○森
まさこ君 その件なんですが、私は、この
法案を作られるときに、
法案提出資料に私の論文も入れてい
ただいて大変うれしかったんですけれども、この部分については本当に不満が残りました。
今おっしゃったように、法制
審議会でもおっしゃっておられましたが、残余財産が出るという見通しがないと、余るか余らないか分かんないから、余ったときは国庫に入れてと、全く
理由になっていないんですね。余るか余んないか分かんないけど、余ったときどうするかというのを
検討しているんですから、これはどうするのが一番この制度の
趣旨に見合うか。被害者救済のためにやるんですから、被害者の救済の制度に利用するのが当然だと思います。
そして、いや、余ったときがあるんじゃないかと、これはもう本当に百億のうち五十億がスイスにあるんですよと、そこまで法制
審議会で
質問がありましたときには、さらに
法務省の方が、いやこれはこれ一回きりですと、たまたま、もうスイスに五十億もあるなんておいしいことはないんですというようなことをおっしゃいました。ところが、その後事件が次々に起こっております。今、本当に詐欺事件というのは、
情報が発達し、インターネットが発達して、全国から被害者を多数に一瞬にして集めることができる、そしてそれをマネーロンダリングするんですね。
最近、ちょっと
皆さん御記憶にあるところからいえば、エビ養殖の詐欺事件、ワールドオーシャンファーム、これが約四万人から六百億円を集めたという詐欺なんですが、そのうち四十八億円がアメリカに送金されて、現在、今アメリカで凍結をされております。四十八億円です。スイスの金額と変わらない金額なんです。これは凍結されておりますが、今、日本
政府は何もしておりません。そういった、この後も近未來通信という事件もありました。それもマネーロンダリング、中国の方に多額の送金がされておりますね。そういった多額、大規模な詐欺事件がこれからはどんどん、また国際的なものが起こっていきますよ。それを余らないからというふうに
理由でおっしゃるのは全く納得できないので、これは是非、附帯決議の方に書いてあることでもございますから、被害者の方に使える制度というものを是非この
委員会でも御
検討い
ただきたいと思います。
そして、その後また、私怒ってばかりいますけど、法制
審議会で、それじゃ余った金額を被害者基金にしたときに使い道がないじゃないかというような反論もあったんです。被害者のために振り込め詐欺に注意しましょうというような宣伝費ぐらいじゃ、そんなにもう使い道がないですよというような反論がございましたが、これはもう本当にいろいろなあまたの制度がございます。
例えばアメリカで、ニューヨークなんかでは、
消費者相談というもの、被害に遭った人の相談をもっと増やすために、今
国民生活センターには実際ある部分の五%の相談しか寄せられていない、
国民が知らないからなんです。そういうものを周知させるために、バスの車体に、詐欺に遭ったら〇一二〇何番みたいに書いて走らせたりとか、そういうことをして実際に市民の目線のレベルで広報するということもしましたし、それから、もう
一つ私が今提案したいのは、これはやみ金事件の被害者ですけれども、やみ金の被害というものは二大ツール、他人名義の携帯電話と他人名義の銀行口座です。その二大ツールを押さえないと被害が減らないんですが、なかなか捜査がうまくいっておりません。
そこで、最近、名古屋銀行が画期的な
システムをつくりました。これは銀行口座の方の取引で、今は窓口の人が怪しい感じかどうかというのを注意しましょうという形ですが、そうじゃなくて、もう
システム的に
お金の出入りで、ふだん全く出入りをしてないような口座にぼんと大きな振り込みがあるとか、全然、多数の違う名義の人から振り込みが来てそのたびに出されているとか、そういう怪しげなものがあったらアラームが点滅するようになっていて、その場合には、間違いないですかと口座名義人に
確認したり、次に振り込みがあるときに窓口で注意したりということで、大分犯罪が減らせているということなんですが。
名古屋銀行、これを開発するのに数千万円掛かったということですが、全国の銀行にそれをつくるとするとどのぐらいになりますかと全銀協さんに聞いたら、いや、もう数十億掛かるからできませんよと言うんですけれども、そういうものの被害防止のための予算にこういう余った犯罪収益というものを使っていくということもあると思いますから、使い道の方もいろいろと考えられるということで、是非この辺は更に御
検討をい
ただきたいということをよろしくお願いをいたします。
それから、次でございますが、今、ワールドオーシャンファームについて全く動いてないというふうなことを言いましたが、これはなぜかというふうに申しますと、実は刑事立件がまだなされていないということでございます。刑事立件もなされていないとこの組犯法上の制度が使えない、これは刑事法でございますから。そうしますと、違法収益が海外にマネーロンダリングで行ったと、アメリカで凍結をしてそれが何らかの
情報で入ってきても、日本
政府は何も動けない、それが日本の
お金なのにということになります。
ここで、これをずっとほっておいたらどうなるんだろうかと申しますと、ほっておくと、やはりそれはその国その国違うと思いますが、いったん凍結したものがある程度になると、それは国庫なり州の予算、歳入にされてしまうと思います。それで、今回のスイスも、非常にゆっくりやっていたために返してもらうのに交渉が難航したということも聞いておりますから、凍結されたらすぐ返してといって返してもらうことが大切です。
そのためには、この組犯法という刑事法だけではなく、行政法や民事法で違法収益を剥奪する制度をつくっていく。すなわち、
消費者庁で
福田総理がおっしゃっている違法収益剥奪制度を
整備していくということが大切だと思います。それについても、先ほどの附帯決議の十二項に、新たな被害者救済の仕組みというものを排除しないと、そしてそれも
検討していくということをしております。
法務省の方が
自分たちのところにある刑事手続以外に、行政や民事の方で違法収益剥奪について
検討していくということについてのお考えをお聞かせください。