○
参考人(
緒方貞子君) ただいま
ODA特別委員会のいろいろなお
考え方についていろいろ伺わせていただきましたし、
総理のこの
TICAD、G8にかけてのいろいろな御決心等も伺わせていただきました。
国際社会のいろいろな討議の場では、今年こそは
日本が
リーダーシップを示せる年だというようなことがよく言われております。したがって、それに従ってこの
TICADもG8もそれなりの
リーダーシップを取らなきゃならないということは私
どもみんなよく承知していると思いますし、
総理もそのつもりでいろいろ御活躍というふうに拝見しております。
ただ、先ほど
アフリカの
首脳方がたくさん来られて
ODAに対する期待が、失望しておられるんじゃないかというお話ちょっとございましたんですが、期待は確かにしていらっしゃるんです。ただ、
支援についてはいろんな形の政策的な問題についても期待は持っておられまして、例えば今回の
TICADを例に取りますと、かなり私は
アフリカ政策について新しい工夫の色が見られると思っております。
まず、三本の柱のうちの一つ、第一の
成長の加速化です。
これは今までそうはっきり打ち出していたんではなくて、
貧困削減等々非常に社会的な問題、大事なものがたくさんございますが、経済の
成長、
成長の加速化がなければ
貧困削減だけ、別にこれはチャリティーじゃないわけですから、そういうことについてや
はり経済を
成長させなきゃならないということをはっきり出されたことは私は
意味があると思っております。
その具体的な方法といたしましては、一つよく言われておりますのはこの
アフリカの大陸の縦貫道路の
整備なんですね。それから港湾の施設、こういうものがないと、せっかく
アフリカでできてきたものを市場に回すこともできませんし、非常に道路ということには
アフリカ側も大きな関心を持っておりまして、四つ大きな縦貫道路を今造っておりまして、
日本の方、私
どもJICAの方もその部分部分については、例えば国と国をちょうどつなげる縦貫道路の接点においては、今まではそれぞれの国が入管の箇所それから貨物の審査等々、別々のを持っていたんですね。それをつなぎ合わせることによって縦貫道路を通るいろんな貨物が早く行くんじゃないかと。
この早く動くということは案外、先ほどいろんなエイズのこともおっしゃっていらしていたんですが、南部
アフリカでエイズが多いのはや
はり鉱山に働く人々が非常に動き回るんですね。それで、自分のうちに帰るのに大変長い時間を掛けたドライバーの方がたくさんあるというようなことはエイズの蔓延と無
関係じゃないんです。
そういうようなことを考えまして、縦貫道路そして縦貫道路を通るたくさんの貨物の迅速な輸送、そしてまたその縦貫道路の周辺に小さな今度はコミュニティーのための、
日本でおっしゃるのは道の駅とでも申しますか、そういうコミュニティーもつくって、いいものが広く広まる、早く広まるというような工夫をする、これは
TICADでは私ははっきりこういうものを出したのは今回が特別だと思っております。
それからもう一つ、
人間の
安全保障の確立。
これは
人間の
安全保障で私も割と長くこのことについてはかかわってきたんですが、や
はり人々が力を付けて、そして教育、
保健衛生等々がなければ力が付かないわけですね、や
はり仕事ができないわけですから。そういうコミュニティーをつくる、下からの力を付けるというのが非常に
人間の
安全保障の
考え方では大きいことなんですが、その
人間の
安全保障という枠組みを脱しまして、その中でコミュニティーとして教育、
保健衛生あるいは
農業等々をコミュニティーと関連した形で広めていこうと、こういう政策もはっきり出されたのは今回の第四回が、私も三回は出ておりますんですが、初めてじゃないかと思うんです。
もちろん
環境それから
気候変動については、これはもう大きく
アフリカにとっても大きな問題だということが認識されてきておりますので、いろんな干ばつに強い稲の品種であるネリカ米を今回はそういう
意味からもどんどん広げていきたいとか、それからそういう
協力等の工夫をしておりますし、森林資源の管理等々についてもいろいろな具体的な案を出しておりますので、大きな柱が政策
課題として出してあって、その下にかなり具体的ないろんな
提言があって、その具体的な
提言に沿った形の実動部隊というのが
JICA等の
実施をする
機関の責任だというふうに思っておりますので、これが本当に
実施されるといいなと、そしてそれが
実施されるように持っていかなきゃならないという決意は強く持っておりますが。
そういう形で、今までと同じことを同じように繰り返しているよりは踏み込んできた第四回目の
TICADでありますし、そういうことを
アフリカの
首脳の方たちにもよく
理解していただいて、そして討議をしたりいろいろどういう国ではどういうことが一番可能性として期待されているかというようなことの政策対話をする場であるというふうに考えておりますので、私
どもたくさんの方をお迎えするのに緊張して待っております。
ありがとうございました。