運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2008-09-12 第169回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年九月十二日(金曜日)    午前十時三十分開会     ─────────────    委員異動  六月二十日     辞任         補欠選任      平野 達男君     吉川 沙織君  六月二十三日     辞任         補欠選任      渡辺 孝男君     山口那津男君  六月二十五日     辞任         補欠選任      西田 実仁君     渡辺 孝男君  六月二十六日     辞任         補欠選任      仁比 聡平君     紙  智子君  七月三日     辞任         補欠選任      渡辺 孝男君     西田 実仁君      紙  智子君     仁比 聡平君  七月三十一日     辞任         補欠選任      仁比 聡平君     井上 哲士君  八月八日     辞任         補欠選任      井上 哲士君     仁比 聡平君  九月十一日     辞任         補欠選任      吉川 沙織君     相原久美子君      山口那津男君     山本 博司君      仁比 聡平君     井上 哲士君  九月十二日     辞任         補欠選任      青木  愛君     羽田雄一郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         一川 保夫君     理 事                 高橋 千秋君                 森 ゆうこ君                 加治屋義人君                 神取  忍君     委 員                 相原久美子君                 郡司  彰君                 鈴木 陽悦君                 羽田雄一郎君                 広田  一君                 藤谷 光信君                 山根 隆治君                 佐藤 信秋君                 佐藤 正久君                 塚田 一郎君                 山田 俊男君                 西田 実仁君                 山本 博司君                 井上 哲士君    国務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣防災)        )        林  幹雄君    副大臣        内閣府副大臣   宮澤 洋一君        国土交通大臣  金子 恭之君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        並木 正芳君    事務局側        常任委員会専門        員        畠山  肇君    政府参考人        内閣府政策統括        官        大森 雅夫君        警察庁長官官房        審議官      石井 隆之君        総務大臣官房審        議官       久保田誠之君        総務省総合通信        基盤局電波部長  吉田  靖君        消防庁国民保護        ・防災部長    幸田 雅治君        文部科学大臣官        房審議官     田中 正朗君        厚生労働大臣官        房審議官     坂本 森男君        厚生労働大臣官        房審議官     榮畑  潤君        国土交通大臣官        房技術審議官   関  克己君        国土交通省都市        ・地域整備局下        水道部長     松井 正樹君        国土交通省河川        局長       甲村 謙友君        気象庁長官    平木  哲君        防衛省運用企画        局長       徳地 秀士君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○災害対策樹立に関する調査  (派遣委員報告)  (七月二十四日の岩手沿岸北部震源とする  地震、七月二十八日からの大雨及び平成二十年  八月末豪雨被害状況及びその対応に関する件  )  (局地的な集中豪雨対策に関する件)  (災害時の避難勧告等の判断・伝達基準に関す  る件)  (災害時要援護者避難支援対策に関する件)  (被災者生活再建支援制度被害認定に関する  件)  (平成二十年岩手宮城内陸地震の教訓を踏ま  えた今後の地震対策に関する件)  (大規模水害対策に関する件)     ─────────────
  2. 一川保夫

    委員長一川保夫君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  去る七月二十四日に発生した岩手沿岸北部震源とする地震及び七月二十八日以降の相次ぐ大雨被害により亡くなられた方々に対して、御冥福をお祈りし、謹んで黙祷をささげたいと存じます。  どうぞ皆さん御起立お願いします。黙祷。    〔総員起立黙祷
  3. 一川保夫

    委員長一川保夫君) 黙祷を終わります。御着席ください。     ─────────────
  4. 一川保夫

    委員長一川保夫君) 委員異動について御報告をいたします。  昨日までに、渡辺孝男君、仁比聡平君及び平野達男君が委員辞任され、その補欠として山本博司君、井上哲士君及び相原久美子君が選任されました。  また、本日、青木愛君が委員辞任され、その補欠として羽田雄一郎君が選任されました。     ─────────────
  5. 一川保夫

    委員長一川保夫君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  災害対策樹立に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府政策統括官大森雅夫君外十二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 一川保夫

    委員長一川保夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 一川保夫

    委員長一川保夫君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  去る七月二日に行いました平成二十年岩手宮城内陸地震による被害状況及び復旧状況等実情調査につきまして、派遣委員報告を聴取いたします。高橋千秋君。
  8. 高橋千秋

    高橋千秋君 去る七月二日、岩手県及び宮城県において、平成二十年岩手宮城内陸地震による被害状況及び復旧状況等実情調査してまいりました。  参加者は、一川保夫委員長森ゆうこ理事加治屋義人理事神取忍理事渡辺孝男委員紙智子委員、また現地参加されました大石正光議員、主濱了議員平野達男議員愛知治郎議員市川一朗議員佐藤正久委員、そして私、高橋千秋の十三名であります。  現地調査概要を御報告いたします。  六月十四日午前八時四十三分ごろ、岩手内陸南部、深さ八キロメートルを震源とするマグニチュード七・二の地震が発生いたしました。この地震により岩手県奥州市及び宮城栗原市において震度六強が観測されるなど、現地に甚大な被害が生じました。  現地におきましては、まず、岩手一関地区合同庁舎において勝部岩手企画理事及び浅井一関市長から被害状況説明及び要望を伺い、勝部企画理事に対し、見舞金を手交するとともに、質疑応答を行いました。  その概要を申し上げますと、岩手県内では、七月二日現在で死者二名、重軽傷者三十七名、住家被害三百六十二棟のほか、県内被害額が二百九十六億円に達したとのことであります。  また、岩手県及び一関市からは、激甚災害早期指定社会生活基盤復興に向けた財政支援措置特別交付税早期交付等とともに、余震や降雨による二次災害の予防に向けて、河道閉塞に起因する天然ダム対策林地崩壊箇所早期復旧等について配慮を願いたいとの要望がございました。  派遣委員との間では、学校校舎耐震化対策地盤強度を念頭に置いた公共施設整備促進観光産業等に及ぼす風評被害防止策農業用水安定的確保地域コミュニティー維持方策について意見が交わされました。  次いで、自衛隊ヘリコプターを利用し、矢櫃ダム付近斜面崩落荒砥沢ダム付近の大規模地すべりとそれに伴うダム湖への土砂流入状況など、岩手宮城両県における土砂災害等被災現場を上空から視察いたしました。  土砂の大規模崩落林地崩壊によるむき出しの山肌など、豊かな自然景観が一瞬にして変貌してしまった傷跡を目の当たりにし、自然災害の猛威とそれによる被害の甚大さを改めて実感した次第であります。  次に、宮城県に移動し、栗原市内花山ダム上流の国道第三百九十八号線沿いにおいて、土砂崩壊に伴う河道閉塞復旧するために行われている直轄砂防関連緊急事業による仮排水路設置工事等現場視察いたしました。  次いで、花山地区周辺住民避難所である石楠花センターを訪問し、被災者方々をお見舞い申し上げるとともに、隣接する災害対策本部を訪れ、力を尽くされている職員及びボランティアの方々を激励してまいりました。  また、同花山地区において応急仮設住宅建設現場視察いたしました。  次いで、栗原市役所において、伊藤宮城県副知事佐藤栗原市長から被害状況説明及び要望を伺い、伊藤知事に対し見舞金を手交するとともに、復旧状況等質疑応答を行った後、市役所内の栗原災害対策本部職員方々を激励してまいりました。  まず、宮城県からの説明でありますが、県内被害状況は、七月二日現在で、死者九名、行方不明者八名、重軽傷者三百七十五名、住家被害三百四十八棟のほか、被害額が千百七十六億円に達するとのことであります。特に栗原市からは、被害の大きかった荒砥沢ダム林地崩壊に係る直轄事業による災害復旧及び栗駒地区農業災害について激甚災害指定要望がありました。  派遣委員との間では、被災者生活再建支援制度運用改善激甚災害指定基準弾力化過疎化高齢化が進む地域実情を踏まえた災害対策在り方市町村合併に伴う災害復旧復興に向けた人員確保策、いわゆるエコノミー症候群等が懸念される避難者健康対策等について意見が交わされました。  次いで、栗原志波姫地区において、カントリーエレベーター等農業用施設被害状況視察いたしました。  以上が調査概要であります。  この度の地震災害特徴は、震源地山間部であったことや周辺火山灰土壌であったこと等の影響によって、橋梁、道路被害が甚大であったことに加え、土砂崩壊箇所が多数に上ったことであります。今後は、地盤特性を十分に踏まえ、耐震性を備えた公共施設等復旧整備を図っていくとともに、山間地型災害により迅速かつ柔軟に対応できるよう、制度面での見直しも含め検討していくことが肝要と強く認識した次第であります。  最後に、今回の調査に当たり、復旧作業等で御多忙な中を各方面にわたり御配慮、御尽力いただいた関係各位に厚く御礼申し上げますとともに、被災地の一刻も早い復旧復興をお祈り申し上げまして、派遣報告を終わります。
  9. 一川保夫

    委員長一川保夫君) 御苦労さまです。  次に、去る八月七日に行いました平成二十年七月二十八日の大雨による被害状況及び平成十九年能登半島地震被災地における復興状況等実情調査につきまして派遣委員報告を聴取いたします。森ゆうこ君。
  10. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 去る八月七日、石川県において、平成二十年七月二十八日の大雨による被害状況及び平成十九年能登半島地震被災地における復興状況等実情調査してまいりました。  参加者は、一川保夫委員長高橋千秋理事神取忍理事井上哲士委員、そして私、森ゆうこの五名であります。  現地調査概要を御報告いたします。  まず、平成二十年七月二十八日の大雨について申し上げます。  七月二十七日から日本付近は大気の状態が不安定となり、二十八日は北陸地方近畿地方中心に局地的に一時間に百ミリを超える大雨となりました。これにより、石川県では金沢市を中心河川の溢水、床上床下浸水土砂崩れが発生し、また兵庫県の都賀川では水難事故が発生するなど、甚大な被害が生じました。  次に、平成十九年能登半島地震について申し上げます。  平成十九年三月二十五日午前九時四十一分ごろ、能登半島沖、深さ十一キロメートルを震源とするマグニチュード六・九の地震が発生いたしました。これにより石川県七尾市、輪島市及び穴水町において震度六強が観測されるなど、住宅道路農林水産施設等に甚大な被害が生じました。  今回の視察は、この二つの災害被害復興状況等調査するものであります。  現地におきましては、まず小松空港において谷本石川県知事から、七月二十八日の大雨による被害及び能登半島地震被災地における復興の概況を伺い、谷本知事に対し、見舞金を手交いたしました。  次に、金沢市役所において、石川県の担当者並び金沢市の森副市長及び輪島市の大下副市長から、七月二十八日の大雨による被害状況及び能登半島地震被災地における復興状況について説明を伺いました。  その概要を申し上げますと、七月二十八日の大雨により、金沢市内を流れる浅野川が五十五年ぶりにはんらんするなどして、八月六日現在、石川県内全壊二棟、床上浸水五百十二棟を含む住家被害が二千三棟、道路被害が二百九十二か所、農作物被害が四十三・四ヘクタールに達したとのことであります。そのため、被害復旧対策について、災害査定早期実施局地激甚災害指定地方交付税による財政支援等について配慮を願いたいとの要望がございました。  次に、能登半島地震被災地における復興状況ですが、応急仮設住宅入居数は、ピーク時から四割ほど減り、八月五日現在、二百十一戸四百七十人とのことであります。また、公共土木施設被害九百六十三か所及び農林水産施設被害五百二十五か所は、いずれも七月末現在、九割以上が復旧し、今年度末までに、八世乃洞門等二か所を除き、復旧が完了する見込みとのことであります。  派遣委員との間では、平成十九年に改正された被災者生活再建支援法の効果、住民に対する河川水位上昇等情報提供在り方、県が創設した能登半島地震復興基金及び能登半島地震被災中小企業復興支援基金利用状況等について意見が交わされました。  次いで、七月二十八日の大雨により、多大な被害が生じた浅野川流域について、上流域芝原町及び湯涌温泉中流域の袋板屋町、下流域の梅ノ橋の四か所から視察いたしました。  以上が調査概要であります。  今回の大雨特徴は、観測史上類を見ない局地的かつ短時間の大雨であったことです。このため、浅野川水位がわずか三時間程度の間に上流芝原橋で約四・五メートル、下流の天神橋で約三・三メートルも上昇し、はんらんいたしました。  今後は、河川の急激な水位上昇対応した洪水情報提供など、被害を最小限にとどめるための体制の一層の充実を図る必要があると強く認識した次第です。  最後に、今回の調査に当たり、復旧作業等で御多忙な中を各方面にわたり御配慮、御尽力をいただいた関係各位に厚く御礼申し上げますとともに、被災地の一刻も早い復旧復興をお祈り申し上げまして、派遣報告を終わります。
  11. 一川保夫

    委員長一川保夫君) 御苦労さまです。  次に、七月二十四日の岩手沿岸北部震源とする地震、七月二十八日からの大雨及び平成二十年八月末豪雨被害状況及びその対応について、政府より報告を聴取いたします。林防災担当大臣
  12. 林幹雄

    国務大臣林幹雄君) この度防災担当大臣に就任いたしました林幹雄でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  七月二十四日の岩手沿岸北部震源とする地震、七月二十八日からの大雨及び平成二十年八月末豪雨被害状況及びその対応につきまして御報告いたします。  まず、これらの災害により、不幸にして亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族に対し深く哀悼の意を表します。また、被災された方々に対しまして心よりお見舞いを申し上げます。  初めに、岩手沿岸北部震源とする地震につきまして御報告いたします。  七月二十四日午前零時二十六分、岩手沿岸北部震源とするマグニチュード六・八の地震が発生し、岩手洋野町において震度六強、また、東北地方各地において震度五強以上が観測されました。  この地震により、死者一名、負傷者二百九名、住家の一部破損三百十八棟、土砂災害六件などの被害が発生しました。  ライフラインにつきましては、電力は最大で約八千三百戸の停電が発生し、水道は約千四百戸で供給停止となりましたが、いずれもすべて復旧しております。  政府対応ですが、地震発生後直ちに緊急参集チーム官邸危機管理センターに参集し、情報収集等に当たるとともに、防災担当大臣団長とする政府調査団を青森県及び岩手県に派遣し、現地被災状況調査しました。また、自衛隊警察広域緊急援助隊緊急消防援助隊海上保安庁等現地に派遣され、被害状況確認活動等を行った次第です。  さらに、発災当日より関係省庁連絡会議を開催し、関係省庁間で被害対応についての情報を共有するとともに、対応方針について申合せをした上で各般の応急対策及び復旧対策に当たったところであります。  次に、七月二十八日からの大雨につきまして御報告いたします。  七月二十八日及び二十九日、北陸地方近畿地方などで局地的な大雨となりました。  この大雨により、死者六名、負傷者十三名、住宅全壊六棟、半壊十六棟、床上浸水五百三十六棟、床下浸水二千四百六十四棟、土砂災害七十件などの被害が発生しました。  ライフラインにつきましては、電力は延べ約十万九千戸の停電が発生し、水道は約千戸で供給停止となりましたが、すべて復旧しております。  政府対応ですが、官邸情報連絡室を、内閣府に情報対策室を設置するなど、体制を強化して情報収集集約に当たりました。  また、石川県知事からの要請に基づき、自衛隊情報収集活動を行ったほか、海上保安庁等が神戸市において行方不明者捜索活動に当たったところです。  この大雨による被害に対しまして、災害救助法が富山県南砺市及び石川金沢市において適用されるとともに、被災者生活再建支援法につきましても金沢市において適用されております。さらに、南砺市及び金沢市の区域に係る災害局地激甚災害として指定したところです。  続きまして、平成二十年八月末豪雨につきまして御報告いたします。  八月二十六日から三十一日にかけて、東海、関東、中国及び東北地方などで記録的な豪雨となりました。愛知岡崎市では二十九日の一時間雨量が百四十六・五ミリに達するなど、一時間雨量の記録を更新した地点が全国で二十か所を超え、各地で局地的な短時間の非常に激しい雨が降ったところです。  この豪雨により、死者三名、負傷者三名の人的被害が出ています。住家被害につきましては、特に被害が大きかった愛知県におきまして、現在集計中の名古屋市を除き、全壊四棟、半壊一棟、床上浸水千百二十四棟、床下浸水三千百四十七棟の被害が発生しました。それ以外の各地でも、全壊一棟、床上浸水五百五十四棟、床下浸水四千九百二十四棟の被害が出ております。  また、水稲などの農作物農業用施設等にも大きな被害が発生したほか、土石流やがけ崩れなどの土砂災害も多数発生しています。  政府対応ですが、まず、官邸情報連絡室を、内閣府に情報対策室を設置するなど、体制を強化して情報収集集約に当たるとともに、八月二十九日には、私も政府調査団団長として、特に被害の大きかった愛知県に入り、被災状況調査してまいりました。さらに、同日に関係省庁連絡会議を開催し、関係省庁間で被害対応についての情報を共有するとともに、その後の対応についての認識の統一を図りました。  この豪雨による被害に対しまして、災害救助法及び被災者生活再建支援法名古屋市及び岡崎市において適用されているところです。  政府といたしましては、これらの災害被災地復旧及び復興に向けて、引き続き対応に万全を期してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  13. 一川保夫

    委員長一川保夫君) 以上で政府からの報告聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  14. 高橋千秋

