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2008-03-25 第169回国会 参議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年三月二十五日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  三月二十五日     辞任         補欠選任         自見庄三郎君     長谷川憲正君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岡田  広君     理 事                 松井 孝治君                 山根 隆治君                 有村 治子君                 松村 龍二君     委 員                 神本美恵子君                 工藤堅太郎君                 芝  博一君                 島田智哉子君                 長谷川憲正君                 柳澤 光美君                 岩城 光英君                北川イッセイ君                 中川 義雄君                 風間  昶君                 糸数 慶子君    国務大臣        国務大臣        (内閣官房長官) 町村 信孝君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣食品安        全))      泉  信也君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣地方分        権改革))    増田 寛也君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣規制改        革、国民生活、        科学技術政策)        )        岸田 文雄君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策))    大田 弘子君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣少子化        対策男女共同        参画))     上川 陽子君        国務大臣     渡辺 喜美君    副大臣        内閣府副大臣   木村  勉君        内閣府副大臣   中川 義雄君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        加藤 勝信君        外務大臣政務官  中山 泰秀君        文部科学大臣政        務官       保坂  武君    事務局側        常任委員会専門        員        小林 秀行君    政府参考人        内閣官房公文書        管理検討室長        兼内閣大臣官        房公文書等保存        ・利用推進室長  山崎日出男君        内閣官房内閣審        議官       岸野 博之君        内閣官房内閣審        議官       木坂 愼一君        内閣大臣官房        審議官      竹林 義久君        内閣府政策統括        官        丸山 剛司君        内閣北方対策        本部審議官    佐久間 隆君        警察庁生活安全        局長       片桐  裕君        警察庁刑事局長  米田  壯君        総務大臣官房審        議官       須江 雅彦君        外務省北米局長  西宮 伸一君        文部科学大臣官        房審議官     布村 幸彦君        文部科学大臣官        房審議官     田中  敏君        厚生労働大臣官        房審議官     村木 厚子君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       藤崎 清道君        農林水産大臣官        房審議官     小風  茂君        農林水産省総合        食料局次長    平尾 豊徳君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○内閣重要政策及び警察等に関する調査  (内閣官房及び内閣府の基本方針に関する件)  (警察行政食品安全の基本方針に関する件)  (規制改革国民生活科学技術政策消費者  行政推進基本方針に関する件)  (行政改革公務員制度改革基本方針に関す  る件)  (経済財政政策基本方針に関する件)  (少子化対策男女共同参画公文書管理の基  本方針に関する件)  (地方分権改革、道州制、地方再生基本方針  に関する件)     ─────────────
  2. 岡田広

    委員長岡田広君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  内閣重要政策及び警察等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官岸野博之君外十五名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡田広

    委員長岡田広君) 御異議なしと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 岡田広

    委員長岡田広君) 内閣重要政策及び警察等に関する調査を議題とし、去る十八日に聴取いたしました六大臣所信に対し、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 松井孝治

    松井孝治君 おはようございます。民主党の松井孝治でございます。  今日は朝から大勢の大臣あるいは政府関係者方々お集まりいただきまして、ありがとうございます。通告外でございますが、今、通り魔殺人事件連続殺人事件、発生しております。この問題について国家公安委員長にまず一言、今の状況ですね、それからこういったことが残念ながら防げなかった、このことについての警察当局責任の問題も含めてどのようにお考えか、一言通告外で恐縮でございますが、御答弁いただきたいと思います。
  6. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 今回の事件につきまして、お亡くなりになりました方に御冥福をお祈りいたします。そしてまた、負傷されました方々に一日も早い御回復をお祈りをする次第でございます。  今回の事件につきましては、被疑者が分かっておったわけでございますので、茨城県警として百七十人を配置して被疑者検挙に当たっておったところでございます。残念ながら第二の犯罪が起きたということでございますので、このことについてなぜこうしたことが起きたか、茨城県警検証するようにということを警察庁として考え、指示をしたところでございます。  また、指名手配在り方についても、文書をもって各都道府県警察により厳しい対応を求めたところでございまして、この件につきましては警察庁としましてもこうした事案が再発しないように厳しい検証をすると承知をしておるところでございます。
  7. 松井孝治

    松井孝治君 是非よろしくお願いいたします。  私の方からも犠牲になられた方の御冥福をお祈りするとともに、被害者方々、そして御家族の方々、お見舞いを申し上げたいと思いますが、こういったことが連鎖的に起こっては絶対にならないので、再発防止全力を挙げていただきたいと思います。  それで、実は質問通告していた順序とは多少違うんですけれども、政府側の御都合もあるようですので、まず上川大臣公文書館関係の御質問をさせていただきたいと思います。  福田総理国立公文書館をしっかり充実させていくんだという姿勢を示されたということは、私は非常に結構なことだと考えております。上川大臣所信の中で公文書管理担当大臣として、歴史的事実の正確な記録国民の貴重な共有財産、そういうふうにおっしゃっています。そして、歴史的公文書保存体制の確立に全力で取り組むというふうにおっしゃっているわけでございます。  その意味で伺いたいんですが、私も公文書館の方においでをいただきまして、こういうパンフレットをいただいて、内容の説明を受けさせていただきました。そうしますと、全体で職員の方が四十二名。これ、諸外国公文書館を比較しますと、アメリカが有名で二千五百人、イギリスが五百八十人、フランスが四百六十人、オーストラリアが四百五十人、韓国は、数年前まで百四、五十名ぐらいだったのをこの数年で約倍増されて三百名規模のスタッフを抱えておられると。日本は四十二名ということで、明らかに日本公文書館というのは見劣りがするわけですね。  そこで、今日、政府参考人にもおいでをいただいておりますので、もしあれでしたら政府参考人から御答弁いただきたいんですが、この公文書館は、どれだけの資料点数を今所蔵しているのか、そして、そのうち明治以前の資料はどれぐらいあるのか、それをお答えいただきたいと思うんです。
  8. 山崎日出男

    政府参考人山崎日出男君) お答えいたします。  国立公文書館におきまして、現在、明治時代以降に作成された公文書等につきまして約六十三万冊保有してございます。また、江戸時代以前に作成されました古文書、これは約四十八万冊ということになって、合計百十一万冊を所蔵している次第でございます。
  9. 松井孝治

    松井孝治君 ありがとうございます。  それで、じゃ例えば江戸時代以前の、まあ漢籍なども多いと思いますし、万葉仮名による文書なども多いと思いますが、そういったものを実際読める方、古書、古文書を読める方は何人ぐらいいらっしゃるんですか。
  10. 山崎日出男

    政府参考人山崎日出男君) お答えいたします。  公文書館職員は四十二名となっておりまして、そこで具体的に古文書、そういう漢籍等を読めるとなりますと、一けたぐらいになろうかと思います。
  11. 松井孝治

    松井孝治君 いや、一けたじゃなくて二人でしょう。私、事前に聞いたのは、二人だと聞いています。
  12. 山崎日出男

    政府参考人山崎日出男君) 先生指摘のとおり二名でございます。
  13. 松井孝治

    松井孝治君 正直にお答えいただきたいと思うんです。今、体制整っていないことは皆さんの責任ではなくて政府全体の問題ですからね。  私がこういうことをなぜ伺っているかというと、今日、外務省から中山政務官おいでいただいていますが、例えば日中とか日韓共同歴史研究ってやっているんです。それで、当然のことながら、近現代の、まあ明治以降のいろんな不幸な歴史についての共同研究、あるいは教科書の記述についての共同研究というのもやっているわけでありますが、その中で分科会が幾つかありまして、やっぱり古代史研究あるいは中世研究、要するに、余り歴史上正確な資料がたくさんあるとは言えないようなものについて、しっかり、例えば中国あるいは朝鮮半島から日本にどういう方々が来られたのか、どういうやり取りがあったのかということを研究していこうということは、これは政府間で共同研究やっているんですね。ところが、そういった資料が今の国立公文書館に比較的少ないんですね。少ないどころか、資料を集める体制も不十分ですし、また、それを分析したり、研究する体制が国としてほとんど整っていない、それが現状なわけです。  そこで、外務省中山政務官、お見えでございますので、外務省としては、日韓歴史共同研究、日中の歴史共同研究をやっていて、今、日韓共同研究が第二ステージに入っているというふうに伺っていますけれども、こういう歴史文書、要するに、韓国公文書館をもう倍増して、すごい勢いで、まあ最近のいろんなブームもあるらしいんですが、韓国サイドから見たときの韓国日本関係も含めた東アジアの歴史を、研究を進めているというふうに伺っています。  ところが、共同研究日本はやっていますし、日本の学者さんは入っていますけれども、肝心のいろんな歴史的資料は、しっかり保存、収集、分析されていないという現状にある中で、本当に、まあイコールフッティングと言うとあれですけれども、我が国我が国歴史をきちんと評価をし、研究し、その上で共同研究できているんならいいんですけれども、そこの部分がいささかといいましょうか、全く不十分じゃないかと思うんですが、これは日韓歴史共同研究なども担当しておられる外務省として、また政治家個人としての御意見もあれば、その御見識も含めて伺いたいと思います。
  14. 中山泰秀

    大臣政務官中山泰秀君) 松井先生、御指摘ありがとうございます。  まずは、大事な隣国であります中国及び韓国との関係強化というのは大変重要であるという認識に立っております。政府といたしましては、歴史に対する客観的認識を深め、国民間の相互理解を増進させるとの観点から、両国との間での歴史共同研究を進めていると、先生も御承知のとおりでございます。  歴史に関して実証的な研究を行うに当たっては、歴史資料充実を図るというのも先生指摘の当然のことだと思いますし、それらが一般にも閲覧可能となるような公文書等公開を進めることが重要であるというふうにも考えてございます。特に共同研究の場合においては、互いの国の資料にアクセスをしやすい環境整備ということをつくり上げるということも重要です。  こうした観点から、例えば日中歴史共同研究では、東京での会合の機会をとらえ、アジア歴史資料センター防衛省防衛研究所の視察を通じて、我が国における歴史資料在り方について中国側及び韓国側委員の御理解も深くさせていただくことできました。  外務省としては、中国及び韓国との歴史共同研究が実りある成果を得られるように、松井先生指摘の点も踏まえながら、引き続き歴史共同研究が円滑に実施されるよう環境整備を努めていくという考えでございます。  また、先生から、政治家個人意見をもしあれば言えということでございました。私かねてから、日本にはなくて欧米各国にあるものの中に、例えばFOIA、これはアメリカに、ザ・フリーダム・オブ・インフォメーション・アクトという法律がございます。これは、年限を切って、公開すべき情報若しくは永久に公開しない情報というのをうまく種別をし、情報公開という国民要求に対してこたえていくという法整備がなされている。イギリスの方に目を向ければシークレットローという法律もございます。  こういった、国家の本来の、防衛ですとか大切な部分に対して、本当にコアな情報は開示することできないものというのはあるかもしれないけれども、しかし、こういった歴史認識とか共同研究の、お互いにとって大切なインフラ、特に我が国固有歴史的な問題に対して、その歴史の鏡を見せることができるための情報共有性開示性というものはしっかりと担保をしていかなきゃいけないということを私自身思っております。  そして、また同時に、アメリカを見ますと、外交歴史ということに関しては、特に、例えば大統領図書館、そういったものの整備というものが、経緯として実際整備をされております。日本の場合、近代史外交、つい先日の例えば総理の行われた外交どうなっているのかというのが、その総理がお辞めになられた後も確認をすることができないということも、これは欧米各国と比べてもまだまだ、外交のいわゆるアキレス腱を強くしていくということに対して果たして現状が資するのかどうか、個人的には私はそういうふうに考えてございます。  是非とも、松井先生の今回の御指摘をあえて踏まえさせていただいて、私も個人的に研究をし、また現在の政務官という立場の下、外務省方々とも御相談をしながら、先生との共通の認識だと思いますので、日本の主体的な外交を展開する意味においても、しっかりとそれに資する情報基盤整備に努めてまいりたい、かように考えてございます。  御指摘ありがとうございます。
  15. 松井孝治

    松井孝治君 御丁寧な答弁ありがとうございます。  特に後段の認識は私も全く共通しておりまして、これは上川大臣にこの後御答弁を求めたいと思うんですけれども、やっぱり、古代文書でも、日本でいうと古事記なんかそうですが、これずっとうずもれていて、本居宣長が発掘して研究して、大変な大研究を成し遂げたわけですね。語り部がいて、まあそれは、古事記の場合は神話世界から入っているわけですが、そういう語り部が語った資料をきちんと保存をして、それにどれだけの客観性があったのかというのは後々の検証を加えていかなければいけないと思うんですが、そうした、特に外交などについては必ずほかの国、外交ですから相手方がある。そうすると、外国では外国版歴史が語られていくわけですね。要するに、大統領なり首相が、当時の外交はこういう思惑でこういうことをやったんだというストーリーがつくられている。  日本側ストーリーがないということによって、ワンサイドでいろんな史実というものがつくられていくという部分があるわけで、そういう意味では、公文書館機能ということに関して言うと、単に歴史的な資料とか文書を集めるということだけではなくて、より積極的に、外交当事者、例えば元総理大臣なら元総理大臣、元外務大臣なら元外務大臣が、その外交交渉に当たってどういうことで臨んだのか、どういう思惑であったのか、交渉経緯はどうであったのかと、そういうことを記録に残して後世に残すというようなことも含めて、私は、公文書館のひょっとしたらこれは所掌を少し広げるということになるかもしれませんが、そこの部分について強化をしていただきたい。  そして、特に中世とか古代とか、ややはっきりしないそれこそ神話世界と言われているようなものについて共同研究が行われたときに、日本側だけが研究が進まなくて、そしてどんどん別の国主導一つ歴史観が固められていくということがないように、これは是非、そういった過去の、明治以降の歴史的な資料もそうですが、それ以前の中世古代資料、あるいはそれをきちんと読み解けて、そして分析できる、研究できる研究者の育成ということも含めて、上川大臣に今後の公文書館機能強化について御答弁をいただきたいと思います。
  16. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) 国立公文書館の使命ということで松井委員から御指摘をいただきましたけれども、歴史というのも大変さかのぼっていけばいろいろな時代がございますので、それぞれの時代において記録というものをしっかりと、公文書として的確にこれを把握をし、そして保存をし、そして利用に供していくということについては、今回任命をいただきました公文書管理担当大臣としての大きな職務だというふうに思っております。  従来から、所蔵資料の分類とか、あるいは目録の整備という形で大変きめ細かく地道に取り組んでいただいてきたところでございますし、またデジタルアーカイブ化という形での試みもしていただいているということでございます。そういう意味では、小さい組織ながら大変精力的に動いてきたというふうにも私自身思っているところでございます。  しかし、今お話がございましたとおり、諸外国と比べますと圧倒的に脆弱な体制で臨んでいるということでございまして、この度の福田政権の中でのこのお取り組みというのはその部分を大きく前進させていくということの意思を出しているというふうに思っておりますので、この充実強化に向けて全力で取り組んでまいりたいというふうに思っております。  去る十二日でございますけれども、公文書管理在り方等に関する有識者会議の初会合が開催されました。その折に、文書管理の今後の在り方、これは法制も含めましてでございますが、並びに国立公文書館制度そのものの拡充ということにつきまして、専門的な皆様から論点をしっかり明確をし、そしてその議論をお願いをしたところでございます。  今後、今御指摘いただきました点も含めまして、精力的に御議論をいただき、成果を上げてまいりたいという決意でございます。
  17. 松井孝治

    松井孝治君 ありがとうございます。是非しっかりとお願いしたいと思います。  官房長官、一々答弁求めませんし、官房長官御不在のときに話をしておりましたんですが、公文書館、この機能、圧倒的に諸外国に比べて少なくて、やはりこれは我が国が、例えば国史というものの研究というものがもう長らく放棄されている。そういう中で、近現代史もそうですし、中世古代歴史研究先ほどお話があったところでは漢籍が読める人は公文書館に二人しかいない、そういう状況ではやっぱり歴史のバックボーンというものを国民的にシェアすることができない、そんな政府でいいのか。  いろんな行革とか独立行政法人改革、そんな議論があるのは分かっていますけれども、ここは私は福田総理の御見解に賛成でございまして、しっかりとやっぱりこういう公文書館のようなところは、場合によっては独立行政法人が適切かどうかということも含めて、むしろ国としてしっかりとした専門家を集めて研究を進めていただきたい。そのことを上川大臣それから官房長官にもお願いして、次の話題に移りたいと思います。  まだ上川大臣、ちょっと継続して案件がございますので、そのままお願いいたします。  最初に伺おうと思ったんですが、警察庁片桐生活安全局長もお見えでございますが、まずちょっと事実関係についてまとめて、個々に伺おうかと思ったんですけれども、時間の関係もございますのでまとめて伺いたいと思います。  それから、中山政務官委員長、御公務あるでしょうから、御退席いただいて結構です。
  18. 岡田広

    委員長岡田広君) 中山外務大臣政務官は退席していただいて結構です。
  19. 中山泰秀

    大臣政務官中山泰秀君) ありがとうございます。
  20. 松井孝治

    松井孝治君 警察庁片桐生活安全局長に伺いますが、ここ数年の、特に資料を取っておられるここ四年、五年、平成十五年から平成十九年ぐらいのところでサイバー犯罪、これがどういうふうに増えているのか。それから、そのサイバー犯罪の中で児童買春に関連するもの、それから児童ポルノ事犯に関連するもの、青少年保護育成条例違反、そしてわいせつ物事犯規制薬物事犯、これらについて平成十五年から平成十九年にかけて、逐一の各年次のデータは不要ですが、平成例えば十五年から十九年にかけてどういうふうにその事犯が増えているのかということを簡単に御説明いただけますでしょうか。
  21. 片桐裕

    政府参考人片桐裕君) お答え申し上げます。  平成十九年中のサイバー犯罪検挙件数合計で五千四百七十三件でございまして、平成十五年の約三倍となっております。このうち、いわゆるネットワーク利用犯罪検挙件数は三千九百十八件でございまして、平成十五年の二・四倍となっております。  その内訳を申し上げますと、児童買春児童ポルノ法違反は七百四十三件でございます。平成十五年が三百七十一件でございました。このうち、児童買春事犯は五百五十一件、ちなみに平成十五年は二百六十九件でございました。また、児童ポルノ法児童ポルノにつきましては百九十二件の検挙でございまして、平成十五年は百二件だったということで、いずれも増加をしております。  このほか、青少年保護育成条例違反につきましては、平成十九年中は二百三十件の検挙でございまして、これも平成十五年が百二十件でございますので二倍近いということでございます。また、わいせつ物頒布事犯は二百三件でございまして、ちなみに平成十五年は百十三件。薬物事犯は三十三件でございまして、平成十五年は十七件ということになっております。
  22. 松井孝治

    松井孝治君 ありがとうございます。  片桐局長、もう一つ出会い系サイトに係る事犯ですね、これが同じような年限で見たときにどれぐらい増えているのかというのを教えていただけますか。
  23. 片桐裕

    政府参考人片桐裕君) 失礼いたしました。  出会い系サイト関係した事件でございますが、平成十九年中の検挙件数は千七百五十三件でございます。前年と比べましてやや減っておりますけれども、依然として高い水準にあるというふうに考えております。
  24. 松井孝治

    松井孝治君 これは後ほどこの委員会質疑をさせていただくんだと思いますが、政府ではその出会い系サイトに関する法律改正を今回検討して、もう既に閣議決定して国会に提出をされているわけです。  ただ、今、この検挙事犯数を比較しますと、出会い系サイトも非常に深刻な問題で、これは我々もしっかりと対策を打たなければいけないという思いがあるわけですが、それだけではなくて、今お話があったような、これは出会い系サイトを通じてそういう犯罪に及んでいるものもあるんで並びの数字ではないかもしれませんが、児童買春であるとか児童ポルノであるとか青少年保護育成条例違反の事案であるとかわいせつ事案、こういうものがインターネットを経由し、一番手軽に言うと青少年の携帯電話を通じたインターネット接続を通じてこういう事案がたくさん起こっていて、それが平成十五年から比較すると本当に二倍三倍という数字になっているというのが、今、片桐局長の御説明でも明らかになったと思うんです。  その中で、これは泉国家公安委員長に伺いたいわけですが、出会い系サイト規制というのはこれは強化をしていく、そのことは結構です。それ以外で、まあこれは我々の中にも議員立法で何とかできないかと。例えば、今日は総務大臣は御不在ですけれども、総務大臣がある程度フィルタリングというものを携帯電話のキャリアに要請されたということがありましたが、ああいうものをもう少し法律的に何とかできないか、あるいはいろんなおかしなサイトの明らかな違法・有害情報をもう少し削除できる、そういう規定を盛り込むべきじゃないかというようなことを考えているわけでありますが、出会い系サイト規制法改正以外の面の今の違法・有害サイトがもたらす問題、それがいろんな犯罪につながっている問題について、国家公安委員長は、今後、政府としてどういう取組が必要だと考えておられますでしょうか。
  25. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 高度情報通信社会の進展に伴って、影の部分ともいうべきサイバー犯罪が増加しておるということは憂慮すべきことだというふうに思っております。  警察といたしましては、この対策として、捜査部門とそれから情報通信部門との効果的な連携を通じた取締りの強化──済みません。
  26. 岡田広

    委員長岡田広君) 携帯切っておいてください。
  27. 泉信也

    国務大臣泉信也君) はい、申し訳ありません。失礼しました。  それから、インターネット上の違法情報、有害情報に関する情報を一般利用者から受け付け、警察へ通報いただく、その上でプロバイダー等への削除要請を行うインターネット・ホットラインセンターの設置あるいはICPO等の多国間の枠組み、関係団体と連携した防止のための広報啓発活動という、こうしたことを今警察では取り組んでおるわけでございます。  また、委員から御指摘がございましたように、この国会にいわゆる出会い系サイトの改正法案を出させていただき、さらに二十年度予算でホットラインセンターの体制強化あるいはサイバーパトロールの民間委託のための予算を計上しておる、こうした取組をさせていただいておるところでございまして、いずれにしましても、これは警察庁だけで取り組める物事ではなくて、広く関係省庁と連携を取りながら対処していかなければならないと考えておるところでございます。
  28. 松井孝治

    松井孝治君 今、国家公安委員長の方からインターネット・ホットラインセンターの話が出ました。体制充実強化ということで、予算も増やされた予算案が今衆議院通過して参議院でも議論されているということだと思うんですが、恐らく上川大臣や岸田大臣はその状況も御存じだと思いますが、官房長官もいらっしゃるので、この委員会で少しインターネット・ホットラインセンターというのはどういう仕事をしていて、どういう情報をどういう方々がチェックをしてどういう機能を果たしているのか、逆に言うと、サイバー犯罪というのはどういう手口で、青少年も含めて被害を及ぼしているのか、そこら辺をちょっと片桐局長の方から簡単に御説明をいただければ有り難いと思います。
  29. 片桐裕

    政府参考人片桐裕君) お答え申し上げます。  インターネット・ホットラインセンターと申しますのは、一般の方々からいわゆる違法情報また有害情報についての通報を受けまして、それを、違法情報については警察に通報する、また警察が犯罪捜査をしない違法情報とか、また有害情報についてはサイトの設置者とかプロバイダー等にその削除の要請をするといったような活動をしておりまして、これは警察庁の委託事業として平成十八年六月から運用しているところでございます。  その活動の実態を申し上げますと、平成十九年中は八万四千九百六十四件の通報を受理しておりまして、この数は年々増加をしております。このうち、違法情報に該当するものが一万二千八百十八件、有害情報に該当するものが三千六百件ということになっております。このうち、違法情報と判断したもののうち八千三百十件を警察庁に通報いたしまして、また五千五百九十二件についてはプロバイダーとか、あとサイトの設置管理者等への削除依頼を実施しておりまして、このうち八四・八%が削除をされていると、言い換えれば、残り一五%程度は残ってしまっているということでございます。それから、有害情報につきましては千六百三十九件につきまして削除要請をいたしまして、七四・四%が削除されているということでございます。  また、ガイドラインにこの有害情報、違法情報、決まっておるんでございますけれども、それ以外の情報もございまして、例えば名誉毀損、誹謗中傷に該当する情報につきましては法務省の人権擁護局に通報するとか、また知的財産権を侵害する情報につきましては各権利者団体に通報するといったような活動を行っているところでございます。  なお、このホットラインセンターの体制でございますけれども、発足当初はセンター長以下六名で実施をしておりましたけれども、平成十九年度には十名に増員をし、そしてまた来年度予算では更に五名を増やしていただくべく予算の要求をしているところでございます。
  30. 松井孝治

    松井孝治君 局長恐縮です、ちょっと座っていていただければ有り難いんですが、その席で。  具体的に違法情報というもの、インターネット・ホットラインセンターで通報している違法情報にどういうものがあり、それから有害情報にどういうものがあるか、そこをもう少し具体的におっしゃっていただいた方が閣僚の皆さんにも聞いていていただいて分かりやすいんじゃないかと思うんですが。
  31. 片桐裕

    政府参考人片桐裕君) 具体的にはインターネット・ホットラインセンター、ガイドラインで決めておりますが、例えば違法情報で申し上げますと、わいせつ物の公然陳列、また児童ポルノの公然陳列、それから売春防止法違反の広告、また出会い系サイト規制法におけるところのいわゆる不正誘引の情報、それから規制薬物の広告に関する情報、それからまた口座売買等の勧誘、誘引に関する情報、また携帯電話の匿名貸与業、無断譲渡業等の勧誘、誘引といったようなものが挙げられます。  あと有害情報でございますけれども、これ以外に犯罪を誘発するような情報ということで、例えばけん銃の譲渡、爆発物の製造、児童ポルノの提供、公文書偽造、殺人、脅迫等を直接かつ明示的に請負また仲介、誘引する情報とか、人を自殺に勧誘、誘引する情報とかといったようなものが挙げられます。
  32. 松井孝治

    松井孝治君 今局長からお話しいただいたように、官房長官や閣僚の皆さんも聞いていただきたいんですけれども、有害情報というものの中には明らかに違法なんではないかというようなものがたくさんあるわけですね。それを当初六名程度、これは日本中のというか、まあ日本国民世界中のいろんなサイトから、もうそれは海外にある日本語サイト山ほどありますから、いろんなものがそういうサイトで情報提供されている、誘引されているもののパトロールをある意味ではされている、それが六名や十名やというようなレベルでされているという状況なんですね。やっておられる方は物すごく効率よくやっておられますけれども、おかしな情報でも一月間ぐらい在庫があって、それをいろんな当局に通報するまで一月ぐらい見付けたあるいは通報があったというものはそのまま置いておかれるという状況で、しかも、それが認知度が結構高いわけじゃなくて、余り知られていなくてもパンク状態。もっとこれが活用されるようになると、もっともっと人手が要るような状況で、イタチごっこといえばイタチごっこなんですが、やっぱりこういう機能を私は高めていかなければいけないと考えています。  もう一点、今日は保坂政務官見えいただいておりますんで、学校裏サイトというのが最近問題になっています。要するに、学校が開設した公式のサイト以外のものですから、必ずしも学校裏サイトというもの自身が非常に有害であるとか違法であるというふうに決め付けるわけにはいきませんが、私伺いましたら、文部省が調査をされて三万八千サイトぐらいを発見されて、そのうち二割は明らかないじめ等につながるようなサイトがあったというふうに言われている。まあこの調査もまだ継続調査中というふうに伺っていますけれども。  文部科学省としては、この学校裏サイト、それが非常に、少なくとも今の調査の中間段階で、二割ぐらいはいじめにつながっているんではないかと。こういうものについてどういう対応をされるおつもりでしょうか。
  33. 保坂武

