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2008-04-24 第169回国会 参議院 農林水産委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年四月二十四日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  四月十四日     辞任         補欠選任         金子 恵美君     今野  東君  四月十五日     辞任         補欠選任         今野  東君     金子 恵美君  四月十六日     辞任         補欠選任         米長 晴信君     櫻井  充君  四月十七日     辞任         補欠選任         青木  愛君     森 ゆうこ君      櫻井  充君     米長 晴信君      山田 俊男君    北川イッセイ君  四月十八日     辞任         補欠選任         森 ゆうこ君     青木  愛君     北川イッセイ君     山田 俊男君  四月二十一日     辞任         補欠選任         舟山 康江君     尾立 源幸君      牧野たかお君     小池 正勝君  四月二十二日     辞任         補欠選任         尾立 源幸君     舟山 康江君      藤原 良信君     佐藤 公治君      小池 正勝君     牧野たかお君  四月二十三日     辞任         補欠選任         佐藤 公治君     藤原 良信君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         郡司  彰君     理 事                 主濱  了君                 平野 達男君                 加治屋義人君                 野村 哲郎君     委 員                 青木  愛君                 一川 保夫君                 金子 恵美君                 亀井亜紀子君                 高橋 千秋君                 藤原 良信君                 舟山 康江君                 米長 晴信君                 市川 一朗君                 岩永 浩美君                 牧野たかお君                 山田 俊男君                 澤  雄二君                 谷合 正明君                 紙  智子君    国務大臣        農林水産大臣   若林 正俊君    副大臣        農林水産大臣  岩永 浩美君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       澤  雄二君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 朝雄君    政府参考人        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       藤崎 清道君        農林水産省経営        局長       高橋  博君        農林水産省農村        振興局長     中條 康朗君        林野庁長官    井出 道雄君        環境省総合環境        政策局長     西尾 哲茂君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○森林間伐等実施促進に関する特別措置法  案(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 郡司彰

    委員長郡司彰君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  森林間伐等実施促進に関する特別措置法案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省医薬食品局食品安全部長藤崎清道君外四名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 森林間伐等実施促進に関する特別措置法案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。若林農林水産大臣
  5. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 森林間伐等実施促進に関する特別措置法案について、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  森林は、国土の保全、地球温暖化防止等の多面的な機能を有しておりますが、これらの機能の持続的な発揮を確保する上で、また、京都議定書森林吸収目標達成する上からも、間伐等実施促進することが喫緊の課題となっております。このため、京都議定書の第一約束期間最終年度である平成二十四年度までの間における森林間伐等実施促進するため、この法律案提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、都道府県知事は、農林水産大臣が定めた基本指針に即して、間伐等実施促進に関する基本方針を定めることができることとし、また、市町村は、この基本方針に即して、間伐等実施促進に関する計画を作成することができることとしております。  第二に、国は、間伐等実施促進に関する計画を作成した市町村に対し、当該計画に基づく間伐等実施に要する経費に充てるため、予算の範囲内で交付金を交付することができることとしております。  第三に、市町村が作成した計画に基づき実施される間伐等に関し地方公共団体が負担する経費について、地方債をもってその財源とすることができることとしております。  以上が、この法律案提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  6. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 以上で本案の趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 一川保夫

    一川保夫君 おはようございます。民主党一川保夫でございます。  この前もちょっと大臣に質問させていただきましたけれども、今回大変大事な森林の問題でございますので、私の方からも幾つか質問をさせていただきます。  その前に、今朝ほどの新聞等を見て皆さん方も大変驚かれたと思いますけれども、福田内閣は食の安心、安全というものを最重点課題として取り組んでいる内閣だというふうにお聞きしておりますけれども、またまた米国からの輸入牛肉の中に特定危険部位が混入しているというような報道がございました。  こういうことは、我々も、こういうことがあるかもしれないというようなことも含めて、輸入再開をする折にはもう我々民主党中心となって、大変これは慎重にやるべきだ、また輸入してはいけないというような意見も含めて、我々の当時、主張問題提起をしたことがあるわけですけれども、今回またこういうことが発生したということについては大変大きな責任が私はあると思うんです。  そういう面で、最も関係する大臣の一人であります農林水産大臣の今回のこの事態についての所見とこれからの取組について、その決意のほどをお聞かせ願いたいと、そのように思います。
  8. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 今委員指摘の、今回米国牛肉輸入したものの中に脊椎の一部が含まれていた、そういう牛肉があったということでございます。このことは大変重要な問題であるというふうに認識をいたしておりまして、これについては当該出荷施設からの出荷された貨物につきましてはいったん輸入手続を保留するとともに、在京の米国大使館に対し詳細な調査実施を要請したところでございます。  この貨物自身は埼玉県それから輸入業者のある東京都港区の関係自治体調査をいたしましたが、この牛肉、これ一箱でありますが、脊椎を含むものでありましたが、それ以外の貨物、全体で七百箱でございます。六百九十九箱については特段の問題がないと、問題は確認されなかったということが厚生労働省報告があり、厚生労働省から聞いているところでございます。このため、米国政府による詳細な調査結果の報告を受けるまで当面、当該施設からの貨物については輸入手続の保留を継続することとしたことでございます。  今回の事例につきましては大変遺憾であると考えており、米国政府に対して対日輸出条件の遵守の徹底について改めて申し入れたところでございます。今後、米国政府からの報告を待って厚生労働省と連携して適切に対処していく所存でございます。
  9. 一川保夫

    一川保夫君 今大臣答弁を聞いておりますと、なかなか国民皆さん方安心できないということだろうと思います。私は、やはり今の内閣が本当に国民の食の安全、安心ということに対して責任を持って対応するということであれば、この際しっかりと輸入をストップしてしっかりと米国側とその辺りの真剣な交渉を是非やっていただきたいということを強く要望しておきたいと思いますし、また、当委員会でもそういう問題をもう一回集中的に審議するような場を是非設ける必要もあるなという感じもいたします。  この輸入問題について、大臣の今所見は非常にちょっとあいまいなところがあるわけですけれども、しっかりとやはりこの際輸入をストップしてこの問題をしっかりと取り組むという決意農林水産大臣としてははっきりとおっしゃったらいかがですか。
  10. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 今回問題となりました事例は昨年の六月から実施されております米国牛肉に関する日本国内チェックシステム、つまり今まで輸入業者の全箱確認をしておりましたのを廃止をして新しいチェックシステムをつくったわけでございますが、そのチェックシステムの下で市場流通前に発見されたものでありまして、現在の安全確認のためのシステムは所期の想定どおりこれは機能しているというふうに考えているわけであります。  また、今回の事例は現時点で、日本向け輸出ではない、誤って積載されたという個別事例と考えられますので、全面輸入停止措置を講じた平成十八年一月の事案のように米国農務省により日本向け輸出条件に適合しているとの証明がなされた製品から発生したものとは異なっていること、そして他の施設からは一昨年七月の輸入手続再開以降、これまでの類似の問題事例は発生していないことなどを踏まえますと、まずは当該施設からの輸入手続を保留するとともに、他の施設からの輸入牛肉については念のため輸入時の検査段階抽出率を上げるという措置を講ずることでこれは適切に対処できると考えているところでございます。  今後それ以上の措置が必要かどうかにつきましては、米国から提出される調査結果の報告を踏まえ、これによって対処していくこととしているところでございます。
  11. 一川保夫

    一川保夫君 本日はこの問題を本当はしっかりとやりたいところなんですけれども、先ほど大臣説明された法律案についての審議中心でございますからこの問題は今日はこの程度にしておきますけれども、引き続きしっかりと我々もこの問題を追及させていただきたいと、そのように思っておるところでございます。  さて、森林間伐等促進に関する特別措置法という法案説明がございました。私は、この森林という問題は、昨日、本会議で我が党の金子さんがいろいろと質問させていただきました。しかし、大臣答弁を聞いておりましても、非常にちょっと抽象的で、ちょっと具体性の欠けている中身であったような気がいたします。そこで、私は、この問題について幾つか論点を絞って大臣の基本的な姿勢をお聞きしたいと、そのように思っております。  そこで、まず、この法案を今この時期になぜ提出されたかということが私の基本的なちょっと疑問があるわけですけれども、森林間伐促進するというこの課題は以前から最重要課題という中の、森林施策の中ではそういう位置付けにあったと思うんです。森林林業基本法という新たな基本法を策定したのも平成十三年だったんですね。その後、それに基づく基本計画平成十三年とそれから平成十八年ですか、に基本計画も策定しているわけです。そういう中でも、当然この森林多面的機能をしっかりと持続的に維持していくというようなことが大きな理念としてうたわれているわけでございますし、そういう中でも森林をしっかりと管理していくという中ではこの間伐促進するということも重要な施策であったはずなんです。  その後、その後といいますか、並行して話題になっております京都議定書にかかわる地球温暖化防止対策のもろもろのそういう、政府全体がそういうものに取り組んでいくという施策もいろいろと打ち上げられたというふうに私は思いますけれども、そういうことを考えますと、間伐促進のこういう法案、恐らく現場なり各地方自治体でいろんな問題があるからこういうことが出てきたのかもしれませんけれども、なぜもっと早くこういう法案を出してしっかりと積極的に取り組むという姿勢を取らなかったのかということも含めて、今の時期になぜこういう法律を出されたかというところを大臣の方からしっかりと説明していただきたい、そのように思います。
  12. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 委員が御指摘のように、森林整備を進める上において間伐というのはその基本的な施策、手段でございまして、かねてより間伐を進めるということにつきましては鋭意これに取り組んできたところでございます。  そういう中にありまして、今回このような法案提出しその間伐促進を加速させていかなければならないというふうに判断をいたしましたのは、今委員も御指摘でございますけれども、京都議定書におきまして、森林CO2吸収をしていく、その吸収目的達成するためには、この京都議定書期間中にどうしても森林吸収責任がありますCO2排出削減を確実に達成するということであるためには、平成十九年度から二十四年度までの六年間にわたりまして毎年、従来三十五万ヘクタール程度で進めてきたものを、二十万ヘクタールまで追加してその間伐をすることが必要だということになってきたわけでございます。  このために、平成十九年度より財源を確保しまして森林吸収目的達成に必要な追加的な間伐実施に向けて取り組むということにしてきたところでございまして、この法律案は、この平成十九年度の取組を進めていく中で、各都道府県から出されてまいりました種々の要請、要望にこたえながら間伐事業量の増加をしていくことに伴う課題幾つかの課題があるわけですが、それを克服するためには、地方公共団体の負担の軽減を図るという意味で、起債措置でありますとか、あるいは法定交付金措置する必要があるという結論に至ったために、今国会にこの法案提出したということでございます。
  13. 一川保夫

