○工藤堅太郎君 民主党・新緑風会・
国民新・
日本の工藤堅太郎でございます。
昨日の我らが会派輿石会長に引き続いて、会派を代表し、ただいま議題になりました
福田総理の
施政方針演説を始めとした
政府四
演説に対する代表
質問を行います。
福田総理、あなたが
総理に就任されてから既に百日が経過をいたしましたが、
日本国の
総理として、一体
国民をどこに導いていこうとしておられるのか、この国をどんな国にしたいのか、一向に伝わってきません。失礼ですが、あなたの言動に真心がこもっていると感じられないといいますか、余りにも軽くて無責任で、まるで人ごとのような言動が多いと思うのであります。本日は力強い御答弁を期待いたします。
それでは、まず冒頭お尋ねいたしますが、米国のサブプライムローン問題により広がった
世界同時金融不安に対し、米国は昨日、金利の引下げを発表いたしました。
日本政府の動きは何も見えないのでありますけれ
ども、どのような対応をするのか、
総理、まず明確にお答えをいただきたいと存じます。
総理、あなたは福田
政治が目指す
目標として、新たに
生活者、
消費者が主役を掲げられました。昨年の参議院の選挙以来、私
たち民主党が打ち出している
国民の
生活が第一の盗作ではないかと思われるほど、いや、そう思われても仕方がないほど似通っているということは、小泉、安倍両
政治の反省の上に立って、やはり
国民の目線で
政治が行われるべきと気付き、それが必然的に民主党のスローガンに似通ったということだろうと私は
思います。
総理、あなたが真に
消費者を重視するというのなら、まず第一に素直に
国民の声に耳を傾けるべきではありませんか。その上で実行することは、今年の四月から
ガソリン税を引き下げることであります。
最近の各マスコミによる世論
調査を見ますと、
国民の圧倒的多数が
ガソリン税の引下げを求めています。これは無理もありません。原油価格の高騰によってリッター当たりの
ガソリン代が既に百五十円を超える高値になっており、マイカーの運転も容易でなくなっているからであります。とりわけ、運送業の
人たちが悲鳴を上げているのが実情であります。
総理、あなたもよく御存じのはずですが、この
ガソリン税というのは本来一リットル当たり約二十九円なのに、租税特別措置法によって約二十五円上乗せされております。つまり、
暫定税率を課しているわけであります。言わば、
税金の二重取りをやっているものであり、到底許されるものではありません。
そもそも
道路整備の
費用に充てるという名目で作られた
道路特定財源である揮発油税、つまり
ガソリン税などは一九五四年に作られました。ところが、第一次オイルショックの後の一九七四年四月に、二年間の暫定的な措置として税率が二倍に引き上げられたものであります。あくまで国の税収が減ったためと、油の需要抑制のための緊急措置でありました。このような
暫定税率は、やはり
道路特定財源である自動車重量税や自動車取得税にも適用されています。
ところが、
政府・自民党は、黙っていても従来の二倍の財源が入ってくることに味をしめ、しかも
道路の建設以外の公共
事業に充てることができるうまみもあって、その後、五年ごとにこの
暫定税率を延長してまいりました。完全に既得権にしたわけであります。既に三十四年も過ぎ、本来なら
暫定税率を元に戻すべきであり、それが理の当然なのであります。
幸いなことに、
暫定税率の期限は今年三月末で切れます。しかし、
政府・与党は今回、何と
暫定税率を更に十年も延長することを決めたわけであります。これは、
国民、特に自動車ユーザーを侮辱したものと同然の措置であります。納得できない、
道路整備に充てない部分は直ちに減税し、納税者に還元すべきだとの抗議の声が
全国で高まったのは当然のことであります。自動車・石油業界の二十三団体からの抗議の署名は一千三十五万人分にもなりました。
暫定税率を延長する理由というのが、引き続き
道路整備の財源に使うため必要だからというものです。しかも、地方自治体がそれを強く望んでいるからと主張しています。しかし、一番の理由は、一番の理由は、既得権益を失いたくないだけということが最大の理由ではありませんか。
言うまでもありませんが、
ガソリン一リットルには四十八円六十銭、四十八・六円の揮発油税と五・二円の地方
道路税が掛かっています。
