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2008-04-23 第169回国会 参議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年四月二十三日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  四月十八日     辞任         補欠選任      中谷 智司君     鈴木 陽悦君  四月二十二日     辞任         補欠選任      郡司  彰君     小川 敏夫君  四月二十三日     辞任         補欠選任      藤谷 光信君     大島九州男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         一川 保夫君     理 事                 高橋 千秋君                 森 ゆうこ君                 加治屋義人君                 神取  忍君     委 員                 青木  愛君                 小川 敏夫君                 大島九州男君                 鈴木 陽悦君                 広田  一君                 山根 隆治君                 吉川 沙織君                 佐藤 信秋君                 佐藤 正久君                 末松 信介君                 塚田 一郎君                 山田 俊男君                 西田 実仁君                 仁比 聡平君    国務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣防災)        )        泉  信也君    副大臣        内閣府副大臣   木村  勉君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        加藤 勝信君    事務局側        常任委員会専門        員        伊原江太郎君    政府参考人        内閣府政策統括        官        加藤 利男君        総務大臣官房審        議官       河内 正孝君        総務省総合通信        基盤局電気通信        事業部長     武内 信博君        消防庁国民保護        ・防災部長    岡山  淳君        法務省民事局長  倉吉  敬君        文部科学大臣官        房審議官     青山  伸君        文部科学大臣官        房文教施設企画        部技術参事官   岡  誠一君        厚生労働大臣官        房総括審議官   宮島 俊彦君        厚生労働大臣官        房審議官     中尾 昭弘君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    中村 吉夫君        経済産業大臣官        房審議官     加藤 重治君        資源エネルギー        庁原子力安全・        保安院審議官   佐藤  均君        国土交通大臣官        房審議官     菊川  滋君        国土交通大臣官        房審議官     小川 富由君        国土交通省都市        ・地域整備局下        水道部長     江藤  隆君        国土交通省河川        局長       甲村 謙友君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    由田 秀人君        環境省水・大気        環境局長     竹本 和彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○災害対策樹立に関する調査  (緊急地震速報及び防災行政無線普及活用に  関する件)  (首都直下地震及び東南海南海地震対策に関  する件)  (学校等公共施設及び原子力発電所耐震化対  策に関する件)  (災害時要援護者避難支援対策に関する件)  (被災者生活再建支援法に関する件)  (消防団及び水防団維持充実に関する件)  (能登半島地震及び新潟県中越沖地震の復旧・  復興対策に関する件)  (都市型水害対策に関する件)  (阪神淡路大震災に係る災害援護資金の償還  に関する件)     ─────────────
  2. 一川保夫

    委員長一川保夫君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、中谷智司君、郡司彰君及び藤谷光信君が委員辞任され、その補欠として鈴木陽悦君、小川敏夫君及び大島九州男君が選任されました。     ─────────────
  3. 一川保夫

    委員長一川保夫君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  災害対策樹立に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府政策統括官加藤利男君外十七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 一川保夫

    委員長一川保夫君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 一川保夫

    委員長一川保夫君) 災害対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 吉川沙織

    吉川沙織君 民主党・新緑風会・国民新・日本の吉川沙織でございます。本委員会では初めての質疑ということになります。どうぞよろしくお願い申し上げます。  災害ということで、災害は多岐にわたりますが、今日は震災という側面から質問をさせていただこうと思っております。  大きな側面二つ一つは、平成十九年二月と十月から運用されている全国瞬時警報システム緊急地震速報を取り巻く現状と課題について、二つは、今後三十年以内に七〇%の確率発生するかもしれないとされている首都直下地震から想定される様々な状況中心質問を行いたいと思います。  それでは、まず大きな一つ側面緊急地震速報についてお伺いをしたいと思います。  緊急地震速報、昨年の十月一日より一般運用を開始されました。これは震源に近い観測点で得られた地震波を使って震源地地震の規模を推定し、各地の震度等秒単位という短時間で予想し発表するものであり、大きな揺れが到達をする前に放送等手段を通じて知らせるものであります。  ただ、昨年の十月一日に運用が始まった後、今年に入ってから、北海道では誤報、そして石川の能登では流すべき速報が流れなかったなど、予想精度等の問題、そしてまたP波S波の間隔が短い直下型地震の場合には間に合わない等の問題がございますが、予測精度向上への改善状況と今後の見通しについてお伺いをいたします。
  7. 一川保夫

    委員長一川保夫君) 答弁どなたですか。
  8. 吉川沙織

  9. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 私がお答えする立場なのかどうか分かりません。代わりましてお答えをいたします。  御指摘のように、昨年の秋から緊急地震情報を発令をさせていただいております。  御指摘誤報があったり、幾つかのトラブルは抱えておりますが、基本的にはP波S波の時間差を使って予報を申し上げ、そしてそれに対応していただくという考え方は私はこれは大変有力な地震被害防止策になると考えております。精度を上げていく、そうした事柄を積み重ねていく中で一般市民の方々にも御活用いただける日が遠からずやってくる、その今助走期間と言っては失礼かと思いますが、そうした時期だと思っております。
  10. 吉川沙織

    吉川沙織君 大臣から御答弁いただきまして、ありがとうございました。  引き続き予測精度向上には努めていただきたいんですが、これとともに、緊急地震速報に対する正しい理解、一般的な理解を広めていただくという努力も是非していただきたいと思っております。  なぜなら、昨年、静岡大学による緊急地震速報に関する実験というものがありました。これは緊急地震速報内容を知った上で対策を事前に講じた場合、そして講じなかった場合で生存率に差が生じるという結果が出ております。しかしながら、昨年の七月、民放連さんが行った緊急地震速報に対する認知度調査をやられていますが、これ二九%という結果にとどまっております。緊急地震速報には避難意識が不可欠であるということから、その内容理解促進に向けて政府の方でしっかりやっていただきたいと思います。  では、これに関連をいたしまして、緊急地震速報は様々な手段を通じて流されるということになっておりますが、その最たるものにテレビで流されるということがございます。一般運用開始時でも、ニュース等テレビでイメージの画面が出てまいりまして、一番私たちにとってもなじみが深いツールであると言えます。  テレビというふうにいえば、二〇一一年の七月二十四日にアナログ停波で、今後デジタル放送に移行するということがこれまた国の方針で決められております。ただ、このデジタル放送では情報圧縮と複合に時間が掛かって、アナログ放送に比べ一、二秒遅れが生じるということがあります。人命のために欠かせない貴重な時間です、数秒といえど。この遅れは看過できないということが指摘できます。遅延短縮させるためには、情報処理の時間を低減する高速アルゴリズム研究開発信号処理を行うデバイス技術高度化が考えられると思いますが、現在のデバイス技術開発状況と今後の見通しについてお伺いをいたします。
  11. 河内正孝

    政府参考人河内正孝君) お答えいたします。  放送メディア災害情報の提供に極めて重要な役割を果たすものでございまして、放送事業者においても積極的な取組に努めているところでございます。  一方、御指摘のとおり、地上デジタル放送では、その放送コンテンツデジタル情報を効率的、安定的に伝送するために情報圧縮などのデジタル信号処理を行っていることから、送信側受信側で多少の時間を要して一定の遅延が生じるところは御指摘のとおりでございます。  この災害情報等を速やかに国民に提供するため、遅延情報短縮を図っていくことは非常に重要であると認識しておりまして、総務省としてもこの情報処理の時間を低減するための高速処理アルゴリズム研究開発に取り組んでいるところでございます。今後、その成果を活用することを含めまして、引き続き、情報処理技術高度化等によりまして送信機材とかあるいはテレビ受信機デジタル処理高速化が進みまして、更なる改善が図られることを期待しております。
  12. 吉川沙織

    吉川沙織君 是非早急に研究開発を進めていっていただいて、時間の短縮を図っていただきたいと思います。  では次に、緊急地震速報関連をいたしまして、昨年の二月から運用をされております全国瞬時警報システムがあります。消防庁は、この緊急地震速報を昨年二月から運用されている全国瞬時警報システム市町村防災無線から流すと発表されています。現在、全国瞬時警報システムを活用して緊急地震速報を流すことができる市区町村数について、消防庁にお伺いをいたします。
  13. 岡山淳

    政府参考人岡山淳君) お答えいたします。  全国瞬時警報システムJアラートについてでございますけれども平成二十年の四月二十一日現在で九十七団体、このうち市町村レベルですと五十七の市区町村において情報受信等が実施されておりまして、このうちの五十六、一つを除いて情報を同報無線等で配信するということが行われているところでございます。
  14. 吉川沙織

    吉川沙織君 昨年九月、報道によりますと八ということですから、どんどん数が増えているということは評価するに値すると思います。ただ、すべての市区町村等にこの設備がちゃんとつくられるよう、国が財政面を始めとしてイニシアチブを取ることが必要であるということは指摘しておきたいと思います。  さて、これに関連して、全国瞬時警報システムJアラートは、防災無線があって初めて住民皆様の耳に届くものです。スピーカー等から聞こえてくる情報を頼りにされているという場合も多いと言えます。市町村防災無線は、市町村庁舎等から住民に対し迅速かつ確実に伝達をすることができるものでありますが、これ、市町村防災無線システム現時点での整備状況についてお伺いをいたします。
  15. 岡山淳

    政府参考人岡山淳君) 同報防災行政無線は、先生おっしゃいますとおり、住民の方に情報を一斉に伝達することが可能でございますので、災害時における防災情報伝達には大変有効なものでございます。  平成十九年三月三十一日現在の整備率でございますけれども市町村ベースで見ますと、全国平均で約七五・二%となっておりまして、整備は着実に進展しつつあるところでございますけれども消防庁といたしましては、地方債普通交付税措置を組み合わせました防災基盤整備事業などによる財政支援を講じながら、引き続き地方団体に対して整備を強く働きかける所存でございます。
  16. 吉川沙織

    吉川沙織君 今御答弁の中で着実に進展をしつつあるとおっしゃいましたが、着実に進展して七五・二%、残る二五%がまだ未整備という状況でございます。市町村防災無線地域住民皆様の命を守るために一刻も早く整備をしなければなりません。今おっしゃったように、いろんな財政措置を講じていただくことは必要不可欠であり、是非早くやっていただきたいと思っております。  ちなみに、現在はこれ基本的にアナログで同報系の無線流されていますけれども、今後、デジタル防災無線市町村防災無線レベルでもデジタル化をするということが国の方針で決められております。ただ、これ、今答弁の中でおっしゃったように、財政的な負担が物すごく掛かるということが言われています。最近、今月の報道では、とある町で、工事費二億四千六百七十五万円を掛けて市町村デジタル防災無線を導入したという報道もございます。  今後、国として、アナログもまだ整備できていないのに、デジタルに移行する際、どれぐらい国として負担をする覚悟があるのか、それについてお伺いをしたいと思います。
  17. 岡山淳

    政府参考人岡山淳君) お答えいたします。  デジタル化を推進しているところでございますけれども、従来のアナログ方式の同報無線ですと、音声を一方的に住民に対して伝達する方式ということがございます。他方、デジタル方式の同報無線では、音声住民伝達する以外に、例えば河川水位などのテレメーター機能避難所との電話連絡文字情報伝達が行えるなど双方向の通信が可能となっております。このように、デジタル方式を導入することによりまして防災活動が迅速かつ的確に行えますところから、その整備お願いしているところでございます。  なお、財政面におきましては、デジタル方式の同報無線整備に当たりましては、地方債普通交付税措置を組み合わせました防災基盤整備事業等により財政支援を講じているところでございます。
  18. 吉川沙織

    吉川沙織君 デジタル化のメリットを今幾つか挙げていただいたかと思います。ただ、今まだ市町村レベル整備されていないところが約二五%残されていて、そこではスピーカーからそこに住んでいる人たちに対して情報が流れない、流れるすべがほかの手段に頼らざるを得ないということがあります。  ですから、デジタル化していいんですけれどもデジタル化に伴い、アナログが残っているところとデジタルになっているところと両方の設備を併用して持ってやらなきゃいけないといういろんなデメリットもございますし、果たして市町村レベルで、今地方財政大変厳しい状況にあります。そういう中で、国が責任を持ってやるのであればいいとは思うんですけど、いまいち、デジタル防災無線ということを、いまだ整備されていない市町村が残っている中で進める意味がどこまであるのかというところを疑問を感じざるを得ないところです。  では次に、大きな側面二つ目、今後三十年以内に七〇%の確率で起こるとされている首都直下地震から想定をされる様々な状況中心質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、これは内閣府に関係すると思いますが、首都直下地震発生をした場合、中央省庁自体被災により首都機能の低下は免れないと思います。そのために、事業継続計画BCPがあります。この中央省庁におけるBCP策定状況内閣府にお伺いいたします。
  19. 加藤利男

    政府参考人加藤利男君) お答えいたします。  中央省庁業務継続計画策定につきましては、計画策定作業支援を目的といたしましてガイドライン内閣府において作成いたしております。また、昨年六月の中央防災会議におきまして、内閣総理大臣から各省庁における業務継続計画策定について御指示がございまして、各省庁においては一年程度目途計画策定するということとしておるところでございます。  平成二十年四月二十二日現在でございますが、農林水産省、国土交通省国土地理院気象庁、海上保安庁において業務継続計画策定済みでございます。また、その他の省庁におきましても、早期計画策定を目指し鋭意作業を進めているところでございます。
  20. 吉川沙織

    吉川沙織君 今答弁の中にありました、確かに平成十九年六月の中央省庁業務継続ガイドラインには、今後の予定として、一年を目途で各省庁計画策定というふうに書かれています。ですが、これ遅すぎる感が否めません。  なぜなら、平成十八年三月二十九日の当委員会において、当時の大臣がこうおっしゃっております。事業継続計画策定が喫緊に求められるところであり、これが最も重要な課題であると認識しておりますと答弁されております。また、その七か月後のまたこの当委員会政府参考人が、行政機関、特に中央省庁事業継続計画をどう作るかということに取り組んでおり、中央省庁版BCP策定のためのガイドラインを検討しておりますという旨の答弁をされています。  つまり、大臣中央省庁BCP策定は喫緊の最重要課題答弁してからガイドライン策定するまでに何と一年三か月、そこからまた一年掛けて中央省庁計画策定では遅いのではないかと考えます。中央省庁であるからこそ率先して策定しなければならないと考えております。でも、ここまで来てしまった以上、このガイドラインが去年の六月にできています。ガイドラインに示されたこの六月末までにすべての省庁BCP策定されますでしょうか。
  21. 加藤利男

    政府参考人加藤利男君) 先ほど御答弁いたしましたように、私ども関係省庁の間で連絡会議を設けておりまして、それぞれできるだけ早く策定してくださいということでお願いをして、今申し上げましたように、できるだけ早期計画策定を目指して鋭意作業を進めているところでございます。
  22. 吉川沙織

    吉川沙織君 今のやり取りをお聞きになって大臣はどう思われましたでしょうか。
  23. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 御指摘のように、BCP策定ということは大変重要なことだということは申し上げるまでもありません。ただ、やや弁解じみたお答えになるかと思いますが、大企業で現在二割程度中小企業では一割というような状況でございます。このことがいいと言うつもりはございませんけれども、やはりなかなか、この策定を急いでいくということが重要だとは分かっておってもこういう実態であるということを踏まえて、一層の計画策定に努めたいと思います。
  24. 吉川沙織

    吉川沙織君 大企業で二割、中小企業で一割程度と御答弁いただきましたけれども、そこに対して指導をするにはやっぱり中央省庁で作っていないと説得力がないと思いますので、どうか早期策定、このガイドラインによりますと六月とございますので、どうか早期に、いつ起こるか分からない災害でございますから、早期策定をいただきますようよろしくお願いいたします。  続きまして、都道府県では、先月、私生まれ故郷四国徳島でございますが、徳島県で全国初BCP策定をされております。ほかの都道府県について、進捗状況、分かりましたらお教えください。
  25. 加藤利男

    政府参考人加藤利男君) 先生指摘のように、都道府県レベルでも業務継続計画策定に向けた取組が始められているところでございますが、都道府県レベルでは初めて徳島県が業務継続計画策定されまして、発表に至ったというところでございます。その他の公共団体状況でございますが、徳島県に続きまして、東京都や大阪府を始めとする多数の都道府県でも策定中又は策定予定の段階に至っているというところでございます。  私どもが調べたところでは、これは本年の二月でございますが、策定中が先ほど申し上げました東京都、大阪府を含めて四都府県でございます。策定予定が十府県となっておるところでございます。
  26. 吉川沙織

