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2008-06-03 第169回国会 参議院 財政金融委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年六月三日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月三十日     辞任         補欠選任      大河原雅子君     森田  高君  六月二日     辞任         補欠選任      尾辻 秀久君     島尻安伊子君  六月三日     辞任         補欠選任      大塚 耕平君     米長 晴信君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         峰崎 直樹君     理 事                 大久保 勉君                 辻  泰弘君                 円 より子君                 愛知 治郎君                 田村耕太郎君     委 員                 尾立 源幸君                 大塚 耕平君                 川合 孝典君                 川崎  稔君                 富岡由紀夫君                 平田 健二君                 水戸 将史君                 森田  高君                 横峯 良郎君                 米長 晴信君                 小泉 昭男君                 椎名 一保君                 中山 恭子君                 林  芳正君                 森 まさこ君                 荒木 清寛君                 白浜 一良君                 大門実紀史君    国務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        渡辺 喜美君    副大臣        内閣府副大臣   山本 明彦君        国土交通大臣  平井たくや君    大臣政務官        内閣大臣政務        官       戸井田とおる君    事務局側        常任委員会専門        員        大嶋 健一君    政府参考人        警察庁長官官房        審議官      井上 美昭君        金融庁監督局長  西原 政雄君        国土交通省河川        局次長      田中 裕司君    参考人        株式会社東京証        券取引所グルー        プ取締役代表        執行役社長    斉藤  惇君        モルガン・スタ        ンレー証券株式        会社経済調査部        長        ロバート・フ                 ェルドマン君        預金保険機構理        事長       永田 俊一君      ─────────────   本日の会議に付した案件 ○金融商品取引法等の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○財政及び金融等に関する調査  (金融機能再生のための緊急措置に関する法  律第五条の規定に基づく破綻金融機関の処理の  ために講じた措置内容等に関する報告に関す  る件)  (預金保険機構の実績に関する件)  (整理回収機構業務運営に関する件)  (ヤミ金融の取締りに関する件)     ─────────────
  2. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、大河原雅子君及び尾辻秀久君が委員辞任され、その補欠として森田高君及び島尻安伊子君が選任されました。     ─────────────
  3. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 金融商品取引法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案の審査のため、二名の参考人から御意見を伺います。  御出席いただいております参考人は、株式会社東京証券取引所グループ取締役代表執行役社長斉藤惇君及びモルガン・スタンレー証券株式会社経済調査部長ロバートフェルドマン君でございます。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙のところ本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。  お二方から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の審査参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  議事の進め方でございますが、まず、斉藤参考人フェルドマン参考人の順序でお一人二十分以内で御意見をお述べいただき、その後、各委員質疑にお答え願いたいと存じます。  なお、意見陳述質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございますが、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっております。また、各委員質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いしたいと思います。  それでは、まず斉藤参考人にお願いいたします。斉藤参考人
  4. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) 東京証券取引所斉藤でございます。本日は、当委員会にお招きをいただきまして、意見を申し上げる大変貴重な機会を賜りまして、誠にありがとうございます。  時間も限られておりますので、早速、金融商品取引法等の一部を改正する法律案に対する私どもの考え方を申し述べたいと存じます。  貯蓄から投資へ、あるいは金融立国への挑戦といった政府による諸施策が展開されている中で、東京証券取引所がそのある意味では象徴的な存在として中心的な役割を担っていくということを強く期待されておりますということは、昨年六月末に私、東証社長に就任いたしまして以来、ひしひしと実感しているところでございます。  ただ、私が社長に就任してすぐアメリカのサブプライム問題が表面化いたしまして、その影響を必要以上といいますか、むしろ異常に強く受けた日本株式市場は、残念ながら昨年の夏以降、活力を失ったまま推移をしております。  過去二十年間の資本市場の動きを振り返ってみますと、先生方よく御存じのとおり、日本株式市場資本市場というのは世界でただ一か所縮小を続けました。東証時価総額ということで申しますと、六百兆円以上ございましたものが、現在四百三、四十兆ぐらいまで縮小してきておりますが、このライバルといいますか、世界ニューヨーク辺りで、我が日本が六百五十兆ぐらいのときに四百七十兆円ぐらいしかありませんでしたこの時価総額というのは、現在でもう二千兆円を超えております。つまり、四倍から五倍になっているということであります。ロンドンというのは百二十兆ぐらいしかありませんでしたから、ちょうど日本の五分の一ぐらいしかなかった小さな市場であったわけでありますが、これが逆に今六百兆円、つまり逆に言うと五倍に拡大しております。  また、昨年の取引状況を見ましても、東京証券取引所の総取引金額は六百五十兆円ぐらいでございました。これに対しまして、ニューヨーク取引金額は三千兆円に達しております。そして、ロンドンは一千兆円。ですから、ニューヨークは大体三倍から四倍弱、ロンドンの場合は二倍弱あるということであります。この取引量の格差を見ましても、現在日本位置付け世界における金融市場としての位置付けが明確であります。  世界はどうしても今このリスク資本というものをどうやって自分の国に呼び込むかという、これはもう国家戦略になっておりまして、熾烈な競争をしているという状況であります。合従連衡も続いておりますが、地球上、特に大西洋を挟んでその姿を赤い線で引けば大西洋が真っ赤になるぐらい、いろんな資本合従連衡欧米の間で行われております。  このような状況の中で、今般の金融商品取引法改正による諸制度の見直しというのは東証における今後の取組の大前提となるものでありまして、我が国経済持続的成長にとりましても非常に重要かつ緊急性の高い事項であると考えております。  東証といたしましては、まず従来の商品のラインナップを超えた総合的な品ぞろえを実現することによりまして、国内に存在します千五百兆円に及ぶ個人金融資産に対して幅広い投資機会を提供したいと考えております。具体的には、改正法によりまして多様化されます上場投資信託ETFというものを多数上場したいと考えております。既に北米で、いわゆるアメリカとカナダですが、大体六百八十本のETF上場されております。ドイツ市場だけで三百三十三本、ロンドンで百六十七本、そしてフランス・パリにありますユーロネクストだけで三百二十一本と、欧州だけで八百本以上のETF取引をされているわけでありますが、私が就任しました時点における東証におけるETFはわずか十三本でありました。いろいろ規制問題がありまして、改善していただきまして、ようやく今三十五本に増やさせていただきました。しかし、これを三年以内に少なくとも百銘柄、長期的にはできればニューヨーク証券取引所並みの二百八十銘柄ぐらいに上場を目指してまいりたいと考えております。  このETFという商品は、非常に投資家にとって安いコストで、しかも指数をパックにして上場しておりますので、個人の方が投資されましても、例えば世界の五百銘柄だとか千銘柄だとか、株でもそういうものを投資することができますし、改善の仕方によってはコモディティー商品有価商品との分散投資というような効果が期待できます。したがって、個人のダイバーシフィケーションといいますか、個人リスク分散商品として高く評価されまして、諸外国においては活発にこれが取引されているというものであります。日本では、先ほど申しましたいろいろな理由で未発達でありまして、日本国民に対して個人自分リスク分散しながら投資するというチャンスを我々は与えることができなかったということであります。  御案内のとおり、我が国投資信託の残高はここ数年で四十兆ぐらいから一時八十兆、ここのところちょっと下がりましたので六、七十兆だと思いますが、まで一応拡大しました。しかし、五百兆円あるGDPに対して国民投資信託は一六%にすぎません。アメリカを見ますと、同じ時期に八百兆円から千二百兆円の規模に膨らみました。アメリカGDPは千二百兆を超えておりますから、アメリカ投資信託が大体GDPと同じぐらい存在しているということであります。日本はまだまだ力不足だと言わざるを得ません。この意味でも、個人投資家にとって低コストで簡便かつ効果的に分散投資が可能になるETF多様化は不可欠でございます。  また、これを実現する新たな年金プランとして、今ある四〇一kに加えまして日本版IRAを導入すべきではないかと思っております。日本版IRAを導入することによりまして、運用中の運用収益については年金を引き出すまで非課税扱いとするとともに、今後多様化されるETFによって個人でも容易にできる分散投資を通して、国民一人一人に自分人生自分でつくるという意識を持っていただくということは非常に大切なことではないかと考えております。  次に、改正法案におきまして、リスクテーク能力のあるプロ投資家向け自由度の高いプロ向け市場枠組み整理が提案されております。日本上場企業のトップ五十の顔ぶれを見ますと、この五十年間ぐらいほとんど変わっておりません。これに対してアメリカでは、ゼネラル・モーターズやゼネラル・エレクトリックなどを除きますと大幅に入れ替わっております。つまり、我が国においても、かつてのソニーやホンダのような新しい企業を育てることによって社会を活性化させる必要があるということであります。  本来エクイティーファイナンスというものは、銀行など金融機関が容易に融資できない高いリスクのある事業や産業に長期的にその技術力成長力を見越して投資するものでございます。日本には多くの隠れた技術、電子、医学、通信、冶金工学などあると言われておりますが、最近の株主が短期で高いROEを求める傾向が強いために、企業がこのインキュベーター的な長期技術投資することがだんだん少なくなってきております。これらの問題を解決するため、東証といたしましても、リスクマネーを必要とする成長性の高い企業プロ向け新興市場を提供する必要があると判断した次第でございます。  さらに、改正法案においては、排出量取引に関する市場開設業務金融商品取引所兼業業務として追加されております。排出量取引につきましては、欧州のようなキャップ・アンド・トレードの導入の是非について様々な議論が行われていることは認識しておりますが、それはまさに国家戦略として議論されるものであり、我々がここでコメントするつもりはございません。  しかし、肝心なことは、欧米においては既に取引所において排出量が盛んに取引をされているということであります。そして、そのルール西洋人中心となって構築しており、今の段階でこのルール作りの中にもし日本人が入らなければ、戦前と同じように世界ルールができ上がってしまい、日本は孤立してしまうということであります。孤立してから批判をしてももう遅いということであります。  したがって、東証といたしましても、我が国がアジアにおける排出量取引センターになるためにも、取引ルール作りについては早急に検討を開始する必要があると考えまして、今般、京都クレジット等取引所研究会を発足しております。  最後になりましたが、資本市場、とりわけその中核たる証券取引市場は、国民共有資産であるとの認識に立ち返りますと、いかにして多くの取引が行われる効率的な市場を確保するか、同時にいかにして信頼性の高い市場をつくるかということがますます大きな課題となってきております。この課題を達成していくために、市場運営国際対応その他の面におきまして、東証は常に創造的かつ挑戦的な姿勢を保ち、個別の具体的施策に取り組んでまいりたいと考えております。  どうか、先生方におかれましては、当法案に対する十分な御審議をいただくとともに、今後とも証券市場の発展に御高配を賜りますようお願い申し上げまして、私からの意見陳述を終わらせていただきます。  大変ありがとうございました。
  5. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ありがとうございました。  次に、フェルドマン参考人にお願いいたします。フェルドマン参考人
  6. ロバート・フェルドマン

    参考人ロバートフェルドマン君) ありがとうございました。  本日、参考人としてお招きいただきましてありがとうございました。大変光栄でございます。  なぜ外人がここにいるのかということがちょっと思われるかもしれませんけれども、私は初めて日本に来たのはほぼ四十年前、昭和四十五年だったんですけれども、高校時代交換留学生プログラムAFSで一年間、名古屋で勉強させていただきました。それ以来、勤勉まじめ日本国民、駄じゃれが多い日本語と付き合って楽しく四十年間送ってきましたけれども、やはり互いにより豊かな世界をつくらないといけないということが基本的な人生の、何ですか、目標ということで、それに若干貢献できるならいいなと思ってきました。  本日、法案審議していらっしゃる皆さんに若干参考として意見を述べさせていただきたいと思いますけれども、まず、この法案はなぜ大事なのかという点です。  日本金融市場競争力を高めるということは当然大事なことですけれども、市場のためではないということが大事なポイントだと思います。これは高齢化と対置する日本経済持続性を守るためのものだと私は思っています。もっと突っ込んで申し上げますと、おじいちゃん、おばあちゃんたちを食べさせるための法案だと思います。持続性のある日本経済じゃないとうまくいかないということですので、やっぱり生産性を上げないといけない以外にやり方はないということだと思います。資本市場日本労働使い方資本使い方を良くするために頑張っているということですので、市場競争力を高める、市場機能を高めることに成功するなら、労働使い方資本使い方が良くなって、日本経済持続性日本国民生活水準を守るということが一番肝心なポイントだと思います。  じゃ、なぜ改正が必要なのかといいますと、簡単に言いますと、ほかの国が一生懸命動いているというのが一つ理由です。十年前はシンガポールがこれだけ強い資本市場ではなかったんですが、結構動いています。香港もそうですし、上海もそうです。日本が遅れないように頑張らないといけないというのが一つ理由です。  もう一つは、技術革新です。目をまばたく期間は約五百ミリセコンドですけれども、ミリ秒ですが、今の取引自動取引の速さを見てみますと、八十ミリ秒とか物すごく短い期間取引しているわけですから、やはり技術革新によって常に市場効率性を上げないといけないというところがあります。  三番目はグローバル経済が大きく変わっているということですけれども、五年前、原油価格が百三十ドルになるということを言った人は多分ばかじゃないかと思われたと思いますけれども、実際にそうなっています。穀物は非常に高騰しています。こういう実体経済の変化によって金融市場が動いて、もっと有効に資源を再配分しないといけないということがありますので、日本経済もその再配分に参加してより良い世界をつくらないといけない義務があると思います。  こういうことを背景にしてこの法案審議していただきたいと思っております。  さて、この法案内容ですけれども、さっき斉藤社長がいろいろおっしゃいましたけれども、斉藤社長がおっしゃいましたように、ETF多様化が非常に大事なポイントだと思います。やはりこれから柔軟にいろんな金融商品がつくれるように、投資家ニーズ投資をする人たちニーズ、すなわち実体経済ニーズに合わせるような商品をつくっておかないといけない。つくり方が難し過ぎると、チャンスを逃すだけじゃなくて、生活水準が守れないということになるのは一つの大事なポイントですので、ETFをその一つの手段として進めるべきではないかと思います。  ファイアウオールのやり直しということもありますけれども、これ、基本的にリスクマネジメント一つの大きなテーマだと思います。というのは、今の制度ですと、ある会社の中でリスク管理する人たちが幾人必要ということですけれども、リスク管理というのは、基本的に情報をいっぱい交換して、何がどこから問題になってくるかということを考えて動くということですので、いろんな人がいろんなところでリスクマネジメントをやっていますということですと、そもそもうまくいかない、だからもうちょっと柔軟にリスクマネジメントできるようにしないといけないということが一つポイントだと思います。  コストも大事なポイントですので、まさにこの法案に入っているファイアウオールの考え直しということが大事だと思います。  プロ市場もすごく大事です。というのは、もう既にできた法案の中でプロ一般投資家という分け方がありますけれども、その延長線にプロ一般投資家向け商品をもっと開発すべきだということは簡単に言えると思います。これはコストの面から見ても、責任の面から見ても言えると思います。  四番目ですけれども、やっぱり不正なことをする人に対して厳しく制するということが非常に大事なポイントだと思います。課徴金を引き上げること、除斥期間の延長など、そういう措置をとるということは、市場に対する信頼性を上げるという大事な役割だと思います。  要注意な点もあるかということですけれども、一つあります。  これから細かいルールをいろいろ作らないといけないということですけれども、その細かいルールを作るプロセスの中で、対談を持って作るということが大事なポイントではないかと思います。今の金融庁、非常にうまく市場と連絡を取ってルールを作ろうとしていることだと思いますし、大きく特に昔に比べて金融庁が進んでいるということだと思いますけれども、この法律を実行するルールを作る過程で、どこかで金融庁から国会に報告していただくということは、一つルールをちゃんと作っているよということを証明するやり方ではないかと思います。  さて、この法案で問題が終わるかといいますと、もちろんそうではありません。昨年十二月に金融庁が出しました金融資本競争力強化プランがありましたけれども、今回法律に入っているポイントは六つぐらいありますけれども、実はプランを見てみますと幾らでもあります。この紙に入っているこれから大事なのを幾つか取り上げたいと思います。  一つは、ここに書いてありますけれども、J―REIT多様化です。これは実は地方活性化にとって肝心な措置だと思います。今は耕作放棄になっている農地は全体の約一〇%です。そうしますと、いわゆる農地REIT、すなわち農地が入っている不動産投資信託をつくることができましたら一石三鳥です。というのは、土地を売りたい人たちが、土地流動性が上がりますから売れやすくなります。土地を買いたい投資家の対象になります。加えて、世界の食料問題に貢献する一石三鳥のことですので、早く農地法改正審議していただいて、改正していただいて、農地REITがつくれるようにすることが大事だと思います。  自主規制機能強化及び職員の資質向上ということが金融庁プランに書いてありますけれども、基本的に回転ドア制度をもっと徹底すべきではないかと思います。というのは、やっぱり人材を育てるということは自分スキルを身に付けることが非常に大きなポイントです。斉藤社長再生機構でなさったように、若い人を取り入れて、ドアはここで閉まりますからスキルを身に付けて外へ行きなさいというような回転ドア式でやりますと、人材が上がります。これは一つポイントです。  税のことも書いてありますけれども、幾らでも細かく話すことはあると思いますけれども、原則としてパイを大きくする税制、すなわち税制を直してパイが大きくなるようなインセンティブを付けるということです。  もう一つは対話の充実ということが書いてありますけれども、金融庁が既に市場との対談をよくしていますが、金融庁だけじゃなくて、国税庁、経産省など、もっと市場の声を聞いていただいて意見交換をして、互いに教育し合ってもっといい制度がつくれるのではないかと思います。  とにかくこのプランに書かれていることはいいことがたくさん書かれています。  残念ながらここに書かれていないやるべきところもあります。二つか三つぐらい取り上げたいと思います。  一つ消費者保護とか投資家保護ですけれども、基本的に自己責任中心原則にすべきだと思います。六月一日から、タクシーに乗るときに後部に座る人でさえベルトを着けるべきだということになりましたけれども、これは自己責任一つです。交通事故事故じゃなくて普通の自分責任を負うということですけれども。タクシー後部に座ってる人たちが被害を受けないようなやり方は二つあると思います。一つは、隣に公務員に座っていただいて事故になりそうなときに押さえていただく、あるいは自分ベルトを着けること。どれがいいでしょうか。当然、自己責任がいいんです。これを中心原則にすべきだと思います。  幾つか細かいことがあります。投資をする人、投資をするライセンス、免許、どこまで免許をつくるべきかということだと思いますけれども、余り勉強していない人は預金、勉強している人たちは株とか派生商品とか、物すごく勉強している人は物すごく難しい商品をやっていい、そういう制度を考えてもいいんじゃないかと思います。海外でもそういう例はあるそうです。  もう一つは、事業会社の倫理基準を作って、各事業会社にこういうことを分かった上で経営しなさい、資格をつくるということです。例えば情報を漏らさないということです。そういう資格をつくるべきだと思います。  もう一つは経済教育ですけれども、これは学校の経済教育も大事ですけれども、投資家の教育も大事ですけれども、結局、裁判官の教育も必要だと思います。最近、内外の投資家の間では、どうも経済理屈に合わない裁判の結果があります。ですので、もう少し裁判官が実際にビジネスをやっている人たち意見交換をして教育をしていただきますと、もっと合理的な裁判になるのではないかと思います。  言いにくい次の点ですけれども、暴力団対策です。実は、米国は一九五〇年代に物すごく大きな暴力団問題がありました。キーフォーバー上院議員が審問をやりまして、元ケネディ大統領も参加して、ゴールドウォーターさんも参加しましたけれども、そういう国会審問をやった結果、RICO法とか不正収益を吐き出す法律ができまして、非常にいい効果がありました。実は、日本の評判はこの点で悪いんです。  先月、五月十一日のワシントン・ポストに実は記事が載りまして、日本の証券取引など問題になっているのは、一つ理由はRICOアクト、すなわち吐き出し法案がないということが原因だということを言っている日本の警察官が引用されています。海外でもこの暴力対策が足りないということを言われていますので、国会審問をしていただくということも一つの策だと思います。  次ですけれども、情報管理及びメディアの役割です。  皆さん御賛成かと思いますけれども、言論の自由は民主主義と一卵性双生児だということだと思います。言論の自由を、何ですか、害を加えることは絶対やっちゃいけないんですけれども、反面、メディアの金融市場での役割を考えた上で、もう少しいいメディアができないのかということを当然思います。  証券業界ではお客さんと話す前に外務員試験を通って話すということになっていますけれども、今のメディアではそういうのは全くないんですね。会社責任を負うだけで全く資格がないんです。だから、金融のことを分かっていない記者たち、やれということでやっていることになっている人がいると思いますけれども、全く分かっていない人が記事を自由に書けます。これは果たして金融市場は効率的に動けるような結果になるのか、これはメディアの方に考えていただきたいと思います。あるいは、金融関係のプレスクラブ、記者クラブですね、金融庁及び日銀のプレスクラブ、記者クラブの廃止、これもやっぱりほえない番犬という問題を解決する一つやり方ではないかと思います。やはり企業が漏らしちゃいけない情報を漏えいしたときに刑事罰として扱うということも必要ではないかと思います。  最後は企業統治ですけれども、もう既にブルドックソースの案件あるいはJパワーの案件でルールを明確化すべきだという動きが出始めているのは、これは非常にいいことだと思いますが、やっぱり持ち合いと利益相反をもっとちょっと勉強して、はっきりすべきではないかと思います。  最後ですけれども、株主の責任。よく経営の責任と言いますけれども、議決権を行使しない株主は東証の悪口、経営者の悪口言ったってしようがないんです。一九九〇年代、都知事選のときに、私、床屋行きまして、床屋のおばあさんがいいことを言いました。お客さんの一人は、選挙行きますかと聞かれたら、まあ今日はちょっと忙しいと言ったんですけど、おばあちゃんは、いや、選挙行かない人は文句言う権利ないよということ言いました。そのとおりです。株主もそうです。  そうすると、何らかの形で株主が議決権を行使する義務を付けるべきではないかと思います。例えば、しない場合配当金を減額するとか、そういうことも考えてもいいんじゃないかと思います。冗談じゃないんですよ。これはやるべきです。  とにかく、そういう四つの点、保護の自己責任原則、暴力団対策、情報管理の問題、ガバナンスの問題、こういうことに関して次のステップが必要ではないかと思います。  御清聴ありがとうございます。
  7. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 川合孝典