暫定税率を延長せず元に戻せば、その半分の二十五・一円分は価格が下がるわけであります。
ガソリン代の高騰に悩んでいる
国民にとってはささやかな減税になるではありませんか。
総理、どうして切ない
国民の
希望を踏みにじろうとしているのですか。
福田総理、私
たち民主党は、いち早くこうした
国民の切なる願いにこたえて、
ガソリン税の引下げを含む
暫定税率の廃止を打ち出しました。是非、同調してもらいたい。具体的には、租税特別措置
法改正案に反対し、廃案を目指します。それでも
政府・与党があくまで
暫定税率の延長を強行するのなら、他の野党とともにこれを阻止するために徹底的に戦うことを今から宣言しておきます。
暫定税率廃止について
福田総理の
見解を求めます。
道路特定財源は、国税である揮発油税、自動車重量税、石油ガス税、そして地方税の自動車取得税等、八種類があります。これらの税収は総額五兆六千億円で、このうち国税が三兆四千億円、地方税が二兆二千億円となっています。
政府・与党は、
暫定税率がすべて廃止されれば、国税で約一兆七千億円、地方税で九千億円の財源が不足し、
道路整備ができなくなるとアピールして、廃止した場合の財源の手当てをどうするのかと私
たち民主党に迫っております。
民主党は、
道路特定財源の役割は既に終わったとして廃止し、一般財源化するよう提案しています。当然のこと、
道路特定財源が廃止になっても、必要とする
道路整備はできます。必要な
道路は当然、当然造らなければなりません。それには一般財源を使って手当てをします。また、
道路のための特定財源に代えて、新たに
地球温暖化対策税をつくることも
考えております。
政府・与党のやり口で許せないのは、
暫定税率を十年延長する上に、
道路特定財源を使い、新たに十年間の
道路整備中期計画を作り、ここに五十九兆円もの
道路整備費を充てることにしたことであります。これはまさに
道路族議員の陰謀としか言いようがありません。つまり、今後、
道路特定財源はほかに一切使わせないと宣言したようなものだからであります。しかも、当初案は六十五兆円でした。冬柴国土交通大臣、あなたもこの企てに積極的に加担したのですか。
国民、とりわけ自動車ユーザーが喜んでいるとお
考えですか。率直な
見解を示していただきたい。
更に私が指摘したいのは、この
道路特定財源の一般財源化は、前の小泉、安倍両
総理のときには、一度は構造改革のシンボルとなる
目標として打ち出されたということであります。両政権とも前向きに取り組もうとしながら、結局は自民党のいわゆる
道路族議員や国土交通省らの激しい抵抗に遭って骨抜きにされたものであります。
平成二十年度
予算では、三兆三千億円の
道路特定財源のうち、わずか六%の千九百二十七億円しか一般財源化しておりません。巨額の余剰金があるため、使い勝手にしたいとのねらいから、
道路特定財源の看板を外したがらないわけであります。いつまでもこれら既得権にしがみつく
道路族議員らの横行を許しておいていいのですか。
総理、あなたの御感想をお聞きいたします。
また、噴飯物なのは、この
道路特定財源を元に高速
道路料金の値下げをしようとしたり、言わば
国民の目くらましをしようとしている点であります。余りにもこそくであります。
道路公団を民営化したのに、まだ
税金を投入するというのは本末転倒ではありませんか。
冬柴国土交通大臣、あなたは庶民の味方を標榜する
公明党の幹部ですが、いつまでこうしたいいかげんなことをやる自民党と付き合うのですか。あなたの御
見解をお伺いいたします。
このほか、増減税の特例を認める租税特別措置は実質的な補助金であり、その
効果がはっきりしないものや、減収額さえ把握していないことから、私
たち民主党は租税特別措置改革・透明化プログラム
法案を
国会に提出する
考えであります。
民主党の
調査によりますと、二〇〇八年度の租税特別措置
改正で必要な百三十七項目のうち、九一%が
政策効果を十分に検証できておりません。
政府は安易に租税特別措置の期限切れの延長をするべきではありません。
〔
議長退席、副
議長着席〕
特に、
暫定税率の維持な
ども租税特別措置
法改正案に含めて一括で処理しようとするのは、徹底審議を行う上で問題があります。
国民の監視が行き届かないとされる租税特別措置だけに、一層の透明性と公開性を確保する必要があるからであります。
総理、改めて御
所見をお伺いいたします。
