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2008-02-01 第169回国会 参議院 予算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年二月一日(金曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  一月三十一日     辞任         補欠選任      相原久美子君     牧山ひろえ君      大久保潔重君     平山 幸司君      平野 達男君     金子 恵美君      坂本由紀子君     田村耕太郎君      大門実紀史君     仁比 聡平君  二月一日     辞任         補欠選任      犬塚 直史君     大島九州男君      金子 恵美君     平野 達男君      田中 康夫君     浅尾慶一郎君      直嶋 正行君     福山 哲郎君      平山 幸司君     大久保潔重君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         鴻池 祥肇君     理 事                 尾立 源幸君                 櫻井  充君                 津田弥太郎君                 羽田雄一郎君                 水岡 俊一君                 椎名 一保君                 伊達 忠一君                 林  芳正君                 山口那津男君     委 員                 浅尾慶一郎君                 石井  一君                 植松恵美子君                 大久保潔重君                 大島九州男君                 金子 恵美君                 川合 孝典君                 自見庄三郎君                 辻  泰弘君                 友近 聡朗君                 内藤 正光君                 中谷 智司君                 平山 幸司君                 福山 哲郎君                 藤原 良信君                 牧山ひろえ君                 森 ゆうこ君                 森田  高君                 米長 晴信君                 荒井 広幸君                 有村 治子君                 加納 時男君                 佐藤 信秋君                 末松 信介君                 田村耕太郎君                 谷川 秀善君                 南野知惠子君                 松村 龍二君                 山田 俊男君                 山本 一太君                 谷合 正明君                 渡辺 孝男君                 鰐淵 洋子君                 仁比 聡平君                 福島みずほ君    国務大臣        法務大臣     鳩山 邦夫君        外務大臣     高村 正彦君        財務大臣     額賀福志郎君        文部科学大臣   渡海紀三朗君        厚生労働大臣   舛添 要一君        農林水産大臣   若林 正俊君        経済産業大臣   甘利  明君        国土交通大臣   冬柴 鐵三君        環境大臣     鴨下 一郎君        防衛大臣     石破  茂君        国務大臣        (内閣官房長官) 町村 信孝君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣(防災、        食品安全))   泉  信也君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策))    大田 弘子君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣少子化        対策男女共同        参画))     上川 陽子君    副大臣        法務副大臣    河井 克行君        財務大臣    遠藤 乙彦君        厚生労働大臣  岸  宏一君        経済産業大臣  中野 正志君        国土交通大臣  松島みどり君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        加藤 勝信君        厚生労働大臣政        務官       伊藤  渉君        経済産業大臣政        務官       荻原 健司君        国土交通大臣政        務官       谷  公一君        国土交通大臣政        務官       山本 順三君        環境大臣政務官  並木 正芳君    事務局側        常任委員会専門        員        村松  帝君    政府参考人        内閣男女共同        参画局長     板東久美子君        法務大臣官房長  池上 政幸君        法務省民事局長  倉吉  敬君        法務省刑事局長  大野恒太郎君        財務省主税局長  加藤 治彦君        文部科学大臣官        房文教施設企画        部長       舌津 一良君        厚生労働省医政        局長       外口  崇君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       藤崎 清道君        厚生労働省労働        基準局長     青木  豊君        厚生労働省社会        ・援護局長    中村 秀一君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    中村 吉夫君        厚生労働省保険        局長       水田 邦雄君        社会保険庁運営        部長       石井 博史君        国土交通省道路        局長       宮田 年耕君        国土交通省住宅        局長       和泉 洋人君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成十九年度一般会計補正予算(第1号)(内  閣提出、衆議院送付) ○平成十九年度特別会計補正予算(特第1号)(  内閣提出衆議院送付) ○平成十九年度政府関係機関補正予算(機第1号  )(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成十九年度補正予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。  本日は一般質疑を百分行うこととし、各会派への割当て時間は、民主党新緑風会国民新日本六十分、自由民主党・無所属の会二十分、公明党十分、日本共産党五分、社会民主党護憲連合五分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  3. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 平成十九年度一般会計補正予算(第1号)、平成十九年度特別会計補正予算(特第1号)、平成十九年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。米長晴信君。
  4. 米長晴信

    米長晴信君 民主党新緑風会国民新日本米長晴信です。  本日は、本予算委員会で初めて質問に立たせていただきます。各大臣の皆様、お忙しい中御足労いただきましてありがとうございます。早速質問に入らせていただきます。  昨日まで、これまで暫定税率の扱いをめぐっては完全に与野党で平行線をたどっております。我が方では、この暫定の名の下に十年間の延長というのは余りにも不条理である、かつ、五十九兆円もの中期計画、これが本当に適正に使う予定があるのかどうかということをきっちりと今後議論をさせていただくと。いわゆるつなぎ法案が引っ込められて、この機会が与えられたことを本当に感謝をしております。というか、これは当たり前のことだと思っております。  それでは、質問に入らせていただきます。  まず、私が率直に今感じているのは、これまでの政府側の様々な答弁あるいは告知、資料その他のものがすべて、国民に対して、暫定税率を維持すべきという世論に誘導するための本当に偏った資料が出されていると、今日はそれを御指摘していこうと思っております。  まず、ガソリンに対する税金あるいは自動車に掛かる税金国際比較というのもその資料としてよく使われるものですけれども、この比較論ガソリンに対する税金自動車に対する税金、これ安いというのは福田総理の御答弁でもありましたけれども財務大臣、これについてお願いします。
  5. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 相対的に比較をいたしますと、日本税金が外国と比べると安いと。ガソリン価格自体も、一リットル当たり日本では今は百五十円余りだと思いますが、韓国辺りでは二百円前後、それから欧米では二百三十円から前後しているんではないかと言われております。  そういう中で、私どもガソリンに係る税負担について申し上げれば、欧州主要国地球温暖化対策などを理由としてガソリン税を段階的に引き上げてきていることはもう御承知のとおりでございまして、我が国はそういう国々と比べれば低い状況にあるというふうに見ているわけでございます。
  6. 米長晴信

    米長晴信君 国際比較を出して相対的に日本が低いというのは、もっと高くてもいいんじゃないか、あるいはこの税率を維持してもいいんじゃないかということを何となく印象として思わせるためのものだと思うんですけれども。  こちら、お配りした資料の一番、これは、道路関係予算概要国交省が配られているやつ、これの中に入っているものをちょっと作り直しただけで、基本的に同じものだと考えていただいていいと思います。これを見ますと、確かに大臣がおっしゃるように、ヨーロッパ中心比較すると、例えば自動車関係諸税については日本がぐっと安く見えると。  二枚目、これはガソリン本体に掛かる税金比較で、この資料は、山梨から、私、地元の方から県の人が来て、陳情に来るときにもよく多用される表なんですけれども、やっぱり国際比較で、ガソリンに対して値段が安いと。  ただ、これ大臣自身がおっしゃったように、これは、ヨーロッパはそもそも消費税、向こうで付加価値税というんでしょうか、の比率が日本は五%なのに対してヨーロッパでは平均一七%ぐらいですか。そもそも税の仕組みも違うし、同じテーブルに乗っけて、同じ棒グラフを使って、これを比較して日本が安いと。これをこの表を使って言うのはちょっと余りに無理があると思うんですが、その点いかがでしょうか。
  7. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、米長委員がお示しになった、この三枚目ですか。
  8. 米長晴信

    米長晴信君 二枚目。取りあえず二枚目
  9. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 二枚目ですか。  二枚目は、これは日本における燃料税消費税ですよね。ですから、相対的に日本もそんなには高くはない状況にあるわけでありますね。  当然、日本消費税等については、欧米と比べれば、欧米というか欧州と比べれば、我々は数%であるし、ヨーロッパは二〇%前後であるわけですから、そこはもう燃料税に対する負担は全然違っているものと思います。
  10. 米長晴信

    米長晴信君 つまり、お認めになっていると。ガソリンに対する税金仕組みが違うにもかかわらず、この同じ表に載っけていますということをまず認めておられて、しかも、日本に係るこのガソリンのいわゆる揮発油税道路特定財源であって、一方でヨーロッパ環境税金も入っているし、付加価値税は恐らくほか福祉だとか、いわゆる一般財源だと思うんですけれども。この一般財源と、主に道路特定財源揮発油税がメーンのこの表を同時に表に載っけるということは、逆に言えば、今後、日本一般財源化をすることを容認されているということでしょうか。
  11. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 昨日も御議論がありましたけれども道路特定財源化ということは、もうこれは先生も御承知のとおり、道路を造ることによって恩恵を受ける方々に、いわゆる受益者負担をしていただこうということで、インフラ整備が遅れていた数十年前からできた制度でございまして、今日まで続いているわけでございますけれども小泉内閣時代からこの道路特定財源について見直しをしようではないかということで、今度初めて揮発油税につきまして道路整備を上回る分については納税者理解ができる範囲で一般財源化をして使途を拡大しようという形になさったわけでございまして、基本的には道路中心としてこの財源がつくられているということでございます。ただ、大きな今までの流れからすれば、緩やかな転換が図られたというふうに私は理解をしております。
  12. 米長晴信

    米長晴信君 それは将来そうなるかどうかあいまいな答弁だったと思うんですけれども、少なくともこの段階においては、この表の中では使途目的道路特定財源であって、これを一般財源の含まれているほかの国のものとテーブルとして同じテーブルに乗っけるというのは、これは明らかに国民が誤解をするということを指摘をしたいと思います。  時間が限られておりますので、引き続き。  同じことが言えるのは、一枚目の資料との比較で、三枚目。こちらの資料は若干数値ですとか、数値というかこの前提条件とかが違うので必ずしも全く同じデータではないかもしれないんですけれども。一方は、政府税調が出したのが一枚目。  自動車工業会さんが作った自動車関係諸税国際比較、これを見ると、日本ヨーロッパに比べて一方は低い、一方は高いということになっているんですけれども、まず、この日本自動車工業会さんの資料について、これは資料として正しいものか否かお答えください。
  13. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 先ほどの二枚目資料についてでございますけれどもOECDでは、そういう環境問題に関連をして燃料に対する税負担については環境対策のための一つの目安として評価をしているということでありますから、その意味では、特定財源税率についてOECDもこれは環境対策のための一環として評価をされているというふうにも聞いておりますので、必ずしも全然間違った表ではないというふうに理解をしているわけであります。  今、米長委員がおっしゃったことでございますけれども、この表が正しいかどうかについては私は評価する材料を持っておりませんけれども工業会が出されたんですからきっと信頼できるものだと思っておりますけれども、この自動車税というのは、言ってみれば保有税とか車体に掛かる税金でございますね。だから、まあ言ってみれば固定資産税みたいなものでありますから、我々が道路特定財源として比較しておりましたのは、この燃料税についての話でございます。
  14. 米長晴信

    米長晴信君 昨日、国交省の方が来られてこの表を提示しておりますので。これ今、正しいかどうかという質問には答えられていない、まあ分からないということだと思うんですけど、間違っているという御指摘はなかったと。  同じ自動車関係諸税数値の取り方によってはこんなに差があるのに、この一方の、一枚目の方だけをこういう資料に載っける。二枚目もそうです。二枚目もこんないいかげんな、いろんな税体系がミックスになったこんな表を載っけて、それを地方の議員あるいは地方自治体の役人が使って、どんどんどんどんこういうものを使って陳情に来るわけです。本当にこれは国民世論を誘導しているとしか思えない。  もう一度、こういういろんな数値がある中でこういう一方的な情報だけを使ってこういう資料に載っけるということについて、もう一度そのスタンスをお伺いします。
  15. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、自動車税軽自動車税地方財源として使われているわけでございまして、特定財源としてきちっと位置付けられているものではないと思います。
  16. 米長晴信

    米長晴信君 ちょっと時間が進んでまいりましたので、次、昨日出された資料、開かずの踏切資料についてちょっと復習をしたいと思いますけれども、これ開かずの踏切全国で六百か所あるということですけれども、このうち、当面十年間の五十九兆円のうち、どれぐらいの予算掛けて何か所整備をされる予定をしておりますか。
  17. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 現在、開かずの踏切は一千四百か所存在しています。これらの踏切のうち東京と大阪府の二つの都市では全体の五割弱になっておりますが、全国の十七都道府県交通が集中する踏切全国の三十五都道府県に存在しているということでございまして、したがいまして、全国に存在していると申し上げて過言ではないと思います。  今までどれぐらいやれたかということにつきましては、通告がありませんので、後ですぐにこの時間中に回答を申し上げたいと思います。
  18. 米長晴信

    米長晴信君 いや、今答弁が全く違って、六百か所のうち、この五十九兆円の中から何か所直して幾ら掛かるんだという質問です。
  19. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) これは、四・一兆円の事業量といたしております。四・一兆円でございます。(発言する者あり)ですから、四・一兆、一千四百か所でございます。  六百か所の開かずの踏切、いわゆる一時間に四十分以上閉まっているのが六百か所、それから人、車が長い列をつくって待つというところが八百か所でございます。それを直すのに四・一兆円でございます。
  20. 鴻池祥肇

  21. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) はい。失礼しました。  今、大臣が御答弁申し上げましたのは、昨年の十一月十三日に提出いたしました中期計画素案での六十五兆円ベース数字でございます。五十九兆円、昨年の十二月七日にまとまりまして、骨格は示されましたが、そこの中の数字というのはまだ定まっておりません。先ほど申し上げましたのは六十五兆円のベース数字でございます。
  22. 米長晴信

    米長晴信君 昨日、うちの直嶋委員が六十五兆円から五十九兆円に削減したその根拠を求めたときに中身が示されていなかったわけですが、これは入っているかどうかも分からないということですか。
  23. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  六十五兆円、中期計画素案で発表させていただきました。五十九兆円はその内数ということで、今から中身精査していく、そこの中身精査していくという数字でございます。
  24. 米長晴信

    米長晴信君 この五十九兆のうちにこの千四百か所が入る、全部入るかどうかも分からないのに、開かずの踏切がこんなたくさんありますということは、これはどういうことなんですか。
  25. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 私どもは現状をそのように申し上げているわけでございまして、例えば、昨日は今示されたもの以外にも東京でどれほど各首都と比べて多くの開かずの踏切があるかということもお示しいたしました。それを十年間に、できれば四兆一千億、我々はそういうふうな予算を用いて十年間の間にその優先度の高いものからやっていくということです。  それで、ただ、今言ったのは、六十五兆円を前提としたときに四兆一千億をそれに配分するということを申し上げたわけでございまして、一割を削ればそれは四兆一千億からもちろんもっと下げるようになるわけですけれども、それについては、我々としてもいろいろな工夫をしながら重点的、効率的にそれをやっていくということでございます。  また、その施工方法についてもいろいろ考えなければならない。連続立体交差、あるいはアンダーパス等方法によっていろんな形で開かずの踏切というものを克服しなきゃならないわけでございますが、そのしなきゃならない当面のものを一千四百か所というふうに見ているわけでございます。
  26. 米長晴信

    米長晴信君 この議論は、四月一日から二・六兆円、これを増税するんだけど、そのうち何と何を整備しますという話です。  もう一度聞きます。その中に、この千四百か所、何か所直すか、もう一度教えてください。
  27. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 中期計画性格というものがございます。道路事業、非常に懐妊期間の長い事業でございますので、構想を立て、それから長期、中期計画を立て、それで都市計画決定を行い事業実施計画をやるというものでございます。  その中期計画というのは、将来の目標をどういうふうに立てて、それに対してどういう事業を展開するかということで、個々具体箇所というのは毎年度毎年度のいろんな予算審議の中で決まっていくんだろうと思います。全体をどういう目標でどういう箇所数をやっていくかということを決めるのが中期計画性格具体箇所をやるというのは、そういう性格を持っていない計画だということを御理解いただきたいと思います。
  28. 米長晴信

    米長晴信君 六十五兆のときは千四百か所入っていると。五十九兆に圧縮したら何で言えないんですか、数は。
  29. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 先ほども申し上げましたが、現時点では中期計画そのものというのは個別箇所すべて特定をしているということではなくて、対象箇所を示して、そこをどういうふうに毎年度絞り込んでいくかと、そういう示し方をしております。  したがいまして、六十五兆円から五十九兆円になったときに、個別箇所をどういうふうに箇所を取っていくかというのは今から精査が必要だということを申し上げたわけです。
  30. 米長晴信

    米長晴信君 精査をしてないのに、じゃ何で十年分まとめて税率を維持しようとしているんですか。お答えください。
  31. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) この中期計画の三十五ページを見ていただいたら分かりますけれども全国踏切は三万五千か所あるわけです。そのうち踏切遮断により地域の円滑な交通に支障が生じている踏切というものは四千三百か所あります。それ全部を六十五兆でも直すわけにはいかないわけでございますから、それを……(発言する者あり)ちょっと待ってよ。開かずの踏切六百か所、それから交通が集中する踏切八百か所の計千四百か所に対して集中的に渋滞対策を実施しようというものでございますから、ですから、どういう形でその予算の中で配分すれば、それは先ほど申し上げたように、四兆一千億、過去三年間の実施事例の掛かった費用を平均をいたしまして、それを箇所で掛け合わせますとそれほどの予算が要ります。  しかしながら、この目標は私としては掲げながら、これをどこからやっていくかというのは、最も効率のいいところから、そのお金を使って効率のいいところから始めるわけですから、それについて、我々としてはできるだけこれが、千四百か所がこの十年間の間に解消するように頑張っていかなきゃならない。それを五十九兆に圧縮されましたから、一割削減されたから、この目標を全部取り払うということはできません。  我々としては、この目標を掲げながら、それを重点的、効率的に、また経済的にいろんな工夫をしながらそれに収まるように努力を今後していくということでございます。
  32. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記止めてください。    〔速記中止
  33. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
  34. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  六十五兆の中で千四百か所という目安箇所を提示をいたしました。五十九兆の中でどうかということについては、そこの中の具体数値はございません。  ただし、六十五兆で立てました目標、三割削減というのは、例えばコスト削減でございますとか、あるいは他のいろんな方策、地方公共団体がおやりになる町づくりの交付金でありますとか、そういうものを総合的に勘案をしてトータルの目標は変えずにできるというふうに考えておりまして、具体箇所数中身というのは今ございませんが、目標をたがえずにやるというふうに考えております。
  35. 米長晴信

    米長晴信君 とにかく、この千四百か所、そもそもがどことどこというところの特定もないし、それが予算組みで五十九兆の中に示されていないと。これでは今後審議できませんので、この場ですべて出して、すべてやると、工事をやるということをお約束するか、この資料を撤回するか、どちらか決めてください。
  36. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) その資料のどこがそれと矛盾するんでしょうか。  私どもは、三万五千か所ある中で、許された予算の範囲でできるのは千四百か所ということできちっと特定しています。そして、これはこれから今後十年間に整備するわけですから、それには都市計画決定も要ります。いろいろな地元の、それからまた地元の要請もあります。それからまた、そういうところで現に死亡事故が起こるわけです、毎年。相当な数起こりますよ。  したがいまして、そういう悲惨なものは国民世論もそのところを優先してやってほしいということにもなりますから、十年間の間に一千四百か所をやる、こういうことでございますから、それはどの部分を撤回せいと言われるんですか。
  37. 米長晴信

    米長晴信君 この資料そのものです。
  38. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) それは私は撤回するわけにはいきません。国民にちゃんと見ていただいたら国民が判断されるものであると思います。  それは客観的事実ですから、客観的事実を写真に写し、そして、客観的に今この開かずの踏切になっている部分あるいは人車が殺到している部分、それを拾い起こしたのが二枚目資料でございまして、まさにこれは客観的な事実を分かりやすく示したものでございますから、撤回することはできません。
  39. 米長晴信

    米長晴信君 今、国土交通大臣自らが、十年間掛けていろんなところを取捨選択しながら徐々に工事進めていくと。なぜ税金取る方は十年間先に払うということを決めるんですか。  財務大臣お願いします。
  40. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 税収は毎年でございます。したがいまして、その税収は動きます。道路整備費も動きます。差額が出れば一般の方に回すということを今回決めようとする法案を出しているわけでございまして、十年間をグロスでいただくわけではございません。毎年毎年いただくわけでございます。
  41. 米長晴信

    米長晴信君 この資料を撤回されないとおっしゃいますけれども、これ国会の場で示して、国民に示して、これを国民が見たら、あっ、千四百か所全部直してくれるんだという印象を与えるということです。こんなものを約束もしていないのに資料として出すのはおかしいと、こういう指摘をしているんです。  撤回されませんか。
  42. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 私はこの道路中期計画というものを国民に示しています。その中に書かれてあります。その千四百か所の場所がどこに、何県には幾つあるかということも全部書いてあります。  したがいまして、それを撤回するわけにはまいりません。
  43. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 昨日も直嶋委員とのやり取りの中で、なぜ中期計画なのかと。それは、道路というのは、やっぱり主要な都市都市を結ぶ道路というのは、計画を設計をし、用地買収をし、環境をし、そして工事をする、そうすると結構年月掛かるんですね。それで、地域計画とか国土計画とかそういうことをする中で、どこが必要な道路であるのか、必要でない道路であるのかということを考えなければいけない。  ここの絵にかいてあるような踏切は、昨日も申し上げましたように、電車を通しながら工事を進めていくわけでありますから、これはもう十数年から二十年ぐらい掛かると言われております。そういう中で、やっぱり日本の将来の国の姿を示していく意味でこういう中期計画というのは必要なわけです。その中で、一定の財源はどういうふうになっているのということを考えると、こういう示しておくことは大事であると。  しかし、もう昨日申し上げましたけれども、この五十九兆円というのは上限であります。様々なコスト縮減とか、いろんな合理化を図っていく。一方で、本当に必要なのかどうかというのも時代の変遷とともに変わってくる。しかも、毎年度毎年度こうして議論しながら来年度の予算について決めていく、具体的な計画を決めていくということでありますから、これは与野党の間で国会の場で議論をして、お互いに理解がある形、国民にも理解をしていただける中で決められていくことでございますから、これは極めて民主主義的なルールの下で決められていくことであると思っております。
  44. 米長晴信

    米長晴信君 もうこれ以上やっても平行線になると思いますので、とにかく五十九兆円の中身が全く詰まっていない、このような私は印象を持ちました。  そして次に、町村官房長官、せっかく会見の後御足労いただきましてありがとうございます。質問をさせていただきたいと思います。  このガソリン税をめぐる国際的な評価ということで、過去の会見、記者会見ですか、の中で、ガソリン税を値下げしたらユーザーが増えて、それでCO2が増えて、国際的に環境にとっていい国とは思えない、そういうことをおっしゃいましたけれども、これについてもう一度御所見を伺います。
  45. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 一般的に、大体の商品が価格と需要の関係、価格が上がれば需要が落ちる、価格が下がれば需要が増える、これはもう、どう言うんでしょうか、経済学の用語で言うと価格弾力性とでも言うんでしょうかね、これがあるのはごく当たり前のことでありまして、だから、そういう相関関係があるからこそ、北欧やあるいはヨーロッパの国々が環境税、名称はいろいろ変わっても、ガソリンに関するあるいはCO2に関する値段を上げて消費を抑制をしようということでそれを上げているということは委員承知のとおりでございます。  逆に、逆に、それではどんどん値下げをして、それは消費と何ら関係がないということが逆に言えるのであれば是非そういうことをお示しをいただきたいし、また、現に第一次石油ショック、第二次石油ショックの過程の中で様々な省エネ努力が、例えば工場でも、例えば車の燃費、これも省エネですよね、そうした努力が何ゆえに行われてきたかといえば、当然のことですが、もちろん石油の量的な制約があるかもしれないということも一方にあるでしょうが、同時に、これだけの高いコスト、高い価格で工場を動かしたりあるいは車を動かしたりするということは余りにもお金が掛かってしようがないということで様々な省エネ努力が行われている、それがしたがって環境の改善に役に立つと。こういうことで皆さんが必死の省エネ努力をやってきたのと違うんでしょうか。
  46. 米長晴信

    米長晴信君 ガソリンに対する税金環境とを論じるんだったら、やっぱりガソリンに対して環境のための税を設けるというのが税制の議論であって、ここでミックスするのはよくないと思うんです。  そういう意味では、一般論で申し上げますと、冬柴大臣も国土が七割が森林でというふうなことをおっしゃいましたけれども、今後造られる道路で木は一本も伐採されないんですか、それともやはり木を伐採して自然をある程度破壊しながら道を造っていくのか、ちょっとお聞かせください、一般論で。
  47. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 道路を造るのに必要で最小限のものは、これはやはり地形も変えなきゃなりませんし、木も切らなければなりません。  今おっしゃっているように、値段が高ければ消費を抑制するという効果があると、これはもう一般的なことではないでしょうか。我々は、したがいまして、ガソリンがどんどん上がるということから、我々は省エネの自動車自動車単体としてガソリンを、私もハイブリッドカーに乗っていますけれども、これは三分の一で済むんですね。そういう工夫をするんですよ。値段が上がればそれはするし、それが反射的かどうかは分かりませんけれども、CO2の排出量を抑制するんです。  また、道路も造れば、二十キロで走る車と六十キロで連続して走る車とではCO2の排出量が格段に違うんですね。したがいまして、道路整備ということは自動的に環境対策にもなっている。  我々は、この道路中期計画は十年立てておりますが、十年後には、このとおりに実施をいたしますれば一千六百万トンのCO2を排出を抑制できるというふうに、それも中に書いてありますが、そういう計算もしているわけで、それに向かって、環境対策に向かって道路整備もあらゆること、踏切対策もそうです、渋滞すればそこでアイドリングする車から出るCO2というのは非常に大きいわけですが、そこをすっと通ればそういうことにならないわけですから、そういう努力をしているということも併せて申し上げたいと思います。
  48. 米長晴信

    米長晴信君 価格が下がるとユーザーが増えるというのは一般論でございますので、一般論として、やっぱり自然を破壊しながら道路を造って、その上に車が走るということは環境的に、一般的にいいか悪いか、環境大臣、お答えください。
  49. 鴨下一郎

    国務大臣(鴨下一郎君) 車が増えて、そして国土の中で森林の部分について道路ができていくと、こういうようなことについては少なくとも環境負荷が増えるということは間違いないというふうには思います。
  50. 米長晴信

