運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2008-06-05 第169回国会 参議院 内閣委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年六月五日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  六月三日     辞任         補欠選任         神本美恵子君     鈴木  寛君      武内 則男君     相原久美子君      藤本 祐司君     石井  一君      鈴木 政二君     林  芳正君  六月四日     辞任         補欠選任         相原久美子君     徳永 久志君      鈴木  寛君     神本美恵子君      林  芳正君     鈴木 政二君  六月五日     辞任         補欠選任         簗瀬  進君     池口 修次君      鈴木 政二君     中山 恭子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岡田  広君     理 事                 芝  博一君                 松井 孝治君                 有村 治子君                 松村 龍二君     委 員                 池口 修次君                 石井  一君                 神本美恵子君                 工藤堅太郎君                 自見庄三郎君                 島田智哉子君                 徳永 久志君                 簗瀬  進君                 柳澤 光美君                 岩城 光英君                北川イッセイ君                 鴻池 祥肇君                 中川 義雄君                 中山 恭子君                 山下 栄一君    委員以外の議員        議員       山下 芳生君        議員       又市 征治君    衆議院議員        修正案提出者   宮澤 洋一君        修正案提出者   村田 吉隆君        修正案提出者   佐々木隆博君        修正案提出者   馬淵 澄夫君        修正案提出者   松本 剛明君        修正案提出者   上田  勇君    国務大臣        国務大臣        (内閣官房長官) 町村 信孝君        国務大臣     渡辺 喜美君    副大臣        内閣府副大臣   山本 明彦君    大臣政務官        内閣大臣政務        官       戸井田とおる君    政府特別補佐人        人事院総裁    谷  公士君        内閣法制局長官  宮崎 礼壹君    事務局側        常任委員会専門        員        小林 秀行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官        兼行政改革推進        本部事務局次長  株丹 達也君        人事院事務総局        人材局長     尾西 雅博君        内閣大臣官房        官民人材交流セ        ンター及び再就        職等監視委員会        準備室長     小林 廣之君    参考人        政策研究大学院        大学教授     飯尾  潤君        社団法人経済同        友会代表幹事        フューチャーア        ーキテクト株式        会社代表取締役        会長CEO    金丸 恭文君        聖学院大学大学        院政治政策学研        究科教授     増島 俊之君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国家公務員制度改革基本法案内閣提出、衆議  院送付) ○政府参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 岡田広

    委員長岡田広君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る三日、武内則男君及び藤本祐司君が委員辞任され、その補欠として相原久美子さん及び石井一君が選任されました。  また、昨四日、相原久美子さんが委員辞任され、その補欠として徳永久志君が選任されました。     ─────────────
  3. 岡田広

    委員長岡田広君) 国家公務員制度改革基本法案を議題とし、参考人方々から御意見を伺います。  本日は、政策研究大学院大学教授飯尾潤君、社団法人経済同友会代表幹事フューチャーアーキテクト株式会社代表取締役会長CEO金丸恭文君及び聖学院大学大学院政治政策学研究科教授増島俊之君に参考人として御出席をいただいております。  この際、参考人方々に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。  参考人方々から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、今後の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。  それでは、議事の進め方について申し上げます。  まず、飯尾参考人金丸参考人増島参考人順序でお一人二十分以内で御意見をお述べいただき、その後、各委員質疑にお答えいただきたいと存じます。  御発言いただく際は、その都度委員長の指名を受けてからお願いいたします。  また、各委員質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、飯尾参考人からお願いいたします。飯尾参考人
  4. 飯尾潤

    参考人飯尾潤君) 御紹介いただきました飯尾でございます。  政策研究大学院大学政治学を研究しておりますので、その観点から、統治機構全般にわたる観点から今回の法案について意見を述べさせていただきたいと思います。  初めに、承知しておりますところでは、この法案国家公務員制度改革基本法案政府提出法案でございますけれども衆議院与野党数多くの政党賛成をもって本院に送られたと承知しております。私の考え方では、このような公務員制度のような基本的な法律については与野党のできるだけ広い合意があることは望ましいと思っておりまして、今回の運び方は大変喜ばしいことだというふうに考えております。  ただ、公務員制度は非常に幅の広い問題でございまして、私どもから少し拝見いたしまして法案ではまだ網羅していない問題もあるような気がいたします。あるいは、今後、制度を具体的に設計する際に、この法案をどのような精神で考えていくべきかということはまだまだ議論される必要があるように感じておりますので、その点について申し述べさせていただきたいと存じます。  まず第一点でございますけれども公務員制度改革というのは非常に幅の広いものだというのはもう御案内のとおりでございますけれども、重要なことは、法律条文を変えただけではなかなか実態は変わらないのではないかということを危惧するという点でございます。  例えば、今回の法案では能力主義ということが強調されていると承知しておりますけれども、あるいはキャリア制度ということが批判されているということを受けての改革であるというふうに承知しておりますが、現行国家公務員法制内ではそれなりに能力主義も掲げており、あるいはキャリア制度ということは全く現行法制度にはないわけでございます。法制度にはないにもかかわらず現実はそのようになっているということでございますので、今回も法制度は変わったけれども現実実態は変わらないということでは良くないわけでございまして、その点については一段の工夫が要るのではないかというふうに考えております。  その点では、しばしば法案はこの条文をどうしようという議論に終始することも多いわけでございますけれども、やはりこの法案精神について、ここにおられる国会議員皆様方、あるいは対象となる公務員皆さん、あるいは国民各層共通了解をつくる必要があるんではないかというふうに考えております。そういう点では、当事者間の合意といいますか、今後は制度を運用する公務員皆さんにこれはどういう制度なんだということを周知徹底する必要があるのではないかというふうに考えます。  しばしばよく見られるところは、条文はこうなっているけど、このように解釈すれば従来のままでも大丈夫だとか、そういうふうな行動が見られますので、そうならないように十分な工夫が必要なのではないかというふうに考えております。その点では、今後も、実はこの法案が成立した後も様々な改革は続くわけでありますけれども公務員制度いかなるものであるべきか、あるいは公務員はどのような働き方をすべきかということについて国会議員皆様方議論が続けられるということが必要ではないかと思います。  その際に、これまで報道等で承知しているところでは、どちらかといえば公務員制度については霞が関の幹部公務員についての議論中心であったと思いますが、公務員というのは非常に多様でございまして、現場で様々な仕事をしている人たちもいます。そういう人たちに対してどのような働き方をしてもらうのかということも十分な議論をしていただきたいと思うわけであります。  その点で、しばしば、これは必ずしも国会における審議がそうであるというふうに認識しているわけではありませんが、報道機関等報道によりますと、改革をめぐって駆け引きが行われて綱引きになっている、押したり引いたりだということでありますが、この法案が成立した暁には、そういうことではなくて、総合的にどういう働き方をするのかという具体的なイメージをつくっていくような努力が必要ではないかということが大前提としてまず申し上げたい点でございます。  それを前提にいたしまして、第二の点でございますけれども、この法案非常に重要であるというふうに私は思っておりますのは、これまでの国家公務員法制その他では、政治家の方、国会議員あるいは大臣を始めとする政治家の方と一般公務員との関係について必ずしも十分な目配りがない側面があったのではないか。ところが、今回の法案ではそういう点について新たな視点を導入しているところが大きいというふうに考えます。  例えば、内閣一元管理ということがしばしば言われておりますし、今回の法案一つの、内閣人事局の設置などは目玉の一つであろうというふうに考えております。ただ、これはどういうことであろうかと考えますと、これまでの法律では大臣任命権者として任命している、ですから政治家が任命するんだということ、それを内閣に移すんだということでは実は恐らくないということであります。これまでの法律では大臣は任命するということになっておったけれども分担管理という中で各省庁官僚皆さんがそれぞれ原案をお作りになって、そのまま承認されることが大多数であった。これ自体、それぞれお互いの職務を知る者が推薦し合うということはそんな悪いことではありませんが、余りに行き過ぎて、どうも主導性がなくなっているのではないか、その中で内閣ばらばらになっているのではないかという批判にこたえてこのような法案を作られたというふうに承知しております。  しかしながら、内閣管理をしたといっても、内閣総理大臣官房長官リーダーシップを振るわれるわけですけれども、それを補佐する職員、これは内閣人事局に所属するんだと思いますけれども、そういう職員がいかなる人であるべきかというのは非常に難しい問題であります。これは単に忠誠度の高い人を集めてくればすぐにできるというわけではなくて、長期的に制度が安定的に運営されるためには、やはり長年にわたってどのような人を登用していくのかということを与野党を通じて合意をつくっていかないといけない、そういう問題であります。そういう点については、与野党を通じてそのイメージを共有して、きちんと、例えば政権が交代しても内閣が交代しても一定の方針でこれを運用していくという、そういうことが是非とも必要であります。  そういう観点からしますと、実は今回のこのような改革の非常に重要なポイントは、政治家皆さん公務員世界との関係を少し変えようという、そういうことになっていたのではないかというふうに思います。どちらかというと、日本公務員は非常に、諸外国に比しても、例えば政治家の間の根回し等についても非常に積極的であるということが知られておりまして、ただ、それがやや行き過ぎているのではないか、もう少し政治リーダーシップを確立すべきだという改革だと理解しておりますが、そうしますと、今回の法案にありますように、公務員世界について改革をするというだけではなくて、やはり、大変恐縮ではございますけれども政治家皆さんの物の決め方についても改革しないとこれはセットになっていかないということになっているのではないか。これまでどちらかというとやはり官僚皆さんが丁寧に根回しされることを前提政治家の方は行動されていたけれども、これからはそうではないということであります。  例えば、これは衆議院修正されたポイント一つでありますけれども、政官の接触管理ということもございます。実は、そういう点から考えますと、日本官僚皆さんが非常に議員の方と接触が多いというのは私ども政治学者としてほかの国と比べてもよく知っていることでありまして、どうもちょっとこれは行き過ぎているんではないかという感覚を持っておりましたので、接触一定制限を付けるということは私も賛成でございます。しかしながら、政府提出法案にあるように一律に禁止してしまって大丈夫かということについては危惧の念を持っておりましたので、その点では修正案において、記録にとどめて、接触についての一定制限を設けるとされたのは非常に妥当だろうと思います。  しかしながら、この修正趣旨が、接触は実はいいんだ、記録さえすればどんな接触しても大丈夫だというふうに解釈されるのはよろしくないんだろうというふうに考えておりまして、これに併せて、余り根回しの必要がなく政治家皆さんが自律的に意思決定ができるようになれば官僚皆さん余り接触しなくても大丈夫だということになるということが必要でありまして、そうなれば更に次の接触禁止の方に進んでいくということもあり得るんだろうというふうに思いまして、この現在出ております法案解釈についてそういうことを考えたいと思います。  そういう点から考えますと、これまでややもすれば、与野党の間、あるいは与党の中、あるいは野党の中であっても、何かあるとすぐに公務員の方に説明を求められる、そして公務員の方の説明を通じて合意をつくられるという慣行があったというふうに承知しておりますけれども、これからはやや、政府与党との調整を始めとして政治家皆様が自ら調整をしていく、あるいは政党内部についても自ら議論をして意思統一を図られるということの重要性が非常に高まっているんではないかというふうに考えるわけであります。  そういう点から考えますと、この接触の問題は実は二つの異なった側面があるというふうに考えます。  これちょっと順序が逆になって恐縮ですけど、目的の点から考えますと、一つは、接触制限といいますか接触について監視をすることの目的一つは、大臣公務員を監督するという側面であります。つまり、大臣公務員を監督するというのは、大臣意思にかかわらず、しばしば議論をされますように各省庁官僚が違う根回し政治家の間にするというのはよろしくないことだということでありますが、逆にそういう点は、これは公務員政治的決定に関与するのは好ましくない、政治的中立であるべき職員がそういうことをするのは好ましくないという趣旨だと思いますが、そういう点から考えると、相手方の政治家行政に不透明な介入をするということがやはり具合が悪いということとセットであろうというふうにも考えますので、その点についての理解も必要だろうということで、官僚側だけではなくて政治家の側の態度も問われているということを申し上げるわけであります。  そういう点から考えますと、実はこの裏側になっている問題は、国家公務員政治的中立をどのように考えるのかということでございます。政策立案関係しますと、大臣の下に、大臣政党政治家であることがほとんどでありますし、内閣政党内閣制でありますから、議院内閣制の下では政党内閣制となりますので、一定方向性が出ているのは明確であり、企画に関与する職員というのは政治的に中立だといっても、それは限度があるのは明確であります。  しかしながら、じゃ、官僚の方がほかの独自の政治的な意思を持ってよいかというとそうではないということになってくると、その仕分の問題を考えていくということになってくると、官僚皆さん政治的中立であって、そして技術的、専門的な見地においては政党からの意見であっても自らの意見をきちんと述べるというふうな意味での政治的中立保障の措置も、またこれと、接触禁止とともにセットとしてならなければいけないのではないか。従来、法律では抽象的にそのようなことが述べられておりますけど、どのように具体化するかというのは今後の課題だろうというふうに考えているわけであります。  次の論点に移りますが、次の論点は、実は第三の論点は、それをもう少し具体化したときにどういうふうになるだろうかということでございます。  これまで、どちらかというと官僚皆様が、あるいは公務員方々政治家皆様に対していろいろな不当な影響力を行使しているんではないかという議論が多かったかと思います。じゃ、逆に言うと、そのような影響力を行使しなくなったら公務員皆さんはどんな仕事をするのかという具体的なイメージをこれからつくっていかないといけないんではないか。つまり、政治家の方と公務員の方との仕分、先ほど少し申しましたが、そういうことを考えていくということになってきます。  そういうことになってきますと、やはり今回の法律前提としておりますのは、これまで日本行政は、どちらかというと行政が自律的に、例えば省庁間調整官僚の方が中心公務員の方が中心になって調整するというのがごく普通、それがまとまってから政治家の方は物を決められるということが普通であったというふうに思いますが、そういうことも内閣レベル政治家レベル省庁間調整も積極的にやっていかないといけないんではないかというふうに考えるわけであります。  あるいは、そういう点から考えますと、大臣役割が増大しますし、あるいはそれを補佐する、政治家側で補佐する副大臣政務官役割の向上というのが是非とも必要でありまして、ややもすればこれまで、もちろん御努力はしておられるわけですが、副大臣政務官仕事はやや儀礼的なものになる傾向があったんではないかというふうに危惧をしておりますので、その点の充実ということを具体的な場面で考えていく必要があるというふうに考えます。  あるいは、その点から考えますと、これも申し上げにくいことですけれども国会対応についても何らかの合理化が必要な場面に来ているんではないだろうかというふうに考えまして、やはり政治家責任を取って行うべきことと、公務員の方が準備をするということの仕分、やはり政治家の方は、大臣はやはり政治家としての責任答弁どもされるし、そういうことでもある。あるいは、しかし調査その他で必要な資料は役所の側で準備されるというのも当然でありますけれども、それもアドホックではなくて、例えば公文書管理法その他の整備も進められていると聞きますけれども、あるいは情報公開制度その他を使って、やはり必要な情報がいつでも準備されるという、そういう行政機構体制づくりも必要ではないかというふうに考えます。  そういうふうに考えますと、先ほど少しお話をしかけましたけれども大臣の下で企画業務に携わる職員と、それから専ら政策の執行、運用に携わる職員ではやややはり対応に差があってしかるべきではなかろうかというふうに考えまして、現在のところは公務員として一くくりになっておりますけれども、その点についてのやはり考え方が必要で、大臣や副大臣を専ら補佐するようなそういう役割のものと、あるいは公正中立行政事務を執行するという役割については、行政組織の面でも何らかの手当てが必要なんではないかというふうに考えるわけであります。  それがより深刻だというふうに私が考えますのは、今回の法案の中に外部からの登用を容易にするような、そういう発想もございます。しばしば議論されますように、政治的任用日本には少ないということは私も賛成でございまして、外部から政治家政治的意思を共にする方を登用されるというのは非常に重要なことだというふうに考えておりますけれども、そういう職員一般職員との関係はどういうものであるかということについても議論が深められる必要があるだろうというふうに考えているわけでございます。  その次の論点に参りますけれども、そういうふうに考えますと、実はこの法案の最も重要なポイントは、やはり公務員身分保障能力主義その他の関係をどのように考えるのかということではないかというふうに考えます。そう考えますと、実はこの法案を拝見いたしますと、幹部職あるいは管理職という言葉において、やはり一定職員についてはこれまでとは違った形の処遇をしないといけないという考え方になっているだろうと思います。  時間もありませんので簡単に申し上げますと、やはり新しい幹部職というのは、これまでの御議論ども記録を拝見いたしますと、幅を持たせて身分保障しよう、つまり、例えば事務次官であるとか局長であるとかいうことになると、いったん任命されるともう全く降格はないというのではなくて、ある幅の中で処遇されるんだという議論がされていると思いますけれども、そういう点から考えると、やはり昇任であるとか降任であるとかいうものの解釈をどのようにするのか。  現行法制でいうと、給与法格付というもので非常に細かな格付がなされておりますけれども、そのようなことがよろしいのかというと、やはりそうではないのではないかと考えます。そういう点でいうと、やはり身分保障というのは幅のある身分保障であって、その中で上下のポストに任ぜられるという制度を積極的に設計する必要があり、その点では、やはりこれまで国家公務員法制の中では公務員格付余りなく、給与法に頼っているという現状を変えていくという必要があるんではないかと思います。  これは、これまでの法案審議を拝見いたしますと幹部職については随分そういう議論がされているように思いますけれども、やはり課長職その他を対象とすると認識しております管理職についてもやはりそういうふうな理解をする必要があるんではないだろうか。あるいは、キャリア制度の見直しということを考えると、管理職になるときに再選抜制度があって、その上での身分保障だというふうな制度設計も今後必要であろう。  あるいは、そういうふうに能力主義人事を行っていくということになりますと、人事評価機能を強めなければいけないということで、意識的に育成しなければいけない。やはり日本民間企業と比べても、日本の官庁は、そういう人事評価機能についてはやや手間を省いて、それでも大丈夫な人事制度を持っていたと認識しておりますので、意識的に育成する。あるいは、それに対して能力主義人事を行えば不満も出てくる、こうなってくると公平機能が出てくる。あるいは、政治家が判断するとなると政治的中立を侵すということも出てきますので、政治的中立を守るための組織的な手配、現状でいくと人事院がそれに当たる役割でございますが、これまでそういう機能については余り議論をされていないように思いますので、これからは積極的にそういう機能についても配慮すべきだろうというふうに思います。  それから、最後、五点目でございますが、今回の法案では必ずしも明確でないところがあるというふうにも認識しておりますけれども、いわゆる退職管理の問題については今後議論を深められて、法的な措置をとられるべきであろうと思われます。  報道等でも、あるいは国民各層でも大変関心の高い問題でありますので、これは政党によって様々な立場の違いがあるということも私は承知しておりますけれども、それはやはりどちらかの議論の決着の付け方が必要であろうと考えます。早急に与野党合意をつくるのか、あるいはそうでなければ、有権者に総選挙においてどのような方針で臨むかということを選択してもらう。どちらかを選ぶということについて、早急に方針の整理が必要だろうと考えます。  そういう点から考えますと、やはりこの退職管理の問題は現状で動いている問題、天下り等、言われるような問題もありますけれども、それを全体としてシステムとして移行させるためにはやはり総合的な制度設計が必要で、いかなる方策を取るにつけても、やはり公務員の生涯的な身分保障ということとセットで何らかの議論がなされるべきだというふうに考えております。  時間でございますので、以上、最初の意見の表明を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  5. 岡田広

    委員長岡田広君) ありがとうございました。  次に、金丸参考人にお願いいたします。金丸参考人
  6. 金丸恭文

    参考人金丸恭文君) フューチャーアーキテクトの金丸でございます。  お手元に今日の私の意見説明させていただくのにレジュメを用意させていただきました。またあわせて、今日の説明の中に登場いたします、私が経済同友会の中で行政改革委員長を務めまして昨年の四月にまとめた提言書を御参考のため配付させていただいておりますので、後ほどまたゆっくり御覧いただければと存じます。  最初に私の紹介でございますけれども、私は、会計専門のサービス提供会社、その後転職をいたしまして、ハイテク企業のベンチャーに勤めました。十六ビットパソコンの設計、開発のチームを自ら率いまして、その後は、そういう先端技術を是非経営の現場に生かしていただきたいということで、徐々に、いわゆる上流工程と言われる経営コンサルタント的な要素も併せて事業に組み入れた形で、一九八九年、ちょうどベルリンの壁が崩壊をする映像が一九八九年十一月に流れておりましたけれども、そのときに会社を、私ともう一人の技術者一人加えまして、二人で会社を起こしました。主に経営戦略をデジタルネットワーク化をする、あるいは経営戦略とIT戦略を一体化をするという事業を展開しておりまして、九九年に店頭公開をし、二〇〇二年に東証一部に上場し、現在に至っております。  二〇〇四年より経済同友会代表幹事を拝命いたしまして、最近では外交・安全保障委員会、そして行政改革委員会委員長を担当いたしました。本年度は政治委員会委員長を担当しておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。  公務員制度改革とのかかわり合いは、今申し上げました同友会におきまして行政改革委員会委員長として提言をまとめたことと、そして昨年は、官民人材交流センター制度設計に関する懇談会の委員として報告書の取りまとめに参画しておりました。そういう経緯があって今日お呼びいただいたんではないかというふうに理解をしております。  今日のレジュメに沿いまして、この後説明をさせていただきます。同友会の提言につきましては、今お手元にある資料で配付しているわけでございますが、何分時間がありませんのでポイント説明を、私が自分で外部のコンサルタントとして、いわゆる企業の経営戦略をIT化をするという、仕組み化をするということをお手伝いをしてまいったこれまでの外部コンサルタントとしての経験と、及び、ゼロベースで二人から、現在はまだ小さいのでございますが千二百名ぐらいの会社に育て上げるために、これまで私自身も組織の運用の在り方について自分も悩んで、いろんな試行錯誤で制度を変えてきたり、失敗をしたり成功をしたりしてきたこともございますので、そういう中からの実務経験を踏まえた上で御説明をさせていただきたいと思います。  私は八九年に会社をつくったわけでございますが、その後、御存じのとおり経済はバブル崩壊をして、グラフにするとどんどん下がっていくという中、会社を経営をしてまいりました。ちょうどその九〇年代に、これは世界中の経営者が同じような思いでいろんな議論をしたわけでございますが、それは、経営戦略の真髄は何かということでございました。いろんな議論をした結果、結局のところ行き着いたことは、これは陳腐化しないキーワードと言われておりますけれども、これは生物学的には当たり前の、時代の変化に対応することでございました。  今申し上げたことに加えて、一九八九年というこのころにつきまして、実はもう少し違う視点で新たな息吹が生まれてまいっておりました。それは、技術革新でございます。大きなコンピューターでしか処理ができなくて、大きいコンピューターから情報を取り出して、それこそ縦でしか仕事ができないような仕組みを支援するような技術の制約があったところから、安価でコンパクトなコンピューターをつなぎ合わせて仕事ができるという技術革新が、ちょうどころ合いよくといいますか、このころに大きくマーケットに登場したわけでございます。一九八〇年代は、パソコンで一台で同時に複数の処理ができない技術制約でございました。九〇年代に入って、例えばネットワークで通信をしながらプリントアウトをするとかということが、いわゆる安価な標準なソフトウエアを手にすればそういうことが可能になったのもちょうどこのころでございます。  ですから、そういう意味では、この技術革新とそれから世界の経済状況の激変に対応するために民間の方ではいろんな改革を行ってきたわけですけれども日本の国の改革というのはそういう意味では取り残されているんではないかということが私たちの問題意識でございました。そういう意味では新しい時代に対応した新しい中央政府が必要ではないか。そして、新しい政府というのはどういうイメージかというと、分断されているのではなくて、連携をし、連動して、今まで以上に質の高い戦略と実行が求められる。新しい政府には今まで以上に改革の志と能力を有した有能な人材を官民問わず結集させるべきではないかということが私たちの問題意識でございました。  しかるに、その中央政府の再設計を行う際にやはり設計思想が必要でございますので、これも議論の末、お手元の資料にございますとおり、七点挙げました。  一番目でございますが、まずは戦略性。これは、政策立案能力を高めることを通じまして、日本オリジナルな絶対価値と諸外国と比較をした相対価値の向上、これを共に戦略性を高めて実行するということでございます。  二番目は先見性。これは、長期ビジョンを踏まえ、現在価値より優先するのは未来価値であるということでございます。  三番目、全体最適性。これは、多分いろんな議論が分かれるところになりますが、バランスを取らなきゃいけないわけでございますが、戦略的に統合しなきゃいけないものと戦略的に分散しなければいけないことを正しく分けるということでございます。しかも、これは国益に直結しなきゃいけないことでございます。  四番目、これは、九五年ぐらいにインターネットという技術が世界的にどんどん活用の時代に入ってから大きく変わりつつあることでございますが、時間軸というのがより付加価値が高まったわけでございます。リアルタイムで情報交換をこれほど安価にできるというのは今までコンピューター業界は提供できなかったわけでございますが、インターネットの出現によってリアルタイムの交換ができましたので、俊敏性という時間軸が付加価値に大きく加わったわけでございます。  五番目は、これは、国民から見て共感を覚えるような説明であるとか共感を覚えるような開示というものが必要でございます。本誌には、これと併せて競争と思いやりの両立を図るということを書いてございます。  六番目、サイクル性。これは、スパイラルにPDCAサイクルを確立をし、年々いろんなことが向上していくということでございます。  七番目、バランス性。必ず、今や企業経営におきましては、内部監査、外部監査、さらに内部統制ということを要求されておりますので、中央政府におかれましても、チェック・アンド・バランス、いわゆる内部監査と外部監査、継続的に健全性を担保する仕組みというのが新しい中央政府には盛り込まれなければならないのではないかということを思想と掲げました。  次は、まとめ上げた提言のポイントでございます。一番から九番までございます。  重要な国家戦略を企画立案する機能は総理直轄組織とする。執行組織と戦略組織の役割分担でございます。これは添付の資料の中に図式がございますので、御覧いただければと思います。二番目、幹部職員の一括採用。三番目、局長級以上の政治任用。四番目、内閣への出向者の増強。五番目、省庁間の人事交流の強化。六番目、民間人活用、官民交流の促進。七番目、労働基本権を付与し、身分保障の撤廃。八番目、早期勧奨退職の廃止と役職定年制導入、いわゆるあっせんによる天下りの禁止と再就職の管理監督組織の内閣への設置。九番目、職務・職責主義とマニフェストに基づく政策達成の評価、処遇。こういうようなポイントを掲げたわけでございます。  次に、今回の法案に関しましての評価でございますが、今申し上げました同友会提言の主要内容はほぼ盛り込まれておりまして、そういう意味では私自身も高く評価をしております。是非、今国会で成立をしていただきまして、大いに先に、早く正しく進んでいただきたいと思う次第でございます。  次でございますが、これは先ほど飯尾先生も述べておられましたけれども法案成立プロセスに対する評価でございます。これは、日本社会全体でこの評価はきっちりとしなければならないんじゃないかというように私自身は思っております。いわゆる自民、公明、民主の三党での協議がまさしく与野党の枠を超えた政治主導であったことというのは、これは私自身も初めて拝見をさせていただきましたし、感動もいたしました。また、修正内容につきましても、政府原案をできる限り明確になさろうとされていることが読み取れましたし、それから結果、いわゆる人事権等のことにつきましても、私自身は進化したのではないかということで、これも併せて評価をしております。  今後の重要課題と要望でございますが、これは皆さんがおっしゃっていることでございますが、これは改革の終わりではなく、あくまでも始まりでございますので、今後が更に重要でございます。  重要なポイントは幾つかございますが、一つは、基本理念がまず、これから時間軸の中で損なわれないことでございます。また、今回、大きく人事権と言われる権限が移転をするわけですけれども、権限の移転には初期エネルギーが多く掛かるわけでございます。改革が成功するかしないかはこの初期に懸かってございまして、内閣人事局とかいろんな組織体が今計画されているわけですけれども、こういう組織を支援する、私は、初期段階におきましては特に特別体制が必要ではないかというふうに考えております。その後、これは初期段階ではそれほど必要でないかもしれませんが、というのは前に進まなきゃいけませんので、権限の移転に成功した暁には、これは多くのこれまでの企業がそうであったように、人事局、人事の権限を集中させるということは、それはある意味では肥大化あるいは別の権力化をする可能性がありますので、いずれ権力の行使につきましてはそのチェックが必要になるというふうに思っております。  二番目でございますが、国家公務員制度改革推進本部事務局という、この設立のお話がございました。このチームこそ政治主導かつ最適チーム編成へ是非コミットメントをしていただきたい。改革推進の志があり、能力を兼ね備えた人材を政府内外から是非公募をしていただきたい。また、若い方々は、上長に遠慮なく私は手を挙げていただきたいというふうに思うわけでございます。また、上長は手を挙げさせやすい環境を是非つくっていただきたいと思います。  次でございますが、これは当たり前のことだと言われるかも分かりませんが、あくまでも国家戦略の責任者は総理であるべきだというふうに考えてございます。内閣官房というのは非常に国民から分かりにくい名称でございますので私どもは国家戦略本部というふうに名称を付けさせていただきましたが、国家戦略本部長はあくまでも総理でございます。  次に、その総理を支える国家戦略スタッフは、ここはオールジャパンチームを形成していただきたい。これはサッカーと同じで、これはもう勝たなきゃいけないわけですから、勝つためには質と量併せて必要だと。今、特に量的な人数のことが先行するんですけれども、勝つためにどんな機能を統合すればいいかということの御議論をしていただいて、それが実行できるには何人必要かというのは、これは国民から見ましても投資をしてもリターンがあり得るということであります。また、これは時間軸が必要ですが、プールも含めた代替チームというようなものは、これは日本社会全体の理解とかも含めて必要なことではないかというふうに思います。  権限と責任の明確化。これは、いずれいろんな議論が詳細化なされていくわけですけれども、今のところ、拝見しておりますと、だれにどんな権限があるのかという議論が先行なさっておられて、権限というのは一方で責任とワンペアでございまして、これは責任はだれにあるかという方の議論をしていかれた方が私どもとしては分かりやすいんではないかと思っております。  それから、次でございますが、今後も、制度といいますか組織改革というのは、都度、今後は、お隣の中国等の熾烈な競争を考えますと、冒頭申し上げました、変化に対応させるためにはタイムリーに組織も変えていかなきゃいけませんので、これ変えるのに物すごいエネルギーを使っていったら、これ他国から見たら、これはもう最も、何というんでしょうか、都合のいいところに我々はいるわけでございまして、今後は是非、組織改編に要する手続等の簡素化等がなされればというふうに思う次第でございます。  最後になりますが、公務員制度改革の次は政治改革というふうに言わせていただきます。  今回のこの改革法案に基づきまして、いわゆる志のある公務員方々にとって国益追求のための職務が遂行しやすくなり、今度はそういう日の丸官僚方々政治家方々政治主導と称して有効に活用できる環境が今までよりは前進をするわけでございます。国家公務員皆様に省益、局益より国益を求められた政治家皆様も、是非今後は日の丸官僚に対しては、日の丸議員がたくさん輩出されるような環境づくり、あるいは何か仕組みづくりを是非ともまた今回なされました超党派による政治主導におきまして是非実現していただきたいということを最後にお願い申し上げて、私の意見を終了させていただきます。  どうも御静聴ありがとうございました。
  7. 岡田広

