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参考人(
ロバート・
フェルドマン君) ありがとうございました。
本日、
参考人としてお招きいただきましてありがとうございました。大変光栄でございます。
なぜ外人がここにいるのかということがちょっと思われるかもしれませんけれども、私は初めて
日本に来たのはほぼ四十年前、昭和四十五年だったんですけれども、
高校時代の
交換留学生プログラム、
AFSで一年間、名古屋で勉強させていただきました。それ以来、
勤勉まじめ日本国民、駄じゃれが多い
日本語と付き合って楽しく四十年間送ってきましたけれども、やはり互いにより豊かな
世界をつくらないといけないということが基本的な
人生の、何ですか、目標ということで、それに若干貢献できるならいいなと思ってきました。
本日、
法案を
審議していらっしゃる皆さんに若干
参考として
意見を述べさせていただきたいと思いますけれども、まず、この
法案はなぜ大事なのかという点です。
日本の
金融市場の
競争力を高めるということは当然大事なことですけれども、
市場のためではないということが大事な
ポイントだと思います。これは
高齢化と対置する
日本経済の
持続性を守るためのものだと私は思っています。もっと突っ込んで申し上げますと、おじいちゃん、お
ばあちゃんたちを食べさせるための
法案だと思います。
持続性のある
日本経済じゃないとうまくいかないということですので、やっぱり
生産性を上げないといけない以外に
やり方はないということだと思います。
資本市場は
日本の
労働の
使い方、
資本の
使い方を良くするために頑張っているということですので、
市場の
競争力を高める、
市場の
機能を高めることに成功するなら、
労働の
使い方、
資本の
使い方が良くなって、
日本経済の
持続性、
日本国民の
生活水準を守るということが一番肝心な
ポイントだと思います。
じゃ、なぜ
改正が必要なのかといいますと、簡単に言いますと、ほかの国が一生懸命動いているというのが
一つの
理由です。十年前はシンガポールがこれだけ強い
資本市場ではなかったんですが、結構動いています。香港もそうですし、上海もそうです。
日本が遅れないように頑張らないといけないというのが
一つの
理由です。
もう
一つは、
技術革新です。目をまばたく
期間は約五百ミリセコンドですけれども、ミリ秒ですが、今の
取引、
自動取引の速さを見てみますと、八十ミリ秒とか物すごく短い
期間で
取引しているわけですから、やはり
技術革新によって常に
市場が
効率性を上げないといけないというところがあります。
三番目は
グローバル経済が大きく変わっているということですけれども、五年前、
原油価格が百三十ドルになるということを言った人は多分ばかじゃないかと思われたと思いますけれども、実際にそうなっています。穀物は非常に高騰しています。こういう
実体経済の変化によって
金融市場が動いて、もっと有効に資源を再配分しないといけないということがありますので、
日本経済もその再配分に参加してより良い
世界をつくらないといけない義務があると思います。
こういうことを背景にしてこの
法案を
審議していただきたいと思っております。
さて、この
法案の
内容ですけれども、さっき
斉藤社長がいろいろおっしゃいましたけれども、
斉藤社長がおっしゃいましたように、
ETFの
多様化が非常に大事な
ポイントだと思います。やはりこれから柔軟にいろんな
金融商品がつくれるように、
投資家の
ニーズと
投資をする
人たちの
ニーズ、すなわち
実体経済の
ニーズに合わせるような
商品をつくっておかないといけない。つくり方が難し過ぎると、
チャンスを逃すだけじゃなくて、
生活水準が守れないということになるのは
一つの大事な
ポイントですので、
ETFをその
一つの手段として進めるべきではないかと思います。
ファイアウオールのやり直しということもありますけれども、これ、基本的に
リスクマネジメントが
一つの大きなテーマだと思います。というのは、今の
制度ですと、ある
会社の中で
リスク管理する
人たちが幾人必要ということですけれども、
リスク管理というのは、基本的に情報をいっぱい交換して、何がどこから問題になってくるかということを考えて動くということですので、いろんな人がいろんなところで
リスクマネジメントをやっていますということですと、そもそもうまくいかない、だからもうちょっと柔軟に
リスクマネジメントできるようにしないといけないということが