    米長晴信君 もう大臣自ら、その部分を取って言えば環境に悪い。一般論いろいろあるわけですから、それは片方のユーザーが増えるとという部分だけを取り上げて言うのは私はやっぱり偏った情報であって、そんな情報だけを取り上げて、マイナスの部分を一切記者会見の場で言わないで、それが国際世論にとってどうかというのを記者会見の場で言うのは、私はやっぱりやや偏りがあると思います。つまり、国際メッセージとして、道路を造るために税金を取って、それで自然を破壊すると、そういうメッセージとも受け取られると思うんですが、いかがですか。
  51. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) OECDの統計がございまして、いろいろな国によって税の名称とか、それを何に使うか、いろいろな違いがそれはあるんですけれども環境関連税制というようなくくりでそれぞれの国がどういうものに税金を取って、どういう税金を取っているかという資料がございます。  ここに、OECDのこれは二〇〇六年、二〇〇七年の資料でありまして、エンバイロンメンタルデータと書いてあります。この中に、国によって税の名前は異なっていても、ガソリンの課税、自動車の課税等々ということで統計が出されておりまして、我が国につきましては、この暫定税率部分を含めた揮発油税収や自動車重量税等の税収が環境関連税制ということでちゃんとカウントをされております。これによりますと、対GDP比でOECD平均は一・八%、日本は一・七%というようなことになっております。  したがって、もし、この揮発油税をやめる、あるいは暫定税率をやめるということになれば、当然、日本のこの環境関連税制の比率は下がる。したがって、日本環境対策に不熱心な国であるというふうに当然言われるということを私は申し上げたわけであります。
  52. 米長晴信

    米長晴信君 私の時間が参りましたので、最後に一つだけ御指摘をさせていただきたいと思います。  六枚目の資料、これはやはり出典が道路関係予算概要の中の政府が出した中にあるものですけれども、これを見ますと、ガソリン価格が折れ線グラフで書いてあって、販売量、すなわち使用量とある程度比例すると思うんですけれども、それを見ると、ガソリン価格は上がったり下がったりしていますけど、基本的に、それと関係なくどんどんどんどん増えているんですよ。これ、政府の資料として出されて、ガソリンの価格が安くなるとユーザーが増えるという、その唯一の根拠に反すると思うんですが、それはいかがですか。
  53. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) これは、この間、例えばこれは昭和三十五年ですか、から数字が始まっておりますけれども、当然車の台数が増えます。当たり前のことですよね、この間に豊かになるんですから。台数が増えるという部分を多分これは捨象をし、かつ燃費をどういうふうに置くかという仮定を置いて、その上で価格対需要量のその関係を見れば、これはまるで関係ないでしょうということにはならないはずでありますし、当然のことですけれども、価格とこの販売数量というんですか、オールジャパンで見ればこのとおりでしょうけれども、価格と消費との関係というのは、このマクロマクロの数字だけのデータとは全く違う表が多分できるんだろうと思います。  私自身は余り学がないものですからそういう統計数字は作れませんけれども、しかるべき方に計算をしていただければ、当然それは出てくるものと思います。
  54. 米長晴信

    米長晴信君 最後に、この昭和三十五年とかまでさかのぼるとそうかもしれないんですけど、この平成二年ぐらいから見ても、明らかに言っていることと数値が違っていると。これはマクロとは僕は言えないと思うんです。  こういった資料、本当にいろいろ国民の判断を迷わせております。本日は時間が参りましたけれども、今後、こういった資料、徹底的に追及して予算の審議をしてまいりたいと思います。  ありがとうございました。
  55. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 関連質疑を許します。中谷智司君。
  56. 中谷智司

    ○中谷智司君 おはようございます。民主党新緑風会国民新日本の中谷智司です。  私の選挙区は徳島県です。地元の方々と、特に企業経営者の方々とお話をさせていただきますと、今話に上がるのは原油高の問題、そして建築基準法改正による住宅着工の落ち込みのことです。日本全国どこにおいても大きな問題になっていると思いますが、何とかしてほしい、何とか対策を打ってほしいという悲痛なお言葉をいただいております。本日はこの件について御質問をさせていただきます。  まず最初に大田大臣質問をいたします。  原油価格の高騰、そして住宅着工の急激な落ち込みによって日本経済は減速傾向になっていると考えられますが、景気動向、株価推移の説明と、それらに対する大臣の率直な認識をお聞かせください。
  57. 大田弘子

    国務大臣(大田弘子君) 景気は今まだ回復基調が続いていると見ておりますが、中に弱さがございます。  弱さの一つは個人消費です。賃金が伸びないということから、消費が強さを欠いております。もう一つは、先生が言われました改正建築基準法の影響による住宅投資が依然として低水準にあるということです。加えまして、心配されるのは、これも先生指摘されました原油価格の高騰です。なかなかその価格転嫁できない中小企業を中心に収益が圧迫されてきております。逆に、これが転嫁されますと物の値段が上がるということで、個人消費にマイナスの影響を及ぼすと考えています。  これに加えまして、アメリカのサブプライム住宅ローン問題に端を発する金融資本市場の動揺が続いております。アメリカ経済の減速が生じておりますので、景気の下振れリスクが高まったと見ております。今後十分に注意して見てまいりたいと思いますし、原油対策につきましては、年末に講じました高騰対策の影響を注意深く見ていきたいと思っております。
  58. 中谷智司

    ○中谷智司君 今の御答弁を聞いておりますと、非常に見通しが厳しい、そういうふうに受け取られます。しかし、政府では実質成長率の見通しを二%と決められました。これはかなり強気な見通しのように感じられますが、この件についてお聞かせください。
  59. 大田弘子

    国務大臣(大田弘子君) 十九年度の実績見通しを一・三%と見ておりますが、これは改正建築基準法の影響で〇・六%下押しされたと見ております。住宅だけで〇・四%、それから工場ですとかオフィスビルといった設備投資も〇・二%、合わせて〇・六%下押しされたと見ております。  これは、建築が先送りされますので、もちろん完全に復活するかどうかは分かりませんが、先送りされますので、その分二十年度は〇・四%上押し要因になると見ております。それで先生がおっしゃった二・〇%と見通し立てております。  この前提としまして、世界経済については、昨年十二月時点での国際機関の見通し、つまり景気は、世界経済は減速するけれども回復は続くという見通し、それから原油価格は若干下がるという前提に立っておりますが、世界経済は予断を許さない状況ですので、来年度経済は十分に注意が必要だと見ています。
  60. 中谷智司

    ○中谷智司君 今のお話では、住宅着工に関しては落ち込みが戻ってくると受け取ってよろしいんでしょうか。
  61. 大田弘子

    国務大臣(大田弘子君) 住宅需要につきましては、需要が落ち込んで住宅投資が減ったわけではありませんで、制度的な問題ですので、その分は先送りされると見ております。  ただ、落ち込みが非常に激しかったために、この間、例えば建築資材の生産が遅れている、あるいは一部に倒産が発生しているといったようなこともございますので完全に復活するとは見ておりませんが、先送りされた分、〇・四%分上押し要因になると見ております。
  62. 中谷智司

    ○中谷智司君 それでは、建築基準法改正のことについて具体的に入っていきます。  今、大田大臣に総論お聞かせいただきましたけれども国土交通大臣具体的にお話を伺いたいと思います。  今日の新聞各紙一面、住宅着工の落ち込みが、例えば読売新聞、中国製ギョーザの下に載っておりますけれども、住宅着工四十年ぶり低水準、朝日新聞、これも中国製ギョーザの左隣に書かれておりますけれども、住宅着工百十万戸割れ、四十年ぶり低水準というふうに非常に大きく取り上げられております。  この住宅着工減少の問題というのは、建築業界だけではなく、建材業界や大変広い業界に大きな影響を及ぼす問題だと思っております。これについて、冬柴国土交通大臣の御見解をお聞かせください。
  63. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) このように落ち込んだことについては私としては遺憾な思いでございますし、国民に対してもおわびを申し上げたい、このように思います。  ただ、住宅産業はほとんどが中小企業でございます。したがいまして、このような落ち込みによるダメージを少しでも緩和するために、十月九日からセーフティーネット貸付け等の措置を経済産業省、甘利大臣の方にもお願いをいたしまして、中小企業庁から手厚くさせていただいております。  それから、セーフティーネット保証というものについても、貸付け以外にも保証、それから今まで貸し付けているお金の弁済についての繰延べというような措置をしておりますが、セーフティーネット保証につきましても、十一月二十七日には十五業種を指定し、さらに十二月十八日にはその上に二十業種を追加を指定していただきまして、今まで中小企業に対しては二億円の保証枠があるんですが、これに対して別枠で、このようなものでダメージを受けた人にはもう二億円、保証、非常に保証料は低利にしていただきまして、追加するという措置を講じております。  したがいまして、これによって倒産というものを食い止めようというふうにしているところでございます。  また、昨年十二月十四日には建築確認に関する関係省庁連絡会議を設置していただきまして、政府挙げてこれに対して取り組み、これを一過性のものにしよう、経済に対する、マクロ経済に対する影響を最小限のものにしようということでやっているわけでございます。  ただ、この問題をずっとなぜこういうことが起こったかということを考えていただければ分かるように、二度と再びこの国で震度五ぐらいの地震で崩壊してしまうような建築物が造られ、またそれが一般に売られるということがないようにしようということで、我々はこれに取り組んでいるわけでございますので、国民の広い御理解をちょうだいしたいと思います。  民主党におかれましても、その趣旨については同意をされ、我々の案以上にもっと強い、もっと強い規制をすべきだという案も、対案を出されたわけでございますので、その趣旨は御理解をいただきたいと思います。
  64. 中谷智司

    ○中谷智司君 建築基準法の改正については、私はこれはもう正しいことだと思っています。しかし、そのやり方、それをどういうふうに実行に移していくか、ここが間違っていたと思います。  それで、今、実際には倒産件数も増えていっていると思います、企業の。これについては冬柴大臣、どういうふうにお考えでしょうか。
  65. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 我々のそのような対策もありまして、株式会社東京商工リサーチというところの調査結果によりますと、建設業の倒産件数は、十月に昨年最多の三百九十件に至りましたけれども全国で、その後は減少に転じておりまして、十二月は前年同月比では七・七%の減となっています。その一方で、建築基準法改正関連倒産は、九月は二件、それから十月は四件、十一月は九件、十二月も九件というふうに報告をされております。そういう、減少傾向にあるとはいうものの、住宅着工の減少の影響は工程の進捗に伴い様々な業種へ影響が懸念されます。  したがいまして、今後とも関係省庁とも連絡調整を密にしながら、これが一時的なものにとどめられるように引き続いて全力を挙げて、省を挙げて努力をしていかなければならないということでございます。
  66. 中谷智司

    ○中谷智司君 データの取り方にもいろいろあると思うんですけれども、私が持っているデータにおいては、昨年十月には倒産件数が四件、そして十一月には九件に増えていっています。ですから、その冬柴大臣の持っているデータがそういうふうな傾向にあるといっても、別の取り方もあると思いますので、そこら辺は認識をしておいていただきたい。そして、今これは大変深刻な問題だ、そういうふうなことを是非とも御認識をいただきたいと思います。  この住宅着工についてまだ御質問をさせていただきたいと思いますが、この対前年比について地域間格差は生じていませんか。それについて冬柴大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  67. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 改正法施行後、住宅着工数につきましては、都道府県ごとの十二月までのデータを見ますと、月々のばらつきが大きくて、地域的な傾向を明確に申し上げることは難しいと考えるのが正確ではないかと思います。  ただ、沖縄県はやはりワーストファイブの中に常に入っているという、そういうことをとらえますと、なぜか。やはり、戸建て住宅も、台風等のことを考えてだと思いますけれども、コンクリート造りの堅固な建物になっているんですね。そういう特徴があるためにそういうことが起こるのかなと思います。  しかしながら、各月の落ち込みというものを表に取りましても、その傾向が地域差があるというふうに結論付けることはできないように思います。
  68. 中谷智司

    ○中谷智司君 私は、昨年の六月から月別、そして都道府県別の住宅着工、前年比に対してどういうふうな状況になっているかのデータを一覧にいたしました。そして、昨年と比較して下がっているものでは赤、そして増えているものについては黒で表示をしています。六月までは比較的、六月は比較的黒が多いんですけれども、七月以降はだんだんだんだん赤が増えてきて、九月、十月はほとんど真っ赤っかの状態です。この状況についてどう思われますか。
  69. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 前年比で取られていると思うんですね。前年は、まあ史上最高と言ったら言い過ぎか分かりませんけれども、百二十九万戸の着工件数だったと思います。したがいまして、前期比か何かでやらないと、あるいは前々年比とか、一番高いところと比較するとそれは落ち込みます。  ただし、おっしゃったように、先生の努力のとおりでございまして、七、八月は物すごく落ちました。九月から上昇に転じているということは、これは全国レベルのこれを棒グラフに取ればよく分かると思います。九、十、十一、本当にずっと上がってきているということはよく分かると思いますので、その面も見ていただきたいと思います。
  70. 中谷智司

    ○中谷智司君 この私の手元にある資料では、持家あるいはマンションだとか、そういうふうな分類もされておりまして、特にマンションの落ち込みがひどいです。これについてはどう思われますか。
  71. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) そのとおりでございまして、マンション着工につきましては、改善傾向にはありますけれども、いまだ十分に回復はいたしておりません。これはやはり高度な構造計算が必要とされるものが多いということによるものであるというふうに思います。  したがいまして、私どもは、この設計に対しまして個別に相談に応じるサポートセンターを各都道府県に設けまして、これは無料で中小企業の方々にも開放して技術的支援を行うことをやっているとともに、審査側に対しましても、構造計算適合性判定機関の業務の効率化や判定員の拡大、そしてまたこの方形の比較的規模の小さいものについての審査というものについてもどういうふうに行ったらいいかということに取組をしているところでございまして、しかしながら、まだ回復が十分でないという状況にあることは分かっておりますので、その点についても十分手当てをしていかなければならないと認識しています。
  72. 中谷智司

    ○中谷智司君 新聞などの情報を見ておりますと、この住宅着工の落ち込みについては総数の平均が出されているだけです。つまり、これマンションだけを見ていますと、例えば十月では七一・一%も住宅着工が落ち込んでおりますし、十一月でも六三・九%落ち込んでいます。つまり、マンションを造られている業者の方は特に大変な状況になられていますし、マンションを造りたい方も非常に大変な状況です。こういうこともきちんと国民の皆さんにお知らせをしていただきたい、そういうふうに思っておりますし、そして何よりもこういう方々が大変な状況に陥らないように、是非とも国土交通大臣としても全力で取り組んでいただきたいと思います。  それでは、少し建築基準法の細かいお話をさせていただきたいと思います。この建築基準法に合わせた新基準の構造計算書を作る大臣認定プログラムの進捗についてお伺いをいたします。  これは、昨年十一月の十三日、参議院経済産業委員会で今日ここにおります川合孝典委員が、そして十二月の十三日には、同じく参議院の経済産業委員会で私が国土交通官房審議官に完成予定を尋ねました。そのときには、年内、つまり昨年末を目途にプログラムの完成及び審査完了が行えるようにしていると回答をいただきました。  国土交通大臣、進捗はどのようになっていますか。
  73. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 今御指摘のとおりでございまして、我々もこれは、本来は昨年の六月の二十日の法施行時に合わせてしたかったわけですけれども、大変難しい問題が次々発生いたしました。そしてまた、これを進めているさなかに驚くべき田村水落事務所の偽装という問題が起こりまして、こういう問題についてどうこれを防御するか、そういうような新たな問題も含めて生じてきました。  しかし、三社は随分進んだあれがあって、あと十社ほどがやはり研究を進めていただいておりまして、その中のNTTデータが一番進んでいたわけです。したがって、これを、十二月段階でそれを認定できるかということで、我々としてもその方向を注視していたわけですけれども、やはり専門家が見ますと、もう少しそれについての試験を繰り返さないとこれを最終的なものとするわけにいかないという意見もありまして、申し訳ないと思います。しかし、これが延びました。年を越えてしまいました。  したがって、私は、もうこれ以上遷延するわけにいかないから、非常に異例でありますけれども、我々が乗り出して、本来これは業者の方が作ってそれを我々に申請して認定するという性格のものですけれども、我々は、話合いの上で仮認定をさせてほしい、そしてそれを仮のものとして、その中にこれを使う人、そしてまた認定する人も多く入っていただいてその試行をしてもらいたい、試みにやってもらいたいということで、それに合わせて地方も、これを前提とした作業を、手順を我々としてもいろいろ講習をしたり勉強をして習熟をしていただこうという作業を一月二十一日以降行っているところでございます。  したがいまして、これを何とか今月、もう今日は二月に入ってしまいました。今月中にはこれを最終認定をできるように頑張っているところでございます。
  74. 中谷智司

    ○中谷智司君 この二月一日の時点で二月末まで掛かると言われているようなことを、なぜ十二月の十三日に十二月の末までに完成すると言えるんですか。
  75. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 当時はそのような認識で、何とか努力して十二月中にはこれをやろうと。また、業界もそれを本当に待ち望んでいられますので、我々としても、本当に省を挙げ、またその関係の業者の方々にもお伝えをして、十二月には最終認定ができるように頑張ってもらいたいということを申し上げたわけでございますが、それができなかったということについては率直に遺憾の意を表したいと思います。
  76. 中谷智司

    ○中谷智司君 余りにも認識が甘過ぎると思います。やはり十二月の時点、もっと言うと、もっと早い段階で国土交通省から人的あるいは物的な資源をもっともっと投入していればより早く対応ができて、ソフトウエアも作れていたんじゃないでしょうか。この件についてはどう思われますか。
  77. 和泉洋人

    政府参考人(和泉洋人君) お答え申し上げます。  今委員指摘の構造計算プログラムの開発は、大臣からも申し上げましたとおり、本来は民間の開発でございますが、それがなるべく早く進むように、情報提供、あるいは審査する側の迅速かつ的確な審査をお願いしたところでございます。そういった意味において可能な限り努力をしてまいりましたが、御指摘のように、さきの答弁で昨年末と申し上げ、今、今日に至っているわけでございますので、それは大変申し訳ないと、こう思っております。  その上で、今実務界から非常に希望が強いものでございますので、大臣からも答弁しましたように、一月二十一日、仮認定をして、その上で優秀な設計界あるいはゼネコン、これは使う側でございます、更に加えて審査する側、こういったもので、私どもが音頭を取りましてコンソーシアムをつくって、NTTデータだけに任せておったのでは時間が掛かるので、そういった全面的な協力の下にいわゆる不具合をチェックして何とか二月に使えるようにしようと。加えて、そういったことが認定がされた暁に、このコンソーシアムに入っているメンバーだけじゃなくて、なるべくスムーズに中小の設計事務所が使えるように、同時並行でそのプログラムに関する研修を現在していると、こういったところでございます。  いずれにしましても、遅れたことについてはおわび申し上げますが、今一生懸命取り組んでいると、こういったところでございます。
  78. 中谷智司

    ○中谷智司君 ここで私たちにおわびをしてもらってもどうしようもないんです。これ、困っておられるのは国民なんです。つまり、こういう建築業者さん、建材業者さん、あるいはこのお仕事に携わる方々、そしてもちろんマンションを造ってほしいと言われているクライアントさんも含めて、国民皆さんが困っているわけなんです。これについてはどういうふうにお考えなんですか。
  79. 和泉洋人

    政府参考人(和泉洋人君) 委員指摘のとおり、本当に困っているのは現場の中小工務店あるいは中小の設計事務所等でございます。これにつきましては、るる大臣からも御説明したとおり、様々な施策を六月二十日の施行以降講じてまいりました。その上で、今も話題になりましたマンション、これにつきましては、御指摘のとおり、こういった構造計算プログラムができれば七十日の審査期間が三十五日に短縮できるわけでございまして、その意味において一番効果があるものと考えております。この点につきまして、今御答弁申し上げましたとおり、何とか早くこれが使えるように、また、本認定の暁には中小の設計事務所も含めて使えるように今努力を続けている最中でございます。よろしくお願いします。
  80. 中谷智司

    ○中谷智司君 先ほどの御答弁から、これはもう二月にできるというふうに信じてよろしいんでしょうか。これはお約束いただいてよろしいんでしょうか。これ二月でも遅過ぎると思いますけれども
  81. 和泉洋人

    政府参考人(和泉洋人君) 御指摘のとおり二月でも遅過ぎると思うんですが、二月中には必ず認定するように努力をさせていただきたいと思います。
  82. 中谷智司

    ○中谷智司君 同じようなことを十二月に言われたんです。今、信じていいんですか、その言葉を。
  83. 和泉洋人

    政府参考人(和泉洋人君) 二月に認定できるように最大限の努力をしたいと思います。
  84. 中谷智司

    ○中谷智司君 努力では駄目なんです。これは確実に実現していただかないといけないんです。それについてはどう思われますか。
  85. 和泉洋人

    政府参考人(和泉洋人君) 現在のコンソーシアムにおける作業状況を聞くところによると、二月には確実にできるというふうに聞いておりますので、そういった意味で、コンソーシアムの作業についても私ども関与をしながら、今委員指摘のように二月中にちゃんとできるように最大限の努力をさせていただきたいと思います。
  86. 中谷智司

    ○中谷智司君 大臣の御見解を聞かせてください。
  87. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 非常に技術的な問題ですけれども、私は従来のいきさつから見て、二月中にできるように最大限の努力をさせていただきます。
  88. 中谷智司

    ○中谷智司君 私もITの技術者でした。ソフトウエアを作るというのはある程度は分かるわけなんですよ、ここまでにできるというのは。それがなぜ分からないんですか。それを教えてください。
  89. 和泉洋人

    政府参考人(和泉洋人君) 専門の先生に答弁するのはなかなか心苦しいんですが、御案内のように、今回のプログラムは、いわゆる姉歯事件のときに問題になりましたいわゆるアウトプットデータの改ざん防止とか、あるいはいわゆる計算ツールとしてのプログラムであれば建築基準法に規定しない数値の入力も可能であるとか、様々問題がございまして、そういったことをすべてふさぐというような形で条件設定をさせていただきました。  コンソーシアムとかNTTデータの話を聞いてみますと、やはりそういった機能を付加することとか、あるいは建築物は極めて多様でございますので、例えばいろんな構造、あるいはいわゆる混構造と、こう言っていますが、複数の構造が合わさったような場合、あるいはよく建物の耐震性に問題があるピロティー構造、こういったものを全部含んで、かつ誤りのないものにするためには相当慎重にバグチェックをしていると、こういったことがございまして現在まで時間が掛かってしまったということを聞いております。
  90. 中谷智司

    ○中谷智司君 そういうのも含めて仕様書だとか設計書だとか作るんですよ。  これは繰り返しても本当に平行線になります。もう一度、国土交通大臣の力強い意思を、意思表明をお願いします、何としても実現するという。
  91. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 私もITは質問者ほど専門ではありませんし、ほどと言うよりももう全く素人ですし、しかしながら、これはもう随分遅れていて、政治的にこれ以上遅らすわけにいかないということで、一月二十一日に……(発言する者あり)ちょっと余りうるさ過ぎますよ。衆議院はそうじゃないですよ、衆議院は。まあ、そんなこと……。  私は、一月二十一日に、一月二十一日に、もう乗り出そうと。異例だけれども乗り出そう。本来は、申請をしていただいて我々が確認するということで大臣認定ということになっているわけです。しかしながら、今までやってきて、それはもうできないから何とか乗り出して、我々も入らせていただいて、そしてその関係者に、NTTだけじゃなしに、それを使う人も、それからそういう人たちもみんな入っていただいて、コンソーシアムという協議体をつくって、そしてそれをチェックしていただこうじゃないかということで始めたわけでございます。  そして、その見通しとしておおむね一か月は必要だろうという話でございますので、そうしますと二月の末ということを我々としてはもう何としても守るように、これは国会でもこういうふうにして申し上げているわけですから、できるように努力しなきゃならない、最大限の努力をさせていただくということをお約束申し上げたいと思います。
  92. 中谷智司

    ○中谷智司君 この問題は、もう先ほども申し上げましたけれども、本当に大変広い業界に影響を及ぼす大問題です。私も、地元徳島でも、そしてもちろんこれは全国で、ここにいらっしゃる委員の方々、そして大臣の方々も地元に戻られたら必ず言われる大問題だと思います。是非とも全力で取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いします。  それでは、原油価格高騰対策に関する質問をさせていただきます。  この原油価格の問題、昨日の予算委員会でも次々と質問が出てまいりましたが、二〇〇二年の一月には一バレル十九・七三ドルだったのが、今年の一月の三日には百・〇九ドルまで上昇しました。この原油高の問題はガソリン高だとか軽油の価格、このことをよく言われますけれども、もちろんそれは大問題なんですけれども、それだけではなく、電力やガス、あるいはしょうゆやチーズ、マーガリン、牛乳やビール、食品まで値上げになる、つまり消費者物価を上昇させるような大きな問題です。私たち一般消費者やあるいは中小零細企業は大変深刻な状況になっています。  この原油価格高騰の問題が中小企業や家計にどのような影響を与えているか、どれだけ深刻な問題か、額賀財務大臣に見解をお伺いしたいと思います。
  93. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、具体的な経済政策については甘利経産大臣がもっと詳しいかもしれませんけれども補正予算と来年度予算で原油高騰対策について出させていただきました。補正予算では五百億円ぐらい、そしてまた二十年度予算では二千億円弱のこの原油対策をさせていただいたわけでございますけれども、御承知のとおり、中小企業を始め各企業の収益を圧迫していると、中小企業は特にその転嫁ができないということで悲鳴を上げているということをよく聞いております。また、同時に価格上昇もしておりますから、石油商品関連のものは上昇しておりますし、どうしてもこれは消費者マインドに影響してまいりますから、消費動向がどういうふうになっていくのか、そういうことが非常に心配でございます。  一方で、先ほどもお話がありましたけれども、倒産件数も急速に増えているということでございますので、私どもは、この原油問題が単なる実需だけではなくて、産油国周辺の政治状況とか、あるいはまた投資的、投機的な要因もあるとか言われておりますから、そういうことに対してお互いが、産油国も消費国も協調する形で実体経済に影響を及ぼす原油価格の安定を図っていかなければならない、そういうふうに思っておりますし、きちっと、G7が二月の九日に開かれますけれども、各国の実体経済に原油価格高騰がどういうふうに影響しているのかということも率直に議論をしてみたいというふうに思ったりしております。  補正予算と来年度予算で中小企業対策あるいはまた寒冷地対策あるいは離島、農林水産漁業、各般にわたってきめ細かく対応させていただいておりますので、この補正予算案についても予算についても、できるだけ早く議論の末に成立をさせていただいて国民の皆さん方に安心を与えてくださるように、私からもお願いをしたいと思います。
  94. 中谷智司

    ○中谷智司君 今、額賀大臣補正予算について触れられました。それについて、いつごろから効果が出るか、それについて大田大臣にお伺いをしたいと思います。
  95. 大田弘子

