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2008-05-15 第169回国会 参議院 国土交通委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年五月十五日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  五月十五日     辞任         補欠選任         田中 康夫君     大久保潔重君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         吉田 博美君     理 事                 長浜 博行君                 室井 邦彦君                 谷川 秀善君                 鶴保 庸介君                 鰐淵 洋子君     委 員                 池口 修次君                 大江 康弘君                 大久保潔重君                 川上 義博君                 輿石  東君                 田中 康夫君                 田名部匡省君                 羽田雄一郎君                 平山 幸司君                 広田  一君                 藤本 祐司君                 山下八洲夫君                 佐藤 信秋君                 伊達 忠一君                 長谷川大紋君                 藤井 孝男君                 山本 順三君                 脇  雅史君                 西田 実仁君                 渕上 貞雄君    国務大臣        国土交通大臣   冬柴 鐵三君    副大臣        国土交通大臣  平井たくや君        国土交通大臣  松島みどり君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       山本 順三君    事務局側        常任委員会専門        員        伊原江太郎君    政府参考人        文化庁次長    高塩  至君        農林水産省農村        振興局企画部長  飯高  悟君        国土交通大臣官        房総合観光政策        審議官      本保 芳明君        国土交通省都市        ・地域整備局長  増田 優一君        国土交通省河川        局長       甲村 謙友君        国土交通省道路        局長       宮田 年耕君        国土交通省住宅        局長       和泉 洋人君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○観光圏整備による観光旅客来訪及び滞在の  促進に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○地域における歴史的風致維持及び向上に関す  る法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 吉田博美

    委員長吉田博美君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  観光圏整備による観光旅客来訪及び滞在促進に関する法律案及び地域における歴史的風致維持及び向上に関する法律案の審査のため、本日の委員会文化庁次長高塩至君、農林水産省農村振興局企画部長飯高悟君、国土交通大臣官房総合観光政策審議官本保芳明君、国土交通省都市地域整備局長増田優一君、国土交通省河川局長甲謙友君、国土交通省道路局長宮田年耕君及び国土交通省住宅局長和泉洋人君政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんでしょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。     ─────────────
  4. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 観光圏整備による観光旅客来訪及び滞在促進に関する法律案及び地域における歴史的風致維持及び向上に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  両案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 輿石東

    輿石東君 おはようございます。民主党の輿石ですけれども、与えられた時間内で質問をさせていただきたいと思います。  最初に、大臣地方分権推進についてお伺いしたいと、こう思うわけですけれども、現在、地方分権改革推進委員会丹羽委員長の下で各省庁とのヒアリングもほぼ終えたようで、この二十三日には第一次勧告に向けての原案、二十八日に第一次勧告ですか、そんな運びになっていくようですけれども、昨日、増田総務大臣冬柴大臣がこのことについて協議をされました。そこで、ちょっと報道によると、どうも各省庁との折衝が難航している、うまくいってないと、こういうお話もあるわけで、何がうまくいってないのかと。昨日の両大臣折衝お話は、国土交通省では河川については前向きだと、道路については厳しいと、こういうような報道もされております。  なぜそんなことを尋ねるかというと、今日は長野県の前の知事さんであります田中康夫議員もおられていますけれども、緑のダム構想というような主張もされています。それで、ちょっと例を出してお聞きしたいんですが、熊本県の川辺川ダム、これは一級河川ですね。球磨川水域の川ということで国交省直轄ダムという位置付け直轄というふうになっていると思います。この建設をめぐってはもう相当大きく議論が分かれていると、地元でも大激論になっている。この四月に就任をされた新しい知事蒲島さんですか、その方も九月には自分自ら判断をしていきたいと、こういうことをおっしゃっていますし、それで今日たまたま、本日、その蒲島知事は、どうしたらいいかということを考えながら東京で第一回の有識者会議も開催をするということも聞いています。  そこで、先ほどの河川については前向きで道路については厳しいという、そういうマスコミ報道の中身からすると、簡単に言えば、分かりやすく言えば、ダムでもって反対しているような川は地方で任してもいいやねと、だけど道路は今問題になっている特定財源の問題もあるので慎重に国交省で抱えておこうというふうに、私の勘ぐりかもしれぬけれども、そんなものが底辺にあるのかな、まさかそんなことはないだろうと、こういう前提でお聞きするわけであります。  そこで、大臣に二点お伺いしたいと思います。  今、地方団体は、権限財源地方へ少しは回してほしい、そういう気持ちでこの地方分権委員会勧告等を見詰めていると思いますので、その権限財源も含めた地方分権への大臣の基本的な考え方、そしてもう一つは、同じ考え河川道路も、国交省の管轄であれば同じ理念や同じ哲学で対応すべきだと思いますが、その二点についてまずお伺いしたいと思います。
  6. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 私は、我が国明治期以来極端な中央集権型行政システムが取られてきた、その結果過度に東京とか中央省庁霞が関というこの狭い地域に過度に集中をした、これは権限財源も、人や文化や教育やそういうものまで東京に集中した、これは改めなきゃならないと私は思っております。  したがって、大きな流れとしては分権型行政システムというものが是非必要だし、そういうことによって、集中したことは東京に過密、そして地方には過疎ということを生んでしまっているわけです。お祭りとかそういうものすら維持できないようなこんな日本の国家にしてしまっているわけでございますから、私は、地方分権は大きなこの国における政治課題だというふうに思っております。  私は、そういう考えの下に、当時、新進党時代だったと思いますけれども平成六年に地方分権推進に関する法律案というものを仲間と一緒に起案をしまして提案をして、結果的には地方分権推進法として閣法に賛成して成立をさせましたけれども、その過程で機関委任事務というものを廃止することができました。しかしながら、なかなか税財源の移転ということはその際することができなかった。しかし、四百七十五本だったと思いますけれども分権一括法をその後成立させて、非常に大きく分権が進んだことは私は事実だと思います。今回進めるのはその第二次的なものでございまして、私は今国土交通省にいますから、国土交通省としてその大きな分権流れの中でどう対応するかということになるわけでございます。  増田大臣と昨日お話ししました。報道は間違っております。私は、河川道路も国が直轄で行うべきものは限定すべきだ、それ以外は地方へお渡しすべきだと考えるということを大胆に申し上げました。ただ、道路について分権委員会の方、いわゆる総務大臣の方からお聞きしたのは、整備管理を分離して管理の方を地方へ渡せとおっしゃったわけでございます。しかし、それは、道路を我々長い間管理してきましたけれども国道は五年に一度一〇〇%点検をいたしておりますし、この定時点検以外にも危険な場合があれば必ず点検をして、そして補修をして、そしてそのライフサイクルというものを延ばそう、道路を延命させようと、こういう政策を取っておるわけでございますけれども、それのうち整備管理を分離してしまって、国道は国が整備の義務はあるけれども、しかし平素の管理地方がやるということになりますと、例えば、考えていただいたら分かりますけれども連続立体交差とかそういうようなものをやる場合に物すごく手続が複雑になっちゃいますね。したがって、そういう例も申し上げて、そういうふうに立て分けるのではなしに、私は整備管理も一括して地方へ渡すべきものは渡しますと、こういうふうに申し上げたわけでございます。  それで、ただ、具体的にじゃ何号線を渡すかどうかということは、これは例えば輿石議員地元道路をこれを私が勝手に渡すなんと言ったら、これはいろんな問題が起こるわけですよ。したがって、私は当面こういう場所では抽象的基準で申し上げますけれども、渡すべきものは渡します、具体的に腹で持ちますと。ただし、現実に渡すときには受け取るべき地方公共団体と十分にお話をして、納得していただいたものじゃなければ表に出さないでくださいと、このように申し上げたわけでございます。  河川についても事情は全く変わりません。一つの県の中で完結する河川というもの、これは百九河川ありますが、そのうちの五十たしか三がそうだと思います。しかしながら、その五十三、その一つの県の中で完結する河川地方へお渡ししてもそれでいいわけですけれども、しかしながら、考えてみたら分かりますけれども、石狩川とか黒部川とか常願寺川というものをイメージしてもらうと分かりますけれども、これは一つの県ではとてもてこに合うものではないと思います。北海道についての石狩も長大であり、下流には札幌市があります。そういうところのものを一つ北海道地方自治体にお任せすることが本当にできるんだろうか。それは地方とよく協議もしなきゃならないけれども、国が国土保全上、安全上、やはりやらなきゃならないものもあると思いますということを申し上げたわけです。  したがって、原則として一県の中で完結する河川というものは、それはお渡しした方がいいんじゃないかと。しかしながら、黒部川ダム考えたら分かりますけれども、大変な土砂が物すごく流れる、急流に滝のように流れる、常時そういう状況にある川を一県にお任せすることは、これは不相当でしょう、だれが考えてもということを申し上げました。  したがって、これについてもよく基準を立てて、そしてこの一県の中に完結するけれどもこれは国がやった方がいいと思われるものについては控除する。しかしながら、受け取る側の御意見を十分聞いて、そしてやっていただきたい、そういうふうな進め方をしていただきたい、こういうふうに申し上げたわけで、私は道路は消極、河川は積極なんてことは全くありません。  それから、都市計画につきましてもお話がありましたけれども、私の方は、十八年に改正したばかりで、十九年、二十年にそれの追跡調査をして、二十一年に本格的な抜本改革についての案を作り、二十二年の通常国会提案するということで今進めているんですと、その中に今分権委員会指摘されたような思想は十分盛り込んでいきたいと思いますということを申し上げました。それについて総務大臣からは、その部分についてはよく分かりました、そして、もう日にちが、議員がおっしゃいましたように日にちがないので、この抽象基準あるいは具体的なものについてもできるだけ協力をしていただきたいというお話でありましたので、協力はいたします、積極的に取り組みます、このように申し上げたわけでございます。
  7. 輿石東

    輿石東君 大変詳しく説明していただいて、報道は間違っているという大臣発言、私も度々そう思います。しかし、マスコミが世の中半分以上悪くしているというのが私の持論ですから、マスコミにも正しく伝えていただきたいということと同時に、各省庁大臣もきちっとマスコミが正しく伝わるように説明を願いたいとも思っております。  今、こんな話ばっかりしていると時間がたってしまいますが、分権委員会では整備管理を分離してという考えがあると。それは分離できる場合とできない場合があると、基本的には分離しないと、そういう考えだと。そして、もう一つは、河川の方は一県で完結する、その県だけで終わるという河川は原則的には移譲すると。そういうお答えがあったわけですけれども、私の言いたいのは、どうもこの霞が関東京に集中しているその体質は、金は出さなくて口を出すという、簡単に言えば、そういう体質がどうしても抜け切らない。そこは払拭して本当に地方が元気になるように、そういう理念で取り組んでいってほしいというふうに思います。  では次に、今回の、委員長も、法案名が大変長い、歴史的風致がどうこうと。まあ、これは簡単に言えば歴史まちづくり法案と、こう別名言われているから、そう言わせていただいた方が分かりいいのかなと、こう思いますので。  この法案が出てきた経過や背景というものは提案理由にもありましたけれども、再度確認しておきたいと思いますので、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  8. 増田優一

    政府参考人増田優一君) お答え申し上げます。  近年、我が国におきましては、歴史的な町並みを形成している地域、そういったところで歴史的な風情ですとかたたずまいが大変急速に失われつつあるという状況にございます。  こうした状況の下で、歴史的風致我が国として次世代に継承すべき貴重な資産であるという観点から、今回、文化財行政町づくり行政連携をいたしまして、そういった歴史的価値の高い建造物、それだけではなくて、その周りの、周辺の歴史的な町並み、さらに、そこで営まれている人々の活動、それらを一体を歴史的風致という概念でとらえまして、これを維持推進する市町村取組を国が支援しようということでこの法案を提出させていただいたわけでございます。  これまでの法制度におきましては、古都保存法という法律もございます。あるいは景観法という法律もございますが、今回は、そういった取組を総合的、一体的な計画制度の中で進めていこうということで、新しい法律として提案させていただいたということでございます。
  9. 輿石東

    輿石東君 歴史的な町づくり文化的な遺産、貴重なものを残していこうと。これにかかわった法案として、今局長言われるように、古都保存法とか景観法とか都市公園法都市計画法、いろいろ絡んでくるでしょう。だから、一昨年ですか、日本の美しい歴史の何とか百選とか、公園を百選んだとかという冊子も出ている。そうしてみると、その古都保存法文化財保護法もかかわってくるんだろうと。こういうものは四十年、五十年という歴史がある。とりわけ文化財保護法文化庁で、二十四年ですか、法隆寺が焼けて、あの金堂の壁画が焼失したことからこの法案が出たと、そんな経過があるわけですけれども。  それとの関係古都保存法とのかかわりを、この法案を比べてみたときに、古都保存法というのは、奈良とか京都とか鎌倉とか、政治文化中心のところを総合的に系統的にやっていくという、そういう理念もあるわけで、それだけでは十分ではない、歴史的な町づくりをするためにという、そういう要素が入ってきて、その関連との中で新規立法を提出したことには違いないけれども、この法案でどんな他の法案とのかかわりや効果があるのか、その点について再度お答えいただきたいと思います。
  10. 増田優一

    政府参考人増田優一君) お答え申し上げます。  御指摘古都保存法、これは、京都奈良鎌倉、往時の都があった都市につきまして、これはどちらかといいますと国が中心になりまして、その自然環境を凍結的に保存するというための法律でございます。国の事務ということで構成されているわけでございます。それから御指摘文化財保護法、これも国の事務ということで、ほとんどが国中心の事業でございます。  ただ、我が国には古都に準ずる歴史的な町がたくさんございまして、そういった町づくりは、現在、市町村が主体となって進められております。そういったことから、今回、そういった既存の法律と比べまして、現在行われている市町村中心のそういった歴史的な町づくりを国が支援するという形で法律構成をさせていただいたということで、新法という形にさせていただいたわけでございます。
  11. 輿石東

    輿石東君 今局長言われるように、あくまでもこの新規立法のねらいは、市町村中心に、その町づくりにお手伝いをする、支援をするという立場での立法ということですね。そうしますと、市町村の力だけでは、能力だけではやり切れないという、そういう問題が必ず出てくる。  貴重な文化的資産であって歴史的な資産であるからこそ国が責任を持って残していくという、そういう側面もなければいけないだろう。その兼ね合いはどうなりますか。
  12. 増田優一

    政府参考人増田優一君) お答え申し上げます。  御指摘のとおりと考えておりまして、市町村の独自の取組全国各地で行われておりますが、その中にはやはり国としても次世代に継承しなきゃいけないというものもございます。そういった意味で、今回、そういう意味では古都保存法と身近な町づくりの中間的な位置付けでありまして、国としても貴重な歴史的な資産というものを、法律では国交大臣文科大臣農林大臣基本方針ということで国の考え方をお示しすると。それに合致したものを市町村が、独自なもちろん取組でありますけれども、国の支援を改めて求めるものにつきましては国の認定を申請する。で、国が認定をして、それを国として総合的に支援する。こういう形として、国の積極的な関与と、取組というものも法律上明確にさせていただいたわけでございます。
  13. 輿石東

    輿石東君 よく金沢市の例が出ますね、あの城下町、みんなが有名な。ここでは条例で、県独自で広告規制とか景観条例というのを制定して、そして守っていっているという、そういう努力もある。しかし、なかなか金沢市といえどもいろんな、例えば町家というようなものが空き家になったり、うっかりすると駐車場に、維持できなくてなっていってしまうという現状も一方であるわけですね。  そういう場合に、私どもは前回、昨年ですか、地方都市活性化ということで中心市街地活性化と、こういう議論もしてきた経過があると思います。そこで議論されたのは二点あって、中心市街地シャッター通りのようになって、外へ外へ、外縁化とかいう、そういう形で流れていく、それをどう阻止しようか。そして、コンパクトシティーというような、お年寄りも歩いてその憩いの場にたどり着けるような、そういう町づくりというようなものを議論した経過があります。  ここでは、こういう貴重な文化的遺産歴史的なそういう遺跡というようなものを、それを核に、中心にしながら町づくりをしようという発想があるとすれば、これは観光、それを生きる道として、よそからお客さんが来てくれる、ほかの地方にはないそういう町にするというような試みも各地相当しているけれども、今局長が言われた中に、農水省文科省とそして国土交通省という三つの所管でこれを、そういうことをやっていこうというのには、省庁が絡めば、幾つも多くなればなるほどその連携とかそういう問題点一つ出てくるでありましょうし、そしてその点がうまくいくのかなということや、観光という面からしての町づくりには規制しなければならないものと規制を緩めなければいけない面というものが当然出てくると。その辺はどのようにしていくつもりですか。
  14. 増田優一

    政府参考人増田優一君) お答えいたします。  従来から、古都保存法理念を全国展開したいということで、私ども、様々な検討を進めてまいりまして、今御指摘ありました金沢市でありますとかあるいは山口県の萩市等々からたくさんヒアリングをさせていただきまして、独自な取組ではなかなかできない、つまり国として法律的な手当てをしていただきたいというのがたくさんございました。  一つは、住居系地域で元々ある物づくりの現場、これがなかなか用途規制でうまくいかないでありますとか、あるいは金沢の例ですが、非常に歴史的な価値の高い用水路、これがなかなか農林省関係法律を手当てすると保全が難しいでありますとか、あるいは文化財を取り巻くところの歴史的な町並み文化財保護法行政だけではできない等々がございました。  したがいまして、今御指摘ありましたように、そういった公共団体の独自の取組ではなかなかできないことを国として今回の法律の中で特別措置として盛り込まさせていただきました。そういった意味で、私ども法律だけではなくて、文科省文化財保護法特例もございますし、農水省関係法律特例も盛り込まさせていただきました。  したがいまして、その三省庁、できるだけ一元的に相談窓口を置きまして公共団体との相談に乗っていくという体制もこれから検討してまいりたいというふうに考えております。
  15. 輿石東

    輿石東君 今、金沢の例を出されて、用水路それから物づくり、そういう所管があると、こう言われましたね。  三省庁連携を密にしてと、そのことは分かるけれども特別措置考えたと。じゃ、具体的にその特別措置はそれぞれどんなことを行う予定ですか。
  16. 増田優一

    政府参考人増田優一君) お答え申し上げます。  そういった住居系地域で例えば飲食店をする、お土産物品をする、あるいは伝統工芸の工房を造る、そういった用途の緩和のための新しい地区計画制度というものを今回設けました。それから、文化財文化財保護法保全規制ができるわけですが、それを取り巻く連檐する町並みにつきましては、今回新しい歴史的風致形成建造物という指定制度を新たに設けさせていただきました。それから、農水省関係で申し上げますと、そういった農業用用排水路等々につきまして、その歴史的遺産につきましての土地改良法等特例というものを設けさせていただいたところでございます。
  17. 輿石東

    輿石東君 そういう法案の何条何条と出ていることは承知をしておりますけれども、じゃ、せっかく質問に立たせてもらっているので、ちょっと山梨、私、山梨なもので、山梨に例を引いて質問をさせてもらいたい。  残念ながら山梨は、お隣の長野は風致的とか文化とか遺産とか、そういうものが多いんだけれども山梨は残念ながらそういうものが少ない。でも、少ないながら何とか陸の孤島にならぬように頑張ろうとして努力しているんですね。  国土交通省にかかわるけれども、新幹線に乗って「のぞみ」に乗れば一時間半あれば名古屋へ行ってしまう。三百キロ以上ある。私は、新宿から「あずさ」に乗っても一時間半、甲府までしか行かない。百二十キロしかない。新幹線並みに走ってくれれば甲府まで三十分で行けるのに、余り通勤が便利になったら山梨からもっとどんどん出ていってしまうと、こうなっても困るわけですけれども、そんなことはどうでもいい話ですが。  甲府、県都甲府の発展が山梨の発展に直につながると、こういう発想で甲府市でもその点で市長を中心に大変な努力をしている。歴史文化を感じさせる街甲府をつくろうと、こういうキャッチフレーズですが、それだけ歴史文化が感じないんでしょう。そういうものを感じていただいて、人が来てもらえるようにと。それで、中心市街地活性化を県と市と一体となって取り組んでいこうという発想でやっているんですが、中心市街地活性化基本計画と、こういうようなものも作ったり、甲府駅の周辺、都市区画改良事業と、こういうような国の施策と相まってできるだけ活用したいと。そして、まちづくり総合支援事業、まちづくり支援資金とか、そういうものもありますね、そういうものを使わせてもらって最大限頑張ろうというふうになっています。それで、武田信玄は城を造った、造らないなんという話もありますが、人は石垣、人は城と、こういうことだなんて、こう言いますが、あそこにも舞鶴城公園というのがあるんです。これの整備もしております。  こんなことを考えたときに、甲府市のような田舎の地方都市で再生しよう、活性化しようといって汗をかいている、こういうところへもこの今回の法案が波及していくのか、適用されるのかどうか、そういう要件があるのかないのか。それは、甲府市だけでなくて相当全国からそういう要望もある。そういうものをできるだけかなえてあげたいという気持ちはあるんですかと言うと、ありますと言うでしょうけれども、だけれどもできませんという答えになるのかもしれぬけれども、その辺はどうなっているんですか。
  18. 増田優一

    政府参考人増田優一君) お答え申し上げます。  今御指摘ありましたように、甲府市、これ、これまでも大変地域活性化で取り組んできておりまして、御指摘のありました駅の近くの舞鶴城公園、これにつきましては、これは県の公園として、都市公園の中で、これも発掘調査でありますとか石垣の改修、門ややぐらの復原を行っています。それから、県の独自の取組のほかに、甲府市におきましても、これは駅の反対側になりますけれども、御案内のように、これまちづくり交付金を活用いたしまして、やぐら、門の復原等、一体として歴史的な町並みの復原に従来から取り組んできておられます。したがいまして、当然そういった取組を踏まえて新しい法律の適用も検討する必要があると考えております。  今のところ、法適用の要件として、これ国が定める基本方針の中で明らかにする予定でありますが、少なくとも重要文化財程度の文化財が核にあること、それを取り巻く歴史的な町並みがある、それを中心に息づいている生活があるということで考えておりますが、そういった意味では、全国今千八百市町村ありますが、約千の市町村に重要文化財以上の貴重な文化財ございますんで、そういったコアになるものを中心にこれから考えていきたいと思っておりますし、当然先生の御地元の甲府市も対象になるものということで考えております。
  19. 輿石東

    輿石東君 今局長からコアになる重要文化財等があってそれを中心町づくり、そういうものに支援をしていきますという、そういうお答え、そのとおり、それが全国で千ぐらいあると、こういうお話ですが、結局私は、今度のこの法案は、歴史町づくりの形成というものには二つの大きな要素があるんだろうと。一つは、今までやってきた核となる文化財中心町づくりするんだけれども、それを、こういう貴重な文化財を次の世代にきちんと残していく、つないでいく、継承していくという一つの目的と、もう一つは、そこで現に市民が生きていかなければならない、守っていかなければならない、そういう生きた空間というか、そういう町づくり。そうしないと、ただ保存をしておく、飾っておくというようなことではなく、その町づくりによそからも人が来てもらえるような要素、観光というような要素も入れての。  だから、要するに文化財保護行政町づくり行政というこの二つをドッキングさせる、町づくり行政の中にその文化財保護というものを取り込んでいくと、こういうような発想でこの法案も成り立っていると思うんですが、それでよろしいかということとそれがうまくいきますかというこの二つについて。
  20. 増田優一

    政府参考人増田優一君) 御指摘のとおりだと思います。文化財も、博物館の中に入ってしまうような文化財では町づくりとして生かせないわけでございまして、どうしても持続可能な町づくりという意味ではそれを実際に生活していただく、生活していただくためには当然ある種の経済活動が行われなきゃいけないわけですから、当然観光の資源にするということも大切なわけでございまして、そういった生きた町を文化財行政と一緒になってやっていくということがこの法律の眼目だというふうに御理解いただきたいと思います。
  21. 輿石東

    輿石東君 もう一つ、うまくいきますかというやつ。
  22. 増田優一

    政府参考人増田優一君) うまくいくかどうかは、主体となる市町村の熱意とそれから私どもが用意したこの制度が本当にうまく活用していただけるかということに懸かると思いますが、うまくいくように国それから公共団体一緒になって努力しなきゃいけないと思っております。
  23. 輿石東

    輿石東君 当該の町の努力というようなお話もありました。努力しても努力に限界があってどうにもならないという実態もあるというふうに、そこで、国で支援しなければならない分野とすれば、冬柴大臣が冒頭に地方分権のところで答弁してくれましたように、霞が関に役人を集めて東京一極集中という体制ではなくて、地方へ優秀な人材は、まあ優秀かどうか分からぬけれども、どんどん出ていかせる、配置をする、そういう発想も、そしてその人材を活用していく、そういう点も必要だろう。  だから、地方公共団体、自治体の努力だけではどうにもならない、それを手助けするという点では、その自治体の当該の携わる関係者の研修ということも必要でしょうし、そういう例えば貴重な町家を保存していくという技術、住宅局長もいるので暇のようだから聞きたいんですけれども、建築基準法で新しい建物を建てるときにはアルミサッシを使えというような、義務化しろと、こういうような指導もあるんだけど、この文化財、やたらアルミサッシをして、保存する保存するという視野からだけでアルミサッシなんか使えばこの風致というか趣というか良さがなくなると、そういう部分もある、その辺はどうするんですかという話を聞きたいけれども。  そういうふうに、そこの職員の研修とか町づくりの専門的人たちを派遣できるという国の体制も必要ではないかと思いますが、その点についてお答えいただきたい。
  24. 和泉洋人

    政府参考人和泉洋人君) 今先生が御指摘のとおり、いわゆる基準法が求めている建築物の安全性確保とこういった歴史的な町並みの調和と、これ非常に大事でございます。  従来、指摘のように、いわゆる基準法の基準が仕様規定だったものですからまさにアルミサッシみたいな話があったわけでございますが、平成十年に建築基準法を性能規定化しまして、従来の木造とか伝統的な工法でもちゃんとした性能があれば使えると、こういったふうに変わってございます。加えて、そういったことを応援するために、私どもは過去に、伝統的な建築物に関する例えば土塗り壁の構造耐力をちゃんと評価して木造建築が使いやすくするとか、あるいは、いわゆる伝統的な町家を再生するためのマニュアルを作るとか、こういったことについて様々な支援をしてまいりました。その成果が各地で生かされておるわけでございまして、今後ともしっかりと支援してまいりたいと、こう考えております。
  25. 輿石東