    一川保夫君 この法律提出をされて、そしてしっかりと促進させていくということについて、タイミングは非常に遅れているという感じはいたしますけれども、それを積極的に進めるということについては、我々もそれなりの評価をしながら、また、協力するところは協力したいと思いますけれども。  私は今までの農林水産省林野庁の中で中心的に農林省がやられてきたのかもしれませんけれども、対応の中で非常に分かりづらい面が幾つかあるわけですけれども、平成十四年だと思いますが、地球温暖化防止森林吸収源十か年対策というものを農林水産省で策定されておるわけですね。こういうものを平成十四年の段階で出されていると。そして、平成十七年にもう一部改正しているというふうにお聞きしておりますけれども、この十か年対策というのはそういう問題意識を持って取り組んでいこうという姿勢が当時から当然あったわけですけれども、それから相当もう年月も経過しておるわけですが、この対策をこれまで推進してこられて、どういう評価をしておられるのか。この今まで取り組んできた施策をどこか見直しを掛けて取り組んでいかれるのか。  そういう対策をいろいろと実行してこられた中で、この森林が受け持つ地球温暖化防止対策に対してのそういう施策というものについて、従来の取組を積極的に進めるという気持ちは分かるわけですけれども、何か基本的に政策の転換なり見直しなり、そういうことを考えておられるのかどうか、その辺り説明していただきたいと思いますけれども。
  14. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 委員がただいま御指摘になりましたように、平成十四年に地球温暖化防止森林吸収源十か年対策というものを策定をいたしました。この十か年対策に基づきまして、健全な森林整備、また木材利用推進国民参加森林づくりなどの取組を総合的に推進をしてきているわけでございます。  しかしながら、京都議定書の第一約束期間の開始を目の前にしまして、二年後に控えた平成十八年度でございます。平成十八年度に、それまでの対策を進めた場合に確保される森林吸収量というものを試算をいたしました。一体本当にどこまで吸収できるかということの試算を行った結果、目標の千三百万炭素トン達成するためには、どうしても百十万炭素トン分が不足するという試算結果が出てきたわけでございます。そこで、この不足分を確保するということのために、平成十九年度から六年間にわたり毎年二十万ヘクタールの間伐等の追加的な森林整備に取り組むこととしたわけでございまして、そのような認識の下に、先般閣議決定されました新たな京都議定書目標達成計画におきましてもこのことが盛り込まれたわけでございます。  それを受けましてこの度の法案提出に及んだわけでございますが、この法案に基づく措置や、さらに、美しい森林づくり推進国民運動というものを展開をいたしまして、その推進などによりまして間伐等森林整備を着実に進め、森林吸収量目標達成に努めるという決意を持つに至ったわけでございます。
  15. 一川保夫

    一川保夫君 これからのこういった森林整備を積極的に進めていく、そしてまた適切な森林経営を促すという観点からすれば、まだまだ私は積極的に予算措置を講じながらこういうものに取り組んでいく必要があると思いますが、ただ、実際の現場では、そういったものを、従来のいろんな仕事量を大幅にこなせる体制がしっかりと整っているかどうかといったところを見たときには、まだまだそこまで行ってないようなそういう心配が多少ありますけれども、まず当面は、こういう施策をしっかりと実行するための予算措置をしっかりと講じていくということも当面の重要な課題です。  そこで、さきの十か年対策の中にもちょっとうたわれているわけですけれども、森林温暖化対策推進政府一体となって取り組むべき課題であると。安定的な財源の確保に向け、環境税等の新たな税財源措置を含めた様々な角度からの早急な検討が必要と考えられるというようなこともうたわれているわけです。  これは農林水産省だけで対応する問題でもないと思いますけれども、この問題について一番所管しているのは環境省かもしれませんけれども、こういう政府を挙げて一体となってこういう新たな税財源措置に取り組むということを書いてあるわけですけれども、この今検討状況はどのようになっていますか。
  16. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 環境省でございますが、地球温暖化対策のための税制の点についてお答えを申し上げたいと思いますが、地球温暖化対策につきまして、温暖化をもたらす温室効果ガス、特にCO2、二酸化炭素については、それに着目いたしまして広くその排出に対して課税する環境税創設が必要ではないかということが一点。  それから、そのほかにもいろいろ、バイオ燃料でございますとか、省エネ住宅でありますとか、低排出ガス自動車促進のため、いろいろな税制グリーン化、そういういろいろな面で税制におきましても地球温暖化対策を進めていく必要があると思っております。  特に、環境税の問題でございますが、環境省ではこれまで四年間にわたりまして、広く化石燃料に課税し、幅広い主体に対して排出抑制のインセンティブを与える環境税創設要望してきています。一方で、その税収につきましては、地球温暖化対策に非常に重要でございます森林吸収源対策など、地球温暖化対策に重点的に、一般財源ということでございましてもそこに重点的に充てられるような、そういう姿の環境税ということを提案してきているところなんでございます。しかしながら、残念ながらまだその実現には至っておりません。  いずれにしても、環境税につきましては、地球温暖化対策全体の中での具体的な位置付け、その効果国民経済や産業の国際競争力に与える影響、諸外国における取扱いの現状などを含めまして、総合的な検討を進めてまいるという課題でございまして、引き続き、その意義を訴え、全力を挙げて実現を目指して努力をしていきたいと、こういうことでございます。
  17. 一川保夫

    一川保夫君 今説明があった話を聞いておりますと、まだまだ明確なそういう措置が講じられるまではっきりしないような感じでございますが、農林水産大臣はこういう新たな一種の目的税的なものを設置するということについてどういうお考えを持っておられますか。
  18. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 私は、農林水産大臣を務めます前に環境大臣をいたしております。今総合政策局長答弁をいたしましたけれども、私、環境大臣時代に、やはりどうしても炭素課税といいますか、炭素に対する負荷を高めるということによりまして、税収もさることながら、国民意識が変化していく、そういう低炭素社会をつくっていくために、国民全体がその生活の中で、あるいは事業者がその事業の中で化石燃料に対する消費を落としていくという、そういう全体政策がないとなかなか達成できない、そういう意味で、一つの方法として環境税という形の炭素課税導入をすべきではないかという考え方を持っておりまして、そのような政府部内におきまして税制改正要望もしてきたわけでございます。しかし、残念ながら、政府部内においてこのことが調整ができないまま将来の検討課題という整理を受けまして、今日に及んだわけでございます。  農林水産大臣になりましてからも、この税制改正につきましては、環境大臣協議をしながら、重ねて強くこの環境税実現政府部内では主張をしてきたという経緯がございます。力不足でございまして、その実現を見るに至らないで今日を迎えているというのが現実でございます。
  19. 一川保夫

    一川保夫君 今この時期は、道路特定財源話題だとか、この税制問題も含めた制度がいろんな面で関心の強い時代でございますが、そういう面では、こういった環境税的な新たな税制も含めて、我々もしっかりとしたまた考え方を整理して提言をしていきたいと思いますけれども、農林水産省としても、こういう問題にもしっかりと政府の中を取りまとめていくという努力をしていただきたいなという感じを私は持っております。  そこで、農林省とか政府段階ではまだはっきりとした方向は定まっておりませんけれども、都道府県レベルでは、こういう適切に森林整備していきたいというそういう思いの中で、都道府県レベルで自主的な財源を確保したいということで、森林環境税的なものをそれぞれの県が幾つかもう創設をされてその仕事に取り組んでいるわけですけれども、その実情現状はどうなっておりますか、ちょっと説明していただきたいんですけれども。
  20. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 各都道府県におきます森林整備などを目的といたします税につきましては、平成十五年度に高知県が森林環境税導入したのを始めといたしまして、現在は石川県もそして長野県もこれを導入することとし、二十九県において導入をされております。さらに、あと一県、この導入をすることを方針は決めて、その予定を進めているというのが実情でございます。  これまでに導入した県におきましては、その税収によりまして、全国的な課題である間伐促進のみならず、県民参加の森林づくりの活動の支援とか県産材の利用の促進といったようなことも含めまして、それぞれの地域ごとの問題意識を反映した事業を展開をしているというふうに承知いたしております。  こうした森林環境税の使い道でありますとか、その対象となる森林の選択は各都道府県の判断によるものではありますが、その取組によりまして、森林吸収源対策を含む森林整備保全が推進されるだけではなくて、森林が持っております公益的機能に対する県民の意識の向上、理解を深めるということや、森林整備を社会全体で支えていくという、そういう意識の醸成にもつながっていくものと考えておりまして、農林水産省としましては、各都道府県が地域の実情に応じて行う独自課税による取組については、引き続き適切に各県に情報を提供するなど、森林の適切な整備保全の推進に資するように努めてまいる考えでおります。
  21. 一川保夫

    一川保夫君 今そういった問題意識を持った各都道府県は、今ほどの説明のように、国の施策に先行していろんなことに取り組んでいるわけでございますが、そういう各自治体が積極的に取り組んでいることに対して、また政府としてのしっかりとしたフォローが大事ではないかなというふうに思いますので、その辺りもよろしくお願いしたいと思うんです。  そういう中で、私がちょっと気になったことは、森林整備、いろんな整備が遅れているところに、新たな税源を得て、財源を得て、そこへ集中的に投資していくというような姿勢が当然あるわけですけれども、今まで何となく森林の管理を怠けてきたといいますか、積極的でなかった、そういうところに、新たに公的な資金をそこへ投入するというようなことを余りやり過ぎてしまうと一種のモラルハザードを起こしてしまうわけですけれども、これまで熱心に森林の管理をして、きれいなそういう森林を造ってきた方々がその公的な支援を受けられないというふうなことがあってはまたいけないわけでございますんで、そこのところをしっかりとやはりめり張りを付けたような形で指導していただきたいなというふうに、これはお願いをしておきます。  そこで私は、こういった森林整備をするに当たっては、森林の所有者がしっかりと意欲を持って取り組んでいくということが最も肝要なわけですが、現実問題、森林の所有者はそういう意欲を持って自分の森林をちゃんと管理していくと、整備していくということは、なかなかそこまでは実態は行っておりません。  そういったときに、私の考えは、やはり小規模な森林所有者であればなおさらそうなんですけれども、その地域全体をしっかりと束ねて指導をしながら引っ張っていくという森林組合の役割というのは非常に私は大切だなというふうに思います。  そこで、森林組合というこの組織に、私は自分の地域のことを考えれば非常にそこに期待するしかないわけですけれども、国全体として、政府として、この森林組合という組織に今後森林のいろんな整備についてどういう役割を期待しているのかというところをちょっと確認しておきたいというのと、また、こういった森林組合に対して公的な支援策というものをもっと積極的に充実していきたいという姿勢を持っておられるのかどうか、その辺りも含めて大臣考え方をお聞きしたいと、そのように思います。
  22. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) もう今更私が申し上げるまでもありませんけれども、森林組合というのは森林所有者の協同組織体でございまして、森林の施業などの事業実施をいたしているわけでございまして、民有林面積の七割の森林所有者がここに加入をしているというのが全国的な状況でございます。  そして、この森林組合の機能を高めるということのために合併を推進をいたしてまいりまして、現時点では、十八年度末では七百六十四の森林組合ということになっているところでございますが、森林組合の組合員の森林所有は、もう委員も十分現場森林組合の育成、指導に当たっておられるというふうに承知いたしておりますけれども、その所有が小規模分散の所有構造になっておりまして、私有林の森林所有者の約九割以上の人が保有面積二十ヘクタール以下の小規模な所有組合員、所有者によって占められていると。  そこで、全国的に見ますと、新しく植栽をしたり除伐等の保育をすることに関して言えば、その七割は実は森林組合が実行いたしておりまして、主伐、間伐を含めた素材生産につきましては全体の二割弱ということになっております。  今後、新植や保育が減少し、間伐が増加していくというふうに見込まれる中でありますから、間伐等の素材生産事業を一層推進をしていく必要があるわけでございまして、これらを効率的に実施していくためには、森林所有者の積極的な働きかけによりまして森林施業の集約化を推進するということが大事でありまして、そのことについて言えば、森林組合がしっかりしていただくということが効率的な施業を進める上ではもう不可欠であると。その意味で、森林組合の事業活動に対しては更に一層強力に指導をし、また支援もしていかなければいけないと、こんな認識でいるわけでございます。  このような森林所有者の協同組織である森林組合に対しまして、所有者に積極的に働きかけて施業を集約化していくとか低コストで安定的な間伐実施するということにつきましては、森林組合が中心になってこの事業を展開し、そしてその利益を組合員に還元するということが期待されるわけでございまして、農林水産省としては、森林整備内容経費などを森林所有者に対して明示した施業提案を行うことができる、そういう人材の育成、そして高性能林業機械導入や低コストな作業道の路網の整備などによる施業能力の向上、そして緑の雇用担い手対策事業を積極的に受け入れて、新規就労者の確保育成、そういうことに取り組んでいく、重点的にそのことに支援をしていきたい、このように考えているところでありまして、今後ともこのような施策を通じまして森林組合の育成に努めてまいる所存でございます。
  23. 一川保夫

