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2008-05-14 第169回国会 参議院 国際・地球温暖化問題に関する調査会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年五月十四日(水曜日)    午後一時五分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         石井  一君     理 事                 今野  東君                 広中和歌子君                 室井 邦彦君                 川口 順子君                 野村 哲郎君                 浜田 昌良君     委 員                 浅尾慶一郎君                 加賀谷 健君                 喜納 昌吉君                 工藤堅太郎君             ツルネン マルテイ君                 松岡  徹君                 峰崎 直樹君                 山根 隆治君                 荒井 広幸君                 神取  忍君                 佐藤 正久君                 島尻安伊子君                 西田 昌司君                 牧野たかお君                 丸山 和也君                 加藤 修一君                 山本 香苗君                 山内 徳信君    事務局側        第一特別調査室        長        藤崎  昇君    政府参考人        外務大臣官房広        報文化交流部長  山本 忠通君    参考人        財団法人経済広        報センター常務        理事事務局長  田中 秀明君        独立行政法人日        本貿易振興機構        副理事長     伊沢  正君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○国際問題及び地球温暖化問題に関する調査  (「日本国際社会における役割リーダーシ  ップの発揮」のうち、日本発信力強化につ  いて)     ─────────────
  2. 石井一

    会長石井一君) ただいまから国際・地球温暖化問題に関する調査会を開会いたします。  多少遅延いたしましたのは、最後の取りまとめに関しまして理事間の議論が噴出いたしまして、少しお待たせしましたことをおわびを申し上げたいと思いますが、いよいよ終局に近づいておりますので、ひとつそれぞれの皆さん、あと二回ぐらいでもう終えたいと思うんでございますが、三回になるかも分かりませんが、最後までのこれまで以上の御協力をお願い申し上げたいと思います。     ─────────────
  3. 石井一

    会長石井一君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国際問題及び地球温暖化問題に関する調査のため、本日の調査会外務大臣官房広報文化交流部長山本忠通君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 石井一

    会長石井一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 石井一

    会長石井一君) 国際問題及び地球温暖化問題に関する調査議題といたします。  本日は、「日本国際社会における役割リーダーシップ発揮」のうち、日本発信力強化について参考人から御意見をお伺いし、政府から報告を聴取した後、質疑を行います。  本日は、財団法人経済広報センター常務理事事務局長田中秀明参考人及び独立行政法人日本貿易振興機構理事長伊沢正参考人に御出席をいただいております。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  両参考人におかれましては、御多忙のところ本調査会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。  本調査会では、先刻述べました議題について重点的かつ多角的に調査を進めております。本日は、日本発信力強化について両参考人から忌憚のない御意見をちょうだいいたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。  本日の議事の進め方でございますが、まず田中参考人伊沢参考人の順でお一人十五分程度意見をお述べいただき、外務省から二十分程度報告を聴取した後、午後四時ごろまでをめどに質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いいたします。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、田中参考人から御意見をお述べいただきます。田中参考人
  6. 田中秀明

    参考人田中秀明君) 経済広報センター田中と申します。  本日、このような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。  財団法人経済広報センターは、一九七〇年代の石油危機における企業批判欧米から浴びせられました日本異質論に対応すべく一九七八年、三十年前でございますが、当時の土光敏夫経団連会長イニシアチブで設立された財団法人でございます。  発足当初より、企業業界団体の御支援による五億円を基本財産といたしまして、毎年の事業企業業界団体の会費でお願いしております。予算は、ピーク時から現在ほぼ半分になっておりまして、約十三億がピークでございますが、三十年間の物価の上昇を考えますと、現状はかなり厳しいというところでございます。  当センター活動の半分を占める国内広報事業については本日のいただいた議題ではございませんので、残り半分の国際広報事業、特に対外情報発信事業外国との対話事業について御説明申し上げます。  対外情報発信は、企業活動経済界全体の現状外国方々理解していただく理解促進活動であると同時に、諸外国経済状況を伺ったり、日本企業への意見を聞いたりする対話事業でございます。  経済広報センターは、こういった形でやや一般的な経済事情中心対話をするというところでございます。その他、例えば個々企業財団とか研究機関は、特定のテーマに絞った対話事業をそれぞれ活発にやられていると私ども理解しております。先ほど申し上げたような予算の制約もありまして、私どもとしては、広く日本文化社会に関する理解促進を行うわけではなくて、日本経済現状日本企業活動状況問題意識について説明しております。  具体的にちょっと過去を振り返りますと、一九八〇年代は、強い日本企業経営の秘密はどこにあるのかという疑問に対して、日本企業の地道な生産性向上への努力とか長期的な経営姿勢などを強調いたしました。一九九〇年代は、バブル崩壊による深刻なデフレからの克服への取組を伝えまして、諸外国が抱いていました日本経済への過度な悲観論に対して、日本経済は必ず復活するというメッセージを発信してまいりました。二〇〇〇年代に入りましてからは、日本社会少子高齢化を迎える中で、企業の対応、さらに地球的な環境問題への取組テーマ経済界及び企業の立場から日本の姿を説明してまいりました。企業活動経済界全体の現状説明するときには、できるだけ多様な意見を紹介することを心掛けております。  私ども事業について申し上げますと、限られた予算を効果的に使うという観点から、外国で全国的あるいは地域的に影響力のある有識者焦点を当てて事業を展開しております。それぞれの国でオピニオンリーダーと呼ばれております方、あるいはその潜在的な可能性を持った方々を通じて日本経済現状や将来の姿を広めていくということを行ってまいりました。このオピニオンリーダーといっても非常に幅広くいらっしゃいますので、私どもジャーナリスト教育者研究者としております。  これからは、経済広報センターの二〇〇七年度の具体的な事業に即して説明を申し上げます。  お手元にA4と横長の表を配っておりますが、横長の表でございます。今説明申し上げましたとおり、オピニオンリーダー別の四つの分野がございます。  第一の分野は、左の方でございますが、外国ジャーナリストへの働きかけということでございます。  これについては、二〇〇七年度は、中国、イギリス、フランス、韓国、ASEAN四か国から、合計で二十八名の経済部長クラス論説委員あるいは編集長クラス招聘しております。ここ一、二年をいえば、これらの国々のほかにドイツからも報道関係者招聘しております。彼らはできるだけ編集責任者に近い人物というところでございます。  先進国報道関係者関心は、最近の日本経済の復活が本物であるのかとか、日本企業少子高齢化に対応できるのかとか、日本中国とどのように競争するのかあるいは共存していくのか、日本企業グローバル経営戦略がどのようになるのかにございます。中国韓国アジア記者は、日本製造業の強さの源泉、環境問題への取組アジア共同体への日本企業の考え方、日本リーダーシップ発揮などに関心があるというふうに感じております。  第二の分野の、左下でございますが、外国教育関係者への対日理解促進事業でございます。  大学教授小中高校社会科教師を通じまして、若者たち日本への関心を持っていただくことを主目的にしております。米国ビジネススクール教授招聘する事業につきましては、企業経営者との対話などを通じまして日本的経営への正確な理解を深めていただいております。  教授たちの昔の関心は、日本企業の長期的な経営競争力関係というテーマでございましたけれども、最近は、欧米日本とのコーポレートガバナンスの在り方の違い、技術開発への取組姿勢など、毎回教授経営者の間で熱心な議論が交わされております。ビジネススクールなど、先生の日本企業への関心注目度が低下しないようにしてまいりたいと考えております。  北米社会科教育関係者プログラムは、非常に多くの日本企業が進出しているアメリカ、カナダの小中高校社会科教師教育委員会関係者招聘いたしまして日本社会現状理解していただくというものでありまして、一九八〇年より開始しまして、今までで六百九十名の方々に来ていただきました。  一方、中国については、有力大学学生対象企業経営者が直接語りかけるということにしております。中国トップテンに入るような大学学生対象講演会を開催し、日本から企業経営者が講師として出席して、日本企業経営在り方製造業競争力源泉企業社会的責任、環境問題への取組などをテーマ説明しております。  第三の分野でございます。これは右の箱でございますが、研究者との交流は、経済外交分野政策課題中心とした知的交流を目指しております。  経済広報センターでは、長年、各国の研究者招聘し、日本学者経済界関係者意見交換する場を設けてまいりました。二〇〇七年度はたまたまアメリカからの研究者が多かったですが、最近の傾向は、中国韓国などからのアジア研究者招聘を増やしております。これに従来からのアメリカヨーロッパからの研究者を加えて、できるだけグローバルな視点から複合的に議論するように心掛けております。テーマも、単に日米関係日中関係という二国間関係だけではなくて、東アジア共同体に加えてアジアの中の日本アメリカの位置付け、日米と日中の相互関係などでございます。今年初めは、この箱の右下の方でございますけれども、気候変動問題を取り上げてアメリカ研究者招聘し、次期米国政権誕生で予想される温暖化政策変化を踏まえて日本学者経済界官庁関係者などと意見交換したところでございます。  そのほかに、オピニオンリーダーにも、学生や市民にも利用できるような英文での国際比較統計集英文ニューズレターを発行してございます。  今説明申し上げました事業活動につきましては、当センター会員企業により、その都度、費用対効果のバランス、継続意義などの評価、検討をいただいております。  事務局としての評価を申し上げますと、外国ジャーナリスト米国ビジネススクール教授招聘についてはある程度の成果は上がっていると考えております。記者からはそれぞれ関連記事が出ておりますし、日本社会変化を比較的好意的にとらえていただいておると。また、訪問した記者がその後の日本への関心を持つきっかけになっているようでもございます。もちろん、欧米記者ビジネススクール教授が抱いています日本的な経営に対する疑問は完全に払拭できませんが、欧米日本との違いについて理解を深めていただいたと考えております。一方、日本経営者にとっては欧米の識者の御意見は興味深いというのも事実ですので、これはお互いが学び合う良い機会ととらえております。  中国アジアジャーナリストは、特に環境問題での日本取組を高く評価していただきまして、日本企業政府の動きについて非常に詳細にインタビュー、紹介をしていただくなど、日本の経験に学べという雰囲気がございます。  教育関係者、特に北米社会科教師プログラムにつきましては、参加した教師が、後日、その地域学生などを主体とした、自ら訪日教育プログラムを組織するなど、草の根交流促進につながっておると思います。  研究者交流については、研究者あるいはシンクタンクが、経済広報センターとともに今後もシンポジウムを開催したいとか意見交換をしたいということを言っておりますので、一定の評価を受けていると思います。  最後に、このような事業をしておりますが、私どもの今後の課題を三点ほど申し上げます。  第一点は、人的なつながりを付けるきっかけになる場や機会をどのようにつくり出していくかということでございます。  もちろん、インターネットを利用することで情報発信情報収集も以前より容易になっておりますが、フェース・ツー・フェースで議論し合うということも重要であります。何といっても、じかに意見交換するとか日本の実情に触れる機会があれば、日本への理解関心が深まると思っております。限られた私ども予算の中で、このような場をどのようにつくり続けていくかということが第一の課題でございます。  第二は、新たなオピニオンリーダーを内外で発掘していくかということでございます。  黙っていても日本焦点が当たる、日本企業経営技術関心が集まる時代は去ったと思います。アジアの中の日本グローバル経済の中の日本企業としての見識や国としての政策が問われるという時代になっていると存じます。世界オピニオンリーダー関心グローバルに広がっていく、あるいは中国インドロシアなどに重点が移っていく中でいかに日本というテーマ関心を持っていただくか、広くテーマの切り口を変えて新たなオピニオンリーダーを発掘していかなければならないと考えております。  第三は、日本に関する日々の情報発信をしているのは外国メディア在日支局でございます。彼らへの情報提供強化していかなければならないと思っておりますが、在日特派員関心は、個々企業の動向、企業経営者経営判断経営者発言政治家の皆様の御発言日本政府政策の方向でございます。私ども経済広報センターテーマと若干関心がずれているというところがございまして、私どもとしては個々企業外国メディア支局とをつなげる努力はしておりますが、なかなか難しいというところがございます。彼らとどのように日々付き合っていくかというのが第三の課題でございます。  以上、これらの課題解決に日々試行錯誤をしているということを申し上げて、説明を終了いたしたいと思います。  ありがとうございます。
  7. 石井一