福田総理、よもや忘れてはおられないでしょうが、あなたが小泉
内閣の官房長官をお辞めになった直接の
原因は
年金未納問題でした。
年金問題に何か特別の気持ちをお持ちなのかどうかは知りませんが、私が指摘したいのは、五千万件に上る宙に浮いた
年金の
基礎年金番号との
記録統合作業についてであります。
実に四割近い千九百七十五万件もが持ち主を特定することが困難なことが分かりました。自民党が参院選の公約に掲げた今年三月までの名寄せ作業がとても終わりそうにないことが明らかになりました。昨年十二月十二日のことであります。そのとき、
総理、あなたは、公約というほど大げさなものかどうかと言い切りました。私はこれを聞いたとき、一国の
総理の
言葉とはとても思えませんでした。自らが総裁として代表する自民党の公約を、大げさなものかどうかで片付けてしまう感覚を疑いました。余りにも
国民をなめ切っております。無責任極まりない発言でありました。反響の大きさに慌てて、その後トーンダウンさせましたが、この一言が一気に
内閣支持率を大幅にダウンさせたのは至極当然であります。
年金問題担当の舛添要一厚生労働大臣の発言もひどいものでありました。昨年八月二十八日の就任の際の記者会見で、最後の一人、最後の一円までやることを公約として申し上げたと大見えを切りました。ところが、後になると、私
自身もスローガンと言ったと前言を撤回する始末でありました。オーバーな物言いは選挙だから許されるとでもいうのでしょうか。事は多くの
国民の老後の支えとなる
年金問題であり、これでは
国民を欺いていたことになります。それほど重大なミスなのに、へらへら
言葉で済まされていいものではありません。
私は
思い出します。昨年七月の参院選のとき、自民党は、消えた
年金はありませんと大書した宣伝文句を大量にばらまき、その上、今後一年間ですべての統合を完了させますと大見えを切りました。選挙運動の先頭に立った当時の安倍
総理は、最後の一人まで
記録をチェックしますと絶叫していたではありませんか。
政府・与党の皆さんに私は恥を知れと言いたい。入力ミスなどによって大量の
記録漏れを生み出したこと自体が大問題なのに、その照合作業について詳しい実態を掌握しないまま、できもしない約束をする行為が恥知らずなのであります。長年の自民党
政治が作り出したうみによるものに間違いありません。スポークスマンである町村官房長官が、五千万件すべての行き先を確定することまで
説明したつもりはないと見苦しい言い訳をしたのも言語道断であります。
総務省に
設置した
年金記録問題検証委員会は、昨年十月に報告書をまとめました。その中で、責任問題について、歴代の
社会保険庁長官は責任が最も重いと指摘しております。次いで、歴代の厚生省の事務次官や幹部は重大な責任がある、
職員は責任の一端があるとなっています。では、これまでに責任を取って辞任した人が一人でもいたでしょうか。ゼロです、ゼロですよ。給料の一部を返上したのがせいぜいであります。だれ一人責任を取ろうとしませんが、
総理は、三月末にすべての名寄せが完了しなかった場合、公約違反を素直に認めて潔く辞任するおつもりですか、明確にお答えを下さい。
また、宙に浮いた
年金の持ち主が特定、統合されるのにこの先何年掛かるのですか。
専門家の間では、早くて五年、下手をすれば十年掛かり、結局、統合できるものも一千万件程度と見ております。
福田総理と舛添大臣の
見解をお聞きしたい。恥を知るもののふらしい明快で率直な答弁を期待いたします。
次に、ねん
きん特別便についてお尋ねいたします。
すべての
年金受給者三千万人と現在の
年金加入者七千万人の計一億人に送るとの触れ込みで十二月中旬から始まりましたが、順調に進んでいるのですか。昨年暮れの発表によりますと、
年金受給者四十八万人のうち、実際に
社会保険事務所に相談や訂正の
手続に訪れたのは八%に当たる三万六千人にとどまっています。こういう状態で持ち主の判明が進むのですか。なぜ少ないのか、送付した内容に不備はないのか、さらに、
効果についてはどう
考えておられるのか、また、送還された
記録の統合作業には相当の
費用と時間が掛かることが予想されますが、この点はどうなのか、舛添大臣、詳しく現状認識を示していただきたい。
というのも、ねん
きん特別便を受け取った受給者が、
自分たちに落ち度がないのにもかかわらず、自助努力で
