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2008-04-10 第169回国会 参議院 内閣委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年四月十日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  四月十日     辞任         補欠選任         芝  博一君     友近 聡朗君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岡田  広君     理 事                 松井 孝治君                 山根 隆治君                 有村 治子君                 松村 龍二君     委 員                 相原久美子君                 石井  一君                 神本美恵子君                 工藤堅太郎君                 自見庄三郎君                 芝  博一君                 島田智哉子君                 友近 聡朗君                 柳澤 光美君                 岩城 光英君                北川イッセイ君                 鴻池 祥肇君                 鈴木 政二君                 中川 義雄君                 風間  昶君                 糸数 慶子君    国務大臣        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    泉  信也君    副大臣        内閣府副大臣   中川 義雄君    事務局側        常任委員会専門        員        小林 秀行君    政府参考人        内閣犯罪被害        者等施策推進室        長        殿川 一郎君        警察庁長官官房        長        米村 敏朗君        厚生労働大臣官        房審議官     木内喜美男君        厚生労働省労働        基準局勤労者生        活部長      氏兼 裕之君        防衛省地方協力        局長       地引 良幸君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○犯罪被害者等給付金支給等に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 岡田広

    委員長岡田広君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  犯罪被害者等給付金支給等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣犯罪被害者等施策推進室長殿一郎君外四名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡田広

    委員長岡田広君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 岡田広

    委員長岡田広君) 犯罪被害者等給付金支給等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 島田智哉子

    島田智哉子君 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新・日本の島田智哉子でございます。  本日は、本改正案により具体的に被害に遭われた方々への支援がどのように拡充していくのか、また現行制度における問題点も併せてお聞きしてまいりたいと思います。  実は今回この審議に当たりまして、先日、埼玉県警犯罪被害者対策室にお邪魔をしてまいりました。犯罪被害者対策室職員皆さん、それから直接犯罪発生直後の被害者に接していらっしゃる警察官、また民間被害者支援団体支援されている方々から様々な日々の活動状況をお聞かせいただきました。  特に印象に残りましたのは、日々性犯罪被害者に接していらっしゃる女性警察官言葉でございまして、被害者と心を一つにして支援活動していますとおっしゃっておられました。性犯罪被害を受けた場合はその証拠が被害者の体や衣服に残されているケースが多いということでして、当日も採取用具を見せていただきましたが、やはり同じ女性としてその被害者のショックは計り知れないものがあると感じましたし、その後の支援も非常に困難なことが多いということから、まさに被害者と心を一つにしてという女性警察官言葉に表されているように、被害者支援は警察本来の仕事と、そのような印象を持ちました。  また、少年の被害者支援をされている方のお話では、被害を受けた子供はもちろんですけれども、そのお母さんが本当に苦しまれているんですね。自分が付いていればよかったのにと自責の念を持たれると、一人の親として私もその気持ちは痛いほどよく分かります。そうした被害者やその家族に対する支援に本当に細かい配慮をされているということも認識をさせていただきました。  また、この犯罪被害者支援というのは、今回の改正案にございます給付金給付はもとより、犯罪発生直後の対応から被害者の方が本当の意味事件により起こった心と体の傷がいやされるまでには相当に手厚い支援が必要であって、またその支援に当たる職員の皆様に求められる要素は大変に大きいものがあると、また支える行政、政治の責任も非常に大きいということを痛切に感じてまいりました。  今回の改正案提出に当たり、泉大臣から、被害者に対する精神的あるいは経済的な思いやりというのはきめ細やかなことが大変重要であるとの御発言がございました。改めまして、大臣の御所見からお伺いしたいと思います。
  6. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 委員には対策室をお訪ねいただきまして御激励をいただきましたことを心から感謝を申し上げます。  御指摘ございましたように、女性警察官に限りませんが、そうした方々の手記を読ませていただきますと、大変第一線で苦労をしておる、また被害者のお心を察しながら精いっぱい努力をして差し上げておるということも承知をいたしております。しかし、警察官努力だけで、今先生が御指摘ございましたような、心身共に疲れ果てていらっしゃる被害者の方を十二分にお手伝いできるか、お助けできるかということになりますと、やはり必ずしも十二分に手が回らない分野もあると私は正直思わざるを得ないわけであります。  そうした中で、民間方々のお力をお借りする、一緒になってお助けをするということが大変重要であると、私も今もそう認識をいたしておるわけでございまして、民間団体方々犯罪被害者支援の中で必要不可欠な役割を担っていただいておる、そのことを我々としては認識しました上で、各民間団体活動の質的な向上あるいは全国的な均質性の確保などが十二分に図られますように、今後とも努力をしなければならないと思っております。今回の改正でも、そうした民間団体の自主的な活動促進をしていただきますための規定を整備するなど、官民一体となって被害者支援に当たるべきであると考えておるところでございます。
  7. 島田智哉子

    島田智哉子君 ありがとうございます。  今申し上げましたように、やはり給付金という経済的な支援の拡充はもちろん大切ですけれども大臣もおっしゃいますように、それ以外の精神的なケア、相談支援、援助についても極めて大切ですので、その意味法律の題名を変更するということについては大変よく理解をいたします。  そして、目的規定について、「犯罪被害等を早期に軽減するとともに、」という部分についても、まさに被害発生直後から支援がスタートされなければならないということを実感してまいったのですけれども、その意味では、この文言を目的規定に含めることについてもよく理解をいたします。ただ、発生直後につきましては、先ほど性犯罪被害の例を見ましても、その対応に当たるのは大方の場合、現場に居合わせる警察官であると思うんですが、そういたしますと、まさにそうした警察官対応というのがかぎにもなると思います。また、その後の関係機関との連携体制、横断的なシステムの構築が極めて重要であると思います。  しかし、この点について、支援のための連携に関する検討会取りまとめの中でも、犯罪被害者心身の健康を回復させるための知識技能について、現状ではそうした知識技能を十分に持った人材の不足が指摘されておりと、このようにも指摘されているわけですけれども、こうした現状をどのように御認識され、今後どのような対応策をお考えであるのか、国家公安委員長としてのお立場から泉大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  8. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 人材育成の不十分さは検討会指摘をされておりまして、このことを克服していくことが被害者支援の大変重要なことだというふうに思っております。  そこで、今回の改正では、例えば二十二条など民間団体の自主的な活動促進に関する規定を設けさせていただきまして、民間団体人材育成に対して、私どもの方で助言を始め、また民間団体活動促進するための各種の支援策を講じていくということを法改正の中に盛り込ませていただいたところでございます。これは今後とも、先ほどお答えを申し上げましたように、民間団体活動重要性を踏まえて、被害者支援に当たる人たちの研修に警察官を講師として派遣しますとか、あるいは具体的な、先ほども申し上げました、全国レベル一つにするような、あるいは足らざるを補うような、私ども役割を十二分に果たしていく、そうしたことを通じて支援団体皆さん方、そして警察官一体となった被害者支援ができるようにやっていきたいと思っております。
  9. 島田智哉子

    島田智哉子君 それでは、今回の改正案の柱であります給付金制度改正内容についてお聞きをいたします。  まず、生計維持関係のある遺族に対する遺族給付金の引上げについてでございますが、その中で、生計維持関係のある遺族の数に配慮するとされています。その趣旨について御説明ください。
  10. 米村敏朗

    政府参考人米村敏朗君) お答えをいたします。  今回の経済的支援に関する検討会最終取りまとめにおきまして、被害者の被扶養家族である遺族に対する御指摘遺族給付金につきまして、これまでは数に関係なく、給付基礎額倍数を掛けるわけですが、それが一律千三百倍という形になっておったわけでありますけれども、この最終取りまとめにおきまして、扶養家族の数など負担の大きい遺族配慮をする必要があると、あわせて、その最高額につきましても自賠責並みの額にまで近づけるようすべきであると、そういう御提言をいただいたわけであります。  そういう意味で、遺族数に応じて倍数を引き上げ、したがいまして最高額につきましても自賠責並み給付金支給を図るべく措置をいたしたいということでございます。
  11. 島田智哉子

    島田智哉子君 例えば、犯罪被害によってお父さんお母さんがいずれも殺害をされ、遺族として小さな子供が二人残されたような場合、この場合、政令を改正する前と後では給付金算定方法はどのように変わるんでしょうか。
  12. 米村敏朗

    政府参考人米村敏朗君) お答えいたします。  先ほど説明申し上げましたとおり、現行制度の下では遺族の数にかかわらず給付基礎額に千三百倍を掛けるという形で、その際、その遺族給付金は第一順位の遺族の方に支給をされるという形になります。今御指摘夫婦が殺害されて、そのお父さんお母さん、二人残っておられる、またその子供さんが二人残っておられると。そういう意味では、被扶養家族というのが四人というケースにつきましては、今回の改正によりまして、この場合であれば、給付基礎額そのものも引き上げるわけですけれども倍数につきましても二千四百五十倍にまで引き上げるという形になります。  したがいまして、具体的に申し上げますと、これまでですと最高額については千五百七十三万円でありましたけれども、これが二千九百六十四万五千円という形で、自賠責の約三千万円に近い形で支給がされるということになろうかというふうに思います。
  13. 島田智哉子

    島田智哉子君 そこで、被害者子供に対して給付された給付金をめぐり、過去に次のような実例がございました。本日、資料提出させていただいております資料一に二〇〇三年の当時の新聞報道内容を添付いたしております。  この事例では、御夫婦が共に殺害され、残された七歳と三歳の子はその後中国から来日した被害者の御両親、子にとっては祖父母が育てることになったと。ところが、その祖父母言葉の問題や病気の問題もあったため生活保護を受給されていたということなんですね。そして、その後、犯罪被害者遺族である子に給付金給付されたことを理由に福祉事務所からそれまでの生活保護返還を求められたと、こういう事例でございます。  そこで、厚生労働省にお聞きをいたします。  この事例のその後の対応として、生活保護費返還を求めたんでしょうか。
  14. 木内喜美男

    政府参考人木内喜美男君) お答え申し上げます。  御指摘のような不幸な事件発生いたしまして、生活保護におけます犯罪被害者等給付金取扱いにつきまして、福祉事務所との間でやり取りがあったということは承知しておるところでございます。ただ、その後の具体的対応等につきましては、個別の事案でございまして個人情報に当たるということでございますので、お答えすることにつきましては差し控えさせていただきたいと存じます。御理解賜れればと思います。
  15. 島田智哉子

    島田智哉子君 それでは、一般論に戻してお聞きをいたします。  資料二に、生活保護法第四条とその実施要領の中から収入認定にかかわる部分を抜粋させていただいております。生活保護法第四条では、保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度生活維持のために活用することを要件として行われると、このように規定をし、その実施要領の「収入認定」の三に、次に掲げるものは、収入として認定しないこととございまして、その中のオとして、災害時によって損害を受けたことにより臨時的に受ける補償金保険金又は見舞金のうち当該保護世帯自立更生のために充てられる金額と、このようにございます。  本法律におけます給付金は、この項目に該当するという理解でよろしいんでしょうか。
  16. 木内喜美男

    政府参考人木内喜美男君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、生活保護は、収入資産等あらゆるものを活用いたしましてもなお生活に困窮する方々に対しまして、健康で文化的な最低限度生活を保障するというものでございます。このため、一般論といたしましては、生活保護受給者収入があった場合には全額収入として認定し、生活保護を減額する、あるいは過払いになった分の返還をいただくというのが原則であろうと考えております。  しかしながら、補償金見舞金等の臨時の収入があった場合には、これらの補償金等趣旨を踏まえまして、また世帯自立を助長するという観点から、その全額収入とみなすのではなく、通常の生活保護費では保障していないような経費に充てる場合であって、その世帯自立更生に資すると認められますものにつきましては、収入から控除し、返還を免除できるということとしているところでございます。  ところで、この犯罪被害者等給付金につきましては、犯罪行為により不慮の死を遂げた被害者の御遺族又は身体に障害を負わされた被害者等に対しまして、社会連帯共助精神に基づき、その精神的、経済的打撃の緩和を図るというため、国が被害者支給する給付金でございます。  したがいまして、これにつきましては、御指摘のように見舞金に近い性格を有しているものと理解しておりまして、補償金等取扱いに準じて取り扱うこととしておるところでございます。
  17. 島田智哉子

    島田智哉子君 つまり、犯罪被害者給付金について、当該保護世帯自立更生のために充てられる額、この部分については収入とみなさない、しかしそれ以外については収入とみなすということでよろしいんですね。  他方、この部分に該当する事例として、一九九八年に地下鉄サリン事件被害者生活保護を受けていた受給者オウム真理教から損害賠償金を得た際には、収入とみなされず保護費返還はなかった、こういった事例があるとのことですが、その事実関係についてお聞かせください。
  18. 木内喜美男