    委員長岡田広君) ありがとうございました。  次に、増島参考人にお願いいたします。増島参考人
  8. 増島俊之

    参考人増島俊之君) 御紹介にあずかりました増島でございます。  私は、現総務省の前身であります総務庁、更にその前身の行政管理庁というところで長く行政改革の実務家として働いておりました。その後、大学で研究者として行政改革、歩みをたどってまいりました。  ちょうど今から五十年近くも前になるわけですけれども、第一次臨時行政調査会というのがございまして、佐藤喜一郎という方が会長でありましたけれども、十六項目にわたります包括的な行政改革の提言をいたしました。その後の約半世紀の行政改革の歩み、それはしばしば挫折の歴史の批判もありましたけれども、しかし、総定員法の制定、そして定員削減計画の非常に永続的なそういう実施、国鉄、電電の民営化、あるいは透明性を飛躍的に拡大するための行政手続法とか情報公開法の制定、それから繰り返し今着実に進んでおります地方分権の推進、それから内閣機能の強化、中央省庁の半減、郵政民営化など多方面にわたりまして大きな前進を遂げているというふうに考えております。  国民はひたすらその前進を求めますので、常に厳しい批判をいたします。そのような批判はより深い改革のために常に大切なことであると考えますけれども、様々な改革に従事してこられた数多くの関係者の方々努力にも敬意を表したいと思います。なぜならば、新しい改革といいますのは、これまでの改革の基盤の上に積み重ねられていくものであります。国家公務員制度改革もその延長上に存在していると理解しております。  行政改革対象領域に着目して分類しますと、規制緩和を中心とする官民関係、地方分権に代表されます国、地方関係改革、さらに政官関係改革があります。橋本内閣が提案して二十一世紀初頭に実現しました内閣機能の強化及び中央省庁半減等の改革は、政官関係改革としての色彩を強く持っていたと考えております。今回の国家公務員制度改革もその一つであります。同時に、天下り問題を含む公務員制度改革はこれまでの諸領域の改革と密接に結び付いていると考えております。  政官関係という観点からとらえますと、一九九三年の連立政権の誕生は非常に画期的であったと思います。たまたま私はそのときの総務庁の総務事務次官をしておりましたけれども、その大きな影響力というものに非常に強い印象を持った覚えがあります。連立政権の誕生及びその後の連立政権の歴代内閣、連立政権の運営、さらに内閣機能の強化、中央省庁の半減等の改革は、それまでの政官関係というものを一変させたと考えております。ですから、今回の改革の意図は官僚主導の打破というよりも、政治主導のより確実な実施という方が事柄の本質を表しているのではないかと考えます。  官僚改革に当たって、今回の法案の冒頭に、国民の奉仕者である国家公務員について、一人一人の職員が、その能力を高めつつ、国民の立場に立ち、責任を自覚し、誇りを持って職務を遂行するということを確実なものとすることをねらいとしているということに注目しております。官僚制のゆがみが生じないようにするためには、行政組織がゆがんだ人間を作り出すようなことではなくて、いかに健全な人間を認めるような組織とすることができるかという視点が必要であります。  私は、日本官僚組織は優れた特質を持っていると考えております。同時に、健全な組織となることを妨げている、そういうものもあると思います。このようなゆがみをなくすための対策として、今回の法案によりまして、各省におけるいわゆるキャリア公務員についての身分制的な特権官僚人事の運用の改革、優れた人材を確保するための試験や登用に関する工夫、各省人事に関して政府全体の観点からの内閣人事局による積極的な関与などが定められており、高く評価したいと思います。  これらの改革は適切な実施によりいろいろな成果を上げ得ると考えておりますが、今回の法案が国民の行政官に対する不信感をもたらしている象徴的な天下り問題に対する対策としてどのような方策を提供しているのかということは、よく吟味をしなければならないのではないかと考えます。その点に関連して私見を述べさせていただきたいと思います。  私は、十年前、一九九八年三月二十五日でございますけれども衆議院決算行政監視委員会の天下り問題等集中審議の際に参考人として公述の機会を与えられましたが、その際に、対策として、一つは役所の人事当局は一切退職あっせんをしない、二番目は定年を六十五歳とする、そして三番目はもっと機能的な組織観を徹底するという三点を申し上げました。その当時は私の友人などには実現不可能なことを言うというようなことも言われましたけれども、十年を経た現在、さきの国家公務員法改正によって、すなわち役所の人事当局は一切退職あっせんをしないということが定められ、今回の法案によって定年六十五歳とするその方向が明確に定められたということを大変評価しております。  この三番目につきまして、もっと機能的な組織観ということでございますけれども法案の第五条において、幹部職員、管理職員の範囲内において、その昇任、降任、昇給、降給を適切に行うことができるように弾力的な措置を講ずるようにするという注目すべき規定が入っております。  今回の法案の成立後の今後の公務員制度の運用というものを考えますと、役所で働く行政官は基本的に六十五歳まで働くようになるというふうに考えます。もちろん民間で働くような方もたくさんおられると思いますけれども、全体的なイメージ、すなわち、この法案が成立しまして、そして経過的な期間も経過しまして、それを踏まえて全体的なイメージとしてはどうなるんだろうかということを考えますと、六十五歳まで役所で働くようになるというふうに考えます。  今までは、局長や部長が一定年齢になりますと昇任するか退職するかの選択になります。そして、多くの方々が役所の人事当局の勧奨退職と再就職あっせんを受けて、そして民間に就職するということでございました。組織の中で、局長や部長などの管理職に若い最優秀の人材を抜てきする、そういう必要性は今後ともあることでございます。それは、そうでなければならないと思います。これからもその必要は変わらないと思います。  しかし、役所の人事当局は再就職あっせんをしないということになる場合には、従来のように、一度幹部職員になりますと以降はその身分的な地位が保全されるというような考え方、それは撤廃しなければならないと考えております。そうでなければ人事運用が成り立たないと思います。  新陳代謝を図るためには官民交流人材センターがあるという考えもあるかもしれませんけれども、これからは人事当局は再就職あっせんにかかわらないのですから、これまでのような新陳代謝を図ることはほとんどできないと考えます。これからは管理者から別の仕事に変わるという考え方が必要ではないかと思います。そのような点から考えますと、先ほど私が大変注目している規定であると申し上げましたが、幹部職員、管理職員内の弾力的な任命の規定も、なぜ幹部職員の範囲内、なぜ管理職員の範囲内と規定しているのかなと、これも疑問に思います。  例えば、高等学校のある校長が四年間働いた後も、なお定年までの時間があるとします。それまで四年間校長として終わりまして、そしてその後は従来担当していた自分の国語の、あるいは英語の担当教員に戻るというようなことが普通のようなことにならないのかというふうに考えます。周りの人も校長のお仕事御苦労さまでしたと受け入れる。管理者としての職務内容及び責任は他の仕事に比して重いですから、それは高い給与を受けるのは当然であります。しかし、一般の教員と同じ立場になったら当然給与は下げる。民間企業では管理職が指導役などの非管理職に変わったり、病院で看護師長が一般の看護師になって働くということはよくあると聞いております。一般の役所でも、局長仕事を数年間行いました後に更に定年まで年数が残っているような場合に、そして引き続き公務を希望する人には、例えば当該組織の大学校の教官に任命するようなことがあって当然いいんじゃないかというふうに思います。  各省大学校の教授は、現在、課長補佐クラスの人が就任していますけれども、各省の職員を育てるという重要な任務は、当該省のすべてに通暁した最優秀の人材が当たることが理想です。局長を経験した人が、これまでの知識、経験を生かして、警察大学校教授、自治大学校教授、国土交通大学校教授などとして教壇に立てば、それらの研修所は飛躍的に充実したものとなります。研修生は、それらの局長が、あるいは部長が蓄積した知恵を学ぶことができます。また、地方支分部局の長の人事でも、本当の意味で管轄地域の代表者として本省局長の経験者を充てることができれば、当該組織の機能がより的確に果たされ、職員のモラールも高まるのではないかと思います。  さらに、局長などのポストに就いている人の中には、外国制度の研究や事例研究が得意の人間も非常に多いですし、国民に直接接するカウンセラーとか行政相談のアドバイザーのような仕事が本当に好きだという人もいるのです。  このようなことを申し上げますと、不可能なことを言っているなというふうに思われるかもしれませんけれども、私は、コロンブスの卵のようなものだと思います。最優秀の局長一つのモデルをつくられれば、多くの人は皆そういうものだと理解していくのではないかと思います。  ただ、局長や部長を経験した人を他の職に任命するような場合は、任命権者が、不利益処分としてではなく、そのような人事措置を講ずる権限を有することを法制上明確にする必要があるのではないかというふうに思います。  以上に述べてきたような人事を実践する場合には、職員にも人事当局にも機能的な組織観が徹底していなければなりません。すなわち、組織が一定の働きを持った職によって構成されており、それぞれの仕事は、職務内容に違いはあり得るものの、皆責任があり、やりがいのある存在であるという認識の確立です。  大変興味深いことなんですけれども、機能的な組織観が徹底している例として、拝見していますと、政党幹部登用があります。幹事長、総務会長、政務調査会長などの要職に人材が登用されると、その人材が若手であっても、すべての党員はその職務の重要性を認め、当該幹部は強い権限を行使します。しかし、その職務を離れると平の党員に戻る。そのことについてだれも異議を唱えません。このような機能的な組織観がこれからの役所には必要なのではないかと思います。  最後に、この法案審議をしてくださっている国会議員皆様に強くお願いしたいことがあります。  それは、各大学では非常に多くの最優秀の学生が、依然として行政官の仕事を生涯の仕事とするために一生懸命に勉強しております。どうか、そのような学生を落胆させ、希望を失わせるようなことがないようにしていただきたいと強くお願いしたいと思います。  また、人事院の最新の調査によりますと、現職の公務員に、あなたはなぜ公務員になったのですかと問いますと、七〇%は、公共の奉仕がしたいから公務員を志望したというのが理由となっております。このような公務員が生涯誇りを持って生きることができるような仕組みをつくり維持すること、これが大切であると思います。この法案の冒頭にありますように、世の中のために働くことを誇りとする行政官をたくさん生み出すような仕組みをおつくりいただきますように強くお願いしたいと思います。  ありがとうございました。
  9. 岡田広

    委員長岡田広君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 松井孝治

    ○松井孝治君 民主党の松井でございます。  今日は、飯尾先生、そして金丸会長さん、増島先生、大変貴重な御意見をありがとうございました。また、本当にお忙しい中で、急な日程設定にもかかわらずおいでいただきましたことも含めまして、感謝申し上げたいと思います。  非常に貴重な御意見をいただいたので、二十分という中ではなかなか論点、尽くせないんですけれども飯尾先生から、いろんな調整事務ももう官僚に今まで政治は丸投げし過ぎていたんじゃないか、それで、官僚も行き過ぎがあったかもしれないけれども政治家が汗をかかなさ過ぎたところがあるんじゃないかという御指摘をいただきました。また、金丸会長さんには、やはり政治家あるいは官僚の権限と責任の明確化ということも必要じゃないかという御指摘もいただきました。  日本特有の政府与党二元体制の中で、政治家は都合のいい部分だけ口を出し、裏で権限を行使し、それは内閣の中の立場を持たずにやるものだから責任は逃れるというような部分が政治家自身がやっぱり猛省をしなければいけないのではないかと私も考えております。そういう意味では、最終的な法案の中には入りませんでしたけれども、私どもは、部会その他で外野席から自らの責任が問われないようなところで行政庁に働きかけをしている、職務権限も不明確なまま行政庁に働きかけをしているという、ここの点はしっかり正さなければいけない。そのためには、飯尾先生からお話があったような調整事務をしっかり政治家責任で、もっと行政庁の中に入って自らの職務権限の中で行うという体制が必要だと思っておるんですが。  飯尾参考人金丸参考人にお伺いしたいんですが、その意味で、今後の課題という中の一つだと思うんですが、例えば副大臣政務官の増員であるとか、あるいはもう少しライン的な仕事に、政治家内閣の中に一定のポジションについては入っていく、そういった人事を促進するためには、やはり定数の緩和、上限の緩和、あるいは国会法などで国会議員が兼職することができる官職は限られていますから、そういったものも部分的には緩和をしていかなければいけない。同時に、やはり余り国会議員がやってはいけない仕事というものもあるという気もするわけでありますが、その辺りについて両参考人の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  11. 飯尾潤

    参考人飯尾潤君) 今御指摘の点、私の申したとおりのことをおっしゃってくださっていると思います。  ただ、この場合は、やはり制度的なものになじむものとなじまないものがあると。政党政府との関係については、やはり政党の在り方によって様々であろうというふうに考えますので、今御指摘になりました例えば副大臣政務官等の増員については、やはり政権を取った政党の在り方に応じて弾力的に運用できるように、少し多めに定員は定めておいて、必要に応じてそれを使うという形が必要だろうというふうに私は考えております。  そしてさらに、今お話しになった後段の点は、これも非常に重要でございまして、政治的中立が必要な部分まで政治家が出ていかれるということはやはりよろしくないというふうに考えますので、私自身は、できるだけ大臣の補佐者としての副大臣あるいは政務官は一体としてやはり行動されて、その下に企画業務を集めていく。逆に言うと、それ以外のところで、独立なものについてはやはり官僚の中の責任を明確化する。  先ほど政治家責任についてのお話がございましたが、現行制度では、やはり官僚の方の責任は補佐者としての立場が明確になり過ぎておりまして、やや政治家と独立するところのそういうふうな位置付けが官職的にない部分がありますので、やはり特定の準司法的な役割を果たすような職務であるとか、あるいはそういうふうな例えば規制をする職務であるとか、そういう職務についてはそういう責任を明確化するということも必要ではないかというふうに考えております。
  12. 金丸恭文

    参考人金丸恭文君) 私は、今回は、いわゆる内閣といいますか、日本の中央政府のトップ組織にかなりやりやすくするということが主目的だと思うんですね。それによって機動的にタイムリーにデシジョンとアクションを行うということだと思いますので、私は今の議論でいいますと、何か仕事をなさる方が、それは例えば総理にしてみても、これは必要であると考えて、それが良い結果が出るということで、良い結果が出るということをコミットメントされるんであれば、それは柔軟にスタッフを、その身分も含めて柔軟に弾力的に対応するというのが、要するに、何というんですか、経営トップの判断というのはそのアローアンスも含めたことをゆだねておかないとできないと思うんですね。  例えば、私どもも事業計画を当然期初に立てるわけですけれども、それはデーリー、ウイークリー、マンスリーにいろんなことが起きるわけですから、そのときに、最初、期初に決めた何か数字に縛られて、これが良い結果が出ると分かっていることに対して対応しないということの方がそれは、何というんですか、当たり前に考えてそれはいけないことですから、そうするとその分は、いろんな過去の制約についてはある程度の弾力的な運用を、例えば私ですと、例えば戦略予算みたいなものを持っていて、そこで手当てをしていくということなので、そこをまた定数で縛るというのは駄目だと思います。  それからもう一つ加えますと、先ほど私はITの話をしましたけれども、従来は合計でしかマネジメントできなかったんですね。生データをそのまま保有するということは物すごいお金が掛かりましたので、従来の企業組織は合計で数字を見たんです。合計で数字を見たらどうなるかというと、その中に、合計の中にいいものと悪いものが混在しているんですけれども、合計値に対して目標を示しますから、木の枝でいうといい枝も剪定するということになったわけであります。勝ち残った企業というのは、すべてマクロに目標は設定しますけれども、デシジョンとアクションは発生した事実そのものに対して個別に行うということでございますので、是非、戦略的な思考と戦略的な行動ということを優先していただきたいというふうに思います。
  13. 松井孝治

    ○松井孝治君 ありがとうございます。  金丸参考人の方から、組織改編に余りにもエネルギーが掛かっているんではないか。橋本行革で一府十二省体制つくるのに数年やはり掛かりました。今の法体系であれば、それを決めてから、内閣が閣議決定してから数年のいろんな調整が必要になってくる。今、福田総理が消費者庁というものを提案されていて、これもいろいろ議論はありますけれども、それをやるのにやはり相当程度時間が掛かってしまう。こういうことに時間を掛けて、コストを掛けていていいのかという御提案だと思いますが。  金丸参考人、そして、これは飯尾参考人増島参考人にも一言ずつ、例えば各省設置法体系、これを少し今、各省設置法の中で個別の所掌事務を非常に細かく規定している、こういうものについてはもう少し政令で、内閣意思で分担関係は変えていけるようにするべきではないかと、こういうことを、自民党内でも御提案が出ていますし、私どもも以前から提案しております。こういうことについてどう考えられるか、一言ずつで結構ですので、御意見をいただきたいと思います。
  14. 金丸恭文

    参考人金丸恭文君) 重要な戦略を今回統合させるということが優先順位が高くて、人を統合させるというのはそのために統合させるということだと私は理解をしておりますので。ただ、そういう意味では、戦略の責任者、先ほど総理と私申し上げましたけれども、例えば内閣なり、何がいいかの議論は大いにやっていただいて結構ですけれども、決めたことに対しては最も早く実行できるということがいわゆる変化に対応するということでございますし、それから、これ日本だけの内輪の今や、何というんですか、争い事、もめ事じゃありませんので、これを外から見ていると、やはりタイミングを逸するということは何にも劣後するということでございますので、組織の改編等が分散しているんであれば全部それは統合すべきだというふうに私は考えます。
  15. 飯尾潤

    参考人飯尾潤君) 今御指摘の点でございますが、やはり日本議院内閣制を取っているということを考えると、内閣総理大臣を選出して内閣を組織した時点で行政権のみならず行政の編成権もある程度与えるというのが自然な形でございまして、多くの国もそのようなことになっておりますので、これは必ずしも設置法をやめて政令にすることは国会主導をやめるということではむしろなく、政権を中心に求心力のある政権をつくっていくという方向でありますので、やはりこれは政令化の方向で考えるべきではないかというふうに考えております。
  16. 増島俊之

    参考人増島俊之君) 組織づくり、組織というものについてはでき上がりますと国民に対して大きな影響力、そういうものを持つものでありますけれども、これは、ですから、そういうものの改編が容易にできるという視点と、その組織、例えば設置法などで決まっていることは、行政組織について立法府のコントロールがあるということなんですね。  国家行政組織法の大改正をやりましたが、その大改正前までは、例えば主計局とか行政管理局とか何々研究所とかそれまでも法律事項であった、そういうことではいけないということで大幅に弾力化の規定を設けたわけですね。更にその弾力化を進めて、じゃ、設置法自体も自由に政府が決められるようにするかというのは、行政組織というものに持つ立法府のコントロールの上で本当に適切なのかなというふうに思います。やはり、行政組織についての立法府のコントロールがきちんとある仕組みというのは大切なのではないかなというふうに考えております。
  17. 松井孝治

    ○松井孝治君 それぞれの御意見ありがとうございました。  次に、先ほど増島参考人の方から、一定の範囲内で幹部管理職の昇格、降格等も弾力的に行い得る措置を導入したことについての一定の評価とその限界についての御指摘がございました。例えば局長から教授に行ってもいいじゃないかと、今の行政組織の中でいうと教授というのは課長クラスと位置付けられている場合もあるわけですから、そういうことになると一定範囲を超えてしまう、そこをもっと弾力化させるような制度を導入すべきではないかというような御意見がありました。  大変恐縮なんですが、飯尾参考人のこの点についての御意見を伺いたいと思います。
  18. 飯尾潤

    参考人飯尾潤君) この点につきまして、先ほどやや私はあいまいなことを申しましたけれども、この問題はやはり国家公務員身分保障との関係になろうかと思います。  先ほど増島参考人からお話の出た点につきましては、実態としてそのような美しい話があってもよろしいかと思いますが、逆に言うと、下の歯止めがないということになりますと、やはり政治的恣意によって公務員が一方的に非常に降格されるとなってくると公務員が言いたいことも言えなくなるということもありますので、一定の限度が設けられる。幹部職になるとその幹部職の範囲であるということでよろしいので、幹部職のその範囲で教授をされるということがよろしいのではないかというふうに思います。  しかしながら、現行、例えば、私は現在の幹部職でどれぐらい考えられているのかよく分かりませんが、例えば審議官以上の指定職程度のことを考えるとすると、現行の指定職程度の給与を保障しなければいけないかどうかはまたこれ別途のことでございまして、民間企業でも定年前になると給料が下がる仕組みなどもございますので、その点は公平な形で給与が定められればそれは弾力化してもよろしいですが、ただ、身分としてやはりある程度保障されるということはあった方がよろしいのではないかというのが私の意見でございます。
  19. 松井孝治

    ○松井孝治君 ありがとうございます。  別の条文のところに役職給のようなものも導入されていますし、今後これをどう使いこなしながら具体的におっしゃるような弾力的な処遇を可能にしていくかというのは我々の課題だと思っておりますし、今、飯尾参考人がおっしゃったことも含めて参考にして我々は取り組んでいくべきだと思っておりますが。  次の質問でございますが、金丸参考人におかれましては官民人材交流センターの制度設計を御担当になっておられました。飯尾参考人からも増島参考人からも退職管理の問題についての御指摘をいただきました。一定の前進が昨年の国家公務員法改正であったという見方を与党方々はされておられまして、我々は立場は違うんですが、いずれにしても、今回六十五歳定年の検討を盛り込みまして、将来的には、私どもの立場からいうと、今の官民人材交流センターのような形での再就職あっせんもこれは禁止していくべきであるという考え方に立っておりますが。  金丸参考人におかれて、この制度設計をされた中で、例えば六十五歳定年というものが導入されたその暁に、この官民人材交流センターというような形で一元的な再就職あっせん組織が未来においてずっと恒常的に存在するということを前提に置いておられたのか、それとも、ある程度過渡的なものとしてこういうものもあってしかるべきではないかという御判断であったのか、その点について御意見をいただきたいと思います。
  20. 金丸恭文

