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2008-05-20 第169回国会 参議院 総務委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年五月二十日(火曜日)    午前十時一分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         高嶋 良充君     理 事                 加藤 敏幸君                 那谷屋正義君                 内藤 正光君                 河合 常則君                 末松 信介君     委 員                 梅村  聡君                 加賀谷 健君                 行田 邦子君                 榛葉賀津也君                 武内 則男君                 外山  斎君                 長谷川憲正君                 吉川 沙織君                 礒崎 陽輔君                 岸  信夫君                 世耕 弘成君                 二之湯 智君                 溝手 顕正君                 吉村剛太郎君                 魚住裕一郎君                 弘友 和夫君                 山下 芳生君                 又市 征治君    衆議院議員        修正案提出者   石田 真敏君        修正案提出者   山口 俊一君        修正案提出者   黄川田 徹君        修正案提出者   原口 一博君    国務大臣        総務大臣     増田 寛也君    事務局側        常任委員会専門        員        高山 達郎君    政府参考人        人事院事務総局        職員福祉局長   川村 卓雄君        総務大臣官房技        術総括審議官   松本 正夫君        総務省人事・恩        給局長      藤井 昭夫君        総務省情報通信        政策局長     小笠原倫明君        総務省総合通信        基盤局長     寺崎  明君        総務省政策統括        官        中田  睦君    参考人        日本放送協会会        長        福地 茂雄君        日本放送協会副        会長       今井 義典君        日本放送協会理        事        日向 英実君        日本放送協会理        事        永井 研二君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○電波法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  電波法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、人事院事務総局職員福祉局長川村卓雄君外五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  電波法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、日本放送協会会長福地茂雄君外三名を参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 加賀谷健

    加賀谷健君 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新日本加賀谷健でございます。質問の機会を与えていただいた同僚議員に感謝申し上げます。また、今日は一番バッターということで、加藤理事の方から、おまえが先にやれとこういう御許可をいただきましたんで、よろしくお願い申し上げます。  まず、電波利用料について大臣にお伺いをしてまいりたいと思います。  電波利用料、これは何か特別な人が負担をしているような気がするわけですけれども、実はもうここにいる皆さんそれぞれが負担をされているわけでございまして、余り実感はないのかと思いますけれども、それは携帯電話でございます。これは、皆さんが一人年間四百二十円負担をされているということは御承知ないのかもしれませんけれど、大変大きな金額負担をされているわけでございます。今回の法改正の中で、今年度から二百五十円にしていこうということでございます。私もそうでしたけれど、携帯電話を買うときに、こういうものが入っていますよというようなことというのはなかなか説明も受けませんし、負担をしているということも理解をしていない、そういうふうに私は感じているわけでございます。  この携帯電話契約数、昨年の十月末まででいえば約一億台、九千九百六十六万台、六万回線といいますか、基地局一個当たりですから、これが基地局としてあるわけでございまして、二〇〇七年度分の電波利用料は約四百億円を超えているというふうに聞いております。また、携帯電話基地局の分も約百五十億円含まれているわけでございまして、つまり電波料金の、電波利用料の八割以上は携帯電話関係で稼いでいるといいますか、支払われているということでございます。  携帯電話使用料、これは親が払っていると思いますけれども、中学生から小学生、高校生、あるいはお年寄りの方までも皆さんが持っているということでございまして、大げさに言えばこれほど国民全員負担をしている税というのはないのではないかな、こんなような気がしているわけでございます。  だからこそ、この電波料金の使われ方、電波利用料の使われ方というのは透明でなければならないし、情報公開がされなければならないと思うんですけれども、このことに対して大臣の考えをお聞かせ願いたいと思います。
  8. 寺崎明

    政府参考人寺崎明君) 電波利用料料額見直しに関しましては、基本的な考え方はそういったところを御指摘のとおり透明にやる必要がございまして、公開による電波利用料制度に関する研究会、こういったものを開きまして御議論いただいておりました。  具体的な電波利用料算定方法、方針につきましては、案を報道発表させていただくとともに、総務省ホームページに掲載しまして意見募集、これは去年の十二月二十日から今年の一月十五日にかけて行いましたけれども、行った上で見直しを行っているものでございます。  このように電波利用料料額につきましては、免許人等理解が得られるようオープンなプロセスにより見直しを行い、法案として提出いたしているところでございます。
  9. 加賀谷健

    加賀谷健君 ホームページ等で出ている、あるいは免許人理解を得られるようにということですけれども余り免許人というのはそういう部分について払ったという意識もないですから、あえて理解をしているというふうには私はなかなか思えないわけですよね。ですから、この使われ方ということに対してはもっともっと情報公開をしていく、国民皆さんがほぼ、人口一億二千万で一億台も普及しているわけですから、それぞれが払っているわけでございまして、この辺の使い方が極めて私は不透明ではないか、こんなふうに思っておりますので、少しこの件に関して質問をさせていただきたいと思います。  電波利用料の内訳は、これは総務省が出している資料ですから、こういうふうになっていて、歳入のこの緑の部分が全部携帯電話ですよね。この赤い部分民間を含めて放送事業体が払っている。この図を見れば一目瞭然のように、収入の八割以上は携帯電話負担をしている、負担をしているというか携帯電話から得ているということになるわけでございます。  七割がそういうことだということでございますけれども放送事業者負担を今年度のこの改正の中で二十二年度までに五十億まで増やしていこうと、段階的に今回提案されておりますけれども、まだまだ、果たして、その中の全体の周波数帯の分布の状況を見ていてもかなり低いのではないかなと。これは私、素人目に見た感じですので、電波はその周波数の大きさによって電波帯というのは違いますから、同じ周波数ヘルツでいえば、ギガ帯だとかメガヘルツとかそういう部分でいうといろんな違いはあると思いますけれども、だれが見ても負担が余りにも国民の方に来ているのではないかと思いますけれども、この辺についてどういう形で議論をされて、そしてそれを大臣はどんなふうに判断をしているのか、お聞かせを願いたいと思います。
  10. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今委員の方からお話がございましたとおり、やはりこの電波利用料負担ということについては、公開性というのは大変重要でありますし、それからきちんとしたプロセスを経るということも大変重要だと、御指摘のとおりかというふうに存じます。  例えば、今御案内がありました携帯事業者放送事業者との関係についていろいろ御指摘をいただいたわけでございますが、テレビ放送局料額について、使用する周波数帯についてやはりきちんとそれなりのお金を取らなければいけないと。従来は放送局の数というのが基本にあったわけでございますけれども、そうではなくて、使用帯域幅あるいは出力ということに応じた負担ということを考えていただくということで、今回その点については、テレビ放送局について、他の無線局と同様に、その使用周波数帯域幅に応じて、基づいて算定すると、こういうことを取り入れたわけでございます。  もちろん、今、更に委員の方から付言して、段階的引上げということで最終的に五十一億、激変緩和の措置は毎年毎年講じておりますが、基本的には、今まで御指摘いただいておりましたテレビ局についての負担ということをそういう形で、帯域幅それから出力といったことに応じて負担をしていただく、こういう方向に切り替えたところでございます。  ただ、料額見直し、これは三年ごとにやっておりますが、これは免許人等理解が得られるということは繰り返しになりますが大変大事なことでございますので、オープンなプロセスというものを経て今後も行っていきたいと、このように考えます。
  11. 加賀谷健

    加賀谷健君 確かに放送事業者部分一般電波利用料あるいはアマチュア無線部分、まあアマチュア無線というのは〇・三%ぐらいですからほとんど趣味の中では負担は大きくないと思いますけれども、是非、これは今回の場合提案されていますけれども、もう少しだれが見てもなるほどなと思うような私は負担の割合というのが必要なんではないかなと、こんなふうに思っております。  これは電波利用料研究会等々で議論をされたということでございますので、そういうことで今回の段階的な引上げということになっておりますけれども、果たして適正なのかどうかというのは多少疑問の残るところでございますけれども、私どもももっとこれから研究をさせていただきたいと思います。  次に、この利用料の使われ方について少し御質問をさせていただきます。  今朝の新聞で、「電波利用料野球観戦・映画」というような、某新聞の一面に載っておりました。これについては私も前々から少し疑問に思っておりまして、今日の質問のためにいろいろな話を聞かさせていただいていたところでございますけれども、実は各地、十一あります総合通信局で、特にここにも書いてありますけれどもレクリエーション用物品等を購入した事実の報告があり、不適切な使用であると、このような使用は今後はしないんだというようなことで、文書も総務委員会の方へ出ているというふうに私も聞いておりますし、私のところへも電波利用料の使い道についてということで御回答をいただいておりますのでここは余り、避けたいと思いますけれども、こういうこと以外に、やはりこれは不適切だなと思えるような使い方をされているというものはどのようなものがございますか。簡単に、まあ全部というわけにはいかないと思いますけれども、答えられる範囲でお願いしたいんですが。
  12. 寺崎明

    政府参考人寺崎明君) 今お話がありました、レクリエーション関係の話もちょっとありましたけれどもレクリエーション支出に関しましては職員厚生のための経費の一環として法令で認められているところでございますけれども、本省では支出していなかったんですが、一部の総合通信局においてレクリエーション物品を含みまして支出しておったのは事実でございますし、またいわゆる電化製品だとか消耗品ですね、こういったようなものにつきましても、基本的には電波利用料事務を行う職員電波利用財源におきましては電波利用料事務を行う職員人件費を計上している観点から、これらの職員業務の遂行上使用する電化製品消耗品については必要なものを購入しておりますけれども、例えばですけれども、今日もちょっと新聞に出ていましたけれども、例えばフラワーアレンジメントみたいなものだとか、こういったようなものが、ちょっといかがなものかなといったようなものがちょっと見られるような、そんな状況でございます。
  13. 加賀谷健

    加賀谷健君 では、今日新聞を見られたということですけれども、ここに出ている、これは新聞報道ですから、私、これは民主党が言っているというふうになっていますけれども民主党はここまではまだ言ってないと思うんですね。  ですから、私はこの新聞報道を見させていただきますと、件数とお金が出ています。そして左に、こういうのがあるよというふうに出ていますけれども、この使われ方というのは、具体的なことは言いませんけれども、適切だったというふうに判断されていますか。
  14. 寺崎明

    政府参考人寺崎明君) この中で特にやはり、先ほども申し上げましたけれどもレクリエーション経費とかそういったものが入っておりますけれども、こういったものにつきましては、法令上はレクリエーション関係は問題ないと考えておるところでありますけれども国民、特に電波を発射する無線局免許人理解を得られにくいものだというふうに考えております。
  15. 加賀谷健

    加賀谷健君 ですから、ここにこう出ている中で不適切だというのは、レクリエーション関係以外は適切だと。まあレクリエーションも適切だとは言っていますよね。ただ、余りいいものではないなと。免許人理解が得られないという範囲ですか、これは。そういう理解でいいのかな。
  16. 寺崎明

    政府参考人寺崎明君) ここに出ております、美術鑑賞券だとかめんたいこ作りとかいろいろ例が入っておりますが、こういったようなものはレクリエーション経費に該当しますけれども、こういったものにつきましては免許人理解は得られにくいと考えております。それから、物品で先ほどちょっと御質問がありましたけれども、この中にまたフラワーアレンジメントみたいなものが書いてありますけれども、こういったようなものもちょっといかがなものかなという感じがいたします。(発言する者あり)
  17. 加賀谷健

    加賀谷健君 今、外野からもありましたけれども、もうちょっといかがじゃなくて、いかがわしいんじゃないかと思うんですよね。  この辺についてですが、それでもう一つお聞きをしたいのは、各出先でいろいろな使われ方がされているんですね。その中で、レクリエーションのものは今そういう話がございましたけれども一つは、東北総合通信局仙台第二合同庁舎、二階のトイレ改修工事で百四十五万円、十二階男子トイレ暖房便座の修繕で一万三千円、これは修繕するよりも買った方がいいと思うんですけれども、あるいは冬道安全運転講習、これは電波監理人たち安全運転のためにやられているのかなとは私は理解していますけれども、これはどう考えても、電波監視等を実施しとしては思えない。  これらのものが、実は私ども同僚総務省からいただいた地方の出先で使った伝票を精査いたしました。段ボール一個あったんですね。結構大きい段ボールです。宅急便の段ボールの大型のやつですから、引っ越し用のやつに。この中身を見させていただいて精査をしたのが、これ新聞に出ている二百八十一件、四千万近い数字を拾われたのかなとは思っていますけれども、こういうものがあるわけでありますけれども、この合同庁舎在り方とこういう施設費電波利用料負担をしていくという部分について、私はなかなかちょっと理解できないんで、この辺についてちょっと御説明をいただきたいと思います。
  18. 寺崎明

    政府参考人寺崎明君) 電波利用料でやっている事務なんですけれども、こういったようなものの事務処理については電波利用料で賄うということになっておりまして、そういった観点から人件費等電波利用料の中にも含まれるという形になります。そういった観点から、人件費が含まれるということにつきましては、そうしますと、それを取り巻く環境条件、そういったようなものも当然必要になってくるわけでありますけれども、そういったものも含めて全体として電波利用料で賄っております。  使途につきましては、当然法律で、電波法関係で条文で個別に書いてありますけれども、そういった使途に照らして行う事務、そういったものを、事務処理を行うという観点から、人件費、それからそれを管理していくような経費、そういったものがまとめて支払われているということでございます。
  19. 加賀谷健

    加賀谷健君 確かに、電波監視をしている人と通常業務をしている人との案分比で分けている。だけど、例えば仙台合同庁舎の例で見ますと、これは各省庁が入っている。そうすると、総務省部分はこれだけ、フロアで分ける、人間で分けるか知りませんけれども、そういうものは一括して経費として、事務所管理費として払われるのであって、じゃこの便所電波監理費でやる、電波監理局の管轄だよとか、この暖房便座はおまえのところでやれとかという分け方がされているのかどうかというのは不思議ですよね。普通、管理費用は、年間一千万掛かれば、各々で五十万とか百万とか二百万とか分けて、それを管理する責任の部署が使うわけでしょう。何でトイレ改修電波利用料という中に入ってくるのか。うがった見方をすれば、確かに便所が故障しちゃった、何とかしなければいけないけれども、今は庁舎管理費がないから電波利用料が余っているならそれでやってくれないかと、そういうことで使ったようにしか受け取れないんですね。  だから、これはまさに何に使っても、今ありましたけど、いいという使い方がされているんです。まさに第二の道路特定財源の使われ方、大変私どもも問題にしてきましたけれども、あるいは年金の使われ方、そういうものに似ているというふうにしか思えないんです。中国電波局ではラジコンカーらしいものを買っていますよね。まあ電波で動くから電波なのかもしれませんけれども。そして、それを入れる、ヘリコプターを入れるようなケースも買われているというふうに、ちょっと私も、この新聞にも出ていますけれども、こういうことを聞いていきますと、何か本当に何に使ってもいいんだと、後で領収証がそろっていて、そこに電波監視をする人がいれば後はどうにでもなるよというような使われ方がされているのではないかと思うんですけれども、この辺についてお願いします。
  20. 寺崎明

    政府参考人寺崎明君) 今、まず東北総合通信局トイレ修理関係の話がございました。  そういったような設備の修理に関しましては、東北電波監理局職員全体として、先ほど、電波利用料に絡む事務処理を行う職員とそれからいわゆる一般会計事務処理を行う職員と二通りありまして、職員が、それぞれ電波利用料で払われている人件費で払われている職員とそれから一般会計で払われている職員ということで、混在している形になります。ですから、当然、共通的な庁舎とかそういったものにつきましての費用につきましては、例えば人数の案分でその工事をやるだとか、そういったようなことが基本的に必要じゃなかろうかと思っているところでございます。  先生指摘の点で、例えば、多分個別の工事を見たとき、東北総合通信局トイレ修理関係なんですけれども、どうも一般会計だけでやられている工事とそれから電波利用料だけで全部やられている工事とか出ているということで、私もこれ変だなと思いまして、よく調べてみましたところ、委員指摘東北総合通信局トイレ修理につきましては、東北局における他の複数案件を含めた年度全体のトータル、二十七件ほど工事やっているようなんですけれども、で見れば、全体としては一般財源電波利用料財源において人員数等に基づき案分がなされているわけでございますけれども、結果的に個別案件ごと案分したものの合計と比べても、必要となる電波利用料財源における支出総額に差はないということで、要するに、どうもその使われ方、二十七件あったとき、まず、どっちが先だったかちょっと私記憶にないんですが、一般会計の割り当てる金額を先に順番に使っていってしまって、使い終わったら今度、当初、予算として案分された計画で持っているんですけれども、使い終わったら今度別の工事をやるときに電波利用料でやり始める、結果的に、全体トータルとしては共通経費として見たときに人頭割での案分にはなっているというような、どうもそういうことになっておりまして、ですから、個別一件ずつ見ると何か変な使い方になるんですけれども年度トータルで見ると一応案分されているということになります。  ただ、これは、外から見たときにそれが本当に適正かどうかというところは、私はちょっと疑問を持たれるのは当然だと思うし、ちょっと誤解されるようなお金使い方はやるべきじゃないというふうに思っております。  そういったようなことで、庁舎施設維持管理に係る費用負担につきましては、案件ごと一般財源電波利用料財源案分することが費用負担関係が分かりやすいのも事実でございまして、今後国民の誤解を招くことがないよう、負担方法在り方については適切に検討していきたいと思っています。  それから、先ほど先生中国総合通信局関係で、無線操縦カー、これ実は十万円支出しておりますけれども、これはいわゆるラジコンでございます。模型の小さいやつです。これを百五十台購入しております。  これを何に使うかといいますと、これは中国総合通信局管内におきまして、民間ボランティアによる電波適正利用推進員が地域の小中学生を対象とした電波教室、こういうふうなところで、電波が混信すると本当に車が止まってしまうとか、実際に操縦してもらって、電波はこういうふうに役立つんだとか、電波特性を分かりやすく説明するための、そういう教材のようなこと、電波監視ですね、ですから要するに。そういったようなことで、決して職員レクリエーションのためではないということで、百五十台で結構やっぱり複数小中学校生対象電波の混信だとか、そういった電波伝搬特性とか、そういったようなものを学習していただいて電波を身近に感じていただく、そういうための教材として購入しているというふうに伺っております。
  21. 加賀谷健

    加賀谷健君 そう言えばそうなのかもしれませんね、電波は混信したら駄目だという。だけれども、ちょっと、本当にそのとおりそこまでやらなきゃいけないのかしら。今の子供たち電波知っていますよ、自分で携帯電話持っているんですから。ワンセグなんて言葉は僕は知らなかったけれども一つのセグメントを使う、これは十三あって一個だという、この辺は難しいかもしれませんけれども電波がワンセグだとかいうのは子供でもよく知っていて、親が教わっているような状況ですから、こういう使われ方は、それは確かにそうしたのかもしれませんけれども、余り私は適切だとは思えません。  できれば、これらの問題の一覧表みたいのがあったら出していただきたい。ただ、段ボールで一箱もらってもこれすごく大変なもので、もう少し具体的な部分でいえば、またやりたいと思いますけれども議論をさせていただきたいと思いますけれども、洗い出すことも大事じゃないかと思うんですよ。  どうも聞くところによると、地方の使われ方が余り、お任せなんじゃないかと思うんですね。こういう使われ方でこういうふうにしないといけないよということがなくて、ある程度、これだけ行っている。だって、仙台庁舎管理費だって、一般財源は使ったから電波利用料だと、これおかしいでしょう、だって。本来、幾ら掛かるかというのは大家が管理しているわけですよ。その部分負担をしていって、どうしても緊急で間に合わないけれども、たまたまそこに電波利用料があったというならまだしも、そこら辺の考え方がおかしいですよ、だって。  やっぱり管理在り方、あるから何でもいいや使っちゃえというこういう発想ではないかと思いますので、これはまた、実は私の後、加藤理事もやりますので、そちらの方にまた追加があればやっていただきたいと思いますけれども。  それで、電波利用料関係で、実は毎年毎年余っていって、この間、本会議で、吉川うちの議員の質問で、二百十七億、二百十億程度余っていますよという話がございました。このお金は素人から見ると素直にどこかに積んであるのかなと思うんですけれども、このお金はどういうふうになっていますか。
  22. 寺崎明

    政府参考人寺崎明君) 電波利用料収入のうち電波利用共益費用を超えた差額、これは当該年度の国の一般会計におきましてその他の経費に充てられることになっております。したがって、その差額が電波利用料財源として蓄えられているという状況ではございません。  ただし、電波法では、歳入歳出の差額に相当する金額の一部又は全部を翌年度以降、総務大臣が財政当局に対して電波利用共益費に充てるものとして予算要求をできると、こういう制度になっておりまして、国会の承認が得られればそれは電波利用共益費に充てることができるという、こういう構造になっております。
  23. 加賀谷健

    加賀谷健君 そうすると、そのお金というのは総務省で、何というのか、留保して持っているということではなくて、入ってきた部分について使えなかったものはすべて国庫に入っていると。そうすると、残っているという物言いというのはどういう表現から繰り越されてきているというふうになっているんですか。
  24. 寺崎明

    政府参考人寺崎明君) その辺が電波法によりまして、先ほど歳入歳出に、差額に相当する金額につきまして一部又は全部を翌年度以降、だから前へさかのぼって見れるわけですけれども、財政当局に対して電波利用共益費に充てるものとして予算要求できるという、そういうことが保留されているということでございます。  ですから、例えば二百十七億円今残っていると、例えば来年度、来年度やるかどうかというのは全然別の、仮の話ですけれども、それを、例えば来年度電波共益費六百億円と想定したんですけれども、その二百十七億円分も足し合わせてやりたいと思えば八百十七億円という金額を予算要求はできるということでございます。それを、予算要求に対してどういう査定するかどうかは、財務当局さらには国会でどうお考えで御判断されるかということになろうかと思います。
  25. 加賀谷健