    政府参考人木内喜美男君) お答え申し上げます。  地下鉄サリン事件、これは公共の場で不特定多数の方々の生命、身体に対しまして極めて重大な被害をもたらした極めて特異な、悪質な事件であったかと思います。このため、本事件被害者に支払われるオウム破産財団から支払われる配当金につきましては、被害者に対する配当をできるだけ増やす、そして心身生活基盤を失うおそれを持つ被害者方々を救済すると、こういう観点から特別法を制定いたしまして、国の債権オウムに対する債権、これについては被害者等債権に劣後する、後れるという、そういう特例措置が講じられたところでございます。  したがいまして、生活保護制度におきましても、この特別法趣旨にかんがみまして、被害者が受給した損害賠償金につきましては特例的に返還を求めないこととしたものでございまして、御指摘のとおりでございます。
  19. 島田智哉子

    島田智哉子君 私は、この犯罪被害者給付金についても、ましてや、この場合、幼い子に対する給付金でありますから、その給付前の保護費返還を求めるということは、この保護費もその祖父母生活保護費なんですよね。余りにも酷な行政手法ではないかと思えてならないんですね。  親が不慮犯罪被害に遭い、しかも亡くなってしまった、そして幼い子供が残される。こんなことは絶対にあってはならないし、起こさせてはいけないと、そんなことは改めて申し上げるまでもございません。しかし、先ほど報道記事にございますように、極めて悲しい事件発生していることも事実なんです。しかし、そうした中において、少しでもその残された子供が健やかに育ち、立派な成長を祈りつつ、まさに連帯共助精神で支え合う、この子供たち給付された給付金には、そうした国民の思いが込められているんだと思います。  ところが一方、生活保護行政においては、子供たち給付された給付金がその世帯収入認定されて、それまでの生活保護費返還を求めると。私は、そうした対応国民が求めているんだろうかと、そう考えたときに、非常に大きな疑問を持ちます。先ほど事例では二人の子供に対する給付金およそ千五百万円のうち仮払金としておよそ五百万円が支払われたということに対して、それまで世帯に支払われた生活保護費返還を求めたということなんですね。しかし、例えば小学校、中学校、高校教育費だけでもおよそ五百万円から七百万円掛かると言われておりますので、そうしますと、二人の幼い子供でありますから、もうこれは教育費だけで目いっぱいなんですね。あとの食費や被服費医療費など、相当程度の費用については自助努力をしなくてはなりません。少なくとも、それまでの世帯に対する生活保護費返還を求めるということは、とても犯罪被害者立場に立った行政とは言えないと思います。  このような事件が絶対にあってはならないと思います。しかし、万が一にもこのような事件発生し、幼い子供遺族として残されたような場合、この犯罪被害者給付金のうち、その子がせめて高校を卒業するくらいまでの養育費程度については自立更生のための額として、収入認定すべきではないと、私はそのように思います。この犯罪被害者に対する支援については政府が一丸となって取り組むものと理解しておりますけれども、本改正案契機として、生活保護行政においても運用の見直しを含めた検討をお願いしたいと思いますが、厚生労働省、いかがでしょうか。
  20. 木内喜美男

    政府参考人木内喜美男君) お答え申し上げます。  犯罪被害者等給付金につきましては、これまでもその性質にかんがみまして、自立助長という観点から、自立更生に充てられる額、これにつきましては収入とはいたしませんで、保護費支給してきたところでございます。今後とも引き続きまして、今回改正される犯罪被害者等給付金支給法趣旨を踏まえまして、被保護者自立更生、これを最大限支援できますよう適切に対応してまいりたいと考えております。
  21. 島田智哉子

    島田智哉子君 是非そのようにお願いします。  それは、私が申し上げたように、せめて高校を卒業するくらいまでの養育費については自立更生のための額にするという理解でよろしいでしょうか。
  22. 木内喜美男

    政府参考人木内喜美男君) お答え申し上げます。  就学に係る経費ということになってまいろうかと思います。現在、実務といたしましては、給付金を受領している世帯から自立更生計画というのを提出していただいております。そして、その意向を十分に踏まえまして、計画実施に必要な額を算定しておるところでございますが、この中には就学等に係る経費も当然計上されてまいっております。  そして、具体的に申しますと、例えば入学支度金ですとか学習図書運動用具等の購入、修学旅行参加に係る経費ですとか、また高等学校に入る場合には入学金授業料通学費等も認めているところでございまして、これらは生活保護の中では月々の生活費ですとか教育費の対象としていない経費でございます。こういったものを自立経費ということで認めておるところでございます。  この運用につきまして、また適切な対応をさせていただきたいということでございます。
  23. 島田智哉子

    島田智哉子君 この給付金につきましては、泉大臣が本改正案審議の中で度々御答弁されております連帯共助精神に基づいて国が給付金支給する、親を犯罪被害によって亡くした子に対して、まさに連帯共助精神に基づいてその子の成長を支えていくことがこの法律目的とすべき、目指すべき姿ではないかと私は思いますが、今回、改正案提出された責任者のお立場から泉大臣御所感をお聞かせいただきたいと思います。
  24. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 犯罪被害救済制度というのは、再三申し上げておりますように、社会連帯共助精神に基づいて国が給付金支給するという考え方でございます。したがって、生活保護法に基づく給付とはその趣旨を異にするという理解を私どもはいたしておりまして、犯罪被害者等給付金とは調整されないというのが私ども見解でございます。  しかしながら、先ほど来、厚生労働省から御答弁があっておりますが、いわゆる生活保護法の扱いは厚生労働省の所管でございますので、今の質疑を通してまた検討がなされると思いますが、私の立場からは、今後とも、政府全体としてこの法律の本来の目的が達成されますよう、その充実が図られますように努力をしてまいりたいと考えます。
  25. 島田智哉子

    島田智哉子君 是非よろしくお願いいたします。  こうした事案のようなケースでは、給付金給付を受けることによってそのほかの福祉施策との調整が必要になるということはある程度事前に想定がされるんだと思うんですけれども、例えば給付金給付を受けた場合、生活保護費はこうなる可能性があるとか、こういうことも考えられますよとか、そういうある程度の説明事前に受けるのと受けないのでは、いざ、こうした事態が起こったときの対応には雲泥の差が出るんだと思います。  この点につきましては、経済的支援に関する検討会最終取りまとめの中でも次のような提案がございます。「経済的支援制度を実質的に現状より手厚くするためには、犯罪被害者等に対して、犯罪被害者等に特化した制度だけでなく社会保障福祉制度の全般に関して、犯罪被害者等相談に乗り、必要な助言を行うアドバイザーが必要である。」と提言されておりますが、この点につきましても法改正契機として更にその体制の整備に努めていただきたいと思いますが、国家公安委員長としての御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  26. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 今委員が読み上げられましたように、いわゆる検討会の報告書では多面的な助言ができるアドバイザーの必要性を訴えられておるところであります。  したがいまして、この問題は内閣府が中心になって関係省庁が連絡した上でその体制整備あるいは規制等が行われていく、あるいは検討していくということになると考えておりますが、警察といたしましても、内閣府と協力いたしまして、民間被害者支援団体等に対する助言、指導等に関する規定が設けられておりますことを踏まえまして、こうした包括的な知識を有する方を育成していく、そのことに支援をしていきたいと思っております。  本当に不慮犯罪に遭われた中で何がどういうふうに関係してくるか、どの法律関係してくるかということを被害者の方が承知しておられるとは思えませんし、それをまた、ある一人の人間がすべて処理できるとも思えません。ですから、こうした多面的な方をできるだけたくさんアドバイザーとしてお力添えができるように警察としても努力をしたいと思います。
  27. 島田智哉子

    島田智哉子君 今、大臣の御答弁でありました内閣府さんはいかがでしょうか。
  28. 殿川一郎

    政府参考人(殿川一郎君) 今、国家公安委員長から警察としての取組のお話がございましたけれども政府全体としましても、そういった犯罪被害者支援連携が一層、関係者の連携が深まるというようなことも目指しまして、例えば、民間におきます全国被害者支援ネットワークがございますけれども、そういったところでの研修制度等を充実をしまして、研修のレベルに応じて、例えばコーディネーターのような育成を目指すというような取組も今後行っていきたいと、このように考えているところでございます。
  29. 島田智哉子

    島田智哉子君 次に、第十条第三項の改正案内容についてお聞きをいたします。  まずは、その趣旨について御説明ください。
  30. 米村敏朗

    政府参考人米村敏朗君) お答えいたします。  改正案の第十条第三項につきましては、申請期間の言わば特例を設けるものであります。  御案内のとおり、現在、犯罪行為による死亡等を知った日から二年、又は死亡等が発生した日から七年、この間においていわゆる給付金の申請が行える、いわゆる除斥期間というのを設けておるわけでありますけれども、しかし、個別のケースを見てみますと、どうしてもやむを得ない理由によりましてこの間に申請することができなかったというケースが現実にあるわけでございまして、そうしたことを踏まえまして、今回、やむを得ない理由がやんだ日から更に六か月間は、この除斥期間の特例として、申請ができるように改正をするものであります。
  31. 島田智哉子

    島田智哉子君 今回、新たな規定にございます「当該犯罪行為の加害者により身体の自由を不当に拘束されていたこと」、この部分については実際に発生した事案に即した例示というようにお聞きをしておりますが、具体的にどのような事案であったんでしょうか。
  32. 米村敏朗

    政府参考人米村敏朗君) 先ほど申し上げましたとおり、これは更に具体的な事案を踏まえまして検討会でも御議論いただいて、除斥期間の特例を設けるべきだという形になったわけであります。  その例といたしまして、今御指摘をいただきました、加害者に自分の実父を殺された、犯罪行為による死亡を知ったということでありますけれども、その間、長期間にわたって精神的にもあるいは物理的にも長く加害者によって身体の自由を不当に拘束されておったという事例がございます。したがって、その二年以内に申請を行うことができなかったということでもありますし、また、この事案につきましては七年間経過もしておったというケースでもございます。しかし、いずれにせよ、申請することについてかなり厳しい状況下にあったのではないかということであります。  それともう一つは、これはダムから遺体が発見されたケースでありますけれども、果たしてそれが自殺なのか他殺なのか、あるいは事故死なのかが判然としない、しかし、もう何年もたってから別の被疑者が自供をして、実はあれは他殺であったということが明らかになった。しかも、このケースにつきましては地元の県警でいったん自殺という判断もしたケースでもございますが、その結果、死亡した日から七年以内に申請を行うことができなかったというケースもございます。  そういった例も踏まえまして、今回の除斥期間の特例を設けるという形にしたものであります。
  33. 島田智哉子

    島田智哉子君 その事案につきまして、福岡県の公安委員会犯罪被害者給付金の不支給の裁定に対して国家公安委員会に審査を請求し、現在もまだ審査中ということでございます。この事案につきましては、二〇〇五年当時の漆間警察庁長官は記者会見で次のように御発言されたという当時の報道がございます。  報道によりますと、漆間長官は、給付制度運用によって対応できるケースについては被害者立場で考える必要がある、また、一般論と断った上で、監禁や軟禁事件などの場合、申請期間の起算点をどこに置くかはいろいろ判断できると思う、警察庁で検討し、各県警に示す必要があると、このように御発言をされたということでありますが、今回の改正案が成立、施行した場合、この被害女性に対して遡及適用されることになるんでしょうか。
  34. 米村敏朗

    政府参考人米村敏朗君) 先ほど申し上げましたとおり、この除斥期間の特例措置について遡及すべきかどうかということにつきましても、この検討会ではいろいろ御議論があったわけでございます。  しかし、いずれにいたしましても、これを遡及するとした場合に、じゃどこまで遡及をするのかというテーマの問題につきましては、仮にしたとしても結局はその前後でまた同様の問題が生ずるということも踏まえまして、検討会の結論としては、新たな法制度を遡及適用することはしないというふうな結論を得ているところでございます。  したがいまして、今回の特例につきまして、施行日前に、今申し上げました、やむを得ない理由がやんだ日からもう既に六か月を経過しているというケースにつきましては、残念でありますけれども、遡及して適用するということは困難ではなかろうかというふうに思います。
  35. 島田智哉子