    一川保夫君 非常に長い答弁で、積極的に対応していただけるというふうに期待しております。  そこで、私は、この森林の管理とは、皆さん方は皆同じ思いだと思いますが、森林の管理は森林に従事しておる人だけが管理しておるわけじゃないんで、要するに、山村地域、中山間地域ということも大変大きな課題ですが、その本当の山村地域に、そこに住まいをし、そこで生活をしている皆さん方があってこその森林の管理であるわけです。ですから、私は、そこでの最も主要な産業である農業、そういったものがしっかりと軌道に乗ってないと私は森林の管理もうまくいかないというふうに思っております。  恐らく、皆さん方の山手の方に住んでいる方あるいは山手に出入りされた方の印象としましても、今特に山間地域の過疎化現象、高齢化現象というのは大変な現象であるわけでして、もうその地域は全く今疲弊し切っていると、そしてもうほとんど新たなものにチャレンジする意欲すらなくなってきているというような感じを受けます。  それは私たち、私、父がいるので、北陸地域はもちろんそうですけれども、先般、今話題になっている山口二区の選挙区へ入って山間地域を回りましたけれども、ここのメンバーの方々もそうなんですが、いや、本当に我々北陸以上に、ああいった地域も山の管理がほとんどなされてないような感じですし、そういった山間部に展開されている農地ももう相当耕作放棄地が目立ってきているという感じです。これは大変な深刻な状況にあるなということを本当に強く印象に残っているわけですが。  私は、やはり森林の再生、林業の再生ということは、この地域の再生がなくして絶対にできないと、それはまさしく農業の再生にも懸かっていると思うんですね。そういうことを考えてみた場合に、農林水産省ですから、農業も林業も水産も一体的にフルにしっかりと施策を集中して、そういった山間地域をてこ入れしていくということを併せて持っていないと、なかなか林業・森林施策だけではこの問題が解決しないというふうに思います。  そういった面で、私は、この中山間地対策のいろんな取組もいろいろとやっておられますけれども、もっと施策をしっかりと集中して、この地域の方々に本当に意欲を持って、その地域に住んで農業なり森林の管理に取り組んでいただけるようなそういう状態に持ち込むということが非常に大事であるというふうに思いますけれども、こういった山間地域、中山間地域の農業政策というものも含めて、大臣はこれまでのやり方をしっかりともっと転換をして積極的にやるという、そういうお気持ちはございませんか。
  24. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) もう今委員がおっしゃられたその御意見、そのお気持ち、私も全く同感でございまして、今、農林漁業、農山漁村挙げてこの地域の再生、活性化のために総合的な新たな政策を展開をして地域づくり、人材の育成でありますとか、その地域の社会的な基盤の整備でありますとか、あるいは伝統文化の継承、これを発展させるための地域活動でありますとか、そういうようなことを総合的に展開できるような地域づくりの地域農山漁村再生戦略というものを昨年、農林水産省としても検討をし、その方向を出しまして、あと総務省の方とも相談をし、農林漁業以外の部分も含めまして、総合的な地域再生に取り組むことにしたことでございまして、今年からそれらを積極的に展開していかなければならないという思いでございます。  なお、私は山村等の方の、山村振興委員会委員長をずっとしておりまして、そして山村振興法の延長、そして改正も取り組み、野党の皆さん方にも御協力いただいて、議員立法にお願いしてこれを成立させたわけでございまして、もう中身申しませんけど、やっぱり魂入れて山村地域は特にその振興を図っていかなきゃいけないと、こういう認識でいるところでございます。
  25. 一川保夫

    一川保夫君 大臣のお話を聞いていると何か相当積極的に取り組んでいかれるというような印象を受けますけれども、しかし現実の今農林水産省実施しておられる施策を見ておりますと、どうも規模の小さいところに対しては非常に冷たい施策もありますし、条件の不利な地域の方々にはなかなか意欲が出てこないという感じを私は持っております。  大臣の所信の中にも、ちょっと書かれている中でもうたわれておりますけれども、従来実施してこられた施策の中にプラスして、高齢者や小規模な農家も安心して農業に取り組むような施策をやりたいというような趣旨のことも、まあ最近の大臣所信の中でこういったものはちょっと追加されたような感じがするわけですけれども、これは、我々はかねてから所得補償の問題も含めて、規模の大小に関係なく、そういう農家に対してもしっかりと支えていくという施策が必要だということを強調させていただいておりますし、これは森林の問題についても、農業と非常に共通した課題がたくさんあるわけですけれども、国産材の自給率が今二〇%ぐらいですか、私はこれは異常に低いと思いますけれども、こういったものをこれから自給率を上げていくと。  それは、戦後植林されたような木が、人間も団塊の世代と言われておりますけれども、森林も団塊の世代に入っているというふうに聞いておりますが、やはりそういうものをしっかりと国産材を活用していくという、そういう施策も並行してもうそろそろしっかりと立てていないと、せっかく適正な伐期が来てもそれを有効に活用できないというような事態も想定されますので、そういう問題意識を持ってしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思っております。  私たち民主党も、そういう国産材の自給率のアップという問題も、それからまたこういう森林の管理を通じて山間地域の雇用を大幅に拡大したいという考え方も持っておりますし、そしてまた、日本のこの木の文化というものをしっかりと見直しを掛けて本当の循環型社会というものを構築していきたいということで、我々もまた勉強をして、また政府に対していろいろと提言をさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと、そのように思っております。  どうもありがとうございました。
  26. 金子恵美

    金子恵美君 民主党・新緑風会・国民新・日本の金子恵美でございます。  まず、大臣には昨日の本会議におきまして私の質問に対して御答弁をいただきまして、ありがとうございます。昨日質問できなかった部分あるいはお答えいただけなかった部分を含めまして、この法案について引き続き質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。  今年、先ほど来ございますけれども、京都議定書の第一約束期間に入り、そして、まずは京都議定書の締結時の議長国としても、やはりこの目標達成すること、最重要課題というふうに言えると思います。この目標達成のために、やはり森林吸収の三・八%という目標達成が不可欠でございます。今年三月二十八日、改定京都議定書目標達成計画も閣議決定されましたが、この計画における森林吸収源対策推進位置付けについてお答えいただきたいと思います。お願いいたします。
  27. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 本年三月二十八日に改定されました京都議定書目標達成計画におきましては、地球温暖化対策の一環として、温室効果ガス排出削減対策と並びまして吸収対策が重要な対策として位置付けられ、全体の削減の中で三・八%分をここで担うというふうに確認をされたところでございます。  そこで、この計画におきましては、森林吸収目標達成に向けまして、二〇〇七年度から六年間にわたりまして毎年二十万ヘクタールの追加的な間伐等森林整備実施する必要があるということ、そしてそのためには、森林間伐等実施促進に関する今回の特別措置法の制定でございますとか、あるいは新しい森林づくり推進国民運動というものを全国的な展開をさせていただきまして、これらの施策を総合的に推進をしていくというふうに位置付けているところでございます。  農林水産省としては、京都議定書目標達成計画に基づきまして間伐等森林整備等の加速化のための支援策を推進をしまして、森林吸収量目標達成は何としてもこれを達成しなければならない、こう思っております。
  28. 金子恵美

    金子恵美君 ありがとうございます。  お答えいただきましたように、その計画の中での位置付けというのは、もちろん今回出されました法案間伐実施促進していくこと、そしてまた、今ほどありましたけれども、幅広い国民の理解と協力の下で、今新しいとおっしゃいましたが、美しい森林づくり推進国民運動を展開するということでございます。  そこで、この美しい森林づくり推進国民運動についてお伺いさせていただきたいと思うんですけれども、本年度の具体的な取組についてお伺いさせていただきます。  今年度は、林野庁予算として十四億三千三百万円が計上されています。具体的に国民運動としてどのようにこの美しい森林づくり推進国民運動事業実施していくのか、お伺いいたします。
  29. 井出道雄

    政府参考人(井出道雄君) 委員お尋ねのように、森林整備推進しまして森林吸収目標を着実に達成していくためには幅広い国民の理解と協力が必要でございます。そのために間伐の遅れの解消や多様な森林づくり推進していくということで、昨年から美しい森林づくり推進国民運動を展開してきております。  平成二十年度予算におきましては、この運動の推進のために、一つは国民全般、企業、NPOを対象といたしました普及啓発や森林づくりへの参加を促進するための環境整備でありますとか、経営感覚に優れた森林所有者の養成や地域住民との共同による森林の管理保全でありますとか、木づかいキャンペーンなどを通じた地域材利用の推進等の取組を行っていくこととしておりますほか、森林組合等によります不在村森林所有者への森林施業の働きかけについても引き続き実施することといたしております。
  30. 金子恵美

    金子恵美君 広報活動、キャラバンやシンポジウムなど、そして最後におっしゃっていただいた不在村森林所有者への呼びかけということになっております。  今までの不在村森林所有者への呼びかけについて、その実績についてはどのようにお考えでしょうか、いかがですか。
  31. 井出道雄

    政府参考人(井出道雄君) 二〇〇五年の農林業センサスによりますと、森林の所在する市町村の区域外に居住されている所有者の森林というのは私有林面積の約四分の一であります。このうち、県外に居住する者の所有森林は私有林の約一割、百三十二万ヘクタールと言われております。  こういった不在村所有者に対して森林施業の働きかけを積極的に行っていくために、この美しい森林づくり国民運動の中で、国や都道府県等が不在村の所有者を含む森林所有者に対しまして啓発活動を行ってきております。さらに、森林組合が不在村所有者に対しましてダイレクトメールを送付いたしまして、現在、三大都市圏や都道府県庁所在地におきまして、不在村所有者に直接お会いをして間伐等の施業を働きかけます、ふるさと森林会議を開催をするということになっておりまして、これを支援いたしておりますし、また、森林組合等の林業事業体が不在村所有者に対しまして施業の働きかけを説得力を持って行うことができるように、具体的な間伐内容や収支見込みなどを明らかにして行います提案型施業の能力の構築を重点的に進めているところでございます。  今後とも、こういった対策を通じまして、この不在村所有者の所有林の整備についても円滑に実施できるように努めていきたいと考えております。
  32. 金子恵美