    大臣政務官(保坂武君) 松井先生から御指摘もいただいておりまして、今、日本の社会では高齢者そしてまた婦人等が命を奪われるような悲惨な事件、事故、特に今御指摘のあるように犯罪も低年齢化し、そして子供たちが命を奪われるというふうな事件が多いわけであります。  文部科学省といたしましても、子供の携帯電話等の利用状況等に関する調査を民間会社等に委託をいたしまして、今年の一月から具体的に調査をしているところであります。その継続中でありますが、この三月十四日に既に途中経過として御指摘のとおり発表をさせていただいておるところであります。ただ、三万八千件につきましてはまだ九州八県を除くというところでありますから、まだこの数も増えるかと思います。  そして、今回の調査は、子供が携帯電話やパソコンを利用してお互いに書き込み、情報交換をしているということでありますが、これがすべていじめの温床となっているという状況でありませんが、ただし御指摘のとおり、何%か学校の裏サイトとしてとらえているわけであります。したがって、あと一週間ほど掛かりますが、具体的な数値等も状況専門家等によりまして分析をし、具体的な内容を把握をさせていただきたいと、こんなふうに思っております。  ただ、学校裏サイトということで形態が幾つかございまして、一つには特定の学校裏サイト、これは特定の学校の生徒が閲覧するようなシステムであります。そしてまた二つ目にはスレッド型学校裏サイトというのがありまして、2ちゃんねるなどの巨大な掲示板を利用したものがあるわけであります。そしてあと三つ目には一般学校裏サイトというのがございまして、全国の中高生がだれでも掲示板を閲覧しながら書き込めると、こういうようなものと、それから小さくグループホームページ型の裏サイトというふうなことで個人グループでするサイトと、こんなふうに今現在分析をされているところであります。
  34. 松井孝治

    松井孝治君 詳しく御答弁ありがとうございました。  おっしゃるように、学校裏サイトというのもいろんな形式があって、一概に一律の対応というのは難しいんだとは思うんですが、明らかにある、本来であればコミュニティーサイトとしていろんな連絡、情報交換がやり取りができるという、そのこと自体は悪くないところで、明確に個人が分かるような形で、そのグループ内の人たちは個人が分かるような形で個人攻撃、中傷が行われていて、それが最悪の場合自殺等にも及んでしまうようなケースが多発しているということが社会問題化しています。  是非、早く調査を取りあえず取りまとめていただいて、その上で関係閣僚で御協議をいただいて、どういったこれに対する対応の方針がふさわしいのか、我々も議員立法で、これは与党も野党も今議員立法を検討中ですが、何らかの御提案をさせていただきたいと思いますが、政府としてもしっかり対応をいただきたいと思います。  その上で、上川大臣、今までのお話をずっと聞いていていただいて、先ほど来の話は、その被害者の相当数はやっぱり児童なんですね、青少年が被害者になっております。ある程度成年した後、自己責任でインターネットに触れて利用し切れるならいいんですけれども、そういうことが判断能力が必ずしも成熟していない状況でインターネット社会に身をさらされて、そして、それはもちろん利便性もあるし、今共働きの家庭が多い中でそういうものを持たないとかえって安全性が確保できないという事情もあると思うんですが、それが結局犯罪に結び付いているという状況、深刻な状況があると思います。是非上川大臣にこの青少年の違法・有害サイトへの接続、これについてどのような規制が必要なのか、御見解を賜りたいと思います。
  35. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) インターネットの大変便利さと反対のところで、影の部分において様々な有害情報、違法情報が巧妙にある意味では流されているというふうに思っておりまして、そういう意味で子供たちの健やかな育ちあるいは人格形成に大変深刻な影響を及ぼしているし、また同時に犯罪のある意味では芽というものもその中にあるということに対して、大変深刻な問題というふうに私も共通した問題意識を持たせていただいているところでございます。  昨年の末に、有害情報から子どもを守るための検討会の中間報告ということで二つの対策が取りまとめられました。一つは携帯電話のフィルタリングサービスの普及促進を徹底して行うということでございます。と同時に、もう一つの取組として、有害情報の実際の画像を十分に特に親御さんに見ていただいて、そしてその保護者への啓発活動につきましても強化していくというような形での実行可能な施策から取り組むということでスタートしているわけでございます。  携帯電話の利用の実態というのもこの間様々なところから発表されておりますが、特に小学生におかれましても大変低年齢化してこの携帯電話の使用が増えているということ、そして同時に使用する時間帯もいろいろな時間帯で、また長さも長くなっているということもございまして、その分有害情報や違法情報にさらされる危険性というのも高まっているというふうに思っているところでございます。この有害情報の子供の目に触れさせないための有効な対策ということで、先ほどパトロールの話もございましたけれども、フィルタリングの普及促進の一層の強化ということにつきましては、フォローも含めてしていくべきだというふうに思っておりまして、関係大臣とよくよく連携をしながら、とりわけ影の部分に子供たちの健全な発達、健やかな育ちがさらされないような形での対策に万全を期してまいりたいというふうに思っているところでございます。
  36. 松井孝治

    松井孝治君 よろしくお願いします。  我々議員立法で、できたら与野党共同提案で、この違法・有害サイト対策の立法を出したいと思うんですが、議員立法で出すのはできても、その体制をどう整えるかということになってくると、それは国会だけではできませんので、政府側でも是非御検討よろしくお願いします。  それでは次の話題に移りますので、上川大臣や保坂政務官は御退席いただいて、委員長、結構でございます。
  37. 岡田広

    委員長岡田広君) 上川国務大臣、保坂文部科学大臣政務官は御退席いただいて結構です。
  38. 松井孝治

    松井孝治君 泉委員長はちょっと聞いておいていただきたいと、この後御質問する予定はないんですけれども、もう少しだけ聞いておいていただきたいと思います。  次に伺いたいのは、これも福田内閣の目玉と言われている消費者行政の一元化、消費者庁の問題でございます。泉大臣は、食品安全担当でもいらっしゃるので、ちょっと関連するのでお残りいただいたわけでありますが、岸田国務大臣に、担当大臣にお伺いしたいと思うんですが、各省庁が縦割り行政というのは、別に消費者問題に限ったことではなくて、今のITの問題もまさにそうですし、いろいろ御苦労をされているのかもしれませんが、この消費者行政一元化する消費者庁の構想、これは私はどういうやり方をやるかによって、有効にも機能するし極めて形式的にもなるというふうに思っているんです。  その意味で、これは、もし本気で消費者庁をつくって消費者問題を一元化するんであれば、あるいはそういう対応を強化をするんであれば、相当大掛かりなことになると思います。今の国民生活局が持っておられるような、薄い、まあ各省調整的なものを、あるいは国民生活センターみたいなものを所管するというようなことであればまだいいんですけれども、あるいは窓口を、例えばちょうど食品安全担当を泉国家公安委員長が兼ねておられるように、厚生省あるいは農林水産省というリスク管理機関がある、事業所管官庁があって、その上に食品安委員会が乗っかってリスク評価を行う、総合調整を行うというような機能であれば、これはまだ想像がしやすいと思うんですけれども、ただ、それで本当にこの消費者問題の一元化ができるのかどうか。その辺りについて、まず岸田大臣の方から、この消費者行政の一元化、どこまでやろうとしておられるのか、具体的に御答弁をいただけますか。
  39. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 消費者行政の一元化につきましては、昨今の消費者問題をめぐる様々な事案や事件を通じまして、大変大きな必要性を感じ、今取り組んでいるところであります。  その際に、この一元化に取り組む際にまず考えなければいけない点としまして、国民から見て分かりやすい行政の在り方をつくっていかなければいけないということで、消費者行政の一元化に当たりましては、まず消費者からの情報の一元化、集約、この仕掛けをどのように考えるのか、これが発想の起点だというふうに思っております。そして、こうした消費者から寄せられる苦情や相談、こうした情報をどのように一元化、集約していくか、そして一元化、集約された情報をどのような組織で受けて分析、対応をしていくのか、そしてその新しい組織にどのような権限を与えるのか、これが大きな論点として挙がってくると思います。  そして、それを具体化するということになりますと、いずれにしましても、かなり大掛かりな行政改革に取り組んでいかなければいけないんではないか、このような覚悟を持っているところでございます。
  40. 松井孝治

    松井孝治君 情報の一元化も大切だと思うんですが、もう少し端的に伺いますと、例えば消費者契約法は今国民生活局の方で見ておられると思いますが、特定商取引法というのがありますね。これは経済産業省ですか、所管。あるいは景表法、これは公正取引委員会でしょうか。こういう法律の施行事務も消費者庁として一元化されるのか。それ以外のいろんな業法と言われるものも消費者保護を法益の一つとしているものはたくさんあるわけで、それは切りがないわけですが、例えば今申し上げたような特商法、あるいは製品安全に関する法律、あるいは景表法、ここら辺は相当程度消費者利益の保護というものが法律の中核にあるわけですね。こういった法律の施行事務を各省庁から言わば引っぺがして消費者庁に統合する、それぐらいのお気持ちはお持ちですか。
  41. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 先ほど申し上げましたこの新しい組織、どのような形にするのか、どんな権限を与えるかという点におきまして、御指摘の所管する法律が何なのかというのは大変重要な論点だというふうに思っています。  現状、この消費者行政推進会議、この有識者会議議論をお願いして、まさにこれから組織とか所管する法律議論に入っていただく、この段階でありますので、今の段階では確定的なことは申し上げることは控えさせていただきますが、御指摘のような法律、各省が持っているような業法まで全部取り込むということは非現実的だとは考えておりますが、その一方で、今御指摘のありましたような法律のように、各分野横断的な法律については、こうした法律を中心にどこまで取り込めるのか、どこまで所管するのか、これは大変重要な論点だというふうに思っています。  加えまして、各省のすき間事案に対応するためには新たな法律も必要になってくるのか、この辺りもこれからの論点として重要な点だというふうに考えております。  いずれにしましても、こうした論点を中心に、これからまさにこの消費者行政推進会議でその点について御議論をいただく段階にありますので、しっかりとしたこの御議論を見守っていきたいと考えております。
  42. 松井孝治

    松井孝治君 今の私は岸田大臣答弁は重い御答弁で、確かに、例えば電気事業法一つを取っても、宅建業法一つを取ってみても、それは消費者利益の増進というのは法益の中の一部にはあるわけですね。だけど、そこまではいかないかもしれないけれども、今の御答弁を素直に解釈するならば、さっき私が申し上げたような特定商取引法であるとか景表法であるとか製品安全法であるとか、そういった法律については、これは各省設置法から法律の施行事務を除外をして、例えばそれは消費者庁になるのか何か分かりませんが、一元的な消費者行政機関に持ってくるという方向の議論をしておられると、少なくとも大臣はそういう意向を示されたということで、私は非常に重い御答弁だと思います。  官房長官、今聞いておられましたけれども、そうなってくると、各省から見ると、いろんな権限が消費者庁の方に、あるいはその一元組織の方にはがされていく、これは大分抵抗があると思うんですが、そこは今、岸田大臣がおっしゃったような方向をサポートするということで、官房長官としても閣内調整されるというふうに考えてよろしいんでしょうか。
  43. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) この消費者問題は、総理大臣の一月の施政方針演説でも述べておりますが、福田内閣の最重要政策一つという位置付けをしているわけでございます。折しも、いろいろな偽装問題でありますとかあるいは、直接今どう扱うかというのは警察の捜査でありますけれども、輸入ギョーザの問題等々、国民の関心も大変強いということもあります。  そんなことで、今有識者の懇談会が作業を始め、議論をいただき始めたところでありますから、今この時点で余り結論めいたことをちょっと申し上げるのはいかにも時期尚早かなと、こう思います。ただ、総理としても、まさに内閣の最重要課題であると位置付けた以上は、それにふさわしい仕事ができる役所じゃなければいけないということは当然のことであろうと、こう思っておりますし、そういう意味から、どういう権限を持つか、どういう組織にするかということにつきましては、最重要課題にふさわしい仕上がりになるように私も岸田大臣の作業をサポートし、政府全体としてもしっかりとしたものになるように取り組んでいきたいと考えているところでございます。
  44. 松井孝治

    松井孝治君 ありがとうございます。  今の時点で官房長官としてはそれ以上の御答弁は無理なのかもしれませんが、これはなかなか、各論に行けば行くほど各省庁は非常に抵抗をすると思いますね。しかも、今は物資所管体系で、生産、流通、消費に関することなどというのが農水省や経済産業省にはあるわけですから、まあそこまで引っぺがすということではないかもしれませんけれども、そこの消費の改善みたいなことを本来事務として各省庁はやっているという議論を展開されると思うので、ここは岸田大臣の、あるいは更に言えば内閣全体としての指導力が問われるところだと思いますので、我々も注視をさせていただきたいと思います。  その上で、ちょっと細かい点、一つあるんですけれども、内閣府の国民生活局は横断的な官庁ではあると思うんですが、国民生活センターという独立行政法人をお持ちで、余り個別の消費者相談窓口みたいな機能が、大きなものがあるというふうに私は認識してないんです。各省庁にはある程度消費者相談室的なものがあるんですね。こうなってくると、今後その国民生活局自身が、あるいはこれは消費者庁ということになってくると、自身でその消費者からいろいろ情報を収集する窓口みたいなものを持つつもりがあるのか、そうなってきたときに、国民生活センターという独立の法人を、その機能を場合によっては役所自身が一定部分を引き受けていかなければいけないのではないか、そういう議論もあろうかとも思うんです。  その点について、この新しい一元化組織は、自ら情報収集あるいは国民消費者のいろんな相談の窓口となるような機能、まあこれは東京だけではなかなかうまくいかないですね。他方で、分権の時代にどこまでそれを、出先機関を中央省庁が持つのかという議論もありますが、その辺りについて、最初におっしゃった情報の窓口、情報収集機関あるいはそのネットワークについてどのように考えておられますでしょうか。
  45. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 消費者行政のこの一元化の議論の中で、やはり窓口の在り方、そして地方におけるこの窓口の在り方というのは大変重要な論点だと認識をしております。  国民生活審議会においても、また消費者行政推進会議におきましても、こういった点、大変大きな議論が行われております。そして、その議論の方向性を見る中で、やはり国民生活センターは地方の消費生活センターと一体となる形で情報の一元化、そして窓口業務の中核を担わなければいけない存在ではないかというふうに認識をしております。地方、国民生活センター、消費生活センターと一体になることによって、まずはこのワンストップ窓口と言えるような、まずは困ったらここへ駆け込むというような窓口体制をつくることを考えていかなければいけないのではないかと考えております。  その際に、それ以外の部分に国としましてもあるいは地方としましても、保健所ですとかあるいは法テラスですとか、様々な窓口業務、窓口があります。こうしたこの窓口まで全部取り込むということはなかなか難しいとは思いますが、やはりこういった窓口とも情報を共有する、あるいはこの情報を、そういった他の窓口からの情報も集約していく、こういった仕掛けは作っていかなければいけない、このように考えております。
  46. 松井孝治

    松井孝治君 ありがとうございました。  これは非常に大事な事柄でございますし、行政組織や独立行政法人の組織、あるいは地方組織とも関連した話ですし、あるいは民間団体との機能分担の話にもかかわる問題です。これからもしっかり御議論いただきたい、そのことを申し上げたいと思います。  岸田大臣、それから泉国家公安委員長、これで結構です。
  47. 岡田広

    委員長岡田広君) 泉国務大臣、岸田国務大臣は退席いただいて結構です。
  48. 松井孝治

    松井孝治君 それでは、今日質問させていただきたい最後の項目、国家公務員制度改革について伺いたいと思います。  お手元に資料を配付させていただいておりまして、裏表の一枚紙でございますが、これは渡辺大臣、渡辺大臣が作成された資料というふうに伺っておるんですが、そうですね、この資料は。
  49. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) どっかで見覚えのある資料でございますが、国家戦略本部には福田総理の方からお渡しになられたとお伺いしております。
  50. 松井孝治

    松井孝治君 それでは、済みません、失礼しました。「出典 渡辺大臣が自民党国家戦略本部に提出した資料」というのは不正確であったことをここで訂正しておきたいと存じます。ただ、何か渡辺大臣が作成されたというふうに私は仄聞しておりますが、総理から提出されたということが事実かもしれません。  それで、この①と書いている方、裏表ですので①と②に分けさせていただきましたが、「「各省割拠主義」から「日の丸官僚」へ」、これは分かりやすい言葉ですが、悪いことではないといいましょうか、我々自身も各省庁の縦割り、まあ割拠主義という言葉を使われていますが、それから国益全体を追求する、そういう官僚に転換すると、これは賛成であります。左側の図は、これは渡辺大臣から御説明いただくのが一番いいんでしょうけれども、各省庁の中で採用されて、そして局長や事務次官まで昇進していくという絵を示しておられる。それを、指定職以上の幹部職員のところは少し、各省の人事ではなくて内閣一元化、日の丸、国益を追求する人事に変えていこうという趣旨の紙だと私は理解をいたしました。  そこで質問なんですけれども、これはまず渡辺大臣に伺いたいと思うんですが、具体的に、この右側の指定職というものを置いて、そこは何か循環する矢印が付いておりますけれども、各省を、省を超えて幹部の職員方々は異動するということに、そういう絵に見えますね。こうなってくると、当然、例えばA省のA大臣の下に置かれるときは、そのA省の局長さんなら局長さんはA大臣の人事権に従うというのは常識的だと思うんですね。大臣が自分の下にいる人を自分の指揮命令で使えない、人事権がないというのは考えられない。ところが、この絵を見ますと回っていますね。この回っているということの意味がどうなのか。  例えばA省のAさんという局長さん、例えば国土交通省の道路局長という方は、今までの考え方であれば、当然国土交通大臣の人事権に服する国土交通省の局長ポストに就いている人ですね。ところが、これを見ますと、まあ法案がどうなっているのかよく分かりませんが、今日は法案とは別に議論をしますけれども、この例えばA省のA局長はどこに所属するんですか。具体的にA局長というポストに所属するわけですね。別に内閣人事庁に所属するわけではないという考え方でよろしいんですか。
  51. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) その辺りを今最終的な詰めをやっているところでございます。  内閣というのは、まさに大臣内閣の一員でございます。一方、指定職が内閣の一員という具合にもなかなかいきませんで、内閣人事庁所属という考え方はあり得るわけでございます。一方、各省の権限をより残しておこうという立場からは、各省に所属、まあ本務ですね、そういった考えが述べられているところでございます。  いずれにいたしましても、各省縄張主義、各省縦割りの弊害を除去していこうというのは今回の改革の大きな柱でございますので、そうした問題認識を持って今詰めているところでございます。
  52. 松井孝治

    松井孝治君 いや、渡辺大臣、端的にお答えいただきたいんですが、そうすると、例えば国土交通省道路局長という、まあこれはここの指定職ですね、国土交通省道路局長内閣人事庁に定員枠がある、発令の本体は内閣人事庁で発令されるということが適切だというふうに思っておられるということですか、それは。
  53. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 任命権は大臣にございます。  大臣というのは、我々の理解では内閣の一員であります。したがって、各省縦割り、縄張主義を徹底して進めていこうということであれば、各省大臣という概念を持ってきて内閣とは別個独立であるかのごとき理屈も散見されるところであります。しかし、やはり内閣主導型の体制、真の議院内閣制というのはまさに内閣主導型の体制でありますから、そういったところを推し進めていこうということであれば、それにふさわしいシステム、体制があるではないかという観点から今議論を進めているところであります。
  54. 松井孝治

    松井孝治君 そうすると、国土交通省道路局長であっても、それは内閣全体のスタッフであるから、その発令は内閣人事庁。新聞報道等で我々が承知するところでいうと、内閣人事庁の長は官房長官ということで決着したということでありますから、総理なり官房長官局長級の人事というのは事実上発令すると。各省の大臣はそれを受けて、指揮命令権はあるけれども、その人事権はむしろ、人事権なり本籍は内閣人事庁において、渡辺大臣が作成されたのかどうか分かりませんが、この表でいけばその人を評価をするのも内閣人事庁であり、場合によっては国土交通省の道路局長から次、別の例えば経済産業省の経済産業政策局長に行くこともあるかもしれないと。そういうことも含めて内閣一元、今おっしゃった何か縦割りの各省割拠というものを破るために内閣一元人事をするというのが渡辺大臣のお考え方であると、そう理解してよろしいですか。
  55. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 先ほども申し上げましたように、任命権は大臣にございます。  ただ、大臣の人事権と称してもう何代も先の局長まで決めていたりするケースがないとは言えないんですね。そういった慣行といいますか、霞が関カルチャーが相当いろんな問題を起こしてきている。こういった現実を我々は直視をしていかなければならないと考えております。  したがって、大臣の人事権というものをより実質的に強化をする方策はないかという観点から考えたのでございます。つまり、各省人事当局がたたき台を作ります。それに対して内閣人事庁は適格性審査というものを行います。内閣人事庁が別途たたき台を作ることがあってもいいではないかと。ということになれば、大臣の人事権はむしろ広がるわけでございまして、今大臣の人事権と称して各省何代先もの局長まで実質的に決めてしまっているこういった慣行を、より議院内閣制の本旨に照らした大臣の人事権を強化をする。そのために内閣人事庁がその大臣のサポートをするという体制が今我々の考えているところであります。
  56. 松井孝治

    松井孝治君 官房長官にお尋ねしますが、今の人事ですね、これは今、渡辺大臣がおっしゃったように、各省大臣が何代も先までの例えば道路局長まで決めていると、これは各省割拠主義であって議院内閣制の名に値しないと、そういう答弁がありましたけれども、そういう各省大臣に人事権があって何代も先まで決めているような今の人事があるのかないのか、あるいはそれが本当に議院内閣制の名に値しないようなものなのか、率直にどういうふうに思われるか、御答弁いただきたいと思います。
  57. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) いろいろな人事の実態があろうかと思います。  私も十三年、当時の通産省におりましたけれども、次はあの人、次はあの人と、こうよくおもしろおかしく酒飲み話的にしたことはありました。しかし、大体外れておりますですね。なかなかそう簡単にはいかない。やっぱりそのときそのときの大臣のお考えもあるでしょうし、またそのときそのときの社会情勢が、こういう今、例えば事務次官を、こういう局長を求めるというような実態もあろうかと思います。ただ、今、渡辺大臣が言われたような弊害もまた散見される、それもまた事実だろうと思います。  そういう意味で、今、渡辺大臣が言われたような、大臣が一番いい局長、次官を発令できるような体制をつくっていく、そのための、今度想定されている人事庁が的確にそれをサポートできるような仕組みというものを考えていこうではないか、そういう発想だろうと私は思います。  したがって、局長、ここにちょっと絵がかいてありますが、指定職でも局長がA省からB省に移る、またB省からC省に移る、そういうことが、今まではごくまれにはあったけれどもほとんどなかったと思いますが、今後はそういうことがあっても、増えてもいいだろうと、こう思いますし、また、ただ問題は、残念ながら内閣の寿命が大変短いものですから、小泉さんのように五年間ぐらいやれば別として、一年で替わっていく大臣がどこまで本当に人事というもの、その人柄、能力、実績というものを熟知した上で本当にそれにふさわしい人事権というものを発動できるかどうか。これはやっぱり、政治の方も実は改めていかなければならない部分が相当あるということを我々政治家としてはやっぱり考えなければならないという面もあろうかと思います。  いずれにいたしましても、内閣の一元管理ということで、特定の省庁の官僚というよりはやっぱり日本政府全体を考える、特に、指定職ぐらいになれば本当にそういう意識で仕事をしてもらわなきゃならないことがたくさんあるわけでありますので、そういう観点で最適な人事の一元管理ができるような仕組みをつくっていきたいと考えております。
  58. 松井孝治

    松井孝治君 これは、法案を今各省協議中というふうに伺っておりますから、その仕上がりを見て更に御議論をさせていただきたいと思いますが。  そこで、ちょっと天下りに関連して申し上げると、昨年の改正法で天下りに対して一定の制度改革が講じられました。  私、やっぱりこの天下りというのは、いろんな、組織あっせん型天下りは私はなくしていかなければいけないと思う、個人の知見を活用する再就職とはやっぱり峻別していかなければいけないというのが私が常々考えていることなんですが、これは、天下りを規制していく、しかし年金がもらえるのは六十五歳、定員も級別定数が全部あって、もう押し出していかないと若手も登用できない。この状況の中で各省庁とも苦労している現状もあると思うんですね。  そのためには、これは渡辺大臣に伺いたいんですが、これも、基本的には定年まで勤めさせる、更に言うと、年金支給年齢まで各省、これは幹部も含めてですが、例えば六十五歳ぐらいまで定年を延長して、ただ、人件費が膨大になってしまうといかぬですから、ある程度給与が役職定年のような形で下がっていく、これは幹部もそうだし一般の職員方々もそうだと、そういう制度設計をつくっていかないとこれはもう回らないんじゃないかと。  逆に言うと、天下りで組織でどんどんどんどん追い出しても、最近、予算委員会で道路関係財団の事例なんかが問題になっていますけれども、逆に、本人たちから見ても、全く能力を有効に発揮できていない、むしろ、役所あるいは先ほど独立行政法人であるとか、あるいは場合によっては役所の機能強化していかなければいけないという部分があると思うんですが、そういうところにきちんと定年まで、しかも定年を延長してまで、ただ給料は下がっていきますよと、ある時点を過ぎれば。そういう制度を導入するという議論が今回の国家公務員制度改革の中で、私、残念ながら聞き及ばないわけですが、そこら辺、今私が申し上げたような考え方について渡辺大臣はどうお考えになるか、御答弁いただきたいと思います。
  59. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 民間では、高齢者雇用安定法といったでしょうか、もう既に、松井委員が今お示しになられたような取組は行われているわけでございます。しかし、この法律は公務員には適用がないと、こういう仕切りになっております。  総理の下に置かれました公務員制度の総合的な改革に関する懇談会では、実は今の松井委員の御指摘の問題についてかなり議論をしております。これは公開議論を行ってきておりますので、是非どこか探していただければ、そういう議事録があろうかと思います。  最終的な報告では、定年まで公務員として勤務できることを前提とすること、また雇用と年金受給開始時期の接続を原則とすることという原則について明記をいたしております。その下で、再雇用制度の拡充、また定年延長の検討などを進めるべきであるという提案が報告書の中に書かれておるわけでございます。  また、その際、いたずらに人件費が増加することは避けなければなりません。御指摘のとおりでございます。そのために、一定年齢で年功昇級をやめる新しい給与システムが必要ではないかと。そして、民間で取り入れられているような役職定年制度や職種別定年制度の導入といった提案もなされておるところでございます。  こうした考え方にのっとって基本法案の準備を現在進めているところであります。
  60. 松井孝治

    松井孝治君 ですから、私が申し上げているのは、もう年功給を昇級停止するだけじゃなくて、少なくとも例えば指定職に関していうと、これはもう全体について責任を負う立場なんですね、政府全体について。  これは、ある程度、今の国家公務員法上は許されていない降格降任、今は処分以外許されていませんけれども、これをやはりきちんと制度的に位置付けていく。その代わり、定年は段階的に延長して六十五歳、年金支給年齢まで勤められるようにする。そういうような制度を導入しないと、ある程度組織の新陳代謝、そして組織的な天下りの禁止、そして、そういう公務員全体の人生設計というのが両立しないんじゃないかということを私は伺っているわけです。いかがですか。
  61. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 先ほど申し上げました公務員制度の総合的改革に関する懇談会におきましては、能力・実績主義を貫徹していくための仕組みを提言していただいております。  具体的には、給与体系の抜本的な改革が不可欠であること、また、給与には勤務評価を反映させる仕組みを設け、評価の高い者には思い切った処遇をするなどのめり張りの利いた処遇をするとともに、降格降給を可能とするといった提言もなされているところでございます。それらを踏まえて、基本法案の提出に向けて検討を進めているところであります。
  62. 松井孝治