    ○川合孝典君 座ったままで失礼いたします。  おはようございます。民主党の川合孝典でございます。  本日は、朝早くから両参考人には当委員会に御出席を賜りまして、ありがとうございました。  また、斉藤参考人には、衆議院の質疑に引き続きの御出席ということで、重ねて御礼を申し上げたいと思う次第でございます。  私の方から、時間が今日限られておりますので、早速始めさせていただきたいと思いますが、まず、先ほど来、両参考人のお話で、今の日本金融市場世界的なポジションというものがゆゆしき事態にあると、何らかの対策を取らなければいけない、この点については皆さん共通の認識をお持ちなわけでございます。したがいまして、私も、ともかく日本市場が今後持続的に世界市場の中で一定のプレゼンスを発揮できる、そういうものであり続けるためにどうするべきなのかという視点から御質問をさせていただきたいと思うわけでございますが。  そこで、まず基本的な質問からさせていただきたいと思うんですが、金融ビッグバン、日本版金融ビッグバンが始まりまして既に十数年たっているわけでございますね。その中で、既に自由な市場をつくるという意味での様々な取組というものはなされてきているというふうに私は実は理解しておりました。株式の売買委託手数料の自由化ですとか金融商品への時価会計の導入、それから銀行での投信の窓口の販売の解禁ですとか、こういうことをやってきたと。そのことによって、制度的には日本市場は国際的にそんなに立ち遅れていないのではないかというような、そういう御意見も専門家の中であるわけでございますが、にもかかわらず、先ほど斉藤参考人のお話にもございましたように、国際市場の中でこれほどまでに日本市場の地位が低下した理由というのは一体何なのかということについて、両参考人の御見解をお伺いしたいと思います。
  9. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) 簡単に、日本株式市場投資家から魅力ある市場と思われなかった理由を一言で申しますと、日本企業が生み出す資本利益率が世界の水準からはるかに低いということであります。  グロース、成長段階にある企業資本利益率というのは必ずしも高くない場合がありますが、GDPが例えば中国のように一〇%前後で伸びる、あるいはかつての日本がそうでございましたが、あのときは、一つ一つ企業を見ますと、いわゆるROEが必ずしもそれだけ高くなくても投資の資金が参りますけれども、日本アメリカやヨーロッパのように成熟した国になってまいりますと、資本をどれだけ効率よく使っているかによって企業価値を計算するという、そういうモデルがございます。  いわゆる、ややこしい話ですけれども、フリーキャッシュフローをベースにして企業価値を計算するということになりますが。日本のこのROEが一時マイナス〇・四三%まで下がりまして、小泉内閣が発足する前でありますが、これがだんだん戻ってまいりまして、ただいま九・三%になりました。全くこれと比例するように、株価は、私どもの指数で言いますと、七〇〇ぐらいだった指数が一七〇〇まで上がると。これ非常にその相関関係が高いわけであります。ところが、九・三ぐらいになったまま、横ばいから少しおかしくなってきている。ちなみに、この数字は、じゃイギリスはどのくらいあるかと。これ二一%であります。アメリカが一八%、そして我が国とよく体質が似ている経営をやっておりますドイツでも一四%であります。  幾つかの理由があります。このROEがすべてを説明するということも暴論であります。リスクとの見返りという理論で見ますと、ROEがすべてを説明することはありません。しかし、学問的にも、資本をどれだけ効率よく使うにはどうするかということを一七八〇年ぐらいから人類は制度や学問で探求し続けてきて、結論は、市場を使って取引コストを下げるという方が、人為的な、統制的な資本の配分を行うよりは国家は豊かになるという答えを得たわけであります。  その自信を持って特にここ三十年ぐらい世界はその方向へ一気に走ったときに、日本が必ずしもそれに乗れなかった、乗らなかった、あるいは例の失われた十年というのもございまして、逆を言うと、銀行を中心とする貸金業者のコーポレートガバナンスが実に甘くなっていたために、借り手が借りたお金を無駄遣いしたと、つまり資本効率の悪い使い方をして、我々国民全員がそのコストを払わされるということになって日本の地位が落ちたわけであります。  したがって、それはだれかがやはりしっかり見てなきゃいけない。経営者は立派な方がたくさん、多いんですが、やはり第三者によるしっかりしたチェックが必要であると。そのチェックをだれにやらせるか、どうしたらいいかというのが、やはりこれも世界が抱えたテーマでありました。一つは、体制国家としては行政官にしっかりやらせればいい、ルールを作ってルールでぎりぎり締めればいいというやり方もありました。  その極端が、株主という、リスクマネーを提供している、普通だったら銀行に置いていて、元本は、少なくても、インフレは別として、元本は表面上減らないものをわざわざ引っ張り出して、エクイティー、資本というのは差し上げるものでございますから、自分が持っているものを経営者に渡してしまうお金ですから、それがどのくらいしっかり事業に使われ、利益を生むように使われているかというのをしっかりある意味では利己的に見る。そういうことを社会の制度にビルトインすることによって社会を安定化させ、高収益の社会、豊かな社会をつくろうというのは、少なくともこの一九七〇年ぐらいからしっかり欧米中心に生まれてきた思想でもあります。  日本は中途半端なんですね。いい面もあります。無駄の中に非常に心地よさもあるし、人間として安心する面もあるということは否めないわけですけれども、そのバランスでありまして、やはり日本企業の姿勢が甘い、ROEが低い、企業価値が低い。ならば、少なくとも、アジアでいえば、この前までは中国やインドやインドネシアや韓国というのはそれほど魅力のある国ではありませんでしたけれども、今やそちらの方へ投資した方がよほどいいということでお金が日本へ来なくなったということであります。
  10. ロバート・フェルドマン

    参考人ロバートフェルドマン君) ありがとうございました。  斉藤社長今おっしゃいましたこと、私一〇〇%賛成です。  加えて、あと投資家に似たような質問を聞くとどういう反応が来るかということをちょっと申し上げたいんですけれども、一年前のときに大体三つの答えが三等分で来ました。一つは税、もう一つ人材、三番目は監督です。  税ですけれども、法人税高過ぎるということ、個人の所得税が高過ぎる、あるいはMアンドA税制企業買収税制など、企業合併税制など、非常に複雑でいっぱい取られてしまうから動きにくい、そういう文句がいろいろありました。外人だけ税を安くするということ、とんでもないということだと思いますけれども、公平上の問題ありますけれども、逆に、全体の税制が効率的に動いているかどうかということを考えるべきではないかと思います。例えば、法人税を下げれば、その分税収のために消費税を上げないといけないので、消費者にとって悪い、企業にとっていいという考え方あるんですけれども、これは暴論だと思います。法人税が高いということはどういうことかといいますと、雇用を外国へ輸出するということがあります。だから、雇用も、全体を考えて税制のこと考えないといけないんですけれども、とにかく税制一つです。  人材ですけれども、人が東京に来て働くということは、やっぱり移民のルールいろいろあります。例えば、家族、子供の面倒を見る人を連れてくることが非常に難しいなどなど、そういう移民ルールに関する部分が一つの問題です。もう一つは、英語できる人が余りにも少ないということです。これ学校の問題ですけれども、小学校五年生から今度英語を教えるということになりましたけれども、中身を見てみますと、年三十五時間しか教えないということです。加えて、教師たちは、それじゃできませんよということを言っています。結局、ソフトウエア、すなわち電子方法を使って、学校で資本装備率を上げないといけないというのがあるんですけれども、とにかくこの英語問題をどうするか。こういう二つあるんですけれども、結局、金融教育、すなわちビジネススクールは国内で足りないというところもあると思います。  監督ですけれども、ここ一年間監督に対する文句がかなり少なくなっています。特に昨年、佐藤長官になってから金融庁市場の話合いが非常にスムーズになってきまして、意見交換が非常に良くなってきていますので、甘いルールをしっかり実行するという批判がちょっと和らいできたということだと思いますけれども、この三点は一番大きな東京が遅れている理由になるのではないかと思います。
  11. 川合孝典

    ○川合孝典君 どうもありがとうございます。  私の持ち時間、もう早くも半分以上なくなってしまいましたので、準備したものをとてもすべて御質問させていただけませんが、急いで次参りたいと思います。  日本市場がこれまで抱えてきた様々な問題というのは今の両参考人の御答弁でよく分かりましたけれども、そうしたことを踏まえて今回の金商法の改正というものが行われるということはこれ間違いないんですが、その改正の中身についてやっぱり幾つか懸念となる点があるというふうに多くの方が指摘されておられます。  そのうちの一つがいわゆる課徴金制度の在り方という部分だと思うんですけれども、従来からこの日本課徴金制度の考え方というのは、抑止力という意味では不十分なのではないかというふうな御指摘が多くの方から寄せられているわけであります。今回、法改正でおおよそ二倍ぐらいに課徴金が上がるということになるわけでありますけれども、それでも、内閣法制局の考え方に基づいておりますので、不正取引によって得た利得を吐き出させるということが基本的な考え方になっておりますので、ペナルティーという意味でそれが果たして十分なのかということが一点。  それから、欧米を翻ってみますと、およそいわゆる不正によって得た利得の倍ほどが罰則金の意味合いも含めて徴収されるということを伺っておりますので、外国の資金が日本に流入してきたときに、いわゆる真っ当な投資家ではなくて、先ほど暴力団対策みたいな話もなさいましたが、いわゆるブラックマネー、そういうマネーが流れ込んできやすくなるような環境をつくってしまうのではないかということをちょっと私懸念しておるわけですが、その点についてお二方の御見解を簡潔にお願いいたします。
  12. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) 先生の御指摘のとおりであります。  今回の見直しによって、公表日の翌日までで計算してその金額を取り上げていたのが、二週間後の高値との間の金額を取り上げるということになりましたので、結果としては先生の御指摘のとおり二倍とか、場合によっては、市場次第ですけど、もっと高く取れるということで、ある程度の制裁性は出ていると思いますが、元々非常に日本では制裁的な課徴金にはなってないということでございますね。  これなかなか難しくて、どのくらい罰を与えれば本当に止まるのかという問題はありますが、フェルドマンさんが言われたように、アメリカでは、非常に自由性を与えているその全く同じぐらいの規律といいますか、厳しい罰則を付けております。普通は反則をやりますと永久追放、その職に就けないというような罰が付いたり、いろいろ民事、刑事、厳しく追及をしてくるというふうになっております。ある程度、徐々に日本欧米並みにしていったがいいのかもしれないと思っております。  今回は、しかし、相当のこれは改善になったのではないかと思っております。
  13. ロバート・フェルドマン

    参考人ロバートフェルドマン君) 私も同感ですけれども、今、斉藤社長がおっしゃったように、日本に来て悪いことをやっても逃げられないということをどうやって制度化するかがかなり問題だと思いますけれども、私が警視庁の方とかFBIの方と話をしますと、結局、FBIとか日本の警察、警視庁などの情報交換はかなり難しい。情報交換もっと自由にできるようにすればもっと有効にこの問題を取り組むことは可能ではないかと思います。  そうしますと、よく言われているんですけれども、日本ルールでは、警視庁がプライバシー保護という意味で情報を海外の当局に提供できないということがあるそうです。これを直して問題を少なくすることは可能ではないかと思います。  以上です。
  14. 川合孝典

    ○川合孝典君 ありがとうございます。  フェルドマン参考人に是非お伺いしたいことがあるんですが、調べましたところ、アメリカでも、いわゆる今回のファイアウオール規制の緩和というものはそもそもなされていて、金融持ち株会社傘下の役職員の兼職規定というものの制限はないわけですよね。しかしながら、実態として、利益相反を防止するという観点から、大手の金融グループで役員の兼任の事例というのはまずないというふうに実は私伺っておるんですけれども、そういう認識で間違い、まず、ないでしょうか。
  15. ロバート・フェルドマン

    参考人ロバートフェルドマン君) 私はその点はちょっと詳しくございませんけれども、やっぱり組織の規模次第だと思います。東京にいる海外の金融機関は、やっぱり本社は東京じゃないので、海外の金融機関の東京支店は幾つかの機能があるということですので、やっぱりオン・ザ・グラウンドに人が兼任するということは、東京にいる限りは有効だということも言えるのではないかと思います。
  16. 川合孝典