    輿石東君 もう時間もなくなりましたので、余りオーバーしても失礼ですから、最後に大臣に、まだいっぱい用意しておいたんだけど時間がないのでやめますが。  結局は、この法案都市再生にどう貢献していくかというところに尽きていくんではないか。地方が元気にならなければ国は元気にならぬという地方分権の発想で、国土交通省として地方再生について、地方町づくりの再生についてどのように考え大臣はどのような決意でおられるか、最後にお聞きして終わります。
  26. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 私は、日本の国土というものは子供や孫たちが自信と誇りを持っていけるような、そのような国土をつくっていかなければならないと思います。そのためには、その地域にはそれぞれに古い伝統、あるいは歴史、伝統、文化、それからまあかたぎと申しますか、人の物の考え方とか、それからすばらしい景観、風景、それから食材、食べ物ですね、調理方法、そういうものが固有なものがあるわけです。そういうものを画一的にするんではなしに、その地その地ですばらしいものをすることによって、そこに住む人が誇りを持ち、また訪れた人もそれに目を洗われるような気持ちになる、もう一度来たいという、そういうような地域をつくっていきたいと。私ども国土交通省としてはそのような地方をつくるために頑張っていきたい、このように思っております。
  27. 輿石東

    輿石東君 終わります。
  28. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 民主党・新緑風会・国民新・日本の室井でございます。  質問に入る前に一言、ミャンマーにおけるサイクロンの災害、また、このほど四川省での大地震、多くの犠牲者が出られまして、心から御冥福をお祈り申し上げます。  法案の中身についての質問に先立ちまして、通告はしておりませんが、冬柴大臣に二、三お伺いをいたしますが、お許しをいただきたいと思います。  まず最初でありますが、この度の中国の四川省の大地震についていろいろと報道されておりますが、冬柴大臣は、阪神・淡路大震災、体験を踏まえて、福田総理に対しまして、外国支援団体の受入れについてのノウハウそしてまたアドバイス、さらには実体験、これを生かした政策の提言、進言など、数少ないそういうことを経験している閣僚であります。今現在、そういう福田総理に御意見を、まあ指導といいますか、なさっておられるのかどうか、まずお聞きをしたいと思います。
  29. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 私どもは、こういう場合に備えて、例えば海上保安で、海だけではなしに、陸上で土の中に埋まった人を助けたりするということについて出動回数も数限りなくあります。したがいまして、そういうものを派遣をしたいということで、内閣官房の方からもそれじゃそういうことでやろうということで、成田へ結集いたしましたけれども、中国の方から人的支援につきましてはいましばらく待ってほしいということで、派遣することができませんでした。そのように、私の方はできるだけのことをやっております。  それから、私は、胡錦濤閣下がこの間お見えになったときに、奈良市へ古都奈良を案内をさせていただくということをいたしました。これは、私も幹事長時代に再々中国へ訪問しておりまして、大変国家主席として偉くなっていられる方でございますが、古くからの顔見知りでもありまして、そういう機会にも恵まれました。  お帰りになってすぐの大震災でございますので、直ちにお見舞いの電報をお送りし、そして我々にできることは何でもさせてほしいということも申し上げた次第でございます。  以上でございます。
  30. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 是非、阪神・淡路大震災で御経験されたノウハウを、今後の中国の四川省に対する救済で大いに大臣の経験を生かしていただきたい、また御指導、お力添えをいただきたいと、このように思います。  続きまして、あと二点ほどお伺いをしたいことがございます。  一点は、この五月の十三日であります、政府は道路特定財源について内閣で決議、決定をしたわけでありますが、私はお伺いしたいことは、当然、閣議決定をしたということは、福田内閣が続く限りこのことについてはもちろん尊重していただき、約束どおり続けていただける、このように思っておるわけでありますが、ただ、私が心配するところは、福田内閣が終わった、そして違う内閣が誕生した場合、この内閣の決議、決定はそのままなのかどうか、御所見をお聞かせをいただきたい。
  31. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 閣議、閣議は国家の意思であります。替わろうが替わるまいが、これを守るのは当たり前のことでございます。その後の内閣、例えば民主党がなられても守っていただかなければならないと私は思いますよ。
  32. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 もちろん民主党が政権担当をするならば当然そうでありますけれども、過去におきまして疑わしきいろいろな問題がございましたので、あえて確認をさせていただいたということであります。  もう一点だけお願いいたします。  自公政権を支えているのは、公明党の、政権が支えているからこそ、今日の政権の維持がなされているということで、非常にこの政権にとって公明党の力、影響力というものは重大な大きなものがある、私はこのように思っております。そういう点から少し切り込んでいきたいわけでありますが、もちろん公明党の力なくしてはこの政権は崩壊するということをあえてくどく申し上げますけれども、そういう中で、公明党の代表としてもちろん冬柴議員が入閣をされているわけでありますが、公明党の力、源泉、原動力というのは、これは国民すべて周知しているように創価学会であります。  最近、公明党、創価学会に関して大きな三つの問題が提起をされております。一つは、竹入元公明党委員長が在任中、党の金五百万を着服したとして前神崎代表、太田代表から告訴され、先ごろ公明党が敗訴した。そして二番目に、この五月十二日、同じく矢野元公明党委員長が創価学会に対して脅迫、誹謗中傷で損害賠償を求めて提訴した。最後に、昨年十月十六日に我が党の石井副代表が予算委員会指摘したいわゆる福本問題、上納金問題。いずれも創価学会と公明党に関する重要な問題であるわけであります。国会で参考証人を求めても、自公で反対しなかなか解明できない。政権与党の最大支持団体と政権中枢の政党の関係はきちっと国民に説明すべきであるというふうに私は思っております。  そこで、今特に情報公開、説明責任、今日の重要なキーワードであります。今回の後期高齢者医療制度の導入など、総理自ら説明不足であった、このようなことも言っておられるわけでありますから、私は、公明党の代表である閣僚であり、きちっと国民にこの三点について説明してほしい、このように思っております。自ら説明できないというなら、党なりの、また創価学会の説明できる方に、明らかにすることが重要ではないかということを私は思っております。この点の御所見を是非お聞かせをいただきたいと思います。
  33. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 言うまでもなく、憲法二十条には、信教の自由は何人に対してもこれを保障すると、このような規定があります。これを受けまして、このような信教の自由というものを確実なものにするために政教分離の原則というものがあるわけでございます。  私は衆議院予算委員会におきまして平成六年に、法制局長官とだけ質疑をいたしました。そのときに法制局長官は政教分離の原則について明確な答弁をされたわけであります。それは、この政教分離というのは、信教の自由の保障を確実なものにするために、国及びその機関は国権行使の場面において宗教に関与してはならないという、このような原則であります。それを超えて、宗教団体が政治活動をすることについてはいささかもこれを制限するものではない、これは制憲議会における大臣答弁以来、日本国政府が一貫して取ってきた、このような解釈でありまして、現在も維持されておりますと、こういうことを明確におっしゃいまして、その後の質疑の中で、宗教団体が行う政治活動というものについては何ら制限されることはないし、そしてまた、それはむしろ憲法二十一条の表現の自由というものに照らしてこれは尊重されなければならないということであるということまで答弁をしていられるわけであります。  あなたもそれは一度よく読んでいただきまして、今こういう場で宗教に関与するような、あなたが国権行使の場面において、そして参議院議員としてこのような質問をされることがそれでいいのかどうか、よく判断をされてから聞いてください。  それから、私は、何かいろいろなことをおっしゃいましたけれども、そのような事件については私は知りません。何の知識もございません。したがいまして、答弁をする必要はないと私は思っております。  それから、あなたからこういう場所で、あなたとは五回にわたって衆議院選を戦いました。しかし、そういうものを沿革に、こういう場所で、私に対して質問するたびに、通告はしていませんけれどもということで同旨の質問をされることは甚だ不愉快であります。  以上。
  34. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 御丁寧に御答弁をいただきました。  私はそういう思いで、また気持ちで質問をしたわけじゃございません。今、公明党という政党は自民党政権を支え、強力な力を持っておられ、そういうことについて、こういう問題が起きているということは冬柴大臣に答えてくれとは私は申しておりません。だから、党の方又は創価学会の方々に御回答いただいても結構なんです、大臣という立場でありますから。その点は私も十分にわきまえておりますので、話をすり替えるというか、答弁を形を変えずにしっかりと私の質問に耳を傾けて一言一句お答えいただければ有り難く思います。  それでは、早速、質問の方に入らせていただきますが、この法案に対しまして私はいろいろと疑問な点があります。多少勉強もさせていただきましたけれども、多少、輿石先生と重複すると思いますが、是非お答えをいただきたいと思います。  なぜ今この法案提案をされているのか理解できないという部分でありますが、その一つは、関連法案でこの法案、一九六六年に制定をされました。古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法ということでありますが、これは保管する意味で、また本法案提案されているというのはそういう意味考えてよろしいでしょうか、受け取っていいんでしょうか。
  35. 増田優一

    政府参考人増田優一君) お答え申し上げます。  古都保存法、これはまさに我が国政治文化中心地、そういった非常に歴史的に価値の高いエリアの自然環境を守るということで、御指摘がありました昭和四十一年に制定、これは議員立法でございます、制定されまして今日まで運用されてきているわけでございますが、これに関しまして全国の歴史的な町、例えば金沢でありますとか、あるいは萩市でありますとか、あるいは犬山市でありますとか、そういったところから、是非我が町も、我が国としても貴重な歴史的な町並み、それから歴史的な遺産をたくさん持っていると、是非この法律の適用対象にしてほしいという話が前々からございました。ただ、それにつきましては、私ども十分審議会等で議論した結果、古都保存法の改正というよりは、先ほど申し上げましたように公共団体のこれまでの取組を前提にして市町村が主体の町づくりを国が支援するという新たな法形式で立法化した方が今の現状に合うということで今回こういう法律提案させていただいたというわけでございます。
  36. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 それでは、そのもちろん関連でありますけれども古都保存法によって認定されている都市は十都市となっていますが、十ということでありますけれども、具体的に教えていただけませんか。
  37. 増田優一

    政府参考人増田優一君) 古都保存法では、我が国政治文化中心地があったということで、法律上、京都市奈良市、鎌倉市、それから法律を受けまして、政令におきまして天理市、橿原市、桜井市、斑鳩町、明日香村、逗子市及び大津市、この十都市古都という形で指定をさせていただいております。
  38. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 今お聞きいたしまして、単純な質問なんですけれども、十か所のうち六つが奈良県内ということでありますけれども、何か特に理由はあるんでしょうか。
  39. 増田優一

    政府参考人増田優一君) 政治文化中心地、かつて歴史上あったということでございまして、奈良県の今言いましたところにつきましては、かつて飛鳥京、それから藤原京、それから平城京という都が置かれたということで、この都が置かれたエリアを考古学上あるいは文献上調べてこういった都市に散在しているということから、六つの都市の指定になったというふうに理解をさせていただいております。
  40. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 奈良というところは、そういう古都というか、日本的にも京都奈良というのは有名なところでありますし、当然その十か所のうちにこのくらいの数字は入っているだろうなと、私も分かって質問をしたわけでありますけれども。ただ、四十年以上にわたって施行されてきたわけでありまして、少数の都市しか認定をされていない、この点について私も疑問を感じるわけでありますが、理由は都、首都という枠組みであるということでありますが、古都保存法第二条の定義には、政治文化中心地と記述されております。都、都市との記述はなく、今回の古都の定義ですね、これは変わらないというふうに思うわけでありますが、この法案の提出の意義について改めてお伺いをいたします。
  41. 増田優一

    政府参考人増田優一君) 御指摘ありましたように、かねてからももう少し都市の拡大ができないかという話がたくさんございました。そういった意味で、制定時には八市町村ということでスタートしたわけですが、その後平成十二年に鎌倉市の一部ではないかということで逗子市が追加になった。それから、大津京があったではないかということで大津市が平成十五年に追加になって、今十都市になっているわけです。それ以外でも、奈良県の吉野町でありますとか、福岡県の太宰府市、あるいは岩手県平泉等々につきましても、歴史風土審議会等で御議論がなされてきました。  ただ、今回、新しい法律という形にさせていただきましたのは、今の古都法そのものでありますと二つ大きな問題がございます。  一つは、対象が自然環境、つまり町中というよりは自然的な環境の保存ということでありまして、私どもがねらいとしております町中、町並みを保存するという法律としてはいささか内容的に不足していること。もう一つは、実は、その法のシステムがすべて国、都市の指定も国でありますし、区域の指定も国でありますし、それから保全する計画も国が作るという法律古都保存法でございますので、現下の地方分権流れからいきまして、やはりここは市町村が主役の法体系というのがいいんだろうということで、今回の法律とさせていただいたわけでございます。
  42. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 この法案についてのメンバー編成に私も少し疑問を感ずるところがあります。それについて少しお尋ねいたしますけれども、この提出に当たっては、社会資本整備審議会、そして都市計画歴史的風土分科会、そしてさらには歴史的風土部会及び歴史的風土の保存・継承の小委員会、このように答申を基にされているということをお伺いしておりますが、この分科会、小委員会とも、ほぼ同じメンバーで構成、同じ委員で構成されている。経歴を拝見すると、民間の風土研究家、郷土史家などが含まれていない、地元に特に熟知しているこういう方々が含まれていないということでありますけれども、その点について何か特に理由というか事情があるんでしょうか。
  43. 増田優一

    政府参考人増田優一君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、これまで審議会あるいは審議会の下の小委員会のメンバーは、御指摘のように学者の先生がかなりたくさん入っています。歴史学、あるいは文化財の学問、建築の先生、あるいは造園等々、各分野の代表する学者の先生に入っていただいたことも事実でございます。  ただ、若干数は少のうございますけれども、そのほかにも、例えば地元の活動されている方でいいますと、京都の町家を研究されている上村多恵子氏に小委員会の副座長という形でも入っていただきましたし、それから大原美術館の理事長様にも入っていただきましたし、それから信州小布施で地元町づくりに取り組んでいるセーラ・マリ・カミングスさんという方にも入っていただいたということで、数は少ないという御指摘かもしれませんが、何人か入ってはいただきました。  あわせまして、審議の過程で、現地の視察の中で、今御指摘ありましたような郷土の歴史を研究されている方々からのいろんな御意見の聴取もさしていただいたということで、御理解いただければと思います。
  44. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 深掘りして申し訳ありませんけれども、また幹事の方々がもうほとんど役人の方々という、こういうことについても少し私は疑問にというか理解ができないところがあるわけでありますけれども、事情がございましたら御説明してください。
  45. 増田優一

    政府参考人増田優一君) お答えを申し上げます。  御指摘歴史的風土部会の幹事が役人だけではないかという御指摘だと思うんですが、これ実は社会資本整備審議会令、政令でございますが、審議会令の第八条二項に幹事は関係行政機関の職員のうちから国土交通大臣が指名するということで、この幹事の役割は関係省庁の分掌する事務事業との調整を行うということで幹事を任命さしていただいておりますので、そういったことから関係省庁の職員を任命したものだということでございます。
  46. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 私は、このような法案の基となる審議会には、やはり実際に歴史、風土、またその地域を熟知したそういう専門家が特に多くかかわって、その人たちの意見の聴取、そしてそういうものを、また今回これ実施段階では非常に様々な民間との団体の複雑な問題も予想をされるわけであります。あらかじめこのような民間の方々の意見を聴取しながら法案に取り入れておくべきだな、このようにお話を聞きながら思っているわけでありますが。  この点なんですが、もう一点、歴史的に価値のあるという、歴史的価値のあるという非常に抽象的な表現が目立っているというふうに私は感じておりますけれども、具体性のないところが非常に気になっておるところであります。これは私の私見をお伝えいたしたところでありますが。  こういう点からもう一点、この法案の第五条そして第八項を見ますと、主務大臣国交大臣市町村から申請された計画を承認するということになっておりますが、これでは我々民主党の主張する地方分権と何か逆行しているような感が受けられます。国が地方の、それもその地方独特の民俗的史跡などの保存、そしてまた復原、維持などを行うことの、そのコントロールするということになっているんじゃないかな、こんなような私には思いがするわけでありますが、その点、いかがでしょうか。
  47. 増田優一

    政府参考人増田優一君) お答え申し上げます。  これまでも市町村は独自の取組を、歴史的な町づくりを進めてきております。その中で、市町村が進める町づくりについて、どうしても国の法制度上、あるいは国の予算的な支援というものを是非講じてほしいという要請がございまして、今回法律という形でまとめさしていただいたわけでございまして、決して私どもが、今市町村が創意工夫で独自に行っている町づくりについて何か国の意思でコントロールするというような思惑は全くございません。  ただ、国の法制度の変更でありますとか国の予算的な支援をするということでございますので、そのきっかけとして、まずどういうものがその国の制度に乗っかるのかという基本方針は国としてまとめさせていただく。その上で、スタートするものとして、まあ認定制度を置きましたけれども法律上も基本方針に沿ったものについては認定するものとするということで、決して恣意的な運用をするつもりはございませんので、御指摘のように、できるだけそういった市町村の独自の取組を阻害するような運用にならないように気を付けてまいりたいというふうに考えております。
  48. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 是非、やはり地方がしっかりとして元気取り戻さなくてはこの国の繁栄はない、そういう意味では地方分権というのは非常に大切なことであります。ですから、そういう地方がやる気になっている、一番地方のことを地方の人間が理解をしているわけでありますので、その点はしっかりと地方を尊重した、またそういう意見を聴きながら、是非そういう意味での御指導をお願いをしたいと思います。  あと四分ほどでありますので、通告していた質問を幾つか申し訳ありませんが割愛させていただいて、ちょっと予算の件で御質問をさせていただきます。  これだけの全国ネットワークの大きな事業でありますから、さあ予算はどのぐらいなのかなというふうに、私は非常に期待を掛けながら気にもしておりますけれども、数字で見ますと七億円程度というようなことが書かれていたわけでありますが、この財源、もう少し詳しく掘り下げて御説明、お知らせ願えませんか。
  49. 増田優一

    政府参考人増田優一君) 今回、国の支援ということで予算措置でございますが、御指摘ありました歴史的環境形成総合支援事業という新しい予算制度を創設させていただきました。これは、先ほど来申し上げておりますような、この法律に基づきまして文化財の周辺の町並み歴史的風致形成建造物として指定をいたしまして、その復原、修復を支援するための予算ということで七億三千万円をいただきました。  ただ、当然これだけではその整備計画に基づいたものはできませんで、これまでもございますような例えばまちづくり交付金の活用でございますとか、あるいはそういった枢要な基幹的なエリアにつきましては都市公園として指定しまして、都市公園の補助事業とすると。あるいは、様々な計画がこの歴史的風致維持向上計画に盛り込まれますので、例えば駐車場であれ、あるいはいろいろな町並み整備等につきましては、従前から様々な事業制度ございますので、そういったものを最大限活用して支援してまいるというような立て方にさせていただいたわけでございます。
  50. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 私の調べたところでは、ちょっと、今御答弁された増田さん、その財源の中で、もう一つ道路特定財源ども含むんじゃないんですか。
  51. 増田優一

    政府参考人増田優一君) お答え申し上げます。  いわゆる町づくりのための様々な所管国土交通省だけではなくて、様々な事業をこの計画に盛り込んだものにつきまして国が総合的に支援するということに考えておりまして、例えば道路事業であれば当然道路特定財源、今年度であれば活用することになりますし、それからまちづくり交付金の一部につきましても、それは道路整備に充てられる範囲内において道路特定財源も活用するという形になるというふうに考えております。
  52. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 時間がございませんので、あと質問を通告していたものが五つほどございますけれども割愛をさせていただいて、私は最後に、この法案は、歴史、風土の維持管理などというと非常にすばらしい言葉でありまして、この言葉に対してだれも反対をすることができない、このような衣を着ているんじゃないのかなというふうな疑いもあるんです、実は。見方によれば、官僚の天下り先の確保、そして税金の無駄遣いになりかねない法案じゃないのかな、このようなことも私は思っております。我々民主党は、この法案の執行についても厳しく監視をしていく所存であります。  また、さきにも述べましたが、民間との非常に複雑な折衝を行う必要性があるので、その点についても十分に配慮するように指摘をさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。
  53. 広田一

    ○広田一君 民主党・新緑風会・国民新・日本の広田一でございます。  私は、観光圏法案中心に御質問をさせていただきたいと思います。  我が国は、観光立国推進基本計画で示されていますように、観光立国実現のための基本的な目標という項目で、これから日本人の国内観光旅行による一人当たりの宿泊数を平成二十二年度までに平成十八度の二・七七泊から年間四泊にすることを目標といたしております。本法案も、観光圏の設定によりまして、滞在促進地区というふうなところを整備するなどによりまして二泊三日以上の滞在観光を目指すというふうにございます。つまり、一人当たりの宿泊日数を増やすことを本法案の目的といたしているところでございます。  そこで、私は、本法案のかぎを握る一つが国内旅行の半数を占めると言われる車旅行者ではないだろうかなというふうに考えております。実は、ここに日経トレンディという雑誌を持ってまいりましたけれども、この日経トレンディによりますと、〇八年のヒット予測ランキングの第一位がドラ旅パックというものでございます。これはドライブ旅行商品のパックの略称でございまして、例えば、先ほど白熱した議論を行いました冬柴大臣と室井理事の御地元の兵庫県宝塚インターから私の地元の高知インターまで瀬戸大橋を使って通常往復だと一万八千九百円掛かります。しかし、このドラ旅パックを使いますと往復一万三千円で、プラス三日間、四国内の周遊エリアは乗り降り自由という特権も付いております。例えば、道後温泉に泊まりましたら道後温泉本館の入浴券も付いているという特権まで付いておりまして、山本務官の御地元でございますけれども、そういうふうな商品でございます。  このように、今後の利用拡大というものが期待されるところでございますけれども、このドラ旅の潜在市場の大きさであるとか今後の普及拡大についてどう評価されているのか、お伺いをしたいと思います。
  54. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  実は、ドラ旅はJTBの登録商標となっておりますので、ドライブ旅行商品ということで申し上げたいと思いますが、高速道路の周遊割引と宿泊を組み合わせた商品ということで今御説明いただきましたが、御指摘のとおり、日経トレンディの二〇〇七年の十二月号だと承知していますが、〇八年のヒット予測ランキング第一位ということになっております。  実は、このドライブ旅行商品につきましては、昨年度の私どものニューツーリズム創出・流通促進事業でモデル的な事業として実証実験を行っております。浜名湖と舘山寺温泉地区でのドライブ旅行商品でございましたが、この実施結果につきましてアンケートを行いましたところ、回答者の九割がこのドライブ旅行商品について大変満足しているという回答をしております。また、そのうちの半数がドライブ旅行商品がなければこの浜名湖舘山寺温泉地区には行かなかったと、こういう回答もしているところでございますので、新規旅行需要の喚起という意味では大変大きなインパクトを持っているというふうに理解しております。  ドラ旅そのものにつきましても、その後も高速道路会社と旅行会社の連携によりまして八件が商品化されると、このような状況でございます。
  55. 広田一

    ○広田一君 先ほど御紹介がございましたようなアンケート等でも、実証実験でもこのドライブ旅行商品というものは大変魅力的なものだということが理解できました。私は、このような民間が開発いたしました商品に対しまして、取り組んでいるこういった挑戦に対して積極的に支援するのが私は国の役割の一つではないかなというふうに考えているところでございます。  折しも、五月一日からはガソリン税の暫定税率が復活をいたしました。私は、政府・与党の皆さんも、今の原油高であるとか特に地方住民の皆さんの苦しい生活を考えれば苦渋の選択だったのではないかなというふうに思います。しかし、道路整備を求める地方自治体の声であるとか、二・六兆円の歳入欠陥というものを放置することはできないという思いも私自身一方で理解をするところでございます。  私自身、ねじれ国会というふうにいいますのは、与野党双方の言い分が一〇〇%通る国会ではないというふうに思います。私も地元のメーデーでお話をさせてもらいましたけれども、全部自分の言うとおりにしろというふうに言えば労使交渉も成り立たないわけでございまして、今国民の皆さんは、今の国政というものは国民のために、自分たちのために合意形成を図ろうと努力をしていないんじゃないか、汗を流していないんじゃないかというふうに見ているというふうに思います。与野党とも、今は問答無用の意思決定というのがちょっと目に余るような感じもいたします。  道路整備を求めております地方住民の声というのは、やはり今のこの道路予算の無駄というものは徹底して排除してもらいたいと。しかし、道路特定財源というものを受益者負担の原則、こういうことに基づいてやはり正常化をしてほしいと。その上で、今地方自治体というのは道路特定財源だけでは地方道路整備は進めることができませんので、地方への財源移譲というふうなことを通して道路特定財源の改革をしてもらいたいというふうなことではないかなというふうに思っております。  このようなことを踏まえまして、やはり私は財源特例法案、具体的に本来所管であるべき本委員会でこういったような議論が全くできなかったことは大変残念に思うわけでございますので、そういったことを踏まえながら、高速道路料金引下げと観光振興に絡めて少し御質問させていただきたいと思います。  実際、観光施設関係の方々のお話を聞きますと、今年の正月もガソリンの高騰でいわゆる車のマイカーでの観光客がかなり減ったというふうなお話を私自身聞きました。よって、暫定税率の復活というのは、大局的に見れば今後どう評価されるか分かりませんけれども、ただ、マイカー旅行ということに絞って言えばこれは冷や水が掛かるのは私は間違いないだろうと思っております。  このガソリン料金等がこの一か月間で乱高下をいたしたわけでございますけれども、そういったところの影響というものを考えれば、私は政治というものが自動車ユーザーに対しましてもっと具体的な還元策というものを講じていかなければならないのではないかなというふうに思います。その具体策が高速道路料金の引下げでございます。先般成立いたしました財源特例法におきましても、高速道路の有効活用ということで、日本高速道路保有・債務返済機構の債務を国が二・五兆円の範囲内で承継して、料金の引下げとスマートインターチェンジの整備を図るというふうなものでございます。  そのちょっと具体的な中身につきましてお聞きしたいんですけれども、これは聞くところによりますと平均一割の引下げを十年間行うというふうに理解をしておりますけれども、そのとおりでよろしいんでしょうか。
  56. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) そういう言い方をしている場面がございますが、具体的には地域活性化あるいは物流の効率化ということで、トータルの引下げに要する費用、債務、継承していただく費用二兆円が、これが全体的に今の料金でどのぐらい下がるかという目安を示したものでございます。そういう目安で申し上げますと、今後十年間で実施する引下げが平均一割引となるということで、実際平均一割下げるという意味ではございません。今やっております社会実験等を踏まえて会社の方で国民の意見を聞きながらお決めいただくと、そういう内容でございます。
  57. 広田一