    高橋千秋君 おはようございます。民主党の高橋千秋でございます。  初めて林大臣の方に質問をさせていただきます。よろしくお願いを申し上げたいと思います。  まず、冒頭、地震、それから豪雨等被害に遭われた方、不幸にして亡くなられた方々、たくさんおみえになります。心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。  災害が、今年については、台風がまだ全然上陸をしていないにもかかわらず、雨がたくさん降って被害が頻発をしているという特徴があると思うんですけれども、ちょうど今日は石垣島の方で今大きな台風が来ていて暴風雨圏内に入っているようでありますが、まだ九月の初旬ということで、これからひょっとしたら台風等がまだまだ来るかも分からない、そういう中で、今年の状況をやっぱり総括しておく必要があるんじゃないかということで、閉会中でありますが、衆議院の方でも昨日行われましたが、参議院の方でも、視察もしておりますので、その報告も含めて今日委員会を開催をさせていただきたいということで、与野党調いまして今日開かさせていただいているわけですけれども。  九月一日に岸和田の方で防災訓練があって、総理も行かれているようでありますが、その中で全力を挙げて防災に対して取り組んでいくという決意が述べられているわけでありますが、林大臣の方は今回がこの委員会としては初めてでございます。先日、金沢報告をさせていただきに参りましたけれども、この委員会としては初めてでございますが、ただ、ちょっとこの先どうなるのかが分かりませんので、これが最初最後質問になるかも分かりませんが、是非、防災というのは、これは大臣が替わってもそこで方針が変わるわけではないと思います。これは継続していくべきものでありますし、これは与党、野党を問わずきっちりとやっていくべきものだと思いますので、政府として、また大臣として、この防災、特に今年はゲリラ豪雨が続いているわけでありますが、ゲリラ豪雨に限らず、大臣の、所信表明をまだされておりませんので、それも含めて、簡単で結構ですが、御答弁をいただければと思います。
  15. 林幹雄

    国務大臣林幹雄君) 最初最後になるかもしれませんので、一言心構えについて申し上げたいと存じます。  先生御指摘のとおり、かなり集中豪雨が頻発しております。これに関しましては、近年増加傾向にあるというふうに認識をしているところでございまして、八月末の豪雨でも今ほど報告があったように貴重な人命や財産が失われたところでございまして、この辺に対する問題は大変重要な課題であるというふうに考えております。  この夏の被害状況も踏まえまして、局所的集中豪雨対策につきまして、各省庁と連携を取りまして万全を期してまいりたいと、このように考えております。
  16. 高橋千秋

    高橋千秋君 是非よろしくお願いを申し上げたいと思います。  昨日も東京で、都内を走っておりましたら、それまでいい天気だったのが急に曇ってまいりまして、短時間ではありましたけれどもざあっと降ってきて、日本の気候が随分変わってきたのかなと、南国の方のスコールのような降り方が最近されているような感じがいたします。先ほど大臣報告の中で八月末の豪雨のところまで報告がございましたが、実は九月の二日から五日にかけて私の地元の三重県でも豪雨がございまして、人命は幸いにして亡くなるようなことはなかったんですが、かなり河川等の被害も出ました。やっぱりこれ随分気候が変わってきているのかなというふうに思うんですけれども。  よくマスコミ等で聞かれるのが、想定外という話がよく出ております。予想が付かない、想定外の豪雨が降ったと。この報告の中でも、岡崎のところで一時間雨量が百四十六ミリという、まあバケツをひっくり返したというよりも更にもう何か池の中に入っているような雨じゃないかなと思うんですが。こういう想定外という言葉があるんですけれども、やはりその想定をそもそももうそろそろ変えていかないといけないんじゃないかなと。  気象変動なのかも分かりませんけれども、平成十六年にも台風豪雨が続きまして、私、ちょうどそのときにも災害特の理事をさせていただいていたんですが、あの平成十六年、四年前には、この参議院の委員会で、実は災害視察に十一回出かけました。物すごく多くて、地震台風もいろいろあったんですが、そのときに非常に今年も似ているのかなと思うんですが、そのときにも言われていたんですけれども、想定外という話が出ておりました。  やはりこの想定そのもの、国土交通省でもいろいろ河川のはんらん等について想定をされている部分があると思うんですが、そろそろこの想定そのものを見直していく時期に来ているんではないかなと思うんですが、これについて御見解があればお伺いをさせていただきたいと思います。
  17. 甲村謙友

    政府参考人(甲村謙友君) 局地的豪雨等に伴う治水計画の見直しについてお答えいたします。  近年、地球温暖化に伴う気候変化の影響と考えられるかと思いますが、激甚な災害が頻発しております。このために、国土交通省では、社会資本整備審議会河川分科会に気候変動に適応した治水対策検討小委員会平成十九年八月に設置いたしまして、今年の六月十九日に答申として取りまとめていただいています。  答申のポイントは、これから増加する雨、外力に対して、河川の改修だとか洪水調節施設の整備を基本とする河川で安全を確保する治水対策、それを更に促進することに加えて、流域での貯留だとか浸透だとか、そういう流域における対策で安全を確保する治水政策を重層的に行っていくというのが必要ということがポイントでございます。  さらに、今年に入りまして、御指摘のように、中小河川での局地的な豪雨による被害が多く発生しております。このために、学識経験者、地方自治体、それから気象庁等の関係者を構成員といたしました中小河川における局地的豪雨対策ワーキンググループを設置しまして、中小河川における管理の在り方等について検討を行う予定としております。  今後、これら検討結果を踏まえまして、中小河川、さらには大河川について、気候変化の予測等を考慮いたしまして、必要に応じて治水計画を見直してまいりたいと考えております。
  18. 高橋千秋

    高橋千秋君 先ほど答弁の中でもありました、中小河川という話がありましたが、三重県でも起きた被害でも二級河川被害だったんですが、神戸等のあの亡くなられた災害もそうなんですけれども、そういう今まで余り予想をしていなかった、こういうところではそれほど今まで被害が過去なかったというようなところに起きているわけですね。ですので、想定そのものをやっぱり見直していかなければいけないだろうと思うんですが。  ハザードマップとよく言われるものが各市町村等でも用意をされていると聞くんですが、まだ全国的にはできてない市町村もあるというふうに聞いております。このハザードマップも、さっきの話で想定外ということになってくると、もう一度見直さなければならないんだろうと思います。これを見直すということ、それからまだハザードマップができていない地域に対してどういう御指導をされていくのか、伺えればと思います。
  19. 甲村謙友

    政府参考人(甲村謙友君) 洪水ハザードマップにつきましては、市町村の地域防災計画におきまして市町村が策定することとなっております。その想定といたしまして、洪水時の堤防決壊等による浸水情報、避難方法等を住民に分かりやすく事前に提供して防災意識を向上していただくというのが目的でございます。  今年の六月末現在で、全国で八百三十三の市町村で策定されております。まだ作成されておらない市町村もございますので、洪水ハザードマップの作成に関する市町村への技術的助言を行うなど、引き続き支援を努めてまいりたいと思います。  それとともに、川の計画が変わった場合でございますけれども、当然ハザードマップも見直すこととなります。さらに、昨今は各自治体でいろいろ工夫していただいておるところもございまして、要は、川からのはんらんだけじゃなくて局地的な、川はあふれてないんだけれどもあるところではつかると、そういう情報も入れたハザードマップを作成していただいているところもございます。  国土交通省といたしましても、都道府県、市町村と連携しながら積極的に支援してまいりたいと考えております。
  20. 高橋千秋

    高橋千秋君 さっきの御答弁によると、八百三十三ということになるとまだかなりの市町村で、市町村というか町村なのかも分かりませんが、合併に伴ってそういう自治体間の格差も随分開いてきて、そういう余裕がないところも多分あるんだろうと。是非これは指導していただいて、全部治水という意味で堤防を造ってきっちりと水が出ても大丈夫にするということも大変重要なことだと思うんですが、まずその被害から逃げるということをまず考えるべきだと思うので、こういうハザードマップについても、できてないところは、これは市町村の仕事だろうと思いますが、是非もっと作るように指導をしていただければなというふうに思います。  それで、それぞれ今回のゲリラ豪雨を見ていると、予報が当たらないというよりも予報できないというような雨の降り方が非常に多いというふうに思います。その意味で、これは一部報道に流れていて、気象庁の方に聞くと、まだそれは確定ではないというお話だったんですが、局地予報モデルというのを、これはマスコミの報道によれば二〇一二年までに作るというような報道が流れました。気象庁の方に確認をすると、まだそれは正式表明ではないということなんですが、私はこれは是非急ぐべきだと思うんですが、これについて取組状況を教えていただけますでしょうか。
  21. 平木哲

    政府参考人(平木哲君) お答え申し上げます。  気象庁では、天気予報や注意報、警報などの情報を発表するために基本となる資料を作成するために数値予報モデルを用いております。現在、気象庁が大雨を予測するために運用しています数値予報モデルは、東西南北方向の距離、これは計算を行う単位でございますが、それがおおむね五キロメートルでございます。この数値予報モデルでは、局地的な大雨をもたらす積乱雲が発生、発達しやすい気象条件を数百キロメートルの範囲で予想することは可能でございますが、それより狭い領域でより絞り込んで予想することが難しいのが現状でございます。  この状況を改善するために、現在より少しでも雨の降る地域を絞り込んで予想することができますように数値予報モデルの高度化などを進めているところでございます。
  22. 高橋千秋

    高橋千秋君 八月末の岡崎等の豪雨のときには、名古屋市なんかも民間の気象予報会社と契約を組んでもっと細かな情報を得ていたということが報告されております。  ただ、それは初動の部分ですね、すぐ動くという部分でそういう細かい情報を民間と契約をしてやっているということなんですが、これも市町村によってやっぱり差が出てくるんですね。そういうことがやれる自治体と、そういうところともう契約するような余裕もないような自治体との差がありますので、やっぱり気象庁とすればなるべく細かい配慮をしていただけるように、これは予算の問題もあると思いますが、是非お願いをしたいなと。今、民間のいろんな天気予報会社、かなり細かい情報提供されています。これを民業圧迫とは言わないと思いますので、是非、気象庁としても細かい情報提供お願いを申し上げたいなというふうに思います。  それともう一点、最近、竜巻が随分増えていまして、竜巻というと何かアメリカの映画なんか思い出して日本には余りないようなイメージを我々は持っていたんですが、ここのところ台風がよく頻発をして被害が出ています。亡くなられるような場合もあるわけで、この竜巻の情報を今年から気象庁の方は出されているというふうに聞いているんですが、その状況を教えていただけますでしょうか。
  23. 平木哲

    政府参考人(平木哲君) 委員御指摘のとおり、平成十八年に相次いで竜巻災害が発生いたしました。こうした災害を防止することが喫緊の課題となっていますことから、気象庁では、竜巻などに注意を呼びかける新たな気象情報の発表を本年三月二十六日より開始いたしました。  竜巻気象情報は、観測が困難な情報を対象とした情報でございますので、現在のところ、精度も十分とは言えません。しかし、周辺の気象状況に注意を払うといった対応でも身の安全の確保に役立ちますことから、専門家の御意見を聞きつつ業務の開始に踏み切ったものでございます。  なお、本年三月二十六日に発表を開始して以来、昨日、九月十一日までに全国で百二十一回この情報を発表しております。
  24. 高橋千秋

    高橋千秋君 先ほども申しましたように、日本防災というのは、当然かも分かりませんが、河川の強化とか耐震だとか、そういうどちらかというとハード面の部分はかなりお金も掛けて先行をしてきております。ただ、これは十分とはまだ言えませんから、やはりこういう部分については金も掛けていく必要が当然あるというふうに思うんですが、この避難のタイミングですね。  今回も、あれだけの豪雨にもかかわらず余り被害が出ていなかったことというのは幸いではないかなと思うんですが、残念にして亡くなられている方もおみえになります。特に岡崎の場合は家の中で水死をしたという、私たちからするとちょっと信じられないような話があるんですが、お年寄りが多いという実態もありますけれども、この避難のタイミング、なかなか難しいのかなと。特に避難指示、避難勧告というのは市町村長が出されるわけですけれども、結構労力が掛かるわけで、市町村長とすれば、自分がその避難指示のようなかなり強い命令みたいなものを出した場合に影響が大きいということで、タイミングが遅れるような場合もあるように思います。  私、たまたま数年前にワシントンDCに九月に行ったときにハリケーンが来まして、向こうの政府の関係者と会う予定をしていたのが丸一日前日に全部キャンセルになったということがございました。なぜキャンセルになったかというと、もう地下鉄も全部前の日に、あしたは止めますという、そういう予告があるんですね。そうすると、もう役所の方々も全員休みと。日本ではなかなかそこまですると逆にまた非難される部分もあるのかも分かりませんが、かなり早くもうこの日は備えてくださいというふうなことを言います。  日本の場合は、先日、豪雨のときに新幹線が止まりまして、私も閉じ込められた経験がございます。ぎりぎりまで、これは考え方の違いかも分かりませんが、ぎりぎりまで鉄道等も動かすし、役所も当然、災害のときも来ているのが役所は当然だというふうに言われる方もありますが、これは早めに避難をするということが大変重要なことなんではないかなと思うんですけれども。  このタイミングを、マニュアルがあるというふうに聞いているんですけれども、マニュアルあってもそれをきっちりと履行できない、そういう市町村もあるというふうに聞いておりますので、この辺の指導を是非もっとしていただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。御見解を伺いたいと思います。
  25. 大森雅夫

    政府参考人大森雅夫君) 先生御指摘の避難勧告等の発令、伝達の関係でございますけれども、平成十六年に新潟・福島豪雨を始めとした一連の水害等でこの問題、いろいろと課題が見付かりました。その課題に対応するために、先生今おっしゃいましたけれども、平成十七年に避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドラインを策定いたしまして、これに基づいて市町村の方でマニュアルを作っていただいているところでございます。  今の御指摘のように、できるだけ発令の基準を明確にして市町村が避難勧告等をやりやすくするということが望ましいわけでございまして、我々としては、具体的にそのガイドラインの中で、発令の基準として、避難勧告、避難指示等々の段階に応じて、水位や降水量といった具体的な基準に基づいて発令するというようなことを示しております。  しかしながら、想定を超える規模の災害が発生することなどもございますから、必ずしも数値等で明確にできないものもございまして、そういったところは総合的に判断するというようなことをガイドラインで述べているところでございます。  この一連の局所的集中豪雨を見ますと、本当にこれでいいのかというような疑問も出てくるわけでございまして、我々としては、ガイドラインのこういった見直しの必要がないかどうかということを含めまして、そういった検討をする上で自治体における取組の実態などをきちっと調査して今後検討していきたいというように考えております。
  26. 高橋千秋

    高橋千秋君 是非お願いをしたいと思います。  というのも、今回、私の地元の被害があったときに、三重県の菰野町というところがあるんですが、湯の山温泉という温泉街があるところなんですけれども、ここで、雨が降った翌日に伺ったときに、あちこちで同時に菰野町だけで被害が起きたものですから、役所の方も右往左往してしまうんですね。結局、一か所だけで集中してあるのなら、まだそこを指揮を執ればいいんですが、あっちもこっちもというふうになると、役場の人間も限られています。いろいろ研修も消防庁等で受けておられるということなんですが、現場へ伺うと、役場の人間が全然何か右往左往するだけで来なかったり、何をしたらいいのか分からないとか、そういうことが今回見受けられました。これはもう役場の限界があると思いますので、そういうときにどういうふうに対応するのかとか、そういういろいろな指導も是非していただきたいと思いますし、そのマニュアルについても見直しを是非お願いをしたいなと思います。  それで、避難についてなんですが、兵庫県の川で、たまたま川で遊んでおられる方々が逃げ遅れて亡くなられるという事故が発生をいたしました。このときにも、こういう警報システム、サイレンがなかったということで、サイレンがあったら本当は逃げられたのかも分からないということがありました。あそこの場合は非常に急で短い川があるということで、それも上流で雨が降ったということから、下で遊んでおられる方たちはまさかそんな増えるというふうに思わなかったということなんですが。  この菰野町の二級河川、田光川というところで堤防がえぐられたんですが、ここでもえぐられた地点は雨がほとんど降らなかったんですね。山の上の方で降って、一気に増水をしてきたというようなことでございました。  その中で、そのサイレン含めた警報装置、兵庫の方ではすぐまた、被害のあった川では設置をされたというふうに聞いておりますし、それから岡崎では、岡崎市が独自ということで、ちょっとよく分からないところだったんですが、地元のコミュニティーFMと組んでということらしいんですけれども、そういう装置を付けられるというふうに聞いています。  しかし、まだまだ全国的に見ると、ダムの放水のサイレンというのは大体あるんですが、こういう被害豪雨に対して備えるような警報システムというのはまだまだ遅れているように思います。この辺をどういうふうに取り組んでいかれるのか、御見解を伺わさせていただきたいと思います。
  27. 甲村謙友

    政府参考人(甲村謙友君) 河川における水難事故の対策について申し上げます。  委員がおっしゃったように、兵庫県の都賀川におきまして、雨が降ったのとほぼ同時に川の水位が増水いたしまして、五名の方々がお亡くなりになったわけでございます。  国土交通省といたしまして、七月三十日に、河川に親しむ利用を目的として河川管理者が施設等を設置している河川について、施設の状況、急な増水に対する安全対策等についての緊急調査を実施し、実態把握を行いました。また、現在、更に詳細な実態把握のための調査を進めているところでございます。  兵庫県におきましても、委員おっしゃったように、大雨洪水注意報及び警報の発表と連動して回転灯を作動させるシステム、さらには河川利用者への情報提供防災意識の啓発等について検討を進めております。  国土交通省におきましても、学識経験者、それから地方自治体、気象庁等の関係者を構成員といたしました中小河川における水難事故防止策検討ワーキンググループを新たに設置いたしまして、先ほど申しました緊急調査の結果等を基に、都賀川で発生した事故のような局地的豪雨による急な増水に対する情報提供や啓発活動の在り方、緊急時の避難を想定した施設整備の考え方等について検討を進めることとしておりまして、九月八日に第一回の会議を開催したところでございます。予定では、年内に取りまとめまして、その取りまとめた対応方針につきまして全国の河川管理者に周知いたしていきたいと考えております。
  28. 高橋千秋

    高橋千秋君 この避難もそうなんですが、そういう災害に備えるために、基準として、昨日の衆議院の災害対策委員会で同僚議員の方から水位計の質問がございました。基準は水位でそういう避難等の指示を出すということでありますが、この水位計、昨日の衆議院の委員会でもはっきりしなかったところがありますので、一部御質問をさせていただきたいと思います。  概略は昨日報告があったようなんですが、水位計、各河川にどの程度付いているのか。余り付いていないということなんですが、約千六百の河川でということなんですけれども、全体の四・五%ぐらいしかないということなんですが、どういう基準でこの水位計を付けておられるのか。ここは水位計付けるんだとか、ここは付けないとかいろいろあるようなんですけれども、本来であれば全部の河川にそういうものがあれば一番予測ができるということなんですけれども、この基準を教えてください。
  29. 甲村謙友

