○末松信介君 この本、私の事務所の方でも大分中読みまして、それでいろいろなチェックして、その総務省の指摘が解決されていないと思われる
案件が十件、解決の具体的な
方向性が明示されておられず将来的な検討に先送りされていると思われるものが十一件あるわけなんですね。もちろん私の事務所の見方が偏見があっては間違いになってくるわけなんですけれども、そういうことが思われたわけなんです。
総務省がいささか各省に気を遣い過ぎているんじゃないかなという、そういうことを思うんです。しかし、担当官と話してもしっかりと
お話をなさるし、しっかりとした分析の話を聞くんで、そうかなとも思ってしまったりもするんですけれども。
私、この中で、少し見てみまして、
先生方にお配りの二枚目のところでございますけれども、筑後川直轄総合水系環境整備事業という、これをちょっと注目してみたんです。総務省から国土交通省への照会ということで、総務省は国土交通省へこういうことをおっしゃっておられると。非常に水辺の空間をつくって大変きれいなものなんですけれども、これ四十二億お金が掛かっていますよ。本事業は、福岡県柳川市から大分県日田市までの筑後川における河川環境整備事業です。本事業の対象地区のうち大山地区は、河川の利用促進を目的として整備が行われている地区であり、大山水辺プラザとしての道の駅、水辺の郷おおやまと隣接しています。本
評価ではTCMの手法、またこれ横文字ですけれども、着地点
調査ですね、これ。TCMの手法によって便益を算出し、費用対効果分析を行っていると。ずっと続いているんですよね。
二つ目の指摘のやり方というのはこういうことなんですね。この着地点
調査、TCM手法については、河川に係る環境整備の経済
評価の手引きにおいても
調査日、季節、曜日等により結果が左右される可能性が指摘されているところでありますと。本
評価の
調査は三日間にわたり行われていますが、
実施日である
平成十七年八月十三日土曜日、二十一日日曜日、二十四日水曜日は夏期行楽シーズンであり、本施設来訪者に占める水辺利用者の割合は冬期などと比較すると高いと
考えられます。これは当たり前のことですね。事実、
平成十八年度河川空間利用実態
調査によれば、大山地区の各季節の河川利用者の割合は、春期五七・一%、夏期四〇・五%、秋期〇・三%、冬期二・一%であり、秋期や冬期には利用がほとんどありませんということを言われているんです。これは夏やったって、よくお客さん来られるときに、利用者が多いときにこの
調査されているんですよね。
それで、このことについて総務省は、上記のことから、大山地区について便益は適切に把握できておらず、本
評価のような
調査手法は適当でなかったと
考えられますが、貴省の見解を御教示くださいというように総務省は国交省に言ったんですよね。
それに対しての国交省の見解はこうなんですよ。これは本に書いていますからね、二百六十五ページにこう書いておられますよ。
今回のようにある季節のみの
調査に基づく水辺利用者率を通年的に適用するよりも、各季節ごとに
調査を
実施して求めた各季節ごとの水辺利用者率を用いて親水施設の利用者数を求めることの方がより精緻な数値の算出につながるものと認識をしておりますと。いろいろ書いておられて、結果は変動し得るものと認識をしておりますと。
ずっと書いていきまして、
最後、これは、ナンバープレートで見てこれ
調査しているんですよ。一般的に、今回行ったナンバープレート
調査ではなく、例えば水辺の利用者への直接アンケート等、よりきめ細やかな
調査を行うことにより、より精緻な
調査を行えば結果は変動し得るものと認識をしておりますと。だから、あえて言えばかなりあいまいな
調査の仕方ということで書いている、認めているわけなんですね。一方、利用者への個別のアンケート
調査を行った場合にはより多くのコストが必要となることも考慮しナンバープレート
調査を採用しましたと。
以上のように、TCM手法を適用する際には、季節や利用目的等の条件について、よりきめ細やかな設定を行った
調査を行うことで、より精緻な数値の算出につながるものと認識をいたしておりますと、こういうことで書いておりますですけれども。一方、このようなきめ細やかな
調査を行った場合には、これに掛かるコストよりも増大するという問題があります、このため、一定の条件制約下で算出したものであり適切であると認識している一方、よりきめ細やかな設定を行った
調査を行うことで、より精緻な値を求める余地を残している結果であると認識をしておりますという、何かどっちとも取れるような、何かもういろんなものが混じり合ったそういう文書になってしまっておると。
最後に、総務省の対応
方針はこう書いています。便益が適切に把握できておらず、本
評価のような
調査手法が適当でなかったと
考えられるが、本便益は一定の条件制約下で算出されたものであったとの認識が示されたことから、直ちに
評価をやり直すことは求めない。今後、同種事業について採用された
調査手法の確認を行い、必要があれば適切な
調査手法に基づいた
評価の
実施を求めていくということで終わっているんですよ。
これは、私は、ある面ではこれ居直りとも取れるような書き方でもあるかなということをちょっと思ってしまうんですよね、何か。言う方、
質問する側、答える側である程度筋書きめいたものがあるんじゃないかというようなことも
考えてしまう。せっかくの
行政評価局の能力を十分発揮できないような、そういう
一つのフォーマットがあるかなというふうに思ってしまうわけなんですよね。
こういう場合、
大臣としてお
考えいただきたいのは、この事業費等
評価のたびに、
調査に必要な経費との
関係で精緻な
調査が困難であるという事情が勘案されて、将来的にも効率的な経済的な
調査方法の
確立に向けた
努力表明で総務省としてもこの確認結果を収めてしまっていると、了解しているということなんですよね。
だったら、私は、適正な事業執行を担保するためには適正な
政策評価が必要であるということで、
調査コストが掛かるということをもって
政策評価をおろそかにしてもいいのかということ、それは理由にならないと思うんですよね。この点について
大臣の
考えをちょっとお伺いします。