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2008-05-22 第169回国会 参議院 農林水産委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年五月二十二日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十日     辞任         補欠選任         亀井 郁夫君     亀井亜紀子君  五月二十一日     辞任         補欠選任         高橋 千秋君     木俣 佳丈君  五月二十二日     辞任         補欠選任         木俣 佳丈君     高橋 千秋君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         郡司  彰君     理 事                 主濱  了君                 平野 達男君                 加治屋義人君                 野村 哲郎君     委 員                 青木  愛君                 一川 保夫君                 金子 恵美君                 亀井亜紀子君                 高橋 千秋君                 藤原 良信君                 舟山 康江君                 米長 晴信君                 市川 一朗君                 岩永 浩美君                 牧野たかお君                 山田 俊男君                 澤  雄二君                 谷合 正明君                 紙  智子君    国務大臣        農林水産大臣   若林 正俊君    副大臣        農林水産大臣  岩永 浩美君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       澤  雄二君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 朝雄君    政府参考人        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       藤崎 清道君        農林水産大臣官        房総括審議官   伊藤 健一君        農林水産大臣官        房技術総括審議        官        吉田 岳志君        農林水産省総合        食料局長     町田 勝弘君        農林水産省経営        局長       高橋  博君        農林水産省農村        振興局長     中條 康朗君        林野庁長官    井出 道雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (ミニマムアクセス米に関する件)  (バイオ燃料に関する件)  (食料自給率の向上に関する件)  (農地政策に関する件)  (飼料価格高騰対策に関する件)  (森林の環境整備に関する件)  (中山間地域農業政策に関する件)  (輸入食品検査体制に関する件) ○食品製造過程の管理の高度化に関する臨時措  置法の一部を改正する法律案内閣提出、衆議  院送付)     ─────────────
  2. 郡司彰

    委員長郡司彰君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、亀井郁夫君及び高橋千秋君が委員辞任され、その補欠として亀井亜紀子君及び木俣佳丈君が選任されました。     ─────────────
  3. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省医薬食品局食品安全部長藤崎清道君外六名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 農林水産に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 平野達男

    平野達男君 おはようございます。平野達男でございます。  今日、一般質疑ということで、米の問題あるいはバイオの問題等々、何点かのテーマについて、脈絡なくちょっと質問をさせていただくかもしれませんが、よろしくお願いしたいと思います。  まず一点目は、MA米扱いについてであります。先般、新聞情報によりますと、フィリピンから二十万トンの米の支援、援助なのか輸出輸入なのか分かりませんが、米を提供いただきたいという要望があったという記事が出ておりました。  そして、このMA米扱いなんですけれども、このMA米につきましては、これまでも平成七年から十九年までのデータを見ますと、援助用で二百二十万トン使っています。食糧援助規約に基づく我が国約束量というのは小麦三十万トン相当、これを米に換算しますと約十九万トンとなっておりますが、毎年これ以上の食糧援助をするというふうに国際的に約束しています。  そこで、質問の第一点目なんですけれども、このフィリピンに対する米の提供なんですが、援助なのか輸出なのか、私はこの輸出援助境目というのが個人的にちょっと分かりにくいところがありまして、輸出でも補助金付輸出なんというのがありますから、これが本当の輸出なのかどうかというのがよく分からない面もあります。ただ、私はフィリピンについては、これは別に災害が起こっているわけでもない、米を買える国でもあるということで、基本的には輸出基本であろうというふうに思っておりますが、これは現在、今どのような方向で検討が進んでおるのでしょうか。
  7. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) フィリピン農業長官アーサー・ヤップから私あて書簡が参りました。その書簡では、ミニマムアクセスの枠組みの下で日本国によって輸入された米のうち、フィリピンで二十万トンの利用が可能となるようにお願いをしたいという書簡が参っておりまして、特に米の生産量が最低となる六月から十月、これはちょうど雨季に当たっております、そこで米の十分な備蓄量が維持されるようにできるだけ早くこのMA米利用を希望するんだという趣旨書簡が私あてに参っております。  この要請の中では、フィリピン政府援助を希望しているのか、商業輸出を希望しているのか、メンションしておりません、明確にされておりません。そこで、我が国がこのフィリピン要請に対してどのような対応をするのかは、まずはフィリピン側の意向というものも確認しなければいけませんが、いずれにしても、援助対応をするのか、商業輸出対応をするのかということも含めまして、政府部内で検討をしていくということを考える、今そんな段階でございますので、方針を決めているわけではございません。
  8. 平野達男

    平野達男君 輸出援助境目というのはどういう基準で判断されるんでしょうか。
  9. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 事象によって本当に困っていると、その困っているのが自然災害でありますとか地域における絶対的な米の供給不足ということが社会不安を起こしているとか、途上国に対する供給につきましては、やはり途上国の困難を念頭に置き、今までの国際的な援助の実態を念頭に置いて個別具体的に判断をするということでございまして、一般的なルールがあるわけではございません。
  10. 平野達男

    平野達男君 いずれフィリピンは今まで米をずっと輸入してきたわけですから、そして今フィリピンが置かれている状況というのは、米は買いたいんだけれども、高いということもあるんでしょうけれども、物が集まらないということなんだろうと思います。  そういう状況を考えますと、基本的には輸出をすると、あとは価格設定をどうするかという問題かもしれませんが、私は輸出基本にあるべきだということをまず冒頭、ちょっと意見として申し上げておきたいと思います。  そこで、ミニマムアクセスなんですけれども、今、日本は七十七万トン毎年買っているわけでありまして、御承知のように世界中で今穀物価格高騰して、米だけ昨年辺りまでは価格は安定していたんですが、今年に入りまして急騰という状況になってきていることはもう御承知のとおりです。ミニマムアクセスにつきましては、昨年度の会計年度に属しますけれども、不落が出たということも報道で、報道でというか当委員会でも取り上げられています。  そこで、予定価格をこれからどのような考え方設定していくのか。予定価格というのは、ミニマムアクセス米についてはSBS米一般入札というのと二つありまして、SBS米主食用ですね。これからのお話一般の米というふうに限定して質問を進めさせていただきますけれども、一般米については、主としてインディカ米だと思うんですが、それを一般入札でやっているということです。  それで、このミニマムアクセスについては、輸入機会提供なのか輸入義務なのかということについては議論がございますが、お手元の資料の一に、平成六年五月二十七日の衆議院予算委員会に出された政府統一見解があります。その中の(2)に、通常の場合には当該数量輸入を行うべきものと考えているということで、通常の場合には、この文脈を読む限りにおいては輸入義務であるというふうに読めます。ところが(3)で、いろんなちょっと異常な状況があれば法的義務違反が生じるものではないと解しているというような規定になっています。  そこで、予定価格質問に入る前に一点、通常の場合にはという、その通常の場合の定義をちょっと教えていただけるでしょうか。
  11. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) まさに、この平成六年五月二十七日の衆議院予算委員会における答弁として政府統一見解を示しております。その統一見解の(3)で書かれておりますが、輸出国が凶作で輸出余力がないなどの客観的に輸入が困難な状況ということもあり得ないわけではない、そのような例外的なケースについて、現実に輸入される数量ミニマムアクセス機会として設定される数量に満たない、そういう機会提供をしてもその数量に満たなかったというような場合については、それだけの努力をしているわけでございますので、その意味で法的な義務違反が生ずるものではないと理解していると統一見解を示しているところでございます。  ここに挙げられましたような例示、(3)に挙げられましたような例示通常の場合以外のケースとして御理解をいただきたいと思います。
  12. 平野達男

    平野達男君 今、米の国際価格で見ますと、最高値として八百九十五ドルでしたか、トン当たり、ということが報告されていると思いますが、データがどこに行ったかちょっと分かりませんが、そういう今高値になっています。  その一方で輸出制限を掛けている国もある、それでフィリピンから二十万トンの米を融通できないかという要望も来ていると。この状況というのは通常の場合に相当するんでしょうか、それともそうでないというふうに判断されるんでしょうか。
  13. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 先ほどの統一見解を示したこの中身というのは、こちらがMA米購入をするときの話なんですね。フィリピンからの話というのはそれは別にしてMA米をどう使うかという話でございますから、そういう意味では違うと思うんですけれども。
  14. 平野達男

    平野達男君 私の質問趣旨は、今までフィリピンは安定的に米を輸入していた、それができなくなっている状態が一つありますねと。それから、米の価格が異常な価格高騰していますねと、こういうのは通常状況なんでしょうかと。こういう米をめぐる国際環境が非常に変わっていますねと、このような状況をこの文脈で、(2)でいった場合の通常の場合というふうに相当するんでしょうかどうかという質問です。
  15. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) これは切り口が違うわけですから、この政府統一見解における(3)の、あるいは(2)における通常の場合で、フィリピンから今要請があり、どういうふうにこれにこたえるのかということを検討する場合とは、これ面が違いますからね、これを引いて、これに当たるのか当たらないのか、通常の場合なのかどうなのかというようなのは、ちょっと議論の場面が違うと私は思いますがね。
  16. 平野達男

    平野達男君 前回不落になったのは予定価格に満たなかったということですよね。この予定価格に満たなかった状況というのはそれだけ米の価格高騰しているからです。あれが通常の場合でないということで不落であって、最終的に七十七万トンの割当てがあった中で七十万トンしか買わなかったということになりますと、この文脈によりますと法的義務違反が生じるということになっちゃうんですね。だから、法的義務違反が生じない状況というのは一体どうなのかということなんです。
  17. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) フィリピン状況ではなくて、輸入をする場合に、こちらがオファーをしてこれだけの、六万トンなら六万トンの輸入をするので、買うからというような場合ですから、フィリピンのこととは違うと私は思うんですよ。だから、フィリピン事情が、常に輸入をしているというそのフィリピン輸入国としての立場というのはそれはそれとして、フィリピンがどういう困難な状況に陥っているかというようなことを判断をするということになるわけで、このケース統一見解における通常の場合云々というのとは関係がないというふうに思います。
  18. 平野達男

    平野達男君 あのね、ちょっと分かっていて答弁をずらさないでいただきたい。ちゃんとこれ通告していますから、これは。  通常の場合というのは、今これだけ米価格高騰している、米も集まらない、フィリピンも今米の輸入に困っている、こういう世界の米をめぐる状況が大きく変わっていますねと、今こういう状況がここで言う通常の場合に相当するんですかどうかということを聞いているんです。フィリピンの話を聞いているんじゃないですよ。──大臣が答えてくださいよ、大臣が。大臣だよ、大臣
  19. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) いや、フィリピンの話をされて、フィリピンが買おうと思っても買えないという状況ということを例に言いましたからね、委員が。そこで面が違うと、こういうお話をしたんですが。  この今の、主としてこれ長粒種オファーをしたんですけれども、オファーをした長粒種市場というのはタイ価格指標としてこちらは長粒種購入をするわけで、その意味で、今異常な高騰状態にあるということでそれを入手するのは困難な事情が出ているということを考えれば、通常輸入する場合の価格設定では買えないという状況になっているんですが、にもかかわらず、我々は通常輸入適正価格ということを想定して予定価格念頭入札提供をしたわけですから、一般論として、今後どうなるかはともかくとして、我々がオファーをして輸入機会提供したことが実現できないからといって、これは例外的な扱いの下で義務違反になるというふうには考えていないと、こう申し上げたいと思います。
  20. 平野達男