    参考人金丸恭文君) この全体の懇談会まで代表できる立場にちょっとございませんが、議論を通じて私が感じてきたことを申し上げますと、基本的には私は六十五歳定年延長までなさるべきだというふうに思ってございます。  ただ、このセンター懇の設計をさせていただく前提というのが、その手前にいわゆる早期退職勧奨をやめられるというか、やめるか続けるのかという前提があって、それを、早期退職勧奨が最初にありき、あるという前提でもうスタートしておりましたので、そういう意味では、今の現行制度であるとか現行の慣習みたいなものがある間のことと、今、松井議員の御質問の、いわゆる六十五歳まで残れるようになったときに途中で出ていく人、それは自発的に出ていく人で、しかもそれがクリーンな出方であれば、極力、余計な組織が私は必要はそもそもはないというふうに思いますが、ただ、松井議員イメージをなさっている将来というのは、今は法律等は抜きに早期退職勧奨ということが実質慣習で行われているわけですから、当面、私は慣性の法則の方が強く働くのではないかと思っておりまして、ですから、大分時間がたって、そういうことがもう非常に浸透した暁には、永遠な組織として存在をしていくということについては私自身は想定をしておりませんでした。  経済同友会においても、緊急措置としての、官民人材交流センターというのは全体の公務員制度改革の進展するまでの間の措置としては考えられるのではないかという位置付けにしておりました。  以上でございます。
  21. 松井孝治

    ○松井孝治君 ありがとうございます。  もうこれが最後の質問になろうかと思いますが、これ、この基本法の精神をこの法案が成立をいたしましたらどう具体化していくかという意味において、先ほど金丸参考人あるいは飯尾参考人からも明示的に御指摘があったと思うんですが、その事務局体制、この制度設計をする推進本部の事務局体制をどうつくっていくか、その人事をどうするか、あるいはその先に、内閣人事局というものをどういう形でどういう人材を集めて設計し、そこを実際運用していくか、ここは非常に大事だと思うんですが、もう時間がありませんので、増島参考人、恐縮でございますが、金丸参考人飯尾参考人の順にお二方から一言ずつ御意見をいただきたいと思います。
  22. 金丸恭文

    参考人金丸恭文君) 今、松井議員の御指摘のとおり、国家公務員制度改革推進本部の事務局の組織編成につきましては、私先ほど意見を述べさせていただきましたけれども、このチーム編成がほとんどキーを私は握るのではないかというふうに思っておりますので、この人材については本当にこの改革を志向なさる方々是非結集をしていただきたいし、そのときに、先ほど申し上げましたとおり、改革というのは極力、企業経営におきましても若い現場の人たちを多く入れるということの方が改革は推進されますので、そういう方々を入れていただくことと、そしてあと民間からも、そんな人がいるかどうかちょっと分かりませんけれども是非、見識、御経験のある方をここに合わせて、できれば、極端なことを言えば過半数を占めるぐらいの組織でも私はいいんじゃないかというふうに思っております。  それから、人事局長というのは、これはもう非常に私も気になるのでございますが、それから人事権をめぐって皆さん議論、非常に熱心におやりになられているんですけれども一つ私の考えだけを申し述べますと、人事権というのは、私も会社の中で人事権を持っているわけですけれども人事権というのは、ジグソーパズルでいうと、ピースに分かれていてそれを足し合わせて一枚の絵になるものではなくて、人事権というのは同心円みたいなもので、一番下である組織に対して人事権を持っている人がいて、また上長がいてと。だから、同心円の中にその人事権というのは存在しているものじゃないかというふうに思うんですけれども、今のところ、ある人事権をだれかが持ったら、それはあなたが相互不可侵というようなことのように聞こえるんで、そこは是非、同心円の中の権利の役割分担だというふうに私はお考えいただきたいというふうに思います。  以上でございます。
  23. 飯尾潤

    参考人飯尾潤君) 今御指摘の点、幅広い英知を集めるということは当然でございますが、しかし制度の安定のためにはやはり各省庁に属する官僚はそこに要る、しかしながら、政治家リーダーシップによってオールジャパンで物を考えようという人たちが意識変革をしていく。その内閣人事局官僚から旧来の管理意識を脱していくという姿を見せて変化をしていくという姿が必要でありますので、ややもすれば公務員不信の中で外に人材はいないかとなりがちでありますけれども、しかしやはりこれは意識改革のプロセスでありますので、中の人材の意識が変わるような政治リーダーシップを期待したいというふうに思います。
  24. 松井孝治

    ○松井孝治君 三先生、ありがとうございました。  終わります。
  25. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 自由民主党の北川イッセイでございます。  お三人の参考人の先生方には本当に貴重なお話をいただきました。いろんな御示唆もあったと思いますし、また問題提言もあったと、こういうように思います。私自身が、今回のこの基本法、大変期待をしておりまして、日本の国では本当に久々というか初めてというか、そういう国家公務員の改正の基本法であると、こういうふうに思います。  その中でいろいろ紆余曲折があった。当初の原案については衆議院修正をされた。いろいろなことがありましたけれども、しかしこうして今参議院で審議をさせていただいておる、日の目を見るかも分からないと、こういうようなことで大変大きな期待をしておるわけです。  この国家公務員改革の基本法といいますのは、要するに日本行政、そういうものをもっと活性化して、そしてそれが日本の将来に結び付いていくと、そういうことを期待しての基本法であるわけです。その中で非常に問題にされておるのは、やはり今のこの国の制度というのは非常に省壁がある、あるいは縦割り行政である、そういうことがずっと言われ続けてきたわけですね。国益よりも省益あるいは庁益と、こういう表現をされるわけですけれども、これをやはり何とか直していかなければいけないと、こういう大きな目的がやはりあったと思うんですね。  私は、今度のこの改正案で、先ほどもお話ありましたけれども内閣人事局をつくって一括管理幹部のあるいは管理職の一括管理をしよう、もう画期的なことだと、私はそういうように評価をしております。  ただ、その中で、金丸先生のこの提言のポイントの中に書いていただいておりますが、幹部職員の一括採用という話がございます。これは実は、一括採用という表現ではなかったですけれども、意味合いとして、そういう一括採用をしようというようなそういう意味合いが実は原案にはあったんですね。これがいろんな理由で、私が解釈しておりますのは時期尚早ということではないのかなと思うんですが、この一括採用ということがなくなったと、こういうことで、これは、ただ私は一つ非常に残念なことだなと、こういうように思っておるんですけれども。  この一括採用について、メリットもあれば、当然これデメリットということも考えられるわけですけれども、そこらの御認識について、この提言のポイントとして書いていただいております金丸先生のひとつ御認識をお伺いしたいと思います。
  26. 金丸恭文

    参考人金丸恭文君) これはもう私どもといたしましてはすごくシンプルに考えたわけでございます。  国といいますか中央政府一つなわけでございますし、私は先ほど連携とか連動して動かなきゃいけないと申し上げましたし、今後は省庁をまたいで動くわけですから、国家公務員というのは一つの国の貴重な資源だというふうに考えますと、企業におきましては、面接等は各事業部等の人たちとかも、いろんな人が出て面接をして、その人の希望も聞いて、例えばそれが財務省に入りたいと思われて財務省から推薦で例えば採用ということになっても、いったんはプールして採用しておいて、また研修期間があって、入省前は財務省と言っていたけれども、だんだん時間がたってくるとその本人の好みも変わるかもしれませんから、そうすると、ある期間を経て半年ぐらいたってから本当はどうなんですかとまた聞いて、しばらくたって、三年ぐらいになって、そろそろ違う省庁に、経産省にも行ってみたいという本人の希望も聞いて、各省からのリクエストなんかも聞いて、併せ持ってやるという点において、企画をしたりコーディネーションするというのは一括でないと私はあり得ないというふうに思っておりました。  ところが、皆さん議論は、多分どっちかに権利が一個だけ片方にあって、そうじゃなくて、採用は省全体で競い合っていろいろプレゼンをなさって、公務員志望の学生の人たちに啓蒙活動して財務省推薦枠で来た、その人の希望も聞いて、本庁も聞いて、たまたま最初の配属先が例えば財務省だったに本来すぎないわけでして、だから、戻したり動かしたりということを今回はやりやすくしようと言っていらっしゃったというふうに思いますので、それはその肥大化した内閣人事庁で採用の面接も全部そこでやるというのは私のイメージじゃありません。現場の面接は全部分担してやっていただいて、採用という実際その最後の手続のコーディネーションとかあるいは全体最適を、リクエストとか異動調整をするとかいう機能であれば、やはり一括でないといけないんじゃないのかなというふうに思った次第でございます。
  27. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 ありがとうございます。よく分かりました。  飯尾参考人にお伺いしたいんですが、今までから業績評価、能力主義、ずっと言われているわけですね。前のこの公務員法の改正のときもこの話が実は出ていました。ところが、一般の企業その他ではこの業績評価はある意味で非常にしやすい、数字で出てくるということだと思うんですが、国家公務員の業績評価、能力評価、どうなんでしょうか。  これ、国の将来を考えていろんなそういう企画をする、今時点の話もありますけれども、しかし、大事なところは国の将来をどうするのかという話だと思うんですが、この国家公務員の特に今、今度出ています総合職ですか、これの業績評価という、こういうものをどんな形で、先ほどちょっとお話で、これは政治家がやるのかという話もございましたけれども、どういう形でやったらいいのか。あるいはまた、何かそういうイメージみたいなものを飯尾参考人持っておられたら、ちょっと詳しく聞かせていただきたいなと思うんですが。
  28. 飯尾潤

    参考人飯尾潤君) ありがとうございます。  大変重要な点かというふうに考えておりまして、御指摘ごもっともでございます。  これまで日本においてこの能力主義が必ずしも徹底しなかったというのは、やはり早期退職勧奨などもセットになっておる形で年次主義ということがある。年次主義は実は評価の仕組みとしてはかなり合理的なところがあって、非常に少ないコストで業績が評価される。だれがその年次の中で一番できるかということを見るというのは非常に簡単なものですから、それはできていたわけですが、それで問題になってくるのは、年次を超えた比較ができないということでありますし、年次に基づくグループ意識が省益につながってしまうということでありますね。  今回それを打破しようとすれば別の基準でそれを評価できないといけないということになると、一番重要なことは、一つの評価軸で多種多様な公務員は評価できないということでありますので、やはりその職種に応じて、やはり幹部職においても様々な必要とされる能力というのは幾つかの類型化をして、これはどれぐらい満たしているんだろうか、あるいは管理職であると中間的なものであればもう少し区分けはされないかもしれませんが、そういうふうな幾つかの区分けで評価していくという工夫をしないと、ややもすれば、これまではライン重視で、やはり局長、次官になるのが一番偉いんだという形でいうと軸が一定一つになり過ぎていて評価しにくくなってしまったということをやはり多様化する、複線化の評価をするということが一番ポイントになるのではないかというふうな気がしております。
  29. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 飯尾参考人にもう一つちょっとお伺いしたいことがあるんですが、公務員中立性という話がありました。この問題なんですが、どこまで中立性を守れるのかという私は非常に疑問を持っているわけです。時の内閣ができましたら、それに合う幹部あるいは職員、そういう者が集められるということは、当然そういうことがあると思いますね。よくアメリカの大統領制と比較されるわけですけれども、そういうことと考え合わせた場合に、先生がおっしゃっている公務員中立性というのをもう少し詳しくお話しいただけないかなと思うんですが。
  30. 飯尾潤

    参考人飯尾潤君) ありがとうございます。  この点については、御指摘のとおり非常に微妙な問題でありまして、一つの理屈だけで切ることはできません。しかしながら、先ほど六十五歳定年制の話もありましたけれども国家公務員身分保障を与えているということは、いかなる大臣が来ても、いかなる政権が成立しても、やはり一定の専門能力を持って仕えるということが必要ですので、一つ考え方としましては、時の政権には仕えるけれども、政権が交代、内閣が交代すればまた別の方針で働く、そのために専門能力を発揮するという中立性の考え方が、動態的な中立性ということ、その時間軸を一つだけ取れば時の政権の意向に沿っているわけでありますけれども、政権交代したらまたその違う方針に従うという意味の中立性が一つございます。  もう一つは、やはり先ほどお話をしましたようなことでございますが、企画立案部門においては中立性の度合いは少なくてもよろしい、しかしながら執行の場面においては、やはりそこを少し分けていくことが必要ではないか。大臣を補佐して新規の法案を立案するという部局と、それから決まったことに沿って厳格に執行するという立場では中立性の意味合いが違いますので、やはりそこの保障の措置を、職種を分けるなり、職種というかポストを分けるなり何かをして保障の措置が必要ではないか。ですので、企画立案のところについての人事評価は大臣等の意見が十分に入るということは結構でございますが、そうでない厳格な、中立が必要なポストについては、やはりその公務員内部の評価を重視するというふうな使い分けが必要ではないかというふうに考えております。
  31. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 増島先生からは天下りの話が中心で出ておりました。お話を聞きながら、私も全く先生と同感でございまして、特にあの高等学校の校長先生の話、まさしくそのとおりでありまして、仕事の評価というのはまさしく階級じゃなしに仕事の内容でその価値観を見付けていこうと、こういう話だったと、こういうように思うんですね。  ただ、この公務員の天下りの話なんですが、これは、いえば職業の自由というのはこれは基本的人権、認められているわけですよね。ですから、需要と供給の関係、求人と求職の関係、こういう関係で、公務員を辞めてどこの会社へ行こうとどうしようと私は基本的には自由だと、こういうふうに思うわけですね。しかし、現在入札制度があり、いろんな制度がある中で、それによる弊害が非常に大きいと。だから、入札制度をこういうように変えようとか、あるいは公務員が辞めた後はこういうようにしようとか、いろんなことを考えるわけですけれども、しかし、その最も基本にある土台というのは、これは職業の自由というものはあるんですよと、こういうことは忘れてはいかぬと私は思っているんです。  問題は、いろんな問題を起こすというのは、むしろ企業へ行った人からアプローチされて起こすという問題よりも、むしろそれを受け入れる側の問題、公務員側の問題ですね、こちらの方が基本的には大きいんじゃないかなというような思いがしてならないんです。いろんな無理難題を言われたとしても、これは公の立場で絶対に駄目ですと断り切ることができない、あるいは断り切ることができるのか、ここのところだと思うんですよね。  これは公務員の規範の問題、最も基本的なそういう問題だと私はそういうふうに認識しておりまして、先生がおっしゃった定年制の延長ですとか、あるいは機能的な組織の機関をつくるとか、職業のあっせんをどうするとか、こういう話は同感です。同じなんですけれども、そこの私は基本的なところにもっと立ち入って、そして公務員公務員らしく、公の立場で公僕としてやっていけるという、そういう方策というものが大事じゃないかなと思っているんですけれども、先生の御認識をひとつよろしくお願いいたします。
  32. 増島俊之

    参考人増島俊之君) 職業の選択の自由があるわけですね。それで、公務員の中で働いている人にも民間で大活躍するような人物というのがたくさんいて、ですから、その人たちがまた活躍することも非常に大切だと思いますけれども。  まず一番そのポイントは、権力を持っている役所が、しかも人事当局があっせんするということですね。そのあっせんする視点を、私自身は、それで本当に問題があるかといったら、それは余り問題は起こらない方がむしろ多いんじゃないかと思いますけれども、国民の目から見たときに、あっせんをしたと、そして、その関連といいますか、その業界というか、そういうところに行ったときにはやっぱり癒着があるんじゃないかという不信感は絶対ぬぐえないんですね。あっせんをすると、そうすれば何か見返りがあるのじゃないかと。  ですから、今大切なのはやっぱり公務に対する信頼感ですから、そこをどうやったら確保できるかと。そのためには、要するに役所があっせんをする、そこはもうしないと割り切らないといけないんじゃないかと。しかし、たくさんの職業選択の自由があり、そして多くの働くまた人材もありますから、私自身は、こういう官民交流人材センターのようなものがあったときに、そして、その民間の側の方も、どういう人材がいるのかということは、よく役所の人を知っている人はあるんですけれども、知らない機関の方もいるわけですね、会社に。そういう人には、大体こういう条件を具するような人がいるということをどんどん届けて、そして、それがいろいろな形で周知されるようにして、その選択をすると。すなわち、役所の人事当局がかまない形のそういう交流の措置というものがもし実行できれば、私は官民交流人材センターというのはとても役に立つ、そういうものになるのではないかと思うんですね。  ですから、あっせんの、これをしてはいけないというその背景が、国民と役所との、何というんですか、信頼関係というか、そういうことに一番ダメージを与える、すなわち疑惑を持たれる、疑惑を持たれるときにその疑惑をぬぐえないと、これがやっぱりあって、それで、ですから、この国会におきましてもそういう法案を多分通された基本はそこにあるのじゃないかなと思います。ですから、そういうだんだんことになってくると、やっぱり役所の側もそうですけれども、民間の側も役所に対してどういう姿勢がなければいけないかとか、これはおのずと変わってくるのではないかなと、今までのような形とは違うというふうに思っております。
  33. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 ありがとうございます。  金丸先生、ちょっとお伺いしたいんですが、この設計思想の中に共感性という話がございました。この話、説明責任、開示責任がある、これは行政にもあると思いますし、政治家の方にもあると、こういうふうに思います。これは、特に政治家については選挙と絡んでくる話でございます。  ただ、今の現状を見ておりましたら、この説明開示、国民がそれを知る手段、テレビなんですよね、ほとんど、マスコミ関係の。これに代わるものをつくれということなんでしょうか。あるいはまた、それとはもう関係なく別に考えないかぬということなのか、それをもっとちゃんとした形でやるべきだということなのか、そこらのところをマスコミとの関係についてちょっとお話しいただけたらと思うんですが。
  34. 金丸恭文

    参考人金丸恭文君) マスコミとの関係まで私の考えが及んでいるところじゃございませんが、基本的には、内向きでいろんな制度をおつくりになられるときの文章能力と外部発信のときの文章能力が、もう思い切りギャップがあるといいますか、価値観がもう全く違うといいますか、よく読んでもこれは何を言っているかはっきりしないというのがございますよね。いろんな案内が、私の父親も八十三歳で、先ほど来いろんな話題の文書を送られてきて、これ、どっちをどんなふうにいつ出していいのかも分からないですし、だからそういう点において、そこの能力というのは高める組織、もしそういう人たちが中にいらっしゃらなければ、それこそ外部から、そういう発信能力のある人たちを民間から登用なさって、マスコミのインターフェースというようなものも、これは多分、党にはおありなんでしょうかね、広報とかいらっしゃるので。だから、そこの補強はいずれにしても国としてはしなきゃいけないんじゃないでしょうか。  それとあと、私はワイドショーが放映されるときには余り自宅にはおりませんのでよく分かりませんけれども、これはやっぱり特定の方々の割と分かりやすい説明という点においては、勝ち負けでいうと、やっぱり負けていると思うんですね、政治家皆さんは、もう政府も。ですから、そこについてはそういう組織形成を戦略的に考えなきゃいけないんじゃないでしょうかというようなことでこれはこういうのを入れたわけでございます。  これは共感性のところは、これと併せて本誌には、先ほどちょっと省きましたけれども、競争と思いやりの両立というのを入れておりましたので、先般来いろんな批判のある、やや過度な市場競争みたいなことで疲れ果てた感もありますので、これは、政治というのは思いやりとのバランスを取っていただいて、それに対して結果としては国民がやはり共感をするというところがゴールではないかということで書かせていただいたわけでございます。
  35. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 貴重な御意見、本当にありがとうございました。  時間が来ましたので終わります。
  36. 山下栄一

    山下栄一君 公明党の山下でございます。  非常に私は今日は、お三方の参考人のお話伺いながら、学ぶところが大変多かったわけでございます。それは特に、おっしゃいましたように、公務員改革、どちらかといえば霞が関の方の行政中心公務員というイメージだと思うんですけど、やっぱり政治家の意識改革といいますか、政党の近代化ということも含めて、また国会審議の在り方もそうかも分かりません、政治家の方がもっと変われよという、そこがかぎ握っているんじゃないのかというふうなことを非常に教わったような気がしました。公務員制度改革のかぎを握るのは政治家だと、立法府だと、政党だという、そういうとらえ方は極めて大事ではないかというふうに感じた次第でございます。  最初に、ちょっと大上段の質問で申し訳ございませんけれども、今回の法律は、公務員制度改革基本法と、その基本理念が幾つか書いてあります。私は、その改革基本法における改革の基本理念、その前に、じゃ、現行公務員制度の基本理念は一体何なんだということをきちっとはっきりつかまえた上で、それで改革の基本理念ということになってくるんではないかと。  変えてはならない、そのようなやっぱり現行公務員制度改革、昭和二十二年に、戦後のそれまでの天皇主権の下における官僚制から国民主権の下における官僚制へと、それがやっぱり国家公務員法だったというふうに思いますので、もちろん変えるべきは変えないかぬわけです。この法律が成立した後、公務員法も変えられる部分があるんでしょう。しかし、変えてはならない根本理念といいますか、その昭和二十二年以降の公務員法でも構いませんけど、現行公務員制度の変えてはならない根本理念、基本理念とは一体何なんですかと、はっきりさせる必要があると。これは余りはっきりせぬままに何か議論しているような感じがしまして、それをお三人の参考人から簡潔にお伺いしたいと思います。
  37. 飯尾潤

    参考人飯尾潤君) 非常に重大な御質問だと思いまして、簡潔にお答えするのは難しいのでございますが、あえて申し上げますと、現行国家公務員法制は戦前の体制とどこが違うかというと、やはり身分として国家公務員、特別の人がいるという考え方から、機能的に全体の奉仕者としての公務員がいるという考え方、先ほど増島先生からお話の出た考え方は、実は現行法制に本来あったものであったにもかかわらずそれが生きていなかったという側面をやはり伸ばしていかないといけないんだということではないかというふうに思っております。
  38. 金丸恭文

    参考人金丸恭文君) 私は、これはもう政治家皆様も同じだと思いますけれども、基本的には国民と国益のために奉仕をするということ以外にないんじゃないかというふうに思いますが。  今の基本理念というお話で申し上げますと、これは企業の経営でも全く同じなんですけれども、経営理念とかというのはどこも、基本的なことというのはどこか文章にしてあったり壁に張ってあったり、いろんな会社があるわけですけれども、基本的には掲げたものは必ず都度磨き上げないと陳腐化をしてしまうということなんじゃないんでしょうか。それが、時代の変化が訪れたにもかかわらず、もう一度アップデートもしなくて確認もしなくて今日まで来たことでこういうことになったんじゃないかなと思いますので、その基本の部分が、根っこがどうなったということでは私はないんじゃないのかなというふうに思っております。
  39. 増島俊之

    参考人増島俊之君) まず全体の奉仕者ということですね。そして、それが中立性を守るということ。それから、一生懸命働く人のやはり身分というか、そういうものを保障するという考え方は非常に貫かれていると思いますけれども、今回の法制度によりましてもそれは変わらないのではないかと、こう思っております。  ここに、基本理念に書いてある事柄のいろいろなバリエーションは、重点を置くものは何かということがいろいろ書かれているという理解をしております。
  40. 山下栄一

    山下栄一君 私は、申し上げました全体の奉仕者という、これは憲法十五条二項なんですけれども、「公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」と。だけど、一部の奉仕者じゃないのかと。奉仕ということも死文化しているんじゃないかと。奉仕の精神にあふれているかというようなこと。それから、やっぱり政治家は特にそうかも分かりませんけれども、一部の利益とか業界とか地域益とか、全体、国民主権、主権者の方に向いて仕事をすることは、理屈としてはそうなんですけど、そういう憲法十五条二項が死んでしまうようなことになっているということ。これが、先ほど増島先生もおっしゃいましたけれども、国民と官僚、国民と政党、国民と政治家との信頼関係のなかなか定着しない背景じゃないかと。保険料を上げる、税金上げる、上げる前にやることあるやろうと、そういうことに常に返ってくるというふうに思います。  人事行政中立性、公正性、公務遂行の中立性、公正性、特に公正という言葉が、ここに常に癒着とか天下り、再就職というのは、それは職業選択の自由があるからというようなことを言われるけれども、それが何か知らぬけれどもすっきりしないねという不信感の、疑惑の基というようなことだと思うんですね。  それで、端的に申し上げますが、中立的なそういう公正性を担保するため、使用者側である内閣省庁、それと、この労働者側といいますか、そういう給料も決めるのも、それは人事院が入ったりしてやっているわけですけれども、それを例えば何か労働基本権に基づいて、だけれども、財政民主主義の観点からきちっと、やっぱり税金ですから給料は、そういう公正性といいますか、中立的そして公正なこの制度を担保する組織、これは必ず必要だということが人事院という組織の根本理念だと思うんです。  その人事院がもう必要ないんじゃないかという議論がされております。廃止せよという議論もあります。私は、今の人事院がいいとは思いませんけど、もっとしっかりして誇りを持ってやれよと言いたくなるような実態というふうに私は感じますけれども、この中立公正性を担保する、このことはやっぱり国民が一番求めているのではないかと。  そう考えましたときに、労働基本権制約の代償機能としての人事院の役割、これは盛んに強調されるけれども、もう一つの側の、中立性、公正性を担保するための独立組織といいますか、内閣の所轄という言葉で表されている内閣から距離を置いた組織、この使命というようなことは、代償機能ともう一つの方です、もう一つの方が余りにも過小評価されていて議論余りされないと。ここに私は一番の公務員不信の、特別職、一般職含めてですけれども、原因があるのではないかと強く感じておるんですけれども、この考え方につきまして、ちょっと時間の関係で済みませんけれども飯尾参考人増島参考人にお聞きしたいと思います。
  41. 飯尾潤

    参考人飯尾潤君) 今お話しいただいたところは全く同感でございます。しばしば国民も人事院という名前を聞くときには人事院勧告の場所だけでありまして、そういう点でいうと、政治的中立のとりでとして、あるいは公平さのとりでとしての人事院の機能が着目されてないのは残念なことだと思いますが、これは、従来であれば各省庁官僚制に一定の自律性があって、ある程度それは心配ないと思われていたからかもしれません。  しかしながら、今回の改革によって政治主導が強まるとなるとますます重要性が高まりますものですから、現在の機能とはやはり変えたものが必要かというふうに思いますけれども、その機能について認識が更に必要だという御意見には賛成でございます。
  42. 増島俊之