記録を訂正しなければ統合されない仕組みになっているのに、そのことを知らないために、
特別便が届いたことで
記録の統合が完了したと
思い違いをしている受給者が多いと見られるからであります。
特別便に記載されているのはこれまでの
年金加入歴だけで、新たに見付かった
記録の内容はどこにも記載されていないのです。このままでは更に申請が低迷するのは間違いありません。何かの注意喚起をするなど、手を打つ必要があるのではありませんか。舛添大臣の明快な答弁を求めます。
さらに、最近心配なことが起きております。それは、厚生
年金をめぐり
社会保険事務所が延滞金を不正に減額したり、
記録の改ざんに関与している疑いが発覚していることであります。不正減額は
全国三百十二の
社会保険事務所のうち三分の一に当たる百五か所で明らかになり、三千七百七十四社に対して約十億円に上っております。また、不正な改ざんは
年金記録確認第三者委員会の
調査で判明したものであります。
厚生
年金の保険料は半額を
企業が
負担しています。ところが、不況の影響でこの
負担が重くのしかかり、
企業の中には、保険料を滞納したり、社員の標準報酬月額の
記録を少なく改ざんするところが増えてきております。問題なのはその不正に
社会保険事務所が加担していることであり、モラルの荒廃極まれりと言うしかありません。舛添大臣、厚生
年金保険料をめぐるこれらの問題について、現状はどうなのか、いかなる対策を講じているのかについて答えてください。
福田総理、私
たち民主党は、
年金問題の抜本改革のため、すべての
国民が同じ
年金制度に加入し、納めた
年金保険料に見合った
年金を受給する公的
年金一元化を提案しております。そして、
基礎年金の保険料については、消費税を財源に充てることにしております。
政府の被用者
年金一元化
法案は、事実上、共済
年金の優遇措置を温存するにすぎません。直ちに撤回すべきであります。
年金改革についての
総理の御
見解を伺います。
次に、
総理、あなたの
政治姿勢の特徴は協調重視であるようですね。前任の安倍
総理が、霞が関の官僚を敵に見立てて、殊更、対決したのとは対照的です。
福田総理は、官僚の知恵を借り、利用する伝統的な自民党
政治のスタイルに先祖返りしたように見えます。このことが際立ったのは、独立
行政法人の整理統合問題でありました。
言うまでもなく、独立
行政法人は、
行政組織をスリム化する目的で、一九九七年、橋本
内閣のときに、英国のエージェンシー制度に倣って
導入されました。二〇〇一年四月、小泉
内閣のときに五十七でスタートしましたが、二〇〇五年十月には百十三まで膨らみました。特殊法人が相次いで独立
行政法人に姿を変えたためで、官僚にとっても天下り先として肥大化していったわけであります。当然、巨額の補助金が支出されており、毎年、三兆五千億円に上っております。
この独立
行政法人こそ、国家
公務員の天下りと押し付け的談合の温床とみなし、昨年八月から華々しく始まった
政府の整理統合の
取組も、
福田総理になってからは様変わりしました。廃止、統合、財政支出の大幅な
削減という
目標がしぼんでしまいました。現在、百二ある独立
行政法人のうち、廃止、統合、民営化は十六にとどまりました。
削減されるのはわずか千五百七十億円にしかすぎません。
渡辺
行政改革担当大臣が三十五の廃止、統合を
目標に掲げたのに対し、関係する省の官僚や族議員、さらには大臣までが強く抵抗したためであります。特に私が問題にしたいのは、
総理、あなたまでが最終的に都市再生機構と住宅金融
支援機構の
見直しを先送りすることに加担したことであります。
独立
行政法人の改革をしないと
国民の信頼回復は得られない、
政治家の
リーダーシップの問題だと檄を飛ばした当の
総理、あなた
自身の
リーダーシップに疑問符が付いたことを自覚しておられるのですか。率直な
見解を求めたいと
思います。また、渡辺大臣にもこの間の経過を含めて感想と御
意見をお伺いいたします。
後を絶たない官製談合や
公務員の不祥事の元凶になっているのが天下りであります。
政府・与党は昨年の
国会で、天下り防止をうたい文句にして、官民人材交流
センター、いわゆる新人材バンクを強行採決の末つくりました。
私