    平野達男君 要は、これは入札価格輸入義務だというふうに感じますと、予定価格を上げたら必ず輸入できるんですよ、予定価格を上げれば。そして、今、先ほど言いましたように、トン当たり八百九十五ドルという今最高の価格になっていると。  このような状況の中で、資料をもう一枚めくっていただきますけれども、平成七年から十九年度のミニマムアクセス米輸入数量及び輸入価格ということで、下のミニマムアクセス米輸入価格が、過去三年間で見ますと一般輸入分、五十四円、六十二円、七十三円というふうに上がってきているわけです。さあ、これからどうするかという話です。  今、米の価格が非常に高くなっているときに、ミニマムアクセス米輸入するという義務があるということで考えたら、予定価格を上げなくちゃならない。しかし、上げて輸入すれば、大臣が何回も主張されているように、米の国際指標価格というのは薄いですから、そこに高値の要するに入札予定価格設定して入札したら、更に国際価格に、米の価格高騰に拍車を掛けることになりかねないと、そういう問題があるわけでしょう。その問題を大臣は、今そういうふうに言っていますけど、十分分かっておられるはずですよ。さて、これからどうしましょうかって話です。  本当に輸入義務だということで輸入機会提供するだけじゃなくて輸入しなくちゃならないというんであれば、国際価格は、繰り返しますけれども米の価格は上がっていますから、予定価格は多分七十三円とか何かじゃなくて、八十円とか九十円ぐらいに設定しないと落札しないはずです。さあ、そういう価格設定しますかどうかという話です、これから。  私は、先ほど大臣の言う限り輸入機会提供と言っているんだから、その提供するというのはこれは大事です。ただし、予定価格につきましては、今の価格状況というのは、国際価格状況というのは通常の場合とは随分逸脱しているんじゃないかと。だから、この予定価格設定については別な考え方で、買うということではなくて、もちろん買うということなんですけれども、予定価格設定の仕方というのはある程度の配慮があってしかるべきではないか。結果として不落になるかもしれませんよ、不落になってそれはいいんだと思うんです、日本はどうせ買ったって主食用に回さないんだから。  そういうことに対して大臣はどのようにお考えになるかという、このミニマムアクセス米の今日の質問の核心のところだと思っていますが、どうぞお答えをお願いします。
  21. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) まあ今の状況を前提にお話しになっておられますけれども、今の状況通常の場合に当たるかどうか、あるいは例外的なケースに当たるかどうかという、そういう問題としてとらえますと、実はこの解釈、そして国際市場のこれからの先行きの見通し、そして今高騰している事情、要因といったようなことを分析しているわけですけれども、これらについては関係の部局と協議をして決めなきゃならないわけで、私自身の判断でこうだというようなことが言えるような状況ではございません。政府部内で今検討中でございます。
  22. 平野達男

    平野達男君 いずれ大臣考え方をお聞きしたいわけでありますが、繰り返しになりますけれども、これはもう大臣も何回も指摘しているとおりです。米の生産量に対して国際市場での流通量は非常に小さい、米の国際市場は非常に薄いわけです。その中で七十七万トンの米を日本輸入している。そして、日本は金がありますから、予定価格を高く設定したりすることもできるわけです。予定価格を高く設定すれば米は買えます。  しかし、こういうことをやるんでしょうかどうかということについては、今政府部内で検討中だというお話でありますけれども、やはり考え方をしっかりまとめて、もう会計年度変わっていますから、ミニマムアクセス米でまたこれから、さあ買います買いますということで公募しなくちゃならない状況が来ると思いますんで、米の価格が下がればいいですよ、ミャンマーがああいう状況になって非常に大変だという一方で、タイはまだまだ生産余力があるんじゃないかという、そういう指摘もありますから、まあどうなるか分かりません。  ただ、こういう状況が続いている、米の価格が高い状況が続いている中で、主食用に回さないというのは余りここでは、余り大きな声では言えない話なんですが、そういう米を高値で買い続ける、それが要するに米の価格国際市場に与える影響というのは決して小さくないはずなんですね。これは私はかくかくしかじか、こうなんだというふうに、予定価格というのはそんな高い価格設定しませんということは、十分私は理解が得られるんじゃないかというふうに思います。  ワシントン・ポストは早く米を放出しろという何か異例の論説出しましたね。自分の国のトウモロコシバイオエタノールの転用を棚に上げて、随分よくあれだけよその国の批判できるなというふうにも思いますが、フィリピンに米を出す、援助をする、あるいは輸出する、私は輸出すべきだと思いますが、これはいいと思います。  と同時に、これだけの状況になったんだったら、ミニマムアクセス米の一定の部分については、当分、結果としてですよ、結果として不落が出ましたから輸入はできませんでしたという状況を堂々と説明するような状況があっても私はこれはいいんではないかと思います。大臣、コメントを一言お願いいたします。
  23. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 繰り返すようでございますが、このことがもう例外的な今の状況、どこまで続くかといったようなことも見極めなければなりませんし、それらの状況がこの分析の結果、これらの状況を踏まえながら政府部内で協議して決めるという性質のものだと思っております。
  24. 平野達男

    平野達男君 是非、大臣主導権を取って、こう思うということでやっていただければありがたいと思いますし、今日はその考え方をちょっとお聞きしたかったんですが、なかなかやっぱり大臣慎重ですから、この質問はここでやめさしていただきますけれども、私の主張は先ほど言ったとおりです。  要するに、日本も食べる米で困って輸入するというのならいいんですけれども、そういう状況じゃないですから、よく考えて対応をしていただきたいと思います。  米に関して、これは通告していませんでしたけれども、ちょっと別な質問をいたします。  今日の日本農業新聞全米販、要するに全国米穀販売事業共済協同組合主要銘柄の出回りが不足しているとして農水省に政府米販売再開要請したという記事が出ていました。これは事実でしょうか。
  25. 町田勝弘

    政府参考人町田勝弘君) そのような事実、ございます。
  26. 平野達男

    平野達男君 要は、これはどうも今現場では米の品不足が問題になっていまして、今朝も農林部会で、私どもの部会の中で出たんですが、米の価格が随分上がっているそうですね。特にコシヒカリとか、ひとめぼれとか。今上がったって、米の価格が上がった分は農業者にもう転嫁されませんよね。だれがもうけているかといったら多分全農がもうけているかもしれません、あるいは卸がもうけているかもしれません。非常におかしな状況ですよ、これは。  こんな状況が、要するにこれが、この農業新聞記事が正しいかどうかは知りませんが、その背景にあるのは三十四万トンの政府の買上げがあるとも言っています。需給をタイトにしたとも言っている。  私は、世界中穀物が上がっている中で、米の価格が、生産者の話は別として、安定的に推移するというのは日本は非常にいい状況だと思います、消費者にとっては。世界の中ではこんな国ないでしょう。アメリカだって今トウモロコシ価格が上がっているし、小麦価格が上がっているんですから。日本だけですよ、多分主食が、価格がこういう形で推移しているのは。ただし、生産者は大変ですね。生産者は大変ですけど、今こういう状況の中で、サラリーマンの給料も上がらない、小麦も上がる、大豆も上がる、しょうゆも上がる、みそもマヨネーズも上がる、その中で主食の米が、米価が上がっていかないというのは、生産者にとってはつらい話ですけどね、これは大変いいことなんだと思います。  ところが、こういう状況の中で、米があるにもかかわらず品不足が起こっているという状況は、これは大変な状況ですよ。これはこれからどういうふうに対応されますか。
  27. 町田勝弘

    政府参考人町田勝弘君) 御要請背景となっておりますのは、いわゆる卸間売買、卸売さんの間の売買で先ほど言ったように一部銘柄で上がっているということで、そういった御要請があったというふうに承知しております。  昨年買い入れましたこの三十四万トンにつきましては、備蓄米市場への放出は当面原則として抑制するというのが昨年定められました緊急対策となっているわけでございます。こういった御要請もあります。また米の価格、また今の価格状況、そういったことを踏まえて総合的に勘案して、今後適正に対応してまいりたいというふうに考えております。
  28. 平野達男

    平野達男君 いずれ、これから一時やめていた政府米の、今中止している政府米の放出、最終的に放出したらまたそれを放出した分だけ後で買い戻せばいいわけですから、これは私はもうやったらいいと思いますよ。ここで、こういう米不足があるにもかかわらず、米不足が原因で要するに小売価格が上がっているということに対しては、これはやっぱり政府はすぐ動くべきですよ。米の価格が下げ止まっているからといって三十四万トン買い上げて、十万トンの飼料米はといってあんなにぶち上げておいて、こういう状況に対してはやっぱり迅速に対応すべきだと思いますよ。と同時に、やっぱり生産者困るから、その部分もやっぱり併せて考えにゃいかぬと思いますが。  今のこの米の小売価格の上がっていることに対しては農家には全然、ほとんど多分利益ないはずですから、そのことも併せて指摘しておきたいと思います。  大臣、この販売再開、今これから検討ということでしたけれども、すぐに対応すべきだと思いますが、どうでしょうか。
  29. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 平野委員は、この三十四万トン買い上げて一応低下傾向について歯止めを掛けた、それは対前年に比べてまだまだこんなに低いじゃないかと、やっぱり米価は低い、だから米価のベースをもう少し、生産者の生産費なども考えればもう少し、せめて前年産米ぐらいまでの水準に行くということが期待されるんじゃないかという、そういうベースをお持ちであると僕は思うんですよ。そのことについては私も共有しています、認識は。  そういうことで考えますと、一時的に今米の需要を拡大していかなければ、米の新しい需要を拡大していくということによって需給関係タイトにして、価格にもそれがいずれ反映していくということを期待しているわけで、今いろんな形で、米需要の消費拡大あるいは新しい米商品の開発というようなことに政府側は、私も先頭に立ってアピールしているんですね。それで少しずつ効いてきたかなと。  例えば米粉の消費をパン屋さんとか、めん類の関係の人にもアピールして、今後それを大いに拡大していきますよというようなアナウンスをしたり、えさ米なんかもそうですね。そういうことによって米の潜在的需要というのを顕在化させながら、もう少し米の需給を反映したような価格水準になっていいんじゃないかなという気持ちを私は持っておりますので、もう少し今の米の価格の動向というのは注意深く見させていただきたいと思うんです。  業界の卸売間の取引でこれは上がっていると、こういうことですから、そういう価格が今どこまで上がっているのか、それはどういう状況で続いていくのか慎重に調べてみないと、言われたから、ああそうか、困っているから出してやるかというようなわけにはいかない。ベースは、私は平野委員と認識は同じベースに立ってこれに取り組んでいこうとしているということを是非御理解いただきたいと思います。
  30. 平野達男