    会長石井一君) どうもありがとうございました。  次に、伊沢参考人から御意見をお述べいただきます。伊沢参考人
  8. 伊沢正

    参考人伊沢正君) ジェトロの副理事長伊沢でございます。  こういう機会を与えていただきまして、どうもありがとうございます。また、日ごろからジェトロ事業活動につきまして、御理解、御協力、感謝しております。  お手元縦書きのカラーのジェトロの資料がございますので、それに基づきまして、海外情報発信重きを置きながらジェトロでやっていることについて簡単に御説明をさせていただきます。  まず、ジェトロそのものは、昭和三十三年に特殊法人日本貿易振興会として設立しまして、それから、平成十年に同じく特殊法人でありますアジア経済研究所統合平成十五年から、独立行政法人日本貿易振興機構が設立され、そうなっております。  現在、職員は約千六百六十名おりまして、国内に八百名強、海外に八百名強。組織としましては、東京本部、それから大阪本部アジア経済研究所のほかに国内貿易情報センターを三十六か所持っておりまして、海外五十四か国に七十三か所の事務所を持っております。それから、運営費交付金は年に約二百四十億円いただいておりますが、近年、御案内のとおり非常に厳しくなっております。  ジェトロそのものは、時代変遷に応じまして、通商政策実施機関という役割を持っておりますので、その時々で大きな役割は変わってきているところがございますが、当初は、主に輸出促進日本企業海外進出するお手伝いをしてきましたし、ある時期、八〇年代から九〇年代にかけましては、非常に貿易黒字がたまって、今の中国と同じように世界から非常に批判されたとき、この時期にはむしろ輸入促進相当力を入れてきました。ところが、バブルがはじけたその後、中国の台頭とか空洞化議論とか起こった中でまた今、軸足をちょっと変えておりまして、むしろ日本の、特に中小企業中心とする日本企業海外展開への支援であるとか、またもう一つは、対内投資促進によります地域経済活性化とか、そういった点に今、力点を置いているわけでございます。  二ページに幾つか今やっている事業が書いてございますが、簡単に言いますと、一つは、今言いましたように、貿易投資を通じました地域活性化ということで、例えば、中小企業輸出促進であるとか、農水産品輸出であるとか、地域への地域を意識しました対内直接投資促進というものをやっております。  それからもう一つは、海外での日本企業ビジネス支援ということで、特に最近は、一つはやっぱり知的財産問題という、非常に中国だけじゃなくて、最近はドバイとかインドなんかで問題となっておりますので、そういった観点からの主に中小企業を意識した知的財産分野での保護、それから、特に最近は新興市場へかなり日本企業取組を深めておりますので、そういった分野でも、インド、ベトナム、ロシアといった、そういった新興市場への力を入れる、そういった形で支援を行っております。  それから、もう一つ大きな課題は、これはJICAと同じでございますが、開発途上国支援というのをむしろ経済とか貿易投資に直結した形でやっておりまして、一つは、いろんな形での経済連携協定、EPAの協力の部分をジェトロが担うとか、それから、今回、後で御説明いたしますが、アフリカのTICADの関係でもアフリカへの産業支援を相当程度しております。  それから、もう一つ事業調査研究事業でございまして、これは、ある意味世界七十か所以上の事務所があるものですから、そのネットワークを活用しましていろんな情報を集めまして、政府産業界、学界への情報提供をして、できれば日本企業戦略であるとか日本政策に反映させていただければと思っております。それ以外にも、特にアジア経済統合を非常に意識しておりまして、最近ですと東アジア版OECDと言われています東アジアアセアン経済研究センターERIAの設立につきまして相当程度支援をしております。  次に、三ページ、ジェトロ海外情報発信の特徴ということでございますが、交流基金とかいろんな団体がございますが、ジェトロの場合には、主にやはりビジネス中心とした、ビジネスを志向した情報発信を行っておりまして、もちろんビジネス世界というのは、政治外交とか文化、芸術とは切り離せませんので深い関係もありますが、メーンはあくまでビジネス世界産業界のことを念頭に置いた形でやっております。  今、特に力を入れていますのが、広い意味でのジャパンブランド発信日本魅力とか日本強みというのをいかに世の中に、世界理解していただくかということでそういう発信努力を行っておりまして、ツールとしましては、様々な事業を実施しての、シンポジウムであるとか見本市の参加とかいろんな形でのジェトロは様々な事業を実施していますが、それを通じてこういった形での日本魅力を伝えるという、そういう形での情報発信を主に行っております。  今現在、今の田中参考人の話にもございましたが、世界の中では日本相対的地位が非常に低下しているとかいう問題がございますが、やはり基本は、日本経済とか日本産業グローバル市場の中でどの程度競争力を維持できるか、日本の最先端の技術がどのぐらい世界世界技術発展をリードできるか、そういうところに懸かっていると思いますので、その点につきましてもいろんな支援をしながら、むしろそういう形での日本の強さを外に表すことによってある意味での日本存在感を高めることに努力していきたいと思っております。  次の四ページ、ジェトロ海外情報発信重点変遷というところでございますが、今の田中参考人の話にもありましたけれども、八〇年代から九〇年代、やっぱり日本が非常に貿易摩擦で苦しんだ時代がございまして、この中の委員の方にも御協力いただきましたけれども、その時代には、日本異質論を避けるとか、むしろ日本はフェアな国であって、いかに日本産業が強いかということを説明するという、そういう仕事が結構中心にございまして、その時期には、有識者の派遣、これは対米とか対欧も含めていろんなキャラバンをたくさん出しましたし、また海外有力者招聘させていただきました。また、若手ということで、例えば外国のMBAの学生であるとか、そういう方々日本に受け入れて、いろんな日本若者との議論を通じて日本の実態を理解してもらうとか、そういう様々な努力をしてきたわけでございます。  ところが、最近、二〇〇〇年以降は、ちょっとこの後少し丁寧に説明いたしますけれども、先ほど言いましたように、ジャパンブランド日本強みというのを発信するとか、それからもう一つは、特に通商政策に関連しまして、今、東アジア経済統合相当力を入れているものですから、東アジア経済統合に関連した情報発信、それから、これは通商政策とも一部関係してございますが、広い意味での、例えば首脳の往来とか、そういったタイミングをとらえた二国間関係強化に向けた情報発信とか、そういったことを重きを置いてやっております。  五ページから具体的な話になりますが、ジャパンブランドのうちの一つ日本強み魅力ということで、最初に、対日直接投資促進に非常に力を入れておりまして、これは、日本がいかに魅力的であるか、日本市場がいかに魅力的であるかということを説明することによって少しでも多くの企業日本に進出してもらうような努力をしているわけでございます。  海外事務所がございますので、海外海外投資関心があるような企業を訪問しまして発掘して、日本情報を与えて、そういう様々な努力支援を行っているわけでございますが、例えば昨年ですと、約千二百五十件の支援を実施しまして、実際には百二十五件が日本に拠点を設立しております。その中でも東京以外が約五〇%ということで、少し地方に向けても、地方活性化にもつながっているというふうな形になっておりますが、そういう努力をしております。  その一つの形態としまして、日米、日・EUの投資イニシアチブの一環としまして、アメリカであるとかヨーロッパであるとか、そういうところでシンポジウムを行っております。特に最近の特徴は、この間、去年の秋にデュッセルドルフで行ったシンポジウムでは、例えば神奈川県知事であるとか三重県知事とか、そういった地方自治体のトップも一緒に来ていただきまして、その場でトップセールスをしていただくとか、同時に、投資日本魅力を我々は説明するだけじゃなくて、併せてジャパンブランド的な、いわゆる日本の食品から日本の伝産品も含めた、そういう日本ブランド全体も併せてその場で披露をするとか、そういった複合的な形での取組に工夫して変えております。  それから、最近は、今言いましたように、地方自治体の長も、非常にある意味でのトップセールスが盛んになっておりまして、例えば大阪で行いました九月の会議では、大阪府知事とか和歌山県知事とか奈良県知事が自ら出てきて、英語でちゃんとアメリカの副知事クラスと議論をするとか、そういった形の形態が見られてきていまして、そういう意味では、対日投資促進努力する過程で日本魅力とかいうのを伝えることにある意味では進んでいるんじゃないかと思っております。  それから、もう一つ非常に重要なのは、日本の優れた環境・省エネ技術、非常にこれは優れているわけでございますが、同時に今、大企業のみじゃなくて中小企業にも非常にオンリーワン技術というのが強いものですから、これをいろんな形で紹介しております。  幾つかこの例が書いてございますが、例えば中国の広州でのジャパン・フェア・イン・広州とか、非常に大きな取組でございまして、環境とか省エネ、リサイクルとか、そういった分野に特化した技術を展示しまして、非常に大きな商談件数、成功例となっております。それから、ハイテク絡みでは、ここにバイオリンクって書いてございますが、同時に、ほかにもICTとかナノテクロボットとか、いろんな分野シンポジウムを開催して、同時にその場でビジネスマッチングをするという形で日本技術を紹介しております。  また、今回はハノーバー・メッセ、日本側もパートナーカントリーとして参加させていただきましたが、日本テーマはコーポレーション・スルー・イノベーションということで、ある意味では日本の優れた技術ということで、新エネとか省エネも含めた優れた技術を展示する形で多くの会社に、大企業から中小企業まで出ていただきまして、そういう意味でうまくいったという認識を持っております。  一枚めくっていただきますと、次のジャンルはある意味では少しソフトな分野でございまして、今、我々が特に取り組んでおりますのが、映画、アニメ等のコンテンツ分野、それからアパレル、テキスタイル等のファッション分野、それからデザインに着目した地域産品分野といった、こういった分野中心グローバル市場における日本ブランドの認知度の向上に努める努力をしております。  ここに幾つか書いてございますが、いろんな形で、海外に大きな展示会がございますとそこに出品する形で、それをジェトロがオーガナイズする形で、特に大企業は問題はないんですけれども、結構中小企業の中には、海外に出る力はあるんですけれどもなかなか出ていくノウハウがないということもございますので、そういう形で、一緒にそれをまとめる形で、ジェトロ中心となってオーガナイズしていくという形で出ております。  この中でも、例えば、ファッションですとメゾン・エ・オブジェ、フランスの最大のインテリアの見本市でございますが、これは、そもそも出品すること自体が非常に難しいんですが、そこにつきましても、出品者を指導しながら、どういう展示をすればきちっと向こうで出品がオーケーになるとか、クリアできるとか、そういうスタンダードのことも含めていろんな指導をしながらこういう展示を行っていますし、同時に、いろんな意味での、レセプション的なもので日本魅力みたいなものを伝える形のパーティー的なものを開くとか、そういった形で努力をしております。  それから、最後に書いてありますジャパン・ファッション・ウィークと。これは、日本全体としましてジャパン・ファッション・ウィーク推進機構ということで一生懸命努力していますが、ジェトロは、特にこのうち海外メディアに関して、例えばアメリカ、イギリス、イタリア、いろんなヨーロッパの国の業界紙の記者招聘して彼らに取材してもらって、国に帰ってもらってからその国でもう一度PR活動をしてもらうとか、そういった形で日本のファッションのすばらしさというのを海外発信する、そういう努力をお手伝いさせていただいております。  それから、もう一つジャパンブランドの中で大事なのは農水産品、食品の輸出促進でございまして、御案内のとおり、非常に今、世界では日本食とか日本の農産品に対する、これは安全、安心とか健康食文化ということで非常に関心が高まっておりまして、これまでも、幾つか下に書いてございますが、世界の大きな展示会に、これもいろんな中小企業とかいろんな農林関係団体とタイアップしながら出展したわけでございますが、一番上に書いてございますが、この四月に、農水省と経産省と連携しまして、ジェトロ内に農林水産物等地域産品輸出促進本部というのを設置しまして、今まではどちらかというと単にこういったいろんな展示会に出品するだけだったんですが、むしろ総合的にいろんな、どういった問題があるかという調査をするとか、アドバイザーをたくさん置くとか、それから植物の分野でも、非常な知財の問題でございますので、ジェトロを挙げて総合的に取り組んでいくということでやることになっておりまして、こういうのを一生懸命しながら、二〇一三年には日本の農産品の輸出一兆円というような目標を国は持っているわけでございますが、それに少しでも貢献できるように努力をしていきたいと思っております。  それから、いわゆる博覧会でございます。愛・地球博に続きましてサラゴサ、上海、これはジェトロ基本的には日本館を運営することになっておりまして、直近ですと、現在、この六月から始まりますサラゴサのスペインの博覧会でございますが、テーマがウオーター・アンド・サステーナブル・ディベロプメントというテーマなんですが、日本としましては、「水と共生する日本人—知恵と技—」というような、そういうコンセプトで日本館の運営を立ち上げる努力をしていまして、こういう形でこういう場でも日本の良さというのを伝えていきたいと思っています。  それから、多分この会合でもいろんな議論があったと思いますが、日本語の問題も、ジェトロではこれまでビジネス日本語テストというのをやっておりまして、やはりビジネス日本語というのはある意味で特に中国アジアでは非常に評価されておりまして、今までの努力が実りましてようやく、いわゆる法務省の在留資格認定証明の中に日本語能力というのがあるんですが、それが今までは交流基金日本語能力試験と日本学生支援機構の日本留学試験という二つだけだったんですが、それに加えまして、ビジネス日本語能力テストの結果も非常に見ていただけるということになりました。  ただ、行政改革推進本部の御指摘もありまして、この事業は二〇〇九年度から民営化、外部移管するということになっておりまして、今年度は、最後ジェトロがやりますけれども、入札をしまして漢検にお願いすることになりましたので、来年度からは、いわゆる漢検がこのビジネス日本語能力テストを実施することになっております。  それから次に、通商政策に非常に関連した分野としまして東アジア経済統合に向けた情報発信というのがあるわけでございますが、先ほどちょっと申し上げましたけれども東アジアアセアン経済研究センターERIAの設立支援ということをジェトロアジア経済研究所も挙げて行ってまいりまして、ようやく努力が実りまして、昨年十一月の東アジア・サミットで設立が合意されまして、この六月にも正式にERIAが立ち上がる予定でございます。  この過程で、ジェトロとしましては、各国、十六か国のこういった研究機関のネットワークを結ぶとか、事前段階の準備を非常に行っておりまして、この立ち上げに向けて引き続き努力をしていきたいと思っております。先般も日本でも大規模なフォーラムを行いましたけれども、各地でいろんな東アジア経済統合の重要性ということを訴えているというところでございます。  同じ話でございますが、毎年ワシントンDCでも東アジア経済統合推進のシンポジウムを行っておりまして、これはCSISという機関と共同で行っているんですが、定点的に、特にアメリカというのが東アジア関心を失わないというのが一つと、それから、むしろ東アジアの今の枠組みというのはアメリカが抜けているものですから、それで、逆に言うとアメリカにまた反対されても困るということもございまして、そういう意味で、東アジア経済発展の実情を説明する、そういう中での日本イニシアチブはこういうものだということをアメリカ人と、有識者意見を共有する場ということで、こういう会合も開いております。  さらに、最近は日中それから日中韓という非常に重要な東アジアの枠組みがございますので、日中経済討論会とか日中韓産業交流会の開催をするとか、そういった形で、特にビジネスマンを中心にした意見交換の場というのを設けております。  それから、次の九ページでございますが、これはもう余り御説明する必要はないのでございますが、先ほど言いましたように、首脳の往来時にはジェトロも、特に二国間関係、非常に関心を持つときでございますので、その場を利用して様々な形で、いわゆる例えばビジネスフォーラムみたいのを、日本の首脳が行く場合には経団連も一緒に行きますけれども、そのときにビジネスフォーラムみたいのを現地でセッティングするとか、あとは、それに際してテレビ、マスコミ等現地の報道機関に対していろんな形での寄稿をするとか、そういう形で協力をしております。  それから、ダボス会議にも理事長が毎年出ているところでございます。  それから、最後にもう一個。直接は情報発信とは関係ないのでございますが、先ほど申し上げましたアフリカ支援にもジェトロ相当力を入れておりまして、今回もTICADが五月の末に行われるわけでございますが、特に、ジェトロ、これまで一村一品運動という形でアフリカでも展開してきていまして、アフリカから日本に持ってこれる産物みたいのを開発するのをお手伝いしてきていました。  例えば、ケニアとかエチオピアのバラなんというのは非常にいい成功例であるわけですが、そういった分野中心に、アフリカン・フェアというところで四十か国以上からアフリカの産品を日本に紹介する、そういう大フェアを開きたいと思っておりまして、その場では、逆に日本企業アフリカで貢献しています例えば地雷除去装置であるとか、あとは蚊帳、いわゆる住友化学が作っておりますオリセットという蚊帳があるわけでございます、そういった日本アフリカにこういう協力をしているというものを、展示も含めてお互い、日本人にはアフリカの産品を紹介する、来てくれたアフリカの人には日本努力を紹介するような、そういったフェアを設けたいと思っていますし、同時に、特にビジネスに特化しました大きなシンポジウムを開催することとしています。  以上が、ジェトロ情報発信関係でやっているわけでございますが、特にジェトロの場合には、お金が今非常に厳しい中で効果的な情報発信をしていくということもございますので、今力を入れていますのは、海外事務所長がそれぞれ現地の、特に新聞にいろんな形で日本の関連のことを寄稿するとか、現地で何か、それぞれの国でシンポジウム的なものがあった場合には率先してスピーカーとして出てそこでお話をするとか、そういった余りお金が掛からずにできることをどんどんしていこうということでやっております。  これからも引き続きいろんな努力をしていきますので、いろいろ御指導いただければと思います。  どうもありがとうございました。
  9. 石井一