    吉川沙織君 是非最初中央省庁でしっかり策定をして、その後すべての都道府県でも早期策定されるよう取組を強化していただきますようお願いいたします。  それではまた首都直下地震、違う観点から質問をさせていただきます。  今月の新聞でも大々的に報じられておりますが、首都直下地震がお昼に首都圏を襲った場合、多くの帰宅困難者発生するとシミュレーション結果が出ております。帰宅困難者が六百五十万人、うち二百一万人が満員電車並み混雑に三時間以上も巻き込まれるとのシミュレーション結果があります。  これ、帰宅時間帯や帰宅経路を分散させるための対策等現時点で考えておられる方策を大臣にお伺いいたします。
  27. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 先日発表させていただきましたシミュレーションの結果、概要については今委員がおっしゃったとおりでございます。  膨大な数の帰宅困難者発生すると、そういうことを踏まえまして、今我々が各企業あるいは自治体等お願いをしております大きな考え方は、翌日帰宅あるいは時間差帰宅、こうしたことをお願いをして一斉帰宅の抑制を図るということ。さらに、家族等安否確認が相互にできますと、慌てて帰る、急いで帰るという必要性が薄らぐ方もいらっしゃるということから、こうした安否確認の方法を改善する。さらに、帰宅路情報を適宜適切にそれぞれの被災者の方にお伝えする、できるだけ混雑をしていないルートを通ってお帰りをいただく。こうしたことを、現在のシミュレーションを基に改善を図っていきたいということに取り組んでおるところでございます。
  28. 吉川沙織

    吉川沙織君 今、翌日帰宅、時間差帰宅、そして家族安否確認が取れれば一斉帰宅の率が下がるという御答弁いただきました。実際、私もシミュレーション結果すべて拝見をいたしましたが、帰宅困難者が無理をしてでも自宅に戻ろうとするのは、やはり家族安否の不明によるところが大きいという結果が出ています。実際、家族安否が判明すれば、無理してでも帰宅をするという人の率が減っているというところからもこれは指摘できます。そのためには、家族間で安否が分かることが大前提でありますが、首都圏直下型地震の際は、前例に漏れず、通信ふくそうすることが残念ながら予想されます。  阪神淡路大震災を契機として、平成十年から通信ふくそうに比較的影響されにくい災害用伝言ダイヤル等が提供されておりますが、これを活用して安否確認を行うのは有効な一つ手段であると言えます。これ、有効な手段であるからこそ、これを多くの方に知っていただく必要がございますが、このサービスの認知度について、データがあるようでしたらお教えいただきたいと思います。
  29. 武内信博

    政府参考人武内信博君) お答え申し上げます。  災害時には、ふくそう発生により電話がつながりにくいという状況になりますことから、電気通信事業者は、安否確認などを行う手段といたしまして、固定電話を利用した災害用伝言ダイヤルや、携帯電話、PHSを利用した災害用伝言板を提供しているところでございます。  先生指摘のように、災害用伝言ダイヤル災害用伝言板は、認知度向上するほど役に立つサービスでございます。この認知度につきましては、ちょっと前になりますが、平成十七年度の総務省調査では、存在を知っている方ということで、約七割から約九割ということでございます。  周知につきましては、電気通信事業者ですとか関係団体等につきまして、体験利用日の設定ですとかポスター掲示、パンフレットの配布等により周知に努めてきているところでございますけれども、今後、一層周知等について努めてまいりたいというふうに考えております。
  30. 吉川沙織

    吉川沙織君 是非、一層の徹底、周知徹底に努めていただきたいと思います。なぜならば、このサービスを知って家族安否が分かるということになれば、帰宅困難者の一時集中を防ぐことができ、家族安否が分かればとどまる率が上がることから、先ほど申し上げましたBCP、事業継続という観点からも重要なことだと考えるからです。  また、新潟県中越地震の際に明らかになった課題といたしましては、被災住民の方の活用率が低いという点があります。つまり、この際、新潟県内の録音からは一五%にとどまっており、ほとんどの録音が、被災地外から被災をされている地域の方に対して無事を問い合わせる伝言であったというふうにされています。災害用伝言ダイヤルは、本来は、被災地外で心配している人に対して被災住民安否情報被災情報を発信し、安心してもらうというのが目的です。災害用伝言ダイヤル一七一のキャパシティーは八百万伝言ですが、被災地外からの録音が余りにも多過ぎると、有効活用の面からも大きな課題です。被災者の方が避難を終えた後に自分の安否を伝えようとしても、被災地外からの録音で容量がいっぱいになってしまっては安否を知らせる録音ができないということになってしまいます。この面から、もっと、この存在を知っているか否かというだけではなくて、正しい活用方法についても政府としてしっかり周知徹底努めていただきたいと思っております。  続きまして、帰宅困難者、こっちから、都内から家に、郊外に、家に帰ろうとするというのはいろんなシミュレーション結果出ておりますが、家族のこれ、いろんなサービス使っても安否が分からない場合、郊外にいらっしゃる人が郊外から都心に、都内に向かって入ってくるというような事態も想定されるかと思いますが、これについて内閣府の方では何か検討されているものがございますでしょうか。あるかないかだけで結構でございます。
  31. 加藤利男

    政府参考人加藤利男君) 先生指摘のとおりで、そのような行動を取られるということがあろうと思っております。十分考えていきたいというふうに考えておりますが、今後、そうした逆方向というんでしょうか、郊外から都内に移動される方が生ずることに伴って生ずる課題を含めて、その帰宅困難者対策を取りまとめる中で検討してまいりたいと考えております。
  32. 吉川沙織

    吉川沙織君 震災が起これば想定される事態ではないかと思いますので、これについても是非検討を進めていただきたいと思います。  これに関連して、最近、帰宅支援マップという本が売れているそうです。つまり、これ帰宅困難者が自宅へ徒歩で帰宅するための本です。この中に帰宅支援ルートや帰宅支援ステーションというものが記載されておりますが、この帰宅支援ステーションでは水道水、トイレ、情報などを提供するとされています。この帰宅支援ステーションの中にはコンビニも含まれておりますが、コンビニの店員さんはアルバイト、特に若いアルバイトの方である場合が多く、これらの店員さんが帰宅支援ステーションにコンビニが指定されているということを知らないというケースも想定されるのではないかと思います。  これ、アルバイトとして雇入れの際などで構いませんから、コンビニは地震があったときに、こういう状況帰宅支援ステーションとしての役割を持っているんだよとか、そういう周知を図るということは今後考えられておりますでしょうか。
  33. 加藤利男

    政府参考人加藤利男君) 今先生指摘のような状況を踏まえまして、現在、首都圏の八都県市におきましては、災害帰宅支援ステーションの役割をコンビニエンスストア等の従業員へ周知することを目的といたしました帰宅支援ステーション事業者用ハンドブックを作る取組を進めており、各事業者を通じて近々にもハンドブックを一つ一つの店舗に配付し、従業員の皆さんへの周知を進める取組を行おうとしているというふうに伺っております。
  34. 吉川沙織

    吉川沙織君 是非取組を進めていただきたいと思います。  ただ、私、個人的に疑問に思いますことは、この帰宅支援ステーションで水道、トイレ、情報提供と書いてありますが、これ断水していれば、何か井戸でもあるのか、それとも何か予備のタンクでもあるのか分かりませんけれども、こういう場合の対応を考慮されているのかどうかということ。それから、これ、地震が各地で起こった際に、コンビニの映像が大抵テレビで放映されておりますが、商品が棚から落ちて散乱をして、実際店舗がもしかしたら無人になってしまって、そこから商品が持っていかれると、こういう事態、首都圏でもし一斉に起これば、あってはならないことなんですが、あるかもしれません。ですから、そういうことも含めて是非対応を詰めていただければと思います。  そして、また、これ帰宅困難者、違った意味で帰宅困難者になるわけですが、地震発生をした際、エレベーター内にて閉じ込められる事故というものは想定される大きな事故の一つだと思います。実際、今首都圏では超高層マンションや超高層オフィスビルが多く建設をされていることからも、これは容易に予想ができる事態です。  実際、平成十七年七月二十三日の千葉県北西部地震においても、これエレベーター閉じ込めが七十八件発生しております。この七十八台については、閉じ込め発生からそれが分かるまでの時間、最短ではゼロ分ですが、最長で、事故があったことが分かるまでに最長で一時間二十五分掛かっています。また、閉じ込め発生から救出までの時間は、最短は九分でこれ結構なんですが、最長では三時間五分掛かっております。かなりの時間を要しており、余震や火災発生時に避難ができず二次災害等のリスクが大きくなってしまいます。  首都直下地震対策専門調査会の資料によりますと、首都直下地震では、停止エレベーターは住宅、事務所合わせて三十万基、エレベーター内に閉じ込められる人は正午であれば住宅と事務所合わせて一万二千五百人に上るとされています。千葉の北西部の地震のときでさえ七十八件あり、救出時間に三時間以上を要しております。直下地震の際はその比ではないと思いますが、政府の対応を簡潔にお教えいただければと思います。
  35. 小川富由

    政府参考人小川富由君) お答えいたします。  先生指摘の千葉県北西部を震源とする地震において発生をいたしましたこの七十八件の閉じ込め事故の教訓を踏まえまして、私どもの社会資本整備審議会建築分科会で検討が行われ、平成十八年七月にエレベーターの地震防災対策の推進について建議をいただいております。  ソフト面、ハード面、両方ございますが、この建議を踏まえまして、ハード面で申しますと、いわゆる初期微動の段階で管制運転を開始をするということで、本震が到達する前に最寄り階に着床、停止をさせますP波感知型地震時管制運転装置、これについてその設置の義務付けということに向けて今検討を進めております。また、当然既存のエレベーターに対してのこういった装置を設置するということについて助成を行っているというところでございます。また、地震時管制運転装置が作動いたしましてかごがいったん停止をした後、それが問題ないということを自ら感知をして低速で最寄り階まで動いていくというような閉じ込め時リスタート運転機能、あるいはかごが止まった後、保守員が見る前に自ら遠隔操作などで動けるようなリスタート機能、こういったものが技術として開発をされております。各エレベーターメーカーにおいての開発が進められておりますので、新しいエレベーターへの設置の推進をしているところでございます。  あと、ソフトの面でございますけれども、まず保守会社におけます非常時の回線数の増加をお願いをしなければいけない。それから、保守会社が閉じ込め救出用の車両、これを出しますけれども、緊急通行車両ということの扱いをしていただく、さらに、消防隊員あるいは建物管理者による救出訓練といいますか、そういったことの周知をしていただく、こういったことがソフトの対策として提案をいただいております。現在、社団法人のエレベーター協会あるいは地方公共団体等の関係者の協力を得て、こういったソフト面での取組も進めているところでございます。  私どもといたしましては、こういった事故が起こると、先生指摘のように非常に大きな問題ということになると認識をしておりますので、公共団体あるいは関係団体に対しまして必要な助言、情報提供等々も行いながら進めてまいりたいと思っております。
  36. 吉川沙織

    吉川沙織君 今、ハード面、ソフト面から答弁をいただきましたが、ハード面はまたこれ後で申し上げますけれども、ソフト面で緊急車両が通行しやすいようになどなどの答弁ありましたけれども、実際これ首都直下地震が起こった場合は、道路がどうなっているかも分からないですし、もし仮に道路が大丈夫だとしてもさっき申し上げた帰宅困難者満員電車並みに三時間ということもありますし、本当にこれ通れるのかどうかというところが甚だ疑問であります。実際、これはお聞きしませんけれども、千葉で三時間以上掛かっていることにかんがみれば相当数閉じ込められる時間が延びるのではないかと思います。  そして、さっきハード面の答弁として、私も拝見をいたしました社会資本整備審議会建築分科会の建築物等事故・災害対策部会において、「エレベーターの地震防災対策の推進について」が報告をされております。  そして、答弁の中にもありましたけれどもP波感知型管制運転エレベーターの設置について触れていただきましたけれども、先ほど申し上げた千葉の北西部地震において発生した閉じ込め事故七十八台のうち七十三台が地震時管制運転装置付きのエレベーター、さらに実はそのうちの十二台が今おっしゃっていたP波感知型管制運転エレベーターであったことから、このエレベーターの効果もどうなんだろうということがあります。また、直下型地震であればP波を感知してもすぐS波が来れば有効かどうかも分かりません。ここら辺、これもまた疑問に思うところです。  そして、またこれに関連して、さっき部会報告を挙げられましたが、これ、早急に講ずべき施策の一つとして、今申し上げましたP波感知型地震時管制運転装置の義務化と書かれておりますが、これ、一年以内に講ずるべきであると書かれています。現時点での進捗状況をお伺いいたします。
  37. 小川富由

    政府参考人小川富由君) お答えをいたします。  この設置の義務付けにつきましては、建築基準法の施行令の改正において措置をする予定でございまして、現在、施行令の改正案についてまとめさせていただいているところでございます。
  38. 吉川沙織

    吉川沙織君 報告が十八年に出て、もう二十年でございますから、その十八年に出た報告におおむね一年以内に早急に講ずべき措置の一つとして書かれていますので、早急に措置を講じていただければと思います。  そして、今まで首都直下地震が起こった際、帰宅困難者の問題、そして閉じ込められた場合等を伺ってまいりましたが、難を逃れて避難をするとき、そこに避難所がなければどうしようもありません。これは首都直下地震に限らないことではありますが、地震の際に避難場所の確保というものがまたこれ重要課題になります。  避難先に指定されているものとして、学校が多うございます。この学校が被害に遭っていてその役割をなさないとなると意味がありません。また学校は、今申し上げたとおり震災時の際に避難所として指定される割合が高いというだけではなく、生徒が日中の大半を過ごす場所であります。避難先確保という観点、そして生徒の命を守るという観点から、学校の耐震化は最重要課題一つと言って過言ではありません。学校の耐震化現時点においても五八・六%にとどまっている状況ですが、耐震診断がなされなければ、これ耐震化が必要かどうかも分かりません。  現時点での学校の耐震診断率について、文科省にお伺いいたします。
  39. 岡誠一

    政府参考人(岡誠一君) お答えいたします。  公立小中学校施設の平成十九年四月一日現在の耐震化診断実施率は八九・四%でございます。
  40. 吉川沙織

    吉川沙織君 三か年計画というものがございましたが、この三か年計画では、平成十八年度中にすべての学校の耐震診断を完了するとしていました。ちなみに今は平成二十年度でございます。  また、平成十八年二月二日の参議院予算委員会においては、当時の文部科学大臣、国土交通大臣が共に、耐震診断を平成十八年度中にすべて完了すると強い決意を持って答弁をされております。ちなみに、文部科学大臣は、「私どもとしては年内にこの耐震化については診断を終えるということを強い意志を持って進めたい」、国交大臣は、「今年中に耐震診断はすべてやるということでございまして、これについては是非公表をさしていただきたい」と答弁をされています。  しかしながら、完了できないまま計画から過ぎることはや一年以上でありますが、耐震診断はいつまでに完了するおつもりなのか、見通しを文科省にお伺いいたします。
  41. 岡誠一

    政府参考人(岡誠一君) 先ほど申し上げましたように、平成十九年四月一日現在は八九・四%ということでございます。したがいまして、文部科学省としましては、耐震診断の完了に向けまして数次にわたり耐震診断の実施を促す通知を発出するとともに、全都道府県の施設担当課長に対しまして個別に指導を行いまして、関係省庁と連携しつつ必要な財源措置等も講じてきたところでございます。  今後とも、個別に指導を行うなど、耐震診断を早期に完了させるよう更に促して、公立小学校施設の耐震化の推進に努めてまいりたいと考えております。
  42. 吉川沙織

    吉川沙織君 答えをいただいていませんが、答えにくいということもあるんでしょうから、ちょっと視点を変えて、国土交通省にお伺いしたいと思います。  平成十八年一月二十六日に改正施行された耐震改修促進法では、指示・立入検査対象として小中学校が追加をされております。改正施行から二年以上経過しておりますが、この改正法に基づいて指示、立入り等を行って、なるべく学校の耐震診断、学校の耐震化を進めるよう指導等をしたことがあるのかないのかだけで構いませんので、お伺いいたします。
  43. 小川富由

    政府参考人小川富由君) 法改正によって追加された小中学校に対しての指示を行うというのは、これは地方公共団体ということになっておりますけれども、私ども、この耐震改修法の計画に基づいて小中学校に対して指示を行った実績はないと。これは、当然ながら地方公共団体が自ら実施をして、その中で計画を持って進めているということによるものかと思っております。
  44. 吉川沙織

