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2008-05-13 第169回国会 参議院 農林水産委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年五月十三日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月十二日     辞任         補欠選任         舟山 康江君     梅村  聡君  五月十三日     辞任         補欠選任         梅村  聡君     舟山 康江君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         郡司  彰君     理 事                 主濱  了君                 平野 達男君                 加治屋義人君                 野村 哲郎君     委 員                 青木  愛君                 一川 保夫君                 金子 恵美君                 亀井亜紀子君                 高橋 千秋君                 藤原 良信君                 舟山 康江君                 米長 晴信君                 市川 一朗君                 岩永 浩美君                 牧野たかお君                 山田 俊男君                 澤  雄二君                 谷合 正明君                 紙  智子君    国務大臣        農林水産大臣   若林 正俊君    副大臣        農林水産大臣  岩永 浩美君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       澤  雄二君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 朝雄君    政府参考人        警察庁長官官房        審議官      小野 正博君        外務大臣官房参        事官       石川 和秀君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       藤崎 清道君        農林水産大臣官        房総括審議官   伊藤 健一君        農林水産大臣官        房総括審議官   吉村  馨君        農林水産省総合        食料局長     町田 勝弘君        農林水産省消費        ・安全局長    佐藤 正典君        農林水産省経営        局長       高橋  博君        農林水産省農村        振興局長     中條 康朗君        水産庁長官    山田 修路君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (中山間地域農業政策に関する件)  (国際的な食料価格高騰問題に関する件)  (米国輸入牛肉への特定危険部位混入問題に  関する件)  (中国産冷凍餃子問題に関する件)  (牛のヨーネ病リスク評価管理に関する件  )  (新たな漁業経営安定対策に関する件)  (米国輸入牛肉のせき柱混入問題に関する決  議の件) ○農林漁業有機物資源バイオ燃料の原材料とし  ての利用の促進に関する法律案内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 郡司彰

    委員長郡司彰君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、舟山康江君が委員辞任され、その補欠として梅村聡君が選任されました。     ─────────────
  3. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、警察庁長官官房審議官小野正博君外九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 農林水産に関する調査議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 一川保夫

    一川保夫君 おはようございます。民主党一川保夫でございます。  まず、この委員会の場を借りて冒頭に、私は、昨日の中国四川省中心とする大地震が発生いたしました。報道によりますと八千五百人を超える死者もあるんではないかというふうな大変な大災害でございますし、また先般、ミャンマーでサイクロンによるこれまた風水害の大変な被害も発生しております。これも、正確な数字は分かりませんけれども、死者、行方不明合わせて六万人を超えるんではないかというような報道もございますけれども、私はやはり、この両国のこういった大災害というのも、その国々の恐らく農村地域での発生だろうというふうに思いますし、いろんな面で低所得層の多い地域であろうというふうにも推察するわけですけれども。  そういう中で、是非日本政府もでき得る限りのそういう救援活動を迅速に対応していただきたいということを、農水大臣の方からも是非閣議の席で発言をしていただきたいなというふうに思っております。また、両国被災地それから被災者皆さん方にも心からお見舞いを申し上げ、早期の復旧をお祈りを申し上げたいというふうに思っております。  さて、次の議題に入らせていただきますけれども、先週ですか、九日の日、例の我々議員立法で提案いたしました農業者戸別所得補償法案といったものが衆議院段階で否決され、廃案になってしまったという報道もございました。こういったことは我々にとっては非常に残念なことでございますけれども、一般の国民の皆さん方も、野党の方で、しかも参議院で議決をされたという経過もありますけれども、採決されてそれが通ったということもあります。  そういう非常に大きな期待の中で、それをやっぱり静かに期待を持って見守っていたそういう農村地域の方もたくさんいらっしゃったわけですけれども、そういう法案が、今日の年金の話題だとかあるいは道路にまつわるいろんな話題、それからまた後期高齢者にまつわるようないろんな話題がある中で、何となくそれが否決されてしまったということに対して大変残念な思いでいらっしゃる方々もたくさんおられます。  私は、実は昨日も夜、自分地域でいろんな方々とお会いしていろんなお話を聞いてまいりましたけれども、こういうことについてはまた、我々民主党としましては、これからしっかりと、農村地域方々に我々が提案した法律理念といいますか目的、そういったものをしっかりとまた訴えながらしっかりと対応していきたいとは思いますけれども、農林水産大臣としまして、野党が提案したこういう法律が、参議院衆議院でそれぞれ異なった結果が出ているわけですけれども、こういうことについての一つの御所見をお伺いしておきたいというふうに思いますけれども。
  7. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) この民主党提案農業者戸別所得補償法案につきましては、衆議院に付託をされましたのは昨年十二月の四日でございます。それ以後、参考人質疑を含めて四回にわたる委員会でかなり丁寧な御議論があったと承知いたしております。提案者平野委員を始めとして参議院側皆さん方も、この質疑を通じていろんな意見交換がなされたわけでありまして、私もできるだけそれらの論議の模様も伺わせていただき、問われれば私の考えも申し述べてきたところでございます。丁寧な議論が行われたということにつきまして、大変それは有意義であったというふうに受け止めております。しかし、考え方の違いというのがあるわけでございますので、与野党論議の結果として、過日、採決が行われて、否決をされたというふうに伺っております。  あえて、政府として農林水産大臣どうだと、こういうふうに問われれば、私どもの方は、現状認識として農業者の減少とか高齢化が進む我が国の今の現状におきまして、やはり意欲と能力のある担い手中心とした力強い農業構造をつくっていくということが何としても急務だというふうに認識をいたしておるため、そのために、将来にわたりまして食料安定供給農業の有する多面的機能を発揮するという、そういう農業にあるいは農村に課せられた役割というものを果たしていくためには、我々は、昨年導入しました経営所得安定対策などの諸施策によりまして、力強い農業経営の育成と農村地域活性化を総合的に推進するということが重要であると考えておりまして、民主党のこの法案につきましては、同法の法案採決に当たりまして政府としては反対である旨の意見を申し述べたところでありますが、あえてその反対であるということはなぜだったんだということを問われれば、まずは、何といってもすべての販売農家を同列に扱うという仕組みでは現状農業構造を固定化してしまうおそれがあるということと同時に、将来へのビジョンがございませんで、望ましい農業構造の実現を図るといういわゆる基本法食料農業農村基本法の趣旨には沿わないということがまず第一でございます。  あとは、実際の法案の中身のことでありますから詳しく言及はいたしませんけれども、対象農産物支援の水準など重要な事項について、どうも私も伺っている限り明確になっていなかったのではないかというように思うのでございます。それらのことを考えながら、我が政府としては反対意見を表明したということでございます。
  8. 一川保夫

    一川保夫君 今大臣お話聞いておりますと、非常に残念な思いもいたします。  私は、衆議院段階での農林水産委員会衆議院農林水産委員会での質疑議事録も読ましていただきましたけれども、私はやはり、今大臣がちょっとおっしゃいましたが、基本的なところが違うというのは、現状農業なり農村を見る、その認識の度合いに全然違いがあるというふうに私はまず思います。  それと、農業の将来に向けてのビジョンがないじゃないかという言い方は、それは全く我々からすると逆の言い方でございまして、少なくとも今の基本法の中にも農業を持続的に発展させるという大きな理念もあるわけでございますし、そういった多面的な機能を発揮させるということも基本法にもうたわれているわけでございますので、そういう観点からすれば、私は、規模大小関係なく、やはりその地域でしっかりと意欲を持って農業をやろうとする、そういう農業者なり農村地域に対しては農政の対象としてしっかりとサポートしていくということは当然のことでございますし、そういう面では、我々は、我が国農業自給率を高めるという一つの方向の中で農村地域活性化ということを我々の法律の中でもしっかりと理念として、また目的として持っているわけでございますので、ビジョンがないということに対しては我々はしっかりと反論をしておきたいと、そのように思っております。  そこで、私は今回特に、前回も若干取り上げましたけれども、我が国農業の中でも最も条件が不利な地域と言われている中山間地域、中山間地域というのも割と範囲が広いんですけれども、その中でも私は特に山間地域重点を置いた議論をちょっとさせていただきたいんですけれども。  実は、私も、自分の地元で、中山間地域のやっぱりどっちかというと山間部に位置するところで約十五ヘクタールの農業をやっておる人がおります。その人は、若いころはサラリーマン生活をしていたんですけれども、やはり農業というものには魅力があるということで自分のふるさとに戻って、そして山間部農業に取り組んできたと。その若者の意欲に対して周辺の方々大変理解を示して、農地の集積という、そういう流れの中で彼に相当部分農地が集積されてきたという中で、現状では約十五ヘクタールぐらいの米の栽培を中心にいろいろと取り組んできたわけだけれども、最近、それだけの規模で一生懸命取り組んでいるんだけれども、もう中山間地域農業としてはやっていけない、もう完全に赤字経営だということでいろいろと話合いをさせてもらったわけですけれども。  私は、日本のこの中山間地域というのは、前にもちょっとお話ししましたけれども、国際的に見れば日本列島そのものが中山間地域ですけれども、しかしその中の、日本列島の中の中山間地域で一生懸命農業取り組み地域を守ってきておる方々が、現実問題、それだけの規模ですらもう農業をやっていけないというのが今の現状です。  ですから、農林水産省としましては、我が国のこういった中山間地域というものの現状についてどのように認識をされ、そしてこの中山間地域にこれからの我が国農業の中でどういう役割を果たしてほしいというふうに思っておられるのか、その基本的なところをまず聞かせていただきたいと、そのように思います。
  9. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 委員もおっしゃっておられましたが、中山間地域というのはかなり広い地域を実は指しているんですね。耕地面積農家数あるいは農業産出額の中で、それぞれ四割が中山間地域というふうになっているわけでございます。そういう意味では、我が国農業の中では重要な位置を占めているというふうにまず認識をいたしております。と同時に、中山間地域でございますので、国土の保全とか水資源の涵養などの多様な役割も果たしているというふうにとらえています。  しかしながら、中山間地域農業傾斜地が平場に比べて多いわけでありまして、農業生産条件が不利な状況にあることは申すまでもありません。そういう、社会的にも都市と離れているということもございまして、過疎化でありますとか高齢化が進行をしておりますし、担い手が不足をし、耕作放棄地が増加すると、また多面的な機能というものの低下が今後、もう既に始まっている地域も多くございますし、将来が懸念されているというふうに思います。  そこに今住んでいるということが大事なわけでありますが、そういう意味での定住条件につきましても、就業機会に恵まれない、また農業所得も、不利な条件にございますから他の地域に比べて所得も低いという状況にありますから、生活の環境も遅れていることもあり、大変厳しい状況の中にあるというふうに認識をいたしております。
  10. 一川保夫

