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2008-01-31 第169回国会 参議院 予算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年一月三十一日(木曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員の異動  一月二十九日     辞任         補欠選任      福山 哲郎君     直嶋 正行君      田村耕太郎君     坂本由紀子君  一月三十日     辞任         補欠選任      大久保 勉君     辻  泰弘君      芝  博一君     浅尾慶一郎君      直嶋 正行君     福山 哲郎君      長谷川憲正君     自見庄三郎君      舟山 康江君     木俣 佳丈君      吉川 沙織君     内藤 正光君  一月三十一日     辞任         補欠選任      浅尾慶一郎君     田中 康夫君      木俣 佳丈君     犬塚 直史君      福山 哲郎君     直嶋 正行君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         鴻池 祥肇君     理 事                 尾立 源幸君                 櫻井  充君                 津田弥太郎君                 羽田雄一郎君                 水岡 俊一君                 椎名 一保君                 伊達 忠一君                 林  芳正君                 山口那津男君     委 員                 相原久美子君                 石井  一君                 犬塚 直史君                 植松恵美子君                 大久保潔重君                 川合 孝典君                 自見庄三郎君                 田中 康夫君                 辻  泰弘君                 友近 聡朗君                 内藤 正光君                 直嶋 正行君                 中谷 智司君                 平野 達男君                 藤原 良信君                 森 ゆうこ君                 森田  高君                 米長 晴信君                 荒井 広幸君                 有村 治子君                 加納 時男君                 河合 常則君                 佐藤 信秋君                 坂本由紀子君                 末松 信介君                 谷川 秀善君                 南野知惠子君                 松村 龍二君                 山田 俊男君                 山本 一太君                 谷合 正明君                 渡辺 孝男君                 鰐淵 洋子君                 大門実紀史君                 福島みずほ君    国務大臣        内閣総理大臣   福田 康夫君        総務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣地方分        権改革))    増田 寛也君        法務大臣     鳩山 邦夫君        外務大臣     高村 正彦君        財務大臣     額賀福志郎君        文部科学大臣   渡海紀三朗君        厚生労働大臣   舛添 要一君        農林水産大臣   若林 正俊君        経済産業大臣   甘利  明君        国土交通大臣   冬柴 鐵三君        環境大臣     鴨下 一郎君        防衛大臣     石破  茂君        国務大臣        (内閣官房長官) 町村 信孝君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣(防災、        食品安全))   泉  信也君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策、規        制改革国民生        活、科学技術政        策))      岸田 文雄君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(金融)        )        渡辺 喜美君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策))    大田 弘子君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣少子化        対策男女共同        参画))     上川 陽子君    内閣官房長官        内閣官房長官  岩城 光英君    副大臣        内閣府副大臣   木村  勉君        内閣府副大臣   中川 義雄君        法務副大臣    河井 克行君        財務大臣    遠藤 乙彦君        文部科学大臣  松浪健四郎君        厚生労働大臣  岸  宏一君        農林水産大臣  岩永 浩美君        経済産業大臣  中野 正志君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        西村 明宏君        法務大臣政務官  古川 禎久君        厚生労働大臣政        務官       伊藤  渉君        農林水産大臣政        務官       澤  雄二君        経済産業大臣政        務官       山本 香苗君        国土交通大臣政        務官       金子善次郎君        国土交通大臣政        務官       山本 順三君        環境大臣政務官  並木 正芳君        防衛大臣政務官  秋元  司君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  宮崎 礼壹君    事務局側        常任委員会専門        員        村松  帝君    政府参考人        厚生労働省医政        局長       外口  崇君        厚生労働省健康        局長       西山 正徳君        厚生労働省医薬        食品局長     高橋 直人君        厚生労働省保険        局長       水田 邦雄君    参考人        日本銀行総裁   福井 俊彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成十九年度一般会計補正予算(第1号)(内  閣提出衆議院送付) ○平成十九年度特別会計補正予算(特第1号)(  内閣提出衆議院送付) ○平成十九年度政府関係機関補正予算(機第1号  )(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成十九年度補正予算案審査のため、必要に応じ政府参考人出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  4. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成十九年度補正予算案審査のため、必要に応じ日本銀行総裁福井俊彦君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 平成十九年度補正予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。  本日の質疑総括質疑方式で行い、質疑割当て時間は百六十九分とし、各会派への割当て時間は、民主党・新緑風会・国民新日本八十四分、自由民主党・無所属の会五十七分、公明党十八分、日本共産党五分、社会民主党護憲連合五分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  7. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 平成十九年度一般会計補正予算(第1号)、平成十九年度特別会計補正予算(特第1号)、平成十九年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題といたします。  三案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。直嶋正行君。
  8. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 どうもおはようございます。  昨日までいろいろありましたが、参議院予算委員会、こうして開催されることになりました。民主党を代表して質問させていただきたいというふうに思います。  昨日一応の決着を見たんですが、最初に、この与党さんが衆議院提出をされましたつなぎ法案について総理の御見解をお伺いしたいというふうに思います。  このつなぎ法案が仮に成立していれば、審議を始める前に結論を出して、期間を限定して国会審議を行うと、こういうことになるわけであります。このような行為というのは憲法で保障された国会法律審議権を侵すことになる、民主主義を破壊することになると思いますが、総理にはそのような考えはお持ちでございましたでしょうか。お聞きしたいと思います。
  9. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 昨日与野党間で合意がなされまして、国会が正常化したということでございます。これはもう大変結構なことだというように私は思っております。  こういうような、昨日までの与野党間のその話合いというものがなかなか合意に達しなかったということでございました。私どもといたしましては、やはりこの歳入歳出法案年度内に成立して、そして国民生活経済等々に悪い影響を及ぼさないようにというようなことで考えて交渉してまいったわけでございますけれども、そういう意味においては合意に達したということでございますので私は大変喜んでおります。そしてまた、この合意に至る過程において衆参議長あっせんの労を取ってくださったということもございましたし、そういう両議長にも感謝を申し上げたいというように思っております。  いずれにしても、与野党間で今後真摯にこの予算関連法案等につきまして議論がなされること、これを期待いたしているところでございます。
  10. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今、総理合意ができたことを強調されましたが、私が申し上げたのは、もしこういうものが成立をすればまさに国会は形骸化してしまう、そういうことを申し上げたんです。ですから、そういう意味でこれは本当に間違ったやり方だと、こう思いますが、その点を総理の御認識を伺ったわけであります。どうなんでしょう。
  11. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 私どもは、国会で、その国会審議が順調になされるようにということだけを願っておるわけなんですよ。そして、国民生活に、また経済に悪い影響を及ぼさないようにと、この一念で考えて交渉してきたわけです。何も最初から何か考えているというようなことではないんで、前提としてね。そうでなくて、やはり野党方々にも協力を、また御理解を得なければいけない。そうでしょう、でなければ合意ができないわけですから。そういう意味において粘り強く交渉してきたわけじゃないですか。そのことについては衆参両院議長も御理解をしてくださったと思いますよ。しかし、野党も最終的には理解してくださったということで大変良かったと、こういうように思っておるところでございます。
  12. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私ども合意はしましたが、決してこの法案を容認したわけではありません。私ははっきり申し上げておきたいと思います。  こういう法案はまさに数の横暴で衆議院の三分の二勢力をバックにしてしかできないわけでありまして、それをみだりに行使することはまさに国会を破壊する、民主主義を破壊するものだというふうに思います。  それで、これが衆議院でいろいろ与野党折衝をされている間、総理の姿が余り見えなかったんですね。総理があの強行採決を止めようとされたということもうかがえなかったわけであります。ただ、マスコミ報道によりますと、昨日、実は福田総理は本会議での採決を止められたんだと、こういう話もありました。  総理はこの間、本当にどのように受け止めて、どういうふうに行動されたんでしょう。お教えいただきたいと思います。
  13. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) ですから、私は、再三申し上げているように、この歳入歳出法案が、これが年度内に成立すると、そのことが国民経済にとってもいいんだということを考えて、今までそういうことについて与党の方にもいつもお願いをしてきたということでございます。  与党がやっていることについてはこれは与党にお任せをしておりますけれども、私は立法府の長として今ここで立っておるわけでございますから、与党でそういう方向で努力をするということについては与党の方もよく理解して交渉してくださったと思いますよ。ですから、与党大変努力をした、最後最後まであきらめないで努力した。それはお認めになるでしょう。ですから今日があるわけでしょう、この委員会があるわけでしょう。  そういうことを、そういう現実を無視して、現実を無視して、そして、もしやったらという仮定の話されても困るんですよ。そういう努力をしてきたわけですから、その努力は認めていただきたいと思います。
  14. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ですから、私は、こういうやり方は目的のために手段を選ばない、まさに非民主的なやり方だと申し上げているんです。  結果として、それは総理がおっしゃるように合意ができたと。まあだから脅しの材料として使ったと、こういうことをおっしゃっているわけですか。
  15. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) しかし、与野党話合いが対立しているというときに、やっぱり国会の運営というのは最後議長あっせんということもあるわけですね。議長の御意向というのは、これは国会を円滑に運営させるための最後手段というふうに思いますけれども、やっぱり、そういうふうな助力もお願いしなければいけないという状況に至ったということについては、与野党反省しなきゃいかぬところあると思いますよ。やっぱり野党の方も余り前提最初から置かないで、もう少し柔軟にやっていただきたい。  昨日、合意が成立したわけですけれども、一昨日から与野党国対委員長間では、与党の方からも妥協案を示して、そして大変野党方々の御協力もあったわけですよ。いろいろな努力をしているわけですから、そういうことを全体的に考えて、どういうふうに判断するかということはありますけれども、しかし、こういう合意に達したんですから、合意に達したんですから、まあそれで満足すべきではないかと私は思いますけどね。
  16. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私は、総理合意合意と強調されますけれども、もちろん私たちも私たち立場でいろいろ前提条件申し上げてきましたよ。しかし、ああいう乱暴なことはやっていません。このことをはっきり申し上げておきたいと思います。  それから、実はこういう法案が過去に四回国会で成立しているんですが、いずれも衆議院解散によって採決が先送りされることをまさに配慮して出された法案なんですが、総理は、これ出たときに衆議院解散・総選挙も念頭にあったんですか。
  17. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) もう何度も繰り返しますけれども、何も乱暴にやっているわけじゃないです。今御説明したように、一昨日から、一昨日から与野党間で、国対委員長間話合いしているじゃないですか。その中身は、何もこの法案を出すということを言ってないんですよ。出さないということを前提にした妥協案も出しているじゃないですか。そういう経緯を無視して、そして、まあそういう経緯はともかくとして、もう合意達したんですから。ですから、それは、そう過去のことを振り返ってとやかく言ったって……(発言する者あり)
  18. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御静粛に願います。
  19. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 言うよりは、もっと前向きにこの予算内容について議論していただきたいと思いますよ。
  20. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 解散の意思はあったんですかと聞いたんです。
  21. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 直嶋君、もう一度。
  22. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 私、解散前提にしてこういう交渉をしているわけではありません。
  23. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私が申し上げたのは、まあ解散でもなければこういうことはやっちゃいかぬということを申し上げたかったわけであります。  それで、特に今回の件は、我々参議院にとってはまさに六十日間何もしなくていいということになってしまうわけでありますから、存在意義そのものが問われることになったわけです。私はこれは参議院にとっても大変な危機だったと思いますが、この点について、同じ参議院議員出身舛添大臣泉大臣に御所見を伺いたいと思います。同じ立場だと思うんです。
  24. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 日本国憲法の下において二院制を取っておりますし、参議院意義は私はずっとこれは強調し続けてきたところであります。出された法案に対しては真摯に参議院もこの審議をし、結論を出す、これが重要だと考えております。
  25. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 内閣の席につながる者としまして、衆参両院議長あっせんによっていわゆるつなぎ法案が取り下げられたという今日の状況の中では、是非政府が出しております予算案、来年度の予算案関連法案を十分な御議論をいただきまして参議院としての結論を出していただきたい、こう思います。  ただ、直嶋議員お尋ねは、一参議院議員としてどう思うかというお尋ねだと思います。そういう立場でのお答えを申し上げることを許していただきますならば、私自身は、道路整備、国の骨格を形成するような道路整備費はきちんとやるべきだ、また生活にかかわるような歩道でありますとかあるいは開かずの踏切対策、もろもろのことが必要だということをずっと主張してまいったものでございます。  そうした観点から考えますと、今回のつなぎ法案もやむを得ないものではなかったかと、このように思っております。ただし、これは憲法に許されたこととはいえ、この方式を用いることは慎重の上にも慎重でなければならないと、このように思っております。
  26. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 最後に、この問題の最後に、総理参議院存在についての御認識を確認しておきたいと思います。
  27. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 私の認識憲法に定めてあるとおりでございます。
  28. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 まあ、お答えになっていないと思いますが。さっきからこっちでいろいろおっしゃっていますけれども、自民党の参議院皆さんも、与党皆さんも本当に注意しなきゃいかぬですよ。参議院、何もやらなくていいという法案だったんですから。全然あなた方分かっていない。はい。  もう一つお聞きしたいんですが……(発言する者あり)
  29. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御静粛に願います。
  30. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 昨日の合意で、昨日の合意によってこれから国会審議進むわけでありますが、租税特別措置法にかかわる部分であります。  これは、与党さんと私ども民主党との間の意見の違いがどこにあるかはもうはっきりしています。これも、話合い法律を分けて審議する方が昨日の議長あっせん合意を実行する上でもふさわしいと思うんですが、この点について、総理、是非実行していただきたいと思うんですが、いかがですか。総理お願いします。
  31. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) いろいろな考え方があるわけでございますけれども、今回、一覧的に、かつ分かりやすく示すというそういう理由もあったわけでございます。それは、租税特別措置法改正案については、必要性の薄れた特別措置を廃止、縮減する一方で新たな政策ニーズに対応した特別措置を創設するといった全体を通じた見直しを行ったと、そういうことがございましたので、一本の法律案として国会提出をいたしました。  こういう取扱いというのは法制的にも適切な取扱いであるというように考えられておりまして、従来からこういうような形で国会で御審議をいただいているところでございます。
  32. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 いろいろ反論したいことあるんですが、今日は道路特定財源の問題について関係大臣皆さんの御見解を聞きたいと思っております。  以降、道路特定財源について幾つかお伺いしたいと思います。  まず、民主党考え方、これは六項目でありますが、整理をさせていただきました。(資料提示)今日はこの内容に沿って、総理中心に御見解を確認したいというふうに思います。  まず、総理に御所見を伺いたいんでありますが、総理施政方針演説の中でも、地方への権限移譲を行う地方分権を加速すると、こう述べられました。まず、そのことについての真意をお述べいただきたいというふうに思います。
  33. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 地方分権そのものについては、これはこの分権化を進めると、権限も、それから財源地方に、そして地方の自治というものを大事にしていく、それが民主主義の本来の姿ではなかろうかというようないろんな考え方があるわけでございまして、このことについては地方分権推進委員会の方でも一定の結論を出していただいたというところでございます。政府としては地方分権化に向けて、将来は道州制というものをにらんで分権を進めていくということで、その段取りを今進めているところであります。
  34. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 御承知のとおり、この道路特定財源制度というのはひも付き補助金の典型なんですよね。使い方の細目から、造る道路の基準、これは道路構造令というのがあります。そして、造るか造らないかまですべて国が関与するという中央集権システムそのものなんですよ。これを更に十年続けるということですから、私は今総理がおっしゃった地方分権の行き方とは全く逆行するものだと思っています。地方分権を進めるためにも、道路特定財源地方自主財源にすべきだとこう思っています。どうですか、総理。どうぞ、総理お答えください。これは大きな考え方の話なんです。
  35. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 地方分権と十年の計画というのが矛盾するではないかと、こういうふうなことですよね。それは、まず道路予算についていえば、これは短期間でもって計画を作るというのはなかなか困難なわけです。ですから、今まで五年、大体五年ぐらいというふうなめどでもって予算化をするといったようなことも進めてきたわけでございますけれども、今回そういう趣旨でもって十年というふうに申し上げたということでございます。  これは地方分権と矛盾するかどうか、それは確かにそういうことですよ。ですから、地方分権が進展するというときには必ずこの分も見直しをしていかなければいけないわけですよ。でなきゃ、できませんよね。ですから、そういう意味において整合性は今後取っていくということになります。
  36. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 これは、地方分権進めるためには変えなきゃいかぬという認識は共有していただいたということでよろしいんですか。ちょっとここ、お答えいただけませんか。
  37. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) それは当然のことと考えております。
  38. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私ども民主党は、さっき申し上げたとおり、ここに書いていますが、道路特定財源地方自主財源にしてまさに地方に自主的に使っていただく、こういう考え方なんです。  次にお伺いしたいんですが、今、この道路特定財源制度というのは、半世紀以上前に、昭和二十九年にできたまさに戦後復興システムなんですよ。私どもはもうこれを残す理由はないと思っています。当時は復興のために道路が優先だったかもしれません。しかし、今や政策課題はたくさんあります。これを一般財源化することによって、例えば、救急病院や医者の増員とか、子育て、教育、もちろん道路も造る、こういう形に変えていく、時代的にもそういう時代なんじゃないんでしょうか。  この点について、どうなんでしょう、あと十年続けるというのはとんでもない話だと思いますが、いかがですか。
  39. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これはもう直嶋委員も御承知のとおり、二十九年から今日まで来ているわけでありますけれども、元々特定財源でありますから、道路を造ることによって恩恵を受ける方々に御負担をしていただいてその目的を達成する。だから、自動車ユーザーの皆さん方に御負担をしていただいて、当時、日本のインフラというのはもうほとんど成り立っていなかった、地域だとか日本経済を活性化させるために必要だったから今日まで続いてきている。しかも、なおかつ、五年に一遍ずつ見直しをし、と同時に、毎年度の予算のときに、どこに道路を造ることが重要であるのか、そういうことを議論しながら今日まで来ているものと思っております。  特定財源というのは、そういう意味で受益者負担の原則があったわけでありますけれども、これを長く続けていけば、直嶋委員がおっしゃるように、若干その財政的に硬直性を生んで弊害が起こることもあるわけでございます。だから、小泉内閣以来、この特定財源見直しをして一般財源化を図っていこうではないかということで今日まで議論をして、今度の二十年度予算に当たりまして、私どもはそれを具体化していくために、自動車ユーザーとか納税者の皆さん方の理解を得る形で一般財源化を図っていこうという形で法案を出さしていただいたと。それが昨年は一千八百億円程度、今年は一千九百億円程度の一般財源化を予定をしているわけでございます。これは特定財源でありますから、納税者の理解を得る形でということが大事なことでございまして、じゃ一般財源化をするならば、これは根底からその根拠を議論していかなければならないわけでございます。  したがって、将来はともかくとして、将来はともかくとして、道路にいささかでもかかわり合いのあるところに一般財源化を図って活用させていただければ国民の皆さん方の理解も得るんではないかということをしているわけでございます。そういうことで是非御理解をいただきたいというふうに思っております。
  40. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今の財務大臣の御答弁が三十年前でしたら私はそうかなと思います。だから、まだ十年続けちゃうわけですよ。もう今度は何年になるんですか、六十年か七十年ですよ。さっきも一般財源にするなら根底から議論しなきゃいかぬと、こういうふうに言われていましたよね。本来、小泉総理がおっしゃったときから根底から議論してきたはずなんじゃないんですか。私どもは、これ根底から議論して抜本的に変えようという提案を今させていただいているんです。  それで、今、受益と負担とおっしゃいましたが、決して受益と負担がリンクしていないんですよ。お手元に資料をお配りしていますから御覧いただきたいと思うんですけれども平成十五年から平成二十年度予算までの実績、推移させています。一番上の赤い数字が道路特定財源の税収です。下はその使い道なんですが、太い横線の下が道路以外に今使っている部分です。これは一時、財務省なんかも道路財源の余剰額という言い方をしていたんです。つまり、余っていると、こう言ってきたものなんですよ。  シーリングがずっと掛かってきて、どんどん余剰額増えてきているんです。最初は、これが一番大きかったのは、本四公団の債務処理に使った。道路を造ると言ってもらった税金を借金の返済に使った。それが終わったら今度は別の使い道に使っている。はっきり申し上げて、何に使おうか苦労しながら使っているというのが実態なんじゃないですか。こういう実態考えても、もう道路特定財源制度というのはやめるべきなんですよ。これを十年続けるというのは、今までは五年単位でしたから、十年続けるというのは暴論だと思いますよ。これはユーザーに説明できないと思うんですけど、どうなんですか。
  41. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは直嶋先生も御承知のとおり、道路を造る場合は、やっぱり国道にしても地方道にいたしましても、設計をする、それから用地買収をする、あるいは環境アクセスを調査をする、そして工事をする、そういうことを続けていくと一定の時間が掛かります。例えば、開かずの踏切をきちっと工事をしていくためにはどれくらい時間が掛かるかというと、上で、真上で電車が毎日通っている、その下にトンネルを掘るとか、そういう工事をしていくためには平均すると十数年から二十年近く掛かっているんですよ。そういうことで、道路というのはやっぱり一年や二年でできるところというのはほとんどないわけでございます。  そういうことから、まあ一応本当に必要な道路をということで中期計画を作らせていただいて、と同時に、これは五年後にもう一回見直すと同時に、毎年毎年、おっしゃるように一般財源化も考えるし、それから本当に必要な箇所はどこなのと、それは開かずの踏切でも、あるいはまた通学路を整備することにおいても、あるいは都市と都市を結ぶ国道をきちっとしていくためのバイパスを造るにいたしましても、どういうところから優先度をつくっていくのか、そういうことを考えながらすると、これはやっぱり二年や三年ではできないんです。  これは、直嶋先生も自分の選挙区だとか地方を回っていて、まして自動車産業にいたわけですからよく分かっているはずだと思います。
  42. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私は土木関係にいませんでしたのでよく分かりません、はっきり言って。  私が申し上げているのは、こういうことをやりながら、さっき額賀さんおっしゃった受益と負担の関係だと。受益と負担の関係から完全に外れているじゃないですか。それをまだ暫定税率で割増し取って、それを十年続ける。だから、そんなことは説明できないんじゃないですか、合理性がないんじゃないんですか、こう申し上げておるんですよ。これは本当に問題だと思いますよ。  ですから、こういう機会に、もう使い道に困っているほどお金あり余っているんですから見直すべきじゃないですか。私は、本当に与党はサボっておると思いますよ。はっきり申し上げておきたいと思います。どうですか、お答えありますか。
  43. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) だから、一般財源化とか、道路財源をどういうところに使っているのかというと、それはおっしゃるように、高速道路の料金を引き下げたりとか、あるいはまたそういう通学路をきちっとするとか、あるいはまた先ほど申し上げたように開かずの踏切をやるとか、あるいは地域の町づくり、中心市街地を活性化させるためにもいろいろな道路をきちっと魅力あるものにしていく、生活者が、地域住民の皆さん方が商店街とか活性化させていくためにどういうふうにしていくかとか、地域の発想によってそういうところにもいろいろと活用させていただくとか、そういうことを考えながら一般財源化の使途を拡大をしているわけでございます。と同時に、道路というのは、新しい道路をこれまではどんどん造ってきたわけでありますけれども、恐らく将来はその維持管理とか補修とか、そういうところのまあ言ってみれば分野が多くなってくるわけであります。  したがって、そういう道路をきちっとしていくことが非常に大事であるということは全体的には御理解をいただけるものと思っております。ただ、従来のように新しい道路をどんどん造っていく時代がいつまで続くのかということについては、これは限界があるわけでございます。だから見直しをしていこうということであります。  おっしゃるように、民主党は暫定税率を全部廃止をするということになっておりますけれども、二・六兆円の財源がなくなることになるわけであります。その上で、直接的に直嶋さんから聞いているわけではありませんけれども民主党道路の建設は水準は維持すると言っております。二・六兆円の財源をなくしながら道路の水準を維持するということは、私は、非常に矛盾というか、財源の確保の意味できちっと説明不足なところがあるのではないかと思っております。  地域の皆さん方は、やっぱり将来の地域活性化とか、あるいは地方が、先ほど総理がおっしゃったように、将来地方分権とか地方が自立的な経済圏をつくっていくときに、やっぱり基本的な道路とか鉄道だとか港だとか、そういうものは国が整備しておかなければ、地方分権とか地域活性化とか自立的な経済圏というのは私は地方だけでは成し得ないことであると思っております。そういう将来の構想、イメージを持った上でこの道路予算というのは適切に使われていかなければならない、そういうふうに思っております。
  44. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 もう押し問答になるかもしれませんけど、二つだけお答えください。  今おっしゃったですよね、空港、港湾も長期的に考えなきゃいかぬと。あれは一般財源でやっていますね。道路だけ何で特定財源なんですか。もう一つ。さっき根底から議論するためには一般財源化しなきゃいかぬとおっしゃった。根底から議論せずに一般財源化しているじゃないですか。それはなぜですか。お答えください。
  45. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) だから、一般財源化を図るという時点において私どもが考えましたのは、道路を造ることによってどういう方々が恩恵を受けていくのかと。それはやっぱり自動車のユーザーであると。ユーザーの皆さん方に御負担をしていただいてこの道路特定財源をつくらしていただいているわけであります。したがって、一般財源化を図っていく上に当たってはそういう納税者の理解も得なければならないと。  そうすると、道路と全く無関係なところにどんどん使っていくことがストレートにやっていっていいのかということを考えたときに、これは納税者の皆さん方の理解を得るためには道路と何らかのかかわり合いがあるような時点から使わせていただくことが合理性があるのではないかということで、我々はそういう一般財源化を図りながらも道路とかかわり合いのあるところで使わせていただいているということでございます。
  46. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 港湾どうですか。港湾、空港、何であっちは一般財源
  47. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) いやいや、日本のそれは港湾とかって、将来の地方分権とか、あるいは自立的な経済圏をつくっていく場合は、道路だけではなくて、港湾だとか、あるいはまた飛行場だとか、そういうことも国としては整備をしていくことが必要であると。道路財源をそこまで使っていると言っているわけではないんですよ。だから、そういうことを整備していく国家の構想が必要である、国家の構想が必要であると、そういう中で位置付けられて、国家構想、国づくりというものをやっていく必要があるのではないか。そのために道路予算というのが、高速道路にしても、あるいはまた主要な幹線道路にしても、あるいは生活道路にしても造られていかなければならないと、そういうことを申し上げているわけであります。
  48. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私がお聞きしたのは、大臣が、道路は特定財源をつくって長期的視野でやらなきゃいかぬ、だけど同じように空港も港湾も長期的視野で整備しなきゃいかぬと、こうおっしゃったんです。だから、なぜ空港と港湾が一般財源でやって、道路は特定財源でやるんですか、その理由を説明してください。
  49. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 道路は、だから言ったではないですか、道路は受益者負担の原則で特定財源で、そういう財源を使ってやらせていただいている。もちろん、道路だって一般財源を使って道路整備をしているところもあるわけですよ。だから、それはだから、道路特定財源を使って港とか空港を使っているわけではない。いいですよ、それは。  だから、私は、国の構想として、国の構想として、道路とか港湾とか空港とかそういうものが整備されていくことが将来の国づくりのイメージとして持っていく場合に、それは道路特定財源を使ってそういう道路をきちっとしていくことが大切であるということを言っているわけであります。
  50. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記止めてください。    〔速記中止〕
  51. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
  52. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 だから、三回目ですよ、これで。道路はもう空港も港湾も長期的視点に立ってやらなきゃいけない、なぜ道路だけ特定財源制度なんですかって聞いているんですよ。
  53. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 道路を、だから先ほど言ったように、昭和二十九年にそういう特定財源化をされて、そして四十九年に暫定税率がつくられてきたと。道路整備をすることによって住民の生活基盤あるいはまた産業基盤、日本経済発展の基盤が優先的につくられていくことが大事であるという国家の方針があった。  しかし、財源がどこから手当てをするのかといったときに、道路を使うことによって恩恵を受ける方々に負担をしてもらおうということで、ユーザーの皆さん方に御負担をいただいて今日まで来たと。それで、それは毎年毎年予算編成をすると同時に、基本的に五年間、五年ごとに見直しをして、それは国会議論をし議決をして今日までこの存続があったと。そして、小泉内閣の時代に一般財源化の考え方が出て、いろいろ研究をしてきた結果ですね、そして特定財源見直しをする、つまり、揮発油税は道路整備に使われることになっておったけれども道路整備を上回る部分については一般財源化をしようということで初めて法案として出されてきたということでございます。  だから、受益者負担の原則に従ってこの特定財源があって道路整備をなされてきたと。そして、しかもなおかつ、その道路整備の目標というものが全部ゼロになっているわけではない、まだまだ必要な道路があるということで中期計画が出されたと。そういうことだということを、国民の皆さん方もあるいはまた各行政の皆さん方も私は分かってくれているものと思っております。
  54. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) この際、委員長から申し上げます。  答弁は簡潔にお願いをしたいと思います。
  55. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 押し問答というか、どうも額賀さん、意図的に論点をそらしておられるようですけれども、私たち、私が言っているのは、港湾も空港も長期的視点に立って、道路も一緒です、だから、もう一般財源にしたらいいじゃないですかと、受益者負担の原則から既に外れているじゃないですか、受益者負担の原則に合わないものを割増し税率取る理由はないじゃないですかと、こう申し上げているんです。  ちょっと個別議論に行きます。で、具体的な話で、ちょっと国土交通大臣に。  まちづくり交付金というのがあるんですよね。これはどういうやつですか。ちょっと御説明いただきたいんですけど。
  56. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) まちづくり交付金というものは、各地域の実情や課題に即した町づくりの取組を支援するための財政支援措置でありまして、市町村が作成する整備計画に基づきまして、市町村が中心となって市町村道、河川、公園、再開発などの事業を一括して支援をする制度でございます。
  57. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 総理、今、国土交通大臣からまちづくり交付金について説明がありました。私も見てみたんですが、もちろん道路を造ってもいいんですけれども、ほとんど道路以外のものなんですね。公園、下水道、河川、今ありましたね、こういうものを造っているんです。  そうすると、先ほど来私と額賀さんとで議論しているこの受益者負担の原則からは、道路財源の受益者負担の原則からはこういう公園とか下水道というのは皆全く外れたものだと、こう思うんですけれども、その原則に反するんじゃないんですか。総理、ちょっと聞かせてください。大臣、後で、後で結構です。どうぞ。
  58. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 町づくりは通常、道路整備を伴うということが往々にしてあります。基盤整備、ソフト支援というような包括的な支援制度でございますまちづくり交付金には、市町村道の整備等に充てることも念頭に置きながら道路特定財源の一部を充当していると、こういう理屈でございます。
  59. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 よろしいですか、国土交通大臣。  じゃ、今総理は道造り、市町村道だとおっしゃったんですが、ほとんど道路以外に使われているんですよ。ですから、これは例えば去年の、十九年度のまちづくり交付金のトータルが二千四百三十億円なんですが、そのうち一千七百億円は道路特定財源から使っている。七、八割。これはもう明らかに受益者負担を逸失しているんじゃないですかと、こういうふうに申し上げているんです。
  60. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 町づくりを行う場合には道路整備を行うことから、市町村の作成する整備計画に位置付けられた事業のうち市町村道の整備や区画整理に伴う道路整備など道路関連の事業に充当することを念頭に、全体事業費の中から道路に充てられる割合を勘案して特定財源を充てていることにしております。具体的には、平成十六年度の創設以来今年度までまちづくり交付金に充当された道路特定財源は総計三千三百億円でございますが、まちづくり交付金による道路整備相当額は三千六百万円と、まちづくり交付金に投入した道路特定財源以上の額が道路整備に使われています。  今後とも、受益と負担の関係に着目した道路特定財源趣旨を踏まえつつ、市町村の創意工夫を生かした町づくりを支援するために予算を組んでいきたい、このように思っております。
  61. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 大臣、数字を、それは数字ですからいろんな使い方があるんですよ。過去の累積を言って、今おっしゃったんですが、去年は七割ですよ、今年も多分それぐらいでしょう。だから、まさにもう逸脱しているんです。  ちょっと具体的にお聞きしますけれども、この間マスコミで報道されて有名になりましたが、千葉の四街道市のケースです。これはまちづくり交付金で交流センターという箱物ですね、これを中心に造ろうと。この計画を見ましたら、トータル三十一億円なんですが、そのうち二十九億円が箱物なんです、交流センター以外のものも含めて。道路なんかゼロです。これが実は造ろうということで提案したんですが、住民に反対されて住民投票で否決をされました。大差の否決です。二万五千三百対七千九百、反対が二万五千三百。ですから、いろいろおっしゃっているんですけれども、結局、地元住民の意向に合わないものも含めて、さっき私が申し上げたように、お金があり余っているからやたら乱暴に使っているんじゃないですか。  ですから、総理、さっきから私が申し上げていますように、こういうことをやり続けるということは税金の使い方としても問題があるんです。だから、特定財源と一般財源に分けて使うとこれはもう明らかに税金の無駄遣いになるんです。総理、ちょっと御見解聞かせていただけませんか。
  62. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 四街道都市核北周辺地区の都市再生整備計画というのが千葉県の四街道市から提案をいたされました。  その中には、今おっしゃったような箱物以外にいろいろと、例えば駐車場整備事業、それから多目的のスポーツ拠点の整備、それから案内標の設置事業あるいは交流センター、それからまち活性化補助金で、文化と学びの祭典等々、ハード、ソフトいろいろなものが出されました。  しかしながら、そういう問題について、町づくりを自由にやっていただこう、その中のトータルとして、我々の道路整備というものがトータルとして予算全体の中でどうなるかという観点で判断されておりますので、決してこれの無駄遣いだとかそういうふうに、あるいは目的外に使われている、そういうふうには言われないように努力をしていきたいというふうに思っております。
  63. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ですから、私が申し上げているのは、それを住民は要らないと言ったんですよ。住民が要らないというものを無理やり造る、そういうことなんでしょう。  総理議論をちょっと聞いていただいて、私がさっきから申し上げているように、受益者負担の原則に反した使い方をして本当に無駄の固まりなんですよ。だから、こういう使い方をやはり改めていくべきじゃないですか。そのためにも道路特定財源制度見直した方がいいと思いますよ。どうなんでしょう。
  64. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) まちづくり交付金が、それは適切に使用されなければいけない、その趣旨に沿ってということでございます。本来の道路特定財源趣旨に沿ったものでなければいけないということでありますので、それはやっぱり個別に検討していく問題もあるかもしれません。しかし、そういうことでないというように私ども理解しているところでございます。
  65. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 また改めて議論させていただきますが、是非見直していただきたいと思います。答弁になっていませんよ、本当に。  次の問題へ行きます。  御承知のとおり、車というのは東京は余り普及していないんです。地方に普及しているんですよね。地方は多いんです。  総務大臣にいろいろお聞きしようと思っていましたが、ちょっと時間の関係で、保有台数等は御質問ちょっと省略させていただきますんで、途中で何かあればお答えください。  それで、例えば市町村別の車の保有台数を見ると、一番多いところと、東京の中野区が一番低いんですが、比べると十倍以上の差があります。二・九台対〇・二八台、十倍以上の差があります。同時に、地方は車がなければ生活できないんです。これはもう財務大臣だって御存じでしょう。(資料提示)  それで、これは何かといいますと、東京都区部と町村、これは総務省のデータです。平成十八年年額の自動車関係の維持費。町村は二十七万八千円、東京は、一世帯平均ですが九・八万円、こんな格差があるんです。それから、世帯年収比べました。町村の世帯主収入、年間四百五十六万円、東京、五百七万六千円。五十二万円の格差があります。しかも、地方は東京に比べると公共交通機関発展していませんから、二・六倍の支出を強いられている。ですからこれは、特に暫定税率を維持して今後十年間こういう状態を続けていくことになるわけです。  今、都市と地方の格差が盛んに言われています。私は、暫定税率を今後十年もこうやって続けるということはまさに地方いじめ、地方いじめだと思うんですよ。総理、まずこの点について御所見を聞かせていただきたいと思います。
  66. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 都会、都市部は地下鉄だとかいろいろな公共交通機関がございますんで、それは地方等の自動車しかないというそういうところと比べれば、これはもう、これは自動車を保有するいろいろな負担というのは地方の方に重く掛かっているということは言えると思います。  ですから、一世帯ごとに見ると地方の方が都市よりもそれは負担が大きいというのは、これはもうそう私も思っておるところでございます。
  67. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ですから、こんなこと続けちゃ駄目なんですよ。ますます地方に負担が大きくなる、そういうふうに申し上げているんです。どうですか。
  68. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 昭和六十二年に、全国総合開発計画という第四次計画で一万四千キロの高規格幹線道路を造るという閣議決定もいたしました。それに基づいて法律も改正し、大臣告示も行ったわけでございます。ところが、二十年たった今日、約三分の二の六七%しかまだできてないんです。その三分の一残っているんです。  その残っている部分というのが地方に多くて、(資料提示)これは日本海沿岸、東北自動車道ですけれども、この黒いところが供用されているところでございます。赤いところが未供用でございます。今後工事を進めなきゃならないと。ここで黒、赤、黒、赤というふうにぶつぶつに切れているわけです。  こういうふうに、地方の方にとっては、自分たちは、今、直嶋委員がおっしゃるように、地方は、地方はですよ、たくさん負担しているにかかわらず幹線の自動車道の整備が遅れているということでございまして……(発言する者あり)
  69. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御静粛に願います。
  70. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) この山陰の、山陰の方もいらっしゃると思いますけれども、(資料提示)鳥取、島根、山口、これ本当に供用されているところはもう点のような状態でして、それで赤が多いわけです。これについては、山口については、もちろん山陽道の方は物すごく整備が進んでおりますけれども、山陰の方はこのようにほとんど進んでいない。  こういうところから本当に毎日、昨日も、これは道路財源というものを維持しながら一日も早く、新たな十年の期間で概成すると、おおむね姿が見えるようにするということは本当にやってもらいたいということを熱烈に訴えてこられるわけです。  そういう意味で、十年間というのは、六十二年から始まっていますけれども、その後、残された十年というのは、人口減少社会が進む、それからまた昭和三十年代に造られたいろんな公共事業投資、道路にいえば橋梁、トンネル、そういうものが老齢化してくるわけです。  したがいまして、そういうものが始まる前のこの貴重な十年の間に自動車のハンドルを握っておられる方に御負担を願いながら、今まで長く続いてきたものでございますので、これを最後の仕上げといいますか、本当に十年間でこういうことのないように是非したい、御理解をいただきたいと、本当にそのように思うわけでございます。
  71. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 つまり、今の冬柴大臣の説明を簡単に言えば、地方からお金をどんどん取って地方の高速道路を造りますと、こういうふうにおっしゃっているんです。私たちは、もうそんなことをしたら地方がもたないから、きちっと一般財源を投入して必要なものは造りましょうと、こう言っているんですよ。だから、そのやり方が間違っていると、こう言っているんです。
  72. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 今、ハンドルを握って暫定税率上乗せを払っていただいている方々に御理解をいただきながら、二兆六千億という大変な金額です。一般財源化するということになれば、もう委員もそのように思われると思いますけれども、ハンドルを握っている方が上乗せしたものが自動車と関係のないところ、社会福祉とか教育に回るということになればこれは払えないし、それから税金、いいですか、そういう意味で、これを理解を得ながら、理解を得ながら道路整備を進めるということが……(発言する者あり)
  73. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御静粛に願います。
  74. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 今一番大事だということを申し上げているわけでございます。
  75. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私は、まあここはまた議論しましょう。  それから、もう一つ申し上げたいんですよ。さっき、冬柴大臣、二兆六千億と、こうおっしゃった。二兆六千億政府は増税しようと言っているんですよね、四月一日から切れますから。切れるんですよ、だから法律が要るんです。増税しないんなら法律要らないんですから。増税なんですよ、二・六兆円を十年間続けるんですよ、増税して。いいですか、これは、だから国民の皆さんから見ると、増税をしてまでやる価値があるかどうかということを議論しなきゃいけない。  それで、申し上げます。私たちが言っているとおりやれば、三月までに比べると四月から税金が安くなりますから、減税効果というのが出てきます。減税効果として可処分所得が増えます。これ、我々計算しました。全国平均、一世帯当たり大体年間五、六万円ですね。で、さっき言ったように地方に多いんです、車は。例えば、普及率の高い総理とか額賀大臣の地元、群馬とか茨城、大体年間八万円は一世帯当たり減税になるんです。だから、地方にとっては本当に大きいことなんですよ。  これは生活だけじゃないんです。今一番困っているのは、ガソリンが上がって、軽油が上がって一番困っているのは地方なんですよ。農業、漁業、魚捕っても捕っても赤字だ、こう言っているんですよ。それから地方の中小企業、これ皆さん困っているんですよ。ですから、私たちの主張どおりの、増税をせずにそのままにすると、今言った一世帯当たりの、地方だと八万円ぐらいの減税効果、さらに農業、漁業、中小企業の活性化につながるんですよ。これは地方経済活性化するんです。  総理、本当にこれどうですか、我々の話に乗りませんか。どうですか。
  76. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 最近の原油高騰ということは我々も痛切に感じておりまして、十九年度の補正予算では、そういう中小企業に対する補正あるいはまた農林漁業に対する補正あるいは寒冷地における補正、そういうことで国民や地域の皆さん方のそういう御負担に対してできるだけの措置を今度の補正予算でも出さしていただいているわけでありますから、この原油高対策とこの自動車の特定財源のことはやっぱり別次元の話としてしっかりと考えていただければ有り難いというふうに思っております。  我々はこういう原油高騰に対してはしっかりと、十九年度の補正でも数百億円あるいはまた二十年度予算でも二千億円ぐらいの措置をやらしていただいておりますから、できるだけこの委員会においても審議をしていただいて早く成立をさせていただくことが望ましいというふうに思っております。  おっしゃるとおり、私の選挙区も可住地面積というか平地が多いものですから、道路延長は全国でも北海道に次ぐか二番目か、それくらいの長さがあるわけであります。したがって、道路をきちっと整備していかなければならないという要望は強くあるわけでございます。そのために道路特定財源を使わせていただきたい。  それから、増税と言いますけれども、これは基本的には御審議をいただいて継続をしていくわけでございますから、基本的にはその道路財源道路財源を使って道路整備をしていただきたい、あるいは道路関連の周辺の整備をしていただきたいということの国民の要望に応じて我々は出さしていただいているものと思っておりますので、是非御理解をいただきたいというふうに思っております。  そして、全国の要望を道路財源を抜きにして一般財源で補っていくとすると、これはやっぱりほかの分野に歳出を削減してでも道路を造っていかなければならないという事態も招きかねない、そういうこともよく考えて総合的に御判断をいただかなければならないというふうに思っております。(発言する者あり)
  77. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) この際、委員長から御注意を、お願いを申し上げたいと思いますが、審議の妨げになりますので、特に委員席以外の諸君の強い大きな御発言は御遠慮いただきたい、このように思います。
  78. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 結局、総理総理、我々のこの問題に対するとらえ方と政府のとらえ方が全然違うんですよ。我々は、どちらかというと地方の活性化とか、あるいは、それを自治体とか地方住民、さっき申し上げたように、地方財源は確保します。これはやれるんです。直接それを対象として政策を考えているんですよ。ですから、増税もやめようと、継続するのはやめようと言っているわけです。どうも、だけれども政府やり方はそうじゃないんです。従来どおり道路を造るために特定財源制度をつくって、個別ひも付き補助金を使って、要するに土建国家を続けようということなんですよ。私は全然違うと思うんですよ。  総理生活者の目線でとよく言われるじゃないですか。もっと生活者の視点に立って政策をやってくださいよ。どうですか。
  79. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) これは様々な意見がございまして、それを集約した形で予算案というのはできているわけでございます。  道路特定財源も、これは様々な議論があった結果でございますけれども、やはりある一定の道路財源をこれは確保しないと、では地方はどうなのかと。切り捨てられてしまう可能性があるんではないんでしょうか。そしてまた、先ほど財務大臣からも説明ございましたけれども、やっぱりこの道路、将来の日本のあるべき姿というものも考えた上でこの道路整備というものを進めていかなければいけない。そして、中央政府がこれはやるんだというふうな意思を示さないと、今委員のおっしゃるように、だんだんと先細りになってしまう、そういうような可能性がある、そういう財源ではないかと思います。  そして、この道路財源道路投資額も、これも年々減っているわけですね。公共事業全体も半分以下になってしまったということもありますし、それも十年足らずですよ、七、八年でそういうふうな状況になっているわけでありますから、それはやっぱり地方の疲弊の一つの原因になっているかもしれないというようなことも私どもは考えておるわけでございまして、そういうことを、いろんな意見を総合して今の形になっているということを御理解いただきたい。  しかし、直嶋委員のこの御意見というのも、これもよく分かりますので、その御意見も今後いろいろな検討に、考えさせていただきたいと、考慮させていただきたいと、このように思っているところであります。
  80. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今総理がおっしゃった地方の疲弊の今厳しい最大の理由は、三位一体改革で地方財源を六兆円も巻き上げちゃった、政府が、中央政府が。それが最大の原因ですよ。今地方皆さんが一番困っている大本はそこにあるんですよ。これは政府の責任ですよ。  それで、私が申し上げたのは、さっきのような数字を見ると、もうこれ以上地方から税金を取り続けたら地方がもたなくなりますよと、こういうことを申し上げているんです。  ちょっと話題変えます。  六十五兆円の話をちょっと議論させていただきたいんですが、その話に入る前に、今年度で終わる五か年計画ありますよね、社会資本整備重点計画、これの道路整備の実績見込み、これは幾らになりますか。ちょっと教えていただきたいんですが、国土交通大臣
  81. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) どなたが答弁されますか。冬柴大臣。  速記止めてください。    〔速記中止〕
  82. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。冬柴大臣
  83. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 五年間で三十八兆円を道路整備に予定をいたしております。
  84. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 三十八兆円は計画で、私が聞いているのは実績がどうなりそうですかということを聞いているんです。それは分かっています、三十八兆円は。
  85. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記止めて。    〔速記中止〕
  86. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
  87. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 本当に失礼しました。  実績を申し上げますと、五年間で三十八兆というのは三十三兆六千百です。それで、お尋ねの十九年度は六兆三千五百九十億でございます。六兆。三十三兆。
  88. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 いや、ちょっとはっきり答えてください、じゃ、大臣
  89. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) だから、平成十五年から十九年までの実績が三十三兆六千百です。それで、お尋ねの十九年度の実績は六兆三千五百ということでございます。
  90. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 これは、ちょっと私が聞いている数字とは違うんです。私は三十二兆六千と聞いているんです。大臣の今おっしゃった数字、間違いないですか。
  91. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) これは平成十二年度道路関係予算概要で、道路局が平成二十年一月に公にしているものでございます。その中の十ページに書かれている数字でございます。
  92. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 大丈夫ですか。いいですね。いいですか。大丈夫ですか。三十二・六じゃないですね。  いずれにしても、ただ、今の大臣の答弁はおかしいんですよ。計画が三十八兆円ですよね。今の数字全部合わすと三十九兆を超えますね、足し算すると。二十年度六・三でしょう、その前が三十三・六でしょう、そうすると三十九になるんじゃないですか。違っているんじゃないですか。別のものが入っているんじゃないですか。
  93. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 先ほどから申しましたように、その金額は十五年から十九年まででございまして、十五年から十九年までの実績でございますから、二十年度と違います。
  94. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 二十年度は、だから関係ないですね。
  95. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 関係ないですね。
  96. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 まあこういうことなんですよ、私言いたいのは、総理。  六十五兆円の十年計画できています。今お話あったように、五年間の実績大体三十三兆です。私が調べた数字はちょっと切るんですけれども、まあ端数はいいですわ。五年で三十三兆、それを十年に伸ばすとざっと六十五兆。大体合いますね。だから、私は、六十五兆円の計画というのは過去五年の実績をそのまま向こう十年伸ばしただけじゃないかと思うんです。初めに実績と税収ありきだと思っているんですけれども、そういう話じゃないんですか。どうですか、総理
  97. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) その六十五兆円から更にいろいろと、コスト削減とか本当に必要な道路はどこなのかとか様々なことを、要因を考えて、それを五十九兆円に圧縮、一割前後圧縮したと。それから、従来の三十八兆円からすると二割前後圧縮した形になっているわけでございまして、その中でこの中期計画が立てられて五十九兆円に積み上げられたというふうに理解しております。
  98. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 五十九兆の話は後で聞きますが、だから、元々六十五だったんでしょう。それ、だから五年間の実績を単に倍して丸めただけじゃないですかと、こう言っているんですよ。そうなんでしょう。
  99. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 中期計画で五十九兆としましたのは、この六十五兆を一割を削減して五十九兆にしているわけでございまして、その削減は政府とか与党との話合いの中で我々としても努力をしようということになっているわけでありまして、六十五兆でございます。
  100. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ですから、どこか、だれか持っていませんかね。あの十年の分厚い本ですね、中期計画、あれは初めに六十五兆ありきで作ったんですよ。それが、今御説明あったように、あっという間に五十九兆になった。そうでしょう。どこがどういうふうに変わったのか、何の説明もないです。さっきコストダウンとかおっしゃったけど、どこをどうするんですか。そして五十九になったんでしょうか。
