○加納時男君 ありがとうございました。
総理が今おっしゃられたことは全部非常に重要なことだと思っています。これを、今結びでおっしゃった低炭素社会構築に向けて
日本がスタートを切るというお話でございますので、どのようにスタートを切っていくのか、若干中身につきまして
経済産業大臣、
環境大臣に、今の題に沿って質問させていただきたいと思っております。
これまでに得られつつありますおおむねの、相場観と言っちゃいけませんけれ
ども、感覚ですね、我々、いろんな方、国のいろんな
方々と会い、いろんな
会議に出ていますが、だんだん固まってきたのは、一つはすべての主要排出国の参加、これは
日本が非常にこだわっていることですが、これについてはかなりの今
合意が得られつつあるんじゃないかなという感じがします。
それから、低炭素社会を構築する、これについては、ほとんど
異議なく
日本の提案どおりだと思っています。
それからその次は、言わば、ここからだんだん厳しくなるんですけど、およそ二〇五〇年ごろまでぐらいに温室効果ガスの排出量を世界全体で半減していこうと。そこから先についてはいろいろ細かい
議論をこれからやらなきゃいけないと思っています。
ただし、そのアプローチの方法については若干意見が分かれるといいますか、納得いかないところも若干ございますのは、例えばEUなんかが盛んに言っております頭を決めちゃう、キャップ・アンド・トレードという、まず総排出量を頭から決め付けて、言わば官僚統制で決め付けた上で、それに至らないところは取引すればいい、トレードをすればいい。キャップ・アンド・トレードと言っていますが、これはもう金融資本にとってはとてもうれしいビジネス機会でありますから大歓迎だと思いますし、私も
経済学の学者ともよく付き合っていますが、非常に学問的には面白いねと、私も非常に興味があります。
しかし、これが本当にCO2の削減に役に立つんですかというところでまたいろいろ
議論があるわけでございます。いろいろEUの方も工夫したいといって、最近言ってきたのは、入札
方式をこれにかませて、少しでも具体的な目標をつくろうと言っていますけど、
現実にこのキャップを勝手に、過去の実績でやるという、京都
方式みたいに過去の実績を基に決めるなんてやりますと、これは東欧諸国なんというのはもうたまったものじゃないというので、今七か国ぐらいが訴えていると思います。それから、このEUの中でも訴訟が二百件ぐらい起こっていると思います。
グリーンスパンというのが最近書いた本を読んでいたら、「波乱の時代」というんですけれ
ども、その中で、キャップ・アンド・トレードをどのような形にするにせよ、その実現には大きな疑問があると。上限を高くすれば排出抑制の効果はないのはEUの第一段階で立証された。次に、これからやろうとしている上限値を低くする、つまりキャップを低く抑えてくるとなると、これは排出権の価格が高くなって企業の負担が多くなり、企業が具合悪くなるか、こういう仕組みをやっていないところ、圏外にどこか飛んでいっちゃうといった
日本の環境税と同じような
議論が実はされています。
もう一つの考えは、
日本型の提案といいますか、すべての主要排出国が参加は同じなんですけれ
ども、国別の事情をよく考えて、国ごとの事情に応じたセクター別の効率改善目標をつくっていったらどうだということもございます。これは
総理も効率改善を大事だということを力説されておられますし、二〇二〇年ぐらいまでに三〇%の省エネルギーと、たしか
総理のお話しになったのを読んでいて見ましたけれ
ども、非常に重要だと思っています。
言わばボトムアップアプローチ、民の力、技術の力でやろうというのが一つの
やり方。もう片っ方は官の力、頭から押さえ付けて、統制をして、言うことを聞かなかったら罰金だと。しかも、過去の実績を基にするから、大変、私風の厳しい言い方をしますと、怠け者にはボーナスを、
努力した勤勉な者にはペナルティーをという、こういうことをやっちゃいかぬというのが、私いろいろな
会議でしゃべっているんですけれ
ども、こういうことが
議論されてきて、始まっておりますけれ
ども、
環境大臣、どのようにお思いでしょうか。それからまた、
経済産業大臣にも御意見を伺いたいと思います。