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2008-05-29 第169回国会 参議院 法務委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年五月二十九日(木曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員異動  五月二十七日     辞任         補欠選任         森 まさこ君     舛添 要一君  五月二十八日     辞任         補欠選任         鈴木  寛君     柳澤 光美君  五月二十九日     辞任         補欠選任         舛添 要一君     塚田 一郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         遠山 清彦君     理 事                 千葉 景子君                 松岡  徹君                 山内 俊夫君                 木庭健太郎君     委 員                 小川 敏夫君                 今野  東君                 前川 清成君                 松浦 大悟君                 松野 信夫君                 柳澤 光美君                 青木 幹雄君                 岡田 直樹君                 塚田 一郎君                 丸山 和也君                 山崎 正昭君                 仁比 聡平君                 近藤 正道君        発議者      松岡  徹君        発議者      松野 信夫君        発議者      前川 清成君    国務大臣        法務大臣     鳩山 邦夫君    副大臣        内閣府副大臣   山本 明彦君        内閣府副大臣   中川 義雄君        法務大臣    河井 克行君    大臣政務官        内閣大臣政務        官       戸井田とおる君        法務大臣政務官  古川 禎久君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局人事局長   大谷 直人君    事務局側        常任委員会専門        員        山口 一夫君    政府参考人        警察庁刑事局長  米田  壯君        金融庁総務企画        局審議官     細溝 清史君        金融庁総務企画        局参事官     三村  亨君        法務省民事局長  倉吉  敬君        法務省矯正局長  梶木  壽君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○保険法案内閣提出衆議院送付) ○保険法施行に伴う関係法律整備に関する法  律案内閣提出衆議院送付) ○刑事訴訟法の一部を改正する法律案(第百六十  八回国会松岡徹君外五名発議)(継続案件)     ─────────────
  2. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) ただいまから法務委員会開会をいたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、森まさこ君及び鈴木寛君が委員辞任され、その補欠として舛添要一君及び柳澤光美君が選任されました。     ─────────────
  3. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  保険法案及び保険法施行に伴う関係法律整備に関する法律案審査のため、本日の委員会警察庁刑事局長米田壯君、金融庁総務企画局審議官細溝清史君、金融庁総務企画局参事官三村亨君、法務省民事局長倉吉敬君及び法務省矯正局長梶木壽君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) 保険法案及び保険法施行に伴う関係法律整備に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 前川清成

    前川清成君 おはようございます。  前回に引き続いてお時間ちょうだいいたします。ありがとうございます。  保険法に入る前に、少し最高裁お尋ねをしたいことがあるんですが、今日お越しいただいている大谷さんは、以前は刑事局長をされていまして、刑事事件について大変お詳しいと思うんですが、裁判でうその証言をすると偽証罪ですが、国会うそ答弁をすると罪にはならないんですか。
  7. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者大谷直人君) 突然のお尋ねでございまして、私もその点について正確なことを申し上げられるかどうか分かりませんけれども、私の理解するところでは、答弁だけで犯罪を構成するものではないというふうに理解しております。
  8. 前川清成

    前川清成君 犯罪にならないからといって、私は、国会うそ答弁はしてもらったら困るというふうに思うんです。  この委員会でも大変議論になっています法曹人口をどう増やしていくのかと、それに伴って質をどう確保するのかの問題について、鳩山大臣出席していただいておりました五月十九日の決算委員会で私は質問をさせていただきました。  平成十三年以降、二回試験の不合格者合格留保者が急増していると、その理由についてどういうことですかというふうに最高裁お尋ねをいたしましたところ、大谷さんからは、この問題につきましてはなかなかすぐにお答えをできるという問題ではありませんと、こういうふうにお答えになりました。これが五月十九日、月曜日の決算委員会の出来事でございます。  ところが、五月二十三日には、最高裁事務総局からペーパーが出されておりまして、「最近の司法修習生状況について」という文書が出されておりまして、この中で二回試験状況であるとか修習生状況についてるる御説明をいただいております。五月十九日の段階ですぐ説明できないと国会で堂々と答弁しておきながら二十三日には文書で回答する、これは一体どういうことなのか、御回答いただきたいと思います。
  9. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者大谷直人君) 決算委員会前川委員からお尋ねがあったことはそのとおりでございます。そのときに私といたしましては、この問題は非常に難しい問題ではありますが、前川委員からお話がありましたので、教官に対して今修習生がどういう状況なのかというようなことについて折に触れて聞いている、そういうことについてどのような形で文書が提出できるかはこれから検討したいということを申し上げました。その結果、今御指摘のありました五月二十三日付けの報告書というものを作成いたしました。  この内容は、またお尋ねがあろうかと思いますけれども、ここでその原因について最高裁としてこういうものが原因であるというようなことを申し上げたつもりはございませんで、各教官あるいは実務指導裁判官等が今修習生についてこんなことを思っているということについて取りまとめた書面を御提出したと、こういうことでございます。
  10. 前川清成

    前川清成君 私が問題にしているのは、十九日の月曜日にすぐにはお答えできないと言いながら二十三日には文書で回答している、それだったら十九日の決算委員会でもこの文書に書いてある程度のことは大谷さん、あなたのお口からお答えいただけたはずなんです。そういう役人答弁が非常に不満足ですということを申し上げているんです。  それともう一つ、この「最近の司法修習生状況について」という文書は、最高裁事務総局作成名義になっています。ところが、1の(1)の二つ目の丸、自分たちのころと同様に熱心に修習に取り組んでおりますと、こう書いてあるんですが、最高裁事務総局という組織が司法修習を受けたことがあるんですか、大谷さん。
  11. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者大谷直人君) 1の(1)のタイトルを御覧いただきたいのですけれども、司法修習生に直接接する教官指導官感想等について丸という形で掲げさせていただきました。この自分たちのころというのはそういう方々がそういう感想を述べられたと、こういう趣旨でございます。
  12. 前川清成

    前川清成君 そういう方々というのはどういう方々なんですか。
  13. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者大谷直人君) 今申し上げたとおりでございますが、司法研修所教官あるいは実務修習を担当する指導官、こういった方々ということでございます。
  14. 前川清成

    前川清成君 保険法に入るのでこの辺りでやめますけれども、最高裁司法研修所を所管しておられて、二回試験最高裁が御担当になっているわけですから、感想文みたいな文書を出すのではなくて、一日も早く原因を分析した上で、法曹養成に関して責任のあるコメントを私は最高裁が出すべきではないかな、そう思っています。この問題はまた詳しくどこかの機会でさせていただきたいと思います。  それで、今日、金融庁の方から保険金履行期に関して請う御期待答弁があるというふうに伺っておりますので、前回詳しくやりましたのでもうやらないつもりだったのですが、二十一条等々について法務省にもお尋ねをしたいと思います。  それで、倉吉さんが衆議院での古本委員質問に対して、一定類型ごとにこれぐらい調査すれば支払の要否を判断できる期間お答えすることはできません、こういうふうにお答えになっています。四月十八日の衆議院法務委員会です。これは、私の理解では、例えば生命保険、このようなタイプ生命保険であったら例えば五日だとか、このようなタイプ火災保険だったら例えば三十日といった具合に日数保険類型ごと支払期限を区切ることは技術的に不可能ですと、こういうふうなことをおっしゃっているのでしょうか。
  15. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) 衆議院法務委員会における御質問はたしか、法文上、二十一条の一項でございますが、相当の期間としか書いていない、これは具体的な日数で書けないのかというその数字の質問だったと思います。  それで、法律上書けるかという問題になりますと、これは保険契約だけでも生命保険損害保険、それから第三分野とございますが、それが更に様々な類型に分かれます。それから、一つ類型契約の中でもまた様々な商品がございます。これを一律に何日だと、この場合には何日でこの場合には何日でと全部書き分けるのも難しいし、一律に決めるのも難しい。ある程度まとめて書こうとすると、それはどうしてもある程度長いものに引っ張られていって長めの期間にならざるを得ない。これは保険契約者にとっても不利益であると。等々、そういう事情がございますので、条文上は決まった日数を書くというのは難しいという趣旨で御答弁申し上げました。
  16. 前川清成

    前川清成君 ですから、私の申し上げていたような趣旨と大体同じだと思うんですけど、一方において、前回、五月二十二日の松野委員質問に対して倉吉民事局長は、現行の各種の保険ではすべて約款期間を定めておりますと、こういうふうにお答えになっています。秀才がそろった法務省が各保険類型ごと日数で区切ることはできないのに、保険会社の方は日数で区切っていると。これはどういうことなんでしょうか。
  17. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) これは約款、様々なものがございますので、それを全部網羅的にお答えすることはできないということがございます。確かに、保険会社がやっている通常保険約款につきましては、これは監督官庁からの指導等もございまして約款規定が定められている、それにしても商品ごとに随分違うということでございます。
  18. 前川清成

    前川清成君 とおっしゃるんですけれども、おおむね火災保険については三十日、生命保険については五日、その二つタイプしかないんじゃないんですか。あたかも百種類も二百種類もあって、それぞれ条文に書き込むことはできない。百種類も二百種類もあるんだったらおっしゃるとおりだと思うんですが、五日の類型か三十日の類型しかないのであれば、私は、法文上、十分技術的に書き込むこともできるし、仮に百歩譲ってその種類がたくさんあるというのであれば、私の好みではありませんが、政省令日数を限定するということもできるのではないかなと、そう思うんです。  あるいは、これから先様々な商品が出てきて、それにも対応するような形で条文を作っておきたいと、こうお考えになっているのかもしれませんが、今回の保険法現行法同様に百年間指一本触れないと、これはだれも決めたわけではないわけですから、そのときの時代に応じて法を改正していくということも十分可能ではないかと。  なぜならば、やっぱり一昨年起こった保険の不払、これは最大の消費者問題と。保険金をもらうためにそれぞれの皆さん保険に加入しておられるにもかかわらず、保険金がもらえなかった。だから、私はこの点、今の保険法には大変不満を持っています。結局は、保険会社調査であるとかこれから新しい商品を開発する、そういう便利さを、消費者皆さん方保険金を受け取りたい、一日も早く受け取りたいという願いに優先してしまった、そういう結果ではないかなと思っています。  そのこと自体はきっと法務省も異存がないと思うんですが、金融庁の方でこの履行期に関して、今日、三村さんの方から請う御期待答弁があると伺っていますので、三村さん、お願いいたします。
  19. 三村亨

    政府参考人三村亨君) 履行期に関しまして、今後様々な保険約款申請があり得ることが考えられますので一概には申し上げられませんが、現行保険約款規定されている保険金支払時期につきましては、現在の調査手続等実務慣行を踏まえたものであると考えております。  したがいまして、今後新たな約款申請に際して、仮に現行約款規定合理性なく変更をし、支払時期が契約者にとって後退する内容となっているような規定がございますれば、保険契約者等保護に欠けるおそれがあるものに該当する可能性が高いと現時点では考えております。
  20. 前川清成

    前川清成君 他人事のような御答弁で少し不満なんですが、ちょっと金融庁監督基準については後で詳しくお尋ねをしたいと思います。  それで、少し条文の方に戻りたいんですが、保険法案の五十一条、これの四号に免責事由を掲げてあるわけですが、戦争その他の変乱と、こういうふうにあります。どうしてこのような条文が置かれているのか、五十一条四号、その立法趣旨お尋ねをいたします。
  21. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) これは、戦争その他の変乱というのが起こりますと支払事由一定の時期に集中してたくさん起こります。そうすると、それだけのものについても支払わなければならないということにしておきますと、それを賄えるだけの保険料は高くしないといけないということになります。こういう場合には、むしろ免責として保険料を安く維持できるようにしておこうという趣旨によるものでございます。もちろん、その背景にはいろいろな商品性ということがあるわけでありまして、戦争とか変乱というのはめったに起こらないだろうと。だから、そんなことまで見越した高い保険料保険金を払うよりも、通常火災保険、その保険料でやりたいというニーズはあるわけでございます。そういうニーズにもこたえるということになります。
  22. 前川清成

    前川清成君 分かりました。  それはよく分かるんですが、それでは、ここに言うその他の変乱というのは何を指すんですか。
  23. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) 戦争に準ずるような大きな争乱状態ということになると思います。ちょっと明確に、客観的に申し上げるのは私も語彙が不足で足りませんが、ここで申し上げたいのは、一過性テロ行為であるとか、ちょっとした規模で大きな人災的なテロが起こったと、そういう場合は除かれるという意味であります。大規模な革命であるとか大規模な暴動、そういったものを変乱とこれまで呼んでいると承知しております。
  24. 前川清成

    前川清成君 分かりました。  それじゃ、この立法趣旨が、めったに起こらないようなことについては支払対象から除外しておきますと、なぜならば、それは保険料の計算の対象になっていないからというような趣旨かと私も理解しておりましたので、めったに起こらないようなことがあるとすべてこのその他変乱に入れられてしまって、契約者皆さん方がお困りになるのではないかと思って今の質問をさせていただいたんです。  戦争というお話がありましたけれども、ちょっと調べさせていただきますと、日本で最初の近代戦争日清戦争なんですが、日本戦死者が千四百十七名だったそうです。ところが、阪神・淡路大震災では六千四百三十七名がお亡くなりになっています。今回のあの四川省地震では六万人ぐらいの方々がお亡くなりになっていますというふうに報道されています。  そうであれば、例えば地震等々はその他変乱には含まれない。今局長がおっしゃったように、戦争に準じたような、軍隊がやってきて大砲を撃ったりミサイルを撃ったりとか、そういうような状態がその他の変乱なんだと、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  25. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) そのとおりでございます。変乱という言葉には地震等の災害は入らないという文言解釈になろうかと思います。
  26. 前川清成

    前川清成君 五十三条を見ますと、この五十一条というのは明文上の強行規定ではありませんけれども、ということは、例えば今、倉吉さんがおっしゃったような地震については支払いませんというような約款を設けることは保険法上は有効と考えてよろしいんですか。
  27. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) 第五十一条は任意規定でございます。したがいまして、委員の御指摘のとおり、これと異なる約款を定めることは可能であります。
  28. 前川清成

    前川清成君 約款で例えば地震については払いませんとかそういうふうなことを定める場合には、消費者の、契約者の合理的な期待を裏切らないために何らかの手だてを講じる必要があると私は考えるんですが、金融庁、いかがでしょうか。
  29. 三村亨

    政府参考人三村亨君) 保険約款の御指摘免責関係でございますけれども、今後どのような保険契約認可申請になるのか見てみませんと一概には判断はできないわけでございますけれども、金融庁としましては、現行約款合理性もなく拡大をする、あるいは契約者にいたずらに一方的な不利益を与える、そういったような内容になるような場合には契約者保護に欠けるのではないかなと現時点では考えております。
  30. 前川清成

    前川清成君 私は、まず約款については、三村さん、これから詳しくさせていただきますけど、その前提として、保険に入ったら証書と一緒に送ってくる約款に小さな文字で、地震については支払いませんと、そう書くだけでは、書いてあるだけでは足らないのではないですかと、そういう趣旨お尋ねしているんですが、いかがでしょうか。
  31. 三村亨

    政府参考人三村亨君) 金融庁におきましては、契約者保護の観点から、単に約款を送付するだけではなく、重要事項などについては書面等に明記をして契約者皆様方事前に御説明をするように指導をしているところでございます。
  32. 前川清成

    前川清成君 契約前に、そういう合理的な期待に反するような新しい類型保険ができた際には、口頭で説明するだけではなくて、言った言わないにならないように、きっちりと重要事項説明書等のような文書説明することを徹底していただきたいと、こんなふうに思います。  それでは次に、法務省お尋ねするんですが、仮に今申し上げた事前説明等々が不十分な場合、これは保険法解釈に当たって私法上の効力については何らかの影響を及ぼすと、こう考えてよろしいでしょうか。
  33. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) 保険法と申しますよりも一般契約法理等々によりまして、例えば信義則上これは当然説明しておくべきだ、こんな小さい字で書いていたのでは分からぬではないかというような事情、そして、しかもそれが大事な事実だというようなことを説明しなかったというために契約効力影響が及ぶということは、一般論としてはあり得るところと考えております。
  34. 前川清成

    前川清成君 是非、今の御答弁金融庁の方もよく御理解をお願いしたいと思います。  それで、ちょっと約款監督基準についてお尋ねしていきたいんですが、例えばですけれども、地震による死亡については死亡保険金支払いませんと、そういう新しい類型生命保険が出てきた場合、それは金融庁としては認可しますよね。
  35. 三村亨

    政府参考人三村亨君) 例えば、地震における生命保険の例でございますけれども、それについては、実際その保険契約内容申請の時点でどのようなものになっているのか全体を見てみないと一概には判断できないわけでございますけれども、現行支払われているようなものが支払われないと、そういったようなものについて、その支払われないことについての合理的な理由があるのかどうか、その点についてきちっと審査をしてまいりたいと思っております。
  36. 前川清成