    加賀谷健君 ということは、預けてあるお金総務省の貯金みたいなものだと。こういうことで、必要があれば予算に追加してもらえるよと、それがこの答弁になるわけですね。中長期的に必要に応じてこの制度の活用を検討してまいりたいと。  これは、検討しているけれども活用したことはあるんですか。
  26. 寺崎明

    政府参考人寺崎明君) 過去に活用したことがございます。平成十三年度、十四年度、十五年度ですか、予算編成時にアナログ周波数変更対策業務の、地デジやったときですね、地上テレビジョン放送やったときですけれども、そういったような業務に充てるために計上したことがございます。
  27. 加賀谷健

    加賀谷健君 ちょっと時間がなくなってきましたので。  この電波利用料の使われ方については大変大きな私たちも疑問を持っていますので、この使われ方を、こうでなければならないというふうに一応法では決められているわけでありますけれども使用基準、運用基準、あるいは解釈基準、こういうようなものがありましたら是非出していただきたいと思いますけれども、これは出せますよね。
  28. 寺崎明

    政府参考人寺崎明君) 電波利用料による支出につきましては、現行法第百三条の二第四項に定める事務によるものであることが必要であることは申すまでもございません。  先生お尋ねの、いわゆる解釈の例規ですね、こういったものにつきましては、例えば無線システム普及支援事業における補助金についての解釈例規として、電波遮へい対策事業費等補助金交付要綱の中で支出できる項目が定められたりしております。  その他の事務におきましては、例年、地方支分局の経理担当幹部職員を交えた打合せにおきまして電波利用料の適正な予算執行及び管理を行うよう指示しているところでありまして、これを明示的に示した例規までは作成しておりません。
  29. 加賀谷健

    加賀谷健君 これがスタートしたときは平成五年ごろで、八十億ぐらいでしたっけ。そうですね。大変小さな形で産んで大きく育てたというのは、これはすごい知恵が働いたんだろうと思うんですけれども、かなり大きくなって、ある面では使い切れなくて国庫に戻っちゃっているという現実があるわけでありまして、このまま放置されていればもっともっといろんな使われ方がされてしまったのではないか。この段階で分かったのがいいのかどうか分かりませんけれども、是非とも厳重な管理が必要だと思いますけれども、今後についてどういう方針で臨むのか、一言教えていただければと思います。
  30. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 電波利用料について、先ほどからいろいろな支出の具体例について御指摘ございました。したがいまして、こういった電波利用料支出について透明性を高めるということがまず大事であります。これは衆議院の方の審議のときにも御指摘をいただいたところでございますし、議員提案による修正案においてもそういったことを公表するということになっているところでございますので、まず一層透明性を高めると。具体論はいろいろございますが、とにかく一層透明性を高める、これを基本に据えたいというふうに思います。  それから、御指摘のございましたレクリエーションへの支出でありますけれども、これについては、法令上どうのこうのということは別にしても、国民、特にお納めいただいた免許人理解は得られないというふうに私は思いますので、今後はこうしたものへの支出は行わないということにいたしたいというふうに思います。  それからさらに、備品とか消耗品など、これはレクリエーションとは別にそういう費用として支出をしているものもございます、テレビですとか何か。業務との関連で必要だと判断されるもの、これは私はいいんだと思うんですけれども、これも必要なものに限定をすると。その必要なものという判断をオープンにしてきちんと支出を明確にする、これが必要でございますので、そういうことにいたしたいというふうに思います。  それから、電波利用料を充てる支出在り方、例えば、先ほど局長から話がありました電波利用料財源一般財源の両方の財源から金が行っているというものがございますんですが、そういう場合には、二つの財源の支出案分比、これをどういうふうに案分するのかという、それを定める基準というものをつくってそれを公表しておくと。こういうルールでこれをやりますということによって、結果としてその支出の適正さ、先ほど御指摘ございましたけれども、きちんと支出の適正さをチェックすることが可能となるようにいたしたいというふうに思います。  この電波利用料のそうした支出はいずれも地方局で行われているものでございますので、こうしたことは地方局の方に周知を徹底をいたしたいというふうに思いますが、もちろんすぐに会議等も開いて周知をさせますけれども、きちんと時間がたってもあいまいにならないように文書をもってその点については地方局の方に通知をする、そして趣旨を徹底していきたいと、このように考えます。
  31. 加賀谷健

    加賀谷健君 是非的確な処理が、そして情報公開をしていただいて透明度を高めるようにしていただきたいと思います。  次に、東京ケーブルビジョンの問題について質問させていただきます。  お手元に東京新聞の三月九日のコピーをお渡しをいたしましたけれども、時間がありませんので中身についてはちょっと省略をしていきたいと思いますが、この問題について、総務省としてこのケーブルビジョンの会社、組織に対して指示というか、調査ということになるんですかね、通知を出したと聞いておりますけれども、これについてどのような回答がなされて、今どんな対応をされているのか。  これは高速道路を造ることによって電波障害が起きたところをカバーするためにできた法人でございまして、そこが、この地デジの移行に伴ってもう必要がなくなるということで、残っているお金人件費としてなし崩し的に消却をしていこうという、簡単に言えばですね。  これは個人のお金ではないかという部分が私にも観点としてありますし、さきの衆議院の総務委員会でも質問がされたというふうに聞いておりますけれども、このお金を、そこにOBが、もちろん総務省から、旧郵政省でしょうけれども、トップになっている、こういうようなことでございますので、これは大いに総務省として厳しく取り扱わなければならない問題だと思うんですけれども、これに対して、中身と経過について御説明をいただきたいと思います。
  32. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) お答え申し上げます。  先生指摘の東京ケーブルビジョンについてでございますけれども、今先生指摘に、新聞等でも報道されておりますが、いわゆる長期前受金の取崩しということにつきましては、衆議院でも御答弁させていただきましたけれども、私ども、立入調査あるいは資料徴収あるいは専門家の御意見もいただきましたところでございますが、補償金の取崩し自体については法的に直ちに問題があるとは言えないものと判断しているところでございます。  また、その財団とそれからいわゆる受信障害の共聴組合との間の契約につきましては、これはアナログ時代のものでございますため、デジタル化によって受信障害が解消されるか否かということを立証する法的な責任まで財団にあるのかということにつきましても必ずしも明快ではございません。  ただし、総務省といたしましては、この財団の行っている業務の公益性にかんがみまして、先般、この財団につきまして、デジタル化によって受信障害が解消するか否かについての調査、そして、デジタル化してもなお障害が残る世帯に対して引き続き補償を行う必要が生じた場合に対応が可能となるよう長期前受金の留保分を残すことが必要な措置、さらには、共聴組合に対して共聴施設の今後の維持管理についてより丁寧かつ十分な説明を受信者の方々に行うよう指導を書面により行ったところでございます。  これに対しまして、財団法人東京ケーブルビジョンからは、四月三十日付けの文書におきまして、個々の共聴組合ごとの契約上の保守管理期間あるいは年度別の説明状況、今後の予定、そして長期前受金の取崩しに係る契約上及び会計上に関する財団の考え方につきまして総務省に対して報告があったところでございます。  私どもとしては、この報告を踏まえ、更に詳細について事情を確認し、その財団の対応の仕方について十分注視してまいりたいと考えておるところでございます。
  33. 加賀谷健

    加賀谷健君 回答指定日が四月三十日で、一応回答は来たんですね。それに対して十分納得をしているんですか、総務省は。
  34. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 先ほども申し上げましたけれども、三十日の報告につきましてはなお詳細について聴取することが必要であるため、更に説明を求めたいと考えております。更に説明を聴取いたしまして、私ども、その結果、財団の対応が適切となるよう十分注視してまいりたいと考えておるところでございます。
  35. 加賀谷健

    加賀谷健君 このお金は、何かどうも財団のお金のような感じで財団は切り崩しをしていこう、取崩しをしていって、まさに二〇一一年の七月にはゼロにしようという思惑があるやに思えるわけですね。もう現実には取崩しがされているわけです。この使われ方を含めて、やはりもっともっと厳しく管理をしていかなきゃいけないんじゃないかと思うんですよ。これはあくまでも電波障害を受けた人たちの補償するために積まれたお金であって、この財団のものではないはずなんですね。  それも、どうも聞くところによると、極めて唐突に、理事長という方は元郵政省近畿電気通信監理局長という方、専務も同じ近畿郵政監察局長ということで、トップダウンで行われたというふうに私どもは聞いておりまして、非常にずさんな在り方ではないかなと、こんなふうに思っているわけでございまして、この問題についてはもっともっとやっぱり総務省は、これは今言った東京ケーブルビジョンだけではなくて全国にたくさんあるわけですから。これは、もちろんこの元は道路特定財源ではないかと思うんですよね、道路を造っていく中で電波障害を起こした部分に対する補償ということになっているわけでありますから。これらをそんな簡単に理事やトップがトップダウンで人件費として切り崩していける、こういうようなことがあってはならないと思いますので、これからも、まだ調査半ばだというふうに聞いておりますので、厳重な調査をしていただいて、私どもが納得するような説明を今後もお願いをしたいと思っておりますので、この辺の取扱いについて、最後ですけれども、一言お答えいただきたいと思います。総務大臣、どうですか。
  36. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 御案内のとおり、大変住民の皆さん方に説明も行わずにそういうことをなされたというのは良くないことでありますので、まだまだ追加説明を求めてよく聞かなければいけないことでありますが、今委員お話の御趣旨を十分踏まえてきちんと私ども対応していきたいと、このように考えます。
  37. 加賀谷健

    加賀谷健君 終わります。
  38. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 おはようございます。  加賀谷委員に引き続きまして、私、加藤の方が会派を代表して御質問を申し上げます。  まず、加賀谷委員質問に対する答弁の中で、冒頭ではございますが幾つか確認をさせていただきたいというふうに思います。また、私自身の感想も含めて問題提起も申し上げたいと思います。  まず、一連のマスコミ報道もされた、また我々が御指摘をした電波利用料を原資とする全国的な使い方の問題について、文書による答弁も、要は法律法令上直ちに問題とは言えないと。いや、むしろ内部規則だとか霞が関の役人の理屈で言えばこんなのは当たり前なんだと。そういう御答弁がベースにあって、しかしよくよく見るとレクリエーションなんていうのは、これはまあ払ってくれる人の感情からいったら問題があるから以後慎みますというふうに私には聞こえるんです。  法律法令上直ちに問題となると言ったら、これはこんなところで議論している場合じゃないんですよ、そんなことは。ここは国会なんです。国民の負託を受けて、主権者たる国民電波利用料について文句言えるのは三年に一回、法律改正のときに国民の思い、支払者の立場に立ってこの法律あるいはこの利用料金の体系についてどうだこうだと言うのがこのタイミングなんです。  だから、大臣、ここで議論すべきは、お役人の世界の理屈の法律法令上直ちに問題があるかないかというこんな議論よりも、負担をしている利用者の立場に立ってそのお金使い方が適切か、理解できるのか、納得できるのかという視点で判断すべきそういう場だと、私はそう思っている中で、今後の御答弁についてはそのことに基づいた私は、つまり政治の世界の規律として、昔は政治の世界の規律の方が緩かった。今は違うんです。役人の世界のお金の規律よりも政治の世界の考え方の規律の方がより厳しく、そしてそれを霞が関含めて全国のお役人に敷衍していくと、私はそういう時代ではないかということを申し上げ、またかつもう一つ、要は皆さん方、電波利用料の末端の使い方について管理ができてなかったということでしょう。衆議院における我が同僚の議員が何日も掛けて、議員が持っている時間資源を費やして、そして初めて質問をしたら、それについてやり取りがあって、ああでもないこうでもないと。本来ならこういうものの使い方、ちょっと困ったことだねというのは、皆さん方の総務省管理下において適切に把握すべきであって、その上で新たに利用料についてこうだああだという問題提起をすべきじゃないんですか。国会における質問の資源を専らそういうところに費やして、本体の利用料の本質的な議論に至る前にこれで議論使うのは、我々も好きでやっておるわけじゃないんですよ。  だから、そういうふうなことを含めて、私はやっぱり洗いざらいすべての問題がぴしっと明らかにされた上で国会としての判断があり得るのではないかとか、こんなふうに考えるわけでありますけれども、このことも後ほど大臣の方から答弁をしていただければというふうに思います。  さて、加賀谷委員のすばらしい質問聞いておりまして、私はまずこれは聞かなきゃならない。スタートは平成五年、七十五億円から始まった。最初から電波利用料の本質的な徴収する哲学、基本的考え方、方針が固まっていたわけじゃないんですよ。七十五億円が今六百七十億円に増えた。増えたことの最大の原因は、想定以上に携帯電話が普及したということなんですよね。この負担の現実的問題もございます。  ただ、私は、申し上げたいのは、電波監理の本質は国家の基本的な責任だということです。スタートはタイタニックの問題から始まっておるわけですけれども、混信含めて、電波監理ということは、軍用、警察用含めて私はこれは国の責任においてやるべきだ。ただし、たくさん増えてきたので、監理のためのコストについて、共益費的に、マンションの自治会費的に使っている人たち負担してもらおうという仕組みから始まり、そして三年前に、電波利用における、すなわち経済的価値に着目した上で、帯域幅だとか、えらい使い勝手がええんやったらそれについて多少もらおうやないかということも含めて、この電波利用制度というのはずっと変わってきたと。  したがって、私は、この十年間電波行政、特に利用料金に関して、ある種、スタートさせてきて思った以上にたくさん収入が入ってくる中で、あれにも使えるこれにも使えるという後付け的に項目を増やしていった。そういうふうなことで、今日まで来たときに、止めどもなく使ってどうするんだ、放送事業者携帯事業者との負担がこれで本当にいいのか、その理屈は理解される貫徹性があるのか、一貫性があるのかということにおいて今日の議論が来ていると。  そういうふうな意味で、増田大臣のすべて責任だとは私は思いません。過去十年間やってきた行政の大きな積み重ねです。しかし、今日のこの時点において、この電波利用料という制度について反省すべき点があるのか。反省せよと言うと、もうすぐ反省しないという答弁になるんですけれども、固いことは言いません、その辺は、来年、再来年に向けての私はプラスになる、大臣の感想も含めて、御答弁をまずいただきたいと思います。
  39. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) お答えを申し上げますが、今お話ございましたとおり、この電波利用料制度というのができて、初めは無線局の数で、まさに今共益部分というふうにお話ございましたけれども無線局数で割り当ててスタートをしていったと。ところが、それが時代とともにいろいろな、携帯電話等が出てきたわけでございまして、ましてテレビ局などを考えますと、この使用帯域幅とか出力に応じてきちんと負担をしていただくという、そういうことが必要ではないか、こういうふうに変わってきて、それでこの電波利用料については三年ごとにいろいろ見直しを加えてきたわけでございますが、特に、前回の見直しでも、そうしたことで、いわゆる電波の経済的な価値というものを入れてやはり制度をつくっていかないと、国民皆さん方はもう携帯電話いっぱい皆さん方お使いになっているわけですから、そういうことで、先ほどお話ございましたとおり、お一人お一人年額幾らということでお支払いいただいているわけですので、国民皆さん方の御理解をいただけないと。こういうことで、十七年改正という段階で、この使用する周波数の幅などいわゆる経済的価値も入れて制度を変えてきた。  そしてさらに、そのときに附帯決議がございましたので、その附帯決議、受益と負担関係の明確化ですとか、それから不感地帯を早期に解消するとか、あるいは国が使用する無線局電波利用料もきちんとお支払いをする、そういったことについての改正も今回盛り込んで制度を御提案しているところでありますが、いずれにしても、希少な、有限の電波資源であって公共性が非常に高いものでありますので、それを利用する皆さん方の負担を公平にしていく、そして公共性ということが一番発揮できるかどうかということをきちんと見ていかなければならないというふうに私思っておりますのと、それから、やはり何といっても先ほど来御指摘があった利用料の個々の具体的な使途ですね。今ここで個々に、また御指摘があれば御答弁申し上げますが、この場では申し上げませんが、今先生冒頭におっしゃったとおり、やはり法令がどうのこうのというよりも、法令国民理解があって初めて成り立つものであって、要は受益者あるいはその負担している方ですね、免許人、あるいはもう一億総、皆さん方いろんなものお持ちになっているわけですから、国民理解があって初めてそうした使途が決まってくるんであろうと。  ですから、それなくしてそうしたものに使途が適正だ云々ということはあり得ないと私も思いますので、そうした国民理解がまず真っ先にやられるかどうかという観点でこれは考えていくということが大事でありますし、そのためにも一層その使われ方のチェックというものが行われやすいように公表していく、オープンにしていくということがこの制度をお預かりをしている、運用をお預かりしている我々の責務ではないかと、このように考えております。  その点を重く受け止めて、そして今後も適正な運用に努力をしていきたいというふうに思っております。
  40. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 大臣の御答弁、せっかくの御答弁につきましてまたいろいろと御議論を進めていきたいというふうに思いますし、また、法案修正がされていますから、この衆議院の方の法案修正者のやっぱり意図も私は今後確認をしていって、そのことが国会の意思だと、こういうふうなことでまたよろしくお願いをしたいと思います。  その議論に入る前に、私は適正公平な利用料金の在り方という基本論において疑問を持っているんです。  これは総務省の方から資料をいただいて御説明をいただき、今回、従来からa群、b群に仕分けて、a群に当たるのが電波の経済的価値の向上につながる施策、そしてb群がそれ以外の施策と。従来、a対bが二百億円対四百四十億円であったのが、今回三百八十億円対三百億円に比率の改善を図っていると。このことは今大臣がるるお話しされたことにも関連をするし、結果的に携帯電話負担料からいくと四百二十円からおよそ二百五十円にまで引き下げられる予定というんでしょうか、そういう計算になるということで、ここは私は改善がされているというふうに言っていいと思うんです。  ただ、この適正公正な利用料金の在り方というのは、先ほど加賀谷委員がグラフで、例えば放送事業者携帯事業者との負担割合の比率のことを大きく問題にされました。なぜそうなるのかということにつきまして、私はこれ、調査室の方の資料、大変僣越ではありますけれども、その中、八十一ページに、特性係数というものを使って携帯事業だとかあるいは放送事業に対する負担の比率というものを決めているんです。お持ちならば八十二ページに、これは三ギガヘルツ以下、三ギガヘルツ帯というのは一番使い勝手がいいということで、ここに集中するわけでありますけれども、そこに簡易無線からFPU、ラジオマイク、PHS、その他の基地局、これは大体携帯電話なんです、人工衛星通信用、人工衛星放送用、テレビジョン放送、ラジオ放送と、こんなふうになっているんですけれどもね。そこに係数が掛けられると。テレビジョン放送はウとエが係数が掛けられて、ウとは、国民への電波利用の普及に係る責務等で、二分の一に軽減されると。放送局など電波利用の便益を広く国民に付与するため通常の市場活動を超えてユニバーサルサービス又はこれに準じた責務等が法令等において規定されているものについては、その公共性を勘案することで半額減免いたしますと。ついでに、これは重複適用されるということで、エ、国民の生命、財産の保護に著しく寄与するもので、これまた二分の一減額しますと。船舶局、航空機局など国民の生命、身体の安全及び財産の保護に寄与するものについては、その公共性を勘案することとします。この文案そのものはああなるほどと、こう思うことで、これで二分の一と。二つ適用されると、倍満とは言いませんけれども、これ四分の一になるわけです。  そこで、テレビジョン放送はこのウとエが適用されて四分の一になる、その他基地局携帯電話は何も適用されないからそのまま一が係数掛けられる。この特性係数の考え方、ここのところを私一つ質問したいんです。  テレビジョン放送のどこに公共性があるんだとこう言えば、私、テレビ局から総攻撃を受けますよね。だけど、この文案で言われている、あまねく市場動向を超えてユニバーサルサービスをやるんだ、それがテレビ放送事業者のいいところだから減免しますというこの適用が、放送内容ではなくて、市場動向を超えるユニバーサルサービス、これは責務が法令に書かれているからとこう言われるんですけれども、私は減免されるほどのことをやっておるんですかと。それから、エの方の、広く国民の生命、身体の安全及び財産の保護に関するその公共性をテレビジョン放送が持っているんですか。  私は阪神・淡路大震災の被害者でもあったんですけれども、財産上の。その日のうちに当時の私の所属しておった組織の命令を受けて救援隊長として赴いた。一番役に立ったのは携帯電話なんです。あのときのテレビジョン放送を私最初に東京で見たときに、役に立つ放送上の情報はなかった。ヘリコプターから、川があります、線路があります、煙が出ていますと。川の名前を言えと、芦屋川なのか武庫川なのか言ってくれないと訳が分からない。そういう情報しかなかったんです。だけれども国民の生命、安全のその所在を確認するのに携帯電話が役に立った。ある議員さんは、その場からこういうことになっておるという実況放送的に通報されたんです。それから、アマチュア無線のことを皆さん方遊びのように言われますけれども、遭難があったり事故があったりこういう災害のときに、アマチュア無線皆さん方がボランティア精神で連絡をしておってくれることというのは非常に役に立っておるんです。  そういう行為をテレビジョン放送はやっていますか。クルーが五つも六つも同じ場所で順番に放送しているんですよ、同じ場所で。救援隊からいったら早うのいてほしいと。そういう事実も指摘されている。  私は、ここのところを考えたときに、テレビジョン放送だから公益性があるというこんな何かスタンプで押したようなことはもうそろそろやめてもらって、テレビジョン放送だって、ショップチャンネル、朝から晩まで二十四時間商品情報を流しているということだってあるし、放送の内容について私はコンテンツのことは言いません、BPOをつくってやるということにこの前法律を変えたんですから。  しかし、本当の意味での公共性、国民の生命、安全のということからいったときに、携帯電話が係数一で、テレビジョン放送が二分の一、二分の一でと、こういう判断の私は根拠について御説明いただきたい。
  41. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 別途、担当局の方から補足があるかも分かりませんが、放送に関して申し上げますと、先生指摘のとおり、基本的には、大臣からも申し上げておりますが、使用周波数帯域幅を基本としつつ、かつ今先生指摘になったいわゆるあまねく普及努力義務、それから災害放送の努力義務に着目して、こういった公共性の要素に着目して四分の一というものを乗じて負担額を算定しているところでございます。  そうしたあまねく普及義務あるいは災害放送努力義務に関する放送事業者の実態がどうであるかという御指摘かと思いますけれども、例えばあまねく普及ということに関しましては、今現在、放送事業者、全国一万局以上の親局、中継局等を通じて全国津々浦々まで放送サービスを提供しているところでございまして、これは諸外国と比較しても、そうした山間辺地、離島に至るまで放送サービスを提供していることに関しては放送事業者も努力をされているものと私は承知しております。  それから、災害放送ということに関して申し上げましても、いろいろな御評価があるとは思いますが、例えば最近の新潟中越地震その他の大災害等につきまして、ある意味ではNHKのみならず民放もネットワークの全体の力も結集して様々な報道に迅速かつ、その災害現地の方々の役に立つ情報の提供にお努めいただいているのではないかと私どもは認識しておるところでございます。
  42. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 今委員さんの中から利益を上げているという言葉が出ましたけれども、ここも少し議論させていただきますけど、研究会報告の中でこの電波利用についてはクラブ財、みんなで使う財産だと、こういうことになっているわけですね。例えば、いわゆるアマチュア無線でいくと、参加者が一人増えると使えなくなるわけじゃないんですよ。一万人増えるとトラフィックが起こって、逼迫が起こって使いにくくなるという情勢はあるけれども、参加者が増えてもこれは使えるし、参加者は増やすようになっているんですよ。携帯電話も同じなんです。ところが、テレビ放送のこの免許は排他的免許なんです。排他的免許なんです。ほかの電波の参入を禁止して、だからテレビはきちっと映るわけでしょう。だから、ここの利用料の考え方についても、ここのところもきちっとやらにゃいかぬわけですよ。  だから、テレビ放送事業者というのは、放送事業者ではあるけれども、宣伝広告を通じて収入を得て利益を上げているんです。その方法論として、コンテンツを流して視聴率を上げる、お客さんを集客してすばらしい番組に、だからスポンサーの皆さん方にコマーシャルを払ってもらうという事業経営形態になっていることも事実なんです。  それから、あまねく電波の普及に貢献していると言いますけれども、ビルが建ったときの補償は建てた事業者がやるんです。新しいビル建てると十億、二十億、三十億、みんな電波障害補償を事業者がやっているんです。携帯事業も、不感地域根絶のためにアンテナを立てて努力をしているんです。法律上の責務の有無だけを言われますけれども、実態的には私は、テレビ放送をここまで優遇するなら、携帯事業だって物すごく役に立っていますよ。遭難したときにアンテナが立っておれば、GPSを使ってその所在確認ができるのは携帯電話なんですよ。だから、国民生活の実態、実感からいったときに、私はテレビ放送と携帯事業と何ら差はないと。四対一まで差別的な対応をするということについて私は相対的問題としてあるんではないかということをまた申し上げて、更に時間が足りませんから進めますけれども。  お手元にこういう資料をお配りしていますけれども、これも三菱総合研究所の携帯電話事業者と放送事業者電波利用料負担の格差についてということで、三菱総研さんのお仕事をしたということであります。  この調査分析は、平成十五年度から十七年度の三か年平均で携帯事業者三社と民放キー局五社の平均値を取って電波利用料負担度を比較したということであります。これによると、連結売上高に対する電波料の負担について見ますと、携帯事業者は民放の六・二倍の負担、また連結営業利益で比較すると三・五倍、連結経常利益で比較すると三・二倍というように、経営的な観点から見たときに携帯事業者負担が結構高いと。  これは、これだけでもって議論することはできないんですけれども、やっぱりこれも経営に対する負担ということからいったときに、先ほどテレビジョン放送だって利益を追求する民間の株式会社の運営、経営をやっていると。そういうふうに私は携帯電話事業とテレビ放送事業を比べたときのコスト負担もやっぱり勘案すべきではないんでしょうかと、こう思うわけであります。  今回、格差については縮減の方向にありますけれども、このくらいは大したことはないと、そう言う人もいるかもしれませんけれども携帯電話がここまで一般的に普及し、生活にマイナス面もありますけれども非常に貢献をしているということを考えたときに、テレビジョン事業者、テレビ、それから携帯電話電波利用料負担というこの現実は私はなかなか理解ができないという視点に立って答弁をお願いしたい。
  43. 寺崎明