    政府参考人(甲村謙友君) 水位計の設置基準でございますけれども、水位計の設置基準につきましては、河川の管理、計画並びに施工上重要な地点に必要に応じて設けるものとしております。  その具体的な設置は、各河川の管理者が水位計をこの基準を踏まえまして設置箇所を選定して設置しております。現状でございますと、一級河川の国管理の区間においては、全国で水位計を約二千二百か所設置しております。また、県が管理しております一級河川及び二級河川につきましては、都道府県の資料によりますと、全国で約四千三百か所に水位計が設置されております。
  30. 高橋千秋

    高橋千秋君 これ昨日の委員会ではちょっとあいまいなところもあったんですが、実績として、三月末の実績しか分からないということなんですが、何か所付いていて、それで、これ一か所幾らぐらいするものなのか、教えてください。
  31. 甲村謙友

    政府参考人(甲村謙友君) 水位計の設置数は、先ほど申し上げたとおりでございます。若干混乱がございますのは、水位計の設置とその水位等を基にして行う洪水予報河川水位周知河川の数、水位計が付いていても、必ずしもまだ準備ができていなくて洪水予報河川とか水位周知河川にしていない場合もございます。  昨日の衆議院の委員会で、その洪水予報河川の数、それから水位周知河川の数が千六百十二とお答えした次第でございまして、今日は、先ほどお尋ねの水位計の設置の数をお答えした次第でございます。  それで、水位計の価格でございますが、水位計の一か所当たりの価格、水位計の種類によりまして、浮き、フロート、筒の中にフロートを付けてその上がり下がりで水位を測るといったような方法、あるいは圧力を感知する機器を川底に入れてその水圧を測ることによって水位を測る方法、あるいは橋の上から電波を水面に落としてその反射でもって水面の高さを測る方法、いろいろございまして、その水位計の種類によって価格は異なりますけれども、国土交通省が最近長良川で設置いたしました水位計で申しますと、水位計本体が八十四万円、その他の機器や設置工事の金額が約三百万円ということでございます。
  32. 高橋千秋

    高橋千秋君 昨日の衆議院の委員会でも、これは価格がかなり高いので全面的に設置をするのは難しいというお話だったんですが、そういう理解でよろしいんでしょうか。
  33. 甲村謙友

    政府参考人(甲村謙友君) 価格の点もございますかと思います。できるだけこういう水位計を河川に設置できるように技術の開発あるいはコストの縮減等を要請してまいりたいというふうに考えております。
  34. 高橋千秋

    高橋千秋君 その業者が二社ぐらいしかないということなんですが、発注の形態を教えていただけますでしょうか。
  35. 甲村謙友

    政府参考人(甲村謙友君) 先ほど申しました国土交通省で長良川で設置いたしましたケースで申しますと、一般競争入札でございます。入札参加者は三社ございました。
  36. 高橋千秋

    高橋千秋君 詳しい資料等がまた整えればそういう中身について御報告を当委員会お願いを申し上げたいと思いますが、確認のためでございますが、そういう業者に天下り等をしているということはございませんですね。
  37. 甲村謙友

    政府参考人(甲村謙友君) 申し訳ございませんが、承知しておりません。
  38. 高橋千秋

    高橋千秋君 確認をして、後日で結構ですので御報告をいただきますよう委員長お願い申し上げたいと思います。
  39. 一川保夫

    委員長一川保夫君) では、後日お諮りいたします。
  40. 高橋千秋

    高橋千秋君 続きまして、先ほどのマニュアルに関連してくるんですけれども、私も地元のところで被害に遭って、翌日行ったときに、現地のその被害に遭った方からいろいろお話を聞いてきました。  そうすると、これはまあ直接国の話ではないかも分かりませんが、県がそういう災害のときにすぐ工事を頼めるそういう業者をふだんから指定をして、そういうブルドーザー等を持ってきてそのときに対応すると、これはもうどうしても必要なことで、それは有り難いことなんですが、ただ最近、日本中そうだと思うんですが、建設業者のかなり不況等で倒産する会社があったり、それから規模を縮小する、そういう建設業者が大変増えてきています。  そういう中で、今回その三重県の菰野町というところへ行ったときに現地の方から言われたのは、それは県が指定をしている業者がかなり遠いところの業者だと。その被害を受けた家のすぐ百メーターぐらいのところに建設業者、別の業者があるんですが、そこに頼んでも、これは指定じゃないからここは頼めないと。だから、もっと遠いところから来てもらう業者に頼まないといけないというようなことが発生をしたりとか、いろいろ現場被害に遭われている方々の思いとちょっと違うような話がたくさんございまして、これは県の事情なのかも分かりませんが、質問通告の中で県の方にも確認をしていただいていると聞いておりますけれども、こういうことに対する指導を是非していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  41. 甲村謙友

    政府参考人(甲村謙友君) 災害協定についてのお尋ねでございます。  災害協定のやり方、各県によっていろいろ異なっていると思いますけれども、三重県に聞きましたところ、三重県におきましては災害時における緊急を要する応急対策に関しまして三重県建設業協会と基本協定を締結しておりまして、各地域の事務所もこれに基づき協会の各支部と運用協定を締結して災害時の応急対策を行っていると聞いております。  今回の災害にかかわる応急対策におきましても、地域性や機動力等を勘案して協会支部が選定した建設会社と県が契約を締結したと聞いております。個別建設会社との締結は、地震等の甚大な災害が発生したときにその建設会社自らが被害を受けるおそれもあり、また連絡体制の確保など迅速な応急対策ができない場合が想定されることから、多くの建設会社を有する建設業協会と協定を締結し迅速な災害対応を実施することが重要であると、そのように三重県からは聞いております。
  42. 高橋千秋

    高橋千秋君 それはそれでやり方とすれば一番いいのかも分かりませんが、実際のところは、その協会に入ってなかったりするようなところもあったりいろいろ難しいところはあると思うんですが、是非指導もしてやっていただきたいなと思います。  それから、現地で聞いたら、その田光川というところのはんらんは、そこの被害を受けたところにかなり高齢の方、おばあさんがおみえになって、話を聞いたら、明治何年にその人の親が何かそういう被害に遭ったなというような話がありました。これは久しぶりの、久しぶりというか何十年ぶりの話なんですが、しかしいろんなところで、本当は昔はよくここは水につかったところなんだけれども、今家が建てられているというようなところがあったりするんですね。  これも、三重県の一番南に紀宝町というところがあるんですが、ここに国土交通省の御努力で輪中を造っていただいたんですね。三重県の北部の方に輪中地域というのがありますが、いわゆる堤防をぐるっと囲んじゃうんですね。なぜそんなことをするかというと、その地域は、昔の人に話を聞くと、ここはしょっちゅう水がつかって、三年か四年に一度水つかってたと。ところが、それを役場の方等もよく理解をしていなくて、建設業の許可を出して団地を造ってしまった。三十軒ぐらいの団地なんですけれども、三年に一度ぐらい、一階が全部つかるような水害が何度も発生をして、国土交通省の方で輪中を造っていただきました。ただ、その輪中を造るのに予算的に三十億ぐらい掛かって、三十軒ぐらいですから、これは日本ではできませんが、一軒に一億ずつ金を渡してどこか行ってくれと言った方が本当は楽なんですよね。だけど、そんなことはできませんから国土交通省としてそういう対応をしていただいたわけなんですけれども、もっと昔の方々のそういう話をきっちり聞いて連携を取っていたらそんなことは起こらずに済んでいるはずなんですね。  その意味で、そういう昔の教訓をある程度調べ上げてきっちりとやっていくということが大変重要なんではないかなと思うんですが、その辺の対応はいかがなんでしょうか。
  43. 大森雅夫

    政府参考人大森雅夫君) 先生御指摘のように、自然災害につきましては繰り返し発生をしていくものでございます。したがいまして、過去の災害情報を広く集め、将来起こり得る災害に対する教訓として継承していくということは非常に重要だろうというように思っております。  国としては、中央防災会議の中の専門調査会を設置いたしまして、伊勢湾台風を始めとする風水害、土砂災害、そして地震・津波災害など十八件の災害についてまとめております。様々な被災の状況とか行政及び国民の対応、国民生活への影響、そういったものをまとめさせていただいているわけでございます。こういった取りまとめられた報告は、内閣府のホームページへの掲載を通じて広く国民に活用されるということを期待しているところでございます。  我々国としてはこういうような動きをしているところでございますが、地方についての動き、我々としては詳細には存じ上げておりませんけれども、我々の今述べましたようなそういった行動を通じて、それぞれの地域においても災害からの教訓を継承する同様の取組を進めていっていただくということを期待しているところでございます。
  44. 高橋千秋

    高橋千秋君 時間が来たので終わりますが、先ほどからお話をしてまいりましたように、やはり気象変動等に伴って随分変わってきています。今までのやり方が通用しない、そういう時代に来ているのかも分かりません。是非フレキシブルに見直しを含めてお考えをいただいて対応していただくことをお願いを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  45. 一川保夫

    委員長一川保夫君) 御苦労さまでした。
  46. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 民主党の森ゆうこでございます。よろしくお願いいたします。  まずもって、先般の災害に遭われまして不幸にして亡くなられた方の御冥福をお祈り申し上げ、被災された皆様に心からのお見舞いを申し上げ、一刻も早い復旧そして復興をお祈り申し上げたいと思います。また、参議院、この災害対策特別委員会でもそれに資する活動をしていかなければと新たに思っているところでございます。  今ほど高橋委員からもお話がありましたが、やはり過去の経験が生かされたのかということは、本当にその地域の大昔の経験もそうですし、直近でいえば、この後質問させていただきますが、私どもの新潟県で平成十六年に起きました災害、水害ですね、七・一三水害、あの後もその被災した自治体において新しい対策がいろいろ取られてきているわけですから、そういう教訓が生かされて、今回の災害、少しでも減災できなかったのかという思いが非常にいたしております。そういう観点に立って幾つか御質問をさせていただきたいと思います。  まず、先ほどありましたが、皆さんのお手元にも資料をお配りをさせていただきました。いわゆるゲリラ豪雨、局所的豪雨について、想定外というよりは、もう最近そういう傾向になってきたのかどうか、この局所的豪雨の発生頻度、そして今後の対策について伺いたいと思います。
  47. 平木哲

    政府参考人(平木哲君) お答え申し上げます。  この資料に書いてございますように、一時間降水量五十ミリ以上の降雨というのは気象庁の予報用語で非常に激しい雨と申しますが、短時間に強く降る局地的な大雨は、大気の不安定な状況の中で積乱雲が発達することによりもたらされるものでございます。  このような大雨は夏を中心として日本各地でしばしば発生するものでございますが、今年の夏はその回数が多かったことが特徴でございます。一時間五十ミリを超える非常に激しい雨の発生回数が今年の夏におきましては例年の約一・五倍で、ここ三十三年間の中では六番目に多い夏となりました。  以上でございます。
  48. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 何かはっきりしないんですけれども、まだよく分析はしていらっしゃらないと。もうこれは想定外ではなくて、そういう傾向になってきている、もはや局地的な豪雨というのはたまたま起きるということではなくて、もうどこでもこれからは起こり得るということを想定すべきだというふうに分析されているんでしょうか。そこまでは行っていないんですか。
  49. 平木哲

    政府参考人(平木哲君) 私が申し上げましたように、これは今年初めて始まったことではございません。以前にもこういうこともございましたし、また今後もあり得る。ただ、ここ三十三年間の中で局地的に強く降る雨の発生頻度を見ますと増加の傾向が見られますことから、今後も増加することが懸念されております。  以上でございます。
  50. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 要するに、増加傾向にあると、このようなことを想定した対応を取らねばならないということだというふうに取ってよろしいわけですね。よろしいですね、うなずいていただけますか。  増加する可能性があるというふうなお答えでしたので、それを受けて、大臣、どうですか、今の気象庁の答弁を受けて。ということはこれについての対応をきちんと政治の側でやらなければならないということだと思いますが、いかがですか。
  51. 林幹雄

    国務大臣林幹雄君) 結論からいうと、御指摘のとおりだと思います。  先ほどから話しているように、ゲリラ豪雨によって貴重な人命が失われたりあるいは多くの家屋が浸水するなど被害が発生しているわけでありまして、気象庁においては降雨の予測速度を向上するための取組が今なされているということでございますし、国交省では、河川情報提供体制を強化するとか、あるいは雨水貯留浸透施設の整備などによって流域の保水能力を高めるということを進めているわけでありますし、消防庁あるいは文科省においても豪雨に対する取組を推進しているところでございます。  防災担当大臣としては、この夏の被災状況も踏まえて、この豪雨対策について関係省庁と連携をして万全の対応を期してまいりたいと、このように考えております。
  52. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 ありがとうございます。  それで、先ほども高橋委員の方から同じ質問があったと思うんですけれども、いわゆる局所的豪雨の発生予測について、短時間でピンポイントな予測が現在どの程度可能なのか。なかなか難しいという答弁があったんですが、こういうふうに聞かせていただいていいですか。  具体的に、要するに気象庁としてできるようになるのか、局地的なピンポイントな予想ができるようになるのか、できるとしたらそれはいつごろまでにできるようになるのか。できるのかできないのかはっきりさせていただけませんか。できないのであれば、先ほどもお話がありました民間の気象予報会社はいろいろできているわけですから、自治体に対して民間の気象予報会社を利用してそういうピンポイントの予報を利用してくださいと。どっちですか。はっきりした方が私はいいと思いますよ。
  53. 平木哲

    政府参考人(平木哲君) お答え申し上げます。  先ほど述べましたところは、局地的にピンポイントといいましても、それは距離によって、例えば積乱雲の大きさ、それによって異なります。それで、積乱雲一つ一つの大きさは数キロメートルから十数キロメートルというふうに考えられておりますが、それらの発生を予測することは現時点の技術ではほとんど不可能だと、そういうふうに考えております。それらが幾つか集まった、それが百キロメートルとか数十キロメートルとかなったものについて、現在予測すべく技術開発を進めているところでございます。  それから、委員御指摘のように、民間会社ならばできるかということは、これは技術の問題でございますから、これは不可能と考えております。
  54. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 七・一三水害に見舞われた見附市においては、もう以前にここの委員会で私も紹介させていただきましたけれども、民間の気象予報会社を使って避難勧告、避難指示の発令に役立てているという例があるわけですから、いつまでにそういう局地的な豪雨に対して気象庁として的確な予報が出せるのか、具体的な時期を私は明示していただきたいと思いますし、そういうことは網羅的に全国的にやるのは難しいということであれば、さっきも申し上げましたように、そういうものを活用して各自治体で責任を持って避難指示・勧告が出せる体制をつくってほしいというふうに私は言うべきだと思いますが、これは大臣、いかがですか。政治家としてどのように思われます。どっちの方に号令出すべきだと思いますか。
  55. 林幹雄

    国務大臣林幹雄君) これは非常に今の技術では難しいということもございまして、やはり市町村等あるいは関係省庁連絡を密にして、連携を取って、いろんな角度から進めていくということになろうかと思います。
  56. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 そういうお答えになるんでしょうね。私は、どっちかにしろと方向をはっきり決めるのが政治家の役目だと思います。  次の質問に移りたいと思います。  今回のようなことで被害が起きるんですけれども、都市化の進展による雨水の浸透量の減少に起因する都市部の浸水被害が顕著となっておりますが、その対応策として雨水浸透貯留施設の整備、流域の各戸の雨水流出抑制策などが有効だというふうに言われております。その進捗状況等、今後の課題等について伺います。
  57. 甲村謙友

    政府参考人(甲村謙友君) 都市化の進展に伴う対策でございます。  昭和三十年代後半からの高度成長期におきまして大都市圏近郊でどんどん宅地開発されたと、それでもって雨が地中に浸透しなくなってどんどん川に流出してきたということで、河川の改修を強力に進めるとともに、流域での貯留浸透を積極的に進めるという施策を行ってきております。  雨水の貯留浸透施設でございます。地方公共団体等が設置しました数は、平成十八年度末でございますが、都市部を中心に全国で約千七百か所が整備されております。また、個人の家庭におきまして雨水貯留浸透施設を設置するということも重要でございまして、これは下水道事業におきまして、該当する市町村が個人の住宅に補助している場合に国からも補助するということで、平成二十年度におきまして四十市町で制度が活用されている状況でございます。  今申しましたのは都市化の進行している川ということでございましたけれども、これからは全国的に雨が強く降ってくる、豪雨が増えるということも想定されますので、従来の都市化の地域だけじゃなくて、全国的に河川の改修を更に促進する、さらに、それだけでは足りない部分があるので、流域での貯留浸透を積極的に進めていく必要があると考えております。
  58. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 ありがとうございました。  それで、先ほども申し上げましたが、平成十六年に七・一三水害、新潟、福島を中心として大変な被害が出ました。その課題、そのときの教訓が本当に生かされたのかどうかということについて、最初に申し述べましたように、本当に生かされたのだろうかという私は気持ちが強くしております。  それで、ごめんなさい、質問通告していた最初の二つをちょっと飛ばしまして、三番目ですね、避難勧告、避難指示が適切に今回行われたのかどうかということを具体例をもって点検をさせていただきたいと思います。  先ほども高橋委員質問に対して、今ここに私が持っておりますが、自治体に対して避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドラインというものを作成されて各自治体に渡されたという、これはこれで非常にしっかりやっていただいたというふうに思います。  それで、皆様のところに資料を提出をさせていただきましたが、二枚めくっていただいて、三枚目ですね、岡崎市の避難勧告等伝達マニュアルというものを抜粋させていただきました。それで、それを見ていただけますと、まず三類型ありまして、避難準備情報、そして避難勧告、そして先ほどもお話がありました、これなかなか出すのは難しいんですが、これは避難指示と、一番強いものでございます。  そして、これが類型でして、その次のページが、例えばその流域で、矢作川でどのような状況になったときにこの避難情報を出すのかという判断基準がここに書いてございます。  それを御覧になりますと、これ水位なんですね、全部。はんらん注意水位四・九メートルとか避難判断水位七・六メートルとか。先ほど水位計がまだ足りないという指摘もありましたけれども、水位だけで判断して今回のようなゲリラ豪雨、局所的な短時間の豪雨対応できるのかということだと思うんですけれども、いかがですか。避難勧告、避難指示が適切に発令されたとお考えなのかどうか、御答弁をお願いいたします。
  59. 幸田雅治