    前川清成君 これから、せっかく保険法で相当な期間と定めているのは、様々な類型契約を、商品をこれから保険会社が開発していくのを認めようと、そういう趣旨なのであれば、私は別に、地震については払いませんと、その代わりこういう場合にはきっちり払いますと、保険料が安いですというような保険があっても当然構わないのかなという感想を持っていたんですが、今の答えは意外な思いで聞いておりました。  山本大臣、今日せっかくお越しいただいていますので非常に極端なお尋ねをしたいと思うんですが、病気で死んでも払いません、事故で死んでも払いません、どんな死に方をしても死亡保険は払いませんと、保険料保険会社が丸もうけですというような極端な生命保険申請があった場合に、これは認可、当然しないですよね。
  37. 山本明彦

    ○副大臣山本明彦君) 今のお話を聞いた限りでは、しないというふうに思います。
  38. 前川清成

    前川清成君 私もそう思うんです。  それで、その前の認可するであろう生命保険と、そうでない、認可されない生命保険とはどのような判断基準で切り分けされるのか、この点について前回のこの委員会における宿題、これに、三村参事官お答えいただきたいと思うんです。
  39. 三村亨

    政府参考人三村亨君) 保険約款審査基準といたしましては、保険業法では、契約者等保護に欠けるおそれのないものであること、不当な差別的取扱いをするものではないこと、公序良俗を害する行為を助長又は誘発するおそれはないものであること、明確かつ平易に定められたものであることなどの規定が設けられております。  今御指摘の、認可されるであろう保険申請と、これは認可されないという保険申請との間の差についてのお尋ねでございますが、保険約款内容につきましては支払時期ですとか支払原因ですとか様々な内容がございます。そういったもの全体を見てみないと一概には判断できないということでございます。
  40. 前川清成

    前川清成君 私がお尋ねしたのは、全体を見ないと判断できないときじゃなくて、その判断基準になる契約者等保護に欠けるおそれがない、これはどういう意味なんですかと、どういう判断基準なんですかということをお尋ねしたいんです。三村さんで。これ、前回宿題ですよ。
  41. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) 三村参事官、御答弁お願いします。
  42. 三村亨

    政府参考人三村亨君) 契約者保護に欠けるおそれがないものであることの中身でございますが、例えば保険金支払免責事由告知義務等規定におきまして保険契約者等の利益を不当に害するものとなっていないことでございます。
  43. 前川清成

    前川清成君 私は今定義を聞いて、例えばでお答えになっているんですね。  先ほどおっしゃったような判断基準契約者等保護に欠けるおそれがないもののほかに、今、三村さんがおっしゃった、公の秩序又は善良の風俗を害する行為を助長し、又は誘発するおそれのないものというのもあるんです。これがどういう意味なのか。ちょっと長いので公序良俗違反というふうに言わせてもらいますけれども、それがどういう意味なのか、私は五月九日に質問主意書を出させていただきました。それに対する内閣総理大臣福田康夫先生のお答えは、公序良俗違反意味について、「例えば、保険契約内容が違法行為による罰金をてん補するものではないことである。」と、こういうお答えなんです。  小学生に国会議員とはどういう仕事ですかという試験が出て、答えに例えば鳩山邦夫ですと、こう書いたら、鳩山大臣、これは何点もらえますかね。こんな基準があるんですか。だから、結局、契約者等保護を欠けるおそれがないとか公序良俗違反とか、全部明確な基準はなくて、その都度その都度、金融庁のさじ加減なんです。  三村さん、さじ加減ではありませんと、私たちは事前に決められたきっちりとしたルールに従って審査していますと、こう反論していただけるのであれば、どうぞやってください。
  44. 三村亨

    政府参考人三村亨君) 保険業法におきましては、先ほど来御説明をしておりますような認可審査基準として保護に欠けるおそれのないものであること等が定められております。  金融庁におきましては、これに保険会社向けの総合的な監督指針におきまして、法令の審査基準に基づいて約款審査を行う際の留意点として、保険商品審査上の留意点等を明記をして公表しておるところでございます。  今回の保険法案の成立後、約款審査を行う際の留意点であるこういった保険商品審査上の留意点につきまして、保険法趣旨も踏まえまして、明確化の観点も含めて内容を見直してまいりたいと考えております。
  45. 前川清成

    前川清成君 委員長質問に答えさせてください。
  46. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) 三村参事官、もう一度御答弁ください。
  47. 三村亨

    政府参考人三村亨君) 保険約款審査基準につきましては、保険業法上、「保護に欠けるおそれのないものであること。」というふうな先生御指摘規定になってございますけれども、その運用につきましては、保険契約者保護の観点から問題のないように対応してまいりたいと考えております。
  48. 前川清成

    前川清成君 委員長、答えさせてくださいよ。答えられないなら答えられないでいいから。
  49. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  50. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) 速記を起こしてください。
  51. 三村亨

    政府参考人三村亨君) 金融庁として恣意的なさじ加減で判断をするということはございません。
  52. 前川清成

    前川清成君 当たり前なんですよ。だれが恣意的にしてくれと言うているの。違うんです。  前回公序良俗違反というのを鳩山大臣が言及されて、それに対して山本大臣は、公序良俗違反という基準について、常識的という言葉はここではあり得ないと、こういうふうに御答弁されているんです。だから、常識的に考えられないのであれば、公序良俗違反という基準をどういう意味で使っておられるんですかと、契約者等保護に欠けるおそれがあるときというのはどういう意味ですかということを詳しくお聞きしているんです。  だから、三村さんあるいは山本大臣、はっきりした基準がないというんなら、ないと答えてくださいよ。はっきりした基準があるんだったら、そこを答えてください。もうこんなので時間のロスはやめてください。どっちですか。どちらでも結構です。
  53. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) どなたが答弁なされますか。三村参事官
  54. 三村亨

    政府参考人三村亨君) 審査基準法律及び政令で定められておる基準でございます。それについて金融庁として、先ほど来御説明していますように、社会通念に照らして適切に判断してまいりたいというふうに考えております。
  55. 前川清成

    前川清成君 じゃ、今の御答弁前回山本大臣の御答弁を否定されたと、こういうことで理解してよろしいですか。
  56. 三村亨

    政府参考人三村亨君) いや、否定をしたということではございませんです。  保険法案の成立を受けまして、保険法趣旨も踏まえ、保険商品審査上の留意点等、解釈基準のより一層の明確化に努めてまいりたいと考えております。
  57. 前川清成

    前川清成君 山本大臣前回、常識的という言葉はここではあり得ませんと、判断基準解釈するに当たって。そうおっしゃっているんです。三村さん、あなたは、社会通念に照らして判断すると、社会通念に照らして判断するということは常識的に判断するという意味でしょう。三村さんのおっしゃっていることと山本大臣のおっしゃっていることは矛盾しているじゃないですか。だからお聞きしているんです。
  58. 山本明彦

    ○副大臣山本明彦君) 前回私が申し上げました常識的にという意味は、この前、三十年という話がございました。それを常識的に云々という判断ということで判断するのではなくて、その後言いましたのは、そのときになれば不適切だというふうに判断する可能性はあるということでありまして、実際に受付したときに判断をするという形で申し上げたつもりであります。
  59. 前川清成

    前川清成君 金融庁保険約款審査するに当たって用いている基準、例えば保険内容保険契約者等保護に欠けるおそれのないものであること、この内容がすかすかでさじ加減だということは今の議論を通してお分かりいただけたと思いますけれども、またほかにもありますけれども、公の秩序又は善良の風俗を害する行為を助長し、又は誘発するおそれのないもの、これについてもすべてブラックボックスで、金融庁の顔色をうかがって保険会社が対応しなければならないという現行実務になっています。だから、以前ありましたMOF担とかあるいはノーパンしゃぶしゃぶの接待、そういうのにつながったのではないかな、役所の顔色をうかがわないと民間も商売できないと、そういう状態になっているのではないかなと、私はそう思っています。  それで、今日、中川副大臣にお越しいただいているんですが、実は前回保険法保険金をいつ支払うかという点について、条文上は相当の期間内に支払えと、こう書いてあるんです。しかし、副大臣お分かりのとおり、例えば生命保険は、一家の大黒柱がお亡くなりになって、残された遺族の皆さん方の明日の生活の糧のために一日も早く必要なお金です。火災保険についても、家が燃えてしまった、自分たちの生活を再建するために一日も早く必要なお金なんです。その支払時期が相当の期間と書かれている。いつもらえるか分からないんじゃないかなと私は思いました。ですから、倉吉さんに相当の期間というのは何日ぐらいですかとお尋ねしたら、分からないとおっしゃる。最高裁も分からないとおっしゃる。私は、山本大臣に極端な例として、例えば生命保険保険金を三十年後支払うというような約款が出てきてもこれは認可するんですかとお尋ねしたら、駄目だとは明言されないんです。  ですから、私は、金融庁保険会社に対する監督がこのていたらくであれば、それぞれの消費者皆さんを守るために、契約者保険金受取人を守るために、もう保険会社に対する監督権限は金融庁ではなくて消費者庁にお願いしなければならないのではないか。金融庁は、保険会社を育ててやる、いわゆる護送船団方式の意識にいつまでもとらわれていて、新しい時代、契約者皆さんを守らなければならない、消費者皆さんを守らなければならない、国民お一人お一人を守らなければならないという意識が乏し過ぎるのではないかと私は思っています。  つきましては、今日は中川副大臣お越しいただいていますが、今福田総理がお進めになっています消費者庁構想に当たって、この保険法保険業法の取扱い、御検討いただいているのかどうか、その辺御答弁をお願いしたいと思います。
  60. 中川義雄

    ○副大臣(中川義雄君) 委員御承知のように、この二月に福田総理が強い意思を持って閣議決定して、消費者行政の一元化について強い指導力の下で、今消費者行政推進委員会の中で鋭意この問題を取り扱っているところであります。  福田総理の強い意向の中には、消費者に身近な問題を取り扱う法律消費者庁に移管することとし、その他の関連法についても消費者庁が強い勧告権を持つ司令塔として関与できるようにするという基本方針でありますが、その方針に基づいて今関係機関や関係省庁、それからまた有識者の意見等を聴いている最中でありまして、具体的な問題につきましてここで私の口から発言することはできませんが、国権の最高機関であるこの委員会において、先生の御意見ですから、これは担当大臣にもよく伝えておきたいと、こう考えております。
  61. 前川清成

    前川清成君 少し私の個人的なお話をさせていただきますと、私が四年前国会議員に立候補した大きな理由一つは、サラ金の金利。当時、ゼロ金利政策で、普通預金の金利が〇・〇〇一%、定期預金でも〇・〇二%。そんなときにサラ金や高利貸しは二九・二%の金利を取っていた。それで、大手サラ金は年間三千億とか二千五百億円というようなぼろもうけをしていた。しかし、その陰で毎年七千人もの方々が経済苦を理由に自殺をしておられて、二十五万人の方々が自己破産を強いられていたんです。私は、サラ金の金利を下げたい、そう思って国会議員になったんですが、サラ金は、よく考えますと、借りる人もいれば借りない人もあるんです。しかし、保険だけは、自動車保険であれ生命保険であれ、あるいは火災保険であれ、この国に暮らすほとんどすべての方々が何らかの意味で加入しておられます。最も身近な消費者問題だろうと思うんです。(発言する者あり)ありがとうございます。  で、保険に関する内容、これはそれぞれの会社が作った商品を購入するかしないかの権利しか消費者にはありません。どういう場合に払ってくれるのか、どういう場合に払ってくれないのかと、これはその情報も保険会社から聞くしかないし、最後にお金をもらえるかもらえないか、これも保険会社が決めてしまうと。そういう意味では、私は、この保険というのは最も身近な最大の消費者問題ではないかなと、こんなふうに思っています。  今、副大臣答弁されたとおり、消費者に身近な問題を扱う法律消費者庁に移管すると、こういう御方針に照らせば、この保険法保険業法は、私は是非是非消費者庁で御担当をお願いしたいと、そのことをもう一度強くお願いを申し上げたいと思います。
  62. 山本明彦

    ○副大臣山本明彦君) 委員長
  63. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) 御答弁よろしいですか、前川委員。  山本大臣
  64. 山本明彦

    ○副大臣山本明彦君) 今、消費者庁のお話前川委員の方からございまして、私どもとしても一言申し上げさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。  金融庁におきましては、我々の目的というのは、この金融システムの安定性はもちろんでありますけれども、利用者保護、利用者利便の向上というこの三つを行政目的の大変大きな目標として掲げて今まで来たところであります。やはり利用者保護というのは一番大きな目標の一つでやってまいりました。  この保険会社の監督につきまして、金融庁といたしましては、保険金の不払等の問題につきまして各保険会社に対しまして業務改善命令等も行いまして、保険金支払管理体制の整備など各種の再発防止策の策定、実施や迅速かつ適切な顧客対応を求めたりしておるところであります。また、保険商品の販売、勧誘時における消費者への説明を充実させるための取組も行っております。  こうしたことで、保険業法の的確な執行をしっかり今まで進めてきたところであります。まさに消費者のために我々は働いてきたと、こんなことを是非御理解をいただきたいというふうに思います。
  65. 前川清成

    前川清成君 山本大臣は福田内閣の一員として今副大臣の職にいらっしゃるわけで、金融庁の代理人のような御発言をされるんじゃなくて、せっかく福田総理が目玉政策で消費者庁をつくるとおっしゃっているんですから、その消費者庁が大きく立派なものになるように後押しすることこそ、僕は政治家としての山本衆議院議員の一番大きな仕事だと思うんです。そんな金融庁の作ってくれたカンニングペーパーをこの場でわざわざ棒読みしなくていいじゃないですか、と私は思います。  条文の話に戻ってよろしいですか。保険法の三十条の三号に移りたいと思うんですが、これは三十条の三号、五十七条や八十六条等々にも同じような条文があるんですが、三十条の三号に言う、保険者の保険契約者又は被保険者に対する信頼を損ない、当該損害保険契約の存続を困難とする重大な事由とはどのようなことを意味するのでしょうか。
  66. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) 保険法の第三十条三号、これは第一号、第二号に続いて記載されているものでございます。  第三号の頭に、「前二号に掲げるもののほか、」とあることをまず見ていただきたいと思いますが、このことから明らかなように、これは第一号、第二号に比肩するようなという意味で書かれております。第一号には何が書かれているかと申しますと、保険契約者等が故意に保険事故や損害を生じさせ、又は生じさせようとしたという場合でございます。第二号は、保険給付の請求について詐欺が行われた場合と。もういずれも到底許されないという場合でございますが、これらに比肩するような重大な事由があった場合に限って契約を解除することができると、こうしておりまして、この条文自体にも、三号自体にも保険者の保険契約者等に対する信頼を損なうという要件が入っております。さらに、当該保険契約の存続を困難とする重大な事由と、こうなっておりまして、これは相当厳格な厳しい規定だということが分かるわけでございます。  具体的にどんなものが当たるかということでありますが、過去の判例等、これは約款に同様の規定があって判例が解釈しているものでありますが、例えば保険契約者がごく短期間の間に何十もの保険契約に重複して加入したと、いかにも怪しいと。いかにも怪しいけれども、この当該保険契約保険金詐欺であるとか故意による事故招致を示すものだという直接的な証拠はないと、けれども、いかにも疑わしいと、そういう事情があるものというふうに理解されるところであります。
  67. 前川清成

    前川清成君 ですから、今の御答弁は、一号や二号に該当するほどの極めて悪質なものと、こういうことで理解したらいいんですよね。例えば、この保険法の審議で保険会社に対して厳しい質問をした松野さんや私に対して保険が解除されるとか、そういう濫用的な利用のおそれはないのかどうかというのを確認したかったんですが、それはないということでいいんですかね。
  68. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) そのようなことは到底あり得べくもないことであります。
  69. 前川清成

    前川清成君 ただ、私は、ここで信頼関係を損ないという、その信頼関係を持ち出してくること自体が本当に正しいのかどうか疑問に思っています。例えば、倉吉さんも生命保険に入っておられると思いますけれども、その生命保険の会社がどこでぐらいは御存じだと思います。しかし、その生命保険の社長さんがだれなのか、あるいは自動車保険入っておられてその社長がだれなのか、そんなのは恐らく御存じないと思うんです。そういう個人的な信頼関係を前提としていないのが私は生命保険であり、損害保険だと思う。それにもかかわらず、なぜここで個人的な信頼関係が出てくるのかと。  だから、個人的な信頼関係なぞを言うと、それこそ先ほどのようにささいなことの言いがかりで解除する原因になりかねない。その例が、金融庁はよく御存じですけれども、明治安田生命が約款のこの条項を使って保険金不払を乱発したということにもあると思うんです。  なぜここで個人的な信頼関係を持ち出さざるを得なかったのか、短くお答えいただけませんでしょうか。
  70. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) これは決して個人的な信頼関係ではございません。組織としての保険会社、あるいは保険という公益に資する業務を営んでいる保険業、それを営んでいる保険会社の在り方に照らして、それとの関係で信頼関係を損なうかと、つまり保険金詐欺なんかをやらないという、そういった、それに類するものということでございます。
  71. 前川清成