    平野達男君 是非本当に実態を調べていただきたいと思います。  実は、私も現場を見て今日質問しているわけではなくて、今日の部門会議のときにそういう話が結構出まして、上がっているらしいですね、本当に小売価格が。そこでちょっと今日こういう質問をあえて質問通告なしにさせていただきました。  じゃ、質問通告した質問に戻らせていただきます。  バイオの燃料の話でありますが、洞爺湖サミットが迫っておりますけれども、アメリカで行われているトウモロコシからエタノールを造るというこのことについて、日本は本当にどのようなスタンスで臨むのかということに対しての質問であります。  今アメリカは昨年産のトウモロコシの約四分の一をエタノールに回したというふうに言われていまして、まだ蒸留施設をどんどん造っていて、将来的にまだまだトウモロコシからエタノールに回すということは国家の政策として、アメリカの国の政策としてやろうとしているというふうに聞いています。オバマさんもクリントンさんもこれについては賛成であると言っているようですね。マケインさんも、負けるんか負けないか、名前だけマケインですけれども、マケインさんも最近になってやっぱり賛成だと言い出していまして、どうもアメリカはこの方向を、この方策を進めようとしているように見えます。  加えて、農務省が、シェーファーさんが公式ブリーフィングということでトウモロコシをエタノールに回すことに対する影響についての分析をやっていまして、これは五月の十九日ですから最近ですね、ブリーフィングをやっています。これを見ますと、トウモロコシ価格が五〇%上がったとしても、CPI、いわゆる消費者物価指数についてはレス・ザン・ワンパーセント、一%以下だというふうな数字でありますとか、それからトウモロコシ価格そのものの上昇の三分の一でしたか、が要するにエタノールの回したことによる影響だとかという、かなり数字の分析をしております。  まず、この分析について、多分大臣お忙しいから余り読む暇も、時間もなかったかと思うんですが、もし読まれていたとすれば、このUSDAのシェーファーさんがやった公式記者発表についての御見解をちょっとお伺いしておきたいと思います。
  31. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) シェーファーさんが記者ブリーフをしましたその発言についてはもう委員も御承知、私もそれは読んでおります。  そこで、これに対しましては、今様々な議論が激しく行われておりますが、このバイオ燃料を肯定をするという立場は、EUのボエル委員などは肯定するという立場のようでありまして、食料価格高騰の主な要因は新興国の需要の増大や天候不順あるいは投機であって、バイオ燃料の影響は小さい、また食料価格高騰は長期的には世界の貧困層の七、八割を占める途上国の農村地域住民にプラスになるんじゃないかというような、EUのボエル委員はそんな見解を持っているようであります。  それに対しまして、国連の事務総長の特別顧問をしていますサックスさん、これはハーバード大学の学者でもあるんですが、この方は、食料価格がこれだけ高騰した以上はバイオ燃料を促進する政策ということについては再考すべきじゃないかという見解を持っております。世銀もややそういう見解のようでございます。  中立的な立場で発言をしていますのはイギリスの首相でありまして、ブラウン首相は食料と環境に与える影響を注意深くなお検討する必要があると、こういう見解を示しているところでございます。  我が国も、一体どうなんだということをいろんな場面で我が国の考えを述べていかなきゃいけない場面があると思うんです。近くではTICADⅣがあります。アフリカ、ここでまず食料問題というのが議題になってまいります。私もそこで講演をすることに、あいさつすることになっているんですね。その後FAOのローマでまた会議で、これは食料サミットと称して、国連の総長が世界の主要国に首脳が来てもらいたいということを言っていまして、今のところ、総理は三日の日はFAOの総会に出たいと、出るということを前提に今調整をいたしておりますから、そこでの総理の発言というのはそれなりに大きな意味を持ってくると思うんですね。そして、私もこの会議には出ます。その後OECDがパリでその翌々日ありまして、そこでも食料問題を議題にするということになっております。というようなことを通じまして、そしてサミットにつながるということになります。  私の今考え、そしてまたその考えは関係の省庁にも申し上げているところでございますけれども、事実の問題としてバイオ燃料の生産が食料供給と競合する場合は確かにあるわけですね、事実として言えば。そういうことも、そういう事実を踏まえれば、原料を食料作物に求めない第二世代のバイオ燃料の実用化に向けた努力を強化していくことが必要であり、バイオ燃料生産を持続可能なものにするという意味ではそういう方向を求めるべきではないかということを、そういう求めていく必要があるという姿勢で見解を述べていきたいと、こう考えているところでございます。
  32. 平野達男

    平野達男君 まず私は、このUSDAの公式見解に関して言えば、日本もGDPに占める食品産業というのはGDP比で大体八十兆だったというふうに記憶しています。その中で、オンファームレベルというか、農家に渡るのは大体一〇%以下ということで、あとはみんな付加価値なんですね。  それで、アメリカは、トウモロコシにしても小麦にしても、更に加工に加工して流通してあちこちで、かなり日本よりももっと手を加えているんじゃないかということで、その製品の、トウモロコシそのものの価格は上がったとしても、実はそれは流通段階の末端の、パンにしても何にしても、流通、加工に占める、価格に占める流通経費とか人件費の価格が高いものですから、CPIには余り影響しないんだろうと思うんです。  日本も、先ほど言ったように、八十兆あると言っても、農家のレベルには一〇%以下しか行かないということで、小売店で売っている食品あるいは食堂で食べる食品というのは流通経費あるいは人件費、それが全部上乗せされて私たちはお金を払っているということですね。  ところが、開発途上国は全然違いますね。開発途上国はそんな加工には余りお金掛けないわけです。トウモロコシ価格がぼんと上がってしまいますと即生活に影響するという、その度合いが全然違うんだろうと思いますね。そういうことに関しては全く言っていないですね、USDAは。  私は、こういうことの問題はやっぱりきっちり言っていくべきだと思いますね。これはアメリカ国内だけの問題を言っているだけの話で、この価格が上がったことによってCPIが一%以下の影響しかないとかというそういう問題じゃなくて、開発途上国に行ったらどれだけの影響があるんでしょうかという話とか、こういった問題はこの公式の見解に対してのもしコメントということであれば、そういうことをやっぱり指摘すべきだと私は思います。  その上で、大臣に改めてお伺いしたいのは、我が国は、何というんでしょうか、セルロース系のものでやるべきだという姿勢は分かるんです。先ほど言っているように、穀物からエタノールを造るということは現に進んでいるし、アメリカはもう拡大をしようとしているわけです。  私はアイオワ州というところに二十数年前に二年間いまして、アイオワ州はトウモロコシと大豆の大生産国、生産国というか大生産地でありまして、あそこから世界中穀物輸出していた。ところが、あそこにエタノールの生産工場がいっぱいできたために、逆にアイオワは今アイオワ・レベルで見るとトウモロコシ輸入地域になっているというぐらいの指摘があるぐらいエタノールの生産を進めているわけです。このことに対してどういうふうに言うかということなんだろうと思います。  アメリカは、エタノールにするために例えば一ガロン当たり五十一セントの補助金を出しているとか、それからブラジルから要するにエタノールが入ってくるのを防ぐために高い関税障壁を設けているとか、いろんなことをやっているわけです。こういった保護をやってエタノールを造って、かつまた穀物価格高騰を招いていると。それはすべてがエタノールが原因じゃないんですけれども、こういう状況に対して我が国としてアメリカに対してどういうことを言うんでしょうかという質問なんです。
  33. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 具体的に今お話、アイオワの方でトウモロコシが不足して、むしろ畜産農家などだと思うんですけれども、それを外から入れなきゃいけなくなっている、さあそういう問題を起こしているじゃないかと。これはある種の国内問題だというふうにそこは考えていって、それに対して一つ一つ我が国が注文を付けるということになりますと、今度我が国のいろんな農業政策について、やっぱり考え方が違うよ、こうだよといったようなことをいろいろ注文を付けられるというようなことにも、政策の中身について注文を付けられるというようなおそれもあるわけですね。  そこはやっぱり国際関係として、それぞれの国が国内で取っていることについては、一応注意を促すということはありますが、微に入り細をうがってその事実を挙げてそれを追及していくというようなまだそんな場面ではないというふうに考えているわけでありまして、その意味では、持続的に石油という資源への依存を減らしていくという大きな方向の中でバイオというものに着目をして、そのバイオ生産を代替エネルギーとしてやっていくという方向が出されているわけですけれども、そういうことが持続的に石油代替エネルギーとしてバイオが進められるということをするならば食料と競合をすると。現に今競合をしているという事実をとらえて、そういうことを避けるためには、原料を食料作物には求めない、そういう方向に努力すべきであると。ここは、別にアメリカだけではありませんから、そういう姿勢を国際的な場において主張をしていくというつもりでおります。そのことは、やはりアメリカ自身も、日本がアメリカが今取っている政策について批判的であるという理解は当然のことながらされることになるというふうに思っております。
  34. 平野達男

    平野達男君 いずれ石油価格がまだ高くなるということでありますと、やっぱり大豆からエタノールへの、大豆はディーゼルですけど、トウモロコシやら大豆からのエタノール化というのは、経済的な動機からするともっともっと高くなってくるはずです。しかし、そうやればやるほどまた穀物価格高騰に拍車を掛けるというような問題があって、いずれこの問題についてはどこかでやっぱり、今大臣答弁の中にありましたけれども、競合する部分については抑制をしてもらうというような、そういった働きかけを強くやっていくべきだと思います。  アメリカは、もう御承知のように、トウモロコシ、大豆作るのに相当の補助金出しています、今まで出していました。出していましたけど、今価格が上がっているものだから、新しい農業法が制定されるときに、今度は制定されたみたいですけど、どれだけ補助金出るか分かりません。少なくとも、今までの補助金よりは少なくて済むはずです。その軽減された補助金を今度はエタノールの方へ、多分あっちの方に回しているんじゃないかという、補助金に回しているんじゃないかという指摘もありますし、現に今エタノール生産に対しての補助金を出しているわけですから。こういう、アメリカ一国内の中では見事に完結しているわけですよ。消費者物価に対する、CPIに対する影響も少ない、農業補助金も削減できる、いいことばっかりですよ。だけど、そういうことをそのままやられてしまったんでは、やっぱり食料の問題がある。  あと、今日は時間がありませんから言いませんけれども、ライフサイクルアセスメントからいきますと、本当にカーボン、炭素の発生量を抑えられるかどうか、これもまだまだ議論がありますよね。こういった様々な議論がある中に拡大をさせる、するんだということに対しては大変な危惧を持っているんだということは、私は是非強く主張していただきたいと思います。  最後に、簡単でいいですからコメントをお願いいたします。
  35. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 先ほども申し上げましたように、これから次々と国際的舞台がございます、食料問題をめぐっての意見交換の場があるわけでございます。そういう場を中心として、先ほど申し上げましたような我が国基本的な立場と考え方ということはしっかりと伝えていきたいというふうに思います。  同じような考えを持っている輸入国も影響を受けているわけですから、そういう輸入国などとの連絡を取り合って、協調して動くような場面ができてくるということが私は好ましいと、こう考えて、働きかけをしていきたいと思っております。
  36. 平野達男

