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参考人(
八谷道紀君) ただいま御指名いただきました日産
自動車の
八谷と申します。
本日は、
弊社の
環境問題への
取組、その中でもとりわけ重要な地球温暖化問題について、その防止の
取組を説明させていただく機会をいただきまして、大変ありがとうございます。
私は、
資料は
パワーポイントと、お手元に同じコピーがございますので、両方御覧になっていただければよろしいかと思います。
それからもう
一つ、お手元に「
CO2削減に取り組む
自動車産業」というパンフレットをお配りさせていただきました。これは、日産
自動車ということではなくて、
自動車産業全体の
取組方を冊子にまとめたものでありますので、これ、特に一点一点説明をすることではありませんが、後ほどの
質疑のときに
参考に使わせていただこうかなと思っております。(
資料映写)
それでは、まず、日産
自動車の概要ということで紹介をさせていただきたいと思いますが、日産
自動車、一九三三年に創立いたしまして、約七十四年たってございます。その中で、グローバルな
生産、販売ということでは、大体、二〇〇六
年度の
数字としまして、
生産台数が三百二十六万七千台、販売台数で三百四十八万三千台ということでございます。業績は、これも二〇〇六
年度では、
売上高十兆四千六百億、営業利益七千七百億、当期純利益四千六百億ということで、
日本でもあるいはグローバルでも
事業を展開させていただいています。その連結の従業員数が、これも十六万五千七百人という規模で
事業を進めております。
本題の
環境問題でございますが、日産の
環境への
取組として、約一年前にニッサン・
グリーンプログラム二〇一〇というものを中期
計画というような形で発表いたしました。本日は、このプログラムを中心に
技術開発の短期あるいは中長期の
目標などについて御説明いたしたいと思います。
ニッサン・
グリーンプログラム二〇一〇では、
弊社が目指す究極のゴールを日産の
企業活動と日産車の使用過程から生じる
環境負荷を自然が吸収可能なレベルに抑えるということに設定いたしました。
その日産が考える
環境について重要
課題が、ここにありますように三つございます。
一つ目は
CO2排出量を
削減すること、二つ目は
排出ガスなど
環境に
負荷を与える物質の
排出を抑え、水、大気、土壌、これを保全すること、
三つ目に、リデュース、リユース、
リサイクルと、こういうふうに三Rと言われていますこの
資源の循環を促進するという、この三つが一応重要
課題という取上げ方をしてございまして、これに
企業活動の
商品、
技術あるいは
生産、物流部門あるいはマーケティング及びセールス部門と、こういうそれぞれの部門が有機的に動いていく、それをコーディネートするためにグローバル
環境マネジメントというのが必要だろうということでシステムとして組み上げてございまして、定期的にグローバル
環境委員会という形で実際の進捗度合いのチェック、レビューをやって
企業としてのPDCAを回すという、こういうような仕組みになってございます。
次に、その三つの重要
課題について、それぞれのその究極のゴールと、それから中期としての二〇一〇年における
目標ということで一応整理したものがこの表でございます。
CO2に関しましては、当面、
商品としては、各国燃費
基準の着実な
達成と更なる燃費向上の
推進ということでございます。
生産部門に関しては、全
工場から
排出される
CO2を七%
削減ということで取り組んでございます。
日産が最も重点を置くべき
課題というのは、この絵からも明らかなとおり、
自動車の走行というところでの
CO2の
排出が圧倒的に、けた違いに大きいわけです。したがって、
自動車の燃費を向上させるということが
一つ大きく
貢献できる
部分だろうなと。もちろん、それに
生産、物流、オフィスというところも、大体ここの絵は
企業活動全体の
排出量を表していますけれ
ども、少ないからといって忘れているわけではございませんで、同じような
取組をしてございます。