    会長石井一君) 次に、外務省から報告を聴取いたします。山本外務大臣官房広報文化交流部長
  10. 山本忠通

    政府参考人山本忠通君) どうもありがとうございます。山本でございます。  今日は、御説明機会を与えていただいて、大変感謝しております。  お手元に二種類の資料をお配りしておりまして、一つ説明骨子というもので、こういうポイントでお話をしたいということが書いてございます。もう一つ、とじてありますのが、「我が国の対外発信力強化に向けた取組」ということで、資料とかデータ的なものがございますが、まず、これの最初のページをおめくりいただければと思います。  ここに、広報文化交流のねらいというところがございます。外務省として今考えておりますのは、要するに、広報文化交流というのは、基本的には政府以外の人々、つまり普通の一般市民を相手にした外交であるという認識です。  これはどういうことかと申しますと、先進国ではそうですけれども、市民の世論というものがやはり国の政策に非常に大きな影響を与えている時代になってきている。それが外交においても例外ではないということで、やはり各国の外交政策日本にとって有意義なもの、日本にとって利となるものとなるためには、相手国の市民が、世論が日本政策日本についての理解を深めることが基本ではないかと、そういう発想に立っております。  そういうことで考えたときに、私どもいろんな調査をしまして、実は二つのことが分かったと思っております。  一つは、一般の人々、これは先進国、途上国を問わず、多くの人々は日本に対して非常にいいイメージを大体抱いているということです。ところが、それはいい話なんですけれども、各国のオピニオンリーダーというか政策担当者は、日本のことを特に意識している人を除いては、むしろ日本に対する関心ないしは日本存在感というものは彼らの間では薄らいできている傾向があるという二つのことがございます。  この辺を少し御説明したいと思いますが、私どもがどうしてこういうことをやっているかと申しますと、やはり相手国の外交政策に最終的にどういう影響があるかということを考えてでございまして、その最初のページの下のところにございますけれども、一般市民の支持とそれからオピニオンリーダーの具体的な意見というものが影響を与えているということに行き着きます。  次のページ、資料二というのを御覧いただければと思いますが、これはマスコミ等でも報道されましたんで御存じかとも思いますけれども、BBCのワールドサービスがここ三年ぐらい、各国、三十四か国を対象に、これらの国は世界にいい影響を与えていると思うか、それとも悪い影響を与えていると思うかということを調査しております。  日本は三年連続して良い影響を与えているという国のトップに来ております。最初の年は単独トップ、その次の年はカナダと並んでトップ、そして今度はドイツと並んでトップです。そういうので、非常に一般的にはいいイメージを持たれていると。ただ、国によって当然違うわけで、これは右の方を御覧いただければと思いますけれども、否定的な影響がプラスの影響よりも多い国というのが中国韓国です。これは歴史問題があるということでございます。  それから、次の資料を御覧いただければと思いますが、外務省の方で行っておりますアメリカやASEANを対象とした調査で、日本が信頼できるパートナーかというようなこと、アジアにおける最も重要なパートナーはどこかというようなことを聞きますと、各国において非常に信頼できるという一般的な数字が出てきております。  ただ、パートナーということになると、アメリカにおいて、もちろん日本アジアにおいて一番ですけれども中国が伸びてきているというのが見受けられる明確な傾向が出てきております。更に付け加えますと、しかし、こういうような中国の台頭の中で、逆にそういう状況だからこそ日本との関係をもっと大事にしていく必要があるという意見アメリカの中に出てきていることも事実でございます。  ASEANにおきましては、実は平均を取りますと、重要なパートナーというのは中国の方が数字は上になっております。ただ、これ、国によって違っておりまして、中国の方が大事だと言っている国は、ASEAN六か国、主要国間の中ではシンガポール、マレーシア、タイ、日本の方が大事だという国は、これはインドネシア、ベトナムでございます。フィリピンはアメリカというような答えをいたしております。こういう状況が一方にある。  それから、その次の、ちょっと飛びまして恐縮ですが、資料四ですけれどもアメリカ中国との間の知的交流状況というのと国際メディア東京から北京へのシフトということがありますが、この上の方の資料は、要するに、アメリカのシンクタンクのようなところ、これがやはりアジアの研究をやるときには中国との関係を非常に重視しているということが、ちょっと数字を細かく言っていると時間が掛かりますので省きますけれども、出ております。それで、またメディアも、下にございますように、支局東京から北京に移ったりして、北京から東京をもう最悪の場合にはカバーするというような状況も出てきている状況です。  それでまた、数字はございませんけれども、私どもは、政策コミュニティーと申しますか知的コミュニティーというような、要するに、政策国際世論の中で形成していくようなコミュニティーが事実上あると思っております。  例えば、アメリカで申しますと、アメリカ政府政策関係者、シンクタンクで働いている人々、メディアのコラムニスト、大学の先生たち、そういう方々が現在の問題についていろんな議論をして、環境問題であれ安全保障の問題であれ経済問題であれ、政策の大きな方向性はこういうものだという方向を出す傾向が強くなってきております。その大きな方向性の中で、もちろん政府が細かくきちっと決めていっているわけですけれども、大きな方向性というのは、そういう政策コミュニティーという言葉がいいかどうかは別として、そういうところでの意見の収れんというものが一つ大きな力を持っている。  これが実はヨーロッパでも同じようなことが起きておりまして、かつ、ヨーロッパアメリカのこの知的な政策のコミュニティーというものは、英語を話す人々の間である意味で共通のものになってきていると。そこに、アジアの人というのは、言葉の問題もございますし、なかなか入りにくい。入れる人というのは、やはり中国であれ韓国であれ東南アジアであれ日本であれ、英語の勉強をしたような人たち、発信力のある人たちがそこに行っていろいろ発言をしていくと。  日本の場合は、日本が、国がある意味で大国ということもあって、そんなに英語を勉強するということが常態ではありませんので、何でもできることが常態ではありませんので、どうしても英語で発信できる人が限られているということから、現在、そういうふうにグローバル化した政策コミュニティーというのがだんだんだんだん大きな影響を持ってきている中で、日本の人が発言してその大きな政策の方向性の流れの中に影響を与えている傾向がむしろ弱まってきているという残念な傾向があろうかと思います。  韓国にしろ中国にしろ東南アジアにしろ、そういう能力のある人たちはそこでいろいろと発言しておりますけれども、もちろん中身の面では日本が貢献するところ大なんですけれども、それが十分届かないと。これを何とかしようというのが、先ほど最初のページで御覧いただいた、各国のオピニオンリーダーと書いてございますけれども、要するに、こういうところに日本の声をどうやって届けるのかという、この大きな二つの問題を抱えております。  私ども政策手段というのは、そういうその二つの大きな課題、つまり一般の人々、いいイメージを持たれている一般の人々との間で更に日本に対する信頼、尊敬、関心というものを維持し高めていくかというのが一つの大きな課題。もう一つが、今御説明しましたような、政策コミュニティーの中に日本の声をどうやって反映していくのかと、彼らが物を考えるときに日本のことをどうやって彼らの頭の中に重要な要素としてとらえて考えてもらうのかという、この大きな二つの課題でございます。  まず、最初の課題の方から御説明いたしたいと思います。  縦長の紙の方に戻っていただければと思いますけれども、この一ポツと書いてあるところがそうでございますが、私どもは、そのために今まで伝統的にももちろん日本は官民挙げていろんな形で文化発信をしております。多くは歌舞伎とか能とかお茶とか生け花とか、それから子供たちに折り紙とか、そういうような伝統的な文化を伝えることをしてきておりまして、これはやはり世界を見回しても、世界に誇れる文化世界が本当に関心を持つ文化というものを持っている国というのはそう多くはない。そういう中の日本というのは数少ない、幸い一つでございますので、そういう洗練された、かつ伝統のある文化というのを広げていくという努力は今度とも続けてまいります。  ただ、これは我々だけではございませんので、政府で申しますと文化庁、それからビジット・ジャパン・キャンペーンの関係で国土交通省もやっておりますので、彼らと連携を取りながら、効果的に大使館、総領事館、いろんな文化センターなどを通じまして活動をする。そしてまた、民間の活動の方が今は量的には圧倒的に多いわけですから、民間とも協力しながらやっていくというふうに考えております。  それから、その次にポップカルチャーと書いてございますが、どうしてこれを今我々がこんなに取り上げているかと申しますと、例えば、皆さん、コスプレという、若者がアニメのキャラクターの主人公に仮装しまして振りを付けるような大会があるのを御存じかと思いますが、これの世界大会というのをここ三年ぐらい日本でやっておりますが、これは世界から十何か国参加します。中国から参加するのは、その最終選考がこの前、成都であったんですね、四川省、ちょうど地震がございましたけれども。その参加者は何と、おととしが三十五万人、去年が五十万人だそうです。フランスは、その数字が五万人と七万人、イタリアは三万人と五万人。要するに、けたが違うんですね。  我々が歌舞伎を例えばニューヨークのメトロポリタン歌劇場で大成功したとします。十日間公演をします。例えば中村勘三郎さんが、二〇〇五年でしたか、大成功した例がございますが、そのときはニューヨーク・タイムズですら、今年の夏の最大のヒットは歌舞伎だ、スパイダーマンじゃないと書いたぐらいなんですけれども、それですら総動員数は三万人です。  かつ、若い人がこのポップカルチャーには参加して日本関心を持ってくれるということで、やはり将来につながるということから、我々政府としてもこれを支援していこうということで、国際漫画賞という賞を設けておりますし、今度はアニメ文化大使にドラえもんを任命いたしまして、世界各国に行ってドラえもんに頑張ってもらおうと思っております。  ただ、こういうポップカルチャーだけですと、やっぱりポップカルチャーというのは若干うさんくさいところがどうしてもあって、それがエネルギーの源泉なものですから、それだけではなくて、やはり洗練された非常に日本外国の人が昔からあこがれているような奥深いもの、それからこういう最先端のもの、それから、先ほどもう既に御説明がございました、ジェトロさんの方からございましたデザインのような、ファッションのような、日本の最も魅力的でエネルギッシュなもの、そういうものをバランスを取れてやることが必要だと思っております。  それから、先ほど日本に対する信頼度の例を見ても分かりますように、国によって地域によって随分感じが違いますので、そこはやはりきめ細かに国別に対応していくことが必要だと考えております。ここは、例えば去年、南京事件七十周年のときは中国において大々的な文化活動を行いましたけれども、やはりそういう配慮は必要であろうと思っております。  それから、あと、当然のことながら、相手の国で一般の人の耳に到達するのはやはりメディアです。我々が調査したところ、多くの国で、例えば日本についての情報をどこから得ているかというと、ほとんどの国はテレビです。テレビがやはり七割以上で、意外なことに、フランスのように新し物好きなところはインターネットからの情報が五割以上だったりするわけですけれども、やはりそういうテレビ、それから活字メディア。必ずしも、やはりインターネットなんかですと、これはアクセスしてもらわないといけないわけですから、活字メディアで直接働きかけることも大事なんで、そういうところのメディアということから、メディアの人への働きかけは大切にしております。  それから、先ほどのポップカルチャーと同じ理由ですけれども、やっぱりこれからの日本と相手の国のことを考えますと、若い人が大切なので、青少年交流重視、それから留学生対策、この二つを重視しております。細かい説明は省かせていただきます。  それから、先ほどちょっと話題にもなりましたが、日本語でございます。これは資料にまたちょっと戻っていただきたいと思いますけれども、資料の五というところを見ていただければと思います。  日本語を勉強している人の数というのは非常に増えておりまして、現在約三百万人の方が勉強しております。多くはアジアでございます。かつ、更に注目してほしいのは、一番下のところの日本語能力試験の年間受験者数のところですが、約五十二万人の方が受けておりますが、これは世界で三番目に受けられている試験です。つまり、TOEICが四百五十万、TOEFLが八十万、そしてその次です。それで、フランス語は日本語の半分ぐらいの二十七万人でしかありません。ドイツ語でいうと、我々の大体六分の一以下の八万人ぐらいということで、日本語というのは非常に世界でニーズがあるということです。  これは、一つにはやはり日本の、先ほどジェトロの方から御説明のありました、そしてまた経済広報センターの方からも御説明がありましたビジネスのニーズというのがございますが、それに加えましてやはり若者の間での文化への関心、そういうものも非常に根強いものがあるわけです。  これは我々、三つの方法でやろうと思っております。次のページにありますが、現在、実は我々、直接に教える拠点というのはほかの語学に比べて非常に少のうございます。したがいまして、これを向こう二、三年で百か所以上、できれば二、三百か所ぐらいにしたいと。もう既に百か所は簡単なリストがリストアップされております。リストアップすれば簡単に百五、六十は行くんですけれども、やはり予算とかそういう制約の中でいろいろ動いていかなければなりませんので、取りあえずまず百か所と思っております。  この拠点を整備して、これ、拠点は主に大学とか研究機関そして日本交流基金文化センター中心ですけれども、そこで教材を現地と一緒に作ったり現地の先生方へ教えたり、それからモデル事業を行ったりして、いろいろな形で普及を考えていきたい。  しかし、更に長いことを考えると、相手の国の教育制度の中で日本語を取り上げていってもらうことが大事なので、その働きかけを行ってまいります。そして、それをやっても、やはり相手の国の教育制度の中で我々がいろいろやった経験は、それが例えば大学受験につながるとかそういうことでもない限りなかなか本気にみんななってくれない。したがって、若い人のニーズをみんな満たすのはなかなか厳しいので、インターネットやDVDを使ったディスタンスラーニング、e—ラーニングというのをやっていこうと思っております。  それから、次にテレビ国際放送でございます。先ほど申しましたように、テレビというのは多くの国でやはりいまだに一番情報を一般の方が多く得る方法なんですね。その中で実は、ちょっと資料には入れていないのですが、これ、NHKの方の御説明もこちらであったと承知しておりますが、日本国際放送はまだまだほかの国、イギリス、アメリカ、フランス、ドイツ、中国韓国に比べますと随分スケールが小そうございます。内容もまだ充実しておりません。したがいまして、やはり日本からの発信ということを考えて、我々は総務省さんそしてNHKの新子会社とも相談をしながらやってきておりますが、そこで二つのことが大事だと我々は言ってきております。  一つは、やはり日本としての発信日本からの情報日本として何を伝えたいかということ。それからもう一つは、やはり日本のテレビ国際放送である以上、これを見たらアジアのことが本当に分かるんだと、アジアにおける一番よくみんなが頼るようなテレビ放送になることが大事なんではないだろうかということで今御相談をしながらやってきておりまして、これ、既に実はテレビ国際放送、行われておりますので、少しずつ内容を改善しながら、外国の方のフィードバックを得ながらそれを反映していきたいと思います。それに当たっては総領事館、大使館、全面的に協力していきたいと思っております。  テレビ国際放送のもう一つの問題は、やはり相手の国の家庭で簡単に見られるようにしないといけないわけですから、ケーブルテレビとか、いわゆる衛星の小さなディッシュで受けられるとか、または、途上国のようにテレビ番組が余りないところは、そのまま流してもらうというようなことを相手国に働きかけることが必要です。そういうところで、やはり我々の持っております在外公館のネットワークを活用してNHKの子会社の方々協力をしながらやっていこうと思っております。  それから、次に資料の八を御覧いただければと思いますが、外務省も最近ITを相当努力して活用しておりまして、実は外務省のホームページというのは、去年の話の統計しかちょっと手元にございませんが、アメリカのホームページに次いで二番目に世界で見られている、外務省のホームページとしては、ものでございました。アクセス数も相当なものがございます。  ただ、そういう固いものに加えまして、できるだけソフトなもの、それからタイムリーなものと思っておりまして、例えばここにございますウエブ・ジャパンというのは外部に委託してソフトな話題を提供して、日本の現在の町の何がファッショナブルなのかというようなこと、子供たち向けのキッズ・ジャパンというようなものもあったりして、「おかあさんといっしょ」みたいな感じで流したり、それからこのディスパッチズ・フロム・ジャパンというのは、これは日本に滞在されている外国の方が日本をどう見ているかとか、日本の方でいろんな意見のある方の意見をここに出すというようなことをやっておりますし、また、サミット関係では公式ホームページもございます。それに、更に今度行いますTICADのアフリカ会議、それからサミットの環境問題については別刷りに、別のきちっとした英語、フランス語のインターネットを通じて情報発信するようにしております。  あと、二番目の大きな問題、どうやって国際社会グローバル政策コミュニティーの中に日本というものをきちっと認識させていくかということです。  これですが、これは、まず一つ日本人の国際会議への参加を確保しなきゃなりません。今、残念ながら国際会議に出て活発に活躍されている学者さんというのは非常に限られた方々になっておりまして、同じような方々がいろんな会議に声を掛けられていると。若い人を発掘する必要があると思っておりますので、外務省の方、ささやかな努力ですけれども、若い人をそういう国際会議に送り込む努力をしようと思っております。かつ、国際会議とかそれからシンクタンクについても、そういうグローバル政策コミュニティーに最も影響のあるものは何かということを調べて、彼らと話合いをして日本にとって意味のある議題を取り上げてもらうようにお願いしようと思っております。  それから、あともう一つは、やはり例えばアメリカの例でちょっと考えれば、アメリカにおける経済政策、例えば環境政策やそれからあと貿易政策、そういうものを彼らが立案するときに、当然のことながら、彼らはヨーロッパ、特にイギリスなんかとは、自然にイギリスとの関係どうなのかなということを考えながら立案するんですね。私もワシントンに勤務しておりましたのでいろいろ経験がございますが、日本のことを自然に日本のことをやっていない人が考えるという癖にはなっておりません。  したがって、我々は、日本関係者はもちろん一番大事ですから今後とも関係強化していきますけれども、そうじゃない、例えば国内の少子化問題だったり環境問題だったりエネルギー問題だったり、そういうものを担当している人にも日本のことを知ってもらうと。そういう人たちをも日本に連れてくる。そういう人たちに対しても、アメリカやほかの国でも、ヨーロッパでも中国でもセミナーを開いて、日本というのはこういう意味で貢献できるんだと、日本の環境技術というのは世界一ですと、省エネ技術世界一ですというようなことをちゃんと理解してもらう。これは皆さん結構知らないんですね。  だから、そういうことをやっていくということで努力をしたいし、かつ、そういうことを、これから各国において中枢に上るような次世代の指導者たち、彼らは一部は留学生ですが全員がそうではありませんので、そういう人たちの中で予算の許す範囲で若い人を日本に招いて、そして日本の実情を見てもらい、日本政策担当者の方々、そしてまた先生の方々のような方と話をしていただくというようなことを実現させていきたいと思って、これからこの分野には今まで以上に力を入れてまいる所存でございます。  ちょっと時間の関係で非常に雑駁な説明でございますが、最後一つだけ資料十というのを御覧いただいてと思いますが、ここは主要各国における文化交流予算状況が示してございますが、御覧いただければ分かりますように、中国韓国、フランス、英国、ドイツ、スペイン、米国、主要国みんな、今の世の中においては、これからはいろんな国の、相手国の国民の信頼と理解と尊敬をどうやって勝ち得るかということが長い目で見てその自分の国の国益と外交利益の増進につながるんだということが理解されておりまして、皆さんそれぞれ苦しい財政の中ではありますけれども、こうやって予算を増大している状況があるということだけ指摘させていただければと思います。  どうも失礼いたしました。
  11. 石井一

    会長石井一君) ありがとうございました。  それでは、ただいまより質疑を行います。  従来どおり、質疑者をあらかじめ決めずに、希望される方は、挙手の上、指名をもって御発言いただきたいと存じます。  時間が限られておりますので、委員の一回の発言は三分程度となるよう、また、その都度、答弁者を御指示いただきたいと存じます。  質疑のある方は挙手を願います。  それじゃ、広中和歌子理事
  12. 広中和歌子