    島田智哉子君 改正案の文言にもなるような、それだけの被害に遭った方がいらっしゃりながら、しかし、当の被害者はその改正案法改正の恩恵を何ら受けられないとすれば何だかやりきれない思いがいたしますけれども、法の理屈は致し方ないのかもしれませんが、とても血の通った政治でも行政でもないという感じがいたします。  大臣は、衆議院での遡及の在り方に対する一般論での御答弁の中で、遡及というよりも場合によっては基金を活用するというような方策も考えてみる必要はあると、このようにお述べになっておられます。本件につきましてもそのような対応もあり得るということなんでしょうか。
  36. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 遡及については今官房長がお答えをしたとおりでございます。  しかし、事例によっては何らかの手当てをしてさし上げるべきではないかという事件発生し得るわけでございます。ですから、法的処理としては遡及をしないとしましても、その一つの代替案として、基金によって、民間の浄財を財源とする基金によって給付を行う仕組みをすべきではないかという御提言をいただいておるわけでございます。  したがって、このことにつきましては、内閣府が中心になって政府全体としての検討がなされていくものと考えておりますが、本当に法の趣旨とそれから法律の技術的な問題とのすき間と申しますか、はざまというようなことがこうした基金によって救われることがあれば、この基金の設立に私自身も努力をさせていただきたいと思います。
  37. 島田智哉子

    島田智哉子君 泉大臣は、衆議院の御答弁でも基金を活用するというような方策を考えてみる必要があると思うとおっしゃっていただいて、大変踏み込んだ御答弁をされているように思いますけれども、しかし、ではその基金はどういった基金でいつ設置をされるのか。経済的支援に関する検討会のまとめの中では、「民間の浄財による基金において、一定の指針の元に、給付を行うような仕組みを構築すべきである。」と、このように提言されております。  そして、この点につきまして、私どもより事前内閣府の担当部局に問い合わせをしましたところ、担当者の方から、今後の検討課題ですと、全く誠意のない極めて不誠実な回答をいただきました。  そして、改めてお聞きしますと、まさに泉大臣の先日の御答弁を聞いた内閣府の犯罪被害者対策推進室の方では、この件で聞かれたら今後の検討課題と答えるようにと、そういう確認をしたそうなんですが、このような対応というのは、これは泉大臣に対して極めて失礼ですし、国会に対しても甚だ失礼だと私は思いますが、このことについて、推進室長の御指示によるものなのでしょうか、まずその点についてお聞かせください。
  38. 殿川一郎

    政府参考人(殿川一郎君) 私どもの担当者が説明をいたしました趣旨というのは、この経済的支援に関する検討会におきまして、今後の課題として、先ほど来から御議論がありますように、いろいろなケースがございますけれども、新たに経済的支援制度、今まさに御審議いただいている犯罪給付制度がまさにそういった一つのものでありますけれども、そういった公的な救済の対象とならない犯罪被害者等でありまして、個別の事情に照らし、何らかの救済の手を差し伸べませんと基本法の趣旨を全うできないと思われる特別の理由がある者に対しては、社会連帯共助精神に基づき、民間の浄財による基金において給付を行うような仕組みを構築すべきであると、こういう指摘がなされているわけでございます。  したがって、私どもとしては、こういった趣旨にかなう民間の基金というものをどのように考えていくべきかということが検討課題になっているということを御説明を申し上げたというふうに考えております。
  39. 中川義雄

    ○副大臣中川義雄君) 今、島田委員からいろんな話を聞いておりまして、内閣府として何か無責任な話をしたというような話でありますが、私は決してそうあってはならない、私もその責任者の一人として、委員の言われるようなことが一日も早く実現できるように最善の努力をしていきたいと思います。
  40. 島田智哉子

    島田智哉子君 今回の改正案には私どもも賛成の立場ではございますが、しかし、この改正によっても救済されない被害者が現実にいらっしゃるわけですから、その救済策も同時に取り組まなければ、とても犯罪被害者立場に立った政治でもなければ行政でもないと、私はそのように思います。  中川大臣には、是非リーダーシップを発揮していただいて、早急に具体的な検討に入ることを御指示いただきたいと思いますが、副大臣、いかがでしょうか。
  41. 中川義雄

    ○副大臣中川義雄君) 今この問題が大きな社会問題になっていることは間違いない事実ですし、私も、身近な方で大変な悲惨な目に遭っている実例も聞いております。それがいろんな難しい問題があって、一定に扱えない、柔軟に弾力的にやらなければならない。  そういった意味で、この基金というものは、非常に柔軟に取り扱えるという点では非常にいいものだと思っています。しかし、いいものであるが、検討ばかりしていたのでは駄目なんでありまして、一日も早く結論が出るように私も指導していきたいと、こう思っております。
  42. 島田智哉子

    島田智哉子君 是非よろしくお願いいたします。  せっかく泉大臣が踏み込んだ御答弁をされているのに、やはり内閣府がその足並みをそろえていただかないことには進んでいかないと思いますので。  泉大臣の御答弁ではもう既に設置されていることを前提としての御発言のように受け止めておりましたけれども内閣府の対応とはちょっと、かなりギャップがあるように思いますので、この基金の検討につきましては、警察庁も当然各省庁と協力されていくんだと思いますけれども泉大臣から関係大臣に対してしっかりと働きかけを行うべきと思いますが、泉大臣、いかがでしょうか。
  43. 泉信也

    国務大臣泉信也君) この件については、関係大臣に私の方からもお声を掛けさせていただきます。  なお、やや衆議院での答弁に踏み込み過ぎたということを御指摘いただきました。基本的には内閣府のお取組に私どもお力添えをさせていただくということでございますが、勘違いしましたのは、いわゆる奨学金の問題で既に財団法人をつくってお力添えをさせていただいておることとちょっと勘違いをしたところがございまして、ここは訂正とまではいきませんが、事実関係だけ申し上げさせていただきたいと思います。
  44. 島田智哉子

    島田智哉子君 私は泉大臣に大変御期待申し上げておりますので、答弁を後退させることがないようによろしくお願いいたします。是非、被害者立場に立った最大限の御努力をお願いいたしたいと思います。  それから、経済的支援について、テロ事件被害者に対する救済措置の問題が検討会取りまとめの中でも提言されておりました。提言の中では、「社会連帯共助精神に基づく基金を設置するなどにより、事案に即した被害者等の経済的救済を図る措置を明確に示すべきである。」と、このように指摘をされております。今後のテロ事件被害者に対する救済措置について、政府として今後具体的にどのようなお考えでお取り組みになられるのか、是非、中川大臣にお聞かせいただきたいと思います。
  45. 中川義雄

    ○副大臣中川義雄君) 経済支援に関する検討会において、例えば米国におけるいわゆる九・一一、それから英国によるロンドン地下鉄爆破事件、それぞれの地域、事案でそれぞれ大変な救済措置をしているというふうに聞いております。こういった例を参照しながら、国家社会に対するテロ行為により無差別でそして大量の死傷者が生じた場合には、国において特別措置を早急に制定すること、そしてまた基金その他を弾力的に運営すること、そのことによって、何せこれは迅速に対応しなければならない問題だと、こう考えておりますので、適切な救済措置がとれるように万全の体制を取っていきたいと思っております。  今後は、国家社会に対するテロ行為により無差別大量の死傷者が生じた場合には、今検討会取りまとめもしておりますが、それを受けて国の責任においてしっかりとした仕組みをつくってまいりたいと、こう考えております。
  46. 島田智哉子

    島田智哉子君 次に、現行法六条一項の親族関係要件についてお聞きをいたしたいと思います。  この現行法六条では、一項で被害者と加害者との間に親族関係、事実上の婚姻関係を含むと規定されており、三項で、前二号に掲げる場合のほか、被害者又はその遺族と加害者との関係その他の事情から判断して、犯罪被害者等給付金支給し、また第九条の規定による額を支給することが社会通念上適切でないと認められるときと規定されております。  まず、第一項の親族関係があるときについてはどのような運用がなされているのか、また、この三項で規定されている社会通念上適切でないと認められるときとある社会通念上とはどのような基準で運用されているんでしょうか。
  47. 米村敏朗

    政府参考人米村敏朗君) お答えいたします。  親族関係の不支給要件を設けている趣旨でありますけれども、親族間の犯罪につきましては、例えば通り魔的な極めて不慮性の強い犯罪行為犯罪被害とは同一に必ずしも論ずることはできないのではないかということが一つございます。また、そもそもがお互いに助け合うべき親族という関係もありますし、また給付金支給することによって結果的に加害者の側に一定の利益をもたらすというおそれもあるということから、この点については言わば不支給、原則として不支給あるいは減額支給の制限を設けているというものであります。  二点目の、給付金の一部又は全部を支給することが社会通念上適切でないと認められるケースというのは、実際問題これ具体的にいろいろなケースがあろうかと、こう思いますが、国家公安委員会規則で定めているところのものといたしましては、犯罪被害者自身あるいは給付金支給を受ける遺族にあって、言わばその犯罪行為を容認をしていたとか、あるいは、その者が集団的にあるいは常習的に暴力的不法行為を行うおそれのある、いわゆる暴力団とかということでございますけれども、そういった組織に属していたとか、あるいは、事後においてその犯罪行為に対する報復として加害者等への生命を害したりとか、あるいは身体に重大な害を与えたというケースとか、また、加害者との間に何らかの密接な関係があったとか等々の事由があったときはこれに該当する、それぞれ個別に判断をしていくということでございます。
  48. 島田智哉子

    島田智哉子君 これについても具体的に事例を基にお聞きをしてまいりたいと思いますけれども資料三に添付しております、これは昨年一月にございました報道記事です。  この報道によれば、被害者子供であり親であるわけですが、加害者は、戸籍上は夫でありますが、しかし、その夫から暴力を受けて別居中のいわゆるDV被害者であるケースということなんですね。このDV被害者支援につきましては、我が党では神本議員も長年にわたってお取り組みになっておられますが、まだまだ非常に遅れている分野でありまして、私どもといたしましてもその支援の拡充に取り組まなくてはならない大変重要な課題であると考えております。  そこで、第一項で括弧書きの中に事実上婚姻関係を含むとあるわけですけれども、例えば、DV被害によってまさに避難をしている状況の中でDV加害者による犯罪被害を受けた場合、給付金についてはどのような取扱いになっているんでしょうか。
  49. 米村敏朗

    政府参考人米村敏朗君) 先ほどお答えいたしましたとおり、親族間、DVの場合は夫婦関係ということになろうかと思いますけれども、この親族間の犯罪については原則として不支給あるいは減額支給という形で制限を設けております。  他方、DVにつきましては、これは社会状況あるいは国民のこの問題に対する認識というのが大きく変化をしてきているということではなかろうかというふうに思います。したがいまして、犯罪被害者等基本計画におきましても、今申し上げました親族間犯罪被害に係る支給について、このDVのケースについては拡大をする必要があるという指摘があったものであります。  それを受けまして、平成十八年四月、犯罪被害者等給付金支給等に関する施行規則、これを改正をいたしました。その結果、従来、原則不支給の親族間犯罪につきましてDV等の状況が認められた場合は、先ほど申し上げました社会通念上支給しないことが適切でないと認められる特段の事情があるということで、この場合は三分の一を支給するという形になっておったわけでありますけれども、更にこの規則を改正をいたしまして、夫婦間における親族間犯罪でDV法に基づく保護命令が発出されているなど、これは例示規定でありますけれども犯罪に係る事情を勘案して特に必要と認める場合には更に三分の二を支給することといたしたところであります。  DVに関する経緯というのは以上御説明を申し上げたとおりであります。
  50. 島田智哉子

    島田智哉子君 そこで、DV加害者から避難中に被害を受けた場合、資料四にございますように、一のケースは、事実上婚姻関係にあったけれども、DV被害により避難している状況の中で被害を受けた場合。この場合は、事実上の婚姻関係は解消されていた、そのような解釈になれば一〇〇%支給もあり得ると。二のケースでは、DV被害によって避難をしていたが、離婚することができなかった、その状況で被害を受けた。この場合、事実上は離婚状態にあった場合であったとしても戸籍上は配偶者である限り、その場合は最大でも三分の二の支給になる。  この点について、このような理解でよろしいでしょうか。
  51. 米村敏朗

    政府参考人米村敏朗君) 御指摘のとおりでございます。  戸籍上の婚姻関係にはないが事実上の婚姻関係の中で生活をしてきた、しかし、それが事実上婚姻関係がもう解消されてしまっているということになりますと、これは、それでDV等による被害を受けた場合につきましては全額支給という形になろうかと思います。  他方、戸籍上の婚姻関係が継続をしているということでありますれば、先ほど申し上げましたとおり、DV被害といっても、平成十八年の規則改正立場からいえば最大限三分の二の支給になるということでございます。
  52. 島田智哉子