    吉川沙織君 よく分かりませんでしたけれども、まだ、耐震診断が十八年度中に終わるとされていたものが平成二十年度に入っても終わっていない。そして、別の側面でも法律ができているのに、まだ何かそれも進んでいない。一刻を争うことだと思っております。仮に震災が起こったとして、難を逃れても避難所がなければまたこれ難民状態になってしまいます。そういうことを防ぐために、生徒の命を守るために、耐震診断を早急に一〇〇%にしていただくようお願いいたします。  そして、この耐震診断結果の学校名等の公表状況について、二二%の学校のみでしか公表されておりません。平成十九年度中に公表予定である学校を含めれば若干数字は上がりますが、公表率は低いと言わざるを得ません。一部新聞報道によりますと、耐震診断結果を公表することで余計な不安をあおりたくないという旨の報道はありましたが、一方、耐震診断結果を公表したことによって地域住民の後押しにより学校の耐震化早期に実現している自治体もあります。文科省として耐震診断結果の公表も強く推し進めていらっしゃるようですが、これ、五八・六%にとどまっている学校の耐震化を上げる、耐震診断の結果を公表することによって耐震化早期に実現をするということにつながるかと思いますが、文科省の見解をお伺いいたします。
  45. 岡誠一

    政府参考人(岡誠一君) 先生今御指摘の学校ごとの耐震診断結果の公表でございますけれども耐震化の促進に当たり実態を公表していくということは、地域住民理解を得つつ耐震化の意識を高めていくということで非常に重要なことであると考えております。  私どもは、平成十八年度から設置者ごとの耐震診断実施率を公表するとともに、設置者に対し学校ごとの耐震診断結果を公表するよう数次にわたり指導してきているところでございます。  耐震診断結果の公表につきましては、引き続き設置者に対し、より一層促進を図るよう指導していきたいと思っております。
  46. 吉川沙織

    吉川沙織君 公表も促進していただくのは結構なんですが、早く結果を出していただきたいということを切に願っております。  ちなみに、この防災関係、災害対策関係、これ予算を見ましても多岐の省庁にわたっておりますし、実際、被害者の人数についてはこの省庁ですが対策についてはこの省庁というような現状もございます。これで首都直下地震がこの首都圏を襲った際に迅速な対応を政府として泉大臣を先頭にすぐにつくっていけるのかというところも疑問を感じざるを得ないという状況です。いつ起こるか分からない地震災害に対して、ちゃんと省庁間で連携をして体制を組めるような、そういう政治をしていただきたいということを心から願いまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  47. 広田一

    ○広田一君 民主党・新緑風会・国民新・日本の広田一でございます。どうかよろしくお願いいたします。  本日は、泉大臣大臣所信に対する質問、こういった機会をつくっていただきました委員長始め理事の皆様方に心から感謝申し上げます。特に高橋理事には有無を言わせずこういった場をつくっていただいて、本当にありがとうございました。  まず、泉大臣が所信表明で示されました大規模水害対策、これにつきましてお伺いをしたいと思います。  私自身が大規模水害ということで思い出しますのが、一つ平成十年九月二十四から二十五日、高知市を襲いましたいわゆる九八豪雨ということと、平成十三年の九月六日に発生いたしました、私の出身地である土佐清水市を中心とした、幡多地域と言うんですけれども、そこを襲いました高知県の西南豪雨ということでございます。  この西南豪雨から様々な教訓を得ましたので、そういったことを踏まえて御質問をさせていただきたいと思いますが、この西南豪雨、この被害状況について少しお話をさせていただきますと、家屋の被害が、全壊が二十五棟、半壊が二百六十五棟を始めとして床上、床下浸水で千百五棟が家屋被害に遭って、被害総額が約二百八十一億円でございました。人的被害は、重傷者が五名、軽傷者が三名出ましたけれども、幸いなことに死者はゼロでございます。二千三百人が被災された中で死者が出なかったことというのはまさしく不幸中の幸いであったわけでございますので、こういったところから一体何を教訓として学ぶのか、これが大変大事であるというふうに私自身思っております。  私事で恐縮ですが、当時は私も一市民といたしまして青年会議所の仲間と一緒に被災地の瓦れきの撤去等をさせてもらいました。本当に見るも無残な姿になっておりまして、私のこの胸辺りまで、この速記の皆さんが座っているようなチョコレートというか焦げ茶色した土砂がたまっておりました。  それを見たときにつくづく思いましたことは、本当にふるさとの山に力がなくなってきているんだなということでございます。見た目は山というものは青々としておりますけれども、木の下に行きますと適切な間伐等がなされておりません。そういった結果で木の下は砂漠化をいたしております。そういったようなところも大変影響しているんじゃないかなといったことを私自身昨日のことのように覚えております。  と同時に、その地域の消防団の皆さんの姿には大変感動いたしました。消防団の皆さんも自ら被災者でございましたけれども、自分の家の片付けというものは本当に後回しにしまして、特に独居の高齢者の皆さんの御自宅の復旧作業に携わっておりました。私自身も一緒に行ったんですけれども、本当に感動したシーンでございます。  と同時に、先ほど、二千三百人の方が被災しながら死者がゼロであった、こういうふうなことでございますけれども、これは幸運であると同時に、私は地域の皆さんの地道な活動の結果だろうというふうにも思っております。  その地元の下川口浦の手島区長さんという方に改めてこの前お話を聞きましたけれども、やはりふだんから消防団であるとか民生委員であるとか婦人会で独居の高齢者についての情報共有をしていたということでございます。  例えば、その下川口浦の世帯数というのは百四十五軒で、そのうち独居の高齢者の世帯が二十六軒。どこに寝ているかというのは無論のこと、トイレがどこにあるとかおふろがどこにあるとか、そういった位置についても把握をされていたということでございます。このことが災害のときに迅速な救助につながったと思います。中には、助けに行ったときには既に布団で寝たまま脱出できなくて、水につかりそうになっていた、おぼれそうになっていた、そういった高齢者もいたそうですし、ある方が親戚のおばさんを助けに行ったときには既に地元の消防団の人が救出をして避難所の方に連れていってくれたと、そういったようなお話をしたときに、この地域のつながりの大切さというものを改めて感じたわけでございます。  そういった問題意識を持って大臣所信というものを聞いたときに、やはり日ごろから独り暮らしの高齢者などの把握の大切さというものを感じたわけです。  これに関連しまして、泉大臣の所信では、災害時の要援護者対策といたしまして、平成二十一年度を目途に避難支援プランの全体計画策定されるように取組の加速を図るというふうにありますけれども、今年度、平成二十年度におかれましては具体的にどのような取組を行うのか、まずお伺いをしたいと思います。
  48. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 今広田委員からお話がございました水害の模様につきましては、本当にお亡くなりになりました方がゼロであったということは驚くべきことだと思っております。お話にございましたように、山が荒れておる、あるいは高齢者が増えておるという中でこうした体制が取れておったということは全国の模範とすべきようなことだと私は受け止めさせていただいております。  この土佐清水市の宗呂川流域だと承知をいたしておりますが、高齢者が多かったと。その人たちを人のつながりで、本当に消防団を始め、市の職員あるいは地域の方々が一人一人のお立場を見極めて助け出されたということについては、先ほど申し上げましたように、このことがこれからの地方の防災力を高めていく一つ重要なことだと思っております。  そこで、これらの教訓を踏まえまして、国としては、災害時要援護者対策につきましては、二十一年度を目途市町村における取組方針を明らかにしました避難支援プランの全体計画策定する、このことを今促進をしておるところでございまして、今後は、関係省庁と連携を取りまして、二月に策定しました市町村モデル計画の活用促進や、そしてこれを全国キャラバンで多くの自治体の皆様方、関係者の方に周知徹底させていく、こうした事柄で災害時の要援護者皆様方への対策を一層促進してまいりたいと考えているところでございます。
  49. 広田一

    ○広田一君 どうもありがとうございます。  その中身につきまして若干お伺いをしたいというふうに思います。  こちらが大臣御紹介のございました避難支援プラン全体計画のモデル計画。これ、キャラバン隊を結成して各市町村に今周知徹底というふうなことでございますけれども、私はちょっとこの中身の書きぶりに問題があるのではないかなというふうに思っております。  といいますのも、確かに、この中の基本的な考え方にありますように、日ごろから高齢者や障害者など災害時の避難に当たって支援が必要となる人を特定すること、これはあの西南豪雨の教訓からも十分学び取れるというところで賛成でございます。しかしながら、この避難支援プランの対象者の考え方というところに、実はその支援すべき要援護者について優先度を付けるというふうに言っているんですね。これというのは一体どういう意味なんでしょうか。また、自主防災組織などに要援護者に関する情報を提供する場合については誓約書を出させると、こういうふうなことも言っているわけでございます。  このような考え方とか発想というのは、多分個人情報保護制度の絡みというものがあるのではないかなというふうに思うわけでございますけれども、都会ではいざ知らず、先ほど大臣の方から評価していただいた、本当に人間関係が濃くて生活の中に共助というものが自然に根付いている、そういったような地域では、かえってぎくしゃくして受け入れ難いんじゃないかなというふうに思ってしまうわけでございます。  そして、これを市町村が要請というふうな名を借りて強制的に下に押し下げようとした場合に、私はむしろ実効性より弊害の方が大きいのではないかなというふうに懸念をしているわけでございますけれども、現実的に実効性が上がるのかどうか、この点についての御所見をお伺いしたいと思います。
  50. 加藤利男

    政府参考人加藤利男君) まず、対象者の優先度を付けているのはどういう考え方かということであろうと思いますが、実は、先生も御指摘のとおり、この全体計画それ自体は、実際に災害時の要援護者支援していくために必要となりますのは、個々の、必要となる支援者の方にだれがどういうタイミングでどこにお連れするかと、そういった個別の計画がないと実際上の効果を発揮いたしません。  そういうことから、一定のマンパワーと、何というんでしょうか、要援護者を助ける側の供給力、いろんな意味での供給力と言った方がいいと思いますが、それに一定の限界があるという、仮にそういう中では、災害時に要援護する人を重点的にかつ効果的に支援していくためには、どうしても個別計画策定するに当たっては、支援すべき要援護者の優先度を検討したり、あるいは災害時危険地域など災害リスクの高い地域ですとか孤立のおそれのある地域の方、そうした方々を重点的に、あるいは優先的に進めるという考えが必要ではないかという考え方を表したものでございます。  また、誓約書等のお話がございましたが、これは先生も御指摘のとおり、要援護者の個人情報についてはその保護に配慮し、実際に避難支援に携わる自主防災組織などの情報の共有に当たりましては誓約書等を求めることも一つの方法ということで考えてお示しをしたということと理解していただければと思います。
  51. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 委員指摘のこの表現ぶりが誤解を招くおそれがあるということをおっしゃったのだろうと思います。  確かに、今統括官からお答えを申し上げましたように、地域の危ないところから優先度を付ける、これは一つ考え方だと思います。それから、優先度というときに、それぞれだれがどなたをお助けするかということを最終的にはできれば決めていただきたいという思いがありまして、お助けする人に優先度を付けるんじゃなくて、どの人がどの方をお助けするか、そういうことを本来はもっと丁寧に表現すべきであったと思います。  それからさらに、誓約書の問題はまさに個人情報保護法に絡んで、非常に今こうした福祉関係の問題一つ取りましても災害時の援護者のお助けをするについても大変これが個人情報保護というのが障害になっていることは事実であります。このことを説明をしながら、関係者に、保護条例には違反をしないんだと、そういうお助けをしなけりゃならない方々の状況を関係者が知ることは問題ではないんだということを我々サイドからそれぞれの自治体にもお伝えをしておりますが、まだ理解が得られていないという状況の中でこういう表現を取らせていただいたということでございますので、どうぞ我々の思いを、もう一度これははっきりさせていく必要はあると思います。
  52. 広田一

    ○広田一君 冒頭申し上げたとおり、やはり日ごろから高齢者また障害者の方の状況を把握するということは大切なことということはまさしく問題意識を共有しているわけでございます。それを本当にシステムとして具体的にどうするのかというふうなことを考えたときに、やはり地域の実情と合っていない、むしろそれを壊してしまう、ぎくしゃくさせるような取組をもし行政等がするとするならばこれは本末転倒の話になるわけでございますので、是非とも、先ほど大臣が述べられたような趣旨というものを理解してもらえるように広げていっていただきたいなというふうに思います。  このプラン全体計画を見たときに、例えば個人計画、先ほどこれ作らないと実効性が上がらないというふうな話だったんですけれども、この個別計画の管理についても、災害発生時の閲覧に支障を来さないようにしなさいと、こういうふうに言いながら、電子情報で保管する場合はパスワードを使用して管理しなさい、紙媒体で保管する場合にはかぎ付きの保管庫に保管して情報管理に十分配慮しなさいといったときに、一体これ何をしたいのかなということが全く分からないわけでございます。  これはまさしく何か災害とかに遭ったことのないような方が机上で考えられているんじゃないかなというところにすごい私自身も心配しておりまして、実効性といったものが本当に担保できるのかどうかと思うわけでございますので、こういった事柄につきましてももう少しきめの細かい実効性のあるような書きぶりとか適用の仕方というものもやっていただきたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  53. 加藤利男

    政府参考人加藤利男君) この全体計画は、各市町村に少なくとも全体計画を作って個別計画につなげていっていただきたいと、そういう思いで、ある種ひな形というような形で作らさせていただきました。今先生指摘のように、先ほど大臣からも答弁がございましたが、今後、ひな形といいますかマニュアルというんでしょうか、モデル計画を周知徹底していろいろ意見交換をしていきたいと思っています。  現地のいろんな意見を聞きながら、それぞれ、実際の全体計画を作っていただくのもそれぞれの市町村が作っていただくわけでございますが、この全体計画をお示しし、モデル計画をお示ししている中で不都合な部分があれば当然またいろんな御意見をちょうだいして変えていって、スムーズに各市町村が最低限全体計画平成二十一年度までに作れるように、そういう手助けになればいいなと思って、不断の見直しをしてまいりたいというように考えております。
  54. 広田一

    ○広田一君 御答弁の中で不断の見直し等を図っていくというふうなお話がございました。私自身も、この避難支援プランの全体計画、もっと地域の実情、実態に合ったもの、そしてまた一人一人に向き合ったものに変えていっていただきたいというふうに思いますけれども、この点について大臣の御所見をお聞きしたいと思いますけれども、どうかよろしくお願いします。
  55. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 先ほど申し上げましたように、私どもの意図したところが必ずしも十分に表現し切れてないところがあることを私も先ほど申し上げましたとおりでございます。先生の御意見を踏まえまして、さらに、この文書をこれから各地方の方々にも承知をしていただかなければなりませんので、誤解のないように徹底してまいりたいと思います。
  56. 広田一

    ○広田一君 どうかよろしくお願いいたします。  次に行きたいと思います。  次は、被災者生活再建支援法の今後の課題関連いたしましてお聞きをいたします。  先ほど御紹介いたしましたような高知県の西南豪雨のような洪水であるとか台風被害というふうなものはいわゆる半壊世帯が多いわけでございます。大臣所信にもございましたように、さきの臨時国会におきまして、ねじれ国会の数少ない成果といたしまして被災者生活再建支援法が改正をされました。これは、住宅本体の再建に資金が使えるという定額渡し切り方式による支給制度や、年齢、年収による支給要件の撤廃など、大変画期的なものでございました。我が会派の森理事、高橋理事もこの改正案作りに御尽力をしたわけでございますけれども、しかしながら、民主党案の中には実際これ半壊世帯への支援が対象になっておったんですけれども、これが外れました。残念なことでございます。この高知県の西南豪雨でも全壊が二十五棟に対して半壊世帯が二百六十五棟に上りました。数字だけ見ましても半壊世帯への支援に対するニーズというものは私は高いのではないかなというふうに思っているところでございます。  ただ、半壊世帯というものを入れますと対象世帯が膨大になりまして、財政的に難しいというので今回見送られた主な理由だというふうに私自身理解をしておりますけれども、この支援法を更に充実強化する上で私はこの半壊世帯を対象に入れるということは重要課題であるというふうに思いますけれども大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  57. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 昨年の臨時国会でこの法案を成立させていただきましたことに改めて感謝を申し上げます。その際にも半壊に対する対応にいろいろな御意見があったこと、承知をしております。しかし、このときの考え方は、委員御承知のとおりだと思いますが、補修をすればまたその家にお住みになることができる、そういう状態であればそれは支援の対象にしなくてもいいのではないかというのが一つ考え方。そして、御指摘のありましたように、半壊を含めますと大変多くの数、資金的な需要が増えるということになるわけでございまして、そのことよりも重大な被害をお受けになった世帯を重点的にお助けすることの方が先ではないか、こういう理解の下で今回の修正案はお認めをいただいたと、こう思っておるわけでございます。  ただ、参議院でも衆議院でも附帯決議に付けていただきました、総合的な検討をするように、これは参議院でございますし、衆議院の方では対象及び負担の在り方、こういうことも含めて見直しをするようにという附帯決議を付けていただいております。これからいろいろな実態を見極めながら、委員会先生方の御意見も踏まえて、必要な対応をしていかなければならないと思います。  ただ、現在のところは決めていただいたとおりに、半壊は対象としないということで対処させていただきたいと思います。
  58. 広田一