    ○広田一君 確かに、社会実験等で地域活性化とか物流の効率化とか深刻な渋滞の解消、また私が紹介した観光振興といったような切り口で大型車の深夜割引や普通自動車の土日休日割引、こういったものを時間帯を設けて実施しておりまして、二割から三割、最大で五割程度割引しているのは承知をいたしております。しかし、やっぱり平均で一割、十年というのは余りにも実務的でインパクトがないというふうに言わざるを得ません。  繰り返しになりますけれども、ただでさえ高騰を続けておりますガソリンとか軽油の現状とか暫定税率の復活の影響、また物流の活性化とか、先ほど御紹介したドラ旅のような支援というものを総合的に考えましたら、私は、今のこのスキームということを考えたら、例えば三年で三割引下げというふうなことも可能だというふうに思いますので、私は思い切った対策を講じて自動車ユーザーに還元する政治判断が今こそ必要だというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  58. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 御案内のとおり、高速道路につきましては道路会社、株式会社制度になりまして、この料金というものにつきましては、四十五年間で四十兆円を料金から返さなければならないということであり、また、この高速道路会社に対して財政支援は国はしないと、こういうことが前提になっております。  しかしながら、高速道路料金の通行料金の引下げというものはもう広い国民からの要望があるところでありまして、我々は政策的にも、せっかく造った高速道路が料金が高いがために使われない、そして下の道路を車がぶんぶん走ることによって多くの公害をまき散らすと、そういうことを政策的に改めるためには、道路会社に対して料金を引き下げてほしいということを我々の方から申入れをしなきゃならない。するためには、その裏付けとして、裏付けとしてそれに相応の財政的なものをこちらから出さなければならない、こういう関係になるわけでございます。  したがいまして、我々は、この二兆五千の範囲ということで、この法律ではそういうふうになっていますが、スマートインターチェンジで五千億としましたら、二兆円の債務を高速道路保有・債務返済機構に対して国が債務を引き受けることにより、そこへ支払われる料金というものが、低廉でも四十五年間で四十兆円払うというものは維持できる、そういう複雑な考えの中から今回こういうことをやっているわけでございます。  したがって、それを、議員の御提案はめり張りの付いたものにしたらどうだと、そんな十年間で一割って、そんなのんべんだらりとしてじゃなしに、もっと短期間で、ああ、下がったな、使おうというようなインセンティブが働くような下げ方したらどうかという御提案だと思います。私は、これは本当にいろいろ含蓄のある御提案でございまして、これは最終的には道路会社と債務返済機構との話合いにより、また、住民の御意思を聞きながらこれを決められるわけでございますけれども、私どもも、いろいろそういうやり方もあるわけでございますから、我々もそういう面を考えながらこれを対処していきたいというふうに思います。  現に、ガソリン高騰に対しては、深夜料金ですけれども、三割から四割引きということを既にやっておりますし、いろいろ対処はしておるわけでございますけれども、社会実験の結果も踏まえ、国民の御意思を伺いながら、これを一番いい方向でやっていきたい、こんな思いでございます。
  59. 広田一

    ○広田一君 是非、平均一割、十年ということが、これはもう確定事項ではないというふうに私理解をいたしておりますので、先ほど大臣がおっしゃっていただいたように、やはりもっとめり張りを付けて、今の社会情勢等を踏まえて、国、民間会社、返済機構との関係というものはよく理解できましたけれども、だからこそ、国民の声を踏まえて、私が提案さしていただいたような方向性も十分に御検討していただきたいというふうに改めて御要望させていただきます。  それでは、この観光圏法案に関連いたしまして御質問をさせていただきたいというふうに思いますけれども、まずこの第一条の目的でございますけれども、実はこの第一条の目的には、地域における創意工夫を生かした主体的な取組を総合的かつ一体的に推進というふうにございます。  ただ、この観光整備計画の作成主体は行政、つまり市町村又は都道府県ということになっております。これは補助金制度の性格から地方自治体の財政負担というものを伴う以上、私は理解できるわけでございますけれども、先ほど来お話をさせてもらっておりますように、観光ということは、その特殊性からやはり最も民間の創意工夫というもの、また知恵というものが求められる分野ではないかなというふうに考えているところでございます。  確かに、第五条では、何か法定協議会をつくって民間等の意見も聴きながら整備計画を作るというふうなスキームにはなっておりますけれども、しかしながら、結果として官主導になったときに本当に実効性の上がるような計画になるのか、私自身も大変心配でございますので、やはり民間主導の計画作りというものを基本といたしましてまた協議会運営を行ってほしいと。そういった意味で、一般論ではなくて、やはり本法案らしい、官と民との役割分担というものを是非とも模索をしてほしいというふうなことを御要望いたしておきます。  こういったことを踏まえて、第二条で観光圏とは何ぞやというふうな御説明があるわけでございますけれども、この観光圏につきましてお伺いしたいんですが、初年度は予算の関係等もございまして、この観光圏の設定というのは全国で十数か所というふうに聞いておりますけれども、将来的には何か所の観光圏づくりというものを目指されているのか、御答弁願いたいと思います。
  60. 山本順三

    大臣政務官山本順三君) 広田委員お答えをいたします。  まず、先ほどおっしゃったように、観光振興というのはまさに民間の創意工夫であったり、今のドラ旅じゃないですけれども、積極的に民間主導で行う、このことは非常に重要な観点だと思っております。私も全く賛同するところであります。  そこで、今ほどの御質問でありますけれども観光圏、将来何か所ぐらい設定されるのかということでございますが、この観光圏整備実施計画の認定につきましては、認定申請がどのくらい出されるのかというところをまず判断しなければならない、このように思っておりますが、さはさりながら予算の関係ございます。予算は、御案内のとおり平成二十年度予算で二億七千九百万、これは調査費込みの金額でありますけれども、そうなってまいりますと、その予算規模も勘案いたしますと、恐らくや当面は十数件程度になるのではないだろうかというふうに見込んでおります。  そして、この認定につきましては、全国のモデルとなり得るような先進的なエリアを支援していくと、こういう観点を重視しておりますから、単に全国一律かつ総花的な運用を行う、こういう性格のものではないと考えておりまして、広田議員のお地元の高知県あるいは四国を始め、そういう先進的なエリアというものが全国各地でどんどん出てくるように期待をしておるところでございます。
  61. 広田一

    ○広田一君 この観光圏につきましては、なかなか企業誘致が難しくて、これからやっぱり交流人口の拡大を目指して地域が生き残っていこうというふうなところでは大変期待する法案だというふうに思いますので、かなり全国から手は挙がってくるんじゃないかなというふうに思います。  しかしながら、先ほど山本務官の方からお話がございましたように、やはりこれがまず成功していかなければなりませんし、モデルとなるように進めていくためには、やはり厳選をしてこの観光圏づくりに取り組んでいただきたいなというふうに思っているところでございます。  この観光圏というふうなところは、二泊三日の滞在型、目的型観光を創造しようということでありまして、その考え方には私自身も大いに共感するところでございます。確かに、今でも広域型とか周遊型というものを考えたら二泊三日の旅行商品というものはたくさんございまして、例えば私たちの四国でも、例に挙げれば、一泊目は愛媛の道後温泉に泊まって、二泊目は高知の足摺岬に泊まろうと、又は金刀比羅に泊まろうというふうなのがありますけれども、しかし本法案観光圏といいますのは、自然、歴史文化などにおいて密接な関係が認められる観光地というふうにいたしております。ですから、この広域の定義にもよりますけれども、少なくとも移動時間に二時間とか三時間も掛かるということは余り想定されていないのではないかなというふうに推察をいたします。  そう考えますと、私自身も四国のことしかよく分からないんですけれども、これまで旅行会社などプロが積極的に取り組んでいないことに挑戦するということでありますので、その意味では、そのこと自体が大変意義のあることだろうというふうに思います。ですから、この観光圏というものを成功させるためには、もう一度、私たち自身が地域観光資源というものを見詰め直して、磨き直していくということが大事だし、そのことを情報発信もしていかなければなりません。ですけど、こういうことは言うは易し行うは難しというふうな感じがいたしまして、やはり必要なのは地域のエージェント機能を高めることだというふうに私自身は考えております。  そこで、お伺いをしたいんですけれども、やはりこの法案で書いております整備計画期間、こういったものが終了しても、つまり国からの補助金がなくなってもこの観光圏が引き続き成り立つためには、観光圏を樹立して責任を持って運営する組織であるとか人材であるというものが必要だというふうに思いますけれども、そのための課題と対応策についてお伺いをいたします。
  62. 山本順三

    大臣政務官山本順三君) 広田委員指摘のとおりでありまして、まさに組織と人材の育成というものがこの観光圏の計画をし、立案をし、推進をしていく上で一番重要な案件になろうかと、このように認識をいたしております。  観光圏整備計画に基づきまして、観光圏整備事業を幅広い関係者が連携をして行っていくこと自体によって、観光取組を行う組織や人が育っていくことを大いに期待をしていきたいと、このように思っておりますが、さらに、人材育成の取組観光圏整備事業の一環として行われる場合、この場合には、これを支援の対象としていきたいと、このように考えておるところでございます。
  63. 広田一

    ○広田一君 ありがとうございます。人材育成もこの法案支援一つになるということは、大変この観光圏事業を行っていこうというふうな地域の皆さんにとってはいい朗報だというふうに思います。  いかにしてこの人材というものを育成していくのかということにつきましては、後ほどプロの藤本委員の方から御質問があると思いますので、私のような者があえては申しませんけれども、やはりこの手の計画というものが、計画は作ったけれども、その後立ち消えになってしまった、だけれども法律だけは生き残ってしまうというふうなところが歴史の繰り返しの面もありましたので、是非とも実効性のある法案になることを御期待をしたいというふうに思います。  次に、第七条の観光圏整備事業の実施と、第八条の観光圏整備実施計画の認定関係についてお伺いをしたいというふうに思っております。  国土交通大臣が第八条三項で、観光圏整備実施計画の認定条件として五項目を挙げていらっしゃいます。そのうち、観光圏整備事業を確実に遂行するために適切なものであることということと、観光圏における観光旅客滞在促進するため有効なものであることと規定して、これを認定一つの判断材料にいたしているところでございますけれども、この観光圏というのは本法案でも規定しているように、非常に地域性の高いもの、また特質性のある取組について、何をもって観光圏整備事業が確実に遂行され、何をもって観光旅客滞在促進すると判断されるのか、その基準についてお示しを願いたいと思います。
  64. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、この法律で幾つかの基準を設けて、これに基づいて認定をするということになっておりますが、余り細かな規定を設けますと、今委員から御指摘がありましたように、地域の独自性を奪うということになりますので、ある意味で多少抽象的な部分も残さざるを得ないと、こんなふうに考えているところでございます。  やや具体的に申し上げますが、御指摘の第八条の第三項第二号の、観光圏整備事業を確実に遂行するために適切なものかどうかと、まずこの点について申し上げれば、目標、それから実施主体を含む実施体制、計画の期間、それから調整状況、こういうものを総合的に判断して、本当に実現達成可能なような計画になっているかどうかということを判断してまいりたいと思っております。  それから、二つ目の第三号の方でございますが、こちらは滞在促進するために有効なものになっているかどうかという点でございますけれども、例えば泊食分離の取組がなされるとか、あるいは共通入浴券の導入がなされるとか、それから具体的に施設の利便性向上のための手だてが考えられているかとか、こういうようなことが総体として滞在促進につながるようなことになっているかどうかということを判断していくということで考えているところでございます。
  65. 広田一

    ○広田一君 分かりました。  少しちょっと具体的にお話をいただいたんですけれども、適切であるとか有効なものであるということは、提出された書類等だけではなかなか判断することができないのではないかなというふうに思います。そういうことをこちらの東京霞が関で御判断される場合には、大変な御苦労があろうかというふうには思います。  そういった意味で、本来であればこういったところは都道府県なりがきっちり責任を持ってやっていくということが望ましいのかもしれませんけれども、ただ冒頭申し上げましたように、法律の作り方、考え方というものは理解できますので、そういった意味で、やはり、この地域の実情、取組、特に実施体制であるとか継続性に関する、その観光圏をやっていこうというふうなところの地域の皆さんの取組の熱意というものは、繰り返しになりますけれども、書類等ではなかなか分からないものがありますので、そこをどのようにフォローしていくのか、どのように認識していくのかというふうな仕組み、考え方については、是非とも御検討をしてもらいたいというふうに思います。  次に、事業費についてお伺いをしたいと思います。  この国庫補助金というものは最低幾ら以上からというふうに御検討されているのか、お伺いします。
  66. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  具体的ないわゆる下限の額につきましてはこれからの検討ということになりますが、今回の観光圏整備事業費補助金、この前身になります観光ルネサンス補助事業というものがございますので、これの実績でございますとか、それから今回は、今申し上げたルネサンス事業に比べますと広域的な取組になりますので、そういう実態も踏まえて、自治体の負担能力なども含めた適切な金額を定めてまいりたいと、このように考えております。
  67. 広田一

    ○広田一君 ちょっと具体的な金額が出なかったんですけれども、聞くところによりますと、一千万円以上から二千万円の範囲内というふうに考えていらっしゃるというふうなことです。  国の補助率が四〇%でございますので、そうしますと、国庫補助が一千万の場合は、事業費は二千五百万円になりまして、地元準備金は千五百万円になります。国庫補助が二千万円になりますと、事業費は五千万円で、地元準備金は三千万円というふうになります。  この観光圏整備事業ですね、行ってみたい、挑戦してみたいというふうに考えながらも、大変財政力の厳しい市町村や県の場合ちゅうちょしてしまうんじゃないかなということが考えられます。霞が関の皆さんから見ると数千万単位というのは小さな額かもしれませんけれども、やっぱり地方自治体にとりましては大変大きな額になるわけでございます。特に本年度は、大臣認定の時期にもよりますけれども、仮に各市町村や都道府県が九月補正で予算を組んだとしても、対応した事業実施期間というのは長くて五か月、短ければ三か月というふうなことになります。ソフト事業は、基本的には繰越しは認められないというふうに私自身理解をいたしております。そうなってきますと、やはり大規模事業の実施というものは、困難な事態も私は想定されるんじゃないかなと思います。  以上を考慮してみますと、財政力の弱い地方自治体が手を挙げやすいように、この国の補助金の最低金額の引下げなど含めて、今後の検討課題というふうな御答弁でございましたけれども、巷間言われているような一千万円からの引下げも是非検討していただきたいというふうに思います。柔軟に対応していただきたいと思いますけれども、再度の御答弁をよろしくお願いします。
  68. 山本順三

    大臣政務官山本順三君) 委員指摘のとおり、この補助制度というのは幅広い関係者が連係プレーを取ってということが大前提になっておりまして、観光関係団体とか商工団体あるいは農林団体、こういうところが連係プレーをして観光圏整備促進することを目的にしておるところであります。そういった意味では、その効果や成果を出すためにはある一定基準、あるいはある一定規模以上の事業が必要ではないだろうかという前提で今のような答弁になった次第であります。  ただ、広田委員の方からお話もありました支援しようとする観光圏の実情、これをしっかり勘案していく、そのためにはできる限り柔軟な対応も必要だろう、このように思っておりますので、御指摘を十分勘案した上で対応してまいりたいと、このように思っている次第であります。
  69. 広田一

    ○広田一君 どうもありがとうございます。是非とも柔軟な対応をしていただきますように、よろしくお願いします。  あわせて、お伺いをしたいんですけれども、これは補助割合、地元負担についての御質問なんですけれども地元負担でございますから、本来はこの手の話は各自治体の判断にゆだねるべきものでございますけれども、財政力の弱い広域市町村というものがこの観光圏に取り組む場合に、私はやはり都道府県も応分の負担をするというのが望ましいのではないかなというふうに考えております。  こういうふうな話したときに、自分たちが頑張るので県も半分出してくれとかというふうにお金の面の話になりますと、なかなか計画内容の議論より、県がどれぐらい負担する、市町村がどれぐらい負担するということに何かエネルギーを費やしてしまって、肝心かなめのところの議論が深まっていかないといったようなところが懸念をされるわけでございますので、であるとするならば、どっちみち様々な形で市町村とか都道府県の関与というものはあるわけでございますので、都道府県も応分の負担というものをするのが私は望ましいと思いますけれども、御所見をお伺いをいたします。
  70. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) 委員指摘のように、最終的にだれがどれだけ負担するかというのは大変重要でもありますし、難しい問題と思っております。  この観光圏整備計画自身が申請者が自治体ということになりますので、通常であれば都道府県や市町村の負担というのは当然あると私ども予想しておりますが、委員も御指摘のように、地域の自主性を尊重して、その中で役割分担を決めてこの仕事を進めていただくと、こういう筋になっておりますので、国が一定額か一定割合を自治体が負担するようにというふうにも決められないというのもまた実態かと思っております。
  71. 広田一

    ○広田一君 国の方がこういったような割合というふうに決めるということはなかなか難しいだろうというふうなところは、私もちょっと御質問の前に触れさせていただいたわけでございますけれども、これを進めようというところの議論でもお金の話ばかりが先行する気配がございまして、県が半分出してくれないとなかなか地元市町村としては出しにくいよねというふうな話が出た場合に、せっかく民間の方がこの観光圏で頑張っていこうというふうに思って、いろんな知恵とかアイデアとかそういうものを出してきてこの二泊三日の滞在型の観光地をつくるんだというふうなところのすごく意欲がそがれてしまうというところも、これ現実問題としてございまして、むしろそういうところに納得してもらうのにエネルギーを使ってしまっているような私は現状があるのではないかなというふうなことを思いますので、やはりそれぞれの都道府県また市町村というものが、自治体が応分の負担をしてこの問題には是非取り組んでいきたいというふうに思っておりますので、このことも踏まえて是非この観光圏法案の指定等、計画作り等、またその後の実施等についても考えていただければなというふうに考えております。  このことを踏まえて、ちょっと最後の質問になろうかと思いますけれども、財政投資についてお伺いをしたいと思います。  これが、もし実施計画の方が大臣認定を受けますと、特例措置というものが受けることができます。その一つが中小企業金融公庫の低金利での融資でございます。衆議院の議論を聞いていますと、具体的にはどういうものを想定しているのかというと、大部屋を取り壊して個室化する、こういったものなどに融資をするということを想定されているそうです。  これを聞きますと、確かに旅館やホテルにとっては低利で施設の増改築や改修ができることは朗報だと思います。ただ、私自身が一方で懸念いたしますことは、これは、制度はあるけれども、果たして活用されるのかということでございます。いわゆる金融機関というものは債権の回収が厳しいところにはお金は貸しません。特に銀行がこのような改修等に融資する場合は会社のキャッシュフローの実態を重視するというふうにお聞きをいたしております。  御承知のとおり、宿泊業というものは非常に季節の変動が激しくて、月によって売上げも異なるわけでございまして、現在、地方の宿泊施設というものの経営は観光の多様化、分散化に伴って価格競争が大変激しゅうございます。よって、稼働率も低迷しているというふうにお聞きをしているわけでございます。マクロ的にも、昨年の夏ごろから不動産関係融資というものが景気の不透明感から査定が厳しくなっているというふうなこともあるわけでございまして、このような状況の下、融資の決定権は中小企業金融公庫だというふうに思いますけれども大臣認定を受ければ確実に融資が受けられるというふうな保証があるのかどうか、この点についての御所見をお伺いします。
  72. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  もう委員御案内のところの手続の繰り返し説明になるかもしれませんが、この法律に基づきまして観光圏整備実施計画の中に設備投資の内容を記載いたしますと、これを、国土交通大臣認定を受けるという仕組みになるわけでありますが、認定を受けた後、今度実際に融資を受けるためにはその認定書の写しを中小企業金融公庫に提出いたしまして、そこでの審査を受けるということになります。したがいまして、この計画に基づきまして大臣認定を受けたからといって自動的に融資がなされるという仕組みには残念ながらなっておりません。  ただ、実際に融資がなされるかどうかということについては、結局、事業の見通しが明るいかどうかあるいは採算性が上がっていくかどうかということが一つのポイントになるわけでございますが、この観光圏整備法に基づく宿泊拠点の整備というのは、これによって宿泊数が増えるとかあるいは滞在日数が増加していくということを目指すものでありますので、計画の成功によっていわゆる融資環境そのものが改善されると、こういうことでありますので、プラスの評価がいただけるんではないかと期待をしているところでございます。
  73. 広田一

    ○広田一君 期待をしているということでございますけれども、しかしながら、これまでの御説明等では、この中小企業金融公庫の融資というものが特例措置の何か目玉の一つであるかのように皆様方は宣伝されているわけでございますので、これ認定は受けたけれども融資は受けられなかったというふうな話になりますと、一体どういう、何のための特例措置なのかというふうに私は言わざるを得ないと思います。  確かに、客観的に見れば、この観光圏の設定によりまして宿泊者数が増えるのでキャッシュフローも改善するだろうというふうなのは一般論としては分かりますけれども、まさしく融資というのは個々それぞれの個別案件について査定をしていくというふうなことでございますので、私は、やっぱり国がこれだけのことを行おうというふうにしているのであるのならば、やはり一定程度の実効性が上がるような仕組みというものがなければ私はいけないのではないかなというふうに思います。  例えば、こういった融資を確実にするために信用保証協会などの保証枠と、こういったものについて都道府県であるとか国の方がそういった枠を取ってくるというふうなことがなければ実効性が上がらないのではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  74. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  まず、最初に触れられた点についてお答え申し上げたいと思いますが、先ほど山本務官からもお答え申し上げましたように、観光圏整備事業の認定は、先進的で実績の上がりそうな地域を選んでやっていくということでありますので、この点について、私どもがどれだけいい計画ができ、また実現されていくのかということについてどのぐらいコミットできるかということが重要じゃないかと思っておりますので、そういう面での努力は十分にさせていただきたいと思います。  それから、ただいまの信用保証の件でございますが、実は中小企業金融公庫はこれは公的な金融機関でございますので、その対象として実は想定されていないということで、制度上ちょっと対応が難しいというふうに理解をしているところでございます。
  75. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 中小企業に対してこのような制度で、普通、年三%というものを年二%ということで、二十年間ということで、非常に有利なものです。しかし、もう広田さんがおっしゃるように、貸すか貸さないかは、これはいろんな金融のリスクを考えての判断でございますけれども、そういうものを我々としては用意させていただいたということです。  それで、私は、そういうニーズがたくさん出てきた場合は、経済産業省、中小企業庁と、私の方からお願いをして、例えば各県における、高知県中小企業信用保証協会における別枠保証、例えば普通は二億円が限度ですけれども、それ以外にもう一度別枠で、二億なのか一億か知りませんけれどもつくってほしいとか、それはこのニーズが出てくれば、そういう必要性があれば私は真剣に甘利大臣にお願いして拡大を図ってまいります。  これは、例えばつい最近、非常に申し訳ない話ですけれども、建築基準法の改正に伴い大変工事着工が遅れた事案がありました。そういうことから、昨年の九月に、特にそういうものについてセーフティーネット融資とそれから保証ということでお願いをいたしまして、相当大規模にやっていただいております。今回もそれを六月まで延ばしていただいてその間やっていただく。  こういうことで、きめ細かく中小企業対策もやっておりますので、ほとんどが旅館経営は中小企業でございますので、そういうところが、今までのような農協さんとか団体の旅行が多かったんですが、このごろはだんだん個人の単位のドライブ、ドラ旅ですか、そういうものもあると、もう大広間使わなくなっちゃうんですね。ですから、それを部屋を区切って小さいものにする。そういうものについての投資をやっていただくということで用意しているわけですから、もしそういうものがなかなか難しいということになれば、私の方からも是非働き掛けていきたい、このように思っております。
  76. 広田一

    ○広田一君 時間も参りましたので、重ねての質問はしませんけれども、是非、制度はあるけれども活用されないということのないように、国交省としても積極的に取り組んでいただきたいと思います。  と同時に、まず隗より始めよというふうな言葉がありますけれども国交省の皆さん、いろいろ道路政局等で大変で、残業、残業が続いているというふうに思いますけれども、皆さん自ら、これ四泊宿泊するんだというふうにおっしゃっているわけですから、有給休暇の完全消化に向けて積極的に国内旅行をしていただきますように強く要望いたしまして、私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  77. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 民主党・新緑風会・国民新・日本の藤本でございます。  今日は二つの法案質疑、審議ということでございまして、私も実は観光圏整備、こちらの方の質問を用意をしておったんですが、午前中から輿石我々民主党の会長、室井理事の質問を聞いておりまして、ちょっと歴史的風致の方も、これ通告を、昨日の段階でももしかしたらお聞きしますよというぐらいの話しかしていませんでしたが、答えられる範囲でちょっとお答えをいただきたいなというふうに思っております。  この歴史資産といいますか、こういう価値のあるものがどんどんどんどん衰退をしてきたということを先ほど増田局長、冒頭でお話がございました。この衰退してきてしまったこの理由ですよね。どういうことがあるからこういう現象になってしまったのか、何かその辺りの原因というのはどのように考えられていますでしょうか。
  78. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 私も大変これは憂慮するところですけれども、今までの建造物とかですね、由緒ある、そういうものは保存できても、その周辺が保存できないんですね。  例えば京都の町家なんかについても私いろいろ言われるんですが、相続が始まりますと相続税を払うために売ってしまうんですね。そうすると、非常にきれいに並んでいた京の町家が歯抜けになる。そして、そこが何になるかというとおおむねマンションか駐車場になっちゃうんですね。こういうものを何とかしなきゃならない。  それから、看板、町の看板、こういうものも古都に似つかわしくないものがあったりして、京都は一生懸命努力しているわけでございますが。それからまた、後背地の山林等が開発されてしまいますと、後背地と一体となってその歴史的な建造物というものがすばらしい雰囲気を醸し出していたのに、そこが、大文字だったら別ですけれども、変な建物が建ったり、壊されたり、そういうことが非常に私は問題だというふうに思っておりまして、そういうことを何とか防ぐにはもう市町村だけの力ではとてもできない。そういうところから、国がそういうものを保存しようとする地方団体の後押しをできるように、いろんな税制もありますし、財政的な支援もありますし、いろんな面でそういうものをつくっていくことはできないか。また、壊されてもそういうものを復原をする、何とかそういうことができないかというようなこと。  それからまた、よく美しいせせらぎというか、町の中にきれいな水が流れている、そしてコイが泳いでいる、こういうものも確かに保存したいですね。こういうものが何とかできないかというのが発想でございます。
  79. 増田優一