    参考人増島俊之君) 私は、人事院の機能というのは非常に大切だというふうに思います。こういう政治行政、政官というふうなことがいろいろ問題になっているときに、本当に中立的にきちっとそれを話し得る機関というのは人事院なのではないかと。そういう意味で、人事院のいろいろな活動とか御発言とかというものが何か非常に少ないんではないかなというような思いが時々、これは誤っているかもしれませんけれども、するときがあります。  私は、人事院の機能は非常に大切であるというふうに思っております。
  43. 山下栄一

    山下栄一君 ありがとうございました。  今回の法律でもう一つ私がちょっと懸念していることがございます。それは総合職と一般職という分け方で試験をするということでございます。今、Ⅰ種、Ⅱ種になっているんですけれども。  これはちょっと金丸さんの方に聞きたいんですけれども、総合、一般、民間でも今、総合職と一般職、総合職の方が上で一般職が下みたいなイメージがあって、ところが一般職がだんだん今減ってきていると、統計的にはね。こういう分け方自身がちょっとどうなんだと。事務的な仕事一般職、企画立案、何か総合的な仕事が総合職なんだという、そういうふうに何かイメージされていると。総合職がキャリアになり一般職がノンキャリみたいなそんなことになってしまったら、キャリア制度の廃止という、こんなもの法律でも何でもないのに、それを廃止ということ自身がおかしな話だと私は思っていますけれども、そういうことをやめないかぬということで、それはこの総合職、一般職、専門職というそういう試験区分にする、もう一つ幹部養成課程、この二つかなと私は思っていますけれども、この法案はね。  だけど、これは、キャリア制度の本当に廃止になるんだろうかと。キャリアシステムの、単なる慣行である、これが物すごく根強いと。これは私、戦前から来ている、高等文官から来ているんやないかと思いますけれどもね。だから、東大とか京大とかそういう高学歴、高学歴という言い方はおかしい、そういう方々一般職受けるかというふうに感じるんですね。  だから、金丸参考人、民間部門での御経験から、総合職と一般職ということを分けて試験するという、コストは安く能力を測るみたいなことだったら、それは幹部候補試験みたいなことになってしまうと、これはおかしくなってしまうなということでございまして、総合職、一般職を分けるという分け方のこの問題点はないのかということをお聞きしたいと思う。
  44. 金丸恭文

    参考人金丸恭文君) 何というんですか、名前からしても、総合と一般って英語にしてみても非常に分かりづらい私は表現だと思うんですね。本来は、その仕事の中身といいますか、専門性に応じて試験を分けられるのは構わないと思うんですけれども、それが二種類というのはどうかなと思うことと、それからあと、多少ですけれども官僚皆様、いわゆる総合職と言われる人たち仕事をしていますと、こんな仕事もなぜキャリアと言われる人の仕事なのって思うわけですよね。  今後、この公務員制度改革のこういう新しい時代以降は、私は、キャリアと言われる若い人たちを若いころ雑用にだけ使っていくと、私どものような会社に転職を自ら自発的になさる人たちがどんどん増えていって、ですから、本来は公務員の中から、官の中から、仕事はこういうふうに変えて試験もこういうふうに変えるべきであるという新しい、自分でやっていらっしゃるんですから分かると思うんですけど、そんな案が出てきて私はしかるべきではないのかなというふうに思います。  余りにも今の総合職と一般職というのは実態に私は合っていないというふうに思っております。
  45. 山下栄一

    山下栄一君 このキャリア制度の、キャリアシステムの廃止ということが今回の法案一つの目玉にもなっておりますので今ちょっとお聞きしておるわけですけれども、私は、このⅠ種、Ⅱ種の問題というのは、同じ大卒なのにⅠ種、数字もちょっとⅠとⅡいうたらⅠの方が上かなというふうな、そういう、その試験で今やっているわけですね。  能力主義、実績主義というのも公務員法の三十三条に書いてあると、先ほど飯尾先生もおっしゃいましたけど。だから、こういうことを法律で言葉変えたり制度つくっても、それは結局、能力・実績主義の運用をようしないと。結果的には、能力・実績主義と言っても結局、最初の試験の、難しい試験通ったやつはやっぱり能力あるんやろうみたいな、ペーパーテストというか試験によって能力評価するということ。これは日本社会に共通の、その方が客観的で分かりやすくて文句ないだろうと。余り面接とかそんなことをやると、何かコネがあったり情実が働くんちゃうかと。点数ではっきり出てくる試験の上の方から採ったら何の文句もないだろうというふうな、それでコストも安く付くと。能力・実績主義ということを初めから書いてあるのに、全然、慣行として定着してしまうと。  そうであるならば、こういう、特にまたこの試験の区分が総合職、一般職、専門職なんですけど、総合職と一般職と分けることというのは大変な問題ではないかというようなことをちょっと今感じておりまして、だから、何となく総合職が上の方の幹部職員候補選抜試験みたいな、そんなことを意図していないとは思うけれども、それやったら、今の制度でも、今までもできるでしょう、そんなことはと。名前変えて、何か今おっしゃいましたように、総合とか一般という言葉自身が一般企業からは今どんどん評価されなくなっているのに、それをもう一回またそこに法律にするみたいなことはどうなんですかということを強く感じておりまして、かえってこういうふうに分けることが、またⅠ種、Ⅱ種、名前は変わるんですけど、形を変えてキャリアシステムということを、今度は法律によって、今までは慣例だったのに、かえって強化されてしまうようなことになりはしないかという強い懸念を持っておるんですが、運用次第やと思いますけど。  同じ質問で申し訳ございませんけれども飯尾先生と増島先生にお聞きしたいと思います。
  46. 飯尾潤

    参考人飯尾潤君) この法案理解について私が十分でないところがあった可能性もございますが、私自身は、いわゆる言われておりますキャリアシステム自体は必要なものではないかというふうに考えております。  ただ、現行余りに厳格過ぎるので、キャリアシステムに入ってしまうと能力はなくても一生評価されてしまうということが問題なので、キャリアシステムの運用の変化ということが問題で、それをするために、やはり管理職になるところ、幹部職になるところで選抜されて、最初はキャリアであったけれどもそういうことにならない方がある程度の数出てくる。あるいは、そうでないところに入った人であるけれども実績が認められて管理職幹部職員になっていくという実績が積み重ねられてキャリアシステムの弊害が除去されればいいんではないか。  やはり公務員世界一般の企業と違うのは、規模が極めて多いということでございますので、ある程度のやはり配置の都合からすると区別があってもよろしいのではないか。しかしながら、その区別が絶対的になるから問題だというふうに私自身は、大変恐縮でございますが、理解しております。
  47. 増島俊之

    参考人増島俊之君) もし私の学生が総合職、一般職どちらの試験を受けるかと言えば、総合職の試験を受けなさいと多分私は言うと思うんですね。それは高度の知識を問う多分試験になるんだろうというふうに思うんですけれども。  一番の今回の改革は、今飯尾先生がおっしゃったことだと思うんですけれども、キャリアシステムの運用、在り方、余りにも硬直的、そこを直したいということが背景にあって、したがって、総合職で合格してもその後の自分の一定のコースが、キャリアパスが保障されるようなものでは全くなくてという、そういう前提議論されていると思うんですね。  ですけれども、やはり高い専門知識と知力というものをやっぱりパスしてきた人間がいろいろな重要な役割を果たすようになるというのは、多分そうなるのではないかと。ただ、それは固定されているものではないと。逆に、一般職で合格しても、知能とか、いろいろな能力のある人は将来の幹部のところに行く道が広く開かれているんだと、今そういう趣旨の法改正なのではないかというふうに理解しております。
  48. 山下栄一

    山下栄一君 終わります。ありがとうございました。
  49. 岡田広

    委員長岡田広君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。当委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。  午後二時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      ─────・─────    午後二時三十分開会
  50. 岡田広

    委員長岡田広君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国家公務員制度改革基本法案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官行政改革推進本部事務局次長株丹達也君外二名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 岡田広

    委員長岡田広君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  52. 岡田広

    委員長岡田広君) 国家公務員制度改革基本法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  53. 神本美恵子

    神本美恵子君 民主党・新緑風会・国民新・日本神本美恵子でございます。今日はどうぞよろしくお願いします。  この基本法案が目指している改革というのは、本省やキャリアの官僚に向いたような議論が多かったように感じます。今日午前中、参考人質疑の中でも、参考人からもそういう御指摘がございました。霞が関幹部公務員中心議論に偏り過ぎているのではないか、もっと多様な働き方をしている多くの公務員の方に目を向けて改革を論じるべきではないかというような御指摘もございました。私も元小学校の教員でございまして、地方公務員の端くれでございますが、大多数の公務員、現場で働いている公務員、この方たち、本当にまじめに一生懸命それぞれの多様な現場で働いている、その公務員皆さん方にも目を向けてこの改革というものが考えられなくてはならないのではないかというふうに、私はこの公務員制度改革のこの間の議論をお聞きしまして感じているところでございます。  そういった立場から、私は、今日は労働基本権問題を中心に御質問をさせていただきたいと思います。  この基本権問題は、第十二条に書いてあるわけですけれども衆議院における政府原案の修正によって、国家公務員の労使関係改革していく、つまり協約締結権を付与することを通じて国民に開かれた自律的な労使関係をつくっていくということがより明確になったと思います。  問題は、これをどう実現していくかということになると思いますが、これまでの審議の中で、渡辺大臣からも、この基本法成立後の対応については、職員団体を含む関係当事者の意見を十分聴いて検討していくというふうに考え方が示されてきております。  そこで、この意見を十分聴くということについて具体的な検討体制はどうなっていくのか。この基本法が成立しました後は、総理大臣を本部長とする国家公務員制度改革推進本部というのが置かれるわけですけれども、この推進本部の下にしっかりと関係当事者の意見を聴けるような、そういうことも含んだ具体的な検討体制が位置付けられることになるというふうに理解してよいのかどうか。そうなるべきだと思いますけれども大臣、いかがでしょうか。
  54. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 基本権の問題につきましては、行政改革推進本部の専門調査会において検討が行われてまいりました。最初は延々と出口のない議論をやっておったのでございますが、私が大臣になりましてから、佐々木座長にお願いをし、昨年四月に中間取りまとめを行っていただき、昨年十月には最終報告を出していただいたところでございます。時間的に見ますと、行革推進本部が五年間でございますので、五年間出口のない議論をやっておったのが、結果として、私が大臣になってからは十か月で結論を出していただいたわけでございます。その提言を受けて今回の基本法の立案を行ったところであります。  この基本法が成立した場合には、御指摘のように、成立後一か月以内に置くことになります国家公務員制度改革推進本部の下に労働組合を含め関係者の参加する検討機関を設置いたします。その場において第十二条に係る具体的な検討を行うことになります。行革推進本部の専門調査会が政令で位置付けられていたことを考えますと、今回の検討機関についても第二十三条に基づき政令で定めることが妥当かと存じます。検討機関の構成メンバーについては、当事者の参加が必要だと考えます。公労使の三者、あるいは労使の二者構成といったことが想定されるものと考えます。
  55. 神本美恵子

    神本美恵子君 労働組合も含む検討機関がこの推進本部の下に設置されるということで、明快にお答えありがとうございました。  それで、具体的に検討する場合に、大臣は五月十四日の衆議院内閣委員会で、専門調査会のミッションが終了しているので、基本法が成立したら速やかに次のステージでの検討が始まるとお答えになっている。そのことを今一か月以内に推進本部が設置されるというふうにおっしゃいましたけれども、この速やかにというのは、今の労働組合を含む検討機関の設置も含んでというふうに考えてよろしいのでしょうか。  それから、もう一度確認しますが、本法案の二十三条に基づいて政令できちんと位置付けることになるのかどうか。先ほどちょっとお答えいただいたようですけれども、もう一度確認したいと思います。
  56. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 先ほどお答え申し上げましたように、成立後一か月以内に置くことになります国家公務員制度改革推進本部、この本部を設置し、その下に労働組合を含め関係者の参加する検討機関を設置いたします。その場において第十二条に係る具体的な検討を行うことになります。  一か月以内に国家公務員改革推進本部を立ち上げて、国家公務員制度改革を総合的かつ集中的に推進するというのが法の規定でございます。協約締結権についての検討について、検討のスタートを遅らせる必要はないと考えます。推進本部の立ち上げとともに検討をスタートするものと考えております。
  57. 神本美恵子

    神本美恵子君 ありがとうございました。速やかにということの意味がよく分かりました。  それで、この協約締結権付与に向けての検討に当たっては、今おっしゃっていただきましたように、労使が主体的かつ責任を双方持って検討できる場にすることによって、これも午前中の参考人のお話の中にもございましたけれども責任を持って主体的に検討プロセスに当事者が入ることによって本当の改革ができるというふうな御指摘もございましたけれども、まさにこの十二条にうたっております自律的な労使関係というものを確立するためにもそういったプロセスが非常に重要になるのではないかというふうに思っております。  そこで、次に、いつまでにその答えを出すかということについてですが、これも再確認のようなことになりますけれども、一昨日のこの委員会での松井議員の質問に対して、法案の四条で法制上の措置については施行後三年以内とされているというそのことを受けて、松井議員の質問に対して渡辺大臣明快にお答えいただきましたが、この労働基本権問題についても法制上の措置が含まれている、したがって第四条の規定により三年以内に法案を提出することは政府の責務であるというふうに明快にお答えになっております。  まさに、国公法を改正する、そのことがこの基本権問題の必要な法制度上の措置というふうに考えておりますが、それを三年以内に政府の責務で提出をするということ、再確認で恐縮ですけれども、もう一度お答え願いたいと思います。
  58. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) さきの質疑で松井委員にお答えしたとおりでございますが、労働基本権につきましては、政府案では「検討する。」となっていたのに対し、修正後の条文では「自律的労使関係制度を措置する」となったわけであります。この「措置」には当然法制上の措置が含まれるものと考えますので、法四条に従い、三年以内を目途に法制上の措置を講ずることが政府の責務と考えます。
  59. 神本美恵子

    神本美恵子君 ありがとうございました。  そこで、この第四条には「基本方針に基づき、国家公務員制度改革を行うものとし、このために必要な措置については、この法律の施行後五年以内を目途として講ずるものとする。」ということも書かれているわけでございますが、これは法案提出者にお伺いしますけれども、今大臣お答えいただいた必要な法的措置ということで、三年以内に法案を提出して国会に成立を問うということでございますが、五年以内に必要な措置を講ずるということは、法案が成立した場合、その後速やかに実施に向けた必要な措置を検討してそれを講じていくというふうにこの四条は理解してよろしいんでしょうか。
  60. 松本剛明

    衆議院議員(松本剛明君) 神本委員にお答えを申し上げたいと思います。  今大臣からお話がありましたとおり、この第十二条、「国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとする。」と、この内容は御指摘のとおり、第四条の基本方針の中の一条でございます。その意味で、法制上の措置は三年以内に講ずるものと定められている。あわせて、この法律の施行後五年以内をめどとして必要な措置を講ずるということになりますので、この自律的労使関係制度を措置するに当たって必要な措置は五年以内に講ぜられるものと、このように法案提出者としては理解をしているところでございます。
  61. 神本美恵子

    神本美恵子君 ありがとうございます。  それで、今のようなタイムスケジュールといいますか、で進められると思いますけれども、現在、来年から新しい人事評価制度が実施されるというような今の状況にございます。この能力・実績主義の人事管理に変わっていくという現在の改革の動きを考えれば、五年というのは時間が掛かり過ぎるのではないかという感じもいたします。  大臣は、これも衆議院内閣委員会で、専門調査会が一年半で報告を取りまとめたので、当然その辺りの時間感覚で国公法を改正する場合も改正を検討するんだというふうにお答えになっておりますけれども、三年以内ですけれども、その辺りの時間感覚という、私としては今の人事管理の在り方の変化といいますか、改革の動きを見ていますと、できるだけ早くこれはやる必要があるのではないかというふうに思っておりますので、協約締結権付与の問題についてもできるだけ早期に実施ができるようにしていただきたいというふうに思いますけれども大臣の決意をお伺いできれば、大臣法案提出者、両方お願いします。
  62. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 先ほど松本提出者が述べられましたように、法四条においては、一般的な措置は五年以内を目途、法制上の措置は三年以内を目途と書き分けています。法制上の措置の場合、政府法案を提出した後、国会法案が成立し、政省令の整備などがございます。そうした整備を行った上で施行されるまでに時間を要することから三年以内としたものでございます。  先ほども申し上げましたように、専門調査会の議論は出口なき議論でございました。私が大臣になりましてから十か月で結論を出していただいたわけでございます。これからどなたが大臣になるか分かりませんけれども、やればできるんだという見本であろうかと思います。
  63. 松本剛明

    衆議院議員(松本剛明君) 今大臣から御決意のお話がございました。特に、期限の第四条は政府に対する求めでございますので、大臣の御決意に従って進めていただくことを私どもも期待をするわけでありますが、ここにおいても三年以内、五年以内というふうに法に定めているところでございますが、残念ながら、これまでは言わば、あえて申し上げれば、官僚主導国家では五年以内というのは五年まででいいと、三年以内なら三年まででいいというふうに解されるおそれもあったわけでありますが、まさにこの法律は、これから政治主導の政治であり、また国の体制、公務員の体制をつくっていこうということでございますので、ここがまた同じような解釈になることのないように、政府に対する要請でありますが、我々も国会の場にあってしっかりとその行方を注視すると同時に強く促していくようにしていきたいと、そのように思っているところでございます。
  64. 神本美恵子

    神本美恵子君 渡辺大臣、提出者、両方の本当に力強い決意をいただいたわけですが、渡辺大臣、このままこの法案提出までやっていただければいいなと思いますが、そんな勝手なことを言っても仕方がないことで、今の御決意を、やればできるんだと、そのことを是非、もしお替わりになる場合には次の方にしっかり引き継いでいただきたいと申し上げたいと思います。  そこで、次に人事院総裁にお伺いしたいんですけれども人事評価の在り方が能力・実績主義ということで変わっていくわけですけれども、今回の改正でも人事評価以外に、第九条で、職員の倫理確立、信賞必罰規定というところで、守秘義務違反の厳罰化というものが盛り込まれております。人事評価については本来なら労使関係できちんと処理をされることが基本であるというふうに思いますけれども、労働基本権の付与と一体的で本来ならあるべきだと。昨年の国公法改正で、残念ながら労働基本権の付与に先行して人事評価の本格実施が行われることになっております。  今、新たなこの人事評価制度の設計については行革推進本部事務局が担当していらっしゃいますけれども、公正な人事行政を実施するという観点から、公正公平な評価制度となることが今非常に肝要ではないかと思います。これもまた、今日午前中の参考人質疑の中でも、参考人からも、人事院というのは労働基本権の代償機関として、人事院勧告さえやっていればいいという言い方をされたりもしたんですけれども、そういう代償機関としての機能と、もう一つ重要な人事の公平中立、公正性を確保するという、その機能がこれからますます重要になるのではないかというふうに参考人の方も指摘をされておりました。  人事評価や守秘義務違反の厳罰化が恣意的に行われるようなことになると、そのことがかえって現場の公務員のやる気といいますか誇りといいますか、士気をそぐことになりかねないと思います。そこで、人事評価制度やその運用が公正で公平なものとなって、そういう恣意的な不利益処分を受けないようにする、そういうことを排除するということが確保されるためには、人事院による人事行政中立公正性確保、職員の利益保護という機能がますます重要になってくると思いますけれども、それについて人事院総裁の御見解をお伺いしたいと思います。
  65. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) 人事評価制度につきましては、私ども、これまで総務省と連携をしてその試行を行ってまいりましたし、今先生お示しになりましたように、この制度内閣官房において御検討中でございますが、私どもも連携を取っており、必要に応じて意見を申し上げたいと思っております。  それはそれといたしまして、公務の民主的かつ能率的な運営を保障することを目的といたします国家公務員法の下で、公務員には厳正な服務規律が求められておりますとともに、昨年改正されました国家公務員法において、職員の任用、給与、その他の人事管理を新たな人事評価に基づいて適切に行わなければならないと、そういうこととされております。  一方、ただいま御指摘いただきましたように、憲法に規定されております国民全体の奉仕者としての公務員の位置付けを確保いたしますためには、職員が安んじて公務に専念することができますように、人事行政中立公正に行われ、恣意的な人事や処分が行われないようにするための制度的な保障ということが極めて重要であると考えております。  今回の法案は、内閣人事局を設置することなどによりまして公務員人事に対する内閣大臣リーダーシップを強化しようという御趣旨のものと承知しておりますけれども、こうした措置を講ずることとなりますと、公務員人事中立公正性を保障し、職員の利益保護を図る仕組みの重要性というものが更に高まるものと考えられるところでございます。  今回の改革は、こういった中立公正性の確保の在り方そのものを見直す趣旨のものではないということは承知しておりますけれども改革の具体化に当たりましては、こうした人事院の機能に影響することのないように十分配慮される必要があると考えております。  それからまた、私どもといたしましては、国家公務員法において中立第三者機関として設けられております人事院が、人事行政中立公正性の確保や職員の利益保護を図る使命を与えられておりますことの意義を十分に認識いたしまして、今後ともその役割を怠ることのないよう心掛けてまいりたいと考えております。
  66. 神本美恵子

    神本美恵子君 ありがとうございました。  次に、第二条の理念に「男女共同参画社会の形成に資する」ということが修正によって盛り込まれたわけですけれども、これについては私も本当に感謝申し上げたいというふうに思っております。  公務員制度の総合的な改革に関する懇談会、この改革議論されたところだと思いますけれども、その中では、男女共同参画や女性参画ということについては十分に議論されずに、政府原案の中には明記されていなかったということは大変残念なことであると思います。そういう経過であるために、この男女共同参画社会形成に資するということがせっかく第二条に盛り込まれましたけれども、それに対応する具体的改革案まではこの法案には明示をされておりません。  そこで、まず提案者にお伺いしたいのですけれども、これを修正の段階で盛り込まれたその含意といいますか、どのようなことを念頭に置いてこの理念を盛り込むことにされたのか、お伺いしたいと思います。
  67. 佐々木隆博

    衆議院議員佐々木隆博君) お答え申し上げます。  神本委員には、党の中にあっても常に男女共同参画に熱心に取り組んでおられまして、敬意を申し上げる次第であります。  男女共同参画の推進については、今委員が御指摘のとおり、第二条第六号の基本理念に「男女共同参画社会の形成に資する」という形で文言を追加させていただいたわけでありますけれども政策決定過程への女性の参画の拡大については民主党としても強く求めていたところでありますが、今委員が御指摘のように、修正すべき項目がなかったというようなことで基本理念の中に盛り込むことにしたところでございます。政策決定過程への女性の参画の拡大については、公務員が率先して男女共同参画社会の形成に資するべきとしたものでございます。  なお、政策決定過程への女性の参画の拡大については、男女共同参画基本法の男女共同参画基本計画で、平成二十二年において国家公務員の採用者に占めるⅠ種試験の事務系の女性比率を三〇%程度、平成三十二年度において指導的地位に占める女性の比率が三〇%程度と定めております。遅過ぎるという御指摘もあるかもしれませんが、この度の公務員制度改革の理念に盛り込まれたという趣旨を踏まえて、今後、関係法令の整備などを含めて、これらが確実に実現することとなるというふうに考えているところでございます。
  68. 神本美恵子

    神本美恵子君 ありがとうございました。かなり詳しく言っていただきました。  実は、先ほども言いましたように、この制度懇の中では恐らく一度もこのことは議論されなかったのではないかと私はひそかに疑っているんですけれども、この男女共同参画社会というのは、この国も、国会としても基本法を作成して、その基本法に基づく基本計画が作られて、そしてそれを進めるための推進本部、総理を本部長とする推進本部がつくられて、そしてその下に参画会議というのが置かれて、本当に立派な体制で進められているんですけれども、そして様々なあらゆる分野にこれは取り組まれていますので幅広いんですが、その中で公務員、とりわけ国家公務員の指導的立場における女性の参画率というのは、数値目標を掲げて取り組んできたにもかかわらず進んでこなかった。国際的にもう本当に恥ずかしい状況にあるということで、私は、国家公務員制度改革議論するならば当然このことは入るべきだと思っておりましたので、今回これが理念に盛り込まれたことを改めて繰り返し感謝申し上げたいと思います。  そこで、これについては人事院が女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針というものを定めまして、各府省は、今提案者の方にも言っていただきましたけれども、二〇一〇年度までに目標を設定して、女性職員の採用・登用拡大計画を策定し、その実現を目指しているというふうに聞いております。ちなみに現在は、指導的立場の女性公務員、課長級以上になると思いますけれども、現在は一・七%しかいません。二〇一〇年までに五%、二〇年までに三〇%という目標が設定されております。  ところで、四月八日に内閣府の男女共同参画推進本部がこれを加速しようということで、女性の参画加速プログラムというものを決定して、重点的取組として、医師と研究者、地方、国、両方の公務員を特出ししてといいますか、特別に取り上げて、ここが率先して女性参画を進め、ほかの分野に広げていくべきだというふうに政府としてこれは決定をしております。  少なくともこのプログラムに明記されている目標は是非とも実現していただきたいし、この二条に盛り込んだわけですので、国家公務員制度改革推進本部においても、その具体的な検討課題として男女共同参画社会の形成に資するための女性国家公務員の指導的立場における女性の割合を増やすという、このことをきちっと位置付けて対応していただきたいというふうに私は思っておりますけれども、これについて、参画加速プログラムへの対応、この二条の理念を踏まえた一層の取組について、人事院と渡辺大臣、両方にお伺いをしたいと思います。
  69. 尾西雅博