    国務大臣(大田弘子君) 今回の原油高騰対策では様々な経路で対策を講じております。例えば、中小企業の資金繰り支援として二百三十七億円、漁業向け基金など業種別の対策として百六十九億円、それから離島航路、地方バス路線など国民生活への支援に二十三億円といったものを講じております。  これはそれぞれにおいて効果の発現の時期は異なりますけれども、実施されれば即効果が出るものも中に今申し上げたように含まれております。
  96. 中谷智司

    ○中谷智司君 ここではあえて言いませんけれども、私は、この政治の世界やあるいは行政の世界というのは予算を立てるときにきちんとした効果を考えて予算組みをしていないように思います。やはり何よりも大切なのは、PDCAのサイクルで効果を考えながらきちんとしたチェックをしていく、そして次の予算を組む、あるいは政策を作るときにそれを反映していくことが大切だと思っております。それについてはどう思われますか。
  97. 大田弘子

    国務大臣(大田弘子君) PDCAの重要性は全く御指摘のとおりです。  ただ、今回の原油対策につきましては、石油会社に直接投入するものではありませんで、様々な経路があります。例えば、水産業ですと基金をつくるという形を取っておりますし、中小企業は資金繰り支援ということでございますので、難しい状態にそれぞれ処方せんを講じていますので、簡単に定量的に効果が計測できるものではありません。しかし、それがどういう効果を及ぼしたかはきちんとチェックしてアクションを講じる、このプロセスはしっかり取っていきます。
  98. 中谷智司

    ○中谷智司君 それでは、時間が参りましたので、最後になりますけれども、ここにいらっしゃる大臣の方々、そしてここにおられない福田総理を始め閣僚の方々にお願いをいたします。もう是非とも国民の方々お一人お一人とお会いする時間をつくってください。そして、皆さんから生の意見を聴いてください。私は、今の国民の生活は思っている以上に深刻だと思います。私はそれを日々感じながら生活をしています。是非ともその深刻な国民の生活のことを考えて、これからの未来の日本をつくっていくために全力で頑張っていただきたいと思います。もちろん私も全力で頑張ります。  ありがとうございました。
  99. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で米長晴信君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  100. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、山田俊男君の質疑を行います。山田俊男君。
  101. 山田俊男

    ○山田俊男君 山田俊男です。  本日は、初めて予算委員会質疑をさせていただきます。この機会をいただきました先輩議員、同僚の議員の皆さんに本当に御礼を申し上げる次第であります。  本日は総理は御出席されておられませんので、しかしどうしても総理に申し上げたかったことがありますので、御紹介がてら冒頭に申し上げさせていただきたいというふうに思います。  と申しますのは、総理は基本方針の演説におきまして、国民の側に立って、国民の生活の安定に視点を置いた政策転換を図っていくということを明確におっしゃっていたわけでありまして、その観点で、井戸を掘るなら水がわくまで掘れというこの信念で疲弊にあえぐ明治期の東北の農村復興に当たられた石川理紀之助翁の話をお出しになったわけであります。私もその話に大変感銘を受けました。石川翁は、明治の十一年に立ち上げました、そして今も続いております秋田の種苗交換会、これを主宰されたわけでありまして、この種苗交換会が技術の交流やそれから情報の交流、それから農業者の生活安定、営農生活安定のための様々な努力に大きく貢献したわけであります。  総理の演説の内容につきまして日本農業新聞が報道いたしまして、その報道を見た秋田の羽後町の伊藤さんという農家です、水稲とそれとスイカを中心にした経営をやっておられる農業者でありますけれども、石川さんの、といいますか、総理の言葉に感激されまして、総理には地域の活性化、農業の再生に頑張ってほしいという意味合いで、この昭和九年に改訂して発行されました石川翁講演全集を是非総理にお贈りしたいということでありましたので、私から渡してほしいということだったわけです。今日は機会を逃しましたが、改めて総理に別の機会で是非お渡ししたいと、こう思うわけでありまして、いずれにしろ、総理はおいでになりませんが、ともかく、総理並びに閣僚の皆さんには、石川翁のこの精神、理念を引き継ぎまして、そして農業の再生、復興に引き続き全力を挙げていただきたい、このようにお願いする次第であります。  さて、私は、総理の施政方針の具体化を図っていくためにも、我が国の食と農、これについて質問をさせていただきます。  まず、農林水産大臣に簡単な説明をさせていただきます。  手元の資料の一ページでありますが、そこに卵の黄身が載っております。鶏の卵は、右っ側にあります、黄色であります。一方、遺伝子、この黄色ということは何で黄色なのか。それから、まあ少しオレンジがかった卵もあります。一体この原因は遺伝子なのかそれとも何なのか、このことを是非最初質問したいと思います。
  102. 若林正俊

    国務大臣(若林正俊君) 卵の黄身がなぜ黄色いのかと、こういうことでございます。  この卵の黄身の色が黄色いというのは、主たるえさでありますトウモロコシのカロチンが飼料の中に含まれていると、その他のそういう自然の色素に由来するものであるというふうに承知いたしております。
  103. 山田俊男

    ○山田俊男君 さすがは農林水産大臣でありまして、おっしゃるとおりでありまして、黄色はトウモロコシから移ったものであります。この左っ側にありますオレンジ色は飼料にパプリカです、これを混入したものなんです。それでこの色を出しているということであります。  我々は黄色というふうに一般的に認識していますから黄色だというふうに思いますけれども、しかし、この背景にあるのは、我が国の飼料のほとんど全部をアメリカのトウモロコシに依存しているという中でこの黄色が生まれてきているということをしっかり認識しなければいけない、こう思うわけであります。我が国が生産力を持っています米を使いますと、えさに使いますと、これがだんだん黄色が白色になってくると、こういうことであります。  我が国が、これらのことを含めまして、いかに穀物を中心にして海外に食料を依存しているかということでありますが、その資料三枚目を御覧いただきますが、圧倒的に、その右側にありますように、我が国はアメリカに依存をしております。次いで中国、そして豪州という順であります。  そしてもう一つ、次のページを御覧いただきたいと思います。四枚目です。これは、米国から我が国への穀物輸入の状況であります。本当は宇宙から衛星写真を撮りまして一体どんな様子かという太平洋の洋上を見れば一番いいんですが、なかなか手に入りませんでして、そこまでできませんでしたが。  我が国は、米国から小麦、大豆、トウモロコシ、合計で二千三百万トン輸入しております。パナマックスという船がありまして、これはパナマ運河を通過できる最大容量の船であります。およそ五万ないし六万トンというふうに言われておる、積載量が、パナマックスであります。これが日本まで運ぶわけでありまして、この二千三百万トンを運ぶということになります。米国から日本までは約三十五日間掛かるわけで、要は、これらの品目を積んだパナマックス船は年間におよそ三百九十そう、これが動くわけでありまして、現に三十五日掛かるわけですから、現時点で、今、太平洋上に浮かんでいる船の数は三十五そうということになります。  ところで、中国は、十年前には大豆等に関して言えば輸入はゼロでありました。ところが、今、中国は、米国、ブラジル、アルゼンチンから三千万トンの大豆を輸入しております。これで換算しますと、およそ五十そうが現時点で太平洋上に浮かんでいることになります。さらに、隣国であります韓国、そしてこれも隣国でありますフィリピン、これらの国々はおよそトウモロコシ等を中心にしながら千六百万トン輸入しております。そして同時に、ASEANの国々、これはインドネシアがあったり、これらの国々みんなひっくるめて考えて計算いたしますと、この太平洋上に何と現時点で百五十そうのパナマックス級の船が浮かんでいることになります。言うなれば、因幡の白ウサギが船と船を跳びはねて日本まで来れるんじゃないかと思うくらいの割合で、頻度で浮かんでいるということを、数珠つなぎってまさにこのことを言うのではなかろうかというふうに思います。  こう考えますと、一体食料の問題をどう考えるか。大変な局面にあると考えます。船賃も大変上がっているわけであります。米国農務省の発表によりますと、在庫率は一三%に現時点で下がっているというふうに言います。世界でやはり安定した在庫率であるというふうに言えるのは、収穫前の二か月前、言うなれば、あと二か月間もてば新しいトウモロコシが手に入るという八月末の時点の在庫率が一七%と、これが安定的な在庫率と言われていますが、それに比べると、もう現に一三%であるわけですから、現在置かれている状況は大変な事態であると言えます。  原油の高騰、さらにサブプライムローンの株価の低下の問題があります。しかし、穀物の高騰は性格が違うんじゃないかと私は考えるわけでありますが、穀物価格の高騰は地球温暖化の問題ともかかわります。決して一過性のものではないと考えるわけでありますが、環境大臣、それから農林水産大臣にお考えをお聞きしたいと存じます。
  104. 若林正俊

    国務大臣(若林正俊君) お答えいたします。  世界の穀物価格の高騰は異常とも言えるような高騰状態にあります。具体的に言いますと、一昨年秋の委員がおっしゃられた八月の段階におきます小麦、トウモロコシ、大豆を昨年の秋、一昨年の秋と去年とを比較をいたしますと、小麦では二・五倍に上がっております。トウモロコシが二・二倍、さらに大豆で二・三倍というふうに高騰をしておりまして、これは今までにない過去最高の価格を示しているところでございます。  このように穀物価格の高騰が続いておりますのは、委員もお話ございましたいろいろな要素があるんですけれども、大きく三つ挙げておきたいと思います。  一つは、中国やインドなどの途上国、新興途上国の経済発展が著しいと。そこで国民の所得が上がりますと、食料需要が量として増えてくるだけではなくて、畜産物需要が増えますからえさ需要が高まってくるというようなことで、えさ需要が大きくなってきているということが第一であります。二番目は、世界的なバイオ燃料の原料としてトウモロコシなどの穀物が供給されるようになってきたと。三つ目は、委員がお話しのように異常気象でございます。豪州の二年連続の大干ばつでありますとか地球温暖化によります地球規模での気候変動の影響と、そういった構造的な要因を背景にいたしまして一昨年秋ごろから高騰をしてきたものというふうに承知いたしておりまして、このために世界では穀物のある種の争奪戦のような、そんな様相さえも生まれてきているというふうに言われておりまして、危惧しているところであります。  ちなみに、委員がおっしゃられました在庫率について言いますと、実は食料危機が言われました世界的な同時不況のあった一九七〇年代の初期であります。アメリカが大豆の禁輸措置などを講じた時期でありますが、その時点の在庫率を更に下回るような状況になってきているということで、憂慮すべき在庫状況だと思います。
  105. 鴨下一郎

    国務大臣(鴨下一郎君) 今、農水大臣が基本的なことをお述べになったわけでありますけれども、特に例えば干ばつやそれから大規模な台風、水害、こういうようなことがもう既に顕在化してまいりました。こういうようなことで、ある種の穀物等についての先高感、こういうようなことが多分マインド的にも出てきたんだろうというふうに思っております。  特に、これは環境省の方の立場で申し上げますと、自然の生態系あるいはそれに依拠する農業、こういうようなことについては特に地球温暖化の影響を受けやすいと、こういうようなことを認識しているわけでありまして、これ、IPCC、気候変動に関する政府間パネルにおいても、特に低緯度の地域におきましては農作物の生産性は一から二度Cの平均気温の上昇でさえ減少すると、こういうような予測をしているわけでありまして、また世界的には、これ地域平均気温が約一から三度の幅で上昇しますと、食料生産のポテンシャルが増加をしますが、その後は減少に転ずると、こういうようなことを予測されているわけでありまして、こういうようなことが食料あるいは穀物の高騰に影響をすると、こういうふうな考えもあると思います。
  106. 山田俊男

    ○山田俊男君 一過性のものではなくて永続的なものであるという御見解をお聞きしたというふうに思います。  とすると、そのための対策はどうなっているのか、我が国の備蓄水準はどうなっているのか、農林大臣にお聞きしたいと思います。
  107. 若林正俊

    国務大臣(若林正俊君) お答えいたします。  主として飼料穀物の輸入が大きく、また我が国の畜産は配合飼料を中心とした輸入穀物に大変大きく依存をいたしております。その意味で飼料穀物の備蓄というものを主体に考えております。そして、この備蓄については、国が配合飼料の主原料につきましておおむねその一か月分、トウモロコシ、コウリャンを六十万トン、それに米が三十五万トンの計九十五万トンの備蓄を行っております。また、民間の配合飼料メーカーに同様九十五万トン程度の在庫の確保を義務付けておりまして、官民合わせて需要量のおおむね二か月分を備蓄しております。  この備蓄水準につきましては、これまでの需給逼迫の事例を勘案しまして必要な数量を設定しているものでございます。また、現在のところ、飼料穀物の主要な供給国からの輸入に支障を来すような状況にないということも判断としてありまして、現在、この備蓄水準を直ちに引き上げる状況にはないと考えております。  なお、ちなみに過去この備蓄を放出した事例で申し上げますと、平成八年度にトウモロコシの凶作によりまして在庫が不足しアメリカからの供給事情が悪化したときに、国家備蓄穀物を二十二万トン放出しております。平成十年には、降雨量が激減してパナマ運河の長期の低水位が続いて、米国からの、先ほどお話しになりました、パナマ運河を経由しての飼料穀物の運送事情が悪化をしたという事情がございまして、そのときには二十万トン。さらに、近年、平成十七年は、御承知のようにニューオーリンズ、これは穀物の輸出港ですが、そこにハリケーンが襲来しまして飼料穀物の積出しが停止することがありました。そのときに国家備蓄穀物を十六万トン放出をいたしている、これが最近の放出の状況でございます。
  108. 山田俊男

    ○山田俊男君 果たしてそれで十分なのかどうか、大変心配であります。  ところで、先ほど農林大臣からもお話ありましたが、約二倍に飼料穀物の対象である原料が値上がりしていると。果たして、そんな中で配合飼料の価格安定基金制度があります。しかし、これはあくまで上がった際の一時的な補てんであって、継続的に上がって更にそれが高位に推移した場合はこの仕組みは機能しないというふうに心配しておりますが、いかがですか。
  109. 若林正俊

    国務大臣(若林正俊君) おっしゃるとおりでございまして、この配合飼料の価格安定制度は、短期的な変動に対して畜産経営に直接ショックが出てこないようにということでとられている措置でありまして、継続的に高水準の価格が継続したような場合にはこの仕組みは機能をしません。
  110. 山田俊男

    ○山田俊男君 是非、この継続的に続くような飼料原料の高騰という中で、この制度の長期的な見直しを何としてでもやっていただきたい、こう考えるわけであります。  さて、今、畜産農家の経営状況はどうかというふうに見ますと、北海道の十勝の百二戸の酪農経営の実態調査によりますと、乳牛の飼養頭数規模で百二十五頭です。年間乳量の出荷量、これは六百十八トンでありますが、この経営で借入金を返済した上での経営全体の収支は、十七年はプラス百二万三千円でした。十八年はマイナスに転じて六十六万一千円でした。そして十九年はマイナス二百六十四万三千円になっているわけでありまして、このままでは継続できないという悲鳴のような声が伝わってまいります。  ところで、酪農経営は堆肥を供給します。その堆肥があって初めて土作りができて、野菜の生産ができて、国内の麦の生産やてん菜の生産ができるわけであります。畜産経営が崩れると野菜の生産そのものが崩れるという実態にあります。これは、ちなみに関東平野の千葉の成田の周辺での酪農家のふん尿、例えばこれは堆肥基盤に置かれると、実はその後は野菜の農家が来て、野菜の農家が自分の野菜の栽培に適した堆肥に作り上げるために切り返しを行って、そして自分の畑に供給するということであります。  今、そういう循環の流れがあって初めて農業は成り立っているわけでありますが、もしもここで酪農経営をつぶしてしまうということになったら、それこそここにおいでの皆さんも新鮮な野菜を東京で食べられない。それじゃ中国から入れてくるのかという話になるわけでありまして、何としてでもこの循環を維持するために酪農対策が必要であります。当面の対策はもちろんのこと、中長期的な対策を今講じていく必要があります。  ところで、これ、この牛乳でありますが、(資料提示)一リットル入っておりまして、これが二百円、ちょうど二百円で売っております。ところで、これは富士山の天然水でありますが、(資料提示)これは五百㏄で百二十円であります。水の方が高いわけで、牛乳が安いわけであります。さらに、このままいきますと、えさの高騰で一体どうするのかという問題を農家が抱えております。  その中で、それじゃ、この対策を打たないと、ないしはそうしないと大変なことになるわけであります。何としても、生産者の責任で処置できないコストのアップについては、これはやはりどうしても消費者のサイドで対策が必要になるのではないかというふうに考えるわけでもあります。  これは昨年十一月の日本酪農政治連盟が調査をしておりますけれども、一リットルこれは二百円なんですが、一リットル百六十円以下で売っている牛乳のお店が、ないしは商品が一割に上る。さらに、百円だったり百二十円だったり百三十円だったり、それで安売りで供給されている現実もあります。  本当に農家が苦労して、えさを食べさせて、堆肥をかいで、そしてメーカーがこんな形で製品にしたものが、この水もいろいろ苦労があったかと思いますけれども、これよりも安いという現実を踏まえた上で対策が何としてでも必要と考えますが、農林水産大臣のお答えを聞きたいと思います。
  111. 若林正俊

    国務大臣(若林正俊君) まず、先ほど配合飼料価格、輸入飼料原料価格が高位に安定したときには、今の飼料価格安定制度というのは、それが長期に継続したときには機能しないというお話をいたしました。  基本的に、それじゃどうするんだと、そういう高位安定状態が続いたときはどうなるのかということにつきましては、何としても、一つは、生産段階において国内飼料の生産の拡大や家畜の生産性の向上という、言わば酪農経営構造の改善を進めるということでありますが、もう一方は、精いっぱいそうやって努力をして今日の状況にあることを考えますと、何としても、加工流通業者や消費者に理解をしてもらい、その理解の醸成を図って生産コストの上昇が適正に小売価格に反映するようなことをしていく、そういう環境づくり、各般の施策を推進することが必要だと、まずそのことを申し上げたいと思います。  そこで、形成されてきます牛乳の小売価格でございますが、委員が生々しくお話しいただきましたように、ミネラルウオーターの方が牛乳よりも高いんだと。牛乳が、本当に酪農家の皆さんが毎朝です、朝早くから夜遅くまで働いて生産をしておられることを考えますと、もっと正当な評価がされてしかるべきだというふうに私も考えるわけでございます。  飼料価格が高騰する中で、生産者は生産性の一層の向上になお努力をすることをお願いしながらも、生乳価格の引上げをするということにつきまして消費者の理解の醸成に我々も努力してまいりたいと、このように考えております。
  112. 山田俊男

    ○山田俊男君 世界の穀物輸入を取り巻く困難な状況を先ほど来質疑させてもらったわけでありますが、総理も、衆議院の予算委員会で遠藤利明先生の質問に対しまして、食料を海外から幾らでも買えるという考え方は極めて危険だと答弁されておられるわけです。ところが、経済財政諮問会議の専門調査会では、食料の安全保障については海外依存することが近道だし、それしかないというような議論がなされていると承知しています。  ところが、既にロシアやインド等世界の七か国では、実質輸出を停止しておりますし、中国は輸出割当てのライセンスを出さずに実質禁輸措置を講じてきているわけであります。いざというときは自国をやっぱり優先するというのが世界の流れです。  一体、こうした中で、こうした実態から懸け離れた議論を進めている会議の在り方、それから特定の主張をしてはばからない委員だけによる会議、これは適切と言えるのかどうか、担当の大田大臣にお聞きしたいと思います。
  113. 大田弘子

    国務大臣(大田弘子君) 今の御指摘は、まさに先生がおっしゃったような危機感に根差して、世界の経営者ときちんと仲よくやっていくことが食料の安全保障上重要だという中で御意見が出されたものと思います。  ただ、いずれにしましても、これワーキンググループの中の自由な御議論であって、それが報告に取りまとめられるときは偏ったものではありませんで、この専門調査会の第一次報告ではこのように書かれております。中国における食料需要の増加等、国際的な食料事情に構造変化が生じており、輸入による安定的な食料供給の確保は喫緊の課題であるというふうに指摘されております。  そして、これが諮問会議で議論されますときには農水大臣を含め議論がなされます。これはもう議事要旨で御覧いただいたような議論がなされております。さらに、政府としまして最終決定するときは閣議決定でなされるということになります。一部の意見だけが通るというようなことは全くございません。
  114. 山田俊男

    ○山田俊男君 国内の農業生産をどう強化するかということも当然大変大事なことであります。今回の補正予算それから二十年度予算案で、地域の農業を支える多様な担い手を育てていくんだという形での対策が講じられたわけであります。  まさに世界的な穀物不足の中で、我が国の気候、風土に合った米のえさ化や、さらに飼料稲、ホールクロップサイレージの活用を進めるべきだというふうに考えます。卵の黄身が白くなったって構わないわけで、むしろその白身の強い目玉焼きが日本の風土に合った目玉焼きとして人気を博することがあっていいんだと思うんです。是非、大臣の考えをお聞きしたいと思います。
  115. 若林正俊

    国務大臣(若林正俊君) 我が国の主要な、しかも我が国の風土に適した米がえさに使うことができないかというのは我々の大きな課題でございます。  今お話がありました、鶏に米をえさとして給与したときに黄身が白っぽくなるという問題ですが、委員承知のように、青森で実験的に取り組んでおられる生産者はむしろこれを逆手に利用しまして、この黄身の白いのというのは米で作った卵なんだということをアピールして、聞くところによれば一個百円で売っているというようなことも現れてきているというふうに言われております。  さっきお話がございましたけれども、黄色くするためにパプリカ、言わばピーマンの大きいようなやつですね、この粉末を入れて、実は配合飼料で米を入れた場合に、パプリカの粉末を入れながら少し黄色くするということもあるわけですね。そんなことをしなくても、この白っぽいのは米が入っているからだということで高く売れるような付加価値があるんだという、そういう認識もこれから大いに広めていかなきゃいけないんじゃないかというふうに考えるわけでございます。  そこで、主食用の米との需給バランスを図りながらでありますが、水田の有効利用をしていくために、飼料用の米とか稲のホールクロップサイレージなどの主食用以外の米の生産に取り組んでいくということも今後重要な課題であるというふうに考えておりまして、今回の補正予算案におきましては、その低コスト生産技術の確立、定着を促進するための施策を盛り込んでおります。この事業などに活用されている生産される飼料用の米などが畜産において有効に活用されますように、飼料用の米につきましてはこれを利用した付加価値の高い畜産物の生産をモデル実証すると同時に、稲ホールクロップサイレージにつきましては酪農及び肉用牛での利用拡大を促進することとしているわけでございます。  こうした対策などによりまして飼料用米、稲ホールクロップサイレージの畜産における積極的な活用を図りまして、耕畜連携といいますか、畜産と耕種が連携をして地力を高め、安定した農業経営ができるような、そういう経営を育成してまいりたい、このように考えているところでございます。
  116. 山田俊男

    ○山田俊男君 これらの努力を続けながらも、しかし我が国はどうしても不足するものは海外から輸入せざるを得ない実態にあるわけであります。しかし、輸入に伴うフードマイレージという概念もありますが、CO2を排出して海外から輸入するということではなくて、より近辺の国々でありますアジアとの連携をどう深めるかということも大変重要な課題であります。  その意義からしまして、かつて平成十六年十一月に農林水産省が策定したみどりのアジアEPA推進戦略というのがございます。これは自由化と協力のバランスを基本に、各国とのEPAを結ぶ力にこれまでなってきました。現にタイ、フィリピン、インドネシア、インド等々との交渉の中でこの戦略が大変力になったというふうに思います。今後、オーストラリアや韓国との交渉に当たっても、一方的に我が国の農業、農産物が妥協するんじゃなくて、これを基本にした取組が必要だというふうに考えるところであります。  資料の五枚目に、アジアにおける貧困、農業依存の実態をここに掲げております。これらアジアの国々の農業の貧困をどう解消するかという先進国としての我が国の役割を一方で果たすと同時に、我が国の農業と、それとアジアの農業が共に成り立つ観点での推進戦略が必要なわけで、現にまさにみどりのアジアEPA推進戦略はその観点で進めてきたと、こんなふうに存じております。  それぞれ各大臣、農水大臣外務大臣、経産大臣に考え方をお聞きしたいと思います。
  117. 若林正俊

    国務大臣(若林正俊君) 委員がおっしゃられましたみどりのアジアEPA推進戦略でございますが、これは大きな理念というものを示しており、現実にまたこのことによりましてタイとのEPA交渉などには成果を上げていると認識いたしております。  もう御承知のことだと思いますけれども、我が国として食料輸入の安定化、多元化を図る、また安心、安全な食料の輸入の確保を図る、同時にニッポン・ブランドの農林水産物、食品の輸出を促進する、また我が国の食品産業のビジネス環境整備する、アジアの農山漁村地域の貧困等の解消のための協力を進める、地球環境の保全、資源の持続可能な利用を図ると、EPAの推進に当たって六つのポイントをその中で定めているところでございます。そして、委員がおっしゃられた多様な農業が共存していくべきであるという基本理念を持ちまして、我が国は世界で一番の食料輸入国でございます。この我が国の主張をWTOなどを通じてこれが実現ができますように努力しているところでございます。  委員も御承知だと思いますけれども、現在のWTOの輸出の禁止についてでございますけれども、これは輸出規制でございます。現在のこの輸出規制も、観念的、精神的な規定はあるんですけれども、なかなか具体的にワークしないということから、現在行われておりますWTO交渉の中におきまして、輸入国の立場として輸出の禁止あるいは制限をする場合の規律を強化するということを我が国は主張をいたしておりまして、実はこの議長テキスト、モダリティーに関する議長テキストの中においてはかなり強化の方向が打ち出されておりまして、加盟国圏内における輸出禁止又は制限は、これらの規定が発効してから九十日以内にWTO農業委員会に通報しなければならない、また、どの加盟国もそれらの通報がされている措置について農業委員会に対して注意を喚起してもよいという規定があります。  そこで、まだ決まっておりません括弧書きの中でありますが、実施の初日から数えて一年間をもって今ある食品あるいは飼料に関する輸出禁止・制限の規定は撤廃をすると。そして、十八か月を超えない範囲内で一年を超える期間を設定することに合意をすると。  そこで、これについて、この合意については農業委員会に通報されなければならないという形で、輸出国側が勝手に、自国の国民の食料供給という観点から輸入国のことを無視して勝手にやるということではなくて、輸入国側からこれに対していろいろの協議を申し出る、そしてその適正化を図っていくようなこともWTO協定の新しい協定の中ではこれを入れて、そして安定した貿易ができるようにするということを我が国は主張しているところでございます。  いよいよWTO協定の方も大詰めを迎えている今の段階でございますが、輸入国の立場というようなことをWTO協定上も反映するように努力をしてまいりたいと、このように考えております。
  118. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 日本は人口減少に向かっております。そのまま放置をすれば、その範囲内では経済規模は小さくなっていきます。  そこで、日本と同様な環境下でできる経済対象エリアを広げていくというのがEPAの基本的な発想であります。アジアとは六か国でEPAを署名をいたしました。ASEAN十か国と日本とのEPAも妥結をし、署名を待っているところであります。この経済エリアが広がっていく、つまり日本の国内と同じ条件で仕事ができるエリアが広がるということは、経済規模、質、量とも広がっていくということになります。  そこでは、工業も相互補完関係を構築するということがウイン・ウインの関係でありますし、農業においても相互補完関係を構築することは可能だと思います。日本は、価格的には高いかもしれないけれども、品質とそれから何より安全性で他国に誇る消費者の厳しい目をクリアできるものであります。その安全の見える化をITで図っている農業はうまくいっているわけであります。  そういう工夫を通じて日本の農業も、アジア、ASEANの中で、相互補完関係でそのエリアを広げるというチャンスもあろうかと思いますし、そこを見出すべきだと思っております。
  119. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) これまで我が国がEPAを締結、署名した八か国のうち六か国が東アジアの国々であります。  委員がおっしゃるように、アジア諸国と日本の農業が共生すると、そういうことも視野に入れつつこれからもアジア諸国と連携を図っていきたいと、こういうふうに思っております。
  120. 山田俊男