  101. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 決して初めに予算ありきではありません。中期計画の素案は、幅広く問いかけをいたしまして、昨年の四月から七月までの間に十万一千人を超える国民からの御意見、それから全知事、全市町村長、千八百七十四名からの御意見、あるいは二千九百名を超える学識経験者の御意見をいただいて取りまとめたものでございまして、その中では国際競争力の確保、あるいは地域の自立と活力の強化、安全、安心の確保、環境の保全と豊かな生活環境の創造といった国民生活に密着した政策を四つの政策の下に十六の具体的な政策課題を設定したわけでございます。  こうして設定した政策課題に対しまして、対策が必要となるすべての箇所に取り組むことは膨大な予算が必要であるということから困難であると考えております。そこで、ニーズの高い箇所の中から、この十年間で必要最低限に対応を行うことという選択と集中の考え方の中から具体的な目標を立て、これを達成するために対策が必要な箇所から計画期間において実施対象を厳選することとして、これを基に事業量を算定してきたところでございます。  例えば、生活幹線ネットワークの形成ということにおきましては、地方部においては、市町村の中心部から複数の高次救急医療施設へ六十分の移動でおおむね達成することを目標といたしました。生活幹線道路は十七万キロございます。その中から、急勾配とか急カーブ、それから幅員の狭い部分が存在しますので……
  102. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 僕は六十五兆と五十九兆の違い聞いているだけなんですよ。質問に答えてください。
  103. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 自動車のスムーズな走行や擦れ違いに影響を及ぼす区間を五千区間と見まして、それを一万三千キロメートルに厳選して集中的に対策することとしております。  そして、このような素案においては六十五兆円としていたところを、お尋ねのとおり、厳しい財政事情を踏まえまして、事業の重点化や料金値下げなどのソフト施策の活用を進めることによって目的を達成することができるところもございます。  それから、規格の見直しを、例えば四車線というものを二車線にする、あるいは現道を利用するというようなこと、あるいは、そのようにして橋梁やトンネルの容量を狭めることもできるわけでございます。  そういうことによって、徹底したコスト縮減によって一割の削減を図ることとして、事業量の上限を五十九兆円というふうに見直したわけでございます。(発言する者あり)
  104. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記止めて。    〔速記中止〕
  105. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。  この際、委員長より申し上げます。  政府は、質疑者の質疑に的確、適切にお答えいただくようお願いを申し上げます。  質問を続けてください。直嶋君。
  106. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今いろいろお話ありましたが、私、実は国交省のこういう資料を持っているんですよ。  それで……(発言する者あり)いいですか、委員長
  107. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御静粛に。  質問を続けてください。
  108. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 はい。静粛にお願いします。  だから、さっき申し上げたように、いろいろ今大臣おっしゃったんですが、基本的には過去五年の計画を倍にしただけなんですよ。税収もそれに見合ってセットされているわけ、税収の実績に見合って。  それで、今の大臣の御答弁の中で一つありましたよね。高速道路料金の引下げによって一般道路を含めて整備箇所が減少されると、こういう話がありました。  私は、今のお話も含めてそうなんですが、例えば、民主党地方の高速道路、無料化と言っています。地方の高速道路を無料にすれば、今の計画にある幹線道路だって整備する必要のないところがたくさん出てきます。渋滞解消されますよ。ですから、そういう発想も含めて是非再検討していただきたいんですよ。  総理、今申し上げたのは非常に大ざっぱなこういう計画で十年間増税するんですよ。本当に国民の理解を得られると思いますか。お答えいただきたいと思います。
  109. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) この中期の道路計画は上限を決めているわけでございまして、具体的に整備に入る場合には国幹協議会にもお諮りをするわけでございます。国幹協議会のメンバーの中には、民主党衆議院議員二人、参議院議員がお二人入っていらっしゃいますし、自由民主党からは衆議院で四人、参議院ではお二人、合計十人の政治家も入り、学識経験者も入ったそのような昔の国幹審と言われた国幹協議会においてその議を経て整備を決定していくわけでございまして、これは大きな大枠を示しているわけでございます。  そのときには、具体のその整備時期における通行量とか原価、そういうものもすべて勘案をされて着手をするかどうかが決められるわけでございますから、今おっしゃるようなことは当たらないのではないかというふうに思います。
  110. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 いや、大当たりなんですよ、ですから。  上限決めたものに合わせて税金を取るわけでしょう。とんでもない話じゃないですか。これから減らしていくんですと。要らないのが分かっているのに税金取るんですか。だから、私はそこが非常にずさんだと言っているんですよ。そんなやり方で国民から税金ちょうだいできる時代じゃないと思うんですよね。昔のようにそれは右肩上がりでどんどん成長しておれば、それは税収だって増えてくるし国民だって許していただけるかと思うんですが、今のような御時世でそんな形で国民から税金もらうというのは本当に通らないんじゃないでしょうかね。私はそう思います。  それから、国幹会議の話もされましたが、私も国幹会議は知っています。だから、だからこれでいいという話ではないと思うんですよね。これは手続の話です、決め方のね。  それで、是非総理にお願いしたいんですが、こういうまあある意味でいえば五十九兆円というのは本当にもうてんこ盛りの計画ですよ、てんこ盛りの。ですから、それは毎年、額賀さんがおっしゃったようにシーリングでやっていくんだと、こうおっしゃった。じゃ、減るんなら、その分に見合った税収でいいじゃないですか。最初からそうしておいてくださいよ。国民だってそんなもの払いたくないと思いますよ。そのことを申し上げておきたいと思います。  それで、次は、日本道路投資について議論させていただきたいと思います。(資料提示)  これは、それぞれの統計資料を取っていますので、少しそれぞれの国のデータの時期はずれているかもしれません。一応書かせていただきました。  それで、この八・二兆円という日本道路投資額、これは国、地方、それから有料道路、全部入っています。これは断トツに大きいんですよね。アメリカは十五・四ですよ。だけど、国土面積は日本の二十五倍、二十六倍、それでも日本の倍も行かない。ヨーロッパ諸国見てくださいよ。全部合わせたぐらいが日本じゃないですか。だから、極端に高過ぎるんですよ。  これ、国土交通大臣、御存じでしょう。
  111. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) そこに、下の欄を見ていただいたら分かりますが、日本は百二十キロメートル、これは国道の十九キロメートルに市町村道すべてを、県道も入れた、そういうものを全部入れたグロスで百二十キロメートルでございますので、いや百二十万キロメートルでございます。ドイツは二・三ですか、二十三万キロメートルということになっていますけれども、これは郡道以上のものでありまして、市町村道、日本でいえば百万キロメートルに相当する部分が抜けています。したがいまして、その分母が違うんです。  こちらの日本の国土面積は三十八、三十七万七千平方キロですが、それを百二十万キロメートルで割った金額、割った数値が出ておりますけれども、このドイツの場合は三十六万平方キロに対して二十三万キロメートルしか道路がない、日本の五分の一というようなことになっていますけれども、それは違うわけでありまして、それを比較するならば、日本の国道十九万キロメートルと比較をしなければ、その図は妥当ではないというふうに思っております。
  112. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それで、今の国土交通大臣の御答弁受けて、ちょっと教えていただきたいんですが、例えば、我々よく言っているんですよね、国の道路構造令に従うと一メーター当たり十数万掛かる。しかし、長野県の栄村は自分たちで造ったら二万円でできた。もう一つ、下條村というのは三千四百円でできたと、こういう話なんですよ。  この栄村とか下條村の道路というのは国土交通省でいうところの百二十万キロに入っているんですか。
  113. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) もしそれが村道であれば入っております。
  114. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 入っている。
  115. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 入っています、村道であれば。私道であれば別ですよ。
  116. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 いや、私は入っているか入っていないか教えてほしいんです、あればじゃなくて。
  117. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 村道として入っています。数字は入っています。
  118. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ですから、一つの議論としてあるのは、ドイツは恐らく、まあ大臣が言われたこと正しいんでしょう、郡以下のところが入っていないんですよ。これちょっと調べていただきたいんですけれども、恐らく道路構造の基準が違うんですよ。連邦政府がやっている道路、これは、ドイツは基本的なインフラはすべて連邦政府がやるということになっているんですよ。あとは州がやる。だから、恐らく州の基幹道路の基準も違うと思うんです。  それから、今おっしゃった郡道、これは日本でいうと市町村道ですよ。これもだから基準が違う。だから、これ二十三が、その州の基幹道路が入っているのかどうか分かりませんが、いずれにしても、そういうやり方をしているので統計に出てこないんじゃないかというふうに私は理解しています。  そこで、大臣にお願いしたいんですよ。市町村道も含めて、今基本的に国土交通省は道路構造令に基づいて造りなさい、さっきの道路特定財源がそうですよ、補助金を出すときも品質も全部国が決める。ですから、例えば市町村道はそれぞれの判断で造りなさい、ドイツのようにやればいい、県道は県の判断で造りなさい、そうすればメーター当たり十数万が二万円でできるケースだってある。それは全部できないかもしれない。そういうことをやっていけば、さっきの五十九兆円はうんと減っていくんじゃないですか。私が直感的に言うと半分以下になってもおかしくないと思いますよ。だから、そこを変えなきゃ駄目なんですよ。
  119. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 日本の地形を考えていただきたいんですね。非常に南北に長細い中、脊梁山脈がずっとありまして、七割が森林です。そして、急峻です。それで、そういう意味で、そこから流れ落ちる滝のような川もたくさんあります、河川が。そういう中を狭い平地部に道路を敷設する場合に、ひっきょう、トンネル、橋梁というものが要求されるわけです。フランスなど行けば、もう真っ平らですね。本当に、そういうところに道路を敷設する場合と日本のような地形の中、しかも、地震、大震災ですね、そして津波、こういうものに備えるわけでございまして、道路の構造はそう簡単に任すわけにはいかないわけです。大多数の人の命、安全、安心を守るためには、我が国固有の地形とか気象状況、そういうものを前提にして考えないと、例えば阪神高速道路の橋脚とそれはもうフランスの橋脚を比べてもらったら分かりますけれども、全く違います。そういうことをお考えいただければ、これは分かると思います。
  120. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 全然私の質問に答えていないじゃないですか、長々しゃべって。  大臣のじゃ答弁だと、県とか市は、山地を山地と思わずに平地で造ってしまうと、道路を。鉄橋も造れない、トンネルを造る能力もない、こういうふうにおっしゃっているんですか。そういうことでしょう、今の話は。
  121. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) いや、そういうことを言っているわけではなしに、だれが造ろうと、その道路の構造というものは外国とは比べ物にならないほど大変な地形であるということを申し上げているわけです。ちょっと何キロか走れば長いトンネル、長い橋梁が日本道路の場合はございます。  この栄村の事業というのは、集落内の小規模な生活道路を対象に人力、人の力で行える単純な工事でありました。栄村の事業費二・七万円・平方メートルというのは、村負担の一・九万円、それから住民負担の〇・八、ということは八千円を道路幅七メートルとして換算して、舗装の厚さの差分を加えれば事業費はほぼ同じになってまいります。  そういうことで、人力で行えるものと、大きな重機を使って、そして設計図を作り、そしてそれをやらなければできないようなものとはちょっと違うんではないでしょうか。
  122. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ですから、申し上げているんですよ。地方地方のニーズで造る。皆さん言っているんですよ。国土交通大臣だって生活道路足りないと言っているんじゃないですか。だから、地方が、自分たちが造る生活道路地方の基準で造ればいいじゃないですか。何でそれを国土交通省の基準で造らせるんですか。これ栄村だって、国土交通省から補助金もらわないで自分たちで造った方が安いから造ったんですよ。  ですから、割高なものをどんどん地方に無理やり道路特定財源を使って造らせているんじゃないんですか。それを申し上げているんです。
  123. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 道路構造令とか道路の構造に関する諸法規は、すべて国会審議を経て国民の総意として作っているわけでありまして、国土交通省が勝手にやっているわけではございません。  やはり国民の総意としては、安全で安心な道を造る、それが必要であると私は思います。
  124. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 何か国会が悪いんですか、道路に金掛かるのは。  私もちょっと調べましたら、道路構造令ですよ、これ何か大正時代にできたものらしいですね。それを改変改変している。これは、だから国がやるものとして、しかも中身をもっと見直した方がいいと思います、私は。やればいいじゃないですか。しかし、ドイツのさっきの郡道の話じゃありませんが、自分たちに身近な生活道路は自分たちのニーズに合わせてそれぞれの基準で造らせればいいじゃないですか。そうしたら、私たちが言っているように、地方の独自財源を渡してそれぞれ造らせる、そういうやり方をする方が道路投資としては効率的なんですよ。今までのように中央の道路構造令でやりなさいと、使わないんなら補助金あげません、こういうやり方は変えなきゃいけないんじゃないんでしょうか。そして、それをすることによって画期的に道路整備費用は削減されると思います。五十九兆円なんてもっともっと減ると思いますよ。  これはまた私、改めて予算委員会なり国土交通委員会でやらせていただきたいと思っていますが、いずれにしても思い切ってシステムを変えればできるんですよ。自分たちのシステムを変えたくないからこれにこだわるわけですよ。このことは是非総理、御認識いただきたいと思うんです。  それで、ちょっと総理にお伺いしたいことがあります。  さっき道路財源が余っているという話ししましたが、ここにマイナスシーリングって入っていますね。総理、表を配っていますけれども、見てください、これ。マイナスシーリングで平成十五年からずっと続いているんです。たしか小泉さんが総理になられて初年度は前年比一〇%ぐらい道路整備費用は落として、しかしそれ以降、公共投資の中で道路予算編成において、さっきも厳しくやるとおっしゃっていましたけれども、毎年三%ずつマイナスさせてきているんですね。これは総理、いつまでお続けになる予定ですか。
  125. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、二〇一一年に日本の基礎的な財政収支を均衡化させるということで、歳出削減を図っていくということで公共事業とか各分野において削減をさせていただいておりまして、公共事業についてもこの五年間でマイナス三%の削減はきちっとさせていただきたいというふうに思っております。もちろん、ほかの分野においても歳出削減をきちっとしていくことが大事なことであると思っております。
  126. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 国土交通大臣どうですか、三%シーリングですか。
  127. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 骨太政策二〇〇六のときにいろいろ議論をいたしまして、今後五年間、公共事業投資は一ないし三%を削減するということで決まっております。私の認識はそうです。ただ、この政府の二〇一一年、プライマリーバランスをプラスにするという至上命題、これは聖域なく歳入と歳出を見直していくという強いものでございます。そういう意味で、今まで、一昨年は三%を超えて、また昨年も三%を若干超えて削減をしているわけですが、本当は身を切られるほど痛いわけでございます。  平成十年は十四兆九千億でした。昨年、六兆九千億。また六兆七千億ということになってまいりますと、本当に安全、安心というものをつくっていかなければならない国土交通省としては大変ですけれども、しかしながらその趣旨に……(発言する者あり)私としましては必要、真に必要なものはもう重点化、効率化をして、そして果敢に短い期間で姿が見えるようにしなければ、だらだらだらだらやるということは長くなっちゃうということでございます。
  128. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 総理、今お二人の大臣からお答えいただきましたが、基本的にこの三%シーリング、まあ国土交通大臣は一から三とおっしゃっていますけれども、これは〇六年骨太方針に向こう五年間基本的に継続すると書いています。これは、お考えは、それを守っていくと、こういうお考えですか。現時点での御判断を聞かせてください。
  129. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 今の財政事情、非常に苦しいということは、これはもう皆様も認めるところでございまして、なおしかし、現状の債務残高、国、地方を合わせて大変な金額を抱えているというようなことも考えますと、やっぱり何かそういうような方針をきちっと示して、そしてそれを守っていくという、そういう考え方というのはこれは大事だというふうに思います。ですから、二〇〇六年のその基本方針というものは、これは今後とも守っていくという、そういう決意を持って当たらないと守れなくなってしまうと、こう思っております。
  130. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それで、分かりました、基本的な考え方は分かりました。  それで、さっきの五十九兆なんです。仮に三%でこれからも道路予算がマイナスしていくとすると、ちょっと複利で計算しました。十年たつとマイナス二六・三ですね。だから、それを今度もう一回十年で計算し直すと四十三兆円になるんです、五十九は。だから、もうこんな税金要らないんですよ、やっぱり。ちゃんとそういう政府の方針があって、その方針を守っていったら、税金取る以下になっちゃいますね。税金余っちゃうわけです、道路特定財源が、ますます。ますます余るんです。だから、こんなのナンセンスじゃないですか。  ですから、私たちは、これはとんでもないです。冒頭から申し上げているように根本的に、額賀大臣が根本的に見直すためには一般財源にしなきゃいかぬと、こうおっしゃった。私もそうだと思います。根本的にユーザーの受益と負担の関係も含めてしっかり見直すと、これが今日やるべき、取るべき手じゃないんですか。どうでしょうか、総理
  131. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、様々な国民の要求、あるいはまた日本の国づくりのこれからの構想、そういうことから考えて特定財源を維持させていただいて、道路とか道路関係にする分野についてこの道路財源を使わせていただくということで法案を出させていただいているわけであります。  そして、揮発油税の改正をして、道路整備を上回る分については一般財源化をするという形で、緩やかな方針転換はさせていただいているわけであります。その中で、先ほども申し上げましたように、五年ごとに見直しをして、そして向こう十年間は今の方向で考えさせていただきたいということになっているわけでありますから、ここは我々も財政再建のためには徹底した歳出削減もしなければならない。と同時に、やっぱり経済を成長させて収入を図らなければならないということ、あるいはまた税の在り方を考え、社会保障だとかすべて考えて、抜本的に考えていかなければならない。そういう中で財政再建を考えていくということになるわけでございます。  道路については、我々は現実的に来年度予算をやり、再来年もやり、そういうふうに地に足の着いた税源を確保しながら整備をしていくということでありますから、御理解をいただきたいというふうに思います。
  132. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 あのね、理屈が合わないんですよ。  だから、四月一日から二・六兆円継続して増税しますと、十年間です、その理由は、まだまだ日本道路整備しなきゃいけません、六十五兆円を五十九兆に削りました、これをやるためです、そう言っているんでしょう。しかし、実際のところは、毎年シーリングを掛けて減らしていきます。五十九兆じゃなくて四十三兆なんです。じゃ、税金を取るときの理屈と実際にやっていることは違ってくるじゃないですか。それは国民をごまかしていることになるじゃないですか。そんな不透明なまやかしの手段で本当にこの増税を続けるんですか。私は、国民は納得されないと思うんです。だから、筋が全然通っていないじゃないですか。税金を取るための理屈と実際にやることはもう合わないことは明々白々なんですよ。だから、これ、しっかり見直しましょうよ。  総理、どうですか、聞いていて。答えてください。
  133. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) やっぱり、予算は国全体の規模の中で考えるべきことでありまして、その中で道路の重要性というもの、これは十分認識をされていらっしゃると思います、委員もね。ですから、そういう重要性、そしてまたその重要性についても、個々の地域の実情とかもう精緻な計画に基づいて作り上げているものでありますので、それを削るというようなことになりますと、全体の配分の中でどういうふうに道路を位置付けるかというような問題になるわけでありますから、これはこれでまた大きな議論になると思います。  政府といたしましては、この道路予算については十年計画としてお出ししておりますけれども、そういう十年計画というような計画を持たないと道路整備というものは順調にいかないだろうというような観点からそういう計画をお示ししているということでありますので、その分の初年度についてこれを認めていただく。それはもういろいろな、先ほど来申し上げているように、いろいろな意見を集約した結果、そういうようなことが一番よろしいという判断に基づいて行っているわけでございますから、それはそれで、いろいろな御意見もおありであろうかと思いますが、政府としてはそういう考え方をお示ししているというところでございます。
  134. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 もう私の持ち時間がほとんどなくなってきましたので、一言申し上げたいと思うんですが、総理は今予算で決めたことだからと、いろいろ聞いて決めたと、こうおっしゃっていますが、私が申し上げているのは、政府が増税の根拠にしている十か年道路計画というのは極めて大ざっぱで、内容的にも、これは今日は内容議論しませんでしたが、たくさん議論したいと思いますが、内容的にも合理的な説得性のある説明にはなっていないと思っています。ですから、それを論拠にして増税を十年続けると。十年ですよ、今まで五年だったのに十年ですよ。これはもう私は国民の理解は得られないというふうに思います。  したがいまして、私たちは、道路特定財源制度というのはもう五十数年続いた制度であるし、もちろん道路は大事ですが、道路以外に大事な政策もたくさんある。したがって、政治がプライオリティーを付けて政策判断をするように、もちろん長期で見なきゃいけない政策は長期で見て判断しなきゃいけないと思います。しかし、そういう時代になったので、道路特定財源制度は廃止をして一般財源にする。  その際、受益者負担との関係で三十四年間取り続けてきた割増し税率については、自動車ユーザーに対して税金をもらう理屈がなくなるので暫定税率は廃止をする。その上で、地方に渡すお金についてはすべて一般財源にして、国が個別に使い道まで規制するんではなくて、自主財源にする。地方にとっては道路特定財源自主財源にするということであります。そして、先ほど申し上げた暫定税率の廃止によって、地方の家計も中小企業も農業も漁業もすべて、今の経済状況で困っている皆さんばかりであります。また、地方の活性化につながる。地方経済全体を活性化させることによって都市と地方の格差を是正する。  そして、最後に申し上げますと、五十九兆円計画についてはさっき申し上げたような議論をさせていただきました。したがって、無駄な道路、無駄な経費を節約するという意味で、根本的にやり方を見直す、道路構造令の運用の仕方についても見直す、まさに今やるべきことはそうではないかと思っていまして、これはまた改めて議論したいと思いますが、是非総理には、政府の方針を御再考いただくようにお願いを申し上げて、あと、羽田議員の関連質問に、委員長、お願いしたいと思います。  ありがとうございました。
  135. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 関連質疑を許します。羽田雄一郎君。
  136. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 民主党羽田雄一郎でございます。直嶋政調会長に引き続き、質問をさせていただきます。  福田総理、まず最初にお聞きをさせていただきたいと思います。  参議院は、福田総理、不要でしょうか。
  137. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 不要かどうかというふうなことを言われまして、それは私の答弁の範囲を超える問題だというふうに思います。  要は、憲法で決まっているわけですから、この両院の制度をうまく活用するということが我々の知恵じゃないんでしょうか。そういう意味において、与野党間、よく話し合ってこの国会運営をしていくということが大事だというふうに思っております。
  138. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 私は、衆議院補正予算の本会議が可決され、二十九日の夜八時五十八分にいわゆるブリッジ法案が、つなぎ法案提出されたとき、少なくとも今の与党、自民党、公明両党の皆さん参議院を必要としていないんだな、審議を幾らしても、六十日たったら衆議院の三分の二条項を使えばいい、これでは出口が決まっている中で議論しろと言わんばかりではないでしょうか。違いますか、総理お答えください。
  139. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 我々は何も、昨日提出された法案、おとといですか、国会に付託されたのは、それを通さなきゃいかぬというふうに考えているわけじゃなかったということですよ、それは。あくまでも話合いで解決をしたいということは、よく野党の幹部の皆様方は理解されていると思いますよ。そして、そのために本当に、一昨日来、与党の方からも妥協案を示して、そして議論を続けてきたわけですよ。大変な御苦労を国会対策皆さん方にお掛けしたというように思いますけれども結論として合意が昨日得られたわけですから、その合意に従って粛々とこの国会審議を進めていただくということが今一番大事なことだと思っております。
  140. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 臨時国会でも、自民、公明両党提出の給油新法、参議院では否決をされました。民主党が出したアフガニスタンの振興支援法案、復興ですね、復興支援法案参議院では二票差でありましたけれども可決をされたんです。国民新党の皆さん協力も得て、これを二票差で通したわけです。私から言わせれば、両法案が否決されたならばまだしも、参議院で可決した法案をそのままにして、否決された法案衆議院の三分の二条項を使って通す。小沢代表が本会議場を退席したことをいろいろ言われているようですけれども、あの本会議民主党衆議院全員でボイコットして退席しても構わなかったと私は思っております。  昨日、衆議院の財政金融委員会、総務委員会審議を私も傍聴させていただきました。あれはひどい状況ですよ。内容以前に、委員会のルールを無視した暴挙としか言いようがありません。つなぎ法案提出した二十九日のおとといの夜遅くに与党だけで委員会、本会議を立てて、そんなやり方はないだろうということで、数は少ないですよ、少数です、今衆議院は、委員長解任の動議を民主党提出をいたしました。委員長の解任動議というのは何よりも優先して審議をされるべきだというふうに思いますけれども、これを取り上げようともせずに、民主党ほか野党審議時間をどんどんと進め、こんなこと委員長はしませんよね、この予算委員長だったらしないと思うんですけれども、そして採決を強行したんですよ、解任決議、一切取り上げずに。多数を持っているんですから、ルールでいえば、まずは解任決議を議決して、与党多数で通して、それからやるのがルールでしょう。  こういうルールも無視した形で、総理、通したという、強行採決をした、この在り方についてどう思いますか。
  141. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 私は、私の立場として国会の運営のことについて何か言うということは差し控えさしていただきますけれども、しかし、今日までの間にいろいろなその過程がありました。いろいろな話合いをしてきているわけですよ。大変御苦労されたと思います、与野党間でね、もういろんな、もう何十回という協議をされたと思いますよ。その挙げ句、協議がなかなか調わないということで衆参の両院議長が、そのあっせん案と申しますか、提案をしてくださいまして、それでまとまったという、そういう経過があるわけですから、その衆参両院議長のお考えを尊重するというのは国会のルールじゃないんでしょうか。それ以上のことを私は申し上げる立場にはありません。
  142. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 いや、自民党総裁として、ではお答えをください。
  143. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 私は終始、話合いで解決すべきという考え方、あくまでも粘り強く交渉しなければいけないという、そういう考え方で思っておりましたから、まあ本日に至ったことを大変よかったと思っております。
  144. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 本来であれば、先ほど言いましたように、解任の動議、委員長解任の動議を否決を与党皆さんがして、その後、審議を続行、採決というのが議会制民主主義の最低のルールだというふうに思います。  本会議でブリッジ法案つなぎ法案採決せず、取り下げる合意が両院議長あっせんの下行われたことにより、与党皆さんは救われたんじゃないかなというふうに思っておりました。これはもう前例としない方がいいというふうに思っております。  総理衆議院与党が三分の二を持つなんということはそんなにあり得ることではありません。議会の持ち方も含めてしっかりと、今与党が三分の二を持っているところでルールを決める必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。
  145. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 国会は、やっぱりその運営については話合いで決めていくということはルールなんじゃないんでしょうかね。ですから、そのルールに基づいてやっていただくということは大事なので、私は国会の一つ一つのことについて、先ほど申し上げましたように、とやかく申し上げる立場にはないということであります。  しかし、そういうような国会の中で衆参両院議長が御苦労をなさって、そしてあっせん案をまとめてくださったということでありますから、やっぱりその結果を尊重すべきである。いろんな過程はありますよ、それは。結論出るまでいろんな過程はあります。その過程の一つ一つについて、私はとやかく今申し上げたくないと思っております。
  146. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 重要な議題については、最低でも二つの通常国会を超えて審議をするとか、また通常国会、臨時国会を通して結論を得るとか、また何十時間以上議論するとか、こういうことをしっかり決めておかないと、なかなか、国会、これがスムーズに機能していかないんじゃないかなというふうに思っておりますし、やはり国会法を無視したような、ルールを無視したようなやり方というのは、三分の二を持っている与党でありますから、衆議院では、慎んでいただきたいなというふうに思っております。  総理、党務は幹事長にお任せということであるかもしれません。野党ともっと胸襟を開いて話をするように是非御指示をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  147. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 私は与党の幹事長にお任せいたしましたけれども与党の幹事長もあくまでも話合いで解決したいということは終始言っておられました。その趣旨に沿って結論を出したと、こういうふうに思っております。
  148. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 今回のことで総理は、直前までこのつなぎ法案については何も知らないと、そしてリーダーシップ、存在感がなかなか見えなかったなというふうに思っておりまして、やはり民主主義を確立するためには政権交代しかないかなと改めて感じたところでございます。  次の質問に入らせていただきたいというふうに思います。  いわゆるねじれ国会の中でマスコミは、審議が進まなくなって国会が停滞すると、こういうふうなことを言っておりましたけれども参議院与野党が逆転し、民主党が第一党になったことによって、審議不十分な強行採決参議院ではなくなりました。慎重な議論が交わされ、臨時国会においても改正被災者生活再建支援法や改正政治資金規正法、労働契約法、最低賃金改正法など、与野党で修正、合意をする中で通った法案もたくさんあります。内閣から出てきた閣法ですね、これも臨時国会の中で民主党はほとんど賛成をしております。(発言する者あり)もちろん、附帯決議を付けたり修正をしたりと、より良い法案にする努力をしてまいりました。  しかし、一方、我々民主党が昨年の参議院選挙でお約束してきた、国民の皆さんにお約束してきた国民の生活が第一のマニフェスト、これを議員立法化した法案、例を挙げれば年金保険料流用禁止法案、農業者戸別所得補償法案等、これは参議院議論して賛成多数で可決して衆議院に送られました。衆議院では、臨時国会は二度も延長しておきながら、委員会を開かない、国民世論を気にして反対か賛成か意思表示、採決もしないという、こういう状況でありまして、まあこの状況福田総理の言われる、与野党が信頼関係の上によく話し合い、結論を出し、国政を動かしていくという、これとは程遠いものであるように思いますけれども、自民党総裁としてでもいいです、もっと努力すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
  149. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 努力すべきかどうかということについて申し上げれば、努力すべきだというように思います。
  150. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 野党の意見も積極的に取り入れると先ほどからも言われております。責任ある政治を是非見せていただきたいというふうに思っております。  今年は、実は、私の父親、第八十代の総理大臣を務めさせていただきました衆議院議員羽田孜、今、民主党の最高顧問を務めさせていただいておりますけれども、自民党を出てちょうど十五年という年になります。政治改革に侵されているんじゃないかとその当時は私の父親は言われておりましたけれども地方分権、地域主権の国家、地方の元気が日本の力になる、既得権に支えられた自民党政権ではできない、権限財源やそして中央に集まっている人間さえも地方に移譲していくんだということで、今日、今日まで頑張ってまいりました。政権交代ある二大政党が確立することによって政治に緊張感を持ち、官僚の皆さんも国民にとっての真の奉仕者として緊張感を持てるんじゃないかというふうに私は今でも信じております。  福田総理、自民党内でもう議論されて既に、まあ私の父親がいたころから議論されて既に十五年以上たっている地方分権一括法等も通りました。今回の所信表明でも道州制の導入も含めるという文言が入っております。どのような国の形を考えて、日本をどのように導こうとしているのか、お答えください。  総理です。まずは総理。──国の形はあなたが決めるんじゃない。
  151. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) じゃ、私から総論を申し上げますが、あと、総務大臣お尋ねください。  私は、将来のあるべき姿というものは、やはり地方、まあ地方と申しますか市民社会というか、そういうものを目指すのが民主主義の一層の進展のためにも必要なんだというように思います。そういう意味でもって地方分権は必要だと思います。  そして、その先に道州制というものがあるわけでございますけれども、その道州制が、本当に例えば地方道路が行き渡り、その地方地方が生き生きとして、その地域に住んでいる方々が感じられるような、そういうようなものを目指してやっぱり考えていかないといけないんではなかろうか、その過程として分権はやっていかなければいけない。これは地方分権推進委員会がございまして、そこで計画出してくださっておりますから、それを着実に進めていこうと、こんなふうに思っているところでございます。
  152. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 今、道州制の議論の中で道路のお話が出ました。実は私も、高度成長期に造った橋、またトンネル等、これ供用年数がこの十年間で一気に来ると、やっぱりそういう財源は必要なんだなというふうに思っている一人であります。  しかし、そういう中で道州制道路ということであれば、じゃ、国が管理していかなければならない道路は何か、道州が管理する道路は何か、その市、その下にある行政が何を、どこまでを見なくちゃいけないのか、こういうことを決めていくことが大切なんじゃないでしょうか。  道路特定財源を十年間このまま引っ張っていくということではなくて、やはり高速道路、直轄事業と言われるもの、またお金の掛かる橋梁やトンネル、これは国が責任を持って地方の負担なしにやるんだと。道州、今の国道については道州でしっかり管理してもらう。県、市町村については、これからできる、まあ市というんですかね、ここが管理すると。こういうことをすることによって効率化も図れますし、またコスト削減にもつながっていくというふうに思いますが、いかがですか。
  153. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 将来を目指してどういうふうにしていくかということを考える上で、やっぱり地方が、これがどういう形になるかということをまず考えなきゃいかぬと思いますよ。今の状況を放置すれば、これは日本だけでないんですけれども、都市化というか都市に人口が集中してしまうという、そういう傾向ありますね。そういう状況を放置したままで地方というのは存在し得るのかどうかといったようなこともございますから、これは総合的に考えていかなければいけない。  やっぱり地方も大事なんですよ。地方も大事というか、地方がやっぱり活性化しないと日本全体が活性化しない、経済成長も望めない、そういうようなこともあるんだろうというふうに思いますので、そういうことを大きい立場で考えていくということは必要だと思います。  ただ、道州制もすぐ始めるわけじゃないんですよ。その前に地方分権するわけですよね。分権社会をつくって、そしてその先の道州制を導くと、こういうふうなことでありますので、その地方分権を具体的にどうするかという中で地方の在り方というものはこれから大いに議論をされるべきだというふうに思っております。
  154. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 いや、暫定税率を十年続けるということは十年は分権しないということを言っているのと同じなんですよね。これは理論矛盾になるというふうに思いますが、いかがですか。
  155. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 先ほど直嶋委員にもお答えしたところですけれども、それは、地方分権が進むということになれば、それに併せて各地域の問題も浮き彫りになってくる可能性もありますから、そういう中で考えていくものはいろいろあると思いますよ。道路もそのうちだと思います。道路だけでないです、いろんなものについてこれから分権社会の在り方というものを考える中で計画を作っていく、そういうことが必要だというふうに私は思っております。
  156. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 総務大臣、お待たせをいたしました、お聞きをしたいと思いますが。  道州制の議論が十五年前自民党で活発に行われていたころ、衆議院選挙区、選挙区制度、そして行政改革、財政改革というものを一緒に考えていたわけですけれども、選挙制度だけ先に進んでしまったわけでありますけれども衆議院の選挙区で十一ブロック、これが道州になると、そして三百の小選挙区が一つの市という考え方、これは今も生きているんですか。
  157. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) お答え申し上げますが、政府としてこの道州制について、もう担当大臣も置いて、今ビジョン懇も昨年の一月からスタートをしているわけですから、この実現に向けてこれから更に精力的に取り組んでいくと、こういう考えでいるわけですね。  その中で、やはり今総理からも申し上げましたとおり、分権をまずきちんと進めると。そして、その上でこうした大きな国の形の改革、これは権限財源もいろいろ変わっていく話でありますから、そういうものに向けて進めていくという上では、まず国民の皆さん方にしっかりとしたビジョンをお示しをするという手順をしっかりと踏んでいかなければ、こうした大きなもの、国民の後押しがなければできないだろうと、こう考えております。  そこで、政府の方で、これはビジョン懇で検討しておりますが、それ以前には地方制度調査会の中でも検討、取りかかった経緯ございますけれども、いずれにしても、まだどういうブロック、あるいはその基礎的自治体をどうするかというのはいろいろ議論がございます。それぞれ今お話がございましたとおり党の中でもいろいろ御議論あって、これでということではなくて、幾つかの案を含めながら考えているということでございますが、政府としてということであれば、まだそういう具体的な案をまだまだ持ち合わせるというよりも、むしろそのためのいろいろな検討を進めているということでございます。
  158. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 いや、これもう道州制の議論というのは私の父親が自民党にいたときからもうけんけんがくがく議論をして、これで十五年たっているのにもかかわらずまた後退したような議論をしていると。形も何にも見えていないというのが現状なのかなというふうに思ってがっくりするわけですけれども、選挙制度改革だけに、選挙制度だけに終わっていて行財政改革がそのままになっている。中央の失政のツケをいまだに地方にツケ回している。例えば、政府与党は三位一体の改革、先ほども言われました。わずか三年間で交付税を約五兆円削減、地方の自由度を拡大することなく、補助金も四兆七千億円削減、地方財政は今本当に疲弊しているというのが現状であります。  補助金、特定財源を、こういうものを見直して一括交付金に変えていく、もっと自主性を持たせると、こういう方向にしていくんだということにならないんでしょうか。
  159. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) 分権を今進めていくということで政府として取り組んでいるわけですね。その中で、国の役割を新たにこれからの人口減少社会に向けて大きく見直しをしていく、国と地方の役割をですね。それから、今お話がございましたお金の関係、これも地方が財政的に自立をするように当然これは考え直していかなければならないということで、そのことも今考え直しをしているところですね。三位一体改革もその経過の一つの過程でございましたけれども、これについてもいろいろな評価があります。  地方も、こうしたことによっていろいろと財政も厳しい中で見直しを迫られたわけでありますが、これについて、今補助金から一括交付金というお話がございましたんですけれども、具体的な一括交付金、どういう中身になるのかということ、なかなかそれ以上のお話がないんで、私どもも実はつかみかねているところもございますけれども、十九兆なんですね、補助金全体の額が。十九兆の補助金で、それをどういうふうに各団体に交付するのかという中身についてもう少し具体的なお話があればと思っておりますのと、それから、民主党さんの昨年の、私どももいろいろ公約等も見させていただきました、マニフェストも見させていただきましたけれども、六・四兆円、それを削減するということですけれども、この十九兆の補助金、非常に多く義務的な、もう数字を変えようもないようなお金が占めているわけであります。  その中で六・四兆を削減するということが一体地方財政にどういう影響を与えるのか。私は大変深刻な影響が出てくるんではないかというふうに思っておりますし、大きな方向としては地方が自由に使えるように見直しをしていくということ、私は、最終的にはやっぱり税源移譲、その代わり税源偏在を是正する税源移譲ということが、民主党さんもそれに向かって進んでいくということをおっしゃっておりますので、そういう方向であろうと思いますけれども、今お話のあった一括交付金化ということについては、私は、具体的な内容等、それから今の補助金、十九兆の補助金のうちそれが、六・四兆も一方で削減をしつつどういうふうに地方に自由に使わせるのか、その辺りが明確でないと。地方の財政に迷惑を掛けないということでございますが、私は率直に申し上げまして迷惑が非常に掛かってくる可能性を秘しているのではないかと、こういうふうに思っております。
  160. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 我々が政権を取れば、これは地方には迷惑が掛からないようしっかりとやらせていただきたいというふうに思っております。地方に、地域に、そして市民に近いところに自主財源を増やすことによって地方財政は効率化され、無駄遣いが少なくなるというふうに考えます。是非その方向で、我々としては今後とも政権交代に向けてしっかりと議論を深めさせていただきたいというふうに思っているところでございます。  次に、ちょっと通告が遅れて申し訳ないんですが、これだけ新聞にたくさん今日もニュースになっておりますので、質問せざるを得ません。中国製のギョーザに殺虫剤、十人中毒症状、一時重体になったお子さんまでいるという状況です。これ、中国製のギョーザだけじゃなくて、大変大きな不信が出てきていると。  この食の安全、安心について、BSEの問題、こういうものが起こってから日本はけんけんがくがくやってきたはずであります。そういう中で、日本では使われてないメタミドホスと言うんですかね、こういう毒性の強い薬物が使われていた、これが検出されて、それが日本国民の口に入ってしまった、そして重体になったという状況、今政府でつかんでいる情報をお聞かせください。
  161. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 簡潔に申し上げます。  一月二十九日、東京都より情報提供がありまして、一月五日に兵庫県において一家族三名、一月二十二日に千葉県において一家族五名の、今おっしゃいました有機燐中毒のメタミドホス、これによる事例が報告されました。これは、ジェイティフーズが中国の天洋食品工場からの輸入したものでございまして、関係自治体、警察関係の調査の結果この物質が検出されたということでございまして、本件を受けまして、三十日に当該食品についての関係自治体及び関係事業者による消費者への注意喚起、販売の中止、回収等の措置がとられ、私からもテレビを通じまして国民の皆さんに、絶対にこれを口にしない、そして、例えば飲食店、レストラン、こういうところに対しても国民に供しないということをお願いしたところでございます。  そして、最新の、十時四十分現在の各県の状況把握でございますけれども、熊本や福島、秋田、神奈川などで県、保健所に相談があった旨が報じられております。しかしながら、監視安全課輸入食品安全対策室によりますと、各県で調査、確認中でありまして、今現在で中毒という報告はその後寄せられておりません。  今後、更に情報を収集し、まず第一に被害拡大の防止ということに全力を挙げます。そして、この原因の徹底した究明、そして再発防止策に政府を挙げて取り組んでまいりたいと思います。
  162. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 これは実はもう一か月前ぐらい、十二月、去年ですね、に一例が出ているという中で、一か月後、今になってやっと表に出てきたという、これどういうことか御説明ください。
  163. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) まず、今申し上げましたように、一月五日に兵庫県において事例が発生しました。昨年末、十二月二十八日に稲毛市においても一家族二名について事例が報告されておりますが、この今の枠組みの中で、各都道府県においてその自治体の保健所、そして県の警察、これにおいて調査をする。そして、薬物の認識というものがきちんと報告され、それがこの中国からの薬物であるということで、最終的に私の下にその報告が寄せられたのは昨日でございます。  私自身、これは年末年始の事例がもっと早く厚生本省の方、厚生労働省に上がっておったならば更なる指示ができたのではないかと思い、今この経過について鋭意究明をしておりますところでありますし、今後、この県のレベルで情報がとどまらずして、各保健所からこういう事例について直ちに厚生労働本省の方に上げるようなシステムをきちんと再検討し、確立するように既に指示をしたところでございます。
  164. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 こういう状況がまた起きてしまっているということ、これは大きな責任が行政にあるというふうに言わざるを得ません。  私も子供が二人おります。四歳と二歳の男の子でありますけれども、ギョーザ大好きです。日本人はギョーザが大好き。そういう中でこういうことが起きてくると、本当に困ったなと。困ったでは済まないと、命にかかわる問題であります。  今日はNHKのテレビが入っております。厚生労働大臣、もう一度、どういうことに気を付けなくちゃ、何に気を付けなくちゃいけないのか、もう一度お答えください。
  165. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 命にかかわる問題ですから、これは政府を挙げて、取りあえず今のところは被害の防止に全力を努めないといけない。  そして、この対策を取るに当たって、情報がきちんと上がってきていないならば、なぜそうであったのか。先ほど御説明申し上げましたように、各県レベルで、これはその県レベルで対策を取るということに基本的になっておりまして、警察、保健所が連携をして、嘔吐になったその物質を検出する、それに時間が掛かる。  そして、最初の兵庫の案件について、これは本当に何が原因だったかというところまでは出てこない。しかし、有機燐酸であるということ、これは、少なくともその物質が検出できたときには、直ちにやはりこれは通告できる体制が、もしきちんと整備されていないならば、そして、二件目の問題であると思いますが、二件目の千葉県について、これは最初の案件につきましては、流し台から検出するというようなことで非常に不確定な要因があった。しかし、この千葉の件につきましては、嘔吐物そして残されたギョーザ、そしてその包装した袋が残っていましたから、こういうことを検出して二十九日の段階で県警の科学研究所においてきちんと確定できた。  そういうことで直ちに対応を取ったところでございますけれども、もう一度この経過について検証して、何らかの手がもっと事前に打てなかったか、もし今の制度や法的枠組みに不備があるとすれば直ちにこれを是正し、きちんと改善して、国民の命を守るために全力を挙げたいと思います。
  166. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 いや、今対策はどう取っているかということをお教えくださいと言ったんではなくて、今NHKのテレビが入っています。国民の皆さんが見ているんです。国民の皆さんに何を気を付けていただかなくちゃいけないのか、はっきりと言ってください。
  167. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) まず皆様方が、例えば冷蔵庫を見ていただく。冷凍庫の中に、これはメディアの皆さんの御協力を賜りまして、どういう商品が問題があるかということをきちんと何度も報じていただいております。今朝の新聞にもカラー写真入りで出ております。そういうものについて点検をしていただいて、その商品であれば絶対に口にしないでいただきたいと思います。  それから、業者用の商品もその中に含まれておりますんで、業者の方々はこれをきちんと点検した上で、もちろん自主回収をするようなことも含めてですが、加工してお客様に例えばレストランなんかが絶対に出さないと、そういうことを徹底してお守りいただきたいと思います。
  168. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 それでは、今出ているものだけ気を付ければいいということでありますか。
  169. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今とにかく被害の拡大を防止しないといけないということで、今、羽田委員がおっしゃいましたから、国民の皆様、そして業者の皆様に今分かっているところでこういう商品があります、それで中国の製造元から来た商品についてすべてこれは同じ措置をとりました。問題が起こったのは一つのギョーザですけれども、そのギョーザだけでなくて、その業者が作っているものについてすべて注意を喚起したところであります。
  170. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 じゃ、ギョーザだけではなくてということでいいんですか。
  171. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) そのとおりでございます。
  172. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 これは消費者の皆さん、国民の皆さんが見ていますから、本当に気を付けていただきたいなというふうに思います。  それでは、次の質問に移らせていただきたいと思います。  今の日本の医師不足、特に地方の医師不足についてお伺いをしていきたいというふうに思っております。  今日の医師不足、この国の安心を揺るがしかねない大変大きな問題になっております。救急患者がたらい回しにならざるを得ないケースが増加していると言わざるを得ません。  医師の絶対数、これは足りているとお考えですか。
  173. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 私は、今の医師の総数は、これは足りているとは思っておりません。問題があると思っております。  とりわけ、この産科の問題。今、産科のお医者さん、それから小児科は統計上増えていることになっていますけれども、やはり不足しているという声がありますし、これからは外科。そういう形で業種、つまり診療科による偏在があり、それから例えば勤務医と開業医、これも偏在がある。  大きな問題を抱えておると思いますので、新しい日本の医療制度の確立に向かって最大限今努力を開始したところでございます。
  174. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 今まで政府の答弁だと、絶対数は足りているんだという答弁が多かったわけでありますけれども、担当大臣が足りてないというふうに言っていただいたことは、私としては認めていきたいなというふうに思っておりますし、是非努力を続けていただきたいというふうに思います。  特に、リスクの高い麻酔医も減っているという状況がありますね。麻酔医が減れば、麻酔ができなければ外科医も減っていくということでありますし、また産科医、小児科医がどんどんとどこかへいなくなっていると言わざるを得ないような状況が続いているのかなと。特に地方では、里帰り出産はおろか、もう出産できない市町村まで出てきているというのが状況だというふうに考えます。  舛添大臣は先日、私の選挙区でもあります長野県の飯田市に視察に行かれたようですけれども、どのように感じ、どのような対策が有効だというふうに思っておりますか。
  175. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 私は、なるべく現場を見てそれで判断したいと、それで国民対話ということで長野県の飯田市を選びました。長野県は、健康寿命が非常に長い、そして例えば医療費が一番少ない、そういう言わば日本のモデルになるような県である、にもかかわらずそういうところでも実は大問題があった。私は、飯田市の国民対話の前に飯田市立病院を訪ねました。  そうすると、やはりこの産科の不足の状況を御説明いただきましたし、国民対話でもたくさんの方に御質問をいただきましたけれども、八割の方が産科を何とかしてくれと、赤十字病院が閉鎖されたと。それで、今、羽田委員がおっしゃいましたように、あの飯田では市立病院で里帰り出産という非常に画期的な試みをなさった。そうすると、自分の実家に帰ってお孫さんが生まれる、おじいちゃん、おばあちゃんも立ち会っていただける、非常に良かったんですが、今のままの現状だと、飯田の市立病院は四月一日からこの里帰り出産をやめざるを得ない。それで、お医者さんが五人いるところが一人減るというそれだけで、年間分娩数、千あったのが五百に減る。非常に深刻でありまして、長野県だけで四つ、五つこういう中核的な病院で問題が生じております。  無論、昨年五月から政府与党で緊急医師対策をやっておりますけれども、私は、何としてでも全力を挙げて、これは政府も行っておりますし、産婦人科学会にも先般要請をいたしまして、何としてでもこういう状況を食い止めないといけない。少子化対策といいながら、まず誕生と、生命の誕生ということにおいてそういう問題があるならば、これは全力を挙げて取り組むべきだと思いますので、本当に、飯田市での国民対話でいろんなことを教えられ、現場を見てきましたので、その体験を生かして、今後全力を挙げてこの産科の不足の問題、医療体制の再構築に努力をしていきたいと思います。
  176. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 私が住んでいるのは上田市でありますけれども、国立長野病院というのがございます。産科医四人今おりますけれども、もう引き揚げると、全員ですよ、四人。これがもう危機迫っているというのが現状であります。もう里帰り出産どころか出産もできない市町村が出ているということ。  また、今、舛添大臣が言われました、長寿県であり、それなのに医療費が下がっているモデルだと。これ、何でこうなっているのか。  実は、お医者さんたち努力もあるんですよ。もちろん、ぴんぴんころりんという思想が長野県にあります、ぴんぴん生きてころんと死のうと。こういう思想が生きていることもありますし、高齢者でも皆さん農業をやったり元気に働いている。そして、マレットゴルフとか、もう朝早くからみんなで健康維持のためにいろんな運動をしている、こういうこともあるでしょう。  しかし、お医者さんたちがレセプト審査を厳しくして、これで厳しくして取るものを安くしているというのも実際にあるというふうに思います。そういう認識はありますか。
  177. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは、長野県のお医者さんともお話ししまして、大変皆さん努力をなさっている。  それから、例えばこれ、ほかの県ですけれども、例えば兵庫県の柏原というところの病院は、これは住民の方々が小児科を守る会ということで、コンビニ診療という言葉があるんですけれども、コンビニストアみたいに二十四時間開いていると。何時でも子供を連れていくのではなくて、晩御飯を食べる前に見せて、夜中の過重な勤務医の方々の労働を減らそうと、こういうこともやっておられますので、これは、医師側の方、それから長野県の場合だと保健婦さんというか保健師さん、この事前の予防活動、保健活動が極めて大きいと思います。  それからもう一つは、高齢者なんかで就業率、働いている方の比率が日本一高い。それで、これが私はひょっとしたらこの長寿ということとつながっているのではないかと、そういうことも考えておりますので、しかし、そういうことをやりながらも、今、羽田委員がおっしゃったように、非常に深刻な問題が飯田市以外の町でも、長野県、そして全国で起こっているというふうに思っております。
  178. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 政府はいろんな対策を取るということで、医大の定員を増やすとか、こういうことを言っておりますけれども、これ、医大の定員を増やしても十年先になってしまうわけですね、お医者さんになるには。これではもう遅いんです。(資料提示)  確かに、医師総数は少しずつ増えておりますが、もうこの産婦人科医、産科医、このパネルのように激減しているのが現状であります。やはり、舛添大臣も先般、臨時国会でも言われていましたが、バースセンター、助産師さんの活用だというふうに言われていましたが、そのところをお答えください。
  179. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) やはり、ネットワークを含めていろんな方が分業することが重要でありまして、正常分娩のときに助産師さんがしっかりやってくれればもうほとんどお医者さんは要らない。ところが、過重なる負担がお医者さんに行っていく。それで、外であれ内であれ、助産師さんの活用ということをしっかりやりたいというふうに思っています。  十九条の問題もありますが、これも弾力的に運用し、そういうバースセンター、正常分娩をやられる方が助産師さんのお力でやっていただく、そして産科医の皆さんの負担を減らす、この方向でも努力を続けてまいりたいと思います。
  180. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 もっともっと具体的に、バースセンターをどれぐらい増やすんだと、助産師さんたちにはどういうかかわりをしてもらうんだということを是非お答えいただきたいなというふうに思っておりますが。やはり積極的に助産師さんたち、正常分娩七割と言われているんですね、七割が正常分娩で助産師さんで十分だと、こういうふうに言われているんですから、是非そういうことを検討していただきたいというふうに思っておりますし、もう一つのパネルを是非見ていただきたいと思います。(資料提示)  研修医、学生ですね、将来希望する科、学生、研修医、この表を見ていただくように、産婦人科医、学生のときには九名なりたいと思っているけれども、研修医になったらゼロです。とてもリスクが高くて産科医にはなりたくないと、産婦人科医にはなりたくないという方が多い。まあ麻酔科が、学生では少ないんですが研修医で増えている、これはひとついい表かなというふうに思っておりますので。やはり本当に今激減している産科医、この対策、助産師さんの活用も含めて、政府としてしっかりと積極的に考えていただけるか、もう一度お答えください。
  181. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 羽田委員、先ほどの最初のグラフをちょっとお見せいただくと有り難いんですが。  産科医が激減しているのは、福島県の大野病院というところで医療ミスだということで産科医が警察に逮捕されたと、そのことが非常に大きくて、私はここのところ、現場の産科医、特に若い産科医の皆さん方に聴き取りを行っておりますと、訴訟リスク、これが一番嫌だと、最大の理由はそうであります。したがって、これに対して、事故究明の委員会をつくる、ADRをつくる、それから無過失補償制度をつくる、院内メディエーター制度をつくる、こういうことをやっています。  しかし、先ほど委員が御指摘のように、大体四百人ぐらい医学部の定員を増やそうと思っています。しかし、十年掛かります。    〔委員長退席、理事林芳正君着席〕  で、飯田の市立病院の院長さんや市長さんに言われたのは、いや、大臣、それはいい政策なんだけど、二か月後どうしてくれるんだということですから、直ちに全国都道府県に調査を開始しまして、今週中に出てくると思います。そして、全国で幾つの病院が、今の飯田市立病院とか上田とかそういうところの問題があるような病院と同じケースがあるか、それできちんと確定し、それから助産師さんの問題も、これは南野知惠子先生の御協力もいただきまして、そういう調査をした上で、そしてきちんと、何とか四月に今のような状況にならないように、産婦人科に対しても、産婦人科学会に対しても、それから関係の閣僚、つまり渡海文部科学大臣に対しても、そしてまた、防衛の医官がおりますから、石破防衛大臣に対しても、あらゆる手を尽くして関係閣僚にも協力をいただきたいと、そういうことをお願いして、今精力的に行っているところでございますし、また、この調査の結果、つまりどういう状況にあるかということが分かり次第、また御報告を申し上げたいと思います。
  182. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 産婦人科医もそうですし、医師の不足、これ日本全体大変、特に地方は厳しい状況になっております。もっと、一つ一つの病院という考え方ではなくて、やはり施設の医師不足という考えから、広域での医療、こういうことを考えることが必要なんだというふうに思っております。  道州制の議論、先ほどからの地方分権議論、三百小選挙区が一つの市であれば、この広域にどれだけの医師がいるのか、どれだけ不足しているのかということを考えていかなければならない。  これから質問に立たれる田中康夫さんは長野県の前知事であります。そのときに考えられていたのが信州新医療圏構想と、やはり医療圏ということを考えて、どれだけ足りないのか、これを考えていかなければならないというふうに思っております。  これで、私の御質問時間が終了いたしました。是非これからも医療についてもしっかりとお考えいただきますよう心からお願いをして、私の質問を終了させていただきます。  ありがとうございました。
  183. 林芳正