    一川保夫君 現状、非常に厳しい状況にあるということの認識は分かりましたけれども、それに対する具体的な施策としては、私は現場では動いていないというふうに思います。  そういう面で、先ほどちょっと取り上げました山間地域で頑張っている米作農家お話を聞きますと、米の価格は一俵当たり一万二千円ぐらいにもうなってきておると。そういう中で、そういった山間地域の単収というのは、どれだけ努力しても大体六俵から七俵というようなことらしいです。我々石川県の平地部からすると、それが大体平地部は九俵前後取れるわけですから、そこでもう既に二俵なり三俵の格差が単収の中でも生じてきておるわけです。そういう非常に自然条件の厳しい、地形条件の厳しいところで頑張ってきているんだけれども、どうしても格差が付いてしまう。そういう中で、しかも米価は下がってきているわけですけれども、やはりこういう山間地域農業をこれだけの規模でやっていても成り立たないということであれば、私は明らかに農業政策としては大きな欠陥があるというふうに思います。  農林水産省としては、こういう山間地域農業をやるということについての一つモデル的なケースとして何か試算があるのかどうか知りませんけれども、私は一種の、今限界集落と言われますけれども、限界農業経営というものももう既に生じてきているんじゃないかという感じもいたします。そういう観点で、農林水産省としまして、山間地域農業経営というものは、要するにこういう、こういった規模でこの経営内容でやれば絶対採算が取れるんだという何かモデルはあるんですか。
  11. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 中山間地域は、先ほども申し上げましたように、日本の農用地の四割、農業者の四割、農業生産の四割という相当部分を占めているわけで、北海道から沖縄まで幅広くあるわけでございます。ですから、中山間地農業と言われましても非常に多様でございます。そういう多様な農業について一義的に一律にこういうモデルでこうなるというようなことを示すことはしておりませんし、また、そういうことをすることが決していいことだというふうに考えているわけではありません。  しかし、一般論として、この地域の特質から考えますと、従来から高冷地の、中山間地域の中でも高冷地につきましては気温が、気象条件平野に比べまして冷涼であるというようなことがございます。そんなような条件を生かしながら、果樹でありますとか花卉、花の経営でありますとか、あるいは野菜といったような園芸作物生産とか、あるいは傾斜地利用した酪農などが行われておりまして、果樹畜産につきましては、したがって一般的には総生産に占める比率は四割ですけれども、果樹畜産については、全国の農業産出額それぞれ見ますと五割というような状況で、ややそういう農業重点が置かれているというふうに言えると思うんです。  しかしながら、例にございましたような土地利用型の農業でございますが、この土地利用型農業については地理的諸条件から見ましても不利な状況にあるということが言えるわけでございまして、それらのことを念頭に置きまして、やはりこれらの課題を克服していくには高付加価値型の農業を進めていく、そして農林業関連産業関連して振興を図っていくことが大事だと思いますし、この農業生産の不利を補正して多面的機能を発揮できるような意味で、この中山間地については、委員も御承知のとおり、直接支払制度を設けてこれを実施しているところでございます。  更に言えば、こういう地域の特性を生かしながら都市農山漁村の交流を推進する、そして生活基盤の総合的な整備を図って定住条件を整えていくというような中山間地域振興に向けた様々な施策が必要になっており、政策的にもいろいろな政策を今総合的に講じているところでございます。特に、高齢化が進んで担い手が不足する、あるいはいないといったような中山間地域につきましては、個々の小規模農家兼業農家だけで地域農業を維持するということは困難であるということが一般的には言えるわけでございますので、共同で農作業などを行う集落営農に取り組むということが有効な手段であるかと考えているわけでございます。  このような集落営農取組による農作業省力化でありますとか、生み出された労働力を活用して新規の作物の導入や流通加工に取り組むといったようなことなど高付加価値型の農業推進を図るということとともに、これから農商工連携などによります関連産業振興を図っていくということが大事ではないかと考えているところでございます。  農林水産省としては、このような中山間地域に対しては多様な政策支援を行いながら、立ち上がっていく農山漁村取組事例、いろいろな評価さるべき事例がございますので、中山間地域等直接支払制度を用いた優良事例とか中山間地域営農優良事例などを紹介しながら、地域の特色を生かした農業経営が図られるように推進をしていきたいと思っております。
  12. 一川保夫

    一川保夫君 私の質問の時間なくなりましたが、大臣のおっしゃっているその多様なとか総合的な施策推進していきますというようなことは、もうかねてからそういう話をお聞きしておりますけれども、現実問題、現場としてはもうほとんどそういうものが余りうまく機能していないというふうに私は思います。そういう面で、私たちは、さきの農業者戸別所得法案なるものは一種農業政策のセーフティーネット的な私は法律だというふうに思います。そういう面で、本当に、今農林水産省が推し進めていこうとする施策でいけば、私は日本の中山間地域農業農村は崩壊してしまうのではないかという、そういう心配をいたします。  政権が交代するまで我々はしっかりと農村地域を激励しながらしっかりとビジョンを与えていきたいと思いますけれども、農林水産省も今の現状をしっかりともう一度把握されて、やはりそういう人たちに明るい希望の持てるような施策をしっかりと見直しを掛けていただきたい、そのようにお願いをしまして、私の質問を終わります。     ─────────────
  13. 郡司彰

    委員長郡司彰君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、梅村聡君が委員辞任され、その補欠として舟山康江君が選任されました。     ─────────────
  14. 藤原良信

    藤原良信君 誠心誠意質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。私は、米国産の輸入牛肉問題と水産問題を取り上げさせていただきますので、お願い申し上げたいと思います。  これは先月の二十四日のこの委員会でも取り上げた問題でございますけれども、政府答弁を伺ってございますと、何とか事を収めようという姿勢が前面に出ていまして、食の安全とかあるいは日米間の信頼関係を損なう重大な事態にもかかわらず深刻さということが感じられないと、そう私は感じております。今回の問題は起こるべくして起こった問題ではないかとも受け止めております。すなわち、米国における牛肉生産実態に照らし合わせますと、脊柱を始めとする特定危険部位完全除去飼料規制徹底等安全管理体制は極めて不十分と推測されるからでございます。こうした状況にもかかわらず輸入再開を殊更急いだ政府の責任というのは、私は強く非難をされるんじゃないかと思います。  そこでですけれども、前回若林大臣答弁を整理してみました。そうしますと、大きく分けて三点。一点目は、市場流通前に発見されたものであり、現在の安全確認システムが所期の想定どおり機能しているということが言われました。二点目といたしまして、日本向けでない貨物が誤って積載された個別事例であると。三点目、平成十八年七月の輸入再開以降、類似の問題は発生していなかったという、この大きく三点が大臣からの発言だったと思います。  今後の対応としてこれまた三点、大きく分けて三点だったと私は思っておりますが、一点目米国牛肉全面輸入停止は不要であると。二点目、問題施設に限った輸入停止。三点目として、他の施設からの輸入牛肉に対する輸入検査抽出率を引き上げるという、大まかこういうことだったと思います。  そこで質問なんですけど、今回の、この経過のことを踏まえた上で質問をいたします。今回の脊柱は吉野家の加工施設で見付かったわけでございまして、国の検疫をくぐり抜けたことは事実でございます。このくぐり抜けの事実をどう受け止めているかということをお伺いいたします。民間業者が見付けてくれたから良かったで済む話では私はないと思うんですね。これが一点。  二点目ですけれども、現在の安全確認システムは、簡単に言いますと、国の検査を緩める代わりに、民間業者が段ボールを開けてみて異常があればすぐ通報せよという、民間頼みの実に網の目が大きいシステムなんです。私は、今回の事案は氷山の一角ではないかと大変危惧しているんであります。擦り抜けている特定危険部位がもっとあるのではないかと思えてなりません。そもそも民間業者による検品がどの程度の割合で行われているのか、国は実態をどう把握をされておりますか。これをお示しをいただきたいと思うんであります。  続けて申し上げます。誤記載は、先ほど申し上げましたけれども、平成十八年度以降はありませんということなんですが、誤記載平成十八年度七月の輸入再開以来七件も発生しており、もはや個別事例で片付けるのはできない状況ではないかと思うんであります。米国政府が発行している衛生証明書が実際の貨物と合っていることの照合作業輸出段階でしっかり行われているんでありましょうか。この点もお示しをいただきたいと思うんであります。  まず、この点までの質問についてお答えを是非お願いいたしたいと思います。
  15. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) まず、私が既に答弁をいたしました答弁の要旨の整理をいただきました。三点そのとおりでございます。そのように私の認識をしているところでございます。  それに関しまして、今、種々更に御質問があったわけでございますが、まず吉野家でこれがチェックされたということで、一般の消費者の口に入る前に止めたと、止められたということは、政府の検疫をくぐり抜けてきたものがそこでチェックされたんであって、大変危険な状態だという御認識でございます。  政府の方のチェックは御承知のようにサンプルチェックでございます。今回、サンプルの抽出率を上げたりしましたけれども、サンプルはあくまでサンプルでございます。しかし、大量の物品の流通の中で、それの安全性がどういうような状況の中で確保されるかということを総合的に判断した上で取られているシステムでございまして、その意味では、私が申し上げましたのは、米国牛肉輸入に当たって厚生労働省がこの輸入業者に対しまして、輸入に当たって対日輸出プログラムを遵守して処理されることなど、輸出業者に対して確認をすること、倉庫への搬入時には到着貨物衛生証明書記載の品目、数量との整合性を確認すること、国内流通段階においては表示と内容の同一性を確認することなど検品を徹底すること、問題を確認した場合には行政機関に通報することというようなことを通知をしているところでございまして、そういう厚生労働省の通知のシステムというものの中で業者から報告があったという意味でこのシステム機能しているんだというふうに申し上げたところでございまして、厚生労働省と農林水産省は、今後ともこれらが、こういう事案が生じたその米国施設自身の中でこの混載が行われたということとまず理解をいたしておりまして、その意味では当該施設からの輸入は止めているわけでございますが、それじゃなぜそういうことが起こったのか、他の施設においても起こり得ることなのかどうか、あるいは他の業者についてもあり得ることなのか、そういうことについては私の方から事務局を通じまして米国大使館、大使館を通じて米国政府に対してこのことについて詳細調査をするように申入れをしているわけでございます。  そういう意味で、米国政府において現在詳細な調査が実施されているわけでございまして、両国間の関係として、その米国政府のまずきっちりとした調査が行われ、そして輸出の立場からのチェックがちゃんと行われるということが前提でございますので、それらの貨物について米国側の調査の結果報告を待ちましてこれに適切に対処していくのが適当だと、こういうふうに判断をしているところでございます。  ほかにいろいろ、もう余り長くなりますから、どうぞ。
  16. 藤原良信