    ○山田俊男君 ヨーロッパの農業者に会いますと、日本という国は不思議な国ですねと言います。経済界やマスコミの関係者に会うと、貿易立国なんだから農業も例外じゃない、もっと市場開放すべきだ、こういう話を聞きます。一方、農業団体や農林水産省や与党の農業関係者に聞くと、いや、食料の安全保障と多面的機能が大事だと、特別品目については例外措置はきちっと講じなきゃいかぬというふうにおっしゃる。一体、日本という国は一国二制度ですかと、日本という国はちゃんと独立国なんですかというふうに言われます。  しゃくに障りますから、ヨーロッパだって経済界からあれだけの農業予算を支出しているんだからもっと軽減しろという話あるでしょうというふうに言いますと、彼らも、ありますと、しかしヨーロッパの農業については国民合意ができていますというふうに言います。  一つは、安全、安心についてしっかり守るべく農業者が努力している、ですからホルモン剤を使った牛肉は入れさせない、それからアメリカのGMOを中心にする農産物についても徹底した反対の取組をしているということです。二つ目は、ヨーロッパの農村景観は大変きれいだと、これを農業者がちゃんと維持して守ってくれているということであります。三つ目は、二つの大戦の中で大変な飢餓と食料危機、これを経験してきたと。以上の三つから我が国は国民合意ができていると言うんです、ヨーロッパは。誇らしげに彼らは言います。  是非、我が国におきましても、そういう観点での農業政策の推進であり、かつそういう観点での国政の運営であり、それから国民合意を求める取組が何としてでも必要になるわけであります。  どうぞ、それぞれ大臣からお聞きする時間はなくなりましたが、是非、総理以下皆さんでこの国民合意形成とこの国の農業の振興、再建について頑張っていただきたいし、我々一緒にやりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  121. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で山田俊男君の質疑は終了いたしました。(拍手)  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  122. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十九年度補正予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。森田高君。
  123. 森田高

    ○森田高君 新緑風会の森田高と申します。  本日は、午前の最後に大変格調高い御質問をされました郷里富山県の先輩であります山田先生に引き続き、私の方も予算委員会での初質問をさせてもらいたいと思います。  本日は二月一日、実は私にとっては大変な記念日でございます。病院の勤務医だった自分が医療制度のいろんな問題を感じながら政治を志して実際に政治活動を始めました私の中での記念日でございます。そのような記念日に質問をさせてもらうことは大変幸せに思いますし、それを支えていただいている民主党国民新党を始めとした会派の皆様の御厚情に心からお礼を申し上げたいと思います。  本日は、国際スポーツにおける公正確保に関する件、そして、少し話は違いますが、医療事故に関連した無過失補償制度に関して御質問申し上げたいと思います。  一見異なる立場に見えるこの二つの問題ですが、一つ共通するキーワードがございます。それは何かといいますと、ジャッジが大事ということでございます。  まず、北京オリンピックのハンドボールアジア予選、先日行われました。自身も高校、大学の九年間、ハンドボール競技にかかわった身でございますので、もうこれは人ごとではないと。試合もそうでございますし、一連の経過に関しても大変案じた者の一人でございます。しかし、そんな中で、大変難易度が高い状況であったにもかかわらず、立派にフェアプレーの下、再試合を開催されましたハンドボール協会を始め、関係各位の御尽力には心から本当に尊敬を申し上げたいと思っております。  また、そのような原因に関して何かと考えると、直接的な原因は、ジャッジが大変不公正であったんではないかという指摘がありました。そしてその背景には、一部の国の王族が直接スポーツ連盟の運営にかかわり、一部において政治力を行使したのではないかと、そういった指摘もございます。  そういった点を踏まえまして、国際競技スポーツの在り方に関して、またそれに対する政治の関与について、特に公平公正を期するためにどのような在り方が望ましいと考えられるか、文部科学大臣の御所見をいただきたいと思います。
  124. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 委員が政治に決心をされた日でございますか。
  125. 森田高

    ○森田高君 決心はもうちょっと前なんですが。
  126. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) もうちょっと前ですか。
  127. 森田高

    ○森田高君 実際にやり出したときです。
  128. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) ああ、そうですか。私も二十数年前を今思い出しておりましたが、これから是非頑張っていただきたいと思います。まあ余計なことはともかくとして。  スポーツというのは、本来やっぱり言語とかそれぞれの文化、そういったものの違いを超えてお互いが友情を育てたり、国際親善というものに非常に寄与するものと思っております。そういった点に関して言うならば、今回このようなことが起こったということは、実態が完全に把握されているということではありませんけれども、残念な、そういう思いはいたします。  ただ、基本的には、これは国際団体がルールをその団体で決めて、そしてそのルールに基づいて執り行われるというのが健全なやり方でございますから、そのことについて政治が何らかの形で関係するということは基本的によくないというふうに思っております。
  129. 森田高

    ○森田高君 ありがとうございます。  しかし、一方で、今までの経緯の中でも、既に我が国あるいは韓国と中東の当事者と見られる国々の間には潜在的な感情のしこりというものもあるかとも思います。また、今後の動向もまた流動的ではないかという指摘もございます。  歴史的に極端な例を申し上げるとすれば、一九六九年、サッカーのワールドカップ予選を契機としたホンジュラスとエルサルバドルの武力衝突が発生しております。本来であれば文化と友情の交流の場であるべき国際スポーツというものが、反面、国民感情を傷つけてはならないという思いは、私も本当に真剣に持っております。  しかし、一方で、政治力を前面に出してスポーツに干渉する国があるとすれば我が国の政治というものも全く無関係ではいられないという思いを、恐らく今回の一連の報道を基に多くの国民がそういった思いを共有したんではないかと、そんなふうにも考えます。  こういった問題がこれから続くかもしれませんし、また新たに発生した場合、やはり何かの方向性というもの、考えというものを政府としては持っておくべきではないかなというふうにも思いますが、よろしければ外務大臣そして文部科学大臣にいま一度御答弁いただきたいと思います。
  130. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 文部科学大臣が言われたことと同様でありますが、政治はなるべくスポーツに干渉しない方がいいと。  今、委員が政治力を使うと。これは、スポーツ界の外から政治が力を行使したというんじゃなくて、スポーツ界の中に政治力がある人がいたという話で、第一義的にはそのハンドボールの世界の中で解決していただきたいと。  私は、先日、立ち話でありましたが、在京のクウェート大使と、この問題で両国関係全体をおかしくしないようにしましょうねと、こう言いましたら、それはそうだと、これは日本とクウェートの問題ではない、アジア・ハンドボール協会と国際ハンドボール協会の問題だと、こういうふうに言っていました。うまいことを言うなと、こう思っていましたが、なるべくこの問題はスポーツ界の中で解決していただくと、そういうことでやっていきたいと、こう思っております。
  131. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) この件につきまして外務大臣とも先ほどお話をさせていただきました。全く同じ思いでございます。  JOC、日本オリンピック委員会においても国際戦略プロジェクトというものを立ち上げたというふうに聞いております。今後、この問題も含めて、こういったことを契機に国際的な戦略というものをJOCとしてしっかりと、これJOCでございますからいろんな競技を含むというふうに解釈をいたしておりますが、そういった取組をされると聞いておりますので、よく緊密に連絡を取りながら、今後とも、今申し上げましたような政治とスポーツはこれは別だよということがしっかりと守られながら、健全なスポーツの大会、また健全な国際大会、こういうものが維持されるように努力をしていきたいというふうに思っております。
  132. 森田高

    ○森田高君 ありがとうございます。  それでは次に、医療事故に関連した無過失補償制度に関して質問をしたいと思います。  現在の医師不足は、昨日の舛添大臣の御答弁にもありましたように、絶対的な医師不足に加えて、地域間そして診療科ごとの偏在が合併した極めて複雑かつ難易度の高い問題となってきたんじゃないかなというふうに思います。特に産婦人科、小児科、外科、脳外科、麻酔科などのいわゆるハイリスクの診療科の医師不足が極めて難しい問題であり、既に人命に影響を及ぼすようなレベルになっているんじゃないかと私も思います。  産科医不足を含めて、このようなリスクの高い診療科の医師不足の背景を考えますと、過重労働であり開業医との診療報酬の格差であり、あるいは事故リスク、裁判リスクに集約されてくるんだろうと思います。  本日は、昨今制度化に向けて徐々に明確してきましたいわゆる無過失補償制度に関してお伺いしたいと思います。  私も、この無過失補償制度は、医療事故調査委員会、裁判外の医事紛争の解決制度と並び、医療事故解決のためには、あるいはハイリスク診療科の医師不足を解決するための方策としても、なくてはならない制度だと思っております。しかし、どのような制度においても、問題はシステムの構造であり、運用の在り方だと思うんです。本日は、そういうことも含めまして、様々な角度からこの制度設計に関してお伺いしたいと思います。  まず、この無過失補償制度、与党案に関してお伺いしたいんですが、対象はどのような診療分野であり、対象とする疾患は何で、制度全体の概要に関して厚生労働大臣から御所見をいただきたいと思います。
  133. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) お答えする前に、自らお医者さんで、何か七日間連続して当直して倒れられた経験もおありになって、医師の過重な労働というのを身をもって体験されている、非常にそういう思いで政治を志され、それで我々参議院の仲間として森田議員をお迎えできたことを本当にうれしく思います。  ここにおられる櫻井委員、それから足立議員、こういう方々と医療問題については党派を超えて国民的な解決策を模索しているところで、大変な援軍を一人いただいたと思って、今後一緒にこの国民的な課題に取り組んでまいりたいと思います。(発言する者あり)自見先生も当然でございます。  それで、無過失補償制度、これ、私もずっと産婦人科、特に産科の事故の問題の調査をやっておりましたので、何としても無過失の補償制度、ノーフォールト、これをやっぱり入れることが今後のこのいわゆる医療崩壊、特に産科の現場の大変な状況にとって重要だと思っています。  そして今、この産科の医師不足に対して、若い産科のお医者さんにお話聞きますと、訴訟リスクが一番嫌なんだということですから、そういう意味で今この問題について、一つは自民党の医療紛争処理のあり方検討会というのが十八年の十一月二十九日にこの枠組みをつくりましたけれども、ここでは、まず対象は産科医療ですね、そして補償対象となる疾病は、通常の妊娠、分娩にもかかわらず脳性麻痺となったお子さんということになっております。これはその後、厚生労働省も財団法人日本医療機能評価機構が設置した準備委員会でお諮りいただいて、ここでもやはり通常の妊娠、分娩にもかかわらず脳性麻痺となった場合というふうになっています。  最終的にはこれずっと拡大していきたいんですが、このケースが非常に多いということがありまして、とにかく初めの第一歩を踏み出したいと、そういう思いでこの案を考えているところでございます。
  134. 森田高

    ○森田高君 激励もいただきまして、大変ありがとうございます。  大体、脳性麻痺ということになりますと出産千件に一人と、そんなふうになってきますんですが、この制度自体の在り方なんですが、公的な予算を背景とした公的な制度ではないということですが、ある意味に関しては、これはもう単なる民間の損害保険のパッケージの提供というふうにとらえてしまってよろしいものでしょうか。
  135. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) これは、私もお医者さん方といろいろ議論をしてどういう制度設計がいいかなと。本当は何か公的なものがあればいいんですが、公的なことにしたときの問題は、財源の問題や何かで制度設計含めて実現までにかなり時間が掛かる、なるべく早く第一歩を踏んだ方がいいんではないかと。それで、お医者さんが拠出する。先般御希望がありましたんで、助産師の方々にもリスクがありますから入っていただく。  それで、この実際の運用は民間がやるにしても、その制度設計は国が手伝う。それから、例えば出産の一時金を上げたりとか、様々な無過失補償制度がよく機能するための後支え、支援というものを国がやるということですから、全く国が関与しないわけではなくて、そこにかなり関与したいと思っています。  それで、普通は民間だとかなりコストが掛かっちゃうわけですね、民間は利益を上げないといけない。だから、それは、今申し上げたような形で国の関与をいたしますから、普通の民間のいわゆる保険システムの半分ぐらいの管理コストでできるように設計をしようと、そういうふうに思っております。
  136. 森田高

    ○森田高君 ありがとうございます。  それでは、この制度が実際に運用された場合に見込まれる実際の患者さんに対して、ノーフォールトと判定された人に対しての補償額の見通し、そして支払方法に関して御教示いただきたいと思います。
  137. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 今の御質問ですけれども、補償対象者としてこの赤ちゃんが脳性麻痺だということになったときに、看護とか介護の準備のためにまず一時金として数百万円を支給するとともに、原則二十年の分割で総額二千万円程度、ですから年間百万ということになりますかね、を支給することが適当だと。これが先ほど申し上げました日本医療機能評価機構の準備委員会の報告書であります。  これは保険ですから、保険商品どうするかは最終的に金融庁の認可が要るもので、若干その段階で細かい数字は変わるかもしれません。それで、大体今補償の対象となる方々、赤ちゃんですね、おおむね年間五百人から八百人だろうという推計でこの今の金額の数字を出してございます。
  138. 森田高

    ○森田高君 ありがとうございます。  次に、無過失補償ということであれば、当然のことながら、制度の中において支払要件は無過失事例に限定されるということでございます。一方で、事故症例か医療側の無過失であるということをだれかが判定しなければならないということになります。本来であれば医療事故調査委員会がそれに相当するのかもしれませんが、現状では我が国にはそれがございません。であれば、この無過失補償制度の中で、制度上だれがどのような立場で過失の認定を行うことになるのか、それに公平性というものが保たれる裏付けがあるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  139. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 今、無過失補償制度が片一方であり、これの認定審査をだれがやるか。だから、そこで例えば死因の、これは亡くなったわけじゃないですけれども、亡くなった場合は死因究明制度とかADRと、こういうものがあるんで、これをどういうふうにリンクさせていくのか。その考え方、先般、厚生労働委員会で足立委員ともかなり細かくこれは議論しました。そして、現場の医療関係者もいろんな意見を持っていますけれども、まずこの十分な情報収集をやらないといけないです。それから、医学的な観点で事例の検証、分析もしないといけない。  分娩機関、お医者さん含めて、医療側に重大な過失が明らかであるというようなケースについては、これは弁護士などを入れてどう審査するかというのはこれは非常に難しいんですね。つまり、無過失補償制度、私はもうずっと前からこれを提案して、大臣になる前から提案していたんですけれども国民の側から見るとモラルハザードで、お医者さんを何でもかんでも免責するのかと、リスクゼロなんて大臣言っているけれども、しかし国民の側から見ると医者は信用ならぬと、こういう意見も片一方でございます。  ですから、それを法律的な観点からも含めてどういうふうにやるか、これは今後の検討課題だと思いますけれども、森田さん、櫻井さん、こういうお医者の方々とお話をして、その後、国民の、患者さんの立場で見ると物すごい不信感があるんです、残念ながら。それで、大臣は医者の方に立ち過ぎる、何だと、無過失補償制度。それで、医者のミスを認めないで、何もかもモラルハザード起こるじゃないかと、こういう意見がありますので、それはやっぱり謙虚に聞いた上で、この審査、決定をやることをきちんと議論してみたいと思っています。
  140. 森田高

    ○森田高君 おっしゃったように、やはり現場と患者さんの間というものにある溝というものを埋めることができるかどうか、これは本当に難しい問題だと思いますし、だけどしっかり取り組まなければいけないと私も思っております。  話は少し変わるんですが、当然、この制度の趣旨は不要な裁判をしかし減らしていこうということにあると思うんです。私もこの点に関しては全面的に賛成の立場でございます。しかし、一方で、民間の保険会社の立場からすれば、どうしても支払というものを全体的に見て減らしていきたいというインセンティブがあるということは否めない、これはもう制度の限界だと思うんですが。特に過失補償に関して、民間の医療保険が今商品を提供をしている状況に、やはり民間の共同体である無過失補償制度がここに乗っかってくるということになりますと、一つ大きな問題が発生すると思われるんですね。  というのは、無過失補償の方に患者さんを誘導した方が保険会社としてはトータルで見れば支払コストは低くなります。それはなぜかといえば、支払上限額が無過失補償の方では確定しており、反面、過失ありと認定されてしまえば、裁判を行っていて時間も掛かりますし、最終的に一億になるのか二億になるのか、損害賠償が幾らになるか分からない、リスクの大きさがつかめないということもありますんで、これはやはり民間保険会社が過失もやる、無過失もやるということであれば、極めてこの過失認定のところであいまいな部分が出てくる可能性があるんじゃないかなと、これは心配しています。もちろん医療側は無過失だと言ってもらった方がそれは気が楽なんですが、ただ、制度自体の公正公平ということを考えますと、両方とも、過失認定も、そして過失の補償に関しても無過失の補償も民間の保険会社の共同体がやってしまうということに関して、やはりこれは慎重に考える必要があると私は思っております。  こういった制度の限界ということ、利害の衝突が民間保険制度の論理の中で起こってしまうということに関して、その原理原則に関して若干御所見いただければと思います。
  141. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 今、大変いいポイントをついてくださったんで、まさにそのとおりで、ですから、この事故の究明のための委員会をどうするかが非常に大きな意味を持ってくるんだろうというふうに思います。  それから、今回の脳性麻痺ということについて言うと、障害者全体に対するいろんな施策を考えておりますから、これと今のこの脳性麻痺のノーフォールト、無過失補償制度の補償との関係をどうするかということがございますし、それから、今まさにおっしゃったように、恐らく保険会社から見れば、二千万で済む方、片一方できちんとやると五千万掛かると、そっちを行く、だからこれは保険会社にとってもモラルハザードになると、こういうことがありますけれども、全体の医療崩壊と言われているような事態に対して、訴訟リスクということを特に若いお医者さんが言われて、もうだからおれは辞めるんだというような方がおられるものですから、迅速にこれに、やりたいと、とにかく早期に第一歩を踏みたいということがあります。  それで、今おっしゃったような重要なポイントについては、これは国会の中でも議論をし、国民的な議論に拡大していって、モラルハザードの問題と、本当に補償する、そして国民のための医療システムができる、この何とか均衡点を取りたいというふうに思っていますので。  それから、もう一つ付け加えますと、脳性麻痺の場合、先ほど申し上げましたように五百人―八百人という数字出したのは、やっぱり正常分娩でも一定の割合で、これまでの産科の統計を取りますと、そういう症例が出てくるわけですね。そうすると、例えば交通事故の保険でもそうなんですけれども、ある原則を立てて、生命保険でもそうですけれども、統計的に見て大体こうやって数字を出します。普通のいわゆる一般の医療事故の場合だと、いつどういうふうに起こるか分からない。とてもじゃないけど確率計算ができない。しかし、正常分娩における脳性麻痺の場合は相対的に確率計算がやりやすい。ということは、したがって二千万なんという数字負担とこのリスクとの間でできた。そういうこともありまして、今回第一歩を踏むに当たってはこれが一番適当かなと、そういう思いで制度設計を始めたところです。
  142. 森田高

    ○森田高君 ありがとうございます。早く早急にという観点には、私も賛同したいところは多々ございます。  いずれにしても、無過失認定に関して、制度が導入された場合、やはり多くの国民がここに注目するようになると思います。この国の無過失補償制度が中東の笛などと言われることがないように、是非許される中で最大限の、これ、情報開示がもう大変大事だと思うんですね。ここを公正確保に努めてもらいたいと思っております。  次に、公的制度か民間制度かということを少し話を戻したいと思うんですが、いわゆる、言葉の中でメディカルロスという言葉、恐らく大臣は御存じだと思います。  例えばアメリカであれば、保険がなかなかありませんので民間の保険会社が医療保険を供給すると。そういった中で、保険会社のやっぱり努力の限界として、集めたお金の八割ぐらいしか国民に還元できないんじゃないかなという、そういう説がございます。一方で、公的保険であれば、集めたお金の保険料の九八%ぐらいを患者さんに現物なりいろんな給付になり還元できるというふうに言われております。この制度間の差を考えた場合、スピードが大事だということもあるんですが、せっかくつくるんであればいいものをつくってほしいという思いも反面ございます。  改めてお伺いしますが、このメディカルロス、給付指数の差というものを考えた場合、公的保険でこういったものをやるべきか民間保険でやるべきか、もう少しやっぱり十分な議論があっていいと私は思っているんです。大臣は率直に、時間のこともございますんですが、本来の制度設計に関してはどのようなことがいいとお思いか、お聞かせ願えればと思います。
  143. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 交通事故の場合の保険と一概に比べるわけにいきませんが、やはりドライバーが事故の場合に基本的に保険を掛ける。今回も、お医者さんたちが事故の場合に保険を掛ける、助産師さんたちが掛ける、これが原則ですけれども、公的なシステムをつくるということになると、例えばだれがどういうふうに掛金を掛けるんだろうかと。例えば、これはもう全国民的な問題ですから、税金ということもあり得ます、財源としては。それから、まさに社会保険料じゃないですけれども、こういう国民皆保険だと保険料を皆さんお払いになると。少しずつそういうのを払っていただけるということを全国民が賛同していただければと思うんですが、これはやっぱりなかなか、いろんな負担が多いときに大変だろうなということがあります。  それで、まあこれラフな私の印象ですけれども、民間の場合、いわゆる管理コストのようなものが多い場合には三割、四割行く可能性があります。今委員がおっしゃったように、そうじゃなくて公的だとほぼ使えるじゃないかと。これでも、どういう形でコストを見るかですけれども、一、二割という数字もございます。ですから、三、四割じゃなくて一、二割にするために、制度設計含めて、できるだけのコストは、これは国民の皆さんの税金使うわけですから、国民の皆さんの御理解をいただいた上でやっていって、迅速にやるという要請と、しかし今委員がおっしゃった懸念との両方のいいところを取って、取りあえず一歩進めたいと、そういう思いでございます。
  144. 森田高

    ○森田高君 ありがとうございます。  釈迦に説法になりますが、この無過失補償制度というのはスウェーデンで一九七〇年代に始まって、以降、ニュージーランドや北欧諸国、そして最近ではフランスが二〇〇二年に導入しております。いずれもこれは公的な制度の中で導入されており、私の知る限りにおいては、産科だけじゃないんですね、もう全部の医療事故、リハビリとか介護を含めた医療事故を補償するような国が非常に多いんです。  スウェーデンのことを例に出しますと、スウェーデンの場合ちょっと制度が複雑なんですが、保険料の中から支給と、あそこはランスティングという税制から保険料を捻出しているんですが、大体医療費全体の〇・一六%ぐらいが無過失補償の財源になっています。  私は、この国の今の医療費は大体三十三兆円ぐらいなんですが、〇・一六でできるかどうかはちょっともう少し計算してみないと分からないんですが、いずれにしても、もし〇・一六ぐらいでできるんだったら、そんなに高い買物ではないんじゃないかなという気はします。これによって患者さんが救済でき、医療現場も不毛な裁判から大部分において解放されるということ、これはもうしっかりと議論して制度設計というものはもうやっぱりやるべきではないかなと思いますが、大臣の諸外国の取組に関する御所見というものをいただきたいと思います。
  145. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 今、森田委員からスウェーデンの例が出ましたので、ちょっと御説明、諸外国の例をさせていただきたいと思います。  スウェーデンも、この対象がもうすべてになっておりますけれども、これは医療行為による損害のうち、予期することができず、かつ予見できないもの、及び起こり得る可能性の非常に低いものを対象にした制度を一九七五年に導入したと。ニュージーランドは、これは治療に際して被った障害を対象とした制度が一九八五年に導入しております。それから、フランスでは、二〇〇二年に患者の権利を保護する内容の法律ができています。  それで、その後ちょっと調べてみましたら、先ほど申し上げた脳性麻痺、つまり出生児の障害ですけれども、これだけを実は対象にしたのがアメリカのフロリダ州に一州ありました。これは一九八九年に導入して、これは州政府が一定の資金を拠出すると。だから、財源とのまさに問題の絡みになると思います。  それで、先ほど申し上げまして、ずっとここのところ何とか医師不足を解消したいということがあるものでお医者さんとの対話をずっとやってきていましたら、今度は患者さんとの対話をやりますと、先ほど申し上げたように、やっぱり不信感が、相互の不信感があると。それで、とにかく自分が医療ミスしたのに患者さんに謝りもしないのか、それで説明もちゃんとしないのか、それで無過失補償制度に逃げるのかと、こういう声もあることは確かなんですね。  ですから、やはり患者さんと医療提供側との対話ということもしっかりやって、私はだから無過失補償制度はなるべく早く進めたいですけれども、それと並行してやるべきことは医療の提供側と受ける方との間の相互信頼感の確立と。  私はお医者さんじゃないんですけれども、お医者さんとのいろんな議論をやることが多いものですから、そこまで患者の皆さん方に不信感を持たれているのかなというように実は最近愕然としておりまして、是非、相互信頼、医者と患者との相互信頼があって初めてこの無過失補償制度が花開くというふうに感じていますので、その両輪、車の両輪を同時に動かしながらやっていきたいなと、そういうふうに思っております。
  146. 森田高