    金子恵美君 この不在村森林所有者への呼びかけ、所有者に対してパンフレット、ダイレクトメールの発送等があると、そしてまた、ふるさと森林会議の開催というのがあると思います。  この呼びかけというのは、国民各層への浸透というほかの運動とは性格が違って、直接その不在村森林所有者に理解を求めるものだということで、その中でふるさと森林会議、相談や間伐などの作業の提案を行うというもので、ふるさと森林会議は遠方の森林所有者の代わりに森林の管理や間伐森林組合などに作業してもらうことの同意を得るなどの大変重要な目的を持つ場ともなるというふうに理解しております。これこそ本法案の趣旨そのものである間伐等実施促進にかかわることでありまして、決しておろそかにはできない取組だというふうに思っております。  そこで、このふるさと森林会議の開催状況と実績、そしてまた不在村の森林所有者へのこの森林会議の案内、発送数を含めてお答えいただきたいと思います。
  33. 井出道雄

    政府参考人(井出道雄君) ふるさと森林会議につきましては、従来は東京、名古屋、大阪の三大都市圏で開催してきましたが、平成十九年度からは各都道府県の県庁所在地等におきましても開催できるように措置をいたしました。この結果、平成十九年度におきましては各森林組合から約四千九百人の不在村森林所有者に対してダイレクトメールを送付いたしましたが、このうち六百八十三人の方が出席をされ、これらの方に森林施業の働きかけを行った結果、その約六割に当たります三百八十四人、面積にして三千八百ヘクタールの施業の委託が行われております。  この平成十九年度は合わせまして全国で十九都市で開催したわけですが、二十年度につきましては更にこの開催される都道府県を一層拡大をしていきたいと、こういうふうに考えております。
  34. 金子恵美

    金子恵美君 平成十九年度は約四千八百ということでございますけれども、実際にその来場者の数というのは六百八十三というふうに伺っています。そのうちいろいろと同意を得たり、そしてそれが結局、森林整備につながるというようなことが目的でございますので、実際にその成約者数というのが問題になっております。その件についてお伺いしたいということと、それから十九年度の実績だけではなく、この前の経過というのはどうでしょうか。
  35. 井出道雄

    政府参考人(井出道雄君) 十七年度からやっているわけなんですが、十七年度、十八年度は先ほど申しました三大都市圏だけでやったわけでございますが、その時点では案内そのものが送付されていたのは十七年が二千百七十五、十八年が二千四百七十三でございます。成約者も十七年度は百七十五人、十八年度は百九十六人でございまして、この委託されました面積もそれぞれ約、十七、十八年度とも二千二百ヘクタール程度でございました。ですから、十九年度に開催地域を十九か所に広げた結果、この成約者数あるいは整備委託に出されることになった数量も飛躍的に伸びたということが事実でございます。
  36. 金子恵美

    金子恵美君 来場者数については平成十七年度は実際に御案内を出した方々に対しまして一六%、そして平成十八年、十九年度はそれぞれ一四%になると思います。そしてまた、成約者数については平成十七年から十九年、大体八%というようなことになります。  つまり、幾らふるさと森林会議の開催の御案内をしてもなかなかその成約者数の比率というのは変わらず、その比率が低いと私としてはやはり判断するしかないというふうに思っておりまして、またこの方法ではある程度その実効性について限界があるのではないかとも思いますけれども、いかがでしょうか。
  37. 井出道雄

    政府参考人(井出道雄君) 私どもは不在村で日ごろ顔を見ていない方にダイレクトメールを送るという形で接触を試みた中で、十九年度でいえば四千九百人中六百八十三人の方が来ていただいたというのは私どもは決して低い比率ではないと思います、この手のやり方としては。しかも、来ていただいた方の六割が施業委託を応じてくれたということについても決して低い比率ではないと思います。ですから、こういう方法というのはやはり一定の効果があるというふうに考えておりまして、今後とも、現在十九しかできていないんですが、その他の都道府県でも、森林組合なり都道府県にしっかり取り組んでいただいてこれを拡大していくというのは一つの方法であろうと思います。  ただ、不在村の森林所有者に対してアプローチするのにこの方法でただ一つだけでいくというのは、それもまた難しい問題はあると思っておりまして、ただ、現場にいらっしゃらない方々に実際に森林組合がどうやってお願いをするか、そのお願いをするに当たってのコストとか、そういうことも考えなければいけませんので、そういう点については、実際に施業された、あるいはこの委託を受けた森林組合等の意見もよく聞いて今後考えていきたいと思います。
  38. 金子恵美

    金子恵美君 おっしゃったとおり、その方法の中で別な方法、いろいろな方法があると思いますので、是非御検討といいますか、早急に御検討いただきまして、そしてそれを実行していただきたいという思いでいます。  市町村への対応ということで、また更に質問させていただきたいんですが、この法案施行後、この法律に基づく交付金、そしてまた地方債の起債を活用する市町村との連携を図ることができるということではあると思います。そして、その中で不在村の森林所有者に対する取組を行うことができるようになると思われますが、ここで新しい取組をどうしていくかと今おっしゃったばかりでございますので、あえて申し上げますが、この市町村との連携をしっかりと図っていくこと、これを実施していくことによって、例えば今申し上げてまいりましたふるさと森林会議も、今まで以上に来場者数や成約者数、これもある程度アップすることが期待されるのではないかというふうにも思います。  本法案によって間伐等森林整備についての市町村の存在、参加は大変大きくなっていきます。しかし、一方で、幾ら温室効果ガス削減目標達成のためだと声高に言ったといたしましても、やはり市町村の人的な負担あるいは財政の負担はより重くなることがやはり危惧されるところでございます。この負担についてはもっと地方の立場に立った措置が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  39. 井出道雄

    政府参考人(井出道雄君) 今回の市町村に対する交付金措置でございますけれども、現実問題としては、間伐等は大面積のものは、国から県を通じた補助金の流れに乗って、実際には森林組合等の事業体がその任務に当たられるという、補助事業を通じてやっておられるものが大宗を占めておりますが、市町村段階では、それぞれの地域の山林の状況に応じまして小回りの利く形で市町村の単独事業という形で森林整備に向かわれているところが全国でも四百市町村ぐらいあるわけでございます。  私どもは、こういった市町村単独で小回りの利く形で頑張っていらっしゃる市町村に対しましてこういった交付金を交付することによってその活動を支援するということを考えているわけでございまして、この交付金によって、まさに苦しい財政事情の中で、でも地元の山のためにはやらなきゃいかぬという思いでやってくださっている市町村に対してエールを送っているというつもりでございます。  ですから、この交付金がそういう形でしっかり使われることが有り難いなと思っておりますし、これから、不在村森林所有者の関係につきましても、この交付金で不在村森林所有者に対する間伐等の施業の働きかけを行う活動にも一部活用できることにいたしておりますから、市町村が実際に施業を行う森林組合と協力をしまして、この交付金を使いながら不在村森林所有者対策を更に一生懸命やっていただくということになればと考えているところでございます。
  40. 金子恵美

    金子恵美君 まずは地方の負担をこれ以上大きくしないでいただきたいということをお願いし、そしてまた国民運動のお話でも、組織形態としては大変網羅されているようには見えるんですけれども、是非、形だけにならないように、また、本当に国民の皆さんが理解し、何とかしなければならないという、そういう意識を高めていただけるような形で是非進めていただきたいというふうに思います。  次に、林業就業者の確保と育成について御質問させていただきますが、まず、林業就業者数ですけれども、森林整備推進するには林業労働者の育成、担い手となる事業体の整備というのが必要となっているわけです。平成十七年度では、残念ながら五万人まで減少してしまっているのが現状。そしてまた、その高齢化率も十七年度で二七・六%というそういう状況になってしまっています。  このような現状の中で、間伐を含め森林整備を進めるために、林業就業者数についてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。つまり、現在の五万人、この林業就業者数五万人という数は十分であるというふうにお考えでしょうか。あるいは今後これを、人口を増やしていくということであれば、その目標値というものがお考えあればお聞かせいただきたいと思います。
  41. 井出道雄

    政府参考人(井出道雄君) 平成十八年九月に閣議決定されました新たな森林・林業基本計画を作りました際に、多様で健全な森林整備保全を図るために必要な林業就業者数はどの程度かということを試算をいたしました。今後の生産性の向上等の一定の前提条件の下では、この平成二十七年度に五万人程度というふうに試算をいたしております。  これは、現在実施しております緑の雇用等によりまして新規就業者を確保していくこと、さらに、林業労働者の場合には一人当たり年間百七十日ぐらいしか今就労しておりませんので、これを雨天その他を除けば年間最大二百三十日程度までは働けるはずということで、この就労日数を引き上げるとか、あるいは現在進めております低コストの作業システム整備いたしまして、こういう効率的な施業をすることによって、人数は少なくてもしっかりとした施業ができるというようなことを組み合わせた形でやっていけば、五万人程度でしっかりやれるというふうに試算をいたしております。
  42. 金子恵美

    金子恵美君 緑の雇用についても先ほどありましたけれども、その中でいかに林業就業者を増やしていくかという課題に取り組んでいらっしゃることは分かります。ですけれども、離職者というのが毎年四千人から五千人というふうになっている中で、新規就業者のためのこの緑の雇用制度自体が余り有効に活用されていないのではないかと懸念されることもあります。  そして、今施業の効率化というふうなことで五万人で大丈夫なんだというようなお話もありましたけれども、例えば、機械化施業が進んでいるから林業就業者の数が少なくてもいいということであれば、実際に機械化施業を進めるためには一般林道や作業道の整備等が必要になっているわけなんです。ですけれども、今現状としてはやはりそれがまだまだ進んでいない状況でもあるということもございます。  まず、どこから進めてきちんとその環境を整備していくのか、そういうことを一体的に考えて進めていかなければ、もうこの森林そして林業を守るということができないのではないかと思います。  最後になりますが、御所見をいただきます。
  43. 井出道雄

    政府参考人(井出道雄君) 緑の雇用につきましては、緑の雇用を実施する以前と比べますと、緑の雇用を実施する以前は年平均新規就業者が千八百六十一人と言われておりましたが、この緑の雇用を開始した平成十五年以降十八年までの四年間の平均を見ますと、新規就業者三千二百八十四人ということで、これは明らかに新規就業者は増えてきております。その緑の雇用については一定の効果があったというふうに思っておるわけでございます。  それから、当然能率の良い施業システムをつくるというためには、低コストで導入されます作業路網をしっかり整備をして、機械が林地の中まで入れなければいけません。現在そういうことを実施しております森林組合がかなり数がふえてきておりますが、毎年そういった森林組合をリーダーとして、その子供、孫という形でそういう成果を伝承するための研修もやっておりますし、できるだけ、先ほども申しましたが、作業路網を付けるにしても、メーター当たり二千円とかそういった低コストで、しかも一回限りじゃなくて、次回間伐でもちゃんと使える路網を整備するというようなことについて、私どもも指導、支援をいたしております。民間の技術者の中にそういった技能を持っていらっしゃる方が、今全国を飛び回って御指導をしていただいているところでございまして、そういった人のノウハウというものをできるだけ多くの人に、多くの地域に広めていくというのを応援しているところでございます。
  44. 金子恵美