    松井孝治君 そこら辺になってくると合意できる点も多いと思います。どういう法案が出てくるのか分かりませんが、我々もきちっと対案なり修正案なり検討をしていきたいと思いますので、是非議論をいただきたいと思います。  官房長官、時間がありませんので、もう答弁結構ですが、是非そこら辺は御理解をいただきたいと思います。  最後に一点だけ。先ほどの消費者庁の話ではありませんが、今のこの各省割拠主義という言葉を使っておられますが、各省の縦割り行政を考えていくと、例えば食品安全の問題一つを取ってみてもそうです、鳥インフルエンザの問題一つを取ってみてもそうです、そして、今回の消費者問題なんかも一つを取ってみてもそうです。  各国には珍しいんですが、各省設置法で非常に細かな所掌事務を全部法律で書いてある。したがって、それを一元化して、どなたか大臣国務大臣の下で一元的にやってもらおう。例えば、昔からある話は、情報通信を一元化してやれないかと。こういう話をやるたんびに各省設置法を全部作り替えなければいけない。  これ、行革担当として渡辺大臣、何とかこれについて、もう政令に落としてしまう、ある程度以下のことはですね。そして、それは内閣の意思として、例えば、これはこの省をまたがる問題だけど、何とか大臣の下にチームをつくって、そして、例えば幼保一元化でもいいですよ、厚生労働大臣か文部科学大臣どちらでもいいから、その問題を、この内閣ではこの大臣の下で一元的にやってしまおう、そういうことができるような弾力的、機動的な省庁編成可能な制度、これはほかの国では幾つも例があるわけですね。そういうことを今回の行革でやってしまおうというふうにお考えにならないのか、ちょっと時間ですので、渡辺大臣と、それから最後に官房長官、その点についてももし御感想があれば伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  63. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 昭和五十八年の法改正でかなり政令に任せた部分があると聞いておりますが、それでも相当この各省の壁というのは高いのが実態なんですね。  そこで、私、昨年、規制改革担当大臣をやっておりましたときに、霞が関縦割り柔軟化特区というのをつくったらどうだという提案をしたことがございます。つまり、先ほど御指摘の幼保一元化などの省際問題に対応するために、各省設置法を時限的に取り払う、そして各省横断プロジェクトチームがつくれるようにしたらどうだと、こういう提案をしたところでございます。  残念ながらまだ日の目は見ておりませんけれども、こうした問題認識は必要だと考えております。今回の公務員制度改革の範囲を超える問題ではございますが、このような問題認識を持って行革担当大臣として仕事を進めてまいりたいと考えております。
  64. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 今回、委員のこういう御質問があったので、少しいろんな資料も見たんですが、昭和五十八年の法律改正の、国家行政組織法の法律改正のとき、矢山有作議員が、こうした部局の改廃等を政令だけでできるようにするのは、まさに国会の審議権を制約するものであり、行政による国会に対する重大な挑戦であり、到底容認できないと、こういう伝統的な考え方がやっぱり一つあるんですね。  それに対して中曽根総理は、いやいや、時代も変わっているんだから、そんな固いことを言わないでみたいな、少し弾力化してもいいんではないんですかというような答弁をしておられるわけでございます。  行政組織の責任、権限、どこまでどう法律に書くか、設置法にどこまで書くか、これは常に議論をされてしかるべきだろうと思いますが、それでは実際に何か起きたときに、じゃ本当にどこに行政の責任があるのかということ。  もう昨今は、この間の薬害エイズのときは担当課長が有罪という、その課長にいたからこそ有罪ということになったわけですね。そういう例えば問題が起きたときに、いや、どこの省の所管かも分からない仕事であるというわけにはやっぱりいかない部分があるんだろうと思います。  だから、どのくらい大づかみに書けるか、どのくらい詳しく書くか。確かに、今の設置法を見ると余りにも細部にわたり過ぎているという印象を私も持ちますが、それならば、大ぐくりにするんであれば、どの辺まで大ぐくりにできるか、これは是非明敏なる渡辺大臣の頭脳でひとつ案を作っていただくときっと国会の議論も大いに活性化するのではないだろうかと、こう思ったりしております。
  65. 松井孝治

    松井孝治君 そういう議論が過去にあったことも承知しています。  しかしながら、今でも組織令で詳しく書いていますし、明確に政令で決定すれば内閣としての意思は判明するわけですし、それから個人個人の、例えば課長なりの権限というようなことでいうと、むしろ行政手続の方を明確かつ透明にして、だれが主体的に意思決定をしたのかということを文書で残すというようなことが本質ではないかと思います。  是非これは、官房長官、渡辺大臣の仲を超えて、非常に、各省の縦割りというものをなくしていく。そして、内閣全体としての意思決定、この責任ある意思決定をつくる意味でも、私は、ここの部分は弾力化していただく。それを我々自身も、これは立法府自身が検討しなければいけない問題でもありますから、同時に内閣においても検討していただきたい、そのことを申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  66. 山根隆治

    ○山根隆治君 私は、まず、先ほど松井委員も触れられましたけれども、土浦で起きました暴漢による殺傷事件についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  お亡くなりになられた方、そして被害に遭われた方につきましては本当に御冥福をお祈りをいたしますし、傷を受けられた方、一日も早く全快されることを心よりこの場をお借りしてお祈り申し上げたいと思います。  さて、茨城県の土浦市のJR常磐線荒川沖駅周辺で起きたこの事件につきまして、新聞報道で今日の朝刊でも大きく報道をされておりますけれども、新聞報道のとおりの事実であるのかどうか、まず、事件の概要、そして警察としての今日まで分かっていること、あるいは、発表できること、今お答えできることについて、事件の概要について改めて御説明をお願いしたいと思います。
  67. 米田壯

    政府参考人(米田壯君) 事件の概要及びそれまでとりました警察の措置につきまして御説明をさせていただきたいと思います。  この事件のそもそもの発端は、三月の十九日、土浦市内におきまして七十二歳の男性が首を刺されて殺害をされるという事件が起こったわけでございます。  そして、その現場の検証、そこから浮かび上がった容疑者宅の捜索を通じまして被疑者を特定をいたしまして、二日後の三月二十一日、この被疑者を全国指名手配をいたしました。それとともに、メディア及び県警ホームページにその情報公開をいたしまして、公開捜査に入りました。  そして、この被疑者は、運転免許を保有していない、それから自宅に自動車を保有していないということから、この被疑者が公共交通機関を使って移動している可能性が高いということで、約百七十名の警察官を動員いたしまして、約二十の駅、それから列車内、そして立ち回り先、それぞれに固定配置をしたり、あるいは流動警戒をしたりということで、この被疑者の行方を追っておりました。そうしたところ、三月二十三日の午前十一時過ぎでございますが、荒川沖駅に現れた被疑者が八人の方を次々と殺傷するという極めて重大かつ残念な事件が発生をしたわけでございます。  荒川沖駅には、八名の警察官が配置をされておりました。ホームに一人、改札口内側に一人、そして外側に一人、そして西口の周辺、東口の周辺に二人ずつ、そしてその全体の統括者がずっと駅構内を見回るという、こういう体制でございました。そして、被疑者は、これはまだ確定ではございませんが、下り電車から降りて改札口に向かったものと思われます。  この被疑者の写真につきましては、一年四か月前の、平成十八年の十一月時点のものが手に入りました。それより新しいものは、これ家族等にも当たりましたけれども、なかなかそれ以上新しいものはまだ入手ができていないということで、それが一番直近のものだったんですが、その写真を基に被疑者を捜しておったわけでありますけれども、被疑者は、東京都内で頭を丸坊主にする、それから眼鏡を掛ける、それから実は人相といいますか体つきも、その平成十八年時点とちょっと変わっておるということもあります。それから、服装も背広にネクタイという、若干これは、あるいは、県警としてはイメージと少し違ったのかもしれませんが、そういったこともありまして、この者の通過を見過ごしてしまったと、発見できなかった。そこで、改札口を出た後、次々と、警察官も含めて被疑者に切り付けられてけがをし、あるいは亡くなられた方があるということでございます。  この事件の警察がとりました措置の問題点あるいは捜査体制の問題点等につきましては、これを厳密に検証をして、そしてその問題点を抽出して、改善できるところは早急に改善をしたいということで、昨日、茨城県警警察庁から指示をしたところでございます。
  68. 山根隆治

    ○山根隆治君 ちょっと、もう少し掘り下げてお尋ねしておきたいと思いますけれども、百七十名の警察官動員をして二十の駅というと平均八・五人ということに配置としてはなるんですけれども、これは、重点的にここの駅には何人もたくさん配置したとかというふうなことがあったのかどうか、ちょっとお尋ねします。
  69. 米田壯

    政府参考人(米田壯君) 百七十名の警察官は駅に固定配置をする、それから列車内に乗り込ませる、そして犯人の立ち回り先、これはいろいろ、犯人が、それまでの警察が得ている情報でここに来るだろうと思われるところ、そういったところに配置をしておりますので、駅は、平均すれば大体一つの駅では四、五名だと思います。その中で、この荒川沖駅は被疑者宅に一番近いということもございまして八名の配置をしておったということでございます。
  70. 山根隆治

    ○山根隆治君 報道によりますと、今お話の中では触れられておりませんでしたけれども、携帯電話は持っていたけれども無線機は持っていないということですね。しかも、ここの駅では近いので重点的に特別八名を配置したと。これは、私が言った平均八・五というのは、大ざっぱな少し数字の取り上げ方しましたけれども、いずれにしても重点を置いたということは間違いないわけでございますけれども。  これ、無線機というのは、どこの駅も無線機を使わなかったということでございましょうか。ここの駅について重点的に配したというふうな御認識の中では、少しその辺のところはちょっと不備があったと言われて指摘されても仕方ないと思うんです。この辺についてはどうでしょう。
  71. 米田壯

    政府参考人(米田壯君) 現在、まだ事態の全貌を完全に報告を受けておるわけではございませんので、その荒川沖駅以外の駅の警戒の中で無線機を使用したかどうかという点については、警察庁として今ちょっと把握をしておりません。これは早急に把握をしたいと思っております。  この荒川沖駅につきましては無線機を持っておりませんでした。これは、無線機といいますか受令機、何というか、受ける方だけ、要するに指令を受けてすぐ動けるようにするという受令機を持つということが普通は考えられるわけですが、今回持っていなかったと。それは、その受令機というものを持ちますと、かなり特徴のあるイヤホン、これを耳に付けながら動きますので、言わば被疑者に見付からないように秘匿捜査するという点では、受令機を付けないという判断もそれはあり得たかもしれません。  しかしながら、逆に言えば、もしそこで被疑者が今回のような、言わば暴れるとか、そういったことで一般の方に危険が及ぶという事態を想定するならば、それは、そういうことが起こった場合に直ちに反応できるように、携帯ではこれ一斉に指令するということができませんので、受令機あるいは無線機であれば一斉に指令ができると。直ちにその近辺にいる捜査員がすぐに動けるということで、その辺の判断の適否につきましてもこれは検証してまいりたいと考えております。
  72. 山根隆治

    ○山根隆治君 凶悪犯を逮捕するということに当たっての、現場逮捕ということを想定されていたわけですけれども、そのときの逮捕の方法というかそのセオリーというか、そういうことはあるんでしょうか。つまり、私が伺いたいのは、その手法について、凶悪の度合いとか、そういうことによって、アプローチの仕方とかそういったところが、捜査上何らかのセオリーといいましょうか、そういったものはあるんでしょうか。
  73. 米田壯

    政府参考人(米田壯君) 確かに犯人によりまして、もちろん、例えば銃で犯罪を犯して、その銃を持ったまま逃げているであろう犯人、あるいは、それまで得た情報から大変凶暴性が強いというような犯人ということでございますれば、まずはその犯人による二次被害の防止ということを最大限に重点を置きまして、そして制服警察官による、むしろ威圧的効果をねらった見せる警戒等も行いながら犯人を追い詰めていくということだと思います。しかしながら、一方でそういう危険性が少ないという犯人であれば、むしろ追いかけられているということを犯人側に悟られないような方法もあろうかと思います。それは、その犯人像あるいは捜査のそのときそのときの手順によって異なるものであろうと考えております。
  74. 山根隆治

    ○山根隆治君 私は、人間の命には軽重という、軽い重いというものはない、すべての人間に生命の尊厳があるんだろうというふうに思っております。しかし、治安を守るという警察行政の上では、こうした事件に対応するについて、私はやはり優先順位があってしかるべきだろうというふうに思っております。  第一に守るのは国民、市民の生命、安全を守るということがまず当然目的としてございます。そして、次にはその業務に当たっている警察官自身のやはり生命なり安全というものも十分確保する。時には命懸けでということもありましょうけれども、その優先順位というのは、少なくともやはり犯人逮捕の身柄を拘束するということを上回るものではないんだろうというふうに思っているんです。  つまり、どういうことが言いたいかといいますと、やはり犯人逮捕については、それだけの凶悪犯ということは、もう当然殺人事件を犯した人だと、者だというふうな容疑があったわけでございますから、どんな凶器を持っているかも分からない、あるいは銃を持っているかもしれない。こういうふうなことが想定をされていたときに、従来のマスコミ報道あるいは論調ということについては、警察官が攻撃的な防御に走ることについては非常に厳しく批判をされていた時代もありましたし、国民もそうした論調には理解を示し、支持をするという空気もありました。  しかし今、やはり被害者の人権の方が優先されるべきだというふうな論調も多いのと同じように、私は、警察官もこうした場合においては、やはり攻撃的な防御というか、そういうものも時には必要になってくるんだろうというふうに思っているんですね。当然、警察官は何らかの柔道であるとか剣道であるとかと、そういうものを習わなくてはいけない、実際には習っておられるんだと思いますけれども、そうしたものを身に付けておられるということもありますけれども、一つのツールとしてそうした犯人に対するものというものはもう少し整備されていいし、その使用ということについてもある種積極的な意思というものも私はあってもいいんだろうと思います。  ただ、やはり、こうした繁華街というか駅周辺というところにあっては、発砲とかということについてはその流れ弾に当たるとかという、そういうおそれも十分にあるわけですから、けん銃の使用というのは常識的にはちょっと考えられないわけでございますけれども、それに代わる何らかのやはりツールというものを持って警備に当たると、そういう姿勢が私は大切だったんだろうというふうに思っています。  この事件から学ぶ多くのものあると思うんですけれども、物の考え方としては、そうした私は、警察官の方々も現場においては非常な不安と恐怖の中で執行されるわけでございますけれども、その辺の指導というものを、今までと違ったものが、やはり攻撃的な防御ということ、国民、市民の生活、命を守るために、治安を守るためには時としてそうしたこともあり得るんだという、その辺のところのやはり教育というか考え方の徹底というのも必要にこれから私なってくると思うんですけれども、この点についての御見解をお尋ねしておきたいと思います。
  75. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 委員、今御指摘いただきました事柄につきましては、私といたしましても重く受け止めさせていただきまして、これからの警察行政に反映をしてまいりたいと思います。  先ほど刑事局長がるる御説明をいたしましたように、今回の事件につきましては、茨城県警として百七十人体制で関連の駅に配置する、しかも四月から体制を整えておった。そういうことをやっておる中で第二の事件が起きたということは、本当に大変残念なことでございます。  県警としては、二次犯罪の発生の可能性も検討しながらの被疑者検挙するということで、私服警察官も配置しながら被疑者の発見、検挙に努めておったということであると思います。ただ、出札口を出るときにその被疑者を発見できなかった。これも先ほど刑事局長説明いたしましたように、随分被疑者の姿が変わっておったということで見逃してしまった。この辺りが第二の犯罪を呼ぶきっかけになったのではないかというふうに思います。  そこで、警察庁といたしましては、茨城県警察に今回の捜査体制、方法について十分検証するようにという指示をしたところでございますし、一方、また、全国の都道府県警察に、指名手配犯に対する取組の仕方についても文書をもって注意事項を流させていただいたところでございます。  これから十二分に検証をいたしまして、再発の防止に一層努めてまいりたいと考えております。
  76. 山根隆治

    ○山根隆治君 新聞報道によりますと、現場での改札口、外側にいた一色祐二巡査が頭部を切り付けられたと、こういうことですけれども、やはりもう覚悟、決意の上に配置されていた現職の警察官でさえこうしたことになってしまったということについて、私はやはり非常にショックですね。一般の市民の方は何も知らない中で被害に遭われるのは仕方がないとしても、覚悟、決意、状況が分かっていての方でもこうなるということについて、私はやはりいろいろな逮捕の在り方についてのいろいろとちゅうちょが警察官の頭の中にあったんじゃないかという気がして仕方がないんですね。  この容疑者の金川真大は事件後自首をすぐしているということで、この辺のところの心境というのはよく分かりませんけれども、やはり命、自分自身は殺傷されないんだという、そういう安心感がもしかしたらあるのかしらというふうな想定も私なりにもするんですけれども、今後いろいろな事件で現場の警察官の方、いろんな不安の中でこうした治安を守るために活躍されるわけですけれども、その辺のところについては是非安心のできるといいましょうか、少しいろいろなツールについても是非御検討いただいて、ただ単に守る、引く、退嬰するというふうなことじゃなくて、積極的に一つのツールも私は活用するということも是非御検討いただきたいということを申し上げて、この件については終わらせていただきたいと思います。  それでは、次に、官房長官にお尋ねをさせていただきたいと思います。  情報機能強化方針についてでございますけれども、所信表明の中で大臣が真っ先に情報機能強化について述べられたということについては、それなりのやはり御決意があってのことだろうというふうに思っております。その辺の強い大臣の思いというものをちょっと簡単にお聞かせいただけますか。
  77. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 多少、過去のことにさかのぼることをお許しをいただきたいのでありますが、ちょうど九・一一同時多発テロが起きたとき私は幹事長代理を党で務めておりました。幾つかの対策委員会をつくったんですが、その中で、このインテリジェンスの話をやっぱりやらないと、こういう問題に日本として、急にはできないまでも全く情報がないということではこれは話にならないなと、そんな問題意識からいろいろな検討を重ねてまいりました。外務大臣におりましたときも、外務大臣の中にこうしたインテリジェンスの在り方についての検討会をつくり取り組んできたところでございますが、今般、委員指摘のこの情報機能強化検討会議というものが安倍内閣のときに発足をしまして、そして今年の二月十四日に官邸における情報機能強化方針という形で報告書を取りまとめたところでございます。  今まで、率直に言いましてむしろこのインテリジェンスといったような話をすると、それだけで猛烈にマスコミにたたかれる、あるいは当時自民党対社会党の時代には社会党の皆さん方から猛烈にたたかれるという、とてもこの議論をするだにおぞましいというか、とてもアンタッチャブルみたいな雰囲気があったのでありますが、大分その辺の雰囲気といいましょうか、が変わってきたのかなという気がしております。  そういう意味で、本格的にこうした問題をやっぱり国家を形成する一つの大きな基盤としてインテリジェンス機能というのは必要であろうし、特に日本のように専守防衛というある意味じゃ日本独特の安全保障の形態を取る国にとっては、できるだけウサギのような長い耳を持って情報を収集して日本国家としての安全保障というものを確保していかなければ、本当の意味での国民に対する国家の、国の安全というものを提供できないんじゃないかと。こんな問題意識で今回のこの強化方針も取りまとめられたと、こう思っております。  具体の中身は後ほどいろいろ先生から御指摘あろうかと思いますが、問題意識はそういうことで、今後とも、まだまだこれは十分な、すべてに答えを出しているわけでもございません。こうした国会での議論も踏まえながらより強化されたこの情報機能の対応というものを考えていきたいと思っているところでございます。
  78. 山根隆治

    ○山根隆治君 昨年の二月二十八日に中間報告を出されまして、私自身もこの問題について質疑をさせていただいた経過もございますけれども、しかし今回の強化方針、これは最終報告書といいましょうか、最終的な文書であろうと思いますけれども、読み比べてみましたけれども、七か月間当初予定より遅れた割には目玉がないというか、お役所的にはいろいろな文章を加筆されたところはあるんですけれども、七か月遅れた割にはと思うんですけれども、何か本当はもっと書き込みたかったというものができなかったということでありましょうか。なぜこんなに遅れたんでしょうか。
  79. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 一つには、やはりこれはどうしても最終的に政治的な判断も加わってまいりますが、選挙もありました。内閣の交代もありました。そんなこともあったものですから当初の予定よりは率直に言って遅れたということは認めざるを得ないわけでございますし、中間取りまとめと最終報告書とどこが違うのかと言われると、まあ余り違わないと、率直にそれも委員の御指摘のとおりかなと、こう思っております。  ただ、結局、二つの点が今回大きく残されました。一つは秘密保全の法制の問題。これは大分詰めた議論をしたんですが、なかなかこれは難しい問題がございました。それからもう一つは、対外情報をどういう機関でこれをやったらいいんだろうかということにつきまして、なかなかイギリス型MI6、アメリカ型CIA等々いろいろなモデルはあるのかもしれませんが、じゃ、日本型対外情報収集機関というものはどういうものがいいか、これも相当議論をしてまいりましたが、なかなか煮詰めるに至らなかったという意味で、特にその二つのテーマについては相当議論をしたけれども、今回引き続き検討ということになった、その辺で大分議論の時間がちょっと掛かったのかなということでございます。
  80. 山根隆治

    ○山根隆治君 前回の中間報告、官邸における情報機能強化の基本的な考え方、これが出されたのが十九年、昨年の二月二十八日です。そして、十九年の二月二十七日、前日には、報告書ということで、国家安全保障に関する官邸機能強化会議が報告書を出されているということでございますけれども、この報告書は、国家安全保障会議、法案として出され、それが廃案ということになりましたけれども、このセットでイメージされて作られたと思うんですね。  国家安全保障会議の法案が廃案になったということで、その有機的なつながりといいましょうか、かかわりというか、これが崩れたように思うんですけれども、これは片肺ということのイメージが払拭し切れないんですが、どうでしょうか。
  81. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 大変、山根議員、鋭い御指摘をいただきました。  日本版NSCと言われていた法案を安倍内閣のときに作り提出をしたわけでございますが、これについては福田内閣でいろいろ検討いたしましたが、法案としては継続しないということを先般の臨時国会末に決めたわけでございます。  それはなぜかというと、やっぱりいったん法律としてお出ししたんですから、それはそれでよかったんでありますが、我が党内というか、自民党内にも随分議論がいろいろありました。一つは、そのNSCの言うならば事務局というものと、今のある内閣官房の事務局、特に安全保障担当とか外交担当のところとダブってしまうではないかというような議論。あるいは、NSCというものをつくるよりは、むしろ総理大臣の下で関係する大臣、特に今私とともに外務大臣防衛大臣、三大臣会合というのを実は随時開いておりまして、事実上のNSC的機能をそこに持たせれば既存の官邸の事務局スタッフを活用できるではないかと。  そこに、実はそこに、三大臣会合ばかりではございません、広く言えばそれは最後は安保会議になるのかもしれませんが、一応、総理大臣、そしてそうした国家の安全保障に直接責任を持つ担当大臣のところに、内閣情報官を中心とするインテリジェンスのグループが随時報告をするということによって、政策部門とそれから情報収集分析部門とをそこで統合していけばきちんとした機能が果たせるのではないかと、こういう考え方にいたしましたので、確かに日本版NSCをつくるという考え方も私はあったんだろうと思いますが、今はそういう形で現実的に運用をしているといいましょうか、活用をしているという状況にあるわけであります。
  82. 山根隆治

    ○山根隆治君 一昨年、十八年の六月二十二日に、長官は当時自民党の中で国家情報機能強化に関する検討チームの座長をされていて、提言をまとめられました。私は、それがかなり大きく今度の一つ強化方針について反映されるという、そういうものだろうかなというふうに思っておりましたけれども、大きなところで幾つもやっぱり、幾つもと言うと失礼ですね、幾つかやっぱり欠けているところがあって、いろいろじくじたる思いはあるんだろうかなというふうに思います。  例えば、やはり情報機関そのものを置くということについては、先ほど少し触れられましたけれども、それがかなわなかった、出せなかったと。この強化方針の中では出てきていないということがありまして、これやはり一番大きな目玉だったんではないかというふうに私自身は思っております。  そして、あと法整備の問題で、秘密保持の問題等についてはこれも法制化していくという方針というものを出されたということでありますけれども、その辺の当時の座長としての思い、そしてこの強化方針についてのそご、溝、これどうお考えですか、感じられていますか。少し思いのたけを言ってみてください。
  83. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 十八年六月の私が座長の提言までお読みをいただいたことに大変恐縮をいたしております。  確かに十八年六月の提言の中には、対外情報機関を新設するということがうたわれておるわけでございます。今回の方針の中にはそれを引き続き検討ということにせざるを得なかったというのは、率直に言って残念な思いがしておりますが、私もまだ官房長官なり立てでございますので、まだまだ今後とも、先ほど申し上げましたように、一遍に全部は解決できない、時間も掛かるし。また、もう一つ現実の問題として、やっぱり機関はできてもそれを担う人がどこまで養成というか育成できているだろうかといった実情を考えたときに、その辺は実はまだおろそかであったなということにも改めて気が付いたところもございます。したがって、今回研修というような表現を使っておりますけれども、そうした人材養成というものもある程度時間も掛けてしっかりやっていかないと、形だけ機関をつくっても中身が、どういうのでしょうか、それに携わる人が不十分だというのでは何の意味もないという面も一つあったかなと思います。  法制面につきましては、実はなかなか難しい問題がございますし、いろんな有識者の方々のお声も聞きましたが、やっぱりまだまだマスコミ等を中心に根強い、どういうんでしょうか、反発といいましょうか、スパイ保護法の復活かといったような、おどろおどろしいレッテルを張られがちのテーマでもございます。決してそういうことじゃないんでありますが、そんなこともあるので、この辺は引き続きよく検討しようということになったところでございます。
  84. 山根隆治

    ○山根隆治君 そうしますと、この強化方針、まとめられたものを二十年度予算では少々というふうなことで聞いていますけれども、今後の予算的な措置というのはどれくらいのことを考えておられるのか、あるいはこの強化方針を肉付けする予算というのは全体の規模でどれぐらいというふうに想定されているんでしょうか。これ、担当の局長でも結構ですけれども。
  85. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) この情報調査室の予算そのものは衛星センターの予算が大変大きいわけでございますが、これを除くと平成二十年度予算は二十四億二千六百万、前年度対比で一億五千六百万円の増加という意味では大変今のところはささやかなものになっております。  今後、次第次第に人員の強化でありますとか在外研修でありますとか、あるいはいろんな面での調査研究にお金が掛かると。そして最終的にはやっぱり本当に本格的な対外情報機関というものを海外にもつくるということになりますと、そこでやっぱり一定の定員、機構、予算というものがそれは相当増えてくるんだろうと思いますが、一遍にそこまではまだなかなか参りませんので、取りあえずは、可能なところで二十年度予算を計上させていただいたということでございます。
  86. 山根隆治

