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参考人(
山田督君) びわこ銀行の
山田でございます。本日はこのようなチャンスをいただきまして大変光栄に存じております。
私
ども環境銀行というのを標榜いたしておりますけれ
ども、大変小さい銀行であり、大したことをやっているわけではございません。余り
参考にならないかも分かりませんが、
環境銀行への
取組について報告をさせていただきたいというふうに思います。(
資料映写)
まず最初に、
環境銀行ということでございますが、どんな銀行かということからお話を始めさせていただきます。
ちょっとその前に、当行の概要について簡単に述べさせていただきます。
私
どもの本店は滋賀県の大津市にございます。第二地方銀行でございまして、資金量、預金は約一兆円、第二地銀というのは
全国で四十五行ほどございますけれ
ども、ちょうどその真ん中ぐらいというのが私
どもの位置でございます。
従業員は、パートさんを含めましても千二百名強という小さい銀行でございます。
なぜ私
どもが
環境銀行を標榜するようになったかというその理由、背景、そこからお話をさせていただきたいというふうに思いますが、まず第一に、御承知のように、もう三十年ほど前になりますけれ
ども、滋賀県で粉石けんの
使用ということで運動が起こりまして、いち早く
環境に目覚めたと。県民の方々の
環境に対する関心が非常に高いというのがまず第一点目でございます。
これは
企業にも言えまして、滋賀県の
企業の
ISO14001の認証取得率というのが、
全国平均が一・三%に対しまして滋賀県では三・三%ぐらいあるという、まあ三倍近くあるというのが実情でございまして、
企業も大変
環境に関心を持っているというのが二点目でございます。
それから、三点目といたしまして、歴史的に、御承知のように滋賀県、近江商人ということでございますが、近江商人の家訓に買手よし売手よし世間よしという、三方よしという家訓がございますけれ
ども、それが滋賀県民の間にDNAという形で流れておりまして、私
どももそれを受け継いでいるということでございます。
これ、弊行の
企業理念と経営方針でございますけれ
ども、その中に共存共栄という形で近江商人の家訓を残しているということでございます。要は、
環境を考えずにもう我々銀行の経営ができないんだということで
環境銀行というのを標榜しているというふうに御理解をいただきたいというふうに思います。そのため、次のページでございますが、私
どもが目指すべき銀行像という中にはっきりと
環境というのをうたっております。
私が頭取に就任して以降、お酒に地酒、ビールに地ビールがあるように、銀行の地銀になろうと。地方銀行の地銀ではなしに「じぎん」になろうというのをキャッチフレーズにしてやっているわけでございますが、その「じぎん」の中身が大きな
業務の三本柱ということでこの下の方に出ておりますが、中小
企業取引とか住宅ローンとかと同じように
環境を考えようということで、もう
環境をCSR的なものではなしに銀行
業務そのものとしてとらえてやっていこうというのが
環境銀行だというふうに御理解をいただきたいと、それで今現在やっているということでございます。
ちょっと飛ばしまして、それでは、
環境銀行というのは具体的に
環境銀行としてどんな
活動をしているのかということを御紹介をさせていただきたいと思います。
十一ページになりますけれ
ども、具体的な
活動実績としては大きく分けて
三つございます。
一つ目は、自らの
環境負荷を改善しようという、エコオフィス宣言と我々は行内で呼んでおります。それから二つ目は、左下でございますけれ
ども、教育・
啓蒙、
地域貢献活動、これが二つ目でございます。そして
三つ目が、右になりますけれ
ども、先ほど申し上げましたように、ビジネスとして
環境銀行を運営していこうという、この
三つが具体的な
活動実績ということでございます。
まず最初に、一番目の
環境負荷の改善ということでございます。私
ども銀行といいますのは、やはり
温室効果ガスがどこから出るかというのは、ほとん
どもう
電気、電力からでございます。その表にございますように、四分の三、七六%が電力からということでございます。
そこで私
どもは、もう古い話なんですが、平成十三年からノーネクタイ運動、これ、金融機関では私
どもが
全国で初めて取り組んだわけでございますけれ
ども、最初は、銀行というのはノーネクタイというのはおかしいんじゃないかというようなことでちょっと心配をしたわけでございますが、そこの表にもございますように、昨年アンケートを取りましたら、ほぼ一〇〇%の
お客様がもうノーネクタイでいいよという評価をいただいているということで、自信を深めて現在も続けているということでございます。
このノーネクタイ運動とともに、夏季の
電気使用量を
削減するために節電機器の設置や冷房設定温度の調整というのを非常に細かくやっております。下の方に、これは私
どもの本店だけなんでございますけれ
ども、平成十二年から平成十九年では、百人ほど
従業員、行員の数は、本店で働く人数は増えておりますけれ
ども、その棒グラフを見ていただきましたら分かりますように、ずっと基本的には夏の
電気使用量が減ってきているということでございます。
これを年間ベースで見たものが十五ページでございまして、やはり私
ども、