    ○川合孝典君 ありがとうございました。  時間参りましたので、最後に斉藤参考人にお伺いしたいと思います。  さきの衆議院の財務金融委員会での参考人質疑の中で斉藤参考人は、今回のファイアウオール規制緩和のこの緩和に当たっては、厳しい自己規律に基づいた、グループ内における規制の実効性が確保される必要があるというふうにお述べになられております。私もそのとおりだというふうに思っておるわけでありますが、この場合、その厳しい自己規律というものをどうやってつくっていくのかということもそうなんですが、どういったイメージを斉藤参考人がお持ちなのかということを是非ともお伺いしたいと思います。
  17. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) たまさか私、ビッグバンの改正のときからこの問題にずっと委員として参加して、ファイアウオール問題については相当激論をやった担当者自身でありますけれども、結論を申しますと、ワンストップバンキングというようなサービス、お客さんから、消費者から見ますと、あっち行ったりこっち行ったりしなくていい、担当者が変わらなくていいという形でのサービスがあるという点は認めたいと思いますが、私も証券業界に長くいまして、当然ですけれども、どの国もお金はまず銀行にあるんですね。銀行にあるお金をどこへ持っていくか、株にするか債券にするかというようなのがどの国も起こっている。元金を押さえている銀行はすべての情報を実は持っているわけです。ここで何でもできるぞということになったら、特に日本の場合は今三つか四つの大手銀行に相当絞られてきていて、国民の預金は、地銀はともかくとして、相当集中してきているはずですね。これが、すべて情報が、この人は何百万か何千万か何億か預金をここに持っている、じゃこの人に投資信託を売りに行こう、この人に何か事業、投資をさせよう。何でも情報を利用して何にでも出ていけるという制度というのは、果たして国家国民のためになるだろうかと私は疑問を持っております。  したがって、少なくとも利便性とのバランスが必要ですし、情報の使い方に対しては相当厳しい規律を持ってやってもらわないと、いわゆる金融独占的な市場に陥ってしまう、再び。我々はここで苦い経験をしているわけでありまして、間接金融、メーンバンク制度というものが日本経済を、当初は引っ張りましたけれども、ある時点からは逆に非効率化した最大の原因の一つであります。  私どもは、このファイアウオール問題というものに対しては、アメリカも先生がおっしゃるとおり非常に厳しいルールを中に実は置いて共有をしております。したがって、十分注意して適用すべきだと私は思っております。
  18. 川合孝典

    ○川合孝典君 ありがとうございました。  以上で終わります。
  19. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 今日は排出権取引市場創設に奮闘される東証斉藤社長に敬意を表してクールビズでやってきましたが、まだまだここではマイノリティーですから、先生方も是非御協力よろしくお願いします。この格好で失礼します。  立て続けに今日は三問ぐらい斉藤社長に提言っぽい質問をさせていただきますので、もう簡潔に、できるだけイエスかノーかで答えていただければと思うんですけれども、よろしくお願いします。  一生懸命やられていまして、今ニューヨークやユーロネクストや韓国ともいろいろお付き合いをされて、いろいろ品ぞろえを充実されようというところ、大変敬意を表したいと思います。  それに加えて、これからは是非とも品質ですね、品ぞろえの後は商品の品質、マーケットですから、これをアップすることを考えていただきたいんですが、もう斉藤社長には釈迦に説法ですけれども、今ガバナンスディスカウントというのがよく言われています。日本企業のガバナンス効いていないから、少数株主の意見が全然反映されないから、株主のために経営陣が、先ほどの話もありましたけれども、汗水流して成長戦略を描いてしっかり働かないから、こういう違う資本市場の国に投資してもしようがないということで株価が減っているんじゃないかと。例えば親子上場、第三者割当て、過剰な買収防衛、こういうものを許しているところがやっぱりなかなか日本市場の評価につながらないところがあると思うんです。  このやり方は三つありまして、一つ会社法というのをもう一回改正するというやり方もあります。もう一つは、新しく公開外資法、上場外資法みたいな新しい法制を考えていくというのも一つの選択肢だと思います。三つ目に、これは是非機動的で迅速に対応できるので考えていただきたいのが、やっぱり取引所の規則、東証さんの規則の方で、例えばもう親子上場とか第三者割当てとか買収防衛でやっぱり筋の悪いやつは何らかの形で排除していただけないかと、こういうのを切にお願いしたいんですけれども。  例えば、上場企業には、東証上場したかったら、上場を続けたかったら委員会等設置会社の導入を義務付けるとか、独立取締役の基準をはっきりして、独立取締役の導入、監査役の権限ももっと引き上げて透明化していく、こういうことを東証さんにやっていただきたいと思うんですが、東証社長として斉藤参考人、いかがでしょうか。
  20. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) まず、お答えの基本的なところは全部私、イエスということでございまして、品質を上げる、これなしに本当の魅力ある市場はあり得ない。いろんな形の品質があると思います。先生が今御指摘なさったのも大事なことでございます。  一方では、世界取引所上場公開しておりまして、収益を追求する取引所になっている、と同時に自主規制機関であるというような、それぞれ形は違いますけど。経営者の方々とお話しすると、やっぱり大変悩んでおられるんですね。どの程度まで自分のところの株主に報いるべく行動を取るのか、どの程度まで自主規制機関としてのレギュレーターとしての役割が重要なのかというところは、非常にデリケートな難しい問題であります。ロンドンみたいにそこはもう分離してしまったところもありますし、アメリカもスタートした後、中途半端といいますか、半分分離したような状況になっているということであります。  この問題はまた今後の問題になると思いますが、先生御指摘があった親子上場ですとか第三者割当てですとか、このごろの持ち合いのような防衛、いずれも非常に世界に余り見られない現象であります。ある意味では、あえて言えば日本独特、完全に独特ではありませんけど、理論的には第三者割当ても世界にはあるんですけれども、使わないのが普通、よほどのことがない限り。ところが日本はこれを普通に使ってしまう。しかもそれが時々、経営者の保身ではないかというような使い方をする。会社の価値を守るという前に経営者の保身のために使われる。あるいは親子も問題でありますが、子会社を犠牲にして親会社が実は利益を出している、その逆もあります。そういうような見えないことをなぜわざわざやるんだと。持ち株についても、せっかく七%ぐらいまで減っていた持ち株制、二〇%だったんですが、これがまたちょっと戻ってき出しております。これはいろんな理由で戻ってきたんですが、これも世界に見られない。  要するに、株式を投資した人から見たら、株を買うために投資したはずはないわけですね、経営者は。何か自動車を造るとか機械を造るためにという会社の定款を読んで投資したのに、そのお金が株に投資されている、しかも評価損が出るということになると、全然これはおかしいじゃないかと。これは外国だったら定款違反で問題になるぐらいであります。日本でも、株主権を使って有利取引をした場合には問題になるようなことが会社法にはちょっと書いてあるんですけれども、この辺は非常に我々が改善しなきゃいけない点だと思います。  東証としましては、実はこの親子につきましてはかなりステートメントを出しておりますし、この七月から、子会社側は親会社取引した場合にはどういうふうにして自分のところの株主を守ることができるか、その内容を記述して年に一回公表するという義務を課そうという準備を実はしております。  それから、第三者割当てについては、もう先生御存じのとおり、私何回か、三回か四回か、好ましくないということを何度も伝えております。特に、まともなと言うとおかしいんですけど、第三者割当てならまだ理解できるんですが、割当先がペーパーカンパニーでバージンアイランドのという、本当にそれがいつも同じなんですけど、番号がありまして、そこへ割り当てる。そうすると、どこからか知りませんけど何百億というお金がそこから入ってくる。こういうことが既存の株主の承諾なしにできるというこの制度は、私は世界に説明性が非常にないと思います。ややもすると犯罪にもつながるおそれは十分あるんじゃないかと思うので、これに対して厳しい動きを取りたいとは思っておりますが、やはりそこは、法ということになりますと先生方のところでいろいろ御審議していただかなきゃいけないということで、新たな要望をこちらからまた出さざるを得ないということかと思います。  我々自身が法を動かすということは、ちょっと自主規制機関としては限度がありますためにそういう状況でありまして、基本的には先生が御提言なさったことはすべて基本的に賛成ということであります。
  21. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 ありがとうございました。もう本当に力強い発言いただきまして、ありがとうございました。    〔委員長退席、理事円より子君着席〕  東証さんもプロ向け市場を開設されるということで、プロ向け市場をつくられるのはもう大賛成なんですけれども、あとは政治も行政も民間も一体になって、プロという名前に足るプロがしっかり育つような土壌をつくっていきたいと思うんです。そういう意味でも、品質を向上するだけじゃなくて、金融機関にも健全なガバナンスが働くようにすれば、彼らも収益を追求するようになって現場のプロを育てようという動きが出てきますので、是非今のようなことを一緒になって頑張ってやらせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。  もう一つは、報道なんかで言われていますロンドンなどの他国の先進的な新興市場とコラボレートされて新しい新興市場というようなことが言われていますけれども、今の新興市場でありますマザーズですね、ここでもフェルドマンさんが指摘されたような問題があるのではないかと思いまして、ちょっとオーバーラップするかどうか定かではないですが。  やっぱり他国の新興市場というのは、もう釈迦に説法ですけれども、プロ取引する市場になっていますが、日本新興市場というのはどっちかというと個人がギャンブル的に仕掛けるような市場になっているという非常にユニークな特徴があるんですけれども、残念ながら、マザーズというのは東証の一部、二部に通過点として成長を期待されて上がってきた企業が多いはずなんですが、何年たってもそこに行く気配がないとか、もう下方修正を繰り返しているとか、上場のときの関与した証券会社自体が問題があるんじゃないかというような、言わば玉石混交のマーケットになっているところが、本来の成長資金を成長可能性のある企業にしっかりと渡していこうという趣旨からちょっと外れてしまっているところがあると思っていますので、これを改善するために頑張っていただきたいと思うんですが。  例えばサッカーなんかでも、J1、J2で、駄目だったらJ1からJ2に落ちるというような受皿があって、そういう頑張れなかったチームは落ちるわけですけれども、それが一つの成長の原動力になっていると思うんですね。ほかのイタリアやイギリスのサッカーリーグもそうですけれども。  日本新興市場も、三年、四年、五年たっても上がれない、下方修正ばっかり繰り返している、こういうのは受皿をつくってJ2みたいなところに落ちてもらって、そこで頑張ったらまた再上場できるというようなシステムをつくっていただければと思うんですけれども、新興市場を活性化するために、新興市場で活躍できなかったというか、成長できなかった、新興市場をつくったときのもくろみに合致しなかった企業には退出してもらうというような仕組みをつくってはどうかと思うんですけれども、いかがですか、斉藤参考人
  22. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) 基本的に、私は日本で一番欧米と違うのは、先生今まさしくおっしゃったように、プロ市場が十分育っていないということだと思います。  お金を持っている国の割にはこの厳しい視線がなかなかないということで、本来司法の処分や判断がある前に欧米ではもう市場が罰を掛けるということが普通でありまして、それが今日の民主主義だというふうに思うんですね。市場が罰を掛けるというのはどういうことかというと、例えば株価が極端に下がるとか取引が全くなくなってくるとか、そういうことで、この会社は魅力がないというふうに市場がはっきりサインを出してきます。例えばアメリカ辺りで行われる市場からのディリストと、上場廃止という一つ理由は、何かこう行政的な命令というよりも、財務的にバランスを計算したら債務超過になっていてエクイティーのバリューがないと、エクイティーのバリューがないものがエクイティー市場上場されているはずがないという論理で自然に消えるようになっていますね。それが本当の私は市場だと思います。  我々は、先生の御指摘を受けたような形になっておりますが、その市場が出したサインを受けて上場廃止をするルールをマザーズには実は持っております。例えば、時価総額がたしか二億五千万円でしたか、何か小さく落ちてしまうとか、あるいはもちろん債務超過が二年続くとか、それから流動性の比率も付けておりまして、五%未満にその流動性が落ちてくる、一〇〇出していたうち九五%も取引されない、九六%も取引されない、わずか四、五%しか取引されない、そういう状況になったら上場廃止をするというようなルールはあるんですね。したがって、しっかりそれを見ていく、会社にも意識させ、そして市場にもよく認識していただくということを我々は今やらせていただこうかということかと思います。
  23. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 最後の提言なんですけれども、これは排出権取引に関しましては御発言の中でしっかり頑張っていただくということになりましたので、後はもう政治の方でしっかりそれができるように行政のしりをたたくような形でしっかりやっていきたいと思いますし、もう既に扱えるような商品もありますので、まだ日本はできていないですけど、そういうのを考えて是非前進していただければと思います。  もう一つは、総合取引所ですね、今回の法制である意味相互乗り入れを促進するような部分ができているんですけど、是非とも他の国内のちょっと種類の違う取引所と相互乗り入れを進めていただいて、商品相場みたいなものをうまく証券取引所日本のお金が一番集まる相場で適正な価格を形成していただきたいと思うんですね。例えば農業なんかでも東証なんかで関連商品ができれば農家だって安心してマーケティングを含めた生産調整なんかを始められると思うんですね、さっきフェルドマンさんが言われましたけど。  ですから、いろいろ、あと上海なんかはエネルギーの値付け機能をアジアの中で独占しよう、もうそれぐらいの力を付けていますので、やっぱり日本の九割以上のエネルギーを海外に頼っている事情からして値付け機能日本にしっかり取り戻すということも大事だと思いますので、是非とも相互乗り入れを力強く進めていただいて、総合取引所を目指していただきたいと思うんですけど、いかがですか。
  24. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) 力強い御支援をいただきましてありがとうございます。全くそのように思います。  今回、先生方の御努力で、東京証券取引所でもいわゆるETFという形でコモディティー関係の商品が一応取引されるようになると思います。やっぱり最初に強化プランの中でむしろ強くうたっていた本当の相互乗り入れというのは、その手前で今止まっているわけですね。それは、やはり現物の少なくとも先物が東京証券取引所取引される。例えば金あるいは何かプレシャスメタルですとかオイルとかトウモロコシなどの先物ですね、これは現物決済はありませんので、先物の取引というのがお互いに取引される。例えば、逆に言うと商品取引所の方では株価指数を取引されたらいいと思います。お互いの乗り入れ。  これは、アメリカの場合はCFTC、SECと行政も変わっているし、場所も違いますが、欧米ではこれは大体合流しているという形で、やはり大事なことは、日本投資家が、韓国を始め隣国の投資家がみんなできることが日本人だけできないというものがいっぱいあるんです、いろんなこういうルールのために。これは実に寂しいというか、大変なことだと思うんですね。韓国の人も台湾の人も中国の人もみんな、もちろん欧米の人はやっている、個人がやっていることが日本だけできないというのが例えばこういうコモディティー指数取引であります。是非、この法案の後、先生方にも本当の相互乗り入れというところをお願いしたいと逆にお願いします。どうぞよろしくお願い申し上げます。
  25. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 もうしっかり頑張りますので、よろしくお願いします。  最後に、フェルドマンさんと斉藤参考人さん、両方に端的にお伺いしたいんですが、今私が挙げましたような問題を解決する意味でも、日本版政府系ファンドと言いまして、日本の公的セクターのお金をもっと民間に回していこうと。金額を増やすだけじゃなくて、例えば年金みたいなお金を日本市場に入れていけばガバナンス結構強化されると思うんですね。国民のお金を背景に株主が健全なプレッシャーを経営陣に掛けていくことにもなりますし、またその金額が増えるだけでも大きなグローバル化の効果がありますし、そういうものを設計していく段階で、世界中からプロを成果報酬で雇っていくというような先進事例をつくっていけば、これは日本金融機関にも波及していくと思います。民主党さんの中でも大久保先生が頑張って勉強会をつくられていますし、これはもうねじれ国会関係なく進めていこうと思っていますので、お二人に端的にこの辺についての意義や感想をいただければ、それで終わりにしたいと思います。  以上です。
  26. ロバート・フェルドマン