    広中和歌子君 どうも、冒頭に御指名いただきましてありがとうございます。  本当にすばらしいお話をありがとうございました。私も結構海外に長く住んでおりまして、日本がどのように海外で受け止められているかということに関しまして非常にセンシティブであったわけですけれども、他方、日本に戻りまして、日本がどのように外国で見られているかといったような報道に関しましては結構ネガティブだということに気が付きまして、やはり日本メディアにもうちょっと働きかける必要があるんではないかなと思います。  例えば、一九七〇年代後半から八〇年代にかけてですけれどもジャパン・バッシングというようなことをさんざん言われるわけですけれども、その前に、私、住んでいたアメリカでは、あの「将軍」などというテレビドラマが全米に放送されて非常にヒットしていたんですね。むしろ、日本の品物は、安かろう悪かろうが、もう日本の品物がすばらしいからそれを作る日本人もすばらしいんじゃないかと思われていたり、それから、例えば「将軍」のような、それはまあ日本人の目から見れば多少バタ臭いものかもしれませんけれども、非常に熱心に見てくれて、いわゆる日本のそうした現代的な品物を通して知っている日本の背後にある文化みたいなものにも思いを致してくれたりという、そういうようなことがあったわけですよね。  ところが、日本に帰ってきますと、もうアメリカジャパン・バッシング一色であって、日本に対してアメリカは本当の嫌悪感を持っているみたいな報道しかされないと。そういう偏ったマスコミ、ワシントンやなんかにも駐在しているはずなんですけれども、彼らの得ている情報がどこから来ているのかと。案外、外務省から聞いていてそういうイメージをお与えになっているのかと疑いたくなっちゃうぐらいなんですけれども、やはり日本メディアとももうちょっと話合いをなさる必要があるんではないかと思います。  そして、正直な私の気持ちとしては、本当にジェトロにしても、それから経済広報センターにしても、いろんな形で頑張っていらっしゃるということをまず評価させていただきたいと思うわけでございます。その私の発言に対してどのような反応がいただけるのか、お二人にお伺いいたします。  それから、山本政府参考人に対してでございますけれども日本語を学ぶ海外の人が非常に多いということは驚きだったわけですけれども、そして教師の数も四万四千三百二十一人と、これもすごい数だなと思ったんですが、これは日本語学校にいる先生を含めての数なんでしょうか。それとも、アメリカの中学校とか高等学校、アメリカだけじゃなく、外国の中学校、高等学校あるいは大学にいる人の数の総数がそういうものなのか、それについてお伺いしたいと思います。  いつでしたか、文部省からJETプログラムというのが、つまり外国人が日本に来るわけですけれども、そして外国語を教えてくれるわけですけれども、逆JETという、逆に今度は日本の学校の先生が海外に行って日本語を教え、かつ、その先生が外国文化を学びながら、今度帰ってきたときに外国文化日本の生徒に教えるという、そういうプログラムがスタートしたはずなんですけれども、それが余り、せいぜい二十人ぐらいということで非常に残念なんですが、これは文部省の管轄かもしれないんですが、外務省の方でもうちょっと積極的に活用していただけたら、これは日本にとっても海外日本語を学びたいという方にとっても非常にプラスになると思いますので、是非御検討をいただければと思います。    〔会長退席、理事川口順子君着席〕  先ほど、政策コミュニティーの中での日本の人材とか存在感を示すためにそれぞれの分野での実力者をもっと海外にということをおっしゃったわけですけれども、そういう意味でも、日本の中での人材の発掘、しかも外国語で表現できるか、あるいは通訳を使ってもいいわけですけれども、そういう人たちをどんどん海外に経験の意味でも出していただくようなチャンスをもうちょっと増やしていただければ有り難いんじゃないかなと思います。  以上でございます。
  13. 伊沢正

    参考人伊沢正君) なかなかメディアについてのコメントはしにくいところがあるんですけれども、まさに感覚は一緒でございまして、アメリカ、私も経験がございまして、川口理事もおられたんですけれども、やっぱりワシントンというのはちょっと特別なところなんですね。ですから、ワシントンではやっぱり問題になっていますけれども、ほかの州に行きますと日本は非常に高い評価を受けている。例えば、農産物なんかでも、非常に文句を言っているけれども、実際には輸出している州から見ますと非常に日本というのは大きなマーケットで大事にされているとか、ですから、ワシントンとやっぱりアメリカ全体というのは明らかに違うんだと思うんですね。  ただ、どうしても、日本メディアもみんなワシントンに、すべてじゃありませんけれども基本的にワシントンベースでみんな取材していることもありまして、そういう傾向があるので、そういうのがニュースでは来るというのと、あとやっぱり日本人で、私はメディアだけじゃなくて全体的に、いろんな方も同じだと思うんですけど、日本の悪いところというのをみんな強調しちゃうんですよ、みんなね。もちろん、悪いところもあるし、いいところもあるんですけど。  ほかの国ですと、いいところも当然みんな主張するはずなんですけど、どうしても日本の場合には、多くの人が問題点ばかり主張して、日本全体でいいところというのがあるはずなんですけど、そこをなかなか発言しないというような文化もあるものですから、どうしてもそういう嫌いがあって、まさに私の実感としては、アメリカでもそうですしヨーロッパでもそうで、EU委員会は文句言いますけど、それぞれの国に行けば非常に日本評価されているというのがあったりしますので、そういうところはあるのかなと思っていますので、ちょっとバイアスが掛かっているのは間違いないと思います。
  14. 田中秀明

    参考人田中秀明君) 今御指摘のとおり、同感でございます。  ただ、メディアについて言うと、私ども経済広報センター国内広報事業は実は日本メディアとの対話というのをしておりますので、その辺の問題意識は持っています。ただ、私どものやはり国内広報事業の主たる対象経済部とか産業部とか日本の中の報道をするところが多くて、海外の目を見るというのは非常に少ないところではあります。私ども、そういう中でも、一応もう少し日本のことを、今、伊沢さんがおっしゃったように、悪いところだけじゃないというのを強調してほしいということは伝えてありますが、なかなか思うようにいかないというところでございます。  それと、ただもう一つは、多分メディア側も、日本だけではなくて中国アジアのほかの国又は資源国に支局が移ると、何となく日本が非常に軽んじられたというふうに心理的になって、そこが極端に報じられるという嫌いがあるかもしれません。その辺、やはりメディア側のまだ対応が付いていっていないんじゃないかと思っています。その辺を、私どもシンポジウム等で解説するというようなことで努力したいと思っております。
  15. 山本忠通

    政府参考人山本忠通君) 日本語の関係ですけれども、数字はすべて含んでおりまして、語学学校も中等教育、高等教育、全部入った数字です。これは交流基金調査した数字です。  それから、先ほどの逆JETの話なんですが、これは非常に、御指摘のとおり、実際に実現している数は少ないんですね。それはなぜかというのには多分二つ理由があって、一つはもちろん予算なんですけれども、もう一つはやっぱり受入れ国との関係だというふうに聞いております。  日本の場合にJETがどうして成功しているかというと、これは地方の教育委員会が是非受け入れようということで、むしろ積極的に外国からの若者教師のアシスタントとして使うということをやっておりますが、国によってはそれはなかなか熱心にならないところもあるということで、相手国にまず受け入れてもらう必要があると。  それから、今の日本の制度、これはちょっと、今後、日本語のまさしく教師派遣をどうするかというのは文科省の所管ですけれども日本語の政策全体の中で御相談することになると思いますが、こっちから出しますというよりは、むしろお願いをされて出すという形に今はなっているんですね。そうすると、やっぱりどうしてもなかなか数が伸びないということがあるやに聞いております。  ただ、実際にそれじゃ日本の人が教えていないかというと、そうではなくて、これは現地におきまして、例えば現地におります日本人の方が教師のアシスタントとして教えたり、それからあと、余り高度な教師の訓練を積んでいなくてもいいような場合にはJICAの青年協力隊の人たちが途上国においては教えたりしております。  それからあと、少ないんですけれども交流基金の方から専門家ということで本当のプロを派遣して教えている例がございますが、この分野は、先ほど申しました拠点百か所以上の計画の中で、さらにそういう人たちをどういうふうに派遣していくのがいいかということを検討しながら増やしていきたいということを考えておりますし、我々の今後の重点政策日本語ですので、まさしく総合的な政策を、実は、夏前にも関係省庁にもお集まりいただいて、お話をして、今、先生御指摘の点も含めて検討していくことになっております。  それからあと、日本の中での人材の発掘の件ですけれども、全く御指摘のとおりで、我々が今一番苦労しているのは、若手の方でいろんな分野日本の考え方をきちっと説明する訓練を受けた方が余りいらっしゃらない。ないしは、仮に優秀な方がいらっしゃっても、それをやることが彼らにとって簡単にできない。つまり、いろんな制約があってできない、予算も含めてですね。ということと、そういうことをやること自体が必ずしも日本社会の中で高い評価につながらないこともあるというように聞いておりますので、そういうところは、まさしく、こういうところの御議論を通じてそういうことが大事だということが認識されていくことは大変有り難いことだと思っております。  それと同時に、今、そういう国際会議の世界というのは非常に厳しい世界でして、仮に最初呼んでくれても、その国際会議やそういうシンポジウムの場でちゃんとした貢献ができないと次からは呼んでくれないという世界です。  ですから、我々として今考えているのは、日本存在感をきちっと示すためには、今の段階では、まだきちっともうエスタブリッシュして自分の発言を相当見事にできる方にお願いして行っていただいて、そういう方がパネリストなりプレゼンターになってやっていただいて、若い人は参加者として行っていただくと。それは、向こうは呼んでくれません、お金出してくれません。パネリストやプレゼンターは呼んでくれますけれども、そういうところは我々の方で予算を取って、参加費用は、もし彼らが出ないんであれば若干支援するというようなことをしてペアで送り出す。そうすると、その立派な日本のその政策担当者なり学者さんなり先生方のような方々がきちっとされるのを見て若い人が研さんをしていくと。いずれ育っていただくというようなことで考えていければと思っております。
  16. 川口順子

    理事(川口順子君) 室井先生、どうぞ。
  17. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 参考人方々には、お忙しいところをありがとうございます。  質問に関しましては、ちょっと外務省の山本さんにお願いをしたいなと思います。  質問の一つは、パブリックディプロマシーの有効性ということについて少しお伺いをしたいんですけれども、もちろんお分かりのとおり、我が国は大きな難題というか、重要なロシアの領土問題、北朝鮮の拉致というような大きな問題があるわけでありますけれども、これらの難問をパブリックディプロマシーの活用により解決しようとする場合、いかに、どのような対応が考えられるのかなということが一点。  そしてまた、この国々はやはり強硬な国家体制、またもう一方では独裁政治というものが御承知のとおりあるわけでありますけれども、外務省としてこういう楽観的な考え方では到底、また解決もできないし、このようなパブリックディプロマシーという、これだけでは非常に長期の時間が掛かるような、解決ができるかな、それでは、という私には疑問があるわけでありますけれども、こういう問題をそれぞれいろんな問題に関して組み合わせていかなくちゃいけないという手法、こういうことについて、二点目は、外務省としてどのような対応をしていくのか、どのようなこういうことに関して見解をお持ちなのか、この二点、お聞かせをいただければなというふうに思います。
  18. 山本忠通

    政府参考人山本忠通君) どうも御質問ありがとうございます。  ロシアとの間の領土の問題と拉致の問題そのものの中身というのは私どもの方で所管しているわけではないので、そこで、そのことについて責任を持ってお話しするのはなかなか難しいということをまずちょっと申し上げた上で、パブリックディプロマシーの観点からそれをどのように外務省及び政府政策をサポート、助けて、支持していけるか、強化していけるかという観点からお話はできると思います。  ロシアのことを考えますときに、北方領土問題を解決するに当たって、日ロ関係が良くなった方が領土問題の解決に資するということをまず前提として考えますると、そうするとパブリックディプロマシーの活躍の場というのはあるんだと思います。  つまり、我々がパブリックディプロマシーで行うことというのは、相手の国の国民、これは政府関係者を含んでですけれども日本という国が信頼に足る国である、相手になる国であると、そして日本という国はこれだけの実力を持った国であって、これから今後この地域において重要な役割を果たしていく、そして、そのときにパートナーとして日本を選ぶことが彼らにとって有利であるということを認識させるための努力です。  したがいまして、そういう努力を積み重ねることが、この北方領土問題を担当している人たちにまずある程度の効果があるでしょうし、やはり最終的に領土問題というのはどの国におきましても国民の理解というものを得る形で行われていくものだとすれば、解決されていくものだとすれば、やはり日本との間での領土問題を解決するに当たっては、ロシアの国民がそれを受け入れるというような状況をつくるというのに資することが、ある程度ではありますけれども、できるのではないかというふうに、やや楽観的ではありますが、述べさせていただければと思います。  拉致の問題につきましては、北朝鮮との関係で直接にということは極めて難しいと思います。やはりあの国は、御存じのように、外からの情報を入らないように統制しておりますので、また接触もままになりませんので、我々が直接的に北朝鮮の国民ないし政府関係者にパブリックディプロマシーの形で働きかけるということは極めて難しい。  しかし、彼らも、国際社会の世論というもの、つまりアメリカ中国韓国、そしてヨーロッパアジア政府、そして国際社会全体がこの問題をどのように見ているのかということは当然気にしているはずでございまして、例えば六者会合のプロセスを動かすに当たっても、六者会合のほかの国の考え方がどのようなものであるかということは当然のことながら北朝鮮の対応に影響を与えるわけですけれども、ほかの国々がこの拉致問題についてどのように考えるのかということについては我々の方のパブリックディプロマシーの働きかけというのは効果があり得ると思いますので、これもどれぐらい実質的な効果があるかは別として、間接的にはある程度の働きかけはできるのではないか、意味はあるのではないかと思います。  それから、最後の御質問は、実は今、私が言ったことは非常にある意味で短絡的に述べておりますので有り難いと思うんでございますが、パブリックディプロマシーというのは、やはりこれは、自分たちの持っているものを正しく伝えることによって自分たちに対して尊敬ないし信頼ないし理解してもらうということですから、持っているものが大事なわけですね。したがって、まずその政策に代替するものではないということを申し述べさせていただきたいと思います。  それから第二に、やはり世論などというようなものに働きかけなくちゃいけないわけですから、効果というのが直ちに目に見える形で出るということは非常に少ないと思っております。時間が掛かります。しかし、いったんきちっとしたそのイメージができれば、それはある意味で非常に基礎的なものとなって日本に対するいいイメージになるわけですから、そういう意味で、実はヨーロッパなどにおいても、パブリックディプロマシーをやるときに、効果を出せと言われて非常に各当局、苦労しておりますが、そういう苦労があるということは御理解いただければと思います。
  19. 川口順子

    理事(川口順子君) 喜納先生。
  20. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 日本から発信力を持っていくためにはどうするかということがあると思いますけれども日本語にしろ文化にしろ。  一つは、さっき外務省の山本さんがお話しになっておられたんですけれども、特に歌舞伎、能、茶というのが非常にもうすばらしい文化であるということ。すばらしいんですけれども、私個人としては、いつまでもそれが代表だというのはいかがなものかという考え方があるんですね。やっぱり環境技術がなぜそれだけ評価されるかということは、日本のこの技術力というのが西洋の科学技術を超えたところに光るところがあるんです。輝きがあるんですね。しかし、歌舞伎、能、茶というのはほとんど中国から渡ってきたものだし、非常に過去のままとどまっているという。だから、その意味での評価がありますけれども、それは磨きがもう一つ足らないんではないかという感がするんですね。  やはり今、日本に試されていることは、今までは、一つ経済がアイデンティティーを示してきたんですね。しかし、今、中国経済は非常に、BRICsも含めてすべて経済。特にお隣の中国経済力持っていますし、アメリカも当然まだ経済力残っていますし、この両国が非常に強く経済で結ばれ始めてきたと、米中がね。その中で、日本経済のアイデンティティーがつぶされつつあるという、それをどういう形で抜け出すかというところに私はテーマがあると思うんですけれどもね。そのためには、日本文化を表に出すということもいいですけれども日本内の文化をどうして文化力を付けるかという、そういう力をつくることができなければ、幾らいい文化を投げても返ってくると見ているんですよね。だから、かえって日本技術も戦争にしか使われないという方向になっていくんですね。  私は、やはり日本のアイデンティティーを新しくつくり替えていくという考え方が必要だと思いますね。その意味では、文化力というのは非常に重要なものだと思っているんです、どこかではね。私もたまたま今年の北京の文化イベントの中での最後アジア・デーに招待が来ているんですけれども、音楽で。  やはり、思うことは、和合のアートというんですけれども、和合のアート。これはどういうことかといいますと、まず日本の中には、決して歌舞伎や能、茶だけに代表される文化だけではないということ。そこには縄文の文化もあるし、弥生の文化もあるし、これをまず大きく見れば結ぶという方法。そして、その流れの中には、縄文の中には沖縄も含まれ、アイヌの方々も含まれて、そして弥生の中には在日の方々、あるいは民団、総連、たくさんありますよね、それから外国のものもあるし、そういうものを融合していくところに大和という一つの、僕は和合の中に一つ日本の、聖徳太子以前の一つ文化の流れがあると思うんですよ、私はね。  そういうものをもう一度、歴史を深く深く掘り下げていって、言わば地球規模で、人類規模で物事を昇華していくぐらいの大胆な、ダイナミックな文明というのかな、文化運動を起こすということが僕は非常に日本に求められていると思っているんですね、私はね。だから、ある意味では今非常に日本は衰弱しているという視点はありますけれども、非常にチャンスであるというふうに、私から見るとね。  それで、一つは、エリートだけで判断する文化発信というのは、少しもう一度改める必要があるんじゃないかという、そう思って私は考え、思いながら聞いていたんですけれども、どうお思いですか。
  21. 山本忠通