    政府参考人寺崎明君) 今委員の方から御指摘ございましたけれども、今回の料額見直しにつきましては、テレビジョン放送局料額につきましては他の無線局と同様の考え方に基づきまして周波数といったような観点から公平に算出した料額について負担することとしております。  繰り返しますけれども電波利用料算定方法に関しましては、その基本的な考え方につきましては、オープンなプロセス免許人の御意見も拝聴しながら見直しを行っているものでございます。  なお、放送事業者負担額が携帯電話に比べて少ない理由は、先ほど申し上げましたとおり、経済的価値を勘案した算定におきまして、放送事業者はあまねく普及努力義務及び災害復旧努力義務といったようなものが法律で決められておりますので、そういったようなかかる特性係数としてそれぞれ二分の一ずつ周波数帯域幅に乗じられていると。  一方、携帯電話につきましては、ユニバーサルサービスというのが今現在決められておりません。固定電話につきましてはNTT東西にユニバーサルサービスの義務付けがありますけれども携帯電話についてはないという状況でございます。このほか、携帯電話には電波を発射する非常に多数の端末数分の電波利用料負担もあるといったようなこともあることによってそういったような差が出てきていると、このように考えております。  携帯電話事業者と放送事業者の経済指標による比較についての調査結果で先生の方からお話がありましたけれども、これは昨年開催されました電波利用料制度に関する研究におきまして、どちらかというと負担能力の議論の際にちょっと用いられた資料でございますので、負担在り方とかそういったものというようなことでの研究会では議論ではなかったということは、ちょっと余計なことかもしれませんけれども、付け加えさせていただければと思います。
  44. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 議論の場ですから、勝手に余計なことだと判断せずに、言いたいことは言ってもらって結構なんです。  と同時に、私が一生懸命質問したことについて正面から答えてくれていないじゃないですか。一年前ならそれで済むかも分からないですよ。何で私の言ったことに正面から答えないんですか。答えられないんですか。私は別に携帯事業者から言われてやっているわけじゃないんだ。同時に、放送事業者から言われているわけでもないんです。素直にこの報告書を、調査室が作ってくれたものを一生懸命読んで、私なりに過去思っていたことの知見に基づいて分析をして今日お話をするならば、これが国民の声ではないのかと。そういうやり取りを今真剣にやろうというわけでしょう。総理大臣だって、野党の皆さん、一生懸命一緒に議論しましょうと。議論しましょうといって一生懸命やっていることについて、答弁がその程度で終わるんだったらこれ決着付けられないじゃないですか。  私たちは今度の法律改正でこうする、修正するとかそう言っているんじゃないんですよ。皆さん方も十七年から比べて変えたんでしょう。変えた方向は、私の言ったことをここから先も理解できない方向で変えているわけじゃないんでしょう。何でそのことが言えないんですか。言い訳ばっかりされたって困るんですよ。私も引くに引けないんだ。ということで、やっぱり私は、流れとしてはそういう方向ですと、こう一言言っていただければ本委員会の審議だってスムーズにいくんですよ。それを、いや、そんなつもりで作った資料でもない、ああでもないこうでもないと言われたら、私が一生懸命言っておることについて、ああ、反対されているんだなと。  大臣、その辺どうなんですか。
  45. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) お答え申し上げます。  まず、冒頭私申し上げましたんですけれども、この電波利用料制度ができたときは無線局の数でいろいろと割り振ると。まさに共益部分というような言い方があるかと思います。それから、電波の利用の形態が随分変わってきて、そして帯域幅とか出力とかそういうことも勘案しないとやはり公平が保てない。これはまさに、携帯電話がこれだけ爆発的に普及をして、携帯事業者が一方でいます、それから放送事業者が一方でいますと。そういうところのやっぱり格差が非常に大きいではないかと。国民負担が、携帯事業者については一台四百五十円ということで負担をしているわけですから、これがどうも考えれば、そのとき私申し上げましたが、電波の受益ということについて国民皆さん方によほど理解をしていただかないとこれについての制度が理解をされないということがあって、ですから、大きな方向性としては、そういう使われ方の変化に応じてきちんと、端的に言えばやはり格差を是正する方向で、しかも、そのやり方を極端に一どきにぱっと変えるというよりも、理屈のある範囲で段階的に変えるということで、これも国民皆さん方の合意の範囲の中でやっていくということがいいのではないか、こういうことで私ども提案をしているわけです。  ですから、局長の方もいろいろ、今言いました趣旨は当然そういうことでお答えを申し上げているところでございまして、今回の改正あるいは今後の電波利用料在り方についても、総務省としてそういう方向で今後も考えていきたいと、こういうことでございます。
  46. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 格差の是正、この方向も含めてやっていくんだと。見事な答弁ですよ。もうこれでこの質問については終わります。  さて、次に電波監理の現状と課題について、一つは重要無線通信妨害がこれまでの五百件台から七百件近くまで増えていますね。  私は、現実の問題として、混信防止のため電波監理体制の強化が必要であると、このように考えているんです。予算的に、平成十九年度が約七十六億円でありましたけれども、二十年度予算では六十八億円と若干の合理化が図られていると。電波監視システムの整備計画の第五期が十九年度で終わるということもあるというふうなことがあります。  そういうふうなことで、私は電波監理体制というのは国としてしっかりやらないかぬ、まずこれをやるべきだということの前提において、今言ったような整備計画の現実、どこまで成功したのかを含めまして御説明をしていただきたいということと、併せて、電波適正利用推進員制度というものがあると。この制度は、不法・違法無線局をなくする電波監視活動において地域社会に密着した活動が不可欠として、現在全国で約七百人の電波適正利用推進員、委嘱されてボランティアとして活動しているということで、先ほどのラジコンの話もこういうことだったのかなと、こんなふうに思っているんですけれども、啓発活動、相談窓口の紹介あるいは総合通信局長への協力と、こういうふうなことで平成九年からスタートをしているということであります。  現在、無償で活動してもらっているということではございますけれども電波利用料について先ほどいろいろ議論がございました。推進員の皆さん方一生懸命やっておられて、成果が上がっておられるということであるならば、電波の適正利用のための活動であるということで、これは何らかの、報償とは言いませんけれども、努力に報いると。一から百までボランティアお願いして、自分たちはレクリエーションでやっているというのは、これは均衡を欠くと。だからといって、レクリエーションがいいとは言いませんけれどもね。いい仕事をして協力していただいているんだったら、もう少しそういう人に実のある対応をできへんのかなと、こういうふうなこともありますので、二点、御質問申し上げます。
  47. 寺崎明

    政府参考人寺崎明君) 委員指摘のとおり、電波監視、これは大変重要な仕事でございまして、電波を使うときに安心して利用者が使えるといった環境整備から見ると非常に重要な仕事かと認識しております。  そのためには電波監視施設の整備が必要になりますけれども電波利用状況だとか電波技術の発展など電波利用環境の動向を考慮しながら三年ごとに整備計画を策定いたしまして、計画的に施設整備を実施してきているところでございます。  十九年度に比べまして、二十年度の予算、七・六億円ほど委員指摘のとおり削減になっております。この主な理由は、平成十九年度をもちまして、各総合通信局に配備していました遠方方位測定設備ですね、どこから電波が飛んでくるかというのを測る機械なんですけれども、それのセンター設備の整備が完了したことによります設置工事、設備数が一応減ってくるといったようなことがまず一点ございます。  それから、二点目としまして、遠方方位測定装置です。どこから分からない電波が飛んでくるかというのを測るためにセンサー局というのをセンター局の外に造っていくわけですけれども、遠方方位測定設備の一般競争入札におきまして、複数のセンサー局を今まで一括に、かなりの多くの数を一発で発注していたんですけれども、そうしますとちょっと大手の企業しか入ってこれないとか、そういうこともありましたので、一定数ごとにまとめて、分けてちょっと発注することによりまして参入しやすく、メーカーさんがですね、させていただきまして、分割発注することによりまして入札への参加機会を増やしまして、効果的な競争促進策を取ったことによりましてセンサー局の調達額を減らすことができてきております。こういった理由によりまして減ってきているわけでございまして、決して監視業務に支障を来すものではないと認識しております。  先生指摘のように、今後とも、監視業務、非常に大切ですので、しっかりと取り組んでいく必要があろうかと思っています。  それから、委員の方から電波適正利用推進員制度、御指摘がございました。  これは先生の方からもうお話がありましたとおり、私の方からもう申し上げるまでもありませんけれども民間のボランティアに、地域に密着した立場を生かしていただいて、電波の適正利用に関する周知啓発だとか混信相談への助言、不法無線局の情報収集、不適法な無線機器の販売情報収集などを実施いただいているものでありまして、現在、全国で約七百名の方に活動していただいております。  こういった方々は地域の草の根レベルから活動していただいておりまして、平成十九年度には、小中学校を対象とした電波教室の開催を百三十五件、混信相談への助言百九十件、不法電波局の情報収集四十二件、不適法な無線機器の販売情報収集二百四十九件など、総務省が行っている電波監視活動の効果的な実施に極めて貢献していただいております。  こういったような観点から、私どもとしては、電波適正利用推進員は、無線通信の利用や無線技術についての専門的な知識を有しまして、電波利用環境の保護や電波の適正な利用に対して深い理解を得られた方々に委嘱しておりまして、活動に不可欠な研修や遠隔地での会議への出席にかかわる現時点では交通費の実費は支給させていただいているところでございます。  このような状況にありまして、更に活動に対して、先生、報酬が必要だといったようなお話がございましたので、私どもとしましては、今度、電波適正利用推進員から御意向もよく聞きまして、他のこういったようなボランティアの事例も参考にしながら検討してまいりたいというふうに思っております。
  48. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 公共サービスの中で行政が直接担えるところもたくさんありますけれども、国全体として、やっぱりボランティアに依拠せざるを得ないことは山のようにあると思うんです。過日も、消防団員の課題については同僚委員の方からも御質問、御指摘させていただいたように、やっぱり国会としても事あるごとに、このようなボランティアに努力されている方の私は御努力に敬意を表すると、そういうようなことは当然のことであって、またそのことを大切にしていくということが必要であります。  それから、電波監理はテロ対策としても非常に重要な項目なんだということで、国際的にも強化が要請されているということを含めて御努力をお願いをしたいというふうに思います。  さて、質問通告では、この後、電波行政と利権、天下り問題であるとか研究開発の評価について予定をしておりますけれども、今日は衆議院の方から修正にかかわる議員の皆さん方に御足労いただいていますので、そちらの修正協議にかかわる確認事項等についての質問を先にさせていただきたいというふうに思います。  今回、衆議院における審議過程で、与野党の御協力によりまして修正協議がなされました。その主なものは、第一が電波監理審議会への諮問の方法の見直し、第二に電波利用料使途の限定、第三が電波利用料に関する検討規定の追加に関する事項と、こういうことでございます。  総務委員会にかかわる閣法につきましては、現下の国会の勢力状況といいましょうか、そういうようなことを直視される中で、私は非常に柔軟な修正ということで処理をされてきたというふうに思います。私はそういうような意味では、非常に、その御努力に当たっておられる衆議院の各議員の皆さん方、立場それぞれおありの中で大変な努力をされているということにつきまして、参議院の立場ではございますけれども、まず敬意を表したいと、このように思います。  そこで、電波利用料使途の限定につきまして確認させていただきたいと思います。  私ども民主党あるいは会派といたしまして、前回の電波法改正時にも主張いたしましたように、電波利用料の使い道について、これを拡大させないという方針で議論をしてまいりました。今回修正において限定列挙という形になりましたけれども、修正案提案者におかれましては、この法案、法文修正の使途の拡大の制限がどの程度担保されると、この修正によって担保されるとお考えになられているのか、まずお伺いしたいと思います。
  49. 山口俊一

    衆議院議員(山口俊一君) 加藤先生の御質問にお答えをさせていただきたいと思います。  その前に、大変我々の努力を御評価をいただきまして、本当にありがとうございます。  今回もこういう形で修正をさせていただきましたが、今の先生の御質問でありますが、衆議院の質疑の中でもやはり使途を限定すべきだというふうな御議論がございました。また、一方において、先ほども議論がありましたように、携帯の爆発的な普及だとかあるいは地デジ対応だと、あるいは利用の複雑化等々でいわゆる使途が拡大をしてきておったということがございます。  現行の電波法の規定はもう御案内のとおりで、電波利用料使途となる事務については第百三条の二第四項第一号から第六号まで事務を例示として列挙をしておりますが、実はそれ以外の事務につきまして同項の柱書きのその他の事務に該当するというふうなことになっておりました。  政府案でもこの点は変更がなかったわけでありますが、やはり様々な御議論をいただく中で、今回の修正案では、電波利用料使途は同項の各号に限定列挙をさせていただく、同時に、その他の事務で今までいろいろやっておりましたが、このその他も限定列挙させていただいて、その他の事務というこれはもう削除するというふうなことにさせていただきました。これによりまして各号に列挙した使途以外に電波利用料を充てるということは認められなくなるわけでありますので、むやみに電波利用料使途が拡大をされることはこれでなくなるであろうというふうなことでございます。
  50. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 衆参における議論の中での大きな問題指摘について修正ということで対応されたというふうなことで、私も限定列挙の方がはるかにその意を体現できるというふうなことで理解をしたいというふうに思います。  さて二点目は、研究開発にかかわる問題でございますけれども、第百三条の二の第四項にかかわる法案の修正部分、ここを少し見てみますと、第三号の研究開発に関してはより具体化されていると思います。追加的な列挙の四号、電波の人体等への影響に関する調査、並びに五号、標準電波の発射、並びに九号の無線通信を利用することが困難なトンネルその他の環境において当該無線通信の利用を可能とするために行われる設備の整備のための補助金の交付、更に十号、十一号とあるわけですが、これらの追加的列挙がなぜに使用目的の限定となるのか、その関連について確認をしたいということでございますので、御説明をお願いしたいと思います。
  51. 石田真敏

    衆議院議員(石田真敏君) お答えをさせていただきたいと思います。  今御指摘いただきました追加的に列挙された事務のうちで、新しい第四号、第五号、第九号及び第一号の事務につきましては、現在その他事務として今まで行われていた事務でございまして、今後も引き続き電波利用料財源を充てることが適当ということでございまして、これを限定列挙した各号の中で規定をすることといたしておりまして、このことによって、先ほど提出者から答弁もございましたけれども、安易に使途が拡大されないようにということでございます。  また、新しく第十号といたしまして、電波利用料財源を充てる事務といたしまして、電波に関するリテラシーの向上に関する事務を追加的に規定しております。  以上でございます。
  52. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 私は研究開発については非常に前向きにとらえたいというふうに考えています。この研究開発によって、トラフィックと言われている逼迫状況の解消であるとか、帯域のより効率的な活用だとか、新しい知見だとか方法論が開拓されて、結果的には利用者にとっては場合によっては爆発的な効率というか効果を与えることができるという、それは可能性が大きいわけでありますので、ここはしっかりと限定列挙をし、そこははっきりした上でやっていくという意味において、私もまた必要があれば今後国会において加筆していけばいいということだと思いますので、これも十分理解ができるということであります。  さてそこで、十号のリテラシー向上というところを加えられたということでございまして、「電波の能率的な利用を確保し、又は電波の人体等への悪影響を防止するために行う周波数使用又は人体等の防護に関するリテラシーの向上のための活動に対する必要な援助」と、よく分かる名文ではありますけれども、ふと考えると今国会におけるなぞになるのかなと、そういう思いもしないわけでもないのでございまして、ここは是非ともリテラシーということが、通常分かりやすく言えば、読み書き能力を含めた文的なそういう能力全般を指しているというふうに思います。その趣旨を含めまして、やはり国会の質疑の中で明らかにしていく必要があるというふうに思いますので、是非ともそこのところのお話をいただきたいと思います。
  53. 原口一博

    衆議院議員(原口一博君) 御答弁させていただきます。  その前に、加藤先生始め皆様に大変多くの御示唆をいただいて修正案を作ることができましたことを、委員長を始め皆様にお礼を申し上げたいというふうに思います。  まさに今、加藤先生が御議論なさったように、公共の電波、これを使う、その主役はだれかと。今、民主党では、公共サービス基本法において、公共サービスにおける主権者、その権利、権利の保障ということを御議論いただいておりますが、まさにこの電波における主権者、そこにエンパワーしていく、この仕組みを入れなきゃいかぬということで、今回初めて国会の法律用語の中にリテラシーという言葉が入ったわけでございます。  今先生お話しになりましたように、国立国語研究所によれば、リテラシーの言葉というのは元来は読み書き能力のことでありますが、現代では、私たちはもっとそれを進めて、情報を読み書き、活用する能力の意味で使われることが多い。まさに使いこなすために、主権者に対して、安全にこの電波を使ったものを使いこなしていただく、そういう思いを込めてこの条文を入れさせていただきました。  また、新第十号の事務は、混信等の妨害を生じさせずに無線設備を使用する方法、違法な無線機器やPLC、電力線搬送通信、モデムの見分け方など、あるいは電波から人体、電子機器を守る方法、これは携帯電話についてペースメーカーから一定の距離を置かないとそういったものについては大変な危険を招くということも言われておりまして、病院内において使用を控えることなどに関して国民の今申し上げましたリテラシーの向上を図るため、周知、広報啓発、教育等に対して新たな電波利用料を充てるものとするものでございます。御理解をいただければと思います。
  54. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 ただいまの御答弁の内容は、法律上の文章に加えて、主権者たる国民にかかわる、むしろ目線を国民に置いてこの問題をとらえていくという、言わば行政者の立場から主権者たる国民の方に、サイドに私は目線が移動した立場でこういうふうな言葉、ワーディングといいましょうか、言葉を使われたということで、その趣旨は今の御答弁について非常によく、なるほどというふうに理解できました。  したがいまして、この法文を運用される総務省皆さん方におかれましても、ただいまの答弁というふうなことも私は踏まえていただいて今後の行政の中で応用していただきたいと、このように要望を申し上げたいと思います。  さて次に、電波利用料会計の透明性の確保についてでございます。  今回の修正で最も注目しておりますのは、第百三条の三で追加された三項でございます。私ども電波利用料といった、言ってみれば特定財源に近い収入で得られた財源が本当に利用者のため国民のために使われているのか、受益者負担の原則が貫かれているのか、また国会で承認された予算どおりに使われているのか、こういった視点から電波行政や予算の執行状況をチェックをしてまいりました。収支が項目的にも金額的にも一致しないという実態についての疑問を持たざるを得なかったし、先ほどの、たまっていた剰余金の扱いについても、正直言って区分経理はされていなくて、言わば使うことができるデポジットみたいな感じで扱われていると、こういうふうなことでございまして、具体的に言うと、衆議院でも議論になったように、予算、決算の連動性含めていろいろ課題があるということであります。  この会計処理につきましては、全省庁的同様な傾向がございますので、これから先、私は衆参ともに国会の大きな課題であるというふうに考えておるわけでございます。まさしく予算、決算が一対一で写像関係にある、対応関係にあるということが最も分かりやすく、また行政が行った効果の評価をする上でも非常に大事なことだと思っておりますので、より分かりやすい仕組みが必要であるというふうに思うわけであります。  今回追加された条文は、「総務大臣は、前条第四項第三号に規定する研究開発の成果その他の同項各号に掲げる事務の実施状況に関する資料を公表するものとする。」と、こうなっているわけであります。私どもとしては、予算にかかわる支出の明細書の国会提出とか、決算については、予算項目と連動させて、支出日、支出先支出額及び支出の目的などを記載した書面が公表される、こういった施策を期待しておりますけれども、なかなか事務の繁雑さとかいろいろな事情があると思いますけれども、修正者としてはどのような財務会計処理の姿を想定されているのか、そこのところを御説明をいただきたいと思います。
  55. 黄川田徹