    ○山根隆治君 私は、今いろいろとまだ世間の理解が得られないんだというふうなお話もちょっとございましたけれども、一つの国の方針を決めるときに、一番やはり留意すべきところというのは、外国では一体どうなっているんだろうか、国家の規模においてどうなっているんだろうか。そして、やはり過去の歴史的な評価としてはどうなのか、これが一番大きな私は物差しになるんだろうと思うんですね。そういう意味では、やはりこうした問題のとらえ方というのは、私はしっかりと議論をする前提としてそういう御認識是非持っておいていただきたいというふうに、これはお願いしておきたいと思うんですけれども。  今回の強化方針の中では、目玉というふうに恐らく言われたいんでしょうけれども、情報分析官を置くということの問題でございますけれども、これらは五人の分析官というふうに言われておりますけれども、三年で任期を終えると。終わったときにどこに行くのかということについては、恐らくこれ本省にまた戻っていくということになるんだろうと思うんですね。そうすると、本当にしっかりとした情報収集をして、分析官ですから収集の仕事ではなくて分析が仕事になりますけれども、その下に働く人たち、スタッフが相当程度いないと情報の収集も思うようにならないし、その分析官も分析して提言をしていくということについては、私は、古巣に戻るというふうな方が本当にある枠を超えて活動できるんだろうか、やはり古巣へ戻るその古巣の本省の方に頭が最後は向いてしまうんじゃないかと、こういう弊害が私はあるように思うんですね。縦割り行政の一つの象徴的な話でありますけれども。  その辺について、今回はともかくとして、将来的にはどう思われるのかということと、それから、やはり実のあるものとするにはその下に置かれるスタッフがどうなるかということがすごく大きいと思うんですね。それはもう量的にもそれから質的にも充実したものでないと分析官も正しい分析が、判断ができないということになるんですけれども、この辺のスタッフというものについては将来的にはどのようにお考えになるんでしょうか。
  87. 岸野博之

    政府参考人岸野博之君) お答え申し上げます。  情報分析官でございますが、まず、それぞれの分野について高度な専門知識を持つということが必要になってまいります。それから、やはり政策部門と切り離された形で客観的、中立的な分析を行っていくということが必要になってまいります。そのような条件を整えたいい分析官を政府内、主として情報コミュニティーの省庁でございますけれども、そこから確保して、あるいは政府内だけにとどまらず外からも適当な人材がいればそれを活用していくということでございます。  先ほど先生から、戻ってしまうんじゃしようがないじゃないかというお話だったんですけれども、そこはなかなか悩ましいところがございまして、ずっともうもらいっ放しだよという話だとなかなかいい人を確保しにくいということもございますので、その辺はできる限り長く情報分析官として分析を行っていただくということで、原則として三年以上、そういった長期の勤務体制ということでやってまいりたいと思っております。  それから、長い目では、内調プロパーの分析員もいるわけでございますから、そういう人たちを育成していくということも重要な課題だというふうに考えております。  それから、御指摘のあったスタッフの点でございますが、もちろん情報分析官一人で何でもできるということでございませんので、そこはきちんとスタッフを付け、かつ、すべて自分の知っていることだけで分析をするわけではございません、後ろには情報コミュニティーのそれぞれの省庁が必要な情報を提供するということでしっかり支えていくということでシステムが回っていくことになっておりますので、そういう中で必要なスタッフを手元に置きながら協力し合っていい分析をしていくということでやっていきたいというふうに考えております。
  88. 山根隆治

    ○山根隆治君 人数。
  89. 岸野博之

    政府参考人岸野博之君) 人数は、当面は、情報分析官一人に対し二名のスタッフが付くということでございます。
  90. 山根隆治

    ○山根隆治君 スタッフ二名ということでちょっとびっくりしたんですけれども、前に国会質疑させていただいたときに官房長官はMI6の話をされておりました。トータルで日本のそういう情報機関の関係者というのは大体二百何十人とかという答弁だったと思うんですね。MI6は大体それの十倍ということでございますから、そういうところに比べての今話ということでは非常にお寒いというふうな思いをせざるを得ないんですね。  そして、やはり中央省庁の非常に能力の高い方がたくさんおられて、その中でも生え抜きのすばらしい人をということですから、それはもう分析官は能力の高い人になるんでしょうけれども、メンタルの問題がやっぱりありますよね。そこが最後の職場なんだという思いとまた戻るという思いで、どこかでやはりそこで少し腰が引けてくるというのは人間として当然出てくると思うんですね。ですから、それは今申し上げても、やはり三年以上ということで任期をなるべく長くしてということでその新しい機関の中で情を移してもらおうと、こういうことはよく分かるんですけれども、最終的にはやはり独立した情報機関というものを持って、その中で生え抜きの人たちが生まれてきたりして、そこでやりがいというもの、生きがいというもの、そして自分の人生をそこで全うすると、そういう心を持った人が育っていかないと、私は、本当に国家の安全保障、トータルとしての国家戦略を確立するために自分は働いているんだというふうな思いで仕事をしていくということなかなか難しかろうというふうに私自身は思うんですけれども、官房長官、いかがですか。
  91. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 山根委員、確かに御指摘のようなことを私も強く思うところでございます。  ある意味では特殊な仕事かもしれません。それだけにこういう分野に大変関心を持ち、また特性もないとだれでもが勤まるということでもないのかなとも思ったりします。  そして、これは今イギリスお話もしていただきましたが、例えば日本で言うところの防衛省であるとか、公安調査庁でありますとか、警察でありますとか、外務省でありますとか、そういうところのいわゆる広い意味でのインテリジェンスコミュニティーの中でだんだん動いていっていろいろな経験を積んで、そしてだんだん昇進をしていくというような新しいキャリアパスとでもいいましょうか、そういう昇進の道というものができてくるときっと私はいいんだろうと思います。元に戻って、まるでインテリジェンスと関係ない仕事をすると、もう二度とまた加わることがないということでは、せっかく、少なくとも三年と書いてありますが、そうしたところの経験が日本政府全体として生きてこないと。そういう意味で、このインテリジェンスコミュニティーの中である種のローテーションをつくりながらやっていくというような人事運用といいましょうか、こういうことも考えていく、そしてこの分野で第一人者になってもらうと、そんなような人事運用をやっていく必要があるんだろうと考えているところでございまして、すぐ何か元に戻るということではやっぱり駄目なんだろうなと私も思います。  それからもう一点、これはお役所の中ばかりじゃなくて民間にもこういう優れた資質を持った方がいらっしゃると思います。今この情報分析官、いろんな方を今選考しているわけでございますが、民間の方も候補者としておるわけでございまして、その辺は少し幅広く見ていくこともまた大切なのかなとも考えております。
  92. 山根隆治

    ○山根隆治君 UFOの問題でいろんな御発言で話題になったことありましたけれども、情報収集衛星ですね、我が国の、これ今四基機能しておるんですけれども、これ当面この情報収集衛星四基ということで事足りるということで理解してよろしいんでしょうか。さらに、情報収集のために何か足らざるところがあるという御認識かどうか、ちょっとこれ事前に質問通告しておりませんので、どなたか分かる方、御認識のある方、お答えください。
  93. 岸野博之

    政府参考人岸野博之君) お答え申し上げます。  当面は四基体制でやっていくということでございます。さらに、先の、遠い将来についてはまだ何も決まっておりませんけれども、少なくとも近い将来は四基体制をまず固めるということでございます。
  94. 山根隆治

    ○山根隆治君 まじめな情報収集というか、日本はそういうことだろうと思うんですけれども、伝えられるところですと、アメリカのエシュロンというのがよく、私も本会議で取り上げたことがございますけれども、一体どこで何が、どう情報が集められているのかということについてはなぞの部分が非常に多い、なぞといいましょうか、私たちの想像だにできないところの世界があるようですよね。  例えば、私たちがこういうところでお話ししていても、ガラスの振動で情報を取ろうと思えば何をしゃべっているかが全部分かるというふうな今はもうシステムがあるということでございますよね。政府として正式になかなか認め難いものだろうというふうに思っておりますけれども、例えば伝えられるところですと、エシュロン、アメリカ情報収集したものについては順位が決まっていて、まずイギリスに流して、それからオーストラリアというふうなことで、アメリカの同盟国に順次情報が整理されて伝えられるんだと、こういうことが伝えられております。そうすると、日本は最後の方なんですね、同盟国といいながら。情報の漏えいの問題等機密保持ができないとかいうふうな問題もありましょうし、そのほかのいろいろな事情があるのかもしれません。  この辺の問題について何か御見解なりお述べになることができれば、官房長官、いかがでしょうか。我が国としては、こうした伝えられる問題についてどう対応していったら将来的にいいのか、御見解があればお聞かせください。
  95. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) エシュロン問題というのは私はそう詳しくないのでありますが、やっぱりこれは通常の、まあ余りいい例じゃございませんが、防衛省で例のイージス艦の機密漏えい事件というのもございました。先般、その処分も出されたわけでございますが。  やっぱり、諸外国にあるようなクリアランスシステムというんでしょうか、この情報はこの人までには渡せるけれどもこの人は駄目とか、私も全く聞きかじりでございますからもしかしたら間違っているかもしれませんが、例えばアメリカの議員にもいろんなランク付けがあって、A議員はAランク、B議員はBランクとか、この人はもうまるで信用できないからFランクとか、例えて言えばそこまで全部その分類をすると。もちろん役所の中でも、同じ局長でもAランクとBランクがあるとか相当厳格な、それをどうやって決めているのか私にはよく分かりませんが。  しかし、それを日本でも、まあちょっと、今の議員のランク付けは余りいい例えではないのでちょっとまずいかと思いますが、役所の中でそのインテリジェンスに携わる人たちのそうしたクリアランスシステムというものが、やっぱりはっきりしていないと安心して諸外国情報を提供してこないという問題があることは、これは非常にはっきりしていると、こう思います。  先般、私は、ライス国務長官が官邸を訪れた折に、ライス長官から、まさにこの二月十四日の官邸における情報機能強化方針というのを御存じだったらしくて、日本もこういう問題に取り組んでいただけるようになったのは大変アメリカとしても信頼に足ることですばらしいことだと、そんなような発言もあったところでございます。  そういう意味で、日米同盟はもちろん安保条約でございますけれども、本当はこういう部分の信頼関係というようなものがはっきりしていないと国家としての安全が保てないということになるんだろうと、こう思っておりまして、一遍にそういうことが難しい面もありますけれども、やはりしっかりと取り組まなきゃいけない。  長くなってきましたけれども、もう一つ。あともう一つは、やっぱりインテリジェンスの民主的コントロールといいましょうか、議会によるコントロールというものを、やはりここもよく考えて取り組んでいかなければいけないテーマなんだろうと、かように考えております。
  96. 山根隆治

    ○山根隆治君 私は、アメリカがどう見ているのかというのはちょっと不安だったし、関心もあったんですけれども、今図らずもそういうライス長官の御発言の中で評価されているということについては安心をいたしました。やはり日米同盟というのが日本のすべての基軸ですから、そこが信頼関係揺るぐようなことでは大変なことだなというふうに思っておりましたので、今の御発言は非常に安心のできるものだったと思います。  それでは、官房長官の方は、あと二十分でございますけれども、もし御用事あれば、私は後は泉長官の方でお願いしますので。
  97. 岡田広

    委員長岡田広君) 町村内閣官房長官は退席いただいて結構です。
  98. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) ありがとうございます。
  99. 山根隆治

    ○山根隆治君 それでは、泉大臣にお尋ねをさせていただきたいと思います。  銃砲による事件の防止策について、前回法案にかかわりましていろいろな御質疑松井議員、そして私もさせていただいたと、こういう経過もございます。いろいろな発砲事件がありまして、警察としても十七万人、三十万丁の総点検を行うんだということで、中間報告も出されておりますし、そして最終報告も年度内にはと、こういうふうなお話でございましたけれども、その最終報告の見通しにつきましてはどのような状態になっているんでしょうか。
  100. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 昨年末の佐世保の銃事件に絡みまして、私どもは、十七万人、三十万丁の総点検、そして銃砲行政の総点検に取り組まさせていただいているところでございます。  最初の十七万人、三十万丁総点検につきましては、三月の十六日までにおおむね終了をいたしました。現在、その結果を取りまとめているところでございます。  また、銃砲行政の総点検につきましては、警察庁のプロジェクトチームにおいて三月末をめどに問題点の整理、検討等を行うこととしております。  この二つの総点検の結果につきましては、国民の安全を守り、国民に安心をしていただけるように、しっかりとした銃砲規制の厳格化のための対策を築き上げるべく、法改正も視野に入れまして取りまとめをさせていただきたい。取りまとめ自体は四月にでも公にさせていただければと思って取り組んでおるところでございます。
  101. 山根隆治

    ○山根隆治君 分かりました。  それでは、私、そのときの中間報告に基づきまして若干今の時点でのお尋ねをさせていただきたいと思うんですけれども、中間報告によりますと、自主返納をされた方が九十人、百四十五丁だったということで報告があったわけでございますけれども、その自主返納の内訳について、いろいろと精神的な障害を持たれた方で御家族におられて、少し暴れるおそれのあるということで御家族の方からのお話もあって、御本人の理解も得て自主返納をしていただいたと、こういうこともあったと、こういうふうなことで聞いておるわけでございますけれども、こうしたことでは何件ぐらいの申出があったのかどうか、あるいはまた、そうした御家族からの情報ではなく、隣人から寄せられたような情報、それはどんな形で寄せられてきたのか、その点について今分かっておられれば、その範囲で内容についてお聞かせください。
  102. 片桐裕

    政府参考人片桐裕君) お答え申し上げます。  今御指摘ございましたように、十七万人、三十万丁総点検におきましては、本年一月末までに警察の指導等によって九十人の方が許可証の自主返納をされたということでございます。  その内訳、理由でございますけれども、最も多かったのは眠り銃になる可能性があったと。眠り銃と申し上げますのは、三年間銃を使わなかった、そういった銃でございますけれども、その場合には取消しができるという規定になっていますけれども、そういったものに近づいていたというふうなものがあります。それから、病気等、これは身体的な病気のほかに精神的な病の方も含まれておりますけれども、その方がそれに続いて多かったと。続いて、高齢による体力の低下など。また続きまして、ストーカー、配偶者への暴力の行為者であった者。続いて、刑事事件被疑者として検挙された者等となっております。  なお、今御質問ございました家族からの申告かどうかとか、また隣人からの情報提供かどうかといったようなことについては、その内訳は把握をしてございません。
  103. 山根隆治

    ○山根隆治君 それは最終報告の中では出てくるものでございますか。
  104. 片桐裕

    政府参考人片桐裕君) 最終報告もやはりこの同じような分類で公表することになると思います。したがって、その隣人からの情報提供かとか家族からの申告かどうかということは最終報告でも出てこないという形になります。
  105. 山根隆治

    ○山根隆治君 先ほど、御答弁の中でございましたように、法改正を視野に入れてというふうなお話もございましたけれども、その際にやはり、松井議員の質問にもありましたように、欠格事由での取消しの問題というものを大きなポイントとして御指摘して議論があったわけですね。  ですから、今回の自主返納の問題につきましても、そういう視点からいうと、私は非常に大切なところだったんじゃないかなというふうに思うんですけれども、そういうことでの集約、集計はしてないということであればこれはもう仕方ないことでございますけれども、私としてはそこの点についてはちょっと残念だった気がいたします。  そして、次に移らせていただきますけれども、各警察からのいろいろな話を聞き取られた中で、不適格者認定の困難性の問題というものを挙げられておられるわけでございますけれども、今回いろいろな調査のやり方をされたんだと思うんですけれども、身辺調査であるとか面接検査、こういったところについては、私はやはり手続とか基準とかというものをやっぱり明確にしていかなくてはいけないのではないかと。社会的な後押しがあって、いろんな発砲事件があったので、後押しがあって今回のところはある程度できたかと思うんですけれども、この辺の法的な問題とのかかわり、この点についてはどのような御認識を持たれていらっしゃるか、お尋ねをいたします。
  106. 片桐裕

    政府参考人片桐裕君) 今回の銃砲行政の総点検の中で、各都道府県警察からその銃砲行政の実態についても聴取をいたしておりまして、私も幾つかのところを回って実際に聞いておりましたけれども、確かに御指摘のように、具体的な銃砲の許可についての調査の仕方については、決して必ずしも各県すべて斉一的な基準でやっているというわけではない、ある意味ばらつきがあるということは認めざるを得ないところだろうと思っています。  したがいまして、私どもとしましても、ある程度それについては最低限これだけはやるべきだという基準はやっぱりあると思いますので、そういった面については今後何らかの基準を示す方向で検討してまいりたいと考えておりますが、これは必ずしも法律改正でなくてもできるのかなというふうには考えております。
  107. 山根隆治

    ○山根隆治君 その情報提供の中では、最寄りの警察からの情報あるいは一般から直接警察に入ってくる情報等があろうかと思いますけれども、私は、やはり最寄りの市町村といいましょうか、そういったところにもいろいろな苦情とか心配事の相談の中で寄せられるところもあるんだろうと思っているんですけれども、そうした各行政機関からの情報の収集についてはどのように御認識されていますか。
  108. 片桐裕

    政府参考人片桐裕君) 御指摘のように、銃砲行政的確に行っていくためには、私ども、許可を受けて猟銃を所持している方々に関して必要な情報はやっぱり幅広く収集することが必要であろうというふうに思っております。そういった観点関係の行政機関等にはこれまでも照会はしてきたところでございます。  まず、警察の内部におけるところの情報集約については、これは御指摘のように内部でございますから、きちんと各その分野で活動をしておりますので、その中から集まった情報についてはきちんと集約するような体制を構築する必要があるんだろうというふうに考えております。  それから、他の機関につきましては、こちらから聞きに行く、で、お答えをいただくということは当然あるんですけれども、では逆に、私どもがその他の機関に対して銃砲の所持許可者の情報をお渡しをして、それを受けて情報をいただくという形が本当にいいのかどうか、その効果がどれぐらいあるのかというふうなこともありますので、効果と、また情報をお渡しすることのデメリットと申しますか、そういったことも考え合わせながら検討する必要があるだろうというふうに考えております。
  109. 山根隆治

    ○山根隆治君 専門医の診断書を付けるということについては、なかなか形骸化しているという実態があるというふうに言われているわけでありますけれども、これらの専門医については、医師の方の側からも非常にやはり不安を訴える方もいらっしゃるわけでございまして、例えば専門医の指定医制度を設けるとかいうことも考えられる一つの手法であろうかと思いますけれども、これらについてはどのようにお考えでしょう。
  110. 片桐裕

    政府参考人片桐裕君) 御指摘の診断書につきましては、各県、都道府県警察意見としても問題意識、問題があるであろうという指摘はございますし、私どもとしても問題意識は持っているつもりでございます。  ただ、他方で、こういった問題についての専門のお医者さんが実際どれぐらい各都道府県ごとにおられるのか、また各都道府県ごとにどういう地域におられるのか、偏在しているのではないかというようなこともございますので、そういったことも考え合わせながら、今後の在り方、あるべき姿については検討してまいりたいというふうに考えております。
  111. 山根隆治

    ○山根隆治君 実包の管理についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  現在、一定数まで無許可での譲受けや消費が可能でありますけれども、これらをすべて許可制として記録の届出を義務付けるということも一つの案として識者の間で議論をされているやに聞きますけれども、これらについてはどのようにお考えになりましょう。
  112. 片桐裕

    政府参考人片桐裕君) 御指摘のように、狩猟とか有害鳥獣駆除のためには一定の条件の範囲内において無許可で火薬類、実包を含む火薬類を譲ることができる、譲り受けることができるという仕組みに現在なっているところであります。  これについてはいろんな意見が実はございまして、また関係の団体でもいろいろ意見があるようでございますけれども、まず御指摘のあった消費状況の確認ということは、これはきちんとやっぱり行うべきであろうというふうに考えておりますので、何らかの仕組みというものについて今検討を進めているという状況でございます。  また、無許可譲受け制度を今後とも続けていくかどうかについてもまた、御指摘もございましたので、今後更に検討を深めてまいりたいというふうに考えております。
  113. 山根隆治

    ○山根隆治君 前回の松井議員の質問の中で銃の通信販売について厳しく大臣に迫る場面もございましたけれども、大臣としてはこれは仕方なしというふうな印象を私受けた、そういう答弁だったというふうに記憶しておるんですが、通信販売についての本人確認等の問題、いろいろな弊害、あるいはそれの対策については御認識は当時の御答弁と変わらないんですか。
  114. 片桐裕

    政府参考人片桐裕君) じゃ、まず私の方からお答えを申し上げます。  銃砲の譲受けに際しましては、御承知かと存じますが、銃刀法第二十一条の二第一項によって、譲り受けようとする方が所持許可証を提示した場合でなければ譲り渡してはいけないというふうな規定になっております。  銃砲の通信販売についてでございますけれども、これは以前にも御答弁申し上げましたように、譲り受けようとする人が自分の所持許可証の実物を譲り渡す業者の方に郵送をする、業者はその所持許可証をきちんと確認をした上で、その許可証を持っていらっしゃる許可を受けた方に対して銃砲を搬送させる、搬送する運送業者は、渡すときにきちんとその渡す相手が所持許可証、許可を受けた方であるということをきちんと確認した上で渡すという手続を取る以上は、そういう限りにおいてはこの第二十一条の二第一項の要件を満たしているというふうに私どもは考えております。  そこで、今後の在り方、通信販売の在り方についてでございますけれども、これも今銃砲行政の総点検の中でもっていろいろ議論をしているところでございますけれども、現在までのところ、この銃砲の通信販売に伴う問題事案というのは少なくとも現段階では把握をされておりません。それからまた、地理的条件等、銃砲購入者の多様性といったものを考慮しますと、販売そのものを禁止することについては慎重な検討が必要であろうというふうに考えております。
  115. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 今局長答弁を申し上げましたように、もう少し検討をしなきゃならないところが残っておることは事実でありますが、最初私がお答えを申し上げました銃刀法の法律に基づいてきちんと処理がなされておるか、そしてまた安全が確保されておるかということを今日まで調査をしてまいりました。今のところ、最初私が申し上げたような、これは大丈夫かという気持ちから今日までの状況も踏まえますと、通信販売も対応できるのではないかと、こういう認識を持っておりますが、なお検討させていただきたいと思います。
  116. 山根隆治

    ○山根隆治君 各警察の銃の担当は生活安全部門の皆さんだろうというふうに思っているんですけれども、非常に専門的な知識も、実際のところそれを得る機会、教育を受ける機会というものも非常に少ないということもありますし、そして体制が、人数が少ないという意味でも脆弱だというふうに私は思っているわけでありますけれども、これを補完するすべ、今後充実させるすべはどのようにお考えでしょう。
  117. 片桐裕

    政府参考人片桐裕君) 今回の銃砲行政総点検の中で、各県からいろいろこの体制につきましても実態について聴取をしてまいりました。  その結果、これは前の佐世保の事案のときにも申し上げたんでございますけれども、銃砲行政を担当している者は、それだけを専門にやっている人間というのは警察署段階では少なくとも大変少のうございまして、ほとんどはほかの風俗営業の許可とか警備業の許可とかいうものと兼務をしているという実態でございます。また、専門性につきましても、必ずしも長年そこの仕事に携わっているわけではございませんで、むしろ逆に、許認可という行政の事柄の性質上、短い期間で替わっていく者も結構多いというふうに聞いております。  しかしながら、御指摘のように、銃砲行政で本当にそれでいいのかどうかということは、私ども大変問題意識を実は持っておりますので、何らかの形で専門性を持った職員、そしてまた一定の教育を受けた職員がその仕事に携わると。兼務という形じゃなくて、可能な限り専務という形でもってそれができないかどうかということについては更に検討をしてまいりたいと考えておりますけれども、なかなか増員も厳しい情勢にございますので、取りあえずは内部の努力でそういった体制がつくることができないかどうか検討してまいりたいということで考えております。
  118. 山根隆治

    ○山根隆治君 こうした銃犯罪対策というのは多角的に見ていかなくてはいけないことでございますけれども、ある学者の説ですと、犯罪の原因論と犯罪機会論がそれぞれ役割分担があるんだと、こういうことでございますけれども、その論理の中で、犯罪機会をなくす、つまり犯罪が起きにくい、端的に言うと環境をつくる、そのことが今大切なんだと、こういうことを指摘する学者も実はおられるわけでございます。  例えば、銃だけでなく、私の世代でも子供のときは火の用心ということで拍子木打ったりして防犯意識をお互いに高めていったりしたということも実はございましたし、それが一定の効果もあったんだろうというふうに思っております。  そして、犯罪が起きにくい環境をどうつくるかということでは、植え込みを住宅街にあっては低くするとか、そうしたことで防犯の効果が高まるんだと、こういうふうな指摘もあるわけでありますけれども、警察行政の中で、こうした犯罪機会を減少させていく、そうした町づくりということについてはどのようなお考えを持っているのか、あるいはこれからなそうとしているのか、なしているのか、お尋ねをしておきたいと思います。
  119. 片桐裕

    政府参考人片桐裕君) 御指摘のように、安全で安心な社会を築き上げるという意味では、犯罪に強い町づくり、環境づくりを進めていくということが必要であろうと思っています。  従来、我が国においては安全な国というふうに言われておりまして、安全にコストを掛けるということが比較的少なかったんではないかというふうに思われますけれども、また最近は、そういった安全にコストを掛けるというふうな努力も相当なされてきているというふうに考えております。  警察としましては、具体的には、安全・安心まちづくり推進要綱というものを作りまして、道路、公園等の公共施設であるとか、また住居の構造、設備等について、一定の基準と申しますか、ガイドラインと申しますか、そういったものを示しているところでございます。  例えば、道路、公園等の公共施設につきましては、一定の照度があることが望ましいとか、また見通しを確保すべきであるとか、また、共同住宅の構造、設備等につきましても、一定の照度を確保するとか、見通しを確保するとか、また、住宅の開口部の防犯対策を講じるといったようなことを示しているところでございます。  このほかに、緊急時の通報システムとして、通称スーパー防犯灯と言っておりますけれども、街頭緊急通報システム、こういったものの整備平成十三年から進めてきているところでございまして、このほかに、子供の特に安全を確保するために、平成十四年度からは子ども緊急通報装置の整備も行っているということでございます。  このほかに、防犯ボランティアの方々でございますけれども、最近大変数が増えて活発な活動をしていただいておりますけれども、こういったボランティアに対する支援というものも現在進めているという状況でございます。
  120. 山根隆治

    ○山根隆治君 じゃ、最後に大臣。いいですか。  今の議論の中で大臣何か、今日の議論を通じて銃対策についての感想なり、更にお話ししたいこと、どうぞ。
  121. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 最後に委員指摘になりました犯罪が起きない環境をつくり出していくということは大変重要なことだと思っておりまして、銃の問題につきましても、多くの方々が猟を楽しむ、あるいはスポーツを楽しむということの中で安全な銃社会をつくり上げていく、そうした環境をつくり上げていくことが大切だと思っております。  特に二つの総点検をさせていただきました。この点検の結果を踏まえて、銃社会の在り方、これまでの在り方を反省をし、安全な社会づくりを努めたいと思っております。中には、法改正をお願いしなければならないような事柄もあると思いますし、府令の改正等も必要になってくることがあろうかと思います。既に通達等については、ほんの一部でございますが、出させていただいた事柄もございます。  こういうことを踏まえまして、いずれにいたしましても安全な銃社会を目指すべく一層努力をさせていただきたいと思います。
  122. 岡田広