    政府参考人山本忠通君) 喜納先生がおっしゃるように、私どもも終極的にはもっと努力していく余地があるというのは本当にそのとおりだと思います。  私ども、例えば近隣諸国、特に中国韓国文化協議をするときに、やはり歴史的に共通のものを持っていたりするわけですから、そういうものに根差して、例えば外国文化活動をやるときに一緒にできないかというようなことを言ったり、それから、シンポジウムみたいなものを一緒に話して、まさしく今のようなことを考えていったらいいんだろうとは思っております。そこまでまだいっておりませんので、今後そういうところは話していかなきゃいけない課題だと思います。  おっしゃるとおり、日本がこういう日本の新しいアイデンティティーというんでしょうか、文化的にどういうことが人々にとって大事なのかということを、これからの社会において大事なのかということを文化面で更に掘り下げることにもこのことは使っていくべきだというのは全くそのとおりだと思いまして、是非そういうふうにしたいと思います。なかなか難しいと思いますけれども、やはりそういう知的な文化面における最先端の作業を例えば文化庁なんかとも一緒にしながらやっていくことが大事だと思います。  歌舞伎についても、一つ洗練という意味で非常にやはり各国に受け入れられたりする。沖縄の例えば舞踊もそうですけれども、やはり分かるんですね、皆さんいいものは。本当に完成されたいいものというのは分かる。そういうことで、日本の芸術家の方々が持っている完成度の高さというようなものを見ていただくことは、それは日本の蓄積した歴史がやっぱりなせるものなんで、そういう意味でもいいのかなと思っております。
  22. 川口順子

    理事(川口順子君) それでは、次に浜田先生、それからその後、今野先生、島尻先生、山内先生、そして山根先生という順で行きます。どうぞ。
  23. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 公明党の浜田でございます。  本日は、参考人の皆様方、御足労いただきまして、また貴重なお話、ありがとうございました。  私からは、市民社会レベルの交流なり信頼関係をどうつくっていけばいいかという点についてお聞きしたいと思います。  昨日、アフリカ市民委員会、シビック・コミッション・フォー・アフリカのアサー議長が来られまして、彼はベナンのNGOの会長なんですが、TICADがあって七月にはサミットがある、この期間ずっと滞在されると。アフリカのTICADの取り上げた議題がG8へどうつながっていくかということをちゃんとフォローしようということで来られているんですが、彼と議論しているときに一つの方向として出たのが、政府間の外交関係、信頼関係だけじゃなくて、やはり市民レベルでの外交交流、また信頼関係、これができることによって、より二国間の外交関係が安定するという問題なんですね。  これは議論しているときに彼に紹介したんですが、皆様もお聞きになったように、温家宝首相が昨年日本に来られて国会で演説されたときに、大風は吹いても、いわゆる草は揺れても大地は揺るがないということを言われて、正確じゃないかもしれませんが、そういう話をされました。日中間においてもいろんな風が吹いて、確かに草は首相が替わるたびに変わったかもしれませんけれども、動いたかもしれませんが、大地は動かないという、そういう国民レベルでの信頼関係をいかにつくっていくかという重要性なんですね。  その観点からお三方に質問させていただきますが、まず山本部長に御質問したいと思います。  市民レベルといっても、なかなか砂のようなサイレントマジョリティーの世界の中で、どうしてもオピニオンリーダーを通じてやらざるを得ない面もあるんですが、そういうことも含めてNGOレベルのこういう交流というんですか、そういうものをどうやって、今外務省として支援されているのか、そういうことについてまた今後されるのかについてお聞きしたいのが一点でございます。  あと、田中参考人伊沢参考人におかれましては、主に経済分野のいわゆる交流ということを扱っておられるんですが、経済交流される方も、現地で住めば奥さんも行くし、子供さんも学校に通うわけですね。多分その逆の関係もあるかもしれません。そういう意味では、経済というだけじゃなくて、一つの市民交流の形態が経済交流なのかもしれないと思っているわけですが、そういう意味では、経済交流を通じてそういう市民交流を深めるような方法はあるのかどうかについてお聞かせ願えればと思います。  以上です。
  24. 山本忠通

    政府参考人山本忠通君) どうも御質問ありがとうございます。  NGOレベルの交流というのは特に近年非常に大切になってきておりまして、特に社会活動面、そして援助、支援面で大切になってきております。  それで、外務省の方では、これは、今ではそれを担当する一つの室をつくって、先生御存じと思いますけれども対応しておりまして、これがますます重要性を帯びている。しかも、それのみならず、主要な国際会議でも、今まではNGOの方々というのはオブザーバー参加をされたり、それからされなかったりという場合もあったわけですけれども、今はむしろ正規のメンバーとしてお招きして意見をお伺いするというようなことをしておりますので、そういう面で外務省として一般的に非常に重視しているということが言えると思います。  我々の文化の面におきましては、NGOという言葉が適当かどうかは別としまして、実は、特に先進国との間ではほとんどの交流は市民間交流なわけです。それは地方レベルの場合もあれば、むしろ全国的組織の場合もありますけれども、それは大きなものも小さいものもあります。  我々は、実はそういうものを全部御支援するというのはなかなか難しいんですけれども、例えば外交関係制定何周年とか、特定のときには事業をたくさんやりますので、できるだけそういうところで拾うとか、それから彼らの間でネットワーク化したものを拾うとか、それからあと、国際交流基金を通じまして支援のメカニズムがありますので、そういうところで公募を掛けてお願いするというようなことで日本活動支援しておりますし、日本方々だけでなくて、現地においては総領事館、大使館が最近は特に一生懸命彼らとの関係を、多くの場合、日本のそういう市民活動の方、市民交流をされている方々の紹介を受けるんですけれども交流をするという形でやらせておりますし、今後とも重視しております。  特に、例えばアメリカの例でいえば、日米協会というようなものは、非常にもう百年以上の歴史を持って日米間の関係を育ててきていますし、各社会における、地域社会を含めてその地域社会のリーダーのような人たちが入っておりますので、そういうところへの支援は今後ちょっと予算を増やしていくようなことは考えております。
  25. 伊沢正

    参考人伊沢正君) NGOということではないんですけれども、私は去年の秋までJICAにおりまして今ジェトロにいるわけですが、特にそのアフリカ支援を、今ジェトロもJICAも一村一品運動とかやっています。もう相手は企業じゃないんですね。ある意味で、農村に入って農民の中でこのバオバブをどうやったら売れる製品にできるかと、そういう指導から始めていますので、少なくとももう実態面では、ある意味では産業間というよりはむしろ現場に入った形で、それはNGOかどうかというのは別としまして、いわゆる村民と直接やるというのはかなりのパターン、特にアフリカの場合は多いですね。  それから、先進国の場合、今ちょっと山本部長からも話がありましたけれども、例えばワシントンなんかですと、基本的にはまず大使館の奥さん連中がそれをアメリカ人のやっぱり同じような奥さん連中と組んで、当然いわゆる市民活動的なことをかなり、直接ワシントン業務じゃない、大使館の業務じゃないことをみんなやるという形で、まさにワシントン周辺ではそういった形でアメリカ人の家庭の方と一緒に市民活動をしているというのがある。  それから、ジェトロについて言いますと、いろんな途上国、先進国も含めてやりますと、結構商工会議所の会頭になるとか、割とリーダーになることが多いので、そうしますと、やっぱり商工会議所とか商工会として現地のいろんな、政府機関だけじゃなくて、いろんな団体と付き合ったりしていますので、そういう形で付き合うようにしていますので、基本的には、家族で赴任した場合には、だんなも奥さんも含めて市民活動に関与するというのが一般的なパターンとしてありますので、特にアフリカなんか意識しますと、ますますそういうところが大事になってくると思いますので、これからもちょっと配慮してやっていきたいと思っています。
  26. 田中秀明

    参考人田中秀明君) 市民交流という観点で私ども事業を見ますと、直接のそれに関連するプログラムとしては、この北米社会科教育関係者招聘プログラム、これは社会科の先生を呼ぶというプログラムですが、これは全米のいろんな地域の先生、結構優秀な先生を選考委員に選んでいただいて、最近は十名程度ですが、来ていただいて日本を見ていただくと。それで、ホームステイもやっていただいたりして、日本社会を見ていただいて、日本社会アメリカの学校で教育していただくというか、そういう見聞を広げていただくと。    〔理事川口順子君退席、会長着席〕  そういう先生が、先ほどちょっと申し上げましたけれども、一九八〇年度から開始しまして六百九十名ぐらいいますけれども、かなりの方がこういうプログラムをやるべきだと言って、その地域で先生たちが中心となって学生を、日本なり韓国なり中国なりにツアーを組んで来るというケースがだんだん増えてまいりました。そういう意味で、私ども、このプログラムをずっと続けてやっていくことが意義があると思っています。  それと、今、伊沢さんからも御紹介ありましたけれども地域の例えば投資先の商工会の活動を若干支援するという意味合いもありまして、中国有力大学講演会という、ここにもございますが、私どもが先ほど、中国大学学生日本の実情を説明するに合わせて日本企業方々にも来ていただきまして、その地域大学の先生及び中国企業関係者との交流会みたいなものを主催させていただいています。そこで、私ども東京から行くのが年に一回行けるか行けないかですので、地域で根付いている方々地域のそういう有力な大学の先生及び地域方々と接触をしていただく機会を増やそうという活動をこの中国有力大学講演会などを通じてやらせていただいています。  あと、地域との市民交流で関連するのは、ビジネススクールなどで先生が来られて、学生はやっぱりネットワークを通じて日本に来るので、若干、企業訪問等をあっせんしてほしいとか、そういうことで私どもやらせていただいています。  そういう意味で、先生がおっしゃるように、やはり市民レベルの交流が最終的にはその国との友好関係を決定付けるんだろうと思いますので、私ども経済広報センター、あと、いろんな企業方々もそういう意識で取り組んでいるというふうに理解しております。
  27. 石井一

    会長石井一君) それでは、今野東君。
  28. 今野東

    ○今野東君 今野東でございます。  外務省の山本さんにお伺いします。  この資料を基に二、三お伺いしたいと思いますが、世界に対する影響という点ですけれども、肯定的という国はドイツと日本が並んで五六%となっている。これは大変いいことだろうと思うんですけれども、こういう肯定的な評価を受けてきた理由あるいは根拠についてどういう分析をされていらっしゃるのか。例えば、日本もドイツも第二次世界大戦を引き起こした大きな責任がありますけれども、そのことへの反省あるいは平和の発信などによる影響はどのようにお考えか、その辺りのところを特に中心に伺いたいと思います。  それから、もう一点は日本に対する評価がありますが、ここでは韓国中国の二か国だけ否定的が肯定的を大きく上回っています。一方、海外における日本語学習数を見ると、学習数の多いのは韓国中国の順になっているようです。こうした乖離についてはどう考えていらっしゃるのか、そして、韓国中国評価を肯定的に変えていく最大のポイントは何だとお考えでしょうか。  それから、もう一つ日本の入管行政であります。このとじられた別の資料の中に朝日新聞の五月一日の記事がありまして、日本語能力が高い外国人を入国、滞在で優遇していこうという方向性が打ち出されたというふうに報道をされているわけですが、日本発信力を高めるためには、日本語能力の高い外国人を優遇するということも大事でしょうけれども、その点だけではなくて、難民鎖国と言われる難民に対して非常に冷たい日本の入管行政、これを改めて広く門戸を開く方向に変えることこそ世界に向けた大変インパクトのある肯定的な発信力になるというふうに考えますけれども、どういうふうにお考えでしょうか。  以上、三点でございます。
  29. 山本忠通

    政府参考人山本忠通君) どうも御質問ありがとうございます。  ドイツ、日本が今年高いというところ、これは実はBBCの行ったものなものですから、私ども詳細はどういう感じの分析がなされたのか分かりません。  去年は、ちょっと先ほども触れましたように、カナダと日本が一番高くて、その前は日本単独だったわけですね。それで、イメージで一般に聞いている話だと思うものですから、やはり今の社会の中で、日本経済大国として非常にいいイメージが抱かれている、それからあと技術力が高いイメージが抱かれているというようなことは実は我々の別途の調査で分かっております。  我々が行う調査は理由を聞きますので、日本に対していいイメージとは一体どこにあるのかというのを探っております。そうしますと、面白いのは、先進国と途上国で少しずれておりまして、先進国日本に対して抱いているいいイメージというのは、基本的に、文化が非常に優れていて、古くて伝統的にいいものがあるということと、非常に美しい自然があるということ、それから日本人が非常に勤勉で感じのいい国民であるということ、こういうことがトップに来ます。途上国はやはり少し違いまして、経済大国であること、要するに経済が発展したということと、それから技術力と、この二つに着目する傾向が強うございます。ですから、そういうことがあるんだろうと思います。  それから、私どもは、外務省としては、やはり戦後六十年以上にわたって日本が平和国家として歩んできた実績をやはり各国の人は見ているんだろうと思います。それは、例えば古くは九八年、そして最近では、中国の胡錦濤主席の訪日の際のいろんなステートメントの中にも日本の戦後の歩みに対する評価というのは表れているわけですから、そういうところがやはり反映されてきているのが背景にはあるのかなとは思います。  ただ、ドイツについては、ちょっと残念ながら私ども分析しておりませんので、ちょっと恐縮ですけれども、ここでは、この場は正式な場ですので、私の個人的意見はちょっと差し控えさせていただきたいと思います。  あと、韓国中国の御質問ですけれども、まさしく私どもも非常にこの辺のところは注目しております。特に、韓国中国でいろんな細かな調査をしておりますと面白いのがございまして、特に韓国ではっきりしているのは、各年代、二十代、三十代、四十代、五十代、六十代、六十代以上と聞いても、みんなどこもやはり五〇%とか六〇%以上の人が日本に対してのイメージは良くないんですけれども、面白いことに、二十代、三十代ぐらいになると、どこの国に興味があるかというと、やはり日本というのが一番なんですね。これがやはり今、先生が御指摘があった日本語にこれだけ関心がある理由ではないかと。  つまり、やはり今までの歴史についての記憶というのは、ドイツとフランスの例を見てもアメリカの南北戦争の例を見ても、二百年ぐらいはどうも続く感じがございますけれども、そういう中で若い人が、やはり隣国である日本、大国である日本に対する関心が高まってきているということが表れているんだと思います。  ですから、我々はこれを大切にしたいと思っておりまして、中国との関係では、青少年大交流計画ということで、特に高校生に焦点を当てて、去年で千三百人、今年で二千人ですか、呼びます。それで、全員ホームステイをしてもらって帰っていただくと。それで、もう御存じかもしれませんけれども、一週間の滞在で中国の高校生は日本に対するイメージをがらっと変えて帰ります。中には、一週間しか滞在していないのに、ホームステイをしたところのお父さん、お母さんと別れるのがつらいと言って涙を流す高校生も出てくるし、それから、日本に来る前はフランスに行きたいと、留学したいと、大きくなったらと言っていたのが、いや、日本に来て、日本に行くことにしたということを言う子もいます。ほぼ例外なく全員が、日本に来てこんなに日本の人が優しいのかと、こんなに日本の国土というのは美しいのかということに驚いて帰りますし、ちょっと余談で恐縮ですけれども中国の場合、特に一人っ子政策で兄弟がいないんですね。それで、ホームステイして初めて妹ができて弟ができて、こんなにかわいいのかということを言う子ができるというようなこともあって、本当に意味があると思いますので、そういう青少年に向けての政策というのを進めていきたいと思っております。  入管行政の関係での御質問ですけれども、私ども日本語ができる方に少し優しくしようというのは、これは要するにプラスアルファで、頑張ってやはり日本語ができる方々というのは、日本にとっても彼らにとっても日本に来てやることがお互いにメリットがあり得るのではないかと。そうであれば、それを何らかの形で少しプラスアルファしようということで考えたものであって、特に、そうでない方々との間で彼らを不利に置くというようなことを考えているわけではないものですから、そういう努力されている方を認めるというようなものだというふうに受け止めていただければと思います。  難民政策は私自身余り承知しておりませんので、ちょっとまた別途御説明に行くように、帰って相談したいと思います。
  30. 石井一