    衆議院議員(黄川田徹君) お答えいたします。  委員指摘のとおり、電波利用料でありますけれども、これ、特定財源的な性格を有しておりまして、しっかりとした使われ方がなされなければならないと思っておりますし、そしてまた国会で承認された予算のとおりにこれまた執行されなければならないと、こう思っております。  そこで、今回修正案により追加する第百三条の三第三項は、電波利用料財源を充てて行う事務について、その実施状況を明確にし、事後的チェックが可能となるよう、総務大臣に対してその実施状況に関する資料を公表することを義務付けたものであります。また、この修正案によりまして、支出額について、事務ごとや予算項目別の内訳等が公表されることによって支出の内容が透明化され、より一層適正なものとなることを期待しておるところであります。
  56. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 ただいま法案修正者のお立場で、期待というお言葉をお使いになりましたけれども、そういう考え方が披瀝されました。  そこで、まさしくその意図どおりに成果を上げることができるのかどうか、また国民に成り代わり国会におけるチェック機能が働くのかどうか、これは行政の対応というふうなことも大きな要素かというふうに思います。言ってみれば、いいかげんな対応をすればなかなかチェックが本当に動かない。いいかげんさを手直ししてもらうために国会での質問の時間が費やされるということになるわけであります。  そういうような点で、先ほどの加賀谷委員とのやり取り等を拝見しながら、私は行政の立場でもこの本修正についての深い御理解をいただかなきゃならぬなと、こんなふうに思っておるわけでありまして、そういうふうなことを踏まえまして、総務省として、この国会の修正、またそれに秘められたというんですか、込められた要望事項についてどうこたえられようとしているのか、御見解をいただきたいと思います。
  57. 寺崎明

    政府参考人寺崎明君) この修正案では、電波利用料使途を一層明確化するといったようなことと、それから使途の明確化、明らかにしていくといったようなことが柱になっていようかと思います。また、リテラシーといったような新しい取組もするようにという、そういう御指示だというふうに理解させていただきたいと思います。  特に今委員指摘の、報告、資料の公開をきちっとやるようにという御趣旨がありましたけれども、そこにつきましては、やはり免許人から見ていただいたときにその資料が分かりやすいと、実際に見ればどんなことをやってどんなことが適正に行われるかどうかといったようなことがすぐ分かると、こういったようなことが大切かと思いますので、私どもとしては、どういう資料をどういうふうな項目で整理して表していったらいいのか、早速に検討を開始していきたいと思っております。
  58. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 その検討におかれましては、是非、本日の法案修正者、提案者の先ほどの御発言の意図が十分生かされるよう私は要望したいというふうに思います。  さて、今回、修正によって附則に十四項が追加されました。その内容は、「政府は、少なくとも三年ごとに、第百三条の二の規定の施行状況について電波利用料の適正性の確保の観点から検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」と、このようにされております。  電波利用料金の決め方につきましては、先ほど大臣の方から大変的確な御答弁をいただいて、私としては、その答弁を多としたいと、このように思っていますけれども、当然、修正の議論の中でもいろいろ御議論があったというふうに思います。この条文を考えれば、三年後には電波利用料の決め方、金額の決定に抜本的な改革方向と、それは、先ほど大臣が、格差を是正し、今の、十七年からずっと、経済的な利用価値にも着目するんだ、帯域幅もその中に入れるんだ、出力だとか、いろいろと言われたことを当然踏まえてということになろうかと思いますけれども、私はその方向も期待をしているということでございます。  そのような御議論もお聞きになっていただいたというふうに思いますので、それを踏まえて修正案提案者としてどのような方向性を想定をされているのか、期待をされているのか、お考えになっておられるのか、その辺、お考えを伺いたいというふうに思います。
  59. 原口一博

    衆議院議員(原口一博君) お答え申し上げます。  まさに加藤先生が御指摘になったとおり、修正案で新たに追加した附則新第十四項では、政府は少なくとも三年ごと電波利用料制度について見直しを行うこととし、その際には電波利用料の適正性の確保の観点から検討を行われるべきという、こういう規定をさせていただきました。  先ほど阪神・淡路大震災のお話を御経験を踏まえてなさいましたが、まさに先生がお配りいただきました電波利用料負担の格差についても、例えば地震のときに、あのときにたくさんの取材ヘリが、報道ヘリが空を覆って、瓦れきの下に助けを求めていらっしゃる皆さんのその声が聞こえない、何とかしてくれと、こういうものが放送事業者に対しても寄せられました。  一方で、携帯電話を使い、これは私どもの近くで起きた福岡の大震災のときも、例えば腎臓病で透析を必要とする方々が携帯電話によってどこの病院でどういう透析が受けられるか、こういう緊急性、公共性、公平性、こういう観点からも、先ほど大臣が御答弁なさいましたように、電波の適正性の確保、それから公共性、公正性という観点から格差についてもしかるべき見直しがされるものだと、こういうことを期待して、そして、これにより、今後の電波利用料見直しに当たり、その料額について適正に電波の経済的価値、使用帯域幅、あるいは出力、地域等を反映し、無線局数の推移も踏まえたものとなるように見直しが行われるように期待しておるものでございます。  以上でございます。
  60. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 法案修正提案者の皆さん方には大変ありがとうございました。  今お話しいただいたような方向で三年後の本委員会における審議がまさに気持ちよく、意義ある内容になることを心から祈念し、期待申し上げまして、修正にかかわる質問は終わりたいというふうに思います。  さて、二つほど質問が残っておりまして、私の質問の時間は四十七分までということでございます。私も簡潔に質問を申し上げますので、是非とも御答弁も簡潔にお願いをしたいというふうに思います。  まず、総務省さんの方で平成十九年度関連外郭団体における電波利用料の契約状況という御報告をいただきまして、十の公益法人や独立行政法人との委託契約、そういう内容が総額で七十四億円と、こういうふうに伺っております。電波利用料の約一割を超える金額だというふうに思います。  さて、いろいろと過去こういう内容について議論がされてきましたけれども、私は、総務省関連団体に対する電波利用料の事業委託については、総務省として殊更公正性や適正性の確保というふうに努めるべきであると、このように思っておりますので、そのためにどのような対応措置をとっておられるのか、ここを簡潔にお答えいただきたいと思います。
  61. 寺崎明

    政府参考人寺崎明君) 電波利用料使途のうち、研究開発などの専門的な知見や技術を必要とするものにつきましては、外部の専門的な機関に業務を委託する必要があることから、公正性を確保するため、委託先の選定に当たりましては一般競争入札や一般公募による企画競争という競争性のある契約方式に移行しているところでありまして、平成十九年度におきましては一部の契約を除きましてこのような競争性のある契約方式を採用しています。また、平成二十年度からは、法律により義務付けられた業務や、少額、百万円以下のものを除き完全に一般競争入札や一般公募による企画競争に移行する予定でございます。
  62. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 更に公平性、適正性の原則に従って御努力をお願いを申し上げまして、次の質問に移ります。  最後に、研究開発における評価についてでございます。  私は、電波利用料を、先ほど申し述べましたように、新たなる研究開発に費やすということについては賛成でございます。ただし、総務省関連団体の独立行政法人情報通信研究機構が中心になっているということでございまして、やはり厳密性といいましょうか厳格なる姿勢が必要ではないかというふうに思っています。  研究開発につきましては、これはできなかったという結論も大変重要な結論なんです。何だできないのか、どぶに金突っ込んだのかと、こういうふうにすぐそういう反応をされる方がおりますけれども、科学技術における、サイエンスにおける知見として、できないことが明らかになったということは二度とそこに無駄な研究をしなくて済むという意味で、これできるかできないかが分からないということをやっていると、いつまでもこれやらないかぬわけですから、決着が付かぬという意味で私は大切だというふうに思っているわけであります。  そのことはそのことと踏まえて、私は、研究開発事業の委託についての厳格な審査、チェック体制、そして事前事後の評価システムについて、私は、どういう体制を取っておられるのか、お分かりになる範囲の中で御説明をいただきたいというふうに思います。
  63. 寺崎明

    政府参考人寺崎明君) 電波資源拡大のための研究開発の実施に当たりましては、有識者、役所の人間じゃなくて有識者から構成される評価会を開催いたしまして、新規に実施する研究開発の必要性の判断を行う事前評価、それから委託先を公募するための基本計画書の評価、それから応募の中から研究開発の委託先を選定するための採択評価、それから毎年度研究開発の進捗を評価するための継続評価、それから研究開発終了時に研究成果を評価するための終了評価、それから研究開発終了後一定期間を経てその効果を評価するための追跡評価、これを実施することとしております。  電波資源開発のための研究開発は、平成十七年度電波法改正により新たな使途として追加されました。平成十九年度末に一部の研究開発項目について研究が終了したところでございます。平成十九年度に終了した九件の研究開発項目については当初の目的を達成しておりまして、今後民間における実用システムの開発、技術基準の策定を経て実用化される予定でございます。  このうち早期に実用化されるものとしては、船舶用レーダーを狭帯域化するための発信機の不要電波低減技術がございまして、本年中にも実用化の見込みでございます。残りの項目につきましては、平成二十三年度までに実用化にこぎ着けたいというふうに見込んでおります。
  64. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 ありがとうございました。  私の予定した質問は以上で終了いたしましたので、時間はありますけれども、潔く終了したいと思います。ありがとうございました。
  65. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 自由民主党の礒崎陽輔でございます。  今日は、五月十一日に放送されたNHKスペシャル「セーフティーネット・クライシス 日本の社会保障が危ない」についてお伺いしたいと思います。  特定の番組について質問をするのはできたら避けるべきであると私も考えてきました。当委員会で私も放送の政治的公平性について再三にわたって要請をしてまいりました。しかし、それにもかかわらずNHKは十分にこたえていただいていないと、そういう懸念を抱きましたので、今日あえて質問をさせていただくこととしたところでございます。  昨年十二月二十日の当委員会におきましても、私は橋本前会長に対し政治的公平性について質問をさせていただきました。その中で、ワーキングプアに関する放送において、国民健康保険料が払えないため資格証明書の発行を受けている事案に関し、非課税世帯の保険料はそれほど高額ではなく、保険料が高かったときに何らかの理由で滞納をしたため保険料が払えなくなったのではないか、滞納をした背景についてもきちんと放送してほしいと要望したところであります。  今回の「セーフティーネット・クライシス」は、よりセンセーショナルな放送でありまして、保険料の滞納のため二年以上保険証を取り上げられた方が、医療費を支払えないためいったん入院した病院で自ら医療の提供を拒否し、結局手遅れになってお亡くなりになったというものでした。お亡くなりになった方は本当にお気の毒であり、心からお悔やみを申し上げたいと思います。  しかし、今回も保険料の滞納の背景については何も放送されませんでした。日本国民皆保険の国であります。市町村には国民健康保険料の減免制度があり、災害に遭った場合、病気になった場合、生活に困窮した場合には一定の基準で保険料が減免されることになっています。さらに、本当に生活に困窮している場合には生活保護により医療扶助が受けられるようになっています。したがって、制度の上で医療が受けられないということには絶対にないように配慮されているわけであります。もちろんそれですべてが大丈夫だと私も言うわけではありません。制度の周知不足や現場での対応の悪さから残念な状況が全くないわけではありません。  しかし、NHKが放送の中でお亡くなりになった方の保険料滞納の背景や市町村の減免制度及び生活保護の医療扶助の適用の状況について全然触れていないわけであります。したがって、本当にどこに問題があったのかよく分からないままであります。  さらに、NHKは、保険料を滞納して保険証が取り上げられ、この二年間に全国で四百七十五人もの人が死亡したと放送したわけであります。そして、その原因はほとんどが医療費の十割負担を恐れて病院にかかることを控え手遅れになったと見られると断定をしております。ほとんど、何とか何とかと見られるという言い回しの、極めていいかげんな放送をしておるわけであります。保険証の問題と患者の死亡との因果関係を本当にNHKはきちんと検証した上で放送したのでしょうか。人の生死にかかわることを十分な検証なくして放送したとすれば、多くの国民皆さんに大変な誤解を与えることになります。こうした放送の在り方は、放送法に定める政治的公平性の観点から大きな問題があると考えます。  ところで、この番組の冒頭で国民健康保険に関して二つの病院の事例が紹介をされています。一つは堺市の耳原総合病院であります。もう一つは倉敷市の水島協同病院であります。率直に申し上げて、この二つの病院はいずれも民主医療機関連合会に加盟しておる病院であり、日本共産党と深い関係があると地元では認識されている病院であると伺っております。  あらかじめきちんと申し上げておきますが、日本共産党及び当該病院について何ら偏見を持ち、他意を持つものではありません。この点は誤解のないようにお願いをしたいと思います。  しかしながら、国民健康保険に関する放送の冒頭わずか十五分間に二つの事例、二つの病院の事例を放送しておるわけであります。そのいずれの病院も特定の政党と関係が深い病院であるとすれば、何か政治的公平性に疑念を抱かざるを得ないのであります。  放送総局長にお伺いをいたします。冒頭紹介された二つの病院のいずれの病院も特定の政党と関係の深い病院であることを御存じであったでしょうか。また、そうであれば、取材対象が余りにも偏っているという印象を持たれませんでしょうか。その二点についてお答えください。
  66. 日向英実

    参考人(日向英実君) お答えします。  最初の質問については、私自身は存じ上げておりませんでした。ただ、取材については、病院の取材というのは、様々な事情がございますので、数十件に及ぶ取材の中で、要するに取材に協力をしていただけるという病院を選んだというふうに思っております。
  67. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 承知をして、そういう状況を知っておったと言っても問題ですし、知らないというのも、いずれにしても問題だろうとは思いますけれども。いろいろ取材したのかもしれませんけれども、どういうところを取材したのか。今言ったように、特定の政党と非常に関係ある病院の事例が、たった二つしかない病院の事例がたった十五分間の放送の間に二つの病院ともそういう病院であったということはこれは事実であります。  私はNHKスペシャルのスタッフの中にこうした方面の情報に詳しい人がいるんではないかと思います。もちろん、そうしたスタッフがいること自体が悪いとは私も言いませんけれども、そうしたスタッフが放送の政治的公平性を、影響を与えているとすれば、これは大変なことであります。偏った取材、偏った内容を放送しているのではないかという疑念を抱かざるを得ません。  今井副会長にお伺いいたします。副会長は先日の当委員会で私の質問に対し、政治的公平性といいますのはジャーナリズムの基本であると御答弁なさっております。しかし、私は、こんな偏った疑念のある取材をしていて本当にNHKの政治的公平性が保たれていると自信を持って言えるんでしょうか。私は少し内部の調査をしてみる必要もあると思いますが、副会長の御意見、お考えはいかがでしょうか。
  68. 今井義典

    参考人(今井義典君) 先生の御指摘は、NHKの放送に公平性が保たれているかという御指摘かと思いますが、政治的な公平性は、前回の委員会でも申し上げましたように、私どもジャーナリストはテレビを始めとするメディアにかかわらず一番大事にしている原則であります。  放送の内容につきましては、事実に即した情報を提供し、それに即したコメント、そうしたものを放送していくことによりまして、個人的な見解や特定の主義主張に偏っていると受け取られるような表現は慎んでおります。また、意見が対立している問題を取り扱う場合には、様々なビデオのリポート、インタビューに加えまして、異なる意見をお持ちの有識者を番組の中にお招きして議論をしていただく形を取ることが一つの方法になっております。  今回の御指摘いただいておりますNHKスペシャルでは、現状での課題を、スタジオで三人の関係者、識者をお招きして、それぞれの立場から日本の社会保障について発言していただきまして、番組として十分に公平性を保っているというふうに承知しております。
  69. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 今、具体的なことはあらかじめ言っていなかったのでそういう答弁になるのかもしれませんが、そういった現実があるわけです。私は、番組内容全体を通じても、まあ番組全体が私は悪かったとは申し上げませんけれど、今言ったように、国民健康保険については、減免制度であるとか生活保護であるとか、そういうものがなぜ適用できなかったこと、それをきちんとNHKが放送していないところが問題があるというふうに申し上げているわけです。  決して私は与党寄りとか野党寄りとかそんなことを言っているんではありません。事実をきちんと客観的に報道していただくんであれば、私は何も個別の放送をあげつらって言うようなことはしません。あくまで事実であり客観的であること、それが必要だと思います。先ほどの病院の例は、まあこれは私も少し推測で物を言っておるところはありますけれど、推測で物を言っているんでありますが、そのような特定の政党と関係が深い病院が二つとも例示で挙げられる、やはりそこは何かNHKの裏にあるんじゃないかと、それは疑念ですよ、疑念を抱かざるを得ないということははっきりと申し上げておきたいと思います。  私は報道の自由というのはきちんと尊重されなければならないと考えております。しかし、それは放送法に定める政治的公平性というものをきちんとNHKが守っている限りの話であります。民放は正直言って少しひどい状況にあります。しかし、NHKは民放とは一線を画してもらわなければならないと私は思っております。政治家もできるだけ個別の放送に関し意見を言うべきではありません。また、経営委員会につきましても、この委員会の審議を通じ、個別の番組については意見を言わないというルールとされております。  そうであれば、NHKの政治的公平性を真に維持できる責任と権限を有しているのは、今日そこにお座りの会長、副会長、そして放送総局長、そのお三方しか私はいないと思います。どうか皆さん方が、現場に任せるんじゃなくて、今私が指摘したような問題を真摯に受け止めていただきたいと思います。したがって、それ以上、どうしてくださいということは私はあえて申しませんが、しっかりと放送の公平性について御尽力を賜りたいと思います。  福地会長にお伺いをいたします。  政治的公平性の確保に、今言ったような事情から、もっともっと真剣に取り組んでいただきたいと思いますが、お考えはいかがでしょうか。
  70. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 私は、会長就任以来、全役職員に対しまして、公正公平であることと、それから不偏不党であることについては口を酸っぱくして言っておりました。ただ、会長としての私が全番組をチェックしてはおりません。したがいまして、放送の部門につきましては放送総局長に権限を分掌しておりますけれども、しかし私は、それだけでは駄目なので、自分の指示していることが現場にどれだけ伝わっているかということは、かねがね私は現場主義というのを貫いておりますから、現場に出て検証しております。  この前も現場に聞きましたら、会長が現場に出てそういった委員の動きを検証したのは十年間なかったというふうなことを担当者が言っておりましたが、まず、このNHKスペシャルとか番組の解説のような非常に影響力のある番組につきましては、この前もNHKスペシャルについてどのぐらいシーズがあるんだと。このぐらいの厚さを持ってまいりました。その中からやっぱり公平に選んでいる。二番目にやりましたのは、企画をやっている部門に突然ですが出向きました。どういうふうに一つの企画についてかんかんがくがくの意見の交換をしているか。二十二名の職員が非常に熱心にいろんな立場から議論しておりました。三番目に私が出かけましたのは、あらあら作りました映像を編集する場所でございます。十数人の職員がこれも検討しております。  そういったことを積み重ねていって、私は、私の言っておりますこの放送の公正公平、不偏不党が貫いていけるように努力しておるつもりでございます。  以上でございます。
  71. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 会長からは極めて適切な御答弁をいただいたと思います。  私も、今何度も言いましたように、NHKに介入しようという気はございません。今言った御三方に私も信頼してお任せをしたいと思いますが、今日私の質問をした内容は御参考になることを申し上げたつもりであります。十分指摘申し上げたことを踏まえて、今後とも皆様方、政治的公平性を保ったNHKを実現するために引き続き御尽力を賜りたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  72. 世耕弘成