    ○森田高君 ありがとうございました。  私も十五年ほど医者させてもらって、幸いなことに患者さんと余り不信感を持つことはなくて、世間話しながら診察させてもらって、手術の前もインフォームド・コンセントを和やかにできたなと思っているんですが、現状そうではないということに関して危機感を持つ者の一人でございます。  いずれにしましても、現在の診療科ごとの医師不足の対策に関しても、被害に遭われた患者さんの救済のためにもやはり一刻も早い事故調査のためのシステム、本当にリベラルに議論をして進めていかないといけないと思いますし、無過失補償制度に関してもしっかりしたいい制度をつくっていきたいなと、そんな気持ちはございます。  一方で、こういった問題は本当に医療の存続、根幹にかかわる問題であって、絶対に、私は個人的には無所属でもございますのですが、政争の具にすべきではないと思っております。ですから、是非与党の方々、そして民主党を始めとした野党の方々、大きくやっぱり国民の命を守るという観点に立って御議論いただきたいなと、そういった思いを申し上げまして、本日の私の御質問を終わります。  ありがとうございます。
  147. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 関連質疑を許します。植松恵美子君。
  148. 植松恵美子

    植松恵美子君 民主党新緑風会国民新日本植松恵美子でございます。  本日、予算委員会で初めての質問に立たせていただきます。  まず、私は、やはり中国のギョーザの問題について厚労大臣にお伺いいたします。  今、今朝の新聞も各紙共に第一面は中国のギョーザで埋め尽くされておりました。今現在、厚労大臣はこの被害者数や被害状況などどこまで把握されていますか、おっしゃってください。
  149. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 新聞では四百人とか、先ほど私お昼のニュース見ていたら、六百とか七百という数字も上がっているように聞いていますけれども、正式に保健所、全国の保健所、都道府県通じて昨日段階でまとめた数字は、百六十五名が保健所に相談に来たり報告に来られたと。ただ、この百六十五名の方々が実際にお医者さんのところにかかったかどうかと、そこまでのまだデータが上がってきておりません。それから、千葉と兵庫でもう既にこの症状出ている方が十名おられます。  これ逐一今情報を取っておりますんで、今の状況はそういうところでありまして、また新たな情報がこの委員会の開催中でも入り次第お伝えしたいと思います。
  150. 植松恵美子

    植松恵美子君 一か月前に口にしたギョーザが一か月後になって発覚して、今大きな騒ぎになっております。新聞では三百とも四百とも、またテレビでも今六百ともなっているものが、今厚労大臣の手元で確認されるのは百六十五名。非常に数の差があると思いますが、実にこの差が単に国民の不安によって膨れているのなら、厚労大臣から安心するようにと発声させていただきたいと思いますし、また、もしこれが情報が上がってくるのが遅いからこれだけの数の違いがあるのならば、なるべく早く情報収集できるようにしていただきたいと思っております。  一月三十日に中国ギョーザによる被害の情報を受けて、厚労省としましては今国内に対してどのような対応をされましたか。また、中国側に対してはどのようなことを要望して、そして、それを受けて中国は何をして何ができるか、また今後何をしようとしているか。今国民の皆様は大変不安な状況であると思いますので、大臣自らお声を発していただいて、国民の皆さんに知らせてください。
  151. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 昨日、関係閣僚会議をまず開きました。そして、被害者の拡大を防ぐ、これが第一だと。そして原因を究明しないといけない。それで、さらに今後どういう手を打つべきかということを今やっていまして、私が一昨日これを知って、昨日の関係閣僚会議を通じてやりましたことを幾つか申し上げますと、まず、電話相談をお受けするためにこれは電話回線を増設いたしました。ですから、代表番号は〇三―五二五三―一一一一でございますんで、ここにお掛けいただきますと、相当の数の電話回線を増設していますし、休日、これはまた連絡先別ですが、これも開設しました。それから、都道府県に係る相談窓口の連絡先を厚生省のホームページに掲げてございますんで、これもやりました。  それから、基本的に、自分はこれを食べたけれどもどうすればいいんだとか、買ったものはどこに持っていけばいいんだとか、これは民間の業者の方もおやりになっていますけれども、そういう簡単な質問と答え、クエスチョンズ・アンド・アンサーズ、QアンドAというのもホームページに掲げました。  それから、日本医師会に対しまして、この有機燐中毒のある患者を診断した場合に速やかに保健所に知らせてくださいと、こういうことを今申し上げました。  それから、既に新聞やテレビでこういう商品だというのがもう流れていますけれども、その後、カツどんセット、ミニロールキャベツ、焼き肉どんぶり、牛どん、豚お好み焼き、豚どん、豚肉三色野菜巻き、酢豚セット、牛すじ、これについて画像を提供し、こういうものだと。これはもうとにかく国民の皆さんに申し上げたいのは、今私が追加して、これはこういうものだというのをカラーでお示しいろんなところでしていますけれども、とにかく冷凍庫、冷蔵庫を調べていただいて、その商品があったら絶対に口にしないでいただきたい、そして各地で回収をしておりますので。  それから、中国に対しましては外務当局を通じまして、外務省を通じまして善処方をお願いしてあります。そして、三年前、両国の厚生労働大臣の間でこういうことがあったときに緊密に連絡を取って対応を考えようという覚書を交わしております。これに基づきまして、中国の方から専門家を日本に派遣したいという話が来ておりますので、これはきちんとお受けしたいと思います。  それから、こちらの方から係官を派遣させるかどうかについては、基本的に、例えば中国の工場に日本の公務員が立ち入るというのは中国の主権の範囲なので向こうがそれを拒否すると入れません。そういうことも含めて、その派遣の可能性も含めてあらゆる外交努力を今行っておりまして、今、中国当局も工場の立入検査を含めて、工場の閉鎖、こういうことを含めて手を打っていると思います。  今、一番やらないといけないのはその被害の防止ですから、これは全力を挙げてやりますとともに、どういう工程でその有機燐酸が入ったのか、そのことの原因究明が大事だと思いますので、そういうことも含めて今全力を挙げてやっているところでございます。  それで、数につきましては、これは各メディアの方々がそれぞれ例えば新聞社が支局を通じたりしてお集めになった数ですが、一応先ほど申し上げた公式な保健所ルートの数はそうなので、どちらが正しいのかというのは、ちょっとでも相談に来た方々を全部数字に入れるか、それとも保健所が判断して、いやこの方は別だという判断した数になるのかであると思いますので、余りにパニックになることはないと思います。とにかく口にしないでいただくということが大事なので、政府としても全力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。
  152. 植松恵美子

    植松恵美子君 今、舛添大臣のお話を伺うと、何かもう中国から輸入してきたものというのは、どれを食べて、どれは大丈夫だ、これは駄目だけど、決して口にしていけないものはこのメーカーであるというのが正直言って分かりにくいので、どちらかというと中国から入ってきたものに対してはちょっと怖いなとか、不安だな、不審だなと思っている国民の皆さんはたくさんいらっしゃると思います。言うたら、スーパーに行きますと、中国製と書いているとちょっと不買をしてしまう、不買運動が起こるんじゃないかと思うぐらいちょっとアレルギーが出ている状況だと思いますけれども。  先ほど厚労大臣は、中国の検検総局にですかね、いわゆる検疫局に対して中国御自身でそういった工場に立ち入って調査を行うようにとお願いしたそうでございますけれども、その調査報告過程において、今現在において情報は上がってきておりますでしょうか。上がっていれば教えてください。
  153. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) まだどういう調査結果かということは上がってきておりません。これを今待っているところであります。
  154. 植松恵美子

    植松恵美子君 厚労大臣、私はテレビを通じてでございますけれども、テレビの画面で、当局は調べましたけれども農薬は検出されませんでしたといった報道がありましたけれども、厚労大臣は御覧になりませんでしたか。
  155. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 中国政府の報道官のその報道は聞いております。しかし、これはもう中国側の主権に対して我々が現場に立ち入って調査したわけじゃありませんから、それは正しい報告ではありませんとか正しい報告でありますという判断ができません。  今、我々がやるべきことは、昨年の九月ぐらいに製造されたギョーザから出てきているので、今回収している、同じ時期に作られた回収しているものをこちらで分析して、ギョーザの中なのか皮なのか包装紙なのか、そういうことを含めて、こちらのデータは基本的にちゃんと供与するということですので、こういうことで大事な隣国の間の関係、日中関係が阻害されるということがあってはいけませんので、中国当局に全力を挙げてこの真相究明をお願いしているところでございまして、日本政府に対して正式な報告書というのはありません。私も、そのテレビ報道は、報道官のテレビ報道は見ましたけれども状況はそういうことでございます。
  156. 植松恵美子

    植松恵美子君 厚労大臣、こういうことで隣国との関係に摩擦を起こしてはいけないとおっしゃいましたけれども、これは私たち日本国民の命にかかわる問題なんです。例えば、農薬が過って小さなお子さんが食べていたら死亡にも至るという非常な危険なものが日本のもの、ギョーザに送られてきている状況なんで、こういった問題でということでなく、もっと重く受け止めていただきたいと思います。  その中で、原因究明のために中国の検検総局は、いわゆるテレビを通じて、その工場にはそういった農薬は見付からなかったと発表しておりますけれども、それを聞いて日本国民は、ああそうですかと言って納得はしないと思いますし、先ほどの厚労大臣のように、日本が、政府が立ち入ってそれを調べることというのは非常に主権を侵すことだからということに対して国民は、何か引け腰、弱腰になっているんじゃないかといった印象を受けますけれども、こちらから政府の専門官が行って日本の基準によって調べることはできないんでしょうか。
  157. 藤崎清道

    政府参考人(藤崎清道君) お答え申し上げます。  事務当局の立場から一言御説明させていただきたいと思います。  まず、私ども、外交当局を通じまして調査をお願いいたしております。そのときに、まず一義的には、当然にその当該国が中の事情も分かっておられるわけでございますので、それを調べていただくと。そして、その情報を私どもはいただいて一緒に検討していくことになろうかと思います。現に、現在中国の方では、私どもの方に訪問をしたいと、そして日本側からも情報を提供してほしいと、このように言っているというふうに伺っておりますので、こちらにまず来られたときに、私どもとして必要な情報を提供するとともに、中国側に対してこのような調査をしてほしいということを十分にこちらとしての要望を伝えられると思います。  それから、もう一点御承知おき願いたいことは、現時点で同工場で製造された製品というのは日本に入らないようになっております。したがって、我々としては、その工場につきましてはじっくりとその原因を突き止めて、一体なぜこういう事態が起きたのかということを究明することが大切なのではないかなというふうに考えておりますので、そのことをきちんとやりながら必要な対応を取ってまいりたいと、このように考えております。
  158. 植松恵美子

    植松恵美子君 作っているのは中国の工場で──ああ、いいです、あなたじゃないです。作っているのは中国の工場で作っているわけです。日本にあちらの方が来て日本で書類を一緒に見たとしても、現場は中国です。そして、今でしたら中国の警察局が押さえていて、いろんなストックであるとか原材料も本当に今の非常に新しいままで置いてあるので、今だったらそういった状況をきちっと検査することができると思いますけれども、それは、中国に問い合わせは、調べるといったアクションを起こそうとはされませんでしたか。
  159. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) その前に、ちょっとお答えする前に、日中関係を阻害しないということを一般的に申し上げているので、私は、国民の命を軽んじる気持ちは全くありません。  ただ、そういう意味で中国当局に対して、これは厚生労働省が直接ではなくて外交ルートを通じてやらないといけないですから、今申し上げたように、検査をしてくださいと、そうすると河北省の公安部門が調査に入ると、それからもうこれを止めてくださいと、そうすると輸出過程にある製品の即時回収をやると、こういう答えを外務当局を通じていただいております。  そして、今のところは、外務省とも協議をしましたけれども、先ほど申し上げましたように、中国主権の下において、日本国の要するに公務員がそこに入ってできないということが外務省の公式の答えでありますので、引き続き更なる善処を外務当局を通じて、外務大臣と、今おられませんので、外務大臣に今朝も実は閣議の場で要請したところでございまして、引き続き外交当局を通じて更なる中国の努力を要請して、そしてその上で、これはきちんとした対応ができないようであれば更にアクションを外務省を通じて起こすように要請したいと思います。
  160. 植松恵美子

    植松恵美子君 厚労大臣おっしゃるとおりです。中国がこの日本の調査官を入れることを拒否することがあれば、これはちゃんとした原因究明をしようという姿勢が見られないと思われても仕方がないんですね。  食品衛生法の第八条によりますと、こういった疑わしい食品に関しては輸入をストップすること、いわゆる禁止措置さえ私たち日本はできるわけでございますから、非常に厳しい姿勢を持って、そして中国に対して、これは初めてのことではありません、何度も何度もいろんな事案が出ているわけでございますから、非常に厳しい姿勢を持って頑張っていただきたいと思います。  そして、このまま渡海大臣にお伺いいたしますけれども、学校給食の現場でもこのギョーザの問題を受けて大変混乱をしていると聞いておりますけれども、各自治体を通じて学校給食について何かメッセージ、どういった指導を取っているかということを発せられていますか。教えていただけますか。
  161. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) この件が発覚をいたしました一昨日に、すぐ都道府県教育委員会に対して学校給食用食品の安全性の確保、万全に注意するようにと、その時点では実は分かっている品物は少なかったわけでございますが、その情報も含めて通知をいたしました。昨日厚生労働省の方からリストが再度幅広に出てまいりましたので、そのリストを添えて、この販売中止や輸入自粛の要請が行われているものを一切使わないで安全を確保しろという指示を出しております。同時に、過去三か月に戻ってこの品物を使った形跡があるかどうか、これも調査しろと。  加えて、何か不具合という言い方がいいのか、例えば児童生徒が不調を訴えたとかいうこともなかったかということも含めて過去三か月以内のものを、土日がありますからちょっと時間が掛かって申し訳ない、四日までには必ず報告をしろと、こういう指示を出しております。
  162. 植松恵美子

    植松恵美子君 私が伺ったところ、各自治体にある程度任せて各自治体ごとに調べているので、自治体ごとにその情報の収集量が違ってきている、情報の速さも違ってきていると伺っておりますので、是非強い大臣のリーダーシップの下で日本全国に行き渡るようにしていただきたいと思っております。  また、これは厚労大臣、医療やまた病院の現場においても非常に関心が高いと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  しかし、渡海大臣、私が調べたところ、本日の午前中においては、内閣府、厚労省、そして農水省のホームページにはこういった注意書きを喚起するような掲載があった。厚労大臣なんかよく更新をしているということを今おっしゃられているんですけれども、残念なことに文科省のホームページではこういった記載が今日の午前中の時点ではないということですので、是非とも広く知っていただくためにも掲載していただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
  163. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 申し訳ありません。厳しく指導はしているつもりでございますが、早速改善をさせていただきます。
  164. 植松恵美子

    植松恵美子君 続きまして、学校の施設の耐震化につきましてお伺いいたします。  今年の補正予算で千五十億の予算が加算されました。それによって耐震診断や耐震化が前進すると思うんですけれども、やはりこれ一〇〇%を目指すと歴代の大臣おっしゃっておりますけれども、一〇〇%の達成はいつを目標に渡海大臣は置いていらっしゃいますでしょうか。
  165. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 一〇〇%を目指すということにおいてはいささかも変わりはないわけでありますが、なかなか地域の状況が非常に複雑でございまして、それから学校も統廃合があるとか、それとかまた、これは御案内のように設置主体が主体的にやると。もちろんこちらからは督促はしておりますけれども、そういった事情を考えると、いつまでということを今明快にお答えすることは残念ながら難しいと。ただ、これはできるだけ早くやるべく今努力をしております。  当面、今考えられることは、去年の八月にこの有識者会議で提言もいただいておるわけでございますが、非常に緊急度を有するもの、一万棟ぐらいについては五年間の間には完成をする、これもできるだけ早く私としてはやりたいというふうに思っているところでございます。
  166. 植松恵美子

    植松恵美子君 耐震診断の実施率は八九・四%、耐震化は五六・八%にまで進んでおりますし、また、この度の補正予算が付いたことによって耐震化率は六〇%よりも上に上がるんじゃないかと渡海大臣昨日おっしゃっておりましたけれども、まず耐震診断をしなければ、この建物が倒壊のおそれがあるか大丈夫なのかというのが分からない。それなのに、自治体によっては、三%ではありますけれども、診断さえする予定がない自治体がありますけれども、何か手だては打っていらっしゃいますか。
  167. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) これも数次にわたり督促をいたしております。自治体のいろんな事情によりなかなか進まない。残念ながら私の地元でもそういうところがございまして、そういうことをこれからも我々は厳しく指導していきたいというふうに思っておりますし、財政的にも補助制度も設けているわけでございますから、しっかりとやっていただきたいということをこれからも重ねて、しつこくという言葉がいいのかもしれませんが、促していきたいというふうに思っております。
  168. 植松恵美子

    植松恵美子君 大臣、耐震診断、第一次診断でしたら掛かる費用は一棟につき十万から二十万です。第二診断、ちょっと精密にはなりますけれども、二百万から三百万です。また、必要な資格は大臣と同じ一級建築士の資格を持っていればできる診断です。ですから、これは自治体がやる気があるかないかだと思うんですね。そんなにお金が掛かるわけでなく、特別資格が要るわけでもないですので、これは早急に一〇〇%に持っていけるように大臣のリーダーシップの下でお願い申し上げます。  それと、先ほど一〇〇%の達成率をいつ目標にするかといった御質問に対して大臣は、明らかでないと、まだ明確に明言できないとおっしゃいましたけれども道路特定財源、向こう十年間五十九兆円といった予算がもう計算されている、積算されているわけですよね。学校の耐震も一緒です。過去五年間、大体補修にどのぐらいお金が掛かって、そしてどのぐらいの診断にお金が掛かってというのが分かっていれば、あと幾つ残っているんだから、何年までに何棟が直るかというのはめどが付くはずなんですけれども、どうしてそういった計算と計画の推進をなさらないのか、御答弁ください。
  169. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 不可能ではないと思います。これは私の私見でございますが。ただ、非常に複雑でございます。  要は、これは決まったものを同じように幾つ建てるという話であれば、まあまあそんなに難しくないだろうというふうに思います。道路計画も非常に複雑だとは思いますが、しかし、ある程度長さが決まり、どの程度橋梁があるとか、こういったものが出ればその積算がある。これは国土交通省がお答えになることでありますけれども、この学校の問題についてやるというのはなかなか難しい。これは統廃合の問題もありますし、それから、どういうやり方をやるかというのも各校全部違います、建てた時期において耐震のやり方も変わってまいりますから。ただ、ばくっと大まかに見込みを立てるということは可能だというふうに思っております。(発言する者あり)今、後退と言われましたが、私は金額について今まで一度も答えたことがございませんから、全体幾らぐらい掛かるというのは。(発言する者あり)いや、ちょっと待ってください。  それで、この二年前に一応三兆円という試算をされております。三兆円とされております。これも、私はよくこれを調べましたところ、調べましたところ、ある想定に基づいてやればこれぐらいかなという計算でございます。全体の費用でいうと八兆円ぐらいと言われています。緊急に行うのが三兆円ぐらいと、こういう試算をやられております。その後、また補助率も変わり、そして、今現状、それ以降進んだものもございますから、補正予算が終われば六五%ぐらい行くと思うんですね。そういったものを勘案すれば、ばくっと、これは多少無責任な数字になりますが、一・五兆円ぐらいかなと、これぐらいあればやれるかなと。  ただ、耐震だけにとどめるか、かなり老朽化しているから改修も一緒にしてしまうか、この辺は自治体の判断が大きく左右しますんで、その辺の事情はお分かりをいただきたいというふうに思っております。
  170. 植松恵美子

    植松恵美子君 国土大臣は、過去の五年間三十三兆円という道路財源を掛け二して六十六兆円で、一割引きで五十九兆円といった数字を渡海大臣よりも国民みんなに分かるようにどんどんとおっしゃっているわけです。だから道路特定財源は必要なんだと。  しかし、私は、このことを国民の皆さん、特にお母さん方に、この子供たちを守る、学校施設を耐震化するためには一・五兆円必要なんだと大きな声を上げて言っていただくべきであって、ざくっとじゃなくて、もっと大きな声を上げていただくことによって、保護者の皆さんは、ああ、そうしたら、こっちの予算よりも、道路よりも耐震化の方が大事だという保護者の皆さんも多くいると思いますので、どうか大きな声を上げていただきたいと思います。  その中で、公表している、もう耐震化が終わっているとか終わっていないとか、危ないとか危なくないとかという、公表しているのはわずか二二%だと聞いておりますが、これは大臣、公表していって、保護者の皆さんが、自分の子供が通っているところが安全かそうでないかというのを表示するべきだと思いますが、いかがですか。
  171. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) これは設置者がちゃんとやるべきだと思います。  それで、これは別に反論するわけじゃございませんが、民主党の議員立法も公表義務は地方自治体なんですよね。そうなんですよ。よく分かっていらっしゃるんです。ですから、これは地方自治体がやっぱり自分たちの責任においてしっかりやりなさい。これを公表しろということは再三再四これまでも言ってまいりましたし、これからも督促をしていきたいというふうに思っております。
  172. 植松恵美子

    植松恵美子君 済みません。そうしたら、民主党も共に公表するように私も働きかけていきたいと思います。  それでは、国土交通大臣国土交通大臣の御地元は尼崎市とお伺いしておりますが、済みません、御地元のことなのでお伺いします。尼崎市の学校施設の耐震化率、どのぐらいか御存じでしょうか。
  173. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 恐縮ですが、存じておりません。至急調べます。
  174. 植松恵美子

    植松恵美子君 私が調べてきたところによりますと、平成十九年四月一日現在ではわずか一四・三%です。これは、全国平均が五六%ですから、全国から見ても大変低い水準、また兵庫県の中でもワーストワン、そういった御地元に、御地元の皆さんのお子さんが通っているという、非常にこのことを聞くと心が痛むと大臣も思われます。  しかしながら、昨日から道路特定財源、つまり道路だけを造るため、緊急を要する道を造るためにこれは一般財源化することはないとおっしゃっております。しかしながら、学校耐震化も緊急を要すると思いますが、今も大臣、そのお考え変わらないのかどうか、子供たちのことを思って答弁してください。
  175. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 子供たちが通う学校等がそういう状況では本当に憂うるところでございますから、私は帰って早速市長その他教育長に非常に恥ずかしい思いをしているということも申し上げまして進めますが、ただ、本当にそのときそのとき国家にはいろいろ緊急の問題というのはたくさんございます。それで、(発言する者あり)それはそうですよ、子供が大事だって決まっているでしょう。(発言する者あり)
  176. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 質疑者以外は御静粛に願います。
  177. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 子供の命も大事ですよ。ですから、医療も大事だし、それから、今さっきずっと聞かれた出生の問題について、その子が知恵遅れになったりするということも大変な問題です。いろいろあります。  しかし、道路の問題につきましては、私が申し上げているのは、道路の高規格幹線道路というのは日本全国に造らなきゃならないわけ、ネットワークとして、(発言する者あり)いいですか。それは、いいですか、非常に長く長く掛かるわけです。(発言する者あり)
  178. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御静粛に願います。
  179. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 時間が掛かるんです、着手するためには。そして、用地を買収して、地権者の方にお願いをして用地を買収し、そしてこれを工事をするためにも相当時間が掛かりますね。しかも、この金額というのは莫大ですね。莫大ですよ。  したがいまして、我々としましては、こういうものを十年というスパンを決めまして、そしてその間にこの目標に向かって努力していきますということを国民にお願いして、そして中期計画の中にはこういうこともします、ああいうこともしますということをきちっと書いてあるわけです。  それで、これを現実にいつするかということは、先ほど来申し上げていますように、いろんな手続があります。高速道路、いわゆる高規格幹線道路であれば、民主党の代議士の方も四人入っていらっしゃいますけれども、衆参お二人ずつ、そういう国幹協議会というところにお諮りをして、そのときには最終的なBバイCも示し、そしてこれを決めていただいたところから着手するということなんです。それには非常に大きな予算が要りますから、あらかじめこういうふうにお願いしているわけです。  例えば、それが安定的な財源がない場合に、用地買収で話入って、またそれが止まってしまうというようなことは許されないですよ。そして今でも、申し上げているとおりに、例えば、もう東北の方に申し訳ないけれども日本海沿岸東北高速自動車道に見ましてはぶつぶつに切れていますね。これを早く、一日も早く完成してそれが通らなければ、今まで投資している部分が寝てしまうんですよ。  そういうことで、我々としては十年というスパンをいただいて、その姿がきちっと見える、その期間があればできる可能性ももちろんあるわけですから、そういうものを我々は詳細にして、これでお願いしているわけでございます。したがって、これについての御理解をいただきたい。  子供たちが一列に並んで、いいですか、そしているけれども、そこには路肩であって歩道もないというところが四万四千キロもあるんですね。これは、お母さんとしてこれも直さなきゃならないということもあるじゃないでしょうか。  私はそういうことをお願いして、道路特定財源にはそれだけの理由があってこの長い間国民の御理解をいただいてきたと私は思っております。是非とも御協力をお願いしたいというふうに思います。
  180. 植松恵美子

    植松恵美子君 冬柴大臣の御地元は阪神大震災に見舞われて被災地でもあったはずです。そのときには四十五棟の学校施設が倒壊、大破したと聞いておりますけれども、こういった実情の中で、今御地元の皆さん、大変な不安な思いをしていると思います。  私の香川県もずっとワーストワンでありました。全国で耐震化が遅れている香川県。なぜなら、財源が足らない。七割の自治体の首長さんは、七割、七割ですよ、財源があれば耐震化をしたいとおっしゃっている。つまり、お金が必要なんですよね。  もちろん、道も大事です。しかしながら、今からの十年間、道路だけにお金を使うのではなくて、いろんな、これから耐震化とかいろんな実情に合わせて、地方の実情に合わせた柔軟なお金の使い方をするために私は一般財源化をすることを望みますが、大臣はそうではございませんか。  そして、最後にですけれども、厚労大臣、済みません、時間がなくなったので併せて質問、失礼でございますけれども、やはり原因究明がなされなかったり日本国民の皆さんが納得されない場合は輸入禁止措置をとるといった手だてもあるかないかだけお答えくださいまして、私の質問とさせていただきます。
  181. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) どの大臣質問ですか。
  182. 植松恵美子