    委員長岡田広君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時三十一分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  123. 岡田広

    委員長岡田広君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、自見庄三郎君が委員を辞任され、その補欠として長谷川憲正君が選任されました。     ─────────────
  124. 岡田広

    委員長岡田広君) 休憩前に引き続き、内閣重要政策及び警察等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  125. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 自由民主党の北川イッセイでございます。  今日、こうして質問の時間をいただきましたので、私からは中国製の冷凍ギョーザ、この薬物混入事件の問題、それから行政改革、更には公務員改革というような問題について順次質問をさせていただきたい、こういうふうに思います。  あの中国製の冷凍ギョーザの薬物混入事件、昨年の暮れから一月にかけて大変な問題になったわけでありますけれども、その後中国日本との間でいろいろ捜査が進められておるというように聞いておるわけですけれども、当然犯人はなかなか捕まらない、どういう進展になっているのか非常に分かりにくいと、こういうようなことでございまして、まず、この有機燐中毒で入院された方、あるいはまたそういう心配があって診断を受けた方、さらには、ちょっと危ないなと思ったけれども受診に至らなかった方、また、情報だけを寄せていただいた方、いろんな方があろうかと思いますが、現在どれぐらいの人が心配をして問い合わせなり、いろんな受診されたりというようなことがあるんでしょうか。実態を教えてください。
  126. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 中国産冷凍加工食品を食べて有機燐中毒と確定した患者数は、現在のところ十名、千葉県が七名、兵庫県が三名でございます。そして、この中国産冷凍ギョーザによる健康被害が公表されました一月三十日以降、都道府県等にあった相談、報告の数は五千九百十二事例となっております。これらはすべてこの調査の結果、神経症状などの有機燐系農薬による中毒症状がないことなどにより、すべて有機燐中毒が否定をされております。  また、国レベルの相談窓口、関係省庁や国民生活センター、農林水産消費安全技術センター、あるいは日本冷凍食品協会等、こうした窓口に寄せられた相談数は、二月二日から三月二十四日まで合わせて千七百二十一件となっております。
  127. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 今御報告いただきましたように、相談に来られた方だけでも五千九百十二例と、こういうことでございます。食に対する不安というのはもうまさしく生活そのものだと、こういうように思うわけです。その中でも特に深刻に考えなければいけないのは、子供たちに対するそういう影響ですね。特に学校給食なんかで大量の食事を作るわけです。これがもしそういうものが混入しているということになれば、子供たちに大変な被害を及ぼすと、こういうように私は大変心配をしております。  現在、中国から食品、食材が入ってきて学校給食でもある程度使われているんじゃないかなというような思いがします。特に、現在問題になっていますこの天洋食品、中国の企業ですね、この天洋食品からの輸入品で、学校給食に使用されているものはどういう状況になっているのかというのをお調べになられましたでしょうか。
  128. 田中敏

    政府参考人(田中敏君) 御説明申し上げます。  今回の事案を受けまして、文部科学省といたしましては、この食品の製造業者でございます中国天洋食品製造の食品について、昨年十一月から本年一月までの三か月間に学校給食における使用状況、そして、当該食品に起因したと疑われる健康被害の発生の有無ということにつきましては緊急に調査を実施をいたしました。  その調査結果によりますと、厚生労働省さんが発表された天洋食品製造の食品を使用していたのは全国で五百七十八校でございました。これは全体の約一・四%に当たる学校数でございます。ただし、薬物中毒事案の発生食品である冷凍ギョーザを使用していた学校はございませんでした。また、当該食品に起因したと疑われる健康被害は一切報告をされていないという状況でございます。  文部科学省といたしましては、この中国からの輸入食品の全体ということについては必ずしも把握をしてございませんのですけれども、全国の公立小中学校を対象に行いましたサンプリング調査ということでは、食材数ベースで学校給食における国産食品の割合は約八割、つまり約二割が外国産の食品ということになってございます。  以上でございます。
  129. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 今や中国に限らず、世界のいろんな国から多くの生鮮食料品あるいはまた加工食料品が入ってくるというように思うわけです。日本の食料事情、食料自給率が三〇%台である、四〇%を切っておると、こういうような状況から見ますと、これもまあ当然なことで、これを全部やめてしまうとかなくしてしまう、危ないからというようなことはとてもできないわけです。そうしますと、これらの食料品を、日本へ入ってくる場合に、やはりもう安全性だけはきっちり調べなければいけない、ちゃんと把握しておかなければいけない、こういうことじゃないかなというふうに思っています。  それで、生鮮食料品始め、そういう食料品の海外から入ってくる場合の日本における検閲というものが一体どういうようになっておるのか。そして、その中でも特に大量の食事を扱う、先ほど申し上げた学校給食の安全の確認ということについて、何か特別なそういう警戒なり、あるいはもう一つ、今回のこの事件を受けて特別に何か処置された、そういうようなことがありましたらひとつ教えていただきたいと思います。
  130. 藤崎清道

    政府参考人(藤崎清道君) お答え申し上げます。  まず輸入食品の安全確保についてでございますが、これ通常、私ども食品安全の行政の立場から三段階に分かれているというふうに申し上げておりまして、一つは、まず輸入当事国においてきちんとした管理をしていただく、あるいは輸入業者の皆さんが日本国内の衛生基準に、食品安全の基準にのっとったような管理、あるいは輸入をしていただくと、これが第一段階でございます。  第二段階といたしましては、国内に入ってくる際に、検疫所におきましてモニタリング等の検査を行って問題のある食品をチェックをしていくということ。そして、国内に入ってからは、自治体が行っております収去検査等を通じて、そのようなものが入っていないかどうかのチェックをすると。  一般的にはこのような対応を行っておるところでございますが、今般の中国製の冷凍ギョーザの案件につきましては、まず原因の究明ということが大切でございますが、それがなされておらない段階におきましても、この再発防止策をきちんとしていく必要があるだろうということで、二月二十二日に関係閣僚による会合においてその再発防止策が取りまとめられております。そういう中で、厚生労働省の関係におきます、今先生指摘のような分野での対応ということも幾つか私の方で掲げさせていただきました。  具体的には、二国間協議及び検証のための査察体制強化、在中国日本大使館への食品安全担当官の駐在、検疫所の食品衛生監視員の増員や検査機器の整備、一定レベルの検査技術が確立した残留農薬の加工食品における検査の実施、有毒・有害物質の混入防止に係る輸入者の自主管理の推進を目的としたガイドラインの策定、輸入業者の自主管理及び検疫所における監視強化に資するための残留農薬検査法の開発等を示させていただいたところでございます。  なお、これらの具体的な再発防止策のうち、食品安全担当官の駐在につきましては三月六日から既に行っておりまして、また、加工食品の残留農薬検査につきましては二月二十二日から実施をいたしておるところでございます。さらに、輸入者の自主管理のためのガイドラインにつきましては、その策定のための検討会を三月二十一日に開催したところであります。  今後とも、輸入食品の衛生確保は一義的には輸入者にあることを踏まえ、また、私ども行政の立場からも必要とされる対策を通じて、輸入食品の安全確保に努めてまいりたいと考えております。
  131. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 よく分かりました。  特に平成八年のO157の事件がありました。それ以来、それぞれそういう検疫体制、進めていっていただいておると思いますけれども、なかなか一遍に十分なことができるということにもならないかもしれませんが、やっぱりそのときそのときしっかりした対策を立てて対応していくという、常にそういう気持ちでやっていかなければいけない、こういうふうに思いますので、ひとつ今後ともよろしくお願いします。  特に学校関係なんかにつきましては、やはりこれは、今おっしゃったような検査というのはあくまでもサンプリングの検査ということになると思います。果たして学校給食なんかの場合もそれでいいんだろうか、やはり確実にそういうものを検査していく体制も必要じゃないかというような、ちょっとそういう思いもしますので、ひとつ御検討もいただきたいなというふうに思っています。──いやいや、いいです。質問じゃないです。私の意見ですから結構です。  それで、今回のこの場合は、これ食中毒ですとかあるいは残留農薬といったような、そういうものではないわけですね。例えば、まだ薬品が生鮮食料品の中に残っておったとか、そういうような決して善意のものじゃないというように思うんですね。致死量に及ぶ薬品、毒薬、そういうようなものによって起こったものでありまして、極めて犯罪性が強いというものなんです。今までとは違ったやはり観点で、検査は無論、むしろ防衛体制というか、そういうものを考える必要があると、こういうように思います。特に学校給食については、これについては万全を期する必要があるだろうというように思うんです。  何といっても現在まだ犯人が特定されていません。こういうものをこれからやっぱりなくしていく、そのためにはまず犯人を特定して逮捕する、このことがやはり一番効果的だと、そういうように思うわけです。  そこで、毒物冷凍ギョーザ事件について、現在、日本における捜査の進捗の状況というのはどういうようになっているんでしょうか。
  132. 泉信也

    国務大臣泉信也君) この件につきましては、日本側では、流通経路の解明、あるいはメタミドホスの性状分析、さらに関係者からの事情聴取等を行ってまいりまして、日本国内において捜査が可能な項目についてはかなりの部分が終了していると承知をしておるところでございます。しかし、なお今後、まだ完全に終了していないいわゆる本件ギョーザと同日製造日のギョーザの鑑定、先日兵庫県警でも新しい分析結果が出ましたけれども、そうした残された部分を鋭意捜査を進めていく、更にこれからなお深く入るべきところがあれば、その捜査を早急にしていく必要があると思っておるところでございます。  また、真相解明のためには、日中の捜査当局がお互いに協力するということが不可欠でございまして、これまでも日中両国間において首脳級会談あるいは実務者レベルの会談、こういう中で情報交換を行ってきているところであります。今後も中国公安当局と緊密な連携を図って、事案の解明に尽くしたいと思っております。
  133. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 今鋭意警察の方で大変努力していただいておると、こういうように思います。いろいろ新聞報道その他見ますと、犯人を特定するのに薬物指紋の分析を行うのが非常に有効であると。当然、日本の優秀な警察ですから、そういうこともやっておられると、こういうように思います。  そういうようなことの結果の、これが一つ情報という形で中国側にもやはり流していく、そしてそれによってできれば共同の捜査をやっていけたらというような形を私は思うわけですけれども、情報交換という話、大臣からございましたが、情報交換、ただ単に意見の交換だけで終わっているんじゃないかという心配もするんですが、そこらの点いかがでしょうか。
  134. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 捜査はあくまで科学的、技術的に行うべきものだという観点に立っておりまして、日本側から要求した幾つかの資料について向こうから提供をされ、また不足の分については補ってほしいという要望を出しておりますし、また中国側に対しましては、先ほど申し上げましたメタミドホスの分析結果あるいは流通経路、さらにギョーザが入った袋の透過性の問題、こういう日本側で得た情報中国側に渡して、より技術的な科学的な解明の糧にしていく、そのことを通じて原因を究明するということで今日まで日中両国で協議をし、解明に当たっておるところでございます。
  135. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 ところで、先般中国の公安省が自国での毒物の混入の可能性は非常に低いと、こういうことの発表をされました。これについての御見解はいかがでしょうか。
  136. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 御指摘のことにつきましては、今申し上げましたように、日本警察においては科学的、客観的な根拠に基づいて今日まで分析をしてまいりました。すなわち、今も申し上げましたような密封された袋の内側からメタミドホスが検出されたこと、検出されたメタミドホスには不純物が混在して、日本で入手できる純度の高いメタミドホスとは異なること、さらに、千葉、兵庫から出たギョーザにつきましては、中国国内から出荷された後、完全に別のルートで日本に入ってきておるわけでありまして、日本国内での接点がないことなどから、日本国内で薬物が混入したとする可能性は極めて低いというのが日本側認識であります。  委員指摘のように、これに対して中国側は、中国国内での薬物混入の可能性は低いと、こういうことを述べておるわけでありますが、中国側の見解は、現段階で、中国側の捜査の過程での見解であるというふうに受け止めておるわけでありまして、両国の見解に差があることは事実でありますが、今日からまた三日間、担当者が日本に来て、先ほど来申し上げておりますような科学的なあるいは技術的な情報交換をいたす中で解明が進むものと期待をしておるところでございます。
  137. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 この問題ですけれども、私は私の思いで非常に心配をしています。老婆心で、なければいいんですけれども、その前に、日本側日本で混入したということは考えられないというような発表をしているわけですよね。これを受けての中国側の発表じゃないのかなというような実は思いがするんです。  私は何を心配しているかといいますと、これはもう純然たる犯罪捜査だと思うんですよ。ですから、刑事事件としてお互いに犯罪捜査をやっていく、これは犯人は中国人であるか日本人であるかは分からないけれども、協力して一緒にやっていきましょう、そういう中で日本側がそういう発表をし、それを受けて中国側が発表した。私は、この純粋な刑事事件、刑事問題が何か高度な政治問題にならないかなというような、実はそういう心配を非常にしているんです。  これは今月のウエッジの新聞ですけど、これ見ましたら、タイのジャスミン米ですか、その問題で中国との間で、中国でいろいろな別のものが混入されたというようなことでいさかいがあるわけですね。それを見ましたら、責任はどっちや、どっちやということになって、中国側がインターネットの書き込みなんかで、中国に対するこれは政治的陰謀だとか、中国を混乱させようとしているとか、中国の顔に泥を塗るものだとか、こういう書き込みをどんどんどんどんされたと、こういうことなんですね。  こういうような形になって泥仕合になってしまったら、本当の犯人を見付けるのに、それ以外の要素が多くてなかなかできないというようなことにならないのかなというような思いがしています。  これ、どうでございますかな、日本の今回のこの事件でもこういうインターネットの書き込みというのは随分来ているんじゃないですか、ちょっと分かりましたら。
  138. 泉信也

    国務大臣泉信也君) インターネットの情報はちょっと分かりかねますが、警察に対してそのようなものは来ていないということでございます。
  139. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 これは警察に対してというんじゃなしに、インターネットの書き込みですから、これは日本に限らず全世界の人に発信をしているわけですからね。恐らく私聞いたのでは、随分やっぱりあるというように聞いておりますけれども、そういうようないろんなことで、単なる刑事問題、捜査の問題、それが高度なそういう政治的な問題になってしまうというのは非常に私はお互いに不幸だというような思いがいたします。  ただ、日本中国では毒物の取扱いの基準なんかが随分違うわけですね。メタミドホスですか、これなんかも中国では農薬で使っているけれども、もう既に日本では使っていないというようなこともあります。  日本中国の食料の貿易というのはこれからますます増えていく、当然増えなければいけない、そういうことだと思います。食の安全性ということを考えますと、そういうようなことの共通の基準作りというか共通のテーブルというか、それを研究する場、そういうものが必要じゃないかと思うんです。これは捜査じゃなしに政治問題としてお互いに話し合って研究し合う、そういうことが非常に大事じゃないかなというような思いがしています。この件についてどう思われますか。
  140. 藤崎清道

    政府参考人(藤崎清道君) お答え申し上げます。  政治的ということよりは、私どもむしろ実務的というふうに申し上げてよろしいかと思うんですが、厚生労働省と中国側の輸出食品の検査を所管しております国家質量監督検験検疫総局との間におきまして、食品安全分野における日中間の交流及び協力の促進を目的といたしまして、平成十七年四月十三日、当時の厚生労働省尾辻大臣と李長江中国側局長との間で協議の仕組みに関する覚書を結んでおります。  具体的には、この仕組みにおいて、両国間で食品安全に関する課題についての協議、法令や規則及び我が国の残留農薬基準を含む基準に関する情報交換、検査技術に関する情報交換、問題発生時の協議等を通じまして、従来より食品衛生の技術的問題について対応を図っているところでございます。ちなみに、平成十九年度では五回の二国間協議を行っております。  今後とも、中国から輸入される食品の安全性確保に資するためにこの覚書に基づきます協力を大いに進めてまいりたいというふうに考えております。
  141. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 ありがとうございます。  実務的なレベルでというお話ございました。それはそれで進めていただいたらいいんですけれども、やはり日本中国の貿易というのは、今後日本の食料問題を考える上で、またお互いの国のいろんな経済的の、貿易その他考える上で非常に大事なことだと、こういうように思います。むしろ実務的な段階でのいろんなそういう調整、そういうようなことを乗り越えて、もっと大きな政治的なレベルでの話合いというものからスタートして、実務的なものをしっかりと進めるようにできるという形にすべきじゃないかなというような思いがしています。  今回のこのギョーザ問題を一つの機会にしていただいて、是非とも、少しでも前向きに日本中国のこの貿易関係、食料の貿易関係がスムーズにいくように、やはりこれを一つの災い転じて福となすということでひとつ我々頑張っていかないかぬなというような思いがしていますので、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。  最後に、国民の食の安全を確保するために日中間の友好というか、そういうものが非常に大事だと、今回のようなことが二度と起こらないように決意を岸田大臣、ひとつお願いしたいと思います。
  142. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) まず日本中国の協力の話ですが、日本国民の食料事情、食品事情考えますと、多くの中国産の食品に依存しているという実態が今回改めて指摘をされました。やはりこういった実態を見る限り、やはり日本中国、これからもしっかりとこの食の安全についても連携していかなければいけない、こういった現実があるんだということを強く感じております。  そして、我が国の食の安全を確保するという点からいいましても、今回の事案をしっかりと一つの材料として、多くの国民生活において最も基本的な安心、安全であるこの食の安全について、国としてもしっかりとした体制をつくっていかなければいけないと思っております。  そして、この再発防止策、今回の事案に対する再発防止策、第一弾を二月二十二日、関係閣僚で確認をしたところでありますが、内容につきましては先ほど厚生労働省からも一部紹介がありました。こうしたこの第一弾の再発防止策、まずはしっかりと実施、実現に向けて努力をしなければいけないと思っておりますし、そして、今後原因究明等が進み新たな事態が把握されたならば、必要であるならばまた第二弾、第三弾の再発防止策も積み重ねていかなければいけない。そうした体制を取ることによってしっかりとした食の安全に対する国民の安心感も確実なものにしなければならないと考えております。
  143. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 ありがとうございます。よろしくお願いします。  それでは、続きまして、行政改革、また公務員制度の改革ということについて渡辺大臣にお伺いをしたいというふうに思います。  私は、先日、ある新聞のアンケートを見て大変驚いたんです。今の日本の政治家、政党について信頼できるかできないか、信頼できないと答えた国民が何と六八%に及んでおると、こういうことであります。これは、取りも直さず国民の政治不信そのものであると、こういうように思います。その意味で、こういう状況ではこれは民主政治というものの一つの危機であると、こういうようにも考えられるんじゃないかなというような思いがしてならないわけです。  今、参議院において平成二十年度の予算審議が行われております。その関連法案も一緒に審議されておると、こういうことであります。しかし、率直に言って、国民の目線に立って見るならば、その肝心の予算の議論というのがなかなか進まないというのが実情であります。道路特定財源のお金がどこへ使われておる、これはもう悪いところは是非とも指摘をして直さないかぬ、もう当然のことであります。また、いろんな問題があるわけですけれども、肝心の予算審議というものがなかなか進められていない。私は、こういう状態で政治を信頼しろといってもなかなか無理な話ではないのかなというような思いがしています。  その以前は政治家とお金の問題がやり玉に上がりました。このときも政治家のスキャンダルのようなものばかりが議論されて政策の議論が進まなかった。こんなことばかりしていたら本当に国民の政治に対する信頼を損ねてしまうというように感じたのは、これはもう私だけじゃないと、こういうように思います。  それで、政治資金の規正法の改正が行われて、一円以上の支出についてすべて領収書を必要とするというようなことになったわけです。これは、実務上、大変実際に厳しい。私も、また私の事務所も、一体これどういうように処理をしたらいいのか、正直言って非常に困り果てておるというようなことなんですけれども、しかし、それで政治に対する信頼が少しでも回復できるということであるならば、それはもうそういう改正があって、これをうまく生かしていく、こういう形にしなければいけない、こういうように思います。  私は、今まさに国会で問題にされているような、行政や公務員に関するいろんな問題、そういう問題について、例えば社会保険庁の問題ですね、これなんかももう本当に、もう考えれば考えるほど腹が立つと、こういうようなことであります。道路特定財源についてもいろんな問題が指摘されております。そういうような問題を、これはもう解決するところはしっかりと改正、改めていかなければいけない、そういうように思うわけです。  現在、我が国には政治課題というのは随分たくさんありますね。年金、介護、医療、それから社会保障その他財源の問題あるいは環境の問題、いろいろありますが、そういう問題はすべてやはり国民との信頼関係がなかったら解決しない問題だと、こう思います。そういうように考えたときに、先ほど申し上げたような、公務員の問題ですとか、行政改革が進んでいない、無駄遣いが多い、こういう問題があれば、国民との信頼関係が構築できない。そうしたら、この大事な、いろんな、これから山積している問題、これも本当に解決することがなかなかできないというようなことになるんじゃないかというふうに思うんです。  そういうときに、政治と国民の間の信頼関係を回復するために、公務員の改革と行政改革をちゅうちょなくやっていこうと、こういうことで渡辺行政改革担当大臣がおられるんだと、こういう思いがしています。大変私は大臣に期待をしておるわけでございまして、大臣として、ひとつその認識というか所信というか、まずちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  144. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 日本の公務員制度は、明治の初期には当時の近代国家のいいところを取ってきてつくった制度だと思うんですね。封建・身分制度が壊れまして、身分や家柄、門地、そういうことにかかわりなく、有能な若者をどんどん登用をしていこうという制度でスタートをしたと思います。これが戦時体制時代に政治というものは後退をし、政党が否定をされ、究極の官僚主導型、官僚統制システムが完成をしたわけでございます。  戦後、このシステムは、占領時代にしっかりと生き残りました。高度成長時代にはこうした統制型のシステムというのは非常に威力を発揮をしたんだろうと思います。政治家は三流だけれども日本は官僚が一流だからこの国は大丈夫なんだなどという説が当時流布した記憶がございます。  しかし、八九年にベルリンの壁が崩壊をし、世界経済が一体化する中で、残念ながら日本の戦後復興、高度成長を支えてきたこうした官僚システムがどうもおかしくなってきたということがあるのではないでしょうか。平成時代に我々は御指摘のように政治改革を行いました。省庁大再編もやりました。でも、何かピントがずれていやせぬかと。そういうところから随所に今、我が国の公務員制度が機能不全に陥っている、そういう国民の不信感を買ってきているのではないでしょうか。  我々は、まさにこうした現実を前にいたしまして、徹底した行政改革を断行する、公務員制度の抜本改革を実現をする、優れた行政システムを構築することなくして日本に再び輝かしい時代を期待することはできないのではないかと、そういう思いで始まったのでございます。  公務員制度につきましては、優秀な人材が国民の立場で誇りと責任を持って職務を遂行することができるよう、抜本的に在り方を改革をしてまいりたいと考えております。今国会に提出をすべく、今法案の準備を進めているところでございます。  改革を先送りすることなく、二十一世紀の日本を支える国家国民のための新しい行政システムを構築するため、全力を尽くしてまいりたいと考えます。
  145. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 渡辺大臣から本当に力強い所信をいただきました。官僚制度の今までの実績、そういうものはしっかり認めつつ、もうこのままでは今後の日本考えた場合に非常に壁に当たっておると、こういうことでその改革をしようということだというように思います。国民の方にやっぱりそういうことはしっかり説明をする必要があると、こういうように思います。  その中で、私が最近一番頭にきている、これは私だけじゃないと思います、皆さんそうだと思いますが、問題は何かというと、社会保険庁の問題ですよね。これほど国民の信頼を裏切った国の機関も珍しいと思うんです。  それはもうそうですよ。国民の方が一生懸命働いて、年金の掛金をして、将来年を取ったらそれもらえると、こういう楽しみでやっておるんですよね。それが、だれがどれだけ掛けたか分からぬ、宙に浮いた年金とかなんとか言われますけれども、事務の不備でそういうようなことになってしまった。とんでもないことだと、これは本当にもう国民皆怒り心頭に達しておると、そういうように思います。  それを、やはりそんなことばっかり言うていてもしようがないと、やはり改革をしていかないかぬと、こういうことで、消えた年金と言われたり宙に浮いた年金とか言われますけれども、これについてはもう一件一件すべて解明していくということで今その作業がどんどん進められておると、こういうように思います。どこまでできるか非常に難しいところですけれども、しかし最後の一件までやり抜くという覚悟でやはりやらなければいけない、こういうように思うんです。  と同時に、社会保険庁を今後どうするんだ、どうなっていくんだと、こういう問題なんです。また、その職員さん、もう本当にていたらくの、仕事しよらんかった職員責任問題を含めて、これも一体どうするんだ、これも国民の関心のあるところだと、こういうように思います。  昨年、社会保険庁の改革法案ができて、二十二年の一月をめどに現行社保庁を解体すると。公的年金、年金機構をつくる、また政管健保については分離する、人員の削減をする、市場化テストなど民間手法の採用を取り入れるなど、いろんなメニューが示されておるわけです。しかし、その後、これらが一体どうなっておるのか、それがうまく最後収拾するんだろうか、なかなか確信が持てないわけですね。国民の方もこれはもう非常に不信に思っておられるというふうに思います。この宙に浮いた年金ばっかりが表へ出て、この社保庁を一体どうするんだという話がちょっと今忘れられているような気がして仕方がないんです。  大臣の方から国民に対して、こういうようにするんだと、そうしたらこうなるんだということをひとつしっかり示していただきたいと思います。よろしくお願いします。
  146. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 大変残念なことに、社会保険庁という役所が公務員制度の最も悪い見本になってしまったのではないでしょうか。厚生省のキャリアと言われる少数の人たちが幹部にいて、そして社保庁のプロパー職員がその下にいる、都道府県の職員がそのまた第三層にいて、この人たちは転勤がないと。非常に組織として固定化してしまい、流動化のない、またガバナンスの利かない、そういう組織とシステムになってしまったような気がいたします。  社会保険庁改革に関する私の任務は、先生指摘のように、日本年金機構法に基づいて日本年金機構の職員採用と外部委託の基本について有識者の意見を聴いていくことであります。そして、それによって日本年金機構を国民の納得できる組織として、この年金業務・組織再生会議を設けたわけでございます。これは昨年の八月に私の下につくった会議でございます。年金機構の職員採用と外部委託の基本について議論をいただいております。中間整理も公表をしております。  この中間整理におきましては、社会保険庁職員から年金機構への採用において過去の処分歴を重要な考慮要素とすることや、外部人材の積極的な活用をすること、また、業務の外部委託を推進するとともに、コンプライアンス体制強化することなどといった国民の信頼を回復するための取組について御指摘をいただいたところでございます。  再生会議は現在、機構の職員数など残された検討課題について議論をしている最中でございます。本年六月に政府の基本計画がまとめられるよう、五月中には最終整理をしてまいりたいと考えております。
  147. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 大臣是非ともしっかりとこの改革を進めていただいて、そして、やっぱり国民の信頼を取り戻さないかぬ、そういうふうに思うんです。新しい年金組織になりましても、やはり基本は国民が払う保険料なんですよ。保険料が入らないと、何ぼ新しい組織にしたってこれ駄目ですから。ですから、当然保険料の徴収率の強化というようなことになってくると思います。しかし、その改革がどうも分かりにくいと、分からぬということでは、国民はそれに協力しない、こういうふうに思います。是非とも国民に分かりやすい形でその改革を進めていただきたい、そういうふうに思いますので、よろしくお願いします。  次に、特殊法人、それから公益法人、それから独立行政法人、これの役人の天下りについて、これもよく問題になっています。これも国民の大きな不信を買っている一つじゃないかなというように思いますので、これについて質問をさせていただきたいと思うんですが、大臣関係法人への官僚OBの天下りについてどのように認識されて、また規制しようとしておられるのか、教えてください。
  148. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 天下りというシステムがいつごろからできたのかと、私も興味を持ってこのことを調べてまいりました。どうも私の理解では、戦時体制のころこのシステムが始まったと、そういうことを記した論文がございました。  戦争中に特殊法人のようなものをつくり、国策として官僚が天下る。戦後、このシステムはまさに人事の一環として行われてまいりました。役所の中にいる間は年功序列で人事制度が行われます。また、キャリアとノンキャリという極めて固定的な身分制度が行われ、そして五十を過ぎると肩たたき。人事を回すためにはどうしてもたくさん天下りポストをつくっておかないと人事が回らないと、そういう非常にゆがんだシステムになってしまったのではないでしょうか。  昨年の通常国会において、まさにこうしたシステムを打破すべく、国家公務員法の改正について御審議をいただき、法案を成立をさせていただきました。  それによりますと、まさに各府省の天下りあっせんを全面的に禁止をする、そして再就職のあっせんは官民人材交流センターに一元化をするということを決めていただきました。また、営利企業等の地位に就いている元職員の出身省庁への働きかけなどについても規制を導入をいたしました。これらに関する不正行為に対しては刑罰を導入をしたところであります。営利企業等に再就職をする場合に限らず、公益法人や独立行政法人等への再就職についてもまさに各省のあっせん禁止の対象としたところであります。  これは極めて画期的な法改正であったということは言えようかと思います。まさに、こうした規制によって日本の今までの人事の一環として行われてきた天下りというものが抜本的に変わっていくことを我々は目指したものでございます。こうした規制の実効性を確保をするため外部監視機関を設置をし、厳格な監視を行うことにいたしております。  これらの規制の施行に向けまして、引き続き所要の準備を進めているところであります。
  149. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 順次改革をしていただいておりまして、非常にうれしく思っています。  要は、国民から見て、役人ばっかりええ目しておるやないかと、これがいかぬのですよね。こういうことがあれば、本当に政治との信頼感がなくなると、こういうように思うんです。  私は、大阪府の方の議員をやっていましたから、大阪府の方でも、この問題、要は国の右へ倣えで、全部各自治体、地方自治体、みんな同じことをやっているんですよね。とんでもない話やと、こういうことで大分追及したことあるんですけれども、このときも府の方で人材バンクをつくるという話も実はありました。私はもう大反対しました。天下りを公認するのかということで反対したわけですけれども。  国の場合、長い歴史がありますから一遍になかなか良くならぬかもしれませんけれども、しかし、停滞することなく順次できるだけ改革をしていただいて、国民から見て公平だというように思われるような形に是非ともしていただきたい、こういうように思いますので、ひとつよろしくお願いしたいというふうに思います。  それから、自治省の方から、公益法人に対して三分の一以上の同一の機関から人を派遣してはならないと、こういうような通達も出ているわけですけれども、これについて、地方にはそういう通達を出しながら、国の方では公益法人その他、役員ほぼ九〇%、一〇〇%同一の省庁から行っているとかいうようなことがあるようです。そういうことについて、これは総務省ですか、よろしくお願いします。
  150. 須江雅彦