電気を使う要因は何といいましても照明、パソコンでございます。それが四三%を占めております。そこにございますように、順次いろいろ手を打っております。先ほ
どもお話がございましたけれ
ども、例えば平成十七年では、四十ワットから三十六ワットの蛍光灯に変更したり、また三本タイプから二本に変更したりというような、いわゆるけちけち大作戦というのもやっております。
それから、あと残り四割を占めるのが左にございます空調電力ということでございます。これは平成九年から、そこにございますように、割合大型な設備投資をして空調電力を
削減をしているということでございます。
この結果、次のページでございますが、年間の電力
使用量をグラフにしたのが十六ページの折れ線グラフでございます。
基準年でございます平成二年は、私
どもは四百八十万キロワットの
電気を
使用しておりましたけれ
ども、平成十八年には、そこにございますように、百六十五万キロワットということで六五%を
削減をいたしております。私
どもが加盟をいたします
全国銀行協会では、平成二十二年度に平成十二年度比で一二%の
削減というのを
目標にしておりますけれ
ども、もう既に私
どもは平成十八年度で三二%の
削減を果たしているということでございます。
これらを、十七ページでございます、グラフ化したのがこの表でございまして、やはり平成八年とか平成九年にどんと
電気の
使用量が落ちております。これらは、コンピューターそのものを
省エネ機器に更改したり、また空調設備そのものを新たに更改をするということでどんとこの
電気の
使用量が落ちているというのがはっきりいたしております。
これを
CO2の
排出量に換算をしましたのが十八ページでございまして、平成二年に二千四百トンを
排出をいたしております
CO2、我々、こういう銀行でございますが、少ないわけでございますが、平成十九年では千トン強、半分以下に減らしているということでございます。
また、大変小さい話で恐縮でございますけれ
ども、十九ページでございます。我々使っております事務機器、いすとか机とかといったものもリサイクルというのに大変力を入れております。
それから二十ページ。私
ども紙を大量に
排出をするわけでございますが、この廃棄紙のリサイクルというのにも力を入れておりまして、現在では、リサイクル比率というのは九五%に達しております。シュレッダーをいたしまして業者に持ち込んだ分のうち、まあ少ないわけでございますが、一万ロールをトイレットペーパーにいたしまして滋賀県の特別支援学校に毎年寄附というようなこともさせていただいております。
それから、銀行で預金をされますと頒布品、サービス品、いろいろもらわれるかと思いますけれ
ども、そういったものもすべて
環境配慮商品というものを
使用いたしております。
次に、二番目の教育
啓蒙、
地域貢献活動ということでございますが、私
どもは財団法人といたしまして、びわぎん緑と水の基金というのを平成四年に創業五十周年記念事業ということで設立をいたしておりまして、既にこの財団からは九千万以上を助成させていただいているということです。主に県内の苗木に使われておりまして、学校などに累計で十一万五千本寄贈をさせていただいております。その十一万五千本のうち桜だけでも三万本に達しておりまして、もうこれで琵琶湖一周分に相当するという寄贈をさせていただいております。また、ボランティア
活動も積極的に力を入れております。
それから二十四ページでございますけれ
ども、やはり
環境といえば草の根運動が必要ということでございまして、私
どもの銀行で
子供たちの野球とか卓球を後援をさせていただいているわけでございますが、びわ銀エコカップという名前を付けまして、その
参加資格にペットボトルのふた、キャップ、これを持ってきていただいてこういう大会に出場していただくというようなことで、子供の時分から
環境に対して関心を持っていただこうというような
啓蒙活動をやっております。
そこで三番目。
環境銀行として、じゃどういう我々、
商品を取り扱っているかということを御紹介をしたいと思います。
二十八ページでございますが、まず預金の方の残高といたしまして、もう既に五百億近くになっております、
環境関連の。また、貸金としては二百七十億という残高になっております。
それと、これは非常に私
ども珍しいかと思いますが、二十九ページに
環境銀行の損益計算書というのを半期ごとに発表をさせていただいております。これは、一般の
環境会計とは違いまして、財務会計からのアプローチで発表をしているものでございまして、有価証券報告書やディスクロージャー誌に正式にこれを載せております。こういう形で
環境銀行の損益計算書を発表しているのは、
日本の銀行では私
どもだけではないかというふうに自負いたしております。
幾つかの前提をたくさん置く必要がございまして、また必ずしも正確な数字かどうかというのは疑問でございますが、やはり時系列で比較できるというメリットが一点あります。それから、こういう
環境銀行の損益計算書ということを発表していること自体、株主の皆様、それから私
どもの行員に対しましてやっぱり
環境意識というのを高めることができるというふうに思っております。それなりの
効果は十分あるというふうに考えております。それと、何といいましても、先ほど申し上げましたように、我々、
環境を
業務そのものと位置付けているというふうに申し上げましたけれ
ども、やはり半期でも七千万、年間でも一億三千五百万とかという経常利益が上がるわけですから、銀行の
業務として
環境が十分成り立つんだという