    政府参考人(尾西雅博君) 国の行政への女性の参画は、これは男女共同参画社会実現のために積極的に取り組む課題であるというふうに私ども認識しております。したがいまして、女性国家公務員の採用、登用の拡大を図っていくことが重要であるということでございます。  このため人事院といたしましても、先ほど先生から御紹介ありました女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針を発出しまして、各省の取組を現在促しているところでございます。  また、今御指摘ありました今回の基本法案修正案の理念ですとか、あるいは先般、男女共同参画推進本部で決定されました女性の参画加速プログラム、この趣旨を踏まえながら、今後とも政府全体として一層の取組の推進が必要だというふうに考えております。  こういった中で、人事院といたしましては、女子学生セミナーなどを通じた女性に対する募集活動を積極的に実施する、あるいは職員に対する意識啓発、さらには勤務時間の弾力化などの女性が働きやすい勤務環境の整備などを行っていまして、こういった取組を今後とも引き続き進めてまいりたいというふうに考えております。
  70. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 先ほど来申し上げております国家公務員制度改革推進本部は、内閣自体がその責任の下に総合的かつ集中的に改革に取り組むことにいたしております。当然、すべての閣僚から構成されます。男女共同参画担当大臣、現在は上川大臣でございますが、本部員であります。他方、私自身も男女共同参画推進本部の本部員であります。御指摘の女性の参画加速プログラムも私も出席いたしました第十七回会議で決定されたものでございます。  国家公務員制度改革の推進に当たっては、男女共同参画担当大臣や男女共同参画推進本部との連携を密にしていくことにいたしたいと考えます。
  71. 神本美恵子

    神本美恵子君 ありがとうございました。  終わります。
  72. 松井孝治

    ○松井孝治君 午前中に引き続いて午後は対政府質疑ということで、官房長官も大変お忙しい中、一昨日は官房長官のお顔を余り拝見しなかったものですから、今日は官房長官にもしっかり公務員制度に関して御答弁をいただこうと思って、お忙しい中御出席いただきました。  最初に、この基本法案とは少し離れるんですが、密接に関連しているものですから伺いたいと思います。  昨年、渡辺国務大臣責任者になられて国家公務員法改正案を出されまして、成立をいたしました。この国家公務員法改正案については、実はまだ施行がされていません。したがいまして、その改正国家公務員法については、渡辺国務大臣法案を提出したという意味においては主務大臣であり、そして、その改正法が有効に施行されて国家公務員法に改正法が溶け込みましたら、その一部は例えば官房長官、今日お伺いする項目などは官房長官が主管大臣になられるということで、今日は両大臣に必要に応じ御答弁をいただきたいと考えています。  まず最初に伺いたいのは、官房長官、その昨年の改正国家公務員法、この附則一条、ここに基本的な、いつから施行されるかということが規定されているわけでありますが、この附則一条というのは平成二十年の十二月三十一日までの政令で定める日に施行すると書いてあるわけでありまして、これは政府にこの昨年成立した改正国家公務員法は本年中に施行させるということを義務付けているものと私は解しますが、官房長官の御理解はそれでよろしいでしょうか。
  73. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 私もそのように理解をしております。
  74. 松井孝治

    ○松井孝治君 ありがとうございます。  次に、この附則一条に基づきまして施行日を定める政令というのが公布されますと、その施行日が、例えばそれが十月一日になるのか十二月一日になるのかいつかは分かりませんけれども、その施行日から改正法が施行されるということになるわけであります。  その昨年の法案をもう一度読んでみますと、改正法の中には、内閣府に官民人材交流センターを設立するという規定がございます。同時に、再就職等監視委員会をやはり内閣府に設置するという規定がございます。したがいまして、この改正法が施行されますと、これらの両規定共に、これは昨日内閣府の方にも確認をさせていただいておりますが、両規定とも施行日において設置されるということになるというふうに私は理解しておりますが、官房長官もそういう理解でよろしいでしょうか。
  75. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) そのとおりだと思います。
  76. 松井孝治

    ○松井孝治君 ありがとうございます。  要するに、例えばこの政令というのは、結局、この年内にいついつという日にちを決めて公布しなければいけないわけでありますが、それが公布した段階で官民人材交流センターというのが設置され、そして再就職等監視委員会も設置されるということが、今官房長官、明確に御答弁をいただいたので明らかになったというふうに思うわけであります。  そこで、再就職等監視委員会というものは、この改正国家公務員法の規定に基づくと、同委員会委員長委員は両院の同意を得て任命されるということ、そして存在しているということが基本的には改正国家公務員法の前提としてあると思うんですね。ですから、基本的に、改正国家公務員法が施行されるまでの間に再就職監視委員会委員長委員が両院の同意を得ているということをこの改正国家公務員法は前提としていると私は解しますけれども官房長官、そういう理解でよろしいんでしょうか。
  77. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 前提という意味がちょっと必ずしもはっきりいたしませんけれども、いずれにしても、法律施行日前に、委員長及び委員の任命に関して必要な行為は施行までに国会の同意を得て、そして、施行に合わせて委員長及び委員を任命するという構成になっているというふうに理解をしております。
  78. 松井孝治

    ○松井孝治君 これちょっと事務方で結構ですが、政府参考人にもおいでいただいておりますが、施行というのは年内にしなければいけないですね、それは法律がそういうふうに定めています。したがって、年内に施行をいたします。遅くとも十二月三十一日までには施行をいたします。その時点で、もし何らかの事情で再就職監視委員会委員長あるいは委員が欠けている場合に、法律上、再就職監視委員会は、さっき明確に官房長官がお認めになられたように、内閣府に置かれているわけです、施行された時点で、だけれども、何らかの事情でその委員長委員が任命されていないという状態になると、法律上、官民人材交流センターはもうできているし、そして再就職監視委員会もできているけれども、そのメンバーがいないということになったときに、法律の一部の事務は、これは施行されない、そういう矛盾した状態というのは起こり得るんでしょうか。
  79. 小林廣之

    政府参考人小林廣之君) 今のお尋ねの再就職等監視委員会委員長及び委員についてでございますが、今お話ございましたように、改正後の国家公務員法の百六条の八におきまして、「両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。」というふうに規定されております。  したがいまして、私どもとしましては、法を施行する立場から委員長及び委員が任命されるということのために努力をする義務があるかと思っておりますので、委員長及び委員が任命されずに委員会が機能しないというような事態については想定をしていないというところでございます。
  80. 松井孝治

    ○松井孝治君 いや、想定しているかどうかということではなくて、そういうことはあり得るわけですよ、理論的に、同意がなされなければ。そのときに、法律上、その再就職監視委員会が設置されている、もう既に。だって、年内に法律は施行しなければいけないわけですから。そういう法律の定めが附則一条にあるわけですよ。しかしながら、そこで例えば委員長委員もいないということだったら、一部の事務、例えば、各省がこの法律施行後三年以内に、渡辺大臣、次聞きますから聞いておいてくださいね、この法律施行後三年以内は各省のあっせんが認められているわけですね、今の人事院の承認というものに代わって内閣総理大臣が承認するという枠組みの下で三年間は認められている。三年間は認められているし、その承認権限は再就職監視委員会に委任されているわけですね。専ら委任されているわけです。そういう状況で、できているけど人がいない、再就職監視委員会は人がいないという状態になったときに、各省の個別のあっせんの承認というのができるのかできないのか、大臣、ここが問題だと思うんですね。  要するに、委員会は、その法律の施行、年内では必ず委員会が設置されるわけですから、例えば来年の一月一日以降というのはこの法律は施行されていないといかぬわけです。それは法律に定めているわけですから、政府責任なんです。ところが、一月一日以降、もしその同意人事が両院の同意を得られていなければ、委員長委員もいないという状態が、一月一日以降そういう事態が招来した場合に、これは各省のこの法律施行後三年間できるあっせん、これについて承認を与える機関が機能しないということになるわけです。そうなると、各省のあっせんの承認というのができないと解するべきなのかどうか。そこを大臣、端的にお答えいただきたいと思います。
  81. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 法改正の時点での担当大臣としてお答え申し上げれば、改正法の附則の五条二項において、内閣総理大臣が承認する権限は再就職等監視委員会に委任すると規定されています。委員会が承認を行わず、かつ他の機関にも委任していない状況において他の機関が勝手に承認を行うことは一般には想定されていないものと考えます。
  82. 松井孝治

    ○松井孝治君 いや、一般にはないじゃないんですよ、大臣大臣はこの改正国家公務員法を国会に提案された大臣なんですよ。ですから、この法律国家公務員法に溶け込むまでは大臣が主管大臣なんですよ。だから、そういう場合に再就職監視委員会が機能しない、要するにメンバーがいなくて機能しないときに、これは個別の各省のあっせんした再就職を承認する委員会が機能していないわけですよ。委員会自体は設置されているかもしれないけど、委員長もいない、委員もいないわけですから、その場合は各省の再就職あっせんはできないと解するべきかどうか。これは有権解釈権者でもあるんですよ、大臣、その法が施行されるまでの間は。大臣、お答えいただけますか。
  83. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 衆議院内閣委員会で山本副大臣からお答えをしております。  かいつまんで申し上げますと、内閣総理大臣の承認の権限は、附則第五条二項の規定により再就職等監視委員会に委任をされており、委員会が専らこれを行使することが予定されている、そして、委員の任命がされないと委員会が承認等の権利は行使ができないと解釈しているとの答弁をいたしております。
  84. 松井孝治

    ○松井孝治君 いや、ですから、委員がいないわけですからもちろん委員会は承認できないんです。承認ができないということは、各省の三年間に限り認められていた就職あっせんはできないということになるんですかと、そこを聞いているんです。委員会が承認できないのは当然ですよ、メンバーがいないんですから。
  85. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) まあ常識的にはそういうことだろうと思います。
  86. 松井孝治

    ○松井孝治君 私も常識的にはそう思うんです。  ところが、どうも政府の質問主意書に対する答弁等を見ても、それから、個別に政府方々に話しても、じゃ、できないんですねと言うと、いや、法律は予定していませんというふうにおっしゃるんですよ。法律が予定していないということはできないということですかと伺ったら、いや、私はそこまで言う権限はありませんというふうにおっしゃるので、よく分からないんです。  そこで、官房長官に伺いたいわけでありますが、要するに、法律上、委員がいないだけで、この法律が施行されたときに、昨年の改正国家公務員法が施行されたときには再就職監視委員会内閣府に設置され、そして具体的には官民人材交流センターもそのときは設置され、そして各省が向こう三年以内については個別にあっせんをするということが限定的に認められている。ただし、総理が承認した場合、そしてその総理の承認権限は再就職監視委員会に授権されている。この状態で、しかし国会が同意してくれない、このメンバーについて。そうだとしたら法律を施行することができないじゃないかと、国会が同意してくれない限りにおいては。その承認権限は内閣総理大臣にあるとまず書いてあって、そこを再就職監視委員会に授権しているんだけれども、授権している再就職監視委員会が機能しないわけだから、その間は緊急避難的にこれ、法律を施行する責任政府にあるわけだから、これは内閣総理大臣が個別によく見て審査をして再就職あっせんを認めます、こういう解釈官房長官、あるんでしょうか。
  87. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 私はあると思っております。  ただし、どうも持って回ったようないろいろいろいろ前提を付けて言っておられる。どうぞ、今同意人事でお出しをしているので、そのことを理由にして同意しないということは多分なさらないんだろうなということだけはあえて申し上げさせていただきます。
  88. 松井孝治

    ○松井孝治君 そこは非常に大事なポイントでありまして、ただ、私はここは法律論をお聞きしているわけです。  というのは、今、渡辺大臣は常識的にそういうことはないとおっしゃった。ぎりぎり僕は法律論を詰めていったときに、それは予定していないということを法制局の方もおっしゃるし、あるいは内閣府の方もぎりぎりそれは予定していないから、でも、そこから先は本当にあるのかないかということは自分たちではお答えできないとおっしゃったんで、私はこの問題についての、改正法が施行されたときの責任者は官房長官でいらっしゃいますから、その可能性があるのかないのかということをお尋ねしたら、その可能性はあり得るというふうに今お答えいただきました。渡辺大臣は、これは改正法が施行されたら官房長官責任者でありますが、改正法が施行されるまで、要するに改正法を出した責任者として常識的にないとおっしゃったけれども、今法律論としては官房長官はあり得るとおっしゃいましたけれども、今の官房長官の御答弁を聞いて、ああ、なるほどそうだと思われますか、あるいは私の官房長官の御答弁をいただくに当たっての説明を伺ってなるほどと思われますか。
  89. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 官房長官の下にこの人材センターは置かれますので、官房長官のおっしゃるとおりだと思います。
  90. 松井孝治

    ○松井孝治君 私はここで同意人事是非というものを論じる立場にありませんので、これ以上この議論はいたしません。  ただ、非常に重要な問題でありますし、また我々自身の行動も国民にも見られているし、法制度的に言えばいろんな議論があるということをここは材料として提供し、官房長官、今、改正法を提案された渡辺大臣は常識的にはないということだけれども、最終的に法理論的には官房長官があり得るということであればそれに従うという渡辺大臣の御答弁も含めて確認をさせていただいて、本件についての質問は、本法案、今日議題になっている法案趣旨とは違いますから、これで終わりたいと思います。  官房長官、お疲れさまでございました。ありがとうございました。
  91. 岡田広

    委員長岡田広君) 町村内閣官房長官は御退席いただいて結構です。
  92. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) どうもありがとうございます。
  93. 松井孝治

    ○松井孝治君 それでは、本題に移らせていただきたいと思います。  先ほど来お話に出ておりますけれども、この法案が成立をいたしますと推進本部というものが設置をされて、そこが一月以内でしたですね、大臣、動き出すということになります。それで、この法案の二十条では、その推進本部の事務局長というのは公務内外の人事管理制度に関し識見を有する者を充てることになっており、民間人登用を図ると解するべきではないかと私は考えます。  そこの点について、あるいは公務内外の人事管理制度に関して識見を有する者を登用するという意味においては、例えば公募などを活用されるおつもりがあるのか。あるいは、これ時間がないのでまとめてお伺いしますけれども、事務局長だけじゃなくて、事務局のスタッフですね、こういう方々も当然公務内外の人事管理制度に識見を有するような方々を集められるということになるのじゃないかと思うんですけれども、この辺りについて大臣はどういうスタンスで取り組まれるのか。  具体的に言うと、民間人登用とかあるいは公募を活用するのかどうかとか、あるいは、今日午前中の参考人質疑では、ある参考人からは、半分ぐらいは民間人を登用すべきではないかと、このスタッフにですね、それぐらいして、要するに公務の内側も外側も専門的に分かっている人が新たな人事制度を設計すべきではないかという意見も開陳されましたわけですが、渡辺大臣の御見解を伺いたいと思います。
  94. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 推進本部の事務局体制につきましては、今後、官邸とも相談して決めていくことになります。御指摘のように、民間人登用も視野に公募を活用すべきであるとか、事務局スタッフの相当数を民間人とすべきであるとかいった点は、いずれもごもっともな点であろうと思います。  特に事務局長につきましては、法の二十条でも「公務内外の人事管理制度に関し識見を有する者」と明記をいたしております。役所の人事制度だけでなく、民間における人事制度や運用も十分理解している人材を充てる必要がございます。従来型の年次順送り人事ではなく、公募により、改革意欲と能力、適性のある人材を募ることは望ましいことであると考えます。  また、御指摘のスタッフにつきましても、民間の方に相当数入っていただいて、新しい知恵、発想をどんどん持ち込んでいただくというのは大変結構なことであろうと思います。私としては是非そういう方向で進めたいと思います。
  95. 松井孝治

    ○松井孝治君 ありがとうございました。  時間がないので次に進みたいと思います。  修正案提案者にもちょっとお聞きをしたいと思っています。  まず、おととい、大分詳しく内閣人事局と各省の関係とを聞かせていただきました。政府案とこの修正案との違いの中で、政府案は各府省にも候補者名簿の原案を作成するという規定があったわけであります。修正協議の中でその規定を削除して、候補者名簿は内閣人事局が作成するというふうに規定したわけでありますが、このことは、各府省は候補者名簿は作成できない、当然削除したわけですから私はそういう理解だと思うんですけれども、この点、修正案提案者に確認をさせていただきたいと思います。
  96. 松本剛明

    衆議院議員(松本剛明君) 松井委員に御回答申し上げます。  御指摘のとおりでございまして、各府省が候補者名簿の原案を作成するといった規定を削除いたしましたわけですから、これは候補者の名簿の作成は内閣人事局が行うものというふうに解釈をいたしております。  組閣の際に、各派閥の名簿、推薦名簿が出されるといったような報道がなされることが、私は残念ながら携わったことがないので実態は分かりませんが、と同様に、各府省がそういった推薦名簿をお出しになるということを時の政権がお認めになるかどうかというのはそれぞれの判断だろうというふうに思いますが、派閥の横行、専横と言われるのと同様に、法に従って内閣人事局が名簿を作成すると、その趣旨を生かした実態にしていただきたいというふうに考えております。
  97. 松井孝治

    ○松井孝治君 政府側の解釈も伺っておきたいと思います。  今、修正案提案者は明確にお答えいただきましたが、大臣も同じような考え方かどうか確認をさせていただきたいと思います。
  98. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) この部分の修正案趣旨は、候補者名簿の作成は各府省にやらせず、内閣人事局が一元的に行うということであったと理解をいたしております。国会においてこのような修正がなされたことを重く受け止め、政府として今後の制度設計及び運用を行う必要がございます。間違っても、水面下で各省が候補者名簿を作り、内閣人事局はそれをホッチキスするだけということになってはならないと考えます。
  99. 松井孝治

    ○松井孝治君 分かりました。大臣が強い決意で臨まれるという意思は、今の例示の中にも表れていたと思います。  修正案提案者にもう一点、ちょっとこの法案自身に書かれていない点なんですけれども、確認をしておきたいと思います。  民主党が今回提案された天下り禁止ということについての規定、結局これは盛り込まれなかったわけですが、従来民主党が主張されていた、在職中の職務と密接に関連する職に一定期間就くことを禁ずるクーリングオフ規定を厳格化しろというふうに民主党は従来言っていたと思うんですけれども、それが今回盛り込まれていませんでした、元々民主党の原案に。そのことについて、どういう理由なのか、教えていただきたいと思います。
  100. 松本剛明

    衆議院議員(松本剛明君) 私どもは、天下りと、及びそれに伴って国民の大切な税金が国民の求める使われ方でない使われ方をしているということは看過できない問題だと、このように認識をこれまでもしておりますし、現在もその対応をすべきだということをまず第一に申し上げたいと思っております。  その上で、これまで私どもも、言わば最も即効性のある措置として再就職の事前規制措置というものをこれまでも求めてきたわけでありますが、今回国家公務員制度の在り方を根本的に議論をするに当たりまして、これからの官民の交流といったことの重要性、特に今回、幹部職等を中心に有為の人材を内外から登用するということを促進をする必要があるということを総合的に勘案した場合に、再就職の事前規制といったクーリングオフの制度といったものを持つことのプラスとマイナスを総合的に勘案しつつ、なおかつ、今回も、また今後も求めてまいっておりますけれども、契約等の監視という形で、税金の使われ方を徹底的に監視をすることで税金の流れ方をしっかりと監視をするということによって天下りの弊害を取り除くことができるのであれば、総合的に勘案した結果、全体として内外の人材の登用、そして天下りの弊害の除去といったものを勘案した場合に、この事前規制といったものは今回は設置を求めないという形で判断をさせていただいたところでございます。
  101. 松井孝治

    ○松井孝治君 ありがとうございます。  私も、こういう内閣一元で内外から幅広い人材を登用しようという中で、そういう判断に至られたことを理解するものであります。  続きます。  大臣に伺いますが、今回、私ども幾つかの狭い意味での公務員制度以外の改革案も出させていただいて、与野党協議の中で必ずしも法案の中に取り入れられなかったものについて幾つか大臣の御見解を伺いたいと思います。  午前中の参考人質疑の中でも、三人の参考人のうちお二人の方々は、これだけスピードがどんどんどんどん諸課題が目まぐるしく現れている状況の中で、行政組織編成というのはやっぱりもっと弾力的に行わなければいけない。しかも、総理大臣はやっぱり選挙を通じて議院内閣制で国民の民意で選ばれている中で、役所のいろんな所掌を全部法律で決めて機動的に役所の再編成ができないという状況はいかがなものかと。三人のうちお二人の方が、そこは各省設置法で細かいことまで決めるのではなくて、それは例えば政令に委任するというような形でもっときめ細かく行政課題に省庁の枠を超えて対応できるべきではないかという御意見をいただきました。  その意味で、今回の法案の中では各省の権限の言わば後ろ盾になっているような各省設置法の廃止を含めた行政組織編成の弾力化というのは盛り込まれていないわけでありまして、三月に委員会大臣の御答弁を伺ったときには、大臣、前向きな御答弁をいただいたと思いますが、今この修正協議を経て、大臣はこの点についてどうお考えでしょうか。
  102. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 三月にもたしか申し上げたかと存じますが、昨年、私が規制改革担当大臣をやっておりましたときに、規制改革会議に対して提案をしたことがございます。時限的に設置法の壁を取っ払ってみたらいかがでしょうかと。省庁横断的なプロジェクトについて、例えば幼保一元化とか、そういったところでは一種の霞が関特区みたいなプロジェクトチームをつくってやってみたらどうかという提案をしたわけでございます。残念ながら、まだこういったことは実現はいたしておりません。  今回、こうした大胆な公務員制度改革をやってまいりますので、各省設置法の弾力化ということについては私もかねて問題意識を持ってきておりますが、早急に取り組むべき課題と認識をいたしております。
  103. 松井孝治

    ○松井孝治君 ありがとうございます。  時間がありませんので、次に行きます。  今回、先ほどもちょっと天下りの話が出ましたが、我々が主張した、再就職あっせん、組織として再就職あっせんすることをもう禁じようと、その代わり六十五歳まで定年は延長していこうと、我々、簡単に言うとそういう提案をしていたわけですが、それは残念ながら盛り込まれませんでした。ただ、定年延長の検討というのは、これは与党の御理解も得て、検討は六十五歳という年齢まで付してこの法文の中に入れることができました。これは私、前進であると思います。  さすれば、そういう定年延長の検討が盛り込まれたのですから、今回の法案の中に入っていなくても、例えば政府としての組織的あっせんを一定期限後にもうなくしていくような、そういう段階的取組について大臣は何かおっしゃれることがあるのかないのか。  例えば具体的に言うと、今の官民人材交流センター、これをある程度時限的に定年延長ができるというようなところでもう廃止して、もう政府は名実ともに組織的な再就職あっせんはやめるというようなことの方向性大臣の今後の意思として表明していただくことが可能であればお願いしたいと思うんですが。
  104. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 官民人材交流センターの制度設計に携わった有識者懇談会においては、このセンターは一定の期間を経て廃止する、いわゆるサンセット機関として位置付けてもいいのではないかという御意見もございました。報告書には盛り込まれてはおりませんが、こうした意見前提にしながら懇談会での議論はなされたものと思います。  今日の午前中の参考人質疑でも、金丸参考人でしたでしょうか、永続的なものとは考えていなかった、同友会としてはむしろ緊急措置として理解をしていたという御趣旨答弁があったと伺っております。  今回の基本法が成立をいたしますと、今後、定年まで勤められる環境の整備あるいは定年延長などに取り組むわけでございます。また、官民の垣根を下げ、人材の流動性を抜本的に高めていくことになります。こうした取組が進んだ段階で、官民人材交流センターが必要なのかどうかというのは当然その時点で議論されるべきものと思います。
  105. 松井孝治

    ○松井孝治君 我々民主党は、我々が政権を取ったときにはもうこの再就職あっせんというのはやめると、定年はもう段階的に必ず延長する、そういう明確な方針を持っていますし、そのことを改めて国会の場でも明らかにしていきたいと思いますが、大臣がおっしゃったそういう方向性は、やはりそれは自民党も含めて少なくともそちらの方向に向かっていただかなければいけないので、我々から見ればそれは満足できるものではないにしても、是非それはその方向で進めていただきたい、そういうふうにお願いをしておきたいと思います。  もう一点、今日の午前中の参考人質疑でも話題になりましたけれども政治主導という言葉は入っているけれども、やはり今の状況というのは政府与党が二元的になっていて、政治家が自ら行政組織あるいは内閣の中に責任ある立場にいる人はまだまだ少なくて、与党の中からいろいろ要求をする、そういう姿である限りはやはり政官の役割分担、政官関係の適正化というのはまだまだ道のりが遠いんじゃないかと、そういう趣旨の御発言もあったように思います。  我々が要求していた副大臣政務官の増員、あるいはもっと国会議員政府の中の職に就ける、これは国会法のまだ規制がありますから、そこをもう少し緩和してもう少し幅広い職に、私、何でもかんでも国会議員政府の中に入るべきだと思いませんけれども、もう少し増やしていって行政運営にもっと国会議員責任を持たなければいけないんではないか、そうしないと国会議員の意識も変わらないんではないかというふうに私は思っておりますけれども、この点も、今後の課題として、大臣政治家としてどうあるべきか、御発言をいただきたいと思います。
  106. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 今回の改革プランは、いわゆる霞が関改革プランでございます。政官一体改革というのは、これ避けて通れないものだと思います。次のステップの課題として、民主党が御提案になられているような政治改革は大いに前向きに検討をしていくべき課題と考えております。  こうしたテーマというのは、本来、与野党の壁を越えて議論されていかなければなりません。今回の法案与野党の壁を越えて修正合意を見たのと同じように、こうした議論が進展していくきっかけに今回の基本法案がなることを大いに期待するものであります。
  107. 松井孝治

    ○松井孝治君 おっしゃるとおりだと思うんです。我々も、政権交代可能な政治をつくっていく、そのときには、今回の法案で一歩前進で、内閣人事局というところが一つの大きな窓口になって人材プールをつくってそこに外部人材も登用していく。登用するんだけれども、ある政権の下でそこで登用された方々が全く違う政権になったらパージされてしまう、そうしたら、せっかく職をなげうって政権に、その政府の中に入って仕事をしようと思われた方々も、野たれ死にと言ったら言葉は悪いですけど、結局だれも責任を取らない、そういう形になってしまう。  そうではなくて、やはりお互い政権交代をしのぎを削る中で、別の政権が採った人材についても、今度はその政権が下野した場合にどこかできちんと処遇するということは認めていくという社会をつくっていかないと、私はいつまでたってもこの霞が関に外部の入っていこうという方々がなかなか入ってこれない。そういう障害を取っ払っていくためにも、私は、言ってみれば我々は競争する立場にもありますけれども外部登用、そしてその方々を処遇するポジションというものはしっかりつくっていかなければいけないと思います。  例えば、私どもが提案したものの中には、国会の事務局というものをもっと充実して、そういうところに、例えばそういう外部人材の方々が政権交代のときは国会事務局の中にまた移っていかれて能力を発揮していかれる、あるいは国会の中に我々、税金の無駄遣いをなくしていくための、まあ日本版GAOというような行政監視をするような組織を、特にここ参議院はそういう仕事を党派を超えてやっていかなければいけないわけですが、そういうものをつくっていこう、そしてそういうところに民間の優秀な方々が来ていただける、そしてその方々が、場合によっては霞が関に行くし、場合によっては永田町、国会の中で政策立案あるいは政策評価、政策監視というものを手伝っていく、そういう文化をつくっていかないと、なかなか内閣一元の内閣人事局をつくったというだけで自動的に人材が集まってくるほど世の中甘くないと思うんですね。  その点も含めて大臣に、もう私、時間が参りましたので、最後の御答弁をいただきたいと思います。
  108. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) まさに、改革方向性としてはそのとおりであろうと思います。  今回の基本法案におきましては、国家戦略スタッフを特別職といたしておりますが、政権が替わってこの人たち一般職の国家公務員として仕事に復帰できるようなことも想定して基本法案を規定をしているところでございます。したがって、日本政治任用制度とでも言っていいのかもしれませんが、官から官、民から官、こうした人材流動化をいかに厚みを増していくかということも政官一体改革の中での大きな課題であろうと思います。
  109. 松井孝治