    植松恵美子君 冬柴大臣と厚労大臣です。済みません。
  183. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) ありがとうございます。  余り早口でいっぱい言われたから分かりにくくなっちゃったんですけれども、いや、一般財源にするということは、今ドライバーの方にお願いしているいわゆる暫定税率というのが二十三円四十銭、一リッターで納めていただいています。これは道路を造るから納めてくださいということを言っているわけです。しかし、それを道路以外に全部あなたのおっしゃるように一般財源化するということは、これがなくなるということですよ。国費ベースでは一兆七千億の税収がなくなります。  そうしますと、それの代替措置なしに何もできなくなりますよ。そして、そのうち一兆二千億というのは、いただいたものは地方の補助金として出しているんです。四千億しか残らない。雪かきと道路の補修しかできなくなっちゃうんです。私は、そういうことで、これを一般財源にすることは勘弁してほしいということはそのことなんでございます。
  184. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 最後に御質問ですが、食品衛生法第八条というのがございまして、特定の国などにおいて製造がなされた特定の食品等について、法違反の食品などが相当程度あり、食品衛生上の危害の発生を防止するため特に必要があると認める場合には、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、検査を要せずに販売、輸入などを禁止できる旨が規定してありますので、この八条の発動ということもあり得ると思います。
  185. 植松恵美子

    植松恵美子君 ありがとうございました。
  186. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で森田高君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  187. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、川合孝典君の質疑を行います。川合孝典君。
  188. 川合孝典

    ○川合孝典君 民主党新緑風会国民新日本の川合孝典でございます。新人の五連発ということで、五人目ということでございますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。  私の方からは、様々、今国民を取り巻く課題というのはたくさんございますが、私の方からは、今回は時間も限られておりますので、介護の労働の分野に焦点を当てて質問をさせていただきたいと思う次第でございます。  御承知のとおり、今、この日本という国は、少子高齢化の非常なスピードでの進行、そして国民のライフスタイルが多様化をしているというこういう状況の中で、今後更なる福祉や介護のサービスの充実というものが望まれている、これは皆の認識の共通するところであろうかというふうに思っておるわけでございます。それに対して、この介護労働の分野においては様々な問題が内包しているということも昨今取りざたされるようになってまいりました。  ともすれば、医療というところがまず焦点が当たるところであり、介護という分野はどちらかというと後回しというところもございますが、今後の少子高齢化、高齢化の中での介護という分野をきちんと充実させることは、今後の日本の社会の安定にとっても大変重要な課題であろうかというふうに考えておるところでございます。  そうした意味から、この介護労働に携わる方々の労働条件等を含めて、きちんとこれから整備していく必要があろうということで質問させていただきます。  まず、お手元に資料をただいま配り始めさせていただいておりますが、この介護にかかわる方々、介護労働に携わっていらっしゃる方々の離職率、仕事を辞められる率というものが実は他産業、全産業に比べて非常に高いというデータが出てきているわけでございますが、この事実について舛添厚生労働大臣はどのようにとらえていらっしゃるか、御所見をお伺いします。
  189. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 私も、政治家を志したのは介護の体験からでありますので、今委員がお示しになった離職率が極めて高いと、これは極めて大きな問題であると思っております。  なぜこう高いのか。それは、処遇を含めていろんな原因を究明し、今これに対してあらゆる手を打っていきたいと、そういう思いでありますから、この現状は極めて深刻だと、そういうふうに考えております。
  190. 川合孝典

    ○川合孝典君 ただいま御答弁の中で、処遇が低いということも含めてということで、厚生労働大臣としてもこの介護労働に携わっている方々の処遇が低いという御認識をお持ちだというふうに理解させていただきたいと思います。  そして、よくよく調べてまいりますと、この介護労働に携わっている方々、特徴的なデータがあります。一枚目のデータのところで正社員のところを御覧いただきたいんですが、実は、介護職員に関しての離職率というのは正社員において実は高いんですね。普通であれば非正規の方がどんどん辞められるということは傾向としてあっても、この介護職員の場合、正社員が離職率が高いというデータが出ております。  このことについては、厚生労働大臣、どのようにとらえていらっしゃいますでしょうか。
  191. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 数字のお話等でございますので、私の方からお答えをさせていただきます。  今委員から御提出いただきました資料で見ますと、確かに、介護職員の中でホームヘルパーについて正社員の離職率が高く、非正社員の離職率が低いと、こういう状況になってございます。これは、介護職員についても全産業に比べて離職率高いと、これは大臣から御答弁したとおりでございますが、特にホームヘルパーの層が正社員と非正社員と比べると離職率が正社員が高いという状況にございます。  これは、一つには、ホームヘルパーの就業形態が施設などの介護の職員の方に比べると、いわゆる、何と申しますか、待機している形態で、直行直帰と言われておりますが、御自宅に要請がある場合に利用者のお宅に行くというような形態の働き方が多いというような状況でございますので、どちらかというと、こういう形態の方は、辞められるというよりも、いろいろ問題がある場合には仕事の量を調整するという形で対応しているところが多いというのが第一点ではないかと思います。  また、正社員の方については、ホームヘルプサービスの事業所は施設の事業所などに比べて一般的に小規模の事業所が多く、御不満がある場合については、もちろんホームヘルパーとしてのお仕事を辞められる場合もあると思いますが、他の条件のいい事業所に転職されているというような形態も多いということで、そういうことを総合的に反映したものがこの正社員の方の離職率が非正社員の方の離職率より高くなっている原因ではないかと考えております。
  192. 川合孝典

    ○川合孝典君 いろんな数字についてはとらえ方があろうかと思います。  今日の資料には、お手元にはお配りしておりませんが、この介護の仕事においては入職率と離職率、どのぐらいの方が仕事に入ってこられて、そして辞めていかれるのかというのが数値、正確な数字厚生労働省さんの方でお出しになられていると思いますが、入職される方が単年度で二八%以上なんですね。それに対して、辞めていかれる方がこの数字です、二〇%強という数字です。極めて高いペースで人が回転しているということなわけです。ほかの産業と比べてもこれは異常に高い数字でありますが、このことについて、厚生労働大臣、御所見をお伺いしたいと思います。
  193. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 今、数字で示されましたように、やっぱり職場の処遇に不満があるとか、それから、私は、一時期不況のときに若者が本当にこの介護職を目指して頑張られた。ところが、最近、経済情勢が好転してきて、いわゆる失業率も下がってくる。そうすると、ここに行く方が少なくなる。やっぱり社会的評価というような問題があると思うんですね。  それで、今局長の方から話しましたように非常に回転が速い。それで、それこそグループホームも含めてたくさん中小の事業所はありますし、御自分でやることもできるんで、しばらくやって、ちょっとでもいい待遇のところに移っていく、そういうこともあるんだろうと思いますね。この複合的な要因では細かく一つ一つまた調査をしてやってみたいと思いますけれども、やっぱり待遇、処遇、そういうことが一番大きいんではないかなと、そのように考えております。
  194. 川合孝典

    ○川合孝典君 今の件について、厚生労働大臣がある程度この分野について御理解いただいているということについては、本当に感謝を申し上げたいと思う次第でございますが。  実際、処遇について不満があるのではないかというお話でございましたが、実は、ここに日本介護クラフトユニオンという介護労働の、日本では労働組合というのは企業内労働組合が一般的でありますが、非常に日本では珍しいクラフトユニオンの形式を取った、およそ六万人の労働者で構成されている組織がございます。こちらが去年、意識調査というものを実は行っているわけでございますね。その意識調査の結果を見ましても、やはりこの離職率の高さということについては、処遇がやはり低いということ、そして将来の生活設計、人生設計ができないということを大きな理由として実は挙げているわけでございます。  誤解をいただきたくないのは、では、そういう人たちが安易に仕事をころころ変えていくのかと申しますと、そうではございません。意識調査しましたところでは、彼らのうち多くの方々が、この介護、福祉という仕事に対して誇りとプライドを持って仕事をしておるわけでございます。しかしながら、非常に低い賃金の水準の中で、生活していけない、将来の絵がかけないということから辞めざるを得ない方が大変多く含まれているという、このことを是非ともしんしゃくいただいて、それに対しての具体的な対応を図っていただきたいというふうに思う次第でございます。  ちなみに、処遇が実際どの程度の水準なのかというのが、お手元の二枚目資料に付けさせていただきました。これは職種別決まって支給する現金給与額の比較でございます。上の段が全労働者であり、その下が福祉に携わっていらっしゃる方の賃金の水準ということでございます。  この数字を見て、厚生労働大臣、どのようにお感じでしょうか、御所見をお願いします。
  195. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 今このお示しいただいたデータでありますけれども、一つは、勤続年数が全労働者が十二年、それで、これはどうしても勤続年数、年功序列でもないんですけれども、やっぱり勤続年数に従って経験を積む、それによって給与が上がるというシステムはこの介護職員についてもあり得ると、あると思いますから、そういう面もあると思いますが、やはり一般的に言って、この仕事の中身は非常に大変です。それに比べれば、私は決してこれは処遇としていい方ではないと、そういうふうにこの数字からは思います。
  196. 川合孝典

    ○川合孝典君 このデータを見ますと、勤続年数が確かに介護職員に関しては短いわけでございます。これだけを見ますと確かにそういう分析の仕方ができるわけでございますが、実際に賃金体系というものを細かく調べてまいりますと、初任給の段階から既に低いわけでございます。そして、先ほど申し上げましたように、将来に対してビジョンが、生活設計、人生設計がしにくいということで、早く辞めざるを得ない状況になっている。したがって、構造的に勤続年数が短く抑えざるを得ないというか、そうなってしまうのが構造的にこの中に含まれているということを、是非ともこれは御理解いただきたいと思う次第でございます。  そこで、こうした賃金の決定のことに関してなんですが、基本的にこれは民間の会社のことでありますので、労使間の協議によって決定するというのが当然のことでありますが、将来にわたって厚生労働省としてスキルの高い介護労働者というものの人材はきちんと確保していくんだという指針をお出しになっている。それを実現していくためには、他業種にやはり見劣りしないだけの水準の賃金というものを設定する必要が是非ともあるというふうに考えているわけでございます。そして、そのためにはその裏付けとなる介護報酬の適切な水準というものの確保というものが前提になってくるというふうに私は実は考えておるわけでございますが、その点について厚生労働大臣の御所見をお伺いします。
  197. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) その前に、やはりキャリアアップ、ステップアップできるようなシステムを含めて、この点の支援をちゃんとやらないといけないと、そういう指針を決めましたんで、平成二十年度の予算におきまして人材確保などの支援助成金として、介護の基盤人材を確保するために例えば二十六億円、その他様々な介護人材育成のための手は打っているところであります。  ただ、各産業別に、例えば国が関与してこの産業はこれだけの報酬がないといけませんというような、なかなかこれは民間の、今委員おっしゃったように民間の話でありますから、そこはやはり、今クラフトユニオンのお話をなさいましたけれども、民間の労使の話合いでやっていく。  そして、もう一つは、社会全体として、こんな大事な、職業に貴賤の差もありませんし、それを差を付けることはよくありませんけれども、しかし、私自身は介護の仕事はいかに大変かというのはよく分かっておりますんで、やはり賃金だけじゃないんだって先ほど委員おっしゃったように、やりがい、生きがい、自分たちはこれだけ大事な仕事をしているんだって生きがいがある、それに対して国民の皆さん方の正当なる社会的評価と、こういうこともまた必要だろうというふうに考えております。
  198. 川合孝典

    ○川合孝典君 今、キャリアパスのお話おっしゃいましたので、その件について少しお話をさせていただきたいと思いますが。  御指摘のとおり、やりがい、生きがいというものをどうやってつくっていくのかということを考えたときに、実際にこのキャリア、社会的な評価を高めるために、そして良質な労働力を確保していくために、それからもう一つ、いわゆる介護福祉士の有資格者の問題ございますが、平成十七年の段階で四十七万人ほどの方が資格を取得された。ところが、実際、その資格を使って働いていらっしゃる方が二十七万人しかいない。二十万人ほどの潜在的な有資格者の方がいらっしゃるという、こういう方々を掘り起こして良質な労働力として確保していくということを考えたときに、大臣おっしゃったようなキャリアパスの仕組みというものは是非とも必要だと思うんです。  指針でも書かれておられますけれども、これ民間のというお話をされていますが、是非とも関係団体と共同で、厚生労働省として旗を振っていただいて強力なリーダーシップを取って方向付けをしていただきたいと思います。この業界は、新しい業界であるだけに、様々な点においてインフラが立ち遅れているところがあるということを是非御理解いただきたいと思う次第でございます。  それから、賃金の関係について御質問をちょっと申し上げたいと思います。  水準を決めるということについて若干ネガティブな御意見をおっしゃいました。今回私がデータをちょうだいしたクラフトユニオン、これは欧米ではごく一般的な業種、職種での集まった組合ということでございます。こうしたところであり、かつ新しい業種であるということを考慮したときに、従来の日本であるところの地域別最低賃金ですとか産業別の最低賃金というものとは別に、こうした業種、介護の業種というものを今後健全な発展をさせていくという上で、職種別の最低賃金という考え方もあるのではないかなというふうに考えているわけでございます。  立ち遅れて、労使間の協議というものも十分にできないような、不当な労働行為を受けているような方がいっぱいいらっしゃるようなものも実際に情報として入ってきておりますので、そういうことも含めて下支えを行うという意味での職種別最低賃金という考え方について御所見を是非お伺いしたいと思います。
  199. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) さきの臨時国会におきまして最低賃金法の改正が成りました。このときに、いわゆる地方最低賃金審議会とありまして、ここでやると。それに加えてというか、それと別建てで、今委員おっしゃったような産業別最低賃金制度の仕組みもございます。  ただ、問題は、法律をちょっと見てみますと、今度改正した法律で、法律上の要件として、関係労使からの申出があることというのがございます。したがって、法的に言うと、労使双方が申し出ていただいて、そして産業別の最低賃金の審議会、これ若干プロセスは違いますけれども、そこできちんと話合いをしていただいて決定をすることができるということになっているのが今の法的な仕組みであります。  したがって、その法的な枠組みの中で今私が申し上げられることは、それぞれの労使、この分野の労使の方で申出をまず行っていただく、そのことによって地方最低賃金審議会の産業別の最賃審議が始まると。それで、例えば仮に六月から七月に労使からの申出がありますと、このプロセスを審議をし、諮問し、調査をするということで、秋ぐらいには決定ができて十二月には効力を発生するということでございますんで、是非この関係労使から申し出てこれを動かしていただきたい。今の法律の建前上、私がそこでこれを動かすという仕組みになっておりませんので、その仕組みを是非御理解いただいて、労使の皆さん方のお申出をお待ちしていると、そういう状況でございます。
  200. 川合孝典

    ○川合孝典君 御承知のことと思いますが、現在の日本の労働組合の組織化率というのは二〇%を実は切っているという現状がございます。そういう状況の中で、適正な適切な労使間協議がどのぐらい実施されているのかということを考えますと、残念ながら、私自身労働組合の組織の出身であるだけに大変歯がゆい思いはいたしておりますが、十分な協議ができていない、機能を正直言ってしていない部分というのが大変多いということをこれは御理解のことと思います。  そういう状況の中で、不当労働行為によって苦しめられている方々も含めて、そういう方々をキャッチアップする、業界として育てていくという、そういう観点での切り口が必要だという意味で私は申し上げさせていただいたということを是非とも御理解いただいて、検討していただきたいと思う次第でございます。  時間がなくなってまいりましたので、急いで参ります。  厚生労働省では、昨年の二月に介護保険施設等実地指導マニュアルというものを作成されて、自治体の方へ標準的なサービス実施方法を御提示されておられます。しかしながら、現場の方の実態といたしましては、自治体ごとに様々な解釈、そして指導がなされているという実態があって、実地指導、監督、監査を行う担当者の同質性もきちんと担保されていない、こういうことが指摘されております。結果として、善かれと思ってやったことによってこの介護の現場では適正か不適正かということの判断がまちまちになってしまって、行政の不満にもつながっているという、こういう指摘が実は多く寄せられております。  そこで、指導や監査の実態を調査、検証して、きちんと統一的な解釈、それから文書様式みたいなものも含めて、具体例などを盛り込んだもっと分かりやすいマニュアルをきちんと配布いただきたいという、これはお願いでございます。  と同時に、指導担当者に対する研修とか教育ということについても是非ともやっていただきたいと思います。区と市で指導のやり方が違うということでは、現場の人間は大変混乱しているということを御理解いただきたい。その点の御所見をお伺いしたいと思います。
  201. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 今委員指摘のように、昨年の二月にその実地指導マニュアルを発したんですけれども理解の度合いが自治体によって違ってばらつきがあると。それで、今御提案ありましたように、研修会をやるとかマニュアルをもっと徹底させる、全力を挙げてこの周知徹底をして、このばらつきがないように、せっかく作った実地指導マニュアルですから、拘束をしないとか、身体拘束ですね、そういうことを含めて改善の方向に向かっているわけですから、これは周知徹底して、研修会含めての努力を続けてまいります。
  202. 川合孝典

    ○川合孝典君 今後も、この介護労働の分野においては是非とも研究を深めて、よりいい業界にしていくために私も頑張ってまいりたいと思います。今後ともよろしくお願い申し上げます。  以上で終わります。
  203. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 関連質疑を許します。大久保潔重君。
  204. 大久保潔重

    大久保潔重君 民主党新緑風会国民新日本大久保潔重でございます。昨年の夏に初当選させていただきました。我が会派の本日は六番バッターということで、最後の質問に立たせていただきます。  本当に毎日いろんなことが起こります。先ほど同僚、植松議員からも質問がありましたこのギョーザの問題。やっぱり私の家族も、消費者の立場として、輸入元も販売元も日本であって、そういう加工食品であれば疑うことなくやっぱり購入するということであります。本当に恐ろしいなということで今全国にそういう不安が蔓延しておりますけれども、今回のやっぱりあの加工食品の有機燐薬物の濃度、到底残留農薬とは考えられないような濃度でありますし、その製造元の検査の現場が中国当局にゆだねられている以上、我が国として、その国民の不安を払拭して安全性が確立されるまでは緊急的に輸入禁止措置をとるべきだと、こう思いますけれども、いま一度厚労大臣にその辺の御見解をお伺いしたいと思います。
  205. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 現実には、大久保委員、中国当局にも要請しまして、天洋工場という、そこからの輸出を完全に今ストップしております。    〔委員長退席、理事林芳正君着席〕  したがって、先ほど食品衛生法八条の発動ということを植松委員の御質問にお答えしましたけれども、今の現状で実質的にというか、もう完全にストップをして、来ないようにしてあります。ただ、問題は、在庫、今自主回収を含めてやっておりますけれども、これを間違って食べられる方がいたらいけないということで、そのことも徹底してやっていきたいというふうに思っていますので、食品衛生法の運用を含めてしっかりやっていきたいと思います。  それから、今のことも含めて、これ行政の対応が一月ぐらい遅れたんじゃないかと。このことについても、実は、食品衛生法をきちんと適用して、お医者さんが保健所に知らせてくれる、そして保健所を管轄する都道府県知事が厚生労働大臣にきちんと報告してくれる、この二つの点が、三つのケースの最初の二つについてうまくいってなかった。  今日、先ほど全国都道府県に通知を出しまして、この食品衛生法の趣旨にのっとって、疑わしきは報告しないんではなくて、少しでも疑わしいんであれば直ちに厚生労働大臣に報告をしろということを今要請したところであります。
  206. 大久保潔重

    大久保潔重君 是非、国民の安全、安心をしっかり確保する非常にもう大事な、大変でしょうけれども、大事な役割を担っておられる厚生労働大臣、関係省庁、各大臣とも連携を取りながら、年金のときと似たような状況にならないようにしっかりと強い姿勢で取り組んでいただきたいと思います。  国民の皆さんの生命の安全、安心ということでありまして、昨日は羽田議員の方から質問がありました地方における医師不足の問題であります。それに関連して私も質問をさせていただきます。  正確には医師数は毎年四千人近く増えておりまして、医師総数も増えております。ですから、医師の偏在といいますか、昨日は診療科の偏在でありました。特に産婦人科、小児科、あるいは救急医療の現場における医師不足の問題について質問をさせていただきましたけれども、本日は私は、地域における医師の偏在、この問題についてお伺いをさせていただきます。  全国的に見られる地方の医師不足、地方における医師の確保対策は今本当に重要な課題になっております。私は日本の最西端長崎の出身であります。そして、我が長崎県は面積の七割、これが離島・半島地域であります。そういう意味では、この各離島・半島地域の地域医療の中核拠点である例えば自治体病院であるとか、そういったところでの本当に医師の確保が年々困難になってきています。しかも、私は県議会も一期務めさせていただきましたけれども、わずかこの数年間でその状況が加速化しているように思われます。  このような状況は、もちろん国としても、厚生労働省としても十分全国的な状況を把握されていると思うんですけれども、どうしてそのようになったのか、率直なところどういう分析をされているのか、お伺いいたしたいと思います。
  207. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 大久保委員も地域の歯医者さんとして頑張ってこられたということを聞いておりますので、今日は医療に関係の深い方々がたくさん御質問なさいますし、そういう同僚を迎えて本当にうれしく思います。  そして、この医師不足、いろんな原因があろうと思いますが、やっぱり例えば産科、小児科が非常に勤務医の方々、過重な勤務をする。  それから、先ほど申し上げましたように、やっぱり訴訟リスク。特に福島県の大野病院の産科のお医者さんが警察に逮捕されると、これから産科医が減っていますね。  それから、今までは、これがいいことか悪いことかは別として、大学の医局がお医者さんを派遣する。そこの教授が、私も長崎よく行きます、私は福岡県の人間ですから、離島がたくさんあります、もうおまえここに行けって言えばそれで行く。そういうことが今もうできなくなってきている。  それから、今特に産科、小児科で女性の医師の比率が非常に高まってきている。この女性が御結婚なさって、自分で出産し子育て、その間、空いちゃいます。お休みになる。  このことも医師不足に拍車を掛けているというように思いますので、その他様々な複合的な要因が今日の、もう極端な言葉で言うと医療崩壊なんて言われているような状況につながっていくこの医師不足に帰結していると、そういうように思っております。
  208. 大久保潔重

    大久保潔重君 幾つかいろんな原因をまとめていただいて今答弁がありました。訴訟リスクの問題は先ほど同僚の森田議員からも質問があったと思います。  今、大臣が言われましたその各地域に医師を派遣するシステムですね、例えば大学病院のいわゆる医局、医師派遣システム、これが機能がどんどん低下しています。実際そうなっています。これはどうしてなんですかね。
  209. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 研修医の制度を新たにしたとかいろんな理由はありますけれども、ただ、私はこのすべてを大学の医局に頼って、そこの医師派遣機能がなければ動かないようにしていいんだろうかという気持ちはあるんです。  産科の不足ということで、先般慶応大学の病院に行きまして、産科の担当の方とお話をしました。例えば研修でも、後期の研修の方がおられればひとつ困っている地方に派遣していただけませんかと、こういうこともお願いしましたけれども、いや、大臣、ちょっと待ってくださいと、まだ例えば帝王切開をやるような技術を十分身に付けているとは思えないと、かえって、そういう若手でまだ完成していないお医者さんを派遣するとかえって地域の不安をもたらしませんかと、そういう意見もありましたので、これはいろんな方々の医療関係者含めて意見を賜って、足りないところにどう医師を派遣すればいいか。  現実に産科学会にも働きかけをして何とか確保しようというんで努力はしていますけれども、ただ単に医局の医師派遣機能を元どおりに戻す、研修医の制度を元どおりにすれば済むというほど事は簡単ではないんではないかというのが私の問題意識でございます。
  210. 大久保潔重

    大久保潔重君 今、大臣から本当に、首都圏というか都市部の慶応病院の例が出ました。地方においては、それぞれ各都道府県にある例えば国立大学病院の医局がいわゆる医師派遣システムということで、そういう機能をこれまで担ってきました。平成十六年に始まった新医師臨床研修制度、どうもこの辺りから先ほどの地方の医師の偏在といいますか、加速化したように思います。  平成十六年というと、医師臨床研修制度も始まりましたけれども、同時に、国立大学の独立行政法人化というのも同時にありました。この辺の絡みも後々また議論の対象にさせていただきたいとは思っておりますけれども、この臨床研修制度によって、そういうシステムの変更によって大きくここ数年、今年でだからちょうど五年目に入りますよね、どういったところにその変化があったのか、そして良かった点、悪かった点をもし国として整理をされているのであれば御報告していただければと思います。
  211. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 御承知のとおり、この臨床研修制度を変えました。それで、個々の研修医の皆さんどこに行かれるかというと、いわゆる臨床研修病院の方に行かれて、どちらかというと大学病院の方が人気がないという面があるわけでありまして、そういうデータは出ております。  ただ、全体的にこの研修の問題をどうするのか。先ほど申し上げましたように、いろんな御批判は出ていることは承知をしておりますけれども、じゃ、そのまま元に戻せばいいかというと、これは全体の日本の医療システムの再構築の中に位置付けてきちんと答えを出さないといけないと。  だから、この前、私は国民対話で飯田に行きまして、前のままに何で戻さないんだという意見をおっしゃる方がおりましたので、いや、それだけでは片付かないんじゃないですかと、こういう答えをしてました。じゃ、あなたはどうしようとしているのかということは、これは今、私の下に検討会を設けたりして長期的なビジョンも入れながら考えていきたい。  ただ、目前に、例えば四月から産科を閉じないといけないというようなところに対しては、それは閉じないないし規模を縮小しないといけない、分娩数を千だったのを五百に減らさないといけない、これ一人お医者さんが行っていただければそうならなくて済むので、その緊急対策も同時に取っていますけれども、この研修医制度の変化が果たしてどういう結果をもたらしたのかというのは、ちょっと私は時間を掛けて多角的に分析しないと、いわゆる世に言う批判だけでは済まない面があるんじゃないかと、こういうふうに思っております。
  212. 大久保潔重