    前川清成君 であれば、その切り分けの基準はどうなるんでしょうか。
  72. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) 先ほど申し上げましたとおりでありまして、保険金詐欺であるとかそれから事故招致による保険金取得、こういった言わば保険の在り方そのものを根底から覆すようなもの、そういったことをやるというのは、まさに公器としての、公の器としての意味がある保険会社と、それからそういうことを企む人との間の信頼関係を損なうことになります。だから、それに類するようなものということになります。
  73. 前川清成

    前川清成君 そうおっしゃるのであれば、そういう書き方をしておくべきだと私は思います。  次に保険料の取り過ぎの問題にさせていただきたいと思うんですが、金融庁平成十八年の十二月二十日に「火災保険の適正な募集態勢等にかかる点検の要請について」と、こういうような文書をお出しになっています。  それで、実は私の手元にも今年の一月にある生命保険会社から照会、御契約内容確認書というのが届きました。各保険会社が出しているこの照会状、文書のタイトルとしては契約内容確認書になっていると思いますが、これについては金融庁の方であらかじめチェックをして、厳しい指導はしておられるのでしょうか。
  74. 三村亨

    政府参考人三村亨君) 今回の調査は、各保険会社が自主的に調査方法、計画等を定めて行っているものであり、金融庁としては事前指導はしておりません。
  75. 前川清成

    前川清成君 してないんですね。
  76. 三村亨

    政府参考人三村亨君) はい、事前には指導はしておりません。
  77. 前川清成

    前川清成君 そのとおりなのかどうか分からないんですが、例えば、私は七年前にプレハブメーカーに頼んで家を建てたんです。そのときにセコムをしたんですが、そのときに工事をしたセコムが、セコムしていたらセコム損保だと安いですよと、こう言われたので、中身を調べることなくそのまま入りました。それが安いのか高いのか分かりません。  ところが、今回、私のところにも照会状が来まして、あなたの家はB構造ですかC構造ですか、どれですか答えてくださいと、こう書いてあるんです。もちろんB構造もC構造も分かりません。そんなのミサワホームに聞いてよと、こう言わなしゃあないんですけど。で、中に、もちろんこういう参考資料というのが書いてあるんです。B構造というのはどういうことかというと、外壁が四十五分耐火の不燃材を使っているとB構造、一時間耐火だとA構造、その他の不燃材だとC構造なんです。自分の家の壁が四十五分もつのか一時間もつのかどれだけもつのか、私には全く分かりません。分からない私があほうなんでしょうかね、三村さん。
  78. 三村亨

    政府参考人三村亨君) 決してそんなことはないと思いますが、契約者に対する確認の内容でございますけれども、例えば、御指摘の建物の構造に関する項目など、なかなか契約者皆様方理解できないような項目も含まれているということは承知をしております。  各保険会社では、こうした点を踏まえまして、御指摘にもございましたけれども、それについての解説をした資料を同封するほか、契約内容につきまして契約者皆様方から問い合わせがあった場合には、代理店や保険会社から連絡をし説明をするといったような対応を実施していると承知をしております。
  79. 前川清成

    前川清成君 だから今、中に入っている参考の資料について、私、恥をさらして御説明したとおりなんですよ。代理店に問い合わせたときどうだったとか、わざわざ保険会社まで行ったときにどうだったというのはここでは申し上げませんけど、個人的なことですから。  要するに、今回金融庁に言われて各火災保険会社は嫌々やっているけれども、まさに言い訳、やりましたよという言い訳程度にしかなっていないんじゃないかということを指摘したかったんです。消費者は、自分の保険料が正しいのかどうか、ましてや自分の家の壁が一時間もつのか四十分もつのかそれ以下なのか、分かりません。分からないから、結局こういう照会状が来ると不安が募るだけなんです。五月二十二日の朝日新聞ですけれども、取り過ぎが三百億円に及んだというふうに書いています。東京海上では当初九十二億円の見込みが百十八億円になったと、こう報道されています。  今申し上げたような照会の仕方、受け取った人がよく分からないような問い合わせの仕方ならば、私と同様に、照会状は届いたけれどももう放置していると、分からないからそのままにしているという方が決して少なくないと思うんです。ですから、私はこの三百億円というのも氷山の一角ではないかなと、そんなふうに思うんですが、山本大臣はそうは思われませんか。
  80. 山本明彦

    ○副大臣山本明彦君) まだ調査中で、最終的な報告ということになっておりませんので、精査はしておりませんが、今委員の言われるような可能性も排除できないという、そんな気持ちはいたします。
  81. 前川清成

    前川清成君 ちょっと不払の問題について金融庁お尋ねをしたいんですが、生保、損保それぞれの不払、これは何が原因なのかということをお尋ねしたいと思うんです。
  82. 山本明彦

    ○副大臣山本明彦君) いろんな原因指摘をされております。  以前にも、前回のときも申し上げましたけれども、やっぱり請求主義であったということも一つ大きな原因だったというふうにも思っておりますし、商品が多様化いたしましていろんな商品つくり過ぎた、したがって開発部局と現場とで意思の疎通が図られてなくて、そんなこともあって支払漏れ等も起こったというふうにも感じておりますし、社員の教育不足もあった、経営者の理解不足もあった、いろんな原因が考えられるというふうに思っております。
  83. 前川清成

    前川清成君 請求主義というのは、その保険会社で例えば契約者のだれだれさんがいつ病気になったとか、いつ亡くなったとか、これは把握しているわけではありませんから、ある意味私は仕方のないことだと思っているんです。ただ、商品が多様化した、多様化した商品認可されたのは金融庁ですから、そういう意味では不払は金融庁にも責任があると、こういうことです。  それと、平成十九年だったと思うんですが、ちょっと時間が前後しているのかもしれません、三井住友海上が不払で行政処分を受けました。その際、三井住友海上が奈良県下の代理店を集めました。その席上で奈良支社長は、不払はあなた方代理店が悪かったと、こういうふうに発言したそうです。出席したある代理店は支社長に抗議したところ、その場で取り消したらしいです。しかし、この代理店の方はそれでは腹の虫が収まらなかったので、金融庁に対してもこんなこと言っていますよというふうに電話を掛けたそうです。  金融庁としては、あの不払は結局代理店の責任なんだと、そういうふうにお考えになっているんでしょうか。
  84. 三村亨

    政府参考人三村亨君) 保険金等の不払や支払漏れにつきましては、代理店等の個々の保険募集人の問題というよりも、保険会社において保険募集体制から保険金支払管理体制に至るまで適切な管理体制が整備されていなかったことが主な要因であると、そのように考えております。
  85. 前川清成

    前川清成君 そうですよね。代理店は支払うかどうか決定する権限はないわけですから、不払の責任を代理店のせいにしてしまうと私はそれは酷だと思うんですよ。  ところが、四月三日の民主党の法務部門会議に三井住友海上の柄澤専務執行役員がお越しになりました。そのときに私は不払の原因は何だったんですかと、こうお尋ねをしたら、一つ目は商品が複雑だったと、これは山本大臣と同じことです。二番目は私たちの保険会社のチェック体制が悪かった、三つ目としては代理店の資格の問題ですと、代理店がしっかり説明できていなかったと、こうおっしゃっているんです。  結局は、三井住友海上の柄澤さんの認識としては代理店が悪かったと、代理店も責任の一翼を負うと、こういうふうにおっしゃっているのではないかと私は思うのです。それは余りにもひどいんじゃないかと。要するに、損保会社もいろいろ合併しました。その結果代理店の数が増えました。代理店の数が増えたんでこの機会に整理してやろうと、減らしてやろうと。小さいところ、あるいは言うことを聞かないところは切り捨ててやろうと。その一環としてこの不払の問題が悪用されている可能性はないんでしょうか、金融庁
  86. 三村亨

    政府参考人三村亨君) 個々のことにつきましてコメントするのは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、もし仮に保険金不払問題に関する認識や取組に、保険会社の取組に問題があると判断されるような場合には厳正かつ的確に対応をしてまいりたいと考えております。
  87. 前川清成

    前川清成君 不払の事件の調査方法についてお聞きしたいんですが、これは金融庁から各生保、損保に対して報告を求めるという形の調査方法になっています。金融庁が立入検査をして自分で調べてきたのではありません。なぜ報告を求めるという形にとどめたのか。それが消費者の方よりも保険会社の方を向いていると、こう疑わざるを得ないところなんですが。  例えば明治安田生命ですが、平成十七年の二月二十五日に業務停止命令を受けました。業務停止命令を受けたのはなぜかというと、不払について金融庁が報告を求めたけれども、その報告の内容が良くなかったので二月二十五日に業務停止命令を出したわけです。ところが、今度は金融庁がその後立入検査をしたら、隠していた更なる不払、未払が判明して、十七年の十月二十八日に再び業務停止命令が出されています。明治安田生命も最初の自主報告では隠していた。そうであるならば、ほかの保険会社も同じじゃないか。要するに、この不払、未払、生命保険で九百億円とかいろいろ言われていますけれども、それが実は氷山の一角ではないかなと私は思っているんです。  先日の参考人質疑の際に原参考人がおっしゃっていましたけれども、今年の五月十二日付けの生損保への苦情、これが四十万件に達している。四十万件もの苦情が生損保に寄せられていて、二年前よりも倍増をしている。これはやはり不払の問題、未払の問題が根本的には解消をしていない、その表れではないかなと私は思うんですが、山本大臣、いかがですか。
  88. 山本明彦

    ○副大臣山本明彦君) 確かに、不払、支払漏れが多発いたしました。したがって、消費者皆様方からは保険会社に対するそうした意味の不信感が増長してきたことはあるというふうに思います。したがって、そうか、そんなことがあるのかということで、自分から更に問い合わせをする。しかも、これはいいことと言うとおかしいんですけれども、保険会社の方でもコールセンター等を大分整備いたしまして、苦情受付という窓口をたくさん広げまして、そうした苦情を受けやすくなっております。そうしたことの相乗効果と言うとおかしいんですけれども、その両方の点で増えてきておるのかなという感じがいたしますが。  いずれにいたしましても、消費者保護が一番でありますので、そうした声をしっかり聞いて、保険会社にはしっかり取り組むように指摘をしていきたいというふうに思っています。
  89. 前川清成

    前川清成君 この保険法については、私、まだまだ不満な点がたくさんあるんですが、残念ながら時間があとわずかになってしまいました。  最後に、どうしても聞いておかなければならない点があるので、最高裁お尋ねしたいと思うんですが、現職の裁判官が逮捕されてしまうという大変つらい、司法の信頼を根底から失わせるような事件が起こってしまいました。まだ事件捕捉直後で、最高裁として十分な調査はまだなんだろうと思うんです。平成十三年からの二回試験の急増についてまだ調べていないんだから、一週間前の事件についてはまだ調べておられないと思うんですが、この下山裁判官の事件について、今後どういう方針で対応されるのかだけお伺いをしておきたいと思います。
  90. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者大谷直人君) 今御指摘のありました下山裁判官の事件でございますが、裁判員制度の施行を控えているこのような時期にこのような形で国民の裁判所に対する信頼を損なうことになってしまったと、この点については委員指摘のとおりでございまして、誠に残念であり、深くおわびしたいと存じます。  本件は、今お話のありましたように、現在捜査中でございます。処分を決定するための事実関係の把握が十分にできておりません。下山判事に対しましては、今後、捜査の支障にならないように注意しながら、事実関係の把握に努め、明らかになった事実関係を踏まえて厳正に対処したいと、こういうふうに考えております。
  91. 前川清成

    前川清成君 今裁判員の施行を控えているからというふうな、おっしゃいましたけれども、裁判員があってもなくても、裁判官がましてやストーカーで逮捕されてしまうこと自体が、本当に国民の皆さん方の信頼を損ないかねない大変残念な事件だと私は思っています。  厳正にということですが、もちろん事実関係によってはもしかしたら無罪であることももちろんあるわけですから、その点も含めて、厳正にではなくて是非適正に処分、処理をしていただきたいと思います。  そのことを申し上げて、大変残念ですけれども、時間が参りましたので、私の質問はこれで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  92. 松野信夫

    松野信夫君 民主党の松野信夫です。  保険法案の審議、質問をさせていただきたいところですが、御覧のとおり、民主党はほとんど出席しておりますが、私の向かい側にはだれも座っていない。与党自民党は、山内筆頭理事さんは御出席ですが、だれも座っていないんですが、ちょっと委員長、これはひどいと思います。定数は満たしているのかもしれませんが、私のトイメンにはだれも座っていないという状態では、これではちょっといかがなものかと。ちょっと呼んでいただきたいと思います。
  93. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  94. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) 速記を起こしてください。
  95. 松野信夫

    松野信夫君 それでは、例によりまして志布志の事件についてまず冒頭質問させていただきたいと思います。  本年の一月に、警察庁の方では「富山事件及び志布志事件における警察捜査の問題点等について」という検証の報告書を明らかにしておられます。その中で、任意捜査における取調べ、これが大変長時間にわたったということで、その問題点を指摘しております。報告書によりますと、任意捜査であるにもかかわらず最大で十日間連続の取調べを行ったとか、一日十何時間も取調べを行ったと、こういう問題点を指摘しているわけですが、これまで刑事訴訟法では特段の時間的な制限というのはなかったように思いますが、そうした取調べにおける時間的制限というものは何らかの法規制で何かされていたんでしょうか、それとも全くそういうものはなかったんでしょうか。警察庁にお伺いしたいと思います。
  96. 米田壯

    政府参考人米田壯君) 委員指摘のとおり、刑事訴訟法は特段時間制限を設けておりませんで、要は、その供述の任意性あるいは信用性が担保されるように全体として個別の事案ごとに配慮すればいいということであろうかと思います。  これに対しまして、警察におきましては犯罪捜査規範におきまして、これは今年の四月以前の話でございますが、従来、取調べはやむを得ない理由がある場合のほか、深夜に行うことを避けなければならないと、このように規定をしていたわけでございまして、志布志事件のときもこの規定は存在をしておりました。  しかしながら、志布志事件の判決におきましては、長時間あるいは長期間にわたる追及的、強圧的な取調べ等々が指摘をされたわけでございまして、本年四月、この犯罪捜査規範を改正をいたしまして、深夜だけではなくて、やむを得ない理由がある場合のほか、長時間にわたり取調べを行うことを避けなければならないと、こういう規定を設けたわけでございます。  さらに、取調べの監督のための国公委規則を更に別に定めまして、ここでは一日につき八時間を超えて取調べを行おうとするとき等については警察本部長あるいは警察署長の承認が受けなければならないということにいたしまして、この承認を受けないことを監督対象行為とみなしまして取調べ監督官による取調べの監督あるいは中止要求等がなされると、このような仕組みを設けたわけでございます。
  97. 松野信夫

    松野信夫君 犯罪捜査規範の中で、やむを得ない理由がある場合のほか、深夜に行うことは避けると、取調べについてはそういう規制があるということでありますが、深夜というのは具体的には何時から何時なんでしょうか。
  98. 米田壯

    政府参考人米田壯君) これはそれぞれ個別の事案によって必ずしも確定をするというものではございません。  ただ、先ほど申しました取調べ監督規則におきまして、午後十時から翌日の午前五時までの間に取調べを行おうとするときは事前に警察本部長あるいは警察署長の承認が必要であるという旨を規定をしておるところでございます。
  99. 松野信夫

    松野信夫君 深夜というものはそれは大体客観的に決まるものであって、事件によって、この事件の場合は深夜であるとか深夜でないとか、そういうことは常識的には考えられないと思うので、深夜というのは事件が重大だろうとあるいは軽い事件だろうと深夜は深夜であって、今言われる夜十時以降というのであれば、一般的には深夜と見ていいんじゃないかと思うんですが、その点どうですか。
  100. 米田壯

    政府参考人米田壯君) 確かに大体常識的にはその程度の時間であろうと思いますけれども、ただ、じゃその時間に該当しないからといって深夜に絶対当たらないかといえば、そういうわけでもなくて、それはそれぞれ、この犯罪捜査規範の規定趣旨を踏まえて個別に判断されるべきことであろうというように思っております。
  101. 松野信夫

    松野信夫君 それから、この犯罪捜査規範では、百二条のところに、任意出頭の場合、呼出簿というものがあって、これに所要事項を記載して処理の経過を明らかにしなければならない、こういう規定があります。  そうすると、志布志事件においても、被疑者がたくさんおられましたけれども、こういう呼出簿というのをきちんと作って、任意出頭を求めて処理をしていたというふうにお聞きしてよろしいですか。
  102. 米田壯

    政府参考人米田壯君) 犯罪捜査規範に定めております以上は当然そのようにしたとは思いますけれども、既にこれ鹿児島県警において保管されておりませんので、現在のところ確認はできないということでございます。
  103. 松野信夫

    松野信夫君 そもそも呼出簿というものにどういうような事項を記載するようになっているんでしょうか。
  104. 米田壯

    政府参考人米田壯君) 呼出簿には、呼出しのその予定日時、あるいは呼出しの通知方法、呼び出す人のその被疑者、参考人等の別、それから呼出しをする理由、呼出し人の住居、氏名、出頭場所、呼出し結果等を記載することになっております。  なお、昨年の八月一日にこの犯罪捜査規範を一部改正をいたしまして、この呼出簿の様式を改正しております。ここにおきまして、それまでは呼出しの全体の時間を記載する欄はございまして、細かく記載しようと思ったら記載できるようにはなっておるんでございますが、そこにやっぱりまちまちになってはいかぬということで、呼び出した時間だけではなくて、その間に今度は具体的に取調べを行った時間というのも記載できるような欄を設けたところでございます。
  105. 松野信夫