    参考人ロバートフェルドマン君) ありがとうございました。  私は、政府系ファンドに関して基本的に賛成です。やはり今まで、実は日本政府系ファンドあったと思いますけれども、財政投融資ですね、あるいは年福とかそういうのありましたけれども、お金の運用の仕方は余りにも不プロ的だったということですので、うまくいかなかった。これからプロ的にやりましょうということは基本的に賛成です。  問題があるとすれば、政治の干渉がないように設計しないといけない。そういうファイアウオールがあるというつくり方、例えばノルジェスバンクがやっているようにすれば、日本国民生活水準が下がらないように、もしかして上がるようになってくるのではないかと思います。
  27. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) まず、基本的には大賛成であります。ただ、民間ベースの運用会社にコーポレートガバナンスを強く要請するというのは、現実は非常に難しい。つまり、お客様なんですね。年金やそれを契約している相手先に対してなかなか強いガバナンスが言えないということでは、先生まさしく御指摘のとおり、欧米でも特にアメリカは、民間の年金よりは公的年金、ステート年金等、先生方年金とか、そういう年金が中立性が高いためにコーポレートガバナンスを効かしている。    〔理事円より子君退席、委員長着席〕  分散投資していますから、一つ一つ会社は一%か二%しかお持ちでないんですね。それに対してこのごろ二〇%持っているようなファンドが来ますけれども、その一%、二%持っているんだからといってあきらめていらっしゃるんですね、ガバナンスのアクションを。しかし、それはそうじゃなくて、ああいう二〇%持っている特殊なファンドと違って、国民代表するような公的年金というのは、やっぱり国民のためにそういう声を出されるという意味で、是非プロ年金のコーポレートガバナンスをしっかり強化する制度をこの国に入れるべきだと思います。
  28. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 ありがとうございました。終わります。
  29. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 公明党の荒木です。  今日は、両参考人におかれては、いろいろ興味深いお話を聞かせていただきまして、まずお礼を申し上げます。  順次、まず斉藤参考人からお尋ねをいたします。  昨年、金融庁金融資本市場競争力強化プランを発表いたしまして、その中で、金融専門人材の育成ということを強調しておられます。そこで、今後のそういう競争力を高める上での人材育成の在り方についてはどうしていったらいいのか。また、そうした意味で今金融庁が検討中の金融士資格制度についてはどういう御意見をお持ちなのか、お尋ねいたします。
  30. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) 金融庁のお考えのこの金融士というのを、普通の新聞、雑誌等々で拝見していますけれども、求められている人材の理想的な基礎レベルの教育という点では、あれで十分だと思います。  人材をどうやってつくるかというのは非常に難しいわけでありまして、まず法律、財務会計、それからできればコーポレートプランみたいなのができるような、三つ、四つの才能がある人がたくさん、それで英語ができれば一番いいんですが、現実はなかなかそういう人はいないわけで、私は日本の経営の在り方に一つ問題があると思っているんです。  先ほど話がありました産業再生機構ではチームで仕事をさせました。たくさんの法律家、たくさんの会計士、たくさんのビジネスコンサルタント、そういう人たちを案件ごとに一人二人ずつグループをつくって案件やらせる。  そうすると、法律事務所で働いていた弁護士先生がよく会計上の問題を吸収される。会計士が、自分でいいと思っていたことがそれは法律的にどういう問題があるかというのがよく分かる。財務会計がよく分からないとキャッシュフローがどうだとかそういう企業価値論というのが出てこないというようなものもありまして、これグループで育っていくんですね。  そうすると、どういうことが必要かというと、日本金融機関のトップがその姿をまず理解することなんですね。そういうふうにそういう人材を育てていくことが大事であって、外国へ留学してMBA取って帰ってきて、もう何か変なことばっかり言うと、どこかインターナショナル部門にでも置いときゃいいやというような実は使い方を少なくとも今まで現実にやってきたところがたくさんあるわけです。そういう人たちはみんながっかりして出ていってしまって欧米会社に勤めてしまう、こういうことが起こっているので、日本人が全然駄目なんじゃなくて、やはり私は、金融士をつくると同時に、経営が、会社側が人を使うスタイルを変えていかなきゃ駄目だと思います。
  31. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 続いて斉藤参考人に、先ほどのお話の中で、東証の改革の中でETFを多数いろいろ上場したいと、そうした抱負がございました。  株式投資もそうですけど、投資信託というと、例のバブルのころは本当に一般の方がこぞって買って、大体元本割れしまして痛い目に遭っているわけですね。そういうことはしっかり頭に残っているわけですね。だから、そういういろいろ多様なETF上場する中で、どうやってそういう投資家保護の仕組みをつくっていかれるのかという点と、それから、お金はたくさん金融資産持っていらっしゃいますけど、それほど金融知識のない高齢者の方にそういうものを買っていただくにはどういうことが必要なのか、お願いします。
  32. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) 確かに、投資信託をせっかくお買いになって、なかなかうまくいかなかったというケースたくさんあると思うんですが、私ども、このETFを是非拡張したいと思っているのは、その反省点みたいなものも実はあります。  先ほど申しますように、まずETFというのは株になりますので、形は。取引コストが物すごく安いわけですね。普通の株と同じになります。投資信託というのは、投資信託募集手数料ですとか運用手数料ですとか保管手数料ですとか、例えば本当の運用益が一〇出たとしても、ちょっと正確には分かりませんけど、数%はもうそこで取られてしまって、本当にお客さんに渡るのはある程度限られているわけですね。そういう意味で、ETFというのは市場のパフォーマンスがほとんど低コストに引かれたまま、全部、マイナスもプラスもですけれども、その投資家そのものに属するということは一つあります。  それから、第三者が運用しているわけじゃありませんので、これは市場の指数をそのまま商品にしている。ですから、昔、我々、株をお勧めしていたときに、自分の株はなかなか上がらないからダウ平均という株はないですかと、ダウは上がっているんだけれども、自分の株は上がらないというお話がありました。まさしくこのダウ平均という株、これがETFなんですね。  ですから、そこはどういう商品であるかということをよく説明する、これが投資家保護であって、それから先は、もうこれは自己責任をしっかり持ってもらって、プラスが出ても自分に属するんだし、マイナスが出ても自分に属するものだということをしっかり理解していただくということが大事だと思います。
  33. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、フェルドマン参考人に何点かお尋ねいたします。  今回の法改正といいますか、その前提にあります金融資本市場競争力強化プランというのがありますが、これは日本金融立国にしていこうという非常に野心的、意欲的な試みなんですね。それは私賛成なんですが、ただ、日本人のそういう国民性からすると、農耕民族ですし、こつこつと物づくりをするのは得意だけれども、そういう金融で大きく経済成長していくということはなかなか日本人の国民性としては難しいのではないかと、こういう懐疑的な見解もあります。  海外からの目も含めて、そうした懐疑的な指摘についてはフェルドマン参考人はどうお考えでしょうか。
  34. ロバート・フェルドマン

    参考人ロバートフェルドマン君) ありがとうございます。  国民性は、私は内生変数だと思っています。すなわち、いろんな事情によってできてくるものだと思います。  例えば、百年前の日本人と今日の日本人、比較しますと、国民性が変わったという部分もあると思います。教育制度が変わると、これは日本人だという認識が変わったという部分もあると思います。私は、基本的にインセンティブを変えれば人間も変わるということは基本ではないかと思いますので、日本人は国民性はこうだからこういう金融商品は駄目だということは私は基本的にないと思います。  文化が違うということは事実です。例えば、次の例があります。これ、実は心理学者が開発した簡単なテストですけれども、中国、韓国の小学生数千人、アメリカの小学生数千人に絵を見せます。絵の下に牛がかいてあります。上に鶏、草がかいてあります。牛をグルーピングをすれば鶏と一緒にするのか、草と一緒にするのかということが質問です。中国、韓国の小学生たちは大半、統計学的に有意義な大半が牛を草と一緒にします。なぜかといいますと、牛が草を食べるからだと。すなわち関係で考えています。同じ絵をアメリカの子供たちに見せると、アメリカの子供たちの大半、統計的に有意義な多数が牛を鶏と一緒にします。同じ動物だからということです。すなわちグルーピングの感覚が違うということですが、私が日本人、外国人に同じ質問をしますと、答えがばらばらですね。確かに、日本人向けですと九割五分ぐらいが牛を草と一緒にするんですが、外国人にしますとばらばらですね。例えば、デンマークの人たちはほとんど牛と草を一緒にします、やっぱり農業の国だから。モンタナ州の人たちもそうですね、アメリカでも。  だけど、やっぱり文化はいろんなことによって決まるということですから、日本人、外国人というデジタルな分け方をしない方がいいということではないかと思います。むしろインセンティブ、金銭的なインセンティブを考えて再設計すれば行動が変わるということが基本ではないかと思います。
  35. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 同じくフェルドマン参考人にお伺いしますが、先ほど日本市場が魅力がなくなってきたのは税それから人材、監督と、こういう面でお話がありました。  もう少し短期的に私お聞きしたいんですけれども、昨年、サブプライムローン問題発覚後、日本の株が一番下落していると、震源地のアメリカよりも下落しているということがしばしば指摘されるんですけれども、この要因といいますか、難しいかもしれませんけれども、これはどういうふうに分析されているんでしょうか。
  36. ロバート・フェルドマン

    参考人ロバートフェルドマン君) ありがとうございます。  サブプライムで日本株が一番下がったということを言われていますけれども、株価は一つの要因だけで動くということではありませんので、幾つか同時に起きていることはあると思います。  一つはサブプライムが原因だと思いますけれども、やっぱり日本投資している外国人が益出しをしないといけないという部分もあったんじゃないかと思います。反面、サブプライムが発生したときと同時に、どうも日本の改革に対する、何というか、モメンタムというか、動きが鈍くなったんですね。それが鈍くなったことが日本株の下がり方の一つの要因ではないかと思います。  もう一つですけれども、下がったときに何で日本人が買わないかというような問題ですね。というのは、外国人が売っているから、外国人が買っているから、いい、悪いとよく言われるんですけれども、安くなったときに日本人が頑張って自分のお金出して買わないのが問題だと思うんですね、外人が買っているから売っているんじゃなくて。これは基本的に、サブプライムの中で日本国民日本株に対して失望したということが一つの問題ではないかと思います。  じゃ、今年はどうなったのかと。三月中旬、ベアー・スターンズの問題等絡みあったと思いますけれども、三月中旬以降、日本株はかなりアウトパフォームしていますよね、ほかの市場に比べて上がっています。これ、なぜなのかと。  これは私の解釈にすぎませんけれども、どうも三月の日銀総裁の問題あるいは道路一般財源化の問題などなどに関して国内の議論が非常に活発になりましたよね。見た目はよろしくないなと、美しくはないんですけれども、民主主義が生きていると、そういう印象が世界投資家に伝わったと思います。  民主主義が生きている中、国民の世論調査は、例えば一般財源化、三分の二ぐらい賛成だとか、そういうのが出てきますと、投資家がちゃんと見ています。ちゃんと見ているんです。日本の改革志向、国民の、まだ強いということは世界投資家が見て、三月以降、民主主義も活性化しているということで株価が若干アウトパフォームした原因の一つではないかということです。これは海外の投資家がよく見ています。そういう解釈です。
  37. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 続いてフェルドマン参考人にお伺いしますが、先ほど投資家保護という中で自己責任原則を強調されまして、私も同感です。そういう中で、裁判官の教育もしっかりしろというお話があったんですが、私はもっと広く司法制度の改革をしっかりやらなければいけないと思うんですね。  そういう意味で、参考人は、今の日本の司法インフラについてはどういうふうに見ていらっしゃるのか。我々は、法曹といいますか、弁護士を含めて、フランス並みの五万人にまで増やそうということで増員をしているんですけれども、一方でアメリカのようなそういう訴訟社会にしてはいけないということで見直しの議論もあるわけですよね。そうしたことも含めて、日本の今の司法インフラと、またその改革についての議論をどのように見ていらっしゃるのか、教えてください。
  38. ロバート・フェルドマン

    参考人ロバートフェルドマン君) ありがとうございました。  私は司法制度の専門家ではないので、あくまでも素人の観点ということで、何ですか、許しをいただいて申し上げたいと思いますけれども、一つはやっぱり訴訟社会にしないということが非常に大事なポイントではないかと思います。  最近は地下鉄乗りますと、私の法律事務所へ案件持ってくれば私がやりますよと、消費者金融問題ね。こういうのはアメリカに昔からある問題で、いわゆるアンビュランスチェイサーという言い方を使っています。すなわち交通事故があったときにすぐ弁護士がやってきて、訴訟をかけたらどうか、そういう言い方をする弁護士さんたちです。日本はそういう人はいないということはすごくいいと思っていましたけれども、残念ながら、この前の改革によってそういう人たちが徐々に出てきたんじゃないかと思います。そうしますと、やっぱり法曹界がどのように自分たちの参加している人たちの倫理をどうやって高い水準のところで守ってもらえるのかということが一つの大きなポイントではないかと思います。愛国心はありますけれども、米国の例はよろしくないということではないかと思います。  人の数を増やすということはある意味で非常にいいことだと、裁判官の数。ですが、やっぱり基礎的な知識を持った上で裁判しているところを勉強していただくということが肝心なポイントではないかと思います。  もう一つよく言われるんですけれども、果たして裁判官と司法当局、すなわち法務省、独立しているのかどうかということがよく問題だと言われています。交流は必要だと思いますけれども、独立性を守るという観点から見て十分なのかという疑問はよく聞きます。私はちょっと専門家じゃないので分からないんですけれども、そういうことが議論されているのか、ちょっと日本で何かやろうと思う気持ちが少なくなってくる可能性はあるので、やっぱり裁判官の独立と教育水準、これはポイントではないかと思います。  以上です。
  39. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 じゃ、ちょっと時間ありますので斉藤参考人に。  日本中心東証社長として、一方で地方の証券市場の活性化ということについても何らかの役割を果たすべきだと思いますが、お考えございますでしょうか。
  40. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) よく言われることなんですが、世界で今何が起きているかというと、証券市場の分散化が起きているわけであります。これは御案内のように特に欧州MiFIDを中心市場集中主義の廃止というものを極力進めて、たくさんの実は取引所ができている。それはだれがやっているかというと、実は証券会社がやっているわけであります。例えば、これはダークプールというふうに言っていますが、その中にありますターコイズというグループは、アメリカとヨーロッパの大手証券会社がみんなコンピューターをつないで取引をする。従来、日本株は大阪、東京の日本市場に集中するというルール法律でもってこれはあったものが、もちろんアメリカの手数料自由化がきっかけになりまして、市場集中制度というのを廃止するという動きがずっとここのところ来ているわけであります。  したがって、市場集中主義を廃止するということは、市場はどこにでもありますよ、できていいんですよということを言っておりますので、地方にいろいろ取引所があること自体がそう問題になるということは、私は、欧米人の人もそう言うんですけれども、よくそういう論理を私展開すると、ああなるほどなといって引っ込めてしまうんですね。  結局、問題は、採算も何も合っていないような市場が存続するということはおかしいと思うんですが、どうも採算が合っているらしいんですね。その採算の立て方が問題なんではないかと。ただ、現実は、地方の方々と話すと、大体商工会議所の関係でこれは存在しているわけで、地方活性化のテーマともつながっていまして、なかなか一概になくなればいいというのもちょっと暴論に近いというようなのが現状でございます。
  41. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 終わります。
  42. 大門実紀史

    大門実紀史君 日本共産党の大門でございます。  今日はお二人とも大変御苦労さまでございます。特にフェルドマンさん、よく国会にいらっしゃいました。一度直接お話を伺いたいと思っておりましたけれども、竹中平蔵さんとはお友達ということで、私もある意味ではお友達でございまして、大臣辞められて議員辞められた後、じっくりお話をいたしましたけれども、立場はもう百八十度違いますが、なかなかおもしろい議論をした記憶がございます。  そういう点では、フェルドマンさんの御本も二冊ぐらい読ませていただいたことがございますが、恐らく私とは労働から農業から会社の在り方からすべて立場は違うと思いますけれども、大変刺激的な、すっぱりとしたいろんな御意見をいただいているところで、本当はこんな法案よりも経済全般とかそういうお話でまた参考人に来てもらえればと思いますが、今日は法案の関係なので幾つかお聞きするしかありませんが、先に斉藤参考人にお伺いいたします。  私は、今回の法案、どうしても賛成というわけにいかないのが、先ほどもございましたが、ファイアウオール規制の緩和のことなんです。特に金融被害の問題を、投資信託の押し付け販売から保険会社の不払から金利スワップ等々の優越的な濫用から、そういう問題ばかりやってきたものですから、どうしてファイアウオール規制を今回やらなきゃいけないのかという疑問がありまして、この前の質問でも申し上げたんですが、審議会の第一部会のところで、斉藤さん御出身の野村証券の田中さんが大変いい御意見をおっしゃっております。  話はもう尽きるんですけれども、別に、ファイアウオール規制やれば顧客サービスにつながるというけれども、今だってお客さんの同意があればグループ内の情報の共有はできるし、役職の兼職させてくれと。これは、アメリカでは実は役職規制されていないけれども、アメリカのメガバンクは規制されていないけれども兼職はしないと。なぜかというと、お客さんから疑問を持たれたくないから、規制はしていないけれども実はしないんだと。何でこんなものをわざわざ今入れる必要があるのかという大変いい御意見をおっしゃっていて、私も全く同感でございまして、先ほどファイアウオール規制、もしやるならばかなり厳しい自己規律をとおっしゃっていましたが、私はまず、わざわざやる必要はないと、今、これだけの不祥事がまだ続いている中で、というふうに思うんですけれども。  このファイアウオール規制がなぜ国際競争力の向上になるのかとか、余り関係ないんじゃないかと。だから、今回特に必要ないんじゃないかと私は思うんですが、もう少し踏み込んだ斉藤参考人の御意見があれば伺いたいと思います。
  43. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) 私、たまたまこの作業部会の委員に指名されたときに、東京在住のヨーロッパの何か団体があるんですね、金融人たちが集まる。イギリスも入っていたかと思いますが、中心はフランスですが、結構二十人ぐらいいらっしゃった。そこへ呼ばれまして、我々の最大の関心事はこのファイアウオールであると、こういう、いきなり言われました。  それで、まさしく先生がおっしゃったような問題点もこちらもいろいろ出しました。これは先生よく御存じのとおり、アメリカは今少しずつウオールを変えてきていますが、元々分離を強制していた国でありますから、このファイアウオールに関するユニバーサルバンク的な考え方というのはヨーロッパが非常に強いんですね。ヨーロッパ人から見ると、ヨーロッパの金融を見てごらんと、あなたが言うような不正は起こっていませんと、こういうふうにおっしゃります。  それで、どちらかというと利用者の立場をあなたは考えてない、要するに、証券会社だ、銀行だというような形ばかりで物を言っていて、例えば地方のおじいちゃん、おばあちゃんが、何か国債も買いたい、投信も買いたい、預金もしたいというような人に、これは人は変わらなきゃいけません、これは店を変えなきゃいけませんというようなのは余りにもおかしいというのが彼らの意見だったんですね。私はそれを聞いていて、消費者という立場でいくとそうなのかなと。  やっぱり禁ずるというのも、私自身もいろんなことを見てきましたのでそれなりの理由があったと理解しております。しかし、これはやっぱり一緒に入ってくるわけです、銀行側からも入ってくるし証券側も入っていくわけですから。まさしく先生がおっしゃったように、アメリカなんか、これもう宗教観なのか何か知りませんけど、結構規律は許していても、やるべきでないというのはやらないんですよ。これは欧米、結構そうなんですね。その後ろにあるのは時々宗教感覚だったりなんかするんですが、これは法律的にはやっていいんだけどやっちゃいけないんだよなというのは結構あるんですが、今日本は逆になってきているんですね。元々私は日本人はそうだったんだと思うんですが、日本はやり得というようなのがちょっと出てきているので、やっぱり規律、当事者のモラールというんですかね、プライド、自分は一流金融機関だというならばそういうことはやらない。そういう、あそこは規律、ルールが厳しいけれども、サービスが少しあれだけれども、やっぱりきちっとしているなということをむしろ売り出すというような、そういう経営者が育つ、育つといいますか生まれることを願っております。
  44. 大門実紀史