    ○広田一君 大臣確認なんですけれども、このような御答弁理解はなかなかし難いわけでございますが、多分大臣の本音としてはこれはもう半壊世帯も入れてやるべきだというふうに思っていらっしゃると私は勝手に推察をするわけでございますけれども、やはり今後様々な議論というものが展開されるというふうに思います。  平成二十年度予算では六億円ですか、今回の改正で計上されたわけでございます。六億円というお金も大変大きなものだというふうには思いますけれども、やはりこの半壊世帯を今後対象に入れるということも十分踏まえてこの被災者生活再建支援法の執行に取り組んでいかれるというふうな思いを持っていただきたいというふうに思うんですけれども、その点について再度御確認をさせていただきたいと思います。
  59. 泉信也

    国務大臣泉信也君) これは、仕組みが全国の四十七都道府県の提供されます基金、それを元に実施される、国が二分の一を補助する、こういうことになっておりまして、できるだけ多くの方々に支援の手を差し伸べたいという意味では、半壊も御指摘のような思いがないわけではありません。しかし、ここからが私の思いでございますが、しかし、今つくり上げました六百億という基金をできるだけ大切にして使わせていただきたいという実態もございますので、見直しの時期が来ましたときに改めて議論することを私がここで今拒否するものではございませんが、当面考えられることは今の体制でいきたい、そして半壊を含めることは今の状態では難しいということを申し上げさせていただいておるところでございます。
  60. 広田一

    ○広田一君 少しちょっと残念な御答弁でございましたけれども、この問題についても引き続き粘り強く取り組んでいかなければならないというふうに思っております。  それでは、次に行きたいと思います。  次は、災害時に発生する瓦れきやごみ処理につきましてお伺いをしたいと思います。  私自身も復旧作業に携わって感じましたことの一つが、水につかって重くなったたんすを運び出すというのが大変でした。お宅にはたんすというものが幾つかございまして、その中には本当にびっしりと服が詰め込まれておりまして、それがやっぱり水等で重くなって、大変な重さになってきたのでございます。そのとき、ちょっと話はそれますけれども、私自身思いましたのは、地方で衣服の消費が伸びないのは、確かに景気低迷とか人口減もあるとは思いますけれども、あのようにやっぱり衣類というものが結構充足されているということと、やはり衣類をしまうスペースといったものがないことも私は一因じゃないかなというふうにあの重いたんすを運びながら感じたわけでございます。  たんすからはたんす預金が出てくればともかく、ほとんどごみとして処分したわけでございますけれども、こういったように一軒一軒から出てくるごみの量というものは本当に予想をはるかに超えたものがございまして、膨大でございました。私どもの土佐清水市の場合は、昔し尿処理場がある谷間にあったんですけれども、そこのし尿処理施設の埋立てにこのごみを使ったというふうなこともあるわけでございます。それが全部埋まってしまうほどの大変な量だったということを改めて思い出しているわけでございますけれども。  そこで、やはりこの災害時に発生するごみ処理というのは大変大きな問題だろうと思います。先ほど紹介した高知市の九八豪雨でも、高知市の清掃職員の皆さんからも同じような問題提起がなされました。地方自治体の防災計画も見ましても、瓦れきの処理につきましては仮置場や最終処分場を確保するとか、計画的な収集、運搬、適切な分別、リサイクルに努める、環境汚染の未然防止、また作業員の健康管理にも配慮するというふうなことが言われておりますけれども、これは言うのは易しくて行うのはなかなか難しい、多くの課題があろうかというふうに思います。  国の方も様々な取組がされているというふうに思いますけれども、私自身、災害発生したときにどうするのかというふうに対応するのではなくて、市町村単位若しくは広域単位で事前にきめの細かい処理計画を決めておくべきではないか、このように思うわけでございますけれども、現在の取組状況をどう把握されているのか、お伺いしたいと思います。
  61. 由田秀人

    政府参考人由田秀人君) 災害時におけます迅速な廃棄物処理のためには、平時より災害に備えておくことが大変重要であるということは先生指摘のとおりだろうと思っております。このためには、災害廃棄物の処理計画を立案いたしまして、いざというときに計画的に対応できる体制を確保していくことは大変重要なことだというふうに認識をいたしております。  このために、阪神大震災の教訓を踏まえまして、国、都道府県市町村がそれぞれ役割分担に応じまして対応すべき事項につきまして災害廃棄物対策指針を取りまとめておりまして、自治体間の相互協力を中心といたしました応急体制の整備、あるいは廃棄物処理施設の耐震化等を含めました災害廃棄物処理計画策定しまして、廃棄物処理に係る防災体制の一層の整備を図るようこれまでも指導をいたしてきたところであります。  しかしながら、平成十九年四月、昨年四月でありますが、災害廃棄物の、震災廃棄物などの処理計画でありますが、この策定状況調査しましたところ、約五〇%の市町村しか計画策定していないという状況でございました。これに関しましては、市町村におきましても、緊急時の場合ではありますが、この瓦れき等の廃棄物の集積場所について関係住民との間でその合意を得るということが非常に大変難しいというふうなことを言っておる市町村もございますが、しかしながら、大変、事前にこういう計画を立てておくことは重要なことだというふうに考えております。  このために、環境省としましては、本年三月に閣議決定をさせていただきました廃棄物処理法に基づきます廃棄物処理施設整備計画におきまして広域的な連携体制の整備など災害対策を位置付けましてこの重要性を訴えますとともに、自治体への説明会などの機会を通じまして、災害廃棄物処理計画策定など防災体制の一層の整備を図るよう要請しているところであります。  引き続き、この点に関しましては粘り強く自治体の方に働きかけてまいりたいというふうに考えております。
  62. 広田一

    ○広田一君 御答弁いただきましてありがとうございます。  私自身も四国四県の状況について調査させていただきました。我が高知県の場合は全く把握していないということで、これ話にならない答えだったんですけれども、愛媛県の場合は二十市町のうち十二市町がもう策定をしていると。徳島の場合は二十四の市町村のうちわずか二町しか策定をしておりません。香川も十七市町のうち一市三町でございます。  というふうに、非常に四国の場合、災害常襲地帯というふうに言われながら、多分全国の平均も行っていないんじゃないかというふうなさんざんたる状況でございますので、これにつきましては、私はさっき避難支援プラン全体計画のモデル計画のときには地域に配慮してと言いましたけれども、これはやっぱり国がもっとリーダーシップ持ってびしびしやっていっていただきたいというふうに思います。  お話の中では、その集積場所について住民の皆さんとの合意がなかなか得られないというふうな話でございました。まさしくこれ、災害が起きてからどこにするかというふうな議論をすること自体がより一層難しいわけでございますので、そういった大事なポイントにつきましてはまさしく平時のときからきちっと取り組んでいただくように強く要請をしておきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。  それでは、次に行きたいと思います。  これも大臣所信の方でございました大規模地震対策関連してお伺いします。特に、東南海南海地震対策についてお聞きをしたいというふうに思います。  この東南海・南海地震は、国の想定被害では、死者数が何と約一万七千八百人、経済被害が約五十七兆円という甚大な被害が発生すると予想されております。南海地震については、今後三十年以内で発生する確率が五〇%以上ということで、もういつ起きてもおかしくないというふうな状況でございます。ハード、ソフトの対策が急務なわけでございますけれども、私は、キーワードは切迫性、切迫性を持って取り組んでいただきたい、このようにまず要請をしておきます。  そこで、東南海・南海地震の応急対策活動についてお伺いします。  大臣所信の中でも、地震発生時の政府の活動体制や救助・救急・医療活動、物質調達活動の内容を定めた応急対策活動要領を策定して、想定される甚大な被害の軽減に取り組んでいるというふうなお話がございました。  具体的に、東南海・南海地震につきますと、応急対策活動要領に基づく具体的な活動内容に係る計画というものが策定をされております。昨年の平成十九年の三月二十日でございますけれども、これは高く私自身も評価をしているところでございます。ただ一方、やっぱり今後早急に取り組まなければならないこととしては、この計画の更なる掘り下げであるとか、地域への具体的な落とし込みじゃないかなというふうに思うわけでございます。  例えば、四国でいえば香川県に設置される現地対策本部の場所であるとか、その体制、役割、これは一体どうなっているんでしょうか。あわせて、こういった現地災害対策本部が、どこが、そしてだれが中心となって動かしていくのか、これらを整理して、まずは明らかにしていただきたいと思いますけれども、御所見をお伺いいたします。
  63. 加藤利男

    政府参考人加藤利男君) お答え申し上げます。  現地対策本部の設置場所については、先生指摘のとおり、東南海・南海地震応急対策活動要領において愛知県、大阪府、香川県に置くこととされておるところでございます。さらに、具体的な本部の設置場所につきましては、この活動要領では定めておりませんが、香川県について言えば、被災状況等にもよりますが、高松市に置くことを考えております。  次に、現地対策本部の体制や役割についてどうかというお尋ねかと思いますが、これにつきましては、内閣府副大臣又は大臣政務官を現地対策本部長とすることを基本といたしまして、本省庁の課長級職員又は地方出先機関の部長級の職員を本部員として現地対策本部を立ち上げまして、現地における被災情報の取りまとめや被災地内におきます広域的な部隊あるいは物資等の配分の調整等を実施するということを考えております。
  64. 広田一

    ○広田一君 ありがとうございます。  あわせて、例えば高知県の場合なんですけれども、甚大な被害が我が高知県も予想されるんですが、支援物質の被災地までの輸送調整、発災後八時間までは重篤患者についての県外搬送は県が行うようにというふうになっているんですけれども、今の高知県の道路整備状況ですとこれは非常に現実的な話ではございません。やっぱりヘリの応援がなければ大変困難じゃないかなというふうに思わざるを得ないわけでございます。  このように、応援部隊の派遣につきましては、例えば高橋理事の御地元の三重県、警察庁から二千三百九十人、消防庁から三千二百八十人、防衛省から四千七百人、合計一万三百七十人がやってくるというふうなお話がございますし、吉川さんのところの徳島県は、物質調達のところを見ますと、飲料水約二千四百トン、食料約二百八十万食などなど、こういったものが持ち運ばれてくるというふうなこと。それから、広域医療搬送についても医療チームの必要数は一体どうするのかなど、それぞれ各県にこういった数字は決まっているんですけれども、それぞれの地域ごとにやっぱり具体的に落とし込んでいかなければ私は実効性が上がっていかないんじゃないかなというふうに思います。  こういった国の定めるような応急対策をより実践的に進めますためにも、先ほど言いましたように切迫感を持って、早急に内閣府を始め関係省庁とそれぞれの県が連携して、その掘り下げ、更なる具体化に取り組まなければならないと思いますけれども、御所見をお伺いいたします。
  65. 加藤利男

    政府参考人加藤利男君) 先生指摘のとおり、東南海・南海地震の応急対策活動要領に基づきます具体的な活動内容に係る計画では、被災地方公共団体へ派遣する関係省庁の部隊ですとか輸送する物資等について、どこからどこへどれだけの人数を派遣するか、どれだけの数量の物資を輸送するか等が記載されておるわけでございますが、この計画の、先生がおっしゃる落とし込みというんでしょうか、これを、この計画を受けて実際の部隊の運用等をどうするかということにつきましては、関係省庁において関係する地方公共団体とも必要に応じて適時調整を図りながら対処をしていただくことが基本というふうには考えております。今後、東南海・南海地震を想定いたしました訓練の実施等により、その実効性の検証等を行っていくということとしたいと考えております。
  66. 広田一

    ○広田一君 それはおっしゃるとおりなんですけど、それをやっぱりいつから具体的にどう始めるのかということについては、私は、早急にやっていただきたい、まさしく今年度から具体的に取り組んでいただきたいというふうに思うわけでございます。  これは大臣には質問通告はいたしておりませんけれども大臣所信でも、この応急対策活動、これは力を入れてやっていくんだというふうなお話がございましたので、私はやっぱり、先ほど言いましたような、各県、地域への具体的な落とし込み、この作業をやはり国がリーダーシップを持って今年度から具体的に取り組んでいくべきだというふうに思いますけれども大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  67. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 統括官がお答えをいたしましたように、具体的には各自治体と関係省が詰めていくということに頼らざるを得ないところがあります。その旗振り役というか促進役は、内閣府の私どものところにあると認識を持つものでございます。  なお、今夕刻の中央防災会議で御決定をいただく予定にいたしておりますが、今年のいわゆる九月一日の防災の日の訓練を初めて東南海・南海地震を想定をして実施をするという段取りを今付けておるところでございます。こうした事柄を踏まえながら、より具体的な展開に至るように努めてまいります。
  68. 広田一

    ○広田一君 よろしくまたお願いをしたいと思います。  もう少しちょっとこの点突っ込みたいんですけれども、次に行きたいと思います。  次が、先ほど吉川委員の方からも御指摘がございました学校の耐震化に絡んでお聞きをしたいというふうに思います。  実は、公立小中学校の耐震化支援策、これ実は地域格差がございます。学校の役割については先ほど吉川委員の方から御紹介がございましたんで私もう繰り返しませんけれども、まさしく学校というのはいざというときにも避難場所にもなります。そういった中で、やっぱり早急な耐震化というものが求められているのは言うまでもございません。しかしながら、南海地震の対象となる徳島県を見ますとこの耐震化は四〇・八%、和歌山は五三・二、私の高知は四九・二。一方で、東海地震の対象となります静岡県は八四%に上っております。  このように地域によりまして耐震化に格差がなぜ生じているのか。その原因は、やはり各市町村の財政難、財政格差というものもあろうかと思います。ある高知県の村長さんにお話を聞きましたら、耐震診断しなくちゃいけないんだけれども、すると間違いなく建て替えを宣告されて、怖くてできない、とても今の村の財政状況では無理だというふうなお話もございました。こういうふうな厳しい地方の財政状況があるわけでございます。  しかしながら、公立小中学校の耐震化につきまして、東海地域のみに適用される地震財特法と全国に適用される地震防災対策特別措置法で国の財政支援に格差があるわけでございます。私自身、すべての地域に東海地域とまず同等の措置をすべきじゃないかというふうに思うわけでございますけれども大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  69. 泉信也

    国務大臣泉信也君) これは、各地域とも同じように対策を講じていくということは一つ考え方だと私も思っております。いつどこで発生するか分からないという地震に対応するためには、そうした考え方が妥当性を持つのではないかというお話もよく分かります。しかし、より緊迫性の高い東海地震について先に手当てをする、重点化をしていくということも、緊縮したこの財政状況の中では大変重要なことでございます。  そうした中で、委員指摘のように、全国少しでもより東海地震対策に近づくようにということを十九年から措置をさせていただいておるわけでありまして、一気に東海地震並みに、あるいはそれ以上にということにはなかなかいき難い状況は御理解いただけると思いますが、できるだけ全国防災対策を進めていく取組が必要であるという認識の下でこれからも努力をしてまいりたいと思います。
  70. 広田一

    ○広田一君 大臣、その思いとやっぱり具体的な対応がちょっと矛盾をしているんじゃないかなというふうに思うわけでございます。  能登半島地震につきましても、また新潟の中越、中越沖地震につきましても、これどこで我が国の場合大規模地震が起きてもおかしくないような状況というのは証明されたわけでございますし、特に東海、東南海・南海地震については同時、連動での発生というものがこれは懸念されているわけでございますので、これまでみたいなそういうふうな御答弁ということではなくて、やはり先ほどの話じゃないですけれども、切迫性を持った対応をするためには、東海地域より上にしろという話じゃなくて同等にしてくれという話でございますので、これは至極当然な地元のニーズ、要望じゃないかなというふうに思うわけでございますので、この件につきましては是非前向きに取り組んでいただきたいというふうに思います。  時間が参りましたのでこれで終わりにしたいと思いますけれども、あと学校の耐震化につきましては、公立、私立でも実はまた官民格差がございます。そういったものも是正していかなければなりませんし、あとハザードマップ等で津波避難から、本当に被災に遭われる方に対しては避難タワーの設置とか、様々な課題取組をしていかなければならないというふうに思いますので、是非、泉大臣、リーダーシップを持って防災対策に取り組んでいただきますように強く御期待申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  71. 佐藤正久