    政府参考人増田優一君) 今大臣が御答弁させていただいたとおりでございまして、もう一つ付け加えますと、実はやはり町づくりそのものが、今までどうしても、これまではやっぱり経済効率といいますか、あるいは機能性を高めるというような、そういった町づくりを進めてきた。それで、結局、美しさでありますとかあるいは景観でありますとか潤いがある種犠牲にされてきたというような、これはどうしても、戦後の非常に人口急増期、都市化が急速に進んだということでやむを得ない、そういった都市整備が進んできたんだろうと思うんです。  最近、そういった意味でも成熟化してまいりまして、改めて町の個性でありますとか町の潤いでありますとか、そういうもののやっぱり価値観が高まってきた。そういう目で町を見ますと、どうしてもそういった従来連檐していた町家がどんどんどんどん廃れていくと。ここでいったん食い止めませんと、ある一定以上町家がなくなりますと本当に町そのものが風景が変わってしまうということですから、そういったところで今から、できればいったん失われたものも復原するということも含めて、新しい制度的な対応をする必要があるということでこういった制度的な検討をしたということでございます。
  80. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 ありがとうございます。  確かにそのとおりだなというふうに思うんですが、歴史的な建造物であるとか、この法、目的の第一条ですが、歴史価値の高い建造物及びその周辺の市街地という表現があるわけなんですが、この歴史価値の高い建造物あるいはその市街地というところの判断がなかなか正直難しいのかなというふうに思っておりまして、文化庁さんもいらっしゃっていますが、いわゆる文化財の保護をする、あるいは文化財保護法であるとか重要文化財の指定であるとか、こういった保存地区を選定するとかということになりますと、比較的古い、価値のあるものというふうに思うんですが、観光ということを考えたときに、必ずしもそれだけでいいものなのかどうかということを考えるんですね。  例えば、よく引き合いに出されることで、映画で「三丁目の夕日」というのがあって、あれは東京タワーができるころですから恐らく昭和三十二年、三十三年、三十四年、あのころの話なんでしょうが、ああいった町並みも五十年ほど前のことですので非常に懐かしいなというような思いがあって、ある意味ノスタルジックなところがあると。観光ということになると、本当に、歴史的に何千年、五百年、千年続いたということだけでもなくて、結構三十年前、四十年前とか、そのぐらいのものでも観光資源としての価値は非常に高いものというのがある。  だから、そういう町並みすら衰退して壊れてしまったということになりますと、その文化財保護、保存といったところと町づくり行政というのをドッキングさせるという点では非常にいいんですけれども、その歴史的な価値というところの考え方というのが非常に難しいのかなというふうに思うんですけれども、この辺り、比較的三十年、四十年ぐらい前のものも含めてやはりもう少し幅広く考えられるものなのか。やはり、先ほど重要文化財を核としてコアとしてというような表現が、説明がございましたとおり、そのぐらいの何というか認定されるほどのものがないとやはりこれは余り活用が広がらないのかどうか、ちょっとその辺りについての御見解をいただきたいと思うんですが。
  81. 増田優一

    政府参考人増田優一君) 今回の法律の基本的な考え方は、先ほど来申し上げていますように、コアになる、国として貴重な重要文化財がコアにあるということでスタートさせていただいています、それを取り囲む町並み。  ただ、おっしゃいましたように、昭和三十年代、例えば大分県豊後高田なんかがそうでありますが、そういった三十年代の町並み観光資源として生かして地域活性化されている例、これは全国でもかなり多く見られます。そういった意味でこれは、今日文化庁さんも来ておりますが、文化財としてどういうふうな、文化財保護法の光をどう当てるかということによってこの法律をどういうふうに適用するかということも決まってくるんだろうと思います。  ただ、この法律以外にもまちづくり交付金の制度もございますし、それぞれこれまで、中心市街地であれば中心市街地活性化基本計画という制度もございますので、この法律以外でもそういった中心市街地でありますとかあるいは町づくり支援する制度ございますので、そういったものも活用しながら地域活性化地域再生に取り組んでいく必要があるんだろうと考えております。
  82. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 そろそろ十二時過ぎましたのでおなかもすいてきたころだと思いますが。  文化庁行政文化財行政というのは、私の勘違い、誤解なのかもしれないんですが、比較的文化財というものを保護するというか立場で、活用するというよりも一歩その前にそれを保存していくというような考え方が強かったのかなというふうに思うんですけれども、今回のいわゆる町づくり行政とのドッキングというか手を組むということになってくると、多少その辺りが、少し活用というところに一歩踏み込むという表現がいいのか、そちらの方に寄るような考え方を持ったのかなというふうに思うんですが、そのような考え方でよろしいんでしょうか。それとも、必ずしも今までは保護だけではなくて、今までも活用だったんだということでとらえたらいいのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  83. 高塩至

    政府参考人高塩至君) 今先生からお話がございましたように、文化財保護行政は、昭和二十五年からこの保護法というのを作りまして、我が国に欠くことのできない歴史的なものを後世に伝えるということで、先生がおっしゃったようにやはり当初は保存という、保護をしていくという面が非常に強うございまして、そういうものをいかに後世に伝えていくかということを中心に行ってまいりまして、例えば史跡等につきましても、その中に様々なものを、余り復原というようなことは非常に規制を掛けてきたという経緯がございます。  これが今から約二十年ぐらい前から、やはり文化財というのは各地域にありまして、過去のものでございますけれども、やっぱり現代を生きる人たちがそれを踏まえて過去の人たちとの様々な精神的な交流も行うというようなことから、先生お話ございましたような活用という面を少し重要視しまして、いかに後世、長い時代伝えられてきた文化財を生かしていくかということを文化財保護行政の中でも重点、重点といいますか、そういうシフトをしてきたという経緯がございます。  今般のまさに歴史まちづくり法案は、そういった文化財を核といたしますけれども、その周辺地域を含めて地域のやはり人々の生活とその文化財をいかにうまく調和させて町の発展を図るかと、こういった観点で、一応文化財行政につきましてもそういった方向性がございますけれども、この法案を踏まえてそういう面に私どもとしてまた力を尽くしてまいりたいと、こういうふうに考えているところでございます。
  84. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 この歴史的な価値の高いものというのは、先ほど来話が何度か出ていますが、その地方自治体の判断というのが非常に重要視されるべきであると、確かにそのとおりなんだろうなというふうに思うんですが。  私も長い間こういう観光の仕事とかもやってきた経験を踏まえると、実は、その地域の人は実はそこの価値というのを見落としがちであるということが多分に多くて、客観的に、観光客を誘致するという、来ていただくということになれば、これはむしろ外の人がどう評価をするかということになるわけでございまして、そういう意味では、こういった、この法案に直接的ではないかもしれませんが、こういうものの地域価値、特に観光ということを考えたときには、外部のいわゆる客観的な考え方といいますか、それを取り入れていかないといけないのかなというふうに思っておりまして、この観光圏という、この後の観光圏も含めてなんですが、観光旅客を誘致していく、促進していくという意味でやはり外の人の評価ということが大変重要なんではないかなというふうに思うんですけれども、この点につきましてはどのようにお考えになりますでしょうか。
  85. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) 本日話題になっております観光圏整備法の観点からまずお答えをさせていただきたいと思いますが、御案内のように、観光圏整備法で計画を策定していく段階では協議会を形成して、この場で、今委員からも御指摘がありましたような地域の魅力の再発見から取りかかるという仕組みになっております。メンバーにつきましては、できるだけ広範な方に入っていただくということで、その中には例えば外部の鉄道事業者とか学者さんとか、そういう方も含めた形での構成を考えておりますので、地域の中の方以外も含めて様々な視点から議論をしていく中で、気付かなかった価値、宝が再発見されていくと、このように考えているところでございます。
  86. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 分かりました。ありがとうございます。  それでは、観光圏整備に関する法律の方に移りたいと思いますが、先ほど広田委員がドラ旅と、これはJTBの商品ですので余り使わない方がいいのかもしれないんですが、こういう場では。もう本当に十年ぐらい前から私も、高速道路というのが、単に料金の引下げということだけではなくて、かなり弾力的な運用というのを料金についてはしていくことによって活用範囲が広がるんではないかということは度々考えていたところなものですから、こういう商品が出てくるということは非常にいいことだなというふうに思っております。  要するに、インターチェンジを降りるたびにまたゼロから初乗りでスタートしていくと、どうしてもその途中の何か施設なり資源があってもそこに降りることをしないで、まあ通過してしまっていけばいいやってどんと行ってしまうんですが、それを降りても結局通算で料金を見てもらえるであるとか、そういうような形を取っていくことによって今まで通過点となっていたところに立ち寄り拠点というのができ上がってくるだろうということを考えると、大変こういう取組というのは本来であればもっと早く生まれても良かったことなのかなというふうに思っておりますので、この辺の弾力的な運用というのは、民営化されたということが一つの理由になるのかもしれませんけれども、こういうことはどんどん進めていけるような支援というのもしていただければというふうに思っております。  そして、この法案の方ですが、今度、第一条と第二条の目的と定義のところでお聞きしたいんですけれども、この第二条の定義のところで、この法律において観光圏とは、滞在促進地区が存在しというふうにまず書いてあります。この滞在促進地区とはということで、観光旅客の宿泊に関するサービスの改善及び向上に関する事業と、そうした事業に必要な施設の整備というものをここで設定をしてあるわけなんですが、実際にこの観光圏整備計画の中で、現在、既に滞在促進地区というのが、要するに宿泊施設が集積しているというふうに平たく言えば考えればいいのだろうと思いますけれども、こういう既にもう集積しているということが前提条件になるのか、あるいはこの第二条の二で、重点的に実施しようとする地区と、しようとするということは将来的な話も含めてあるものですから、今はそれほど集積をしていないんだけれども、こういう施設なりを、サービスなりを実施しようと今後事業として位置付けているということでいいものなのか。その辺りの解釈をちょっと教えていただきたいと思います。
  87. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  当然、今あるものだけではなくて、これから整備をし強化をしようとするものも含めたという考え方でよろしいかと思っておりますが、他方で、この計画につきましては、できれば数値目標を設定して事業の成果が分かりかつ評価できるようにするということも大事だと考えております。  そういう観点からしますと、実現可能性がきっちりあるということが大変大事だと思っておりまして、やっぱり意図だけではなくて、ある程度ベースがあって、これが具体的にこれから成長していけるかどうかというところが大事でありますので、やっぱりある程度のベースが必要になるんではないかと、このように考えている次第でございます。
  88. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 同じこの定義のところで、やはりその滞在促進地区が存在し、かつの後で、自然、歴史文化等において密接な関係が認められる観光地ということでございますが、先ほど広田委員からも、その観光圏のいわゆる地理的な広がりはそんなに広くないんでは、広くはなかなか設定できないんではないかというような話があったんですが、実際にどのぐらいの範囲を想定したらいいのかなというところはちょっとイメージが私もわかないんですね。  というのは、自然、歴史文化において密接な関係というのを厳密にいうと、確かにそんなに広くない地域なのかもしれない。しかし、具体的に隣接しているところであれば、基本的には自然とか歴史とかはそれなりにやっぱり関係はあったわけで、それをたどっていくと、広めようと思えば幾らでも広くなってしまうという、そういうことも可能なわけなんですけれども、この辺り最終的に認定するところの判断基準に入っているものなのか、あるいはそれは市町村あるいは都道府県がこの計画を作るわけですので、そこのところに主体的にお任せをしてしまっているものなのか。何か、そこの辺りがもし広がりのイメージといいますか、それがあれば教えていただきたいと思いますが。
  89. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、観光圏の定義、非常に抽象的な書き方をしておりますので、具体的な広がりがどうなるのかというのを把握しにくいところがございますが、私ども観光圏考えるときに非常に大事な基本的概念があると思っております。それは、お客様視点で物を考えるということでございまして、あくまで観光客を誘致して滞在をしていただくということでありますから、どういう客層あるいはどういった地域からおいでになる方をターゲットにするのかというのがまずあって、お客さんの流動に合った形で地域を設定していくことがこれは原則だと思っております。  例えば、外国からのお客さんでございましたら日本全国を旅する可能性があるわけですから、そういうことを念頭に置いて考えなければいけませんし、あるいは逆に、例えば九州の中の観光圏であって、主たる客層が福岡などを中心とした九州内であるということであれば今度は小さなゾーンということになると思いますので、どこにターゲットを置いてそのマーケティングに基づいて地域づくりをしていくかということで、これ地元で個別に判断をしていかざるを得ない問題と、このように理解をしております。
  90. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 ありがとうございます。  そうなりますと、その行動を見ながらということになると、先ほども広田議員は、道後温泉と足摺岬という話がありましたけれども、二泊あるいは三泊、これ四泊にしていこうという。一回当たりの泊数を増やしていこうとなると、どうしても行動圏は滞在をするという場合と、ある程度のところを飛ぶというか、という考え方、飛ぶといいますか、移動して宿泊するという、その行動が幾つかあるんだろうと思うんですが。  そうなってくると、地理的につながっているような観光圏だけではなくて、むしろ小さな観光圏が幾つか飛び地的な連携観光圏としてつながっていくというようなことなんかは考えられるんじゃないか。例えば北海道なんかは多分そういう事例も多分あるだろうし、私の静岡辺りでも、伊豆と箱根と、今度富士五湖の裏の山梨県、裏というか、輿石先生はいらっしゃいませんよね、向こう側はあちらを表と言いますけれども、富士五湖の方とか、飛んでいるところも観光圏として考えると、それを全体と一帯となると物すごい広がりになるけれども、その飛び地連携みたいなことというのも想定できるのかなと。そうなってくると複数の都道府県あるいは複数の市町村が一緒になって作成をするということも考えられる、違った都道府県が。そういうこともこの中ではやっぱり想定をされているのかどうか、お願いします。
  91. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  概念的、観念的に考えれば、先生御指摘のように飛び地というのも当然あろうかと思っております。ただ、他方で、実際に協議会を形成してまとまって仕事をしていくという実態を考えますと、余りにも飛び地であって連携が取りにくいということであれば、これはなかなか難しいところもあるんではないかと思っております。  実は、関連する問題提起、質問でよく出てまいりますのが、一つ市町村なり地域が複数の観光圏に属することができるのかどうかという、こういう質問がございますが、私どもはイエスというふうにお答えをしております。あくまでお客様の流動でございますので、例えば先ほどの例で申し上げると、福岡県のお客様を対象にしたような観光圏に属し、同時に首都圏のお客様を対象にしたような観光圏に属するということも可能だというふうに考えております。
  92. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 ある程度そこはがちがちじゃなくて弾力的に多分考えていただくのがいいのかなというふうに思うんですが。  この法律をタイトルだけまず読んだときにふと思ったのが、実はもうバブルの時代の話で、当時は非常に評判は良かったんですが、最近、何年かたって余り評判良くなかったリゾート法というのがありまして、このリゾート法も当初、概念を作った方々なんかとも私も随分昔に話をしたことがあるんですけれども、当初はやはりこれも一けたぐらいの地域を選定しようというふうに思っていたところ、各県の競争になって、一都道府県に一つあるいは二つという、そういうことが起きてしまって、結局のところ何か日本全国リゾート地域みたいになったところが、指定を受けたというような状況があるということを考えると、この多分二の舞になってはいけないのかなというふうに思ってはいたんですが。  先ほど山本務官がおっしゃったように、予算の上限があるのでそうはいかぬだろうと、十数か所だろうというお話がございましたが、今年度の予算としては二億八千万ぐらいですか、だということでありますけれども、これ多分、翌年とかこれがもし継続していくことになっていけばもう少しこれは増えていく可能性というのがあって、当面は十数件というお話がありましたけれども、やはりこれはもう少し増えていくと想定されているものなのか、やはりこれはある程度絞り込んだ形の方がいいというふうに考えていらっしゃるものなのか、どうなんでしょうか。
  93. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  先ほど山本大臣政務官からもお答えいただきましたように、この認定につきましては全国のモデルとなり得るような先進的なエリアを支援していくという基本理念でおりますので、いわゆる総花的あるいは全国一律的な運用にはならないと考えておりますし、また現実的にも、成果を出して目に見える形で喜んでいただけるということが大事だと思っておりますので、私ども実は大変手間暇の掛かる事業ではないかと思っております。  そうしますと、対応する国土交通省側の当然手だて、資源も限られておりますので、そう大きな数が扱えるということにはなかなかなりにくいんではないかなと、このように理解しているところでございます。
  94. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 そうなると、認定するのがなかなか大変だろうなと。私が仮に作成する側にいたときに、静岡県で、じゃ何か所かの観光圏計画を作って、それを出して、ある意味その中で一つでも採用されればいいやぐらいの話で、駄目元で作ってしまうということもあり得るのかなと。もちろん費用は掛かりますので、そうなってくると都道府県の財政力のある、調査したり計画するだけでも結構掛かってくると思いますので、それによっても大分変わってきてしまうのかもしれませんなというふうには思うんですが。この認定するときに、じゃ十数件に絞り込むとすれば、仮に各都道府県が一つずつぐらい出しても、まあ四十七とか五十ぐらいできてくる。それを絞り込むところの判断基準というのは前もってやはりきちっと明らかにしておかないと不公平感が出てくるのかなというふうに思うんですけれども。その辺りの判断基準、どこまで厳密にできるかというのはなかなか難しいところだと思いますが、その辺りの判断、認定基準というのをどの段階でどの程度まで明らかにできるのかということをちょっとお聞きしたいと思います。
  95. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  先ほども広田先生の御質問に対してお答え申し上げましたように、法律認定基準を明らかにするということになっておりまして、事業の成果が認められるとかあるいは宿泊の効果があると、こういう基準で判断をしていくことになりますが、繰り返しになりますけれども、余り詳細な基準を示すと結果的には地域の自主性を奪うということになりますので、ある程度抽象的なものにならざるを得ないと思っております。  このある程度抽象的なものというものを、まず基本方針の中で明らかにいたしまして、これを更に説明会でありますとか、あるいは運用のマニュアル、こういうものを作っていく中で次第に積み重ねて、具体的なものが分かるようにしてまいりたいと思っております。  最初からこういう形であれば必ずうまくいくんだというものにはなかなかならずに、ある程度経験値を積み重ねる中で、こう申し上げたらあれですが、私どもも勉強をするし地域も勉強をしていくという、こういう側面もあるんではないかと考えているところでございます。
  96. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 第七条のところの観光圏実施、まあこれ実施計画を作るわけなんですが、この実施計画で、目標と内容と実施時期と必要資金額とその調達方法、これらを定めるものとするというふうにあるんですが、この必要な資金の額、その調達方法というのを、これも逆に言うとどの程度まで具体的に書き込まないといけないのかということと、もう一つ、資金額と調達方法さえ書けばじゃこの事業がうまくいくかどうか分かるのかというと必ずしもそうではなくて、やはり事業性能評価、フィージビリティースタディーなどの結果であるとか、そういったところも多分出していかないと分からないんだろうなと、またそれを判断するのも大変難しいんだろうなというふうに漠然と思うんですけれども、このFSなんかもやはりこの中に書き込むということにしないと私は判断付かないと思うんですが、いかがでしょうか。
  97. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  ただいま御質問のございました必要な資金の額あるいはその調達方法でございますが、今委員も御指摘ございましたように、これは全体として実施計画の実行可能性についてどの程度蓋然性が高いかということを判断する一つの材料ということになりますので、その意味で、資金について申し上げれば、想定される資金の額とかあるいは調達方法のおおよその概算が示されればいい、少なくともそのぐらいのことが心構えとして十分分かっているということが示されればいいものというふうに考えております。  ただ、実際に計画の成功の蓋然性を判断するためには、こういう資金の調達方法だけではなくて、先ほども指摘ございましたが、やっぱり地域の実情に即して、これ紙ではなかなか分からない部分がございますので、ヒアリングなどを通じて、熱意でありますとか、準備の状況でありますとか、その背景にあるFSを含めた検討状況とか、そういうものをすべて総合して判断をしていくというふうに取組の姿勢として考えているところでございます。
  98. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 おっしゃるそのとおりにしてもらいたいというふうに思うんですが、なかなか認定する側がもう大変だろうなと。  もちろん、その調達方法ということで、金融機関から借入れをするということであれば、それは、金融機関の審査が一応そこである程度めどが立っているということであることになるんだろうなと思うんですが、昨今、三セクの事業六千社ほどあって、もうほとんどみんな赤字だとか、そういう状況の中で、この辺りやはりきちっとしていかないといけないんだけれども、その認定がなかなか大変だなというふうに思わざるを得なくて、その体制が逆に言うと整っているんだろうかというところもある意味ちょっと心配をするところでございますので、ここのところは体制、要するに認定する側の体制も含めてきちっと慎重に考えていただきたいなというふうに思います。  私の時間はあと五分程度でございますので、質問通告いろいろさせてもらいましたけれども、ちょっとまた次回以降に持ち越すということになるところもあろうかと思いますが、この第七条の三に観光圏整備事業を実施しようとする者は云々で、関係する市町村又は都道府県の意見を聴かなければならないということが書いてありますが、この趣旨はどういう意味なんでしょうか。
  99. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  意見をお聴きする対象あるいは提案をいただく対象といたしましては二種類のものを想定していまして、法律に明記してございますが、一つは実際に事業を実施する者、いわゆる実行者でございます。それからもう一つは広い意味での利害関係者でございます。  前者につきましては、事業実施上、実際に構想していること、あるいはその上で出てくるような問題、これが明確に分かるようにこれは意見をお聴きするということになっております。そういう意味じゃ、プラスの方でお聴きするというふうに申し上げてよろしいかと思います。  利害関係者の方は、これはある意味で計画の中に、あるいはその実施の中に巻き込まれるということで、ネガティブな場合も出てきて、それに対してあらかじめ意見を申し述べる機会を設けておくと、こういうことも重要だということで、広く利害関係者からも意見を聴くと、このような構成をしているところでございます。
  100. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 この七条の三のあらかじめ関係する市町村又は都道府県の意見というのは、その整備計画を作った市町村、あるいは作った都道府県という意味なのか、あるいは当該市町村以外の関係する市町村という意味なのか、ちょっとそこの解釈を教えてください。
  101. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  作成した市町村という意味でございます、あるいは都道府県という意味でございます。
  102. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 観光というのは、多分人の流れ、人が動くことになります。そうなってくると、その観光圏に関連するというか、その中に入った市町村だけではなくて、実は入らなかったけれども、これ移動してきますので、遠くからですね、遠くからというかほかのところから移動してくることによって影響を及ぼすような、ある意味その周辺、隣接する市町村が一番大きいんだろうと思うんですが、そこにも影響することが多分あるんだろうと。その観光圏の設定位置によっては、その市の境目のぎりぎりのところにもしそういう設定をすれば、そのすぐ横というのは、逆に言うとむしろ当該市町村よりも影響を受けるような場合というのもあるんだろうと。それは、環境面であるとか混雑だとか生活交通だとか、そういうところも影響が出てくるんだろうなというふうに思っていました。  私は、これ関係する市町村というのは、もう少し広がりがあるのかなというふうに思っておったんですけれども、やはりこれは、その周りの隣接市町村については特に意見を聴くような機会は設けなくてもいいという解釈でよろしいんでしょうか。
  103. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) まず、基本的には、観光圏整備計画あるいは実施計画を策定する段階で、関係者の意見がすべて盛り込まれ反映していくというのは、これは基本でございますので、そこにやはり入っているメンバーの中でのやり取り、議論。もし、ある市町村がほかの関係者でつくられている観光圏整備計画が影響するということであれば、この中に入っていただくというのが基本ではないかと思っております。  それから、この法律で規定しております観光圏整備事業を実施しようとする者が自治体に意見を聞くという規定は、当該策定主体に限った議論でございまして、これ広げてしまいますと、聞く方も実は大変でございますし、また範囲も限定し得ないということで、事実上余り適切ではないと考えている次第です。
  104. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 時間がないので終わりますが、要するに観光旅客来訪滞在促進するということであるので、多くの方々に来てもらいましょうという、そういう話になるわけですね。そうすると、多くの方が移動するということになると、少なからず周辺の市町村というのも影響があるんだろうというふうに思うので、これはやはりできる限り、これは自分たちの市町村のことだから隣は関係ないよという姿勢ではなくて、周りの方々にもやはり意見を聴けるような協調した形でやっていただく方がよろしいのかなと思いますので、その辺りは、この計画を作る段階で少し指導をしていただければというふうに思っております。その件について最後もし、大臣、お願いします。
  105. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 私どものこの法律作るのは、二〇一〇年までに今二・七七泊を四泊にしようという大変な挑戦なんですね。そういう意味で、少なくとも二泊三日、行っていただこうということになりますと、おっしゃるように移動が前提になります。  したがいまして、そういう関係するところについての御迷惑にならないように、またそういうところも協力していただけるような運用を心掛けるようにさせていただきたいと思います。
  106. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 終わります。
  107. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十二分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  108. 吉田博美