たち民主党が反対したのは、天下りのあっせんを禁止し、再就職のあっせんを新人材バンクに一元化するといいながら、肝心の事前規制を撤廃したため、事実上、野放しにしたことであります。民主党はこれに対して、天下り根絶
法案を提出し、天下りを原則禁止する期間を現在の離職後二年から五年に
拡大、天下りの規制
対象を営利
企業に加えて非営利
企業にまで
拡大しています。また、古巣の官庁に対する働きかけ行為を禁止する措置や
早期勧奨退職の禁止も盛り込んでいます。
そこで、
福田総理に、
政府の天下り規制の
取組で、天下りを背景とする官民の癒着がなくなるのか、お答えをいただきたいと存じます。
最近も新聞報道によって、天下りした官僚が主要ポストを占める財団法人が所管する施設の売却で巨額の収入を得ていたことが発覚、生き残りを図る
役所と官僚のしたたかさが明るみに出ました。これは、国土交通省が所管する財団法人高速
道路交流
推進財団のことで、元々は旧建設省所管の
道路施設協会であります。高速
道路のサービスエリアとパーキングエリアの運営を独占し、その後、
道路サービス機構とハイウェイ交流
センターの
二つの財団に分かれました。
道路公団の民営化に伴い、サービス機構が名称変更して交流
推進財団となったものであります。
この交流財団が
全国に所有していた施設を高速
道路会社に売却をして約三百八十億円の収入を上げていたもので、本来、公益法人は利益の追求を目的としないため、役割を終えれば解散するのが筋であります。ところが、交流財団は、保有資産を活用して公益
事業を行うとの目的で存続をされ、実態は国土交通省の天下り先であり、利権の温存がねらいと勘ぐられても仕方がありません。
冬柴大臣、実際のところどうなっているのですか、
所見を示していただきたいと
思います。
今年の
予算案の特徴と意義について、額賀財務大臣は、改革と成長の
予算で、地方と都市の格差に配慮しながら、財政再建を目指す旗を降ろさずに守り抜いたと記者会見で胸を張ってみせました。本当にそう言えるのですか。
国民の大多数は首をかしげています。
私が指摘したいのは、地方向けの歳出を増やしたとして
地域活性化事業などを殊更に強調していますが、その多くは明らかに来るべき総選挙を意識したばらまき
事業にすぎません。
とりわけ問題なのは、三年ぶりに地方自治体の税収不足を穴埋めする地方交付税の総額が配分ベースで前年度より増やしたという中身に一種のマジックがあることであります。つまり、交付税特別会計にある地方
自身の借金の返済を中断して財源をひねり出しているからであります。また、優良
企業が多い東京都や愛知県などから地方税の法人
事業税を四千億円取り込み、他の地方に配り直す地方再生対策費を交付税の特別枠として設けていることであります。あくまで一時しのぎ、見せかけの地方重視でしかありません。民主党は、地方交付税制度の抜本的
見直しによって財政調整能力を強化するよう提案しています。
総理にお尋ねします。こうした交付税の在り方で税収不足に直面している地方自治体が立ち直れるとでも思っているのですか。
次に、特別会計のいわゆる埋蔵金について額賀大臣にお聞きします。
自民党では、特別会計には五十兆円近い積立金や余剰金があると強調していますが、実態はどうなのか。特別会計は、かねてから
事業の無駄を隠す不透明さが指摘され、霞が関の官庁の隠しポケットと呼ばれてきました。
政府は、今年の
予算案で、財政融資資金特別会計の積立金の一部を取り崩し、約十兆円を国債償還に充てることにしていますが、まさに場当たり的な対応であります。
私
たち民主党は、かねてから、国の補助金制度を廃止した上で、特別会計の無駄を省き、地方が自由に使える一括交付金を配分するよう主張しています。
福田総理、地方を真に重視するならば、民主党案に転換するようお勧めしたいと
思いますが、お
考えはいかがですか。
古来、
日本では、農は国の本と言われ、農業
政策は国策の
基本でありました。しかし、現状は、お寒い食料自給率を見れば明らかなように、農村は疲弊しております。
政府・与党の農業
政策の失敗が大きな
原因の
一つであります。
私のふるさと岩手県の場合、米作りは
高齢者の
方々が中心であり、
自分がやめたら田んぼは荒れ果ててしまうとの危機感を多くの人々が抱いております。収入が少ないためで、
年金を取り崩して米作りに取り組んでいるのが現状であります。
私
たち民主党が農業者戸別所得補償
法案を作り、