    世耕弘成君 自由民主党世耕弘成でございます。  先ほど加藤委員の方からも指摘のあったことでございますが、電波法、大変国民関係のある法律で、与野党の隔たりの大きい法律でもあったわけですけれども、衆議院の皆さんを中心とする、もちろん参議院もその中には水面下で関与をしているわけでございますけれども、共に真剣に話し合って歩み寄って今回修正案というものを得たわけでございます。  今、国民の中では、私も週末地元へ帰りますと、ねじれ国会どうなっているんだと、何か国会が機能麻痺しているんじゃないかという非常に心配の声が出てくるわけですけれども、実はこの総務委員会にまつわることに関しては、前国会では放送法、これも非常に自民、民主の距離の大きかった法律ですけれども、お互いに歩み寄って修正案で可決をされました。そして、今回この電波法ということになりました。しかも、この修正の中身も両方非常に共通していまして、前回放送法は、いわゆるNHKの経営委員会の権限について、その他と書いてあったところをすべて限定列挙していった。今回も、電波利用料の使える範囲について、事務費の使える範囲について、その他となっていたところを限定列挙して歯止めを掛ける。これは、ある意味私は政治の判断として、これから政治主導を実現していく上でも非常に意味が大きかったのではないかなというふうに思っております。  できれば、自民、民主両党のもうちょっと偉い幹部の方にもこの総務委員会の動きを見習ってほしいなという思いもあるわけでございますけれども、是非これはしっかり議事録にとどめておくという意味で、このねじれ国会と言われている中で、二つの大きな国民生活に影響する法案についてしっかりと歩み寄って成果を出したということについて、与野党一名ずつ代表いただきまして、山口議員と原口議員から御感想をお伺いをいたしたいと思います。
  73. 山口俊一

    衆議院議員(山口俊一君) まず、今回の様々な総務委員会の運営に関しまして、大変御評価をいただきまして有り難く思っておりますが、同時に、常に参議院の先生方ともいろいろ御相談をさせていただいて、ある意味で与野党を通じて議論の中でこうした結果が出てきたものだろうと思います。改めて感謝を申し上げたいと思いますが。  昨年の放送法のときにも申し上げたんですが、本来、国会というのは、やはりお互い与野党が話し合う中でより良き結論を得るというふうなことなんだろうと思います。しかも、昨年の参議院の結果といいますかあの民意というのは、与野党しっかり話合いをしなさい、より良きものを生み出しなさいということなんだろうと実は私理解をいたしておりまして、そういった前提の下で双方謙虚に取り組むというふうなことでやらせてきていただいたつもりでございます。  放送法に関しましても、大変大きな対立点も実はございました。しかし、お互い良識の中で解決ができて、しかもより良きものが、しかも分かりよいものができたというふうな自負も実はございます。今回の電波法もしかりでありますが、実は交付税法もそういったことがございまして、減収補てん債、これも自由に、自由にといいますか、単年度じゃなくてというふうなことで御修正をいただきました。  やはり我が総務委員会というのは衆参共に大きな成果を上げておるというふうに思うわけでありますが、なかなか全体としては動いてくれないなという感想がありますが、是非とも当委員会を参考にして国会がしっかり国民の負託にこたえるようにと念じておるような次第でございます。
  74. 原口一博

    衆議院議員(原口一博君) お答えいたします。  御指名いただきましてありがとうございます。また、日ごろから情報通信政策あるいは規制改革ということで世耕委員とは御一緒させていただいておりまして、まさに今回、御指摘のように、放送法、電波法というのは、国民の権利、国民の知る権利やあるいは民主主義のプラットホームそのものですね。報道の自由、放送の自由、あるいは社会基盤、教育の安定ということからしても大変大事なものでございまして、ここで私たちが心掛けたのは、対立よりも協調を、そして差異よりも共通認識をということでございました。参議院の先生方の御指導がなければここまで来ていないというふうに思いますので、委員長を始め皆様に本当にお礼を申し上げたいと思います。  そして、先ほど政治主導というお話がございましたが、まさに私は、そのお言葉のとおり、立法府主導ということを私たちは心掛けたつもりでございます。憲法は二院制における議院内閣制を規定していますが、憲法六十六条、内閣は国会に連帯して責任を持つ。ますます、これは一院制をお考えになる方々もいらっしゃるようでございますが、私は、むしろ参議院のこの役割、先生方の責務というものがますます大きくなって、ねじれ国会と申しますか、逆転国会における参議院の御意思が大変大事になってきているんではないかと、このように思います。ですから、今問責だどうだという話がございますが、法的効果がないなんということを私たちは学校で聞いたことは全くありません。むしろ参議院の御意思が、これは、憲法六十六条は内閣は国会に連帯して責任を持つと書いてあるわけで、衆議院に連帯して責任を持つとは書いてありません。参議院の御意思をますます重きものとして私たちは立法にいそしんでいきたいというふうに思いますので、御指導をよろしくお願い申し上げます。  ありがとうございます。
  75. 世耕弘成

    世耕弘成君 是非こういう、しっかり党派を超えた課題解決の姿勢というのを国会全体に広めていきたいなというふうに改めて思っている次第でございます。  衆議院の先生方、どうぞ、もうこれでほかに質問ございませんので、結構でございます。  私は結構新し物好きでございまして、DVDレコーダーが出たときもすぐ購入をいたしました。ハードディスクレコーダーもすぐ買いました。去年のボーナスではブルーレイレコーダー、ブルーレイディスクのレコーダーとプレーヤーを購入をいたしました。ブルーレイは本当にきれいですね。今までのDVDは何だったんだろうと思うぐらい本当にきれいな映像が見れるという意味で楽しんでおるわけですけれども、常にテレビを録画するデジタル機器でいつも困っているのは、コピー制限が掛かっているんです。コピーワンスといいまして、一回しかともかく録画できない。それを例えばじゃDVDに保存しようと思ったら、DVDにコピーするんじゃなくて、DVDに移動させるしかなくて、ハードディスクにせっかく取った番組は消えてしまう、いわゆるバックアップが全く取れないという状況になっていて、幾らこれ著作権保護のためとはいっても、何でここまで不便な思いをしなければいけないんだろうかということを常日ごろ思っていたわけでございます。  それがようやく今回、放送事業者とそして機器メーカーと権利者の間で、これ総務省が間に入って情報通信審議会で整理をして、この六月からダビング10という形で、少なくとも十回はダビングできる、当然私的使用範囲でということになりますけれども、ダビングができるようになりました。  ところが、最近新聞を読みますと、このダビング10がどうも導入延期になるんじゃないか、なかなかまた権利者とメーカー側の話合いがうまくいっていないんじゃないかという話が出てきておりますが、その辺の事実関係についてまず総務省に確認をしたいと思います。
  76. 中田睦

    政府参考人(中田睦君) 今、世耕先生からお話ございましたように、本件につきましては、デジタル放送の録画回数を何回にするかということでございまして、これにつきましては、特に法律で定められているということではなくて、基本的に関係者の間で合意をし、標準化をして施行しているという問題でございます。  現在の地上デジタル放送が始まりましたときに、この点につきましては、アナログからデジタルになるということで、劣化をしないで何度でも録画が大量にできるということがございまして、関係者間で、いわゆるコピーワンス、一回だけコピーができるということで現在に至っているところでございます。  しかしながら、これにつきましては、ワンセットしかコピーできない、あるいは今お話ございましたように、ムーブするときに失敗をすると、そうすると全部消えてしまうと、そういった点が消費者の方から御指摘を受けていろんな問題点が指摘されたところでございます。  こういう点を踏まえまして、総務省におきましては関係者間にお集まりをいただきまして何とか合意形成をしたいということで、情報通信審議会の中に委員会をつくりまして検討してまいりました。その結果、昨年の八月にこのコピーワンスのルールをダビング10という、十回までコピーできるということで関係者は基本的に合意が形成されたということでございまして、これに基づいた提言をいただいてございます。  その後、これにつきましては、放送局の方で信号を変えるとかそういう技術的な対応が必要になってまいりました。そういう点で、今年の六月というのを目途にそういう技術的な作業を終えようということで作業が進んでまいりました。現在、その方向に向かいまして、関係者が残された点を含めて合意形成に向けて努力をしている、そういうことで私どももその合意形成に向けて努力をさせていただいているという状況でございます。
  77. 世耕弘成

    世耕弘成君 じゃまだ六月頭からの導入をあきらめたわけではないということですね。そういうことですね。  それで、私が調べた範囲では、放送側の電波の信号を変更する技術はもう終わっています。機器側の方も、これは最近放送でソフトの更新がリモートでできるようになっていますから、それで対応できるようになっているわけです。あとは権利者さえ納得すればこれは終わるわけですから、しっかりやっていただきたい。  特に、これからボーナス商戦なんです。六月頭にセットしたというのは、やはりボーナス商戦でしっかり新しい機器を買ってもらおうということを考えているんです。これがもしできなくて八月、九月に延期になったら、これ買い控えが起こるわけです。これまたあの建築確認と同じような、政治の行いによって不景気が起こってしまうというようなことになります。今家電メーカーにとってはこれ非常に重要なハードディスクレコーダーというのは商品ですから。そしてまた、北京オリンピック、これ間に合わなかったら大変ですね。消費者からすれば、やっぱりこれをきれいな映像で取って、そしてダビングをして自分の宝物として、思い出として保存しておきたいという思いがあるわけですから、これ万が一延期になったら消費者には多大な迷惑が掛かります。  絶対に延期にならないようにしっかり総務省として努力をしていただきたいと思いますが、総務大臣、どうお考えでしょうか。
  78. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今の御指摘の点でございますけれども、昨年、情報通信審議会で相当回数を重ねて、そして関係者間の基本的な合意に至ったということでございます。何か随分難しい問題をそうやって関係者がいろいろ入って努力したわけでありますから、これが私も国民のために一番いいことだと、この基本的な考え方を実施していくことがいいことだというふうに思うわけでございます。ですから、早期に答申の提言が実現されるために、私どももやっぱり努力していかなきゃならないと思いますし、それから、そのことによって消費者の利便性向上ということが図られるということでございます。  そういうことで、最終的な消費者あるいは国民の利便性の向上のために今後も努めていきたいと、こういうふうに考えております。
  79. 世耕弘成

    世耕弘成君 この問題はどうしても文化庁とそしてメーカーを所管する経済産業省ばかりが出てきていて、本来これ放送が絡む問題ですから、総務省の影が薄くて心配だなと思っていたんですが、今大臣から消費者に迷惑を掛けないようにしっかりやっていくという決意が述べられましたので、安心をしたいと思います。  そもそもこの問題、何でこういうことになったかというと、いわゆるiPodとかハードディスクレコーダーに私的録音録画補償金というものを新たに掛けるかどうかの議論で、これが権利者側の満足のいく形でなかなか進まないものですから、一種このダビング10が、江戸の敵を長崎で討つじゃありませんが、一種人質のようなものになって進まなくなってしまっているという問題なんです。  私は、この私的録音録画補償金なんというのは本当にどんぶり勘定で、今MDとかDVDレコーダーには乗せられている、あるいはDVDそのものにも乗せられているんですけれども、どんぶり勘定で二百円とか三百円というお金を乗せて実質消費者からお金を集めている。これが権利者に正確に渡っているんならいいんですが、その間にまたいろいろ介在する団体もあって、どうも不透明な使われ方をしている面もある。  私は、こういう私的録音録画補償金なんという制度はMDとかそういう古い道具とともにもう消えていってほしい。今もうデジタルの時代ですから、いろんな技術の展開によって、あるいはしっかりとした契約のやり方によっていろいろ解決できる問題はあるんですよ。番組ごとに、いい番組だったら高い値段を設定すればいいし、そういうことをやっていけばいいわけなんですけれども、それをともかくいまだにどんぶり勘定で解決をしようということ、これが私はそもそも間違っている。そのことがうまくいかないからダビング10を人質に取って六月から実施をさせないなんということは、これは本当に私はおかしいことだというふうに思います。  特に、放送を録画する機械に関して制限が掛かっているわけです。今もコピーワンスだし、今これから解禁されたとしても十回までしかコピーできません。大量にコピーしてそれを販売するなんということはできなくて、あくまでも私的範囲でしか使えないような技術的制限が掛かっているんです。にもかかわらず、私はこういう補償金といったものを取るということは間違っていると思うんですが、これは放送を所管する総務大臣としてどうお考えでしょうか。
  80. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) お答え申し上げますけれども、ただいま先生から御指摘いただきました点というのは大変重要な御指摘でございまして、デジタル放送の録画において視聴者の利便性が確保されるというのは大変私は重要な観点だろうというふうに思います。  この関係について、今文化庁の方で、著作権法を所管しているものですから、どうしてもあちらの方で、いろいろな従来の経緯も含めた議論があって、そして、高品質な放送コンテンツを確保するための、コンテンツが適切に保護されるための制度としてやはりこういうのが必要だといったような意見もやはりあるようでございます。  私は、そうした面については、政府として言えば、そういった文化庁のところで議論するというルールになっておるものですから、そこの議論をよく見ていきたいというふうに思いますが、ちょうどたまたまでしょうか、今日のある全国の有力紙の社説でも、文化庁は補償金制度は将来なくす方向としながら、こうしたことについてまだいろいろ議論しているといったようなことが出ておりまして、社説全体としては本当に補償金は要るのかどうかということで、今日、書いているものを拝見をいたしました。  大きな議論の流れ、補償金制度を将来なくす方向としているということであれば、何かいずれにしても解決の糸口があるのではないか、そして時期がやはり大きな、北京オリンピックなどの時期が来ていますので、私どもも早期にこうした場で適切な調整を文化庁の方で行っていただきたいと、このように考えているところでございます。
  81. 世耕弘成

    世耕弘成君 是非、総務大臣としても、これは放送にかかわる分野ですから、関心を持ってしっかり調整に入っていただきたいと思いますね。  私、そもそも、もちろん権利者の権利保護は非常に重要だと思っています。これからコンテンツ振興のためにも、才能あるアーティストにはやっぱりちゃんとしたお金が入ってくるという仕掛け、これを海賊版とかによって奪っては絶対にいけないと思っていますが、しかし一方で、私、もう一つ重要な論点は、公共の電波テレビ放送とかに出て公共の電波を利用して国民に見てもらうという、これは特権ですよね。私が幾ら歌を歌ってもそれでテレビでは絶対に放送はしてくれないわけでございまして、そういう特権をまさに享受している、公共の電波を一時的に個人的に独占して使用するという特権を享受している、こういう放送で使ったコンテンツについては私は権利者の権利について一定の制限があっていいんじゃないか。紅白歌合戦で歌えばやっぱりCDが売れることにつながるわけですよ。  ですから、やっぱり放送コンテンツについては一定の歯止めが掛かるべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  82. 中田睦

    政府参考人(中田睦君) 御指摘のとおり、放送のコンテンツにつきましてはいろんな面で、二次利用でございますとか随時に利用したいと、そういった要望があることは当然だと思っております。  また他方で、放送番組の場合には、いい番組、質の高い番組が日常的に継続して提供されていくということが必要でございまして、そういう点では、権利者の方たちにも十分な待遇といいますかリスペクトが払われていると、こういうことも必要だと思います。そういう点の利害の調整といったものから考えていくということが必要だと考えております。
  83. 世耕弘成

    世耕弘成君 いずれにしても、この問題は重要な問題ですので、これから私も関心を持って、勝手に補償金がデジタル機器に上乗せされることがないように、これは野党の皆さんとも連携してやっていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  続きまして、今問題になっております電波利用料からまたレクリエーション費が払われていたという件でございますが、少し野党の皆さんとは違った視点で議論させていただきたいと思いますが、そもそも電波利用料からなぜ人件費が出ているんでしょうか。そのことについてまず御説明をお願いしたいと思います。
  84. 寺崎明

    政府参考人寺崎明君) 電波法第百三条の二の第四項の規定は、電波利用共益事務につきまして、受益と負担のバランスを保つため、電波利用共益事務処理に要する費用の財源に電波利用料を充てることとしているところでございます。これらの事務に従事する職員人件費はまさにここで言う電波利用共益事務処理に要する費用であるため、電波利用料から充てているものでございます。
  85. 世耕弘成

    世耕弘成君 何か訳の分からない説明ですけれども、要するに、受益と負担を明確にするため、電波に関連する人件費電波利用料でしっかり出していくということを明確にされているんだと思います。  これ民間企業では当たり前なんですね。管理会計ということで、私もNTT時代、経理課長をやっていたこともあるんですが、非常にそういう人件費は細かく分けます。例えば、一人の人間でも、その人が設備投資にかかわる仕事をやっているのか、あるいはいわゆる普通の損益にかかわる仕事をやっているのかというのを細かく取っていって分けていきます。あるいは事業部別に、オーバーヘッド部門であれば、どの事業部のためにどういう仕事をしたかというのをちゃんと時間割でコストを配分していくということは当たり前のようにやるわけなんですね。  私は、本来は大臣人件費だって、ここで電波利用料に関して答弁している分は電波利用料から出るべきだと私は思いますよ。ただ、恐らく国はそこまで細かくやっていないんでしょうけれども、なるべくコストと受益と負担を明確にしていくという趣旨でやっておられるんだと思います。そういう意味で人件費が出ているわけです。  私は、人件費には当然福利厚生費も伴ってくると思っています。これは、遊興費のたぐいではありませんよ、いわゆる仕事の能率を上げるとか健康増進につながるような、そういった私は福利厚生費は当然電波利用料から出しておいた方が受益と負担は明確になるというふうに考えているわけなんです。これをすべて否定してしまうというのは私はおかしなことになるような気がします。  人事院にお伺いしたいんですけれども、国家公務員には福利厚生費は認められているんですよね。福利厚生費は、あんたら税金で雇われているからもう給料しか駄目だと、いわゆる福利厚生のようなフリンジベネフィットは全部駄目だということになっているわけじゃないですよね。そこを確認しておきたいと思います。人事院、お願いいたします。
  86. 川村卓雄

    政府参考人川村卓雄君) 国家公務員につきましては福利厚生経費が設けられてございます。
  87. 世耕弘成

    世耕弘成君 何かえらいあっさりした答弁でしたけれども、人事院としては当然福利厚生費はだから出していいということ、中身にもよると思いますけれども、出していいということだと思いますね。それが、恐らく健康診断の費用とかそういったところはみんなコンセンサスを得られるんでしょうけれども、それがソフトボールとかになってくるとちょっと微妙と、旅行会とかいわゆる飲食になってくるとこれはアウトというようなところもあるんではないかというふうに思いますけれども。  私は少なくとも、これすべてを否定して一般会計へ持っていったって何も変わらないわけですよ。電波利用料の世界で適切に使うべきものについてはやっぱり電波利用料からしっかり出しておくべきだと思います。特に、人に付随する本当に必要な福利厚生費や、あるいは福利厚生費には計上されていないかもしれませんが宿舎の修繕費、これなんかも、電波利用料使途が、本当に使っている宿舎であればできる限り電波利用料から出していくべきだと思うんですけれども。  こういう電波行政にかかわるコストをより正確に把握するという観点から、私は出すべきものは電波利用料から出すべきだと思っておりますが、ここに関して総務省としてのお考えをお伺いしたいと思います。
  88. 寺崎明

    政府参考人寺崎明君) 電波利用共益事務に従事する職員の福利厚生費や宿舎の修繕費につきましても電波利用共益事務処理に要する費用に該当するところと考えています。電波利用共益事務処理に要する正確な費用電波利用料を充てることで受益と負担のバランスが保てることになると考えられることから、こういった費用についても電波利用料を充てることとすることは適当ではないかなと考えます。  ただし、レクリエーション費のように免許人等理解を得ることが困難と考えられるものについては先ほど申し上げましたとおり支出しないこととするような、そういった考え方でございます。
  89. 世耕弘成

    世耕弘成君 レクリエーション費だって、私は社会通念上認められる範囲であれば入れたって構わないと思いますから、そこら辺はより受益と負担を明確にするという目的を忘れることなくこれからもしっかりやっていただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  90. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時二十四分休憩      ─────・─────    午後一時二十分開会
  91. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) ただいまから総務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、電波法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  92. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。  電波法の一部改正案、質問をさせていただきますが、いわゆる特定ラジオマイクについてまずお聞きしたいと思います。  今いろんな、クラシックでありますとかあるいは演劇でありますとか、あるいはポピュラーコンサートみたいになっちゃうと大きな野球場を使って若者もたくさん参加したそういうコンサートがあると、みんなこの辺、耳にイヤホン付けてマイクを当てているという、そういうような状況でございますが、こういうコンサートとか増えること自体は本当文化芸術立国を目指す我が国としては大変いい傾向であるというふうに考えているわけでありますが、そういう中で、やっぱり高度な音響効果を伴うようなイベントが増えてきていると、今言ったような大型のコンサートとかそういうことだと思いますが。  ただ、国内の現状では、例えば「ライオンキング」では二十八波、帝国劇場ではB型も含めて三十八波、これが限界ぎりぎりだということでございます。結局、例えばウィーンのミュージカル「エリザベート」、これが本国では三十八波、予備含めて、予備が二波ありますから四十波で対応していると。ところが、日本でやろうとするとそれ足りないわけですから、結果として三十二波で対応せざるを得ないというようなことのようで、場合によっては公演自体も断念せざるを得ないような、そういうことになっているようでございます。  やはり、使いやすいようにといいますか、文化芸術立国を目指す以上、やはり特定ラジオマイクについても本当に改善していかなきゃいけないなと思っておりますが、この現状について総務省としてどういうふうな把握されておられるんでしょうか。
  93. 寺崎明

    政府参考人寺崎明君) お答え申し上げます。  高品質な音声、音楽等の伝送が求められる演劇、コンサート用のワイヤレスマイクとしまして、平成二年から特定ラジオマイクが利用されているところでございます。現在、特定ラジオマイク用周波数は八百メガヘルツ帯に百四十二チャンネルが割り当てられているところでございますけれども電波の干渉による音質劣化を回避するため、同一場所ではチャンネル間隔を離して二十チャンネル程度の数で利用されていると聞いております。  一方で、近年、先生指摘のとおり、ミュージカルなどの大規模なイベントにおいては多くのワイヤレスマイクが使用される傾向にございまして、舞台現場における特定ラジオマイクの需要が大変高まっているという状況でございます。そのため、それらの需要に対応するため、電波周波数、有効利用を図りつつ、特定ラジオマイクの利用可能な数を増やしていくためデジタル方式の導入等の対応が必要と認識している状況でございます。
  94. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 いろいろ調べますと、例えば、私も宝塚好きなものですから結構行きますけれども、東京の宝塚劇場、これは今おっしゃったように二十波で対応しているようなんですね。百四十二波と言われても百二十五キロヘルツずつ間隔を空けなきゃいけないと、そうなってくるんだろうなというふうに思うわけでありますが、ただ、二十波で本当に大きな劇団員がいて生徒さんがいて対応できるのかということがございます。  やはり高度化していくべきであるというふうに考えているところでございますが、情報通信審議会ですか、専門の作業班つくって検討をしているようでございますが、その検討状況あるいはそのタイムスケジュールはどういうふうになっているか、お聞かせいただきたいと思います。
  95. 寺崎明