    平野達男君 この件に関しての質問はここでやめますが、本当にアメリカでトウモロコシのエタノールを回すことによる影響というのはブラジルまで及んでいるというようなことも言われていまして、御承知のように、アメリカは大豆とトウモロコシを一年おきで作っていますが、トウモロコシの生産面積が拡大してきたら大豆が不足してきちゃったと。大豆がそのおかげで高騰してきたら、ブラジルが生産を始めたということですね。ブラジルが生産を始めるのに何をやったかといったら、今までの採草放牧地を畑地転換にするということで、そうしたらランチャーがそれで困っちゃったものだから、熱帯雨林を今度は焼き畑して、要するにそれを採草地に変えているというような、そういったことをこの間のタイムか何かの雑誌にずっと書いてありましたけれども、風が吹けばおけ屋がもうかるじゃなくて、例えじゃないですけれども。  アメリカの影響が本当に、リップル効果じゃないですけれども、いろんな形で出ているということもありますので、是非この問題は、アメリカを責めるというんじゃなくて、環境の問題、食料問題を考える一つの大きなテーマとして一緒に考えてもらうということでやっていただきたいと思います。  次のテーマに移ります。  農業白書、久しぶりに今年の農業白書を私は真剣に読みました。さすがに世界状況についてはきっちりとした整理がしてあると思います。世界の食料事情が非常にタイトになっているんだということで、現状分析はきっちりやって、かなり警告を発するような、危機感を発するような、国民に情報発信するような内容になっていると思いますが、じゃ、しからば本当にそれに対してどういうふうに対応するかということに対しての具体策は相変わらず、これはなかなか財政問題があるから難しいと思いますけれども、なかったように思います。  次の質問は、自給率の向上ということに移らせていただきますけれども、この白書の中でも自給率の向上ということをはっきり言っていたかどうかちょっと分かりませんが、要するにこれから食料供給力は確保しなくちゃならない、強化しなくちゃならないということは言っていたと思います。政府の方も、三九%から四五%まで自給率を上げると言っている。  大臣、自給率を上げるには食生活の改善という方向が一つあります。米を一人当たり年間五キログラム消費上げますと、それだけで自給率は二%上がるというふうに言われています。こういった食生活を変えるという方向が一つあると思います。二つ目は、何といっても、輸入している作物を国内で作るということが基本だろうと思います。大臣はこの考え方についてどのように思われますか。
  37. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) やっぱり自給率を上げるのはもう絶対的な命題だと思います。もちろん、基本計画の中に示したように、五〇%が望ましいという基本的認識もその中で挙げながら、実現可能性ということを考えると具体的に四五%だというふうに政府は決定をしているわけですね。でありますから、実現可能性を考えて四五と決めたんですから、これをどうしても実現しなければならないと、私はそのような使命を負っていると思っているわけでございます。  その場合には、やはり生産と消費と両面で総合的な対策を取らないと、消費の方が今のような消費動向、消費傾向をそのままにしておきながら、国内で輸入の原材料までも作って自給率を上げるというのは、努力はしたとしても、そう大きな効果がそれだけでは出てこない。例えば油脂なんかそうですね。だから、両面であらゆる可能性というものを追求をして、両面でやっていかなければならないと思います。  そういう中で、やはり考えていかなきゃいけないのは、消費の面はもう私も何回か申し上げておりまして、それはもうよく分かったと、こうおっしゃっていただいておりますから、日本型食生活をどう国民運動の中で広げていくかという問題はちょっとおいておきまして、生産の面でいえば、やはりえさですよね。飼料穀物をまずこれだけの輸入をしているものを国内でどう対応するかとなると、ホールクロップサイレージだとか、そういう穀物を使わなくてもできるような、そういうものの飼料作物を生産していく、あるいは自給飼料としての牧草利用というものを進めていくことを強力に進めていくと。さらに言えば、食品残渣なども、エコフィードとしてそれを使っていくと。つまり、えさの部分をできるだけ国内のもので対応するということがまずなければならないと思います。  米の面でいえば、やはり主食、いわゆる御飯需要以外の米の消費が膨らんでいくことを前提にしながら、そういうようなものに合った多収の品種というものの開発をしながらそれを普及していくと、そういうことがベースになると私は考えております。それに全力を挙げて、はっきり言えば工程表でも作って取り組むというようなことにしないと、これは四五%の達成は夢物語みたいになっては本当に責任を負い切れないということになりますから、責任を果たすためにもちゃんとしたプログラムを作っていきたいと、こう思っております。
  38. 平野達男

    平野達男君 工程表は大賛成です。是非それは作っていただきたいと思います。  ただ、これは農業者戸別所得補償法案の審議のときにも私どもも何回も申し上げたとおりでありますけれども、いずれ飼料作物を増産するにしても、あるいは米粉の普及拡大を図るにしても、何らかのやっぱり生産費と市場価格との差といいますか、一種の直接所得補償をしてやらないとなかなか進まないんだろうと思います。  ちなみに、米に関して言いますと、えさ米でやるよりは米粉でやった方がコスト的には政府のコストは多分少なくて済むというような感じはします。ただ、本当にそれが普及するかどうか分かりませんが、そういった考え方があるんだろうと思います。  私が言いたいのは、工程表を作るのであれば、私は、自給率を上げるのにはコストが掛かりますということをそろそろはっきり言うべきだと思います。コストを掛けないで、お金を掛けないで自給率を上げるなんというのは、食生活の改善とか何かはありますけれども、輸入しているものを国内産に置き換えるわけですから、これはコストが掛かるんだということをそろそろ政府としてもまじめにやっぱり取り組んで出すべきじゃないでしょうか。もちろん、財政当局とかなんとかという政府部内のいろんな問題があるかとは思いますけれども、これを出さないと私は現実味がないと思いますよ。  私どもは一兆円という金を出していろいろ批判も浴びましたけれども、米を除いて一〇%上げるのに七千億という数字をはじき出しました。麦、大豆を想定してやった数字なんですが、あの数字がもし正しいとすれば、一%上げるのに七百億掛かるわけです。今、内外価格差が縮まっていると思いますからそんなに掛からないと思いますが、いずれそういったコストというものをそろそろ数字として出さないと、私、生産者消費者もぴんと来ないと思います。三九%を四五%に上げる、自給率を上げる、供給力を上げるはいいんですけれども、このコストが掛かりますよということを国民にもちゃんと示すということをセットでやっていかないと、これは政府の責任も私は果たしているとは言えないと思うんですけれども、大臣のコメントをお願いいたします。
  39. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 今委員が御指摘になり、また委員のお考えをお述べになりましたこともしっかりと受け止めた上で、責任ある対応をしなきゃいかんと、私はそのような覚悟を決めているわけでございます。
  40. 平野達男

    平野達男君 覚悟を是非形として出していただくよう強く要望しておきます。  そして、こういうことも併せて、例えば耕作放棄地が今三十九万ヘクタールとかいろいろ問題になっていますが、大臣、この耕作放棄地を、これあきらめるということはもちろんないわけじゃ、このようにほっておくというのはまずいと思いますが、この耕作放棄を農地に戻すということに対しては市町村なんかは本当に今困り果てている感じが私はします。  それはなぜかといいますと、耕作放棄地を戻すのにまずコストが掛かる。コストが掛かるだけじゃなくて、作るものがない。こういう中で一生懸命に、要するに耕作放棄地解消解消というふうに政府言っていますけれども、この旗印を下ろすことはこれはやっちゃならないと思いますが、これ、今の要するに、やれやれやれ、耕作放棄地解消する解消すると言うだけでどれだけ実効性があるのか。大臣、コメントをちょっと簡単でいいですからいただきたいと思います。
  41. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 容易ならざることだと思っております。だから耕作放棄地を、今年からですけれども、もう全筆実態を、状況調査して、それぞれその地域でこれをどうやったら利用できるかということをしっかりと地域関係者と協議をしてもらって決めていきたいと思っているんです。  ただ、三十八万ヘクタール余、これはすべてが農業用の利用というわけにいかないかもしれない、そこは。そういうようなことをもう率直に認識をした上で、場合によってはそういうようなことが、採草放牧地その他で利用、これも難しいというようなことになれば、やっぱり中にはそれを林地に戻さなきゃいけないような場面も出てくるかもしれない、三十八万ヘクタールのうち。それが実際、どの程度の割合でどうなのかということをこの二十三年度までには、調査はもうすぐ今年から手を付けまして、二十三年度までにはしっかりと全体についてやりたいと思いますが、少なくとも農振法上の農用地区域の中はもう完全に耕作放棄地がないような状況にしたいと私は思っております。
  42. 平野達男

    平野達男君 いずれ土地利用という観点だけから見たら、それは確かに耕作放棄地はない方がいいに決まっているわけです。しかし、実際問題として、先ほど自給率の話にも関連しますけれども、作ってももうからないというのが、もうこれは現場の要するに一番の問題ですよね。ここに対してめどを付けない限りは、市町村を何ぼたたいたとしても、この耕作放棄地対策がやっぱり解消というのはなかなか動きにくいということは、もうこれは大臣も重々御承知のとおりだと思います。  私は、むしろ問題なのは、今耕作放棄されている農地をどうするかということも問題なんですけれども、今耕作されている農地がこれ以上それが耕作放棄地にならないようにするという方がよっぽど大事だと思いますよ。この問題も、私は農業者戸別所得補償法案の中で何回も指摘させていただきましたけれども、高齢者がかろうじて守っている農地が結構ありますよ。だから、三十九万ヘクタールの耕作放棄地対策じゃなくて、現場では、今こうなっている農地をどうするかというので、そちらの方にもう大変なんですよ。市町村は、そこで耕作放棄地対策と言われるものだから、さあどうしましょうかって頭抱えていると。それよりも何よりも、繰り返しますけれども、繰り返しになって恐縮ですけれども、今耕作されている農地を地域としてどうやって守っていくかという方に集中しないと、問題はもっともっと深刻化すると思いますよ。  耕作放棄地は解消というんじゃなくて、もし大臣の言葉で言うならば、捨てるところは捨ててくれとは、はっきりとはなかなか言いづらいと思います、政府ですから。そういう方向性をはっきり出した上で、今ある農地をどうやって守っていくかということの方が大事だということで、そちらに政策を私は集中すべきだと思いますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。
  43. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) それは両方大事なんですよ、本当に。  だから、耕作放棄地もその状況はみんな千差万別ですからね。利用できるものはもう一度農業的な再利用をするということを進めながら、今ある農地をどうやって農業的に有効に利用するかと、有効に利用するにはどうしたらいいんだと。高齢化が進行していく中で、そのことを課題にしながら、私どもの方は農地制度の改正について具体的に取り組んでいるわけでございます。  そういう中で、農地の有効利用利用効率を高めていく、有効利用を進めるという視点で、制度的な検討も含めて真っ正面から取り組んでまいりたい、こう思っております。
  44. 平野達男

    平野達男君 お考えは分かりましたけれども、いずれ耕作放棄地がなぜこれだけ増えてきたということに対してメスを入れない限り、この問題はやっぱり解決しないということだろうと思います。この問題意識については、多分共有されているんではないかと思います。  そこで、今大臣、農地制度の見直しということをおっしゃられましたけれども、最後一問、利用設定、農地の利用設定ですけれども、これを株式会社に、今は特定の地域だけに認める制度になっていますが、そういった条件を取っ払いまして、利用設定を農振地域、平場であろうが、中山間地域であろうが、株式会社に利用設定を認めるということについては賛成でしょうか。
  45. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 利用設定という、行政が介入をしながらやるという手法のみではないと私は思っておるんです。  そういう利用設定の問題も含めまして、貸し借りについては、原則的にはもう障害がないというような形で貸し借りを進めていくという方向に向かって制度の検討をしていかなきゃいけない。これはまあ相対が基本になるわけですが、その相対に当たって、それをあっせんしたり、相談に乗ったりするという機能は強化しなきゃいけませんが、やはりそれぞれの土地所有者と土地を利用したいという人との間の言わば接点というものを拡大をしながら、利用しやすいような制度的な設計をしていく必要があると、私はそう思っております。
  46. 平野達男