    委員長吉田博美君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、田中康夫君が委員を辞任され、その補欠として大久保潔重君が選任されました。     ─────────────
  109. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 休憩前に引き続き、観光圏整備による観光旅客来訪及び滞在促進に関する法律案及び地域における歴史的風致維持及び向上に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  110. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 自由民主党の谷川秀善でございます。  まず、先般のミャンマーのサイクロン、また中国の四川省の大地震で大変たくさんの方々がお亡くなりになりました。本当に悲しいことでございます。心からお悔やみを申し上げますとともに、一日も早い復興、復旧を念じておるところでございます。  そこで、この二法案に対して質問をさせていただきます前に、一つちょっと別でございますが、質問をさせていただきたいと思っております。  いわゆる、これ、民主党の藤本委員がちょっと淀川水系の委員会について資料要求をされましたが、それにも関連をするんですが、五月の五日に産経新聞に載っているわけです。これは、いわゆる国土省の近畿整備局が、淀川水系の四河川の全区間に、ダム整備しないで、それで耐越水堤防を整備した場合にはどれぐらいお金が掛かってどれぐらい年数が掛かるかということをどうも計算したようなんですね。  これは、分かりやすく言いますと、いわゆるダム整備するという計画なんですよ。それは今、今日は何か委員を辞任されたようですけれども、脱ダム宣言をしておられる知事さんもおられましてね、結局、ダムは要らぬのではないかというのが一時大分、今でもまだ議論になっているんですよね。そういうこともあって、どうも淀川水系の委員会ダムについてやっぱり検討しなさいということをどうも言うたようなんですな。それに対して国土交通省は、いや、やっぱりダムの方がええんですわということをどうも反論するために計算をしたということなんです。  それで、その計算の結果、三千六百五十億円要ります、そして耐越水堤防を造ると、なんと期間は百十五年掛かりますと。だれが考えたってこんなのおかしいでしょう。百十五年掛かって三千六百五十億円掛かると。しかし、ダム整備すると、このダムというのは丹生ダムと大戸川ダムと川上ダム、この三つのダムなんです。そして天ケ瀬ダム、もう一つあるんですが、これは再開発なんですね。この三つのダムを造ると、それをやると二千七百四十億円で済みますと、だから一千億得しますと、こういう計算になっているんですよ。  そうすると、どう考えても百十五年掛けて、それで三千六百五十億円よりはこの三つのダムの方がいいでしょうと。これは反論だろうと思うんですね。どうも反論のためにこういうことを計算しはったと思うねんけどね、どう考えたってこの百十五年というのはおかしいわね。生きとらへんがな、だれも、そんな計算した人が。  それで、淀川も時々おかしくなりますが、最近は割に余り切れたりなんかしていませんので、国土省がちゃんと管理してくれているからね。だからそういうことなんですよ。それで、これをおかしいなと思っていた、私もね。そうしたら新聞に出たと、こういうことなんです。  ところが、くせ者はむしろ別にあるんですよ。これは、今、藤本先生が指摘した淀川水系委員会という委員会なんです。これがどうも私はくせ者やなと思うんですが、この淀川水系の委員会というのはどういう委員会なんでしょうか、ちょっとお伺いをいたしたいと思います。
  111. 甲村謙友

    政府参考人(甲村謙友君) まず、耐越水堤防のお金の話がございました。  洪水が堤防の上を乗り越えても壊れないような堤防、そういう耐越水堤防を造るということは世界的にも例がございませんし、また実際その構造や効果等の技術的解明ができておりませんで、もしそれを造っても、万一、一か所でも堤防が壊れればまた広域に甚大な被害を及ぼすことから、国土交通省としてはそういう耐越水堤防はできないと従来主張してきたところでございます。  しかしながら、淀川水系流域委員会におきまして、耐越水堤防の事業費を是非試算してほしいという強い要望がございましたので、あえて技術的な課題あるいは実現性を無視しまして、非常に大きな仮定の下に試算いたしましたら、淀川本川、宇治川、桂川及び木津川の直轄管理区間における耐越水堤防に要する費用が約二千百億円から三千六百五十億円、その整備期間が約八十年から百九十五年と試算して、四月二十二日に開催されました淀川水系流域委員会に提出したものでございます。  説明しましたように、こういう耐越水堤防はダムに替わるものではないと、そういう前提で、かつ、それもでき得ないという前提であえて試算をしたものでございまして、これでもちましてダムと耐越水堤防を比較しようとしたものではございません。  次に、淀川水系流域委員会の目的、活動内容でございますけれども平成九年に改正されました河川法におきまして、河川管理者が河川整備計画、今後約二十年から三十年の当面の間に整備する内容を定めた河川整備計画を策定する際には、必要と認めるときは、河川に関する学識経験者の意見聴取、公聴会の開催等、関係住民の意見を反映させるために必要な措置、さらに河川整備計画を定めようとするときは、関係都道府県知事又は関係市町村長の意見聴取を行うこととなっております。お尋ねの淀川水系流域委員会は、この学識経験者からの意見聴取の場として近畿地方整備局長平成十三年二月に設置したものでございます。
  112. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 おっしゃるとおりで、いわゆる耐越水堤防なんというのは、これはもう不可能なんですよ。全部の堤防をぴちっとして、それでいざというたときは水は上を越えるというんですから、それだけ立派な堤防を造るというのは現実問題として非常に不可能ですよ。それならそれで、計算するのはいいけれども、こんなものは不可能ですよということをしっかり言うとかないとこういう新聞記事になるんですよ。  その根底にはやっぱりダム批判があって、そのダム批判に対して私はしっかりと国土省が、いや、ここはダムが是非必要なんだということを正面切って言わないからこういうことになるんですよ。それで、その比較をして一千億安く付きまっせと、こういう話になっておるというのが面白おかしく新聞記事になっておるんですよ。  だから、これはこれでよくお考えをいただきたいということと、この淀川水系小委員会、これはおっしゃるとおりなんですよ。私も府庁の役人していたときありましたよ。そういうことで、ところが、これのくせ者は、今言うたように十九年一月に、十三年から始まっているんですよね、十九年一月にいったん休憩をして、それからまた続けているんですよ。それで、これは委員会が七十七回、部会が五百六十三回。十三年からあれでしょう、現在まででしょう。そんなに、八年間ほどの間に六百四十回やっているんです。六百四十回ですよ。何やっているんですかということを聞きたいのと、同時に、この費用が、今、藤本先生がおっしゃったように、これがまた大変なんです。二十二億八千万円、二十二億ですよ。そうすると、これ一回平均にすると三百五十万円ですよ。どんな会議やっておるんですか。どんな会議しているのかと思いますよ。一回平均して、この小委員会も皆ならして、一回が三百五十万円。考えられますか、こんなの。ここに私は問題があると言っておるんですよ。それは、国土省ね、それは道路財源だよね。冬柴大臣、大変な無駄遣いでえらい怒られていましたよ。私もかわいそうやな思っていた。それは大したことないですよ、極端に言うたらテニスボール買うたとか、そんな話ですよ。  これ、二十二億ですよ、会議だけで。こっちの方がよっぽど無駄遣いやと思いませんか。だから、そういうところを私は聞きたいのと、同時に、これは何も淀川だけやないと思いますよ。他の河川も同じことをやっておると思うんですよ、少なくとも。そうすると、同じような形式で会議やっていたとしたら、膨大な費用を使うているんじゃないかという気がするんです。だから、今日はそれについてはお伺いする気はないけれども、この淀川水系についてこれからどうする気なのか。これ、もうとんでもないですよ。資料印刷費、八年間で一億、資料ですよ、一億九千万円。常識で考えられますか。どんな資料作っておるんですか、本当に。  そういうことなんで、私は是非、今日は結論求めませんから、是非検討してもらいたいということと、今、冬柴大臣、これ聞いてもらいましたが、どういう御感想をお持ちですか。
  113. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 私の常識から考えたら考えられない会議やと思います。したがいまして、これについては、今局長説明したように、法的根拠も、必要と認めたときはという条件が付いて、聴かなければならないと、こうなっておるんですね。  私は、この淀川水系委員会だけの意見を聴くんじゃなしに、ほかにも関係知事、それから自治体の長、それから広く住民、こういうところからも聴きなさいと。同列なんですよね。だけど、ここは物すごい学者なんですわ。もう議事録だけでもすごい。それで、どれだけ資料作ったかといったら、二千六百ページに及ぶ説明資料を全員に配付して、それは長い時間に掛けてですけれども、あれ出せこれ出せ言われますと、全部せにゃいかぬ。そういうことで、会場費もありますし、見ていただいたら分かりますけれども、これは大変な委員会だなと。僕はこれ聞いたときに、余りここで言うとあれだけど、もう御意見は伺ったんだからいいんじゃないのと。ほかの知事さんとかそういう人たちの意見をよく聴いて、そして、河川管理者は私ですからね。これ、小田原評定という言葉があるけど、やっている間にどっと来たら、亡くなった人が出たら、私、責任ですよ、これ。  したがって、私は、学問的にはどうなんだということを言いますと、ここに入っておられる委員の先生方も、ダムは有効だといっぱい言っていらっしゃる方がたくさんあるんです。ところが、報告書にはダムは駄目だと。もう一度作り直せというもう簡単な報告書が最後に出ています。私は、もうお聴きしたんだからこれでいいんじゃないのと、こういうふうに申し上げています。  私は、これは多大な時間と莫大な費用を掛けたということについては、私は国土交通省としてこれ真摯に受け止めなきゃならないし、御批判をいただきました。私、本当におわびせにゃいかぬ気持ちでいっぱいでございます。しかしながら、流域委員会に期待する役割を踏まえながら、より良い委員会運営をやっていくということに努めなきゃならないというふうに思っております。ただ、これは、あそこに書かれているような、書かれている以外のことも物すごく広く検討していただきまして、いろんな意見を伺っておりますので、こういうものを生かしながら、河川管理者として整備計画をきっちり作っていきたい、このように思っております。
  114. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 私は何も無駄やとは言いませんけれども、まさしくこれは、「会議は踊る」というような昔映画がありましたけどね、踊るどころの騒ぎではないですよ、これ。だから是非しっかり検討をしていただきたいと思いますし、それから、もう今は地方大変なんですよ。財源、お金なくて大変なのに、これも地方負担させているんですよ。この二十二億のうち、都道府県で七億七千万も出しているんですよ。都道府県に負担させているんです。  こういうことも含めて、全体を考えて、是非、私はやっぱりこの委員会の在り方については十分御検討賜りたいということをまずお願いを申し上げておきます。  それでは、本題に入らせていただきます。  まず、観光圏整備に関する法律でございますけれども、これは長年懸案でございました。そして観光庁という役所も設置することができたわけでございますけれども、なかなか日本は諸外国と比較をいたしまして、観光というのは非常に私は遅れているのではないかなというふうに思っておりましたので、この法案ができますと大分進むのかなと、こう思いまして、非常に喜んでおるところでございます。  そういう意味で、このビジット・ジャパン計画というのがございまして、これは二〇一〇年に外国から来る旅行客を一千万人にするという計画でございますが、これも相当どんどんと前へ進んでいくのかなと思いますけれども、この計画ができましてから現在までどれぐらい進んでおるのか。大体、聞いておりますと、予定どおり増えておると、だからこの二〇一〇年には一千万人は超すやろうと言われておりますけれども、その辺のところについて、時系列的に御説明願えますか。
  115. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 二〇〇三年にビジット・ジャパン・キャンペーンというものを時の内閣が始めていただきましたが、そのときの外国人の、訪日外国人旅行者の数は五百二十一万人でございました。それを、今おっしゃっていただきましたように、二〇一〇年には一千万人にしようじゃないかと、こういう計画が立てられまして、ビジット・ジャパン・キャンペーンということで始めさせていただいたわけでございます。  それで、その間、一昨年の十二月十三日には衆参両院全員一致で議員立法でこの観光立国推進基本法を成立をさせていただきまして、昨年の六月二十九日には観光立国推進基本計画を閣議決定していただきました。その中にも、二〇一〇年には訪日外国人の旅行者を一千万人にしようと。そのほか、日本から出ていく旅行者は二千万人にしようと。あるいは、先ほど来いろいろな話がありましたけれども、消費していただく金額を三十兆円にしようと、二十四兆四千だったんですけれども、これを三十兆にしようとか、あるいは旅行者が二・七七泊しか泊まっていないけれども、これを二〇一〇年には四泊泊まっていただく。そういう意味で今回いろいろな観光圏についての法案を提出させていただいたわけですが、そのように整いまして、そして四月二十五日には観光庁を設置するということで衆参で決めていただきまして、これから観光というものをやっていこうと。  それで、観光はやはり、国際親善とか言いますけれども、草の根の交流ということがやっぱり一番基本なんですね。そういう意味で、観光ということで、内外国人が、向こうから来ていただく、またこちらからも行くということが国際親善の中では本当に大事な要素だと思っております。  それでどうなったのかといいますと、昨年は八百三十五万人まで、おととしは七百三十三万人でございましたけれども、八百三十五万まで参りました。今年は何とか九百万に乗せて、二〇一〇年は一千万を突破したいと、こんなふうにも決意をしているところでございますが、そのほかの点については大変厳しい、難しい点もありますけれども、しかし、目標を立てた以上は、これを省を挙げてとにかく実現をしたい、このような決意、思いでいるところでございます。
  116. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 今お述べになったように、予定どおり日本へ来てくれる外国の人も大体一千万人ぐらいになると。これから、今のところは日本人の方が外国へ行く人の方が多いんですね。だけど、これも千七百万人ぐらいのをもう二十二年ぐらいには二千万人ぐらいにはしたいという計画のようでございますが、私は、やっぱり日本というのは余り資源がございませんから、これからいろいろあろうけれども観光地というのは私は大きな資源だと思っているんですよね。だから、この消費をどう拡大するか、これにやっぱりこれから力を入れていかないとなかなか大変だと思いますよ、もう本当にね。  そういう意味では、この立法というのは私は非常に役に立つと、こういうふうに思っておりますので、是非これからだという認識の下に頑張ってもらいたいということと、今年はもう近々アフリカの会議、TICADⅣがありますし、それから七月にはG8が北海道洞爺湖で行われるわけです。  それから、私は、国際会議というのはだんだんだんだん増えてきていたと聞いていて大変喜んでおったんですけれども、ここ二、三年大分減ってきているというんですね、国際会議は。そやから、この二つの大会議をてこに是非国際会議も増やしてもらいたいというふうに思っているんですが、なぜこの国際会議が減ってきているんですか。その原因はどこにあるのか、ちょっとお伺いいたしたいと思います。
  117. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  委員指摘のように、我が国の国際会議の開催状況はちょっと芳しくないものがございます。二〇〇〇年の時点では二百三十七件ございまして、その時点ではアジアで一位でございました。それが二〇〇六年には百六十六件に減少いたしまして、アジアの中ではシンガポール、中国、韓国に次いで四位に後退をしたところでございます。  その原因につきましては、アジアの今申し上げたような諸国が国際会議の開催を主要な産業と位置付けまして、国を挙げた誘致活動あるいは受入れの改善ということを進めてきているところでございまして、こういう状況に比べて我が国では取組体制が不十分で、政府、自治体、民一体となった動きが取れていなかったと、こんなことが立ち遅れの原因になったと、こういうふうに反省をしているところでございます。  こういう中で、二〇一一年にこの国際会議の件数を五割増しにするという目標を立てておりますので、まずは国を挙げた体制づくりをしてこれに取り組むべきであると、こういうことで昨年の五月に関係省庁が寄り集まりまして、国際会議開催・誘致拡大局長会議というものを開催いたしました。ここで政府一体となった取組のプログラムを定めまして、これに基づいて取組を集中的に今実施しているところでございます。
  118. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 私は、空港も、関西国際空港も滑走路二本も供用開始しましたし、中部国際空港もできた。空港についてはいろいろできてきているんですよね。だから、そういう意味では、やっぱりお迎えするという体制はでき上がったんだろうと思いますが、それと同時に、諸外国は、シンガポールにしたって韓国にしたってもう大変ですよ、その国際会議を誘致する努力、この努力がちょっと日本は欠けていたのではないかと。  だから、やっぱりああいうものは、いらっしゃいいらっしゃいと言ってくれて、便宜図りますよと言ってくれる方へ行きますよ、これは、どうしても。黙って、あなた、親方みたいに、大名みたいにやっていたらだれも来ませんよ。そういう時期がちょっとあったというふうに思っておりますので、これはよく御理解をいただいているようでございますから、是非ちょっとやっぱり大いに、サービスもやるし、それとPRですよ、これはやっぱり大いに誘致活動をやっていただきたいと、このように思うわけでございます。  そういう意味で是非お願いをしたいということと、これから今大臣もおっしゃったように、外国から来る人もどんどんと増やす、それから日本から行く人も増えてもらうということで、両々相まって観光立国日本を立ち上げようと、再構築しようということだろうと思いますので、是非努力をしていただきたいと思います。そのためにはやっぱりいろんな施策をやる必要があります。その施策をやるというのはこの観光立国の立法の趣旨だろうと思います。  それには、やっぱり一つは、国内的に見ますと、観光地をまずつくらにゃいかぬ。いい観光地をたくさんつくるということ。それと同時に、そのためには、観光産業を国際競争力のあるようにするためには人材を養成しなきゃいかぬ。それに携わる人材、いろんな人材があろうと思いますね。直接携わる人材もある、いろいろあると思いますが、この人材を養成するということと、いわゆる外国、特に外国から来ていただく人には、日本に来て非常に観光しやすいというか、そういう環境の整備も必要だと。この四つだろうと思うんですね。  この法律というのは、この四つをこれからどんどんと進めていくと、こういうふうに書いてあるわけですけれども、なかなか、観光圏を形成すると、今まで民主党の先生方御質問しておられたけれども観光圏というのは非常に分かりやすいようで分かりにくい概念なんですわ。何となく観光圏というと分かったような気がするんですけれども、それじゃどういうことなのでしょうかと、こう言われれば、なかなか非常に説明しにくい。  だから、基本的には私は、やっぱり自然景観だとか歴史文化遺産だとか、そういうもろもろのものをやっぱり集大成をしたものだろうというふうに思うんですけれども、その辺のところもう一度、この概念の整理について大臣、どうお考えになっておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  119. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) 私の方からちょっと前触れで御説明をさせていただきたいと思いますが、法律でも観光圏につきましては歴史的、文化的に一体感があって、観光流動という面からつながりのある地域というふうに、こういうふうに定義をしてございます。お客様の目から見て一つのゾーンとして旅をして歩くのにふさわしい地域と、こういうふうに理解をしておりまして、したがいまして、対象とするお客層、これによってゾーンの在り方は随分変わってくるものと、こういうふうに考えております。  ただ、やはり標準的には、広域的に幾つかの市町村が宿泊拠点を中心として寄り集まってゾーン、圏域として観光地域をつくっていくと、これが普通の姿ではないかと、このように考えているところでございます。
  120. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) せっかくでございます。  私は、やっぱり観光地というのは、先ほども委員からもおっしゃいましたけれども、身近にあるのは案外気が付かないんですよね、よそから来た人の方がよく分かる。それで、我が尼崎にも立派な観光資源はたくさんあると思うんですけれども、どれだけ自分たちがそれを認識しているのか分からないと思うんですね。私は、そういうものを再発見をして磨きを掛ける、住んでよし、訪れてよしの国づくりだろうと思います。  私は、そういう意味で、その誇り、そういうものがそこから出てくるわけでありまして、資源の生まれ出る遠因というのは、歴史であり、そしてまた伝統、文化、そしてまたそこに住む人々の考え方、そしてまたその土地の景観であり、温泉であり、特産物あるいはそれの調理方法まで及ぶと思います。私は、そういうものに磨きを掛けて、そしてよそから来た人がそこに驚きを感ずるようなすばらしいものをそこにつくり上げる、その鋭意というものが私は大事だろう。  観光圏といいますと、観光地というのはありますけれども、例えば、有馬温泉だけじゃなしに、できれば城崎にも行ってほしいし湯村にも行ってほしいねと、そういうような温泉巡りというのも一つのゾーンとして、あるいは冬であればカニを食べてもらったらどうかとか、いろんな発想がそこに出てくると思うんですね。ほかにない特色、そういうものがあるのではないかというふうに思います。  私は、そういうものをそこに住む人たちが考えて、そしてそういうものを再発見をして、いろんな人の意見を聞きながら、これを外へ売り出す、自分たちの誇りとしてこれを売り出すというようなことが求められるのではないかというふうに思っております。我々はそれをお手伝いをさしていただくと、こういうことだと思います。
  121. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 おっしゃるとおりだろうと思いますし、大体、外国人が観光に対する感覚と日本人が観光に対する感覚というのは、私は大分違うと思うんです。大分違う。日本人はこせこせこせこせ、もう要するに忙しいですからね。観光に行っても忙しいですよ。あっち回ってこっち回って、あの土産物買うてこの土産物買うてと。いわゆる日本人の観光というのは大分買物ですわ、ほとんどが買物。ところが、外国人はほとんど買物しませんよ、余りしない。だから、そういうことからいうと、いわゆる日本における受入れ体制ということを考えましても、外国人向けと日本人向けというのはやっぱりおのずと違うと思うんですよね。  この前、大分前ですけれども、スマトラ沖地震のときに、私、インド洋のモルジブいう国へ救援物資を届けに行ったんですが、そこに日本人の方がいわゆる旅館というか、海に突き出してコテージみたいなのを造りまして、大分成功した人がおられる。三年ぐらいでうまくいってますねん言うてました。ところが、何といいますか、スマトラ沖地震の津波でえらいことになってもうて、これではあきませんがなと、こういうふうに嘆いてはりましたけれども。  そのときにいろいろ話をお聞きしましたら、日本人は、その当時ですよ、新しい新婚旅行のメッカや言うてそこへたくさん来たという。ところが、二日したら夫婦げんかが始まる。なぜかと。何にもないんです。海あるだけで何にもない。そうすると、初めは、ああ、ええとこですね、本当に言うて喜んではしゃいでおられる。ところが、二日目、三日目入ると、何もない、買物行くところもなければ遊びに行くところ、何にもないわけですから、そうすると、どこか買物に行くところありませんかと聞きに来る。そんなものありませんと言うたら、もう三日目ぐらいから、もう退屈してしもうて、いわゆる余暇時間の過ごし方が違うんですね、退屈してしもうて夫婦げんかが始まると。ところが、外国人は十日でも二十日でも平気で、北欧の人なんかは平気で浜辺でひなたぼっこをして本を読んでいると。もう全然違いますよと、こう言っておられた。  だから、私はもうそのとおりやろなと。日本人、そんなもの、十日も浜辺で本読んでいなさい言うたら、それは怒りますよ、本当に。  だから、そういう意味で、やっぱり受入れ体制を考えないかぬ。だから、あれでしょう、大体宿泊を四泊にしようと、こういう計画ですが、二・何泊でしょう、今。そんなもの四泊にするの、これは大変ですよ、日本人相手では。外国人相手やったら十泊でもええですよ、そんなの。だから、日本人相手やったら四泊なんて、本当に何か観光圏みたいでだあっと行くところがあって、しかも買物ができると、こういうことをちゃんと整備されないと、なかなかこれは日本人には向かぬと。  そういう意味では非常に、私は日本における観光というのは、外国人相手だけやないですから、日本人の方が多いわけですから、非常に難しいやろなと思いますけれども、その辺のところも十分よくお考えをいただきたいということと、やっぱり観光に来ると、会議でも皆そうだろうと思うんですけど、ガイドですわ。ガイドの良し悪しによって全然違うわけです。我々が外国行きましてもね、ガイドさんによってもう全然違うでしょ。  そういう意味で、このガイドの養成というのは私は非常に大事なことだろうと思いますし、それからもう一つ日本は昔は大体国内旅行ではバスガイドさんですわ。やっぱり観光バスで行って、ガイドさんが歌を歌うてくれるでしょ。その辺を案内する歌を歌う、これが楽しみやった。ところが、このごろのガイドさん、歌を歌えないね。皆さんカラオケいかがですかって、さっとカラオケのセットしてしもうたらおしまいと、こういうことでしょう。  そういう意味で、だから私はまずガイドさん、今どうなっているのか、日本で。ガイドさんの養成、試験をしていると思います。ガイドさんの養成状況についてお伺いをいたしたいと思います。
  122. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  いわゆる通訳ガイドについてのお尋ねだと承知いたしますけれども、報酬を得て外国人に付き添って外国語で案内をする人と、こういう定義になりますが、通訳案内士法という法律に基づきまして、通訳案内士試験に合格した者が都道府県に登録をして業務を行うと、こういう形になっております。  実は二種類ガイドございまして、全国レベルの案内ができます通訳案内士と、それから都道府県の区域に限定して案内ができる地域限定通訳案内士と、こういう二種類がございます。後者は実は平成十八年四月に通訳案内業法並びに外国人観光旅客来訪地域の多様化の促進による国際観光の振興に関する法律、これを一部改正いたしまして導入したものでございます。全国的な知識を必ずしも持っていなくても、地域をただよく分かっている方が比較的簡単にガイドになれるという、そういう体制も必要ということで新たに導入したものでございます。  この両者のそれぞれの状況を申し上げたいと思いますが、今、人数的には、全国レベルの方が、平成十九年の四月一日現在で一万九百五十八人になっております。他方で、地域限定通訳案内士の方は、実施している地域が十九年度時点では岩手県、静岡県、長崎県、沖縄県の四県でございまして、八十四名の方が合格されていらっしゃるところでございます。  この試験につきましては、全国レベルでの試験をやっておりますが、海外でも試験をやることが、外国人の方も通訳になっていただいて、持っていらっしゃる母国語を活用していただくという意味でも大事ということで、十八年度から試験を実施しておりまして、ソウル、北京、香港、台北の四か所で実施をしているところでございますが、十八年、十九年の二年間で三百六名の合格者が出ていると、こんな状況でございます。  今後とも、このような制度の充実を図ることによりまして通訳の数を増してまいりたいと思いますし、また、質の方も大事でございますので、合格した方々に対して通訳ガイド団体で新人ガイド研修をしたり、あるいは語学別の実務研修を重ねると、こういう努力もしているところでございます。
  123. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 いわゆる全国レベルのガイドさん、私は一万人というのは非常にたくさんおられるなとびっくりしました。そんなにおられるのかなと思いましたが、これで、外国人もおられるんですか、この一万人の中で。
  124. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  数字、ここの場ではちょっと申し上げられませんが、先ほど申し上げましたとおり、外国でも試験をしておりまして、外国人の方いらっしゃいます。
  125. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 それは何か去年ぐらいからやったんですな、外国で。  じゃ、日本でも外国人相手の試験もしているんですか。
  126. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) 国籍を制限をしておりませんので、外国人の方も同じ試験が受けられることになっております。
  127. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 私は、大いに外国人に、留学生もたくさん来ているわけですから、どんどん受けやすくして、易しくしてあげたらええと思うんですよ。何もそんな、あなた、このガイド試験って非常に難しいでしょう、割に、全国レベルのガイド試験、非常に難しい。だから、もっと易しくしてあげて、受けやすくして。我々でも外国へ行ったときに、大体日本人のガイドさんですわ。そうすると非常に親しみもあるし、非常に有り難いと、こう思うでしょう。  だって、例えばこの外国から来られる方は、データを見ていると韓国だとか中国だとかその辺が多いでしょう、数。そうすると、その国の方が日本にもたくさんおられますよ。だから、そういう人に案内してもらうというと親しみもわくしええんじゃないかと思いますよ。  だから、そういう意味では、この試験、もうちょっと易しくしたらどうですか。そんな難しいからといって、学問あったって何の役にも立ちませんよ。遊びに来ておるんだから、ほとんどが。そんなあなた、学問を教えてもらいにきているというようなことはないんやからね。  そういう意味では、易しくするということと、地域限定ガイド、これをもっと増やした方がええと思いますよ、もっと。こんなあなた、八十何名と、こんなもんじゃどうしようもないと思いますよ。どんどんこれを増やすということで、両々相まってやっていただきたいということと、それでやっぱり、むしろ地域限定の場合は、ボランティアガイドをどんどんどんどん募集したらええんですよ、ボランティアにガイドをしてもろたらええのや。よく知っていますがな、お年寄りは、自分とこの地域の遺跡やら古跡、古いところのことはみんなよく知っていますから、だからそういうようなのは両々相まったらどうですか。  これはあれですか、地域試験の人は、もうこれもやっぱりあれですか、有料ガイドですか、そうでしょう、有料ガイドでしょう。だから、まあ、有料の人もおればただの人もおるというと、何かちょっと具合悪いがなというような話あるかも分からぬけど、それはそれで、ただでガイドしてもらいたいいう人もおれば、いや、金出してもええガイドしてもらいたいという人もおるやろから、それは選択させたらええんやないんですか。  そういう意味で、大いに両々相まつということが私は大変必要だというふうに思いますので、これはお願いをしておきたいということと、これからどんどんと外国からお越しをいただかないかぬから、やっぱり日本へ来て非常に動きやすいようにしてあげないといかぬ。  これが私は、やっぱり環境の整備をちゃんとやっていただきたいというのはそこなんです。高速道路なんかでも、標識ね、ほとんど日本語の標識ですわ。まあ、せいぜいちょっと英語の標識があるぐらい。これを何とか、来られる方は韓国、中国が一番、五〇%以上を占めてんねんから、せめてハングルでも、そういうところもありますけどね、ハングルの標識をする。まず高速道路については、これは是非、国交省所管でもありますから、是非これは早急にやると。道路財源、こんなところに使うたらええんですよ、一般財源化も必要ですけど。それと、交通機関ですね。交通機関も余り外国語標識というのは少ないですわ。大阪なんか見ていましても、まあ私がぎゃあぎゃあ言うからね、せいぜい地下鉄なんかハングルとか何かもこのごろ表記していただくようになっていますけど、まだまだうまくいっていません。  そういう意味では、是非、道路標識なり、それと公衆便所を、これをしっかりしないとなかなかこれが大変なんです。我々でも、旅行に行くと、やっぱり便所が大事ですよ、どこか便所ないかというようなことになるんで、この辺も十分公園整備をしていただくと同時に便所の整備もぴしっとしていただく。  こういうことを是非お願いをいたしたいと思いますが、観光担当の審議官、いかがですか。
  128. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  まずガイドについてでございますが、地域限定通訳案内士、まだ非常に数が少ないわけでございますけれども、去年からスタートしたばかりでございまして、これから増えていくというものでございます。四県しか去年はまだ実施していませんが、今年度も北海道、それから栃木県が試験を実施することを予定するなど着実に増えてきておりますので、その意味で、数的にも、また実施件数も増えていくと、こういうふうに理解をしております。  それから、本体のガイドの方でございますが、いただきました御意見にもありましたように、もう少し簡単な試験のものがあっていいのではないかとか、あるいは有料ガイドになっておりますけれども、使用実績が低いので見直す必要があるのではないか等、実は様々な御意見をいただいておりまして、総体的な見直しについて検討をしたいと、こういうふうに思っているところでございます。  それから、そうした中で、御指摘のように、ボランティアガイドの活用ということは、実際に案内をいただける方々のためにも、また地域地域のことを情報発信して、一緒になって観光振興していくというそういう機運を高めていくという、こういう観点からも大変重要だと思っておりますが、幸い数は順調に増えております。平成二十年の四月現在で三万四千二百九十人の方がいらっしゃいますけれども、十五年には二万三百八人でございましたので、約七割がこの間に増加をしたということでございます。  数が増えるに併せまして質的な向上も必要ということで、例えばボランティア活動の実践面に対する質の向上を目的とした手引を日本観光協会で作成いたしましてこれを周知する、あるいは講習会でこういうものを使った勉強をしていただくと、こんなことも進めておりまして、質量とも増加を図れるようにということで努力をしているところでございます。  それから、外国語の標識について御指摘がございましたが、おっしゃるとおり、最後は外国人の方が日本に来られて一人でも歩けるということが理想でございまして、そうした状況に近づけていくように努力をしているところでございますが、まずは交通機関での整備が大事だということで観光案内標識の指針を策定いたしまして、地方公共団体に周知を図っているところでございます。それからまた、公共交通機関につきましては、外客来訪促進法に基づきまして案内表示の整備に関する計画を作っていただきまして、これに基づいて実施を今やっていただいているところでございます。この公共交通機関の事業者による計画につきましては、昨年の三月までにすべての事業者が計画をもう提出済みでございまして、二年以内にこの計画がすべて実施されるというこういう段取りになっております。  こういった形でいわゆる基礎的な条件は整備されてきているものと理解しておりますけれども、やはり最後は、つくる側の視点ではなくて利用する側の視点で本当にいいものができているかどうかというところが大事でございますので、主要な空港、駅などにつきましては実際に外国人の方に点検に行っていただきまして、その目で見て改善点等を御指摘いただいて、具体的な対応を進めているところでございます。まだまだ不十分なところがあるとは思いますけれども相当改善が進んでいるんではないかと思います。  なお、道路についてでございますが、標識令に基づいてローマ字での表記はこれが標準になっているところでございます。ただ、高速道路等で余り多くの情報が目に触れるということは安全上の問題もございますので、その他の言語につきましては歩行者に対する情報提供ということで、案内板等に中国語あるいは韓国語での表記を進めると、こんな対応が進んでいるところでございます。
  129. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 いろいろやっていただいているようでありますし、また御検討をいただいているようでございますので、是非机上の空論にならぬように実施をしていただきたいと思いますし、地域限定ボランティアって、これ全国各都道府県でやらせりゃいいんで、こんなのあんた、今四県です、あと二、三県増やします、そんなちまちましたことをやらぬと、こんなものはあんた、全国に観光地あるわけですから、都道府県でないというところは一県もないと思いますよ。だから、やっぱり地域限定通訳案内士については是非全県におるというふうに是非していただきたいというふうにお願いをいたしておきます。  それと、この外国の人を是非、ちょっと偏在しているんですよね、日本へ来ていただいている旅行客は。まあそれはもうやむを得ない、近いところからということでしょうけど、やっぱりヨーロッパでもアメリカでも来てもらいたいということですので、これは海外PRを外務省が中心になってやっているのか、どこがやっているのか分かりませんが、是非海外PRの予算をどかんとつくって出して、それでPRを是非してもらいたい。我々も大使館へ行きましたが、余りそんなPRしているような感じありませんわ、領事館でも。  だから、これどこで、文化センターか何かでやっているのかな、その海外PRは、主に。その辺のところを是非、予算どれぐらいで今までやってこられたのか、またおやりになろうとしておるのか、その辺のところをちょっとお伺いいたしたいと思います。
  130. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  外国における日本のPRにつきましては、今委員から名前が出ました外務省などとも協力してこれを実施しているところでございますが、中心になっておりますのは独立行政法人国際観光振興機構でございまして、日本の政府観光局でございます、ここが中心になって海外でのPRをやっております。海外の十三か所、これが実は主要マーケットでございますので、ここに事務所を設置いたしまして、海外の旅行会社やメディアなどのネットワークを活用してプロモーションを実施しておりますが。  少し具体的にどんなことをやっているか申し上げさせていただきたいと思いますが、一つは、広告ということで、テレビのCMでございますとか新聞、雑誌などの広告宣伝を、例えば日系企業とタイアップするなどして予算を効率的に使いながら宣伝をしているところでございます。  それから、実際、メディアの方に日本に来ていただくことは大変有効でございますので、海外メディアに働きかけをいたしまして、日本に招いて取材を支援していただいたりしておりますし、また海外の旅行博に出展をいたしますとか、ITを活用しましてウエブサイトによる日本観光情報の発信もしているところでございます。  それから、直接的には旅行会社への働きかけ、これが重要でございますので、働きかけて魅力的な日本を訪れるための商品を作っていただくということで旅行会社の方を日本に招請しまして商談会を行ったり、あるいは現地で旅行会社に対してセミナーを開いたりアドバイスを与えるような機会を行うと、こんなことでやっているところでございます。  予算的には、本年度のベースで申し上げますと、ビジット・ジャパン・キャンペーンということで三十四・五億円の予算を計上しておりますほか、政府観光局に当たる国際観光振興会、国際観光振興機構に対して交付金、二十一億強を交付しているところでございます。
  131. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 大分PRにも力を入れていただいておるようでございますので、是非よろしくお願いをいたしたいと思います。  それで、私は最初にも申し上げましたが、これからますます地方活性化しなきゃいかぬと、地方の時代であると言われておるわけですから、地方活性化するためにはいろんな施策もあろうと思いますけれども観光を振興するということも大きな一つの私は柱だろうというふうに思っておるわけです。  それで、このツーリズム産業の付加価値というのは大体約十一・九兆円、十二兆円ぐらいだと言われておるわけです。だから、一般機械で十一・五兆、通信業で十・六兆、これより多いわけですね。だから、食品が十三兆、輸送機器で十三・三兆と、大体これに匹敵するぐらいの付加価値があるわけですので、しっかり予算を付けて、しっかりこれに力を入れたら地方活性化すると、地方分権も進むというふうに思いますので、是非大臣、決意をお願いをいたしたいと思います。
  132. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 今おっしゃったとおりでございまして、我が国地方と中央との格差ということが言われておりまして、地方の経済は低迷をいたしております。そういう中にありまして、これを活性化する一つのキーポイント、これ観光だろうというふうに思っております。これは地方観光資源がたくさんあります、こういうの。そういうものに目を付けていただいて、そして頑張っていただきたいな、こんなふうに思います。  ちょっと一つの例を挙げますと、知多半島の先に日間賀島というところがあるんです。小さな、周囲一周で五・五キロ、中に住んでいる人は二千二百人、三百人足らずです。そこへ二十五万八千人の旅行者が来た。何でだと。フグを食べに来ておるんです、フグ。ここに、日間賀島周辺にいいフグが捕れるんですね。今まではそれを全部下関へ卸しておったわけです。で、下関のフグになっておった。ところが、賢い人がいて、これはうちねで料理をしてお客に食べさしたら付加価値も付くし、観光客も来るんじゃないかと。それで、そこは夏しかお客がなかったわけです。しかし、フグは冬ですから、冬も来てもらえるんじゃないかということで始めました。この日間賀島のフグは大当たりしました。だけど、フグは猛毒がありますから、調理免許が要るんです。その調理免許を民宿のおばちゃんも含めて、先生を招いて、そこでフグの調理免許を取ってもらったんですね。ですから、そういう知恵を働かしたら、今までの本当にだれも知らないような漁村にそんなにたくさん人が来るんです。  北海道でもあの倶知安ですね。あそこへはオーストラリアの人が人口の何倍もの人が来て、滞在するんですよね。それは、倶知安の雪がパウダースノーということで、世界で一番いい雪だと言ったオーストラリア人がおりまして、そこへオーストラリア人が次から次から来ることになりまして、二、三年前で日本で一番土地が比率的に上がったところがこの小さな倶知安なんですね。それは、そこへコンドミニアムをそのオーストラリアの外人が造って、そしてそこへ人が来ることになったということで、土地まで上がった。  ですから、私は、日本国中知恵を働かしたら本当にいろんなところで観光資源というのはあるんだなと。で、そういうところでたくさんの人が来て、それでそこに若い人が働く場所を得て、経済も活性化する。  私は、そういう意味で、観光というのが二十一世紀の我々、国の政策の柱にしなきゃならない。観光立国推進基本法というのを作っていただいて立国という言葉を付けていただいたのは、これはもって嚆矢とするわけでして、いろんなところでは使われるけど、観光を立国という言葉でつくっていただいたのでありますから、それにふさわしい努力をしなきゃならないと思いますし、知恵を働かさなきゃいけない、そんなふうに思っております。
  133. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 ありがとうございます。  おっしゃるとおりで、私はやっぱり知恵と発想の転換ですよ、これがお金になるということだろうと思いますので、是非そういう視点から頑張っていただきたいということをお願いをいたしておきます。  それじゃ次に、歴史的風致維持についての法律案についてお伺いをいたしたいと思います。  我が国は御存じのように古い古い歴史を持っておりますし、神社、仏閣等がたくさん残されております。また、これらの建造物が核となって、ただいまおっしゃったような市街地が形成されてきたと、こういうことであります。この歴史的風土を形成する要素のうち大きな要素はやはり建造物ではないかと、歴史的な建造物ではないかというふうに思っておりまして、従前は御存じのように文化財保護法でこの建造物を指定をして保護してきたというような、何といいますか、本当に、活用するという視点よりもまず保護をしようという視点の期間が長かったというふうに思われるわけです。  しかしながら、これには大変手間と時間とお金が掛かるわけですよ。特に、まだ仏像だとかそういう単体はいいんですけど、特に建造物というのは古くなって、古いから価値があるわけですから、古くなってきたらこれは大変ですよ、これ維持するのが。勝手に解体できない、勝手につぶせないというようなこともありまして、大変なことです。それと同時に、高齢化してくるでしょう、そうすると後継ぎがいないんですよ。後継ぎがいないからこれはもう皆困っているわけですよ。相続したって、これどうするのかというようなことで大変なんです。そういう意味では、もう勝手に、まだ指定される以前の建物で古くてやっぱり指定する値打ちがあるというようなものでもえらいこっちゃと、指定されたらえらいこっちゃから今のうちにつぶしてしまえというようなことで、これは暴論ですけれども、そういうのはなんぼでもあるんですよ、実際は、そんなもんかなわぬと。  そういうことで、なかなか守り切れなかったということで、こういう法律を作って是非一帯として保存をしようということは私は非常にいいことだというふうに思いますので、今回のこの法案についてまず大臣のお考えをお伺いをいたしたいと思います。
  134. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 奈良の法隆寺は六百七年、今から千四百年も前に造られた木造、途中で一回火事があったようですけれども、しかしながら今も千年を優に超える仏教建物群がここに残っているというのはもうすばらしいことでして、そういうものを代表として、この間は胡錦濤閣下もこれを見られて感動されましたよ、実際問題。中国から伝わった技術ですよね、そういうものが日本のこの東洋の一番端に千年以上こう残っていると、すごいことだということで感心をされました。  それから、建物はそうですけれども、この二〇一〇年、ちょうどビジット・ジャパン・キャンペーンの満了する年ですけれども、この年が平城遷都千三百年に当たるんですね、平城遷都千三百年。それで、今文化庁来ていただいていますから、後で言っていただいたらいいですけれども、大極殿をもう一度復原していただいているんですよ。もう二〇一〇年にはこれできあがる、すばらしいものです。これは中国の長安の都を模したものでございまして、羅城門あるいは朱雀門、朱雀門というのは復原されていますけれども、朱雀大通りは実に幅員七十六メートル、長さ三千八百メートルですよ、関空の滑走路と同じ大きさですよ。そういう道をどんと造ってそして街区を方形に造ったすごいものが残っているんですね。これは長安を見てカルチャーショックを受けたと思うんですけれども、そういう遣隋使、遣唐使という人たちがその技術を学んで、そして日本でこういう平城宮を造ったということで、中国と日本のいわゆる交流の原点はここにあるんじゃないかということを僕も申し上げたわけですけれども、そのように歴史、ここは、文化庁造っていただいた周辺は国営公園としてこの二十年度から造成をさせていただいております。二〇一〇年には諸外国、すなわちシルクロードの道の、大統領とかそういう人はもちろんのことですけれども、国家元首にも日本へ来ていただいて日本の古い歴史や伝統というのを見てもらいたい。  こんな大きなものは別としても、先ほどもお話ありましたけれども、三十年昔のものでも非常に価値のあるものもたくさんあります。したがって、そういうものを大事にする、誇りに思う、そういうようなものをこの国には残していかなきゃならない、そんな思いでございます。  その意味で、先生おっしゃったように、相続が始まったらもう売らざるを得ないわけですね、いらうこともできない。冷暖房を付けるにもすき間だらけで、これはもう今のようにすれば簡単だから壊しちゃう。それを何とか維持するためにはやはり公費による、税金をまけるとかいろんな手を差し伸べなければこれは残っていかないと思うんですね。  今回の法律というのは、そういう意味で、そういう我々が誇りに思えるようなものをこの国に残していこうという趣旨でやらせていただいておりますので、是非御賛同をいただいて、そして、こういうものがこの国に残っていくようにしたい、このように思っております。
  135. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 どうぞよろしくお願いをいたしたいと思いますが、今大臣の方からお話がございましたあの奈良の大極殿、文化庁大変長い時間を掛けて肝いりで復原をしていただいております。私は、本当に立派なものができつつあるので、非常に喜んでおるところでございますが。  それで、大阪に難波宮というのがあるんです。これは非常に大変な史跡です。それで今公園みたいな格好になっているんですよ。日本文化というのは悲しいかな、木の文化ですから、諸外国の文化と違って、石の文化と違いますから発掘をしたって何にも出てこないんですよ。いわゆる遺物といえば穴ですわ。柱穴とそれからかわら、かわらけとかね、そんなものしか出てこない。それで私は、難波宮はああいう状況になっている。それでよく文化庁、今次長おられますけれどもね、文化庁に、あんなものじゃだれも来ぬよと。大変な遺跡やと言うてこれは難波宮跡でございますと、こう書いてあるのやけれどもね、そんなもの、だれも来ませんがな、行ったって面白いことないから。この春でも大阪城公園はもう桜で超満員、その隣の難波宮はだれも行かない、こんな状況ですよ。ほとんどそうだろうと思う、皆。  だから、私は是非復原をしなさいと言うと、いや、なかなか文献が整うておりませんので、文献が整っておらないからしっかりとした復原ができないと、こんなあほなことを言っているんですよ。そんな昔のこと分かりますかいな。だから、大体その難波の、私が言ったことはちょっと言い過ぎかも分かりませんけどね、その奈良の大極殿でもほんまにそのとおりかどうか分かりませんよ、こんなもの。だれも見たことないんだから。  だから、私は資料の範囲内で、資料の範囲内で、それはこんなことを言ったら学者に怒られるかも分かりませんけれども、学術的にはともかくとして、大体こんなものでしたよと言うて復原したら、私は恐らく桜見に行くついでに難波宮へ行きますよ。もう隣り合わせなんだから。これがやっぱり文化を保存するという発想を、これもやっぱり発想を転換してもらわないといかぬと思うんです。それは大事ですよ、正確に一分、寸分たがわず復原するということは、これは学術的には大事ですよ。しかし、それができない、もうその文献が十分そろってなければ。それなら、次善の策として大体こんなものでしたよと。漫画でもありますがな、大体こんなものですよと。それが親しみを感じさせる私は基になると思いますよ。  そういう意味で、文化庁次長、難波宮どないするつもりですか。もうずっとあのままほったらかしや。これをもうあのままにするのか、それとも何か考えるのか、ひとつお伺いをしたいと思います。
  136. 高塩至