    政府参考人寺崎明君) 先生指摘のとおり、ミュージカルを始めとする大規模なイベントに多くのワイヤレスマイクが使用されるケースが増えてきておりまして、その需要にこたえていくことが必要と考えています。  一方で、電波周波数、有限であることから、それらの需要にこたえるためには、音質を損なわずできる限り多くのマイクの利用を可能とするため、ワイヤレスマイクへのデジタル方式の導入を図ることが必要と考えております。そのため、総務省では今年の三月から情報通信審議会におきましてワイヤレスマイクへのデジタル方式の導入を図るための技術的条件等につきまして検討をいただいているところでございます。  今後、情報通信審議会における検討結果を受けまして、本年中を目途にデジタル方式のワイヤレスマイクが導入できるよう取り組んでまいる所存でございます。
  96. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 いろんなところから要望があるだろうと思いますが、例えば日本舞台音響家協会は、デジタル化するのもいいかもしれないけれども、是非アナログも残してもらいたいと。確かに、我々の言葉はアナログですから、それをデジタルに変換して、更に飛ばして更に元に戻す、それだけ遅延という問題があるんだろうというふうに思いますし、また大きな野球場みたいなところを使うような場合は、実際の例えばドラムの音だったら、百五十メートルぐらい離れていくとかなりの、電波を使ったその音声と生の音声とのラグも出てくるということになると思っておりますが、それを少しでも遅延を少なくするという意味でもアナログをやっぱり残しておく必要があるのではないか、そんなふうな意見がございますし、もとより一番多いのは、チャンネル数の拡大。先ほど申し上げたように、やっぱり四十波ぐらい出せるようにしないと世界的な演目については対応できないのではないのか。さらに、欧米ではどうも空中線電力、百ミリワットぐらい飛ばしているようでございますが、それが今のところずっと十ミリワットぐらいで押さえ込まれていて、その辺どうなんやという、何とかそれに対応してもらいたいというような御要望も出てきております。  今その作業班の中で議論をしていただいていると思いますけれども、その辺に関する総務省の御検討状況、また御見解をいただきたいと思います。
  97. 寺崎明

    政府参考人寺崎明君) 今現在、情報通信審議会に専門の作業班を設けまして、技術的な専門家のほか、利用者である舞台芸術関係の専門家にも参加していただいております。  この中で、舞台芸術関係者の立場からは、デジタル方式の導入による利用可能なチャンネル数の拡大、それから大規模なステージ等でも円滑な利用を図るための送信電力の増力、それからデジタル方式を利用する場合、伝送の際遅延を生ずることから、リアルタイム性が求められる演劇等でのアナログ方式の引き続きの利用、こういったような御意見もいただいているところでございます。  今後、これらの御意見も踏まえまして、他の無線局との干渉の除去技術やアナログ方式とデジタル方式の共存技術の検討、こういったようなことを検討しながら周波数の有効利用にも配慮いたしまして、ワイヤレスマイクの高度化の実現に向け、更なる検討を行ってまいりたいと考えております。
  98. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 でかい舞台になればなるほど香盤表だって大変な状況になっているわけですから、是非前向きに御検討をいただいて、より舞台芸術といいますか、音楽も含めて振興をするように御配慮をいただきたいというふうに思っております。  次に、地デジの問題でございますが、二〇一一年の七月二十四日目指して努力しているというふうに思っているわけでございますが、本当に完全移行ができるのかと。頑張っていただいて、二〇一〇年までにはそのカバー率、民放で九九%、NHKでは九九・五%というふうにお伺いしておりますが、残る一%弱が難視地域が残るということになります。これらの地域に対する対応は、暫定的に衛星使って東京の電波を送りますよということでございますが、この五年間、暫定期間が終了するまでに送信環境を整備するということになると思いますが、その推進はだれの責任において行われることになるんでしょうか。  また、受信機の普及率でございますが、先ほども北京オリンピックという話が出ました。絶好のチャンスだと思っておりますけれども、その普及率の現状認識、また目標達成のための対策についてどのようにお考えなのか、お聞きしたいと思います。
  99. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 私ども総務省におきましては、現在デジタル中継局及び共聴施設の整備を促進いたしまして、アナログ放送を御覧になっております全国の受信者の方々にデジタル放送を御覧いただけるよう全力で取り組んでいるところでございます。  こうした中継局あるいは共聴施設の整備を進めるほか、どのような場合におきましても、二〇一一年に地上デジタル放送を御覧いただけない世帯が生じることのないよう、まさに言わば最後のセーフティーネットとして衛星を活用して放送を送り届けることについても検討しているところでございます。  総務省としては、こうした衛星を用いざるを得ない地域が発生する場合でも、二〇一一年のアナログ停波後、先生指摘のように、できる限り早期に地上系の放送基盤で地上デジタル放送を送り届けるよう、放送事業者によりますデジタル中継局の整備等に鋭意取り組んでまいりたい、かように考えている次第でございます。  次に、受信側でございますけれども、現在の普及状況を申し上げますと、本年三月時点でデジタル放送対応受信機の普及世帯は約四三・七%、約二千二百万世帯。受信機の出荷台数で申しますと、約三千三百七十万台に達している状況にございます。これは、地上デジタル放送開始前の二〇〇三年に私ども立てた目標におおむね沿っているものでございます。ただ、二〇一一年のアナログ放送終了までにということになりますと、五千万世帯、一億台の普及を目標として取り組んでいるところでございまして、この目標の達成のためには更なる取組の強化が必要と認識しております。  したがいまして、例えばデジタル放送のメリット、あるいは戸建てあるいは集合住宅、そういったいろいろな受信形態に応じたデジタル放送への対応方法等に関します周知の徹底、あるいはきめ細かな説明、相談体制を整備していきますとともに、簡易で低廉なチューナーの普及等に取り組みまして、先ほど申し上げました目標が達成できるよう万全を期してまいりたいと、かように考えている次第でございます。
  100. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 デジタル放送というのはきれいですから、受信機買える人はどんどんどんどん買っていくという形になると思いますが、これからが一番大変なんだろうなと思っております。  今年の二月二十五日、岐阜県のある市議と増田大臣のところに、一枚ペーパーでございましたが、署名を持ってお伺いをさせていただきました。チューナーを安くしてくださいねとか、あるいは岐阜の山の中ですから難視聴地域も出るわけでございますが、特に低所得者、生活保護世帯など、このチューナーの出費が家計に大きく響く方々について何とか配慮をしていただきたいということで、要望書、署名も付けてお願いに参上いたしました。  そのとき、夏までに対策をきちんと決めますからという力強い大臣のお言葉をちょうだいしたわけでございますが、改めて、経済的弱者への支援策、検討状況、また御決意をお聞きしたいと思います。
  101. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) お答え申し上げます。  先ほど簡易なチューナーについてのお話ございましたけれども、それだけではいけないわけでありまして、今お話ございましたとおり、経済的に困窮度が高い世帯に対しての支援措置というものをきちんと講じないとこの地デジのアナログ停波というものには至らないというふうに思っております。  そこで、情報通信審議会でいろいろな観点から御審議をいただいておりまして、どういうものを対象に、どういう範囲で経済的な困窮度が高い世帯に対しての支援措置を考えていくのか、今熱心に御議論をいただいております。  私ども、夏までにということでございますが、これはきちんとそれまでに御提言をいただけるようになっていますし、それを受けて、夏までにと言いましたのは、それを受けて総務省の方針をきちんと決めると、それも夏までに行いたいと。そして、来年度に向けて仮に概算要求等が必要なものはその中にしっかり盛り込むとか、そういう意味での期限が夏までになければいけないと思っておりますので、そういう対応を取って、やはり総務省として、この問題、特に経済的な弱者の皆様方に対しての対応いかんがこのデジタル化を成功させるかどうか大きくかぎを握っていると思っておりますので、きちんと取組をしていきたいというふうに考えております。
  102. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 どうぞよろしくお願いをします。  私、住んでいるのは名古屋市昭和区というところでございますけれども、ちょっと行ったら東山というところがございまして、動物園もありますけれども、タワーがございまして、そこでUHFが発信されている。主に今まではアナログは名古屋タワーで発信されておりますが、この地デジに関しては平成十五年十二月から瀬戸タワーという、全然違う場所にあるわけですね。アナログからデジタルに移行するに当たって送信点が大きく変わるというのはこの中京地域だけでございまして、新たな電波障害が出るんではないのかということで心配をしているところでございます。  総務省としても、昨年から実態調査をしていただいて、受信障害解消に向けて努力をしていただいているわけでございますが、ようやく最終報告がまとまったとお聞きしてございます。概括的に、どんな状況なのか、最終報告書について御説明をいただきたいと思います。
  103. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 今先生指摘になりましたように、いわゆる中京広域圏というところでは親局、首都圏でいいますと東京タワーに相当するところが地上アナログ放送の親局、送信位置から大きく移動しております。こうした特別な事情から、他の地域と異なりまして既存の建築物による新たな受信障害、つまり新たなビル陰でございますが、そういったものが発生している可能性があるんではないかという御指摘もちょうだいしたところでございます。  こうした受信障害への対応は、一般的には建築物所有者と住民の方々との間で話合いによります解決を行うことが原則でございますが、本件につきましては、こうした中京広域圏の特別な事情にかんがみまして、放送事業者、さらには私ども国も協力しまして解決に向けた検討を進めてきたわけでございます。  これを受け、総務省では昨年十月から、こうした瀬戸タワーの移転に伴う具体的な影響地域、世帯数の把握といった調査を行ったところでございますが、先般取りまとめられた調査結果によりますと、こうした新たな受信障害といいますのは発生はしているものの、その影響は比較的小さく、例えば広域局、つまり愛知、岐阜、三重の三県をエリアといたします局の場合、新たな受信障害の区域内世帯数は約六百世帯と推定され、この世帯への対策費というものは一億円を若干超える程度というふうに試算されているところでございます。ただし、県域局、つまり愛知県内だけを対象としている局につきましては、電波特性上、新たな受信障害の影響も広域局と比較して大きいと推測されておるところでございます。  いずれにいたしましても、今後、総務省としては、こうした結果を踏まえまして、具体的な解決策を検討すべく関係者間で調整するとして取り組んでまいりたいと、かように考えている次第でございます。
  104. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今局長からは広域局については一億円強というような言葉が出たわけでありますが、県域局はどの程度の費用が掛かるというふうに推定されておられるでしょうか。つまり、県域局というのは出力が広域局よりも多分小さいわけですよね。小さいから、それだけ受信障害が発生するエリアが広がるというふうに考えられるわけでございますが、それについて、県域局についての影響、今ちょっと出ましたけれども、具体的にどういうことを想定されておられるのか、是非視聴者の側に立った検討がなされてもらいたいと思っておりますが、その辺ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  105. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 先生指摘になりましたいわゆる県域局でございますが、具体的に局名で申しますとテレビ愛知という放送局になりますが、この放送局は県域放送でございまして、同じ場所の瀬戸タワーから放送される他の広域局と比較いたしまして電波の送信出力が低いという事情がございますので、この送信点移転に伴います新たな受信障害の影響が広域放送以上に想定されます。具体的に言いますと、十倍とかそういったような、あるいはそれ以上の影響が想定されているところでございます。  総務省といたしましては、関係する放送事業者と連携いたしまして、放送局電波の、このテレビ愛知の局の電波の送信方法というものを改善するということでその受信障害の軽減を図ると、そういった方向で具体的には今後検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  106. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 送信方法といっても一定の周波数でタワーから発信するしかないわけで、ただ、さきに十倍というお話もございましたけれども、そうすると、一億強といった、十倍というようなイメージに受け取れるわけでございます。大変な金額になっているわけでございますが、是非視聴者側に立った解決策を御検討をいただきたいと思っているわけでございます。  さて、午前中の質疑からも電波利用料の話が随分出ました。携帯事業者放送事業者との対比の中で、余りにもちょっと放送事業者電波利用料が割安じゃないのというような御指摘だったと思います。引用された資料も大体七倍ぐらいの格差があるねというような御指摘です。  私が思うに、一般の視聴者の側からすれば、そんなに安く電波を利用して、独占的に利用して収益を上げているのかというような、一方でこの難視聴対策、お金掛かるねと言って、総務省も苦労しておいでになる。先ほどもあったように、午前中もあったように、a群、b群というような話で、経済的価値にも着目したこの利用料の設定というふうに言われているわけでありますが、しかし、この難視聴対策といいますか、それにも費用がないですよというような言われ方されてしまうと、何かこう釈然としないというものが残るわけでございます。  もっともっときちっと見てもらって初めて放送事業者の方もメリットがあるわけですから、その辺を勘案をしたこの電波利用料の設定、またその制度見直しということも考えてもいいのではないかというふうに私思うわけでございますが、もう一度、午前中と重複するかもしれませんが、その辺に関する御見解をいただきたいと思います。
  107. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) お答えを申し上げますが、この電波利用料負担の考え方につきましては、やはり負担の公平性ということが十分に考慮されなければいけないと思いますし、そうしたものが現実にきちんと実現をされないと、電波の受益人それから国民皆さん方に御理解をされないというふうに思っております。  そういうことで、今回の見直しの中で、他の無線システムと同様の考え方に基づいて負担をいただくというような、そういう考え方を取り入れたということでありますが、テレビ局、テレビ事業者に対しての激変緩和措置等なども入れております。ですから、その間の格差を前提に、しかし一方で、やはりどうしても制度を変えるときに余り急激な変化というわけにいかないものですから、激変緩和措置なども取り入れながら、この負担の公平さということを実現していこうと、こういう観点に立って今回改正を御提案しているものでございます。  今後やはり、今委員指摘あるいは午前中も御指摘ございましたけれども、そうしたことを常に考えて適切に三年ごと見直しをしていくということが大事だと思いますので、改めて私ども、こういう適正さの確保の観点から見直すということの規定が衆議院の修正でも加わっておりますので、その規定が追加されたことも踏まえて、きちんとした適時適切な見直しを行っていきたいと、こういうふうに考えているところでございます。
  108. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今大臣おっしゃったこのことに関連して、この電波利用料制度に関する報告書の、この研究会報告の、「次期においても、電波利用共益事務は、現行の定義・解釈を維持し、」というようなお考えの下であるようでございますけれども、取りあえず維持しますよというようなふうに私は見えるわけでございまして、是非よく御検討をいただきたいというふうに思います。  次に、リテラシーということについてお聞きをしたいと思います。  突然、先ほども、午前中もございました修正に係る部分で、リテラシーという言葉が飛び込んできたというか、入ってこられました。これまで電波利用共益事務として、電波の人体への安全性の調査が電波利用料を財源に行われてきておったわけでございますが、今回、衆議院による修正によって、新たな使途として電波の人体等への影響に関する調査ということが明記されたわけでございます。  これまでも実はこの利用料を財源に研究とかやってきたわけでございますが、具体的にどのような研究が行われ、またその研究結果がどのように活用されているのかお聞きしたいと思っております。また、基地局、例えば携帯電話基地局の建設に際して、住民の不安を解消するためにもまず電磁波の安全性についての周知を徹底することが必要であると考えますけれども、今後の取組についてお聞きをしたいと思います。
  109. 寺崎明

    政府参考人寺崎明君) 電磁波の人体への影響につきましては、国際非電離放射線防護委員会、こういったものがございまして、こういったような国際機関が安全面から見た国際ガイドラインを作成しています。総務省としても、電波の人体への影響に関する調査を行っておりまして、人体の保護のため、この国際ガイドラインを参考に広く医学者等からの御意見をいただきながら、総務省令として今現在電波の安全基準を定めているところでございます。  また、総務省で平成九年より開催した生体電磁環境研究に関する研究会では平成十九年の三月に調査結果をまとめまして、電波の安全基準の範囲内であれば健康に悪影響を及ぼす証拠はないことを再確認しているところでございます。  総務省では、今後も引き続き、電波の人体への影響に関する調査を継続していくとともに、その調査結果及び電波の安全基準につきまして、パンフレットの作成、それから講演会の開催やホームページへの掲載により、国民に広く周知するための活動に努めてまいりたいと考えています。
  110. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) メディアリテラシーに関しまして御答弁を申し上げます。  近年、放送の視聴者に与える影響の大きさが再認識されるということも背景といたしまして、放送メディアからの情報を、こういう言い方が適当かどうかは分かりませんが、単にうのみにすることなく主体的に視聴者がメディアの情報を読み解く能力として、視聴者のメディアリテラシーというものを向上させていくことが大変重要な課題と認識しているところでございます。  総務省では、このような認識の下、平成十一年に開催した調査研究会の提言を踏まえまして、平成十二年以降、これまでにメディアリテラシー育成のための教材として十一本の教材を開発しまして、これを教育関係者等へ配付あるいは貸出し等を通じて広く活用していただいているところでございます。  また、近年のブロードバンド環境の進展等を踏まえまして、私ども開発した教材を一層活用することに加えて、今年度、平成二十年度から、インターネットを活用したe—ラーニング教材の開発、あるいは関係する情報を集積したポータルサイトの構築といった新たな取組を開始したところでございまして、その充実を今後とも図ってまいりたいと考えている次第でございます。
  111. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 質問する前にお答えいただいたということがございますけれども、ありがとうございます、御丁寧な。それで、リテラシーという並びで、両方、メディアリテラシーも是非お願いしたいということで通告をしてございました。  そういう取組すばらしいなと思うわけでありますが、電波利用料研究、いろいろ文献見てみますと、例えば韓国みたいな場合、広告料の一定料金が電波利用料として基金としてなって、それでいろんな活動する、その中にこのリテラシーということも実は入ってきているんですね。だから私は、これは放送のリテラシーだと思いますけれども、そんなこともいろいろ、共益事務ばっかりじゃなくて、そんなことも今後是非お考えいただければ有り難いなというふうに思っております。  最後になりますけれども、PARTNERというんですかね、ございます。いろんな総合無線局監理システムというのがあるようでございます。この中で、無線局の電子申請とか、あるいは電波利用料の電子納付ということが行われているというふうにお聞きするわけでございますが、政府全体、電子政府というのを推進をしておりますし、免許の申請をする人とか電波を使うというそういう人はインターネットもかなり活用されているといいますか、その分野も詳しい人が多いんではないのかなと。電子申請で電子納付というのはほぼ一〇〇%使っているんじゃないかと私は勝手に思うわけですよ。具体的にはどのぐらいの申請率というんでしょうか、あるいはこの収納というか納付率というんでしょうか、その辺をちょっとお知らせいただけますでしょうか。  今回の改正で、何かコンビニでもこの利用料払えるようになるということでございますけれども、そんなことするよりも電子納付の方がよっぽどいいでないのと私は思っておりまして、せっかくPARTNERで頑張るわけでございますので、その辺ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  112. 寺崎明

    政府参考人寺崎明君) 無線局の免許、再免許、さらには変更の電子申請率は平成十九年度に三七・九%に達しています。いわゆるIT新改革戦略が設定しました平成二十二年度までに五〇%との目標達成に向けまして利用状況は順調に推移しているところでございます。  電波利用料の電子納付率につきましても、平成十九年度には五・一%に伸びております。  済みません、先ほどのちょっと平成十九年度三七・九と言いましたが、三七・六の間違いでございます、済みません。  平成十九年度には、電子利用料の電子納付率につきましても五・一%に伸びております。  総務省では、そういったような現状を踏まえまして、無線局免許の電子申請につきましてはホームページあるいはリーフレット等で電子申請の利便性を周知しているほか、平成二十年四月一日からは電子申請のインセンティブを働かせるために、電子申請の手数料を書面申請の場合より、これは随分いろいろなところから抵抗があったんですけれども人件費分を見込んで下げるというふうなことをやりまして、三〇%手数料を下げさせていただきました。この成果も出てきているようであります。アマチュア局に対しましては、ID、パスワードによる本人認証方式ということで、簡便な認証方式も今導入しているところでございます。
  113. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 本来、総務省が最もこの電子申請に向けてしっかり取り組むべき役所だと思っておりまして、今後ともしっかりやっていただきたいということをお願いして、時間前ですが質問を終わります。
  114. 山下芳生