    佐藤正久君 自由民主党、佐藤正久でございます。今日は、私と佐藤信秋先生とダブル佐藤でやらしていただきます。よろしくお願いします。  私は、約一年ちょっと前までは自衛官として、どちらかというと防災とか応急災害対処の現場の方にいた者でございますが、そのときやっぱり感じたことは、防災、こういうものについては縦割り行政では非常にやりづらいなと。そういう意味で、内閣府に防災担当大臣がおられるって非常にやっぱり大事だなというように思っておりまして、今後とも防災担当大臣のリーダーシップに期待し、またそれを応援する者の一人であります。そういう観点から、今日、何点か質問をさせていただきます。  一番最初は社会資本整備についてであります。  国民の生命をあるいは財産を守ることは国として最も重要なことですけれども、ややもすると社会資本整備というのは経済性とか効率性というものが優先されがちで、防災とか減災あるいは危機管理の観点からの社会資本整備という視点をやや忘れがちになってしまうという部分もあるような気がします。  先ほど来議論になっています東南海地震においても、南紀の方が実は私の担当だったんですけれども、大体、山が海の方にせり出していまして道路が海沿いに走っている。肝心な役場というのはほとんど海沿いで、実際津波が来たら多分そこはもう機能しないだろうと言われるような場所に置いてある。また、実際に我々が出た出石の水害のときも、警察署が川のそばにあるために、もうつかって全然それが機能しない。そういう観点では非常に必要だなということを認識しました。  やはり、防災担当大臣内閣府の中にあるという意義の一つに、やっぱり施設別縦割り行政からもう脱却して、防災とか災害対処の観点から各省庁情報を発信したり、あるいは意見を集約しながら社会資本整備というものを進めていく必要が私は大いにあるというふうに考えております。これについての大臣のお考えをお聞かせください。
  72. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 我が国の自然条件から、災害がいつどこででも発生する可能性が大きい、それを効果的に予防する、減災する、そして災害に遭った場合には復旧復興に努めると、こういう各段階において総合的に取り組んでいく、その使命を内閣府の防災担当がお預かりをしておる、預かるべきだ、そういう事柄を私も考えておるところでございます。  そんな中で、社会資本整備について委員から御指摘がございました。防災、減災含めてよく言われますように、自助、共助、公助という三つの絡み合いの中で災害に対処していくべきだと思っておりますが、まず、国民の皆さん方に防災意識の啓発あるいは防災訓練など、そうした言わばソフトな部分で御協力をいただく、そういう事柄を私どもはこれまでもやってまいりましたし、これからも一層やっていかなきゃならぬ。  しかし、一方では、自然の状況が大幅に変わってきておる、温暖化の影響も受けて変わってきておるという状況の中では、この物理的なハードな対応だけではとってもこたえ切れないというような事態も恐らく想像しなきゃならないわけであります。そこで、必要ならば土地利用の在り方なども考えていくという、いわゆる新しい視点に立ったソフトの対応も必要であります。  そうしたことをやった上でもなお治山、治水、あるいは海岸事業、そうした事柄をきちんと対応していかなければ、国民の身体、生命、財産を守ることはできないということでございますので、今までのいわゆる社会資本という概念と違う、国民の人命を守るあるいは財産を守る、先生のお言葉ですと、効率性とかあるいは経済性というそういう視点ではなくて、人間の命を守る、国土を守るといった、そういう視点からの国土整備が必要だと思っておりまして、このことに私もしっかり取り組まさせていただきたいと思っておるところでございます。
  73. 佐藤正久

    佐藤正久君 よろしくお願いします。私も全面的に応援をさせていただきたいと思います。  そういう観点の逐次ポイントごとこれから質問させていただきます。  まず最初は、耐震化の観点からの整備ですけれども中央防災会議においても建物の耐震化緊急対策方針が決定されたと承知しております。阪神淡路大震災においてお亡くなりになられた方の約八割強が建物の倒壊が原因と言われております。東海、東南海あるいは南海、首都直下型地震においても、建物の倒壊で四千人から七千人ほどの方が亡くなるとの想定結果も出ているというふうに聞いています。また、建物の倒壊というのは出火とかあるいは避難者の発生、救助の妨げ等にもなりますので、地震国家日本としては建物の耐震化は国家的緊急課題というふうに言われております。  住宅というのは個人の関係、なかなかリードしにくいところありますけれども、特に公共施設の耐震化は、これは行政のリーダーシップで加速化できる対象と考えます。先ほど来、学校というものは出ていますけれども、そのほかにも病院、これは負傷者治療の観点でも大事ですし、庁舎というものは指揮所にもなるでしょう。そういう公共施設というのは、やっぱり災害発生時には非常に応急災害対策という観点ではキーとなる場所だと考えています。  しかしながら、耐震化といっても、実際には学校は文部科学省、そして病院は厚生労働省、庁舎は総務省というふうに縦割りにやっぱりならざるを得ないという側面もあると思います。また、予算も十分ではないと。しかしながら、建物の耐震化というのは国家的緊急課題というふうに認識すれば、内閣府の防災担当大臣が現状を積極的に掌握をしながら、その推進の旗振り役をすべきと考えます。  耐震化の現状と今後の課題について、内閣府の方にお伺いいたします。
  74. 木村勉

    ○副大臣(木村勉君) 消防庁調査によりますと、防災拠点となる公共施設等の耐震化は徐々には進んでおりますけれども耐震化率はまだ五九・六%にとどまっている状況であります。そのうち、公立小学校の耐震化率は、先ほどもございましたけれども五八・六%、病院施設の耐震化率は七二・四%という状況であります。  児童生徒等が一日の大半を過ごす場であり、災害時には避難所等となる学校や災害による負傷者の治療を行える病院を始め、災害時に防災拠点となる公共施設等の耐震化は極めて重要であると認識をしております。それで、公共施設の耐震化を促進するために、地震防災緊急事業五か年計画による事業の計画的な推進、そして公立学校施設の耐震化などにかかわる補助率のかさ上げ措置の延長、体育館の耐震補強補助のかさ上げの追加、公立学校施設の耐震化などにかかわる交付税措置などの措置を行ってきたところでございます。  今後とも、関係省庁と連携して公共建築物の耐震化の促進に取り組んでまいりたいと、こう考えております。
  75. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。是非とも強力的に推進していただきたいと思います。  もう一つ耐震化という場合にはやっぱり原発の耐震化というのも特に電源地におられる方々については関心の高い事項であります。  昨年の七月に発生しました新潟中越沖地震によりまして、東京電力の柏崎刈羽原発においては、設計時の基準地震動をはるかに上回る地震動が観測されたということや、徹底的に実施されているとされていた設計時の活断層調査が結果としては不十分であったということも言われております。これによって原子力発電所の耐震安全性に関する信頼が揺らいだ、あるいは国や事業所が原発に関する様々なリスクを過小に評価していたのではないかというような指摘もございます。  資料一を御覧ください。これは私の出身の福島県の第一、第二原子力発電所の概要であります。黄色い網掛けのところがありますけれども、第一原子力発電所につきましては運転開始してから三十年以上過ぎており、また第二の方も二十年以上ということでかなり古い、どちらかというと古い原子力発電所ということがあります。新潟の中越沖地震の後、やはり地元からも安全確保についての緊急要望というものを私の方に寄せられたり、いろんなところでこれが言われております。やはり原子力発電所の安全確保という観点からの耐震というものについての信頼確保というものはこれから非常に大事な分野だと思います。  現在、柏崎刈羽の教訓あるいは対策を取りまとめながらほかの原発に対してもいろんな施策を打っているというふうに認識しておりますが、今現在、どのような措置というものを柏崎刈羽の教訓を受けてほかの原発に対してやっているか、それについてお聞かせください。お願いします。
  76. 加藤重治

    政府参考人加藤重治君) 原子力安全・保安院でございます。  委員指摘原子力発電所の耐震安全性、地震国日本で大変重要な問題であります。  この原子力発電所の原子炉施設の耐震安全性につきましては、設置の許可の段階におきまして、原子力安全委員会策定されております耐震設計審査指針に基づいてこれまでも審査してきておるところでございますが、地震などにおけます最新の科学技術的知見を反映させるためにこの指針が平成十八年九月に改定されております。そうすることで耐震安全性に対する信頼性の向上を図るということで改定されたわけでございます。  これが十八年の九月でございますが、この指針では、従来、活断層の評価期間、五万年前以降動いたものを活断層として考えるとしておりましたものを十二、三万年前以降動いたものに更に変更するでありますとか、あるいは地質調査の新しい手法、変動地形学による調査でありますとか、あるいは海上音波探査による徹底した地質の調査を行うこと、また、こういった地質の調査はどうしても地表から地面の中のことの調査を行います不確かさが伴いますのでそういったものを適切に考慮をすること、こういったことを求めているものでございます。  こういった指針の改定を受けまして、原子力安全・保安院では、十八年九月に直ちに電気事業者に対しまして、既にある原子力施設についてもこの新しい指針に基づく耐震安全性の評価を行うようにという指示をいたしたわけでございます。各電力ではそれを受けまして取組を進めているさなかに新潟県中越沖地震が起きたわけでございます。  委員指摘のように、この地震で運転中の原子炉は安全に停止したわけでございます。また、止める、冷やす、閉じ込めるという安全機能も確保されたわけでありますけれども、設計時の耐震設計の基準の地震動の三倍に上る地震動を受けるなどしたところでございます。  こういったことを受けまして、地震直後に経済産業大臣より電気事業者に対しまして、今回の地震から得られる知見をその耐震安全性の評価に適切に反映するように、また、この評価の進捗状況を勘案して確実に、しかし可能な限り早期に評価を完了するよう指示したところでございます。また、昨年の秋以降、中越沖地震に関します調査検討の進展踏まえまして、昨年の十二月に各電力会社に対しまして、その時点での中越沖地震から得られた知見、これを中間的に取りまとめまして電気事業者に通知いたしました、そういったものをきちっと踏まえて評価をするようにと通知したわけでございます。  これらを受けまして、つい先般、三月末でございますが、各電力会社から新しい耐震指針に基づく耐震安全性の評価の中間報告というものが出されました。保安院といたしましては、この評価が妥当なものであるかどうか、地質調査の段階あるいは活断層の読み取り、さらにはその設備、施設に対する耐震性の評価、こういったものが妥当に行われているかどうか、総勢四十人の地質学、地震、建築工学、機械工学などの専門家による委員会を設けまして、その委員会に諮りながら厳正に確認してまいります。  また、先般の地震では変圧器の火災というものが起きたわけでございます。原子炉が停止した状態では炉の安全には直接の影響はなかったわけでありますけれども、その消火に非常に手間取った、消火設備地震で破損した、あるいは自衛消防が機能しなかったという問題があります。  これについても昨年来検討を進めてまいりまして、専門家による提言いただきまして、二十四時間常駐の自衛消防体制を各発電所に設けること、消火設備の強化をすることなど御提言いただきまして、現在、電力で着々と取組を進めておるところでございます。既に大方の発電所におきまして二十四時間常駐の自衛消防組織の整備が済んでおります。また、化学消防車と水消防車の配備なども済んでおります。今後は、さらに設備の強化などもきちっと行われているか評価、フォローしてまいりますし、また、こういった設備がそろうだけではなくてきちんと機能することが大事でございます。地元の消防とも連携した訓練をしていただいて十分練度を上がるように、これもきちっと監視してまいりたいと思います。
  77. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  そういう対策を取られるのは当然ですけど、またこれを適時に地元の方にも広報していただきたいと思います。  次に、災害発生時のアスベスト対策についてお伺いいたします。  さきの新潟の中越沖地震の後に、八月ですけれども、私も現地の方に入らせていただきました。えんま通り商店街というところを歩いた際に、二階建ての建物が、一階が半分ぐらいつぶれて傾いている、にもかかわらず一階の補強をしていました、わざわざ業者を入れて。何で補強しているのかなと思ったら、要は天井部分のアスベストを取り除かないと壊すことができないんだと、そのためだけの補強工事をやっていると。ほかのところもあったんですけれども、そこはお金がないからまだそのまま放置をしていて、ただ青いシートがかぶさっていただけだと。  これは柏崎の場合はまだそれで済んだかもしれませんが、これ都市部の場合、大きな地震があったら多分これは大きな問題に恐らくなると思います。健康被害というものを踏まえても、これはやっぱり何らかの対応策が多分行政の方でやらないと対応できない分野ではないかと思います。  災害発生時におけるアスベスト対策というものについての現在の検討状況をお聞かせください。環境省、お願いします。
  78. 竹本和彦

    政府参考人(竹本和彦君) アスベストが使用されました建築物の解体に当たりましては、アスベストの飛散を防止するために大気汚染防止法などによります規制が行われております。  委員指摘の、災害時におきましては倒壊した多くの建物が解体されるということに相なるわけでありまして、平常時にも増したよりきめ細かな対策を講ずる必要があると私ども認識をしております。このために、私ども環境省におきまして、昨年の八月でございますが、災害時におけるアスベスト飛散防止に係る取扱いマニュアルというものを策定をいたしまして、全国の地方公共団体に通知をするなど、その周知に努めております。このマニュアルといいますのは、地方公共団体、また解体事業者が災害時に留意をすべき事項を具体的に取りまとめておるものでございます。  環境省といたしましては、災害時のアスベスト飛散防止のために、このような災害時特有の措置の徹底、これが大変重要であると考えておりまして、地方公共団体、解体事業者などを含めました幅広い関係者を対象といたしましたアスベストセミナーを開催をするなどしまして、先ほど申し上げましたマニュアルの内容の周知徹底を図っておるところでございます。
  79. 佐藤正久

    佐藤正久君 多分この分野というのは余り今まで検討されていない分野だというふうにお伺いしました。特に首都直下型地震の場合は、多分これは大きな問題になると思います。そういうアスベストを使っているところを優先的に除去しなければ、多分ほかの除去もままならないということになるかもしれません。  そういう意味でも中央防災会議で今後アスベスト対策というものについても検討すべきと私は考えますが、これについての内閣府の御所見をお願いします。
  80. 加藤利男

    政府参考人加藤利男君) 先生指摘のとおり、大規模災害の際には、大量の建物取壊し等が発生いたしましてアスベスト被害が懸念されるということだと考えております。現に、阪神・淡路の大震災の際にもアスベストの飛散対策や粉じん対策が取られたものと承知をいたしております。  アスベスト対策につきましては、ただいま環境省さんの方から御答弁がございましたが、環境省さんのほかにも厚生労働省や国土交通省でも取り組んでおられるというふうに私ども伺っております。それからいたしますと、専門的な知見を有する各省で対策が取りまとめられ、それが実施の段階に入っているということでもございますので、私どもとしてはこの動きを見守ってまいりたいというふうに考えております。
  81. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  社会資本整備についていろんな観点から聞いてきました。例えば、道路整備についてもこれは国土交通省ですし、港湾も国土交通省、ダムになると国土交通省あるいは農林水産省ということの場合もあります。やはり、社会資本整備防災の観点からやろうと思うと各省庁にまたがるのがいっぱいあると思うんですよね。そういう面でも、やはり内閣府の方がリーダーシップを取っていただいてできるだけまとめて、優先順位を付けていただいて仕切るというのが非常にこれから大事だと思います。大臣のリーダーシップを期待し、また応援したいと思います。よろしくお願いします。  続きまして、災害発生時の対応機関のことについて幾つ質問をさせていただきます。  まず最初は、消防団水防団について質問いたします。  消防団とか水防団は地域防災のかなめであり、また常備消防と地域ボランティアの懸け橋とも言われております。そして、地域防災の中核的存在とも言われております。現在、高齢化社会の到来によって災害時要援護者が増加する一方、地域コミュニティーが衰退し、またこれによって消防団水防団の数も減少しており、地域防災力の低下が今懸念されているというふうに聞いています。特に大災害の対応という観点では常備消防だけでは絶対に足りなくて、消防団という、地元に詳しく、すぐに駆け付けられるというそういう地域密着性、あるいは常備消防の約六倍という規模を有する人海戦術というのも非常に大事な要素だと考えます。  お手元の資料二を見てください。これに消防団員数と水防団員の数の経年変化を表しています。消防団員は、昭和二十九年には二百万人いたものが、今は、昨年では九十万を切ってしまいました。水防団員もこのぐらい減っております。また、水防団員と消防団員というのは、ここの米印に書いていますけれども、大体ほとんどが消防団水防団員は兼任をしているという状況です。  資料三を御覧ください。これは年齢構成比率の推移、予想のとおり年々高齢化が進んでいると。これも数も減っておりなおかつ高齢化も進んでいるという状況です。そういう面ではいろんな面で問題があると思います。  私の出身の福島県でも、昭和四十年には四万八千人いたんですけれども、二十二年後の平成十九年には三万六千人と約一万二千人減少しています。東京都の世田谷の千歳船橋の消防団はたった九名、九名の分団、分団と言えるかどうか分かりませんけれども、これが現実だというふうに聞きます。  さらに、資料四を見てください。これは京都府の都市部である京都市と私が連隊長をした福知山市の消防団の年齢比較をしたものです。これは都市部とあと地方都市というのを、北部の都市部を比較すると、やはり田舎の方の中核都市はまだ若者が多いけれども、本当の都会、都市部になると非常に若い人の消防団員への参加率が低いということが明確に分かります。やっぱりこの状態というのは絶対、防災あるいは減災、応急災害対策という観点では問題だと考えています。  実際に今、消防団員といっても七割ぐらいがサラリーマンでありまして、昔みたいに自営業や農業従事者というわけではない。しかも、報酬も年に約三万円というのを一般団員レベルでは聞いています。一か月に二ないし三回消防ポンプの操作など訓練というものを義務付けられると、やっぱり二足のわらじに負担を感ずる若者も少なくないという話を聞いています。自分たちの町は自分たちで守るんだという消防団あるいは水防団員の誇りあるいはそういう意識が危うくなりつつあるんではないかなという感じがし、大規模災害のときには非常にこれは心もとないという感じがします。  現在の消防団あるいは水防団員の現状と課題についてお伺いいたします。
  82. 岡山淳