    ○理事(林芳正君) 関連質疑を許します。田中康夫君。
  184. 田中康夫

    田中康夫君 参議院の統一会派、民主党・新緑風会・国民新日本の一員であります、新党日本代表の田中康夫でございます。  今回、予算委員会質疑の機会を与えてくださいました民主党の皆様に、改めて感謝を申し上げたいと思います。どうもありがとうございます。  カメラの方にはおしりを向けて大変失礼をいたしましたが、私ども新党日本は、さきの参議院選挙で百七十七万票をちょうだいいたしましたが、小さな政党ですので議員が一人という悲哀でございます。この中で、小沢一郎さんを始めとする民主党方々とともに、真に日本に暮らす方々のための政治を一日も早く実現したいと思います。  最初に、福田康夫内閣総理大臣にお聞きいたしたいと思います。  先般の党大会のときに、福田さんは、不要なあるいは不都合な制度というものは大胆に変える、この勇気を持とうというふうにおっしゃいました。  具体的に、福田さんが不要である制度あるいは不都合な制度というものはどのようなものがあり、また、それを具体的にどのようにお変えになろうとしているのか、二、三で結構でございますから、まずお聞かせください。
  185. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 具体的な例を申し上げます。  一つは、例えば住宅建築に係る住宅基本法というのがございました。これは例の姉歯事件がございましたけれども、まあそれ以前から検討していたんですけれども、それを昨年春、改正をいたしました。  住生活基本法と、こういうふうな形になったんですけれども、この一番大事なところは、やはり、住宅をただ単に建てるというだけでなくて、やはり国民、住む人の立場になって考えた住宅を造るということが基本になっていると。やはり、耐震というような問題がありまして、住民の生命、財産を失うというようなことがないように、建築確認も今までと違うようなやり方をしなければいけないとか、また、将来的には住宅を造れば長期住宅というものも視野に入れなければいけない、そういうようなことを考えて、住民、国民の立場に立ったそういう法律に改めたと。これも一つ、非常に大きな例だというふうに思います。  そういうように、今までとかく行政の立場で考えた法律ということで、本当にそれが国民の立場になっているかどうかということについては疑問があるようなものについては、これは、そういう事例については一つ一つ丁寧に直していくというようなことが必要なんだろうと。その場合に法律も必要であれば直すということがあるかもしれぬし、またその前に、制度それから行政の在り方、そういったようなものも検討対象にしていくべきだと、こういうふうな考え方で申し上げたわけであります。
  186. 田中康夫

    田中康夫君 たった一つの例、それも住宅ということでございました。  私は、今、日本は大変に大きな転機に立っているわけでございます。すなわち、なあんちゃって小泉・竹中へなちょこ構造改革というようなものの追憶に浸っているときではないということでございます。すなわち、与党の方からも今やじが飛ばなかったのは、そのように思っていらっしゃるということです。  実は、構造改革といいながら、わずか五年間の間に二百五十兆円も日本の借金が増えてしまった。日本の借金一千兆円ですよ。四分の一が構造改革という名の下で借金を増やし、地域が疲弊し、人々が苦しむという状況をおつくりになったということです。  私は、岩波書店の方はきっと今回の広辞苑の第六版の構造改革というときの三番目か四番目に、羊頭狗肉とかうそつきと書かなくちゃいけないんじゃないかと大変悩まれたかと思います。  で、福田さん、日本は今一年間にこれから毎年どのくらい人口減少社会の中で人口が減少すると、御存じですか。お答えください。
  187. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 減るということは承知しておりますけれども、その人数について承知しておりません。
  188. 田中康夫

    田中康夫君 四年前の二〇〇四年をピークとして、日本はこれから毎年八十万人ずつ人口が減少してまいります。八十万人ということは、東京で一番大きな世田谷区と同じ人口です。それがわずか数年ではなくて、これから何十年もの間にわたって続く。四十年後には働く方も人口も三分の二になります。  他方で、日本の面積は変わりません。仮に北方領土が全面返還されても、一%しか面積が増えないんですよ、福田さん。すると、今までと違う発想の転換が必要だと、私はこのように考えております。  すなわち、箱物行政に象徴される右肩上がりのこうした社会が増大していくというような物質的な社会から、人々が新しい豊かさを感じられるこうした社会へと変えていかなきゃいけない。それはすなわち、既得権益に守られた政官業の方々の一極集中のピラミッドから、地域分散型でありながら世代分断型ではない平らな社会にしていくということです。それが富国強兵から経世済民という経済を興し人々に喜びを与える社会でございます。  こうした中で、日本のまさに人々の命を守るということに関して、ちょうど一週間前、極めて衝撃的なデータが出されました。厚生労働省の発表では、去年一年間に献血をなさった方々の中でHIVのウイルスに感染をされていた、この方が百二名いらっしゃった。報道されたところであります。  福田さんとそして厚生労働大臣であります舛添さんに、この数値の報告を受けたときにどのようにお感じになったのか、また何をすべきか、お二方にお聞きします。
  189. 林芳正

    ○理事(林芳正君) 舛添厚生労働大臣
  190. 田中康夫

    田中康夫君 いや、福田さんからです。
  191. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 先般、成人の日の献血という場に私も立ち会いました。そして、まずこれはきちんと問診をし、本人確認をする。それで、今、HIVの検査目的で献血に来られる方もおられるというようなこともありますし、それから今非常に私が懸念していますのは、例えばタトゥーですね、入れ墨、こういうことを通じてHIVであるとか肝炎とかに感染している方々もおられるということで、もちろんスクリーニング、ちゃんと検査をいたしますから、そうして採血した血液を使うことはありません。しかし、数が増えているということは、これは非常に深刻な問題でありますので、いろんな対策を、今申し上げたような対策を取ってまいりたいと思います。
  192. 田中康夫

    田中康夫君 対策を取っているとおっしゃいました。しかし、この百二人の感染をなさっている方々には、厚生労働省は個人情報の観点からと称してお伝えになっていないんですよ。感染をされた方が早期に治療をすれば、良い意味で発病を延ばすことはできます。しかし、発病された後は現在の医療では不可能なんです。  そして、舛添さんは今、検査をしているとおっしゃった。HIVは感染をしてから二週間の間は、ウインドー期間といって血液の上で陽性と出ません。こうした方々に関してはどのような対処をなさっているのですか、献血に関して。
  193. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) まず、最初おっしゃった本人に個人情報を守るためにお伝えしていないということですが、私が理解しているところは、それを公表したりするのではなくて、そういう個人に、非常にほかの人に知れないようにきちんと伝えているというふうに私は理解をしております。  それから、今、具体的な数字ですけれども平成十九年において、四百九十四万件の献血のうちにHIV陽性であったのが百二件、〇・〇〇二%であります。そして、今おっしゃいましたように、出てくるまでに少し時間掛かる、ちょうどそこに引っかかったときには、これはその検査を逃れてしまうわけでありまして、そういう現に輸血に用いられた血液製剤がHIVウイルスで陽性であった事例が、平成九年に一件、平成十一年に二件、平成十五年に一件でありまして、輸血を通じて実際にHIVに感染したと確認された事例は平成十五年の一件のみでありますけれども、こういうことがないように、例えばこれから科学技術的な手が打てるか。ただ、今委員がおっしゃったように、その間は潜伏している、そう表に出ないわけでありますから、非常に不幸にそういうことで平成十五年の一件のようにかかった場合には、この医療手当の支給というようなことも含めて全力を挙げて御支援すると、それが今の方策であります。
  194. 田中康夫

    田中康夫君 薬害肝炎の悲劇を同じように繰り返すということですよ。十万人に二人の方がHIVの陽性だった。仮に全国民が献血をすれば二千四百人という割合ですよ。今回の薬害肝炎の最初の原告団の二百一人の方の十倍もの方々が感染をしているかもしれないのに認知されていないということです。そして、ウインドー期間の間の方々、これは、B型肝炎やC型肝炎は感染をしてから血液を検査する間に陽性と出るまでに二か月も掛かります。  こうした問題を放置し続けるのですね。なぜ日本はそれができないのですか。
  195. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今のそういう御指摘を受けて、どういう形でこれは対応できるか、それはきちんと検討してみたいと思いますが、今のこの体制でできるだけのことはやっている。しかし、今の、私は、この輸血、今表に出るまでの期間どうするか。これは委員の御指摘がありましたけれども、この問題をどうするかということで私は非常に真剣に考えておりまして、これについてしかるべきどういう対応ができるか、きちんと検討して対処したいと思います。
  196. 田中康夫

