○加藤敏幸君 どうもありがとうございました。
そういうふうな基本的な考え方にのっとって、今後ともよろしくお願いをしたいというふうに思います。
さて、さる五月二十日の当
総務委員会におきまして、
NHKの
参考人に対し
質疑が行われました。私は、その
質問者の
指摘内容を真剣に受け止める中で、私なりに問題点を整理をしてみました。大きく二つに集約できるのではないかということであります。
一つは、
委員会で
指摘された五月十一日放映の
NHKスペシャル「
日本の社会保障が危ない」というこの
報道番組の編集方針が本当に政治的中立性を保たれているのか、並びに政治的中立性を担保するために関係者の自律的な編集責任が貫徹されたかどうかと、こういう問題ではないかというふうに思います。
二つ目は、こういった
NHKの個々の番組に関して
委員会の場においてこれを取り上げ、その政治的中立性を議論するという
プロセスが、
報道の自由とか表現の自由とか、そういうふうな非常に大切な価値観との関係においてどのような影響を及ぼしていくのか。これは、
報道する側の受け止め方も含めてどうなのかと、こういうふうな課題も持っているというふうに考えております。
そこで、第一の問題について申し上げれば、事例として、当該の
報道に関し保険料滞納についての背景
説明がなかったこと、つまり、現在、
国民皆保険制度が完備されている
日本において、特に低所得者に関して保険料の減免措置や生活保護制度がある中で、保険料滞納によって保険証を取り上げられ、それで病院に行けなくなって結果として死に至ったということは、言ってみればこの
日本全体の中で制度上極めて特異な現象である、この特異性をまず
説明すべきではないかと、こういうふうな主張であったというふうに受け止めております。つまり、起こっている現象面のみ取り上げて、あたかも政策不在のような深刻な
状況を
一般的現象として取り上げているのは、いたずらに不安を拡大させるという意味において問題ではないかという御主張ではあったというふうに思います。
これはこれで一つの私は主張であると。ただし、
報道する側の
立場でいえば、毎回一から十まですべてを一々
説明するということでいけば全く時間が足らないわけですから、時間に追われる
報道は成立しないという反論もあろうということもございます。
また、こういった保険料滞納がかなりの規模で現実広がっている
状況が社会的に問題視されておるという
状況の中で、行政なり立法府、立法の責任というふうなことを当然追及していくという姿勢は
報道機関にとって当然あり得るということをも考えられるということで、これはそれぞれに理のある主張ではないかというふうに受け止めております。
次に、問題の
指摘といたしまして、取材対象とした病院がよりによって二つとも特定政党の政策を支持している
団体の関係病院であったこと、こういうふうな問題提起がされています。このことは、取材、編集したスタッフに特定政党にある種シンパシーを持つ方がおられるのではないかと、こういうふうな疑念を抱かせる、あるいはこういったスタッフを抱えていたんでは
NHKの政治的中立性は保てないんじゃないかと、こういうふうな御主張も内部に含んでいたと、こういうふうに伺われます。
二つの病院の取材先選択が偶然であったのか、あるいは意図的であったのかということにつきましては、これは
NHK自身の問題としてそのことについて対応されることと、あるいは
調査をされるということだと思います。しかし、
一般論として考えれば、同じような医療に関する番組を編集する際、先ほど
指摘された政党支持、あるいは他の政党を支持しておられる
団体の病院のみを殊更取材しようということになると、なかなか取材選択として難しいというようなことも発生するわけでありまして、この手の問題については番組
制作現場において、特に取材対象の選択という面では十分な吟味と当然
プロフェッショナルとしての判断というふうなことが必要ではないかと。
NHK側の今井副会長の答弁にございましたように、政治的中立性を確保するための様々な手だてが現場として講じられている、またこれはしなければならない、それは
NHKの
プロの皆さんが長年培われてきた政治的中立性確保のためのノウハウ、これを持っておられるし、そのことを駆使して私は展開をしていくと、こういうふうな必要性があるのではないかというふうに思います。
ただ、いろいろと申し上げましたけれども、今回
指摘のあったような疑念を抱く
視聴者も間々おられたということでございます。私は前回の今井副会長の
国会答弁で理解をしたわけでございますけれども、その後も含めまして、
NHKとして、今私が申し上げましたような問題についての対応なり新たな見解等がございましたら披瀝をしていただきたいし、現時点において政治的中立性あるいは公平性の確保に関しどういうふうな努力をされていくのか、方針などあれば御
説明いただきたいと思います。