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参考人(
横尾俊彦君)
多久市長の
横尾でございます。今日はこういう
機会を与えていただいて誠にありがとうございます。
自治体の
首長であり、また先ほど御紹介がありましたように
幾つかの役職もさせていただいておりますので、もろもろの経験、実例を踏まえて、限られた時間ですが、
意見陳述をさせていただきたいと思います。
私の場合、お手元に資料を準備しておりますが、そこに入ります前に、まず、
平成の大合併を経まして
自治体の数は約三千三百から千八百程度になりました。それぞれに
首長並びに議会の
皆さんは
知恵を絞って
やりくりに今非常に苦労されているというのが率直なところだと受け止めています。各
先生方の御
地元にも各市町村あると思いますが、それぞれに本当に
やりくりに苦労されているところだと思います。
その
状況の中で、今、
片山参考人もおっしゃいましたように、
国会審議に時間を要したり議決が遅れるということで
地方自治体の特に
財政にかかわるものが未確定の
状況になっておりまして、多くの
自治体関係者は
大変不安感も持っているところでございます。率直な印象で申しますと、まあ一、二か月ぐらいなら何とか耐え得るかもしれないが、それが延びてしまうと、本当に
財源不足、どこからそれを補てんするのかということが大変憂慮されるんじゃないのかなということを多くの
方々が感じられていると思います。実際に知っている各
首長さん
たちからもそういう声を聞いております。
また一方で、
抜本改革をしていただくように
衆参両院で今いろんな
議論等が進められていると承っておりますが、例えばこの一、二か月で集中的にやるというのも
一つの方法でございますが、先ほどの
片山さんの話にもありましたけれども、本格的にやるんであればやはり一年ぐらい掛けてやる必要があると思いますし、その
意味では、当面の
予算措置をしていただいて、
地方に迷惑を掛けないというスタンスで多くの各
政党や首相、大臣もおっしゃっていただいていますので、それを踏まえていただいてしていただくのが安心につながるんではないかなと感じております。医療とか
福祉、さらに
教育につきましても大いに考えなければなりませんが、それらを考えますと、どこかでは
消費税のことですとか、先ほどの
地方交付税のことですとか、様々な
税財政にかかわることの
改革が必要だろうと感じながら、日々執務に当たっているところでございます。
なお、最近の
状況をまず冒頭に申しますと、
現状では
佐賀県内、私、
佐賀県の
中央部から来ましたが、様々な
予算について、
国会未決のものについては
執行留保という形で県から知らせが来ておりまして、決まるまでは執行しないでくれという
状況ですね。そんな
状況でございます。
何枚かのペーパーを準備しておりますが、まず
最初にお開きいただいて、二ページ目から
お話をさせていただきたいと思います。
地方の
現状ということでございますが、
基本認識としまして、私は
政治と
行政は未来をつくっていく
仕事を使命として市民の
皆さんから預かっていると思っております。その上では、税を始めとした様々なお金をお預かりをして、民意によりますビジョンをつくり、
予算編成をして実施をしていくというのが我々の
仕事だと思っておりますが、そういう
意味では
自治体を経営するという
感覚がこれまで以上に非常に必要だろうと思っています。また一方では、そのことを例えて言うと、経営でいいますところのCEOということも言えるんじゃないかと思います。私、
市長就任のときに
最初に読んだ本は
憲法でございますが、英文であえて読みましたら、
地方自治のところの
首長のコーナーは何とチーフエグゼクティブオフィサーと書いてありましたので、我々はそういう
感覚が必要だと思っています。
実際、とはいえ、
大変やりくり苦労の連続でありますが、節減型の
財政運営をし、
財政、
行財政改革はもう不断に毎年でも
意識をして行っておりますし、そういう中でも我々のところでいいますと約三割強を
地方交付税に依存しておりますので、この
重要性は避けて通れないものであります。また
片方では、職員の減につきましては
就任以来ずっと続けておりまして、削減をし、歳出を抑えていくということもやりながら努力をしています。
片方では、
活性化政策として
企業誘致、一年半ほどで六社の
誘致に成功しましたが、これもいろいろ