    会長石井一君) それじゃ、次に島尻安伊子さん。
  31. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 パブリックディプロマシーが言われて久しいわけでございまして、その中で、また今日はお三方からもう大変に参考になるお話を聞かせていただきまして、本当にありがとうございます。  私からは、何点かあるんですけれども、外務省の方にお聞きしたいのが、国家戦略の位置付けとして留学生三十万人計画というのが今あるんですけれども、これをやはり国家戦略としてきちんと位置付けて進めないといけないというふうに思っております。  今、ホームステイのお話、大変に興味深く伺ったわけでございますけれども、そういう意味でも、やはり海外からの留学生日本が受け入れるというのは大変重要なことなんだろうというふうに思いますし、親日家をどう育てていくのかというのが大変な命題だろうというふうに思っております。  その中で、先ほどもお話ししましたけれども、国家戦略として位置付けるときにポイントになること、例えば外務省さんが今お考えのこと、大事なポイントといいますか、これをどこが重要だというふうにお考えなのかということをお聞きしたいのが一点。  それから、話はちょっと、質問の内容ががらりと変わるんですけれども、これはお三方にお聞きしたいというふうに思いますけれども、外務省の方からのお話の中で、このパブリックディプロマシーの中でポップカルチャー、特にアニメということは共通に出てきたお話かというふうに思います。  しかしながら、この日本のアニメ、今大変に人気のあるものではあるんですけれども、例えば韓国においてはこの日本のアニメを基にして実写版といいますか、テレビでドラマを作って、これが例えば映画化されて日本に逆輸入されているだとか、そういうパターンが今ある中で、知的財産権といいますか、この辺についてどうお考えなのかということをお聞きしたいというふうに思います。お願いします。
  32. 山本忠通

    政府参考人山本忠通君) 留学生三十万人計画についての御質問ですけれども、まさしく国家戦略ということで今、関係省庁、文科省さん、それから当方、そして法務省さん、あと、もちろん経産省さん、厚労省さん、関係して具体的にどう実現するかという検討を始めたところです。  そこで幾つかの問題点が指摘されたんで簡単に御説明いたしますと、まず課題は、質のいい学生を大量にということなんですね。この質のいいと大量というのは実は必ずしも一緒にいかないこともあるんで、そこはちょっと工夫を要するということがまず第一点。  それから、あと、どういうことを考えなくちゃいけないかというときに、彼らが日本に気持ちよく滞在して気持ちよく帰るということを考えたとき何がネックかというと、一つは宿舎であるということが分かりました。この宿舎対策というのをどうするかというのが非常に大きな問題になります。  それから、あと、日本に来ることが彼らの勉学にとって将来、将来というか、彼らの将来にとってプラスになるようなものでなきゃいけない。それは一つは就職だろうということで、ここも日本企業協力も必要になってくるだろうし、やはりチャンスをどういうふうにするかということを検討しなくちゃいけないと。  それから、あと、勉強しやすいものでなきゃいけないと。これは二つ意味がありまして、一つは、全部日本語でやる必要が本当にあるんだろうかと。これ、多くの人はそうですけれども、一部のすごく優秀な学生というのは実は世界中で取り合いになっているんですね。質のいい学生というのはそうたくさんいないので、希少財産として欧米諸国、アジア日本、取り合っているわけです。ですから、彼らを本当に取るためには、場合によっては英語でずっと学位が取れるというようなことも考えなくちゃいけないんじゃないかということも言われております。  それからあと、質のいい学生がずっと日本にいて学位を取るということもないのではないかと。ですから、日本に一部でもいて、彼らが学位を取る過程の中で日本の経験をしてもらうということも必要なんじゃないかと。つまり、短期留学。特に欧米学生は、自分が例えば自分の大学にいてその一部を日本に来てやるというようなことが必要だろうと、そういうことももっとやる必要がある。  それから、もう一つ検討しなくちゃいけないと考えられているのは、アジアです。日本に来ている留学生の九割はアジアからですから、本当に三十万人計画を達成しようと思ったら、アジアからの学生をどうやってきちっと本当に確保していくのかということをやらなくちゃいけない。そのために何か新しい制度が必要なのかどうかということを検討しなきゃならないという問題意識が持たれております。  それからあと、これは文科省さんの方から説明があったんですけれども、もう大学国際化ということについて日本大学というのは相当意識が今高くなってきて皆さん努力されているので、これを支援することができれば、ないしは奨励することができれば、何らかの方法でそれをやる必要があると。場合によっては、我々は在外公館を通じて、大きな大学は自分の力でいろいろな接触ができるんでしょうけれども、そうじゃない大学国際化をされたい方々は、例えば総領事館、大使館を通じて接触できるようにしてあげるとか、何かいろいろと工夫の余地があるだろうということ、そういうことを総合的に考える必要があるだろうということを話しております。
  33. 伊沢正

    参考人伊沢正君) 今のアニメのあれでございますが、ちょっと私、その韓国の実写版云々のケースは分かりません。基本的には、アニメで今、特に問題となっていますのは、キャラクターなんかが、ドラえもんでもディズニーでもそうですけれども中国なんかでどんどんどんどん使われてしまうとか、そういう問題が非常に起こっている。結構彼らも非常にうまくそこのところをちょっと変えたりしますからなかなか取り締まれないところがあるんですけれども、そういうような問題がかなりあると思うんですね。  ただ、テレビの番組とか映画とかリメークなんかになってくると、これは多分恐らく、今おっしゃった御指摘のケースは分かりませんけれども、一般的には当然契約をしてそれなりのお金をもらっているはずなので、そういう意味では、基本的に堂々とテレビ番組で報道されるような話というのはそれほど心配しているわけじゃないんです。ただ、今言ったように、キャラクターなんかがそういうふうに使われてしまうと。  あと、やっぱりアニメの議論は、もう一個、知財以外にもちょっと問題があっていろいろ難しいのは、逆に言うと、今非常に日本のアニメが世界で、先ほどの「キャプテン翼」じゃないですけれども、いいんですけれども、ディズニーなんかでいいんですけれども、普及し過ぎちゃいますと、それぞれの国に行きますと、人の顔の色を変えたりしてやりますと、余りにもポピュラーになってくるとこれが日本の漫画かどうかというのは原作が分からないんじゃないかというような心配もあります。  だから、ポケモンなんかはある意味日本ということでいいんですけれども、サッカーなんかで非常にいい漫画だと、有名になり過ぎちゃうと、ある意味ではこれは元々日本のあれなのかと分からずに娯楽で楽しんじゃうとか、そういうところのちょっと懸念もありましてなかなか難しいところなんですけれども、ただ、「キャプテン翼」なんかは、サマワなんかでも非常に有効にワークしているし、その後、アラブでも非常にあれだというのが分かっていますので。  ただ、全般としては、アニメというのは非常に日本は力を入れているものですから引き続きやっていきたいと思っていますけれども、知財については引き続き一層注意して見ていきたいと思っています。
  34. 田中秀明

    参考人田中秀明君) そのアニメの、といいますか、知財の関係については、私ども、直接相手国政府とか企業に働きかけるというようなことはしておりません。ただし、姉妹団体日本経団連又はジェトロさんを通じて、そういう知財関係を厳しくしてほしいということは伝えてあります。  ただ、私ども活動の中でジャーナリスト招聘しますので、そのときにアニメ関係又は普通のハイテク企業とか大学のロボット研究のところなどにも連れていきますので、そのときに、我々日本人が、日本企業又は日本人がどれだけ知財についてセンシティブになっているかというのはその都度伝えてあります。当然、そういうコピーライト、知的財産、パテント等々をどれだけ重視してやっているのか、そして、この企業訪問又は大学訪問を、それをアレンジするのにどれだけ苦労しているのかというのを伝えて、その辺の扱いをきちんとしてほしいということも伝えてあります。そういう形で、全体として知財の方に少しでも役に立つようにしてまいります。
  35. 石井一

    会長石井一君) それじゃ、山内徳信君。
  36. 山内徳信

    ○山内徳信君 今日は、御三名の先生方にはいろいろいいお話を聞かせていただきまして、ありがとうございます。  私は、外務省の官房広報文化交流を担当していらっしゃる山本さんに質問をしたいと思います。  私は、今の日本政治、あるいは歴史といいますか、これを静かに遠いところから眺めておると、一つ時代が次第次第に衰えて、この時代、終わるのじゃないかと、そういう危機感を持っておるんです。だから、平安もあったし奈良もあったし鎌倉もあったわけです。そして、徳川二百六十年も終わって新しい明治に入ったわけです。  そういう歴史観を持っておりまして、そこで、山本さんに今日初めてお目にかかりまして、しかも広報文化担当でございますから、その責任はやはり小さくはないと、こう思っておるわけです。  それで、戦後生まれた人々がもう六十三歳になって、団塊の世代は退職に入っております。そういう半世紀以上たっても、なお北方に国後、択捉、歯舞、色丹が残っている。この問題に命懸けで外務省は、あるいは日本外交は取り組まなければいかないはずですが、私は初めて、あれ、二月か三月ごろ全国大会がありまして、そこに参りましたときに、やはりこれは、もっと政治に携わっている人々が自分の問題として命を懸けて取り組む人が出てこないと難しいのかなという印象を受けたんです。  それと、日本のもう一つ課題は、やはり北朝鮮の拉致の問題もこれまた非常に大きいわけですが、私は、そういう大きな壁になっておる政治的な問題を乗り越える力を持っておるのは、もはや政治だけではどうにもならないと見ておるんです。だから、対話と圧力ということをおっしゃりながら拉致の問題もなかなか思うように進んでいない。そういう大きな、冬が続いている、壁があるならば、やはりそれを解かしていくのは、乗り越えていく力を持っているのは文化だろうと思うんです。  しかも、山本さんは外務大臣官房広文化交流担当でいらっしゃいますから、既成概念だとか従来の常識とか従来の行政のパターンとか、従来どおりやっておればまあ安泰と、こういうふうな、ややもすると行政にはそういう考え方が生まれてくるわけですが、思い切って北方四島の問題に新たな視点を、文化の視点で草の根の交流を計画してみると面白いと思います。  今日はこういう場所ですから、三分以内というのも言われていますから、細かいことはいずれ一緒に二、三時間掛けて意見交換ができたらと思うんです。  それから、私は前から、やはり拉致問題についても、将軍様がああいうようにかたくなに、ああいう状態についてはやはり気になります。ああいう状態の中で苦しい生活を余儀なくされている人々がおるわけですね。しかも、日本から戦後向こうに移っていったという話も聞いておるわけです、これも私、ここに来て初めて聞いたんですが。そういう冷たい、あるいは厳しい、そういうのにやはり文化の視点、草の根の交流ということを私は考えるべきだと思います。  そういうことを是非、省内でも議論をして大臣にもお伝えして、そして民間交流、市民交流文化交流、あるいは芸術家もいろんな交流を展開していく、そういうことを思い切ってやるべきだと私なんか思うんです。ですから、既成概念を乗り越える勇気が今の外務行政にあるかどうかですよ。私は、これは国民の支持を受けると思いますよ。  そういうふうにして、今、拉致された人々の人権の問題もありますし、やはり戦後こんなに長い状態が、やはり戦争状態が続くということは異常ですよ。そういう意味でひとつ、私はそういう意見を持っておりますが、是非、文化交流、草の根の交流を具体的に予算を付けてやっていただけたらと、こういうふうに思っています。  余り難しく考えぬで、まじめな答弁だとこれは成功しないんです。少し開き直って、じゃ山内さんやってみるかと、会長やってみるかというぐらいの、こういう大胆さが必要ですよ。それがなければ北方四島は返ってきませんよ。  以上です。
  37. 山本忠通

    政府参考人山本忠通君) 山内先生、どうもありがとうございます。  北方領土問題も拉致問題もすごい大事な問題で、やっぱり外務省員の一人としてこれは真剣に考えないといけないなと私ども思っています。本当に何が一番大事かということは、またこれ、先生、三分間ではとおっしゃったので、有り難いお言葉なんですが、まさしくそのとおりだと思いますので、実際に担当している者と一緒にお話をさせていただく機会が得られればと思います。  我々の仕事というのは、とにかく相手の国との関係、それからいろいろな国の国民との関係を与えられた条件の中でやっぱり一番日本にとって最適な友好関係、信頼関係に持っていくということなんですね。そういうことが何らかの形で先生のお考えのことに貢献できればそれはすばらしいことだと私ども思いますので、また御機会を与えていただければと思っております。
  38. 山内徳信

    ○山内徳信君 ありがとうございました。
  39. 石井一

    会長石井一君) 山内先生、これでいいですか。
  40. 山内徳信

    ○山内徳信君 もう今日はこのぐらいで。
  41. 石井一

    会長石井一君) 政治家ももうちょっとやらにゃいかぬですね。  それじゃ、次へ進めます。山根隆治君。
  42. 山根隆治

    ○山根隆治君 まず、山本さんにお伺いをいたします、そっちへ集中しているようで恐縮ですけれども。  先ほど、資料の中にもございましたけれども、英国のBBC放送、去年、BBC放送とメリーランド大学の共同の世界各国の調査、好ましい国どこかということがありました。今年になってBBCと読売新聞でたしか同じような調査があったかと思います。その中で、日本世界で最も好ましい国だと、いい影響を与えていると、こういうふうな調査結果が出たのは非常にうれしいことでございました。しかし、その中で中国韓国日本に対して非常に厳しい評価だったと、こういうことで、この事情も私たちはお互い理解できるかと思います。  ただ、やはり世論調査ですから、韓国の場合にはそのまま飲み込むことが調査結果、できるんですが、中国については、あれだけの広大な土地を持った国でどう世論調査が行われたんだろうかということと、あるいはまた、地域によって、例えば沿岸部と内陸部、随分違うんじゃないかと。あるいはまた、漢民族が支配をしていた今の中国の領土というのは大体三分の一でしか元々なかったというふうに言われていますけれども、そうすると、旧満州国であるとかいろいろな国家が事実上あったというのも歴史的な事実だというふうに私は思いますけれども、それらの地域での調査結果というものはかなり違ったものがあったのかどうか、その辺のところをまず第一点お尋ねをしておきたいと思います。  それから二つ目は、伊沢さん、田中参考人にも併せてお尋ねをさせていただきたいと思うんですけれども中国の国民にはなかなか正しい情報といいましょうか、客観的な情報が直接伝わっていないというふうに私には見られてなりません。  というのは、ギョーザの問題もありましたし、それからチベットの問題もそうですね。例えば、日本であれだけのギョーザの問題が起きたときには、そこの工場の工場長であるとかあるいは従業員であるとか、そういったところに取材が殺到して、その中からぽろっぽろっといろいろな事実が出てくるということがありますけれども中国の場合、そういうことが行われない。報道規制が、自主規制だかどうか分かりませんが、行われていたんではないかというふうにも思われますし、そしてチベットの問題についても、外国の報道機関の記者等が現地に赴くということができなかった。一方的に中国政府の発表を聞くということになりましたし、あるいはまたダライ・ラマ法王の方でもいろいろな発表をされていますから、それをそのまま信じるか信じないかという、そういう双方がなかなか公的な発表だけで判断しなくてはいけないと、こういう窮屈な難しさがあったと思うんですね。  そういうことで、本当に中国の国民の皆さんに直接いろいろな正しい情報、客観的な情報が伝わっていないのではないかというふうに思われるわけでございまして、この辺は中国大使館の担当者の方々も相当御苦労されて、マスコミの方との接触とか、様々な調査もされて汗を流されているということは分かるんですけれども、今、中国ではパソコンが一億数千万機普及しているというふうに聞いております。反日運動が起きたときもそのパソコンが相当な影響があったというふうに聞いていますけれども中国の国民に正しい情報をどう伝え得るのか、直接的に伝えることはインターネット等で可能なのかどうか、あるいは、やはりいろいろな角度で多様な発信ということをする、そのトータルの中で時間を掛けていかざるを得ないのか、何かその辺、中国の国民にしっかりとしたメッセージをどう発信したらいいのかというのを、お知恵があれば是非お聞かせいただきたいと思うんです。  具体的には、やはり胡錦濤国家主席が来られたときに、早稲田大学での演説で戦後の日本中国への貢献ということも評価していただいた。これは非常に大きな私はすばらしいメッセージを送ってもらったなというふうに思うんですけれども、そうしたことがなかなか中国の国民に伝わらないということがありますし、それから、日本が九条の問題ということを、問題といいましょうか、憲法を持った国である、あるいは長距離ミサイルというものは一切持っていないとか、そういった軍事力は持つけれども自衛のための軍隊ということで非常に抑制的なものだというふうなものを中国の国民にもっとメッセージとして送る、そういう必要を非常に感じるんですが、それがなかなか伝わらないもどかしさがあるんですけれども、その点について何かいい知恵があればお聞かせをいただきたいというのが第二点です。  そして第三点ですが、胡錦濤国家主席が来日されたときに、いろいろな新聞報道等を見させていただく中では、各政党の代表とか、そのほかの民間の方とかいろいろな方に胡錦濤主席は会われているんですけれども、それらの日本人の、日本政治家等も含めて要人の中で、中国に対して報道の自由というものを求めたり勧めたりした日本人がいたのかどうかということを、これは外務省山本さんにお尋ねをしたいと思います。  そしてまた、伊沢さん、田中さんにも、もし報道の自由というものを中国当局に求めるということを折あるごとにしてもらえればというふうに思いますけれども、その際に逆に不利益を被るようなことが出てくると予想されるのかどうか。その辺、現場サイドで考えたときにリアクションがあるのかどうかについても御見解をお聞かせいただきたいと思います。  以上です。
  43. 山本忠通