    松野信夫君 そうすると、その呼出簿を見れば、どういう被疑者がどういう取り調べて、何月何日何時から何時間の取調べを受けたというのが一目瞭然で分かるということでよろしいですね。
  106. 米田壯

    政府参考人米田壯君) さようでございます。呼出簿を見れば御指摘のようなことは分かると思います。
  107. 松野信夫

    松野信夫君 そうすると、この志布志事件においては長時間の取調べが行われたということはある程度警察庁でも把握をしておられる。この点が非常に問題にされたわけなんですが、先ほどの御答弁ですと、志布志事件におけるこの呼出簿というのはもはやないというようなことなんですが、それはどうしてそういうことになったんでしょうか。これだけ重大な事件で、当委員会で何人もの委員が取り上げて質問もしているわけですけれども、どうしてないんでしょうか。
  108. 米田壯

    政府参考人米田壯君) 文書の保存期間を過ぎておりますので、存在しないということでございます。
  109. 松野信夫

    松野信夫君 文書の保存期間とは何年ですか。
  110. 米田壯

    政府参考人米田壯君) これは、鹿児島県警が最近になりましてまた文書の保存期間を改正をしておりますので、それ以前の文書の保存期間というのはちょっと承知をしていないところでございます。
  111. 松野信夫

    松野信夫君 期間を過ぎているということを確認しているんでしょう。そうであれば、そもそも保存期間は何年何月何日までだと、期間が一年とか二年とか三年とか、そういうのが分かっているから先ほどの答弁出たんじゃないんですか。もう一遍ちょっとその点確認しますよ。
  112. 米田壯

    政府参考人米田壯君) 先ほど申しましたのは、その文書の保存期間に関する規定が最近になって改正をされたと。その改正以前の文書の保存期間というのは正確にはこれは分かりません。ただ、鹿児島県警の言わば問い合わせた記憶によれば三年ぐらいではなかったろうかということでございます。したがって、現在はもう存在をしないということでございます。
  113. 松野信夫

    松野信夫君 ちょっとこれは納得できませんね。三年ぐらいという、大体、ぐらいのはずがないですよ。これはきちんと、文書種類によって一年とか二年とか三年とか五年とか、そういうのは大体お役所というところはきちんとしているところですよ。ましてや、この志布志事件は当初からもう大問題になっていて、鹿児島県ではまさに注目すべき事件であったわけで、それが保存期間も大体三年だとか、ちょっと余りにひどいなと。これはどの程度鹿児島県警に警察庁からその辺の確認をしているのか、もうちょっと正確に答弁してくださいよ。
  114. 米田壯

    政府参考人米田壯君) 警察庁から鹿児島県警に問い合わせましたところ、当該その文書は既に保存期間を終了しているということでございます。  じゃ、その当時の保存期間の定め、何年であったかということにつきまして、正確なところ、鹿児島県警においても把握をしていないということでございます。ただ、先ほど申しましたように、恐らく三年ぐらいではなかったろうかというような回答があるわけでございます。
  115. 松野信夫

    松野信夫君 ちょっとこれは、私もあらかじめ質問通告はして、どうも呼出簿はないらしいということまでは聞いていましたけど、今の答弁ですととても納得できるような状態ではありません。恐らく、私だけじゃない、ほかの委員も何だこれはというのが正直なところじゃないかと思います。  これはちょっともう一回調べ直しをしてもらいたいというふうに思います。で、当委員会の方に調べ直しの結果を是非もう一回出していただくように、委員長、お取り計りをお願いしたいと思います。
  116. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) ただいまの松野委員の申出につきましては、後刻理事会で協議をいたします。
  117. 松野信夫

    松野信夫君 では、この点に関する質問はまたさせていただく、留保しておくということで次の質問に移ります。  それから、この志布志事件ではたくさんの逮捕者が出て、起訴されただけでも十三名起訴されているわけですが、私が聞いているところでは、逮捕状を取っておきながら、直ちにこれを執行しないで、翌日とか翌々日とか、わざと執行しないで、その間任意の取調べをして、しかる後に逮捕状を執行すると、こういうようなこともあったというふうに聞いているんですが、そうすると、実際に逮捕状を取っておきながら、それを執行しないで任意の取調べをしていた。最大どれくらいの期間、逮捕状の執行をしていなかったのか、その辺は把握していますか。
  118. 米田壯

    政府参考人米田壯君) 逮捕状に関しましては、令状に発付日時書いておりますし、それから逮捕手続書を見ればその執行の日付も分かるわけでございますが、いずれの文書も既に送致をいたしまして鹿児島県警は保有しておりませんので、これはちょっと分かりかねるところでございます。
  119. 松野信夫

    松野信夫君 これもちゃんと事前質問、レク、お話ししておいたんですけれども、それが答弁できない。  これは長時間の取調べとかいろいろ問題になっているわけですから、その辺で、しかもこれは最高検察庁もそれから警察庁もいろいろ反省すべき点があるというふうに検証して、それぞれ報告書までまとめているわけですから、ということは、この逮捕状の執行について遅れていないかどうか、これは検証していないということでいいんですか。
  120. 米田壯

    政府参考人米田壯君) 今申しましたように、これはもう捜査関係書類でございますので、これはもう立件書類、送致をしてしまって県警にはございません。もちろん、検証するに当たりましては、そういうものがないとはいえ、その捜査幹部等々の記憶を喚起をいたしまして様々な角度から検証しておるわけでございます。  逮捕状の執行につきましては、発付を受けた当日とかあるいはその翌日に執行していることが多かったというような鹿児島県警からの回答はもらっておりますけれども、確かに、中には何かの事情で二、三日後に執行したものもあると、このように聞いておるところでございます。
  121. 松野信夫

    松野信夫君 まあ何らかの理由で二、三日執行が遅れたと。しかも、それは今のお話ですと記憶に基づくということなんで、こんなばかな話はないですよ。きちんと裁判所は裁判所で、いつ逮捕状を発付したか、で、それを受け取る警察は警察で、いつ逮捕状が来たのか、そんなのはちゃんと書類に残っているわけで、何もその当時の鹿児島県警の担当者の記憶だけに頼ってやっているなんて、そんなばかな話はないと思います。  また、逮捕状を執行するときも、ちゃんと執行したと、何時何分と、これはちゃんと書いてあるわけですから、そういうような書面をきちんと取って確認をしてやらなければ、記憶だけで、二、三日遅れたケースもあるやに聞いているなんてとんでもない話で、この点ももう一遍、場合によっては法務省にも御協力いただいて、この点をしっかり確認をしていただきたいと、その結果を委員会の方に出していただきたいと思いますが、委員長、いかがでしょうか。
  122. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) ただいまの松野委員の申出につきましても、後刻理事会で協議をさせていただきます。
  123. 松野信夫

    松野信夫君 それで、何らかの理由で二、三日遅れた例があるということだけれども、何らかの理由じゃちょっとどうしようもないので、もしそういうふうに遅れているのであれば、なぜ遅れたのか、その点も明確にやはり回答していただきたい。併せてお願いしたいと思います。  それから、この犯罪捜査規範の十三条というのに備忘録というのがあります。内容は、警察官は、捜査を行うに当たり云々として、その捜査の経過、参考となるべき事項を明細に記録しておかなければならない、こういうような規定があります。  とすると、取調べを行うについて、あらかじめ取調べ小票を作成した、あるいは捜査会議をして担当の警察官がこういう取調べを行ったという報告書、こういうたぐいは、ここにあるような備忘録、少なくとも該当するのではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  124. 米田壯

    政府参考人米田壯君) どういう内容のものを記載したかによって、恐らくその備忘録に該当するか否かということが判断されるということになろうかと思います。  その備忘録規定でございますけれども、これは犯罪捜査規範の捜査の心構えという章に入っておりますように、これは捜査員の心構えを規定したものでございます。したがいまして、そういうことが望ましいというような規定でございまして、必ずしも、メモを取るときもあれば取らないときもあるというようなものでございます。  したがって、これでは、今、証拠開示の関係で昨年十二月二十五日に最高裁決定が出されまして、そういったたぐいのものでも捜査機関において保有しているものは証拠開示の対象となり得るという判断がございましたので、私ども、今月になりまして警察庁長官訓令を定めまして、それを捜査を指揮する者が的確に必要なものについては保管をするというような規定を定めたところでございます。
  125. 松野信夫

    松野信夫君 今お話しの昨年十二月の最高裁の決定からすれば、ある意味では、捜査官が作成していたメモのようなものでも開示の対象になり得るというわけですから、そうであれば、私が何度も申し上げている取調べの小票とかあるいは磯辺警察官が作成している報告書、こういうものも当然これは対象になる、もし裁判にでもなれば対象になるものではないかと。  今お話があった、今月の十三日に警察庁長官から訓令が出て、そうした書類は適切に保管をしなきゃいけないと、こういうふうにうたっているわけですから、当然保管がされるべきものですから、そうであれば、当然、この委員会の方にも提出できるはずだ。私が個人的に請求したら、内部資料みたいですからお出しできませんということだったんですが、だけど、今月十三日のこの警察庁の訓令を踏まえても、それから昨年十二月の最高裁の決定を踏まえても、考えれば、取調べ小票あるいは先ほどの捜査会議の報告書、こういうのが当委員会に出せないはずはないと思うんですが、どうですか、もう一遍この点。
  126. 米田壯

    政府参考人米田壯君) 最高裁の決定は、一方で、専ら自己が使用するために作成したもので、他に見せたり提出したりすることを全く想定していないものについては、これを証拠開示の対象とすることは適当でないというようなことも判示しておりまして、このようなことも踏まえましてこの訓令を作成をしたわけでございます。  もちろん、これはその訓令作成後の事件に適用されるものでございまして、現在取調べ小票も既に作成はされておりませんで、直接適用になるわけではございませんけれども、仮にその事件のときにこのような訓令があったらどうなるかということは、これは個別にそこの捜査指揮官がこれは取っておいた方がいいだろうというような判断をして保管をするということであろうかと思います。  それから、ただいま磯辺警部が作成した文書というお話でございましたが、これが巷間言われております警察と検察庁との協議の文書という意味でございましたら、これについては私どもはその存否はお答えはできませんけれども、仮にそういうようなたぐいのものがあるとすれば、それは、例えば備忘録というのは、これは捜査の過程においてというお話でございますし、私どもが作成いたしました訓令も、これは取調べ警察官が作成をしたということで、そもそも、そういう公判段階になりまして警察と検察が仮に協議をしてその結果を何らかの文書にまとめたということでありますと、これですと、少なくともこの対象ではないということでございます。
  127. 松野信夫

    松野信夫君 仮におっしゃるように、じゃ百歩譲って備忘録ではないとしても、少なくとも今月十三日の訓令にある書面に該当するのではないかというふうにこれは言わざるを得ないと思います。  要するに、単なるメモじゃないわけですよ。単なる、捜査官が自分の手帳にちょっと書き付けたと、そういうメモではなくて、ちゃんと人に見せる、あるいは警察署長に見せる、そういうために作っている文書ですから、これはかなり公文書に近いものだとこれは言わざるを得ないんで、それが出せないはずはないと思いますので、もう一遍委員会でお取り計りをお願いしたいと思います。
  128. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) ただいまの松野委員の申出につきましても、後刻理事会で協議をさせていただきます。
  129. 松野信夫

    松野信夫君 それでは、保険法の問題点について質問をさせていただきます。  まず、他人の生命に掛ける保険の問題でありますが、これは前回もちょっと質問をさせていただきましたが、被保険者の立場というのは私は極力尊重しなければいけない、このように思っています。残念ながら、いわゆる保険金殺人のようなケースもかつてあったわけであります。被保険者の立場、地位、それを最大限尊重しなきゃいけない、このように思っております。  そうした観点で見ますと、今回の法案では、他人の生命に掛ける保険について被保険者がどう関与するかといいますと、三十八条のところでこれは同意が必要だと、このようになっておりまして、被保険者の同意がないと効力を生じない、こういうつくりになっているんですが、それ以外に、被保険者に対して例えば被保険者証を送るとかいうような規定もない、これは極めて残念なことであります。  逆に言うと、それだけこの被保険者の同意というものの持つ意味が大変重要になっているわけです。しかし、本法案では単に同意としか書いてありませんで、例えば書面による同意ということにもなっていない。書面でなくても、言うならば形式は問わないということであります。  そうすると、例えばよく問題になります団体定期保険の場合に、会社の社内報で、こういう保険を掛ける、不同意の人は申し出なさい、申し出なければ同意したものとみなすと。例えば、そういうような社内報を回すだけ、あるいはどこかに掲示板に掲示をして、皆さん従業員のためにこういう保険を掛けます、不同意の人は申し出なさい、申し出なければ同意したものとみなす。例えばこういうやり方でも、この法案の三十八条の同意というものがあったと、このようにお考えでしょうか。これは法務省
  130. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) どういう方法によればあったと言えるのかということの観点ではありませんで、これは基本的に同意があったのか、そしてその同意が真意に基づいているものと言えるのかと、その事実認定の問題でございます。  若干補足させていただきたいと思うんですが、法制審議会の保険法部会におきましては、今委員の御指摘のとおり書面を取るべきではないかと、それを法律規定すべきではないかという御意見がございました。  しかしながら、被保険者の同意が真意に基づいたものとして有効なものであると言えるためには、その同意が書面によったものか否かということを問わず、要するにその中身が問題であります。だれが保険契約者なのか、保険金受取人となるのか、あるいは死亡保険金の額がどの程度のものであるのかといった、その契約の基本的内容について被保険者自身が正しく認識しているということが必要でありまして、このことから考えますと、被保険者の同意を書面によることとしたからといって必ずしもその真意性を確保することができるということにはならないのではないかと思われます。  むしろ、紙を出せということをいたしますと、紙さえ出せばいいんだとなりがちだという面もございまして、一律にこういった書面の要式性を求めるというのは、同意を形式化、空洞化させることにもなりかねないのではないかと考えられるところであります。  同意の有効性がこれ問題になりますのは、もちろんその被保険者が死亡した後ということになりますので、一律に書面性を要求いたしますと、書面がないということによってかえっていろんなところで不利益が生ずると、契約効力がなくなってと、そういうことも心配されるということがございまして、むしろこれは契約法の一般ルールを定めております、保険契約ルールの一般法としての保険法によるのではなく、実務上及び監督上の施策によるのが適切ではないかと、こういう結論になった次第でございます。
  131. 松野信夫

    松野信夫君 やっぱり、さすがに倉吉さん頭いいから、ああ言えばこう言うの世界かなというふうに思いますけれども、ちょっと、しかしそれは納得できない話ですね。今の御説明のとおりであれば、書面なんというのは、書面さえあれば何でも通っちゃうんだから、そんなのはくだらないんだというふうにも聞こえます。  しかし、これはもう法律書面を要求しているというのはたくさんあるわけですね。例えば書面による贈与契約、これはそう簡単に取り消せない。それだけ書面というのは重きを置いて、やっぱりそれで確認をすると。  ただ、実際にはその書面がどういう経過でできたか、あるいはもしかすると十分な説明、納得されない中で書面だけが作成されたという場合だってそれはあるかもしれませんけれども、やっぱり書面という一つのたがをはめる、枠をはめることでやっぱり通常の人はしっかり厳密に確認をする、こういうのが言えるわけですから、今の局長みたいに言われると、書面なんて全くくだらないんだというふうにもなりかねないと思うんですが、その点はいかがですか。
  132. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) 決して書面によることは一切意味がないんだとか、そんなことは申し上げておりません。  それは、個々の具体的な契約において、この個別の商品については書面とか、それはいろんなやり方があるんだろうと思うんです。ただ、保険法保険契約についての一般的な契約ルールを定めるものでございます。これについて、被保険者の同意が要るときは常に常に書面が要るんだと、そこまでやるということは、かえって別のいろんな点で弊害が出てこないかということが懸念されるということを申し上げております。  したがって、その点は適切な監督措置等にゆだねていただく、あるいは個々の保険会社判断による約款内容にゆだねていただくというのが一番適切であろうと、こう考えている次第であります。
  133. 松野信夫