国会に提出し、参議院では可決いたしました。この
法案は、食料の安定供給及び安全性を確保するのが目的で、米、麦、大豆など主要作物を生産する販売農家に対し、赤字を出さない程度に価格と生産コストの価格差を補償するものです。
これに対して
政府・与党は、昨年、戦後農政の大転換と位置付けた大規模な農業を優先する
政策である品目横断的経営安定対策を発表しました。これは露骨な小規模農家の切捨てであり、農民の強い反発を買ったのは当然です。同じ補償でも、民主党案がすべての販売農家が
対象なのに対し、
政府案は四ヘクタール以上の農家で米が
対象に入っていません。今年は、批判にこたえて、米の生産調整に協力することを前提条件に一から二ヘクタールの小規模農家も
対象に加えるようですが、
総理、どうするつもりですか。この際、私
たち民主党案に同調したらどうですか。
見解を求めます。
福田総理、あなたの今年の
仕事始めで、堂々と粛々と
正道を歩む、奇策があるわけではないと話されました。それはそれで結構です。
正道を歩むのは、
国民の声に真摯に耳を傾けようとしない自民党ではありません。
なぜなら、直近の民意である昨年七月の参議院の選挙で
国民の圧倒的な支持を得たのは、第一党になった私
たち民主党であります。インド洋で海上自衛隊が給油
支援活動をする必要はもはやなくなったと野党が
結論を出したのを無視して、衆議院における多数の力を盾に新テロ特別措置法を再可決するという暴挙を平然と行ったのは
政府・与党だからであります。実に五十七年ぶりであることがいかに異例の事態であるかを雄弁に物語っております。
冒頭申し上げましたが、
国民の
生活が第一という民主党のスローガンに極めて似通った、
生活者、
消費者が主役という自民党の新しいスローガンは、小泉、安倍政権のときから見れば百八十度転換したかの感があります。民主党が打ち出した数々の
政策、
法案に対して、これまたほとんど百八十度転換して、似通った
政策、
法案を
考えているようであります。
私
たちから見れば、次の衆議院の選挙を意識して一時的にすり寄ってきたとしか見えないのですが、これだけで自公政権が変わった、反省したとはとても思えません。なぜならば、長年にわたる政と官の持ちつ持たれつの癒着によって強大な力を有するようになった官僚の数々の暴走を政がきちっと抑えることができない、コントロールができない状況にあるからであります。
官僚の天下りが引き起こす切りがないほどの
税金の
無駄遣いをどうにもできない現状では、
国民の目線に立った
政治はできません。この
税金の
無駄遣いをなくしたら、財政の再建はもとより、地方の
活性化、第一次
産業や
中小零細企業の健全な発展を含め、
我が国に明るく
希望に満ちたすばらしいあしたが見えてくるのではありませんか。官をコントロールするには、癒着のない、しがらみのない政党が政権に就かなければなりません。すなわち、民主党を中心にした現在の野党が政権に就かなければならないということであります。
江戸時代を
思い出してください。士農工商や数々の制度を残したまま幾ら将軍の顔を替えても、五代将軍、六代将軍、七代、八代、幾ら顔を替えても何の改革にもならなかった徳川幕府時代のようなことではどうしようもないではありませんか。要するに、スローガンだけ似せてもどうしようもないということであります。
政権に就いた政党がひどい
政治を行っていると、次の選挙で
国民からノーを突き付けられます。そうならないためにお互いに努力するわけで、常に
政治に緊張感が出てまいります。常に
国民の目線で
政治が行われるようになります。それが真の民主
政治だと私は
思います。
私は岩手県をふるさとにしております。地方経済の発展、
向上なくして格差解消の方途なしということを
政治信条として日々の
活動に取り組んでまいりました。かつて自民党王国と言われた岩手県ですが、民主党の小沢一郎代表の下、今では国政、地方
政治共に自民党を圧倒しております。すなわち、時代は変わる、歴史は動くのであります。私
たち民主党は、もはや賞味期限が切れた自民党に代わっていつでも政権を担当する用意があります。
福田総理、あなたをもって自民党
政治にピリオドを打つ日が一日も早く来ることを祈念して、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣福田康夫君
登壇、
拍手〕