    政府参考人高塩至君) お答え申し上げます。  先生からお話がございました史跡難波宮跡は、これは先生御承知のように、七世紀から八世紀末まで我が国のまさに政治権力を知る上で大変重要な遺跡であるというふうに考えている次第でございます。  この難波宮跡につきましては、この史跡の管理団体でございます大阪市によりまして、昭和四十六年度以来史跡の整備事業というのが実施されておりまして、現在、先生は余り御覧になりたくないということでしたけれども、大極殿の基壇整備、それから朝堂の遺跡表示等が行われて整備が進められているところでございます。さらに、大阪市としては現在史跡の追加指定なども行っておりまして、公有化も更に進めておるということで約今十三万平米に及ぶ地域を史跡に指定して整備を行っているところでございます。  先生からお話のございました復原でございますけれども、復原というのは史跡の整備の一環として、私どもとしては従来はなかなか史跡を含む文化財につきましては、その保存ということを中心考えてまいりましたけれども、現在活用ということも前向きに考えるということでございまして、その史跡の管理者でございます大阪市の方からそういったお話があれば、史跡の整備に対する補助というものがございまして、話合いができるのではないかと思っておりますけれども、現在のところ大阪市からその大極殿の整備を含めましたお話は伺っていないと、こういう状況でございます。  また、ただ、復原につきましても、確かに遺構だけございますけれども、ただ想像復原という形でやるわけではなくて、やはり子細な、様々な検討というものもございまして、すぐに遺構の、いわゆる建て跡があるから建てられるというものではございませんけれども、いずれにしろ史跡の整備を進めるという中で大阪市からそういった御提案等があれば文化庁としても真摯に対応していくという考えを持っているところでございます。
  137. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 そりゃ、あんた、そんなこと言うたらあかんで。わし、昔々大阪府の文化財保護課長してたんでっせ。そんな、あんた、子供に言うような話したってあきませんで、そんなの。何遍言うたってあかなんだがな。  まあ時代が変わってきて、ちょっとはそういう傾向にあるというんだったら、すぐ私は大阪市呼び付けて言いますよ。ほな、やりますね、それやったらやりますな。時間は掛かると思いますよ、時間は掛かると思いますけれども、昔みたいに一言一句動かせぬとか、そういうことは言いませんな。それはどうですか。
  138. 高塩至

