがって、これに基づいて我々は作ったわけです。そのときの最新の道路センサスは平成十一年、古いですけれども、十一年でございます。しかしながら、これについてそこで全部やったわけです。  それから、先ほどベネフィットの方は何か恣意的だということをおっしゃいましたけれども、これについては、道路事業評価手法検討委員会という学者とか経済学、工学部、専門的な支援を取り入れて作成されたものでございまして、これは、道路の民営化のときにもこれはそのまま使っていただいているわけです。私どもはそういう権威のあるものに依拠してやっているわけで、それが何も根拠がないというものではありませんので、その点についてはそのように申し上げたいと思います。
  262. 平田健二

    平田健二君 先ほど総理から、やっと道路の話かということでしたけれども、これから更にこの委員会で、あるいは集中審議等でこの道路特定財源の問題について質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いします。  これで終わります。
  263. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 残余の質疑は明日に譲ることといたします。  明日は午前九時から開会をいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三分散会