    松野信夫君 金融庁がこれまでしっかり指導監督をやっていたというなら私も分からないではないんですが、どうも、前川委員が厳しく追及をして明らかにもなりましたけれども、金融庁指導監督というのがこれまではかなりずさんであった。ですから、いろんな不払の問題も出てきたし、あるいは保険料取り過ぎの問題も出てきたわけで、金融庁がちゃんと指導監督してくれるでしょうから書面でなくてもいいんだという理屈は、到底私は納得できないところであります。その点だけは指摘しておかないといけないと思います。  それから、保険契約の解除の点に移りますが、解除については、一つは告知義務違反による解除、これは例えば二十八条にあります。この解除については、やっぱりちょっとした告知義務違反があったから直ちに解除してしまうというようなことも問題ですし、金融庁が明らかにしている不適正事例、解除できないにもかかわらず告知義務違反だということで解除している例がたくさん報告もされているわけですから、この点はしっかり規制をしておかなければいけないと思います。  それで、この告知義務違反による解除については何らかの厳しい要件というのが設けられているんでしょうか。あれば、その点を教えてください。
  134. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) これは条文に明記してあるところでございますが、まず、対象となる告知事項でございます。この告知事項につきましては、危険に関する重要な事項でなければならないということが条文で明記されております。したがって、今たしか軽微な事実というような御指摘があったと思いますが、具体的な内容によりますけれども、これはいかにも軽微だというのはそもそも告知の対象にならないということになります。  それから、もう一つの要件として、最初からちょっと読みますが、保険契約者等が、故意又は重大な過失により事実の告知をせず、又は不実の告知をした場合にのみ告知義務違反による解除を認めると、こうしておりますので、故意又は重大な過失があると、告知をしなかったことについて。それが大前提となります。したがいまして、いわゆる軽過失によってうっかり伝えていなかったというのはここから外れるということになりますので、その意味でも要件が入っていると。  その他、保険募集人等から不当な行為があった、そういうときには、たとえ結果的に告知をしなかったということになったとしても契約の解除はできないんだと、そういう規定を置いているところでございます。
  135. 松野信夫

    松野信夫君 今、最後のところで保険募集人というふうに言われましたけど、恐らくいわゆる保険媒介者のことだと思います。二十八条の二項の三号のところにも、保険媒介者が不実の告知をすることを勧めたというような規定もあるんです。  実際の裁判実例などを見ますと、いわゆる保険媒介者の人が、ああ、もうその程度は言わなくていいわよ、あるいは、そんなのはもう会社にないしょにしておくから是非この保険お願いしますというようなことで、安易に勧められているケースが多いんですね。後からになってこれは告知義務違反だと保険会社の方は言う、しかし保険契約者の方は、いや、あれは保険の媒介者がその辺はもういいわよいいわよというふうに言っていたからと、こうなるケースがある。ただ、この保険の媒介者というのは回転が非常に早い、私がちょっと聞いたところでは大体二年間ぐらいで半分辞めると、こういうことですから、じゃ本当にその保険媒介者がそういういいかげんなことをやっていたかどうか、これを確認しようにも、もうその人はいない、どこに行っているか分からない、こういうケースが恐らく今後とも考えられると思います。  そういうときに、この保険の媒介者がいいわよいいわよと、適当なところでいいわよと、こういうふうに言ったか言わないかというのが実際、実務的にはこれは非常に大きなポイントになるんですが、その点の立証はどちらに責任があるんでしょうか。また、その立証の程度も教えてください。
  136. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) 実際に裁判になりますと、その立証責任がどうなるのか、それから当事者がどのような立証活動をすれば、例えば今委員の御指摘のあった、媒介者が確かにおかしなことをしていたよねというのが分かるのかという問題でございます。  実務上は難しい問題でございますが、一応、立証責任の一般的なところから申し上げますと、この法案の条文によりますと、保険契約者等による故意又は重大な過失による告知義務違反ということがまず最初に出てきます。その立証責任は当然告知義務違反による解除を主張する保険者、保険会社の側にあるということになります。そして、ただいま御指摘のありました保険媒介者による告知妨害や告知しなくてもいいよと教唆したといったことについての立証責任は、これに対する反対側の解除権の阻却事由ということになりますので、これを主張する保険契約者や被保険者の側にあると、こうなると思われます。  しかしながら、情報収集能力にたけた保険会社が立証活動に参加しない限り、保険契約者の側でそのようなことを立証するのは難しいのではないかという指摘があるわけでございますけれども、そもそも告知妨害等の主張は、訴訟において保険者が告知義務違反を主張、立証した場合に初めて問題になります。だから、まず告知義務違反ということがはっきり立証活動が行われなければならない、これがまず前提。その上で、立証責任は、訴訟において当事者による立証活動が行われた後もなおある事実についての真偽が不明であるという場合に、どっちに不利益解釈をするかという問題でありまして、立証責任を負わない保険会社の側が全く立証活動に参加しなくていいということまで意味するものではありません。  実際には、裁判実務では、情報収集能力にたけている保険会社に対して証拠の提出等による立証活動への参加を求める、もちろん保険会社の方も積極的にそれに参加してくるというのが通常でありまして、これを保険会社の方でも契約締結時の状況等を記録しておくというようなことが当然期待できるわけでございます。そうしたことを勘案いたしますと、立証責任、今の問題についての立証責任を保険契約者等が負うということにいたしましても、保険者が黙って見ているということはないわけでありまして、一般的に保険契約者等による証明が困難になるとは考えられないと思っております。
  137. 松野信夫

    松野信夫君 これでもう少し議論したいんですが時間の関係で。ただ、これは保険契約者に立証を迫るというのはかなりこれは困難だと、この点だけ指摘しておきます。  それで、時間がありませんので、最後に一点申し上げたいんですが、この告知義務違反による解除の場合については、二十八条の第四項で期間制限が定められております。原因があることを知ったときから一か月とか、あるいは契約締結のときから五年、こうなっております。ところが、もう一つの第三十条、重大な事由による解除、これは先ほど前川委員もこの第三号の問題点を指摘しておりましたが、この重大事由による解除の場合には期間制限が設けられていない。これはやはり問題だというふうに指摘をしたいと思います。なぜ重大事由による解除の場合には期間制限が設けられていないのか、この点をお聞きしたいと思います。
  138. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) これはまさにモラルリスクを排除しなければいけないという要請が強いからであります。重大な事由による解除の規定といいますのは、保険契約者保険金受取人によるモラルリスク事案の発生を防止しようとするものでございます、先ほど御説明したとおりでございますが。  このような重大事由に基づく解除権の行使期間、これに制限を設けるといたしますと、例えば保険契約者保険金受取人が保険金を取ろうという目的で故意に被保険者を死亡させようとしたと、仮にこういう事実があったとしても、一定期間が経過すると保険者はそれを理由とする保険契約の解除をすることができなくなってしまうと、この結論を認めざるを得なくなります。そういたしますと、保険契約者保険金受取人が保険金殺人の意図を有していること等々が明らかであっても、一定期間が経過するまでこれを隠しさえしておけば保険給付を受けることができるということになると。これはモラルリスクの排除の要請の観点からは適切でないだろうということで、期間制限の規定を設けていないわけであります。
  139. 松野信夫

    松野信夫君 最後になります。そうすると、この第三十条によるこの重大事由による解除の場合は、全く期間制限がない、つまり、例えば保険金を払ったその後であっても、これは詐欺だったとかいうことで、全く期間制限なくいつまででも解除して取戻しが可能だと、こういう立て付けですか。
  140. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) 倉吉民事局長、簡潔に御答弁ください。
  141. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) はい。  あとは一般契約法理の問題になります。いわゆるこのモラルリスクの事案でそういう場合が認められるかはなかなか難しいかなと思いますが、解除権の濫用ということが認められるような事実関係があれば、それで止めることはできるということになります。
  142. 松野信夫

    松野信夫君 終わります。
  143. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 まず、団体生命保険についてお伺いしておきたいと思います。  今も同意の問題含めて様々な議論がございました。団体生命保険については、以前に従業員の死亡によって会社が多額の保険金を受け取ったことが問題となって、遺族と会社の間で裁判になった事例もあると聞いております。今回の保険法案では、先ほどから話があっているとおり、被保険者の同意を契約の構成要件としておりまして、団体生命保険についても個々の従業員の同意がなければ契約は無効になることになっていると。これによって会社が従業員の意思に反して保険を掛けることはできないんですけれども、現在の商法においてもこの被保険者の同意は契約効力要件であると言われているので、この商法の下で実際にトラブルが起きた以上、本当にこの被保険者同意の規定だけではやっぱり不十分ではないかという懸念は出てくると思うんですよね。  まず、当局に、団体生命保険において会社が保険金を受け取る、言わばこのヒューマンバリュー特約ですか、これを禁止していない理由について確認をしておきたいと思います。
  144. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) このヒューマンバリュー特約でございます。禁止すべきだという御意見があるということも十分承知しております。しかしながら、例えば会社が高額の育成費用を支出してその事業に必要不可欠な技術を習得させるための研修を従業員に行うに当たりまして、万一その研修直後に従業員が死亡したというような場合に備えて、その育成費用に見合った金額の生命保険契約を締結する場合のようなものがございます。このような場合には会社に不当な利益が残るということがないわけですので、これを駄目だというのも言い過ぎだろうと思われます。  それから、保険法案では、ただいまの御指摘のとおり、被保険者の同意を契約効力要件としておりますので、ヒューマンバリュー特約についても、個々の従業員が保険金受取人は会社であると、それから額がどの程度のものであるということを正しく認識した上で、真意に基づいて同意をしていることが必要であるということになるわけでありまして、このような同意がある場合にまでその契約効力を否定する必要はないだろうと、こう考えられます。  したがって、保険法案ではヒューマンバリュー特約を禁止するというところまではしなかったものであります。
  145. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 本当に多く議論が分かれた点で、今回はこういう結論に至ったと。実際、これがどう運用され、どうなるかという問題の中で、私はまたこれは議論をしなければならない問題の一つだろうと思っております。  そして、それとともに、先ほど被保険者の同意の問題、これを書面としない理由について、これも議論の中で是非書面がという話もあったわけでございますが、先ほど極めて優れた答弁というか、何といえばいいか、ともかく紙さえ出せばという、同意を空洞化させる、いろんな、もう一度そこを丁寧に御説明いただくとともに、それならば、その書面としないという問題とともに、もう一つ法制審の審議の中でもあった問題なんですけれども、だったら、この保険会社から個々の従業員に対して被保険証を交付することを義務付けてはどうかという話も実際出ておりました。これも義務付けはしてないわけであって、この二点について併せて御答弁をいただいておきたいと思います。
  146. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) 先ほど御答弁を申し上げたところでありますけれども、要するに中身が問題なんだと。実質的に真意に基づく同意があったと言えるかということが問題なんで、それをただ書面を要求すればそれで全部満たされるというものでもないだろうし、仮に書面さえあればいいんだということになって形骸化しても適切ではないだろうと、そういうことが考えられるということでございます。そこで、先ほど実務上及び監督上の施策により実質的に同意があるということを担保できるようにするのが適切であると申し上げた次第であります。  被保険者証と、特に団体生命保険について被保険者証というきちっとした書面を取るようにしたらきちっと遺族の側にも伝わるんではないかという御意見があるということも十分承知しております。  これも先ほどと同じ議論になりますけれども、要するに、個々の従業員が当該契約の基本的な内容を認識していることが必要になるわけでありまして、この同意の場面において個々の従業員が契約の基本的な内容を認識している以上、これとは別に、さらに保険会社から個々の従業員に対して常に被保険者証なる一定の様式を備えた書面を交付しなければならないとするまでの必要性はないと考えられるわけであります。  また、会社と従業員との間というのは、要するに人的にも物的にも近い関係があるわけでございますから、会社から従業員に対して情報提供を行うこととするのが最も合理的であると考えられます。  現実にも、これは法制審の保険法部会でも紹介されたところでありますけれども、最近の会社ではイントラネットといいまして組織内のネットワークシステムを完全に整備していると。ですから、自分が団体生命保険に入っていると、それがどんな内容のものかというのは、会社のパソコンの中でぽっとアクセスをするとすぐにいつでもその内容が分かるようにしてあるところとか、それから、労務担当の部署から従業員に対してその都度契約内容がきちんと通知されているというところもあるようでございます。  このように、保険契約者である会社がその会社の規模や組織の態様に応じてそれぞれいろんなやり方でこれを周知させる、同意を得たということの方法を取ることができるということがありますので、このように会社ごとの情報提供の仕組みがあるにもかかわらず、一律に被保険者証という書面を取らなきゃならないとするまでの必要はないだろうと、これは安い保険料でその保険を維持するという観点からもそういうことが望ましいのではないかと、このように考えたわけでございます。
  147. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 先ほど、団体生命保険について従業員の遺族と会社で裁判になった事例がある、この前も、この委員会でも紹介はされました。その後、商品の見直し、監督規制の強化が図られたものと聞いておりますが、金融庁から御答弁をいただいておきたいんですけれども、過去には弔慰金として遺族に支払われる金額を大幅に超える額の保険金を会社が受け取るといった事例があった、現在では会社が不当な利益を得ることを防止するためにどのような規制が行われているのか、伺っておきたいと思います。
  148. 三村亨

    政府参考人三村亨君) お答え申し上げます。  過去、契約者である企業とその従業員の遺族との間で委員指摘のような保険金支払をめぐる訴訟等が発生をいたしましたことを背景として、平成八年の商品改定により、主契約である死亡した従業員の遺族補償を目的とする総合福祉団体定期保険と付随的に企業の従業員の死亡による経済的損失に備えるためのヒューマンバリュー特約とに商品構成を改めることにより、保険目的の明確化、透明化を図り、約款上被保険者の同意を要件とすることを明定しております。  また、御指摘保険金支払につきましては、全員加入団体定期保険保険金支払に当たってはその全額を従業員の遺族に支払うこと、また、ヒューマンバリュー特約については、主契約保険金を上限とし、保険金支払の際には遺族に通知をすることなどについて保険会社に対し指導監督しているところでございます。
  149. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今おっしゃったように、従業員の遺族が知らない間に会社に保険金支払われる、こういうことがあれば、それは遺族たまらない思いになるのは当たり前のことでございまして、そういった意味では、こういった規制をきちんと実施しなければならないし、それをやっていただくことは必要だと思っているんですが、今金融庁がおっしゃったような規制を設けたことによって、現在ではその従業員の遺族と会社の間で裁判になるというような事態は本当になくなっているのかどうか、どういう実態になっているのか、規制の効果は上がっているのか、その点を伺っておきたいと思います。
  150. 三村亨