    政府参考人高塩至君) それは、例えば今現在名古屋市が本丸御殿を復原するというようなことについても整備が進むということがございまして、各史跡の管理団体の方からのお話があれば適切に対応しているというところでございます。
  139. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 それじゃ、是非、それはなかなかね、それは資料も検討せないけませんし、何ぼ復原すると言うたって、それは漫画みたいなわけにはいきませんよ、全然根拠もないようなわけにもいかぬから。それはよう分かりますよ、時間は掛かる。  だけれども、昔はね、一切駄目やったんです、一切駄目。これじゃ保存できないよね、本当に。だから、史跡についても、わしももう時間ないからあれですけれども、史跡勝手に指定するだけですよ。指定して、どれだけ今買い上げていますか。ほとんど買い上げられていないと思いますよ。だから、全国で史跡指定した面積と、もう聞こうとは思いませんが、買上げやったら大分、半分ぐらい買い上げていないんやないですか、予算ないですからね。そういう状況ですよ、現実は。私がもう三十年か四十年前に課長していたときとは大分違うやろうけれども、そんなに進んでいるようには私は思いませんよ、これで。むしろ遅れてるんちゃうかというような気がしますよ、私は。  そういうことで、是非これはしっかりと、守るということはやっぱり皆さんに守ってもらうんですよ、国民に守ってもらうんです。だから、国民が親しみを持てるようなことにしないと守れませんよ。だから、私は毎日あの横を通っているんですよ、難波宮の。そんなのせいぜい子供がキャッチボールしているぐらいのことですわ。何も、草ぼうぼうと生えて、時々草刈っていますわ。だからね、難波宮跡ですよと看板立ててあるけれども、そんなものだれも関心持ちませんわな。それは大変な大極殿に匹敵する難波宮ですよ、これ。本当に歴史的価値からいえば。  そういうことでございますんで、是非それは文化庁としてもしっかり、今いいお返事をいただきましたからね、なかなか、そう言って、明日復原せいと私言いません、そんなむちゃなことは言わないけれども、是非大阪市さんとも大阪府さんともよく相談をしてですね、是非私は復原したいと思っているんですよ。あそこに復原したらちょうど大阪城があってね、その隣ですからね、非常にそれこそ歴史的景観、この法律に、風致を守れる。今でも守っていますよ、今守っているのは柱跡だけですがな、守っているのは。  そういうことでございますんで、是非最後に、もうこれでやめますんで、冬柴大臣の決意を聞いてやめたいと思っています。
  140. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) ありがとうございます、大変な応援演説をいただきまして。  文化庁さんも本当によくやっていただいて、今回も胡錦濤閣下をお迎えして朱雀門で御案内できたわけですけれども、それは文化庁が朱雀門をきちっと復原をされた、それが残っているからできたわけで、それで今その向こうに、約一キロ先に大極殿が、もう私も見せてもらいましたけれども、もうちょっとで覆いを取ればすばらしいものがあそこへ出てくる。  私は、本当にそういう意味文化庁も、今までは保存という形で、忠実にそれを守るという形で、阪神高速の森ノ宮のあの下は、あれは埋め戻しのために、壊さないために橋脚を立てずに下からああいう形になっていますけれども、そういう配慮をしながらこういうものを、国民の共有の財産を残そうという努力があるわけでございまして、これからそれを利活用するために、また新しい考えの下に大阪市と協力をして、そして文化庁がまたこれに取り組んでいただくということになれば非常にすばらしいことだろうと。古代、七世紀ころの日本文化というものがそこに残っておるわけですから、残すことができるわけですから、是非外国、サンクトペテルブルクなんて建都三百年ですよ、建都三百年を二〇〇三年祝って、五十か国の元首を招いてお祭りやっておるわけです。こっちは千三百年ですからね。  ですから、私は、こういう日本にはすごい古い歴史があり、そしてそのときにあの木組みの技術を持っていたというのは驚きなんですね。本当に大仏さんもそのときに鋳造しているわけですから、すばらしい話でございますので、文化庁共々協力しながら、私もその周辺を国営公園ということですることにいたしましたし、相協力しながら、そういう古いものを利活用して、そして今を生きる我々がそういうものを楽しみ、誇りに思えるような、そういう国をつくっていきたい、こんな思いでございます。
  141. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 ありがとうございました。  終わります。
  142. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 公明党の鰐淵洋子でございます。  まず、この二法案につきまして質問させていただきますが、関連いたしまして幾つか大臣の方に伺ってまいりたいと思います。  まず、日本、中国、韓国、この三か国との交流について伺ってまいりたいと思います。  四月には韓国の大統領来日されまして、また胡錦濤国家主席も来日されました。今回の中国、韓国の首脳の来日によりまして、中国と韓国と日本との課題解決にもつながるでしょうし、また、より一層各分野での交流が更に深まっていくことを私も期待しておりますが、この三か国の関係の中で観光もやはり大きな、重要な課題になってくるかと思います。  これまでもこの三か国の観光の担当の大臣会議も行われておりますけれども、今年も六月に韓国の方でこの会議が行われると聞いておりますけれども、今後、中国、日本、韓国、この三か国の観光におきます交流事業、これをこれからどういう方向に持っていこうとお考えなのか、御見解をまずお伺いしたいと思います。
  143. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 二〇〇六年に日本の、当時は北側一雄国土交通大臣ですが、発議によりまして三か国の日中韓観光大臣会合を開こうということで、北海道で、釧路と旭川で開いていただきました。そして、それが契機になり、昨年は中国で開くことになりまして、青島と大連、もちろん私がそれには出席をさせていただきまして、もう盛大に開催されました。そして、今年はおっしゃったように韓国で開かれます。  この三か国は、もう言うまでもなく、先ほどの中でも申しましたように、日中韓というのは北東アジアという地位を共通するだけではなしに、歴史的にもう優に二千年を超える交流があるんですね。日本人が漢字を使い出したのも、これは中国から韓国に渡り、韓国の王仁博士という人が論語十巻と千字文一巻を持って日本にお見えになったと、これが日本人が漢字を知ることになった始まりだと、これは古事記にも日本書紀にも書いてあります。  したがって、そのように、中国とそして日本、韓国というのは、一衣帯水という地理だけではなしに、歴史的にももう非常に近い、そして同じ東洋人でございます。そういうことから、私はこの三か国が世界経済の牽引車になるだろう。  そういう意味で、観光という場面だけではなしに、あしたから私また岡山で三か国の物流大臣会合というのもやるんですけれども、緊密に連携しながらやっていく、二十一世紀はこの北東アジアというものが世界経済の牽引車になるべきである、こんな思いでいるところでございます。  観光の中ではいろんな合意をいたしておりますけれども一つだけ御紹介しますと、日本の、あれ何というんですかね、ICカードで交通運賃を、例えばいろいろ換算しなくても、あっ、PASMO、Suica、ちょっとそういうの弱いものですから。PASMOとかSuicaとかありますね。そういうものを中国とか韓国で来る人に買っていただいて、日本へ着けば両替しなくてもそれですっと乗れると、それでそれは帰ってから自分の口座で落としていただくと、こういうようなことをやろうじゃないかということで、中国で開かれたときに日本からそういう提案をいたしまして、それはいいねと、これやろうということで社会実験とか今やっていますけれども。今度の韓国でやるときにはそういうことも実際にできるようにしようとか、いろんなことを話し合っているところでございます。  以上、そういうことでございます。
  144. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  これまでの課題にも上がっていることかと思いますが、今回の胡錦濤国家主席の来日に当たりまして、また福田総理の方からもお話あったんですが、今後の日中間の関係の中で青年交流、これをしっかりと力を入れていこうということで重要性、また促進していこうという、そういう話もあったかと思います。  私もこれまで、高校生また二十代、三十代の青年の皆さんと二回ほど一緒に中国に行く機会がありまして、行かれた方に感想を聞きますと、やはり実際に中国に行って中国の方とお会いして、何か勝手に自分たちが中国に対して誤解していたところもあったし、中国も自分たちのことを誤解していたところがあったので、直接会ってお話ができてよかったとか、あとやはりちょっと親しみを感じるようになったとか、全般的にやっぱり行ってよかったというのが感想でした。  特に、この青少年の交流はあらゆる分野でのこれから日中間の土台となる部分でもあると思うんですが、やはり観光の面におきましても、やはり日本のファンというか日本が好きになって、これから日本に行きたいなという、そういった中国また韓国の若い方が増えるという意味でも、中国また韓国との青年の交流事業というのは大変に重要になってくるんではないかと思っております。  これまでも外務省また文科省、内閣府が青少年の交流事業をしておりますけれども、是非国土交通省としても連携取るなり、また単独でも、是非単独でもと思っているんですが、青少年の交流事業、積極的な中国、韓国との青少年事業、しっかりと具体的に取り組んでいただきたいというのが一つ要望でございまして、次の担当大臣の会合の際にも是非この青少年交流、これを一つの重要な課題として取り上げていただきたいと思いますが、この点につきましてはいかがでしょうか。
  145. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) もう全く同感でございまして、私、修学旅行というものが日本にありますが、韓国もそういうようなものがあるようです。したがって、是非日本に修学旅行に来てもらいたい。それで、その飛行機代も、ちょっと空いた、物すごく込んでいるときじゃなしに空いたときに安く乗せていただくと。それからまた、東京、大阪だけじゃなしに京都とか、地方でいろいろ、最近は地方の公民館とかいろいろあるわけですから、そういうところで泊まって、安くですよ、そしてその地域の青年と交流をしていただくということが大事だということを観光大臣とはよく話し合っています。それで、こういうものを現実のものにしたいと思います。  それから、昨年は朝鮮通信使四百年だったんですね。そういうことで、朝鮮通信使が通った各都市に韓国からも高校生辺りが来て交流をしました。本当にそういう意味で、もう鰐淵さんがおっしゃったとおりで、来られた方はもう本当に日本が好きになるんですね。親から聞いていたことと違うというぐらい、そういう気持ちになられるわけです。したがって、私は青少年交流が最も大事だろう。  ちなみに、福田総理と温家宝首相との間で、この四年間に一年間四千人ずつ一万六千人の青年交流をやろうと、これは大変な規模でございますけれども、そういう合意をしていらっしゃいます。胡錦濤閣下も二十三年前は全青連の会長だったんですね。中国共産党青年同盟の会長だったわけですね。そのときに始められたのが青年交流なんですね。  そういうことで、当時の人たちがもう今五十歳になっているという話がこの間もありましたけれども、それはそれぞれの国の今中枢で働いているということで、その行き来した青年たちは、中国に対する思い、また日本人の中国に対する思いというものは本当にすばらしいものがあるという話もありました。したがって、そういう人たちはリピーターになるんですよ。青年になればもう一度、結婚したら奥さんと一緒に日本へ行こうとか、そういう発想もわきまして、私は若いときの交流というのは物すごく大事だというふうに思います。観光交流の場でもそれは頑張っていきたいというふうに思っているところでございます。
  146. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  具体的にこの青年交流の事業を実現ということでこちらの方も是非検討していただきたいと思いますし、これは御答弁結構なんですが、特にこれから中高生、若い方の情報発信ということで中国の高校生にちょっと伺ったんですが、日本を知るきっかけとなったものは何だったのと聞いたら、漫画だったり、あと歌ですね、歌手を通してとかいろんな、今の特に若い方はそういった文化芸術というか、そういったものを通して日本を知って日本を好きになるという方もいらっしゃいますので、是非この日本のすばらしい観光資源の中で文化芸術、こういった音楽だったり、こういった漫画も含めて、こういった部分も是非若い方の視点に立ったというか、そういった情報も是非発信の方も力を入れていただきたいと思いますので、これは要望として申し上げておきたいと思います。  続きまして、これも先ほど谷川委員の方からもございましたが、訪日外国人の旅行者の目標についてちょっと伺ってまいりたいと思います。  先ほどもお話ございましたが、二〇一〇年までに訪日外国人の旅行者一千万を目指すということで、これまでも様々観光施策を講じていただいておりますが、二〇〇七年には過去最高の八百三十五万人ということで、本年二〇〇八年におきましては九百十五万人、ここまで何とか行けないだろうかということで目指していると伺っております。この流れというか勢いでいきますと、この一千万目標を達成できるのではないかと、私も是非していただきたいと思っているんですが、今後この達成も近いと私は思っておりますが、観光庁もできることですし、この訪日外国人の目標ですね、この設定、また具体的な取組も含めて今後の方向性をどのように考えていらっしゃるのか、御見解をお伺いしたいと思います。
  147. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 現在のところは、二〇一〇年、平成二十二年に一千万人ということにしておりますけれども、それで終わりではありません。それから、今、日本人が外国へ出ている数ぐらい、ということは目標は二千万人でございますので、去年は残念ながら円の問題もあったと思うんですけれども千七百五十万人ですけれども、これを目指そうということでございまして、まだ具体的にきちっとした、いつまでにどうということは決めていませんけれども、取りあえずは日本人が外へ出ていく数、二千万人を目指して、外から来ていただこうということを目標にしたいと、このような気持ちでおります。
  148. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  是非、まずはこの一千万の目標達成がまず第一条件というか、これを達成することが最優先だと思いますが、その上で、今後の長期的な課題ということで、是非とも次の目標に対しましても具体的な施策と併せて是非検討の方も進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  今回の観光圏整備の方の法案の中にもございますが、二泊三日以上の滞在一つの目指すポイントというか目標にもなっているかと思いますが、こういった具体的に観光圏整備を進めることと併せまして、周りのほかの環境整備ということで、先ほども少し出ておりましたが、有給休暇、この取得が一つのまた課題になってくるのではないかと私も思っております。  今年のゴールデンウイークも四月二十五日から五月六日ということで、これもマスコミ等でも報道されておりましたが、全体的に電車、飛行機とも利用者が、率が低下をしたという、そういった報道もございました。JR六社では利用者数は前年に比べて五%減った。また一方、航空会社ですね、こちらの方の利用実績も前年に比べて三・七%、国内線が三・七%、国際線が六・九%利用率が減ったという、そういった報道がございまして、この利用者が減った理由は様々、原油高とかもあると思うんですが、一つは曜日の配列によって有休が取りづらかった。これがまた一つの大きなこの利用率が減った、皆さんの動きが止まったというか、なかなか動きが活発にならなかった理由が、こういうことが挙げられるかと思います。  二泊三日以上の長期にわたる旅行、観光考えたときに、やはりお休みをいただいて行かなければいけないんですけれども、実際に有休をいただくとなると職場の周りの方の理解とか御協力も必要でして、実際にはなかなか有休いただけないのが現状ではないかなと思っております。  これは平成十八年のデータなんですけれども、大体年次平均労働者一人の有給休暇は大体十七・七日あるそうなんですが、このうち年間大体皆さんどれぐらい消化をしているかといいますと、八・三日、四六%ということで、自分の持っている有給休暇の半分以下、そうですね、四割から五割ぐらいしか使えていないというのが今の日本の現状でございます。今後、二泊三日以上の観光滞在を進めていこうと思っているときに、やはりこの有給休暇の取得も是非、あらゆるところの御協力もいただきながら、理解もいただきながら進めていく課題だと思いますけれども。  そこで、これは平成十四年に経済産業省と国土交通省の方で休暇制度のあり方と経済社会への影響に関する調査研究委員会報告書というのが出されておりまして、実際に有給休暇、これを全部完全に取得することによって新たに四億一千六百万日ですね、新たに有休として増えるそうです。それによって経済効果が十一兆八千億円、また雇用創出効果が百四十八万人ということで、日本の労働者が完全に有休を取ることによってこれだけ経済効果、雇用創出が上がるという、こういったデータもございました。  そこで、有給休暇に関してはもう国土交通省所管じゃないといえばそうかもしれないんですが、是非観光促進、これをして滞在促進する上で周りの環境整備も是非一緒に取り組んでいただきたいと思いますので、旅行を通して、また有給休暇の消費を通してこれだけ経済効果が上がるよとか雇用創出がこれだけ上がるよというような、そういったこともデータ的なものとか示すことによって日本社会、またこういった意識を変革するような、そういった環境整備も是非国土交通省としても取り組んでいただきたいと思いますが、御見解をお伺いしたいと思います。
  149. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答えを申し上げます。  御指摘のとおり、観光旅行の促進をするためには有給休暇を取れるということは大変重要でございまして、他方で、御指摘のとおり、労働者一人当たりの年次有給休暇の取得率はむしろ下がっておりまして、平成十八年度は四六・六%になっているところでございます。  このため、昨年度、休暇を取りやすくするという観点から有識者や関係省庁と検討を行ったところでございまして、その結果を踏まえまして、今年は民間企業による休暇取得の先進事例、こういったものを紹介したり実証実験をするということで休暇の取得促進に努めてまいりたいと思っているところでございます。  先ほど御指摘のありました経済効果、数字はまさにおっしゃったとおりでございまして、このことは産業界を含めて私どもの方で宣伝をさせていただきまして、是非有給休暇の取得に協力いただきたいということでお願いも申し上げているところでございますが、効果は十分に分かるけれども、その前にまずコストが掛かるというようなこともございまして、やや苦戦もしているところでございますが、引き続いて啓蒙活動に努めてまいりたいと思っております。
  150. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  先ほど広田委員からもございましたが、まずは国土交通省の皆様から是非有休を取っていただいて観光、やっぱり日本のすばらしい地域を回っていただいて、また感じたことをアピールしていただく、そういったこともできるかと思いますので、是非とも冬柴大臣、御配慮お願いしたいと思います。  続きまして、両法案におきまして、大臣によって基本方針が策定することになるかと思いますが、是非この基本方針に反映していただきたいということで二点ほどお話をさせていただきたいと思います。  まず、具体的に申し上げたいと思いますが、ユビキタスシステムを観光施策の中に積極的に活用していった方がいいんじゃないかということで提案させていただきたいと思いますが。  このユビキタスというのは、御案内のとおり、情報をいつでもどこでも携帯の端末などを通して得ることができる、また双方向交換ができるといったものなんですけれども、これ、二年前、我が党の勉強会で京都造形大学の竹村教授からユビキタス社会の実現ということでそういった講演を聞く機会がありまして、冬柴大臣も当時聞かれたかもしれないんですが、広島県の尾道市の取組を紹介してくださって、こういったことができるんだというふうなお話を伺いました。  尾道市では市内に三か所にフクロウの形をした石が設置されているそうなんですが、それが目印になって、その近くにQRコード、バーコードがあるそうなんですが、それに携帯電話でアクセスしたり、また番号を入れることによってそこの地域の情報なり説明が瞬時に分かるという、そういったものが市内に三百か所あるという、そういうお話でした。  これは何でいいかといいますと、看板、案内板ですね、ああいうのを置かないで済みますので景観的にもいいんではないかということと、もう一つは、常に最新の情報が得られる。例えば、今日ここでこういうイベントがありますよという情報もその場で新しい情報を得られますし、また防災、ここがちょっと事故がありましたとか、天気が悪くてこういう事故がありましたので気を付けてくださいとか、そういった防災情報とか、瞬時にその時々の新しい情報を得ることができる。こういった利点が挙げられると思いますけれども。  今後、観光圏整備、また歴史風致のこちらのもそうなんですけれども、そういった風致を維持していく上でもこのユビキタスシステム、これは大変に有効的なものではないかと思っておりまして、是非今後、観光施策を進めていく上でユビキタス社会の実現に向けて、また観光に向けてしっかりと取り入れていただきたいということで提案させていただきたいと思いますが、この点についてまず御見解をお伺いしたいと思います。
  151. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) ユビキタスの社会実験はあちらこちらでやっておりまして、私の方の神戸市三宮駅前で一番早かったと思いますね。それで、すごいなと。その次は神戸空港全体でユビキタスをやりました。それから、今まだやっているんじゃないかなと思うんですが、やはり神戸の中華街全体で外国人の方も利用できるユビキタス。もうこれは自分の携帯じゃなしに、携帯よりちょっと大きいようなものなんですが、それで各国語で、自分が歩いているところのことから何から全部説明してくれるんですね。目が見えない人、耳が聞こえない人にもこれ、いわゆる障害がある方にも役に立つ情報がきちっと出るようになっています。  それから、今鰐淵さんがおっしゃられたことは、QRコードというんですか、これ有馬温泉で採用していただいておりまして、私の方の観光ルネサンス事業という補助事業でやらせていただきまして、もうこんな小さいところに当てると全部情報が出てくるんですね。我々理屈はもう全く分からないんですけれども、すごいことができるんだなあという感じがいたします。  これは最近、例えば東京の国立美術館なんか行って平山先生とか東山魁夷さんの絵なんかに、もう全部その前行って押せば説明してくれる。本人が説明していただいたりするようなものもありますし、これからだと思うんですね。  私どもも、こういうものを観光の案内のツールとして大いに活用しなきゃいけませんけれども、まだこれ社会実験の段階でして、もうちょっといろいろ、先生の話は僕も聞きました、そして先生にも案内をしていただきましたけれども、我々が全体的に使えるようにするためにもう少し社会実験等を重ねて、そしてこういうものを使えるようにしたいというふうに思います。
  152. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  社会実験の段階ということで今お話しございましたが、今後こういったユビキタスシステム導入というか、これを活用していきたいといった場合、どういった支援があるのか、ちょっと具体的なところで御説明を願いたいと思います。
  153. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  観光圏整備事業の基本方針の中に、こういう情報提供の充実、非常に大事でありますので、これを盛り込むこととしておりまして、それを受けてIT技術を活用した情報提供を観光圏整備事業の一環として行う場合には補助対象にしてまいりたいと思っております。  ただ、大臣からもお答え申し上げましたように、まだまだ改善の余地があって社会的実験の段階にとどまっているものもありますので、やはり実用性を高めてから意味のあるものにして、また補助対象として実施をしていきたいと、このように考えております。
  154. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 分かりました。よろしくお願いいたします。  続きまして、同じく基本方針についてなんですが、この観光圏整備の方の法案の方で是非反映というか、していただきたいことなんですけれども、団塊の世代の方が退職が始まりまして、今後高齢化も進んでいくかと思います。また、外国人の旅行者もどんどん来ていただくということで外国人の方も増えるでしょうし、またそのほか障害者の方も含めて、要するにすべての方が楽しめるというかそういった観光、これを更に進めていくことが重要な課題の一つかと思います。よくユニバーサルデザイン化という言葉が使われますが、すべての方が楽しめる、そういった観光ということで是非進めていただきたいと思います。  地元の方も自分たちの観光地のすばらしさをアピールするとともに、すべての方が来ていただいて楽しめる、そういった努力も是非必要かと思いますので、そういったこれから観光のユニバーサルデザイン化、この推進について是非とも、これは地元の皆さんもそうですし、公共事業者もそうですし、そのほか宿泊施設、もうありとあらゆる方の御協力も必要になってくると思うんですが、そういった意味で、多少時間は掛かったとしても、更にこれを進めていくということで是非基本方針の中にも反映していただいて、実現に向けて積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、これについて御見解をお伺いしたいと思います。
  155. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) すべての人は旅をする権利がある、これはすばらしい言葉だと思うんですけれども、身体に障害がある方もやはり一人で観光地へ行けるという社会が必要だと思います。  この間ですが、小笠原、父島へ随分時間が掛かりますが行きました。そこで僕が感心したのは、車いすの人が、中年の男性でしたけれども、足に障害があるんでしょうね、車いすの方が父島へ来ていられるんですよ。それで、どちらにお住まいですかと言ったら、東京都何々区ですと、こうおっしゃるわけです。ええっ、東京からお見えになったんですかと。船で大体二十六時間半掛かりますからね、片道。それで来られて、それで、いや、有り難い世の中ですよとその人が言われたのは、私どもこういうふうに障害があっても一人でもここへ来れるんですよと。それで、私ども、夕日のきれいな高台の展望台へ上がったんです。そこまで来れるんです、その人は。それで、こういうところまで我々がこういうふうに来れるというふうにしていただいている、本当に有り難いと思いますということをおっしゃいましたが、これは父島の村長さんがそういうことについての非常に先見的と申しますか、そういう意識を持った方だからこれできたんだろうと思うんですが、すべての観光地もそういうふうにしてできればいいなと、また、そうしなきゃならないなというふうな思いを深くしたわけでございます。  そういう意味で、ユニバーサルデザイン、これは私は観光行政を進める上において非常に大きな課題だというふうに思います。御高齢の方も身体障害ある方も、また外国の方も、一人ででも自分の思う観光地へ不便なく出かけられるというそういう社会、これが理想だろうというふうに思いますが、それに近づくために努力をしなけりゃならない大きな課題だというふうに思っています。
  156. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  是非この観光のユニバーサルデザイン化、推進するということで、具体的に一つお願いというか提案をしたいと思うんですが、これ、先ほども少し車いすの例を取っていただきましたが、例えば車いすの方が行ける観光地、回れるところがあるのかとか、車いすの方が入れるおふろがあるのかトイレがあるのかとか、そういった問い合わせですね、行く方の問い合わせ、また、そういう観光地がありますよという情報提供、この双方が一致するような一元的な窓口といいますか、そういったものも必要ではないかと思っております。  是非、旅行者のニーズと観光地を合わせる相談窓口ですね、一元的なこういったものも今後是非しっかりとつくっていただいて、その実現につながる一つの対応策として検討していただきたいと思いますが、この点について御見解をお伺いしたいと思います。
  157. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  ただいまの大臣の御答弁のお考えに従いまして、ユニバーサルデザイン化の推進につきましては様々な検討をしておりますが、平成十八年度から有識者と関係者から成る検討会を設置いたしまして、具体的な対応策ということでユニバーサルデザイン化の促進のための手引集の作成などを検討していますけれども、その中で、今委員からも御指摘がありましたように、旅行者側の身体的な状況とか、あるいは望まれている旅行内容は様々でございますし、一方で、受入れ側もすべてが整っているわけではなくて、対応できる範囲も限られているということで、両者の間をうまく結び付けて旅行がしやすくなるようにということで、地域ごとの相談窓口の設置を促して、将来的にこれをネットワーク化して一元的な相談窓口を設置することが望ましいと、こういう趣旨の御意見をいただいているところでございます。  他方で、一元的な相談窓口の実現ということになりますと、その運営主体でありますとか役割分担、あるいは費用分担など、非常に解決すべき問題がたくさんあると思っておりまして、まずできるところからやっていくことが一番いいだろうということで、この議論の中でも出てまいりました観光のユニバーサルデザイン化のための手引集、これを広くまず周知をいたしまして関係者間の認識の共有化を図ってまいりたいと、こういうふうに考えているところでございます。
  158. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  続きまして次の質問に移らせていただきたいと思いますが、観光圏整備法の方でございますが、協議会を組織して観光圏整備計画を作成することになっておりますが、先ほども外部の方の声、いらっしゃる方の、観光者の声も大事であるという、そういった御意見もございまして、また地元の住民の方の声、その参加も私も大変に重要かと思っております。  昨年の委員会でも少し御紹介したかもしれないんですが、福島県の南相馬市に海岸保全の件でちょっと視察に行きましたときにお話を伺ったんですが、やはりこの地域の海岸がサーフィンをするのに大変にすばらしい海だということで、地元のサーファーの方の御意見を聞いて、駐車場整備、トイレの整備、また近くの売店の、こういうお店があった方がいいとか、そういった御意見を伺ったり、また、あとテトラポットの位置ですね、そういうのも置き換えることによっていい波が来るという、そういったいろいろ地元のサーファーの方の御意見を伺って、町全体でこの海を中心に他県から呼び寄せようという、そういった取組をしていく中で、実際に観光者、サーファーを中心に人が増えたという、そういったお話も伺いました。  そういった意味でも、その地域ならではの良さとか課題はあると思うんですが、是非地域の方、ある意味もうサーファーも専門家にもなるかもしれないんですが、そういった地域住民の方の御意見を伺ってやっていくことも一つの計画作っていく上で、また実施していく上でも大変に成功につながることになるかと思います。  そういった意味で、この中にもうたわれてはいるんですが、是非とも積極的に地元住民の方、若い方も含めて構成員として活躍していただきたいと思いますし、またそれが、声が反映されるような仕組みというか体制も取っていただきたいと思いますが、改めてこの構成員について御見解をお伺いをしたいと思います。
  159. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  御指摘いただきましたように、若い方を含めて現場の知識の豊かな方々から御意見をいただいて、これを施策に反映していくということは非常に重要だと思っております。特に、観光圏整備法は関係者が一体となって観光地域づくりを進めると、こういう概念でございますので、その点が重要と考えているところでございますが、そのための具体的な仕掛けとして二つのものをこの法律では準備をしております。  一つは、何度も出てきておりますが、協議会という仕組みでございまして、幅広い関係者の方々に協議会というところに入っていただいて、計画の作成段階からいろんなアイデアの出し合い、意見の出し合いをしていただいて、全体としてこれを取りまとめていくということで広い意見あるいは関係者の方々のお考えが反映されるような仕組み、これを一つ設けているところでございます。  それからもう一つは、今度はできましたものにつきまして、これは市町村、都道府県が申請の主体になるわけでありますが、変更するとかあるいは新しい中身を作るということについて意見が言えるという、あるいは提案ができるという仕組みを設けております。  こういう二つの仕組みを使うことによりまして、斬新なアイデアとか、あるいは行動力を持つ若い方々も含めまして地域関係者が幅広く連携をして、本当に地域に役に立つような計画が作られ、また実施されていくように努めてまいりたいと思っております。
  160. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  すべての様々な分野の方の御意見が反映されて、先ほどもお話がございましたが、知恵を出し合ってやっぱりすばらしいものをつくり上げていく上で、是非とも地域住民の方の御意見の反映ということで要望しておきたいと思います。  あわせまして、この観光圏整備計画を策定するに当たりまして、これを策定するに当たってはやはり自治体によって能力の問題とかあるかと思います。策定すぐにできるところと、なかなか難しいところもあるかと思います。そういった意味で、これを策定するに当たりまして、策定しやすいように、例えばマニュアルなのかそういったものを作るなり、また担当者だったり専門家というんでしょうか、そういった方を派遣していただいてアドバイスなりそういった支援というか、そういったことができないかと思いますけれども、これに対して具体的に何か対応がありましたらお伺いをしたいと思います。
  161. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  観光圏整備計画の作成の基本については、基本方針にこれを定めることになっておりますが、それだけでは当然不十分でありますので、計画作成のマニュアルあるいは要領というものを作成してまいりたいと思っております。これができたところで、自治体の観光担当者でありますとか、あるいは実際に事業を実施する方々に対しまして説明会を開催して周知を図りたいと思っております。  また、あわせまして、本省とか地方運輸局に観光地域づくり相談窓口というものを設置してありますので、こちらで情報提供あるいはきめ細やかなアドバイス、こういうものをやることによりまして計画作成のお手伝いをさせていただきたいと思っております。
  162. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  では、済みません、時間も限られておりまして、最後ちょっと簡潔に伺ってまいりたいと思いますが、この歴史まちづくり法案の方なんですけれども、これは市町村歴史的風致維持向上計画を策定するということで、この法案につきましてはもう御案内のとおり国土交通省文科省農水省分野、様々かかわってきますので、これを策定するに当たりましても、また実施するに当たりましても、問い合わせ、相談につきましては是非とも、これはうちの担当じゃないから分かりませんとか、たらい回しにならないように、是非相談窓口等、これも一元化をしっかりとしていただきたいと思います。適切に、本当にまた素早くこういった対応に取り組んでいただきたいと思いますが、その点につきましてお伺いしたいと思います。
  163. 増田優一