    政府参考人岡山淳君) お答えいたします。  先生からも御指摘ございましたとおり、消防団は地域防災のかなめとして消火活動を始め大規模災害時の対応など地域の安全確保のために大きな役割を果たしております。しかしながら、我が国の社会環境の変化などによりまして団員数は減少しております。若年層の割合も先生指摘のとおり低下をしているところでございます。  こういう状況でございますので、国としてもより積極的な取組が必要であると認識をしているところでございます。このため、消防団の活動環境の整備ですとか消防団活動への理解の促進、団員確保の支援体制の構築などの施策を中心に、消防団員の確保や活性化に全力で取り組んでいるところでございます。  具体的には、様々なPR活動ですとか全国的なキャンペーン活動に加えまして、全消防団員の約七割がサラリーマンやOLなどの被雇用者団員であるという現状にかんがみまして、事業者の理解と協力を得て被雇用者が入団をしやすくかつ消防団員として活動しやすい環境を整備するために、消防団協力事業所表示制度というものを平成十八年度に作っております。これを市町村で積極的に導入するよう働き掛けを行っております。  また、消防団のすべての活動ということではなくて、大規模災害時など特定の場合に、あるいは特定の役割を行う機能別団員ですとか機能別分団の制度というのがございます。この制度を利用いたしまして、例えば松山市では災害発生時における避難所での対応を主な任務とする大学生防災サポーターという仕組みができているところでございます。この機能別団員や機能別分団の導入の促進、また女性消防団員も活躍していただくようになっておりますけれども、この入団の促進といったこと、それから、団員の確保に必要な知識あるいは経験を有します消防職団員の方を地方公共団体に派遣する消防団員確保アドバイザー派遣といったものも引き続き積極的に実施していきたいというふうに考えております。  さらに、先生からお話のございました、特に若年層に着目した取組ということでは、大学生などの関係、大学の関係機関ですね、こういった八団体があるようでございますが、こちらに対して大学生が消防団へ参加するということを働きかけていただく。あわせて、消防団参加促進ポスターの掲示やパンフレットの配布をお願いをするということ。それから、地方公共団体に対しても、大学生などの消防団への参加の促進ということについて努力をしていただくよう繰り返しお願いをしているというところでございます。  また、平成二十年度におきましては、パンフレットの作成ですとかホームページの活用に際しまして、特に若年層を念頭に置いたもの、そういった若年層の消防団への参画を促すような形での広報の強化にも努めることといたしております。  また、団員報酬の交付税単価につきまして、特に若年層の割合が高く、団員確保にとって最も重要な階級でございます団員の年額報酬を五百円引き上げることとしたところでございます。  今後とも、団員確保に向けた社会情勢は引き続き厳しい状況にありますが、消防庁といたしましては、地方公共団体と連携してこのような取組を積極的に推進することにより、消防団が地域の安心、安全を守るための中核的存在として地域住民の期待にこたえていけるよう支援してまいる所存でございます。
  83. 甲村謙友

    政府参考人(甲村謙友君) 水防団についてでございます。  水防団は、大雨、洪水のときに川から洪水があふれるのを土のう積みで防ぐ、あるいは堤防が洪水の力によって欠けてくるのを木流し、むしろ張りで防ぐといったような、地域を水災害から守るために中核的な重要な組織でございますけれども先生指摘のように、近年、団員数の減少、高齢化が進んでおります。  このため、平成十七年の水防法の改正におきまして、水防に関係する活動を行っているNPO法人や公益法人を水防協力団体に指定する制度を設けまして、水防活動への協力体制の整備を図ったところでございます。  また、昨年、水防専門家派遣制度を立ち上げまして、水防工法に関する技術指導、水防に関する講習、水防新技術導入に関するアドバイスなどを行う専門家を派遣いたしまして、水防団等の知識、技能の向上支援することとしております。  今後とも、水防団、これから地球温暖化に伴いまして災害が多くなってくるというのを考えますと非常に重要な組織でございます。毎年五月を水防月間といたしまして水防の重要性のPRあるいは水防演習等も実施しておりますし、あるいは小学校児童による水防学校、高校生、大学生の水防演習の参加、住民や地元企業による水防演習の参加など、水防団への理解あるいは参加を深める措置を講じてまいりたいと思っております。
  84. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  これは本当深刻な問題だと私は感じています。いざとなったら動かないと、常備消防だけでは多分対応できない部分が本当出てきているんじゃないかなと。真剣に対応しないといけないと思っていまして、今度、高齢化が進むということは逆に二次被害が出る可能性も特に水害とかいう場合はございますので、いかに若年層、若い者を取り込むかということはもう喫緊の課題だというふうに感じています。  今、対策の中に出てこなかったんですけれども、実は少年消防クラブとかあるいは幼年消防クラブというものもございます。こういう小さいときから消防というものに触れ合うという施策も大事ではないかと。それによって当然、命の大切さ、消防の重要性というのは教育上も大事ですし、消防団に対する抵抗も少なくなるしという感じもします。  また、発想を変えて、海上保安庁の方が募集が良くなったのは、「海猿」という映画がございますけれども、そういうような、消防団に入りたいな、水防団に入りたいなと思うような映画を内閣府の方で作られるとか、何かこういう違った発想でやらないと、本当、今大事なこの消防団水防団の若者が確保できないというふうに感じていますので、ひとつ省庁横断的に検討していただければと思います。  最後に、災害医療チームについてお伺いします。  災害発生時に発災後四十八時間以内というのが非常に大事な時間と言われています。その間に災害医療チーム、DMATというものの整備が叫ばれておりますけれども、年々厚生労働省やらあるいは各自治体のおかげでDMATの研修を受けた医師、看護師が増えております。  しかしながら、まだまだ運用面については課題があるように聞いています。さきの中越沖地震におきましても、新潟県からほかの県へのDMATの派遣要請が遅れたと。この原因の一つに、災害状況が判明するまではなかなか要請ができなかったと。こういう分野についてはオーバーキルを覚悟で要請するというのが本来必要だというふうに私は考えます。  また、移動手段につきましても、まだドクターヘリというものの整備も十三県十四機というのが現状でしょうから、なかなかそういうDMATのチームがいてもなかなかそこに行けないとか、また、お医者さんというのはなかなか一か所にいなくて、いろんな病院に転々する関係で固定編成が取れない。また、DMATのお医者さんあるいは看護師というのは救急病棟の方ですから、ただでさえ忙しくて、災害が起きたとき本当にそういう災害場所に救急病棟を抜いて行けるのかという問題もあるというふうに聞いています。  ただ、非常に大事な施策でありますので、今後の課題あるいは対策取組状況について厚生労働省の方からお伺いできればと思います。
  85. 中尾昭弘

    政府参考人(中尾昭弘君) 御指摘災害派遣医療チーム、DMATでございますけれども、現在までに四百四十二チームを養成をしておるところでございますが、我々の目標といたしましては二百チームが活動できるようにしたいと。  いろいろ御指摘の問題点もございます。例えば、医療機関において平素診療を行っている医師、看護師等でございますので、その出動を確保するためにはやはりDMATの数自体を増やすことが必要だということで、目標としては千チームをつくるということで毎年百五十チームの研修をしております。また、都道府県間の連絡体制の迅速化ということも課題一つでございますので、都道府県災害医療担当者に対しまして災害発生を想定した訓練等を行っておるところでございます。  いずれにいたしましても、このDMATの活動がきちんと展開できるように、今後とも体制整備に努めてまいりたいと考えております。
  86. 佐藤正久

    佐藤正久君 終わります。
  87. 佐藤信秋

    佐藤信秋君 自由民主党の佐藤信秋でございます。  佐藤正久委員と二人で五十分、ダブル佐藤で五十分、こういうことでございますので、時間調整の方も私の方でやりますが、お答えの方、ひとつ簡潔にお答えいただければと思います。大した数の質問ではございませんが。  災害所信に対して、全般ではちょっと時間がないものですから、地震を主として聞かせていただこうと思います。  最初に、能登半島地震それから中越沖地震、おおむねそれぞれ一年前後たちまして、復旧復興、これを一生懸命やっていただいていることと思います。その現状といいますか、復旧復興の状況という点についてお聞かせいただきたいと思います。
  88. 加藤利男

    政府参考人加藤利男君) お答え申し上げます。  能登半島地震発生から一年と一か月を迎えます。また、新潟県中越沖地震発生から九か月余りを経過いたしました。いずれの被災地においてもインフラの復旧も順調に進みまして、被災者の住まいの再建も進展しつつあるなど、着実に地震被害からの復興に向けた歩みを進めているものと認識しております。特に、被災者の生活の再建に関しては、昨年の国会で改正をしていただきました被災者生活再建支援法によって一層の進展が図られつつあるものと認識しております。    〔委員長退席、理事高橋千秋君着席〕  ただ、その一方で、四月十五日現在でございますが、能登では五百五十四名の方、三月三十一日現在でございますが、中越沖では二千九百二名の方々が仮設住宅での生活を余儀なくされているなど、被災地域の復興にはいまだ多くの課題もあるというふうに認識しております。  両地域とも、被災者の方々が一日も早く元の暮らしに戻れるよう、引き続き、地元の要望をよくお伺いしながら、政府一体となって復旧復興対策を進めてまいりたいというふうに考えております。
  89. 佐藤信秋

    佐藤信秋君 ということで、まだそれぞれ能登で五百五十四名、中越沖で二千九百二名、多くの皆様が仮設住宅にお住まいになっておられる。こういう状況の下で、順調に復旧復興してきていますとは余り言えないかなと、こういう感じもしないでもないんですが。  そこで、今、両地域で残されている課題というか、主たる課題はどんなことだと、こう理解しておられるか、幾つか挙げていただければと思いますが。
  90. 加藤利男

    政府参考人加藤利男君) 先ほども答弁申し上げましたが、能登半島地震中越沖地震、いずれの被災地におきましても、住まいを失われた被災者の方々の恒久的な住まいの確保についてはいましばらくの時間を要する状況にあることから、地域コミュニティーの維持にも配慮しながら、今後も注意深く対応していく必要があるというふうに考えております。  また、住まいの確保の問題だけでなくて、生業の確保、例えば能登半島地震ですと輪島塗産業ですとか、そのほかにも例えば柏崎のえんま通り商店街ですとか、そういう生業の確保も住まいの確保と同様に重要であるというふうに考えております。そういう意味で、地場産業ですとか商店街など、地域産業の再生を進めていく必要があるというふうに考えております。  また、柏崎刈羽原発に関しましては、新潟県が策定されました新潟県中越沖地震復興ビジョンにおいてもその動向が地域経済社会に影響を及ぼす可能性があると懸念が示されておりまして、その動向を注視していきたいというふうに考えております。  いずれにいたしましても、先ほども申し上げましたが、今後とも地元の御要望をよくお伺いしながら、政府一体となって復旧復興対策を進めてまいりたいというふうに考えております。
  91. 佐藤信秋

    佐藤信秋君 ごめんなさいませ。ちょっと質問の順番を変えて、能登半島と中越沖と含めて、被災者生活再建支援法の適用状況、対象となりそうな皆様に対してどのぐらい適用できてきているかという点について教えていただければ有り難いです。
  92. 加藤利男

    政府参考人加藤利男君) 改正されました被災者生活再建支援制度、改正法施行後は、この改正法施行後に起きた適用対象災害がございません。したがって、お尋ねの改正後の支援措置の適用状況という意味では、改正時に特定四災害という制度を盛り込んでいただいておりますが、その特定四災害の適用状況について御説明を申し上げたいと思います。    〔理事高橋千秋君退席、委員長着席〕  特定四災害の適用状況、これにつきましては、平成二十年の二月二十九日現在でございますが、大きなものといたしましては、能登半島地震では五百五十六世帯、六億一千万余、新潟県中越沖地震では一千四十二世帯、十三億七千万余、そのほか、台風十一号及び前線による大雨災害、台風第十二号による災害も入れてでございますが、トータルとしまして、特定四災害の適用を受けている世帯数及び支援金額は、千六百六十九世帯、二十億四千六百三十万余ということになってございます。  加えまして、それはトータルで申し上げましたが、そのうち、新法、支援法改正後に申請が出てきたものはどのくらいかというのを併せて御報告させていただきたいと思います。  これは、能登半島地震で百十世帯でございます。一億八千六百万余でございます。新潟県中越沖地震では二百一世帯、三億八千万余でございます。そのほか、台風十一号の関係、台風十二号がございますが、トータルといたしまして、今申し上げた内数、最初の二十億の内数になりますが、新法に基づく申請は、同じく二十年の二月二十九日現在で三百八十五世帯、六億四千万余ということでございます。
  93. 佐藤信秋

    佐藤信秋君 後の説明がちょっとよく分からなかったが、その千六百世帯と三百八十五世帯、これ内訳ですよね。三百八十五世帯は、全壊と大規模半壊と、こういうふうに分けたときに、それは両方含むのか。  それから、全壊世帯で、千六百六十九戸のうち、だから三百八十五世帯以外、新法適用されてないと、こういうところがあるのかどうか、そこをちょっと教えてください。
  94. 加藤利男

    政府参考人加藤利男君) これは、新法は、既に旧法時代に支援金の給付を受けておられた方も新法施行後に新たに申請をされれば、既にいただいたものを差し引いて支援金が支給されるということになってございます。  したがって、今申し上げました三百八十五世帯、六億余というのは、この中でジャンルとしてありますのは、既に支援金を旧法でもらっていて差引きで新たに申請をしてもらった方と、旧法時代には申請をしなくて新たに改正法が施行後になって申請された方と、それと、改正前には年齢・年収要件がございまして、旧改正法前ではそもそも支給対象になってなかった方々が、改正後に年齢・年収要件の撤廃によって申請ができると、そういう方々を含んでおります。それぞれその数がどのくらいかということはちょっと今手元にデータを持ち合わせませんが、その数がトータルとして三百八十五だということでございます。
  95. 佐藤信秋

    佐藤信秋君 したがって、逆なんだ、私が聞いていますのは。千六百六十九世帯適用でしたと、能登と中越沖でいえば千五百九十ぐらいかな、その中で、三百八十五でも何でもいいですが、そいつを差っ引くと、残った人たちは、千二百世帯ぐらいは旧法のままで終わってしまっていると、こういう説明になるのか、まだそういう手を挙げてないということなのかということを聞いているんです。
  96. 加藤利男

    政府参考人加藤利男君) これは、その差の方はまだ申請がされていないというふうに理解すべきものと考えております。
  97. 佐藤信秋

    佐藤信秋君 そこで、順調にいっているんでしょうかねと、こう聞いているわけ、私は。  二千九百と五百だから三千四百もまだ仮設住宅におられて、そしてその今の差分でいったって、千九百でしょ、三百だから、千六百戸ぐらいあるわけだ、千六百世帯ぐらい。その皆さんが仮設住宅入っているかどうかは別にして、ちっとも順調じゃないじゃないかと、こういうことを申し上げておきます。──いや、いい、それで、時間がない。それはまたちゃんと順調だというんなら、そういうデータを下さい。  それで、私何でこんなことを言うかというと、実は、さっき応急対策活動要領、東海、東南海、作ってきましたと、こういうことで、そういうことも大事なことなんですね。大事なことなんだけど、今すぐ地震が来た、そうしたらどう対応するんだというのを作っていますかということを実はこの前も伺った、この前の補正の審議のときですね。  今すぐ来たらどうするんだ。実は、これはいろいろ分けにゃいかぬのです。政府はどう動くか、地方自治体はどう動くか。そして、それが六時間以内ぐらいというか、地震の場合ですよ、すぐにどうするんだというのと、二、三日ぐらいの間に何をするか。それから、復旧復興と、こういう形になったときに、今のような被災者の生活再建支援も、それも皆さんに、全然知らない方に御説明をせにゃいかぬわけですから、というような形でマニュアルというのが要りますよね。  それで、担当者の机の上にはA4一枚、今すぐ起きたらどうしましょうというのが政府や自治体の担当者の机の上にA4一枚、簡単に書いたのがあってというのが必要だろうと、私はそんなふうに思っているんです。例えば、自衛隊派遣を要請するのか、これは、県の担当者はそういう項目も必要なわけですね。人命救助第一ですから、大急ぎでやろうとしたら、そういう、今すぐ、起きたらすぐやらなきゃいけない、考えなきゃいけないことというのが項目として幾つか机の上になきゃいかぬのです。  私、さんざん実は思いましたのは、まず食料はともかく、仮設トイレ、これはすぐ手当てせにゃいかぬ、すぐ手当て。これは、阪神大震災のとき私は本省の担当の一人ではありましたが、一番急ぐのは仮設トイレ。だけど、なかなか手配ができない。中越以来は、私が関与する限りは、すぐにそれはやってください、こんな形なんですが、そういう項目を挙げておかないと、六時間以内。  時間がなくなりました。そういうマニュアルがどうでしょうと、こういうことであります。
  98. 加藤勝信