知恵を出して、
リース方式とか様々な手を打ってやっているところであります。そして、さらには、少子化の傾向がある中、
定住促進ということで新たな
政策も取り入れて昨年からやっていますが、
それなりの効果も出ているところでございます。また、日々の管理につきましては、
予算配分に関しまして
枠配分という
方式を取り入れまして、
各部ごとに主体性を持ってやっていくということを
意識付けをしながら取り組んでいるところでございます。
その
状況を、五ページ目をお開きいただきますと、この約十年ほどの
財政状況の数字が出ております。
平成の十一年が実は
交付税等の増もありましたのでピークの規模、
予算規模でありますし、
交付税も一番多いわけでありますが、それから比べますと、
平成十八、十九年を見ますと率にして二三%ほどのダウン、約四分の一ほどダウンをする
交付税の影響を受けまして、全体的には縮小傾向ということにあります。
片方では、市民税等、少し景気の回復等があって明るい兆しもありますけれども、まだまだ安心のできない
財政状況でございます。
一方では、人件費につきましては、先ほど言いましたように、例えば
平成十年から比べますとかなりの額を削減しております。一番下にありますように、職員数も
平成十年二百八十三人、これ
一般会計ベースでございますが、二百人ということで削減をしてやっているところでございます。これに関する、分かりやすく図表として次のページに出しておりますが、大きく
地方交付税、一番上のものが十一年から十六、十七、十八と減ってきているというのが各
地方の大変憂慮しているところであります。
このことは、さきの
三位一体改革の中にも
三つのこと、補助金の見直しや
交付税の見直し、そして権限の移譲等があったわけですけれども、どうしてもこの
交付税削減が大きく響きまして、そのことが
地域間格差につながっている部分も大きくあるんではないかなと受け止めているところでございます。
一ページに戻らせていただきますと、私、先ほど紹介にありましたように、分権
改革、一部お手伝いもさせていただいておりますが、分権
改革についてはもう長年の懸案で、
衆参両院の議決以降、国の重要施策として取り上げられ、そのことを発端に第一次分権
改革、そして現在、第二次分権
改革と進んでおります。こういった中で国と
地方の役割の分担ですとか、あるべき日本の
行政の姿を描いていくことが極めて重要だと思っています。とはいえ、先ほども申しましたように、大きく
財源が不足している
自治体、
地域間格差もやや開いている
状況にございまして、多くの
方々が心配をしています。
また、
財政につきましては、自主的に運営のできる
税財政基盤をつくっていくことが極めて重要と思っています。そういう
意味では、この後段、下の方にありますように、国と
地方の例えば自主
財源に関する確保の
意味を含めまして、五対五の税源配分ということは是非今後実現すべきだろうと考えているところであります。また、これからもこういった
議論は高まっていくだろうと思います。
また、次のページになりますけれども、特に先ほどの
財政支出の中でもありましたけれども、額としてはそう極端に多くなくてもやはり着々と年を追うたびに増えているのが社会保障費、扶助費関係でございます。高齢化の影響、その他の影響もございますが、このことについては抑制の努力も当然していくわけでありますが、一方では
地域事情ごとにそれぞれの
自治体で工夫をして、
福祉の手当てあるいは手を差し伸べる
行政というのをされておりますけれども、これらを一律にどうこうというのはなかなか難しい面があるだろうと思います。まして、
高齢者の多くおられるところ、あるいは最近話題になっています限界集落を抱えているところほど、こういった
意味での様々な心配、また
財政的な
負担の必要性というのが当然高まっているところでございます。
また、一方では、社会インフラを見てみますと、例えば橋梁関係の点検がまだまだ、市、町レベルあるいは県レベルでもまだ未着手のところもあるようでございますし、それらの
財源をどうするのか。さらに、持続可能な町づくりを進めていく
意味でも
財政の需要にこたえていけるようなやはり
地方交付税の新たな展開として、
地方六
団体が申しております
地方共有税等も含めた
議論を大いにして、是非
議論をしていただきたいと感じているところでございます。
また、これらの
地方と国の関係や
地方財政に関して