    藤原良信君 そうですね。ありがとうございます。  じゃ、大臣、大変恐縮でございますけれども、先ほど、大臣前回発言を基にして整理をしてみまして、改めてそれを吟味をした上で質問させていただいておりますけれども、その中で、大臣、先ほど申し上げましたけれども、平成十八年七月の輸入再開以降類似の問題は、いわゆる脊柱混入は発生していなかったということを言われておりましたけれども、これは今回見付かった脊柱平成十八年七月の輸入再開直後の平成十八年八月、一か月後に輸入された貨物に入っていたということなんですよ。その分、私は事態は深刻だと思うんです。単純ミスでは済まされないと思うんであります。  問題の工場は、すべての対日出荷施設のうち最も対日出荷量が多い工場なんでありまして、その分、我が国に及ぼす影響は決して小さくないと思いますよ。我が国が問題に遭ったナショナルビーフ社のカリフォルニア工場だけの輸入停止措置にとどめてございますけれども、私は、いったん米国からの輸入をすべて止め、安全管理の徹底状況を点検することがこれは正しいことだと思いますが、いかがでございますか。  そうした観点から考えてみましても、そもそも脊柱の混入自体があってはならない問題でありますけれども、これを個別事例と片付けて全体の歯止めを、止められないというのは私は明らかな誤りであると思っておりまして、百歩譲ったといたしましても、ナショナルビーフ社の全三工場について、原因究明と再発防止が明確となるまでの間、輸入を止めるべきであると思いますが、いかがでございますか。  それと併せてなんですけれども、韓国では、いわゆる米国産の牛肉輸入再開が大問題となっておりまして、大統領の支持率が落ちているということが報道されておりまして……(発言する者あり)いや、そういうことを踏まえた上で、これはやはり大きな関心事であると私は思うんであります。そういうことを是非含めてお答えをいただきたいと思います。
  17. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) ちょっと今のいろいろ御意見、御質問を整理しているという間がないほどいろいろとお話しになりましたが、最終的には、要するに、部分的な当該事故発生の施設にかかわる加工牛肉だけではなくて全部止めるのが安全じゃないかと、こういうことをおっしゃっておられるんだと思います。  そこで、申し上げたいと思うんですけれども、米国内にあります対日の輸出認定施設というのは米国の農務省が個別に施設ごとに認定をしているわけでございます。そして、その施設規模とか施設の置かれている地域の特性などに合わせまして操業形態とか衛生管理などを定めているところでございまして、対日輸出条件を遵守するための作業工程というのもそれに応じて異なっているわけでございます。でありますから、そういう意味では、一律に扱うということは適切ではないと今考えているわけでございます。  今回の混載事例を除きまして今まで七例が混載事例が確認していますが、いずれの事例においてもその原因がそれぞれ固有のものであったと、時間の関係で御説明いたしませんけれども、固有のものであったということから、施設ごとにその輸入手続を保留して原因究明と改善措置を講じてきたところでございまして、その意味では、今回の事例につきましては、事件につきましては、先ほど申し上げましたように、しっかりとして、なぜこういう混載というのが発生したのか、どういう工程の中で発生をしてきたのか、それらについて米国政府の方にきちっと調査をして報告をしてもらえるように指示をしているわけでございます。  そういうようなことでございますので、その調査米国側からの報告を待って、私は、現地のその報告どおり行われるかどうかということの確認のために現地に赴くことも含めまして、適切に我々が納得できるような形でチェックをしたいと、このように考えているところでございます。
  18. 藤原良信

    藤原良信君 厚生労働省にお伺いいたします。  今回のこの問題を受けて、検疫の抽出率を最大一割まで引き上げるということでございますね。その意気込みは私は評価いたしますけれども、これまでの国の理屈からすれば、そもそも輸入条件の遵守システムには不備はなく、問題工場からの輸入を止めたんでありますから、これ以上の対応は本来要らないはずでございます。そうじゃありませんか。にもかかわらず検疫の抽出率を引き上げるというのは、言われたからやるんでありますか。そういうのを小手先の見直しと言うのではありませんか。消費者の安全をどうやって守り抜くかという視点が私は欠けているんじゃないかと、そういう対応ではないのかと言わざるを得ないんであります。  特定危険部位が混入していたら即輸入全面停止くらいのことを日米間でルール化すべきじゃないんですか。どう思いますか。その点について、厚生労働省。
  19. 藤崎清道

    政府参考人(藤崎清道君) お答え申し上げます。  輸入を全面的に停止すべきかどうかという御議論につきましては、ただいま若林農林水産大臣がるる御説明されたとおりでございます。  そういう中で、検疫所における抽出率を上げたという論理についての御質問についてでございますが、もう少し詳しく御説明いたしますと、今回の抽出率のアップということにつきましては、私どもの検疫所とそれから農林水産省さんの動物検疫所と、両方で上げてございます。具体的に申し上げれば、これまでも、輸入届出に対する抽出率といたしましては、動物検疫所ではすべての届出に対して検査をしていたと。そして、検疫所におきましては、今回の事案のように大変に量の多いところで今まで輸入実績で問題のなかったところについては、昨年の十二月に緩和をいたしまして一、二%にしておったというところでございます。  それを、今回の事案がありましたので、動物検疫所におかれましては、今度は開こん率ということでございますが、それぞれの届出に対しましてどれだけの箱を開けるかということにつきまして二・七%から一六・七%に、検疫所におきましては一・七%から六・七%に引き上げたということでございます。これによりまして、全くアクシデンタルなものについての把握というのはもちろん困難でございますけれども、一定の均質なものが、均質性のあるものが入ってくるという中ではかなりの程度のまた把握ができるような状況まで引き上げたということでございます。  これはなぜなのかということでございますが、制度として輸入業者あるいは販売業者、加工業者等がきちんとやるからいいんだというようなことでの基本的な考え方と申しましょうか、その方々に責任を負っていただくというシステムそのものは私は成り立っているとは思いますけれども、やはり念には念を入れてという観点から、この抽出率、開こん率を引き上げて、より国民の皆さん方の安心を確保していくと、そういう観点からこのような措置をとったところでございます。
  20. 藤原良信

    藤原良信君 これは話が平行線になっていくような感じを持つわけでありますが、私は、福田総理は年初で、年の初めで、施政方針演説で、秋には消費者庁創設の法案を提出することを検討しているということを発言されてございます。民主党といたしましても、我々は現在の体制のままでよいとは考えておりませんので大いに議論に加わりたいと思いますが、現に起こっている具体的事案への対応ぶりを見ますと、果たして消費者の視点に立っているのかどうかという、疑問にならざるを得なくなってくるのであります。  そもそもその典型例が米国牛肉問題でございますし、今回の脊柱混入問題の前にも、昨年暮れには日米の次官級経済対話という非公式ながら外交政策上重要な会合におきまして、しかも事務方が勝手に月齢緩和を受け入れる余地があるとのメッセージを送ったとされる問題があったばかりであります。  そして、中国製の冷凍ギョーザ問題については、一月末に発覚して以来、いまだ原因が究明されておりません。関係者の御労苦には私は敬意を表します。しかしながら、余りにもスピード感がなさ過ぎるんではないでしょうか。  今回の脊柱混入問題については、若林大臣には今まで御答弁いただきましたが、是非とも迅速な原因究明と再発防止に向けまして強く米国に申し入れていただき、もし誠意が得られないような対応がある場合は、輸入の全面停止も辞さないという覚悟で臨んでいただきたいと思うんであります。  私はそう思うわけでありますけれども、この輸入全面停止ということについて、これは決定は政府の決定になっていくわけでありますけれども、委員会で私は各委員それぞれこの問題については同じ考え方でないかと思いますけれども、取扱いについては委員長に御一任いたしますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。御答弁は結構でございます。  次の質問に入らせていただきますけれども、よろしゅうございますか。
  21. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 理事会で後刻協議をいたしますけれども、権能の問題もありますので、即答は控えさせていただきますが、検討をいたします。
  22. 藤原良信

    藤原良信君 ありがとうございます。時間の問題もありまして、水産の質問もしたいのでよろしくお願いいたします。  山田長官、よろしくお願いいたします。私、これ限られた時間でございますから、前回の私の質問を基にいたしまして、再度これ御質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。  新しい漁業経営安定対策につきまして、まず御質問いたします。  これについては、三月二十七日、私は当委員会質問をさせていただきました。そして、紙委員質問として取り上げられました。議論を通じまして、これはっきりとクローズアップされていくのは、加入要件が厳しくて大多数の漁業者には縁遠い対策ではないかと。漁業が盛んな北海道ですら全漁業者の一割程度しかカバーできないような対策が、果たして我が国の漁業に明るい展望をもたらすことができるかどうかという、私はそういう素朴な疑問がわいてくるんであります。  そこで質問いたします。まず、水産庁が本対策を組んでいくに当たりまして、漁業現場意見をどのように、そしてどこまで反映されたのかということをお伺いしたいんであります。  例といたしまして、農業における品目横断対策ですけれども、その決定に当たりまして、農協系統の意見を十分に酌んだはずなんでありますけれども、結局、JAや農業者から強い不満が沸き起こりまして、見直しを余儀なくされたのはついこの前の出来事でございます。漁業の経営安定対策でそのようなことが起きないかと思いますと、非常にそういう不安が私は思いますが、これ素朴な不安でございます。その点を確認しておきたいと思います。  二点目、水産庁が昨年三月に示した漁業の生産構造と経営展望では、効率かつ安定的な沿岸漁業経営体を平成十五年の一万五千経営体から二十九年には二万五千経営体にまで増やすとの目標を掲げております。私は承知しております。新しい経営安定対策は当面五年限りの事業ですけれども、これによって経営体育成目標は達成されると思いますか。国の、水産庁のその見通しをお示しを是非お伺いしたいと思います。  あわせて、三点目、一気にやります。民主党食料安定供給と、漁村地域を支える漁業者が長期展望を持って漁業に取り組めるよう、いわゆる漁業者ごとの所得補償が必要ではないかと考えております。漁業の戸別補償対策ということでございます。その具体的内容については検討中でありますが、まず水産資源を国民の共有財産と位置付けまして、資源回復の取組に参加する漁業者についてはその収入を一定程度補償すべきであるとの基本認識を持っているんであります。  政府といたしましても検討をする余地が私は大きいと思いますが、長官いかがでございますか。見解をお示しください。
  23. 山田修路

    政府参考人山田修路君) 三点御質問がございました。順次お答えをいたします。  まず第一点目でございます。新しい経営安定対策について現場意見がどういうふうに聴かれているのかという質問でございます。  この新しい経営安定対策につきましては、昨年三月に策定されました水産基本計画に位置付けられておりまして、基本計画の検討に併せましてこの新しい経営安定対策の原案の作成を行ったわけでございます。その原案の作成の段階で漁業系統団体あるいは学識経験者の意見を聴くということで原案を作成いたしました。  現場意見ということにつきましては、その後、全国レベルあるいは各都道府県段階において延べ百回以上にわたりまして漁業者や漁協、漁連の関係者、また地方公共団体の職員に対して説明会を実施し、その場でいただいた意見等を考慮して制度の検討を行ったということでございまして、具体的にその場で出た意見を反映しながら制度の作成に当たったところでございます。これが一点目でございます。  それから、二点目でございます。基本計画で定められた、あるいは基本計画と併せて公表されたものでございますが、この経営体の育成の見通しでございます。  新しい水産基本計画、昨年三月に策定をされましたが、その中におきましては、他産業並みの所得の確保が可能なレベルであります効率的かつ安定的な経営体によりその大宗が担われるような生産構造をつくるというようなことがこの基本計画で定められたわけでございます。この基本計画に併せまして公表されました沿岸漁業の構造展望におきまして、委員からお話がありましたように、この目標年次でございます二十九年にはこの効率的かつ安定的な経営体を二万五千にすると、委員お話がありました、そういう数字を公表したわけでございます。  この二万五千の効率的かつ安定的な経営体の育成につきましては各般の施策を総合的に講じていこうということでございまして、委員からお話がありましたような新しい経営安定対策ももちろんその一翼を担っているわけでございますが、併せて、例えば共済制度でございますとか融資制度でございますとか、あるいは担い手の育成確保対策などを講ずることによりまして、この二十九年の目標の二万五千の経営体というものを目指していこうということでございます。
  24. 藤原良信

