○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。
この
調査会で、既に
パブリックディプロマシーにつきまして五回の
参考人の
質疑もさせていただきまして、非常に興味深い話もお伺いしました。これまでの
会長の議事の運営について、本当に感謝の念を一言申し述べたいと思います。
お手元に配らせていただきましたのは、この五回で学ばせていただいたこと、また、それを少し自分の考えでアレンジしたものでございます。
今までの
ヒアリングで特に感じたのは、外交というものが、いろんな面から少し展開といいますか、広がっているなというのを感じたわけです。
一つは外交の
対象でありますけれども、狭い意味の領土や安全保障というものではなくて、経済問題から、さらには
人間の安全保障、つまり平和の構築であったり貧困対策であったり感染症であったり、そういう、国だけが扱う問題ではなくて、民間の方々が非常に活躍できる場に広がっているというのが一点。
また、それによって主体が点から線へ、線から面へ、そして立体へと書いてございますが、それは後で二ポツでその事例を少しお話ししたいと思いますけれども、そういう広がりがあるからこそ、両国間というのがいろんなことがあれども健全であるというのが、この前の温家宝
総理の国会演説で、大風は吹けども山は動かずと、こういうことを言われましたが、市民レベルでのやっぱりいろんな交流、またそれが年が重なっていくという中でいろんなことが、領土問題等あったとしても、それは別に険悪な関係にならないという話だと思います。
次に、手法の問題ですけれども、皆さんが言っておられたのは、やはり一
方向では駄目だということで、
対話の
重要性ですね。その中で、価値観で、自分と
相手、どこが違うのか、どこが同じなのかということを共有するということが重要だと思いました。そういう意味では、逆に言えば、良い面も良くない面も両方とも正しく伝えると。よく考えれば、友人というのは、別にその人の全部を好きなわけじゃなくて、いい面も悪い面もあるんだけれども付き合っているという意味で、そういう関係をつくっていくのが重要と思っています。特に、これからはインターネット時代と言っておりますけれども、そういう時代だからこそ逆にリアルな訪問、またリアルな滞在の
重要性、両方うまく組み合わせていく、ベストミックスが重要と思っています。
次に、主体の展開の事例でありますけれども、
外務省がやっております
事業としまして、オピニオン
リーダーという、かなりのレベルになった方、これは年間四十名ぐらいですね。若手研究者については二十一世紀パートナーシップ
招聘というのをやっておりまして、こういういわゆるオピニオン
リーダーレベルの交流を
日本でも、二週間弱ぐらいいていただいて
日本のいろんなオピニオン
リーダーに会っていただくということをやっている事例がございます。
また、今回こういう事例があったんですが、横浜でTICADの会合をやっておりますけれども、この会合にアフリカ市民
委員会のギュスターブ・アサーさんという議長が来られておるんですが、横浜
自身は、単なるTICADを国と国の会合ではなくて、もう少し市民レベルで交わるものにしたいという、そういう思いがあったようでありまして、横浜の地下鉄、全部で四十の駅があるんですが、それについてそれぞれアフリカの国の催物を割り当ててやっている。また、小学校においては、それぞれの国を割り振ってそれぞれ
勉強して、いろんな絵をかいたりとか作文をしたり、そういうことをやっておられまして、実はこのアサーさんはベナンという国の御出身なんですが、そのベナンを
対象にしていました横浜市の白根小学校というところにも訪れられまして、本当に子供
たちと、いろんな子供
たちが持った疑問とかにも答えられて、一緒に給食を食べられて帰ってこられたと、こういうこともございました。
次の事例三番目は、面と面。もう少し青年に光を当てまして、量的にも多く交流するという案でございまして、これは当時の安倍
総理が提案されました東アジア青少年大交流計画ということでございまして、年間約六千名、中国から二千名ぐらいですが、そういう方々が
日本に一週間程度来られまして、それぞれホームステイをされる。六千家族と六千人が交わっていくのを積み重ねていくわけでございまして、たった一週間でありますけれども、最後はやはり涙の別れになっているというのは、非常にやっぱり市民の中のこういう交流というものが深く外交の面でも効果があるんだなと感じました。
第四点目は、今回特に感じたんですが、四川大震災のときに
日本の緊急援助隊が行きました。これは助けるために行ったわけですけれども、四川省というのは、聞くところによりますと、それほど
日本に対してプラスの感情が高いところではないと。ところが、そういうことに対して、非常に
国民が
日本の動きに対して感謝を言われている。対日感情が変わるというのは、別にそれを意図してやったわけではないんだと思いますけれども、そういう意味では、こういうそれほど意図して何かをするだけじゃなくて、やっぱり交わっていくこと自体が大きな効果を持ってくるのかなという例だと思っております。
一方で、中国でワールドカップの二〇〇四年の予選のときのああいう感情ではなくて、こういうものを市民レベルで広げるのが重要だなと思っております。
最後に、逆に、点から線、線から面だけじゃなくて逆
方向に行くものがあるんだなというのは、この軍縮のいろんな交渉については、国対国の場合、なかなかうまくいかないことも多いと。それを
市民社会に一度下ろしてからまた国が入ってくるので、対人地雷のオタワ・プロセス、また今アイルランドのダブリンでやっておりますが、オスロ・プロセスというクラスター弾のこういう規制につきましても、そういうものの中で外交が進んでいくのが重要じゃないかと考えております。
こういうことを受けまして今後の展望ということですけれども、主体についてはNGO、
日本企業、
日本国民、特に青年というところがこれから、より、国だけじゃなくて、もちろん国は重要なんですが、国以外として重要かなと思っています。
特に、企業というのは、単に物を作るだけじゃなくて、経済協力と
文化交流の結び付きがあると。
一つ感じましたのは、パナソニックさん、松下さんがベトナムで薄型
テレビのチューナーを作っておられると、そのときにやっぱり社員に
日本語教育を力を入れておられてやっておられる。そういうものとの連携というのは重要だなという気がいたしました。
また、これから観光交流がどんどん進んでまいります。そういう中で、いろんな人が
日本の町中でいろんな人と出会うという中で、そういうときに感じられるものというのは、やっぱりこれは意図せざるものかもしれませんけれども、重要と思っております。
そして、手法としましては、そういう意味では、国又は民間企業自ら
発信するということじゃなくて、そういう人的なつながりができる場をうまく提供していく、これには青年層の
国際会議参加
支援という項目も出ておりました。また、ある提案では、国連総会で国と国がぶつかる前に、それを
各国の若い方に見ていただいて、その若い方の
意見を
各国首脳が聞いていただくというふうなことをやってはどうかという提案もあるようでございます。
また、平和構築の面では、いわゆる国の
人材だけではなくて、また特に
外務省、防衛省の
人材だけではなくて、全
省庁の
人材又は民間の
人材をこれから抜本的に
強化をして、やはり平和構築国家としての協力というのを今後広くやっていくことが重要だと思っております。
その際に重要な点は、特殊性を言う、又は優越性を言うということじゃなくて、
国際的、普遍的な性格又は共有性を主張していくというのが重要と思っております。
以上、簡単でございますが、私の今まで感じた点を述べさせていただきました。