    大門実紀史君 私もそういう心配をしておりまして、日本の場合、そういうことを緩めちゃうと何やらかすか分からないなというのが今の現状じゃないかと思っているところでございます。  フェルドマンさんにちょっと大きな話をお伺いしたいと思います。  今日も聞いていると、日本金融市場は遅れている、国際競争力高めなきゃいけないと。それそのものは否定するつもりはございませんが、何かもうみんながそんな話ばかり、同じ話ばかりして、猫もしゃくしも遅れているんだ、やらなきゃいけないんだ、リスク取らなきゃいけないんだと。どうしてみんなこんな同じ話ばかりするのかなと。そうじゃない意見もあってもいいのではないかと私は思っていて、例えば構造改革、まあフェルドマンさんは賛成でしょうけど、一時、国民が八割も構造改革必要だと言ったのが、やっぱり今その痛みで相当反発が起きているわけですね。あのときもみんなが、構造改革はいいことだ、いいことだと、遅れているんだ、やらなきゃいけないんだと。  いい部分もあった、幾つか必要な部分もあったと思いますけど、何かそういう危うさをこの議論でも感じながら見ているところなんですけれども、今の金融市場そのものがまずどういう市場なのかと。活性化している、遅れているとか言う前に、そんなにまともな市場なのかと。  この前、五月の下旬ですか、アメリカの上院ですかね、公聴会を開かれて、投機マネーのことでヘッジファンドの幹部の方が率直な意見を申されておりますけれども、石油でいえば、アメリカの備蓄の五年分の石油をそのヘッジファンドといいますか投機マネーが握っていたり、穀物でいえば、アメリカ国民の二年間の消費分を投機マネーのところで握られていたりと、もう異常な事態ですよね。そういうふうに、斉藤参考人の言葉で言わせると、バーチャルな取引所といいますかペーパー取引というか、投機マネーがこんな横行して、一人一人の生活に物すごく今響いているわけですね。  金融市場そのものの在り方を問わないで、ただ、遅れている、活性化しなきゃいけないと、何か議論の仕方がちょっと違うのかなと。一般的な活性化とか、みんなが頑張るのは大事なことなんですけれども、もっと議論しなきゃいけないことがあるんじゃないかと思いますが。  フェルドマンさんはこの今の、世界全体で結構なんですが、金融市場、この投機マネーのこういう市場の在り方についていかが思われますか。
  45. ロバート・フェルドマン

    参考人ロバートフェルドマン君) ありがとうございました。  大門先生と意見百八十度違うということをさっきおっしゃいましたけれども、そういうところもあると思いますけれども、一つ大事な共通点はあります。大門先生は映画大好きということをホームページ読みましたけれども、「カサブランカ」は特に好きだということを書かれて、私も大好き、一番好きな映画で、どこかで心理的に似ているところがあるなというところもあると思います。  御質問ですけれども、なぜ、これだけみんな一方通行で一緒に動くのかと。心理学者じゃないんですけれども、心理的な部分もかなりあると思いますが、私の政治経済モデルの中の一つでCRICサイクルというものがあります。これは、CRICという頭文字を取って使っていますけれども、クライシス、レスポンス、インプルーブメント、コンプレーセンシーという四つの言葉です。すなわち、危機、反応、改善、怠慢、こういう循環で社会が動くということが基本的な原因です。  なぜこれがあるのかということですと、何か改革するときに経済が良くなりますけれども、それはちょっと時間が掛かります。例えば、携帯電話の保有を自由化したときに物すごいブームになりましたけれども、ちょっと時間が掛かりました。反面、経済が改革に反応するだけじゃなくて、改革のスピードももちろん経済に反応します。これは残念ながらマイナス関係ですよね。  すなわち、景気が良くなっていけばいくほど改革が遅くなります。人間は、人間ですから怠けてしまいます。そうしますと、右上がり、時間が掛かる関係と、右下がり、すぐ起こる関係。人間はすぐ怠けてしまうから。そういうのがあってこのCRICサイクルが発生します。そうしますと、何か大きなことが起きたときに、ああ、何かやらなくちゃということは当然人間的な反応ですので、すぐ、じゃ改革だということをみんな言った後、ああ、もう改革要らない、いいかなと、そういう循環が起きている、そういうことが基本的にあると思います。すなわち、経済原則と人間の心理原則が絡み合ってそうなっているんじゃないかと思います。  今はどういう状況かといいますと、恐らくちょっと二年間ぐらいの怠慢の時期が終わりまして、危機の局面に入っていると思います。それに対して反応してこのような法律を作り直して、反応して良くしようと、そういう動きが始まっているのではないかと思います。  日本市場は良いか悪いかということですけれども、幾つかのことは非常に良くなっていると思いますよね。というのは、中小企業が物すごくいい、新しい技術を開発しているところはたくさんあります。  この前ビッグサイト行きまして、いろんなちっちゃい企業自分技術を見せているところを見ましたけれども、今例えば唐揚げを揚げるときの油、高騰していますよね。これを長く使えるようにある中小企業が新しい技術を開発して、日本で売れないけれどもアメリカで売れている。これはもうすばらしい技術を開発している。  だから、市場はすべて悪いわけじゃないんですけれども、ちょっと足りないところがありますね。じゃ、足りないって何がと言いますと、当然、投資家に高いリターンが得るような商品を開発してない、それが一つの問題ではないかと思います。  じゃ、投機マネーとかそういう話ですけれども、私はそういう取引をやっている方々といろいろ話を聞きますと、計算は非常に難しいけれども、例えば今原油の市場にそういう投機マネーは何割かということを聞きますと、まあ一〇%から一五%しかないという答えが出ます。それによって急騰して急落するということがあり得ると思いますけれども、穀物市場ももうちょっと少ないと言われていますけれども、動きはあることは事実だと思います。だからといってこれが悪いかというと、そうじゃないと思います。むしろ、これだけ原油が急騰したこと、穀物が急騰したことは、人類のとか、この地球の、惑星の持続性の観点からいいますと、願ってもないことだと思います。  米国のガソリン代が四ドルになって初めて運転手たちが少なく運転することになりました。すなわち、腰をけってようやく動き出したということです。穀物もそうですね。穀物十キロを使って牛肉一キロをつくります。穀物二キロを使って鶏一キロをつくります。何で牛肉、これだけ食べられているのかと。特にバイオフューエルとかバイオ燃料だとか、そういう必要なときに牛肉を食べ続けるということは、果たして地球の持続性の観点からいっていいのかと。価格体系が人類にメッセージを送って、米国国民に対してもっと合理的に運転しなさい、地球の人類、すべての人類にもっと合理的に食べなさい、そういうメッセージを送っているから、私はむしろ投機マネーが原油市場、穀物市場に入ったことは良かったという意見です。  以上です。
  46. 大門実紀史

    大門実紀史君 やっぱり百八十度違うなと。投機マネーが神の摂理のように人類に何かを問いかけているとは到底思えなくて、やっぱり今日、明日、生活している父ちゃん、母ちゃん、大変な事態になっていますので、ちょっと違うなと思いますが、面白い意見を聞かせてもらいました。  もう一つ最後にお聞きしたいのは、今回のプロ市場というのがあります。これ、おかしいなと思って私読むんですけれども、機関投資家と何か三億円以上持っているお金持ちでやるそうなんですけれどもね。これもうさんくさいなと私は思うんですけど、機関投資家だけでやるなら勝手にやってくれればいいんですが、大体、個人金融資産、一千五百兆円あって、それを貯蓄から投資へと。千五百兆の半分ぐらいが高齢者ですかね。したがって、お金持ちの、今貧富の差開いていますが、収入の少なくなったお年寄りもいらっしゃいますけど、非常にお金持ちになっているお年寄りもいらっしゃいます。  それを思うと、三億円以上持っているというのは、結構高齢者の方が多いんじゃないかと思いますが、先日もこの委員会である方が、三億、十億持って死んでいくおじいちゃん、おばあちゃん、もったいないと、そのお金を投資に吸い寄せたらいいんじゃないかみたいなとんでもないことを言われる方がおりましたけれども、そんなのは本人の勝手で、その分みんなに、子供たちに残せばいいわけだし、大きなお世話だと私は思うんですが。  このプロ市場に三億円以上のお金持ちだけを引き込むというのは、しかもおじいちゃん、おばあちゃん多いなと思うんですけれども、これは何なんですかね。これ、どう思われます。何でこんなことが必要なんですか。先ほどからあった心配からすると、やりたきゃ機関投資家だけでやればいいじゃないかと。おじいちゃん、おばあちゃんのお金ねらって、それを引き込む、引き込んで、何かちょっとパイ広げるんですか。そんなことやらなくていいんじゃないかと思いますが、せっかくですから、フェルドマンさん、いかがでしょう。
  47. ロバート・フェルドマン

    参考人ロバートフェルドマン君) ありがとうございます。  基本的に、おじいちゃん、おばあちゃんは我々が守るよという考え方は、私はそもそも間違いだと思います。自己責任が大事なポイントですから、こういう商品もあるんですけれども、買うか買わないかということは自分で判断しなさい、これは活性力のある経済の基本的な原則だと思います。守り過ぎてみんな貧乏になってしまうということはありますから、これは考えないといけないところもあると思います。参加しろ、これを買いなさいということはだれも言っていないんですね。  だから、私は、むしろ商売のやり方をきちんと見て、何ですか、スータビリティー、クライテリオンとありますけれども、適正かどうかという、こういうことをこの人に言っていいかどうかということですね。これを徹底すべきだと思いますけれども、それを徹底した上で、そういう商品は作った方がむしろ、お金が欲しい、投資をしたい、例えば養鶏設備を造りたい人たち、これから、それを造りたい人たちにとって非常にプラスの面もあると思います。この人たちだけを見てかわいそうだからこうだということは、ある意味で私は狭過ぎる考え方だと思います。  例えば、そういうことをやった結果、若い人たちは職を得られない。これは大変ですね。あるいは国内の投資ができなくて海外へ行ってしまうと。例えばニュージーランドの債券、あるいはアイスランドの債券、いっぱい買った人がいるんです、損していますよね。だから、これはプロ市場プロ市場じゃないかじゃなくて、スータビリティーと教育の問題だと思います。  結局、すべて、何ですか、官庁が守りますから大丈夫よということは、結局みんなが共倒れになって、国の生活水準が下がってしまうという結果になると私は思いますので、こういうプロ市場、むしろお金の使い方を良くする効果が大きいということではないかと思います。  恐らく大門先生と意見がまた百八十度違うということだと思いますけれども、やっぱり私はおばあちゃん、おじいちゃんの将来を考えてやるべきだということではないかと思っております。  以上です。
  48. 大門実紀史

    大門実紀史君 終わります。
  49. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、大変お忙しいところ貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会代表して厚く御礼申し上げます。(拍手)  午後零時五十分に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十一分休憩      ─────・─────    午後零時五十分開会
  50. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  委員異動について御報告申し上げます。  本日、大塚耕平君が委員辞任され、その補欠として米長晴信君が選任されました。     ─────────────
  51. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として警察庁長官官房審議官井上美昭君外二名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  53. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、参考人として預金保険機構理事長永田俊一君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  55. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 財政及び金融等に関する調査を議題といたします。  まず、金融機能再生のための緊急措置に関する法律第五条の規定に基づく破綻金融機関の処理のために講じた措置内容等に関する報告に関する件について、政府から説明を聴取いたします。渡辺内閣特命担大臣
  56. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 昨年十二月十一日、金融機能再生のための緊急措置に関する法律第五条に基づき、平成十九年四月一日以降九月三十日までを報告対象期間として、その間における破綻金融機関の処理のために講じた措置内容等に関する報告書を国会に提出申し上げました。  本報告に対する御審議をいただくに先立ちまして、その概要を御説明申し上げます。  初めに、特別危機管理銀行である足利銀行について申し上げます。  足利銀行については、平成十五年十一月二十九日に特別危機管理開始決定がなされて以来、預金保険法に基づき所要の措置が講じられてきたところであります。  今回の報告対象期間中には、平成十九年三月期における経営に関する計画の履行状況の報告が同行より提出されております。  また、特別危機管理終了に向けた取組については、受皿候補から提出された事業計画書の審査を行い、昨年九月二十一日に当該審査を通過した者に対して譲受け条件等の提出を要請いたしました。  なお、報告対象期間外のことですが、提出された譲受け条件等の審査を行った結果、本年三月十四日に野村フィナンシャル・パートナーズ及びネクスト・キャピタル・パートナーズを中心に構成される企業連合を受皿として選定し、本年四月十一日には足利銀行の株式の譲渡に係る株式売買契約が締結されたことを付言いたします。  次に、破綻金融機関の処理のために講じた措置内容について申し上げます。  金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分は、今回の報告対象期間中には行われておりません。  続いて、預金保険機構による主な資金援助等の実施状況及び政府保証付借入れ等の残高について申し上げます。  破綻金融機関の救済金融機関への事業譲渡等に際し、預金保険機構から救済金融機関に交付される金銭の贈与に係る資金援助は、今回の報告対象期間中にはなく、これまでの累計で十八兆六千百十四億円となっております。  また、預金保険機構による破綻金融機関からの資産の買取りは、今回の報告対象期間中にはなく、これまでの累計で六兆四千五百十三億円となっております。  これらの資金援助等に係る政府保証付借入れ等の残高は、昨年九月三十日現在、一般勘定等の各勘定合計で七兆九千六百五十億円となっております。  ただいま概要を御説明申し上げましたとおり、破綻金融機関の処理等に関しましては、これまでも適時適切に所要の措置を講ずることに努めてきたところであります。金融庁といたしましては、今後とも、我が国金融システムの一層の安定の確保に向けて万全を期してまいる所存でございます。  御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
  57. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  58. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 民主党の富岡由紀夫でございます。  早速、限られた時間ですので質問に入らさせていただきたいと思います。  預金保険機構の理事長にお尋ねをしたいというふうに思っております。  今回、理事長は、再任の今何というんですか、同意人事の手続が取られているわけでございますけれども、これまで四年間理事長として預金保険機構を引っ張って統率されてきたわけでございますけれども、この四年間でどういったことを中心にされていたのか、どういったことを理事長自身として主眼を置いて取り組んでいらっしゃったのか、金融システムの安定化に向けてどういうふうにやってきたのか、まず、その辺の四年間の総括というか、もし反省すべき点があればそういったことも含めてお尋ねしたいというふうに思っております。
  59. 永田俊一

    参考人(永田俊一君) お答え申し上げます。  私、平成十六年六月に就任いたしましたが、預金保険機構の理事長として、平成十七年四月の預金等定額保護への移行に向けた環境整備ということをまず最初に行わせていただきました。また、預金等定額保護下での金融機関の破綻処理体制の整備、それから破綻処理機関等から買い取った債権の回収、破綻金融機関の経営者や債務者等に対する刑事、民事の責任追及といった過去の破綻事案に係る業務の円滑な処理、金融機関資本増強のための公的資金の着実な回収、こういったことに努めてきたところでございます。
  60. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 ちょっと理事長に是非今日は御自身の言葉でお答えいただきたいと思うんですが、四年間の総括として、もし百点満点で自己採点するとすると何点ぐらいのお仕事を理事長としてされてきたというふうに御認識していらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  61. 永田俊一

    参考人(永田俊一君) 採点ということでございますけれども、私自身に私自身を採点する自信はございません。先ほど申し上げましたような観点に立ちまして業務に努めてまいりました。そのための組織づくりということもやってまいりましたし、いろんな規程とか中のコンプライアンスの体制整備だとか、そういうこともやってまいりましたけれども、すべてが私はまだ道半ばだというふうに思っております。だれがやろうとという意味でございますけれども、そういうことでございます。
  62. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 道半ばということは、まだこれから理事長としてやり残したことがたくさんあるというふうに受け止めてよろしいんでしょうか。  その点と、あと、これからもし理事長としてお務めを継続される場合に、金融機関の破綻処理のめど、まだまだ不良債権の買い取った残りとか資本増強のまだ残った、注入した分の残りがありますけれども、その辺のところはどういうふうにお考えになるか、お伺いしたいというふうに思っております。
  63. 永田俊一