    大臣政務官加藤勝信君) 大臣から御指示をいただきまして私の方で作業を進めておりますので、答弁させていただきたいと思います。  今御指摘ありましたように、政府あるいは都道府県市町村それぞれがどういう段階でどういうことをすべきか、するか、これは体系的にしておかないといざというときに対応できないということで、マニュアル化をすることは大変重要だと思っております。特に、第一線で対応していただく市町村、これは、できればそういう体験がないのが一番でありますけれども、非常に体験がまずないところでそういう事態が起こる。そうすると、今おっしゃった、それぞれの段階段階で何をするのか、それを今内閣府の方におきまして、最近の特に能登半島や中越沖地震、こういったことも踏まえまして、今鋭意作業をさせていただいているところでございます。  また、そういう問題に取り組んでいただいております佐藤委員のまた御示唆をいただきながら作りまして、またその周知徹底等を図っていきたいというふうに思っております。
  99. 佐藤信秋

    佐藤信秋君 最後に要望だけ。  二月のあの高波で、富山、新潟の佐渡、大変な被害に遭っております。激甚指定も含めて、対応の方を早くよろしくお願いを申し上げたいと思います。  ありがとうございました。
  100. 西田実仁

    ○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。  今日は、先ほど来お話もございましたけれども最初にまず学校の耐震化ということにつきまして、私も質問、もうちょっと突っ込んでさせていただきたいと思っております。  中央防災会議によります地震被害想定、これを見ますと、首都直下型地震でも大変な避難すべき方が出るわけでございますが、私、地元は埼玉県でございますけれども、埼玉におきましても首都直下型であれば六十七万人の避難者が出ると、そういう想定になっております。  その避難をすべき方々が最も頼りにするべきのが指定避難所であります公立の小中学校である、その耐震化率がどうなっているのかということが先ほども話題になりました。私の地元の埼玉も実は大変に低い耐震化率でございまして、全国平均よりも下回っておる五二・二%という現状でございます。  先ほど広田議員からも御指摘ございましたけれども、そもそもこの学校の耐震化率をどのように国が支援していくのかということについては、これまでいろんな経緯があったと理解しております。東海地震の対象圏、今は八都県であろうと思いますけれども、これにつきまして、例えば神奈川県の学校の耐震化率を見ますと八九%ぐらいあったり、東京でも七〇を超えているし、山梨でも七六%ぐらいになっていると。つまり、やはり東海地震の対象圏におきましての耐震化率、小中学校の、大変に進んでいると総体的には言えるんだろうというふうに思います。  その背景として、まず昭和五十五年にいわゆる地震財特法というのができて、耐震化に対する国からの補助率が二分の一に全国に先駆けてなっている、そしてまた起債によって耐震化を進める場合にも、後年度の交付税措置というのが七五%見ると、こういうふうに具体的になっておるわけですね。  これが変わったのが平成七年でございまして、当然阪神淡路大震災ということを受けて、地震特措法によって学校の耐震化に対する補助率、これは埼玉もそうですけれども、全国的に三分の一から二分の一になったということでございます。しかしながら、この交付税措置が、後年度起債した場合の元利償還金の後年度の交付税措置が、先ほど申し上げましたとおり、東海地震対象圏については七五%見ておりますが、埼玉を含めて他の地域はまだ五〇%という違いが生じているわけなんですね。  そもそもは、東海地震は昭和五十五年に、先ほど補助率の話をさせていただきましたけれども、十年以内に地震が起きるということを前提にして加速しなきゃいけないと、こういうことでやってきたわけでございまして、平成七年に今申し上げました補助率が三分の一から、その対象外のところですね、三分の一から二分の一に引き上げられたというのも、大きな地震があったので早く加速させようと、こういうことで補助率の引上げがあったというふうに思います。  是非ここはやはり、いつ地震が起きるか分からない、そしてその避難所になる小学校、中学校の耐震化を加速させていくためにも、特にこの起債による元利償還金の交付税措置というものを東海地震対象圏並みにしていくことがやはりそれを加速することに大変つながるんではないかというふうに私も思っておりまして、先ほどもございましたけれども大臣からこの点、具体的なちょっと突っ込んだ話でございますので、御所見を伺えればと、まず思います。
  101. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 先ほど来、この耐震化の問題は、まず耐震診断がどうなっておるか、そして具体的に耐震化の促進がどのように取り計らわれておるか、そういう御議論をいただきました。その中でも、全国的に見るとその進捗度に差がある。これは仕組みとして、東海地震対象地区が国の助成策が大きいということもありましょうし、自治体自身の取組の意欲の差も私は否定はできないと思っております。そうした中で、国としてはできるだけ早く学校、病院あるいは公共施設についての耐震化を図っていかなきゃならない、この思いは全く委員の御指摘と同じであると思います。  先ほど来御答弁をさせていただいておりますが、そうした中でどうしても重点化を図るべきところがある、急がなければならないところが科学的に言われておる、そうした事柄を反映して地域的に差が付けられておるということは、これはある意味では避けられないことだと私は思っております。  ただ、私に課せられておりますことは、そうはいいながら、ほかの地域、先ほど、東南海・南海地震の話もございましたけれども、日本海側だって大きな地震が想定をされておるわけでありまして、こうした地域も含めて早く耐震化対策ができるように努力をさせていただくということを申し上げたいと思います。
  102. 西田実仁

    ○西田実仁君 地元の埼玉のことを申し上げて恐縮ですが、昭和五十六年以前に建てられた小中学校の比率が高いということもございまして、そういう自治体の努力ももちろんありますけれども、その背景がそれぞれやっぱり違いますので、しかも、いつどこで、意外と災害が少ないのが埼玉県と言われているんですが、そういうところほど逆に大きな災害が起きたりすることも正直言ってございますので、是非ここは、いろいろとお話しなさることも理解できないわけではございませんけれども是非加速をしていく支援策を更に検討いただきたいというふうに思います。  次に、河川の都市型水害につきましてお聞きしたいと思います。  我が国では国土の一割を占めるいわゆる洪水はんらん域に人口の半分が住んでおるし、また資産も四分の三が集中している。洪水のこのはんらん域にそれだけ集中しておりまして、宅地開発も進んでおります。したがって、最近は、特に中小の河川におきます水害というものも頻発しているわけですね。  こうした都市型水害を防ぐための様々な法的措置というものがとられております。例えば、土地利用規制ということについて申し上げますれば、建築基準法を根拠法とする住宅建築規制、三十九条に災害危険区域というのが設けられております。また、都市計画法におきましては市街化調整区域というのが定められておりまして、特にこの市街化調整区域については、昭和四十五年、ちょっと古いですけれども局長通達というのが出ておりまして、一分間に五十ミリメートルの降雨を対象として河道が整備されない川のはんらん区域には例えば家は建ててはいけないとか、あるいは五十センチメートル以上の湛水が予想される区域は市街化区域にはしないと、こういうような規制も定められているわけであります。  しかし、まず前者の災害危険区域というところに絞っても、土砂災害によるこうした区域指定というのは多うございますが、出水、水が出るということに関しての指定は大変少ないということが指摘できると思います。また、市街化調整区域につきましても、この昭和四十五年の局長通達というものはほとんど遵守されていないというのが現状ではないかというふうに思っているわけであります。  なぜこのようになってしまっているのかということについてお聞きしたいと思います。
  103. 甲村謙友

    政府参考人(甲村謙友君) お答え申し上げます。  まず、土地利用規制といたしましての建築基準法三十九条の災害危険区域の指定でございますけれども、出水あるいは津波等を理由として災害危険区域を指定しているのは、十九年三月末におきまして全国で七十か所が指定しております。都市部では札幌市等がございますけれども、ほとんどの部分が割かし都市部じゃないところというようなのが実情でございます。  続きまして、市街化区域、市街化調整区域の関係でございます。昭和四十三年に現在の都市計画法が作られまして、その中で市街化区域と市街化調整区域を区分するということになりました。それを受けまして、昭和四十五年に都市局長と河川局長の連名の通達で、先生がおっしゃったように、十年後にも時間雨量五十ミリの対応ができない区域等につきましては原則として市街化区域に含めない、あるいはどうしても市街化区域に含めざるを得ない場合は災害防止のための具体的措置について検討して市街化区域に含めることができると、そのような通達を出しております。  しかしながら、当時、人口もどんどん増えておりますし、それがどんどん都市へ人口が集中してくるということで、どうしても乱開発が生じたり、あるいは市街化区域の拡大が治水の対策なしに行われてきました。そのために、洪水のピーク流量の増大あるいは洪水到達時間の短縮ということで都市水害が増えてきたわけでございます。  そういうことを受けまして、昭和五十五年から総合治水対策というのを開始しまして、河川の整備も促進しますけれども、水害に対して安全な土地利用の設定をお願いするというお願いベースの施策を進めてまいりました。しかし、これも指導だとかあるいは要綱に基づくもので法的な強制力がございませんでしたので、平成十五年に特定都市河川浸水被害対策法というのを制定いたしまして、開発を行う場合に雨水流出抑制対策の義務付け等、そういうことを含めまして法的な措置をとっているところでございます。  これまでも、河川部局、都市部局連携して行ってきておりますけれども、今後さらに地球温暖化に伴いまして豪雨が増えてくるというのを念頭に置きまして、ハード、ソフト対策踏まえまして関係部局と連携強化を図ってまいりたいと考えております。
  104. 西田実仁

    ○西田実仁君 今御説明いただきましたとおり、この都市型水害が増えてきている背景として、土地規制をしたけれども余りそれが機能しなかったと、そしてそれを機能させるために総合治水対策を昭和五十四年でしょうか制定していますけれども、これも法的な裏付けがなかったのでお願いベースで余り効かなかったと。さらに、それじゃということで今度は平成十五年からでしょうか、都市河川新法が、特定都市河川浸水被害対策法が制定をされましたと。これには法的な裏付けがある、あるいは例えば貯留浸透施設の義務付けがなされているとか、様々な施策が打たれているんだろうと思います。  要は、都市型水害が、大変私も地元で多くいろんな陳情を受けるわけでありますが、様々な法的な規制なり施策を通して都市型水害を起きないようにしようというふうに過去してきたわけですけれども、ほとんど、ほとんどというか余り効いてきていないと。実際に被害に遭っている方が都市において随分多いと、こういう今現状であろうというふうに思うわけです。  そうした様々な施策が余り機能してこなくて、しかし、そこに住んでいる人はいるわけですね。本来水が出るので住まない方がいいというところに、またそういう規制もあったにもかかわらず、それが余り機能せずに、結果的にそこに住んでいる人たちがかなりの数でいらっしゃる。そして、地球温暖化とか様々な問題で水が出るということが頻発しているものですから、大雨になると大変におびえている、大変にもう困っていると。市町村の方でも様々そうしたことに対応するために緊急避難的なことしかできないんですね。例えば大水が出ると、私の地元なんかでも、そこから避難するために常に消防車をそこに待機させておくというぐらいしておりますけれども、抜本的な解決というのはなかなかできない。  こういう過去の経緯を踏まえて、しかし、都市型水害が増えているという現状を見ますと、またそこに人が住んでいるということを考えますと、やはりこれ今の都市河川新法で本当に大丈夫なのかという大変心配を私自身しております。  大臣の方は、こうした都市型水害に対する対策、過去の経緯を今いろいろとお話しいただいたわけでありますけれども、それも踏まえてどのようにしていくべきだというふうにお考えか、御所見を伺いたいと思います。
  105. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 今、国土交通省の方から御答弁を申し上げましたように、いろんな手だてを取って、法的規制も強めてきたということはそのとおりだと思っております。  しかし、市街化が従来以上に進んでおる、そして降雨の状況も大変激しく集中的になってきた、自然環境も変化してきておる、そういう中で、恐らく従来の手法では都市型の水害を防ぐということがかなり難しくなってきておるんではないか。私の出身地福岡でも二度にわたって同じ博多駅の地下鉄の中に水が流れ込む、死者が出るというような事態もございまして、大変都市型の水害対策が難しい状況になってきておるというふうに私も思います。それは、自然の状況なり社会の状況が変わってきたということでございます。  これの対策としては、まず河道の整備をやっていく、これが大変水害の一番原点であると思っておりますが、加えて貯留施設を造る。一時的に水をそこにためておくということの整備があると思いますし、市街化が進んだ中で大変難しいことではありますけれども、浸透機能を回復させる、あるいは浸透機能を増大させるという、こうした事柄をやっていくということが物理的な対応ではないかと思います。  そして、先ほど来御議論ございましたような都市計画法等による住まいの在り方について、これから都市部における町の在り方も含めて議論をしていくというソフトな対応もまた都市型水害に対する対応策ではないかと思います。
  106. 西田実仁

    ○西田実仁君 そういう過去の経緯を踏まえて、なかなか機能してこないということ、しかし今回、法的な裏付けとしての都市河川新法が平成十五年にできましたね。  ですから、これがこれまでとは違う、つまりそうした都市型水害が起きやすい環境の中で、例えば今御指摘いただいた貯留施設、これが義務付けされたわけですけれども、それを施設を造る際に国からもっと支援するとか、あるいは内水被害が大変増えているわけですから、内水ハザードマップ整備についても支援をしていくと。要するに、これまでとは違う何か国からの支援市町村に対してなければ余り状況は変わらないのではないかというふうに思うわけでありますけれども、特に総合治水対策からこの都市河川新法に変わって、そうした国からの支援、どこがどういうふうに変わってきたのか、あるいは変わっているのかということについてお聞きしたいと思います。
  107. 甲村謙友

    政府参考人(甲村謙友君) お答え申し上げます。  まず、貯留浸透施設でございます。学校のグラウンドだとか公園に一時的に雨をためて、あるいは浸透させるという施設でございます。  通常の補助につきましては五百立方メートル以上の施設を補助対象にしておりますけれども、総合治水対策特定河川につきましては三百立方メーター以上ということで、補助要件を緩和しているところでございます。また、先ほどの都市河川新法におきましては、当然、開発等をされる方につきまして貯留浸透施設を義務付けるわけでございますけれども、それだけじゃなくて、河川の管理者としても流域で自ら雨水貯留浸透施設を整備して、川に出てくる水の量を減らしていくということもやっております。
  108. 西田実仁

    ○西田実仁君 続きまして、震災によって障害を受けた方々の対策取組ということについてお聞きしたいと思います。  時間も余りありませんのではしょって申し上げさせていただきますけれども阪神淡路大震災におきまして重傷を負った方々が一万人以上いらっしゃるわけでありますが、障害を震災によって負った方々に対するいわゆる災害障害見舞金というのは、受けていらっしゃる方はそのうち六十人という、非常に少ないというふうに印象は持っております。  この災害障害見舞金につきましては災害弔慰金の支給等に関する法律によって定められておりまして、身体障害一級に該当する障害者のみに二百五十万円というふうになっているわけであります。その生計を担っている者が障害を負った場合には二百五十万円、それ以外の場合は百二十五万円と、こういうふうになっております。実際に、しかしこの人数の少なさに表れているように、震災によって障害を受けた方でも、災害によって障害を受けたということでの固有の支援を受けられた方はもっとほかにもいらっしゃるんじゃないかというふうに正直思うわけでありますね。  この災害障害見舞金につきましての額は、例えば犯罪被害者給付金制度におきます障害給付金というのがございますけれども、その額と比べると非常に少ないし、また対象も、犯罪被害者給付制度において障害を受けた場合には一級から十四級までということに対して、この災害見舞金の場合には身体障害一級のみが対象という、かなり差があるのではないかというふうに思っております。  災害によって、震災によって障害を受けた方々は、もちろん障害の受ける原因というのはいろいろあると思いますけれども、特に震災等で障害を受けた方は、家をなくしてしまったりとかあるいは家族を亡くしてしまったりというような中で障害を受けておられるということでいえば、かなり他の状況とも随分違うんだろうというふうにも思うわけでありまして、こうした震災によって障害を受けた方々に対する支援、この見舞金の増額ということも含めて、もう一度これ総合的に実態も含めて把握して対策を考えるべきではないかというふうに思いますけれども大臣、いかがでございましょうか。
  109. 泉信也