    平野達男君 要するに、農地の貸し借りに株式会社の参入を認めるということ、そういう方向で検討するということでよろしいんでしょうか。
  47. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 今それは政府部内で検討中でございますし、また自由民主党では農地制度の改正のプロジェクトチームができて、かなり検討を進めております。そういうような皆さん方の意見をよく聞いて、一番現実的に効果のあるような対応をしていかなきゃいけないと、これが最終的な考え方であります。  私自身は、今も申し上げましたように、その際には問題提起としてそういう原則的には貸し借りは自由にしていくという、非常にラフな言い方ですけどね、そういう方向でひとつ御検討いただけないかというふうに問題提起をしていきたいと思っておりますが、これは基本の権利関係を規定する法制度でありますから、そういう意味では立法技術的な問題あるいはその他の制度との関係、それらを法律的にはかなり詰めないと、軽々に結論を出すのは難しいと思います。これはこれから詰めてまいります。
  48. 平野達男

    平野達男君 家族経営で経営が難しいものを、株式会社になったからといって経営がうまくいくというのは、これは私、この理屈がよく分かりません。まず一点目。  それから二つ目は、平場まで要するに認めるということは、株式会社の貸し借りを認めるあるいは利用設定を認めるということは、条件のいいところに株式会社が入ってくる危険性は、危険というか可能性が非常に高いということで、いよいよもって中山間地域に対しての、中山間地域に株式会社が、どうしても農地借りたいというような株式会社があった場合には、そういう担い手が、担い手というか引受け手がいない地域に今限定されてやっていますけれども、そういった地域に向かう株式会社もやっぱり少なくなってくるんじゃないだろうかという様々な問題があるような気がします。  いずれ、今日の大臣答弁は、今までの大臣の、農地のもうプロ中のプロでありますから、発言としては一歩も二歩も踏み出た発言ではないかと思いますが、この問題については本当に私は慎重に慎重に議論をやっていただきたいということを申し上げておきたいと思いますし、私自身としては、株式会社に利用設定を条件なく認めるというのは私としてはまだ時期尚早だと思っていますし、反対だということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。     ─────────────
  49. 郡司彰

    委員長郡司彰君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、木俣佳丈君が委員辞任され、その補欠として高橋千秋君が選任されました。     ─────────────
  50. 加治屋義人

    加治屋義人君 自由民主党の加治屋でございます。  質問は簡潔に行いますが、御答弁は是非優しく、責任ある御答弁をお願いしておきたいと思います。  まず、飼料高騰問題についてでありますけれども、これはもう御承知のとおりでございまして、今日の異常とも言えるこの飼料高騰我が国の畜産農家を直撃をいたしております。この状況はまさに廃業の窮地にあると言っても過言ではないと思っておりまして、去る四月に鹿児島のJAグループが畜産農家すべてに調査をいたしまして、廃業する、しない、継続する、こういう細かい数字が出ているんですけれども、黒毛和牛の生産者で廃止する、廃業したい、そういう農家が二〇%あるんですね。そして、養豚業者、これは何と六二%の方がやめたい、やめざるを得ないと、こういう数字が出ているわけでありまして、大変心配をいたしております。  先日、総理を本部長とする食料・農業・農村政策推進本部でまとめられた二十一世紀新農政二〇〇八、飼料自給率向上対策を講じると、そういうことを政府全体で取り組んでいくんだと、そういうことを決めていただいておりますけれども、大臣、今のこの生産農家が本当に生きるか死ぬかの現状を考えますと、緊急にどうするという政府の姿がなかなか見えてこない、そういうふうに思えてならないんであります。福田総理自ら生産者に信頼と勇気を与えることが私は必要だと思っております。  この現状にかんがみて、明確に具体的に、そして責任ある総理自らのメッセージを発するときではないかと、そういうふうに思えてなりません。このことを、若林大臣、是非総理に進言をしていただきたいということがありますし、もう一つは、生産者の本当の気持ちを、また今日私が申し上げたこのことを私は総理に直訴できませんので、大臣是非この声をお届けをいただきたいと思っておりますが、お考えをお願いしたいと思います。
  51. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 畜産経営が大変に窮地に立っているという、そういう認識は当然持っております。  先ごろ、畜産物価格の決定に当たりまして、それぞれの畜種別に行政関連価格は、委員も御承知のとおり、この緊急事態に対応する形で引上げ措置を講じたわけでございます。しかし、これが、こういう今のえさ価格高騰という状態が継続的に行くとすれば、飼料価格についてどういう対応をするかということがない限り、これは持続可能な経営は難しくなるわけでございます。と同時に、これは一つは、合理的な範囲内で消費者価格に、消費者の御理解をいただいて消費者の方も負担をしてもらうというような環境条件を整えていかなきゃいけないと思っております。  そういうような前提の下で、一体飼料対策をどうするんだというのは委員も御承知でございます。あの行政価格決定に当たって、与党の皆さん方とこのことに絞って緊急に対策を講じ、特に飼料価格の安定制度の持続的なそして有効な対策を講じなきゃいかぬと。大変難しい課題で、一つ一つ申し上げませんけれども、今自由民主党の中でけんけんがくがく深刻な議論をされているところでありますし、私どももそれに参加させていただいて、共に知恵を絞っているという段階であります。  そういう段階で、総理に何かメッセージだけやって大丈夫だって言うのは、じゃどうやってやるんだと、どういう手を、どういう手段を講ずるんだということが、今詰めの作業をしている最中に私から総理に、とにかく大丈夫だから安心してくれというメッセージ出してくれと言うわけにはやっぱりまいらないんで、どういう対策を講じていくということをしっかりと詰めた上で、この対策を講ずるんで畜産関係の皆さん方ひとつ頑張ってやってもらいたいという、そういうことでなければメッセージ出すわけにいかないと、こう思うんですけど。
  52. 加治屋義人

    加治屋義人君 ありがとうございました。  過去を振り返りますと、生産者の本当に自助努力があって、また国もその支援にこたえていただいて、安心、安全、それこそ世界に誇れる畜産国をつくってきたわけでありますけれども、この今回の飼料高騰を考えますと、もう今自助互助では本当に限界だと、そう思えてならないんです。いわゆる国の公助ありき、そういう気持ちでありますだけに、是非大臣にも、政府でも是非取組をいただきたいと、そのことを強くお願いをさせていただきたいと思います。  森林関係に絞って質問をさせていただきたいと思いますが、岩永大臣に二点お伺いをいたします。  バイオ燃料対策についてでありますけれども、これは五月の二十日に本委員会でもバイオ燃料法案を採決をさせていただいて、国産バイオ燃料の更なる推進が図られるんだろうと期待をいたしております。  しかしながら、バイオ燃料の生産というのは、原料を生産する農林漁業者にとっても、また燃料を製造する燃料製造業者にとっても、まさに新しい取組でありまして、法制度の整備だけでなかなか前に進むのかなと、そう思えてならないんであります。  現在も実証事業とか技術開発といった取組を進めていただいておりますけれども、今後どのようにこの法制度以外の充実を支援をしていくかということがこの成功を導く最大のことだろうと、そういうふうに思っておりますが、この点についてお答えいただきたいと思います。  それから、二点目でありますが、木質バイオ燃料の推進であります。  このバイオ燃料については、自動車用の燃料となるエタノール等が大変注目されておりますけれども、従来から我が国で生産、利用されている木炭も立派なバイオ燃料だろうと、そういうふうに思います。森林資源が豊富な我が国でありますので、こうした木材を材料としたバイオ燃料の生産拡大を図っていくことが大変重要なことなんだと思っております。特に、最近は木質ペレットのような新たな燃料としての利用方法も普及しつつあります。こうした新たな用途の創出も含めて木質バイオマスの利用が進むことは、バイオ燃料の普及のみならず、林業ひいては山村の活性化につながっていくんだと、こういう持論を持たせていただいております。バイオ燃料の推進施策の中におけるバイオ燃料の位置付け、そして今後の推進の方策等について、副大臣にお伺いをいたします。
  53. 岩永浩美

    ○副大臣岩永浩美君) まず初めに、先ほど委員から御指摘をいただきましたバイオ燃料の法案の成立に加治屋委員を始め御出席いただいた委員の全会一致をもって成立をさせていただき、深い御理解をいただいたことにまずお礼を申し上げたいと思います。  今、バイオ燃料の生産拡大について加治屋委員からいろいろ御指摘がございました。特に、バイオ燃料法案の審議の過程において委員各位から様々な御意見がなされましたが、バイオ燃料の生産拡大は、もう言うまでもなく、農林水産業の新たな領域を開拓するものであることは言うまでもありません。農林漁業の持続的かつ健全な発展とエネルギーの供給源の多様化につながることはもう御案内のとおりであり、地球温暖化の防止、地域の活性化に資するものであると私も考えております。    〔委員長退席、理事平野達男君着席〕  そのため、今年度の予算措置として、もう既にいろいろ法案審議の過程でも説明をいたしましたが、改めてここで、十九年度から、原料調達から燃料生産、燃料供給まで一体的な取組を支援するバイオ燃料地域利用モデル実証事業、今委員も御指摘をされましたその事業に二十九億円を、北海道に二地区、新潟に一地区実施をいたしております。  また、二十年度から新たに稲わらなどのソフトセルロース系原料を用いたバイオ燃料の効率的な製造技術の確立を図るソフトセルロース利活用技術確立事業に三十二億円、林地残材や間伐材などの未利用資源からバイオ燃料などのエネルギー利用、マテリアル利用に向けた製造システムの構築を行う森林資源活用型ニュービジネス創造対策事業に十二億円を計上さしていただいているところであります。  また、二十年度の税制において、バイオ燃料法に基づく生産製造連携事業計画に従って新設されたバイオ燃料製造設備に係る固定資産税の軽減措置やバイオエタノール混合ガソリンに係るガソリン税の軽減措置を講じていただいております。農林水産省としては、食料や飼料と競合しない国産バイオ燃料の生産拡大に積極的に努めてまいりたいと思っております。  また、木質バイオ燃料の位置付けはどうかという御質問でありますが、二十年度税制において、木質ペレット製造施設においても、税制において固定資産税の減免措置を講じることをいたしております。また、木質バイオマスはエタノールなどの輸送用燃料の原料になることも期待されており、収集、運搬などの技術開発がなされれば、二〇三〇年ごろには間伐材等を用いて二百万キロリットル程度の輸送用バイオ燃料が生産できる可能性があると見込んでおります。木質バイオマスからバイオエタノールを製造する技術開発の加速化を図るための取組を農林水産省としても実施しているところでございます。  今後とも、委員が御指摘いただいたように、様々な施策を講じることによって森林の保全をやっていく上においてバイオ燃料の生産拡大を図り、林業、山村の活性化を図ってまいりたいと思います。
  54. 加治屋義人