    金子恵美君 終わります。
  45. 牧野たかお

    牧野たかお君 先ほど来、民主党の皆さんの質問、御意見を聞いていますと、余り私たちと違わないやと、何でほかの委員会では対立しているのかなというような気がしましたが。  私は、この法案中心にちょっと質問をしていきますけれども、まず、CO2削減の目標を定められて、六年間で三百三十万ヘクタールの間伐実施するという話でございますけれども、十九年度、補正も入れて七百六十五億円を使って、確保して整備を進めてきたわけですけれども、まず十九年度の目標の数値は達成されたんでしょうか。
  46. 井出道雄

    政府参考人(井出道雄君) 平成十九年度についての実績というお尋ねでございますが、間伐の場合は、木の成長が止まります秋以降に本格実施をされますので、実態的には昨年の秋から年度末である三月までに集中的に実施をされてきております。そのため、残念ながら十九年度全体の実績は現時点ではまとまっておりませんけれども、これだけ予算を付けまして、十八年度は三十四万五千ヘクタールであったわけでありますから、それと比較すればもちろん相当程度の増加が見込まれると考えております。実績の数字そのものについてはまだ集計ができておりません。
  47. 牧野たかお

    牧野たかお君 これからあと五年で京都議定書目標達成しなきゃいけないわけですけれども、毎年毎年、実際に本当に五十五万ヘクタール間伐できなければ目標達成できないわけですので、やっぱりその年度年度でちゃんと達成したかどうかチェックをしながら、もしその年が駄目なら翌年にどうやって増やしていくかということを考えていかなければいけないんじゃないかなと思いますが、それをこれから頑張っていただきたいと思いますけれども。  あと五年で達成をするとすると、予算的には一体幾ら掛かるんでしょうか。
  48. 井出道雄

    政府参考人(井出道雄君) 年に二十万ヘクタールの追加間伐をしようといたしますと、現在の標準的な事業単価を用いまして、さらに先ほども言いましたように路網の整備などもしなければなりませんので、国費に国以外の者による負担を加えたいわゆる事業費ベースでは、この二十万ヘクタールで一千億円程度のコストが掛かるというふうに試算をいたしております。ですから、五年間でいえば、単純に計算すれば五千億円程度事業費が要るわけでございまして、ただ、国費が幾らかについては、この事業の種類によりまして、あるいは対象森林によりまして、国の負担割合が異なっておりますので一概には言えないわけでありますが、御承知のように、十八年度補正予算と十九年度当初予算では七百六十五億円、十九年度補正予算と二十年度当初予算を合わせて五百四十六億円を措置してきたところでございますから、おおむねこの程度のお金は単年度で掛かるだろうというふうに見込んでおります。
  49. 牧野たかお

    牧野たかお君 それじゃ、法案の方の質問に入っていきますけれども。  私、この法案審議が延びたものですから、資料を何回も何回も林野庁の方からいただいて説明を受けましたけれども、内容がよく分からないというか、難しいというか、法案と実際に運用の部分とかなりちょっと違うんじゃないかなという疑問を持ったものですから、私、自分の県だったり森林組合辺りにいろいろ、もう林野庁から説明が行っていますので、実際に聞いてみました。かなり正直言って各地方自治体、県や市町村森林組合は戸惑っているというのが私の率直な感想です。  それは何でかというと、地方自治体の負担を軽減するといって書いてありますけれども、これは交付金事業ですので、要は市町村からすると、今までの要するに補助事業だと、国が五割そして県が二割、その森林所有者、市町村によって単独事業で助成をしているところがありますんで、そういうのからすると、交付金が五割来たとしても、県は実はこの都道府県でいうと、こういう交付金事業に上乗せ助成は普通やらないそうなんですよ。そうすると、市町村は、お金来るけれども五割、要は県の分来ませんから、市町村は負担が実はこれは重くなってしまうというふうに私は言われてしまいました。  ですので、まずそこがちょっと認識が違うと思いますが、それ、どうでしょうか。
  50. 井出道雄

    政府参考人(井出道雄君) 市町村交付金につきましては県を通しませんから、市町村交付金による間伐については、県費の負担は望めません。しかしながら、御説明いたしておりますように、従来から四百を超える市町村におきまして、市町村で単独事業で、自分たちのお金だけで頑張ってやってくれています。こういった市町村におきましては、今度交付金でお金が来ますから、ありていに言えば半分の自己負担で従来の面積規模の間伐ができることになる、あるいは考えようによっては、従来の負担を継続するのであれば、その間伐の面積を二倍にできるということになろうかと思います。  さらに、この事業とリンクした形では地財措置もございますので、ですから、あくまで補助事業として国、県、森林組合と流れていく本流がありまして、市町村交付金というのは言わば支流なんですけれども、その支流の市町村単独事業で頑張っていらっしゃる方に援助をいたしたいと、半分見てあげるかあるいは面積を倍にするか、そういうことができるようになるという代物であるということでございます。
  51. 牧野たかお

    牧野たかお君 まず発想がちょっと地方から見た目と違うところは、要するに起債を認めると言っているのも、過去の三年間でやってきたものをオーバーした分に起債を認めると言っているんでしょう。そうすると、今まで精いっぱいやってきた市町村とか、まあ県は要は事実上補助金出しませんので県関係ないといったら関係ないんですけれども、要するに今までやったところに更に倍やりなさいよと言ったって、市町村の負担というのはもう財政的にかなり厳しくなっておりますのでなかなかできないというのと、要するに、一生懸命私も調べさせてもらいましたけれども、千八百のうちの四百十八の市町村は単独事業でやっていますけれども、そういうところは大体みんな山の方の過疎地域に指定されているような、そういう町村が多いんですよね、私のところもそうですけれども。  だから、そういう厳しい元々財政状況のところが一生懸命やっているんだけれども、そういうところはもう手いっぱいなんですよね。そこに交付金あげるから倍やれと言ったってなかなかできないというのと、今までやってきた分のオーバーした分を要は起債認めると言っていますんで、ちょっとそこは市町村の方と林野庁の考えている方の、上から見た目だとそうなっちゃうかもしれないけれども、ちょっと実情に合ってないのかなという気がするんですけれども、いかがでしょう。
  52. 井出道雄

    政府参考人(井出道雄君) 地財措置につきましては、従来、この間伐等について地財措置をお願いしたいと申し上げましても、これは私有財産でしょうということで相手にされてきませんでしたけれども、今般は、この三十五万ヘクタールを毎年二十万ヘクタール増やすと、六〇%も増やさないと三・八%が達成できないわけですから、これは都道府県なり市町村の御負担をどうやって解消していくかということは、これは国としての三・八%というのは約束だからということでお願いをし、そういうことならということで認めていただいたものでございまして、そういう交渉経過からして、増えた分だけだと、三十五万までは駄目だと、従来どおりなんだからと、増えた二十万ヘクタール分に見合う分だけ対象にしようという話でございます。  私どもとしては、この際、根っこから対象にしていただくのが有り難いわけでありますけれども、元々私有財産だからという高いハードルがあったところに一応そういう穴が空いたという点では評価をしていただけるんではないかと思っております。  ただ、おっしゃられるように、地方公共団体においては、従来から間伐に一生懸命やっていた市町村と余りやってなかった市町村があるのは事実でございまして、スタートラインが若干違うんじゃないかとか、そういう点はあろうかと思いますが、国が制度をつくります際には、若干、個々の市町村、県に下ろしていったときに、得をするというのは語弊がありますが、評価を受ける自治体と、そういうことは自分でやっていたんだという自治体と出てくるところはあろうかと思いますが、何しろ三十五万を五十五万にするわけですから、大なり小なり拡大をしていかなきゃならないと、市町村単位でも県単位でもですね、そういうことはあるわけでございますので、少々の出っ張り引っ込みはあるにせよ、やはりこういう制度は是非必要ではないかというふうに考えております。
  53. 牧野たかお

    牧野たかお君 私もこの法案に反対するわけじゃないんですが、簡単に言うと、結論から言うと、やらないよりやった方がいいということは思いますけれども、ただ、本当にその五十五万ヘクタールを毎年間伐をしていかなきゃいけない、私は、この京都議定書CO2削減というのが今の森林整備の追い風だと思っていますけれども、だからそれを活用しない手はないと思いますので、あらゆる手段をやっていただくのはいいと思っていますが。  ただ、もうちょっと根本的な話の中で、根本的な要するに政策の中で間伐対策を考えていかないと、こういう交付金の、これは伺ったところによると十億円の交付金ですよね、年度でいうと。だから、いろんな作業道を造ったりとあるけれども、計算するのは大変ですから、簡単に言えば、じゃ一ヘクタール当たり二十万のお金の交付金とすると、五千ヘクタールしかできないわけですよね。だから、要は追加分だけで二十万ヘクタールやらなきゃいけないのに五千ヘクタール分しかこの法案に基づく今年度の予算というのはないわけですよね。  だから、そういうところの、言うなら、全体からいえば数%のことを一生懸命考えるより、元のところで、今までやっている政策の中でもっと今の国の補助ではまる、例えば四十五年成長ではまるという、十ヘクタール以上のまとまった面積であるとか五戸以上でまとまってやるとか、そういう制限が付いていますけれども、そういうのを取っ払って要は三ヘクタールでもいいよとか、五戸とか何かじゃなくて、大体山というのは、私のところもそうですけれども、まとまって持っている人はいないんですよね。こっちの山にあってあっちの山にある、全部足して持っている人で五十ヘクタールとか百ヘクタールとか、もっと多い人もいますけれども。  ですので、十ヘクタールというふうにまとまってというと、何人かで話をしてやらなきゃいけないんだけど、山の持ち主というのは大体境でけんかしているくらいですから余り仲良くないんですよね。だから、そういう人たちでまとまらなきゃ駄目だよというのは実は余り現実的な話じゃないんですよね。だから、そういうところを緩和していって、もっともっと森林所有者が、今は特に、先ほどもお話が出ましたけれども、要はそこに住んでいらっしゃらない方もいるし、もっと言えば、たとえ住んでいても、もうそんな山に入って手入れするような技術も何も持っていない人がほとんどですので、森林組合に委託するしかないんですが。ですので、そういうもっと間伐を受けやすいようにしなきゃいけないと思うんですよね、所有者が。そのためのいろいろ政策で、そこに予算を付けてやっていくことは私は大賛成なんですが。  これは根本的な問題ですけれども、今回の法律交付金事業というのは、これは試験的にやるつもりでこのことを考え出したんでしょうか。今の森林整備政策をこういう方式にやがては変えていくために試行的にやってみようと思って出したのかよく分かりませんが、そこら辺の意図は何でしょうかと思うんですが。
  54. 井出道雄