    参考人(永田俊一君) 道半ばと申し上げたのがちょっと不適切だったかもしれません。だから私がという意味で申し上げたのではなくて、私が手掛けたことにつきまして、さっき私の採点とおっしゃいましたので、そういう意味でまだ道半ばかなと申し上げた次第であります。  それから、過去からの遺産でございます保有資産の整理回収には引き続き努めていかなければいけませんし、それから資本注入等をしたものの回収ということも十全にやっていかなければいけないと思っておりますし、できるだけ早く、市場のタイミングとかあるいは金融機関がどの程度の状況に回復しているのかとか、そういうことをよく見た上で、できるだけ早く処理を円滑に行う必要があるというふうに考えております。
  64. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 破綻処理が大分進んだということで報告もあったんですけれども、まだまだいろんな地方の地銀とか地域のところを見ると、ちょっとシステム的にまだ安定しているかどうか不安なところもあるわけでございますけれども、そういった面を含めて、特に地方のそういった中小の金融機関の経営内容等々を含めて、今の破綻処理のめどというか、日本全体で見たときにどのぐらいまで今来ているというふうに御認識していらっしゃるでしょうか。  ああいう金融危機はもう起きないというふうにお考えなのか、それともまだそういうリスクはかなり高いリスクを持っているというふうに御認識なのか、その辺、御認識をお伺いしたいというふうに思います。
  65. 永田俊一

    参考人(永田俊一君) お答え申し上げます。  平成金融危機を脱しまして、経済、金融状況が良くなってきているわけでございますので、マクロ的に見ましては、私はそう大きな破綻があるというふうには考えておりませんけれども、しかし、御案内のとおり、経済は生き物でありますし、金融も生き物でございますので、昨今の金融経済情勢等を見ますと、やはりそれなりに私ども預金保険機構としましては、いざといったときのセーフティーネット機関でございますので、具体的な、まあ塩漬けの問題は別といたしましても、何か起こったときには必ずきちんと処理ができるように備えていなければいけないのではないかというふうに考えている次第であります。
  66. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 いざというときのために預金保険料を徴収して備えているわけでございますけれども、現在の預金保険料の料率というか率というのはどのようにお考えなのか、適正なのか、それとも不足しているのか、どういうふうに御認識しているか、お伺いしたいと思います。  と申しますのは、今まで破綻処理やったときに、預金保険料の積み上げだけで足りなくて金銭の贈与、税金でございますけれども、かなりの部分を国民の血税で補ったということがございますから、そういったことがないように本来はすべきだというふうに思っているんですけれども、その辺の観点を含めて、今の料率についてどのような御認識を持っていらっしゃるのか、お尋ねしたいというふうに思います。
  67. 永田俊一

    参考人(永田俊一君) お答え申し上げます。  預金保険料率につきましては、預金保険法の第五十一条、それから五十一条の二では、保険金の支払あるいは資金援助その他機構の業務に要する費用の予想額に照らし、長期的に機構の財政が均衡するように定めるというふうに規定されておりまして、機構の財政の健全性確保が求められております。  また、平成十一年十二月の金融審議会答申では、預金の全額保護の特例措置終了後の預金保険料の水準につきまして、一般勘定の借入金の早期返済等という観点から、現行の水準、〇・〇八四%ですが、これをベースに検討することが必要になるというふうにされておりまして、一方で金融機関の財務の状況等への配慮も求められているところであります。  そういうこともございまして、機構では毎年度、これらの点や保険料算出の基礎となります対象預金の動向等を勘案しまして預金保険料率の変更要否等を検討しております。変更する場合には、運営委員会の議決を経て主務大臣の認可を得ておりまして、現在の預金保険料率の水準は私どもとしては適正なものとなっているというふうに考えております。  なぜかなれば、今申し上げたことの繰り返しですけれども、まだ一般勘定の赤字が大きな状況でございますし、ある意味金融機関の負担の上限というようなところも考えまして判断しますと、そういうことになろうかと思います。
  68. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 ちょっとこれから後、幾つか質問させていただきたいんですけど、これ事前通告していなかったものですから、もしお答えできる範囲でお答えいただければというふうに思います。  理事長がある雑誌の中でお話しされているんですけれども、これからはつぶれるのを前提に、銀行が、金融機関がつぶれるのを前提に考えないといけないということで、新たな平時という言葉を使っていらっしゃいます。  ペイオフが解禁されて三年以上たったわけですけれども、預金者というのがどこまで本当に認識しているかというところが私はやや心配な面があると思っております。いざ何かそうなったとき、自分たちの預金が支払ができなくなってしまうといった事態を本当に、何というんですか、真剣に国民が受け止めているかどうかというところが心配なんですけれども。  非常にちょっと私疑問と思っているのは、危ない金融機関、これはもしかしたら破綻するぞ、支払ができなくなるぞ、ペイオフが実際実行される可能性があるぞといったときに、金融機関としては自ら情報公開をできるのかどうか、すべきなのかどうかというところがあると思うんですね。自分たちでもうこれは危ないぞということで言ったら、それこそ取付け騒ぎが起きて一気にパニックになってしまうといったことがある反面、やはり国民には、預金者にはそういったある程度情報も与えないと自分たちの預金が支払停止になってしまうという、非常にこれ難しいことが想定されると思うんですけれども、その辺のコントロールというか取扱いについてはどのようにあるべきだというふうに理事長はお考えなのか、もし御見識あれば参考までにお伺いしたいというふうに思っております。
  69. 永田俊一

    参考人(永田俊一君) お答え申し上げます。  私、この新たな平時というふうに申し上げておりますのは、要するに平成金融危機という全額保護の、一週間に一つ金融機関がつぶれるようなシステミックなリスクの状態から、危機の状態から、先ほど申し上げましたような全体的なマクロの改善によりまして金融機関の健全化が図られてきておると。したがいましてこれからは平時だということなんですけれども、昔の平時と違いまして、昔はつぶれない、つぶさないというような平時でございましたけれども、これからは本当に自由な市場の中で、金融機関が万が一、経済のちょっとした変動だとかちょっとした事故とか、そういうことでつぶれることがあると。その際に預金保険が出動するということでございますので、例えて言えば、何でしょうか、地震だとか火事といったようなことと同じようにあり得るということを念頭に、しかし現在そこに起こっているわけじゃない、しかし備えていろいろ訓練したり知識を持っていないと駄目だという、そのコンセンサスといいますか認識を共有するような形に何とか我々も努力していかないといけないんじゃないかというふうに思っているわけであります。  したがいまして、広報とかそういうことにつきましても、今おっしゃったような、いかに預金保険の中身についてどの程度皆さんが理解しているか、我々自身も自身での広報活動の中でそういうアンケートを取るとかあるいは広報活動を活発にやるとか、そういうことはやっておりますけれども、そういうことが必要なんじゃないかなと思っています。  それから、破綻というのはなかなか難しくて、おっしゃったとおり分かってしまうと取付けが起こるというようなことでありますし、その辺が非常に難しいわけでございまして、最終的には金融機関がどのように自分自身を判断して申し出るかということにも懸かってくると思いますし、日ごろはやはり預金者の皆さんができるだけ情報といいますか金融機関のディスクロージャーの中で情報を得ていくかということのバランスみたいなものだというふうに思っておりますし、また我々預金保険機構としてまさにそういう混乱が起こらないように是非しなければいけないというふうに思っております。
  70. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 今報告の中で足利銀行の受皿が決まったということであったんですが、いろんな新聞報道を見ますと、やや野村グループに決まったことに対して地元の人たちが心配しているという記事が載っております。例えば、投資ファンドが一緒に組み込まれておりまして、リターンを優先していろんな債権処理に当たるんじゃないかとか、あと、その中には何かオリックスが名を連ねているということで、日の丸を背中に背負ったハゲタカだというようなそういう批判をされていて心配されているところもあるというふうに思います。  野村証券グループというのは、元々銀行じゃなくて証券会社なんですけれども、その辺に対する心配もあろうかと思うんですけれども、その辺の受皿の選定に当たっての、野村が決まったということについての、どのように評価されていらっしゃるのか、御感想をお伺いしたいというふうに思います。
  71. 永田俊一

    参考人(永田俊一君) 受皿の選定につきましては、御案内のとおりかなりの期間を掛けまして、三次にわたる選定作業、デューデリをやりながらまさに選定作業を行ったわけで、最後に残ったのがあのグループということでございますし、私どもは執行機関として金融庁の選定の手助けをさせていただいたということでございますけれども、私どもから見ましてもその選定は公正、妥当に行われたものだというふうに考えております。
  72. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 理事長として高い金融知識というか金融システムの御見識というのが要求されているわけだと思いますけれども。  もう一つお伺いしたいんですけれども、今東京都で問題になっている新銀行東京なんですけれども、こちらが元々民間金融機関でできないような無担保、無保証人の融資をやるんだという新しいビジネスモデルだというようなことを掲げまして、余り金融知識のない方が導入して、やはり案の定、結果として見たら不良債権の山だったということで非常に大問題になっているわけなんですけれども、そこにまた新たな税金を追加融資、追加出資をして延命をさせているというようなことが今行われているわけでございますけれども、この新銀行東京についてどのように評価されていらっしゃるのかなと、もし、そういったものを、考え方があればお伺いしたいと思います。  また、その責任、まあなかなかお話ししづらいんでしょうけれども、責任はどこにあるのか、もし感想があればお聞かせいただきたいというふうに思います。
  73. 永田俊一

    参考人(永田俊一君) お答え申し上げます。  今の御質問なかなか難しい御質問で、私の立場から申しますと、この新銀行東京の実態及び今後どうしていくかということにつきましては、私ども預金保険機構としてはその経営あるいはその中身等について具体的には存じ上げませんので、何というんでしょうか、今おっしゃったような立場としてどう考えているかということを申し上げるのはちょっと難しいと思いますが、いずれにせよ、私ども預金保険機構でございますので、その今後の進展とかそういうものについてはよくよく注視をして、預金保険機構の立場から何か必要なことがあれば行っていかなければいけないというふうに考えております。
  74. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 ありがとうございました。  じゃ、続きましてちょっと国土交通省さんにお伺いしたいと思います。道路特定財源のときにいろいろとお尋ねしようと思っていたんですけれども、なかなか国会の方で審議時間が取れなくて質問できなかったものですから。  費用便益分析についていろいろと議論になったわけですけれども、実は私の地元の群馬県に八ツ場ダムというダムがありまして、これは昭和四十二年に着工されておりまして、もう四十二年たっているわけなんですね、着工から。しかしまだ完成していなくて、当初計画だと二千百億円の事業予算を組んでいたんですが、変更を重ねまして事業予算が四千六百億円になったということでございます。あとまた工期も、本当は平成十二年に完成しているはずだったのが、平成二十二年に一回延長されて、今回また更に平成二十七年までまた延長されたということで、工事の予算もどんどん膨らんでいる、工期もどんどん長くなっているということで非常に議論がされているところでございますが、国会の参議院の本会議でも同僚の議員がこの問題について質問させていただいたと思いますけれども、この中でいろいろと国土交通省さんにそのいわゆるBバイCと言われる費用便益分析のいろんな資料をいただきました。  ところが、その算定された資料を詳しくもっと出してくれというふうにお話ししたところ、ないということなんですね。  今日お手元にお配りいたしました資料を見ていただきたいんですけれども、この中の洪水調整に係る便益というのがございまして、ブロックがA、B、C、D、E、F、G、こういろいろあります。十ブロックに分けて、それぞれのブロックごとにこのダムを造ることによってどれだけ洪水の被害が減少するかという便益を出しているんですけれども、その一番基本となる年平均被害軽減額、①というところですね、それぞれブロックごとの。これを算出された根拠がないという、資料がないというふうに説明を事前に昨日受けたんですけれども、それは本当でしょうか。確認の、念のためにお伺いさせていただきたいと思います。
  75. 平井たくや

    ○副大臣平井たくや君) これ、私もないはずがないと思っておりまして、捜していただいたんですけれども、これが本当にないわけでありまして、これ、この分野に関しての文書の保存期間は一応三年ということにはなっているものの、これ今事業中の案件でありますから、本来あるべきだと私も思っております。しかしながら、それがないということでございます。
  76. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 ないものを前提にこの事業を継続すべきかという結論を出されたというのは本当に疑問で、何というか信じられないですね、納得いかないですよね。  四千六百億円もの税金をこれから使って建設すると、それでなくても今ダムの不要論がどんどん出ているのに、そのBバイCを出したときの基の数字がないという、その前提でこの事業継続を決定するということはおかしいと思いませんか。副大臣として、政治家として御感想をお伺いしたいと思います。
  77. 平井たくや

    ○副大臣平井たくや君) これ、ないというものの、これ隠し立てするような資料でもないはずなんですね。これは関東地方整備局事業評価委員会で、前、了承いただくときにはちゃんと説明もし了承いただいているわけでありますから、本来、これあってしかるべきでありますが、その時点で、御了承いただいた時点ではそれはちゃんとあったということだと私は思っております。
  78. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 その了承が正しいと、適正だという前提でのお話ですけれども、この後ちょっとお話ししますけれども、私は、全然適正じゃない評価の便益出しているのがいっぱいありますので、ちょっと一例というか、二例というか、三例ぐらいお示しをしたいと思います。  まず、ブロックごとの被害軽減額、この出し方がまずおかしいと。私は、検証してみないと、前提がおかしいと思うんで、そういうおかしい部分はいっぱいあると思うんですけれども、それはまあ百歩譲ってこれを前提に考えた場合でも、一番右から二行目のブロック別便益というのがありますね。これはそれぞれの地域ごとに、ダムを造ることによってはんらんがどれだけ被害額が減少できるかという数字なんですが、これブロックごとに上流から下流まで全部分けてあるんですね。それで、もし台風とか大雨で洪水になったときにこのブロックがすべて一遍に洪水になるということはあり得ないんですよね。どこか一回決壊すれば、その地域は洪水で水浸しになって水害を受けますけれども、そこで水がもうはけるわけですから、下の部分とか違うところでは洪水の被害が起きるわけないんです。ところが、これは同時発生的に起きるという前提で積算されているんですね。これおかしくないですか。便益マニュアル、中にもそういう意見が出ています。だけど、それを無視してこの数字で出しているということでございます。  これ、こういうおかしな計算の仕方を前提としたBバイCというのは全く納得いかないんですが、どうでしょうか。
  79. 平井たくや

    ○副大臣平井たくや君) 様々な降雨のパターンに対応するということだと思うんですが、詳しくは河川局の方から答えさせていただいてよろしいでしょうか。──ですから、かつてのいろんな雨の降るパターンというのがどんどんどんどん変わってきているし、最近の集中豪雨というようなものも、そのすべてのパターンに対応できるようにしているということだと私は理解しております。
  80. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 その認識は違っております。  何年かに一度のごとにこれ被害額出しているんですね。二百年に一度の台風、百年に一度の台風、それぞれのごとに確率を出して出していると。それは一応整合性はあります。だけど、同時にこのブロックが、十ブロックがすべて洪水になるということはあり得ないと。そのあり得ない前提でこの便益を出していることに対しておかしいと思いませんかというふうにお尋ねしているんです。これ、大臣、政治家としてお答えいただきたいと思います。
  81. 平井たくや

    ○副大臣平井たくや君) そういうケースもあり得るだろうというふうに思っております。
  82. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 それ、絶対あり得ません。全部、全地域が一遍に洪水になるようなというのは、それこそ何十億年に一度の台風か何かじゃないとないんじゃないですか。それはよく調べていただきたいというふうに思います。一つ取ってもこれはおかしい。  次に、もう時間がないんで余りあれなんですけれども、二番目のところを見ていただきたいと思いますけれども、河川の水量確保に係る便益の算定というふうにあるんですね。これを見ると、名勝吾妻峡に必要な水量を確保することによる景観改善等の効果を便益として算定したと、景観改善と書いてあるんですね。ダムを造って何で景観改善なんですか。これは水を流すということで言っているらしいんですけれども、元々、今水は流れているんです。それをダムで止めておいて、また水を流して、それで景観改善だ、それで便益があるんだというふうにこれは出しているんですけれども、おかしくないですか、これ。どういうふうに。  ちょっと大臣にお伺い今日はするというふうに言っていたので……
  83. 平井たくや

    ○副大臣平井たくや君) 副大臣でございます。
  84. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 あっ、副大臣にお伺いしたいと思いますので、お答えお願いします。
  85. 平井たくや