    政府参考人(須江雅彦君) 御説明申し上げます。  公益法人の設立許可及び指導監督基準におきまして、公益法人理事のうち所管官庁出身者を三分の一以下とする基準が設けられております。本基準につきましては、平成十八年八月十五日に所管官庁出身者の定義を厳格化する見直しを行いまして、現職理事の任期等に配慮しつつ、原則二年以内のできるだけ早い時期に適合するよう各主務官庁において強力に指導するとしたところでございます。一昨年八月現在では三百三十九法人が国所管法人でこの基準に未適合でございましたが、過半は改善しており、本年二月末現在でなお百二十四法人が未適合でございます。  去る三月四日の閣議におきまして、総務大臣より、期限までにすべての法人がこの基準を適合するようということで各府省に対し指導監督の徹底を図るよう求めたところでございます。  以上でございます。
  151. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 この問題も、国のやることは絶対正しいという形で地方自治体が皆まねをするわけですから、これは私のおりましたところでも調べたら、本当にもう七割、八割の人が同じそこの庁内から出ていった人で占めておるというような実態もありました。これもやはり、国が地方に対してこうあるべきだということで言っていただくのであれば、国はまず姿勢を示していくということが大事かと、こういうふうに思います。  それから、総務省の方にもう一つお尋ねしたいんですが、財団法人などの公益法人として運営されている地方自治体の職員互助会というのがありますね。この職員互助会、都道府県で四十一、政令指定都市で五、これは総務省の方で調べていただいて資料いただいたんですが、これが財団法人になっているんですね。政府の通達によりますと、財団法人というのは、特定団体の構成員又は特定職域の者のみを対象とする福利厚生等を主たる目的とするものは公益法人として適当でないというように示達されているんです。  私はすべてこの種の公益法人をつぶさに調査したわけではありませんけれども、私の地元であります財団法人大阪市職員互助会につきまして、どう見ても積極的に不特定多数の者の利益を実現する目的としてやっておられるというようには思えないです。あくまでも会員の相互扶助を目的としている団体ではないのかなというふうに思います。  例えばその団体が、豊富な資金を運用して、そして巨大な利益を上げるということになった場合に税制の優遇措置を受けられるとか、財団法人はそういう税制の優遇措置があるわけですね。そういうようになったときに、私が言いたいのは、こういうことについても公務員の団体だからそんなことが許されるのかということを、一般の国民の方が見られたらそういうふうに思うんじゃないかなというように思うんです。そこらのところの実態、ひとつ分かりましたら教えていただきたいと思います。
  152. 須江雅彦

    政府参考人(須江雅彦君) 現行の公益法人につきましては、都道府県知事を含みますそれぞれの所管官庁が公益性を判断して設立許可を行い、その業務について指導監督を行うこととされておりますので、個別法人の是非につきまして総務省としてお答えする立場にはございません。  その上で、一般論で申し上げますと、先生指摘のとおり、現在の公益法人の指導監督基準におきましては、公益法人は積極的に不特定多数の者の利益の実現を目的とするものでなければならず、特定団体の構成員又は特定職域の者のみを対象とする福利厚生、相互救済などを主たる目的とするものについて公益法人としては適切でないということになっております。  他方、既に設立されている法人で、法人格を取得する手段が民法三十四条によることに限られていたために、やむを得ず公益法人の形になっているという業界団体のたぐいがございますが、これについては法人に関する抜本的改革をもって対応するということになっております。  そういう意味で、公益法人制度改革が平成十八年に関連法律が成立いたしまして、本年十二月に施行されることになっておりますが、新制度の下では主務官庁制度が廃止されまして、各主務官庁の裁量による判断に代わりまして、第三者による合議機関の意見に基づいて一元的に公益が判断される仕組みになっております。都道府県にも合議制の機関が設置されることになっておりますので、御指摘職員の互助的な団体につきましても、こうした新制度の中で適切に整理されていくものというふうに理解しております。
  153. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 個々の財団法人化したその是非については個々には分からぬということなんですが、それぞれの地方自治体の認可ということになっているわけですね。ですけど、この私が申し上げた大阪市の互助会なんというのは、大阪府が認可するわけでしょう。その大阪府自体が同じことをやっているんですよ。同じことがある。実際にこれで認可したり、あるいはそれを厳しく検査、調査したりということが果たして本当にできるのかなというような思いがします。  是非とも、これ全国で四十一の都道府県であるんですよ。政令指定都市で五か所、ほかの市町村は分かりません。これは恐らくないと思いますけれども、そういう形になっているんです。皆財源の非常に豊かなところばっかりがこういう財団法人になっているんですよ。  ですから、ここらのところを総務省として実態を是非とも調べていただいて、経過措置とかいろいろあります。ですから、今すぐどうする、こうするできないかもしれません。しかし、悪いものは悪い、これは適当でないものは適当でないということをはっきりと総務省として見解を出していくべきじゃないかなというような思いがしていますので、ひとつよろしくお願いします。いかがですか。
  154. 須江雅彦

    政府参考人(須江雅彦君) 各都道府県につきましても、指導監督基準に沿って適切に指導監督を行うということになっておりますので、先生指摘の点を踏まえて各都道府県にもその旨周知をしていきたいというふうに考えております。
  155. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 もう時間が大分なくなってきましたから、もう一問、この内閣人事庁構想についていろいろお伺いしたかったんですけれども、時間がありません。これは法案が出されてからのいろんな議論にまつべきだと、こういうように思うんですが、一つだけ大臣に教えていただきたいのは、国家公務員の一括採用について、これは私は本当はそうあるべきじゃないかなと。幹部人事を人事局でやるとかいう話もあります。それはそれで議論すればいいことですけど、その前提としてはやっぱり一括採用じゃないかなと思うんですよ。一括採用して初めて人事異動もできるし、そういう意識もできていくんじゃないかなというような思いがするんですが、この一括採用の可能性というものについてお伺いしたい。  それともう一つは、これから道州制の問題なんかが出てきます。そうしますと、各地方にある国の地方事務所というのは、地方とやることが重複するという場合もあります。また、国と地方との間はもっと綿密に連絡、協調しなければいけない、こういう場面が本当にこれから出てくると思うんですね。  そういうことを考えたときに、果たして国家公務員と地方公務員とこれだけきっちり分けておく必要があるんかなと。地方を知らない国家公務員、これはこれから勤まらないと思うんですよね、地方分権をしっかり進めていくという上で。また、地方で働くにしても、国を知らない地方公務員じゃ、これどうにもならぬと思うんですよね。  ですから、私は、その中のいろんな区分はあるとしても、公務員試験という形で、資格試験を国家公務員と地方公務員と一括するというような方向も考えられたらどうなのかなということを御提言申し上げたいというように思うんです。大臣、いかがですか。
  156. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 今回の改革案では、縦割り行政の弊害を除去するため、各府省横断的な人材の育成、活用を行おうというのが大きな柱になっております。省の枠を超えた真のジェネラリストたる日の丸官僚、これを育成していく必要があると考えております。そのために、内閣人事庁採用の総合職という制度をつくり、総合職試験合格者からの採用、そして各府省への配属というものが懇談会の中で提言をされたところでございます。一方、民間からの中途採用という制度についても着目をいたしております。  いずれにいたしましても、各省の垣根をより低くすること、官と民との人材流動化も図っていくこと、当然その中には地方と国との人事交流といったことも含まれるものと考えます。
  157. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 時間が来ましたからこれで終わりますけれども、要するに国民と政治との間の信頼関係をしっかりと構築していくと、こういうことで、渡辺大臣、各大臣、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  ありがとうございました。
  158. 有村治子

    ○有村治子君 ありがとうございます。自由民主党の有村治子でございます。今日は、大臣、副大臣、お忙しい中本当に御協力をいただいて、このような質問をさせていただけることを大変有り難く、光栄に存じております。  日本が置かれている現状にかんがみて、日本の将来のあるべき姿、また私たち国民のライフスタイルがどのように変わっていくべきなのか、考え方、社会をとらえる感性というものをどう磨いていくべきなのか。新しい心地よい時代をつくっていく先頭に立っていただく大臣の皆様に御意見を承りたく、また私たちが共になすべきことを考えるきっかけになれば大変有り難いという思いで質問を展開をさせていただきます。  御公務の関係で先に退出されねばならない渡辺大臣からお話をまず伺ってまいります。  大臣所信の中に、「我が国の官僚機構は、かつては日本の復興、高度成長を支える原動力として、内外から高い評価を受けていました。しかし、現状では随所に機能不全が生じ、国民からの不信感も高まるばかりです。」と断言されたお言葉がございました。このお言葉を聞いて、相変わらずきっぷのいい大臣の、断言される、信念を持ってのお言葉だなというふうに受け止めると同時に、そのようなことをおっしゃらなければならない現状と格闘していらっしゃる渡辺大臣のお気持ち、ああここまでおっしゃらなきゃいけないのかというふうに思うと少し寂しいような気持ちもいたしました。  先日、私は一冊の本、冊子と巡り合うことができました。この本を、人事院からお配りいただいたようなんですけれども、手にすることができたことを大変有り難いことだと思っています。これは、人事院の総裁賞ができてから二十周年の記念で、全国で働いている国家公務員の中で特に使命感と誇りを持って働いていらっしゃるその国家公務員の仕事と素顔ということを報じたものでございました。  その中には、例えば法務省の医療刑務所長の方、精神的な疾患を持つ受刑者を治療するために独自に療法を開発したり、刑務所に併設された准看護師養成所において後進の育成にも当たられるなど、受刑者の円滑な社会復帰に向けて仕事をしていらっしゃる方々。あるいは、人里離れた生活の著しく不便な地において、多年にわたり砂防事業を実施され、社会から隔絶された地で合宿しながら、大変な精神的な労苦を伴いながら、日本の砂防技術は立山で生まれたと言われるほどの困難な砂防事業を百年以上にわたってやってきた、富山平野を土砂災害から守ることに専念をしてきた北陸の地方整備局。あるいは、厳しい自然と不便な生活の中で、台風が常に襲ってくるという沖縄本島から東に三百九十キロのところで、本当に全国から派遣された職員もその家族も、へき地医療さえもそろっていないところで、島で困難な体験をしながら日本の台風のそんな予測を守っている。あるいは、不審船で大変危険な中で、自らもその攻撃を受ける中で不審船をしっかりと捕捉するなど、非常に命の危険も顧みずにやっていらっしゃる国家公務員がこんなにたくさんいらっしゃるんだということを知りました。  この選考に当たった高橋克彦さんという作家の方が最後に講評を残していらっしゃいます。非常にいい文章なので、数行だけ読ませていただきたいと存じます。  世の中には何と過酷な仕事があり、何と真摯な人々がいることだろう。もし私がこの選考にかかわることがなければ、国家公務員の仕事について私は一生認識不足のまま過ごしたに違いない。いや、これは決して私に限らず、大方の国民が描いているイメージでもあろう。しかし現実は違った。どんなに大金を積まれたとしても引き受けたくない仕事が山ほどある。国のために働く人間なればこそ嫌でも取り組まなくてはならない仕事が幾らでもあるのだ。選考する側という栄誉より、私にはこの事実を知り得たという喜びの方が大きい。こういう人々の踏ん張りが日本の品格と国威を支えてきたと言ってもいい。この賞の存在はもっと広く伝えられるべきだと本心から思う。どれだけ多くの国民がこの国に誇りを持つようになることだろう。少なくとも私はこの国を見直したという発言を残していらっしゃいます。  実際に、例えばサリンの事件では、一立方メートル当たり百ミリグラムのサリンがある空気を一分間吸うと半数の人々が死ぬという猛毒の中で、また、サリン事件でどうやってサリンを確定すればいいのかの検出方法さえ分からない中で、自らも防護服を着ながら、何とか猛毒ガスのサリンについて試行錯誤を重ねられた科学研究鑑定チームとか、あるいはベトナムの政府からの要望によって、まだ治療法や診断法が確立されていないSARSが勃発したときに、本当に自らの命ということも顧みずに、国の要請に基づいて、ベトナム政府からの要請に基づいてその地に赴かれた国家公務員がいらっしゃる。こういう方々の貢献があって日本があるということはもっともっと知られていいものだと思いました。  私自身、常々感じておりますが、国家公務員の皆さんにとって、公僕としての誇りというのはある意味で最後のとりでだと思っております。とても大事なことだと私は信じています。というのは、国家公務員がよこしまになって損害を被るのは私たち国家国民であるからです。  と同時に、厳しい現実もございます。年度末に向けて暫定税率の期限切れの期日が近づいております。私自身も予算委員会出席しながら、それぞれの与野党の同僚議員の先生方が展開される質問のその答弁を聞いていると、一体どうしちゃっているんだろうというふうに義憤を感じずにはいられないような予算の執行状況がございます。例えば、道路関係予算を使ってマッサージチェアを買ったりミュージカルを全国で百か所以上開いていたり、あるいは道路建設の調査という名目で数百万円、時には数千万円、余り効果がないんじゃないかと思われるようなそんなところに調査というような項目で予算が落とされていたりします。やはり、これをおかしいと思う官僚がいなかったのかなというふうに思うと非常に残念に、私自身、フェアに聞いていて思うことが何度かございました。  やはり、これだけ大変な時代、これから少子高齢社会になっていく中で、ますます国家運営が厳しくなっていく上で、国力を温存するという国家戦略を先頭に立ってやらなきゃいけないのに、官僚の一部の方々は浪費の先頭に立って、そのこと自体がおかしいと思っていないという強弁をされる姿、フェアに見ていて大変見苦しい。正直、国家運営の感覚がみじんもないような姿に大変寂しい思いを私自身いたしました。  本来、公僕として公益あるいは国益のために仕事を遂行する官僚から、常識人としての正常な感覚や民に率先して範を示そうといった気概、あるいは日本をこれからしっかりと踏ん張ってつくっていこうというリーダーとしての自覚を奪ってしまった社会の損失は大きいな、その原因の一端はマスコミや私たち政治家の責任も重いものがあるなというふうに自ら自戒の念を強めました。  そこで伺います。  渡辺大臣のような突破力、影響力のある方、また世論に対するアピール力をお持ちの方は是非引き続き王道を歩んでいただきたいと存じます。行政システムの改革のみならず、国民と公僕の心理的な距離を縮めて、敬意のある社会、犯人捜し、レッテル張りに躍起になる社会ではなく、それぞれが見えないところでそれぞれの持ち場で踏ん張っているということに敬意、称賛をしっかりと示していく社会をつくる前線に立っていただきたいと存じます。官僚をたたいて民意をあおったり、あるいは迎合するのではなくて、その国民対官僚という対立的概念を払拭する前線に立っていただきたい。具体的には、国家国民の未来に向かって貢献度の高い優秀な官僚が報われるように苦心していただきたいと存じます。この点について、渡辺大臣の御所見を伺います。
  159. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 我々政治家も公務員でございます。先ほど、前段で挙げられた大変モラールの高い、誇りを持って仕事をやる方々も公務員であります。ただ、違うのは、我々は試験で選ばれるわけではないと、選挙で選んでいただくわけでございます。一方、試験で選ばれる人たちも公務員であります。  公務員というのは私の理解では、国民が、ああこの人たちだったらある程度までお任せでいいかと、そういう信頼がなければ物事は全く先に進まないんだろうと思うんですね。この人たちにはお任せできないと国民考え始めると、百万遍言い訳を繰り返してみても全く理解してもらえないということになってしまいます。したがって、今我々が取り戻さなければいけないのは、公務員、政治家も試験選抜公務員も両方でありますが、国民から、ああこの人たちだったらある程度までお任せでいいかと、そういう信頼関係であろうかと思います。  今回、我々は、公務員が国家国民に奉仕をし、誇りと責任を持って働けるようにするとともに、研さんと競争を通じてより優れた公務員を育て、活躍させようというものでございます。その柱は、キャリア制度の廃止、幹部人事の一元管理、内閣人事庁の創設、政官接触の集中管理、国家戦略スタッフの導入、労働基本権の拡大などであります。是非、我々のこの提案を本国会において御審議をいただき、成立させていただきますよう、お願いを申し上げます。
  160. 有村治子

    ○有村治子君 渡辺大臣、ありがとうございます。  やはり知性、おつむだけではなく、ハートに訴えられるメッセージを引き続き出していただきたいと存じます。どうか渡辺大臣の秘書官の方は、この人事院がすごくいいものを出していらっしゃいます。私もすべてのページ、一語一句拝読させていただきました。是非、辛口の官僚はなっとらんという前には、ありがとうという一言の思いを引き続き発揮していただければ大変に有り難いと存じます。  公務が重なっていらっしゃると伺っておりますので、次の公務にお向かいいただいて結構でございます。感謝とともにお見送りさせていただきます。
  161. 岡田広

    委員長岡田広君) 渡辺国務大臣は退席いただいて結構です。
  162. 有村治子

    ○有村治子君 それでは、内閣府の中川義雄大臣にお伺いをさせていただきます。  昨年夏の参議院選挙以降、初めて内閣委に所属させていただいて、質問したのが去年の十月でございました。そのときに北方領土における歯舞群島の呼称について伺いました。  北方領土返還運動や法律ではすべて歯舞群島と呼ばれておりますが、私たちが学んだ教科書や地図ではこれをすべて歯舞諸島と呼んでいます。同じ島々のことを歯舞群島、時には歯舞諸島と言うのはおかしい、文科省が歯舞諸島で内閣府が歯舞群島と言うのはおかしい、統一すべきだという提案をさせていただきました。  領土や主権という問題に対して常々、共に真剣に取り組んできてくださっている先輩の中川大臣から力強いコメントをいただいたことは、昨今すごく思い出しておりますけれども、先週、この点について進展があったと伺っております。その詳細をお教えいただきたいと存じます。
  163. 中川義雄

    ○副大臣中川義雄君) 有村委員が北方領土問題につきまして、いろんな、時折、提言していただいております。昨年の十月三十日か三十一日、末だったと思いますが、この委員会で、歯舞群島という呼称を使っておりながら地図等では歯舞諸島と二重の呼称があるのはおかしいじゃないかという鋭い指摘がありました。私もこの場で、これは大変な国際的な問題になっていることで、教科書等の記述とそして公文書での記述が食い違っているというのはおかしいという委員指摘に対して、私も本当に心底からそう思いまして、数十年の間このままずっとしてきたことに対して深い反省も込めながら答えさせていただきました。  そして、これを間違いなく統一させると、内閣府が正式に呼んできた歯舞群島に呼称を統一させるということをお約束したわけでありまして、早速それを事務方に報告しながら、国土地理院の方に文書でもって正式に呼称を統一することを申し入れたわけであります。そして、この三月十九日に国土地理院から、三月の十二日の国土地理院と海上保安庁の合同会議において正式に呼称は歯舞群島としたという文書が参りまして、私も喜んでいたわけであります。  しかし、私は喜んでいたが、非常に残念なのは、三月の二十二日ごろだったと思いますが、ほとんどの新聞にこのことが報じられているんです。ところが、国土地理院の発表は、この委員会での指摘だとか内閣府からの要請でそうしたとは一言も書いていないで、地元根室市からそういう指摘があったから変えたという、そういう新聞記者発表、それはしかも、三月の二十一日付けの記者発表でそういうふうにしているわけです。  先ほどもお役所仕事についてのいろいろ指摘がありましたが、お役所は何か、国会で指摘されて訂正するとかお役所同士に言われて訂正すると、それを、抵抗を感じていたのではなかろうか。そのためにずっと時間を掛けてわざわざ、聞けば、国土地理院から内閣府の官僚の方に、地元からも要請あったことにしてほしいという要望があって、そして内閣府から根室市に対して同じ要望を出してほしいということを言って、それによって訂正したという形を取っているようであります。  私は、国会で、この委員会で正式に有村委員からの提言があって出されたことを、国土地理院はそれを無視しようとした。国会で言われて直したんじゃなくて別なところから言われて直したという姿を取ったことに対しては、私はここで抗議を込めて、有村委員にも申し訳ないことだと謝らせていただきたいと思います。
  164. 有村治子

    ○有村治子君 本当に率直に、実直にコメントいただいて有り難いと存じます。  北方領土返還運動は、当時敗戦を喫して占領下に置かれていたときに、根室の地から町長さんがマッカーサー元帥に対して、ソ連が不法に戦後占拠した北方領土を戻してほしいという、そこから返還運動ができてから六十二年でございます。島民でいらした方々、今生きていらっしゃる方も七十代半ばになりました。目の黒いうちに御先祖の地に戻りたい、そういう意味では年数が本当に限られております。  そういう意味で、今回、根室の長谷川市長を始め根室市議会、根室市民、北海道民、国民の領土問題に思いをはせる方々の御協力を得て、やはり北海道選出の中川議員が頑張ってくださったところは私たち絶対心の記憶に残しておくべきだと思っておりますし、私もフェアに報道はしていただきたいと思っております。  本当にありがとうございます。二年ぐらい掛かるかもしれないと言われていた中で、これだけ数か月で迅速な結果を出していただいたという意味では、海上保安庁、国土地理院、内閣府にも心からの敬意と感謝を申し上げます。引き続き運動の統一が図られるよう、私も祈っております。  では、文部科学省にお伺いします。  教科書には今まで六十年間ずっと歯舞諸島と書かれていたと思いますが、歯舞群島と書かれるのはいつからでしょうか。
  165. 布村幸彦

    政府参考人(布村幸彦君) お答えいたします。  現在使用されております地理などの教科書及び地図帳におきましては、国土地理院の地形図に示す地名に倣って歯舞諸島と記されているところでございます。  今回、御指摘のように、国土地理院の地形図が歯舞諸島から歯舞群島へ名称が変更するという旨決定がございましたので、これを受け、文部科学省から教科書協会を通じまして教科書発行者に情報提供を行ったところでございます。各教科書発行者におきましては、教科書の記述の訂正を申請するという手続を今後速やかにやっていただけるものと考えております。  なお、この平成二十年四月から使用される教科書につきましては、既に供給という形で学校に届いておりますので差し替えは間に合わないところでございますけれども、訂正申請が文部科学省で承認した後、各教科書会社からそれぞれの教科書を使用している学校に対しまして訂正内容について通知がなされて、訂正された内容で授業が行われるという実態で、教科書自体は来年、平成二十一年四月から供給されるものについて訂正されていくものと考えております。
  166. 有村治子

    ○有村治子君 全国の小中学生千百万人が学ぶ義務教育において、しっかりとした記述をしていただきたいと存じます。特に、領土問題という意味では、北方領土のみならず、竹島、尖閣諸島も大事な我が国の領土でございます。文部科学省、布村審議官代表される文部科学省には引き続き信念と哲学を持って、日本の大事な領土を国民の宝である、希望である子供たちにお伝えいただきたいと存じます。  ちなみに、今回、国土地理院の方々が、私たちのこの国会の答弁の問答を警戒されたというのには、一つには私が自民党だったからかもしれません。しかし、北方領土返還運動は、自民党、公明党、民主党、それから社民党、日本共産党さえも、恐らく国民新党もそうだと思いますが、主要な各政党はすべてこれは日本の固有の領土だということで見解は一致していますので、イデオロギーの云々ではなく日本人の悲願として、引き続き国土地理院の方にはそのような認識を持っていただきたいと存じます。  ちなみに、済みません、次に、時間の関係でどんどん行かせていただきます。  大田内閣特命担大臣にお伺いさせていただきたいと存じます。大田大臣の誠実で答弁にも偽りや強弁のない、自らの言葉で勝負されていらっしゃる、しかも的確で、聡明で柔和なお人柄には本当に心からの敬意を持っております。  それで、お伺いをさせていただきたいと思うのですが、原油の高騰が止まりません。一月四日の、今年仕事始めの全国紙のトップ記事は、ニューヨークの先物取引市場で一バレル、原油が百ドルを超えたという、あの報道から仕事始めが行われました。それからも百ドルを優に超えて、今でも高止まりをしています。このような状況に際して日本は、ああ原油が高くなった、高くなったと指をくわえて見ていること以外に日本ができることはないのでしょうか。  例えば、一九七〇年代のオイルショック、二度ありました。主婦がトイレットペーパーの買占めに全国的に走り、そして投機的なそういう買占めも起こりました。国民的なパニックということを受けて日本は学習をして、それから日本はほとんど原油を持たない、九九・六%を海外のエネルギーにゆだねる、そんな日本国家として原油を備蓄することを学びました。そして今、国家として八十七日分の原油、民間の石油会社が九十日分、合わせて六か月分の備蓄をしていると理解しております。そしてこれは、かつて国際要請に基づいて原油価格が高騰したときなどに価格の安定に幾ばくかの貢献があるとも伺っております。なかなか日本もやるなとちょっと誇りに思うんですけれども。  原油高騰に対して日本が主体的にできることはないのか、特に困った困ったという反応的、リアクティブな反応だけではなくて、主体的に自ら国家として手を打っていくという政府の姿勢を見せていただきたいと存じます。
  167. 大田弘子