    藤原良信君 これ、時間の関係もあって余り議論はここでしたくないんですけれども、要件が五つありますよね。だから、平成十四年からスタートいたしました、いわゆる漁業経営安定対策ですか、これは経営体が十二万件あると言われておりますね、十二万件。その中で、五年間これをやって、参加したのはたった二百三十四経営体だけです、十二万件のうちでですね。まずこれを、なぜそうなのかということを、なぜ参加しない、できないのかということなんですよ。なおかつ、今回ハードルを五つ用意しまして、六十五歳以上は駄目ですよというんです。六十五歳以上の人で元気な人いっぱいいますよ。これは漁業者怒っていますよ、なぜそういうハードルを設けるんだと。参加すること自体をそこでもう止めているわけですよ、後期高齢者医療のお話じゃないけれども。それから、共済にこれは上乗せすると。中身については分かっていますので、その中身については言わなくて結構ですから。いわゆる共済が、大きく分けて三つの共済が、加入者は五割ですよ。初めから五割の人は対象にならないんです。  ですから、そのほかもこの五つの要件があるんですが、今の燃油高騰からいきまして、これは経営計画をこれだけ伸ばせとか何かということを先に示させているということ、非常にこれはハードルは高いということを何度も申し上げておりまして、そういうことで果たして目標が到達できるかということがあるわけであります。この点をまず申し上げておきます。  今、いや、長官から今答弁がありましたけれども、そのほかも質問したいんで……(発言する者あり)それじゃ、後であれして、ああそうですか。
  25. 山田修路

    政府参考人山田修路君) 三点目をお答えしませんでしたので。  その前に、ただいまお話がありました経営改善計画につきましては、平成十四年度に制度改正をしたときのメリット措置が、漁船の代船建造をする、あるいは代船を取得する際の融資が中心でございましたので、大きな投資をする人しか事実上認定を受けなかったということで少ないということがございまして、それから年齢要件につきましては、経営者の年齢ではなくて海上作業日数が最も多い方の年齢ということで、漁船で、海で仕事をするというときにやはり一定の方でないとなかなかできないということで、経営主の年齢ではないということを申し上げておきます。  それで、三つ目のお答えをし忘れましたのでお答えいたしますけれども、戸別の所得補償方式についての御質問でございました。民主党の方で出されたマニフェストなども見させていただいておりますけれども、個別の漁業者ごとに漁獲量の割当てを行うという、個別TAC方式というふうに書いてございましたが、それを導入して、その影響を受ける者について個々の漁業者に所得補償したらどうかというふうに承知をしております。  我が国の漁業では非常に多くの魚種、魚の種類を対象として非常に多くの漁船が存在をしているということでございます。それから、水揚げをする港も非常に多いということでございます。ということで考えますと、個別に船ごとに魚の種類を割り当てるということについてはやはり検討すべき課題が非常に多いというふうに考えております。  例えば、報告によって漁獲を管理するということになると思いますが、仮に虚偽の報告をなされるというようなことがあった場合に適切にチェックできるかどうかという問題。それから、外国でもそういった例が見られますけれども、価値の低い、値段の安い魚をほうってしまう、捨ててしまう、廃棄してしまうというようなことが行われるおそれがある。また、監視、取締りの費用の増嵩ということも考えられます。こういった検討すべき課題が多いと考えております。  このような点も含めまして、今後外部の学識経験者から構成される検討会を設置するということで、TACの在り方について検討を開始したところでありまして、その中で私が申し上げましたような問題点も含めながら個別割当制度についても検討していきたいと考えております。
  26. 藤原良信

    藤原良信君 やり取りはしたいんですけれども、燃油高騰対策についても私懸念持っておりますんで、懸念の中身について御質問いたしますんで、大変恐縮でございますけれども簡潔にお答えいただきたいと思います。  これは前回も私質問したんでありますけれども、幾つかの問題点を指摘いたします。  これは、基金ってあることは承知しておりますけれども、ちなみになんですが、先日の当委員会でも、全農の十万トンの飼料米処理が、国の予算五十億円を措置したにもかかわらず一万五千トンしか処理できず、四十三億円もの国費が使われなかったことが問題提起されました。私は、同じようなことがこの燃油高騰対策の基金にも生じなければいいなと思っておりますよ。  政府は、漁業現場の説明会何度も開いたということを前回も話されておりますが、仮に基金を消化できなかった場合、漁協系統のせいにするのだけはやめてほしいと思います。政府には予算措置した責任が私はあると思います。基金の活用見通しについて、十二分なそういうことを踏まえた上で御答弁いただきたいと思います。  それから二点目。漁業は生産費に占める燃料費の割合が他産業に比べて高いんであります。これは御存じのとおりであります。世界はもう各国が食料確保に乗り出しておりまして、国民に新鮮な水産物を安定供給するという重要な役割を担っていることは私ども承知しております。そういうことをかんがみれば、緊急かつ臨時的にも燃油高騰分を漁業者に私は直接補てんすることが一番の近道であり筋道だと思います。  民主党はそのような観点から、昨年十二月、総額五百二十億円規模の緊急対策を発表いたしました。国といたしましても直接補てんを頭から否定をしていない様子だと私は受け止めておりますが、今後検討する用意があるかどうか。これ御見解を長官、是非お願いしたいと思うんであります。
  27. 山田修路

    政府参考人山田修路君) 二つ御質問がございました。  第一点目が燃油高騰対策の見通しでございます。これにつきましては、この前の委員会での御質問でもお答えをしておりますけれども、全国説明会あるいはブロックごとの説明会、各県ごとの説明会、様々な段階で行っております。県別には現在までのところで約三十の道府県で開催をしております。  今の現場での取組状況でございますが、私どもの承知している限りでは漁業関係者の関心は高い状況にありまして、前向きに検討いただいているところでございます。例えば、輪番休漁という仕組みがメニューとしてございますけれども、四月の十八日には千葉県の漁業者グループの活動計画が認定されておりまして、これ以外でも三重、佐賀、兵庫、千葉、長崎など各県でいろいろ検討がなされているというふうに聞いております。ほかのメニューについても同様でございまして、関心の高いものを是非現実的な対策に結び付けていきたいというふうに考えております。  もちろん、漁業団体の責任にするわけではありませんけれども、やはりこういった推進については大日本水産会あるいは全漁連と連携をしていくということが必要でございますので、今後とも連携をしながら取り組んでいきたいというふうに考えております。  それから、二つ目の御質問でございます。漁業者に直接補てんをその燃油の上昇分したらどうかというお話でございます。  漁業につきましては、これはもう委員も御案内のとおりでございますが、非常に燃油に占める割合、そのコストに占める燃油の割合が非常に高いわけでございまして、これは二割から三割という状況にあります。このため、こういった漁業の生産構造を変えていくということはどうしても必要なことでございまして、省エネ型の機器を導入するあるいは省エネ型の操業方法を導入していくということでこういった構造を変えていくという観点から今の対策を仕組んでいるわけでございます。  直接補てんをしろという御意見があるのは承知をしておりますけれども、燃油高騰の影響は漁業のみならず広く国民全般に及ぶものでございますので、漁業者のみに対してそういった直接補てんを行うということが国民の理解が得られるのかどうかという点も十分検討していく、考えていく必要があるというふうに考えております。
  28. 藤原良信

    藤原良信君 時間がありませんので、一点だけ、何点もあるんですけど、一点だけ、あと。  これ、四月十一日に岩手県の岩手日報という新聞がございますけれども、クラゲが大量発生したんであります。この問題について、ちょっと長官、よろしくお願いいたします。  大型これはクラゲではございませんで、ミズクラゲという種類だそうでございますけれども、いわゆる小ちゃいわけでございますけれども、これは有害生物漁業被害防止対策といたしまして二十年度で八・九億円の予算を盛り込んでおりますけれども、これはただし、対象といたしましては、広域的、大規模に出現をして大きな漁業被害をもたらすということで、大型クラゲ等がこれは対象になっているんですけど。これ、キタミズクラゲというそうでありますけど、こういう小さな、まあ発生したわけでございますが、クラゲが、大きなこれ被害になっておりますけど、これ対象に考えていくべきじゃないかと思うんですが、御見解だけちょっとお示しをいただきたいと思います。  以上で終わります。
  29. 山田修路

    政府参考人山田修路君) 委員からお尋ねのありましたのは、有害生物漁業被害防止総合対策事業という事業でございます。この事業は、広域的にそういったクラゲ等が出現して漁業被害を及ぼすという有害生物についての対策でございます。広域的な対策が必要だということで事業を実施しております。  実際の対象生物の選定につきましては、事業実施主体であります全漁連に委員会が設けられておりましてそこで決定をすることになっておりますが、現在、大型クラゲのほかトド、ナルトビエイが対象になっております。委員からお話がありましたキタミズクラゲについては、私どもの承知しているところでは現在一部の地域に出現がとどまっているというふうに聞いております。  そういう状況ですので、直ちにこの事業の対象になるかどうか、もちろんその選定委員会の方で決めることでございますが、そういった局所的な出現でございますので、私どもとしては、この事業の対象というよりも、むしろ技術的な助言を行うなど、関係県と連携を取って被害の防止に当たっていきたいと考えております。
  30. 藤原良信

    藤原良信君 ありがとうございます。
  31. 山田俊男

    山田俊男君 私は、まず食品の安全、安心の分野から質問をさせていただきますが、民主党藤原委員の方からかなり丁寧な質問があり、また農林水産大臣からも丁寧な応答がなされたわけでありますから、できるだけ重複を避けながら、しかし何点かにわたりまして確認と要求を行いたい、こんなふうに存じます。  まず、今回の米国産の輸入牛肉から危険部位が混入された、これを発見したわけでありますが、これまで、いったん輸入停止をしまして、その後八回にわたりまして、今回八回目の違反事例に該当するわけでありますが、今回の違反事例は、まさに出荷証明書、衛生証明書ですかね、これに対して記入されていない骨付き牛肉が混載されていたわけであります。別の言い方をすると、特定の危険部位が入っていた箱に衛生証明書が付いていたと、こういうことになるわけでありますが、明らかにずさんなアメリカ側の輸出の対応であるというふうに言わざるを得ないわけです。  しかし、その点について、四月二十四日の本委員会におきましても、さらにまた本日の委員会におきましても、農林水産大臣並びに厚生労働省の方からシステム上は問題はないんだと。こうした観点で、第一回目にとりましたような輸入の全面停止、さらには会社の、その輸出しました会社からの輸入停止ということではなくて、これも特定の工場についてのみの輸入停止と、こうした措置になったわけでありますけれども、果たしてそれで十分な措置と言えるのかどうか、大変疑問があります。何としてでも、これらのことで、これらの当該工場からの輸入停止という措置だけで米国からのずさんなこうした管理や輸出のことを止められるのかどうか、この点について農水省の見解をお聞きしたい、こう思います。
  32. 佐藤正典