    国務大臣泉信也君) この災害弔慰金の額に入ります前に、恐らく災害で、いろんな形での被災者の方がいらっしゃるというふうに思います。震災によって障害を負われた方々に対して、それじゃこの五百万あるいは二百五十万、さらに見舞金の形として生計維持者には二百五十万、その他の方には百二十五万というような金額が妥当かどうか、これはなかなか一概には判断が難しいと思います。  犯罪給付支援法は不慮の事故、犯罪に対して国民全体で支援を申し上げようということで今回の改正をお願いをしたところでございまして、これはいろんな議論の中で、極端なことを言いますと、国の立場として不慮の犯罪にどう対処すべきかというような議論が積み重ねられた結果、今回の改正に至ったと理解をしております。  そうした中では、今御指摘災害弔慰金についても、これは私の立場で申し上げられることではないかもしれませんけれども災害という被災者の皆さんの立場に立ったときに、この金額が妥当かどうかはもう一度議論する余地は残されておると、このように今委員の御指摘伺いながら思ったところでございます。
  110. 西田実仁

    ○西田実仁君 是非、まずその実態を、震災によって障害を負った方々、その方々の御意見等をお聞きしていますと、自分たちのことは余り知られていないと。特に心のケアとかいうことに関しては震災によって随分話題にもなりましたし、そうした相談窓口もできているというふうに思いますが、体の方に障害を負った方々に対して、その後の生活にどう踏み出していくのかということに対する相談あるいはきめ細かいケアということが実際に行政の現場で十分になされていないと、こういう御意見もお聞きするわけでありまして、今後いつ起きるか分からないいろんな災害に対して、あるいは震災に対して、特に体の方に障害を負った場合に相談を受ける場所ということも、これは是非つくっていくべきではないかというふうに思います。  現状どうなっているのか、また今後どういうふうにしていくのかということについてお聞きできればと思います。
  111. 中村吉夫

    政府参考人(中村吉夫君) お話がございました被災して障害を受けられた方々の問題につきましては、心の問題につきましては、今先生から御指摘ございましたように、被災者全体の問題として、これまで厚生労働省としても災害時の地域精神保健医療に関するガイドラインであるとか、あるいはPTSD対策の専門研修会を実施するなど、取り組んでおるところでございます。  障害ということにつきましては、障害者全体の施策の中で相談支援の機能というのが自立支援法の中でも位置付けられておりますので、私どもといたしましては、そういうものを使いながら、災害によって障害を受けられた方についても対処をしていきたいというふうに考えております。
  112. 西田実仁

    ○西田実仁君 是非、震災によって体に障害を負ったということの特殊性ということをかんがみて、その実態をまずしっかりととらまえていただいて、先ほど大臣から御答弁もいただきましたこの災害弔慰金、額が本当に妥当なのかどうかという検討にも資するようにしていただきたいというふうに思います。  最後に、ちょっと関連性が若干ですけれどもありますが、余り関係ないかもしれませんが、災害から復興に欠かせない行政サービスということで、例えば、災害が起きた場合に一日も早い復興ということ、一日も早い日常に戻る、御商売やっている方に関しては例えば不動産登記とかあるいは商業登記等必要な場合が出てくると思います。しかしながら、最近は法務局で様々な統合が進んでおりまして、これは行政の効率に資するということで大事な施策だとは思いますけれども、しかし、そのことによって行政サービス等が低下するということがあってはならないわけであります。  法務局が統合された場合に、それを身近な市役所でも同じような商業登記あるいは不動産登記等ができる、そういう代替措置ということが是非とも必要であろうというふうに思っておりまして、この点最後、法務省にお聞きして質問を終わりたいと思います。
  113. 倉吉敬

    政府参考人(倉吉敬君) ただいま委員指摘のとおり、行政改革の一環として登記所の統廃合を進めております。ただ、統合後の行政サービスの低下は防がなければいけないという観点から一定の要件を掛けておりますけれども、これを満たす場合に、廃止された登記所のあった市町村役場に登記事項証明書の発行請求機、これを設置するという措置を講じておりまして、現在全国十二か所でこのようなサービスを実施しております。  この証明書発行請求機でございますが、どうしても職員一名が関与する必要があるため、行政改革の観点からこれを無制限に設置するというわけにはまいりません。現在、一定の登記手数料収入を得られるだけの証明書の発行通数が見込まれること、かつ近い場所に登記所がないことという条件の下にこれを設置するということで進めているところでございます。  この証明書発行請求機の設置場所につきましては、行政改革の趣旨とそれから行政サービスの確保という二つの要請を調和させるという観点を抜きに語れないというところがございまして、今後ともこのような観点から検討を続けてまいりたいと思っております。
  114. 西田実仁

    ○西田実仁君 終わります。
  115. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  昨年秋に、阪神淡路大震災以来の悲願でありました住宅本体の再建への公的支援中心とする被災者生活再建支援法の歴史的、画期的改正が実現いたしました。そこで今日、私は、原点と言ってよい阪神・淡路の被災者が十三年を経てなお抜け出せないでいる過酷な苦しみについて泉大臣の所信をお伺いしたいと思います。  お手元に資料を今お配りしていると思いますが、これは阪神淡路大震災にかかわります災害援護資金の償還状況について厚生労働省で調べていただいたものを私の方で整理したものでございます。この災害援護資金は一般金融機関から借りられない低所得者層を中心とした貸付けでございまして、御覧いただきますとおり、貸付件数五万八千百六件のうち、もう返済期限が過ぎているわけですが、三割を超える一万八千八百六十一件に当たる被災者が未償還で、今なお返済に追われる。この間の自己破産は三千人、借受け御本人が亡くなられた件数は二千七百人を超えているという、そういった調査もあるわけでございます。未償還の内訳がどうなっているかという点を厚労省から各自治体に問い合わせてもらったそのケース、類型と数字が下の表でございますけれども、少額償還ケースは八割を超えて、死亡など徴収不可能になっているケースが四・二%、行方不明や生活保護の受給で徴収が困難になっている件数が一四・四%。けれども、免除はされていないんですね。  実際にはどんな方か。Aさんの件を御紹介したいと思うんですが、この方は独り暮らしの七十六歳になる女性です。震災で木造アパートが全壊して、靴も靴下もなくて、パジャマ姿で小学校に避難されました。支給された毛布だけでは寒くて眠れずに、京都にお住まいになっていた次男の方がオートバイでお母さんを必死に捜しに来られたわけですね。その次男に連れられて、京都の次男のお家で少し身繕いをして改めて避難所に戻ろうとしたら、一度出た方は入れないというふうに結果としてなってしまったといいます。その後仮設住宅を申し込んだんですけれども、何回も落選されているんですね。仮設住宅にも入れないということで、仕方なく神奈川県川崎市の長男を頼って、その近くまで来られて毎月七万七千円の家賃を七年間、六百四十六万円支払い続けて、八年後ようやく神戸の市営住宅に当たって戻ったと。ですから、その間、災害援護資金、お借りした三百五十万円はもう完全にもちろん底をついて、年金は五万三千円しかありません。返済は不可能ですから、今生活保護を受けていらっしゃるわけです。  厚生労働省にお尋ねしたいと思うんですけれども阪神・淡路のあの当時、その当時、政府や自治体が住宅確保の努力をされた、苦労されたということについては私は分かっているつもりでございます。だけれども、本当にたくさんの被災者が、それだけ多くの被災者が路頭に迷って、結果として仮設住宅を求めながら入れなかった方々がおられるというのは、これは事実だと思いますが、どうでしょう。
  116. 宮島俊彦

    政府参考人(宮島俊彦君) 委員の今のお話のようなことで、旧仮設住宅、あの当時の被害の状況に応じて、量的な整備の問題あるいは建設場所が町の中心から離れていたとかいろんなこともあって、必ずしも被災者の方たちが入居できなかったというふうなことも聞いております。  あの当時の方々に大変御苦労をお掛けしたというふうな思いでおります。
  117. 仁比聡平

    仁比聡平君 ひょうご福祉ネットワークという被災者支援の市民団体があるんですけれども阪神・淡路以来、ずっともう十三年間、今も生活相談、法律相談の活動を続けていらっしゃいます。本当に貴い活動だと思いますけれども、このAさんのような相談が今も後を絶たないわけですね。  もう一人、Bさんを紹介しますと、この方も市営住宅で独り暮らしの六十六歳になられた女性です。自宅が全壊して加古川のお姉さんのお家に避難をして、神戸の災害復興、市営住宅ですが、を申し込んだんですけれども、七回、十年間にわたって落選し続けているわけです。飲食店を自営して頑張ってきましたけれども、〇六年の一月に脳梗塞で倒れて、左半身が麻痺して要介護度が二と認定をされています。以来、生活保護で暮らしておられ、年金は全くないんですね。災害援護資金は到底返済できないわけです。そんな中で、御長男が交通事故で頭蓋骨骨折をして入院をされたんですけれども、このひょうご福祉ネットワークに、その病院代が払えないということで相談に来られた。この方は、もう死んでいた方がよかったというふうに相談員の方に泣いて訴えられたそうです。  大臣に、今もこういう方々がたくさんいらっしゃるということを御存じだったかどうか、そして、そのような方々のことを今聞いていただいてどのようにお感じになっているか、お尋ねします。
  118. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 具体的に挙げられました、Aさん、Bさんのような内容については私は承知をいたしておりませんでした。ただ、阪神・淡路の災害から十三年たつ中で、一応表面的には人口も過去に戻った、震災前に戻った、域内総生産も震災前に戻ったと、こういう復興の足取りは確かなことだと私は思っております。  しかし、もう一つ細かな見方をすれば、今おっしゃいましたように高齢者の方あるいは身体の不自由な方々が、この災害援護資金についての償還残額がなおまだ達成できていない方がいらっしゃる、あるいは日々の暮らしにも困っておられる高齢者の方がいらっしゃる、こういうことを承知をいたしておりまして、町のにぎわいの陰で今なお災害の苦しみを引きずって生活をしておられる方がいらっしゃることは承知をいたしております。
  119. 仁比聡平

    仁比聡平君 大臣が今おっしゃった阪神・淡路十三年のその陰、被災者の苦しみの部分にしっかり私たちが目を向けて、その解決のために今政治の役割を果たすということが私は今求められていると思うんですね。  この災害援護資金の問題でお尋ねをしますと、こうした方々が生活保護を受給しながら返済をしていくということは不可能なんですね。返済困難な被災者について少額返済の取扱いがされてきて、そのことは私はいいことだと思っております。  だけれども、二点申し上げたいんですが、月千円という返済をしてこられている方、誠実に続けてこられている方たちがたくさんいます。だけれども、年三%の金利が掛かるわけですね。残高が三百万円だということになると金利は年十万円になりまして、そうしますと、生きている間誠実にずっと返済をし続けても残高は逆に増え続けて、亡くなった後は子供にあるいは連帯保証人に迷惑が掛かる。この返済義務の精神的な負担が生きる力を奪うことになっているという声が強くございます。  さらに二点目は、大変人情の厚い地域ですから、連帯保証人になったという方がたくさんいらっしゃるわけですけれども被災者同士で連帯保証人になっている。その方が亡くなって、借受人とは全くかかわりがなかった方々、その連帯保証人のお子さんたちなどが相続だといって巻き込まれていって内容証明で督促をされる、裁判まで起こされるという本当に新たな悲劇が今現在起こっているわけです。  私は、せめてこうした生活保護世帯やそれに準ずる世帯、あるいは利息によって逆に債務が増加をしていくというような少額償還世帯、このような方々の債務返済は免除をするべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  120. 宮島俊彦

    政府参考人(宮島俊彦君) 委員の御指摘でございますが、現在の災害援護資金の償還免除ができる場合、これは法律によりまして、債務者が死亡したとき、それから重度の障害で償還することができなくなったときのみを定めております。これによって今債務免除は行っておりますが、委員のおっしゃったような著しい生活困窮などの経済的理由による免除は認められておらないで、実際のそういった場合、償還が困難だという場合には市町村は償還金の支払を猶予できるということがあって、この猶予が行われているということではあります。  ただ、委員のおっしゃるように、その債務が残っているというような状態にあることは事実でございます。
  121. 仁比聡平

    仁比聡平君 弔慰金の債務免除にかかわる法十三条というのがございまして、そこには今厚労省審議官お答えになったように読めるような字句が書いていないわけではないんですよ。だけれども、この弔慰金というのは被災者支援のために苦労をされて議員立法で作られたものというふうに伺っております。死ぬまで債務に縛り付けると、そんな趣旨で作られたものではないということはもう私ははっきりしていると思うんですよね。今、私が紹介をしているような事案を想定して、それでも貸した金は返せというようなつもりで私たちの国会がこんな法律作っているはずがない。  実際、少し場面は違いますけれども、国の債権の管理などに関する法律、債権管理法というふうに呼ばれている法律がございまして、ここの三十二条には、債務者が無資力又はこれに近い状態にあり、かつ、弁済することができることとなる見込みがないと認められる場合には、当該債権並びにこれに係る延滞金及び利息を免除することができるというふうにしてあるし、そう書いてあるし、実際そのように運用されてきたんですよ。  この法の、このというのは弔慰金のですね、この法の運用もこの債権管理法のようにはっきりさせればいいと思いますし、困っている被災者の方々に過酷な取立てをするなんていうふうなことはやめるべきだと思います。この点について大臣がどのようにお考えか、改めてお伺いをしたいのと、もう一点併せて、今日、大臣は、そのような方々が個別こういう形でおられるというのを初めて承知になられたとおっしゃいました。この阪神・淡路の十三年間の中で、特にこの災害援護資金の未償還の問題でこうして御苦労をされている返済が困難な生活保護世帯や準ずる世帯、少額償還世帯の窮状、これを政府としてしっかり調査をするべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  122. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 私がこの法律の有権的な解釈をする立場にはないわけでございます。ただ、恐らく当時、この資金を貸してさしあげる方もお借りする方も、その後の状況が、十三年の間にその状況が変わってくることを恐らく想定をしない中でお借りをされるし、返還もできるだろう、返済もできるだろうと、そういう思いでいらっしゃったと私は思います。  三%の利子が高い、確かに今日の状況からすれば私は高い、そう思います。こういうことが、何らかの形でもう少し金利を下げることができないかというようなことも現実的には対応しなきゃならないことかもしれません。  そして、そういう実態がどれほどあるのかというのは、まさに委員指摘のように、調査をしなければ今私自身が持ち合わせていないわけでありまして、これまで具体的な調査をいたしておりませんけれども、この震災の復興に関しましては兵庫県あるいは神戸市と定期的な連絡協議をやってきております。そういう中で果たして問題提起がなされたのかどうか、そこは私もまだ確認できておりませんが、こうした場で、もし地元の方、自治体から被災者の現状について解決策を国としてやるべきであるというような御意向があればお出しをいただいて、その上で厚生労働省を中心に御検討いただく、そしてしかるべき対応ができるんであればしてさしあげるということが大切だと私は思います。
  123. 仁比聡平

    仁比聡平君 ありがとうございます。  私は自治体も苦労していると思うんですよね。こういう被災者を前にして、国から三分の二ですか、補助金が出ていますから、これは返さなきゃいけないということになってきて、自治体の担当者は、払えない被災者に取り立てなきゃいけないという、そういう立場に立たされてしまいますから、それは本当に苦労してこられていると思うんですよ。ですから、国の側から実際に実情を聞かせてくれという態度で臨めばいろんな実情を調査することは十分できると思いますので、今の大臣答弁を大切にして調査に臨んでいただきたいということを強く求めておきたいと思います。  支援法の改正の中で、私は、目の前にいる被災者にしっかりと手を差し伸べる、苦しんでいる方々に手を差し伸べるのが政治なんだということは、もう与野党を超えてこの委員会の共通の認識になったと思います。そういった意味で、歴史的な改正を果たした私どものこの参議院の災害特別委員会がこの災害援護資金の過酷な取立てをやめさせて免除をするという点においても、各党同僚議員の皆さんのこれからの検討を心から呼びかけまして、私の質問を終わりたいと思います。
  124. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 誤解があってはいけませんので一言だけ、恐縮ですが申し上げておきたいと思います。  この問題、委員指摘されましたこの問題は、基本的には私は自治体がきちっと調べて、その上で国への対応を求めてくるのが筋だと思います。ですから、私ども国が、あえて言いますと厚生労働省がそれを受け付けないというような姿勢があれば、私の方から是非話を聞いてほしいということは申し上げますけれども、基本的には自治体がこの状態をしっかりと受け止めてほしいということを申し上げておきたいと思います。
  125. 仁比聡平

    仁比聡平君 国に聞く耳を持っていただきたいということを申し上げておきます。  終わります。
  126. 一川保夫

    委員長一川保夫君) 本日の調査はこの程度にとどめまして、これにて散会いたします。    午後四時四分散会