    加治屋義人君 ありがとうございました。  温暖化防止に重要な役割を果たしている我が国の森林・林業問題について一点お伺いしたいと思います。  本年度からはこの京都議定書の第一約束期間が始まる。そして、我が国が議長国となる洞爺湖サミットにおいてもこの地球温暖化問題は主要な問題だと、先ほどからの質問、そのとおりであります。  我が国の削減目標六%、森林の責任が三・八%、この森林吸収量問題については私がちょうど三月の二十五日の当委員会大臣の決意をお聞かせいただいているわけでありますが、森林吸収量を確保をするためには特に間伐を大幅に増加することが重要だと思います。単に補助金を活用して間伐を実施するだけでなくして、再生産可能な資源として循環型の社会を構築、この間伐で生産された木材、いわゆる間伐材を有効に利用すること、循環型の社会を構築していくこと、すなわち環境に優しい材料を使って、吸収量の確保だけでなくして、石油等の化学燃料の消費を抑え、歳出削減にも役立てていく、このことが、このパターンこそが必要なことなんだろうとかねて思っております。間伐材の有効利用を通じて森林所有者に収益を還元をしていく、都市部から山村に資金を還流をしていく、こういうことこそが地域振興につながるんだと思っております。    〔理事平野達男君退席、委員長着席〕  残念ながら、間伐材の多くは林地残材として林地に放置されているのが現状であります。これをいかに有効に利用していくのか、そのことについて地球温暖化の防止対策という観点からも、この林地残材の利用促進のためのどういう課題がこれからあるのか、その解決についてどうお考えなのか、林野庁長官に伺いたいと思います。
  55. 井出道雄

    政府参考人(井出道雄君) 間伐などの際に発生しております林地残材については、およそ八百五十万立米、つまりほとんどが未利用のまま林地内に放置されているという状況であります。  こういった林地残材を、パルプチップですとか先ほど来お話があります木質ペレットでありますとか、バイオエタノールあるいはバイオマテリアルといった形で利活用していくということは、化石燃料への依存を減らし、地球温暖化の防止に役立つとともに、地域の活性化や雇用の場の確保にも役立つものと考えております。しかしながら、この木質バイオマスのうちの林地残材につきましては、収集・運搬コストが高いということのためほとんど利用されていないわけでありまして、いかにこのコストの縮減を図るかということがまず課題でございます。  このため、これまでも路網の整備と高性能林業機械の導入の促進を図りますとともに、素材生産現場で発生した枝や小さな丸太を現場で粉砕する移動式のチッパーの試作などの技術開発にも取り組んできたところでございます。また、本年度からは、新たにこのように開発された技術も活用しながら民間企業等からの提案されました低コスト化につながる取組を実践をいたしまして、間伐を促進しつつ木質バイオマスを安定的に供給するモデルの構築に取り組むことといたしております。  さらに、この林地残材の利用拡大の観点からは、従来よりこれを直接燃料とする発電施設やペレット製造施設の整備を支援しているところでございますが、これについても今年度から、先進的な技術を活用した木質からのバイオ燃料等の新たな製造システムの構築に取り組むことといたしております。  今後とも、政府全体として取り組んでおりますバイオマス・ニッポン総合戦略等を踏まえまして、関係府省とも連携しつつ、川上から川下まで一体となった取組を進めることによりまして、こういった木質バイオマスの利活用を積極的に進めていきたいと考えております。
  56. 加治屋義人

    加治屋義人君 ありがとうございます。やはり、今日まで議論してきました作業道の建設、整備とか、あるいは有効な機械化の導入とか御支援いただくことになって、大変現場としては喜んでいるようであります。  水源林造成事業についてお尋ねをいたします。  この事業は過去において、昭和三十六年からですけれども、全国で四十五万ヘクタールを造成して、評価額として一兆二千億円、年間百十万人日分の雇用の場を提供してきたと、大変大きな功績を残してきた事業であります。また、近年、地球温暖化防止対策あるいは地域振興の面からも引き続き重要であろうと思っておりますが、大変心配していることもあります。水源林造成事業の実施主体は当面は森林総合研究所に承継されましたけれども、将来の取扱いについては国有林野事業の改革と併せて検討をすることとなったわけであります。  私は、これまでの水源林造成事業によって造成されてきた四十五万ヘクタールに及ぶ水源林について、国の公的な機関が主体となって次の世代に引き継いでいくことが大切だと思っている一人でありまして、もっとこの事業の充実拡大をしなければいけない。そういう意味では、この事業について今後どのように取り組んでいかれようとしているのか、国がきちんとした管理をすべきだと、そういう持論を持っておりますので、このことについて御答弁いただきたいと思います。
  57. 井出道雄

    政府参考人(井出道雄君) 今委員からお話がありましたように、水源林造成事業は、奥地の水源地域等での保安林の造成を行います国土保全上必要不可欠な事業でありますし、かつ京都議定書の森林吸収源対策としても重要な事業でございます。また、今委員からお話がありましたように、山村地域の雇用確保という面でも大きな役割を果たしてまいりました。  本事業につきましては、緑資源機構の廃止後は独立行政法人森林総合研究所に承継をいたしまして事業を実施しているところでありますけれども、この水源林造成事業につきましては、その公共的な役割の重要性を踏まえまして、その水源林の造成のみならず、造成後の管理につきましても今後ともしっかりと適切に推進していかなければならないと考えております。将来的には国有林野事業の一部を移管する独立行政法人に引き継ぐということも考えておりますが、今後ともいろいろな角度から、幅広い観点から、この水源林造成事業の今後につきましても含め慎重に検討していきたいと考えております。
  58. 加治屋義人

    加治屋義人君 是非、この水源林造成事業、大切な事業でありますので、よろしくお願いをしておきたいと思います。  通告はしておりませんけれども、少し時間ございますので、一点だけ長官にお伺いしたいと思います。  これは保安林制度についてであります。  間もなく梅雨を迎えますけれども、山崩れ、土石流など災害を大変心配いたしております。災害から国民の生活や経済活動を守るために森林所有者に対して規制を課して森林の開発行為などを我慢していただいて、森林を、そして国土をしっかり守りましょうよと、こういうのがこの保安林制度だろうと理解をいたしております。  今、地方分権についていろいろ議論がございます。このことについてもありますが、その時々の社会経済情勢に流されるようなことでなくて、森林をやはり子々孫々までしっかり残していく、そういう責任を、国土保全上大変重要なことだと思えてなりません。特にこの保安林をきちっと守っていくことこそが必要だと考えておりますけれども、長官のこの保安林制度についての最近の御見解を伺いたいと思います。
  59. 井出道雄

    政府参考人(井出道雄君) 御承知のように、我が国は地形が急峻で、雨量がとても多くて、狭小な国土に多くの人口を擁しておりますから、非常に災害による被害を受けやすい条件下にございます。こうした中で、森林の有する国土保全などの公益的機能を発揮させることによりまして国民の安全、安心を確保していくことは極めて重要でございます。このため、従来、森林法に基づきまして、水源の涵養、災害の防止等の森林の有する公益的機能を発揮させる上で特に重要な森林を保安林として指定することにより、その保全に万全を期しているところでございます。  保安林の指定につきましては、これまで経験した幾多の災害を踏まえまして計画的に進めてきたところでありまして、特にその影響が広域に及ぶ保安林について国が直接関与して事務を執行するなど、国としての責務を果たしているところでございます。  今後ともこの保安林の果たす国土保全機能というものの重要性というものには変わりはございませんし、この保安林制度というのは土地利用制度とは角度が違いますので、そういった面でも林野庁としてもその機能が十全に、また従来にも増してしっかり発揮されるように努めてまいるという考え方で対処をしていきたいと思っております。
  60. 加治屋義人

    加治屋義人君 ありがとうございました。  少し時間を縮めましたけれども、前の平野委員が二分間オーバーしましたので、私の方でその分調整をさせていただいて、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  61. 谷合正明

    ○谷合正明君 公明党の谷合です。  今日は、耕作放棄地についてまず質問をさせていただきます。  耕作放棄地については、先ほどもございましたが、これ平成十九年、昨年十一月に「農地政策の展開方向について」ということで、五年程度をめどに耕作放棄地ゼロを目指していくという大胆なプランが発表されました。  そこで、今耕作放棄地も、私もいろいろ話を聞いてびっくりしたわけでありますが、分類がしっかりこれまでできていなかったと。例えば、農振地域でどのくらい耕作放棄地があって、また優良農地として元に戻せるような農地はどのくらいその中に含まれていて、そういう分類、仕分がなかなかできていなかったという、統計上ですね、話を聞きました。  今、昨年から耕作放棄地の調査を開始したというところでございます。その調査に当たりましては、これは市町村の役割というのが大きいというか、市町村が基本的にはやっていくわけでありますが、そこで、市町村においてその調査を進めるということと解消計画を策定するということがまず平成十九年、二十年に求められているわけでありますが、市町村の農政担当のマンパワーなどを考えた場合に、全国的に、いろいろ市町村といってもいろんな人口規模もございますので、本当にうまく実効性が確保できるのかという心配もございます。市町村によっては農政担当職員が少ないとか、少ないというかもう三人しかいないとかというふうなところもありまして、市町村の事情でかなり差が出てくるのではないかと私は考えておりますが、この辺りの円滑な実施に向けてのどのような手だてを講じられているのか、この点について確認させてください。
  62. 中條康朗

    政府参考人(中條康朗君) 委員の方から耕作放棄地の実態調査の進め方、あるいはその対策についての御質問でございます。  委員の御指摘の中に、調査で必ずしもこれまで把握されていないというような御指摘ございましたけれども、一応私ども統計を取っておりますが、そのときは農家の意向調査でやっておりまして、現地そのものを一つ一つ確認していないというところが実は問題でございました。  それで、今回耕作放棄地の実態調査を行おうとしているわけでございますけれども、この実態調査につきましては本来市町村農業委員会が中心となって実施するものというふうに考えておりますけれども、御指摘のとおりこれらの組織の人員も削減されておりますことから、関係者が市町村農業委員会を支援して一体となって実施することが重要であろうというふうに考えておりまして、具体的に申し上げますと、本調査を円滑に実施するためには、まず地域の実情に詳しいJA、農協とか土地改良区の職員の協力を得ることが重要であるというふうに思っておりまして、全国農業協同組合中央会あるいは全国土地改良事業団体連合会に対しまして本調査の支援をお願いしたところでございます。  また、国の機関、この場合例えば地域の農政事務所でございますが、こういった国の機関及び都道府県の職員が市町村単位に設置されております調査チームの打合せに参加をいたしまして、調査に必要な地図を提供いたしますとともに、一部の地域におきましては実際に現地調査に参加すること等もしております。  耕作放棄地解消計画の実効性を確保するためには、不在村の地主あるいは土地持ち非農家の協力を得ることが必要不可欠と考えておりまして、不在村地主との面談などの取組を支援する担い手アクションサポート事業、それから農山漁村活性化プロジェクト支援交付金、こういった既存の予算も積極的に活用してまいりたいというふうにも考えております。  このような調査体制の整備、それから各種事業への活用につきまして、実は昨日、五月二十一日時点でございますけれども、三十八都道府県におきまして、その県内の市町村への説明会を終えたところでございまして、今後とも地域の御意見を丁寧にお伺いしながら、円滑な調査実施等、耕作放棄地対策、解消計画の着実な実行に努めてまいりたいと、このように考えておるところでございます。
  63. 谷合正明

