○田中康夫君 一、二年というのは、大分長い腰だめになってしまうわけでございます、数字で。
今お聞きしていると、これも
国土交通省だけの責任なのではなくて、やはり日本の
政治にダイナミズムを呼び戻す上において、いや、ほかのところとは違うからというのは、こういう言い訳は、私も山国で知事をやっていたときに、山に囲まれているからとか、平地がないからとか言いますけど、そんなこと言ったら、京セラの稲盛さんが神戸は海があるから埋め立てれば空港を造れるのかなと、うちの京都は
土地がないかもしれないけど、だから知恵出すんだと言ったわけでして。これが、韓国においても知識経済部というような、ナレッジエコノミーというような部署ができる、まさにこれはサプライサイド、供給側の都合を言うのではなく、消費側の希望に根差した
政治になっているということではないかと私は
思います。
その意味でいえば、実は総務省というところは、これ自治事務だと言ったのに、住民基本台帳ネットワークシステムというのを
地方分権している自治事務のところに関してお金を掛けて構築したんですね。構築したんですけど余りうまくいっておりませんで、住基カードというのはいまだに日本の中では、総務省
自身の発表でも二百三十四万枚しか、これ累計でございますので、再発行した方もいます、転居すると。なので、普及率は日本全体の中のわずか一・八四%というすばらしい実績を誇りながら、毎年ランニングコストが公表されているだけでも百七十億円掛かっている、一・七%の方に行っていると。このお金、ほかに使ったらいいんじゃないかという話なんですが。
つまり、分権されているから港湾行政を
国土交通省が統合的に扱えないというのは、これはやはり逃げでしかないと私は
思います。
シンガポールは、逆に言えば、積荷を入れ替える形だけだとおっしゃった。でも、そうすると、シンガポールが仮に、もう航空業界では使われなくなった単語ですが、ハブ・アンド・スポークのハブだったとすると、日本はじゃスポークのままでいいのかという話でございまして、資源を輸出入するこの日本が、総合商社という言葉が世界用語にまでなったような歴史を持つこの国がスポークのままでいいのかということです。
ちょっと私もシンガポールに関して少し調べさせていただいて、これはもう皆さんの方が十分御承知のことだと
思います。ただ、議員各位のために、あるいは
議事録をお読みになる
方々のためにちょっと申し上げさせていただきますと、シンガポールもかつてはシンガポール港湾庁という、ポート・オブ・シンガポールというのが一九六四年に設置をされていたわけでございます、官の組織でございますが。
これが分割されまして二つになりまして、シンガポール海事港湾庁、マリタイム・アンド・ポート・オーソリティー・オブ・シンガポールというのが、これが一九九六年。シンガポールも九〇年代後半に非常にIT化という、箱物ITをするだけじゃなくて意識改革を組織的にも行っているわけでございまして、このMPAと呼ばれますシンガポール海事港湾庁は何を行うかというと、船舶検査や船舶登録、航行安全や水路業務を行っていた国家海事局というものをも同時に一九九六年に統合をして、そして港湾の管制や出入港の許可や港湾
関係の規制部門を
担当している。そして、もう一つ民営化された組織が、一九九七年にシンガポール港運営株式会社というものが、PSAと、新しいPSAというものができて、これが港湾ターミナルや附帯
施設の
整備や運営や港湾内の航行運航管理の業務を行っているわけです。
この中で私は大変に驚きましたのは、日本の先ほどの住基ネットは単なる目に見えない箱物をつくっただけのIT化です。このシンガポールの場合には、まずポートネットというものを先駆けて一九八九年につくっております。これは海運業界向けのEコマースネットワークでございまして、これをシンガポール港運営株式会社が運営しているんですけど、ここは何を行うかというと、港湾
関係申請書類の
提出、入港スケジュールや船籍、コンテナ貨物の搬出入情報の確認やコンテナを着けますバースの予約等、これを後ほど御
説明するトレードネットというものともリンクをして、コンピューター上で船の上からでも行えるようになっているんでございますね。
入港手続というのは、これ皆さん御存じのように、複雑だというふうに言うかもしれませんけれども、これを恐らく、先ほど十月にとおっしゃいました、あるいは一年二年とおっしゃいましたが、そこまでの構築が果たして日本はできているのかということで、ポートネット、ここの
部分に入力をするだけで、MPAと呼ばれますシンガポール海事港湾庁の側が運営をしているマリネットという側にもリンクをしていて届出がワンストップでできると。ですから、入港手続が船の上からでも、あるいは各支店からでも十分間でできると。あるいは、コンテナ貨物の搬出入の情報を、現状で港が今どういうようなバースの状況かということも登録や検索が五分でできるんですね。このトレードネットと呼ばれるものは実はシンガポール国際企業庁と呼ばれるインターナショナル・エンタープライズ・シンガポールというところが統括しているクリムゾンロジックという、まあロジスティクス、軍事用語で言えば兵たんのようなものでございます。つまり、どのように
物資が動くかと。これが運営をしておりまして、貿易業者だけでなくて政府機関そして税関をすべて結んでいるわけです。
これはもう一つ、今日、航空
局長にもお越しいただきましたけども、先ほどの私、トラックの出入りのIT化と、しかしこれ港湾だけでなく港湾のフォワーダー、業者の