    ○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  先ほど礒崎委員が取り上げた番組について、たまたま私も当日のホームページで感想を書いておりましたので、紹介したいと思います。  いい番組でした。今日夜のNHKスペシャル「セーフティーネット・クライシス」。バブル崩壊後の雇用の規制緩和、医療、介護、生活保護など社会保障の縮小が、この国に住む人々の社会への信頼を崩壊させつつあることを、数字だけでなく一人一人生身の人間と家族の実態から描き出しました。  仕事を失い、国民健康保険料が払えず保険証を取り上げられ、がん治療を受けられず五十歳前半で亡くなった男性。四十年余り働き余裕ある老後を楽しみにしていたやさき、脳梗塞で右半身麻痺となった独り暮らしの七十代の女性は、介護保険制度の改悪で機能回復に必要な介護が受けられなくなり大粒の涙をこぼしました。生活保護の適正化、自立支援の名の下に、保護を打ち切り、高校に進学した子供たちにアルバイトを強要する行政の在り方も。  こうした深刻な事実を前に、政府の社会保障国民会議座長も、経済界代表も、このままではいけない、医療や介護は最低限の保障が必要、貧困の再生産は避けねばならないとコメントせざるを得ませんでした。すべての国民、とりわけ政治家、官僚、経済人に見てもらいたい、そして、私たちの社会が進むべき方向を真剣に議論したい、そう思える番組でした。番組制作者の力戦奮闘に政治の場でしっかりこたえたいと思いますと私は書きました。  今日はNHKの永井理事にもお見えいただいておりますから、是非、福地会長と今井副会長にも私の感想をお伝えいただきたいとお願いしておきたいと思います。  私は、こうした番組から政治の責任と役割を重く受け止めるんならともかく、あたかも取材先に問題があるかのような発言で番組制作を萎縮させるような行いこそ公正性を欠き、政治的介入となると一言申し上げて、本題であります電波法質問に入りたいと思います。  政府が地上デジタル放送への完全移行、アナログ放送を停止してしまう日としております二〇一一年七月二十四日まであと三年二か月余りとなりました。私は、本当にやるなら、一つは、これまでアナログ放送でカバーしていた地域に一〇〇%デジタル放送を送り届けること、二つには、それを国と放送事業者の責任によって行うことが必要だと思いますが、どうでしょうか。
  115. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 私ども、現在アナログ放送を御覧いただいている方のすべてにデジタル放送を届けることが必要なことだと考えておりまして、戸建てあるいは共聴施設といった住居の形態、あるいは都市部あるいは地方、あるいはお年寄りや経済弱者も含めて、すべての国民の方々が地上デジタル放送に対応すべく、引き続き私ども総務省といたしまして放送事業者関係者とともに万全な対策を講じてまいりたいと考えている次第でございます。
  116. 山下芳生

    ○山下芳生君 デジタル放送の送信というのは、デジタル化を決めた国と放送事業者の責任で行われるべきものだということだと思います。  ところが、総務省及び全国地上デジタル放送推進協議会が昨年の九月に発表した市町村ロードマップによりますと、現在地上アナログ放送が受信可能となっている世帯でも二〇一一年七月二十四日までにデジタル放送の電波が届かない世帯が残るということになっております。全国で約三十万から六十万世帯、NHKと民放合わせてですけれどもテレビが映らなくなることが前提になっているわけですけれども、こういうことでいいんでしょうか。
  117. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 先般、先般と申しますか昨年、先生が御引用されました、発表しました市町村別ロードマップの数字でございますが、これは昨年九月時点でのコンピューターシミュレーションの結果を公表したものでございます。  総務省としては、今後とも、先ほど申し上げましたけれども、中継局の整備あるいは辺地共聴施設の改修等を推進することによって、アナログ放送を御覧になっている全国の受信者がデジタル放送を御覧いただけるよう最大限の努力を行っていく所存でございます。  これにより、二〇一一年までに地上系の放送ネットワークでデジタル放送が送り届けられないことが生ずることがあっても、それを最小限とするよう取り組んでまいる考えでございまして、また、どのような場合においても二〇一一年に地上デジタル放送を御覧いただけない世帯の生じることのないよう、まさに最後のセーフティーネットとして衛星を利用したデジタル放送を送り届ける放送についても検討しているところでございます。
  118. 山下芳生

    ○山下芳生君 衛星放送による補完措置、五年程度ということですけれども、検討されている放送チャンネルというのはNHKと教育テレビ、それから東京の民放五局、合わせて七局ということでありまして、東京の視聴者にとっては補完ということになるんでしょうけれども、地方の人たちにとっては、例えば気象情報とかでは、東京の気象情報を見ても仕方がないわけで、台風が高知に接近しているときに東京の天気予報が流れているということでは具合悪いですから。ですから、そういうことでしたら、そういう衛星放送による補完ということではなしに、デジタル放送がきちっと電波を通じて行き届くまでアナログ放送の一斉打切りは延期するとか、あるいは届き始めたところから段階的にアナログの停波をしていくなどの方法に切り替える方が私は親切だと思います。  そこで、少し地域の問題を聞きたいと思いますが、デジタル放送のカバー世帯を見ますと、和歌山県の世帯カバー率が群を抜いて低いわけです。現在の計画でも九六・一%で全国ワーストワン。元々地形的に不利な条件の地域がたくさんあって、これまでのアナログ放送も電波が届かなくて難視地域が多いところでありますが、それがデジタル化によって更に難視世帯が拡大して、このままだと一万五千世帯もの難視世帯が新たに発生するということになっております。  私も、和歌山県庁を訪ねまして担当者の方のお話伺いました。総務省から出向してこの対策に当たっている職員の方もいらっしゃいましたけれども、急ピッチで今対策を進めておられます。県としてはケーブルテレビを推進しているということでしたけれども、ただ、地デジの話は国の政策の転換によるもので、本来国がちゃんとすべきだという思いは和歌山の方は大変強いんですね。知事も議会もそういう要望を国に上げております。国の支援策を強めてほしい、しかし二つ問題があると県の方がおっしゃっていたんです。  一つは、国民に情報が伝わっていない。すなわち、具体的にどこが難視になるのか分からない。先ほどの市町村ロードマップも非常に大ざっぱなマップでして、詳細なところが分からないんで、県にも、市町村からどこが映らないんですかと問い合わせがある。一万五千映らなく新たになるよということを知らない県民もたくさんいるだろうということが一つ。  二つ目に、だれが何をするか、役割分担がはっきりしていないということもありました。本来、国と放送事業者がやるべきですけれども、手をこまねいていたんでは駄目ですので、実際は市町村が旗を振るという必要もあると思います。熱心な市町村はそれやっていますが、そうではないところは二〇一一年になって突然テレビが映らなくなる、そんな恐ろしいことになるんじゃないかという心配もあるというふうにおっしゃっていました。  国の責任、事業者の責任でやってほしい、しかしその上で二つ心配がありますよと、こういう和歌山で聞いた声に、総務省、どうお答えになりますでしょうか。
  119. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 先生指摘になられましたのは、住民の方々に対するしっかりした情報を提供するということと、それからもう一つは、国及び放送事業者としての努力ということだろうと思います。  まず第一点の、住民の方々へのしっかりした情報提供ということでございますが、まず、昨年発表いたしました市町村別ロードマップでございますけれども、これは、地元の方々にできる限り前広に情報を提供するという観点から発表いたしたものでございます。そして、その内容は、最初に御説明しましたのはコンピューターシミュレーションの結果でございます。  したがいまして、これを、現地にこれから参りまして実際の電波状況をしっかりと測定すると。かつ、それによって、まあ相当なマージンを見込んでいる部分もありますので、現地で実測しますと実際には映ると、逆のケースも中にはあるかもしれませんが、そういったことをしっかり把握して、それを地元の方々に提供する。それとともに、仮にそれで電波が届かないということになればどんな措置が考えられるのかと。つまり、あるいはギャップフィラーといったような小さな中継局を設置するとか、あるいは共聴施設を設置すると、あるいはケーブルテレビを活用すると。いろんな方法をできる限り活用して、それを、先ほども申し上げましたように最小限にする努力をしてまいります。  それから、国それから放送事業者の努力ということでございますが、まず放送事業者から申し上げますと、現在も逐次中継局の設置というものを進め、かつそれを見直しているところでございます。  つい最近、三月末、中継局ロードマップというものも見直しました。その結果、例えばNHKでいいますと、和歌山県では置局予定数を十局増加させました。さらに、和歌山の地元局ではございますテレビ和歌山、こういったところにつきましても、これまで整備時期が明示されていなかった二十局についても何年までにやりますということを明示していただきました。それぞれ放送事業者とも努力を行っているところでございます。  また、私ども、当然国といたしましても、今年度、二十年度予算措置で、辺地共聴施設の支援のための措置の拡充というものを盛り込んだところでございます。  それを実施するための法律が今御審議いただいているまさに電波法なんでございますが、こういったことを、電波法成立になりましたら、できるだけ速やかにそういった辺地共聴施設の整備事業を遂行してまいりたいですし、かつ、それとともに、大臣も御答弁申し上げておりますが、受信者側の対策ということで、現在、情報通信審議会に諮問しております。そのうち御審議の結果も踏まえて適切な措置というものを来年度予算要求も含めて検討してまいりたいと、かように考えている次第でございます。
  120. 山下芳生

    ○山下芳生君 和歌山の中でも、地デジの難視対策に大変熱心に取り組んでいる自治体がございまして、和歌山県北部の紀美野町というところに行って話を聞きました。  紀美野町は人口一万一千人、四千二百十四世帯のうち、八割を超える三千四百四世帯が現在も共聴組合を組織して共同アンテナを敷設してテレビを見ております。NHK共聴もあれば自主共聴組合もあります。合わせて全部で四十一の組合があります。元々難視聴地域が多いところですから、地デジ問題の相談が身近な町役場に来るそうですね。どうなるんやろ、デジタルになってと。町役場にそういう地デジ対応専門部署などあるわけはございませんので、まあ知識のある職員の方が懸命に対応されておりました。そもそも、国が決めたデジタル化で、町が個別世帯の対応まで面倒を見る責任も法的な義務もないんですけれども、これ放置したのではそれこそ二〇一一年えらいことになると、突然映らなくなるわけですから、これは町が取りまとめに入って、対策をしようと乗り出しているわけであります。やむにやまれずそうされているわけだと思います。  先ほど紹介したように、和歌山県は光ファイバー網を整備する方法を進めておりますけれども、光ファイバーの整備というのは非常に事業費が膨大で、町の財政、それから町民にも負担が大きいです。そこで、この紀美野町では、情報通信審議会でも推奨されておりますギャップフィラー方式、小型の中継局を幾つも連続してリレーさせることによって、受信、送信、受信、送信ということでカバーを広げていくというやり方ですけれども、これで対策することを決めました。これだと、小型の中継所を一か所設置するのに事業費が五百万円、それが大体五十か所ぐらい要るんじゃないかと言われておりますので、合計二億五千万円。光ファイバーははるかに高いですから、かなり安く済むんだそうですけれども、それでも維持管理や将来の改修、設備の更新などを考えますと年間一千万円程度掛かる見込みでして、一世帯当たりの負担をどうするか今検討中です。最初は一世帯三万円払ってもらって、後はもう必要な維持管理は町が持とうやないかということで言っているようですけれども、いずれにしても町や住民に手間も負担も掛かるということであります。  こういうことは、本来国と放送事業者がやるべきではないかと私は思うんですけど、こういうことを町にやらせておいていいんでしょうか。
  121. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) まず、基本的なことからもうちょっと、申し訳ございませんが申し上げますと、まずNHKの役割、責務ということから申し上げますと、NHKには放送法に基づくいわゆるあまねく普及義務というのがございまして、もちろん基本的にはアナログ電波を、アナログといいますか現在でいいますとアナログ電波を届ける、今回はデジタル電波を確保すると。それとともに、こうした中継局の設置に代えてNHKがそれぞれの状況によりまして共聴施設を整備すると、そしてそれによって放送サービスを確保するというようなことも行われると。いずれにいたしましても、無線により、有線であれ、NHKについてはあまねく普及の責務があるということを申し上げます。  それから、民間放送事業者の場合ですが、これについても、放送法上、NHKとはちょっと若干異なりますが、努力義務といいますか、課されております。その場合、いわゆる従来から山間地等におきましては電波が良好でないというところにつきましては、地元の住民の方々あるいは自治体が共聴施設を整備しているというところもございます。したがいまして、このデジタル型ありまして、こういった自主共聴施設の部分について、住民の方々が、あるいは国ももちろん一定の支援を行いつつ改修をお願いするということを考えておるところでございます。これが基本的なところでございます。  それで、じゃ、先生指摘になったようなケースについてどうかということなんでございますが、今お挙げになった例のように、自主共聴施設というものとNHK共聴施設というものが混在と申しますか両方あると。市町村によりましては、それを一体的に整備すると。先生今御指摘になった例では、更に放送以外のいわゆるブロードバンドも含めて整備ということもお考えになったのかもしれませんが、そういったようないわゆる、何といいますか、いろいろな、多様な目的を踏まえた統合的な御計画ということにつきましてどう対応するのかということかと思いますが、私どもとしては、今後こうした当該市町村の具体的な御希望あるいはその具体的な計画というものをお伺いいたしまして、その中で、NHKとの間で、つまり先ほど申しましたようにNHKの責務というのもございますので、NHKとの間でどのような役割分担あるいは連携協力が可能かということは具体に即しまして適切に検討してまいりたいと考えております。
  122. 山下芳生

    ○山下芳生君 NHKの責務、放送を届けなければならない、あまねくということでありましたけれども、先ほど紹介した紀美野町のギャップフィラー方式は、電波を発信する施設ですので電波利用料まで払わされるということになるわけですね、町が。これは私はどうなのかと。放送事業者が本来電波を届けるべきところを、届かないから町が、別にそんな義理はないんだけれども、町民の皆さんテレビ見れなくなったら大変だからということでギャップフィラー方式でということで乗り出したら、電波利用料まで取られると。これ二重におかしいなと私は思いましたね。  そして、ついでに言いますと、紀美野町には元々NHKの共聴組合が十七あるんです。ギャップフィラーによる難視対策が実施されますと、このNHK共聴施設というのはもう不要になりますね、要らなくなります。当然、設置、維持の費用も掛からなくなるわけですが、ところが、新たにギャップフィラーを設置するこの設置費、維持管理費、それから電波利用料についてもNHKは一切出さないということになるようです、このままだと。NHKが出すのはもう要らなくなったNHK共聴施設の施設の撤去の費用だけと。  これは、本来NHKがあまねく放送を行き渡させる責任があって、これまでは共聴の施設の維持だとか、あるいはそれをデジタルに改修するんだったら自分もそこは持たなければならないのに、ギャップフィラーという別の方式になったら何も持たなくていい、これはおかしいんじゃないかと。本来、NHKがこういう電波利用料も含めて負担するような方向で検討されてしかるべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  123. 永井研二

    参考人(永井研二君) お答えいたします。  NHKは、御指摘のとおりに、地上デジタル放送の普及に向けて、中継局の整備それからNHK共聴のデジタル化に最優先で今取り組んでいるところでございます。  紀美野町の例のように、自治体が新たにギャップフィラーを設置して地上デジタル放送を受信することも一つの受信形態であるというふうに考えられます。このようなケースについては、NHKとしても何をどこまで協力できるのか、制度的及び経費的な側面等も含めまして、支援の在り方総務省とも相談しながら検討を進めていきたいと考えております。
  124. 山下芳生

    ○山下芳生君 電波利用料のことも含めて総務大臣、いかがですか。ちょっとこれ私は、そういうところまで電波利用料を課せられるというのはいかがかなという感じを持つんですが、いかがでしょうか。
  125. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 電波利用料について、ギャップフィラーに関する電波利用料について申し上げますと、御承知のように、電波利用料といいますのは、いわゆる電波利用共益事務処理に要します費用につきまして無線局免許人全体で負担するという考え方に基づいております。したがいまして、先生指摘のいわゆるギャップフィラーにつきましても、負担の公平性の観点から申しますと、電波利用料免除ということではなくてやはり御負担を求めるということが適当と考えている次第でございます。  現実にどの程度の負担になるかということでございますが、先ほど申し上げましたように、電波利用料というものにつきましては出力を勘案して料額を算定するということを考えておりまして、平成二十年の場合、御指摘のギャップフィラーの電波利用料は年額にいたして五千四百円ということでございますので、もしこれを自主共聴組合が設置するということになりましても、過度な負担とはならないものと認識しているところでございます。
  126. 山下芳生

    ○山下芳生君 それは一基の場合ですよね。リレーしますから、五十そういうのを造らなければならなくなるであろうと言われていますから、その五十倍掛かってくるわけですね。  ですから、そういうことも含めて、NHKが本来は負担していた、これまでは、ものが、負担なくなる、知りませんよということになっていいのかということですから、これは少し大臣、是非自治体が善意でやっていることに対してこういう負担までかぶさってくるというのはいかがなものかと思いますが、何らかの対応が必要じゃないでしょうか。
  127. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) ギャップフィラー方式、私も現場を見に行ったことがありますけれども、大変有効な手段だと思うんですけれども。  その上で、今回の電波法改正の中で、国のそういう施設についてもきちんとお払いをいただくということにしているんで、電波関係からいうと、どうしてもいろんな主体からも利用料をいただくということになるわけですが、この問題は、やはり地上デジタルについていろいろ関係者がどういう負担をしていくのか、本来やはり、NHKの場合ではNHKの方であまねくこれについて電波を行き届かせなければいけないわけですし、それから難視聴地域については、やっぱりこれは私は国も責任を持っておるし、それから自治体の協力も得にゃいかぬというふうに思うわけでありますが、そういうことで適切な費用負担ということを考えていくと。  特に、地形上非常に不利な地域については特にきめ細かい措置が必要でございますので、電波利用料をなかなか免除というわけには私はそちらの観点からいかないと思うんですが、地上デジタル波で、全体をきちんとデジタル波を行き渡らせるという観点費用負担在り方ということは、ギャップフィラー方式の場合にはどういうふうな費用負担をすればいいかということを含めて、よく考えたいというふうに思います。
  128. 山下芳生

    ○山下芳生君 時間の関係で、経済的弱者の対策については割愛させていただきたいと思います。  都市部での難視聴対策について質問を進めたいと思います。  先ほどのお話にもあったように、あのロードマップというのはあくまでもシミュレーションですので、実際に映るかどうかはやってみなければ分からないということが特徴であります。思いも寄らないところで実際に難視聴世帯が発生するということもあり得るわけですね。ところが、それがどうなるかというのはもう知らないわけです、だれも、やってみないと。  そこで、都市部では、これからアンテナを立てたりしようという方々が、実際映るかどうかというのをどういうふうに知ることができるんだろうかと。これ事前に知らないと、アンテナは買って立ててみたけれども映らないということでは、アンテナの費用無駄になりますから、やっぱり事前に映るかどうか情報を得るということが視聴者の利益にとっては非常に大事だと思うんですが。  映りますよというふうにマップではなっているエリア内でもそういうことが起こり得るんじゃないかということ、それから事前調査をやっぱりするべきじゃないのかと、だれの責任で行うべきなのか、この三点、いかがでしょうか。
  129. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) まず、全体的な傾向から申し上げますと、地上デジタル放送といいますのは受信障害に強い方式を採用しておりますので、アナログ放送に比べますと、受信障害の程度は大幅に改善するものと予測しております。  恐らく都市において映るか映らないかということが問題になりますのは、現在アナログで受信障害になっている地域がデジタルになった場合に、すべて解消されるのか、あるいは一部残るのかといったところが、私どもとしては実際には問題になるかと思います。  もちろん、デジタル放送におきましても、場所によって受信障害が継続する場合もございますので、現在受信障害があって共聴施設で御覧になっている場合、それをデジタル化に合わせて撤去あるいは縮小する際には、事前に先生指摘のような受信障害の解消範囲というものを調査することが必要となってまいると考えております。  その調査をどういう主体でやるのかという御質問がございましたけれども、この調査は基本的には、その受信障害の原因となった建築物の所有者にとりましては共聴施設を撤去あるいは縮小することによりましてこれまで掛かっていた維持管理経費というものが軽減されるということでございますので、基本的には当該建築物の所有者において主体的に実施することが望ましいと私どもとしては考えているところでございます。  特に私ども、公益事業者、例えば電力とかそういったような大規模な公益事業者の施設所有者に対しましては、その社会的責任あるいはその公益性等にかんがみまして従前から、そういった調査を早期に実施していただきたい、あるいはその対象世帯へ十分御周知いただきたい、あるいはその受信障害を抱えた世帯に対しては適切な対応をいただきたいということを働きかけているところでございます。
  130. 山下芳生

    ○山下芳生君 具体的なちょっと起こっている事案について伺いたいと思うんですけれども、都市部では全世帯の中でケーブルテレビに加入している世帯が多いと思うんですね。その理由として、先ほどあった受信障害対策で利用している世帯がかなりあります、ビルや障害物が多いからだと思うんですが。  台東区のある事例なんですけれども、ある企業による受信障害地域なんですが、受信障害対策が施されていた二千八百の世帯に対して、最近その原因者である企業側、ビルを造った原因者ですね、から二〇一一年七月で受信障害対策は終了するという旨の手紙が来たらしいんですね。これからはもう対策しませんから、アンテナを建ててデジタル放送を見るか、ケーブルテレビに有料で加入してくださいと。これまでは無料でケーブルで見ていた地域ですけれども。しかし、本当にその障害がなくなるのかどうか分からないわけで、その原因者に協議を申し込んでいるようですけれども、いや、もう責任ありませんということで話合いにも応じてくれないと。  総務省はこういう場合の考え方を示しているようですけれども、話し合ってくださいよということのようですが、話合いにも応じないという場合がやっぱり実際出てきていると。これ、何らかの形でもう少しこの考え方を改善する必要があるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  131. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 私どもの考え方といいますのは、先ほど申し上げましたように、基本的にはその建築物の所有者の方が主体的に実施することが望ましいと考えておりまして、その旨、現実にそういった問題に対応いたします地方局に対しまして通知をしておるところでございます。  そしてまた、ただ、先生指摘になった例は具体的にどういうものかというのは私もつまびらかには承知しておりませんけれども、現実にその中でどのように解決を図るかということにつきましては私どもきめ細かい対応が必要だと考えておりまして、例えばその地方局に対しましては、特に大規模な施設から、現地に対する説明会その他、あるいは様々な実例、あるいはどのような解決法があるかといったような選択肢といったものを情報を提供して、速やかにそういったものの解決が図られるように取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
  132. 山下芳生