    田中康夫君 既にヨーロッパでは行っているんです。不活化という作業がありまして、これを行うとプリオン以外のすべてのウイルスや細菌は殺すことができます。ヨーロッパだけではありません。アメリカもこの一月十一日から全面導入することを決めました。欧米だけではありません。アジアにおいても、シンガポール、マレーシア、そしてタイ、またベトナム、ここも不活化の作業を行って血液の感染を防いでいるんです。ベトナムは日本のODAで経済の復興をしている場所です。なぜ、ODAで協力をしている日本が、日本の中に住んでいる方々の血液による被害を、この不活化という作業を導入できないんですか。
  197. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今、日本赤十字社においてこの点の作業を既に評価、検討を行わせております。  ただ、私は血液の専門家じゃないんで医学的にどこまで正しいことが言えるか分かりませんが、私がその赤十字から聞いている情報ですと、不活化の問題の場合に、不活化処理の問題に、不活化剤の安全性、不活化処理が、赤血球、血小板などの有効成分を壊してしまうおそれがあるというようなことについて、そういう懸念があるので、検討し、どういう対応を取るかということを今鋭意検討しているというところでありまして、御承知のように、今おっしゃったように、イギリス、フランス、ドイツでは三種類の不活化剤が開発されてこれを実施しております。アメリカでは今年の一月十一日に、不活化剤を更にいいものを、この病原体の低減技術の開発を急ぐように要請されておりますので、そういう諸外国の事例、そしてまた日本赤十字社の検討状況を踏まえた上できちんと対応してまいりたいと思います。
  198. 田中康夫

    田中康夫君 検討してないんじゃないですか。平成十六年からあなた方は既に検討を始めているんですよ。五年たつんですよ。欧米では導入しているんですよ。じゃ、導入している欧米は愚かだとおっしゃるんですか。  あなた方は、逆に今の御発言は、まさにミドリ十字改め田辺三菱を始めとする政官業の業界の方を向いているんじゃありませんか。導入に関しては、二百億円を導入をすれば全国でこれができるんです。年間の維持費は六十億円です。六十億円というのは、日本の一時間の増えている借金が六十六億円ですよ。一時間の増える借金を続けながら、人の命を、あなた方は薬害肝炎、薬害エイズの問題から何ら学んでいないんです。  福田さん、今の舛添さんの答弁をお聞きになって何を決断して何を行われるのか、あるいは行われないのか、お答えください。
  199. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今申し上げましたように、安全対策について、これはやはり、もちろん総理含め、C型肝炎の問題について、そしてその前のHIVの問題についてきちんと心からおわびをし、きちんと対策を取る、そういう手を取っているわけでありまして、そしてこの血液製剤、人の血を原料とする、その中にどういうウイルスが入っているか分からない、できるだけの安全対策をやる。諸外国の事例もこの参考にしながら、今申し上げましたように、日本赤十字社において検討されている。そして、全力を挙げてその安全対策は行ってまいります。
  200. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 今、委員厚生労働大臣質疑お伺いしておりまして、このエイズ問題というのは、これは我が国にとっても深刻に考える、本当に深刻に考えなければいけない問題だということでありますので、この対応については、これはやっぱり時間掛けてはいけないんだろうというように思います。早急に厚生労働省の方で結論を出すべく督促をしたいと思っております。
  201. 田中康夫

    田中康夫君 命はこの瞬間の問題です。舛添さんは日本の国家の信用はコンビニ以下だ、コンビニで働いている方に失礼ですけれども、こういうことを雑誌のインタビューでおっしゃっている。彼らにはモラルも何も公務員にはあったものじゃないとあなたがおっしゃっている。あなたこそ人の命を放置するモラルがない方だと私は思います。  続いて、地方財政に関して伺います。増田大臣に伺います。  減収補てん債というものを今回発行するに至った、そうせざるを得なかった理由に関してお教えください。
  202. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) 減収補てん債ですけれども、これはある当該団体の基準的な財政収入額を毎回毎回交付税を算定する際に算定をするわけですけれども、それと実際の税収との、実績との乖離がどうしても出てくる場合がございます。というか、なかなかきちんとそれが予測できないので何らかの加減、増減を行うわけですが、それを交付税として、例えば収入が少なければ後年度に加算をするということが行われるわけですけれども、それが翌年度ですと当該年度困りますので、それを当該年度、減収補てん債という形で地方債を発行をしていただいて翌年度以降にそれの元利償還を交付税措置をすると、こういう極めて技術的なものでございます。  今年度の補正でも、先般衆議院でお認めをいただきましたけれども、これについては従来、減収補てん債、建設事業の経費に充てるということでございましたけれども、最近、投資的経費が二分の一あるいはそれ以下に減っているということがございまして、今年は実績との乖離が多い団体がかなり多かったものですから、そして建設投資が著しく減っているということもございましたので、この十九年補正におきまして減収の補てん債の発行をお認めいただくように法律改正、先般衆議院で通りましたのはそういう改正をお願いしたものでございます。
  203. 田中康夫

    田中康夫君 それだけ自治体は困っていると。  増田さんは改革派知事と言われました。しかし、十二年間の知事の間に借金は二倍になられたわけですね。一兆四千億円の借金に、二倍になった。改革派の知事ですらそうなってしまったのは増田さんの資質なのか国の制度なのか、この点に関して、昼休みを終えて一時から更に伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
  204. 林芳正

    ○理事(林芳正君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  205. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十九年度補正予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。田中康夫君。
  206. 田中康夫

    田中康夫君 不都合な制度は大胆に変革する勇気を持とうという、福田さんから輸血にかかわる不活化を早急に導入するという御答弁をいただきました。あわせて、こうした人を向いていない、政官業を向いている血液法の改正、また、感染の悲劇を防ぐために自己血と呼ばれる自分の血をあらかじめ採ったものの成分分離をできる、こうした形を導入するべきだと思います。御指示をいただければ、厚生労働省の方々に私の考えを後刻お伝えをいたします。  ところで、午前中は緊張の余り、ここにありました水をついこぼしてしまいましたが、しかし、私は政官業の腐敗を水に流すつもりは毛頭ございません。これは私ども会派の統一した意見でございます。  この中で、午前中、改革派の知事として知られた増田さんは十二年間の在任中に一兆四千億円と、岩手県の借金の残高を二倍にしてしまったというお話をいたしました。なぜそのようになってしまったのか。増田さんのリーダーシップの問題なのか、国の制度の問題なのか、あるいは悔しくなかったのか、お答えください。
  207. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) お答えを申し上げます。  同じ知事経験者として、地方財政を健全化する上でいろいろ先生も御苦労がおありだったかと思うんですが、やはりこの地方財政、岩手の場合に、今お話ございましたとおり、就任時に比べて大体借入金残高が二倍になったわけですが、その大きな理由、私は、一つは地方での、地方税の収入がなかなか伸びない、あるいは途中では随分落ち込んだ時期もございまして、やはり地方経済がうまく立ち行かないということが一つ。それから、あと社会保障関係費はずっとこの間増えてきていまして、そういう義務的な経費が増えてきているということも一つあります。  ただ、一番大きな原因でございますけれども、これは、やはり平成四年以降だったかと思いますが、国、地方併せまして公共事業を大分景気対策ということで行ったわけでございます。この公共事業を随分量的に拡大をして実施をしました。これは借金で実施をするものでございまして、その後、今申し上げましたような地域経済がなかなかうまくいかなかったということによって、その償還費の負担が非常に厳しかったということもあると思います。  これは私のリーダーシップの欠如かどうかというお話がございました、悔しくなかったかどうかというお話がございましたけれども、もちろんこういったことについて、国、地方一体で景気対策を拡大したということが大きな要因でございまして、それぞれ考え方を持ってやってきたことであると思いますが、やはり私は、岩手県議会の中で申し上げましたけれども、最終的には地域に責任を持つ知事が議会とよく判断をしながら議会との議論の末に決めてきたことでありますので、そういう中で、私自身もそういったことの結果をきちんと負うべきだというふうに思っておりますし、そしてまたそのことを健全化するための努力もいろいろやってきたつもりでございます。  やっと借入金も減る傾向に今岩手県も来ているところではございますが、そうしたことも含めて、これは今度は総務大臣立場としても地方財政の健全化に努力していかなければならない、こういうふうに思っております。
  208. 田中康夫

    田中康夫君 しかし、十二年間で借金は倍増されたわけです。私は増田さんと同じ時期に六年間、半分でございますが、知事を経験させていただきました。手前みそに聞こえるかもしれませんが、四十七都道府県で唯一、起債残高、借金を連続して減らし、プライマリーバランスと呼ばれる財政収支を、基礎的財政収支を連続して黒字化をして、また最後には基金を積み増しをいたしました。しかし、談合をしない、あるいは利権をつくらないということで、山から下りてよいという意見もありまして、しかし捨てる神あれば拾う神ありで、今参議院議員民主党の皆様と一緒にさせていただいておりますが。  しかし、増田さんは議会で何でこんなになったんだと言われたときに、強力な権限を持つ中央官庁が権限を放さなかったからだと岩手県議会で一昨年の十二月に答弁をなさっていらっしゃいますよね。今、強大な権限を持つようになった総務大臣として、具体的にどのように地方の疲弊を解決するのか、財政を健全化するのか、お話しください。
  209. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) 国の地方財政に対する影響力というのは大変大きなものがございまして、景気対策ども、当時各公共団体も、景気が非常に低迷したバブル崩壊後でございましたので、どこでもそうしたことを多くやったわけですね。ちょうど田中知事も御就任時が長野オリンピックの後でございましたので、大変御苦労されたんだろうと思います。当然、減らすべきは減らされたんだと思いますが、そうした経験をした知事は、皆、その後財政を健全化するための努力をしてきたと。  私も、そういう国の大きなそうした事業に対しての影響力というのは常に考えておりますので、そういう地方に対しての財政が今非常に悪化していることを正す上で、やはり投資的経費をずっと増やすだけでは地域の経済もなかなか良くならないということが、午前中、小泉何とか改革と、構造改革とおっしゃっていましたけど、まさに投資的経費を減らしたりとかいう、財政構造改革やろうということへつながったんだろうと私は思います。  そういう中で、まだまだ三位一体改革などは不十分な成果でございますので、そのことは私も議会できちんと申し上げておりますし、そうしたことの経験も踏まえましてこの地方財政の健全化に向けて今取り組んでいると。このためにはいろいろ順番があります。恐らく、いろいろな今取り組んでいることについてそちらもお考えがあると思いますが、例えば地域の税の偏在是正をするとか、三位一体改革で東京にばかり収入が集まるけどほかは疲弊したということを直すとか、やっぱり順番をきちんと考えながら、そして大きな分権国家に向かっていくということに向けて進んでいかなければならないんだろうというふうに思っております。
  210. 田中康夫

    田中康夫君 私は、なあんちゃって小泉・竹中へなちょこ構造改革と申し上げましたので、是非御記憶におとどめください。  しかし、増田さんは、お金を配るような装置を新たにつくらないことで無駄を省くべきだと、このこともインタビューでお答えになっています。私は、この瞬間もまじめに働いていらっしゃる多くの公務員の方々、こうした方々を傷つける思いはございません。公務員の方々が拍手をされるような行政や政治である必要があると思っています。  お手元にお配りしましたこちらを御覧ください。(資料提示)ところが、日本では退職手当債という新たな借金をつくっているわけです。すなわち、退職金が払えないから退職金を払うために借金をする、御覧いただけば分かるように、平成十九年度には、何と四十一道府県で退職金を払うために三千三百億円も借金をしているんです。政令市やそのほかの自治体も入れると、去年一年で五千九百億円も借金をしているというわけです。  福田さんは年末の地元の新聞で、公務員いじめをするような世の中であってはいけないとお話しになりました。公務員の方に払う借金、これを返すのは私たちと同じ日本に暮らす方々です。この状況をどうお考えになるか、お答えください。
  211. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 増田大臣
  212. 田中康夫

    田中康夫君 私は福田さんと申し上げたんです。
  213. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) 今、私の手元に配付された表でございますけれども、こういう各団体で退職手当債を発行している、これはもう知事御経験なんで十分お分かりだと思いますけれども、企業と違って自治体の場合には、退職引当金というものを積まずに、毎年毎年、これまで退職者が出てくるたびに予算計上すると、そういうやり方できていたわけですね。  ところが、いわゆる団塊の世代の大量退職者が出ると、こういうことになってきましたので、この財政的な手当てをどうするかということが大変大きな問題になってまいります。したがって、そうした退職者といいましょうか、その職員の人口構成の山、あるいは退職者が出るそのカーブに応じてその財政需要を手当てできればいいんですが、先ほど言いましたように、地方財政というのは今非常に厳しい状況ありますから、そのむしろカーブを崩して多年度にわたって平準化をしていこうと、こういうことでこの退職手当債が手当てをされたと、こういうふうに理解をしておりますが、ただこれを、おっしゃるとおり財政規律を破ってまで野方図にやるというのはよくないわけでありますので、この退職手当債の発行をするに当たって、定数削減、まあ長野でも随分やられたことはもう以前からお聞きしていますけど、そういった定数削減によって、将来の総人件費の削減できちんとそこが償還できるかだとか、あるいは、定員の管理・給与適正化計画でちゃんとそこのところを適正化するようなことをしているのかどうかということを見ながら、その中でこの退職手当債を認めていくと、こういうことになっていますので、やはり、現実の今財政需要が自治体厳しい中で、しかも大量退職者が出てくる中で、一つの編み出された方法だろうというふうに思っております。  それぞれの自治体でも、それを全部これで賄うというよりも、いろいろな財政運営の中でこれは当然運営をされているということと理解をしております。
  214. 田中康夫

    田中康夫君 ちょっと待ってください。  六十歳で定年をされる方というのは、病気や事故死で亡くなられる方を含めても幾らくらいと分かっていたはずですよ。今のお話だと、民間と違うから引き当てをあらかじめしておけないということは、政治は出たとこ勝負だとおっしゃっているんですね、行政は出たとこ勝負だとおっしゃっているんですね。ですから、日本は、一時間に六十六億円、一週間に一兆二千億円も借金しているんですよ。日本で一番大きな、そして世界有数の優良企業である武田薬品工業の一年間の世界中の総売上高と同じ金額をわずか一週間で借金し続けているんですよ。そして、八十万人ずつ人口が減っていく。だれが返すんですか。お孫さんやひ孫さんにそれを押し付けるんですか。年金は五十五歳が六十歳になり六十五歳になり、お金がないからといって、給付率も下げさせてくださいといって、まじめに働いている公務員の人たちを含めて退職金は満額払いますと。公務員の退職金の平均は二千八百三十五万円と総務省が発表しています。  私は、こうしたことを野方図にしているからまじめに働く公務員が傷つくんです。総理、お考えを聞かせてください。
  215. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 今、退職手当債ということでお話しになられましたけれども、今総務大臣の言っている理由も分かるんですけれども、やっぱり、これは計画性を持っているかどうかという、そういうことも極めて大事だと思います。それはもう委員のおっしゃるとおりでありまして、そういう意味では、この債券が、これが償還可能な範囲であるということであるならばある程度許されることではないかと思います。しかし、もちろん財政規律ということを考えれば極力抑えなければいけない、また中長期的にこういう問題をあらかじめ考えて計画を進めていくということも必要なんだろうと思います。  今までのように経済成長もない時代になりまして、まさにこういう計画性というのは非常に大事になってくるというように思いますので、将来のことを余り当てにしてやらないようなしっかりした規律を持つ、より厳しい規律を持つということはこれから必要だというふうに思っております。
  216. 田中康夫

    田中康夫君 この退職手当債は十年間出すことを許可しているんです。是非この問題に関しても前向きに、不都合な制度は改革していただきたいと思います。  続いて、洞爺湖サミットを迎える福田さんにお聞きをいたします。  日本の森林の面積というものは日本の面積の約七割近くを占めております。森林の国のように見えるカナダあるいはアメリカも森林の面積は三割でございます。日本の森林の約半分は人工林でございまして、これは例外なく杉やヒノキという針葉樹ですので、間伐ということを行いませんと、雨後のタケノコのままで、幹が太くならず、森林の公益的価値が損なわれてまいります。ところが、日本の林野庁の予算というのは年間約三千七百億円から八百億円でございます。  先日、大河原雅子議員が代表質問をしたところ、福田さんが色をなされましたけれども、群馬県の山奥で不要不急な八ツ場ダムというのは八千八百億円の金額でございます。一つのダムを造るのの半分の金額が林野庁の予算。また、その中の、林野庁の予算の中で森林の間伐や整備に使っているのは更にその一〇%に満たない三百億円程度でございます。今回、サミットをするからといって水産庁から五十億円、農水省から百億円かき集めてきてもそのような状況。六年間間伐をするといいますが、六年たっても日本の人工林の三分の一は間伐をしないで荒れたままだということです。  なぜ巨大な、大変失礼ですが、福田ダムのわずか二十五分の一の金額しか森林整備に使わないこの日本が、果たして洞爺湖サミットでCO2を削減する、地球温暖化を防ぐということを議長として公言できるのでありましょうか。御見解を首相に、福田さんにお聞きします。
  217. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) まず、概括的なことを申し上げます。詳細はまた農林水産大臣に聞いていただきたいと思いますけれども。  森林整備は国土の保全、水源の涵養、また地球温暖化防止と、おっしゃるとおりの目的を持っているわけでありまして、また森林の多面的な機能というものは十分発揮されるようでなければいけないと思います。そういうために、間伐を推進するとか、長期的な視点に立って広葉樹林化等による多様で健全な森づくりを推進するという考え方を基本といたしております。  今、ダムで八千何百億、私も詳細よく分からないんですけれども、そういうような金額、これは何十年にわたって支出しているわけですね。三百億というんですか、それは単年度ですか、ちょっとよく分からないんで、申し訳ないけれども。そこで単純な比較というのは難しいというように思います。
  218. 田中康夫

    田中康夫君 三百億円は日本の借金五時間分でございますよ。  森林の整備というのは一ヘクタール、人件費を含めて三十五万円でできます。そのうち人件費が二十二万円です。すなわち三分の二以上は地域の方々の雇用につながるわけです。私は是非とも、サミットを仮に福田さんが議長として開催されるという御意思がおありになるのであれば、日本の人工林をすべて間伐をする、そのことによって温暖化を防ぐということを実行していただきたいと思います。  私は知事時代に、大変に厳しい財政再建をする中で、森林整備の面積あるいは予算を二・五倍にいたしました。ほぼ県の財政です。しかし、これは先ほど言ったように、わずかな金額でできるんです。  そして、こちらを御覧ください。(資料提示)これは、軽井沢に設置をいたしました、県内各地に設置をした信州型の木製ガードレールです。ガードレールを造っているのは、日本に鉄のガードレールを造っている会社はわずか四社しかございません。談合状態の高値であります。木のガードレールを、これはつくば市にある日本自動車研究所に持ち込んで、鉄と同じ強さであるという認証を国土交通省から受けて設けたものであります。一キロ当たり、間伐をするところから製材をして設置をするまですべて地元雇用でありますから、二百九十一人という雇用になります。鉄のガードレールは設置をするだけでございますから、大きな都会にある会社から買ってきて、わずか設置費用だけで一キロ当たり地元雇用は五十八人でございます。すなわち五倍の雇用になるということです。  今日は、予算委員の佐藤信秋さんが国土交通次官だったときに私がこのお話をしましたら、いやあ、いい公共事業だなと、これなら国土交通省も胸を張れるので予算組もうとおっしゃいましたよね。私も有り難いと思った。ところが、地元選出の自由民主党の議員の方が、やいだ、何だ、ううだと言われて、それは日の目を見なかったんです。そうしたことをなさってこそ税金をちょうだいしている政権与党ではございませんか。私はこのことを申し上げたい。  そして、ダムを造り続けているのは、慣行水利権というものは明治二十九年から変わってないんです。水田の面積は昭和三十年代の半分です、自給率を高めなければいけないとはいえ。その慣行水利権をお持ちの方、工業用水の方もいます、こうした方から水利権を、良い意味で、水は皆のものです、返上していただいた企業や農水者には減税をするというような形も、私はサミットをする国らしいと思っております。  そして、道路に関してでございます。  実は、日本の電線地中化をしているのはわずか道路特定財源の中の三%にすぎません。こうしたところにきちんとお金を使うということが大事であると思います。  総理に、この点に関しても御意見をお聞きしたいと思います。
  219. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) その写真を見ても、大変美しくて周りの風景ともマッチしておりますし、また間伐材を利用して造られたということは大変すばらしいことだと思います。  しかしながら、先ほど知事もおっしゃられましたように、防護さくの単価は、木製防護さくの場合はメーター当たりで二万一千七百円、そして鋼製の防護さくの場合は五千六百二十円でございまして、やはり四倍ないし五倍の差があるものですから。長野県では十九キロメートルの防護さくを設置されました。しかしながら、これを全国に広げるということは、鋼製の防護さくの場合それほど安くできるということから、一般に広がらなかったということをまず申し上げたいと思います。  それから、踏切と電線ですか。これについても、もう本当にパリの五十倍、東京の二十三区はですね、の踏切がございます。  これはいろいろな沿革があると思うんですが、パリは地下鉄が物すごく普及しているということ、それから地域が東京二十三区から比べればずっと狭いということを考えますと、それでも東京は多過ぎます。これは、やはり鉄道から始まって都心の中まで鉄軌道が平面で走っているということが非常に大きなところだと思います。踏切の数を東京二十三区を六百七十三と見た場合に、ロンドンではわずか十、パリは十四ということですから、比較になりません。しかしながら、そういう実態があることは事実でございまして、道路特定財源を活用いたしまして、連続立体交差とかそういうことで踏切、あるいは電線の地中化、共同溝というものを進めなければならないという課題があると思います。
  220. 田中康夫

    田中康夫君 拍手される公共事業の在り方に関しては、民主党の菅さんを始めとする方と具体的に予算を提案してまいりたいと思っております。  福田さん、大規模な増税こそ構造改革だなんて、これぞ時代錯誤の発想だと言った学者がおります。これに関して御所見を少しお聞きしたいと思います。
  221. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 増税をするということは、これは特定財源のお話おっしゃっているんですか。一般論ですね。一般論でよろしいですね。  それは増税をしないですべてやっていけるんであればこんなにいいことはないと思います。そういう意味で、出る方も一生懸命削減しながら効率的に使うという努力をしなければ当然いけません。しかし、と同時に、増税しないで、そして今あるサービスを削らなきゃいかぬというようなことになってもこれもいけないということになりますから、その辺は全体見ながらどういう議論をしていくかというのはこれからの問題だと思います。  そういう意味で、社会保障の在り方というようなことについても、これから国民会議を開いて、そのあるべき姿、将来のあるべき姿というものをこれを考えていきたいと思っております。そういう中から、どれだけの負担を国民が負うべきか、そしてどれだけのサービスを受けるべきかといったようなことが浮かび上がってくるようにしたいと、こういうふうに思っておりますけれども、高齢化時代であります。そして少子化、若い人が減ってくると、こういう状況の中で、支える若い人たちが重税にあえぐというのもこれも問題があるわけでありますから、その辺のバランスをいかに取っていくかということがこれからの大きな課題であるというように認識しております。
  222. 田中康夫

    田中康夫君 今の発言は、政策研究大学院大学の教授の松谷明彦さんという、福田さんも十分御存じの方の発言であります。  実は、アメリカでは、一九九〇年代に減税をした上位十州というものは、減税をしたことで逆に雇用が増え、企業の進出が増え、一人当たりの所得が増え、そして消費も増えました。  三菱総合研究所は、消費税を今の努力をしないまま五%上げれば、GDPは一・九%減少、民間消費は二・七%減少すると言っています。つまり、ゼロ成長になっちゃうということです。  サウスカロライナ州というところのマーク・サンフォードという知事は共和党の知事です。この間バラク・オバマが勝利をした州であります。そこにおいては、積極的な減税をして、無駄な補助金、ポークと呼ばれる既得権益の補助金をやめることによって、全米で最も経済が成長して一般の方々の収入も増えたということです。  今こそ日本はこうした逆転の発想をしなくてはいけません。  福田さんは、井戸を掘るなら水が出てくるまで掘り続けるとおっしゃった。しかし、水が出ないような場所を掘り続けてきたのが今までの日本の箱物行政を始めとする政治だったのではないでしょうか。  的確な認識を持って、迅速な行動をして、そして明確な責任を取る、これこそが政治であると私は考えております。井戸を掘り続けるだけでは硫黄島の悲劇と同じようなことになります。私たちの少子社会の中で、どこにどのような形をするのか、日本のこの社会の在り方というものを抜本的に考える、そうしたことこそがリーダーの責務である。その責務を負えないとおっしゃるのであるならば、私ども民主党方々と一緒に日本の社会をより良くするために担う決意があるということを最後に申し上げ、私の質疑とさせていただきます。  どうもありがとうございます。
  223. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) これにて田中康夫君の関連質疑は終了いたしました。  以上で直嶋正行君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  224. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、椎名一保君の質疑を行います。椎名君。
  225. 椎名一保

    ○椎名一保君 自由民主党の椎名一保でございます。  委員長のお許しをいただきまして、今日は私と加納委員、坂本委員で基本質疑を担当させていただきます。どうか総理始め閣僚の皆様方には、国民に分かりやすいように、私に理解できるように、ひとつ簡明な御答弁をお願い申し上げる次第でございます。  質問に入ります前に、今日午前中の質疑を聞いておりまして、民主党の直嶋政調会長が、もう閣法に深く踏み込んだような道路特定財源の御議論をされました。私も大変勉強にもなりましたし、感銘を受けた次第でございます。参議院の矜持を示したと申しますか、どうか総理始め閣僚の皆様方にも、我々与党もいろんな声を承知で政府提案のこの法案を推薦しているわけでございまして、どうか国民に分かりやすい簡明なる答弁をお願いを申し上げる次第でございます。  また、つなぎ法案と申しますかブリッジ法案の件につきましていろいろ御意見をいただきましたけれども、決してこれは、私も参議院の一員として申し上げるんですけれども参議院審議影響を与えるということではなくて、政府提出した以上年度内予算を成立させる責任があります。そのために保障、セーフティーネットを張ったということでございますんで、これは両院議長の貴重なるあっせんで動き出したわけでございますんで、今日このような充実した審議に入れたわけでございますんで、どうかこのことは国民の皆様方にも御理解をいただきたく思う次第でございます。  本来、与党最初に質問をするところでございますけれども、御承知のとおり……(発言する者あり)失礼いたしました。ですから、二番目になってしまいましたけれども、大切なことを先ほど羽田委員も御質問なさってくださいましたけれども、私の方からも、今国民が大変不安に思っているあの一口ギョーザの問題。  カロリーベースで日本は四〇%しか食料の自給がないわけでございまして、輸入食品、加工食品の安全性の確保ということはもう日本人の命にかかわることでございますんで、いま一度、最初舛添厚生大臣から御答弁をいただきたいと思います。国民が安心できるような御答弁をお願い申し上げる次第でございます。
  226. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) まず、重ねて国民の皆さん方にお願いいたしますけれども、この一口ギョーザ含め関連の食品については、報道などの手段を使いまして皆様方に情報を提供しておりますので、絶対に口にしないでいただきたい、食べないでいただきたい。そして、業務用のものも出回っておりますので、飲食店などにおいて国民に供さないようにしていただきたいと思います。  その上で、まず第一に被害拡大の防止ということに全力を挙げて行っておりますし、各地でこの商品の回収、そして保健所などの窓口で懇切丁寧に相談を受け、対応しているところであります。さらに、原因の究明にも全力を挙げておりますし、二〇〇五年に中国政府と、中国の厚生労働大臣日本厚生労働大臣との間に覚書が交わされておりまして、これに基づいて今回のような事案につきましては緊密に連絡を取って協力して対応するということでありますので、このことも外務省を通じまして要請をしたところでございます。  そして、二度とこういうことが起こらないように再発防止策を徹底してまいりたいと思います。強い決意で政府は臨んでまいります。
  227. 椎名一保

    ○椎名一保君 いろいろ厚生労働省、年金の問題から大変重大な問題に直面しておりますけれども、このことは本当にもう毎日毎日の問題でございますので、どうかひとつしっかりと対応していただけるよう与党としてもお願い申し上げる次第でございます。  総理、一月二十五日の読売新聞なんですけれども、これは読売新聞が長期調査をしておりまして、今回は国家観をテーマにした調査でございました。国民であることを誇りに思うと、九三%の方が誇りに思うと。そして、国の役に立ちたいと七三%の方が思っておられるんですね。その中でも、非常に誇りに思うと答えた人は五五%なんです。  私は、こういう方たちに一度、総理始め閣僚の方々から日本人として持つべき自負心とは何かということを語っていただきたいと思います。  まず、総理からお願いいたします。
  228. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 今、読売新聞の調査のお話ございましたけれども、私も、その数字、日本人が誇りを持っていると、日本人としての、そういう数字が九〇%以上あったと、ほっとしているんですよ。  と申しますのは、最近、テレビ見ていると、もう本当に日本は駄目だ駄目だみたいなそういうようなことを言っているのをよく見ておりまして、それで政治も駄目だ、行政も駄目だ、あれもだれもこれも、教育も駄目だみたいなね、そういうことを見ておりまして、これは日本人が自信を失っちゃうんじゃないかなというふうなおそれを実は持っておったんですけれども、そういう発表を見て本当に良かったなと思っております。  まさに、日本は世界の中でも最長寿国でしょう。これね、長寿というのはただ長寿というだけのことじゃなくて、それを支える社会の仕組み、また経済力、いろいろなことがあるわけですね。医療制度もいい、それから国民が健康に対する知識を持っているといったようなことも含めて、いろんな条件があって初めて達成できることだというように思いますので、それも毎年少しずつ延びているという状況にありますから、これは大変すばらしいことだというふうに思っております。このことはまず第一に日本人が誇らなければいけないことだというように思っております。  と同時に、日本というのは、私ども、外国へ行きまして、そして外国の人と話をしていると、日本に対する期待というのは非常に大きいということがよく分かります。ということは、日本は捨てたもんじゃないなと。そしてまた、日本の製品もいろんな商品が、いいものをつくって売っているというようなこともあるものですから、そういう面における評価も高いし、文化も評価されているということで、今の状況というのはすばらしい状況にあるような感じもいたします。  しかし、それは現在なんですよ。現在ということは、過去の、過去と言っちゃ我々も入りますけれども、先生も入りますけれども、過去の努力の結果なんですね。問題は、これをこれからどうするかということですね。これ持続できるのかどうか、更に向上することができるかどうか、そこがこれからの問題だというように思いまして、私は、そういう誇りとかそういうことはそういう将来に対する自信につながって、そして努力の源泉だと思いますから、いいことだと思います。だけれども、その今の状態に甘んじてはいけないということをつくづく感じておるところです。特に今、転換期というように言われております。経済も、それから社会も、いろんな意味で転換点ですよ。ですから、そういう転換点をうまく乗り切る、これが、この知恵がこれから求められていると、本当に求められていると、そういうふうに思っております。
  229. 椎名一保

    ○椎名一保君 国際社会に向けての自負心ということから、外務大臣からお聞きしたいと思います。
  230. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 日本は、第二次大戦終わってから六十数年間ずっと平和と独立を維持してきて、そしてその中で、世界のレベルからいえば国民はかなり豊かな生活をしていると。そして、我が国が平和と独立を維持するだけじゃなくて、世界のどの国の平和と独立を脅かしたこともないと。そればかりでなくて、世界とともに平和でありたい、世界とともに繁栄したい、そういうことでずっと努力をしてきた。  例えばODA、これはアジアの経済が離陸をするのに大変に役に立ったと思います。一九六〇年代のアジアとアフリカの豊かさというのか、貧しさというのか、大体同じぐらいでありまして、今はるかに差が付いた。これはアジア諸国のそれぞれの自助努力というのがあったわけでありますが、やはり日本のODA抜きにそれは考えられないわけでありまして、今後に向かっては、このアジアの成功体験をアフリカにもしようということで、かなり前から、今はアフリカに資源があるからといって着目する国たくさんあるわけだけれども、一九九三年、第一回のTICAD、アフリカ開発会議というのを開いてこの成功体験をアフリカにも展開しようということで、今年は第四回のアフリカ開発会議が開かれるわけでありますが、そういうことで一生懸命努力をしているわけですね。  そういうことで、世界からも相当の信頼を受けていると、こういうふうに自負をしているわけであります。
  231. 椎名一保

    ○椎名一保君 この件で、最後に、青少年に向けて文部科学大臣の渡海先生からお願いいたします。
  232. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 実は私も、今日たまたまこの先生の新聞を見付けたわけでありますが、何を誇りにするかということは、やっぱり国民の共通の理解みたいなものもこれであるなと正直思いました。  当初、先生の御質問の趣旨を聞いたときは、個人によって随分差があるんじゃないかなと、そんな印象を持ったわけでありますけれども、これ、我が国はやっぱり非常に歴史と伝統のある国であるということは一つ誇りにすべきことであろうと思います。そのことをやっぱり学校教育でもしっかりと教えていかなきゃいけない、これは教育基本法の理念でもあるわけでありますから、そういったこともあります。  そして、今外務大臣から御発言がありましたが、やっぱり外へ行くとよく分かるということがたくさんあるわけでありますけれども、この戦後の経済発展というのは、やっぱり私は物づくりだと思うんですね。それを考えたときに、例えば中東の国辺りでも、やっぱり日本の車はすばらしい、日本の何々はすばらしいという話をよく聞くんですね。私の子供のころは、実は日本の車がエンストしている横をアメリカの大きな車がびゅうっと走り抜けていましたよね。ですから、随分変わったんだなと思います。  そういったやっぱり技術をしっかりと守っていくこと、これは大事なことだというふうに思います。特にこれから、今理科教育というのが心配されていますから、そういったことを学校教育の現場でしっかり教えていく、また面白さを教えていくということも大事だと思いますし、日本の国はこんなみんな国民が誇りに思っているんだよと、また日本人に生まれたいと思っているんだよということもしっかりと教えていく、これが大事なんじゃないでしょうか。  もう一点だけ。やっぱり、国民が誇りに思うような国づくりをするというのはこれは与野党問わず政治家の役割だと、そういうふうに思っております。
  233. 椎名一保

    ○椎名一保君 ありがとうございました。  日本国民として持つべき自負心、持っていい自負心というのはたくさんあるんだなと。本来は閣僚の皆さん方から全員お伺いしたいところでございます。  なぜかと申し上げますと、やはり予算を作る、国の基本的な指針を作るということは、こういう自負心がなければできないことであります。国民は、人間はただ生きていくよりも、やはり気力を持って生きていきたいとみんな思っているわけです。自負心というのは、私が思いますに、やはり気力の糧だと思います。どうか、国民が常にそういう思いを持てるように、閣僚の皆さん総理始め皆さん方に堂々と発信をしていっていただきたいとまずもってお願いをする次第でございます。  与党の質問でございますので、補正予算でございますので補正予算関連の質問からさせていただきます。  今回の補正予算は税収が減益となりまして大変厳しい財政状況の中で組まれておるわけでございますけれども、しかし、国民の安全と安心ということは絶対これは待ったが利かないわけでございまして、特にそういった事柄に対してきめ細かく対応をしてくださっていると思っております。また、財政の健全化という曲げてはならないテーマがございますので、そのことを守った上で、赤字公債も発行せずに対応しているということには評価をする次第でございます。  初め、原油の高騰対策をお聞きしたいんですけれども、これは加納委員にお願いを申し上げるといたしまして、まず最初にまた文科大臣にお伺いしたいんですけれども、やっぱり子供たちの危険を回避するということで学校の耐震化問題ですね。このことはもう去年の補正でも頑張ってやっていただいたんですけれども、今回も二千七十二億円ということで、どの程度の成果が上がるのか。子供さんたちの保護者の方々も皆、見聞きしておりますので、どうか少し安心につながるような御答弁をお願い申し上げる次第でございます。
  234. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) この安全、安心、これは総理のリーダーシップの下で、特にこの耐震化の問題、しっかりやれということで、今椎名委員お尋ねになったような数字を計上しております。  ただ、学校の耐震化の場合に、私も少し詳しく調べたんですが、工事の時期とかそれから地域の状況、これが非常に大きく関係するわけでございまして、そういったものをうまく執行できるようにやっていかなきゃいけないという問題がございます。  そのことも考えて、今回の補正予算では、特にこれはもう重点的に緊急を要するところということを中心に組ませていただいたところでございまして、この補正予算が執行されますと、今年度の初め、十九年四月一日時点で五八・六%であった進捗状況が、耐震化率、これは少し推計でございますけれども、六四から六六、六五ぐらいになるかなと、学校の統廃合等の問題もございますのでもう少し精査する必要がありますけれども、今の時期にこの予算が上がれば、春休みに少し重機を持ち込むとか、また音のうるさいこういった工事を少しやって、大体二か月から三か月ぐらい耐震化掛かりますので、うまく働くかなと、そんなふうに思っております。まだまだ足りませんので、これからもしっかりやっていきたいというふうに思っております。
  235. 椎名一保

    ○椎名一保君 とにかく、命にかかわることでございますので、財政、予算のこともありますけれども、これはしっかりと今後とも取り組んでいただきたいと思います。  続きまして、本年の四月からスタートする新たな高齢者医療制度で負担が上がる高齢者の方が出てくることから、我が党のプロジェクトチームで検討を重ねまして、七十歳から七十四歳までの方々の一割から二割への窓口負担増や、七十五歳以上でサラリーマンの健康保険の被扶養者だった方々が新たに負担する保険料については負担を減免することとしました。  これにより、厚労大臣、個々の高齢者にとって具体的に幾らぐらいの負担軽減になるのか、分かりやすい例を示して御説明していただければと思います。
  236. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) まずその前に、御高齢の方は若者、壮年と違いまして心身の特質、やはり病気になる確率が高かったりいたします。そういう方に対して細かくケアをしていく、そしてきめの細かい医療で当たっていく、かかりつけ医を活用する、そういうことの大きな理想を掲げまして高齢者の方々の医療制度の改革を行おうとしているところであります。  しかしながら、今委員が御指摘になりましたように、例えば今度新たに保険料を負担しないといけないような被保険者の方々に対して、今回の与党の措置によってそういうものを凍結するということでありますので、新たな負担が掛からないような形でこの大きな理想に向かって制度の変更をしていきたいと、そういうふうに思っております。
  237. 椎名一保