    ○松井孝治君 ありがとうございました。  終わります。
  110. 有村治子

    ○有村治子君 自由民主党の有村治子でございます。  まずもって、渡辺大臣始め修正案提出者の議会人の先生方、また今回の基本法制定に当たって御尽力をされている方々の御貢献を心を込めて敬意を表したいと存じます。  五月三十一日の毎日新聞に、政治評論家の岩見隆夫さんがかなり大臣に好意的な書き方をした記事を寄稿されています。紹介をさせていただきます。  渡辺喜美行革担当相の真っ赤な目から大粒の涙がほおを伝って落ちた。二十八日、国家公務員制度改革基本法案修正案衆議院内閣委員会で可決された直後、記者団のインタビューに応じたときである。テレビは涙が好きだ。渡辺大臣は、ハードルが山のようにあったが、国民の皆さんの強い支援をいただいたと声を詰まらせた。国民の二文字に実感がこもっていた。なぜなら、大臣はせっせとテレビに顔を出し、法案の成立が危ぶまれる中、霞が関改革を熱っぽく訴えた。それが功を奏し、国民世論が成立を後押ししたのは間違いないからだと述べていらっしゃいます。また、この修正案をまとめられた、与党と協議をされた民主党幹部の声も紹介されています。渡辺さんがテレビを通じてエンジンを吹かしたのは認める、あの話芸とパフォーマンスは父親譲りだと言う。そして、岩見さん、最後に、この記事の最後なんですが、そして、渡辺大臣は、父、ミッチーが果たせなかった夢を追うきっかけをつかんだというかなり好意的な記事になっております。  でも、私も拝見させていただいていて、何か幾度となく頓挫しそうになった、本当に数え切れないくらいの抵抗やあるいは懐疑心、猜疑心、そういうものを一つ一つ乗り越えて、まさに熟慮断行の最前線に立たれた大臣リーダーシップを心から敬意を表したい。そして、これがまだまだスタートラインだということも、自戒の念を強めた上で、一緒にやっていかなきゃいけないという思いを強めております。  そこで、まず最初にお伺いします。  渡辺大臣は、自らテレビクルーを引き連れて現場に乗り込んでいかれたテレビ作戦、いわゆる国民に対するPR効果をどう認識、評価されているでしょうか。ここで大臣がねらわれていたものは何だったんでしょうか。そして、それは期待どおりの功を成したと思われているのかどうか、お考えをお聞かせいただきたいと存じます。
  111. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) まず、私の方からテレビ番組に出してくれと頼んだことは一度もございません。先方様からオファーが参りまして、できるだけ私としては国民の皆さんに分かっていただくPRの機会として出演させていただいたものでございます。また、テレビクルーを連れていくというのはどの場面だったか分かりませんけれども、例えばこの間も独法改革の一環として私のしごと館というのを見てまいりました。これも別に私の方から頼んだわけではございませんが、メディアの皆さん方が大挙して取材をしていただいたわけでございます。こういう機会はまさに国民の皆さんに問題について分かっていただく非常にいい機会であろうかと思っております。  今回の公務員制度改革は、独法改革もそうでございますが、なかなか一般の国民の皆さんにはなじみにくい、取っ付きにくい課題なのではないでしょうか。そういう点で、分かりやすく問題点を解説をし、国民の理解を得る努力は必要かと思います。  なお、今回、このテレビ出演が功を奏したということでは決してなかろうと思います。やはり政府内においては総理の強いリーダーシップがあったがゆえに政府案がまとまり、官房長官が大変な御努力をされて調整に当たられたわけでございます。また、与党の事前審査においても、与党、自民党、公明党の皆様が大変な議論を闘わせながら、与党においても御了承をいただいたわけであります。  また、最終的に国会においては与党、野党の壁を越えて修正合意をしていただいたというのは、これは憲政史上画期的な出来事であると思います。したがって、こういう合意が行われたというのは取りも直さず国民の支持があったればこそできたものであると考えます。
  112. 有村治子

    ○有村治子君 熟慮断行の上に周囲への配慮も抜かりなくされるところに、やはりそれゆえに大臣の執念ということを感じます。本当に心からの敬意を申し上げます。  岩見さんもおっしゃっていますが、やはり渡辺大臣の今回の執念というのは小泉純一郎元首相に次ぐテレビ政治家の登場だというふうに言われています。それだけいろいろ功罪指摘されるところではございますけれども、やっぱり国民の皆さんに直接アピールをする力を持っていらっしゃるという意味では、これは大臣がそのポジションにあられることがすごく私たちにとってのアセットだと思っています。後ほど、国民の皆さん是非とも語りかけていただきたいと私が思っているところもありますので、またこの点については後ほど触れさせていただきたいと存じます。  それでは、修正案提出者のお一人であられます宮澤先生にお伺いしたいと思います。  今回、官僚から政治家にアプローチがあった場合はこの経過が記録に残されることになりましたけれども、政官の接触という点について、議会人から官僚側にアプローチを掛けた場合も記録公開の対象となるのでしょうか。また、もしこれが記録を取る対象になるということであれば、主にどんな項目についてレコードすることになるでしょうか。
  113. 宮澤洋一

    衆議院議員(宮澤洋一君) 今回、与党と民主党との修正協議の結果といたしまして、新たに政府案を修正いたしまして、第五条三項、政官接触については基本的に制限は設けないけれども、やはり透明化を図る、情報公開をしていくということで案を作らせていただきました。  今、議会人からのアプローチというお話がありましたけれども、あの条文を読んでいただければ、だれからどうアプローチしたかということについては一切規定をしていない。したがって、国会議員から、我々が政府の人にいろいろ尋ねる、また情報をこちらから提供するといったような場合でも対象になるという条文になっておりますが、どういうところまでどういう形で記録を残すというようなことについては、今後、政府の中で透明化、公開しなければいけないという二つを考えながら、一方で、いわゆる有効性といったものを考えて制度をつくっていただきたいというふうに思っております。
  114. 有村治子

    ○有村治子君 政官の接触について透明化を図り、公開を前提とすることによって、一部の報道では政治家からの口利きについても一定の効果があるのではという解釈をする向きもあります。もちろん、我田引水的な、恣意的な接触は許されるものではありませんし、これを政官双方が自重していくことはとても大事なことだと私も思います。  ただ、政官が接触することが必ずしも悪いことではないということも明確に申し上げなければならないと思っています。例えば、政官の接触について、各都道府県の知事など首長からの公式な要請があるのは御承知のとおりでございます。政府や公官庁が打ち出す新しい政策制度について最も新しい動向や正確な情報を教えてほしいという地方自治体の首長からの要請もありますし、天変地異、災害へのいわゆる政治的判断という場合もございます。  社会的に弱い立場に置かれた人々に対する政治的、社会的、人道的配慮を図らねばならないときに接触も必要になります。  例えば、実際私自身がかかわったことでございますが、この二月、富山県の黒部地域におきましては高波が発生して、海岸から大変大きな高波によって床上、床下浸水が起きました。そのときに、富山県の人々、議会人から、私は富山が大きな地盤というわけでは全くありませんけれども、何とか助けてほしい、生活を元に戻したいということで、激甚災害指定に何とか一緒になって闘ってくれないかというような、そんな本当に痛切な陳情というものもありました。  例えば、こういうときに現状どうなっているのか、どんな支援策があり得るのかという意見交換というものはとっても大事なことだと思っています。このような種類のものを一くくりに口利きと誤解してもらっては、国民生活に的確なタイミング、判断での奉仕はなかなかできません。  霞が関にベースを置いて、なかなか市井の声を恒常的に直接機会がない官僚皆さんに対して、政治家、議会人は選挙民、納税者、国民との対話を日常的に行っています。その声を代弁すべく議席をお預かりする議会人が、国民の声を官庁や政党本部に届けて、官僚と対等に渡り合っていく中で共に知恵を出す、国民の知る権利を擁護して、国民生活の安定と発展に努める議会人としての使命を全うしていくことはとても大事なことだと思います。また、官僚皆さんにとっても、議会人を通して世論の現状を探ることができるというメリットもあります。そういう意味では、慎重で的確なガイドラインを今後設置していただきたいと、引き続きモニタリングをお願いする次第でございます。  そんなことないという先ほどお声が聞こえましたけれども、実際にあったことをこれからちょっと実例で考えていきたいと思います。  国会図書館に検索依頼を掛けますと、官僚国会議員からの接触に対してこれを圧力と受け止めたと述べられている新聞記事が複数、ここ数年を見ただけでも検索することができます。補助金とか助成金とか、あるいは激甚災害でも、時にはゼロサムという限られたパイの中でその優先順位を決めていかなきゃいけないときというのも出てこようかというふうに思います。その中で、例えばそういう記事を拝見させていただくと、官僚国会議員に呼び出された、そしてこの件はどうなっているんですかというようなことを圧力と受け止めたというような記述がなされています。  こういうことはあってはならないし、あり得ないというふうに私も信じたいと思いますが、例えば官僚方々の一部の方が、この政党のこういう議員たちはうるさ型だからということで、接触があったときにこれを圧力と受け止めた、あるいは圧力と事後に主張をし始めたら、それに対して議会人というのはとても脆弱な立場に置かれます。  ですから、情報公開による透明化というのはとても大事なことで、私も支持いたします。しかし、やはり記録された内容について、言ったとか言わないとか、圧力があったとかなかった等のトラブルを避けるためにも、接触記録については政官双方の合意がとても重要な場合も出てくると思います。でなければ、議会人は何を記録されているか分からないという中で、後でそれを証拠に出されたときに極めて弱い立場に置かれます。  この点についての見解を、大臣またそれから修正案提出者にお伺いしたいと存じます。
  115. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 今御指摘になられましたような、記録の取り方によっては政治家の意図しないものとなっているじゃないかという御懸念もあろうかと思います。そういったことがないよう、基本法成立後の制度の具体化の中で検討してまいりたいと思います。
  116. 宮澤洋一

    衆議院議員(宮澤洋一君) 今、有村先生からお話があったようなことについては、衆議院の段階でも御質問を受けました。  今大臣答弁されたように、この話、かなり難しい話だろうと思います。役所の方が一応メモを取りながらやられている場合が多いわけですけれども、間違ってメモしている、誤解してメモしている、曲解してメモしているという場合もないではない。そういう中で、一方で、じゃ、政治家がうんと全部言わないと記録に残らないということになると、事後的にまた違う内容になってしまうといったようなことも考えられないではない。  かなり難しい問題だろうと思いますけれども、その辺、納得できるような方向で政府においてきっちり検討していただかなければいけないと思っております。
  117. 有村治子

    ○有村治子君 議会人とやはり官僚の双方が国民、国家に奉仕するという大きな目標に向かって、お互いに信頼関係を持ってフェアに共同していくことが大事だと私も思います。是非ともこの点についての御留意を引き続きお願いいたします。  それでは、政府に対してお伺いします。  人事、採用、配置、育成ということでございますが、今回、公僕になりたいと、キャリアをささげたいという分野の希望がかなうという点からは、一括採用ではなくて、各省庁が独自に人材を採用するという現行の人材採用方式にとどめられることになりました。  これには私はやはり意義があると考えておりますが、それぞれの各省庁で採用したスタッフが、いつごろ、どの段階から大臣が言われる日の丸官僚、いわゆるオールジャパンとして、局益、省益ではなく、国民の信頼や支持を得るような国益を追求していく、そんな日の丸官僚になっていくべく幹部候補養成課程に入っていくとお考えになられますか。また、その対象人数というのは、概算で結構ですが、どのくらいの規模の人たち幹部候補養成課程に入ると概算をされるでしょうか。
  118. 株丹達也

    政府参考人株丹達也君) 御指摘ございましたように、各省庁がそれぞれ採用をいたすわけでございますけれども、それが各省庁の言わば省益のみ考えるのではなくて、国家国民全体のことを考えていく幹部公務員になっていくということが当然望むべき国家公務員の在り方と、こういうことであると存じております。  御指摘がございました幹部候補育成課程でございますけれども、一番のポイントは、採用後すぐにこの課程に入るのではない。対象者の選定につきまして、採用後、一定期間の勤務経験を経て選ぶ。これは、本人の希望もございますけれども人事評価に基づいて随時行っていくというのが基本法の中にございますし、これが一番のポイントであろうかというふうに思ってございます。  育成課程に入りまして、この課程をどうやって運営をしていくかということについては、内閣人事局で、統一的な基準の作成、あるいは各省庁が行います運用の管理をする、それから、この対象者に対しての研修で、政府全体を通ずるものについての企画立案をして実施をしていく、さらに対象者の府省横断的な配置換えに係ります調整、こういったことを行っていくことによりまして、職員というものが府省横断的に育成をされ、御指摘の日の丸官僚というのが育っていくものというふうに思ってございます。  ただ、じゃ、どれぐらいのこの課程の対象者になるんだろうかということでございますけれども一つは、基本法が成立した後の検討ということ、ございます。それからもう一つは、この育成課程に入りましたから必ず将来が約束されるというわけではない、必ずみんなが幹部候補になるわけではない。例えば、公務外から、民間からも積極的に登用をしてまいると、こういうこともございますので、直ちにどれぐらいの規模になろうかというのは概算でもちょっとなかなか難しいというところは御理解を賜れればというふうに存じます。
  119. 有村治子

    ○有村治子君 今私が伺ったところによりますと、指定職八百人、課長、室長で大体二千八百人、Ⅰ種採用が毎年六百人ぐらいでしょうか、の中で、やはり何百人、何千人ということのその概算もおっしゃっていただけなかったんですが、関連して、もう一つ質問をさせていただきます。  今回は、基本法、当初の人事庁の創設から、そうではなくて、修正後は内閣人事局へスリム化されたというか、格下げと、そういう表現を使っている報道もありましたけれども、その人事局が掌握、管理することになる幹部職員、管理職員の候補者名簿に記載される人材の人数とか規模というのは、概算で何人くらいになるものでしょうか。その積算根拠も分かれば教えていただきたいと存じます。
  120. 株丹達也

    政府参考人株丹達也君) この部分につきましても、その数の問題はなかなかお答えがしづらい部分であるというのは御理解是非賜りたいと思いますけれども、今、指定職あるいは課長、室長の数字、委員からお話ございました。ちょっと私が手元に持っておりますのは、総務省の資料で持ってございますけれども、一点、元々政府が考えておりました案のときの幹部といいますのは、次官、局長あるいは審議官クラスということで、これは必ずしも本省の内部部局に限るものではないと、こういうことで人数を考えてございましたが、修正案の方を拝見させていただきますと、基本的には内部部局なのかなと。そうしますと、ここについては大体六百人ぐらいではなかろうかというふうに思います。  それから、管理職員の方、これは元々政府の方が考えておりましたのは、本省の課長クラスというのが対象になるんではないかと。今回は、修正案の方を拝見しますと、それよりもう少し広めで、企画官のクラスも入るんではないかと。こういうことで考えますと、本省課長それから企画官、いずれも本省の内部部局ということで考えますと、四千人ぐらいではなかろうかというふうに思ってございます。  もちろん、既にこの委員会でも御議論がありましたように、幹部職員あるいは管理職員のどこまでの範囲というのは更に今後検討をする、例えば重要なポストについては、一律にというんではなくて考えるというようなこともありましょうから、今の数字が確定的なものではもちろんございません。  それで、候補者名簿の方でございますけれども、もちろん、この幹部職員なり管理職員なり、特に幹部職員について候補者名簿を作っていくということでございますので、現状の幹部職員の数というのが一つのメルクマールになろうかと思います。恐らく、もう少し広めのところからいろいろな情報は取っていって、その上で具体にどの方をというようなことをやっていくんではないかというふうに思ってございます。ちょっと具体の数字はなかなか申し上げにくいというところでございます。
  121. 有村治子

    ○有村治子君 いろいろな制約がある中でおっしゃっていただいたことを感謝申し上げます。私も、今おっしゃった数字が独り歩きしないように牽制を申し上げて、ですが、大体規模としては何百人、何千人ぐらいのところが視野に入っているのかという意味では、今のお答えでも大変有り難く拝聴をいたしました。  そこで、改めてお伺いします。  実務から距離のある内閣人事局が、今のお話でも数千人単位になりますが、霞が関全体の人事をどこまで掌握できるのでしょうかという懸念は早い段階から指摘をされています。特に、候補者名簿作成のための人事情報がどのように収集、記載、活用されるのかという点においては、ある方がこのような職歴を歩んできましたよというキャリアトラックの記述あるいは犯罪の有無など、その名簿に登載されるべき人材であるという証左の基礎情報というのは人事情報を網羅できると思いますが、この人は積極的に登用すべき人材であると判断するための特筆すべき事項というのは、どちらかというと極めてアナログ情報で、このプロジェクトで頑張ったとか、粘り強いリーダーシップを発揮したとか、そういうものというのはもうアナログ情報で、例えばインターネットで検索できるとか、あるいはアクセスとかエクセルで検索できるというものではなくなってきます。何千人という中で、そういう特筆すべきアナログ情報が活用しにくい状況の中で、結局は各省庁の意向を追認するだけになるんではないかという懸念をどう払拭されようとされていますか。
  122. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 民間会社でも何万人も社員がいる、何十万人も社員がいるというところはございます。そういうところは人事部で人事を行っていないかといったら、きちんと人事人事部で行っているわけですね。  今回、内閣人事局というものをつくり、この人事局が内部の人材あるいは外部の有識者を幹部に登用する場合、その人材並びに有識者を内閣官房長官に推薦をいたします。適格性審査の上で名簿に登載をすることになります。各大臣は、この名簿に登載された人材、有識者について総理大臣及び官房長官と協議をした上で任免をすることになるわけでございます。内閣人事局は、その際、幹部職員と幹部候補育成課程対象者の人事に関する情報管理を行うことにいたしております。  法案成立後に具体的な制度設計を行ってまいりますが、先ほども申し上げましたように、今回の基本法の趣旨というのは、まさしく各府省が候補者名簿の原案を作成しという文言を削除しているわけでございます。内閣人事局が候補者名簿を作成をするわけでございまして、国会においてこのような修正が行われたことは重く受け止めなければなりません。今後の制度設計及び運用においてこのことをきちんと受け止めてやっていく必要があろうかと思います。  先ほども申し上げたことでございますが、間違っても水面下で各省が候補者名簿を作り、内閣人事局はそれをホッチキスするだけということになってはならないと考えます。
  123. 有村治子

    ○有村治子君 宮澤先生、これは通告をしていないのですが、今までも幾度となく出ていますところなのでもう少し踏み込んだ御発言があるかということ、あるかな、ないかな、御期待申し上げて、いま一度聞かせていただきたいと思います。  労使関係制度について、国民に開かれた自律的労使関係制度という、そんな記述があるんですが、どのような制度を想起しての記述かというところで、いまだにその意味がなかなか、聞こえはいいんですけれども、じゃ、何を指されるのかなというところがイメージしにくい状況が、かつての国会質問を拝見させていただいても思います。  国民に開かれたとは具体的にどういう意味なのでしょうか。
  124. 宮澤洋一

    衆議院議員(宮澤洋一君) この質問には、衆議院の段階でも幾つか御質問をいただきましたし、また参議院の段階でも御質問をいただき、それぞれ民主党の答弁をされる方、また自民党の答弁をする者、ほぼ同じ答えをしてきておりますけれども、まさにこの条文をそのままお読みいただかないといけないというのがこの条文でございまして、国民に開かれた、自律的、それぞれどういう意味かといえば、国語辞典を開けば分かる、意味はございますが、我々といたしましては、これすべてまとまって、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するということをもって、このとおりちょっと御理解いただけないかということを申し上げる以外ないと、こういうことでございます。
  125. 有村治子

    ○有村治子君 今回も同じお答えをいただいたという学習をさせていただきました。  つまり、国民に開かれたということは明文化されるということなのか、それとも説明責任を負われるということなのか、あるいは国民の世論を問うということなのかということは、全く言及がないので分かりません。また、自律的というのも、辞書的な解釈はできますけれども、だれにとっての、自らを律するという主体はどちら側にあるのかというところも書いておりません。また、その自律的あるいは国民に開かれているという進捗状況をどのように判断、測定できるのかというところも言及がありません。まさに、宮澤先生が笑顔でおっしゃってくださいましたけど、一歩も譲っていただかない、そこに極めてこの現状の難しさというのが表れているのだと思います。  そこで、大臣にお伺いします。  思惑の異なる政党や当事者が何とか合意点を見出そうと相努められて、ある方の言葉を借りれば、ガラス細工のような大変デリケートな合意だという認識や表現もなされています。ですが、特に例えば警察や自衛官等、やっぱり国民の安全、安心のフロントラインに立つ職務を全うされる公務員、そういうスタッフの皆さんには、やはり公正中立な立場で全体の奉仕者であり続けてほしいという国民の期待もあります。ゆえに、大臣には、国民に安心され支持される労使関係の構築にしっかりとこだわり、その仕組みを担保していただきたいと考えます。御所見を伺います。
  126. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 修正後の法十二条においては、政府は、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解の下に国民に開かれた自律的労使関係を措置するものとすると書いてございます。  この文言にきちんと規定がございますように、国民の理解の下に開かれた制度をつくる必要があろうかと思います。
  127. 有村治子

    ○有村治子君 そうですね。開かれたということで象徴される、やはり国民に安心されて支持される労使関係の構築にリーダーシップを発揮していただきたいと存じます。  また、宮澤先生にお伺いします。  高年齢職員の昇給停止という概念があるんですけれども、昇給停止年齢とは何歳のことを指すのでしょうか。また、その一定年齢以降はすべて高年齢と一括されるという理解でよろしいのでしょうか。
  128. 宮澤洋一

    衆議院議員(宮澤洋一君) これもこれまで何回か御質問いただいた質問でございますけれども、六十歳以上かどうかというような御質問をいただきました。  六十歳以上とするかどうかということも含めて、これは政府の中で、公務員全体の在り方の中で是非検討していただきたい。また、じゃ、一度高年齢職員になった方はもうそのままでいくのかどうかということも、じゃ、なったけれどもまた普通の職に戻るということがあるのかないのか、その辺も含めて検討していただかなければいけないと思っております。
  129. 有村治子

    ○有村治子君 この高年齢というのに私は括弧を付けて、いわゆるということで括弧を付けているんですけれども、果たして六十歳前後が高年齢というイメージかといえば、今回の後期高齢者の問題でも名称について随分と御非難がありました。やはり、年を重ねる、経験を重ねていくということに積極的な意味付け、価値を見出すような温かい言葉であっていただきたいというふうに思いますので、そのネーミングも含めて価値ある言葉が選ばれるように切に願いたいと存じます。  それでは、また大臣にお伺いをしていきたいと思います。  やはり、国家公務員あるいは公務員志願者、現役官僚方々のモチベーションを上げるということは極めて大事なことだと思っています。  ここに平成十八年度の人事院が出した年次報告書のレポートがあるんですけれども、そこにも指摘があります。行政に期待される役割重要性にもかかわらず学生の公務員離れが進み、優秀な人材が行政以外の分野に向かっているのではないかとの懸念が持たれる状況にある。その背景には、法曹人口の拡大や外資系企業、IT関連企業など、ダイナミックな仕事で世間的にも注目を浴び、短期的に成果が評価されるような就職先が新たに出てきたこと、学生が公務員としての自分の将来像を必ずしも明確に描けないことなどの原因が挙げられています。  その中でも、現役の学生、学部生、大学院生を対象にして、公務員民間企業より魅力的だと思われる事項の第一位は、社会的貢献度があるというのが七割近い学生のアンケートから支持される第一の理由でございました。公務員になりたい、それは社会的な貢献度があるからだ、また仕事のスケールが大きいからだということで、社会的ステータスはそんなに高くは評価されていないんですけれども、やはりマクロ的な視点、長期的な視点に立つことができる、そして公務の効果は最終的に国民生活全般を左右するものでやりがいがある、社会的に大きな影響力を与えることができる、公務員は論理的思考能力が高いというような評価も現在の学生がしてくれています。  その一方で、民間として、公務が改善すべき点というところに厳しい意見も出されています。少し御紹介をしますと、時間管理という点で、時間管理に無駄が多い、調整や折衝のプロセスを簡素化する必要がある、民間では短期間で成果を出さなくてはならずプロフェッショナル意識が高いが、国は希薄である、国では専門性を持って働くという意識が薄い、従来に比較して、達成感という意味で若手の権限が縮小している、個人の職責が明確ではなく、仕事の達成感が得られないというかなり厳しい意見も出ています。  志願者、現役官僚のモチベーションを上げるために大臣がお考えになる、そのモチベーションを上げる施策、あるいはそういう政策というもの、良い人材を採用するために努力していかなければならないことはどういう分野かということについてお考えを教えていただきたいと思います。
  130. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 昨年の国家公務員法改正におきまして、採用試験の区分、Ⅰ種、Ⅱ種、Ⅲ種、また採用年次にとらわれてはならないという規定を設けたところでございます。そして、民間ではごく当たり前のことなんでありますが、能力・実績主義を公務員世界にも導入をしていこうということでございました。  まさに、採用試験の区分や採用年次によって人事が行われるというのは法律のどこにも書いていない、言わば本音のルールでございますが、この本音のルールが相当古めかしくなってしまった。そのところに、公務に対する魅力が低下をし、若者の国家公務員離れが進んできている理由の一つがあったのではないでしょうか。  先ほど、優秀な若者が外資系の方に行っちゃうじゃないかというような御指摘をされました。今回、基本法案におきましては、採用試験の種類及び内容を抜本的に変えております。重視する能力に着目した総合職試験、一般職試験、専門職試験を設けております。また、幹部候補育成課程に乗せる人材は、まさしく人事評価に基づく厳格な選抜と絞り込みを根本原則といたしております。まさに、能力・実績主義を貫徹をしていこうということでございます。  したがって、法律に書いていない本音のルールで行われてきた極めて古めかしい固定的な身分制的人事慣行は、これによって根本的に異なる仕組みができ上がっていくわけでございます。まさに、志の高い人たちが公務の世界において自己実現ができるよう、今回の法改正はそれを基本理念としているところでございます。
  131. 有村治子