    政府参考人(佐藤正典君) 御説明申し上げます。  先ほど来お話がございますように、今回の事案につきましては、現時点では日本向けの輸出品ではない誤載積によるものであると考えられます。全面輸入停止措置を講じました平成十八年一月の事例のように、実際には不適格品であるにもかかわらず米国農務省が日本向け輸出条件に適合しているとの証明がなされた製品が輸入されたケースとは異なっているというふうに考えております。また、他の施設からは、一昨年七月の輸入手続再開以降これまで、十八年一月の事例と類似の問題は発生していないこと、こういうことを踏まえまして、まずは当該施設からの輸入手続を保留したところでございます。  また、他の施設からの輸入牛肉につきましては、今回の事案を踏まえまして、厚生労働省と農林水産省におきまして輸入時の検査段階抽出率を引き上げ、チェック機能の強化措置を講じたところでございます。  今回の事案につきましては、現在、米国政府に対しまして徹底した原因究明、改善措置の実施を含む詳細な調査結果の報告を求めているところでございます。今後、米国から提出される調査結果の報告を踏まえまして、厚生労働省と連携して適切に対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  33. 山田俊男

    山田俊男君 米国のどうもいいかげんな対応に対します農林水産省並びに厚生労働省の対策としては不十分だと言わざるを得ないんじゃないかと、こういう思いでいるわけでありますが、昨年五月に実施しました対日輸出プログラムの遵守状況の現地査察、これにおきまして特段の問題なしというふうに結論をされているように承っておりますが、これも疑問があると言わざるを得ないわけであります。  今回のような重大な違反事例が生じた場合は早急に現地査察を行うべきだというふうに思いますが、その予定はあるのかどうか。さらには、現地査察に行きましても、十分な方策を取ってくるべきだというふうに考えるわけですが、その点どういう考えでおられるのか、厚生労働省から聞きたいというふうに思います。
  34. 藤崎清道

    政府参考人(藤崎清道君) お答え申し上げます。  前回、昨年の査察でございますが、これはこれまでの、輸入再々開をしてからの検証期間ということで全箱検査をやっておったわけです。それの終了も含めて、全体のシステムがどう機能しているのかということをチェックしてまいったわけでございます。それまでの米国側の輸出プログラム遵守状況でありますとか、あるいは査察におきます状況の確認ですとか、こういうことを通じてシステム的には機能しているという認識を持っておったわけでございます。  この間、先ほど若林大臣からもお話ありましたように、この間の状況の中でシステムとして問題になるような事例じゃなくて個別に、例えばスキャナーが機能しなかったりとか、個別に担当者が見落としがあったとか、そういうことはございますけれども、プログラムとして機能するための基本的な内容については遵守されると、こういうことでございます。  そういう中で、今回の事例につきまして恐らく誤積載ではないかという米国側からの今のところの報告があるわけですが、これにつきましてはきちんと調査をしていただくと、そして改善措置をとっていただくということを現在要望しておるところでございます。  こういう事案につきましては、一義的には当該国においてきちんとした調査を行うということがやはり筋でありますし、またその調査につきましても、自国内のことでありまして、また担当官も駐在しているわけですから、それをきっちりやっていただくのがまず肝要だろうというふうに考えております。そして、その報告を受けた上で、必要に応じてその報告内容が正しいものかどうかということを確認すると、こういうプロセスになろうかと思います。  現在、私どもが考えておりますのは、この報告を受けた段階で定期的な査察も考えておりますので、そういう状況も勘案しながら、現地に赴いてその報告内容についてきちんとした確認をしてまいりたいと、このように考えているところでございます。
  35. 山田俊男

    山田俊男君 どうも大きな問題が生じている割には対応が十分でないというふうに言わざるを得ないというふうに思います。直ちに現地査察を再度行うということを是非行っていただきたいと思いますが、その点については再度藤崎さんにお聞きしたいと思います。
  36. 藤崎清道

    政府参考人(藤崎清道君) 恐らく、どのような形で対応していくのかというのは、個々の事案においてその必要性を勘案して行っていくものだろうというふうに考えております。  繰り返しになりますけれども、今度の事案につきまして脊柱が入っていたということで、特定危険部位という事案での問題というのはこれ先生方御指摘のとおりでございますけれども、これまで輸入再々開をしてもうそろそろ二年近くになるわけでございますが、脊柱が一応発見されたという事案そのものはこの一件だけでございますし、またナショナルビーフ社につきましても、これまでそのような報告はなかったということでございます。  そういう意味で、これが本当に、その七百箱のうち一箱がどうして入ったのかと、ここのところをまず調べることが大切でありまして、私ども、その報告を受けて納得のいかないようなこと、あるいは本当に個別の、これまで七件あったようなアクシデンタルなものでなく、何か本当にシステムとして問題があるようなことがその報告の中から見受けられましたらば、これはこれできちんとした対応は、当然国民の安全を守っていくわけですので、これはきちんとやってまいると、こういう考え方でおります。  そういう意味では、決して私ども、その事案を軽視しているとか適切な対応を取っていないとか、そういう考え方ではおりません。そのことは御理解願いたいと思います。
  37. 山田俊男

    山田俊男君 総理が今年一月のわざわざ施政方針演説におきまして食の安全、安心が極めて大事だと、そのために消費者庁の設置も含めた動きを取っておられることに対する対応としてはやはり動きが鈍いというふうに私は言わざるを得ないと、こう思うわけでありまして、十分検討の上早急な措置を講じていただきたい、このことを切に要求するところであります。  続きまして、この問題と関連して、今回の違反事例は、消費者の口に入る一歩手前で、それも政府検査ではなくて民間の外食業者の調査で判明したものであります。これは、昨年来から全箱検査政府がやめたということとの関連でありますが、その見返りに輸入業者に対してしっかり指導をしているということであるわけでありますけれども、その輸入業者に対する指導は、ラベルの確認だったり、検品の徹底だったり、行政機関への通報などという指導内容になっているわけであります。  昨日の決算委員会で、当委員会委員でもあります野村議員の方から厚生労働省に対しまして質問しまして、この指導を指導ではなくて義務にすべきではないかということで質疑をして、岸厚生労働副大臣の方から義務でありますという回答があったようでありますけれども、この義務には罰則、報告がなされなかった場合は罰則の規定も含んだ内容のものなのかどうか、この点、お聞きしたいと思います。
  38. 藤崎清道

    政府参考人(藤崎清道君) お答え申し上げます。  今御指摘の食品衛生法第二十八条第一項に基づきます行政機関の報告の義務付けでございますが、この点に違反した場合、つまりこの規定による報告をしない又は虚偽の報告をした者に対しては五十万円以下の罰金に処するという規定がございます。
  39. 山田俊男

    山田俊男君 ともかく、全箱検査をやめた上でこうして出ていることであります。検査比率について今後高めるというふうにおっしゃっているわけでありますが、検査比率を高めることで本当により効果的な対策が取れるのかどうか、この点、再度お聞きしたいと思います。
  40. 藤崎清道

    政府参考人(藤崎清道君) お答え申し上げます。  一点、今までの御質問全体にかかわることで少し御説明させていただきたいんですが、食品安全法に基づきますいわゆる輸入食品の安全確保ということにつきましては、一義的に、その法の体系と申しましょうか、これは食品安全基本法もそうでございますけれども、一義的にまず業者の方々がその製品の安全についてきちんとした責任を持っていただくと、この思想で成り立っております。その上で、当然行政としてその規制法規として様々な手だてを取っているところでございます。  そういう中で、輸入食品につきましては、まず輸出国においてきちんとした体制を取っていただくと。そして、その中で今度は輸入される方々がその輸入する製品がきちんとした形での生産から流通しているかということを確認していただく。そして、国内に入る段階で、検疫所においてあるいは動物検疫所において、まあ、こちらはあれですが、検疫所においてサンプリングの検査をすると。そして、国内に入ってからは、やはり業者の方々がその製品が安全であるかということに責任を持っていただくと同時に、国内での収去体制等の行政がかかわる部分があると、こういう体系の中で行われております。  そして、そういう中で、その検査部分をどこまでやっていくのかということでございます。そして、どこまで検査をするかという義務付けにつきましては、その安全性違反の態様、そして当該国におきます規制の程度、それからいろいろな問題の程度、こういうことを勘案してやってまいりますので、それに応じて私どもは対応を取っていく、このことをまず御理解を願いたいというふうに考えております。  そして、今後の、今回の事案も含めた対応でございますけれども、これにつきましては、今回、検査についての抽出率を上げたということで国民の皆さんの不安を解消すべく努めておるところでございますし、また、今申し上げました業者の方々の御努力、これまでもお願いをしてまいりましたが、また改めて、今回の事案を契機といたしまして、この法律の義務化という問題も、報告の義務化ということも含めましてお願いをしておるところでございます。  こういうことを通じて私どもはこの安全の確保のために万全を尽くしていきたいと、このように考えております。
  41. 山田俊男

    山田俊男君 これら一連のプログラムの設定、この点について私もそれなりに承知しているつもりであります。しかし、先ほど来申し上げているのは、これは藤原委員の問題提起もそうでありますが、そのプログラム全体が果たしてちゃんと機能しているのかということを申し上げているわけであります。これらを全体踏まえて、どうもアメリカの対応も、それから我々の国内におきます検査も果たして十分なのかというふうに申し上げているところであります。  ここで農林水産大臣にお聞きしたいわけでありますが、こうした体制をどう見直し、強化するかということと併せて、こういう状況の中でアメリカが言っておるのは、月齢の制限のない輸入我が国に迫ってきているわけであります。このプログラムについてしっかり確信を持たない限り、当然、月齢なしの輸入解禁について受け入れるわけには毛頭まいらないわけであります。どうぞ、大臣の考えと決意をお聞きしたいと思います。
  42. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 私は、今回のこととかねて米国側が要望をしております月齢撤廃の問題とは直接かかわることではないという、そういう基本的な認識を持っております。  今回のものは、約束したことがそのとおり行われていないという、そういうおそれがあるわけですね。米国側が日本への輸出をラベルで認証をした、それと違うものが、認証したものと違うものが入っていたという、そういう事案でございます。  これは、そういう意味では、なぜこういうことが起こったのかということについて、先ほど来も申し上げていますけれども、詳細の調査をし報告をすべく米国側に求めているわけでありまして、米国側もそれが、ちゃんと報告をするということがない限り当該工場からの輸出ができないということもあるわけでございますから、私の承知する限り、真剣にその調査をしているというふうに考えておりますし、今までの例からいってもそう時間が掛かることではないということを期待しております。これはこれできちっとやっていかなきゃいけない、このように思うのでございます。  それと、月齢撤廃を求められているというこの問題については、我々は従来からの方針はいささかも変わっておりませんで、日米間の技術的な検討会合におきまして米国側から我々が要求したデータの提供がございました。そのデータにつきまして、日米共同で現在、その評価を含めた報告を取りまとめている、そういう作業をしているところでございます。そういう意味で、この輸入条件を見直すかどうかについては、その取りまとめの結果を踏まえた上で対応をするという考え方は変わっておりません。  いずれにしましても、農林水産省としては食の安全と消費者の信頼を確保するということを大前提に、やはり科学的な知見に基づいた対応ということが重要であると考えておりまして、引き続き厚生労働省と、これは食品安全の視点でございますが、連携を密にしまして、これに適切に対処していくという方針でございます。
  43. 山田俊男