    大久保潔重君 新しい制度が始まって五年目になろうとしています。今大臣から答弁いただきましたけれども、もう少しじっくり考えて検討ということでありますけれども、実際、私の本当に地域、離島・半島地域、もう、一人の医師すら確保できないんですよ。やっと半年間掛かりで県議会が総掛かりで確保して安心したと、しかしひょっとしたら来年辞めるかもしれぬと、また来年どうするんだと、こういう本当に切迫した状況ですよ。医師だけじゃありません。看護師もそうですよ。薬剤師もそうなんですよ。  そういう状況下の中で、新しい制度ができて五年目ですから、これからじっくりデータを取って検討しますと、制度そのものを昔に戻すわけにはいきませんと、対症療法的に緊急的にやりましょうでは恐らく間に合わないんじゃないかなという気がいたします。  医局制度そのものを私が一〇〇%肯定するわけじゃありません。それはそれで、まあ長い歴史の中でいろんな閉鎖性だとか、閉鎖性、非透明性、密室性、権限を非常に教授が持ち過ぎた、そういったところもあるかもしれませんけど、むしろ逆に言いますと、長い歴史の中で我が国の医療制度、風土に合った状況でずっと変遷をしながら、知恵を出しながら変化をしてきたということも一つ言えると思うんですね。  私は思いまするに、今のこの医療制度、この研修制度だけじゃないです。やっぱり社会保障制度を削減して医療費も削減しようとか、何か今の政治の根底に、やっぱりこの医療の分野にも自由競争を入れていわゆる医師の市場化、これを進めていこうという、そういう根底に理念があるんじゃなかろうかという気がするんですが、大臣、いかがですか。
  213. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 私は、常に申し上げておりますように、医療の分野と教育の分野ではとりわけ差別があってはならない、そういうふうに思っております。そして、この医療の分野について、そしてまた教育の分野について、単なる財源論だけで議論をすべきではない、市場経済原則だけで議論をしてはいけない、人の命を守るという原点に立ってきちんと対応すべきであると、そういうふうに思っていますんで、これは本当に努力をして効率化、能率化を図り、そして今年度も二千二百億円のマイナスシーリングの要請にこたえるようにいたしましたけれども、もうこれは限界に来ている。したがって、国民的な議論をきちんとして、命を救うということについては、この市場経済原則や財源論だけでやるような乱暴な議論はやめるべきであると、こういうふうに思っております。
  214. 大久保潔重

    大久保潔重君 今手元にありますデータ、これはもう厚生労働省からいただいたデータなんですけど、平成十五年度、これは臨床研修システムです、旧制度のときですね、大学病院は七二・五%です。ところが、平成十八年度、これは新制度が始まって三年目、大学病院は四四・七%。すごく減っていますよね。一方、臨床研修病院、平成十五年度は二七・五%、平成十八年度は五五・三%と、これははっきりもうデータとして出ています。これだけ大学病院が医師を、まあ調和率というかマッチング率というか定着させないと、やっぱりそこから地域の、地域医療の病院、中核病院に医師の派遣はできないというのははっきりしております。  それから、この臨床研修制度、いろいろ読みましたら、理念はすばらしいと思うんですよ、医師をトレーニングする理念。ところが、やっぱりその背景に先ほど言いましたようなところがあるから、希望の研修先を医師個人の選択にゆだねると、いろんな意味で条件のいい都市部の大病院、いわゆる臨床研修病院に集中するという、これは人間の自然な心の摂理、自然な発露だと思いますよ。そういう意味で、どんどん格差が、医療も格差が広がっていく、医師の質の格差も広がっていくと、これを非常に僕は心配しているんですね。  日本の古くからの医局制度というのはいわゆるジャパン・オリジナルです。これは昨今言われているグローバリゼーションには逆行することなんですね。なおかつ、この古い制度を残すということは市場化、自由競争にも逆行しますので、そうだと駄目だと、通用しないというのが今の政府の大きな理念の根底にあるんじゃなかろうかと思います。  実力のある人がいいところに、大都市に行ってどんどんどんどん給料も稼いで、どんどんどんどん高度先端医療の技術を習得して、地方に行った人は安い給料で、どんどんどんどんそれでというのは物すごい格差を、これは日本全体の医療の質ということを考えると、やっぱり心配の材料であります。  その辺のことを是非御理解をいただきまして、日本の医療の質そのものを上げるのにもやっぱりある程度均一な実力を持つ医師を育て上げると。そういう意味では、昔の医局制度というのも非常に貢献していたのではないだろうかということを申し上げます。  最後にまた大臣、御見解ありましたら。
  215. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) やはり今委員おっしゃったように、都市部に、条件のいいというか、そういう病院に集中する、その傾向はあります。  来年度予算で、地方の、今おっしゃった例えば長崎の離島、こういうところに行かれる方についてきちんとそれは手当の面でやるということを申し上げました。ただ、ここ最近、若いお医者さんと毎日のように議論をしていますけれども、いやいや、自分たちはそんなお金だけで判断しているんではありませんよと。    〔理事林芳正君退席、委員長着席〕  だから、三百万円給料をアップしたら行ってくれるかというと、そんな、三百万円もらおうがどうしようが、そんなことで行く行けないが決まるんではないと。だから、いわゆるへき地であったって、自分はそこでやってみたいということがあるんだと。ただ、例えば福岡から長崎、長崎から長崎の離島、これは極端に言ったら、ずっとそこに常駐しなくても、通うことも、週二日行くとかいうことも不可能ではありません。  ですから、やはり研修医の皆さん方がどういうことを望んでいるのか。我々はやっぱり現場の声を余りに聴いてこなかったという思いがあります。ですから、そういう方の声をきちんと聴いて、どうすればあなた行ってくれるんですかと。金くれれば行くってものじゃないよという答えが出てきているんですね。ですから、そういう答えをきちんと受け止めて、非常に柔軟にその希望にこたえるようにして、長期的にも、そして今喫緊の課題であるこの医師不足にも全力を挙げて取り組みたいと思います。
  216. 大久保潔重

    大久保潔重君 最後に。  我が会派、予算委員会櫻井筆頭理事を筆頭に、梅村先生も医師、退席されております国民新党自見先生も医師でありますし、また、是非この問題は時間があるときにじっくりまた大臣質問をさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  217. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で川合孝典君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  218. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、鰐淵洋子君の質疑を行います。鰐淵洋子君。
  219. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 公明党の鰐淵洋子でございます。  本日も、各委員より、国民の皆様の生活にかかわる様々な課題につきまして質問が続いておりますが、私自身も生活者の皆様からいただいた声を基に質問させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  まず初めに、年金記録問題の対応につきまして厚生労働大臣の方にお伺いをしていきたいと思います。  この問題解決を図るために、昨年の十二月から、これまでの調査で年金漏れの可能性の高い方から優先してねんきん特別便の送付がスタートをしておりますが、回答が来たのはまだまだ少ないということで、この現状を改善するためにも、再度、内容を分かりやすくするとか相談体制の充実を図るとか、そういった取組を今講じていただいているところであると思いますが、その中で、障害者の方の対応がどうなっているのか、障害者の方にきめ細やかな対応ができているのかということで、その点について具体的に伺ってまいりたいと思います。  大臣にまず御見解をお伺いしたいと思いますが、例えばということで視覚障害者の方の例を挙げさせていただきたいと思います。  視覚障害者の方は、ほとんどの方が書面を通して情報を得ることができないという、ほとんどの方がそういう状況でございますが、こういった方々が、このねんきん特別便が送られてきたときに、一つの対応としては家族やヘルパーの方が読んで確認をしてくださる、そういった対応もできるかと思いますが、しかし、本当にプライベートなことでもありますし、他人には知られたくない、そういった方も多くいらっしゃるかと思いますので、そういった意味で本当にこういう体制でいいのかどうか、そういったことも見直すというか、検討もしていかなければいけないと思っております。  また、障害者の方の年金の改正も十八年に行われておりまして、御自身でしっかりと現状を把握した上で選択したり判断をする、そういったこともございますので、そういった意味で、じっくりと内容を確認して御自身で判断をして対応ができるような、そういった体制づくりも重要かと思っております。  このように、障害別、また個人におきましても様々なニーズがあるかと思いますが、こういった障害者の方へのきめ細やかな対応が求められていると思いますが、この年金記録問題における厚生労働大臣の障害者の方への対応についてまず御見解をお伺いをしたいと思います。
  220. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 障害があるからといって健常者と差別されるような扱いがあっては絶対にならない、このノーマライゼーションの精神をしっかりとこの年金の特別便についても貫き通したいというふうに思っています。  それで、今、視覚障害者の例が出ましたけれども、もうこれは日本盲人会連合の皆様方に協力をいただきまして周知、広報をやっていただく、お手伝いをしていただく。それから、社会保険事務所や電話相談におきましても、障害者やその家族に対して筆談をするとかファクシミリを用いるとか、きめの細かい対応を行っていきたいと思います。  本当に福祉関係の日本盲人会連合の皆さん方にも協力いただいていますけれども、例えばカセットテープ版を、日盲連アワー一月号で、お知らせということでカセットで聞けるようにしてあります。そのほか、電話対応を含めてきめの細かい対応をするようにということで私の方から指示を出して、今対応に努めているところでございます。
  221. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  今大臣の方からも具体的な取組も御紹介していただきましたが、私の方からも是非、具体的にこういったことができるのではないかということで御提案もさせていただきたいと思いますが、具体的にこの視覚障害者の方の取組ということで、まず、この郵便物、ねんきん特別便が届いたときに、これがねんきん特別便であると、重要な郵便物であるということをまず御認識していただくことが重要であると思いますので、そういった意味で、封筒に点字を付けるとか、あと音声コードを付ける、こういった対応ができるのではないかと思っております。  これは以前も、予算委員会で昨年もちょっと取り上げさせていただいたんですが、この二センチ四方のバーコードに約八百字程度の情報が記録できるという、そうした音声コードを活字読み取り装置に挿入すると音声で再生できるといった、そういった支援機器がございまして、そういった対応をまず封筒にすべきではないか。その上で、この内容に関しましても、お一人お一人の情報をこういった音声コード化することによって確実に内容が伝わるような、こういった体制もできるのではないかということで私もちょっと提案をさせていただきたいと思っております。  こういった形で、視覚障害者の方始め、具体的に様々こういったきめ細やかな対応ができるのではないかと思いますが、今大臣の方からも具体的に御答弁もいただきましたが、是非、今後こういった取組を含めてどのように、この視覚障害者の方含めて障害者の方の対応を進めていくのか、改めて具体的な対応をお伺いをしたいと思います。
  222. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 今、一つの御提案がございましたけれども、例えば視覚障害者の方は、先ほど申し上げましたように、日本盲人会連合の皆さん方は本当に御協力をいただきまして助かっておりまして、先ほどのカセットで皆さんに知らしていただく、それから御家族がみんな協力してくださるということでかなり進んでおりますし、それから、例えばねんきん特別便が届く、そうすると、今まだ音声コードのようなのが入ってないわけですけれども、地域の民生委員の方々が、郵便物が視覚障害の方々に来られると、それを点検してくださって、これはこういうものですよ、じゃ、中開けてみましょうねということで読んでいただくと。  それから、例えば民生委員の方のみならず、社会保険庁の職員も現場に派遣して、今の民生委員がやっていただいたようなことを対話形式で、そしてもうその場において、例えばこういうお勤めがありましたね、こういう記録がありましたねというのは、これは例えば視覚障害の場合、中途で失明なさる方もおられるわけです。私も実はそういう危険性にあったものですから、非常にそれ深刻に感じていますけれども。  ですから、若いときばりばり働いていた、そして中途で失明なさると、そういう方は働いていたときの記録があるわけですね。例えば、糖尿病の方々なんかはそれから網膜剥離を発して中途失明なんということありますから、そうすると、過去の記録のデータ、それを一個一個、直接社保庁の職員が行って点検すればできるわけですから、そういうようなきめの細かいことをやらないと駄目だということで、今、個々のケースについて懇切丁寧にその方の立場に立って、健常者と差別しない、健常者と同じようにニーズにこたえられると、そういう体制を取っていきたいと思いますので、今の委員の御提案もどういう形で実現できるか含めて検討させたいと思います。
  223. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  今、大臣の方から御答弁がございました、例えば民生委員の方が訪問するとか社会保険庁の方が訪問する、こういった対応もとても大事なことでもありますし、またこういった対応は信頼関係がないとなかなか進まないところもあると思いますので、そういった意味で、一番どうすれば皆さんが本当に安心してまた的確に情報を得ることができるのか、そういったことも、是非とも、今私が提案させていただいたことも含めて検討していただいて、また早急に手を打っていただきたいと重ねて要望させていただきたいと思います。  重ねて、今、視覚障害者の方のちょっとお話をさせていただきまして、情報の格差があるのではないかということで、これも昨年の予算委員会質問させていただきました。やはりいろんな情報を書面から得ることが多い中で、視覚障害者の方はそういった情報が、まあプライベートにかかわることも含めて、生活や命にかかわることも含めてなかなか情報が入ってこない。それを変えていくために、一つの対応策として、先ほど紹介した活字読み取り装置、また音声コード、こういったものをどんどん周知していく、また普及していく、これが一つのまた取組になるのではないかと思っておりまして、しかし、なかなかこの普及が進んでいないという状況を伺っております。  そこで、もう一度この読み取り装置含めて日常生活支援、こういったものをしっかりと、申請主義ではなくて、皆さんにもっとこういうものがありますよということも含めて、展示会なりまたそういったものをやっていく中で周知していくことが、普及していくことが重要な取組ではないかと思っておりまして、その点について大臣の方に今後のお取組も含めてお伺いをしたいと思います。
  224. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) これ、後ほど時間があれば視覚だけでなくて聴覚障害の方へどうするかのお話もしたいと思いますけれども、やはり原則は本当にきめの細かい、その方の立場に立ってやるということでありますし、すべて例えば地域の民生委員の方々や先ほどのような盲人会連合の方々のみに頼るんではなくて、やはり社会保険庁の職員が出向いていって、例えば今のような音声読み取りのいろんなシステムを使ってやると、こういうことをもっと広く知らしめて、これは全国民でやっぱりサポートしていくことが必要だというふうに感じていますので、全力を挙げてやりたいと思います。
  225. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  今、大臣にも触れていただきましたが、聴覚障害者の方の対応ということで、これも併せてお伺いしていきたいと思いますが、聴覚障害者の方が年金記録に関する問い合わせ、相談をしたいときにどのような支援ができるかということで、山口県の社会保険庁の方では、この年金記録問題が起こる前から、平成十七年から、山口県の聴覚障害者情報センターと連携を取られまして、社会保険庁がお休みの日に手話で相談を受ける、そういった体制を整えている、こういったところもあるようなんですが、こういった形で、今回の年金記録問題に関しても、手話やまたこういった筆談を通してきめ細やかに親切に丁寧に対応していけるような体制づくりも重要かと思っております。  これについて対応をお伺いをしたいと思います。
  226. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  先生お尋ねの聴覚障害をお持ちの方の場合についての対応でございますけれども、まずは、社会保険事務所に来訪されたときは筆談による対応など必要なサポートを行わさせていただくこと、それから、ファクシミリによります相談受付窓口を全国の社会保険事務所、それから東京にございます社会保険業務センターの方に設置してございます。そういうようなことできめの細かな対応をさせていただいているところでございますし、それからさらに、今、山口の方の御紹介がございましたけれども、まさに一部の社会保険事務所ではございますけれども、あらかじめお申込みをいただければ福祉関係団体の御協力もいただきまして手話のできる方を派遣していただくと、そういうようなこともさせていただいているところでございます。  今後とも引き続き、聴覚障害の方のニーズを踏まえながらきめ細かな対応をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  227. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  今日は、視覚障害者の方また聴覚障害者の方中心の対応ということで質問させていただきましたが、改めて大臣の方に、こういった障害者の方の対応、しっかりときめ細やかに、そして皆様が安心していただけるように、そして早急にこれからも引き続き全力で取り組んでいただきたいと思いますが、その決意を大臣の方からいただきたいと思います。
  228. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 委員が御指摘のように、きめの細かい対応が必要だと思いますし、大原則はノーマライゼーション、つまり、障害は持った方々であっても健常者と同じように自分の人生を生きていけると、こういうことが大事なわけであります。そして、お一人お一人障害の中身も程度も違いますので、その方に合った形で対応しないといけない。  ですから、例えば社会保険庁の窓口においても、例えば自分が実際に障害を持っていて、自分にも体験があるというような方、そういう方を配置するとか、それからマニュアルもきちんとやっていく。それで、これは、民生委員、社会福祉の諸団体、障害者の団体の方々、こういう方との協力も賜って、障害を持っているからといってこの年金の記録の確定問題に不利になるということは絶対あってはならないと思いますので、全力を挙げて取り組みたいと思います。
  229. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 是非よろしくお願いしたいと思います。  次に、女性を支援する対策についてお伺いしてまいりたいと思います。  これは参議院本会議におきまして我が党の浜四津代表代行の方からも質問させていただきましたが、我が党として、女性の一生をトータル的にサポートする女性の一生サポートプラン、こういうものを検討させていただきました。家庭はもちろんですが、社会、地域社会におきまして、職場におきましても、女性の果たしている役割は大変に大きいものがあると思いますが、そういった女性の皆さん、特に若い女性がいろいろ仕事のこと、また人間関係、また家庭のこと、様々悩みを抱えている方が多い。でも、しかし、そういったことを一人で抱えていてなかなか相談できるところがない、どこに行けばいいか分からない、そういった声も数多くいただいておりまして、そういった方々が本当に気軽に相談できるような、そういった意味で若い女性向けの総合カウンセリング相談窓口、こういったものが是非必要ではないか、設置が必要ではないかと、そういった考えの下、提案をさせていただいております。  このことに対しまして、是非大臣の方から御所見をいただきたいと思います。上川大臣
  230. 上川陽子

    国務大臣(上川陽子君) 女性が、特に若い女性が生涯を通じて健康で明るく、また同時に充実した日々を送っていただくということは大変大事なことであるし、また、家庭の中で様々な悩みを抱えられ、一人でしまうことなく、そのことに対して様々な支援を行うということでの相談窓口というのは大変重要な問題だというふうに思っております。  現在、各地域におきまして、男女共同参画センター等におきまして女性を対象とした専用の相談窓口が設けられております。また、テーマによりましては、関係の機関ともよく連携をしながら、専門的な法律相談も含めての相談業務を行っているところも多いということでございまして、そういう意味で、そうした取組の事例等もホームページなどを通じて周知しながら、よりその相談体制が各地域の中で充実することができるように努めてまいりたいというふうに思っております。
  231. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  私もいろいろ調べてみますと、この女性センターを中心に各地域のニーズにこたえるような形でこういった相談窓口も既に設置はされているようなんですが、なかなかこういう場所があるということを特に若い方が御存じないというケースが多いんではないかと思いまして、そういった意味でも若い女性を中心にもっと周知をしていただきたいと思っておりますが、この点に関していかがでしょうか。
  232. 上川陽子

    国務大臣(上川陽子君) 男女共同参画社会の中で、特に若い女性ということでございますけれども、このセンターそのものが中核的な役割を果たしているわけでございますが、なかなか若い世代に周知していないということも事実であるというふうに思っております。  今、より身近になっていただくための手法といたしまして、先ほど申しましたけれども、ホームページやパンフレット、またメルマガ等も活用させていただいて、各センターでは大変積極的に活動に取り組んでいただき、できるだけ多くの皆さんに御利用していただけるように頑張っていただいているところでございます。  政府といたしましても、そうした取組を、できるだけいい事例を紹介することによって相互に情報交換をしていただきながらその底上げを図っていくということが大変大事だと思っておりますので、そうした趣旨にのっとってこれからも積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  233. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  引き続きこのセンターのことで、充実ということで伺ってまいりたいと思いますが、是非、土日また夜間の対応、そのほか、今お話ありましたインターネットとかまた電話での相談の対応、こういったことも是非充実も図っていただきたいと思いますし、また、相談に乗ってくださる方、やっぱり専門的な知識も必要ですので、そういった専門員の育成とか、あと、先ほどおっしゃっていただきましたが、身近なところで相談できる、そういった意味では市町村の配置も大事な課題になってくると思います。  また、そのほか、ただ相談センターで待っているだけではなくて、例えば人が多く集まるところ、イベント会場とか百貨店とか、そういったところにこちらから出向いていって、どんどん来てくださいぐらいの形でアピールしていくことも大事ではないかと思いますけれども、こういった取組を是非とも、これも周知と併せて内容の充実ということで提案をさせていただきたいと思います。  厚生労働省の方にも女性の健康センターというのがございまして、育児や家庭に関する相談に乗っていただける、そういった相談窓口もございますが、こちらの方の充実も是非併せて要望させていただきたいと思いますが、それぞれお二人の大臣から御答弁いただきたいと思います。
  234. 上川陽子

    国務大臣(上川陽子君) 政府として、今、男女共同参画センターにおきまして総合窓口に匹敵するワンストップサービスという形で、特に女性の再就職、あるいは企業などの仕事に関する情報やまたその相談ということでモデル事業を実施しております。十八年から始まりまして、ただいま七か所程度で行われているところでございますが、こうした中には、夜間の利用でありますとか、あるいは出前でそうしたデパートとかあるいは人の集まるところに出向いていって相談業務に応じるということで、こうした事例も各地域で取組が始まっているところでございます。積極的にそうしたことを応援をさせていただき、そして、そのことが更に別の自治体の方にも普及していくことができるように政府としても頑張ってまいりたいと思っております。  また同時に、市町村のレベルはまだまだセンターそのものの設置の率が大変低いということもございますので、身近なところでということでございますので、そうした面での努力も更にやらせていただきたいというふうに思っております。
  235. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 母子保健医療対策総合支援事業の一環として約五十億円のこの予算で女性健康支援センター事業をやっていますけれども、これは、例えば女性の健康というのは、思春期の精神的な不安定、妊娠とか不妊、それからもっと年いきますと更年期障害、昔はというか、かつては家族の中でちゃんと相談できる、それから地域の中で相談できる、そういう体制が整っていました。これは女性だけじゃなくて、日本の社会に今そういう機能がなくなってきている。そのときに気軽にやっぱり行って、例えば不妊だったらどこでどういう治療を受けられますかと、非常に更年期障害で苦しい思いしていると、これはどうなんでしょうかと、気軽に来ていただいて、そして健康を保っていただく。それは女性特有の悩みがありますから、そういう意味で全力を挙げてこの事業を花開かせたいと思いますし、こういうものがあるんだということをもっと周知徹底させていきたいと、そういうふうに思います。
  236. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 以上で終わります。ありがとうございました。
  237. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で鰐淵洋子君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  238. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、仁比聡平君の質疑を行います。仁比聡平君。
  239. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党仁比聡平でございます。  道路整備特定財源について、今後十年間に道路整備に充てるという五十九兆円の内訳を私は尋ねたいと思います。  まず、大臣道路中期計画素案に言う高規格幹線道路、これはどんなものなのかという、分かりやすく御説明をいただきたいと思うんですが。
  240. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 高規格幹線道路というものは、全国の主要都市間を連絡する一万四千キロメートルの高速ネットワークということでございます。  それで、これは二つの種類といいますかございまして、高速自動車国道というものが一万一千五百二十キロメートル、それから一般国道自動車専用道路というものは二千四百八十キロメートル、合わせまして一万四千キロということですけれども、これは六十二年の六月三十日の閣議決定がございました。もちろん、国幹会議を経て閣議決定があったものでございます。  そして、そのうち、先ほど言いました高速自動車国道一万一千五百二十キロにつきましては、国土開発幹線自動車道建設法という法律を一部改正しまして、その別表の中に詳細に始終点とかですね、ものが定められているものでございます。  一般国道自動車専用道路は、二千四百八十キロは、やはりこの六十二年の六月三十日の閣議決定を受けまして、同日の、当時の天野建設大臣ですか、の決定告示ということで一般に周知されているものでございまして、その点につきましても道路の始終点等が明らかにされているものでございます。  いずれにしても、それを整備する予定路線として決定されているわけでございます。
  241. 仁比聡平

    仁比聡平君 地域高規格道路、これは、大臣、どんなものでしょうか、地域高規格道路
  242. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 地域高規格道路というものは、先ほど言いました高規格幹線道路のネットワーク、補完をいたしまして、これは先ほど言いましたように、高規格幹線道路、名神国道とか東名国道と、非常に大きいわけですけれども、そういうものを補完をして、都市化、都市圏の育成、あるいは地域相互の交流促進、それから空港、港湾等の広域交通拠点との連携などの機能を持つ路線でございまして、高規格幹線道路とともに基幹ネットワークを構成するものでございます。
  243. 仁比聡平

    仁比聡平君 環状道路というのも出てくるんですが、これはどんなものですか。
  244. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 環状道路というのは、いわゆる都市、まあ委員の福岡にも国道二百二号環状道路というのがあると思います。そのように、例えば東京であれば首都圏における三環状道路というものがありますけれども、渋滞緩和効果あるいはそれに伴うCO2の排出量の削減効果とか、さらには都市構造の再編といった効果が期待されるものでございます。  ちなみに首都圏につきましては、代表的な環状道路というのは、圏央道とかあるいは外環あるいは首都高速中央環状線という、これが三環状と言われているものでございますが、そういうものを環状道路と呼んでいます。
  245. 仁比聡平

    仁比聡平君 今御紹介いただいたその三つが五十九兆円全体の中に占める割合はどれだけですか。
  246. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 三つと言われましたけれども、環状道路というのは、その道路の、先ほど、仁比委員のお住まいかどうか、福岡にはこれ一般国道で環状道路になっています。  で、いろんな、この高規格幹線道路がその役割を果たす場合も地域高規格道路が役割を果たす場合もございまして、それらは仕分できますが、環状道路というのは、そういう形態を通じて、道路の、ですから、道路の分類からはちょっと外れると思います。したがいまして、この高規格幹線道路と地域高規格道路、この二つにつきましては、五十九兆円のうちに占める割合、これはおおむね三分の一でございます。
  247. 仁比聡平

    仁比聡平君 再度確認ですが、政府・与党合意の五十九兆円の中に占める割合という意味ですね。
  248. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) ですから、六十五兆円の中の三分の一でございますが、ただ、それを圧縮したこの五十九兆円のうちのどれだけかということについては、今後これを目標にして整備を進めていく過程において決まっていくわけでございますから、その六十五兆円のときの数字のように、割合のように今お示しすることはできませんが、私の感覚としては、おおむね同じような割合になるんであろうというふうに思います。
  249. 仁比聡平