    政府参考人三村亨君) 先ほど御説明をいたしました商品改定、規制等を行ったところから、本団体保険につきましてはこの保険本来の目的、趣旨に沿った利用が行われていると認識をしております。改正後の本商品契約について、少なくとも本商品をめぐる訴訟があるとは承知をしておりません。
  151. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つ、最後の質問に当たって確認しておきたいのは、前川先生が質問をされていたやはり相当の期間という、この履行期の問題でございます。  先ほど御説明もいただきましたが、まず、現在の約款では、生命保険では原則五日間、損害保険では原則三十日で支払うという定めがある。保険法案でも最後までこれらの日数規定してはどうかという意見が現実にございました。  そのような規定にしなかったのはなぜか。先ほど若干御説明はいただきましたが、そのような規定にすると具体的にどのような場面で問題があると考えていらっしゃるのか、当局から分かりやすく御説明をいただいておきたいと思います。
  152. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) 具体的にどのような場面で問題になるのかという非常に重い御指摘をいただきました。  これは、具体的な日数を法定してしまうとどうなるかと。さきに一般論として、これは契約類型に様々のものがあるし、個別の契約についても様々な類型のものがあるので、一律に法律のレベルで個別の日数をぴしっと決めてしまうというのは適切ではないんだということを申し上げましたが、さらに、例えば保険金目的の殺人や放火の疑いで捜査が開始されたと。これは明らかにおかしい、モラルリスクの上で問題だというような場合についてまで五日以内あるいは三十日以内にちゃんと調査を終えろと、これはかえってモラルリスクを助長してしまうということになろうかと思います。  例えば、そこまで至らないにいたしましても、火災保険なんかの場合では、燃えた建物の中に何が入っていたのかということが非常に問題になることがあります。高価な動産が詰まっていたのかそうでなかったのかと、それで損害額は、保険金額は変わってくるわけでございます。例えば、外国から輸入したものが入っていたとかそういうことになりますと、当然、それはどれくらいのものかとか、何が入っていたのかとか調査をしなければならない。これを、生命保険ではありませんので三十日ですね、三十日という範囲内でやれというのは無理であろうと思います。  そのほか、盗難保険なんかでもそういうことがございますが、自動車が盗難されたということで保険金の請求があったと。しかし、どうも調べてみると、ふだんいつも駐車している場所ではない、いかにも怪しげな場所にその日に限って駐車していて取られたと。そういう事情があれば、保険会社としては当然何らかのアクションを起こさざるを得ないということになります。そのための調査期間等はやはり見てやらなければいけない。個別の事案ではそういうことが十分起こり得るだろうと思っております。
  153. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 先ほどおっしゃったように、確かに保険契約種類が多様化しているとか、今おっしゃったように、それぞれの調査事項も異なる。そういう意味では、具体的な日数規定するのが難しいという、そういう説明説明としてお聞きしますが、でも、やっぱり法律を見ると、法律には何と書いてあるかというと、相当の期間と書いてある。そうなると、保険契約者にとってみると、いつ保険金支払ってもらえるのかというのが全く分からないという、やはり問題点残っているんじゃないかなと思うんです。  その意味では、個々の約款でこれから具体的な履行期を定めることが重要になってくるとは思うんですけれども、この保険法案規定からすれば、約款ではどのような履行期の定め方をすることが必要になっていくとお考えになっているのか、ここは当局の考え方を伺っておきたいと思います。
  154. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) ただいま相当の期間としか書いていないではないかという御指摘がありましたが、ここは実は、今後でき上がっていく約款を縛っていく中身の規範が書かれているところでございます。  保険法案の今の該当条文のところをちょっと読ませていただきますと、「保険事故、てん補損害額、保険者が免責される事由その他の保険給付を行うために確認をすることが損害保険契約上必要とされる事項」と、損害保険契約上と入っております。これは生命保険も全部一緒なんですが、要するに、保険契約調査を必要とされる事項が書かれていなければいけない、約款に書かれていないといかぬということです。  ですから、約款にこういうことを調査しますよということが書かれていないのに、保険金を請求された段階で、いや、これも調べなきゃならなかったんだよ、あれも調べなきゃならなかったんだよと、そういう口実を設けて保険金支払わないというようなことはできないということであります。それが一つ。  それからもう一つは、そのような事項を確認するための相当な期間となっておりまして、保険会社がとにかくだらだらだらだら調査をした、その結果これだけ時間が掛かったと。これが、その期間は当然掛かるよということにはならない。相当の期間という規範的な概念でありますので、必要であり合理的な期間でなければならぬということでございます。  こういう観点から、それぞれ今後約款が作られていくということになると思うんですが、例えばどういうものが考えられるかということでありますけれども、生命保険契約でありますれば、原則として五日以内に支払うと、ただし、死亡状況の確認に特段の日時を要する場合は何日だと、保険契約に加入する前の被保険者の病歴等を調べる必要がある場合は何日だと。さらには、殺人その他の嫌疑による刑事手続が開始された、それで怪しいというときは何日だという具合に、具体的に調査を必要とされる事項についてそれぞれ期間を書いていくというようなことが考えられるところでございます。  これは衆議院法務委員会の参考人の質疑のときに保険会社の方がおっしゃっていたんですが、今、過去に支払われたいろんな類型のものがあると、モラルリスクが問題になった事例とかいろんなものがある、それについてどれくらいの支払期間が掛かったのかというのを洗って調査をしておりますというような答弁もしておられました。  そういうことを考えると、この保険法案趣旨を踏まえた適切な約款が作られていくのではないかと考えております。
  155. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つだけこの相当な期間という問題でお尋ねしておきたかったのは、まあ局長も規範という問題をおっしゃったんですけれども、最高裁自体はこの保険法案の中間試案に対しては、中間試案のときですね、この相当な期間では裁判規範にはならないという意見書を出したというお話があったと思うんですけれども、法務省としてこの法案に対する最高裁の考え方をどのように御理解なさっているんでしょうか。
  156. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) 御指摘最高裁からの御意見を伺いましたが、これは実は中間試案を対象としたものでございまして、この中間試案というのは極めてラフな書き方に実はなっておりました。  どういうふうに書かれていたかと申しますと、中間試案では、「保険金支払に当たり確認が必要な事項に照らして相当な期間」と、こうしか書かれていなかったわけであります。そこで、最高裁の方から、相当な期間に関して一定日数を法定することを検討されたい、仮にかかる法定が困難であれば相当な期間とは何かにつき裁判規範たり得るような明確な基準を設けられたいと、こういう御意見をいただきました。これを受けまして、保険法部会においては、一定日数は法定するのは適切でないだろうということで、この相当な期間判断基準を明らかにする方向で検討がされました。  その後、例えば、これは要綱案でございますが、要綱案では、保険事故、てん補損害額、保険者が免責される事由その他の保険給付を行うために確認をすることが必要な事項に関する損害保険契約の定めに照らして、当該期限が当該事項の確認をするための相当の期間云々と、こうなりました。この検討の結果が現在の保険法案条文に直結していると、こういう次第でございます。
  157. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 最後に、大臣にお伺いをしておきたいと思います。  この保険法案そのものは、前回も申し上げましたが、まずは国民に分かりやすいように文語体から口語体、ある意味じゃ今までまだ文語体のままだったのかというような、それが直された点、また契約者消費者保護、それがある意味では主役になれるような、そういう芽出しの部分がいっぱいある点、また保険、共済、その他第三分野含めてそういったこともやったと、いい点がありますし、是非とも早急、これが成立することが大事だと思っているんですが、その反面、この参議院の法務委員会でも私も今言わさせていただきましたが、やはりこの団体生命保険の問題、これ日数の問題、履行期の問題についてもやっぱり議論が残り、やや、本当に整理が終わっているのかな、これから約款の問題含めて実際にこれに基づいて運用されていくことになるわけですが、その状況を見ながら、やはり今回参議院でいろんな指摘をさせていただいた点が問題点として本当に浮かび上がるようなことがあれば、私は直ちに改正することも検討もしていただきたい、そういった気持ちで是非この法案に臨んでいただきたいと思っておりますが、大臣のお考えを伺って、質問を終わりたいと思います。
  158. 鳩山邦夫

    ○国務大臣鳩山邦夫君) 一日中答弁をするのもなかなかつらい仕事ですが、全く答弁しないというのも意外とつらい仕事でございまして。  今まさに木庭健太郎先生がおっしゃったとおり、そういう考え方でこれから進めていきたいと思っております。前川先生も松野先生もいろいろ質問をされた。とてもいい質問だったと私は聞いておりました。今の木庭先生の御質問も同様で、みんな方向はそろっていると思うんです。それは、保険会社保険者というのはやっぱり強い立場、あるいは保険契約者、あるいは被保険者、受取人というのは弱い立場、もちろんモラルリスクの話はちょっとわきに置いて議論をすればそういうことになるし、団体生命保険でいえば、保険会社も強いけれども、会社が強くて従業員の方が弱い立場、そうした中で、弱い立場の方々をどうやって少しでも有利に導くかというのがこの保険法改正の最大の目的だと思うんです。  口語体にした、先生おっしゃったとおり、それも一つの改正の目的です。共済を取り込んだ、第三分野入れた、それもすべて目的の一つではありますが、それが最大の目的ではない。最大の目的は、保険契約をする方や、いわゆる一般の庶民というのか一般市民というのか、そういう弱い立場で保険契約を結ばざるを得ない方々をどうやって保護するかと。  さっき前川先生おっしゃったとおりでして、例えば私も、余りろくに保険契約者になっていないかもしれませんが、高いか安いか分からないわけですよ。うちのは安いよと言われたって、高いか安いか比較する資料もないわけですね。そういう意味でいえば、約款だって端から端まで細かく読むというケースは余りないだろうと。ですから、すべての面で保険契約者や被保険者、受取人に少しでも有利になるようにということで片面的強行規定も置いたりいたしておるわけでございます。  ところが、金融庁答弁していますと、比較的うまくいっているような話なんですね。これ非常に心配なんですね。だって、これからいろんな商品が出てくるのをどう認めるかと、相当な期間とかそういうのはどういうふうに認めるかと。いろいろ、どんな約款だったら認可するかということに対して、まあ大体今までもうまくいってきたからこれからもうまくいくだろうでは済まない問題だと、私はそう思うわけで、何も特定の役所を批判するわけではありませんが、金融庁こそ、この保険法案の改正の心というものをもっともっと十分によく理解をして、くみ上げて、いい行政をやってもらいたい。そうでなければ、もう消費者庁に移すというぐらいの気持ちで我々は臨んでいきたいと思います。
  159. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 終わります。
  160. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時十三分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  161. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) ただいまから法務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、保険法案及び保険法施行に伴う関係法律整備に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  162. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  午前、木庭先生の質問の最後に大臣から既に総括的な答弁がなされてしまったような感じなんですけれども、その中でも、金融庁のこれまでの監督行政に対する、厳しいと私言っていいと思いますが、指摘がなされました。前回に引き続いて、まず、他人の生命に掛ける保険、典型は団体定期保険でございますけれども、これをどう考えるのかという点について、まず金融庁お尋ねしたいと思うんです。  被保険利益という概念について私前回取り上げましたけれども、この点について実は金融庁との関係でも、ここ二、三週間、どのように商品認可に当たって考えておられるのかということを尋ねてきたんですけれども、担当者の方の方ではこれを考慮しているというふうに御発言になってみたり、昨日の通告のレクのときには、いや、何だかよく分からないというような御答弁になってみたり、この保険法案のこの審議の中で、この基本的な問題についてどんな立場でもいいけれども確たるお答えがないということ自体が私はちょっと信じ難い思いがしているんですね。  それで、今日、ちょっとはっきり国会答弁としていただきたいんですが、商品認可に当たって被保険利益を一般にどのように考えておられるのか。総合福祉型の主契約、ヒューマンバリュー特約、それぞれについてはどう考えているのか、お答えください。
  163. 三村亨

    政府参考人三村亨君) 被保険利益につきましては、現行保険法制上、一般的には損害保険において保険事故が発生することにより被ることのあるべき経済的利益とされ、契約効力要件となってございます。他方、生命保険におきましては契約の成立要件とはなっていないと、そういうことでございまして、総合福祉団体定期保険とヒューマンバリュー特約につきましては、いずれも生命保険でございますので、実際の損害の多寡にかかわらず定額による保険金支払われるもので、被保険利益の存在は契約の成立要件とはなってございません。
  164. 仁比聡平

    仁比聡平君 そうすると、生命保険としての総合福祉型の主契約やヒューマンバリュー特約それぞれについて、前回の審議の中でも御答弁されたでしょう。どういう目的をこの契約は持っているのか、この保険は持っているのかということをお答えになりましたが、これは一体何なんですか。
  165. 三村亨

    政府参考人三村亨君) 総合福祉団体保険につきましては、遺族の救済を目的とする契約趣旨、目的の契約でございます。また、ヒューマンバリュー特約につきましては、企業の従業員の死亡による代替雇用者の採用あるいは育成費用等の経済的損失に備えるという必要性から、これを被保険利益というわけではなく、一定額、一定の金額が支払われる、死亡に際して支払われる、そういう契約になっておるということでございます。
  166. 仁比聡平

    仁比聡平君 そうしますと、主契約の方は、これは遺族補償のための保険、これを被保険利益と呼ぶのか呼ばないかは、金融庁はお考え違うのかもしれないけど、これは遺族補償という意味での被保険利益的なものと、そういう理解になるんですかね。
  167. 三村亨

    政府参考人三村亨君) 厳密な意味での被保険利益ということではなくて、遺族に対する弔慰金等のお支払が確保されるように死亡に際して一定の金額が支払われる保険形態だと、そういうふうに理解をしております。
  168. 仁比聡平

    仁比聡平君 その点もやっぱりあいまいなんですけれども、ヒューマンバリュー特約の方の、お手元に改めてもう一度資料をお配りしていますけれども、ヒューマンバリュー特約によって企業が損失を補てんされるその例というようなことが書いてあるわけですが、代替雇用のそういったコストをてん補すると、これ企業にとっての損害保険なんじゃないんですか。従業員が亡くなるということによって企業に損失、損害が生ずる、これをてん補する、これ損保じゃありませんか。何か僕そこ全然分かんないんですけれども。不当な利益を得ることは防止をされるようになったというふうに言うけれども、だけれども、被保険者たる従業員とこの企業が受け取るこの保険金、これどういう利害関係がありますか。  従業員が欠けることによって生ずる損失というのは死亡の場合だけではございません。資料の三枚目に、これ国会図書館で調べていただいた企業規模別離職者の動向、平成十八年度のものをお手元にお配りいたしました。この調査によりますと、日本の常用労働者数は約四千三百六十万人で、そのうちこの一年間に離職した総数は七百五万人程度になるわけですね。このうち死亡、傷病による離職、これは人数として見れば十二万三千人にすぎなくて、全常用労働者数に占める割合、離職率は〇・二八%にすぎないんです。ちなみに、中途退職、中途離職の方々は一五・四五%になるんですね。このほか定年で退職される方々もある。  だから、企業にとって途中で離職をする方があるというのは、これ言わば当たり前のことであって、ですから下級審ではこういう判決もございます。団体定期保険に加入する企業は、企業規模が大きく社内に代替人材を多く抱えている上、労働市場において比較的容易に代替人材の確保をなし得る環境にあり、また人材の補充のための採用はルーチンとして日ごろから予定されていることであり特別の出費とは言い難いということで、この企業損失という考え方自体に批判が向けられているわけでございます。そうした中で、どうして死亡によって退職する者だけが自らの命を担保にしたその保険金で企業の人的損害を保障しなければならないのかと、この声にどう答えるのかということなんですよ。  政務官、副大臣が財金委員会の対応だということで政務官においでいただきましたけれども、実際、過労死、中でも過労自殺がこの間急増を更にしております。過労死に追い込んだ、そういった企業がその命を担保にした保険金を受け取るなんて許されないと、この遺族の声に政治家としてどうお答えになりますか。
  169. 戸井田とおる

    大臣政務官戸井田とおる君) ヒューマンバリュー特約は、被保険者である従業員の同意を前提に、企業が従業員の死亡による代替雇用の採用、育成費用等の経済的損失に備えるとのニーズで対応するため、従業員の死亡や高度障害の発生を保険事故として保険金支払われる商品であります。したがって、ヒューマンバリュー特約について合理性を欠くとはまで言えないと考えております。
  170. 仁比聡平

    仁比聡平君 企業にとっては、それは従業員が死んだら保険金が入ってくるんですから、その企業の立場、あるいはその商品を、もう二千七百万人という規模の従業員がそこに被保険者となるという、こういう形で商品を売っている保険会社の側、ここにとってみれば、今政務官がおっしゃったように合理性がもしかしたらあるのかもしれないですよ。  だけれども、それぞれの個別の従業員にとってみてどうですか。過労自殺にまで追い込むような長時間労働がある、それが研修という名前で、金融庁、されている場合があるんですよ。その中で命を亡くしたという、そういう場合に、保険金が例えば二千万円、企業の側に入ると、変じゃありませんか。これは感情の問題じゃなくて、私は、モラルリスクというんであれば、まさにモラルの問題であり正義の問題だと思いますけれども、政治家としていかがです。
  171. 戸井田とおる

    大臣政務官戸井田とおる君) 委員の言われることはよく理解できると思っております。
  172. 仁比聡平

    仁比聡平君 よく理解できるという御答弁を私たちはどう受け取ったらいいんでしょうかね。  別の角度でちょっとお尋ねしたいと思いますけれども、これ契約の構造としても、法務大臣、よく私たちが日常的に実感する生命保険とこの団体生命保険というのは契約の構造が大きく違います。  この資料の二枚目を御覧いただければ分かりますが、従業員が一括して団体として被保険者になるわけです。ですから、契約はあくまで保険会社と企業の間にあるんですね。ですから、この委員会で度々問題になってきた同意の問題も、この上のポンチ絵、下のポンチ絵にあるとおり、従業員と企業の間での同意の確認を行うというふうにそもそもの商品構成がされているわけですよ。これを金融庁認可しておられると。これは、一人一人の個人が生命保険に加入しようかということで契約をする、被保険者が契約者と違う場合、その場合に同意を取るという問題とは私は場面が全く異なると思うんですね。その上、このヒューマンバリュー特約は企業の損失を保障するためだというと。  政務官も私の指摘はそのとおりではないかというふうに今ほど御答弁があったんですけれども、今度の保険法案が基本法、一般法としてこういったものやあるいは個別の保険も同じように規律するんだから、だから、こうした場合の指摘がいろいろあっても、特にこの法案の解釈としては一般法としてするしかないという趣旨の御答弁が相次いできましたけれども、だったらば、この団体定期保険の特性に着目し、その目的が何にあるのか、どこにあるのかということに着目した特別の立法、これは保険法の特別の節を置くというような形でもいいし、別の単行法を作るということもあり得ると思いますけれども。こういった特別立法をやるという法制は、これは外国にはあるんですから、こういったものを検討されてはいかがですか。大臣、いかがです。
  173. 鳩山邦夫

    ○国務大臣鳩山邦夫君) 外国の例は事務当局からお答えをいたしますが、団体生命保険の場合は、特にヒューマンバリュー特約等が付きますと若干性質が変わってくるということはよく分かりますが、しかしながら、わざわざ別の法律でというところまでは考えていない。将来的な課題としては私は考え得ることだとは思っております。  要は、先ほど申し上げましたように、保険会社が強くて保険契約者が弱いということと同時に、それは企業は、大きな企業は強くて、そこの従業員は弱い立場にある。この間、あれは四川省の大地震やあるいはサイクロンのときかな、我々の所属する自民党から連絡が来て、あなたたちの歳費から幾らかずつ寄附をして送るから拒否したい者は申し出よと、こういうのが来たわけでございまして、これは政党も強いけれども、我々もみんな一人ずつ選挙を経てきている強い立場だからいいわけでありますが。  団体生命保険の場合、それこそ、どこか食堂に張り出してあるから、よく読んで、入りたくない者は申し出よというようなやり方では絶対駄目だということで、真意に基づく同意がどうしても必要だと、普通の生命保険と同じように被保険者の同意が必要だということが強く強調されなければいけないわけでございまして、したがって、そこの被保険者である社員が契約内容を全く理解していないというケースがあるかもしれない。その会社は立場が強くて、強制的におまえ入れというケースもあるだろうということがどうしても気になるわけでございまして、そういうような団体生命保険契約がなされることは絶対に認めるわけにはいかないわけですが。  ただ、法務省はそれを毎日見張るわけにはまいりませんので、そこのところは、団体生命保険についてはとりわけ金融庁が厳しく管理監督をしてもらいたいと、私はそう思います。
  174. 仁比聡平