    島田智哉子君 このDV被害の場合、改めて申し上げるまでもなく、相手と離婚したいと望んだとしても、離婚が成立するまでには相当程度期間が必要となります。例えば、内閣府の調査結果では、DV被害者が相手と離れて生活を始めるに当たってどのようなことに困るかという質問に対して、三四%の方が相手が離婚に応じてくれないという回答をしております。そうした状況の中で、DV加害者より被害を受け犯罪被害者となったときに、ここに親族関係を適用することは、私はかなりの疑問を持ちます。  しかも、第三項に、社会通念上適切でないと認められるという規定が別途設けられているわけですから、あえて一項の規定を厳格に適用する必要はないのではないかと、私はそのように感じてなりませんが、その意味では、DV被害者で避難をしているとか別居をしているような場合には親族関係の適用については厳格にすべきではないと、そのように思います。  昨年、三分の一から三分の二に引き上げられたということでありますが、しかし、離婚したくても離婚できないというDV被害者の置かれている状況もございます。是非、そうした状況にも十分配慮していただく中で、今後更に御検討いただきたいと思いますけれども国家公安委員長の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  53. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 親族間の犯罪支給制限については、官房長から御説明をしたいろんな個別の事情がございます。委員からの御指摘の離婚したくてもできない、そういう状態の方もいらっしゃることも承知できるわけでありまして、これまでもいろんな議論が行われてまいりました。その上に立って今回も所要の改正をしておるところでございますが、今後とも、この法の精神にのっとりまして、その運用を見守ってまいりたいと思います。
  54. 島田智哉子

    島田智哉子君 是非、運用の改善というか、いろいろ試行錯誤して、女性あるいは男性もあると思いますけれども被害者立場に立った対応をしていただきたいと思います。  次に、犯罪被害者支援についてお聞きをします。  本改正目的一つの柱として、民間団体全体の全国的な事業水準の向上と均質性の確保を図るとされておりまして、そのために、民間団体活動促進を図るための措置として数項目にわたって改正案が盛り込まれておりますけれども、その一つ改正案第二十二条第三項の関係について、その趣旨について御説明ください。
  55. 米村敏朗

    政府参考人米村敏朗君) 御指摘の点は、民間団体活動水準でありますとか全国的な均質性の確保に向けてということであろうかと思いますが、御案内のとおり、犯罪被害者支援というのは、警察とそれから民間団体と相協力して対応することが極めて重要だろうと、こう思います。  しかも、現在、早期援助団体等がございますけれども、またその指定を目指している団体等もございますが、そういった団体につきましては、犯罪被害発生いたしますと、私どもの方で被害者の方からの同意を得て、そういう団体の方にこういう被害者の方がいらっしゃるということでお伝えをするわけですね、いわゆる橋渡しをするわけでありますが。そこから早期援助団体の方が被害者と会われまして、その後の様々な相談その他ということに乗っていただく。  ただし、それはかなりセンシティブな問題もございまして、下手をすればその被害者の方が更に二次的な精神的な被害を被っていくというケースもありますので、いかにしてもそこのところ、ある程度の心構えあるいは方法等々について、一定の技術も含めて均質性を図っていく必要がある。その点について私どもの方から、様々な講習会でありますとかあるいは研修でありますとか、そういった点について更に意を用いて取り組んでまいりたいと、こういう趣旨でございます。
  56. 島田智哉子

    島田智哉子君 埼玉県でお聞きした際にも、例えば事件後の引っ越しのお手伝い、買物の付添い、あるいは弁護士や法廷への付添い等々、大変きめ細やかな対応が取られていることも理解をいたしました。  そして、その上で、県警の担当の方ですとか援助センターの方々に、今回の改正案のまさにこの部分について、その必要性をどのようにお感じになっていらっしゃるのか、また法改正によってどのような点について期待をされていらっしゃるのかという質問をさせていただいたんですね。そうしましたところ、担当者の方は、そのことに対する御回答といいますか、必要性なり期待するものについて特にございませんでした。ただ、それは改正案を否定するとか云々ではございませんで、既にその支援策相当に充実しているということなんだと思います。  今回の改正による目的は、全国的な事業水準の向上と均質性の確保ということでありますから、高いレベルのところに低い地域を引き上げるということになるんだと思いますが、しかし、言い換えますと、現行法においてもしっかり取り組まれているところは取り組まれているんですね。しかし、できていないところもある。そういう中では、現行のシステムの中でどういった部分対応できていないのか、そして本改正によって具体的にどこのどの部分によって水準を引き上げることになるのか、具体的にお示しいただきたいと思います。
  57. 米村敏朗

    政府参考人米村敏朗君) 先ほど申し上げましたとおり、民間の団体の犯罪被害相談員の方等と連携し合いながら被害者支援に当たっていく、これは経済的支援だけじゃなくて、場合によってはかなり中長期的に取り組んでいくということが必要なケースがあろうかと思います。  私ども警察の方では、支援班、支援要員というのが警察本部あるいは各署に配置をされております。犯罪発生いたしますと、捜査と併せて被害者支援していくという形で取り組んでいるわけでございます。  先ほど先生、埼玉の方でいろいろとお話をお聞きになられたということでございますけれども、大変有り難いことだと、こう思っております。私ども、この機会にいろいろ聞いてみますと、警察の支援要員の人たち相当悩みながらやっているケースも多々あろうかと思います。  個別のケースはプライバシーにかかわりますのでなかなか具体的には申し上げませんが、冒頭、先生紹介されました性的被害を受けた女性の場合、女性警察官支援要員としてこれに対応していくわけでありますけれども、これはあるケースですけれども、大変気丈に対応していた女性被害者が、ある機会に突然泣き出されて号泣されたと。そのときに、その支援要員の人がどうしていいかよく分からないが、声の掛けようもなかったけれども、ただひたすらその方を抱いていたというケースがありまして、後になってその被害者の方に、あのときに何も声を掛けられなくて申し訳なかったというふうに話したら、その被害者の方が言わばびっくりしまして、でもあなた、そばにずっといてくれたじゃないですかというふうに話されたと。  そういうことを聞くにつけても、この支援の問題というのは、基本的にどう被害者に寄り添っていくのか、余りずけずけと入る問題でもありませんしまた引いてもいけない問題で、そういったところを非常に悩みながらやっているということがあろうかと思います。  その辺については、お互いの経験を共有し合いながら、言ってみればその支援のありようというものを具体的に広げていく、そういう要員の輪を広げていく。それをまた、民間団体犯罪被害相談員の方と意見交換とかあるいは講習とか、そういった中で共有し合ってやっていくということがまずもってこれから先も必要なことではないかなというふうに私どもは考えております。
  58. 島田智哉子

    島田智哉子君 現場の警察官の方ですとか支援団体の方ですとか、本当に敬意を表する次第でございます。今度とも御努力をいただきたいと思います。  そのためには、当然予算というものが伴わなければ、そうした水準の引上げも難しい。一方で、都道府県の財政状況も厳しい中でありますから、そうした面での予算措置はどのように配慮されていくのか。検討会取りまとめの中でも、「今後の地方公共団体の取組の全国的な進捗状況等を踏まえ、地方財政措置等所要の財政上の措置を講ずることを検討すべきである。」と、このようにも提言されておりますが、この点についての取組について国家公安委員長よりお願い申し上げます。
  59. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 検討会の御指摘もいただきまして、二十年度予算について民間団体に対する援助の充実を図っていくところでございます。  今後とも、関係府省庁と連携して援助の充実を図ってまいりたいと思いますが、念のため一、二申し上げますと、全国の被害者ネットワークにおける支援フォーラムの開催等の援助のために、十九年度は八百万、来年度は一千百万。さらに、民間被害者支援団体に対する相談業務の委託ということで、補助金でございますが、十九年度は一億二千四百万、二十年度は一億二千七百万、これはわずかな増でございます。もう一つだけ申し上げますと、犯罪被害者等早期援助団体に対する直接支援業務の委託ということで、これは補助金です、十九年度が二千万円、今年度は四千五百万円と、わずかずつではございますが、予算を計上さしていただいて充実を図ってまいるつもりでございます。
  60. 島田智哉子

    島田智哉子君 終わります。  ありがとうございました。
  61. 松村龍二

    ○松村龍二君 自民党の松村龍二でございます。  本日は、犯罪被害者等給付金支給等に関する法律の一部を改正する法律案審議されるに当たりまして、自民党を代表し質問させていただきます。  まず、最近治安が良くなったのかどうなのかという問いがありますと、何をもって治安が良くなったか悪くなったかということは非常に難しい問題がありまして、統計的に殺人事件あるいは犯罪総件数が多くなった少なくなったと、そういう点において必ずしもそう治安が悪くなっていないというふうなことを説明受けることがあるんですけれども、しかし、体感的に日本国民の多くが治安が悪くなっているというふうなことを感じている面があります。  そして、その体感的に治安が悪くなっているということを感ずる例といたしまして、全く犯罪人と関係のない人が路上を歩いている、そのときに突然襲われて殺されてしまうというふうな事件が多く発生するようになった。そして、そのようなことを経験してきたことのない地方でもそういうことが起きるというようなことが国民が感じるところでございます。  最近も、三月二十三日に、茨城県土浦市のJR荒川沖駅で二十四歳の男によって八人が切り付けられ、そのうち一人が亡くなられるという事件発生いたしました。新聞記事を見ますと、改札前、流血パニック、土浦通り魔、両手に刃、にやり、捕まえてごらん、前日一一〇番、被害者は、なぜ息子がとその父親が言っていると、こういう記事でございます。  また、三月二十六日には、JR岡山駅で十八歳の少年によって男性がホームから突き落とされて殺される事件発生いたしております。これも、新聞記事によりますと、電車直前、突き落とす、十八歳、だれでもよかった、帰宅の県職員死亡、現行犯逮捕と、こういうような記事でございます。  よくアメリカでは、高校とか大学等に、大学キャンパスに学生等、犯人が参りまして銃を乱射して多数の者を殺すというような事件が報道されているわけでございますが、まず国家公安委員長に、国家公安委員長がこのような最近の治安状況についてどのような感じを受け止められ、また国家公安委員長としてどのように対応しておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  62. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 治安の状況を測る一つのメルクマールとして、刑法犯認知件数というものを私どもは使わせていただいております。この認知件数が、この五、六年と申し上げていいと思いますが、ずっと下がって二百万件を切るというところまで落ちてきたという状況でございまして、一つの方向性を示しておると考えております。  しかし、その内容は大変凶悪化しておる、あるいは複雑化しておるというような事態が起きておりまして、先ほど先生がお挙げになりました、茨城、岡山での犯罪というのは、まさにこれまで余り想定ができなかったようなと言ってもいい、だれでもいいというような、そういう事件に私自身は大変驚いております。お亡くなりになりました方、負傷されました方々に大変お気の毒で、亡くなられた方については御冥福をお祈りをするわけでございます。  こうした犯罪発生、いわゆる通り魔的な事件発生が今社会の注目を浴びております。この種の事件に限って少し数字を挙げて申し上げますと、私ども、この通り魔事件というようなものを、人の自由に出入りができる場所において、確たる動機がなく、通りすがりに不特定の者に対し凶器を使用するなどして殺傷等の危害を加えた事件と一応定義をさせていただきまして、こうした事件がこのところ、平成十五年が九件、続いて十六年が三件、十七年六件、十八年四件、十九年八件、そして二十年は、三月まででございますが、四件というふうになっております。これは、平均的に見ますと年五、六件起きておって、状況が増加傾向にあるとか、あるいは減少傾向にあるとは言い難い状況であります。しかし、日本の社会の中に、年間に五、六件こうした、今定義で申し上げましたような通り魔事件と言われるものが発生する可能性を含んでおると言わなきゃならないと思っております。  この犯罪発生する要因につきましては、一般的に申し上げますと、被疑者の生育状況でありますとか生活環境、あるいは社会における規範意識の変化など、様々な事情が絡み合っていると考えられるところでございまして、このような痛ましい事件が繰り返されないためにも、かかる事件の未然防止に引き続き努め、そして国民が安心して暮らせる社会の実現のために、一層警察力を挙げて取り組まなければならない、また多くの社会全体の御支援を必要とする事件であると、このように思っております。
  63. 松村龍二

    ○松村龍二君 このほかにも、長崎県でプールを襲ってというような事件もございました。度々こういう事件が起きて報道されますと、土浦の事件、こう言うと、一体どんな事件だったのかなと、何か毎日毎日報道されているような感じがしまして、世相の移り変わりの中でこういう犯罪について警察がどのように予防し対応するかということについて、また突っ込んだ対応をお願いする次第でございます。  さて、このように加害者に何の関係もなかった被害者が突然通り魔事件発生いたしますと、こうした事件被害者の救済を行うのが犯罪給付制度役割ではないかというふうに思うわけでございます。先ほどDVのお話もございまして、確かに加害者と被害者の間に関係がある間において被害に遭うということも大変悲惨でありますけれども、このような通り魔事件被害に遭うということも大変な問題であると、こういうふうに感じますけれども。昭和五十五年に犯罪被害給付制度を創設した趣旨を振り返ってお話しいただきたいと思います。
  64. 米村敏朗