    ○副大臣平井たくや君) これは景観改善等の効果を算定するに当たって、いわゆる仮想的市場評価法、CVM。要するに、こういうように水が流れることに対して幾ら払うかというアンケートに基づいて調査したものであり、これも費用便益マニュアルの規定のとおりにCVMという方法を利用させていただいていると聞いております。
  86. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 私がお尋ねしているのはそのマニュアルがおかしくないかということでお尋ねしているんです。そのマニュアルどおりやっていたらこうなっちゃうんですね。だから、これはおかしいんです、何とかCV何とかというのはおかしいんです。  このアンケートも見させていただきましたら、すごいインチキがあるんですね。一回当たり、次のページ見ていただくと、支払意志額百四円とあるんですけれども、百四円の出し方がすごい恣意的な偏ったアンケートで出しているわけなんです。  近く、群馬県で違う三波石というところもあるんですけれども、これは違うダムのところの渓谷を言っているわけですけれども、これも、元々水が流れていたところをダムを造ることによって水がなくなっちゃった。それを、水を流すことによって、幾ら払って水を流すのを見たいですかという、そういうアンケートなんですね。そんなばかげた話ないと思うんですね。元々ダムがなければ水が流れているのに、それで、ダムで水がなくなっちゃって、じゃ、水を流すから幾ら払ったら見たいですかという、そういうやり方しているんです。それで、お金払いたくないという人がほとんどなんですけれども、アンケートを取った。そんなのでお金ばかばかしくて払いたくないって、それは当然だと思うんですけれども。  それと、河川清掃などボランティアであればやってもいいよという人がいるんですね。中には払ってもいいという人がいるんです。払ってもいいという人に対して幾らまでいいかという聞き方ならいいんですけれども、ボランティアをやって、ボランティアだったらやってもいいよと、要はお金は払いたくないんだけれどもボランティアだったらいいよという人まで、改めてもう一度、お金は幾ら払ったらいいかという聞き方するわけですね。それも、百円だったらいいよ、二百円だったらいいよ、三百円だったらいいよって、百円と答えた人に対して、次、二百円ならいいよと、そういうやり方なんですね。だから、非常に誤った結果が、これ誘導、恣意的に出てきちゃうんですね。そうすると、この百四円という金額の出し方も私はおかしいというふうに思います。  それと、もっとおかしいのはこの次の年便益、年間利用見込み数七百三十九万二千四百人とありますけれども、これはどこから来たのかというと、次の三枚目、見ていただきたいと思います。  これは、今回造る八ツ場ダムの近くの長野原、嬬恋、草津、六合、吾妻、この町村に来る観光客、年間の観光客全員を基の数にしているんですね。吾妻渓谷というのはほとんど泊まらないですよ、今でも。草津温泉行く人はみんな通りますけれども、ほとんど通過します。このために来る人というのは十万人もいないんじゃないですか、十数万人しかいないというふうに地元の人言っていました。それなのに七百万人、これを造ることによって七百万人の観光客が来ると。元々、草津温泉とかいろいろ長野原とか嬬恋とか、こういうところに来る人たちは全部吾妻に来る、吾妻渓谷、八ツ場ダムに来るという前提で出しているんですね。これはおかしいというふうに思いませんか。
  87. 平井たくや

    ○副大臣平井たくや君) この入り込み客等々についての考え方は、これはいろいろあろうかと思います。ですから、この問題に関してはやっぱり点検をしていかなきゃいかぬなと私自身も思います。  ただし、今回のこの水量に係る便益というのは、洪水調節に係る便益が八千二百七十六億円に対して百五十五億円ということでありますから、こういう言い方したらちょっと怒られるかも分かりませんが、大したことではないのかなと。いや、金額的に。それよりも、それよりも私が思うのは、これ以上コストを増やさないということがこのプロジェクトでは一番重要だと思っています。
  88. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 一事が万事なんですね。こういうところのアンケートでこういう適当なアンケートを作って便益を膨らませている。さっきの洪水の被害額もそうです。十か所が一遍に洪水になるわけないのに、十か所起きる前提で積算されている。全くおかしいんですね。  それとあと、次の、せっかくだから(2)も見ていただきたいと思いますけれども、もう一個アンケートやっているんですね。これもやっぱり群馬県の相俣ダムというところでダムを造ったことによって水が流れない。水を流すことに対して幾らまで払っていいですかという同じようなアンケートを取っているんですね。これは地域の世帯全員を、何というんですか、標本の母数としています。アンケート調査をやって、それやると、これも金額の払い方のアンケートは、さっき言ったように非常に何というかだまされやすい評価になっちゃうんですね。  これを見ると、相俣ダムの下に赤谷川というんですか、そういうのがあるんですね。そこの水を流すことによって川が復元すると、それに対して幾ら払ってもいいですかというやっぱり尋ね方なんですね。こういう赤谷川なんて普通知らないと思いますよ、ほとんど。そのためにお金を払って見に行きたいという人は余りいないと思うんですけれども、その人に対して一応やったんですね。そうすると、支払意志額というのは月に四百七十九円も払っていいというアンケート結果が出ちゃうんですね。月ですよ。年間にすると五千七百四十八円も払って赤谷川というところに、今までダムでせき止められたところに水を流すことによって水が流れる、それを見るために年間五千七百四十八円も払いたいという人が出たという結果が出ているんですよ、このアンケートに。普通あり得ませんよね。五千円も払って今アクアラインだって通りたくないのに、こんな赤谷川という川の水を流すことに対して五千七百円も払いたいと。  しかも、この近隣の世帯四万二千五百七十六世帯が全部が行くという前提になっているんですね。この四万二千五百七十六世帯というのは、この次の三ページ見ていただくと分かりますけれども、中之条町からずっと出ております、この世帯数ですね。この世帯、四万二千五百七十六世帯が五千七百四十八円お金を払って毎年行くと、このダムを見に行くと、そういう前提でこの便益を出しているという。  これこそ便益の水増しというか、インチキな積み上げとしか言いようがないと思うんですけれども、副大臣、おかしいと思いませんか、こういう出し方について。副大臣に今日はお伺いしたいと思っているので、よろしくお願いします。
  89. 平井たくや

    ○副大臣平井たくや君) 今のは世帯の話ですよね、世帯で五千幾ら、だけど一人当たりということではないですよね、確認をさせていただきますけれども。  この便益がどうかということを言われますと、これは今まで専門家の意見を聞きながらまとめてきた便益マニュアルにのっとって行っているということで、素人の私がこれ以上いろいろ口を挟むのはどうかと思いますが、しかしながら、私なりの個人的な、個人的な感覚ですよ、個人的な感覚だと、いささかやっぱりおかしな面があるのかなというふうには感じます。  しかし、地元の要望にこたえて造らせていただいているダムですから、一刻も早くコストを削減しながら完成、本体事業に入れるように全力を挙げることが必要だと考えております。
  90. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 これは是非、一般の感覚でとらえていただきたいと思いますね。専門家の考え方がもしこれが正しいということになったら大変なことになっちゃいますよ。こんなめちゃくちゃなアンケートに基づいてこんなめちゃくちゃな便益で出されたらもう何でもできちゃいますね。費用便益分析やって幾らでも数字ができちゃうという、これは非常に恐ろしいことだというふうに思っております。  今度もし時間があればアンケートを全部皆さんにお配りして見ていただきたいと思います。いかにいいかげんなアンケートのやり方を取っているかということでございます。四万二千五百七十六世帯が毎年、年間五千七百円も払って見に行くようなものじゃないと思いますよ。その辺は是非検討していただきたい。  あと、計画も、今回ダムの計画が高さが減少されたんです。元々高かったものが低くされた。何かどういうことでやったのか知りませんけれども、計画を変更になっていると。それだったら、最初の計画は何だったんだというふうに思うんですね。そういったことも含めて、このダムについては分からないことがいっぱいあり過ぎます。是非もう一回、この二・九という費用便益分析の数字をもう一回改めていただきたいと思います。それから本体工事に着手していただきたいと思います。
  91. 平井たくや

    ○副大臣平井たくや君) 現在、利根川の河川整備計画を策定すべく、この五月二十三日に、第四回の有識者会議を開催しました。学識経験者や地域の方々の御意見をお聞きしつつ様々な角度から検討を行っているところでありまして、八ツ場ダムの費用便益分析についても、その過程の中で不断の見直し、点検を行うこととさせていただきます。
  92. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 早急に見直しをしていただいて、是非御報告していただきたいと思います。内容については是非国会の中で議論させていただきたいと思います。  これで私の質問を終わります。
  93. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 民主党の尾立源幸でございます。    〔委員長退席、理事円より子君着席〕  今日はFRC報告に対する質問ということでございますが、たまたまタイミング的に預金保険機構理事長の同意人事につきまして、永田理事長の再任ということで提示が政府から国会になされておりますので、今日は預金保険機構の運営や、また三期目であることなどについて中心にお聞きをしたいと思います。一般的なことにつきましては先ほどの富岡委員からも質問がされておりますので、今日は特に整理回収機構への助言、監督の状況についてお聞きをしたいと思っております。  まず、預金保険機構整理回収機構資本関係についてお聞きをしたいと思います。そしてさらに、この前の質問でも少しさせていただいたんですが、預金保険機構の業務内容整理回収機構への指導、助言が含まれておりますけれども、その中身について具体的に教えていただきたいと思います。
  94. 永田俊一

    参考人(永田俊一君) お答え申し上げます。  整理回収機構預金保険機構の一〇〇%子会社であります。同時に、破綻金融機関等から譲り受け又は買い取りました資産の管理、回収及び処分を行う協定銀行として、預金保険機構と整理回収業務に関する協定を締結しているところでございます。  そもそも協定銀行制度を設けました趣旨は、整理回収業務について民営的手法を重視し自立経営を旨とする点に配慮いたしまして、整理回収機構の自主性ないし判断を前提として効率的な回収に努め、もって国民負担の最小化を図るということとしたものであります。  そのような観点から、具体的には、預金保険機構整理回収機構との間で開催されます各種会議の場などを通じまして、譲受け債権等の回収、損害賠償請求権の行使、民事手続、不動産取引等に関する一般的な法令実務に関する指導及び助言を行っているということでございます。
  95. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 今お話をお聞きいたしますと、一〇〇%出資の完全子会社であるということ、それだけではなくて、特別な協定を結び、指導、助言、密接に協力し合いながら、連携し合いながら業務を行っているということだと思います。そういう意味で、普通の一〇〇%株主以上のお立場だということはよく分かりました。  今日は理事会の方にもお願いをしたんですが、そういう意味で、指導、助言する側とされる側、整理回収機構とこの預金保険機構というのは不可分一体なわけですね。そういう意味で、指導する側、される側、両方のトップにお話をお聞きしたかったということでございまして、またこれ次回の理事会でお諮りをいただきたいと思いますが、こういうふうに密接不可分な場合は、やはりお二方を同時に並べさせていただいて、お呼びして、それで質疑をさせていただけるような御配慮をしていただければと思います。これはまたお願いでございます。
  96. 円より子

    ○理事(円より子君) 後刻理事会で協議いたします。
  97. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 ありがとうございます。  それでは、もう一点。整理回収機構から平成十一年以降、前身の、名前はございますが、ずっと上納といいますか納付を受けていらっしゃると思います、利益の。  これはちょっと質問外でございますが、平成十一年が十六億円、十二年から十八年まで累計で一兆二百八十二億円、最近は一千億ぐらいから二千多いときでは三百八十六億と、こういうふうに納付を子会社であるRCCから受け取っているわけでございますが、この納付につきましては予算といったものがあらかじめ何らか立てられて、話合いをされているんでしょうか。
  98. 永田俊一

    参考人(永田俊一君) これは、御案内かと思いますが、整理回収に当たりまして簿価超益といったものが出た場合にこれを納付していただくということになっておりますので、実はRCCの中ではその簿価超についてある程度見通しみたいなものは持つということはあるわけでございますけれども、これはやはり事後的に出てきたものを翌年度に向けて納付していただくという形になっております。
  99. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 そうすると、例えば平成十九年、これは決算終わっていると思いますけれども、これはもうお分かりになっておるんですか。また、平成二十年度以降の、もう始まっている今期、どのような見通しを共有されているのか、理事長にお伺いしたいと思います。
  100. 永田俊一

    参考人(永田俊一君) ちょっと手元に、恐縮でございますが、数字というものはありませんが、RCCが扱っております整理回収でございますが、住専ですね、住専債権、それからRCB債権といいまして昔であれば整理回収銀行が扱っていたもの、それから健全金融機関から買い取りました五十三条債権といったもの、あるわけでございますが、一応、住専債権についてはある程度、先ほどのお話のような簿価超益がどのくらい出るのかなという見通しは立てておりますが、それはあくまでもRCCの方での見通しでございますので、だんだんこれは金額が減ってきておりまして、たしか今年は三十億ちょっとかなというような感じだったというふうに記憶しております。
  101. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 今の三十億というのは住専関係ということですね。そのほかに一般のものがあるという理解でよろしいですか。
  102. 永田俊一

    参考人(永田俊一君) お答え申し上げます。  そのとおりでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、ある程度見込みを立てているのは住専関係という意味で、あとのものは結果としてこれだけ上がってくると、こういうことでございます。
  103. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 しかし、近年を見ておりますと、一千億台から二千億ということで、これ思いがけずこういった納付があったというふうには思えないような巨額な金額なんですね。特に、平成十三年からは全部ずっと一千億台を超えておりまして、何かその時々の債権回収の、うまいこといった、そうじゃなかったによるような変動じゃなくて、ある程度固定化されているように私は見えるんですが、いかがですか。
  104. 永田俊一

    参考人(永田俊一君) 御指摘のとおりでございまして、基本的には、要するに経済の状況が良くなってまいりましたものですから、買い取りました簿価に比べますと、不動産だとか債権の方も債務者の方の状況が良くなったりいたしまして回収がはかどるといったことがございまして、そういう意味で簿価超益がこのところ同様な水準で出ているということであります。
  105. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 たまたまというわけじゃないんでしょう。私は、いろいろ調べてみますと、相当計画的にやられているんじゃないかなと思うような事例がございます。それは、債権回収を急ぐと、こういう姿勢が現れているような事例が出てきております。  もちろん、これまで乱脈経営をしてきた銀行やまた経営者の追及ということで一定の成果を上げられているのは私たしかだと思いますが、最近は、特に金融再生法五十三条が適用されるようになってから、これまでの住専の債務者から回収をするということプラス金融機関、一般の金融機関からの、借り手からの回収を急ぐと、やるということ、さらには連帯保証人からも回収をするというふうにどんどんどんどん広がっているように私は思います。プラス、その対象範囲が広がることと回収を急ぐということが特徴なのかなと思って見ております。  その点に関して理事長の認識はどうでしょうか。RCCを完全一〇〇%子会社として持つ親会社の理事長として、そういう傾向があるんじゃないですかと私は指摘しているんですが、どうでしょうか。
  106. 永田俊一

    参考人(永田俊一君) お答え申し上げます。    〔理事円より子君退席、委員長着席〕  御案内のとおり、五十三条の債権につきましては、これは健全金融機関の不良債権を買い取るということで、まさにおっしゃったとおり、事業再生といった観点にも配慮しまして、できるだけ難しい債権を買い取るということでやったものでございますし、買取りの期間も限定して二年間、それから、できるだけ早くそれを回収するという法の立て付けになっておりましたので、そういうことからいっても、これについては可能な限り促進をしておるし、するということでやってきているということでございます。  それから、御案内のとおり、住専の債権等につきましては、これは二十三年が住専勘定の閉鎖の年に当たりますので、そういうこともにらみながら、かつRCCとしましても、ここへ来まして、これは私の見立てですけれども、抱えている保有資産の、どういう性格のものかとか、そういうものの分析管理といったものが非常に網羅的にできてくるようになってまいりましたので、そういうものをよく見ながら、市場状況等併せながら回収に当たっているということだと思います。
  107. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 基本的な認識は共有していただいているということでございますが、債権回収を急ぐ一つのモデルとして、債権者の破産を使った事業再生、これ先週議題にさせていただきました。  私、この手法があるということを初めて知ったんですけれども、RCCの存在意義というものをもう一度改めて考えてみますと、やはり当時はサービサー、回収を専門にする会社というのが育っていなかったという状況があって、唯一と言っていいんでしょうか、不良債権の回収をする会社で発足したわけでございますが、今、御承知のとおり、民間サービサーではもう百十三社ぐらいですか、私の知る限りでは、こういうふうに育ってきておりますし、そんな中で、何か無理やり仕事をつくらなきゃいけない、存在意義を高めなきゃいけないということで何か強引なやり方をしているんじゃないかなと、こういう私、今問題意識を持っております。  そこで、この債権者破産を使った事業再生、このモデル、理事長も先日、これはまさに一つのビジネスモデルなんだということで御認識を同じくされていますけれども、もう一度この内容について簡単に御説明をいただけますでしょうか。それと、このことについても助言や指導もされているのかということを併せてお聞きしたいと思います。
  108. 永田俊一

    参考人(永田俊一君) お答え申し上げます。  整理回収機構におきましては、事業再生を目的といたしまして、民事再生手続や会社更生法手続に加えまして破産手続も活用しているということでございます。具体的には、債務者による不正あるいは財産の隠ぺい等が行われるおそれがあることなどから債務者との間では解決が困難な場合、あるいは種々の事情により民事再生手続若しくは会社更生手続によることが困難な場合、こういった場合におきまして破産手続開始の申立てを行うことがあるということでございます。
  109. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 そこで、この債権者破産を使った事業再生について、もう少し御認識を問わせていただきたいと思います。  一般論でございますが、例えばこのRCCの社長は奧野社長、弁護士さんでいらっしゃって、奧野総合法律事務所ですか、お持ちだというふうに私聞いておるんですけれども、例えば事業の譲渡先が奧野さんの顧問先である、こういうような場合は、何か利益相反といいますか、内規に触れるような、こういう規定はあるんでしょうか。
  110. 永田俊一