    ○椎名一保君 原油高等の影響もありまして、暮らしは厳しくなっております。財政再建という一つの大きなテーマがありますんで、なかなか、聖域は持たずということでやってまいっておりますけれども、このように調整をしなければならない部分もこれからいろいろあると思いますんで、厚労大臣にはよりきめ細かな取組方をお願い申し上げる次第でございます。よろしくお願いします。厚労大臣にお願いします。
  238. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 済みませんでした。ちょっと具体的な数字を申し上げるのを忘れて失礼いたしました。  九割軽減ということをいたしましたので、先ほど申し上げました、被扶養者一人平均年額約二千百円になるというふうに推計しておりますんで、二十年十月から二十一年三月までの半年間で毎月徴収すれば月約三百五十円ということでありまして、九割の軽減ということでありますんで、先ほど申し上げましたように、二十年度の保険料につきましては、半年間はゼロ、そして半年間は九割軽減ということでございますんで、通常算定される保険料額の二十分の一で済むと、こういうことを与党の御決断により実行に移すことになりました。
  239. 椎名一保

    ○椎名一保君 引き続き、きめの細かな対応をお願い申し上げる次第でございます。  続きまして、若林農林水産大臣、昨秋からの米価の下落で、生産者はもうこのままでは続けていくことができないと、もう悲痛な叫び声を上げております。今回の補正予算でどの程度まで対応ができるのか、また生産者の声も大臣としてきちっとお聞きになっていると思いますけれども、その辺りも含めて御説明をいただきたいと思います。
  240. 若林正俊

    国務大臣(若林正俊君) 委員が御指摘になりましたように、十九年産のお米の価格が急速に大幅に値下がりをいたしました。  そのことが農業経営、とりわけ水田農業経営の皆さん方に大変経営上の打撃と同時に将来に対する不安を広げたということがあったと認識しておりまして、これにどう対処するかということで、この米の対策につきまして緊急に対策本部をつくりまして、まずは今年産の米価の対策、同時に二十年産に向けてどのような生産調整を実施するかということ、これを着実にしてその需給のバランスを回復しないと価格の低下は止まらない、そういう認識でございまして、当面、緊急に急いで対処するということにつきましては、米政策、品目横断的経営安定対策としてこの補正予算で七百九十九億円を予定をいたしております。  大きな項目で申しますと、地域水田農業活性化緊急対策としまして、生産調整の確実な実施を図るために、麦、大豆、飼料作物、それからえさ米でありますとかあるいはバイオに回すような作物、米も、そういう意味での米の生産の拡大を図る者に対する緊急的な一時の助成を含めて五百億円の予算を計上をしております。それから、緊急の米価対策、米価の安定支援対策として、生産出荷団体が現在保有しております十八年産の販売残の約十万トン、これを食用ではなくて飼料用、えさ用に処理するための助成として五十億円。それから、品目横断的な経営安定対策、麦とかてん菜などの主産地の担い手が行います、一段の品質向上に取り組んだ生産者に対する支援の追加などにつきまして二百四十九億円。これが七百九十九億円という措置になっているところでございます。
  241. 椎名一保

    ○椎名一保君 若林農林水産大臣は、申し上げるまでもなく農林水産省の御出身でございます。少なからず、どなたよりも農林水産、生産の現場というものをもう熟知しているはずでございます。どうか、生産者の前で付け焼き刃的なというようなことを言われることなく、これからも御自分の足で出ていって、きちっと意見を伺って政策に反映をしてくださるように、重ねて重ねてお願いを申し上げる次第でございます。
  242. 若林正俊

    国務大臣(若林正俊君) 昨年、農林水産大臣を拝命をいたしましたときに、私は、農林省の職員の皆さん方に、まず現場に出て、現場の皆さんの声をしっかり聞き、現場の実情に沿ったような形の政策体系をつくらなきゃならない。そのために、いわゆる御用聞き農政と、こう称しまして、全国各地にそれぞれ幹部職員、その米対策に関連する直接の担当ではない人たちも含めて、全国の各都道府県に出かけていっていろいろなお話を伺わせていただきました。それらのいろいろな意見を伺った上で、いわゆる品目横断的経営対策などについても実情に即した形で見直しを行って、この二十年産からはそのような対応を取ることを決めたわけでございますが、やはり何といっても生産者の理解と地域の皆さん方の協力がなければ農業政策は展開できないと、このように考えているところでございます。
  243. 椎名一保

    ○椎名一保君 よろしくお願い申し上げます。  続きまして、省庁の再編問題についてお伺いいたします。  これは我が党の尾辻参議院自由民主党議員会長が一月二十二日に代表質問をさせていただきまして、その中で御質問をしたことを少し幅を広げて深掘りをさせていただきたいと思います。  まず、防衛省の関係でございます。  尾辻議員から、分かりやすく言うと、制服組と背広組が同じ組織内で二重に同じ組織をつくっていて非常に無駄があるんではないんではないかというようなお話だったかと思いますけれども、それに対して石破防衛相、防衛大臣が、直ちに組織に無駄がある、そのようには必ずしも言えないのではないかと考えておりますが、しかし、今の在り方がベストであるかどうか、このことは白紙的に考える必要があると答弁されております。  先日の報道なんですけれども防衛大臣は内局と各幕僚監部に分かれている防衛省本省組織を抜本的に見直し、防衛力、作戦、渉外の三局に再編成することを柱とする組織改革案の基本構想をまとめたという記事がありましたけれども防衛大臣の御見解を伺いたいと思います。
  244. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) お答え申し上げます。  そのような報道がございました。ただ、今、官邸におきまして防衛省の再生会議といいますか改革会議が開かれておるわけでございます。この有識者の方々が示されます方向性というものに従いまして私どもは防衛省改革というのを進めていかねばならないというふうに思っております。  尾辻議員の御指摘、私は大変に感銘深く拝聴をいたしました。我々の防衛省・自衛隊の組織というのは、実は警察予備隊のときから根幹は変わっておりません。時代が大きく変わる中にあって本当にそのままでいいのかという検討はしていかねばならないと思っております。  また、昨年、私ども次官の接待の問題、あるいは調達、さらには補給量の取り違え等々いろんなことがございました。それを倫理観が足りないからだとかそういうことだけに帰しては駄目だと私は思っているんです。本当に組織としてこれでいいのかということを白紙的に検討しなければいけない。  委員御指摘の制服と背広との関係ですが、今まで車の両輪として支えるんだと。軍事専門的なことは制服が、法律とか予算とかいうことは背広がというふうに言ってきました。じゃ、背広が軍事専門的なことを何にもやらないのか、それはそうではない。じゃ、制服が法律予算何にもやらないのか、それはそうではないだろう。車の両輪論をこれから先も踏襲すべきか、それとも両輪としてではなくて一体として支えるという考え方はないのか。だとすれば、組織はどのようにあるべきかということをきちんと議論をしなければいけないんだと思っています。  私どもの国家の独立と平和を守るという組織は、いざというときにきちんと動く組織でなければならない。そして、国民に対してちゃんと説明ができる組織でなければならない。基本的に防衛大臣は素人です。素人がこの組織を使う場合の補佐体制というのは、本当にこれでいいですかということは白紙的にきちんと議論をすることが私どもの責任でございます。  有識者会議のお考えを受けて真剣に検討をし、きちんとした答えを出したい、そのように考えておる次第でございます。
  245. 椎名一保

    ○椎名一保君 大変時宜を得た防衛大臣の御提案だと私は考えます。  今大臣のお言葉にもありましたけれども、昨年来の防衛省の疑惑問題、国民の信頼を取り戻すためにはどうしたらいいか、そしてもう一つ大切なことは、自衛隊員の士気が下がっては困ります。このことは本当に大切なことだと思います。  BBC放送が昨年、一昨年と世界に貢献した国はどこかというアンケートをしましたところ、二年続けて何と日本なんですね。これは昨年の予算委員会等でも御披露されておりましたけれども、特に評価を受けたというのが自衛隊員の士気と姿勢なんです。ということを改めて御披露を申し上げておきますけれども、どうかひとつ果敢に、今だからこそ取り組んでいただきたいと思います。  総理に一言、このことで御見解をお伺いしたいと思います。
  246. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 防衛省は、今お話ございましたように、改革のためのいろいろな検討を行っている最中です。これは防衛省任せということでなくて官邸主導でやるということになっておりまして、この成果、結果を見ていろいろと判断していきたいと思います。  そういうことで、しっかりと国民の信頼を受けるような、受けられるような防衛省にしたいと、また自衛隊にしたいと思っております。
  247. 椎名一保

    ○椎名一保君 よろしくお願いいたします。  続きまして、国民生活担当の岸田大臣にお伺いいたします。  一月十八日の総理施政方針演説の中で、これも大変なことだと思うんですけれども、本来は当たり前と言われるかもしれませんけれども、今年を生活者や消費者が主役となる社会へ向けたスタートの年と位置付けしたいと。そのような総理のお考えを実現すべく、担当大臣としてどのようなお考えを持っておられるかお聞きしたいと思います。
  248. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) まず、近年、食品表示の偽装問題ですとか、あるいは耐震偽装問題、また今回の冷凍食品の薬物中毒事案等々、国民生活に不安を与える事案が相次いで発生をしております。国民にとって、生活の不安を取り除く、国民生活の安心、安全を確保するということ、これはもう行政の最重要課題だというふうに認識をしております。  そうしたことから、是非、生産者の視点だけではなくして、消費者あるいは生活者の視点から分かりやすい行政の在り方ということ、この行政の在り方そのものについても見直しをしていかなければいけない、そのように認識をしております。  そして、そのことに関しまして、やはり新しい組織とか新しい体制を新たにつくる、こうしたことまで踏み込まなければいけない、このように認識をしております。その際には是非、この消費者行政において関係省庁にしっかり物が言える司令塔的な新組織の在り方を検討しなければいけないと思っていますし、また、多くの国民からこうした国民生活にかかわる問題、様々な苦情ですとかあるいは相談が寄せられます。こうしたものを一元的に集約をして、分析をして、そして対応する、こうした分かりやすい行政の仕掛けを考えなければいけないんではないか、こんなことを考えておりまして、今そうした方向で議論、検討をしているという状況でございます。
  249. 椎名一保

    ○椎名一保君 消費者行政の一元化のための新組織ということを願っておりますけれども、まだ具体的にそこまでは進んではいないということでございますか。いま一度御説明いただきたいと思います。
  250. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 今申し上げましたような考え方の下に今検討を始めているところでありますが、やはりその際に、まず機能、どういった機能を果たすのか、この部分をしっかりと議論し、整理した上で、組織の形ですとかあるいは権限等を考えていかなければいけない、そのように考えております。  その際に、総理施政方針演説で述べられました内容をしっかり踏まえ、特に新組織のこの強い権限というのはどういうものなのか、あるいは国民にとって分かりやすい窓口のありようというのはどういうものなのか、そして、先ほど司令塔的な役割の新組織と申し上げましたが、この司令塔的な役割とはどういうものなのか、さらには新組織の形態、具体的などういった形態を取るべきなのか、こういった辺りが論点として、大きな論点として上がってくるんではないか、またそのように考えております。  こうした論点を中心に今検討を進めているところですが、現在、国民生活審議会の方でも国民目線の行政の総点検ということで御議論いただいております。与党始め各政党でもこういった議論が行われております。こうした議論もしっかり参考にさせていただきながら具体的な組織を検討していきたい、そのように考えております。
  251. 椎名一保

    ○椎名一保君 何といってもスピードが大切ですので、できるだけ早くこの結論を出していっていただきたいと御要望申し上げる次第でございます。  続きまして、少子化対策について上川少子化担当大臣にお伺いをさせていただきます。また、詳しくは坂本委員の方からも御質問をさせていただきます。  私も保育所を三十年前につくりまして、今も家内がやっておりまして、羽田さんなんかも御一緒に関係しておりますけれども、第二次のベビーブーマーですか、もうみんな三十歳を超えて、本当に、少子化対策の本気度なんというとあれなんですけれども、本当に深刻にもう後がないというところで取り組まなければいけないことだと思うんですけれども、昨年末に少子化対策の重点戦略を取りまとめました。このことにつきまして、まず簡潔に御説明をいただきたいと思います。
  252. 上川陽子

    国務大臣(上川陽子君) 昨年の十二月の二十七日でございますけれども、「子どもと家族を応援する日本」重点戦略ということで取りまとめをいたしました。  少子化につきましては、一九九〇年代から日本としても大変大きな問題であるということで、エンゼルプランを中心に、その後も一連の施策を遂行してきたところでございますが、とりわけ十八年の後期に人口推計が新たにされまして、大変厳しい状況があるということで、新たな施策の取組ということの必要性が痛切に問題提起されたところでございます。そうしたものを受けましてこの戦略を十二月の二十七日に打ち立てたということでございます。  柱といたしましては、働き方の改革を進めることによって仕事と生活の調和をしっかり推進するということ、そして同時に、多様な働き方にふさわしい保育の様々な施策についてはきめ細かに再構築を図るということを旨としておりまして、この両方を車の両輪として進めるべく、今年は特にこの軌道に乗せるということに全力を傾注してまいりたいというふうに思っております。
  253. 椎名一保

    ○椎名一保君 今までの少子化対策というのは、与党としてこういうことは何なんですけれども、どちらかというと総花的でございまして、なかなか効果を上げることができませんでした。(発言する者あり)よく分かっている。今回はかなりきめ細かく、言ってみれば財源にもかなり深く踏み込んだような思いをいたしております。最大二兆五千億という財源でございます。まあ消費税の一%ですかね、これからとにかくやっぱり余り時間を置かないで、この財源については国民皆挙げて理解をいただけると思うんです。ですから、今後も少子化対策、とにかくこの財源確保ということが最も大切であると思いますので、額賀大臣、ひとつこのことについての御認識を賜りたいと思います。
  254. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 現在から二十一世紀のことを考えると、最大の課題は少子高齢化問題であると思っております。  したがって、日本人の多くの人が将来に不安とか不満を持っている方が多いわけでありますから、まずそういうことについて希望と安心を与えるのが福田政権の目標でありますから、様々な改革をしながら、新しい制度で、多くの女性の方々が子供を産んで幸せである、将来に夢が持てる、そういう環境をつくるためには、是非とも政治挙げて取り組んでいかなければならない、国民挙げて取り組んでいかなければならないというふうに思っております。
  255. 椎名一保

    ○椎名一保君 財務大臣から力強い御答弁をいただきましたので、これからもひとつ促進化をお願いしたいと思います。  経済問題に少し触れたいと思います。  経済演説で、大田経済担当大臣経済演説の一部、一部分だけ、残念ながら日本経済はもはや一流とは言えません、OECDの中で個人所得は十八番目ですというお話があって、もうそれがぱっと独り歩きいたしまして、それはもう客観的なデータから現在そういうことなんでしょう。  大田大臣の御見識とお人柄は我が参議院の自民党でも大変人気がありまして、改めてお聞きするんですけれども、それは現状でございまして、これからどのようにそれが、どのようなことをすれば、日本のファンダメンタルズというのは、先ほどの総理始め皆さん方のお話ではないんですけれども、これは伝統文化だけではなくて経済面も大変大きなものがあると思うんです。ですから、そういうものを踏まえて、来年の経済見通しが実質成長率が二・二%というお話もいただいておりますけれども、もう少し分かりやすく御説明をいただきたいと思います。
  256. 大田弘子

    国務大臣(大田弘子君) 経済演説の私の指摘しました部分で、私が申し上げたかったことは二つございます。  日本は十分に潜在力を持っておりますが、人口が減る中で成長を続けるということは並大抵のことではありません。そこは危機感をしっかりと持って改革に取り組んでいくことが必要だと考えております。バブル崩壊後の長い停滞を抜け出して製造業はよみがえりましたし、一流の企業はたくさんございます。しかし、残念ながら、GDPの七割を占めるサービス産業は世界と比べても生産性が低い状態にあります。ここを今から伸ばしていくということが必要だと思います。  それから、二つ目にメッセージとして申し上げたかったのは、今なら十分に間に合うということです。バブル崩壊後の長い停滞を抜け出して、今ようやく正常な状態に戻りつつあります。ここで日本の強みを生かして改革していけば、十分に日本はサービス業も製造業も人材も一流の国になることができますので、その点を私は訴えたかったわけです。
  257. 椎名一保

    ○椎名一保君 ありがとうございました。  近年の世界経済をデータで見てみますと、日本、ヨーロッパ、アメリカは、昨年の実質成長率が世界全体が四・六%だとすると、わずか一%だそうでございます。BRICs、エマージングと、BRICsを始めとした、ブラジル、ロシア、インド、中国ですか、エマージングというのは新興国ですけれども、新興国が二・二%、あとが、エマージングが、BRICsを除いた国々が一・五%ぐらいだと言われておりまして、この原油、エネルギーの高騰も今始まったわけではなくて、日本、ヨーロッパ、アメリカは七〇年代以降とにかく省エネ産業構造、サービス産業に移行してきております。そういう中で、今新興国の成長というのは資源需要に直接結び付くような、結び付いた成長だと言われておりまして、この原油と資源高は今がピークではなくて、そういう観点からこれから始まるんだというような話がされております。  大田大臣はもうそれで結構なんですけれども、そのことに関しましてダボスでエネルギーサミットに御出席なされた経済産業大臣、そして消費国の閣僚会議を積極的に日本が提案をして会議をされまして、いろいろ御議論を交わされてきたそうでございますけれども日本経済の発展というのは、発展策は、そういう資源とか、世界の中でどういうことを目指していかなければいけないかということをこれから明確にやはり国民に伝えていかなければいけない、そういう観点から甘利大臣にお願いいたします。
  258. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 国会のお許しをいただきまして、総理より一足先にダボスに入らせていただきまして、二つのエネルギーサミットのセッション、そして二つのWTOのセッション、そして私自身が招集をし開催を呼びかけました主要消費国会合を開催をいたしました。その中では、世界が言わば石油や資源を買ってやるという時代から売ってやるという時代に変わってきてしまっている中で、どうやって安定的に供給を確保するか、それが消費国のみならず産出国にとっても大事なんだということの共有をいたしました。  原油価格が一時、百ドルを付けました。高ければ、産油国にとっては実入りが多くていいと思っているのは、いっときはそうかもしれないけれども、しかし世界経済が停滞をしたらやがてそれのツケは産油国に来ますよということをみんなで共有をして、それぞれのルートを伝って増産を呼びかけようということも共通認識といたしました。  あるいは、消費国側としてできることといえば、省エネを今まで以上に徹底的にやる、あるいは新エネを開発する、代替エネルギーを開発する、そういうことを合わせて、資源価格の高騰を抑える努力を使う側も供給する側もすると、安定的に供給ができることが世界経済が安定的に発展していくことだという認識を共有をさせていただいたわけであります。
  259. 椎名一保

    ○椎名一保君 ありがとうございました。  今申し上げましたとおり、これから五月に日本でTICADⅣ、アフリカ開発会議が開催されます。何か国ぐらいの元首が出てくださるか、来てくださるか。昨年中国で行われた開発会議で、三十六名とか七名でございましたですね。とにかく資源が欲しいから云々ということではなくて、やはりそういうお付き合いが大切なんだということを念頭にして、それに臨む高村大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  260. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 先ほども触れましたように、このTICADというのは、まさに一九九三年に、アジアの成功体験をアフリカにと、資源とか何だとかにそれほど世界が着目してないときからもう始めて、そして、一つは自助努力が大切ですよと。被援助国、アフリカの自助努力、そして我々はそれへ対して、自助努力というのは一般に英語でオーナーシップと言われておる、オーナーシップに対するパートナーシップを発揮していきましょう、あくまでその関係を間違えちゃいけませんよという、そういう新開発戦略ということでやってきた。このTICADプロセスの中でオーナーシップとかパートナーシップという言葉が定着してきて、これは世界に定着してきたと、こういうこともあるわけであります。  そういう中で、これからも、まさに今アフリカにある意味で紛争がある程度終結しつつあるところもある、経済発展も五%以上するところもある、希望が見え始めたと、こういうところでありますから、世界の知恵と資金を結集して、そしてそういう中で元気なアフリカをつくっていこうと、こういうことでやっていこうと、こういうことでございます。
  261. 椎名一保

    ○椎名一保君 その後にG8、洞爺湖サミットが開かれるわけでございますけれども、要するに、TICADⅣの成功なくして、インパクトなくしてそのG8の成功なしと、こういうようなところまで、いろんなそういう資源とかそういったことが大切だという観点から思っておられる方もおられます。  そのことで、総理に一言最後にお願い申し上げます。
  262. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) G8サミットで何が討議されるかということを考えながら、ただいまからのいろいろな外交、内政を進めていくという、そういうことは必要だと思います。そういう意味で、アフリカの開発というのは、これは非常に今大きな国際問題になっている、世界的な課題になっているということであります。  その内容は今外務大臣からお話し申し上げましたけれども、我が国もこの問題には本当に真剣に取り組んでいくということは必要でありますので、そのTICADⅣを成功させ、そしてそういうTICADⅣで課題になった課題についてG8でもって大いに討議をする、そして国際社会の中でその役割を果たしていくということになろうかというように思います。  いずれにしましても、今我が国を取り巻く環境と申しますか、我が国自身の問題として資源、エネルギーの問題もございます。そして、あと穀物の問題ですね。国際商品と言われるような穀物も、これも我が国を取り巻く環境という中でかなり大きなウエートを占めてきたという問題もあります。そしてもう一つは、環境問題ということなんですね。今まで考えていたような状況の中でこれからやっていけるかといったら、それはそうじゃない時代が来たんだと思います。  ですから、我が国もそれなりの覚悟を持ってこういう課題に取り組む、そのためのG8だというように思っております。また、その前のTICADⅣだと思っております。
  263. 椎名一保

    ○椎名一保君 しっかりと取り組んで、日本存在感を表していっていただきたいと御要望申し上げます。  渡辺金融大臣、お待たせいたしました。サブプライムの問題、どうなってしまうんだろうかと、日本の金融機関は大丈夫なんだろうかと。衆議院委員会でも御説明いただいておりましたけれども渡辺大臣のお言葉でまたここでもお答えいただきたいと思います。
  264. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) サブプライム問題がそれ以外の金融商品に広がっているのは事実でございます。アメリカのモノラインという金融商品の保証会社などが格下げを受けまして、そういったことから私どもも警戒を強めているところであります。きちんとディスクロージャーをしていただくことが大事でございますので、それぞれの金融機関においてはリスク管理をきちんとやった上でディスクロをやっていただいているものと思います。  そういった、ほかの金融商品も含めて損失が拡大をしているのは事実でございますけれども、御案内のように今年の三月末の時点で大体本業のもうけが六・七兆円ぐらいございます。それから、ティア1資本、基本的項目の資本が五十兆円近くございますので、そういったことから考えますと、今の時点では十分対応可能であるという状況でございます。
  265. 椎名一保

    ○椎名一保君 九〇年代の後半に世界で例のないようなバブル経済の破綻、金融破綻ということを日本は経験してきておるわけでございますから、十分学習効果はあると思いますんで、日本にとどまらず世界に向けてもそういうことを発信していっていただきたいと思います。  一点要望しておきます。  サブプライムローン、ディスクロージャー、モノライン、基本的にデリバティブということが分からなければこの問題は説明できないと思います。国民には分からぬですよね。ですから、そこら辺のことを金融庁、また担当の所管庁で、国民に分かりやすい、いつも説明ができるようなやり方をしていただきたいと思います。  最後に、日銀の総裁、来ていただいておりますんで、御質問いたします。  先ほど大田大臣にも御説明いただきましたけれども日本の潜在成長率、要するにファンダメンタル、そして円高がいいのか円安がいいのか。例えば、マスコミは円高になると円高になり過ぎた、円安になると円安になり過ぎたという話で、国民は分かりにくいです。円安政策を取ってきたのにもかかわらず、日本の原油の、ガソリンの値段はOECDの中で二十六番目だというような、円安でですよ、そういうこともあるわけでございます。その辺り少し御説明いただきたいと。そして、日本経済、ファンダメンタルズについてお話をいただければ。お願い申し上げます。
  266. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 為替の問題を切り口に、長期的に日本経済の力をいかに強くするかという趣旨の御質問をいただいたというふうに思いますが、為替相場そのものは、円安になりますと一見輸出企業には有利ということになりますけれども、いわゆる交易条件といいますか、日本にとっては、せっかく国民が汗をして作ったものが安くしか売れない、逆に外国から高い値段で買わなきゃいけないというデメリットがありますので、為替は円高になっても円安になっても、長所短所入り乱れております。  いずれにいたしましても、為替相場あるいは金利の動き等々が日本経済にとって資源が最も有効に活用できて、日本経済全体としての競争力をより強める方向に作用するようにと、そういう金融面からの条件をきちんと整えていくということが一番大切だと思っています。  先ほど大田大臣からお答えがありましたとおり、今後、日本経済を一層強くしていく場合、特に少子・高齢化というハンディキャップを克服しながら強くしていくという場合には、やはりイノベーションの力を伸ばさなきゃいけない、それも製造業だけではなくて非製造業も含んで。これは、ですから、狭い意味のテクノロジーだけではなくて、人間の知識、創造能力を広めていくということでありますので、企業の立場で言えば、長期的にいわゆる技術革新を進める、さらには人的資源に対する投資をしっかりやっていくということがポイントになります。  景気の波が大きいと企業はどうしても長期的な投資をしにくくなりますので、今後とも、できる限り物価安定の下で景気の振幅をなるべく小さくするというふうな経済運営が一番大切で、そういたしました場合には、金利の変動も為替の変動も、大きく不規則な変動が起こってかえって悪い影響を逆に被るというリスクも相対的に少なくなるだろうと、こういうふうに考えております。
  267. 椎名一保

    ○椎名一保君 ありがとうございました。  政府におかれましては、この補正予算、そして本予算としっかりと一刻も早く成立して、実行をお願い申し上げます。  あとの問題につきましては、加納委員にお願い申し上げる次第でございます。  ありがとうございました。
  268. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 関連質疑を許します。加納時男君。
  269. 加納時男

    ○加納時男君 自由民主党の加納時男でございます。関連質疑をさせていただきたいと思います。  原油の高騰は著しいものがあります。ひところは二十ドルから三十ドルで推移しておりましたが、これが五十ドル、七十ドル、どんどん上がってまいりまして、今年の年初め、年初には百ドルを、大台を超えました。この今日の予算委員会の始まる前にインターネットで調べましたら、昨日でWTI、九十二ドル・パー・バレルでございます。依然、高値のところに付いております。この原油高が我が国の国民生活各面におきまして大きな影響を与えているばかりでなく、国際的にも大変な経済の下振れ、そしてさらには途上国において生活苦からの暴動すら起こっているといった国際的な面、両面での大きな問題になっております。  私ども自民党では、この問題をいち早く取り上げようということで原油高騰対策プロジェクトチームをつくりまして、私、座長を命ぜられましたが、集中的なヒアリング、実態調査、そして議論を行いました。その結果をまとめまして政府にこれを要求をする、そして福田総理を始め関係閣僚のいらっしゃる席で、官邸で対策を公明党のお仲間とともに申し上げまして、その回答を十二月末にいただきました。  今日はこの対策の推進状況につきまして、国民の目線に立って幾つかの質問をさせていただきますので、是非とも具体的な取組状況お答えいただけたらと思っております。  では初めに、各省全部伺いたいんですけれども、まあ二、三の省から具体例を伺いたいと思っております。  初めに、中小企業対策について甘利大臣に伺いたいと思います。  御存じのとおり、日本の産業、数の面では、九九・七%が中小企業でありましたら、働いている方が七〇%を占めますので、この原油高は日本の勤労者に対しても大変な影響を与えているのではないか。アンケート調査が十一月に行われまして、その結果を見ますと、中小企業一千社に対して、この原油高はあなたの経営を圧迫していますかという質問に対して、何と九割を超える経営者の方が、中小企業は、自分の企業は苦しいということを答えていらっしゃいます。一方でコストが上がる、これが価格に転嫁できればまだしも、価格に転嫁できませんと、価格は抑えられている、コストは上がると、もう企業が成り立ちません。  そこでの第二の質問は、あなたのところはこの原油高等によるコストアップを価格に転嫁できていますかという質問に対して、何と六割の方が全く転嫁できていないと答えられております。この中小企業の大変な状況、さらにはこの問題は資金繰りとか、それから借りているお金の返却ですね、その問題、様々な面で金融面での苦しさもあります。私ども議論をいたしまして、信用補完の基盤強化でありますとか政府系金融機関からの借入金の返済条件の緩和等も含め、補正予算を組むべきではないかということで申し上げ、二百三十七億円の補正を組んでもらったわけであります。  そこまではまあ言わば構えでございますが、これ実際にこれから進めていくわけでございます。そのためにも、この補正予算案の一日も早い成立を望んでいるわけでございますが、甘利大臣に伺いたいのは、中小企業対策、どのような認識で、この現在の厳しさの中で認識していらっしゃって、対策を取っていらっしゃるか、伺いたいと思います。
  270. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) この原油高、資源高の影響をどのように中小企業が受け止めているか、二回の調査をいたしました。直近はお話のとおり十一月ですが、二回目の方が更に深刻になってきておりまして、影響が極めて大きいと。しかも転嫁ができない。しかし、雇用は確保しなければならないから、収益を圧迫をしている、賃金が上げられない、雇用の七割が中小企業ですから。ですから、それが消費につながらないということになっていくわけであります。  そこで、従来からセーフティーネット貸付けとか保証はありますけれども、先生を中心にお取りまとめをいただいた御提言を受けまして、昨年十一月二十七日に、政府系の金融機関に対しまして企業債務を抱える個々の中小企業の実情に応じた返済条件を緩和するよう、実施するよう指示をしたわけであります。さらに、十二月十八日には、セーフティーネット保証の対象業種を緊急に追加をするなど機動的な対応をしたわけであります。  そのために、信用保険制度の財政基盤の強化をする必要がありますから、今お話にありましたとおり、この補正予算で出資金二百三十七億円を追加計上しているわけであります。    〔委員長退席、理事林芳正君着席〕  大企業はいいけれども中小企業は景気の拡大の恩恵を受けていない、大企業との取引の適正化も含めて中小企業に景気拡大の恩恵がちゃんと回ってくるように留意をしていきたいというふうに思っております。
  271. 加納時男

    ○加納時男君 ありがとうございました。その方向で是非お願いいたしたいと思っております。  続きまして、若林農水大臣に伺いたいと思います。  私ども、このプロジェクトを立ち上げましたら、もう漁業者の方がひっきりなしに来られました。そして、A重油や軽油、これが言わば漁船の燃料でありますが、この価格が上がっているので船が出せないと。で、魚の価格がなかなか上がりません。したがって、これまたコストだけ上がって、下手をすると逆ざやになってしまう。船を出すと損をする。これではもう魚は捕れなくなるよという悲鳴もありました。  私どもはこの悲鳴を正面から受け止め、いろいろ議論、意見交換もしました。その中で出てきたアイデアは、苦しいから助けてくれというのはもう日本中そうなんですけど、一緒に考えて、何とか漁業の経営体質を強くできませんかと。例えば、共同で操業する。なかなか難しい。お互い競争相手ですけど、共同で、もっと光をというので投光器の明かりをじゃんじゃん強くしていますけど、あれを一定期間投光の度合いを減らす。これは省エネルギーにもなりますし、自分の不利益にならない、一緒に減らすわけですから。こんなことをできませんかとか、共同タンクとかいろんなアイデアが出ましたけど、こういうのは具体的にどんなような漁業者の反応があるのでしょうか。  私ども、漁業に対しては何としても、前のカトリーナのときにも、カトリーナ台風のときの対策でもやりましたけど、何としてもこの緊急対策が要るというので、これも関係方面ともいろいろ相談をしまして、補正予算を百二億円だと記憶していますけど、積むようなことで政府と話をしたと思います。こういったものをどのように取り組んでいらっしゃるのか。そして、何よりも伺いたいのは、その悲鳴を上げている漁業者の方がこれを契機に少しでも立ち直りの、あるいは傷をいやすようなことに役立つのかどうか、大臣の御見解を伺いたいと思います。
  272. 若林正俊

    国務大臣(若林正俊君) 委員が大変御心配をいただき、いろいろ御指摘をいただきましたように、漁業の場合、その燃油に使われているA重油というのは、この高騰が始まる以前と比べてこの四年足らずで約二倍に高騰をいたしております。漁業はその経費の中に占める燃油の割合が二割ないし三割と非常に高いことでありますから、今おっしゃられましたように、漁業で出漁をすると赤字になってしまう、燃油代も稼げないといったような経営に深刻な影響を与えているという実態にあるというのは御指摘のとおりでございます。  このような状況に対処をするために、委員がお話しのように、この十九年度の補正予算で百二億円の予算を盛り込んでいるところでございます。  この予算は、効率の高い省エネ設備、施設、例えば船外機などについて、これを新しい省エネタイプの二サイクルから四サイクルにすると四〇%以上の節約になるといったような新しい施設などへの転換でありますとか、グループで共同操業を実施する、そういうことに対する支援をする。  また、イカ釣りなどで地域やグループで、お話しのように集魚のためにやる光の強さ、これを一斉に減光、光を抑えて省エネ型の操業形態に転換する。それぞれの船がそれぞれ自分の船に集魚するためにその強さを競うというようなことはひとつやめて、その海面、海域における魚がそこに集中できるようにするためには、全体としてみんなで落としても漁獲にそう影響ないんじゃないか。これ、なかなか難しいことなんですけれども、漁業者も自衛のためにみんなで共同してやろうじゃないかという動きになっております。  それから、漁業資源が少なくなってきていますから、そういう地域にあっては輪番制に出漁すると。そうすると、出ない人は、出ない船はそれだけ所得が減ってしまうわけでございます。そのために、少量の漁獲であってもみんなして無理して出るという傾向があります。そこで、これも話合いをしまして、輪番制で休漁をするという話合いが付きましたら、海に出ない人たちについては、その藻場でありますとか干潟の整備だとか、そういう種々のおかでの、漁業資源の確保をするため、あるいは漁業体制を整備するための作業におかで従事してもらうと。そういう場合にはその人たちへの賃金の支払をするといったような形で所得の補てんをする、そういうことを考えて提案をしているわけでございます。  また、あわせて、既存の事業でありますけれども、燃油タンクを整備をして燃油の流通の効率化を図るというようなことを進めております。  これらの事業に対しては、漁業者からは、燃油価格の高騰の影響は大変甚大でありますから、もう一刻も早く対策を実施してほしいという強い要望が寄せられておりますので、補正予算に計上をし、もうできるだけ早くこれを実行に移すようにしたい。  そこで、農林水産省としては、省内、水産庁に燃油対策の専門プロジェクトチームを立ち上げまして、そして、事業実施の準備に万全を期するということで今準備をしているところでございまして、そのことを浜、現場に、浜へ積極的にこれを周知をするように努力をし、そして事業が速やかに最大の効果を上げるようにしてまいりたい、このように考えております。
  273. 加納時男

    ○加納時男君 分かりました。今のお話を伺っても、これを実行するためには一刻も早く、十分な御審議をいただいた上ではございますけれども補正予算の成立が望まれるというふうに申し上げたいと思っております。  続きまして、寒冷地の問題に触れたいと思います。  このプロジェクト、スタートと同時に飛んでこられたのが北海道の高橋はるみ知事でございます。大変なのよ、なのよというのは親しいものですから。大変なのよ、聞いてちょうだいと言うので伺ったんですけれども、ともかく冬場を迎え、ちょうど直前だったんですが、冬場を迎えるとこの原油高は灯油の価格となって反映されてくる、寒冷地の人々の、特に所得の低い方々にとってもう命の問題になってきます、暮らしの中で暖房は不可欠であり、その中心が灯油である、それが上がっていく、これはもう暮らしていけないことになる、これはもう大変な問題だから是非ともこれを認識してもらいたい、できる限りのことをしてもらいたいというお話でした。  もちろんこちらも、お気持ちはよく分かるし大変だと思う、だけれども、同時にこれは、その地域でこれだけのことをやっていると、それを国が後押しするということですよね、当然と申し上げたら、もちろんそうだということで、市がいろんな福祉灯油のような形で支援も考えて現にやります、それから、道としてもこれを支援したい、しかし何といっても、これは国が支援してもらうともうちょっと前へ進めるんだということで、是非というお話がございました。  そこで、私どもは、努力するというか、支援をしている地方公共団体に対して国の方ができる限りのまた支援もしていくというような枠組みができないだろうかということを議論しまして、これを官邸にも持ち込んだわけでございます。  具体的には、十二月末にこれについての議論が収れんいたしまして、追加財政需要を出してもらって、それに対して特別交付税で最後はやろうかというようなことまで、大変これは踏み込んだ話でございますけれども、御回答いただきました。  これについて、総務大臣に伺いたいと思います。よくぞここまで考えてもらったと思いますけれども、その後の進行状況、あるいは寒冷地等の反応等がお分かりでしたら教えてください。
  274. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) 今先生お話がございましたこの原油高騰対策でございますが、やはり各自治体、大変これに対しての取組を行っております。今お話ございましたとおり、生活困窮者の皆さん方に対して灯油を購入する際に何らかの形で助成をする。これは内容それぞれ自治体によっていろいろ異なりますけれども、そうしたことが一つございます。  それからもう一つは、例えば老人ホームなどの社会福祉施設、各地域にございますが、今年は御覧のとおり寒い、大雪降っているところが多うございますし、それから暖房代、原油が上がっているということで暖房費が非常に高騰している、運営に苦慮しているということで、そこに助成をしているところもございます。  農業の関係では、ビニールハウス、この時期もいろいろとそうしたもので農産物出しているわけですが、そのビニールハウスを覆うところを二重にビニールで覆ってこの寒さをしのぐと。そうしたものに助成をするといったような自治体もございます。  私ども、いろいろそうした自治体の取組を調べまして、今回の原油高騰ということに関連して特に取られるようなもの、これは今年度についての特別な各自治体での財政需要だろうというふうにとらえまして、今お話しのとおり、二分の一でございますが、それぞれの自治体の経費の二分の一を特別交付税で支援をすると、こんなことを今やらせていただいております。  それで、この取組の全国での展開状況を調べましたら、これは一月の時点でございますけれども、灯油の購入費の関係ですね、生活困窮者、灯油の購入費の関係では十一道県、六百六十五市町村がそうした取組を実施をしていると。北海道のみならず東北からずっと各地域取り組んでおりまして、九州までこうしたことを取り組んでいる市町村もございます。全国的に六百六十五の市町村がこうした取組を行っているということでございまして、昨年は北海道で五十市町村だけというふうに聞いておりましたので、今年は本当に多くの皆さん方取り組んでいるなというふうに思っております。  私どもも、この特別交付税措置ということは、各自治体でなかなか、従来こういうことございませんでしたので、二分の一まで見るということについて知らない自治体も多いということを懸念をいたしましたので、昨年末に決めましてからもう徹底的に周知に努めました。そこで、今申し上げましたように広く取組がなされたということでございますが、なおまたこうした周知徹底をするということで、地方財政上の問題としてもきちんと支援をしていきたいと、このように考えております。
  275. 加納時男