    政府参考人(幸田雅治君) お答えいたします。  今お話ございましたように、それぞれ河川状況によって判断する場合、あるいはそのほかの要素によって判断する場合、いろいろあろうかと思いますが、具体的に今回の岡崎市の事例についてお話をさせていただきますと、八月末の豪雨に対しまして、市内全域で土砂災害に関する危険度が高まったということ、それから市内各所で浸水に関する情報が入ってきたということなど、市内の豪雨状況を総合的に勘案をいたしまして、八月の二十九日の夜二時十分に全市に避難勧告を出すという対応が行われたところでございます。  また、一宮市におきましては、この豪雨に対しまして一宮市内にある春日観測所の水位が排水ポンプの停止準備水位に達したということで、二十九日の夜一時五十五分に避難準備情報、二千二百世帯に対して発表をし、その後、五条川の水位が上昇いたしまして、同観測所の水位が排水ポンプ停止水位に達しましたため、二十九日の四時四十五分に避難勧告、二百八十世帯を発令したところでございます。  今回の避難勧告等についての対応が適切であったかどうかということにつきましては、自治体においても今後の対策を検討している段階でございまして、今後とも総務省消防庁といたしましても自治体に確認をしていきたいと考えているところでございます。
  60. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 それで、本当に適切になされたのかどうか。また、先ほど来お話がありますように、この避難勧告、そして避難指示を出すという判断は非常に難しいということは、私も地元の首長さんたちが本当に困難に直面されたということを目の当たりにしておりますので、できるだけその判断基準をしっかりとした明確なものを、できるだけ想定できる範囲でとにかく明示するということが私は重要だと思うんです。  ところが、これ、ちょっと調べてみましたら、そもそも避難勧告基準等の発令基準にかかわる、これは岡崎市はきちんとやっていたわけですね、こうやって。マニュアルをきちんと作っていらっしゃったわけですから、まずは第一段階はきちっとやっていらっしゃったということだと思うんですが。  じゃ、これ全国調査をされたそうなんですが、これはみんなどの自治体も作っているんですか。
  61. 幸田雅治

    政府参考人(幸田雅治君) 今お話ございました、避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドラインを踏まえまして、消防庁といたしまして、できるだけ客観的な判断基準等について定めた避難勧告等の判断・伝達マニュアルの整備を推進するように全国の市町村に要請しているところでございます。  この避難勧告・指示の発令基準が客観的な判断基準に基づいて設定されているかどうか、この点、非常に重要なわけでございますが、この点につきまして、個別の団体の実態を正確に把握するという全国調査を行っておらないところでございます。地域防災計画に明記されているかどうかということで適切に設定されているかどうかということを判断するということは困難だというふうに考えておりますので、今年度において全国の状況把握を行いたいと考えているところでございます。  消防庁としましては、避難勧告等の判断・伝達マニュアルの整備の推進など、今後とも適切に助言、指導していきたいと考えております。
  62. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 今の御説明はどういうことですか。  皆さん、もう二枚めくっていただいて、消防庁からいただいた避難勧告基準等の発令基準(風水害)に係わる全国調査結果(抜粋)という資料がございます。これ、全国調査やったんじゃないんですか。この全国調査は不十分な調査だったという意味なんですか。
  63. 幸田雅治

    政府参考人(幸田雅治君) この調査は、先生御提出されておりますけれども、私どもとして先生への御提出した資料ではないわけなんですけれども、今申し上げましたとおり、地域防災計画に明記されているということでそれでもう基準としては客観的に十分だということは言えないというふうに考えておりまして、私どもは全国の状況把握を今年度行っていきたいと考えているところでございます。
  64. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 皆さん、見ていただきたいんです、下の方をね。一の一、設問一で、避難勧告・指示の発令基準について、地域防災計画等に明記されていない理由を下記の項目から該当するいずれかの項目に丸を付けてください。四択です。それで、驚くべきことに、三、風水害のおそれがない、必要がない、だからこれを定める予定がないと答えているところが何と六か所もあったんですよね、平成十八年九月一日に調べて。これ、どういうことなんですか。
  65. 幸田雅治

    政府参考人(幸田雅治君) 今お話がありました団体につきましては、私どもとして、どのような考え方でその自治体として判断しているのかということを個別に指導して、きちんとやはりそういった対応を図っていく必要があるということを指導しているところでございます。
  66. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 いや、昨日伺ったところによると、まだ何もフォローしていないと。なぜそういうことを言うのか。掌握していないというふうにお話をお聞きしましたけど、違うんですか。
  67. 幸田雅治

    政府参考人(幸田雅治君) 昨日お話をしたのは、私ども消防庁としてこの点について地方公共団体を指導する、所管をしておりますが、内閣府の方からの何かお話ということではないかと昨日は思っておりまして、私どもとしてそのような説明を先生にしたという事実はございません。
  68. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 いや、私は消防庁に電話しましたよ。  それで、この六団体はなぜこのようなことを言うんでしょうか。どういう地域なんですか。どこですか、これ、作らないところは。風水害のおそれがない、必要がない、要するに災害は起きないと思っている、そんなにいい場所、絶対起きないような場所なんですか。どこですか、これ、六か所というのは。
  69. 幸田雅治

    政府参考人(幸田雅治君) 現在、この六か所の資料、ちょっと手元にございませんので、後ほど御説明させていただきたいと思います。
  70. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 私はこれについて質問をすると言っているんですよ。何言っているんですか。通告してありますよ、全国調査結果について問うと。何で分からないの、答えられないの。  だから、フォローしてないんでしょう。フォローしてないって担当者は言っていましたよ。なぜフォローしないんだと私が言ったんですよ。
  71. 幸田雅治

    政府参考人(幸田雅治君) 十八年度に大まかなそういった把握をしようということで、この資料自身は消防庁として公表しているものではない資料なんですけれども、それで、十分なやはり調査をする必要があるということで今年度調査をする予定にしております。  それから、今委員御指摘ありましたフォローしてないというのは、当時そういったことはフォローしてないということだろうと思いますけれども、私どもとしては、きちんとそれについては団体にそういう対応ではいけないと今回の豪雨を踏まえまして指導をし、対応を現在しているところだということでございます。
  72. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 今の答弁はどうですか、大臣。本当に仕事きちんとやってくださいよ、国民のために。それが仕事でしょう。  六か所も風水害のおそれがない、必要がないなんてとんでもない考え方をしている自治体があったら、それは防災は自治体の責務ですよ、国があれこれ口出すものではない。一応その地域の責任は首長さん負っているわけですから、やらせればいいわけです。でも、こうやってせっかく調査をして、六つも全くおそれがないなんてのうてんきなことを言っている自治体があったら、それはどうなっているんだと調べるのがあなたたちの仕事じゃないんですか。違うんですか。
  73. 幸田雅治

    政府参考人(幸田雅治君) 今委員御指摘のとおりでございまして、私どもとして、現在対応して、団体の方にもすべて、今個別の団体名はちょっと手元にございませんけれども、指導をきちんと引き続き行っていきたいと考えているところでございます。
  74. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 しっかりとやっていただきたいと思います。  それで、先ほども申し上げましたが、明示する必要、さっきのマニュアル、これは逐次改訂すべきだと思いますが、一時間降水量五十ミリ以上を超える局所的豪雨対応できる判断基準項目をガイドラインに新たに明示すべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。
  75. 林幹雄

    国務大臣林幹雄君) ガイドラインでありますけれども、最近の局所的あるいは短時間の豪雨災害に適切に対応するためには、先生御指摘の内容も含めまして、自治体における取組の実態を調査をした上でガイドラインの見直しの必要性があるかどうか検討してまいりたいと思います。
  76. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 私はあると思うんですが、大臣はどう思われますか。  これだけ局所的な短時間の豪雨ということで災害があちこちで起きているわけですから、そういうものに対応すべき明示的な判断基準項目をきちんと加えるべきだと思いますが、大臣はどう思われますか。
  77. 林幹雄

    国務大臣林幹雄君) ただいま答弁のとおり、自治体における取組をもう一度調査しながら、必要があれば今委員が御指摘の内容も含めて検討していきたいと、このように思います。
  78. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 まあ官僚の答弁だったらそうだと思うんですけれども、大臣としてだったら、これは必要じゃないかと自分は思うと、しかしそれは実際に検討してみなきゃいけないんでぐらい言ってくださいよ。そういうふうに指示を出しますと、せっかくですから言っていただきたかったなと思いますが、次に行きたいと思います。  それで、要するに、もう災害弱者と言ってはいけないんだそうでございます、災害時要援護者ですか、次の資料をめくっていただきたいと思います。  「災害弱者名簿「作成」の市町村二割弱 金沢大が全国調査」という記事が載っております。災害が起こるたびに、高齢者や障害のある方など災害時に支援を要する方が逃げ遅れたりとか大変な思いをされたということで、きちんとした災害時要援護者への避難支援対策について各自治体で取り組まれるべきだというふうに考えておりますが、なかなか進んでいないということでございます。その原因をどのように考えていらっしゃいますか。
  79. 林幹雄

    国務大臣林幹雄君) 災害時要援護者対策につきましては、各市町村において国が示したガイドラインに沿って取組を進めていただいているところと考えていますけれども、現段階ではまだ多くの市町村において一人一人の避難支援プランの策定までには至っていないものと思います。  取組が進まない理由といたしましては、個人情報保護に関する問題があるんではないかというふうに考えていますけれども、いずれにしても、各市町村において一層の問題意識を持って災害時要援護者対策に取り組んでいただきたいというふうに考えております。
  80. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 今大臣のおっしゃったとおりでございます。この新聞記事にも書いてありますが、やはりいわゆる個人情報保護の問題がネックになって進まないということが指摘をされているところでございます。  それで、最後の資料を見ていただきたいんですけれども、全国調査を実施されました。これを見ますと、この問四のところで、災害時要援護者情報について防災関係部局で把握しているというところは、平成十八年度で見ても全体の一五・七%、二百八十七団体にすぎません。これを解決しなければならないというふうに考えます。  それで、今ほど大臣からもお話がありましたように、その遅れている原因の一つに個人情報保護の問題があるということでございますが、その解決策をお示しいただきたいと思います。
  81. 大森雅夫

    政府参考人大森雅夫君) 先生御指摘のように、高齢者などのいわゆる災害時要援護者につきまして避難支援対策を講じていくことは防災上重要な問題だというように思っております。ただし、今大臣申し上げましたように、個人情報の関係でなかなかうまく進んでいないという現状がございます。  具体的に申しますと、例えば福祉部局の方でそういったリスト、要援護者についてのリストがあったとしても、それを防災部局等々へ移行するには個人情報の保護審議会での了承が必要だと、その了承がなかなか得られないとか、じゃ、違う方法でやろうとして、それぞれの要援護者の方に手を挙げていただくということもやっているわけでございますけれども、なかなかそうなるとリストの全容がつかめてこないというような問題がございます。  我々といたしましては、災害時要援護者の避難支援ガイドラインを策定いたしまして、この中で市町村における個人情報保護条例を適切に解釈、運用すればこうした関係者間での要援護者情報の共有は可能であるといった基本的な考え方を示すとか、さらに、ガイドラインの手引を作成した災害時要援護者対策の進め方についてというものがございますけれども、その中で各自治体の取組の参考となるよう先進的な自治体の事例も紹介しているところでございます。  また、政府といたしましては、引き続き関係省庁が連携をしながら、公共団体に対し、より一層この要援護者対策の重要性を感じ取っていただくために、意識啓発のための全国キャラバンを開催するなどによって、市町村において要援護者支援対策の取組が推進されるよう願っているところでございます。
  82. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 要するに、解決策ということで今示されたのはキャラバン隊だけですか。
  83. 大森雅夫

    政府参考人大森雅夫君) キャラバン隊も一つでございますけれども、それ以外にガイドラインを策定をしております。ガイドラインの中では、今申し上げましたように、福祉部局からそういったリストを例えば防災部局の方に移行するのは目的外使用だけれども、そこのところは本人の利益になるからそれはいいんだというようなことを認めていただくとか、そういった解釈をしている例もございます。そういったことをお示しするとかそういった幾つかの方策をやりながら、市町村の方に御理解をいただこうとしているところでございます。
  84. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 いやいや、そういうふうにガイドラインを示していただいて、そういうことをやってくださっているのは分かっているんですよ。それでもなお個人情報保護法のハードルが高くて進みませんという調査結果が出ているから、それに対する解決策を示してくださいよと言っているんですよ。  要するに、個人情報保護審査会ですか、それを立ち上げて、そこに諮問しなければいけないんですね、自治体は。これを、災害時要支援者のリストを作って、そしてそれを例えば地元の自治会に提供したり、それから福祉部局に提供して連携を取って、災害が起きたときにそういう方たちに速やかに、地域の人が中心になって、これはやっぱり、すぐ近くに住んでいる人じゃなかったら対応できませんから、地域の人たち、それから役場の人たち、そういう人たちが中心となってきちんと支援体制が構築できるように、それをやるためにはそのハードルが高いんですね。お聞きしたら、要するに個人情報審査会の委員の中に、そういうことで個人の情報があんまり事細かく、常にここのベッドで寝ているとか、そういうことまで知られてしまうのは嫌だと、そういうことはいかがなものかというふうに強硬に反対する委員がいれば、それはクリアできないわけですから、そしてまた、そこに対する事務的な準備、書面の準備ですとかいろんなハードルが高くて、相変わらず個人情報保護法の壁が高くてこれができないということが言われているわけですから、それに対する解決策がキャラバン隊だけでは困るんですよ。  大臣、いかがですか。これは、個人情報保護法は、私はこういうことはその法の趣旨としては、私、これ法の制定のときにかかわりました、審議に参加させていただきました、立法の趣旨として、これは配慮規定なりなんなりを作って、こういうことは関係ないよと、個人情報保護法の外だというふうにやはり政府として解釈を示すべきじゃないでしょうか。そうじゃないと解決できないと思いますよ。
  85. 大森雅夫

    政府参考人大森雅夫君) まず、地方公共団体の個人情報の取扱いにつきましては、各地方公共団体の個人保護条例で規定されているところでございます。例えば、東京の渋谷区でございますけれども、震災対策の総合条例というものを改正をいたしまして、主に福祉関係部局が所有する要援護者情報防災関係部局での目的外利用や、また自主防災組織等への第三者提供を認める規定を新たに設けたというようなことを実際上やられているところもございます。  我々、こういった例を示しながら公共団体の方に対して普及啓発を行っていきたいというように思っておるところでございます。
  86. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 それは、今言ってくださったことは、このガイドラインのポイントと先進的取組事例ということで、これはもう地方に渡っているわけでしょう。それでもなお進まないんだから、そのための解決策はと言っているんですけれども、要するに、私は個人情報保護法についての解釈を政府としてきちんと出せばいいと思いますよ。そういうもっと知恵を絞っていただきたい。  そして、災害時要支援者への支援ということはもうずっと言われてきているわけですから、こんなに進まないということでは困るというふうに思いますので、キャラバン隊も是非していただきたいと思いますし、それから、やっていないところは、さっきの避難勧告、避難指示もそうですけど、そういうやっていない自治体は公表したらいかがですか。大臣、いかがですか。  やっていないところは公表する。こことここの自治体は災害に対する備えができていませんからしっかりやってくださいと、市民の皆さんからもそういうふうに言っていただきたいということで公表すればいいじゃないですか。
  87. 林幹雄

    国務大臣林幹雄君) 消防庁の方で今年、今調査を進めているということでありますので、それを見守りたいと思います。
  88. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 公表するって言いました。公表します、できていないところは。その調査の結果、きちんとできていない自治体については公表すると言って調査を始めればいいんじゃないんですか。
  89. 林幹雄

    国務大臣林幹雄君) 消防庁の方の調査を見た上で消防庁でいろいろ判断するものと承知しています。
  90. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 いや、だから、そういうことは政治家が判断してこうしなさいと方向を示すべきじゃないですか、そういうことは官僚の皆さんには判断できないことじゃないんですかというふうに私は申し上げたいというふうに思います。細かいことは優秀な官僚の皆さんがやっていただければいいんですよ。方向性を示す、そして公表して、とにかく進めるんだというところを督励するのが大臣のお役目ではないでしょうか。  それで、水防団の話等を聞きたかったんですけれども、ちょっと時間がなくなりそうなので少し飛ばして、被災者生活再建支援法被害認定在り方、簡単にお答えいただきたいと思います。  昨年、おかげさまで改正をさせていただきました。そして、この間も金沢へ行ったときに皆さんから本当に感謝をされ、また私の地元でも大変感謝をされております。しかし、その被害認定在り方をもっと変えるべきじゃないか。例えば、段階的にこう階段状にするんじゃなくて、なだらかにカーブを描いて多少なりとも少し支援金が行くようにすべきじゃないかとか、それから特に今回の水害に関しては、地震に比べて水害の被災認定というのが非常に厳しいんじゃないかということが指摘されておりますが、今後の対応策について伺います。
  91. 大森雅夫