    政府参考人(井出道雄君) 森林整備につきましては、三十五万ヘクタールであれ五十五万ヘクタールであれ、これだけの面積をしっかりやっていくということになりますと、やはり大宗は従来からやっております国庫補助事業で、国から県、それから森林組合という形でやっていくのが大宗だと考えます。  ですから、その大宗を占める国庫補助事業実施に伴います地方負担の軽減、平準化ということで、私どもこの法案の中でも都道府県市町村に起債を認めていただくということをお願いをしたわけでございますし、それから市町村交付金については、先ほども申し上げましたように、そうはいっても四百を超える市町村で頑張っていただいているわけですから、こういった小回りの利く事業についても支援をしていきたいと。  ただ、初年度であって、本当にどの程度やっていただけるのかということについてはまだ不分明でございますので、これからこの法案が成立した暁には、県、市町村、その他関係者によく周知徹底をして、市町村が、そういう制度なら自分たちが今までやってきたことの中にうまく組み込んで使ってみようということで需要がたくさん出れば、来年度の予算でもっと大幅に予算を増やしてほしいと要求するということも考えたいと思っております。
  55. 牧野たかお

    牧野たかお君 それで、私ちょっと疑問に思ったのは、これ交付金事業ですよね。それで、林野庁に聞いたら、それじゃ市町村林野庁の出先へ行っていろいろやり取りするのかという話をしたら、そうじゃなくて、一応県が委託を受けて交付金のことも要するにやるという話なんですが、そうすると県の事務の仕事が出てきちゃうわけですよね。県はただでそれをお金も何にももらわないでやるというのも、何か私はちょっと、そういうことってあるのかなと思ったんですが、それはどういうことなんでしょう。
  56. 井出道雄

    政府参考人(井出道雄君) 事務の流れとしては国がやるべきことを県に委任をしてお願いをするということはございますが、それは、林野庁の出先というのはいわゆる国有林を管理している森林管理局森林管理署でございますので、この一般民有林の事業についてそちらのルートからお金を流したり、その調整をしたりすることは考えられませんので、その事務の手続としては、国が直接できなければ県にお願いをして手続を取っていただくということになろうかと思っております。
  57. 牧野たかお

    牧野たかお君 交付金事業と補助事業は違うものですから、だから、形上は県を通さずスルーで市町村と書いてあるんだけれども、実際は県が関与するんですよね。だから、本当だったら国と市町村のこういう一つの形式上の話ですけれども、というのは、実際的には市町村というのは、なかなかそうは言っても、国から来たのを直接受けるかというと余り受けないですよね。やっぱり県が調整に入らないとこういう事業というのは、私は今までの経験からいってもなかなかうまくいかないなということを思っているんですが、だからそこも、制度上交付金事業ですから、それはそれでいいですが、中身はやっぱりもうちょっと県の関与をしてもらった方がいいんじゃないかなと思います。  時間もそんなになくなりましたので、あと大臣に、今の法案の関係をした質問をさしていただきたいと思いますが、今木材業界というのは、実は昨年の秋からヒノキが急に相場が下がって、実際に林家に言わせれば、とても間伐をしてその後また植えてというような気持ちには全くならないと。だから、そういう意欲がどんどん後退していますけれども。  さっきの補助制度、また今回の法案にもかかわる話ですけれども、補助金の制度の中でいうと、さっき申し上げたみたいに、ある条件を満たしていれば高齢樹林、樹齢のやつもその対象になるんですけれども、実質的にはなかなか、さっき申し上げたみたいに、そう簡単にまとまって、十ヘクタールになるとか、五戸の林家が、隣接している林家でしょうけれども、それがまとまって間伐の対象となる計画書を出して助成を受けるというのはなかなか難しいんですよね。  だから、そういう条件にはまらないところの高齢林が今いっぱい増えてきて、国の方針も、要はなるべく八十年とか百年とかそういう長尺材を作るための樹齢を延ばしていって森林を保全する、整備するという政策に変わっているんですが、そうすると、間伐というのは必ずしも一回で済まなくて、三十年でやって五十年でやってもう一回やらなきゃいかぬとか、要はそれだけ延ばしていくと間伐の回数も本当に増えてくるんですよね、そうしないと山というのは保全できませんから。  そうなっていくと、長い樹齢を持っているところだって、そういう山林だってやっぱり間伐をしなきゃいけないんですが、今の制度ですと、事実上、条件を満たさない限りは補助金を受けられないんですよ。だから、これを何とかしないと、私は本当に日本全体の森林整備というのはできていかないと思いますけれども、大臣、いかがお考えでしょうか。
  58. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 委員十分御承知のことでございますけれども、国内の森林資源というのは戦後植林をしました人工林を中心に徐々に充実をしてきているわけでございます。  ところが、今までの材価の関係がありまして、今までのものであれば間伐をすることによってそれが一つの収入になる、中間的な収入になるということでありましたが、なかなか間伐で収入を得るということが難しいという事情の中で非常に間伐が遅れてきたということが続いたわけでございます。しかし、間伐によります収入という、その売上げというものを森林所有者に還元するシステムを確立していくということは、森林所有者が間伐をしようという意欲を持ってもらうということで非常に基本のことであると思います。  そこで、齢級については、何回かにわたってその齢級を高い齢級にまで引き上げていきながら助成の対象を拡大してきたという経過がございます。一方、間伐材について、用途について言いますと、今まではなかなか間伐の用途が限定されていて売れないということでありましたが、最近、合板とか集成材とか非常に進んできておりまして、それらの新規需要が国産材について非常に出てきているということがございます。そういう意味で、齢級の比較的高い森林ではこういう間伐材の売上げが森林所有者の負担軽減に結び付くということが出てきておりますので、そのシステムづくりが大切だというふうに考えております。  あわせて、二十年度には、四十六年生以上の森林を対象にして民間資金を活用して整備を行う新規事業もこれを導入して、そういう高齢級のものも間伐を進めるような対策を併せて講じていきたいとも考えております。
  59. 牧野たかお

    牧野たかお君 ありがとうございます。  ただ、さっき申し上げた、くどいですが、要するに、そういう制度はつくってもらっているんですけれども、条件が要するになかなか現実的にはまらないものだから対象とならないんですよ、現実的には。だから、その条件を緩和しない限りは、幾らいい制度をつくっても受けてくれる人がいない、受けられないというのが現状ですので、そこはこれからちょっといろいろ緩和を、本当に現場の声を聞いた上で緩和策を考えていただきたいと思います。  ただ、もう一つ今度質問しますけれども、実際、森林組合は、私の周りとか静岡県だけの話かもしれませんが、ここ五年間、国の政策、また各都道府県がさっきお話がありましたように森林の保全の環境税等を法定外目的税でつくりましたので、仕事量が本当に増えていて、ある意味では公共事業も、昔は仕事がなくて、作業班を生活のために、食わせるために県の仕事で何かないかと、そういう話だったんですが、今はもうそうじゃなくて、逆に人手が足りなくてあっぷあっぷの状態なんですけれども、ただ、若い方がまだ少ない。  ですので、静岡県でいうと、今平均で森林組合の職員、作業班の方たちも入れると五十八だそうなんですけれども、若い人がこれからどんどん入っていかなきゃいけないんですが、その若い人を確保するというのもこれから大事だと思いますけれども、それについてどう国としてやっていこうかというふうに思っていらっしゃるか、お伺いします。
  60. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 先ほど、井出長官の方から御説明を申し上げておりますけれども、やはり若い林業就業者を確保しないと、実は今、高能率の機械を入れて施業の集約化に伴う生産性を上げるというようなこともできないんですよね。そういう意味では、若い人が林業に従事するというようなことを進めるという意味で、緑の雇用などによる新規就労者の確保を進めております。  私も現地幾つか参りまして、そういう若い人たちと直接お話もしました。大変意欲的で、大学卒で他県から入った人たちも、緑の事業に従事できるということで大変意欲的な人たちと何人もお会いしました。そういう人たちはもうとても、作業の現場へ行ってみますと、今までの林業就労者ではできないような高性能機械を駆使して頑張っているんですね。そういう意味では、やはり緑の雇用で効果も上がってきておりますので、この事業中心として新規就労者、若い新規就労者を増やしていく。  そのときに感じておりますのは、その人たちの地域における生活条件ですね。そういう、まだ独身の人がほとんどなんですね。いずれこれが定着するとすれば、結婚をしてやっていけるような、そういう処遇も併せて考えていけるような、主として森林組合が受け入れているんですけれども、素材生産組合が受け入れている場合もあります。そういう意味では、関係団体、受け入れた関係団体あるいは市町村ともよく協議をしながら、生活環境整備なんかも含めて力を入れて、この緑の雇用を中心とした新規就労者を増やしていくということに力を入れなきゃいけないと、こんなふうに考えております。
  61. 牧野たかお

    牧野たかお君 これから五年間は私はそういう、山の所有者はそんなにいい時代と思わないかもしれませんが、請負をする森林組合とか素材生産の関係者はすごく、多分今までにない仕事量があって、ある意味では上昇するような、高揚するような、そういう気持ちじゃないかと思いますけれども、ただ問題なのは、これ五年間たったら、京都議定書目標の三百三十万ヘクタール、できるできないにかかわらず、そこで終わっちゃいますので、そうした後に、この五年間で採用した人たちがまた仕事がなくなってまた分散していくようなことになってしまうと、せっかく集まってきた若手の若い労働力がなくなっちゃいますので、長い目で見たときに、私はこの五年間というのは、間伐をして森林整備をして仕事を削減すると同時にそういう素材生産の産業をもう一度再構築するという時期じゃないかと思いますけれども、将来に向けての、今私が申し上げたみたいなことをお考えになっていらっしゃるかどうか、伺います。
  62. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 私は、委員が今御指摘になられましたように、新しいビジネスが生まれてこなきゃいけないと、生まれてくる可能性は非常に高まってきたという実感でございます。  それには、やはりそういうニュービジネスが既存の森林組合や素材生産業者とうまく組めるような、コーディネートするような状況というのはつくっていかなきゃいけないと思いますけれども、いずれにいたしましても、今のようやく出てきた、先行き明るく出てきた、明るさが見えてきたこの状況というものを定着をさせて、森林整備というものが一つの産業として確立していくような形で軌道に乗せなけりゃいけないという思いが非常に強うございます。  そのときには、まさにその担い手が大事でございますから、森林組合、素材生産事業者、そしてそれらをつなぐような形で更に出てくるでありましょう請負の事業体、新しいニュービジネスなども育成しながら、それらの人が責任を持って林業就業者を定着させていくという方向で力を入れていきたい、このように考えております。
  63. 牧野たかお