    参考人(永田俊一君) 利益相反に具体的に当たるようなものにつきましては、RCCの中の倫理規程といったようなものにつきましても整備をしてきておりますし、それからそういう顧問先との取引といいますか、それはないというような確認を就任時にさせていただくとか、そういうことはやってきておりますが、本件につきましては、私ども、さっきおっしゃられたような指導、助言ということがございましたけれども、お聞きしている限りにおいては、これはそういうものに当たるものではないというふうに考えております。
  111. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 視点を変えますと、前社長、鬼追社長も在任中にRCCの管理している債務者の不動産会社社長さんから月々顧問料をもらっていたということで、大阪弁護士会からも品位を著しく汚したというような決議も出ているわけでございますが、今お聞きしたところ、奧野社長が経営する法律事務所が譲渡先に選ばれたような場合、当然これは報酬も発生するわけなんですが、そういうことは、それが社内できちっとしたプロセスにのっとって決められたのであれば問題はないという御認識なのかどうか、お聞きしたいと思います。
  112. 永田俊一

    参考人(永田俊一君) 利益相反に関する社内の体制につきましては、十八年の二月より前は自己申告制によるチェックをさせていただいて……
  113. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 自己申告制。
  114. 永田俊一

    参考人(永田俊一君) はい。  それから、十八年二月以降は、そのチェックをきちっと制度的に実施して、二十年一月、今年の一月からは、これを制度を明文化するというような形でやっております。  先ほどお触れになりました鬼追さんの件は、まさにその自己申告制によるころの話でございまして、この問題についても我々問題として考えておるわけですけれども、しかしこれは現在大阪弁護士協会で懲戒の委員会にかかっておりますので、その様子を注視するということでございます。  奧野現社長の件でございますけれども、これは事業譲渡先の親会社法律顧問をしているということでございまして、この事業譲渡そのものは、まさに整理管財人の決断の下に行っておりますので、当機構として先ほど申し上げましたような判断をしているわけでございます。
  115. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 ちょっとよく分からないんですけれども、私が申し上げる以前にいろいろ察していただいて、気を遣っていただいてお話をしてもらっていると思うんですけれども、まさに今おっしゃっているので言いますが、その事業譲渡をした会社の親会社法律顧問ではあったということですよね、それを今おっしゃったわけですが。じゃ、その子会社が譲り受けた場合は、親子関係がどうであれ、それは別に構わないんだと、こういうことなんでしょうかね。  それともう一点、なぜ理事長は、こういった微妙な利益相反的な話があるにもかかわらず、また鬼追前社長の件もあるにもかかわらず、RCCの社長に就いた弁護士さんに関しては独立性をもっときちっと保つような仕組みにしようとされないのか、その点はどうお考えですか。  奧野社長自身は、御自身で、皆様へのメッセージということで、公平、公正な態度をもって接してまいりたいと、こういうふうに御自身もおっしゃっているんですけれども、やはりこういう外形的な公正性が保たれないと、おっしゃっているようなことは達成できないんじゃないかと思いますし、ましてや報酬をもらっていらっしゃる、ただで顧問をやっているわけじゃないと思いますので、その辺、理事長としてどのように御認識ですか。
  116. 永田俊一

    参考人(永田俊一君) おっしゃるとおり、公正、公平性ということは大変大事なことだというふうに考えております。  したがいまして、先ほど社長の言にもありましたように、社長自身もそういうことについてはやましいところはないということでお話をされておりますし、またそういうふうに今後も努めるようにきちんと指導をしてまいりたいというふうに思っております。
  117. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 もう少し付け加えますと、その親会社の、また親会社と子会社がつくっている投資法人の役員には奥野社長が経営される弁護士事務所の弁護士さんが役員として就任されておりますので、これ、ただならぬ関係じゃないのかなと、こういうふうに我々は思います。相当深いつながりがあると。そして、もう一点申し上げますと、このケースでいいますと、破産管財人だけがこの業務に当たったのではなく、整理回収機構の職員も破産管財人補助者ということで入り込んで譲渡先まで選定をしているということなんです。  ということで、これを見ますと、RCCの社長、職員そして顧問先というのが、ないと言われればないのかもしれませんが、形式的に見ると非常に奧野社長中心に密接な関係でつながっているというふうにしか見えないんですけれども、理事長はどう御認識されますかね。
  118. 永田俊一

    参考人(永田俊一君) 奧野社長のそういう顧問先云々ということに関係するわけですが、先ほど申し上げましたように、破産管財人がマネージをしておるわけでありますし、その破産管財人の譲渡といいますか決定につきましては、また裁判所の方でこれを許可しているわけでございますし、それから先ほど申し上げましたような奧野社長につきましても、まさにそういう実態は、実態といいますか、実質的な関与はないということでございますので、私どもとしてはそういう判断でいるところでございます。
  119. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 今日、委員会にお呼びできればこの点もきちっとお聞きできたんですけれども、私が申し上げたいのは、預金保険機構の理事長のマネジメント力の話と奧野社長を含めたRCCの破綻企業再生に関するかかわり方、コンプライアンスといいますか、利益相反も含めて、そういった部分をもう少しきちっと議論をさせていただかないといけないと思ったわけでございます。  残念ながら今日は社長お越しいただけませんでしたけれども、改めて委員長に、この点は先ほどもお願いはしましたけれども、やっぱり密接不可分でございます。一方の話だけ聞いていても疑惑は私は解明、到底できないと思っておりますので、その点を強く申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございます。
  120. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまの提案につきましては、後刻理事会において協議をいたします。
  121. 大門実紀史

    大門実紀史君 今日は永田さんの所信を聴くということもあってこの委員会が設定されたということもございますけれども──永田さん、どうぞ、座っていてもらっていいですよ、お聞きすることになっていると思うんですけれども。  ただ、午前中、衆議院でもあったようですし、今、尾立さんからかなり的確な角度で質問がありましたし、私も同じ問題意識でございます。特に加えてお聞きすることも余りないんですけれども、とにかく一つ一つは既に、この数年間、RCC含めて預保がやられてきたこと、永田さんが指揮の下でやられてきたこと、足利銀行問題を含めて、その都度いろいろお聞きしてきまして、かなり疑問があります。何か今は利益上げたとか言って自慢されておりますけれども、その陰で何があったのかという点ではもう既に一つ一つ批判してきたことですので、その点をまた一から聞く気はありません。  ただ、今回の人事、私はちょっと、そもそも、と思うのは、何年か前にも永田さんに質問、来てもらったことありましたけれども、そのころに比べるともう随分何かお疲れのような気もしますし、なぜまたもう一期やらなければいけないのかと。すぱっと引かれた方がきれいだと思うし、なぜここで無理してもう一期やられるのかが、長い間見てきて非常に一番の疑問なんでございます。  御自分の意思なんでしょうか。それとも、諸般の事情でもう一期大変だけれどもやってくれというようなものがあったのかどうか、率直なところをもうこの際ですから聞かせてもらいたいなと思いますが。
  122. 永田俊一

    参考人(永田俊一君) お答え申します。  これ、私が申し上げることでは多分ないんだろうと思います。皆様の御判断で、今おっしゃったようにもう疲れているということであれば、それはそういうことかなというふうに思います。  こういう席でそういうことを申し上げてはいけないかもしれませんが、今日疲れておりますのは、実はもう五年ぶりぐらいでしょうか、徹夜をいたしましたので、そういうことでございます。
  123. 大門実紀史

    大門実紀史君 永田さんに私が質問したころの写真があるので、これを見ていると随分大変じゃないかなと思ったんですけれども。  私がもう一つ心配するのは、預保の理事長のポストというのは歴史がありまして、私が最初に国会へ来たときは松田さんだったと思います。松田さんは最高検察庁出身でしたね。その前は日銀の副総裁かな、が兼任していたわけですね。永田さんが初めて大蔵省OBという形になって、勝手に邪推してるだけかも分かりませんが、このまま大蔵ポストといいますか、財務省、金融庁、どちらかが預保の理事長にOBがなっていくというふうなつなぎの役割とかがもしあると、私はとんでもないことだと。後でそれははっきりするでしょうが、そういう点も思って無理になさることないなというふうに申し上げたかっただけでございます。  もう永田さんに対する質問これで終わりですので、よろしければ御退席いただいて結構です。
  124. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) どうぞ、永田理事長、退席されて結構でございます。
  125. 大門実紀史

    大門実紀史君 あと、若干、一般質疑ということなんで、今日は貸金業、多重債務問題に関連して、少しの時間ですが質問させてもらいたいと思います。  国会にも超党派で多重債務問題対策議員連盟というのができまして、自民党の森まさこさんが大変尽力されて、超党派でできました。私もその一員でございますけれども、その中でも今議論になっているのが、サラ金の金利を下げたから景気が悪くなったとか、あるいはやみ金が増えているんだとか、全く無知蒙昧なことを言って、金利をまた引き上げたいというふうな連中がいるものですから、そういう人たちと闘う議員連盟でございますけれども。  今日は、以前から取り組んできたやみ金問題で、やみ金が増えているというふうな話もありますので、正確なところを若干お聞きしたいと思います。  まず警察庁に伺いますけれども、今のやみ金の取締り状況を簡潔に教えてもらえますか。
  126. 井上美昭

    政府参考人(井上美昭君) 高金利貸付けや違法な取立てなどのやみ金融事犯については、依然として深刻な被害が出ておるところでありまして、警察としても国民生活の安全を脅かす重要な問題と認識をしておるところであります。  平成十九年におけるやみ金融事犯の検挙事件数は四百八十四件、検挙人員は九百九十五人でありまして、前年同期と比べて検挙事件数は約五〇%、検挙人員は約四〇%増加をしておりまして、全国警察が集中取締り本部による取締りを強力に推進した一定の成果が出ておるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  127. 大門実紀史

    大門実紀史君 お手元に資料をお配りいただきました。ありがとうございます。  つまり、検挙数が増えているのは、別にサラ金の金利がこの間少し下がっているということではなくて、あくまで警察庁が頑張ってやられた結果だと思いますが、その点、ちょっと確認のためにお願いいたします。
  128. 井上美昭

    政府参考人(井上美昭君) どれぐらいのサラ金の数があるか、ちょっと私どもは把握をする立場ではございませんので、我々とすれば、やはりしっかりした検挙をやっていって、できるだけ撲滅に近づけていく、そういう態度で対応しておるところでございます。
  129. 大門実紀史

    大門実紀史君 とにかくこの間、非常に頑張っていただいているんで、もっと胸張って言ってもらって結構ですよ。共産党が警察を褒めるというのは珍しいことでございますので。  ただ、私の方にもいろんな、ずっと取り組んできた関係で情報が来ていますんで、是非この点、新手の手口がありますんで、研究してほしいなと思うんですけれども。  口座凍結というのは厳しくなりましたですね、今。警察も金融庁も頑張ってくれています。そうすると、やみ金は、口座に振り込んでくれという、何々銀行何々支店何々番号というのを、もう言ってもすぐ凍結されてしまうかもしれないというんで、私、この委員かな、どの委員会か忘れましたけれども、決算委員会か、出会い系サイト問題で取り上げたことがあるんですが、サイトの中の口座、電子マネーが絡むんですけれども、つまり何々銀行何々支店じゃなくて、番号だけ本人に来るんですね。この番号さえあればコンビニでも振り込めるんです。そういう新手の振り込み口座といいますか、そういうことが今、出会い系サイトのを取り上げたときに、これ、やみ金でもやられるんじゃないかということで、警察庁に今から警戒してくれと言ったのが、実際もうやみ金でやられ始めました。是非これを研究してほしいというのと、口座の売り買いですね、そうはいっても現実にある口座の売り買いが、今相場が上がっていまして、前は五万円ぐらいで売り買いされていたんですね、カード付きとかいろいろ付いていると。それが今は十万円ぐらいになっているそうです。  この問題は警察庁だけではなかなか難しいというところもありますんで、経済産業省もそうですし、金融庁も、この点、この新手の口座について研究して、至急対策を練っていってほしいと思いますが、西原さんの方でいかがですか。
  130. 西原政雄

    政府参考人(西原政雄君) 最近やはり振り込め詐欺の関係、これにつきましては、この四月までの統計でも対前年で一・八倍というような形で非常に増えております。そういった中で口座に対して厳格に対応していくということは、我々非常に大事なことだと思っております。  そういった中で、現在どんな形でそれに対して対応できるのかということで、今おっしゃられたような新しい手口ということもございますので、真剣に対応策も考えていきたいというふうに考えております。
  131. 大門実紀史

    大門実紀史君 またこちらからも情報を提供させていただきますので、研究してもらいたいと思います。  この間、被害者の会とか弁護士さんたちが、ちょうど先月の末からの三日間ですかね、やみ金一一〇番というのをやられました。この内容も是非、金融庁も警察庁も参考に資料としてもらっていただきたいと思います。  少しだけ御紹介しますと、やみ金の四八%、半分が、さっき申し上げましたけど、今もう非対面型、会って脅すなんということをやらないで、電話で勧誘して、電話一本で振り込みさせるというのが半分になっております。借入金額も、何百万じゃないんですよね、五十万とか数十万、百万ぐらいで、ただし利率は一〇〇〇%というようなことで、脅しでやるわけですね。是非これも、こういう資料ありますので活用してもらいたいと思います。  この中で、ちょっと気になったのでまた指摘さしてもらいますけど、警察に相談したときの対応で、良かったか悪かったかという点でいくと、まだ七四%が悪かったと、二六%は良かったというふうな数字が出ております。前にも指摘さしてもらいましたけれども、現場の警察官は、特にこの中では、じゃ警察が何を言うかというと、借りたものは返せと言われたというのが一番多いんですね、いまだ。千葉西署、実名は出しませんけど、の警官なんかは、幾ら理屈を言っても、いや、借りたものは返すんだと言って突っ張ってしまうというような、何といいますか、法的に無知な頑迷な方もおられますので、是非、周知徹底を更に図ってほしいというふうに思いますが、警察庁、いかがですか。
  132. 井上美昭

    政府参考人(井上美昭君) いわゆるやみ金融に関して相談を受けるに当たっては、被害者の、相談者の心情に配意しつつ、その訴えを誠実に聴取をし、事案の特性、背景等を適切に判断をして対応すべきものと認識をしておるところであります。  警察庁では、担当者を集めた全国会議における指示、警察大学校等における教育訓練などを繰り返し行うとともに、必要な都度、現場の警察官にとって平易でかつ実践的なものとすべく相談対応マニュアルを改訂をするなどしておるところでございます。これを受けまして、都道府県警察では、執務資料の発出、警察署の担当者を集めた指導など更なる意識付けを図っているところでありまして、今後とも適切な相談対応について都道府県警察を指導してまいりたいと思っておるところでございます。
  133. 大門実紀史

    大門実紀史君 是非徹底をお願いしたいと思います。  もう一つは、この委員会でも取り上げましたけれども、被害者の会の方々が、自殺の多い青木ケ原の樹海、あそこに自殺防止、借金で死ぬことはない、相談してくれという看板を立てられて、そこでも、あれは、取り上げたのはもう一年以上前ですかね、ここの委員会で。いろいろありましたけど、三十三人の方がその看板を見て電話してこられて、電話してこられたというのは命が助かったということですね。これは大変いい取組だと思います。  このときは、今警察の対応ひどい話もしましたけど、非常にいい対応をされているんですね、地元警察の富士吉田署ですね。富山県におられた御夫婦二人が、もう失業して借金で二人で死のうと思ってあの樹海のところに来られたんですけれども、富士吉田警察署の、これはもう実名言っておきますけど、山本係長という方が保護して、しかも富山まで帰るお金がないのをその警察官が六千円用立てしてあげて、しかも被害者の会の太陽の会という頑張っているところがありますが、そこに借金の相談をしなさいということをして、そして富山の相談者、司法書士の方を紹介してもらって、富山に帰るお金もその山本係長という警察官が立て替えてあげるというふうなことで、私は本当に立派な警察官だなというふうに思います。  もう一つ、福井県の東尋坊、ここも自殺の名所ですけど、ここは、地元の観光協会がそういう自殺防止という看板を立ててくれるなと、イメージ悪くなるからというところで看板はまだ立てられていないんですけど、元警察官がパトロールをされて、ボランティアで、自殺しそうな人を見かけたらおやめなさいということですね、これも大変立派な方だなというふうに思います。特に現職のこの富士吉田の山本係長なんかは、私はもう表彰してあげるべきだと思うぐらいですね。こういう方こそ顕彰、表彰してあげてほしいと思います。  いずれにせよ、この富士吉田のように、地元警察とこういう被害者の会との連携で、頑張れば五人でも十人でも数十人でも自殺者をなくせるといいますか救えると思うんですけれども、警察庁として、こういう地元とそういう関係団体との取組を強めていってほしいと思いますが、いかがでしょうか。
  134. 井上美昭

    政府参考人(井上美昭君) 警察といたしましては、国民の生命、身体を保護するとの立場から、自殺を防止するため、各都道府県において設置されております多重債務者対策本部等の場も活用いたしまして、やみ金の被害者協議会等々の関係機関、団体と連携を図りつつ、必要な協力や取組を行ってまいりたいと、かように考えておるところでございます。
  135. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございました。終わります。
  136. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後二時十分散会