一つのデータとして対外的に示すことができるんではないかということで、これはずっと続けております。
具体的な我々のやっております預金でございますけれ
ども、
一つ目はエコアンドチャレンジ定期預金。これは、琵琶湖ということでございまして、最高気温、最低気温、琵琶湖の水位、この
三つが当たれば、六か月後の数字でございますけれ
ども、当たれば金利を三%にするという
商品でございます。当時、普通の預金ですと〇・〇六%のときでございましたので、この三%というのはもう破格の預金の金利ということでございます。
それから、エコ・クリスタル定期預金、これもつい去年販売したわけでございますが、これは琵琶湖の透明度が改善すれば定期預金の金利を二倍にしますよということでございまして、今のところ確率はフィフティー・フィフティー、五〇%になっております。
今、力を入れて販売をしておりますのが、三十三ページで、
CO2ダイエット・チャレンジ定期預金ということでございます。これは、一人一日一キロ
削減という、チーム・マイナス六%です。このチャレンジ宣言をしていただければ〇・二%の金利優遇をするということでございます。何も宣言をしなければ〇・三五%のところを〇・五五%の金利を付けさせていただくということで、大変これは人気を呼んでおりまして、五か月、昨年の九月一日から発売をしたわけでございます。五千件でもう既に百十億というヒット
商品になっております。
これらのうち、残高の一定割合、〇・〇二%でございますけれ
ども、私
どもは
環境の保全団体に当行から寄附をするという形になっております。三十四ページにございますように、昨年度では九百五十万、今年度は六百八万円ということで、累計ではもう三千万近くこちらから寄附をさせていただいているということでございます。それらの使い道がずらずらっと、もう細かいところになります。五万円、十万円という助成になるわけでございますけれ
ども、三十六、三十七、その写真が三十八、三十九というところで載せさせていただいております。
それと、四十ページでございます。法人向けでございますけれ
ども、リサイクル設備プランというような形でサポートをさせていただいておりますが、残念ながら法人向けはまだまだ関心が少ないということでございまして、一番多いリサイクル設備プランでも十四件の十四億という融資実績にとどまっております。
ただ、四十一ページでございますけれ
ども、これは
全国初という
環境コベナンツ融資というのに取り組みました。コベナンツというのは特約という意味でございまして、これは大津に
本社がございますO製紙
会社に対して取り組んだものでございます。従来、重油でもって板紙を造っていた
会社でございますけれ
ども、それを天然ガス仕様の設備に切り替えるということでございましたので、私
どもはこのコベナンツ融資を取り組みさせていただいたということです。
コベナンツといたしましては二項目ございまして、そこにあるとおりでございます。
CO2が当初の約束どおり
削減できれば、また、光熱費が約束どおり
削減できれば貸金の金利を安くさせていただきますという
取組でございまして、非常に関心を呼んだというふうに我々は思っております。
それから、
個人向けの融資でございます。四十五ページまでちょっと飛びますけれ
ども、四十五ページに
個人向けの融資の一覧を載せております。さすがに、やはり住宅ローン、エコライフプランと我々呼んでおりますけれ
ども、法人と違いまして件数、金額が多くなっております。件数といたしましてはもう千件を超えておりますし、金額も二百六十億を超えているということでございます。
ただ、この表にはございませんけれ
ども、我々、昨年四月から昨年の十二月までの九か月間で一千三百件の住宅ローンを
取組をさせていただきましたが、そのうち、いわゆるエコライフプラン、オール電化住宅であるとか太陽光を使った住宅というのはわずか一割に満たない、九%でございまして、まだまだ一般に普及をしていないというふうに感じております。
そこで、やはりどうしても我々、家庭の
CO2を
削減するために銀行として何かできないかということで、家庭版ESCOスキームというのを現在提案をさせていただいております。具体的には四十七ページでございますけれ
ども、私
どもと財団法人地球
環境戦略研究機関、IGES様、それと地元の滋賀県の電器商業組合、この三者で提案をしたものでございます。
環境省さんの優秀提言にもこれは選ばれまして、具体的にパイロット事業として開始をしたところでございます。
これは、
省エネのクーラー等を買おうとしたら普通の機械よりは高いと、その高い部分はじゃ私
ども銀行から融資をしましょうというものでございまして、この融資のスキームのポイントというのは、
省エネ診断員という非常に第三者機関としてオーソライズされた機関に診断をしていただきまして、そうすると一般の方々も
省エネに対して非常に関心が深まる。どうしても買おうと思えば販売店の方々とかメーカーさんの主導になってしまって、なかなか一般大衆までこの
省エネというのが広まらないわけでございますので、それを応援をしていただく
省エネ診断員をつくるというのがこのスキームのみそでございまして、我々もその診断員さんの証明があれば融資がしやすくなるということで現在進めております。
いろいろ問題点があるわけでございますけれ
ども、できればこれを高価な住宅、それから
全国展開に広げていければというふうに考えております。
私の方からは以上でございます。