    ○谷合正明君 今のお話の中に不在村地主との直接面談という話もございましたが、本当に地方に行くと、地方から都市部に住居を移したという土地持ち非農家が結構いらっしゃるわけでありまして、その連絡先を調べていく、そしてさらに協力要請を直接面談で面接して行っていくという作業ということなんですが、ちょっとそれ具体的に、場所が離れている中で具体的にどういうふうに進めていくのか。A地点とB地点と、市町村と農協が、だれがどういうふうに連携を取って直接面談に行くのか、また具体的に、個人情報などの事情がある中でどうやってその理解と協力を求めていくのか、その点についての実効性の確保についてまた御確認させてください。
  64. 中條康朗

    政府参考人(中條康朗君) 先ほども申しましたように、全体の計画につきましては、これは市町村農業委員会と相談、それが中心になってやっていただくということに対していろいろと支援をする、関係団体ですとか国、県なり市町村が支援をしていくような体制を取っていきたいというふうに考えておりますが、多くの場合、市町村の方で、地元の関係の方々、地縁血縁で不在村の方がどこにいらっしゃるかという情報をお持ちだというふうに考えておりまして、問題は、そこへ行く人をどう確保するか、それからそのための予算をどうするかということでございまして、これはひとえに市町村任せというわけにはまいりませんので、私どもの方も、私どもの持っております予算をこれについて割り当てていきたいというふうに考えておりまして、そういったことから、いろんな対策を組んで市町村が対応できますような、そういう形を取ってまいりたいと、このように考えております。
  65. 谷合正明

    ○谷合正明君 当然、人が移動して、またその交通費もいろんな意味で掛かるわけでありまして、その予算を計上されておるんですか、もう。
  66. 中條康朗

    政府参考人(中條康朗君) はい。
  67. 谷合正明

    ○谷合正明君 そうですか。しっかりその辺の細かいところの配慮もお願いしたいというふうに思います。  さらに、耕作放棄地対策の中で、今年から農地の面的集積を図るという意味で、委任、代理で農地を集めて再配分する仕組みのモデル事業があろうかと思いますが、十の市町村で展開していくというふうに聞いておりますが、これを全国展開をしっかりしていくべきだと思いますが、この展望について御確認させてください。
  68. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 農地の面的集積のお尋ねでございます。  この事業は、耕作放棄地にとどまらず、今分散錯圃しております農地を何とか担い手にまとめてあげていきたいという趣旨で行っているものでございますけれども、これに関しましては、先ほども大臣からお話がございましたが、農地制度の改革、見直しについて、農林水産省といたしましては、先般の経済財政諮問会議におけます総理の御指示も踏まえながら、この秋を目途にその改革プランをまとめることといたしております。  その改革プランの具体的内容の一つ、検討の事項といたしまして、昨年十一月に実は農林水産省で取りまとめております「農地政策の展開方向について」という中で、農地の面的集積を促進する新しい制度、仕組みの在り方についても検討することとしているところでございます。  このため、平成二十年度におきましては、このような分散錯圃しております農地をいかに担い手等に面的に集積をしていくのか、その仕組みをモデル的に実施をいたしまして、効率的な制度、仕組みの設計に向けた点検、検証を行いたいということでございます。  すなわち、この面的集積の本年度のモデル事業を実施することによりまして、例えば、集落の中で実際に農地をどのような形で面的にまとまった形で集積をしていくのか、現場、地主さんあるいは担い手を含めた関係者への働きかけをどうしていくのか、農地所有者、地主さんから貸付けの委任、代理を受けるということ、それから担い手に対しましてその貸付け等を行っていくこと、それぞれの各段階におきまして具体的あるいは現実的な課題が、どのような問題点があるのかも明らかになってくるというふうに考えております。  これについては、実際に事業を実施する段階で関係者へのアンケートあるいは聞き取り調査、そういったことで問題点を抽出をしてまいりたい。それをきめ細かく検証した上で、現在制度的に検討しております農地制度の改革、見直しの中につなげてまいって、これを踏まえた上で、今委員御指摘のとおり、全国的な展開を視野に置いた、より広範かつ効率的な取組につなげてまいりたいというふうに考えておりますので、この点について御理解いただきたいと思います。
  69. 谷合正明

    ○谷合正明君 分かりました。  もう一つ、耕作放棄地の対策という直接の目的ではないかもしれませんが、中山間地域等の直接支払制度がございます。平成十二年度から、基本的には条件不利地域の不利を補正するための施策ではありますが、ただ、ねらいとしては、中山間地域の耕作放棄の増加に歯止めを掛けていくというねらいもあるわけであります。  この中山間地域直接支払の制度が今第二期で、平成十七年から二十一年ということでやっております。この後、二十二年度以降どうなるのかというのが現場に行くと必ず聞かれる話であります。  私は岡山とか回るわけでありますが、都道府県、今、中山間地域直接支払制度の協定数、全国で二万八千ありますけれども、一番多いのが広島県で、トップファイブに広島と岡山と島根が入ってくるわけですね。中国地方って本当にその中山間地域で、さらに傾斜のある条件不利な地域がたくさんございます。必ずこの制度は継続すべきであるというふうに私も現場に行って言っておりますし、そのためにはまず中間年評価というのがあるので、そこでしっかり検証するということで現場の農家の皆様には伝えているわけであります。  そこで、今、市町村そして県の段階で素案が出てまいりました。六月中に国としての取りまとめをするわけでありますが、既にもう県段階の素案が出ておりますし、私は、この制度は大変評判のいい制度でありますし、直接支払ということで本当に喜ばれております。  この素案についての簡単な感想でもいいですし、また今後の展開をどうしていくのか、副大臣に是非御答弁お願いしたいと思います。
  70. 岩永浩美

    ○副大臣岩永浩美君) 私も、中山間地域の直接支払については、今、谷合委員と同じように、共通の認識を持って、今後とも引き続いてこれは継続していくべきではないのかと私自身も思っております。  今御指摘いただいたように、平成十二年度から実施している直接支払制度、これは平成十七年度から生産性の向上や集落営農化など将来に向けた積極的な取組を促す新たな対策に移行してやってまいりました。この結果、耕作放棄地の発生防止や農業の多面的機能の維持増進、集落機能の活性化などの面で大きな効果を発揮して、農家や地方公共団体から非常に高い評価をいただいていると私たちも認識をいたしております。それは、谷合委員と同じ、共通の認識だと私も思っております。  平成十九年度には交付面積が約六十六万五千ヘクタールと、対象となる農用地の約八割で実施されていることになり、交付金を活用して農業機械の共同利用や担い手への農地利用集積など、これまで以上に積極的かつ質の高い取組が実施された報告を聞いております。  この制度の継続に関しては、まず、現在の対策が着実に効果的に実施されているのかどうか、その成果が都市の住民も含め広く国民の方々に理解されることが重要だと考えており、この件については、要するに、中山間地域の皆さん方になぜそういう直接支払をするのかという都市住民の皆さん方の誤解がないように、国土の保全のために、あるいは自給率の向上のために大変生産性の低いところで御努力をいただいている、そういう認識を都市住民の皆さん方にも広く理解していただくことが大変大切なことであると思っております。  いずれにしても、この制度の在り方や継続の必要性について、現在第三者委員会の意見も聴きつつ、六月末に取りまとめを予定している中間年評価の結果を踏まえて今後の継続等々について検討してまいりたいと考えております。
  71. 谷合正明

    ○谷合正明君 是非継続するように、今後財務省にしっかり働きかけていただきたいというふうに思います。  最後に、大臣質問させていただきますが、昨年十二月に公明党の地域活性化推進本部で過疎集落実態意識調査を行いました。  その中で、集落に入っていくと、冠婚葬祭や田畑の管理など、共同体機能維持のための自治会役員の兼務、継続が高齢住民の負担になっており、公務員派遣の配置による役員任務や運営業務の代行、学生インターンシップや過疎集落協力隊など、若者ボランティアの制度化などの人的支援ということで、そういうような提言を意識調査を踏まえてさせていただきました。  過疎集落協力隊、仮称でありますけれども、例えば新規就農というか、就農というのはかなり意識的にも条件的にもハードルが高いですから、まずその前段階として、例えば若い人たちに農村地域を知ってもらうという取組が必要じゃないかなと思っております。  例えば、これは青年海外協力隊というのは実際に外務省持ってやっておりますけれども、こういうのも農水省で、要するに数は少なくてもいいとは思うんですが、まずはモデル的にやっていただくというのが私は若い人たちにとっての農村地域を知るファーストステップになるんじゃないかというふうに思います。そうした方々から行く行くは地域おこしであるとか就農につながっていったりとか、またあるいはその地域に住み着いたりということもあると思いますし、あるいは農水省の職員として就職というか、公務員採用に受かって、またその仕事ができたり、そんないろいろなパターンがあろうかと思うんですね。  まず、大臣に、この考えにどういうふうに率直に思われるか、私の質問時間、四十八分までなので、残りの時間で答えてください。
  72. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 公明党が過疎集落対策について、また過疎地域について大変に熱心に取り組んでいただいておりまして、昨年の暮れに過疎集落実態意識調査をやられました。大変精密な調査でございまして、それに基づいて今年の二月に提言をいただいて、私がお受けしたわけでございますが、このことにまず敬意を表したいと思います。十一項目にわたって大変具体的な提案がなされておりますが、その提案の中で、今委員がおっしゃられました過疎集落の協力隊など若者ボランティアの制度化などの人的支援策ということの御提案がなされているわけでございます。  この若者のボランティアを積極的に推進するということにつきましては、確かに若者にとっては自らの生き方を考える機会となるばかりでなくて、農山漁村においても農作業の手助けになるというだけではなくて、その地域の人たちが、そういう若い人が入ってくれることによりまして、その地域の価値を見詰め直すという機会が与えられる、また勇気付けられるというようなことで、地域の活性化に重要な役割を果たしていくものと考えているわけでございます。  具体的には、農林水産省が持っております事業に広域連携共生・対流などの対策というものを持っておりまして、都市と農山漁村の交流活動の一環として、都会の若者などが長期に滞在して行う農業ボランティア活動などに対して支援を行うという事業がございます。この事業は予算的には九億余ということになっているわけでございますが、この事業の一環として既に大変すばらしい活動が事例としてございます。それは緑のふるさと協力隊と称しておりまして、NPO法人であります地球緑化センターというところが中心になってボランティアに呼びかけて、ボランティアとして、若者に限りませんけれども、今お話ありました海外協力隊の経験者、そういう人たちも参加をいただいて、農林業の作業の手伝いだとかあるいは直売所だとか、いろいろございます。そういう観光施設や販売施設などでお手伝いをするというような具体的な活動を現にしていただいております。  そういう意味で、この制度を更に拡充をして、これは押し付けてやるというよりもボランティアでございますから、公募して手を挙げてもらうという仕掛けになっておりますけれども、これはPRしなきゃいかぬと思いますね。そういうPRを積極的にしていきたいと思います。  さらに、基本的には委員承知のように過疎法がございます。そういう過疎法の中で過疎地域全体をこれからどうしていくかという課題があるわけでございまして、政府では、昨年ですけれども、地方再生戦略というものを立てました。その地方再生戦略の一環として、農業関係につきましても元気の出る農山漁村の振興という事業を起こしております。そういうような事業の中で、地域リーダーの育成とかそういうことと関連して、今言われたボランティア活動も積極的に参加いただけるような仕組みをつくっていきたい、こんなふうに思います。
  73. 谷合正明