    政府参考人米村敏朗君) 御説明申し上げます。  犯罪被害給付制度の創設は幾つかの事件が言わば契機になっております。その一つが昭和四十一年の二月に発生した事件で、通称生麦通り魔殺人事件というのがございました。この被害者の御遺族の方が様々に社会に訴えて活動しておられたという経緯があります。また、昭和四十九年八月三十日、御案内のとおりでございますけれども、三菱重工ビル爆破事件というのがございまして、こういったものが大きな契機になったということでございます。  そういうことから、当時、人の生命又は身体を害する故意の犯罪行為によって、まさしく不慮の死を遂げた方の遺族、あるいは重傷病を負い、若しくは障害が残った方につきまして、本来は加害者が損害を賠償すべきでありますけれども、加害者に資力がなく実効的な損害賠償が得られない、そういう意味では不法行為制度の補完という意味もございます。また、労働者災害補償制度その他の公的給付制度による救済があるがそれも受けられないという形で何らの公的救済制度がない、この点については補償制度間における不均衡、この点についての救済上の是正が必要であると。また、加害者の側の処遇改善が図られているけれども、他方、犯罪被害者に対して何らの救済制度がない、この点については言わば刑事政策上の不均衡の是正、こういったもろもろの観点からこの制度が発足をしたものでございます。  以上申し上げたような経緯を踏まえまして、要は何らの救済もない状態に置かれることを国として看過できないということから、社会連帯共助精神に基づいてこの制度は発足をしたということでございます。
  65. 松村龍二

    ○松村龍二君 そのような御説明からしますと、通り魔事件による被害者に対しては手厚い救済が必要であるというような考えがあろうかと思いますが、これについてはどのようにお考えでしょうか。
  66. 米村敏朗

    政府参考人米村敏朗君) 御指摘のとおりでございまして、いわゆる通り魔殺人事件というのは、被害者の方にとってみれば、もう何らの帰責事由もない、全くの不慮被害でございます。先ほどの親族間の犯罪というものにつきましては、これはケース・バイ・ケースだろうと思いますが、ある程度、この通り魔殺人のいわゆる全くの不慮性とは同一に論じられない点もあろうかと、こう思います。  いずれにいたしましても、通り魔殺人事件については救済をすべき最も典型的な例ではなかろうかというふうに思います。
  67. 松村龍二

    ○松村龍二君 発足のとき以来、発足はこのような考えからスタートしたものと思いますけれども事案を通じながらいろいろ制度が完備されてくるというふうに、その御苦労に対しまして敬意を表するところでございます。  突然通り魔事件に巻き込まれた被害者にとっては、犯罪被害給付制度を知らない、なじみがないと考えられます。したがって、警察から被害者の方に対して、丁寧に犯罪被害給付制度の教示、説明を行うことが必要であると考えられますが、見解をお伺いします。
  68. 米村敏朗

    政府参考人米村敏朗君) 御指摘のとおりでございます。  警察といたしましても、犯罪被害給付制度を知らないということによって結果的に申請をする機会を逸するということがないように、犯罪被害者等給付金支給対象となり得る犯罪被害者の方あるいはその御遺族方々に対しましては、制度をいろいろと説明をするということが必要であります。また、その内容についても十分理解をしていただくということが極めて重要なことではなかろうかというふうに思っております。  そのため、具体的には、パンフレット、ポスターあるいはインターネット上のホームページなどなど、様々な媒体を活用いたしまして、広く国民一般に制度を周知するための広報活動、これを積極的に推進をいたしておるところであります。  さらに、もっと大事なことは、実際に犯罪被害給付制度の対象となり得る事案発生した際、その場合でございますけれども先ほど申し上げましたとおり、私どもの方は犯罪被害者支援制度等もございまして、それらのものが、個々の事案に応じて、犯罪被害給付制度に関する案内を盛り込んだ被害者の手引でありますとかパンフレットとか、そういったものを直接被害者等の方に交付をいたしまして説明をする、そういった犯罪被害連絡制度実施するなどして、制度の教示、先ほど申し上げましたとおり、制度のことがよく分かっていなかった、そのために申請ができなかったということのないよう、広く広報するとともに、個別具体的に努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  69. 松村龍二

    ○松村龍二君 次に、諸外国の犯罪被害者支援の状況と我が国との比較についてお伺いいたします。  犯罪被害給付制度は、その創設時からイギリスやアメリカの制度を参考にしてきたと考えられますが、現在、イギリスやアメリカの犯罪被害者に対する経済的支援制度はどのようになっているのか、内閣府にお伺いします。
  70. 殿川一郎

    政府参考人(殿川一郎君) お答え申し上げます。  犯罪被害者等への給付制度につきましては、国により背景となる社会保障や福祉の制度相当異なっておりますので、一概に比較することは困難でありますけれども、私どもで昨年三つの検討会を設けて検討いたしましたけれども、その際、諸外国にも調査をいたしておりますので、その状況を基に簡単に御説明をいたします。  まず、イギリスでございますが、イギリスでは社会連帯共助精神に基づき、一般財源から五十万ポンド、約一億円を上限として、遺族、障害等の被害者に対しまして、遺族一人当たり、あるいは障害の程度に応じた定額の支給がなされております。そのほか、扶養されている遺族あるいは障害の被害者本人に関しましては、いわゆる逸失利益を考慮した給付がなされているということであります。  一方、アメリカにつきましては、こちらは州によって相当制度が異なっておりますが、例えばニューヨーク州の場合におきましては、この犯罪被害者への給付制度の位置付けとしまして、これが他のいかなる手段によっても回復がされない場合の最後の救済手段という位置付けになっております。そして、罰金、課徴金などを財源としているということであります。内容的には、死亡、心身の障害の被害者に対して医療費等の支給がなされているほか、三十万ドル、約三百万円を上限として、生活費や逸失賃金を補てんする給付がされているというようなのがニューヨークの例としてございます。  以上でございます。
  71. 松村龍二

    ○松村龍二君 今回の犯罪被害給付制度の拡充に当たってもそうした海外の被害者支援の在り方を踏まえて検討を行ったのかどうか、お聞かせください。
  72. 米村敏朗

    政府参考人米村敏朗君) お答えいたします。  今回の犯罪被害給付制度の拡充につきましては、犯罪被害者等基本計画に基づく経済的支援に関する検討会、これが相当長期にわたって検討をし、その上で最終取りまとめを行い、それに従って拡充を図ったものであります。  その際、この検討会におきましては、平成十八年の九月に、その構成員の方々によりましてアメリカ、イギリス、フランス及びドイツの経済的支援制度の調査をなされました。その調査結果も参考としながら検討が行われた上で最終的な結論が取りまとめられたものでございます。
  73. 松村龍二

    ○松村龍二君 犯罪被害者に対する経済的支援だけでなくて、民間被害者支援団体活動促進するための民間団体への援助についても諸外国には学ぶべき点があると考えます。諸外国における民間被害者支援団体への援助の状況について、内閣府から簡単に説明をお願いします。
  74. 殿川一郎

    政府参考人(殿川一郎君) 各国における民間支援団体への援助の状況でございますが、海外調査の結果を概括的に申し上げますと、まずアメリカにつきましては、公的機関、民間団体を問わずに、罰金等を財源とした基金から州政府を通じて被害者支援に係る個々の事業、プログラムに対して援助が行われているということでございます。  イギリスでありますが、こちらは一般財源を元に支援の中核となる全国的な民間支援団体の本部及び地方支部に対して、二〇〇四年の例でありますけれども、約二千九百七万ポンド、日本円に換算しまして約五十八億円余りでありますけれども、そういった援助が行われているということでございます。  それからフランスでは、やはり一般財源を元に全国的な民間支援団体の本部及び地方支部に対し、こちらは二〇〇六年時点でございますけれども、約九百八十五万ユーロ、日本円にしまして約十五・八億円の援助が行われているということでございます。  最後に、ドイツの例でありますが、ドイツにつきましては被害者支援ということでの制度ではないということでありますが、公益団体全体に対してそういう支援が行われているということで、その中で被害者支援を行っている全国的な民間団体に対しまして、二〇〇四年時点で約百四十万ユーロ、約二・二億円の援助を行っているという状況でございます。
  75. 松村龍二

    ○松村龍二君 日本において、警察による民間被害者支援団体への援助の状況はどのようになっているのか、お伺いします。
  76. 米村敏朗

    政府参考人米村敏朗君) 私ども警察庁では、民間被害者支援団体の果たす役割というのは、先ほど来申し上げておりますが極めて重要であるということで、平成二十年度予算におきまして、一つは、民間被害者支援団体に対する相談業務の委託に関連しまして、これ補助金でありますけれども、平成二十年度予算では一億二千七百万円を計上させていただいております。  また、同じく民間被害者支援団体に対する広報啓発業務の委託、これも補助金でございますが、これは二十年度予算では六千万円。また、同じく支援団体に対する直接支援業務、直接支援員の委嘱でありますとか研修、そういったものの委託、補助金でございますけれども、二十年度予算で四千五百万円。これらの経費を計上し、都道府県警察を通じて一定の援助を行っているというところでございます。  また、こうした民間被害者支援団体の全国組織であります全国被害者支援ネットワークに対しましても、被害者支援のフォーラムでありますとか研修会の開催を援助すべく、二十年度予算では一千百万円を計上させていただいているというところでございます。  以上でございます。
  77. 松村龍二

    ○松村龍二君 民間被害者支援団体というのは、全国で幾つぐらいあるのでしょうか。
  78. 米村敏朗

    政府参考人米村敏朗君) 民間被害者支援団体というのは幾つかのグループに分かれるかと、こう思います。  その一つが早期援助団体というのがございまして、それは現在たしか十八団体であろうかと思います。さらに、この早期援助団体を目指している団体というのが二十八団体ある、これらが主として中心になる。それと、こうした団体の言わば全国的な傘団体として先ほど申しましたネットワーク団体があると、そのほかにも個別の犯罪被害対応するような形で違った援助団体が幾つもございますし、また場合によっては自助グループの団体というのも各地にあろうかというふうに思います。  いずれにしましても、幾つかという点で申し上げれば、今申し上げた中では、早期援助団体十八、それからそれを目指す団体が二十八、そしてそれのいわゆる傘団体が一つというのが一つのメインではなかろうかというふうに思います。
  79. 松村龍二

    ○松村龍二君 このような民間被害者支援団体活動促進するため、諸外国の例も参考に、今後、警察も地方自治体も民間団体への援助を更に充実させるべきであると考えますが、政府としての見解がどうか、警察庁と内閣府に伺います。
  80. 米村敏朗

    政府参考人米村敏朗君) 民間団体への援助に関する検討会、この検討会最終取りまとめにおきましても、今申し上げました犯罪被害者等早期援助団体あるいはその指定を目指す団体、また並びにそれらの団体の全国的な傘団体、こうした団体に対しまして援助を行うべきであると、こういうまとめがなされております。  そこで、先ほど申し上げましたとおり、私どもといたしましては、平成二十年度予算につきまして一定の増額を行ったわけでございます。その結果、二十年度予算総額では二億四千二百万円、対前年度比三千百万円の増ということで予算を計上させていただいているところであります。  いずれにいたしましても、今後とも被害者支援のテーマというのは、警察とこうした団体とが相協力をし合って、場合によっては中長期的に対応していかなきゃならないことでございますので、こうした支援団体に対する援助の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
  81. 殿川一郎

    政府参考人(殿川一郎君) ただいま警察のお取組のお話がございましたが、それも含めて全体としてということで、ちょっと若干重複しますけれども、申し上げさせていただきます。  検討会最終取りまとめにおきましては、地域の実情を身近に把握している地方自治体が援助の主体となることが効果的な援助を行う上で適当であるという考え方に立ちまして、援助拡充に向けた主な方向性として、都道府県警察費補助金の拡充など、犯罪被害者等の早期援助団体への援助の一層の拡充とともに、知事部局を始めとする地方自治体全体の取組の促進が課題として挙げられているところでございます。  今後、警察や地方自治体を始め民間団体への援助の取組全体が促進されるように、内閣府を始め関係省庁において一層啓発情報提供等を行い、また必要な財政上の措置が講じていかれるように全体として取組を進めてまいりたいというふうに考えております。
  82. 松村龍二