    政府参考人山本忠通君) このBBCの調査地方とどうだったかというのをちょっと調べさせていただいて、それで御返答させていただかないと、ちょっと今すぐ手持ちでは分かりません。ただ、私どもが幾つかやはりいろんなほかの調査で承知しているところでは、大体数字はこんなものですね。ほかのでも大体似たような数字が出ておりますので、中国全土のお話としては大体合っているんだろうと。  それから、あと、日本に対する関心とか好感度の面では、確かに若干差があるというのは我々、承知しております。例えば、東北地方、旧満州になるんでしょうか、においてはやはりいまだに日本語に対する関心が非常に強いということもありますし、そして、一般的に言って平均よりも日本に対する好感度は高いやに聞いておりますので、そういうことはあるんだと承知しております。  中国に対する情報の話ですけれども、これは非常に大事な話で、我々もいろいろと考えているんですけれども、やはり一番本当に効果的なのは、中国政府、そして党が素直に全部をそのまま伝えてくれるという形なんで、そういう形になるのが望ましいというふうに思っております。  これは、今、山根先生の方から御指摘があったように、胡錦濤国家主席のその早稲田でのスピーチ、これはそのまま中継されたようですけれども、ああいうところでああいう話をしていると。それから、安倍総理が訪問したときですかね、共同文書を出しましたけれども、そのときにもやはり日本の戦後の貢献について評価するというのが文書に入ったということもございますので、これはやはり一応表になる話ですから、そういう意味で変わってきているのかなと思っております。  特に、参考になるのがやっぱり韓国の例で、九八年に金大中大統領が訪日されたときに、初めてやはり戦後の日本在り方、行き方、それからあと、日本のこの地域経済発展に対する貢献というものを評価している。それは韓国の一般の国民の方々は非常によく見ていて、それ以降いろいろなことありますけれども、やはり全般的に韓国の一般の方々の対日観というのは改善しているということはあります。  ですから、今回こういうことが起きたわけですので、是非これをそのまま、韓国のとおりになるかどうかは分かりませんけれども、より広くの中国方々が認識するように我々政府としては努力していかなきゃいけないというふうに思っております。それは一般の広報もありますし、もちろんインターネット等で私どもの持っているもの、それからあと、先ほど御紹介したようにソフトなものもございますので、そういうものを通じて見ていただくと。  そういうものに対するアクセスというのは、今のところそれほど中国の人にとって難しいことではないようですので、是非そういうことが続けばと思いますし、また、私どもやはりテレビとかメディアの方を重視しておりまして、特にこれは温家宝総理が来日されたときですけれども、CCテレビ、中国の一番大きなテレビのネットワークですけれども、そこの自分の、個人のいわゆるアフタヌーンショーというんでしょうか、それを持っている白岩松さんという方を日本にお招きして、日本のことをずっと紹介してもらいました。  これは、十二回シリーズで一時間ぐらい物をずっと、十二回か二十回かちょっと正確に覚えていませんが、非常に長い、何回にも分けて日本の実態を放映するものだったんです。それで、日本の環境技術が優れていることとか、それから当時の安倍総理夫人へのインタビューとか、いろんなことが入りましたけれども日本地方の紹介、ポップカルチャーの紹介等も含めてありましたが、そういう形の中で、やはり先ほどおっしゃったような政治的なメッセージも含めて伝わっていくようにしたいと思っております。  我々は、中国政府に対して、日本の貢献についてちゃんともっと国民が理解するようにということを中国政府として努力してほしいということは繰り返し要請を行ってきております。
  44. 山根隆治

    ○山根隆治君 報道の自由をだれか求めた方がいらっしゃったかどうかという、情報を知る限り。
  45. 山本忠通

    政府参考人山本忠通君) 今回の、残念ながら、その会議でどうだったかというのは私自身はちょっと承知していないんですけれども、ちょっと言い方はどういうふうな言い方をしているか私は分かりませんけれども、少なくとも日本のことについては正しい報道を行うようにという要請は行ってきているということは言えると思います。
  46. 伊沢正

    参考人伊沢正君) 第二点目の中国の報道の自由云々の問題でございますが、非常にやはりもう明らかに報道の自由は制限されていて、情報も伝わっていない。ですから、例えばギョーザ事件じゃありませんけれども、その前の、例えばアメリカでたくさんおもちゃで亡くなったという、多分そういうのも報道されていない。ですから、逆に言うと、ギョーザ事件そのものがそんなに大きなインパクトがあるものだとそもそも思っていないという、そういうような状況にあるんだと思っています。  基本的には、香港からいろんな形で情報が入ることもあるんでしょうけれども、実際は、非常に一部の人しかそういう情報にアクセスできないのでなかなか実際には難しいというのがあって、ジェトロも五事務所を持っていまして、ただ、日本企業も相当進出しているものですから、そういう現場では多分、あるいは徐々にではありますけれども、いわゆる日本情報とか外の情報というのも入っていると思いますし、当然インターネット、これだけあれしていますので、いわゆるそれほど害にならないと思う世界状況というのはだんだん入ってきていると思いますので、時間は掛かると思うんですけれども、徐々に変わってくるのかなと期待しているわけでございます。  それと、もう一つ大きな問題は、この情報だけの問題じゃございませんが、依然として、特にジェトロの場合なんかですと、日本企業もそうですけれども、特に知的財産の問題でいっぱい悩みがあるわけですが、これはやっぱり中央と地方の大分まだ差がありまして、中央政府がある意味で非常に制度改革をしてもなかなか地方まで行き届かない。地方では、ある意味では依然として模造品で食べているような村があるものですから、そういうのを守ってしまう。ですから、その執行までなかなか行かないというような問題もございまして、これは、結果としてはやっぱりどうしても、日本も同じだったんですけれども、知財とかそういうのを守ると中国の利益になるとか、そういう状況になってこないと多分本気でやらないんだと思っていまして、それに向けて一歩一歩やっていくというような状態です。  先ほど、報道の自由とか、何か言うと不利益を被るんじゃないかというのがありましたけれども、結構やっぱり難しいところがございまして、一企業もそうですし、ジェトロなんかもそうなんでございますが、やはりかなり根本に引っかかるようなことにチャレンジしますと何かやられるというおそれがあるものですから、そういう意味では、逆に言いますと、先ほどの知財なんかの例を取りますと、ジェトロとか国が全体であるグループをつくりまして、いわゆる知財の保護をするような団体で全体で協議をするとか、そういうような形にするとか、あとは、特にジェトロの場合ですと、もう政府の息が掛かっているという、そういう学者で、ある大学の特定の人でいいんですけれども、これはもう掛かっているという前提でいろんな、何回も何回も行って議論をしてこちらのことは言ってきて、そうすると、そのうちの一部が党の幹部に伝わるんじゃないかとか、そういうような期待を持って、あるところにそういう形で働きかけているのが現状でございまして、変なところにぽっと行きますとなかなか危ないところもございまして、そういうようなやっぱり懸念を持ってやっているわけでございますが、ただ、徐々にではありますが、これだけ世界企業投資していますので、少しずつ情報は伝わっているんだと思いますけれども
  47. 田中秀明

    参考人田中秀明君) 御質問といいますか、今、伊沢さんからもお話があったように、中国メディアの報道の自由ということについて私も懸念がありまして、私ども事業計画、この資料でお示ししていますように、昨年は二回ほどジャーナリストを呼んでいます。これは二〇〇五年から開始したプログラムで、要するに、日本の実情を十分報道していただいていないんではないかという観点から、二〇〇五年から少しずつ開始したと。日本の中に、一週間程度ですが、それでも企業とかいろんな方々に会う機会、約十五こまぐらいのミーティングを設定しますので、かなり多面的に日本社会を見ていただけると。だから、それをその一端でも報道していただければ影響があるであろうというふうに考えてやっています。  それで、その間に、やはり報道の自由といいますか、どの辺に制限があるのかというのをいろいろ伺ってはいますが、先方の記者方々から見るとケース・バイ・ケースのようで、どうもはっきりしない。確かに、政治的なメッセージ性が強いものについては非常にもう当初から厳しいというのは分かっているんですが、特に経済的なところについて言えばケース・バイ・ケースでよく分からないところがあって、現場の方から聞くと、非常に自由に報道しているという説明をされる方もいれば、なかなかやっぱり指導が厳しいというような御説明もあったりして、どうもよく分かりません、正直なところ。  ただ、私どもとしては、実際に見ていただいて、知財の面とか幾つかの懸念はありますが、その辺を押さえながらきちんと発信していただけるようにしていただきたいということで進めている。ですから、去年はネット、そのまさにインターネットの報道をやっている方の編集者クラスを呼んで、実際にどういうふうにしてその記事を集めているんだとか、日本からの情報はどうやって集めているかとかいろいろ伺ったんですが、まだはっきりしておりません。中国メディアの事情もどんどん変わっているようですので、その辺を確認しながら、まさに日本のように自由に報道していただくように材料を提供していきたいと思っております。
  48. 石井一

    会長石井一君) 神取忍君。
  49. 神取忍

    ○神取忍君 本日は貴重なお話を聞かせていただきまして、ありがとうございます。  伊沢参考人と外務省山本部長にお話をお伺いしたいんですけれども発信力強化は、やっぱり日本に本当に関心を持ってもらって理解をしてもらう、そういった中で参加型というのは大変重要だと私は思っています。そういった中で、アニメを通じた日本語とか伝統文化日本の大切さとかファッションというのは大変いい取組だと思うんですけれども、ただ、その中でスポーツという部分がすごく薄い部分が感じられるんですけれども、そういった部分と、ただ、この二〇一六年オリンピック誘致に関して、そのオリンピックに関して環境を大切にしようという取組でうたっている部分がある中で、スポーツという部分ではやっぱりそういう複合的に訴える部分があるんですけれども、そういったスポーツに対する取組をどういうふうにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  50. 伊沢正

    参考人伊沢正君) 非常に的確な御指摘だと思うんですけれども、今まで正直言いましてジェトロとしてはそこまでは考えていなくて、今までは主にもっとデザインとか文化とかそういった、これから非常にスポーツを、私も大好きなものでございますが、柔道を始め一生懸命やっぱりやっていく必要があると思いますので、効果的な方法を少し工夫するなり考えたいと思います。
  51. 山本忠通

    政府参考人山本忠通君) どうも御質問ありがとうございます。  スポーツのことを触れなかったのは、大変ちょっと抜けていたと思います。実はすごく重視しています。  特に、例えば中東地域においては、日本に対してのイメージというか、日本に何を一番求めるかということの重要な項目の一つがスポーツです。特に武道が非常に人気があって、これは多分日本というと、多くの男性はもう武道というのがまず最初に来る話です。武道といったときに、彼らはやはりよく理解していて、技そのものだけじゃなくて精神性まで含めて日本の持っているものにあこがれているようなので、私ども交流に当たってはすごく重視しています。  例えばイラクの例を取りますと、イラクのナショナルサッカーチームを呼んでトレーニングをしたんです。そうしたら、アジア大会で優勝しました。ですから、まさしく、彼らは非常にそれを喜んでおりまして、その後もいろいろな形で、佐藤さんはもちろんいろいろ御存じですけれども、本当にイラクとの関係なんかでもスポーツの役割というのは大変大きいので、私ども、今後とも重視していきたいと思っております。  二〇一六年の東京オリンピックは、これは御存じと思いますけれども、内閣で招致しようということで決めておりまして、国策として今、外務省もいろいろと努力しております。国際オリンピック連盟の規約でまだ、今年の六月ですかね、最終候補地が幾つか絞り込まれるんですけれども、それまでは表立った活動をしてはいけないということなので、実は余り目立たないように活動しておりますので、そこは非常に重視しているということだけ取りあえず申し上げさせていただきます。
  52. 神取忍

    ○神取忍君 ありがとうございました。
  53. 石井一

    会長石井一君) 野村哲郎理事
  54. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 自由民主党の野村でございます。  今日は、三人の参考人の皆さんには大変貴重なお話をお伺いしました。  一つだけ、私、回も重ねているものですから、前もこの調査会の中でお聞きした話でありましたけれども、今日も山本政府参考人の方から出されております資料の中で、要は国際メディア東京から北京へのシフトというのが出ております。資料四です。やっぱり、国際的に日本発信力をどう強めるかというのは、文化的な活動もあったりいろんなのもあるとは思うんですが、要は、やっぱりこのメディアの皆さんが日本をどう発信をして情報が伝わっていくのか、それによってはまた相当日本に対するイメージというのが変わってくると思うんですね。  そこで、今、中国の方には、北京の方にはメディアの皆さんは日本から、日本は少なくなって中国の方は大変多くなってくると。そうすると、やっぱり量的な問題としても私はここは問題があるのではないかというふうに感じているわけです。ですから、今日も同じような資料をいただきましたので質問させていただきますが、これは、中国へ行く、メディア日本を離れて中国へ行ってしまう、離れて中国へ行っているのかどうなのか分かりませんが、要は、中国はどんどん増えているのにもかかわらず日本は減っていると。  この前も、外国の特派員の皆さん方の話を聞くと、どうも記者クラブの閉鎖性をおっしゃったり、あるいはタイムリーな情報というのをなかなか役所は出さないと。これはもうはっきり御本人がおっしゃっているわけですから、だから、そういった問題があるということも先般の特派員の皆さん方がおっしゃっているわけですね。だから、そういう言わば環境を整えるだけの問題なのか、あるいは、中国は今オリンピックだとか、先ほど出ましたようにいろんなのがあって、経済的にも相当成長を遂げておりますので関心中国に行っちゃった、日本のもう社会は成熟して余り関心がないということになっているのかどうか。その辺の、国際メディア日本から減少しているというのをどういうふうに要因をとらまえておられるのか、そのことを一点お聞きしたいと思います。  それから、伊沢参考人には、やはり中国に対する投資等、ビジネスパートナーとしての中国を非常に外国の皆さんはとらまえて、今も申し上げましたように、メディアさえそういった形で中国中国へと、なびいてというのは失礼な言い方かもしれませんが、非常に数が多くなっている。投資自体も、もう日本を引き揚げてやっぱり中国だとか、先ほどの外務省のこの資料でも大変、米国中国との関係を非常に密にしていっている。そうすると、投資もやはりそういう形になっているのではないか、影響が大きくなっているのではないかなというふうに思うものですから、その二点について、ひとつお知らせいただければ有り難いと思います。
  55. 山本忠通

    政府参考人山本忠通君) どうも御質問ありがとうございます。  東京から北京へシフトしていることについては幾つかの要因があるようで、一つは今、先生から御指摘のあった中身の話ですね。やはりいろいろ動いているんで北京に人を出すという話が一つと、それからもう一つは、やはり北京の方が支局を維持するコストが安いということもあるらしいんですよ。それで、これがどれぐらい大きい要素かというのは分かりませんけれども、やはり結構各メディアも厳しくて、東京と北京だと少しそこが違うということで、少なくとも特派員の多くにとっては東京にいることの方がいいと言いながらも北京に移っているというのもあるというふうに聞くこともございます。  ただ、やはりニュース面で今、北京に関心があるというのは、日本メディアでも北京に今どんどん行っていますから、そこは世界的なトレンドの中で日本をどうやってきちっと維持するかという話だというふうに理解しております。ここは、まだ私どもいろいろと工夫する余地があればやりたいと思っております。  メディア、ここの東京にいる特派員の方々がいろんな御意見をお持ちの中で今の御指摘のあったような話があるやにも私ども聞いておりますが、これは、やはり日本メディア方々との関係とかいろいろありますので、そう簡単ではないやにも聞いております。  ただ、ほっておけない問題であろうとは思いますが、その問題だけではなくて、もっといろんな形で東京を更に魅力的なものにするようにしたいと思っていますし、主要なメディアについては、特に、例えば人を呼んだり、我々が行っていろいろ話を、例えばワシントンとかニューヨークに行ったり、あとフランスに行ったりしながらいろいろ話をするというようなことで努力をしていきたいと思っております。
  56. 伊沢正