    政府参考人大森雅夫君) まず、被災者生活再建支援法の趣旨でございますけれども、これは、自然災害によりまして生活基盤に著しい被害を受けた方に対しまして、都道府県が相互扶助の観点から拠出した基金を活用して支援金を支給するものでございます。こういった考え方に基づきまして、住家のいろいろな被害認定を整理しているところでございます。  なお、今先生御指摘の、地震被害に対しまして浸水被害が不十分ではないのかという御指摘でございますけれども、この問題につきましては、国会での御審議におきまして地震被害に比して浸水被害が不十分という指摘がなされているということは十分承知しているところでございます。また、あわせまして、昨年、被災者生活再建支援法が改正された際に、「支援金支給等の前提となる住宅被害認定については、浸水被害及び地震被害の特性にかんがみ、被害の実態に即して適切な運用が確保されるよう検討を加えること。」との附帯決議もいただいているところでございます。  内閣府といたしましては、この附帯決議の内容やこれまでの指摘を踏まえまして、今年度、被害認定調査、判定方法の見直しも視野に入れまして、学識経験者等により構成する検討会を設置し、検討することにしているところでございます。
  92. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 時間ですので。  本当は最後に緊急地震速報についてお聞きしたかったんです。本当に役に立つのか、デジタル化になって配信がもっと遅れたらどうするのか、それから、これまでに一体累計幾らイニシャルコストが掛かっているのか、その業者の選定方法はどうだったのか。これからまた調べたいと思いますので、それに関する資料を要求させていただいた場合にはしっかりと提供していただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  93. 一川保夫

    委員長一川保夫君) 御苦労さまでした。  午後一時まで休憩いたします。    午後零時十二分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  94. 一川保夫

    委員長一川保夫君) ただいまから災害対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、災害対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  95. 佐藤正久

    佐藤正久君 自由民主党の佐藤正久でございます。  まず最初に、今回の地震あるいは豪雨によりまして不幸にしてお亡くなりになられた方の御冥福、そして被害に遭われた方々に対するお見舞いを心から申し上げたいと思います。  そして、林大臣、御着任おめでとうございます。防災という観点では、備えあれば憂いなしという言葉が非常に大事だと言われます。やっぱり備えを行うためには継続性が大事ですので、次の委員会でも御答弁をしていただくこと、心よりお願いいたします。  今日は、六月十四日に発生しました岩手宮城内陸地震、これに絞って御質問をさせていただきます。  実は、私も同じ東北の福島の出身でありまして、どちらかといえば宮城県沖あるいは三陸沖というものの地震に対する警戒心が非常に強うございまして、今回の被災に遭われた栗原市の方々も、発災当時、いよいよ来たかと思って仙台の方を向いたそうです。そうしたら、自分のところが震源地だったと。そういう形で、どちらかというと海溝型の地震に対する警戒というのは強いんですけれども、今回は内陸の直下型というのが一つの特性があると思います。これは、阪神・淡路大震災とか、あるいは新潟県の中越地震などと同じような内陸の直下型の地震というふうに聞いています。  そこで、林大臣の見解をお伺いしたいと思います。  今回の地震を通じて、今回のは中山間地域と、都市部とは違った形の事前対策、あるいは発災後の対応というもののいろんな教訓、課題が浮き彫りになったと思います。また逆に、中越地震等での教訓というのも結構生かされて、うまくいったという部分も多くあったと思います。大臣の御認識、御見解をお伺いいたします。
  96. 林幹雄

    国務大臣林幹雄君) 岩手宮城内陸地震につきましては、私もついこの間、復旧復興状況視察してきたところでございます。多くの箇所で土砂災害が発生しておりましたし、道路の寸断に伴って集落の孤立あるいは河道の閉塞などが生じたわけでございます。  これに対しまして、先生から御指摘がありましたように、これまでの災害経験を踏まえまして多くのヘリコプターを活用したということで、孤立集落の把握と孤立者の救出活動が円滑に行われたところでございます。また、河道閉塞箇所をスピーディーに掌握をいたしまして、的確な対策工事が行われているというところでございます。  また一方では、固定電話も携帯電話も通じなくて、情報の伝達手段が途絶した地区もあったわけでございまして、衛星携帯電話などの通信手段の確保対策を進めていく必要があるんではないかというふうに思っております。
  97. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。認識はほぼ私と同じかなという印象を持ちました。  私も今回、災害現場の方に二度行かせていただきました。一度は自分、私個人で、あと一度は委員長を始め災害対策委員会の理事の皆様と一緒に行かせていただきました。そのときにいろいろ伺ったときに、今回の原因の一つはやっぱり活断層だという御指摘がありました。活断層について今から質問をさせてもらいます。  阪神・淡路大震災、非常に今でも印象に強いんですけれども、あのときも野島断層というものが、活断層としてこれが原因だと、非常にマスコミでも多く取り上げられて、国民にも、ああ、活断層というものがあるんだということを認識した方も多く、それ以降、地震調査研究推進本部という特別の機関が設置されてそういう調査研究を推進していく体制が取られたと思います。  これまでも、活断層についても主要な百十か所のものについて調査をし、長期の予測を行って、あるいは予測地図を作成するなど防災計画の策定の基礎資料というものを提供したり、あるいは国民の意識の向上というものを図り、この十年余りの間にかなり活断層に対する意識あるいは対策というものは発展したと思っています。  しかしながら、今回の岩手宮城内陸地震、これは活断層として認められていなかった場所での地震ということで、やっぱり活断層といってもなかなか奥が深いなと、難しいもんだなということを改めて認識いたしました。いまだ分かっていない部分というものが結構浮き彫りになったというふうにも思います。このため、今後とも、国としても活断層の調査、これを幅広く実施し、その結果を国民に情報提供するなど、より一層しっかりと地震調査研究をやっていかなければいけないと思います。  そこで、今回の地震を踏まえまして、今後、活断層の調査、これをどのように取り組んでいくのか、政府の見解を聞きたいと思います。
  98. 田中正朗

    政府参考人(田中正朗君) 活断層の調査研究につきましては、先生御指摘のとおり、これまで地震調査研究推進本部の方針に基づきまして、大きな被害をもたらすマグニチュード七以上の地震を起こす可能性の高い長さ二十キロメートル以上の全国の百十の活断層帯の調査及び評価を進めてまいりました。その結果を全国を概観した地震動予測地図として取りまとめまして、被害想定や防災計画の基礎資料に活用されますよう中央防災会議や地方公共団体に提供してきたところでございます。  一方、まさに先生御指摘もございましたように、今回の岩手宮城内陸地震の原因となりました活断層は、これまでの航空写真などによる調査では活断層とは認められていなかったものでございまして、活断層調査の課題が明らかとなったと認識してございます。  現在、地震調査研究推進本部におきましては、平成二十一年度からの十年間の地震調査研究の基本計画の策定を進めております。本年八月に決定いたしました中間報告では、このような課題を受けて、今後推進すべき地震調査研究の基本目標として、第一に沿岸海域やひずみ集中帯に存在する未調査活断層の評価の高度化、第二に短い活断層や地表に現れていない断層で発生する地震の評価の高度化、第三に各種調査及び評価結果を活断層の詳細位置図に記した活断層基本図の作成など、活断層に関する調査研究の強化が掲げられてございます。  このような基本目標の達成に向けまして、今後、内陸部にあります活断層につきましては、航空写真判読の高度化あるいは重力測定などの地球物理学的調査、さらにはトレンチ調査などの地質学的調査などを適宜組み合わせまして、効率的、効果的に実施していく予定でございます。  文部科学省といたしましては、こうした地震調査研究推進本部の方針を受けまして、活断層に関する調査研究をより一層推進いたしますとともに、これらの研究成果を確実かつ迅速に国民の方々に発信することによりまして、地震による被害を最小限に抑えるなど地震防災対策に積極的に寄与してまいりたいと考えております。
  99. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  今説明がありましたように、やっぱりこれからも活断層の調査というのは幅広く、表面に出ていないところあるいはそれ以外のところも精力的にやっていただきたいと思います。と同時に、やはり今分かっている活断層の上にいないから自分は大丈夫だということも今回の地震の結果を受けてそれはいけないと、備えあれば憂いなしと、日ごろからいろんな形で、いつ自分の身に降りかかるかもしれないという感覚で住民の方も対応しないといけない、あるいは自治体の方もそういう形で意識を啓蒙していかないといけないと、両方からのアプローチが必要だと思います。よろしくお願いします。  次に、孤立集落対応についてお伺いいたします。  先ほど大臣からも、今回、孤立集落というものが一つの特性があって、それに応じてヘリコプターの運用もしたと、いろいろ答弁がございました。  二〇〇五年に内閣府が行った全国調査では、地震などの災害で孤立するおそれがある中山間地域の集落が約一万七千五百か所ぐらいあると。しかしながら、衛星携帯電話や防災無線を備えている集落は約二%だと。水や食料の備蓄があるとしたのも四ないし六%だというふうな情報もございます。  実際、今回の地震において孤立した集落、これは宮城栗原市で四か所、岩手県の一関市で三か所、計七か所と伺っておりますが、この七か所というのは、前回調査されたその孤立する可能性がある集落という中に入っていたのか入っていないのか、今後また更に調査をする予定があるのか、この辺について御答弁をお願いいたします。
  100. 大森雅夫

    政府参考人大森雅夫君) お答えを申し上げます。  平成十七年の八月に内閣府が都道府県に対するアンケートを実施しておりますが、このアンケート結果によりますと、孤立可能性のある農業集落が約一万七千集落、漁業集落が約千八百存在するということでございます。  今回の岩手宮城内陸地震でございますけれども、我々県から伺っているところによりますと、孤立した集落は六というふうに伺っております。この六集落でございますけれども、我々が平成十七年に調査をしていた孤立可能性のある集落として入っていたものはそのうち二つでございまして、四つは入っておりませんでした。その理由は、例えば避難経路が複数あるということでそれらがすべて損壊するとは思えなかったというようなことで、当時は孤立集落には入っていないということで調査として上がってきたというように考えられます。  今後調査をどうするかということでございますが、先生御指摘のように、中山間地域の問題、非常に大きな問題でございます。これらについては、我々としては、調査について二十一年度の予算でも今要望すべく概算要求も行っているところでございまして、そういう中でいろいろと検討をさせていただきたいというように思っております。
  101. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  是非やっぱり調査をやって対応を取っていただきたいと。午前中の委員からの質問の中にも、やっぱり想定内というものをどんどん広げていって想定外を小さくしないといけないという御指摘がございました。まさに、調査をやって孤立する可能性がある集落というものをあぶり出していくということが事後の備えにつながっていくと思います。どうぞよろしくお願いします。  次に、その孤立する集落から被災民を救助あるいはその情報収集する際にヘリコプターが非常に活躍されたと大臣からの答弁にもありました。今回私が現地で聞いた話としても、特に宮城県の方では、地震発災後のほぼ二時間後にヘリコプター運航調整会議なるものを開催し、宮城県と仙台市、警察、自衛隊、海上保安庁、航空局の連絡員が集合して、その役割分担と運航に関する調整に当たったと。実際はそのぐらいのヘリコプターが一挙に集まってくるということだと思います。  総務省の消防庁からは、発災後の四十分後から出動の要請を開始をしたと、当日は十三機のヘリコプターを送り込んだという話も聞きましたけれども、二〇〇四年の中越地震では、消防の場合は、地震発生の翌日から、次の日からヘリコプターの動員を掛けたためにどうしても対応は後手後手に回ってしまったという教訓を踏まえて、今回初動が早かったというふうにも聞いています。  実際に、孤立した住民や観光客というものを、宮城では約五百人、岩手では約二百五十人ヘリコプターで救出したという情報もあります。しかしながら、中山間地域という特性もございまして、ヘリの駐機場、ヘリポートがある集落というのは非常に少なく、また夜間出動がいつでも可能な、そういう体制を取っている防災機関というのは非常にまだ限定されていると。消防の防災ヘリも、夜間となりますと仙台、埼玉、東京、この三つしかまだ夜間のすぐの出動態勢は取れていないという情報もあります。やっぱり初動というのが非常に大事だと言われます。  今回の岩手宮城内陸地震における発災当日と翌日のヘリコプターの運用の実態、今後の課題をどのように認識しておられるのか、御答弁願いたいと思います。
  102. 大森雅夫

    政府参考人大森雅夫君) まず、ヘリコプターの利用でございますが、先ほど大臣からもお話ありましたように、孤立集落対応において極めて有効なものというように認識をしております。今回の地震におきましても、自衛隊、消防、警察、海上保安庁等のヘリコプターが発災直後から出動し、孤立地域からの住民救出などを行ったところでございます。  今回のヘリの運用でございますけれども、先生からも御指摘ありましたが、岩手宮城両県とも発災直後に、それぞれの県庁内にヘリコプター運用を調整する組織を設置いたしまして、救援現場に派遣するヘリの運用調整を行ったところでございます。実際の救援現場に派遣されましたヘリは、共通の無線周波数を活用し、救援ヘリ相互の通信を確保するとともに、各地域を担当する自衛隊や県の管制部隊の統制により円滑な救援活動を行ったというように認識をしているところでございます。  先生御質問発災当日及び翌日の運用状況でございますが、まず六月十四日、発災当日と翌日、共に約百機のヘリコプター及び航空機が出動して各種の救援活動を行い、五百二十二名の被災者を救出したところでございます。今回のヘリ運用は全般としておおむね円滑に実施できたものと認識しておりますが、応援のため両県に移動してくる多くの防災ヘリが当初花巻空港において燃料の補給を行ったため、一時的に燃料給油体制に不備が生ずるといった課題も見受けられました。  我々としては、今後とも関係各省と連携し、課題を修正、改善することによって、より良い救援活動ができるよう努めてまいりたいと考えております。
  103. 佐藤正久

    佐藤正久君 私の指摘の中で一点強調したいのは、やはりヘリコプター運用の初動において、今回みたいに明るいときであればいいんですけれども、やはり夜間というものもあろうかと思います。新潟の中越地震のときはもうすぐ暗くなるという段階での発災でした。そういう関係で、今後とも夜間あるいは霧等の視度不良時における対応をどうするんだと。そういう面では、計器飛行の対応というものを整備するとか、あるいはヘリポートの方の整備する際に夜間でもライトオンができるようなものにするとか、いろんな対策が必要だと思います。それについて御見解をお伺いしたいと思います。
  104. 大森雅夫

    政府参考人大森雅夫君) ヘリの夜間飛行の問題、また中山間地域の問題につきましては、我々、平成十七年のアンケート調査の中でも、それぞれやはり孤立の可能性のある集落にヘリが発着できるところが少ないというような実態もございます。そういった点につきましては、やはり改善すべくいろいろと努力をしていかなければならないというように思っておりまして、関係省庁多くございますけれども、一体となって整備をしてまいりたいというように考えております。
  105. 佐藤正久

    佐藤正久君 よろしくお願いします。  そして、今回、ヘリコプターの運用の特性の一つに、復旧という観点で重機をヘリコプターで運んだというものがございます。道路が寸断されたために地上から建設機材を運搬することができないということで、これは自衛隊のCH47という中型のヘリコプターで小型ドーザー、小型ショベルを一応運んだと、これで復旧というものもスムーズに進んだという教訓もあったと思います。ただし、現在の能力では約七トンの重量のものしか運べないという今制約がございます。万が一、中型の油圧ショベルみたいなものを運ぶことができたら、駒ノ湯等での救助という部分についても、あるいはせき止め湖の対応でもまたもっとスピーディーにできた可能性もあると私は思っています。  そこで、防衛省の方にお伺いします。  今後、防災というものは当然ですけれども、国土防衛あるいは国際貢献というものを考えても、もう少し重たいものを運べるように、今持っているCH47、これのエンジンの出力アップ、あるいは機体のフレーム強度の強化、つり下げ用機材、フックとかスリングベルトの能力向上を検討すべきだと私は思っています。  現在、七十機のCH47が防衛省は持っていると思いますけれども、国際貢献用に数機エンジンの出力をアップするとかそういう改造をすると、これはもう当然大事ですけれども、それ以外にもまだいっぱいあるわけですから、何機かはこういう重機を運べるように改良するという部分も国民の安全を救うんだという観点からは重要な着眼ではないかと思います。  今後、そういう検討の方向性について御見解をお伺いしたいと思います。
  106. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) お答えを申し上げます。  防衛省・自衛隊といたしましても、今回のような地震災害の場合に救援活動を行うために、ドーザーでありますとか油圧ショベルなどの施設機材が大変重要な役割を果たしたというふうに考えておりますが、他方におきまして、道路の寸断等のために施設機材を地上から被災地に輸送できないということでございましたので、比較的小型の施設機材をCH47につり下げて輸送をして救援活動を行ったわけでございます。  それで、先生今CH47のエンジンの能力向上についての御指摘ございましたけれども、防衛省の二十一年度の概算要求の中におきましては、国内外を問わず多様な環境の下での活動を可能とするためにCH47用のエンジンの能力を向上させる事業を盛り込んでおりますけれども、これは標高が高い地域あるいは温度の高い地域におきまして輸送力を維持するために実施をするものでございます。  他方で、御指摘のような重機の運搬のための機体のフレームの強化その他の問題につきましては、改修期間の問題でありますとか、あるいは費用対効果といったような問題もございますけれども、この災害派遣を始めといたしまして、自衛隊の活動上、実際に重機の運搬ということは大変重要な問題であるというふうに我々も考えておりますので、現時点で具体的なことをなかなか申し上げられる状況にはございませんけれども、今後十分に検討をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  107. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  今、国内ではやっぱり自衛隊のCH47しかありませんので、これは国土交通省なんかもっと大きな大型のヘリを持つんであればまた別でしょうけれども、当面の対応としては自衛隊しか対応手段がありませんので、御検討をよろしくお願いしたいと思います。  次に、孤立地域における通信連絡手段というものについてお伺いいたします。  当然、通信の確保というのは重要だと、これはだれでも分かっていますけれども、なかなかそれが実態となると整備というものにはやっぱり時間が掛かるという側面もあろうかと思います。一般に中山間地域、先ほど大臣の答弁にもありましたように、携帯電話通じないというところもあったという今回御指摘もございます。  今回の災害場所の栗駒山というのは実は国定公園でございまして、春夏秋と登山者も多い。そういう中で、携帯電話における通信の確保というのはやっぱり人の命にかかわる重大な問題だというふうに思います。そういうためにも、災害救助という観点や遭難という観点でもアンテナ網の拡充というのはこれは当然大事なわけで、特にそういう登山者が多いようなところ、あるいはそういう中山間地域というものはやっぱり早急に整備というものを進めていただきたいなと思います。  今回、孤立する集落をある程度調査をしているわけで、今後ともするというのであれば、そういう孤立する集落あるいは登山者が多いような国立公園というものをカバーするような携帯電話の不感地帯の絶無、あるいは衛星携帯電話あるいは防災無線というものをどんどん進めていくべきだというふうに思います。  今回の被災地におけます衛星携帯電話、防災無線の設置状況、それと携帯電話の不感地帯、それはどのぐらいあったのか、それについて御答弁をお願いいたします。
  108. 吉田靖