    ○松村龍二君 具体的にこの法律案内容についてお伺いするわけですが、今回の法律案の目玉は何ですか。
  83. 米村敏朗

    政府参考人米村敏朗君) 今回の法律案及びこの改正法と同時に施行することといたしております政令の改正の主な、中心的な内容でございますが、一つは、法律目的犯罪被害者等が再び平穏な生活を営むことができるよう支援すること、これを追加をいたしております。  それと関連いたしまして、法律の題名そのものも犯罪被害者等給付金支給等による犯罪被害者等支援に関する法律という形に改正をいたしているところであります。それが一つ。  もう一つは、重傷病給付金等につきまして休業損害を考慮した加算を行うということでございます。特に深刻な状況に置かれた犯罪被害者等に対して支給される犯罪被害者等給付金、これについても拡充をするということでございます。  それから、もう一つ民間被害者支援団体の自主的な活動、これを促進するための規定を整備するということの三点でございます。  以上です。
  84. 松村龍二

    ○松村龍二君 先ほども、目玉の第一点の法律目的規定改正するということで、警察が行う施策は何がどのように変わるのか、お伺いします。  あわせて、目玉の二点目。犯罪被害給付制度改正は、特に深刻な状況に置かれた犯罪被害者等に対する給付を拡充するものであるとのことでありますが、特に深刻な状況に置かれた犯罪被害者とはどのような方々であり、そうした方々のために具体的にどのような拡充を行うのか、お伺いします。
  85. 米村敏朗

    政府参考人米村敏朗君) ただいま申し上げましたとおり、法の目的規定改正をいたしまして、言わば基本法の基本理念を踏まえて、犯罪被害者等が再び平穏な生活を営むことができるよう支援をするという理念をこの法律目的に明示をいたしました。この目的規定改正を踏まえまして、一つ先ほど申し上げましたけれども生計維持関係のある遺族に対する遺族給付金及び重度後遺障害者に対する障害給付金の額の引上げを含む犯罪被害給付制度の拡充とその的確な運用を図ってまいりたいというように思います。  それからもう一つは、犯罪被害者等の中長期的な平穏な生活の回復、これを支援するための情報の提供でありますとか、関係機関、団体との連携協力による総合的な支援を進めてまいりたい。  もう一つは、犯罪被害者等の平穏な生活の回復に重要な役割を果たしております、先ほど来申し上げております民間被害者支援団体との協力の下で行う上でのこうした団体の自主的な活動の質の向上、あるいは均質性の確保に努力をしていきたいということであります。  最後に、地域社会における犯罪被害者等の平穏な生活の回復を支援するため、犯罪被害者等を思いやり、支える機運を醸成する犯罪被害者等支援に関する要は広報啓発活動というものを更に推進していきたいというふうに考えておるところであります。  二点目でございますけれども、特に深刻な状況に置かれた犯罪被害者等とは、具体的には重度の後遺障害が残った犯罪被害者の方、それからもう一つは、亡くなられた犯罪被害者によってそれまで扶養されていた犯罪被害者の御遺族の方、あるいは重傷病を負った犯罪被害者のうち療養のため休業を余儀なくされた方、こういった方が言わば深刻な状況に置かれた犯罪被害者の方ということで、これに対する支援の拡充を図るものでございます。
  86. 松村龍二

    ○松村龍二君 私も初めこの法律を見たところ、具体的な金額というものが書いてありませんので、どのような前進を見たのかよく分からなかったわけですが、具体的な加算額は休業損害分の加算について政令で定められるというふうに思いますが、どのように政令で定める予定なのか、お伺いします。
  87. 米村敏朗

    政府参考人米村敏朗君) 今回の改正では、重傷病のためにいわゆる休業を余儀なくされた方につきまして、これまでは医療費の自己負担分だけを給付していたわけでございますが、非常に被害の程度が重大であり、気の毒な状態に置かれているということでございます。その結果、重傷病給付金給付対象期間、これは一年でありますが、一年の間で休業損害を考慮した額と、それとこれまでの保険診療の自己負担相当額とを合算した額を重傷病給付金として支給するということにいたしております。  具体的な休業損害分の加算額についてでございますが、これは政令で定める形でございますけれども、休業加算基礎額というものに従前その勤労によってその方が通常得ていた収入が得られない、その期間の日数を乗じて算出するということにいたしております。この休業加算基礎額につきましては、被害者が通常得ていた収入日額、これに百分の四十八を乗じた額を基本といたしまして、今申し上げました、その基礎額に収入を得ることができない期間の日数を乗じて算出するという形にいたしております。  なお、その金額が、年齢層別に定める給付基礎額、これは最高額とそれから最低額を定めているわけでございますが、最高額を超える場合には最高額、また最低額に満たない場合にはその最低額をもって休業加算基礎額として日数を乗じて算出をするという形にいたしております。  なお、この重傷病給付金の額につきましては上限を設けることといたしております。上限額につきましては、自動車損害賠償保障法との均衡を勘案いたしまして、自賠法の傷害事故に係る限度額でございますが、百二十万円を政令で限度額として定める予定でございます。  以上です。
  88. 松村龍二

    ○松村龍二君 休業加算基礎額が犯罪被害者収入日額の四八%というふうにおっしゃったと思いますが、四八%とされる理由をお伺いします。
  89. 米村敏朗

    政府参考人米村敏朗君) 基本的には、犯罪被害者給付金支給については他の公的給付制度との均衡で判断をするということでございます。  その際、障害給付金というのがございますが、これに係る給付基礎額は労働者災害補償制度給付基礎額の八〇%となっております。犯罪被害給付制度による給付水準は、保険制度でありますこの労働者災害補償保険制度給付水準の言わば八〇%の水準を一つの目安としているところであります。その上で、労働者災害補償保険制度による休業補償は収入の六〇%の水準を給付しているということでございますので、結果的にその八〇%の水準である、六〇掛ける八〇でございますけれども、四八%を犯罪被害給付制度における休業に係る加算の水準といたしたところであります。
  90. 松村龍二

    ○松村龍二君 今回の犯罪被害給付制度改正の結果、犯罪被害者給付金に関する予算額がどのように増加するようになったのか、お伺いします。
  91. 米村敏朗

    政府参考人米村敏朗君) 平成二十年度予算における犯罪被害者等給付金に係る予算額は、全体で約二十一億三千六百万円であります。基本計画に基づく経済的支援に関する検討会最終取りまとめを踏まえまして、給付制度の拡充を予定をいたしております。平成十九年度予算額と比べまして約六億六千百万円の増額となっているところでございます。
  92. 松村龍二

    ○松村龍二君 件数は何件ぐらいでしょうか。
  93. 米村敏朗

    政府参考人米村敏朗君) 過去の実績で支給の申請及び裁定の状況について御説明申し上げたいというふうに思います。  例えて言いますと、平成十八年につきましては申請が四百九十一、そのうち裁定が四百五十八でございます。支給裁定が四百三十五でございまして、不支給裁定が二十三、裁定額全体といたしましては十二億七千二百万円となっております。
  94. 松村龍二

    ○松村龍二君 今回の犯罪被害者等給付金に関する予算が、警察庁の予算の枠内で要求をしたためにこのような予算額に抑えられたということはありませんか。
  95. 米村敏朗

    政府参考人米村敏朗君) 基本的には、今回の給付額の拡充と、それからこれまでの申請等の実績を見て予算額の増額をお願いをしているところでございまして、御指摘のようなことはございません。
  96. 松村龍二

    ○松村龍二君 目玉の三点目としまして、民間被害者支援団体の自主的な活動促進するための規定というものが設けられたと。先ほど既に答弁があったような感じもありますが、今後、具体的にどのような施策を行うつもりか、お伺いします。
  97. 米村敏朗

    政府参考人米村敏朗君) 今回の改正におきまして、民間被害者支援団体活動の質の向上及び全国的な均質性、これを確保するために、都道府県公安委員会に対しまして、民間被害者支援団体の自主的な活動促進を図るための助言あるいは指導等の措置を講ずる努力義務を規定することといたしております。  具体的には、犯罪被害者等支援における好事例等に関する情報の提供でありますとか、あるいは犯罪被害者等に対する援助における二次的被害を防止するための留意事項に関する助言、指導であります。また、他の行政機関等における支援内容等に関する情報の提供、あるいは犯罪被害者等支援に当たる者の研修カリキュラムに関する助言、また犯罪被害者等支援に当たる者の研修に対する講師、警察職員の派遣、さらには広報啓発等のための各種行事の開催に当たっての後援、指導等による協力などなどを民間団体活動の実態あるいは地域における犯罪被害等の実情に応じて行うことを考えているところでございます。
  98. 松村龍二

    ○松村龍二君 最後に、今後の犯罪被害者支援の展望について大臣にお伺いします。  改正法の趣旨を踏まえて、警察が犯罪被害者支援を充実させるためには現場の警察職員の意識改革も不可欠であると考えますが、改正法の趣旨を現場に徹底させるためにどのような取組を行うつもりであるか、お伺いします。
  99. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 改正いただきました法律案が現場に徹底いたしますためには、まず警察官がこの改正の法の趣旨を徹底して理解する、そして現場に適用していくということが大変重要であると思っております。したがって、現場で支援に当たる警察職員一人一人がこの重要性認識をするということでございまして、警察官の採用時、昇任時にこの問題の重要性を指導、そしてまた教養の向上に努めてまいりたいと考えておるところでございます。  どんなことをやっておるかということをちょっと二つ申し上げますと、初任科あるいは初任補修科教科課程におきます授業では、被害者に関する基礎知識、警察の被害者対策の意義、内容被害者立場に立った対応要領等について理解をさせる。それから、巡査部長、警部補任用科課程におきます教授目標は、犯罪被害者対策の現状事件、事故の被害者に対する救援活動の在り方、被害配慮した捜査活動の在り方、対策上の留意事項について理解させる、こういう内容に分けましてこれまでも教養を高めてまいりましたが、今後、この法改正趣旨を十二分に徹底させてまいりたいと思います。
  100. 松村龍二

    ○松村龍二君 今回の改正では、犯罪被害者支援に関する広報啓発活動を推進するための規定も設けられたということでございますが、犯罪被害者の実態、犯罪被害者方々が置かれた状況を知ることは、子供たちにとっても犯罪被害者支援への理解や協力を促すことになるだけでなく、命の大切さや、犯罪に立ち向かう正義感を養うことにもつながると考えられます。したがって、こうした広報啓発活動は青少年に対しても行われるべきであると考えますが、警察の取組はどのようであるか、お伺いします。  そして最後に、この制度支援の充実を考えれば、今回の改正によっても残された課題があると思われますけれども、今後の制度の更なる改正、拡充について、大臣見解をお伺いします。
  101. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 青少年に対する広報啓発活動につきましては、既に一部の都道府県において中学生、高校生を対象に講演会を交えて命の大切さを学ぶ教室を開催するなど、被害者の方が犯罪から受けた様々な痛み、あるいは子供を亡くされた親としての家族のきずなや命の大切さを伝えていくなどの活動をしておるところでございまして、例えば大分県におきましても、そうした活動を通じまして、この活動を受講した学生からは、命の重さ、犯罪の罪の重さをとても感じたというような効果が上がっておるわけであります。  警察庁におきましては、こうした活動を全国的に進めていきますためにも、社会全体で被害者を支え、被害者も加害者も出さない街づくり事業というモデル事業を立ち上げておりまして、実施しておるところでございます。  今後とも、被害者支援に対する協力と理解の一層の増進を図るとともに、加害者も被害者も出さない街づくりを支援するために青少年等に対する広報啓発活動を更に推進していきたいと思っております。  また、お尋ねのございました残された課題ということでございます。  今回の改正は三つの検討会の御報告を踏まえて改正をさせていただこうということで提案をさせていただきました。今回の改正でかなり、自画自賛になりますが、被害者支援の充実に関しては重要な前進ができておるのではないかと考えております。  当面は、この改正法案を認めていただきましたならば、これを確実に実施するというのが私ども第一の使命だと思います。しかし、まだこれからも支援活動を一層充実するためには様々なニーズがあることも承知をいたしておりますので、今後とも犯罪被害者等方々の声に耳を傾けながら、関係機関、団体と連携協力して一層の充実を図ってまいりたいと考えております。
  102. 松村龍二

    ○松村龍二君 どうもありがとうございました。  終わります。     ─────────────
  103. 岡田広

    委員長岡田広君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、芝博一君が委員を辞任され、その補欠として友近聡朗君が選任されました。     ─────────────
  104. 岡田広

    委員長岡田広君) 引き続き、質疑を行います。
  105. 風間昶

    ○風間昶君 今大臣から、この間のやり取りを聞いて、被害者支援の充実と、そして民間支援団体活動促進給付金を上げるというこの目玉について伺いましたが、先ほども島田委員の方からも質問ありましたが、特に犯罪被害者等が平穏な生活を営むことができるようにという点では、まだ谷間に残されていらっしゃる被害者がいるということはもうこれ事実でございます。  例えば、過失による被害者が救済されていない、あるいは、外国で日本人同士で事件が起こったときの被害者については救済されていないという事実が、極めて数は少ないかもしれないけれどもあるということがはっきりしているわけでございまして、そういう意味で、被害者立場からすれば、過失によろうが故意によろうが、あるいは国内であろうが海外であろうが、何とか受けた被害を回復してほしいというのが切実な、当事者にとってもあるいは家族にとっても願いであるというふうに思います。  そこで、これは平成十三年の改正のときの附帯決議にも述べられている過失による被害者支援について、そもそも今回、犯罪被害者等給付金、この改正法で適用除外とされているその理由をやっぱりまず明確に伺いたいと思います。
  106. 米村敏朗