    ○谷合正明君 ありがとうございました。
  74. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  今日は食品安全部長さんにも来ていただいていますので、輸入食品検査体制についてお聞きします。  この問題は、中国製ギョーザの薬物中毒事件を受けて、私ども日本共産党として、政府に対して輸入食品検査体制の抜本的強化を申入れをいたしました。私も予算委員会検査体制の抜本的強化を要求して、政府検討を約束したわけです。その後、この輸入食品の検査率や人員体制など、どういう検討がされたのか、食品安全部長さんにお聞きしたいと思います。
  75. 藤崎清道

    政府参考人藤崎清道君) お答え申し上げます。  輸入食品の監視・検査体制の強化でございますけれども、この基本的な方向につきましては、先生御指摘のように、検疫所における食品衛生監視員の増員ですとか、あるいは輸入時の検査件数、検査項目の拡充のために必要な最新の検査機器の導入、こういうことを行いながらその強化に努めてきたところでございます。平成二十年度におきましては、これ当初でございますけれども、食品衛生監視員を七名増員し、またモニタリング検査件数を約六百件増加するなどの拡充を行ったところでございます。  今後の我々の取組でございますが、平成二十一年度の予算要求あるいは組織人員要求というものに向けまして、これから様々な点を勘案しながら、先ほど御指摘いただきましたような中国の冷凍ギョーザ事件などの新たな問題もございます、輸入加工食品の検査の強化など様々な課題がございますので、そういうことを勘案して、そのような問題に対応できるように人員並びに予算の要求をしていきたいと、このように考えております。
  76. 紙智子

    ○紙智子君 問題は、現在の輸入食品の検査率がわずか一〇・七%、九割の輸入食品が無検査で輸入されているという実態なわけですね。いかにそこを抜本的に是正するかということだと思います。それは、日本世界一の食料の純輸入国だと、そして食料自給率がわずか三九%しかないと。六割以上輸入に依存している中で、この輸入食品の安全性の確保という問題が食品の安全性の確保にとっては不可欠かつ最優先の課題であるからです。  我が党は、この検査率については五〇%以上にすることを求めているわけですけれども、厚生労働省は具体的にその検査率を何年にどこまで引き上げるというふうに考えているのか、明らかにしていただきたいと思います。
  77. 藤崎清道

    政府参考人藤崎清道君) お答え申し上げます。  検査率の考え方を申し上げます前に、まず輸入食品の安全性確保の枠組みを簡単に御説明させていただきたいと思うのですが、この輸入食品の安全性確保につきましては、食品安全基本法に定める国の内外における食品供給行程の各段階を通じて食品の安全性を確保するという理念に基づきまして様々な供給行程をチェックしていく、それぞれのところで安全を確保するということを通じて安全の確保を図っていくという考え方に立っておりまして、輸入食品もやはり同様でございます。  そういう意味では、まず第一に、私どもがいつも申し上げておりますのは、輸出国自身がその国内における衛生管理というのをきちんとやっていただくということ、あるいは輸出時の検査をしていただく、あるいは日本国内の衛生法規あるいは基準というものをきちんと把握をしていただくと。さらには、輸入業者、日本の場合でございますが、輸入業者の方々が日本国内に安全な製品あるいはいろいろな食料品が輸入されるようにその安全性確保のための様々な措置をとっていただくと。これがまず基本になった上で、第二段階といたしまして、水際での私どもの検疫所におきます検査なども含めて対応していくと。そして、国内に流通した後には収去検査等々を行いまして、流通時点で問題がないかどうかというものをチェックしていくと、このような枠組みで考えております。  そういう中で、輸入時の検査について検査率はどういう目標なのかというお尋ねでございます。  これは、私ども検査率そのものを特定して設定していくという考え方はこれまで取っておりませんで、これはどういうことかと申しますと、輸入時の水際の検査というものがこれもまた三種類ございまして、先生御案内のとおりかもしれませんが、まずは輸入業者の方々が自主的に検査をしていただく、これは食品衛生法の三条に定めております自主検査、責務としてやっていただくという部分がございます。そういう部分の検査と、それから私どもが検疫所で国として年間計画に基づいて多種多様な輸入食品について食品衛生上の状況について幅広く監視することを目的としたモニタリング検査、こういうものと、そしてモニタリング検査において法違反が判明するなど法違反の可能性が高いと見込まれる食品等につきまして輸入者に対して命令をする検査命令と、こういう仕組みの中で全体として重点的、効果的に輸入時の検査を実施していくと、このような取組を行っております。  したがって、今申し上げたようなことを行っておりますので、先ほど申し上げましたように、アプリオリに検査率をどうという形での設定というのはこれまでもいたしてきておりませんし、現時点でそのような考え方はないということでございます。
  78. 紙智子

    ○紙智子君 だから目標を設定しないというんですよね。今までもずっとそういうふうに言い続けてきていて、確かに企業がきちっとやるとかというのはそれはもっと強めなきゃいけないというのはそのとおりだと思いますけれども、でも、そんなことはもう十年も前からずっと言っていることですよ。自主検査をやるんだと言っていて今のこの現状なわけですから、やっぱり国がどうやって目標を決めてそこに向かってやるかということでないと、そんなあいまいな答弁ではとても国民の期待にこたえられないと思いますよ。  やっぱり輸入食品の検査率を引き上げるためには、現在三百四十一名の食品衛生監視員を抜本的に増員しなきゃいけないと思うんですよ。なぜかといえば、やっぱり食品の検査というのは検査機器に試料を入れる、その前処理というのはすごく大変というか、大事なわけですよね。この前処理の行程が重要で、それはやっぱり人の手でなかったらできないわけですよね。今年は七人増員したというんですけれども、この程度の人員増だけでは今検査率を飛躍的に引き上げるということはできないと思うんですよ。  やっぱり検査率を向上させるというためには人は増やさなきゃいけないと、これはそうですよね。間違いないですよね。ちょっと確認します。
  79. 藤崎清道

    政府参考人藤崎清道君) お答え申し上げます。  検査率を上げていく、国が行うモニタリングの検査を上げていくということであれば、当然その業務量というものはやはり増えるだろうと、そういうことであればその分の人が必要であろうと、これは先生おっしゃるとおりだと思います。
  80. 紙智子

    ○紙智子君 だから、今の三百四十一人の衛生監視員の体制でも現場は大変ですよ。この間、横浜にも行ってきましたけれども、実際に残留抗生物質の検査でも、この対象となる肉とか魚介類入ってくるわけですけれども、ほとんど冷凍食品で来ますよね。すごく大きなブロックでも入ってくるわけです。そうすると、本当にそれを砕いて細かくしてやっていく作業でもう汗だくで、大変な重労働ですよ。それをやって、午前中にとにかくもうそれに掛かりっきりになって、その後、化学検査だとかというところに入っていくわけですけれども、数名の食品衛生監視員でそれを処理しているのが実態なわけです。  それから、今回のような中毒事件が起こった場合は残業残業でもって連続して、本当にへとへとの状態でやらなきゃいけないと。深夜に及ぶことも度々になるというのが現場の状況です。  仮に現在の人員を十倍にして三千人というような体制になったとすれば、人件費は多めに見てもわずか三百億円ですよ。だから、安全ということで考えて言うならば、例えば自衛隊が三十万人いるわけですけど、人件費で二兆円の水準ですよね。これは国防のためだと言うかもしれないけど、食料の安全、そのための体制ということで確保できるのであれば国民は十分納得できると思うんですよ。  厚生労働省としてどうかということをお聞きしたいんですけれども、いかがですか。
  81. 藤崎清道

    政府参考人藤崎清道君) お答え申し上げます。  まず、やはり必要な検査をどれだけ行うことにつきまして、毎年輸入監視指導計画というのを立ててございますけれども、先ほど申し上げましたような観点からどれぐらいの検査が必要なのかということを出していくということになろうかと思います。その上で、検査の数が増えていけばやはりその分だけ人が必要になるところもございます。  そういう意味で増ということは考えられるわけですが、私どもとしては検査の効率ということも併せて追求をいたしておりまして、具体的に申し上げますと、食品衛生監視員の数を確保していくということを考えますときには、検査件数、検査項目数、届出審査件数、輸入相談件数などの先ほど申し上げました数的な要因に加えまして、検査技術の高度化ですとか審査の複雑化などの質的な要因を考慮する、さらにはコンピューターシステムによる審査支援機能の向上等の効率化の要因もございますので、こういうことを勘案しながら、増えていく検査にどう対応していくのか、こういうことで総合的に判断をしていく必要があるというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、今私の方で申し上げられますことは、この輸入食品の安全確保ということは本当に重要なことでございますので、必要な検査を賄えるような体制を取っていくために必要な人員を確保していくということで、平成二十一年度の要求に向けて、食品衛生監視員の増員に向けて検討してまいりたいと、このように考えておるところでございます。
  82. 紙智子

    ○紙智子君 ちょこちょこ増やすだけではやっぱり駄目ですよね。もっとやっぱり抜本的なことを考えていかないと、福田内閣としてもう強化するんだということを言っているにもかかわらずいまだにそういうことを言っているようじゃ、本当に信頼を得ることできないと思うんです。  最後に、農水大臣、今ちょっとやり取りもさせていただいたんですけれども、実際には所管外ということになるかもしれませんけれども、しかし三九%の自給率の下で食の安全、安心というところから、大臣の感想なり、一言いただきたいと思います。
  83. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 食品の安全というのは本当に最重要事項だと思います。  農林水産省としては、植物あるいは動物の病害虫とか、そういう国内の農業生産に悪影響を及ぼすおそれが非常に高いそういうものは水際でチェックするということでありまして、人の食品の安全性については食品衛生法に基づいて厚生省が行うということでお願いをしているわけでございます。その意味では厚生省、大変御苦労いただいて努力をしておられますが、一層水際におきます食品検査体制というものをできるだけ充実していただいて、安心できる食品が国内で流通できるようにしていただきたいと思います。  こういう特に輸入食品につきましては、厚生労働省、農林水産省が、それぞれ分担があるわけでございますが、それぞれの立場で水際検査をきちんと実施していくということが重要だと考えております。
  84. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  85. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 次に、食品製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。若林農林水産大臣
  86. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 食品製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  本法は、食品の安全性の向上と品質管理の徹底に対する社会的要請を踏まえ、国際的にも推奨されております管理手法であるHACCP手法の導入を促進することにより、食品製造過程の管理の高度化を図るため、平成十年に、その適用期限を限った臨時措置法として制定されたものであります。  本法の下で、HACCP手法の導入に必要な施設の整備についての金融上の支援措置を講ずること等によりまして、食品の製造又は加工を行う事業者においても、この手法に基づく高度な製造過程の管理の考え方が着実に広まってきております。しかしながら、大手企業に比べ、中小規模の企業におけるHACCP手法の導入率が低位にとどまるとともに、昨年以来の食品に関する事件の相次ぐ発生を背景として、食品についての安全性、信頼性の確保や品質管理の徹底に対する社会的要請は一層の高まりを見せております。  このため、食品製造過程の管理の高度化を引き続き促進することとし、本法の適用期限を五年間延長するとともに、株式会社日本政策金融公庫法の施行に伴う規定の整備等を行うこととした次第であります。  以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  87. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 以上で本案の趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時六分散会