続きまして、ちょっと短期的な話になってしまいますが、これは
日本全体の運輸部門の
CO2の経緯を表しておりますけれ
ども、御覧になって分かるとおり、二〇〇一年をピークに二〇〇六年までの
データでだんだん運輸部門は下がってきておりまして、一応
目標の二億五千万トンにあと一歩というところまで近づいてきております。これについては、右の方に書いてございますように、走行量の低下、燃費の向上、それから交通対策等々の効果という、こういう今まで打ってきたものが少しずつ効果を現してきているんだろうと、このように思ってございます。
これも
業界平均での
数字でございますが、ガソリン乗用車の平均燃費で、御覧になって分かるように、青い線、一番上の線で、新車の燃費が毎年どんどんよくなってきてございます。
こういう
状況の中で、長期的な話を少しさせていただきたいと思います。
これはIPCCレポートに基づく定説なんですが、温度上昇を二度C抑えるためには二一〇〇年段階で
CO2を五五〇ppmに安定させることが必要だと、こういうふうに言われています。最近発表された第四次のIPCCレポートでは、更にこれが四五〇ppmだという話もございます。そういう中でこれを五五〇ppmとしてキープするにしても、私
どもの試算で見ますと、これから二〇〇〇年を一〇〇とした場合に二〇五〇年で
排出量を七〇%
削減しなきゃいけないという、かような厳しい
目標になるんだろうと、こういうふうに試算しております。
その七〇%
削減ということに対してどういうことをしなければいけないかということを整理したのがこの絵でございまして、ガソリンエンジン等は今から三〇%近くはまだ燃費向上のポテンシャルがあるかなということであります。それから、ハイブリッドについても半分ぐらい、五〇%
削減ぐらいまではポテンシャルがある。しかし、それではとっても七〇%というのはいきませんので、二〇五〇年という長期で見ますと、どうしても
電気自動車とか燃料電池車とかいう、こういう新しいもの、新しい
技術の導入が欠かせないんだろうと、このように思ってございます。
ただ、
電気自動車にすれば全部ゼロになるかというと、そういうことでもなくて、これはもう
発電のミックスによって、
石炭とか石油を燃やしている限り、それでも
電気をつくる過程で
CO2が出てしまいます。
この絵は、今のガソリン車を一〇〇とした場合に
電気自動車に置き換えたときに
CO2の
削減はどのぐらいになるかということで、今の
日本の
電力ミックスで見ますと大体三〇%まで落とせるということですが、先ほど申し上げましたようにかなり厳しいものですから、結局は
電力ミックスも、原子力とか風力とかソーラー、太陽光ですとか、そういうような再生可能な
エネルギーの
発電が必要になってくるだろうと、このように思ってございます。
時間が押しておりますので少し急ぎますが、それで、ガソリンのエンジンの
革新なんですが、先ほど申し上げましたように、三〇%ぐらいはまだ向上のポテンシャルあるだろうと。それから、ディーゼルエンジンなんですが、
日本では今ほとんどディーゼルエンジンの乗用車は販売されていないんですが、これもクリーンディーゼルということで近々世の中に投入していこうと、こういうふうに考えてございます。
先ほど申し上げました、ガソリンエンジンを今後三〇%ぐらい改良できるということで個々に取り組んでございます。ここにも幾つかその
技術の例を挙げましたが、ちょっと時間がないもので細かい
技術の話は省略させていただきたいと思います。
これも、ガソリンエンジンで三リッターカーというのを二〇一〇年
目標に投入しようと、こういう意気込みで世の中に発表してございます。さらに、ディーゼルエンジン、これもガソリンエンジンとほとんど排気
ガスのレベルで劣らないようなクリーンなディーゼルを近々発表していこうと、こういうことでございます。
〔
理事広中和歌子君退席、
会長着席〕
それから、昨今いろいろと世の中でお話しされていますバイオ燃料なんですが、これにつきましても、既に
自動車としては、三%のエタノール車というのは対応が済んでおりまして、一〇%になりますと、これも