    政府参考人増田優一君) お答え申し上げます。  おっしゃるとおりだと思っておりまして、歴史的風致維持向上計画、これは三省の所管事業がそれぞれ入りますので、まず三省の中で担当部局を明確にして情報提供したいと思っています。その上で、一元化したワンストップの窓口を早急につくりたいということで、三省で今から調整をしたいと思っております。
  164. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  済みません、無電柱化の件で最後お伺いして終わりたいと思います。  これも前回委員会で出ておりました。今後、歴史的風致を生かした町づくりということでこの無電柱化の促進、大変に重要な課題だと思いますが、やはりどうしてもこの問題というか課題が、地方自治体の財政負担、これが大きな問題で、課題で、なかなか進まないのも実態であるかと思いますので、この財政負担軽減につながるような対応ということで、例えば無利子の地方道路整備臨時貸付金、こういった活用をするなど、そういった対応はできないかと思っておりますが、この点を最後お伺いして、質問を終わりたいと思います。
  165. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) まさに先般成立をいたしました財源特例法の中で、地方道路整備臨時貸付金創設をさせていただきました。これは、直轄事業も補助事業もそれから臨時交付金も地方の裏負担、いわゆる裏負担に充てる無利子貸付金、五年据置き、二十年償還ということで、一年間千億でございますが、これはまさにこういう事業にも裏負担として使えるというのが一点目でございます。もう一つは運用改善でございますが、地方道路整備臨時交付金、今までは十分の五・五、一律の運用でございましたが、財政力に応じて十分の七まで引き上げることができるという改善をいたしたいと思っております。  こういった制度も活用しながら無電柱化が進められるよう配慮してまいりたいと考えております。
  166. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 以上で終わります。ありがとうございました。
  167. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社民党の渕上ですが、地域における歴史的風致維持及び向上に関する法律案は、国の重要文化財などに指定されていないが、地域の城壁や寺社といった歴史資産の中核に市町村が取り組む町づくり支援するというものですが、その前に、これらの重要文化財歴史資産に対する落書きや破損や破壊などが横行していることに大変憂慮しています。  一つ一つ文化財を二十四時間監視するというのにも限界があるわけですが、国としての対応又は対策についてどのようにされようとしているのか、されているのか、お伺いをいたします。
  168. 高塩至

    政府参考人高塩至君) お答え申し上げます。  先生からお話のございました、我が国の貴重な国民的財産でございます重要文化財が落書きや人為的な破損などによりまして毀損することは本来あってはならないことでございますが、こうした事態が生じていることも事実でございまして、文化財保護法の規定によりまして毀損届が提出をされております。  最近では、御承知と思いますけれども、四月二十日に国宝の善光寺本堂への落書きが発見されまして、毀損届が提出されているわけでございます。この五年間で人為による毀損件数は三十四件、うち落書きが八件という報告があるわけでございます。  この重要文化財建造物管理につきましては文化財の所有者が行うということになっておりまして、所有者の方で巡回や機械による警備などが行われているというところでございます。私ども文化庁におきましては、所有者に対しまして、防火設備と並びまして、防犯対策につきましての指導、助言を行いますとともに、国家事業といたしまして監視カメラそれからセンサーの防犯設備に対して支援を行っているところでございますけれども、防犯に対する支援は、現在約八億円ほどの防災・防犯予算ございますけれども、うち三千万円程度ということで必ずしも十分ではない状況にございます。  しかしながら、やはりこの防犯対策を含めます防災対策ということが近年様々な事故もございまして非常に強く認識しているところでございまして、私どもといたしましても、このための予算の充実に努めますとともに、やはり文化財の所有者、関係者に対しまして一層その文化財を守るための意識というものの機運の醸成というものにも努めていきたいということでございまして、文化庁と所有者、関係者合わせまして、この対策を十分今後とも進めていきたいというふうに考えているところでございます。
  169. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 文化庁に対する質問これで終わりですから、どうぞお引き取り願って結構です。ありがとうございました。  次に、歴史的風致維持向上に関する法案につきまして、お尋ねをいたします。  これまで歴史的な資産を守るための法制度は幾つかあったにもかかわらず、改めてこのような法案を提出する理由はどこにあるのか、お伺いいたします。  文化庁、どうぞ。
  170. 吉田博美

    委員長吉田博美君) どうぞお帰りください。
  171. 増田優一

    政府参考人増田優一君) お答え申し上げます。  これまでも歴史的な建造物あるいは歴史的な町並み保全する制度といたしましては、核となる文化財には文化財保護法、それから面的な規制手法としては都市計画法、それから三年前にできました景観法、それから、これは特別の法律でございますが、古都保存法等がございます。ただ、いずれもこれは現況の姿を保全するというものが目的でございまして、いったん失われたものを復原するという制度としては必ずしも適当じゃないというふうに考えておりました。  それから、歴史的な建造物、さらには周辺の町並み等々を復原し維持するためには、様々な主体による事業を総合的、一体的に推進しなきゃいけないということがございます。そういった点から、そういった事業を総合的、一体的に計画に盛り込んで国が支援する新しい法制度が必要だということで、今回法律提案させていただいたわけでございます。
  172. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 では、そのような法案を制定することによってどのような効果があるとお考えなんでしょうか。
  173. 増田優一

    政府参考人増田優一君) 今回の法律的な対応に当たりましては、実は関係市町村から様々な意見聴取を行いまして、必要な措置を講じてほしいということで、法制的あるいは予算的あるいは税制的な措置を講じたわけでございます。  本法案の中に盛り込まれた施策を一、二御紹介しますと、一つは、重要文化財の周りの歴史的風致を形成している文化財以外の歴史的な町並み建造物につきましては、これを新しい制度として歴史的風致形成建造物として指定する制度を設けました。予算制度といたしましては、その施設につきましての復原、修理等の予算補助制度を設けたわけでございます。それから、主体となる市町村にできるだけ様々な権限を集中したいということでございまして、都道府県の権限でございます屋外広告物行政でありますとか、あるいは県の管理する都市公園管理の制度等々を当該認定を受けた市町村が一元的に行えるという制度も設けたわけでございます。  さらには、そういった歴史的地区におきまして、地域の特性を生かした用途の建築物が整備できるように用途の制限を緩和する新しい地区計画制度を設けたということでございまして、こういった、これまで先進的に取り組んでこられました市町村の要請を受けて制度化をさせていただいたというふうに思っております。
  174. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 歴史的風致を生かした町づくりを推し進めるために、市町村は国が示した基本方針に基づいて歴史的風致維持向上計画を作成することになりますが、その計画を国が認定するという制度となっておりますし、国の認定を受けるということは、今日の地方分権に反するようになると思うんでありますけれども、強いてその地域の主体性を損ねるようなことにならないのかどうか、その点いかがでございましょうか。
  175. 増田優一

    政府参考人増田優一君) この法律を制定することによりまして、これまで市町村が独自に進めてこられました歴史的な町づくりを決して阻害することはないと思っております。  市町村の自主的な判断でもちまして、この法律に定められた特別の制度を活用すると。あるいはまた、例えば税制で申し上げますと、先ほどちょっと説明省略いたしましたが、今回、税制改正によりまして、そういった地区によりまして町家が売りに出されるという場合にそれを市町村なり公益法人が買い取るという制度を設けまして、その際の所得税、法人税の特例制度等も設けておりまして、そういった国に絡む制度につきましてやはり国の認定ということでもって発動できるというようなシステムとさせていただいたということでございます。
  176. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 国の認定を受けることによる計画のメリット、それからまた認定が取り消されるような状況になった場合のデメリットはどのようなものがあるのか、お伺いします。
  177. 増田優一

    政府参考人増田優一君) 計画の認定を受けた市町村におきましては国の制度の活用が可能になるということでございます。ただ、国の認定を受けるためには、国があらかじめ定めます基本方針、今定めようと思っておりますのは、一つは核となる重要文化財等があること、あるいはその周りで現状が歴史的な町並みがある、さらに計画に盛り込む内容が実現可能性がある等々効果的な計画になっているということで認定をさせていただくわけでございますが、そういった計画認定に基づきまして、計画に盛り込まれた内容につきまして様々な国の特例が受けられます。  ただ、何らかの事情によりまして取り消されるということになりますと、それは今申し上げました国の制度の適用ができなくなるというふうに考えております。
  178. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 市町村の策定する歴史的風致維持向上計画によって計画区域内の建造物保全が図られるとのことですが、計画には期間があると思うんですね。どれくらいの期間を想定しているのでしょうか。また、計画期間経過後の指定建造物等の扱いはどのようになるんでしょうか。
  179. 増田優一

    政府参考人増田優一君) この市町村が定める歴史的風致維持向上計画、これは町づくりの計画としての性格を持って定めていただきますので、当然、町づくりでございますので、一定の計画期間を想定しております。今のところ、五年ないし十年程度の期間を想定しているということでございます。  その計画期間内は、先ほど来申し上げておりますこの法律に基づく特例制度が働くわけでございまして、計画期間が切れますと、これも従来から自主的に取り組んでおられる町づくり推進ということになるだろうと思っております。
  180. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 計画に基づいて保全すべき建造物と指定された場合であっても、建造物を所有する者がこれに同意せず拒否をした場合はどのようになるのでしょうか。また、指定について同意したものの、その計画期間途中において指定解除を申し出た場合の扱いはどうなるんでしょう。
  181. 増田優一

    政府参考人増田優一君) 今回、この法律で措置いたしました歴史的風致形成建造物制度の指定ということでございますが、当該建造物地域歴史的な建造物であって、かつ、その周辺の歴史的風致を形成しているかどうかということを客観的に判断して市町村が指定するというような制度にいたしておりますので、所有者の意見を聴くということは当然手続上必要でありますが、必ずしも同意を必要とはしておりません。  ただ、今先生御指摘のように、所有者が明確に反対している場合、あるいは指定はさせていただいたんですが、何らかの事情によりまして是非指定解除をしてほしいと申出があった場合等々考えますと、制度上は同意を必要としておりませんが、運用に当たりましてはやはり所有者の理解と協力が前提となる制度というふうに理解しておりますので、そういった場合には所有者の意思に反してまでそういった制限を掛け続けることはできないと思っておりますので、そういった所有者の理解と協力が前提だということでこれから定める運用指針等で周知してまいりたいというふうに考えております。
  182. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 法案は、所有する建造物歴史建造物と指定されますと、その所有者に管理義務が課されます。管理義務を課すのであれば所有者に対して何らかの支援措置を行う必要があると考えますが、この点、どのように考えられておられるのでしょうか。どのような支援措置が重要と考えられておりますか。
  183. 増田優一

    政府参考人増田優一君) お答え申し上げます。  確かに、歴史的風致形成建造物に指定されますと様々なある種の制限が掛かってくるわけでございますので、この法律におきましては第二十一条によりまして、専門的な立場から文化庁長官に対しまして、管理の在り方あるいは修理につきまして技術的指導を求めることができるというふうにさせていただいておりますし、また、地元市町村長でありますとかあるいはこの法律で定めます歴史的風致維持向上支援法人等につきましても、様々な技術的な援助を求めることができるような体制を取っております。  また、予算措置でございますが、そういった歴史的風致形成建造物の復原でありますとか修理につきましては予算制度を措置させていただいたものでございますし、どうしてもそれを保持できないということにつきましては、例えば支援法人でありますとかそういったものに買取りをお願いする、あるいは買取りをあっせんをする等々の措置を通じまして、できるだけ所有者の皆様に負担にならないような制度とさせていただいているところでございます。
  184. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 管理義務を課せられることによって所有者はその使用をどの程度制限されるんでしょうか。
  185. 増田優一

    政府参考人増田優一君) 歴史的風致形成建造物に指定されただけでは、当該建造物の利用そのものに関しましては直接に制限が掛かるものではございません。ただ、その形成建造物を除却する等々、その歴史的風致を損なうような行為を行う場合には届出をしていただくということが必要になるというものでございまして、日常の使用には特別の制限を課すものではございません。
  186. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 歴史的風致維持向上施設や建造物管理等、行政の補完的機能を担わせるために、市町村長は歴史的風致維持向上支援法人を指定することができることになりますが、現在、支援法人に指定することのできるような団体や組織はどのようなものがあるのでしょうか。また、支援法人への支援措置等はあるのでしょうか。
  187. 増田優一

    政府参考人増田優一君) お答えを申し上げます。  従来からこういった歴史的な建造物のトラスト運動をされております財団法人等もございます。それから、これは京都市の例でございますが、京都市景観・まちづくりセンター、これ財団法人でございますが、京町家の改修でありますとかあるいはあっせん等に取り組んでいる等々の団体がございます。また、これNPO法人の例でございますと、これは萩にNPOといたしまして萩のそういった町づくり支援する法人がございます。今回、様々な主体が多様な活動を通じて歴史的な町づくりを行うということでございまして、市町村の活動を補完し協力する、今申し上げましたような財団法人でありますとかあるいはNPO法人等をこの指定法人として指定したいというふうに考えております。  この支援法人に係る予算措置でございますけれども歴史的風致形成建造物の復原、修理等もこの支援法人を対象に考えておりますし、それから、都市公園事業でこの支援法人が市町村から委託を受けまして、歴史的な公園施設の設置、管理をするということにつきましても助成措置をいたしたいと考えております。また、先ほど言いました税制特例につきましても、これ一定の要件が必要なわけでございますけれども、所得税、法人税等の特別控除制度の適用を受けられるということも措置させていただいたわけでございます。
  188. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 歴史的風致区域内には、重点区域内には歴史建造物以外の建物も存在すると思いますが、それらの建物はその形状を始めとして自由に変更することは可能と考えておられるんでしょうか。
  189. 増田優一

    政府参考人増田優一君) お答え申し上げます。  今回の法律の主眼は、市町村が自分の町の町づくり歴史的な町づくりということで総合的に進めることが目的でございまして、実はこの維持向上計画の中には、具体の歴史地区の整備のほかに全体のマスタープランとしての基本方針を定めることにしておりまして、その方針の中で、つまり文化財それから取り巻く歴史的な建造物のほか、全体としてやはり歴史に配慮した町づくりをするという方針を決めていただこうと思っています。  その際に、法三条におきまして公共団体に責務が掛かっておりまして、具体の都市計画、例えば一般の建物につきましても、例えば高さの制限をするとか意匠、形態の制限を併せてするということを考えておりまして、文化財それから周辺の歴史的な建造物以外の全体の町づくりにつきましても、そういった地区と調和した町づくりがつくられるような都市計画を総合的に定めていくというふうに考えております。
  190. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 法案は、伝統行事の復原や再生についても支援するようになっておりますが、伝統行事の多くは地域に根差しているとはいえ、やはり神社仏閣との関係が深く、宗教的行事とも言えます。  どのような伝統行事に対して支援しようとしているのか分かりませんが、伝統行事の復原、再生に国が支援するということは憲法二十条の政教分離に抵触するんではないかと思われますが、見解はいかがでございましょうか。
  191. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) そのようなものは、憲法二十条と今言われましたけれども、むしろ八十九条の問題だろうと思います。八十九条は、御案内のとおり、公金その他公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、中略しますが、これを支出し、又はその利用に供してはならないという規定がございます。  これとの関係どうかということになると思うんですけれども、この問題につきましては、結論的には抵触はしないという結論ですが、その理由としては、一般国民や団体に対する利益付与の中で、その中に宗教団体が含まれているということはそれに対して特に特権付与に当たらないと。また、本法案に基づく予算措置において、歴史的風致維持及び向上させる建造物及びそれに関連する行事に対して補助金の交付を行うことも、一般国民や団体に対する利益付与の中に宗教団体とかそういうものが含まれるという考え方に基づくものでありまして、その場合には、一般国民全体に対するサービスとしてやるわけであって、特定の宗教団体にターゲットを絞ってそこへ特にするという問題ではないということから、これは公金の支出禁止には当たらないということになります。  それから、先ほど政教分離についても違う委員からも発言がありましたけれども、政教分離というのは、信教の自由を確実なものにするために、国及びその機関が国権行使の場面において宗教に介入したり関与してはならないという原則でございます。したがいまして、これにもこの場面では当たらないというものでありまして、これは政府の見解も一致した見解でございます。
  192. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 予算とのかかわりが出てくる問題でもございますので、扱いについてはここはひとつ慎重にやっていただきたいと要望だけ申し上げておきたいと思います。  歴史的風致維持向上にしましても、観光圏整備による観光旅客来訪についても、移動手段の確保は必要かと思います。その場合、やはり自家用自動車を中心とした整備だけではなく、公共交通機関を中心とした整備が必要と思われますが、これらの政策推進に当たって、公共交通の位置付けと公共交通の誘導と支援についてはどのようにお考えなんでしょうか。
  193. 増田優一

    政府参考人増田優一君) お答え申し上げます。  御指摘のとおりだと思っております。歴史文化資産保全、活用した町づくりということでございますので、当然、そういった歴史地区の中は、やはり歩いていただけるということが大事だと思っておりますし、また、その地域に訪れていただく方もできるだけ公共交通機関の活用をしていただきたいと思っております。  したがいまして、先ほど来申し上げております整備計画の中には、そういった歴史地区を取り巻く交通対策につきましても併せてお決めいただくことができればベストだと思っております。  例えば、マイカーと公共交通の適正な分担の観点から、公共交通へ転換するためのフリンジの駐車場整備でありますとか、あるいは歩行者空間の更なる整備でありますとか、場合によっては地区をバイパスするような交通体系全体の見直しみたいなものも含めて体制を取っていただきたいと思っておりまして、私どもの予算制度で都市交通システム整備事業という、そういった公共交通へ転換するためのメニュー補助の事業制度ございますが、これにつきまして、この法律が適用になった地区につきましても適用できるというふうに今回措置させていただいたところでございます。
  194. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 観光圏整備による観光旅客来訪及び滞在促進に関する法律案についてお尋ねしますが、法案で言う観光圏とは、先ほども質問であったようでございますけれども、どのような考え方なんでしょうか。定義や範囲があれば御説明願いたいと思います。
  195. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  今般の法案では、自然、歴史文化などの特色を生かした広域的な観光地間の連携を促すことで、例えば二泊三日以上の滞在を十分に楽しめるような面的な観光地づくりを促進することとしておりまして、これを観光圏としているところでございます。  地域の実例といたしましても、例えば鳥取県から島根県にまたがります中海、宍道湖、大山地域では広域的な協議会が設置されまして、地域の多彩な魅力を生かした広域的な観光振興が進められております。こうした動きが全国各地で出ているものと承知しているところでございまして、今般の法案に基づきまして、こうした地域取組を一層支援することで宿泊を含む滞在観光促進を図り、ひいては地域経済が活性化されるよう努力してまいりたいと思っております。
  196. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 観光圏整備計画の作成に当たって、市町村のメリット、それから地域住民のメリットはどこにあるとお考えですか。
  197. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  観光圏整備計画は、それぞれの地域の自然、歴史文化などの特色を生かしながら、幅広い関係者が連携してこれを形作るということになっておりますので、計画策定の段階で地域の魅力の再発見あるいは地域の宝探しということで愛郷心の向上が図られますとか、あるいは地域において地域住民の皆さんの観光に対する機運が高まるということで計画作成段階でも効果があると思っております。  また、実際計画が策定されまして認定を受けますれば、観光圏整備費補助など国による支援が可能となりまして、観光圏整備が一層促進されることで観光旅客の増加による地域経済の活性化が期待されると、このように考えておるところでございます。
  198. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 観光圏整備事業の実施に当たって関係法律特例が設けられておりますが、旅行者の安全、安心を確保する上で、届出をもって事足りるとすることがあってはならないと思います。特に交通機関においては、何よりも安全運行の確保、観光旅客の安全に直結するものですから、運行計画の変更や回数の増加、働く者の労働時間、労働条件と密接不可分の関係にあります。安全運行と表裏一体にあります。国土交通省は、このような特例、緩和について問題がないと考えているのでしょうか。  また、観光圏整備実施計画の認定に当たっては、輸送の安全確保の視点から審査が行われるのでしょうか、どうでしょうか。
  199. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  観光圏の形成を図る上で、観光旅客の移動に関してその利便の向上を図ることが必要ということから、御指摘のように手続の緩和規定を設けまして特例的な扱いがなされることになっております。しかしながら、実際の計画の認定に際しましては、安全担当の関係部局とも十分に相談をいたしまして、観光旅客の輸送の安全性にいやしくも問題が生ずることがないようにする所存でございます。
  200. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 観光旅客の対象とする共通乗車券に係る運賃又は料金の割引についても届出の特例が設けられています。観光圏内に隣接する交通事業者、さらには観光圏内交通事業者間において公正競争のバランスを欠くことがないということはないんでしょうか、その点いかがでしょうか。
  201. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  御指摘のように、この法律では関係者がその協議を経まして運賃の割引をするあるいは交通上の提携をするということが予定をされておりますが、これはあくまで話合いを通じて全体の利益が出るようにということでありますので、強制があるとかそういうことはないものと考えております。その意味でも、事業の実施に当たりましては事業者などの関係者から成る協議会で十分な協議、検討がなされることが重要だと考えております。
  202. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 観光客が増えることによって起きる問題としてごみ問題、それからし尿処理問題や事件事故、加えて風紀の乱れが懸念されますが、これらの問題についてどのように対処されようとしておりますか。
  203. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  全般的な観光道徳の問題、これに対して向上のための努力、これを図っていくことが重要だと思っておりますが、特に御指摘ありました中ではトイレの整備、これは谷川委員からも御指摘がありましたが、大変重要な受入れ環境上のポイントだと思っております。これまでも、観光客が利用可能なトイレに関する情報を分かりやすく提供しますとか、あるいは商店街やコンビニエンスストアのトイレの一般開放、こういうものについて情報伝達をするということで、ソフト面で大分対策をやってきております。  今度できます観光圏整備事業の取組の一環といたしまして、この観光圏整備計画の中にそのトイレの増設等が盛り込まれた場合には当然補助の対象になるものと考えておりますが、他方で、設置の場所によりましては関係省庁支援した方が効率的である、うまくいくと、こういう場合もございますので、ケース・バイ・ケースで関係省庁連携しながら支援等の措置を講じてまいる所存でございます。
  204. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 時間が参りましたけれども
  205. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 最後になります、済みません。  観光圏となった地域とそうでない地域の場合の活性化の度合いによっては地域間格差が生まれると思うんですが、その点いかがお考えでしょうか。  この点を質問して、皆さんのお許しを少しいただいて時間延長しますが、御理解いただきたいと思います。
  206. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答えを申し上げます。  観光圏に関する協議会の参加も、これは自主的な判断に基づいてやるという仕組みになっておりますので、その結果、どこかが外れたあるいは入ったということで直ちに地域間の格差が出ることはないと、こういうふうに考えておりますが、他方で、実際問題として、観光圏に取り組んでいる地域に参加できないとか入れてもらえないと、こういう問題が出る場合もあるかと思いますので、こうした場合には地域の実情を私どもで確認するなど相談に乗っていきたいと、このように思っておるところでございます。
  207. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 終わります。ありがとうございました。
  208. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより両案に対する討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、観光圏整備による観光旅客来訪及び滞在促進に関する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  209. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、長浜博行君から発言を求められておりますので、これを許します。長浜博行君。
  210. 長浜博行

    ○長浜博行君 私は、ただいま可決されました観光圏整備による観光旅客来訪及び滞在促進に関する法律案に対し、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党・無所属の会、公明党及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     観光圏整備による観光旅客来訪及び滞在促進に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、観光圏整備に当たっては、地方公共団体、民間事業者等関係者の発意及び創意工夫が重要であることを十分に周知するとともに、自然環境保全、伝統的技術・行事、歴史的風致維持及び向上、農山漁村部の活性化等が実現するよう、関係省庁と密接な連携を図ること。  二、基本方針の策定に当たっては、内外の観光旅客のニーズを的確に踏まえ、我が国が目指す観光立国の方向性の明確化を図るとともに、各観光圏整備が相乗的な効果を継続的に発現しうるよう十分に配慮すること。  三、観光圏整備計画の作成及びその実施に当たっては、市町村又は都道府県が設置する協議会が、多様な主体による均衡の取れた構成により、適切かつ円滑に組織・運営されるよう所要の支援を行い、もって協議会の実効ある機能確保に努めること。  四、認定観光圏整備実施計画に基づく観光圏整備事業について、その成果を適時・的確に検証し、公表すること。  五、関係省庁や産業界との密接な連携の下、休暇取得の促進・取得時期の分散化、旅行費用の低廉化と手配簡易化等に関する環境整備に更に取り組むこと。また、高齢者や障害者、乳幼児連れの家族等が安心して手軽に旅行することができるよう、国として積極的に取り組むこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願いいたします。
  211. 吉田博美

    委員長吉田博美君) ただいま長浜君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  212. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 全会一致と認めます。よって、長浜君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、冬柴国土交通大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。冬柴国土交通大臣
  213. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 観光圏整備による観光旅客来訪及び滞在促進に関する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝を申し上げます。  今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに、委員長始め理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表します。  大変ありがとうございました。
  214. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 次に、地域における歴史的風致維持及び向上に関する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  215. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、長浜博行君から発言を求められておりますので、これを許します。長浜博行君。
  216. 長浜博行

    ○長浜博行君 私は、ただいま可決されました地域における歴史的風致維持及び向上に関する法律案に対し、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党・無所属の会、公明党及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     地域における歴史的風致維持及び向上に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、本法と古都保存法文化財保護法都市計画法景観法等、関係する既存の法律や制度との適切な役割分担と連携を図ること。  二、歴史的風致維持向上基本方針の策定及び歴史的風致維持向上計画の認定に当たっては、地方分権の趣旨を踏まえ、市町村の自主性や計画の特性を損なうことがないよう十分に留意するとともに、認定申請等に対しては、迅速で適切な対応がなされるよう、所管三省間において緊密で十分な連携協力に努めること。  三、歴史的風致形成建造物の指定に当たっては、その改変等の制限によって所有者等に過重な負担が課されることのないようにするとともに、必要な情報提供、財政的支援等について十分配慮すること。また、歴史的風致維持向上には、歴史的建築物に係る優れた知識と技能・技術が欠かせないことから、その担い手づくり、耐震技術の開発とその活用等に特段の配慮を行うこと。  四、歴史的風致維持向上地区計画制度の運用に当たっては、歴史的風致にふさわしい用途の建築物等において営業が可能となる土産物店や郷土料理店などの営業形態等により、周辺の居住環境に著しい影響を及ぼすことのないよう、十分配慮すること。  五、林立する電柱や空中に張り巡らされた電線は、歴史的風致維持及び向上にとって阻害要因となることにかんがみ、無電柱化の推進に努めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願いいたします。
  217. 吉田博美

    委員長吉田博美君) ただいま長浜君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  218. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 全会一致と認めます。よって、長浜君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、冬柴国土交通大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。冬柴国土交通大臣
  219. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 地域における歴史的風致維持及び向上に関する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝を申し上げます。  今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに、委員長始め理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表します。  大変ありがとうございました。
  220. 吉田博美

    委員長吉田博美君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  221. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時七分散会