    山田俊男君 いずれにしても、この問題はまだまだ課題が残ります。どうぞ、我々としてもしっかり議論を詰めていきたいというふうに思います。大臣も、食の安全と消費者の信頼、この基本を守るという観点でしっかり対応をしてもらいたいと、こんなふうに存じます。  そこで、続きまして、中国からの輸入ギョーザ事件につきまして質問をしたいというふうに思います。  この点について、一月に発覚後、マスコミでああいう形での大きな論議が生じたところでありますが、最近はどうもこれが小康状態といいますか、どこからもなかなか伝わってこないということがあるわけでありますが、警察庁にお聞きしたいんですが、現在の捜査状況、これはどういう状況にあるのかということと、それともう一つは、真相の解明に全力を挙げていただきたいわけでありまして、その決意をお聞きしたいと存じます。
  44. 小野正博

    政府参考人小野正博君) お答えを申し上げます。  警察におきましては、関係者の事情聴取や流通ルートの解明、製品につきましての毒物の分析等の解明を進めてまいったところでございます。  国内におきましては、捜査が可能な項目につきましては大部分が終了してきております。今後は、まだ完全に終了していない本件ギョーザの定量分析等を継続するなど、国内において残された捜査事項につきまして捜査を早急に完遂するようにしたいというふうに考えておる次第でございます。  また、この事件の解明ということにつきましては、私どもとしては精いっぱい努力しているところでございますが、やはり日本だけの捜査で済まないわけでございますので、今後とも中国側につきましては捜査当局間におきまして連携を図ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  45. 山田俊男

    山田俊男君 どうぞ、しっかり対応をお願いしたいと思います。また進行状況を踏まえまして質疑を行ってまいりたい、こんな思いでおります。  ところで、あと、時間のことは余り言いたくないんですが、時間だんだん少なくなりまして、四月十日の日に是非これはやりたいというふうに残していた質疑が幾つかありまして、七分の間に一気にやりますから答弁をよろしくお願いしたいというふうに思います。  農産物、WTOのことについてなんです。新しく、我が国食料輸出の禁止等の世界の各国の動きに対しまして新しい規律を提案された、こう報道されております。  規律の内容を改めて聞こうかというふうに思いましたが、もうこれ省きまして申し上げますが、要は、新しい規律を改めて提案しなければいけないほど、このWTOの交渉は本当に新しい局面を迎えていると言っていいのではないかと、こう思います。  今、交渉の中で関税割当て数量の拡大が迫られるという事態にあります。ところが、その関税割当て数量の拡大のこれまでのMA米について入札はどうかといったら、いや、落札できないと、こうした事態があるようであります。  それからさらには、先ほど一川民主党委員の方からもありましたが、ミャンマー、さらには中国の四川におきますこうした被災状況が生じています。そのことについて、かつてASEANの会議の中で議論しました東アジア米備蓄構想、これらを本当に機動的に動かしていくことが必要であります。新しい局面の中で新しい視点でのWTOの交渉を再構築すると、このことを主張するというのが我が国の姿勢ではないのかと、こんなふうに考えるところであります。  大臣前回のこの委員会で、悪い内容だったらもう合意しないということを明言できないんですかというふうに申し上げたら、大臣は、譲れない線を腹に置いて頑張ると、こういうふうにおっしゃっているわけでありますが、その局面以上に事態はやはり進行しているかと、こんなふうに思っております。まさに今、新しい視点でのWTOの交渉を始めるべきではないか、こう思っておりますので、答弁は後でいただきます。  それからさらに、農林水産省は五月七日の日に、福田総理が本部長であります食料農業農村政策推進本部で、二十一世紀新農政二〇〇八、これを決定されたわけでありまして、大賛成であります。この新しい地球的環境の中で、この方向でしっかり動くということの意味は大変大きいというふうに思います。今月末にはアフリカ開発会議、さらには、来月上旬にはFAO食料サミットがなされるわけであります。七月上旬には先進国サミットがあるわけで、私は、農林水産大臣にお願いしますが、総理と一緒にFAO食料サミットにも出て、そして我が国の世界最大の純食料輸入国としての立場をしっかり主張されてしかるべきではないかと、こんなふうに考えますので、その点を強く要請しておきたいと存じます。  それから、WTOの交渉等と関連しまして、生産刺激的な助成について、この削減をルールにしていること、これは私も十分承知していることであります。その流れの中で、品目横断の経営安定対策を構築するに当たりまして、生産刺激的な助成金を削減するという観点から、平成十六年—十八年の過去実績をベースにして助成措置を決定する、直接支払の水準を決定するという仕組みに踏み込んでいったわけでありますが、ところがこれ、本当に評判が悪い。  今、先ほど来から申し上げておりますように、世界の食料をさあどうするか、この危機にどう対処するかと。そうなりますと、世界最大の食料輸入国であります我が国等におきましては、食料生産強化こそが必要なのに、その仕組みに十分なっていないで過去実績を引きずっているということには毛頭ならないというふうに思います。この仕組みの改善等が何としてでも必要というふうに考える次第でありまして、これについての見直しを考えているのか考えていないのかということもちゃんと言いたいわけでありますが、時間がない。  続きまして、どうして答えていただきましょうかね。
  46. 郡司彰

    委員長郡司彰君) そろそろまとめてください。
  47. 山田俊男

    山田俊男君 言うことを言っちゃいますから。  EPA交渉に関連しまして、二つの問題意識を持っております。  一つは、日韓の首脳との間で日韓のEPA交渉を再開しようという動きになっておりまして、基本的に私は賛成です。  隣国韓国との間のEPAを結んでいくということは必要なんですが、ところが、そうした交渉を始めるという報道においても、そのときどんな報道が流されているかといったら、中断したのは農産物のオファーが悪かったからだといって、いかにも農業サイドに問題があるかのような指摘が報道機関から流されているわけで、これでは本当に日韓のEPAをきちっと両国の共に理解の下に進めるという状況に私はなっていないというふうに言わざるを得ません。
  48. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 質問をまとめてください。
  49. 山田俊男

    山田俊男君 もっと丁寧な対応がなされてしかるべきと、こんなふうに思っております。  もう一つ。その関連でいきますと……
  50. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 答弁の時間がなくなります。
  51. 山田俊男

    山田俊男君 はい。  そうなりますと、日豪のEPAについて果たしてどうかと。  交渉が続けられておりますけれど、そこで話し合われていることは何かといったら、市場開放ができない主要な農産物については制限を講ぜざるを得ないという措置に対して、オーストラリア側は市場開放しろと。まさにこの対立の状況報道されているだけであります。こんな対立状況をわざわざ報道されるような交渉は中断すべきだ、こんなふうに考える次第であります。  どうも答弁の時間がなくなりましたが、私の問題意識だけしっかり申し上げさせていただいたわけで、次回改めて整理してお答えをいただきます。  失礼しました。
  52. 谷合正明

    ○谷合正明君 公明党の谷合正明です。  私は、食料価格高騰問題への対応について質問したいと思います。このテーマは大きいテーマでありますので、今日だけじゃなくて、恐らく次回以降にも続けて質問をさせていただきたいと思っております。  まず、価格高騰問題といいましてもいろいろな要因等がございます。そこで、政府の対応といいましても、その要因がしっかり分析できていない限り対応もないんだと思います。まず、今状況がどうなっているかということで私の方からちょっと申し上げますが、世界銀行によりますと、米、小麦、トウモロコシなどの価格が二〇〇五年に比べて平均で八三%上昇していると。穀物の生産輸出国でも、自国の食料を確保するために輸出規制を始めた国も増えております。米の輸出規制は現在、インド、エジプト、中国、ベトナム、カンボジアなどの国が行っております。    〔委員長退席、理事平野達男君着席〕  米の消費量の約二〇%を輸入に頼るフィリピンでは、ベトナムの輸出規制の影響で深刻な米不足に陥っています。国民のデモも起きておりまして、このまま米の値上がりを解消できないと政権にも影響を及ぼしかねません。オーストラリアは、干ばつの影響で小麦の生産量が例年の半分に激減をいたしました。この影響で、エジプトでは主食のパンの原料である小麦価格が高騰し、暴動に発展しました。オーストラリアの減産分はアメリカからの輸出で何とか対応できました、この我が国もそうでありますが。この影響で、アメリカの小麦在庫率は二〇〇〇年当時の約四〇%に比べ、今一〇%と最低水準まで落ち込みました。また、これが資金の投資先を探している国際投資グループの動きを誘っているということでございます。  日本も米を主食としております。米も含めてきちんと対応を考えないといけないというシグナルだと思っております。また、米以外、穀物を輸入に頼る日本は、もうこれからは多少高くてもお金を出せば何とかなる時代というのはもう終わったというふうに認識をする時代に入ったと考えます。  まず、この現在の国際的な食料問題、価格の急騰、市民への食料供給の支障の現状をどう把握しているのか、政府の見解をお尋ねしたいと思います。  また、小麦、トウモロコシなどは、バイオエタノール製造向けの需要が高まっているためということも要因にあるという説明を受けてきましたが、確かにそれは一因なんですが、最近はこの米の価格の高騰というのが余りにも激し過ぎると、これはバイオ需要と余り関係なさそうなんですけれども、一体これどういう原因なのか、この点についてどう分析しているのか、分かりやすく説明していただきたいと思います。
  53. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 昨今におきます国際的な食料価格、穀物価格の高騰の要因分析を委員がしていただきました。その要因分析につきまして、認識は共有いたしております。    〔理事平野達男君退席、委員長着席〕  付け加えて申し上げるならば、やはり中国、インドなどのいわゆる発展の著しい途上国の所得が拡大をし、そしてその所得水準が上がることに伴って食生活が明らかに変わってきております。そういう食生活の変化に伴いまして、主として畜産物消費が増大していますが、その畜産物を育てるためのえさ需要が非常に強くなっているということが、えさ穀物でありますトウモロコシなどの価格にも影響しているだろうということ。それから、油の消費が非常に増えておりますから、油脂用の大豆の需要というものが高まっていると。そういうことを国際マーケットとして将来もこれは続くだろうという認識があるわけでありまして、そういう認識が言わば先物市場などの価格の強気を呼んでいるというような事情もあるということを一つ付け加えておきたいと思います。  このようなことが短期的には、今我が国に直ちに食料の供給不足というような形で国民生活に影響を与えるような事態には至っておりませんけれども、これを全く無関係なものというふうに考えてはならないと私は考えているわけでございます。やはり基本は、WTOでかねて主張し続けてきておりますが、やはりそれぞれの国は、食料を安定的に供給するために多様なその国に即した農業を継続をしていけるような、そういう環境条件を整えなければならないということでございます。そういうことをしっかりとこういう国際貿易ルールに当たっては主張をしていかなきゃならないと思っております。  なお、米についてでありますが、東南アジアを中心にしまして米の生産、貿易が中心でございます。その価格が他の穀物に比べまして異常に高騰しました。三倍にもなっているというような事態でございます。これは委員も御承知だと思いますけれども、米は貿易量が少ないんですね。生産量に比較して貿易の割合が低いという産物でございますから、輸出をしているものは少数特定の国によって占められております。最近、ベトナムやインドなどの、これは主要な輸出国の一つでありますが、そういう国々で、国内の低所得者層への供給不安だとかインフレなどの影響を回避するということのために米の輸出規制が相次いで実施されているというようなことがこの米価格の、国際価格の異常な高騰の要因になっているんではないかというふうに見ているわけでございます。  今、委員認識をほとんど共有いたしておりますけれども、これからの対応ということにつきましては、やはり我が国が国際社会の中で占めております立場というのは世界最大の輸入国でございます。そういう世界最大の輸入国であるという立場をやはり国際社会の中で輸入国を代表する形で発言をしていかなければいけない、このように思いますし、我が国の国民の皆さんにも、例えば食生活における無駄を排除するとか、そういう食生活の見直しについてもメッセージを発して御理解いただいていかなきゃいけない、こんなふうに考えております。
  54. 谷合正明