    政府参考人(吉田靖君) お答え申し上げます。  携帯電話は、先生御指摘のように、国民生活の様々な場面で活用されておりまして、災害用伝言板による安否確認など、災害時における国民の安全、安心を確保する手段としても重要なものと認識いたしております。  そのため、総務省といたしましても、山間地など一般的にエリア整備が困難な地域に対します支援を実施いたしまして、サービスが提供されていない地域の解消に取り組んでいるところでございます。  先生お尋ねの今回の地震被災地に関してでございますが、今回の被災地山間部に広く及んでいることもございまして、携帯電話のサービスが提供されていない地域も確かに存在したわけでございます。ただし、例えば今御指摘ございましたくりこま高原温泉あるいは温湯温泉などはサービスの提供地域内であったというふうに承知しております。また、祭畤地区あるいは真湯地区などにつきましても、今年度後半のサービス開始を目指して今準備が進められているというふうに承知いたしております。このように、今現在、順次サービスのエリア整備が進められているところであると考えておるところでございます。  また、次に御質問がございました防災行政無線につきましては、震度五強以上を記録いたしましたすべての市町村において整備がなされておりまして、住民への情報伝達等に活用されたというふうに理解いたしております。  最後になりますが、衛星携帯電話につきましては、地震発生後に通信事業者から避難所市役所自衛隊等に対しまして合計八十七台の衛星携帯電話が貸与されまして、安否確認、救援、復興活動等に活用されたというふうに承知いたしているところでございます。  今後とも、災害時の通信手段の確保に向けまして、地方公共団体あるいは通信事業者等とも協力いたしましてしっかり対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  109. 佐藤正久

    佐藤正久君 是非ともスピードアップをして、特に観光客が安心して登山、あるいはそういう国立公園の方で楽しめるという状況をつくっていただきたいというふうに思います。  次に、今回の一つの特性としまして、災害土砂災害が多かったという特性があったと思います。実際、被災現場に行きますと、昔、家の後ろが石切り場だったというところで石がごろんと家のそばに落ちているというところもございました。土砂災害防止法におきましては、土砂災害特別警戒区域とか急傾斜地崩壊危険箇所といった指定箇所の制度があるというふうに認識しております。しかしながら、一般論からいいますと、夏季のみ営業するような宿泊施設とか観光名所などではこの種の指定の対象外となっているというところも多いというふうに聞いています。  では、実際、今回、観光地というところもありましたけれども、今回の災害地域、これは土砂災害防止法に基づいて何らかの指定や措置がとられていた地域なのか、またそうではないのか。また、今回の地震を受けて、危険を警告、対処するため今後何らかのそういう警戒区域等の指定がなされるのか、この状況をお伺いしたいと思います。
  110. 甲村謙友

    政府参考人(甲村謙友君) 今回の地震による主な被災地でございます岩手一関市、宮城栗原市における土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒危険区域等の指定状況でございますが、地震が起こる前まで一関市で三十二か所、栗原市で二十七か所が指定されておりまして、その指定を行った地域については、ハザードマップによる住民への周知等、警戒避難体制の強化が図られてきたところでございます。  また、今回発生した地震によりまして、被災地における斜面が不安定となり土砂災害のおそれが高まっていることから、国土交通省のテックフォースと近隣県の職員から成る土砂災害危険箇所点検緊急支援チームによりまして約二千八百か所の点検を行った結果、二十か所について特に危険性が高いと判断され、両県及び関係市町村におきまして直ちに応急対策、避難措置等がとられたところでございます。これらの箇所につきまして、両県におきまして、土砂災害警戒区域に指定するために早急に基礎調査等を実施しているところでございます。  国土交通省といたしましても、今後とも土砂災害から地域の安全の確保をするために迅速な土砂災害警戒区域等の指定について支援してまいりたいと考えております。
  111. 佐藤正久

    佐藤正久君 これは、警戒区域を設定し注意喚起をするというのは、備えあれば憂いなしの観点から非常に大事だと思っております。  この四十年ほどの自然災害における死者の占める土砂災害の割合というのは四四%というデータもございます。また、住宅が五軒以上ある危険箇所は全国でおよそ二十一万四千三百か所に上るという情報もありますので、土砂災害の危険があるところにまだまだ多くの住民の方が住んでおられるという実態があると思います。  そういうリスク評価というものをやはりこれは行政の方がしっかりとサービスとして提供し、住民に注意喚起をするとともに、いろんな対策を取っていかないといけないと。これは非常に、国土交通省を主体とする関係機関の役割というのは私非常に大きいと思います。そこが最初の今回の防災あるいは減災の出発点ではないかなと。土砂災害における死者が約四四%、結構多いわけですから、しっかりと対応お願いしたいと思います。  次に、この土砂災害発災後の対応についてお伺いいたします。  今回、土砂災害の中でも、せき止め湖とかあるいは斜面の崩落、道路の破壊等々多くあったわけですけれども、その原因の一つに、地質が非常にもろい火山性の堆積物であったということも言われております。しかしながら、私感ですけれども、今回は対応が非常に初動はスムーズだったんではないかなと思います。  結果として、せき止め湖の排水というものを非常に皆さん一生懸命やっていただいたおかげで比較的うまくいって、そのダムの崩壊というものもなかったと思っております。被害というのはある程度局限できたというふうに認識しておりますが、政府の評価というものをお伺いしたいと思います。
  112. 甲村謙友

    政府参考人(甲村謙友君) せき止め湖等の土砂災害対応でございます。  国土交通省では、地震発生直後から、ヘリコプター等による調査を行いまして、十五か所の河道閉塞、せき止め湖を確認いたしまして、このうち決壊などのおそれが高い九か所につきまして、岩手宮城両県知事からの要請を受けまして、発災三日後の六月十七日には決壊防止対策に着手いたしました。これらの箇所のうち特に緊急性の高い三か所については、六月二十七日までに仮排水路の設置を完了いたしまして、残りの箇所につきましては、現在、土石流センサー等による監視を行いつつ、排水路の設置等の工事を鋭意進めているところでございます。  せき止め湖の崩壊防止の工事の実施に当たりましては、自衛隊等の協力を得まして、無人化施工機械や高性能の排水ポンプをヘリコプター等を活用して速やかに被災地に投入することなどにより、越水被害、決壊被害を現在のところ防ぐことができておりますが、今後、大雨が降ったときの流量の増加、それに伴う警戒避難体制の着実な整備と併せまして、今後とも抜本対策に向けて対策工事の促進を図ってまいりたいと思います。  国土交通省といたしましては、対策工事の促進、さらには警戒避難体制の充実によりまして、被災地における一日も早い復興住民方々の安全、安心の確保を図ってまいりたいと考えております。
  113. 佐藤正久

    佐藤正久君 これまで、中山間地域の特性と言われる孤立集落の問題、あるいはヘリコプターの運用の問題、あるいは通信連絡の問題、あるいは土砂災害対応の問題等々、やはり都市部とはまた違った観点がいろいろあると思います。引き続き中山間地域に住む方々、特にお年寄りの独り暮らしの方も多いという場所も多くありますので、そういうきめ細かな視点で対応お願いしたいなと思います。  次に、緊急地震速報というものについてお伺いいたします。  今回の岩手宮城内陸地震では三回目の実運用だったというふうに認識しております。今回は、震源地から約七十キロとか八十キロぐらい離れた仙台付近では地震の発生後約十五秒後に速報が流れて、それからまた更に十五秒辺り過ぎたぐらいで実際揺れが来たと。その十五秒間の間にいろいろと対応ができた人もいたと。高いところに上っていたけれどもすぐ下りたとか、あるいは机の下に入ろうとした人がいたと。やっぱり十五秒でも結構大きな効果があったんではないかなと思います。  ただし、まだまだ課題というのは恐らくあろうかと思います。一つは緊急地震速報自体をまだまだ知らない住民の方もおられると思いますし、また住民方々が伝達、活用する手段というものも整備をこれからやる部分はいっぱいあると思います。当然、テレビ、ラジオ、防災無線というものもあろうかと思いますけれども、緊急地震速報の今後の整備する課題あるいは今回の評価というものについて政府の見解をお伺いしたいと思います。
  114. 平木哲

    政府参考人(平木哲君) お答え申し上げます。  本年六月十四日に発生しました岩手宮城内陸地震におきまして、地震検知後約四秒後に警報であるところの緊急地震速報をテレビ、ラジオなどによりまして発表いたしました。  気象庁は、本地震における緊急地震速報の活用状況につきまして自治体や各種事業者へ聞き取り調査を行いました。その結果、現在のところ御回答いただきました四十八機関中二十七機関では、強い揺れが来る前に緊急地震速報を受信することができたというふうに御回答いただいております。そしてまた、震源近傍の岩手県奥州市や宮城栗原市では強い揺れには間に合わなかったものでございますが、震度四を観測した秋田市では、緊急地震速報を聞かれました家庭において、テーブルの下に隠れ身の安全を確保したなどの報道もなされております。  今後とも、緊急地震速報の有効性と技術的限界を御理解いただきまして、また緊急地震速報を受け取ってから強い揺れが到達するまでの余裕時間にどのように避難行動をしていただくかといったその活用方法につきまして広く理解いただくため、緊急地震速報を用いた防災訓練の実施や、出前講座、防災気象講演会など、様々な機会をとらえて関係省庁と連携し、より一層の周知広報に努めてまいります。
  115. 佐藤正久

    佐藤正久君 今後とも……
  116. 一川保夫

    委員長一川保夫君) ちょっと待ってください。答弁もう一人。久保田審議官
  117. 久保田誠之

    政府参考人久保田誠之君) テレビ、ラジオの活用につきましてお答え申し上げます。  テレビ、ラジオでの緊急地震速報につきましては、地震被害の軽減に大変役立つということで、総務省といたしましては放送事業者の積極的な取組を期待しているところでございます。  放送事業者の実施状況につきまして、NHKでは平成十九年十月一日からすべての放送波で実施しているところでございます。また、民放事業者につきましては、NHKと同様、昨年の十月一日から在京キー局など百十一社で開始をいたしまして、現時点におきましては、テレビ、全国で百二十七社ございますが、そのうちの百二十二社で実施をしております。また、中波ラジオにつきましては、全国四十七社中三十三社が実施をしております。また、FMラジオにつきましては、全国五十三社中二十五社で実施をしているところでございます。  なお、システムにつきまして付言をしたいと思いますけれども、緊急地震速報の放送に当たりましては、その情報を放送中の番組に自動又は手動で割り込ませるということが必要でございます。放送局側でこの切替えシステムの整備が必要となるわけでございます。NHKにおきましては、昨年の開始時点ですべて自動化されたシステムが導入されているところでございます。一方、民放事業者につきましては、設備、費用などの点から手動のシステムで運用を開始している社もありますけれども、各社の設備改修計画に合わせまして順次自動化をされてきているところでございます。
  118. 佐藤正久

    佐藤正久君 今後とも速報の精度を高める努力は引き続きお願いしたいと思います。と同時に、一人でも多くの住民に警報を知ってもらうシステムというのが非常に大事だと思います。今言われましたテレビ、ラジオ、非常に有効でございます。まだ、NHKはいいんですけれども、民間事業者の方で手動であると。手動であったらば速報という意味では、そこで、今回、緊急地震速報という観点ではやっぱり問題があろうかと思います。自動ですぐさっといかないと、そこに、間に人間の作業が入ってしまったら、地震が来てから速報が流れてしまう、範囲がどんどん広がってしまうということもありますので、今後ともしっかりと粘り強く交渉等をしていただいて、整備の促進をよろしくお願いしたいと思います。  続きまして、今回の地震におきましては県外から多くの救援機関が現地の方に入りました。それの活動状況等についてお伺いしたいと思います。  今回、国土交通省からは、今年度から整備をされました緊急災害対策派遣隊、テックフォースというものが現地の方に派遣をされ、活動をされ、評価も高かったという話も聞いております。テックフォースの活動の評価と今後の課題というものをお伺いしたいと思います。
  119. 甲村謙友

    政府参考人(甲村謙友君) お答え申し上げます。  テックフォースは、大規模自然災害における被災状況の迅速な把握や被災地の早期復旧に関しまして、地方公共団体等に対して技術的支援を円滑かつ迅速に実施するため、今年の五月に設けられました。先般の岩手宮城内陸地震では、災害対策用ヘリコプターによる発災直後からの上空からの調査を始め、被災状況の緊急調査土砂災害道路等所管施設の被災状況調査、応急復旧のための技術指導などに本省、地方整備局、地方運輸局、気象庁、国土地理院などから延べ千四百九十九名の隊員を派遣いたしました。その結果、せき止め湖の早期発見、迅速な施設被害の把握や応急復旧が図られ、被害の拡大や二次災害の防止を図ることができたと考えております。  一方、今回の活動を通じまして、山間部の通信環境の悪い地域で活動する際に、隊員相互の連絡や調査結果の迅速な報告が困難であるというようなことが分かっております。  そこで、今後、情報収集、伝達のための装備の充実、また、今年の五月発足したばかりでございますので、更なる研修、訓練を行いまして、テックフォースの活動体制の強化に取り組みますとともに、被災した箇所において緊急対応が求められるような箇所につきまして、すぐに対応できるような資機材、予算等の強化を図ってまいりたいと考えております。
  120. 佐藤正久

    佐藤正久君 是非とも強化する方向で検討をお願いしたいと思います。  また、今回も、警察の方からも広域緊急援助隊が現地の方に入られて活動されておりました。これの評価と今後の課題についてお伺いしたいと思います。
  121. 石井隆之

    政府参考人(石井隆之君) 今回の地震の発生に際しましては、十六都道府県警察から約三百四十人の広域緊急援助隊を被災地に派遣をし、救出、救助等災害警備活動に当たりました。同部隊は、発生当日の六月十四日から二十一日までの間、現地で活動し、一関市でヘリコプターにより孤立者を救助したほか、土石流により旅館が倒壊した宮城栗原市の駒ノ湯温泉や土砂崩落現場等で行方不明者の捜索等を実施するなど、困難な現場での活動を重点的に行い、地元岩手宮城両県警察の災害警備活動に寄与したところでございます。  今回の地震では、土砂崩れ等により陸路が遮断されたため資材車等が入れず、帯同する装備資機材が制約されるなどの課題が把握されたところでございます。  今後とも、実践的な訓練や装備資機材の充実等により広域緊急援助隊の対処能力の向上を図り、あらゆる災害対応できる体制の確立に努めてまいりたいと考えております。
  122. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  次に、災害派遣医療チーム、DMATの活動の評価、課題をお伺いしたいと思います。
  123. 榮畑潤

    政府参考人榮畑潤君) 今回の六月十四日の地震におきましては、十二都県から三十一病院三十六チームの災害派遣医療チームが出動したところでございまして、被災者方々の健康チェック等の活動とか、ドクターヘリを使っての患者さんを医療機関に搬送すること等、災害医療に貢献したところでございます。  一方、今回の地震では、患者を搬送する際に救護活動全体の指揮を執る県の災害対策本部とこの災害医療チームとの情報の共有に若干戸惑った結果、到着に時間が掛かるなど、県の災害対策本部との連携が必ずしもスムーズでなかったという点もあったところでございます。  厚生労働省といたしましては、この災害医療チームの効率的な働きが更に一層進められるよう、去る七月二十八日から二十九日にかけまして、各都道府県の災害医療対策の担当者に対しまして、災害発生時の都道府県の役割等につきまして実際の地震を想定したシミュレーション研修を実施したところでございます。  今後とも、災害発生時の災害医療チームの迅速な派遣とか効率的な活動ができることに関しまして、なお一層の体制整備を進めてまいりたいと思っておるところでございます。  以上でございます。
  124. 佐藤正久

    佐藤正久君 さらに、消防からは緊急消防援助隊が派遣されました。その活動の評価、課題をお願いいたします。
  125. 幸田雅治

    政府参考人(幸田雅治君) お答えいたします。  六月十四日に岩手知事宮城知事の応援要請を受けまして、消防庁長官から十七都府県に対して緊急消防援助隊の出動を要請いたしまして、六月十九日までの六日間で最大二百四隊八百二十五名が出動いたしまして、岩手一関市、奥州市及び宮城栗原市の山間地域中心に迅速な孤立者の救出、行方不明者の検索等を行いまして、百五十六名を救出したところでございます。  今回の地震岩手宮城の二県にまたがって被害が生じたという中で、緊急消防援助隊の動態情報システム、これは、消防庁におきまして複数県の緊急消防援助隊の車両位置をリアルタイムで電子地図上に一覧をできて、それを基に必要な指示をするシステムでございますけれども、これを活用いたしまして岩手県と宮城県に設置された緊急消防援助隊調整本部と消防庁が緊密に連携をいたしまして、奥州市に向けて出動した山形県隊、埼玉県隊、千葉県隊を出動の途中で栗原市に迅速に投入するなど、戦略的、効率的な部隊配備ができたものと評価しているところでございます。  今後の課題といたしましては、その後発生いたしました岩手沿岸北部震源とする地震などの教訓も踏まえまして、活動が長期にわたることを想定した燃料補給体制などの後方支援体制の充実、被害状況や消防部隊の活動状況の映像情報の早期収集体制の充実、ヘリコプターの夜間運航体制の充実などが課題と認識しているところでございまして、これらの課題の解決に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
  126. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございました。  緊急災害対策派遣隊、広域緊急援助隊、緊急消防援助隊災害派遣医療チーム、覚えるだけでも非常に大変だと思います。いろんなやっぱり機関の部隊が現地の方に入る。県の司令部あるいは栗原市の指揮所に行っても、相当多くの機関が一か所で動いている。そこが連携しなければ、統合しなければ結果はうまくいかないわけでありまして、と同時に、やはり内閣府の方の指揮所の方も同じように体制を強化していかなければしっかりとたて糸がうまくできない。実際、内閣府の担当の方も、非常に多くて大変だということも昨日言われておりました。今後とも、そういう指揮の体制というものをまた更に整備していっていただきたいということをお願いし、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  127. 西田実仁