方々は航空
関係も行っているわけで、トラックの大きさは違うとおっしゃるかもしれないけど、企業であったりあるいは
現場の運転手の方はほぼかぶっているわけですから、なぜ港湾局と航空局が少なくとも一緒になって出入港の管理のIT化を一緒にしないのか、これこそ閉ざされたIT化でございます。
同時に、このトレードネットが行っていることは、私も大変驚きましたのは、港湾貨物だけでなくて航空貨物あるいはさらには陸送貨物のすべてを通関手続から関税、消費税の支払まで電子的に処理をしております。シートが一枚、
大臣はあるいは英語と日本語がと言うかもしれませんが、少なくとも航空の場合にはみんな英語になっているわけで、港湾だってほぼ英語でございます。下に日本語が付いてたっていいわけでして、そのために電子化なわけでございまして。シート一枚に集約入力するので、従来はシンガポールにおいても三十種類以上の手
書き書類を出さなければいけなかったので、これが極めて煩雑であったものが、まさにワンストップサービスを具体的にやっているということです。
ですから、瞬時に税関等にも転送されますので、通常三分以内に港湾貨物や航空貨物や陸送貨物の通関手続や関税、消費税の支払等が電子上で可能であるということです。そして、無論各国には貿易の管理品目、いわゆる制限品目等がございます。こうしたものに関しても、管轄をしている政府機関に自動転送する形になっているので、これも三十分以内に各機関の側から自動的にきちんと許諾の返事が来るという形になっているということです。
ですから、これをシンガポールではシングルフォーム、一枚の書式ですね、そしてシングルサブミッション、一回の申請だけ、そしてシングルインターフェース、まあインターフェースというのは二つの異なるものの間を取り持つというようなことでございますが、一つのインターフェース、そしてシングルプロセスと、一度の手続で済むと。これこそがやはりシームレスということです。
そして、このシームレスの発想は恐らく何かというと、管理供給する側の都合ではなくて、業者の
方々もこれは消費側の
方々です。そして、そこで扱うものを食べたりあるいは使ったりする商社の方もあるいは消費者の方も、皆消費側でございます。消費側の視点に立っていかにITを活用するかということが行われていると。
これに関しましては、一週間の中でわずか四時間だけコンピューターのメンテナンスの時間帯はございます、日曜日の深夜に。しかし、それ以外は二十四時間、三百六十五日、このシステムはいつでもどこでもだれもが世界中のどこからでもアクセスできると。したがって、コンテナのバースが空いている時期を
考えて、ロードファクターも良くなるということです。
そして、これはシンガポールの政府の発表では、逆に言うと今までこうした港湾の業務等に一万二千人ほどの方が携わっていたのが半減されたと。そして、従来に比べると二十倍の効率的な時間のコンテナ処理が可能になってきて、二千二百億円程度のコスト削減になっていると。先ほど申し上げた人口で一・八四%の
方々に百七十億円ランニングコストを毎年使っている住基ネットの十倍以上のコスト削減を、日本よりはるかに人口が少ないシンガポールにおいてできているということです。
そして、もう一つシンガポールにおいてはコンピューター・インテグレーテッド・ターミナル・オペレーション・システムと言うんだそうでございますけれども、つまり
輸送するトラックの配置、待機の
場所とか、あるいはクレーンの移動とか、あるいは積替えの船への、船が岸壁に着く着かない、こうしたことを中央制御室から
現場のオペレーター、機器を動かしている方に対しても統合的に行うと。これは決して独裁的ってことじゃないということです。やはり明確な責任を持った上で効率的に行う方がいる、こういうリアルタイムの指示を行っている。ですから、私はやはりこれはシンガポール政府が繰り返し言っていますけれども、民間
利用者の利便性を最優先するんだと、そのために私たちは税金をちょうだいしている人間としてのサービスを行うんだと。やはり、こうした
観点を持った上で具体的なプランを速やかに実行していただかなくては、日本の今までのすべての計画同様にアウトプットがもたらされないということではないかと
思います。
さらに、もう一つ驚きましたのが、これはちょっと御
質問をしたいんですが、トレードエクスチェンジと呼ばれるのを、更なるカーゴシステムの世界的な貿易流通
関係システムを接続をしていくということをシンガポールが主導権を持って行っております。これは何かというと、シンガポールの港、先ほどおっしゃったように、ハブであるとおっしゃった。すると、シンガポールと争う香港であったり、あるいは韓国の釜山でありましたり、あるいは台湾でありましたり中国、さらには、貿易扱い高としてはさほどではございませんが、オーストラリアやマレーシア等の海外税関や商業システムへの接続も可能にしていくということを計画をして、具体的にこれはもうアイ・エヌ・ジーの形になっているわけでございます。少なくとも、まずこれに関して日本は、じゃ、どのように参加をするのか、あるいはその中で日本のITの技術をいかに活用して日本にとってもウイン・ウインの形にするのか。この辺りのことも、私よりもより専門な
方々が今日はおそろいだと
思いますので、お聞かせいただきたいと
思います。
同時に、航空局との間で、港湾局とこの今回の法案改正の下でIT化をどのように一緒にフォワーダーの
方々に関しても行おうとしているのかお知らせください。