    牧野たかお君 終わります。
  64. 谷合正明

    ○谷合正明君 公明党の谷合正明です。  私は、今日は国有林野事業について、以前の委員会で質問できなかったこともありますので、まず国有林野事業について質問をさせていただきたいと思います。  国有林野については、言うまでもなく、国土の保全、水源涵養、また自然環境の保全等、公益的機能を担っているわけであります。さらに、地球温暖化対策における森林吸収源としても重要性は増しております。  その国有林野事業でありますが、平成十年に成立した国有林野事業の改革のための特別措置法では、平成十年、一九九八年当時の累積債務約三兆八千億円を、一般会計分の二兆八千四百億円と国有林野事業分の一兆五百億円に分けて、平成六十年、二〇四八年度までの五十年間で債務について着実に処理するものとされております。平成十八年度末の時点での債務残高は、一般会計分は約一千百七十億円減少しまして、今約二兆七千三百億円であります。しかし、国有林野事業分では約一兆五百億円と、この債務については変わっておりません。全く減っていないというのが実情であります。  国有林野事業特別会計における債務償還は、一般会計から利子補給を受けつつ、例えば平成二十年度予算では二百八十億円ですが、五十年間で林野、土地等の資産の処分、林産物収入等から発生する剰余金を充てることにより行うとなっております。なお、その国有林野事業では、平成十年度から十五年度までを集中改革期間として取り組んだ結果、新規の借入金は、かつて六百五十億円があったのが、平成十六年度にはゼロとなっております。しかしながら、その債務残高については二千三百四十二億円増えて、十六年度末には一兆二千七百九十六億円となっております。  そこで、まずお伺いいたしますが、平成十一年度から十八年度まで結果として国有林野事業の債務残高が減らなかった理由はなぜなのか、また今後の償還の見通しについてはどうなっているのか、この点についてお伺いいたします。
  65. 井出道雄

    政府参考人(井出道雄君) 委員指摘のように、国有林野事業につきましては、平成十年の抜本的改革によりまして経費の節減等によります支出の削減に努力をいたしました結果、平成十六年度には新規借入金をゼロとし、収支均衡を図ったところでございますが、以降、新規借入金からは脱却いたしましたが、木材価格の低迷など厳しい状況にある中で債務残高の縮減には至っていないところでございます。  今後につきましては、一般会計からの利子補給により債務の累増を招かない中で、木材販売収入の確保や経費の節減など引き続き収支両面にわたる努力を尽くしまして、平成六十年度までに債務の返済に努めてまいる考えでございます。
  66. 谷合正明

    ○谷合正明君 償還の見通しについて本当に実行できるのかどうかという点なんですが、この国有林野事業の引き継いだ債務については、既に、何というんでしょうね、平成六十年度、まあ先の長い話ですが、二〇四八年度までの五十年間で債務一兆円償還するというスキームがこれはもう難しいのではないかという思いをしております。  平成二十二年四月に、実は国有林野事業の一部の独立行政法人への移管、また一般会計への統合というのが行われる予定と聞いておりますけれども、この際、この債務の償還スキームについても併せて見直していくべきではないかと考えますが、この償還スキームが破綻しているのではないかとの私の感想についての見解、またこの償還スキーム、今後見直していく必要性についてどう感じられていらっしゃるのか、この点についてお伺いします。
  67. 井出道雄

    政府参考人(井出道雄君) この国有林野事業の累積債務の解消につきましては、私どもは、現在は木材価格の低迷等、厳しい状況にはありますが、更に努力を積み重ねて、やはりこの債務の解消は最大限の努力をしていきたいと考えております。  一方で、この国有林野事業特別会計につきましては、今お話がございましたように、一昨年六月に制定されました行政改革推進法におきまして、事務事業の一部を独立行政法人に移管した上で、一般会計に統合することについて検討することとされております。このため、これまで国有林野事業として実施してきました事業のうち、人工林の整備あるいは木材の販売等の業務を独立行政法人に移行しますとともに、国有財産としての国有林野の管理、保全、治山事業等については引き続き国が行うとの基本的な考え方に沿いまして、今後とも国土の保全、水源の涵養など公益的機能の維持増進を旨とした国有林野の管理経営が適切かつ効率的に行えるよう検討をいたしているところでございます。  こうした中で、この債務の処理の問題についても幅広い観点から慎重に検討していく考えでございます。
  68. 谷合正明

    ○谷合正明君 随時、私は見直していく勇気が必要であるというふうに考えております。  国有林野事業は、現実に一般会計から、先ほど来話出ておりますが、利子補給などで多額の繰入れで維持している状況にあります。平成二十年度予算では一千六百九十億円を繰入れと。一般会計と区分して経理する必要性が薄れております。国有林の九割強が国土保全や水源涵養という公益的機能を担っていることを踏まえて言いますと、国有林野事業特別会計の債務償還というものを今後一般会計で処理していくスキームを検討していくべきではないかと考えますが、この点についてお伺いいたします。
  69. 井出道雄

    政府参考人(井出道雄君) 国有林野事業の今後につきましては、収支の見通しにつきましても、成熟しつつあります人工林資源を中心に収穫量が今後増大すると見込まれることを踏まえまして、国有林におきましても、間伐の積極的な推進や国産材の需要拡大を図って収入の確保に努めていきたいと考えておりますし、高性能林業機械を活用した列状間伐など高能率の間伐作業システムは、これは国有林が先駆けて導入をしたものでありますが、こういったものを効率的な執行をいたしまして更なる経費の節減や人件費の縮減等のコスト縮減を図ること、この収支両面にわたる努力を尽くしまして、平成六十年度までの債務の返済に努めていきたいと考えております。  先ほども申しましたけれども、しかしながら、この国有林野事業特別会計の改革につきましては、事務事業の一部を独立行政法人に移管した上で、一般会計に統合することについて検討することとされておりますから、以上のようなことも踏まえまして、この債務処理についても今後幅広い観点からやはり慎重に検討していきたいと思います。
  70. 谷合正明

    ○谷合正明君 いずれにしましても、債務残高が増えているという状況、これをしっかり見直していく必要性があると思っております。新たな借金を生まないことはもちろんでございますが、この点について強く申し上げたいと思います。  話を先に進めますが、今回の法律案と若干離れるところではあるんですが、違法伐採について、その取組についてお伺いいたします。  違法伐採については、日本というわけじゃなくて、世界に起きている違法伐採の問題ですが、木材生産国における森林の減少であるとか劣化、あるいは森林生態系の破壊等をもたらすだけではなくて、結果的に生産国の政府収入の損失であるとか木材市場が歪曲されるとか様々な問題が引き起こされます。さらには、持続可能な森林経営ということも阻害されていくわけであります。今年はサミットが行われますが、平成十七年に行われた英国、イギリスでのグレンイーグルス・サミットでは、我が国としてもこの違法伐採対策にしっかり取り組んでいくということを表明をしたところであります。  そこで、その後この違法伐採対策をどのように取り組んでいるのかという質問なんですが、対策、いろいろあろうかと思います。日本と交易関係がある国、例えばアジアでいえばインドネシアとかロシアとかありますが、そういう二国間での違法伐採対策というのも大事であります。  それとともに、今違法伐採で大きな問題となっている地域は、実はアフリカのコンゴ盆地というところで起きております。世界の酸素供給源というのは、アマゾンが有名でありますけれども、アマゾンを一つの肺と例えれば、もう一つの肺がこのアフリカのコンゴ盆地と言われておりまして、日本の面積の五倍を占める面積を持っております。そのコンゴ盆地がなかなか、いわゆる持続可能な森林経営、今特段その森林減少が進んでいる、破壊が進んでいるという話じゃないんですけれども、今後しっかり持続可能な森林経営という観点を取り入れていかないと、こうした地域というのはなかなか、紛争があったりとか政府の目が届かないとかいう地域であります。  実は我が国に、横浜にITTOという国際機関があります。我が国が招致した熱帯木材機関でありますが、これは私は、サミットとかTICADがある中で、我が国としてこの違法伐採対策は、二国間だけじゃなくて多国間の中でもしっかり発信すべきであると思っております。恐らく林野庁のODA予算あるいは人材もこういったITTOの方に行っているんではないかと思いますが、この点についての政府取組について伺いたいと思います。
  71. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 実は、今委員がお話しいただきましたITTO、そこの事務局長、ゼ・メッカさんが昨日、私のところを訪問をされました。そして、この国際熱帯木材機関ですけれども、昨年、事務局長に就任された方なんですが、アフリカのカメルーンの出身の方なんですね。それで、今委員がおっしゃられたようなアフリカにおきます森林、熱帯雨林のみならず、巨大、広大な森林資源というものを生物多様性との関係の中でどういうふうにしていくのかというような大きな課題があるというようなお話、私も伺ったところであります。  ITTOは、東南アジアとか、委員もおっしゃられたアマゾン川の流域とかコンゴ川の流域などの熱帯木材を生産する国三十三か国と、これらの熱帯木材を輸入、消費する国二十七か国、計六十か国で構成された国際機関でございまして、この機関のファンドを出しているのは、最大の拠出者は日本でございまして、日本がこの問題に非常に積極的に支援をしてくれているということがこのような活動を支えているんだということを事務局長からお話を改めて聞き、お礼を言われながら、今後とも強力な支援をお願いしたいということでございました。  そもそもこの熱帯雨林のことは、委員が先ほどおっしゃられましたけれども、二〇〇〇年に行われました九州・沖縄サミットで、実は日本側のイニシアティブで、違法伐採に関する最善の方法について検討するんだというのが首脳声明で合意されたという経緯がございます。その後、幾つかのサミットを経ながら、持続可能なための森林整備ということについて、この違法伐採を含む対策が議論をされました。  昨年のハイリゲンダム・サミット、ドイツで行われたわけでありますが、この首脳宣言でも、違法伐採対策の既存のプロセスを引き続き支援すると同時に、持続可能な森林経営達成に向けたAFPなどの地域的な枠組み、ITTOの成果を評価するということを声明をされました。その前段であります環境大臣会合にも私も出席をいたしました。非常に熱心な討議が行われたわけですが、一番悩ましいのは、そういう熱帯雨林などを有している国々が、これを伐採を抑えてしまうと経済的に大きな打撃を受けるんですね。木材の販売収入がなくなる、そこで現に働いている人の失業を招くとか、あるいは輸出をしているその輸出収入を失うとか。だから、これを利用する国あるいは先進国がもっと支援をしないとなかなか伐採を抑えることができない。  更に加えて、この違法伐採という問題があります。日本は、このインドネシアでの会議でもそうですが、違法伐採を宇宙から察知する、そういう宇宙衛星使っての調査をし、トレースをして、それらの情報を提供しながら、その国々との間で違法伐採を抑えるための協力関係を構築すると同時に、問題はそういう、具体的には、それぞれの国がグリーン購入法に基づいて合法的な持続可能が証明された木材や木製品を政府調達の対象にすると、そういう動きを強めていって、そういう証明がない木材は需要者側で輸入をしないというような動きにつなげていく必要があるのではないかと思います。  このことは、今度の温暖化対策の中の一つとして、北海道の洞爺湖サミットに向けまして、この違法伐採対策の重要性につきまして内外に強く訴えると同時に、この違法伐採対策が更に進展していきますように積極的に働きかけていく、そういう責任が我が国にあると、こういうふうに考えております。
  72. 谷合正明