    国務大臣(大田弘子君) 原油価格の高騰は、世界的に需要が増えていることに加えて地政学的なリスク、それから投機資金の流入といったような要因で起こっております。これに対して、日本から産油国に積極的に働きかけていく、それから省エネや新型エネルギーですね、新エネの開発に取り組むといったことが必要になってまいります。昨年十二月に取りまとめました原油価格高騰対策においても、省エネ、新エネの技術開発、それから国際原油市場の安定化への働きかけということを盛り込んでおります。  これを受けまして、甘利大臣がこの原油価格高騰に対応するために多くの産油国の閣僚に会っておられます。そして、産油国として十分な供給を行うように要請をしています。先日、ダボスで開かれました会議でも、主要消費国閣僚会合を主催して、消費国がそれぞれのチャネルを通じて個別の産油国に働きかけを行うということで意見の一致を見ております。  これからも、そういう産油国への働きかけ、あるいは省エネ、新エネへの技術革新ということに全力で取り組んでいきたいと考えます。
  168. 有村治子

    ○有村治子君 ありがとうございます。  産油国に対する働きかけなど、対外的なそういう日本のプレゼンスを見せること、大事なことだと思います。と同時に、この難局を乗り切って持続可能な社会を維持していくためには、国民の皆さんに協力を依頼してライフスタイルを楽しみながら考えて変えていただくことも、国民政治としては極めて重要なことだと認識をしております。  私は、常々、百の議論より一つの実践ということを自ら言い聞かせております。大臣は、やはり百の解説とともに、共に一つの実践ということで、国民がライフスタイルとしてなすべきことを語っていただきたい。大事な時代、大変な時代だからこそ将来を見据えて国力を温存していく、蓄えていくという視点で国民国家として共有していく、そういう共有の感覚の前線に立っていただきたいと思います。  特に、マーケティングは心理や意識、私たちの感性とか気持ちと直結する分野であると思います。例えば、足るを知るというライフスタイルが格好いいなというメッセージを出していったり、本当に自分が持っていて心地よい、テイストのいい、品質の良いものだけを選び抜いてその数少ない本物を徹底的に使い切る、大切にすることから生まれる愛着とか生活哲学とかシンプルな暮らしの心地よさということを伝えることも大事だと思います。  有楽町にある無印良品の旗艦店が何であんなに受けるのかというのは、やっぱりシンプルライフということを私たち若い層が支えているんだなということを日々教えられています。いかがでしょう。
  169. 大田弘子

    国務大臣(大田弘子君) 日本は資源に乏しいという制約条件を逆にバネにして創意工夫を行ってきたと。これからは資源に乏しいということが世界全体の制約条件になりますので、日本のこれまでの努力というのは強みになっていくと考えております。  経済成長の面でも、省エネ技術でトップにある日本がこれから環境エネルギー分野で更にトップランナーになっていくということが必要であり、それを目指したいと考えます。  生活面でも、今先生がおっしゃった日本のライフスタイル、これはもったいないという言葉がもう有名になりましたように、そういうライフスタイルを持っているということ、これを更に創意工夫して地球環境と両立するようなライフスタイルをつくって発信していく、良いものを長く使っていく、あるいはシンプルライフというこのライフスタイルを世界に発信して、それを日本の魅力にしていくということが大事だと考えております。  今、新成長戦略を取りまとめておりますけれども、この中でも二百年住宅構想をてこにして新素材や新システムを開発することを支援する、あるいは環境モデル都市を支援すると。それから、国民の皆様にも低炭素社会に向けてのアイデアを募集するといったことを考えております。  是非、持続可能なライフスタイルに向けて官民挙げて取り組んでいければと考えています。
  170. 有村治子

    ○有村治子君 大臣がおっしゃっていただいた日本の強みが国際競争力という意味でしっかりと直結するよう、そしてそれが日本の経済的な実益となっていくよう御指導賜りたいと存じます。  世界にもったいないという言葉と概念を紹介してくれたケニアのワンガリ・マータイさんは、残念ながら去年の十二月の国会議員選挙で落選をしています。そういう意味では世界では有名であっても地元にお金を落としてくれなかったという不評があったようでございます。一過性にしない、やっぱりライフスタイルとして定着していくということを視野に入れて引き続き陣頭指揮に当たっていただきたいと存じます。  次に、泉国家公安委員長に質問をさせていただきます。  泉食品安全担当大臣としての御所見の中で、食品による薬物中毒事案が発生、食の安全性についての国民の不安が高まっているとありました。なぜ中国と明確に表明されないのでしょうか。
  171. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 先ほど来の有村委員お話を伺っておる中で、先生のこの御質問の意味を私は理解ができました。しかし、私自身はこの表現を使いましたのは、担当大臣としてこの問題に取り組む岸田大臣の下に設けられました食品による薬物中毒事案に関する関係閣僚による会合という、こういう名称がございましたので、私はこの名称をそのまま私の所信の中に書かせていただいた、所信の中で述べさせていただいたということでございまして、中国という言葉を何らかの意図をもって外したとか、そういうことでは決してございません。
  172. 有村治子

    ○有村治子君 ちなみに、岸田大臣所信で、中国産食品による薬物中毒事案については国民に深刻な健康被害をもたらし、食の安全に対する不安感が広がっていると明示をされていらっしゃいます。恐らく政治家としての泉先生の本当にいろんなお考えの中では日中関係を良好にしていかなきゃいけない、お互いのためだというお気持ちも背景にはあるのかもしれません。実は中国という言葉をやみくもに使わない方がいいんじゃないかというのは、自民党の総務会でも話されたことでございます。  しかし、連日の報道によって中国産冷凍ギョーザによって国民の被害があったということはあまねく国民が周知している事実でございます。やはり中国という言葉を外したというふうに見られますと、やみくもにおもねっているようなメッセージを出す、間違ってそういう解釈をされると思いますので、ここは明確に率直に何の判断もなく、素直に流していく方がお互いにとって健全かなという印象も持ちます。  さて、先週私、宮城県仙台に出張に行きました。活動を共にしてくださる尊敬する佐藤先輩という方、この方はほぼ農業に関しては自給自足の、自らで土に向き合って野菜を作っていらして、それを自ら食べていらっしゃる、そんなすごい実直なすばらしい生き方をされているおじちゃん先生なんですが、その先輩がおっしゃっていただきました。有村さん、食の安全、安心て言うけれども、やはり食の安全、安心のためにはまず食の安定供給が大前提にあるんだよ、安心、安全て言うけど、その安定ということをみんな忘れていないかなという御指摘をいただきました。  食品の安全というのと食の安定供給、安全保障、もっと端的に言えば国民の胃袋を満たすために安定的に安全で健康的な食料を日本が確保していくという意味では、食の安全保障は食のクオリティーの、質の保全とともにとても大事なことだと思いました。率直なところ、泉先生国家公安委員長という警察行政のトップとともに、食品安全担当というのは御就任されたときに意外なコンビネーションだなというふうに思ったんですが、この食品の安全、安心の大前提で安定がある、食の安全保障が大事だということをこの間仙台で教えていただいたときに、私はやはりセキュリティー、安全を保障する、守り切るという意味では、食の安全保障という分野はまさに泉先生の政治的御経験、本質を見抜かれ実直に取り組まれる政治姿勢が生きてくる分野だなというふうに思った次第でございます。  先ほど北川イッセイ先生が食料自給率は四割を切ったということを御紹介くださいました。カロリーベースでございますが、今、日本の食料自給率は三九%、御承知のとおりでございます。単純計算すれば、私たちが日々食べているものの六割以上は海を渡ってきているというものでございます。そこで、是非上川食育担当大臣にもお聞きいただきたいと思いますが、農水省さんにお伺いします。  やはり私は、食料自給率向上に対する国民的啓発は必要だと思っています。例えば、うどん、パンの原料となる小麦は九〇%を輸入に頼り、豆腐、納豆、みそという大豆は九五%が輸入、トウモロコシに至っては九九%が輸入、日本は最も世界でエビが好きな民族の一つと言われますが、九五%はエビは輸入に頼っています。日本食さえ、一たび海外から入ってこなければ伝統的な民族食さえままならないというのが今の状況でございますが、日本の食料品における中国依存度というのはどのくらいあるんでしょうか、農水省さん。
  173. 平尾豊徳

    政府参考人(平尾豊徳君) 我が国中国からの農産物の輸入についてのお尋ねでございます。  我が国は海外から一年間に約六兆七千億の農水産物を輸入しているわけでございます。そのうち中国からの輸入でございます、これは約一兆円でございます、一六%でございます。これはアメリカに次いで第二位となっておるわけでございます。  この中国からの輸入品でございますけれども、主なものを紹介させていただきます。まず、冷凍野菜それから生鮮野菜、乾燥野菜、そういう野菜類でございます。それからまた、ウナギの調製品、あるいは生きたウナギ等々の水産物、あるいは水産加工品というのが多うございます。それから鶏肉の調製品、これは加熱処理した鶏肉でございますけど、そういうものが多うございます。  それで、じゃ日本の食の中でどんなものが多いのかというふうなことでございます。実は、この中で一番あれなのは、我が国の野菜の自給率は八〇%程度でございまして、二〇%を海外に依存しているという状況でございます。この二〇%のうちで、実は中国から先ほど御紹介しました生鮮野菜が六三%、それから冷凍野菜が四二%、乾燥野菜が八六%となっておりまして、こういう野菜類が比較的高うなっております。  以上でございます。
  174. 有村治子

    ○有村治子君 ありがとうございます。  今の御説明を伺っても、やはり中国というのは好むと好まざるとにかかわらず両国にとって大事な食料のパートナーであるということを私も肝に銘じます。  小麦など原料のあれで、パンの高騰など、うどんの高騰などが指摘されておりますけれども、小麦などの国際市場で今どんな変化が起きているのでしょうか。特に、小麦を輸出してくれていた国々がその囲い込みをしているような動きがあるというふうに理解をしております。いかがでしょう。
  175. 小風茂

    政府参考人(小風茂君) お答えいたします。  農産物の輸出規制ということでございます。  穀物の輸出国における輸出規制におきましては、国際的な穀物需給の引き締まりを背景といたしまして、国内の供給確保を図るため、例えばインドでありますとかアルゼンチンにおきまして小麦などについての輸出禁止、それから中国やロシアにおきまして小麦などについての輸出税の賦課、そういった措置が講じられておると承知しております。
  176. 有村治子

    ○有村治子君 ありがとうございます。  すなわち、今まで食料を輸出してくれていた国々が自らの国の発展や国民を食べさせるためにそのような食料を輸出しなくなってきた、それに対して税金を掛けるような禁輸措置がとられるようになってきた、これが顕著になってきた、この時代の流れはしっかりと認識しておかなければならないというふうに思っております。  世界的な資源ナショナリズム、自国の国民あるいは国の発展のために自らの国で産出されるような資源や食料を囲い込む、そんな資源ナショナリズムが台頭してくる中で、私自身は、世界的な水や食料、資源の争奪戦が顕著になってきた、しかしその一方で、その危機感は日本人の一般のお茶の間では余り共有されていないなというふうに思っています。しかし、それぞれの国が資源を囲い込んで、そして日本が戦争に、ある意味において第二次世界大戦に本当に突入せざるを得なかったというのは、これ第二次世界大戦の大事な教訓でございます。  そういう意味では、戦後のお金さえ出せば売ってくれる、お金をちゃんと出せばみんな売ってくれるだろうという感覚だけでは極めて脆弱だと思っております。どの国も自らの国民を飢えさせてまで海外の人々に、幾ら高い値段だとはいえ売ってくれ続けるとは私には思えません。そういう意味では、我が事、我が生活としての認識が食の安全、安定、安心をつくっていくと思っております。  学習院中等科の去年の入試問題、大変私は面白く拝見をしました。電車の中で知ったんですけれども、このような学習院中等科の入試、平成十九年度にはこういう問題が出ています。食料自給率を上げるために食事をする私たちができることの一つに食べ残しを減らすということがあります、食べ残しを減らすとなぜ食料自給率が上がるのか、理由を考えて答えなさいというのが昨年度の十二歳を対象にした入試問題でございました。  今でも開発途上国、十億の人々が飢えや栄養失調に苦しみ、また五秒に一人の割合で五歳未満の本当にかけがえのない子供たちが世界の中で栄養不足や飢えが原因で命を落としている。私の質問、一時間の間でも十二人の子が本当に食べたいという気持ちを満たされずに栄養失調で亡くなっていくという現状考えれば、今、日本のこの食料自給率は先進国の中で最も低いのに、でも最も過食部分の残飯を出しているというこの社会は何かおかしいと私は直感的に思っております。  やはり戦後も、芋の茎を食べた、そんな時代もたった六十年前でございます。足るを知るという生き方、哲学、国民的な取組に思いを致す前線に食品安全の担当の泉大臣、また上川食育担当大臣、やはり国民の啓発という意味で我が事ととらえる食の安全保障について前線に立っていただきたいと思います。  御所見を伺います、御両人の。
  177. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 失礼しました。  食の安全ということと、それから安定供給ということは、実は大変密接に関連をしたものだと思っております。安定供給がなされるということは、その前提として食の安全が確保されていなければならない、これが絶対条件であると思います。食は、生きておる我々だけの問題ではなくて、場合によっては多世代にわたって大きな影響を及ぼすという観点からも、食の安全につきましては、これまで以上に重視をしていかなければならないと思っておるところでございます。  若干、食品安全担当大臣としての立場を離れるかもしれませんが、このギョーザ事件に関して申し上げますならば、今回の岸田大臣の下で御決定をいただいております輸出の段階、相手国の方できちんとした安全対策を取っていただくと同時に、輸入する日本側もその対応が必要だということであるわけでございますが、今回の事件を通して日本中国に大きく食を依存しておるということは明らかになったわけです。しかし一方で、こうした状態が続くことは中国側にとっても大きな痛手であると。中国側も、この食材を作る農家の方、あるいは加工する食品加工業の方々にとっても大変大きな影響を与えていることだと思っております。  そういう意味では、食の安全が確保されて始めて日本の足りないところを補っていただく立場の国々が生きていける、日本もそれによって生きていける、こういう観点から、食の安全の確保が食料安定需給の大きな意味を成すものだと、このように考えておるところでございます。
  178. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) 食の大切さについて先生からいろいろな角度の御指摘がございましたが、私は、食育を担当する大臣としてこの問題に取り組み、また基本法、基本計画、また最近では学校給食の現場における新たな取組ということでやらせていただいておりますが、改めて食育の大切さということを身にしみて感じているものの一人でございます。  特に、子供たちの食育の現場、食の現場というのは、予想以上に大変厳しいものがあるというふうに思っております。先ほどのもったいないというマータイさんのお話がございましたが、やはり食べ残しということについては、ロス率ということで、食品のロス率という数値もございますが、一割から一割半ぐらいの規模で残されているという、つまり捨てられているということであります。  そして、朝食の欠食率というのにつきましても、「早寝早起き朝ごはん」運動ということで国民運動として取り組んでおりまして、欠食率は低くなっているものの、その中の食材、食べるものの中身を内容を見てみましては必ずしも誇れるものではないという。例えば、バランスを欠いている食材を使っているとか、料理をしているとか、あるいは御家庭で作るということよりも外から買ってきたものを簡単に食べていくとか、そういう非常に内容的に貧弱なものであるというふうに思っておりまして、食というのは家族のコミュニケーションの一番大事な部分、命の一番大事な部分が家庭の中からすっかりと弱くなっているということに大変危機感を持って取り組ませていただいております。  また、もったいないと比べて、もう一つ私としては地産地消ということで、今海外からの輸入のお話がございましたけれども、やはり地域の取れたものを地域の中で料理をして、そしてそれを有り難くいただくという。これは、身の回りに田んぼや畑があって、そこから命の源が生産されている、その現場を子供も大人も触れ合うことによって初めて有り難さということについて実感できるわけでありますので、そういう意味では、地産地消と、旬のものを旬で食べさせていただくと、旬採旬消というような、こうした取組につきましてもここに来て大変大事なものであるというふうに思っております。  依存度は今四〇%ということでありますが、先ほどの御指摘のとおり、四〇%切っているということで自給率が非常に低いわけでありますが、農産物によってはかなりの差があるということでございますので、野菜や果物のような旬で取れたものをというようなものにつきましても、自給率が高まって、そしておやつに果物をというようなことも含めまして、私たちのこの国土の中で取れたものをおいしく作っていただいて、それを丁寧に大切に食べさせていただくということを全体としての運動として更に充実していくということが大切であるということを感じております。
  179. 有村治子

    ○有村治子君 ありがとうございます。上川大臣は自ら土を愛して、土に向き合って農作物を作っていらっしゃるということを伺っております。是非、引き続き前線に立って御活躍いただきたいと心から願っております。  そこで、給食についてお伺いをさせていただきます。  小麦や大豆など私たちの生きていく上での大事な主食をなすものはどんどん高騰しているんですが、悔しいかな、米の価格だけはすごい低い価格で低迷を続けています。そこで、やはり上川大臣が今おっしゃっていただいたように、食べるということは生きていくことであり、土を大事にすることは日本の田畑の風景を大事にし慈しむことであり、またより良い国土を保全するという意味でもとても大事なことだと思います。  そういう意味では、どのぐらい私たち米を食べなくなったのか、大変ピークに比べて私たちは半分ぐらいしか食べていないというふうに昨日農水省から伺いましたけれども、ここで具体的に提案があります。それは、御飯の好きな日本人をやっぱりちゃんとつくっていかなきゃいけないということで、小中学校など義務教育における給食ではパン食、めん食ではなくてやっぱり御飯ということをなるだけ回数を高めていただきたい。文科省、平均で二回か三回、週のうちなっていると思うんですけれども、それを四回、五回を目指して米飯の普及に図っていただきたい。そう言うと、いや、パン食と比べて費用が全然違うんだよという反論がすぐに来るんですけれども、そういうところにこそ補助金を使ってしっかりと日本の国土の保全ということと、ちゃんと日本のうまみ、甘みが分かってくれる、しっかりとした味覚、その子の一生の宝になります。そういう味覚をつくっていくためにも米食というのはとても大事だと思います。  文部科学省さん、一回でも週当たりの御飯給食が多くなるように努めていただきたいと思います。コメントをちょうだいします。
  180. 田中敏

    政府参考人(田中敏君) 先生指摘の米飯給食につきましては、日本人の伝統的食生活の根幹という米飯の正しい食習慣を身に付けさせること、地域の食文化を通して郷土への関心を高めることができるというようなことで大事なことだというふうに思っております。  事実関係でございますけれども、文部科学省は、昭和六十年度以降週三回程度を目標として米飯給食を推進してまいりました。昭和六十年度一・九回でございましたけれども、平成十八年度の調査では週当たりの平均実施回数は二・九回ということになってございます。しかしながら、地域によっては大きな違いがございまして、頻度が高いところは三・七回、あるいは低いところは二・三回ということになってございます。  文部科学省としては、どの県でも三回ということをまず実施をしようということで、モデル事業の実施でございますとか教師の方々に対しての指導の手引だとか、いろいろなことをやってその普及啓発に努めているところでございます。  これまた事実関係でございますけれども、米飯は一食当たり五十四円から六十三円、パンでは三十四円から四十四円、ソフトめんでは約三十円ということで、米飯はやや高いというようなことも先生指摘のところでございます。  文部科学省としては、米飯給食ということについての推進ということをこれから関係省庁、特に農林水産省とも一緒に、どのような方策が一番いいのかというようなことについて検討してまいりたいというふうに思いますけれども、これまでの経緯等を踏まえますと、新たな補助制度をつくるということはなかなか難しいんじゃないかなというふうには実感はしてございますけれども、具体的ないい方策について検討を進めていく必要があるというふうに思っております。
  181. 有村治子

    ○有村治子君 ありがとうございます。  やはりそこに助成をしていただきたい、訳分からない予算執行が訳分からない特別会計でされるよりは、私はよっぽど大事な使い方だと思います。  我が家も実は時間の関係で朝食はパン食が多かったんですが、やっぱり国土の保全にできることを私の家からやっていこうということで、少しやっぱり御飯の食事を朝食に増やしました。そういう会話を親子ですることがすごく大事なんだなと改めて気付いた次第でございます。  それでは、岸田特命大臣にお伺いをさせていただきたいと存じます。  岸田大臣は御所信の中で、地球温暖化対策に貢献できる原子力の研究利用開発をというお言葉を発せられましたが、どのように原子力開発が地球温暖化対策に貢献できるんでしょうか。原子力発電だと、環境対策としてほかのエネルギー開発と二酸化炭素などに関係してどこがどう違うのでしょうか。というのは、例えば今これからおっしゃっていただくようなことというのは国民に多く知らされていないんじゃないかという懸念を持っています。  例えば、社民党さんは環境に積極的に取り組んでいらっしゃるというふうに理解しておりますけれども、原子力の利用には反対していらっしゃる、そんな立場を持っていらっしゃる政党もあるくらいですから、原子力と環境、地球環境を守り、温暖化対策というのをもう少し本当に直結してそれを共有するような努力も必要だなと私自身感じるんですが、この点についてはいかがでしょうか。
  182. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) まず、原子力発電ですが、原子力発電は発電過程においては二酸化炭素を発生いたしません。そして、この建設ですとかそれから燃料の製造ですとか、その関連するすべての工程、このライフサイクル全体の二酸化炭素の排出ということを見ましても、火力発電と比べまして数十分の一と極めて少なく、水力ですとか太陽光ですとかあるいは風力ですとか、こうした再生可能エネルギーの発電と同程度という状況にあります。  我が国には、五十五基の原子力発電所があります。これは総発電量の三一%をこれで賄っているわけですが、仮にこの発電量を火力発電で発電した場合は、火力発電にもいろんな方式がありますが、最も二酸化炭素の排出量の少ないLNG複合発電に置き換えたとしたならば、約一・二億トンの二酸化炭素の量が増加するという計算があります。また、最も二酸化炭素の発生量の多い石炭火力発電に置き換えたとしたならば、約二・七億トンの二酸化炭素が増加するという計算があります。これらの数字は、我が国の総二酸化炭素排出量の一〇%と二二%に該当するわけですが、これは要は、我が国の原子力発電を火力発電に置き換えたならば、一〇%から二二%、二酸化炭素の発生量が増加するということになります。  この考え方を今度世界に当てはめた場合は、世界には原子力発電所が四百三十五基あります。この世界の総発電量の一六%をこれで賄っています。これを今言った考え方によって火力発電に置き換えた場合には約四%から九%、二酸化炭素の発生量が増加するという計算が成り立ちます。  このように、原子力発電というのは二酸化炭素排出量低減に大きく貢献しているというのが現状であります。こういったものをしっかりと国民の皆さんにPRするべきではないかという委員の御指摘でございますが、こういった考え方は、先日取りまとめられました平成十九年度版の原子力白書の中にもしっかりと明記をされていまして、この原子力発電というのはエネルギーの安定供給と地球温暖化対策と二つの面において大変重要な役割を果たすという認識の下に白書もとりまとめられています。  そして、そういった考え方、例えば原子力委員会におきます原子力のビジョンを考える懇談会、この懇談会におきまして二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を半減するために何をするべきかという議論を行っているんですが、この懇談会の議論におきましても、地球温暖化問題の解決に原子力が大変有効だという結論に至っています。こういった懇談会の報告は原子力委員会のホームページあるいはメールマガジン等に掲載し、国民情報提供に努めているところでありまして、是非しっかりと国民の皆さんに御理解いただき、原子力と地球温暖化対策関係につきまして正確な、そしてしっかりとした御理解をいただければと考えております。
  183. 有村治子

    ○有村治子君 今の御答弁を伺っただけでも大変興味深いデータでございました。原子力と聞いただけでアレルギーを持っている方々もまだ少なからずいらっしゃいますので、引き続き御貢献をよろしくお願いいたします。  時間が限られていますので、最後の一問にさせていただきたいと思います。  上川公文書管理担当大臣にお伺いをさせていただきます。  私の好きなテレビ番組の一つに、NHK、「その時歴史が動いた」という番組がございます。なかなか見られないんですけれども、アメリカ公文書管理の蓄積データ、またそのデータがなす国際社会への貢献度というのは半端じゃないなと、本当にもう度肝を抜かれるような、こんな資料があるんだということをびっくりさせられます。先だっても、ホワイトハウスにおけるビル・クリントン元大統領の執務のときにヒラリー・クリントンが何をやっていたかという詳細な情報が出てくる、ここまで公表するんだなというふうにびっくりいたしました。  一方、日本では、航海日誌が本来保管されるべき期間の間に破棄をされていたり、本来機密にすべき情報が簡単にコピーで出回って日米関係において深刻な信用失墜を招いたり、外国のインテリジェンスと通じてみたり、情報をどうとらえているんだというような、そんな問題が次から次へと出ています。情報は一体だれのものなのかという、根本から問うていかなきゃいけないというふうに思っています。  例えば、やはり報酬を得ている間に作られた文書、公務員の皆さんによる文書あるいは特別国家公務員である私たちが作っていた文書というのは、文を起こした本人のみならず、文字どおり、公益に資する公の知的財産だという意識改革を上川大臣のリーダーシップの下、進めていただきたいと存じます。  機密情報であったとしても、これは木曜日の質問で展開をさせていただきますが、国民歴史の評価に堪え得る意思決定をしてきたかどうかという観点で後世の資料公開によって厳しい審判が下ることがあるという緊張感の中で、私たちも今日の意思決定をしていかなければならないということで、すごく大事なことだと思っております。やはり作っている本人だけではなく、公の財産なんだという意味で、こういう意識を高めていただきたい。上川大臣の御所見を伺います。
  184. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) 委員指摘のとおり、政府の活動やまた歴史的事実の正確な記録国民の共有の財産であるというふうに思います。また、その記録公文書として十全に保管、管理する、そして同時に広く国民利用に供することということが国の責務であるというふうに思っております。  また、公文書は、今御指摘がありました、いろいろな意思決定に際しまして、過去から謙虚に教訓を学んで、そしてまた将来に対しての説明責任を果たすと、そういう意味でも大変大切な財産であるというふうに思っております。過去から、そして未来につないでいくという意味では、これは命をつなぐことと同じ意味を持つのではないかとさえ思っているものでございます。  公文書を作成する行政の方たち、いろいろな職員の方たちがその意識を持って取り組んでいく、仕事に対しても誇りを持って、そしてそれを記録にしっかり残していくということができるような意識改革ということは、公文書のこの問題に対しての大前提の議論になろうかというふうに思っております。  十二日には公文書管理在り方等に関する有識者会議が、初めての会議が開催されまして、そして、新たな文書管理法制の在り方を含みます、国の機関における文書の作成から、そして国立公文書館への移管、廃棄までを視野に入れました文書管理の今後の在り方、また国立公文書館の制度の拡充等につきまして専門家の専門的なお立場からの議論を開始したところでございます。  ただいま委員から御指摘いただいた点も含めまして、公文書国民共有財産であるという意識をしっかりと持ちながら、各職員に対してもその気持ちを醸成していくような取組にも全力で尽くしてまいりたいというふうに思っております。
  185. 有村治子