弊社の場合にはほとんど世界中の販売車で対応ができております。さらに、八五%、一〇〇%と、こういう高い濃度のエタノールの可能性はあるんですが、フレキシブル・フューエル・ビークルということで既にアメリカでは発売してございます。それから、近々一〇〇%対応もブラジルでは対応していこうということでございます。
これも、燃費向上の
技術として無段変速機の普及の度合いを示したものでございますが、ここは日産
自動車、割と自信を持っている
技術だと、こういうふうに御理解ください。
さて、ハイブリッド車なんですが、今はプリウスというトヨタさんのハイブリッド車がほとんど世の中を占めていますが、これについても、私
ども独自で開発したものを二〇一〇年をめどに投入していきたいと。さらに、プラグインハイブリッドというものについても、これは家庭で充電できるようなハイブリッド車ですけれ
ども、これも
研究開発を促進しております。
それから、電動車両に移りますと、燃料電池車でございます。これも今までの開発の経緯を示してございますが、さらに二〇一〇年以降、新しい性能を上げた燃料電池を積んだものを出していこうということでございますが、これには非常にまだ
技術的な
課題、特にコストを下げなければいけないという大きな
課題がありますので、実際に市場投入という、実証試験以外の実用投入というのはまだ先になるのかなと、このように考えてございます。
それから、
電気自動車です。これは全く、そういう意味では
排出ガス、
CO2を出さない、先ほどの
電力ミックス次第だと申し上げたものでございますが、これも今、鋭意、
研究開発、特にバッテリーの性能というのはかなりの
ポイントを占めておりますので、これの鋭意、開発
努力をしておりまして、二〇一〇年以降のなるべく早い時期に市場に投入していきたいと、このように考えてございます。
そのために、昨
年度、二〇〇七年四月に、日産とNEC及びNECトーキンというところで合弁で新しいバッテリーの
会社を設立しました。これで、従来蓄えた日産のリチウムイオンバッテリーの
技術をこの
会社でうまく
生産につなげていこうと、このように考えてございます。
最後になりますけれ
ども、
自動車から
排出するその
CO2というのは
自動車の燃費だけで決まるものではなくて、今まで申し上げました燃費というのはあくまでも決まったテストモードで測ったものであるんですけれ
ども、世の中でやっぱりドライバー一人一人がいろんな運転の仕方をするんで、ここで、エコ運転といいますか、エコドライブというのは非常に重要な
ポイントになってくると思っております。
エコ運転の教育した人、しない人、これで大体二〇%ぐらい大きく差が付くというふうにも言われています。そういうことで、エコ運転になるべくドライバーさんを向けていくための幾つかの
技術、あなたの燃費は今幾らですよというようなことを表示するとか、あなたはこの車を運転していて大体全体のどのぐらいの順位にいますよというようなことを車の方が判断してドライバーに伝えてあげるというような仕組みを最近開発して、これ、
省エネ大賞とエコプロダクツ大賞をいただきました。
さらにもう
一つ、渋滞を回避するということで大分燃費が良くなるということで、これもITSの
技術を活用して、最短あるいは最速経路を誘導するというような仕組みを今、神奈川県で実証実験をやっておりまして、幾つかのメーカーさんあるいは団体と
協力して取り組んでございます。
最後に、
自動車の
生産工場からの
CO2排出については、先ほ
ども申し上げましたように、七%
削減という中期
目標で進んでございます。これも、
産業界の中では
自動車部門の
排出量というのは全体の一%なものですから、ここは、そこにベンチマークを置いて進めていくという
取組にしてございます。
それから、
最後になりますけれ
ども、それ以外のオフィスでありますとか研究所でありますとかという新しい建物を建てる際に、これも国土交通省の定められたCASBEEというアセスメントの評価があるんですが、それの最高のSランクという、これを満たすような
設計で取り組もうということで、
企業活動全般にわたって
CO2削減ということで取り組んでございます。
御清聴ありがとうございました。