一つの
ポイントだと思います。
コストも大事な
ポイントですので、まさにこの
法案に入っている
ファイアウオールの考え直しということが大事だと思います。
プロ市場もすごく大事です。というのは、もう既にできた
法案の中で
プロと
一般投資家という分け方がありますけれども、その延長線に
プロと
一般投資家向けの
商品をもっと開発すべきだということは簡単に言えると思います。これは
コストの面から見ても、
責任の面から見ても言えると思います。
四番目ですけれども、やっぱり不正なことをする人に対して厳しく制するということが非常に大事な
ポイントだと思います。
課徴金を引き上げること、
除斥期間の延長など、そういう
措置をとるということは、
市場に対する
信頼性を上げるという大事な
役割だと思います。
要注意な点もあるかということですけれども、
一つあります。
これから細かい
ルールをいろいろ作らないといけないということですけれども、その細かい
ルールを作る
プロセスの中で、
対談を持って作るということが大事な
ポイントではないかと思います。今の
金融庁、非常にうまく
市場と連絡を取って
ルールを作ろうとしていることだと思いますし、大きく特に昔に比べて
金融庁が進んでいるということだと思いますけれども、この
法律を実行する
ルールを作る過程で、どこかで
金融庁から国会に報告していただくということは、
一つの
ルールをちゃんと作っているよということを証明する
やり方ではないかと思います。
さて、この
法案で問題が終わるかといいますと、もちろんそうではありません。昨年十二月に
金融庁が出しました
金融・
資本競争力強化プランがありましたけれども、今回
法律に入っている
ポイントは六つぐらいありますけれども、実は
プランを見てみますと
幾らでもあります。この紙に入っているこれから大事なのを
幾つか取り上げたいと思います。
一つは、ここに書いてありますけれども、J―
REITの
多様化です。これは実は
地方活性化にとって肝心な
措置だと思います。今は
耕作放棄になっている
農地は全体の約一〇%です。そうしますと、いわゆる
農地REIT、すなわち
農地が入っている
不動産投資信託をつくることができましたら一石三鳥です。というのは、
土地を売りたい
人たちが、
土地の
流動性が上がりますから売れやすくなります。
土地を買いたい
投資家の対象になります。加えて、
世界の食料問題に貢献する一石三鳥のことですので、早く
農地法の
改正を
審議していただいて、
改正していただいて、
農地REITがつくれるようにすることが大事だと思います。
自主規制の
機能強化及び職員の
資質向上ということが
金融庁プランに書いてありますけれども、基本的に
回転ドア制度をもっと徹底すべきではないかと思います。というのは、やっぱり
人材を育てるということは
自分に
スキルを身に付けることが非常に大きな
ポイントです。
斉藤社長が
再生機構でなさったように、若い人を取り入れて、
ドアはここで閉まりますから
スキルを身に付けて外へ行きなさいというような
回転ドア式でやりますと、
人材が上がります。これは
一つの
ポイントです。
税のことも書いてありますけれども、
幾らでも細かく話すことはあると思いますけれども、
原則として
パイを大きくする
税制、すなわち
税制を直して
パイが大きくなるようなインセンティブを付けるということです。
もう
一つは対話の充実ということが書いてありますけれども、
金融庁が既に
市場との
対談をよくしていますが、
金融庁だけじゃなくて、国税庁、経産省など、もっと
市場の声を聞いていただいて
意見交換をして、互いに教育し合ってもっといい
制度がつくれるのではないかと思います。
とにかくこの
プランに書かれていることはいいことがたくさん書かれています。
残念ながらここに書かれていないやるべきところもあります。二つか三つぐらい取り上げたいと思います。
一つは
消費者保護とか
投資家保護ですけれども、基本的に
自己責任を
中心原則にすべきだと思います。六月一日から、
タクシーに乗るときに
後部に座る人でさえ
ベルトを着けるべきだということになりましたけれども、これは
自己責任の
一つです。
交通事故の
事故じゃなくて普通の
自分で
責任を負うということですけれども。
タクシーの
後部に座ってる
人たちが被害を受けないような
やり方は二つあると思います。
一つは、隣に公務員に座っていただいて
事故になりそうなときに押さえていただく、あるいは
自分で
ベルトを着けること。どれがいいでしょうか。当然、