    ○加納時男君 ありがとうございました。  かなり手ごたえが出てきたといいますか、この施策は自治体が、そして道県が非常に望んでいたことであるというのが今のでも裏付けられたかと思っています。  今国内の問題幾つか取り上げましたけれども、実はこの原油高騰は国際的な大変影響が生じているものでありますし、その要因は非常に国際的な要因でございます。  よくヘッジファンドの思惑買いによって上がっているんだという説があります。私も、確かに三十ドル、四十ドル分ぐらいはそれによるものがあるのかなとも思いますが、それが、彼らが動くというのもその構造的なベースに、我々エマージングカントリーズと言っていますけれども、中国、インドといったような新興国、もう発展途上国なんて言ったら失礼でございます、新興国でございますが、新しく興っている、そういう国々の急速な経済成長、これに伴うエネルギー需要の増加、こういったことがベースにあるのも間違いないと思っています。  この間、ローマで世界の四千人の専門家が集まる大きなエネルギー会議があって、私そこへ呼ばれて議論してきたんですけれども、そこでも、IEAからの報告の中で、最近五年間、世界で増分、世界の全体の増えた分の中で中国とインドのたった二か国で占める比率が示されていました。非常に印象深い数字なので覚えてきたんですけれども、例えば世界全体のGDPの増分の四割は中国、インドなんだ、そして一次エネルギーの五割が中国とインドだと、増えた分の五割がそうだという話がありました。CO2に至っては世界で全体で増えたうちの六割だと。だから、こういった国々が全く参加しないでCO2の議論をするのもナンセンスでありますし、また同時に、こういった国々の成長も頭に置きながらこういった原油価格高騰のことも考えていかなきゃいけないと思っています。  そういう意味では、先ほど私の同僚の椎名議員の方からの質問で甘利大臣にはダボスの会議のことをお話しいただきましたけれども、今との関連で、原油価格高騰について国際的な視点でこれに取り組む必要があると私ども思っていまして、これ甘利大臣もそういうお考えだと承っていたんですが、その関係で、特にこのダボスに御出張になって、その機会にいろんなエネルギーの言わばトップリーダーの方々ともお会いになっておられます。そこで得られた印象といいますか、原油価格高騰にちょっと絞ってお話しいただけたらと思います。
  276. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) お話にありましたように、この高騰の原因は幾つかあります。ファンドの動きというのは確かにそうでありますが、それを誘発するファンダメンタルズがあるわけでありまして、それはエマージングカントリーが大量に原油を使うということで需給が次第にタイト化してきております。実需がタイト化してきているということがあります。それに、地政学的なリスクがあって、それで先物市場に投機資金が向かうということでありますから、基のファンダメンタルズを解決しなければならないわけであります。  そのためには、一つは増産であります。増産を迫ろうと。その際、我々話し合ったんでありますが、産油国と消費国の対決構図にしてはうまくないぞという話でありました。アメリカの表現を使えば、戦いになれば武器は全部向こうが持っているんだからと。増産するしないも向こうにゆだねられているんだから、そうじゃなくて危機感を共有することが大事だということで、それぞれがそれぞれのルートを使って増産を働きかけようということであります。  ただ、その際に、カタールの副首相と個別に話しましたときに彼が言っていたことは、そうはいうけれども、自分たちにもトラウマがあると。九七年の石油危機のときに増産を発表したら油価が十八ドルから七ドルまで落ちて、我々は破産しそうになったということを言っておりました。つまり、今の世界の状況、景気の停滞をそこまでととらえるかどうかということが彼らの油を増産するかどうかの判断にかなりかかわってくるんだと思います。ただし、彼は私が再三再四要請したことに対しては、あしたのOPECの緊急総会では必ず伝えるからということを言ってくれました。  それともう一点は、アメリカでリファイナリーがタイトになっているということが原因で一つあります。製品がタイト化している。軽油とガソリンがタイト化している。そこで、私の方からボドマン長官に対して、こういう提案はどうかと、日本はリファイナリー施設が十分にあって余力があるから、製品を日本からアメリカに輸出をするということを受け止めてはどうかという話をいたしました。これは事務的に検討するということになりました。  とにかく、危機感を消費国、産油国でお互いに共有をすると、健全な経済の発展というのは高過ぎても安過ぎても駄目なんだということを共有しようということで今働きかけているところであります。
  277. 加納時男

    ○加納時男君 まさに非常に重要なポイントを今お話しされたと思います。我々が考えておりますのは、こういった目先の様々な問題もあるけれども、同時に構造的な問題。今もお話のありましたようなエマージングカントリーズの増加と成長の話。それから、今お触れになりませんでしたけど、オイルピーク論というのも一つ我々議論しているとよく出てくる話でございます。それからアメリカの精製設備の問題、それに加えてヘッジファンドの思惑と、様々なことがありまして、おっしゃるとおり、産油国対消費国という対立構造ではこの問題解けませんので、それぞれがそれぞれの状況を分かり合いながら、共に利益になること、ウイン・ウインの道を探していくことしかないと思いますし、甘利大臣の今回の出張はそういう意味では大変意味がある発言をされたと思っております。  さて、今日午前中、話がちょっと変わりますけれども、午前中に質疑があって、その中で例の道路財源の問題、暫定税率の問題が出ましたので、これにちょっと触れて質問させていただきたいと思っています。  揮発油税等の暫定税率はこの三月末で期限が切れるわけでありますが、この延長に関しまして、この措置を廃止すればガソリンの場合一リッター当たり二十五円安くなるんじゃないかと、いや安くなるという、とても耳触り、一見耳触りの良さそうに聞こえる意見があるのは、これは事実でございます。  まず、冬柴国土交通大臣に伺いたいと思いますけれども、この暫定税率を廃止するとどんな問題が生ずるのか。このことはさんざん議論はされている、専門家の間では議論されていますけど、ちょうど今これテレビでいろんな方が見ていらっしゃいますので、皆さんに分かりやすく是非御説明いただきたいと思います。
  278. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 道路特定財源の国の取り分、国の税収分は三兆三千億でございます。本税はそのうち一兆六千億、そして暫定税率分が一兆七千でございます。したがいまして、暫定税率を廃止するということは、一兆七千億を失い一兆六千が残るだけになります。ところが、今まで地方道路整備するときの補助金が、毎年一兆二千億お渡しいたしておりますので、国に残るのは四千億だけになります。ただ、国の二万二千キロに及ぶ国道管理、あるいは今の除雪費用、これが四千億、毎年平均して、その多い少ないありますが、掛かっております。したがいまして、全くゼロになるわけです。  そういたしますと、新直轄、八百二十二キロメートルは国の新直轄でやれということが民営化のときに合意されておりますが、今それに向かってやっているわけです。あるいは直轄事業でやっているわけです。そういうものがもう一切できなくなります。(資料提示)  それは、ちょっと先ほど、一枚目見せますが。済みません、お渡ししている二枚目を、いや失礼いたしました、六枚目の日本海沿岸東北自動車道、先ほど見ていただきましたが、そこから。東北の方だったらすぐ分かると思いますけれども、本当に供用されているところと切れているところがぶつぶつあるわけですね。ほとんどがこれ県境なんですね。そういうものが、これはもう早くやってほしいということが、もう毎回毎回来られます。  それから、その次、八枚目。これも先ほど見ていただきましたけれども、山陰自動車道、これも本当にぶつぶつに切れて赤いところばかりです。  それから、一つ戻って近畿でございますが、この部分もひどいんですね、これ、ずっとね。  それからここ……(発言する者あり)はい。それじゃ、もう一度近畿見てください。  いや、本当に紀伊半島、ずっとこれから造らなきゃならないわけで、新宮のところちょっと黒いのがありますけれども、これ、本当にひどい。  それから、もう一つは、これ東九州自動車道。特にこの宮城県を見ていただいたら分かるんですけれども、ほとんど赤色です。この部分について、もちろん道路会社が造る部分もありますけれども、新直轄で今やらしていただいているところがありますが、それが全部止まります。できません。  そういたしますと、こういうものだけではなしに、本当に日常生活で大変困ることが起こるわけでございます。それが二枚目の救急病院へ行く生活道路整備でございますが、ここは奈良県の十津川ですけれども、ここで起こりますと、これは配っていますけれども、三枚目を見てください。この新宮まで三五%の方が行かれますし、それから五條にも三五%行かれます。心停止の場合は三分、それから呼吸停止の場合は十分、出血多量の場合は三十分というのが亡くなるかどうかの瀬戸際になるわけですが、こういうこともできなくなるということでございます。  済みません、あと二枚ほど。学童の通学路も、このように、見ていただいたら分かりますが、三枚目にありますが、歩車道の区別もありません。これは歩道ではなしに路肩でございます。そういうところを、危ないところが四万四千キロもありまして、これを早急に直さなければならないということもできません。  もう一つ、開かずの踏切でございます。これは、救急車ですら、ここ電車が通りますので止まっていますけれども、こういう状態が日本国中にたくさんありまして、四千三百か所もあるわけですが、早急に、開かずの踏切、一時間のうち四十分が閉まっているのが六百か所でございます。こういうものを早急に直さなければなりませんけれども、これがすべて道路特定財源において賄われているということを認識いただきたいわけです。  こういうものをするために、是非これを廃止するというようなことにならないように、この年度内に是非成立をさせていただきたいということでございます。済みません。
  279. 加納時男

    ○加納時男君 国全体としての立場からの御説明は分かりました。私は今のお話を伺っていて、これは国全体の今視点からお話があったんですが、地方の暮らしという観点から総務大臣に是非伺いたいと思っています。  今、全体の予算のお金の話がございましたけれども地方分でいきますと暫定税率廃止で直接地方がマイナスになるのが私の計算では〇・九兆ぐらいだと思います。同時に、地方道路整備臨時交付金がなくなるんで、これが〇・七兆。合わせると約一・六兆地方だけで減ってしまうと思います。そうなりますと、例えば過去の公債発行による借入金の返済にも支障が生ずるんじゃないかとか、今生活道路のこと、いろいろ緊急道路、いろいろお話がございましたけれども、そういった地域のまさに社会的な暮らしのインフラにも支障が出るのかどうか、この辺を総務大臣に伺いたいと思います。
  280. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) お答えを申し上げます。  今お話がございましたとおり、地方道路財源に与える影響というのは直接的には九千億円。全体が二・一兆ですから、半分ですね。半分がすぽんとなくなると、こういうのが一つ。それから、もう一つが道路整備臨時交付金と呼ばれるものでございまして、これが七千億ほど飛ぶと、根拠法が日切れでございますので。そういうことになって、一・六兆。これは地方税収全体の中で一・六兆といいますと大変大きな穴が空くということです。  そもそも地方道路整備の場合には、御案内のとおり道路特定財源と言われるもの、これで地方道路整備全部賄っているわけではなくて、それでも足りないということでほかからお金をお借りする部分、それから一般税収を充てて、それで全体の道路整備費をひねり出していると、こういう仕組みになっていますから、道路特定財源の比率というのはその中では非常に低い。いろんな自治体の判断の中で、先ほど冬柴国土交通大臣お示しになったように、身近な生活道路整備しようとか、あるいは工業団地を造って、そこにいろいろ企業を呼び込むときに、今必ずアクセスの問題聞かれるわけでございますから、そんなことをどういうふうにしようかということで、新直轄の道を選んで、それで国の充当率四分の三だったと思いますが、それから地方負担含めて、いろいろ苦労しながらそういったものを整備しているんですが、今お話しのとおり、そういったものが全部ストップするということになれば、しかも、いつ整備がされるか分からないということになれば、そういった地域活性化の方に与える影響というのは大変大きなものがあるというふうに思いますし、それだけではなくて、今ちょうど来年の予算編成時期、各自治体取り組んでいると思うんですね。ちょうど今その時期なんですが、どういうふうに税収を見込むのか、ここでの国会審議、今はらはらしながら各自治体の予算担当者見守っているんではないかと、こういうふうに思うわけです。  団体によっては、過去に、これ道路建設でございますからどうしても借入れをして、それで建設費を先ほど言いましたように充当しているんですが、それをお返しする分、これはもう待ったなしで毎年毎年決まった額でお返しをしていかなければならないんですが、それすら今回のもし暫定税率分が飛べば賄えないと、こういう団体もあると我々も聞いております。実際にそういう財政構造になっております。  したがって、そういうことになりますと、やっぱりやむを得ずほかの分野のお金を削って、それが福祉なのか教育なのかどうなのかいろいろ極めて難しい判断あると思いますが、そうした分野のお金を削って待ったなしの借金の返しに充てなくちゃいけない。  それから、あと、やはり道路の維持管理費、今除雪経費などいっぱい掛かっておるわけですが、そうしたものにやはり一定額を充てていかなければならないわけで、これはやっぱり削れませんから、その財源も生み出さなければならない。こういうことになりますので、今大変皆さん方、この地方に与える影響を心配をしているんではないかというふうに思います。  この中で、直轄負担金をそれに充てたらいいんではないか。直轄負担金を地方の分を廃止するといって、それでもまだ財源足りません。足りませんし、直轄負担金という、道路財源の方はキャッシュで自治体に入ってくるわけですが、直轄負担金というのは六割ぐらいがあれは起債ですからね、当該団体にとってみればやっぱりキャッシュが入ってくる方がずっと財政運営上有利ですし、それから町村はああいうものを負担をしているわけでは原則ありませんし、だからそこを一体じゃどうするのかということは今見えておりません。  財政担当者のみならず、これは首長さん、あるいは地域の皆様が大変この財政状況には心配をしているんではないかと、こういうふうに思います。
  281. 加納時男

    ○加納時男君 今最後に増田総務大臣が言われたこと、実は私も連日のように全国の市長会始め地域の方々から陳情を受けております、今もう大変だと。ただ新しく道路を造るだけじゃない、既存の道路整備もできない、借金も返せなくなる、関連する地域の福祉も、インフラすらこれでは支障を来すというようなことでございます。    〔理事林芳正君退席、委員長着席〕  総理に伺いたいと思います。ここまでの議論をいろいろ聞いていただきまして、総理の御見解を伺いたいと思います。
  282. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) ただいま担当大臣から説明を申し上げているとおり、これやはり地方に与える影響というのは非常に大きいんじゃないかと思いますね。地方の財政、そしてひいては経済というものに対する活性化を、これを阻害する、そういう大きな問題なんではないかというように思いますので、これはもう円滑にその地方計画を、地方独自の考え方も含めて、それ円滑に遂行できるような、そういうようなことで、是非この年度内に歳出歳入法案が一体として成立するように御尽力願いたいというように思っております。
  283. 加納時男

    ○加納時男君 ありがとうございました。総理の覚悟を、御決意をしっかり承りました。  続いて総理に伺いたいと思います。  この間ダボスに御出張いただきまして、お疲れさまでした。その総理のダボスにおける演説、三つポイントがあったと思うんですが、重点を置かれた一つが気候変動対策でございました。今日はその気候変動に絞って伺いたいと思います。  総理は、ダボスの演説の中でクールアース推進構想というのを示されました。ネーミングも非常にいいと思いますけど、それ私なりに理解しますと三つポイントがあって、一つはポスト京都議定書のフレームワーク、どんな構想でやっていく、全体構想、二つ目が国際的な環境協力、三つ目がイノベーションと、どれも全部非常に重要なポイントだったと思います。何といってもポスト京都のフレームワークでは、すべての主要排出国の参加というのはもうこれは言わば譲れない線だというふうに我々も議論しているところでございますが、これもしっかり触れていただいたかと思いますが、この全体を通じまして総理が最も強調されたところは何でございましょうか。
  284. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 加納委員会議出席をされて、熱心に御討議されたことと思っております。  この中で、今御指摘のクールアース推進構想というものを私申し上げました。そして、すべての主要排出国が参加できる枠組みづくり、そしてまた公平な目標設定に取り組むと、こういうことは極めて大事なわけでございまして、私は申しましたのは、我が国として、主要排出国とともに今後の温室効果ガスの排出削減について国別総量目標を掲げて取り組む、こういうことを提案をいたしました。また、そういうG8に向けての決意というような形で表明をしたわけであります。  また、構想の中で、成長と環境の両立を実現してきた我が国自身の経験に基づいて、エネルギー効率を徹底的に高める努力をするということ、そして、世界全体で二〇二〇年までに三〇%のエネルギー効率の改善を世界が共有すること、これを提案いたしました。あわせて、我が国としては、大幅な排出削減に不可欠な革新的な技術開発、これを加速したいということ、そのために我が国としてもそれなりの研究開発投資をするということを申しました。そして、日本自身を低炭素社会に転換するための検討に着手したいと、こういうことも申しまして、低炭素社会づくりに向けた先導役を今後果たしていきたいと、このように思っているところでございます。
  285. 加納時男

    ○加納時男君 ありがとうございました。  総理が今おっしゃられたことは全部非常に重要なことだと思っています。これを、今結びでおっしゃった低炭素社会構築に向けて日本がスタートを切るというお話でございますので、どのようにスタートを切っていくのか、若干中身につきまして経済産業大臣環境大臣に、今の題に沿って質問させていただきたいと思っております。  これまでに得られつつありますおおむねの、相場観と言っちゃいけませんけれども、感覚ですね、我々、いろんな方、国のいろんな方々と会い、いろんな会議に出ていますが、だんだん固まってきたのは、一つはすべての主要排出国の参加、これは日本が非常にこだわっていることですが、これについてはかなりの今合意が得られつつあるんじゃないかなという感じがします。  それから、低炭素社会を構築する、これについては、ほとんど異議なく日本の提案どおりだと思っています。  それからその次は、言わば、ここからだんだん厳しくなるんですけど、およそ二〇五〇年ごろまでぐらいに温室効果ガスの排出量を世界全体で半減していこうと。そこから先についてはいろいろ細かい議論をこれからやらなきゃいけないと思っています。  ただし、そのアプローチの方法については若干意見が分かれるといいますか、納得いかないところも若干ございますのは、例えばEUなんかが盛んに言っております頭を決めちゃう、キャップ・アンド・トレードという、まず総排出量を頭から決め付けて、言わば官僚統制で決め付けた上で、それに至らないところは取引すればいい、トレードをすればいい。キャップ・アンド・トレードと言っていますが、これはもう金融資本にとってはとてもうれしいビジネス機会でありますから大歓迎だと思いますし、私も経済学の学者ともよく付き合っていますが、非常に学問的には面白いねと、私も非常に興味があります。  しかし、これが本当にCO2の削減に役に立つんですかというところでまたいろいろ議論があるわけでございます。いろいろEUの方も工夫したいといって、最近言ってきたのは、入札方式をこれにかませて、少しでも具体的な目標をつくろうと言っていますけど、現実にこのキャップを勝手に、過去の実績でやるという、京都方式みたいに過去の実績を基に決めるなんてやりますと、これは東欧諸国なんというのはもうたまったものじゃないというので、今七か国ぐらいが訴えていると思います。それから、このEUの中でも訴訟が二百件ぐらい起こっていると思います。  グリーンスパンというのが最近書いた本を読んでいたら、「波乱の時代」というんですけれども、その中で、キャップ・アンド・トレードをどのような形にするにせよ、その実現には大きな疑問があると。上限を高くすれば排出抑制の効果はないのはEUの第一段階で立証された。次に、これからやろうとしている上限値を低くする、つまりキャップを低く抑えてくるとなると、これは排出権の価格が高くなって企業の負担が多くなり、企業が具合悪くなるか、こういう仕組みをやっていないところ、圏外にどこか飛んでいっちゃうといった日本の環境税と同じような議論が実はされています。  もう一つの考えは、日本型の提案といいますか、すべての主要排出国が参加は同じなんですけれども、国別の事情をよく考えて、国ごとの事情に応じたセクター別の効率改善目標をつくっていったらどうだということもございます。これは総理も効率改善を大事だということを力説されておられますし、二〇二〇年ぐらいまでに三〇%の省エネルギーと、たしか総理のお話しになったのを読んでいて見ましたけれども、非常に重要だと思っています。  言わばボトムアップアプローチ、民の力、技術の力でやろうというのが一つのやり方。もう片っ方は官の力、頭から押さえ付けて、統制をして、言うことを聞かなかったら罰金だと。しかも、過去の実績を基にするから、大変、私風の厳しい言い方をしますと、怠け者にはボーナスを、努力した勤勉な者にはペナルティーをという、こういうことをやっちゃいかぬというのが、私いろいろな会議でしゃべっているんですけれども、こういうことが議論されてきて、始まっておりますけれども環境大臣、どのようにお思いでしょうか。それからまた、経済産業大臣にも御意見を伺いたいと思います。
  286. 鴨下一郎

    国務大臣(鴨下一郎君) 先生おっしゃるように、昨年の十二月のバリでのCOP13におきましても、すべての排出国が参加をする新たな枠組み、これはポスト京都というふうに言っておりますが、そういうものをやろうじゃないかと、こういうようなことについては基本的な合意はでき上がってきたわけでありますけれども、それで今度はコペンハーゲンのCOP15に向けて中身についてどうしていくかと、こういうようなことであります。  その中で、今先生がおっしゃっているように、EU型の言わば先生おっしゃっているのはトップダウンのキャップ・アンド・トレード、こういうようなもので、じゃすべての主要排出国が合意ができるかというとなかなか難しいところがございます。実際にバリでも、EUと、それから日本を含むいわゆるアンブレラグループと言われたところと、そしてまあ新興国ですね、中国、インド、こういうようなところが三つどもえ、あるいは途上国含めると四つどもえの大変な議論がございました。そういう中で、すべての排出国が参加できるような、こういったようなある意味でルールというのはどういうことなのかというと、必ずしもEU型というようなわけにはいかないだろうというのは、もうこれは大体の相場観としてでき上がってきています。  ただ、それを今度はすべての国に説得をしていくという意味においては、もうEUは既に走っていますから、ですから、いわゆるトップダウン方式というのはグランドファザリングと言いますが、それと、日本はセクター別のそれぞれの、例えば鉄鋼だったら一トンの鉄鋼を造るのにどれだけのCO2を排出するか、こういう原単位を積み重ねて、そしてそれぞれのセクターに計算をして、最終的にそれを国別の総量目標にしようじゃないか、こういうようなことを今考えているわけで、多分その間には、もしかするとEUとの間で激しい議論になるかも分かりません。  ただ、やはり日本日本の主張をきちんとするべきだろうと、こういうふうに考えておりますので、是非そういう意味で御安心もいただきたいと思います。
  287. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 環境大臣が答弁をした内容で大体いいんだと思いますが、キャップ・アンド・トレードも確かに一つの方法であります。ただ、それには前提がありまして、主要排出国すべてに公平なキャップが掛けられるかどうかというところです。そうでないと、キャップの掛かっていない国に産業は移転をしてしまいます。雇用も喪失、失われてしまうということになります。そのキャップの掛け方が公平でないと、努力をした者が不利になり、サボった者が有利になるということと向かい合わなきゃならないというわけでありまして、その辺に金融セクターが第二の先物市場ということで殺到すると取引価格がまたべらぼうに上がって、日本はべらぼうな金を払わされるという危険性を前もって察知して対処しなければならない。その辺はもう既に環境大臣お答えになったこととリンクしているかと思います。  そこで、原単位、つまり公平なやり方ですね。さっき環境大臣が答弁しましたとおり、粗鋼を一トン造るのにどのくらいの燃料を使うか、セメントを一トン造るのにどのくらい使うか。これはもう為替とか何だとか一切関係なしに公平な効率の単位であります。それをいろいろ産業、運輸、業務、民生、今の例は産業の例でありますけれども、ほかの分野も含めてセクター別に効率を割り出して、今それから今後、直近で開発される技術を投入していくと世界中でどのくらい減るかと、日本はどのくらい減らせるかと、それを積み上げていくと具体的な数字としてこれくらい減りますよと、総理がおっしゃったお話でありますが、そういうことにつながっていくんだと思います。  中国、インドは絶対に巻き込まなきゃいけないわけでありますから、今、日米中印でAPP、アジア太平洋パートナーシップにおいてこの手法をやっていこうということの基本的な考え方のすり合わせが今できつつあるわけでありますし、IEAにおきましてもこの効率指標についての検討が進められているわけでありまして、それらを含めた総理のスピーチはフィナンシャル・タイムズ等で極めて高い評価があったというふうに承知しております。
  288. 加納時男

    ○加納時男君 ありがとうございました。  この温暖化防止対策を進めていく上で、エネルギーの効率化、それからもう一つは原子力も私は非常に重要な役割を果たすと思います。  今週、アメリカのブッシュ大統領の最後の一般教書が出まして、読んでいましたら、その中でこの気候変動対策が出てきました。何が書いてあるのか。これを進める上で不可欠なものが二つある。一つは再生可能エネルギーである、これを増やしたい、アメリカは増やす。もう一つは原子力である、今まさにアメリカが原子力ルネサンスでありますから、この原子力と、この二つが重要だと言っています。  日本の場合、去年、中越沖地震で柏崎刈羽という世界最大の原子力発電所が止まったままでございますが、その結果、需給、収支、そしてまたこのCO2の三つの面で大きな問題があるという指摘が新聞でありました。そのとおりであります。裏返せば、それだけ原子力の持つコストの面、そして需給での中心的な役割、加えてCO2排出削減に不可欠な役割があると思います。  こういった面で、経済産業大臣最後に伺いますが、もちろん原子力ですから安全確認を最大限、第一としました上で、この早期運転再開が望ましいと考えますが、大臣の御見解を伺って、質問を終わりたいと思います。
  289. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 環境団体を代表するグリーンピースの創始者のパトリック・ムーアであるとか、あるいは環境学者で有名なジェームズ・ラブロック博士は今までの主張を変えました。それは、地球を守るには原子力しかないと、たとえ裏切り者と言われようと変節者と言われようとこれは変えないということをおっしゃったわけでありまして、これはCO2はゼロの電力であります。ただし、それには前提がありまして、安全をしっかり確認するということであります。  柏崎刈羽の話もただいま出たわけでありますが、まずは安全の確認が第一でありまして、その確認ができた上で運転の再開が可能になるものと考えておりまして、経済産業省といたしましては、引き続き、詳細な点検調査や耐震安全性の評価等を踏まえ、それから学者、学識経験者による委員会に諮りながらこの発電所の安全性について厳格に確認して、その確認の後に再開をさせたいというふうに思っております。
  290. 加納時男

    ○加納時男君 ありがとうございました。私の関連はここまでにさせていただきまして、この後、坂本由紀子委員に交代させていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  291. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 関連質疑を許します。坂本由紀子君。
  292. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 短い時間ですが、三点伺います。一点は年金制度に対する国民の信頼回復、二点目は子供と家族を応援する日本の社会をどう実現するか、三点目は新型インフルエンザ対策の強化についてです。  初めに、年金制度に対する国民の信頼回復について伺います。  もう世界一の長寿国となった日本ですが、この長寿社会を支える社会保障制度が揺らいで国民が不安を感じているというのは事実でございます。その最たる原因が年金制度についてでございます。この年金記録問題にしっかりと対応して国民の信頼を回復することが大切でございますが、厚生労働大臣に伺います。  先般、ねんきん特別便についての新たな取組というのを発表されましたが、この一連の記録問題への対応、これまでの対応について御説明ください。
  293. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 昨年七月五日の政府与党の工程表に基づきましてコンピューター内での名前の突き合わせをやりました。その結果として、記録をこれは確認できた方々に対して十二月の十七日からねんきん特別便をお送りいたしました。これも様々な観点から工夫を凝らしましたし、これは一人一人の皆さん方の年金の記録を確実なものにするという観点から行いました。  そして、しかしこれは、どういう結果があるかというのは常に点検しないといけない。それで、お送りいたし始めまして一月後にどういう結果であるかということを見ましたら、まず、今受給されている方からお送りいたしましたので御高齢の方が多い。もうとてもじゃないけど文字を見るのも嫌だと、こういう方もおられる。それから、一人一人の記録を確認するということで、本来最も大事なのは、空白の部分の記録を、これを確定作業をしないといけないんですけれども、複数の人にお送りしたりしないといけないので、思い違いがあったり、行ってはいけない人のところに記録があったりするといけません。そういうことを全部考えて、残念ながらそこをブランクにしていた。  それが第一の作業でありますけれども、そのためには皆さんに御連絡していただかないといけない。それから、既に分かっていることについての記録は既にあります。これも同時にちょっとチェックしてくださいよと。同時にチェックしてくださいというのが先に来て、訂正あるなしのはがきの回答というのはそっち側なんですね。  ですから、そういう意味で、やはり分かりにくいということがありましたので、外の方々の有識者、特にこの年金問題に関連ある方々に入っていただいて、私の直属の機関を二十二日に発足させました。そして、厳しい目で見ていただきまして、この訂正を二月六日の分からもっと分かりやすくしてある。それから、窓口の対応に対して非常に不親切だということがありましたので、基本的にダブって送っていないような方々には、もう事業所の名前まで、こういうところにお勤めですね、重複期間どうですねと。それから、ちょっと複数の人に送って、本当はこの人かどうか分からないという方にも、それは例えば東京の目黒区でしたねとか、業種の種類は機械工業でしたねとか、スーパーマーケットでしたかと、こういうことを言って引き出していくと。  それから、さらに社会労務士の皆さん方の全面的な協力を賜りまして、とにかく受け取った特別便、読み方が分からない、ちょっともうこの文字読むのがつらいよと、そういう御高齢の方がおられれば、その社会労務士の方々の事務所、さらに、その事務所がどこか分からないということがありますから市役所、そういうところにコーナーを設けて、そこに行っていただけば懇切丁寧に、その方の代わりになって社会労務士がこの社会保険事務所に電話をしていただく、そして社会保険労務士の方々にもいわゆるコンピューター、ウィンドウマシンを使っていただく。  国民の目線に立って一つ一つ改善をやっていきたいと、そういうことで予定表に、工程表に基づいて着実に一人一人の方々の記録を今確立していく、そのために全力を挙げているところでございます。
  294. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 ただいまの御説明、かなり丁寧にやり直すようになったということで結構なことですが、そうであれば、最初からなぜこれができなかったのかということが当然出てくるわけです。  この問題については、やはりスピーディーに片付けること、それから、これまでのお役所仕事の延長戦でやっちゃいけないということからすると、大臣が一つ一つ丁寧に見ていただいて、事細かに大臣のリーダーシップでやっていただくことが大事だと思うんです。  今、複数送るケースもあるけれどとおっしゃったんですが、複数送るケースというのは一体この全体の中でどのくらいあるんでしょうか。むしろ、一人の人にしか送っていないんじゃないんでしょうか。
  295. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) そういうことを知るために、先般、約一千通のサンプル調査をお送りいたしました。そして、このはがきが来た方々をチェックしましたら、氏名と生年月日とそれから男女別、それから年金の期間、こちらが把握した空白期間、そちらの空白期間、ぴったり一致する、そこまで一致すれば、四つの要素ですから、ほぼ確実ですねと、この方が一割なんです。一割なんです。この方が九割であればそれができるんです。そして、複数の方に送った方がまだたくさんおられたり、それから元々訂正があるという方が来られたり、いろいろ様々ございます。  ですから、そういうことが、失礼いたしました、一割じゃない、五割でございます、五〇・三%でございます。ですから五〇・三%、約半分です。ちょっと私が言い間違えました。  ですから、残り半分の方々がひょっとしたら疑義があると。そうすると、まあそういうことがあっちゃいけませんけれども、複数の方に送って、ある方がそれに基づいて不正をおやりになるというようなことがあればこれは非常に困ったことですから、そういういろんな配慮をある意味でした。  だから、今にして思えば、そういうことがあっても、とにかく不正あったりした場合には後からそっちの手を打てばよかったのかなという手もあるんだったと思います。ただ、あらゆる事前のいろんなことを念頭に置いて、不正がないようにというようなことがあったものですからそういう慎重な配慮になって、それが結果としては御高齢の方々、それから何といっても五十年前の記録ですからそれはやっぱりすぐに思い出せないというようなことがありましたんで、その二つの点を是正するために最大限今努力を行っているところです。
  296. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 今大臣がおっしゃったのは、期間重複がなくて一人にだけ通知しているのが半分なわけですね。期間重複があって一人だけ通知している人が三九%ですから、合わせると九割近くが一人の人だけに通知しているんです。  そうであれば、今のようなやり方でいったん通知を出して、いかがでしょうかと。戻ってきて、相談に乗って、かくかくしかじかですというようなことで時間を掛けて、その後で裁定をするというようなやり方ですが、もうこれは考えてみれば国の責任、そのずさんなやり方を労使が長い間にわたってやってきたというこのずさんな国の責任でございますので、そういう意味では、私は、もう最初から、あなたの記録と思われるものが実はあるんですと、これはあなたのものではないかと思うので、こういうことで裁定させていただきたい、直させていただきたいと、それで御異議があるでしょうかというようなやり方で、全く今までの原理原則とは違うやり方を取るというのももうこの際必要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  297. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) それも一つの方法ですけれども、新たな注意書きを書いて、かなりこれは明確に書いてございます。そして、窓口対応を社会保険労務士を含めて極めて丁寧にすることで、今、坂本委員がおっしゃったことはかなり実現できるというふうに思っています。  それからもう一つ、やはり懸念の方を申し上げますと、実は第三者委員会、これは最後のよりどころで、何にも記録のない方が駆け込んで言っていただく。ところが、ここにどう考えても不正だと言われるような方々が最近とみに増えておりまして、これは補足があれば増田総務大臣なり泉国家公安委員長なりにお答え願いますけれども、そういうことがありますんで、警察の方から第三者委員会に人を派遣せざるを得なくなっていると、こういうこともありますんで。  今、おっしゃることはよく分かります。それで、例えばそういうことがあって、それは詐欺罪というような刑罰の対象にもなるんですけれども、社会労務士の方々の全面的な協力も賜っていますんで、何とかこの方針に沿ってやってみたいというふうに思います。
  298. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 ただ、一千万件のうち九割がそういう方で、複数人の方に通知しているのだけでも百万になるんですね、一割ですから。  そうすると、社会保険労務士の方に力になっていただくのはいいんですが、とにかく数が多いので、一千万人全部やっていただくといったってそれは無理ですから、複数にまたがっていて最初からあなたのって言えないようなものについて丁寧にやっていただくとか、もう少し私はやり方を更に検討していただく必要があるんじゃないかと。  そうすると、こういうやり方というのは役人の発想の延長線上では絶対できないので、総理に伺いたいのですが、こういうのは、舛添大臣は非常に柔軟で国民のために一生懸命やろうとしてくださっている。ただ、余りに問題が大き過ぎる。今回出てきた殺虫剤が食品に混じっていたというような問題も舛添大臣の御担当になります。こんないっぱいある中で年金の問題も一緒にやるというのでは、なかなか時間も割けないし、十分なことがおできにならないんじゃないかと。  尾辻大臣が先般代表質問で申し上げましたが、やっぱりこの問題をスピーディーにそして国民の立場に立って片付けるためには、年金担当大臣を置いていただく、これがやっぱり決め手じゃないかと思うのですが、そういう柔軟な発想と大臣を置いていただくというようなことについて、総理のお考えを伺いたいと思います。
  299. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 厚生労働行政というのはもう国民生活の幅広い分野をお預かりしているということで、厚生労働大臣の責任というのは極めて重いものがございます。  特に、年金に関しまして、今御質疑のこの年金記録問題ということもございますし、また加入率の問題がありますのでこの普及等に努めなきゃいけない、また国民の信頼回復といったようなそういう活動も含まれるということでございますので、これ専任で担当する大臣を置くようにという、置いてはどうかという、そういう委員の御意見、これはもう極めて妥当性のある話ではあると思います。貴重な御提案だと思います。  ただですね、年金というのは、記録問題はこれは大変大事な問題でありましても、年金の行政という観点ではそれだけで済まないこともございます。また、ましてや社会保障制度の重要な一部である年金。しかし、それと同時に、医療の問題もあるし、そしてまた介護、福祉とかいったようないろいろな課題があると。そういうような様々な課題をこれは税とかそれから保険とかいったような形でもって支えているわけでありますので、この各制度が縦割りになってしまうということもこれはちょっと問題があるかなと、こういうように考えます。  ですから、この社会保障制度全体を総合的、一体的に見ていくという観点ということをやっぱり考えていかないと、政策実行という面においては問題があるんではないかなと思います。  現在、閣僚の数も限られておりますし、その中で担当大臣を置くというようなことは、これ担当大臣を置いたらやっぱりその下に組織つくらなきゃいけないということもありますんで、ですからなかなか複雑な問題になってくる可能性があるということでありまして、今申しましたようなことで、一人の担当大臣で、これは苦しくても切り抜けてもらうしかないんではなかろうかと。その代わり、関係する閣僚、また私もそうでございますけれども、そういう関係閣僚会議を開くとかいうような形でもって舛添大臣をサポートするような体制というようなものもつくっておりますので、そういうようなことで現在は進めていくのが一番いいのではないかと考えておるところです。
  300. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 総理のお言葉ですが、年金については、年金は破綻するんじゃないかと若い人が誤解してせっかくの公的年金に入らないというような、こういう問題は見逃せない問題。そうすると、担当大臣があれば、そうじゃないんだと、これは大丈夫なんだということを、そしてまた民間の保険制度よりもずっと有利なもので、税金が入って、これは入らないとむしろ損ですよというようなことをしっかり伝えて日常的にやっていくというのは私はとてもいいことだと思うんです。何も未来永劫というのではなくて、一時的なこの信頼を損ねている問題を解決するために全力を挙げるという意味で必要じゃないか。  総理は、施政方針演説の中で、国民の立場に立って発想を切り替えて社会保障制度を立て直さなければならない、記録の解明を早急に進めるために国を挙げた体制で取り組んでいくとおっしゃっていますので、私は是非、今日直ちにというところまでは無理かと思いますが、この大事なことで、そういうことで大きな力を政治が発揮するためにお考えいただきたいということを重ねて申し上げたいと思います。  続きまして、二点目の子供と家族を応援する社会についてです。  上川大臣にお伺いいたします。  先ほど同僚の椎名議員もお聞きになっておりましたが、この重点戦略はどのような社会を目指そうとしているのか、そして具体的にどう取り組んでこれを実現していこうとなさっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  301. 上川陽子