    ○谷合正明君 様々な要因があるわけでありますが、そこに加えて輸出規制を取る国が増えてきたと、先ほど私も申し上げましたが。現在、米の輸出規制だけじゃなくて、もちろん小麦を始めとした穀物の輸出規制が広まっております。例えば、ロシア、ウクライナといった欧州諸国だけでなく、アルゼンチンといった南米までそういう制限を取っている国が増えております。これが今後もっと増える可能性もあるわけであります。このことは、まさしく我が国にとって大変食料安全保障上大きな問題であります。  我が国だけでなく、実際、例えばアフリカですと、米を、需要量が一千五百万トンですけれども、基本的には半分以上は海外に頼っているというような地域柄でありますので、こうした輸出規制の動きというのが非常に今後懸念されるわけであります。しかも、今輸出規制を取っているのは、何も、それぞれの国内事情で取っているとは思いますが、国内で本当に食料がなくなっているから規制を取っているというわけじゃなくて、先行きの不安、つまり国際価格の高騰の中でまずは国内向けの食料を確保しなければならない。つまり、もし海外に輸出がどんどん増えていくと、翻って国内の、それぞれの自国内の穀物価格が高騰していくという連鎖も指摘されておりまして、今の輸出制限措置というのは、どちらかというと、本当に食料がないからとっているというよりは、価格の余りにも高騰、急騰に対する先行きの不安からとっているんだと私は思っております。  その意味で、こうした輸出規制の動きに対して我が国として具体的にどのような考えで取り組んでいくのか、その点について説明をお願いしたいと思います。
  55. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 若干委員認識の違うところがあるわけでございまして、輸出規制というのは小麦などについてございますけれども、主たる国際的な輸出国、供給国側で輸出規制が行われているわけではございません。そして、ロシアとかアルゼンチンとか今お話がございましたけれども、主として輸出規制をしているのが不幸にして開発途上国などで、国内での供給に非常に不安を抱え、また国内のインフレ懸念などから国内における価格が高騰をしてきて、社会不安を呼ぶおそれがあるというような状況の中で、この輸出規制の仕方も様々ですけれども、輸出税を掛けるとか、あるいは国がそのために放出した穀物はそれは輸出してはならない、民民ベースはいいよと、いろんな形態があるわけでございますが、やっぱり途上国が途上国に輸出をしているその輸出を規制し始めているということが大変深刻な事態を生んでいるというふうに認識しているわけでございます。  そこで、これは、こういう状態がありましたから、私どもの方がWTOで新たな輸出規制というふうに先ほど委員おっしゃられた意見がございましたが、新たではないのです。このWTO交渉はもう六年にわたって続けてきていますが、当初から日本提案をいたしまして、輸入のアクセスを拡大するという輸入国側の要求がある一方、我々輸入の立場からしますと、輸入国と輸出国のバランスがなければならないということを主張しておりまして、輸出国側にも輸出についての秩序を要求をしてきているわけでございます。  そのことを含めまして、農業議長の方も、抽象的ではありますけれども、輸出のルール化ということについてはファルコナー提案の中に入っているわけであります。しかし、その提案のままですと、具体的にこれを実効ある措置にするには十分ではない。これは何も協定上に明らかでなくてもできるわけですけれども、我々はこのWTO協定が締結を見た暁において、その後の実効上の措置への布石も含めまして、少し実効上のルール化ということをここで主張しておいた方がいいと。また、背景としても今のような背景があり、賛同を得られる状況が強まってきたという認識で要請をしていると、強めているという状況でございます。  私も折衝した限りで言いますと、アメリカは基本的には賛成だと、こう言っているんですね。輸出規制をすることについて、ルール化することについては賛成だということをこの場で我々の方に伝えてきているわけでありますが、ところがブラジルは、途上国を代表する立場でございますが、途上国をどうするんだということを言っているんですね。途上国が社会不安に陥っているというような状況の中で、輸出規制をせざるを得なくなってきているような国々への配慮が必要ではないですかというような意見が出てきているわけであります。  そういうことにつきましては、具体的な実効上のルール化というのはいろいろな問題がありますから、関係国と協議をしながらそれを詰めていかなきゃいけないということでございますが、基本的には輸出国の勝手は許さないという国際的な認識をつくり上げていくことが大事だというふうに考えております。
  56. 谷合正明

    ○谷合正明君 是非、実効性のあるルールの導入ですね、今こういう議論が従前からされているということはお伺いしましたが、更に一歩具体化されたルール化を、是非、掛け声だけでなく、実際導入されることが重要だと考えますので、今年はまさにそういう大事な会合が続くと思いますので、是非とも導入に向けてしっかり我が国の主張をしていただきたいというふうに考えます。  そこで、米を使った支援について若干残された時間だけ聞きますが、我が国は米備蓄、今政府備蓄米でも百万トンございます。その備蓄、基本的には国内の食料が不足したときの対応をするというものでありますが、しかし、今世界的に何が起きているかというと、緊急的な支援が必要じゃないかと、米不足とか食料不足に対して。我が国もWFP等を通じて一億ドルの緊急食料援助を行うことを表明されたと思いますが、今後、国内米を使った我が国としての、やはり先進国としての何かリーダーシップというか、人道的な観点で何かできないものであろうかというふうに考えておりますが、政府としてどのように考えておられるのか、お伺いをします。
  57. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 今委員がおっしゃられるとおりでございまして、国際的な援助の仕組みに従いまして我が国も緊急の食料援助をするということは意思表示をしているわけでございます。  その場合には、資金を提供をして、輸入を必要とする国の一番調達しやすい自分たちに合った食べ物を調達をするという意味では金でもらう方がいいという国が多いんですね。そういう場合と、しかし、金でもらっても物を手当てするのが大変だというような事態があり得るわけでございます。そういう事態に対しては、我が方はそういう必要に応じて現物として米を提供する用意はあるというふうに思っているんですけれども、我が国が提供するお米はまた輸送を掛けて持っていかなきゃいけないということがあって、元々高いところにまた輸送費を掛けるということで高くなるんですね。援助効果が少なくなるということもあり、相手国との間で十分な協議をし、相手国がやはり望んだ状況の中でしなければいけないと思っております。  ちなみに、我が国が米現物で政府米を利用した食料援助の実績というのはかなりございまして、この平成九年から十九年までの状況で見ますと、国産米で百十四万二千トン、MA米で百九十七万六千トン、合わせて三百十一万八千トンの政府米を食料援助に使っていると、こういう実績はございます。
  58. 谷合正明

    ○谷合正明君 以上で終わります。
  59. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  私は、最初冒頭、これちょっと通告していなかったので要請ということにしたいと思いますけれども、今お米のお話が出ておりました。それで、MA米ですね、ミニマムアクセス米については我が党としてはこれずっと輸入やめるべきだと。義務だというふうに政府は説明していたけれども、輸入機会ということであって、これは是非、一方では国内で余ると言って、一方では受け入れるというのはやめるべきだということをずっと申し上げてまいりまして、今やっぱり国際的な情勢の中でもお米の不足と、それからもうお米が上がって手に入らないところが出てきているという中においては、いよいよもってこれはやめるべきだということを改めて要請をしておきたいと思います。  それで、最初に、ヨーネ病の問題について今日は質問したいと思います。  現在、ヨーネ病検査が半年以上中断をしています。その原因について農水省はどのように考えておられるのか。今のままいきますとヨーネ病を蔓延させることになりかねないというふうに思うんですが、どのようにして検査を再開するつもりなのか、お話しいただきたいと思います。
  60. 佐藤正典

    政府参考人(佐藤正典君) 御説明申し上げます。  本件につきましては、昨年十月の二十五日に神奈川県が行いました家畜伝染病予防法に基づく定期検査によりまして搾乳牛一頭がヨーネ病の疑似患畜と確認されまして、当該牛から生産された生乳及び当該生乳が含まれる乳製品につきまして、乳業メーカーが神奈川県食品衛生部局の指導を踏まえまして検査の採血日までさかのぼって自主回収を行った事案がございました。諸外国ではこのような回収を行った例は聞いておりませんで、農林水産省としては、円滑な検査のために食品衛生法を所管している厚生労働省と、生乳の回収の範囲などについての取扱いについて協議をしているところでございます。  こうした状況の中で、農林水産省といたしましては、このような場合にも生乳出荷に混乱が生じないよう、十月二十六日、農林水産省から都道府県に対しまして、検査体制と検査手順の再確認の徹底を要請したところでございます。そうした状況の中で、現在都道府県では、搾乳を行っていない牛などに検査対象を絞ってヨーネ病検査を進めているところと聞いているところでございます。  また、農林水産省といたしましては、確定検査の採血から疑似患畜の確認までが長引いて生乳の回収の範囲が広がることがないように、従来の確定検査に先立ちましてその対象を絞り込むための新しいスクリーニング検査法を導入することにつきまして、現在、食料農業農村政策審議会家畜衛生部会牛豚等疾病小委員会意見も聴きながら、その導入につきまして検討を進めているところでございます。
  61. 紙智子

    ○紙智子君 今回のことは、食品衛生法でヨーネ病に感染した牛からの牛乳・乳製品は流通が禁止されているということが言ってみればその根拠になっているわけですけど、ヨーネ菌に汚染された牛乳・乳製品が人体にどういう影響を与えるのかということが明確になっているのかどうか、あるいはこのリスク評価が確立されているのかどうか、この点についてお話しいただきたいと思います。
  62. 藤崎清道

    政府参考人(藤崎清道君) お答え申し上げます。  このヨーネ病につきまして文献的な情報といたしまして、クローン病でありますが、これは回腸に起きる病気でございますが、そちらとの関連を指摘するというものがございまして、健康の安全確保という観点から私どもといたしましてはこれを管理すべき疾病というふうにとらえているというところでございます。
  63. 紙智子