    ○谷合正明君 大臣の熱意がよく分かりましたので、私は、今日、森林間伐法案ではありますけれども、この違法伐採対策も併せて我が国からしっかり発信していただきたいと思います。そのことを申し上げまして、終わります。
  73. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  ちょっと質問時間が短いので、答弁も極力簡潔にお願いしたいと思います。  それで、最初に、食品安全部長に来ていただいています。米国牛肉の危険部位の混入についてなんですけれども、昨年の四月、当時は安倍総理でしたけど、訪米前に、厚生労働、農水両省は、輸入検査の体制を大幅に緩和をして、米国牛肉の全頭検査から抜取り検査にする日米合意を結んだわけです。結果、昨年八月の輸入時の検査で危険部位の混入が見逃されたということだと思うんです。  ということであれば、ほかにもそういう見逃しがないのかということももちろん問題になるわけですし、それから、日本向けじゃないというんだけど、こういうことが繰り返されているわけで、当該施設だけの禁止じゃなくて、やっぱり全体をまず禁止すべきだと、その上できちんと調査をすべきだというふうに思います。そうでなければ日本国民の安全守れないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  74. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 先ほども私から御答弁申し上げましたけれども、私は、今回のこのような過って積載されたものが入ってきたと、こういう事例だと考えておりますけど、それにしましても、こういうようなものが、こういうことが起こったということは大変に遺憾なことだとまず考えております。  しかし、委員がおっしゃられましたように、従来、全箱調査、確認後調査をしてきたものが、昨年の六月でこれはチェックのシステムを変えまして今の仕組みに切り替えたわけでございますが、新しい今の、時間の関係ありますから新しいシステム説明は省略いたしますけれども、こういう日本国内における新しいチェックシステムの下で市場流通の前にこれが発見されたという意味で、現在の我が国が取った安全確保のためのシステムは当時想定したとおりの機能を果たしているというふうに認識をいたしておりまして、今回の事例は、現時点では日本向けの輸出ではないものを誤って積載した個別事例というふうに考えられますので、全面の輸入停止措置を講じました平成十八年一月の事案のように、システムとして米国農務省が適合しているという証明がなされたその品物の中から出てきたケースとは違っているということ、それから他の施設からは一昨年の七月の輸入手続再開以後これまで類似の問題は全く発生していないことということを踏まえますと、まずは当該施設からの輸入手続を今保留しておりますが、他の施設からの輸入牛肉については、念のために輸入時の検査段階抽出率を引き上げるというような措置を講ずることによって対応をすることが適当と考えているわけであります。  今後、これらの措置が更に必要かどうかにつきましては、米国から提出される調査結果の報告を踏まえて適切に対処していきたいと、こう考えております。
  75. 紙智子

    ○紙智子君 全く納得できないです。国民も納得できないし、安心できないと思います。やっぱり、抽出率を高めただけでは全然足りないと思いますし、前回のときもそれは成田で発見されて全面禁止にしたわけですから、やっぱり毅然とした対応を取って、米国にちゃんと対応させるべきだというふうに思います。そのことをちょっと強調して、法案の質問に入ります。  京都議定書CO2の削減の目標達成に向けた今度の法案ということでは、これは非常に重要で賛成です。以前からこの森林荒廃が問題となってきたわけですけれども、地球温暖化問題を契機として人工林の間伐、ここに更に取り組むことが必要だと思っています。  それで、間伐面積二十万ヘクタールの上乗せを目指すという、今度、ことなんですけれども、森林吸収源の対策予算は、この間、緊急の間伐対策の補正予算と合わせて対応してきたと思うんですね。今後、やっぱり本予算を増額していくということ、そういう重要性についての御認識をお聞きしたいのと、この法案に伴う新たな予算措置が十億円なんですけれども、さっき議論出ていましたように、市町村取組、ここをよく見て増額を図るべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  76. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 当初予算で所要の国費負担分が措置されるということが望ましいという基本的な考え方については私もそのように思いますけれども、予算編成の中で農林水産予算全体、更に国の予算の枠組み、こういうような中でそれが達成できない場合には補正予算をもってしてもこれを確保するという姿勢で、何としてもこの二十万ヘクタールの整備を進めなきゃいけないという意味で、その予算を確保するつもりで頑張っていきたいと思っているところでございます。  なお、この十億円との関係につきましては、これは本体、大宗は、従来の国そして都道府県を通じて森林組合、また素材生産組合がこれを受けて整備をするというのが大宗でございます。ただ、そういう中にありましても、従来から何ら国の支援がない中で市町村が小さい森林所有者の行う間伐などについて単独、独自でやってきているのがあるわけでございます。  こういうような熱心な市町村、あるいはその市町村管内にあります小さい所有者で、周りと組んでできないということで、にもかかわらず所有者が熱心に取り組むというようなものを、これも一つの新しい助成の体系の中に加えることによりまして全体の整備を進めるという意味でこの新たに市町村交付金によります市町村取組を対象としたわけでございまして、その意味で、この成果が見られるようになりましたら更にこれを拡充をしながらいきたいと思いますが、基本は、やはり国、都道府県を通じての従来の助成体系を積極的に進めていくというのが基本だと考えております。
  77. 紙智子

    ○紙智子君 IPCCの第四次評価報告書で、地球温暖化に対する森林の貢献ということで、一つは森林面積の維持増加と、そして、次に森林蓄積の維持増加ということで、ここに着目して人工林の間伐を進めるということで温暖化の緩和策というのが進める方向だと思うんですけれども、そういうふうに言いながら、一方で、天然林の伐採を全国的にも大規模に進めてきているという例があるわけです。  例えば、北海道の森林管理局で、二〇〇四年度の国有林野の事業統計で概算すると、天然林の伐採比率が八六%に上るんですね。檜山森林管理署、ここは二〇〇五年に国有林内の北限のブナ、非常に重要な、貴重なブナの天然林が残っているんですけれども、この一部、皆伐に近い伐採をやっているわけです。五〇%以上というふうに見積もられる伐採率で、ここは国土保全タイプの森林でもあるわけですね。それから、尾根筋の土砂流出防止の防備保安林、これも伐採していると。土場も計画の五倍の面積を皆伐して、作業道でいうと八メートル幅、縦横無尽に造られていたわけですね。  対象区域を大幅に逸脱した過剰の伐採という問題や林野庁の職員による違法伐採もあったということで環境保護団体から指摘されて、現地を調査して、当初、いや、伐採率一九%だから問題ないんだと言っていたわけですけれども、いや、そんなはずないということで言われて、それでいろいろ調べたら、そうじゃなくて、実際には本数も百四十一本多くて、伐採率は二九%だったわけです。訂正して追加報告書を出したという経過があるわけですよ。  こういうやっぱり林野庁姿勢を見ますと、非常に国有林、天然林を伐採することに対する認識が甘いんじゃないかと。一体この現況をどういうふうに認識しておられるのか、そして、森林吸収源対策といいながら今後もこういう天然林を伐採を続けるのかということについて、長官のちょっと認識を伺っておきたいと思います。
  78. 井出道雄

    政府参考人(井出道雄君) 国有林野事業における天然林の取扱いでございますけれども、国有林野事業につきましては、公益的機能の維持増進ということが第一義的な目標としながらも、様々な木材需要にこたえまして、林産物を持続的かつ計画的に供給しまして地域の産業の振興なり木の文化の承継などに寄与しているところでございます。  このような考え方を踏まえまして、特に自然環境の保全上重要な天然林については、原則として伐採を行わない保護林などに設定いたしまして、厳格な保全管理を行っているところでございます。  また、保護林以外の天然林につきましても、皆伐して人工林に転換する拡大造林は行わず、抜き切りによりまして、天然の力によって次の世代の樹木を発生させてその育成を図りまして天然林として維持していくことを基本としておりまして、近年、天然林の伐採量は急速に減少をいたしております。  今後とも、長期的な視点に立ちまして、天然林をあくまでも持続可能な形で利用を図りつつ、貴重な資源として適切に維持増進してまいりたいと考えております。
  79. 紙智子

    ○紙智子君 そういうことを言われるんですけれども、実際上はやっぱり山のずっと奥で作業をしているものですから目に触れないわけですよ。分からないところで、保護団体の方が調査をして初めて明らかになるというケースが多いわけです。しかも、天然記念物のクマゲラのえさの木があったり、生息が明らかな場合もちゃんと調査も行われないと。  それから、大雪山の国立公園の伐採も問題なんですけれども、これも去年十月、保護団体の調査で分かったんですけれども、実際に風倒木の処理だということで天然林を六十五ヘクタール、一万九百八十一立米消失をしているわけです。重機で斜面を削り取るような形で道を付けながら表土を削って、もう根こそぎこれを除去して搬出をしていると。  風倒木処理と言うんだけれども、六十五ヘクタール全体が本当に倒れたのかという、どうなのかと調べようと思っても、本来、事前に写真を撮っておくんだと思うんですけど、その写真撮影もしていないと。だから、本当はどうだったかということが全然分からないという中で無残に踏み荒らされているわけです。  こういうやっぱり天然林の伐採と土地の改変というのは適切だったと考えるかどうか、これについてもお願いします。
  80. 井出道雄

    政府参考人(井出道雄君) 今お話のありました大雪山の国立公園内の国有林ですが、平成十六年九月の台風十八号に伴う強風によりまして、約四十ヘクタールにわたってほぼ全面的に幹折れ、根返り等の被害が発生いたしました。これらの風倒被害箇所におきましては、放置しておきますと、病虫害の発生によりまして周辺森林への影響が懸念される、あるいは水源涵養とか良好な景観の形成といった公益的機能の低下が懸念されることから、被害跡地の森林の再生を目的としまして、被害木の伐倒、搬出後、前生樹と同様のトドマツの植栽等を行ったところでございます。  これらの処理に当たりましては、植栽する樹種あるいは風倒被害も考慮した植え方につきまして、専門家の助言も得ながら適切に実施してきたところでございまして、今後とも、森林機能の早期回復や良好な景観の回復に努めていきたいと考えております。
  81. 紙智子

    ○紙智子君 風倒木処理と言うんですけど、やっぱり納得していないですよね。  それで、やっぱりいろいろ手続上問題ない、やっているやっているという話なんですけれども、実際には全部が倒れていたわけじゃないんじゃないかと。やっぱり健全な木もあったのに倒木処理を隠れみのにして根こそぎ切って、そして売上げを上げてというか利益を得るためにやったんじゃないかというふうに、そういう批判の声も上がっているわけです。  こういう指摘について……
  82. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 時間が来ております。
  83. 紙智子

    ○紙智子君 やっぱり真摯に受け止める必要があると思いますし、天然林の伐採量というのは長いスパンでは減っているわけですけれども、実態としては、まだまだお金になるということで伐り過ぎの面もあるんですね。  だから、やっぱりもっとそこのところは大切に慎重に縮小していく必要があると思いますし、ちょっと最後に大臣、一言だけお聞きしておきたいんですけれども、やっぱり公告縦覧で説明しているからいいんだということではなしに、本当に十分説明もし、そして貴重なブナ林とか天然林は極力保全すべきではないかというふうに思うんですけど、これについて一言だけ。
  84. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 先ほど林野庁長官方針説明しておりますが、この国有林につきましては、あくまでも長期的視点に立ちまして、天然林を持続可能な形で利用を図りながら貴重な資源として適切に維持増進をしていくということが大切だと、こう思っておりまして、そのような趣旨を国有林の担当者に対してもしっかりと徹底を図っていきたいと、こう思っております。
  85. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時八分散会