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田中康夫君 参議院における統一会派、民主党・新緑風会・
国民新・
日本の一員であります新党
日本代表
田中康夫であります。
本日は、
国土交通省設置法等、この等というのがあいまいもことしておりまして、バイネームで明確な
責任というようなものから懸け離れる場合がございますが、この
国土交通省設置法等の一部を改正する
法律案、この
法律が出されましたことは、私はある
意味では大変に画期的なことではないか、こうした観点から、本日は
文化庁長官であり、また
日本文化人類学会会長でもあられる
青木保さんにも
参考人として御
出席をお願いをし、
質疑をさせていただきたいと
思います。
今回、皆様も御存じのように、観光庁、行政が肥大化する三セクの官公庁ではいけないということを前回も申し上げましたが、まさにツーリズムの観光庁ができた、設立されていく。あるいは
航空・
鉄道事故調査委員会と海難審判庁を良い
意味で合体をした
運輸安全委員会ができると。この二点ということは、私がかねてから申し上げております
国土交通省という、人々の生命と財産を守るということは、これはすなわちすべての領域にわたるサービスをサプライサイド、供給側のマインド、サプライサイドの都合、サプライサイドマインドではなく、コンシューマーオリエンテッド、まさにこの社会に暮らす消費者の希望に根差したサービスを行う
省庁へと、
国土交通省が良い
意味でジョセフ・ナイが言うところのソフトパワーの
省庁へと大転換をしていく、私はこのきっかけとなる大きな
法律ではないかと思っています。
そのことは、すなわち従来、行政という社会においては指標の尺度があいまいであるということで、はなから却下されがちでありました幸福度というものを観光ということを通じて
国土交通省が他の
省庁に先駆けて確立をしていく、私はこうした大きなものであろうかと
思います。
と申しますのは、二十二日に閣議でも
報告があったかと
思いますが、少子化社会白書というものが発表されました。かねてから私あるいは新党
日本が述べてきているように、四十年後には
日本の人口はあるいは労働人口は今の三分の二になるわけでございます。一年間に八十万人ずつという、東京の世田谷区と同じ人口が減少していくということは、従来の量の拡大という発想から質の充実へと転換をせねばなりませんし、もっと申し上げれば、中央搾取の利権政治から地域還元の幸福政治というものへ、また
組織立脚の量的政治から人間立脚の質的政治へ戻していかねばならない、このようなことかと
思います。
実は、観光ということは、
冬柴鐵三さんが福祉を志して政治にお入りになられました。今日、皆様のお手元にも、私が日刊ゲンダイで連載をしております「奇っ怪ニッポン」というものの、後ほど御
質問させていただきます脱ダムという、脱ムダということと併せて、福祉、医療のことを書かせていただきました。
実は、これは
国土交通、とりわけ観光庁というものができるときに大事な問題でございまして、フルムーンという言葉があるように、高齢の
方々、良い
意味でリタイアをされても社会貢献をされている
方々、こうした
方々が光を見るために観光というところへ出かける。
日本は、どうしても勉強という言葉で学習になっていない
日本では、良い
意味でこの観光というものは人々が五感を用いてより人間を社会的に高めるということにつながるかと
思います。
こうした中で、是非
大臣であられる
冬柴さんは、閣議にも
出席されておりますから、後期高齢者医療制度と、これが羊頭狗肉のように名前を何か長寿医療制度などと変えておりますが、大きな問題は、医療や福祉や介護というものはこれはつなぎ目のない形で、シームレスな形でまさに消費者側、コンシューマーの視点に立ってサービスを行えるようにしていかねばなりません。
お手元にお配りをいたしましたように、私の友人でもあります川渕孝一という東京医科歯科大学の大学院の教授は、七十五歳以上のお一人当たりの医療費というものが七十五歳未満と比べて四倍も高いと厚生労働省は大本営発表をしておりますが、しかし一症例当たりの医療費というのは心疾患や脳血管疾患ではむしろ低く、良くも悪くも抑えられております。すなわち、こうしたことを考えれば、医療というものと介護というものを分けて考えるのでなくシームレスな形で医療や介護や福祉というものを、すなわち後期高齢者医療制度と介護保険制度を合体した、良い
意味で医療から介護まで一貫して提供する地域包括
ケアの保険制度を導入していかねば、これからの今後六年間で二四%も七十五歳以上の方は増えるわけでございますから、一人月額一万円の負担増を強いているという形は早晩破綻をするわけでございます。
これは、本日時間がございませんが、私が山国で知事を務めておりましたところは、
吉田博美委員長のおひざ元でもございますが、早期発見、早期治療ということを人々が行って、福祉と医療と介護を継ぎ目のないサービスを行ったことによって最も
全国で長寿で最も医療費が低い。それはやせ我慢をして治療をしないのではなく、社会全体で包括的な
ケアをしていったということで、このことが
日本においてはとても大事なことでございます。
そしてまた、こうした意欲を
皆さんに持ってもらうためにツーリズムというものが私はあるのではないかと思っております。すなわち、新しい確かさや優しさや美しさというニューバリューを、新しい価値を私どもがフロンティアの精神を持って創出をしていく、こうした幸福度によってレジームチェンジを図っていく、このことが最も行えるのが実は
国土交通省でございます。
と申しますのは、例えば総務省という大変に巨大になった、しかしながら余りマスメディア上では巨大になったと認識されていない
省庁は、逆に言えば自治も放送も通信も管理型でございます。すなわちサプライサイドマインデッドな
省庁だと私は
思います。
国土交通省も従来はサプライサイド側に立っているのではないかと言われておりましたが、実はそうではなくて、人々の生命や財産を守るということは、これこそがコンシューマーオリエンテッドに最も近づける
省庁であるということではなかろうかと
思います。
こうした観点に立って、本日は
青木さんにも御
質問させていただく形で進めたいと
思いますが、実はそう思っておりましたところに、昨日の新聞等でも皆様御覧になられたと
思います。お手元にも私の日刊ゲンダイの「奇っ怪ニッポン」の方でこの問題に関して触れました。(
資料提示)こちら、一番東京本社版では朝日新聞が大きく扱っておりました。読売新聞も大阪本社版においては大変に深く掘り下げた記事が載っておりました。また、皆様のお手元には私のこの記事もお渡ししているかと
思います。
御存じのように、淀川水系流域
委員会というものがございます。この
委員会は、近畿地方整備局で河川
部長を務められた宮本博司さんという方が
委員長であられます。二年ほど前に御自分の第二の人生というもの、家業を継がれるという天下りとはおよそ無縁な人生を歩まれた方ですが、公募によって
委員長に就任された方です。
この
委員会は、滋賀県大津市の大戸川ダム、京都府宇治市の天ケ瀬ダム、三重県伊賀市の川上ダム、また滋賀県余呉町の丹生ダム、この四つのダムに関しましては、ダム建設の
実施を淀川水系河川整備計画に位置付けることは適切でないとする
意見書を二十二日の日に近畿地方整備局あてに出しております。これは近畿地方整備局が設置をした
委員会でございます。
私は、知事をしておりましたとき、二〇〇一年の二月二十日の日に脱ダム宣言、でき得る限りコンクリートのダムを造るべきではないという宣言を出しましたが、それから七年、
国土交通省が設置をした
委員会が、この四つのダムに関して建設の
実施は整備計画に位置付けるべきではないという
意見書を出しました。このことに対する
冬柴さんの御
見解を改めてお伺いいたします。