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木庭健太郎君 今、福田
内閣の下で消費者行政、消費者を主体とした行政へということで様々な動きが始まっておりまして、私
たち公明党はもちろんですけれ
ども、与党の自民党さんも、そして野党の
民主党さん
たちからも求められた
一つの消費者行政の一元化という問題が今大きく進んで、福田総理自ら消費者庁構想というものを打ち出されている。
今、そういう意味では消費者問題というのがひとつ大きく動いているときだけに、当
委員会にもかかわるような消費者にかかわる問題、どちらかというと
被害者をどう回復していくかという問題が
一つの大きなテーマに当然なってくるだろうと思うんです。特に、当
委員会が消費者行政、消費者行政一元化も含めて取り組むときの
一つの課題は、
違法行為による
被害の回復、
救済、これをどうしていくかという対策の問題が
一つの大きなテーマとして、私は一元化までの間に横たわる問題だと思うんです。
つまり、私
ども法務委員会では、
平成十八年には
被害回復給付金支給法という新規立法をいたしました。組織犯罪処罰法の改正もそのときいたしておるんですけれ
ども、いわゆる一定の犯罪に関する
犯罪被害者については、没収、追徴された
犯罪被害財産を
被害回復給付金として
被害者に給付するという新しい法制度ができまして、一定の
被害回復ができるように
一つのシステムができ上がったわけですけれ
ども。
一つのシステムなんですけれ
ども、この法律でできるのは組織犯罪にかかわるものである、財産犯の問題である、そういうことになってしまうと、財産犯以外の、組織犯罪にかかわらないような犯罪については今は
対象外でありますし、また
犯罪被害といっても、身体・精神的損害は
対象とならないというような問題がいろいろあるわけで、実際これまでの大きな
事件を見ると、豊田商事
事件とか、最近ではリフォーム詐欺とかありましたけれ
ども、いわゆる悪徳商法です。この
被害者は刑事手続では
被害回復が不可能、民事手続で損害賠償請求しようと思ってみても、証拠収集の問題もなかなか大変で、また訴訟の費用の問題も
考えると、現実的には泣き寝入りをしているというのが今の実態でございまして、行政庁がじゃ何かできるのかというと、これは行政
指導や行政処分の権限はあっても、直接
救済に結び付くという権限は行政にも与えられていない。
アメリカ辺りにどんな制度があるかというと、米国では行政である連邦公正取引
委員会とか州政府の司法長官が
被害者に代わって原告となって違法業者、つまり犯罪者です、に対して損害賠償請求訴訟を提起することが可能だと。言わば行政の側が
裁判を訴え出て、違法収益を業者から取ってきて、それを
被害者に配賦するというふうな仕組みが現実にでき上がっているわけでございます。
私
ども、これ
法務委員会、衆参ともでございましたが、先ほど述べたこの支給法を制定する際、附帯決議で実は、
犯罪被害者を含む
違法行為により
被害を被った者の
被害回復を国等の関与により容易にする制度の導入を含めて、新たな
被害者
救済の仕組みについて、諸外国の立法例や損害賠償請求に関する諸施策等も勘案して速やかに所要の
検討を行うことというような、これ附帯決議が当時なされているわけでございまして、そういう意味では、今まさにこの消費者行政が大きく動こうとする今、私
どもの党としてみても、私個人もそうですが、是非とも本格的なこの
被害者の
救済の仕組みづくりというのを今まさに取り組むべきときであって、特にその中でも、いわゆる違法収益の剥奪制度である、またいわゆる父権訴訟の導入の問題である、こういったことに取り組むところになっていると思うんですが。
そういった意味で、まず
法務省にお伺いしたいのは何かというと、我が国の法制度として、この米国のような言わば行政が
被害者に代わって原告となって違法業者に対して損害賠償請求訴訟を提起することを可能としてという、こういう導入の問題ですが、これについてどういう見解を持っているかと。これについては、正確を期して、法的にはいわゆる違法収益剥奪制度、それと
被害者に代わって訴訟を提起、遂行する父権訴訟制度、これは峻別すべきだというような意見もあるんですけれ
ども、両制度をひとつ一体化するものとして、言わば消費者、
被害者というものを主体とした形でこういう制度を我が国へ導入することについて、まず
法務省の見解を伺っておきたいと思います。