    政府参考人米村敏朗君) 過失犯による犯罪被害につきましては、一つは、故意による犯罪行為、いわゆる故意犯とは法秩序を破る意思を持って行われたのが故意犯でございますが、いわゆる悪質性が異なるのではないかということ。それともう一つは、保険制度による対応も可能なのではないか等々の理由から給付制度の対象とはされていないものでございます。  いずれにしましても、今回も経済的支援に関する検討会においてこの点についてもいろいろと検討が行われたわけでございますけれども、ただいま申し上げましたような理由から、過失犯については給付の対象とせず、基本的には現行の対象範囲を維持すべきであるとされたものでございます。
  107. 風間昶

    ○風間昶君 ということは、この悪質性の証明若しくは現在の災害保険、民間保険も含めてこの部分がクリアできれば、今回のこの犯罪被害者等給付制度に乗っけていける素地があるというふうに理解していいでしょうか。
  108. 米村敏朗

    政府参考人米村敏朗君) 先ほど申し上げましたように、故意による犯罪行為の場合は、法秩序を破る意思を持って行われた悪質な行為であるということ、また犯罪被害者等方々にも特に重大な打撃を与えるものであるということでございます。  また、これにより生じた被害につきまして、先ほど申し上げましたけれども、加害者に資力がない、あるいは損害賠償が行われないことが多い等々の事情等を踏まえますと、これによって生じた被害を放置するというのは国民の間に国の法秩序に対する不信感を生じさせることになりかねないということで、故意の犯罪行為による被害被害給付制度の対象としているわけであります。  そこで、過失犯による被害につきましては、先ほど申し上げましたけれども、保険制度による救済策を取ることも可能でありますし、故意犯とは、その被害とはいささかその性格を異にしているということがございまして、先生おっしゃるとおり、その点がクリアできればということは一つのお考えではあろうかというふうに思いますけれども検討会の結論といたしましては、先ほど申し上げたように、支給対象の範囲としては現行どおりするという結論が得られたものというふうに承知をいたしております。
  109. 風間昶

    ○風間昶君 もう一方では、検討会でも述べられておりますように、先ほどから議論になっております民間の浄財による基金を創設して対応すべきというふうに提言があるわけでありますけれども、これは、要するにそういう人たちを救えないということであるから民間浄財による基金で救っていこうというふうに考えてもいいんですか、どうなんですか。そこは、内閣府がこれ所管しているわけですから、どういうふうな基本的な考え方でそれを考えていらっしゃるのか。
  110. 殿川一郎

    政府参考人(殿川一郎君) ただいまの点の考え方でございますけれども、この検討会での議論のまとめとして、結論として私どもが得たのは、やはりあくまでも公的な仕組み、これは必ずしも犯罪給付制度だけではございませんが、いろいろな社会保障や福祉の制度というものがまずあろうかと思います。その上で、犯罪給付制度、それもいろいろな形で拡充をする。  しかし、そうであってもなお救済をされないケースで、しかも社会連帯共助精神から見て、それに全く支援の手がないというのはいかがなものかというようなケースについて、やはりそういったものは民間の浄財による基金などで支援ができるような、そういう仕組みが必要であると、こういう考え方での取りまとめの結果でございます。
  111. 風間昶

    ○風間昶君 うがった見方をすれば、先ほど警察庁の犯罪被害者による予算は二十一・六億ぐらいでしたね。ところが、内閣府は二億ちょっとですよね、犯罪被害者によるその予算が。これが少ないからということでこっちの民間浄財ということも考えたのかなというふうにうがった見方もできるわけでありますけれども、どちらにしても、もし具体的に進めようとすればその支援内容、個々のケースによって違う、なおかつ民間浄財を募るいろいろな環境整備があると思うんですけど、この部分については今内閣府としてどこまで想定されているのか、お伺いしたいと思いますけれども
  112. 中川義雄

    ○副大臣中川義雄君) 御承知のように、この問題につきましては経済支援に関する検討会において最終提言がなされました。これからその提言に基づいてどうやって具体化するかというところに来ております。  この中身については非常にいろんな多岐にわたる問題が滞積しているものですから、これを一概にどうすべきかということはなかなか言いづらい、具体化しにくいという問題がございます。しかし、そんなことを言っていたのではこの問題の解決にはならない。ですから、我々としましては関係省庁と十分打合せしながら、どうやって、例えば税制上の優遇措置をどのような形でとるかとか、そしてなるべく浄財の集め方が集めやすくするように仕組んで、基金をなるべく早く造成して、予算ではできないような問題についてもそのすき間を埋めていきたい。そういうためにこれは積極的にやっていかぬとならないと思っておりますので、私自身も担当大臣と協議をしまして、提言の趣旨に沿って一日も早く実現に持っていきたいと、こう考えております。
  113. 風間昶

    ○風間昶君 おっしゃるように、早くスタートさせなきゃならないというふうに思います。  特に、内閣府はこの犯罪被害者施策推進室というのはたった八名しかおりません。内閣府がやっている事業というのは広報活動だとか会議だとかポスターだとかリーフレット作成している状況ですから、警察庁、金融庁、総務省、法務省、外務省、文科省、それぞれ、国交省、この犯罪被害者の施策を担当する窓口はもうたくさんあるわけですよ。だから、そこをうまくコーディネートして、具体的に出てきた課題、想定される課題も含めてまとめていくことが極めて要請されているわけでありまして、特にこの犯罪被害者等基本法の中で基本計画がこの平成十七年から始まってもう半分に来ている。もう二十年ですから。政府責任持って推進していく上でも、この実現に向けた具体的スケジュールをもう本当は出して動いてなきゃならない、そういうところだと私は思うので、これは中川大臣がこの犯罪被害者担当なのかどうか分かりませんが、きちっとこれは大臣連携してやっていただかないと、警察庁は警察庁でやっている、現場のことも含めてですね。むしろ、それから国としてどうするかということが今大事な問題だから、もう一回、きちっとやっていけるように決意を伺いたいと思いますけれども
  114. 中川義雄

    ○副大臣中川義雄君) ただいまの風間委員の御指摘は全くそのとおりでございまして、先ほどの島田委員の質問の趣旨も同じでしたから、我々はこの委員会で議論されたことを非常に重く受け止めて、大臣相談して、御趣旨に沿った形で解決していきたいと思っております。
  115. 風間昶

    ○風間昶君 そこで、先ほど泉大臣が最後に松村委員の質問に対して、被害者も加害者も出さない街づくり事業に、これまで都道府県警やあるいは民間団体と合同してやってきたんですけれども、今回やっぱり私は、この二十二条で六項目めに、国家公安委員会、公安委員会、それから警察本部長等ということで、ある意味では格上げしたなと。今までそういう国家公安委員会ってなかったですから。警視総監、それから警察本部長ぐらいのレベルだったのがちゃんと格上げしたということは、格上げというか国としてきちっとこの犯罪被害者の施策をやりますよと、町ぐるみも含めてという強い意思だというふうに思いますけれども、そういう理解でいいですか、あえてこの六項目めを立てたということは。
  116. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 新たにこの二十二条に六項目めを規定させていただきましたのは、まさにこの問題が重要なことであるという認識の裏打ちであると思います。  特に、犯罪被害者やその御家族が受けられました痛み、そしてまた、被害者支援の意義を広く周知させていく、犯罪被害者等への国民理解と協力を促進する、こういうことが大変重要だということと、もう一つは、基本法及び基本計画においても、犯罪被害者等に対する支援施策の実施ということと国民理解の増進ということは車の両輪だというふうに考えられておるわけでありまして、このことを更に具体的に進めていく上において六項目は重要な役割を果たす規定だと考えております。
  117. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございます。  学校における理解の推進ということもまた先ほど松村委員から御質問がありましたけど、たしか小学校の低学年用、中学年用、高学年用に心のノートというのを、これ内閣府なのか文部科学省なのか分かりませんが、配っていらっしゃる。心の教育ということに重きを置いて副読本を配っていらっしゃる。  先ほど話がありました、中学生、高校生に講演会。青少年啓発ビデオというのを私も見ましたけど、十六分ぐらいの、えらい長くてあれなんですが、小学生にも命の大切さをやっぱりきちっと知ってもらう一環で、小学生向けに私はビデオを作った方がいいんではないかなというふうに思っています。これは内閣府の仕事になるのかどうか分かりませんが。青少年啓発ビデオは内閣府で作っていらっしゃるんでしょうから、中高生対象に、小学生用に私は作った方がいいのではないかというふうに思うのが一点でございます。  ただ、学校現場は本当に忙しくて、先生同士のそういう会話も、話す暇がないし、子供からの話聞く時間も全然ないようで、具体的に心のノートという副読本が生かされているかどうかというのはまだちょっと分からないんですが、どっちにしても、しかし材料はきちっとそろえておく必要があると思いますので、まずは小学生向けの理解できるようなビデオ作成について内閣府に伺いたいというふうに思います。  それから、交通安全教室をやっていらっしゃって、もちろんこれは自転車の乗り方やルールや何かでありますけど、これも私は犯罪被害者に関するテーマを一つ盛り込んでいくのも一つの方法かと思いますので、これは警察庁の問題だと思うんですけど、この二点をちょっとお伺いしたいと思いますけど。
  118. 殿川一郎

    政府参考人(殿川一郎君) 犯罪被害者等から、被害が回復し再び平穏な生活を営めるようにするためには、国民理解、協力が不可欠でありまして、国の基本計画においても国民理解の増進を重点課題に挙げているところでございます。  青少年の啓発につきましては、今先生の方からも御紹介いただいたとおり中高校生向けのビデオを作りましたけれども、御指摘の小学生につきましても、小学生も含め、国民の幅広い層から被害者問題に対する御理解、御協力が得られるよう、関係の省庁あるいは地方公共団体との連携協力の下で、そういった教材の活用や、被害者週間における啓発活動、また各種のモデル事業の実施といったことを、取組を進めたいと考えておりまして、その中でビデオの作成ということも検討してみたいというふうに考えております。
  119. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 御指摘ございました、小学校における交通安全教室という場でも命の大切さを教えていくべきではないかということであると思います。  今までやっておりませんだけに、どう取り組むべきかちょっと正直戸惑うところがございます。交通安全のルールを教えるだけでも、覚えていただくだけでも大変子供にとっては負担を掛けることもあるかと思います。しかし、小さいときから命の大切さということを教えていくこと、これまた大変重要なことであることは疑いない事実でございます。  そうした観点から、警察庁としましてもどういう対応ができるか少し勉強をした上で、関係省とも協力をしてやっていきたいと思います。
  120. 風間昶

    ○風間昶君 最後になりますが、厚労省さんに来ていただいておりますが、今回のこの法案は休業損害を加算することが一つの目玉です。  問題は事業者の方の理解不足で、休暇が取得しにくい、あるいは休暇を取った後戻ったら席がないという、職場復帰に際してもまだまだ理解が十分されていないし、何かアンケートをやられていらっしゃるようでありますけれども、何社対象か分かりませんが、九割の会社がこの犯罪被害者休暇制度を知らないというデータも出ているようでございますので、その被害回復のための休暇を権利として取得できるような休暇制度の導入に向けてやっぱりきちっともう少し、これは何ですか、厚労省は何とか課というのがあるんでしょうけれども、ここのところでもうちょっと現実に進めていくための検討をしてほしいと思いますし、具体的にどこまでやれるのか、是非その部分についてお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  121. 氏兼裕之

    政府参考人(氏兼裕之君) 厚生労働省といたしましても、犯罪等の被害に遭った労働者に対しまして被害回復のための休暇を付与するということは非常に重要なことだというふうに認識しております。  このため、各企業の独自の特別な休暇制度の一環ということで、犯罪被害者の休暇制度の導入を促進するという観点も含めて、それから周知啓蒙をするという観点も含めて、昨年度からリーフレットを作成して事業者に周知啓発をしているところでございます。このリーフレットにつきましては、労働基準監督署において事業主に配布すると、それから都道府県労働局におきましても配布するということとともに、地方法務局、都道府県警察本部にも配布を依頼するということで幅広く周知啓発を行っているところでございます。  他方で、犯罪被害者休暇を法律上の制度として創設するとした場合、これは労使の十分な理解をいただくとともに、公労使によって構成される審議会の場において労使の合意に至るまで十分な議論を尽くしていただくということが必要になるというふうに考えてございます。  しかしながら、先生御指摘のアンケート調査からも明らかであるように、制度を導入すべきという意見が、ほとんどの企業あるいは労働者が御存じないという現状におきましては、まずは企業や労働者に対して休暇の付与の必要性について十分に周知啓発を行うことが重要であるというふうに考えてございまして、関係省庁とも連携いたしまして取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  122. 風間昶