    仁比聡平君 外国の法制の例については、また時間があればお尋ねをしたいと思いますけれども。    〔委員長退席、理事山内俊夫君着席〕  例えば、法制審議会の保険法部会の会議録を拝見しましても、この同意の問題で、今大臣がおっしゃっているのと同じことを審議の委員の中からも声が出ているんですね。ある方は、会社と従業員というのは力関係からいって対等ではないという、そういうことがあると。だから、被保険者である労働者の同意が必要であるという条件を付したとしても、会社の意に反して被保険者、労働者が同意をしないということが実質的にはできないという、そういう状況があるのを十分懸念されるところなのだから、そうなってしまうと今回の法律案規定自体も無意味なものになってしまいかねないという、そういう指摘があるわけでございます。  そういった状況の中で、今大臣もお触れになった、金融庁がどのように取り組んでこられたのかということなんですけれども、これまでヒューマンバリュー特約、あるいは団体定期保険の従業員の同意がどのようにして取られているとされているか、このことを調査をされたことというのはありますか。
  175. 戸井田とおる

    大臣政務官戸井田とおる君) 他人の生命の保険契約に関し、従業員が被保険者になる場合、加入時に当該従業員本人の同意の取得を求めることが必要とされております。  金融庁としては、ヒューマンバリュー特約について保険契約を締結する場合には、被保険者から個別に同意する旨の書面に署名又は記名押印することにより……
  176. 仁比聡平

    仁比聡平君 それは分かっています、政務官。
  177. 戸井田とおる

    大臣政務官戸井田とおる君) はい。被保険者同意の確認を行うか、あるいは契約者である会社から被保険者となることに同意した者全員の署名又は記名押印のある名簿を提出させることにより被保険者同意を行うことを求めております。  また、検査においても、ヒューマンバリュー特約を含め、他人の生命の保険契約に係る被保険者の同意の取得状況について検証を行っているところであります。  金融庁としては、今後ともこのような検査監督の中で、同契約における被保険者同意の確認を確実に行うよう、保険会社指導監督してまいりたいと思っております。
  178. 仁比聡平

    仁比聡平君 結局、そういった監督指針での事前の言わば指導ということはやっているんだけれども、現場でそれが本当にやられているかどうか。  先ほど、署名捺印の同意があることを確認するなんというふうな話がありましたけれども、話を聞きますと、会社側が預かっているその印鑑、これをぽんぽんぽんぽんその会社の担当者が押してそれ出しているなんという、そういう話まで私は聞いております。そういった実態を調べていないでしょうということなんですよ。  これ、三村さんにお伺いしますけれども、これ実態を調査するべきじゃありませんか。
  179. 三村亨

    政府参考人三村亨君) 金融庁におきましては、先ほど政務官の方から御答弁をいたしましたように、個別の検査におきましてヒューマンバリュー特約について検査をしておりまして、個別の検査結果については言及できませんけれども、個別の検査監督、日々の検査監督の中できちんと指導してまいりたいと考えております。    〔理事山内俊夫君退席、委員長着席〕
  180. 仁比聡平

    仁比聡平君 実際にその監督の中で、検査の中で、この同意というのは実は真意に基づいていないんじゃないのか、あるいは同意していないのに勝手に判こだけ押されているんじゃないのかと、遺族に了知させると言うけれども、了知させていないんじゃないのかと具体的に指摘をした例がありますか、過去に。過去にあるかないかです。
  181. 三村亨

    政府参考人三村亨君) 実を申し上げますと、平成十七年の検査事務年度の金融検査指摘事例集におきまして、他人の生命の保険契約に関する被保険者の同意の取得に係る指摘事例として、被保険者以外の者が被保険者の同意書に押印をしていると、そういった事例を指摘をしていることがございます。
  182. 仁比聡平

    仁比聡平君 その指摘、そういった事態を発見して、このヒューマンバリュー特約や団体定期保険のこの在り方に関して何か根本的な解決、打開やりましたか、対策打ちましたか。
  183. 三村亨

    政府参考人三村亨君) 先ほど、政務官からの答弁の繰り返しになりますが、ヒューマンバリュー特約につきましては、日々の監督の中で、被保険者から個別に同意をする旨の書面に署名を行う、あるいは記名押印等といったことを指導するとともに、個々の検査において見ているところでございます。
  184. 仁比聡平

    仁比聡平君 大臣、こういう状況なんですよ。  ですから、保険法趣旨について大臣がおっしゃるようなお考えが仮にそうだとしても、だけれども、この法律を通すというだけで、今の金融庁のこれまでの監督行政が改まるということなんですかね。私は本当に疑問に思いますし、そこにゆだねていいのかということを改めて指摘をしたいと思うんです。  時間がなくなってきましたので、大臣にもう少し認識を深めていただきたいという意味で、投資性の高い保険商品、ハイリスクの商品の問題について金融庁にもう一回聞きますけれども、バブル期に変額保険、これ大問題になりました。これ銀行が一時払いをその保険料させるということで、フリーローンというのと組み合わせて、百万人を超えるかというような規模の大きな被害が高齢者を中心に起こったわけです。  今もその苦情、被害というのは後を絶たないんですが、金融庁はその被害実態や規模調査を行ったことがありますか。
  185. 三村亨

    政府参考人三村亨君) バブル期におけます変額保険の被害状況に関しては、当時の監督官庁でございます大蔵省において、生命保険会社における変額保険契約高の推移あるいは当局等に寄せられた苦情などを把握するとともに、各生命保険会社に対してヒアリングを実施したと承知をしております。
  186. 仁比聡平

    仁比聡平君 それでも、そのヒアリングなんかも含めて公表できる資料がないというふうに、昨日、今日にかけて私は金融庁に確認をしたところでございます。  こういった事態の中で、保険給付の履行期について最後ちょっとお尋ねをしておきますけれども、先ほど民事局長から、保険給付を行うために確認が契約上必要とされる事項と、これを確認させるんだというお話があって、ここの解釈本当に明確なものなのかどうか、私は本当はお尋ねしたいところですけれども、ここにかかわって、現場の調査の実態というのがどうなのかということを御紹介したいと思います。  実際、損保の裁判などをやっておりますと、保険会社の側が、事故や傷害とは到底因果関係がないような過去の病歴、中でも他人に知られたくないような被害者の病歴、これをプライバシーを侵害するような形で聴取をしてきて、これを法廷に顕示して、まさに嫌がらせで、早く低額の和解をした方がいいよと言わんばかりの訴訟態度を私も度々経験をしてきたんですけれども、二〇〇五年の十月の十八日に金融庁の長官に対して、業務改善命令を含めた対応を求める申立てがなされております。  お名前は伏せますが、長野県の交通事故の被害者の方からですけれども、この方は、保険会社はあいおい損保、そこの恐らく委託を受けたということだと思いますが、損害保険リサーチという損害調査会社に、自分はそこの調査を同意をした覚えもないのに、申立人の診療その他プライバシーについて調査をさせたほか、一か月にわたって申立人とその奥さんの毎日の生活を張り込みをし尾行調査をし、毎日の日常生活を盗み撮りをされていたと。そのことが、裁判の証拠保全手続の中で保険会社が提出した資料によって初めてその被害者側に明らかになったわけですね。その被害者の奥さんは、これまで毎日の日常生活を盗み撮りされていたという事実を知って、監視の目におびえて夜眠れない状況が続いて、次第に精神的に異常を来してしまった。言葉がもう出なくなる。そういった中で、この申立て自体は二〇〇五年ですけれども、今日までそんな深刻な状況が続いているんですよ。  金融庁は、この申立てを受けて何かの処分をしましたか。
  187. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) 三村参事官、簡潔に御答弁ください。
  188. 三村亨

    政府参考人三村亨君) 御指摘のありました申立書に対する当庁の対応につきましては、個別の契約に係る事案でもあることから、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。
  189. 仁比聡平

    仁比聡平君 何言っているんだ。私がこの申立人やその代理人と何の相談もなく質問していると思っているんですか。  二〇〇五年の十月に申立てをして以来、あなた方はこの書面を受け取っておきながら何の連絡もしていないでしょう。これだけ深刻な事態を保険契約者、被保険者に対してもたらしながら、その告発を受けてもこうやって動かないというのが金融庁のこれまでの監督行政の実態ですよ。政務官、そうなんですよ。こういう実情の中で、監督行政にゆだねれば足るという、そういう私は発想は成り立たないと思うんです。  実際に、保険契約法、契約法、その効力の問題としてもしっかりとした見直しが今後求められると、今回の法案は大きな問題を抱えているということを改めて申し上げまして、時間が参ってしまいましたから、質問は終わります。
  190. 近藤正道

    ○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道です。  法案の前に、一つ質問をいたします。民法七百七十二条が原因の無戸籍児問題について質問をしたいと思います。  これは、民法七百七十二条のいわゆる離婚後三百日規定によって、本当のところは現在の夫の子供であるにもかかわらず、出生届を出す前の夫の子供と戸籍上扱われる。そのことが障害となって、これを避けるために出生届を出さない、その結果として無戸籍の子供、無戸籍児となるという、そういう問題でございます。こうした戸籍のない子供、この日本にたくさん存在しているというふうに言われております。  実は先週、私ども社民党の男女平等政策プロジェクトチームがこの無戸籍の子供を扱っている市民団体、民法改正情報ネットワークほか二つの団体の皆さんからいろいろ話を聞く機会がございました。皆さんからは、この七百七十二条が原因の無戸籍児の現状把握のための調査を是非国に働きかけていただきたい、あるいは以前出されました通達の懐胎時期に関する証明書の規定を見直していただきたい、そして民法七百七十二条の抜本的改正について考えていただきたいと、こんな要望を受けたわけでございます。  この問題については、無戸籍になっている子供さんの救済のため、昨年五月に民事局長通達が出されたこと、これは積極的に評価させていただきたいと、こういうふうに思っています。しかし、昨年の法務省の実態調査によりますと、離婚後三百日以内に生まれた子供の約一割がこの離婚後懐胎であることが分かりました。したがって、およそ九割の子供は通達における救済の対象になっていないと、こういうことでございます。せっかくの救済のための通達であるにもかかわらず、残念ながらこれがうまく機能していないということでございます。  先日、神戸の二十七歳の無戸籍の女性が近く出産をされる、こういう報道がなされておりました。大臣は二十三日の閣議後の会見で、優しく優しく対応したいと、こういうふうに発言をされるなど、救済に意欲を示されておられます。  子供にその戸籍がないということは、子供の権利という観点から見ると絶対にあってはならないことだというふうに思っておりますが、一体、その無戸籍の子供がどのぐらいいらっしゃるのか、その実態は明らかになっておりません。法務省としても、まずその実態を把握することが必要だというふうに思いますが、大臣、今後どのように実態把握をされるのか、お聞かせをいただきたい、こういうふうに思います。
  191. 鳩山邦夫

    ○国務大臣鳩山邦夫君) 先生と問題の認識の仕方は基本的に同じだと私は思っております。  今、保険法質疑の中で、私は、我々みんな人間、人格として平等の権利を持っていると思いますが、社会的に強い立場と弱い立場というのは明らかにあると。それは保険者と保険契約者というのは、立場の強さというのは随分大きく違うということを何度も申し上げてきております。  それと同じように、無戸籍になってしまうお子さんは最も弱い立場であって、ますますその立場が弱くなってしまうと。しかも、それはお子さんのせいではない。子供は両親を選んで生まれてくるわけにはいかない。たまたま母親や両親の様々な理由、前夫という方を原因とする場合もあるでしょう。そのために、三百日以内に生まれると、それは父親の欄に前夫の名前が記されることを嫌って、無戸籍になって出生届をしないということが起きているわけですから、そういう最も弱い立場の子供さんがますます立場を弱くするようなことは何としてでもやめさせて、救っていかなければならないと。  私の祖父鳩山一郎は、政治というのは基本的に弱い立場の人を守ればいいんだと、そのためには強い立場の人を、まあ強きをくじく必要がある場合もあるだろうというようなことを言っておって、それが友愛精神。したがって、民主党の幹事長も私も全くその同じ原則の下で政治をやっておるわけでございますから、そういう意味では先生も同じだと思いますので、一生懸命頑張りますので。  何か、その調査の方法はかなり難しいと思うんですよ。それは、地方自治体がいろいろ調べる方法もあるでしょう、それは住民登録等から調べる方法があるでしょう、あるいは厚労省は児童手当等から調べる方法があると思うんですけれども、それだけでも網羅はできませんので、法務省としても工夫を凝らして、何とか調べる方法を考えて実行したいと思っています。
  192. 近藤正道

    ○近藤正道君 法案について質問をしたいというふうに思っています。  今日も保険会社の様々な規制のことについて、金融庁のやり方、答弁についていろいろ批判的な意見がありました。たくさんのこの間、不払あるいは支給漏れがあったわけでございまして、私は、共済はずっと少ないのかなと思っておりましたら、おとといの参考人質疑を通じて、共済についても一定のやっぱり不払、ミスがあるということが分かりまして、ああなるほどなと思ったんですが、しかし、件数等からいきますと、通常一般の生保、損保の五の一以下、しかもミスの中身がやっぱり質的にかなり違うなと、こういうふうに思っているところでございます。それは、結局、一般の生保、損保と共済というのはそもそもの成り立ちが違うし、共済の方は非営利、これがやっぱり大きく原因をしているんだろうなと、こういうふうに思っております。  最初に民事局長お尋ねをいたしますが、保険と共済、そういう存立の理念、根本が異なるわけでありまして、本法が保険契約、共済契約等の契約に関する基本ルールを定める、それを目指しているものでありまして、組織法や監督法の一元化を図るものではないということを再度確認させていただきたいというふうに思いますが、御答弁いただきたいと思います。
  193. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) 保険法案はあくまでも保険についての契約ルールを定めるものでございます。共済は元々成り立ちが違っておりまして、相互扶助の精神に基づいて、その運営のありよう等も全部違うわけです。ただ、契約ルールの面では保険と同じ大数の法則が適用されて、それで運営されているというところがある。その契約ルールだけ共通なので、保険契約の中に取り込んでいこうということで今回の保険法案対象としているわけでございまして、監督行政等々については全く影響はございません。
  194. 近藤正道

    ○近藤正道君 今ほどの御答弁もありましたけれども、本法が組織法や監督法の一元化を図るものではないと、これは衆議院法務委員会で今ほどの民事局長答弁がされているところでございますが、現在構想されております消費者庁とのかかわりについてはいかがなんでしょうか、お答えください。
  195. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) これは契約ルールとして、民事の基本法として、元々この保険契約規定というのは民事の基本法であります商法の中にあったものです。この中にある保険契約に関する規定を取り上げて、共済も入れて単行法にしたものでございまして、あくまでも契約ルールでございますので、法務省としては監督行政云々とのかかわりは直接にはございません。
  196. 近藤正道

    ○近藤正道君 分かりました。  消費者庁との関係につきましては大臣が先ほど基本的な考えをお述べになられましたので、それ以上聞く必要はございませんので、次の問題に行きたいと思っています。  もう既にいろいろ出ておりますので、実は前回質疑のときに大臣に、被保険者の真意に基づく同意、これについてどういうふうにお考えですかと、これについては参考人質疑の後にもう一度質疑の時間があるので、もう一度そのときに聞くかもしれませんよということを私は申し上げさせていただきました。  その後、参考人質疑がおとといありました。三人の方が出られました。皆さん、この被保険者の真意に基づく同意、このことの重要性を指摘されておりまして、やっぱり書面の交付というものが非常に必要だということを皆さんおっしゃっておられました。今日も、ヒューマンバリュー特約に絡んで、真意に基づく同意の実効性担保のための措置はどうあるべきかという議論もございました。  私が一番最後の質問になりますので、この間の参考人質疑がそうだったということも大臣に申し上げながら、改めて、真意に基づく同意、この実効性の確保のために私は書面による同意が必要だというふうに思いますが、今日現在、大臣はどのようにお考えなのか、総括的に御答弁をいただきたいと、こういうふうに思います。
  197. 鳩山邦夫