議論をしていただくには、国と
地方の公式の協議の場というものを是非立ち上げていただいて、主管大臣並びに
首長関係の代表者と、
政治的な判断も含め、大いな
議論を是非公式にやっていただく場がとても重要だろうと感じているところでございます。
次に、三ページでございますが、
地方税財政関連
法案の早期成立ということをタイトルに、小見出しには掲げております。
現状、多久市の例でいいますと、影響額というものを見てみますと、四ページにありますように、当面の交付額等を見ますと、
地方交付税の場合、それと
地方特例交付金を含めますと五千七百八十七万円の差額になります。年度内の成立であれば七億数千万だったものが、年度内不成立となり六億七千万、これが不足ということがもう確定的な方向になっておりまして、これらは同じような
状況が全国の今
自治体に影響をしていく心配を皆がしているところでございます。これらに関しまして、これが五月以降に更に続いていくとなりますと、
行政の
財源不足そしてサービスの不足という事態を招きかねませんので、是非これらを早期に成立をしていただくのが重要だろうと考えているところでございます。
また、これを全国的に見ますと、そこにありますように、
地方交付税、四月の概算交付額で二千八百億円が減少、
地方特例交付金でも三百億円が減少、影響額としておよそ三千百億円が全国の
自治体に影響するという事態がありますので、是非是非、ほかのいろんなマターもあると思いますが、
地方自治体関係に関しましては早期の成立を是非お願いをしたいというのが率直なところでございます。
また、今話題になっております
道路特定財源等ございますけれども、大きな高速
道路等の工事の現場等が報道のカメラに映されて、こんな無駄な
道路は要らないんじゃないかという
議論がよく沸き起こりましたけれども、一方では、非常に日常の生活
道路の
整備ですとか、社会インフラをして
地域活性化、
企業誘致に結び付ける産業振興の施策の一部ですとか、さらには安全対策等へも
予算が行っているようでありますが、必要なものは造っていくという部分も
片方では是非御考慮をいただきたいというふうに感じるところでございます。
しかし、一方では、私自身も怒りを覚えましたが、不適切な支出等があるようでございまして、これらについては早急に実態を解明し、是正もしていかないと、論語の言葉にあります信なくば立たず、たまたま私どもには孔子廟がありますのでよく論語を読むんですが、この信頼の信がなくなりますと
政治行政も立ち行きませんので、是非そういった改善も全国挙げてやらなければならないことだろうと受け止めているところでございます。
しかし、
現状ではやはり多くのところで、
佐賀県内でも百六十五億円ほどなくなるんではないかと心配がありますが、この
税率の問題、また
税率廃止が期間が延びていきますと
財源が不足する事態が発生いたしますので、主務大臣がおっしゃり、また与野党でも
地方にはなるべく迷惑を掛けない対策を考えてくださるという御発言等あっておりますので、是非そのような対策をお願いいたしたいというふうに願っているところでございます。
まとめとしてでございますが、
住民サービス、
自治体は本当に細かいところから大きなところまで国や県との連携をし、また
予算もいただきながら実行しておりますが、その継続的な推進のためにも関連
法案の是非早期の成立をお願いしたいと思っております。
また、
片方では、最近の危機管理を始め、安定して安全で安心な町づくり、また
住民生活の確保ということも我々の使命でございますが、そういった
意味では
地方自治体の
仕事は、ちょっと待っていいよということは対
住民にはございませんので、是非遅滞のない対応をお願いしたいというふうに思っております。ここにも
地方に迷惑を掛けないという御発言等を各
先生方からもいただいておりますので、このことを強く信じていきたいというふうに願っております。
また、
地方財政全体の運営の充実、また
財源の確保等について今後様々な
議論が起こると思いますが、是非
国会の
先生方の積極的な御理解とリーダーシップをお願いいたしたいと思っております。特に、
税財政、そして分権
改革につきましては、
政治のイニシアチブというものが極めて重要だと受け止めております。
政治的な大所高所からの御判断でのリーダーシップの発揮を心からお願いいたしまして、およそ時間となりましたので陳述に代えさせていただきたいと思っております。
どうもありがとうございました。