自己責任がいいんです。これを
中心原則にすべきだと思います。
幾つか細かいことがあります。
投資をする人、
投資をするライセンス、
免許、どこまで
免許をつくるべきかということだと思いますけれども、余り勉強していない人は預金、勉強している
人たちは株とか
派生商品とか、物すごく勉強している人は物すごく難しい
商品をやっていい、そういう
制度を考えてもいいんじゃないかと思います。海外でもそういう例はあるそうです。
もう
一つは、事業
会社の倫理基準を作って、各事業
会社にこういうことを分かった上で経営しなさい、資格をつくるということです。例えば情報を漏らさないということです。そういう資格をつくるべきだと思います。
もう
一つは経済教育ですけれども、これは学校の経済教育も大事ですけれども、
投資家の教育も大事ですけれども、結局、裁判官の教育も必要だと思います。最近、内外の
投資家の間では、どうも経済理屈に合わない裁判の結果があります。ですので、もう少し裁判官が実際にビジネスをやっている
人たちと
意見交換をして教育をしていただきますと、もっと合理的な裁判になるのではないかと思います。
言いにくい次の点ですけれども、暴力団対策です。実は、米国は一九五〇年代に物すごく大きな暴力団問題がありました。キーフォーバー上院議員が審問をやりまして、元ケネディ大統領も参加して、ゴールドウォーターさんも参加しましたけれども、そういう国会審問をやった結果、RICO法とか不正収益を吐き出す
法律ができまして、非常にいい効果がありました。実は、
日本の評判はこの点で悪いんです。
先月、五月十一日のワシントン・ポストに実は記事が載りまして、
日本の証券
取引など問題になっているのは、
一つの
理由はRICOアクト、すなわち吐き出し
法案がないということが原因だということを言っている
日本の警察官が引用されています。海外でもこの暴力対策が足りないということを言われていますので、国会審問をしていただくということも
一つの策だと思います。
次ですけれども、情報管理及びメディアの
役割です。
皆さん御賛成かと思いますけれども、言論の自由は民主主義と一卵性双生児だということだと思います。言論の自由を、何ですか、害を加えることは絶対やっちゃいけないんですけれども、反面、メディアの
金融市場での
役割を考えた上で、もう少しいいメディアができないのかということを当然思います。
証券業界ではお客さんと話す前に外務員試験を通って話すということになっていますけれども、今のメディアではそういうのは全くないんですね。
会社が
責任を負うだけで全く資格がないんです。だから、
金融のことを分かっていない記者たち、やれということでやっていることになっている人がいると思いますけれども、全く分かっていない人が記事を自由に書けます。これは果たして
金融市場は効率的に動けるような結果になるのか、これはメディアの方に考えていただきたいと思います。あるいは、
金融関係のプレスクラブ、記者クラブですね、
金融庁及び日銀のプレスクラブ、記者クラブの廃止、これもやっぱりほえない番犬という問題を解決する
一つの
やり方ではないかと思います。やはり
企業が漏らしちゃいけない情報を漏えいしたときに刑事罰として扱うということも必要ではないかと思います。
最後は
企業統治ですけれども、もう既にブルドックソースの案件あるいはJパワーの案件で
ルールを明確化すべきだという動きが出始めているのは、これは非常にいいことだと思いますが、やっぱり持ち合いと利益相反をもっとちょっと勉強して、はっきりすべきではないかと思います。
最後ですけれども、株主の
責任。よく経営の
責任と言いますけれども、議決権を行使しない株主は
東証の悪口、経営者の悪口言ったってしようがないんです。一九九〇年代、都知事選のときに、私、床屋行きまして、床屋のおばあさんがいいことを言いました。お客さんの一人は、選挙行きますかと聞かれたら、まあ今日はちょっと忙しいと言ったんですけど、おばあちゃんは、いや、選挙行かない人は文句言う権利ないよということ言いました。そのとおりです。株主もそうです。
そうすると、何らかの形で株主が議決権を行使する義務を付けるべきではないかと思います。例えば、しない場合配当金を減額するとか、そういうことも考えてもいいんじゃないかと思います。冗談じゃないんですよ。これはやるべきです。
とにかく、そういう四つの点、保護の
自己責任原則、暴力団対策、情報管理の問題、ガバナンスの問題、こういうことに関して次のステップが必要ではないかと思います。
御清聴ありがとうございます。