    ○国務大臣鳩山邦夫君) 先ほどからしつこく申し上げておりますように、企業と社員、従業員の関係というのは強弱がある。したがって、内容をろくに知らせないで、おまえ入れと、入れというか被保険者となることに同意せよということがあってはいけないし、また、それこそ権力的なものを使って無理やり同意させるのは、これは真意に基づく同意とは言えないわけでございます。  したがって、とりわけこのヒューマンバリュー特約の問題がありますと、これは、仮に社員が亡くなった場合に社員の遺族には入らないで会社の方に入るお金でございますから、遺族が納得することも必要なのではないかと。できれば、この間もお話ししたと思いますが、本人の同意でいいんですけど、団体生命に入っている、ヒューマンバリュー特約が付いているということが家族にも分かっていた方が望ましいと、そう思うわけでございます。ですから、その辺は、とりわけ監督官庁である金融庁は厳しく一つずつ全部これを見直すようなことを本来すべきではないかと、こう考えております。  そういう中で、書面による同意が必要ではないかという質問が午前中からありました。それに対してうちの民事局長は、一つの考え方で法制審でも意見が出たが、しかし、真意に基づく同意がありながら、書面がたまたま欠落してあることによって保険者が払わないなんということもあるかもしれないとか、いろいろ早口にまくし立てておりまして、なるほどと思うこともいっぱいあるわけです。  しかし、書面に基づく同意があったらいいなとか、あるいは被保険者証というのがあれば、それを家族が見て納得するだろうかと、そんなふうに私も思うわけでございまして、何か担保できるいい方法がないか。少なくとも書面による同意が完全にあるとか、被保険者証があるとかというのと同程度の真意に基づく同意というものを金融庁は確認すべきですね。
  198. 近藤正道

    ○近藤正道君 ありがとうございました。  これも、この間何度か聞いておりますし、私も前回似たようなことを聞いておりますが、ちょっと舌足らずなところがありましたので、もう一回お聞きしたいというふうに思っているんですが、法案の二十一条のことでございます。  最高裁は従前、三十日ということについて一つ判断を示しております。そして、これまでは立証責任については保険会社の方が立証責任を負っておったんですが、今度の二十一条によりますと、立証責任は保険金請求者の方に転換をされる、しかも、相当性判断の材料等がみんな基本的に保険会社の方に圧倒的にあると。こういう状況の下では、私は、請求者に今まで以上の負担を結果としてやっぱり強いることになるんではないかと、これは契約者保護というこの法案の大命題と一致しないんではないか、矛盾するんではないか、こう思えてなりませんが、大臣、いかがでしょうか。これも総括的に。
  199. 鳩山邦夫

    ○国務大臣鳩山邦夫君) 二十一条の一項は相当の期間でしたでしょうか、二項の方は必要な期間だったかと思いますが、そういう期間をどう判定し、だれが立証責任を負うかということは、約款に期限の定めがあって、それが、保険給付を請求する側が相当な期間を超えているとして裁判で争おうとすれば、これはしようがないんで、約款にある期限の定めが相当の期間を超えているから遅滞の責任を負えと要求するんであれば、第一次的には保険給付を請求する側が立証責任あるというふうになるんだと思っております。  しかしながら、実際には、保険事故があったとして、保険事故が起きたことも損害額も分かったからそれらの事項をきちんと明らかにして保険給付を請求した、それにもかかわらず保険者がなかなか払わなかったということになれば、調査に時間が掛かったから遅くなったということは、これは保険者側が立証をしなければいけない形に転換していくんではないかなと、私はそのように考えております。
  200. 近藤正道

    ○近藤正道君 最後に、またちょっと本案と離れますが、財団法人矯正協会による被収容者に対する物品販売について質問をさせていただきたいと思っています。  日本弁護士連合会が本年二月十五日付けで刑事施設における物品販売に関する意見を発表いたしました。これまでも社民党の福島みずほ議員が、財団法人矯正協会による刑務所内の物品販売の独占は問題ではないかと、こういうふうに質問をして、批判をしてきた経緯がございます。日弁連の意見書では、ほぼすべての施設において、刑務官らを会員とする財団法人矯正協会が独占的に物品販売を行い、その利益が刑務官の福利厚生に使われていたと。そこで意見書は、法務大臣らに対して、この運用を改め、できる限り多くの業者に参入させるよう指導すべきだと、こういうふうにしております。  つまり、受刑者からある程度かすりを取って、それを刑務官が恩恵を被ると、こういうやり方はちょっとフェアではないんではないかと、こういう意見でございます。  大臣お尋ねをいたしますが、この日弁連の意見書に対してどのような改善を取ったのかお聞かせをいただきたいと、こういうふうに思います。
  201. 鳩山邦夫

    ○国務大臣鳩山邦夫君) 日弁連は、クレームが出ております価格自体については不適正とも言えないという判断を示した後で、結局、矯正協会がほぼ独占的にやっちゃいないかと、これを改めたらどうだということですね。それから、刑事施設の長が物品販売業者を指定するわけですから、民間にもっと情報を提供して幅広く募ったらどうだと、こういうような意見書を提出されたわけでございます。  これは、基本的に私はもっともなことだと思っておりますけれども、ただ、刑事施設における物品販売というのは、うまくいったらシェアが広がるというものでは全くない、一般のお客さんが付いてくるというものではないと。つまり、購入者が限定されていると。購入者といえば、その刑務所や拘置所に勤めている方か、入っている方か、そこに差し入れをする方ぐらいしかないわけですね。それからまた、販売品目にも限定があるわけでございまして、まさか包丁だかナイフなんか売れるわけがないわけですね。それから、割合とクレームがよく付くものですから、このクレーム処理にはややリスクが伴うと。  大体、場所も場所ですから、立地条件も良くないということで、一般社会のいわゆる市場への新規参入という概念を当てはめることはできますけれども、新規参入を希望する方がどれくらいいるかというのは多少疑問でございますので、これから情報を幅広く流すことによって、新規参入大いに結構だというふうに考えておりますが、やりたいと、刑務所、拘置所で売りたいという方が余り出てこないと今と現状が余り変わらないということもあり得るかなと思います。
  202. 近藤正道

    ○近藤正道君 分かりました。  法務省のホームページなどで施設別あるいは物品別に販売業者の公募を行う、あるいは審査基準を明示するとともに、複数の業者が応募した場合、各施設長は、審査結果の概要、業者選定のプロセスを視察委員会など第三者機関に明らかにすべきではないか。そういう形で、今大臣は本当に応募してくるんだろうかと、こういう話ございましたけれども、今言ったような形で、この間議論もありましたし、日弁連が意見書を出しておりますので、そういう形で透明性をやっぱり高める、そういうことは是非検討すべきなんではないかと。そう大きな市場の問題とはとても思えませんけれども、是非そういうことを御検討いただきたいというふうに思いますが、もう一度御答弁いただきたいと思います。
  203. 鳩山邦夫

    ○国務大臣鳩山邦夫君) ですから、一般に言う市場を開放して新規参入という概念が完全に当てはまるかというと、やっぱり特殊性があります。しかし、その特殊性の中でも、やはりどうしてこの業者がやっているのかと、矯正協会がここでまた売ることになったのかということが分かるようにできるだけ透明性は高めていかなければならないと思っております。
  204. 近藤正道

    ○近藤正道君 終わります。
  205. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。     ─────────────
  206. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、舛添要一君が委員辞任され、その補欠として塚田一郎君が選任されました。     ─────────────
  207. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) これより両案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  208. 仁比聡平

    仁比聡平君 私は、日本共産党を代表して、保険法案及び保険法施行に伴う関係法律整備に関する法律案、両案に対する反対の討論を行います。  反対理由の第一は、政府が本法案の最大の柱とする消費者保護内容が、現に生じている甚大な消費者被害の解決には遠く、国民の期待と懸け離れていることです。保険給付の履行期に関する規定についても、期限の定めがない場合の規律は民法より逆に後退し、期限の定めのある場合の相当期間の定義も不明確なままです。  相互扶助という保険の建前と、その一方での保険金の不払や保険料の取り過ぎなど、消費者被害の激増という現実との乖離を消費者保護の方向で是正していくための立法こそが百年ぶりの改正に求められていました。しかし、約款の公開さえ実施されていない現状を追認し、契約が有効か無効かを判断する上で重要な商品ごと説明義務、重要な事項の書面による交付義務など、基礎的な消費者保護規定さえ法案には盛り込まれておりません。  第二は、本委員会の審議でも重要な論点となった団体定期保険について、本法案ではその法制化を全くしていないことです。  企業が全従業員に生命保険を掛けて、過労死した労働者の保険金まで会社がすべて取ってしまうような保険が許されるのかと大きな社会問題になりました。最高裁判決でも、遺族の救済ができない立法政策を問題とする指摘までなされています。  被保険者になっていること自体を従業員は全く知らないとか、どれだけの保険金がだれに支払われるのかも知らされないなど、真意に基づく同意とは到底言えない実態がいまだに続いているにもかかわらず、被保険者とその遺族を傷つけてきた現行商法の規定を特段変えることのない法制に固執していることは容認できません。  第三に、政府が進めてきた規制緩和が投機性の強いハイリスクの保険商品による被害を拡大し、とりわけ高齢者の生活を破滅に追い込む深刻な事態を引き起こしてきたにもかかわらず、契約ルールの規制を強めて消費者被害を防止しようとする立法化がありません。  一九九三年に開始された日米包括協議に始まるアメリカの対日要求に応じた保険分野の自由化、規制緩和や金融ビッグバンによって、激化した企業間競争に対応する新商品が次々と開発され販売されました。百万人の高齢者を破滅させたと言われている銀行ローン付きの一時払い終身型変額保険を始め、重大な被害が次々と社会問題化しました。これは、保険の自由化、規制緩和を強行しておきながら、消費者保護は後回しにし、しかも対策は全く不十分という政府の責任によって引き起こされたことは明らかです。投機性の強いハイリスクの保険商品による消費者被害対策が欠落した法案では国民の期待とは相入れません。  以上を指摘し、反対討論を終わります。
  209. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより両案について採決に入ります。  まず、保険法案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  210. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、保険法施行に伴う関係法律整備に関する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  211. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、千葉景子君から発言を求められておりますので、これを許します。千葉景子君。
  212. 千葉景子

    ○千葉景子君 私は、ただいま可決されました保険法案及び保険法施行に伴う関係法律整備に関する法律案に対し、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党・無所属の会、公明党、日本共産党及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     保険法案及び保険法施行に伴う関係法律整備に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府及び関係者は、これらの法律施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。  一 保険給付の履行期に関して、保険者による支払拒絶事由等の調査及び支払いの可否に関する回答が迅速かつ適正に行われるべき体制を確保すること。  二 保険法第二十一条第一項、第五十二条第一項及び第八十一条第一項における「相当の期間」に関しては、これらの規定趣旨を踏まえ、契約類型ごとに確認を要する事項を具体的に示すなどした約款を作成するよう指導監督するものとし、その際、現行約款規定する損害保険契約にあっては三十日、生命保険契約にあっては五日、傷害疾病定額保険にあっては三十日の各期限が「相当の期間」の一つの目安となることを前提に、その期限を不当に遅滞させるような約款認可しないこと。  三 重大事由による解除(保険法第三十条第三号、第五十七条第三号及び第八十六条第三号)に関しては、保険金不払いの口実として濫用された実態があることを踏まえ、その適用に当たっては、第三十条第一号若しくは第二号等に匹敵する趣旨のものであることを確認すること。また、保険者が重大事由を知り、又は知り得た後は、解除が合理的期間内になされるよう、政府は、保険者を適切に指導・監督すること。  四 約款保険者により一方的に作成されるものであり、複雑・難解であること並びに多様化した商品内容及び保険事故に関する一般的・専門的情報等が保険者側に偏在している事実にかんがみ、保険契約者等保護に欠ける条項、不明確な条項、保険契約者等の合理的期待に反する条項等が生じないよう、約款の作成又は認可に当たり充分に留意すること。また、約款認可、監督に当たっては、恣意的に運用されることがないよう、指針をより明確にすること。  五 雇用者が保険金受取人となる団体生命保険契約については、被保険者となる被用者からの同意の取得に際しては当該被用者が、保険給付の履行を行うに際してはその家族が、保険金受取人や保険金の額等の契約内容を認識できるよう努めること。また、他人の生命の保険契約については、被保険者の保護にもとる事態が生ずることのないよう十分に留意すること。  六 告知に関する規定を含め多くの片面的強行規定を設けるなどして保険契約者等保護するために保険法が制定されたという立法趣旨保険者に遵守されるようにするため、必要に応じこのような立法趣旨を踏まえて監督基準の見直しを行い、また、当該立法趣旨や遺言による保険金受取人の変更などの新たに設けられた制度の内容消費者に十分認識されるよう、周知を徹底すること。  七 保険法が、保険契約、共済契約等の契約に関する規律を定める法律であって、組織法や監督法の一元化を図るものではないことを確認すること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  213. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) ただいま千葉君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  214. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) 全会一致と認めます。よって、千葉君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、鳩山法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。鳩山法務大臣
  215. 鳩山邦夫

    ○国務大臣鳩山邦夫君) ただいま千葉先生から御提案された附帯決議が可決をされましたことにつきまして、私は大きな喜びを感じます。  と申しますのは、その附帯決議の内容すべてが、この保険法案をなぜ提出したかと、その心を十二分に理解し、その内容を強化する、そういう性質のものだからでございまして、我々政府の一員は皆この附帯決議の精神を胸に、これから立場の比較的弱いと思われる保険契約者等保護を目指して頑張っていきたいと思いますし、とりわけ金融庁にはもっともっと頑張ってもらうことを期待をして、私の発言といたします。  ありがとうございました。
  216. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  217. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  速記を止めてください。    〔速記中止〕
  218. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  219. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) 刑事訴訟法の一部を改正する法律案を議題といたします。  発議者松野信夫君から趣旨説明を聴取いたします。松野信夫君。
  220. 松野信夫

    松野信夫君 私は、発議者を代表しまして、ただいま議題となりました刑事訴訟法の一部を改正する法律案について、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。  我が国の刑事司法の目的は、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の尊重を全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正かつ迅速に適用実現することにあります。このように、我が国の刑事司法が適正手続の保障の下での事案の真相解明を使命とする以上、被疑者の取調べが適正を欠くことがあってはならず、それを防止するための方策が必要であるとともに、また、被告人は訴訟の当事者として十分な防御の機会が保障されなければなりません。  刑事訴訟法は、当事者主義の下、被告人と検察官とを対等に取り扱っておりますが、現実は、真相解明についての両者の力量には格段の差があります。特に捜査段階では、被疑者は取調べの対象とされ、また自白は証拠の王とも言われて、ともすれば自白偏重に走りがちであります。  密室での取調べでは、威迫的あるいは誘導的な取調べを受けて真実と異なる供述がなされる場合もしばしば見られるところであり、公判において供述調書の任意性をめぐって長期間の裁判が繰り広げられていることも少なくありません。  近時、冤罪とされる事件が続発しております。代表的な事件として富山の氷見事件、鹿児島の志布志事件、佐賀の北方事件等が挙げられます。特に前二者については、異例なことではありますが、最高検察庁も「いわゆる氷見事件及び志布志事件における捜査・公判活動の問題点等について」と題する検証報告書を明らかにしています。最高検察庁は、この報告書の中で、志布志事件の判決が、自白成立の過程で追及的、威迫的な取調べがあったことをうかがわせると指摘したことを受け、検察官としては、自らが適正な取調べに努めることはもとより、警察における取調べの状況をも的確に把握し、後の公判において取調べの適正に疑問を抱かれることのないよう努めなければならないとしています。こうした冤罪を防止する観点から、適正な取調べの担保を確保する意味でも可視化は大きな意味を持ちます。  また、平成二十一年に導入される裁判員制度についても、取調べの適正化は極めて重要であります。そうであるからこそ、一般国民である裁判員の前に事実に反する自白調書が提出されないよう細心の注意を払う必要があります。  取調べにおける捜査の必要性との調整も必要ではありますが、取調べにおける可視化は、無実の者を誤って処罰することほど重大な不正義はないとの刑事訴訟の要請に合致し、時代の要請でもあり、強大な権力である検察・警察権の行使を適正化する必要な制度改革であります。  この法律案は、このような状況にかんがみ、被疑者の取調べ等について録音、録画を義務付ける制度を導入するとともに、被告人と検察官との間の実質的な平等を確保し、実体的真実を追求するためには証拠の隠ぺいを許すべきではないとの趣旨から、公判前整理手続において検察官の手持ち証拠の開示に向けたすべての証拠の標目の一覧表の開示を求めるものです。  以下、法律案内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。  第一は、被疑者の供述及び取調べの状況等の録音、録画を行うことであります。被疑者の取調べ等に際しては、被疑者の供述及び取調べの状況のすべてを映像及び音声を同時に記録することができる記録媒体に記録しなければならないものとすることとしております。また、取調べ状況等の録音、録画の義務規定に違反してなされた取調べにおいて作成された自白調書等は、証拠とすることができないものとすることとしております。  第二は、公判前整理手続において、検察官の手持ち証拠の開示に向けたすべての証拠の標目の一覧表の開示を行うことであります。既に公判前整理手続においては証拠開示の方法が定められておりますが、被告人側は、そもそも検察官がどのような証拠を有しているか分かっておりません。実体的真実を解明するためには、有利不利を問わず明らかにされるべきものであり、その前提として証拠の標目の一覧表の作成並びにその開示をすることとしております。  以上がこの法律案趣旨及び内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  221. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) 以上で趣旨説明の聴取は終了いたしました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時六分散会