    国務大臣(上川陽子君) 昨年の末に「子どもと家族を応援する日本」重点戦略が取りまとめられました。  若い世代が結婚したい、また子供も二人以上産みたいという御希望があります。しかし、現実はそれが実現できない。この希望と現実のギャップをできるだけ埋めるために、何がその壁になっているのかということに焦点を当てまして、その上で、第一に、働き方のまず改革をしていただきながら仕事と生活をしっかりと調和していくということが大事ではないか。また、第二としては、いろいろな働き方ができる、その上で、それにふさわしい保育サービスの在り方等についてもこれまでの取組を再構築していくということが大事ではないかということで、これらを車の両輪として速やかに軌道に乗せるということが大切ではないかということでまとめられたところでございます。  一定程度の効果的な財源ということについても必要であるということで、この中では試算もございますけれども、まずはこの二つを推進していくことを今年一年の新しい取組の柱にしていきたいということでございます。  特に、重点戦略の策定に当たりましては海外の事例につきましても参考にさせていただきました。とりわけ、諸外国の中でも近年出生率が非常に上がっている国としてスウェーデンとかフランスがございます。こうした国々の非常に悩みながらも取り組んできたこの家族政策の過程を見てみますと、一九九〇年の辺りを契機に、経済的支援のみならず、働くこととまた子育ての両立支援というところに大きくかじを切り始めました。そして、そのかじを切っていた国では出生率が上がっているという結果も出ているところでございます。また、ドイツにつきましては、まだ出生率等については日本とそれほど変わりはないわけでございます。ここも最近になりまして、経済的支援のみならず、大きな軸足を育児休業の制度でありますとか子育て支援の方にかじを切っているということでございまして、私としては、そういう意味では、この欧州諸国の経験あるいは方向性に照らして、少子化対策におきましては、経済的支援のみならず、育児休業や保育サービスなどの仕事と子育ての両立支援をバランスをさせていくきめ細かな施策の取組が大変大事であるというふうに思っております。  とりわけ、日本の社会の場合におきましては、特に女性を始めとして、働く意欲のある方すべてが労働市場への参加ができること、また、若い世代が、先ほど申しましたとおり、希望とする結婚やまた出産、育児に対しても働きながらでも可能とすることができるように、そうした意味での社会的基盤をしっかりと整えていくということが大切であるというふうに思っておりますので、その点を十分に踏まえた形で二十年度予算、さらには今後の取組に全力で取り組んでまいりたいと思っております。
  302. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 大臣おっしゃったとおりで、ただ単に児童手当を充実すれば片付くかといったら決してそんなことはないわけでございまして、民主党の御提案の子ども手当は実現するとなると必要な財源が五・六兆円と伺っておりますが、大変たくさんのお金が掛かります。でも、この今の子供と家庭の置かれた状況を考えますと、やはり仕事との両立がどう図られるような基盤が整えられるかと、きめ細かな施策抜きにはこの問題は片付かないわけでございまして、大臣がおっしゃったような問題は、また政府だけで片付けられるわけでもございませんので、経済団体それから労働組合等々、関係のところにもしっかりと働きかけていただいて、国民挙げてこの問題に取り組むことができるように是非頑張っていただきたいと思います。  厚生労働大臣に伺いたいのですが、子供に対する応援といったときに、ともすれば子供手当のようなことばかりに注目が当たりがちなんですが、残念ながら児童虐待を受ける子供たちが増えております。また、人工妊娠中絶も多いとか、本当に私たちの中に真っ先にもっと光を当てて取り組まなければいけない子供の問題というのが実は残されておるわけでございまして、大臣はこの問題についてどのようにお取り組みいただけるのか、伺いたいと思います。
  303. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今、坂本委員がおっしゃったように、例えば児童虐待のように、やはりこの社会全体でみんなで守っていかないといけない子供たちは数が増えております。私は、今のこういう状況に対しての対応は十分であるというふうには思っておりません。したがって、こういうところにきめの細かい手当てをするべきだというふうに思っています。  それで、この国会で児童福祉法等の改正法案を出そうというふうに思っていますが、三つぐらいその中に入れたいポイントがございます。  一つは、里親制度の拡充とか小規模グループ形態の住居による新たな養育制度の創設など、いわゆる家庭的養護の拡充、これはもう虐待された場合にどこかでかくまってあげるということが必要ですから。それから、年長児の自立支援策が足りませんね。だから、自立支援活動の中で、特に年長児の自立ということを盛り込みたいと思っています。それから、やはりこの虐待を防止するためには見付けたら通告してもらわないといけない。したがって、通告義務などをこの児童養護施設においての虐待防止のために入れると。この児童福祉法の改正案を出したいというふうに思っております。  それから、虐待を受けた子供を保護する施設においてのケアの現状が十分であるか。私は、何かいろんな問題がここにあるような気がしますので、これを調査をまず行いたいというふうに思います。その結果、次世代の育成支援策の再構築をやる。  それから、今少しお触れになりましたけれども財源の問題、これも考えないといけないと思いますけれども、今申し上げましたような虐待を受けた子のように、特別な社会的支援の必要な子供に対しても細かい支援の手を差し伸べたいと、そういうふうに思っております。
  304. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 ありがとうございます。すべての子供が、特にこの社会に生まれたすべての子供たちが希望を持って育ち、人生を歩んでいけるようにしっかりとしたお取り組みを進めていただきたいというふうに思う次第です。  次に、新型インフルエンザ対策について伺います。  先日、NHKでこの問題について放送されまして、御覧になった方も多くて、この問題大変なんだということを少しお分かりいただけたんではないかと思います。この予算委員会の場でも公明党の澤議員が随分熱心にこれまでもお取り上げくださっております。  私も、やはりこの問題は、多くの国民にこういう問題があるんだということを理解していただいて、そして決して、しっかりとした対策を取ればいいんだ、混乱をしたりすることがないようにあらかじめきちっとした取組をしていくことが大事ではないかというふうに思うのであります。  そこで、まず厚生労働大臣に、現在の世界の鳥インフルエンザの発生状況がどうなっているのか、お伺いいたします。
  305. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今、坂本委員がおっしゃったように、NHKの特別番組は私も二晩にわたって見ました。  厚生省としてもこの対策を十分取ってきているところでありますけれども、いわゆる高病原性鳥インフルエンザウイルスH5N1と、これが鳥から人への感染による死亡例も報告されているということでありまして、平成十五年十一月以降ですと、鳥から人への感染による患者は世界で三百五十七人、うち死亡者が二百二十三人で、インドネシア始め東南アジアの国々を中心に発生しております。  これ、こういうのをパンデミックというふうに申しますけれども委員御承知のように、一九一八年から一九年のスペインのインフルエンザで四千万人亡くなっています。それから、五七年から五八年のアジアのインフルエンザでは二百万人以上、それで六八年から六九年の香港インフルエンザでは百万人以上、こういう爆発的な死者の数が出るということでありまして、この新型インフルエンザに対して免疫を人間がまだ獲得していないために今のような爆発的な感染が起こるわけですけれども、我々はいろいろ行動計画を立てていますけれども、国内における被害の想定人数で、受診者数は最大二千五百万人、そして死亡者数が十七から六十四万人という想定の下に今着々とこの対策を立て、ワクチンを備蓄しというようなことをやっております。
  306. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 東南アジアを中心にかなりの鳥インフルエンザによる人への発症、そして亡くなる方が出ておりますし、全世界に広がっているという大変危険な状態になってきているわけであります。この問題に対しては様々な対策を各国が取り始めています。日本も随分進んできたと思いますが、まだまだやるべきことはあるように思います。  今般、この補正予算の中にも新型インフルエンザ対策が盛り込まれておるかと思いますが、これについて御説明いただけますでしょうか。
  307. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今一部申し上げましたけれども、具体的なこの新型インフルエンザ対策についてちょっと御説明をさせていただきたいと思います。  これまで、厚生労働大臣、私を本部長とする対策推進本部や関係省庁の対策会議を設置しました。それから、発生時の具体的なガイドラインも策定しております。それから、抗インフルエンザウイルス薬の確保で、平成十九年度末で合計二千八百万人分です。それから、ワクチンの研究開発及び備蓄で一千万人備蓄するとともに新しい変異に対応した新たな原液を製造すると。それから、自治体における実地訓練も含めた総合訓練を行います。それから、国際協力のために専門家を海外に派遣をしております。さらに、検疫体制の水際対策の検証、それから発生時の混乱を防止するための国民や企業に対する情報提供、その他の点についても予算措置をとっていただきまして今準備を進めているところでございますし、与党におきましてもこの件に関するプロジェクトチームが立ち上がったというように聞いておりますので、そのチームとも連携を取りながら万全を期して新型インフルエンザ対応に当たりたいと思います。
  308. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 ありがとうございます。  全体の対策の御説明をいただきました。今回提出されている、今審議している補正予算におきましても、抗インフルエンザウイルス薬の備蓄に二十二億円、新型インフルエンザワクチンの備蓄に四十億円、それから感染症指定医療機関に従事する医療関係者のための個人防護具として六億円ということで必要な対策を講じていただいておりますので、この補正予算はそういう意味でしっかりと成立をして、早くに対策が取れるように、特にワクチン等につきましては整えるのに時間が掛かりますので、やっていただきたいと思います。  ところで、私たち日本は地震国でございますので、私の地元の静岡も東海地震が心配されているところでございますが、地震につきましてはしっかりとした対策が取られていると思います。特に関係省庁や自治体が総合的に取り組むということについて行われていると思うんですが、このインフルエンザ対策に役立てるという意味でも、今地震対策として取られているものについて泉大臣から内容を伺いたいと思います。
  309. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 首都直下型あるいは東海地震などにおきましては、地震の発生前の予防の段階、それから発生をした発災の段階、さらに復旧復興の段階、こういう各段階ごとにどうあるべきか、基本的な考え方を地震対策大綱というものにまとめさせていただいております。  さらに、地震が発生をしましたときに、各省庁や各地方公共団体が効果的な連携を取る、連係プレーがうまくいくように、あるいは効率的に的確に行われるような、どういう物資を投入するか、どういう人的配置をするかというような活動内容や手続、あるいは役割分担等を定めました応急対策活動要領というものを定めております。  この応急対策活動要領に基づきまして、国は速やかに緊急災害対策本部を設置いたしますとともに、現地に災害対策、応急対策の調整等を行わしめる現地対策本部を設置し、国と地方公共団体等が連携して対応する、地方自治体は地方自治体としてまたそれぞれの計画を持ち合わせ、三重、四重の体制を整えさせていただいておるところでございます。
  310. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 体制はつくっても、いざというときに動かないというのではこれまた困りますので、日常的な訓練、しっかりと実のあるものにしていくことが大事だと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。
  311. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 御指摘のとおりに、地震発生時に備えて平素からの実践的な訓練が大変重要であることは申すまでもありません。国におきましても、地方公共団体とその関係機関と連携をして毎年総合訓練をさせていただいておるわけでございます。  九月一日の防災の日、これは総理大臣以下全閣僚が参加しまして、東海地震等の大規模地震を想定をし、政府本部の運営訓練を行いますとともに、自衛隊や消防、警察、そうした広域な応援部隊、さらには災害派遣医療チームの連携等、現地訓練を実施いたしております。  また、毎年一月には、各省庁の職員が参加をいたしまして、政府本部事務局の実践的な対応の向上を目指した図上訓練をいたしております。今年もつい先日、官邸で約二百名の職員が約六時間程度の図上訓練をいたしました。通行予定の道路が突然通れなくなる、あるいは紙おむつが足りなくなったと、こういう具体的な事例の中で今年は初めて東南海・南海地震を想定をしながら訓練を行ったところでございます。  さらに、地域の力を高めるという意味では、それぞれの集落がお互いに連係プレーができるような訓練をやっていただいておりますし、個人におきましても災害の場合は必ず決断を求められる。逃げるのかそれともとどまるのか、逃げる場合は東西南北どこに逃げるのか、上に逃げるのか下に行くのかといった、こうした判断を求められるわけでありまして、そうした訓練も常日ごろからやっていただけるように我々としては広報活動なども通じて実際に備えていただいておるところでございます。
  312. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 先日のテレビの中でも、その封じ込めをすること等々について行政が決断できないというようなことが、なかなか決断できないというような場面が出ていたりしましたが、こういう問題が起きたときに直ちに封じ込めをするとか、あるいは決断を逡巡しないということはとても大事でございます。  あるいは、様々なツールがそろっているということも大事です。例えば自衛隊法では、災害派遣については自衛隊の派遣が規定をされておるんですが、この災害の中には、新型インフルエンザが発生したときに行けるかというと、ここで言う災害の定義には恐らく入っていません。それから放送法でも、災害の場合の放送ということで、災害が起きたら放送するということが書かれているけれど、恐らくここの災害には新型インフルエンザの発生の事態というのは法律上は想定されていないんじゃないかと思うんですね。  それで、厚生労働大臣に伺いたいのですが、もし人―人で世界的な大流行という事態になったときに、直ちにワクチンを製造してできるだけ早くにワクチンを国民に提供できるようにしなければいけない等々の課題がありますが、今の事態で、ワクチン、卵に植え付けて一年も掛かってというのではもうとても間に合わないというようなことがあります。こういう急いでやらなきゃいけないんだけれどもお金がない、あるいは人がいないということでできていない部分がたくさんあるんではないかと思うんですが、この点はいかがでしょうか。
  313. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今のワクチンの製造方法ですけど、鶏の卵を用いる方法に加えまして、今、細胞培養から製造する方法を鋭意研究開発していまして、これだと時間が短縮できます。そのような手を取りたいと思いますし、それからもう一つは、感染症でこの新しいウイルスに対してどうするかというので、この国会で感染症の予防法、検疫法、これの改正にこのH5N1を加えて、水際作戦が徹底できるようなかなりの強制力を持った形でやっていきたいと思いますし、できる限りのパンデミック対策というのをやっていきたいと思います。
  314. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 先ほど厚生労働大臣がおっしゃった患者の推計でも、二千五百万人の人が病院を受診する必要があるんじゃないかと、あるいは亡くなる方が十七万人から六十四万人もこの日本で出るんではないかということになると、これはもう大変なことでございまして、そういう意味では、これは総理の強力なリーダーシップの下で内閣挙げてやっていただかなければならないのではないかと思うのです。  本当に各省庁がそれぞれのところでしっかりとしたことができているかどうか大臣自ら検証していただいて、あるいは地方自治体が特に大事でございますので、知事自らこの問題について本当に自分の地域がちゃんとできているかどうかということを確認して体制を立てていただかなきゃいけないと思うのですが、総理にこの問題についての決意をお伺いしたいと思います。
  315. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 新型インフルエンザに対しましては、もう御指摘のとおり、極めて迅速性、そしてその規模の拡大とかいったようなそういうような観点。そしてまた、いったん発生して蔓延するようなことがあれば、これはもう物すごい被害を及ぼす、また甚大なる社会問題になるといったようなことも考えまして、この新型インフルエンザ、発生する、またしたときには、これはもう私を本部長とする危機管理対応ということになっております。そして、各行政機関を総動員するとかいったようなことはやることになっておりますので、しっかりと対応をさせていただきたいと思います。
  316. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 ただ、先ほど泉大臣がおっしゃったような訓練も全省庁挙げて総理をトップにしてこの問題についてなされているかといえば、本当に厚生労働省の一部の組織が細々とやっているというのが今の現状でございますので、是非この問題について、今日は各大臣に伺いませんでしたが、それぞれのところでまた御検討いただく、お取り組みいただくことを重ねてお願いして、私の質問を終わります。
  317. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) これにて坂本由紀子君の関連質疑は終了いたしました。  以上で椎名一保君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  318. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、山口那津男君の質疑を行います。山口君。
  319. 山口那津男

    山口那津男君 公明党の山口那津男でございます。  この度の補正予算は、災害対策あるいは原油高騰対策、さらには中国残留孤児の給付の制度、そしてまた高齢者医療制度への移行の激変緩和など所要の経費、これを臨時的なものあるいは緊急の必要のあるもの等について手当てをしておりまして、一日も早い成立とその実施を期していかなければならないと思います。  そこで、まず伺いますが、学校の耐震化の促進についてであります。平成十七年十一月の建築物耐震改修促進法の制定以来、全国の公立小中学校の耐震診断、耐震改修を進めてきておりまして、昨年の補正予算から重点的に手当てをして、今回の補正予算でも、財政事情が極めて厳しい中、昨年度と同程度の額を確保したところであります。これから迎える春休みに集中工事等を行うことが望ましいわけでありますが、一日も早い成立と執行を期待したいと思います。  しかし、耐震化への取組というのはかなり地域差があることも事実であります。例えば、昨年、中越沖地震に見舞われた新潟県がこれまでどのように取り組んできたか、そしてまたその地震の被害と耐震化との関係がどのようなものであったか、これについてまずお示しいただきたいと思います。
  320. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 新潟における公立小中学校の耐震状況についてお尋ねがございました。  平成十九年四月一日現在で新潟は耐震診断率が六三・〇、これは全国で四十七位という状況でございます。これは前回の地震の影響もあったのかなという思いがいたしますが、また耐震化率が五〇・二%で三十二位、全国平均が五八・六%でございますから、そういう意味ではなかなかこの取組はまだまだ進んでいないというふうに見るべきであろうと思っております。  この前の新潟中越沖地震、最近の方でございますけれども、この中で公立学校施設の被害は、ちょうど学校数は二百七十校であったわけでございますけれども、これらのうちで構造的な被害を受けたものは二棟でございました。ただ、主な構造部分にこれは耐震補強すれば大丈夫ということで、建て替えをするというところまでは至っておりません。  そして、耐震化との関係でございますが、ちょうどその被害を受けた二棟のすぐ近くに前回の新潟県の中越地震、平成十六年十月の地震でございますけれども、被害を受けた以降に耐震補強を行った校舎というのがありましたけれども、この度の地震では当該学校は被害がなく、耐震補強というのは非常に有効であるということが証明をされたというふうに言っていいと思います。  いずれにいたしましても、今日、椎名議員の質問でもお答えをいたしましたが、やっぱり工事の非常に騒音を発するとか、また重機を持ち込むとか、こういう場合は休みをうまく使わなきゃいけないということで、この春休みが非常に有効に使えると思いますので、一日も早いこの補正予算の執行が待ち望まれているというふうに思っております。
  321. 山口那津男

    山口那津男君 今、新潟県の例を挙げていただきましたけど、確かに耐震化を進めれば効果があるということが実証されているわけであります。しかしまた、現場の方々の意識の問題もあるでしょうし、多額の費用も掛かるし、一気にできないということもあります。そうした意味で支援が必要だろうと、こう思うわけであります。  そんな中で、防災機能も併せて強化をしていくということも課題となっております。さらに、優先順位をきちっと明確にした上で計画的に進めていくということも必要であります。大臣おっしゃられましたように、春休みは絶好の機会でありますし、また来る夏休みも同様でありまして、こういった時期の制約やあるいは適切な工事単価を設定するとか、こういったところにも配慮をしていかないと、実際予算だけ付けても工事は進まないと思います。  これから公立学校のみならず、国立やあるいは私立の学校も含めてこの耐震化にどう取り組んでいかれるか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  322. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 委員が御指摘をいただきましたように、この工事の時期がある程度制約されるということもあります。それからまた、地域の状況で、この地元の状況がどういうふうになっているかということを的確にやっぱり把握をして進める、計画的に進めるということが大事であろうと思っております。  当面、危険度が高いと言われております、約一万棟あるわけでございますが、この建物を今後五年間をめどに耐震化の推進を図るという計画を立てておりまして、先ほど御指摘がございました単価の適正化といったようなことにも目配りをしながら計画的に耐震化を進めてまいりたいというふうに考えております。
  323. 山口那津男

    山口那津男君 地域にとりましても、また子供たちにとりましても安全、安心のよりどころでありますので、是非積極的にお願いしたいと思います。  さて、原油高騰対策についてお伺いしようと思いましたが、同僚委員の質問等で制度の内容については既に御議論がありました。  一点だけ伺いたいと思います。  特に高騰で苦しんでいる方々、地域、こういうところへの配慮をやっぱり十分行き届かせて実効性のある使い方をしていただきたいと思うんですね。特に離島の漁業者、東京にも離島、伊豆七島等たくさんあります。  つい先日、一月二十九日に神津島というところ、実態の調査をいたしました。そうしましたら、三年前、漁船の軽油、漁船に使う軽油が一リットル当たり四十七円であったものが現在百一円、倍以上になっているんですね。また、一日当たりの出漁の経費ですね、これは軽油代もありますし、えさ代とか氷代とかいろいろあります。これも、かつて一万五千円程度であったものが今二万五千円以上掛かると。こういうことで大変苦しい、出漁しても漁獲と合わずに赤字になると。そんな中で、約百八十人近くの漁業者の方が、出漁しないで緊急雇用ということで役場の用意した仕事に就いて取りあえずしのいでいると、こういう声も聞かれたところであります。  ですから、それぞれ全国のこの離島の漁業者の皆さん、同様の苦しい立場にあられると思います。そういう実情をよく調査をしていただいて、優先順位を付けて支援の手を差し伸べていただきたいと思うんですね。そのためには、やっぱり制度の内容を周知する、そして相談できる機会を多くする、こういうことも含めて、その運用上の配慮についてもお願いしたいと思うんですが、農水大臣の御決意を伺いたいと思います。
  324. 若林正俊

    国務大臣(若林正俊君) 委員からは、神津島の具体的な例をお話しいただきながら、現地漁業者が大変苦労しながら工夫を凝らしている状況のお話がございました。御承知のように、この燃油価格の高騰によって各漁村、浜は大変な状況になっているということで認識を共有させていただいているところでございます。  委員御承知のとおり、この平成十九年度の補正予算案では、漁業対策として百二億円の予算を盛り込んでいるところでございますが、これによりまして、省エネ施設などへの転換やグループ操業への支援、あるいはまた地域やグループでの一斉の省エネ型操業形態への転換への支援を実施することに加えまして、燃油高騰の影響で輪番制の休漁を行う。ちょうどこの神津島の方でも工夫を凝らしているようでございますけれども、そういう輪番制で休漁することになる漁業者に対しまして何らかの所得の支援をしていかなきゃいけないという問題意識を持っておりまして、藻場でありますとか干潟の整備でありますとか、陸上におきましては魚付林の整備でありますとか、そして漂流・漂着ごみの除去など漁場の整備といったことなど、漁業生産力の向上に取り組んでいくような場合、これらの活動に伴う人件費などを支援したいというふうに考えているところでございまして、これらの支援によりまして、休漁によるコストの削減や魚価の向上等による生産額の上昇を通じて操業における収益性が改善されるほか、漁を休んでも一定の収入が確保されることが期待されるところでございます。  もとより、これらの事業の実施に当たっては現場で活用されるような仕組みでなければならないと、そういうふうに考えておりまして、今後とも、おっしゃいますように、現場の漁業者との対話を重視いたしまして、意見交換をしていくなどによりまして各地域の実情をできるだけ反映したような現実的な運営が図れるようにすると。緊急度につきましても、地域の状況をよく把握した上できちっとした対応をしてまいりたいと、このように考えております。
  325. 山口那津男

    山口那津男君 また別途、軽油やガソリンの運賃補助という仕組みが十分じゃないものですから、やっぱりこの価格が島で非常に高騰していると。例えば、三宅島ではリッター当たり二百十円超えて、小笠原ではこれは二百六十円を超えていると、こういう話もありました。ですから、これらも含めて、自治体との役割分担も含めて是非実効性のある支援をお願いしたいと思います。  さて、次に道路特定財源、様々な角度から議論がありましたけれども、ちょっと視点を変えて、この地域から見たらどうなるか、住民の目から見たら、その自分の地域で道路特定財源がどこに使われてどういう事業が行われているのか、それが果たして自分たちにとって必要なものなのかどうか、こういう視野で考えるということは大事なことだろうと思います。  私は東京選出でありますから東京の例を挙げながらお話ししますが、昨年は東京大気汚染訴訟というのが高等裁判所で和解になりました。これは補償や医療費の助成のみならず、道路や交通やあるいは環境、こういった行政施策も含めて和解の内容にしていると、こういう画期的なものであります。冬柴国土交通大臣におきましても、解決に御尽力をいただきまして大変敬意を表するところでありますが、大事なことは、こういった視点から考えたときに様々な施策が具体例としてもう動いているということですね。  例えば、道路の関係でいえば中央環状線、これが順次足立から板橋へ、そしてまた新宿へ、これから渋谷あるいは品川へ延びようとしております。今新宿まで開通しましたが、流れが相当スムーズになりました。これはドライバーの皆さん、実感しているところであります。これから品川線を造るわけでありますが、この事業に道路特定財源がどれだけ使われて、そしてどういう効果が期待されているのか、これについて簡潔に御答弁いただきたいと思います。
  326. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) これはまだ、今おっしゃった部分については予定路線でございますから、これから国幹協議会において決めていただくことになると思います。しかし、東京そのものを考えたときに本当に大きな、今までは地方のことをたくさん言っていましたけれども、一つ、東京には物すごく開かずの踏切が多いですね。このことについて具体的にちょっと。(資料提示)  これを見てください。これはお数珠ではないんでして、この赤色、赤点、これ一つが、一つずつここに書いてある開かずの踏切なんです。一時間のうち四十分閉まっているんです。それで、こちらの黄色の方は交通が集中する踏切でございまして、やはり大変、車だけではなし、人も自転車も殺到する踏切、こんなにたくさんあるんです。  これは見ていただいたら分かりますけれども、東京二十三区だけで開かずの踏切が二百三十か所、そしてまた集中するところが、こんなところは、パリの十四それからロンドンの十というのと比べたらもうとんでもない数字です。これは恐らく連続立体交差をするということでやらなければならないわけでして、大変莫大なお金が掛かるわけですね。こういうものが止まってしまうということ。  それ以外にも、言われたような首都高速の中央環状線ですね、品川までのところとか、あるいは圏央道ですね、こういうものについてもなかなか難しくなってくる。それから、今新宿駅南口の再開発事業やっていますけれども、町づくり事業、こういう重要な対策が極めて困難、極めて困難になります。  そういうことを申し上げまして、お尋ねの品川線でどれぐらいということはまだちょっと早いと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。(発言する者あり)
  327. 山口那津男

    山口那津男君 委員長、制止をお願いしたいと思います。
  328. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御静粛にお願いいたします。
  329. 山口那津男

    山口那津男君 今開かずの踏切について詳しい説明がありました。地方のことが話題になってきましたけど、東京はやっぱりいろんなものが集中しているだけにこういった集中、集積の不利益部分というのはいっぱいあるんですね。開かずの踏切は先ほどの説明のようにたくさんの数、しかも全国の半数を東京が占めている。これを解消するには至難の業であります。多額のお金が掛かり時間も掛かります。しかし、これをやることによって渋滞が解消される、あるいは線路で分断されている両側の町が一体化できると、そしてまた渋滞による公害、大気汚染、これを和らげることができる、あるいは込み入った町並みに救急車や消防車が入れるようになる、様々な効果が期待されているわけですね。  今二十三区のことをお示しいただきましたけれども、例えば今JRの中央線、ここで連続立体化やっているわけですね。ここには開かずの踏切が、今図には出てこなかったものが、それこそ全国で高い順位にあるものがたくさんあるんじゃないんですか。これについて御説明いただきたいと思います。
  330. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) もう多摩の方まで入れますと物すごい数になります。  私は、地方の部分が随分切れているということで申し上げましたけれども、東京は東京で今言ったような大変な問題を抱えておりまして、それには莫大な経費が必要でありまして、これを道路特定財源に仰いでいる現状を見れば、もう四月一日からそれが止まる、あるいは、今やっている工事の代金ですら国は六千六百億も工事をやっている業者に借金しているわけでございます。  そういう状態の中で、二十三区だけではなしに多摩の地区も、東京都というのは、まあ島もありますけれども、非常に広い範囲で同じような状況が起こっているわけでございまして、急がれると思います。
  331. 山口那津男

    山口那津男君 東京足立区の竹ノ塚という踏切では残念ながら大きな事故がありました。死亡者が二人、大けがした方が二人、これを解消するために今立体化をしようということで作業が進んでいるところでありますけれども、ここには区が、足立区が事業の施行者になりまして国が支援をすると。普通だったら東京都がやるんですが、これ足立区でやります。ですから、もし国からの道路特定財源を基にした補助等が来なければ、これは区単独では到底この事業はできない。しかし、地域においては待ち望まれる非常に緊急性のある事業なわけですね。  これ、仮に暫定税率を廃止して国から来るお金が制限された場合に別な手段で調達してくれるんですか、大臣、どうなんですか。
  332. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 二兆六千億という大きなものを失うわけですね。それで、そのうちの一兆七千が国に配分されてきた分です。その上、残った一兆六千の国の取り分のうち一兆二千まで地方に補助金として渡している。民主党の案では、今まで渡していた補助金はそのまま渡すということになりますと、国の手元に四千億しか残らないんです。そうなりますと、除雪と、それから二万二千キロに及ぶ国道の維持管理に年間約四千億が掛かっていますので、それ以外全くなくなってしまう。さっき言ったように、六千六百の借金も私の方は残るわけでございます。  じゃ、一般会計から出したらいいと、どこから、どこから仰ぐのか。二兆六千というのはもう大変な金額です。我々はその財源をどこから求めるのか。今でももう本当に公共事業切り詰めてきました。合理化できるところは本当に合理化してきました。それ以上、私どもがそんな二兆数千億というようなものをどこから出すのか。その財源の手当てというのは考えられません。
  333. 山口那津男

    山口那津男君 その足立区を選挙区とする鴨下環境大臣、公害健康補償法という法律で補償事業をやっていますね。これは公害の患者さんを認定をして補償金を払うという仕組みですね。ここにも自動車重量税が使われているんですね。幾らぐらい使われて、全国でその認定された患者さんがどれぐらいいらっしゃって、そのうち東京にお住まいの方はどれぐらいいるか、これお示しいただきたいと思います。
  334. 鴨下一郎

    国務大臣(鴨下一郎君) 私も足立区を住まいにしておりますので、いわゆる開かずの踏切で尊い命が奪われたということを非常に深刻に受け止めまして、特に住民の皆さんが本当に一致団結して頑張っていらっしゃるというようなことは、本当に我々もある意味で心を打たれるものがございます。  今、御質問をいただきましたのは、大気汚染によるぜんそく等の認定患者さん、これは全国に四万七千人いらっしゃいます。そして、東京都には一万八千人おいでになられる。これらの患者さんの方々に対しまして、公健法に基づく医療費や障害補償費等の給付が行われているわけでありまして、これ、財源につきましては汚染者負担の原則に基づきまして大気汚染の原因者から徴収することになっております。これには、例えば工場からの賦課金を徴収するほか、自動車に係る負担として、制度創設以来三十年余にわたって自動車重量税の税収を引き当てていると、こういうようなことでございまして、この自動車重量税の税収が十全に確保されると、こういうようなことがこの自動車重量税引き当て方式による補償給付の安定的な実施に資することはもう言うまでもないわけでありまして、この税率水準の維持、これが不可欠であると、こういうようなことを申し上げたいというふうに思います。
  335. 山口那津男

    山口那津男君 東京だけでも一万八千人の患者さんいらっしゃるんですよ。高齢化しています、ほかに収入がなくて、これを頼りにしている人がいます。暫定税率廃止で影響を受けたらたちまち生活困るんですよ。是非ともこれは確保していただきたいと思います。  さて、次に伺いますが、これをお示ししますが、(資料提示)これはクラスター爆弾と言われるものの子爆弾であります。UNMACAというアフガニスタンの地雷除去活動、国連の地雷除去活動をやっていたダン・ケリーさんという所長さんからこれをいただきました。これは不発弾で火薬を抜いたものでありますけれども、この子爆弾がたくさんアフガニスタンには散乱しているわけですね。それが放置されている。このままですとやっぱりけがをする人がたくさん出る、中には命を失う人もいるわけです。そうした状態に置かれたこの子爆弾というものは、遺棄された地雷と同じようにやっぱり人道的な被害をもたらすということで、今この規制の在り方をめぐっていろいろ議論をされているわけですね。  二つの議論の場があります。いわゆるCCWというこの大きな国際的な枠組みの下での議論と、それからオスロ・プロセスという、これは大国を含まない、このクラスター爆弾の製造・保有国の一部を含まないグループで議論が同時並行で進んでいるわけであります。  まず、このCCW締約国会議、ここで議論が近年、昨年あるいは今年に入ってからいろいろ議論が進んで日本も提言をしていると思います。この枠組みの中で大事なことは、その大量に製造する国あるいは持っている国、こういう国々を巻き込んで条約、制限条約を作らないと、これ実効性がないということなんですね。これは地球温暖化防止のための国際的な枠組みと似たような構造にあります。大量の排出国を取り込まなければ効果的な仕事というのはできないわけですね。ですから、このCCW締約国会議、この枠組みで合意を作り出すということが私はまず大事な目標だろうと思うんですが、外務大臣日本としてはどう取り組んでおられますか。
  336. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 委員がおっしゃるように、CCWの枠組みというのは主要な生産国、保有国が入っているわけでありますから、ここで国際約束を作るということが重要であると、こういうふうに思っております。  今年、本年一月、第一回のCCW政府専門家会合が開催されたわけでありますが、この中で、日本とすればこのCCWの枠組みにおいて国際約束を作りましょうと、こういうことを申し上げました。その内容でありますが、信頼性又は正確性の低いクラスター弾については一定の移行期間の後に使用を禁止すると、そして開発、生産、取得、移譲については即時に禁止すべきだ、そういう主張を行いました。  政府としては、このCCWの枠組みで実効的な国際約束を作成する取組に積極的に貢献していきたい、こういうふうに思っております。
  337. 山口那津男

    山口那津男君 しかし、このCCWで大量製造国、保有国が合意に賛同しないということになりますと進展しません。その場合には、オスロ・プロセスの方が禁止条約に向けて動き出す可能性もあるわけですね。かつて対人地雷禁止に関するオタワ条約締結のときも、そういう動きでオタワ条約の方が先に進んだわけであります。  我が国としては、このオスロ・プロセスに対応した方がかえってクラスター弾の反人道的な側面を取り除いていくということに効果があると、こういう可能性も排除できないと思うんですね。ですから、今後成り行きを見ながら、努力をしながら、オスロ・プロセスでの合意形成に踏み切る場合もあり得るのではないかと思うわけでありますが、外務大臣認識を伺います。
  338. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) オスロ・プロセスには主要生産国あるいは保有国、アメリカだとかロシアだとか中国、これは参加してないんですね。ですから、このオスロ・プロセスも活用しながら、その意思を反映させながら、そしてあくまで最終的にはCCWの枠組みで実効的な国際約束を作りたい、このために日本政府としては一生懸命取り組んでいきたい、こういうふうに思っております。
  339. 山口那津男

    山口那津男君 対人地雷禁止のときもCCWでなかなか進まなかったから、大量の製造国、保有国を除いたそのオタワ条約の枠組みで我が国はそっちに参加して合意をしたわけですよね。ですから、その辺はよく考えながら今後検討していただきたいと思います。  さて、防衛省も自衛隊でクラスター弾は爆弾だけではなくて砲弾も含めて保有しているわけですね。こういった国際社会の動きの中では、仮に防衛政策上の有用性があるとしても、不発の子爆弾が残るとすればやっぱり国民に被害をもたらす、そういう非人道的な側面は否定できません。ですから、不発弾を発生させないような技術開発をするとか、あるいは代替兵器を開発するとか、そのようなことを検討する段階に来ているのではないかと思いますが、防衛大臣のお考えを伺いたいと思います。
  340. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 委員御指摘のとおり、私どものクラスター、保有を確かにいたしております。これは専守防衛でございますから外国で使うものではございません。我が国に対しまして急迫不正の武力攻撃あったときに、我が国は縦深性が非常に短いですから、水際でたたかねばならぬ。水際でたたいて何とか国内における被害を少なくせねばならぬ。私は、クラスターの有用性というものはそれは我が国においてはやっぱり消えないのだろうと思っています。  その場合にどうするか。まず、国民に、無辜の民に被害を生じさせないように、ここで使いますよということをきちんと事前に警告をして避難をさせる、敵を面的に制圧をした後にまた住民が戻る場合には不発弾を除去するということが基本的にあるというふうに考えております。  しかしながら、それでもなお不発弾というものは残るとするならば、委員御指摘のようにどうやって正確性を上げるか、信頼性を高めるか。私どものクラスターには、輸入、そしてライセンス国産、国産と、三つございますが、国産のものは信頼性を高めるために様々な工夫をいたしております。私どもとしてどういうような技術がこれから先、深めることができるか、国際協調ができるか、それは真剣に検討していかねばならないことだと思っております。  ただ、対人地雷のときに指向性散弾というものがございました。代替兵器としてそういうものを考えたのでございますが、クラスターの場合に何か代わるものがあるかということになると、なかなか今いいアイデアがあるわけではございません。今後とも、人道的、そしてまた安全保障、両方のバランスを取るために真剣に考えていくことが必要だと考えております。
  341. 山口那津男