    参考人伊沢正君) 中国の問題、非常に複雑で難しい問題でございます。中国存在感を増しているのは当然でございまして、これだけ経済が続けて伸びていますし、日本も相当中国投資していまして、逆に言うと、一時期空洞化議論とか出ていましたけど、日本も結構中国投資していたわけですね。中国輸出もそれに合わせて増えたということもございまして、ある意味では、中国は、日米欧それぞれの国がそこに投資して、そこから輸出するということで今まで発展をしてきたわけですね。今でも、今、正確な数値は持っていませんけど、多分中国輸出のうちの六割ぐらいはいわゆる外資系メーカーが中国で作ったものを輸出しているという状況だと思います。  ただ、最近やはり、相当中国もこれだけ伸びてきますと物価も人件費も上がってきますし、ベトナムとかインドとかまた出てきますので、今、中国、チャイナ・プラスワンとか、また最近はいわゆる安全の問題とか出てきていますので、中国から撤退する企業も結構増えていまして、中国自身も付加価値の低いのはもうよくて、いわゆる技術を必要とする最先端の技術の工場は歓迎するけれども、今までみたいないわゆる一般的な、いわゆる繊維なんかを中心とする付加価値の低い産業はもう結構だというような方針に変えてきているものですから、例えば韓国企業なんかは、多くの企業が夜逃げをして韓国に撤退してしまうとか、そういうような問題も起こっていまして、そういう意味ではまだまだ日本企業も、中国で利益も上げられるものですから非常にもうかって関心があると思っているんですけれども、そういう意味では中国もちょっと曲がり角に来ているところはあります。  投資の問題、今ありましたですけれども、これは日本のマーケットと中国のマーケットはもう明らかに違っておりまして、中国のマーケットと日本とは同列じゃなくて、日本に来るのは、やっぱり洗練されたマーケットがあって、いわゆる技術が高いものを、ある程度高いところは高いものですから、そういう形で進出してくるわけですが、中国は、やはりまだまだ人件費の安さとか、そういうものを求めていくところが多いものですから、明らかにマーケットとしては別なので、日本に来なくて中国に行くということじゃないと思うんですね。  ただ、関心はやっぱり中国が引いているところはありますので、メディアも含めて、日本が何か忘れられて中国に行っちゃうというのは、今の、先ほどのメディアではございませんけれども企業も、投資するときに新しいオフィスをつくろうと思いますと、やっぱりこれから利益が出るところが大事なものですから、どうしても関心中国の方に行くというのが実態でございます。  今、日本のことだけ申し上げましたけれども、多分これはヨーロッパも同じでございまして、ヨーロッパも成熟しているために世界から忘れられていて、いわゆる技術日本とかヨーロッパあるわけですけれども中国とかインドとか、最近はドバイとかロシアとか、そういうところはぐっと伸びていて、またブラジルが伸びているとか、そういう中で日本とかヨーロッパは、比較的そういう面では存在はちょっと話題性が少なくなったのは事実でございます。
  57. 石井一

    会長石井一君) 佐藤正久君。
  58. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 今日は、お三方から貴重な御意見を賜りまして、本当に感謝しております。それぞれの三人の参考人に、私が関心がある事項についてそれぞれお伺いいたします。  田中参考人に対しましては、国内広報事業という中で小中学校での教育にも何か支援をされているという説明がございましたけれども、このアントレプレナーシップ教育を今は小中学校でもやっているところも増えてきていると。そういう、非常に決断力とか創造力、企画力をつくるという面でも、あるいは若い人材を育成をするという面でも非常に私もいい教育ではないかなと思っているんですけれども、これについての今後の取組状況あるいは現在の状況についても、かかわっているのであれば教えていただきたいと思います。  次に、伊沢参考人の方につきましてはデザインについてお伺いします。  非常にデザインに私は最近興味を持っておりまして、人、物、金、情報に次いでの第五のパワーにもなり得る分野がこのデザインかなというふうに思っています。特に、日本というのはこのデザインについて非常に潜在能力が伝統文化上もありまして、これからこの分野は伸びそうな気がしております。これについての現在の日本のデザインに関する評価課題あるいは今後の展開、戦略についてお聞かせを願いたいと思います。  外務省の山本政府参考人につきましては、外務省の情報発信の組織についてお伺いいたします。  広報文化交流部という組織の中には報道は入っていないというふうに認識しています。広報という名前は付いていますけれども、報道は別な組織がやっていると考えると、非常にちょっと外から見ると違和感があるような感じがします。  部の中には、総合計画課、文化交流課、国際文化協力室、人物交流室と四つの室で、報道は入っていないし、海外交流審議会というものがあって、カバーしている範囲は全体としての情報発信を多分やっていると思いますので、海外に行くと一番有名なのは、日本でいうとJICA、JICAと多くの人が言いますので、外務省トータルとして日本発信するときには、官房の中にもう少し強い組織があって、そこを例えば山本部長が統括した方が非常に多分やりやすいんじゃないかなと。例えば、情報発信文化交流局みたいな辺りがあると非常にやりやすいんじゃないかなと。  非常に多分ジレンマを感じている部分がいろいろあるんじゃないかなと。これは川口先生に聞いた方がいいのかもしれませんけれども、非常に外から見ていて違和感がある組織に外務省の情報発信組織が見えるんですけれども、その辺について御意見をお伺いしたいと思います。  以上です。
  59. 石井一

    会長石井一君) それじゃ、順次御答弁をいただきたいと思います。  あともう一人ありますので、簡潔にやりましょう。どうぞ。
  60. 田中秀明

    参考人田中秀明君) それでは、私どもがやっています教育支援事業ですが、これは国内広報事業です。  それで、三つの柱がありまして、一つは、小中学校の、これは、環境教育とエネルギー教育という、私ども分野を絞っております。ですから、環境へのいろんな企業、業界の取組を、補助教材を使ったり、その補助教材の使い方を広めていくという活動をしております。  それと、二つ目の柱は、先生方がまさに企業活動を全く知らないということで、夏休み期間中を利用して工場見学とか事務所見学とか、そういうことをしていただくあっせんをしています。昨年度だけでも、参加教員数六百六十名以上、受入れ企業団体が百社以上、夏休み期間中に三日とか一週間とか行っていただきました。  それで、佐藤先生のおっしゃっていますアントレプレナーシップの関係でいえば、私ども、三つ目の柱であります大学企業人がいろいろ説明するという講座を持っています。六大学東京大学と関西の大学、全部で六大学でやっているんですが、年間九十人ぐらいの方々が出ていって、例えば変革の時代企業経営とか科学技術論とか、その学校の講座に合わせていろんな方々が講師として出ていっていただいています。その中にアントレプレナーシップというようなテーマを設定されている大学もありますので、そういうところに私ども協力しているというところでございます。
  61. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 小中学校までは行っていないと。
  62. 田中秀明

    参考人田中秀明君) そこまでは行っておりません。恐縮でございます。
  63. 伊沢正

    参考人伊沢正君) 簡単に御説明いたします。  私、ファッションのセンス、全くないものですからあれなんですけれども、恐らくアパレル系は、有名なデザイナーも世界で活躍していますので、多分そこそこ日本競争力あると思っているんですね。  ただ、問題はインテリア系で、特に伝産品的なものが、日本の場合、どうしても一部の日本の愛好家とか骨とう品的にとか、非常に高価なものとして余りマーケットに出すのを前提としないような形で今まで作っているケースが多かったものですから、今ジェトロ支援していますのは、まさにこのパリのメゾン・エ・オブジェとかいってヨーロッパなんかで売れるもの、ある程度の高価格なものでもいいですけど、売れるものというのはどのぐらいのもので、どういうふうにすれば売れるのかという、そういう、物を海外に売るという視点で少し日本の伝産品も工夫をしたらどうかという、そういう観点から支援をしていまして、そういう意味では着々と進んでいると。  中には、やっぱりジェトロ支援のスキームの中で、産地と産地を支援する、タイアップするスキームがありまして、富山県がミラノとタイアップして家具のデザインとかそういうのを、いいデザイナーを富山に呼んで売れるものを作るとか、そういう形で工夫をしていますので、徐々にではありますけれども世界で売れるいわゆる日本の伝産品というのはどうなのかという、そういう勉強を今しているところでございます。
  64. 山本忠通

    政府参考人山本忠通君) 外務省の組織ですが、おっしゃるとおり、報道関係は報道官組織というのがありまして、その下に、報道課、それから、今日来ていただいていますけれども国際報道官のところと国内広報課という三つの組織があります。  分け方の発想は、三年前なんですけれども、要するに、パブリックディプロマシーということで、海外の市民、政府以外の人たちに対して働きかけるところ、これは海外広報と文化交流、人物交流だろうということで、そういうところを一くくりにして私どものところに来たということなんです。  それで、おっしゃるように、截然と分けるわけにいかないんで、報道官組織とうちとは定期的に会合をしています。それから、特にインターネットの発信は一緒になってやっているものですから、IT室というのがあってインターネットを担当しているんですけれども、そこの下に、両方が一緒に、毎週会って戦略会議をやっていると。  そういうような会議でやっておりまして、区分けの仕方としては、例えば中長期に計画できるもの、余りいい例じゃないかもしれませんが、例えば去年の南京の七十周年のようなことは、最初から分かっていたわけですから、そういうところは私どもの方で対応いたしましたけれども、どういうふうにしたらいいかというようなことを考えるに当たっては。ところが、例えば慰安婦問題のように、ぽっと米国の議会に出てくるような話というのは、これはメディア対応が主になるものですから報道官組織でやったというふうに、いわゆるメディア対応と事件性のあるものというのは基本的に報道官組織でやる、ある程度計画性を持って考えて詰め込んでいけるようなところというのは私どもの方でやると、そんなことでやっています。  ただ、メディアの人を呼ぶような話というのは両方に関係するので、これは相談をしながら、私どもの方でメディアの人たちを呼ぶ計画を持って、報道官組織の方と一緒に、どういう滞在日程を作るかというようなことを考えてやっております。そういう状況でございます。
  65. 石井一

    会長石井一君) それでは、最後に川口順子委員
  66. 川口順子

    ○川口順子君 今日が発信力を人に来ていただいてお話を伺いながら議論する最後の時間なんですけれども、個人的には、今までいろんな、今日のお三方も含めて、御意見を伺っていて、皆さん、やるべきことをやっていただいているのかなという気がいたしております。ただ、惜しむらくは、人と金が足りない、もっと増やすことができたら、いろんな制約がありますけれども、いいのにというふうに思っております。  ただ、やることはたくさん実はほかにもあるんじゃないかなという気がしていまして、二つほど、これはお願いということで申し上げさせていただいて、もしコメントがあれば伺わせていただきたいということなんですが。  一つは、先ほど野村先生がおっしゃった、外国の新聞記者東京を離れて北京を中心として移ってしまうという件に関して、ここで新聞記者の方をお呼びして意見を伺ったときに要望として彼らからありましたのが、一人でこの広い日本をカバーしている、場合によっちゃ他の国もカバーしている、それで、是非取材をするのに助けが欲しい、特に情報を同時に欲しい、日本記者の人たちが取るのと。  例えば、事前にブリーフをする、記者にレクチャーをする、何か大きな発表物があって、事前にレクチャーをして解禁何日ですよということを言う。そのときに、中に記者クラブ制度があって、まあこれ自体は一つありますけれども、これはちょっと長期、少し時間が掛かる問題ですから今は触れませんが、記者クラブの人たちにレクチャーをするんだったら、自分たちにも同じ時間にそれがニュースとして出せるように教えてほしい、それが発表されちゃってから自分たちがそれを知って、それから取材をするんじゃもう全然ニュースにならないという話がありました。  同じようなことが、例えば審議会とか何かそういう会合があって、どういう話がありましたかというふうに言うと、数日たったらホームページ見てくださいと。数日たった後ホームページ見るんじゃニュースにならないという話があって、そこは、マンパワーの制約があるところではありますけれども努力でもう少し解決できると思いますので、是非御検討をいただきたいというふうに思います。それが一点です。  それから、二点目のお願いは、ひところ、これは特に田中参考人にかかわる部分が大きいと思いますけれども日本企業外国大学アメリカ中心として講座を寄附していました。今、アメリカ大学も、中国の講座を置くといったらいっぱい財団支援をしてくれるんだけれども日本についての講座を置きたいといってもどこからもお金が来ない。やっぱり言葉は、例は悪いかもしれませんが、魚を釣るよりも魚を釣る道具を差し上げるということの方が長期的に有益であって、日本企業もいろいろ厳しい競争で大変だと思うんですけれども、経団連として是非そういうことを企業に働きかけていただきたい。  外務省、ジェトロ、同じようなお願いですけれども、という二点を特にお願いを申し上げまして、もし御感想があれば伺いたいと思います。なければ結構です。
  67. 田中秀明

    参考人田中秀明君) 川口先生の御要請、承りました。  経団連の方にも伝えて、確かに、特に二点目の大学への寄附講座については、やはりかなり九〇年代以降縮小していますので、アメリカ大学における存在感が薄まっているというのは現実問題で、財界人の方でも非常に心配しているというふうに私ども理解していますので、改めて経団連の方に伝えたいと思います。  それとあと、一点目については、企業情報については、今、内外同時に発表というのをかなり気にしています。これは財務情報のことも含めてかなり進んではおりますが、まだまだ先ほどおっしゃった幾つかの障害がありますので、その辺は経済広報センターの中でも、どういうふうにしたらそういう問題が解決できるかというのを日本のマスメディアとも一緒になって今、議論をしているというところでございます。
  68. 伊沢正

    参考人伊沢正君) 一点目は、ジェトロでは、記者クラブで内外無差別というのか、同時にやっていますので、引き続きそれをやっていきたいと思っています。  それから、二点目の冠講座につきましても、ジェトロのもちろん仕事というよりは、むしろこれから海外事務所と相談しまして、何か機会があればそういう形で、財界人とも会う機会もかなりありますので、奨励していきたいと思っています。
  69. 山本忠通

    政府参考人山本忠通君) 川口先生の御指摘は、残念ながら、そういう問題点あろうと思います。ある程度努力はしておりまして、特に外務省の場合は矢面に立っているものですから、自分たちでできる努力はしております。  例えば、プレス記事資料はすぐに英訳して送るとか、それから、重要な会談とかがありましたときには外国記者に対するブリーフも同時に行うとか、それから、外務省の行っている記者会見というのは外国記者たちもオープンということで我々としては最先端に立ってやっておりますけれども、それが多分最先端ということですので、ほか──やっぱりいろいろと外国人の記者方々というのは、別に外交だけを追っているわけじゃありませんし、またもっと総合的なものも追っていますから、そういうところでの問題がまだまだ残っているというのは残念ながら事実なので、改善できれば非常にいいなと思います。  それから、先生の第二の御指摘の講座の件というのは私どもも痛感しておりまして、そういう講座があることは実は日本の拠点がそこにできることを意味しまして、そこにインターンが行ったり、いろんな企業とか大学の人たちが行って籍を置いて、そこでいろんなことをしたり協力の場所になるので、是非そういうことが進めばいいなと期待しております。
  70. 川口順子

    ○川口順子君 ちょっと一点だけ。  外務省は報道官組織があってやっていらっしゃるのはよく承知をしていますけれども、ほかの省にも是非働きかけていただきたいと思います。
  71. 石井一

    会長石井一君) それでは、予定の時間が参りましたので、本日の調査はこの程度といたします。  一言ごあいさつ申し上げます。  田中参考人及び伊沢参考人におかれましては、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただき、おかげさまで有意義な調査を行うことができました。調査会を代表し、両参考人のますますの御活躍を祈念いたしまして、本日の御礼とさせていただきます。  山本参考人も、政府参考人として貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。  あなたは御出身はどこですか。
  72. 山本忠通

    政府参考人山本忠通君) 私は広島でございます。
  73. 石井一

    会長石井一君) ああ、そう。いや、日本語が得意だから。  さて、皆さん、実は今日をもって参考人意見の聴取、もう何十人に来ていただいたか分かりませんが、一応終結いたしまして、次回、二十一日とそれから二十八日は議員相互の意見を聞きまして中間報告をまとめたいと、このように考えておるわけでございます。このやり方につきましては、今日、理事会で多少紛糾しましたので、次回までに再度理事会を開きまして理事意見をまとめたいとは思うんですが、皆様方におかれましては、ひとつ、何でも結構でございます、活発な意見を御出席をいただきましてお述べいただきますようにお願いを申し上げておきたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二分散会