    西田仁君 公明党の西田実仁でございます。  まず初めに、私からも、今回の地震及び大雨によって犠牲になられた方々に対しまして御冥福をお祈り申し上げたい、そして被災された方々に対しましても心よりお見舞い申し上げたいと思います。  今日は、まず初めに、八月末豪雨の件につきましてお聞きしたいと思います。  私の地元は埼玉でございますけれども、埼玉の中でも今回の豪雨で大変に大きな被害が一番あったのは春日部市でございました。この春日部市では、床上浸水四十三棟、また床下で千二百十九、冠水道路は十五と、こういう被害に遭ったわけであります。  しかし、この春日部市は、御存じのとおり、一昨年の六月に国の直轄事業として首都圏の外郭放水路という大変巨大な放水路が既にでき上がっておりまして、その後こうした浸水被害というものは大変に少なくなったというふうに地元では喜んでいたわけでありますが、今回の集中豪雨におきましては再びこうした被害に遭ってしまったわけであります。  この首都圏外郭放水路、今回も東京ドームで七杯分の水処理を行ったわけでありますけれども、それでも間に合わず浸水被害になってしまったと。こうした大変に巨大な放水路があったにもかかわらずこうした被害になってしまったということで、地元でも大変に今後について心配をしているということでございます。  なぜこれだけの首都圏外郭放水路、一昨年にできたばかりですので、決して集中豪雨、局地的な集中豪雨は今年初めて起きたわけではありませんので、そういう背景の下ででき上がった放水路があったにもかかわらず今回こうした被害になってしまったのか、その辺の要因等をどう分析されているのか、お聞きしたいと思います。
  128. 甲村謙友

    政府参考人(甲村謙友君) 八月末の豪雨によります春日部市内の浸水被害と今後の対応についてでございます。  この春日部市でございますが、中川流域の中心部に当たりまして、非常に低い土地で、従前から浸水常襲地帯であったわけでございますが、抜本的対策として首都圏外郭放水路を整備いたしまして、平成十四年六月から部分通水を開始しているところでございます。  今回の浸水までは浸水被害、激減しておったわけでございますが、今回の雨を見ますと、春日部市で時間雨量九十三ミリ等を記録しております。その豪雨を受けまして、首都圏外郭放水路では、議員御指摘のように、約一千百七十万立方メートルを江戸川に排水したわけでございますけれども、首都圏外郭放水路に雨が到達するまでの間に道路の側溝だとか下水管がのみ切れなくて、それがあふれて市内が浸水したと春日部市から聞いております。  今後の対応でございますけれども、河川の改修を進めるとともに、下水道整備、それから流域での貯留浸透の事業を進めまして、降った雨が各地被害なくためられる、さらにはスムーズに首都圏外郭放水路まで到達して江戸川にはけると、そういうことを進めてまいりたいと考えております。
  129. 西田実仁

    西田仁君 やはり、今御指摘いただいたとおり、地域全体で雨水をゆっくり流していくという仕組みに全体として変えていかないと大変なことになるというふうに私も思うわけでありまして、先ほどどなたかの御質問でもございましたが、雨水の貯留浸透施設ということを、河川改修事業というのが一番まずやらなきゃならない、ここでも、会之堀川でしたっけ、まだ改修工事が途中のものもございますけれども、それと並行して雨水の貯留浸透施設をしっかり整備していくということが大事ではないかと思うんですね。その中で特に、市民みんなが取り組むことができる雨水の貯留あるいは浸透利用を段階的に進めていくということが、トータルでコストも安上がりで、しかもこうした被害を少しでも減らすことができることにつながるんではないかと、こういうふうに思います。  これは個人レベルでも設置が可能なわけでありまして、先ほど御指摘があったように新築・増築時に施設設置を義務付けている自治体もあり、そこに対して国も支援をしているということがお話ありました。しかし、これは今二十年度で四十市町村と先ほどおっしゃったでしょうか、まだまだ整備が進んでいない。こうした貯留浸透施設を個人レベルでもしっかりと設置をしていく、こういうふうにしていく必要があると思っておりまして、であればやはりここは、自治体で手を挙げたところに国が併せて補助をするということの仕組みですけれども、国の支援をもっと厚くしてこうした貯留浸透施設を、比較的安価に個人レベルでも設置できるということでありますので、これを促していくということも必要ではないかと、こう思いますけれども、いかがでございましょうか。
  130. 甲村謙友

    政府参考人(甲村謙友君) お答え申し上げます。  以前にも委員から御質問をいただいたかと思います。  昔は、都市化が進みますと雨が地中に浸透しなくなって洪水を起こすということで、河川の改修と併せて流域での貯留浸透を行うということを総合治水としてやってきてまいりました。昨今の状況を見ますと、今度は逆に、都市化は余り進んでおりませんけれども、雨が、ゲリラ豪雨がどっと降ってくるということで、それに対して対策をどうするかといいますと、やはり河川の改修を進めるということと併せて流域での貯留浸透、これが都市だけではなく全国的に必要になってくると考えております。  それで、流域での貯留浸透の制度でございますが、公共団体がなされる公園等の貯留につきましては補助制度もございますし、また各戸の貯留は、午前中お答えしたように下水道の方で補助する制度もございます。ただし、先ほど申しましたように、今後は局地的豪雨等を考えますと全国的にそういうのが必要となると考えておりますので、そういう流域での貯留浸透を更に促進できるような仕組みを考えてまいりたいと考えております。
  131. 西田実仁

    西田仁君 是非、その際には、先ほど私が申し上げた個人レベルでも設置が可能なこの貯留浸透施設に対する国からの支援ということも厚くすることで、そもそも生活用水は上水道で排水が下水道という中で、雨水をためて利用しようというような意識がまだまだ足りないし、また雨水浸透施設そのものに対する関心度も一般住民の間ではなかなかまだまだ低いと思いますので、そうした意識を喚起するためにも国からの支援というものもまた必要になってくるんではないかというふうに私自身は思っております。  同時に、この八月末豪雨で、鷲宮町というところが埼玉にございまして、ここも大変な雨量で、床上浸水床下浸水被害、また道路冠水も大変大きくございました。この地域は春日部とも似ておりますけれども、大変に低地ということもあります。また、都市化の影響もありまして、この浸水・冠水対策は長年の課題になっております。  特に地元で言っているのはやはり河川の改修、特に県管ですけれども一級河川の青毛堀川というのがありまして、この改修整備というのがどうしても必要だと、こういう声が多うございました。この事業自体は昭和五十五年から始まっているということで、もう三十年近くたっていますけれどもいまだにでき上がっておりませんで、橋がたくさんあるということも影響しているのか、なかなかこの改修工事が進まない。そういう間にこうした気象の変動ということもありまして、被害が大変に大きくなっております。  河川改修ということはお金も掛かるので大変なことはよく分かりますけれども、しかし、かといってそのままにしておけばこうしたゲリラ豪雨が今後も襲ってきたときに常におびえていなきゃいけないということにもなってしまうわけでありまして、こうしたことを防ぐために、減災のための代替対策というのは何かお考えがあるんでしょうか、お聞きしたいと思います。
  132. 甲村謙友

    政府参考人(甲村謙友君) お答え申し上げます。  鷲宮町を流れる青毛堀川でございます。委員御指摘のように昭和五十五年度から着手しておりまして、延長六・三キロを改修する予定でございますが、現在まで下流から約二・二キロしかできておりません。その促進のネックとなっておりますのは、区間に二十の橋梁がございまして、その架け替えにいろいろ調整を要するということでございます。それではなかなか効果が発揮されないということで、昭和六十三年から改修計画の六・三キロの更に上流に花崎遊水地というのを整備に着手いたしました。今回の雨でその花崎遊水地、ほぼ完成状態にありまして、約九十万立方メートルの水をためたということでございます。  そのために、青毛堀川からは今回の洪水では水はあふれておりませんが、先ほどの春日部市と同様の状況で、川に入る前に道路の側溝だとか土地の低いところで水がたまっているというような状況でございました。  今後の対策でございますけれども、そういう雨水の貯留浸透、さらには低いところからの内水排除施設の整備等を鷲宮町と埼玉県と連携して推進していくと聞いております。
  133. 西田実仁

    西田仁君 花崎多目的遊水地のお話がございました。これができ上がることによって、そうすると今後こうしたゲリラ的な豪雨が襲ったとき、再び襲ったときも被害は少なくなると、こう考えてよろしいんでしょうか。
  134. 甲村謙友

    政府参考人(甲村謙友君) 花崎多目的遊水地で効果がございます。それは川からあふれないようにする効果でございます。それとともに、川に入る前にあふれてしまう内水ですね、それにつきましては、流域での貯留浸透、それから下水道等の内水排除、それも併せて必要と考えております。
  135. 西田実仁

    西田仁君 次に、中央防災会議が先般発表しました試算につきましてお聞きしたいと思います。  専門調査会で先ごろ発表されました資料によりますと、超大型台風で荒川が決壊した場合には死者が最悪三千五百人になると。これは墨田区の荒川右岸が決壊し、ポンプ場が稼働せず、住民の避難率がゼロと、こういう想定であります。被災者数が最も多いのは埼玉県の川口市の荒川左岸が決壊した場合でありまして、さいたま市緑区というところがございますけれども、その浸水が最大六メートルになる。ポンプ場が稼働しないと二十四時間後には百十六万人が影響を受け、浸水は一週間続くと、こういう試算が出ております。  そもそもこうした被害想定は、今年、同様三月に行った二百年に一度の確率で起きる洪水による利根川の被害想定とは異なり、千年に一度クラスの災害を前提にした被害想定とお聞きしております。なぜそうした想定をお変えになったのか。また、二百年に一度から千年に一度というふうな被害想定を置くということは、それに対して対応するということが当然あるからこそ想定を変えて試算されたんだろうと思いますので、そうしたことに対応する予算対応も視野に入っているのか、ここの二点をお聞きしたいと思います。
  136. 林幹雄

    国務大臣林幹雄君) 大規模な水害発生時の危機管理対策の対象として、欧米では五百年に一度やまた千年に一度などの発生確率の洪水を考慮している国が少なくないわけでございまして、そこで、今御指摘の利根川等の河川整備目標である二百年に一度の発生確率の洪水だけではなくて、それを超える千年に一度の発生確率の洪水を対象とした被害想定を行ったところでございます。  中央防災会議の専門調査会におきまして大規模水害に対して取るべき対応策の内容を検討していくこととしておるわけでございますが、具体策の実施につきましては関係省庁と連携して進めてまいりたいと、このように考えております。
  137. 西田実仁

    西田仁君 報道ではその被害想定の数字だけが大変に大きく報道されまして、そこに住んでいる人にとってみれば、大変に危険だということはよく分かりますけれども、危機をあおられているだけではどうしようもないし、まあこんなにだったらどうせもうしようがないとあきらめることがあってもこれはいけないことでありまして、政治としてあるいは政府としても、こういう被害想定を変えて発表をして対応していくという何らかのメッセージをきちっと出していかないと、不安だけでこれはかえって良くないんじゃないかというふうにすら思うわけですけれども。  具体的に今、今後連携してやっていくというお話なんですけれども、まあ大臣としての決意で結構ですけれども、その不安を安心に変えていくことをきちっとやると、こういうメッセージを発していただけませんでしょうか。
  138. 林幹雄

    国務大臣林幹雄君) 先生御指摘のとおりでございまして、ただ単に不安をあおるだけとか、そういうことじゃなくて、現実的に、一つは、やはり水害は怖いといろいろ意識していただくということと同時に、関係省庁、いろいろな角度から連携しながら現実的な対応も含めて進めていきたいというふうに考えておるわけでありまして、大規模水害対策に関する専門調査会においての検討をさせながら、その上で対応方があればというふうに連携を取りたいと思っております。
  139. 西田実仁

    西田仁君 この不安を安心というところまでいかないにしても、少しでも不安をなくしていくために、具体的にはやはり避難率を向上させることが当然人的被害を大幅に減らすことになります。先ほどの被害想定でも、避難率がゼロの場合ということで最大何人ぐらいという想定だと思います。  したがって、今後、この避難率を高めていくということを一つの大きな柱にしていく必要があると思いますが、この避難率を高めるための方策、現状で結構ですけれども、どんなことをお考えになっているのか、内閣府にお聞きしたいと思います。
  140. 林幹雄

    国務大臣林幹雄君) 避難率を高めるということは大変大事なことだと思っておりまして、今、中央防災会議の大規模水害対策専門調査会において検討を行っているわけでありますけれども、その一つとしてハザードマップの作成、これをまた周知させること、住んでいる場所の水害に対する危険性と災害時の避難場所などを住民がよく認識してもらうということが一点。二点目は、避難勧告、避難指示などの判断を適切なタイミングで行うことと同時に、これらの情報を含めた防災情報を様々な手段を用いて住民に的確に伝えること、これが重要だろうというふうに考えておるところでございます。
  141. 西田実仁

    西田仁君 確かに、このハザードマップはなかなかまだ整備が十分に進んでいない。また、私自身は埼玉県の所沢市に住んでおりますけど、このハザードマップを見てどこが避難地かというのは分かりますけど、しかしそこまで行く間にかなり危険だなと、私が住んでいるところが川のすぐそばなもんですからなおさら思うわけですが、そのときにどうするのかということが何にも書いてないものですから、まあかなりきめ細かくやらないと実際に役に立つのは難しいんだなというようなことを感じるわけであります。  この避難率を高めるということのために、今具体的に幾つか御例示いただきましたけれども、ここを是非各府省、各部署と連携も取っていただきながら総合的な対策を出していただきたいというふうに思います。  次に、地域における災害対応力という問題でございます。  私も地元埼玉で様々な建設業者の方々とお話しする機会がございますが、その際に最近よく言われることは、今は大変に建設業界も経営が厳しい、景気も悪化していると。倒産件数も前年同月比でもう八か月前年を上回っているという状態でございますし、負債総額も大変に、三倍ぐらいに八月は増えております。これは地元の地域の建設業者が大きく倒産していることが影響していると思います。  そういう背景があるせいでしょうか、そうした災害時に防災協定等を結んで御協力いただいている地元の建設業者の方々から、そういう協定を脱退したと、もうやらないという声も実際私も聞いております。また、全国知事会が調べました公共調達に関するプロジェクトチームによる調査結果によりますと、経営が厳しいということもあって、そうした建設業者の方々が経費やコストを削減するために災害復旧など非常時用の資機材を持たない、もう持つのをやめた、こういう建設会社が四割もいたという調査がこの全国知事会、全国を調べたわけではございません、幾つかの県をピックアップして調査をしたようでありますけれども、そういう回答があったと。  これ、やはり地域における災害対応力ということを考えたときの大きな問題に、今後ネックになっていくんじゃないか、また既になっているんではないかというふうに思うわけでございますけれども、いかがでございましょうか、国土交通省。
  142. 金子恭之

    ○副大臣(金子恭之君) 西田委員御指摘のように、被災箇所における土砂の撤去とかあるいは土のうの仮積みといった緊急復旧作業など、災害時におきまして、現場に一番近い、また現場をよく知っていらっしゃる地元の建設業者が地域社会に果たす役割は非常に大きいものと認識しております。  このような状況にかんがみまして、国土交通省におきましては、公共工事の総合評価落札方式が本格的に導入された平成十七年度より、国又は地方公共団体との災害協定の締結とか、災害活動実績に対する地元建設業者の地域への貢献を適切に評価しているところでございまして、現在、西田委員の御地元、関東地方整備局を始めとして、すべての地方整備局においてこのような評価を実施しているところでございまして、非常に地方の疲弊という状況の中で、今後も地元建設業者が、このような貢献を基に公共工事の品質の確保とかあるいは安全で安心な地域社会の形成に資することにかんがみまして、地元の建設業者がきちんと事業ができるように、あるいは日ごろの活動が評価していただけるように適切に対応してまいりたいと思います。
  143. 西田実仁

    西田仁君 そうした地域貢献ということをより加味していくための総合評価方式、特に簡易型ということが市町村等では多いと思いますけれども、こうした簡易型の総合評価方式まだまだ普及していないと思いますね。これが、国の力、国の後押しとして何らかの形でやっぱり示していく必要があるんじゃないか。特にこうした地域災害対応力ということも考えて、災害復旧時に貢献している地元企業ということがその加点が増えるようにすることが地域防災力を高めていくということにも私はつながるんではないか。  もう現実に、今申し上げたとおり大変な厳しい状況の中で、災害時には待機していたり、人を配置してですね、また資機材もずっと抱えているということがもうできなくなっている、そういう業者の方が現実に足下で四割も出てきていると、こういう問題。もちろん一方で、公共事業を適切に、価格も含めて、執行していくということも必要です。しかし、地元でこうした貢献をしているということをもうちょっとしっかり勘案をしていかないと、結局は最後、そこに住んでいる住民の人たちに被害がより大きくなってしまうと、こういうふうに私は思うわけでありまして、ここはやはり、簡易型であれ、総合評価方式ということをもっと普及させていくために、また災害復旧に貢献している地元企業への配慮をきちっとしていくということが国としても後押しをすべきではないかというふうに更に強く思います。  わざわざ来ていただきましたので、副大臣、もう一言御答弁いただきたいと思います。
  144. 金子恭之

    ○副大臣(金子恭之君) もう西田委員のおっしゃるとおりで、やはり災害が起きたときに迅速な行動というのが一番必要だと思います。また、その地域の地形とかそういったものを熟知されている方というのは適切な工事もやっていただけると思います。  そういう意味で、地元の建設業者の方々に対して日ごろの活動が評価できるように、今言われたようなことを含めて努力してまいりたいと思います。
  145. 西田実仁