    ○有村治子君 今大臣がお触れになっていただきましたけれども、やはり志が高くて能力も極めて高いという人材を、世界がこれだけ刻一刻と動いていく中で対等に渡り合っていくだけの力を国として、オールジャパンとして持っていかなきゃいけない、発揮しなきゃいけない中で、外資系やほかの選択肢に取られることがないようにしていくことがとても大事なことだと思います。お互いに切磋琢磨していくことが大事だと思っています。  そういう意味で、やはり公務員バッシングがもう本当に日々なされる中で、やる気を失ったりよこしまな道にそれることを許すのではなく、またゆがんだ人間を増産するのではなくて、やはり良い人材にこそ公僕として適切に十分に発揮していただくことが国益、国民益となるということを、渡辺大臣の国民に直接訴えかけられるその突破力ということを活用して、率先して主張していただきたい。公僕を本当に優秀に育て上げて、また敬意のある社会の中で存分に前向きに働いていただくことが私たちの利益になる、本当に骨抜きにすることが国民の全体の損なんだということ、その世論形成というのはもう少しドライブがあってもいいような気がしております。  その点については、大臣のお考え、どのように考えられるでしょうか。
  132. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 今回の基本法案は、国家公務員制度を今の時代に合った制度に変えていこうということでございます。国民全体の奉仕者である国家公務員について、一人一人の職員がその能力を高めながら、国民の立場に立って責任を自覚し、誇りを持って職務を遂行できるようにしなければなりません。国家公務員制度改革に当たっては、その基本理念、基本方針を今回の改革プランの中で定めたものでございます。  まさに、こうした理念にのっとって抜本的な改革を行っていくわけでありますから、志の高い公務員志望の若者が集まり、そして公務員となった暁にはその志を忘れずに公務に邁進できる、そういう体制をつくっていけるものと考えます。
  133. 有村治子

    ○有村治子君 ちょっと重複したようなんですが、私としては、公僕の皆さんは独自の志も持っていると思うんですが、やっぱり世間が天下りだ、公務員は悪い悪いというようなバッシングが続くとそのモチベーションもやっぱり下がってしまうので、世論啓発という意味で、良い、すばらしい優秀な公僕を全うな道に歩んでいただくことが私たちの利益になるんだという、その世論啓発の部分の大臣リーダーシップを御期待申し上げたいと存じます。  そして、私も七年間議会に置かせていただいて議席を守らせていただく中で、幾つかの法案審議にもかかわらせていただきましたが、何か法案を作るとき、例えば犯罪被害者など、あるいはドメスティック・バイオレンスというようなことを考えると、その被害者、加害者あるいは当事者の方々から意見を聴くということもとても大事な作業の部分になりますが、当事者としての官僚意見をもっと聴いていただいてもいいんじゃないかというような声もあります。  この点に関しては、やはり私たちも日々接している公僕、官僚皆さんですが、勤労者としての意見というのは、なかなかその本音ということを、組合とかそういうことであれば直接聴かれると思いますけれども実態はこうなんですよということを本音ベースでなかなか語っていただけない、あるいはゆっくりと安心して語っていただける機会が、なかなかそういう意見交換の機会が制度的に持ちにくいなということを思っているのですが、やはり当事者としての官僚意見も聴いていただきたいという点に関して、大臣はどのようなコメントをされるでしょうか。
  134. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 今回の基本法案の立案に際しましては、私自身が各省の官房長に対してヒアリングを行った上で立案をいたしております。かなり時間も掛けました。率直な意見も聴かせていただきました。したがって、本音の議論を聴かずに今回の基本法案を立案したというのは間違いでございます。そのほかにも、私はいろんな機会を通じて、幹部でない比較的若い層の人たちの声にも耳を傾けるよう努力をしてまいりました。そうしたことを背景に今回の基本法案は立案されたものでございます。
  135. 有村治子

    ○有村治子君 そのような姿勢を堅持していただいていることに安堵の感を持ちます。ありがとうございます。  最後、時間が限られております。あと五分ですが、ちょっと本質論ではないんですけれども、重要だと思われる一点、お伺いしたいと思います。  かつての審議にも出てきましたけれども、今回、いろんな能力、資質、経験を持った人を特別職の国家公務員にするというそんな動きの中で、お雇い外国人を特別職の国家公務員にすることは余り審議されてこなかったというコメントもありましたが、この可能性について言及をいただきたいと思います。  というのは、福田政権の中で公文書管理ということがかなり大きなリーダーシップの下で大事なことだというそんな世論も上がってきている中で、公文書管理という意味ではやっぱりアメリカが断トツに強い。そして、外交的な秘話とかあるいは歴史の判断をなした第一級の歴史的なものが三十年、五十年後にしっかりと国民あるいは世界の財産として公表される。あのノウハウというのは、単に資料を集めればいいというものではなく、かなりライブラリアンあるいはアーカイビストの資質という意味でも日本はかなり立ち遅れているというふうに指摘されます。  そういう意味では、第一級の世界で一番能力を持った、ノウハウを持った人たちを時限でそれを採用して国家公務員として働いていただくというのは一定の価値があると見る向きもありますが、この点について大臣のお考えを伺いたいと思います。
  136. 株丹達也

    政府参考人株丹達也君) 事実関係もございますので、先に私の方から少しお話をさせていただければと思います。  今御指摘ありましたように、総理の下におきます懇談会、制度懇で今回の基本法案の基になります議論をいただいたわけでございますが、必ずしも国家公務員への外国人の任用の話というのは話題の中心にはなってございません。外国人の任用につきましては、従来から公務員の国籍に関する法理というふうに申してございますが、公権力の行使又は国家意思の形成への参画に携わる公務員となるためには日本国籍を必要とするというふうに解されております。当然の法理という言い方をしてございますけれども法律の明文の規定ではないけれどもそのように解するのが当然であると、こういう考え方でございます。  お雇い外国人というのを具体に今回のケースの中でどう当てはめるかという問題あろうかと思いますけれども、その職が仮に国家意思の形成に深く関与するような職であるということになりますと、これまで考えております公務員の国籍に関する法理に沿って適切な判断がなされることが必要と、こういうことになるのではないかと存じます。
  137. 有村治子

    ○有村治子君 大臣のコメントは何かおありになりますか。別になければないで結構です。
  138. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 懇談会の議論でも外国人の登用については全く議論がなかったわけではございません。専門職の試験は外国人でも受けられるようにしたらどうかというような議論は一部ございました。最終答申にはそういったことは盛り込まれていないわけでございます。  また、国家戦略スタッフというのは今回の法案の中の大きなテーマの一つでございますが、まさに、こうした官邸の裏方あるいは大臣の裏方としての政務スタッフ、こういう人材を集め、そして政治主導体制をより強固なものにしていこうというもくろみでございまして、これもまさしく新機軸を法案の中で打ち出したものでございます。
  139. 有村治子

    ○有村治子君 ありがとうございます。  先ほど参考人がおっしゃっていただいた今までの経緯と、それから、やっぱり国籍をという点の慎重な姿勢を取られるところはその意義ということも私は認めます。  と同時に、やはり世界の中でリアルタイムに渡っていかなきゃいけないスピードとそれから力を蓄えていかなきゃいけないということで、渡辺大臣のお父様が果たせなかった夢を追うきっかけをつかんだというそのまくら言葉が付いたわけですから、世界に渡り合うオールジャパンということのリーダーシップを心から祈念申し上げ、私の質問を完了させていただきます。大臣の御活躍を心から祈念申し上げます。  ありがとうございました。     ─────────────
  140. 岡田広

    委員長岡田広君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、簗瀬進君が委員辞任され、その補欠として池口修次君が選任されました。     ─────────────
  141. 岡田広

    委員長岡田広君) 引き続き、質疑を行います。
  142. 山下栄一

    山下栄一君 公明党の山下でございます。  まず最初に、前回の本委員会で法制局長官に確認させていただいたことにかかわることでございますけれども人事院総裁の御所見をお伺いしておりませんでしたので。  それは、人事行政中立公正性の確保、これは長官にも確認させていただきましたけれども、これは憲法十五条、特に二項の要請だと。私はまた、その制度保障として、内閣から独立したといいますか距離を置いた第三者機関、すなわち国家公務員法では人事院という名前でございますけれども、その設置は憲法の要請だということを確認させていただいたわけでございますけれども。繰り返し質問させていただく理由は、この前申し上げましたように、内閣人事局内閣官房のことですけれども、十一条の二号でございます、現在の人事院の業務を必要な範囲で移行するものとすると、この規定に懸念があるからでございます。  私は、特に、憲法が要請する、また人事院が大変な使命を与えられている人事行政中立、特に公正性、これは国民が一番今求めておる。国民の不信は、この公正じゃないのではないかという疑念からであるわけでございまして、そういう意味で、この十一条二号について、必要な範囲で内閣官房に人事院の機能を移管するということは、中立公正性に関する機能はこれは断固死守するということが必要であるという、この観点から人事院総裁の御所見をお伺いしたいと思います。
  143. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) 政治的な支持関係や縁故を排しまして能力本位で採用、配置される必要があるというのが近代公務員制度の原則でございまして、我が国におきましても、憲法第十五条が公務員は全体の奉仕者であるということを規定しておりまして、それを受けて、国家公務員法が公務員中立公正性を確保するための措置を定めているところでございます。公務員人事行政中立公正に行われることによりまして全体の奉仕者としての職員が安んじて公務に専念することができるわけであり、それによって、国民に対して公平平等に法律、予算が執行され、また、いかなる政党が組織する内閣にも忠実に仕えることができる公務員集団が形成され、確保されるわけでございます。  今回の法案では、内閣人事局を設置することなどによりまして公務員人事に対する内閣大臣リーダーシップを強化しようとするものと承知いたしておりまして、人事院といたしましても政治主導の必要性については十分理解をしているところでございますが、一方で、こういう措置を講ずることになりますれば、全体の奉仕者としての公務員が安んじて公務に専念できるよう、公務員人事中立公正性を保障する仕組みの重要性が更に高まると考えるところでございます。  今回の改革中立公正性の確保の在り方そのものを見直す趣旨のものではないと承知しておりますが、中立第三者機関でございます人事院が採用試験や研修等の事務を所掌することによりまして人事行政中立公正性の確保を図っておりますことの意義にかんがみまして、御指摘ございました、例えば幹部候補育成課程の統一基準や幹部候補育成課程の研修、管理職員の選考基準の作成など内閣官房に新たに付加された機能を具体的に検討するに当たりましては、こういった点について不測の影響を及ぼすことのないよう十分配慮される必要があると考えております。
  144. 山下栄一

    山下栄一君 これは、私は、公務員改革にかかわる、去年も法案審議がございましたけれども、ずっと一貫して心配しておりますのは、人事院の機能というのは、労働基本権の制約の代償機能ということは盛んに言われるんですけれども、それともう一面の機能が大変重要だということからでございます。これがともすれば何か議論もされないし、確認されてこなかったのではないかと。  このことは午前中の参考人質疑でも申し上げまして、飯尾先生、また増島元総務庁事務次官からも私の指摘に対して賛同していただいたわけでございますけれども、それは人事院の機能がもう一つあると、それは中立公正性の確保、制度保障のためだと。人事行政中立性、公正性の確保、公務員の公務遂行の中立性、公正性の確保、この使命があるんだ、人事院にはという、このことの確認を私はともすれば怠りがちだということから繰り返し申し上げておるわけでございます。これは憲法十五条からくるものだということでございます。  それで、今提案されている十一条の二号が懸念材料でございますので、提案者にもこの人事院の件で、独立性を持った第三者機関たる人事院の機能についての御所見、人事院が元々設置された目的をどう認識しているかということについてお伺いしたいと思います。
  145. 上田勇

    衆議院議員(上田勇君) お答えいたします。  若干今の人事院総裁答弁と重複する部分もあるかもしれませんけれども、お許しをいただきたいというふうに思います。  今、山下委員が述べられたように、憲法には、すべての公務員は全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではないと規定をされております。このことを担保するためには公務員にかかわる人事行政の公正さが確保されなければなりません。そのための具体的な制度として、国家公務員法において、内閣の所轄の下に独立性の高い中立的第三者機関として人事院が置かれております。人事院は、人事行政を通じて公務員が不偏不党、中立公正の立場で公務を遂行することとする、そうした役割を担っていると理解をいたしております。この法案及び修正案におきましても、公務員中立公正性を確保していくことがとても重要なことであるという考えに基づきまして、引き続き人事院が重要な役割を担っていくものだというふうに考えております。  なお、今御質問にありました、十一条二号において内閣官房に移管する機能の具体的な内容は、今後の詳細な制度設計の中で決まっていくものだというふうには考えておりますが、今申し上げましたような考えに基づいて検討されていくものと理解をしております。
  146. 山下栄一

    山下栄一君 もう一点。直接修正案にかかわることじゃないんですけれども、基本的な確認をやっぱりやっておく必要があると。  これも午前中の参考人質疑でも確認さしていただきましたけれども、今回の法案では公務員制度改革の基本理念はあると。じゃ、現行公務員制度の基本的理念といいますか、根本理念といいますか、これを確認しないままに改革するということはちょっとおかしいのではないかと。それが余り確認されておらないという私の認識がありまして、しつこいようでございますけれども、この点につきましても、そもそも現行の昭和二十二年に制度設計されてスタートいたしました国家公務員法が考えておりますその制度の基本理念、どう理解されているかということを確認したいと思います。
  147. 上田勇

    衆議院議員(上田勇君) お答えいたします。  若干先ほどの答弁と重複をいたしますけれども、国家公務員制度の基本理念、これは今、山下委員がおっしゃったとおり、憲法に定められている、全体の奉仕者であって一部の奉仕者であってはならない、それがまずは根本だろうというふうに考えております。それを受けて国家公務員法では、公務の民主的かつ能率的な運営を保障するということを目的として、公務遂行の中立性、公正性を確保するために、任免の根本基準、服務の根本基準等の具体的な規定が定められております。これらを含めて国家公務員制度の基本理念であるというふうに理解をいたしております。  山下先生も先ほどおっしゃったように、残念ながらいろんな不祥事もあって、果たして公務員が本当に全体の奉仕者としての自覚を持って国民の立場に立って能率的に職務を遂行しているのか、そうしたことについて今いろんな国民の疑念も大きくなっているのが残念ながら現状ではないかというふうに思っております。  本法案趣旨説明において、渡辺大臣も、国家公務員制度の在り方を原点に立ち返って見直し、国家公務員の意識を改革することが必要であるというふうに述べられておりますが、この点は私も同感であります。ですから、本法案の基本理念は第二条に定められておりますが、これらに基づく制度改革によって今の国家公務員制度の基本理念、それを変えるというよりも、むしろ基本理念から若干乖離しているのではないかという現状を本来あるべき姿に戻すことを目指しているというふうに考えております。
  148. 山下栄一

    山下栄一君 ありがとうございました。  次に、今回の法案の大きな目的の柱にキャリアシステム、そんなのは別に法律に書いていないわけですけれども人事慣行としてのキャリアシステム、これを廃止するんだということが掲げられておるわけですけれども。キャリアシステム廃止のためにこの制度が有効だということは幾つかあると思うんですけれども、今回、制度設計された部分でいうと、それはどれに当たるのかと。これがきちっと機能すれば廃止できるんだと。  これはもうこびりついた長年の慣行で、非難され続けてきたわけですけれども、それは本来は法律にも書いていないし、それはあってはならない。結果的に私はそういうふうになっていると。廃止するのは尋常じゃないと思うんですけれども法律に書いたからといって私はできないと思うがゆえに、その辺の、これをやれば廃止できるんだということ、一体それはどれですかということについて、政府側というか大臣にお願いできたらと思います。
  149. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) いわゆるキャリア制度というのは、現行のⅠ種試験合格者が自動的に幹部候補となり、それも年功序列人事で昇進をしていくと、こういう法律に書かれていない慣行のことを指しているわけでございます。  今回の法改正に当たりましては、Ⅰ種試験合格者のこうした身分固定的な幹部候補となる慣行を改め、キャリア制度を廃止をしていくことが大きな柱の一つでございます。そのために、現行の採用試験の種類及び内容を抜本的に見直します。重視する能力に着目した試験に改めます。総合職試験、一般職試験、専門職試験を設けるわけであります。それとともに、人事評価に基づく厳格な選抜と絞り込みを根本原則とする幹部候補育成課程を整備することにいたしております。また、民間からの中途採用試験も同時に行います。この人たちにも当然のことながら管理職幹部職員になる道は開かれるわけでございます。  こうしたことに加えて、昨年、国家公務員法改正を行っていただきました。そこで導入をされました能力・実績主義を徹底し、採用試験の種類や採用年次にとらわれない能力ある多様な人材が能力、実績の評価に基づいて育成され、幹部候補となって登用されることが相まっていくことによって御指摘のキャリア制度は抜本的に廃止をされ、根本的に異なる仕組みができ上がるものと考えております。
  150. 山下栄一

    山下栄一君 今のお話を聞いていても、なぜ抜本的にこれで廃止できるのかなという懸念が払拭できないんですけれどもね。  要するに、現行法制度でも、国家公務員法上は能力・実績主義に基づく任免基準、これは公務員法三十三条に明記してあります。書いてあるわけです、法律には。今もおっしゃいましたように、去年の法律改正で二十七条、要するに、職員人事管理は採用試験の種類にとらわれてはならないと、これも書いてあるわけです、去年の法改正で。評価は能力・実績主義でやるんだと、最初の試験の区分にとらわれてはならないと。そうしたら、そんなに変わらへんやないかということ。  その一番の懸念の原因は、試験の種類なんですよ、私は。これも午前中ちょっと質問させていただいたんで、それは参考人にですけれども。総合職と一般職とに分けると。これは、今民間ではもう、総合職がトータルな立案能力いうのか知りませんけれども一般職は事務職だ、総合職の方が上で一般職が下みたいなイメージが厳然とあると、そういうやり方はもう古いということで、民間そのものもそういう分け方、女性も総合職、女性もという言い方おかしいですけれども、総合職を目指すんだというふうなことになってきていると。それを今度、こういうことで採用したと。Ⅰ、Ⅱよりもまだネーミングはいいのかも分かりませんけれども、私はちょっとそれがよく分からないなというふうに思います。  キャリアシステムとはと。私の解釈は、採用時の一回限りの試験で中央省庁等の幹部職員の選抜を行って、同期の者はほぼ同時期に昇進していくと、こういう在り方が何か身分固定的な考え方人事、批判されていると。それは別に法律に書いてあるわけでも何でもなくて、公務員法は能力・実績主義をうたい、採用試験の区分にとらわれてはならないと書いてあるわけで、だけど現実はそうなっていると。総合職と一般職に分けて、同じ大卒やのに。同じ大卒なのに総合職、一般職に分けている。地方自治体の採用試験にこんなのありません。だから、結局、総合職の方に、東大とか京大の方々はそこを受けると。  おまけに、今回の法律で何て書いてあるかというと、総合職試験、これは第六条ですね、政策企画立案に係る高い能力を有するかどうかを重視した試験だと。ということは、この試験を通った人は政策企画立案に高い能力を持っている人だと認定されるとも言えると思うんですね。ということは、幹部職員に求められている企画立案能力は、試験によってあるんだというふうにもう認定されていると、ペーパーテスト中心の試験で。そんなものもうスタートから決まってしまうやないかと。いや、そんなことありません、それ以後の能力、実績でやっていくんですと。そんなことだったら、今までもできたでしょうと。だけども、そういうことになってしまったと、結果的には。  だから、私は、特にこの総合職、一般職、専門職はいいんですけれども、総合職と専門職でいいやないかと、それは。総合職と一般職と、同じ大卒なのに分けるというところに、キャリアシステムは今度は法律で、今まで慣行であったのが認められるということになっていくと、これは抜本的見直しどころか国民が心配するような方向に行きかねないと強い懸念がございまして、こういうことは修正の段階で議論されたのかなということを含めまして、提案者がどのようにお考えなのかなと。  総合職と一般職に分けるということに私はそれはどうなのかなというふうに思っておりますもので、御答弁お願いしたいと思います。
  151. 上田勇

    衆議院議員(上田勇君) お答えいたします。  今、山下先生がおっしゃったとおり、いわゆるキャリアシステムの弊害ということは様々今指摘をされております。今度の政府が提出をした法案の中でもこのキャリアシステムを廃止をしていくということが大きな柱と位置付けられておりまして、今、渡辺大臣からいろいろ御答弁があったような様々な措置が講じられております。  そこで、なぜそれであれば試験の区分を元々設けるのかというような御質問だろうというふうに思うんですが、これは詳細にはまた政府の方から御答弁いただくのが適切かもしれませんが、私としては、これはやっぱりいろいろと公務にかかわる業務の内容というのは非常に多種多様でありまして、しかも、国全体の政策方向性についても関与していくという、そういう企画立案にかかわる部分も担っているわけであります。  そうなりますと、やはりそれぞれの府省の幹部職員については、それを養成していくという課程もこれも必要になってくるんではないかというふうに考えておりますので、そういう観点から、特に総合職として採用する必要性もあるのではないかというふうに思っております。  ただ、重要なことというのは、これが、先ほど渡辺大臣もおっしゃいましたけれども、固定的になってはいけない、また採用年次によります横並びでの昇進や、あるいはそれは退職のときにも年次ごとの退職をしていくというような、そういう固定的なものになってはならないわけでありまして、そのためには、法律の規定もさることながら、やっぱりいかに運用していくかということが重要なんだろうというふうに思っております。  この法案の中でも、それぞれの能力、実績によって多種多様な人材を積極的に登用していく、また公務の外からも多様な人材を登用していくというようなことも設けられていますように、そういった、それぞれの府省の幹部にいろいろな経験やバックグラウンドを持った人材が登用されるということが、そういう運用をしていくことが重要なんだろうと。それを私たちとしても、政府にそういう運用をしてもらうということを期待しているところでありまして、また我々としてもそれを更に求めていきたいというふうに考えております。
  152. 山下栄一

    山下栄一君 総合職試験が幹部候補選抜試験というか、そういうことにならないような運用をやるのは、私はそんな簡単なことじゃないのじゃないかと。高い企画立案能力を試す試験ですから、それを突破してきたということは、認定されたと、こうなってしまうわけで、幹部育成課程というのもちょっと見えません。  基準作ったり研修すると言っていますけれども、これは政治任用的な部分も、この課程、課程というのはカリキュラムやと思いますけれども、それを現場の能力とか研修とかで見ながら選抜するんでしょうけれども政治任用的になってくると、これはまた、特別職ですか、の待遇与えるわけですから、中立性、公正性どうなんだと、時の政権とか政党の意向を反映されないのかと。  政治主導と言えば言うほど、そういう公正性、中立性みたいなものが損なわれないかということから、研修の中身とか、そして基準作りとか、これはやっぱり中立公正機関たる人事院が関与しないと私は国民が納得できるものにならないんではないかというふうに思うわけでございます。  ちょっともう時間なくなってきましたので、天下りですけれども。天下り問題、再就職問題、定年六十五歳延長を検討するという規定、これは極めて重要な規定やと思いますけれども、私は、去年でしたか、法律改正のところが今もすっきりしてませんで、与党やのにすっきりしてないんです、正直に言いますけれども。  それは、要するに、離職者のための再就職の援助を総理大臣がやるんだという規定になっているんですね、今。ということは、そこで癒着が起こってしまったら総理大臣責任取らないかんと。これは大変なことなので、それは大変な歯止めになるなと、かえってね、と思いますけれども、何で総理大臣が乗り出していって、霞が関というか、そこだけそんな税金で特別体制しいて再就職の面倒見るんですかと。それなら、一般の人もやってくださいよと。これは立法府、司法にはそんなのありません。そういうふうにするんだったら、それは検討されてないみたいですけれども、立法府の職員は議長が責任を持って再就職の援助を行うんだと、裁判所の職員の再就職は最高裁長官が、それほど国のためにお仕事される方は大事なんだと。再就職、省庁は、それはとんでもない話だと思いますけれども内閣を挙げてそういうことをやるということはね。それも総理大臣責任を持ってセンターに、官房長官に委任するんですか、あれ。こういう考え方はちょっと理解しにくいなと。つなげるだけだったら民間でもできるでしょう、公務員もハローワークへ行ってやってくださいよと、これが国民の声じゃないかというふうに思うんですね。  だから、ずっとやらないとは思いますけれども、官民人材、こんな面倒とことん見るというのは、官民人材交流センターも暫定的という話もありましたけれども。だから、総理大臣が援助をするということだから、もし万が一不祥事が起こったら総理に直接問われるということが大変な歯止めになると、そういうことを目指されたのかなと。このようにも、それほど今天下り問題というのは総理が責任持ってきちっとやるという今は時期なんです、こんなこといつまでもするのじゃありませんけれどもということなのかなということで収めるしかないなと思っているんですけれども大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  153. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 昨年御審議いただきました国家公務員法改正法において、天下りを根絶をするために各省のあっせんを全面禁止することにしたわけでございます。天下りというのは、各省が人事の一環として同期横並び昇進の出口で行うものでございます。  したがって、人事の一環として行われるわけでありますから、受皿をたくさんつくっておかなければなりません。そういたしますと、それがまさに税金の無駄遣いにつながっているではないかという国民の不信を買っているわけでございます。昨年の法改正では、こうした人事の一環として行われるものはもうやめようということにしたわけでございます。  では、公務員は一切再就職をしてはいけないのかというと、これも酷な話でございます。公務員には身分保障というものがございます。身分保障があるがゆえに簡単に首にならないということでございます。そういたしますと、公務員であるがゆえに降格もされない、給料も下がらないというのでは、なかなかこれは政府が大きくなり続けていく、年功序列人事を維持した暁にはまさにそういうことになってしまうわけでございます。  今回は、定年まで勤められる、あるいはさらにその先、定年延長も考えていこうということにしてあるわけでございますし、また給与体系もそうした新しい制度にふさわしいものに変えていこうというのが今回の基本法案の中に盛り込まれているわけでございます。  こうした制度が動いていく間、公務員の再就職というものを考えたときに、各省のあっせんは一方において禁止をされる、しかし再就職支援というものは過渡的な措置としてあってもいいではないかというのが官民人材交流センターでございます。  これがございませんと、過渡期の中で、身分保障があるんだからといって今のポストにしがみつくということになりますと、なかなか簡素で効率的な政府というのは実現をしていかないわけでございまして、是非そういった、サンセット機関という位置付けはされておりませんけれども、過渡期の措置として必要なことは是非お認めをいただきたいと思います。
  154. 山下栄一

