○山口那津男君 私は、
公明党を代表して、ただいま
議題となりました福田
内閣総理大臣の
問責決議案に対し、断固
反対の立場から
討論を行うものであります。
ただいま民主党の簗瀬議員から
賛成討論がありましたが、全く決められた時間も守ることができず、
議長の再三の注意も無視してこのようなことをやる民主党だから、
問責決議案を出す資格など全くないのであります。今国民に問われているのは、このルール無視の民主党の体質なのであります。
福田
内閣が発足し、八か月余りが
経過しました。この間、福田総理は、前
国会において改正被災者生活再建支援法などの成立を実現するほか、今
国会においては
平成二十年度
予算を年度内に成立させ、さらに感染症予防法や国民生活センターの機能強化を図る法案を成立させるなど、国民生活重視、国民の生命、安全にかかわる施策を着々と実行に移してまいりました。また、福田総理は、既に消費者庁の創設の意向も表明されており、その実現が強く期待されております。加えて、与野党を超える人道的テーマであるクラスター爆弾の全面
禁止へ向けて大きくかじを切る政治決断をしたのであります。
懸案の社会保障の問題につきましては、今年一月に社会保障国民
会議を創設し、少子高齢社会における年金、医療、介護、少子化対策の
在り方など議論を積極的に進められており、この秋に最終
報告を受け、その
実施が待たれているところであります。
さらに、世界的な課題である地球温暖化対策については、この度、低炭素社会・
日本をめざしてと題し、今世紀半ばまでに温暖化ガスの排出量を六〇%から八〇%削減するといういわゆる福田ビジョンを発表され、来月の洞爺湖サミットでは、今後の地球温暖化対策の取りまとめに向け強いリーダーシップを発揮されることが期待されているのであります。
このように、福田
内閣は、施政方針演説で述べられた国民本位の行
財政への転換、社会保障制度の確立と安全の
確保、低炭素社会への転換などの諸課題の実現に邁進しているところであり、問責に当たる理由など全くないのであります。
それに引き換え、むしろ民主党の
国会での対応は、参議院における多数を背景とし、党利党略の無責任極まりないものでありました。
道路特定財源の問題では、福田総理が一般財源化の方針に踏み切ったにもかかわらず、審議拒否、
採決拒否に終始し、関連法案は年度内に成立することができず、揮発油税等の暫定税率は一時的に廃止されることとなりました。それにより、わずか一か月でガソリン価格が上下する事態を招き、ガソリン業者を始め地方自治体や国民生活に混乱をもたらしたのは記憶に新しいところであります。
また、日銀総裁、副総裁の同意人事に至っては、民主党は度々不同意を繰り返し、二十日間にもわたって日銀総裁が不在の
状況になるという極めて異常な事態を招きました。諸外国からの我が国の経済・金融政策に対する信任が大きく損なわれたことは言うまでもありません。そして、今現在に至っても、なお副総裁の一名が不在という異常な
状況が続いております。
加えて、現在、参議院に送付されている
日本と東南アジア諸国連合の経済連携協定などの条約は、
日本を含むアジア経済の発展、成長に欠かせないものであり、一刻も早い成立が望まれております。しかし、これらの条約は、
衆議院で民主党も
賛成しているにもかかわらず、現在、参議院では審議にも入っておりません。民主党はその責任をどう感じているのか。このままでは参議院無用論につながりかねません。
そもそも総理に対する責任を問うことは
内閣そのものの信を問うことであり、そうであるならば、憲政の常道に従い、
内閣不信任案として正々堂々と
衆議院に
提出すべきであります。しかるに、
衆議院に
内閣不信任案を
提出することなく、参議院で民主党を始めとする野党が多数を占めており、野党の思いどおりになるからという理由だけで本院に
問責決議案を
提出するというのは、まさに言語道断と言わざるを得ません。
そもそも問責
決議には法的拘束力はなく、たとえ本院で可決されたとしても、福田
内閣が総辞職するいわれは全くないのであります。
問責決議案を
提出した民主党及び社民党の諸君は、この後の
国会審議にどのようにして臨むのでありましょうか。ましてや、仮に
国会が延長された場合には、その後の
国会での
委員会審議等においてどのように対応されるのでしょうか。すべての審議に応じないのであれば、明らかに国
会議員としての職責放棄であり、国民に対する重大な裏切り行為と言わざるを得ないのであります。
昨今の民主党を始めとする野党諸君の
国会での対応を見ると、その目線は、真に国家国民のためというよりは、
政府の施策にあえて
反対し、あたかも対立軸をつくり出したかのように見せかけている場合が多く、まさに政局しか見ていないものと言わざるを得ません。民主党内にも、このような審議拒否や話合い無視の
国会運営に嫌気が差し、本当にこれでよいのか、国民に責任を果たしているのかと疑問視する声もあったやに聞きます。憲政の常道を基とするならば、本
決議案には、たとえ野党議員であっても、信念を貫き断固
反対すべしと思うのであります。
昨年末のテロ特措法の延長問題、ガソリン税等の暫定税率廃止問題、また長寿医療制度についても同様であります。
特にガソリン税等の暫定税率廃止については、廃止した後不足する多額の財源をどう
確保するのかについて、その答えは真剣に検討したとは到底思えない
内容でありました。また、今課題になっている長寿医療制度についても、廃止だけを掲げて国民に耳触りのいいことだけを言い募っておりますが、廃止した後の高齢者の医療を一体どうするのか、青写真すら全く示していないではありませんか。これで一体責任ある政党の責任ある政治と言えるのでありましょうか。
今回の福田総理
問責決議案提出も、野党の後期高齢者医療制度廃止法案に与党が
反対したことが直接のきっかけになったと言われる
状況を見るにつけ、まさに無責任野党と言わざるを得ません。
まだあります。無責任の極め付けは、昨年の参議院選挙の際に民主党が示したマニフェストです。その前の
衆議院選挙の際には、年金制度を一元化し、その財源に消費税を充てるとしていたにもかかわらず、消費税の引上げには一言も触れようとせず、全額税方式にする基礎年金の財源はすべて歳出削減で賄うというのですが、これこそ国民をだますものであり、究極の大衆迎合主義、ポピュリズムだと断ぜざるを得ないのであります。
かかる無責任な民主党には、
問責決議案を
提出する資格など全くないことを申し上げて、私の
反対討論を終わります。(
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