    西田仁君 次は、緊急情報住民に伝達する仕組みということについてお聞きしたいと思います。午前中からこの問題もう出ておりましたが、若干触れさせていただきたいと思います。  この五十五年ぶりにはんらんした浅野川、またこれは、石川県の河川情報システムそのものは、市街地で浸水が発生する前、湯涌温泉近くの浅野川水位が堤防の高さを超えているデータ自体は収集しておられたとしております。水位自体はリアルタイムでホームページで確認ができる。しかし、それを住民に広報するシステムというものが十分ではなかったと。また、神戸市におきます児童ら五人が犠牲になられました。ここも監視カメラは設置しておりましたし、携帯電話を通じて河川状況を見ることもできたわけであります。しかし、そうした緊急情報住民に伝える仕組みが十分でなかったということで、二つお聞きしたいと思います。  一つは、気象情報と直結した警報システム、これを早急にやはり整備していく必要があるのではないか。そして、もう一つは、突発の都市災害を防いでいくためにも、水害からの避難、防護、また救助対策の各段階における防災担当部署のスピードアップということが必要になってくるのではないかと。そうした体制整備について、今後検討していくあるいは現在検討されていることがあれば教えていただきたい。この二点について、内閣府でしょうか、お聞きしたいと思います。
  146. 林幹雄

    国務大臣林幹雄君) 先生御指摘の点は大変重要な点だと認識しておりまして、それに関しまして提言二つありましたけれども、その提言も含めて今、災害時の要援護者避難支援対策及び情報伝達に関する推進会議というのを進めているわけでありますけれども、省庁横断的にこの指導をしながら、先生の提言も検討させながら進めてまいりたいと、このように思っております。
  147. 西田実仁

    西田仁君 最後に、災害時要援護者の問題。  先ほど森委員からも既にありましたので重なるところは質問いたしませんが、先般、地元でお隣の並木政務官も御一緒に御要望をお聞きした会合がございました。そこで、障害者団体の方々からの御要望では、ひとつやはり福祉避難所というのをもっと整備してもらいたいという声が大変強うございました。  現実に、避難所に行っても、様々な障害を抱えておられる方々は健常者とはやはり異なるわけでございますので、こうした福祉避難所ということをもっと整備していくためにはどんな手当てが必要なのか。そもそも、まずその現状と、そしてこの整備を加速していくための手だてとしてどのようなことをお考えなのか、関係の、厚生労働省でしょうか、お聞きしたいと思います。
  148. 坂本森男

    政府参考人(坂本森男君) 福祉避難所につきましてお答えを申し上げます。  高齢者や障害者などの特別な配慮を必要とする方の受け入れる避難所ということで、災害救助法が適用された場合に、おおむね十人の対象者に一人の介助員等を配置するための費用など、必要な経費について国が支援することとなっておりまして、高齢者等への避難所として有効な施策であると考えております。  このため、厚生労働省といたしましては、今年の六月に福祉避難所設置・運営に関するガイドラインというのを作成いたしました。都道府県の応急救助業務担当者を集めました全国会議を開催いたしまして、その活用を促し、福祉避難所指定を積極的に行うことを要請したところでございます。  厚生労働省といたしましては、今後とも福祉避難所の積極的な活用が図られるよう、地方公共団体に対しまして一層の周知に努めてまいりたいと考えております。
  149. 西田実仁

    西田仁君 是非、どのぐらい整備が進んでいるのかということをより多く情報公開をしていただきながら、これが加速度的に進むように進めていただきたいと思います。  以上で質問を終わります。
  150. 井上哲士

    井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  まず、一連の災害での被害者の皆さんの御冥福をお祈りし、被災者の皆さんに心からお見舞いを申し上げます。  本委員会としての金沢視察に私も参加をいたしました。そして、浅野川のはんらんによって泥水につかった下流部の地域を訪問し、被害者の皆さんのお話も伺ってまいりました。こういうお話なんですね。泥水の粒子が大変細かい上、雨水とともに下水もあふれたため、浸水を受けた家屋の内部に泥がへばりついてひどい悪臭がすると。チョコレートのような汚泥というのがぴったりな表現だそうでありますが、高齢者が多い地域で、被災した高齢者が親類のところに避難をしていたけれども、そこで徘回が始まって捜索願を出すというような事態にもなったと、こんなお話も伺いまして、やはり生活の基盤である住宅の再建は一刻も早くやる必要があると思うんです。  そこで、まず大臣にお伺いするわけでありますが、この間、被災者生活再建支援法が作られ、そして与野党の協議の中で改正をされてまいりました。特に昨年の改正では、住宅本体の再建への補助など非常に実態に見合った支援ができるように改正をされ、先日も調査で行った際に石川県能登でも大変喜ばれておりました。その改正後初めての大規模な雨の被害なわけですね。私は、やっぱりこの法律の立法の精神、それから、その後の改正を積み重ねてきたその趣旨、こういうものを生かしながらこの法律を弾力的に活用して、できるだけの被災者の生活再建の支援に当たるべきだと思うんですが、まずその点での御所見をお願いしたいと思います。
  151. 林幹雄

    国務大臣林幹雄君) 御案内のとおり、被災者生活再建支援法は、自然災害によりその生活基盤に著しい被害を受けた方に対して、都道府県が相互扶助の観点から拠出した基金を活用して支援金を支給するものでございます。これは昨年改正されましたが、本制度を被災者にとって分かりやすく使いやすいものにすることで速やかに被災者の生活の再建を支援しようとする趣旨によって行っていただいたものと認識しておるところでございます。  七月二十八日からの大雨によりまして、金沢市に被災者生活再建支援法が適用されておりまして、昨年の法改正の趣旨にのっとって制度の適正な運用に努めてまいりたい、このように思っております。
  152. 井上哲士

    井上哲士君 浸水被害については地震の際よりも認定が厳しいんじゃないかというのが朝の議論でもありました。浸水被害については、二〇〇四年の十月の二十八日に、住宅被害の認定に係るこの法律の弾力的な運用を図るということで、浸水等による住宅被害の認定についてという通知が出されております。  一つ質問を飛ばしますが、この中で、半壊であっても、浸水等の被害により、流入した土砂の除去や耐え難い悪臭のためやむを得ず住宅の解体を行う場合は全壊とみなすと、こういうふうになっております。つまり、住家がその居住のための基本的な機能を失っている、この場合は全壊とするというのが基本的な基準になると、こういう考え方でよろしいでしょうか。
  153. 大森雅夫

    政府参考人大森雅夫君) この認定基準にありますように、全壊又は大規模半壊、そして三番目の要素として半壊等でやむを得ず解体をしていく場合、そういった場合に限られるわけでございまして、もちろん半壊等で、悪臭によりやはりもう解体せざるを得ないといったときは、基本的にはやむを得ない事情として基準を満たしているというように認定をしているということでございます。
  154. 井上哲士

    井上哲士君 内閣府が出しましたこの被害認定の基準運用指針でも、全壊というのは住家がその居住のための基本的な機能を喪失したものと、こう明記をされているわけですね。  そこで、具体的にお聞きをするんですが、お手元に写真を配付させていただきました。これは浅野川下流の昌永町というところのYさんのお宅でありまして、八月に撮影をした写真であります。外から見ますと、泥水がつかった跡は分かりますが、家としては残っているわけでありますが、中を開いていただきますと、まさにチョコレート状の汚泥が張り付き、床下にもびっしり泥が行き、そして水回りなどもその機能を失うという状況になっているわけですね。もう耐え難い悪臭もあるということで、このお宅は実は九月五日にもう住めないということで解体をされておるんです。  ところが、このお宅の場合は二階がありまして、二階は水につかっていないということもあり、市の判定ではこれは半壊認定にも至っていないわけですね。二階に寝ることはできるかもしれませんが、一階はこういう状態で耐え難い悪臭もあると。つまり、住家としての居住のための基本的な機能を失っているということは私は明らかだと思うんです。ところが、これは半壊認定されておりませんので、取り壊しても一切この支援法による支援は受けられないということになってしまうわけですね。  これは、このお宅だけの特殊な事情では実はないんです。私ども日本共産党の金沢市議団でこの昌永町をずっと訪ねているんですが、訪ねた四十六軒のうち床上浸水は三十五軒、床下浸水が十一軒、そのうち取り壊すというのは九軒ありまして、もう既に四軒は取り壊しておられるんですね。しかし、半壊に認定されているのは一軒しかありません。ですから、Yさんのような例がかなりあるんです。つまり、住居がその居住のための基本的な機能を失っているという点では全く一緒で、やむを得ず解体をしなくてはならないという事情が同じだと。しかし、半壊に認定されれば全壊とみなす支援が行われて、半壊にまで認定に至っていないものについては全く支援が受けられないというゼロか一〇〇かという事態が起きるわけですね。  私は、これは災害によって生まれた被害に対してできるだけ支援をし、生活再建を応援をしていくというやっぱり法の趣旨からいいましても、こういう事態というのは食い違っているんではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  155. 林幹雄

    国務大臣林幹雄君) もう先生よくこの支援法の中身を御存じなわけでありますけれども、実際には半壊に至っていないということの判定をされているわけですが、この問題、私は個人的には何となく分かる気がするんですが、この悪臭等の住宅被害の取扱いにつきまして、被害認定調査、判定方法に関する検討会の中で見直しを含めて検討をさせていきたいというふうに思っております。
  156. 井上哲士

    井上哲士君 つまり、家屋の物理的な損傷を足し上げていくということと、実際にそこに住み続けていく上で障害になる経済的な被害というのは一致しないということも間々あるわけですね。  これだけじゃありませんで、例えば床下浸水の場合でも深刻な被害が出ることがあるんですね。阪神大震災以来、べた基礎というのが非常にいいということでこれが広がっておりますが、中にはべた基礎にして空気穴を大きくつくっていない基礎があります。この金沢の場合でもそういうところがありまして、家とその基礎の間にすき間があってそこから水が入ると。結果としては基礎の部分が全部プールのようになるんですが、水の出口がありません。結果、この家の場合はバキュームで吸い上げて、かつ消毒をして六十八万円ほど掛かったと言われるんですね。ところが、床下浸水ですから、金沢市が独自に出す十五万円の見舞金床上浸水以上ということで、一切の支援の対象外になると、こういうことにもなるわけですね。  私は、やっぱり浸水被害の場合は家屋の物理的被害の積み上げだけではなくて、現に居住の機能回復をしていくということに係るその被害ということに着目をした認定とか、それから制度の仕組みということも要るんではないかと思うんですが、この点、いかがお考えでしょうか。
  157. 大森雅夫

    政府参考人大森雅夫君) 午前中の議論にもございましたけれども、地震被害に比して浸水被害がなかなか厳しい状況になっているんではないかというような御指摘もあり、附帯決議もありということで、我々、今後この検討委員会で様々なものを議論をしていきたいというように思っております。  ただ、今先生おっしゃった例えば床下浸水の場合どうするかということでございますけれども、これはどこまで支援の対象を広げるかということになってきますと、この制度そのものは自然災害により生活基盤に著しい被害を受けた世帯に対して自立した生活再建ができるよう特別に支給をしていくということでございますから、重大な被害を受けた全壊、大規模半壊等に限定して重点的に支援をしているということでございます。  一方で、こういうふうに支援対象、床下浸水まで広げていくと対象世帯数が非常に多くなってまいります。国及び都道府県等の財政負担というものが非常に大きくなってくるということもございまして、どこまでやるのがいいのか、その辺りは非常に難しい問題だろうと思います。
  158. 井上哲士

    井上哲士君 午前中の議論にもあったわけですが、全壊、大規模半壊半壊床上、床下とか、こういう階段状になっているのがいいんだろうかというようなことも午前中議論もありました。現に、やはりその家に住み続けられるということにとって起きている被害の大きさというものに着目をして、支援をして、結果としてやっぱり法の目的である居住の機能回復ということに資するということは、私はもっと柔軟な対応、検討を是非していただきたいと思うんです。  それで、そういう法改正や運用上政令等の整備は更に進めるとしましても、現状でも法の精神に基づいた弾力的な運用で金沢では支援に当たっていただきたいと思うんですが、現場で自治体の皆さんもいろいろ苦労はされていると思うんですが、他の水害と比べましても、今の金沢の場合に非常に半壊認定が極端に少ないんですね。  例えば、二〇〇六年の七月の鹿児島県の豪雨災害での被害認定を見ますと、被災直後は床上浸水が千六百三十一棟、全壊半壊が計四十六棟でした。ところが、一か月間掛けてずっと第二次査定をした結果、一か月後には全半壊は千四百六十七棟になって、大体、床上浸水以上の住家に対する割合は八〇%ぐらいになっています。  金沢の場合は、私どもが行きました八月六日の時点で床上浸水五百十二棟、全壊二棟、半壊三棟でした。一か月後の八月三十日現在でも全壊二棟、半壊九棟ということで、認定が進んでいっているという数ではないんですね。もちろん、災害によって被害実態が違いますので、割合が低いからそれだけで問題だということを言う気はないんですが、ただ、こういう中で、先ほど申し上げましたように、やむを得ず解体をせざるを得ない住宅があるにもかかわらず、あの地域では半壊は一つしかないというのもこれもまた現実なわけです。  ですから、やはり支援法の趣旨や弾力的な運用で住家被害を認定をしていくという、この間の一連の指示などが、やっぱり現場の市町村に繰り返し周知徹底するということは非常に大事だと思うんですけれども、金沢の場合、こういう現状を踏まえてどういうふうな対応をされてきているのでしょうか。
  159. 大森雅夫

    政府参考人大森雅夫君) この住宅被害の認定につきましては、確かに市町村の通常のルーチン業務ではございません。そういう面では、我々としてもこういった運用について、それぞれの市町村により的確に伝わるよう努力をしていかなければならないものだと思っております。  一つには、この支援法に関するクエスチョン・アンド・アンサーなるものを本年四月にも自治体に配付しておりますし、五月には全都道府県の担当者を集めまして説明会も実施しているところでございます。  先生御指摘のこの金沢の件でございますけれども、七月二十八日からの大雨に際しましては、翌二十九日に石川県などに対しまして事務連絡を発出し、先生御指摘の平成十六年の通知等に留意して適切に被害認定を実施していただくようお願いをしているところでございます。
  160. 井上哲士

    井上哲士君 紙の通知だけではなかなかその精神が伝わらないということもあると思いますし、やっぱり現場で起きていることに即して一つ一つ改善をしてもらうことが必要だと思うんですね。  市の担当者に被害写真などを示しまして再調査を求めたことによって判定結果が床上浸水から半壊に変わったというのが一つありまして、それがこの町の一つのケースなんですが、この内閣府の被害認定基準の運用指針でも、「第二次判定のための調査は、原則として申請者の立会いを必要とする」と、こうなっておりますが、立会いなしで行われた第二次判定というのはやっぱり必ずやり直すと、こういうことでよろしいんでしょうか。
  161. 大森雅夫

    政府参考人大森雅夫君) 特殊な事情の中では立会いを経ずに行う場合もあるというように聞いております。ただし、一般的には、当然、二次判定につきましては家屋の内部への立入調査を行うこととしているわけでございますから、被災者の立会いの下で行っているというように伺っているところでございます。  御指摘のように、被災者の立会いなしに二次判定が行われ、被災者から再調査要望があったという場合には、市町村において再調査が実施されるというように伺っているところでございます。
  162. 井上哲士

    井上哲士君 これも昌永町の自治会、町会に行っていろいろお聞きをするんですが、被災当日、それから二日後、三日後ぐらいに集中的にどうも認定の査定があったようなんですが、住民の皆さんは、泥出しやごみの処理など忙しくしている中で、中にはそんなの来たのかというふうに言われている方もいらっしゃいますし、ここまで水来たのならこの辺は床上浸水だなと言いながら帰っていかれたと、こう言っておられた市民の方もいらっしゃいますし、家の中をちらっと見ただけじゃないかというようなことを言われております。いずれにしても、混乱の中で起きていますので、やっぱり納得いかないということがあるわけですから、これはきちっと本当に住民の皆さんの納得のいくやり方をやるように是非指導、援助をお願いしたいと思うんですが。  その上で、先ほど言いましたように、もう既に四軒取壊しをされております。半壊認定にならないまま、もう無理だと思って壊されているわけですが、こういう場合でも、写真であるとか、また近隣住民の証言などで基準を満たせば認定をされるということはあり得るということでよろしいでしょうか。
  163. 大森雅夫

    政府参考人大森雅夫君) 御指摘のように、被災者が生活再建支援制度などを知らなかったというような理由から被害認定を受ける前に住宅を解体してしまうというケースは間々あると承知をしております。これは、市町村が、個別の事情を確認した上で、写真等の客観的な証拠を基に被害認定を行うことが望ましいと我々は考えております。
  164. 井上哲士

    井上哲士君 最後大臣にですが、認定方法については改善の必要があるということでいろんな検討をされているということでありましたが、現に今幾つか金沢の例を挙げました。やはり被害の実態に合わせた本当に必要な支援が行われるようにこの支援法の弾力的な活用で進めていくという点で最後御決意をいただいて、終わりにしたいと思います。
  165. 林幹雄

    国務大臣林幹雄君) この被害認定につきましては、昨年、再建支援法が改正された際に、「支援金支給等の前提となる住宅被害認定については、浸水被害及び地震被害の特性にかんがみ、被害の実態に即して適切な運用が確保されるよう検討を加えること。」との附帯決議をいただいているところでございます。  この附帯決議の内容を踏まえて、今年度、被害認定調査方法、判定方法の見直しも視野に入れまして、検討会を設置して検討を行ってまいりたい、このように思います。
  166. 井上哲士

    井上哲士君 今の、現状のままでの適用は大丈夫でしょうか。
  167. 林幹雄

    国務大臣林幹雄君) 現状のままではちょっと難しいんではないかというふうに認識しています。
  168. 一川保夫

    委員長一川保夫君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会をいたします。    午後二時四十分散会