○加藤修一君 ただいま
趣旨説明のありました
法律案につきまして、自民党、公明党を代表して
質疑します。
最初に、ミャンマーを直撃した大型のサイクロンと中国の四川大地震による多数の被災者の方々に心からお見舞い申し上げます。
英国
経済顧問ニコラス・スターンのレビューによれば、
地球温暖化の最悪のケースは、
世界のGDPの二〇%の被害が想定されています。
気候変動は、自然
生態系のみならず人間の健康や食料安全保障等にも多大な
影響を与える二十一世紀の最大問題であります。この破局的かつ不可逆的な
気候変動が生じるリスクを考慮すると、
政府は気候安全保障を国家の安全保障政策に繰り入れるべきではないかと考えますが、町村
官房長官に
お尋ねいたします。
また、数世紀に及ぶ
気候変動を考えると、気候安全保障基本法などの法制化が必要と考えております。
さらに、戦略的対応が重要であります。例えば、二〇五〇年に
地球の平均気温上昇が二度Cを超過しないようにするためには、現在のこの今、何をすべきかの戦略が必要です。いかなる戦略をつくり上げれば二度Cを超えないかというバックキャストアプローチを取ることが非常に重要であります。
本年七月、
我が国においてG8
洞爺湖サミットが開催されますが、
気候変動が大きなテーマの一つであります。英国のブレア前首相は、この四月、G20の
会合において、二〇五〇年に
半減、これは革命だと発言しました。
先進国のゼロエミッションを宣言したに等しいものです。二〇五〇年
半減、また、ブレア前首相の革命、ゼロエミッションという発言に対し、
議長国である
我が国は重大な
決意を持って臨まなければなりませんが、町村
官房長官、どのように
認識しておりますか。
先ごろ
日本政府は、二〇五〇年に六〇から八〇%の
削減を行うとの意思を固めたのでしょうか。もし本当ならば、これは大きな決断であり、
評価のできるところであります。遠く二〇五〇年の姿から逆算して現在の取るべき行動を考える、そして
ピークアウトを想定する二〇二〇年から三〇年、さらに
中期目標にどの程度の
削減をするかは、今後、明確な
削減行動を取るに当たり重要であります。
福田総理は、四十年先よりも二十年先どうなるかも考えなければならない、より正確に計算できるかもしれないと発言したとのことです。
長期目標以上に、この時期に具体的な
中期目標を
検討し公表することは、
社会全体の行動を取りやすくすることであります。G8
サミットの
議長国として役割を果たすことができるばかりではなく、産業上の経営戦略や
国民のマ
インドの転換、今後のアジアへの
環境ビジネス戦略の展開などを含めたビジネスチャンスや国際
競争力の強化の視点からも誠に重要であります。この
中期目標についても、速やかに
検討し、公表することを求めます。
以上、町村
官房長官に御答弁をお願いいたします。
環境省は数年来、
国内排出量取引制度について調査研究、
議論を深めているようです。五月中旬、
国内排出量取引制度検討会の中間
報告が発表されましたが、どのような
認識をお持ちですか。
産業界の反応はどうでしょうか。また、制度に関する今後の具体的なスケジュールについて、
鴨下環境大臣に
お尋ねいたします。
従来から
国民の啓発等が言われておりますが、意識改革に必要な点は、
環境教育を含む
人類の持続性に対する深い
認識が大事ではないかと思います。二〇〇二年に開催されたWSSD、持続可能な開発に関する
世界首脳
会議において、当時の小泉総理は、持続可能な開発のための教育の十年を
世界に向けて発信いたしました。
二〇〇五年から国連による十か年計画が開始されております。
さきに発表された教育振興基本計画においても基本的理念として記述されるまでになっておりますが、
関係省庁が多く、具体的には連携強化が一層必要であります。ESDの適切な解説書、ESDの一年間の
活動報告、地域の核、RCEの実効性を担保する
支援措置など、
課題があります。
人類の持続
可能性を高めるためには、国連持続可能な開発のための教育の十年に対する
取組の強化です。その強化策について、町村
官房長官に
お尋ねします。
地球温暖化対策については、革新的な
環境技術、技術のブレークスルーが必要でありましょう。しかし、何よりも重要なキーワードは協力ということでしょう。これを抜きにして
環境技術もウイン・ウインの行動様式も成り立ちません。著名な国際機関においてNPO、NGOなどのステークホルダーを
会議に参画していることにも表れております。
また、
インドネシアの大津波、ミャンマーや四川大地震に
世界各国からの救援が続いております。それぞれの国がそれぞれの役割を果たす、相互に連携、協力し合い、人道的行動の範を示し合うことの芽が見受けられます。様々の思惑がないとは言いませんが、人道的
競争、競い合う、また共につくる姿勢をいわゆる時代の精神として定着させることも重要ととらえております。
この意味では、フランス
政府が航空チケットに課税しアフリカの貧困撲滅に役立たせておりますが、
世界に範を示す重要な人道的な仕組みでございます。
ところで、
世界の
地球温暖化対策に要する年間
資金は、スターン・レビューによれば
世界のGDPの一%、四千四百億ドルと膨大であります。従来のODAでは不十分であります。
日本は
地球温暖化対策に必要な一%にどう貢献できるのかということです。
そこで、
資金調達メカニズムについてお
伺いします。
実体
経済の三倍を超える金融資本に国際課税を行う
資金調達メカニズムが国際的にも
議論されております。
我が国政府は、国際的なリーディンググループにオブザーバーの
立場から加盟することや、革新的な
資金調達メカニズム—国際連帯にかかる国際課税の
検討会の
設置、また、今後のG8における
検討課題として、
資金調達メカニズム・ニッポン・イニシャティブ—美しい星の人道・
環境税を
検討すべきことを
提案します。町村
官房長官の積極的な御答弁をお
伺いいたします。
ミャンマーのサイクロン被害は筆舌に尽くし難いものです。
世界最大規模の再保険会社ミュンヘン再保険は、二〇四〇年には一兆ドルの被害額を
算定しております。一般に被災程度は、防災インフラの
整備、事前
対策に依存いたします。公的
資金も必要ですが、市場メカニズムの活用も重要であります。
アジア各地においては農業に関する災害保険制度は少なく、被災時は誠に深刻であります。
日本では天候保険や天候デリバティブが商品化され、
アメリカには穀物生産保険があります。
天候デリバティブ等を
途上国においても
使用することができれば、
異常気象による被害から
早期回復を図ることができます。公的
資金が若干の後押しをし、協力し合う多重の災害保険制度の構築をまずは東アジア地域を
念頭に置き、
日本の
地球シミュレーターや気象衛星などを含めた科学技術、
情報技術、金融工学等を駆使し、国際的な
気候変動災害保険機構の創設を
日本主導で
検討、
提案すべきであります。
最後に町村
官房長官の御
意見を
伺い、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣鴨下一郎君
登壇、
拍手〕