    ○山下芳生君 もう、無料で障害対策でケーブル見ている人はそれが当たり前だと思っているんですね。それが突然、もう私の責任ではなくなりましたのでどうぞ自分で加入してください、有料ですと言われても、びっくりする方多いと思うんですね。是非これは、どうそれを折り合い付けていくのかというのをしっかりと、国がやった政策変更ですから、責任持って進めていただきたいと思います。  最後に、新タワーの建設について伺います。  NHKと在京民放五社は関東地域をカバーしている放送設備を東京タワーから墨田区に計画中の新タワーに移すということになっておりますが、移動の時期はいつごろになるのか、それから二つ目に、移動に伴って新たな難視世帯、電波障害が生じることがあった場合、放送事業者がしっかりと対応していく必要があると思いますが、どうなのか、視聴者はこういう問題についてどう対応したらいいのか、三点伺います。
  133. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) まず、移転の時期でございますけれども、私ども放送事業者から聞いております限りでは、新タワーは二〇一一年度中に竣工と。それ以降、試験放送等行って問題がないことを確認した後に本放送の開始ということになる予定と聞いております。いずれにしても、二〇一一年七月のアナログ放送の停波後に放送が行われる予定となるものと承知しております。  そして、先生指摘の新たな受信障害等が起こった場合にどういうふうに対応するのかということでございますが、こうしたビル陰、新タワーへの移転に伴いまして新たな難視の発生など何らかの影響が生じる場合には、受信者の利益保護の観点から、放送事業者が責任ある取組を実施するよう私どもの方でも指導助言をしていく所存でございます。  具体的には、昨年十二月、放送事業者六社に対しまして、この移転に伴って生じる電波の混信等の影響に関する取組については、放送事業者において責任ある取組を行うよう私どもとしても要請したところでございます。
  134. 山下芳生

    ○山下芳生君 終わります。
  135. 又市征治

    ○又市征治君 我が党も衆議院での共同修正に加わっておりますので、この法案には賛成であることを申し上げた上で、今日は、一つ電波利用料財源使途及び支出先について、二つ目には地上デジタルテレビの普及、受信の権利保障について伺ってまいりたいと、こう思います。  まず、収入の面から、総務省の情報通信予算のうちで電波利用料がどのくらいの大きさ、比重なのか、手元に数字はいただいておりますけれども、一九九三年、九八年、二〇〇三年、二〇〇八年、この五年ごとに両者の金額と構成比をまず紹介をいただきたいと思います。
  136. 寺崎明

    政府参考人寺崎明君) お答えいたします。  平成五年度におきましては、情報通信関係予算の歳出予算額は四百十五・二億円でございます。これに対し、電波利用料財源の歳出予算額は七十五・六億円でございました。したがいまして、情報通信関係予算に占める電波利用料財源の割合は一八・二%でございます。  平成十年度におきましては、情報通信関係予算の歳出予算額は八百八十一・四億になっております。この時点で電波利用料財源の歳出予算額は二百八十億円でございます。したがいまして、予算に占める電波利用料財源の割合は三一・八%でございます。  それから、平成十五年度におきましては、情報通信関係予算の歳出予算額は千三百四十五・八億円、電波利用料財源の歳出予算額は五百七十八・一億円でございます。したがいまして、情報通信関係予算に占める電波利用料財源の割合は四三・〇%でございます。  さらに、平成二十年度におきましては、情報通信関係予算の歳出予算額が千三百九十・七億円、それから電波利用料財源の歳出予算額は六百七十三・六億円。情報通信関係予算に占める電波利用料財源の割合は四八・四%でございます。
  137. 又市征治

    ○又市征治君 つまり、この十六年間に政府の情報通信関係予算に占める電波利用収入の割合は、一八%からスタートをして今日では四八%に増大をしているということですね。倍率でいうと、情報通信予算が三・三倍に増えたわけですけれども電波利用料は八・九倍に増大をしているということが今の紹介だったと思います。  そこで、総務省は、電波の経済的価値を表すものとして出力の強さやサービスエリアの広さに見合って改定をしてきたと、こうおっしゃっているわけだけれども、しかし、この経済的価値、つまり収益と、出力やあるいはエリアの広さは必ずしもこれは比例をしない。出力やエリアは広くなっても、それが公共性から必要であれば必ずしも収益に直結をしないわけであります。  そこで、総務省も二分の一とか四分の一などに減免をされているわけだけれども、どういう算定方式で、またその数字の根拠というのは何か、簡潔にここは御説明いただきたい。
  138. 寺崎明

    政府参考人寺崎明君) 電波利用料の算定に当たりまして二分の一とか四分の一といったような掛け算が出てくるということに関する御質問だと承りましたけれども周波数を他の無線局と供用していたり、法律上義務付けられたサービスの供与のために採算ベースに乗らない電波の利用をしている場合には経済的価値を持つ電波利用をしているとは言い難いため、そのような電波利用を行っている施設につきましては電波利用料の算定上減額ということで二分の一を乗じているところでございます。こういったような要素が二つあるときは二分の一を二回乗じて四分の一の数値を乗じるということでございます。
  139. 又市征治

    ○又市征治君 そんなわけで、テレビだとかラジオは四分の一、こういうことですね。数値自体にどうも明確な根拠があるわけじゃないけれども、まあ減免している、こういうわけ。  しかし、今回デジタル化するテレビ局は大幅に値上げをされるわけで、特に近畿地方の準キー局が三・五九倍、中京地方の広域局が六・八九倍という値上げ率、こういうことになって他の局と比べても突出しているわけですね。デジタル化によってテレビ局がこんなに大きな経済的な価値、収益、この地域の場合は生じるというふうに見てこういうことになっているんですか。この点御説明ください。
  140. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) これまで個々のテレビジョン放送局料額については、基本的にはその出力等にかかわらず一律としておったところでございます。今回の見直しにおきましては、電波利用に係る経済的価値というものを反映させるため出力に応じた料額とするとともに、免許人の受益、つまり放送局の受益をより反映させる観点から視聴世帯が多い地域にある局につきましては高い料額を設定することといたしましたため、近畿地方のいわゆる準キー局、中京地方の広域局、料額の増加率が相対的に高くなったものでございます。
  141. 又市征治

    ○又市征治君 この点はもう少し申し上げたいことはいろいろあるけれども、後の質問関係がありますからこの程度にしておきますけれども、ちょっと、NHKなどは一・五倍、キー局は一・四一倍、しかし、今申し上げたように準キー局は三・五九倍、中京広域局は六・八九倍、えらい随分と格差があるな、こういう感じがして、ここらのところが後々本当に経営的に困らないかどうか、そこらのところまで是非目配りもしていただきたいものだと、こういうふうに思います。  次に、携帯電話がこれだけ普及をして、今や通信の基本権とも言うべき手段になっていますけれども、今回四百二十円が二百五十円に値下げされますけれども、その理由は加入者つまり分母が増えたからであって、テレビのような公益性は加味されていないんだろうと思うんですね。かつて固定電話を持つには電電債券を持たされたわけで、買わされたわけですね。それが廃止されたのは電話がやっぱりナショナルミニマムになったからだろうと思います。今や固定電話と同等のミニマムに近づいた携帯電話電波利用料は更に値下げされてもよいのではないかと、私はこう思うんですが、三年後にはそのことも含めて当然検討されるんだろうと思いますが、その点いかがでしょうか。
  142. 寺崎明

    政府参考人寺崎明君) 携帯電話につきましては、NTT東日本、西日本の固定電話とは異なりまして、現時点ではユニバーサルサービスとして法律上位置付けられていないということなどから、現時点ではサービスの普及につきまして法律的にも負っているわけではございません。したがいまして、現時点におきましては、携帯電話につきましては国民電波利用の普及の責務等があることにより減額をするという考え方は、今回の案では取っていないところでございます。今後の三年後の見直しにつきましては、携帯電話の普及状況とかそのユニバーサルサービスの在り方といったような観点から様々な検討がなされると思いますが、そういった中で検討していく必要があろうかと思います。
  143. 又市征治

    ○又市征治君 是非しっかりと検討いただきたいと思います。  さて、こうして集めた電波利用料を財源として、その歳出予算は単に歳入の増加と並行して増加してきただけではなくて、ある年度には歳入をオーバーして支出されています。超過した使い道はほとんどがアナログ変換対策だったわけで、それを賄うために債務負担行為まで使われたということですね。債務負担行為は国が翌年度以降の歳出まで約束するものですから、これは防衛費などで常套手段でやられていますけれども、私どもは基本的にはこれは反対をしてきたわけですが、予算の単年度主義のあくまでも例外措置だと思いますね。総務省のあまた他の経費と差別して翌年度以降まで約束するほどの聖域だったのかどうか、この点についてはどのように御説明されますか。
  144. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) アナログ周波数の変更対策といいますものは、デジタル放送を開始するための不可欠の前提でございまして、しかもこれをデジタル化への移行ということを考えますとできる限り速やかにする必要があったということでございます。したがいまして、国庫債務負担行為というような手法を活用させていただいたということでございます。  国庫債務負担行為自体は、先生御承知のように、財政制度上認められておるものでございまして、これを活用させていただきまして平成十六年度からアナログ周波数変更対策について国庫債務負担行為を活用させていただきました。  これによりまして、いわゆる電波法に規定いたしますところのアナログ変更周波数の実施機関が金融機関から借入金を行いまして、このアナログ周波数変更対策を短い期間の間に集約的に実施してきたところでございます。この返済につきましても、予定どおり返済をしておるところでございまして、こうした措置を行うことによりまして、地上デジタル放送を速やかに開始し、そしてアナログ放送からデジタル放送への移行期間を確保し、そして周波数の最終的には有効利用が計画どおり予定されるものと、そういうふうに考えておるところでございます。
  145. 又市征治

    ○又市征治君 このアナログ変換事業はほとんど電波産業会を通じて支出されているわけですが、その電波産業会は国庫債務負担行為に基づく事業額を持ち越し金と称して年度を超えて執行されている。国の会計制度も繰越し規定に沿わない疑問の多い処理方法であって、債務負担行為と併せてデジタル化を急ぐために無理をしてやられてきた。ここのところは若干私どもは見解を異にするんですが、この点は指摘にとどめますけれども、ここでアナログ変換対策の年度別の実績と累計額をちょっと述べていただきたいと思います。
  146. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) アナログ周波数変更対策につきましては、平成十三年度から電波利用料を財源として実施されたところでございまして、これまでにアナログ周波数変更対策の予算措置でございますが、平成十三年度の場合、百二十三・三億円、十四年度が百二十二・四億円、十五年度が百九十五・ゼロ億円の歳出予算が措置されたところでございます。  それから、さらに、平成十六年度から十八年度まで三か年でございますが、これにつきましては、国庫債務負担行為による予算措置が認められまして、平成十六年度が五百二十四・四億円、十七年度が五百二十一・九億円、十八年度が二百三十三・六億円の国庫債務負担行為限度額というものが計上されております。これらによりまして、アナログ周波数変更対策に対する予算措置といたしましては、合計千七百二十・六億円というものが計上されているものでございます。
  147. 又市征治

    ○又市征治君 特に債務負担行為のおかげで、二〇〇四年度は今御紹介あったように五百二十四億円で電波利用料の九五%、二〇〇五年度は五百二十一億円で同じく八四%、電波利用料のほぼ全額を食いつぶした、計算上はそういうことになるわけですね。  そこで大臣にお伺いをいたしますが、以上見てきたように、わずか六年の間に一千七百二十億円という巨額の国費が地上デジタル化本体に先立ってアナログ変換という、全く一時的な対策だけのために支出をされてきた。電波利用料がその財源とされ、電波産業会という唯一の団体を通じて業界を潤した、こういう側面があるわけです。当年度電波利用料収入では足りないからと国庫債務負担行為という手形を切って、未来の電波利用料まで削減をしたとも言えるわけです。こうした非常手段を使ってまでアナログ変換を急ぐ必要があったのか。このことはこの委員会でも度々論じられてきた問題です。変換が遅れて、その結果、アナログ波の停止が延びたからといって、国民に何の損失もないわけ。  そこで、大臣電波利用料の使い道としてちょっと余りにも、そういう意味では無理をし過ぎて、そして急ぎ過ぎたんではないか。私どもはずっとデジタル化を急ぎ過ぎて過大な投資をすべきじゃないということを主張してきたわけですけれども、どう見ても一部の業界を潤わせる、結果として、そうするためにだれかが仕掛けた食い逃げ的な事業だとしか言いようがない。これによって余分な経費、業界の利権となる部分が増えたんじゃないか、こうも言われるわけですけれども、この点について、これまでのこの事業の進め方について、大臣はどのように御認識なさっていますか。
  148. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) お答え申し上げますが、放送用の電波、チャンネル数で言うと一から六十二チャンネルまでの間にすき間なく全部今利用されているという現実がございまして、その中で、常日ごろからアナログ波を送りながら一方でデジタル波に切り替えるとなると、どこかですき間なく使われているアナログの放送波を移し替えていくという作業が必ず必要になってくるということでございます。  したがいまして、それに対して、やはりこれはどの時点でそういったことに切り替えていくかという一つの政策判断の問題もございますけれども、ただ、そうしたアナログ周波数変更対策というのは必ず行っていかなければならないということと、それから、それ自身はどういう形で期間取っても一時対策という性格を持っているということ、それから、受信者に同じアナログ波で、これはアンテナだけの交換をお願いするわけにいかないんで、そこは受信者の御理解をいただきつつ、また放送事業者にとっても、直接的なそのことについての、アナログ変換、アナログの間のだけの変換についてはメリットがないんで、電波利用料を使わせていただいたということでありますが、この点について、特にかなり技術的な問題も含まれているものですから、なおさら電波利用料を納めていただいている方の十分な理解を得ないと、こういうことはいけないわけであります。  この当委員会でも、いろいろ電波利用料使途について、あるいは今回のデジタルへの切替えの問題についても御指摘をいただいているわけですが、そうしたことから言いますと、このアナログでの周波数変換についての対策経費は国が負担する必要があったと私も考えておりますが、その御理解をいただくためのこと、そして今後のことも、電波利用料使途についての御理解いただくということは、本当に丁寧に丁寧に慎重にやっていかなければいけなかったし、これからなおさらそうであろうと、そういうふうに思いますので、そういう観点で、この電波料、貴重な電波料を使わせていただくということに対して、我々も、くれぐれも慎重に、そして理解を得ながらやっていきたいと、このように考えています。
  149. 又市征治

    ○又市征治君 さて、業界に対しては、今見てきましたように、いろんな意味で優遇措置がとられている。  じゃ、視聴者・国民に対して、今大臣おっしゃいましたけれども、それと同じくらいの比重でデジタル化が受けられるような対策を取られてきたかということなんですが、もうデジタルテレビは買いました、そういう買う資金力のある人は、そういう世帯はいいわけですが、しかし、まだ四割ですよね。なのに、総務省はあくまでもアナログテレビ電波の二〇一一年七月停止にずっとこだわってこられたわけで、それならば、すべての世帯、とりわけ低所得者などのために受信を保障する対策をしっかり講ずるべきだし、この委員会でも何度もそのような指摘がなされ、また、その点はしっかり頑張っていきたいと総務省としても答えられてきたわけですが、だけれども、現状を見るとどうか。現在のデジタルテレビは、メーカーがデジタルへの買換え需要を機にここぞとばかり大型化をあおって、市販価格は三十七インチ、液晶型で十数万円するわけですね。低価格化は実態的にはほとんど進んでいないんではないのか、そう思います。  そこで、総務省が打ち出した二年以内に五千円程度で買えるチューナーについては一体どうなっているのか、先般もこの点はお聞きをいたしました。市販価格の実勢はまだ二万円以上、どんな安いものでも一万五千円という、こういう状況にあるようですけれども、そういう点では、総務省の目標のまだ三倍から四倍という、こういう格好ですが、この点はどういう対策を取られておりますか。
  150. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 低廉で簡易なチューナーということに関する現在のこれまでの取組状況ということでございますが、総務省におきましては、関係メーカーの取組促進を図るため、社団法人デジタル放送推進協会に御協力もいただきまして、昨年十二月、簡易なチューナーの仕様、スペックのガイドラインを取りまとめて、これを公表したところでございます。  このようなチューナーの価格といいますのは、次第に低下傾向にあるものと認識しておりますが、先生指摘のとおり、現状では五千円の水準にはまだ至っていないところでございます。このため、総務省としては、ガイドライン公表を契機として一層の低廉化を実現するよう関係府省とも連携しつつ、メーカー等に対し引き続き積極的な取組をお願いしてまいっているところでございます。  例えば、先般も大臣ほかと家電メーカーの各社のトップとの会合がございましたが、その場でもこうしたチューナーの開発に是非積極的に取り組んでいただきたいというお願いをしておりますし、また、大メーカーのみならず、中小のメーカーも含めまして、逐次そうした最近の開発状況というものをヒアリングしております。こうしたヒアリングの際に聞いております限りでは、具体名あるいはその具体的な額までは申し上げませんけれども、非常に積極的な、年内とかにはこれぐらいというようなお考えも示されているところでございまして、今後、私どもとしてはこういったメーカーの取組に大変期待をしているところでございます。
  151. 又市征治

    ○又市征治君 期待をされてもなかなか、商売ですからね、大手メーカーは高額の大型デジタル化製品ばかり売らんかなというわけで、そのためには低価格のチューナーは邪魔者扱いでありますから、できるだけやるにしても時間を掛けてぎりぎりのところでということになる傾向というのはあるわけで、総務省とD—PAが幾ら笛を吹いてもなかなかそういう意味ではこれを低価格で売り出すという話にはならない。露骨なやっぱり資本の論理というのがここに私は働いていると思うんですよ。  そういう点では、あちこちで言われるのは、時々こう聞かれる。いや、何かデジタルになるけれどもテレビ壊れたから一年前にテレビ買った。二〇一一年になったら何か全然違ったものを買い換えにゃいかぬのかと。そういう話がやっぱりあちこちである、そういう相談事も掛けられる、こういうことがあります。ガイドラインは結構ですけれども、実際は何の拘束力もないわけですから。  しかし、やっぱりテレビ国民の基礎的な情報源でありますし、ナショナルミニマムだ。どうしてもアナログを停止するわけですから、だとすれば、ここはひとつデジタルチューナーだけを開発する中小メーカーなどに思い切って投資をしてでも一挙に五千円まで引き下げる動きをつくり出すとか、あるいはもう外国製品で五千円以下でもやりますよという、そういう動きもあるようですから、そんなことも含めて、逆に言うならば、メーカーのしりをたたくようなことを含めてやらないと、事実上はもう二〇一〇年後半になってしか出てこない、その間に一生懸命デジタル大型化のやつを売ろう売ろう、こんな格好だけになってくる。それはもう決して総務省が考えてきた道ではないわけでありますから、そういう意味でそのぐらいの努力をしていただきたいと思いますが、その点の一層の努力方の決意をお伺いしておきたいと思います。
  152. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 先生指摘のとおり、大メーカーのみならず幾つかの中小メーカーの努力といったものに期待することも大でございますし、また、おっしゃるように、場合によっては実際の製造を外国で行っているというところもあるものと思います。ただ、いわゆる中小メーカーに対する開発投資という御指摘がございましたけれども、こうした簡易なチューナーといいますのはどういうプロセスで低廉化を図るかといいますと、基本的には機能を絞るということで実現されますので、新たな技術開発等に投資を要するものでは必ずしもないのではないかと。  したがって、それぞれの各メーカーの具体的な開発プロセス、製造あるいは流通における様々な言わば創意工夫によって低廉化の促進が図られるものと考えておりまして、私どもとしては、先ほどいろいろなヒアリングの場を通じて中小のメーカーともお話を伺っているというふうに申し上げましたけれども、是非、多数のメーカー、私どもは、大手メーカーも含めてでございますけれども、そうしたような提供が行われることを期待しておりますし、私どもとしてもなすべきことがあれば努力はといいますか、環境整備に努めてまいりたいと考えております。
  153. 又市征治

    ○又市征治君 大臣にお伺いをしますが、デジタルを見るためには、そのほかにも、先ほども出ましたけれども、個別視聴だとかアンテナの調整工事だとか共聴施設の場合は、自己負担が三万五千円から地域によっては三十二万円という、こんな調査まで出ているわけですね。  格差社会の是正が叫ばれる中で、国民テレビを見るだけでこうして二重三重に言わば人頭税のような悪平等の負担が課されることになるとすれば、まさにこれは電波行政は失政だと言わざるを得ない、そういうことが起こってくるとすれば、ということだと思います。  前半の質問でも指摘しましたように、アナログ変換という一過性の事業に電波利用料から一千七百二十億円も投じて様々、そういう意味では急いでこのことがやられてきた。そういう格好の中で、一方では、そういう業界には利益がもたらされているけれども、それに反して世帯に対するデジタル化のサービスは余りにも貧弱ではないかと、こう言わざるを得ない。  そうしますと、今局長が答えられましたけれども、しっかりと、低所得層の人たちは今本当に、自分たちはまたこのテレビで差別をされるのかということがあるわけですから。この点はしっかりと、低価格のチューナー、これは早く売出しがやられる、そういう人たちが安心できる、こういうことに、できるために、大臣としてこのことは責任を持ってやるということを明確にされるべきだろうと思うんですね。それが電波利用料の最も生きた私は活用だろうと思うので、そういう意味では大臣の決意をお伺いをしておきたいと思います。
  154. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今委員お話しのとおり、チューナーの問題だけではなくて、アンテナの問題ですとか取付けの調整とか、いろいろな課題があるわけでございまして、この地上デジタル波への移行というのは大変大きな事業だと思っております。  その中で、低所得の皆さん方、経済弱者と言われる皆さん方に対してのしっかりとした対策を講じていかなければならないというふうに常々思っておりますし、夏までに総務省として対策をまとめたいと考えておりますが、その中で、やはりチューナーを開発するというのは、今お話にございましたとおり、しかも五千円できちんと開発をする、単に開発をするだけではなくて、市場に流通をさせて手に入れることができるということが大変重要であります。  先般、私もメーカーの各社のトップの人に直接お会いをしましてそういうお話をしましたが、そういうことだけでなくて、いろいろなやり方、アプローチを取って、この五千円のチューナーの開発とそれから市場流通というのは、これは必ず実施に移していきたいと。  今、担当のところでも、いろいろそのために、関係の中小のメーカーの皆さん方も含めてお話をしているところでありますが、私も責任を持ってそうした皆さん方にお話をし、あるいはそのほか、このためにできることを実施をしていきたいというふうに考えております。
  155. 又市征治

    ○又市征治君 力強い決意表明がございましたから、是非頑張っていただくことをお願いを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  156. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後二時五十三分散会