    ○紙智子君 リスク評価についてはどうでしょうか。
  64. 藤崎清道

    政府参考人(藤崎清道君) お答え申し上げます。  今申し上げましたような観点から、人への健康の影響ということが懸念されますので、私どもといたしましては、食品衛生法の第九条一項の規定、先ほど先生おっしゃられたとおりでございますが、その販売を禁止するとともに、殺菌条件を設定しているということでございます。そういう意味で適切なリスク管理がなされているというふうに判断をいたしておりますので、現時点で特にリスク評価を食品安全委員会にお願いするとか、そういうことは特段考えていないというところでございます。
  65. 紙智子

    ○紙智子君 そういうふうに言われるんですけど、様々な議論があって、確定しているようなそういう知見というのはあるわけじゃないと思うんですよ。そして、そのリスク評価、結局はやる必要ないということでやっていないわけですよね。評価はしていないということがあるわけですよ。そういうふうな明確な科学的な根拠がない中で規制をするというのは、これは私は科学的ではないというふうに思うんですね。早急にやっぱり食品安全委員会ヨーネ病リスク評価を求めるべきだと、まずこの点が一点です。  それから、米国の場合はこのヨーネ病の規制というのは全くやられていないわけですよね。であるならば、米国から輸入された乳製品をきちんと検査をしてヨーネ病に汚染されたものを排除するということであれば、米国からいっぱい入っていますからね、ということであればまだ筋が通ると思うんですけれども、それについては全く手を付けていないというか放置をしているわけで、そういうことがやられる一方で、国内の牛乳・乳製品だけ規制するということになると、これはちょっと不公平というか、おかしな話になるというように思うわけです。  この二点について、いかがでしょうか。
  66. 藤崎清道

    政府参考人(藤崎清道君) お答え申し上げます。  一点目の、評価を行うべきではないかということにつきまして、先ほど申し上げましたように、危険性がある程度想定されるものということで、私どもとしては管理措置をとっているということで、管理措置としてはとられているんであろうという認識を持っておりますが、今後とも文献検索あるいは新しい科学的な知見等も踏まえながら適時、もし必要があればそういうことも選択肢には入ってくるだろうと、こういうふうには考えております。現時点では、特段の依頼をするという予定はないということでございます。  それから二点目でございますけれども、米国におきましてはUSDA、米国農務省のプログラムに基づいて、家畜に対するヨーネ病検査が行われているというふうに私ども承知をいたしておりまして、そのFDAの規則では、検査の結果、疾病に罹患した家畜は廃棄等が求められているというふうに承知いたしております。  現在、その検査の仕方とか、どのような基準でやっておられるかなどにつきましては、詳細については調査を行っているところでございますけれども、米国におきましても、ある程度そういうことでヨーネ病というふうに診断されたものについては食用に供されないような対応が取られているのではないかなというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、諸外国の状況がどのようになっているのか、それが国内において著しく不公平になっていないのかと、そういう御指摘につきましては、今後とも、今申し上げたような情報収集を継続して行いながら、当該国におけるリスクを総合的に判断をして必要な措置をとっていきたいと、このように考えております。
  67. 紙智子

    ○紙智子君 今の御答弁ですと、食品安全委員会の諮問ということでは、必要があればそれも選択肢の一つというふうに言われたと思うんです。是非、これ必要だと思いますのでやっていただきたいというように思います。それから、米国、諸外国のことについても情報をしっかり集めるということですから、それは引き続きやっていただきたいというように思います。  それで、このヨーネ病の問題では、私どもの方にも酪農家の方から切実な訴えが出されています。ヨーネ病検査で、疑似患畜ということになった場合には、確定診断の培地検査までは三か月掛かるということが言われていて、三か月間出荷できないわけですよね。そうすると、陽性になったときには補償金が来るんだけれども、ところが確定診断で陰性になったときには、その三か月間出荷が停止のままということですから、結局商品にはならないわけで、丸々これは何の補償もないという事態があるわけですね。そうするとえさ代、その間食べさせなきゃいけないからえさ代も掛かるし、最近本当にえさ代も高くなっているということもありまして、そういうことでいいますと、やっぱり怖くて出せないと、検査できないということがあるわけです。  不安で酪農経営も維持できないという切実な訴えもあるわけで、そこで最後、大臣にお聞きしたいんですけれども、家畜共済で例えば疑似患畜で出荷停止による被害補償をできるようにするとか、新たな基金を創設して、それで被害補償ができるようにするとか、いろんなやり得る形でそこを救済できるというか、安心して検査できるような仕組みを考えるべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  68. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 確かに生産者の立場からいたしますとそういう不安が大きいということは理解できるわけでございますが、しかし問題は時間が掛かるということだと思うんですよ。そして、この検査につきましては、そういう確定検査までに時間が掛かる、また最終的に陰性というようなことになると、その間の損を丸々かぶるというようなことが生産者の負担に掛かってきているわけであります。  そこで、こういう確定の検査、従来の確定検査に先立ちましてスクリーニング検査、簡易な方法によりましてサーベイランス検査をする新たな検査法というものの検討を進めてきておりまして、先ほども局長からお話ございましたけれども、食料農業農村政策審議会の中の消費・安全分科会家畜衛生部会におきましてそのような検討がなされて、ヨーネ病対策の検討がなされておりまして、この事務局側が提案した新たな検査法によりますと、この病気の防疫対策を推進する上でこれは適切かつ効果的だと、今後事務局においてパブリックコメントなどその実施に向けての手続を進めていくというふうにされておりまして、もうそういう手続段階に入ってきております。  まずは、早く白黒を明確にするというようなこと、これをもう早急に実施して生産者の負担が軽減される、大きな負担がないようにするということに力を入れてまいりたいと、このように考えております。
  69. 紙智子

    ○紙智子君 負担がないようにということでよろしくお願いしたいと思います。  それで、もう時間になりましたので、ちょっと牛肉の問題やろうと思っていましたけれども、それは次回にしたいと思います。  ありがとうございました。
  70. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。  この際、主濱君から発言を求められておりますので、これを許します。主濱了君。
  71. 主濱了

    ○主濱了君 主濱了でございます。  私は、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党・無所属の会及び公明党の各派共同提案による米国輸入牛肉のせき柱混入問題に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     米国輸入牛肉のせき柱混入問題に関する決議(案)   我が国は、平成十五年十二月に米国で初めて牛海綿状脳症(BSE)が確認されたことを受け、同国からの牛肉輸入を全面停止した。平成十七年十二月の輸入再開に当たっては、日米間の合意に基づき、特定危険部位が完全に除去され、かつ、二十か月齢以下の牛由来の牛肉に限るとする輸入条件を設けるとともに、輸入条件に関する食品安全委員会の食品健康影響評価により、我が国のリスク管理機関に対し、米国におけるBSE対策の徹底状況等に対する監視の強化を求める付帯事項が盛り込まれた。   しかしながら、輸入再開直後の平成十八年一月、輸入条件に基づき除去しなければならない特定危険部位一つであるせき柱の混入が判明し、我が国は再度、輸入を全面停止した。これを受け、我が国は、米国の対日輸出施設すべてに対する現地査察等を行った結果、輸入条件の遵守が確認されたことから、平成十八年七月、あらためて輸入を再開した。その後も、特定危険部位ではないものの、米国政府発行の衛生証明書記載のない胸腺等の混入が度々確認され、その都度、我が国は当該牛肉の出荷施設に限り輸入一時停止措置を講ずるなどの対策を余儀なくされてきた。   しかるに、本年四月、再び、せき柱を含んだ牛肉の混入が確認された。これは、これまで日米両国がその確保に努めてきた米国輸入牛肉の安全性を根本から揺るがし、消費者の信頼を大きく損ねる重大な問題である。   よって政府は、食品の安全性の確保と国民の健康の保護を図る観点から、次の事項について万全な措置を講ずべきである。  一 政府は、食品安全基本法により食品の安全性の確保に関する施策を総合的に実施する責務を有することにかんがみ、米国政府に対し、せき柱混入についての早急な原因究明及び的確な再発防止策の実施を強く要請し、同国からの誠意ある対応がない場合、牛肉輸入停止も視野に入れた更なる措置も検討すること。  二 水際の輸入検査の強化を図るとともに、輸入業者等に対し、安全確保に関する責任の明確化、貨物の倉庫搬入時及び国内流通時における検品の徹底を指示することにより、輸入システムの徹底を図ること。  三 今後も対日輸出施設における輸入条件の遵守状況及び安全管理体制を定期的に確認するため、米国政府による年次査察及び我が国による現地査察を通じて、安全確保を図ること。  四 輸入条件の見直しに関する日米間の協議については、米国における牛由来の肉骨粉等飼料規制を含めたBSE対策の徹底状況等を慎重に見極めた上で、食の安全と消費者の信頼確保を大前提に、科学的知見に基づいて適切に対応すること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ各委員の御賛同をお願い申し上げます。
  72. 郡司彰

    委員長郡司彰君) ただいまの主濱君提出の決議案の採決を行います。  本決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  73. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。  ただいまの決議に対し、若林農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。若林大臣
  74. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) ただいまの御決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重し、関係省庁との連携を図りつつ、今後努力をしてまいる所存でございます。     ─────────────
  75. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 次に、農林漁業有機物資源バイオ燃料の原材料としての利用の促進に関する法律案議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。若林農林水産大臣
  76. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 農林漁業有機物資源バイオ燃料の原材料としての利用の促進に関する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  我が国の農林漁業、農山漁村を取り巻く現状を見ますと、人口が減少局面に入り、農林水産物の国内市場規模の縮小が懸念されている中で、農林漁業の活力が低下するなど、非常に厳しい状況となっております。  他方、近年の原油価格の高騰、地球温暖化の防止といった内外の諸問題に対応する観点から、バイオ燃料生産拡大が喫緊の課題となっております。  我が国においては、稲わら、間伐材といった農林漁業有機物資源バイオ燃料の原材料として利用することは、農林漁業の持続的かつ健全な発展とエネルギーの供給源の多様化を図る上で極めて有効な取組と考えられます。このため、農林漁業有機物資源バイオ燃料の原材料としての利用を促進するための措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。  第一に、主務大臣は、食料や飼料の安定供給等に配慮しつつ、農林漁業有機物資源バイオ燃料の原材料としての利用の促進の意義やその基本的な方向等についての基本方針を定めることとしております。  第二に、バイオ燃料の原料生産から製造までの一連の行程の改善を図るため、農林漁業者とバイオ燃料製造業者が連携してバイオ燃料の製造等に取り組む計画を作成し、主務大臣の認定を受けることができることとしております。また、バイオ燃料に関する研究開発を促進するため、民間企業等がバイオ燃料の原材料に適した新品種の育成等を行う計画を作成し、主務大臣の認定を受けることができることとしております。  第三に、主務大臣の認定を受けた計画に基づく取組を進めるため、農業改良資金等の償還期間の延長、新品種の出願料の減免等の法律の特例措置を講ずることとしております。  以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  77. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 以上で本案の趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時九分散会