    ○有村治子君 午前中の山根議員の御発言の中にもありました時間軸、歴史軸の中で、対外的にも見て日本の判断をするというのは大事な物差しであろうと思います。  上川大臣の初めての分野での初めての大臣就任を心からお祝い申し上げ、リーダーシップを御期待して、私の各大臣に対する御礼も申し上げ、質問を完了させていただきます。ありがとうございました。
  186. 風間昶

    ○風間昶君 公明党の風間ですけれども、上川大臣にまず伺います。  大臣におなりになる前に、月刊誌に大臣が、「少子化に国政はどう取り組むのか」という論文を書かれております。この中で、児童手当だとかあるいは育児休業手当だとか保育所サービスにかかわる財政支出が出生率とどういう関係にあるのかということが内閣府でデータとして出していまして、日本においては下のレベルで、韓国、メキシコ、米国、スペイン、そして五番目に、ワーストファイブの中に日本がGDP比〇・六になっていると。高いのは三・八とか、デンマーク、ノルウェー、フィンランド、三・〇、三・二というふうになっているわけですけれども、どっちにしても、子供に関してお金を掛けていないところは出生率低いというデータがきちっとあって、とりわけ、日本の社会は高齢者の方々に社会保障費要するに六十兆円も出しているんだけど、子供には三兆円ぐらいしか出していないと。一人頭にしても高齢者には二百四十万円ぐらい給付しても、子供はたった十七万円というこの事実を挙げて、大臣はこのときに、このアンバランスを多少なりとも見直すことに、出生率向上に本腰を入れて取り組むことが強く求められるというふうにおっしゃっていますけど、今でもその考えに変わりはございませんね。
  187. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) ええ、変わりありません。ヨーロッパの諸国に比べまして家族政策の全体的な規模が非常に小さいということ、そしてその家族を支えている負担についての明確な国民的合意というものもなかなか形成されているとは言い難いというふうに思っておりまして、そういう意味少子化担当大臣としても今の時期、大変重要な時期でございますので、様々なやるべきことはすべてやりたいという思いで、決意を持って取り組んでいるところでございます。
  188. 風間昶

    ○風間昶君 そこで、まだデータを大臣はそのとき出されていまして、とりわけ子育て世帯で母子家庭がえらい増えてきて、百二十万世帯以上になっていて、しかも年平均所得が二百三十万円をちょっと超えるぐらい、一般平均所得の六百万円の半分以下だというふうな事実があって、なおかつパートタイム夫婦も増えてきていると。二十代のパートタイム夫婦は年収が二百三十万円強ぐらいで、三十代でも二百八十万から二百九十万ぐらいで、これも極めてこういう子育て世帯の状況を変化していることを踏まえてきめ細かな支援策が求められるというふうに大臣はおっしゃっているわけでありますが、じゃ、現実に、大臣に今おなりになって、しかも少子化担当大臣として具体的にどのように図っていくのかということを端的にお示しいただければ有り難いと思いますけど。
  189. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) 少子の問題というのはいろいろな角度から取り組まなければいけないということで、今お手元にあります件につきましては、特に海外との比較の中で日本現状は経済的なボリュームという意味でも必ずしもレベルが高いものではないということ。そして、それぞれの働き方や、また子育ての家庭の事情に応じてきめ細かな政策をしていくということについてももう一度見直さなければいけないという、そういう問題意識を持ってこの間取組をさせていただいたつもりでございます。  今、結婚、それから子育てということで、御希望がありながらなかなかそれが実現できない、しかも子育てのお一人目、またお二人目、三人目以上、それぞれのステージに応じてもニーズがかなり違いがあるということがアンケート調査等の、あるいは意識調査等の結果で出てきております。今委員の御指摘いただきました所得ということにつきましても、なかなかその壁があって、結婚したり子供を産んで育てるというところにためらいを感じている若い世代があるということが分かってまいりました。  そういう意味では、一つは昨年の暮れに官民トップ会議で発表いたしました仕事と生活の調和をしっかり取れるような社会をつくっていくということ、それには働き方の見直しをしなければいけないということ。そして同時に、様々な働き方に応じてきめ細かな子育てのための支援策についてもう一度再構築をし、評価をし、点検をし、そして再構築をしていくということが大事であると。こういう二つの方向性を車の両輪としてやっていく。そのためには一定の規模以上の財源的な手当てが必要であるということで、これは未来への投資だと、そういう思いでこの主張をしているところでございます。  今、新待機児童ゼロ作戦ということで、こちらの方も、例えばたくさんのお子さんがいらっしゃる世帯と、子供さんが一人の世帯との間でもかなり違いがあるということなので、そういう意味できめ細かな対策を、これまで既にいろいろな対策も取られているわけでありますが、なるべく効果のあるもので、そしてそれぞれのニーズにしっかりと合致することができるようなものにチューニングというか、再構築をしていくということで努力をしているところでございます。
  190. 風間昶

    ○風間昶君 昨年の十月に大臣所信の中で今のお話をきちっとおっしゃっております。少子化対策については、国民の結婚や出産に関する希望を実現するために何が必要なのかという、その対策の再構築を図るために十二月をめどに「子どもと家族を応援する日本」重点戦略を打ち立てますというふうに、昨年十月、おっしゃっています。それからもう約五か月たってきております。  そこで、その「子どもと家族を応援する日本」重点戦略を実効性あるものにするために、今回、社会保障国民会議の中に、三分科会のうちの少子化・仕事と生活の調和という車の両輪の分科会がこの間、二月に開かれましたよね。そこで、大臣が今お話しされましたように、仕事と生活の調和の推進を図ること、そして多様な働き方に対応した子育て支援策についても再構築することというごあいさつをされております。  これ、もちろん雇用・年金の分科会、もう一つは医療・介護・福祉の分科会はもう既に一回終わって、聞くところによると月に一回ぐらいのペースだということでありますけれども、三月は医療・介護・福祉あるいは少子化部分は開かれていない。しかし、そうはいっても、六月ぐらいまでにはタイムテーブルを出しながら一定程度のまとめが必要だと思います。  そういう中で、タイムテーブル的には大臣がどう考えられているのかというのが一点と、もう一つ、ごあいさつの中で、今もお話がありました、両輪を推進していくためには一定程度の財政的後押しが必要であるというふうに位置付けているというふうにおっしゃっていますから、この部分について、どんな財政的な後押しを御主張され、また予算案に反映しているのか、端的に伺います。二点。
  191. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) 社会保障に関する国民会議というところで、今三分科会の中の一つに、少子化と仕事と生活の調和という取組を分科会としてスタートしているということ、そしてその結論については六月をめどにということで、二回目の会議が先日行われたところでございます。  分科会の方はまだ一回ということで、先生方から意見をお出しになってまとめ上げつつあるというレベルでございますので、これから座長さんと、それから官房長官も含めて基本問題のプロジェクトチームのようなチームをつくって、そこでしっかりと三分科会の全体像をまとめ上げながら進めていくという、そういうことが先回の会で合意を見たところでございますので、そうした指導をしっかりと受けながらというふうに、私どもの方もそういう対応をしてまいりたいというふうに思っております。  明確に「子どもと家族を応援する日本」重点戦略のステージごとの様々な取組、経済的な支援、そして同時に働き方の改革を含めて、特にお父さんに家庭に帰っていただいて子供と過ごす時間を取っていただく育児休業の制度でありますとか、あるいは、ママさんの方におきましても継続をしながら短期的な正社員の制度というような新しい取組について社会全体として応援していくということでございますので、そういったものも併せてバランスを取れた形で推進していくべく、必要な財源については付けていただきたいというお願いを絶えず申し上げているところでございます。  その議論を踏まえて、社会保障国民会議の中でも、トータルな社会保障制度の今後ということも併せて御議論いただけるものと思っているところでございます。
  192. 風間昶

    ○風間昶君 財政的な後押しが必要というふうに位置付けていますというあいさつをされていますから、今御答弁の中にはなかったんですけれども、じゃ、経済成長戦略の中でも、やはり子育て環境の改善だとか、あるいは育児休業制度の拡充など、これはもう雇用拡大だけじゃなくて少子化対策にリンクする話ですから、せっかくおいでの大田経済担当大臣もこのような視点を持って進めていくというふうに私は善意に誤解していますけれども。  誤解でないようにしていくために、じゃどういうふうにしていったらいいのか、上川大臣との話もあるでしょうし、まずはこの場で大田大臣のお考えをお伺いしたいと思うんですけれども。
  193. 大田弘子

    国務大臣(大田弘子君) 働く女性の七割が妊娠、出産を機に仕事を辞めておりまして、そのうち四分の一が仕事を続けたかったけれども子育てとの両立が難しいので辞めたと答えています。  これから高齢化の中で労働力が減っていくというのは日本経済の大きい問題です。そういう中で、働きたいと願っている女性が安心して子育てしながら働けるというのは大変重要なことだと思っています。特に、団塊ジュニアが三十代後半に差しかかりますこの三年間、集中的に施策を講じることが重要だと考えます。  この観点から、保育施策の充実などを柱にした女性の就労支援、これを大きな一つのテーマにする新雇用戦略、これを舛添大臣、それから上川大臣と御一緒に策定して、成長戦略の大きい柱にしていきたいと考えております。
  194. 風間昶

    ○風間昶君 是非、ここは一体で取り組んでいただきたいというふうに思います。  渡辺大臣、済みません、時間がなくなりましたが、今度検討されている、松井議員も若干質問されましたけれども、国家公務員制度改革基本法案、この中身について、本当に、今までのⅠ種、Ⅱ種、Ⅲ種の採用区分を廃止して、総合職、一般職、専門職に分けていっても、結局、名称を変えるだけの話ではないかというふうに思っていまして、私は、スペシャリストとゼネラリスト、つまり専門職と総合職であろうが一般職であろうがこの二つ、単純にすべきだと私は思います。  今のままのこの案では、いわゆるスーパーキャリア、スーパーⅠ種の人たちだけが幹部の公務員の一括管理をいわゆる人事庁がやるということについては私は反対です。したがって、私が反対だということは与党の中でこれまとまらない話になりますから、ここのところをもう一回練り上げて、本当にキャリアシステムを温存ではなくて廃止にしていくためにしていかなきゃならないというふうに思っていますから、改革なければ成長ないというのは前の総理もおっしゃったし、厳罰なければ改革なしなんです。ここも併せて、天下りを廃止することとキャリアシステムを廃止するということのその決意だけ、まずは今日伺っておきたいと思いますけれども。
  195. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) キャリア制度は廃止をいたします。総合職、一般職、専門職というのはキャリア制度では全くありません。どのルートからでも幹部になれるという仕組みをつくるわけでございます。
  196. 風間昶

    ○風間昶君 終わります。
  197. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 無所属の糸数です。  まず、上川大臣にお伺いいたします。  初めに、ドメスティック・バイオレンスに関して男女共同参画担当大臣であります上川大臣にお尋ねいたしますが、警視庁のまとめによりますと、二〇〇七年に受理した配偶者などからの暴力、つまりドメスティック・バイオレンス、DVの相談は二万九百九十二件で、前年と比較して一五・一%増え、統計を取り始めました二〇〇一年以降最多となっています。  このDVの内容ですが、被害者の九八・六%が女性で、これは年齢別では被害者、加害者とも三十歳代が三割以上を占めて最多であります。被害者と加害者の関係では、婚姻関係にあるのが七割強、そして事実婚やそれから婚姻関係を解消していたのがそれぞれ一割強となっています。DV防止法に基づき被害者本人や子供への接見禁止やそれから退去のその命令に違反して摘発されたのが過去最多の八十五件で、昨年に比べますと三十二件増えているということであります。  それで、この数字をどう御覧になるのか。DVに対する現状認識について、DV法によって潜在化していたドメスティック・バイオレンスが顕在化した結果による数字で、まだまだ取組が不十分と見るのかどうか、御所見をお伺いいたします。
  198. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) 平成十三年の配偶者暴力防止法が成立されて以降、同法に基づく配偶者暴力相談支援センターに寄せられている相談件数が年々増加し、平成十八年度では五万八千件を超えている状況にあるということでございます。ただいま委員指摘のございました十九年という数字で見ましても、先日公表されたわけでございますが、警察庁における配偶者からの暴力事案の認知件数ということで二万件を超すということでございまして、増加傾向にあるというふうに承知をしているところでございます。  これは、配偶者暴力防止法の施行後、配偶者からの暴力についての認知度が高まっているということ、また支援センターの数が増えてきたことなどから、被害者が相談しやすい環境整備が進んだものというふうに考えておりまして、依然として潜在的にもまだ被害があるものというふうに考えているところでございます。
  199. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 次に対策についてでありますが、このDVに加害者等の更生プログラムの在り方や、それから被害者への自立のための支援等取り組まなければならない様々な問題がございます。本日は被害者の自立のための住まいの確保の面でお伺いいたします。  自立に向けた支援策には、鳥取県のように民間シェルターを退所して被害者が自立するときに必要な住宅借り上げ費用、その一部を助成するといった取組もあります。また、沖縄県におきましては県営住宅の活用なども図られていますが、このような先進的な取組を政府基本方針にしっかりと盛り込むべきではないかというふうに考えますが、大臣の御意見をお伺いします。
  200. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) 配偶者からの暴力の被害者が自立していく、その自立を支援していくということにつきましては、被害者支援におきまして大変重要な分野であるというふうに思っております。被害者が自立して生活しようとする場合には就業機会の確保でありますとか、また、今委員が御指摘になりました住まいということ、また生活費の確保と、あるいは子供さんの就学の問題、様々な課題を同時に抱えていらっしゃるということでございまして、そういう意味で、自立支援に際しましてもきめ細かな連携の上での対応というものが大切になってくるというふうに思っております。  本年一月の改正配偶者暴力防止法の施行と併せまして改定を行いました基本方針におきましては、自立支援に関する部分につきましても内容の充実を図るとともに、御指摘にありましたとおりの、新たに地方自治体等における先進的な良い事例というものを盛り込むということについて示したところでございます。  今後も地域における先進的な良い事例、好事例につきましての情報収集や、その普及に最善を尽くしてまいるということでございまして、政府一体となった形で被害者の自立支援などにおきまして支援をしてまいりたいというふうに考えております。  なお、来年度の内閣府の新規事業といたしまして官民連携会議を開催いたしまして、国及び関係の諸団体、また地方公共団体の御担当の皆様、それから有識者、民間団体などが一堂に会しまして、好事例も含めての情報の提供と、そして情報の共有を図りながら、被害者の自立の支援に万全を期していくということが大切であるというふうに思っております。
  201. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 DV対策の取組の現状も今お伺いいたしましたけど、この政府基本方針を受けて各都道府県が基本計画を策定して、そしてDV対策を推進するわけですが、実はこういう施策に逆行するような動きもございます。  これは東京都が婦人相談員の雇用形態を変更した問題でありますが、簡単に申しますと、これは東京都の方ではこの婦人相談員の雇用を五年間を限度とする雇い止め、その導入ということについてであります。DV法が二度目の改正で今年の一月から施行されて、相談員の強化、女性や子供たちの安全の確保、そして生活再建支援の充実がますます問われている中で、このような相談機能強化すべき現状にある中で専門性が求められる婦人相談員を次々と入れ替えるような雇い止めは問題でありますが、この婦人相談員の問題に関し、上川大臣と厚生労働省の御見解をお伺いいたします。
  202. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) 配偶者からの暴力を受けた被害者に対する施策の推進のために、被害者が適切な相談あるいは支援を受けられる体制整備していくということは大変重要な施策になっております。  その際、婦人相談員の皆様がこの支援に対して大変強力に支援をしていただいているということで感謝をするわけでございますけれども、配偶者暴力防止法等に基づきましては、地方公共団体の婦人相談所におきまして第一線で被害者の支援に当たられているということで、大変大きな役割を担っていらっしゃるというふうに思っております。  今御指摘の、婦人相談員の皆さんの雇用問題ということにかかわっての御指摘がございましたけれども、婦人相談員の皆さんの被害者の支援に対しての重要性、あるいは相談支援体制整備観点を踏まえた上で各地方自治体及び担当省庁におきまして適切に対応していただきたいというふうに考えております。
  203. 村木厚子

    政府参考人(村木厚子君) お尋ねの婦人相談員でございますが、これは法律に、売春防止法でございますが、第三十五条に基づきまして、都道府県知事等が、社会的信望があり、相談指導等の業務を行うに必要な熱意と識見を持っている者に委嘱するというふうに法律に定めてございます。  今、上川大臣からもお話がありましたように、この婦人相談員の方々が第一線でDV被害に関する相談にも応じていただいておりまして、婦人相談員が受けた相談のうちの全体の四分の一以上をDV関係の相談が占めているということで、婦人相談員につきましては、私どももDV被害者の支援に当たって非常に重要な役割を担っていただいているものと認識をしております。  婦人相談員としてどのような方を雇用するかということにつきましては、これは各自治体の御判断になりますが、私どもといたしましては、DV被害者支援の業務など、婦人相談員としての業務を最も適切に実施できるような体制を取っていただきたいということでお願いをしているところでございます。
  204. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございました。  東京都に関しましても、その専門性が求められる相談員が決して常勤雇用を要求しているわけでもありません。ですから、やはりキャリアにしっかり裏打ちされた相談内容がこれからも続けられるように、是非、御支援の方お願いをいたしまして、この件に関しては終わりたいと思います。  次に、米兵による事件や事故に抗議する県民大会への政府の見解についてお伺いをしたいと思います。  二月に沖縄で発生いたしました米兵による少女暴行事件とそれに関する県民大会が行われました。私もその現場におりまして、去る日曜日、三月二十三日、沖縄県北谷町にあります北谷公園野球場広場で開催されました。これは米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会でありまして、天候が悪かったにもかかわらず六千人余が参加して大会が開催されました。肌寒い中で参加者は傘やかっぱで強い雨をしのぎつつ、米軍人らに対する凶悪事件を糾弾する怒りの声が広がりましたが、今回のこの県民大会では神奈川県で、米海軍所属の米兵に暴行を受けたオーストラリア人のジェーンさんもPTSDに悩まされながらも黙ってはいられないと沖縄に足を運び、その大会に参加してくださいました。彼女は、私は性犯罪被害者です、私は恥ずかしいことはありません、私は悪くないと、このようにジェーンさんの悲痛な叫びは大会参加者の心を揺さぶるものがございました。参加者の中には、本当に寒さに震えながら、この思いを共有して、こういう米兵の犯罪が一日も早く本当になくなるように、そういう思いを込めてこの大会に参加したわけですけれども、是非、こういう思いを酌み取っていただきまして、政府の見解、この県民大会に対する見解をお伺いしたいと思います。
  205. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) お尋ねの、二十三日、沖縄におきまして、米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会が開催されたことは承知しております。沖縄には在日米軍の施設・区域が集中しており、沖縄の方々に多大な負担をお掛けしていることを十分に認識せねばならないとの思いを新たにした次第でございます。  特に、最近、米軍関係者による事件、事故が続いて発生いたしておりまして、大変遺憾であります。米軍関係者による事件、事故が二度と起こらないよう、二月二十二日に取りまとめました当面の措置を着実に実施するなど、再発防止に精力的に取り組んでまいりたいと存じます。
  206. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今再発防止に取り組んでいくというふうにおっしゃいましたけれども、実際にはこういう事件や事故、相変わらずずっと起こっているわけでして、特に今回の暴行事件におきましては、被害者である少女がそっとしてほしいと告訴を取り下げました。加害者である米兵は起訴を免れ釈放となっていくというこの現実を本当に政府はどう受け止めるのでしょうか。少女は、痛ましい、そういう心中を察しますと、何もしてやれない、救えないというふうな無念さが本当に残ります。政府の見解の言葉の中ではしっかり再発防止というふうに言いますけれども、実際にはそれが起こっているという現実をしっかりと受け止めていただきたいと思います。  そこで、もう一点お尋ねしたいのは、再発防止というふうにおっしゃいますが、しかし、今基地外に住んでいる米軍の数は大変多いわけです。政府が明らかにした米軍基地内の住宅事情を見ますと、全戸数八千百三十九戸のうちに入居している数が六千四百八十四戸、それから入居率が八割でありますけれども、この米軍基地内の住宅事情を見ますと、このようにして約二割が、千六百五十五戸と、空き住宅になっています。この空き家を活用して基地内の居住を図っていけば再発防止につながるというふうに思います。  実際には、基地外に居住する米兵の条件として、空軍や海兵隊など、それぞれ規定は違いますけれども、私の質問主意書に対する政府の見解は、本当に階級が各軍とも低いというその状況から考えていきますと、民間地域に居住するだけの見識を備えていない米兵が実は基地外に居住し、そしてこのような事件や事故を起こしているというふうに考えますけれども、それに対する対応策についてお伺いしたいと思います。
  207. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) まず、施設・区域外に居住する米軍人等に関しましては、沖縄の地元から、その実態を把握すること、あるいは規律の強化について様々な御要望ないしは御意見をちょうだいしているところでございます。かかる要望も踏まえまして、二月二十二日の再発防止に係る当面の措置におきまして、一つに、米側より年に一度、施設・区域に所在する市町村ごとに施設・区域外居住者について情報を提供することといたしまして、政府として、これを適切な方法により関係自治体と共有することといたしました。既に二月二十七日に、平成十九年、昨年でございますが、三月現在の市町村別の施設・区域内外の居住者数を公表するとともに、各自治体の防衛局より関係自治体にお知らせしたところでございます。そして、今年、平成二十年三月現在の同じような数字、つまり市町村別の基地内外の居住者数についても現在鋭意作業を進めておるところでございます。  それから、お尋ねの施設・区域内の住宅の空き家が多いのではないのかという御質問でございますが、この点につきまして米側に照会いたしましたところ、まず、まさに先生指摘の数字でございますが、平成二十年、今年の一月三十一日現在の時点で沖縄に所在する施設・区域については、米国政府が建設した住宅も含めてでございますが、八千百三十九戸の住宅があり、そのうち六千四百八十四戸に米軍の構成員等が入居しておるということでございまして、その入居率を計算いたしますと約八割であると、かような説明を受けておるわけでございます。  ただ、同時に、この八千百四十三戸の住宅にはこの調査時点で改装中などの様々な理由で使用することができない住宅も約九百戸含まれておるということでございまして、これら使用不可能な住宅を考慮いたしますと入居率は約九割であるとの説明も受けておるわけでございまして、政府といたしましては、米軍に提供している家族住宅等そのものは有効に使用されているというふうに考えておる次第でございます。  いずれにしましても、施設・区域外の居住実態、それから施設・区域外に住むことのできる米兵などの居住方針につきましては日米合同委員会などの場で今後議論していくことといたしておる次第でございます。
  208. 岡田広

    委員長岡田広君) 糸数慶子さん、時間が来ております。
  209. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 はい。  今お答えいただきましたけれども、実際にはそういう空き住宅があるわけで、是非とも基地外ではなく基地の中の方に一人でも多くの米兵が居住できるような環境を整えていただきたいということを強く要望いたしながら、今県民の怒りは沸点に達しております。本当に負担軽減の約束が裏切られたとの県民のその思いに一つ一つ耳を傾けていただきまして、今回の少女のこの事件、取り下げなければいけなかったその中身、内容、是非とも御配慮いただきまして、県民の思いを酌み取っていただきたいと思います。  竹林内閣審議官、せっかくお越しになりましたけれども、お時間がございませんので、この次に御質問させていただきます。  ありがとうございました。
  210. 岡田広

    委員長岡田広君) 本日の質疑はこの程度といたします。  速記を止めてください。    〔速記中止〕
  211. 岡田広

    委員長岡田広君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  212. 岡田広

    委員長岡田広君) 次に、地方分権改革、道州制、地方再生基本方針について、増田国務大臣から所信を聴取いたします。増田国務大臣
  213. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) 地方分権改革を担当する内閣特命担大臣地方再生、道州制担当大臣として、所信の一端を申し述べます。  地方と都市の格差のこれ以上の拡大を防ぎ、地方の活力を取り戻すため、地方の元気が日本の力を基本理念として、地域の創意工夫を生かした自主的な取組を政府一体となって強力に後押ししてまいります。  このため、昨年十一月に取りまとめた地方再生戦略に基づき、国があらかじめメニューを定めるのではなく、地域の意欲的な取組を構想の段階から直接支援する地方の元気再生事業を実施するなど、地方が希望と安心を感じられるよう、省庁横断的、施策横断的な取組を展開してまいります。その実施体制として、内閣官房に地域ブロック別担当参事官制を導入するとともに、各ブロックに地方連絡室を設置するなど、地方のニーズを直接酌み取る体制整備したところです。また、地域の自主的な取組に対する支援をより一層強化するため、地域再生法及び構造改革特区法の改正法案を今国会に提出したところです。  一方、国民の多くが生活を営み、我が国の経済成長を支える都市について、コミュニティーを生かした生活の質の向上や、住宅、建築物、インフラの長寿命化といったストック型社会に向けた取組を取りまとめた都市と暮らしの発展プランを強力に推進してまいります。  特に、低炭素社会に向けた取組は最重要の課題であり、大胆な目標を掲げ、新たなライフスタイルや都市・交通システムの在り方などについて先駆的な取組にチャレンジする環境モデル都市を全国で十か所選定してまいります。  このように、地方と都市の共生の考え方の下、地方再生戦略と都市と暮らしの発展プランを車の両輪として、政府一体となって地域活性化を推進してまいります。  活力ある地方を創出するためには、地方自治体に一層の権限移譲を行う地方分権改革を推進し、地方が自ら考え、実行できる体制整備することが重要です。国と地方の役割分担を徹底して見直し、地方自治体に対する国の法令による義務付け、枠付けや国の関与の見直しを行います。地方の税財政基盤を確立するため、国庫補助負担金、地方交付税、税源移譲を含めた税源配分の見直しの一体的な改革に向け、地方債を含め検討します。さらに、国の出先機関の抜本改革に向けて地方への移譲と合理化を検討します。  地方分権改革推進委員会の検討の結果を踏まえて、新分権一括法案を平成二十一年度中できるだけ速やかに国会に提出することを目指し、政府として講ずべき必要な法制上又は財政上の措置等を定めた地方分権改革推進計画を策定してまいります。  道州制については、市町村合併の進展、都道府県を越える広域的な行政課題の増加などの変化を踏まえれば、地方分権を図った上で国の役割を一層重点化し、その導入に向けた検討を行っていくことが必要です。  道州制の導入は国民生活に大きな影響を及ぼすものであることから、まず国民的な合意形成を図るため、道州制ビジョン懇談会を開催しているところであり、道州制ビジョンの策定に向け、昨日、中間報告を取りまとめていただいたところです。また、道州制特区推進法については、昨年末の北海道による提案等の趣旨を踏まえ、道州制導入の検討に資するよう、この法律に基づく取組を推進してまいります。  これらの取組を通じ、国民の皆様に分かりやすい明確なイメージをお示しして、国民的な議論を更に深めてまいります。  以上の取組を全力で推進してまいる所存ですので、岡田委員長を始め、理事、委員各位の御理解と御協力をお願い申し上げます。
  214. 岡田広

    委員長岡田広君) 以上で増田国務大臣からの所信聴取は終わりました。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十二分散会