    山下栄一君 終わります。  どうもありがとうございました。
  155. 岡田広

    委員長岡田広君) この際、お諮りいたします。  委員議員山下芳生君及び又市征治君から国家公務員制度改革基本法案についての質疑のため発言を求められておりますので、これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 岡田広

    委員長岡田広君) 御異議ないと認めます。  それでは、山下芳生君及び又市征治君に発言を許します。山下芳生君。
  157. 山下芳生

    委員以外の議員山下芳生君) 日本共産党の山下芳生です。  初めに、委員外発言をお許しいただいた岡田委員長を始め理事、委員各位に感謝を申し上げたいと思います。  公務員の労働基本権について渡辺行革担当大臣に伺います。  私は、労働基本権は労働者の生きる権利として保障されたものであるとともに、労働条件の決定過程に労働者が関与するために不可欠であるがゆえに保障された権利であると考えております。  十九世紀の資本主義の発展過程において、労働者は失業や劣悪な労働条件のために厳しい生活を余儀なくされました。そこで、労働者に人間に値する生活を実現するために、労働者を保護し、労働運動を容認する立法が制定されることになったわけであります。このような経緯、言わば人間社会の発展を経て労働基本権が確立をされ、我が日本国憲法にもそれが保障されたと考えます。  労働基本権。すなわち、一つ、労働者の団体を組織する権利であり、労働者を団結させて使用者の地位と対等に立たせるための権利である団結権。二つ、労働者の団体が使用者と労働条件について交渉する権利である団体交渉権。交渉の結果締結されるのが労働協約であります。三つ、労働者の団体が労働条件の実現を図るために団体行動を行う権利である団体行動権。その中心は争議権であります。この労働三権が保障されてこそ労働者は人間に値する権利を実現することができ、かつ、自分のことは自分で決めることができると考えます。  以上、労働基本権は労働者にとって非常に大事なものと思いますが、まずその点での渡辺大臣の御認識を伺いたいと思います。
  158. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 日本国憲法では、第二十八条において、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」と規定をいたしております。  また、一方において、御案内のとおり、公務員の労働基本権については、議会制民主主義や財政民主主義の要請、公務員の地位の特殊性、公務の公共性、市場の抑止力の欠如等の理由によって一定程度制限をされてまいりました。  公務員の労使関係については、長年の積み重ねにより労使間において良好な関係が築かれているとの見方もございます。しかしながら、近年の社会保険庁や大阪市などにおける不祥事の背景には、真に責任ある労使関係が構築されてこなかったのではないかという指摘がございます。また、労使交渉に関して労使が説明責任を果たす仕組みがなかったのではないかという指摘もございます。  まさに、こうした問題認識に基づいて昨年十月に専門調査会の報告が取りまとめられたわけであります。今回の基本法案においても基本方針の一つとして基本権の問題は取り上げられているところであります。
  159. 山下芳生

    委員以外の議員山下芳生君) 全面的に公務員の労働基本権までお答えになってくださったんですが、私がまず確認したいのは、公務員のみならず、労働者にとって労働基本権がいかに大事なのかというまず大臣の御認識を伺いたかったんですね。  労働者は、仲間と団結をし、その集団の力で使用者と交渉し、必要があれば争議行動を行うことによって初めて使用者とある程度対等の立場に立てるということだと思います。  この労働三権、その意味では一体のものだと私は考えますが、大臣、いかがですか。
  160. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 日本国憲法の第二十八条においては、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」と規定をいたしておると認識しております。
  161. 山下芳生

    委員以外の議員山下芳生君) 三つ大事だという御認識だと思います。  ところが、先ほど大臣少しお触れになりましたけれども公務員労働者はその労働基本権を著しく制限されております。団結権はあるが争議権はなく、団体交渉権はあっても協約締結権はありません。これには歴史がありますね。  元々、戦後、一九四七年に制定された旧国家公務員法には、スト権の禁止も政治活動の禁止もありませんでした。前年の一九四六年に制定された日本国憲法二十八条は、先ほど大臣が言われたように、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」としております。勤労者、つまり民間の労働者も公務員も区別せずに労働三権を保障しております。だから、当時の公務員は、ごく一部の例外、警察、消防、監獄などを除いて、官民の区別なく適用された旧労働組合法の下でスト権も認められておりました。  ところが、旧国公法が施行された直後、一九四八年七月二十二日、アメリカ占領軍総司令官マッカーサー元帥は芦田内閣総理大臣あてに書簡を発し、公務員制度の抜本改革を指示しました。これを受けて、当時の連立内閣は急遽政令二〇一号を公布して、公務員の争議行為の全面禁止と団交権の大幅制限を断行いたしました。続いて、同年十二月には、吉田内閣の下でこの政令二〇一号を追認する国公法の改正が行われて、国家公務員は労働組合法と労働基準法の適用を除外され、スト権も協約締結権も奪われ、人事院勧告制度の下に置かれることになったわけであります。  これが歴史的経緯であります。公務員の労働基本権は占領時に強権的に奪われた。これを回復することは、私は民主主義の復権にほかならないと考えます。  大臣に伺いますが、元々保障されていた公務員労働者の労働基本権がアメリカ占領軍の一片の書簡で奪われ、その後、六十年間そのままで経緯している事実についてどのように認識をされておりますでしょうか。
  162. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 昨年、国家公務員法の議論を行っていただいた際に、私が参議院における内閣委員会答弁をいたしております。  安倍内閣の時代は、戦後レジームの大転換を掲げていろいろな政策の実現を図っておりました。戦後レジームの脱却という立場に立って公務員制度改革を行っていくという位置付けが昨年はなされたわけでございます。御指摘の、昭和二十三年のマッカーサー指令によって公務員の労働基本権が制約をされたという歴史的な背景はそのとおりであろうと思います。  戦後レジームの、大転換の中で公務員の労働基本権が制約をされ、人事制度が創設をされました。その枠組みの中で公務員制度が構築されてきたことを考えれば、公務員の労働基本権の問題は戦後レジームの脱却という立場に立って考えられる課題だと考えます。
  163. 山下芳生

    委員以外の議員山下芳生君) 大変大事なことを言われていると思いますが、今おっしゃった参議院の委員会答弁とともに、私が調べますと、大臣自身、専門調査会第九回会合、〇七年四月二十四日においてこうあいさつされております。戦後レジームの改革の中で、この労働基本権の問題はその重要な構成要素であります。協約締結権、争議権を一定の範囲で付与する方向で御検討いただければと存じますと。ここで戦後レジームの改革の中で重要な構成要素、労働基本権、その中には締結権と争議権も入っているという、これは、その会議録を読みますと、今日は、いつもは口頭しゃべるんですが、文章にしてまいりましたというふうにお述べになっておりますので、かなり練りに練ってそこを確信的に述べられたんだと思います。  この文章の中に、私が今紹介し大臣もお認めになった、戦後、マッカーサーの指令によって与えられていた公務員の労働基本権が奪われた、ここから脱却することが重要な構成要素なんだというふうに私はこれは読み取ることもできるのかなと思ったんですが、そういう歴史的な流れを踏まえて労働基本権の問題を考えるんだという理解でよろしいんでしょうか。
  164. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 専門調査会の第九回ですか、の会合で私からそのような発言をしたのは、そのとおりでございます。  当時、専門調査会では延々と出口なき議論が行われていました。私が大臣になりましてから、佐々木座長にお願いをし、四月には中間取りまとめを行っていただきたいと要請をしたところでございます。いわゆる中間取りまとめというのは、かなり方向性が明らかになったものが普通は出てくるわけでございます。是非そういう方向性を明らかにしてほしいという趣旨でそのようなかなり踏み込んだ発言をしたわけでございます。  専門調査会報告においては、公務員に労働基本権を付与することにより、労使双方が責任感を持ってそれぞれの役割を果たし、職員の能力を最大限に生かす勤務条件が決定、運用されることを通じて、公務の能率の向上、コスト意識の徹底、行政の諸課題に対する対応能力の向上といった効果が期待できるとしています。  基本法案第十二条においては、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解の下、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置することとしています。まさに、専門調査会の最終報告書にのっとった修正案が今回、国会に諮られたものと認識をいたしております。
  165. 山下芳生

    委員以外の議員山下芳生君) 専門調査会の最終報告は私も見ましたけれども、協約締結権の付与、人事院・人事委員会勧告廃止の方向は示されておりますけれども、争議権や消防職員などの団結権については両論併記にとどまっております。先ほど、三つがそれぞれ大事だとおっしゃった労働三権という点から見れば不十分だと思います。  そこで、公務員の労働基本権の意義について少し踏み込んで議論したいと思うんですが。先ほど、大臣からはこう思うということがありました。私は、憲法が勤労者に区別を付けていない以上、すべての公務員労働者に民間労働者と同等に労働基本権を保障すべきだと考えます。同時に、憲法が公務員を全体の奉仕者と規定しているように、事業と職務が公的性格を持つこと、また賃金原資が税金など公的資金であることから、民間労働者と異なる特質を持っていることに配慮しなければならず、その点で独自のルールも制定する必要があると考えております。  その上で伺いますが、私は、公務員労働者に労働基本権が保障されることにどういう意義があるか、先ほど大臣がおっしゃったことに加えて、労働者として保障されるのは当然だが、それだけにとどまらない意味があると思っております。  繰り返しになりますが、日本国憲法に「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」とあるように、一人一人の公務員が国民全体に奉仕する存在でなければならない、公務員は国民の権利を尊重する立場で仕事をしなければならない、そのためには自らの人権が保障され、人権を理解することが不可欠だと思います。愛情たっぷりに育てられた子供は愛情を知るといいますけど、やはり人権をしっかりと保障された公務員でこそ国民の人権に敏感になれるんではないかと思うからであります。  そういう点では、消えた年金、宙に浮いた年金を何十年も放置するようなことがあってはならない。また、仮に、決まった法律が憲法に照らして公共の利益にそぐわないと一人一人の公務員が感じたなら、少なくともそれを上司に伝え、見解を求めることもできると思います。そのような行動を取ることが可能になるような権利保障と環境が必要であって、そのような権利保障は、公務員に対する、国民全体の利益にも通じるものではないかと私は思うんですが、全体の奉仕者たればこそ、国民の利益に敏感になるためにも公務員の権利が保障されるということは通じるんじゃないかと。いかがでしょうか。
  166. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 基本権の問題につきましては、午前中、神本委員質疑の中でも申し上げましたように、行政改革推進本部の専門調査会において検討を行い、その提言を受けて今回の基本法案の立案を行ったところでございます。この基本法案が成立した場合は、成立後一か月以内に置くことになる国家公務員制度改革推進本部の下に労働組合を含め関係者の参加する検討機関を設置し、その場において第十二条に係る具体的な検討を行うことになります。
  167. 山下芳生

    委員以外の議員山下芳生君) 時間ですので、終わります。     ─────────────
  168. 岡田広

    委員長岡田広君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、鈴木政二君が委員辞任され、その補欠として中山恭子さんが選任されました。     ─────────────
  169. 岡田広

    委員長岡田広君) 引き続き、質疑を行います。又市征治君。
  170. 又市征治

    委員以外の議員(又市征治君) 社民党の又市です。発言の御配慮をいただきました岡田委員長を始め委員皆様方に感謝を申し上げたいと思います。  衆議院で野党側の意見も取り入れて修正案が可決されたことを踏まえながら、なお幾つか確認すべき点をただしたいと思います。余り多く時間ございませんので、また簡潔に大臣の方も御答弁方よろしくお願いをしたいと、こう思います。  今ほども山下委員から労働基本権問題がございましたが、私も、一番冒頭、その点についてお尋ねをしたいと思います、観点を変えて。  私は、今日お見えになっている池口委員らと二〇〇三年の十二月に他の政党の代表とともにジュネーブを訪問いたしまして、ILOのジャビリエ局長やキャリエール専門官から、日本政府がILO勧告を長年放置をしてきていることについての批判であるとか、あるいは国際労働基準から極めて立ち遅れている、こんなことをお聞きをして、大変恥ずかしい思いをして帰ってきたことを思い出すんですが、そのときから数えましても四年半が経過をしているわけです。  そこで、先ほど大臣、この労働基本権問題、随分と御見識がおありのようでございますが、度重なるILO勧告を日本政府が今日まで履行してこなかったこの事実について、改めて認識をお伺いしたいと思います。
  171. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 過去三回にわたるILO勧告は、基本的に、公務員制度改革について政府に対し組合を始め関係各方面と十分話し合うよう要請をしたものと認識をいたしております。  政府においては、労働組合や職員団体の関係者も委員として参加した行政改革推進本部専門調査会を開催し、その報告書の趣旨を踏まえて今回の基本法案を立案したところであります。  衆議院における修正によりまして、第十二条は、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解の下に国民に開かれた自律的労使関係制度を措置することとされたところであります。基本法成立後は、法律趣旨にのっとって速やかに検討を進めてまいります。
  172. 又市征治

    委員以外の議員(又市征治君) 私がお聞きしたのは大臣の御認識をお聞きしたので、その中身を説明してくれと言ったんじゃないんですよ。先ほどの大臣答弁で、あなたの場合は協約締結権やむしろ争議権も含めて付与すべきぐらいだという認識をお示しになっているから、そのことをそのままとらえておきたいと思いますが。  そもそもこの法律は、総合懇談会の報告に基づいて、公務員制度を総合的に労働基本権も含めてもろもろ改革をする、今の時代に合った公務員制度にするということだったと思うんだけれども、ところが、出てきた法案は今のこの労働基本権も含めて随分と後退をしている。そういう点でいえば、専門委員会や総合懇談会の報告からさえも後退をしているということがあって、そこで与野党の協議で修正が図られたということだと思うんですね。  その問題に関連をして、大臣は、衆議院での答弁で、専門調査会のミッションが終了いたしておりますので、この基本法が成立をいたしましたら速やかに次のステージでの検討が始まるべきだと、こういうふうに御答弁されているんですが、ここで三点お伺いをします。  この次のステージとは具体的にどういう場なのか、二つ目には、そこにおける検討内容は何なのか、そして三つ目には、当然、関係労働組合などと、今もお話しになりましたが、当事者の参加が担保されるというのは当たり前のことだと思いますが、この三点、お伺いします。
  173. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 先ほど神本委員にもお答えをしたことでございますが、労働基本権の問題については、行政改革推進本部の専門調査会において検討を行い、その提言を受けて今回の基本法の立案を行ったところであります。  この基本法が成立した場合は、成立後一か月以内に置くこととなる国家公務員制度改革推進本部の下に労働組合を含め関係者の参加する検討機関を設置し、その場において第十二条に係る具体的な検討を行うことになります。
  174. 又市征治

    委員以外の議員(又市征治君) 協約締結権については、御努力いただいた結果、「措置する」という文言が入ったわけですが、これも文章としては極めてあいまいなんですね。だけれども、「検討する。」というよりも前進だと理解はいたします。  大臣は、衆議院での答弁で、一年半あるいは自分が就任してから十か月でここまで来た、だから、法案が成立したら当然そういう時間感覚を考えて検討を進める、こういうふうに述べられておりますね。つまり、五年後ではなくて短縮する決意をお述べになったんだと私は思いますけれども、そこで、大臣自身はいつまでにこれは措置すべきだ、こうお思いなのか、改めてこの決意を、措置すべき時期、そんなことについての決意を示していただきたい。  もう一つは、これに続く同条の後半は、修正をされて、「その理解のもとに、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとする。」と、こうなっているわけですが、自律的労使関係制度というのは簡単に言えば民間並みの労使関係だということで理解してよろしいかどうか、この二点、お伺いします。
  175. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 先ほどもお答えしたとおりでございますが、成立後一か月以内に置くことになります国家公務員制度改革推進本部の下に労働組合を含め関係者の参加する検討機関を設置し、その場において第十二条に係る具体的な検討を行うことになります。  労働基本権については、政府案では「検討する。」となっていたのに対し、修正後の条文では「自律的労使関係制度を措置する」となっております。この措置には当然法制上の措置が含まれるものと考えますので、法四条に従い、三年以内を目途に法制上の措置を講ずることが政府の責務と考えます。
  176. 又市征治

    委員以外の議員(又市征治君) もう一点、自律的労使関係。自律的労使関係もお願いします。
  177. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 「自律的労使関係制度を措置する」というのが修正後の条文でございます。  当然、この自律的労使関係制度の中身につきまして、先ほど申し上げました国家公務員制度改革推進本部の下に労働組合を含め関係者の参加する検討機関を設置し、その場において具体的な検討を行うことになります。
  178. 又市征治

    委員以外の議員(又市征治君) せっかく事前通告してあるんですから、それにちゃんと正確なレクしておかないと駄目ですよ、役所の皆さん方は。民間と同じ関係かと、こう聞いているのに、こんな話していたんじゃ答えにならないじゃないの。全然まともにやってないじゃないか。  時間がありませんから次に行きますが、大臣、それは民間と同じ関係だということですよね。うなずいていただければいいんですよ。何か改めて協議しますとかいう話じゃないんです。自律的労使関係ということは民間の労使関係と同じですよということですよね、大臣。違うの。
  179. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 自律的労使関係制度を措置することはどういうことなのかというお尋ねでございますが、平成十九年十月の専門調査会報告書においては、「現行のシステムは、非現業職員について、その協約締結権を制約し、一方で使用者を、基本権制約の代償措置である第三者機関の勧告により拘束する、このように労使双方の権限を制約するシステムでは、労使による自律的な決定は望めない。」と書いてございます。  今回の法案第十二条では、このような状況の問題にかんがみて自律的労使関係制度を措置することを政府に求めているものと理解をいたしております。
  180. 又市征治

    委員以外の議員(又市征治君) 答えになっていませんよ。ちゃんと、もうちょっときちっとしてくださいよ。端的に聞いているんだから、私は。民間の労使関係と同じようなものですかと、こう聞いているんで、そんなの答えになってないじゃないですか。時間だけたっていく。  それじゃ、人事院にもせっかく来てもらってお聞きしようと思ったんだが、大臣、飛ばしますから、間違わないように答えてくださいよ。  この法案では、完全な労使間交渉による賃金決定というのはまだ示されていないわけですよね。であれば、基本法案で掲げられた自律的労使関係制度が措置されたとしても、労使交渉において納得性のある結論を得るためには、現行人事院勧告に相当するような官民給与の状況を正確に示す仕組みというのは、これはどうしても必要になると思うんですよね。このような仕組みも併せて明示すべきではないかと、こう思うんですが、この点について大臣いかがですか。
  181. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 先ほど来申し上げております専門調査会の報告では、「一定の非現業職員に協約締結権を付与し、人事院等による給与勧告を廃止する場合に、交渉や仲裁の基準として、客観的なデータを第三者機関が調査収集する仕組みが必要か、検討が必要である。」といたしております。  基本法成立後、第十二条に基づき協約締結権の在り方について検討する際には、この点も併せて検討がなされるものと考えております。
  182. 又市征治

    委員以外の議員(又市征治君) ちょっと時間がなくなって、人事院に誠に申し訳ないんですがお聞きをしておる余裕がございません。  そこで、次に、政治的任用の問題で一つどうしてもお伺いしておかなきゃいかぬと思います。  法案第五条では、国家戦略スタッフや政務スタッフという特別職の拡大が盛られておりますけれども、その退任後の扱いとは一体何を考えられているのか。例えば、スタッフを務めた後も国家公務員の身分を残すということも考えられているのか。  そうすると、任免の手続や服務、懲戒などの規定を整備しないままどんどん特別職を拡大をしていくと官民癒着などという問題が生じるおそれがあると思うんですが、どのようにこれは止めていこうとするのか、その点についてお伺いをします。
  183. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 国家戦略スタッフや政務スタッフは、特別職の国家公務員とするとともに、公募を活用するなどして、行政機関の内外から高度な専門知識や経験を持つ、また有能な人を機動的に登用することにいたしております。  これらの職を有効に活用するため、相応の給与の支給や兼業などに関して柔軟な勤務形態とすることなどを想定をいたしております。  退任後の扱いとしては、例えば、一般職の公務員が国家戦略スタッフや政務スタッフに任用された場合、その任を終えた後に再び一般職の公務員として勤務を継続できるような仕組みを整備することなどを想定をいたしております。  具体的な制度の内容につきましては基本法成立後に検討を進めてまいりますが、御指摘の点なども含めて検討をいたしてまいります。
  184. 又市征治

    委員以外の議員(又市征治君) 時間だけがたってしまって、本当にまともに突っ込み切れないなという大変不満な点がございますが、労働基本権問題でいえば半歩前進かなと。大変そういう意味では与野党皆さん方の御努力をいただいて半歩前進かなというふうに評価をしたいと思いますし、この後も御答弁なさってきた問題などを子細に見ながら、なおしっかりと見守っていきたいと、このように思います。  最後に、これは意見だけ申し上げておきたいと思いますけれども、先ほど公明党の山下委員からもございましたが、今、公務員問題で国民の最大の関心事の一つは高級官僚のやっぱり天下り問題ですよね。  昨年六月の国家公務員法ではあっせん禁止などにとどまっておって、従来の人事院による規制と比べても果たして前進なのかと。今日、総務委員会で総務大臣が、官民人材交流センターの問題についてはやっぱりあれは失敗だったんじゃないか、ずばりそういうふうにお答えに、与党の質問だったと思いますが、お答えになっていますけれども、やっぱり天下りの合法化であってはならないわけであって、そういう意味での疑念というのはぬぐえません。  引き続きこの点については国民とともに監視をしてまいりたいと、このことを申し上げて、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  185. 岡田広

    委員長岡田広君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  国家公務員制度改革基本法案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  186. 岡田広

    委員長岡田広君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、松井孝治君から発言を求められておりますので、これを許します。松井君。
  187. 松井孝治

    ○松井孝治君 私は、ただいま可決されました国家公務員制度改革基本法案に対し、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党・無所属の会及び公明党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     国家公務員制度改革基本法案に対する附帯決議(案)   政府は、行政の運営を担う国家公務員一人一人の職員がその能力を高めつつ、国民の立場に立ち、責任を自覚し、誇りを持って職務を遂行することとするため、国家公務員制度改革を推進するに当たり、次の事項に万全を期すべきである。  一、国家公務員制度改革の基本理念に、「男女共同参画社会の形成に資する」ことを加えたことを念頭に置き、今後、所要の措置を講ずること。  二、政治主導を強化するという本法案趣旨にかんがみ、国家戦略スタッフ及び政務スタッフについては相当数の人材を登用し得るように制度設計するとともに、内閣官房副長官、内閣官房副長官補、内閣総理大臣補佐官等の増員についても検討すること。  三、職員、特に幹部職員及び管理職員の任用については、縦割り行政の弊害を排除し、国際社会の中で国益を全うできる人材を確保するため、内閣人事管理機能を強化し、公募等も活用し、行政機関の内外から多様かつ高度な能力及び経験を有する人材の登用に努めること。  四、幹部職員の任用及び評価に当たっては、本法案趣旨を踏まえ、任命権者である大臣並びに内閣総理大臣及び内閣官房長官が密接に協議して行うよう努めること。  五、内閣の一元的人事管理機能の強化のための内閣官房への他の行政機関の機能の移管に当たっては、その機能を実効的に発揮させるよう十分に配慮すること。その際、人事院が人事行政に関し担ってきた役割を念頭に置き、人事行政中立公正性の確保に努めなければならないこと。  六、職員国会議員接触した場合の記録の作成、保存その他の管理及びその情報の公開に当たっては、接触内容の性質に応じた適切な記録の作成、保存、公開等の基準を定め、本制度が実質的に有効かつ円滑に機能し、国民に開かれた公正かつ民主的な行政の推進に資するよう制度を設計すること。  七、キャリアシステムの廃止が法制定の目的であることを踏まえ、職員人事管理が採用試験の種類にとらわれてはならない旨の規定を完全に実施するよう最大限の努力を行うこと。  八、幹部候補育成課程の整備及び運用に当たっては、同課程が現行キャリア制の追認的制度とならないよう配慮し、特にその期間、内容等が硬直的なものとならないよう留意すること。また、公務員が憲法第十五条第二項に規定する全体の奉仕者であることを踏まえ、課程対象者に特権的意識を持たせるものとならないよう研修等において十分配慮しなければならないこと。  九、官民人材交流の推進等の措置を講ずるに当たっては、公務員が全体の奉仕者であることを踏まえ、その公正性及び手続きの透明性を確保するよう努めなければならないこと。  十、国際社会の中で国益を全うし得る高い能力を有する人材を確保するための措置を講ずるに当たっては、海外における滞在経験あるいは生活経験のみを評価することなく、幅広い視野と長期的な視点を持つ人材を確保し、育成するよう努めること。  十一、人事評価に当たっては、所属する各府省間あるいは部門間によって不均衡が生じないよう、できうる限り公平に行うこと。    また、守秘義務違反等に対する懲戒処分の適正かつ厳正な実施に当たっては、公益通報者保護法の趣旨を念頭に置き、行政内部に不祥事が隠ぺいされないよう十分配慮すること。  十二、職員に対する各府省の再就職あっせんを行わなくすることに併せ、定年の引上げ、再任用制度の活用の拡大等、勤務環境を早急に整備すること。とりわけ、定年の六十五歳への段階的な引上げについては早急に検討を進め、法制上の措置を講ずること。  十三、国民の理解のもとに、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するに当たっては、本法第四条の規定に則りこれを行うこと。  十四、国家公務員制度改革推進本部の事務局長その他の事務局体制を整備するに当たっては、民間人登用を含め公務内外の人事管理制度に関し識見を有する人材の配置に努めること。  十五、縦割り行政の弊害を排除するため、各省設置法の体系を見直し、行政組織編成を弾力的に行い得る制度について検討を行うこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  188. 岡田広

    委員長岡田広君) ただいま松井君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  189. 岡田広

    委員長岡田広君) 全会一致と認めます。よって、松井君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、渡辺国務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。渡辺国務大臣
  190. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨を踏まえ配意してまいりたいと存じます。
  191. 岡田広

    委員長岡田広君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  192. 岡田広

    委員長岡田広君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十九分散会