    ○風間昶君 終わります。
  123. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 初めに、警察庁に御質問いたします。  今回示されました法律案について、この一部改正趣旨犯罪被害者への給付金を手厚くし犯罪被害者支援することに主眼を置いているわけですから、政府としてもしっかり取り組んでもらいたいということをお願いいたします。  具体的に質問に入りますが、この法案について御指摘しておきたい点、具体的には過失による犯罪、いわゆる過失犯について、被害を受けられた方を犯罪被害給付制度の対象にするかどうかということです。  先ほど風間委員からもございましたが、このいわゆる犯罪被害給付制度の対象についてでありますが、過失犯を対象にすべきだというふうに考えます。過失犯の犯罪被害給付制度の適用につきましてはこれまでも議論されています。結論から申しますと、政府は困難との見解を示していますが、しかし、犯罪被害者等基本法、犯罪被害者等基本計画趣旨からいたしますと、過失犯を犯罪被害給付制度の対象とすべきだというふうに考えます。  そこでお伺いいたしますが、犯罪被害給付制度の対象の拡大についての検討の余地があるかどうか。過失犯によって被害を受けられた方を犯罪被害給付制度の対象とすることについて、警察庁の考え方、検討可能性についての見解をお伺いいたします。
  124. 泉信也

    国務大臣泉信也君) お尋ねをいただきました件は、この委員会でも先ほど来議論がございましたし、経済的支援に関する検討会においても検討されてきたところでございます。  過失犯については、先ほど警察庁の官房長がお答えいたしましたように、法秩序を破る意思を持って行われた故意犯とは悪質性を異にしておる、また保険制度による対応可能性もあるということなどの理由から、検討会におきましても過失による犯罪被害犯罪被害給付制度の対象とすることは困難であると結論をいただいたわけであります。  しかし、最終取りまとめにおきましては、過失犯の被害者等について何らかの救済を図るべきではないか、特別の理由がある場合には救済をすべきではないかという御意見の中で、民間基金による対応も考慮すべきであるとされておるわけでありまして、お願いしております改正法でというよりも別の体系で対処していくべきではないかと現在考えておるところでございます。
  125. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございました。  次に、関連して質問したいと思います。  米軍関係者による犯罪とその被害者の救済についてであります。  警察庁からも米軍の事件、事故等の統計資料をいただいておりますが、ここですべての数字を挙げると時間が足りませんので、簡潔に申し上げたいと思います。  沖縄県で米兵が引き起こす事件、事故というのは年間約一千件もあります。これ、一年間でいいますと一日三件の割合という数字になっておりますが、全国で米兵が引き起こす事件、事故の約七割が沖縄で集中して発生しています。米軍専用施設の集中度、やっぱりこれ七五%と同様な数字でありまして、基地の集中が事件や事故の集中を物語っています。  防衛省がまとめました二〇〇六年の沖縄県内で起こった事件、事故は九百五十三件、そのうちに公務中が百三件、公務外が八百五十件でありまして、これ全国で千五百四十九件、そのうち公務中が百九十三件、公務外が千三百五十六件となっています。この事件、事故の数字のうち約九〇%が交通事故でありまして、公務中と公務外の割合が九対一で、圧倒的に公務外が多いことが今問題になっております。  この重大なこととして指摘しておきたいのは、女性に対する暴行事件や、それからタクシーの運転手に対する強盗事件と、一九九五年の少女暴行事件発生したその後も頻発をしておりますし、凶悪事件は後を絶っていないのが現状であります。  そこで、一九九八年十月には、北中城村で米海兵隊による女子高校生のひき逃げ、実はこの女子高校生、亡くなりました。二〇〇〇年の七月には、沖縄市で米海兵隊員がアパートに侵入し女子中学生にわいせつ、そして二〇〇一年の六月には北谷町で二十代の女性に暴行、二〇〇三年の五月には金武町で十九歳の少女に暴行、二〇〇五年七月には沖縄市で小学校の女児にわいせつ行為、二〇〇七年一月には沖縄市で女性を殴りバッグを強盗する。こういうことが相次いでいるその中で、本年二月十日には、十四歳の女子中学生への暴行事件発生いたしました。その怒りが収まらないうちに、三月には、米兵の子息ら、そして憲兵隊員によるタクシー強盗事件発生し、また横須賀では強盗殺人事件が起こったというその現状であります。  そこで本題に入りますが、これら米軍の構成員等が引き起こす犯罪について、その被害者等が救済されているかどうかということであります。  最初に警察庁に伺いますが、米軍の構成員等あるいはその家族が引き起こした犯罪について、犯罪被害給付制度の適用を受けたケースが何件あるのか、お伺いいたします。
  126. 米村敏朗

    政府参考人米村敏朗君) 御質問の点につきましては以前にも国会で御質問いただいたかと思いますが、その際、平成十三年でございますが、調査をいたしました。  平成五年に沖縄県の公安委員会が裁定をし、遺族給付金支給された事案、これはまさしく米軍構成員による犯罪被害者に対して給付金支給された事案が一件あったというふうに承知をいたしております。  その後、平成十三年以降について在日米軍の基地が所在する六都県について今回改めて調査をいたしましたけれども、今申し上げた一件のほかに給付制度が適用された事例というのはございません。
  127. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 なぜ米軍犯罪による被害者犯罪被害給付制度の適用を受けないのかというその理由については、やはりこれまでの給付額が少なかったからだというふうに思います。これだけ発生して、平成五年、沖縄県の一件のみというふうに今おっしゃったわけですが、現状では米軍の構成員等の事件、事故については、公務中であれば日米地位協定によって国家賠償がなされるわけであります。問題は、さきにも指摘いたしましたように、やっぱり事件、事故の約九割を占める公務外についてどのように処理され、どう救済や支援、賠償が行われているかなんですね。  防衛省の資料提供を基に、米軍人・軍属による事件被害者の会がまとめたその数字を見ますと、沖縄県では二〇〇五年の公務外の事件、事故九百二十五件に対し、給付された、いわゆる支払われたのはわずか十件で、全国では一千五百十六件に対して四十一件、二〇〇六年は八百五十件に対してたった十三件、全国では千三百五十六件に対して二十一件です。ですから、この数字が示すとおり、九五%の被害者が何ら救済されていないというのが現状でありまして、これは制度的な欠陥があるとしか思えないんですね。  米軍人・軍属による事件被害者の会では今、被害者救済、保護目的とした何らかの制度づくりを提案しています。これは、日本国に駐留する合衆国軍隊の構成員等による損害賠償法として法整備を国に今働きかけていることですが、この動きに対しても是非御理解をいただきたいというふうに思います。  防衛省には合衆国軍隊等の行為等による被害者等に対する賠償金の支給等に関する省令というのがございますね。つまり、見舞金で支払われることなんですが、この公務外の事件、事故について救済が必要と認めて支給する見舞金のことであります。この見舞金は、被害者やその遺族損害賠償請求書を提出して、それを防衛大臣が協議した上で支払うことになっています。  そこで防衛省に伺いますが、救済が必要であると認めて支払う見舞金の要件について、具体的な説明をお願いいたします。
  128. 地引良幸

    政府参考人(地引良幸君) お答えさせていただきます。  事故見舞金につきましては、合衆国軍隊等の行為等によります被害者等に対する賠償金の支給等に関する防衛省令第二条四号におきまして、被害者又はその遺族で、日米地位協定第十八条の五項及び同項を受けました民事特別法一条、第二条、また日米地位協定十八条六項などの規定によりまして救済されないものに対し、国が救済を必要と認めて支給する見舞金でございます。  具体的には、合衆国軍隊等の行為による事故等が発生し、その事故等が公務執行中のものである場合は地位協定十八条五項及び同項を受けました民事特別法一条、第二条の規定によりまして、また、公務執行中に行われたものでない場合につきましては、地位協定十八条六項の規定などによりまして被害者に対する補償がなされるべきところでございます。  ただ、米側当事者による事故等の帰責原因などがあるのかないのか等、日米間で見解が分かれ、これらの条項により補償されない場合があり得るわけでございます。  このように、被害者が地位協定十八条五項、六項の規定により補償が受けられない場合、これを放置することは社会通念上妥当ではないとの観点から、今申しました防衛省令の規定を設けて、この規定によりまして国が救済を必要と認めて見舞金支給するという形でやらさせていただいているというものでございます。
  129. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 では、その支払った見舞金の件数、明らかにしていただきたいと思います。
  130. 地引良幸

    政府参考人(地引良幸君) 過去三年間で申しますと、見舞金支給した件数は九件でございます。  ちなみに、平成十七年は一件、平成十八年は四件、平成十九年は四件となっております。
  131. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今お伺いいたしましたけれども事件発生した割には見舞金として処理された件数も数としては少ないというふうに思うわけですが、ただやはり最後に申し上げたいのは、被害者が救済されない現状、泣き寝入りするしかない実態について大変心を痛めております。  今、国は米軍人や軍属、そしてその家族が引き起こす公務外の事件、事故について、被害者立場に立って本当に真摯に立ち向かっているかどうかということであります。  実は、米軍人や軍属、そしてその家族が引き起こす公務外の事件、事故について、結果的には被害者本人が立ち上がり、裁判に訴え、自分で勝ち取っていくしか解決ができないというのが現状でありまして、米軍人軍属、その家族が引き起こす公務外の事件、そして事故に対し国がどう救済の手を差し伸べていくかということであります。公務外は当事者間の問題と切り捨てずに被害者の救済を図るべきであります。そのための法整備は急務だというふうに思います。  米軍は今、安保条約の下に日本に駐留しているわけでありますし、駐留そのものが公務だというふうに考えます。その視点から考えていきますと、やっぱり米軍人軍属、その家族が引き起こす事件、事故はすべて公務中と認識されるべきでありまして、その被害者遺族等はすべて救済されなければならないというふうに思います。  今後の国の取組をしっかり見守っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。  終わります。
  132. 岡田広

    委員長岡田広君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  犯罪被害者等給付金支給等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  133. 岡田広

    委員長岡田広君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、山根隆治君から発言を求められておりますので、これを許します。山根君。
  134. 山根隆治

    ○山根隆治君 私は、ただいま可決されました犯罪被害者等給付金支給等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党・無所属の会及び公明党の各派並びに各派に属しない議員糸数慶子君の共同提案による附帯決議案を提出をいたします。  案文を朗読いたします。     犯罪被害者等給付金支給等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項に万全を期すべきである。  一、犯罪等を撲滅するための取組を強力に推進するとともに、犯罪被害者等基本計画の着実な実施を果たすべく、政府を挙げた体制の整備を行うこと。また、犯罪被害者等対策が犯罪被害者等の権利に根ざすものであることについて国民理解を深めるべく、広報啓発を図ること。  二、犯罪被害者等給付金支給について適正な支給水準を確保するとともに、犯罪被害等の早期軽減に資するため、裁定の迅速化、早期支給に努めること。  三、休業加算の導入を始めとする今回の法改正を含め犯罪被害給付制度全般について、国民に対し広報啓発活動を積極的に行い周知徹底を図るとともに、犯罪被害者等に対し、その有する権利や手続について十分な教示を行うこと。  四、本法律の対象とされていない過失による犯罪被害、外国における邦人の犯罪被害等の状況を引き続き注視し、民間基金の活用を含め、これらの犯罪被害者等への全般的な支援の更なる充実に努めること。  五、民間団体に対する財政的援助を含めた支援の充実に努めるとともに、関係行政機関、民間団体等による犯罪被害者等に対する総合的な支援体制を確立すること。  六、テロ事件被害者に対する事案に即した経済的な救済措置に係る考え方を整理するとともに、我が国において未曾有の惨禍をもたらしたオウム真理教の犯罪による多数の被害者等に対する適切な支援策検討すること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  135. 岡田広

    委員長岡田広君) ただいま山根君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  136. 岡田広

    委員長岡田広君) 全会一致と認めます。よって、山根君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、泉国家公安委員会委員長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。泉国家公安委員会委員長
  137. 泉信也

    国務大臣泉信也君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重して努力してまいる所存でございます。
  138. 岡田広

    委員長岡田広君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 岡田広

    委員長岡田広君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十二分散会