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内閣総理大臣(
福田康夫君) 私は、昨年の九月末にこの
立場になりまして、以来、
責任者としてやらせていただいておりますけれども、正直申しまして、私が就任して以来、過去のことの処理が多かったですね。年金問題もその象徴的なことですけれどもね。また
防衛省の問題も発生するとかいったようなこともあり、また公務員のことについて何かしなければいけないんではないかといったようなこと、また
独立行政法人、また
公益法人の在り方についてもいろんな
議論があった。そういうようなことで、どちらかというと前よりも、前進するよりも後ろのことをまず整えなければいけないという、そういう役割を仰せ付かったというように
思います。
ましてや、この
国会の
状況というのは
衆議院と
参議院では違う
立場にあると、こういうこともありますから、
一つ一つのことをするにしても大変時間が掛かるということもございます。ですから、外から見ていますと、何をしているんだと、こういうふうに言われかねないところがあるんですけれども、しかし基礎を固めなければ前進はないというのが私の
考え方でありますから、この基礎固め、過去のこととはいいながら、これをおろそかにすることはできない、そのことは私の
政治の手法、
考え方と申しますか、それはしっかり持っていかなければいけないというように思っております。大変大きな年金の問題もございますので、これも着々と整備を進めていくということであります。
しかしながら、といって前の方に前進してないかというわけではないんでありまして、私は、いろいろ
政策課題ございます、山のようにあるんです、ですけれども、当面何を手掛けていかなければいけないか、そのことは十分に考えた上で今の私の考えを進めてまいっておるところでございます。
そういう中で、
委員からも御指摘ございましたように
格差の問題ですね。特に
地方の
格差といったような問題もございますし、また今、
春闘シーズンでございますけれども、この
労働の
格差といったようなこともあるんですね。そういうものは、この数年間の間に非常に拡大したというように言われておる。別に
改革が悪かったというわけではないけれども、
改革は
手当ても必要だということであろうかと
思いますので、そういう
手当てをやはりしていかなければいけない、
社会混乱を起こさせないようにするのも私の務めだというように
思いまして、そういう面につきましては、これから十分な、十分というふうに言えるかどうか分からないけれども、その
格差を埋めていく
努力はしていこうと、こういうふうに考えております。しかし、
改革の
方向性というものは、ゆるがせにはできないんだろうというように
思いますので、この路線というものはしっかり堅持してまいりたいと
思います。
そして今、
日本が大事であるということの幾つか申し上げますと、やはり
日本は
経済が
成長しなきゃいかぬですよ、
経済が順調に
成長しなければいけない、これはどうしても守らなければいけない。さもなければ、我々の一人一人の生活の安定もないし、
社会保障も十分に行き渡ることがないし、なおかつ新しい
技術開発とかそういったようなものにも
影響を与えてくる。いろいろな面に悪い
影響を与えてくる。ですから、これは必要な
成長は確保していかなければいけない。じゃ、その
成長をどうやって確保するか。昔は
財政出動というようなことでそれを賄ってきたわけですけれども、しかし今はそういうことも許されないという
状況の中で、非常に狭い範囲の中でそういう
政策を打ち出していく必要がある。
あとは、それは知恵を出すしかないんですね。そして、今までの仕組みを変えて何かいいことはできないか、そしてまた冗費を節約できないか、これも大変大事なことだと
思います。冗費節約という
意味におきましては、政府の支出が本当に妥当なのかどうか、これはよく点検する必要があると
思います。政府の中にまだまだ削減できる余地は十分にあるんだろうと
思いますので、これはまずしなければいけない。
そういうことをした上で、そして、本当にもうこれはこれ以上財源がない、しかし
社会保障も維持していかなければいけないということになれば、その財源確保というためにまた特別なことを考えていただかなきゃいかぬというようなこともあるわけですね。そういうような観点から、
社会保障につきまして
国民会議を開かせていただきました。この中で、現在と将来の安心を
国民に抱いていただかなければいけない、確保しなければいけない、そういう観点等、
議論を今しておるわけですね。これは今、有識者による
国民会議というような形で開始したんでありますけれども、いずれ野党の
皆様方にも御参加をいただくというような仕組みに是非なってほしいなというようなことで、これからも呼びかけをしてまいりたいというように思っております。
それからまた、今申しました技術の開発がなければこれは
日本の将来はないという観点から、特に環境の問題でもって
日本が国際社会にどう貢献できるかということも当然ございますけれども、
我が国は、これはもう待ったなしの
技術開発というものは、これを乗り越えなければいけない、そういう課題を目前に控えておると、こういうふうなことでありますから、この面についても十分なことをしていかなければいけない。そのために重点的に新エネルギー開発を行うという、そういう方針を今固めておるところでございます。
また、環境の問題は、これは
日本だけの問題でない、世界全体の問題でございますから、世界に呼びかけていかなければいけない。以前は、冷戦の時代も含めまして、武力によってお互いを攻撃し合うというような、そういう時代があったわけでありますけれども、これからの敵は世界共通の敵、環境ですよ。ですから、このことについては世界が一致して立ち向かえる問題ではなかろうかと思っておりますので、そうなりますれば、やっぱり世界が協力してやり合うような、やれるような環境づくり、外交面における必要性というものが出てくるんじゃないでしょうか。
我が国はそういうことについて平和主義というものを唱えてきた、この
我が国の
立場から考えて、世界に声を掛けやすい
立場にあるということをよく自覚した上で、前向きの提案をし、そして世界に手を差し伸べていくということも必要だというように思っております。
そういうもろもろのことを今やらなければいけないということで、
一つ一つを着実に、ただ、すべてすぐ成果が出るという問題ではありませんから、これは時間を掛けてやる。まあ、本当に井戸を掘り尽くすまで掘っていく、水が出てくるまで掘っていく、そういう精神でやってまいりたいと
思います。