    山口那津男君 総理に日中環境基金構想について伺います。  本会議の代表質問で、総理は、これを検討すると、こういう御答弁でありました。昨年末、中国に行かれたとき、温家宝総理の方から、逆にあちらから提案があったとも伺っております。中国側も資金提供の用意があるとすれば、我が国としても資金と優れた技術あるいは人材、経験等を提供して、このような基金を創設、生かしていく努力をすべきだと、こう思います。  胡錦濤主席が訪日すると、こういう外交日程も予定されておりますので、こういった機会をとらえて、是非御尽力いただきたいと思います。  総理の御認識を伺います。
  342. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 御指摘の件につきましては、昨年、私が十二月に訪中したときに温家宝総理ともその件についてお話をしました。  環境問題については、戦略的互恵関係という、その一環として取り組む格好のテーマではなかろうかと、こういうふうな観点からの話でございますけれども、このことについて私どもも前向きに、どのようにこういう基金をつくり上げることができるか、いろいろな角度から検討いたしております。  まだ結論が出てないんですけれども、今御指摘のような中国首脳の来訪というようなこともございますので、そういうようなことも含めて総合的に考えてまいりたいと思っております。
  343. 山口那津男

    山口那津男君 中国産ギョーザ、冷凍ギョーザの事案が発生しておりますけれども、これについてはやっぱり政府全体として取り組む必要があると思うんですね。そういった中で厚生労働大臣が中心的な役割を担うかもしれません。まずはその被害の拡大を防止する、そしてまた原因をしっかりと究明する、そして再発防止策を打ち立てる、これは当然のことですが。また、中国側にそういう知識や経験、日本の制度、こういったものを協力する用意があるということでやっぱり中国側の姿勢というものも改めていただきたいと、こう思うんですね。  そういった観点から全体的な取組が必要だと思いますが、総理、どのようにこれから取り組まれますか。
  344. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) この問題も、私が訪中したときに温家宝総理話合いをしました。そして、食品の安全は両国共通の課題であると、こういうふうな観点から、残留農薬、検査技術に関する研修を実施したいというように表明いたしました。それで、今月の中旬でございますけれども、この問題をフォローするというために調査団を中国に派遣をいたしておるところでございます。まだその報告は聞いておりませんけれども、そういう前向きの取組をいたしておるところでございます。  この問題につきましても、今回の食品の中毒問題についても、そういう枠組みの中でも話合いを進められるんではないかというふうに考えているところでございます。
  345. 山口那津男

    山口那津男君 最後に、厚生労働大臣に伺います。  C型肝炎、これについて薬害肝炎救済法を作りました。実施が大事であります。一月十七日に新聞広告が出まして、無料で検査できますとか、使用した医療機関は以下のとおりですと大変大量に出たわけでありますが、都内調べてみましたら、まだ無料で実施してない区が二十三区のうち半分近くあるんですね。無料でやっているところも国の制度を利用したものではないんですね。  葛飾区は、例を挙げますけれども、無料の制度ありませんでした。ところが、新聞広告見て相談に来られた方がたくさんいまして、四月以降つくる準備をしていますと言ったら、そこまで待ちますと、こう答えた方が百五十人いらっしゃった。そこで、区長さんや議会の皆さんと相談をして、これはもう百五十人もの皆さんを待たせるのは本当に気の毒だと、すぐやってほしいということで、実はあした二月一日から実施することになったわけですね。  ですから、こういう制度についても、やっぱり周知徹底が足りない、国としてもっと全国的にこれをやっていただくように促す、そういうことをお願いしたいと思うんです。  それと、大量に使った医療機関にはやっぱり調査を依頼する相談が殺到しているわけですね。しかし、急に押し寄せてきていますから、それに対応するマンパワーあるいはコスト、準備がありません。非常にしわ寄せが行っているところもあるわけですね。  これらについて厚生労働省としてもっと支援の在り方を考えていただきたいと思うんですが、二つの点についてどうお考えですか。
  346. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) まず最初のこの肝炎のウイルス検査でございますけれども、これ昨年末に通達を出して周知徹底したわけでございますけれども、この一月から委託先医療機関での実施について無料とするということをまず措置をいたしました。  それから、今おっしゃったように、いまだ有償となっているところもございますんで、こういう自治体に対して引き続き積極的に協力するように、また国としても支援していきたいというふうに思います。  それから、例の、医療機関に今本当に殺到しております。その負担が大変だということを聞いております。本当にこれは国民的な課題ですから重ねて協力を医療機関にお願いいたしますとともに、今委員が御指摘のような問題点について国として何かできるか、今検討しているところでございます。
  347. 山口那津男

    山口那津男君 よろしくお願いしまして、私は終わります。
  348. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 関連質疑を許します。渡辺孝男君。
  349. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。  山口委員の質問に関連しまして、救急医療対策、そしてまた情報通信技術を活用した遠隔医療について質問をさせていただきたいと思います。  まず、救急医療ですけれども、公明党は、昨年の十一月から一か月を掛けまして、主として入院を要する救急患者を受け入れる二次救急病院の全国一千百四十病院の実態調査を行いました。(資料提示)パネルですけれども、調査項目の一つに、空床情報を消防に提供するシステムはできているのか、そういう問いに対しまして、なしとの回答が四百十病院、全体の三六・三%もあることが分かったわけであります。  公明党は、この空床情報など救急情報の受入れシステム、これをきちんと整えていく、これが救急患者をスムーズに搬送するために大変重要であろうと、そのように考えておりまして、これまで厚生労働大臣総務大臣に申入れをさせていただいたわけであります。  そこで、舛添厚生労働大臣に対しましては救急患者受入れ情報の整備状況と今後の取組について、また増田総務大臣には救急患者受入れ情報の活用状況と今後の取組についてお伺いをしたいと思います。
  350. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今日現在で四十四都道府県で導入済みでございますけれども、まだ山形、島根、沖縄、この三県が未整備でございます。早急にこれを整備するように要請するとともに、国としても支援をしてまいりたいと思います。
  351. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) この利用状況、活用状況でございますけれども、私どもの方で全国の七百四十五本部について照会をして聞きましたところ、主たる手段なのか補完的な手段かは別にして、こういったものを利用しているというのが四七%、それからほとんど利用していない、あるいは全く利用していないというのが五三%、半々という状況でございました。  じゃ、なぜシステムがあるのに利用が半分程度なのかということでその理由を聞きましたところ、そこに入っている情報がどうもリアルタイムの情報ではなくて情報の信憑性が低いといったものが一番理由が多くて、これは二七%。それから、あとは他の手段とか、あるいは病院が一つだということでもうそこと相対の連絡網ができていると、まあこういうのはいいんだろうと思うんですが、そういう状況でございましたので、特にこのリアルタイムの情報が入っていないというところが大変問題だというふうに思います。  そこで、こういった情報が常に迅速かつ正確に更新をしていくために、今日も、昨日、公明党の方からも私も直接いろいろお話を、御要望がございましたので、今朝ほども消防庁長官を厚労省の方に行かせまして向こうの次官にもお願いをして、各病院の方にこうしたリアルタイムの情報を更新するようにというお願いを是非徹底していただくようにということをいたしまして、今後も、厚労省さんの方でもいろいろとこのシステムの整備等を行っておりますので、向こうとも連携をしてこのシステムの改善を含めた受入れ体制の整備に取り組んでいきたいと思います。
  352. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 二次救急医療機関あるいは三次救急医療機関で救急患者の受入れ情報を提供できないというのは余りにも救急のスタッフが忙し過ぎる、あるいは財政的な意味で人材を確保できないということでありまして、今診療報酬改定の議論が進んでおりますが、これメディカルクラークという、医師補助をする方ですけれども、これを活用してはいかがかと思っておりますが、舛添厚生労働大臣、いかがでしょうか。
  353. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 先ほどの公明党の皆さんがおやりになったアンケートを見てちょっとこの三六%というのは多いなと思ったのは、先ほど私申し上げましたように、四十四都道府県でシステムはできています。しかし、今委員が御指摘のように、あるんだけれども、ベッドが空いている情報を入力する、その人手が足りない。  今般、診療報酬改定におきまして、この事務の補助をやっていただいて、お医者さんがお医者さんの本来の仕事ができるようにということでメディカルクラーク、この方々が今の情報をインプットする、これは十分できるわけでありますんで、この情報入力も含まれますんで、これを活用していただいて、いわゆる宝の持ち腐れということがないように全面的にこれはサポートしてまいりたいと思います。
  354. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 総理に、この救急患者、きちんとスムーズに受け入れられるように体制整備したいと思うわけでありますが、総理の決意についてお伺いをしたいと思います。
  355. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 昨今、この救急医療に関する問題というのが度々起こるというようなそういう状況というのは、これは私も非常に重要な問題、重大な問題だというふうに認識をいたしております。  今、厚生労働大臣説明申し上げましたように、これから情報をしっかりと伝達できるような、また共有できるようなそういうシステム、ITの活用とかいったようなものを徹底して行うとかいったようなことも含めて検討していかなければいけない、早急に手当てしたいと思っております。
  356. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 先日、岩手の方に行きまして、産科医療についての勉強会に参加をさせていただきました。そのときに、遠野市では遠隔医療を使った妊婦健診というのをやっているんですね。これはすばらしいシステムだと、そのように私は思いました。  これを推進している経済産業省そして厚生労働省、両大臣にこの推進についてお伺いをしたいと思います。
  357. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今委員がおっしゃった岩手県の遠野市の例、これは釜石市のお医者さんが遠隔操作というか、ITでいろいろ指示を出している。私が就任してすぐ、奈良県でいわゆるたらい回しで妊婦さんの問題が起こりました。あのときに健診してなかったんですね。  ですから、健診を促進するために、例えば無料健診券を五枚まで配るというような、そういうようなことも、無料化と、健診券無料化と、こういうこともやっているわけでありますから、遠隔地であっていわゆるへき地というようなところで、お医者さんがいないから健診できないと、こういうことを避けるために、今ITを活用しました地域医療情報連携システムの標準化及び実証実験ということをこれ、やっているわけでありますんで、これは早急に成果をまとめて具体的なものとしていきたいと思いますんで、今、経済産業省の方で現実にこの取組をやっておりますんで、厚生労働省といたしましても、その委員会にオブザーバーを派遣して各省庁と連携を取りながら是非実現させたいと、そういうふうに思っております。大変有効な手段だと思います。
  358. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) ただいまの話でありますが、具体的には、自宅等で計測した胎児の心拍等のデータを遠く離れた産婦人科医に携帯電話を通じまして送信をしまして、胎児の健康状況を遠隔で把握、管理することでありまして、香川、東京、千葉、岩手の四地域で実証を今進めているところであります。  平成十八年度から三年間こうしたことを、実証事業を推進して、今のところ大変に成果が上がっていると承知しております。
  359. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 地域では産科医が少なくなっておりまして、こういう技術を使いながらそれを少しでも補っていただければと思います。  次に、日本はITを使った遠隔医療も推進をしているわけでありますが、これをやはり地域医療の格差に、これの解消に応用すべきだと、そのように思っております。  これを推進していってそういう成果を世界に貢献するような形で提供していただければと思いますが、この点に関しまして福田総理の御所見を伺いたいと思います。
  360. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 遠隔医療につきましては、離島とかへき地とか、また在宅における医療の確保というような、そういう目的でもって医療機関にIT機器を導入する際の補助とか、それから研究への助成の実施ということを通じまして普及促進を図っております。これは欧米等の諸外国でも今遠隔医療、非常に活発に行われていまして、普及、広くされているというように承知しております。  そこで、アジアなどの国々との連携につきましては、現在、一部大学病院等が中心となりまして遠隔医療を活用した医療技術指導やシンポジウムを開催するなんということがあるようでございまして、御指摘のとおり、遠隔医療が国際協力に役に立つという面もありますので、今後一層の普及推進に努めてまいりたいと思います。
  361. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 ありがとうございました。
  362. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) これにて渡辺孝男君の関連質疑は終了いたしました。  以上で山口那津男君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  363. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、大門実紀史君の質疑を行います。大門君。
  364. 大門実紀史

    大門実紀史君 日本共産党大門実紀史でございます。  原油高が国民の暮らしを直撃をいたしております。(資料提示)灯油代だけでも、東北の宮城県では昨年の三割増し、北海道では昨年の四割増しの負担増になっております。先ほど総務大臣から、いわゆる福祉灯油について御説明ございました。もう一度詳しく説明をお願いしたいと思います。
  365. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) このいわゆる福祉灯油でございますけれども、今の原油高騰、こういうことを受けまして、生活困窮者の皆様方に灯油購入費について助成をすると。これは自治体がこうした助成、どういう内容で助成をするかというのは一番身近な自治体が判断に適するだろうということでそれぞれ取り組んでいるわけでございますが、そうした取組に対して国でそれに要する経費の二分の一、これを特別交付税で支援をすると、こういうことにいたしました。  こうした福祉灯油というもの、従来、北海道で行われてきたというふうに聞いておりますけれども、今回かなり全国的にこういう御要望がございまして、特にこういう原油高の中での財政需要ということでございますので、これは特別交付税という措置がいいだろうということで周知徹底をいたしているところでございます。
  366. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。  今回の国の助成、特別交付税措置は生活保護世帯の福祉灯油にも措置されるということになっております。ところが、北海道では約九割の自治体が生活保護世帯を福祉灯油の対象から除外をしています。理由はなぜかというふうに聞きますと、生活保護世帯には冬季加算があるから出さないんだと、こういうことを言う自治体多いわけですけれども、冬季加算というのは通常の冬場の対策でございまして、今回のような原油高は織り込まれておりません。だからこそ、厚生労働省は、福祉灯油を生活保護世帯の収入にカウントしないと、そういう通知までわざわざ出されたんだというふうに思います。  舛添大臣、いかがでしょうか。
  367. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今委員が御指摘のように、今回の生活困窮者に対する灯油購入費の助成と生活保護の中の冬季加算、これが全く別のものでございます。したがいまして、この新たな措置を生活保護世帯が受けたから、じゃそれを理由にして冬季加算を減らすと、そういうことはいたさないということでございます。
  368. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。  総理にお聞きいたします。  お聞きのように、今回の国の緊急対策は、生活保護世帯も含めて生活困窮者の方々に少しでも、ささやかかも分かりませんが、暖かい思いをしてもらおうというふうな対策だというふうに思います。寒冷地では灯油代の節約というのはもうほとんど難しい話になっておりますので、生活保護世帯が除かれているというのは私、大変おかしいというふうに思っているところです。  例えば、北海道の蘭越という町があります。これはニセコのそばの大変美しい町でございますけれども、そこの町長さんが、予算に余裕はないけれども、苦しいけれども憲法の精神から行政の当然の責任として生活保護世帯への支給を決めたと、苦労して決められたという話も大変立派な判断だと私は思います。  総理に伺いますけれども、せっかく国がこういう措置をしたんだから、それぞれの自治体が努力をして、出す方向で努力をしてもらいたいと思いますが、総理のお考えはいかがでしょうか。
  369. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) このいわゆる福祉灯油でございますけれども、これは各自治体のいろいろな御判断をできるだけ優先したいというふうに思っておりまして、要はその助成の内容等についても、今まさにお話がございましたとおり、大変厳しい財政状況の中でいろいろ工面をしながらその内容等をそれぞれの自治体吟味をしているんだというふうに理解をしております。  したがって、この内容について、私どもはそれぞれの自治体、一番身近な自治体の判断を優先したいというふうに思いますし、北海道で今例がございましたけれども、それはそれとして、道庁の方でもいろいろ厳しい財政状況の中で、これ北海道というのは昨年もこうした制度もございましたし、そういう中で、今年も非常に多くの、百七十幾つの自治体が今回これに取り組んでいたかと思いますが、そういう中で道としてもいろいろ御判断をされたんだというふうに思います。  私どもは、こういう制度で二分の一、特交での支援があるということを繰り返し周知をいたしているところでございますので、そうした上でそれぞれの自治体の御判断、そうしたものを是非優先をしたいと、こういうふうに考えております。
  370. 大門実紀史

    大門実紀史君 私は、努力をしてほしいと、そういうことを言うのが国として当たり前ではないかと思うんですね。総務省がそういう中途半端なことを言うから、ぐちゃぐちゃしたことを言うから、やらなくていいのかと思っている自治体が多いわけです。そんなことを言っている間に冬が終わったらどうするんですか。今手当てしなきゃいけない問題でしょう。  だから、総理にお伺いしたいということで通告してありますからお願いいたします。
  371. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 今回の特別交付税措置につきまして、各自治体が地域の実情に応じて自主的に灯油購入費の補助を行うと、こういうことを前提といたしております。ですから、助成を実施するかどうか、その対象者等については各市町村において判断していただくということになりますけれども、この措置が地域の実情に応じ、そして広く活用されるように、その仕組みや意義については丁寧に説明をしておるところでございます。
  372. 大門実紀史

    大門実紀史君 私は、国の趣旨からいって、いろいろあるかも分かりませんが、できるだけ努力をしてもらいたいと、これは当たり前のことだと思うんですが、もう一言お願いいたします。努力しなくていいんですか、せっかく出しておいて。
  373. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 徹底していないところがあれば、更に努力したいと思います。
  374. 大門実紀史

    大門実紀史君 次に、地方の問題を取り上げたいと思います。  補正で地方に配慮したというふうに言われますけれども、全国で一番困難なところが切り捨てられております。北海道の夕張市です。(資料提示)  先日、マイナス十度を超える夕張市に行ってまいりました。今、夕張市は財政再建計画の下で、市民の方頑張っていますけれども、大変な施策の切捨てで大変な事態になっております。  財政再建計画でどうなっているかというと、分かりやすく言えば、一人当たりの借金がどうなっているか。全国市町村平均でいきますと、これは市町村の借金ですけれども、四十七万円、夕張市は三百九十五万円もの、およそ八倍もの重い重い借金が背負わされている。その中で六十を超える施策が切り捨てられて、子供と高齢者にかかわる施策の切捨てだけでも、直接かかわるだけでもここに挙げた事態になっております。  国は、夕張市に関しては、お年寄りと子供に関しては配慮していくというふうに言ってこられました。私は、地方に配慮と言うなら、夕張にも今回特別な配慮をすべきだと思いますが、総務大臣、いかがですか。
  375. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) この夕張でございますけれども、私も夕張の方に現地見に行っておりますし、現地で市長さんからのお話もお聞きしたり、あるいは先般も知事さんと市長さんがそろって来られていろいろお話をしていかれました。  まず、こうした中で、市民の皆さん方がとにかく自発的にこの苦境を乗り越えていきたいということでいろいろ活動しておられる、それはもう大変貴い貴重なことでありまして、まさにそれが夕張の市民の皆さん方の今後の生活にも本当につながってくるんだろうというふうに思っています。  今、まず借金のお話ございましたけど、これは御案内のとおりいろいろな原因があるわけですね。やっぱり全国の自治体、厳しい中でもそれぞれ自主的に判断をしながら、いろいろこうしたことにならないように努力をしてきたわけでございますので、こういった全国平均の市町村平均と夕張市の借金との額を比較しつつ夕張に対して、だからどうのこうのということ、これは、夕張に対しては、私はいろんな支援をしていくのは、当然国としても道と御相談しながら今も取り組んでいるわけですが、こうしたことの原因を考えれば、やはり今作っております財政再建計画、これをきちんと履行していただくようにやっぱり市も努力をしていただく必要があるだろう。そして、市長さんも、そのために全力を尽くすと、こういう話をしておられました。もちろん、そうした財政支援計画について私どもも、一度作ってでき上がったものをずっとそれをやれということではなくて、今、一度もう今年度中に中身をよくお話を聞きながら変更したこともございますし、今後もいろいろ丁寧にお話を聞くと、こういう姿勢でありますから、まずそうした財政再建計画をきちんと実行していただきつつ、また市民の皆さん方もいろいろ、こうした事態に至ったことについていろいろお考えいただきながら、とにかく元気を出して努力をしていただきたいと、このように思います。
  376. 大門実紀史

    大門実紀史君 今、若干の見直しと言われましたけれども、財政再建計画はこの前若干の見直しはありました。今後も、見直しも含めて配慮されるということでよろしいでしょうか。
  377. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) この計画については、私どもも常に丁寧に丁寧に市からお話を聞く構えでございますし、今年度中も、今事務方の方でいろいろ市とお話合いをしていると思いますが、その状況も私もよく聞きながら判断をしたいと思います。
  378. 大門実紀史

    大門実紀史君 総理は、夕張の問題についていかが思われておりますか。
  379. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 私も新聞とかそういう情報でその状況というのは聞いておりますけれども、今回、夕張の方が自分の力で再生しようという、こういうことを発信していらっしゃるという、そういう動きがあるということなんで、これはもう大変私も心強く思っているところでございます。是非、そうした市民の参画を得て、そして財政再建が一日も早く達成されることを期待しておりますし、また、お年寄りも含めまして、地域の方々が希望を持って暮らし続けていただきたいと願っております。  今、総務大臣からも丁寧に対応するというような話ございましたけれども、そういうふうな気持ちを持って、高齢者に対する施策を含めまして、北海道とも緊密に連携して地域の再生に向けて必要な支援や助言を行ってまいりたいと思っております。
  380. 大門実紀史

    大門実紀史君 市民の皆さんは一生懸命努力されていますし、全国から支援の輪も広がっております。しかし、先ほど申し上げたように、膨大な借金が背負わされていて、私は、人口も今減っているんですよね、この計画そのものが成り立たないと、そういうときが来ると思います。  増田大臣地方自治の経験者ですから、こんな借金を十七年間もしょいながら市民生活が成り立つとお思いですか。
  381. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) まず、地方自治の根幹はやっぱり自主自立、ここをきちんと押さえておかなければいけないんで、借金は大変大きく今背負っているわけですけれども、しかし、それについてはやはりいろいろな様々な原因があって、そして、それをきちんと財政再建に向けて計画的に努力をしていくということでこれを決めたわけであります。  これを仮に、そういったいろいろな原因があって借金を背負った自治体が、他の自治体、いろんな努力をしている自治体と全く同じような形で扱われるということ、これが一方でやはり国民の広い理解が得られるのかどうか、そして、そういうことが地方自治のそういう我が国での健全な発達に資することなのかどうか、この点もやはりよくお考えいただく必要があると思います。  私は、そうした中で、もちろん地域の皆さん方の様々な生活がきちんと成り立つということを願っておりますし、これはまず市長さん、それから知事さんとのよくお話合いをしながら私どもも丁寧に丁寧にこの問題に対応していくと、こういう考え方でございます。
  382. 大門実紀史

    大門実紀史君 ですから、丁寧な配慮はしていただくんです。この計画そのものが成り立つかどうかを聞いているんです。様々な原因があるとおっしゃいましたけれども、国とか道とか銀行の貸し手責任問われないで市民にだけこんな重い負担が背負わされているんですよ。人口は減っているんですよ。だって、これ一人頭もっと増えるじゃないですか。どうやってこの計画が、これからやっていけるわけがないじゃないですか。私はこれは財政破綻の見せしめにされているんじゃないかと、夕張が、それぐらい思います。  この抜本的な、計画の抜本的な見直しを改めてまた求めてこの問題取り上げていきたいというふうに申し上げて、私の質問を終わります。
  383. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で大門実紀史君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  384. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、福島みずほ君の質疑を行います。福島君。
  385. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  この表をちょっと見てください。(資料提示)  これが全国の各道路におけるキロ単価を表しています。佐世保道路、前防衛大臣の地元でありますが、一キロ二百億円も掛かっております。三十億、四十億も高いと思いますが、一キロ二百億円。ダイヤモンドでも埋まっている道路なんでしょうか。  総理、一キロ二百億円という単価に関してどうお考えですか。妥当と思われますか。──いや、総理
  386. 鴻池祥肇

  387. 福島みずほ

    福島みずほ君 いえ、大臣結構です。総理、お願いします。
  388. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 指名いただきましたので。  佐世保道路は一キロメートル当たり建設費二百億円は高過ぎるとは思わないかと、こういう御質問でございますが、佐世保道路ルートの選定に当たりましては、私も十二月一日に行ってまいりました。海と山に挟まれた狭隘な地域に市街地が広がる佐世保市においては、利用者の利便性や土地利用への影響、建設費用などを総合的に検討した結果、佐世保港に面した海岸沿いのルートとして佐世保市街にインターチェンジを設けることが最適と判断し、平成九年に都市計画決定をされたものでございます。  また、事業費につきましては、橋梁構造の工夫などコスト縮減を行ったけれども、既存の都市計画道路上に高架構造で建設する区間が長いために工事費、仮設費は大きく、また市街地を通過するために用地費は高く、卸売市場や学校などの大型補償物件も多く、などの要因で八・三キロメートルで千六百二十九億円、一キロメートル当たりで百九十六億円を要しました。  なお、これにつきましては、平成十八年度に第三者機関であります事業評価監査委員会の下で実施した事業評価におきましては、総事業費一千六百二十九億円に対しまして総便益が三千九百二十三億円、費用対効果、BバイCが二・一である、事業継続が妥当であるという判断をちょうだいしているところでございます。
  389. 福島みずほ

    福島みずほ君 五億円の保育園が二十個できるんですね、一キロで。八・三キロしかないところで二百億円。  総理、これについて妥当と思われますか。  いや、総理。いや、違う、ごめん。大臣もう聞きましたから、総理お願いします。
  390. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 私どもはそれは妥当だと、第三者機関からも妥当であるという、BバイCで二を超えているわけでございますから、これはその狭隘な地形とか難工事とかそういうものがあるからそうなっているわけでございます。
  391. 福島みずほ

    福島みずほ君 総理お願いします。
  392. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) ただいま国土交通大臣が説明申し上げたとおりでございまして、必要だから造ったのだというふうに思っております。
  393. 福島みずほ

    福島みずほ君 この単価が高いということについてどうかということです。  そして、これはインターチェンジの間隔が、佐世保みなとインターとそれから佐世保インターの間隔がわずか二・九キロしかありません。インターの間隔が二・九キロなんですね。在日米軍基地の前にインターチェンジがあります。米軍のためのインターチェンジじゃないか。  二・九キロというこのインターチェンジの短さについてどう思われますか、大臣。──いや、結構です。総理お願い、総理出席しているので結構です。総理
  394. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 高速道路の平均のインターチェンジの間隔は、人口集中地区では三・二キロでございます。これは、全国でインターチェンジの中で百二十二が三・二、平均がそうでございますから、このような佐世保市市街のように人口の立て込んだ狭隘な場所では、私は決してそれが短過ぎるとかいうことは当たらないと思います。
  395. 福島みずほ

    福島みずほ君 インターチェンジを米軍基地のところに造ったために、米軍の住宅十一戸を移動しました。建設費二十八億円は道路特定財源から支出しているということでよろしいですね。
  396. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) そのとおりです。
  397. 福島みずほ

    福島みずほ君 二十八億円、道路特定財源から出しているんですよ。だから、私たちは問題にしています。(資料提示)  十一戸造ったので、一戸二億五千万円の住宅です。日本人はウサギ小屋に住んでいて、道路特定財源で一戸二億五千万、要塞のような上に、この十一戸のために公園もある住宅を造っています。道路特定財源の使い道として、総理、どう思いますか。防衛予算から使うべき、思いやり予算から使うべきだと思いますが、総理、そして防衛大臣、いかがですか。  いや、総理に聞きます。──結構です。
  398. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは、道路必要性は今国土交通大臣からお答えがあったとおりです。米軍は何も、それはどきたいわけでも何でもないわけですね。道路が必要だということでどかねばならぬということになる。そして、お金は土地代も含んでおるものというふうに聞いております。  そうなりますと、それは私ども必要性でもって造るわけですから、そしてまた、既に供用されている区間において米軍車両が通っておるのは一%以下ということでございます。そうしますと、裨益をしますのはほとんどが日本人であり、佐世保市民であるということになるのではないでしょうか。  そしてまた、委員法律家でありますからよく御存じと思いますが、日米地位協定に言います施設また区域にこれが該当することになるかといえば、それはしない。そしてまた、これを防衛費で払うということにも全く当たらない。私どもはそのように考えておるところでございます。
  399. 福島みずほ

    福島みずほ君 これを見てください。(資料提示)市民のためではないんですよ。佐世保駅の駅前に高速道路が走っていて、駅前はみんなの広場になるはずなのに高速道路が走っているんです。インターチェンジは基地の前です。そして、二十八億円道路特定財源から使って、一戸二億五千万円の住宅です。先ほど示した高速道路は、いずれも自民党の有力な国会議員の地元ばかりです。  今日、開かずの踏切の話がありましたけれども、開かずの踏切がこれだけ問題になるということは、戦後五十年以上の道路行政が完全に失敗だったということじゃないですか。道路特定財源が市民の利便のためなどでは全くなく米軍のために使われている。総理、このような使い方でいいと思いますか。
  400. 鴻池祥肇

  401. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、総理
  402. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 一戸当たり二億五千万と言われましたけれども、それは、そちら、豪華なその邸宅の下が全部十メートル以上の盛土になっているんですよ、狭隘だから。造成費用で十四億円掛かっています。建築費は、平米当たり二十五万円で、一戸当たり五千万円です。これは、したがいまして、建物の建築費は五億五千万でございます。  場内設備、これは舗装、電気設備、通信管路、それから守衛棟の設備等が含まれまして、造成費が十四億掛かっているんですよ。したがいまして、一戸当たり二億五千万と言われたら大変な話でございます。違います。
  403. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、結局無駄なんですよ。用地補償費がそんなにこの佐世保道路が掛かっているわけではありません。キロ単価だって用地補償費を除いて百五十億円です。二千二百億円ずつ毎年社会保障費をカットしていることで悲鳴が上がっている。そこで、他方、一キロ二百億円という、これ、じゃぶじゃぶの使い方をしている。だからこそ問題です。  道路特定、暫定税率を廃止すると問題だと言われますが、余りのコスト高ですよ。五分の一、四分の一でできる、あるいは無駄だという意見があります。総理、このような使い方、一キロ二百億円、こんなんでいいんですか。
  404. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) それは、今説明をお聞きいただいた事情、理由でもって造ることになったわけでございますから、それはやはり全体を見まして政策判断をするという中で決まったことでありますから、それはやっぱり必要だったんだというように思います。それは、社会福祉とかいろいろな観点の支出というものは当然ございます。それはそれで、もちろんそれを軽視しているとか、そういうことでは全くございません。
  405. 福島みずほ

    福島みずほ君 八・三キロでわずかな中、インターチェンジ造って、米軍基地の前にある、これは軍用道路と地元では言われています。何のために使うのか、国民の税金のこの使い道に関して問題です。  総理、社民党は暫定税率を廃止すべきだと考えています。そして、別途、環境税をつくるべきだと考えています。洞爺湖サミットで総理議長になるおつもりがあるのであれば、環境税をきちっとつくって、ヨーロッパにはみんな環境税があります、きちっとメッセージを発するべきだと考えますが、いかがですか。  総理。──あなた議長になるんじゃないから。
  406. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 佐世保インターは、佐世保市の中心部と佐世保港周辺の工業地域からのアクセスが容易な市街地に設けるものでございまして、一日に三万五千台の利用が見込まれるわけでございまして、市街地の渋滞解消等のために非常に効果のある必要な施設でございます。  また、佐世保みなとインターチェンジは、佐世保市の南部地域から長崎市方面への交通が市内を通過することなく佐世保道路を利用できるようにいたしまして、私も長崎へ帰るときはここから乗りましたが、この出入口は長崎方面のみに向かったハーフインターチェンジとなっております。したがいまして、佐世保インターチェンジの供用後も六千台以上の利用が見込まれております。  そういうことで、佐世保のインターチェンジの設置位置につきましては、海と山に挟まれた狭隘な地域に市街地が広がるという地形的な制約の下に現契約に決定されておるものでございまして、この両インターチェンジの役割というのは十分あります。  また、西九州自動車道の整備はもう長崎の方々の官民挙げての要請でございまして、したがって私はそこまでいっているわけでございます。
  407. 福島みずほ

    福島みずほ君 総理、環境税についての導入、いかがですか。  ちょっと、総理に考えがないんですか。
  408. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 道路特定財源は、一般財源化することによって自動車の排出ガス、CO2の割合が全体のCO2の中で十数%ありますから、それに対応してこの道路財源からも環境のために使わせていただいております。  環境税については、これは今後いろんな多方面で議論をしながら結論をしていかなければならない。
  409. 福島みずほ

  410. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 環境税を導入するかどうか、これは国民に広く負担を求めることになります。したがいまして、地球温暖化対策全体の中で具体的な位置付けをするということ、そのまた効果がどうであるか、国民経済や産業の国際競争力に与える影響、また諸外国における取組の現状などを踏まえて、国民、事業者などの理解協力を得るように努めながら、今後、総合的な検討を進めていくべき課題であると、このように考えております。
  411. 福島みずほ

    福島みずほ君 総合的ではメッセージが伝わりません。これをちょっと見てください。(資料提示)  日本は諸外国に比べて民生や運輸部門は結構頑張っているんですね。問題は産業部門です。産業部門が頑張って、CO2の削減のために頑張ると、そのことをきちっとやるべきだと。ですから、大衆大増税ではなく、きちっと産業界に対してやることをやるべきだと思います。  これから検討するのでは駄目で、洞爺湖サミットでもし総理議長をおやりになるつもりがあるのであれば、メッセージをきちっと発するべきではないですか。
  412. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 経産省の図をお示しで御質問をされていますので、私からまずお答えいたします。  今の枠組みというのは三割しか入っていません。残りの七割いなきゃ駄目だということはお分かりですよね。残りの七割の国が何を言っているかというと、おれたちにも経済成長の権利をよこせと言っているんです。ですから、GDP単位当たりを効率を上げていくということなんです。だからこの表を用いている。購買力平価でいえば中国は日本のGDPの二倍です。あなた方もう日本の二倍成長しているじゃないかといったって、受け入れてくれません。  それから、ここで、一人当たりでこの産業の比率が大きいとおっしゃっています。英国は、じゃ産業構造が金融が中心であります。日本は物づくり。一番公平なのが原単位なんです。粗鋼一トン造るのにエネルギーをどのくらい投入するか、あるいはセメント一トンを造るのにどのくらい投入するか。それは世界全部だれも文句付けようがありません。その比率でいったら、やっぱり日本が一番いいんです。その省エネ技術を世界中に投入していって、みんな公平に効果を上げていこうというのが今の提案なんであります。
  413. 福島みずほ

    福島みずほ君 外国に対して省エネは結構です。ただ、環境税を日本はきちっと導入をして、日本もCO2削減の努力目標をすべきだと。  鴨下大臣総理、いかがですか。前向きにお願いします。
  414. 鴨下一郎

    国務大臣(鴨下一郎君) 環境税につきましては、我々はこれから二〇五〇年に向けて世界で半減と、こういうようなことを目指していくわけですから、ある意味でCO2あるいは炭素に価格を付けるという考え方というのは極めて重要であります。ですから、そういう意味では、環境省としては終始環境税というものが必要だと、こういうようなことで申し上げてきているわけであります。  ただ、先ほど甘利大臣もお話しになりましたように、日本の中でやはり環境と経済の調和と、こういうようなことも考えながらやらなければいけないわけで、そういうような趣旨をきちんと踏まえながら、しかし炭素に価格を付けると、こういうようなことについては私たちは主張してまいりたいというふうに思っております。
  415. 福島みずほ

  416. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 温室効果ガスの世界全体での排出削減を実現する枠組みを構築するというためには、すべての主要排出国が参加するということが大事なんですね。その参加国を、参加させるというためには、やっぱり公平性というのはどうしても必要なんですよ。ですから、公平性を確保して説得をしていくということをしなければいけない。そのために、エネルギー効率とか、また今後活用される技術など、科学的かつ透明性の高い尺度を用いて積み上げ方式で作業するということも必要だということであります。  各国の削減負担の公平さを確保するということはできるというふうに考えておりますので、そういうような算出方法については他国からの支持も得られるものではないかというふうに考えているところでございます。
  417. 福島みずほ

    福島みずほ君 各国のことを聞いているのではありません。日本国の総理大臣としての決意を聞いているんです。鴨下大臣は、環境税の導入を環境省は考えていると言いました。総理がやはりこれを踏み込むべきだと、議長国として、と思います。  本日、一キロ二百億円というとんでもない道路を紹介をいたしました。小泉総理、安倍総理は共に一般財源化の方向を打ち出しました。福田総理は、一般財源化の方向も打ち出さなければ、これに、政官業の癒着にメスを入れることも言わないじゃないですか。だからこそ駄目だと、政官業癒着のこれ固まりですよ。それを変えなければ、やっぱり社会は変えられない。  一キロ二百億円を取るのか、二千二百億円の社会保障費のカットをやめるのか、政治の選択は決まっています。自治体は道路か医療か学校か、自治体にこそそれは選択をさせるべきです。政治を変えるということに関して、もうこの答弁では納得できないということを申し上げ、質問を終わります。
  418. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で福島みずほ君の質疑は終了いたしました。(拍手)  明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十四分散会