    仁比聡平君 おおむねそのように思うというのは私は答弁としては全く理解ができないんですが、五十九兆円はなぜ、五十九兆円の内訳はなぜ割合を説明できないのか、その理由をお伺いしたいんです。
  250. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 今までも答弁をいたしておりますけれども、これは六十五兆円の一割に相当する分ですけれども、これをいろいろと圧縮するためにいろんな工夫をいたしております。それはその整備する目的によって変わってくるわけでございますが、例えばいつも出てくる渋滞緩和というものにつきまして考えてみれば、例えば、渋滞緩和じゃなしに踏切ですね、済みません、渋滞する踏切を除去するためにどういうふうにするかということを考えてみれば、いろんな方法がありますね。  例えば、連続立体交差で多くの、十も二十もの踏切を一挙に解消してしまうという、もう一番それは理想的だと思うんですが、ただ、これは走っている電車止めるわけにいきませんが、そういうことを前提にこの上に高架をしてそしてするわけですから、大変な工期とそして工事費が掛かります。現在もやっているところはたくさんありますけれども、大変な、掛かります。  したがいまして、例えば最も混雑する踏切の部分を下を通すアンダーパスという方法もあります。したがって、そういう方法を選ぶということもあります。それからまた、例えば駅前とか都心部の踏切等でありましたら、まちづくり交付金とかいうものがありますね、そういうものの中でこれを実現していくという方法もございます。また、工法、そしてそういうものを使うということで実質上その渋滞箇所を解消していくという方法もありますので、そういうものを総合考慮しながら、今挙げた四千三百か所のうちの六百か所の開かずの踏切というものはいろんな工夫しながら我々は十年の間に解消していこうと、こういうことでございます。
  251. 仁比聡平

    仁比聡平君 私は、五十九兆円のうちの割合をどうして答えられないのかと聞いているんです。五十九兆円のうちの割合をどうして答えられないのか。
  252. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) したがいまして、それぞれの事業は十年間にわたって決定していくわけです。ですから、高規格幹線道路、どこを造るのか、どれをいつ整備をするのかということも、前に言いましたように、これについては国幹会議、委員も十名入っています。そういう国幹会議の議を経て、そして、議を経るためにはいろいろなアセスメントとか市民の意見も聴かなきゃなりませんし、いろんな手続、都市計画決定も要ります。また、事業主体をだれにするのかということも決めなきゃいけません。そういうものを経て国幹会議の議でこれはやるべきだということになりますと、国土交通大臣の実施命令というものが出て整備に入ると、こういうことになるわけでございます。  したがいまして、今どの道路をいつやるかということは決まっていないわけであります。そこにされているのは、今千九百九十九キロメートルについて、平成十五年の末に、民営化するために、それを、その当時にはもう施行命令が出ていた部分ばかりでございますけれども、これを、そのときまではすべてを日本道路公団が施行すると、四車線で全部やるということが決まっていたわけですけれども、それでいいのかという見直しを行うことにしたわけですね。それで、それについて、すべてについて、中期計画の後ろに付いておりますBバイCのような、全部それについてそれをやっていいかどうかということについての検討をされたわけです。そのうち、千九百九十九ですから、そのうち千百七十七キロについては公団を引き継ぐ株式会社で施行する、そして残りの八百二十二については国が直轄事業として施行すると、そういうことがそこで決められたわけでございます。  そういう流れがありますので、今ここに残った、そこで評価されなかった二千九百キロについてまたBバイCを細かく取ったわけでございますが、道路をする価値があるということはBバイC一・二以上が出てきたわけですから、そうではあるけれども、いつ、どこ、どれから着手をしていくかということは、先ほど言うようにるる申し上げるような手続を踏んで将来的に決められていくものでございますので、それが、私は、おおむね五十九兆円の三分の一ぐらいになるだろうということは先ほど申し上げたとおりでございますけれども、幾らだということは今明確にできないのはそのるる述べた事情からお分かりいただけると思います。
  253. 仁比聡平

    仁比聡平君 問いにお答えにならないし、私は今の大臣の御説明では分からないんですが、つまり、あれですか、六十五兆円も五十九兆円も積み上げではなくて事業量で示されている、午前中、構想であり目安だというような趣旨の答弁もありましたけれども、そういうことですか。
  254. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) すべて積み上げてありますけれども、読んでいただいたら分かりますように、それは、例えば道路は全部で百二十万キロメートルあります。子供たちが通学に使っているのはうち十九万キロメートルです。しかしながら、四十人以上の児童が使っている、毎日使っている、そういう道路はそのうち十一万キロです。なお、危ないところはどこか、そのうち。それは、歩車道の区別がないとか、そういうような自動車が学童が並んで歩いている横を通り抜けるというようなところは、拾えば四万四千キロあるわけです。  ですから、それじゃそれは解消するためにどれだけ掛かるのかということにつきましては、そこに書いてあるように、学童のそれを解消するためには、過去三年間、四年間の実績の、そういうところを直していますから、その実績の金額、そういうものを施行したもので割って単価を出して、そしてそれを掛けたものがこの六十五兆円の基礎になっていると、こういうことでございます。
  255. 仁比聡平

    仁比聡平君 すべて積み上げているというふうに大臣答弁されましたけれども、そうではないということが随分明らかになってきているんですよね。  ちょっとその前に、お配りしている資料、これは国土交通省が素案の段階で記者発表資料として中期計画事業量の内訳を示したものなんですけれど、ここに基幹ネットの事業量として二十二・七兆円というのがあるのはお分かりのとおりです。これ、全体で計算するとこれだけで三四・八%ぐらいになるんですよ。先ほど大臣、三分の一とおっしゃったけれど、そうすると、これ以外のところで地域高規格道路も環状道路も造れないという話になるけど、そうですか。
  256. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 我々は、ここで書いたことが目標にこの十年間整備を進めていこうという、言わば上限を定めたものでございます。
  257. 仁比聡平

    仁比聡平君 大臣質問が分かっておられない。三分の一だったら、もうこの基幹ネットだけで超えているじゃないですか。
  258. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  今委員お示しの資料というのは事業量算出のための基礎資料でございます。ここに書いております事業、十七項目別に箇所とそれから単価を掛けて事業量を算出しております。ただ、例えば基幹ネットワークの中の地域高規格、高規格と、それから渋滞解消、そういうもの、いろんなものが施策間でダブりがございます。それが一枚目の方にお配りになっておられます施策項目間のダブりを差っ引いたものでございまして、そのトータルというのが、六十五兆ではなくて、ずっと足すと数字が大きくなると、そういう関係にありまして、六十五兆というのは数字を差っ引いております。
  259. 仁比聡平

    仁比聡平君 なら、局長に聞きますが、先ほど冒頭指摘した三つの道路、これはこの表でいうと何割になるんですか。
  260. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  この表でいいますと、地域高規格、高規格は、この表の一番上の基幹ネット、そこに入っておる数字でございます。したがいまして、一番右端の二十二・七億円ということでございまして、にわかに数字が、ちょっと六十五兆円で割り算できませんが、そういう数字でございます。
  261. 仁比聡平

    仁比聡平君 そうすると、生活幹線ネットや渋滞対策の中にはそれらの環状道路も含めて入っていないんですか。
  262. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 先ほど冒頭申し上げましたように、ダブりは差っ引いておりまして、一枚目の方を御覧いただくとお分かりいただけると思いますが、基幹ネット、国際競争力の確保の中に入っております。これが今申し上げましたトータルで約二十四兆円でございます。ここの部分と、地域の自立と活性化の慢性的な渋滞の解消と、この項目に入っております施策というのがダブルで、同じ道路で渋滞解消もできますし、基幹ネットワーク、そういう役割も果たしますんで、計上上はダブルで計上されています。その差っ引きをどうやったかというのが、重複をどういうふうにカウントしたかというのがこの表でございます。
  263. 仁比聡平

    仁比聡平君 通告しているのに答えないじゃないですか。三つの大きな道路、これが六十五兆でも五十九兆でもいいですよ、そこの中に占める割合、これは通告しているでしょう。答弁してください。
  264. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  大臣申し上げましたように、約三割でございます。
  265. 仁比聡平

    仁比聡平君 それは私は納得できないですね。その積算の、算出の根拠を示していただくべきじゃないですか。  この基幹ネットとそれから渋滞対策、これ合わせただけで七割近くなるんですよね。
  266. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。    〔委員長退席、理事伊達忠一君着席〕  委員指摘の、冒頭おっしゃいました高規格幹線道路、地域高規格道路、これがトータルいたしますと二十四兆でございますんで、その数字の割合というのは約三割と、そう申し上げました。
  267. 仁比聡平

    仁比聡平君 今の御答弁、きちんと根拠を示していただかないと私は到底納得がいきません。  この表の、続けて聞きますけれど、基幹ネットの単価、これ平成十九年度二・三三兆円、毎年というのがありますが、これはどういう意味ですか。
  268. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  御指摘の単価は、平成十九年度におきます高規格道路、それから地域規格道路予算、それでございまして、二・三三兆円を計画期間である十年間ということの事業量にしております。
  269. 仁比聡平

    仁比聡平君 つまり、今年度やる分を十年間やりますよと言っているだけにすぎないわけです。  生活幹線道路ネットの二千三百区間はどういう意味ですか、大臣大臣
  270. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) これは、その冊子の中では五千区間と書かれています。  そのうち、あなたの出されている資料の一番下にも注書きで、脚注で地方単独事業分を除いていると書いてありますが、この生活幹線道路ネットワークの形成のところで、五千のうち二千七百は地方負担して造ったものでございます。したがいまして国が造るものにつきましては二千三百区間ということで、そして、先ほどの四年間、三年、四年の実施の実績を割り算をいたしまして、一つで、一か所で三十三億円掛かったということですから、二千三百を掛けまして七兆円を必要とする、そういう計算でございます。    〔理事伊達忠一君退席、委員長着席〕
  271. 仁比聡平

    仁比聡平君 積み上げたようにおっしゃるけれども、それは違うでしょう、局長
  272. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  まさに委員お示しの表のように、箇所を示し、それに単価を掛けた積み上げでございます。  ただ、午前中の答弁で申し上げましたように、個々具体個別箇所というのは毎年度の予算、そういうもので計上されていきますんで、いろんな形態があろうかと思います。そういうことで、箇所のトータル示しまして平均的な単価をお示ししている。積み上げでございます。
  273. 仁比聡平

    仁比聡平君 単価じゃなくて箇所数を聞いているんですよ。  五千区間ってどうやって選んだんですか。
  274. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) これは、百二十万キロはあるわけでございますが、その中で、急勾配、急カーブ、幅員の狭い部分が存在いたしまして、自動車がスムーズな走行や擦れ違いに影響を及ぼす、移動支障区間と呼んでおりますが、これを全国で五千区間と見込んでいます。  このうち、過去四年間の補助事業地方が単独で実施する事業とのシェアの実績から補助事業で実施した部分が二千三百区間として算出しているわけでございまして、単価は先ほど述べたとおりでございます。
  275. 仁比聡平

    仁比聡平君 ならば、その約五千区間をすべて明らかにしてください。
  276. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  五千区間につきましては、要対策箇所ということで中期計画の素案でまとめてございます。
  277. 仁比聡平

    仁比聡平君 具体的に特定しているのかと聞いているんですよ。
  278. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  何回も申し上げておりますが、要対策箇所のところから、いろいろ事業実施のときには、地元の状況それから都市計画、いろんな手続がありまして、要対策箇所の中からこの十年間にどれが事業実施になるかというのは、毎年度毎年度準備を進めながら決まってくるものでございます。そういうことで、要対策箇所はこれだけありますというのは大臣答弁申し上げました。そこの中から毎年度いろんな状況事業が動いていく、そういうものを取り上げていって、優先度の高いものからやっていくという、そういう計画になってございます。
  279. 仁比聡平

    仁比聡平君 だから、結局、特定していないということでしょう。  政府はしきりに道路整備の課題、必要性があると言うんだけれども、だけれども、課題があると言うんだったら、具体的な要整備箇所を積み上げて、国会にも国民にも明らかにして国民的合意をつくろうというのが当然なんじゃないんですか。  この中期計画というのは、事業量だけを示して、これだけの量が必要だという、そんなお考えですか。特定事業なら必要性や採算性の議論のしようもありますけれども、量が必要だと。その総額をどこでどう使うのかは道路局のさじ加減に任せろとでも言うんですか。そんなことでは私は話にならないと思いますが、どうですか。
  280. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) それは中期計画の中に詳細に記載したつもりですけれども整備しなきゃならないところ、たくさんありますね。しかし、その中で最もそう整備することによって効果が発揮できる部分、そういうものを順番にやっていくということがそこに書いてあります。  したがって、それはその時々によってその順番が変わる場合もあるでしょう。したがいまして、どれをやるということは別として、今述べたように、四千三百か所に上るそのような踏切、そういうものについては、そのうちの、全部できません、ですから、六百か所については、開かずの踏切六百か所はそのようにする。それから、残り八百か所については人や車や自転車というものがもう相当混雑する、そういうような状態にある、そういうような踏切について早急に手当てをしようということでございますから、それをどこからやっていくかということは決してさじ加減ではなしに、客観的な資料、そういうものを踏まえてその年その年で整備する箇所を決めていくということになります。
  281. 仁比聡平

    仁比聡平君 道路だけ特別扱いを続けるのかということが問われているわけですよね。  大臣、記者会見で一万四千キロについて始終点も全部明らかにされた道路として造る約束をしていると強調したと報じられていますけれども、どういう趣旨ですか。
  282. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 私は大臣拝命してから、安倍内閣、福田内閣通じて一年四か月、たったそれだけですけれども、本当に毎日のように、毎日のように地方からも道路整備についての要請を受けます。それは、知事さん、議長さん、議員さんだけではありません。経済界、それから御婦人、ついおとついも御婦人の方がたくさんお見えになりました。子供さんまで来られます。作文まで書いて、私の方のこの道路を造ってもらいたい。それは、六十二年にこういうものを予定路線としてでもやはり決めているわけですね。  いつも言うけれども日本海沿岸東北自動車道というものを造るということが書かれているわけですね。ところが、いまだに、造られているのは、今日持ってきていませんけれども、本当にぶつぶつに切れているわけです。したがって、早くこれが道路として通ずるようにしてもらいたい、こういう要望が非常に強いわけでございます。  したがいまして、私は、予定路線ですけれども、政治に携わる者としてこの国民の声というものは本当に尊重しなければならないし、我々としても、苦しい中だけれども、ハンドルを握っている方に一部をお持ちいただきながらこれを一日も早く整備しなきゃならないと、そういう思いを述べたものでございます。
  283. 仁比聡平

    仁比聡平君 その一万四千キロはバブル時の八七年、もう今から二十年前の四全総の計画で、必要性、採算性が大問題になってきたものなわけですね。一万四千キロを復活させると、迫る更新時期を前に一気に造ってしまおうと、そういう中期計画なんじゃないんですかね。真に必要な道路とおっしゃるけれども、それを具体化したものだという説明はごまかしじゃありませんか。事業量だけを確保する、大型道路が多くを占める、必要性や採算性が疑問視されてきたこれまでの計画をそのままにして総額先にありきで道路だけは造り続けると、そういう仕組みに私はやっぱりほかならないと思うんですよ。  暫定税率特定財源十年延長するというようなこういうやり方はやめて、算出根拠をすべてを国会に明らかにして、そして一般財源化を強く求めて、私の質問を終わります。
  284. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で仁比聡平君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  285. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、福島みずほ君の質疑を行います。福島みずほ君。
  286. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  本日、三名の死刑囚に対して死刑の執行が行われました。開会中に長勢法務大臣は十名執行しました。本日も、前回の三名に続いて鳩山大臣は処刑をされました。十名以上の死刑囚を処刑する、いわゆる死刑大国に日本はかじを切ったのでしょうか。
  287. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 全然そういう感覚で物事を処理しているわけではありません。やはり、日本には日本の法律があり、刑法があり刑事訴訟法の規定があり、それに従って死刑が確定をしている人たちが大勢いる、そういう方々に対して、例えば刑の執行停止とか非常上告とか再審とか恩赦とか、そういう可能性、そういう事由があるかどうか十分に確かめて法に従って粛々と執り行っているものでございます。
  288. 福島みずほ

    福島みずほ君 鳩山大臣はかつて、ベルトコンベヤーで乱数表に何か基づいてやったらどうかとおっしゃいましたけれども、基準はあるのでしょうか。
  289. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 正直申し上げまして、刑事訴訟法は、死刑判決が確定をしてから半年以内に執行しなければならないと書いてあるわけです。実際には七年半、あるいは最近の十年間を取りますと約八年という数字が残っております。そういう意味でいえば、これは訓示規定であるから半年というものは訓示と解釈すべきだという意見もございます。  そういう中でいろいろ精査をいたしまして、先ほど申し上げたようなことを精査して粛々と行っております。
  290. 福島みずほ

    福島みずほ君 二〇〇七年十二月十八日、国連総会の場で、死刑執行停止決議が採択をされました。日本ももちろん国連に加盟をしております。モラトリアムを確立すること、あるいは死刑の適用が可能な犯罪の数を削減することなどがこの決議に盛り込まれています。  私は、決議があった後の執行なので特に問題にしたいと思いますが、この決議をどう受け止めていらっしゃいますか。
  291. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) そういう決議がなされたことはもちろん承知しておりますし、日本はそれに賛成をしているわけではありません。  死刑制度というものについては、これはそれぞれの国にそれぞれの考え方があり、世論というものもあろうかと思いまして、内政上の相当重要な課題であると思っておりまして、我が国においては凶悪あるいは重大、そういう犯罪に対して厳しく当たるべきだというのが世論の大勢であると考えております。  そのことをもって人命軽視というような言い方をされることがありますが、私は日本の文明は全く逆だと思います。人命をこよなく大切にする日本という国、日本人であるからこそ、人命を奪うような行為に対しては厳しく対処すべきというのが現在の世論であろうかと思います。
  292. 福島みずほ

    福島みずほ君 ヨーロッパ、EUに加盟するためには死刑を廃止しなければなりません。トルコもロシアも廃止をしています。フィリピンも南アフリカ共和国も多くの国も廃止をしています。G8で死刑があるのはアメリカの幾つかの州と日本だけです。これに関して、外務大臣法務大臣ヨーロッパ、G8の傾向についてどう思われますか。
  293. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 日本は別にEUに加盟しようと思っておりませんので、日本日本独自に決めていきたいと、こういうふうに思っております。
  294. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 外務大臣のおっしゃるとおりだと思いますし、要するに内政上のかなり大きな重要な課題であると思いますから、それは日本人の意思で制度を決めていくべきだと、こう思っております。
  295. 福島みずほ

    福島みずほ君 ヨーロッパ評議会のオブザーバーステータスを持っている五つの国の中に日本は入っており、アメリカと日本ヨーロッパ評議会から勧告を受けました。高村大臣はもちろん御存じだと思います。そのことをどう受け止めていらっしゃいますか。大臣お二人にお願いします。
  296. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 法務大臣がおっしゃったとおりでありまして、最終的には日本国民の意思によって日本の法律が決まっていくと、そしてその法律に従って司法が判断をすると、こういうことだと思っております。
  297. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) EUトロイカというんでしょうか、EUの議長国、前議長国、次の議長国かな、この三人の例えば大使なら大使、そういう方々が時々お見えになって、EUとしての考え方、死刑廃止論、そうしたものをお聞かせをいただいている。私は心を無にしてそういう御意見は十分に聞いておりますが、今、高村外務大臣おっしゃったとおり、この重大な問題は日本人の手で、日本人の意思で決めていくものだと思います。
  298. 福島みずほ

    福島みずほ君 国民議論をするために国会に調査会を設置するなり議論を続けるべきだと思います。  次に、国連人権規約第一選択議定書、いわゆる個人通報制度についてお聞きをいたします。  日本は条約を批准しておりますが、この部分だけ留保をしています。是非批准をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  299. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) どなたへの質問ですか。
  300. 福島みずほ

    福島みずほ君 二人の大臣です。
  301. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 率直に申し上げて、この国際自由権規約第一選択議定書というんでしょうか、それは意味のある内容だろうと、条約の内容を担保するという意味でも意味のある内容であろうと思いますから、これは真剣あるいは慎重に検討しなければいけないと思っておりますが、ただ、国家と個人の関係で例えば人権侵害があったというような想定をした場合に、我が国はやはり我が国独特の司法制度があって、そこで三審制で物事が決する。そこにさらに個人通報を認めて何らかの意見が寄せられる、あるいは勧告という形になる、それが法的拘束力はないとは思いますが、やはり尊重する義務があると。そうなりますと、我が国の司法の判断と国連の委員会の判断が異なるということも考えられ得るものですから、我が国全体の、我が国の司法権、その独立等を含めて全体の問題として考えると慎重にならざるを得ません。
  302. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 鳩山法務大臣と同じ意見でございます。
  303. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、国際派のお二人ですから、もっと踏み込んで是非答えてください。  というのは、司法権の独立は世界ある程度共通の原則で、G8の国では、アメリカは個人通報制度は米州憲章によって持っており、他の国は全部国連の規約によって持っております。G8の中で個人通報制度を持っていないのは日本だけなんですね。司法権の独立を害するといいますが、他の国は司法権の独立があり、かつ個人通報制度を持っております。ですから、司法権の独立は理由にならないと考えますが、いかがですか。
  304. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) アメリカは米州機構の関係のがありますが、この国連のことに関しては日本と同じように入っていませんね。やっぱりアメリカもそういう様々な制度、国内の制度等あって、妙な勧告とか意見を寄せられては困るという意味で入っていないのだというふうに聞いております。
  305. 福島みずほ

    福島みずほ君 答えになっていません。なぜ個人通報制度が日本だけないのかということに対する答えになっていない。司法権の独立は理由にはならないでしょう。
  306. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 先ほど申し上げましたように、司法権の独立を含めて我が国の司法制度全体を考えた場合に、我が国は三審制ですが、場合によっては個人通報制度で全く別の意見が寄せられると第四審があるような形になってしまいますので、私は我が国の三審制で十分だと思います。
  307. 福島みずほ

    福島みずほ君 司法権の独立がある他の国で個人通報制度があるのに、日本で司法権の独立を盾に拒むのは理由にならないと思いますが、どうですか。
  308. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 日本には日本の独自の文明があり、文化があり、それに従って私は考えております。
  309. 福島みずほ

    福島みずほ君 法制度も人権もダブルスタンダードではなくグローバルなものです。そういう態度では私は非常に恥ずかしいというふうに思います。  次に、一月二十四日、サンフランシスコ地方裁判所において沖縄ジュゴン訴訟の判決が出されました。この判決は基地建設によるジュゴンへの影響を回避することを命じています。この判決をどう受け止めていますか。
  310. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 判決の内容は承知をいたしております。  委員、判決文をお読みいただいていると思いますが、この判決は、国防省、アメリカの国防省に対して追加資料の提出を求めている、それまで審理を停止するというような内容に相なっておるわけでございます。現在も係争中であるというふうに承知をいたしておりまして、外国の判決でもございますので、日本政府として現時点でその内容についてコメントすることは適当ではないというふうに考えております。  合衆国政府がこれを受けてどのような対応を取るかということについては、極めて強い関心を持っておるということでございます。
  311. 福島みずほ

    福島みずほ君 一月二十一日には沖縄県知事も、防衛省の環境影響評価方法について、問題があり改善すべきとの意見書も出しています。ジュゴンは日本の宝物です。生物多様性というのは極めて重要で、国会にもいろんな人間がいることが重要です。環境が大事だという観点からすれば、これはやはりジュゴンのこの判決を重要視すべきではないか。鳩山大臣、気持ちは環境大臣でもあるので、どうですか。
  312. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 私は昆虫の研究家ですから、生物多様性というのは極めて重要だという認識は持っております。
  313. 福島みずほ

    福島みずほ君 防衛大臣、これは重要な裁判で、判決であり、アメリカの判決ですよね。日本のアセスメントが根本的に問われている、見直す必要があるんじゃないですか。基地建設はやめるべきだということを思いますが、いかがですか。
  314. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは、私どもは普天間基地の危険性を一刻も早く除去をしなければならない、そしてそのために代替施設の建設というものを何とか進めたいというふうに考えております。  委員おっしゃいますように、国会においても自然界においてもいろいろな生物が生息することは極めて重要でありまして、ジュゴンというものがきちんと守っていけるようにということで、アセスというものもきちんと行ってまいりたいというふうに思っておるところでございます。  方法書の中でも述べておることでございますが、ジュゴンは環境影響評価におきまして、文献、現地調査による情報の収集整理を行い、適切に予測評価を行うということになっておるわけでございます。私どもも、その点はきちんと留意をしていかねばならないと考えております。
  315. 福島みずほ

    福島みずほ君 基地建設をやめるべきだということを強く主張します。  次に、弾道ミサイル迎撃のためのパトリオット3、PAC3についてお聞きをします。  先日、あの新宿御苑で訓練をしました。新宿御苑でPAC3が配置されるということがあるのでしょうか。
  316. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは、PAC3というものは私どものミサイル防衛システムの中で非常に重要な部分を成しております。イージスの上から発射をいたしますもので、撃ち漏らした場合、地上のPAC3で落として国民の生命、財産に対する被害を除去するというふうに考えております。  したがいまして、新宿御苑で今後やる可能性があるかと言われれば、その可能性はあるというふうに考えております。
  317. 福島みずほ

    福島みずほ君 新宿御苑にPAC3が配置される可能性があるということですね。
  318. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) このPAC3の展開に必要な条件は幾つかございます。それは、面積が確保されるということであり、レーダーの障害にならないという視界が確保されるということであり、あるいは自衛隊のいろんな施設と通信が確保されるということでございます。  この条件が成就されるということになり、新宿御苑がどうしても必要であるということになりました場合には、それは国民の生命、財産を守るために展開するという可能性は排除されません。
  319. 福島みずほ

    福島みずほ君 これは、私は新宿御苑で訓練があったということを聞いて驚いて、そして閣議決定があります。昭和二十二年の十二月二十七日、新宿御苑は国立庭園として一般に開放するとともに国民芸術の向上に資する諸施設を整備するという目的に反しているのではないですか。
  320. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) その閣議決定はよく承知をいたしておるところでございます。  したがいまして、私ども、PAC3の展開先の検討に関する調査におきましては、ほかの利用者の方々に極力影響が生じませんように、この新宿御苑が閉園をいたしました後から休園日であります十五日の午前までの間を利用させていただき、実施をいたしました。  したがいまして、委員指摘国民庭園として一般に開放すると、こういうような趣旨には反しておらないというふうに考えておるものでございます。
  321. 福島みずほ

    福島みずほ君 PAC3の配置のどこが国民芸術の向上に資する諸施設を整備することになるのでしょうか。国民が憩う新宿御苑や代々木公園がPAC3の配置先として検討され、検討される余地があることに強く抗議をします。危険です。絶対にやめるべきだということを強く主張します。  次に、残りの質問も準備をしていたんですが、時間が経過しておりますので、今日は三人の死刑執行が開会中にあったという重大な点について強く抗議をし、選択議定書の批准などについて強く、今年は国際人権規約の検討委員会がありますので、日本がG8の主催国として、人権外交をやる国としてきちっとやってくださるよう申し上げ、私の質問を終わります。
  322. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で福島みずほ君の質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十九分散会